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1986-11-21 第107回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十一日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月三十一日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     北  修二君      永野 茂門君     杉元 恒雄君      宮崎 秀樹君     金丸 三郎君  十一月四日     辞任         補欠選任      金丸 三郎君     宮崎 秀樹君      北  修二君     沓掛 哲男君      杉元 恒雄君     永野 茂門君  十一月六日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     田中 正巳君  十一月七日     辞任         補欠選任      寺内 弘子君     森山 眞弓君  十一月八日     辞任         補欠選任      森山 眞弓君     寺内 弘子君  十一月十一日     辞任         補欠選任      田中 正巳君     中曽根弘文君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 大島 友治君                 鈴木 省吾君                 梶原 敬義君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 板垣  正君                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 杉山 令肇君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 久保田真苗君                 山本 正和君                 刈田 貞子君                 田代富士男君                 佐藤 昭夫君                 関  嘉彦君    国務大臣        文 部 大 臣  塩川正十郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      三ツ林弥太郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      矢橋 有彦君        科学技術庁長官        官房審議官    川崎 雅弘君        科学技術庁科学        技術政策局長   中村 守孝君        科学技術庁科学        技術振興局長   藤咲 浩二君        科学技術庁研究        開発局長     長柄喜一郎君        科学技術庁原子        力局長      松井  隆君        科学技術庁原子        力安全局長    佐々木壽康君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省教育助成        局長       加戸 守行君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        文部省高等教育        局私学部長    坂元 弘直君        文部省学術国際        局長       植木  浩君        文部省体育局長  國分 正明君        文化庁次長    久保庭信一君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第一課長    植苗 竹司君        法務省入国管理        局入国審査課長  大久保 基君        法務省入国管理        局警備課長    書上由紀夫君        外務省国際連合        局外務参事官   村田 光平君        大蔵省主計局共        済課長      山口 公生君        大蔵省主計局主        計官       伏屋 和彦君        厚生大臣官房審        議官       代田久米雄君        水産庁漁政部水        産流通課長    竹中 美晴君        郵政省通信政策        局宇宙通信企画        課長       山本 忠伸君        労働省労働基準        局安全衛生部長  福渡  靖君        会計検査院事務        総局第二局長   天野 基巳君        会計検査院事務        総局第四局審議        官        山本  正君    参考人        宇宙開発事業団        理事       船川 謙司君        国家公務員等共        済組合連合会理        事長       戸塚 岩夫君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は文部省及び科学技術庁決算について審査を行います。     ─────────────
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 梶原敬義

    梶原敬義君 最初文部省の方から入らしていただきます。  昭和五十九年度決算検査報告書というのを今持っておりますが、ここで文部省に関する会計検査院から幾つかの指摘事項等が挙がっておりますが、この中で、私はことしの一月の二十三日の本院のこの本委員会で取り上げた問題でございますが、「義務教育費国庫負担金の経理が不当と認められるもの」、俗に言う水増し定員の問題でございますが、この問題につきまして一つだけお尋ねをいたします。  私が地元の小学校PTA皆さんからことし相談を受けたんですが、五月以降見通し狂いもあってわずか一名定員が、学校生徒が、クラス生徒定員を割ったということで、今までちゃんとクラス編制をしておったのを五月一日以降にクラスがえをして、そしてクラスを減したということでございます。どうしてこれがたった一名ぐらいのことでそうしゃくし定規にしなければいけないのか、この点について文部省の方で一体もっと現実対応が、そういうたった一名減ったような場合のときにおいては、もう少し県の教育委員会等自主裁断余地を残して、PTAあるいは子供が混乱しないように、そういう行政指導はもっとできないのか、この点について最初文部省お尋ねします。
  7. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先生ただいま御指摘ございましたように、教職員学級編制並びに教職員定数算定に当たりましては、五月一日付の調査児童生徒数報告に基づいて行われるわけでございます。それに基づきました算定方式によりまして各都道府県ごと教職員の総定数算定いたします。それを具体的にどのように配分するかは都道府県の問題ではございますが、御承知のように四十五人学級あるいは四十人学級というそういった児童生徒数に基づきます学級編制を行います関係上、厳密には各学校ごとに例えば何学級編制であるというようなことが定められ、また教職員が割り振られますために厳密を期するという傾向が強いわけでございます。またこのことが先生指摘ございましたいわゆる水増し報告とも関連いたすわけでございますけれども、当初の見込みと違いました数字等出てくるわけでございまして、場合によりましては年度途中の学級編制変更にもつながるということがございました。  そこで、この水増し報告等に関連いたしまして昨年末に文部省の方から通達を出しまして、もちろん児童生徒数見込みを適正に把握するということが先決でございますけれども、と同時に年度途中におきます児童生徒変更に伴います学級編制あるいは教職員定数配置につきましては、弾力的な対応を行うように各都道府県に指導しているわけでございまして、今申し上げましたような事態が、なるべく教育上の効果その他も勘案いたしまして、年度途中の学級編制影響を与えないような方向での運用を各都道府県にお願いしている段階でございます。
  8. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういう通達が出て私は一歩前進だと思うんですが、学校先生異動見通し立てるのは、二月三月に配置転換をやりまして、そして四月八日に新学期が発足するわけですから、なかなか一名二名というのは見通しと狂う場合があると思うんですね。そこのところを、狂った場合にあとは校長先生が何かうその書類を教育委員会に出すような形じゃなくて、これは正直に見通しが一名狂いましたと、どうしましょうかと、これはひとつ今のままでいかしてくださいと、そういう裁断余地が残せるという、今のはそういう解釈でいいんですね。  それからまた会計検査院お尋ねしますが、なかなか会計検査院は、非常に私は日本会計検査院というのは優秀だと思うんです、いろいろ決算委員会でおつき合いさせていただいて。ただ、やっぱりこの場合の扱いというのはなかなかしゃくし定規で、学校校長処分されるというのは地方新聞に出るんですよ、現場責任者処分、あるいは教育委員会のだれそれ処分と、学校ごとに検査していくものですからね。だからこれは教育委員会あるいは県の教育委員会全体のサイドで一体どう判断するかという問題で、学校ごとにやられたら見通しが狂うことあるわけですから。この点については文部省会計検査院に最後お尋ねし、もう少し現実対応ですね、本当に悪気があってやるんじゃなくて、やってどうも見通しが狂って一名か二名の減の問題については、そうPTA子供が困らないような、そういうような内部の裁断でやれるようなそういう措置を前向きに検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  9. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先ほどお答え申し上げましたことは、基本的には年度途中の児童生徒変更に伴います学級編制のことを申し上げまして、いわゆる当初、つまり年度の、例えば一月とか二月の段階で想定いたしましたものが実は四月の入学の時点で減っていったというようなケースについてのことでは直接なかったわけでございますが、それはあらかじめ想定しまして、都道府県の全体的な定員をある意味では若干プールしておいて、弾力的な対応が可能な方途を講ずるということは一つ考えられるわけでございます。  ただ、先生おっしゃいますように余りそれを一般的に奨励するような結果になりますと、あらかじめそういう過大に見積もって、それで結果がこうなりましたといって、県全体の定数が足らなくなるということもございますので、あくまでも先決はまず児童生徒数の適正な把握ということが先決問題でございますけれども、と同時にやむを得ざる事情にも対応できるような各都道府県内全体の弾力的な対応ということを指導申し上げているところでございます。
  10. 天野基巳

    説明員天野基巳君) 公立義務教育学校学級編制につきましては、市町村教育委員会が県の認可を得て行っているところでございますが、先生指摘もございましたように、児童生徒の流動の大きいような大都市等ではいろいろと御苦心なさっているということは我々も現地に参りました際聞いて十分承知しているところでございます。  ところで、今先生お尋ね義務教育費国庫負担金についてでございますけれども、これは義務教育費国庫負担法に基づいて、公立義務教育語学校に要する経費のうち、都道府県の負担する教職員給与費等経費について原則としてその実支出額の二分の一を国が支出しているものでございます。そしてその負担額につきましては法令等の定めるところに従いまして、例えば給料等の実支出額特定日在学児童生徒数を基礎として計算されますところの係数によって調整するなどして算定することになっております。  このように負担金算定につきましては、法令にきちんと決められているものでありますから、本院といたしましては、この負担金が定められたとおり適正に算定しているかどうかという観点に立って指摘するのが適当であると考えております。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう予定した時間をオーバーしましたが、要するに少しは、先ほど言いましたように、悪意でやれば別だけれども、そういう若干この見通しが狂った場合においては、見通しというか、四月と五月一日の間にそういう差が出た場合においては、さっき文部省が言ったようなそういう幅というのは、これは会計検査院も県全体のことを言っているんであって、そこはそう一々問題になるものじゃないと、こういう解釈でいいんですね。
  12. 天野基巳

    説明員天野基巳君) 学級編制が、いろいろ児童生徒増減に従いまして実際の学級編制をどうするかという問題は、これは先ほど申しましたように、市町村教育委員会が県の教育委員会認可を受けて行っているものでございまして、それはそれぞれの現実に従いまして対応するものでございます。  一方、この負担金計算は、あくまでも法令等の規定に従いまして一定のルールに従って計算するということになっておりますものですから、それとは若干、私の方の指摘が実際の学級編制をどうするかという問題とはまたちょっと別の問題ではなかろうかと思います。これはあくまでも負担金計算するための方法であるということでございます。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、もう答弁要りませんが、さっき言いましたように、一名ぐらいの狂いというのはやっぱり非常に出てくる可能性がありますから、それをとらえて犯罪扱いみたいな形に持っていくようなやり方というのは、やっぱりいろんな意味からゆがんだ形が出てきますから、文部省会計検査院と、そこのところは指摘をされている以上は、もう少し詰めて、そして、私がさっき一番先に申し上げましたような現実対応ができるように、それはひとつこれから詰めていただきたいと思いますし、また、折を見て私はこの点について調査をして、また質問させていただきたいと思います。  次に、同じく義務教育費国庫負担関係でございますが、旅費とか教材費については昭和六十年度にこれから外れたようですね。したがって、その延長線上で学校事務職員やあるいは栄養職員国庫負担対象から除外しようと、こういう動き大蔵省サイドに強いような報道を聞いておりますが、私は事務職員栄養職員もこれは戦後の教育に根づいた基幹職員だと、こう思います。これを国庫負担対象から外すということは義務教育根幹にかかわる問題だと認識をするところでございます。  大蔵省のこういう動きに対して文部省は頑張っていると思いますが、文部省の強い対応、これをお伺いをしたいと思います。  それから、大蔵省は、私は今、少し推測で物を言いましたから、できればこの席上で、いやそんなことはないと、これは対象に永久に入ると、こういうひとつ決意を申し述べていただければ、もう問題がないんでありますが、よろしくお願いします。
  14. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) これから年末にかけましての予算編成段階で議論になり得る事柄であろうと考えておりますが、文部省といたしましても、学校事務職員並びに学校栄養職員学校の基幹的な職員でございますし、考え方といたしまして、現在、当然国庫負担対象となるべく予算の要求を行っているわけでございます。これから、今申し上げました趣旨に沿いまして関係省庁とも協議して対応すべきことは適切に対応すべき事柄だと考えております。
  15. 伏屋和彦

    説明員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  六十二年度予算編成に当たりましても、御承知のように極めて厳しい財政事情にあるわけでございまして、歳出全般にわたりましていわば徹底した節減合理化ができないものかと考えておるわけでございます。  この義務教育費国庫負担制度につきましても、このような状況のもとでございまして、また一方で臨調、行革審の答申等も踏まえまして種々検討してまいりたいと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後の予算編成過程を通じまして関係省庁と協議しまして検討してまいりたいと考えております。
  16. 梶原敬義

    梶原敬義君 答弁要りませんがね、金がないないと大蔵省言っておりますし、税収の大変な落ち込みというのは、大蔵省がここ三、四年から大蔵省を中心とする縮小均衡型を目指した。しかも結果的には縮小均衡じゃなくて、今度は補正予算財政出動をするような状況なんです。そういう状況をつくり出して、大蔵省の経済、財政運営の問題がやっぱり出て、さらに財政の厳しさというのが今日出ているわけですからね。何も国の金は大蔵省だけが握ってあっちこっちに配るようなそういう不遜な態度はやめて、今文部省が言っているように、義務教育根幹にかかわる問題だから、何もそんなことは大蔵省はわかりはせぬのだから、義務教育のことや子供教育の問題はやっぱり現場の意向というのを十分聞いて対応をしていただきたい。大臣、いかがでしょうか、この点については。
  17. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど局長が答弁しておりますように、できるだけこの問題について予算重要事項として極力我々も頑張って現状維持を継続していきたいと思っております。
  18. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、筑波身障者短大に関する問題について若干質問いたします。  視聴覚障害者のための筑波技術短大、これが設立準備中ということを聞いておりますし、昭和五十三年以来、国の予算をつぎ込んでおりますが、開学がおくれている理由は一体何なのか、この点について最初にお伺いします。
  19. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 近年、視覚障害あるいは聴覚障害を持っておられる方々の中から、あるいはそれの親御さんたちから、その方々のための新しい高等教育機関をつくってほしいという大変強い要望がございました。先生指摘にございましたように、昭和五十三年以来筑波大学にお願いをいたしまして、そこで具体のプロジェクトについての調査研究を進めていただいてまいったわけでございますが、その基本構想がまとまったという段階までまいりましたので、昭和六十二年度にこれを設置したいということで今努力をしておるところでございます。  御指摘の、調査研究にかなり時間がかかったではないかということでございますけれども、身体障害者のための高等教育機関をつくるということは、我が国では全く初めてのことでもございますので、いろいろその設置の形態をどうするか、あるいは障害者に適した職域というような観点から、学科、分野等の構成をどういうふうに考えていくか、あるいは教育方法についてどうするかといったようないろいろな問題につきまして関係者により十分協議をすると。同時に、諸外国あるいは国内の関係教育現状等もよく調べて、いい中身のものをつくっていきたいということで時間がかかってきたということでございます。先ほど申し上げましたように、一応の基本構想もまとまった段階でございますので、これからその設置に向けて努力をしたいという段階にあるわけでございます。
  20. 梶原敬義

    梶原敬義君 二点についてお伺いします。  一つは、視聴覚障害者皆さん盲学校現場で強い反対があるのではないか。これが第一点。  第二点は、同じ筑波大学附属盲学校がこれに強く反対しているという事実を私は知っておりますが、この点について文部省はいかに承知をしているか。この二点についてお尋ねします。
  21. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) この件につきましては、先ほども申し上げましたように、視覚障害者団体聴覚障害者団体、あるいはその子供さんを持っておられる親御さんたち団体、いろいろな関係者から強い熱望があって進めてきておるものでございます。一部に御指摘のように反対の御意見等があるわけでございますけれども、まあ要すれば私どもといたしましてはこういう学校をぜひつくって、そこに進学したいという人々のためにこれをつくろうとしているわけでございまして、一般大学へ行きたいという方々のための一般大学における受け入れというものと両々相まって、その発展を願っていかなきゃならない、こういうような構えでこの問題に対応しておるわけでございます。
  22. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは、二点についてさらにお尋ねします。  この同盲学校では、高卒者対象としたはり、きゅう、マッサージ師養成の三年課程のこれは専攻科がありますね。この専攻科を順次短大に昇格をしていくというような、そういう現実的な方法の方がいいんではないかと、こう思いますが、この点についていかがでしょうか。  それから、まあ皆さんの進めている方針に対してやっぱり問題があるぞと、こう言っている視覚障害者の当事者とか、あるいは学校現場筑波大学を入れた文部省がやっぱりもっと話し合いを、これ五十三年からまあこれは研究研究と言っても、これは今昭和六十一年ですからね、しかも予算を二千万ぐらい今入れているんでしょう、そういう状況ですから、これはやっぱりどういっても問題があると思う。だからやっぱり、それはさっき言いましたような皆さん方とも話し合いをよくして、そしてその上でやっぱりスムーズに早急に進めると、こういう対応をしていただきたいんですが、その二点についてお伺いします。
  23. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) まあ御指摘のようにこれまでも盲学校聾学校等専攻科が置かれておるということは、全国的に存在をしておるわけでございます。今回の考え方は、内容的に非常に高い水準のものを今度は短期大学として構想しようということでございますので、まあ英知を結集してまずこういうものをつくっていこうということで対応しておるものでございますので、現在ございます専攻科短大と変えればということでなく、もっとレベルの高いものを考えていくということでございます。これができ上がりました段階では、またこの短期大学での教育研究の成果というのがいろいろな形で現実盲学校聾学校等における教育にもいい影響を与えていくということになってくることを期待をしておるわけでございます。  なお、反対を言われる方々との話し合いにつきましては、これまでも筑波大学に置かれました準備室におきましても、あるいは文部省といたしましてもお話し合いには応じてまいり、いろいろ意見交換等はその都度やってきたわけでございますので、御要望があればまたお話し合いをするということについてやぶさかではないつもりでございます。
  24. 梶原敬義

    梶原敬義君 今の答弁で、もう少し高いレベル短大というお話がありましたが、かつて高等職業訓練所を今のような不況で高齢化社会になって、高齢者の職業訓練転換のために一つは専門学校にして、一つ短大にしたんです。そのときに私もその問題を取り組んだことがあるんですがね。なかなかこれは皆さんが考えていることは理想かもわかりませんが、しかし現実にやっぱり現場意見が、今振りかえってみますと、現場皆さんが言ってた方向というのが、やっぱり現場は一番よく知っているんですからね。ある意味では今何年かたちましてやっぱり正しい面も出ているわけです。ですから、よく現場皆さんの、あるいは障害者皆さん意見を聞いていただいて、本当に客観的に問題を見詰めていただいて、速やかな対応をお願いを申し上げたいと思います。  それから、次に柔道の問題を文部省に質問をいたします。  今、私は新聞を持っておりますが、六十一年十月十六日の各紙が報道しておりますが、「柔道、講道館以外の段位」「学柔連が独自に認定」「全柔連との対立深まる」「四十年の独占崩れる」、こういう記事は大臣読まれたと思うんですね。私も若いときに学生時代柔道をやっておったものですから、こういう今までのたび重なる記事を見て問題意識を強く持ったんです。その点について今から質問をしてまいりたいと思います。  単純な話でありますが、ことしの韓国で行われましたアジア大会で、日本のお家芸であります柔道ですね、八階級にわずか二階級しか優勝できなかった。これはいろんな原因があると思うんですが、私はその原因について文部大臣が一体どうお考えなのか、また今日全日本柔道連盟と全日本学生柔道連盟、二つに分裂している、こういう状況を文部大臣として一体どうお考えになっておるのか、この点について最初お尋ねをいたします。
  25. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 一つは、柔道が最近非常に力のわざになってきたと思うんです。私も中学校のとき、五年間柔道が正課でございましてやりましたが、そのときはやはりわざが中心でございましたが、このごろは何が何でも力づくでやっちまうという柔道にどうも変質してきておるように思うのでございまして、これは国際化の傾向がこういうことを生み出してきたと思うております。したがって、日本の柔道の技術もそれに合うようなものを考えなければならないのではないかというのが一点でございます。  それから第二点は、柔道に精進いたします層が、スポーツ人口がふえており、またオリンピック等でこういうふうに花形競技になってきておるのにかかわらず、柔道を専業としてやっていく人が非常に少なくなってきたと、つまりすそ野が広がっていないということ、これが優秀な選手を生み出すのに非常に私は憂慮すべきことだと思うておるのであります。  それともう一つは、柔道界の中で、先ほど梶原さん御指摘されましたように、どうも柔道界の中が一致団結して国際競技に勝とうというそういう気合いが薄い、そういうこと等も今回大いに反映しているのではないかと私は思うのでございます。  そこで、この問題につきまして今後どうするかということ。まあ柔道界だけの問題ではなくて、日本のスポーツ競技全体のレベルアップをどうするかということ等を考えまして、今、文部省体育局を中心にいたしましていろいろと構想を練っておるところでございまして、それがまとまりましたら、それを対策に移していきたいと思っております。
  26. 梶原敬義

    梶原敬義君 二つの分裂の問題です。
  27. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私は非常に残念なことだと思っております。  以前、戦前でございましたけれども、その時分は講道館の段位とそれから武徳会、武専と私は言っておりましたが、武専の段位とございました。しかし今は、段位は講道館に一本化されてきております。これにはやはり柔道が日本で発足し育ってまいりました歴史的経過というものがございますし、それなりの伝統があろうと思うのでございます。一方におきまして学生の諸君は、柔道界を支えておるのは我々学生柔道連盟だという意識が非常に強くございまして、私はこれも適当な意見だ、正しい意見だと、こう思います。ついては、この伝統的な柔道を守っていこうという講道館関係方々と学生連盟を中心といたしました柔道の専門家、こういう方々ができるだけ早く一つの団結の姿を出してもらいたい、こう思っておりまして、いろいろと私たち努力をしてまいりたいと思っております。
  28. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、ことしの二月二十四日の衆議院の予算委員会で、海部文部大臣は大出議員の質問に対して、「三団体それぞれ来ていただいてこちらの気持ちを伝えて、何とか話し合いをして一本化をして、我が国柔道界のために力を合わせてほしい、こういう指導を行っておる最中でございます。」こう言って、後そういう努力をするということをたびたび言っているんですが、その後どういう努力をしたのか、その一本化に向けて。
  29. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 先生ただいま御指摘のように、この二月から三月にかけまして、何とか柔道界の内紛というものを正常化いたしたいということで関係の三団体——全日本柔道連盟、それから学生柔道連盟、それから大学柔道連盟、三団体関係者の方に個別に文部省においでをいただきましてお話し合いを続けました。何とか柔道界全体が統一されるようにという観点からお話し合いをしたわけでございますが、なかなか御意見がございまして、結果といたしまして残念ながら不調に終わったというのが経緯でございます。  ただ、その際各団体共通の要望事項と申しますか、課題と申しますかは、一つは現在の全柔連の運営について積極的な改善をしてほしい、あるいは改善をしたいということ、あるいはその全柔連を法人化すべきである、こういうのがいわば共通的な課題であったわけでございまして、その後全柔連サイドにおきまして法人化の検討が進められておりますので、文部省といたしましては、その全柔連が我が国の柔道を真に代表する統括団体あるいは競技団体としての性格を明確にしますとともに、これにふさわしい組織、体制を確立すること、それからもう一点は、現在全柔連が講道館といわば表裏一体的な運営がなされている点があるわけでございますので、やはり独立した団体として管理運営面あるいは財政面についてきちっとすること等を基本線といたしましてその法人化に当たっての指導を現在行っておる、こういう段階でございます。
  30. 梶原敬義

    梶原敬義君 アジア大会で負けたのは、今、力の柔道になっているという話が大臣からありましたけれども、私も見てみまして、じゃ力に負けたら、負けた方が正しいような、逆にそんなもし講道館に大臣に御認識があるとすれば、これはさらにまた負けますよね、オリンピックやなんかに出まして。  あれを見てわかりますように、日本の選手が負けるときには、組んでいいところをとるんだけれども、すぐまた韓国の選手からぱんと切られますよ、とったところを。もう決定的に握力、基礎体力の弱さが出ているんですよ、あれを見てみますと。嘉納治五郎さんは、空気投げとかなんとかいう、そういう形だけのことを言っているんじゃない。それはやっぱり技と力と心と結局三位一体になっていない証拠じゃないですか、勝負に負けるということは。そういう意味で、勝とうという気迫とかなんとかいうことより以前に、絶対練習量とかあるいは基礎体力とか、そういうすべてのもので考え直さなきゃならぬ時期に来ているんだろうと私は思うんですよ。  そういう状況でありながら、今お家の中が二つに分裂状態で、そして今までのしきたりをずっと踏襲していってやるというような状況じゃないでしょう、今は。お茶の家元とかお花ならそれはわかりませんよ。しかしもう国際的になったんですから、創始者の嘉納治五郎さんもそれは喜んでいるでしょうよ。ただ、しかし負けるということに対しては、欠陥があるから負けるんであって、この点についてはやっぱり泣いているでしょう、恐らく。  こういう状況で、利害の対立やなんかで文部省が割って入って話ができぬということが、文部省そのものもやっぱりもう既に客観性を失い政治的な動きの中に頭を突っ込んでおるんじゃないですか。この点について大臣いかがですか。
  31. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 最初のお話の、力の柔道になってきた、私はまさにそのことを指摘しておるのでございまして、その対応がおくれておったから負けたんです。ですから、それをやらなきゃならぬということは当然のことであります。  それから、文部省が二つの団体に割って入ってというお話でございますけれども、しかし、文部省の権限の中でどれだけのことができるかということがまず第一の問題でございます。したがって、先ほど局長が言いましたように、三団体でございますが、まずこれの理解と協力を得なければ事は前へ進んでまいりません。でございますから、私も大出委員の質問の内容も読みました。それに沿って今、関係団体に現状を憂い、新しい柔道界の発足のために一つになっていく舞台をつくろうということで努力しておりますので、せいぜい努力し、一刻も早くそういう事態ができるように努めてまいりたいと思っております。
  32. 梶原敬義

    梶原敬義君 言葉じりとらえますが、文部省にどれほどの権限があるのかという問題でございますが、文部省になきゃ、それじゃどこにあるのかということですよ、どこに。文部省にある。  文部省は体協を通じて全柔連に補助金を出しておりますね。どのぐらい出しておるんですか、毎年。
  33. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 文部省は、選手強化等のために体協に毎年度補助金を出しておるわけでございますが、体協はまた柔道の総括団体でございます全日本柔道連盟に対して、国の補助金を委託という形で出しているわけでございます。  その金額でございますが、六十年度で申し上げますと、国際競技力向上関係で二千四十七万二千円、それからスポーツ医科学研究関係で百万円、合わせて六十年度で国の補助金が全柔連に行っておりますのは二千百四十七万二千円というふうになっております。
  34. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、そういうことですよ。だからやっぱり政府の金も突っ込んでおるわけですから、出しておるわけですから、やっぱりもう少し大臣がやらなければやるところがないんじゃないでしょうかね、いかがでしょうか。その点、大臣の前向きな決意が聞けたらと思いますが。  それから体協、柔道連盟、それの会計ですね。これの資料を出していただきたいということでお願いを調査室を通じてお願いしたら、なかなか出ませんで、ぼつりぼつり出てくるんですよ。質問する前になって最後の特別会計なんかもうきのうなんですよ。だから、柔道連盟の一般会計を見ていると、これはおかしい、体協から柔道連盟に金を入れる。その金が今度一般会計の中にないんだ。どうしてないんだと言った、おかしいと。それからまた文部省皆さん、帰って出してくれた。今度、特別会計に入っているんですね。だから、一体体協と柔道連盟と、柔道連盟の一般会計と特別会計について説明をしてください、どうなっているのか。
  35. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 全日本柔道連盟の会計は、一般会計と特別会計になっているようでございますが、特別会計は臨時的に設けられたようでございまして、主として前の国会でも御議論をいただきましたけれども、講道館の建物をつくるために寄附金を募集いたしました。試験研究法人である体育協会が窓口になったわけでございますが、体育協会がその寄附金を受け入れまして、そのうちそれを全日本柔道連盟に渡す、その受け皿が全日本柔道連盟の特別会計という形になっておる。通常の事業は一般会計で行っている、こういうふうに理解いたしております。
  36. 梶原敬義

    梶原敬義君 その特別会計のここ四、五年の金額をわかるだけ御報告をお願いします。
  37. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 特別会計の会計規模でございますが、五十六年度から申し上げたいと思います。  五十六年度、体協からの交付金、いわゆる寄附金の受け入れでございますが、一億一千四百万余り。それから五十七年度が三億四千九百万余り。それから五十八年度が二億八千一百万余り。それから五十九年度が一億六千万余り。それから六十年度が四千八百二十七万円余りということでございます。
  38. 梶原敬義

    梶原敬義君 この財源ですね、これは昇段試験、剣道等に比べて柔道は非常に高いというような指摘をされておりますが、この財源の中にその昇段試験の分も、負担金も入っているわけですか。
  39. 國分正明

    政府委員(國分正明君) これとは別個であるというふうに聞いております。
  40. 梶原敬義

    梶原敬義君 昇段試験、例えば初段になった場合に賦課金みたいな形で五千円取っておりますね、それはどこに行っているんですか。
  41. 國分正明

    政府委員(國分正明君) その賦課金はこの全柔連の経理とは直接関係ございませんで、直接講道館の方に行っているというふうに聞いております。
  42. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、講道館の建設資金の中にそれが入っているんですか、入ってないんですか。
  43. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 入っていると聞いております。
  44. 梶原敬義

    梶原敬義君 この全日本柔道連盟が集めたお金が講道館の建設費の中に、今言うように建設費の中の一部に行っているということですね、特別会計で。
  45. 國分正明

    政府委員(國分正明君) そのとおりでございます。
  46. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうすると、講道館の建設費の中身、内訳を後で出してください。  ということは、柔道連盟、柔道の昇段試験やなんかで集めたお金も、あるいは柔道連盟そのものがいろいろ集めたお金も、講道館そのものはもうチャンポンになっているということですね。
  47. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 講道館が百周年記念事業といたしまして国際センターをつくったわけでございますが、その主要の財源は先ほど来御議論をいただいております体協を通じました寄附金、それと昇段に当たりましての賦課金、これが主要な財源であるというふうに承知いたしております。
  48. 梶原敬義

    梶原敬義君 そもそも日本柔道連盟と講道館というのは不離不可分のような関係だというのは今言われておりますね。しかし、講道館というはあくまでもこれはいわば私的な存在ですね。講道館の建物やなんかのその所有権といいますか、最終的には柔道連盟が金をやっぱり集めておるけれども、柔道連盟はいざ講道館と柔道連盟が離れたときには講道館の、そのいろんな地上権とか、そういう建物の権利というのはこれは一体どうなるのですか。
  49. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 細部の権利関係までは承知いたしておりませんが、基本的には講道館の財産というふうに承知いたしております。
  50. 梶原敬義

    梶原敬義君 だからそこはおかしいんじゃないですかね、大臣。柔道連盟が集めた金を一回これは税金隠しのために体協に預けて、それで体協に多分三%かなんかの手数料をそれがためにまた納入をして、そしてそのお金を今度は柔道連盟の特別会計に入れて、特別会計から今度は講道館の方に持っていっている。そしてできた講道館の建物については、これは公か私かと言ったら、もう私の関係ですよ、これは、いわば。この関係は一体どう考えればいいんですか、大臣
  51. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おっしゃるように非常は不自然な流れであります。私はこのことも知りましたので、これはやっぱりほっておいてはいかぬ、この際もっと明朗な形にすべきであろう、こういうことを思うております。ついては、先ほど局長も説明しておりましたように、今、日本柔道連盟の法人化問題がございます。このときが私は柔道界をきちっとしたものにする一つの大きいきっかけになるのではないか、こう思うておりまして、その点は十分に配慮いたしまして、これから決めていきたいと思うております。
  52. 梶原敬義

    梶原敬義君 おっしゃられるのは簡単ですが、これはもう相当前から続いている話でございまして、それはやっぱり、私は今あえてこんなにたくさん時間をとってこう言っているのは、やっぱり早める必要があるだろうと思うんです、急ぐ必要があると思う。この点について、今言われたことについて文部省どう補足していただけますか、時期的な問題は。
  53. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私就任いたしまして、実はこのことが当初から気になっておりましたので、今関係団体に体育局長を通じましてそれぞれ相当深い接触をしております。何と申しましても、それぞれ関係する団体が完全に理解し、そして協力をしてくれなければすきっとしたものにはなりませんし、こういうところで強権発動して一つ団体をつくるといたしましても、そのこと事態がまた混乱を起こすことにもなります。つきましては、先ほど御質問の中にございましたそういう問題等も十分に含みながら、各団体との話し合いを今懸命に努力をして進めておる最中でございまして、もう少し成り行きを見ていただきたいと思います。
  54. 梶原敬義

    梶原敬義君 会計検査院お尋ねしますが、体協に対する会計検査、これはぜひやっていただきたい。特に今言う柔道の問題についても学生柔道連盟には一銭も金が行ってないんだね、要するに。体協からは柔道連盟へ行っているんですよ。そして聞いてみますと、日本柔道連盟、私は見たわけじゃないんですが、大体聞いた話ですが、文部省皆さんも話をしておられましたが、一般会計には柔道連盟の人件費は約一千百万円ぐらいしかたしか昭和六十年度では上がってないんですよ。こんなことで日本柔道連盟が一体やれるのか。多分これは講道館とごちゃまぜになっている面もあるんじゃないか、こういうことを文部省に聞いているんですけれども、そこはよくわからないんですよ。だから、私はやっぱり本来ならば体協と柔道連盟の一般会計や特別会計と講道館と、そこら辺が一体どうなっているのか、そこまでひとつ監査をすべきだと思うんですが、いろいろ言われるでしょうが、いかがでしょうか。
  55. 天野基巳

    説明員天野基巳君) 会計検査院は柔道連盟というところに対する権限はございませんから、これは検査できませんが、日本体育協会につきましては補助金が行っているということで私の方も毎年検査しております。  先生の今の御意見もございましたんですが、今後の検査におきましてもその点もよく考えながら検査を実施していきたいと思っております。
  56. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは文部省お尋ねしますが、会計検査がそこまで及ばぬなら文部省は柔道連盟に六十年度で結局は二千百万くらい行ったんですか——その柔道連盟の会計のあり方、そういうような問題について検査をする能力があるだろうと思うんですが、やっておられるとすればその点についてお伺いをいたします。
  57. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 先ほどもお答え申し上げましたように、文部省から体協に対しまして選手強化費として補助金が出るわけでございます。体育協会としましてはそれを受け取りまして、そのお金を選手強化のためにどういうふうに使うかというのは体育協会自体が判断しておるわけでございまして、例えば柔道を重点的に強化するか、あるいは陸上競技を重点的に強化するか、あるいは強化するとした場合にどの程度のお金を注ぎ込むかというようなことを体協自身が判断するわけでございます。また、その場合に体協自身が強化事業を行う場合と、それから体協自身でなくて各競技団体にその強化事業をやってもらうというやり方と、実態的には後者の方が多いわけでございますが、それ自体が体協が判断すると、こういう仕組みになっているわけでございます。  私どもは体育協会に補助金を出しておりますので、体育協会の経理につきましては毎年これが適正に執行されるようにという指導をしているわけでございまして、体育協会でもこれを受けまして、いわば国の補助金手続に準じたような形で、各競技団体と委託契約を結ぶに当たりましては国の手続に準じたような形での執行を行っているという実情にございます。
  58. 梶原敬義

    梶原敬義君 では体協に話が行くんですかね。しかしこれだけ衆議院で一回、参議院でも既に取り上げられておって、そういう状況でありますし、今分離の問題も出ておる状況ですから、一般会計を見ますと、先ほど言いましたように非常に柔道連盟の人件費は少ないんです。それはどうしてそんなことでやれるのかよくわからない。私も疑問で、私の部屋で資料をいただいた文部省皆さんにしても、その人たちもよくわからない。だからこれは、文部省はやっぱり体協任せじゃなくて、そこまで一回足を踏み込んでみる必要が過去あったんじゃないか、それを今までやらなかったのなら、今度はぜひそこまでやっていただきたいと思うんです。私はまたそれは後のときに聞きたいと思うんですが、その点いかがですか。
  59. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 先ほども御答弁申し上げましたように、国の補助金の強化費をどのように使うかというのは今まで体協自身の判断を尊重して、私どもは補助金の執行に当たってきたということでございます。それがやはり一つの大きな理由のある考え方であると思うわけでございまして、その先個々の競技団体との関係については御指摘もございますので、体協と御相談は申し上げたい、こういうふうに考えております。
  60. 梶原敬義

    梶原敬義君 先ほど言いましたように、柔道連盟を中心にして集めたお金が、柔道連盟は法人じゃないということで税金隠しして、体協に行って、体協から今度は降りてきて特別会計で処理するような、そういうやり方をとって、しかもその果実といいますか、講道館の私の所有になるような形になっている。その中の今度は一般事務の扱いやなんかも一般会計は一体どうなっているかという、これもなかなかはっきりできない、だからそこのところも一緒に明確にするんなら明確にするようにやっぱり文部省としてできるだけの、最大限の対応を速やかにとっていただきたいと思うんです。その点についてもう一度。
  61. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 現在全日本柔道連盟は任意団体でございます。これが文部省所管の法人でございますと毎年度求めがなくても定期的に事業計画あるいは計算書類等が提出されるわけでございますが、現在そういう仕組みになっておりません。体協加盟の各競技団体はほとんどか法人になっているわけでございまして、これは補助金ということとは別にまた毎年の決算書等も出てくる仕組みになっております。そういう意味におきましても、全日本柔道連盟が、先ほど来お話がございますように、法人化されるということになりますと、先生指摘の趣旨も生きるのではないかというふうに考えております。
  62. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、文部省ができるなら体協を通じて今までの分も一度調査を、その辺はやっぱりちゃんと分けるところは分けるように、それは一体どうなっているのか。もうごちゃごちゃじゃなくて、ぴしっとするところはするようにやってもらうことはできないのですか。
  63. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 任意団体でございますから、権限的に全日本柔道連盟にじかにどうこうというのはいかがかと思いますが、全日本柔道連盟の御理解も得て、その経理のあり方について私どもとしても検討していきたいというふうに考えております。
  64. 梶原敬義

    梶原敬義君 それは任意団体だからできないと言うなら法的なできるような手段を講じて内部を調査をするというしかないと思うんだけれども、そういう意味ですか。もうやるならそれしかないというなら考えあるんでしょう、言ってください。
  65. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 任意団体でございますので、それからまた、補助金が直接全柔連に対して支出されるわけでございませんので、権限として検査するとか調査するとかということはできないということを申し上げているわけでございまして。
  66. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  だから、私は頭からやれということを言っているんじゃない。ここまでそういう詰めてきて、やっぱり柔道連盟や、あるいは講道館にもやましいことはないというのなら協力をしていただいて、そして、全部オープンにすればいいじゃないですか。そして、学柔連も問題があるなら学柔連も反省してもらって、そして、一緒になって統一するような、そこに向けるためにも今議論をしているんだからね。だから、要するに前向きに対応しようとしているのか、任意団体だからもうそれはそこから先は壁ですよと、こう言っているのか、どっちなんですか。
  67. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 任意団体ではございますけれども、協力を得て、その経理が適正に行われるよう、私どもも指導してまいりたいというふうに考えております。
  68. 梶原敬義

    梶原敬義君 十九日の臨教審の第三部会にスポーツと教育に関する分科会というのが、これ新聞に報道されておりますが、そこに柔道の斎藤仁選手やその他の選手を呼ばれていろいろ意見を聞かれておるようですね。先ほど大臣もそこにあるようなニュアンスのこともちょっと言われましたが、ここでいろんな意見が出、大臣が冒頭に言われましたように、環境の問題とかすそ野の広がりとか、もっと位置を高めてもらいたいと、そういうようなことが書いてありますが、いみじくも斎藤選手が言っているのは、世界チャンピオンになろうとすれば世界一練習すればなれるんだ、こういうことを言っていますよね。やっぱり今学柔連と柔道連盟がこうなって、こういうような雰囲気の中で、アジア大会の前の合宿も北海道で一回と、こっち帰って一回とやって、そのほかは別々にこうやった形になっております。しかし、韓国の柔道選手が練習している状況というのは、テレビで何回も見ましたが、それは全然やっぱり違いますよ、練習量からね。それが一つと。経済的な苦しさをまた選手からも臨教審で訴えられておりますね。  こういうような問題についても、私は何もスポーツだけが人生ではないと思いますけれどもね、やっぱりまずその前に、日本のお家芸の柔道のがたがたしているのを快癒すると、国民世論の中から。そしてやっぱりやることはやっていく、こういうようなことしかないんです。それがまず最初のやっぱり一里塚だろうと思うんですよね。これはそのことを、私はこの問題を質問すると言いましたら、多分何か情報が入ったんでしょう。柔道連盟から私どもの宿舎に、みんなに聞いたら、みんなの家に参議院議員各位殿というんで、全部、柔道連盟と学生柔道連盟の争いのことに対する柔道連盟の言い分をずうっと書いたのを送ってくれたんですよ、三日前ぐらいにね。そんなことならもっと早く対応してほしい。この委員会の前にぱあっと先生方皆大体行っていると思うんですよ。そういうことではなくて、やっぱり早く、それは双方幾らか言い分があるから分裂しているんでしょうが。くどいようですが、もう大臣、この次にはこんな話はせぬでいいように、ひとつやると。これあなた、大臣、もうあと任期は何カ月もないんだから、ちょっとその間にやるとすれば相当なやっぱりピッチで、ここで答弁をされてその次また大臣がかわって答弁されても、こんなやり方ばっかりじゃないですか。大臣大臣の任期中にひとつやると、こう言ってください。
  69. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) もちろん私は、できるだけ早くということですし、自分の任期中にやりたいという意向を持っております。  ついては、その三団体並びに体協、こういう方方が本当はこの現状認識をしっかりやっぱりやってもらわにゃいかぬと。自分らの団体のことだけ考えるべきじゃなくって、日本の柔道界をどうするかと、どうして再生していくかということを考えてもらわないかぬと。この考え方は私はやっぱり世論の動きもあると思います。幸い私はずっと見ておりますのに、最近は相当な認識の深まりもあって話し合いのきっかけもだんだんできてきておるように思うのでございまして、一層馬力をかけてやっていきたいと思うております。
  70. 梶原敬義

    梶原敬義君 それじゃ、科学技術庁の方に移りますが、またかと言われるかわかりませんが、「むつ」の問題ですね。  結論から言いますと、私はもう「むつ」は早く、金食い「むつ」はもうやめて、何も今から結論も見えているような実験データを、海洋国家だからやるとかなんとか言って、日本が戦争に負けるときの敗戦処理をいつまでたってもできないと一緒で、原子爆弾を広島や長崎に打ち込まれて、そしてやめるというようなやり方にも似ているんです。もうこれはやっぱりやめるべきだと思うんですが、結論はそうなんですが、「むつ」の、一つは係船料ですね、佐世保港における係船料。毎月毎月係船料を四千万から五千万で、最後に六千万。これは坪内さんと長崎県知事から、皆さん方から言うと交渉の結果そうなったんだというような言われ方をして逃げられるんですが、この係船料について、この経費の内訳をある時期に出す、出すか出さぬかということで大分議論をしたんですが、いまだかつて私は納得ができない。係船料がなぜ一体月に六千万円もかかったのか、その係船料の原価が一体何かどうかかっておるのか、どうしても納得できませんから、もう一度それを科学技術庁の方にお尋ねします。
  71. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 原子力船「むつ」が佐世保重工の岸壁で修理したわけでございますけれども、いわゆる係船料として支払ったものにつきましてのその内訳でございますけれども、いわゆる係船料というのは普通岸壁の使用料という意味でございますけれども、ここで言っております係船料というのは、原子力船の特殊性があるわけでございまして、一つは岸壁の使用料だけでなくてその岸壁の後背地の使用料も入っておる、それからさらに岸壁の建屋の使用料も入っておる、それからさらに警備費、やはりいろいろと警備員、警備をする必要がありますのでその警備費、そういうものを含んでこういったもろもろのものがその係船料という形で支払われたわけでございます。
  72. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう何回も聞いていますからそれはわかっています。だから、建屋の関係で何ぼか、岸壁につないでおく経費が何ぼか、警備費が何ぼか、それで合計して月に六千万円になった。私が言っているのは、大体運輸省があのぐらいの船を一カ月つないでおってもたかだかいって百万円やそこらだと。それに警備費から、それからあるいは後ろの背後地の建屋とかなんかいろんな関係入れたって、幾らたかだか見たって五百万超えることはないですよ。それにプラス何か入れたって。それが六千万円かかっているんですよ、月に。だからその中の内訳は大体これはこうだと、私は頭悪いから、漠然と言われているので、個別に言ってください。
  73. 松井隆

    政府委員(松井隆君) お答えします。  この係船料の内訳のお話でございますけれども、累次今までも御説明しているわけでございますけれども、これにつきましてはそういったものをまとめて幾らという形で契約されたわけでございます。その金額につきましては、先生指摘のとおり、五十三年十月から五十五年三月までは全体として七億一千二百万、それから五十五年四月から五十六年三月は六億、それから五十六年四月から五十六年十月が四億二千万、それから五十六年十一月から五十七年三月が三億、五十七年四月から五十七年八月が三億という形で支払われているわけでございます。  それで、先生指摘の内訳ということでございますけれども、それにつきましては、まとめて一括して契約をしておるということでございまして、その内訳についてお示しするようなものはございません。  ただ、今までいろいろと交渉の過程においてその岸壁使用料が幾らであるとかそういうことが話がございまして、岸壁等の使用料につきましては全体の約六割、それから警備費についてが全体の約三割、その他が連絡調整、いわゆる事務的経費というふうな内訳が示されたことはございましたけれども、いずれにしろ、この内訳で申し上げますと、いわゆる係船料、船をつなぐ金と申しますか、それだけの使用料は全体の一割以下、金額としては約三百五十万という数字が示されたことはございました。しかし、最終的にはそういったもろもろのものがまとまりまして全体として幾らというふうに契約されたというふうに聞いております。
  74. 梶原敬義

    梶原敬義君 さきの国会の決算委員会の総括質問のときだったと思いますが、結局科学技術庁の答弁としては、中身はいろいろあるんだけれども、やっぱり最後は交渉事で、長崎県知事が入ってそれで交渉で要するに物は決まったんだと、そういう答弁でしたね。だけれども、今あなたの答弁というのはまあまともでありまして、具体的なものも少しちらちらと出てまいりましたが、一対どっちなんですか、本当は。
  75. 松井隆

    政府委員(松井隆君) これにつきましては、交渉の過程でそういった数字が示されたということは聞いておりますけれども、いずれにしろ、最後のまとまりはまとめて幾らという形で決まったということで、まさにいろいろとネゴシエーションで、では幾らというふうに決まったということを聞いております。
  76. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは会計検査院にちょっとお尋ねしますけれども、これは私は弱みにつけ込んだ強奪やと思うんです。  坪内さん、私も九州ですからね。そして、造船のことは私はいろいろ苦労して詳しいんですよ。そして、SSKがやっぱり急激に立ち直った、おかしいなと思った。それは立ち直るですよ。何の仕事もせぬで、あの船、何にもせぬでつなぐだけで毎月何千万も入るんですから。経費を引いても、もう大多数はそれだけで入るんですから、あの間。  これは、会計検査院、そこのチェックを、一応中身のチェックを一体どうなのかというのは、やっぱり今までやっていたかどうか。やってないとすれば、これから、その点について何回もやっているんだからやってください。いかがでしょうか。
  77. 天野基巳

    説明員天野基巳君) 原子力船「むつ」につきましては、多額の国費を費やしているところから、会計検査院といたしましても重大な関心を持って検査してきておりまして、五十年度及び五十七年度の検査報告に特に掲記する事項として掲記しているところでございます。  ただいま御指摘の「むつ」の係留に伴う費用は多額に上っておりますので、我々としても十分な関心を持ってその当時、毎年岸壁使用料等につきまして鋭意検討を行ってきたわけでございますが、当時は「むつ」の修理が非常に厳しい環境のもとにあったという特殊事情もあり、あのような金額になったものと承知しております。
  78. 梶原敬義

    梶原敬義君 承知しているかどうか、会計検査院から僕は聞こうとは思わなかったけどね。要するに、何でそういうように——強奪ですよ、結局。取られたんですよ、常識から考えられぬようなお金を。その点について会計検査院としてはやっぱり関心を持ってひとつ、今言われましたように中身がもしあるとすればそれも、で中身がもしあるとすれば、科学技術庁の方も出していただきたいと思いますし、会計検査院もそこはひとつチェックをしていただきたいと重ねて要請をします。  それから、長崎県に対する魚価安定資金の二十億円の問題ですね。私、質問の資料持ってきて、ちょっとどこか忘れてきたんですが、数字が少しずれるかもわかりませんが、この二十億円の魚価安定資金については、もう船が帰って四年たつんですから、佐世保港出て。そしてその二十億円、まだ今長崎県が持っておる。一体その魚価安定資金がどうなっているのか、現状は。そして、利息も入れてどうなっているのか。その点について最初お尋ねします。
  79. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 長崎県の魚価安定基金でございますけれど、昭和五十三年に原子力船の「むつ」が修理のために佐世保港に回航された際に、「むつ」にかかわる風評による魚価低落ということがあり得るということで、それに対する魚価安定対策として、同年の昭和五十三年九月でございますけれど、長崎県に設置されました、その基金が。それで、その五十三年十一月に農水省から二十億円の補助金が交付されて、造成されたわけでございます。それで、私ども農水省に確認したところ、基金の運用は、現在、本基金はすべて長崎県の信用漁業協同組合連合会に預託しておりまして、そこで管理しておるわけでございます。それで、なおその基金の運用によって生じた果実についても基金に積み立てておるということのようでございます。
  80. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうすると、担当は農水省になるんですか。農水省の方、お見えですか。それじゃ農水省の方からこの基金が今一体どうなっておるのか。それから、果実といいますか、それはどうなっておるのか。それから、今後これは一体どうするのか、この点について含めてお願いをいたします。
  81. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) お答え申し上げます。  現在、魚価安定基金でございますが、これまでのところ元本が二十億円でございます。それから昭和五十七年度までの運用益が三億一千五百万、それから五十七年度までの取り崩し額が二千百万ということでございまして、現状では残額二十五億六千二百万ということになっております。
  82. 梶原敬義

    梶原敬義君 基金の元金が二十億、それに金利が三億一千五百万、合計しますと二十三億、それに取り崩しが二千百万ということですか。
  83. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) そのとおりでございます。
  84. 梶原敬義

    梶原敬義君 それがどうして残が二十五億になるんですか。
  85. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 五十七年度以降取り崩し額はございませんが、その後の利息額が積み重なりまして六十年度末では先ほど申し上げましたように二十五億六千二百万ということでございます。
  86. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうすると、三億一千五百万というのはいつまでの話ですか。
  87. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 失礼いたしました。  五十七年度までの運用益でございますが、その後の分を足しますとただいま申し上げましたように二十五億六千二百万ということになるわけでございます。
  88. 梶原敬義

    梶原敬義君 課長、大変失礼だけれども、答弁に立たれるときお答えしますということであなた今立たれたんですよ。お答えしますというなら、なぜ今言う二十五億になる数字を答えてくれぬのですか。要らぬ時間を使うじゃないですか。  「むつ」がもう帰ってしまったにもかかわらず、国のお金をそこの漁協にまだ置いておかなきゃならなかった理由というのは一体何ですか。
  89. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 原子力船「むつ」につきまして佐世保港に回航したときのお約束が、一つは三年で出るという約束でございました。その後いろいろと修理等々に手間取りまして実質ほぼ四年近くかかったわけでございます。当時五十三年に造成したときには確かに「むつ」が佐世保港から出たときには返してもらうというような趣旨の実施要領になってございましたけれども、その後延びたということもございましていろいろと県との御相談もこれありまして、それにつきましてもう少し弾力的に幅を持たせるべきであろうというような御意見が強かったわけでございます。それで、私どもとしてはそういうようなあれも踏まえまして、実は昭和五十九年ごろから内々は長崎県は対してはそろそろ返していただきたいという話をしてございました。しかし、その辺のいろいろと話を進めてまいりまして、ことしの八月でございますか、長崎県にこの「むつ」の二十億について至急返還をしていただきたいという要請を申し上げたような次第でございます。
  90. 梶原敬義

    梶原敬義君 どっらが担当ですか。農水省が担当ですか、それとも科学技術庁が担当ですか、さっぱりわからぬ。金は農水省だけれども、その話は科学技術庁ということですか。
  91. 松井隆

    政府委員(松井隆君) もともと私どもとしては「むつ」の問題についてはやはり私どもの方の責任でございますもので、そういう意味合いではやはり実質長崎県とのお話も私どもからしなくちゃいけないという形でその返還のお話をしているという次第でございます。
  92. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣おわかりのとおりですが、「むつ」が出てもう四年ですか。それで私は農水省が問題かと思ったけれども、あなたのところですがね。なぜ一体今まで関係ないのに「むつ」の風評による魚価安定資金を、「むつ」が入るから魚の値が下がったときの価格保障かなんかそういうことだろうと思うんだが、それを今「むつ」は全く関係ないのに四年もさらに国のお金を残しているというのはどうなんですか。大臣大臣。あなたじゃしようがないよ。
  93. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) 先生の御指摘の長崎県の魚価安定資金の件でございますが、政府委員の方から御説明申し上げたとおりでございます。私も事情承知をいたLまして随分長い関係等にこの間ございますので、長崎県知事においでをいただきまして何らかの妥当性あるなるべく早く解決いたしたい、こういうことでお願いをしておりまするけれども、いろいろ事情等があるものでございますので、円滑に行うようにいたしてまいりたいと思っております。
  94. 梶原敬義

    梶原敬義君 どういう事情があるならあるという事情を言ってもらわないと、趣旨からいったら全くおかしいわけで、これは長崎県からまた場合によっては取れぬようになるんじゃないですか。そんなことはないと思いますけれども。  それからしかも、安定基金から事務費をやっぱり取り崩しておるんですね。どうも趣旨からするとおかしいんだけれども、基金から取り崩して、基金を崩して支出をしている。これも非常におかしいんですが、この問題については私もう後の時間がありませんから、しかるべき理由があるならあるようにまた後でかえてやりますからすぐ出してください。  そして会計検査院お尋ねし、お願いをしますが、やっぱりこういう「むつ」が出て四年もたっているんですよ。行ってください、あそこに。何も「むつ」のために魚の値が動くとかなんとかありはしませんよ。どうしてそういう状況の中で二十億円、しかも金利ついて二十五億ですか、この金がないというときにそういうようなことを放置するのか、会計検査院もそこはやっぱりきちっと調査してもらう、検査してもらわなきゃいけないんですが、もしやってないとすればこの点については即刻検査をする必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  95. 山本正

    説明員山本正君) お答えいたします。  ただいまのお話の資金でございますが、私ども毎年実施しております水産庁の検査の際にいろいろ状況を伺ってきたところでございますが、ただいまの先生のお話もあり、先ほどの返還にかかわる仕事が今進んでいることでございますので、これらに関心を持ちながら対処していきたいと考えております。
  96. 梶原敬義

    梶原敬義君 それではもう「むつ」の問題は終わります。  それから、通信放送衛星のゆり2aと2bの問題でございますが、2aにつきましては私も何回も質問をいたしまして、しかも故障したにもかかわらず保険は取れないままだというこの点については何回も指摘をさせていただいたのでございますが、2bについては当初は出力の問題で問題があるんじゃないかということが言われておりましたが、それはあんまりなくて、今度はほかのところでちょっと故障で今補助的なものを動かしてうまくいっているというような状況でございますが、この点についてちょっと状況を、余り時間ありませんが、これは担当はどこになるんですか、最初報告をお願いをいたします。
  97. 船川謙司

    参考人(船川謙司君) お答えいたします。  ゆり二号bでございますが、ことしの二月十二日に打ち上げまして約五カ月間にわたりまして初期段階における機能確認を行ってまいりました。この機能の確認によりまして衛星の機能が正常であるということが確かめられましたので、七月十一日に予定どおり通信放送衛星機構に引き渡しを行ったところでございます。  なお、この間今先生からちょっとお話ございましたように、衛星の姿勢を制御する機器の一部が若干故障いたしまして姿勢が変動するという現象が生じましたけれども、これは機器を予備系に切りかえることによりまして姿勢制御の機能は正常に復帰しております。また、ゆり二号aで中継器の故障などがありまして大変御心配をかけたわけでございますが、こういう故障に対しましては、ゆり二号bで所要の対策を施しまして打ち上げましたので打ち上げ後も所定の機能を発掘していることを確認しております。七月十二日以降は通信・放送衛星機構によって良好に運用されているというところでございます。
  98. 梶原敬義

    梶原敬義君 郵政省から、「BS—2bのCPUの故障について」という七月十一日の宇宙開発事業団と郵政省の資料をいただいておりますが、この中の三項の一でございますが、「関係機関は、CPU部分の故障に起因して、BS—2bの引渡し後放送不能となった場合は、これによって生ずる諸般の問題について、合理的な対応措置がとられるよう最大限に努力する。」と。上に上がっているのがうまくいかなくなったときに、「これによって生ずる諸般の問題について、合理的な対応」、これはちょっと意味がわからぬのですが、郵政省そして特にNHKさんはこの問題についてはどういう御判断をされておるのか、今言った文言もひっくるめましてそれぞれ御意見、お考えを承って終わりたいと思います。
  99. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいま事業団の方からも御説明ございましたように、ゆり二号bにつきましては、CPUの部分につきまして部品の故障ということで現在主系から予備系に切りかえて運用しておるところでございます。NHKといたしましては、放送衛星のあくまでも信頼性の確保ということにつきまして強い関心と要請をいたしておるところでございまして、CPUの部品の故障に当たりましても事業団の方に対しましてその原因及び今後の御見解ということにつきまして、いろいろ問い合わせ御見解をいただいておるところでございます。その中で、CPUの故障の原因といたしましては、部品の偶発的な故障であるということから予備系に切りかえました後、故障が引き続いて発生するということはまず考えられないというような御見解をいただきました。そういうような事業団の方の御見解を私どもは信頼せざるを得ない立場でございますのでそのお答えに沿いまして、ただしNHKといたしましては、その上でも万が一にもこの故障に起因してBS2bの引き渡し後放送が不能になった場合にはどういうように対処すべきか、これにつきましては現在の段階で直ちにその結果を予測するということは問題のあるところでございまして、ただいま先生からお話しございましたような、これによって生ずる諸般の問題について合理的な対応措置がとられるようというような形で、必ずしも明確な形ではございませんけれども、少なくとも私どもの気持ちとまた事業団のそういったお考えの中で、こういうような形で合意を取り交わしたということでございます。
  100. 山本忠伸

    説明員山本忠伸君) 合理的な対応措置につきましては、今NHKの林専務理事がお答え申し上げたとおりでございます。
  101. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう念を押す必要もないと思いますが、宇宙開発事業団の言われるように、それは神に祈って事故がないことが一番いいわけでございます。ただ、やっぱり慎重にしていただかないといけないのは、諸般のいろんな合理的なもし問題が起こったとしても、それは宇宙開発事業団が見る場合はこれは政府が見る。それでNHKが見る場合はやっぱり国民が見る。結局は一緒でありまして、どっちからどうするか、国民の立場に立ちますと一緒でありまして、一番いいのは事故が、故障がないのが一番いいわけでございます。自信を持って開発事業団がそう言われておるんだからこれはそのように信じていくしかないと思います。  あと、次の開発計画、今度は東芝から日本電気に移った。その辺は一体どのようになり、見通しはどうなっているのか、ちょっとわかれば。簡単でいいです。
  102. 船川謙司

    参考人(船川謙司君) この次の放送衛星の計画としましてはBS3というのがございまして、これはBS3aは昭和六十五年の夏期、それからBS3bは昭和六十六年の夏期、打ち上げるという計画で現在準備を進めております。お話がございましたように現在日本電気を主契約者といたしましてこれの開発を進めているところでございますが、この開発に当たりましては関係機関と十分連絡いたしまして、ただいま先生の御指摘にもございましたように信頼性の十分に高いものを開発するということで事業団も鋭意努力しているところでございます。
  103. 梶原敬義

    梶原敬義君 開発事業団とNHKの方、もうこれで、ありがとうございました。  次に少し、これは文部省科学技術庁と直接関係ないんですが、文部省科学技術庁皆さん、公務員の方も関係をしております国家公務員等共済組合連合会に関する問題について質問させていただきます。  これは十四日の農林水産の決算のときにやる予定でございましたが、ちょっと委員会が開かれませんでしたのでここで取り上げます。  私は、今から申し上げます土地売却の問題ですが、京都の土地売却の問題。新聞に載っております状況はこういう状況です。国家公務員等共済組合連合会の所有する京都市下京区柿本町六百番の一、西本願寺の北側に隣接をしております本圀寺跡地約二万一千平米を西本願寺に売却を、ことしの七月四日に契約を済ませ十日に登記が完了しているようでございますが、この点につきまして質問をいたします。  最初に、今言いました契約の月日、それから坪当たり売買金額、それから売り渡し金額、これは総額で幾らか、この点について最初お尋ねします。
  104. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) お答えいたします。  売却の日時、登記の日については、先生のお話のとおりでございます。  売却の単価については、私どもも職務上知り得た秘密云々という問題がございましていかがかと思いますが、買われました西本願寺の方から公に出されていることでもございますので申し上げますと、平米当たりの売却の単価は五十万二千円、坪に直しますと百六十六万一千円、総額においては百八億五千万円でございます。
  105. 梶原敬義

    梶原敬義君 売却の方法は、大蔵省最初お尋ねしますが、国の土地を売る場合、あるいはこれは連合会ですから直接国ではないですが、私は会計法の原則が生かされていると思うんですね。会計法の原則というのは簡単に言うと、要するに、地方公共団体とか公益性のあるところについては売買するときには随意契約もある、しかし、一般のところに売るときはこれはやっぱり一般競争の原則で、公開入札、指名競争入札、これが原則だということを私は考えておりますが、大蔵省としては一体公有地の売却をめぐって物の考え方はいかがでしょうか。
  106. 山口公生

    説明員(山口公生君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、国有地の売却の場合、原則は一般競争入札という考え方でおりますけれども、それぞれいろいろなケースがございまして、会計法の二十九条の三におきましては、例えばその「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、」「随意契約によるものとする。」というふうな規定も設けておるわけでございます。ただ、原則は一般競争入札という考え方先生の御指摘のとおりでございます。
  107. 梶原敬義

    梶原敬義君 国家公務員共済組合連合会にはそれぞれ、何といいますか、規約ですか、機関の定めがあると思いますが、今の大蔵省考え方を大体基本線は精神は踏襲していると見ていいんですか。
  108. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) ちょっと長くなりますが、処分の経過を御説明した方がよろしいかと思いますのでお話しいたしますと、処分をします場合に国土利用計画法によりますと二千平米以上のものについては契約の届け出が義務づけられておりまして、私ども二千平米以上の土地の売却でございますから当然契約につきましては地方公共団体に届け出なければならない。法律の仕組みは、先生承知のとおり、基準的な価額を超えて相当でないと認めた場合にはその契約について地方公共団体の方から是正の勧告をする、勧告に応じなかった場合にはこれを公表することができるというようになっておりまして、できるだけ有利に売ろうといたしましても国土利用計画法のもとでのそういう制約がございます。したがって、その法令の範囲内において最も高く売る方法といたしまして、国土利用計画法のもとにおきましても、その土地を切り離さないでその周辺を持っている人が一体として利用するという場合には評価側が、限定価額と申しますが、切り離したときの価額よりも相当高い価額認められるという仕組みになっておりまして、問題の土地につきましては東側に……
  109. 梶原敬義

    梶原敬義君 私はそこまで聞いてないんだ。あなたのところの会計法の精神を聞いているんです。
  110. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 会計法の精神は、国土利用計画法のもとで最も有利に売る方法によってやったわけでありまして、それは私どもの連合会の会計についての規則も先ほど大蔵省から説明のありましたように、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが、不利と認められる場合においては、随意契約によるものとする。」というのが施行規則の二十六条の二の第二項に定められておりまして、会計手続上はこの規定によって随意契約としたわけであります。
  111. 梶原敬義

    梶原敬義君 後で聞くところまでどんどんいかれましたけれども、私が聞いたのは大蔵省の会計法の精神があなたのところの会計処理に対する土地売却等において、国土利用計画は別ですよ、精神が生かされているかどうなのか。大蔵省どうなんですか、あなたの方が詳しいでしょう、こっちのことは。
  112. 山口公生

    説明員(山口公生君) お答えいたします。  国家公務員等共済組合連合会の場合は、国家公務員等共済組合法施行規則によりまして先ほど私が申し上げたとほぼ同じ内容の規定を置いてはございます。
  113. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうでしょうよ、私もずっと見て——あとのことは後です、今から質問しますから。  この土地の売却に当たりまして連合会は正規の評議員会なり運営委員会の決議を経て決められたことだろうと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  114. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 国家公務員等共済組合法の第三十五条に「重要な財産の処分及び重大な債務の負担」については評議員会の議を経なければならないという規定がございまして、今御指摘のように、まず役員会で決めましてそれを評議員会にかけてその処分をしてよろしいかという手続をとったわけでございます。
  115. 梶原敬義

    梶原敬義君 理事長、緊張しないでください、私もちょっと口が悪いだけですから。  六十年の十月の二十一日の評議員会の議事録とそれから六十年の十一月二十一日の評議員会の議事録、私はいただいております。  そこで、質問に入る前に理事長の評議員会での発言に私は引っかかるところがあるんですが、この土地の取得価格とそして今日の簿価といいますか、金利やなんかがいろいろつきまして、そしてそれはどんな状況になっておられるんでしょうか。
  116. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 取得原価は平米当たり二万円、坪六万六千円でございまして、約四億三千万円でございます。
  117. 梶原敬義

    梶原敬義君 合計で四億。それで簿価は。それに金利やなんかついて売る場合の。
  118. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) その後金利がついて、あるいは管理のための費用とかあるいは所有している機関での公租公課等を含めますと、約十八億ぐらいになってしまいます。
  119. 梶原敬義

    梶原敬義君 十月の二十一日の皆さんがやられました理事出席者には衆議院や参議院の方も何人かいらっしゃいますが、これを読んでみまして、私はこれはちょっと問題があるというところがあるんです。この七ページに、評議員が「何故この時期なのか、ということについての議論はあったのでしょうか。」ということで、それに対して理事長の答弁は「先ほど、総務部長から唐突ではないか、というような意見があったということを申し上げたと思いますが、これに対しては、既にご説明したとおり、地価の上昇よりも金利の方が高いということを考えると、持っていることが大変マイナスの資産運用になっており、もっと早くに処分を決意をすべきであったと考えられる」と、こうあなたは言っておられるんです。四億が十八億になって、これは百八億で売れているんでしょう。どうしてこういう、これは意図的な物の言い方じゃないですか、どこかに売らんがために。なぜ地価の上昇よりも金利が高くなっておりますか。この状況について、しかも資産のマイナス運用ということをずっと述べられておる。これは一体どういうことなんですか。
  120. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 私は地価が長期的に、金利である六・七五%、その当時はそうだったんでございますが、六・七五%ずつ土地が上がるものとは毛頭思っておりません。すなわち、それだけのお金を運用をしたならばうんと収益のできるものであります。ところが、連合会がその土地を持っていたのでは一銭の収入にもなりません。それをお金にかえて運用したらずっと運用としては適正だという判断をしているわけでございます。
  121. 梶原敬義

    梶原敬義君 それは今でもそういうお考えですか。
  122. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 将来の地価がどうなるかということは私は専門家でないからわかりませんけれども、その当時は全国の住宅地の地価の値上がりというのは調べさせましたところ二・七%でございました。
  123. 梶原敬義

    梶原敬義君 そんなばかなことありますか。あなたは昔大蔵省の関税局長をやっておられたんでしょう。四億二千万で買ったのがいろいろついて、あなたが心配される金利や何かがついて十八億でしょう。これ百八億で売れたじゃないですか。あるいはもっと高いかもわからぬ、実際は。これ以上の資金運用とか何か、それをどうかして回してうまいあれありますか。どうしてあなたが言っていることが常識的に世間に通用しますか。これはあなたの言うことを当時出席しております評議員の皆さん聞けばそれはそうかなと、こうなりますけれども、実際は六十年のこの時点においては坪が百万超すぐらいのことはもう頭でわかっていたでしょう。
  124. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 先生のお言葉ではございますが、私は一銭も収入の上がらない土地を長く持っているよりも、それをお金にかえて運用をした方が運用としては妥当だという考え方を持っております。
  125. 梶原敬義

    梶原敬義君 私はこれを持つとか持たぬとかという議論をしてるんじゃないんです。あなたがここの中で言っていることが私はどうしても理解ができない。それじゃ、あなたが、プラスになるかマイナスになるかということだけで議論するなら、この土地を例えばもっと前に処分すべきだったというんなら、もっと前に、例えば四十年あるいは五十年ごろに処分したとすれば、それはほかのことをするよりは持っていた方がやっぱりプラスになっているでしょう。常識じゃないですか、そんなことは。
  126. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 過去の地価の上昇で異常に上がったときもございましたけれども、最近はちょっとまた別でありますが、ここ数年間の地価の上昇は、先ほども申し上げましたように非常に低くて、やはり金融資産として動かした方が有利であったということは言えると思います。
  127. 梶原敬義

    梶原敬義君 そんなものだめですよ。いろいろして十八億のものが百何億で売れているでしょう。地価の上昇とかそんなもんじゃないじゃないですか。それはもう、この問題残りますよ、そんな答弁では。それはもうあなたの、あえてこれは随契で売ろうとせんがために、事を運ばんがために理屈をつけて言ったこと以外はない。これはもうそういうことなんです。私はもう確信持って言えますよ。いいです、答弁は。  それから、当時については複数のところから払い下げの希望があったと私は聞いておるんです。その点についてはいかがでしょうか。
  128. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) お話しのとおりでございます。
  129. 梶原敬義

    梶原敬義君 では一ところだけに随契をしたというのはどういう考えが基本に立っているんですか。
  130. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 先ほど評議員会で処分の議決を得たと申しましたが、そのときの条件といたしまして、第一に一括現金、第二に公正、第三にできるだけ有利にという三つの条件で処分することを認められたわけであります。  そこで、最も有利にということは最も高くということでありますが、先ほど申し上げて先生にちょっと先に答え過ぎたというように注意を受けましたけれども、二千平米以上の土地の処分については国土利用計画法に基づいて届け出をしなければならない、届け出が妥当でないというときには勧告を受ける、勧告に従わなかったときには公表をすることができるという法律になっておりまして、私ども処分する場合にはその法律のもとで処分するのが当然でございます。  そこで、その法律の中にも、切り離してその土地だけを売る場合と、隣接地を持っている人が払い下げを受けた場合に一体的利用をするとなると、相当全体の価格が上がるというような価格、これを専門用語では限定価額と言うようでありますが、限定価額によって売れば一番有利に売れるということでございますので、西本願寺さんは東側の堀川通に沿って相当の土地を持っておられます。もう一つ、東急ホテルが北側にホテルをつくっておられます。そういう隣接地を持っている方が払い下げを受けた場合には切り離して売ったよりも高くてよろしいと。そこで、一番私どもが有利に売るためには、堀川通の前をずっと持っておられる西本願寺さんに買ってもらうことが、当該土地の処分としては最も有利になるという結論に達しまして、私は随意契約の道を選んだわけであります。
  131. 梶原敬義

    梶原敬義君 国土利用計画法で、届け出をして勧告をすると、こういうことですが、いいですか、今まで国土利用計画法で、私はその土地が世間の相場に比べて何倍も何十倍も高いときは、それは別かもしれない。しかし京都のあの土地は、京都駅からそんなに遠くもないし、大通りにも近い、もうほとんど面している。そういう状況で、私も幾つかのところに、不動産会社なんかで調べてみました。情報も入っておる。少なくとも坪百六十六万が、まあどんなに悪くしても二百万下ることはないだろう。高いところを言う人は六百万ぐらいいくかもしれないと、まとまっておる場合。もう京都にああいうあいた土地はないわけです、今で言うなら。だから、そこはもう見解が全く分かれるんです。あなた方が高く売ったとか、あるいは有利だとか、利用計画法の問題と、それはもうあなた方の随契にした言い分でしかない。いいですか、その周辺の、今あなたが一番高く有利に国土利用計画法のもとで売ったと言うけれども、京都のあの地域の土地の相場というのは今どのくらいすると見ておりますか。
  132. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 私も売るにつきましては、国土庁の近辺の標準地の公示価格とか、京都府の基準地の標準価格なども見まして、また私ども専門家ではございませんので、限定価額のもとにおいて評価をすればどれぐらいの価格が妥当かということは、信用のおける評価の機関に、三社頼みましてとった価格であって、私は国土利用計画法のもとではそういう価格によらざるを得ないというように考えております。
  133. 梶原敬義

    梶原敬義君 正規の鑑定士に、私は、三社からとったというから三社のを出してくれ、見せてくれと、一社だけじゃないのか、後から二社追加したんじゃないかと、こう言うけれども、いや三社間違いないと言うけれども、三社がどのような鑑定結果をしたかわからぬ。大蔵省もそれは教えてくれない。間違いないですね、三社を同じ時期に同じようにとったというのは。
  134. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 三社同時にとったことは間違いございません。
  135. 梶原敬義

    梶原敬義君 それはちゃんと日付と中身というのは出してくれますか、それじゃ。
  136. 戸塚岩夫

    参考人(戸塚岩夫君) 私も法律のことは必ずしも詳しくはございませんが、不動産の鑑定評価に関する法律かなんかで、不動産鑑定士は職業上知り得た秘密を他に漏らしてはならないという規定がありまして、鑑定を頼んだ評価の会社からこの場において数字を出すことの許しを得ておりませんので、ここでお話しするわけにはまいりません。
  137. 梶原敬義

    梶原敬義君 大蔵省、聞きますが、それじゃそれは、大蔵省は直接管轄ですから、ここに出せぬというなら大蔵省はそれはちゃんと確認しておるわけですね。どうですか。
  138. 山口公生

    説明員(山口公生君) 今、連合会の理事長から申し上げたような事情にございます。
  139. 梶原敬義

    梶原敬義君 あなたのところは国家公務員共済組合連合会にいろいろ援助資金も出しておるんですよ。そういう状況で監督官庁であるし、今、理事長の答弁は出せないと言うんだ。あなたのところは、じゃ知っているのかというんですよ。
  140. 山口公生

    説明員(山口公生君) 私どもは報告を受けておりまして、理事長の申し上げている内容を確認はしております。
  141. 梶原敬義

    梶原敬義君 この問題、時間が来ましたからまたにしますが、理事長はいろいろ、一番高い、一番有利な、しかも国土利用計画法のもとでと、こう言っているけれども、実際は相場は、だれに聞いても、それは倍ぐらいするような相場だと言うんですよ、不動産屋に行っても。そういう状況で、やっぱり国家公務員共済組合連合会、この土地を随契で処分をする、それに何も問題がないんだという、これはどうしても納得できませんから、また機会を見て、私も調査をしながら質問をいたします。これで終わります。
  142. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  143. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、文部省及び科学技術庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  144. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 それでは科学技術庁の方からお尋ねをいたしたいと思います。  御承知のように、いよいよ二十一世紀に向けまして国際化、情報化の時代が到来するということであります。したがいまして、科学技術につきましては大変重要な役割を果たすところでございまして、積極的な対応が必要かと思います。したがいまして、その面からの若干の御質問をさせていただきたいと思います。  我が国は今まで欧米先進国のすぐれた技術を導入いたしまして、その改善、改良によって科学技術水準の向上に努め、国民の勤勉、努力とも相まって、今や欧米諸国に並ぶ技術先進国となってきたと思います。しかしながら、今後、我が国が厳しい世界情勢の中で二十一世紀に生き残っていくためには、先端的な技術分野で欧米先進国としのぎを削ってこうした技術水準を維持していかなければならないと思います。しかるに科学技術投資に対する政府の負担割合は欧米諸国に比べ極めて低く、アメリカが四七%、西ドイツが四二%、フランスが五五%、イギリスが四八%に対しまして我が国は残念ながら二一%にすぎないと聞いております。我が国政府の一層の努力が望まれるところであります。  質問の初めに当たりまして、まず大臣から今後の科学技術振興の基本的な考え方を伺いたいと思います。
  145. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) お話しのように、我が国は戦後四十年たちまして、御案内のようにもうコンピューターと科学技術のような時代になっておるわけでありますけれども、資源に乏しい国といたしまして、やはり豊かで繁栄させる、安定した社会経済を維持していくためには、人間の知的創造力にその生存基盤を求めていくことが必要でございます。したがって、二十一世紀に向けての発展には諸外国以上に科学技術の振興に期待するところでございますが、これは今後の我が国の重要な政策課題と認識をいたしております。  このような状況にかんがみまして、政府におきましては総合的な科学技術の展開を図るため、科学技術政策大綱を本年三月に閣議決定したところでございます。この大綱においては次の三点を基本方針といたしております。  初めに、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心として、創造性豊かな科学技術の振興を図ることであります。二番目に、人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間及び社会と調和した科学技術の発展を図ることであります。三番目に、国際社会における我が国の果たすべき役割の増大に対応し、科学技術面での国際的貢献が重要であるとの認識のもとに、国際性を重視しつつ科学技術の展開を図ってまいります。  今後この大綱を基本といたしまして、教育観点から総合的、機動的な科学技術政策の展開を図ってまいりたいと思っております。その際、大綱にあるような研究開発投資の充実と運用の効率化にも努めてまいりたいと存じております。
  146. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 我が国は、従来よりともすれば欧米諸国た比べまして創造的な基礎的研究は弱体と言われておると思います。しかしながら、このような基礎的研究は必ずしも民間に期待することが難しく、国が中心となって行うべきものと考えられます。したがいまして、長期的展望に立てばこの部門での我が国の取り組みの抜本的強化が必要と考えますが、国として基礎的研究の強化にどのように取り組んでいこうとするのかお伺いをいたします。
  147. 中村守孝

    政府委員(中村守孝君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございましたように、我が国の科学技術におきましては、欧米先進国で出た基礎的な成果等をもとに、応用技術の面では非常に今や世界に比肩するという段階になっておるわけでございますが、そういう意味での基礎的な研究成果というものが少ないのではないかということで国際的にも非難されておるわけでございますが、そういったことは我が国みずからといたしましても、今後の発展を考える場合には、みずから基礎的なシーズというものを生み出していく必要があるわけでございまして、そういう観点から先ほど大臣からもございましたように、科学技術政策大綱の中でこの基礎的研究の重視ということを今後の政策の方向といたしておるわけでございます。我が国の研究投資は五十九年度で国民所得に対しまして約三%という数字で、その数字自体は国際的なレベルにあるわけでございますが、何分にも民間の研究開発費が多うございまして、そういうことで基礎的研究という面から見ますと、やはり先生指摘のように国が中心となって取り組まなければならないものでございまして、一番大もとになります大学での研究はもとより、国立の試験研究機関並びに国が関係しております研究機関におきまして、こういった基礎的な研究の一段の充実を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。  科学技術庁におきましては、附属の試験研究機関のほかに、総合的な研究所といたしまして理化学研究所というものがございますし、原子力の分野では原子力研究所というものがございまして、こういったところで基礎的研究を一段と充実してまいりたいと思っておるわけでございますが、制度的にも新しい制度をつくり出しておりまして、本年度から理化学研究所におきまして先端的な基礎研究を進めるということで、国際フロンティアプログラムというものを開始いたしておりまして、国際協力のもとに推進することといたしております。  さらに、既に新技術開発事業団のもとで創造科学技術推進事業というものを始めてもう数年になるわけでございます。ここでも基礎的な面での成果が既に出つつあるわけでございます。  さらに、国立研究機関におきます基礎研究を重点的に推進するという意味で、六十年度から科学技術振興調整費という予算費目の中に重点基礎研究制度というものを設けまして、ここに国立試験研究機関における重点的な基礎研究にお金を回すという制度も新しくつくっておるわけでございます。  こういった形で基礎的な研究を一層推進しておりますし、今後ともさらに一段と基礎研究を推進する方策を進めてまいりたいと思いますが、さらにこういった研究を横から支えるといいますか、いわゆる研究基盤という面で一番重要な問題が科学技術情報の流通の問題であろうかと思います。これにつきましては、科学技術庁におきます日本科学技術情報センター等々の機関を通じまして、科学技術情報の整備、流通に努めてまいりたいと考えております。  さらに、今後の基礎研究の上では生物面におきます研究というものが非常に重要なポイントになってまいりますので、そういった意味で、遺伝子とか細胞とかそういった生物資源の収集、保存、さらにはそれを研究機関に提供すると、こういう機能も非常に重要な問題でございますので、この面につきましても今後充実は努めていきたいと考えておる次第でござします。  以上、科学技術庁として基礎研究面におきまして推進し、また今後も進めようとしておる施策について御説明申し上げました。
  148. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 創造的、基礎的な研究を強化していくためには、今までの研究レベルの地道な研究はもとよりそのベースをなすものとして重要でありますけれども、さらに研究者の独創性、創造性の発揮を重視した研究システムが強く切望されているのではないかと思います。このようなシステムの先駆的な試みとして、科学技術庁では創造科学技術推進事業がありますが、このようなシステムはその成果の大きさが我が国の研究風土の中で受け入れられていくか否かを決めると言って過言ではないと考えます。  さてそこで、創造科学技術推進制度の概要、進捗状況及びその成果について御説明をいただきたいと思います。
  149. 藤咲浩二

    政府委員藤咲浩二君) 御指摘の創造科学技術推進制度は、先ほど来問題になっておりますように、我が国が世界に誇り得るような独創的な革新技術の芽を生み出そうという趣旨で昭和五十六年度に新技術開発事業団、当庁所管の特殊法人でございますが、ここを実施機関として創設されたものでございます。  この制度の特色は、非常に卓越した研究者を各研究グループの総括責任者に委嘱いたしまして、この総括責任者のリーダーシップのもとに産学官各方面から既存の組織の壁を越えまして研究者を集め、さらには海外からもすぐれた研究者を招聘いたしまして、一応五年間という期間を区切りまして研究を行う、いわゆる流動研究システムというシステムで研究を進めておるわけでございます。  五十六年度に四テーマがスタートをいたしまして、その後年々少しずつテーマ数をふやして、本年も十月から磁束量子情報だとか超分子柔構造あるいは生物フォトンというような三つの課題を新たに発足させておりまして、現在この新規の課題も含めまして八つの課題が進んでおりまして、この課題のもとに九十一名の研究者が各方面から集まって研究を進めておるわけでございます。  研究成果としては、比較的歴史が浅いわけでございますけれども、五十六年度にスタートして五年間経過し、本年度終了した四課題を中心にいたしまして相当の成果が出ておりまして、一々内容を申し上げるのは大変でございますので、数値的にちょっと申し上げますと、例えば特許出願というようなもので見ますと、最近までで三百四十七件、あるいは学会で成果を発表した件数が七百三十九件というような数に上っておりまして、この種のシステムとしては相当の成果を上げていると考えておるところでございます。  そういうことでございますので、今後とも新規の課題を発掘する等をいたしまして、私どもとしてはこの制度を一層充実するように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  150. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 ありがとうございました。  創造的な研究を進めていくに当たっては、既存の研究体制の中にあっても限られた研究資源を十二分に活用するという観点から、産学官の垣根を越えて行う研究交流の促進は極めて重要な課題であると考えられます。本年五月には研究交流促進法が成立を見たところでありまして、今後はこれを大いに活用いたしまして産学官の研究交流を促進していくことが必要であると私は考えるのでありますが、科学技術庁では産学官の研究交流の促進をどのように進めていくおつもりか、お示しをいただきたいと思います。
  151. 藤咲浩二

    政府委員藤咲浩二君) 創造的な研究を効率的に進めていくために産学官の交流が非常に重要であるというのは御指摘のとおりだと考えております。  今御指摘になりました研究交流促進法、幸いさきの国会で成立さしていただきましたけれども、この法律につきましてはつい先日十九日に、今月の十九日に必要な政令等を整備いたしまして施行の運びとなったところでございます。この法律を我々としては大いに活用したいと考えておりますが、さらに法律によらずとも産学官交流のためにできるような措置等もあろうかと思いますので、これらの点については今後政府内部で検討し、必要であればその基本方針を閣議決定するというようなことも考えておるところでございます。  さらに、具体的な施策といたしましては、先ほど来も御説明しておりますが、本年度から理化学研究所に設けられました国際フロンティア研究システムという基礎研究を進めるためのシステムがございますが、このシステムはやはり産学官、それから外国といったような各方面から研究者を結集して研究を行うというシステムでございまして、こういった施策も研究交流の促進の手段として大いに活用してまいりたい。  さらに、ただいま御説明申し上げました創造科学技術推進制度、これらも拡充して研究交流の役に立てたいというふうに考えております。  さらに、これも実はことしから創造科学技術推進制度で出てきました重要な成果を民間の活力を利用しながら、民間企業にも参加していただいて、それに関連した周辺の技術を開発するというハイテクコンソーシアム制度という新しい制度も設けさしていただいておりますが、こういったものも活用したい。  それから科学技術振興調整費というのがございますが、この振興調整費による研究につきましても、産学官の総力を結集して進めていきたいというようなことを考えております。いろいろなこういう手段を通じまして、私どもとしては新しく制定された法律とともにこのいろいろな手段を使いまして研究交流をますます盛んにしていきたいと考えておるところでございます。
  152. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 研究交流は単に国内の産学官に限られるものでなく、国際的な研究交流にまで拡大していくことが可能であると思います。特に科学技術分野の国際協力は、原子力、宇宙等、一国のみでは研究開発の実施が困難な分野、あるいは食糧、環境等、地球的規模で解決すべき問題に対処するために重要であるばかりでなく、自由主義諸国GNP第二位を占めております我が国の国際的な責務としても重要な政策課題となっておると思います。ますます厳しくなる国際環境の中で、我が国が今後とも発展していくためには、科学技術の面でも国際社会との調和を図るため国際協力を積極的に推進することが不可欠であると考えられます。科学技術庁といたしまして、科学技術国際協力の推進をどのように進めていくおつもりかお伺いをいたしたいと思います。
  153. 藤咲浩二

    政府委員藤咲浩二君) 科学技術面での国際協力の重要性につきましては、全く御指摘のとおりだと考えておりまして、私どもとしてもそのような認識のもとでこれまで国際協力の充実に努めてきたところでございます。  具体的には、これまでのところ、アメリカとか西ドイツ、中国、韓国等、約二十カ国との間に科学技術協力協定等が締結されておりまして、この協力の枠組みのもとで各種の国際交流、具体的には情報交換、人材交流あるいは共同研究というようなことを進めてきておるわけでございます。また、こういった枠組みとは別に、例えば宇宙ステーション計画だとか核融合研究というような大きな国際協力プロジェクトにも参加しておりますし、さらには、基礎研究の面では先ほどちょっと御説明しました国際フロンティア研究システムとかというようなところに海外の研究者を招きまして一緒に研究するというような形での国際交流も進めておるところでございます。さらに本年度からは科学技術振興調整費を活用いたしまして重点基礎研究制度という制度をつくっておりますが、この中で国際人材交流、研究者の派遣あるいは招聘というような事業を推進しておりますし、今後こういった施策についても充実したいというふうに考えております。それから、さきの国会で成立して最近施行された研究交流促進法も、この中には外国との国際交流を促進するために必要な措置、例えば国立試験研究機関に外国人の研究者の任用を可能にするというような内容もございまして、こういった法制上の隘路が取り払われたということもございまして、今後こういった面でも交流を進めたいということでございます。  以上のような諸施策を今後とも強力に推進していきたいと考えておるところでございます。
  154. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 最後になりますが、ライフサイエンス分野の重要課題でありますがん対策についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、がんは我が国死亡総数の四分の一を占める最大の死亡要因となっておりまして、我が国が一丸となって立ち向かうべき重要な課題だと考えております。したがいまして、中曽根総理の御提唱されました昭和五十九年から始まりました対がん十カ年総合戦略は我が国として重点的に推進すべきプロジェクトでありまして、この中で科学技術の力によりがんの解明などに挑んでいくことが大切だと考えております。つきまして、科学技術庁のがん対策への取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
  155. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 先生ただいま御指摘のとおり、がん対策といいますのはライフサイエンス分野におきまして非常に重要な課題となっております。でございまして、がんを制圧するために我が国の総力を挙げて取り組むべき緊急の課題であるというふうに考えております。  中曽根総理の提唱によりましてがん対策関係閣僚会議が対がん十カ年総合戦略というものを定めております。それから、同じく総理の諮問機関でございます科学技術会議ががん研究推進の基本方策ということを同時に定めておりまして、現在、関係省庁でこの方針に沿ってがん研究を進めておるところでございます。特に文部省では、がんの本態の解明のための基礎研究、厚生省におきましては、がんの予防、診断、治療のための研究、こういうこともやっておるわけでございますが、科学技術庁におきましては、傘下の研究所あるいは科学技術振興調整費、こういうものを活用いたしまして、がん研究を支える共通基盤技術の開発、あるいは遺伝子組みかえ技術を用いたがんの本態の解明、あるいは放射線治療のための研究、こういうことを進めております。  六十二年度、来年度の概算要求でございますけれども、これにおきましては、これらの施策をさらに拡大する、さらに放射線医学総合研究所に重粒子がん治療装置の研究に着手するというふうなことを計画しておりまして、六十一年度予算四十六億円に対しまして六十二年度の概算要求では五十九億円を、大幅に増額して要求しているというふうな段階でございます。科学技術庁といたしましては、今後とも関係各省と連携を保ちつつ、がん研究に積極的に取り組みたいというふうに考えておる次第でございます。
  156. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 ありがとうございました。  それでは、続きまして文教行政についてお尋ねをさせていただきます。  まず最初に私学行政について若干の質問をさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、私学は我が国の教育の立場から重要な役割を担当してきたと思っております。しかしながら、一面私学を取り巻く環境は大変厳しいものがございます。例えば第一次のベビーブーム、第二次のベビーブームの大きなうねりがあります。そして、近年は出生率の減少というのが大変顕著でありまして、したがいまして、私学の環境、教育条件は非常に厳しい状況下に立ち至っております。しかしながら、一面国家財政の厳しい中で大変な文部省当局の御理解をいただきまして私学助成の御努力をいただいておりますことにつきまして厚く感謝を申し上げる次第でございます。また、あわせまして私学の対応方法といたしまして適切な運営管理も必要でありますし、あるいは教育振興の教育内容の充実等々に積極的に国民の信頼を得べく努力をする責任も伴うものと思います。そういう立場から、いろいろと問題点もございまして、若干の御質問をいたしたいと思います。  まず幼稚園の教育内容につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  現在の幼稚園の教育要領が制定されましてから、御承知のとおり、現在までで二十年以上が経過をしてまいりました。その間、都市化の問題、核家族化の問題、テレビの普及等、幼児を取り巻く社会家庭環境の変化は大変著しいものがございまして、また幼稚園教育も格段に変化を来してまいったと思っております。  中央教育審議会におかれましては、これらの状況を踏まえまして、昭和五十八年十一月、教育内容等小委員会審議経過報告におきまして、「幼児及び幼児を取り巻く環境等の変化に対応した幼稚園教育の内容・方法の改善について、早急に検討を進める必要がある。」と指摘をされております。  文部省ではこの報告を踏まえ、幼稚園の教育内容・方法を見直すこととし、昭和五十九年度から幼稚園教育要領に関する調査研究協力者会議を発足させ、去る九月三日に最終まとめを行われたと承っております。  つきましては、幼稚園の教育要領に関する調査研究協力者会議が九月三日に取りまとめた基本的な方向はどうなっているのかお伺いをいたしたいと思います。
  157. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) ただいま御指摘の幼稚園教育内容のあり方につきましては、大変大きな大事な課題として私ども文部省としても取り組んでおるわけでございます。  御指摘のとおり、中央教育審議会の中間まとめにおいても、教育内容のあり方、幼稚園の教育の中身の問題の指摘があったわけでございますが、ただいま先生からお話がございましたように、六十一年の九月三日に協力者会議報告が出され、大体の方向についての内容が示されておるわけでございます。  内容の概要について簡単に申し上げたいと思いますが、まず一つは、幼稚園教育の基本はどうあるべきかという点でございます。この点は四つございまして、一つは幼児の主体的な生活を中心に展開をすべきである。教育の中身は主体的な生活が中心であるべきだ、これが第一点でございます。第二点は、環境による教育でなければならない。第三点は、幼児一人一人の発達特性や個人差に応ずるものである必要がある。最後に第四点として、幼児の段階でございますから、遊びを通した総合的な指導である必要がある。以上が幼稚園教育の基本として指摘されておるところでございます。  具体的な中身につきましては、人とのかかわり、自然との触れ合いあるいは基本的な生活習慣、態度、そして、文字、数量を知識として教えるよりも、生活体験の中から興味、関心で育ててはどうか、こういうふうな中身の指摘がございます。  さらには教育内容の示し方について、あるいは家庭及び地域社会との関連についての教育要領の示し方と申しますか、記述の問題として改善の必要がある。それから最後に、小学校との連携ということも重点を置いて考えなければならない。  以上の点が、先生今御指摘の協力者会議のまとめの内容になっておるというふうに御理解いただければと思います。
  158. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 現在、教育課程審議会で幼稚園を含めた教育課程の基準について検討が行われ、中間まとめも出されているようでありますが、今後、幼稚園教育要領の検討についてどのように行う所存であるか、再度お尋ねをいたしたいと思います。
  159. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先ほど申し上げました協力者会議のまとめの内容は、現在行われております教育課程審議会に報告をされまして、そして教育課程審議会におきましては、七月、八月の段階で、幼稚園の教育内容につきましてこの協力者会議の中身を前提として議論をしていただきました。先般、十月の二十日付で中間まとめが発表されました中に幼稚園の教育の内容のあり方について教育課程審議会としての意見を取りまとめておるところでございます。教育課程審議会自体の意見の取りまとめの内容といたしましては、ほぼただいま申し上げました協力者会議の内容を基本として、その方向を教育課程審議会としても了としてそのまとめの中に取り入れている、こういうふうな教育課程審議会の審議の結果になっておるわけでございます。  今後の問題を御指摘でございますが、私どもといたしましては、教育課程審議会の中間まとめの内容が示された段階で分科会を設けまして、小学校と幼稚園をまとめて、初等教育教育内容の分科会を先般発足させたところでございます。この分科会におきまして、協力者会議の内容とそれから教育課程審議会の中間まとめの内容を踏まえて、分科会の中でさらに詰めていく、こういうふうな考え方をとっておりまして、全体の課程審の答申は来年の末に出るというふうなことを予定しておりますので、その間、いろいろな分科会での御審議を願った上で答申をちょうだいし、具体的な文部省としての幼稚園教育要領の作成作業に答申をちょうだいした後入ってまいりたい、こんな段取りを考えておる次第でございます。
  160. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 また、幼稚園と家庭というのは大変密接な連携を必要とすると思います。いろいろと教育の荒廃が叫ばれておりますが、家庭教育の中にも問題があり、学校教育の中にも問題点を指摘されている昨今であります。したがいまして、幼稚園と家庭との連携というのは大変重要な問題点であろうと思います。  このようなことで、人格形成の幼児期における重要性に対する認識は大変高まっておりますことと、幼児教育の振興につきましては、幼稚園と家庭が相互に教育機能を分担し、連携を密にすることによって初めて心身ともに健やかな子供の育成が実現できると考えるのであります。したがいまして、幼稚園と家庭の連携について文部省としてどういう施策を行っておられるのかお伺いをいたしたいと思います。
  161. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 幼児の教育というのは非常に難しいものでございます。しかしそれが、大きくなりましたときには、やはり幼児のときの教育というのが人格形成に一番大きいウエートを占めてくる。しかも、そんなに重要な幼児教育である一面、社会の変化は非常に激しいと思うのでございまして、その社会の変化を幼児教育に適当に反映させていくというのには、やはり家庭と幼稚園が一体となってやっていかなきゃならぬと思いますが、そこの役割分担等についてどのように今後進めていくかということ、これは先ほど申しました審議会を中心にいたしまして検討していただいておるところでございますが、さらに一層積極的にこの協議を進めて、一刻も早く学習指導要領をまとめていきたい、こう思うております。
  162. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 ただいま大臣がおっしゃいましたように、教育を取り巻く社会環境の変化は大変著しい。それに対応するためにも、早く対応するということも必要でありますし、例えば幼児でありますから、幼稚園教育の三歳、四歳、五歳という対象児を考えましたときに、四歳、五歳は一般的に幼稚園の時代という通念的なものがありますけれども、やはり年齢をなるべく早くから、人格形成の素地をつくると言われております大変大事な幼児期でありますから、ひとつ積極的に取り組む必要があると思うのであります。  したがいまして、そのような意味から考えますと、三歳児についても幼稚園教育の普及に積極的に文部省としても取り組んでいただきたい。そして、先ほど言いましたように、大変今私立幼稚園の環境は厳しいものがございますので、ひとついろんな温かい配慮をいただきながら、積極的に三歳児教育の充実につきましても御高配にあずかりたいと思います。したがいまして、幼稚園への三歳児就園の問題についてどうお考えなのかお伺いをいたしたいと思います。
  163. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 三歳児の問題でございますが、これはなかなか推進していくのにはまだまだいろんな問題を解決していかなきゃならぬと思うんでございますが、しかし御指摘のように三歳児から幼児教育、要するに集団教育を習わしていくというこの必要性は十分あろうと思うのでございます。しかし、三歳児と五歳児になりましたらもう相当違いますので、そういうところを、一歳児も収容してということになりますと保母の方々並びに幼稚園の施設ということもいろいろ問題があろうと思います。とりあえず、今の幼稚園は私立幼稚園として、私立と公立が大体四分の三対四分の一というふうに私立に大きく依存しておりますが、この私立の幼稚園をしっかりした経営基盤にやっぱりしておくということがまず第一大事なことだろうと。その意味におきまして、今一年保育というのはほとんど私立でやっておりますが、最近公立の幼稚園が二年保育をやろうという傾向も出てきております。しかし、先ほどお話ございました人口の変動がございますしいたしますので、幼稚園の主流たる私立幼稚園の基盤をやっぱりしっかりさすためにも、私はこの際にその基盤づくりに思い切り力を入れていくべきだと。それは公立幼稚園と私立幼稚園の私は分担も必要ではないか、決めていく必要があるんではなかろうか。そういう基盤をつくった上において三歳児の保育というものをどうするかというような問題に入っていくべき手順ではなかろうかと私は思うておりますが、しかし時代はだんだん進んでいきますので、三歳児の保育につきましてももちろん積極的にこれは取り組んで考えていかなきゃならぬと思うております。
  164. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 次は、高等教育につきまして若干お尋ねをさせていただきます。  現在大学進学者急増期に入っておりまして、臨時定員で対処するという御指導でございますが、なかなかもって現場は大変なことでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、私学の行政の環境というものは非常な著しいうねりがあって大変なんだと申し上げましたが、大学もそのとおりでございます。一応教官につきましては非常勤でもよろしいという御指導でありますけれども、なかなかもって教育の充実ということになりますと、ある程度そのようなことばかりでもこなせないという実情もございます。それと、今度は昭和六十七年以降は減少期に入ってくるわけでありますから、これまた大変なことであります。  したがいまして、今からそういう将来展望を見ながら文教行政が、特に大学に対して行政がどう指導し、どう運んでいこうとなさるのか、非常に深い関心がございまして、各学校とも現場の諸先生方はその点を近年非常に苦慮をしながらいかにこの山を乗り切っていこうとするのかということでございます。どうかそういう立場から、減少期に対する諸施策の考え方について御所見を承りたいと思います。
  165. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 今先生もお話ございましたとおりに、私どもとしましては昭和六十七年に十八歳人口が二百五万、百六十万台から二百五万という、第二次ベビーブームの影響のピークを迎えるわけでございます。しかし一方、その後急減期に入りまして、昭和七十五年になりますと約百五十万になってしまうということで、昭和六十一年から六十七年までの高等教育計画を立てる場合に、二百五万の十八歳人口を、大体三六%程度ですが、三六%程度吸収するのをすべて恒常的定員で吸収してしまいますと、その後の急減期に過大供給になってしまうというようなこともございまして、その必要な増員数八万六千人のうち四万四千人を臨時定員で賄いまして、その臨時定員の四万四千人は昭和六十八年以降徐々にはがしていくと申しますか、定員減していくという考え方で現在国公私立通じまして適切な対応をお願いしている最中でございます。  ただ現実に、六十七年度以降その臨時定員をはがしていくということをいたしたとしましても、地域によってかなり十八歳人口の動向が違うんではないか。言いかえれば、地域によっては相当の定員割れを起こすような可能性のある地域も出てくるかもしれないというようなことも予想されますので、今の段階で私どもが私学の関係者にお願いしているのは、地域に密着した個性のある教育研究を進めるということと、それから長期的な観点に立った経営努力をしていっていただきたいということをお願いしているところでございます。六十七年以降、地域によって需給関係がアンバランスになった場合にどう対応するかということになりました段階で、私どもとしては一応また改めて考え直すということもございますが、今の段階ではそういうことで私学にお願いしているところでございます。
  166. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 そこで、一つ要望を挟みたいと思います。  大変積極的な御答弁ありがとうございますが、各学校では非常に、そのような変化に対応する意味からも将来の時代の変遷も厳しいものがありますから、新しい方向として検討を進めている学校もございます。したがいまして、大学抑制策だけでやはり解決ができない学校学校の実情もありますので、そういう点につきましては温かい御配慮をお願いをいたしたいという要望を申し添えさせていただきます。  さて、私立大学等の経常費の助成の流れを眺めてみますと、私学振興助成法が成立いたしました昭和五十年度には国の方の御理解がございまして二〇・六%、それが徐々に上がりましたが、またいろいろと国家財政の厳しさもございまして、昭和六十年度は一九・二%に残念ながら経常費助成額が減少をしております。したがいまして、今後、厳しいとは思いますけれども、一層の経常費助成の充実が望まれると思いますのでよろしくお願いを申し上げるところであります。  また一方、先ほど申し上げましたように、適正な管理運営がなされて、あわせ私学としての特色を生かし、教育研究の充実を行っている大学には、それなりの評価をしてひとつ推進に寄与していただきたい。言いかえますと、今大学は傾斜配分をなさっていらっしゃるわけでありますが、その一つ一つを眺めておりますとまだまだいろいろと問題点が介在をしているように思います。例えば運営管理の面でもあるいは教育研究の面でもいささか、国民の貴重な財源を使う面から言って、血税を使うわけでありますから、その点から見てどうも適当でないという学校も若干見受けられますので、適切な指導と適正な配分と、そして経常費の予算の拡大ということで御努力をいただきたいと思います。したがいまして、そのような意味をもちまして再度当局のお考え方を伺いたいと思います。
  167. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 先生も御指摘になりましたように、経常費助成の配分に当たりましては、教育研究条件の整備状況対応いたしまして傾斜配分をいたしておりますし、それから先生指摘の管理運営が適切でかつ特色ある教育研究をしているところにつきましては、特別補助という形で一般的な補助の上乗せをして特別補助の配分をしているところでございます。傾斜配分にいたしましても従来からその数値等を強める、強化するという方向で配分を進めてまいりましたし、今後も、特色ある教育研究を推進するという観点からも、特別補助の枠については充実していきたいという考え方を私ども持っております。ただ、私どもとしましては、こういう厳しい財政状況のもとでありますので、全体としての経常費総枠につきましてはここ二年間前年度同額でございますが、この総枠の確保についてももちろん極力努力はいたしますが、同時に、特別補助の枠の増につきましては、それ以上にその充実に努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。  それと同時に、先生指摘の、適正なる国民に信頼される管理運営を大学、私学側がやっていただくということについての指導も一層強化してまいりたいというふうに考えております。
  168. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 留学生問題を伺います。  十万人計画の推進という柱を掲げていらっしゃるわけでありますけれども、さてそれをいろいろと眺めておりますと、学校側の整備の問題だとか、日本教育の充実だとか海外でのいろいろな諸施策の推進等々がありますが、何にいたしましても現在一万五千人というトータルでありますが、これを将来に向けて十万人に拡大をするわけでありますが、ただ、ここで問題なのは宿舎の問題が一つ問題があり過ぎるのではないか。計画によりますと、学生宿舎、学生寮というもので二万人、民間等留学生宿舎が二万人、下宿、アパートが六万人と計画書はなっておりますが、我々経験のある、そういう預かっていらっしゃる方の御意見を聞きますと、なかなかもって生活習慣が異なる、日本人は日本人の生活様式を持っておりますが、諸外国にはそれぞれ異なるものでなかなか理解がしにくい点がある。具体的には時間がございませんが、そういう観点から、今後ひとつ宿舎問題についてある程度ウエートを置いてお考えになりませんと大変だと思うんでありますが、御所見を伺いたいと思います。
  169. 植木浩

    政府委員(植木浩君) ただいま先生が御指摘になりましたように、留学生にとりまして宿舎問題、宿舎の確保ということは一番中核的な問題でございまして、日本で充実した勉学生活を行うための大変重要な事項でございます。そういうわけで、十万人を目標にいたしまして留学生交流の拡充を図ってきておるわけでございますが、文部省としても、従来から国立大学の留学生沼舎の建設、こういったものを進めておりますし、また民間団体日本国際教育協会はよる新留学生会館の建設の準備にも着手をいたしております。ただ、今御指摘のように、やはり生活習慣の違い等々の問題を官民一体となっていわば克服しながら、留学生のための宿舎の確保を図る必要がありますので、私どもさらに民間団体や地方公共団体と幅広く、御理解、御協力を得ながら進めるように、今一生懸命考えておるところでございます。
  170. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 次は、国民文化祭についてお伺いをいたします。  いよいよあしたから東京都で第一回国民文化祭が行われることになりました。趣旨、内容等々については大変敬意を表するものでございます。さらに、これに合わせまして、十月から十二月まで地方自治体におかれましても、あるいは企業等におかれましても協賛の諸事業が行われるということで、ありがたいことだと思っておりますが、このようなすばらしい発想が出てきたわけでありますから、教育の荒廃が叫ばれております今日であります、心豊かな社会環境をつくりたいという願いが国民にありますので、どうかひとつこの文化祭は、これが第一回でありますから、ひとつ国体のように各県で持ち回りにして、ひとつ大いに持ち上げていったらどうであろうかと思いますが、文部大臣の御所見を承りたいと思います。
  171. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この国民文化祭というのは、前の文化庁長官の三浦朱門さん、この方が長官就任早々に発議されて、約一年間事務的に煮詰めてきて、やっと、あすですか、あすスタートを切るようになりました。いろいろ御協力をいただきましてありがとうございました。  御承知のように、芸術祭というのは政府、文化庁が主催で毎年やっておりますが、これはプロの方が芸を争うというか、これは私は芸能、芸術あらゆる面において非常に水準の引き上げに貢献しておると思うんです。ところがどうしても東京でしかこれが開催できない。そこで、地方の文化を大事にすると同時に、地方の文化に対して国民的水準の高いものを普及していくということで、国民文化祭というのが開催されました。こういうことをやるにつきまして、もちろん国体のように持ち回りで、各県持ち回りでやりたい、これはもう当初から計画しておるんですが、それには、余り金を使わないでやっぱり文化の実を上げていくという、そういうことにしてやっていきたいと思うております。そうでないと長続きしないと思います。それだけに私は、この国民文化祭というのはその各地で思わぬ文化の発掘になるんではないかなという期待を込めておるものでございまして、こうしていよいよ発足するものでございますので、皆さんの御協力を得て立派なものとして定着していくようにやっていきたいと思うております。  ついては、これはやっぱり準備のかげんありますので、ことしは東京でやるんでございますが、できるだけ来年、再来年、二、三年先の開催地を予告してやったら、その準備もうまくいくんではないかなと思うておりまして、鋭意研究さしていただいて早急にそういうことを決めたいと思うております。
  172. 杉山令肇

    ○杉山令肇君 最後になりますが、地元に関連をいたしまして恐縮でございますが、お尋ね一ついたします。  名古屋大学のプラズマ研究所が昭和三十六年に設置されまして以来、全国のプラズマ研究のセンターとして重要な役割を果たしていると思います。このプラズマ研究所が岐阜県土岐市へ移転するための準備が進められておりますが、この移転が東濃西部地域における今後の地域づくりを進めていく上での起爆剤になるものとして大きな期待を寄せられております。核融合研究は、未来のエネルギーとして、資源に乏しい我が国が大いに推進すべきものと考えますが、今後ともプラズマ研究所を初め全国の大学における核融合に関する研究の充実を図られるようお願いをいたしたいと思います。大学研究所におけるこのような先駆的な研究は、ともすれば一般社会人の注目を浴びることは少ないと思いますが、できるだけ大学が社会に開かれていくことを支援することが必要であると考えられるのであります。岐阜県では、昭和六十三年に岐阜市で岐阜中部未来博覧会を開催することになっております。このような機会に、未来のエネルギー開発への挑戦といった観点から、何らかの展示物等の出品をプラズマ研究所から行うということを、大学研究を社会に周知するためにも、考えてみていただいてはどうかと思うのであります。  御意見を承りたいと思います。
  173. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 核融合の研究につきましては、大学におきましても、基礎研究という立場から、重要基礎研究一つとして重点的に推進をしてきておるところでございます。名古屋大学のプラズマ研究所につきましても、土岐市への移転につきまして六十年度から三年計画で用地購入という準備を進めておるわけでございます。  ただいま先生からお話がございました岐阜中部未来博覧会に名古屋大学のプラズマ研究所からもひとつ出品等の協力参加をしてほしいという件につきましては、私どもといたしましても、やはり学問というものは大学内だけではなく、広く社会の方々に御理解をいただき、社会と連携をとりながら進めるということも大変有意義であろうかと思いますので、ただいま先生からお話しございましたような点につきまして、具体的にどのように前向きに対応できるか、博覧会事務局等、関係機関とも十分連絡をとりながら検討するように大学側にもぜひお伝えをしたいと思っております。
  174. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 質問さしていただきます。  私は専修学校の問題について少しお伺いをしてみたいというふうに思います。昭和五十一年に専修学校が制度化されてちょうど十年になるわけでございますが、私調べさしていただきましたところでは、ことし六十一年度で専修学校数、違っておりましたら後で教えてください、三千八十九校。生徒数が現在延べ五十九万人、本年の入学者数三十五万一千四百八十九人というような、大変当初予想もできなかったような専修学校が大きな規模のシェアを持つ形になってきたというふうに私は思います。この五十九万人というような数字は、大学の数字で私はじいてみますと一・三四倍、それから短大の二・八倍ですね。それからことしの入学者数で三十五万人を考えてみますと大学の入学者の約八割、それから短大の一・六六倍というような状況になっているというふうに思います。一方でリクルートリサーチ社等が調べた卒業後の社会における状況でございますけれども、これもまた大変にいい結果が出ておりまして、それぞれ専門性が生かされ、あるいはまたその職業意識を持った即戦力という形の評価が大変大きくなされているというふうに思いますけれども、大変にありがたいというような評価が企業の側、つまり全国の上場企業、有力非上場企業五千二百社を対象に行った今回の結果でも出てきております。また卒業者自身も非常に満足したところに自分たちは就職したというような声が六〇%以上を占めておるという状況になりますと、この専修学校の占める役割というのは大変に私は大きな意味が出てきたのではなかろうかというふうに思っておる者の一人でございますけれども、まずこの点について大臣でしょうか、御認識いかがでしょう。この専修学校なるもののお考えはいかがですか。
  175. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 大臣がお答えする前に数字が正確かどうかという先生の御質問がございましたので、先生が数字を挙げました専修学校学校数あるいは現在の生徒数等につきましては先生のおっしゃっておるとおりでございます。それから高等学校の新卒者だけにつきまして大学短大、専修学校の専門課程に進学した者の数字を申し上げますと、高等学校の新卒者でございます、大学に進学した者が二十九万、短大に進学した者が十九万、それから専修学校の専門課程に進学した者が十八万という数字になっているところでございます。専修学校につきまして先生が御指摘になりましたとおりに制度創設以来十年たつわけでありますが、その間専修学校が社会の多様な教育需要に一条学校、いわゆる短大とか大学とか高等学校と違いまして比較的設置基準等が弾力的であるというようなこともあって、社会の進展に非常に弾力的に対応できるという利点が専修学校は持っているわけでございます。そういう社会の進展に弾力的に対応できるという専修学校の利点を十分に専修学校が発揮されて、先ほど先生が評価していただいたとおりの社会的な評価も得て今日の専修学校がきているというふうに私ども考えておりまして、この専修学校がより教育内容を充実して社会の発展に応じて社会のニーズに応じた教育内容を展開できるように私どもとしましても最大限のでき得る援助をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  176. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私の言うことを全部私学部長言っておりました。全く同じでございまして、私は文部省いろいろ教育改革をやっていますが、その中の文部省のやった中で非常にいい一つはこれだったと思いますね、各種学校から専修学校へという切りかえをいたしました。これは確かに私はすばらしい改革だったと、その実がようやく十年たって出てきておるという、これを早くやっぱり高等教育の一環とするまでに高めていくということをやりゃいいんだろうと、こう思いまして、私も専修学校の発展には努力していくつもりでございます。
  177. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 各種学校がかなりずっと昔からいろいろ課題があり、そしてそれを少し改善して位置づけしていくということが教育界の大きな課題であったことは私もよく存じておりますけれども、今大臣が言われたとおりだと私も思っております。しかし、文部省はこれは文部省がおつくりになったんでしょうか、専修学校教育の改善に関する調査研究協力者会議でございますが、ここでいろいろ審議をされている中身が実はあるわけでございますね。先ほど私は大変にいい傾向が出てきておるということでの話を申し上げましたわけでございますけれども、この審議会等でいろいろ論議されている中身の中に、まだまだこれから改善していかなければならない事柄が実は各論に入った場合にはあるということなんでございますが、その点についてこの協力者会議で問われている問題点ないしは指摘事項、こうしたものについてお伺いをしたいと思います。
  178. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 先生指摘のように、私ども文部省の私学部に本年一月に専修学校教育の改善に関する調査研究協力者会議というのを設けて今日まで六回会議を開いてきております。協力者には専修学校関係者、それから中高の進路指導担当者あるいは都道府県の専修学校を指導する行政担当者、それから学識経験者という人たちで構成しております。  現在、審議あるいは調査を進めていただいておる中身は、一つは社会的要請にこたえ得る専修学校教育内容、方向をどう改善していくかという点が一つでございます。それからもう一つは、ややもすると過大広告とかいろいろ社会で誤解を招いておる点も遺憾ながら一部にあるわけですが、適正な生徒募集をどうして募集していくかというその生徒募集のあり方の問題、それから中学校、高等学校先生方に専修学校というものはこういう学校である、こういうものである、こういう教育内容であるというそういうインフォメーション、情報を十分提供するシステムをどうしたらいいかというような点につき、主としてその三点につきまして現在まで六回会議を進めてきております。大体かなり具体的な議論のやりとりも進めてきておりますので、来春、来年の三月ぐらいまでに具体的な改善策をここで出していただきまして、それに応じて私ども都道府県なり、あるいは専修学校団体にその中身を教えまして、一緒に専修学校の問題について改善策を考えていきたいというふうに考えております。
  179. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今おっしゃられた中身のことで私も大変に関心を持ちましたものですから、少し調べてみたわけでございますけれども、その教育内容、玉石混交と言われるような状況が出てきているという中で、さまざまあるわけでございますね。これは有名校の専修学校ですけれども、こんなすごいパンフレットです。雑誌が出ます。これは一校の専修学校です。これはまだ薄い方でございまして、実はインフォメーションと、それから募集に関するガイドの問題ですね。この問題が非常に私は専修学校が今後教育体系の中でいい役を果たしていかなければならないはずのところで、足かせになっていくのではないかなというテーマを実は持っておりますものですから、この専修学校のことを取り上げたわけでございます。  申し上げたいこと、調べるとたくさんあるわけですけれども、限られて時間の中でまず申し上げますと、その募集の問題ですよね。この募集が、つまり専修学校は自力では生徒募集がなかなかできないと。しかも、全国にシェアを広げようなどという場合にはとても自力では募集ができない。しかし、三千八十九校ですか、というような乱立ぎみの状況になってくると、当然これは過当競争が出てくるわけでございまして、この募集に関する一つの作業というのが実はこの専修学校にとって最大の課題だということになってくるわけです。リクルートあたりが出しております「ザ・スペシャリスト」も見ました。それから、「進学研究」というガイドブックも見ました。重たくて持ってこられないので持ってきませんけれども、あの「ザ・スペシャリスト」というガイドブックに専修学校がカラー二ページで我が校の紹介をしようとすると、フィードバックはがきつきですね、それでやろうとすると全国版が八百七十万円取られるそうでございます。それから、東日本版で五百九十万取られるそうでございます。これがダントッなんですね。そして、中央企画センターが出しております「進ゼミ専門学校綱」というものになりますと、これが記事二ページで全国版百八十一万、関東甲信越版には六十四万五千円を支払わなければならない。これがさらにカラーになりますと、カラーはたった一ページしかもらえないと。しかも、この全国版では二百二十三万、そして、関東甲信越版ですと七十七方というような形です。そして、ごくごく普通のガイドブックでも、記事とかカラーとかまぜて百二十万から二百万はみんな出して、いわゆるガイドブックという一つの業者を通して我が校のPRをしなければ生徒募集ができないという状況にあるということ。  さらに、生徒募集に関して言うならば、もう一つは高校あるいは大学に入るときのいわゆる学校説明会とか進学説明会がありますね。これも一つはインフォメーションのうちに入るわけでございますが、これは専門学校進学指導研究会というところがお出しになっているデータで、昨年五月、東京、神奈川、埼玉、千葉の高校五百十七校を対象に行った調査で、三百二十三校までは自校にその専修学校を呼んで説明会をやっておるけれども、三百二十三校のうちの二百十九校は、高校がじかに専修学校を呼ぶのではなくて、業者を介して、学校へ来てもらうように業者が全部セットをしているという状況なんです。そして、それには全部お金が必要になってくる。こういう状況があるんですけれども、私はこの種のことに関して何とか手だてができないものだろうかというふうに思うのと、この後でちょっと学費の問題を出してみたいんですが、この専修学校の学費等が全部これらの費用が、経費が上乗せされるから高くついていくのではなかろうかなということを思うんですけれども、先ほど言われた専修学校の募集の問題についていろいろまだ問題があるというふうにおっしゃられた文部省側で掌握していらっしゃる状況をお伺いいたします。
  180. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 確かに先生が今お挙げしました広告にかかる費用というのが、大体私どもも非常に膨大な経費がかかるので困るというようなことを専修学校関係者から聞いております。専修学校関係者も、結局一つ学校がやりますとほかの学校もやらないと負けてしまう、あるいは生徒が来ないかもしれないというようなことで、だんだんエスカレートしていくという嫌いが今日まであったわけでございます。  そういう意味で、先ほど申し上げました私どもの研究協議会の場でも生徒募集のあり方と、それからそれは中学校、高等学校先生方にどうやって専修学校の実態を情報提供するかということとの裏腹なんですが、そこを十分やっていくということ。  まず、募集のあり方につきましては、現在専修学校の全専各連という、御承知かと思いますが、略称でございますが、そういう団体がございます。そういう団体の中でも自主的に規制していこうという動きがございまして、南関東ブロックが、これが、一番早いんですが、南関東ブロックが近々募集のあり方について自主規制についての案を示すというふうになっております。そういう案でも出していただければ、私どもの協議会でも十分それを検討して、いいところはどんどん取り入れて全国的に流していくということ。  それから、現在全専各連で自主的に出しておる案内書、専修学校、各種学校の案内文書があるんですが、これはまたもう学校名とそれから置かれておる教育内容の学科名などが羅列してあるだけでして、生徒、入学したいという人が見てもそう魅力あるものじゃない、機械的なものだというような反省もございまして、リクルートとかその他の業者がやっておるような派手な案内書じゃないとしても、今全専各連で出しておる全国専修学校各種学校案内、これはそんな高いものじゃございません。その案内をもう少し工夫して、そして同じ全専各連で出すものですから、ある程度各学校が持つスペース、言いかえればページ数は平等に割り当てるわけですが、それを工夫して、それで間に合わすようなことも考えていくべきではないかというようなことも研究しているところでございます。  それとあわせて中学校、高等学校先生方に専修学校の実情を知っていただくというためには、単にそういう派手な文書による宣伝ではなくて、それぞれの地域の全専各連の団体とそれから中高の進路指導の先生方とそれから地域の行政機関、教育委員会等私学担当課の行政機関の三者がお互いに協議する、話し合う場を設ける必要があるんじゃないかということもございまして、本年度から文部省がある程度あっせんいたしまして、そういう会を始めたいと。とりあえず本年度は東京だけで、関東ブロックに限られますが、やって進めていきまして、来年度以降は全国的にそういう三者の協議の場を設けていきたいというようなことも考えているところでございます。  いずれにしましても、今先生が御指摘になった点は、専修学校関係者も最近になってやっと、これじゃいけないということを痛感してきたところでございますので、そういう自主的な反省に立った改善の道を私どももお手伝いしながら、私どもの協議会を通じ、あるいは全専各連の団体の会合を通じて改善するように努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  181. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それは非常に私は大事なことで、また父兄も確かな正しい情報が得られなければ、また、進学指導する教師の側も専修学校に関する正しい情報がなければ、進学指導を間違えるわけでございますから、非常に大事な事柄だろうというふうに思いますので、ぜひ指導を徹底していただきたいというふうに思います。  それから、同じく今の全専各連ですかから臨教審に対する要望事項が出ておりますね。四項目ほどの要望事項が出ておりまして、これも私一つ一つ検討してみましたが、大変に大事な事柄でございます。専修学校が当初の目的どおり、一つの大きな教育の系列下に入っていくためにも、これは越えなければならない一つの垣根でございますので、これも強力に進めていただきたいわけですが、その卒業生が公的な資格取得や受験に際して、短大や高校卒業生と比べて大変不利な条件にあるというテーマがまだ現存しておりますね。そういうことに関して、これはこの全専各連の要望どおり、これが改革されていく見込みがあるのかどうなのか。  それから、その公的資格取得の要件について、つまり専門課程については短大並みにという、同等ということですね。それから、専修学校高等課程の方の場合は高校卒業者同等というその扱い、これを明確に位置づけるということが約束されるかどうかでございますよね。そして一方で、一条校との連携の問題等もございます。この要望事項に関して、文部省はどんな取り組みを今後なさろうとしておるのか。目安はどんなところにございますか。
  182. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 今先生も御指摘のとおりに、全専各連が臨時教育審議会にもそういう御要望を出しておりますので、当然臨時教育審議会でもかなり前向きに、聞くところによると、その問題について触れると、第三次答申に触れるんではないかというように私ども期待しているわけでございます。  御承知のとおりに、臨教審の第一次答申で、専修学校の高等課程を卒業した者に対しては、大学の入学資格を与えたらどうかというような御指摘がございました。これにつきましては、私ども早速文部省令を改正いたしまして、専修学校の高等課程を卒業した者については大学の入学資格を与えまして、既に本年四月高等専修学校を卒業して大学に入った人もかなりおりますし、国立大学、東京芸術大学を初め国立大学に入った人もいるわけでございます。  私ども、この全専各連の御要望に対しまして、これは職業資格のそういう権限というのが各省に相当またがっておるものでございますので、第一段階としては、まず人事院が所管する資格、職業資格の要件については、ぜひまず人事院が最初に突破口を開いていただきたいということで、人事院と担当者で話し合いに入っているところでございます。私、文部省といたしましては、ぜひ人事院を初め各省にもお願いをして、臨時教育審議会の答申をまつまでもなく、そういう努力を各省庁と話し合って続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  183. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 専修学校卒業者が短大並みに扱われているのは、栄養士、保母、歯科衛生士、看護婦、管理栄養士、無線通信士などごく限られている。小学校教員二級、それから税理士、社会教育主事、公認会計士、不動産鑑定士など多くの資格試験は、短大卒業生なら試験の免除の特典もあるけれども、専修学校卒業生にはこれがないというのも事実ですよね。  だから、そういうことになりますと、やはり現状では、どうしてもそういう専門的技術は欲しいから専修学校へ通う。だけれども、大学に入っているという資格は持たなければならないものだから、大学にも籍を置くという形のいわゆるダブルスクール、二重就学というのが出てきておるというのは御存じだろうと思うんでございますけれども、私も幾つかの新聞記事も集めてみましたけれども、いわゆるダブルスクール族というのがふえてきたということ、これはやはりそういうところに盲点があるわけです。それをどうしてもやはり解決していただかなければ、この手の現象というのは私はなくならないのではないかというふうに思うんですね。  したがいまして、こうした格差を早く解消していただくために、今いろいろ取り組んでいるというお話でございましたけれども、ぜひ大臣、いかがでしょう、これは各省にまたがる実は話なんでございますが、みんなで協力してもらいませんとこの垣根が取れません。ぜひ大臣もこういうことに心を砕いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  184. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、先ほども申しましたように、これは非常に社会的ニーズに一番沿う部門でもございますしいたしますので、御質問の趣旨を体しましてこれからも懸命の努力を重ねてまいります。  もちろん、各省との連絡という、これには意を用いてやらなきゃなりませんが、何はともあれ、やはり文部省がこれをリードしていかなきゃならぬと思いまして、努力してまいります。
  185. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私も大変関心のあるところの課題でございますので、これからも気がついたことはお伺いにまいりたいと思いますから、ぜひ力を入れて、この点せっかくできてきて、そしてこうして育てられてきている制度でございますので、これを早く課題を取り去っていただきたいというふうに思います。  次に、私ただいまの話の延長線上で問題意識として出てきたもので、これは専修学校ではなく、恐らく各種学校の話になろうかと思いますけれども、最近のマスコミに一部載りました偽装入学の問題についてちょっとお伺いをしたいわけでございますけれども、円高等の傾向もありまして、日本学校等の入学者を装って、つまり資格外活動を日本の国内において行う外国の者がおるという、そういうテーマでございますけれども、東京入管でことし七月から十月まで集中取り締まりを実施なさったそうでございますけれども、資格外活動をしていた外国人が百五十二人おったということだそうで、そのうち、昨年はゼロだった偽装入学者が四十人いたということを伺いましたけれども、このことについて法務省から御説明をお願いします。
  186. 書上由紀夫

    説明員(書上由紀夫君) お答えいたしますが、先生の御質問の趣旨をあるいは取り違えておるのではないかと思うんでございますが、ただいま御指摘ございました東京入国管理局で摘発をいたしました偽装入学者、就学者の数は、御指摘のとおり、四校四十名でございます。  これを全国的なべースに直してみますと、五十八年以降私どもで把握しております偽装入学をしている資格外活動者というものの数は、合計百三十六名、百三十六件になるわけでございます。内訳は五十八年が一件、五十九年が七件、昨六十年が九件、そして本年は十一月二十日現在で百十九件と急激な増加ぶりを示しているわけでございます。  また、このような日本学校に対する入学を偽装いたしまして資格外活動を行っている外国人の国籍を見ますと、ただいまの合計百三十六名の内訳になるわけでございますが、バングラデシュが四十九人、中国が、これは台湾でございますが三十三人、韓国が二十二人、パキスタン十七人、フィリピン九人となっているわけでございます。  こうした私どものサイドから見ますと違反外国人でございますが、大半は当初から我が国におきまして出稼ぎをするという目的を持ちまして、日本語の習得を名目に入国いたしまして、男性の場合には主に土木建設の工事現場あるいは自動車の解体工場であるとか、鋳物、印刷等の町工場において低賃金労働に従事しているものでございます。また女性の場合には主として風俗営業関係の店舗においてホステス等の業務に従事しているものでございます。  以上が私どもの把握している実態でございますが、現実には私どもの目の届かないところでこれを上回る相当数の外国人が、日本語研修という就学を装って稼働しているということも十分推測できるわけでございます。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、文部省にお伺いをするわけでございますけれども、こうしたいわゆる資格外活動を各種学校日本学校が主のようでございますから各種学校になろうかと思いますが、そういたしますと、いろいろ都道府県関係の仕事にもなろうかと思うのですけれども、いずれにしても日本学校一つの隠れみのになってそういう行為が行われているという、こういう実態があることは間違いないわけでございますので、文部省としても何らかの見解をお持ちだと思うのですが、いかがでしょう。
  188. 植木浩

    政府委員(植木浩君) ただいまお話がございました、また法務省の方からも御説明がございました点、私どもの伺っている範囲ではもちろん専修学校ではございませんし、また各種学校にも恐らくなってないのではないかと。むしろ専修学校でも各種学校でもない個人立といいますか、そういったもののように承っております。もちろんこれは直接には入国管理上の問題であろうかとは思いますが、文部省日本教育の推進ということを担当いたしておりますので、こういった事態は大変遺憾であると思っております。  文部省の方といたしましては、これまでも日本教育を行っております施設の水準が維持向上するように日本教育研究協力校を指定をいたしたり、あるいは日本教育研究協議会というものを、そういった関係者の方にお集まりいただいて開催をしたり、そういった意味日本学校の水準の向上ということに努めてまいっておるわけでございまして、直接の対策ということになるかどうかはわかりませんが、今後とも関係機関とも十分連携、連絡をいたしまして、そういった日本教育の水準の向上という角度からいろいろと施策を進めてまいりたいと思っております。
  189. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、法務省にもう一度伺いますけれども、新聞なんかの報道によりますと、この手のことが起きないように今後、いわゆる俗称就学ピザと言うんだそうですけれども、こういうものの発行に際して日本国内に在住する個人の身元引受人、これは改正されましたね、五十九年に一応。いわゆる学校長が認可すればいいという形になったわけですね。それをもとへ戻す形になるんでしょうか、これは個人の引受人がなければならない。あるいは学費、滞在費等の負担力に関する審査というんでしょうか、そういうものを強めることによって何らかのその歯どめにしたいというようなことが新聞に出ておったわけでございますけれども、つまり基準を強化するということなんでしょうが、私は、これは文部省の方ともお話し合いをしていただかなければならないことになりますけれども、先ほど留学生の十万人計画の話も出ておりました。  したがいまして、ほんの一部のこうした例によってすべての留学生への門戸が狭められるということは、まさに現時点では我が国の行う行為に対して、逆行することになりますものですから、そういう意味からまいりますと、私は、こういう方法でない形の何らかのチェックの仕方がなかろうかということを思うんですけれども、この今後の対策ということでもう一度答弁をお願いします。
  190. 大久保基

    説明員(大久保基君) お答えいたします。  私どもといたしましても、先生がおっしゃいましたとおり、日本での日本語の勉強等日本へ留学をされる方については、本当にそれがこちらへ入国される目的が日本で勉強されるということであれば大いに歓迎すべきでありますし、かつ手続も緩和して、できるだけ便宜を図るべきだと思っております。  ところが、先ほど私どもの方から御説明いたしましたとおり、偽装入学者の実態については必ずしも明らかでない面もございまして、ただ、摘発された外国人について見ますと、偽装就学者と見られるものがふえてきているという傾向は明らかでございます。これは大変遺憾なことだと考えております。私どもとしては、このような偽装入学行為を極力防止するような適正な措置を講ずるということで今考えております。  今先生から御指摘、御質問ございました点につきましては、現在検討中でございます。と申しますのは、具体的に例えば私どもが検討しておりますのは、特定の国の名前を申し上げるのは差し控えますが、ある国は外貨不足から就学のための送金はできないということになっておりますけれども、私のところへ出てまいります申請書には、本国の親元から送金と、そういうことになっておるわけでございます。こういう点について国内だけでなくて外国の事情かどうかということを関係省庁にもお願いして調査しているところでございます。  以上です。
  191. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 よろしくお願いいたします。  次に、私、消費者教育の問題についてもう一度文部省にお伺いをするわけですが、その前に経済企画庁にお尋ねをいたします。  ことしは消費者問題についてたくさんの論議があった秋であったというふうに思います。そして、十月三十一日に消費者保護会議が開かれ、今後一年間の重点的に取り組むべき消費者保護対策二百八十項目が示されたわけでございますが、その中にも消費者教育、特に学校における消費者教育について重点的に取り上げてあるわけでございます。  それを読んでみますと「中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領に基づき、関係教科において、消費者保護の問題、物価問題等に関する教育が適切に行われるよう指導する。」「引き続き、学校における消費者教育に関して、適切な参考資料のあり方等その境環整備の方策を検討するため委託調査を行う。」というようなことが書いてあるわけでございまして、経済企画庁もこの消費者教育に関してかなり強力な力を入れてくださっているというふうに思うんでございますけれども、まずその経済企画庁の見解を伺います。
  192. 植苗竹司

    説明員(植苗竹司君) お答えいたします。  消費者教育は、消費者保護基本法第十二条に定められているところでございまして、従来から消費者行政の主要な柱として推進してまいったところでございます。ところが近年、消費者を取り巻く環境が大幅に変化いたしまして、消費者教育、とりわけその中でも学校における消費者教育の重要性が非常に高まっている状況にございます。  今先生指摘がございましたように、先日第十九回の消費者保護会議が十月三十一日に開催されましたのでございますが、その際にも消費者教育、その中におきます学校における消費者教育につきまして特に重要性を強調されまして、通常我我前文と申しておりますが、要約文がございますが、その中に特別に学校における消費者教育の充実を特掲いたしまして御決定をいただいた次第でございます。
  193. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 時間がだんだんなくなってまいりましたので私の言い分の方から先に言わしていただきますが、経済企画庁はそういうふうに一生懸命やり始めてくださってもう三、四年になるわけですけれども、それを受けて立つ方の、つまり学校教育という場面を使っての消費者教育に関して文部省の受け入れ方がなかなかテンポが進まないというのが私どもが持っておる実感でございます。これについて、実は本年度予算委員会のときにも海部文部大臣にいろいろお伺いをしたわけでございますけれども、きょうは消費者教育という漠としたテーマよりはもっと話を具体的にいたしまして、私は消費者信用教育ということでひとつ具体的に話を絞って文部省の側にお伺いをしてみたいと思います。  キャッシュレス時代とかあるいはカード時代というようなことが言われる今日、クレジットカードの発行数が九千八百五万枚だそうでございます。それからキャッシュカードは一億枚とも言われております。それからまた、各家庭におきまして可処分所得に占める消費者信用割合はどんどん増加をしております。これは日本消費者信用統計の八六年版で、なおかつ五十九年の実態しかわからないんですけれども、家計の可処分所得に占めるいわゆる消費者信用の割合、これは一五・四六%ぐらいになっているわけです。つまり、そういう時代になりましたということでございます。私は、こうした実態、社会の実態を踏まえて、子供の世界はどうなっておるのであろうかということを調べました。  これは品川区のある中学二年生の二クラスを調べてまいりました。今あなたが持っているカードは、ということでございます。その中で、子供たちはカードを持つのが今当たり前の顔をしておりまして、カードは彼らの必帯品であるという感覚を私は持ちました。これは八十二人でございます、一クラスが四十一人で二クラス八十二人分。テレホンカード五十八人、オレンジカード九人、キャッシュカード十八人、クレジットカード二人、あとこれ以降彼らの言うカードというのが続きます。図書カード二十八人、レコードカード三十人、ビデオカード十八人。診療カードというのも持っております、六十四人。洋服カードというのもあるようでございます、三十四人。カードをいっぱい持っているのが格好いいんだそうです。ダンキンドーナッツのカードもありました。というふうに子供たちはカードをたくさん持っているんです。非常に私は実はびっくりしたんです。こんな状況ではないと思いました。  それで、東京都から資料をもらいまして、「児童・生徒への各種カードの浸透の状況」というのを調べてあったのをもらいました。それで見ますと、テレホンカードは、持っていますだけに限って言いますと、小学生で八九・五%。それからオレンジカードは「知っていますか。」「持っていますか。」「使ったことがありますか。」「ほしいですか。」という四段階で聞いておりますが、持っているのだけを言います。オレンジカード二〇・九。キャッシュカード、小学生ですよ、一六・二%です。クレジットカードはさすがに一・〇です。しかし持っている。ここで私は注目したいと思ったのは、最後の「クレジットカードがほしいですか。」という質問でございます。「ほしいですか。」の質問に対して、小学生が四〇%クレジットカードが欲しいと答えております。中学生が五一%欲しいと言っております。キャッシュカード、中学生二一・五%、高校生になりますとキャッシュカードは五四・〇%、皆必帯いたしております。まさにカード時代の子供たちの実態がこの数字の中から私はうかがえるというふうに思うんでございます。  そこで私はお伺いをするんですが、私が消費者教育の質問をいたしますと、文部省はいつでも、児童、生徒の発達段階に応じてこれを進めるというふうにお答えになられますし、どの場面でもこれが出てくるんです。しかし、子供たちはこれだけ発達してしまっている。むしろ教育はいつも後から追いかけていくのが現実ではないかということです。  こうしたカード時代の中のカードというものに対する認識を子供たちがどんなふうに持っておるかということも、これはアンケートではなくじかに話をしながら聞いてみますと、彼らには契約意識というようなものは一切ございません。アメリカの契約教育に関する実態を私も視察してきました。ヨーロッパもしてまいりました。しかし、日本子供たちの意識の中にこの契約意識というのがまことにないわけであります。大学生とも話をしたことがございます。そのときに、二者契約はわかるけれども、三者契約、四者契約という意味はわからない大学生がおるんです。こういう実態について、私はどうしてもやはり、せめて消費者信用にかかわってもうちょっと真剣に文部省の側から教育のあり方を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  194. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) ただいま先生から御指摘の点でございますが、かねて消費者教育の重要性については先生からたびたび御指摘でございますが、特にただいま御指摘のありました消費者信用にかかわる子供が大分進んでいるというふうな現状の御指摘、そしてそれにかかわる教育のあり方と、こういう問題でございます。  私ども教育をお預かりしている中でこの辺について適切な対応をしてまいらねばならないわけでございますが、その対応段階といたしましては、まず一つは、学習指導要領にそれをどういうふうに盛り込むか、これが第一でございます。それから第二は、それを教科書にどういうふうにあらわしていくか。それから第三点は、現場における現実の指導においてどうかと、三つあると思うわけでございます。確かに、経済社会の進展と、それから生活の変化、消費者ニーズあるいはいろいろな手段、方法の変化で先生指摘のようにキャッシュレスカード、子供の発達段階、大変進んでおるわけでございますが、私どもとしては、先ほどお話がありました経済企画庁からも消費者信用適正化研究会の報告を私どもちょうだいいたしております。それから、国民生活審議会からの報告もいただいておりまして、現在教育課程審議会がやっておりますけれども、国民生活審議会からいただきましたものは、会長あてにいただいておりますので、課程審の全員にあれを差し上げてあります。そして、これから教育課程の審議、あと一年かけてやるわけでありますが、内容は個別の科目に当たるわけでございまして、これから分科会が走り出します。消費者教育、大変大事でございますので、この点についてはぜひ先生から御指摘の点も含めて、信用の問題も含めまして十分議論していただきたい、その辺で学習指導要領の問題は担保していきたい、こういうふうに思っております。そこが担保できますならば教科書の問題もおのずから担保できると思いますが、しかしそれ若干時間がかかりますので、現場の指導の問題としては、もう少し指導部課長会議等で先生指摘の点も踏まえて我々内部で検討いたしまして、指導部課長会議等での指導などについても今後対応を考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  195. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 最後に大臣に私も要望させてください。  私きょうこの消費者教育の問題についてはずっと発言をしてきております。消費者という言葉を使いますと、大変小さな片隅のおばさんたちが走っている運動のような話にとられがちでございますけれども、私たちが申しておりますのは、いつも言いますように、生活者として自立できる教育をしていくということが私は消費者教育だというふうにいつも認識いたしておりますし、主張いたしてきております。したがいまして、どうしてもその教育の中にもっと暮らしというものを根づかせてほしいというのが私の一番の主張なんでございます。このことをぜひお願いいたしまして、今開かれております教育課程審議会等で大いに論議していただくように大臣からもぜひ要請していただきたいし、それから国民生活審議会の会長であられる永井先生からも、このたびあのような申し出がございますんですから、このことは私どもこういう問題にかかわっておりますメンバーとして、強力なパワーだというふうに実は永井先生のお働きを思っておる次第でございます。したがいまして、どうぞ大臣に大きなる働きをしていただきたいと思いますが、御答弁ちょうだいして終わります。
  196. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はずっと質問を聞いておりまして、私が就任早々役所の人たちに申したと同じことをおっしゃっている、全く同じことをおっしゃるんです。先ほども経済企画庁の人が言ってましたが、十月の三十一日に消費者行政の関係閣僚会議がございまして、あのときにも私はそれを非常に強く主張いたしました。今、消費者という言葉は、先ほどもいみじくもおっしゃいましたが、そういう言葉が何か菜っぱを買う、あるいは薬を買う、それはPCBだとか何だとか、そういうことに結びついておったときの消費者運動。それと今日の消費者とは全然違うと思うんです。経済行為をする利用者だと、私はこう思いますが、それにはやっぱり契約観念というか貸借観念というか、そういうものが全くもう私は学校教育で行われてない、そんなことも僕はなぜだろうと実は思うておるのでございまして、したがって教育課程審議会の先生方に、余りアカデミックなことばっかり言っておられるんじゃなくて、もう少し生活に、そして社会に密着したことを取り上げていただくようにお願いしたいと私自身も思うておるんです。どうも私はずっと学校教育、とにかく教科書を見ておりましたら、余りにも社会と生活と離れておるような感じがしてなりません。幸い、教育課程審議会の会長福井先生は私も懇意な方でございますので率直に訴えてみたい。そして、アカデミックなことも大事でございますけれども、やっぱりたくましい、それに主体性のある児童を育てるということになればこういう教育は当然必要だと思うております。
  197. 田代富士男

    田代富士男君 私は、最初に原子力発電についてお尋ねをしたいと思います。  まずソ連のチェルノブイリ原発事故に関して伺いますが、この事故発生後、IAEA、国際原子力機関を舞台に各国が集まりまして討議を重ね、またソ連からは詳細な報告がなされまして、その結果、九月末には二つの条約が採択されまして一応の討議の幕を閉じたのでございますが、今後ますます原子力発電の重要性が増してくる我が国にとりまして、今回の事故をどのように受けとめておるのか伺いたい。  特に、ソ連と我が国とでは御承知のとおりに原子炉の方式が違うと言われておりますけれども、この巨大なシステムにつきまして謙虚であるべきであると思いますけれども、国民にわかりやすくまず最初に御説明をしていただきたいと思います。
  198. 佐々木壽康

    政府委員佐々木壽康君) お答えいたします。  今回のソ連の事故でございますが、この事故につきましては、三十一名という非常に多数の死者が出たということ、また約二百名に及びます急性の放射線障害が起きております。そういった人的な被害、それから原子炉自身が爆発によって非常に大きく破壊しております。そういう点。それから大量の放射能が外国にまで、特に極東の我が国まで来たといったような点で、これは原子力開発史上かつてない非常に重大な事故である。これはもう私ども非常に重大な事故ということで受けとめております。  こういう認識のもとで我が国におきましても、原子力安全委員会は事故調査のための特別委員会を早速設けていろいろ調査してきているわけでございますが、去る九月九日に今回の事故について、先ほど先生がおっしゃっておられましたような、IAEAの検討等を踏まえて第一次のソ連の報告書を取りまとめられたわけでございます。ここでかなり非常にはっきりしたことがわかりまして、特にこのソ連の今回事故を起こした原子炉でございますが、これにつきましては、いわゆる反応が進みまして原子炉の中で蒸気の発生がふえてまいりますと、原子炉の出力がさらにどんどんふえていくという非常に原子炉としては不安定な状態の特性があるということ。それから、こういう不安定な特性に対して原子炉を停止する系統が必ずしも非常に迅速に停止できないという設計になっていたというようなこと。その他安全対策上の問題がいろいろあったというようなことで、今回の事故というのは、そういうようないろんな設計上の問題、それから運転規則を含めた安全対策上の問題、そういうことから起きてきたというふうに考えております。  今回具体的にそれじゃなぜそういう事故になってしまったのかということは、ソ連の報告書では六つの項目を具体的に事故の直接の引き金となった問題として挙げておりますが、その六つの項目は、結局運転規則の違反であるとか、あるいは実験計画の違反であるとか、それから今回機械の性能のテストをやったわけでございますが、そういう特殊なテストを行うに当たってその安全性をチェックする体制に問題があった。それから、実験を本来あるところで、原子炉自身が不安定になったところでやめるべきであったわけですが、あくまでもテストを遂行してしまおうということで無理やりやったといったようなことが直接的な原因になったと言っておりまして、我が国の場合はこういうような無理な実験というものはできないというふうに管理されておりますので、この報告書では、私どもの原子力安全委員会報告書では、こういう事故は我が国では起こるとは考えられがたいというふうに現時点では結論づけております。  しかしながら、非常に重大な事故だということで、私どもは原子力安全に対する大きな警鐘だということで、これからいろいろなことを学ぶべきであるということでございまして、安全委員会におきましても引き続きまして我が国の安全確保対策に反映すべき事項がないかどうかということで検討を続けております。その検討結果が出ましたら、私どもはさらに安全対策の充実というような方向にその結果を反映させていきたいというふうに思っております。
  199. 田代富士男

    田代富士男君 御丁寧な答弁ありがとうございます。御丁寧な答弁でありがたいのですが、今の答弁で一問だけで六分かかっております。私の持ち時間が限られておりますから、それも短縮されておりますものですから、一問題で六分かかっておりましたらちょっと、丁寧でありがたいのですが、よろしく御推察のほどをお願いいたします。  それでもう一つ、チェルノブイリ原発に関連いたしましてお尋ねいたしますけれども、科学技術庁は当初今回の事故による放射能は我が国には到来しない、こういうように言っていらっしゃいましたけれども、現実には五月の初めに放射能が検出された経緯があります。御承知のとおりでございます。しかも、五月半ばには減少傾向があらわれまして、その後五月二十二日ごろには放射能対策本部では観測体制が緩められた経過がございます。ところが、その直後の二十五日あるいは二十六日には実に第二の放射能のピークが到来いたしまして、その程度というものは五月初めの濃度にほぼ匹敵するものであったということでございます。これは御承知のとおりでございます。  今、御答弁がありましたとおりに、極東の我が国にまでもこういうものがあらわれたということは大変なことであると言われたとおりでございまして、このような予測に反したこの事態の推移について科学技術庁としてどのように受けとめられていらっしゃるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  200. 佐々木壽康

    政府委員佐々木壽康君) お答えいたします。  今回、当初私どもは、気象条件等から考えて日本の方には放射能は来ないんじゃないかということを考えたわけでございますが、しかしながら、とはいいましても、やはり北欧諸国でかなりの汚染が検出されたということで万全の観測体制をとったわけでございます。  それから、御指摘の第二のピークの件でございますが、第二のピークの件に関しましては、実はそれ以前にかなり放射能が減衰したということがございまして、観測の頻度を若干落としたわけでございますが、その直後にまた第二のピークが出たということでございます。しかしこの場合も、頻度は落としましたけれども、観測漏れにならないようにという程度に頻度を落としておりまして、それで再度またそのピークを検出いたしております。  そういうことで、私どもは単に気象条件だけに頼って今後観測体制を緩めるといいますか、放射能観測を漏らすようなことのないように、やはり常に万全の体制で観測は一定の間隔で続けるべきだろうというふうに考えております。
  201. 田代富士男

    田代富士男君 本年六月に、御承知のとおりに動燃事業団の東海事業所で起きた放射能汚染につきましてその概要を説明していただきたいと思いますが、特にこの種の事故を未然に防止できなかったのはなぜかということをお尋ねしたいと思います。それと同時に、科学技術庁長官には、これは御就任の前の事故でありましたけれども、どのようにこの事故を受けとめていらっしゃるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  202. 佐々木壽康

    政府委員佐々木壽康君) 御指摘の事故は、六月二十三日に    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 茨城県の東海村の動燃事業団のプルトニウム燃料を扱っております施設のプルトニウムの貯蔵室で起きた事故でございますが、事故の原因といたしましては、実はプルトニウムを入れておりましたステンレスの容器、それをさらに二重のビニールの袋で覆っているわけでございますが、その交換する基準がそれ以前のものは若干定性的な基準でございまして、その交換が手おくれになったということでございまして、ビニールが劣化していて、たまたま国際原子力機関の査察員が査察のために、国際原子力機関がさらにその上にかぶせております袋をとろうとしたときに破れてしまったということでございます。それで、今後はこういうビニールの使用基準をはっきり定量的なものにいたしております。  それからもう一つ、十二名に及びます汚染を起こしたわけでございますが、この汚染を起こしましたのは、やはりこういう施設の場合には、一番問題となりますプルトニウムがあるところを一番圧力を低くしまして、周りに行くほどほかの部屋はどんどん圧力が少しずつ高くなっているという格好で、プルトニウムの部屋から空気がその周りの部屋の方に行かないという管理をしておるわけでございますが、この圧力管理をするシステムに一部故障がございました。今後はそういう故障を常に管理するということをさらに充実するということで、こういうようなことが繰り返されないようにという対策を講じております。
  203. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) 私がどういうふうに受けとめているかというお話でございますが、就任後直ちに報告を受けまして承知をいたしているところでございます。  既に政府委員の方から答弁申し上げたとおりでございますけれども、今回の事故については、被曝線量が法令値以下であるとはいえ、被曝が十二名にも及んだと、まことに遺憾でございます。事故に関する直接な対応は既に動燃事業団においてとられているところでございますが、今回とられた対応策については他の原子力事業者に通知するなど、今回の事故を教訓といたしまして広く再発防止に努めているところでございます。今後とも事故発生防止には万全を期してまいるつもりでございます。
  204. 田代富士男

    田代富士男君 今御答弁いただきましたが、この事故は私も詳細に聞いておりますけれども、言うなればビニールの袋が破れたとか、扉があいていてこういう汚染が広がったというような、単純な考えられないような事故の問題だと思います。多くは語りませんが、御存じのとおりでございますから。今、大臣が再発防止に力を注ぐということでございますが、これは初歩的なこういう問題の事故であるというところに大事な点があるんじゃないかということをつけ加えておきたいと思います。  外務省にお尋ねいたしますけれども、さきのIAEA特別総会におきまして採択された二つの条約、すなわち早期通報条約と相互援助条約について伺いますけれども、早期通報条約及び相互援助条約に関する署名及び批准につきまして、現在外務省において承知しておられます諸外国の状況を簡単に報告をしてもらいたいと思います。それとともに、特にいち早く署名、批准を済ました国もあるようでありますけれども、実情はどうであるのか、お答えいただきたいと思います。
  205. 村田光平

    説明員(村田光平君) お答え申し上げます。  御指摘の二つの条約は、九月のIAEA総会特別会期で採択されました後、これは九月二十六日でございますが、その日のうちから署名のために開放されまして、即日この二つの条約に署名を行った国の数は五十一カ国に上りました。この中には、米、英、仏、ソ等、主要国が含まれていたわけでございます。  最近の状況でございますが、署名の状況につきまして十月八日付のIAEAの公式発表によりますと、早期通報条約に署名した国の数は五十八カ国でございます。それから援助条約に署名した国は五十七カ国でございます。この一カ国の差がございますのはルクセンブルクが早期通報条約のみを署名したからでございます。そしてこの数は今日現在変化はございません。ちなみに十五日付プラウダが、ソ連が両条約の批准のための国内手続を了した旨報じているわけでございますが、我が国に対しましてIAEAから正式にソ連が批准した旨の通報はまだなされていない状況でございます。とりあえずそういう状況でございます。
  206. 田代富士男

    田代富士男君 我が国といたしましては、現在どのように取り組んでおるのか、署名並びに批准の見通しを伺いたいと思いますし、特にネックがあるとすればそれは何であるのか、これも伺いたいのでございますし、それと同時に原子力発電政策を推進していく責任者であります科学技術庁長官の今後の取り組みの決意を伺いたいと思います。
  207. 村田光平

    説明員(村田光平君) 今後の我が国の二つの条約の署名、批准の見通しでございますが、現在、政府におきましては所要の国内的検討を鋭意進めているわけでございまして、その検討が終わり次第、できれば次の通常国会におきまして国会の承認を得まして、なるべく速やかにこの二つの条約を締結したい考えでございます。  御案内のとおり、援助条約には、その八条におきましては特権、免除それから便宜供与の問題がございますし、また、同条約の十条には損害賠償、それから補償というような国内体制上何らかの手当てを必要とする問題が含まれているわけでございます。現在、こうした点を含めまして二つの条約の内容につきまして鋭意検討中でございまして、現段階では確定的なことは申し上げられないわけでございますが、現在までの検討におきましてはこの二つの条約の締結自体を妨げるような基本的な障害はないのではないか、そのように理解しております。
  208. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) 御質問の原子力発電政策の推進の方策、決意でございますが、我が国の原子力の研究開発利用は昭和三十年の原子力基本法の制定以来約三十年がたちまして、本年三十周年記念の年でございます。この間、平和の目的に限り安全確保を大前提に推進してきたところでありますが、この結果、今日では御案内のように、総発電電力量の二六%が原子力発電により賄われ、原子力発電は既に国民生活は不可欠な存在となっております。今後の石油需給につきましては種々の見方が存在しておりますが、長期的には石油依存度の逓減を図っていくことが国内資源に乏しい我が国のエネルギーの安定供給にとって重要な課題であり、今後とも原子力発電を着実に進めていくことが肝要でございます。また、我が国が長期にわたり安定的なエネルギー供給を確保するためには、原子力発電の規模に見合った自主的、な核燃料サイクルの確立が不可欠でございます。このため、海外からの天然ウラン及び濃縮ウランの確保、ウラン濃縮及び使用済み燃料の再処理の国産化の推進、放射性廃棄物の処理処分対策を鋭意推進してきているところであります。特に現在、青森県六ケ所村で進められております核燃料サイクル施設の建設計画につきましては、国としても積極的に支援をしていく所存でございます。  なお、さきのソ連原子力発電所事故は、原子力開発利用において安全確保が大前提であることを改めて痛感させるものであり、これを新たな警鐘と受けとめ、原子力開発利用の安全確保に万全を期してまいる所存でございます。  先ほどまた外務省からのお答えもありました二条約についての考え方でございますが、現在各省庁において国内体制についての検討を鋭意進めており、我が国としても可及的速やかに署名、批准してまいりたいと考えております。
  209. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、ぜひとも強力に推進を図っていただきたいと思います。  次に、宇宙開発についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、我が国が宇宙開発に取り組んで既に三十年になります。その間いろいろ進歩を遂げてまいったわけでございますけれども、この歴史を踏まえて、今後の宇宙開発における基本政策というものを科学技術庁としてどのようにお持ちであるのか、まず最初にお答えいただきたいと思います。
  210. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 現在の我が国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が定めました宇宙開発政策大綱、一種の長期構想でございますが、これに基づいて進めております。この中でその基本方針としまして三つ挙げておりまして、第一は社会的ニーズに対応した宇宙開発を国力に応じて進めること、第二が自主性を確保すること、第三が世界の宇宙開発との調和を図ること、この三つの基本方針を挙げておりまして、これに沿って進めているところでございます。  我が国はこれまでに御承知のとおり通信衛星、放送衛星、気象観測、こういうことにつきましていろんな衛星を打ち上げまして、それがもう実際に利用されている。さらにその科学の分野でも、これは文部省がおやりになっておりますが、科学衛星「すいせい」というふうなもので、この前ハレーすい星の観測をするというようなことをやっておりまして、国際的にも非常に大きな成果を上げております。現在まで二十数年間で人工衛星既に三十四個を打ち上げに成功しておるところでございます。  今後でございますけれども、衛星をさらに大型化しなきゃいかぬ。それからロケットにつきましても、従来が米国からの技術導入のものでございまして、これを国産技術で進める、さらに大型のものをつくるというふうなことで、自主技術で人工衛星ないしロケットの開発を進め、さらにいろんな各種の国際協力プロジェクトにつきましても、積極的にこれに取り組むという方針で取り組んでおるところでございます。
  211. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまお述べになりましたとおりに、この宇宙開発推進においては、これまで相当に力を入れてこられたところでありますけれども、特に近年に至りまして財政の逼迫から科学技術関係予算、その中でも宇宙開発予算についてはその伸びが著しく低下をしてきている、私はそのように認識しておりますけれども、その実情はどうであるのか簡単に御説明いただきたいと思います。
  212. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 御指摘のとおり、我が国の宇宙開発関係予算は、昭和四十年代から五十年代の初めにかけて非常に伸びたわけでございますが、近年の財政の逼迫というふうな状況も受けまして、宇宙開発関係予算についても伸びが鈍っているというのは事実でございます。  具体的な数字を申し上げますが、昭和六十一年度予算が、これは科学技術庁だけではなくて文部省、通産省とも含めての数字でございますけれども、千百七十四億円でございまして、昭和六十年度は千百二十五億円でございますので、この間四・三%の増加となっております。予算一般歳出部門がゼロ%の伸びというふうな状況の中で四・三の増加でございますので、伸びは低うございますけれども、他の分野よりは優遇されてきているというふうに考えております。
  213. 田代富士男

    田代富士男君 今他の部門に比べれば伸びは優遇されているということでございましたが、厳しい財政事情が反映していることは間違いない実情ではないかと私は理解をしておりますけれども、こういう宇宙開発関係予算が抑制ぎみでありますけれども、今後のことを考えますと、宇宙開発の重要性に変わりはないわけでございまして、こういうときこそ宇宙開発に対する国民の理解と支持がなければならないのではないかと、そうしなければ推進は難しいと思うわけなんです。そういう立場から国民の理解と支持を得るためにはどうすればよいか、ひとつ長官の所信をお伺いしたいと思います。
  214. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) 先生から予算が少ないということで非常に宇宙開発推進上御鞭撻をいただいておりもして、ありがたく思っておる次第であります。特に我が国の宇宙開発は、これまで限られた予算の中で効率的な推進を図る、殊に通信、放送、気象観測等の各分野において順調な発展を遂げ、今やその成果は国民生活、社会経済活動上不可欠のことでございます。さらに、これからの宇宙開発は資源探査や宇宙環境利用等、多様な活動を展開していく時代を迎え、その重要性はますます増大しております。  御指摘のとおり、こうした宇宙開発活動が国民生活の向上、社会経済の発展に多大な貢献をすることについて広く国民の理解を得ることは重要と認識をいたしておりまして、このため今後とも実利用分野の成果の定着を図るとともに、宇宙開発利用の将来展望を明らかにしつつ、国民の一層の支持と協力が得られるよう努めてまいる所存でございます。
  215. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、今さっき御答弁がありましたとおりに、宇宙開発の基本政策の中で特に重要なのが現在宇宙開発事業団で取り組んでおりますHIロケットの開発ではないかと思うわけなんですが、この八月十三日に打ち上げが成功されましたが、今後に残された課題もいろいろあると思いますけれども、特にこのHIロケットはどの程度開発が進んだと見ていられるのか、また今後の開発、宇宙開発におけるこのHIロケットの位置づけはどうなのか、特に今後毎年のように行われます、予定されておりますHIロケットによる各種衛星の打ち上げ計画はどのような実用目的を持っているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  216. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 従来我が国の実用衛星を打ち上げますロケットは、米国から技術導入しまして日本でそれをつくるということで、NIロケットそれからNIIロケットを開発してきたわけでございます。これから六十年代に入りましてますます衛星の容量が世界的に大きくなっていくという状況にございます。NIIロケットでは、従来使っておりますNIIロケットでは三百五十キログラムの衛星を静止軌道に乗せるという能力がございますが、これが将来は二トンくらいまでふえるだろうということでございまして、HIロケットといたしましてとりあえず五百五十キログラムのものを静止軌道に乗せるようなものを開発しょうということで、ここ十年ほどかかって開発したものでございます。  このロケットは二段ロケットでございまして、第一段は従来のNIIロケットを使っておりますが、第二段には純国産のものにするということで、初めての液体酸素、液体水素のエンジンを積んでいる。それから、国産の慣性誘導装置を積んでいるというふうなことで、国産自主技術比率を大変高めております。そして先生先ほど申し上げられましたように八月十三日に打ち上げに成功しまして、我々としても非常に喜んでいるところでございます。  今後はこれをもとに来年の夏に次の試験機を打ち上げるということを計画しておりまして、これがうまくいけば実際の実用の衛星を打つということで、今計画中のものは通信衛星の三号のaとb、これ二個ございます。それから気象衛星の四号、それから放送衛星三号のaとb、さらに資源等の探査を行います地球資源衛星の一号、こういうものを昭和六十年代の前半に打ち上げようということで、毎年一個ないし二個打ち上げるということにしておりまして、昭和六十年代の後半になりますとこの五百五十キログラムの容量のものでは足りませんので、現在開発を進めておりますHIIロケットに切りかえていこう、こういうふうに考えております。
  217. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまも御答弁がありましたけれども、HIロケットによる宇宙開発は六十六年度まで続けられて、その後が六十七年度からHIIロケットへと移行していくことになるわけでございますけれども、HIIロケット開発の意義、また目的は何なのか、延長線なのか、そこらあたりをもう一度明確にしていただきたいと思うのでございます。  それと同時に、来年度から取り組みが開始される宇宙ステーション計画、昭和六十九年度には宇宙空間に展開されるようでございますけれども、この計画の概要と政府の取り組みも伺いたいと思いますが、その際、日本型モジュールが取りつけられることになっておりますけれども、そこでの実験にはどのようなものが選択されるのか、また宇宙ステーションの最終目的は何であるのか、また商業ベースでの利用の可能性についての見通しというものはお持ちであるのかどうか、あわせて簡単に御説明をいただきたいと思います。
  218. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 最初の質問でございますが、HIIロケットの意義ないし目的でございますけれども、先ほど申し上げましたように、HIロケットといいますのは上半分は国産技術、下半分は外国技術、こういうものでございまして、これは中間的なものというふうに考えておりまして、HIIロケットでは一段目も二段目も純国産で非常に性能のいいロケットを開発しようということでございます。そして昭和六十六年度には試験機を打つということで計画的に進めているところでございまして、これができ上がりますと、現在ヨーロッパが開発しておりますアリアンロケット、これ約二トンのものを打ち上げれます。それから米国のロケット、これと匹敵するようなものが自主技術によって完成するというふうに考えておりまして、一九九〇年代になりますとこれを主力のロケットにして日本における宇宙開発のかなめに持っていこう、こう考えているものでございます。  それから次の宇宙ステーション計画のことでございますけれども、これは米国が中心になりましてヨーロッパ諸国、それから日本、カナダが参加して進めております非常に大規模な国際協力プロジェクトでございます。  それで具体的には、これは宇宙ステーションをスペースシャトルを使いまして、地球の割に低いところでございますが、五百キロメートルくらいのところに一種の宇宙の実験室をつくろうということでございます。全体の寸法が一番大きいところではかりますと百メートル掛ける百五十メートルぐらいの宇宙の実験室をつくりまして、そこで天体観測とか地球観測とか材料実験とかライフサイエンス実験、こういうものをやろうと。いずれも地球上ではできないような実験、無重力であり、かつ非常に真空であるというふうな場所での実験をやろうという計画でございます。  それで、日本はここに日本独自の日本型の実験モジュール、一種の実験室、一区画でございますが、これを持って参加するということで、六十年度から予備設計をやっておりまして、そして来年六十二年度からこれのいよいよ開発段階に入るということで、今とりあえず六十二年度分としまして六十三億円の予算要求をしている段階でございます。  ここでの実験でございますけれども、どういう実験を中心にやるかということでございますが、科学観測、地球観測、通信、理工学実験、材料の実験、ライフサイエンス実験、こういうものをやろうということでございまして、特に日本の実験室では新しい材料の創製、それからライフサイエンスの実験、こういうものを大いに進めようというふうに考えております。  それからその商業化ベースでの可能性ということでございますが、これはあくまで、とりあえずは実験、研究でございまして、宇宙でのいろいろな研究をやる。それで将来といたしましては、この宇宙での研究室によりまして産業界がいろんな研究をされるなり、実際の新しい、地上ではつくれない物質ないし薬品をつくるというふうなことも考えられますが、当面はここで科学実験、研究をやろうということを考えております。
  219. 田代富士男

    田代富士男君 次に、海洋開発についてお尋ねをしたいと思いますが、四方を海で囲まれた我が国といたしまして、二百海里経済水域の広さは世界第六位となり、資源の宝庫としてこの海洋の開発にも大きな期待が寄せられておりますけれども、政府の海洋開発の基本政策をお伺いしたいと思いますし、あわせて政府の海洋開発関係予算の推移を伺いたいと思います。簡潔にお願いいたします。
  220. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) お話のように、四方を海に囲まれた我が国にとって、海洋開発を推進することは極めて重要でございます。我が国の海洋開発は、海洋開発審議会の答申を踏まえまして、我が国二百海里水域に関する調査の拡大、環境保全との調和に配慮した海域の総合的開発・利用の推進、国際協力の推進等を基本方針として推進しているところでございます。今後とも本答申を踏まえ、関係省庁とも緊密な連携をとりつつ、鋭意海洋開発の推進に取り組んでまいりたいと思います。  予算につきましては、政府委員の方からお答え申し上げます。
  221. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 海洋科学技術に関します省庁、十一ございます。そこでの連絡会議で取りまとめた予算の数字を申し上げますと、昭和五十九年度五百七十五億円、昭和六十年度五百三十六億円、昭和六十一年度五百十二億円、こういう数字になっております。
  222. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまも御答弁がございましたとおりに、海洋科学技術の進展というものは今後ますます重要になってまいりますけれども、この海洋科学技術予算というものは、私も調べましたけれども、余り伸びははかばかしくない。また、この二、三年というものは減額の傾向にございますし、こういう状況でありますならば海洋開発の将来について危惧の念を持つような状態ではないかと思うわけでございますが、こういう中にありましても、財政下におきましても、政策の重点を図っていくべきであると思いますが、その厳しい中における当面の重点課題について、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  223. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 海洋開発を進めるに当たりまして、その関連いたします科学技術というものが進まなければいかぬわけでございますが、科学技術庁は各省庁の海洋に関する科学技術の調整をやっております。その中で、確かに予算の伸びが思わしくないということもございまして、その重点化を図るということで、重点努力といたしましては、海底の鉱物資源に関する研究、それから生物資源に関するもの、それから海洋開発に共通する基礎的な研究開発ないし海洋の調査、これを重点に置いておりまして、その中で科学技術庁は、基礎的、共通的な研究開発ないし海洋の調査を行っています。  科学技術庁の重点を申し上げますと、第一は深海の調査でございます。この深海の調査を第一の重点に置いております。  第二点は、大陸棚とか海洋構造物を開発するというふうな場合、その管理、建設をうまくやるために、人間が海中で作業しなければいかぬということで潜水作業技術の開発、こういうことに第二の重点を置いております。  第三の重点は、気象とか水産等に非常に大きな影響を及ぼします黒潮でございますが、黒潮の実態の調査ということに第三の重点を置いて科学技術庁では研究開発を進めておるところでございます。
  224. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま御答弁がありましたとおりに、重点政策の一つに深海調査があるわけでございますけれども、我が国の深海調査の取り組み、特に予算と、これまでの成果についてお答えをいただきたいと思います。  それと、我が国の深海調査というのは諸外国と比べてどのような特徴や違いがあるのかということも伺いたい。  また、分野においては諸外国の方が進んでいる場合もあると理解をしております。例えば諸外国の進んだ調査船を導入する方が効率的と思われるわけなんですが、そういうことも余りされていないというのはどういう障害があるのか、ここらあたりがちょっと理解できない面があるわけでございます。  それと同時に、海洋というのはそもそも国際性を有しております。これは常識といえば常識でございますが、その国際性は今後ますます重要になると思われますけれども、科学技術分野における国際協力の現状と今後の方針について、あわせてお答えいただきたいと思います。
  225. 長柄喜一郎

    政府委員長柄喜一郎君) 科学技術庁におきます深海の調査に関する予算でございますが、六十一年度で三十三億のものを計上しております。既に科学技術庁関係ではしんかい二〇〇〇という二千メートルの潜水調査船を昭和五十六年に完成させておりまして、これが現在、日本周辺の海洋の調査を行っております。  それから本年度には三千三百メートル潜航できます、これは無人でございますけれども、無人のドルフィン3Kといっておりますが、これの探査機ができる。さらに本年度から六千メートルまで潜航できますしんかい六〇〇〇、これの建造に着手している状況でございます。  現在までの成果でございますけれども、しんかい二〇〇〇を用いまして、例えば地震予知の研究を進める上で非常に成果と考えております駿河湾における断層地形の調査とか、それから南西諸島海域におきまして熱水現象を発見した。こういうふうな成果を得ておりまして、今後とも日本近海におきまして、さらに詳細な調査を進める予定でございます。なおまた、深海の生物でございますが、いろいろな水産生物、微生物等におきましても新しいものをいろいろ発見しております。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕  それから、どのような特徴があるかということでございますが、日本は非常に地震国でございますので、外国では割に軽視されておりますが、日本では地震の発生原因等についての調査というのが外国との大きな違いかと思います。  それから外国の調査船を導入したらいかがかという御指摘でございますが、我が国自身の力で開発した船というのは、この船の維持、さらに改造するというような場合にも非常に有効でございますので、我々としては日本の自主技術によってこの潜水船の開発を進めていきたい、こう考えておるところでございます。  外国等の進みぐあいでございますが、フランス、特にアメリカ、こういうところはかねてより深海の調査を非常に大規模にやっておりまして、残念ながら全体から見ますとまだまだ日本の方がおくれているというのが実情でございます。これにつきましてはフランス、中国、アメリカ、こういう国々と国際協力を行いまして、お互いのいろいろな調査船等を相互に使い合うというようなことによって効率的に、また日本レベルが上がるように研究を進めたいというように考えております。
  226. 田代富士男

    田代富士男君 最後の質問でございますが、長官にお伺いいたします。  長官は、二十一世紀を十四年後に迎えた現在、科学技術の振興と発展に対してどのような期待を持ち、我々として二十一世紀にどのようなことを残していくことができると考えておられるのか、お聞きしたいと思います。  また、科学技術の進歩に対して心すべきものは何であると考えておられるのか、あわせてお尋ねをいたしまして質問を終わります。
  227. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) 資源に乏しい我が国が、豊かで安定した社会経済を維持していくためには、人間の知的創造力にその生存基盤を求めていくことが必要であります。したがって二十一世紀に向けての発展には諸外国以上に科学技術の振興に期待するところが大きいわけでありまして、これは今後の我が国の重要な政策課題と認識いたしております。  このような状況にかんがみまして、政府は総合的な科学技術の展開を図るため、科学技術政策大綱を本年三月に閣議決定いたしました。この大綱におきましては、次の三点を基本方針といたしております。次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心として、創造性豊かな科学技術の振興を図る。二番目に、人間及び社会のための研究、技術という原点に立ち、人間及び社会と調和した科学技術の発展を図る。三番目に、国際社会における我が国の果たすべき役割の増大に対応し、科学技術面での国際的貢献が重要であるとの認識のもと、国際性を重視しつつ、科学技術の展開を図る。今後この大綱を基本といたしまして、二十一世紀を展望し、長期的観点に立って、総合的、機動的な科学技術政策の展開を図ってまいりたいと存じます。  その際、大綱にあるように、研究開発投資の充実と運用の効率化にも努めてまいりたいと存じます。特にこのために創造的、独創的な基礎技術の開発、それから産学官の連携強化、先導的な科学技術の開発、展開等に努力してまいりたいと存じます。
  228. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 本日は専ら文部省に対しまして当面している文教行政、文教政策について質問したいと思います。  まず最初に、文部大臣にお伺いしたいと思いますけれども、先般の教科書問題と申しますか、「日本を守る国民会議」の編集いたしました高等学校用の「新編日本史」、この検定、この問題が外交問題になりまして、一度教科用図書検定調査審議会ですか、略して検定審と言わしてもらいますけれども、一度検定審において内閲本が合格した後において異例の修正が行われた。私はこういったことは非常に遺憾であるというふうに考えております。  誤解のないように申しておきますけれども、私はあの教科書がすべていい、あるいはすべて悪いなんというつもりは毛頭ございません。あの教科書にはいいところ、例えば日本の古代史なんかに古事記であるとか、日本書紀なんかにあらわれている古い日本人の神話、そういったふうなものを取り上げておるのは非常にいいと思います。しかし、また同時に現代史と申しますか、近代史と申しますか、日本が征服した国あるいは支配した国に対する思いやりといったふうなものがない、そういったことに対する配慮がないということは、私はこれは欠点であるというふうに思いますけれども、この教科書の内容のよしあしは別にいたしまして、いわば検定審の答申が無視されたような形で修正が行われた。教科用図書検定規則、文部省の省令ですけれども、第二条においては、検定審議会の答申に基づいて文部大臣が検定を行うというふうになっていますけれども、必ずしもそのとおりには行われていなかったわけでございます。それについて文部大臣御就任以前の問題でございますけれども、どういう感想をお持ちでございますか。
  229. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) お尋ねのとおり私もおかしいと思います。私はまだ文部大臣ではございませんでしたけれども、その経過は一国会議員としてほのかなことでございますけれども、見ておりまして、あれは、文部省のとった手続には私は間違いなかったと思うんですけれども、しかしおっしゃるように、一度内閲本で合格したものを、あれをまたたとえ官房長官の談話が出たといえども、それをまた修正さす。しかし、そういうことは私も異例なことだなと思っております。しかし、それにつきましても、文部省としてはその後検定審の委員方々をずっと持ち回って了解を得てちゃんと手続はしておったと、こういうことを聞きまして、私はほっと手続上はこれで完結しておると、こう見ておるんでございますが、起こった事態を、ずっと流れを見てまいりますと、おっしゃるようにちょっと異常な状態だったなという感じはいたします。
  230. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私も最終的に合格した形であの本が出たということはやむを得なかったと思うんですけれども、それは検定審の段階において、私が今申しましたような近代史、現代史のところの修正意見といいますか、そういうのが付せられるべきではなかったか、それがなされずに、そのところはパスした後において文部大臣のところで改めて意見が出されて、そして持ち回りだと思いますけれども、検定審で合格した。別に違法だとか合法だとか言うのは難しい、その点を追及しているんじゃないんですけれども、そういう異例なやり方で行われるということは、国民が教科書の検定というのは前々から、違った問題ですけれども、家永裁判とかなんとかというので問題になっている。国民がその検定に対して信用を失うんではないか、何か政治的な介入によって内容がゆがめられるんじゃないか、そういう不信を与えるんではないかということを私は心配しているわけでございます。それにつきまして、それをいかに改善したらいいかということを御検討願いたい。  そのために私の考え方を述べますけれども、検定の経過がいわば非公開、ある雑誌が文部省とその著者との間のやりとりなんかずっと詳細に書いておりましたけれども、私はそれがそのまま全部真実であるかどうか、そこまではよくわかりませんけれども、どうも検定の内容が非公開であるということがやはりいろんな疑惑が起きるもとになるんではないか。その点からいって、やはりこういった教科書の検定というふうなものは単なる文部省の省令ではなしに、正式に教科書検定法なら検定法という法律をつくってその経過をはっきりさせる、そのことが必要ではないかというふうに考えるんですけれども、文部大臣の御所見いかがでしょうか。
  231. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 二点、先生指摘の点でございますが、第一点の検定のプロセスの公開の問題、かねてから先生指摘の点でございます。この点私どもの現在の考え方は、やはり教科書調査官と著者側とでそれぞれの事項につきましていろいろ意見を交わすと、修正意見なり改善意見は検定審の審議を経てお示しするわけでありますが、この検定審の意見をいただいてお示ししたものについて教科書調査官と著者側との意見がごもごも交わされると、そのプロセスを逐一公開にするという点については、やはり著者側の方の立場もあるし、また調査官の方の立場、いろいろございますのでその一切を公開にすることはいかがであろうかという点が一つでございます。  それからもう一つは、やはり日本文の段階で採択の問題が出てまいりまして、日本文になって採択になった際に、この教科書は検定のプロセスでこういった時点がいっぱい問題になっているというふうなことで、結果としては日本文であらわれているわけですけれども、そのプロセスがいろいろ公開されることによって採択の公正さというものが影響を受ける、阻害されるというふうな点の心配がありはしないかとかいろいろございまして、現段階においては公開の問題については消極というふうな形で推移しておりますが、ただ全体の検定が済んだ暁におきまして、まあ何十冊かの検定が毎年度行われるわけでございますから、それを発表します記者会見において全体の姿で大体今年度の検定においてはこういう点が問題になったという主な項目につきましては記者会見で検定課長からお話をすると、それは翌日の新聞の紙面で大きく取り上げられておるというふうなプロセスはございます。これが第一点でございます。  それから第二点の検定法の問題でございますが、現在は学校教育法という法律に基づく文部大臣の権限、そしてその権限行使については検定規則、省令と、御指摘のとおりの姿でございますが、その全体の手続とかあるいはいろいろな細かいことについてすべて法律ということは大変難しい問題もございますが、まあ全体検定制度のあり方の問題につきましては、一昨々年でございますか、中央教育審議会の教科書に関する小委員会の中間まとめが出されておりまして、編集、採択あるいは発行に関しまして、教科書制度についていろいろと検討すべき課題について中教審の御指摘もあります。その点について私どもは検討いたさなければという段階において臨時教育審議会が発足したと、そして現在臨時教育審議会が教科書問題について始終御審議をいただいておると、こんな経緯がございまして、来年のある時期には、あるいは教科書問題についての臨時教育審議会等のいろいろ御意見も出ようかというふうにも思いますし、まあその内容はまだ私どもよく承知しておりませんが、その点で教科書全体の問題のあり方にかかわる臨教審等の答申が出た暁におきまして、どういうふうな内容で、どういうふうな制度で検定制度の見直しが必要かどうか等につきまして、私どもは文部省の立場で検討する必要があるというふうに現在考えておる次第でございます。
  232. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私がその検定を公開せよと言ったのは、一々そのプロセスをそのたびに新聞に発表しろという意味で言ったんではなしに、一応検定が終わった段階において、例えばその教科書センターならセンターにその本を展示して、この木についてはこうこうこういうことが問題になってこういうふうに修正されたと、関心のある人はそこに行って見ればわかるようにする、そういう意味で公開せよということを言ったわけであります。昨年でしたか、やはり同じ質問をしたときに局長だったと思いますけれども、執筆者の体面のことも考えなくちゃいけないんだというふうなことも言われましたけれども、私は執筆者の体面よりも子供たちに正しい知識を与えられるかどうかの方がはるかに重要であって、いやしくも教科書を書こうというほどの人であるならば、自分の間違いを指摘されてそれを恥ずかしいと思うのじゃなしに率直に受け入れる。今度の「新編日本史」なんかにつきましても、これも雑誌で見た限りですけれども、かなり初歩的な間違いなんかがあったというふうなことを聞いておりますけれども、やはりそういうことは堂々と国民にわかるように、よく教科書の場合には何々大学教授校閲とか何とかといって偉い人の名前が書いてありますけれども、実際はその人は何にもしていない場合が多いわけです。何か下の方の人に書かして名前だけ貸している。そういう無責任なことを防ぐ意味においても、私今申したような意味で公開にしたらどうかということを言ったわけであります。  それから法律をつくれというのは検定審議会の委員、これはやはり中立的で公正で視野の広い人が選ばれる必要がある。それはやはり国会で承認する、その人事を国会で承認するぐらいの権威を持たせることが必要ではないか、そういう意味で言ったんでございます。もう一度今の二つの問題について。
  233. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 前段の公開の問題につきましては、前回私官房長で後ろで先生のお話はよく承っておりましたが、ただいま初中局長の職にありまして、公開の問題について先ほどお答えしましたわけでございますが、先生の御趣旨は今承りましてよくわかりました。まあ私どもも先ほど申し上げましたように全体の教科書の検定が終わった暁において、当該年度のいろいろな問題点については記者会見でいろいろ申し上げておるわけでございますが、ただ、その際は先生がおっしゃいます点と若干違いますのが、個別の教科書ごとには私どもは発表を控えておるわけでございます。全体の三十冊なら三十冊、十五冊なら十五冊の社会科の教科書でこういうふうな問題があって、こういう点についてはこういうふうな形で検定を行ってこう直したということは言っておりますが、個別の教科書のそれぞれの項目についてはまだ今までは申しておらない、その点がちょっと先生の御指摘と違うわけでございます。  それから法律の問題につきましては、確かに責任を持ってやはり教科書検定が行われるべきであるという点で検定審議会の重みがなければなりませんし、その権威というのは大事でございます。そういう意味でお願いしている検定審の先生方はそれぞれ斯界の一人者の方々を多くお願いしておるわけでございまして、具体に名前を申し上げては恐縮ですが、日本史では坂本太郎先生とかいろいろお願いしております。そういう意味では検定審の委員先生方にはそういう配慮も行っておりますが、要は先生指摘のように教科書検定が国民の皆様に対して適正な姿で、そして責任を持って行われるべきではないかという先生の御指摘まことにごもっともでございますので、運用その他私ども今後の問題については十分留意してまいりたいというふうに思っております。
  234. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これは局長レベルでは答えられない問題かもしれませんので大臣の所見をお伺いしたいと思います。今申しましたように個別については公表しておられないわけですね。私自身も今から三十年ほど前に高等学校の社会科の教科書を書いて出したことがある。それで文部省から随分これ間違っているじゃないか、間違っているじゃないかということを指摘されて本当に恥じ入ったことがあるんですけれども、やはり個々の教科書についてどこかセンターみたいなところでだれでも見たい人は見せる、関嘉彦が編さんした教科書はこんなにたくさん間違いがあるじゃないかということが一般に公表されれば、その次からやはり私の場合でももっと慎重に書くだろうと思う、そういう意味でも公表したらどうかということが一つと。それから公平な人、確かに今の委員の方、立派な人だと思いますけれども、権威づけるために国会承認にするということについて大臣の御所見をお伺いしたい。
  235. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も実は公開という問題がちょっと誤解しておりまして、審査をしておる過程も公開の中に入れるのかということでしたが、今先生のお話を聞いてみてでき上がったものがこういうプロセスを経てでき上がったんだと、こういうことだということを聞きまして、それじゃひとつこれは検討に値すると思いますが、しかしこれは文部省の今一存でそれじゃそうしましょうというわけになかなかいかないと思うんですよ、やっぱり長い経過もございますし。それと教科書の著者の意向というものもある程度聞いてやらなければいけませんし、また検定審議会の方方の意見も間かなきゃならぬだろうと思いますが、一応機会を見ましてこういう御意見が国会で出ておるということで一度我々も検討はしてみたいと思います。  それから検定法というのを今もおっしゃっていますが、これは釈迦に説法のようなことでございますが、学校教育法に基づいた権限の一つとして文部大臣が行使しておる。私はこれでいいんではないかと思うんですけれども。  というのは、検定法というのは改めて制定いたしましたら、法律というものは往々にして怖いものでして、これの拡大がかってに歩いていくということも、拡大されていくという可能性もございますし、またせっかく法をつくりましても、法律というのはどこかに抜け穴のあるようなもので、原則とするとか、こともできるというようなことがどこかにいろいろ書いていますし、そうすると、そういう異例なことも適用されるということになった場合、逆にそのことが権威づけてしまうようなことも往々にしてあると思いますし、私は、検定法を制定するということについては、これはよほど慎重に考えなきゃいかぬのじゃないかと私自身は思っております。  というのは、今のは義務教育の教科書だけでございますが、そうならば大学においてもとか、あるいは他の学校において使う教科書にも検定の制度を拡大延長すべしというようなことにもしなったといたしましたら、私はこれは違った方向に行ってしまうと思います。  でありますから、先ほど局長言っておりましたように、まず一番大事なのは委員の任命だと思いますことと、それからやはり絶えず世間様からの批判の目を向けておくということ、この二つを運用面でしっかりしておれば、私は現在の制度でいいんではないかと思っております。
  236. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私ども、何も今この場で御即答願いたいといった意味で質問したのではございません。十分検討していただきたい。  それから、教科書法を私があえて言いましたのは、国民の間で検定に対する信頼感が失われつつあるのじゃないか、そのことを心配するからであります。  私はやはり検定は義務教育段階では必要だと思います。後の高等学校のことはあとこれから先述べようと思ったんですけれども、義務教育段階ではやはり検定が必要である、政府が責任を持つことが必要である。しかしそのためにも、やはり一定の法律に基づいて、ちゃんとこういう手続に従って行われているんだということをはっきりさせることが必要ではないかという意味で申し上げたわけです。これもあわせて検討していただきたいと思います。  それから、ちょうど私がこれから質問しようと思ったことを、文部大臣千里眼のような眼識でもって先取りして答えられましたけれども、私は、大学は問題外ですけれども、高等学校義務教育というのは教科書検定のあり方を変えていいんじゃないかと。つまり、大学は全然教科書なんか使ってないわけですけれども、高等学校はちょうど義務教育との中間の過渡時代ですが、義務教育の場合と同じような厳格な検定が必要かどうか。高等学校ぐらいになれば多少の判断力もできてくる段階でありますので、全然検定をやめてしまっていいとまでは私は言い切りませんけれども、例えば民間の教科書研究センターあたりで高等学校の教科書を見て、それについて意見をつけて公表して、例えばこの本はこういう長所とこういう短所があるんだ、こういうふうなんだ、そしてそれを県の教育委員会で、それを検定という言葉で言っていいかどうかわかりませんけれども、その結果をもとにして採択する。そのくらいの許容範囲があっていいんではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか、文部省
  237. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 現在の私どもの考え方を申し上げたいと思うわけでございますが、やはり先生指摘の点ではございますが、高等学校が今九四%の進学率でほとんど国民教育的になっておると、こういう点が一つございます。それから第二点としては、学習指導要領といたしまして、文部省、国として責任を持った教育内容の基準というものを定めておるという点がございます。端的に申し上げますと、その辺でやはり国として責任を持って国民教育的な高等学校教育の内容を基準として定めているとすれば、その指導要領に基づいての教科書の中身についても、やはり国が責任を持って検定を行い、それを担保する必要があるのではないか。そしてその担保された教科書に基づいて指導要領の教育の中身が高校生それぞれに伝達され行き渡るというふうな仕組みというものが現在の姿でございまして、そういう意味におきましては、やはり高等学校教育の教科書の検定は国が責任を持って学習指導要領とともと行う必要があるという考え方で従来から来ておるわけでございまして、今直ちにこの考え方を改めるのはなかなか私どもの立場としては難しゅうございます。  先生御提案のひとつ認定と申しますか、長所、短所を示すことは研究所でございますか、そういう点にやらせる。その中で長所、短所を承知の上で県教委が採択すると、これも確かに一つのお考え方であろうかとは思いますが、私どもの立場で従来からの考え方によりますると、若干そこで国としての責任を果たす上において心配があるというふうなことで、にわかにちょっと前向きでのお答をいたしかねておるというのが実情でございます。
  238. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 文部省では高等学校あたりで教科書を決めると、それをもとにして大体忠実にそのとおりに教えられているという前提に立ってお答えになっているように思うんですけれども、私の孫が二人ほど高等学校に行ってるんですけれども、その孫に聞いてみましたら、社会科の授業、教科書はあるんです、ある私立高等学校ですけれども、それは全然使わないで朝日新聞の論説をときどき取り出して、それをどういうふうに使用するか、そういうふうなことで社会科の授業をやっている。現に私の孫なんかその教育を受けたとか言ってるんですけれども、必ずしも高等学校レベルでは教科書どおりにはやっていないんじゃないかと思うんです。またある意味ではそれは非常に危険な面もありますけれども、かえってすぐれた面も出てくるのじゃないか。そういう意味で、つまり義務教育段階と高等学校段階とを同じように考える必要はないんじゃないかというのが私の考え方ですけれども、どうですか。
  239. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生指摘現場の実態の問題、これは確かにいろいろな形態があり得ると思うわけでございますが、しかし、姿といたしましては、やはり教科書は主たる教材として使用しなければならないという学校教育法の規定は小中高通じてございますので、レアケースでそういう御指摘のような事態はあろうかと思いますが、やはり教科書でその教育内容を生徒に定着させるべく努力をしてもらわなければならないというのが、現在の私どもの考え方でございまして、この点につきましていささか先生のお考えと若干異なる点恐縮でございますが、やはりこの点は従来の考え方をやはり維持してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  240. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その問題に余り拘泥していると時間が足りなくなりますから、次の問題に移りますけれども、次の問題は、つまり教科書をもっと少なくしたらどうかという問題ですが、私参議院議員になって最初の年の予算委員会で総理大臣及び文部大臣を前にしまして、小学校の低学年の社会科の教科書、一年生、二年生、それを持ってきまして、いかにくだらないことを書いてあるかという例を私示したことがある。低学年なんか社会科は必要じゃないじゃないかと。今度その意見教育課程審議会なんかでも取り入れられて生活料というふうに変わるようなふうに聞いていますけれども、もう一つの例として体育にもやっぱり教科書があるんですか、小学校
  241. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 体育につきましては、小学校はございません。それから中学校につきましては、学年ごとの教科書ではなくて、一つの保健体育の教科書を一年、二年、三年を通じて使うと、こういうふうな姿になっております。  それからなお社会科につきましては、小学校の一年生の社会科は教科書はございません。それで社会科については小学校の二年生からというふうな形になっております。しかし、二年生につきましても、今教育課程審議会では、先生御案内のとおり、一年生、二年生の理科、社会は現状であるよりは、それを廃止して、生活料という新しい生活体験その他を重視した教科にすべきではないかという指摘があることは御承知のとおりでございます。
  242. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私もちょっと体育のこれが教科書として採択されているのかどうかおかしいと思いながら見たんですけれども、御参考までに御披露しますと、副読本ですね、結局そうすると。世田谷区の小学校で、やはり私の孫が行っていますので、教科書を貸せと言って見たんですけれども、例えばこれもこういうことを教科書を使って教えなくちゃならないことかどうか。例えば「かけっこ」のところでは「ぜんりょくではしりましょう。」と書いてある。全力で走るのは当たり前のことじゃないかと思います。それから、これは「とびばこ」ですけれども、「友だちと教え合って、なかよくうんどうする。」、これも当たり前のことじゃないかと思いますけれども、「けがをしないようにちゅういする。」、これも当たり前のことで、何もこんなことを副読本を使って教えるということが、どうも日本教育が活字に依存して、何か書いてあること、それを全部信じてしまう、そういうふうな教育に偏り過ぎているんじゃないかと思う。こういうのは全然副読本なんか要らないことであって、先生が実際に指導すればいいので、畳の上で水泳を教えているようなこういう副読本なんか私はやめた方がかえっていいんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうですか。
  243. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) ただいま先生お示しの書物は教科書ではなくて恐らく副読本であろうというふうに思います。実はその副読本、いわゆる副次的な教材につきましては、教育委員会学校が届け出をして、そして学校側が使用ができるという仕組みになっております。それぞれ学校の判断で副読本等についてはこれを使用するというのが実情でございますが、御指摘のように、体育の小学校の授業において副読本が必要であるかどうか、その副読本が適切なものであるかどうかという点については、いろいろ立場として御議論いただけるところもあるし、御指摘のような点もあろうかと思いますし、その副読本が必ずしも適切であるかどうか、確かに先生お話しのような点があろうかと思います。この点につきましては、それぞれの学校の体育の授業、これは教科担任ではございませんで全教科を一人の先生クラスごとに担任するわけでございますけれども、適切に判断をしてやっていただかなければならないというふうに思う次第でございます。
  244. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 体育の中で保健的な要素がありますね。これは、私はそれこそ生活科の中でやったらいいんであって、いわゆるスポーツ、一生懸命走らなくちゃいかぬとか、転んじゃいかぬとか、そんなことは何も教科書の必要なんか全然ないんで、自然にけがなんかしながらけがしないように覚えていくわけですから、余りこうしなさい、こうしなさいというふうなことを言うことは、かえって教育上私は弊害が多いんじゃないかと思いますので、今後指導していただきたい。  教育課程審議会で「教育課程の基準の改善に関する基本方向について」、これは中間報告でありますけれども、レポートを提出されておりまして、私も読ませていただきました。大体基本的に私この考え方賛成でございます。  しかし、今後の御参考のために若干意見を述べておきたいと思いますけれども、先ほど言いましたように、小学校の低学年では理科と社会科を一つにして生活科にする。生活科という名前がいいか悪いか別としまして、そういうふうに一つにまとめるということは私は賛成だと思いますけれども、その場合においても単なる知識を与える、物知りになるというんではなしに、例えばお母さんが病気をした場合にはどうしたらいいか主体的に決断する。その場合にコモンセンスに立った決断ができるようなそういう教え方といいますか、それに沿ったような教科書が必要ではないかということを考えております。  それから、これもこの中にも書いてありますけれども、例えば歴史で申しますと、小学校、中学校、高等学校、繰り返してですわね。私は小学校と中学校、中学校義務教育ですから、つまり九年続けて考えていいんではないか。小学校で歴史、小学校の六年大体日本史だと思いますけれども、日本史をやって、中学校でやり、また高等学校でやる。そういうんではなしに、初等教育九年間通して、そして例えば小学校の六年のときにおいては地理を中心に教えるとか、中学校の一年では歴史、日本史を中心に教えるとか、そういったふうに九年間を一つとして教えるようにしたらどうかというのが私の考え方ですけれども、どうでしょうか、その点は。
  245. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生指摘の前段の方の主体的に対応できる国民の育成という意味での学校教育、これはもう御指摘のとおりでございます。今度の中間まとめの基本的ねらいの中にも「主体的に対応できる能力の育成を重視」ということがございまして、これは全く先生のおっしゃるとおりの点、私どもも実現に努力してまいりたいと思っております。  それから、第二点の例えば歴史教育という点で小中を通じて九カ年の連続したレンジで教育課程を考えたらどうか。これは先生の御指摘のとおり、実は教育課程審議会におきましても、社会科というものの改訂を今後考える場合に、これは幼稚園は今ございませんけれども、小中高等学校という十二年間を通じての社会科、例えば歴史教育というものの連続性と系統性ということをこの際十分検討すべきであるというふうな指摘も、教育課程審議会の中間まとめ等でも申しておりまして、これから約一年かけまして中学校教育と高等学校教育のそれぞれの分科会、そしてそれの合同の会議等で社会科についての先生指摘の連続性と系統性ということについては詰めてまいりたいというふうに考えておりますので、御指摘の点は十分私どもも留意してまいりたいというふうに考えております。
  246. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私が特に注文しておきたいのは、小学校、中学校、高等学校で歴史を教えるにしましても、例えば小学校段階では人間を中心にした、人物を中心にした歴史を教える、それから高等学校あたりになってくると社会史、そういったふうなものを教えるというふうにアスペクトを変えて教えていくようにしなければ、同じことの繰り返しというのでは習う方も嫌になってくるんではないか、そのことでございます。  四、五日前でしたか、大学入学資格検定試験、これを受ける者が非常にふえたということが報じられておりました。この受験者がふえるという現象を文部省としては一体どういうふうにごらんになっておられますか。
  247. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 大学入学資格検定試験の応募受験者、合格者の数、まあ合格者で申しますと確かにふえておりまして、本年度は現在のところは二千二百八十人余、昨年が二千人、一昨年は千九百人、その前が千六百人と、こういうわけでございます。  私ども受験、合格者の内容を分析いたしますと、約半数が高校中退者でございます。それから、約二割から三割が中学校卒業生でどこにも行ってない人たちと、こういうところで約七割になるわけでございますね。したがいまして、私どもは高校中退者が約半数を占めておるという点についての問題点というのを意識して、この点の高等学校教育のあり方、それから中学校の進路指導の問題等いろいろと検討課題があるというふうに考えておりまして、中退者については実態調査等を五月以来やっておりまして、年末ぐらいまでにはその調査結果が出ると思いますので、我々としてはその点についてのフォローもいたしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  248. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これは前回も取り上げたんですけれども、検定試験を受けられる人の中には、つまり高等学校の資格を取るための人とそれから大学に入るための資格のために必要だと、そういう人たちがいると思うんですが、前回取り上げましたんですけれども、十八歳にならないと試験に通っても大学の受験資格がないわけですね。この十八歳という最低限の歯どめが必要なのかどうか。年齢制限なんか取っ払っていいんじゃないか。本当にすぐれた天才的な子供であれば、義務教育は終わってなくては困りますけれども、義務教育を終わった段階大学の試験を受けてパスすればそのままいいじゃないか。あるいはそもそも大学の入学試験を受けるのに高等学校卒業という資格を必要とするものかどうか。高等学校を卒業していようといまいとにかかわらず大学の入学試験を受けてパスする者はどんどん行かしてもいいじゃないか。そう思うんですけれども、どうでしょう。
  249. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) ただいまお話にもございましたように、日本の場合の大学入学資格は、高等学校を卒業した者及びこれと同等以上の学力がある者というような規定になっておるわけでございまして、高等学校卒業でございますと十八歳に達するということが原則になっております。したがいまして、お話にも出てまいりました大検のような制度をとってきたという、高等学校を経由しない場合につきましても、やはり全体のバランスから見て十八歳ということを効力発生の条件といたしておるわけでございます。ただいま御指摘がございましたような入学資格年齢の引き下げの問題につきましては現在の六・三・三制、特に高等学校以下の教育にどういう影響がいくかというあたりのところが大学サイドばかりでなくて高校以下の教育への影響ということ等をあわせ考えますと、なかなか難しい問題が多々あるように思うわけでございまして、この点につきましてはいろいろと御議論のあるところでございますが、現段階で私どもといたしましては慎重な検討を要する事柄であろう、こういうふうに思っているところでございます。
  250. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 十分に慎重に検討するというのはこの前も聞いたんですけれども、むしろ前向きに検討していただきたいという希望を申し上げておきます。  最後に希望だけちょっと申し上げておきます。  臨教審の方で大学の改革の問題をいろいろ議論されている。確かに現在の大学においては改革すべき点がたくさんあると思います。私は、もう大学ぐらい保守的なところはない。平生外に向かっては非常に進歩的なことを言う先生に限って、自分たちの問題になると非常に保守的になる。だから、これを変えるのは大変なことだと私は思います。例えば教養課程の問題、それから大学教員の資格認定の問題、任期の問題、それから第二外国語の問題、これは非常にたくさんあるんです。そうすると臨教審の最終答申だけでは私は論じ尽くせられないんじゃないかと思うので、その意味大学審議会、ユニバーシティーカウンシルをつくるようにという提言がなされておりますですね。その内容は私はよく存じませんけれども、そういうふうな問題を審議する機能をもユニバーシティーカウンシルに持たせるようにしていただきたいということを希望いたします。
  251. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 本日はいわゆる軍学協同問題の最近の具体的なあらわれを中心にして幾つか質問をしたいと思います。まず、文部省お尋ねをします。  近年日本とアメリカの間の軍事同盟体制が一段と強化をされていくもとで、いわゆる軍学協同、すなわち大学大学人の研究に軍事研究が導入される動きが強まっているのでありますが、その中でアメリカ軍から研究資金が提供されているというそういう例はあるのか。昭和四十二年の段階だと思いますが、国会でもかなり議論になってそれ以降の状況を簡単に御説明願いたいと思います。
  252. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 国立大学につきまして昭和四十七年以降米軍から大学に資金が入ったということはございません。  四十二年と先生今おっしゃいましたが、四十二年から四十七年まで経過的に従来の契約が継続していたということは経過的にあるわけでございますが、その後新たに資金が入ったということはないと我々は承知いたしております。
  253. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 国立大学については昭和四十七年以降は全くないと。私立大学についてはどういう状況でしょう。
  254. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 私立大学について実情を十分に承知しているわけでは必ずしもございませんけれども、私どもの知る限りではやはり昭和四十七年以降米軍から研究費の援助を受けたという事例は聞いておりません。
  255. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、本年九月の二十一日から二十四日にかけてでありますが、北九州市の産業医科大学、ここを会場にしてこの大学の白木教授を代表者にいたしまして、ストレス強化の環境のもとでの生理学に関する国際シンポジウムというものが開かれています。この産業医科大学というのは昭和五十三年開校に当たりまして設立資金が出されている。そしてその後も毎年労働省から補助金が出ているという大学だと思いますが、その金額はどれくらいの金が出ているんでしょうか。労働省御説明ください。
  256. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) 産業医科大学昭和四十九年から建設に着工いたしまして、五十三年四月に開校されたものでございます。現在までに建設費に対する補助の累計は四百三十四億七千万円でございます。それでなお昭和六十一年度の運営費補助は病院、大学合わせて五十八億九千九百万円になっております。
  257. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこでシンポジウムの案内状、これが実物でありますけれども、この案内状を見てまいりますと、そこにフィナンシャルサポートということでアメリカの空軍研究所、アメリカの海軍研究所、ここから財政提供、資金が提供されている。さらに松下健康保険組合、ここからも資金が出ているというのがこの案内状のパンフレットにも明記されているわけでありますけれども、さらにこのシンポジウムのオルガナイジングコミッティー、組織委員、ここにアメリカ空軍の代表としてジェームス・W・オールフ氏という人がこの組織委員に入っているというふうに書かれているわけでありますけれども、これは事実か、把握されておりますか。
  258. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) 確かにパンフレットにはそのように書かれているということは承知をしております。ただ、このシンポジウムは今もお話がございましたようにオレガナイジングコミッティーとして産業医科大学の白木教授がチェアマンとなり自主的なシンポジウムとして組織された主催団体によって運営されているというように承知をしております。
  259. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 自主的なシンポジウムだというふうにそこにアクセントを置いて御説明になるわけでありますけれども、後から論じますけれども、労働省から毎年お金が出ている産業医科大学、これが同時にこの案内状によりますと、シンポジウムのスポンサーとしてこの大学が名前を連ねている、同時にこのシンポジウムの会場をこの大学が提供をしているという、これまたこのパンフレットに明らかになっている問題ですね。確認を求めます。
  260. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) そのパンフレットには確かにそのように書かれております。私どもの方が承知をしておりますのは、産業医科大学としては確かに産業医学の研究として参考になるシンポジウムであるという考え方から、会場を提供をしたにとどまっておりまして、産業医科大学が組織的にこれに関与しているというようには聞いておりません。
  261. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私もその大学大学ぐるみで関与しているというようなことは何も申し上げていない。スポンサーになっているということと、会場を提供しているということを指摘をしておるわけでありますが、そこで、アメリカの空軍及び海軍の研究所、ここが資金提供者になっているということでありますが、金額はどれぐらい出ているのか、把握できたでしょうか。
  262. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) 今も申し上げましたように、主催組織というのは自主的に組織されたものであり、労働省としてこれに関与する考えはございませんので、そこまでは把握をしておりません。
  263. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、とにかく米軍から資金が出ているという、その意図、目的がどこにあるのかということを裏づける問題として、実は一層重要な問題はこのシンポジウムの目的、内容であります。この案内状によりますと、このシンポジウムを吉村寿人京都府立医大の名誉教授の大きな業績への感謝のために開催をするのだとしながら、いわゆるシンポジウムのプログラムに先立つ、何といいますか、呼びかけ状といいますか、シンポジウムの趣旨を述べたのが二、三ページにわたってあるのですが、その中の多くの部分をこの吉村教授の活動歴の紹介に充てている。そしてそこをずっと読んでまいりますと、この案内状にも明記されていますように、この吉村教授は第二次世界大戦中、中国東北部いわゆる満州において極寒、極度に寒い地域における人間の適応能力、凍傷に対する抵抗力の研究のために活動をしたと、こういうふうにはっきり書かれているわけでありまして、これは例の「悪魔の飽食」、あの恐るべき人体実験を行った七三一部隊の一員であるということを示唆をするものであります。またそのあとに続けてこの案内状をずっと読んでまいりますと、戦後パプアニューギニアに赴いて高地住民、海抜の高い地域、高地住民に窒素の同位元素N15を使った生体反応を調べる、そういう実験観察を行ったということが同時に出てくるわけであります。  労働省、実物をお持ちのはずでありますので、この案内状にはそういうパプアニューギニア調査の問題について、今私が要点申しました高地住民にN15を使った生体反応実験をやったというふうに書いておる、このことは要旨そういうことですね。
  264. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) パンフレットには、このシンポジウムに関連をしてまあ紹介をするような形でそういうことが記されていることは承知をしております。
  265. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで厚生省、お尋ねします。  我が国では、厚生省所管の放射性医薬品製造規則、これによりまして薬品として製造、使用を認める放射性同位元素を限定をしていると思いますが、規則の別表によって。その中に、いわゆる窒素15番、N15、これは含まれていませんね。
  266. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 放射性医薬品製造規則の別表の第一でございますが、窒素15、あるいはその化合物、その製剤、いずれも収載されておりません。
  267. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ということは何を意味するだろうかということで私考えてみるんでありますけれども、日本の国ではできない実験、難しい実験、これをパプアニューギニアの国民をいわば実験材料にするような形で、今紹介をしておりますN15を使ったこういうことが行われたのではないかという疑いを私は持たざるを得ないわけであります、戦前のこともありますので。  いずれにしましても重大な問題は、特に本日私が問題にしたいということの重点は、戦前、戦後にわたってのこういう活動を全面的に賛美をする、そういうシンポジウムに対してアメリカ軍が、軍が資金まで出して非常に関心を寄せておるというこの問題。それに対して、労働省が設立し毎年補助金を出している産業医科大学、もちろんさっき言われたように、大学ぐるみということではもちろんないですけれども、産業医科大学が後援団体となりこのシンポジウムの会場提供をしているという、まさに軍学協同の具体的なあらわれだというふうに言い得る事態だと思うんでありますけれども、労働省はこういう姿をどういうふうに見られるんでしょう。困ったことと思われるのか、いや大変結構なことだと、こう思われるのか。
  268. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) 今先生が御指摘になりましたあの国際シンポジウムは、ストレスのある環境下の生理学という題で開かれたものでございまして、確かに産業医科大学に所属をする教授が中心になってはおりますけれども、主催者団体を別個に組織をし、自主的なシンポジウムとして実施をしたものである。これは先ほども申し上げたとおりでございます。  したがいまして、この件につきましては私どもは、正直のところ事前に全く承知をしておりませんでした。それで、この大学がどのような関係でこれにかかわっているのかというのは、先ほども申し上げましたとおり、産業医学の発展のために産業医学の主要テーマの一つである産業生理についての研究の一環として自主的に開催をしたシンポジウムに、産業医科大学の教授がチェアマンを務めているという関係で会場を提供したというように承知をしております。  御指摘のような事態を招いているということは私どもも承知をしておりますが、今後こういうことがないように十分留意する必要があるというように考えており、今後とも研究者が誤解や疑惑の生じることのないような、研究者の良識と自主的判断により研究が行われるべきであると考えております。
  269. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 前段いろいろ言われましたけれども、結論部分でこういうことが二度と繰り返されないよう希望をするという意味のことを言っておられますけれども、ここで文部大臣、ひとつお尋ねをしたいと思うんですが、大学を含めましてそういう教育研究のあり方についての第一義的指導の位置にあるのが文部省、文部大臣ということかと思いますのでお尋ねをするのでありますが、こういう軍事研究との結びつきのこの問題について、日本学術会議などは早くから総会で、日本の科学者はあの戦前の苦い体験の反省の上に立って、一切軍事研究には参加しないという、こういう特別声明なんかを出してきている、こういう経過、御存じのところだと思いますけれども。もちろん学者、研究者の自由の問題がありますね。ありますけれども、そういう学問、研究の自由がたとえ言われようとも、非人道的、軍事的な研究を行うべきでないということは学者、研究者は求められる、みずからを律するべきモラルじゃないかというふうに私は思うんでありますけれども、文部大臣のまず御感想といいますか、所見はどうでしょう。
  270. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 学術会議で二回にわたりましてそういう決議があったことは承知しておりますし、また、その決議も私は当然だと了解するのであります。  しかし、今聞いておりまして、佐藤さんは何かこの研究が軍事研究だという、頭からこれは決めつけておられるように思うんで、私はそうなのかどうかということは、これはわからないんじゃないかと思うんです。産業医科大学というのは、これは設立の経過から申しましても、大体公害問題を中心とした、環境問題を中心として、医学との関係を探求するということで設立された大学であると私は聞いておりますし、またそう承知しておるんです。ですから、ストレス下における研究というようなものは大学の中では私は行われてもいい研究ではないかと。しかし、吉村何とかいう人の前歴はこうであったと、こういうことでございまして、それとこのシンポジウムとどんな因果関係なのかということ、まず私たちもわからない。また、そのシンポジウムで研究された結果というものが本当に軍事目的だけだったのか、そうではなくして人間そのものを研究されたのかということも、これも私はわからないと思うんです。  したがいまして、これからやっぱりはっきりと軍事目的であるということが、そういうことが明確である場合はこれは当然拒否すべきだと思います。しかし、これに参加されておる方々も学者だということで、研究者でございまして、学術会議にやっぱり所属しておられるのかおられないのか知りませんが、学術会議というのはやっぱり学者の意見として決めたんですから、それはこのシンポジウムに参加しておられる学者も十分御存じの上でやっておられるのだろうと私はそう思います。  そういう点いろいろ勘案いたしますと、結論としては、結局大学並びに学者は、そういう軍事目的であるということが初めから明確であるものにはできるだけ参加しないように、できるだけというよりも参加しないようにということを私は希望しておるものです。
  271. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 軍事目的であるということが明確なものについては、大学または大学人、そういう研究には参加すべきではなかろうと言われておる、そのとおりだと思うんでありますけれども、私が特に注意を向けるべきだということで指摘をしておるのは、アメリカの軍が資金を出しておるということなんですね。やっぱり何かの意図、目的があればこそ資金を出すんだと思うんです。それはまだよく内容がわからないと。どれくらい資金が出ているということもわからないというふうにおっしゃっているんですから、これからの適当な手段で実情を調べるべき点は調べるということによってはっきりしていく問題だと思うんですけれども、アメリカの軍が資金を出しておるこういう問題にどこかの大学が会場を提供して後援団体になったということを言っているんじゃないんですよ。政府が補助金を出しておるその大学が、わざわざ後援団体になり会場を提供をしておるというこのことについては、よく一遍考えてみなくちゃならぬ問題じゃないかということで本日は提起をしているわけです。  それで、労働省は、さっきこうしたことが二度と繰り返されぬように注意をしていきたいというふうにおっしゃっておるので、それはそれといたしまして、文部大臣、もう一点お尋ねをしますけれども、国立、私立を問わず、あの大臣のおっしゃるはっきりした軍事目的、こういう研究大学の施設などを提供しないように、これを機会にひとつよく注意を向け、そういった方向の指導を強化をするということで、文部省、文部大臣として対処をしていただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  272. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、先ほども申しましたように、シンポジウムでいろいろ議論されたものが、それをアメリカ軍はどう利用しておるのか我々はわかりません。しかし、シンポジウムが軍のために研究をするということではなかったと私は思うんです。もしそういうことだったら、これは私はとめるべきだと思いますが、軍も人間の研究だということで、その結果を軍は軍で考えるというのだったら、これは何も軍事目的のためにということじゃないと思うんです。したがいまして今後もこういう問題があるだろうと思います。思いますが、軍が金出したから軍事研究だと。私はそうは言えない。もしそうであるならばこれははっきりと断ります。断るべきだと思います。けれども、軍が金出したから全部が全部軍事目的のためだということじゃなくして、そのシンポジウムなりあるいは研究の結果を軍が独自にそれをひとつ応用して使うというところまで、これは先の先までわからないのでございますから、私はそういう軍からの資金の提供があれば、佐藤さんがおっしゃるようにその点は慎重に考えて、資金の提供を受けるか受けぬかということを考えたらいいと思います。
  273. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 最初段階文部省から御説明がありましたように、昭和四十七年以降例のないことが起こっておるんです。そして、このシンポジウムにアメリカ軍が資金を出しているだけじゃない、組織委員、言うなればシンポジウムの運営委員ですよ、運営委員に軍の代表が入っているんです。松下もお金出してますけれども、松下は運営委員には入ってませんよ。という点でやっぱりこれはちょっと異常だというふうに私は思うんです。  ですから、ぜひそのことを念頭に置いていただいて、調査をやる必要があれば、そういうことで今後ともこういうことが二度と起こらぬようにということで強く問題を提起しているわけであります。  そこで、あと残ってます時間わずかですけれども、この機会に、午前中梶原委員の方からもありました義務教育国庫負担制度の問題で私も文部大臣にただしておきたいと思いますが、ありましたように、国の財政危機を理由にして事務、栄養職員給与費の国庫負担を廃止するなどという、そういう大蔵サイド動きが報道されてますけれども、義務教育根幹にかかわる重大問題でありますし、ひとつ文部大臣としてはこういうことは断じて認めない、制度の維持のために頑張るという決意のほどを確かめたいと思います。
  274. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはもう佐藤さんおっしゃるとおり、一生懸命頑張ってこの制度の維持に私も全力を挙げてやっていきたい、こう思うております。
  275. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 念のためにもう一週間いておきますが、こういううわさもあるんです。臨教審が中間答申でさまざまな今後の教育改革方向を打ち出したと。例えばその中の一つに初任者研修を制度化をする、そのためにはやっぱり一定の予算が必要になってくるということで、この問題と義務教育国庫負担制度廃止の問題とが最後の大詰め段階で取引されるのじゃないかといううわさというか疑念というか、こういうものが一部取りざたをされてますけれども、そういう取引するというようなことなんかは断じてないというふうに確信していいんでしょうか。
  276. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はそういう取引は全く下手でございまして、直球ばかり投げる方でございまして、そんなうわさは私も聞いたことがございません。けれども、そういうふうなのがどこかで出ておるんだったら、十分に注意して予算の折衝に心がけていきます。
  277. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですので、文部省及び科学技術庁決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十一月二十六日午後二時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会