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1986-12-10 第107回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 愛知 和男君    理事 北川 正恭君 理事 高村 正彦君    理事 中村  靖君 理事 鳩山 邦夫君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君    理事 池田 克也君 理事 林  保夫君       逢沢 一郎君    青木 正久君       井出 正一君    古賀 正浩君       佐藤 敬夫君    斉藤斗志二君       谷川 和穂君    渡海紀三朗君       松田 岩夫君    渡辺 栄一君       江田 五月君    沢藤礼次郎君       中西 績介君    馬場  昇君       鍛冶  清君    石井 郁子君       山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         文部大臣官房長 古村 澄一君         文部大臣官房総         務審議官    川村 恒明君         文部省初等中等         教育局長    西崎 清久君         文部省教育助成         局長      加戸 守行君         文部省高等教育         局長      阿部 充夫君         文部省学術国際         局長      植木  浩君         文部省社会教育         局長      澤田 道也君         文部省体育局長 國分 正明君         文化庁次長   久保庭信一君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   小杉 修二君         法務省人権擁護         局調査課長   落合 紹之君         文教委員会調査         室長      高木 高明君     ───────────── 十二月九日  私学助成増額等に関する請願小渕正義紹介)(第二二二三号)  同(西岡武夫紹介)(第二二五〇号)  大学図書充実等に関する請願沢藤礼次郎紹介)(第二二二四号)  義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願青木正久紹介)(第二二四九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 愛知和男

    愛知委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤徳雄君。
  3. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 きょうは、大臣所信表明に対する質問最後段階になりまして、御承知のとおり、延長された臨時国会も間もなく終わりに近づいてきたわけであります。同時に、来年の通常国会に向けて、それぞれ教育問題がさらに大きな争点となって、論議をしなければならない課題がたくさんあると私は思っているわけであります。時間もきょうは四十五分という短い時間に限られておりますので、端的に幾つかの問題について、大臣並びに文部省当局に対してお尋ねをいたします。  まず第一は、去る十二月四日の各新聞にそれぞれ公表されましたが、大蔵省が、六十二年度分として約一兆百億円に上る新たな削減の打診を自治省の矢野財政局長に行われたという記事であります。これを見ますと、とりわけ文教予算の中で問題となっておりました義務教育費国庫負担金を地方自治体に肩がわりさせる、こういう内容であります。これは大臣承知のとおり、先般我が党が特別委員会をつくりまして、重立ったメンバーが文部大臣自治大臣あるいは大蔵大臣等とお会いをいたしまして、それぞれ私どもの考えなり意見を申し上げて、要請をしてきたところであります。大臣もお相手をいただきまして、ありがとうございました、十分御承知のはずなのでありますが、予算編成のかなり重要な段階が差し迫っておりますし、そして各地域でもあるいは各学校でも、それぞれ重要な問題としてこれをとらえているわけであります。  まさに、昨年は旅費あるいは教材費が一般財源化された。きょうは時間がありませんからその問題にまで触れることはできませんけれども、さらに来年度は、先ほど申し上げたような国庫負担適用除外という、まさに考えられないような事態が起ころうとしているわけであります。国庫負担制度の根幹にかかわる問題、こういうふうに私は思いますが、大臣見解お尋ねいたします。
  4. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 お尋ねの件は学校事務職員並びに栄養士の国庫負担制度の問題だと思うのでございますが、この点につきましては、私は再三この委員会等お答えを申しておりますように、この両職員につきましては今や学校運営上基幹職員として我々もこれを重視しておるところでございますし、したがってこの制度を維持することは当然のことだと思っております。  つきましては、昨年十二月のたしか二十一日であったかと思うのでございますが、予算編成時におきまして、自治大蔵大臣の両方の間で、国庫負担制度等に関する全般の問題でございますが、補助金等も入れまして、国と地方との関係現状、つまり昨年の予算編成時において決定したことは以降三年間これを遵守するという確約がございます。私はそういうことを踏まえまして、六十二年度の予算編成に際しましては、義務教育に関する国庫負担制度、こういうものに対して一切新しい事態をつくるということはできない、この制度を堅持しなければならぬ、これは両省の間で認めておるということでございますので、私もその方針を堅持して、ぜひこれは現状を維持していく、最後まで私はそれで行きたい。しかし現在、その問題で何も言ってきておりませんので、こちらからこの問題どうですかと言うわけにもまいりませんし、私は、これはもう間違いなく現状を維持できるものだと思っております。
  5. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大変心強いお答えをいただきました。だが実は、安心するわけにはいかないわけであります。いろいろな動きがあるようでありますが、さらにお尋ねいたしたいのは、事務職員は仕方がないけれども栄養職員だけはなどというようなことにはしてはいけないし、なってはならないと思うのですが、その点大臣いかがですか。
  6. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど申しておりますように、この二つの職種につきましては、学校運営上、もうどちらが優先とかそんな順位をつけるべき問題ではなくして、学校運営上必要な基幹職員であるという認識に変わりはございません。
  7. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私どもも私どもなりにそれぞれ行動を起こしたり問題の提起をいたしますから、どうぞひとつ頑張っていただきたいと思います。  大臣でなくても結構でありますが、現在の進行状況は、一体どういう折衝過程といいますか、どうなっているんでしょうか、もしお答えできれば……。
  8. 加戸守行

    加戸政府委員 ただいま大臣お答え申し上げましたように、公式な形でのお話は参っておりません。ただ、大蔵財政当局の方におきましては、負担金制度の見直しという観点から幅広な検討はされているように聞いておりますし、そういった非公式な感触の中にありましても、先ほど大臣お答え申し上げましたように、文部省立場として、例えば学校事務職員あるいは学校栄養職員といった基幹的な職員についての負担制度を外すことについては文部省としては絶対反対であるという考え方で、そういった気持ちなり感触なりは財政当局の方にお伝えはしているという状況でございます。
  9. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、文部省当局もさらに気を緩めることなく頑張っていただくことを要請いたしまして、次に移らせていただきたいと思います。  きのうの夕刊ないしはきょうの朝刊にかなり大きく掲載をされている問題であります。つまりきのうの夕刊は次のように報道しているわけでありますが、十二月の九日午前三時ごろ、講談社五階の写真誌フライデー編集局内で、同誌取材方法に抗議しに来た人気タレントビートたけしと弟子グループたけし軍団の十一人が、同誌編集次長ら五人に傘で殴りかかるなどの暴行を加え、通報で駆けつけた大塚署員傷害暴力行為現行犯で逮捕されたという記事であります。まあ人気タレントでありますから、そういう意味で大きく報道された嫌いがないとは言えないかもしれませんけれども、そう多くの時間をかけるつもりはありませんが、警察庁の方、いらっしゃっていましたら、事件の事実経過について説明してください。
  10. 小杉修二

    小杉説明員 お答えをいたします。  お尋ね事件は、今御指摘のように、昨日の未明午前三時十分ごろ、文京区所在の講談社の五階、フライデー編集室に、タレントという職業が本当にあるのかどうか知りませんが、通称タレントなる職業ビートたけしこと北野武、三十九歳でありますが、これほか十一人が強引な取材に抗議するために押しかけたけれども応対不満であった、同社の社員五人の態度が横柄だということで憤慨をいたしまして、編集室内にあった雨傘だとかあるいは小型消火器を振り回しながら、こもごも殴る、けるの暴行を加えて、その五人の方に顔面等擦過傷等傷害を与えたという事件であります。  この事件を認知した所轄大塚警察署では直ちに出動いたしまして、北野武ほか十一人を暴力行為等処罰ニ関スル法律違反現行犯といたしまして逮捕をいたしておるところであります。  ただ、その後の調べの結果、犯行を十分認めており、また現行犯という明白な証拠がございますので、しかも証拠隠滅、逃走のおそれがない、こういうことで昨夜の午後五時二十五分に全員を釈放いたしております。
  11. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 事実経過についてはわかりました。  それで、暴行をする動機ですね、それから背景、そういうものをもし差し支えなければお聞かせいただきたいと思います。
  12. 小杉修二

    小杉説明員 これは今、検挙した被疑者を取り調べ、彼らの言い分を聞いた段階でございますので、確定的なことは申し上げかねますけれども被疑者北野武等フライデーのこれこれの取材が非常に不満である、大変けしからぬというような気持ちで抗議に訪れた結果、先方が必ずしも意に沿うような応対をしなかった、それでしゃくにさわってやった、こういうことで、犯行は全部認めております。一応、動機は現在のところそういうような状況でございます。
  13. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 言論の自由、表現の自由、これらについては御承知のとおり憲法で保障されているところであります。同時にまた、個人人権についても憲法はこれを保障いたしまして、何人も個人人権を侵害してはならない、こう規定されているわけであります。つまり憲法第十一条、さらに第二十一条の問題でありますが、同時にまた、取材活動の自由あるいは報道の自由も拘束を加えることも許されません。しかし、そのことによって個人人権、プライバシーが著しく侵害された場合に一体どうなるのかということなんでありますが、そういう一つの問題をこの事件提起をしたのではないかと考えられるわけであります。非常に難しい問題だとは思いますが、かなり関心も呼んでいる問題でありますから、法務省の方、来ていらっしゃいましたら、ひとつ法務省見解お尋ねをいたします。
  14. 落合紹之

    落合説明員 お答えします。  本件の事実につきましてはまだ事実関係を詳細に承知しておりませんので、この場で意見を述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、 一般的に、最近、写真週刊誌等取材報道にやや行き過ぎがあるのじゃないかという強い批判があることは承知しておるわけでございます。今先生もおっしゃいましたように、報道の自由と個人人権の問題につきましては、我々人権擁護機関としましても、法令に違反するなど明らかに人権侵害があると認められるものにつきまして、人権侵犯事件として対処し、所要の措置をとってきているところでございます。  ですが、この問題は、先生の御指摘のとおり憲法に保障されております表現の自由、報道の自由と密接にかかわるものでありますので、マスコミの関係者におかれまして自主的に基準等をつくるなどして解決されるのが望ましいのではないかというふうに考えております。
  15. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、ついにここまで来たなという感じをきのうの夕刊を見て感じ取ったわけであります。しかし、いかなることがあっても暴力行為は許されるべきものではありませんし、もちろん容認もできないわけであります。芸能人やスポーツ選手、時によっては政治家写真週刊誌の標的にされて、かなり世間をにぎわせているという例が実は過去にもあるわけであります。ただ、そういう条件をつくらなければそういう事態は生まれないわけでありますが、いろいろこれからも議論が多くされると思いますけれども、せっかくの機会ですから文部大臣所管でありませんが、お聞きになった感想なり見解をお聞かせください。
  16. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、全く所管事項じゃございませんが、政治家としてこの問題を見ておりまして実は非常に憂慮しておる一人でございますが、この事件本質から見まして、最近は週刊誌が余りにも商業主義に走り過ぎておると私は思うております。その商業主義が、いわば刺激をきつくきつくというそういう傾向を露骨に出してきておること、これは私は読者の批判も相当きつくなってきておるだろうと思うておりますけれども、ますますそれがエスカレートしつつあるような感じがするのであります。  それから、もう一つ私が感じますのは、確かに憲法におきまして表現の自由、報道の自由というのは保障されておりますし、我々もそれを尊重しなければなりません。しかし、だからといって、これが何か特権的なもののように思われては非常な誤解だろう、私はこう思うのであります。そういう点が、最近のこの報道活動取材活動と言われるそういう中にあるような感じがして、私は非常に残念に思うておるのでございます。  しかし一方、この犯罪を起こしましたタレントの集団ですかというものも、夜中に事務所を訪れて暴力を振るうということは、やはり現在の民主主義社会においてこれは許されるべきものではない、これは非常に間違ったことをしたと私は思うております。しかし、あのときに編集局人等がおったといたしますならば、なぜもっと話し合いをしなかったのか、話し合いがどんな程度に行われたのか、私はこれが実は大事な問題だと思うのです。先ほど申しました報道の自由、それから取材の自由とかいうようなことをもし盾にして話し合いが十分に行われない間に暴力に走ってしまったというか、この関係が実はこの問題を考える場合に一番大事な問題だ、私はそのように認識しておるのでございます。  いずれにいたしましても、最近の週刊誌商業主義競争激化から刺激的になり、これがこういうことを積み重ねまして青少年教育に悪い影響を与えるようなことになったら困る、こういう気持ちを私は今持っておるところであります。
  17. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 けさの朝日には後藤田官房長官談話も載せられているのですね。囲み記事ですから、そういろんなことをお話ししても凝縮されて記事にされたのだと思いますが、官房長官談話より立派な御見解なので感心をいたしました。この問題はこれにて終わりまして、次の問題に入ります。  大臣所信表明がありましたが、各党それぞれの方々から所信表明に対しての質問がなされて、大臣見解ども表明されてきたところであります。大臣所信表明の中で、特に冒頭に「私は、教育改革担当大臣として、国民の期待に沿った教育改革実現に全力を傾けるとともに、当面する文教行政の諸課題についても、着実に施策を進めてまいる決意であります。」と述べておられます。主要な課題についての基本的な考え方として六つ挙げておられまして、すなわち、その第一は「初等中等教育改善充実」、そして「大学改革推進」、「学術研究振興」、そして「私学振興」、「社会教育体育スポーツ及び文化振興」、「教育学術文化国際交流推進」、この六項目を列挙されているわけでありますが、いずれも重要な課題であることは言うまでもありません。  そこでお尋ねをいたしますのは、国民が今求めている教育改革中身は何だと把握されておりますか。さらにまた、担当大臣として、所信表明の演説、文章ですからそう多くを語ることができなかったと思いますけれども塩川大臣改革重点をどこに置かれているのかひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  18. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 教育課題という問題につきましては、先ほど申されました六項目教育課題だと私は思うておるのでございますが、しかし、教育ということがイコール学校ということとこれを狭義に解釈されてしまう場合がございまして、学校ということについて申しますならば、私はやはり初等中等教育改善ということに尽きると思うのでございます。その初等中等教育の中で一番重点は、やはり私は先生資質向上、これにあると思うております。  この学校教育の中で、初等中等教育のほかに実は大学活性化ということも私は大事な政策だと思うておるのでございまして、この大学活性化、すなわち研究体制を再度活性化していくということを、私は今回の予算の要求の中におきましても重点に置いておる次第でございます。  同時に、もう一つは、現在私立学校が我が国の教育大学並びに幼児教育高等教育等におきましても非常に大きいウエートを占めておりますので、この私立学校の健全な発展をするための振興策を絶えず心がけていかなければならない、こういうことを重点に置いて学校教育に取り組んでおる次第であります。
  19. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 前文部大臣がこの文教委員会論議をすることなく解任をされてしまいましたから、それはさておいてにいたしましても、海部文部大臣のときにかなり私も当時いろいろなやりとりをさせていただきました。第百四回国会における文部大臣所信をいま一度私は読み直してみたわけであります。そういたしますと、当時私と議論をしたことがさまざま思い浮かぶわけでありますが、特に百四回国会時においての文教委員会の焦点は、偏差値教育による過熱した受験競争の問題が各党から問題が提起をされて議論をされてきたわけであります。そしてまた、大臣所信表明の中でも、偏差値教育に対する考え方、あるいは健全で伸び伸びとした中学校教育実現高等学校入学選抜方法改善教育条件の整備、そして四十人学級の推進と、具体的にこれが提示をされていたわけであります。  同じ中曽根内閣の閣僚として引き継がれたわけでありますから、そう変化はないと思いますけれども、今申し上げました偏差値教育の問題に対してどういう考え方をお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  20. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これはもう全く望ましくない事態だと思うておりまして、これは単に学校だとか生徒あるいはそれを担当しておる先生、こういう問題ではなくして、私は、偏差値の問題はイコール社会の問題だ、大人の問題だと思うております。これは、学歴社会というものが厳然として容認されておる現在の社会において、偏差値だけのことを学校の現場で是正していけといってもしょせんなかなか難しいことであろう。私はやはり社会学歴社会を否認するようなそういう社会にならなければ根本的に改正されないと思うております。  とはいっても、学校としては、できるだけ受験地獄の苦しみを学生から取り除くため何かそれにかわるべき方法はないかといろいろ考えておりまして、御承知のように共通一次テストというのが、これが偏差値教育に輪をかけた、ドライブをかけたものになってきておる現状を見まして、新しいテストに移行しようとして現在鋭意その移行への努力を準備しておるところでございます。
  21. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大臣承知のように、いじめの問題を初め非行の数々、まさに痛ましいような、胸の痛む事件が続出をしているわけでありますが、とりわけ、やがて年が明けるわけでありますけれども、一月の段階から子供たちの心理が非常に変化をしてまいります。それは御承知のとおり高校入試という目前の状態でございまして、心理的にも相当な影響を及ぼすことは理解はできるわけでありますが、何といってもやはり受験競争の過熱、しかも偏差値教育ということがありまして、そういう意味では、何とか高校入学選抜方法改善をひとつ大胆に提起をしてやらないと、こういう傾向がなくならないのではないかという感じを私は受けるわけであります。これでいいなどとはだれも思っておりませんし、特に中学校三年の子供たち気持ちの上に立った、そして二十一世紀を担うであろう現代の子供たち立場に立った今日の教育、とりわけ高等学校入学選抜改善の問題については子を持つ親たちがかなり関心を持っているところであります。これからの改善の具体的な方法等があればひとつお示しをいただきたい、こう思います。
  22. 西崎清久

    西崎政府委員 先生指摘のとおり、偏差値教育の是正におきまして高校入試選抜改善というのは、大変大事な一つの大きな要素でございます。  この点につきましては、五十九年七月に、当時の初中局長名で、各都道府県教育委員会に対し、入学者選抜にかかわるいろいろな改善事項について指導しておるわけでございます。この指導の中身につきましては、先生も既に御案内のとおりでございますが、例えば受験機会複数化であるとか、あるいは受験選抜に当たってのいろいろな調査資料複数検討資料を使って選抜を行うとか、推薦入学の問題とか、いろいろな点について各都道府県に指導したところでございまして、その後、各都道府県においては、入学者選抜について地域の特性に基づきましていろいろ改善工夫を行っておるところでございます。  ただ、例えば受験機会複数化などの問題につきましては、まだもう少し各都道府県でも考えていただく必要があるのではないかというふうなことも私ども考えておりまして、いろいろな機会に私どもは各都道府県と接触を密にしまして、この点についての改善の実が上がるように努力してまいりたいというふうに思っております。
  23. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 関連をいたしまして、六十一年の十月二十日に教育課程審議会が発表した「教育課程基準改善に関する基本方向について」の中間まとめの問題について、お尋ねをいたします。  全体を通しましてありますのは、幾つかあるわけでありますが、必ず最後段階になりますと、何々であるとの意見がある、それからおおむね次のような方向でさらに検討する、あるいは引き続き検討する、あるいは何々するのが適当であると考える、これで締めくくられていますね。中間まとめですからやむを得ないと私は思うのでありまして、まだ時間的にもかなり余裕がありますから幾つかの議論をしなければいけないとは思いますが、今その具体的な中身について触れてみても、検討する段階であるとか適当であると考えるなどというお答えをいただいたのでは今の段階で適当でありませんから、私はきょうはその部分については触れません。ただ基本的な問題についてお尋ねしたいのは、現在の学校教育がぶつかっている問題の本質、それから今子供たちの成長を阻害している実態の本質は何であるかということをきちんと整理をされて、分析をされて、教科書の中に生かしていくべきじゃないかと私は思いますが、御見解を承ります。大臣でも局長でもどっちでもいいです。
  24. 西崎清久

    西崎政府委員 先生指摘のとおり中間まとめでございまして、まだ教育課程審議会としての最終結論は来年の十二月になると思います。その時点でさらに審議が深められて、課程審議会としての考え方が示されると思いますが、今回の中間まとめにおきましても、「改善のねらい」という四つの柱が掲げられておりまして、やはりその改善四つの柱の中には、子供に対する豊かな心の形成とか、基礎・基本、あるいは国際社会における日本人の育成、いろいろな教育課程審議会の今回の教育課程改善、それは言ってみますれば、先生指摘の、今教育が当面している、ぶつかっている問題に対してどうこたえるかという点についての教育課程審議会としての教育内容面に関するねらいがそこにあらわれておると思うわけでございますが、そういう点につきましても、具体的には、最終段階でさらに深められていろいろと答申をいただけるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  それからもう一点、このような意見がある、あるいはこういうことを考えるのが適当であるというふうな中間まとめ表現がございますが、中間まとめという性格上、審議のプロセスにおいて積極意見、消極意見があることについて若干併記的な形で載せておるというふうな問題がございまして、答申の段階では課程審議会としての最終的な結論が明確にそれぞれの事項について示されるというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。
  25. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 点数ではかれる学力の向上を目指す机上の学習が貴重な子供たちの成長期を塗りつぶしているのではないか、こんな感じを現実から考えて私はそう受けとめざるを得ません。  そこで、これまた基本的な問題でありますが、中学校での選択の履修の拡大、これは中間まとめにありますね。三年生から二年生におろして選択履修を拡大するという中身のようでありますが、どうもこのこと一つを考えてみましても、子供たちの心豊かな成長どころか、高校の格差の存在を当然の前提にした進路選別の早期化につながっていくんじゃないか、こんな心配もするわけでありますが、できれば大臣ひとつお答えください。
  26. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 格差拡大を心配されておりますけれども、一方におきまして、教育課程審議会等におきましても、各科目に多様性を持たせよということを言っておられますし、そこらの権衡をどうとるかということだと思うのでございますが、まあしかし中間まとめ段階でございまして、私たちはこれに対してとやかくの批判をする立場にはまだないと思いますが、そういう御議論等が国会でいろいろあるということがやはり教育課程審議会委員の方々にも耳に入っていっているだろう、こう思うております。  しかし、いずれのことをやりましても功罪相半ばするわけでございますが、多様化という問題とそれから選択の科目をどの程度に時間を配分するかということは、これからの議論を待って文部省としても方針を決めたいと思うております。
  27. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 先ほど局長の方からお答えをいただきましたとおり、やはり私は、子供たちの成長を阻害している実態の本質をきちんと見抜きながら、そして学校子供の現実に対応する大胆な見直しが必要であると思いますし、そういう観点に立って臨教審なりあるいは中教審も議論を続けてほしい、こう願っているのでありますが、いかがでしょうか。
  28. 西崎清久

    西崎政府委員 教育課程審議会中間まとめを十月二十日に発表になられました後、初等分科会、中学校分科会、高等学校分科会、三つの分科会に分かれまして、それぞれの学校段階における教科・科目の目標、そして教科・科目の内容について分科会としての審議を詰めていただいておるところでございます。したがいまして、そのプロセスにおきまして、先生指摘のような教育における各段階の当面するいろいろな問題点も含めて、教育内容のあり方、その目標について御審議いただけると私ども期待しておりますし、文部省も事務局として精いっぱい努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それじゃ問題を別に移します。  地方公務員法第三十八条についての説明を求めます。
  30. 加戸守行

    加戸政府委員 地方公務員法の三十八条におきましては、いわゆる地方公務員の兼職、兼業の禁止規定でございまして、任命権者の許可を得なければ、報酬を得ていかなる事務または事業にも従事してはならないという規定が設けられておりまして、本来の職務に専念することを建前としつつ、一定の条件に基づいて許可を得れば他の仕事にも従事することができる、その場合には、任命権者、具体的には読みかえ規定がございまして、教職員の場合には市町村教育委員会という読みかえ規定がございますけれども、任命権者の許可を必要とする、こういう規定でございます。
  31. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 教育公務員特例法第二十一条についての説明を求めます。
  32. 加戸守行

    加戸政府委員 教育公務員特例法第二十一条の規定は、先ほど申し上げました地方公務員法三十八条の一般的な兼職、兼業の禁止規定の特例に相当するものでございまして、教育公務員の特殊的な性格上、他の教育に関する仕事、事務または事業に従事する場合につきましては、任命権者、県費負担教職員にありましては、市町村教育委員会の認める場合においては、給与を受けあるいは受けないで、他の教育に関する事務事業に従事することができる旨を定めたものでございます。
  33. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 重ねてお尋ねをいたしますが、地方公務員法第三十八条に違反した場合の罰則規定はありますか、ありませんか。
  34. 加戸守行

    加戸政府委員 地方公務員法第三十八条に違反した場合におきましては、いわゆる懲戒処分その他の行政的な措置は対応してとられるわけでございますけれども、罰則は設けられておりません。
  35. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、さらにお尋ねをいたします。  一般的に、現場の教師が勤務時間内あるいは勤務時間を超過することを含めまして、謝礼金をもらった場合については法に抵触をいたしますか、いたしませんか。
  36. 加戸守行

    加戸政府委員 具体的事例に即しないと微妙な問題でございますけれども、法の精神といたしましては「報酬」あるいは「給与」という書き方をしておりまして、通常の労働の対価としては考えられない感謝の気持ちの謝礼というものを受け取ることにつきましては、法律が直接規定するところではないと考えております。
  37. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それが一定期間継続をされて受け取っている場合、労働の対価とみなすかどうかは議論のあるところでありますけれども、継続をして例えば半年とか十カ月間とか、毎月決まった金額を謝礼金としていただいている場合については、これは法の抵触に該当いたしますか、労働の対価とみなしますか。いかがですか。
  38. 加戸守行

    加戸政府委員 まことに微妙な問題でございますけれども、その謝礼の性格をどう判断するかということにかかってくると思いますが、極めて長期間に一定の定額という形になりますと、労働の対価的な色彩を帯びるという可能性はあるわけでございまして、謝礼あるいは謝金そのものについては、基本的には「報酬」、「給与」とは見ないということを私が申し上げましたけれども、実態的なそれのケースによりましてはそのボーダーラインになる場合もあり得るだろうと思われます。
  39. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 具体的問題を提起しないままお尋ねして恐縮でありましたが、実は十二月三日付の朝日新聞全国版に、朝刊でありますが、私の県、福島県のいわき市で起こりました謝礼を取って補習授業を行ったという新聞記事であります。これをきっかけといたしまして、自分の県の恥部をさらすようでまことに私も気が引けるわけでありますけれども、しかし、これはほうっておけない社会的にもかなり重要な問題として今提起をされている問題でありますから、さらに新聞等を見ますと、文部省の担当官からの談話ども何回か載せられてきているわけであります。見出しが「謝礼取って補習授業 いわき市の公立中学 教委指導に耳貸さず」、四十二校中三十九校が実施、「有数の受験激戦区」、こうあるわけであります。いろいろお調べになっていると思いますが、この問題について県の教育委員会の方から報告が上がっていると思いますけれども、その実態についてもしおわかりでありましたら説明をいただきたいと思います。
  40. 加戸守行

    加戸政府委員 御指摘の事例につきましては、福島県教育委員会の方に照会をいたしましてある程度の実態は承知させていただいておりますが、具体的には、いわき市におきます学校数四十二校中三十九校におきまして、いわゆる補習授業に対します謝礼を受け取っているという実態がございます。残り三校は受領はしていないということでございます。  受けております謝礼の内容としましては、時間決めの謝礼を渡しているのが三校、月決めの謝礼が十一校、それから年二、三回に分けての謝礼が二十三校、年一回まとめて謝礼を渡すというのが二校ということで、合計三十九校という実態でございます。
  41. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 実態をお聞きしましたからそういうお答えになっているわけでありますが、県の教育委員会が、謝礼金などをもらって社会的ひんしゅくを買うような行為をしてはならないという通達を出したと思いますが、もし知っておりますればその内容をお知らせください。
  42. 加戸守行

    加戸政府委員 六十一年の十二月八日付で、県の義務教育課長から各教育事務所長に対しまして、「学校が行う当然の指導に対して金品等の謝礼を受けとるなど、世間のひんしゅくをかうことのないように十分留意すること。」といったような内容を含めました通知が出されております。  それから、それ以前でございますけれども、適正な進路指導の推進等に関しまして各種の通知が出されております。  それから、県の中学校長会に対しまして、本年の十月二十五日でございますが、課外学習指導による謝礼金の受領により世間のひんしゅくを買うことのないよう留意するよう指導を行ったということを、各地区中学校長会を通して確認したというようなこともございます。
  43. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私の手元にも、コピーでありますが、教育委員会の指導通達を持っております。かなり立派な内容なんですね。今受験期を間近に控えている子供たちの心配もありますから、子供たちの心理を揺さぶるようなあるいは心配するような方向で問題提起をするつもりは私はありません。しかし、この中にはかなり基本的に論議をして解決をしなければならない、あるいは文部省自体も解決が迫られている、あるいは県教育委員会、市町村教育委員会も迫られている課題なり問題点がたくさんあると私は受けとめているわけであります。残念ながらもう時間が来てしまいました。それで、十二日の日の一般質問にまた私がやる予定になっておりますから、引き続いてこの問題について少し具体的に問題を提起しながら見解を承りたいと思いますので、きょうはこの辺でやめさせていただきます。  大臣、どうもいろいろなことをお尋ねいたしまして恐縮でありました。私の質問を終わります。
  44. 愛知和男

    愛知委員長 鍛冶清君。
  45. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 鍛冶でございます。  最初に、先ほども質問があっておりましたが、昨日来報道されております、あのビートたけしさんがフライデーに押しかけて暴行を振るったという件で、若干お尋ねをしたいと思います。先ほど大臣の御答弁をお聞きしまして、個人的には私も全く同感でございますが、また違った角度で、また重複するところは御理解をいただいて御答弁いただきたいと思います。  最初に法務省の方、おいでいただいておりますか。——じゃ、こういう関係法務省の方に訴えがあっていろいろな処置をされたことがあるとお聞きしておりますが、そういう件数並びに内容について簡単にお答えをいただきたいと思います。
  46. 落合紹之

    落合説明員 お答えします。  最近、我々人権擁護機関が取り扱いました写真週刊誌人権侵犯事件は二件ほどございます。その二件につきましては、いずれも勧告という処理をいたしております。  簡単に事例を御紹介いたしますと、一件は本年十月にフライデーに対しまして勧告した事例でございまして、これはフライデー誌に「「いい関係」井上ひさし氏が語った「噂の女性」との真実」という題名で、その問題となった女性の方の、Aさんと申しますか、その方の写真が載ったという事案でございます。この写真掲載につきましては、掲載前にAさんの方からフライデー誌の方に対しまして、それを掲載することは肖像権、名誉権等の侵害に当たるもので、絶対に認めることはできないと抗議されたにもかかわらず掲載されたという事案でございます。これに対しまして我々としては、Aさんは平穏に生活している一市民だ、いわゆる公的な存在でもない、またこの写真掲載が公共の利益に資するものでもないということで、今後再びこういうことがないようにということで勧告いたしております。それからもう一つの事案は、昭和六十年の七月にフォーカスに対して勧告した事案でございます。この事案は少年の被疑者の顔写真を載せたという事案でございまして、これは少年法に関しまして、いわゆる少年に関する刑事事件についての非公表の原則を無視した事案ということで、同じく、今後こういうことがないようにということで勧告をやっております。  以上でございます。
  47. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 勧告をしたということで今事例を二つお答えをいただきましたが、この勧告については、訴えられた相手、勧告した相手の方には何か拘束といいますか、効果というものは考えられるのでしょうか。
  48. 落合紹之

    落合説明員 勧告というのは、私どもの内部で定めております行政上の処置でございます。勧告は文書をもちまして人権侵犯の事実を摘示しまして行うわけでございます。人権擁護機関の目的は制裁にあるわけじゃございませんで啓発にございますので、その勧告前あるいは勧告を通して今後こういうことがないようにということで自粛を求めていくという形のものでございますので、その法的な効果とおっしゃいますと直接の効果はないかというふうに思いますが、我々の勧告に対しまして十分対応していただけるものというふうに期待しておるわけでございます。
  49. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 その後どうでしょうかね。ちょっとお答えしにくい質問かもわかりませんが、勧告をなさってからその業界の方では勧告の趣旨を理解して多少自粛されているようだとかそうではないとかいうふうな御判断、ちょっとお答えがしにくいかもわかりませんが、どうでしょう。
  50. 落合紹之

    落合説明員 非常に微妙な問題でございまして、写真週刊誌を見てその結果が出たとも判断できませんし、また写真週刊誌の内部の方でどういうふうにお動きになっているかという点については情報を掌握しておりません。
  51. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大臣にも、先ほどお答えはお聞きいたしましたけれどもお尋ねをしたいのですが、僕は幾つか問題点があると思いますし、これは文教、文部大臣所管される省庁の問題とは、若干関係あるにしても直接的ではございませんから難しいところがあるのですが、あえてお尋ねをするわけですけれども、私なりに考えてみていろいろ問題があると思います。  解決を暴力に訴えたということは断じて許されない、これははっきりそう思うのです。ただ、こういう事件がありますと、普通ならば、暴力に訴えて解決をしようとしたということで、世間の世論というものは、いろいろなアンケートがあったりいろいろなことをしてみても、暴力はけしからぬという方に重点を置いたお答えが返ってくるという場合が多かったように私は記憶しているわけです。ところが今回の場合は、新聞の見出しまで「快挙」であるとか、これは新聞が書いているのじゃなくて一般の方がそういうふうに言っているというようなこと、「暴挙」であるとか、賛否両論あるわけですけれども、やはり今度のことが与えた影響というのは非常に大きい。特に、事を起こした本人のビートたけしさんというのは子供立場で見ると英雄視されているわけですね。それがこういうことを行ったということで、子供たちに対する影響は随分大きいだろう。小さい子供じゃございませんでしたけれども、きょう質問に立つまでに何人かの若い人たちに聞いてみたのです。そうしたらほとんどが、たけしさんがかわいそうだ、こういう言い方をするわけですね。向こうに同情的なんです。こういう風潮が知らず知らずのうちに、みんなで渡れば怖くないというようなことで、暴力をやったっていいということになることが極めて心配で警戒しなければならぬと思いますけれども、また、そういうことを起こす側の原因というものも真剣に考えるべきだろう。特にFF現象というような流行語を生むぐらいに最近はエキサイトしてきておりまして、御承知のように今五つばかりが、マスコミ等で、また我々もいろいろ聞くのによると、業界で争いが起こっていて発行部数の拡大を競っておる、こういうふうなことを聞いておるわけです。その出版社は私も知らなかったのですが、私自身は余り読むことが少ないものですからわからなかったのですが、新聞に出ているのを拾ってみましたら、フォーカス、これは新潮社というところから出したのですね。それからフライデー講談社です。エンマというのが文芸春秋社、タッチというのが小学館、フラッシュというのが光文社。この中で光文社は若干小さいのかもわかりませんが、ほかの出版社というのは実は大手ですね。私たちが理解しているのは、出版業界では大変大手でむしろ良識を持っていろいろやっていただきたい、リードしていただきたいところが出版をなさっておられる。それの中で起こった事件ですから、出版業界をリードする各社が争ってこういうことをやっていて、こういうことが起こったときに、非常に微妙なことなんですが、新聞の報道によれば、我々の取材には決して悪いところはなかった、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。  ところが、これに対する対抗手段としては、さっきも法務省からお話がございましたが、人権擁護局に訴えても、仮にこれはよろしくないと認められても勧告ぐらいしかない。あとは裁判に訴えるしかないということになると大変に時間もかかりますし、プライベートな問題だと御本人もまたさらしものになってしまうということになりかねない。非常にその間のプライバシーなり人権なりというものが侵害されてくるんだなということを痛感するわけでございます。  子育てとかの場合、我々も教育に携わってきていろいろ突っ込んでみまして、例えば子供教育する際に子供の言い分だけで何でもいいからやってしまえ、こういうことで認めておるとやはり大変なことをやる。だからやはりそこにしつけが要る、あるいは道徳教育が要る。節度なり規範なりというものがそこにあって初めて自由というものが保障されるし、本当にみんなが楽しく暮らしていける世の中をつくることができるんだ、こう思うわけですね。だから、その一番貴重な自由というものは責任を伴うと私は思うのですが、そこらあたりの節度なり責任というものが多少今外れてきているというような気がしております。それで出版業界の大手の出版社がそういうことをなさっておられるというふうにどうも感じられるところがございまして、非常にそういう点が危惧されるわけです。  起こした本人がそういうことで子供に英雄視されている、出版されている側が大手の出版社だ、大変に影響の大きい二つがかみ合っている、こういうふうな気がいたしておりまして、こういう点を含めて、やはり私はこういう点についてはもっともっと国民の中にも議論が起こってこなければいかぬだろうとは思いますし、最終的には、先ほど法務省の方ですか、話し合い以外に解決の道はないんじゃないでしょうかとたしか御答弁されていたように思いましたが、そこにあるにしてみても、言われたら言われた方が言われっ放しで、被害が大きいという場合の方がどうも多くなっているような傾向を感ずるわけです。こういった全般的なことを通じて、もう一度大臣、この件に関しての御所見を承りたいと思います。
  52. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、最近のこの種の週刊誌を発行しておる方々、この経営者の経営姿勢がおかしいのではないかと実は思います。  おっしゃるように、このような出版社は、長年、我々は公共的知識供給の源泉であったと思いまして、私たちも尊敬しておる出版社でありますが、最近はこういう写真週刊誌だとか漫画だとか、こういうようなものに訴えまして、余りにも商業主義に走り過ぎてしまいまして、公共性というものをもう少し経営者が認識してもらわなければならないのではないか。特にこの編集に当たる方々が、これが及ぼす影響はどうかということ等もやはり考えてもらいたいと私は思いまして、公共心の希薄さということが、そしていたずらに商業主義に走って、過大な刺激を提供することによって発行部数を争うというようなことは慎んでもらいたいと思うております。  暴力をいたしたこと、これは私は本当に残念だ、けしからぬと思います。私は、先ほども申しましたが、この問題は実は青少年問題に非常に大きく影響するのではないかと思うておるのです。それはなぜか、その当事者になりました者が青少年の間に非常に関心の深い人物でございますので、この影響、私は実は朝も文部省の幹部が集まりましたときにもその話をしておきました。したがって、これからは私たち、言論の自由、報道の自由というものは尊重しなければならぬ、これは当然でございますけれども機会あるごとに、こういう青少年教育に悪い影響を及ぼすようなことのないようにしてもらいたいということ、文部省としてはこれを基本にして、話し合いの場があれば続けていきたい、こう思うておりますし、希望いたしますことは、ここでこういう種類の出版の方々が、やはり社会的に容認される限度の取材で実を上げていただくように、刺激だけじゃなくして、やってもらいたい。  これがもし政治家であるとかなんかだったら、これはタレントもそうでしょうが、大変な事態、その人の政治生命にも影響するようなことがしばしばやられておりますが、こういうことが安易にあってはならぬ。そういうことは何も特権として許されるべきものじゃないんだ。しかしどうも、報道の自由だとかあるいは出版の自由だとかいうのは、まるで何か特権があるような感じでもって取材をしておられるというのなら、とんでもない間違いだということを私は警告いたしたいと思います。
  53. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この問題は、所管からちょっと外れる部分もありますのでこの程度で終わりたいと思いますが、私は最初に申し上げましたように、これが起こったときに、暴力けしからぬという声が強く起こるよりも、「快挙」であるとかいうような、ちょっと普通ならば信じられぬような反応が起こってきているところに、これがエスカレートしたときに、このまま放置されていくと大変な状況になるのではないかという非常な心配から御質問申し上げました。また、我々も我々の立場で、こういうことがないように監視もし、そういったいろいろな方法も講じていかなければならぬと思います。大臣にも今御所見をいただきましたが、同感でございます。そういう意味での努力の場がありましたら大いにしていただくように御要望申し上げて、この問題は終わりたいと思います。  次に進ましていただきまして、「大学改革推進」の中で、大学改革ということを大臣はおっしゃっているわけですが、その中で大学入試制度改革についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  六十五年から共通一次試験が新テストという、名称ははっきり決まっているのかどうか、でもないようですが、実施されるようでありますけれども、その内容というものを、いろいろ答申その他ずっと見てみますと、共通一次試験と比べどういうふうに変わっていくのか。その延長線上にある、いわゆる共通一次試験の改革をしたテストというふうに私は感ずるわけでありまして、そういう意味からいくと、共通一次試験というものの名前を無理やりに変える必要があるのかなというような気もするのですが、そういう点についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
  54. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 先生承知のように、共通一次が始まりましたのは、その当時の大学入試の現状から見て、いわゆる学力偏重ということがあり、そしてしかも、その学力偏重の一発勝負の出題の中身自体が、高校教育から外れた難問、奇問が出ているというような状況、こういうことを直していこうということで、高校教育に即した基礎的なテストを共通一次という形で行う、そして二次試験で多様な工夫をする、それを組み合わせることによりまして、受験者それぞれの適性、能力に応じて多様な角度から多角的に評価をするという方式をねらったものでございます。そして、これは国公立について実施をされてまいったわけでございますが、そういった当初のねらいにつきましては相当程度実績を上げていると思うわけでございますけれども、他方、これに伴う一種の弊害というような形で、大学の序列化の問題であるとか進路指導が輪切りになってしまうとか、いろいろな御指摘が出てまいったわけでございます。  今回の新しいテストは、こういった共通一次の経験等も踏まえました上で、一つには、国公立だけではなくて私立にも対象を広げて考えていこうということ、そして、具体の回公私立の大学がこれをどういうふうに使うか、使うか使わないかという点まで含めましてそれぞれの大学が自由に判断をし、弾力的に利用することができるという仕組みにしよう、こういうことによって、共通一次が持っております弊害と言われるような点も改善ができるのではないかというようなことで、従来とはかなり違ったテストであるということで、現在私ども、新しいテスト、新テストと言っておりますが、そういう形のものとして考えておるということでございますので、共通一次の延長かどうかというのはいろいろ議論があり得るところだと思いますけれども、共通一次の経験を踏まえた上での新しいテストであるということについては御指摘のとおりであろうと思っております。
  55. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは私、既に受験をした人たち、それからこれから受けようとする人、何人かにも聞いてみた、数は多くありませんが、聞いてみましたら、共通一次的なものを私学にも適用するということはどうなんだ、やはり私立の方は独自に今までどおりやってもらった方がいいといった意見の方が案外強かったわけですが、こういう点について御見解をお聞きしたいと思います。
  56. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 臨時教育審議会でこの新テストについての議論が熱心に行われまして、こういう提言があったわけでございますけれども、臨時教育審議会におきます審議の過程におきましても、私学の入試につきましていろいろ改善の努力がなされてはいるけれども、やはり一発勝負的な学力検査の延長だということの事実はございますし、それからまた、高校教育の範囲を超えたような難問、奇問がやはり依然として出ているというようなこと等をいろいろ考えまして、私学についてもこのテスト、内容的には従来の共通一次の中身というのは大変評価をされておるわけでございますが、それを私学においても利用してもらう、ただし利用の仕方は自由であって、一科目だけを使う、あるいはある部分だけを判定する、いろいろなやり方があり得る、私学の独自性を失わずに、しかもなお私学も含めた入試の改善を進めていこうという考え方でこれが出てまいったわけでございまして、実際に受験生である高校生を抱えておられる高校長協会等からも、ぜひこの構想は進めてほしい、私学もできるだけたくさん参加してほしいというような御要望も出ておるところでございますので、私どもとしましては、私学の自主性を尊重しながらできるだけうまく使ってほしい、こういうふうに期待をしておるわけでございます。
  57. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今も答弁の中でちょっとお話が出ましたが、やはり、大学入試が今までは共通一次試験だけに焦点が当たって、そこが何か悪者にされて、ターゲットにされて議論されてきた感がある。完壁な入試制度というものはどう考えてもないだろうと私は思います。かつて総理が、完壁な入試制度を考えてほしいと臨教審の皆さんにたしか言われたことがあったと思いますけれども、そのときに私は、完全なものをつくられては困ると思ったことがある。完全なものをつくられて、それで落っこちるともう救いがありませんから、むしろ入試制度は、多少やむを得ないマイナス面もあるだろう、しかしよりよい方向にはやっていかなきゃならぬだろう、そういう中でやはり全体観に立ってこういう制度というものは考えていくべきである。ところが、従来の大学入試の議論をずっと見てみますと、共通一次だけに焦点が当たっている嫌いがあったのではないか。むしろ、第二次試験もあわせて大学入試などの改革があったわけですから、その二次の方にもっと目が行くべきではなかったのか。しかし、それは言われはしましたけれども幾つかの学校がちょこちょこっといろいろなことをやったものが報道されているというぐらいで、そこの取り組みについての真剣な論議も今まで少なかったように思いますし、これがまた大学入試、共通一次そのものの評価をも低くする一つの大きな原因ではなかったかなと、私は私なりにそういうふうに理解する分野もあるわけです。今度新テストということで、このように移っていくわけですが、やはり大学側の自主的な取り組みというもの、今特に私学の問題もお尋ねしましたら、私学がそういう自主性を損なわないように活用してほしいというお答えがございましたけれども、私もまさにそうだと思いますが、本当に大学自体の自主性というもの、また大学先生方自体の入試に対する取り組みというものももっともっと真剣であってもらわなきゃ困る。それがないとまた、新テストとして新しくいろいろなことを考えてやってみても画竜点睛を欠く、こういうふうに思うわけですが、そういう点についての御所見を伺いたいと思います。
  58. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 二次試験が大事だというお話、私も全く同感でございます。現在の共通一次そのものが、一次試験と二次試験を適切に組み合わせてやる、それによって受験生の個性、能力、適性、そういうものを多角的に見ていこうという構えでスタートしたものでございます。そして、現実に国公立大学現状を見てみますと、その後、共通一次試験導入後、各大学の二次試験で、以前に比べますと、面接をやるあるいは小論文を書かせてみるあるいは実技の検査も従来やっていなかったものをやるというような形で、いろいろな努力がなされてきているということは、数字の上でもかなり明確に出てきておるわけでございます。さらに、一次試験と二次試験の配点についてもいろいろ工夫をしてみるとか、そのほかにまた別途の方法として推薦入学でございますとか、社会人の入学のための別枠でございますとか、いろいろな工夫がなされてきているということは事実でございますが、ただ、それにしても当初期待していたほどには進んでいないという感想は私も持っておるところでございます。そういう意味からいえば、今後さらに、国公立大学においても二次試験についての工夫をより一層重ねてほしいと期待をしておりますし、いろいろ各大学に対して御助言もしてまいりたいと思っております。  また、私学につきましては、現在共通入試の制度はないわけでございますけれども、それぞれの大学、かなり御研究になって改善は進んできておると思いますが、まだまだもっとということを私どもとしては期待をしたいと思っておるわけでございます。今回のテストの導入に当たりましても、各大学が自主的に工夫ができるようなテストの使い方ということを基本に据えまして、二次試験の御工夫もあわせてお願いをしたいということで、私学等の関係団体あるいは関係大学の説明会等でも御説明を申し上げてお願いをしているところでございます。
  59. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大学自治、学問の自由ということがございますから、大学の特に先生方のことについては、文部省が手を突っ込むということはやりにくい面があるのだろうと思いますけれども子供のため、また日本の将来のためには、正すべきは正すという姿勢はある程度持っていただいて、言うべきことはきちんと言っていただきたい。我々もそういう方向で、大学当局あたりの取り組みについても今後は遠慮なく申し上げていっていいんじゃないかなという気もいたしております。やる以上はよりよいものにでき上がっていくように御努力をお願いいたしたいと思います。じゃ、一応この問題は終わります。  次に、学術研究振興についてお尋ねをいたします。これも大臣は大きな柱にされておるわけですが、問題はたくさんございます。その中で特に大臣も触れられておりますが、今後国際化社会の中で日本の立場というものは大変大切になってまいりますし、また、確かに、明治以来の教育改革の中で追いつき追い越せで来ていろいろなマイナス面はあったにしてもとにかく追いついてきた。こういう中で、これからは物まねだけではいけない。また、やったことを取り込んできてそれをちょっと応用するだけで活用するというふうな行き方は、二十一世紀を迎えると日本はますますそういう形ではいけないだろう。そういう意味では、大臣もおっしゃっておられるように、独創的な人材というものを今後教育の中で育てていかなければならない、また特に先端的、基礎的研究の推進というもの、確かにこれは必要になってくる、こういうふうに思うわけでございますが、これに対してひとつ再度大臣の御所見を承りたいと思います。
  60. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 学術研究の発展は、日本の国が生きていくというよりも発展していくために欠かすことのできない問題でございまして、大学活性化ということで我々は端的な表現で今大学対策を考えておりますが、私は、その中に、分けまして二つ重要なことがあると思うのでございます。一つは、大学に優秀な人材が残ってもらえるように、そして、そういう人材は大学に結集と言ったら語弊がございますが、やはり大学が学問、うんちくの中心として存在していくという体制をしっかりとつくっておかなければならないということが一つでございます。同時にもう一つ、私は、大学の研究、そして学者の活動というものと国際関係というもの、この関係をもっと密接にすべきだ、しかも、大学はただ単に教育の一機関ということだけではなくして日本の社会、経済、文化、あらゆる面における一つの中心とならなければならない、そういうことを思いまして、大学活性化ということで対策も考えておるのでございます。  つきましては、まず具体的な問題といたしまして考えておりますのは、科学研究費の充実、これがまず当面確保しなければならぬことでございまして、特に科学研究費の充実とあわせまして若手の研究者の育成、これは今度の予算要求の中にも最重要項目として要求いたしておるのでございまして、そういう研究体制の整備を確実にやっていきたいということでございます。それからもう一つ、先ほど申しました国際交流の観点から申しまして、日本では今加速器の科学というのですか、私も中身はわからないのですが、この加速器科学というもの、これは筑波にございまして、トリスタンというもの、これは世界で一番注目されておる施設なんでございますが、そういうものであるとか、生命科学等の重要基礎科学、基礎研究に十分な予算の配分をいたしたい。それと同時に、大学社会的に活用される開放された大学にしていきたい、そのための施設を充実したい、こういうことを目下考えております。
  61. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは大学改革を含めての中で考えなければいかぬことで大切な問題ですから、私は後日大学改革ということで、これだけでまたいろいろとお尋ねをしてみたいと思いますので余りあとは触れませんが、今大臣がおっしゃった中で特に若手研究者の育成ということ、これは極めて大切なことだろう。各大学に行って若い先生方にお聞きしてみますと、大体押しなべて、例えば助手になる、講師になる、助教授になられる、特に若手で出てこられたときにはやはり最初の一年、二年、三年というものは非常に意欲を持って研究もする、またいろいろと新しいアイデアも考えながら取り組みをやる、こういうことをやっていらっしゃる方は随分おられるようですね。ところが、それが五年たち六年たってきますと挫折をしてしまう。それは何かあっても認めてくれる人がいない。特に、いい意味では、大学先生方は、先生方ばかりやり玉に上げて恐縮ですが、子弟という関係の中でつながりを持ってやっていらっしゃる、これは大切なことだと思いますが、それがともすると、学術の世界やなにかですと、いろいろ見聞きしておりましたら、親分子分の関係になってしまう。こういう中で、今言った研究費にしろ、いろいろな若手の人たちを持ち上げて生かしていかなければならないそういうシステムが、十分に機能せずに、何となく自分に気に入ったものをするとか自分の座を守るためにそういうものを使っていく、間々そういう話を私は見聞きするわけですね。これは非常に残念なことだ。だから、そういう若手の独創的な考え方を持った人も随分いるわけですし、それからまた、特に独創性ということになると多少遊びも要るだろう、今これが即結果が出ていい形になっていくだろうという予測がなくても、多少遊びのような感じがあってもユニークなものはひとつバックアップしてあげるとか、そういうようなものが案外先になると花が開いてきていい形になるのではないかという気も私はするわけです。だから、基礎的なもの、独創的なものを含めて若手研究者の育成というものはまた新しい角度からの切り込みと育成というものを私は考えるべきだと思いますが、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  62. 植木浩

    ○植木政府委員 先生おっしゃいますように、大学の研究活動の活力を保ち、また向上するためには、研究者の流動性の向上というのが大変重要な事項でございます。  先ほども大臣がお触れになりましたように、そういう角度から、昭和六十年度から新しいフェローシップ、特別研究員制度というものを日本学術振興会の事業として設けまして、若い独創性の豊かな研究者を、かなり自由な発想のもとに、自分の出身の研究室からできるだけ別のまた研究室へ行って自由な発想で研究を行う、それに対して研究費等も支給をする、奨学金も支給する、こういった制度をスタートいたしたばかりでございます。この制度を六十一年度も充実をしたわけでございますが、こういったまさに今先生指摘のような趣旨に沿う制度でございますので、これをさらに充実をして、そういった研究者の流動性というものを高める努力をしてまいりたいと思います。
  63. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ちょっとそういうことも耳にしましたので調べてみましたが、若干まだ人数も少ないような気もします、これは予算関係だと思いますが。それから、あなたの言うそういう制度で適用されることが決まったという決める場合のあり方の中で、さっき申し上げたような弊害もやはり起こってくる可能性があると思いますので、十分にひとつそういう人たちの独創性が生かされ、公平にしかもどんどんそういう人たちが意欲を持てるような選定の方法ども留意をしていただいて、場合によっては、私見ですが、一人当たり百万円ぐらいそれこそ投げ渡しでやるような制度も思い切ってやってもいいのじゃないかというぐらい私は思っているわけでございまして、この点については今後ひとつ力を入れてお進めをいただきたいと思います。  きょうはほかにも予定したのがたくさんありましたが、ビートたけしさんの問題なんかも臨時に入ってきましたのではしょらせていただきまして、またの機会社会教育だとか高齢化社会に当たっての問題だとかは当たらしていただくことにしまして、その中で、文化というものを私どもはこれから大切に考えなければいかぬと思っておりますが、国民文化祭についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  第一回の国民文化祭が十一月二十二日から二十九日まで行われておるわけでございますが、これは大変意義あるものだというふうに思っております。これはどんどん進めていくべきではないか、こういうふうに思っておりますが、この国民文化祭についての趣旨や実施状況、成果、反省すべき点、それからまた今後の進め方等についてひとつ御意見を聞かせていただきたいと思います。
  64. 久保庭信一

    ○久保庭政府委員 国民文化祭についてお尋ねでございますが、国民文化祭、今年初めて実施をしたものでございます。これは我が国の国民生活の向上ということにも伴ってかと思いますが、我が国でも国民の間の文化活動への参加意欲が大変高まっておりまして、これにこたえようとすることが一つございます。また、これらの国民の間で行われます文化的な諸活動の水準の一層の向上ということも考えまして、全国的な規模で、国民の各種の文化活動を集まっていただいて国民文化祭を開催したい、こういうことで始めたものでございます。芸術祭というのが、戦後から今日まで大変伝統あるものがございますが、これはプロの芸術家のものでございますが、今回始めましたものはいわば国民一般、アマチュアの行う文化活動の祭典ということで実施をしたわけでございます。  実施状況ということでございますが、今先生のお言葉にもございましたように、十一月二十二日から東京におきまして、東京都と文化庁の共催という形で、具体的には実行委員会を設けましてそのもとで実施をしたわけでございますが、期日は、主催事業は十一月二十二日から十二月一日までの十日間でございまして、その間、民俗芸能、オーケストラ、民謡、合唱、吹奏楽、美術、演劇、文芸など、十ほどの分野にわたってのフェスティバルを行ったわけでございます。参加団体、共催団体等の大変協力を得まして、百ほどの団体が直接に参加をしていただきまして、実際に舞台に上がっていただいた方も含めて参加された方は六千人ほどになります。それを観賞していただいた方々は延べ人数で約四万七千人ということでございます。また、全国各地で協賛事業という形で十八ほどの都県で百四十三事業に上る協賛事業が行われております。こういったことで、第一回といたしましては、当初の趣旨、目的を達成できたのではないかと私ども思っておる次第でございます。  成果というお尋ねでございますが、成果はこれからじわじわと実行委員会等検討していただくことになりますが、直接今私ども感じておりますのは、国民の間での、アマチュアとはいいましても大変諸活動の水準が高いということが全国的な規模で示されたということがまず第一かと思います。それから、各地に根づいておる大変特色のある文化活動、これがお互いに一堂に会して公開することができたということが一つございます。それから、これに参加してくださった方々に大変主体的に協力をしていただきましたが、また、その方々の間でお互いの切磋琢磨といいますか、大変お互いの交流が高まりまして、いろいろな意味で今後の国民文化活動の発展に寄与するものがあったのではないかと思っておる次第でございます。  反省する点というお尋ねでございますが、これは第一回でもございまして、ともかく成功裏に、実施をしたいという方へ最大の力を注いだわけでございますが、どうも広報活動といいますかPR、そういういいことがあるのを知らなかったというお言葉を各方面から賜っておりまして、これから十分広報活動にも気をつけていかなければならないのではないかと思っておる次第でございます。  この事業が国民の間に根づくように、今後とも努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  65. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この件については、国体と同じように大いに全国的に開催がされ、盛り上がりの一つの大きな推進力になっていくように努力していただきたいことを御要望申し上げておきます。  時間が参りましたので、あといろいろございましたが、はしょりまして、二つだけまとめて御質問をいたしますが、簡明にお答えをいただいて最後にいたしたいと思います。  一つは、生涯教育という観点から、くだくだ申し上げるのはやめますが、地域における学習の拠点というものが大変必要になるだろう、こういう中で公民館とかそのほかいろいろな施設設備は確かにできてはおりますが、地域によってはそれだけではまとまらない、ないしは拠点としては十分ではない、いろいろばらつきといいますか、その地域の特性を生かしたやはり生涯学習という形の拠点というものが必要になるのであろう。その中で特に学校開放、特に小中学校ではありますが、学校というものがそういう生涯学習の地域の拠点として、本当に地域の人たちと壁なく密着した形で、開放というものが今後はどんどん促進されるべきだ、こういうふうに思います。したがってそういう件についてお答えをいただきたいと思います。特に、開放したときに学校長にすべて責任がいきますと大変なことになりますので、その管理形態等も考えながら、借りやすくするという中で、小中高の取り組みをぜひやっていただきたい。また、大学については違った角度で学校開放というものを、今までも若干講座とかなんとかであるようですが、これはぜひ進めていくべきである、こう思っております。  もう一つは、いよいよ最後になりますが、新しいものとして、これは大変でございますが、新しく「教師の日」というものをひとつ設けたらどうだろうかというふうな考え方を持っております。教師というのは今教育の中で一番焦点になっておりまして、教員の資質の向上ということなんか随分言われてきているわけです。そして、先生自体の研修とか先生自体のモラルの問題だとか使命感だとか、いろいろなことを含めて強く言われております。その中で、教師を何となく悪者にして目のかたきにしている分野が随分あるのです。しかし、大変真剣に頑張っている先生方も随分いらっしゃるわけで、そういう先生を含めて「教師の日」というものを設けて、一年に一度くらいは、国民のお祭りといったら悪いのですが、やはり先生というものは尊敬すべきものであり、大切にしなければならないというようなことを先輩の我々が身をもって教える中で、子供と一緒になって「教師の日」を楽しむとか表彰制度を設けるというふうなことがあっていいのではないか。道徳教育とかいろいろなことも必要かもしれませんし、それはやらにゃいかぬのかもわかりませんが、具体的にそういうものをぱっと決めちゃって、その中で親なり周囲の者が、行政も一緒になって、例えば国で式典を持って教師というものの意義をたたえていく、祝賀会を持っていくとか表彰制度をやるとか父母と子供の主催で謝恩パーティーをやるとか、いろいろなことが全国的に行われてもいいのではないか。ちょっと私もまだ調べが足りてはおりませんが、私が調べた範囲では、全世界で二十カ国はこういうことをやっておるようです。アメリカやソ連あたりでもやっているようでございまして、特にアメリカなんかは「全米教師感謝週間」というようなものを設けているようで、一週間にわたって、五月四日から十日までというふうな期間でやっておる。教師というのは、私たちは小さいときから教わってきまして、本当に尊敬してもおりましたし、怖いものでありましたし、親しいものでもありました。そういうものがいい意味で教えられてきておった。今そういうところが欠けてきているような気もいたしますし、そういう意味での「教師の日」を設けるというような方向、これはひとつ大臣あたりが先頭で旗を振っていただいて、国民の中に定着する日としてつくるというふうなこともやっていただいたらどうか、こういうふうに思っております。  そういう提案を含めて、二つお尋ねをして、最後にいたします。
  66. 澤田道也

    ○澤田(道)政府委員 生涯学習の拠点として専用的な社会教育施設、公民館、図書館等とは別に、全国にある小中学校、高校、大学、国公私立すべてを含めて、もっと学校開放その他で活用していかなければならないことはおっしゃるとおりでございます。  現在、公立の小中学校についてはそれぞれの地域教育委員会が努力をされておりますが、これまでは、例えば教員の勤務時間とか労働条件ということで、教員の側、学校教育側の方が逆に、社会教育は別個にというムードがなきにしもあらずという部分がございました。それから、社会教育の方も社会教育社会教育の施設でということで、学校教育の施設を使った社会教育関係団体の活動とかについてもっと研究しなければならない点が多々ございます。そういうことをもっと進めてまいりたいと思います。それから大学の開放につきましても、これまでは大学が考えて開放していくというのが結構ふえてはきておりますが、もっと地域が要望して地域の計画を取り込んだ形でさらに開放を進めて、学校施設の活用、週休二日制の動向等にも対応できるように進んでいかなければならないと考えております。
  67. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 「教師の日」についての御提案でございますが、実は私もある高名な教育学者からそういう提案を聞いたことがございます。これは提案として私はお聞きしたいと思っておりますけれども、現在の日本の小中学校、高校の先生の中には、最近は半分以下になりましたが、依然としてまだ四九%の方々が、我々は労働者であるという意識を持ってお仕事をしておられる。また、労働者であるということを故意に意識づけようとしておられる。こういうことで、まだ「教師の日」というのは早いのではないか。もう少し先生方の中で、教育というとうとい仕事に従事しておる専門職なんだという意識が芽生えてまいりましたら、国民の中でも「教師の日」というものを考えようということが起こってくる、私はそう遠くはないと思うのです。けれども、まだ半分近くの方がそういう考えを持っておられるということ。ですから、ここで先生の意識がそういうふうに合意されていくことが大事だと私は思うのです。先生を尊敬し、これをとうとぶ、そして激励もし、感謝もする、その気持ちは私自身も持っておりますが、そういういわば社会的な環境ができてくることが大事な問題じゃないかと私は思うております。
  68. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これで終わりますが、「教師の日」の設定については、だからこそやった方がいいのではないか。また見解の相違でございますけれども、私は御要望として申し上げておきます。  時間超過いたしましておわびをいたします。ありがとうございました。
  69. 愛知和男

    愛知委員長 次回は、来る十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十七分散会