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1986-11-26 第107回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)    午後二時四分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任      服部 信吾君     片上 公人君      佐藤 昭夫君     上田耕一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 大島 友治君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 田代富士男君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 沓掛 哲男君                 杉山 令肇君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 久保田真苗君                 及川 順郎君                 刈田 貞子君                 上田耕一郎君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        外 務 大 臣  倉成  正君    政府委員        外務大臣官房長  北村  汎君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務省アジア局        長        藤田 公郎君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        外務省中近東ア        フリカ局長    三宅 和助君        外務省経済協力        局長       英  正道君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       中平  立君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        内閣審議官    大島 弘輔君        警察庁刑事局捜        査第二課長    古川 定昭君        外務大臣官房領        事移住部長    妹尾 正毅君        文部省学術国際        局国際教育文化        課長       田原 昭之君        会計検査院事務        総局第一局長   三原 英孝君    参考人        国際協力事業団        総裁       有田 圭輔君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、服部信吾君が委員を辞任され、その補欠として片上公人君が選任されました。     ─────────────
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事田代富士男君を指名いたします。     ─────────────
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省決算について審査を行います。     ─────────────
  6. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  8. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、昨年の秋に国会から派遣されまして、フランス、西ドイツ、東ドイツ、それからハンガリー、オーストリア、イギリスを回ってまいりました。二つ目的を持って回ってまいりましたんですが、一つは海外に進出している日本企業状況を把握してくるということ、これが一つでございます。二つ目は、できるだけ今申し上げました国に出ております日本大使館のいろんな設備、建物、それから大使館で頑張っております大使やあるいは公使書記官皆さん、いろんな労働条件とかあるいは住宅、福祉の問題、そういう問題を調査をする。この二つの課題を得まして五人で回ってまいりました。  そのときに特に私どもが、大使館員の三等書記官、二等書記官、その辺の人の要望といたしましては、なかなか赴任しても住宅あたり大概自分で見つけなければならないことが多い、それからまた家具ですね、家具なんかはまた新調しなければなかなかその国、その国で合わない、そういうような面について訴えておられました。その辺について一体そう問題はないのかどうか。それから、子供の教育の問題も非常に不自由をしておるところも幾つかありましたし、遠く離れて日本人学校に行っている話も聞きました。この辺は一体どうなっているのか。それから、どうしても緊急 な用で日本に帰らなきゃならない場合の旅費やなんかについては、一親等ですか、その忌引だけは出るが、あとはなかなかそうはいかない。こういう点も聞いてまいったわけでございますが、私どもが行ったところはまあ割合恵まれた地域でありまして、中東とかあるいはアフリカの非常に条件の厳しいところに勤務しております在外公館皆さんの問題はないのか。この点について最初お尋ねをいたします。
  10. 北村汎

    政府委員北村汎君) ただいま委員から私ども在外公館職員同僚に対して大変御理解あるいろいろ問題を指摘していただきました。いずれも、今委員が御指摘になりました最初住居の問題あるいは子女教育の問題あるいはいろいろ不健康地問題等、私ども同僚がやはり在外公館勤務において悩んでおる問題でございます。住居の問題は、できるだけ私どもとしましては国が館員住居を入手したり、入手というのは買い上げたりあるいは借り上げたり、あるいは家具を国で買い上げてそれを館員に貸与するというようなことでやってまいりたいと思っておりますけれども、まだなかなか全部の公館にそういうようなことが行き渡ってはおりません。子女教育の問題につきましては、ここ最近の間に相当改善をいたしまして、現在では最高五万四千円まで国が面倒を見るということになってきております。  そういうようなことで、私どもいろいろ在外公館の問題に対処しておるわけでございますが、財政当局の方もいろいろ御理解をいただき、また諸先生方、これは超党派的に御支援をいただきましてありがたいことだと思っております。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 在外公館皆さんの数、一応私は掌握したかったためにきのうお約束をしたんですが、この委員会始まるまでに内訳を出してくれるということになっておったんですが、これはいかがでしょうか。
  12. 北村汎

    政府委員北村汎君) 私、今手元にございます数字を申し上げますと、在外公館の数、百七十でございます。それから大使百十一名、公使、これは特命全権公使四名でございますが、総領事五十九名、そういうことで、私ども在外公館を運営しておるわけでございます。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 それは約束を、きのういただけるようにしておったんですが、いただいてちょっと検討しようと思ったんですがね。これから約束を守ってください。  私ども調査した際も聞きましたし、あっちこっちで聞くんですが、やっぱり肝心なところでは大使館員の数が絶対量が不足しているんではないか、こういうことも聞いてまいったんですが、この点はいかがでしょうか。
  14. 北村汎

    政府委員北村汎君) ただいま御指摘のように、私どもとしてもできるだけの人数をそれぞれの大公使館あるいは総領事館に張りつけたいと思うのでございますけれども、何分外務省の定員というのは、最近非常にこれ皆さんの御理解を得て増員していただいておりますもののまだ三千九百六十八名でございまして、私どもの悲願とする五千名にはまだまだというところでございますので、在外公館におきましても十分という人数を割り当てるというわけにはまいらないところがございます。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは私の方でちょっとまずかったんですが、質問の通告今さっきしたんですが、円高によって、これは五十九年度決算を今やっているわけでございますが、去年の九月からですか、円高によってどのぐらい実質そういう節約が、人件費じゃないんですよ、人件費部分は別ですが、節約ができる見込みなのか、去年からことしにかけて。この点については、大体勘どころでいいんですが。
  16. 北村汎

    政府委員北村汎君) ただいま承りました質問で少し慎重にまだいろいろ計算をまたしておるわけでございますが、簡単に申しますと、六十一年度の当初の予算を組みますときには私どもは一ドル二百九円の支出官レートで組んだわけでございます。それが今回の補正予算では一ドル百五十九円ということでなっておりますので、例えば国際機関に出す分担金であるとか拠出金であるとか、そういうものはそのときの百五十九円のレートでやりますと、大体のところ百五十億円ぐらいの節約になっておるのではないかというふうに考えます。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 その節約部分というのは剰余金かなんかで最後は出てくるんですか。それとも使ってしまうんですか。
  18. 北村汎

    政府委員北村汎君) ただいま申し上げました金額の中で一部は日銀のいわゆる為替レートの変動に伴う積立金がございますが、そこに入るものと、それから外務省の方に返ってくるものはこれは大蔵省の方にお返しするということでございます。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 我々が回ってみましてやっぱりちょっと訴えられたのは、建物が雨漏りをする場所があったり、あるいは外から変なのが飛び込んでくる、それをどうシャットアウトするかという問題と、これはいろんな地域でそれぞれ条件が違うと思うんですが、この際大蔵省に返す以外の分はそういうところにこの際やっぱりきちっと投資をしてこれからに備える、こういう考え方に立ってはいかがかと、こう思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  20. 北村汎

    政府委員北村汎君) そういう分担金とか拠出金円高差益というものは、これはやはりそれを勝手に住宅を修繕したりするのに使えないことになっておりますので、これはそういうことでございますが、私どもできるだけこの円高の際に財政当局の御理解を得まして、いろいろ今まで不備な点を補ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは次に移ります。  JICAの汚職につきましては次々と報道されておりますが、その後の経過と、それから対応ですね、どのようにこれからそういう問題をなくしていくか、この点について御報告をお願いいたします。
  22. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今回のJICA不祥事件に関しましては事件発生後、私からJICAに対しまして綱紀粛正を指示し、また再発防止策を含む改善策の検討を命じたところでございまして、この件については先般も御報告申し上げたとおりでございます。これに対し、先般JICAより人員の適正配置内部監査体制強化コンサルタント選定手続改善契約管理強化処分厳正化を含む改革方針について報告を受けた次第でございます。  JICAにおきましては右方針に基づいて、できるところから改革を実施、実行に移しておりますが、私といたしましても右報告を踏まえまして、また外の方から見ますと、私ども一生懸命やっているつもりでありましても、こうやったらいいのではないかというようないろいろなお考えもあろうかと思いますから、各界の有識者の方々の意見も参考にしながら再発防止を含むJICA改革を実施していく所存でございます。  私も先般、JICAの本部を私みずから視察をいたしましたが、関係の諸君も大変熱心に仕事をしておりましたし、東南アジアの方々と思いましたが、若干のそういう研修員方々ともお目にかかって直接言葉を交わした次第でございますので、職員の士気の高揚ということをひとつ絶えず心がけてまいりたいと思うわけでございます。要するに、私はやはり、JICA本来の、日本のこれから一番大切な国際協力の面において使命感というかそういうものが各職員の中に徹底をするということが何よりも大切なことではなかろうかと思う次第でございます。  なお、細部にわたりましては関係者から御答弁させます。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう時間がありませんから、事件は具体的にどうなっておるのか、その辺だけ。
  24. 英正道

    政府委員英正道君) 開発調査事業に関連しまして、本年の八月から九月にJICA職員一名が収賄民間企業関係者二名が贈賄容疑逮捕起訴されております。さらに十月に、開発協力事業に関連しましてJICA職員一名が収賄 容疑で、また民間企業関係者一名が贈賄容疑逮捕起訴されております。この事件に関しましては、第一回の公判が十月二十七日開催されております。それから、公判における起訴事実を認めたということに伴いまして、十月二十八日に関係者処分が行われております。簡単でございますが。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 また、後ほどで結構ですが、状況を聞かせてください。  次に、大韓航空機問題、これはもう随分昔の話のようなことになるかと思いますが、日本人乗客が二十八名あのときに犠牲になっておりますが、この大韓航空機撃墜事件真相を究明し、遺族への補償についても国会決議政府は積極的にこれは取り組むと、こういうことになっておるわけでございます。私もたびたび質問をいたしてきたんですが、外務省はその後どのようなこの国会決議に対して取り組みをしてきたのか、この点が第一点でございます。  第二点目は、したがってその真相は一体何であったのか。それから、遺族補償はどこまで片づいておるのか。あるいは韓国とかあるいは他国の遺族皆さん補償額等どうなっておるのか、これが第二点。  第三点目は、対馬海流日本列島に沿ってずっと北上し、そしてサハリンの西側をまた北上していって、そうしてまたおりてくるんですが、あの撃墜された場所からさらにずっと上に、遺族遺体やあるいは遺品というのは上っていった。そこで、ソ連の大がかりな捜索隊あるいは収集団というのがほとんどそこで遺体やあるいは遺品というのは収集した可能性が非常に私は強いと思う、一部が北海道に流れてきたのがありましたが。私はサハリンかどこかに遺体遺品というのは確実に保存を、保存かあるいはあるだろうと、こう見ておるんですが、この点についてはどうお考えになっておられるか。  この三点について、時間がありませんのでまとめてお尋ねをいたします。
  26. 中平立

    政府委員中平立君) 真相究明について簡単に御説明申し上げます。  真相究明につきましては、一つソ連に対して協力を要請するということ、それからもう一つは、国際機関であるICAOを通じて調査をするということでありますが、そのICAOを通じて調査するということにつきましては、委員承知のとおり、ICAO理事会において真相を究明すべしということとか、それからICAO調査団が来たときは日本は全面的に協力するとかということをして一応報告書が作成されたわけであります。しかしながら、委員承知のとおり、なぜ大韓航空機がその航路を逸脱したのか、そういう原因につきましては必ずしも断定しておらないということもございます。それにつきましては、ソ連協力を十分に得られなかったというようなこともございましてそういう結果になっておるわけでございますが、その後ICAO理事会におきましても、我が国といたしましては、例えば昨年の三月のICAO理事会におきましても、我が国として改めて真相究明努力すべしということとか、ソ連情報提供を求めるということを強く主張したわけであります。しかしながら、ICAOを基礎とした調査はその後進展しておりません。  他方、ソ連に対しましては、事件発生後機会あるごとにソ連に対して申し入れをしておりまして、五十九年の二月及び九月の日ソ外相会談のときに安倍外務大臣からグロムイコ外相に対して、それから本年一月の日ソ外相定期協議の際にも安倍外務大臣からシェワルナゼ外相に対しましてこの問題を提起したわけでございますが、遺憾ながらソ連からは誠意ある対応を得ていないというところでございます。
  27. 妹尾正毅

    説明員妹尾正毅君) 犠牲者補償問題につきまして、ソ連を除く部分につきまして御説明申し上げます。  補償問題、御承知のとおり遺族の方と大韓航空との話し合い、うまくまいりませんで、政府といたしましても大韓航空にも随分働きかけ、また韓国政府に対しても側面協力を要請いたしまして、何回も何回もいたしましたこと委員承知のとおりでございますが、結局話し合いがつかなかった結果、五十九年の十二月とそれから昨年の八月の二回にわたりまして、遺族会の一部の方が大韓航空を相手どって東京地裁起訴され、それからほかの遺族の方が昨年の一月、大韓航空アメリカ政府等を相手どってアメリカ連邦地裁損害賠償請求を提起したわけでございまして、その後いずれにおきましても審理が続いておりまして、結論はまだ出ておりません。したがって、日本人遺族の方につきましては一件も解決していない、いずれも裁判の結果待ちということでございます。日本につきましては比較的近いうちに結審になるのではないかということが言われておりまして、アメリカの方はもう少し時間がかかるのではないかというふうに言われているわけでございます。私ども政府といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、裁判に至るまでの過程でできるだけ当事者の解決に側面から協力いたしまして、それから起訴という段階に至りましては、遺族の方に対しまして非常に微妙な資料を含めましていろんな資料提出、送付するというような側面的な援助をやってきたわけでございまして、できるだけ早くこの問題が解決されることを希望しているわけでございます。  それから第三国についてでございますが、私、申しわけございません、一番新しい資料は持っておりませんけれども日本以外の国につきましては、例えば韓国アメリカ、台湾、フィリピン、香港、カナダ、タイ、ベトナム等の方につきまして、一部は話し合いがついて、その結果補償が行われているというふうに承知しておりますが、私の持っております資料では、まだ多くの方について問題が最終的に解決していないということでございます。もし必要ございましたらさらに新しい資料を集めたいと思います。  以上でございます。
  28. 梶原敬義

    梶原敬義君 対馬海流に乗って撃墜された場所よりもちょっと北に上ったところで、ソ連捜索船がたくさん集まっておったですね。それで、対馬海流というのはずっと上っていきますからほとんどそこで収容しているだろうと私は確信をしているんですが、それがサハリンかどっかで遺留品保存されているんでないか。この点については、私はやっぱり科学的に考えても間違いないと思うんだけれども政府は一体どう考えておるのか。
  29. 西山健彦

    政府委員西山健彦君) この問題につきましてのソ連側対応ぶりは、先ほど来国連局長の方からもお話し申し上げたとおりでございますが、本件についての責任について一切これを拒む態度をずっと続けておりますので、我々の方といたしましては従来から詳細の資料提供方をあらゆる機会にソ連側に求めてきているわけでございますけれども、ただいま先生から御指摘がありましたような問題点を含めて、現在までソ連側からは何の資料も得ることができないというのが現状でございます。したがいまして、ただいま御指摘の点につきましても、私どもといたしましてはそれを確認するというようなことができない状況でございます。
  30. 梶原敬義

    梶原敬義君 外務大臣、前の安倍大臣とは何回もこの問題やり合ったんですが、大臣経過を調べていただきまして、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それから、答弁要りませんが、ソ連からは真相究明については協力は得られないということでございます。本当に真相を究明しているのはソ連であるしアメリカであると思うんですね。アメリカは全部知っておりますよ、この問題については。だから、やっぱりソ連アメリカ両方に対してこの問題は真相を究明するために努力をしてもらわなければ、私はこれは片手落ちになるだろう、こう見ております。  それから、補償の問題につきましては、やっぱり政府国会決議もありますから、もっと積極的に努力をすべきだと思うんです。できないならで きないということを言ってください。それから、各国がどういう額でどのように補償の問題についてはこの交渉等が妥結をしているのか、その内容についても後日その資料をいただきたいと思います。サハリンにお墓があるかどうかは別として、少なくとも遺留品相当程度ソ連がやっぱりとっているのは間違いないと思うんです。だから、このことについては、ソ連協力しないからだけでいくんじゃなくて、もっと強気に、やっぱりもう少しまっしぐらにこの問題についてはあなた方は体を張って努力をすべきではないか。どうも今聞いておりますと、へらへらした交渉ではこれはそう簡単にはいかないと思いますから、もっとしっかりソ連アメリカに対してもやっていただきたいと思います。  次に移ります。  去る十一月の十七日に韓国国防省が朝鮮民主主義人民共和国の金日成主席銃撃で死亡したと発表をし、この衝撃的なニュースについては結局デマだということがわかりました。金日成主席がモンゴルの国家元首バトムンフ人民革命党書記長平壌空港に出迎えたことで生存が確認されたわけでございます。  そこで、問題は、どうしてこのようなデマ情報が流されたかということでございます。外務省は現時点でこの点についてどのような事実関係を掌握をしているのか、この点について最初お尋ねします。
  31. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま先生のお話のように、金日成主席死亡情報に関する件につきましては、十五日より金日成主席が死亡したのではないかといううわさが流れておりまして、十七日の午前に至りまして韓国国防省のスポークスマンが北朝鮮は十六日、前方地域において拡声機放送を通じ、金日成銃撃により死亡したと放送したとの趣旨を発表したものと承知をいたしております。  この間、外務省といたしましても、鋭意各方面の情報を入手し、分析し、また韓国国防省が右のとおりの発表を行ったことの根拠については、事柄の性質上、詳細について申し上げることは差し控えたいと思いますが、韓国側にもそれなりの判断があったとのことと考えております。  いずれにいたしましても、今回の事態の真相についてはいまだ軽々に結論を出し得るような状況でなく、今後とも関係各諸国とも協力しながら情報収集及び分析を全力を挙げてただいま取り組んでおるところでございまして、真相がどうであったかということを断定するまでの材料を残念ながら現時点においては御報告するまでに至っていないというのが現在の状況でございます。
  32. 梶原敬義

    梶原敬義君 大韓航空機事件のときに韓国情報がすぐ流れまして、恐らくどっかに、あれは撃墜じゃなくてやっぱり強制着陸させられたんじゃないかというような情報がばんと出ましたね。それから、ラングーン事件の問題についても、これも真相がわかりませんね。これもわかりません。それで、今度の問題についても、なかなかなぞな部分が多いわけですよ。それで、今大臣からお話がありましたが、しかし私がさっき言ったように、一体どうして、韓国大使館もちゃんとありますし、しかも韓国国会で話が出ておりますし、きょうの新聞では、何ですか、全斗煥大統領のお話ししたことがずっと載っておりますし、いまだ外務省情報についてはそこいらしか掌握していないというのは、一体日本外務省は何をしているのか、こういう感じを強く持つんですが、もう少し真相の究明に、もうちょっとこの辺まではというところまではここで少ししゃべっていただきたいんですが、よろしく。
  33. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまの梶原委員のお気持ちについては私も全く同様な感じを持っておるわけでございますけれども外務省といたしましては、あらゆる手段を尽くしてあらゆる方面からいろいろな情報を入手しておることは事実でございます。したがいまして、いろいろなうわさが流れた際につきましても、この情報については外務省としては確認するに至っていないと。終始、金日成死亡説については最後までこの外務省としての正式の見解を差し控えた次第でございます。そういう状況の中で、現時点におきましても、北朝鮮を今訪問しておられる方々もございますし、またいろいろな方面、先ほどお話しのようなモンゴルの代表が北朝鮮においでになったとかいういろいろな方面、あるいは中立国の情報とか、我が方としてはできる限りのことをいたしておるわけでございますけれども、皆様方にこうだという御報告を申し上げる段階には至っていない。また、個々について情報の入手先あるいは情報の内容等については、この点はこの席で申し上げることは御容赦願いたいと思う次第でございます。
  34. 梶原敬義

    梶原敬義君 いずれにいたしましても、韓国政府情報操作を結果的にはしたと言わざるを得ない。この点についてはいかがでしょうか。  そして、一歩間違えばこれはまた第三次大戦に入りかねないような、そういう危険性を持っているような内容でございます。韓国日本が外交関係を結んでおる、そういう関係上から見ましても、これは韓国に対して、このような情報操作に対して、やっぱり韓国政府がやったことなんですから、やはり日本としてはどのようにこの問題については迫っていくのか、これはおかしいことですから、この二点について最後にお尋ねします。
  35. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 韓国国防省がいろいろな情報発表した瞬間でも日本政府としては慎重な態度にとどまった、すなわち、いろいろ報道されてましたけれども、我々としてはこれは確認するに至っていないという態度で終始したわけでございます。  韓国国防省が右のような発表をしたことの根拠については、事柄の性質上詳細に申し上げることは差し控えたいと思いますが、韓国側にもそれなりの判断があったものと思う次第でございまして、これがどういう性格のもので、どういうことかということはもうしばらく時間がたてば最終的な真相が明らかになると思いますけれども、現在これがどういうものであったかということは、まだ皆様に断定的に申し上げる段階ではないということだけを申し上げる次第でございます。
  36. 梶原敬義

    梶原敬義君 外務大臣、私はやっぱりちょっと外務大臣の答弁としては物足りないんですね。当然ああいう情報を国が流したんですから国会で。だから、韓国に対してはやっぱりちゃんと真相を知らしてくれともっと強力に迫る必要がある。前の安倍大臣だったらそういう答弁しませんよ、この問題については、けしからぬと、こう一言言いますよ。外務大臣、それはちょっと力不足ですね。  次に移りますが、総理も非常に期待をしておりましたゴルバチョフ・ソ連書記長の訪日問題でございますが、もう一月は来れない、二月以降に来れるかもわからない、こういうような情報がずっと新聞報道で流れておるんですが、梁井外務審議官ソ連に飛んでソ連の外相と会談をしておるんですが、この点の経緯はいかがなんですか。一体日本は、中曽根総理は、本当にゴルバチョフ・ソ連書記長が日本に来るのを待っておるんですか。それとも、アメリカソ連話し合いがなかなかうまくいってないから、これは今来られても都合が悪いというのか。最後にこの問題の見通しについてもお聞きをして終わりたいと思います。
  37. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私は、本年の八月にソロビヨフ大使外務省に招致いたしましてゴルバチョフ書記長の来日を要請したわけでございまして、なお、ニューヨークにおける国連総会の席でシェワルナゼ外相と会談をいたしまして、その際我が国の基本的な立場を明らかにしつつゴルバチョフ書記長の来日を要請し、これが実現すれば日ソ両国にとって歴史的なものになるでしょう、また有益なものにしたいというお話をいたしました。それに対しましてシェワルナゼ外相から、米ソの問題もこれあり、今日程を示すわけにはまいりませんが、ぜひお伺いしたいということでございました。なお、先般の梁井外務審議官がモスコーに参りましてシェワルナゼ外相と会談した際にも、ゴルバチョフ書記長は依然として日本に来たい、しかし、今日程の都合がまだ申し上げる段階 ではないということでございます。もちろん、私どもが八月の段階において一月末までと言ったのは、国会の都合その他考えまして日本にとって一番都合のいい時期を向こうにお示しして、そして時期を決めることによって準備の万全を期したいという気持ちでございますから、一月末には必ずしもこだわらない。しかし、さればといって、やはり準備にはかなりの期間が要るわけでございます。初めての来日ということであれば、それぞれ事務当局で相互の意見を出し合って準備をする必要があるということですから、一週間、十日で来るからというわけにはいかないということでございますから、おのずから一つの常識があろうかと思うわけでございますが、まだ依然としてボールはソ連側にあるわけでございまして、いろいろな情報が飛び交っておりますけれども、少なくとも私は日本外務大臣、外交ルートを通じて、シェワルナゼ外相を通じて、駐日大使を通じて正式にお話が来るまではボールは向こうにあるわけでございますから、静かにお待ちをしているというのが我が方の態度でございます。
  38. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、最近わかって大変世上を、国際的な世論も騒がせておりますアメリカのイランに対する秘密裏の武器供与、このことについてお伺いしたいと思うんです。  つまり、レーガン大統領が秘密交渉を昨年の八月ごろからやっていて、そしてイランに武器を供与していたということが明らかになったわけです。そしてその供与に伴って米国の人質が三回にわたって釈放されたという、こういう事実があるわけでございますね。アメリカから見ますと、イランはいわゆるテロ国家として武器禁輸のリストに載っていた国なんでございますけれども、こういう一連のことについて外務大臣としてはどういう所見を持っていらっしゃるのか、この際伺っておきたいと思います。
  39. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今回の米国・イラン間の秘密接触につきましては、レーガン大統領は、第一にイラン関係改善、それからイラン・イラク紛争の終結、三番目に国家支援テロの撲滅、それから第四番目にすべての人質の解放を目的としたものと説明しておるわけでございますが、本件は、米国のイランへの武器供与の点を含めまして、米・イラン間の極めて微妙な問題でございますので、我が国としてはこのコメントを差し控えたいと思うわけでございますが、いずれにしましても、我が国といたしましては、今後の米・イラン関係の動向を注意深く見守ってまいりたいと存じておる次第でございます。
  40. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところが、これに日本政府ないし自民党がこのことに関与していたということが今月になって明らかになったわけです。そこで私一つ一つ伺っていきたいんですけれども、まず、アメリカからイランとの橋渡しをするように頼まれたという、こういう事実はあるのでございますか。
  41. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) そういう事実はございませんが、ただアメリカが人質問題に非常に関心を持っているという全般的なアメリカの態度については承知しておりますが、具体的な要請は受けておりません。
  42. 久保田真苗

    久保田真苗君 それは外務省に対してということ以外に、例えば中曽根総理をも含んでそういうことを依頼を受けた事実はないと、こう言われるわけですか。
  43. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) さようでございます。
  44. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、昨年の八月に外務省のOBである中山・元駐仏大使がイランに特使として行ったということは事実ですか。
  45. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 中山・元フランス大使が中東調査会の理事長としてイランを訪問したのが八月でございまして、そのときに総理からの親書を持ったということは事実でございますが、特使という肩書ではございません。
  46. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、この中曽根首相の親書を渡された相手はどなたですか。
  47. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) ラフサンジャニ国会議長でございます。
  48. 久保田真苗

    久保田真苗君 ラフサンジャニ国会議長から返書があったというのは事実ですか。
  49. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 事実でございます。
  50. 久保田真苗

    久保田真苗君 ことしの一月ごろ当時の藤尾政調会長がイランに行かれたということは事実ですか。
  51. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 藤尾政調会長は日本・イラン議員連盟の会長として一月訪問したことも事実でございます。
  52. 久保田真苗

    久保田真苗君 そのときに首相の親書をラフサンジャニ議長に手渡したという事実がありますか。
  53. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 親書と申しますか手紙は手渡したことは事実でございます。
  54. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、このことについては中山・元駐仏大使及び藤尾、このお二人とも特使ではないと、こういうことですか。
  55. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 正式の肩書としては特使ではございません。
  56. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、この方たちと外務省関係はどういうことになりますんでしょうか。
  57. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 両方とも形式的には一応個人の資格でございますが、ただ外務省がこれに対して、例えば藤尾特使の場合は日本・イラン議員連盟の会長として御訪問しまして、これに対して私たちがお世話申し上げ、かつ総理の紹介状もいただいたということでございます。
  58. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、この方たちが行かれてなさったことにつきまして、その交渉経過とか内容について聞いて知っていらっしゃると思うので、その内容を御説明いただきたいんですが。
  59. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) この内容につきましては、日本、イランの二カ国間関係、国際情勢全般、その他いろいろな問題を意見交換したわけでございますが、内容につきましては機微な問題がございまして、具体的には説明を差し控えさせていただきたいと思います。
  60. 久保田真苗

    久保田真苗君 これについて外務省当局は、この以上のお二人の特使の行動についてどれだけ関与していたんでしょうか、また関与していなかったんでしょうか。
  61. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 事前に十分相談もいたしましたし、また結果につきましても十分承知しております。それから、藤尾政調会長の場合は、私も会談に出席させていただきました。
  62. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、総理の親書を書いたのはどなたですか。
  63. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 総理大臣でございます。
  64. 久保田真苗

    久保田真苗君 それは全く外務大臣にあるいは外務当局に関係なく書かれたんでございますか。
  65. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 当然、外交問題でございますから、外務大臣を含めまして事務当局も十分協議にあずかっております。
  66. 久保田真苗

    久保田真苗君 その経過で、途中でですね、別のルートでアメリカが直接イランに接触している、そしてその条件について、武器の供与というようなことについて話し合いが行われているというようなことは全く察知していなかったのか、それとも知っていたのか、それはいかがですか。
  67. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 承知しておりませんでした。
  68. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういう動きがあるということは察知しておられなかったわけですか、つまり。
  69. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 承知しておりませんでした。
  70. 久保田真苗

    久保田真苗君 それから、総理のお出しになった親書あるいはこのお二人の方がいらして向うでやっていらしたこと、このことについては当然総理の親書をお持ちだからこれは総理に報告しているというふうに見てよろしいんですか。それとも外務大臣報告していると見てよろしいんですか。どっちなんでしょうか。
  71. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 外交問題でございますから、第一義的には外務大臣に中身を報告してございますが、同時に親書をお持ちいただいたものですから、結果につきましてはまた総理大臣の方 にも報告されております。
  72. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、アメリカから頼まれた事実はないわけですね。そういたしまして、このことについては外務省が十分相談に乗った上で、こういう橋渡し、イランに対する話をやりに行った、こういうふうに見てよろしいわけですか。つまり、日本側の自主的な発意でもってこういう交渉に臨んでいる、こういうふうに見てよろしいわけですか。
  73. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 多少誤解があるいはあったと思いますので、この際ちょっと御説明いたしますが、もちろんアメリカが人質の解放問題につきまして非常な関心を持っているということは我々日本側は承知しております。したがいまして、そういうことを踏まえた上で日本のイニシアチブのもとでイランに対して人質の解放問題について話し合ったということでございますが、それと現在アメリカで問題になっておりますいわゆるイランと米国との武器の取引の問題、これは全然別個でございまして、私たちが話し合っておりましたのは、米国を含む西側の人質解放につきまして人道的見地から日本側のイニシアチブでこれについて話し合ったということで、二つの問題は全く別であるということをまず。そういう意味におきまして、日本側のイニシアチブにおいて人質の解放問題について話し合ったということでございます。
  74. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、人質の解放問題についてはどういう成果が得られたのですか。
  75. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) いろいろといきさつがございますが、十分な結論が出ない、あるいは一人二人解放になって、あるいはそれが日本努力の成果であるかもそれはわかりませんけれども、具体的なことはこの席では、これからの日本とイランとの関係もございますものですから、差し控えさせていただきたいと思います。
  76. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、それとは別個に、アメリカが武器を供与するということでイランとの秘密交渉に臨んでいたということが明らかになったわけですね。そういたしますと、これは日本の側にとってどういうことなんでしょうね。つまり、日本は頼まれもしないのに、自分の発意で、親切から人質解放の問題を交渉に行った。それも正規の外交ルートではなく、総理の親書を持ったそれぞれのいわば私的な資格の方が行っている。そしてその結果は、結局はアメリカ、イランの間の秘密交渉で武器供与による決着が図られた。このことに対して、外務省としては一体どういう感想をお持ちなんですか。これは倉成外務大臣が就任されてから主たる部分が起こったということではないんですが、しかし全然関係がなくもない。その後も続いていることです。そういたしますと、これは日本としては、こういうことになっているということを、自分で好きこのんで火中のクリを拾ったんだから、こういう裏切り行為をされてもしようがないと思っていらっしゃるのかどうか、その辺お聞かせいただけますか。
  77. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) まずこの問題につきましては、いろいろなレベル、いろんな機会に実は二カ国関係、国際情勢全般の中の一環として取り上げてまいったわけでございまして、基本的には安倍前外務大臣がベラヤチ外務大臣と数回にわたったいわゆる外相レベル会談、それから通常の外交チャネル、大使を通じた通常チャネルでも十分取り上げたわけでございますが、それに加えて、先ほど申しました件がたまたまイランから出たということで追加して説明したわけでございまして、通常の外交チャネルで十分取り上げてまいったということをまず御認識いただきたいと思います。  なお、これは日本がイランと数少ないパイプを持っております。アメリカは外交関係を持っておりません。これからフランス、ヨーロッパの国も日本ほど友好的な関係にない。そういう意味からいきまして、日本がイランとのチャネルを使いまして、人道的見地から日本の独自の判断で人質解放について、交渉をしたということじゃございませんが、意見交換をして、できればそれに努力を払ってもらいたいという要請をしたという経緯があるわけでございまして、これとアメリカの武器の取引問題とは全く別個の問題でございます。
  78. 久保田真苗

    久保田真苗君 日本がパイプを中東の国に対して持っているということは確かなんですね。それは、前の外務大臣も一生懸命いろいろな仲介、調停等に飛び回られたという、そういう実績は私ども評価しているんです。しかし、こういう人質問題という非常に微妙な問題を、相手の国のやってくれという要請もなしに手をつけるなんてことが外交上あり得るんでしょうか。私は甚だ疑問なんです。木で鼻をくくったような、だれにも頼まれないけれども日本の発意で、善意でやったんだなどという、そういうことは外交の世界で通用いたしませんですよ。その辺もうちょっと納得のいくような答弁をしていただきたいんです。一体どういう関係にあるのか、そこのところ。
  79. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 政府委員からるるお答え申し上げましたように、アメリカがイランにおける人質問題について重要な関心を持っておったということは日本政府としてもよく承知しておったことでございます。一方、人質の解放の問題について、先生のおっしゃるように慎重にやらなければいけないということは御承知のとおりでございますけれども日本といたしましては、イラン、イラク両国を含めまして、中東諸国の平和が一日も早く来るようにということで最善の努力をいたしておるわけでございまして、それぞれの国会先生方にもお願いして議員外交も展開していただくというわけでございまして、先ほどからお話しの藤尾さんあるいは中山さんがおいでになったのは、単に人質の問題というのじゃなくて、全般の問題についていろいろ情報の交換をお話しいただいたものと私は心得ておる次第でございます。したがいまして、アメリカから頼まれてやったという事実はございませんし、また我々はそういう意味で、アメリカがこの問題で武器の供与をしたということについて、今レーガン大統領がみずから発表なさっておる事実をいろいろ注意深く伺っておる次第でございますが、一々この問題についてコメントを申し上げることは差し控えたいと思いますが、私どもは事前においてこの問題については全然知らされていなかったということは事実でございます。しかしお話しの、いろいろ慎重にいろんな問題について取り扱えという御配慮については、傾聴する御意見として伺いたいと思います。日本は人道的な見地からこの問題を扱った、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  80. 久保田真苗

    久保田真苗君 しつこいようですけれども、これは非常に大事な問題ですから私もう一回念押しますが、新聞報道によれば「政府・自民党筋によると、中曽根首相が米国の要請を受けて昨年八月から二回にわたって首相のブレーンと藤尾自民党政調会長(当時)を特使としてイランに派遣し、人質解放にイランが影響力を発揮するよう働きかけた」、こういうふうになっているんです。このうち「中曽根首相が米国の要請を受けて」というのは、これは事実ではない、こうおっしゃるんですね。それでよろしいのかどうか。
  81. 倉成正

    国務大臣倉成正君) さようでございます。
  82. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、こっちが発議した場合に、やるけれどもどうかということをアメリカの方に相談というか協議、うちの方は好意でもってやるよということをアメリカに話されたのか、話さないで勝手にやったのか。その辺はどうなんですか。
  83. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 一般的な協議につきまして、米国が非常に人質の解放を望んでいるということを私たちはいろんな機会に承知しております。したがいまして、本件はそこだけの問題として取り上げたわけじゃございませんが、日本側が自発的にやるということに対して、事前にアメリカに了解を求めるというようなことはしておりません。
  84. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは要するにテロによる人質の問題なんです。それを事前に了解を得るとか、あるいはそのことを通知をするとか、そういう相手方のコンセントなしにこういうことを日本がす るわけですか。どうなんですか、そこのところ。これからもそういうことをなさるつもりですか。おかしいと思いますよ、こんなに微妙で、重大なことを。
  85. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 既に御説明いたしましたように、いろんな機会を通じましてアメリカのこの政策、人質解放についての非常に強い関心というものを我々承知しております。もちろん今後どういう段取りにあるかということにつきましては日米の間でいろんな機会に、将来こういうようなイランとの関係で話をやろうと思っておるというような一般的な形では事前に話としては、常時意見交換の一環としてはやっておりますが、本件の具体的なことにつきまして個々にこういうことをやりたいので了解してほしいとか、あるいは事前にこういうことをやってほしいというような具体的な要請を受けたわけじゃない。ただ、一般的な話し合いの中で通常いろんな機会がございますものですから、アメリカの関心は十分承知して、このこと自体がアメリカを困らせるような立場じゃないし、また日本としても望ましいという判断でやったわけでございます。
  86. 久保田真苗

    久保田真苗君 仮に、逆にこの人質が日本人であった場合に、そうしますとどこかの国がこの人質の問題を自分に協議もなしに持っていって、その非常に何といいますか、何かが起こるかもしれないようなそういう国へ持っていって話をするということを日本政府としては是認されるわけですか。
  87. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) これは、一般論でございますので果たして私が答弁するのが適当かどうかわかりませんが、非常に日本の信頼する国が、ある日本人の人質が仮にある国で捕まったとしたら、それが非常に友好関係のある国が側面的に、もちろん日本日本として努力するんでしょうが、側面的に釈放してやってほしいということを仮に別なルートで要請されても、日本として、もちろん取引とかそういうことになると困るのでございましょうが、一般的に要請してやってほしいということを仮に第三国が、友好関係にある国が日本のためにやっていただくということであれば、決して日本としてもその場合にはいろいろと注文をつけるということにはならないのではないかと私は一般的に考えております。
  88. 久保田真苗

    久保田真苗君 マンスフィールド大使へ総理からいろいろと情報報告しておられるわけですね。
  89. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) ちょっと質問のあれが、マンスフィールド大使と総理と今おっしゃったのでございましょうか。
  90. 久保田真苗

    久保田真苗君 マンスフィールド駐日大使に対しては、この二人の特使あるいはこれに絡まるいろいろな情報外務省として入れていらっしゃいますか。
  91. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) その結果につきましては、必ずしも物事の本質によりけりでございますが、差し支えない範囲内において米国には通報している——中身によりまして、また通報の仕方にもよりますが、後から結果をお知らせする場合もございます。
  92. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、もし今おっしゃるような一般的なことも含んで側面的に善意でやるという程度のことでしたら、中身をそう秘密にされることもないんですよ。このお二人の特使からいろいろ経過報告、結果の報告を受けていらっしゃるんでしょうからね。それをさっきのようにいろいろ機微に触れることがあるというような御答弁じゃなく、もうちょっとどうでどうだったというさっぱりしたところを筋だけ話していただけませんか。
  93. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ちょっと恐縮ですが、実は人質解放問題につきましてアメリカにかわって交渉したいという前提に立てば、先生のお話のような論理が成り立つと思うのでありますけれども、我々はそうでなくて、やはり人道的な見地から人質を解放することが望ましいということを伝えたということでございまして、これは決しておかしいことではないんじゃないかと私ども確信をしておるわけでございまして、いかなる国に対しましてもやはり人質があるということが望ましいことではないわけでございますから、そういうことで人道的見地からやったというふうに御理解賜れば幸いだと思うわけでございます。  ただ、米国がこの問題を希望しておったということについては、平常からの接触で十分承知しておったということを申し上げておるわけでございます。
  94. 久保田真苗

    久保田真苗君 必ずしも外務省は武器の秘密供与のことについては、もちろん事前にも聞いていらっしゃらないし、そういうことは知らなかったんだということなんですがね。  これはアメリカの方では、これまで東京サミットがございましたね、私どもも大変記憶に新しいんですけれども、このときばかに国家テロの問題というのを強調されたわけですね。そして、いかなるテロ集団とも交渉しないし、一切の妥協に応じない、こういうアメリカの非常に強い姿勢に西側が同調していった。我が国ももちろんこれに同調してテロとの闘いに最大限の努力を払う、こういうことを表明されたわけです。それだけじゃなくて、ほかのサミット以外の国にも協力を求めることを決めたということだったんですね。  しかし、考えてみれば、その裏で昨年の八月からこういうテロとの、事実上武器の秘密供与というそういう取引が行われて進行していた。一体これはどうなんでしょうね。日本もこの間、自分の発意でもって人質解放の問題にかかわってきた、こういうことがあるわけですね。日本としてはこれはアメリカに一言あるべきじゃないんでしょうかね、サミットの構成国として。こんなことじゃ、とてもアジアの国に対しても日本の立場としてこういうことを呼びかけていった、そして国際テロには強く当たるんだと、こういうことで、まるでこけにされたも同然なんじゃないんですか。その辺どういうふうに思っていらっしゃいますか。
  95. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 国際テロに対しては、これは断固たる態度で闘うという姿勢は、今もって東京サミットの精神は生きておるわけでございまして、私どもはその姿勢で臨んでおるわけでございます。それと同時に、今回のアメリカのとった措置についてどう思うかということについては、この段階では今大統領がいろいろと説明をしている間でございますから、今ここで私がコメントする立場にないわけでございますけれども、御案内のとおり、日本の場合も今フィリピンで三井の支店長が誘拐されるという事件が起こっているというような段階におきまして、やはり我々もあらゆる手段を尽くして情報収集を図り、いろいろな形で人命の尊重のために努力をしていくということでございます。  したがって、今回の問題について申し上げますならば、少なくともアメリカにかわってやったことはない。また、アメリカがいかなる取引をしたかという問題については全然日本としては関与していないし、また現在、大統領がその問題について国民に向かって、議会に向かって説明をしている段階でコメントをいろいろと申し上げるということは、これはそれぞれの国が、アメリカ国会そのものが今いろいろと議論している最中でございますから、ここでコメントは差し控えさしていただきたいと思う次第でございます。
  96. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣はこういうことの何といいますか、結果を受けていらっしゃるんで私お気の毒だと思うんですよ。だけどこれはやっぱり一言なくちゃ済まないことだと私は思うんです。だってそうじゃありませんか。アメリカはテロ集団とは交渉しない、一切の妥協に応じない、だから東京サミットで我々を巻き込んで西側に同調させてテロに対して断固闘う、こういうことを言った。よその国にも呼びかけましょう、こう言った。だけど実際にはそのときもう武器の秘密供与ということは何回か行われたわけですよ。一体これどうして私ども黙ってなくちゃいけないんですか。もし日本がこの武器供与に、秘密に、隠密にしろこれに関与していたか、あるいはこれを知っていたか。そういうことだったら何にも言えないでしょ う、何にも言えませんよ、もし共犯ならね。でも共犯じゃないとおっしゃるんなら、どうしてこれに対して一言ないんですか。これ黙っているという手はありませんよ。これだけ東京で、しかも私たちは主宰国でこのサミットをやったんですよ。そこへもってきてこんな裏腹なことをやって、よその国にまで呼びかけて、これじゃまるっきり東京サミットは本当にもう地に落ちたも同然じゃないですか。私は一言アメリカに抗議していただきたいんです。どうして黙っていらっしゃるんですか、こんなことされて。
  97. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) レーガン大統領が二回、十三日、十九日に発言された本件に関する中で、ちょうど先生の御指摘に関連する部分があると思いますが、本件にかかわる全責任は自分にあるということと、人質と武器との交換をしたことはない。すなわち人質と武器との交換ではない。しかし誤った認識を払拭するために今後イランへの再度武器を供与することはないということを言っておりますが、さらに米イ接触開始以降イランがテロに関与したとの証拠はないというぐあいにレーガン大統領は発言されております。
  98. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも武器供与をしたことは認めたわけでしょう。そして供与をした都度人質が解放されたということも事実なんでしょう。そしてアメリカにとってはこれは国家テロとして武器禁輸のリストに載っていた国であることも事実なんでしょう。そういう国に対して武器を提供した、こういう事実があるわけでございましょう。そしてしかもそれが人質交渉の直接の取引ではないと言われるけれども、その他のことについてはイラン当局あるいはホメイニ師の方が、アメリカが、何といいますかイランとの関係を言うのはおかしいんだ、こう言っているわけでしょう。そして確かにこういった取引の材料としてイランの方はこういうことが行われているということを特使に対してもにおわしているわけでしょう。そういう一連のことを考えて、私はやっぱりこういう何ですか、テロ集団との交渉、一切の妥協に応じない、こういうことをやった。これに対してアメリカの少なくとも釈明を、この辺は一体どうなんだという釈明を日本としてはとるべきなんじゃありませんか。せっかく好意でもって頼まれもしないのに自分からなさった、こういうことまでやっているのにそういうことに関与したということが全く非常におかしな結果になってくるような、こういう事態を招いているわけですから、特にやっぱり東京サミットの主宰国としては、この辺について少なくともアメリカの釈明を求める、そのぐらいのことをなさってよろしいんじゃないんですか。どうなんでしょう。これ黙って、全く黙っている必要がどうしてあるんでしょうか。
  99. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) ただいま御説明、先ほど私が申し上げましたが、レーガン大統領はイランとの接触の目的という中に、イランとの新しい関係をつくるんだということで、人質の解放のために個々の取引ではない、人質と武器との交換したわけではないということを言っております。そしてまた米イ接触開始以降イランがテロを関与したとの証拠もないんだということで、アメリカとイランとの関係改善の一環としてこれを武器の取引をやったという説明をしております。既に大臣から御答弁いたしましたように、これにつきましてはいろいろと米国、イランの機微な接触、交渉、その他の経緯もございまして、第三国間の問題につきまして日本としてこれに現時点においてコメントすることが適当ではないだろうということから、コメントを差し控えさしていただいたわけでございますが、片や日本話し合いというものは何もアメリカだけじゃございません。人質全般でございますから、フランスの人質もおります。それ以外のレバノンにおける一般的な人質というものが望ましくない。何とかしてイランがレバノンにおいて影響力を持っているとすれば、レバノンにおいてできるだけの影響力を行使してもらいたいという希望を日本から申し上げたというわけでございまして、決してアメリカにかわってとか、あるいはフランスにかわってということではない。純粋に人道的見地からもちろん両国関係日本・イラン関係、それが中心な話題でございますし、また国際情勢、イラン・イラク戦争、そういうものが中心的な話題でございますが、その全般的な話し合いの一環として人道的見地から、アメリカ人に限らず人質全般について人道的見地から日本側の希望を申し上げたということでございまして、それとアメリカの武器の取引問題というものは全然別個の問題ということは説明しているとおりでございます。したがいまして、現在のアメリカにおける問題につきましては、やはり第三国間の問題として機微な問題があるから、コメントを差し控えさしてもらいたいということは既に大臣が御答弁したとおりでございます。
  100. 久保田真苗

    久保田真苗君 イランとの関係をよくしたいということで武器をここに売っていく、あるいは供与している、新たに供与したと、そういうことをやっていくわけですよね。結局これは取引の材料ではないということではあるけれども、実際にこれを出すことによって人質が解放されたということも事実なんですよね。そしてもしこのようなことが重なっていくならば、人質をとることによって相手国を圧倒するだけの武器をどんどん供与を受けることができる、そういう結果を招いていることだけは間違いないでしょう。レーガン大統領がたとえどんな意図でなさろうと、この結果がどんどんと人質をとり、どんどんと武器の供与を受けていく、そのことに拍車をかけていくということは間違いないんじゃございませんか。そういう結果になっていくんじゃないんですか。大臣、どういうふうにお思いになりますか。
  101. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 物事を大変単純化して論理的に推し進めていけば先生のようなお話になるかもしれませんけれども、私はやっぱりレーガン大統領がとった措置をレーガン大統領自身が今苦悩に満ちて説明をしておる段階でございますから、これはコメントは差し控えたいと申し上げておるわけでございます。人質をとられた立場の国がどういう対応をするかということについて、日本の場合に日本の我々の同胞が人質をとられた場合にどういう措置をとるか。もちろん断固たる措置で臨まなきゃいけませんが、やはりあらゆる知恵を絞らなきゃいけないということを考えておる次第でございまして、我々もこの問題については重大な関心を持ち、また国際的に非難されないだけのことはしていかなきゃいけないともちろん考えておる次第でございまして、先生のおっしゃるお気持ち、また言わんとされるところはよくわかるわけでございますけれども、今回、日本がイランとの関係においては米国にかわったり米国のためにやったのではない、人道的な立場でやったんだということだけはこの機会にはっきり申し上げておくわけでございまして、その他の問題については、いろいろ個人的には意見として持っておりますけれども、これはやはりまことに機微に触れる問題、しかも大変重要な問題でございますから、私としてこれ以上申し上げるわけにはまいりませんけれども、しかし、いずれにしてもこういう国際テロという問題が現実に国際社会の中で起こっておる、またこれからも起こる可能性があるということでございますから、そういうテロが起こらないようにどういう手段でこれを防止していくかということ、やはり起こってからこれを何とかしようとしてもなかなか、これは人質の問題ですけれども、人質以外のいろんなテロという問題、かつてのハイジャックの問題その他いろいろ出てくるわけでございますので、こういう問題については、ぜひ我々も今先生から御指摘いただきました点を踏まえまして、これから万全を期してまいりたいと思う次第でございます。  しかし、なかなか厄介な問題を今、含んでおる問題でございますし、また、公開の席でいろいろ申し上げるのがいかがかというような問題もいろいろございますので、この程度でひとつ御勘弁いただきたいと思います。
  102. 久保田真苗

    久保田真苗君 婦人差別撤廃条約の委員会への報告というのがあるんですよね。昨年の六月に批准しましてそして日本もその加盟の国になったわ けですけれども、そういたしますと、毎年の委員会がニューヨークで持たれまして、婦人差別撤廃委員会というのがございまして、そこへ報告書を出していくんですがね、もう日本はその提出期限が切れたはずだと思うんですけれども、どういうふうになっておりますでしょうか。
  103. 中平立

    政府委員中平立君) 委員指摘のように、この女子差別撤廃条約につきましては、昨年の七月二十五日に我が国につきまして発効したわけでございまして、発効してから一年以内に提出するということになっておるわけでございます。  確かに一年以内、一年の期限は切れましたけれども、現在、関係省庁を含めまして報告書の作成に一生懸命努力しているところでございまして、できるだけ早急に提出したいと、こう考えておるわけでございます。
  104. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、日本はことし、この次の委員会の議題の国にならないわけですか。その辺はどうなんですか、まだ出してないということになると。
  105. 中平立

    政府委員中平立君) 来年の春に女子差別撤廃委員会というものが開かれる予定でございますが、その際には日本は検討の対象にならないと承知している次第でございます。
  106. 久保田真苗

    久保田真苗君 検討対象にならないというのはどういう意味なんですか。一年以内に出しても検討対象にならないわけですか。
  107. 中平立

    政府委員中平立君) 委員御存じのように、国連には種々の委員会がございますが、最近、いろんな理由があると思いますけれども、各国からそういう同様の報告が出されておりまして、この委員会に限らず、ほかの委員会も割合報告書が滞っておりまして、そういう観点から来年のあれには日本は検討の対象にならないのではないかと、こういうふうに予測しておるわけでございます。
  108. 久保田真苗

    久保田真苗君 参議院の外務委員会でこの条約に対する附帯決議をやったんですが、そのときに、国連事務総長に政府報告を出したときにはこれを委員会に報告するということになっていますね。ですから、お出しになりましたら外務委員会の方へ、お出しになった報告書提出していただいて私どもも拝見したいと思いますが、よろしゅうございますね。
  109. 中平立

    政府委員中平立君) 先ほど申し上げましたように、現在作成方鋭意努力中でございまして、作成を完了したときには国連に対して提出するわけでございます。国連に提出した後に国会にも提出したいと、こう考えておるわけでございます。
  110. 久保田真苗

    久保田真苗君 よろしくお願いします。  それから次に、思いやり予算の件なんですがね。今また思いやり予算の件がいろいろと本会議でも出ておるんですけれども、私は、外務大臣がこの地位協定に関連しましてこの前から言っていらっしゃる答弁を、ここでもう一回確認したいんです。と申しますのは、現在の地位協定の範囲内で物をお考えになるんだということで、これ以上日本側で負担し得るものはないというふうに答えていらっしゃるんですがね、その御確認はこの地位協定の解釈に関する限りいただけますね、もう一回、いかがですか。
  111. 倉成正

    国務大臣倉成正君) アメリカ側から一般的に在日米軍駐留支援の充実について極めて強い期待がされていることは事実でございます。その点に関しての御質問だと思うんでございますが、安保条約に基づく米軍の我が国への駐留は日米安保体制の根幹でございますし、在日米軍駐留支援は、在日米軍の円滑な活動の確保という観点から極めて重要でございます。  かかる観点から、政府としては、従来から在日米軍駐留経費については、施設整備費及び労務費の増額に努めてまいったところでございます。また、政府は、昨今の急激な円高の傾向のもとにおいて、在日米軍基地従業員の解雇、雇用の不安定化が生ずることはぜひとも回避したいと考えておる次第でございます。  在日米軍駐留支援の強化については、今後とも自主的判断によりできる範囲で努力する所存でありますが、このためにいかなる方策があり得るかということを、これまで政府考え方を踏まえて今後真剣に検討すべき課題と考えておる次第でございますが、現在、特別な方策について具体的検討を行っておるわけではございませんで、政府としては、現在地位協定の改定を検討していることはございません。
  112. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、地位協定の改定も考えていないということなんですがね。地位協定の範囲内で、これ大臣が衆議院の外務委員会で答えていらっしゃる答弁なんですよ。「地位協定の範囲内でこれ以上日本側で負担し得るものはないと答弁してきておることは事実でございます。こういう考え方でございます。」とおっしゃった上に、さらにこれは政府委員の御答弁、これは岡崎委員に対する答えですね。「地位協定の二十四条一項につきまして労務費に関連しましての解釈、これは既に政府が五十三年、五十四年以来申し述べてきていることでございまして、これを変更するということは全く考えておりません。」ということを政府委員が答えていらっしゃるのに対して、倉成大臣がこれを確認していらっしゃるんですね。この辺の解釈についてはもちろん変わるものではないわけですね。解釈が一々そんなくるくる変わったんじゃこちらはとても奔命に疲れてしまいますから、解釈に関する限りの確認を再度お願いいたします。どうぞ。
  113. 倉成正

    国務大臣倉成正君) そのとおりでございます。
  114. 久保田真苗

    久保田真苗君 もう一つ、これはちょっとあれになりますんですけれども、先ほど来からまあフィリピンに対して援助を、一千億を超える援助をしていらっしゃると、こういうことで、これはこのとおりになさるわけでございますね。
  115. 英正道

    政府委員英正道君) 今次アキノ大統領の訪日に当たりまして、カラカという石炭火力発電所の計画に対して四百四億円の円借款の供与を意図表明をいたしました。  その際、第十四次の円借款それから本年度の無償資金協力等に対する要請が出ておるわけでございますけれども、これらにつきましては従来に増した協力をするという一般的な意図を中曽根総理大臣から表明されたということはございます。  そこで、今久保田委員指摘の一千億という数字でございますけれども、御案内のように第十三次の円借款は四百九十五億円でございました。それから無償資金協力、贈与でございますが、大体八十億円ぐらいを毎年供与してきております。加えまして四、五十億の技術協力がございます。それからそのレベルが維持され、かつ今回約束したカラカの火力発電所に対する協力というものを合計しますと、今御指摘のような数字を超えるということになるわけでございまして、そういうものを踏まえて離日直前の記者会見で、フィリピン側の関係者の方から、そういうふうに期待しておるということをおっしゃったという経緯を承知しております。
  116. 久保田真苗

    久保田真苗君 まあ海外援助が多くなっていくことは、我が国として当然なすべきことで、大変結構なんですね、一般的には。ただ、最近のいろいろな不祥事も発生しておりますからね、ひとつこれは外務省の中でみずから姿勢を正す方策をとってらして、それがどうなっているかってことと、これは当然のことだけれども、しかし第三者による会計検査あるいは監察というものを免除するものではないと、そこのところを私はっきりと確認していただきたいんです。と申しますのは、お金がこれだけふえてまいりますとね、やっぱり予算も聖域、その使い道についても聖域と、こういうことでは大変困るんでして、どこの省庁もが受けている一般並みのこういった第三者による監察もぜひやってほしいと、こういうことを思いますんです。それに加えてもちろん外務省みずからの姿勢を正す方策、この二点についてお答えをお願いいたします。
  117. 英正道

    政府委員英正道君) 当然なことでございまして、会計検査院の検査というものは受けております。  それから行政監察につきましては、総務庁の方 で御検討というふうに伺っておりますし、私どもはほかの省庁と全く同じ一円一銭でも間違いなく使用する、適正に、効果的に、効率的に使用するという観点から、従来も最善の努力をしてきたつもりでございますけれども、いろいろの御指摘も受けている次第でございますので、ますます気を引き締めてしっかりやっていこうと思っております。
  118. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣、それじゃそこのところをどうぞ確認していただいて、どうも第三者から受けるのは好まないというようなそういう感じのいろいろな風評を聞きますので、ひとつ確認していただきたいんです。自己規制もやるし、第三者の監察、検査も受け入れると。
  119. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私がしばしば申し上げているのは、一義的に、私が不肖でございますけれども日本外務大臣としてこの問題の所管をしておるので、このことについて全責任を持ってやらしていただくという意味で申し上げておるわけでございますので、もちろんそれぞれの機関がもっと違った角度で、こういう点は改善すべきだということについて正式に御意見をちょうだい、賜るということについては、謙虚にこれは受け入れて改善すべきは改善すべきと、そういうふうに考えておる次第でございます。     ─────────────
  120. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として上田耕一郎君が選任されました。     ─────────────
  121. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 フィリピン問題について質問させていただきます。  アキノ大統領がさわやかなコリースマイルを残して帰国されてからまだ何日もたっていないのに、フィリピンにいろいろな動きが出てきているように思います。  アキノ政権のトラブルメーカーと言われたエンリレ国防相の事実上の更迭、そして同時に内閣総辞職です。そして新内閣の組閣の作業が進んでいるというようなことを新聞記事で読みました。それからまたけさの新聞では、新人民派との交渉が成立したというようなことも読んでおるわけですが、まず一番最初に、外務省が今日把握しておられるフィリピン情勢について御説明をお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕
  122. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) ただいま委員から言及がございましたが、フィリピンの政情、大きく言うと三つの点があるかと思います。  第一の点は、アキノ内閣、アキノ大統領の政権が成立いたしましてから九カ月ばかりたちますけれども、内閣の中でいろいろの意見の相違等が見られておりまして、閣内の統一を図るという問題が一つございました。これにつきましては、ただいま御指摘のとおり、二十三日、アキノ大統領が発表をされましたように、全閣僚の辞表を取りまとめられまして、そのうちのエンリレ国防大臣の辞表だけを受理され、新しい国防大臣の任命が行われました。その他の閣僚につきましては、今後数日間の期間を経て順次任命をされるというふうに聞き及んでおりますけれども、このような閣内の改組と申しますか、こういう手段を通じて、過去数カ月間、内閣の中でいろいろの問題が起こっておりましたものを解決される第一歩になるものかと思っております。  第二の問題は、フィリピンの今まで新人民軍と申しておりますけれども、武力ゲリラと申しますか、新人民軍との間の和平交渉の問題でございます。実際にはこの政治組織でございます民族民主戦線というものとの交渉がアキノ大統領御就任以来、特に過去数カ月間鋭意精力的に行われてまいりました。アキノ大統領は、特に二十三日の声明では、この和平交渉に期限を切られまして、今月いっぱいという非常に強い態度をとられましたが、ただいま委員から御言及ございましたように、昨晩遅く実質上の合意に達し、明日にでも合意書にサインをするということに立ち至ったというふうに報道をされております。合意の内容等は恐らく明日ぐらいに明らかになることかと思われますが、まず停戦の期間、これは民族民主戦線側が百日間の停戦期間ということを主張し、政府側はそれはちょっと長過ぎるということで、三十日と百日の間の期間、報道によりますと六十日ぐらいではないかという推測がされておりますけれども、まず停戦の期間が定まり、それに従いましてこの停戦期間の間にどういう話をどういう形で進めていくかということが恐らく明日ぐらいにはある程度明らかになるのではないかと思います。これが第二の問題点でございます。  第三の問題は、アキノ大統領の政権が本年の二月できましてから、この政権の合法化と申しますか、御承知のような経緯を経てできた政府でございますので、このアキノ政府をどういうふうに合法化をしていくかという作業が進められておりまして、新しい憲法の草案というものが現在既に作成を終わり、明年の早々、現在の予定では二月の二日ということになっておりますが、明年早々に国民投票に付されまして、これが国民の投票によって多数を得ることになりますとこの新憲法に基づいて現在のアキノ大統領というものが憲法上きちんとした形をとることになり、かつこの憲法に基づいた選挙が順次、明年の春、四、五月ぐらいから行われていくという形になっております。  こういうようなフィリピンの直面しております三つの政治的な問題点について、アキノ大統領の御訪日の直後からいろんな進展が見られるというのが今の情勢かと思います。  ただ、最後に第四点目としては、実は経済情勢というのがございまして、この経済の困難をいかに乗り切っていくかというのがやはりフィリピンの政情にも非常に大きな影響を今後与えてまいりますので、この経済情勢の安定化というものがアキノ大統領の直面しておられる第四番目の、かつ非常に大きな問題であるということが申せるんではないかと思います。  以上でございます。
  123. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そのほかに私思いますには、オラリア議長の暗殺の究明の問題でありますとかあるいはまた旧国民党の再編の問題でありますとかいろいろな動きが報道されているようでありますけれども外務省が見るに、一応情勢としては安定をしてきているというふうにごらんになっておられるでしょうか、いかがでしょう。
  124. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 安定していると言うことはなかなか難しい情勢かと思います。委員も御承知のとおり、フィリピンの国情、それから現在置かれております環境ということから申しまして、どの程度まで治安が回復すれば安定しているというふうに見るかというのはかなり相対的な問題だと思われます。  今オラリア議長の暗殺の問題に言及なさいましたけれども、この暗殺が一時期和平交渉に非常に大きな影響を与えたということも事実でございますし、非常に治安の面でもいろいろと問題が起こりつつございますし、依然として大きな問題を抱えているというのも事実でございますので、いろいろ困難はいまだに多く存在していると。しかし大統領としては一つ一つ何とかその解決の努力を講じられ、その効果もそれなりに上がってきているというのが正直な今の姿ではないかというふうに思います。
  125. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 フィリピンのマニラに、今、日本人が三千人ほど在住しておられるということを聞いておりますが、先般三井物産マニラ支店長若王子信行氏の事件が起きました、十一月十五日午後のことでございます。私は、人命に関する問題でございますので、なかなか御答弁の方も難しかろうとは存じますけれども、現時点においてこの事件について外務省が掌握しておられる状況について御説明をお願いしたいと思います。
  126. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 政府といたしましては、ただいま刈田委員がお話しのように、人命尊重第一ということに考えておりまして、若王子支店長を無事救出するために在マニラ大使館を中心に最善の努力を行っておるわけでございますが、委員 がただいまいみじくもお話しになりましたように、人命にかかわる問題でございますので、捜査の状況及び政府のとった措置について具体的に申し上げることは差し控えさしていただきたいというのが私どもの見解でございます。
  127. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 事件の背景のようなものも伺えませんか。
  128. 妹尾正毅

    説明員妹尾正毅君) お答えいたします。  いろんな説が出回っておりますが、結論として現在の時点ではその背景あるいは目的といったようなものにつきましては、はっきりしたことは全然わからないというのが実情でございます。
  129. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、この間エンリレ国防相を更迭するというふうな発表をしたときのベニグノ報道官の言葉の中に、今回こういう措置に出なければならない理由を三点挙げておったのを聞いておりましたんですが、一つがオラリア人民党議長の暗殺の問題、そして二つ目日本企業人の誘拐問題、そして三つ目にクーデター計画という、この三点を挙げて一新するという意味の説明を報道官がしていたのを私はテレビで聞いたんですけれども、この点の情報についてはキャッチしておられませんか。
  130. 妹尾正毅

    説明員妹尾正毅君) ベニグノ報道官の記者会見を延期するという話がございましたときの話かと存じます。そのときの、私どもの記憶する限りでは、たしか重大な進展がこの事件についてあったから記者会見をやめることにしたという、あるいは延期することにしたというような趣旨の説明があったと思いますが、その点について私どもははっきりと心当たりの点はございません。
  131. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほど来お互いにそう思っておるように、人一人の命にかかわる問題でございますのでなかなか難しいわけですけれども、私どもはどうも単なる身の代金要求の問題だけではないように思いますものですから、政治絡みにこういうものがもし発生しておるとすれば、また外務省あたりの対応の仕方もこれはまた全く違ってくるわけでございますので、その点についてのことが実は伺いたいわけですけれども、これもまたとてもお答えいただける問題ではないというふうに思う。  最後にこのことについては、詳しくは言いませんけれども、とにかく安全第一で救い出すということ、救済するということ、この点にかけて外務省は真剣に努力をしておられるでしょうか、もう一度伺います。
  132. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま委員の御指摘の点に関しましては、委員が申されるまでもなく、昼夜兼行でこの問題について最善の努力をいたしております。また、今後も続ける所存でございます。
  133. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、この問題を一つの契機にいたしまして、企業等海外に人をたくさん送っておるところの動きがいろいろあるというふうに聞いております。日本企業あるいは合弁企業等がいろいろな策を講じておるということで、私もいろいろこれ調べさしてもらったんですが、企業自身でマニュアルをつくっておるというようなことを、この新聞ではお調べになって挙げておられて、本来こうした海外に駐在員を送る企業の危機管理マニュアルというのは、戦争が起きたとか、あるいはまた何かクーデターがあったというようなことに関して、緊急事態対策マニュアルをつくっておったと。だけれども、それではならないということで、誘拐などの犯罪にどう対処するかの方針づくりというようなものにまで民間が取り組み始めておるということを聞いて、そしてまたこれでも読ましてもらったわけですが、この点について外務省はどんな見解をお持ちでしょうか。
  134. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまの点につきましては、日本のような非常に治安が安定している国でも、現に現金強奪事件が白昼起こるというようなこともございますから、やはりそれぞれの企業が自主的に万全を期する、そして努力をしていただくということは私は大事なことの一つだと思うわけでございます。それと同時に、外務省では海外における邦人の保護は最も重要な使命の一つ考えておりまして、各在外公館に対してもその趣旨を徹底いたしております。  在外公館におきましては、在留邦人に対する危険性や治安面での不安が予見されるような地域を中心として、常日ごろから在留邦人とも治安対策について十分な意思疎通を図り、その上で所要の自衛措置を講じ、あるいは相手国の協力を要請し、また状況に応じその状況をそれぞれ見直す、そういう立場をとっておるわけでございます。またこれらの問題について、本省と在外公館との間でも密接な連絡をとり、施策に遺漏のないように配慮いたしておる次第でございます。  先生お話しのように近年在外邦人の数が増加の一途をたどっておりますし、またその居住地区もますます広範囲にわたっておるわけでございまして、日本の国内で考えるのと現場の状況、私も比較的海外を回っておる一人でございますけれども、随分ここで考えるのと現地の事情というのは違うわけでございますので、やはり政府としても今後ともそれらの事情を踏まえながら海外在留邦人の保護のために一層の努力をいたす所存でございます。
  135. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この民間のこれを見ますと、今外務省で言っておられるようなものではなくて、もっと細かにマニュアルができているんですね。日本在外企業協会五十八年版「海外安全のための提言と施策への手引き」、「事務所・工場周辺の広告は控え目にする」「窓際に机を置かない」「金持ちや重要人物を思わせるような型の車を避け、目立たない車を使用する」等々から始まって非常に細かくできておるようですね。やはりこういう具体的なことが必要でしょう。民間に任せるのでなく、やはり在外公館がこういうことをしていかなければならないと思います。  一方で在外公館自身も随分ここ数年来のところを見ると、いろいろなことが、いわゆる脅迫等含めて急増しているんでしょう。しかも、不安定地帯だけじゃないわけですよ。こういう状況も含めて、やはり外務省はこういうことにもっと真剣になっていかなければならないのではないかなというふうに思うんです。大使館自身がねらわれた、あるいは大使館員さんがねらわれておるというふうなところの問題がたくさんございますね。  この調べですと五十七年が十七件、五十八年二十二件、五十九年二十七件、六十年が六十二件であったのがことしは既に九月末で百三十件。もちろん館員さんの子弟等に対する脅迫等も含めてのものもあるがとただし書きがありますけれども、この勢いでいくとことしは昨年の倍に上る百三十件ほどにまで及ぶ、その他脅迫あるいはテロというようなあるいはデモというのがあるようでございますね。こういうふうなものがふえていくのではなかろうか。こういうものからいわゆる在外公館が在留邦人を守っていく仕事というのは非常に大きな意味が出てくるというふうに思うのですけれども、もう一度大臣いかがですか。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕
  136. 妹尾正毅

    説明員妹尾正毅君) 大臣の御答弁になります前に御質問のございました企業努力政府がもっといろいろ支援すべきではないかという点につきまして補足的に答弁させていただきたいと存じます。  ただいま刈田委員の引用されました「海外安全のための提言と施策への手引き」、私どももこれに非常に関心を持っているわけでございまして、これは三つの段階に分けた提言をやっております。そのうち、国家レベルでこういうことをしてほしいということで九項目の提言がございます。  情報の一元的把握と提供とか、あるいは緊急時の政府指導を強化してほしいとか、通信のネットワークを確保してほしいとか、あるいはもっとケーススタディーをしてほしいとか、相手国政府との外交関係を緊密化してほしいとかいろいろございまして、これらの点につきましては、従来から私どもといたしましてもできるだけのことをやってきているつもりでございます。  ただ、この中で例えば通信ネットワークの確保につきましてはまだ十分手が回っておりません で、これを強化するように一生懸命努力しているというような点もございますが、こういう点は私どもとしてもこれまでも全般的にできるだけやってきたつもりでございます。  それから、在外企業協会そのものとの関係でございますが、在外企業協会もことしの六月に海外安全部会というのをつくりまして、そこと外務省との間で緊密な関係を保っております。それで、在外企業協会の月報がございまして、そこに例えば私どもの気がつきましたいろんな留意事項、注意事項、国によって治安とかそのほかいろんな問題があります場合、そういうことについての注意喚起的な情報を載せてもらったり、あるいは打ち合わせ会、それから説明会、講演というようなことをこれまでもやってきているわけでございますが、誘拐というのは実は従来余りなかった話でございまして、在外企業協会からもこの点につきまして、特に政府とあるいは外務省と話をしたいというようなことはございませんでしたし、今度の事件が起こってからもこの問題についてというお話、その対策を協議していきたいという格好ではまだお話はございませんが、私どもとしてもこれは非常に邦人の保護という点から見まして重要な問題だと思っております。いろいろ委員お話ございましたけれども企業の方も今慌てて対策を講じているところだと思いますので、在外における邦人の保護は外務省の最も重要な使命の一つでございますし、できるだけ協力いたしましてお手伝いし、また私どもとして見直すべき点も見直していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  137. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 昨日山口査察使が五カ国を査察するために二週間の期間で立たれたことを聞いたわけでございますけれども、私はいろいろいきさつがあったことも何となくわかりますし、山口さん自身が元大蔵事務次官であられて、客観的なお立場にあっての査察をなさるということで、非常に意味があろうかと思いますんですが、その中に、定員が十分であるかどうか、施設や館員住宅状況がどうであるかどうか、予算状況はどうか、あるいは不健康地帯の勤務状況というようなことが書かれてあるんですが、私もうこれで質問終わりにしますけれども、この中にもう一つ、今続けてきた話の、今言ってきた話のいわゆる在外公館が在外邦人をどの程度守ってやれるだけの状況があるのかないのかというようなことまで、これ査察してきていただけたらよかったなということをこれ見て思ったんですね。また必要だろうと思います。そのために定員とか十分であるかどうか、あるいは予算状況がどうであるかどうかをこれ見てきていただくわけなんでございましょうけれども大臣に申し上げておきますが、私もたくさんではございませんけれども外国を回らせていただいております。バングラデシュとかインド、あるいはエジプト、それからケニアあたりでございますね。それからタイもそうでした。やはり日常、昼間、いろいろ何となく日本では感じられないようなものを感じる、そういう状況があるわけですね。それで、こういう中でやっぱり大使館の人たちが全部フォローしていくわけにはいかないのは私もよくわかるわけ。だけれども、やっぱりできるだけの予算を獲得して、こうした在外邦人保護のための役目も果たせるような機能を充実してほしいというのが、今回の若王子さんの事件を思うにつけても考えておるところでございますので、これはまさにお願いでございます。大臣に頑張っていただきたいと思ってのお願いなんですが、いかがなものでしょうか。
  138. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 大変温かいお言葉をちょうだいしまして感激をいたしておる次第でございます。外務省在外公館も限られた人員、限られた予算で懸命に努力しておる次第でございますし、特に先ほどのような不幸な事件が起こったということになりますと、本当にこれはもう館員の諸君が健康を害するような状況で頑張っておるわけでございます。  査察使に関しましてお話しでございましたが、査察使の目的はいろいろございますけれども、文書で大臣報告するようになっておりまして、在外公館の活動及び運営の状況、それから在外公館の経理状態、在外公館に勤務する外務公務員の能率、研修及び勤務状態、それから四番目に外務大臣から特に命じられた事項ということになっておる次第でございまして、在外公館の活動及び運営の中にも入りますけれども、こういう際でございますから、特に在外邦人その他そういう安全の問題についてしっかりやってくるようにと外務大臣からの特命事項としてこれは指示したいと思っておる次第でございます。御激励まことにありがとうございます。外務省予算また人員についてもよろしくお願いいたします。
  139. 及川順郎

    ○及川順郎君 まず初めに、外交情報とアジア外交姿勢についてお伺いしたいわけでございますけれども我が国がアジアの一員といたしましてアジアの平和と安定、発展に寄与すべき責任というのは極めて大きくなっていると。特に最近の一連の出来事を通じまして、非常に私はそのことをいや増して痛感をしておるわけでございますけれども、このアジア外交に対する倉成外相のまず所信をお伺いしたいと思います。
  140. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 御案内のとおり、日本はアジアの中の一国でございます。アジアの諸国との友好関係そして安定的な相互の関係が結ばれるということがまず日本の外交の基本の方針でございます。同時に、アジアの諸国がそれぞれの国に、国内におきましても経済的にもあるいは政治的にも安定するということが大切ではないか、このことがアジアの平和、安定のみならず世界の平和、安定にも通ずる、そういう認識でアジア外交を推進していきたいと思っておる次第でございます。
  141. 及川順郎

    ○及川順郎君 外交において極めて大事な要件の中に、やはり正しい情報収集とその分析、対応というのは極めて大事な要素になると思うんですね。それで、ここ短期間の間に金日成の死亡説が流れたという出来事やそれから日中首脳会談の内容に関するコメントの食い違いとか、先ほど刈田委員からも出ておりましたけれども、フィリピン情勢に対する情報収集の問題、私はこのような外交関連に関する情報収集、それから管理、分析、対応等について外務当局として問題はなかったか。フィリピン情勢につきましても伺おうと冒頭思っておりましたけれども、先ほど来るる御説明がございましたので、まずその辺の外務省当局としての対応について率直な意見を求めておきたいと思います。
  142. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) ただいま委員が言及されました最近の事件ということで、金日成北朝鮮主席の死亡説をめぐっての対応ということで申し上げますと、情報ということから申しますと、我が国政府及びマスコミを含めてでございますけれども、当然のことながら我が国はそういう情報をキャッチするということについては一番早くかつ非常に多かったということは事実だと思います。そして、我が国にとりまして最も重要な関係を持つ地域の、しかも政治指導者の安否ということでございますので、これが十七日に至りまして韓国側から実際に北からの放送が行われたという発表がございましたことを機にしまして、非常に大きく報道をされたということもそれなりにどちらかというと自然な姿だったんではないかと思います。私どもは、これはマスコミも政府もそうでございますけれども、そういう話がある、それでこれは非常に事実とすれば大変なことである、しかしながら確認はできないというままで推移をいたしまして、結局次の日、十八日の朝御本人が出現をされたということで、安否と申しますか、死亡説というものは根拠がないということになったわけですが、それでは、このような情報が出てきた原因は一体どこにあったのかということにつきましては、先ほど来外務大臣からも御答弁を申し上げておりますように、韓国側でもいろいろ後づけと申しますか、調査をいまだに続けておられるというふうに承知いたしておりますし、実際に何事かがあって行われたことなのか、それとも心理戦的なものであったのかといういずれであったかについては、いまだ結論を得ていないというのが今 の状況かと思います。  それから、二番目に御指摘になりました日中首脳会談についての御発言がございましたけれども、これはそれほど食い違いということでもございませんで、中曽根総理が御訪中になりましたときに総理御自身が記者会見で、韓国と中国の橋渡しとして役立てれば幸いであるということを言っておられ、かつ会談後の記者団に対するブリーフにおきましても官房副長官から日本側の朝鮮半島情勢についての立場の表明が行われたこと、それに対して中国側は特にコメントはなかったということをブリーフをしておられまして、これがこのまま日本の新聞に報道されております。恐らくは、委員が御指摘になっておられることは、その後に出てきた報道かと思いますけれども、もうちょっと具体的な橋渡しの意図表明があったけれどもそれは中国側から断わられたと申しますか、そういう報道があったと、これはちょっと食い違っているのではないかという御指摘かと思いますが、これは日中双方で会談の模様についてはこういうことで対外発表を行うという合意をして、そのとおりの発表を我が方も行っているわけでございまして、それ以外の部分については私どももコメント、言及をすることは差し控えたいと思いますし、その後も中国側から特に言及はないというのが今の状況でございます。したがいまして、特に日中の双方で食い違ったことを言っているということはないと存じます。  それから、フィリピンの情勢についてもう少し歯切れのいい情勢分析をしたらいいんではないかという御注文かと思いますが、確かにもっとすっきりと、あしたはこういう状況になるということが御説明できればいいと思うんですが、なかなかああいう混乱した国でもございますし、問題点指摘とそれからアキノ大統領が直面しておられる諸困難等について御説明を先ほど申し上げたとおりでございまして、大筋においてそれほど間違ったことは今まで申し上げてこなかったんではないかというふうに思っております。
  143. 及川順郎

    ○及川順郎君 それじゃ、ちょっともう少し一つ一つ伺っておきたいんですが、最近のマスコミ報道の中で韓国側の問題ですね、これに対する三つの見方をしておりまして、仮説を立てておるわけです。一つは、韓国側が死亡説を捏造し、北の脅威をあおり国内の引き締めをねらったいわゆる韓国謀略説、これがまず一つ二つ目は、北朝鮮が三十八度線の宣伝放送を使って金日成主席死亡という虚偽の情報を流して韓国側がこの戦略に乗せられたという北朝鮮謀略説。もう一つの見方というのは、金日成主席の死亡の事件はなかったけれども、北朝鮮で何らかの異変があったんじゃないかという北朝鮮の異変説といいますか、こういう三つの視点を指摘しているわけですね。その中でいろんな今、その後も情勢分析の過程にあるとは思いますけれども、少なくとも二十日前後の情勢分析の総括を見ますと、北朝鮮で何らかの異変があったんではないか、今後は北朝鮮内で何が起こったのか解明に全力を挙げる、こういう姿勢で取り組んでいるのが外務省筋の姿勢であるように報道されているわけです。これがもし事実としたならば、北朝鮮異変説をもってそしてその調査に力点を置いているようにとれるんですけれども、もしそういう事態であったとしたならばそのように判断をし出しているという根拠ですね、これをお述べいただきたいと思います。
  144. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) これはもう先ほど来大臣からも累次にわたって御説明を申し上げているとおりでございまして、韓国及びその他の関係国も現在事態の真相ということについていろいろ検討を重ねておられるという状況でございますし、我が国においても同様でございますので、ただいま委員が御紹介になりましたようないろんな説があるということはもちろん私ども承知しておりますけれども政府としてそのうちのどれに加担しているということをも含めて現在の段階で申し上げることはいかがかと思いますので差し控えさせていただきたいと思います。
  145. 及川順郎

    ○及川順郎君 じゃ、その点は了解しました。  大臣、ちょっと確認をしたいわけですけれども、一時、死亡説に傾いた当時、与党内部にも最終的に死亡はしてなかったということがわかって、今までの情報収集のあり方というのが韓国情報に偏り過ぎたんじゃないかという、こういう声があって、いざというとき心配だな、こういう声があった。またその過程においては大臣も事実じゃないかなという発言を周りにされているということを漏れ承ったんですけれども、こういう偏り過ぎた情報収集というものに対する反省点というもの、今回の出来事を通じましてそれがなかったかどうか。この点のぜひ大臣の所見を賜りたいと思うんですが。
  146. 倉成正

    国務大臣倉成正君) お答え申し上げたいと思います。  私に関する限り、この問題につきましては、終始確認できないという立場について対外的に接しておったことは事実でございます。ただ、いろいろな情報があるということについては私ども逐一承知しておりまして、いろんな方面から確実だというような、こういう話を聞いたことはございますけれども、しかし、少なくとも私が公的な場において、外務省金日成主席の問題につきまして、非常に事柄は重大な問題でございますし、また我々も韓国だけの情報じゃなくていろいろな、情報収集についての問題については申し上げるべき筋ではございませんから申し上げませんが、あらゆる手段を講じて、あらゆるところから情報をとっておったということだけは申し上げることができると思います。したがいまして、情報の問題は、いかに努力しましても、またどのような情報の手段が発達したとしましても、十分過ぎるということはないわけでございますから、今後ともいろいろな点で努力したいと思いますが、私は、外務省としてはそれなりに最善の策を講じて、あらゆるところからあらゆる手段を講じて情報は収集しておった、そしてそれに基づいて判断をしておった。いろいろの方面からいろいろ聞かれましたけれども、しかしそれに対しては、おしかりを受けても慎重な対応をしておったというのが現状でございます。
  147. 及川順郎

    ○及川順郎君 そのとおり私はこの場では承っておきますけれども、このような情報収集、それから処理の問題、これは言うまでもなく、一歩誤まれば大規模な国際紛争に発展する危険性をはらんでいるということですね。やはりアジアの一員として、アジアだけではなくて、これは大きく国際的にも広がる可能性もございますので、こうした情報収集、管理、分析、対応等につきまして、慎重の上にも常にもう一歩力を持っていただきたい。これは、やっぱり日本が外交的に国際社会の中で強くなっていくためには避けて通ることができない問題だと思いますので、ぜひそのことを要望いたしまして次の質問に入りたいと思います。  先ほど中国の問題等について、総理のコメントに余り食い違いはなかったという、こういう御答弁でございましたけれども、私はちょっとその受けとめ方はニュアンスが違うんじゃないかなという感じがするわけです。それは、少なくとも一国の総理そして総書記、その責任ある立場の人たちが会って、内容を確認してそれぞれの立場でコメントした。もしそれが両方が完全に合意したという状況であるならば、中国側があれだけ内容を実質的に否定するようなコメントは私はなさらないんじゃないかという気がするんです。この点に対する私は率直な今の外務大臣の、その前後の状況を通じまして日中の関係というのは極めて大事な時期でございますので、やはり今後の日中外交に対する取り組み等も含めまして、その所感を確認をし、そして承っておきたいと思うんですが。
  148. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、総理が北京におきまして胡耀邦総書記との間でお話し合いをなさいましたうちの朝鮮半島問題についてのお話し合いの模様と申しますのは、会談後に我が方で発表いたしましたことでもしあれでございましたら、煩をいとわずということで簡単に御紹介いたしますと、我が方から、朝鮮半島の平和というものは南北対話によ って解決することが望ましい、それから先般のアジア大会に中国選手団が参加したというのは非常によかったということ、それから二年後のソウルオリンピックに参加されるということが非常に重要だと思うという発言をされまして、それに対して胡耀邦総書記から、中国選手団が韓国で非常に温かい歓迎を受けたということは承知しているというコメントがございまして、続けて中曽根総理から、韓国側が南北の直接会談の継続、現在中断しておりますので、さらには米中それから南北の両当事者による四者会談というものが朝鮮半島の平和のために重要だという立場をとっておられるし、それから自分、すなわち日本でございますけれども日本もそういう立場であるという説明をされ、それに対して中国側は特に意見は言われなかったという状況でございます。  それにつけ加えまして、次の日、総理御自身が内外記者会見をやられまして、朝鮮半島の問題についていろんな意見の開陳を行った。これによって自分としては、北東アジアの平和維持と緊張緩和のために韓国側の立場と考え方を中国に伝え、必要があれば韓国と中国の橋渡しとして役立てれば幸いなんだ、このために努力したいということを発言しておられます。  こういう状況で推移し、報道されたわけですが、委員が恐らく言及しておられますのは、その後、たしか先週だったと思いますけれども、より具体的な考え方を総理が伝えられて、それに対して中国側はそういう要望を実現するのは難しいということで断ったというような報道がなされました。それについては、我が方として中国側との間で会談の内容を発表するものとして合意したものと異なっておりますので、一切コメントをしないという態度をとっておりますし、そのコメントしないという態度に対して、中国側も特に異を唱えておりませんので、その点については特に食い違いはないというふうに考えております。すなわち、一部の報道はございましたけれども、その報道を向こう側が確認をしているというわけでもございませんし、我が方は一切コメントしない。中国側もコメントしないということでいる、そういう意味でございます。
  149. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま藤田アジア局長からお話しした点で尽きると思うわけでございますが、朝鮮半島の情勢に関しまして、胡総書記との会談で、総理から中韓関係につきましては、その進展に関しての韓国の熱意をお伝えされた、一般的な形で言及されたということについては、今説明されたとおりでございます。しかし、それ以上のコメントと申しますか、ものについては、先ほどの局長の話のとおりに言及は差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  150. 及川順郎

    ○及川順郎君 それではこの問題はこの段階にとどめまして次に移りたいと思いますが、本日の委員会は外務省所管の決算についてということでございまして、まず会計検査院にお伺いしたいんですけれども外務省予算の使用状況と会計検査を行った所感についてまず伺っておきたいと思います。
  151. 三原英孝

    説明員(三原英孝君) お答えいたします。  会計検査院といたしましては外務本省に毎年実地検査に行っておりまして、そのほか年に一回ないし二回在外公館の方にも実地検査に参っておりますが、検査の結果、従来のところ指摘した事項といたしましては昭和五十四年度に外務本省の電力の使用料金につきまして不経済になっているということを指摘したことはございますが、それ以外の事項につきまして指摘したことはございません。
  152. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、出先機関まで厳しい検査を行っているという状況というぐあいに理解できるわけですけれども外務省の出先機関で、在外公館のこの問題については具体的にどのような会計検査を行っておられたか、このことをもう少し詳しくお願いしたいと思います。
  153. 三原英孝

    説明員(三原英孝君) 在外公館に参りまして検査を行いますのは国内の検査と同様でございまして、現地におきまして帳簿書類などに基づきまして、また担当者の説明を聞きながら主として予算が効率的、経済的に執行されているか、あるいは会計経理が法令に従って適正に執行されているか、あるいは国有の財産とかあるいは物品、こういったようなものが適正に管理されているかどうか、こういったようなものを主なる観点といたしまして検査をいたしておりまして、検査の遂行に当たりまして特に制約というものはございません。十分検査をいたしている次第でございます。
  154. 及川順郎

    ○及川順郎君 経済協力関係等につきましては、やはり相手国との関係がありましてかなり難しい点もあると思いますけれども在外公館予算の検査というのはこれは相手国との関連で心配はないわけですから、これはしっかりやっていただきたいと私は思うんですね。なぜ私はこういうことを今問題提起をするかといいますと、先ほど委員からこの問題出ておりましたけれども予算の使い方、それから決算のあり方、外務省関係が諸外国の関連あるいは外交機密、こういうものを理由にして聖域化しているのではないかという、こういうような声が出るということは極めて残念なことでございまして、ぜひそういうことの出ないようにしっかり取り組んでいただきたいと思うんです。この点私はお願いをしまして、各論については諸外国との関連等もあるでしょうから、ぜひこのことを要望しておきます。よろしくお願いします。  一つはこれに関連しまして、やはり国際協力事業団の問題、私は余り傷にさわるのは好きな性格じゃありませんけれども、非常に大事な国民の税金を、これを本当にガラス張りでしかも効率よく国の内外の発展のために使用していくという、こういう観点から避けて通るわけにはいかないという、こういう感じでぜひ率直な御意見を賜りたいと思うんですけれども、十月に発生しました、警視庁捜査第二課、ここでフィリピンの鉱山開発調査などをめぐってJICA国際協力総合研修所調査研究課課長代理、この方を収賄容疑逮捕したという、こういう出来事が出まして、この件につきまして現在までの捜査経過、これをかいつまんで明らかにしていただきたいと思います。
  155. 古川定昭

    説明員(古川定昭君) お尋ねの件につきまして申し上げます。  警視庁におきましてこれまでに国際協力事業団職員二名と業者三名を贈収賄容疑で検挙しておりますが、その概要について申し上げます。  まず八月十三日ですが、国際協力事業団が発注した海外開発実施調査業務の指名業者選定等に絡みまして、同事業団農林水産計画調査部農林水産技術課の課長代理を収賄容疑で、さらに中央開発株式会社の役員を贈賄容疑でそれぞれ逮捕しております。次いで九月五日に、同事業団が発注した海外開発実施調査業務の指名業者選定、さらに技術提案書の作成等に絡んで、同事業団農林水産計画調査部農林水産技術課の課長代理を収賄容疑で再逮捕するとともに、日本農林ヘリコプター株式会社の役員を贈賄容疑逮捕しております。さらに十月二日に、同事業団が発注した海外開発実施調査業務の技術提案書の作成等に絡みまして、同事業団の国際協力総合研修所調査研究課、当時調達部管理課の課長代理を収賄容疑逮捕するとともに、中央開発株式会社の役員を贈賄容疑で再逮捕し、同じく株式会社全国農協設計役員を贈賄容疑で検挙しており、それぞれ所要の捜査を遂げまして検察官に送致したものでございます。
  156. 及川順郎

    ○及川順郎君 ただいま御説明のあったこの汚職の舞台となったフィリピンの鉱山関連施設整備計画事業、これは二回にわたって一億五千万にも上る調査費が投入されているわけです。これはとうとい国民の血税です。しかし、整備事業そのものは資金がかかり過ぎるというような理由で実施されなかった。これは非常に税金のむだ遣いになるんじゃないかと、こういう感じがするわけですけれども、この調査段階から整備事業が実施できないと決定されるまでの経緯を御説明いただきたいんです。
  157. 英正道

    政府委員英正道君) 近年、ニッケルの市況が非常に世界的に低迷しております。そこで、フィ リピンのパラワン島のリオチバニッケル鉱業株式会社が生産コスト引き下げのための合理化の一環として、高い輸入原油を使うディーゼル発電から低廉な水力発電への転換を検討するに至ったわけでございます。  他方、パラワン島のリオチバ地区は一部を除き無灯火、明かりがない状態にあるために、水力発電の余剰電力を約一万八千人の地区住民に供給すれば地域開発効果も高いということから、同社の日本側構成関係企業からJICAJICA融資、これは関連インフラの整備でございますけれども、そういうものの前提として小水力発電所に関する調査の要請がございまして、五十八年五月にJICAは事前調査を行い、本件調査の実施が決定されたものでございます。  五十九年一月から三月にかけて行われましたタムロン川地区の実施調査では、雨季、乾季の流水量が変わるなどの理由から必要な電力が得られないということが判明いたしました。このため引き続き六十年三月から五月にカンダワガ川地区で実施調査を行った結果、小水力発電所建設はフィージブルであるとの結論が得られました。本件に係る調査報告書は六十年八月関係企業に送付し、調査は終了したわけでございます。
  158. 及川順郎

    ○及川順郎君 ちょっと話題を変えまして、今回の汚職事件に直接関係のある問題ですけれども、発端は事業団の極秘資料で、業者選定基準を定めた評価表、このコピーをコンサルタント会社中央開発取締役の某に渡して、そしてそのJICAの某が謝礼を要求したというように、こういうふうに知らされているわけですけれども、ここで出ております評価表の管理はどのようになさっておられたか、お願いしたいと思います。
  159. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) お答え申し上げます。  その前に、今回の不祥事件によって関係各位に多大な御迷惑をかけまして、申しわけなく、重ねておわび申し上げます。  このコンサルの選定業務というのは、事業団の中でも重要な業務でありまして、各案件について選定委員会が設けられるわけでありますが、その選定委員会における審議経過、それから評価基準、評点等、絶対外部に漏らしてはならない、関係役員に報告する以外は漏らしてはならないということで、厳重に注意をいたしておりますわけでありますが、今回のような不祥事を起こしまして、申しわけありません。その管理は、各担当の事業部の部課において厳重に管理をするように指導しております。この点につきましては、調達部管理課において、今後はさらにその点についての管理の徹底を図るということでやってまいりたいと思います。  なお、私どもの就業規則の四条には守秘義務というものが明記されておりまして、これはあくまでもJICA職員がとってはならない行為でありまして、これは刑事事件になるとならないとにかかわらず、厳重に私どもの処罰の対象になる次第でございます。
  160. 及川順郎

    ○及川順郎君 ちょっと時間の関係で突っ込んだ内容はできませんけれども、ぜひ評価表、その扱い、これについては厳重を期して、二度とこのようなことのないように希望しておきたいと思います。  それからもう一点、関連いたしまして、JICAを直接監督をしなければならない外務省のセクションにいた幹部役員が関係業者と癒着しているという問題もこれは出ておりましたけれども、この問題が出ましたときに、この嫌疑のかかった元課長さんの記者インタビューで、業者からの接待を受けたことは認めたけれども外務省同僚がやっている程度のつき合いだと、良識の範囲だと思うと、こういうコメントを強調されているわけですね。私は、外務省と業者のやっている常識的なつき合いというのはどの程度の範囲を指しているのか、良識という範囲はどの程度の理解を持てばいいのか、この点を確認をさせていただきたいと思います。
  161. 英正道

    政府委員英正道君) 及川委員指摘の新聞報道は、実名を挙げておりませんでしたけれども、内容からほぼ特定できますので、早速に本人から実情を聴取いたしました。その結果、本人は確かに業者と飲食したことはあるけれども、しかしそれは公務員としての常識を越えるものでないということを申しておりました。私どもはそれを信頼したいと思っております。どこまで御指摘のような発言を本人が行ったかどうか、どうもそうでないようでございますけれども、どの程度が基準かと言われても、ちょっと私は返答に窮するわけでございますけれども、これはやはり公務員として、やはりケース・バイ・ケースで、いやしくも世間の誤解を受けたり、そういうことがないように、やはり身を厳しく律していくべきだというふうに考えております。
  162. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは警視庁捜査第二課は、この件で重大な関心を持って捜査を継続中であると。途中過程で御説明いただけますか。
  163. 古川定昭

    説明員(古川定昭君) いわゆるJICA汚職につきましてでありますが、先ほど申しましたように、警視庁において八月十三日の事件検挙着手以来、事業団職員二名と業者三名を検挙しまして、捜査を遂げまして検察官に送致したわけでありまして、現時点におきましては一部裏づけ捜査を残して一応捜査は終結しておるという段階でございます。以上であります。
  164. 及川順郎

    ○及川順郎君 少なくとも監督官庁である外務省の人間も絡んでいたかということになると、これが一般国民に与える政治不信に大きく連動してくる、このように思うわけでございまして、ぜひこの点につきましては外務省当局の襟を正す姿勢を期待をしたいと思います。私はこのことを希望いたしまして、この件に対する質問は終わらせていただきたいと思います。  次に、SDIの問題に質問を移したいと思いますけれども、現在は研究段階ということで、この参加の問題がいろいろ今日までも論議をされてきておるわけでございますが、まず具体的な問題に入る前に、これが仮に研究段階から開発配備という段階になりますと、我が国の集団的自衛権というこの関連におきまして、やはり禁止事項との関連が出てくることは、これは避けられないわけでございます。  そこで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、現在の法体系で、今の政府が意思の問題として行う、行わないという、そういう問題ではなくて、現行法でSDIの開発配備に日本が参加協力することができるか、できないか、これを集団的自衛権との関係で明らかにしていただきたいと思うんです。
  165. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。  最初に、先生指摘の開発配備の段階の問題でございますが、これまでもたびたび御説明申し上げておりますように、現在米国で行われておりますSDI、あるいはSDI研究計画と申し上げてもよろしいかと思いますが、したがいまして我が国が今参加の問題といって検討をし、一つの方針を出しております対象となりますSDIと申しますものが、そもそも一九九〇年代の前半に米国が戦略防衛システムを開発し、配備するかどうかを決定するために必要な技術を提供するための研究として行われておりますものでございますので、現段階ではまだ開発配備の問題というのは全く現実の問題とはなっておらないわけでございます。
  166. 及川順郎

    ○及川順郎君 その問題に関連して、個々の問題を突っ込んでおりますとちょっと時間が厳しくなっておりますので、各論につきましてはまた別の機会にいたしまして、その関連もございますので、外務大臣に伺いたいと思うんですけれども、これは十一月の六日の衆議院の予算委員会におきまして、大臣は我が党の近江委員のSDIに関する質問に対しまして、SDI参加についての米国との協定は、ここに議事録を持ってきましたけれども、「SDIの研究そのものが国家の非常に重要な問題に関する内容を含む問題でありますから、公表できない部分があることは考えられるわけでございます。」と、こういうぐあいに述べていらっしゃいます。これは、従来政府が協定は公表すると言ってきた態度とは明らかにニュアンスが 違うわけですね。公表しない部分もあり得るという見解が、公表の原則に反しないと言える理由は何だったのか、また第一次の打合会でそれを変えなければならない理由があったのかどうか。この点をまずお伺いしたいと思います。
  167. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまの御質問でございますが、現段階で米国政府とどういう協議がどういう結果のものになるか予断することは困難でございます。仮に協議の結果として何らかの文書を作成するということになった場合には、公表し得るものは公表することが望ましい。しかし、こういう立場に立って米国政府と協議をしているところでございますが、全く仮定の問題として、米国との協議の結果、何か文書をつくったと、そういう場合に公表し得るものは公表いたしますけれども、他方、一般的に申しますと、防衛安全保障の面で配慮を要するものがあると、そういうものについては公表を差し控えさしていただきたいと、そういう意味で答弁を申し上げた次第でございまして、西欧諸国と米国との間の文書も不公表のものが多いということも勘案すれば、公表しないものもあり得ると、かもしれないと申し上げたわけでございますが、今協議中でございますから、どういうものになるかということを予測することが困難でございますので、せっかくの御質問でございますから、仮にそういうことになればそういうこともあり得るということを申し上げた次第でございます。
  168. 及川順郎

    ○及川順郎君 国家間で都合の悪いこと、これはまあ秘密にしなければならぬ。こういう部分がある。そうしますと、今の御発言でいきますと、将来そういう事態がある場合には何らかの方策は講ずる、または講じなければならない事態も予測しなければならぬと、このように考えていらっしゃいますか。
  169. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 何らかの方策という意味が、新しい法律をつくるとか、そういう意味でおっしゃるんならばそういう考えはございません。
  170. 及川順郎

    ○及川順郎君 例えば、研究の成果を日本が利用できないとか、そういう点が秘密にしなければならぬ、日本の法律上抵触するからこれは秘密にしなければならぬ。こういうことが出てくることが予測されるわけです。ところが、この秘密にしなければならないという部分というものは、国民の権利や義務に重大なかかわり合いがないとは言えないわけでございまして、この辺の秘密にしなければならないという基準と、そして、それが国民に対してまずい影響とか、あるいは国民に対してどうしても秘密にしておかなければならないというようなその判定はどなたがやって、どういう点で保障するかという点がもう一つ明確になっていないような気がするんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  171. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 先生ただいま御質問の趣旨は、将来日本の、例えばある企業等がSDIに参加をいたしましてある研究をいたしました場合に、その結果出てまいります新しい技術がすべて公開のものになるのか、あるいは一部安全保障上の理由等から非公開のものになるかという御趣旨かと存じますけれども、これにつきましては、結局のところは一つ一つの契約においてその技術の性格その他が勘案されて決められることになるということでございます。でございますから、これについて一般的な原則としてどういう場合は公開、どういう場合はそうでないことがあるかもしれないということはちょっと今からは申し上げられないということでございます。
  172. 及川順郎

    ○及川順郎君 この秘密協定で国民に知らせない協定というものが原則としてはあってはならない、この方向できているわけですから、この点に疑義を抱くような発言、そしてまた対応というものはぜひこれは今後ないように希望いたしまして、私の質問を終わります。
  173. 抜山映子

    ○抜山映子君 本日はインドシナ難民の問題についてお伺いします。  この問題は古いようではございますけれども、本年に入りまして九月までに三百三十名のボートピープルが一時滞在のため上陸している。こういう実情からして、なお新しい問題として我が国として真剣に取り組まなければならない問題と思います。  そこでお伺いしたいのでございますが、このボートピープルですね、これを救助した船舶会社に対する配慮がほとんどなされていないのが実情だと思うんです。これは現状はどういうようになっているか御回答いただけますでしょうか。
  174. 中平立

    政府委員中平立君) 委員指摘のように、このボートピープルの救済というものは非常に重要な人命にかかわる問題でございまして、これに対しては真剣に取り組まねばならないという確信を持っているわけでございます。まあ御質問補償の点でございますが、現在御承知のように、国連難民高等弁務官事務所がこの補償を行っておるということでございまして、細かい数字になりますが、難民一人当たり一日五ドルということでございまして、それに船舶に滞在した日数等に人数を掛けた額ということになるわけでございますが、一応最高額は二万米ドルということになっておるようでございます。
  175. 抜山映子

    ○抜山映子君 これの請求手続はどうなってますか。
  176. 中平立

    政府委員中平立君) これにつきましては、請求は船主責任保険組合というものがございまして、この組合に属している会社につきましては、そこへ書類を送付いたしまして、英語でP&Iクラブということのようでございますが、この責任保険組合がその書類を検討いたしまして、その後に国連難民高等弁務官事務所に転送するということでございます。  他方、この船主責任保険組合に属していない船主につきましては、直接この事務所に請求を提出するということでございます。その際には適切な領収書を含め、すべての証拠書類を提出するということはもちろんのことでございます。
  177. 抜山映子

    ○抜山映子君 先ほど一日五ドルというお話がございました。これを円に直しまして、百六十円と見ますと八百円。これですと、一日の一人当たりの食費に満たないぐらいの金額でございます。こういうことでございますと、救助に要する日数ですね、それによって生ずる損害、そういうものはもっともっと莫大なものになるんですが、これに対する損害のてん補というものは全然考えられていないわけです。そこで、シーマンシップでそれは救助してもらえるはずだ、こういう、外務省の出版物には書いてあるんですけれども、実際には、乗組員はシーマンシップをもって救助したくても、その結果損害が出ると会社側からにらまれるから救助するのにちゅうちょされる、こういう実情があるわけです。  私、実際に姫路の定住促進センターのボートピープルの人に会っていろいろ話を聞きました。そして、そこを卒業した人たちの文集、日本語で書いた文集なるものも読みましたけれども、荒海を数日間何も食べないでさまよっているときに、救助船が近づいてきても通り過ぎていく、何隻目かの船がやっと助けてくれたとか、こういうようなことが実際にあるわけでございまして、何とかしてこの損害の実損ぐらいはてん補してやるような措置が必要じゃないかと思うんです。その点、前向きに取り組んでいただけませんでしょうか。御回答ください。
  178. 中平立

    政府委員中平立君) 委員指摘のように、このボートピープルの海難救助というのは非常に重要な問題でございまして、政府としても真剣に取り組まねばならないと考えているわけでございますが、確かにボートが漂流しているときに、船が通っても助けてくれないというケースはあり得ると思います。しかも、日本船ばかりでなくて、よその国の場合はよく知らぬふりするといううわさも聞いている次第でございますが、いずれにいたしましても、広い洋上で小さなボートが浮かんでいるときに、大きな貨物船、大型の船舶から必ずしも一〇〇%キャッチできるということも難しい、こういう話も同時に聞いているわけでございまして、この補償の問題だけでなくて、今後、こういうボートピープルをいかに救助していくか、 その救助率を高めていくかということは政府としても真剣に取り組まねばならないし、今後とも国連難民高等弁務官とも協議しながらこの問題につきまして真剣に考えていきたい、こう考えているわけでございます。
  179. 抜山映子

    ○抜山映子君 そこで、難民の一時収容施設の収容能力の問題でございますけれども、この収容施設を見ますと、アジア福祉教育財団、日本赤十字社ですね。そのほかに民間宗教団体の善意によるものがかなり多いわけですね。カリタス・ジャパン、それから立正佼成会、こういうものの善意による収容施設があるわけでございまして、この民間宗教団体の善意による収容施設のパーセンテージが三〇%に及んでいる。ということは、政府として一時収容施設の取り組みに少し手薄な面があるんじゃないか、こういう気がするのでございますが、いかがですか。
  180. 大島弘輔

    説明員大島弘輔君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、一時滞在難民、この救援に関しましては確かに宗教団体その他の民間団体の非常な御協力を得ているところでございます。この団体は、UNHCRすなわち国連難民高等弁務官室、これとの契約に基づいて施設の運営が行われておりますが、もちろん政府といたしましても、昭和五十七年には大村難民一時レセプションセンターあるいはまた翌年には国際救援センターというものを設置いたしまして、こういう民間のセンターにたまっております難民を少しでも引き受けようということを努力してまいった次第でございます。  最近の例によりますと、やはりボートピープルといいますものが、幸いにいたしまして日本に参ります数も割に減ってまいりました。しかしながら我々としましては、一応こういう人たちを、何もかも民間の方の負担に任せるというようなことはぜひとも避けたいという考えから、例えば大村センター、これはボートピープルは一応全部入るわけでございますけれども、そこに集まりました難民を直接に、すなわち民間のセンターを経ることなく直接に国際救援センターの方へ持っていくというような形で、少しでも民間の負担を軽くしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  申すまでもないことながら、この難民の事業と申しますものはやはり民間の方々の御支援、御協力というものがなければ不可欠でございますので、今後とも、もし民間の方からの何らかの御要望などがございましたら、私どもといたしましてもできる限りこれにこたえまして、官民一体となってこの難民事業をやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  181. 抜山映子

    ○抜山映子君 民間の善意に期待するのは結構なんですが、例えば姫路の定住促進センターの敷地の手配につきましても大変に難航したと聞いております。その結果、その敷地も結局カリタス・ジャパンというカトリック系の団体から土地を借り受けてやっとそこに建てることができた、こういうように聞いております。この姫路定住促進センターはアジア福祉教育財団のやっているところですから、その土地すら自分たちで手配できないというのはやはりちょっと取り組み方として熱意が足らないんではないか、こういう気がするわけでございます。ひとつ前向きに処理していただきたい、このように思います。  それから文部省の方にお伺いしたいんですけれども、この定住促進センターでやっている日本教育が一応三カ月ということになっております。しかし、実際に定住促進センターにいる難民に聞いたところによりますと、三カ月ではとても日本語の習得はできない、ベトナム語はA、B、Cのアルファベットで表記していますから、日本語については平仮名を勉強するだけでも大変に難しいわけでございます。  この外務省の発行しています「インドシナ難民問題と日本」、これは一九八一年九月発行のものでございますけれども、三カ月後に文集を残していくこととなっている、その日本語の作文は、「三月間の勉強の成果とは思えない立派な出来ばえで、徹底した集中方式による教育が効を奏しているようです。」、こういうように大変安易な見方をしておりますけれども、実際には三カ月ではほとんど日本語が十分聞き取れない。これで外に就職しますと、姫路なんかの場合では関西弁でございますから、標準語で習った日本語ではとても関西弁を聞き取れない、こういう実情があるわけです。そこで、難民の希望はもう少しこの研修期間を延ばしていただきたいということと、それから例えば三カ月たった後は、半分外に出て実際の言葉に接しながら日本語を習得する期間があればより日本語になじむことができると、地方の用語にもなじむことができると、こういうことなのですが、その点改善はできませんでしょうか、お願いいたします。
  182. 田原昭之

    説明員(田原昭之君) お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、文部省では昭和五十四年度から財団法人のアジア福祉教育財団に基礎的な日本教育を実施していただくようにお願いをしておるわけでございます。今もお話ございましたように、この基礎的な日本教育というのは、そのねらいと申しますか、目的は、我が国において日常生活をする上で最低必要な日本語の能力、あるいは就職をする場合あるいは職業訓練を受ける場合に、講義内容等が理解できる程度の日本語能力ということを目的といたしておりまして、お話ございますように、三カ月間集中的に実施をしてきておるということでございます。  先生が今お話ございましたように、これをもう少し長くすべきではないか、あるいは長くしたほうがいいのではないかというお話でございますが、文部省として三カ月というふうに委託期間を定めましたのは、実はこれを、仕事を始めるに先立ちまして、日本語の先生方のいろいろな御意見をお聞きをしたりしました。それから、現在日本でいろんな日本語学校がございますが、それの初級コースというふうなものの実態を調べますと、大体三カ月あれば今申し上げましたような目的を達成できるのではないかということで三カ月ということを決めておるわけでございます。先生も御存じと思いますが、言葉の習得というのはもとより個々人の意欲とあるいは能力というものに非常にかかっておりますので、四カ月、五カ月というふうに一律に決めることはこれはまた問題があるんではないかということで、私どもとしては三カ月の間にきめの細かい指導をお願いをいたしまして、できるだけ日常生活で不便のないような日本語習得をお願いをいたしたいというふうに考えております。
  183. 抜山映子

    ○抜山映子君 私たち日本人が三カ月例えば英語を勉強して、相手の言うことを聞き取るまでに至るというのは至難のわざです。それと同じようなことが彼らについても言えるのであって、実際に彼らが就職するところは肉体労働、おそば屋さんの出前とかそういうふうなところが多いわけです。ところが、言葉が通じないためにトラブルが絶えない。本当に簡単なことでも、あなたの年齢は幾つですか、こう言われればわかっても、あんたの年何ぼと、こう言われるともう全然聞こえない、そういう単純なことでトラブルが絶えないというように聞いております。  したがいまして、三カ月を一律に六カ月に延ばすといっても個人の意欲によって異なると、こういうような非常にしゃくし定規なことでなくて、やはり三カ月が倍の六カ月になれば多少とも違うんですし、また、外に出ながら習得すればまたこれも違ってくるんですし、ひとつ前向きに難民のため御考慮いただきたい、そういうことを希望いたしまして私の質問を終わらせていただきます。
  184. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 SDI問題について質問したいんですが、けさの読売新聞の報道によると、きのうの参議院外務委員会で公明党の黒柳議員の質問に答えて、倉成外相はエックス線レーザーについて、「核兵器か否かは今後検討すべき問題だ」と、そう答弁したとあります。この十一日に予算委員会で社会党の野田議員の質問に対して、首相がSDIの問題で核爆発を直接の殺傷に使う兵器ならもちろん手を引くと、そう答えて注目されまし た。あの日予算委員会の休憩後、中曽根首相は記者団の質問に対して、「「SDIのX線レーザーが核爆発を利用するということは聞いているが、それが直接か間接か、人を直接殺傷するのか、これからの研究の進み方を見ていくということだ」と説明した。」これはあの日の朝日の夕刊に載っているんですが、倉成さん、今後検討をするという基準は核爆発を直接か間接かという問題、もう一つは人を殺傷するのかどうかという問題、今国会でもこの二つが論点になってきましたけれども、主にその二つを検討しようということになりますか。
  185. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 中曽根総理がお答えしたのは従来の核兵器の定義についてお話をしたわけでございまして、これから先の核励起のエックス線レーザーがどういうものかということは、まだ存在しない兵器でございますから、これについてこれがどういうものであるかということをいろいろ我々が云々すべきものではないと、そう心得ておる次第でございます。
  186. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今後検討するというのは何を検討するのかということです。
  187. 倉成正

    国務大臣倉成正君) いろいろ核兵器についての定義ということが従来、御案内のとおり、いろいろな法律をつくる際に国会でも論議されて定義されておるわけでございますが、それについてこれからまたいろいろな意味において核兵器という定義について国際的なコンセンサスと申しますか、いろんな議論が起こってくる場合には、それはそれについて検討するという意味でございます。
  188. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十一月四日の衆議院の予算委員会で菅直人議員の質問に対して、中曽根総理がこう言っているんです。「エックス線レーザーが使われるという場合には、レーザーを起こして発振させる一つのエネルギー源として核爆発というものが使われる、」「その場合は間接的ですね。」と言っているんですね。直接なのか間接なのか、これは首相答弁で問題になっているんだけれども、核爆発のエネルギーを間接に使うというのは一体どういう意味でエックス線レーザーの場合考えているんですか。
  189. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) ただいま先生指摘の総理御答弁における間接的、直接的という問題につきましては、従来ございます核兵器の定義でまいりますと、核兵器というものは端的に言えば核爆弾ないし核弾頭のようなものであると。したがって、そのものは核爆発をいわば直接的に殺傷、破壊に使うというものであると。それに対して、現在問題になっておりますエックス線レーザー兵器なるものはまだこれは存在しておりませんので明確なことは申し上げられませんけれども、エックス線レーザーの場合には核爆発をレーザーのエネルギー源として使う。したがって、エックス線レーザー自体は破壊力になるけれども、そのエックス線レーザーを発出するための核爆発というものはその意味で間接的性格を持っていると、そういうふうに御説明になったものというふうに承知しております。
  190. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まだ存在しないというけれども、このエックス線レーザーの実験はテラー博士のローレンス・リバモア研究所で実験もずっとやっておりまして、もう既にことしの八月までに既に六回以上地下核実験をこれについて行っているということは御存じと思うんですね。実験が成功したからレーガンは八三年三月のスターウォーズ演説をやったと、そういうことになっておりまして、全く存在しないといっても、かなり今実験が進んでおるんだということは言っておきたいと思います。  さて、直接、間接の話ですけれども、私ここにSIPRIの年鑑、八五年の「世界の軍備と軍縮」というものを持ってまいりました。これに「第三世代の核兵器」という章がありまして、このエックス線レーザー問題もかなり詳しくSIPRI年鑑に書かれています。これによりますと、水爆から放出されるエネルギーの約八〇%はエックス線の形をとると。だから水爆を使うことは御存じですな、エックス線レーザーは。水爆をエネルギー源に使うわけですね。そのとき爆発のエネルギーの八〇%はエックス線なんですよね。そのエックス線を四方八方に拡散してしまうんだが、四方八方の拡散ではミサイルを撃ち落とそうとしても、無防備のミサイルの場合三キロというんですよ。これではだめなので、エックス線を周囲に均等に拡散させるのではなくて、ビームとして収束させることが可能ならこれがレーザー兵器になると。エックス線レーザーはまさにそのような目的を持って設計された装置だと、こうあるんですね。この場合はエックス線を拡散するんじゃなくてビームにして飛ばそうと、大気圏外で。ということだけなんだから、破壊のエネルギーというのはまさに水爆の爆発力、エックス線エネルギーをそのまま使うものだということは明らかだと思いますが、渡辺審議官いかがですか。
  191. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 先生指摘のような論文がSIPRIの年報に出ておることは私ども承知いたしております。それでこの論文は確かにその一部分においてそのエックス線レーザーというものの技術的な、あるいは原理的な説明をいたしております。そのエックス線レーザーというものと、それからエックス線レーザー兵器というものは恐らく区別されるべきものであろうかと思いますが、この論文自体もエックス線レーザーというものは、対弾道ミサイル兵器として機能するチャンスはほとんどないという結論を出しておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたのは、そのエックス線レーザー兵器というものはいまだに存在しない兵器であるということでございます。  それからもう一つ先ほど先生指摘になりました点のうち、レーガン大統領が今回のSDI研究計画のもとになります構想を提唱いたしましたのは、むしろ私ども理解いたします限り、非核の手段を用いて攻撃用の核兵器を次第に無力化し、時代おくれのものにすると。したがって、それは究極的には核廃絶につながるというものが目的であるので、したがって、そのための手段としての防衛システムの方も非核でなければならないという理念に基づいて、その非核のシステムができるかどうかを研究するということでこのSDIが始まったというふうに承知いたしております。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 渡辺さん、SIPRIのこの論文をそうひん曲げちゃだめですよ。このSIPRIの論文は、実用性はゼロだという結論をいろいろ分析して出していますよね。これはSIPRIがエックス線レーザーその他第三世代の核兵器について非常に批判的なことで結論を出しているので、だから存在しないんだというんじゃなくて、これを存在すべくアメリカが研究し開発しているからSIPRIはその批判をしているんです。それでこの論文に第三世代の核兵器ということが書かれておりますけれども、この第三世代の核兵器という問題は、私は去年の三月の予算委員会でも、アメリカ国会でランバーソン米軍中将がエックス線レーザーというのは第三世代の核兵器なんだという答弁をしていることを引用、指摘しましたけれども、第三世代の核兵器というのはこの論文によれば、一つは中性子爆弾、もう一つはエックス線レーザー、もう一つは核パルス、電磁波パルスの爆弾と、この三つが第三世代の核兵器だと言われて、この論文は水爆の変形だと書いてあるんですね。だから完全に核兵器だということは明らかだと思うんですけれども倉成大臣、このSIPRI年鑑という最も権威ある核兵器問題の文献が、エックス線レーザーは第三世代の核兵器であるということがはっきり書かれていることは、これは今後検討する際に参考にされますか。当然されると思いますが。
  193. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 学者によるエックス線レーザーに関する技術的側面について、恐らくマサチューセッツ大学の教授だと思いますが、いろいろお書きになっていることは承知しております。しかし、やはりこれはまだ本当に現在存在しない兵器について原理的な研究が行われている段階だと我々は承知しておるわけでございまして、エッ クス線レーザーについても核励起のものももちろん一つの原理的には考えられるでしょうし、核励起でないエネルギーを使ったエックス線レーザーも考えられましょうし、原理的にはいろいろなことがあろうかと思いますけれども、少なくともまだ存在しない兵器について具体的にいかなるものがあるかということについて予断はできません。しかしいろいろな文献があることも私も本を読むことは好きでございますからいろいろ読ましていただいております。
  194. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 エックス線レーザーが核励起でないものがあり得ると言うんだけれども、本読むことお好きだというので繰り返しませんけれども、ブースト段階でICBMを撃ち落とさなきゃならぬと。ブースト段階が終わったんじゃMIRVで核弾頭いっぱいになっちゃいますから。ブースト段階でレーザーでやろうと思いますとエックス線レーザーが一番強力なんですよ。その強力なエックス線レーザーのそのエネルギーを得るためには水爆によるエックス線パルスを使うと、これしか今のところ考えられないということになっているからこそ、エックス線レーザーがSDIで最も重要な兵器の一つとして位置づけられているわけです。このことを議論していてもしようがありませんけれども、それではまだ存在しない兵器だとおっしゃるんだが、今後これがエックス線レーザーが第三世代の核兵器だということになれば、もしこのエックス線レーザーがアメリカのSDIシステムの中で実際に使われるということになった場合、これは今まで中曽根首相もレーガン大統領からSDIというのは非核の防衛システムだと、それからもう一つは核兵器廃絶のためだということを聞いておりますのでということで肯定的な答弁をされ、SDIの研究に日本参加を決めたわけですね。しかしその中の非常に重要な非核ということが怪しくなってくるわけですよね。そうなると、もしエックス線レーザーがSDIのシステムの中に位置づけられるということになった場合にはSDIの研究参加、これは当然おやめになるんでしょうね。明確に答弁してください。
  195. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ちょっと今ブースター段階のお話がございましたけれども、ブースター段階も大気圏内のブースター、加速の段階、それから大気圏を越えた段階とあるわけでございまして、大気圏を越えた段階のブースター段階についてという意味でおっしゃったと思うんですが、大気圏の中ではエックス線というのは拡散するわけですからなかなか……
  196. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 拡散じゃなくて減衰するんです。
  197. 倉成正

    国務大臣倉成正君) まあそれは結構です、そういう御説明でも結構でしょうが、少なくとも効果は薄くなるということは御承知のとおりですね。ですから原理的にはいろいろなことが言われておるわけでございますが、少なくともSDI計画については研究分野についてはもう委員が専門的に御専門のことですから釈迦に説法でございますから、SATKAから始まりまして、とにかく……
  198. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは聞きました、もう何回か予算委員会で、SATKAからというお話は。
  199. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ですからとにかくまず見つけるということが一番大切ですから、それができなかったらまず何にもできないわけです。これから始まりまして、その撃ち落とす手段として運動エネルギー兵器、指向性エネルギー兵器、それから残存性破壊力、それからまたC3Iというそういう指揮、コントロールの段階の問題があるわけでございまして、その指向性エネルギーの中のその部分的な一つとしてエックス線レーザーというものが研究分野に挙げられているというわけでございますから、全体の中の一つがいろいろまだ存在しない場合におきまして非核、SDI、すなわち防衛戦略構想、SDIの研究そのものが非核の手段によってひとつ弾道弾を無力にしようという構想、研究でございますから、この研究に参加をするということは、決して我が国の平和国家としての立場については、また国会決議の段階からも矛盾しないと考えて研究参加に決定した次第でございます。  なお、あわせて申し上げますと、軍備管理あるいは軍縮問題と並行してこれは行うべきである。あるいは、これが開発、配備の段階になれば、これは同盟国とも、ソ連とも協議をするということ、一方的な優位は求めない、そういうことがしばしば明らかにされておるわけでございますから、私は、SDI研究計画とエックス線レーザーそのものとそのままオーバーラップされる議論にはくみするわけにはまいりません。
  200. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、指向性エネルギーの一つという位置づけは当然いいですよ。その指向性エネルギーの一つのエックス線レーザーを今後検討して、第三世代の核兵器だとSIPRI年鑑なんかも明確に書いているように、またアメリカの議会でも証言された核兵器だということがわかった場合、今後わかった場合、検討の結果、あなたきのう検討すると言ったんだから、エックス線レーザーはまさに第三世代の核兵器だ、水爆の変形だ、エックス線パルスをただビームとして収束して使うんだ、破壊力を。その破壊力を活用する兵器だという結論になった場合、そのエックス線レーザーがアメリカのSDIシステムの中で位置づけられたら非核のシステムではないということになるんで、その場合日本としては手を引くという結論をお出しになるんですねというのが私の質問です。単純に答えてください。
  201. 倉成正

    国務大臣倉成正君) SDI研究そのものが非核のシステムであると我々は理解しておるわけでございますから、まだ存在しないものについて第三世代の核兵器であるとか何かというような問題について今言及するのはいかがなものかと思う次第でございます。
  202. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 存在しないといっても、五年間のSDI予算の中で化学レーザーの二倍についているんですから、エックス線レーザーというのは。とにかく研究進行中なんですよ。研究の結果、エックス線レーザーを使うシステムだ、指向性エネルギー兵器の一つとしてエックス線レーザーを使うということになったら、これは非核三原則を持っておる日本としては、また国会決議を持っておる日本としては当然手を引きますねというのが私の質問です。もう一度答えてください、逃げないで。
  203. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 御案内のとおり、日本は非核三原則を持っておりますし、またNPT条約にも参加している国でございますから、いわゆる核兵器を製造する技術をそもそも持ってないわけでございますから、そういう兵器がもしあるとすれば、そういう兵器についての研究分野に参加するということは考えられないわけでございます。  しかしSDIの研究については、これは非核の構想について、研究について、我々がその個々のプロジェクトに研究参加するわけでございますから、この点については、エックス線レーザーを殊さらに強調されまして、しかも、そのエックス線レーザーが核励起エックス線レーザー、しかもそれが非常に全体の重要部分であるというふうに断定されましてお話しをいただきましても、それをちょうだいするわけにはまいらないと思うわけでございます。
  204. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いろいろお逃げになりますけれども、エックス線レーザーがもしSDIシステムの一つとして採用された場合には、非核三原則の国として参加されないということはとにかく言わざるを得なかったということを確認しておきます。  SIPRIの論文では、この第三世代核兵器というのは、人間、また環境への影響は核兵器と差がないということ。それからこれが、与えられた軍事的任務がいろいろ違っても、通常兵器でなく核兵器であるという根本的事実に変わりはないということ、だから核戦争へのエスカレーションに導くということ。三番目に、第三世代核兵器の開発と実験は全面的核兵器禁止に関する交渉の結実をより困難なものにする、等々と非常に厳しい警告を発しているのですね。私は、中曽根内閣が今 回のSDIの研究参加、こういう不当な決定をぜひ取り消すことを求めて、質問を終わります。
  205. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですから、外務省決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十一月二十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会