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1986-12-16 第107回国会 参議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   委員氏名     委員長         中野  明君     理 事         江島  淳君     理 事         吉村 眞事君     理 事         安恒 良一君     理 事         矢原 秀男君                 伊江 朝雄君                 木村 睦男君                 倉田 寛之君                 坂元 親男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 田渕 勲二君                 小笠原貞子君                 田渕 哲也君     ─────────────    委員の異動  十二月九日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     藤井 恒男君  十二月十三日     辞任         補欠選任      藤井 恒男君     田渕 哲也君  十二月十五日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     抜山 映子君  十二月十六日     辞任         補欠選任      抜山 映子君     田渕 哲也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野  明君     理 事                 江島  淳君                 吉村 真事君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 伊江 朝雄君                 倉田 寛之君                 坂元 親男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 小笠原貞子君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君    政府委員        内閣審議官    中島 眞二君        運輸政務次官   柿澤 弘治君        運輸大臣官房長  服部 経治君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       棚橋  泰君        運輸省国際運輸        ・観光局長    塩田 澄夫君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省貨物流通        局長       松村 義弘君        運輸省海上技術        安全局長     間野  忠君        運輸省海上技術        安全局船員部長  増田 信雄君        運輸省港湾局長  藤野 愼吾君        運輸省航空局長  山田 隆英君        気象庁長官    内田 英治君        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君    説明員        経済企画庁物価        局物価政策課長  熊澤 二郎君        国土庁防災局防        災業務課長    牧之内隆久君        大蔵省主計局主        計官       佐藤  謙君        労働省労働基準        局監督課長    松原 東樹君        労働省職業安定        局雇用政策課長  廣見 和夫君        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事     山之内秀一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (派遣委員報告)  (新旅客会社等国鉄職員採用基準及び労働条件に関する件)  (沖合人工島構想に関する件)  (佐川急便の経営に関する件)  (運輸事業に対するいわゆる売上税に関する件)  (国内線航空機特別料金制度に関する件)  (国鉄職員雇用対策及び年末一時金に関する件)  (鉄道輸送安全対策に関する件)  (伊豆大島噴火に伴う島民避難体制に関する件)  (整備新幹線着工問題に関する件)  (外航海運業界不況対策に関する件) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 中野明

    委員長中野明君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、運輸事情等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野明

    委員長中野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中野明

    委員長中野明君) この際、橋本運輸大臣及び柿澤運輸政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。橋本運輸大臣
  5. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 運輸大臣橋本龍太郎でございます。当委員会の開かれますこの機会に一言ごあいさつを申し上げます。  運輸行政のみならず国政の最重要課題一つであります国鉄改革につきましては、さきに関連法成立させていただき、運輸省国鉄におきましては、来年四月一日の改革実施に向け、関係省庁などの協力のもとに、一丸となって諸準備を推進しているところであります。国鉄事業を二十一世紀に向けて未来のある鉄道事業として再生させるため、新経営形態への移行を円滑に実施するよう最大限の努力を傾注してまいる所存であります。特に、国鉄職員雇用対策につきましては、本改革実施に当たっての基本と認識をしており、これに万全を尽くす考えでおります。  このほか、運輸行政には、海運造船不況対策を初め早急に解決が迫られる重要課題が山積みしております。来年度予算編成を間近に控え、これらの重要課題に的確に取り組むため、所要の予算確保などに全力を傾けてまいりたいと考えております。  なお、今回の伊豆大島噴火につきましては、島民方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、運輸省といたしましても、観測体制充実強化緊急避難体制の維持などに今後とも万全を尽くす所存でございます。  運輸行政にとりまして最も激動の時代に若輩の私が所管大臣としてこれを担当するということで、改めて責任の重大さを痛感しているところでございます。今後とも国民の信頼にこたえつつ、運輸行政を推進してまいりたいと考えておりますので、委員各位の格段の御支援、御指導をお願い申し上げ、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 中野明

  7. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) 運輸政務次官柿澤弘治でございます。  ただいま橋本運輸大臣からお話がございましたように、運輸行政には、早急な解決を要する重要課題が山積をしておりますが、このような時期に運輸行政に直接携わるという機会を得まして、その職責の重大さに心の引き締まる思いでございます。  今後とも、橋本大臣の御指導のもとに懸案事項解決全力を傾注してまいりたいと存じておりますので、運輸委員会諸先生の御指導と御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。     ─────────────
  8. 中野明

    委員長中野明君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  まず、派遣委員報告を聴取いたします。吉村君。
  9. 吉村眞事

    吉村眞事君 先般九月に実施いたしました委員派遣について御報告申し上げます。  派遣委員は、中野委員長江島理事安恒理事矢原理事小笠原委員田渕委員及び私吉村の七人でありまして、去る九月一日から三日までの三日間の日程により、福岡県、佐賀県及び長崎県に出張し、運輸省国鉄及び空港周辺整備機構地方機関並びに関係地方自治体から管内運輸事情を聴取するとともに、福岡市営地下鉄西鉄福岡バスセンター国鉄松浦線三菱重工業長崎造船所などを視察してまいりました。  以下、主要な調査事項につきましてその概要を御報告申し上げます。  まず、九州地方国鉄の概況について御報告申し上げます。  九州国鉄営業線は、三十三線二千六百五十八キロ、全線赤字であります。六十年度経営成績は、収入千二百億円に対して経費はその三倍強、二千四百億円を超える赤字を計上しております。また、四十五年に八十万台のマイカーが十五年間で三・七倍の二百九十万台と急増したこともございまして、国鉄輸送量は年々減退を続けておりましたが、六十年度は十一年ぶりに横ばいとなっております。  旅客は十年間で一割減でございますが、貨物は四十五年度三万トン、五十年度二万トン貨物取扱量が六十年度ついに一万トンを割るに至りました。関東、関西から遠隔の地であるため、域外交通航空海運に、域内交通においてもマイカーミニバイク等普及に加え、鉄道のサービス、乗り心地等競争条件となる輸送基盤整備のおくれもあって国鉄輸送分担割合が特に低くなっております。  政府国鉄改革案による九州旅客鉄道株式会社は、新幹線貨物特定地方交通線を切り離し、長期債務を免除されるため、六十二年度赤字は六十年度決算から見て、千八百億円と想定されます。この赤字千八百億円を経費節減等経営努力経営安定基金運用益によって消さねばなりません。健全な経営が図れるよう経営基盤強化が望まれるところでございます。  六百八十二の鉄道駅の六割が無人駅、委託も一割強と合理化に努めた結果、職員数は五十三年当時の四分の三、二万七千人に減少しておりますが、政府案では六割の一万六千名しか残ることができません。石炭、鉄鋼、造船等基幹産業がいずれも構造不況産業であり、雇用情勢が非常に厳しい当地では、雇用先確保が緊急かつ切実な課題となるものと想定されます。  また、特定地方交通線は二十三線で、全国特定地方交通線の四分の一に達しております。第一次、第二次各九線が既に指定されており、引き続き第三次線五線が現在承認申請中であります。なお、第一次線全線と第二次線の漆生線計十線は既に転換を完了しておりますが、このうち、第三セクターの地方鉄道転換したのが二線で、その他の八線はバス転換をいたしております。また、第二次線のうち二線はバスの方向で転換決定しており、残る六線につきましても、地元協議会を設けて鋭意協議中とのことであります。  今回視察いたしました第二次線の松浦線は、二十三線の特定地方交通線の中でも、赤字が六十年度で四十億円と最も多く、営業キロは九十四キロと二番目に長い線で、営業係数は九〇一でございます。有田—伊万里—佐世保間を結んでおりますが、沿線炭鉱の閉山に伴い昭和五十七年には貨物取り扱いを全廃しております。沿線人口横ばいを続けているものの輸送人員は十年前の六割に減少しております。これは、マイカーミニバイク普及に加えて、松浦線に並行する国道二百四号線を四社のバスが頻繁に走っていることが原因と考えられます。現在、地元協議会を設け検討中とのことでありますが、関係地方自治体が二県四市十町と多いために、地元意見の調整にはなお一層の努力が必要と思われます。  なお、福岡県、佐賀県及び長崎県から九州新幹線早期着工について、福岡県から篠栗線、吉塚駅の改良等国鉄整備促進について要望がございました。  次に、今回視察いたしました福岡市営地下鉄について御報告いたします。  昭和五十六年開業後、毎年営業区間を延ばし、現在十三・五キロ営業しております。労使協調のもとに極力省力化が進められておりまして、乗車券発売、出改札、放送などの自動化中央指令所監視制御によるホームの無人化に加え、地下鉄では日本初ワンマン化実施しております。しかし、建設費に三千六百億円と、キロ当たり二百数十億円を要するため、六十年度は百五十億円の補助金を受けながらなお七十億円の赤字で、単年度黒字に二十年、累積赤字の解消に三十年を要すると試算されており、大都市地下鉄整備のあり方は解決を迫られる問題と思われます。なお、福岡県及び福岡市から博多駅と福岡空港を結ぶ地下鉄整備促進について要望がございました。  また、西日本鉄道経営する福岡交通センターを視察いたしました。ここは西鉄バス外八社のバスが乗り入れており、日本ではトップクラスのバス発着回数を誇る一般バスターミナルであります。福岡市内バス交通拠点として、また、博多駅、福岡空港とコンピューターで結ぶ長距離バス座席予約システムが設けられておりまして、大阪—博多間を走る日本一長い定期路線バスを初め多数の長距離バス拠点となっております。  次いで、海事関係について御報告をいたします。  九州には、八万総トン以上の建造設備を有する大型造船所が六工場ございまして、それを含めて約二百五十の造船所があり、鋼船建造実績では全国の四分の一を占めるなど、造船業九州の重要な産業となっております。昭和六十年における鋼船建造量は、五十八年大量発注ばら積み船建造があったため二百四十四万総トンと前年比八七%ながら比較的高水準にあったものの、受注量は百六十万総トンにすぎません。船腹過剰と海運市況の低迷が長期化していることに加えて、円高による競争力減退によるものと思われます。本年六月の海運造船合理化審議会答申では、不況対策として五千総トン以上の設備能力を有する事業者基数単位で二〇%程度の削減が必要とされておりますが、五千総トン以上の造船所十一社のうち八社は一基を有するにすぎず、実行段階ではさまざまな工夫が必要と思われます。  さらに、五百総トン未満建造能力しかない造船所が全体の八割、二百社に上るため、中小企業対策が重要と思われます。現在中小企業近代化促進法に基づき、新商品、新技術開発を柱とする第二次構造改善事業実施中でありますが、来年度からは経営面に重点を置いた第三次構造改善事業準備を進めているとのことであります。造船業地域に及ぼす影響が大きいことにかんがみ、地域経済雇用に与える影響に十分配慮しつつ、不況対策の円滑な実施を図ることが必要と考えられます。  今回視察いたしました三菱重工実長崎造船所は、ピーク時に比して操業度は三分の一、従業員は半減しております。最近の円高ウォン安により韓国の造船所が圧倒的に優位に立っており、本年の秋から来年にかけて操業度はさらに低下する見通しとのことでありました。当造船所では九十万トン原油備蓄船建造しておりましたが、これは造船不況対策としても注目される計画と考えられます。なお、長崎県からは造船不況対策について要望がございました。  また、九州地方海岸線の長さが一万キロを超え、人の住んでいる有人離島が百二十三と全国有人離島の三分の一を超えています。港湾全国千百の四割を占める四百三十九港ございます。定期航路の三分の二が離島航路でありますが、過疎化進展等により四十五航路補助航路となっておりまして、長崎県及び福岡市から離島航路に対する財政援助強化について要望がございました。  また、六十一年度は、千四十億円で港湾整備事業を、百十億円で港湾海岸整備事業を行っております。なお、これと関連し、福岡県及び福岡市から博多港の外貿コンテナ埠頭整備について、長崎県から長崎港の内港地区の再開発について要望を受けるなど、福岡県、佐賀県及び長崎県からそれぞれ港湾整備促進について要望がございました。  次に、航空関係について御報告申し上げます。  九州地方には第二種空港が十二あります。東京、大阪から遠隔の地であること、離島が多いことなどから、各県とも空港整備に力を入れており、北九州空港を除く第二種空港にはジェット機が就航し、旅客数はいずれも百万人以上と活況を呈しております。第三種空港でも対馬、徳之島の二空港は既にジェット化されております。本年度空港整備事業費は約二百二十億円となっております。なお、第二種空港でありながら定期便の就航していない北九州空港にかえて、福岡県から新北九州空港の、九州ではただ一県空港のない佐賀県から佐賀空港建設について要望がございました。  また、福岡県及び福岡市から福岡空港整備周辺対策の推進について、長崎県から長崎空港福江空港整備について要望がありました。  最後に、その他の要望事項について御報告いたします。  福岡市から、福岡筑紫地区国際観光モデル地区の指定について、長崎県から、周辺海域における外国漁船取り締まり強化地方バスに対する財政援助強化及び航路標識整備等についてそれぞれ要望がございました。  以上御報告申し上げます。
  10. 中野明

    委員長中野明君) 以上をもって派遣委員報告は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 今度の国会は、一〇七国鉄国会と言われるような、重要な国鉄改革の論議のある意味では歴史だと思っているわけでありますが、この中で参議院ではいろんな問題を詰めてまいりましたけれども、私は、そのことについて一つ一つ確認をいたしてまいりたいと思っております。  国鉄総裁にお伺いいたしますが、関係労働組合意見を聞きまして設立委員に伝える、こういうことになっているわけでありますが、この点はいかがですか。
  12. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 十一月の二十八日に法案が成立をいたしまして、こうした今後の内容につきまして、十二月の二日に全組合に対しましてその概要説明をいたしました。同時に、国鉄といたしまして設立委員にいろいろと御要望を申し上げてまいるつもりであるけれども、組合の方で意見があるならば遠慮なく言ってくださいと、それにつきまして私の方から設立委員にこれを申し上げるということを各組合にお話しをいたしました。  それに対しまして、十二月の五日以降、改革労働組合協議会あるいは国鉄労働組合等組合から意見提出をされたわけでございまして、その内容を、国鉄から運輸省事務局を通じまして設立委員にお伝えをいたしたところでございます。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 すべての関心は設立委員会に移っていると思うのでありますが、その内容について説明してください。
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 第一回の設立委員会におきましては、まず設立委員会運営につきましての検討が行われ、委員長及び委員長代理選任をされますと同時に、委員会運営方法あるいは設立日程などが審議をされております。  また、職員採用基準決定をされますとともに、労働条件に関する基本的な考え方が了承をされております。  労働条件につきましては次回の委員会で具体的な内容についての審議が行われる予定になっております。  以上が第一回の概要でございます。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 四月一日の新会社発足までにいろいろな立て込んだスケジュールが実はあると思うのでありますが、設立委員会といたしましては何をどんなようなスケジュールで行っていくのか、簡潔に説明していただきたいと思います。
  16. 林淳司

    政府委員林淳司君) ただいま御質問の点でございますが、国鉄改革関連法成立を受けまして、政府国鉄一体となって来年四月の新会社発足に向けて準備を進めているところでございます。  準備作業の中で最も時間を要する、かつ、しかも重要な問題は職員採用手続でございます。これにつきまして早急にこれを進める必要があるということから、この法律が施行されました後、直ちに設立委員会を発足させまして、十一日に第一回の会合を開いたわけでございますが、そこで採用基準決定していただきました。  さらに承継法人ごと採用数、これを定めるいわゆる基本計画でございますが、これも本日の閣議で決定を見たわけでございまして、さらに次回の設立委員会労働条件の御決定をいただきたいというふうに思っておりますので、それを待ちまして国鉄において職員配属希望調査、これを開始する運びとなるわけでございます。  最終的な採用者決定は、国鉄におきます調査結果の取りまとめあるいは候補者名簿の作成というものを受けまして、一応今のところ二月に予定しておりますが、二月に第三回目の設立委員会を開催いたしまして、そこで採用者を内定したいというふうに考えております。  それからさらに、事業等引き継ぎ、あるいは資産債務承継等でございますが、これは基本計画に基づきまして国鉄がその実施計画をこれからつくるわけでございまして、最終的には運輸大臣にこれが提出されてその認可を受けるということになっております。その提出のございました場合には、資産活用審議会答申というものも、これも昨日第一回目の会合を開きましたが、答申も踏まえましてこれを認可して、円滑な事業引き継ぎに支障のないようにしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 採用基準におきましては、新聞によれば満五十五歳未満ということになっているわけでありますが、今日、労働省等においてもその他においても六十歳ということが大体基準になっていると思うのであります。これは人口高齢化あるいはまた健康の状態等も勘案いたしましてそういうことになっているということになれば、国鉄も六十歳ということで新会社採用基準というものを決めるべきだと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  18. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新会社が大変厳しい競争市場の中で活力のある経営を行っていかなければならない、同時に、国鉄職員の再就職対策に協力するという趣旨、こうしたことから、新会社適正要員を上回る職員を抱えて出発をすることになっております点は委員が御承知のとおりであります。このため、人件費経営に与える影響というものをできるだけ軽減するためにも採用年齢に限界を求める必要があると考えておりますことと同時に、その新会社発足時点採用した方方がすぐにまた翌日おやめをいただかなきゃならぬような事態は、これはやはり企業としても困るわけでありまして、その方々がスタートからしばらくの間働いていただけるというようなことを考えてみますと、現在の国鉄におきまして退職慣行が五十五歳であるというようなことも踏まえまして五十五歳未満という線をとりました。  採用年齢採用側事情で制限を設けるということは、これは一般的に行われておることでもありまして、新会社の厳しい経営というものを考えてみますと、今回は、私はやむを得ないものではなかろうか、そのように考えているところでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 五十五歳以上の人がいると思うんですね。そういたしますと、その五十五感以上の人は一体どうしたらいいのか、何人いるのかということになると思うのでありますが、その点はいかがですか。
  20. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 現在の実情で調べますと、五十五歳以上の職員が約三千三百人おります。こういう人たちにつきましては、いわば今まで行っております勧奨退職というような形で他へ転職をするような仕組みを今後とも続けるつもりでございますが、中にはもう他へ就職しないという方もおられるわけでありまして、そうした方も含めまして、次の新しい職場へスムーズに行くように私どもは手助けをして、五十五歳以上の職員の今後につきましても十分配慮していきたい、こう思っております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 一人も路頭に迷うことのないようにしたいという、これはもうかねてから総理大臣も運輸大臣も言っておられるわけでありますから、今、総裁の言ったことについては、ひとつ十分配慮してやっていただくように要請いたしたいと思っているところでございます。  なお、職務に支障のない健康状態である、そのことが採用の前提だということでありまするけれども、身障者も実はいると思うのでありますが、こういう点についてはどう考えておられますか。
  22. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 採用に当たりまして、職員がその後の職務の遂行に支障のない健康状態でなければならないということ自体は、これは当然でありますけれども、現在病気により職務を離れて休職をしておりますような職員でありましても、回復の見込みがあり、長期的に見て職務の遂行が可能と認められる方でありますならば、私は採用には差し支えのないことだと考えております。  また、身体障害者の方々につきましては、今回民営化される会社というものは、身体障害者雇用促進法の趣旨を踏まえ採用についての判断をしていくことになるわけでありますので、私は、この基準というものが身体障害者の方々を排除するものではないという理解をいたしているところであります。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 勤務の状況については、日常の執務に関する実績、国鉄における既存の資料に基づいて、総合的に、しかも公正に判断することというようにされているわけであります。先般の参議院の国鉄改革特別委員会の附帯決議がこのことをうたっていると思うのでありますが、この点について、所属組合によって差別がないように、客観的、公平に人選がなさるべきである、これは当然のことだと思うのでありまするけれども、この点、大臣と総裁からお答えをいただきたいと思います。
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 名簿の作成に当たりまして、採用基準に従って判断をされるわけでありますけれども、その場合、個々の職員をその所属労働組合によって差別をすることはあり得ないことだと私は考えております。
  25. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 労使の間の関係というものは、各組合と当局の間で、全く公平、無差別ということを私どもは原則として対応をしているつもりでございますが、名簿の作成に当たりましても、組合によって差別云々ということは絶対にあり得ない、そういうことはいたしませんということを申し上げます。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、雇用の問題が特に今回の国鉄改革特別委員会の中心的課題であったし、私は、冒頭の総括質問におきましても、この点を特に総務庁等については厳しく追及をしたところであります。  したがって、この実績を見てまいりますると、特に北海道と九州、ここが厳しい状態に実は現在もあるわけであります。加えて、造船並びに鉄鋼、その他海運、まことに厳しい状態であるわけでありますが、この雇用機会というものについては、なかなかこれはもう筆舌に尽くしがたい状態であるというように考えます。この点、特段の配慮をするということに実はなっているわけでありますが、この点、大臣、どういうようなお考えですか。
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般来、特別委員会におきましても、この問題についての御指摘をたびたびちょうだいいたしました。そこで、新会社職員採用につきまして、これは採用基準が満たされることを前提として、それぞれの会社地域内の職員を優先的に考慮することにしておるわけでありますけれども、御指摘のように、北海道、九州職員につきましては、これらの地域における雇用の場のアンバランスというものを解消することがやはり雇用対策上大きな課題でありますところから、本州の各新会社職員採用に当たりましても、その要望があれば、雇用の場の少ない北海道あるいは九州会社のエリアの中からの職員を積極的に採用をするようにいたしております。  なお、全体の雇用の問題としては、先般内閣の中に各産業を含めた雇用対策本部というものを設けておりまして、そちらでも対応していくことにはなるわけでありますが、やはり国鉄の民営・分割化に伴って他に職を求めていただかなければならない方々が多数出る状況を考えますと、やはり北海道あるいは九州における、それぞれの地域の中だけでは満たし得ない御要望というものに対し、それぞれの職員の御希望があれば、本州における三つの会社についても柔軟に対応させていただく、そうしたことで考えてまいりたいと思っております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 それから、新会社労働条件は、次回の設立委員会でその大綱が決められるということになっているわけでありますが、その際大手私鉄の例が参考になるというように聞いておりまするけれども、交通産業でありますからその点はよくわかるわけでありまするけれども、私鉄と違う点があるんじゃないかというように実は考えているわけでありますが、この点については大体どういう考えですか。
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに委員が御指摘になりましたように、国鉄と私鉄が著しく異なっております例として、私が聞いております中にも、年次有給休暇の付与日数あるいは付与条件、あるいは定年制の有無、あるいは退職手当、また休職の種類といったようなものがあるようでございます。新会社が私鉄並みの効率的な経営を行うということを日指しておりまして、労働条件につきましても私鉄の例を参考にして修正をしていくべきものだと考えておりますけれども、できるだけ、移行時点でありましても、私鉄と著しく異なっている部分があった場合には、改革の趣旨から見て所要の修正を行うことは必要であろうと思います。これは国鉄労働条件及び私鉄等の労働条件をよく検討の上で、具体的な成案を得ていきたいと考えておるところであります。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 この点は今後とも私どもは関心を持っていきたいと思っておりますが、現行の時点におきまして、移行時における労働条件ですね、この点については現状を考慮しながら、配慮しながらやっていくんだということでありますけれども、会社の間で、例えば四国会社とそれから西日本会社、北海道会社と東日本鉄道会社、こういうようなところについては企業の実績も違ってくるわけです。ですから、会社間に格差が出てくるんじゃないかということを非常に心配いたしているわけでありますが、この点はいかがですか。
  31. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 移行の時点におきましては、やはり円滑な移行というものを行いますためにも、原則として現在の国鉄労働条件というものが配慮をされることは当然であろうと思います。しかし、会社間に格差がつくかどうかということは、これは実はいずれにしても設立委員会で決められるべきことでありまして、私の立場から申し上げるとするならば、少なくとも円滑な移行というものを前提に考える限りにおいて、原則として移行時においては現行の国鉄における労働条件というものが配慮されることになるであろうということのみにとどめさせていただきたいと思います。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 それから、退職手当の問題も私は言及したわけでありますが、先般の衆議院における国鉄改革特別委員会において、六十二年三月三十一日における得べかりし退職金といいますかね、退職金の額は保障すべきであるとの質問がなされたことを会議録で読んだことがございます。私どもも参議院ではその点も主張をいたしました。大臣から、新会社職員となるべき職員の利益を考慮してやりますという答弁が実はあったのであります。今回の考え方は、六十二年三月三十一日、新会社発足の前日の額ですね、きめ細かく言うならば、この額を保障をするというように解釈してよろしゅうございますか。
  33. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新会社設立委員会におきまして基本給はおおむね現行水準を保障するとしておりまして、新会社の退職手当について支給率は現行制度を踏襲するということにしております。この方針によれば、明年三月三十一日時点に退職した場合の退職手当というものはおおむね保障されると考えております。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 それから、定年制を導入するということを言われているわけでありますが、まさに今日高齢化社会であります。五十五になっても六十になっても非常に若くてもうぴちぴちしている、これが日本人の今日の健康状態だと思うのでありまして、今も私どもは真剣に、深刻に老健法の審議の最終盤にかかって対応をいたしているわけでありますが、老人の健康を守るということもさることながら、新会社に移行いたしましても、やはりいつまで勤めるのか、また定年はどうするのか、定年制を導入すると言っているけれども一体どういうことになるだろうか、この点について具体的にはどういうことなのか、大手私鉄を参考にすると言うけれども、大手私鉄はどうなっているのかということについて説明をしていただきたいと思います。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この新会社の定年制というものは、私どもからすれば、六十歳定年努力義務の法制化が行われておりますこと、また知る限りにおきましては、大手私鉄の定年が六十歳ということも考えてみますと、新会社の定年制というものは、定年年齢は基本的にはやっぱり六十歳になるべきだと思います。  ただ、その場合問題となりますのは、新会社の発足時にいわば現在の国鉄における過剰な要員体制の一部を、約三万人近い人数を引き継いでスタートをすることになるわけでありまして、状況は大変厳しいものになるであろうということもございます。そしてまた現在の国鉄時代の退職慣行というようなものも考慮してみますと、何らかの経過措置を、経過期間を設けるようなことも考えなければならないのかもしれないと思います。しかし、基本的にはやはり私は六十歳定年制というものを新会社は考えるべきであると思います。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 移行時には五十五歳と、それで将来は六十歳というようなことについて、いろいろと移行時の現在の職員の年齢構成、そして行ったらすぐやめなきゃならぬということだから五十五歳にしたというような御答弁もあったわけでありますが、大体都合のいいところばっかり私鉄をまねて、都合の悪いところは切って捨てる、これじゃやっぱり困りますから、大臣、その点は、設立委員に立派な人がなっているかもしれませんけれども、よくその辺は管理監督、いろんな指導調整、こういうことをやらぬとひとり立ちできぬですよ、これは。ですから、その点はよくひとつ要望をいたしておきたいと思います。  それから、職員が例えば複数の希望を持ちますわね、例えば長野県なんというのは三つ鉄道があるんです、三つ会社が。長野県一県で、西日本、東日本、それから東海鉄道があるわけでありますが、三つへひとつ希望するという人も出てくるかもわからぬ。また、滋賀県あたりでは東海鉄道の方がいい、いや西日本鉄道がいいと言って、両方希望する人が出てくるかもしれぬ。熱海近所では、熱海は遺憾ながら静岡県ですけれども東日本鉄道。しかし、私は静岡県ですけれども東海鉄道の方の地域に入っている、こういうことがあるわけですね。しかも、非常にやり方が難しいと思いますのは、東日駅に東日本鉄道の駅長と、それから東海鉄道の駅長と二人できるわけですよね。こういう点は、一体どこからどこまで割るのか。コンコースをどこで割っていくのか、目印をつけるのか。キヨスクだって困っているし、それから、出札の窓口だって実は困るというようなことがあるし、人事の運用で、きょうは東海道本線のホームへ行ったら、あしたは新幹線のホームの客扱いに従事しろということは今はできる。将来はできませんね。しかし、本人としてはやっぱり複数の希望をすることがある。あるいはまた、同一の会社に行きましても、事務員の人が技術を希望する。両方とも希望するということがある。したがって、いろんな対応が、複数以上の希望をするということができても不思議ではない、こう思うんでありまするけれども、この点については、原則として、結果として本人の希望を重視しながら対応をするということを考えるべきであると私は思うんでありますが、この点いかがですか。
  37. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今、先生おっしゃるように、いろんなたくさんの希望が出てくることと思います。そういうことに対応いたしまして、そうした複数の希望につきましては、希望の順番を第一位からずっとつけていただく。希望がたくさんある場合は、もう全部書いてくださいというふうに申し上げるつもりでございます。  ただ、この希望の調書の対象は、あくまでどの会社なり、どういう組織に行きたいかということのそういう確認でございますので、今、先生がおっしゃいましたように、事務から技術へ、あるいはその逆とか、そういう系統別、職種別のそういう希望は、これは会社へ入ってからやっていただきたいということで、採用に当たりましての希望調査の対象からは外したいというふうに思っております。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 それから新会社移行について、もう希望が、おたくは十一月七日に決めてくれなきゃ間に合わないと言ったけれども、十一月二十八日になったんですから、三、七が二十一、三週間延びたわけですけれども、総裁は、断固やれます、大丈夫ですと、こう言っていると。そうすると、前に言ったことはこれはサバ読んだんじゃないかというようにも実は考えるわけでありまするけれども、それはいずれにいたしましても、いろいろ移行に当たって、今までの百十四年の歴史を一挙に民間に移行するわけですから、いろんな問題、感情的ないきさつや試行錯誤、いろいろあると思うんです。そういう点について、きょうはあの男はおれに対して文句を言ったとか、あれはこう言ったとかなんというようなことをあんまり採用の前提にしないように、総裁、その辺はひとつおおらかな気持ちを持ってもらいませんといけませんからね、その点は特段の要請をいたしておきますと同時に、そうは言っても新しい組織に行くわけであります。したがって、心構えもやっぱり違ってこなきゃならぬということも言えると思うんです。したがって、各組合に対してもいろんなことについて説明をしながら、納得と了解ということを中心としないと、やっぱりガスがたまる。ガスがたまるとしたら爆発するんですから、三原山と同じですよ。そういうことにならぬように特段の注意を、これはひとつ大臣と総裁からお聞きいたしまして、この問題についての質問を終わりたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 設立委員方々は、分割・民営化の趣旨を踏まえて、地域の実情に応じた新たな経営方針というものに基づいて新会社職員労働条件決定され、また職員採用手続を進めていかれるものと思います。その場合には、設立委員と現在の労働組合の間で何らかの意見の交換の場を設けるべきかどうか、これは設立委員方々が自主的に判断なさるべき事項だと思います。しかし、新会社労働条件につき組合の御意見あるいは御要望というようなものがありますなら、これは政府としてもできるだけその意見のくみ上げをする、図る努力をすることは決してやぶさかではございません。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 新会社が四月一日ですからね、まあ、よくいろいろ言われました人活センターなんかはその前にもう大体お互いの効力を終わると思いますから、総裁、もうそろそろ完結編にして終わってもいいじゃないか、こう思いますけれども、いかがですか。
  41. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 当然のことながら、新会社移行の前に人活センターというものはその使命を終了することとなると思いますので、時期はまだ申し上げることはできませんが、いずれこれはもう廃止をしたいと思います。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄関係は以上で終わります。  港湾局長にお伺いいたしたいと思いますけれども、その前に、今から申し上げるのは大臣からひとつお伺いいたしたいと思いますが、二十一世紀までにあと十四年と迫りました。運輸省港湾局は、「二十一世紀への港湾」副題といたしましては「成熟化社会に備えた新たな港湾整備政策」という立派なパンフレットを去年の五月に出しているのを見ました。非常に立派です。  二十一世紀への過程に至るまでの港湾というものをどういうように位置づけるのか。と申し上げますのは、港湾は荷物を積んだりおろしたりすることだけが港湾だと認識されておりました。しかし、新しい世紀に備えて、例えば産業あるいはまた貿易あるいはまたレジャーいうようなもの、いわゆる新しい社会における住み心地を求めた、いわゆる人間らしい生活を求めたその空間として位置づけるというようなものについて大臣どうお考えですか。
  43. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員から御指摘をいただきましたように、運輸省は昨年の五月長期港湾整備計画としての「二十一世紀への港湾」というものを策定をいたしております。そして、その目標というものを総合的な港湾空間の創造、港湾相互のネットワーク化の推進というものに置いております。  殊に、その空間整備というものにつきましては、従来、物流あるいは生産機能というものに特化した空間整備を進めてきたわけでありますけれども、今後は物流、産業、生活という三つの機能が調和よく組み合わされた総合的な空間づくりというものが必要であると考えております。さらに海洋空間というものを積極的に利用する観点から、委員御承知のように沖合人工島構想というようなものをもかざしておりまして、これらをも推進してまいる所存であります。  先般、港湾局長に案内を受けまして、実は私も東京湾というものを初めて落ちついて、今までのいわば第三者的な眺め方とは別に、港湾行政の責任者として初めて見たわけでありますが、私ども改めて感じましたのは、例えば東京の都民の中で身近に海があるということを感じて生活している人は一体どれだけあるんだろう、同時に、この港湾といういわば将来に向けて開かれた空間資源というものをどうやって活用していくことが本当に望ましい姿なんだろう、そんなことをも考えさせられました。また同時に、防災というものを考えない海洋開発あるいは港湾の再開発というものに対する怖さというものをもあわせて感じております。  そうした中からさまざまな視点を組み合わせて沖合人工島というような構想をも打ち出しており、今後御協力を得たい港湾行政における将来の図面として世に問うておるということを御理解いただきたいと思います。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 大臣がおっしゃるように、非常に港湾整備というものは、単に海岸線を埋め立てて埠頭を建設するということではなくして、全くもって多機能を持たせる、私は三回ほど六甲アイランドとかあるいはまたポートアイランドというようなものを視察いたしました。三回視察している間に、こういうものは、東京とそれからいわゆる大阪、神戸を中心としたこの地域だけでなくてなぜよそへも持っていかないのかということを実は感じたのであります。したがって、そういうものが、いわゆる沖合の人工島というものが建設されるということは、ある意味では将来の二十一世紀から以降の問題について、非常に夢と希望を持たせるというふうに考えましたので、こういうような点を非常に関心を持って実は見ておったのでありますが、この間、私は実は前々建設委員長をやっておりました。そして東京湾の横断道路も視察をいたしました。横断道のルートに人工島をつくるということも聞いているわけでありますが、沖合人工建設の予定海域の調査について進捗状況はどうなっているのか。五十八年、五十九年はケーススタディーの段階でしたね。それが今日FSといいますか、そういう段階に移っているのが六カ所あるんです。その六カ所は下関の北浦、清水、大村、三浦半島、秋田、室蘭というように言われておりましたのが今度は四つになったということを聞いているわけでありますが、この点はいかがですか。港湾局長、御答弁ください。
  45. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 今先生おっしゃいましたように、日本の国土の周辺の海域を日本民族のために利用する方策としてやはり人工島というようなものが非常に有用ではないかということを私たちかねがね思っておりますが、私たちは昭和五十五年からそういった沖合人工島構想についてのいろんなケーススタディーを進めてまいりました。そして、昭和六十一年度からは、今お話しのように四つの、東京湾、清水、玉野・倉敷、下関と四つの海域における構想を、現地の自然条件とか、あるいはまた経済社会条件などを十分考慮したフィージビリティースタディーを開始する。つまり、これまでのケーススタディーから一歩前進させるというところに進めてまいりました。沖合人工島の利用計画とか建設工法、それからそれらの経済性、環境安全面といったふうなものについての研究でありますが、地元の関係者にも加わっていただき、そしてまたその筋の専門家も参加するという形で現在進行中であるということを御報告申し上げたいと存じます。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 従来のケーススタディーからフィージビリティースタディーに移行する。それは今の港湾局長の答弁から聞きますと、現地の県や市が入って、産業界も入ると思うんでありまするけれども、いわゆる運輸省がさきに調査をいたしました六カ所、ケーススタディーの段階から六十一年度調査海域を先行して事業化さしていくんだと、こういう解釈でよろしゅうございますか。
  47. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 今の段階でフィージビリティースタディーを始めたものが事業化のまず第一陣であるというふうに決定的に言うことは難しいかというふうに思っております。それは、現在なお研究中であるということがあるからでございますが、しかし、私たちはこの四つを選ぶ際には、可能性としては高いものを選んだつもりでおります。そういうことで御理解を賜りたいと思います。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 特に、清水港と下関・北浦については、五十八年、五十九年度のケーススタディー調査の結果が出ているんだけれども、その概要について、時間がかかりますから、清水港の関係をちょっと教えてください。
  49. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 清水港の沖合人工島構想は、御案内のように、昨今構造不況業種の多い当地域の臨海部の活性化を図ろうという視点から構想されてまいっております。  自然的条件は、既に御案内かと存じますが、湾形が沖合に開いておりますがために波に対して厳しい条件下にある。それからまた、急激に海が深くなっているというふうな条件もあるわけでございますが、既存の清水港、興津等の沖合五百メートルぐらい参りました場所に、水深がこう、今申しますように急変しておりますが、五メートルぐらいから四十メートルぐらい急傾斜になっております。で、おおよそ二百三十へクターの人工島を建設しようと、こういう構想でございます。その建設費は、地盤を造成するまでだけなんでありますが、概算三千七百億というふうに見積もっております。  ただいまも申し上げましたような内容の研究を続けておるという状況でございます。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 沖合人工島構想を初め、各種の沿岸の区域の利用構想というものは、中央省庁でこぞっていろんな計画が挙げられているんでありますが、科学技術庁ではアクアマリン計画、それから農水省がマリーンランチング計画、通産省がマリン・コミュニティー・ポリス、建設省がマリーン・マルチ・ゾーン、そして国土庁が四全総での計画、それから運輸省が今報告のあった人工島計画ということでありまするけれども、大体各省庁とも割拠いたしましてばらばらな計画では、これは国土の総合調整という形からいって極めてよろしくない。やっぱり専門からいうと、お世辞を言うわけじゃないが人工島計画がよろしいと私はお世辞抜きに考えているわけでありますが、これらの点の中で、やはりばらばらな計画でなくて、統合してこの人工島に集中すべきだ、こういうふうに考えているわけでありますが、大臣、この点どう考えますか。
  51. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御指摘のとおりに、海洋開発については関係各省庁がそれぞれの立場での調査研究を行っておられるわけであります。そして、運輸省はその中で海洋、港湾を担当している官庁として積極的な推進を図っているわけでありますが、先ほどちょっと申し上げましたけれども、例えば東京湾、これは委員もよく御承知のとおりでありますが、今さまざまな計画が組まれておりますポイントは実は防災ラインの外になるわけであります。となりますと、実は津波あるいは高潮といった海洋災害、さらに火災、地震等々を想定しました場合の、そこに住む人々をどう避難させるかといったような交通手段までを含めまして総合的な計画を組めるとすれば、確かに私は運輸省というものがこれらの計画の中心になっていかなければならぬと思います。今後構想の進捗状況に応じて必要な連絡調整も図ってまいりたいと思いますし、またプロジェクトの実現のためにも努力してまいりたいと考えておりますので、委員における御支援も賜れれば大変幸いであります。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 沖合人工計画は、今も港湾局長説明にもあったわけでありますが、清水港の沖合というものは、水深五メーターから四十メーター、しかもこの駿河湾はいわゆるトラフがありまして、そのトラフに、例えば台湾とかフィリピンで低気圧が発生しますとそのままもろにどかっと来るものですから、これはもう水深二千七百メーターから三千メーターというところが実はあるわけです。その下がったところが四十メーターというところでありまして、ここだったら、その外洋に三保の半島というのがありまして、これが波よけになるわけですよ、今の四十メーターでいきますとね。  そうすると、ここに金は三千七百億ということを聞いたわけでありますが、一般的にケーススタディーの段階では二千億から六千億程度と言われまして、その真ん中辺をとったというように実は解釈をいたしているわけでありますが、各省庁とも我こそはとばかりに日本は国土が狭いものですからいろんなことを考える。しかし、やっぱり海の技術というものはこれは先ほど申し上げたように運輸省港湾局が一番の専門家ですから、その中で周りにいろんな産業の誘致とかいろんなものをやっていけばいいのでありまして、我も我もということを言っているのでありますが、例えば建設省だったらここに伝わる道路の建設で協力する、通産省は産業誘致で協力するというようなことで、国土庁は総合調整の機能ですからやはりそういう立場で協力するということがなぜできないのか、ここに私は日本の官僚機構の一番悪い点があるというように考えているわけでありまするけれども、問題は金であります。  金を地方の財政力を考慮いたしまして、例えば国費、無利子の貸し付け、財投の金額を高めたり、民活の導入によって民間資金の受け入れというものをこういったところへやるべきじゃないかということで、幾らこのスタディーを行っても実行がおくれがちになると思うのでありまするから、その点をひとつ橋本大臣は第七次計画の推進の上で財源調達上の工夫を考える考え方はあるかないか、その点についてはひとつ我々も全面的に協力を惜しまない、こういうふうに考えているわけでありますが、大臣、決意表明をしてください。
  53. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今たまたま進行中の中で清水の沖合人工島の例をお引きいただいたわけであります。  確かに清水港の沖合人工島の事業費は、五十八年度運輸省のケーススタディーの結果では約三千七百億円と想定をされております。今年度から実施するフィージビリティースタディーの中で、地元の具体的な自然条件あるいは経済社会条件を加味した土地の利用計画でありますとか工法の検討をもするわけでありまして、これらの検討を得て概算の事業費あるいは事業方式の検討をすることになるわけであります。  いずれにしても、大変これは巨額の資金を要する仕事であることは間違いがありません。もちろん、この中には民間資金の活用等々をも含めて考えなければならないことでありまして、事業の具体化について鋭意検討をしてまいりたいと考えておるところであります。よろしく御協力のほどお願い申し上げたいと思います。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 大臣のいろんな今答弁を聞いたわけでありますが、六十二年度運輸省の概算要求を見ますと、この三十一ページにこう書いてあります。大阪、神戸、横浜などにおいて人工島の整備を推進する、これだけ書いてあるだけですよ、大臣。したがつて、これではやっぱりよろしくない。大都市はどうでもいいと言うつもりはございませんけれども、出おくれる地方の港湾整備に、この際円高の構造不況対策の一環といたしまして沖合人工島を組み入れて、思い切った事業の推進を図るべきである、こういうように思うのでありますが、どうもやっぱりその辺がまだまだ迫力に欠けている、橋本運輸大臣らしくないというように私は見ました。この点いかがですか。
  55. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは実は、私も大変気が弱くてそんなに迫力がある方じゃないんです。しかし、むしろ私と申しますよりも、これは港湾局の技術者諸君、大変……
  56. 青木薪次

    青木薪次君 港湾局が悪いの。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、悪いのではなくて、大変まじめでありまして、大変地道に仕事をしておられる、そうしたところから表現が大変穏やかなものにあるいはなっておるかとも思います。ただ、例えば委員が今提起をされました問題を地域に当てはめて考えてみて、清水という地名を一つ考えてみれば、ちょうどその地域、さまざまな産業の集積の中におけるいわば不況地域一つでもあるわけでありまして、仮にこのプロジェクトが実施をされるということになりますと、地域産業等に対するプラス面も確かに私は大きいであろうと思います。ただ、今日までの事業の推捗状況、検討の進捗状況からいわば例示として出たものが幾つかの地点であり、いわば大都市に偏ったと御理解をいただきました。このフィージビリティースタディーの結論を得た上で私は港湾局の諸君は地道ながら積極的に問題の解決に取り組んでくれるであろうと、こう信じております。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 私は一番詳しいのは清水です。しかし、清水ばかりのことをやっているんじゃなくて、先ほど申し上げましたように、ポートアイランドとか六甲アイランドを三回も見に行ったんですから、それくらい実は関心を持っているということを主張いたしたいわけであります。  そこで、この清水の沖合人工計画については、清水市がマリンピア21活性化推進協議会というものをつくっているわけであります。それから清水市の人工島基本構想研究調査報告をつくっているんです。清水市の再活性化、これはもう全く厳しい状態に実はあるわけでありますけれども、清水市の再活性化と発展をこれにかけているという状態にあるわけです。  もう一つ、台風の災害で非常に荒れております清水の久能海岸というのがありますが、その沖合三キロに、三キロの沖合でも水深十五メーター前後というところでここへ国際空港をつくれという話があったんですよ。私なんか一番それを提唱している。そうしますと荒れたこの海岸が一遍に解決するということで、静岡県には空港一つもありませんから、ですからそのことも提起をいたしているし、今の県知事も実は私どもの意見に賛成をいたしているわけであります。  しかし、それ以前の問題といたしまして、私が今言っているところには、清水市から甲府へ至り、それから長野県の佐久に行って、それから新潟県の上越まで関越と連結いたします中部縦貫道路というものがもう既に計画決定される段階にあるわけです。そういうものとのつながりというものがございまして、しかも、工業化のために港湾整備が急ピッチで進んで、この近辺は海水浴場も実はとられちゃったんです。そこに人工島をつくれば海水浴場もできるということで非常に期待をいたしているわけでありますが、しかもその点で清水港というのは全く重要港湾で、非常な期待と、皆さんから信頼されていた工業都市だったんですが、今日、造船の町であって造船がこの状態なものですから火の消えたようなものです。おまけに、東亜燃料という会社が四日市の方へ行ってしまう。この港湾を取り巻く輸入の原材料それから材木の関係、木工産業が悪い、缶詰が悪い。全くもって今日非常に不況の町に化してしまったわけでありまして、ここにやはり円高がぶつかりまして、人工島計画というものについては町を挙げてこれにかけている、こういう状態に実はあるわけでありますが、この点を中心といたしましてさらにひとつ、各省ともいろんな計画を持っていることが足を引っ張られてこれがおくれている原因であるというようにも考えますし、また、ここではうまい答弁されるけれども、どうもさっきの予算要求見るとなかなかやっぱり靴の上から足をかくような状態で遅々として進まない、こういう点がございますので、その点もう一度大臣と港湾局長に決意を聞きまして私の質問を終わりたいと思います。
  59. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今概算要求について再度のお尋ねでありますが、局長からも御答弁申し上げましたとおり、フィージビリティースタディーがまだ終わっておらない段階であります。これが終わらなければこれは予算要求のできる状況にはならないことは委員御承知のとおりでありまして、我々も鋭意努力をし、そのフィージビリティースタディーの結果としてこれを生かし将来に向けての最善を尽くすつもりであります。
  60. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 大臣の申し上げたとおりでございますが、特に清水の場合は地元に、これは市でございましたか県でございましたか、総合研究機構のようなものもございまして、地元の関係者も非常に御熱心にこれらのプロジェクトを進めようという体制ないしは意気込みで研究が進んでおります。私たちも一生懸命やらしていただきたいと思っております。よろしく御指導賜りたいと存じます。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 私に与えられた時間は一時間で、三つのテーマがありますから簡潔にお答えを願いたい、資料をいただいているものは資料で。  まず最初に、委員各位のお手元に私の方で入手をいたしました資料を配付いたしております。これは清和商事株式会社、いわゆる佐川急便と言われていますが、そこの五十九年十一月二十一日の社長通達、それから同じく六十一年十月二十一日の社長通達、それから同じく不良店(ワースト店)の処罰の状況、この三つの資料を入手しましてこれを全員にお配りしていますので参考にしていただきたいと思います。  まず、担当局長に聞きますが、佐川急便というのは既に私の方では日本通運に次ぐ大きなトラック運送業をやっていると思いますが、その業務の実態について簡単に御説明ください。
  62. 松村義弘

    政府委員(松村義弘君) いわゆる佐川急便グループと言われておりますものの概況でございますけれども、八十三の会社から成り立っておりまして、そのうち路線免許を持っている業者は八社、区域事業者が七十五社でございます。従業員の数は八十三社合わせましておおむね一万五千名、トラック保有台数は一万三百八両でございます。売り上げの実績は六十年度で二千八百六十一億円に上ります。これは、日本通運が同じ年度で八千五百八十一億、それに次ぎます第二番目のトラック事業者でございます。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 日本通運に次ぐ大きなトラック事業者でありますが、ここで行われている行為、どうしても私は黙視ができませんのであえてこのことを取り上げていきたいと思います。  まず最初に、労働省お見えになっていると思いますが、本年の八月から十一月、佐川急便グループに対する労働基準法違反についての臨時監督を実施されたようでありますが、その概要についてこれまたごく簡単に説明してください。
  64. 平賀俊行

    政府委員(平賀俊行君) 先生御承知のように、トラック運送業につきましては重点的に監督指導実施しておりますが、佐川グループの各社につきましてもその対象として監督指導実施するほか、特に違反のあるというふうに目されました愛知及び神奈川の会社につきまして強制捜査を実施しました。
  65. 安恒良一

    安恒良一君 その結果、どういう事実が出てきましたか。私の手元には当時の新聞の切り抜きを全部持っておりますが、非常な長時間労働、深夜作業それから帳簿の改ざん等々、いろんなことが当時新聞で各社が一斉に報道しました。それらの実態についてごく簡単に説明してください。
  66. 平賀俊行

    政府委員(平賀俊行君) 横浜につきましては、労働基準法三十二条一項の違反、協定を超えた時間外労働、それから三十七条の違反、深夜労働に関する違反、それから労働基準法第六十四条の三の違反、女子の時間外労働、それからなお若干の手続違反。  それから、愛知の方につきましては、同じく三十二条一項の違反の超過勤務、それから休日労働、三十五条の違反などを把握いたしました。
  67. 安恒良一

    安恒良一君 例えば、これは労働省だけでなく運輸省にもかかわることでありますが、一つの例を挙げると、運転日報は午前八時以降出勤、どんなに遅く帰ってきても午後九時半にというふうに、いわゆる改ざんをされておったとか、それからトラックのタコグラフがありますが、これは走行速度をチェックするだけで全部捨ててしまっているとか、そういうような実態等も当時新聞でいろいろ報道されておりますが、そういうようなことは労働省なり運輸省は承知をしているんですか。
  68. 平賀俊行

    政府委員(平賀俊行君) そのような事実について一部は把握しております。
  69. 松村義弘

    政府委員(松村義弘君) 当該店所について先生御指摘のような点が行われているかどうかについては確認しておりません。
  70. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、実態がおわかりになったと思います。  そこで、私が提出した資料を少し説明しながら全国的に佐川急便の特別監査をやってもらいたいということを私は要求したいのです。お手元に差し上げておりますのを大臣見ていただきますと、これは五十九年十一月二十一日佐川正明社長の通達であります。すなわち「ドライバー初任給の変更について」ということで五十九年の実績に基づいてドライバーの初任給を次のように変えるということでオール売り上げによって初任給が決められております。それから、その二枚目はいわゆる各店名全部がこれドライバーの初任給は一人当たり売り上げがこれだけあればこれだけの初任給をやるというやり方にこれがなっているわけであります。  それから、二つ目の資料は、ことしの十月二十一日のいわゆる同じ佐川社長の通達でありますが、それから一年たちまして十一月分よりこういうふうに今度は初任給を変える、これはドライバーだけでありません。  それから、売り上げに基づいて店長の給料それから現場事務員、一般事務員、女子、すべて売り上げが基礎になって賃金をどんどん決めていく。  そして、最後の問題はこちらの方でありますが、いわゆる不良店(ワースト店)というのをこれを見ていただきますと、いわゆる売り上げが下がりますと、ここに例えば在籍一年半店長であった者が途端に店長から降格をされる。信賞必罰というかどうかわかりませんが、減給、降格等々、こういうことがやられているわけですね。私はこういう会社を知りません。こういうことをやりますから、労働省が調査するといわゆる二百時間以上も働いても割り増し賃金は全然払わない、摘発に備えて出勤簿を改ざんする、タコグラフは使ったら捨ててしまう、こういうことが平気で行われているのであります。私はかねがねこの会社を注目しておりましたが、きょうまでこの資料が手に入らなかったのです。それはなぜかというと、いわゆる完全歩合制でありますから、若くて元気で働ける間使ったらあと体を壊してやめる、たまらなくてやめます。ですから、せめてそういうやめた人にこの国会に来て証言をしてもらいたい、参考人に出てもらいたいということ、もしくは資料を欲しいということをお願いしたのでありますが、身の危険を感じてできないということであります。それは安恒さんせっかくだが、身の危険を感じてできないというのであります。ですから、この資料を提出した人の名前も私は残念ながら明らかにできません。そして、もう既にそれはそこで働いておる労働者だけではないのであります。店長を含めてみんながこれではたまらぬと、こんなことをされたらたまらぬ、こういうことでこの資料が初めて私の手に渡ったわけであります。残念ながら資料を渡した人の名前は明らかにできません。その人の生命を私は保護しなきゃなりませんから、身の危険を感じるというのですから。やめておっても身の危険を感じる。一説によりますと、背後には暴力団が絡んでいるということを聞いています。これはそういうことを聞いています。  そういう状況の中でこのような運営がなされて、日通に次ぐ運送会社にのし上がってきているという点について、今回労働省は主として東京とかそれから名古屋、横浜等されていますが、全国的に私は問題がある。特に私のところにいろんな投書、訴えがあります。例えば大阪九州、あらゆるところにおいてもこの実態がこのとおりされておりまして、少なくとも二・九通達を初めトラック運送業の正常な運営のためには数々の法的な規制もあるわけであります。ところが、それが全然守られない。労働省がちょっと入ってみただけでも余りにもひどい。女子にも深夜作業をさしている。そして、通告をすると改ざんをする。帳簿を改ざん、賃金台帳その他すべてを改ざんをしてやってしまう、こういう状況になっているわけであります。  そこで、私は、まず佐川急便のこのような状態について、監督官庁である運輸省、労働省、全国的な緊急な査察をぜひやってもらいたい。そして、このようなことでたくさんの人が泣いてます。切り捨てです。使い捨て、切り捨て。そして、それで業界第二位にのし上がってくるというようなことが法治国家において私は許されてはいけないことだと思います。こういう点について運輸省、労働省のお考え、そして大臣のお考えをひとつお聞かせください。
  71. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 事務方の諸君から佐川急便の労働基準監督署により摘発をされました内容は事前に聞いておりましたが、今委員から提出をされました資料を見まして、私自身も少々唖然といたしております。こうした極めてグループとして悪質な労働基準法違反というものが労働基準監督署に摘発をされましたことは極めて遺憾な事態であると考えます。運輸省としては事業監督の見地から、委員の御指摘も踏まえて、できるだけ早く早急にグループ全社に対しての監査を実施することにしたいと思います。
  72. 平賀俊行

    政府委員(平賀俊行君) 先ほど申しましたように、関係の企業につきましては各基準局でそれぞれ監督を実施し、特に悪質と見られる事業所について強制捜査を行い、司法上の措置をとったところでございます。今後とも必要に応じて適切な措置をとっていきたいと考えております。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 労働省、言っておくけれども、今後とも必要に応じてじゃないんだよ。あなたたちがやった一部でもこの実態でしょう。私はその実態が全国的に行われているという意味できょう資料を提出したわけですよ。オール歩合制、そして一定の期間売り上げが減ればどんどんどんどん降格、処罰、こういう実態を具体的な資料であなたたちにこれを指摘をしているわけですから、ですからその意味からいうと、必要に応じてじゃなくて、大阪であろうと、九州であろうと全国的に、しかもあなたたちがやるときに通知をすると帳簿の改ざんをやっている事実もあったじゃないですか、具体的に。帳簿を改ざんをしている。そこでやむを得ず抜き打ち調査やいろんなことをされたわけでしょう。ですから、そういうようなことでは——これは率直に言って私だけが言っているわけじゃないんです。私はこのことについて労働省の最高幹部に電話したところ、そういう声は野党の皆さんだけじゃありません、与党の中からも、この際何とかしなきゃならぬという声を聞いておりますということも聞いてます。ですから、非常にこのようなあくどいやり方については私は全国的に早急にやっぱり調べるということが必要だと。  それから、運輸省側にも申し上げておきますが、タコグラフを使って捨てるとか、運転日報を適宜書く、こんなことは絶対許されないことです。そうでなくてもトラック運送便については長期間労働、過重、過積み、そして事故。そういう意味で監督官庁としては労働省と一緒になって二七通達、二・九通達、そしてトラック運送業の正常なあり方、すなわち今日のトラック運送業の百鬼夜行をつくり出している一つのこれは張本人なんです。このほかにあと一社あると聞いてます。この二つがもう非常に悪いと聞いたんです。いま一社の方は今私が資料をとるために調べています。三百何社の中で特にこれが悪質だという、それが業界の秩序を大きく乱しているわけでしょう。そういうことがわかっておるわけですから、やはり早急に、例えばタコグラフを捨てちゃうというんだから、保存しておかなきゃならぬ。運転日報を全部書きかえちゃうんですよ、改ざんして。労働省側だったら今度は賃金台帳を書きかえちゃうんですからね、そんなことが平気で行われておる。なぜ私が今までやらなかったかというのは、一般論で言っては皆さん方だめだろうと、何とか証拠つかみたいと思って、この文書を見ると簡単な社長通達のようですが、これを入手するまでに相当時間がかかった。これを入手するだけでも絶対に秘密性を保って入手させない。たまたまこれが私の手に入りましたから、これはもう国会の場で正式に取り上げて、運輸省運輸大臣、労働大臣、それから必要に応じたら警察庁も協力してもらわなきゃならぬ。それから一部大蔵省は脱税でこの前やりましたね。そういうふうに余りにもやり方があくどい、こういうことがまかり通るということでは困りますから、どうぞ必要に応じてとかいうんじゃなくて、できるだけ早急にこの佐川の各社のあり方について明らかに監督官庁の指導について違反をする、もしくは関係法規の違反であることはもう間違いないんですから、その意味においてやってもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。大臣後でいいですから、両方先にやって。
  74. 松村義弘

    政府委員(松村義弘君) 先生の御指摘を踏まえまして厳重に監査いたしたいと思います。
  75. 平賀俊行

    政府委員(平賀俊行君) 御質問の趣旨にかんがみ徹底的に監督指導強化したいと思っております。
  76. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、きょうは大臣お一人ですから、ぜひ労働大臣、関係大臣とも御連絡をくださってひとつ厳重な査察、そして是正をぜひお約束していただきたいと思いますが、大臣の御答弁をお願いします。
  77. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今この資料を拝見しながら御答弁を申し上げましたとおり、できる限り早急にグループ全社に対して監査を実施いたしたいと思いますし、関係各省庁とも連携をとり十分な調査をいたすつもりであります。
  78. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、佐川急便問題はこれで終わります。  次に売上税の問題ですが、もちろん私たちは次の通常国会では中曽根総理の公約違反、大衆課税、こういうことで大議論をしなきゃならぬと思っていますが、そのことはこちらにちょっと置きまして、今政府・自民党の中で売上税というのが問題になっておる。その中で私は特に交通産業に大変な影響を与えるだろうと思ってこのことについて質問したいんですが、この計算方法を聞きますと人件費プラスいわゆる金利、これを付加価値とすると、それに五%かける。ただし、それから例えばバスならバスの購入費とか燃料費とか、こういうものを差し引いて五%かけると、こういうふうに自民党税調の中では議論されているようです。そうしますと、例えばハイヤー・タクシー業というのは大体人件費が七割から八割ですね。それからバス事業においても大体六、七〇ですね。それから鉄軌道においてもいろいろ違いがありますが、四四、五から五〇ということでこれ一番人件費が多いんですよね。これが基礎になるわけですから、それで五%かけられたら私は大変なことになる。例えば今度国鉄が新会社に発足するやつでももうまず発足のところから大きく狂ってきますね。これはこの前金額が出ていました。これは国鉄だけでありません。私鉄であろうとトラック会社、こういうふうになるんですが、この売上税問題については運輸省として、また大臣として私は率直なことを言うと食料品にはかけないというんですが、足というのは食料品と同じようなものだと思うんでありますが、それらの経緯、お考えについて少し聞かしてください。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員がお述べになりましたように、売上税につきましては政府税調の答申を受けた形で先般自由民主党の税制調査会におきましてその基本的な枠組みが決定をされたところでありまして、現在まさにその課税の範囲、仕組みなどにつきまして政府また自由民主党の間において検討が行われている最中であります。委員が御指摘になりましたように私もどこというよりも運輸事業全体、いずれの部分でありましてもこの導入をされました場合の影響というものは極めて大きなものになると思います。現時点では非課税事業者の具体的範囲などが実は明らかでありません。まだ論議を続けておる最中でございます。それだけに仮にこれが導入された場合どんな影響が起こるかということを具体的に述べることも大変難しいことでありますけれども、私どもとしては国民生活に密接につながっております運輸事業というものの持つ性格からして、仮に運輸事業に課税をされるとなりますと大変大きな影響を及ぼすということを踏まえまして、現在運輸事業に対する売上税の適用につきましては慎重な取り扱いがなされるよう関係方面に対しての折衝、調整を行っておる最中でございます。  ただ、今回サービスというものについて課税をしなければならないという税制調査会の大変強い考え方がありますために、私どもとしても非常に折衝に難航をしておるというのが実態でありまして、委員におかれてもこうした点を御勘案の上御協力が得られるものならと願わずにおられません。
  80. 安恒良一

    安恒良一君 いま少しちょっと中身をあれしておきたいんですが、中曽根内閣の有力な閣僚ですから橋本運輸大臣も言い回しがなかなか慎重なんですが、私は少し実態を明らかにしておきたいと思う。例えば運輸事業におけるサービスだからこれが適用除外ができないということになったらどんな結果が起こるだろうか。今申し上げたように一番人件費の高いところですから納税率もいわゆる五%の影響大きいわけですね。で、何に転嫁するかというとこれは運賃に転嫁するしかないんですよ。そうしますと、例えば鉄道であろうとバスであろうと、そうでなくても今やマイカーにお客がどんどん逃げてきていると、こういう中でモータリゼーションという中でいわゆる国鉄赤字が行き詰まって今度の大改革をしたわけですよね。ところが、今回これをやられると全部これは運賃に転嫁する以外はないんです。そうすると、ますますいわゆる鉄道バスやその他これはもう運輸産業全体からマイカーマイカーへというふうに逃げていくと、これはもう我が国の二十一世紀に向けての交通運輸政策に大きな支障を来すことに私はなる、これが一つ。  それから第二番目には、同一地域同一運賃が守れるかということを問題にしておきたい。例えば売り上げ一億円以下のところは課税対象から外すと、こう言われていますね。普通の生産事業であったら法をうまく利用するなら会社を数社に分離することができます、これは一億円にするために。ところが、西日本鉄道とか東武鉄道とか、まあ私は私鉄だから私鉄の例でわかりやすい例で言いますけれども、会社を分離するわけにいかないんですよ、こんなこと。そうすると、例えば一つの例を挙げるとタクシーがあります。タクシー会社では、同じ地域の中で一億円以内の売り上げと一億円以上の売り上げが存在するんです。片っ方は課税の対象になりますね。片っ方はならない。そうすると、課税の対象になったところは運賃に転嫁せざるを得ませんから、同じ一つの市内においていわゆる違った運賃のタクシーが走るということになりかねはしないでしょうか。そうなりますと、運輸省が持っておりますところの同一地域同一運賃の原則が崩れることになりかねはしないか等々の問題点が私は私なりにあると思いますが、それらのところについて担当の局長なり大臣どういうふうにそういうところをお考えですか。いずれにしましても、私はこの問題はやはり食料と同じようにこれをつけてはならないということで我々も全力を挙げるつもりでありますけれども、そこらのところは現実に対処する方法として、また我が国の二十一世紀へ向けての交通のあり方という大きな観点からも、単純にサービス提供には課税するんだからこれも課税の範囲だということには私はならないと思いますが、政策担当局長のお考え聞かしてください。
  81. 棚橋泰

    政府委員(棚橋泰君) 基本的には大臣からお答え申し上げましたとおり、私どももこの売上高税につきましては運輸に関して非常に大きな影響があるということで非常に大きな関心を持っておるわけでございまして、その取り扱いについては慎重にお願いをしたいということで今関係方面といろいろお話し合いを申し上げております。  その影響の大きさでございますけれども、実は現在までに示されております売上高税の内容がいまひとつ明確でない部分が非常に多いわけでございます。  例えて申し上げますと、一億円以下を除外するということになっておりますが、その場合には兼業部門も含めて一億円というようなことのようでございます。そうなりますと、一体運輸業界の中でどの程度のものが一億円以下かというのはこれはまだなかなかつかみ切れません。それから、運輸業がいろいろ仕入をいたします。その仕入れをする事業者が非課税事業者でありますとそこの部分についてはかからないで入ってくるわけですが、逆に今度は運輸業が売上高税を納めます際には、非課税事業者から納入を受けました部分というのはこれは前段階で税額控除ということで控除をいたします。この範囲がどのくらいあるのか、これもなかなかつかみ切れない。そのほかいろいろございます。そんなことで正確な数字とかそういうことでなかなか御説明できないので申しわけないと思うわけでございますけれども、一般的には先生今お話しのような大変大きな影響がある。  まず、先生二点御指摘になりまして、一つマイカーとの競合でございます。他の交通機関同士の競合はお互いに五%なら五%納めますとこれはイコールになるわけでございますが、おっしゃるように自家用自動車との関係につきましてはそういう問題が起こってくる。これは必ずしも交通だけではないと思います。自家と営業、事業者との間ではかなりの差が出てくる。それと非課税事業者と課税事業者の間、これもまたアンバランスが出てまいります。それから、まだ公営企業の取り扱いがいまひとつはっきりいたしませんけれども、公営と民営との差というものも出てくるというようなこともございまして、そこらはいろいろな影響があるだろうと思いますが、一体、例えて言えばマイカー自体にもこれは前段階の課税は今度はかかるわけでございますから、例えば燃料とかその他のコストにはかかるわけでございますが、その度合いがどのくらいかとか、そういう点がこれもまだ十分つかみ切れないところもございます。しかし、おっしゃいますように、私ども、一番大きな影響があるのは先生おっしゃるようにマイカーとの競合関係ではないか、かように思っております。  それから同一地域にいろいろな事業者がございます。それが課税事業者でもあれば非課税事業者でもある。その場合も運賃の取り扱いをどうするかというのもおっしゃるような問題点の一つでございます。ただ、今申し上げましたようにその影響の度合いというのがまだ十分つかみ切れておりませんので、そこらについてどう対応するかということについては、これはその問題がもう少し明確になりました段階で運輸省としてもいろいろ検討をいたさなきゃならない、かように思っております。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 大臣並びに担当局長にお願いしておきたいんですが、なるほど中身がはっきりしないからということは私もわからぬわけではありませんが、どうしてもやはりサービス全体に課税をする、どこか一つ項目を外すと総崩れになるという論理の方が優先するわけですね。ですから、早目早目にこれは大臣並びに担当の方では手を打っていただかないと、私はこの売上税というもの自体がいわゆる運輸全体にかかり得るというふうに大変心配をしています。もちろん私たちは今回の売上税、大衆課税については根本的に反対ですから、これはこれで徹底的に、次の通常国会は恐らく税金国会だろうと思うほど大変なことになるだろうと思っていますが、その中でも今言ったように、何回も言いますように、やはり食料品と同じだと思うんですね、国民の足にかかわる費用というのは。そういう角度からこれは先手先手を打ってやっておってもらわないと、どうも相手さんの出方がはっきりしないから、しないからということで慎重なお態度をおとりになりますと、気がついたときはがんじがらめになっちゃってどうにもならないということになりかねないんじゃないか。でないと、どうしてもやはり各省は各省なりにうちのところは外してくれという動きがいろいろあるわけですから、そうなりますと、それじゃもうサービス問題はほとんど全部を網羅的にかけるんだ、こんな安易な論理が前に私は出やしないかと思いますから、私どもも頑張りたいと思いますが、大臣、そこのところの御決意のほどをきちっとお聞かせを願ってこの問題は終わり、次の問題に移りたいと思います。大臣のお考えを……。
  83. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はどういうわけか、ついておるのかついておらぬのかわかりませんが、厚生大臣のときには大平さんのもとで大型消費税の話が降ってわきまして、医療というものが課税対象になるべきではないという議論をして少々物議を醸しました。今回はまた極めて国民生活に密着した運輸行政の責任者という立場で今回の税制改正の中の論議をしなければならぬ、どういう回り合わせなんだろうと思うぐらい正直頭を抱えております。  ただ、今委員から御指摘を受けましたように、また局長からも問題点を整理して申し上げましたように、実はさまざまな角度から今の論義について私どもは問題意識を持っております。今、当委員会におられる与党の委員方々の中にも税制調査会の委員を兼務しておられる方々多数おられまして、私どもの気持ちをお酌みいただきながら御努力をいただいておりますが、なお全力を尽くしたい、こう考えております。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、ぜひ全力を尽くしていただきたいと思います。大臣の御指摘では、この中にも有力な与党の議員たくさんおいでですから、どうぞひとつよろしくお願いしておきます。  次は、航空局長と大臣にお伺いしたいんですが、いわゆる国内線において特別席というのが設けられたですね。日本航空は六十一年三月一日から、全日空は六十年十一月一日から、例えば一つの例を挙げますと、東京—福岡であると正規の料金のほかに七千円という特別料金制度が導入されたんですね。この最近の実態についてごく簡単にちょっと説明してください。
  85. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) 特別席につきましてはただいま先生からお話しございましたように、日本航空につきましては昨年の七月に申請が出まして一月に認可をいたしまして、実施が三月でございます。それから全日空につきましては、同じく申請は昨年の七月に出されまして昨年の九月に認可いたしまして、日航より早く導入されまして昨年の十一月から実施しておるところでございます。現在のところ特別席について導入を見ておりますのはこの二社だけでございます。  この特別席と申しますのは、最近利用者からサービスの多様化を求める声が高まっておりますので、その一つであるより快適なサービスの提供を求める声に応じまして特別席を導入しようとしたものでございまして、料金額につきましては一番短い区間で六千円、それから距離に応じて一番長い区間で一万円の料金を取っております。
  86. 安恒良一

    安恒良一君 設立の目的それから料金設定の経緯はわかりましたが、輸送実績ですね、いわゆる利用率がどのようになっておりますか、それからまた、これが二つの航空会社の採算についてどういう影響を与えるというふうにお思いですか、お考えを聞かしてください。
  87. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) まず輸送実績でございますけれども、最近の六カ月をとりましたところ、利用率としては日本航空が三九%、それから全日空が三八%でございます。ちなみに、利用されたトータルの旅客数は、日本航空が十五万一千人ほど、それから全日空は十八万七千人程度でございます。  次に、採算の問題でございますけれども、当初両社は予測利用率として五〇%前後を見込んでおりましたが、実績はただいま申し上げましたように四〇%弱ということで、当初の予測を下回っております。ただ、全般的にまだ昨年の大事故の影響から脱し切れておりませんで、航空輸送需要が低迷しておりまして、まだこの採算につきましてはっきりその収支の見通し等を立てるには時期尚早ではないかというふうに考えております。
  88. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、現状は正確に今のことで御把握願ったと思うんですが、私は結論から言うと、こういうのはやめた方がいいんじゃないかという考えを持っている。それはなぜかといいますと、やはりサービスの多様化、ゆったりとした座席ということでありますが、例えば東京—札幌であろうと沖縄から東京であろうと、二時間以上の航路というのはないわけなんですね。ですから、まあファーストクラスというのがよく外国航路にあるのは、これは私はそれなりの一つのあれがある、非常に長時間でありますから。ところが、国内において私は、一番長い例えば札幌—沖縄と、こういうコース一万円になってますがね、これとても時間からいって三時間超えるという航路はないわけです。そういう場合に、私はこの特別料金制度が要るんだろうかどうか。というのはどういうことかといいますと、まず利用率は四〇を割っているわけですね。十シートが、あれは四シートしか使っていない。ところが、一般の席の場合は、これはまあ常に一〇〇ということではありませんが、やはりシーズンであるとか、それからいろいろいわゆる連休のときであるとかいろんなときになりますと、席がないんですよ。だから、私たちが緊急に国会へ行こうと思ってもあいてない場合がある。そうしたら、先生、特別席ならあいてますよと、こうなるわけですね。特別席ならあいている。福岡から東京までプラスまた七千円出さないかぬですからね。おれは要らないよと、こう言うんですけれどもね、これはもう率直に言って。そういう実情がしばしばこれは見受けられるわけです。そうしますと、ところが一方、片っ方の方は四〇%そこそこしか使ってないわけですね。私は果たしてこういうものが国内で要るんだろうかどうかということですね、それから採算がこれとれているだろうかどうかということを考えると、私は飛行機会社自体も採算とれてないと思うんです。今の利用状況ではとても採算がとれてない。そういう観点から、私はこの問題については、サービスの提供ということで特別席の導入などと。これは御承知のようにTDAはやってないわけですね。同じ路線を走ってますが、これはやってないんです。だから、いや、それは金を持たぬ人はTDAに乗ればいいと、こういうことかもわかりませんけれどもね、私はやっぱりそういうやり方はよくないと思うんです。  ですから、その意味から言うと、サービスというのはこんなことに力が注がれるよりも、今一番大きい問題になっているのは、円高における日本航空運賃のあり方の問題があるわけですね。新聞もにぎわしている。すなわち、日本から片道買ってアメリカへ行って、向こうから、向こうでまた買ってきた方が安う上がるとか、それからいわゆる香港—東京—アメリカという経由で、香港から出るようにして切符を送ってもらって、そして東京から乗ると、これは本人の自由。ところが、それに対しても航空会社はたまらぬということで、そういうことを取り締まるとか取り締まらぬとかでいろんなことを言ってますね。しかし、余りにも急激な円高における航空運賃の違いというのが出てきておりまして、そのことについての是正はこれは国民の声なんですよ。外国に行く場合、例えばことしの年末もたくさんの人が外国に行かれるわけですが、そういう大きい問題の方を私はおやりになるべきであって、こういう余り国内で利用されてない、一部のまあ金持ちの人がゆったりした座席で座れるという程度のことをこのまま航空行政として続けることがいいのかどうかと私は大変な疑問をこの点について持っていますが、これらの点について、以上の申し上げたことについての考え方を担当局長、それから大臣と、含めてお聞かせください。
  89. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) ただいま先生から航空運賃についていろいろな問題提起をされたわけでございますが、私どもも、確かにおっしゃるように航空運賃につきましていろいろな問題があるということは承知しております。現在の円高によりまして、日本発と外国発との運賃に実質的な差があるということ、あるいは現在国内の航空運賃がやはり割高なんではないかというような意見もございます。  それで、まずそういう問題につきまして、私どもといたしましては、現在航空局に航空運賃問題懇談会というものを実は十一月に設立いたしまして、学識経験者の皆様の御意見を聞きながら、航空運賃の問題点についていろんな角度から勉強をしていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。  今おっしゃられた問題につきましても、基本的な問題につきましては、そういった場で御意見を聞かしていただいて今後行政の対応を考えてまいりたいと思いますが、当面の措置といたしましては、今幾つか御指摘のありました点につきましては、私どもといたしましても措置をとってきたわけでございまして、例えば円高によります方向別格差の問題につきましては、これは現在の国際航空運賃が基本的には各国の発地国の通貨建てになっておりますので、変動相場制のもとでは、為替レートの変動に連動いたしましてこの格差というものは不可避的に生ずるものでございます。したがって、ある程度それはやむを得ないと思いますが、長期にわたって相当の格差が続く場合には、航空会社経営状況をも勘案しながら調整をとっていくべきではないかということで、ことしになりまして、国際線につきましては日本発の運賃を若干下げました。それから、外国発の運賃を若干上げるというような方法によって調整をとってきたところでございます。また国内につきましては、各種の割引運賃等を導入いたしまして、実質的に利用者の負担が軽減されるような措置も、これもとってきたところでございます。  この特別席の問題につきましては、ただいま申し上げましたように、導入されましてからまだ一年ほどでございますし、もう少しその利用状況等を見まして、今後検討をさせていただきたいと、かように考えております。
  90. 安恒良一

    安恒良一君 大臣ね、電力料金その他いろいろ、ガス料金ですね、きょうの新聞を見ますと、差益還元が一月から実施されるのですが、私は航空運賃についても、国際線に今後全日空が乗り出すようですが、今まで日本では日本航空がやっぱり独占なんですね。そういうところに甘えがある。だから私は、これだけ円高差益の問題が出てきたときに、非常な格差があるわけですから、日本で購入した場合と、出発国で購入した場合と。これは私はやっぱり是正されるべきであって、今やったって言うけれども、あの程度じゃ全然問題にならぬですよ。あなたも遠慮して、若干と言われましたけれどもね。私はこの航空運賃のあり方というものは、これだけやっぱりこの円高問題で、いわゆる日本から出発するのと、アメリカ、ヨーロッパから買ってくるのと全然もう極端に料金が違うんですからね。ところが、国民の知恵で、それならばしようがないと、香港、東京、それからヨーロッパと、こういうのを買って乗ろうとすると、今度はこれを、そっちの方は取り締まるぞと。そっちの方は航空法違反かなんとかで取り締まるぞなんて、そんなばかなことはないですよね。取り締まるところを間違えておりゃせぬかと私は思うんですよ。やはり差益が、円とあれの関係が出たら、これはやむを得ないことじゃないですか。ある程度その調整をしていかないと、国民はそれは知恵を働かして、外国の知人のところへ手紙を出して、飛行機の券を買ってもらって、送ってもらって、それで乗っていくということになりますよ、それは。そうしたら、それは違反だと。そんな、あんた、ばかなことないじゃないですか、そんなばかなことは。そういうところは私はきちっとしてもらいたいと思います。  それから、きょういただいたこの資料だけではかなりアバウトなんですよ。というのは、利用率三九%といいますがね、日にち、便によると利用率ゼロも幾らでもあるんですよ。全く乗ってないのもあるんですから。特別席だけは全く乗ってない日も幾らでもある。私は九州福岡との間、月に大体三往復から四往復しますから、それで日本航空に乗ったり全日空に乗ったりいろいろしますから見たらわかります。ですから、もうやって一年もたっていますから、こんなアバウトな資料じゃなくて、日にち別、それから便別利用状況、これを一遍次の機会には出してください。次の機会というか、私の方に出してください。私から見ると非常に利用状況に問題があると思いますね。これは平均で三九とか三八であって、便によってはもう全くがらがら、だれも乗ってない、一人も乗ってないでそこだけはあいて飛んでいるということも私はしばしば見受けるわけです。ですからそういう状況からいって、まだやって一年だからしばらく様子を見てというなら、少しお互いに実態論で次の機会には論争したいと思います。私はそういう実態だと思いますから、これはこういうアバウトな資料じゃなくして中身の細かい資料をひとつ出してみてください。  それからいま一つは、採算についても具体的な資料で、年間五〇%前後の利用率があれば日本航空は三億とか、全日空は四億ぐらいの増収が見込まれるなどというアバウトの資料じゃなくして、具体的にこれを、特別シートをつくることによっていろいろ手がけた諸経費というのもあるわけですね。例えばVIPの部屋のほかにいわゆる特別室をこの利用者の皆さんのために空港はつくっているわけですから、そういうようなこと等いろんなことを考えると、わずか狭い日本の国土の中において、利用状況の非常に悪いこういう特別席というものを設けて、一部のお金持ちの方だけの気分を満足をさせていくという制度のあり方というのは、実行された今日ですけれども、一遍もう検討していい時期に私は来ていると思います。しばらく様子を見てなどということじゃなくして検討してみていい時期に来ていると思いますが、なかなか大臣、やっぱり運輸省の人はよう言わないんです。なぜかというと、航空局なんかやりますと、また天下りして全日空に行ったり、それから日本航空に行っている先輩もようけおりますし、また現役の人も将来はそんなことのお考えもありましょうから、これは大臣、あなたはそういうことはないわけですから、やはりここらをひとつ大臣のお考えをきちっと聞かせてください。何も今の局長が行くという意味じゃないですよ。過去においてそういうのがたくさんあるわけですから、天下りでみんな全日空へ行ったり日本航空へ行ったりしていますから、なかなか先輩が行っているから言いにくいところもあると思いますが、私はやっぱり今言ったように利用率ゼロの日が何日もあるような、便によってはそこだけを空席にして飛ばすことはないですよ。と思いますが、大臣どうですか、そこのところを考えて。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、委員航空局長質疑を伺っておりながら、基本的には国際線においても、日本航空は現在でも外国企業と競争しておるわけでありますけれども、やはり同じ日本航空業者との間の競争関係ができるようなことを積極的に考えていくべきだな、それが基本的な解決策につながる、私は今そのような印象を持ちながら御論議を拝聴いたしておりました。ただ、これは相手国の関係もあるわけでありますから、その間の時間差を考えれば、なお調整についての努力をする必要があると私も思います。  ただ、国内線のスーパーシートのお話は、私は実はサービスとして企業がおやりになるならやられたらいいと思うんです。ただそれが、そのスーパーシートを非常にたくさんとることによって、普通に利用されようとする方々がいや応なしにそのスーパーシートを買わなきゃいかぬような状態にするような、そんなことがあってはこれはいけません。ですから、現在でもたしか大型機と中型機だけですね、認めているのは。余り小さな飛行機は認めていませんね。そうすると、十分な搭載能力を持つような機種に限って認めるという現在のやり方でそれぞれの路線間で競争しながら、企業としてそれを設けたいというのであれば私は設けさせたら本当はいいと思うんです。結果的にそれを利用しない、皆がほかの飛行機を利用する、あるいはその席についてスーパーシートは利用しないという結論が出れば、私は企業は本当にもうからぬと思えばやめるだろうという気がいたします。  ただ、今これも御論議を伺っていて、私は余り実は飛行機を利用する回数の多い方ではありませんので、その実態必ずしも詳しくありません。今御要求のありましたような資料を航空局がつくります段階で、またそうしたものを見ながら自分なりに判断してみたい、率直に今そんな感じを持っております。
  92. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひアバウトじゃなくて具体的な資料で、大臣、私も資料を入手してほしいと思うからお願いしておきますけれども、どれだけ、平均の利用率じゃなくて、便ごとにおける利用がどうなっているのかということ、これですね。それから、その場合における普通の席がどのような状態にあったのか、この両方をやっぱりにらまないとこれはいけないわけですね。私たちもたまたま、いやスーパーシートならあいていますが、あとは全部ふさがっていますよということも何回か遭遇したことがあるわけですからそういうことを言っているわけです。  それから、もうかればと言うけれども、これは私の見通しではもうかってないと思うんです。もうかってないのをやる必要ないじゃないかということだろうと思いますが、私はそれもこういうアバウトな予測利用率、そして年間の収入、増益見込みなどということじゃなくて、もう過去一年間これは全日空の場合には具体的にやってきているわけでありますから、それらを含めて詳細な資料をひとつ提出をしてもらいたい。その上で再び論争しますし、それと同時に、一遍こういうものを認可してしまいますと、改めるのをなかなか嫌がるのが官僚の皆さん方でありますが、それはやはり所管大臣が公正な立場でそういう場合には御判断をいただくしかないと私は思いますから、そのことを申し上げ、資料要求をお願いをして私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  93. 中野明

    委員長中野明君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時十一分開会
  94. 中野明

    委員長中野明君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 野沢太三

    野沢太三君 国鉄改革にかかわる八法案が成立いたしましてから半月余り経過をいたしたわけでございます。過日の国鉄改革にかかわる特別委員会におきまする政府側の御努力あるいは御配慮につきまして、この機会をかりまして改めて御礼を申し上げたいと思います。  さて、民営化される六十二年の四月一日まで残すところあと百五日ということになってきたわけでございます。一日たりともゆるがせにできないほどのこれから難しい仕事の処理が続くだろうと思います。既に、これまでの期間に設立準備委員の発令が行われまして、ここにおきまして採用条件の決定、あるいは労働条件基本にかかわる御審議をいただいたと、先ほどの御答弁の中でも明らかになってきたわけでございます。これから予定されまする諸々の問題点を克服していただきまして、どうか来年の四月には幸せな新会社の誕生を迎えられますよう、なお一層の御努力をお願いするものでございます。  さてそこで、今回の改革の最大の問題点であり、また今後とも尾を引く問題といたしまして幾つか挙げられる中に雇用の問題がございます。そのほかにも、債務の処理あるいは用地の適切な売却の問題、さらには年金問題にかかわる見通しをつける等、もろもろの問題が残っておるわけでございますけれども、特に雇用の問題につきましては生身の人間がついて回る、家屋敷、家族まで伴った異動も予想されるという状況にございまして、余剰人員と言われる皆様方の雇用確保、見通しをつけることは最大の急務であろうかと思います。そして今、二十七万に及びます国鉄職員は、これからの身の振り方、どこへどのように行くのか一番今心を痛めておるのではないかと思う次第でございます。そのために、一日も早く見通しを立て、安心して民営化に備えられることができまするよう、これからも関係の皆々様に一層のひとつ御配慮をお願いしたいものでございます。  そこで、これまでの準備の中では、職員の希望をまず伺うということになっておるわけでございます。希望のとり方がいろいろあろうかと思いますが、会社別あるいは地域別、あるいは職種別、そしてまたこれを決定する時期というものがいつごろになるか、これがこれからの仕事を円滑に進める上でひとつ大事なポイントになろうかと思いますが、これについて国鉄の方にお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  96. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) これからのスケジュールでございますが、今先生おっしゃいましたように、既に設立委員からは採用基準が提示をされ、引き続き労働条件がお示しいただけるということに相なるわけでございますが、それが整い次第、改革法の二十三条の規定によりまして、これをまず全職員に周知徹底を図ると同時に、全職員を対象といたしました意思確認の調査実施をいたします。この調書を一月上旬には取りまとめをいたしまして、直ちに本社なり地方機関を総動員いたしまして、採用基準に沿いました職員の名簿作成を行い、二月に開催されるでありましょう設立委員会にこれを提出いたしまして最終的に御決定をいただく、こういう段取りに相なっておるわけでございます。  その場合に、職員の意思の確認の方法といたしましては、書面によりまして、職員が恐らく複数の事業体等に希望があろうかと思いますので、順位をつけてもらいまして、申し出がありますならばすべての希望の対象の会社等を記入していただくように考えておるところでございます。
  97. 野沢太三

    野沢太三君 どうかひとつできるだけ希望に沿いまして、皆さんがおさまるところへおさまり、不安のない形で民営化を迎えられるようにということを切望するものでございます。  一方、昨年から御準備をいただき、ことしに入って希望退職を募集しておられますが、その後も希望の数がたんだんふえているというふうに伺っておりますが、現時点におきまして割り増し退職金をいただく予定の退職者の申し出人数はどのぐらいになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  98. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 十二月一日の段階で、退職希望職員の認定申請書を提出をしております人数が二万二千七百七十八人ということに相なっております。
  99. 野沢太三

    野沢太三君 予定では、たしか二万人程度というふうに伺っておったわけでございますが、それを上回る数が出てきたということは、今後のこの問題に対しては明るい見通しかと思いますが、一方予算措置を伴うことでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  100. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 予算の数字は、二万人という数の職員が年齢別に均等に希望が出るであろうと、こういう計算で算定をされました約千九百何十億という数字になっておるわけでございます。これからの希望退職者の申し出がどのくらいになるか、ちょっと見当つきませんが、何とかやりくりをいたしまして、できるだけ希望に沿った形で退職手当の処理をしたいというふうに思っておるところでございます。
  101. 野沢太三

    野沢太三君 今回の改革に当たりまして、去るも地獄残るも地獄というような言葉が言われてきたわけでございますが、私は、これではいけない。昭和二十四年のときの大きな人員整理がございましたけれども、あのときの教訓を考えましても、今政府でやっていただいております雇用対策本部の、一人たりとも路頭に迷わせないという方針は極めて大切なことと思われます。  そこで今、国、特殊法人あるいは地方公共団体等を含めた公的部門における採用数予定を三万、あるいは一般産業界で一万、国鉄関連の企業で二万一千というような枠組みを設定していただきまして、この関係の今採用申し出を受けておられ、また努力を重ねてこられておりますが、現時点でどの程度の申し出の数が整っておりますか、雇用対策本部の方にお伺いしたいと思います。
  102. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 最近までの申し出の状況を分野別に申し上げます。  国につきましては一万三千人の目標につきまして、各省庁別の採用目標数を先般特別委員会において総務庁からお出ししているところでございますが、この目標数をもとにいたしまして各省庁から一括選抜等ということで申し出のありました数が約九千七百人ということになっております。それから、特殊法人等につきましては約五千人でございますが、その中には清算事業団の約二千五百人を含んでおります。地方公共団体につきましては約一万四百人ということになっております。一般産業界につきましては約二万三千六百人で、その中で受け入れ条件が具体的に詰まっているものが約一万五千三百でございます。国鉄関連企業は約二万一千人でございまして、合計いたしますと、重複分を除きまして約六万九千人という申し出となっております。
  103. 野沢太三

    野沢太三君 大変総枠の方は御努力をいただいておりまして、ありがたいわけでございますけれども、これを地域別に割り振ってみた場合にいかような数になりましょうか。北海道、四国、九州、あるいは本州というような形でおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  104. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 今お示しの地域別に申し上げますと、北海道が約三千七百五十人でございます。本州が約五万三千三百五十人でございます。四国が約一千三百人でございます。九州が約六千百五十人でございます。地域が未定のもの、これは清算事業団分の二千五百人を含めまして約四千四百五十人ということになっております。
  105. 野沢太三

    野沢太三君 お話を伺いますると、深刻なのはやはり北海道である、あるいは九州であろうかと思います。こういった地域的な偏りを調整するということがこれからのこの問題の解決一つのかぎになろうかと思いますが、既に国鉄の方で実施されました広域異動によりますると、第一次で二千五百、第二次では千二百、合わせまして三千七百という数を既に新しい勤務箇所へシフトしていらっしゃる。これは大変ありがたいわけでございますけれども、まだまだ大変な数が残っているわけでございます。  そこで、やはり新会社のこれから要員を募集するに当たりましては、ぜひひとつ採用の方針として全国的にかつまたこの余剰人員の多いところからも採用の枠をおとりいただきたいということが一つのお願いでございます。  また、異動に伴いまして今障害になっております問題を拝見いたしますると、家屋敷、田畑を処分して出てくる、こちらに来てもなかなか住宅が見つからない。一つにはこの住宅問題が隘路になっているやに伺っております。そしてまた、高校入学等のいわゆる学校の問題、これがございましてなかなかいい話だと思っても異動に応じられないという悩みを持った方が多い。こういうことも仄聞するわけでございまして、どうかひとつこの辺につきましては柔軟に対応をしていただきまして、仮に単身赴任でありましても、他の地域、他の会社に就職ができる、採用がしてもらえるんだということになりますれば、また一段と地域的な異動についても道が開けるのではないかと思うわけでございます。この点については今後の課題といたしまして御検討をいただければ幸いでございます。  それから、公的部門の皆様三万人に及びます方方の採用の問題でございますけれども、職員の心理といたしましては、二月と、先ほどのお話がございました段階で新会社への配属が決まってしまいますると、なかなか異動に応じられないという心理があるのではないかと思うわけでございまして、できるだけ早目に前倒しをし、一括の採用をしていただきまして、あるいは内定をしていただきまして、そしてそのまま清算事業団等で待機をする、こういうことであれば大変気持ちも落ちつきますし、また新たに予想されます職場に対しまして訓練を受ける、あるいは心構えを固める、場合によっては出かけてまいりましてそこで働きながらなじんでいくということも可能になるだろうと思います。その意味で、どうかひとつ一括採用を早目にしていただく、あるいは内定を早くしていただくということが肝心かと思いますので、その点につきましてひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
  106. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま御指摘のとおりでございまして、御趣旨に合います採用の申し出といたしましては、六十一年度分と六十二年度の当初の採用分、それから公的部門を中心にして行っておりますそれ以後の採用でございましても、できるだけ早く本年二月のその新会社に移行する人が決まります前に採用を内定するということを推進しているところでございまして、九月の十二日の閣議決定でもそのことをうたいまして、関係省庁初め、あるいは地方公共団体においても現在その採用手続あるいは一括選抜の手続を進めていただいているところでございます。  それに当たります数字といたしまして、国につきましては、先ほど申し上げましたように九千七百人でございます。それから特殊法人等につきましては、清算事業団を含めまして五千人、全部がやはり今の御趣旨に合う採用分でございます。それから地方公共団体につきましては一万四百人の申し出をいただいておりますが、その中での七千五百人分が今の趣旨に合う数字でございます。そういうことで公的部門につきまして二万二千二百人の申し出の分がそういうことで、六十一年度中と申しますか、分割・民営化実施前に採用決定し、あるいは内定するという申し出となっております。  さらに一般産業界、国鉄関連企業につきましても、六十一年度と六十二年度当初の採用申し出数といたしましては、一般産業界が約九千二百人、それから国鉄関連企業が約九千人となっておりますので、先ほど申し上げました公的部門の数と合わせますと、全体で四万二百人という数字となっております。  御趣旨のとおりのことで、現在関係者一同努力しているところでございまして、いわば再就職先が決まらないままで清算事業団に移る方をできるだけ少なくするようにということで関係者一同努力をしているところでございます。
  107. 野沢太三

    野沢太三君 現在、円高等によります構造的不況と言われる中で、石炭あるいは造船、その他鉄鋼もろもろの分野で失業者が出る可能性を持っているときに、このような手厚い対策をしていただいているという点につきましてはまことにありがたいことでございますが、どうかひとつこのチャンスを十二分に生かしていただきまして、移行が順調に行われますことを切に願うものでございます。  それで、これから生まれてまいります新しい鉄道の将来の問題、未来の展望の問題についてこれから少し御質問をしてまいりたいと思うわけでございますが、これからの鉄道のあり方といたしましては、自動車あるいは飛行機あるいは船、そういった一般の競争機関との激しい市場分野の争いに耐えながら、国民の皆様から利用されるということが何よりも大事である、愛される乗り物としてこれからも使っていただくということが一番大切であろうかと思います。  ただ、鉄道はレールに制約をされておる、線という宿命がございます。自動車のように自由に動き回れる、あるいは飛行機のようにいわゆる経路を必要としない、通路費用を必要としないというものと違いまして、駅とレールに制約をされながら営業をせねばならないという宿命があるわけでございますが、しかしその中で明治以来百年にわたりまして大変な働きをこれまでにしてきたわけでございます。鉄道の、これからしかし残すべき特性というものは何であるかということをつらつら考えてみますると、何よりもまず安全である乗り物であって、また確実な乗り物である、しかも速くて便利であるということが大事ではないか、しかも競争の面ではコストも含めて太刀打ちができなければ生き残れない、そういった問題が指摘されようかと思います。  このたび、十一月一日をもちまして実施していただきましたダイヤにつきましては、民営会社にこのまま引き継がれまして、営業の基本として活用していくんだというふうに伺ってきたわけでございます。十二月半ばということで、まだ一月半ほどの成果でございますが、これをもって即断することは早過ぎるかと思いますが、一つの参考資料としてあるいはめどとしてどの程度の成績が出ているか、お示しいただければ幸いでございます。旅客貨物、そして旅客につきましては都市間、大都市圏あるいは中核都市といった分類の仕方があろうかと思いますが、貨物につきましてはコンテナ関係、あるいは目玉としてつくりましたスーパーライナー、ピギーバックといったもののこれまでの即報値で結構でございます。簡潔にお示しいただければ幸いでございます。
  108. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 旅客輸送でございますが、先生今おっしゃいましたように、地域密着型の輸送サービスということを都市圏輸送で、あるいは地方主要都市圏におきましてはダイヤをつくったわけでございますが、そうした部門におきましてはおおむね順調に推移をいたしておるところでございまして、例えばこれは一カ月間のデータでございますが、首都圏あるいは主要地方都市圏におきまして対前年比一〇三%というような状況でございます。  それからもう一つ新幹線などの都市間輸送でありますが、これにつきましては一カ月平均で見ますと新幹線で九九%というようなことで、若干下向きという感じはいたしますが、これを上、中、下旬で数字を見てみますと、次第に上向きになってまいっております。下旬では一〇五%の伸びを示している等、今後の様子を見なければわかりませんが、比較的順当な伸びを示しているものと推定されるところでございます。  それから、貨物につきましては、これも一カ月間の輸送量の総体を見ますると、大体約五百二十万トンでありますが、ほぼ計画どおりであり、中でもコンテナ輸送、これはスーパーライナー等も設定いたしました関係上、これが非常に好調でございまして、百十七万トンの輸送、対前年一〇二%という状況でございます。車扱いはやはり対前年かなり落ち込んではおりますが、計画に対してはやや上回った数字になっております。  なお、スーパーライナーの実情、中身でございますが、東京—大阪間、東京—岡山間等三区間で使用いたしましたが、いずれも好調でございまして、平均積載効率が八七%、大変な状況でございます。あるいは新商品でございます。ピギーバックにつきまして、これもいずれも満車の状態でありまして総計約六千トンを輸送をいたしておる、以上のような状況であります。
  109. 野沢太三

    野沢太三君 今回のダイヤ改正は、ある意味で今後の鉄道の命運をかけたものということで大変楽しみであるわけでございますが、地域的にはいろいろとまだ問題も含まれていようかと思います。  私はかつて長野の鉄道管理局に勤めていた時代がございますが、当時、信越本線と長野電鉄の湯田中線、こういったものが身近にございまして、その両者の経営状態を比較してみますると、私どもの方は営業係数で言って一五〇%、五割の赤字が出るという状況でございましたが、長野電鉄の方は収支とんとんで何とか経営をしておる。一体この違いはどこから来るか。人口等の配置を見ればむしろ国鉄サイドの方が有利であるにもかかわりませず、経費が非常に多いということと、お客様のどうも引きつけが足りないのではないか、こういう反省をしたわけでございます。  詳しく分析してみると、どうもその秘訣がダイヤ並びに駅の配置にあるのではないかということに気がついた次第でございますが、沿線の人口の八%が国鉄を利用している。一方、長野電鉄の方は一五%の皆さんが鉄道利用者である。約倍ほどの利用者数の違いがあるということからいたしまして、そこの問題点を掘り下げましたところ、ダイヤにおきましては私どもの方が一時間に約一本、そのかわり長大編成の電車を持ってくる。一方、長野電鉄の方は二両あるいは三両程度ではございますが、一時間三本ないし四本の、しかも等時隔ダイヤを設定いたしまして、ここで昼間のお客様も引きつけておるという事実がわかったわけでございます。  また、駅の間隔はこちらが四キロに一つほどの平均でありますが、私鉄が二キロに一つ、歩いて片道十分程度のところに必ず駅があるという状況ができ上がっておるわけでございます。  そういった事態を考えまして、これからもひとつ生きていくには地域の皆さんに御愛用をということで、五十九年三月のダイヤ改正であったかと思いますが、長野—上田間におきまして三十二本を五十三本、二十一本の増発を試み、また途中に新駅も設定をいたしましたところ、データイムで四〇%のお客様がふえた、あるいは終日で見ても二〇%のお客様に御利用増をいただいたという経験がございます。  今回の十一月ダイヤでも中央線にエコー電車と呼ばれます電車を走らせていただき、また大糸線にもこれを適用拡大をしていただいたわけでございます。伺いますると、相当な成績が上がっているやに伺っておりますが、どうかひとつこのような施策、まだまだやればいろんな手だてが残っているのではないかと思うわけでございますが、次回のダイヤ改正等にはぜひともその点を御配慮いただきまして、地域密着という今回の改革の趣旨を生かしていただきたいと考えるわけでございます。  これから民営化をされるというに当たりましては、私はこの経験に照らしましても、やはりまず何よりもダイヤのフリークエントサービス、そしてまた同時に自動車に負けないスピードアップというものが大切ではないかと、かように考えるわけでございます。  明治以来の線路を走っているとはいうものの、いろいろな技術的な改善改良が加えられておりまして、在来線におきましてもスピードの限界というものは相当上げられるということもめどがついておるわけでございますので、どうかひとつこのフリークエンシー並びにスピードアップという点につきましてこれからも安全を十分担保の上御努力をいただければ幸いと思います。  それともう一つ、先ほど申し上げました新駅の適時適切な配置ということもこれからお客様に御利用していただく大きなポイントであろうかと思います。いわゆる長大編成の列車で輸送力本位でいっておりましたときには、余り駅がありますると経費もふえるということもございまして抑えてきたことも過去にはございましたが、どうかひとつこれから都市圏輸送という面からは、駅の配置というものが非常に物を言うのではないかと思うわけでございます。既にそのような御趣旨で今回のダイヤ改正に合わせました新駅の設置を相当なさっておると伺っておりますが、その数あるいは御利用者の数につきましておわかりでありましたらひとつお願いいたしたいと思います。
  110. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今回の十一月のダイヤ改正におきまして新設をいたしました駅が全国で三十五駅ございます。これも十一月一カ月間の大体の実績でございますが、この三十五駅を御利用いただきましたお客様の数がおよそ一万八百名ぐらい御利用いただいておるというふうなデータがございます。したがいまして、それなりの新しいお客様を誘発し得たというふうに考えておりますので、これからもいろいろ御利用動向等十分注視をいたしまして前向きに取り組んでまいりたい、こんなふうに思っております。
  111. 野沢太三

    野沢太三君 それからもう一つは車の問題でありますが、国鉄の車は大変丈夫にできておるのは結構なんですが、どうも耐用年数等もございまして二十年あるいは三十年というふうな長期にわたって使用ということで、世の中の常識から見たら大分陳腐化をしているのではないかというような気がするわけでございます。  このたびの民営化の中で、北海道、四国、九州等につきましては、この辺の車両の更新についても御配慮をいただいたわけでございますけれども、さらにひとつ、現在ございます車の改造改良等によりましてもいろんな手だてが打てるのではないかというふうに拝察するわけでございます。北海道のスキー場との連携によりますアルファ・コンチネンタルというような形のリゾート列車が大変好評を博しておる、あるいは私の郷里、信州でございますが、これにアルプスを展望しながら走る車を今作製中というニュースも伺っておるわけでございますし、またローカル線対策といたしまして一両でも運転ができるような車をつくって頑張ろうと、こんな工夫もあるということでございますので、どうかひとつこの辺についての工夫と一層のひとつ御努力を期待をいたしましてこの問題についての御質問を終わらせていただきます。  先ほども申しましたように国鉄の特性の一つとして安全問題があるわけでございますが、国鉄の安全につきましては、大変なこれは過去におきます苦い経験があるわけでございます。洞爺丸、紫雲丸という船舶関係の事故あるいは三河島、鶴見というような鉄道の本質的な技術的問題も含んで発生をし、かつまた人間とのかかわりにおいて出てまいりましたミスと、こういった点からいたしましても、今日、今安全な乗り物としての定評をいただいておりますが、過去にさかのぼって考えまするときにはなかなかもってこれは今後とも努力を続けない限り保証はないということであろうかと思います。  しかし、ここ十年程度の状況を伺いますると、要員の合理化その他もろもろの近代化をする中で大変な成績を上げていただき、十年以上にわたって責任による死者がない、新幹線につきましては開業以来二十一年を経過して死亡事故ゼロというような輝かしい記録を残しておるわけでございます。  今道路交通が年間九千人というような死亡者を三年にわたって出しているという事態も考えますると、もっともっと鉄道を皆さんが利用していただく、あるいは利用しやすいようにこれからもみんなで工夫をするということによりまして、大事な国民の皆様の生命が守れるということがこっちからもまた言えるであろうかと思うわけでございます。  国鉄の安全というものが、このような形で大変な実績を上げてきた陰には、どのような仕組みでどのようなルールでやってきたか、これが一つ問題として残るわけでございます。民営化され、かつ分割されるという中でこの安全を犠牲にしていいということにはならぬわけでありまして、むしろもっともっとこれについては力を入れて、一層の成果を上げていかなければならない、かように考えるわけでございます。  私鉄と比べてどうかという点につきましても、今回の改革の中でいろいろな御議論がございましたが、国鉄のいわゆる事故件数と私鉄全体の事故件数はほぼ同じ程度に今おさまっておるということでありますが、これが今後ともやはり私鉄国鉄含め新しい会社が事故件数で減っていくんだというふうにならなければならぬわけでございます。  私も在職中いろいろと議論をした中で、小さな事故に反省し、大きな事故を防ぐ、一つ一つの事故を分析反省しながら適時適切な対応をとるということが不可欠であったと感ずるわけでございます。今回会社が幾つにも分かれるという中で、このような事故防止に関する体制、仕組みというものをどう残していくかということが一つ課題であろうかと思います。  既に海難事故については海難審判庁あるいは空の事故については航空事故調査委員会というような形で法的な裏づけを持った機関があり、そこで原因、対策の分析等も行われておるわけでございますが、鉄道に関しましてはそういった法律で縛るというようなことでなく、むしろ実質的に事故の情報あるいは経験の交流、ノーハウの交換、さらには連絡の組織と、こういった意味の体制が不可欠のように考えるわけでございます。これまでも幾つか技術開発を伴う安全対策というものが実施されてきた中で、国鉄の成果が他の民鉄にも適用されて全体を引き上げてきたという経緯を考えまして、この点につきましてのこれからの取り組み、お考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  112. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 基本的な点を申し上げて、あと担当常務からお答えさせます。  安全問題は、私ども輸送をお預かりいたします最も重要な事項であるということでかねてから安全第一ということで努力をしてまいったところでございます。  施策の面では物心両面にわたりまして安全対策を講じてきたわけでありますが、まず第一にいろいろな設備の関係、これは投資の金額は非常に最近全体は抑えられておりますが、その中で安全関係の投資は最重点で、これを最優先させるという基本的な方向で投資をいたしております。なおまた技術開発という点もかなり目覚ましい発展を遂げておるわけであります。こうした両々相まちまして物的な面での発展を図るということが第一。  それから何といいましても安全問題は個々職員の一人一人の日常の注意深さというものが非常に肝要でございますので、そうした面で毎日そうした安全の気持ちを引き締めるということ、あるいはまた、教育訓練というようなことで職員の気持ちなり動作に対しまして的確な指導をする、こういうふうなことで対応をいたしておるところでございます。  まあ数字的に見ましても、過去十年間統計をとりますと次第に運転事故は減っておりまして、十年間に約半分、二分の一に減少している状況でございまして、こうしたことを将来の新しい会社にも十分に引き継ぎまして、今まで以上に安全対策を実行したいというふうに思っております。
  113. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 若干補足をさしていただきますが、国鉄の今安全体制についての御質問がございましたんでございますが、国鉄も安全問題というのは地味でございますが大変重要な課題でございまして、過去にはやはり三河島事故、鶴見事故等、大変苦い経験もいたしておりますので、そういった意味で、全社を挙げて安全体制に取り組もうということで、私どもは技術陣の総帥であります技師長を委員長にいたしまして、毎月一回、運転事故防止対策委員会というのを開いておりまして、事故の毎月ごとの検討でありますとか、基本的な安全対策審議をこういう場でやっております。今後、企業に分かれましても、こういった仕組み、内容引き継ぎまして、また、各社間の連絡も情報交換も密にいたしまして、安全体制を万全にしていきたいと考えております。
  114. 野沢太三

    野沢太三君 ぜひともひとつ、民営化をされ、かつまた会社が分かれても安全上の成績はますます上がったと、かような状況をつくり出していただくことを希望するものでございます。  さて、やはりその意味で、新しい鉄道をつくっていきまするための技術開発の問題というものは大変これからもむしろ大事である。これまで百年の歴史を考えてみましても、時々刻々変化いたします技術の進歩を適時適切に鉄道というシステムの中に取り入れ、今日の国鉄ができ上がってきた。そしてまた、将来についてもこれは同じことをやはりやっていかない限り発展はない、競争に立ちおくれると、かような見通しがあるわけでございますが、このたび鉄道総合技術研究所という形で研究所を残していただける。そして、これをますます力を入れて発展させるということが予想されるわけでございますけれども、技術というものは抽象的に存在するものではございません。人、物、金、そして仕事と、こういったものと絡み合いながら人材の育成ということをあわせ行うことによって技術が伸びていく、こういう性格があろうかと思います。  このたびの改革の中で中央鉄道学園というような形は残らない、当然これはなくなるわけではございますけれども、これまで同様、この技術の進歩を各民営会社の中にそれぞれ導入をしていく。その意味で、この研究所の役割というものは大変大きいと思います。どうかひとつ、監理委員会意見にもございますように、民営各社とこの研究所との人事の交流あるいは出向、派遣といったようなことも弾力的にお考えいただいて、この研究所の制度を十二分に御活用いただくことを希望するものでございます。  最後に、これから始まります新規プロジェクトについて御質問を申し上げることにいたします。  私は今、常磐線の沿線、北千住というところに住んでおります。毎日大変な混雑でございまして、とにもかくにもこのままでは身の危険を感ずるというような状況もあるわけでございます。既に改良の方針としましては十両を十五両に直すというようなことも行われておるわけでございますが、伺いますると、その施策もどうも当座のしのぎであって、将来的には常磐新線と言われておりますプロジェクトを興しまして、実質複々線の増強をしなければならない、こういう切実な問題がございます。国鉄があれば、これは国鉄にやってもらうということはこれまでもコンセンサスがあったかと思いますが、これからの民営会社には約四千三百億にも上るこの新線をつくるということは無理ではないか、かように考えますし、また、資金といたしましても、借金でやってはまたまた赤字になる。したがいまして、利息のつかないお金を工夫してくるという新しい建設のシステムもつくらなければならぬかと思います。このような新線を今後つくっていきます工事主体あるいは運営主体のあり方について、今後ともひとつ運輸省の格段の御配慮をいただきたいところでございます。  それから、さらには、年末、予算どきを迎えまして今連日新聞をにぎわしておりますが、整備新幹線建設の促進ということがございます。  整備新幹線につきましては、既にこれまで大変な御議論をいただいてまいりましたが、国鉄改革一つある、さらには財政再建という壁があるということも控えて、これまでじいっと我慢をしてきたわけでございます。しかし、これまでの改革議論の中でも、五百キロ、六百キロというような中距離分野では、新幹線は未来の鉄道として立派に生き残る。むしろ、これなくしては新しい鉄道は成り立たないのではないかということもはっきりしてきておるわけでございます。安全性あるいは信頼性あるいは今後さらに高速運転も可能であるというような高速性、こういった面から大変今東北、北陸、九州等の皆々様はこれを切望しておる。一日も早く、三度の御飯を二度にしても欲しいというのが地方の皆さんの本当の声ではないかと思うわけでございます。  これに対しまして自由民主党では、公共事業方式によってこれを建設すれば全線ともに採算に乗る、こういうことも既に検討してございます。さらには、在来線を並行して考慮いたしましても、新幹線なしの場合よりも経営の改善効果がはるかに上がるんだということもございまして、今後の鉄道を考えた場合に、これは不可欠と思うわけでございます。  ただいま策定しております政府の四全総の交流ネットワークという考え方からいたしましても、全国を一日行動圏におさめるためには、どうしてもこれはなければならない乗り物と思考されるわけでございます。  しかし、これはただできるわけではない。大きな投資と、それからこれを実行する新しい鉄道の技術集団というものがなければ工事ができないというまた側面もあるわけでございます。この点につきまして、これまでも営々として新幹線をつくり、お守りをし、今日まで技術を高めてきたグループを散逸させるということはまことに忍びないわけでありますし、また、国家的損失ではないかと思うわけでございますが、この点につきまして運輸大臣の格別の御配慮をお願いしたいわけでございます。  御意見を伺いまして私の質問を終わります。よろしくお願いします。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変広範な範囲についての御意見を承ってまいりました。今一つの例示として、例えば常磐新線をお取り上げになりましたが、確かにこの常磐新線というものを考えてまいります場合にも、これから先、整備の主体、工事主体あるいは運営主体等現段階では未定でありますし、また、これは建設運営段階におきまして地方公共団体その他の関係者の全面的な支援が不可欠であることなどから、関係者による検討の場を設けておるようなこともございます。  また、整備新幹線の問題と、それに連動して新技術者集団というような問題についても御意見を交えながらの御質問でありますが、整備新幹線の問題は、本院におきましてもたびたび御答弁を申し上げてまいりましたように、整備新幹線財源問題等検討委員会というものでの検討にゆだねられておりまして、現在もその論議が進行中であり、本日も実は当委員会の前に八時からこの会議を行っておったところでございます。  そこで、この場を拝借をいたしまして運輸省としてその場にどのような考え方で臨んでいるかについてまずお聞きをいただきながら御答弁にかえさせていただきたいと思います。  私ども何と申しましても今回本院にも大変な御協力をいただきまして、国鉄事業の再建を図るためにその分割・民営化を中心とする抜本的な国鉄改革というものが十一月二十八日に成立をし、この改革関連法に基づいて明年四月を期して今まさにスタートを切ろうとしているということを考えないわけにはまいりません。しかし、その新しくスタートする旅客会社にとりましても、実は他の交通機関との競争に打ちかち、会社経営の基盤強化を図ってまいりますためには、とりわけ都市間鉄道におきましてその高速化を図っていくことが将来的に必要で不可欠であるという考え方を持っております。  同時に、新しい会社に対しましては、要員の適正化とか長期債務の軽減、免除、また基金の設定などによりましてその経営の健全性を確保しようとしているわけであります。鉄道の高速化を図る一環としての新幹線整備が、かえって旅客会社経営に悪影響を及ぼすことにでもなれば、今回多額の国民負担を求めてまで国鉄改革を行う趣旨が没却されてしまうことにもなりかねません。また整備新幹線の着工には従来並行在来線の廃止という大変難しい問題を背負わされてきたわけでありますが、私は並行在来線についてこれを全線にわたり単純に廃止するということは現実には考えられないと思っております。しかもこれはそれぞれの新会社資産でもあります。また、貨物鉄道会社にとりましてはそこを借りてレールを使うことによって収益を上げていくべきものでもございます。  そして私は新幹線建設後も、これら並行在来線というものが地域交通あるいは貨物輸送などになお重要な役割を果たすことから考えれば、並行在来線について一定ラインでの存続を前提とした上で新幹線と並行在来線を一体として新会社経営に与える影響をとらえ、かつ施策を講じていく必要があると考えております。  並行在来線は新会社の承継するものであるわけでありますから、当然新会社意見を聞く必要があるでありましょう。またこの検討委員会の幹事会で行ってまいりました需給予測、建設費試算、またそれらを踏まえた収支試算というものの中で、建設費の全額補助などの助成を行えば、新幹線整備が並行在来線を含め、会社経営を悪化させないばかりか経営改善に寄与する見通しもあるということは委員の御指摘のとおりであります。ただ、その場合には今度は実はその建設費を、その財源をどう確保するかという問題が絡んでくる。これは避けられません。  ですから私どもの立場としては、まずやはり新しくスタートする旅客会社経営に悪影響を及ぼすことは絶対に避けること、同時にこのため新幹線と並行在来線を一体としてその経営に与える影響をとらえ、かつ建設費に対する全額補助等の施策を講ずることの二点を担保した上で適切な結論を導いてほしいという姿勢で検討委員会にも臨んでおります。こうした問題点は委員が既によく御承知のところでありまして、これらの将来に向けての論議というものを見守っていただきたいと思うわけであります。  また同時に、この整備新幹線建設のほかに、大規模プロジェクトによる新線の建設等に当たらせるために、国鉄及び鉄道建設公団の技術者によって構成される新技術者集団というものの検討が自由民主党において行われておることは承知をいたしております。しかし、建設主体の問題はまさにこの財源検討委員会における検討事項の一つでありまして、この機会に私がこれをどうこうということについてのコメントをすることは控えさせていただきたい。十分そういう御意見があることは承知をいたしておるということにとどめさせていただきたいと思います。
  116. 矢原秀男

    矢原秀男君 私、三点にわたりまして質問したいと思います。  第一点は大島問題についてでございます。第二点は今大臣との質疑がありましたが、整備新幹線の問題について伺ってみたいと思います。三点は造船不況対策に関する問題でございます。  まず、第一点の大島問題でございますけれども、結論的に申し上げまして避難体制についてどうしていくかという問題が大きな課題であろうと思います。緊急避難体制、こういうことについては国土庁としては現時点の中でどういうふうに具体的に検討しているのか、まず伺ってみたいと思います。
  117. 牧之内隆久

    説明員牧之内隆久君) 去る十二日に東京都の災害対策本部が決定をしたところによりますと、緊急事態が発生いたしましたときの避難誘導体制といたしまして、まず第一次集合といたしまして岡田港、元町港それから泉津漁港の三港に島内を十四ブロックに分けましてそれぞれ消防団等の誘導のもとに集める。それから災害の状況によりまして島内二十四、小学校等二十四の避難所を指定をいたしまして、そこへ誘導するなりあるいは災害がもっとひどければ島外避難をするという体制を考えておりまして、そのために東海汽船のバス全車両に無線機をつけるあるいは都道、町道の照明を整備する等の対策を講じることといたしております。それから島外避難の場合におきましては、防衛庁、保安庁、東海汽船等がそれぞれ横須賀、横浜、熱海、木更津等におきまして巡視船、船艇あるいはヘリコプターを待機をさせまして、また島内には二十四のヘリコプターの発着可能場所をセットいたしまして即応するという体制をとろうと考えておるところでございます。
  118. 矢原秀男

    矢原秀男君 いろいろと問題点もあろうかと思いますけれども、気象庁の方では今でも現行では十分でないという形の中で、対応も非常に一番一生懸命努力をされていらっしゃるわけでございますが、気象庁としてはどういうふうな方向なのか伺いたいと思います。
  119. 内田英治

    政府委員(内田英治君) お答え申し上げます。  十一月十五日に第一回の噴火が起こりまして非常にだんだんと激しくなったわけでございますが、二十一日に非常に大きな大爆発が起きたと。ところが、この一連の火山活動は短期的に見ますると休止に向かいつつある、こういう統一見解が予知連の方からも出されております。ところが、何といいますか、過去の噴火活動のデータというものが非常に我々の参考になるんでございまして、その例から考えますともう一回火山活動が再び活発化するということも十分考えられるわけでございます。それでございますので、ただいま非常に多くの新しい機械もセットさせていただきましたし、それは順次動く方からそれを活用いたしまして情報にきめ細かく盛り込んでいこう、こういう体制でございますが、引き続き厳重な火山監視体制、常時監視体制というものを維持しまして、その整備される段階ごとに適時的確な火山情報を発表していきたい、それで火山災害の防止に努めていきたい、こういうことで今励んでいる次第でございます。
  120. 矢原秀男

    矢原秀男君 そこで長官、島民の皆さんも非常にいろいろの被害の中で帰島をされるというふうなことで、非常にまた勇気もついていらっしゃるように思うわけでございます。そういう中で、科学的に、現実の非常に客観的、冷静に見て島民の一時帰島というものが、将来、やはり私は技術的に見ましてこのままで噴火が鎮静化するとは思われないし、そういうふうな面で、テレビの取材等で科学者として非常に責任のある、苦慮されている、生命の安全という大きなそういう課題を握っていらっしゃる長官としての非常に御心配な姿を見たわけでございます。島民の皆さんも帰島されてまた生活を営んでいかれるわけでございますけれども、その安全性というものについて、今もちょっと御不安のようなお話を伺ったわけでございますけれども、もう一度、科学的に見て現在どういうふうな状況であるから今後こういう対応をしていきたいというものがございましたらいま一度伺っておきたいと思います。
  121. 内田英治

    政府委員(内田英治君) ただいま私が申し上げましたことにつけ加えまして、ただいまでも、大局的には地震というものは減少しつつあるんです。それで、体に感ずる地震もありますし、無感の地震もございます。震源が決められる地震もありますし、決めにくい地震もございますが、大局としてずっと減少はしているんでございますが、特に南東部でございますね、南東部の方でまた依然として小さな微小地震活動が続いております。  それで、今先生の御質問のように、気象庁としましては、与えられましたところの計器を使いまして、できるだけ、何といいますか、実況を把握して情報を出すわけでございますが、一つに火山の噴火に関する予知というものが非常にある意味で難しい。と申しますのは、何といいますか、データといいますか、時々にしか噴火しない、それで火山ごとに性格が違うという非常に火山学における一つの大きな問題がございまして、形状、マグマの状況、それからさまざまな噴火の種類その他すべてのことにおいて火山ごとに違って、しかも火山に応じて、そうしょっちゅう爆発している火山だけではございません。そういうことでございますので、現段階でこれを判別して予知するというのは非常に難しい。それで、今回の伊豆大島噴火につきましても、非常に我々の火山に対する知識と経験というものが、特に大島というものを見たときにまだ浅いということが言えるわけでございます。  でございますので、直前には予測することが困難でございました。しかし、今度いろいろな多種多様な機械を備えさしていただきまして、これをオールウォッチで観測することによりまして、例えば中期的——中期的というのは一カ月か二カ月ぐらいの範囲を中期的と申しますとしますれば、中期的には非常に今より多くのデータがたまると思うんです。それで、これによってある程度大局的な見通しのレベルはぐっと向上すると思います。  それから、直前予知の問題につきましては、これは今後大島のまたこのデータを十分解析しなきゃなりませんけれども、これに対して相当のやはり知見が得られ、何といいますか、将来にわたって少しなりと間際でもいいから予測するという手段に貢献できるんじゃないかと、こういう希望を持って、ただいま常時監視を一生懸命やっておる次第でございます。
  122. 矢原秀男

    矢原秀男君 もう一点伺いたいわけでございますけれども、全体的に見まして、縦横の連携という形の中で気象庁を中核とするやはり観測データのネットワーク化というものは、早急に私は意識的に早くつくる必要があると、こういうふうに思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
  123. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 先生の御指摘の縦横の関係でございます。  先生も御承知かと存じますが、全国に約七十の活火山がございまして、気象庁ではその十七の火山につきまして常時観測を行って、火山活動の監視というものを続けておるわけでございますが、これは測地学審議会という審議会がございまして、この建議というものがなされまして、それに第三次火山噴火予知計画というのが、昭和五十八年以来五年計画ですか、決められている。このときに各関係機関でございますね、大学、気象庁、それからそのほか関係省庁、こういう方々の代表が相集まりまして、ここでお互いの連携及び長期的にどういう計画をしたらよいのかということを審議しております。  その予知計画というものはまた絶えず毎年見直して、五年間なら五年間の計画を絶えず見直しながらやっているのでございまして、今先生御指摘の横の関係とそれから縦の関係ということにつきまして、今後とも全国的な意味で私たちの希望、それから現状を反映させまして、観測体制を充実しながら噴火予知技術の向上に努めてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  124. 矢原秀男

    矢原秀男君 では、具体的な問題に関連して質問しますけれども、一つ島民の皆さんがお帰りになったときに、物価の高騰という問題について、関係省庁では、やはり万全の手を打たなくてはいけないことが一つと、それから二番目には、島を留守にしておりますので、水を中心とする保健衛生の問題、ですからこういう保健衛生の問題と、生活関連、特に物価高騰に対しての手は打たれているかということですね。  それからもう一点は、緊急避難体制が今後もさらに強化されなくてはいけませんから、港湾を緊急時においてやはり改善をしていかなくちゃいけない、そういう問題等もあると思います。これは、それぞれ関係の方で御説明をいただきたいと思います。
  125. 熊澤二郎

    説明員(熊澤二郎君) 先生お尋ねの第一点、物価対策は十分かという点について御説明申し上げます。  御承知のように、一般住民の帰島に先立ちまして、商店を経営する方々の帰島を先行させることにしておりまして、昨日夜、既に先発隊の帰島が始まっているわけでございます。東京都におきまして、こうしたことによりまして生活物資の供給体制を十分確保するということにしております。  具体的に申しますと、生活物資のうち、ガソリンですとかLPG、灯油といった燃料の関係、これにつきましては、既に現地において確保済みであるという情報でございます。  それから、生鮮食料品関係につきましては、商店の経営者の方々が帰島する船便、あるいはそのほかの便がございますので、そういった便によりまして本土から随時送ることが可能でございます。そうしたことによりまして、十八日ぐらいまでには一般の住民の帰島に備えまして十分な準備ができる手はずになっておると、こういうふうに聞いております。東京都とも連絡をよくとりながら万全を期してまいりたいと考えております。
  126. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 港湾の問題についてのお尋ねでございますが、伊豆大島には元町港、岡田港、波浮港という三つの港がございますが、元町港、岡田港といいますのは、今回避難に活躍した四千トンクラスの船が入れるということでありますが、波浮港は残念ながら百トンぐらいしか入れないと、こういう小さな港でございます。  さて、今申し上げましたような実情を考えました場合に、今後の緊急避難ということで考えてみますと、やはり大島全体の避難のあり方ということと関係はあるわけではありますが、例えば今申し上げた波浮港の機能でありますとか、あるいはまた荒天時に港がうまく利用できるかとか、そういったふうな問題があるというふうに思っておりまして、従前、大島の港は日常生活物資の輸送とかあるいは観光客の輸送だとか、そんな観点から、いわば港の整備をしてきたというのが正直なところでありますが、今回の貴重な経験にかんがみましても、新たな観点から考えていかなきゃいかぬというふうに思っております。  今後どのような災害といいますか、事態が発生するかというようなことを予想するか、そしてまたさらに避難を具体的にどういう格好で想定をするかというようなこととの絡みが十分あるわけでありますが、国土庁なり東京都なりと御相談をしながら、その港のあり方についての検討に今入ったところでございます。できるだけ早い時期に具体的な案をつくって、事業化へ取り運んでいきたいと、かように考えております。
  127. 矢原秀男

    矢原秀男君 それから、空港の現時点の状況はどういうようなことになっていますか。
  128. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) 空港の現状でございますけれども、大島空港は東京都が管理しておる空港でございまして、十一月二十一日の大噴火の後に空港を閉鎖しております。その後は現在までヘリコプターを除いて滑走路が閉鎖されている状況にございます。  今後の空港の再開につきましては、空港の管理者であります東京都から島民全員の帰島が完了した後十二月二十三日から空港の運用を再開したいと、そしてかつ定期便の運航を再開させることといたしたいという要望が出ておりますので、関係者間で協議してそれに対応するということを決定しております。  そのために、十二月の十二日までに管理者でありますところの東京都、それから航空保安施設等の管理をしております私ども航空局、それに気象関係を担当しております気象庁と、関係者によりまして大島空港の滑走路、航空保安施設等の施設について異常がないかどうかを確認いたして現在のところ異常がない、いつでも再開できる状況にあるということでございます。
  129. 矢原秀男

    矢原秀男君 今回の伊豆大島の件に対して、ちょうど国鉄改革のときで、運輸大臣を中心とする閣僚の陣頭指揮で、本当に手際のいい撤退作戦等等、運輸省を中心とされて努力をされた、これに対しては非常に感銘深いものを私も持っております。そういう意味で、運輸大臣の功績というものは私すばらしかったと思うわけでございます。  この件について最後に大臣に伺いたいわけでございますけれども、いつまたどういう状況になるかは今までの御答弁を伺っておりましてやはり油断のならない災害の対応というものが必要だと思います。そういう意味で、運輸大臣としても、今まで携ってきていただいたそういう中で、今後のもしというときの緊急災害を通じて、また全般的にこれを経験として国全体の該当するようなところがいろいろあると思いますけれども、災害に対する対応の御決意を伺っておきたいと思います。
  130. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は今回の三原山の噴火、そしてその後の状態の中で今二つのことを痛感をいたしております。  一つはまず、先ほど気象庁長官から御答弁を申し上げましたように、現在その噴火後、追加の機材を持って新たな観測網の整備を図りつつあるわけでありますが、我が国の火山、先ほども御答弁の中にもありましたように、決して三原山だけが問題なわけではございません。そうなりますと、火山観測体制というもののなお一層整備に力を入れていく、そしてその中で少しでも、研究者の努力によって火山活動の予知が可能な状態にまでできる限りの学問的努力を積み上げていただき、それを生かす機構をつくってまいることが一つ。どうしてもこれは欠くことのできないものだと思っております。  アメリカあたりの火山を抱える主要国の状況を聞いてみましても、我が国に比べて相当数の火山の専門の研究者、あるいは技術者を有しておる。また広域に、多数の地震計等の計器を展開して常時観測体制をとっている。しかし、それでもなかなか予知というものができないということも聞いておりますが、そのネットワークをまずつくることが一つの問題であろうと思います。  と同時に、ちょうど国鉄特別委員会の終わりました後に、私も現地へ行ってみまして改めて感じたことでありますが、あの火山の爆発の中で、一人の負傷者、死亡者をも出さずに全島民を避難させ得たということは奇跡に近いことであったと、私は率直にそう思います。そして、それは気象条件が幸いし、船の接岸に苦労がなかったという一点だけを見ても明らかでありまして、その後風向きが変わりまして、偏西風の強い現在になりますと、風によりましては元町に入れたい船が入れずに岡田へ回らなければならぬというようなことも現実に出ております。そして、今そういうことを心配し、東京都はわざわざ引き船を用意して対応できるようにしていただいておりますが、実は噴火の時点にはそうした体制ではなかったわけであります。そして、その中で一人の犠牲者もなく島民すべてを移送できたということは、まさに私からすれば奇跡以外の何物でもありません。  しかし、その奇跡という状況を支えましたのはやはり人でありまして、これは私は現地の警察官、消防団員、役場の諸君はもちろんでありますけれども、こうした諸君が住民誘導に対して非常によく努力をされた、また島民方々がそうした方々を信頼してその指示に従って行動していただいた、そして海上保安庁も含めて、確かに私は関係者が大変な努力をしたと考えておりますし、東海汽船の民間企業として犠牲的なまでの御努力というものも考えなければなりません。  しかし同時に、現地へ行きまして改めて私が非常に感じましたことは、島内のバスの運転手さんたちが、爆発のさなかにおいて、道路に亀裂の入る状況の中で、自分の家も心配でありましたでしょうし、家族も心配でありましたでしょう。しかし住民移送というものに最後まで努力をされた。殊に一時期波浮港に集結をされた方々を元町あるいは岡田に移送するために、爆発のさなかにバスを動かし続けられたといったようなこと、私はまさにそうしたその持ち場、持ち場におけるすべての人々の協力というものが一人の犠牲者もなしの移送という奇跡的な結果をなし遂げたと思います。  しかし、仮にこれから冬に向かってあるいは冬場、気象条件の悪いときに同じような爆発が起き、無防備の状態であったとして、あの奇跡が再現できるという保証はございません。それだけに、これは運輸省としても改めて住民移送体制、当日の行動、こうしたものの中からあと我々としての教訓にすべきことはなかったかどうか、海上保安庁を中心として、地域交通局等々、それぞれの分野から情報を持ち寄り、現在検討をいたしておりますが、国土庁を中心として政府全体としても改めてこの状況をもう一度冷静に再現し、その中から見出すべき教訓を求める努力をしなければならぬ、今本当に私は、一人の犠牲者もなかったことを幸せに思いますと同時に、そうした点を考えさせられております。
  131. 矢原秀男

    矢原秀男君 本当に御苦労さんでございました。今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  では次に、第二点目の整備新幹線建設問題の件でございます。  これほど予算編成時、六十二年度において最大の課題というのか、私たちもいろいろとニュースを伺っておりましても、自民党内の御意見政府閣僚の御意見、そういうふうな二つに分かれているように思うわけでございます。そういうふうな中でやはり問題となるのは、私も各自治体のアンケートやなんかを拝見させていただいておりますが、常に第一位が交通問題であり、そしてまた交通の中でも鉄道のスピードアップの問題、そして道路問題、この二点というのが常に地方自治体では一位から二位に挙がっていることは事実でございます。  そういう意味で私もやはり全国に高速網というものが張りめぐらされて、国民の皆さんの御要望にこたえていくということも必要だなと思いますけれども、今も大臣からお話がございました財源の問題であるとか、そして新しく六つに分割をされる、そういう新しい会社がそれによって、プラスの場合はいいけれども、大きなマイナスになった場合は、第二の国鉄問題というものが国民の上に乗っかってくる、そういう問題を考えたときに、本当に冷静に分析をする、客観的に分析をして、そうして政府が対応しなくちゃいけない、そういう問題が今本当に私はやってきていると思うわけでございます。そういう観点の中から質問をしてみたいと思います。  私も新聞のあれを読ませていただいておりますと、新幹線の採算という問題、自民党内の研究の方では三菱総合研究所事業戦略研究室、今私手元に持っておりますが、「二十一世紀の交通ビジョンを探る整備新幹線の実現方策」というので、確かにこれ見ておりますと、新幹線建設費の比較、一キロメートル当たりの建設費、東海道の東京から新大阪が三十四年の四月着手で三十九年の十月開業、延長五百十五キロメートル、キロメートル三十九億四千万円ですね。それから上越の大宮—新潟間で五十七年の十一月に開業、延長二百七十五キロメートル、これはキロメートル七十億二千万円、こういうふうな数字が出ております。今度は整備新幹線、盛岡—青森間、これは延長百七十五キロメートルでキロメートル三十三億六千万円。田舎でございますから土地買収、いろんなことでもうぐっと金額が落ちているようでございます。  こういう金額を見ておりますと、国鉄でも将来計画していらっしゃるんではないかと思うリニアモーターのそういう中央新幹線の問題等も三十三億から四十億の以内、そういうふうなことでまあまあの数値だなと私も思っているわけでございますけれども、やはりこういうことになって、建設財源についての考え方を見ておりますと、こちらの方では租税、一つの目的税をつくるべきであると、それから二番目には債券で建設国債、地方債、特殊債、民間債、三番目はその他として財政投融資、運賃の積み立て、寄附金、こういうふうな三点から建設財源というものを考えているようでございます。  私もこの整備新幹線建設問題の一つは財源の問題、それから先ほどから大臣が御答弁されていらっしゃいました出発する旅客会社に本当に迷惑がかからないのかどうか、そういうふうな問題、それから三番目には、一緒でございますけれども、その中には並行在来線に対する影響、これをずっと私考えておりますと、これは大変な問題であって、地域では要望はされるけれども、本当に建設の財源、そして将来国民にどれだけまた第二の国鉄としての赤字をかけるのかどうかという問題を考えると、関係の方面で慎重に考えていかなければいけない、そういうふうに非常に厳しい、政府の方では厳しい収支の見通しというものが数字で出ている。細田さんが中心になっていらっしゃいます自民党の方の委員会では、三菱総合研究所のこういうふうな一つのデータをもって、私見ておりましてやはりきちっと対立をしていることは明らかになっているわけでございます。  そういう中で、今運輸大臣の御答弁を伺っておりまして、やはり大臣は関係の中の関係者であるから非常に私は慎重だなと、大臣の御答弁は本当に国民の大きな立場の中で考えていらっしゃるんだなと、そういうふうに感じております。細田さんも、私あの方大臣のときに運輸委員長をしておりまして、あの方も二十一世紀の交通を考えた、非常に専門的に見ていらっしゃるなと思ったんですけれども、報道を見ている限りでは、建設に反対をするメンバーに対しては何かえらいにらみをきかしているような発言のお姿というのが出ておりますので、そのお立場お立場で非常にいろいろとこれは考えることがあるんだなと思っておりますが、まず結論的に今私大臣に直接お伺いする前に、まず国鉄総裁か林さん、どちらでも結構ですけれども、とにかく林さんは、この国鉄を民間方式にする事務的サイドの中で、非常にぜい肉を減らしたいという立場で一生懸命努力、御苦労された方でございました。きょうの時点であなたに言えというのは酷だと思うんですけれども、あえて私は林さんと総裁に専門的な立場から、申しわけないけれども、自民党側の方の推進の方と、そうして今孤軍奮闘されているように思います運輸大臣の立場、そういう中で専門的に見て本当にこの整備新幹線というものの諸条件というものがもうゴーをしていいのか、それとももう少しこれは冷静に分析をすべきであるというお立場なのか、御両名にまず伺ってみたいと思います。
  132. 林淳司

    政府委員林淳司君) 大変難しい御質問でございますけれども、先ほど大臣から申し上げましたように、私ども運輸省の立場といたしましては、一つにはまずこの会社の将来を考えた場合に、やはり航空機あるいはモータリゼーションというものと対抗して、会社が強固な基盤を持って将来健全経営をやっていくということのためには、都市間鉄道の高速化ということは将来的にはこれはぜひやらなきゃいけないというふうにまず考えております。  そういう基本的なまず政策スタンスというのがあるわけでございますが、そこで整備新幹線問題を考えた場合に、それではどうかということになるわけでありますけれども、大前提といたしまして、やはり整備新幹線をつくることがこれからスタートをする新しい会社経営というものに対してこれがマイナス効果を与えるということはこれは絶対に避けなきゃいけないという考え方を持っております。  その上でさらに、先ほどの並行在来線の問題、これが現在やはり検討の対象になっているわけでございますけれども、将来的に見ますと、この並行在来線というものについても、これは一定の役割があるんではなかろうか。そう考えますと、新しくつくる整備新幹線とそれから並行在来線というものを一体的にこれをとらえて、そしてその収支等を考えていくということが必要であろう。その上で、それを一体として考えて収支をいろいろ検討した結果として、それが新しい会社に悪影響を及ぼさない、マイナス効果を与えないということであるならば、最初に申し上げたその基本的なスタンスから考えて、将来的にも中長期的に見ていけばこれはやはり推進すべきマターであろうというふうに考えるわけであります。  そこで、結局結論的には、それじゃ並行在来線と一体としてとらえた場合、それが新しい会社に悪影響を及ぼすのかどうか、その一点にかかるわけでございます。この点につきましては、現在政府の内部で、政府・与党という形でいわゆる検討委員会というものが行われておりまして、そして、その幹事会あるいはワーキンググループというところでいろんな検討を現在進めております。まだ最終的な結論に至っているわけではございませんけれども、中間的にいろんな検討を進めているということでございまして、その検討の結果で新しい会社に悪影響を及ぼさないということは、少なくとも現段階ではやはり全額無償資金というものでつくらなければうまくないんではないか、こういうのが現段階での一応の考え方でございます。  したがいまして、そういう財源のめどというものがつくかどうか、そのめどがついて全額無償資金で整備新幹線がつくれるということであるならば、これについては将来的に見れば会社の基盤強化につながるものであるならばそれは進めるべきであろう、こう考えているわけであります。  要するにその新しい会社に絶対にマイナス効果を与えないこと、そのためには現段階での検討、中間的ではございますが、全額無償資金であればそのめどは一応立ち得るのではないか。したがって、その全額無償資金という形での財源が確保できるかどうか、これが一にかかってかぎではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  133. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 新幹線整備計画ができましたのが昭和四十八年でございまして、それ以来大変時間の経過があるわけでございますが、その間にまたこの新幹線をめぐります環境といいますか、諸条件、これも非常に厳しいものに一層なってきているように思います。国鉄の財政問題あるいは国がお金を出す場合におきます国家財政の問題等々も非常に厳しい状態の中で十二、三年間の経緯があったかと思います。  国鉄の立場といたしまして、これをどうしてほしいというふうに申し上げることはいささか、何といいますか、適切でない。やはりこういう国家的プロジェクトにつきましては、政府あるいは与党という方の大局的な御判断というものが必要かというふうに存じ上げる次第でございまして、国鉄がどうこうということは差し控えたいと思いますが、一貫して私ども主張しておることが一つございます。  今、林総括審議官が問題点を申し上げましたその問題でありまして、やはり経営に与える影響のないようにと、今後、新会社ができました、その新会社が当然に経営することになるであろうと思いますが、そういう経営影響のないよう、負担のかからないようにぜひしてほしいということを今まで政府に御要望を申し上げてきたところでございます。このような見解でございます。
  134. 林淳司

    政府委員林淳司君) ただいまちょっと一点申し上げるのを落としたわけでございますけれども、先ほど、検討委員会の下部機関であります幹事会あるいはワーキンググループにおきまして、収支等についてのいろんな今計算、試算等を行っているわけでございますが、その場合、実はその内部で、政府部内でも見解が二つございまして、無償資金で新幹線建設した場合に減価償却費を計上すべきであるかどうかという点について二つの考え方がございます。  一つは、無償資金で建設をするということは、すなわちいわば公共事業方式に近い形でございまして、将来にわたってそういう無償資金というものは永続的にこれは投入すべきであるという考え方からいいますと、減価償却費は計上しないというのが妥当であろうという考え方であります。  一方におきまして、当初無償資金で建設するにしても、逐次これは減価償却費を計上して利用者負担にこれを切りかえて転嫁していくというのが妥当であろうという考え方がございます。これは減価償却費を計上すべきであるという考え方であります。  そこで、減価償却費を仮に計上するという形になりますと、先ほど私申し上げましたが、並行在来線、新幹線を込みで考えた場合に、これは新会社に悪影響を及ぼさずに済むというわけにはまいらないということでございまして、あくまで減価償却費は計上しないという前提である場合に新会社に対する悪影響は免れ得る、むしろ収支改善効果があらわれるという結果も出ておるわけでございまして、そういう点についてさらにこれから詰めて検討していく必要があろうというふうに考えているわけであります。
  135. 矢原秀男

    矢原秀男君 ちょっと大臣に質問する前に、大蔵省見えていますでしょうか。——今、林さんからのあれを聞かれておられたと思いますけれども、全額無償資金であればという問題ですね、これについて大蔵はどう考えているのか。それからまた、減価償却の問題、計上するかしないかという問題によってまた大きく違う。この二点については大蔵省でどの程度、今、中間的に検討されているのか伺いたいと思います。
  136. 佐藤謙

    説明員(佐藤謙君) お答えいたします。  整備新幹線の問題につきましては、先ほどからたびたび政府側からお答えが出ておりますように、昨年の八月の政府・与党間の申し合わせに基づきまして、財源問題等検討委員会というところで各種の前提条件について検討を行っているところでございます。  例えば建設費の見込みはどうかあるいは需要の見込みはどうか、あるいはそういったものを前提にした場合に収支採算はとれるのか、その場合の、収支採算をはじく場合にいかなる前提で計算した場合どうなのかとか、あるいはその場合の、仮に公的助成を行います場合にその財源をどうするのか等々のことを検討しているところでございます。  現在まさに検討途上にございますので、私の方から現在の大蔵省の考え方というような形でここで具体的に申し上げるのはどうかと思いますけれども、考え方といたしますと、例えば全額無償資金ということであれば、それは需要なり建設費の見込みによって収支採算がどうなるかということはございますが、有償資金を入れる場合に比べて収支採算がよくなるのはそのとおりでございましょうが、逆に鉄道事業に対する負担のあり方としてそういったものをどう考えていくべきかという問題もあろうかと思います。  それからもう一点減価償却の問題でございますが、これは先ほど林さんからもお話がございましたように二つの考え方があるわけでございますが、仮に公的助成によりまして、あるいは大部分それによりまして新幹線の基盤的施設を建設いたしました場合に、この新幹線事業というのが将来ともずうっと続いてまいるわけでございますから、何年かたったときにそこに更新投資の必要性というのが出てくるわけでございます。そのときに、もし減価償却という形で更新投資のための費用を積み立てておりませんと、その段階でまた膨大な国民負担を要するということになりまして、ある意味で、これがずうっと続いてまいりますと際限もなくこれが繰り返されるような形にならざるを得ないんではないだろうか、こういった問題をどういうふうに考えるのかというような問題があろうかと思っております。
  137. 矢原秀男

    矢原秀男君 ではこの件、最後になりますが、前の御答弁から伺っておりまして、私率直に言いまして、運輸大臣、財源検討委員会、いろいろとそこで検討されている、私としては、先ほどから林さんも総裁もお話になられたようなそういうことを含めながら、運輸省としての心配な、懸念なことをきちっとくぎを刺している、このように言われておられるわけでございますが、私は一歩進みまして、運輸大臣は、あなたの場合は将来やはり総理と目されている若手の、あなたは有能な、非常に力を持っている方であって、そういう客観的な単なる運輸大臣としての心配の意見事を言っているというだけではなしに、もう少し私たちの前にいや実はこうなんだというふうなことを、これは国民にとって今懸念されている問題、例えば両者に分かれて中間的に今検討段階に入っているけれども、これを決定するためには時間的にはいつごろ決定を出さなくてはいけない、やるのかやらないのか、もう少し後に過ごしていくのか。そうしてあわせて財源問題についてはどういう方向で行けばベターなのであるか、そういうふうなことのいま一度明確な、そういうような大臣のお考えをきちっと伺いたいと思います。
  138. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 褒めていただきましても余りぴしっとした答弁というものが成り立つところまで実は検討委員会の論議がなされておるとはまだ申せません。先ほど、野沢委員の御質問に対しましてもあえて運輸大臣としてこの委員会に臨んでいる考え方ということを私は申し上げたわけであります。  今、林総括審議官また主計官、それぞれの立場から話を出されましたような論議がまさに実は幹事会なりワーキンググループなりの中で今行なわれている最中でありまして、今私自身がそれをどうこうと申し上げるだけの知識は持ちません。  ただ、要するに一切の雑事を払ってしまって将来の鉄道というものを考えたとき、整備新幹線は必要か必要でないかというお尋ねであれば、私は他の交通機関との競争を勝ち抜いていかなければならない鉄道として、当然、高速鉄道というものが必要であると思っております。  しかし、同時に私の立場は、やはりそれが新たにスタートする新会社経営を阻害するものであってはならないし、今まで論議をされてまいりました中を、先輩たちの御議論の中で聞いてみますと、並行在来線の廃止というものがいわば一つの前提のような形で整備新幹線の問題の前に機たわっていたようであります。  私は実は地域の足としての鉄道というものは両面が必要である。高速鉄道ももちろん必要であります。しかし、通勤通学輸送ではできるだけ身近な駅から乗れるという状況も必要でありまして、並行在来線の廃止といったようなことが簡単にできるとはむしろ思いません。それだけに、その与える経済効果あるいは生ずるマイナスというもの、整備新幹線なら整備新幹線だけ、あるいは並行在来線だけで議論をしないで、これが両立し得る形を想定して論議をしてもらいたいということを実は今関係者に申し上げているわけであります。  いずれにいたしましても、予算編成というものを控えてそういつまでも論議だけを続けていられる状況にはないと私も考えておりますし、座長は官房長官でありますけれども、検討委員会としての作業は精力的に行われ、それなりの結論が出されると期待をいたしております。  せっかく褒めていただいたのに、済みません。
  139. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、新会社になってからの運賃問題がどうなるかという点についてお伺いしたいと思います。  分割・民営会社になりますと、その運賃、料金の決定というのは今までの国鉄の場合と決定的に異なると言わざるを得ないと思う。なぜなら、鉄道事業法十六条、「適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものである」ということになっているわけですね。このことは路線ごとに原価を償い適正な利潤を含むということとなるというふうに思われますが、いかがですか。つまり、路線別に線区別運賃を設定するということになるのかどうか。そしてまた、路線ごとに原価を償うということになれば、地交線や不採算性の幹線などは大幅な運賃値上げをせざるを得なくなると思います。そうしますと、格差運賃というのがますます広がっていくことになるのではないか。この点についてお答えをまずいただきたいと思います。
  140. 林淳司

    政府委員林淳司君) ただいま鉄道事業法に即しての御質問でございますけれども、この「能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものであること。」という基準でありますけれども、これは必ずしも路線別にそうでなければならないということではないわけでございまして、会社全体ということも当然あり得ますし、それからさらには路線によってある程度のグルーピングをしてやっていくという場合もございましょうし、この規定が路線別でなければならないということを意味するものでは必ずしもないということでございます。  そこで、結局新しい会社ができました場合には、会社経営判断に基づいてある程度のグルーピングをやるのか、あるいはどうするのかということを経営的な観点から検討して決定していくわけでございますけれども、当面移行時点におきましては現行の運賃をそのまま踏襲していくということでございますから、現在国鉄のいわゆる区分によりますところの幹線系と地方交通線系では約一割の差がついておりますが、それが移行時点ではそのまま踏襲されていく。その後は、会社経営判断によりましてそれをそのまま持続していくのか、あるいはある程度グルーピングし直すのかということは、これは会社経営判断に属する事項になってくるわけであります。  その場合におきまして、当然他の交通機関との競争関係とかいろんなものを考えて、全体としてやはり需要が減るということについてはできるだけこれを食いとめていくという方向で経営判断がなされると思いますので、したがって極端な運賃格差というものが生ずることは恐らくないであろう、恐らく経営判断としてそういうことにはならないであろうというふうに考えられるわけでございます。
  141. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうおっしゃいましたので、具体的に伺っていきたいと思います。  大体移行時は今と同じ、そして格差は一割程度だろう、そんなに大きな格差にはならないだろうと、こうおっしゃったわけです。ところが、実際考えてみますと、そうはいかない。一割どころなんというものでなくなるわけなんです。細かくいろいろと取り方があると思いますけれども、例えば二十五キロという使いやすいところの運賃を見た場合をちょっと考えていきたいと思うわけです。  現在の運賃は北海道、四国の場合二十五キロ四百六十円でございます。それから今度東日本、東海の幹線は三百八十円でございます。それから御承知のように、国電でも山手線とか大阪の環状線というのは特別のサービスをしていらっしゃるわけで、これが三百六十円になっているわけでございます。ところが、これ年々運賃値上げということが出されておりますよね。北海道、それから四国の場合には年六%アップというふうに見られると思うんです。そうしますと、現在四百六十円というのが年六%アップということで計算いたしますと、六十六年にはこれが五百八十円になります。そして東日本、東海の幹線はこれは年三%アップというふうに言われております。そうしますと、これが六十六年には四百三十円ということになります。そうして、国電の場合は四百十円という計算になってまいります。  繰り返して申しますと、六十六年北海道、四国六%アップで見ると、二十五キロで五百八十円。それから年三%の東日本、東海の幹線で見ますと四百三十円という数字になってまいります。この差は幾らかといいますと、一割どころか三五%という格差になっていくわけでございます。そうして、これをまた北海道、四国、そして国電、先ほど言いました山手線、大阪環状線を比較いたしますと、この格差というのは実に四二%というふうに大きな格差になっていくわけでございます。これに加えまして八千人未満は頭打ち六・五%と、こういうふうに言われますが、これで見ますとさらに格差がつくと言わざるを得ません。しかも重大なことは、八千人未満の頭打ち六・五%ということは、東日本、東海会社同じ会社の中で格差がつくわけです。地交線の八千人未満六・五%アップ、幹線は三%アップと、こうなってくるわけでございますね。同じ会社内で地交線と幹線で格差が出てくる。その上国電と比べてみますと四二ないし四四%の格差がつく、こういうことになるわけでございますが、こういう問題についていかがお考えになるでしょうか。
  142. 林淳司

    政府委員林淳司君) ただいま先生が御指摘になりました二十五キロということでございますけれども、これは現在の幹線の運賃表あるいは地方交通線の運賃表、これは刻みがいろいろございまして、必ずしもそのある一点だけをとらえて比較をして全体を推計するということは困難ではなかろうかと思います。  今回私どもが試算をいたしておりますのは、これはこういう特定の運賃、一定の路線あるいは特定の地域の運賃ということではございませんで、それぞれ会社ごとに、もちろん路線ごとに、いわゆる人キロ当たりの運賃料金支払い額というものが毎年どの程度アップしていくか。おっしゃるように、あるものについては六・五%でアップ率を打ちどめにしておりますけれども、そのような形で一応の試算をいたしまして、それを会社全体として平均してみると人キロ当たりの運賃料金の支払い額が北海道の場合ですと六%程度のいわば増収率になる、増収率と考えたわけでございます。したがいまして、具体的にこれ運賃をどのように適用していくか、幹線あるいは地方交通線という区別でいくのか、あるいは幹線も若干グルーピングをするのか、あるいは地方交通線についてもグルーピングをするのかというふうなことについては、これは需要の関係を見まして新会社がいろんな高度の経営判断をもって考えるべきことでございまして、したがってこれが直ちに運賃水準そのものの格差というものをあらわすだけではございません。あくまでこの六%あるいは東日本の場合は三%というのは、会社の平均的な人キロ当たりの運賃料金支払い額のいわば増加率というふうにお考えいただいていいと思います。  したがいまして、これを六十六年までに計算をいたしますと、その増加率というものを計算したその増収額というもの、増収率というものにつきましては、これは一割程度の、一割強の差ということにとどまるということになるわけでありまして、具体的な適用についてはこれから会社が判断をして決定するべき事項である、こういうふうに考えております。
  143. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 確かにおっしゃいましたように、平均的な人キロ当たりの収入とかというふうなことが出てくるけれども、それはつまりそのものずばりは料金というふうには見れないかもしれないけれども、料金とは関係ないとは言えないですね、今まで見ていても。それだけの収入を上げようとするならば、輸送量というものは関係してくるだろうけれども、やっぱり料金とこれはもう必然的に連動してくると言わざるを得ないと思うんですよ。それはそのとおりでしょう、そのとおりですね。
  144. 林淳司

    政府委員林淳司君) 人キロ当たり会社の平均的なアップ率ということでございますので、これを適用する場合には当然それは運賃水準というものにこれは反映されていくということはおっしゃるとおりでございます。
  145. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だからそれは私の方もわかっていてそして計算してみたんです。時間があればどの線で何キロでどうだということを全部出せばいいけれども、その時間が許されませんから私は今一応二十五キロということで申し上げましたけれども、これはおたくの言われるとおりの計算を素直にしたわけです。共産党の方式というんじゃないです。素直におたくの方式でやったら一割なんという格差ではないよということが出てくるわけです。会社全体で大きくというふうにごらんになっても、やっぱり乗るのは私たち個人個人が乗るわけでございますし、全体乗って計算するというんじゃなくて、必要なところを乗るということになれば、これは一割程度とおっしゃるけれども、そんなものじゃないということを私はここで重ねて申し上げなければならないと、そう思うわけでございます。その辺のところをしっかりと御認識をいただきたいと、こう思うわけでございます。  その次に、今度また別の問題になりますけれども、今度売上税の問題ということがこれ先ほども同僚議員から言われましたけれども、非常に大きな問題として出てくると思うんです。まさにこれは大型間接税そのものだと言わなければならない。先ほど大臣もおっしゃったように、運輸事業関係はこれはもう非常に大きな影響を受けると言わざるを得ないと思うんです。タクシーの場合は先ほども言われたように一億円以下の会社とそれ以上の会社ということになれば、それだけ税金の差が出てきて料金が違ってくるというようないろいろな問題が出てくるわけですけれども、私は鉄道事業というものの場合これをしっかりと見ていただきたいと思うわけです。いろいろ検討中であるというふうにおっしゃっていますけれども、仮にこれが五%などという売上税ということで今出されている、それでどれくらいの負担となってどれくらいの減収になってどういうふうな影響が出てくるというふうに考えられているか。もう具体的に問題になっていますから、これが運送事業鉄道事業に持ってこられたらどうなるかということの具体的な問題をとらえて、反対なら反対という根拠にして頑張っていかなければならないと思うんですけれども、そういう問題はどういうふうに検討してどのように影響ありとごらんになっていらっしゃるか、具体的な内容についてお伺いしたいと思います。
  146. 棚橋泰

    政府委員(棚橋泰君) 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように運輸事業についてはいろいろ影響が大きいわけでございますが、ただこれは運輸事業ばかりでなく、あらゆる事業につきまして適用されますといろいろな問題点ございます。  そこで今先生御質問のどのくらい具体的な数値として影響があるのかという問題でございますけれども、これも先ほど安恒先生にお答えを申し上げましたように、この前提となります課税対象とかその他種々の問題につきましてのまだ前提が十分詰まっておりません。したがいましてその影響、金額というようなものについて今具体的にお示しをできる段階ではございません。
  147. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうお答えになると思っていたんですけれども、やっぱり私たちとしては、もうこれは課税対象になりますよと、これくらいですよというのが具体的になってからこれは大変だ、計算しましょうというようなことではもう本当に手おくれになると思って心配するわけなんですよね。もう既に売上税というのがかけられるということが問題となっているわけでしょう。それはどれくらいかといえば五%という問題も出てきていると。そうすれば、これからの鉄道事業というものがどういうふうになるかということは、私は今後の検討や討議を見定めてからなんということではもうこれは手おくれになると言わざるを得ないんです。私も心配だからいろいろと検討してみました。  例えて言いますと、運賃に値上げされた場合、運賃に当然転嫁しなければ国鉄やっていけないということになりますと、北海道だと六%ですね、それに加えて五%というと約一一%値上げという数字が出てくるわけですよ。これはもう本当に大変な金額になってくると思うんです。  具体的に見てみますと、輸送量、収入、いろいろ検討していきますと、日本全体でまず言いますと、輸送収入というのを見ますと三兆三千七百四億円と、こう見ているわけです。今度五%の売上税ということに仮定いたしますと一千六百八十五億というのがかかってくるわけでございますよね。そうすると当期利益と見込んでいらっしゃる三百三十八億というものの五倍になってしまうわけですね、この売上税というのがかかってくれば。  これは具体的にわかりやすく申し上げますと、北海道の場合六十二年度収入見込みとして八百三十一億と、こういう数字が出されているわけです。そうしますとそれに五%の売上税というのがかかりますと四十一億六千万円というのが税金になってしまうわけですよね。それでどれくらい当期利益というのを北海道で見ていらっしゃるかというと、御承知のように八億ですよね、八億当期利益を見ていたと。ところが、売上税が四十一億六千万円もかけられてきたとなりますと、これ差し引きいたしますと三十三億マイナス、赤字というふうになってしまうわけなんですよね。こういうことを考えるとこれは大変な問題だ、検討していくなんという問題じゃなくて、今でもこれはもう大変なことになるよと、経営見通しは全然狂ってくるんだよと具体的に私はその問題を提起して、喚起して、こういうものは国民の足を守るという立場からもう絶対にこういうことになっては大変なことになるよというふうにやるべきではないかと、そう思うんです。いかがですか、大臣。
  148. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は今の委員の御質問の考え方を否定するものではありません。ただ、これは現在政府・与党の中で議論をしております段階の中での我々の対応とすれば、仮に今、委員が言われたような仮定の数値を置いてこういう影響が出るから困るといったような議論をすることは、では逆にこの程度ならどうかとかという議論に引きずり込まれてしまう可能性の方が高い状況でありまして、むしろ私どもとしてはそういう論議に引きずり込まれない、具体的な数字でそれならこの程度はどうだいと言われるような論議に引き込まれないことを今一番私どもは実は心がけているわけであります。  と同時に、先刻申し上げましたように、本委員会に与党の委員としておられる方々の中には、党の税制調査会の有力なメンバーの方々が多数おられるわけであります。この方々と私どもは御相談をしながら、党の税制調査会の中において、運輸事業というものが国民生活の中にどのような影響を持っているか、そこにこの売上税というものが課せられた場合どういう問題点を生じるか、今、委員が言われたような数字を入れた議論に入らずに基本的な部分での論戦を願っているところでありまして、私どもとしてはその数字を事前に私どもの方から想定し、その数字をもって議論をするということは現時点では避けたいことである、これは率直に申し上げてそういう気持ちです。
  149. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 土俵に引きずり込まれるよりも、もう向こうは出しているんだから、問題は売上税だと、五%だよということになっているから、だから、それでもって討議の中に引きずり込まれるのが嫌とかどうとかというんじゃなくて、やっぱり内々でもこういうふうに具体的に検討されているかどうかということが私は大変気になるわけなんです。そういう具体的なことも検討されていないとするとこれは大変なことになるなと、そう思ったわけなんです。  こういう売上税に続いてまいりますと、今度値上げになっていくわけですわね。そうすると、輸送人員との関係がいやでも出てまいります。お出しいただきました資料を見ますと、北海道の場合、輸送人キロは三十八億人キロ、こういうふうになっているわけですね。その運輸収入というのが六百五億円、こうなります。そうしますと、一億人キロ当たりで割りますと十六億、こういう数字が出てくるわけなんです。そうしますと、これ値上げになってきちゃう。さっきも言われたようにマイカーにどんどん流されていってしまう。こういうことになりますと、一億人キロ違いましても十六億という、そういう数字になってばっとかぶってくるということなんですね。そうすると、おたくがお出しになった、これでやっていけますよなんという数字が全部ひっくり返されてしまうということになるわけですよね。だから、そういう意味でこれは大変大きな影響が出てくるということを十分お考えいただいて対処をしていただきたい。  私はあえて数字を出しましたのは、これは非常に深刻な課題として今受けとめていただきたい。そして、非常に影響は大きいということについて大臣もそのとおりだと、影響は大きいとおっしゃる問題として御検討いただきたいというふうにお願いをしたわけなんです。影響が大きいということは当然大臣も大変な課題としてお考えになっていらっしゃるとは思いますが、その程度は、影響は大きいんだということは深刻な課題としてお考えになっていらっしゃいますでしょう。
  150. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員から御指摘を受けるまでもなく、運輸省の責任者としては真剣な検討をしなければならない問題であり、また現に検討いたしております。また、影響が大きくなるかならぬか、これも今我々としてはせめぎ合いをし続けているところでありますから、私どもとしても努力をしてまいるということであります。
  151. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それではぜひ御検討いただきたいということを重ねて申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  年末一時金カットの問題なんですけれども、年末一時金支給に際して国鉄では勤務成績等を考慮して五%カットの差額支給ということが行われているわけです。しかしその五%カットの理由が問題なんですね。黙って突然休んじゃったなんというのは、これはもう問題にならない、カットの理由になってもいいと思う。しかし、私はいろいろ具体的に伺ったりして資料をつくったわけなんですけれども、このカットする理由の中に不都合行為ということの項目がございました。何を指して不都合行為と言うのかというのを調べてみますと、人活センター反対集会に参加した、ハンガーストライキに参加した、または応援した、または面会強要。本当は強要でなくて、会いたいよ、そしてなぜカットされたのかを聞きたいよということに対してもこれは強要したというふうに言われる。人活センターへの指定説明を聞かしてくれと言っても、これも抗議だといって不都合行為というふうに言われる。組合員の掲示板撤去に対して抗議した、そしてまた、我が党の村上衆議院議員が来区、これは吹田の機関区検修なんかの場合を言っているわけですけれども、村上議員がそこに来区したときに抗議したということ、これも不都合行為と。  これらをずっと挙げれば切りがないんですけれども、調べてみますと勤務時間外で行われている。勤務時間内には行われていない。まことに不当きわまりないと私は言わざるを得ないと思う。これは明らかに信条に基づく賃金差別であると言わざるを得ないわけでございます。  まあいろいろあるんですけれども、労働省いらっしゃいますね、そのことについて今伺っていきたいと思います。  その五%カットの理由として、いろいろあるんだけれども、おもしろいんですね、よくこんなに細かく虫眼鏡で見なきゃわからないくらい、何月何日どこで何したというすごい資料で御調査なすっていらっしゃる。これは私はお見せできると思う。朝日新聞の記事なんです。ある人が七月十五日、大阪城公園で分割・民営反対集会に参加して詩の朗読を行った、これは七月十六日の朝日新聞に掲載されているんですね。事実これが不都合行為というふうに決めつけられているわけです。また八月二十八日、同じこの人だけれども、沓脱議員が来たとき一緒に行動した、支援体制をとっている、そういうことが不都合行為に入れられている。分割・民営に反対することを、共産党の国会議員と一緒に行動したということが賃金カットの対象となっているというふうに、調査してみたらはっきり言えるわけでございます。  まさにこうなりますと、信条の自由なども不当に差別の理由にしている。そこで労働省にこういう問題について御調査をいただきたいということをお願いをしたいと思う。いかがでございますか。
  152. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) 労働基準法の第三条の規定は、思想、信条そのものを理由といたしまして労働条件について差別的な取り扱いをすることを禁止しているものでございます。御指摘のような事案がこの規定に反するかどうか、あるいはその思想信条に基づく具体的な行動をあるいは評価してそういうことを行っているのか、その辺若干つまびらかでない点もございます。いずれにいたしましても、具体的な事実に即して判断する必要があろうかと思います。  なお、申告等がございましたら必要に応じて調査をすることになろうかと思います。
  153. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ぜひ具体的に御調査もいただきたいとお願いするわけです。  この問題、単に労基法三条違反という問題にとどまらない大きな問題だと私はとらえざるを得ないんです。組合が分割・民営反対とか人活センター反対などの方針や政策を掲げることは、それはそれなりに組合としての正当な権利である。何ら干渉されることもない。にもかかわらず、そのことをもって賃金カットをするということは明らかに不当労働行為と言わざるを得ないと私は言えると思う。しかも、これこれの集会に参加したというようなことも、尾行していなければわからないような本当に細かいところまでやっていらっしゃる。ちょっとこれはスパイもどきの行為ということを見まして、これは社会的にも許すことができないというふうに思うわけなんですね。いろいろ組合の問題、差別はしないとかどうとかとおっしゃるけれども、具体的にこういう問題が今既に起こっているということを考えれば、大上段に構えるわけではないけれども、憲法十四条を見ても、「国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」というところまで大きな声を出して言わなくてもおわかりになっていらっしゃると思いますけれども、具体的にこういうことが行われているという事実も御認識いただいて、この問題について大臣としてはどう考えていらっしゃるか。そして、労働省としても具体的な御調査ということをさっきおっしゃいましたけれども、ぜひそのことをやっていただきたいということを最後にお願いして終わりたいと思います。
  154. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今初めて伺いました事案でありますが、新聞に載っているということは、別にスパイをしなくともそこに新聞に載っているんでわかるんじゃないでしょうか。ただ、少なくとも私は、国鉄総裁こちらにおられますが、国鉄当局がそのようなことをしているとは考えておりませんし、恐らくそんなことはしていないと思います。
  155. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 スパイ行為とかどうとかじゃなくて、内容の問題として私は伺っているわけね。そういうことで差別していいのかどうかということなんです。  それでは、総裁もちょっと答えてください。
  156. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今、先生結論的に御指摘になったような、いわば差別待遇あるいは不当労働行為ということにつきましては、私どもはそういうことは絶対にすべきではないし、またしていない。また、現場への指導につきましては、絶対にそういうことはしてはならないということは繰り返し指導をいたしておるところでございまして、今御指摘になりました現実の問題は、これは実際に調べてみませんと事実行為は確認はできないわけでございますが、恐らくそうしたことはないと私は想像いたしますし、それからまた、それが賃金カット等の具体的な内容のものに触れて直接結びつけられたというふうにおっしゃられることは私は事実はないんじゃないか。それはやはり一ランク置きまして、勤務の状況、勤務成績というものに現場の管理者が判断をいたしまして、そこで評価をし、その評価が総合的な判断としましてボーナス等の問題にはね返ってくるというふうに思いますので、端的な結びつきは恐らくないというふうに私は思います。
  157. 中野明

    委員長中野明君) 持ち時間がまいりましたので、簡潔にお願いします。
  158. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、そうですね。これでおしまいにいたしますけれども、突然こういうことを言ったけれども大臣御承知ないと、こうおっしゃった。こういう具体的なのがいっぱいあるから、だから私たちは具体的な問題をぶつけているわけなんです。  それからまた、総裁もおっしゃいましたけれども、それだけではないと、ほかにいろいろと勤務成績などということを言われるけれども、具体的には減額対象としてこういう人たちだという、項目別にきちっと出されているということですね。あってはならないとおっしゃるのはそのとおり。あってほしくないというのもそのとおり。しかし、具体的にあるのだから、そういうことが本当にあるのかないのか。ないと、あってはならないとおっしゃるならば、徹底的にそういうことを御指導をいただきたいということを重ねてお願いをしたいと思います。  労働省の方もよろしくお願いをいたします。御調査の問題、申告があったら調査するとおっしゃった問題についてね。
  159. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) 具体的に申告ございましたら、当然監督署の義務として調査をすることになろうかと思います。
  160. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は外航海運の問題について二、三お伺いをしたいと思います。  世界的な大量の船腹過剰に起因する構造不況に加えて、急激かつ大幅な円高で、我が国の外航海運は破局的とも言うべき重大な危機に直面しております。また、その中で企業の倒産とか希望退職等で失業船員が増大しておる現状であります。このような事態は、天然資源に恵まれず、周囲を海に囲まれ、貿易立国である我が国にとって、国民経済上放置できない事態だと思います。また、この海運の危機は、我が国の造船業に対しても重大な影響を与えておることは御承知のとおりであります。  このような外航海運の危機を招いた原因についてどう考えておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
  161. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御指摘になりましたように、我が国の外航海運は、世界的な船腹過剰に起因する不況が長期化する中、昨秋以来の急速な円高というものにより、深刻な経営状況になっております。  ですから、このような状況を克服するためには、船腹解撤の促進による船腹の需給の改善、また我が国商船隊の国際競争力強化が不可欠と考えております。これらについては、現在労使において減量化に伴う雇用対策や、あるいは近代化の推進など、日本船の競争力回復の対策等について鋭意協議が進められておりますが、政府としてもこのような努力が実を結ぶように、財投あるいは税制措置などにおいて船員の雇用対策にも十分配慮しながら環境整備に努めてまいりたい、こう考えておるところであります。
  162. 田渕哲也

    田渕哲也君 運輸省の資料によりますと、一九八五年半ばで世界の船腹量のうち、タンカーでは一億重量トン、三七%の過剰、バルクキャリアは五千万重量トン、二二%が過剰というような極端な状態であります。これは積極的な船腹調整が行われなければ、そう簡単に解消される問題ではない。それから為替レートも現在大体一ドル百六十円前後で定着しておるような状況でありまして、二百円程度に回復する見込みも当分ない。こうすると、これはますます苦しくなりこそすれ、改善されるという見通しはないんですけれども、この辺はどう見ておられますか。
  163. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) 御承知のように、我が国の外航海運は不況が深刻化しておりまして、構造不況の様相を呈しております上に、昨年来の急激かつ大幅な円高によりまして海運企業の一層深刻な経営悪化が懸念されているところであります。また、円高によりまして我が国商船隊、特に日本船の国際競争力の一層の低下がもたらされることになっております。  海運企業経営悪化の主要原因は世界的な船腹過剰によるものでありますので、世界的な規模での老朽不経済船の解撤を促進することが必要でございます。我が国の海運企業といたしましても積極的に解撤の促進に努めることにしておりまして、これはもちろんでございますが、世界的にも解撤の促進のための努力を続けているところでございます。また、近海海運業を中心にいたしまして、円高影響を受けております中小企業対策につきましても、特定中小企業事業転換対策等臨時措置法等による所要の措置を講じてきているところでございます。
  164. 田渕哲也

    田渕哲也君 第百四国会の衆議院の運輸委員会において、この過剰船腹についての責任というのは政府にもある、これは当時は三塚運輸大臣と亀井政務次官、やっぱり行政的にもっとちゃんとした措置をとるべきであったというようなことを答弁されております。それからもう一つの原因である円高というのも、これは政府の経済政策、外交政策に起因するところが非常に大きいと言われておるわけです。言うならば、この外航海運の不況というのは政治の責任が極めて大きいのではないか。海運業界は一生懸命合理化、近代化に努力をしたにかかわらず、こういう外部の環境の変化とかそういうことによってこういう事態を招いておるわけでありますから、政府として何らかの救済措置のようなものが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  165. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 局長からも御答弁を申し上げましたけれども、今確かに世界的に船腹過剰の状態が続いております。そして、これは二回のオイルショックをくぐり抜け、それぞれの国の経済状況、また産業構造の変化してくる中で、国際的に荷動きが非常に減少してきておるという実態があることは委員御承知のとおりであります。またその中で、我が国の商船隊に対し、近代化船あるいは超近代化船というものの建造について国が指導してきたことも委員が御承知のとおりであります。  しかし、確かにここしばらくの急速な円高の中で、それでもなおかつ大変採算が厳しい状況に追い込まれておることも私は否定をいたしません。ただ、これは考えてまいりますと、実は北米航路の値崩れ問題とかさまざまな問題がふくそうしてその原因をつくっておることも委員が御承知のとおりであります。  ですから、先般日韓の定期閣僚会議の際にも、韓国の交部部長官に——私のカウンターパートになる方でありますけれども、に対しまして、これは韓国としてもあなたの国の大きな問題ではないんですか、こういう点について事務的にお互いに十分に相談をしながら、これ以上北米航路の採算が崩れないようなことをお互いに考えようじゃありませんかというような話もいたしてきておるわけでありますし、事務的にも大変国観局長以下各国との折衝に努力をしてくれております。そういう形で政府政府として努力をいたしておるということもどうぞ御承知を願いたいと思うわけであります。
  166. 田渕哲也

    田渕哲也君 もともと海運業界というのは非常に浮き沈みの激しい業界ではありますけれども、私はそういう地理的なものだけでなくて非常に構造的なものを含んでおると思うんです。  ことしの七月二十三日の海運造船合理化審議会海運対策部会小委員会で、船主協会は円高不況を口実として、今後二年間に外航二船団所属船員の四割強、一万人を切り捨てるという大合理化案を発表しております。もう既に雇用の問題に非常に深刻な事態を生じておるわけであります。そこに加えて円高が続くとしますと、円高に対応するために各企業は費用のドル建て化を促進するだろう。これは仕組み船化とか、あるいは外国人船員の使用を増加する傾向がますます強まってくると思われるわけです。そして、我が国船員の雇用問題はさらに深刻化していくと考えられますけれども、これに対してどういう対策を考えておられますか。
  167. 増田信雄

    政府委員(増田信雄君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、日本船主協会では傘下の五十二社、船員数で約二万三千人でございますが、五十二社に対しましてアンケート調査をいたしまして、結果的に先生おっしゃいますように約一万人が潜在的な余剰人員であるということを発表いたしております。この数字そのものにつきましては、私どもとしてオーソライズしているわけではございません。しかしながら、日本海運企業を生き残らせていくためには何らかの雇用調整は避けて通れないという認識を持っております。  そのために、雇用問題につきましては、ただいま海運造船合理化審議会及び船員中央労働委員会において御議論を願っておるところでございます。私どもといたしましては、その議論を見つつでございますが、まず第一には海運企業みずからがその企業内あるいは企業のグループの中で職種転換、出向等によりましてできるだけ離職を防いでほしい。さらに一層の御努力を願いたいと思っております。  しかし、同時に私どもといたしましても、海上において職域を確保するような努力について、政府としての支援をいたしてまいりたいと思っております。  しかしながら、海上での職域は、御案内のとおり世界的に船員が余っているような事情にございますので吸収するには限度がございます。そこで、最終的にはやはり陸上の違った職種に転換をしていただかなければいけないと考えております。運輸省だけではなく、関係行政機関の協力を得ながらそのために必要な訓練を続けてまいりたいと思っている次第でございます。
  168. 田渕哲也

    田渕哲也君 船員をやっぱり陸転をしなくてはならないということは避けられないかもしれません。しかし、船員の職種というのは特殊でありまして、陸に上がってもおかに上がったかっぱのようなもので非常に困るということが言われております。したがって、できるだけ海上での職域の確保努力すべきだ。  その一つとして、日本の法人が支配する便宜置籍船が約千五百隻ある。このうち日本の船員が乗っておるのは二百四十九隻、二千四百三名と言われております。この日本の法人が支配しておる便宜置籍船に日本人の船員を一定数乗り組ませるというような、そういうことはできないものですかね。
  169. 増田信雄

    政府委員(増田信雄君) 便宜置籍船は法律的には外国籍でございます。日本の法律をもって外国籍に日本人船員の乗船を義務づけるというのは大変問題があろうかと思います。さらにまた、経済的な裏づけあるいは経済的な論理を無視して、これに行政的介入をして強制して乗せるということも大変問題が多かろうと思います。  しかしながら、先生御指摘のように私どもが海上の職域を開拓するという場合に、便宜置籍船というのはこれからも着目をしなければいけない職域でございます。  私どもといたしましては、便宜置籍船だけではなく外国籍——純粋な外国船を含めまして外国籍の船にも日本人の優秀性が買われて、経済的に合意が成り立った上で乗れ得るように船員の教育訓練を続けてまいりたいと思っております。  そのために、まず船員につきまして、特に単純労働の部員という層がなかなか就職の機会がございませんので、その職員化を図る、あるいは外船に乗りますので英語等の教育を施すとか、より高い技能資格を与えることに努めたいと思っております。  また、そんなふうにしてでき上がってまいりました船員につきましては、海外の船社に対します職業あっせんというのを行ってまいっておりますが、その機能をさらに強化してまいるつもりでおります。
  170. 田渕哲也

    田渕哲也君 船主協会が発表した合理化案の中で、内容は選択定年制の開始年齢を四十歳まで引き下げる、そして四十歳以上の船員一万三千人のうち一万人を退職させ、陸転させよう、そして、その間過剰船員のプール地区を設けて退職船員の陸転教育その他を行う、こういう構想のようでありますけれども、この考え方というのはちょっと国鉄の清算事業団に似ているわけですね、余剰人員を二年の間に陸転させる。ところが、違う点はというと、国鉄の場合は大体受け皿、運輸大臣も全員面倒を見ると言われております。船員の場合は受け皿が極めて不明確であって、全く決まっていない。それにかかわらず二年という極めて短期間の限度しか置いてくれない。しかも二年間の給与はどうかというと、非常に低い水準だというふうに聞いておるわけですね。  私は、国鉄と船員というのは、片や国有鉄道、片や民間の海運会社の違いはありますけれども、日本の国に果たしてきた役割というのは、片や陸の交通、片や海国日本の運輸ということで、やはりその公共性なり果たしてきた役割というのはそれぞれ重いものがあると思うんです。したがって、このような対策で果たしていいのだろうかという気がするわけですけれども、何か政府として考えなくてはいけないのではないかと思いますが、いかがですか。
  171. 増田信雄

    政府委員(増田信雄君) 退職の条件あるいはその受け皿機構については、ただいま労使の間で鋭意検討が続けられております。私どもといたしましては、その検討の結果をまちながらどういう政策支援をすべきか、これを改めて検討してまいりたいと思います。  先生御指摘のようなこれからの陸上へ転換していくために必要な措置につきましては、先ほど申し上げましたように、運輸省だけではなく、関係の機関と相談をしながら必要な措置をとってまいるつもりでおります。
  172. 田渕哲也

    田渕哲也君 船主協会は、それに関連して、政府に対して船員に支払う退職金の融資をお願いする、それからこのプール機構に対する助成を要望しておるというふうに聞いておりますけれども、これに対してどうお考えになりますか。
  173. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  まず退職金の低利融資でございますが、前国会成立いたしました外航船舶解撤促進法によりまして、船舶を解撤をする場合には退職金につきまして債務保証をすることができます。したがいまして、これにより退職金の確保ができると考えております。
  174. 増田信雄

    政府委員(増田信雄君) 受け皿機構についての助成でございますが、ただいま申し上げましたように労使の間でどういうやり方をするか、どういう組織としてつくるかということを議論している最中でございますので、その議論の流れを見ながらまた労使双方と相談をしてまいりたいと思っております。
  175. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、船員の陸転に対する措置として、外航海運をやはり特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用安定特別措置法に基づく特定不況業種に指定すべきだと思いますが、この点はいかがですか。
  176. 増田信雄

    政府委員(増田信雄君) ただいま外航海運のうちのタンカー部門を既に特定の不況業種として指定をいたしております。残ります外航部門について、どの範囲をもって特定不況業種に指定できるかということで関係機関と調整をしている最中でございます。
  177. 田渕哲也

    田渕哲也君 労働省いかがですか。
  178. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 今お話ございましたように、内航海運業等につきましては既に指定されておるところでございます。この外航海運業、タンカーにつきましては先般指定したところでございますが、それ以外のものとなりますと一般貨物が中心であろうと思います。この状況につきまして現在関係省庁あるいは業界団体等からいろいろ事情をお伺いしておるところでございます。その結果を踏まえてできるだけ早く検討の結果を得てまいりたいというところで、今鋭意事情を伺いながら検討しているというところでございます。
  179. 田渕哲也

    田渕哲也君 できるだけ早くお願いをしたいと思います。  それから、こういう現状が続きますと、我が国の商船隊の中で現在もう既に半分程度と言われておる外国用船、ほとんどが便宜置籍船と言われておりますけれども、この比率がどんどん大きくなっていくだろう。それから、したがってこの外航海運そのものが空洞化して、将来は日本の船員というのはゼロになってしまうのではないか。過去十年間を見ましても、過去十年間で約半分に減っております。そうするともう日本人の船員が海運業界にいなくなる、これで果たしていいのだろうか。やはりナショナルセキュリティーの面から見ても、日本船それから日本の船員というものはある程度確保していく政策が必要ではないかと思います。そのためには総量における最低限度どれぐらいは絶対維持するんだというような目標と政策が必要になると思いますけれども、政府の見解をお伺いします。
  180. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) ただいま御指摘のように、便宜置籍船が増大をする傾向あるいは空洞化の傾向という、そういう問題がないとは私も申し上げません。ただ、従来運輸省は、我が国商船隊の中におきまして、日本船を中核として商船隊を整備していくという政策をとっておりまして、これが基本でございますけれども、ただこのような日本船を含む日本の商船隊というものが、日本の荷主あるいは外国の荷主から商業ベースでこれを使ってもらえなければどうしようもないということでございます。そういう観点から、政府としましては従来、計画造船あるいは船舶の特別償却等の税制等におきまして、日本海運企業が何とか船舶を整備できる、日本船を整備することができる環境を整備してきたわけでございます。この枠組みの中で船舶の近代化の推進や運航コストの低減化について私どもは海運企業の一層の努力を期待しているところでございます。
  181. 田渕哲也

    田渕哲也君 海運というのは極めて国際的な事業ですから、なかなか政府が大々的に乗り出すということはやりにくい面があるかもわかりません。しかし先進諸国は、多かれ少なかれ日本海運と似たような面を持っているわけであります。他の先進諸国の例を見ましても、海運に対する政府の助成は日本より大体手厚いんじゃないかと思いますね。  例えば建造に対する補助は、イギリス、西ドイツ、フランスにおいては出ておる。日本はない。それから公的または政府保証による融資、これは日本では計画造船とかいろいろありますけれども、このいわゆる融資の限度とか内容を見ると、やはりヨーロッパ諸国の方がやや手厚いようです。  それから次に償却制度ですけれども、これは日本の償却制度は一番低いわけですね。五年間に償却できる範囲というのは日本では大体六〇%台、イギリスでは七六%、それから西ドイツでは八一%、フランスで九四%、ノルウェーで八三%、アメリカでは一〇〇%、こういうことになっているわけですね。  だから、少なくとも先進諸国並みの助成は各面で講じないと、それは海運業が苦しくなるのは当然だと思いますが、いかがですか。
  182. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) ただいま先生が御指摘になりました建造補助でございますが、これは単に海運に対する助成というよりは造船業に対する助成という面が強く出ております。特にヨーロッパの国々は造船が非常に弱いという観点から、造船業に対する補助ということでちょっと別な性格がございます。  それから公的保証につきましては、先ほど御指摘がございましたように、日本におきましては計画造船の制度がございまして、この制度の適切な運用で私どもは対応していけるんではないかというふうに考えております。  税制につきましては、先生が御指摘のとおり、先進諸国海運に対する税制、船舶の特別償却についての税制は、日本よりも船主にとって有利なものがございますけれども、その差は私どもそれほど大きくないと考えております。ただ、この税制は期限がついている税制でございますので、私どももこの税制を、今日本海運企業が享受しております税制を何とか今後とも維持していきたいと考えております。
  183. 田渕哲也

    田渕哲也君 大臣の海運業に対する御見解をお聞きしておきたいと思います。
  184. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどから委員の御質問と局長以下の答弁で大体の問題は出尽くしたように思います。ただ、例えば委員が御指摘になりませんでしたけれども、アメリカのその差額運賃補助のように、国防上の理由という全く異質な目的で行われている制度もあるわけでありまして、確かに今の税制のように私どもがやはり努力をしなければならないテーマと同時に、各国のそのやり方には必ずしも日本がそのままに採用できるものばかりがあるわけではない、そのように思います。  また、ナショナルセキュリティーの御議論がありましたが、これとは離れて、やはり委員が言われたように、日本人船員がゼロになるような事態というものはこれは私どもはどんなことがあっても避けなきゃなりません。そして、これからの日本人船員というものに求められるものと言えば、より少数精鋭化された船に乗り組んで、超近代化された船を運航し得る高度な船舶運航技術の持ち主であることと同時に、その有する技術というものが海のみではなく陸上諸部門にも使えるような、いわば多目的の技術者である必要も出てくるのではなかろうかと思います。と同時に、やはりそうした高度の技術というものを、これから先将来の外航海運というものを考えても、我々は国策的にも保持をしていかなきゃなりません。  今ちょうど国鉄雇用対策委員は比較してお述べになりましたが、確かに我が国の海運というものは、今日の日本を築く上で大きな役割を果たしてきた重要な産業であります。同時に、これは私どもの所管ではございませんけれども、敗戦後のエネルギーの中核をなした石炭というのがいつの間にか時代の流れの中で次々に閉山をしていくというような状態も生まれてまいりました。その意味では時代の移り変わりの中でさまざまな産業があるときは興り、あるときは衰微の道をたどっていくわけでありますけれども、これらのそれぞれの過去に果たした役割というものを我々は考えなければならないことは当然でありまして、政府が今国鉄の問題とは離れて雇用対策本部を設置し、これらの産業における転換の中で生ずる離職者に対して雇用の道を開こうと努力をしておりますこともこの機会に御承知を願いたいと考えております。
  185. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  186. 中野明

    委員長中野明君) 本日の調査はこの程度といたします。     ─────────────
  187. 中野明

    委員長中野明君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 中野明

    委員長中野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 中野明

    委員長中野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会