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参考人(
大島恵一君) 私、
東京大学名誉教授の
大島でございます。
本日は、今後の
エネルギー需給の
見通しの特に原子力を
中心としてお話しするようにということですので、最初に、レジュメで配りましたように最近新しい
エネルギー需給構造という形が、
生田さんのお話もございましたが、出てまいっております。そういう
意味での大きな変化と、それと電力における原子力、そういう問題についてお話しいたします。資料を配ってございますので、説明の
関係上座らせていただきます。
まず、最近の非常に大きな変化は、
生田参考人のお話にもございましたように、過去二百年間と申しますか、
産業革命以後、
経済成長と
エネルギー消費というものは一対一の相関をもって進んでくる。過去において、いわゆる指数関数的と申しますか、急速に
経済成長とともに
エネルギー需要は伸びていたわけでございますが、二度の
石油危機を、
石油ショックを経ましてこの
関係が崩れてきているということでございまして、これは
先進工業国全般的な
傾向でありますけれ
ども、
日本において特にその
状況が顕著にあらわれております。
これは資料でお配りいたしました最初の図をごらんいただきますと、全体のGNPがずっと伸びておりまして、そこに二度の
石油危機のときが出ておりますが、それを契機にいたしまして、全体の総
エネルギーの
需要というものは一応平らになっておりますのに対して、GNPは
我が国の場合に伸びているわけでございます。特にその図の中間をごらんになりますと、
石油需要というものは
代替エネルギーとの
関係もありまして減少しております。ただ、電力
需要というものは大体緩やかにはなっておりますけれ
ども伸びてきておりましたが、この図でおわかりのように、第二次の
石油ショック以後は、電力の
需要もGNPに対する相関がなくなっております。
ただ、最近になりまして緩やかにこういった
需要が伸びてきているということがございます。この
原因を見てまいりますと、大変大きな問題は、これは次の図にございますように民生用、すなわち家庭用、事業所用の
エネルギーというのは
かなり上昇しているわけでございますが、一番大きな顕著な変化が
産業用の
エネルギーのところにあらわれております。運輸用も伸びております。上り方は緩くなっておりますけれ
ども、この事実は
産業構造及び
産業エネルギーの
状況が非常に変化してきているということをあらわしているわけでございます。
実は、その次のページにございますように、これは
生田さんのところでの分析な
どもございますが、この図でごらんになりますと、三つの、すなわち原単位の変化というのは同じプロセスをするのに
エネルギーをどれだけ節約できるかということでありますが、原単位の変化というもの、最初はそれが非常に大きかったわけですが、その次は
産業構造の変化という斜線に書いてございますのがあらわれております。そして、その
状態は下のところの図の製造業全体の
エネルギー消費原単位というところにございますように、この二つの
エネルギーショックを契機といたしまして急激に
エネルギーの
消費の合理化並びに
産業構造の変化が起こっておるわけでございます。
この
産業構造の変化というのはどういうことかと申しますと、今言われておりますような情報化あるいはソフト化と言われておりますが、それはただ単に情報化という言葉で当たるかどうかわかりませんが、今までの重化学工業といった
エネルギーに依存する、あるいは
エネルギー多
消費の
産業からエレクトロニクスあるいは組み立て
産業、あるいはさらにそれのソフト的な
産業ということで
産業構造が大幅に変わっているわけでございます。実は、このことは単に
エネルギー価格が上昇したから起こっているということよりは、むしろこの事実は大きな
技術革新、一九八〇年代から起こった
技術革新によって
産業構造の変化、さらには社会構造の変化が起こっているというふうにとらえるべきではないかと思うわけです。
このことはどういうことを
意味しているかと申しますと、将来
石油価格が、今低迷しておりますが、たとえ
エネルギー価格が下がったとしても、再びかつてのような
エネルギー多
消費の
産業構造あるいはGNP、すなわち国民総
生産が伸びるためには
エネルギーがどうしても必要だというような第一次
産業革命以後のそういった構造ではなくなってきているということであります。これは将来の
エネルギー需給を考える場合に極めて重要なことではないかと思うわけでございます。
この事実は次のページの資料をごらんになればおわかりになると思いますが、その
需要の変化の中に、今は
産業構造のことを申しましたが、そこに家庭部門の
エネルギー源別
消費量構成比推移というのがございます。この図をごらんになりますと、丸印で一定に伸びておりますのが電力でございます。
都市ガスあるいは灯油、油は低迷といいますか、割合に伸びていないわけですが。すなわち、家庭の
消費あるいは一般のサービス部門などの中において生活の豊かさとともに電力化、電力としての
エネルギーの
需要が伸びているということを示しているわけでございます。このことは、
産業の方における
一つの構造の変化と同時に一般の
消費構造も極めて変化してきている。
これは言い方をかえますと、ここに、私のメモには「
需要の量から質への変化」というふうに書いてございますけれ
ども、使いやすい
エネルギー、あるいはきれいな
エネルギー、さらに非常に安定した
エネルギーといったような、
エネルギーにおいても単にカロリーベースで安いということよりは質というものが非常に大事になってきているということであります。これが第二の
エネルギー需給の新しい時代への移行の特徴と言えるわけでございます。これは、そこの表の1—7というところに書いてございますように、電力化率というのは一定な割合でだんだん電力化が出ている。すなわち、上は家庭部門だけですが、下は全体としてもそういう
状況になっているということを示しております。
四番目に書いてございますのは「
エネルギー供給の多様化」ということであります。過去の
エネルギーの
供給を見てまいりますと、最初は薪炭、炭、木炭といったようなものから、次に
石炭が主要な
エネルギーの
供給源になりまして、そして戦後急速に
石油が
エネルギーの主要な
供給源になってきたわけでございます。実は、そういう
意味では前に申し上げた
産業構造の変化あるいは量から質へということも関連があるわけですが、最近の
一つの大きな
傾向は、
一つの
エネルギー、すなわち
石油は依然として
かなり大きな量を占めておりますけれ
ども、それが例えば原子力に全部かわるとかあるいは
石炭にかわるとか、そういうことではなくて、いろいろな形での
供給が出てきている。すなわち、
エネルギー供給の多様化ということが起こっているわけでございます。これは実は先ほどの
需要の方の変化との関連もあるわけでありますけれ
ども、例えば非常に安定した電力、例えばコンピューターを使うとかあるいは家庭用の場合の電力化で見られるような
意味では電力というものは非常に重要でありますが、一方場合によってはむしろ違った形、すなわち、一方で質が要求されておりますが、ある場合には非常に安くて、あるいは一定した
供給でなくても単にコストが安ければいいというようなものが出てくる。さらにはいわゆる最近起こっておりますコゼネレーションというような、熱と電力と両方を
供給するというようなこと。さらにまた
都市ガスを使って、今までは冷房は電力ということでしたが、ヒートポンプを使うというようなことでガスで冷房をすると。そういうような形でまいりますと、それぞれの
状況によってどういう
エネルギーが有利であるかということは必ずしもカロリーベースだけでは決まらない、そういうようなことがございます。
これはマクロに見ましてもそうでありますし、ミクロに見てもそうでありますが、その
意味で、「複合
エネルギー時代へ」と妙な言葉を使っておりますが、
エネルギー間の競合と申しますか、それぞれの場所における使われ方の違いというものが出てきている。
一つの
エネルギーで全部が賄えるという形ではなくなってきているわけであります。これは後で申しますように、特に電力
供給の場合には、今原子力が非常に大きな役割を果たしつつあるわけですが、一般的な
エネルギーにおいてはそういう競合の時代になっている。
それから五番目に書きましたのは、「
技術集約化と
技術革新」という言葉で書いてございますが、これは、
エネルギーの
需給構造の変化の一番大きな理由は、
石油ショックによる
エネルギー価格の高騰もありますけれ
ども、実はそれ以上にいろいろな
技術革新が起こってきたということであります。
例えば太陽電池というようなものについては、経済的にそういうものができるかどうかということは、最初の例えばサンシャイン計画を始めました十年前には全く未知数だったわけですが、現在では非常にそのことによって、新しい
技術の発展で、例えば離れたいわゆる電力の
供給網の
余りないようなところではむしろ太陽電池というものが経済的にも有利であり、また安定した
供給ができるというようなことになってまいりまして、すなわち、今までは
資源の存在によって規定されていた
エネルギーの
供給というものが
技術革新によっていろいろな形の
供給ができるようになってきた。原子力などはその最も顕著な例だと思いますが、
技術によっての新しい
供給体制ができてきている。あるいはこれはまた一方、先ほどのヒートポンプなどでも申しましたように、
需要の面においてもそういうことが起こっているということであります。
これが
エネルギー需給の変化でありますが、次に原子力に入らせていただきますと、まず「電力
需給と原子力発電」ということで「原子力発電の
定着から原主油従へ」ということが書いてございますが、それはこの図でごらんになりますと、
日本の電力
供給の中において原子力が
石油を、この表の中の一番下が原子力で、点が入っている二番目のところが
石油ですが、昨年からことしにかけて大体原子力が電源としての
供給の二六%で
石油の二四・七%を超したということでございます。このことは、原子力というものが過去においては単に
一つの発電源としての役割では
石油に付随する、いわゆるある
意味で言うと従であったものが主要な発電源になったということであります。
その理由について見てみますと、次に表3ということで、これ、いろいろなところからとってまいりましたので表の順序は必ずしも数と合っておりませんが、これは通産省で試算したので必ずしも、いろんな
前提がございますので絶対的な数字としてこれがどれだけ正しいかということは問題があるかもしれませんが、少なくともこの発電原価において原子力がほかの電源よりも安くなっている。この点は、その下の図にございますように、水力それから
石油火力、
LNG、
石炭火力、そのいずれに比べましても原子力が低位にあるわけであります。このことはどういうことかと申しますと、原子力のコスト、原子力発電のコストが
日本の電力コストに、先ほど申しましたように原主油従になってシェアが、割合が非常に大きくなっているということと同時に、コスト的にも非常に重要な役割を果たしているということを示しているわけです。
次のページにありますのは、今度は軽水炉の
技術的な何と申しますか、性能がこの過去十年間の間に極めて上昇しているということを示している図であります。これは丸で書いてある線は設備利用率でありまして、それで見ますと、一九七五年、すなわち
石油ショックの、
石油危機の後ぐらいのところでは設備利用率は四〇%、五〇%の間を大変上下していたわけで、ある
意味で非常に不安定な
状態で運転していた。すなわち、いろんなトラブルが起こってとめたりなどせざるを得なかったわけですが、その後軽水炉の
技術が極めて
定着してまいりまして、そこに示しましたように、現在では七〇%から七五、六%、これは定期検査のための設備の停止を考えますとほとんど一〇〇%に近い性能を、稼働率を示しているわけです。
その次のページにあります数字をごらんになりますと、特に
日本の軽水炉の性能が急速に上昇しているというのがわかります。これでごらんになりますと、フランス、
日本、スウェーデン、西ドイツと書いてございますが、この辺のところの稼働率が高くなっている。もちろん、国際的な設備利用率の比較というのはいろんな条件が違いますので、必ずしも数字そのものが比較できない面もございますけれ
ども、いずれにせよ、こういった
意味で
世界的にも軽水炉というものの
技術が確立しているということがあります。
その下の「海外とのスクラム回数の比較」と書いてございます、スクラムというのは何か故障が起こったときに原子炉が停止するために制御棒が下に入って炉をとめるわけですが、この回数が
日本では一年に〇・一、すなわち
一つの炉に関して言いますと十年に一回というような数になりますし、別な言い方をしますと十基の原子炉のうちの一基だけが年に一回そういうことでとまるということで、これもほかの国に比べまして
日本の性能が極めて高いことを示しております。
その次は原子力発電所の従事者数の伸びを示したものであります。このような
状態で考えますと、
長期的に見たときに
日本においては原子力が発電の主流になるのは当然のことだと私は考えるわけであります。
それで、
長期的な
見通しというものについて最近私が
委員長をやりまして取りまとめました通産省の原子力ビジョンの中からの数字をそこにお示ししてございます。その中で非常に重要な点は、
一つは、原子力発電の比率というところがございます、二番目のところ。絶対的な原子力発電設備がどこまでいくかということについては、これは電力
需要の伸び、その他先ほど
生田参考人からお話がございましたように、
かなり不明確なところがございますので、その点については今後いろいろ変わると思いますし、これは二〇三〇年という
かなり五十年も先の話になっておりますので、その絶対数は別といたしまして、
一つは原子力の比率という問題がございます。
我が国におきましては大体四〇%ぐらいのところまでこれを持っていこうというような考え方がございます。それは設備でありまして、いわゆる原子力発電電力量によりますとこれが六〇%までということになっております。そして、これは
あとそこに数字がありますのは、設備のどの
程度でつくられるか、あるいは
産業としての売上高が書いてあります。
それからもう
一つの重要な問題は、先ほどから出ております電力化率をどこまで見るかということであります。この
長期計画におきましても大体電力化率というのを二〇三〇年で五〇%ぐらいまで上がっていくというふうに見ているわけであります。これはちなみに
各国との比較をその上の方に出してございます。
もう
一つ、最近議論になりますのは、一体電源のうち原子力に何%まで、例えば四〇%原子力の発電が先ほど申しましたように設備として考えるのは多いのか少ないのかということでありますが、これは国際比較で最も高いのは左から三番目のフランスでありまして、フランスは六〇%近くまで将来二〇〇〇年に原子力化を目指しているわけであります。
我が国は今申しましたように大体先ほどの四〇%というようなところで見ておるわけでありますが、設備比率で四〇%、それから発電量で六〇%、そういう見方をしております。
次にどのくらいのところまでいくかということでは、図の2—2という次のページにありますのは、バックグラウンドの数字はそこに書いて、後でごらんいただければいいと思いますが、大体二〇〇〇年ぐらいまでは六千万キロワット、これも幾分幅がございますが、ここにケース1、ケース2という形で出ているわけであります。将来に関しては
かなりいろいろな見方がありますが、いずれにせよ、原子力が主流になるというふうな見方をすべきではないかと考えるわけであります。
それから、時間がございませんので簡単に申しますと、その次の数字は立地の地点ということで、これは、今後原子力発電を進めていく場合に立地問題というのは
かなり重要な問題であります。そして二〇〇〇年ぐらいまでは立地は今の条件が整備されておりますが、それ以降になりますとやはり立地問題というのについて
かなり真剣に取り組む必要があるのではないかというふうに考える次第でございます。
それから表の4—1は、現在の軽水炉というものが
かなり長期にわたって非常に性能的にも、また次世代型軽水炉というふうなことが書いてございますが、現在以上にこの性能を、稼働率の向上あるいは作業員の受ける放射線被曝の低減あるいは廃棄物の減少といったような
意味でまだまだ
技術開発によって現在以上のパフォーマンスが得られるということを示しているわけでございます。
最後に、時間がございませんので簡単に申し上げますと、そこにメモに出しました「原子力
産業展開の諸条件」ということで三つの点だけを申し上げたいと思います。
一つは、原子炉の問題につきましては今申し上げたように軽水炉が非常に
定着してきておりますけれ
ども、しかし将来のことを考えますと、実はここに「核
燃料サイクルの諸条件」と書いてありますが、すなわち原子炉は、現在の軽水炉と申しますのはウランの
エネルギーの約一%
程度を使っているものであります。これに対しまして将来、現在フランス、
日本でも
開発しております高速増殖炉というものになりますと、ウランをプルトニウムに変えてそれによってさらに
エネルギーを出すということになりますと、ウランの
燃料が現在の一%から数十%、すなわち現在のウランの
燃料、天然ウランの利用率に対しまして高速増殖炉になりますとそれが七、八十倍になる。逆の言い方をいたしますと、今の天然ウランの
資源が例えば今後百年軽水炉でもつとすれば、それが七十倍になれば七千年と申しますか、ほとんど今の天然ウランというものの
資源を無限に使えるということに実際上はなるわけでありますが、そういった炉が現在
開発を進められているわけであります。
それで、実は今の軽水炉の性能が大変いいものですから、最初に予想していた二〇〇〇年から高速増殖炉に移るのではないかという
見通しを今までは多くの人がしていたわけでありますけれ
ども、その時期がだんだん長引いておりまして、高速増殖炉の
技術的には非常に大きな飛躍がありまして
開発はされておりますけれ
ども、一方経済的に見ますと、まだ軽水炉に競争できるのは二〇三〇年、二〇四〇年、そのころではないかと見られているわけであります。
しかしながら、究極的には原子炉というものはいわゆる増殖炉、高速増殖炉という形で、しかもそのためには
燃料を再処理いたしまして、
燃料の中からプルトニウムを取り出してまた使うという形がとられなければならないわけであります。そのために
我が国の
一つの重要な問題としては、核
燃料サイクルの条件、そういった高速炉に使うプルトニウムの
技術及び
産業としての確立、さらには今の
日本の現状から見て濃縮とかそういった、炉だけではなくて
燃料サイクルそのものの確立をする必要があると、これが現在の大きな課題であり、その方向に進んでいるわけであります。
それから第二の問題は、「安全規制」と書いてございますが、安全性の問題であります。それで、これはチェルノブイリの最近の事故から原子力の安全性については
世界的に大きな議論がなされておりますが、先ほどの数字でお示しいたしましたように、
日本の原子炉は、
世界で最もと言っていいと思いますが、極めて放射能の蓄積においてもまた安全性の記録においても高い
水準にあり、私
どもはその点では
技術が完全に確立したと考えているわけでございます。ところがこの間のチェルノブイリの事故は、実は
日本だけが非常にいい炉で安全性を保っても、それはやはり国際的な形での安全というものが非常に重要であると。そのためには
国際協力、さらにはこういった安全規制というものが国際的な
水準、標準のもとに施行されなければならないというような問題が出ております。すなわち、
我が国だけではなくて国際的な
協力のもとに
世界全体としての原子炉の安全性を保持していく必要がある。これは細かいことになり
ますが、運転員の訓練、あるいは炉の形、さらには規制の条件と、そういったものがあるわけです。
一方もう
一つの問題は、「核不拡散と
国際協力」と書いてございますが、これは、原子力の一番大きな問題は平和利用と軍事利用との
関係であります。それで、
我が国は平和利用ということに徹するという形で実際にその努力をしてきているわけでありますけれ
ども、これが
国際協力になりますと、原子炉の平和利用の
技術が軍事用に使われるというような問題、そのために国際的に核不拡散、すなわち平和利用から軍事利用に移らないための
協力が必要である。この点も今の安全の問題と同様に
我が国としては非常に重要な関心を持つことであります。
最後に、ちょっと順序が逆になっておりますが、
世界の中で現在最も原子力に対して力を入れ、また力を入れざるを得ない国というのは
日本とフランスではないかと言われているわけです。その理由は、今申しましたように原子力のコストもまたパフォーマンスもいいわけですが、
日本のように
資源のない国、国産
資源のない、
エネルギー資源のない国においては特に
発電用電源としての原子力というものを安全性あるいは核不拡散の問題を含めて確立しなければならないという非常に強い要求があるわけです。それに反しまして
国内資源の豊かな国、あるいは
エネルギーコストの安い国においてはそういった
資源を使うという、依然として昔ながらの
エネルギー供給による電力というものが主流になっているというのが
世界の現状ではないかと思います。その
意味で将来の原子力
政策の一番大事な点は、今まではどちらかというと外国の
技術あるいは外国の
政策というものと、大体
日本も
国際協力を含めてそれにいわゆる倣ってきたわけでありますけれ
ども、
日本の
エネルギー問題を考えますと、今後は
日本自身がその推進力となって
技術的にも今申しました安全性の
確保、あるいは核不拡散を含めて、あるいは原子力のコストの
低下とか、あるいは高速増殖炉といった問題もありますが、そういう問題に対して自主的なしかも積極的な
政策をとるべきではないか、そういうふうに考える次第であります。
以上であります。