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1986-11-25 第107回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月三十一日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     藤井 恒男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐々木 満君     理 事                 岩崎 純三君                 田代由紀男君                 糸久八重子君                 中西 珠子君     委 員                 石井 道子君                 石本  茂君                 関口 恵造君                 曽根田郁夫君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 宮崎 秀樹君                 千葉 景子君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 中野 鉄造君                 沓脱タケ子君                 佐藤 昭夫君                 藤井 恒男君    国務大臣        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君    政府委員        厚生大臣官房長  北郷 勲夫君        厚生大臣官房総        務審議官     長尾 立子君        厚生省健康政策        局長       竹中 浩治君        厚生省保健医療        局長       仲村 英一君        厚生省生活衛生        局長       北川 定謙君        厚生省薬務局長  森  幸男君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省児童家庭        局長       坂本 龍彦君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   岸本 正裕君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員        総務庁行政管理        局管理官     瀧上 信光君        法務省民事局参        事官       細川  清君        法務省人権擁護        局調査課長    落合 紹之君        外務省国際連合        局人権難民課長  堀村 隆彦君        文部省初等中等        教育局特殊教育        課長       辻村 哲夫君        文部省高等教育        局技術教育課長  小林 敬治君        文部省体育局学        校保健課長    下宮  進君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  森下 忠幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (ウタリ対策に関する件)  (精神衛生法改正作業に関する件)  (インフルエンザ予防接種集団実施に関する件)  (児童扶養手当受給に関する件)  (障害児(者)の保育教育に関する件)  (三原山噴火に伴う避難者対策に関する件)  (長寿社会対策大綱及び今後の高齢者対策に関する件)  (エイズ(後天性免疫不全症候群)の対策に関する件)  (未成年者飲酒予防に関する件)  (養護老人ホームの居室の在り方に関する件)  (社会福祉施設措置費に関する件)  (産業廃棄物(未処理水)の放流に関する件)     ─────────────
  2. 佐々木満

    委員長佐々木満君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月三十一日、柳澤錬造君が委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 千葉景子

    千葉景子君 厚生大臣、このたびは御就任おめでとうございます。厚生大臣も所信で厚生行政について大変積極的な御意思をお持ちのようなところが私もよく理解できますので、ぜひこれからも国民の福祉などに積極的な行政を推進していただきたいというふうに思っております。  ところで、最近中曽根首相日本国際化あるいは国際国家としての充実というようなことをおっしゃっているようでございますので、きょうは少し日本の国際的な状況について絡めて幾つ質問をさせていただきたいというふうに思っております。  まず最初に、十一月四日の衆議院予算委員会でいわゆるウタリ問題というのが取り上げられております。その中で中曽根首相は我が党の伊藤委員質問に対しまして、アイヌ民族が存在すること自体は事実であると。これについての国連提出報告については再検討をしてみたいという発言をなさっていらっしゃいます。また、北海道土人保護法というのは名前からしても大変問題があるので、変えた方がよいのではないか、またウタリ協会の代表の方にも会うことについて検討してみたいというようなことを述べられていらっしゃいますけれども、この点について厚生大臣もお聞きになっていらっしゃると思いますが、間違いございませんでしょうか。
  5. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) そのようなことだと思っております。
  6. 千葉景子

    千葉景子君 それでは、今大変問題になっているウタリ問題、そして北海道土人保護法所管というのは厚生省ということになっておりますので、厚生大臣本件について若干お尋ねしたいというふうに思います。  まず、中国根首相国連報告に対しては再検討をしたいということを述べられているようですけれども、これについて厚生大臣の方としてはどんなふうにお考えであるか、報告についてどのように具体的に検討されるか、もし厚生大臣の方でもお考えがあれば、お聞きしたいと思います。また、この問題についてはもし外務省管轄しているということであれば、外務省の方からお答えをいただきたいというふうに思っております。とりわけこの旧土人保護法といいますのが大変内容的にも差別的な法律であるということ、また国連人権専門委員会などにおいてもウタリについて差別があるのではないかというような指摘もされておりますので、この辺も踏まえて、今後の報告について御回答をいただければというふうに思います。じゃ、外務省の方がおわかりやすいようでしたら、外務省からお願いいたします。
  7. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) いわゆる市民的及び政治的権利に関する国際規約に関しまして、昭和五十五年に国連報告書を提出いたしたわけでございます。その規約の二十七条の関連で、我が国には同条に規定された権利を否定された少数民族は存在しないという趣旨報告をいたしたところでございます。この点につきましては総理からもお話のあったところかと存じます。  第二回目の報告を近く国連に提出することになっておりますが、その具体的な時期等については現在国連事務局と調整中でございます。具体的な第二回目の中身の問題につきましては、今後関係省庁とも十分御相談さしていただいて、準備、検討をさしていただきたいと思います。現在、中身の問題につきましては現段階では言及は差し控えさしていただきたいと存じます。
  8. 千葉景子

    千葉景子君 まだ中身は白紙の状態だという御答弁かと思いますけれども、再度人権規約B規約の制定に際しての仲介あるいは現在のさまざまな批判の声、それから国連人権専門委員会における指摘、こういうものを前向きに踏まえて報告書をつくられる、こういう意思はございますでしょうか。
  9. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) 第一回目の報告に関しましてさまざまな御意見があろうかと思われますけれども、いずれにしましても、このB規約をめぐる諸問題につきましては、次回報告書作成の過程で十分検討さしていただきたい、かように考えております。
  10. 千葉景子

    千葉景子君 そうしますと、外務省としては、今のところウタリ問題について差別はないというふうに御見解を持っていらっしゃるんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。外務省及びそれから法務省の方にもお聞きしたいというふうに思うんですけれども外務省からいかがですか。
  11. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) 外務省は、人権規約の解釈のいわば所管というふうにされてございますが、二十七条に言っております趣旨は、ことに掲げております幾つかの権利が否定されているかどうかという点がポイントであろうというふうに考えられます。他方、これは総理も言われているところかと存じますが、これは事実上の問題といたしまして差別があるかどうかということにつきましては、もし差別があるとすれば、人権擁護観点から法務省の方で、その他関係省庁の方でしかるべく対応されておられるというふうに了解いたしております。
  12. 落合紹之

    説明員落合紹之君) 差別があるかどうかという件についてお答えすればよろしゅうございましょうか。
  13. 千葉景子

    千葉景子君 はい。
  14. 落合紹之

    説明員落合紹之君) 私ども法務省人権擁護機関におきましては、あらゆる差別人権侵害だということで、人権侵犯事件につきましてその啓発と、具体的に生じた事件処理してまいっておるわけでございますが、最近ウタリ出身者に関する差別事件として処理した事案につきましては次のようなものがございます。  一つは、北海道のある高等学校先生が授業中に、アイヌを見たことがあるか、見分けがつかなかったら大変だ、間違って結婚することもあるんだぞというふうな差別発言をいたした事件でございます。この事件につきましては、札幌法務局の方で調査をいたしまして、明らかに人権侵犯であるということを認定しまして、その先生に対しましてその誤りをじゅんじゅんと説きまして、その姿勢を改めてもらいたいということで説示をいたしております。それと同時に、そのような事件が再発してはいけないということで道の教育委員会に対して要望をしております。  それからまた昨年の事件でございますが、ウタリ出身者が息子の結婚問題につきまして相手方家族結婚の承諾を求めましたところ、相手方家族ウタリ出身者との結婚は認めないということで拒否いたしました。このことを情報として法務局が知りまして、結婚差別事件ということで調査をいたしまして、事件についてそのような内容で間違いないという確証を得ましたので、この差別を行った者に対しましてウタリであるということを理由結婚差別することは間違っておるということの啓発をいたしまして、先ほどの事件と同じように説示という処分をいたしております。なお、この結婚の問題は後に二人が結婚されたというふうに伺っております。  最近の事例はそんなものがございます。
  15. 千葉景子

    千葉景子君 今外務省及び法務省の方からお答えをいただいたんですけれども、どうも観点としては個々個人差別を受けているかどうか、そういう観点お話をいただいたように思いますけれども、やはりアイヌ民族ウタリ民族というものを前提に考え視点が必要なんではないだろうかというふうに私は思うわけです。  特に民族民族であるゆえんの一つに、固有の言語というのを持っているわけです。そういう意味では、多民族国家などではこの言語保護、こういうものも積極的に行われている、こういうふうに私も聞いております。ところが、我が国においてはこの言語保護などについては大変消極的な面があるのではないだろうかというふうに思うんですけれども、このあたり民族として保護をしていく、そういうことは法務省の方としてはお考えでありませんか。あるいは外務省の方でもこのような民族としての視点というのは考えていらっしゃらないんでしょうか。お聞きしたいと思っております。
  16. 落合紹之

    説明員落合紹之君) 法務省人権擁護機関立場といたしましては、ウタリ問題が民族問題であろうと人種問題であろうとあるいはその他の問題であろうと、あらゆる差別をなくしていくという観点からウタリ出身者であることを理由とした差別事象が発生すれば、それを人権侵犯事件として処理をして啓発していくという考え方で対応しております。
  17. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) 先ほど申し上げました国連人権規約B規約のいわゆる少数民族に関する条項、二十七条でございますが、ここにございますのは諸般の権利、特に「集団の他の構成員とともに自己文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己言語を使用する権利を否定されない。」というところがポイントでございまして、その権利を否定されているかどうかということにつきましては、我が国の法的及び制度的に見てそのようなことを否定されておられる方はおられないということをたびたび申し上げさせていただいているところかと存じます。  今先生のおっしゃいましたポイントにつきましては、これは外務省の直接のあれでございませんけれども、例えばウタリ方々文化のある側面につきまして、文化財等観点からこれを保護するというような具体的措置関係省庁で講じられておられるやに伺っております。
  18. 千葉景子

    千葉景子君 今外務省の方からお話がありましたように、言語というのが一つ民族の大きな柱であるということは御理解いただいていると思うんです。  これについて一つ差別的な例といいますか、あるいはこれを保護、尊重していく例として、例えば、北海道日高支庁平取町というところがあるんですけれども、ここの保育所建設にかかわりまして、アイヌ語幼児保育を行ってもらおうということで五百万の私財を保育所建設に提供しようとしたところ、こういう公的な保育の場ではアイヌ語教育はできないということで拒否をされたという事例を私はちょっと耳にしております。そうなりますと、いわゆる民族としての言語、この使用を否定されたといいますか、これを積極的に保護をするそういう観点が非常に欠けている、こういう現状があるのではないかと思いますけれども、こういうことについて、むしろ積極的にアイヌ語承継措置をとっていかなければいけないんではないだろうかと思いますが、これについては厚生省などでは、これ北海道土人保護法関連もありますけれども、どうお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  19. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 今お尋ねの件は、たしか昭和五十五年ごろにあったケースであると私ども理解しております。  それで、この北海道の二風谷という地域保育所建設する必要がございまして、それと関連してアイヌ語関係の非常に熱心な方が保育所をいわばアイヌ語教育の場という意味も含めて建設をしたいというお考えがあったようでございます。それに対しまして北海道庁の方で、保育所ということになりますとこれは児童福祉法施設で、保育に欠けている家庭児童を預かってそこで養護をするという目的施設でございますから、直接いわゆる言語教育というようなものを目的とするということになりますと、直接法律上の保育所として認めることは問題があると、こういうお答えをいたしました。  したがって、一般保育所として、そこでそれぞれの地域においていろいろな地域文化言語風習等がございますから、そういったものを保育の中の一環として取り入れていくということ自体にはこれは差し支えないということでございますけれども、お申し出のようなアイヌ語教育目的とするという意味での特別な保育所をつくるということに対しては、行政側が一応正規のものとしてはいかがかということをお答え申し上げたわけでございます。  その後、いろいろ関係者ともお話し合いがありまして、結局保育所としては正規保育所をつくる、そして各地域における特色一環としてそこにおいてアイヌ語を教えるということ自体はこれは差し支えない、こういう結論が出まして、結局保育所というものはできたわけでございます。  その後、いろいろお伺いしておりますと、結局アイヌ語教育なり伝承そのもの保育所で預かる幼児だけを対象とするというのもまた非常に問題ございますから、結局は関係者の方が別に施設をつくられて、そこで幼児だけでなくて一般の成人の方も対象にしてそういった方面の活動をしておられるというように聞いておりますので、保育所という特定の法律上の施設との関係において、アイヌ語そのものをどうこうというよりは、保育所自体のあり方という問題からこの問題の処理がなされたというように私どもは理解をしておるわけでございます。
  20. 千葉景子

    千葉景子君 今保育所アイヌ語そのもの教育目的としてつくられるということには問題があるというお話でしたけれども、その特色一環としてそういう教育をするのは差し支えないということですけれども、そうなりますと厚生省などでこれまでアイヌ語保護といいますか、アイヌ語承継のための措置とかあるいは保護、こういうための何か手段を講じられているようなことはあるんでしょうか。
  21. 小林功典

    政府委員小林功典君) 先ほど先生もおっしゃいましたように、厚生省ウタリ問題にかかわりますのは旧土人保護法関係でございまして、文化財でありますとかアイヌ文化あるいは言語といったことになりますと厚生省所管外でございまして、これは文部省管轄になろうかと思います。したがいまして、そういう意味での厚生省施策というのはございません。
  22. 千葉景子

    千葉景子君 そうすると厚生省としては、とりわけアイヌ文化あるいはアイヌ語、こういうものの保護について特別な措置をされているというようなことはこれまでにはないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  23. 小林功典

    政府委員小林功典君) そのとおりでございす。
  24. 千葉景子

    千葉景子君 今後厚生省としてはこういう保護について何らかの前向きな措置を講じていこう、あるいは言語保護あるいは文化保護について検討していこう、そういうお気持ちあるいは方向性は持っていらっしゃいますか。
  25. 小林功典

    政府委員小林功典君) 今おっしゃいましたようなことは、政府全体としては確かに大いに取り上げなければならない問題だろうと思いますけれども厚生省自体として厚生行政の枠内でウタリ言語文化というようなものにつきましてどうこうするということはちょっと考えにくいものだと思います。
  26. 千葉景子

    千葉景子君 私は、厚生省管轄の中でも文化承継あるいはアイヌ語承継などについての措置もぜひ講じていただきたいと思っておりますけれども、先ほど法務省の方から、差別については個々個人権利問題として救済をしているというお話がありました。先ほどは高校での差別発言あるいは結婚問題に関する人権救済というお話でしたけれども、制度的に法務省の方で何かアイヌ差別ウタリ差別、こういうものが残っているということはございませんでしょうか、法的な側面で。
  27. 落合紹之

    説明員落合紹之君) 人権擁護機関立場におきましては、そういうものをちょっと具体的には掌握しておりません。
  28. 千葉景子

    千葉景子君 これは戸籍関係になるかと思いますけれども戸籍の面で現在でも残っているような差別あるいは特別な措置、こういうものはございませんでしょうか。法務省にお伺いいたします。
  29. 細川清

    説明員細川清君) お答え申し上げます。  現行戸籍制度上あるいは実務上におきましては、ウタリ出身方々につきまして一般の場合と取り扱いが違うということは全くございません。
  30. 千葉景子

    千葉景子君 ちょっと私が調査したところによりますと、戸籍上、旧土人給与地戸籍より入籍とか、こういう書き方が残っているのではないだろうかと思われるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  31. 細川清

    説明員細川清君) お答え申し上げます。  今御指摘北海道土人保護法によりまして下付された土地につきましては、通常の行政区画の中に通常ございます町名、字名、地番というものは古い時代には付されていなかったという事情がございます。したがいまして、戸籍上非常に古い大正年間ごろまでの戸籍におきましては、その場所を特定するために北海道土人給与地出生というような記載がなされた事例がございます。ただ、この点につきましては現行取り扱いでは、その出生地につきましては具体的な場所記載するということではなくて、最小行政区画記載するようになっております。  そしてまた、昭和四十七年ごろにこの点の古い戸籍が問題になりましたので、私どもといたしましてはそういう記載は必ずしも適当でないというふうに考えましたので、この点の戸籍再製するときはその記載を除去しまして、現行取り扱いに応じて最小行政区画だけを記載するようにと、そういう指導をしておるわけでございます。
  32. 千葉景子

    千葉景子君 今のお話ですと、戸籍再製をするときにはこういう記載はできるだけ変えるようにという指導をなされているということですから、そうしますと再製の手続などがなされていないような場合、あるいはかなりお年を召した方の場合、こういう記載が残っているという可能性はありませんか。
  33. 細川清

    説明員細川清君) ですから、こういう古い時代戸籍は多くの場合既に除籍になっているんではないかと思いまして、したがいまして、現在使用されているいわゆる生きている戸籍についてはそういう問題はないのではないかというふうに考えております。  しかし、ただいま御指摘ございましたように、あるのではないかという御指摘もございますので、この点の事実関係について、関係の市町村と連絡をとりまして事実関係の把握に努めてみたい、こういうふうに考えております。
  34. 千葉景子

    千葉景子君 今伺いますと完全に調査をし切れてないようでございますので、ぜひこういう戸籍が残っているようでしたらば、調査の上早急にこういうことがないように措置を講じていただきたいというふうに思います。  ところで、今幾つかお聞きしましたけれども、この戸籍の問題あるいは言語の問題などについても必ずしも積極的な施策が講じられているわけではなさそうです。あるいはウタリアイヌであるがゆえの結婚問題あるいは高校における差別発言、こういうようなものも発生をしているわけですけれども、こういういろいろな差別が厳然として残っているわけで、これらを踏まえて次の国連報告などはなされるべきではないかと思いますけれども外務省の方としてはいかがでしょうか。今のような現状を認識の上もう一度御回答いただきたいと思います。
  35. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) 外務省規約関係報告に責任を負っておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、本件にかかわる条項には幾つかの権利について言及しているわけでございまして、この権利が否定されているか否定されていないかという観点から考えてきているわけでございますし、今後もそのようなことかと存じますが、関係省庁とも十分その点については御相談させていただき、また事情は十分承って今後の報告の際に検討していきたい、かように考えております。
  36. 千葉景子

    千葉景子君 言語などの面でも非常に差別をされている、そういう状態がありますので、ぜひそのあたりを勘案して次の報告をなさっていただきたいというふうに思います。  ところで今、旧土人保護法についてぜひ改正をする、あるいはむしろ差別をなくするための新しい法律をつくりたい、つくってほしい、こういう意見大変ウタリの皆さんを中心に出ているわけですけれども、これについて厚生大臣の若干御見解を伺っておきたいと思います。  やはりこういう新しい法律をつくってほしいという意見が出ている際ですから、ぜひ十分な審議のできるような機関をつくって、時間をかけて審議をしていただきたいというふうに思います。名称の変更ということだけの小手先に過ぎるのではなく、本質的な内容検討していただきたいと思いますけれども、このようなことについて今後どう取り組んでいらっしゃるか、厚生大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
  37. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 北海道土人保護法という名称について不適切ではないかという御意見がございます。私どもも適当でないというふうに考え、これらの改正について現在検討に入っておるところでございますが、同時にこの法律の存廃、また今お話しのございました新法、新しい要素を入れてどうするかというような問題、いろいろ御意見があるところでございます。現在、北海道におきましてウタリ問題懇話会というのが設けられ、この中にウタリ関係方々も大勢入っていただいていろいろ御協議をいただいておるというふうにお聞きをいたしておりますので、この御協議の行方というものも十分尊重していかなければならないというふうに考えております。  名称が現在の世の中で不適切であるという点からすれば、一日も早く名称のみでも変えるべきであるという観点が一方にあろうと思います。また、法律そのものの存廃等について、内容について検討するということも必要だろうと思いまして、その辺のところがなかなか時間との問題で非常に難しい問題があろうかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、内容の点については関係者の御意見を尊重してまいるということとともに、また新法ということになりますと、厚生省のみでは判断し得ないこともあります。関係省庁と十分連絡をとり、協議をし合いながら将来考えていかなければならないというふうに考えております。
  38. 千葉景子

    千葉景子君 これについてはウタリの皆さんも新法を制定してほしいという強い意向を持っていらっしゃいます。また、これまで八十八年余りにわたってじっと耐え忍んできたという現状もあるということですので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたい。またこの際に、ぜひ今までこのような新法を待ち望んできたウタリの代表の皆さんの意見を聞く、あるいはそういう機関に代表の方を入れて検討を重ねるということも必要なんではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  39. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 先ほども申し上げましたように、現在ウタリ問題懇話会で御検討いただいている中には、ウタリ関係者方々に大勢入っていただいて御検討いただいておりますので、それらを尊重いたしてまいりたいというふうに思っております。
  40. 千葉景子

    千葉景子君 その点についても、もし新しい機関などで審議される場合には、ウタリの代表の方の意見どもぜひ取り入れていただくようにお願いをしたいというふうに思います。  ところで、大臣もさきにウタリの代表の方とお会いいただきましていろいろ意見を聞いていただいたということで、大変私もうれしく思っているわけですけれども中曽根首相もこの問題についていろいろな意味で心配をなさっている、また大変親近感というか、そういうものもお持ちのようでございますので、ぜひ中曽根首相ウタリの代表の皆さんと会う機会など、こういうことについても厚生大臣の方から積極的に配慮をしていただく、御検討をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  41. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 先日、ウタリの代表の方々と私、お目にかかりまして皆様方の御意見を拝聴いたしたところでございます。また、この北海道土人保護法改正の問題につきましてもお話をいたしました。一日も早くこういう状況の中でこのような名称が付せられているということ自身をまず変えるべきではないかというような御意見も申し上げましたし、またウタリ方々においては、先ほど先生お話しになられましたように、八十七年間も我慢してきたんだから半年や一年いいんだというようなお話もございました。そういう中で、この法律の存廃等についても私ども真剣に検討をいたしてまいらなければならないなというふうに感じたところでございます。  また、中曽根総理との問題等については、中曽根総理にまたお会いをいただくかどうかという問題については、総理の時間的な問題もありましょうし、またそれらの必要性等がありますならば、私どももまたそのように努力をいたしたいと思いますが、現在のところ、私がお会いをさせていただき、その意を酌ませていただいたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  42. 千葉景子

    千葉景子君 じゃ、厚生大臣にぜひウタリの皆さんの意思を酌んでいただいて積極的な施策を講じていただきますようにお願いをいたします。  この問題に関して最後になりますけれども、今、厚生省外務省法務省それぞれからお話をお伺いしたんですけれども、どうもまだまだ実態そのものがよく調査し切れてないというところがあるかと思います。また、相互の省庁間でも連携を図っていただいてぜひこの問題に対処していただきたいというふうに思うんですけれども、そのためにも、全国的なウタリ調査、どのくらい人数がいるか、あるいはどういうところに住んでいらっしゃるかとか、それからどういう差別の実態があるか、こういうことをぜひ全国的に早急に調査をしていただきたい、こういうことを私は最後に希望しておきたいというふうに思います。  なかなかプライバシーなどの問題もありますので難しいかと思いますけれども、ぜひこの辺の実態調査といいますか、これからいろいろな法律改正あるいは国連への報告、また人権擁護立場からもさまざまな取り組みが必要かと思いますけれども、こういう調査などについて、各省庁では取り組む意思がございますでしょうか、それを最後にお聞きしておきたいと思います。
  43. 小林功典

    政府委員小林功典君) 先生御案内のように、ウタリ問題は各省庁にまたがっておりますので、それぞれ関係がある部分があるわけでございますが、主として北海道庁がこの事務を所管しておりまして、その北海道庁の調査というのは過去においてなされております。したがいまして、例えば人口などは約二万四千とかいうのを初めとしまして、かなりのデータは集まっておるように思います。ただ、その差別の実態でありますとか個々のケースにつきましてはその枠外でございましょうけれども、かなりのデータを道庁は持っております。今、手元にございませんので御紹介できませんけれども、今改めてやる必要があるかということは、ちょっと北海道庁と一度打ち合わせをしてみたいと思います。
  44. 千葉景子

    千葉景子君 ほかの、外務省あるいは法務省の方にもお伺いしたいんですけれども北海道だけの問題ではないというふうに思います。北海道、関東それ以外にもウタリの皆さんというのは全国的に存在しているというわけですから、ぜひこれは北海道に限った問題とせずに、厚生省などが積極的に主導権をとって調査などに当たっていただきたいというふうに思います。ぜひそれをよろしくお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  45. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) 政府部内にウタリ問題の関係省庁の連絡会議というのがございまして、その連絡会議の管理、運営は北海道開発庁の方でなさっておられますけれども、この関係省庁の方と私どもも十分相談して今後とも検討していきたい、かように考えております。
  46. 千葉景子

    千葉景子君 じゃぜひ積極的に取り組みをお願いしたいというふうに思います。  それでは、やはりこのウタリ問題と若干共通点がございますけれども、精神衛生行政についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。  大臣もよく御存じかと思いますけれども、宇都宮病院事件というのがございました。もう三年近くになるわけでございますけれども、その後依然として悪徳病院といいますか、いろんな精神病院内での事件、こういうものが新聞をにぎわせているというのがこれまでの現状でございます。こういうことについて、再びこのような宇都宮病院のような事件、あるいは今新聞をにぎわせているような事件ですね、こういうものが起こってはならないというふうに私は思います。そのためにぜひさまざまな措置を講じていただきたいと思いますけれども、このようなことについて、厚生大臣としては今後どんな取り組みをなさっていこうとしていらっしゃるか、そこをまず基本的にお伺いしたいと思います。
  47. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、精神病院におきましていろいろ事件が起きておりますことは事実でございますが、私どもといたしましては大多数の病院は一生懸命やっていただいていると思っておりますけれども、御指摘のような事件が出ておりますのも事実でございますので、従前から私どもいろいろな角度から努力をしてまいりたいと思っておりますが、特に精神衛生法の改正ということを掲げまして、現在一生懸命検討を進めておるというのが全体の状況でございます。
  48. 千葉景子

    千葉景子君 今具体的には精神衛生法の改正ということで取り組んでいらっしゃるということですけれども、であれば、精神衛生法の改正作業について現在の進捗状況、あるいは今後のスケジュール、こういうものについてはどのようになっているでしょうか。
  49. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 私どもの心づもりといたしましては、精神衛生法の改正案を次期通常国会に提出したいと考えて現在検討を進めておるというのは先ほども一部申し上げたとおりでございますが、現在の段階といたしましては関係の団体からいろいろ御意見をちょうだいしておりまして、そういう御意見を踏まえながら、公衆衛生審議会におきまして幅広い観点から精力的に審議をいただいておるところでございます。  内容的に若干申し上げますと、いわゆる自由入院の問題でございますとか、同意入院の問題、あるいは入院患者の行動制限に関する問題等について種々御意見が出ております。厚生省は今後この審議会での審議を踏まえまして、改正案の具体的内容について検討してまいるというスケジュールになっております。
  50. 千葉景子

    千葉景子君 この改正作業についてなんですけれども、できればこういうものを広く公表され、審議会などでの検討内容、これは個々委員の名前など出すことはそれは別といたしまして、検討された内容などを公表されて、広く国民の検討の場を与えていただく必要があるんではないかというふうに思いますけれども、このあたりはどうでしょうか。
  51. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、関係の団体、たしか二十四だったかと思いますが、その他の方々からもいろいろの意見をちょうだいしております。その意見につきましては審議会の方にも提出さしていただいて、そこでその御意見に基づいての御検討もしていただいているわけでございまして、私どもとしては広く意見を聞いておるというふうに考えておりますが、今後審議会の方の御意見がもしまとまる段階で何らかの格好で、当然のことながら私どもとしては法律案の改正案をお出しするわけですから、そういう作業になろうかと思いますが、何らかの形で方向性のようなものを申し上げる段階は来るのではないかと考えております。
  52. 千葉景子

    千葉景子君 これまで関係団体から意見を聴取されているということですけれども、まあ内容的にも十分に精神障害者に対する保護ども考えていかなければいけません。内容について、今後ほかの団体などからも意見の聴取をする必要もあるかと思いますので、進捗状況あるいは今どういうことが検討されているか、こういうことについてはぜひ公表をされる方向で考えていただきたいと思います。  また、この精神衛生法改正作業の中で、もう既に御存じかと思いますけれども、ICJ、国際法律委員会ですが、それとICHP来日調査団の報告が出されておりますが、こういうものも検討の材料といいますか、資料として提起されているんでしょうか。
  53. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘のICJ、ICHP合同の調査団の勧告が出ておりますのは承知しております。もちろん、この内容につきましても、私ども他の関係団体の御意見と同様に精神衛生法の改正作業において十分に考慮する方向で考えております。
  54. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、改正作業におきましてこのICJの勧告の内容、これをぜひ尊重していただきたいというふうに思うわけですが、それに関連いたしまして、先ほどアイヌ問題にもありましたけれども国連に対する国際人権規約B規約四十条の報告をなさることになるかと思いますけれども、これについて今回のICJの勧告などを踏まえて新しい報告を提出をされるのかどうか、その内容などについてお聞きをしたいと思いますが、外務省としては今度の報告についてこのICJの勧告などをしんしゃくをされることになりますか。
  55. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) 私どもといたしましても、我が国における精神衛生行政に対する国際的な関心が高まっていることは十分承知いたしております。今後とも厚生省我が国の精神衛生行政の主管官庁とも十分御相談いたしまして、幾つかの批判に対しましては反省すべき点は大いに反省し、また誤解があるならば正しい理解が得られるように努めてまいりたい、かように考えております。
  56. 千葉景子

    千葉景子君 この問題について所管厚生省としてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  57. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 国連に対する報告につきましては、ただいま外務省の方から御答弁いただいたようなことでございまして、私どもといたしましては現在調整を行っている段階でございますので、具体的に申し上げることは差し控えたいわけでございますが、現行の精神衛生法が人権保障の面で不十分であるというふうな御意見、御指摘もございますので、私ども法の改正に当たりましては人権擁護をさらに進めるという観点検討しておるわけでございますが、国連への報告内容の具体的な面についての言及は差し控えさしていただきたいと思います。
  58. 千葉景子

    千葉景子君 ただ、これは人権にかかわる非常に重大な問題です。そして、前回の報告、五十五年に行われております報告では、人権侵害のようなことはないという報告をなされているわけですけれども、大変大きく事情ですとかあるいは実態が解明されてきたわけですから、この点について今度の報告ではかなりの修正がなされるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  59. 堀村隆彦

    説明員堀村隆彦君) 御指摘の点でございますが、現在の精神衛生法に諸般の入院等の措置が規定されておりますけれども、かかる措置にかかわる手続が、いわゆる先生がおっしゃいますその人権規約に違反しているというところまでは言えないのではなかろうかというふうに考えております。しかしながら、精神衛生法につきましては、先ほど来厚生省の方から御説明のありましたように、種々人権面における一層の手当てを図るために改正検討しておられるものと承知いたしております。
  60. 千葉景子

    千葉景子君 厚生省の方はいかがでしょうか。
  61. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 具体的内容についてはただいま調整をしておる段階でございますので申し上げられないわけでございますが、方向といたしましては人権保障の面で不十分であるという御指摘があるとすれば、それについて何らかの法律改正あるいは法の運用の問題というふうなこともございましょうし、誤解の部分もあり得ると思いますが、そのような立場から対処していくのが適当であろうと考えております。
  62. 千葉景子

    千葉景子君 改正作業につきまして十分このような調査報告あるいは人権擁護観点改正作業を進められていくのは当然のことかと思いますけれども調査団の報告によりますと、我が国の精神衛生法、これによる人権侵害、憲法あるいは国際人権規約などに抵触するということがはっきり書かれているわけです。報告されているわけですけれども、こういうことを踏まえて次回の報告というのはなされるべきではないでしょうか。厚生省、いかがですか。
  63. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 具体的にB規約に違反するかしないかということではないわけでございますが、御意見としてICJ、ICHPの勧告については種々検討してまいりたいと思います。
  64. 千葉景子

    千葉景子君 ICJ、ICHPの来日調査団の報告書、勧告文書には、日本の精神衛生行政が人権B規約に違反していると書いてあるわけですけれども、これについては当然事実はお認めになるわけですか。
  65. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 五十五年に報告をしておりますように、私どもといたしましては精神衛生法におきまして身体的拘束を伴う入院措置に関し、精神障害者に対する人権侵害が生じないよう種々の規定が設けられておるという点、あるいは人身保護法でございますとか、行政事件訴訟法等の法令によっても人権救済の道が担保されているということから見まして、精神衛生法が直接国際人権B規約に違反しているとは考えておりませんけれども、人権保障の面でまだ不十分だという御指摘があることについては、それに対する対応を進めてまいりたいということでお答えしているわけでございます。
  66. 千葉景子

    千葉景子君 今回のICJ、ICHPの調査報告ですけれども国連に諮問資格を持つような国際的な団体なわけです。そういうところが日本の精神衛生行政あるいは精神衛生法が人権侵害、憲法あるいは人権親約に違反しているということを明確に進言しているわけで、こういうものにぜひ耳を傾けて今度の報告書をつくっていただきたいというふうに思いますけれども、まだその取りまとめ作業というのは行われていらっしゃらないわけですね。
  67. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) この勧告につきましては私ども十分耳を傾けて種々の施策に反映させていきたいと考えておりますが、外務省から報告いただく内容につきましては、現在調整中でございます。
  68. 千葉景子

    千葉景子君 この調査報告も尊重される、それを改正作業などにも反映させていかれるということですので、報告の中ででも、今回指摘されたことの反省をぜひあらわした報告書を提出していただきたいというふうに思います。日本の精神衛生行政、これからの方向についてぜひ積極的に尊重をいただきたいというふうに思っております。  ところで、今回の精神衛生法の改正作業の中で、先ほどお伺いいたしますと、自由入院、同意入院、行動制限などについて検討が加えられているということでございますけれども、その中で具体的に同意入院の制度などについては今どのような検討が加えられているのか、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  69. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 同意入院につきましては、精神衛生問題基本懇談会の席でも、名称に非常に誤解を招く点があるというような御指摘もあったりしまして、いろいろな角度から検討しなくてはいけないと考えておりますが、検討ポイントと申しますと、入院に当たってただいま私どもがしいております制度といたしまして精神衛生鑑定医という制度がございますが、このような有資格のお医者さんの診断を必要とすべきではないかという点、あるいは入院を継続する必要性について定期的にチェックする必要があるのではないかという点、あるいは患者さん等からの調査請求権を法文上規定すべきではないかというふうな、大きく言いますとこんなような観点で、いろいろな御意見もいただいておりますし、公衆衛生審議会の中でもいろいろ審議をいただいているところでございますが、私どもといたしましては、患者の人権が一層擁護される方向で検討してまいりたいと考えております。
  70. 千葉景子

    千葉景子君 最近この同意入院制度、これが名称からしてもおかしいということから代諾入院制度というものが検討されているというようにもお聞きしますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  71. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 日本精神病院協会の御意見で、同意入院制度を代諾入院制度という名称に変えたらどうかという御意見はいただいておりますが、私どもこの名前にするかどうかはまだ最終的な結論を得ておりません。
  72. 千葉景子

    千葉景子君 厚生省としては、代諾入院について今後このような制度をとるかどうか検討される予定といいますか、それはございますか。
  73. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 同意入院制度を、先ほども申し上げたような観点検討する過程で、もちろんこの代諾入院という名称を日本精神病院協会から御提案いただいておりますから、その点についての検討はいたすことになろうかと思いますが、単に名称にとどまらず、この制度全体をどうするかということで検討をしております。
  74. 千葉景子

    千葉景子君 私は、名称について代諾入院がいいかどうかは別として、内容について非常に問題のある内容かというふうに思いますけれども厚生省として今後同意入院制度の批判、これにかわるものとしてどういう形の入院制度を考えられるのか、その辺の方向性はいかがですか。
  75. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 先ほど申し上げましたように、患者本人の意思にかかわらない入院形態であるということについてのいろいろな御指摘をいただいているわけでございますので、何らかの方向性を見出さなくてはいけないと考えておりますが、現在まだ最終結論に至っているわけではございません。しかしながら、先ほど申し上げたような三つの点も含めて十分な制度的な改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  76. 千葉景子

    千葉景子君 代諾入院制度といいますのは具体的にいろいろな問題点がありますけれども、一番大きなポイントは、やはり他人が承諾を与えて入院させるということになります。そういう意味では本人の自己決定権というものを他人にゆだねるというようなことになるわけですから、それについての厳格な法的な手続が必要になるかと思います。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  77. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) いろいろな御意見がございまして、例えば日弁連では、入院に当たっては有資格の医師の判断を必要とするようにしろという御意見がありますし、同じく日弁連では、同意入院の要件に判断能力の欠如等の絞りをかけろとか、いろいろの御意見がございます。おっしゃるように、患者本人の意思にかかわらない入院形態であるという点でいろいろ問題が起きている点もございますので、有資格医師の診断でございますとか、入院継続の必要性についてのチェックでございますとか、患者等からの調査請求権というふうなことを勘案しながら制度の改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  78. 千葉景子

    千葉景子君 この代諾入院制度をもしこれから検討されるに当たりましては、自己決定権の剥奪あるいは本人に判断能力がない、あるいは代諾を行う者をどうやって選任をしていくのか、あるいは入院手続はどういう形で行うか、また退院手続はどうなるのか、こういうさまざまな問題点があるかと思います。それはすべて人権規約あるいは日本の憲法、こういうものを踏まえた形で制度がつくられなければならないかと思いますけれども、その辺について先ほども改正については人権規約などを尊重していかれるという御発言でしたけれども、十分にこのあたり考えていらっしゃるんでしょうか。
  79. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) ちょっとお断りさしていただきたいんですが、代諾入院というのは精神病院協会の御提案の一つの名称でございまして、私どもこの名称を採用するというふうに決定しているわけではございませんので誤解のないようにしていただきたいと思いますが、おっしゃるように保護義務者の同意でございますとか、いろいろな点で従前同意入院についての御指摘もございますので、この勧告も含めましていろいろの角度から検討いたしまして、患者さんの人権が一層擁護される方向でこの問題についても対処してまいりたいと考えております。
  80. 千葉景子

    千葉景子君 病院協会で出されている代諾入院制度ですね、それについては今言いましたように判断能力の判定あるいは代諾者の選任手続あるいは本人の自己決定権を奪う根拠、こういうものなどについて大変問題点があるかと思うわけですけれども厚生省としては今病院協会の方から出されている代諾入院制度ですね、提案されているようなものそのものを採用されるということではないわけですね。これをさらに検討を加えられるということでしょうか。
  81. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この同意入院制度についての御意見日本弁護士連合会でございますとか、全国自治体病院協議会でございますとか、全国精神障害者家族連合会その他日本精神病院協会以外にも同意入院制度についての検討すべき御提案というのをちょうだいしておるわけでございますので、その御意見をいろいろ参酌をさしていただいて、先ほど申し上げたような方向で検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  82. 千葉景子

    千葉景子君 人権規約あるいは日本の憲法などから見ても、例えば裁判所における鑑定の手続あるいは告知、聴問の機会を本人に与える、こういうような最低限の条件が強制入院の制度については必要かと思います。これは御理解いただけると思いますけれども、その辺は最低限考慮してこれからの改正作業に携わっていただけますでしょうか。
  83. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 人権擁護を一層進めるという意味で、いろいろな手続的なものでございますとか、もちろん運用面でもいろいろ注意しなくてはいけない点もあろうかと思いますけれども、例えば先ほど申し上げたように、患者等からの調査請求権を法文上規定すべきではないかという御意見、御指摘もございますので、そこら辺のところも重要な検討事項になろうかと考えております。
  84. 千葉景子

    千葉景子君 調査請求権などの以前に、そもそも入院の際、強制的に他人の意思で入院をさせられるという制度ですから、入院手続あるいはその前段階にまず問題があるわけですね、その調査請求の前段階に。そのあたりどうお考えでしょうか。
  85. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) そういう問題が同意入院制度にはあると指摘されておりますので、私どもとしてはいろいろな方向で検討してまいりたいわけでございますが、例えば入院に当たって有資格の医師の判断を必要とするというふうな御意見もちょうだいしておりますし、同意入院に関しましては判断能力の欠如等の絞りをかけるという御意見もございますし、例えば保護義務者が不明あるいは未選任の場合における仮保護義務者制度の創設という御意見もございますし、いろいろ、もちろん先生が御指摘なさった入院の前段のところでも十分な配慮が必要だということを理解しておるつもりでございます。
  86. 千葉景子

    千葉景子君 この点については人権規約B規約の九条あるいは十四条などに抵触しない条件が必要だというふうに思います。裁判を受ける権利あるいは判断能力、自己決定権の剥奪に関する手続、こういうものを十分に尊重して改正作業をしていただきたい。単なる代諾入院制度、あるいはこれまで出されているような内容での代諾入院制度、こういうものにとどまらないような法的な整備をしていただきたいというふうに思います。  それから、時間の関係がありますけれども、これまでさまざまな病院関係の不祥事が出ております。いずれも病院の中で暴力を振るったり、通信、面会の自由がなかったり、あるいは保護室で暴行があったとか、それから作業療法と称して病院の強制労働に使われているとか、さまざま挙げれば切りがないわけですけれども、こういう点について厚生省の方でもガイドラインなどをつくられて、かなり積極的に対応されていることは評価をさせていただくわけですけれども、今後、改正作業の中で法律としてさまざまな権利を明確に保護する、こういうことが必要かと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  87. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘のようないろいろな事件が報道されていることは承知しておるわけでございますが、現在でも患者さんの取り扱いでございますとか病院の運営、経営管理といいますか、そういう点で非常に問題のあるところもあるわけでございますので、その点につきましては私ども常日ごろからそのようなことのないような指導を強めてまいらなくてちゃいけないと考えておりますが、法律的にそういう事件が起きないようにというふうなことでの明記は内容的にはちょっと無理なような感じもいたしますが、日本の精神病院が患者の人権の擁護に関してさらに手厚くするような方向へ私どもとしては法律改正の全体を持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  88. 千葉景子

    千葉景子君 法的に明記されるのが難しいというお話でしたけれども、私は別に難しいことではないんではないかと思うわけで、例えば通信、面会の自由、これをきちんと明記するとか、それから弁護人依頼権、こういうものを保障する、あるいは保護室の使用について規制の措置を講ずる、それから患者の強制労働などを禁止するとか、こういうさまざまな措置は現在でも本来ならば禁止されるべきことですけれども法律上も人権擁護の面からは明記されるべきではないだろうかと思いますけれども改正の中でこういう点はいかがでしょうか。
  89. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) ちょっと御質問を取り違えまして申しわけございませんでした。不正事件を起こすなという法律の書き方は非常に難しいということで申し上げたわけでございますが、患者の取り扱いについて、今御指摘のような行動制限あるいは信書の自由でございますとか、そういうふうなことについての患者の行動制限その他についての人権保障制度と申しますか、そういう点についてはもちろん今度の改正作業の中でも重要な問題点の一つとして認識しておるところでございます。
  90. 千葉景子

    千葉景子君 重要な問題点として認識いただければ結構なんですけれども、ぜひとも法律での明記、こういうことを前向きに考えていただきたいと思います。不祥事が起こるのもやはりこういう閉鎖された、中に閉じ込められている、外部との面会、通信もできない、あるいは弁護人なども依頼できない、また保護室などが勝手に使われているというような状況があるからこそ不祥事などが起こってくるわけですから、これを法律の中に明記する方向で検討いただきたいと思いますけれども、そういう積極的な意向はございますか。
  91. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 明記できるものについては明記する方向で審議会でも御意見をいただいておるところでございますが、個々につきましてただいまここで具体的に申し上げる段階には至っておりませんが、方向といたしましては患者の人権の擁護を一層深めるという意味改正の作業はとり行われていると私ども考えているところでございます。
  92. 千葉景子

    千葉景子君 通信、面会などについては厚生省の方もガイドラインなどをつくってこれまでも対応していらっしゃるという背景もございます。ぜひ個々権利を明確に法律の中にあらわしていく方向で考えていただきたいというふうに思います。  この問題については最後になるんですけれども、これまで医療監視体制あるいは実地審査の制度、こういうものが十分に機能していないという現状があるのではないだろうかというふうに思うんですけれども、今後このような監視体制、こういうものの取り組みはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  93. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘の実地審査制度でございますが、精神鑑定医によって患者さんを実地に審査をしていただいて入院継続の要否を判断するということで、患者の人権擁護という観点からも非常に重要だと考えておりますが、措置入院患者については原則年一回、同意入院患者についてはその患者の入院期間、病名等により計画的に実施するよう、私ども都道府県に対し強く指導をしてきたところでございますが、御指摘のように必ずしも十全ではないと考えておりますので、今後さらに引き続き都道府県に対しその実施を強く指導してまいりたいと考えております。
  94. 千葉景子

    千葉景子君 今回根岸病院とか成木台病院、さまざま問題が噴き出ているわけですけれども、そういう病院に対しても実地審査などがごく限られた範囲でしかなされていないというのが現状なわけですね。ぜひこういう問題のあった病院だけでも全部に対して実地審査を行うなどの積極的な体制をとっていただきたいというふうに思いますけれども、この辺は今後いかがでしょうか。
  95. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 個々の病院につきましての問題は当該県とも相談してまいらなくてはいけないと思いますが、全般的に私どもといたしましては引き続き措置入院患者に限らず、同意入院患者についても実地審査がふえますように強く指導してまいりたいと考えております。
  96. 千葉景子

    千葉景子君 ぜひ厚生省の積極的な指導で、問題の生じている病院などは一〇〇%の実地審査を行っていただくように指導を強化していただきたいというふうに思います。また、それ以外にも本来ならば病院に対する独立の監視機関とか、またあるいは精神病院などではまだまだ医師の数などについても特例措置などがございます。こういう福祉に逆行するといいますか、人権尊重に逆行するような制度がたくさん残っているわけでして、こういうものについても今後撤廃、改正する方向で取り組んでいただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  97. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 医療法の問題は直接所管でございませんので、まことに申しわけございませんが、私ども立場といたしましては、患者さんの人権擁護がさらに進められるような方向をとってまいりたいと考えております。
  98. 千葉景子

    千葉景子君 今精神衛生行政が大変問題になっているところですし、精神衛生法の改正問題も議題に上っているところですので、十分に人権擁護立場を尊重してぜひ今後の作業を進めていただきたいというふうに思っております。  ところで、時間もちょっと限られてまいりましたので、次の問題に移らせていただきたいというふうに思います。  そろそろ、季節がこういう冬に向かってまいりまして、インフルエンザなどの流行も危ぶまれている時期なんですけれども、インフルエンザの予防接種について若干厚生省にお尋ねしたいというふうに思っております。  インフルエンザの予防接種、今我が国では義務接種ということになっておりますけれども我が国以外でこういう予防接種を義務づけている国というのはほかにあるわけでしょうか、いかがでしょう。
  99. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 世界各国を調べたわけではございませんが、例えばスウェーデン、ドイツ連邦共和国、あるいはアメリカのバージニア州、あるいは大韓民国等インフルエンザのワクチンをやっておりますが、行政機関による勧奨というふうなことでございまして、法による義務づけをしておるのは我が国だけのようでございます。
  100. 千葉景子

    千葉景子君 我が国の場合は義務接種ということになっておりますけれども、最近自治体の中では、予防接種を強制的にといいますか、集団で行っている自治体と、それから何らかの形で選択制といいますか、任意制といいますか、こういう形で行っている自治体とあるというふうに私も聞いているわけですけれども、その辺厚生省の方ではどのように把握をされていらっしゃいますか。
  101. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) インフルエンザの集団接種を全く実施しておらない市町村というのは、群馬県の前橋市、安中市、松井田町のようでございます。それから集団接種の実施に当たって保護者から申込書の提出を得ているものとしては、神戸市、豊中市等があるというふうに私ども承知しております。
  102. 千葉景子

    千葉景子君 そのほかにも、私、自分の住まっているところなものですから、神奈川県なども若干の調査をしてみたところ、神奈川の中でもこのように希望しない場合にはインフルエンザの予防接種を実施しない、こういう実例がかなりふえてきているように思うわけです。神奈川県下などでも三十七市町村のうち何らかの形で任意に接種をしているところが十四市町村余りあるという、まあ私の調査でございますけれども、こういう事実については厚生省の方では調査をされていらっしゃいますでしょうか。把握をされていらっしゃいますか。
  103. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 私ども予防接種の実施状況というのは、毎年都道府県を通じまして計画上の対象者数でございますとか実際の接種者数を把握しておるわけでございまして、各市町村段階でどのような実態になっておるかという報告は得ておらないわけでございますが、神奈川県におきます市町村の実情については、現在までに県に問い合わせをしたところ、問診票に接種を希望するかしないかという記入欄を設けている市町村といたしましては三つばかり、問診票に保護者の署名捺印がなければ接種しない旨を明記している市町村が一つというふうなことで把握しております。
  104. 千葉景子

    千葉景子君 かなり市町村などによってこのようなばらつきといいますか、一応義務接種とはなっていても任意制などをとっている、こういうことも出てきているわけで、この辺は厚生省の方でも、一体実態がどうなっているのか、現場での混乱がないのかどうか調査をしていただきたいというふうに思うわけです。  やはりこういう任意制をとっているという背景には、集団接種でインフルエンザの予防接種をしてもどうも余り効果がないんではないかというような判断があるのではないかというふうに思うわけです。例えば、効くか効かないか、これは細かい問題になりますけれども、大まかに考えましても、例えば学校などで予防接種をしたクラスとしないクラスではほとんど同じような罹患率であるとか、それからインフルエンザにかかった児童が予防接種をしたかしないかということを見ても、した者もいればしない者もいるというようなことで、かなり予防接種を集団的にやることが効果があるのかどうか疑問視をされてきているのではないかと思いますけれども、こういう混乱をしたような現状、これについて厚生省としては、今後集団接種について検討、再評価する方向にあるかどうかお伺いしたいと思います。
  105. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) インフルエンザの予防法、有効な予防手段というのはワクチンしかないということでございます。それからインフルエンザの感染を防止する効果があるということも学問的には証明されておりますし、仮に感染したとしても症状を軽減する効果があるということも言われております。したがって私どもとしては、このようなインフルエンザの予防接種の枠組みを続けてまいる所存ではございますけれども、いろいろのところで御意見もあることでございますので、私どもといたしましてはインフルエンザ流行防止に関する研究班というものを設けまして、今後どのようにしていったらいいかということも含めまして検討をお願いしておるところでございます。
  106. 千葉景子

    千葉景子君 そうしますと、さきに設置されたインフルエンザ流行防止に関する研究班、こういうところでは、義務制について今後も継続していくか、あるいは任意制に改めていくか、こういうことについて見直しする可能性もあるというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  107. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 学童の集団予防接種効果に関する疫学的分析及び評価ということで一つのテーマがございますので、結論がどのようになりますかは別といたしまして、見直しを含めて検討しているというふうにお答えしてよろしいかと思います。
  108. 千葉景子

    千葉景子君 一応そういう見直しも含めて研究班の今後の検討が加えられるということになりますと、今後ひょっとしたら任意制が採用されるということもあり得るわけですね。全くないとは言えないわけでして、そういう現状にあるわけですから、ぜひ各自治体あるいは学校などでの予防接種の施行方法、こういうものについて尊重をいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  109. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) インフルエンザの予防にはワクチン接種しかないということでございますので、私どもとしてはこのような方法をとらしていただいておりますけれども現行の予防接種法では、国民の自発的意思に基づいて予防接種を受けることが望ましいという点などを考慮いたしまして、かつてございました接種義務の違反に対して罰則は適用しないというふうなことで、特別な場合を除いて運用しておるわけでございます。したがって、こういう点を考慮いたしますと、私どもといたしましては、市町村が法により義務づけされた接種としての位置づけを明らかにし、なお予防接種の効果等について十分な啓発を行って、対象者の自発的な接種を呼びかけ、これらの努力によりまして相当の接種率が確保されるのであれば、そのようなことについてあえて異論を述べるという考えはございません。
  110. 千葉景子

    千葉景子君 要するに、現場などでは効果が上がらない割にはいろいろな弊害が大きい、どうも余り集団的にやる方法というのはベターではないんではないかというような意見も実感として持っているようなことが現状なわけです。今おっしゃられたように、現場の声あるいは弊害なども考慮して、今後任意制に改められる可能性も全くゼロになったわけではありませんので、現場の自由裁量をぜひ尊重する方向で指導をいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  111. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、予防接種の意義を十分自治体等に御理解いただく必要は私どもはあると思いますけれども、先ほどのようなことでございますれば、私どもとしてはあえて異論を述べる考えはございませんが、個々事例については、その実態を十分調べた上で今後とも判断さしていただきたいと考えております。
  112. 千葉景子

    千葉景子君 じゃ、最後にお聞きいたしますけれども、今個々事例といいますか、これはちょっとわかりにくいんですけれども、どういう場合ですとこれは強制をさせるといいますか、義務接種に違反しているということで厚生省の方で強制的な措置とか指導をされるということになるんでしょうか。尊重されるけれども、場合によってはそうはいかないということだと思うんですけれども
  113. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 先ほど申し上げましたことをもう一回繰り返さしていただきますれば、法により義務づけられた接種として位置づけを明らかにしていただけるということ、あるいは予防接種の効果等について十分な啓発を行って、対象者の自発的な接種を呼びかけて、その結果、相当の接種率が確保されるのであれば、私どもとしてはそういう自治体の対応について異論を述べるということは考えておらないということでございます。
  114. 千葉景子

    千葉景子君 どうも何かよくわかりませんけれども、現場でも予防接種についてはこういうものだという説明をした上で任意制なり選択制をとっているのが現状なわけですから、ぜひそういうものを踏まえて現場を尊重していただきたいというふうに希望をいたします。今後も研究班の中で任意制あるいは集団接種の義務接種ですね、これについて再検討をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  115. 糸久八重子

    糸久八重子君 私は、児童扶養手当問題につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  児童扶養手当につきましては、百二国会の中で一部改正案の審議をいたしました際に衆参両院で論議をいたしましたわけですが、解明できなかった部分についてお伺いをさせていただきます。  最初に確認をしておきたいのですけれども、離婚した夫が養育費を送っていても児童扶養手当は支給されておりますね。
  116. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 離婚した夫から養育費の仕送りがあった場合でございますけれども、単にそのことだけで児童扶養手当が不支給となることはないということでございます。したがって、送金をしていた場合、すべてについてイエスかノーかというのはなかなか難しゅうございますが、単に送金をしていたというだけで不支給になることはない。その他の事情を勘案して、離婚をした状態として認定されれば当然支給されるわけでございます。
  117. 糸久八重子

    糸久八重子君 離婚した夫が養育費を送っている場合にも児童扶養手当は支給されます、民法上父に養育義務があるからということを伺っておるわけですけれども、よろしゅうございますね。
  118. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 離婚した夫からの養育費の支給というのは民法上の扶養義務としてなされる場合が当然ございますから、その他の点について離婚状態というものが否定されない限りは支給はされるわけでございます。
  119. 糸久八重子

    糸久八重子君 事実婚の場合なんですけれども、これは法律婚に準じた扱いがされているわけですから、事実婚を解消した場合でも児童扶養手当支給の対象にしておりますね。
  120. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 法律婚の場合、事実婚の場合、同様でございます。
  121. 糸久八重子

    糸久八重子君 そこで、事実婚を解消した後、夫であった男性が養育費を送金している場合も児童扶養手当は支給されますか。
  122. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 先ほどの法律婚の解消の場合と同じでございまして、他の点において婚姻状態があるということがない限りは単に送金をしているということで不支給となることはございません。したがって、送金しているという場合において当然支給されるということになるわけでございます。
  123. 糸久八重子

    糸久八重子君 しかし、実際には定期的な仕送りがあれば受給権はないという窓口解釈が非常に多いと聞いておるのです。そこで、取り扱いの実情を調査して、その結果を報告していただけますでしょうか。
  124. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 今お尋ねになりました点は、定期的な送金以外にいろいろと事実婚の状態があるという判断のもとになる事実があった場合に不支給という処理がなされたものというように理解をしておるわけでございまして、私どもとしては単に送金があったという事実のみで不支給ということはできないというふうに考えております。  また、実際に都道府県でこの支給事務についてどのように実施しているかということについては私どももいろいろと実情を調査した例もございます。今全部の県についてのデータを持っておりませんけれども、主なところについて調べてみた限りでは、単に送金があったという事実だけをもって受給資格を喪失したというような処理はしていないというように聞いております。その他の事情についていろいろと調査をし、それに基づいた総合的な判断というものは当然行われている、このように承知をいたしておるわけでございます。
  125. 糸久八重子

    糸久八重子君 年金制度での事実婚の認定要件について簡単に説明をしていただきたいのですが。
  126. 岸本正裕

    政府委員(岸本正裕君) 年金制度におきまして事実婚が問題になる場合がございますけれども、例えば遺族の年金のような場合でございましょうけれども、これはその当事者間に社会通念上夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在するかどうかということを基準にいたしまして認定を行っているわけでございます。
  127. 糸久八重子

    糸久八重子君 社会通念上夫婦の共同生活と認められる事実関係、それを証明するものはどういうものを必要といたしますか。
  128. 岸本正裕

    政府委員(岸本正裕君) 具体的に申し上げますと、裁定請求をしていただくわけでございますけれども、その場合に、事実婚関係にあるということを明らかにするために、住民票の写しとか健康保険の被保険者証、または国民健康保険の被保険者証の写しでございますとか、そのほか給与簿とか賃金台帳等の写しなどの書類によりまして、これを請求者から提出していただきまして、これにより事実婚関係の有無を判断することにいたしております。
  129. 糸久八重子

    糸久八重子君 年金制度の事実婚については、ただいま御説明がありましたとおり、住民票だとか給与表だとかというようなことで、私生活をとやかく言わない書類主義なわけですね。事実婚の解消支給事由として児童扶養手当の認定請求をする場合に、本人の申し立て書と民生委員児童委員等の証明のほかに、さらにその実態を確認する資料を得ると称しまして調書をとることにしております。これがプライバシー侵害と窓口トラブルの原因になっているのですけれども、この調書はやめられませんか。
  130. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 事実婚が解消したかどうかという点を調べるという必要が出てくるわけでございます。今年金のお話しございましたけれども、例えば遺族年金を支給するときは夫が死亡したという極めて明日な事実があるわけでございますが、児童扶養手当の場合にそれまでの婚姻関係が消滅したということを確認しなければならない、つまり夫の方は死んでいないわけでありますから、依然として婚姻関係が継続しているという可能性は、これは否定できないわけでございます。それを事実上解消しているということを調べるために、やはりいろいろと難しい面があろうかと思うわけでございます。  このプライバシーの問題につきましては、事実婚ということ自体がいわばかなりプライベートな問題でございまして、そこの点を判断いたしませんとやはり支給はできないという問題がございますので、しかもそれがケースとしていろんなケースがあるということで、それぞれそのケースごとにある程度具体的にお伺いをしなければならないという、これは制度上当然考えられる問題でございます。したがいまして、私どもとしては、現在行っております手続は、これは事実を確認するためにこの方法で行わざるを得ないと考えております。ただ、個人のプライバシーの問題については、これは公務員として他に漏らすことも禁じられておりますし、必要のないことまで聞くということも、これはそういうことがないようにと、いろいろこちらからも都道府県に対して、通知等をもって十分プライバシーの不当な侵害にならないように注意をするように指示をしておるところでございます。
  131. 糸久八重子

    糸久八重子君 大臣にお伺いするんですが、ただいまのやりとりのように、児童扶養手当と年金とでは事実婚の認定方法が違うわけでございます。年金は私生活をとやかく言わない書類主義である。そして児童扶養手当は私生活を根掘り葉堀り聞き出す私生活介入主義である。今答弁でございましたとおり、年金の場合は既に事実婚である夫は死亡している、児童扶養手当の場合にはまだ生きているから事実婚解消後も何らかの連絡があるのではないかとかいう、疑えば本当に切りがないわけですけれども、事実婚解消に関する調書なるものを細かに記入させて、その上窓口でいろいろ聞かれるのが耐えられないと当事者は言うわけでございます。  プライバシー保護の見地から見て、行政が国民の私生活をのぞくことはできる限り少なくすべきと思いますが、大臣いかがでしょうか、その点につきましては。
  132. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 先ほども児童家庭局長が申しましたように、年金の裁定の場合には、事実婚であったものがその夫が亡くなったということで非常に明確になるわけでございますが、児童扶養手当の場合には、その事実婚が解消されたかどうかということについての不明確さということに関連して、プライベートなことに立ち入っての調査というものがどうしても必要にならざるを得ないという側面があろうと思うわけでございます。しかしながら、あくまでも必要以上の不当なプライベートの介入にわたらないように指導をいたしてまいりますとともに、実態に即応した、また公正な児童扶養手当の支給ができるように指導をいたしてまいらなければならない、そのように考えております。
  133. 糸久八重子

    糸久八重子君 行政は国民のプライバシーをのぞくことを最小にし、そして行政情報を公開することは最大でなければならないと思うのですけれども行政努力の方向といたしまして、総務庁、厚生省、このことについてお認めになりますか。
  134. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 御趣旨のとおりと思います。
  135. 瀧上信光

    説明員(瀧上信光君) 行政を執行する上で、個人のプライバシーは当然尊重さるべきものと考えております。
  136. 糸久八重子

    糸久八重子君 秘密文書の取り扱いについては、四十年の四月十五日、それから五十五年五月二十七日の閣議了解事項として、期間を明記するよう書かれておるわけですが、厚生省文書保存規程によりますと、秘密文書は期限を付して指定するということにはなっていないようですけれども、これについてはいかがでしょうか。
  137. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 厚生省の文書保存規程には今お話しのような期限の定めがないわけでございますが、別途秘密文書の取扱規程を定めておりまして、この中で文書の期間についても明確に定めるということにいたしておるわけでございます。
  138. 糸久八重子

    糸久八重子君 秘密文書取扱規程に基づく秘密文書は何件ございますか。そしてそのうち期限を付してあるのは何件でしょうか。
  139. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 秘密文書の件数でございますが、六十一年十月現在、官房の方で保存をいたしております数字で申し上げさしていただきますが、六百三十三件でございます。  私どもの方の秘密文書の種類でございますが、国家試験の試験問題、これは国家試験がございます日まで期限を付しますものとして代表的なものでございますが、これが秘密文書になっております。それから契約の予定価格でございますが、これがおおむね五年ということになっております。その他の秘密文書といたしまして、人事案件があるわけでございますが、今申し上げました六百三十三件は人事案件のみでございます。したがいまして、無期限の日ということになっております。
  140. 糸久八重子

    糸久八重子君 総務庁にお伺いしますけれども厚生省のように一般文書管理規程とそれから秘密文書取扱規程の二本立てになっている省庁はどこどこでしょうか。
  141. 瀧上信光

    説明員(瀧上信光君) 厚生省のように文書管理規程でなくて、別途秘密文書の期限指定等を規定をしております例えば秘密文書取扱規程といったものを制定をしております省庁としまして当庁が承知しておるところでは、総理府本府、警察庁、防衛庁、経済企画庁、環境庁、沖縄開発庁、国土庁、法務省、労働省と承知しております。
  142. 糸久八重子

    糸久八重子君 それですべてでございますか。
  143. 瀧上信光

    説明員(瀧上信光君) 当庁で承知しておりますのはただいまのとそれからあと外務省でございます。
  144. 糸久八重子

    糸久八重子君 そういう文書規程等につきましてはやはり総務庁が速やかに集めまして、各省庁の了承を得て公表すべきであると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、国際障害者年、一九八一年だったわけですけれども、それ以来厚生行政はノーマライゼーションを理念の一つに掲げてきておるわけです。そしてその趣旨は、どんなに重い障害者でも可能な限り健常者とともに普通の生活を保障しようということと考えてよろしゅうございましょうか。
  145. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 基本的には先生のおっしゃるとおりであると思います。
  146. 糸久八重子

    糸久八重子君 厚生省における共同保育事業というのは保育所での障害児受け入れを促進するためのものと思いますけれども、この点につきまして二つお伺いをいたします。  一つとしては、もちろんこれはノーマライゼーションの理念に基づいて実施していると考えてよろしいでしょうか。それからもう一つは、重度の障害児を受け入れることを拒否する制度になっておりますでしょうか。
  147. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 第一の御質問の点でございますが、これはノーマライゼーションの理念に基づいて実施しておると申し上げてよろしいかと思います。  それから第二の、重度の障害児を拒否する制度になっているかというお尋ねでございますけれども、私どもはできるだけ保育所においても障害児の受け入れについてこれを進めようという趣旨で行っておるわけでございます。ただ現実には、非常に重い場合に、実際に保育所の受け入れ態勢あるいは他の児童福祉施設との関連において、あるいはさらに現在の段階においてまだ予算面の制約もあり、すべて一般保育所保育をするという状態になっていないという面は確かにございますが、これは別に保育所の側から制度的にそういった方を拒否するというようなことでやっておるものではないということでございます。
  148. 糸久八重子

    糸久八重子君 一般保育所障害児を受け入れて保育する場合には、例えば国庫補助の対象にするとか、それから受け入れるところの保母をふやすとか、そういう行政厚生省は行っていらっしゃいますね。  ところで、文部省にお伺いいたしますけれども文部省は幼稚園での障害児受け入れについては調査研究とかそれから教師用の参考資料の作成などを行っているということ、これはことしの三月の委員会でお伺いをしたわけですけれども、小中学校、大学という所管の学校教育の場においてできる限り障害児を受け入れていこうという姿勢がとれていないのですけれども、その理由は何でしょうか。
  149. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 心身障害児教育につきましては、その可能性を最大限に伸ばし可能な限り社会自立の達成を図ることが大切である、こういう理解を持っております。そのためには、障害を持ちました子供たちの障害の状況等を的確に把握いたしまして、最も適切な教育を行うということが重要であるというふうに考えております。  したがいまして、障害の程度の軽い子供たちにつきましては、小中学校の特殊学級等において教育を行う。ただ、障害の非常に重い子供たちにつきましては、特別の手厚い教育を行う必要がございますので、盲学校あるいは聾学校あるいは養護学校というような、そういった子供たちを受け入れるために制度を整えました学校におきまして適切な教育を行うことが基本的に重要である、こういうような考え方に立ちましてそれぞれの学校の整備に文部省といたしましては努力をしておるということでございます。
  150. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 高等教育の分野につきましての考え方を申し上げます。  身体に障害のある方も、本人の能力あるいは適性に応じまして、一般の学生と同様に大学への進学の道が開かれていなければならないというふうに考えております。このために文部省は、かねてから大学入学者選抜実施要項にも、身体に障害のある入学志願者については、障害の種類や程度に応じまして、点字による出題あるいは解答の方法、試験場の整備等の特別な配慮を行うよう明示いたしまして、各大学に対しこれらの方々の受験の機会を広げるよう適切な措置をとるよう指導をしてきておるところでございます。
  151. 糸久八重子

    糸久八重子君 ノーマライゼーションは、厚生行政だけでなくて政府全体に共通した理念だと思います。総理府には障害者対策推進本部が設置されておりまして、総理大臣が本部長そして厚生大臣は副本部長を務めておいででございます。ですから、文部省が学校教育の場でノーマライゼーションにもっと積極的になるように副本部長として文部省と協議をすべきと思いますけれども、大臣、副本部長という立場でいかがでございましょうか。
  152. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 確かにノーマライゼーションに基づく完全参加と平等という観点から、身障児者問題の対策推進に力を注いでおるところでございまして、教育の点については文部省においてまたそれなりの専門的な立場からそういう観点にのっとっていろいろ努力をしていただいておると考えております。協議といいましょうか、常に連絡をとりながらやってまいるということは当然のことでありますが、文部省文部省なりに努力がなされておることと私は信じておるところでございます。
  153. 糸久八重子

    糸久八重子君 先ほど高等教育部門での御答弁がありましたけれども、障害者の大学入学状況を見てみますと、国際障害者年前後は五百名を超えておりまして非常に多かったのですけれども、六十年度は四百二十三名と減ってきておるわけであります。これは障害者受験について門戸を閉ざしてきている傾向にあるのではないかと危惧をされるわけですけれども、先ほどの御答弁の中にありました問題は、共通一次の際の配慮でございますね。共通一次以外でどのような配慮をしているのか、特に国公立大学ではどうなのか、簡単にお教えいただきたいのですが。
  154. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 文部省が現在とっております配慮につきましては、共通一次の段階での措置のほかに、例えば予算面でも、障害を持つ学生のために学生教育費を特別に予算措置をするとか、あるいは施設整備等につきましても、スロープをつくったり手すり等の敷設などについての予算を配慮したりしております。以上は国立大学です。  そのほかに、公立大学につきましても、これは昭和五十二年度からでございますが、障害学生用施設整備費の助成を行っておりますし、また私立大学につきましても、身体障害者を多数受け入れている大学に対しましては、経常費助成の中で特別の補助を行っているところでございます。
  155. 糸久八重子

    糸久八重子君 視覚それから聴覚障害者を対象とする職業教育中心の国立短大をつくるという文部省構想が動き出しているようですけれども、障害者の一般大学受け入れの努力が遅々として進んでいない現状の中で、大変これは反発が出ているわけですね。この技術短大設置を急ぐ前に、一般大学の受け入れについて特に力を入れて促進すべきと思いますけれども、この点は約束してくださいますね。
  156. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 簡単に答弁願います。
  157. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 現在、私どもで準備を進めております筑波技術短大でございますが、これは身障者の方々のために高等教育への機会の拡充を図りたい、あるいは視覚、聴覚障害者の職域を拡大して、その社会的な自立を促進したい。それから、最新の科学技術等を応用いたしまして新しい教育方法を開発しようと。そういたしまして、一般大学の受け入れ等もしやすくなる、あるいは盲学校、聾学校における教育の水準を引き上げたい、こういうふうな趣旨から現在準備を進めているところでございます。  文部省といたしましては、この大学とともに、一般の大学での受け入れも今後とも引き続き努力をいたしまして、両々合わせまして身障者の方々の高等教育の機会の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  158. 糸久八重子

    糸久八重子君 意見も含めて最後に。  身障筑波技術短大の構想につきましては、反対集会等も開かれておるわけですけれども、既にある専攻科とほとんど同一の学科を設置して、修業年限も同じく三年であるということは、短大卒業生と専攻科卒業生との間に就職上、身分上の格差をつくることになるのではないかという大変心配があるわけです。この点についてもお伺いしたいわけですけれども、時間がありませんから、そういうことで非常に関係の方たちが心配をしているということと、それから全国でたった一つの短大を創設しなくとも、国立の東洋医学研究所のようなものを設立して、研究とそれから教員の再教育の場を確保すること、そのことが急務であると思うのですけれども、できれば大臣にそこのあたりをお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  159. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 時間ですので、簡潔に御答弁願います。
  160. 小林敬治

    説明員小林敬治君) そうした配慮もかたがた文部省として努力をしつつ、この短期大学の構想は、特に情報関係のようなこれからの発展の見込める分野におきましても、やはり障害を持った方々に進出していただきたい、新職域を広げていきたい、こういうふうな願いもあるわけでございます。その点も御理解をいただきまして、よろしく御協力をお願い申し上げます。
  161. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  162. 佐々木満

    委員長佐々木満君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  163. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 まず冒頭に、今回の三原山の爆発に伴う避難者の方々の問題についてお尋ねいたします。  この件につきましては、都の方では目下全力を挙げて取り組んでおられるわけでございますけれども、しかしここ当分は帰島の見通しも立たない。これら避難者の方々の健康の問題、なかんずく医療の問題、その中でも特に高齢者に対する対応など、厚生省としてどういう取り組みをされるのか、その辺お尋ねいたします。
  164. 小林功典

    政府委員小林功典君) 三原山災害でございますが、まず全般的なことをちょっとお話し申し上げますと、十一月二十一日の午後七時に東京都の大島町に対しまして災害救助法を適用しております。島外に避難した住民に対しまして、避難所の設置あるいは炊き出し等の食品の給与を実施したほかに、例えば毛布、布団等の給・貸与、生活必需品の給与、それから負傷者等に対します医療の実施等の応急活動を実施しているところでございます。  そこで、お尋ねのお年寄り等の措置でございますが、まず大島町には特別養護老人ホームが一カ所ございまして、六十八名のお年寄りが入っておられました。それから精神薄弱者更生施設も一カ所ございまして、これには七十一名の方が入所されておりました。いずれも全員無事避難済みでございます。ちょっと細かくなりますが、特養入所者の六十八名につきましては、六十二名が東京都の東村山市の病院に、そして五名の方が下田市の病院に収容されておりまして、残り一名は家族に引き取られた、こういうことでございます。また精薄更生施設入所者七十一名でありますが、これにつきましては、二十四名の方が八王子市の精神薄弱児施設に収容されておりますし、残りの四十七名の方は家族に引き取られているということでございます。  これらの入所者の今後の処遇につきましては、特に万全を期すようにということで東京都に指示をしておるところでございます。また避難に際しまして、医療施設において入院や治療を行っていた方につきましては、避難先、これは東京都と静岡県でございますが、においておのおの病院に収容するなど必要な継続治療を行い、医療の確保を図っているところでございます。また、その他の方々に対します医療措置につきましては、救護班及び巡回医療班を編成しまして、必要な医療活動を行っております。
  165. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 テレビ等で見る限り、極めて不自由な生活を強いられているような現況でございますので、ああいうことが長く続くと、これはもう肉体的にも精神的にもいろいろ問題が生じるということが懸念されますので、この件についてはひとつ鋭意対処方をお願いしたいと思います。  次に、厚生大臣、就任以来早くも四カ月が経過いたしまして、就任早々より今国会における最重要法案の一つを手がけておられるわけでございますが、これら一連の高齢者対策というものはいよいよ本格化してまいりますし、また長期的な国の課題として今後また続いていくことと思いますが、大臣が所信で表明されました、いろいろな表明をお聞きしておりますけれども、先般、これらの所信表明の中でおっしゃったこと、それらを含めて、大臣が在任中にひとつこれだけはやりたい、こういうものがありますならば、お聞かせいただきたいと思います。
  166. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 長寿社会へ向かっての取り組みについて、これだけはやりたいということはどうかという御質問でございますが、所信といいましょうか、私の就任以来の考え方を述べさせていただく中でも申し上げてまいりましたように、これから迎えます長寿社会へ向かって、その長寿社会における国民生活の基盤ともなるべき社会保障制度というものが、将来、安心して、また皆さんに信頼していただけるような安定した制度として対応できるように、今こそその基盤づくりというものをきちっとしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。今お話のございました老人保健法の改正をお願いいたしておりますこともその一環であると考えております。  同時にまた、お年寄りの皆さんが長寿を全うされる中で、老後を健やかに、また生きがいのある生活をしていただけるような、そういう福祉社会をきめ細かくつくってまいらなければならない、こんなふうに考えておりまして、これからの人生八十年代へ向けてのそういった福祉、いわゆる福祉サービスの基盤というものも今つくっていかなければならない、こんなふうに考えておるところでございます。
  167. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、我が党といたしましても、この十一日に高齢化社会における老後生活を保障するための総合的な施策を具体化しまして、厚生大臣の積極的な対応を申し入れたところでございますけれども、このような観点から老人福祉対策について数点お尋ねをしたいと思います。  まず、去る六月六日の閣議で決定されました「長寿社会対策大綱」、これには雇用・所得保障、健康・福祉、学習・社会参加、住宅・生活環境から研究開発まで、これから推進していくべき方向づけをされておりますが、政府全体がこうした長寿社会対策として取り組んでいこうというその姿勢は非常に時宜を得たものと、その心組みは評価するところでございますけれども、要はその中身でありまして、すなわちその「長寿社会対策大綱」が実効あるものとなるには、やはりそこには財政的な裏づけが伴わなければならないと思います。  ここに昭和六十二年度の長寿社会対策関係予算概算要求、各省庁まとめがありますが、各省庁もマイナスシーリングの予算編成のもとで非常に苦慮の跡が見受けられるわけですが、この「長寿社会対策大綱」の推進がなかなか思うように運ばないというのが現況ではないかと思います。この対策大綱の施策の中でも、何と申しましても厚生省所管施策が中心になってまいりますけれども、ところがこの厚生省予算は、五十七年度から六十一年度まで当然増というのが三兆円以上も削減されておりますし、来年度もまた当然増八千億円に対し認められたのはその半分の四千二百億円にすぎないわけですね。その中身は、医療、年金が主でして、社会福祉予算も削減された。福祉の見直しが進められ、老人福祉においてもこれは例外ではないわけですが、したがって「長寿社会対策大綱」を推進するには、これはよほどの決意がそこになければ画餅に等しいと思うわけですが、これに対する大臣の基本的認識、そしてまた来年度における重点目標をお示しいただきたいと思うんです。
  168. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) ただいま御指摘いただきましたように、ここ数年非常に厳しい予算編成を行っておるわけでございますが、そういう中にありましても常に施策の見直しを行い、合理化もしくは能率化等を進め、そして真に必要な経費については重点的に予算を配分するということに努力をいたしておるところであります。  そういう中で、「長寿社会対策大綱」の基本方針にのっとってこれをブレークダウンする形で、その中心であります厚生省の老人対策予算というものは非常に大事なものであり、また厚生省といたしましても大きな重点を置いて来年度の要求もいたしておるところでございます。特に在宅福祉の一層の充実、また痴呆性老人対策、そしてまたいわゆる老人保健法にあります老人保健事業等の一層の推進、またそういう中では、福祉と医療と保健というものを有機的に結合させていくようなそういう施策、こういったことに重点を置いて来年度も大いにひとつ頑張っていきたい、こう考えておるところでございます。
  169. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もちろん大臣がおっしゃるまさにそのとおりでございますけれども、現実は、実際とは逆行した形で当然増も削られ削減されるといったような、こういう事態について大臣の御認識を伺いたいのです。
  170. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 厚生省予算全体もしくは国家予算一般会計全体として非常に厳しい状況に置かれておるということは、これは否めないことでありますし、そういう中でも特にこういう重点施策に対して、予算の配分について最大の努力をしてまいるという姿勢をとっていくということが必要なのではないか。  同時にまた、来年度の概算要求等につきましても、この長寿対策関連の予算につきましては相当大幅な要求、また新規予算等も要求をいたして、そこに重点を置いておるところでございます。
  171. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほども申しましたように、理想と現実が余りにもかけ離れてきて、結果的には言っていることとやることとがかなりちぐはぐになってしまうんじゃないかというところを懸念するわけです。  少し具体的に取り上げてみたいと思いますが、六十二年度における在宅福祉対策として中央高齢者総合情報センター及び都道府県高齢者総合相談センターというものが新たに要求されていますが、これは具体的にどういうことをされようとなさっているのか、お聞かせいただきたい。
  172. 小林功典

    政府委員小林功典君) 都道府県の高齢者総合相談センターでございますが、これはお年寄りの方々が抱えるいろいろな心配事あるいは悩み事に対しまして総合的に相談に応ずるとともに、お年寄りの必要な各種の情報の収集、分析、提供を行うことを主たる事業としております。いわゆるシルバー一一〇番とも言うべきものでございます。  中央の方は、その都道府県のセンターのいわば支援組織としまして、各種の全国的な情報の収集、管理、分析というもの、それから都道府県のセンターの職員の研修、こういうものをやることによりまして各地方に対する支援体制をしこうと、こういう趣旨でございます。
  173. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 これは従来からの施策でありますけれども、デイサービスセンターの実施箇所数がこれまでの倍を上回る四百二十八カ所の要求となっておりますが、本年度福祉関係補助金が軒並み補助率を引き下げられる、そういう中でこのデイサービスの運営費が二分の一に引き上げられるとともに人口二万人以上の市町村でできるようになったわけですけれども、この充実策によって推進が見込まれると、こういうように見込まれているのか、またそのデイサービスを行う場合、これは施設の設置や運搬手段の確保が非常に難しいということが指摘されておりますけれども、これに対する具体策はどういうようになっていますか。
  174. 小林功典

    政府委員小林功典君) お年寄りの方が老後、住みなれた地域社会で家族とともに暮らせるようにという、そういう在宅福祉のデイサービスセンターはいわば柱でございます。そういった意味で、今お話がございましたように、今年度補助率の引き上げあるいは実施箇所数の大幅増を図ったわけでございますが、それが実際に実現できるかという御質問かと思いますけれども、これも既に先生からお話がございましたように、三分の一から二分の一への補助率の引き上げ、それから一日当たりの利用人員の緩和、それからデイサービスセンターを併設する特別養護老人ホーム等に対する国庫補助の優先採択といういろいろな手段をもちましてこれらの推進を図っているところでございます。  そういうことで、これからも非常に地方から需要が多いわけでございまして、私どもよく県の方々お話ししますと大変これ需要が多いわけでございます。そういう意味で十分これは消化できるものと考えております。
  175. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 このデイサービスを行うについても、あるいは在宅対策を行うにしても、いずれにしてもその拠点は老人福祉施策、特別養護老人ホームということになると思いますが、そういったようなところから我が党としても、先ほど申しましたような厚生省に対する要請の中で特別養護老人ホームを六十二年、六十三年度にはそれぞれ百五十カ所を増設すべきじゃないかといったようなことも盛り込んでおりまして、特養というものは都市部でさえも非常に不足しておりますが、都市部でないところでもこれはなお増設が非常に望まれているところでございます。また、老人保健法改正で老人保健施設が提案されていますが、この特別養護老人ホームというものはどうされようとしているのか。これらについての厚生省の方針をお聞かせいただきたいと思います。
  176. 小林功典

    政府委員小林功典君) 特別養護老人ホームの必要性というのはこれからも増大していくと思っております。そこで、今お話しありましたように、老人保健施設との関係でございますが、御案内のように、老人保健施設家庭復帰を図るための医療を中心とした療養の場の提供でございます。それに対しまして、特養の方は家庭での介護が困難な方に対する生活の場を提供するもの、こういうことで両者はその機能を異にしているわけでございます。そういう意味で、老人保健施設が制度化されました場合におきましても特養の方はさらに充実を図る必要がある、これは私どもの基本的な認識でございます。  過去の経緯を振り返ってまいりますと、この数年間毎年度百二十カ所、定員で八千人程度のペースで特養の整備を進めてきております。我々は、この老人保健施設の制度化された後も、従来のペースを落とすことなく続けてまいりたい、このように考えております。
  177. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この件につきましてはまた後日詳しくいろいろとお尋ねしたいと思いますが、次に痴呆性老人対策についてお尋ねいたします。  特養痴呆性老人に対する加算及び国立療養所でのモデル事業の実施が新しい施策とされていますけれども、これについて具体的にどのようなことを行おうとしておられるのか。また、このほかの痴呆性老人対策というものについてはどういうふうにお考えになっているのか。
  178. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 長寿社会の到来を迎えまして、老人性痴呆症の問題は非常に重要な問題であります。それで、ことしの八月から厚生省内にも痴呆性老人対策推進本部というものを設置をいたしまして、これらの実態調査やまた発生のメカニズム、そしてこれに対する治療、予防、またこれに対する施設のあり方、保健、医療のあり方、そういうようなことについて総合的に研究をし、実施をいたしてまいろう、こういうことで取り組んでおるわけでございます。  そういう中で、緊急にやらなければいけないというようなことで、来年の概算要求で今先生が御指摘をいただきました二点、すなわち特別養護老人ホームにおける加算の問題、そしてもう一つは国立療養所におきますモデル事業を実施しよう、こういうことで予算要求をいたしておるところでございます。  最初の、痴呆性老人加算につきましては、一定以上の痴呆性老人を預かられる施設については、その介護等について特別の加算をつけてまいろうということでございます。また、国立療養所におけるモデル事業につきましては、痴呆性老人の治療、看護に関する技術、ケアシステムの開発、またマンパワーの研修等について、モデル的に全国東西二カ所の国立療養所を指定して実施しようとするものでございます。
  179. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 去る八月の二十七日に、痴呆性老人対策推進本部が設置されましたけれども、ここでどういうことを検討され、専門委員会はどのようなことを検討し、そしてまた、その意見の取りまとめというものは大体いつごろになるでしょうか。
  180. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) ただいまも大臣からお答えいただきましたけれども、八月に痴呆性老人対策推進本部というものを厚生省に設置いたしたわけでございまして、内容といたしましては調査研究の推進、発生予防対策の充実、在宅対策の確立、施設対策の推進、マンパワーの確保等の事項を重点にいたしまして、外部の学識者、専門委員会と言っておりますが、意見をお聞きしながら検討を進めてまいりたいと思っております。  今後のスケジュールといたしましては、できますれば来年の夏ごろまでに対策の基本方針について一応の結論が得られるように努力してまいりたいと考えているところでございます。  専門委員会につきましては、臨床の方あるいは疫学の方あるいは保健所その他のヘルスサイドの方、看護の方等十一名の専門家にお集まりいただきまして、将来推計でございますとか、施設対策でございますとか、現在までに三回御検討いただいている状況でございます。
  181. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いつごろになりますか、意見の取りまとめは。
  182. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 先ほど申し上げましたが、できれば来年の夏ごろまでに基本方針について一応の結論を得るように努力してまいりたいと考えております。
  183. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほどから申し上げております「長寿社会対策大綱」においても、科学技術の果たすべき役割というものが非常に重要でありまして、健康確保及び生活と活動を支えるための研究開発を推進するため、研究体制の整備を図る、こういうようにされておりますけれども、この老化問題解明のための科学の面からのアプローチは、科学技術庁の老化制御指標及び老化制御の可能性の研究だとか、あるいは労働省の高年齢者の職域拡大、安全衛生確保を図るためのME機器等の研究開発、さらに通産省の高齢者の作業を補助するロボット開発のための調査研究、こういうものが行われておりますし、厚生省においても長寿関連基礎科学研究費として計上されていますが、その内容と進捗状況はどういうようになっておりましょうか。また、来年度に行おうとしているシルバーサイエンス研究の目的とその内容もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  184. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 長寿関連基礎科学研究費でございますが、これは本年度から新しく計上された予算でございまして、厚生科学技術を支える基礎的な分野といたしまして三つ考えておりますが、第一は生体防御機構の解明、免疫その他の関係でございます。それから新しい医療材料の開発、人工骨でございますとか、いろいろの材料でございますが、その分野あるいはバイオテクノロジーの分野、例えば遺伝子組みかえでございますとか、細胞融合でございますとか、そういうふうなテクノロジーの分野、この三つの分野につきまして国立試験研究機関と民間企業などの研究能力を結びつけて効果的に推進しようということで始まったものでございまして、課題を設けまして広く公募を行い、産学官の多数の機関の参加を得まして、現在研究者及び研究テーマの決定を行った段階でございます。  それから来年度に予算要求をしておりますシルバーサイエンス研究でございますが、これは新規要求でございまして、生き生きとした長寿社会を迎えるために高齢者が健やかに自立をして社会生活に適応できるためのシステムあるいは技術の開発を行うということでございます。これもやはり三つの分野を考えておりますが、老化に伴う特異病態の解明、お年寄りですと普通の肺炎でも症状の出方が若い人と違うとか、骨がやわらかくなって普通の骨折と違うというふうな病態の解明でございますとか、老化そのもののメカニズムについても厚生省としても迫っていこうという分野、あるいは高齢者の身体機能が低下をした際にそれを補うための医療機器でございますとか福祉機器の開発、こういうものを内容としておるわけでございます。
  185. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、こうした一連の長寿科学研究のための厚生省に設置された長寿社会構成委員会というものですね。この委員会の運営、検討課題、そしてその基本構想をまとめるめどというものはこれは立っておりますか。
  186. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 先生の御質問は、長寿科学の研究組織検討会の御質問かと思います。  それで、ただいま長寿科学の各方面の検討について先生からもお話がございましたが、こういった長寿社会を迎えますと、この研究の全体の体制の整備ということが必要なのではないかということが学術会議等の構想として出されておるわけでございます。それで、厚生省では各方面の学識者の皆様にお集まりをいただきまして検討会を設けておるわけでございますが、ここではこういった長寿科学が、これは長寿科学と申しましてもいろんな分野の科学を総合的に考えていく必要があるのではないかと思いますが、自然科学、医学、それから社会科学の面、そういったものを総合的に勘案した研究組織をつくりたい。その場合に、その研究組織といたしましてどういうような形がいいか。オープンシステムというような議論もございます。いわば研究者の方がずっとその組織に専属で研究者としておられるということではなくて、ほかの研究機関とお互い連携するような形での研究をするとか、ある一時期外国から研究者を招きまして長時間一緒にその研究のプロジェクトでやっていただくとか、いろんな構想があるわけでございますが、例えばナショナルセンター的なそういう大きなものをつくってはどうかという御意見がございまして、その御提案を中心に検討いたしておるわけでございます。  しかしながら、非常に大きな構想でございますので、どういうような方向でいくのか、それからまた、その場合、病院とか老人の施設とかいうものとどういう連携を持っていくのか、そういった基本構想につきましては一応来年の夏を目途におまとめをいただきたいということをお願いいたしておるところでございます。
  187. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 今まで数点にわたっていろいろお尋ねいたしましたが、どれ一つをとってみても相当な財政的な裏づけがなければ、先ほども申しましたように絵にかいたもちで終わってしまうわけでございますので、どうかひとつ大臣、これから先この予算獲得のために一肌も二肌も脱いでいただきたい、こういうように要望いたしたいと思います。  次に、エイズの問題についてお尋ねいたしますが、現代の黒死病とも言われるこのエイズの問題は、世界的にも非常に深刻の度を増しております。我が国においてもエイズ上陸後患者の数が急増していると、こういうようなことも取りざたされておりますが、現在、我が国におけるエイズの感染者、患者の現況、そして今後の予測といったようなものをお聞かせいただきたいと思います。
  188. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御承知のエイズでございますが、一九八一年ごろ、昭和五十六年でございますが、アメリカで発見された病気でございます。アメリカの場合にはその後五年間で現在二万六千人という膨大な患者数でございまして、うち一万四千五百人が死亡されております。したがって、アメリカにおいては爆発的流行ということが言えるかと思いますが、日本の場合には昭和六十年の三月に第一号が出まして、それ以降若干ずつ発生を続けておりまして、現在のところ二十一名の患者が認定されております。うち十三名が死亡というのが現状でございます。
  189. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ある学者の研究によりますと、このペースで進んでいきますと、日本で十年後には年間九百五十人のエイズ患者が新たに発生するというようなことが予測されております。これは大変深刻な数字でありますけれども、実際には私はこの程度では済まないんじゃないかと思うわけですね。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕 何せその潜伏期間がかなり長い、そして自覚症状が出るということは、末期に入ってからでないとそういうものはわからない、こういうような性格でございまして、非常にゆゆしき事態に将来入ってくるんじゃないか、こう思うわけです。  そこで、御承知のように、昨今マスコミをにぎわしておりますフィリピンの出稼ぎ女性のエイズ疑惑事件でありますが、この事件の概要についてお尋ねしたいと思うんです。
  190. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) エイズの感染したと思われるフィリピン女性についての事件の経過でございますが、十月二十八日に外務省から関係省庁にそのような情報の提供がございました。翌二十九日に私ども厚生省から長野県衛生部あてに情報の内容を提供し、さらに調査を依頼したわけでございます。翌三十日に厚生省から外務省に対しまして入国の状況、検査結果等についてさらに正確な情報が欲しいという依頼をいたしました。  その後経過をいたしまして、十一月四日にその当該女性がビザの期限切れのために法務省入国管理局に出頭しております。十一月五日に成田でその方が今回の該当者であることが判明しております。十一月六日に同人の希望によりまして抗体検査のための採血を行っております。十一月七日に国立衛生研究所で検査をいたしまして、結果は判明いたしましたが、プライバシーの問題を考慮いたしまして、私どもとしては、結果や氏名等については公表を差し控えさせていただいております。同十一月八日、土曜日でございますが、その方は日本から出国をしております。  以上が大まかな経過でございます。
  191. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 今お答えがありましたように、抗体検査の結果というものは正確には発表されていないわけですね。
  192. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 結果につきましては、私どもといたしましては公表しないということで処理をいたしました。
  193. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 その公表をしないという理由がプライバシーの保護ということなんですが、しかしそうはいっても、その結果はとにかくとして、本人の名前は出てしまった。名前が出てしまってからプライバシーの保護だなんというのもちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
  194. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 私どもは名前を発表しておりませんで、法務省の入国管理局の方で御発表になったわけでございますが、この例に限らず、私どもといたしましては、エイズのサーベーランスを適正にするために個人を特定できるような情報というのは、情報の提供に差し支える危険性があるということから判断いたしまして、この方については実際に名前が出たという結果にはなりましたけれども、原則といたしましては、私どもからの特定できるような情報を発表しないということで処理させていただいたわけでございます。
  195. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この二、三日ですか、発売されたある週刊誌あたりにも実はフィリピン女性は一人ではなく二人であったと、その二人の人の顔写真だとか名前まで週刊誌に出ております。こういったようなことから考えてみても、厚生省として今回のことは非常に思いがけない事件であったと思いますけれども、最終的には心配な人には自主的に検査を受けてほしい、こういうふうに言うしかないとは思いますが、その相談の窓口、検査体制、こういったようなものは今どういうようになっておりますか。
  196. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) その件に関して言いますと、私ども長野県の衛生当局に情報を提供いたしまして、その事実について広く知らしめて、みずから検査を希望する方についての検査窓口を開くようにという指導もしたわけでございまして、同様のことを私ども全国でやってまいりたいと考えております。一般相談窓口、これは知識の提供その他を含めますけれども、医療機関にも専門の窓口を、相談の窓口を設けていただくというようなことで、六十一年十月一日現在で、全国で七百五十八カ所、医療機関だけで言いますと九十五カ所でございますが、相談窓口を開いて、心配な方々には常に来ていただけるような方策をとってまいっておるわけでございます。
  197. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほども申しましたように、結果を発表しないとおっしゃいますから、疑わしいと言われる人が一人発生した、またあるマスコミの報道によりますと実はもう一人いたとか、そういうようなことが取りざたされているわけですが、そういうことから考えますと、最近いわゆる言うところのジャパゆきさんですか、こういう人たちの中にはかなりそういう陽性の人たちがいるんじゃないかと思うんですね。この辺のいわゆる水際作戦ということでそういうものを防ぐと日ごろ厚生省は言っておられますけれども、そういうような外国女性の入国時のいろいろな対応というものは考えておられますか。
  198. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) この伝染病は慢性疾患でございますので、入国時に必ずしも抗体が陽性になってない人もあり得るわけでございますし、抗体陽性が即患者ということではございませんので、私どもといたしましてはいわゆる水際対策というのは非常に難しいと考えております。  我が国には現在七百万人の出入国者がいるようでございまして、エイズに関する検査、質問等を行うということはどうも現実的ではないと考えておりますし、WHOにおきましても各国の出入国時の対策を推奨する見解を持っておらないということもございまして、私どもとしてもそういう方々を特定するというのも非常に難しいわけでございますし、水際で検査をするということは直ちには難しいことだと考えております。
  199. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほども御答弁の中にありましたいろいろな相談窓口だとか検査窓口だとか、そういったようなものが七百五十八カ所という数字を示されましたけれども、こういうところの中には検査機器だとかあるいは試薬だとか、そういうものを備えていないところもあるやに聞いております。厚生省としては、これからそうしたサーベーランス態勢協力医療機関というものを大幅に拡充しようということ、これは非常に私どもとしても心強い次第ですけれども、ただ数ばかりふえても実体が伴わない、そういうようなことでは意味がないと思うんですけれども、その辺の対応はどういうふうになさっていますか。
  200. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) この検査をやる場合には、スクリーニング検査と確認検査、正確に言いますと、スクリーニング検査二段階、確認検査——最終確認一回でございますが、三段階でやるような仕組みになっております。  それで、前二段階につきましてはスクリーニング検査でございまして、割と簡便な方法でございまして、これはかなりの機関でできますし、献血のところでも全部できるようにことしの十一月からなっておりますので、その態勢は十分だろうと思います。確認検査についてはかなり難しい検査でございまして、現在各ブロックごとに八カ所、北海道、宮城、神奈川、愛知、大阪、広島、長崎、沖縄、そういう地方衛生研究所というのが県庁所在地にございますが、そこの八カ所と、それから各大学はほとんどできるわけでございまして、そういうところへ確認検査の検体を送るようなことで、検査については万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  201. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 それと同時に、風俗営業関係の人々だとかあるいは風俗営業関係施設やあるいはまた性病クリニック等、特定施設を利用する人々に対して抗体検査を行う、こういうようなお考えはいかがですか。
  202. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 風俗営業の関係者全部を直ちにというふうには私ども考えにくいと思っておりますが、それと同時に、強制的に検査をするという性質のものではないように私ども考えております。もちろん二次感染その他この病気の感染予防対策としては、そういう感染源対策というのも非常に重要でございますが、私ども現在の考え方といたしましては、エイズに関する予防、衛生教育等を進めて、その方たちの認識をまち、検査体制を一方に整備して自主的な検査をしていただくような方向をとっておるわけでございます。
  203. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 これはもう先ほどから申し上げておりますように、本人に自覚症状がない場合に、別の性交渉によってまた感染が急速に広まっていくという、こういうおそれも非常に大きいわけでして、私はこの際、エイズについてもぜひ医師の届け出義務やあるいは必要に応じて抗体検査を義務づける、こういうようなことをしない限りこれは本当に手おくれになるんじゃないかという気がいたします。この点についてどういうお考えを持っておられるのか。  それとあわせて、先ほども申し上げましたように、現代における黒死病と世界的にも恐れられているエイズ、我が国においてもこれは性病として法定化すべきじゃないか、こう思うんですが、この点いかがでしょうか。
  204. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) エイズの患者さんを的確に把握するというのは、私ども伝染病予防の第一の着手点だと思いますので、そういう点では我が国に発生しておりますエイズ患者は漏れなく届け出されることが必要だと考えております。そのために、今サーベーランス態勢というのをしいておりまして、全国約二千のかなり高度な医療機関の協力を得まして、そこで疑わしいと思われた患者さんについてはいろいろな疫学情報を含めまして中央に一括集めて、エイズ調査検討委員会という場を設け、そこで一例一例報告検討いたしまして、これがエイズであるかそうでないかということを確認していただいております。こういうことで、私どもとしては現在まで日本に発生しておりますエイズ患者についての情報漏れはないというふうに考えておるわけでございますが、そういう点からいいますと、届け出伝染病と同様の効果を得ておるということもございますので、現在直ちに法定——法律で決めるというふうなことは考えておらないわけでございます。  もちろん、繰り返すようでございますけれども、そういう方たちに対する衛生教育についても非常に重要でございますので、各医療機関につきましても私どもエイズ患者が発生したときの取り扱いについての方法あるいは患者さんにどのような教育をしていただくかという通知を出しておりまして、それを通じて患者さん方に衛生教育をしていただいておるというような仕組みをとっておるわけでございます。
  205. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 法定伝染病は。
  206. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 法定伝染病に指定するということの目的でございますが、情報が漏れなくとれるということにつきましては、先ほど申し上げましたような仕組みで法定伝染病と同様の症例の把握を現在行っておるという点が一つでございますが、そのほかに、例えば隔離をするとかいうふうなことのために伝染病に指定するという考え方もあると思いますが、エイズにつきましては隔離をして治療をするというような——伝染力そのものは弱いわけでございますので、アメリカでもそのようでございますが、患者を特に隔離する必要性はないということから、私ども今直ちに法定伝染病にするという考え方は持っておりません。なお、ただいま申し上げましたエイズ調査検討委員会等とも今後の推移を見ながら御相談してまいりたいと考えております。
  207. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 エイズ問題の最後でございますが、全献血者の抗体検査というものもこの十一月から実施されておりまして、また、今国会の冒頭においても我が党の竹入委員長の代表質問に対して総理からも、予防、治療薬の研究開発強化が約束されたわけでございますが、今後こうした予防、治療薬の研究開発についてどのように取り組むつもりなのか、これに対する予算はどのようになっているのか、この二点をお尋ねいたします。
  208. 森幸男

    政府委員(森幸男君) エイズの治療薬の開発につきましては、これは私ども大変重要な課題だと考えております。今年度はエイズワクチンの開発とエイズの発症予防、治療薬の開発に関する基礎的な研究を実施しているところでございます。今後は内外の医薬品の開発に関しますいろいろな情報も極力収集いたしますとともに、こういう基礎的な研究の成果も踏まえまして、エイズに有効な医薬品の開発に向けて努力をしてまいる所存でございます。  それから、今先生お話しの研究費の額でございますが、今年度は二千七百万円だったと思います。
  209. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう時間もありませんが、最後に私は未成年者の飲酒についてお尋ねしたいと思うんですが、去る十月二十一日ですか、非常にショッキングな新聞記事が載っておりました。「中・高校生に広まる飲酒」、こういう見出しで大きく取り上げられておりますけれども、いろんな調査によりますと、中学生では四割がお酒を飲んでいる、高校では六割、こういうようなこともここに書いてありますけれども、こういう自動販売機等がありますから手軽に未成年者でもお酒は手に入るわけですね。若年からこういうお酒をたしなむというようなことになると三十代でも肝硬変あたりが続発するということがよく言われておりますけれども、ここいらについての厚生省そしてまた文部省あたりではどういうような対応をなされておりますか。
  210. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) アルコール関連問題の対策でございますけれども昭和六十年十月に公衆衛生審議会からアルコール関連問題といたしまして予防、社会復帰を含めました包括的な対策についての意見具申をちょうだいしております。その中で特に指摘されておる問題は、ただいま先生がお触れになりました未成年の飲酒防止等に重点を置いた予防対策というのが三本柱のうちの一つとして挙げられております。  私どもといたしましても、御指摘のような観点からアルコール依存症の予備軍が拡大しているという観点から、飲食関係業界に対しまして、未成年者に対するアルコール飲料提供自粛の申し入れを行ったり、あるいは関係省庁にもお願いしたりしておりまして、自動販売機の深夜販売の自粛でございますとか、いろいろな点からさらに対策をとっていかなければいけないと考えておるところでございまして、今後も引き続き実行可能な問題についてはさらに積極的に取り組んでいきたいと思うわけでございます。  アルコールの問題につきましては、そのようなことのほかに、いろいろ精神衛生相談の分野でも私ども酒害相談事業というのを五十四年から開始しておりますけれども、そのような形でアルコール問題については取り組んでまいりたいと考えております。    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
  211. 下宮進

    説明員(下宮進君) 文部省の対応につきましてお答え申し上げます。  未成年者の飲酒は健康に悪影響を与えるばかりではなく、非行など他の問題行動にもつながることもございますので、学校においては教科の保健体育を初め特別活動の学級指導あるいはホームルームなどにおきましてアルコールの有害性に関する指導を行っているところでございます。  文部省においては、従来から生徒の問題行動に関する基礎資料など教師用指導資料を作成し、そういった資料の中でアルコールや飲酒の害についても触れますとともに、学校保健や生徒指導などの研修会においてこういった問題を取り上げ、学校における指導の徹底を図っているところでございます。  さらに、これらの指導の徹底を図るため、今年度におきましては中学校の教師用の未成年者の飲酒防止に関する資料も作成し、全国の教育委員会、学校などに配布することとしております。
  212. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 終わります。
  213. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣は、就任に当たって厚生大臣は最もなりたかったポストだということで、今日までの念願がかなったことを率直に喜んでおられた、そうした報道の記憶もあるわけですけれども、これは今日までの経歴からいっても当然のお気持ちかと思うのでありますが、問題は大臣も御認識のように、昨今の厚生行政は多くの課題を抱えていると思います。高齢化社会、経済の低成長、国の財政危機等々、こういう状況のもとで、一体どういう立場で今後の福祉行政を進めていくのか、その基本姿勢のあり方によっては行政の方向は百八十度違ってくる。  そこで、まずお尋ねをしたいのでありますが、中曽根首相は戦後政治の総決算を標榜して、我が国の社会保障、福祉制度を次々とドラスチックに改正というか、改悪をしてきました。今日までの中曽根内閣の福祉行政の姿、これを大臣として当然の姿というふうに思われるかどうか。このやられてきた制度改正の本質、それは高齢化社会に対応するためだとか、制度の安定的維持とか、そういう名目はあったのでありますけれども、その本質は、結局は財政的見地から国庫負担を減らすということ、逆に国民負担がふえるという、こういう問題であったということは否めないわけであります。いろいろ美辞麗句を並べても、進められてきた事柄の内容、本質はそこにあったと。そこで、こういうやり方に対して国民の広い層から、それでは納得できないという声が年々日々広がってきているのは御承知のところだと思います。  今回衆議院を通過をし、参議院に回ってくると伝えられております老人保健法、この手法も今申し上げた路線に沿うものでありますけれども、大臣としてはこういう国民負担の一途増加を図るというこの政治方針に全面的に納得をしておられるのかどうか。確かに全くのむだ、こういうものを省くのは当然のことでしょうけれども、しかしその中でも知恵を絞って、もっぱら国民負担の増加で厚生行政を進めていくということは避けるべきだ。やっぱり国民の福祉、暮らしを守るというこの立場で、厚生大臣としては厚生行政を進めていこうということか、さっき言いました国の負担を減らすがために国民の負担がどんどんふえていくという方向をとるのか、基本的にどっちの立場をとられるんでしょうか。
  214. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 私が参議院に出させていただきましたのは昭和四十七年の秋でございまして、ちょうど昭和四十八年、福祉元年というかけ声のもとに、それまで我が国福祉政策としてはどちらかといえばおくれている中にあったその福祉を、追いつけ追い越せ、こういうことで福祉の増進を図ってまいったところでございます。  そういう中で、世界の先進国の中にも決して負けないような制度そのものはいろいろとできてまいったところでございますが、そこでこれまでのそういったあり方を一度振り返り、本当の意味での福祉というのはどうあるべきかというような観点からの見直しや、またこれから迎えます長寿社会へ向かって、その長寿社会においても安定した社会保障制度というものが維持されていくためにはどうしたらいいか、こういうような観点からの見直しが行われてまいった。そういう中で老人保健制度が創設をされたこともそうでありますし、また医療保険の改革がなされたのもそうでありますし、年金の大改革が行われたのもそういうことであると考えておるわけであります。そういう一環として、今回の老人保健法の改正もお願いをいたしておるわけであります。  私といたしましては、そういうこれからの将来へ向かって受益される方々が本当に安心していただけるような、そういう制度を今きちっとつくっておくということが最も大事であるというふうに思っております。  今おっしゃられましたように、国の責任を回避するのか、また国民の負担を多くするのか、こういう御発想でございまするけれども、国の負担と申しましてもこれまた国民の納税によって賄われるわけでありまするし、その点についての国民的なコンセンサスを得ながら行っていくということが非常に大事なことであるというふうに私は考えておるところでございます。
  215. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私がお尋ねをしておる一番核心の部分をなお外されておると思うんでありますけれども、言われているように福祉の制度の未来に向けての改正を図るという言葉を使いつつ、しかし実際に国民の目の前にあらわれたのは国の負担を減らして国民の負担をふやす、こういう姿になっておるということはお認めになりますか。
  216. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 今も申し上げましたように、国の負担を減らし国民の負担をふやす、こうおっしゃいまするけれども、国の負担も国民の負担であるわけでございます。そういう中で、どういう負担を国民的合意の中で求めていくかという問題であるというふうに思っております。
  217. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 しからばもう一つお尋ねをしましょう。  そういう形で近年の厚生行政が進められてきたわけですけれども、とりわけ、中曽根内閣になって四年ですけれども、このもとで我が国福祉の水準というものは、世界第二位の経済大国にふさわしいレベルに向上をしてきたと、改革という言葉を使うんであれば、その改革の名にふさわしく向上してきたというふうに考えておられますか。
  218. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 今細かいデータをここに持ち合わせておらないわけでございますけれども、社会保障に対する支出、また国民の社会保障負担等、いろいろ考えてみまするときに、世界の中でも社会保障の前進した国になったということを私は確信をいたしております。
  219. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 確信をしておるというふうにおっしゃいますけれども、まだまだ改善を必要とする分野というのは多々あるんじゃないんですかね。例えば六十五歳を過ぎたお年寄りが、全く異なる環境でそういう生きてきた老人たちが、三人も四人も狭い部屋に詰め込められて、プラスチックの食器で御飯を食べなくちゃならぬ。そういう姿のもとに置かれておる老後の状態、一体国際的に見て、老人の置かれておるそういう姿というのは胸を張って誇り得る姿だと思われますか。
  220. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) それはもちろん当然これでいいんで、もう何にもしなくていいんだ、こういうことでは決してございませんで、どんどん改善すべきことは改善し、もっとよりよき福祉社会へ向かって努力をいたしてまいるということは当然のことでございます。  また、今御指摘がございましたのは社会福祉施設等の内容等のことかと思うわけでございますが、これまで社会福祉施設につきましては相当整備をされてまいり、同時にまた在宅福祉という面にも力を入れて公的にやってまいらなければならないというふうには考えておりますが、そういう中であっても施設の整備充実ということについてはなお努力をいたしてまいらなければならない。また、これから非常に何といいましょうか、多様化するニードというものにこたえていけるような、そういう施設内容を充実を図っていかなければならない、こんなふうに考えております。
  221. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 社会局長にお尋ねをしますけれども、現在、七万人近くの人がいわゆる養護老人ホームに入っておられると思うんですけれども、このうちで個室ではなくて雑居という形で入居をしておられる人数、その率、どれぐらいなんでしょうか。
  222. 小林功典

    政府委員小林功典君) 養護老人ホームで個室に入っておられる方の率でございますが、構成比で申しますと九%でございます。それから二人室、これは六〇・八%。個室以外に二人室と申し上げましたのは、個室が一番好ましい例が多いわけでございますけれども、例えば夫婦で入所なさる方、あるいは一人ではどうも寂しいといいますか孤立感があるということで二人入所を希望される方もございますので、私どもとしましては個室または二人室ということでその整備を進めてきたところでございます。その結果が、先ほど申しました約七割の方が個室または二人室に入っておられる、こういうことでございます。
  223. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 二人部屋になぜアクセントを置いて説明をされるのか。御夫婦の場合、これはまあ理解できるでしょう。しかし、殊さら一人よりも二人を希望される、そういう希望がうんとたくさんあるというふうに私は思いません。今日までの日本社会のずっとたどってきている現状から考えてみて、当然プライバシーが保障されるような部屋が与えられなければならない。厚生省考え方の中に、まあまあ二人部屋まではこれは個室と考えていいんだと、二人までは、という形で行政の努力を怠る傾向があるんじゃないですか。
  224. 小林功典

    政府委員小林功典君) 私ども、従来から指導してまいりました内容が個室または二人室ということなものですから、その趣旨を御説明したわけで、他意はございません。  確かに個室の方がいいという方が多いと思います。ただ、先ほど申しましたような例もございますので、二人室が即いけないということではないように思いますので、そういう意味で個室重点にはなろうかと思いますが、当面年々個室と二人室の増加を図っておるということでございます。
  225. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうすれば、なぜ今日もなお二人部屋というのが約六〇%あるんでしょうか。大臣御存じでしょうか。既に十年前、昭和五十二年十一月二十一日付で、厚生省の諮問機関になろうと思いますが、中央社会福祉審議会老人福祉専門分科会、ここのいわば答申という形で、「今後の老人ホームのあり方について」ということの中の一項目、「養護老人ホームの居室の個室化」ということで、「養護老人ホームにおいても生活の場にふさわしいプライバシーのある生活を可能とするために、個室を与え得るような体制に移行すべきである。」と、「養護老人ホームの居室の個室化が実現することができるよう計画的に実施していくべきであると考える。」と、十年前からこう出しながら、一体なぜ今日もなお六〇%も二人部屋というのが大量に残っているという姿になっているんでしょうかね。  大臣は、このこともよく御承知で、我が国福祉の水準は国際的に胸を張れるという状態になったというふうに先ほどおっしゃったんでしょうか、この事実も念頭に置いて。
  226. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 逐次改善をしていかなければならないということにおいては私も申し上げておるとおりでございますが、この養護老人ホームも、創設当初にはどちらかと言えば救貧対策とでも申しましょうか、収容施設とでもいいましょうか、そういう色彩が非常に高かったわけでございますけども、最近におきましてはそういう観点よりもまさに生活の場とし、またプライバシーを守る、またいろいろなニードに対応できるような施設というようなことで逐次改善をされてきておる。  この表を見ましても、昭和五十五年から五年間の間に二人部屋が今まで五〇%でありましたのが六〇%になり、また一人部屋が五%でありましたのが九%にふえている。また四人部屋が三四%ありましたのが二三%に減っているということにおいていろいろと努力をいたしておるわけであります。これまでの古い施設が老朽化してくるについてそれぞれ建てかえを行うというような段階において、そういったできるだけ何といいましょうかプライバシーが守れるようなというか、いろいろなニーズに対応できるようなものとして改築をするように指導をいたしてまいるということでございます。  ただ、二人部屋の場合には必ずしも私は悪いあれではないと思っております。御夫婦での場合には当然でありますし、同時にまたお年寄りが一人仲のいい友達と一緒に生活をする、そういう関係において日常の生活がかえっていいんだというような声も私個人として今までお聞きをしたこともあるわけでありまして、必ずしも一人でなければならないということではない。だんだんに三人部屋を二人部屋にし、二人部屋を一人部屋にするというふうな改善の努力を積み重ねていくということが必要であるというふうに考えております。
  227. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ちょっと語るに落ちたという感じがしますね。文字どおり個室が構成比五%から九%にふえてきているという、このことはふえてきていますよという一つの数字にはなるかもわからない。しかし、二人部屋が五〇%から六〇%、これはふえているわけですからね。だから、二人部屋を一人部屋にひとつどんどん進めていこうということを証明する数字にはならない。いわんやお年寄りは仲間と生活をともにするのを喜ぶ、それはそれで話をしたり、ゲームをしたりする場というのはちゃんと老人ホームの中に保障をされておってしかるべき問題であって、そのことをすりかえて、今のような個室と称しながら二人部屋をいつまでも許容をし、温存をしていくような行政の姿勢、私はこれは大問題であって、どうしても急速な改善をしてもらう必要があるということを重ねて強調をしたいわけであります。  もう一つ角度を変えて、我が国福祉の質といいますか、水準がどういう姿にあるのかという問題で話を進めたいと思うわけでありますけれども厚生省では福祉施設に働く労働者の労働条件、例えば賃金や労働時間、休暇の実態がどうなっているかという問題についてはっきりとつかんでいるんでしょうか。その労働条件が、例えば我が国の労働者の平均的な実態と比較してよい方か悪い方か、どういう姿にあるんでしょうか。
  228. 小林功典

    政府委員小林功典君) 施設の職員の給与状況やあるいは勤務の実態等につきましては、必要に応じまして、例えば給与実態調査でありますとか、あるいは社会福祉施設調査報告等によりまして、ある程度把握をしております。  一般の分野に比べてどうかということでございますが、そういう比較は私ども持っておりませんけれども先生御案内のように、社会福祉施設の職員につきましては国家公務員並みという基準がございまして、それにある程度の加算をつけ、国家公務員の給与の改定の率に応じて改定をしていく、こういう仕組みでございますから、国家公務員とほぼ同様の扱いになっているということでございます。
  229. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 国家公務員と同様の姿になっておるとおっしゃっても、私はそういう実態にはないというふうに指摘をせざるを得ないんです。  これは日本社会福祉労働組合という福祉関係の職場で働く労働者の皆さん方でつくっている組合、ここで何年か実態調査をやられているわけですけれども、全産業労働者と比較をして、とりわけ大卒男子に大きな差があるということで、平均で見ても、例えば賃金で言えば四万七千六百円の差が出ている。それから女子の場合でも、一時期賃金が上回る状況もありましたけれども、特に近年、中卒を除いては全学歴区分で他産業の労働者に比べて賃金が低いという、こういう実態ですし、今の国家公務員と比較をしても、例えば国公行(一)賃金表と比較をしても、各年齢階層別に見て大きな格差が出てきているということは歴然としているわけです。  組合の調査だからということでなかなか政府は信用なさらない傾向が間々ありますので、あえて引用をし、これは質問通告の段階で厚生省としても目を通しておいてもらいたいということで言ってまいりましたけれども、明治学院大学社会学部の秋山智久教授、それから追手門学院大学の文学部講師新野三四子さんという二人の名前で行われました「社会福祉専門職者の実践と意識に関する調査 一九八六」ということで、かなりこの分野では今までにない詳しい調査が行われたというそのまとめでありますけれども、そこで見ますと、賃金についても月収、年収どちらで比較しても他産業の労働者と比べて大きな差がある。それから、一日の労働時間ですね、これが七時間から八時間というのが四六・九%、八時間から九時間というのが実に四四・八%と、この八時間労働はもうどこ吹く風、こういう姿になっている。  休日の状態でありますけれども、週休一日、これが確立をされておるのが二四・三%にすぎない。週休二日が月一回というこれでさえ二二・〇%ということであります。有給休暇の利用率についても、これは前回、この人たちの前回調査が一九七五年にやられているんですけれども、そのときには六三・三%の有給休暇の利用率であったのが、一九八六年、ことしの調査では一五%ダウンをしている。特に民間の保母さんの場合には、前回の六七・二%から今回四二・二%、二五%も利用率がダウンをしているということなどなど、こういう報告が出されているわけですけれども、これは通告でこの文献を指摘をしておきましたのでごらんになっていますね。
  230. 小林功典

    政府委員小林功典君) 拝見しております。
  231. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今申し上げた主な数字は、これは民間、公立含めての保育所福祉施設、この関係でまとめられております数字でありますから、当然のこと、公立と私立と対比すれば私立の施設はなお労働条件などが劣悪な姿にあるということは当然予想のつくところでありますけれども、こういった事態、先ほど私が質問しました、一体他の産業の労働者と比較して民間の福祉施設保育所など、こういうところの従業員の人たちの労働条件というのはよりいい条件にあるのか悪い条件にあるのかと、国家公務員とほぼ同じですというお答えになったけれども、そんな言い方が通るんでしょうか。
  232. 小林功典

    政府委員小林功典君) 先生指摘の資料も拝見いたしましたけれども一つは、全産業を対象にしている調査と、それから特定分野といいますか、社会福祉施設というものと職務内容の質が異なりますので、そこでそのまま比較していいかという問題があろうかと思います。また、さらに具体的に、例えば男女構成比あるいは従事年数、これもそれぞれ違っております。例えて申しますと、施設職員の場合には女性の割合が八五・三%でありますが、全産業労働者の場合は三一・二%、それから平均勤続年数も施設職員の場合には六年、全産業労働者の場合十・三年と変わっておりますので、やはり給与に大きく影響を及ぼしますこのような業種、職務の内容、質あるいは従事年数といったものが違ったままでそのまま比較していいかどうかということを考えるわけでございます。  したがいまして、国としましてはむしろ措置費をどうやって組んで流すかということでございますので、その点につきましては、先ほど申しましたように、国家公務員並みに計算をして流しておる、こういうことでございます。
  233. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういう比較をするということが職種の違い、構成の違い、そういったことからいって妥当かどうかということのその論の前に、実際にあなたは国家公務員と似たような姿だ、似たような状態です、それとほぼ同じ水準と考えていいだろうというような意味の答弁をなさったから、そういうふうに言えるんですかと、とりわけ民間の福祉施設の労働者について言えば国家公務員の水準よりは悪いというまずこの事実をお尋ねをしておるわけです。どうですか。
  234. 小林功典

    政府委員小林功典君) ちょっと繰り返しになりますけれども措置費の上で私どもが計算しておりますのは、国家公務員並みにまず格付をするということ、それから職務の困難性に応じまして、給与特別改善費等によりまして本俸に一〇ないし二〇%前後の加算等の配慮をした上で、さらに、先ほど申しましたように、毎年度の国家公務員給与の改定に合わせて改定を行うということであります。また、年次休暇につきましても、措置費の上では代替要員雇い上げ費を十二日分算入しているということ、あるいは勤務時間につきまして、昭和五十六年度から六十一年度にかけて週所定労働時間を従前の四十八時間から四十四時間に短縮する等の勤務条件の改善に努めてきたところでございます。  したがいまして、個々施設ごとに考えますと、確かにその勤務年数等々違いますので一概に比較はできないと思いますけれども、少なくとも国が見ております措置費の上では今申し上げたような国家公務員並みの手当てがなされておるということはひとつ御理解いただきたいと思います。
  235. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 措置費の問題はこれから私が議論をしていくところでありますから、措置費現状が妥当なものかどうかというのはおいおい明らかにしていきましょう。  それに先立って、あなたはやっぱり認めざるを得ないから答弁を何回聞いてもそこを避けるわけだけれども、現実の姿として、さっき数字を挙げてこの方の調査も引用しながら、とりわけ民間のそういう福祉施設の分野では労働条件が悪い。ですから、健康の状態でもやっぱり大変不安な姿が出ているわけでありまして、これは京都の例でありますけれども、京都市が一役買って特殊健康診断、これを保育所を初めとして社会福祉関係の職員についてやっているわけです。  一番最近の公表されております数字でいきますと、前回の健康診断に比べて健康状態が悪くなってきているという度合いが、保育所でいきますと診断を受けた五百六十五人中百七十一人、障害者の福祉施設関係三十四人中十人、児童福祉施設関係でいきますと三十四人中十三人、老人福祉施設関係でいきますと九十一人中二十七人。だから決してまあまあ妥当な姿にあるだろうというふうにはおよそ言えない職員が労働強化、健康を害するというところへ追い込まれている実態がこういった数字にもあらわれていると思うんですよ。  そこで問題は、なぜこういうことが起こってくるんだろうかというそこの原因になるわけでありますけれども、いみじくも今も局長が口にされておるこの措置費の問題なんです。社会福祉施設の中で一番人数的にも多い保育所の保母さんを例に、具体的に見ていきたいと思うんでありますけれども、人件費、その措置費は行(一)の2の3ですね。これは五十九年度に一号アップしただけで現在に至っているわけで、金額的にいきますと月額十二万五千百円、これに六%を加え四%を加える、それに調整手当がつくということではありますけれども、その六%と四%、これを加えて十三万七千九百十円、これ掛ける保母数、これが措置費の基準になっているわけです。  問題はこの基礎になっています2の3という格付です。これは高校卒七年後ということですけれども、保母さんの大部分は保母教育を受けており、それで短大卒と同じであります。そうすると、高卒七年後ということですけれども、短大卒後五年目の賃金、ここに格付をする、こうなっているんですが、片やこの方の調査でもはっきり出ていますように、勤続年数は八〇%が五年以上であります。五年以上が七七・六%、こういうことになっているんでありますから、したがって、今のような格付をもとにした人件費、措置費ということではどうしたって経営が窮屈になるに決まっている。そこから人数的にも窮屈さが起こる、労働強化になる、健康も害する、こういう姿が生まれてこざるを得ないという実態にあるわけですけれども、大臣、こうしたことを御承知でしょうか。
  236. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 今保育所の保母についてお述べになりました点については、私ども政府側で厚生省、大蔵省、自治省三省の合同調査によりまして、出てまいりましたその結果に基づいて国家公務員の俸給に見合った格付をいたしておるわけでございます。したがってこの調査の結果、保育所一般保母については高校卒七年というのが実態でございまして、これは平均的な数字でございますが、これに見合った国家公務員の本俸が2の3という、こういう形になっておるわけでございます。したがいまして、個々事例については確かにいろいろなケースがあると思います。  それから保母の資格につきましても、高卒後二年間の養成期間を経て卒業後資格を取られた方もおりますし、高卒後直らに試験を受けてそれに合格して保母になった方もおられるわけでございます。全体を通じて見ますと今申し上げたような状況でございますので、私ども措置費の計算根拠といたしましては、高卒後七年の国家公務員の本俸に合わせたという数字を使っておるというのが実情でございます。
  237. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 高卒後七年という格付をしているということはこれはお認めになる。そうしますと、この保母教育のそれに匹敵するこれを経てきた者は短大卒並み、したがって五年と、こういうことになる。ところが片一方、勤続年数の実態を丹念に調べてみると八割近い七七%が五年以上だと、これはごく一部分そういう人たちがおるというんじゃない、もう八割近い人がそれだけの勤務年数に達している、こういう状況ではそこに差が出てくるのは当然でしょう。だからそういう今日までのやってきたことをけしかる、けしからぬというそこの議論を今どうこうあげつらっているわけじゃないんですよ。本当にこういうことでいけば、こういう姿というのは将来に向けて改善すべき課題じゃないかと。やっぱりそこの職員の人が安心して喜んで働けるような職場になってこそ、本当にそれを支えていく我が国福祉行政がつくられていくんだということになるはずでありますから、その改善の問題、措置費のあり方について検討されてしかるべきじゃないですか。大臣どうでしょうか。
  238. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) お言葉ではございますけれども施設措置費も以前から見ますると大変改善をされてきておりまして、私も個人的にいろいろ施設にお邪魔して聞かしていただく中では、大変昔から見ると措置費もよくなってきたというふうに喜んでいただいている方が多いと考えております。  またいろいろな数字をお挙げになられましたけれども、財団法人社会福祉研究所で社会福祉専門職の労働実態というものを昭和六十年に調べられた結果などを見てみますると、いろいろな数字が挙げられた上で、最後に、社会福祉への就職の満足度というような点について見てみますると、「大変よかった」という方が二九・五%、「よかった」という方が四七・四%、「よかった」という方々の両者を合計いたしてみますと、四分の三を超える方々が満足をしているというふうに言われておるわけでございます。こういう中には、もちろん社会福祉施設で働くという一つの使命感というようなものに基づいておやりになっていただいているという点が非常に大きいとは思うわけでございます。そういう中での施設措置費のあり方につきましては、どうしても措置費というものが平均的な給与については措置費の中で基準的に決める、そしてそれをそれぞれの施設において実態に合わせて給与として支払っていただくというような、そういう仕組みということから今御指摘のような問題も出てくるというようなことも私も認識をいたしておるところでございます。  これまで措置費について年々改善をいたしてまいりましたが、今後とも施設で働いていただく方々の処遇の改善、内容の充実等について措置費の一層の改善に向けて努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  239. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういう社会福祉施設に働く職員の皆さんの仕事に対する満足度ということを、後で少し括弧はつけられましたけれども、それを理由に挙げてまあまあ労働条件は大丈夫だというふうにおっしゃるというのはもう何をか言わんやという感じですね。とにかくそういう分野で働く労働者の人たちがまさにその仕事の社会的意義を自覚して、苦しい労働条件の中でも頑張ってやろうという気持ちのあらわれの問題として行政当局というのは受けとめていってもらわぬといかぬという、もう言わずもがなの問題ですけれども、強調をしておきたいと思うわけであります。  それで、今日までもいろいろ改善をやってきたとおっしゃいますけれども保育所の主任保母については五十三年に二号俸アップしたんですよ。ところが、一般の保母はやっと五十九年に調査をやって、一号アップをして六十年から実施してきている、こういう姿で、別に主任もうんといい待遇がされておるというふうに私は思いません。それと比べてみても、一般保母の処遇の改善というのは決して十分進んでいるというようなふうには言えない。  例えば、局長に聞きますけれども、似たような仕事で幼稚園がありますね、幼稚園の職員と比べて保育所の保母のそういう実態というのはうんといい姿にあるというふうに言えますか、言う自信がありますか。ないでしょう。
  240. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 保育所の保母の方が非常にいいというようなことは私も申し上げるつもりはございません。ただ、幼稚園の教諭との関係につきましては資格の取得の方法なり学歴なりいろいろ相違もあるわけでございますから、単純比較というのはなかなか難しい面はあろうかと思います。ただ、私どもとしては、いずれにしても先ほど申しましたように政府側の調査によって保育所の保母、これは主任保母それから一般保母両方分けまして、それで実態を調査して、それに見合った国家公務員の給与ベースを基準にしながら決めておるというわけでございますので、できるだけ実態に見合った給与にしているということは申し上げられるかと存じます。
  241. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 とにかく、厚生省として余り実態もよく率直なところ御存じないのだと私は思うんですよ。そこで、少なくとも福祉の問題がこれだけ今日的議論を呼んでおるただいま、やっぱり豊かな福祉行政を進めていく上で、福祉施設に働く従業員の人たちが本当に名実ともにその仕事に生きがいを感じて、大いに力を発揮して仕事に取り組んでもらえるようにという立場から、一遍実態をよく調べてみて、改善すべき点がもし発見をされたら改善をするという、せめてこれくらいの、大臣、新しい抱負を持って新大臣にもなられたことだし、ひとつ調査して、改善すべき点があれば改善するという、最低この姿勢では取り組んでもらいたいと思いますが、どうですか。
  242. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 社会福祉施設で働いていただく皆さんは、これからのいろいろなニーズにこたえて社会福祉施設をよりよく運営していただかなければならないわけでございまして、非常に大事な職種の方々でございます。そういった社会福祉施設が本当に毎日が生き生きとそして楽しく運営をしていただけるように、今先生がおっしゃられましたように、そういった処遇の問題等の実態をなお一層把握するために調査をし、またそれに基づいて改善をするように努力をいたしてまいりたいというふうに思います。
  243. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ひとつそういうことで鋭意やっていただきたいと思います。  そこで、残された時間ちょっと別の問題に移りますが、いわゆる産業廃棄物処理処分をめぐる問題でありますが、ことしの七月、京都府の瑞穂町にある産業廃棄物処分場で未処理水を付近の川に放流するという事件が起こって大問題になっているわけでありますが、この問題に関して国の指導のあり方も含めて若干質問をいたしたいと思います。  まず、最終処分場、全国で千五百八十七カ所あると聞いておりますが、この設置形態といいますか、その中に地方公共団体が関与している第三セクター的な形態がかなりありますけれども、その大部分は公益法人かと思うんですが、株式会社の形になっているのは都道府県レベルで見るとどこどこですか。
  244. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 公共関与のものは全国で百二十六施設ございまして、主たるものが財団法人あるいは市あるいは県が直接経営しております。株式会社のものは今ここに表がありますが、ちょっと見さしていただきますと、京都がそうでございまして、京都環境保全公社。それから大分県に株式会社エスプレス大分というのがございます。
  245. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いずれにしても余り数が多くない。
  246. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) はい。以上が株式会社、そのほかに社団法人のものもございます。
  247. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、この千五百八十七カ所の処分場、民間会社自体の形態のものもあるし、公共関与のものもあるということですけれども、その操業中に何らかのトラブルを起こして問題になっているところ、国に報告の届いておるところはあるでしょう。
  248. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) このたぐいの施設は設置する前にいろいろ問題がありまして、地元の了解を取りつける、あるいは着手するまでに相当年月を要するわけでございますが、運転を開始いたしましてから、ただいま先生が仰せになったようなケースで地元とトラブルを起こしたというようなことで国の方に報告が参っておるものはこれ以外にはございません。
  249. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、京都府の瑞穂町での七月十一日の事件についてでありますが、処理をしていない前の未処理水を放流するということは、これは建設に当たっての地元自治体との協定にも違反だということで大きな問題になっているんですが、所長さんなどは、一人の職員が降雨量から見て埋立地のダムからの溢水の危険を感じたと判断して放流をやったんだと言っていますけれども、本来こうしたことは一人で判断すべき問題ではない。当然複数の職員の集団的な協議に基づいて行われる運営になっていなければならない問題じゃないかと思うんですが、私行って所長にも会ってきたんですけれども、一人の判断でやったと、あり得べからざることが起こっておるんですね。この点聞かずもがなかと思いますけれども、そんな一人の判断で放流するというようなことがあってはならないことですね。
  250. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) ただいま京都瑞穂町における未処理水の放流問題につきましては、厚生省としても京都府からいろいろ事情を聴取しているところでございますが、先生指摘のように、一人の作業員が一つの判断ミスをしたということが原因と京都府は考えておるようでございます。こういう管理上の問題についてどのように判断するかという問題がございますが、これは一定の管理基準というものを設けながらやっていくことは当然のことでございますし、このケースにおいても当然そういうことは十分に考えておったと思うわけでございますけれども、実態としてはそういう問題が起こったということであろうというふうに思います。
  251. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 念のためにお聞きしますが、ここの処分場の常勤職員は所長と女性の事務員を含めて三人と、こういう状況で日常的操業が行われておるというようなことなんか御存じだったでしょうか。
  252. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) これは基本的には都道府県知事が指導をする問題ということでございまして、厚生省としては直接的にはそういう状況があるということは承知をしていなかったわけでございます。
  253. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、放流されたのが未処理の水だったということで、心配されるのが有害物質による汚染がなかっただろうかということでありますが、この点は私、厚生省に何回か、一遍京都府なり公社側から資料を取り寄せて厚生省としてもよく見てもらいたいというふうにお願いをしてきましたけれども、何か判明しましたでしょうか。
  254. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 厚生省といたしましても、この問題を承知をした後、とりあえず電話等で状況を聴取しておるところでございますが、今回のような問題は、環境の保全を図るという上からは、結果として大変遺憾なことであると言わざるを得ないわけでございますが、幸いにして周辺の公共用水には、実際いろんな点から見て被害はなかったようであるということはせめてもの救いではなかったかというふうに判断をしておるわけでございます。  いずれにしましても、この点については基本的には都道府県知事、本件で言えば京都府知事が指導、監督をしておる問題でございますので、その立場も十分尊重しながら、今後も十分に連携を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  255. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 有害物質による汚染はないと報告を聞いているということでありますが、実はそうじゃないんです。私、この間その公社の理事長と会ってきまして、事実、資料を突きつけたら、認めざるを得ないということになったのでありますが、毎月定期の水質調査をやっているわけですね。それで、この公社の調査の結果は地元の瑞穂町の町長あてに報告書が出ている。それで、この町長が、地元の委員会がありましてね、その委員会へこういう報告が来ていますということで出た。  その調査結果一覧表を入手しておるわけですけれども、それでいきますと、具体的には亜鉛です。地元との協定での基準値は一リットル当たり〇・一ミリグラム、これが基準値だと。ほかにもいろいろありますよ。これを超えてはならぬとなっているんですけれども、六十年の四月、五月。六月はパス。六十年の七月、八月、九月、十月、十一月、十二月。六十一年の一、二、三はパス。六十一年の四月。もう何回にもわたって〇・一ミリグラムというこの基準値を超えているという水質調査の結果になっているんですよ。放流水というのは処理をした上での水ということは当然でありますけれども、こういう事実になっている。それからさらに、協定では弗素についても調べるということになっているんですけれども、弗素についてはこれはもうほとんどと言っていいくらい調べていないんです。こういう姿になっているということを御承知でしたでしょうか、厚生省
  256. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 大変恐縮でございますけれども、この種の問題については基本的には都道府県知事の管理費任にあるということで、厚生省としてはそこまでの詳細については承知をしていないわけでございます。
  257. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この事件が起こりまして、九月の十二日に学者や弁護士などの調査団が現地へ参りました。そうしますと、埋め立てをするこの廃棄物のごく手前の道のところに、本来あってはならないイオン交換樹脂が検出をされた。イオン交換樹脂というのは、そういう有害物質を吸着をして抜き取る樹脂なんですね。ですから、こういうものは中間処理場で全部きちっと処理されるべきものである。それが最終処分場の埋立地の近くで発見されておるという、これもまた私は重大なことだと思うんです。本当に、その管理、監督は都道府県に任せているからということだけで厚生省としては知りませんと、国としては知りませんということで一体済むんだろうかというふうに思うんですね。  しかも、さっき言いました、一人の職員がその貯留池からぱっとあふれそうだというふうに判断ミスをして放流したと言うんですが、実際に雨量記録を調べてみますと、そんなあふれ出るほどの大雨は降ってないんですよ。ということは、そもそもこのため池自身の設計の仕方にもミスがあったんじゃないかというふうに私はちょっと疑問を感ずるという、そういう問題もありますしね。そういった点で、初めて聞くようなお顔をされておりますが、亜鉛の問題、イオン交換樹脂の問題、弗素については水質調査もしていないということも提起したわけでありますけれども、しかし、事こういう問題を国会の席上で提起をしましたから、ぜひ国としても、念のために本当に大丈夫かということをよく調査をしていただきたいということです。  それから、さっきから申しております処理場の日常的な監督は都道府県に任せているということですけれども、今回の場合は都道府県も一緒になってつくっているその公社が言うならミスを起こしたというか、事件を起こしたという、こういう問題ですからね。そうなると、自分で自分を監督するといったって、どうやって監督するのかということになるわけでありますから、しかも、こういう廃棄物処分場というのは今や全国に千五百からあるというんでしょう。こんなことが、いや都道府県に任せているからということだけで、全国にどんどんもし起こるということになったら大変なことになると思うんです。  ですから、これを他山の石として、全国の処分場は本当に大丈夫かということで、国としても指導の目を十分に向けると、そういった徹底した原因究明と再発防止策の確立をしっかりやっていくということで、ひとつ原因究明のための調査、それからこれを機会に再発防止のための方策をきちっと立てるという、この点について大臣の決意のほどを伺いたいと思います。
  258. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 御指摘の点でございますが、先生十分御承知をいただいておりますように、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の体系につきましては、先ほど私が申し上げましたように都道府県知事が基本的な責任を持っておるという構成になっておるわけでございます。しかし、先ほど部長から御説明申し上げましたように、本件のような事故は現在まで私どもとしては承知をしていなかった。この京都の問題につきましても最近になってその情報を得て、私どもも京都府といろいろと連絡をとって事実関係調査をしているところでございまして、今後とも各方面のその地元のいろんな問題がございますので、関係者の理解を得るための適切な措置について京都府と十分相談をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  259. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 産業廃棄物の最終処分場につきましては、法令に規定された各種基準を遵守することはもとより、生活環境の保全上支障なく維持管理されるよう今後とも都道府県を通じ、また今回のような場合にその実態の把握と、そして今後の予防策等について強力に指導をいたしてまいりたいと考えます。
  260. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 終わります。
  261. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会