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1986-10-24 第107回国会 衆議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十四日(金曜日)     午後二時三十一分開議  出席委員    委員長 細田 吉蔵君   理事 小此木彦三郎君 理事 小里 貞利君    理事 佐藤 守良君 理事 三塚  博君    理事 山下 徳夫君 理事 井上 普方君    理事 嶋崎  譲君 理事 西中  清君    理事 河村  勝君       甘利  明君    小沢 辰男君       大島 理森君    岡島 正之君       片岡 清一君    亀井 静香君       亀井 善之君    久間 章生君       古賀  誠君    鴻池 祥肇君       桜井  新君    鈴木 宗男君       関谷 勝嗣君    津島 雄二君       中島  衛君    中村正三郎君       野中 広務君    野呂田芳成君       長谷川 峻君    原田  憲君       増岡 博之君    松田 九郎君       森田  一君    山村治郎君       若林 正俊君    上田 卓三君       小林 恒人君    関山 信之君       戸田 菊雄君    村山 富市君       山下洲夫君    浅井 美幸君       石田幸四郎君    遠藤 和良君       貝沼 次郎君    柴田  弘君       阿部 昭吾君    中村 正雄君       工藤  晃君    中島 武敏君       村上  弘君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣 金丸  信君         法 務 大 臣 遠藤  要君         外 務 大 臣 倉成  正君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 塩川正十郎君         厚 生 大 臣 斎藤 十朗君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君         労 働 大 臣 平井 卓志君         建 設 大 臣 天野 光晴君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     葉梨 信行君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 玉置 和郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 綿貫 民輔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      近藤 鉄雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)     三ツ林弥太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 稲村 利幸君  出席政府委員         内閣審議官   中島 眞二君         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第四         部長      大出 峻郎君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    吉田 耕三君         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         総務庁長官官房         審議官     百崎  英君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁教育訓練         局長      依田 智治君         防衛施設庁施設         部長      岩見 秀男君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         経済企画庁総合         計画局審議官  冨金原俊二君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         大蔵省主計局次         長       角谷 正彦君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         文部省初等中等         教育局長    西崎 清久君         厚生大臣官房審         議官         兼内閣審議官  佐々木喜之君         運輸大臣官房長 服部 経治君         運輸大臣官房審         議官      井山 嗣夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省貨物流通         局長      松村 義弘君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 小粥 義朗君         労働省労働基準         局長      平賀 俊行君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         建設省都市局長 北村廣太郎君         自治省財政局長 矢野浩一郎君         自治省税務局長 津田  正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     長谷川 忍君         日本国有鉄道常         務理事     川口 順啓君         日本国有鉄道常         務理事     澄田 信義君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 十月二十四日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     鴻池 祥肇君   山村治郎君     岡島 正之君   大橋 敏雄君     貝沼 次郎君 同日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     山村治郎君   鴻池 祥肇君     臼井日出男君   貝沼 次郎君     大橋 敏雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道改革法案内閣提出第一号)  旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出第二号)  新幹線鉄道保有機構法案内閣提出第三号)  日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出第四号)  日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出第五号)  鉄道事業法案内閣提出第六号)  日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出第七号)  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  日本鉄道株式会社法案伊藤茂君外八名提出衆法第一号)  日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案伊藤茂君外八名提出衆法第二号)  日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案伊藤茂君外八名提出衆法第三号)      ────◇─────
  2. 細田吉藏

  3. 戸田菊雄

    戸田委員 冒頭に委員長お願いをしておきますが、本来私たちは、慎重審議ということで今日まで委員長各般お願いをしてまいりましたが、どういう風向きかわかりませんが、きょう急に採決に持ち込む、こういうような状況に相なったことはまことに私は遺憾だと思います。本問題については、私は集中審議の一端として質問をしてまいりたいと思いますので、さよう御了解をいただきたいと思います。  そこで、今次国鉄問題について、百十五年の伝統をつないできたこの国鉄が大変革を遂げる、こういう状況にあるわけでありまするから、問題が非常にいっぱいあります。こういった問題を細大漏らさずとにかく国民理解納得の得られるような、そういう審議を私は今後も希望いたしておきます。そこで、私たちは次の八項目について一定要請をいたしたわけであります。  その一つは、公共性担保のため国による一定割合株式の常時保有を規定すること。  一つは、取り扱いが未定の特定地方交通線については、当分の間、国の責任と助成によってその維持を図ること。施行法案附則第二十三条第四項「二年(昭和六十一年度承認線にあつては、二年六月)」の条文を修正していただきたい。  一つは、国鉄共済年金については、六十四年度までは政府統一見解趣旨にのっとり、掛金、給付に影響させることなく国の責任処理すること。六十五年度以降については、六十三年度中に政府責任を持って処理方を確定すること。  一つ、非事業用資産処分活用については、その公正を期すため資産処分審議会委員国民代表を加え、その任命は国会承認事項とするとともに、公共機関への売却、関連事業への活用信託制度活用等を含めて検討を行うこと。清算事業団法案第二十三条の「学識経験を有する者」の次に「及び公益を代表する者」の文言を挿入、「運輸大臣の認可を受けて、理事長が任命する。」を「国会承認を得て、運輸大臣が任命する。」に修正お願いしたい。  一つ、国及び新事業体は、地方公共団体に過大な負担を及ぼすことのないよう、地方財政再建促進特別措置法趣旨を尊重すること。  一つ国鉄職員については、すべて新事業体雇用承継させること。国鉄改革法案第九条、第十九条、第二十三条修正。  一つ国鉄改革に伴う事業の引き継ぎ並びに権利義務等承継に係る基本計画実施計画については、国会承認事項とすること。  一つ国鉄改革によって影響を受ける国鉄関連企業とその労働者についても必要な援助措置を講ずること。  以上、八項目要請をなしておるわけでありまするが、本問題等については、ぜひ総理運輸大臣等、十分今後配慮をして御検討を願いたいと思います。  そこで、まず雇用問題から質問をしてまいりたいと思います。  政府案は、国鉄再建監理委員会の机上の計算をもとに運輸大臣が新事業体承継法人職員を一方的に決め、新事業体職員については、日本たばこ産業NTTなど、これまでの公共企業体等経営形態改革の際にとられたことのない極めて異常な新規採用方式をとって、差別と選別、労働条件の一方的決定を行うとともに、新事業体採用されなかった国鉄職員については事実上三年間の猶予つき解雇に追い込むなど、国鉄職員身分権利を踏みにじる極めて不当なものであります。こういった措置は、労働者雇用生活の安定を図るべき政府のとるべき方法ではないばかりか、労働法体系にも抵触し、さらに憲法違反の疑いさえ多くの労働法学者から指摘されているところであります。こういった見解について、労働大臣いかがでしょうか。
  4. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、当委員会で終始政府が答弁してまいりましたように、まず一つには、公社制という公共企業体、全国一元制の非常に大きい企業体でございますが、民営ということに切りかえる、経営形態が全く新しく変わる、さらにはこれを六分割してまいる、六分割されました会社は、それぞれ出発点において経営条件は全部異なるわけでございます。そういう意味で、公社制民営移管ということを最終的に国民の意思で実施されるべきものであるというふうに考えております。すべて新しい制度、新しい理念、新しい経営で出発いたすわけでございますから、同改革法の二十三条においては、すべて採用新規採用ということになっておりまして、そういう意味合いにおきましては、私は、憲法上も含めて妥当なものである、そのように理解をいたしております。
  5. 戸田菊雄

    戸田委員 労働大臣、今の法体系憲法、そして労働基準法公企体法等、それを受けて労使協議労働協約等々で今日まで運営されてまいりましたね。だから、この法的存在は、現在存在をするんじゃないですか。
  6. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいまの新規採用の点につきましては、先ほども御答弁申しましたようにまさしく新規採用ということでございますので、ただいまの労働法体系につきましても抵触いたさない、私はかように理解をいたしております。
  7. 戸田菊雄

    戸田委員 六十二年四月以降は新法によって運営されるということになりますね。すると、それは憲法であり、一般労組法であり、労調法であり、それを受けて今度は新しく労使協議労働協約その他、こういう筋になっていくと思うのですが、その辺はどうですか。
  8. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 法案が成立をいたしました後来年四月からの労働関係がどうなるかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、労働関係につきましてはいわゆる労働組合法あるいは一般労働関係調整法がそのまま適用されるということでございまして、その限りにおいて公共企業体等労働関係法適用はない。あるいは電電公社NTTに変わった際に特別調整制度といったこともございましたけれども、今回の国鉄の場合は、分割されるといった実態を踏まえて、そうしたこともなく、労調法がそのままに適用されるということでございます。
  9. 戸田菊雄

    戸田委員 NTTたばこ産業等とどういうふうに違うのですか。
  10. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 NTTの場合は、これは原則的にはもちろん労働組合法さらに労調法適用になるわけでございますが、全国一元的に業務を行うといった観点から、通常の調整制度以外に特別調整制度というのを設けておりまして、特に必要ある場合に労働大臣要請を受けて、例えば調整経過を公表するとかあるいは一定の期間の争議行為の禁止といった特別調整制度が設けられておりますが、たばこ会社の場合は、これは全く民間産業と同じでございまして、労調法がそのままに適用になり、特別の適用関係というのはございません。そういう意味で、NTTの場合は全国一元的に業務を行うといったその面の公共性を考慮しましてそういう特別調整制度を設けているわけでございますが、今回の国鉄改革に伴って分割された後の姿は、これは一般民間産業の場合と同じでございまして、労調法をそのままに適用して特段の特例は設けないということにしているわけでございます。
  11. 戸田菊雄

    戸田委員 確かに、この改革案あるいは旅客鉄道会社法案、これらを見ますると、第一条に公共性という文字は全部消滅していますね。NTTは「公共の福祉の増進」云々、こういうことに第二条でなっている。そういう違いはありまするけれども、しかし、従前どおりまだ公企体存在があるわけですから、そういうものに対する立法措置手法としては極めて不適当だと私は思いますが、どうですか。
  12. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 今回の国鉄改革によりまして新会社へ移らない人は、先生もう既に御承知のように清算事業団にそのまま身分承継されてまいるわけでございます。問題は、新会社へ移る人の労働関係がどういう取り扱いになるかというところにあろうかと思いますが、それは先ほど大臣からもお答えしましたように、今回の国鉄改革趣旨からして、特に分割されること、あるいは人員の面あるいは経理の面等において大幅な変革というものが予定をされるであろうことを踏まえて、新規採用方式ということをとったわけでございまして、その場合、新規採用方式をとりますが、先ほど来お答えしておりますように、四月一日からは、従来公社制度の場合には公労法において一定基本権制約等もあったわけでございますけれども、これは今の民間企業の場合と同じように、そうした点は、団体行動権等もすべて保障されるという形になるわけでございます。それらを総合しますと、今回の新規採用方式というものはそれなりの合理性を持つものであるというふうに考えているわけでございます。
  13. 戸田菊雄

    戸田委員 政府は、これまで繰り返し、一人も路頭に迷わせない、こう言ってきましたが、一人も解雇しないことを改めて確約できましょうか。これは官房長官でございましょうか。
  14. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 雇用問題は、政府としては、極めて重要なる課題である、こういう構えでもって、失業者を出すといったようなことのないように全力を挙げて努力をいたしたい、こう考えております。
  15. 戸田菊雄

    戸田委員 総務庁はどうでございますか。
  16. 手塚康夫

    手塚政府委員 国関係それから特殊法人等、取りまとめを便宜総務庁の方でやっておりますが、そういう意味でも、これは重要な課題であるという認識を各省庁にも持っていただいて、目下努力しているところでございます。
  17. 戸田菊雄

    戸田委員 そこで、政府はこれまで立法形式論を盾に労働組合との団体交渉を拒否してきましたが、しかし、組合員とその家族の雇用労働条件生活に重大な影響を及ぼす問題なのだから、基本計画あるいは実施計画、こういったかかわりのある事柄を決めるに際しては、正式な団体交渉であるかはともかく、労働組合申し入れについては誠意を持って応ずる姿勢が欲しいな、私はこう思うのですが、この辺の見解運輸大臣どうでございましょう。
  18. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 基本計画等々につきまして労働組合との協議を必要とするとは思いません。
  19. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣見解一つ見解だと私は思いますが、しかしいずれにしても、大臣許認可事項として基本計画実施計画、こういったものが会社ごとに全部つくられていく。すると、その内容労働条件その他というものは全部決まってくるわけですね。ですから、本来なら当然労使協議事項として団体交渉でそれぞれ対処すべき問題だ、私はこう思うのですが、仮にそれらの問題について団体交渉がないにしても、その場合は、組合からいろいろ申し入れがあったら、これは受けてやはり話し合いに応ずるべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  20. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 基本計画内容に関する基本的な考え方というものは改革法に明らかにしておるところであります。また、実施計画内容というのは、これは極めて個別的かつ技術的なものにもなります。と同時に、それらを受けて発足をする企業そのものはその時点においては存在しておらないわけであります。そうなりますと、現在の国鉄当局とその中に存在する労働組合の間における交渉範囲とは異質のものであると私は思います。
  21. 戸田菊雄

    戸田委員 これはあくまでも基本計画事業計画ですから、人事管理運用等とは、あるいは建物の管理等とは違った性格だと私は思うのですね。すべてその計画労働条件影響してくる、こういうものですから、これは恐らく新会社ができてそういう事業計画基本計画が確定をすれば、それに基づいて各般職員労働条件が全部決まってくるから、そのときにはあくまでも労使交渉対象事項になると私は思う。どうですか。
  22. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 労働条件というお話——基本計画というお話でありましたので私はそちらをお答えをいたしましたが、労働条件等になりますと、これは設立委員たちが新たな会社に向けて新たに採用をすべき方々に提示する、また、新たな会社発足をしてスタートをしていく時点において出てくるテーマであります。となりますと、いよいよ現在の国鉄の中に存在する労働組合と現在の国鉄当局というものの交渉範囲ではございませんし、新たな会社はまだ発足をしておらないわけでありますから、存在しないものとの間の交渉権というものは成立し得ないと思います。
  23. 戸田菊雄

    戸田委員 基準法でいう労使対象事項というものはどういうものがありますか。
  24. 平賀俊行

    平賀政府委員 お答えいたします。  労働基準法二条で、労働契約の当事者として労使が対等の立場に立つべきだという原則を示しております。
  25. 戸田菊雄

    戸田委員 具体的にもう少し説明してください、対象事項
  26. 平賀俊行

    平賀政府委員 これは理念でございまして、労働基準法に定めるものといいますか、それを含めて労働条件を決めるに当たって労使対等原則に立つということでございます。
  27. 戸田菊雄

    戸田委員 六十二年三月まで現行のものが存在するわけですね。四月一日切りかえだ、こういうことになりますね。そうすると、四月一日以降、会社更生法の場合でも百九十五条によって、その所属する労働者代表過半数を占める代表、こういった者と十分納得のいく協議をしなさいよ、こうなっているのですね。本来なら、今いろいろとやられている配置転換その他、これは従前団体交渉対象になってきた。これが今外されているわけでしょう。だから、その法的根拠その他についても極めて政府のやり方は乱暴だ、こういうふうに私は考えておるのです。四月一日以降発足します。新しく職員が行っても組合がない場合は、過半数代表する者とやれ、こういうのです。そういうことで会社更生法でもやっているのです。ですから、そういうことになれば、そういった民間の対応よりもはるかに今回の政府手法というものは下回っている。こういうことでいいのでしょうかね。
  28. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これはこの委員会で今日までも何回か御論議のあった点でありますけれども、この国鉄改革の中で新たにスタートをするそれぞれの会社に対して会社更生法のルールをもって援用をされるのは、私はちょっと筋が違うと思うのです。これはあくまでも、新たな会社設立に際してその設立委員たちがそれぞれの条件を設定し、そして現在の国鉄職員の中から新たな企業への採用を募るわけでありまして、会社更生法適用の場合とはおのずから次元の違うものと私は理解をいたしております。
  29. 戸田菊雄

    戸田委員 日本の今の法体系からいって、一般労組法、いわば緊急避難的に倒産その他の場合、会社更生法でやるときでもこういった制度があるのですね。そのあるものを、国鉄変革に当たってはどちらも適用しないという。無法状態なんですね。こういうことが考えられましょうかね。どうですか、労働大臣
  30. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 無法状態と言われますと、これは少々論議のかみ合わない点になると思うのですが、むしろ私どもは、今の国鉄というものの、そしてその所有している鉄路というものをより国鉄のために生かし、我が国の交通体系の中において鉄道輸送というものの果たすべき役割を考えたときに、未来に向けて分割民営という方式が望ましい、それが将来に鉄道というものの生命をつなぐ手法だ、そういう考え方から今分割民営法律案を御審議をいただいておるわけであります。会社更生法をベースにして御論議をいただく、あるいは無法と言われますと、論議がどうしてもかみ合わぬ部分が生じるのではないでしょうか。
  31. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、三十二万の職員が急速にここ一年間の中で二十七・六万人まで削減をされる。大合理化ですね。十万人に近い人が路頭に迷うような状況なんですね。このときに全然この扱い方について法的適用がやられないということは、逆に言うなら、政府がまさに強権的に一方的にそういった救済を遮断をしてやっているこの方式というものは、近代社会において考えられましょうか。
  32. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今お言葉でありますけれども、私どもは、この国鉄改革に際して職場を去っていただかなければならない六万一千の方々に対して、全力を挙げてその職場を確保しようといたしております。その払いつつある努力については今までも何回か御報告を申し上げ、それなりの御理解はいただいてきたところだと思います。先ほど官房長官からも御発言があり、総務庁当局の方からも話がありましたように、全力を挙げて全員の雇用を確保すべく努力をいたすと申し上げておりまして、路頭にほうり出すなどと言われるのはちょっと私たちにとってはつらいことであります。
  33. 戸田菊雄

    戸田委員 公共部門云々の、六万一千名の再就職等については鋭意努力していることは私もわかります。しかし、法的にそういったものの救済の道が断たれるということは、どうしても考えなければならないことだ。しかし、これは時間がありませんから先へ進みますが、いずれにしても、今回の合理化によって労働者の賃金や職種、職場あるいは職員とその家族、こういった皆さんに生活上大変な激変状態を招来する。例えば高校生を持っている人は、今高校の皆さんというのはなかなか転校が難しい、勢い現在の高校に通学をせざるを得ないということになると、家族と別れて生活をするとかそういった内容等々がいっぱい存在をするのですね。だから、こういった問題についての激変緩和といいますか、何か配転、降職、その他転職、出向等々についてどういう対応措置を考えられておりましょうね。
  34. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは確かに、地域的に雇用と、そしてまた新たな会社の姿を迎えるに当たって、職を去っていただかなければならない方との数にバランスを失しておる事態は事実であります。そういう状況に対応するために、現在国鉄自身が広域異動を実施しておることも御承知のとおりであります。そして既に第一期分として北海道で約千百二十名、九州地区において六百八十名が発令をされております。また、第二次の広域異動の募集も行われておりまして、十月二十一日現在で、北海道については約六百九十名、九州につきまして約二百六十名の応募があったと今報告を受けております。  ただ、こうした場合におきまして、まさに住宅でありますとか、殊に公立高等学校在学中の子弟をお持ちの場合でありますとか、あるいは御両親を老人ホーム等にお預けになっており離れがたいといったような状況があることは、私どもよく承知をいたしております。殊に公立高等学校のお子さんの場合には、文部省にも非常に御努力をいただいてまいりました。その御努力というものは今後も払っていただけると思います。ただ、例えば第一期の広域異動の場合で申しますと、実はこうしたケースのお子さん八十七名のうちで、七十七名は公立高等学校への転校ができたのですけれども、十名だけどうしてもだめなケースがありまして、私どもとしても本当に心を痛めております。しかし、この教訓も参考にしながら、今後の対応についてはなお努力をしていきたいと考えております。
  35. 戸田菊雄

    戸田委員 そこで、これは国鉄当局の資料ですからあえて説明は求めませんが、今公的部門の三万人に対して、十月二十一日現在おおむね二万五百名、関連企業が二万一千名、民間産業界が一万一千二百、合計六万五百名でありまするけれども実質は五万二千名まで、そういう態勢がとれた、こういう状況の資料がありますが、そうだとすれば大臣公共部門の三万名は前倒し採用できませんか。
  36. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもは、各省庁として、それぞれの将来にわたって、言いかえれば六十二年度から六十五年度までの目標数の方々については早期に面接をし、採用は確定しておきたいと思っておると思います。ただ、それが単年度に全員採用ができるかどうかということになりますと、これは運輸大臣とすれば、そういう事態は大変好ましいことではありますけれども、むしろ財政当局あるいは人事当局の定数査定権限の問題でもありますし、これはちょっと私からお答えは不可能であります。ただ、その方々に、いずれにしても、例えばことしすぐに採用にはならないが、来年あなたはどこどこに行けるんだということをはっきりさせておいてあげるためにも、その採用の内定といいますか、そういうことについては私どもも全力を挙げるつもりでありますし、そうした方向の努力はできると思っております。
  37. 戸田菊雄

    戸田委員 これは、運輸大臣大変御努力なさっていることはわかりますが、同時に官房長官、この前私は予算分科会で本問題について質問いたしまして、それは一人も路頭に迷わせることはしませんと官房長官、当時の総務長官のお二人が約束した。この今大臣要請をした公共部門の三万人ですね、これは前倒し採用できませんか。どうですか。
  38. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 あなたのお気持ちは本当によくわかります。しかし、御承知のように役所は定員生活をしているわけですね。したがって、その定員によって、毎年の消耗をしていく——消耗という言葉はよくありませんけれども、リタイアをなさる方に対して新しい人の採用もやっていかないと、将来の人事計画に大きな支障を来すわけでございます。そこで、この公共部門三万名といいますと、やはり今運輸大臣が言われましたように、一応できるだけ早目に内定をしておいて御本人の安心を得るような対策を、私はこれはやらなければならないと思いますね。しかし、それを具体的に、おっしゃるように一遍に採用しろということでありますと、これはなかなか、定員をオーバーするということになりまして、それから同時に、その年は新人の採用ができなくなるということもありますから、政府としては、できる限り三万名を予定の年限内に採用ができるようなやり方をもって、新人と、それと国鉄からお越しをいただく方との割合を決めまして、それで六十二年度以降は一四%以上を目途として計画的な採用をする、こういうことを決めておるわけでございますから、そこらは役所のひとつ特性というものをぜひ御理解を賜りたい、かように思うわけでございます。
  39. 戸田菊雄

    戸田委員 これはなぜ公共部門の三万人の前倒しをお願いしているかというと、一応監理委員会答申や政府法律による削減要員は、再就職部面として公共部門が三万人、民間部門が一万人、関連部門が二万一千人、合計六万一千人とはじき出している。そしてなおかつ、清算事業団に四万一千人行きますよと。そして六十二年度首要員は二十一万五千人にいたします。最終適正要員は十八万三千人です。これらについて、今までの審議過程において政府国鉄当局の各種資料を収集して私自身が一つの試算をやってみました。監理委員会意見では二十七万六千人。六十二年の三月まで希望退職者が二万人、大体そのくらいにいくだろう。場合によってはそれよりもふえるかもしらぬ。あるいは特別退職者が二千八百人おります。あるいは場合によってはもっとふえるかもしらぬ。休職退職者が一千八百名おります。そうすると、合わせて二万三千八百人見当の要員減というものが、減少というものが生じます。この今言った減少部門は総裁どうですか、大体目安はその程度にいきますか。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  40. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 希望退職の現状でございますが、現時点で一万三千人以上の申し出を受けております。これに、過去におきまして公務員等に既に就職した者あるいは申し出があるであろう者を含めまして、大体予想としましては十八万九千人ぐらい現時点では確保できる。これからなお申し出があると思います。したがいまして、見込みとしましては、大体二万人は達成できるというふうに思っております。
  41. 戸田菊雄

    戸田委員 一万八千でしょう。十八万九千じゃなくて、一万八千でしょう。
  42. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 はい。一万八千人。
  43. 戸田菊雄

    戸田委員 今総裁が言ったように、おおむね一万八千名くらいまでいくだろう。私の試算の二万とは若干、二千名ぐらい違いますがね。しかしいずれにしても、そういうことになるとおおむね二万三千八百人くらい、こうなると思うのです。だから、公共部門の前倒し三万人をもし政府が実行できるとすれば、残った人員は二十二万三千人なんです。そうすると、六十四年度首にいって二十一万五千人にほぼ近い数字。上回っているのが三千名です。三年間の中でさらに退職者その他が少しふえていくとこれはもっと減るという状況になるのですね。そういうことであれば、何も全員清算事業団送りや——あるいは公共部門のものを努力してもらえば、そのまま承継したっていいじゃないですか、実際はこういう状況になっていくのですから。どうですか。
  44. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは何回も委員の御指摘にもお答えをいたしましたとおり、発足当初における要員二十一万五千名というのは、鉄道事業そのままを運営していく要員のほかに、御承知のとおり、関連事業等に進出をする場合の要員として新会社がぎりぎり見込み得る上乗せ部分約二割ぐらいをもってスタートをさせるわけであります。この二十一万五千自体が、鉄道事業そのものに限定した場合に算定をされたものよりはいわば相当膨らませて、新会社関連事業等に進出する場合の要員をも含めて算定をされておるものであることは御説明申し上げておるとおりであります。その場合に、今委員お話のように公務員で全部前倒せばとおっしゃいますけれども、私は、そこまで数が全体に減っていくとも、正直事態を見てはおりません。国が責任を持って仕事のお世話をしなければならない方々の数はもう少し多い。やはり六万一千というものを我々は頭に描いてその職を確保する努力をしなければならぬと思っております。  その場合に、公務員部門のみを仮に全部前倒しをいたしましたとしても、私は、それで二十一万五千体制というものになるとは、率直に申し上げて思いません。仮にそういう事態が可能であったとしても、先ほど官房長官からも御答弁があり、私自身も申し上げておりますように、いわば業務量の増加に見合った定員採用という枠組みの中で、単年度にそれだけの公務員を採用するということは、国においても、またお願いをしております地方公共団体においてもなかなか難しいことではなかろうか。ただ、これは私自身の主管部分ではございませんから、私はその部分については感じを申し述べたわけであります。
  45. 戸田菊雄

    戸田委員 旅客鉄道会社の六社に対して一番要員削減をしなければいけないというところはどこどこでしょうか。各旅客鉄道会社の、東日本は何名配置し、東海、西日本、九州、四国、北海道、それに貨物、研究所、これはどういう状況になっていますか。
  46. 澄田信義

    ○澄田説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問に対しまして、六十一年度首の職員数で申し上げますと、北海道が二万七千七百九十でございます。この職員数が六十一年度末で見ますと二万四千百七十になります。それから東日本でございますが、職員数十一万四千四百七十が十万五千百四十という見込みでございます。東海につきましては、二万九千百七十の現在員が二万六千八百七十という想定でございます。西日本につきましては、七万二千八百十の現在員が六万六千七百四十でございます。四国につきましては、六十一年度首の職員数六千七十が五千五百五十という予想でございます。九州につきましては、二万六千六百九十が二万三千八百四十。これはいずれも、六十一年度末の職員数の見込みは、先ほど総裁も申し上げましたとおり、一応希望退職二万人が実現できたという前提に立っての試算でございますので、あくまでも我々の想定の数字でございます。
  47. 戸田菊雄

    戸田委員 そうしますと、政府資料の各会社の配置状況は、六十二年度首以降、東日本は八万九千人、東海が二万五千人、西日本が五万三千人、九州が一万五千人、四国が五千人、北海道が一万三千人、この数字は誤りありませんか。
  48. 澄田信義

    ○澄田説明員 今先生おっしゃった数字は新会社移行の数字だと思いますが、監理委員会の想定された数字はそのとおりでございます。
  49. 戸田菊雄

    戸田委員 今六十一年度末でそれぞれ発表になられた数字の中で人材活用センターに送られている各会社ごとの要員は、まだ会社はできてませんから新会社ができる地域別で結構でございますから、その数はどういうふうになりましょうか。
  50. 澄田信義

    ○澄田説明員 人材活用センターへは現時点で一万七千七百二十人の配置をしております。これは地域別に見ますと、北海道が二千九百二十人、本州が一万一千三百人、四国が三百六十人、九州が三千百四十人でございます。
  51. 戸田菊雄

    戸田委員 この間の国鉄当局のこの場での審議の中で発表された内容では、事業団に送られる四万一千名はおおむね三万八千くらいに減っているでしょう、こういう話ですが、そうすると、これからも人材活用センターへはもっと多く配置をしていくのですか。
  52. 澄田信義

    ○澄田説明員 清算事業団と人材活用センターとは全く関係ございません。人材活用センターへは、先ほど申し上げましたとおり、現時点で一万七千七百二十人配置いたしております。今後十一月一日に大きなダイヤ改正をやりまして、その時点でかなり合理化をやりますので、その時点でさらに余剰人員がふえてくることが想定されます。しかしながら、私どもは、一万七千七百二十人現在配置しておりますけれども、今後の余剰人員の増加の状況を見まして、また、それぞれ全国にある人材活用センターのスペース、ロケーション、地方の実態、そういうものを勘案しながら、適時適切に人材活用センターへは配置してまいりたいというぐあいに考えております。
  53. 戸田菊雄

    戸田委員 全国的に今いろいろな選別が行われておるのですが、そういう中で、人材活用センターに行っている人で公共部門や民間や関連企業等の採用試験、これを受けた人はどれくらいおりますか。
  54. 澄田信義

    ○澄田説明員 今のところ人材活用センターから何人受けたかという数字は掌握しておりませんけれども、私どもは、あくまでも、そういった公的部門あるいは関連企業一般産業界を含めまして、そういった受けるという申し出についてはすべて平等に扱っておりますので、人材活用センターに所属しておられる職員の方からも申し出があれば平等に受けていただいておる現状でございます。
  55. 戸田菊雄

    戸田委員 これは後でいいですから、どのくらい受験をしてどのくらい採用になっているか、その資料を現時点で結構でございますから、これを出してもらいたい。今調べればわかりますか。  私はいろいろ現地の状況を、水戸局はどう、仙鉄局はどう、高崎はどう、東京はどう、大体掌握をしているのですけれども、受験をしている人も相当います。だから、確かにそういう点では差別はしていない。中にはありますよ、相当差別したものも。だから、その資料が今後の事業団その他に移籍する分に直接関連をするものですから、それはわかりますか。
  56. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 現在、人活センターは千三百三十カ所ございますが、その箇所につきましてできるだけ調べまして、先生のところにお届けいたします。
  57. 戸田菊雄

    戸田委員 くれぐれも差別などのないような採用その他の選考をやってもらいたい、これはいいですね。
  58. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 人活センターの一つの大きな目的は、中で教育訓練を行うということにございますので、その中から十分に他へ試験を受けていただくということでございます。
  59. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、私はこの間地方公聴会で北海道へ行きました。ところが、北海道の現況は極めて厳しい状況ですね。減船、魚の方もだめ、鉱山の方もだめ、農村関係もやや衰退傾向ということになると、地域産業のそういったものが非常に厳しい状況にあります。そのとおりだと思うのですね。そういうときに、一番大きい企業国鉄職員が、御存じのように二万七千七百九十名おったものが六十一年度末で二万四千百七十名になる。そうしてなおかつ、今度は北海道は新会社になると一万三千名です。そうしますと約一万近い人が他にほっぽり出されるということになります。とても地場産業では吸収する余裕がありません。有効求人倍率はわずかに〇・二だ、こう言っているわけですからとてもそんな地元吸収はできません。だから、何とかこういう点について国鉄は頑張って、もうほとんど国鉄に二十年、十五年以上勤めた人はマイホームで、土着でもって北海道にいるんですから、こういった問題について、政府は本当に真剣に配転その他、転職についても考慮すべきだと私は思いますが、どうでしょうか。
  60. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに、現段階において国鉄職員に対する採用申し出の状況を見ますと、各分野を合わせまして北海道の場合に約三千五百名ということでありまして、北海道地域において再就職を必要とする職員数に到底達しておりません。そしてまた、今お話の出ておりますような北海道の置かれておる雇用情勢というものは、私自身も存じておるつもりであります。でありますからこそ、実は第一次の広域配転につきましてもできるだけの御協力を願いたいということを申し上げてきたわけでありますし、今第二期の広域異動の募集につきましてもできるだけ多く応募していただきたい、そして、それを受け入れる上で我々はその方々の生活に不安のない努力をいたしたいと真剣に考えているところであります。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 戸田菊雄

    戸田委員 要員査定について、監理委員長来ておられませんが、監理委員会から来ておられましようか。
  62. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  63. 戸田菊雄

    戸田委員 あなたの方で要員査定でつくられた回帰式の算出基礎が極めて違うというのですね。私の方もあなたの方の積算基礎に従っていろいろと積算をしてみました。
  64. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  65. 戸田菊雄

    戸田委員 大分違う。学者の意見を聞いても大分違う。その算出基礎の基礎データについて、どういうものをデータにして算出したか、ちょっと説明してください。
  66. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 それでは御説明いたします。  監理委員会におきましては六十二年度首の在籍職員を約二十七万六千人とはじきまして、そしてそのうち新事業体、これは旅客会社とかバス、貨物部門、そういうものがございますが、そういう意味での新事業体の適正要員規模、これを約十八万三千人とはじきました。残りがいわゆる余剰人員九万三千人ということになるわけでございますが、そのときの鉄道旅客部門の中の在来線につきまして、その要員推計に当りましては現業各部門の職員一人当たりの生産性を私鉄並みにするという目標でやったわけでございます。さらに私鉄の実態と国鉄事業の実態とが、国鉄では中長距離輸送をやっている、私鉄の方では短い区間を往復しているというような、国鉄事業の特殊性がございますので、その特殊性につきましてある程度の積み上げ計算をやったという過程を経まして、先ほどの純粋の私鉄並みに二割増しの特殊性を加えた。さらに私鉄における管理部門比率、現場部門と管理部門の比率では、管理部門が現場部門の約一八%に当たるというような数字が出ておりますので、その一八%を上乗せいたしまして在来線における適正要員数というものを算定したわけでございます。  そのほか、新幹線などがございますが、これは回帰式ではなくて別途のやり方で、私鉄並みの生産性比較をやって適正な要員数を出したところでございまして、その結果が先ほど申し上げましたように鉄道部門では十五万八千でございますが、バスとか貨物その他を入れまして新事業体の適正要員数十八万三千人と計算したところでございます。
  67. 戸田菊雄

    戸田委員 その積算基礎の置き方によって、データのとり方によって大分違うというような言い方ですが、そうじやないのですよ。私たち社会党案も、皆さんがやられたそれを積算基礎にしてやって、その結果約九%、四千五百人、監理委員会の想定数は下回っている、こういったことが出ているわけですね。それからまた、再建監理委員会は回帰式で、対数回帰式、こういったもので十八万三千人でしょう。国鉄当局の上積み計算でいくと十八万六千人、十一月ダイヤにおける要員数及び要員配置の内容でいくと十九万五千人、改革実施承継時の要員数及び要員配置の内容を見ますと十九万五千人、とりようによって皆違ってくる。私は、そういう点で信憑性において極めて不確定要素がいっぱいあるな、こういうふうに考えておるわけでありまするが、時間がないから、私たちが出した二十四万何がしというのは、これはあなた方が基礎データでやったそのとおりにやってこうなるのですからね。だから、そういう点で私は信憑性において極めて疑問視しているものであります。これは後でまた検討していただきたいと思います。  それで、次の問題に移りますが、地方交通線問題であります。  施行法の特定地方交通線の扱いとの関連で質問をしてまいりたいと思うのです。国鉄営業線全体に占める地方交通線と特定地方交通線の概要、これについてでありますが、営業キロ、収入状況、要員規模、これはどういう状況になっておりましょう。また、営業経費について、人件費とか物件費、動力費、こういったものはどういう状況になっておりましょう。ちょっと説明してください。
  68. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 地方交通線全体につきまして、今数字をお知らせいたします。特定地方交通線につきましては、全体が、未承認を含めまして八十三線区、営業キロで三千百五十七・二キロということになっております。
  69. 戸田菊雄

    戸田委員 これは北海道の日高線の例ですが、時刻表によりますると、苫小牧から様似まで行っているわけですが、通していく汽車は一日にわずかに五本しかないのですね。浦河と様似関係は非常に密度が多いのですけれども、全線を通していくものは五本しかない。それで、これは六十年度の決算ですけれども、五十二億円の赤字だ、こう言っているのです。今後採算のとれる経営というものはどういう経営をやっていけばいいのか。北海道全体として黒字経営で八億円、こういうことで試算では出しておりますが、そうなりますか。どうですか。
  70. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 北海道につきましてちょっと今数字を調べますけれども、全体につきましては、地方交通線の経営は非常に難しい。特に、地域的に言いますと北海道が一番問題があるというふうに私どもは思っております。また、特定地方交通線も非常に多いというところでございますので、今まで地元の方と御相談しながら対応をしてまいったところでございます。
  71. 戸田菊雄

    戸田委員 日高線の場合だけで六十年度五十二億円の赤字ですからね。一日当たり大体千五百万円の赤字、こういうものを国民は全然知らないのですね。苫小牧から様似までの駅は相当ありますけれども、無人駅はどのくらいありますか。
  72. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 ちょっと今、無人駅の数がわかりませんが、今調べます。
  73. 戸田菊雄

    戸田委員 それから帯広—広尾間の広尾線ですが、これも無人駅がほとんどだと思うのですが、逆に配置駅はどのくらいありますか。この広尾線も年間二十億円赤です。一日六百万、こういう状況になっているのですね。
  74. 須田寛

    ○須田説明員 詳細な数字は直ちに調べて御報告申し上げますが、大体、当時走っておりました急行停車駅程度が有人でございまして、あとの駅はほとんど無人駅になっているというふうに承知しております。  それから、日高本線等のこれからの経営の問題につきましては、並行して国鉄バスの路線、民間バスの路線等がございますので、そういったものとダイヤ調整をいたしまして、極力バス、鉄道の機能をうまく生かしながらこれから経営改善をしていくやに聞いております。なお、急行列車は、昨年まで運転しておりました急行停車駅、こういう意味でございますが、数字はすぐ調べまして御報告申し上げます。
  75. 戸田菊雄

    戸田委員 四月一日以降民営分割化されますと、これらに対するサービス、利便そういった問題がもっと悪くなりますね。そうすると、分割民営化によってサービスも向上しますよ、増収も図りますよ、そういうことになりましょうかね。
  76. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 地交線の考え方は、今再建法で決められておりますように、特定地交線の範囲内は、これはやはり自動車に転換した方がいいというふうに思います。ただ、それ以外の地方交通線、これは輸送密度が大から小までございますけれども、これは幹線と一緒になりましてやはり幹線の枝であり先でございますから、輸送サービスを十分に徹底しながら、むしろお客さんをふやすという方向で努力をしなければならない。そうした努力は、遅まきながら今回の十一月のダイヤ改正によりまして、ローカル線のかなり大幅なダイヤを設定をいたしております。過去におきましてもそうした効果があらわれておりますので、今後民間に移った場合に、そうした点にもう少しきめの細かい、ローカルの要望を受け入れましてお客さんをふやしていくという政策を講ずることが可能になるというふうに思います。
  77. 戸田菊雄

    戸田委員 それでは、具体的に中身についてお伺いをしていきますが、第一次から第三次までの特定地方交通線、これはどのくらいありましょう。申請中のものを含めて、あるいは協議中のものを含めて、協議中断のものを含めて、未承認のもの、どのようになっていましょう。
  78. 林淳司

    ○林政府委員 第一次から第三次まで予定しております特定地方交通線は全部で八十三線でございます。そのうち転換済みが三十七線ということでございまして、既に転換が合意されたものが十八線、それからまだ協議中のものが十九線でございます。それらを合わせまして、転換済み、転換合意、それから現在協議中というもので七十四線でございますが、残り九線につきましては、まだ未承認、いわゆる第三次特定地交線でございますけれども、承認申請がございますが、まだ未承認のものでございます。
  79. 戸田菊雄

    戸田委員 特定地方交通線の現在までの転換状況ですね。第一次特定地方交通線、総体四十線ありましたね。そのうち二十二線がバスに転換、十四線が第三セクター、二線が転換合意済み、残二線区が協議中だ、こういうことになっておりますね。これは四月以降、新会社に移行したらどういう経営状況になっていきますか。それから第二次特定地方交通線、総体で三十一線、そのうち一線はバスに転換、十四線は転換合意済み、十四線は協議中、残二線は協議中断。それから第三次、いわゆる第三セクターというやつですね。これは十二線中三線は承認済み、一線は転換合意済み、二線は協議中、九線は協議中断中、こうなっていますね。それでなおかつ、政府の案でいきますと、あるものについては二年間、総体的に省令で二年六カ月、こうなっている。その中で全部できますか。
  80. 林淳司

    ○林政府委員 これは施行法にも書いてございます。ただいま先生御指摘ございましたように、来年の三月三十一日までに転換が済んでないものにつきましては暫定的に旅客会社に引き継ぎまして、そして旅客会社がその経営をする。そして第一次、第二次については二年、それから第三次については二年半の間協議を継続いたしまして、その期間内に転換についての合意が得られて、廃止等の承認申請が出てまいりました場合には、あと六カ月間の余裕期間をそれぞれとりまして、そしてその六カ月以内に転換が現実に行われたという場合には転換交付金を交付し、さらに転換後五年間、必要な助成を行っていく、こういうことでございます。現在までの、既に実施をいたしました転換済みのところにつきまして平均しますと、協議期間は大体一年一カ月くらいでございます。したがいまして、来年の四月以降一次、二次については二年の期間、それから三次については二年半の期間をとっておりますので、十分その間で協議が行えるというふうに考えております。
  81. 戸田菊雄

    戸田委員 民営分割すれば地域サービス、地域経済の活性化、そういうことが非常にうまくいきますよ、こういう今までの説明だったですね。だから再建監理委員会の答申では、会社経営見通し、第三次分についてはそれぞれ継続を前提にして予算を組んでいるわけですね。ところが、今度の改革法案によりますと、これは全部廃止することになっているんじゃないですか。だから今審議官が言うように、この線については一次、二次、三次、それぞれ処分すると言っても、これは全部切っていくんじゃないですか、二年六カ月で。
  82. 林淳司

    ○林政府委員 私どもといたしましては、基本的に、いわゆる特定地方交通線、これについては従来の施策を継続いたしまして、バス転換あるいは事情によっては第三セクター鉄道というものに転換をしていただく、それ以外の、約七千キロの地方交通線につきましては新会社がこれを抱えていく、要するに新会社事業範囲として将来にわたって鉄道事業経営していく、維持していく、こういう考え方で今回の法案を構成しておりますし、また収支試算等もそういう前提で行っておるということでございます。
  83. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、今ちょっと申し上げましたように、例えば日高線の例ですよ。これは赤字五十二億、総体で。あるいはこの帯広—広尾、広尾線、こういう状況なんですね。これは全国的に全部拾い上げますと、おおむね経営指数についてはそういう状況なんです。だから、結局改革案では、いずれにしても二年六カ月過ぎれば廃止しますよ。それを一番、地域の場合は心配しているのですよ。だから、鉄道というものを残してください、いわばレールだけでも、こういうことで第三セクターというものをつくるわけだ。それでも地域の場合はこれでよかった、こうなっているのです。ところが、これを全部ぶった切っていくのですから。二年六カ月後は必ずそうなると思うのです。そうすると、民営分割によって地方交通線の場合は採算がとれないものは全部切っちまうんだということになるのですよ。これはどうですか。
  84. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今審議官からるる御説明を申し上げましたとおりに、私どもは、特定地方交通線については本来国鉄の間に完了すべきものでありますけれども、それは協議期間を確保するためのいわば経過的な時間というものを特例的に新会社に運営を継続させるという考え方をとったわけであります。しかし、その特定地方交通線を除く地方交通線については、むしろこれは先ほど国鉄総裁が新ダイヤの説明に関連して申し上げましたように、その地方交通線というものがいわば生き返り、地域の住民の足として本当に活躍できるようなダイヤ編成というものを心がけておりますとおりに、むしろ私どもは新会社移行後においてこれを継続していくつもりであります。  ただ、先ほど冒頭に日本社会党の意見としてお述べになりました御意見等を考えてまいりますと、あるいは今の御意見を延長していけば、特定地方交通線もそのまま新会社が続ければいいじゃないかというお話になるのかもしれません。しかし、それはむしろ現在協議の進んでおりますその手続の遂行にも影響が出てくるばかりではありませんで、既にバス転換あるいは第三セクター化をしていただき、あるいはその合意が形成された地域に対しても大変な不公平、悪影響を与えることであります。ですから、私どもは特定地方交通線については本来現在の国鉄の間に処理されるべき事項でありますけれども、いわば協議の時間をしばらくの間新会社が引き継ぐという考えをとったわけでありまして、やはりその処理には公平ということも考えなければなりません。しかし、その特定地方交通線の話をもってその他の地方交通線まで廃止されるような御意見は、我々としてはそういう方向には考えておらず、その他の地方交通線は今後ともに存続させるつもりでこれを考えておるということを申し添えます。
  85. 戸田菊雄

    戸田委員 ぜひそういうことですね。存続をもくろんでやっていくということですよ。大臣の今の答弁を本当に担保するためには、社会党が提案したように、わずか二年六カ月に限定せずに、当分の間、それが五年かかるかあるいは六年かかるか、十年かかるかは別にしまして、そういうことなら本当に地域の皆さんもなるほどこれで担保できるなということを考えるのですが、二年六カ月に限定しちゃっているわけですから、それで私たちは当分の間ということを挿入しなさい、こう言ったわけですが、これは回答は結構でございます。  もう一つは財政措置ですね。今後の財政措置について、六十一年度予算では、キロ当たり三千万、関係地方公共団体に交付される転換特別交付金、こういうことで出しますよ、こういうあれだ。転換特別交付金、約四十四億円、これを出しますよ。それから協議会特別交付金約二億円、特定地方交通線代替輸送バス事業運営費補助金、これが約二億円、それから地方鉄道軌道整備費補助金約一億円、そして最終的に国鉄に対し政府が五百八十六億円、これを交付いたしますよ。こういうことになっているわけですね。  これらの状況について、これはもう少し交付金助成その他の対策について、私は現地で採算のとれるような、今言ったように、日高線はそういう状況で五十二億も赤字が出るのですから、これが大臣が言うように存続をしたい、あるいは広尾線のように一日六百万も赤字が出ますよ、こういうのですから、そういう地域の諸条件を踏まえて、今言った各般の特別交付金あるいは助成金、こういったものを勘案して予算に私は確定をしていくべきじゃないかと思うのですが、こういう点はどうでしょうか。
  86. 林淳司

    ○林政府委員 ちょっと御趣旨がわかりかねるところがございますが、私ども来年度の予算要求をしておりますのは、一つは、先ほど申しましたように、経過的に旅客会社経営をいたしますが、二年ないし二年半の間に協議を終えて転換をしていただくといういわゆる特定地方交通線でございますが、その特定地方交通線の転換について一定の見込みをいたしまして、来年度清算事業団特定地方交通線の交付金、これはキロ当たり三千万でございますが、これを二百四十一億、これだけ計上をいたしております。  それからさらに、既に転換を終わった地方交通線、これはバスとかあるいは第三セクター鉄道、こういうものに転換をしておるわけでございますが、これについては従来から転換後五年間につきまして、バスに転換した場合には全額その赤字を国から補てんをする、いわゆる補助をする、それから第三セクター鉄道に転換いたしました場合には、これは赤字額の二分の一、これを五年間いわゆる運営費補助という形で助成をする、こういう制度を従来からとっておりますので、その関係でバス運行対策については三十一線区、七億一千万、それから鉄軌道につきましては十四社、四億一千八百万、それからもう一社は、第三セクター鉄道でございますが、これは四千万ということで来年度補助金の要求をしておるということでございます。
  87. 戸田菊雄

    戸田委員 今審議官が言われたように、それぞれ補助、交付その他の対処をやっておるわけでありまするが、これは六十二年度予算、例えば六十一年度は今言った内容でありまするけれども、この転換促進措置による、あるいは代替輸送によるそういった事業形態については、六十二年度予算は現行のものより上回りますか。
  88. 林淳司

    ○林政府委員 ただいま私申し上げたのは、六十二年度の概算要求の数字でございます。今年度は今年度の状況に応じましてそれぞれ予算を計上しておりますけれども、ただいま申し上げましたのは来年度の、六十二年度の概算要求でございまして、従来と同じ制度によって転換交付金あるいは転換後五年間の欠損補助というものを続けていくという前提で概算要求をしておるということでございます。
  89. 戸田菊雄

    戸田委員 六十一年度予算総体でそのまま継続するということですな。  それから、一つ聞いておきますが、六十一年度予算で運営費特別交付金、これは政府から国鉄に対して五百八十六億円、これが計上されておりますが、これは六十二年度はどうなります。
  90. 林淳司

    ○林政府委員 現在国鉄に対して地方交通線の欠損の一部に充てるということで補助金を交付いたしておりますけれども、来年度からは国鉄でなく新会社であり、あるいは清算事業団でありという形になるということを前提に概算要求をいたしておりますので、いわゆる現在の国鉄に対する補助制度というものは、これはなくなるわけでございます。
  91. 戸田菊雄

    戸田委員 そこで大臣、今言ったような状況なんで、地方交通線の維持というものは非常に困難な状況に私はなってくると思う。ですから、財政措置上も十分やはり勘案をしていかなければいけないだろう、こう思いますが、大臣見解はどうでしょう。
  92. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今総括審議官から御説明を申し上げましたような内容で現に私どもは大蔵省に来年度の概算要求を提出しておるわけであります。予算編成の時点においてできるだけ要求を満たすように努力をいたすつもりであります。
  93. 戸田菊雄

    戸田委員 第三セクターに切りかえた路線はどのくらいありましょう。
  94. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 特定地方交通線から第三セクターに切りかえましたのが現在七線ございます。
  95. 戸田菊雄

    戸田委員 模範的だと言われる三陸鉄道ですが、いろいろと私も内容等について伺ってみましたが、非常にやっぱり苦しい状況ですね。大変な状況。辛うじて黒字ケースでいったというのは職員採用ですよ。従業員の半分以上が国鉄のOBが行っている。採用条件は、賃金が、今まで二十万もらっておったということになりますると、年金が幾らでその不足分だけ賃金として払っているような状況なんだ、それで現職時と同じような賃金体系にしている、こういうことがありますから、そうすると大の五十歳以上のOBの皆さん方が大体十万円以下ですよ、その会社からもらう賃金は。こういうことで採算がとれている。もしこういうことがなかったら、第三セクターといえどもすべて赤字に転落することは間違いない、こう言われている。こういう点についてはどう考えておりますか。
  96. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今七線と申し上げましたのは決算が出ておる線でございますが、そのうちの三線が単年度黒字を出しております。その中に三陸鉄道が入っておるわけでございます。  やはり輸送需要の点からいいますと全体的な数字が低うございますから、徹底的な合理化、経費の節減、増収努力が必要である、今お話がございましたように賃金ベースもそう高くはできないという事情であろうかと思います。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  97. 戸田菊雄

    戸田委員 そこで、そういう状況に対して、宮城県の丸森線等は宮城県と福島交通、宮城県が五一%、沿線の市町村段階を含めましてこういう資本の投下で、そして福島交通が四十数%、こういうことで発足しているわけです。こういう状況の中で、自治省はこれまで転換のための第三セクターに対する地方公共団体の参加については一貫して否定的な指導をしているのですが、国鉄改革後もそういう態度は変わりありませんか。自治大臣、どうです。
  98. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 御指摘のとおり「特定地方交通線等については、採算の現況等からみて、第三セクターにより経営を行う場合であっても、赤字を生ずるおそれが多分にあり、その結果、地方団体に負担が生じる危険性が大きいので、各地方団体は、第三セクターに加わることについては、慎重に対処すること。」こういうことを通達で申しておりますが、この考え方については、私どもとしては変わっていないところでございます。
  99. 戸田菊雄

    戸田委員 しかし、現に参画をしているところ、こういうところもあるわけですから。今後はもう一貫して民営分割後はそういうことはやらない、こういうことですか。
  100. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 「慎重に対処すること。」こういうことでございます。したがいまして、地方団体が第三セクターに参加をするというような場合にはよく諸般の条件、事情を検討して慎重に臨んでほしい、こういう意味での指導でございます。
  101. 戸田菊雄

    戸田委員 結局、通達とは違って、これから地域開発その他遊休地を利用して、この間いろいろ意見がありましたけれども、そこにマーケットをつくる、あるいは娯楽施設をつくる、どうのこうので、人が集まるようなそういうものもやっていきたい、地方の自治体としては地域開発に結びつけて活用したい、こういうことを言っているわけですよね。そのときに自治省が、それは一切まかりなりませんよ、一切そういうものにはもうタッチしちゃいかぬ、通達はそうなっているでしょう。だから、そういう事態が発生したものに対しては今後ケース・バイ・ケースで弾力運用でいくのかどうか。どうなんです。
  102. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、一切まかりならぬ、こういう指導をしておるわけではございません。その地域、その状況に応じて慎重に検討をしてほしい、こういうことを申しておるところでございまして、この姿勢は今後においても同様でございます。
  103. 戸田菊雄

    戸田委員 それから鉄建公団について、AB線等の扱いについて、例えば現在工事中断のもの、これは何線ありますか。あるいはこれから投資されて、これは長距離になることが予想されておりますが、これに投資をした費用は総額でどのくらいありましょうか。あるいは今後完成予定をされておるものはどれくらいありましょう。完成しないものについてはどういう取り扱いになっていましょう。
  104. 林淳司

    ○林政府委員 現在鉄道建設公団で建設を休止しておるもの、これが全部で二十二線ございます。これの現在までの投資額は約千三百億でございます。このうち三線につきましては今年度中に工事を再開する、すなわち第三セクター鉄道として工事を再開する予定でございます。残り十九線ございますけれども、これの取り扱いでありますが、これについては今後特定地方交通線との整合性という点も考えまして、二年ないし二年半という期間、猶予期間、経過期間を置きまして、この間にいろいろ地域の状況等を検討していただきまして、今後第三セクターとしてこれらを活用していくという余地のあるものにつきましてはそのような道を選ぶ、そうでないものについては、その期間が終了しますと、これらの中断線については工事と申しますか建設をやめるという取り扱いになろうかと思います。今後経過期間を置いて検討を進めていくということでございます。
  105. 戸田菊雄

    戸田委員 私が持っている資料によりますと、全線開業したものは二十五線ありますね。二十五線、七百七十四キロ。部分開業しているものが十三線、二百六十キロ。それから未開業、これが三十四線、千二百三十四キロ。それから未着工十九線、五百九十二キロ、こういう状況になっているわけですね。これは結局第三次でもって、セクターその他でもっていきますと、後の始末はどうしましょう。財産や資産やそういうものは、廃止にするものもあるわけですから、これはどういうことになりますか。何年でそういうものが処理できるのですか。
  106. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、一応今のところ十九線というのが休止という状況にあるわけでございますけれども、これらについては、先ほどちょっと数字を間違えまして二年ないし二年半と申し上げましたが、そうではなくて、第一次、第二次関連については二年半、第三次関連については三年でございますが、この期間内に検討していただいて、それで工事を第三セクターで再開し、将来鉄道として使うものはそのように使っていく、そうでないものについてはその期限が切れました段階で清算事業団に資産を引き継ぎます。これはいずれも無償資金で建設をしておりますので、債務はございません。資産を清算事業団に引き継いで、清算事業団の方でこれを管理し、そして処分をしていくということになるわけでございます。
  107. 戸田菊雄

    戸田委員 例えば五十五年度以降もう既に予算凍結をされたものがある、こういったものは全部処理をしてきているのでしょう。  それから、例えば本州四国連絡橋、こういうものはどちらの旅客鉄道会社に引き継いでいくわけですか。
  108. 林淳司

    ○林政府委員 ただいま前段の方でございますけれども、昭和五十五年の特定地方交通線対策を開始しました段階で、先ほど申し上げました二十二線について工事を中断したということで、先ほど申し上げたのは、まさに今先生御指摘昭和五十五年の特定地方交通線対策に関連して休止したものでございます。  それから、本四公団の関係でありますけれども、これのうち、現在建設をしております備讃瀬戸、いわゆるDルートでございますが、これについては運営は四国会社がこれを行っていく、Dルートを使いまして鉄道の営業をやるということにつきましては、これは四国鉄会社の営業範囲になるということでございます。
  109. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、こういう状況で、膨大な資産その他が、五十五年度以降廃線になったものについてもいろいろと処理をされているわけです、予算凍結だけじゃなくて。それから、これから二年六カ月の中で処理していくものがいっぱいあるわけです。そうすると、これらの事業はすべて清算事業団でやることになるのですね。そういう問題について、あの清算事業団予算の総体を見ましても、私は大変だと思うのですね。これは膨大なものだ。全部清算事業団に資産その他は入れますか。
  110. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 多少誤解をしておられる点があるように思います。例えば、今審議官がお答えをいたしましたように、本州四国連絡架橋、児島—坂出ルートの場合、その鉄道の運営は四国会社がいたすわけであります。また、今工事を凍結しております各線につきましても、現にそれぞれの地域におきまして、例えば第三セクター会社設立等が進んでおるものがございます。これらのものは、その会社が認可をされ、工事の実施の可能な状況になれば工事を再開し、完成に向けての努力をいたすわけでありまして、どれもこれもが全部清算事業団というお話には多少誤解があろうかと思います。
  111. 戸田菊雄

    戸田委員 それでは、そういった建造物、資産、これは今後どのように管理されていくのでしょうね。それが一つと、それから鉄建公団により建設されたもの、特定地方交通線の扱いとなっているもの等々、これは既に廃止してしまったものもあるわけでしょう。そういうものは全部清算事業団で管理その他はやっていくわけじゃないのですか、違うのですか。各旅客鉄道会社ごとにやるのですか。
  112. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 何回も申し上げておりますように、特定地方交通線につきましては、本来、現在の国鉄の間に完了すべき転換が完了し切れなかったものが、その所要の期間内、いわば協議を継続するに必要な期間内、それぞれの旅客鉄道会社において暫定的に運営がされるということであります。  また、鉄建公団において現在工事を休止いたしております各線、その中で本年中に工事を再開いたすものもたしか三つ現にございます。また、近い将来において第三セクター会社等が結成をされるものもございます。これらは工事がされるわけであります。完成に向けて進行するわけであります。ですから、それ以外に残るものは確かに清算事業団にその時点において移行をいたします。その処分対象になるわけであります。ですからこれは、今委員がまとめてお話しになりましたものが全部清算事業団ということではございません。
  113. 戸田菊雄

    戸田委員 年金問題について若干質問しておきたいと思うのですが、まず大蔵省に、でき得れば今次国会中ぐらいで結構ですから資料をお願いしたいと思うのです。  それは、例えば保険料の掛金、負担金。公的負担、追加費用、発生額未払い分。財政調整交付金。基礎年金交付金。利息。収入計。支出、給付。基礎年金拠出金。支出率。収入残。積立金等々の各種項目によってこの一覧表を、六十二年度は無理でしょうから、六十一年度で結構です。出していただきたいと思うが、どうでしょう。
  114. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいました各項目にわたります実態につきましては、六十年度の数字でございましたらば提出できると存じます。
  115. 戸田菊雄

    戸田委員 国鉄の共済年金がパンクをしている、こういうことはもう事実ですね。六十四年度まではいずれにしてもこれは政府の統一見解によって処理をされる、これは確認されておりますから、そのとおり実行されると思いますが、問題は六十五年度以降ですね。これを制度的に、あるいは給付に支障のないように等々の問題について、やはり抜本的解決策をとらなければいけないと思うのです。だから私は、六十三年度までにそれらについて決着をつけませんと前途間に合わない、こういう事態が来ると思うから、この前の審議のときにもその点は運輸大臣にいろいろとお願いをしておった。要員の削減によって掛金が不足したことも大いなる理由ですけれども、もう一つは、ちょっと見ますると、国庫負担の面が何かこう削減して減ってきているのですね。これはどういうことでしょうかね。
  116. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 さしあたり六十四年度までの国鉄共済の赤字がどういう形で形成されていくかということでございますけれども、先生ただいまおっしゃいましたように、職員数が減るわけでございますので、いわゆる保険料部分の減というものがございます。これが、先般も申し上げましたが、労使合わせて大体四百億ぐらい減るのではないかということでございますが、それ以外に、ただいま御質問のいわゆる公経済負担の減というものが出るように思われます。この公経済負担の減につきましては、現在のところ推計でございますが、主として、今までと違いまして基礎年金の導入によりまして六十五歳以上の方に関する部分についていわば公経済負担が出ていく、今まではもっと若年の方についてもいわば公経済負担があった、こういう姿で制度的な意味での変化がございます。この辺を、過去の実績を勘案いたしまして先般も推計値として申し上げましたが、約二百億ないし三百億公経済負担は減るのではないかというふうに思います。  なお、公経済負担は、これまでは国鉄という事業体が負担をしてまいったわけでございますけれども、民営分割になりました後は国がこれを負担するという計算になっております。
  117. 戸田菊雄

    戸田委員 数字的なものは差し控えますけれども、六十年以降六十四年までずっと見ますると、六十年までは大体五百八十九億ですから、六百億見当で参りました。六十一年以降になりますと、ややその半分くらいの三百億台に減っているのですね。だから、こういった部分も若干国鉄共済年金のそういうものに影響しているんじゃないだろうか。だから、そういう点は十分今後検討をしていただきたいと思います。  それから、国家公務員等、国鉄支援のためにグループを拡大をして一元化しましたけれども、これはしかし、五十八年にやったのですが、中身としてはまさに支援の拠出だけであって、掛金もあるいは給付率も積立金の管理も、そういったものについては何ら制度的に動かされていないですね。だから、この国家公務員等の内容一つ見ても、六十五年度以降これを制度的にどうのこうのということになると、これは大変な作業だ。地方公務員共済においてもあるいは私学共済においても厚年やあるいは国年にいたしましても大変な状況ですから、今後検討段階としては、運輸大臣も大分努力をされて閣僚懇談会をつくられた、そういう状況を契機にいたしまして本格的に検討する何か民主的な、共済の代表者も含めたそういうものの諸準備が必要だと思うのですが、これは大蔵大臣、どうお考えでしょうか。厚生大臣もどうでしょう。
  118. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 六十四年度までの分を今年度末までに結論を出しますということは先般お答えを申し上げまして、なおそれに引き続きまして、それ以降の分につきまして検討を早速にいたしますということも申し上げました。ただいま関係四閣僚が六十四年度分までのものについて今年度末までに結論を出すべく検討をいたしておりますが、その後の問題は、おっしゃいますようにさらにさらに非常に大きな問題を含んでまいりますので、六十四年度分までの検討が終わりましたその後に関係閣僚におきましてその後の問題の処理をどうするかということを、処理の仕組みを含めまして検討をいたさなければならないと思っております。そういう中で、場合によりまして専門の方々の御意見を伺うとか、あるいは審議会等々の御意見を承るとか、そういったようないろんな問題が起こってくることはあり得ることだと思っておりますが、それは関係閣僚におきまして六十四年度までの検討が終わりました段階でみんなで議論をし、検討を進めてまいりたいと思っております。
  119. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 ただいま大蔵大臣がお答えになられたとおりだと思っております。
  120. 戸田菊雄

    戸田委員 ぜひ民主的なそういった検討会を通じて各共済の関係者の意見というものを十分吸収をして、そして六十三年度までに明確な諸方針というものを打ち出していただきたい、こうお願いをいたしておきたいと思います。  次に、地方財政関係について若干お伺いをしますが、今回の改正により、従来納付金対象とされていた部分、例えば清算事業団や新幹線保有機構に承継される固定資産などが非課税とされるなど、多くの非課税、軽減措置が地方税に関して措置されております。これは地方団体にとっては当面は減収にならないにしても本来入るべき収入が入らないということであり、地方財政切迫の折から、また課税自主権という面からも問題であろうと考えます。  ですから、第一には、臨時的特例措置については期限が切れれば延長はないと考えてもよいのかどうか、第二は、今回の国鉄改革が地方財政に何ら悪影響を与えるものではない、地方への財政転換や財政支出増はもたらさないということでこれはいけるかどうか、自治大臣見解はどうでしょう。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 今回、地方税の新しい措置をとるわけでございますが、新しく設立されます新事業体の性格に応じました恒久的な措置として定めましたものは別といたしまして、経過的な負担軽減措置、今先生がおっしゃいました軽減措置につきましては、公社制度を前提といたしました取り扱いから私鉄並みの取り扱いに移行することによりまして負担の急増が予想されますので、これを緩和する見地から新しい地方税の措置を講じているわけでございまして、その期限を延長するつもりはございません。また、今度の国鉄改革によりまして地方団体の財政負担が増大するものではないと自治省としては認識しております。
  122. 戸田菊雄

    戸田委員 もう二点ほど確認をしておきたいのですが、その一つは、国鉄分割民営化によって新事業体は、清算事業団と新幹線保有機構これを除いて、地方財政再建促進特別措置法第二十四条の二項でありますが、すなわち、地方公共団体は当分の間、国を初め日本国有鉄道などに対し、寄附金、法律等に基づかない負担金その他これに類するものを支出してはならないという適用が外れるものと考えますが、この点はどうでしょうか。また、新事業体の持つ公共性、また資産等が承継されるという点、さらにはこれまでの経緯と今回の地方税の軽減措置などを勘案すれば、当然その趣旨は引き続き尊重され、国は当然のこととして、新事業体においても寄附金や負担金をこれまでどおり地方公共団体に求めることは原則的にはないと考えてよいのかどうか、この点の見解一つであります。  もう一つは、六十一年度地方財政運営通達においては、「特定地方交通線等については、採算の現況等からみて、第三セクターにより経営を行う場合であっても、赤字を生ずるおそれが多分にあり、その結果、地方団体に負担が生じる危険性が大きいので、各地方団体は、第三セクターに加わることについては、慎重に対処する」としているが、この自治省の姿勢に変動がないことを明らかにしていただきたい。この点をもう一回明確に確認をしておきたいと思います。
  123. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 地方公共団体から国または公社等への寄附金等の支出につきましては、国と地方との間の財政秩序の維持の観点から地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項により制限されておりまして、日本国有鉄道に対します地方公共団体からの寄附金等も同法により制限されているところでございます。国鉄が新事業体に移行することに伴いまして、清算事業団と新幹線保有機構を除きまして再建法の適用から除外されることとなりまして、地方公共団体は公益上必要がある場合には補助することが可能となるわけでございますが、国鉄民営化の趣旨及び現下の厳しい地方財政状況にかんがみまして、新事業体地方公共団体に対し寄附金等の支出を求めることは原則としてないことが望ましいと考えるところでございます。したがいまして、地方公共団体に対しましては、自治省といたしまして慎重な姿勢をもって臨むよう指導してまいりたいと考えているわけでございます。
  124. 戸田菊雄

    戸田委員 警察関係でひとつ確認をしておきたいと思うのでありますが、鉄道公安業務の都道府県警への移管、これが予定されておりますね。政府国鉄改革関連法案の体系から考えますと、国鉄は一部を除き民間企業と位置づけられたものであり、しかも国鉄の内なる公安制度と国及び地方の行政機関としての警察制度の違い、国鉄職員としての公安官と警察官との身分の違い、警察権力と新事業体の関係は性格的には他の民間鉄道の関係と同様となるべきであると思いますが、そうであるなら、第一には、鉄道警察隊というものの設置が予定されていると言われるが、これは特殊な権限を持つ警察であるのか、あるいは交通機動隊のごとく警察内の職掌の便宜上設けたものであるのか、これらについて明らかにしていただきたい。  第二は、警察と旅客会社などの関係が通常の民間企業と同様の性格のものであるなら、鉄道敷地内の警察官の行動は職員としての公安官とは若干異なります。例えば通常の場合、職員のたまり場や職員以外は通常立ち入ることのできない事務室等への立ち入りあるいは通常の職員の集会等の周辺の警備などは、特別の情勢あるいは要請がある場合を除いては原則的には今日まで行っていなかったのですね。  あるいはまた第三に、公安官が遂行している任務のうち荷物事故の調査とか、一般的な企業で言えば警備、守衛に当たる業務は新事業体が当然行うべきであると考えますが、以上三点の見解について説明をしていただきたいと思います。
  125. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 都道府県警察に設置することにしております鉄道警察隊は、現行の警察法等に基づきまして都道府県警察に与えられている任務、権限の範囲内におきまして設置、運営されるものでございます。今回の法改正に伴い何ら特別に新しい権限を付与されるものではございません。  第二の御質問でございますが、鉄道警察隊は駅構内、プラットホーム、列車内等鉄道施設内において犯罪の予防、検挙や事故の防止に当たることを任務とすることとしておりまして、お尋ねの場所につきまして、特別の場合を除いては一般鉄道警察隊員が立ち入ることはないものと考えている次第でございます。  最後の御質問でございますが、犯罪の捜査や警備実施等特別の場合を除きまして、通常企業が行っております形態での荷物事故の調査あるいは自主警備等につきましては、当然新事業体が行うべきものでございまして、鉄道警察隊が関与することではないと考えております。
  126. 戸田菊雄

    戸田委員 これは総理に伺っておきたいと思いますが、土地問題でございます。国鉄用地の非事業用地の活用処分については、さきに我が党の井上議員が指摘いたしましたが、入札方式の問題あるいはその利用や転売、価格の問題など多くの疑問が出されております。運輸大臣も、あってはならないことであり、今後はそのような問題を起こすつもりはない、こういう御答弁をなされております。  用地処分政府の試算でも七兆七千億円、我が党の試算では関東一都三県に大阪を加えただけでも十一兆三千五百億という巨額なものであります。しかもこれは公示価格を基礎にしたものであり、この土地はいわば国民全体の共有財産であり、その処分による債務処理国民負担とも言えるものであります。したがって、あってはならないことがこれまで行われてきた以上、二度と疑惑を引き起こさないよう政府の約束の担保が必要と考えます。この点に関しては、公明党は用地利用計画委員会をつくって公正性を確保すべきとしており、他の党も土地問題については危惧する声が強いわけでありますが、我が党もことしの春以来、土地利用委員会等の設置を主張し、さきに政府・自民党に対し、少なくとも資産処分審議会に国民代表を加え、委員国会承認事項とすることを要求しておりますが、今後は疑惑を招かないと宣言してみても、あってはならないことが積み重なっているわけでありまするから、政府国民に対してこれくらいの措置は当然講ずべきと考えますが、総理見解はいかがでございましょう。
  127. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 土地その他財産はすべて国民の貴重な財産でございますから、これの処理につきましてはあくまで公平に公正に適正に行われなければなりませんし、慎重な手続を要すると思います。ただ、やはりこれだけの借金を返すというそういう目的もあるのでございますから、そういう点も無視できない点もございます。ですから原則として一般競争入札という手段をとりますが、例外的な場合も、これは公共性その他も考え、あるいは地価抑制という面も考えて例外的なものとして考えられる。これらは清算事業団につくられまする審議会において具体的処分の場合にいろいろ検討願いたい、そう考えております。しかし、御指摘のように、ともかくこれは大事な国民の財産の処分でございますから、公正をあくまでも貫いて行われるように慎重な手続をもってこれの処分を行うようにいたしたいと思います。  具体的にどういうふうにそれじゃ実行するかという点は、これは法案成立後清算事業団ができまして審議会をつくるその場合に、いろいろ運輸省を中心にしまして省令あるいは政令あるいは通達そのほかのいろいろな手段を用いまして公正を期するようにいたしたいと考えております。
  128. 戸田菊雄

    戸田委員 株式について若干意見を聞いておきたいと思うのでありますが、まず運輸大臣国鉄の含み資産はどのくらいあると思いますか。
  129. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これもたびたび御質問がございましたが、私どもは国鉄を、新たな民営の形態の中で鉄道事業を存続させていこうと考えておりますので、そうした含み資産といった計算をしたことはございません。
  130. 戸田菊雄

    戸田委員 今回、旅客、貨物各会社の附則第六条、第五条、これによりますと、国鉄が引き受ける株式は〇・六兆円、資本金は六千三百九十四億、こういうことになっていますね。これは余りにも小さ過ぎるんじゃないかと思うのですが、これはどういうお考えでしょうか。
  131. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 それは新会社の資本金が小さすぎるという御指摘でありますか。——これも何回か論議がございましたけれども、民間鉄道会社の例等を見ますと、営業収益の大体二〇%程度を資本金としておるケースが大半と聞いております。今回の場合もそれを頭に置き、ルールとして考えたものでありまして、その意味からいえば間違ったものではないと思います。
  132. 戸田菊雄

    戸田委員 この「株式の引受け」について、第五条ですけれども、「会社設立に際して発行する株式の総数は、日本国有鉄道が引き受けるものとし、設立委員は、これを日本国有鉄道に割り当てるものとする。」第六条で、「財産の出資」でありますが、「日本国有鉄道は、会社設立に際し、会社に対し、改革法第二十一条に規定する承継計画において定めるところにより、その財産を出資するものとする。」ということで、今の資本金が、そして株式については〇・六兆円、こういうことで確定をしているのですね。それは、政府が所有するということはわかりますが、あるいは清算事業団が全部それを承継するということはわかりますが、その中身については全然触れられていない。例えばNTTの場合は、これは三割は国が保有いたします、七割は売却します。たばこの場合もそうですね。大体そういうことで、殊にNTTの場合は、これは職員の持ち株制度まで判断の中に入れましょうというようなこともあった。国鉄の場合はそういうものが全然ないですね。この点はやはり私はもう少し検討に値するのではないだろうか、こう考えますが、いかがなものでしょう。
  133. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 揚げ足を取るわけではございませんけれども、たばこ産業の場合の政府保有は二分の一であります。ただ、委員がこれもよく御承知のことでありますけれども、電電公社NTTに変わります際、通信の機密の保持ということが非常に大きな論議として出ておりましたこと、御記憶のとおりであります。そしてまた、少なくとも民間企業としてNTTスタートをする段階において、まさに全国一社、通信事業を主管する会社でありました。また、たばこ産業株式会社設立をいたします場合に、製造独占を持ち、しかもたばこ耕作農家等々との関係をも考慮し、さまざまな議論がなされたこと、御承知のとおりであります。私は、そうした中からこれらの特殊会社については政府保有株式の量というものが規定をされたと考えております。  しかし、今回私たちはこの国鉄改革し、新たな姿にスタートをしてまいります旅客会社あるいは貨物会社というものについては、経営基盤が確立し、その諸条件が整い次第完全な民営化を目指しております。そしてむしろ、民営化されていく企業に、それぞれの企業政府株式保有し、実効支配権を握っておく必要があるとは考えておりません。
  134. 戸田菊雄

    戸田委員 商法の百七十二条の関連でちょっと伺っておきたいのですが、普通の会社設立の場合は、現物出資は、これは別に扱うというのが大体常識だろうと思うのですね。ところが、今回の場合は現物出資と財産引き受け、これを別々にしていないと思うのですが、これは百七十二条の関係はどういう解釈になりましょうか。
  135. 林淳司

    ○林政府委員 今回の会社設立は商法に基づく設立ではございませんで、特殊会社でございますので、今回御提案申し上げております旅客、貨物等の株式会社法、いわゆる特殊法人としての株式会社法でございますが、この設立手続によって設立をするということでありますので、商法の規定がそのままずばり適用になるわけではございません。
  136. 戸田菊雄

    戸田委員 商法に準拠せずともいい、こういうことでしょうが、株式会社発足させる場合、定款をつくるわけでしょう。定款はできるわけでしょう。そうしますと、定款の内容についてはそれぞれこれは報告義務があるんじゃないでしょうか。その場合にどういう手続準拠によって定款その他の設定等届け出をやるのですか。  それからもう一つは、運輸大臣清算事業団株式を全部引き継ぐわけですから、そうすると清算事務その他は清算事業団が一々大臣に報告することになりましょう。NTTの場合は株主総会をやる。そうしますと、これは清算事業団から代行が行って、そして何か事業計画その他全部つくって、資産その他の勘定科目をつくって、そして全部それを報告して、ただ一人社長でもって全部決めてしまう、こんな格好になりませんか。
  137. 林淳司

    ○林政府委員 定款につきましては、今度御提案申し上げております法律では、これは設立委員が定款を定めまして、運輸大臣の認可を得る、こういう形で定款が設定されるわけでございます。  後半の方の御質問について、ちょっと御趣旨がよくわからないのでございますけれども。
  138. 戸田菊雄

    戸田委員 では、株主総会はどういうことで形成されるのですか。
  139. 林淳司

    ○林政府委員 通常の株式会社でいいます株主総会でございますが、いわゆる創立総会でございますが、これも今回の法律の附則に規定してございますけれども、やはり創立総会、要するに株式の割り当てを行いますと、その割り当てを受けた国鉄ということになりますが、その株主によって構成されるいわゆる創立総会というものが開かれるわけでございます。
  140. 戸田菊雄

    戸田委員 株主総会に出席する株主はどういう人ですか。
  141. 林淳司

    ○林政府委員 今回は法律で全額国鉄に割り当てるということでございますので、国鉄代表する者が創立総会の構成メンバーということになるわけでございます。
  142. 戸田菊雄

    戸田委員 代表といっても、各鉄道会社ごと運輸大臣の任命による理事長、社長、こういったものに限定されるわけでしょう。そうじゃないのですか。
  143. 林淳司

    ○林政府委員 新しい会社の役員は、設立委員会で案をつくりまして、創立総会で役員を決定するわけであります。その場合、法律によりまして代表取締役あるいは監査役というのは運輸大臣の認可が必要、こういうことになっております。
  144. 戸田菊雄

    戸田委員 その代表委員というのは、ですからどういう人ですか。何人ぐらいになるのですか。
  145. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まさに設立委員の方々がお決めをいただく、その姿の中で決まっていく事項であります。
  146. 戸田菊雄

    戸田委員 これから決めますということでしょうが、設立委員自体もまだ決まっていない、これは大臣、前途をどういうふうに考えていますか、大臣自身の諮問機関になるわけですから。
  147. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 法律を通していただく前に設立委員を用意してこうだなどと申し上げたら、しかられてしまうことぐらいは私も存じております。
  148. 戸田菊雄

    戸田委員 今回の改革法案にしても、各会社法案にしても、そういう重要な中身は全然国会審議する仕組みになっていない。例えばこの六鉄道旅客会社、貨物会社、研究所、電気通信その他ずっとできていくのですけれども、そういうものに対して本当に政府は、形としては収支見通しその他出しておりますよ。しかし、それは事業経営その他によって判断しなければ、これが果たして正当にそのとおりいくのかどうかという判断はできないのじゃないでしょうか。そういった、いわば根底になる基本計画実施計画にしても何ら国会に知らしめない。今の株式取り扱いにしてもそうですよ。少なくとも民間会社なら株式は資産の土台になるものでしょう、そういうものによって一般市場で取引をやっていくわけですから。そういうものについても何ら明らかにしない。これは国会の中で審議するのは全く形式的なものしか出ていない、法律の第何条がこうだとか。実体的なそういう中身はほとんど出されていないのですが、これは全く全部そこへ逃げ込んじゃっているのですね。これはどう考えますか。
  149. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 逃げ込んでおるというお話でありますが、基本計画のいわばその方針というものは既に法律の中でお示しをしております。そして、この御審議の結果、法律案が通過、成立いたしましてから初めて我々は基本計画の策定にかかれるのであります。その中においては各省と協議を必要とするものもありましょう、そして設立委員、ですから私どもは、それこそそれぞれの地域の代表も必要でありましょう、学識経験者も必要でありましょうということも申し上げてまいりました。そういうことを考えてはおりますけれども、具体的にどうこうと言われましても、法律が通過、成立をしてかかる作業に、今その中身が明らかではないからというおしかりは、私としては非常に御無理なお話だと申し上げざるを得ないと思います。
  150. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、我々が言っていることは本当に無理でしょうかね。少なくとも三十七・何兆円の大負債を背負って、本来なら、民間の倒産の場合はそうでしょう、資産は何ぼあって、事業経営で赤字になるのか、黒字になるのか、厳密に点検をしてその処理をやって再建方式に進む、そのときには銀行債権がどのくらい、商品債権がどのくらい、人件費はどのくらい、全部計算をして再建方式を立てる。  ところが、今回はそういうものも全然一切明らかにされていない。だから本当に三十七・何がしの長期債務と言われるこの債務がどういう関係で出てきたのか。いろいろ論議はありましたけれども、ですから、そういう問題についても私は真剣に考えていただきたいと思う、本当に国鉄再建に向かうためには。ところが、そういうものもなし。事業計画基本計画においても同じようにそういう状況。一体、これからの各旅客鉄道会社は、人員の配置はこう、分割して六つにいたします、どうのこうの言っておりますけれども、中身としてはどういう事業経営で、中間距離的な輸送でこのくらいのシェアがあって、このくらいの採算がとれて、このくらいの運用ができて、このくらいの営業収支になって、こういうものが一つ一つ会社ごとにできなければ、本当に政府が言うような方向で、国民鉄道として相変わらず公共性を持った、そういうものの国鉄再建というものは成り立っていくのかどうか。こういう判断の基幹となるものが全く出ていないのですね。私はこの点については非常に残念だと思います。しかし、その点についてはぜひ今後検討を加えていただいて、やはり国民が安心できるような手法というものをとっていただきたい、こう思います。  次に、整備新幹線問題で若干お伺いをしておきたいと思います。それは、例えば東北新幹線、これから盛岡—青森、確かに現地の皆さんは大変な熱望を持っておる、これはわかります。それから北海道、青森—札幌、北陸は東京—大阪間、九州が福岡—鹿児島、福岡—長崎間、こういった整備新五幹線、これを整備をするということを自民党も政治的には判断をされている。監理委員会答申では極めて慎重な答申であると私は理解しているのですが、運輸大臣、これはどういう扱いで今後対処されましょう。
  151. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 整備新幹線の財源問題につきましては、昨年八月政府・与党間に設置をいたされました整備新幹線財源問題等検討委員会におきまして、国鉄分割民営化後の建設主体、運営主体のあり方、並行在来線廃止の具体的内容などの着工の前提条件について検討を行っておるところでありまして、この検討委員会において適切な結論が得られるように努力をしてまいりたいと考えております。
  152. 戸田菊雄

    戸田委員 今日までの国鉄財政の赤字の根源は、この前私も指摘したとおりなんですが、三十八年以降東海道新幹線、こういうものを創設して逐一借金でやってきて、それが大体十数兆円も赤字になる要因をつくった、こういうことですから、よほど慎重に今後の新幹線の整備については御判断をいただかなければいけないと思っております。  さらに問題になるのは、例えば東北新幹線を一つ考えてみましても、今盛岡からこっちは約三時間台で来ていますよね。仙台から二時間は切るという状況。これは青森まで行きますと、大体距離は仙台で、東京—仙台、仙台—青森、中間点ですから、そうすると今の状況でいっても、青森まで行きますとそのくらいの時間は要する。全通したとしても六時間体制ですね。そうしますと、片や飛行機は、千歳を中心に東北の各中間都市まで全部網の目を張りめぐらして運用されている。国内においても、大体大阪を中心に、東京を中心に、こういうことになっているのですね。だから、そういう点で競争できる、こう考えましょうかね。どうでしょう。採算がとれましょうかね。
  153. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、現在さまざまな角度からの検討を加えております。
  154. 戸田菊雄

    戸田委員 財源はいろいろ検討されているのでしょうが、これからやられるのでしょうけれども、いずれにしても私は、地域住民のニーズには合っているかもしれませんが、国鉄そのものの運営等々を考えれば、よほど慎重に本問題に対処していただきたい、こういうふうに考えるところでございます。  最後になりましたけれども、関連事業は今総体で大体八百六十一社くらいあるのですね。そうすると、国鉄の今回の分割民営化によりまして企業そのものの仕事も大分減っている、あるいは人も減っている等々の問題がありますね。こういうものについては、例えば荷物鉄道会社、これが三千名も合理化をされました。それから全整備、車両の整備会社、これも三千名ぐらいやられますという状況になっているのですね。だからこういう問題について、国鉄民営分割によってそういう状態に影響を及ぼすわけですから、何らかこういった関連会社の皆さんに対しても政府一定の助成その他をやるべきだと思うのですが、その点はどう考えているのですか。
  155. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、国鉄関連企業に関する問題点とすれば、従来から出てきた御指摘の中で二つのポイントがあろうかと思います。  一つは、国鉄から去っていっていただかなければならない方々のうち、二万一千人の雇用を関連企業お願いをする中で、その関連企業の現在おられる従業員の玉突き現象を起こすことはないかという御指摘でありました。そして私は、国鉄当局が本当にお願いを申し上げておりますけれども、そうした事態が起こらないように調整を願っておる次第であります。  またもう一点は、同じように、この国鉄経営形態が変わっていく中で、その合理化等々の中から、従来関連事業にいわば外注されておったような事業が減っていく場合、それをどうするんだという御指摘でありました。そうしたケースもそれは私はあり得るとは思います。しかし、やはりそれは個々の企業において国鉄自身との話し合いの中で処理をしていかれるべき事項であると本質的に思っておりまして、この国鉄改革というものを一つの共通の基盤としての関係産業に対しての助成措置というようなものは、私は性格的に合わないと思います。むしろ、必要があれば他の施策を活用して対応すべきではないでしょうか。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  156. 戸田菊雄

    戸田委員 関連会社には、大体国鉄のOBが半分以上おりますね。ところが、今現職の皆さんは、管理者を含めてもう五十三歳になると、おやめになってはどうですか、四十七歳からは若年支払いの年金もありますよ、こういうことなんですね。そうしますと関連会社にいるOB、先輩の皆さんは、例えば六十歳、六十三歳、六十五歳、今度いろいろ聞きますと、今まで六十五歳の社長は六十三歳に年限短縮された、こういうこともあります。あるいは六十歳の専務は五十八歳に年限を短縮された等々の問題もあります。  結局、現職優先ですから、全部玉突きでそれをやられる。今、日本の趨勢からいっても、雇用政策については高齢者に対してまで何とか雇用にありつけるように、全般としては配慮していっている状況の中ですね。あるいは定年制についても、さしあたって国家公務員等は六十歳まで持っていきましょう、こういう状況の途上にあるわけですね。それで完全雇用政策でもって国全体としては推移をしておる状況なんです。  そういうときに、この国鉄関連だけが年齢短縮、そして入るときはあれですよ、さっきの三陸鉄道と同じように、年金と含めて現職時と同じような待遇なんですから、大体十万以下なんです。そういう人がほとんど玉突きでもって再度またやめなくちゃいけない、それが二万数千名も今回そのことによってやられるわけですから、この辺の状況を私はぜひ御判断をいただいて、公共部門の三万人あるいは民間体制、この辺までのものはむしろふやして、そしてこちらの方は手かげんをしていく、そういう実態に応じて対策をとっていただきたい。  こういうことが一つですし、そのことによって受ける労働者のいろいろな労働条件の変更、その他転職、いろいろありまするから、そういう場合には組合の意向としても、ぜひ大臣にお会いをして、いろいろと意見を聞いていただきたいというようなことがあれば、本問題等についても十分私は対処していただきたいものだな、話に応じてもらいたいものだな、こういうふうに考えますが、その点はどうでしょう。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもは、何回も申し上げておりますように雇用対策というものに全力を挙げる、そのつもりで今日も努力をいたしております。  また、今お話しでありますが、私は今までに各労働組合に対して大臣室のドアを閉ざしたことはございません。ただ同時に、私どもは今分割民営という方向に向けて全力投球をしておるわけでありますから、これを全く否定するところがら議論を始められたのでは対話は成立しませんよということは申し上げております。
  158. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、玉突きの現状。
  159. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、それは先ほども申し上げましたし、私は、いつごろでありましたか、たしか国鉄総裁が御答弁をされたことがあったと思いますけれども、いわば国鉄としての長い友好関係の中でそうした事態を起こさないように最大限努力をするという御答弁があったように思いますが、同じように感じております。
  160. 戸田菊雄

    戸田委員 最後に私は、長期債務の負担について、監理委員会答申では十六・七兆円の国民負担分、これは極力交通税とか国民負担にわたらないように債務返済のときには十分判断をして、できるだけ国民に負担がかからないように処置をすべきだと思いますが、本来ならこの国会会期中にそういう問題も明確に、こうしますということがなくちゃいけないのですね。ところが、そういう問題についても全然触れずじまいで、債務はこれだけありますよ、監理委員会答申でこう言っていますよ、だからそれに応じて政府はやります、こういうことなんですが、明確な方針で今後対処していただきたいと思いますが、運輸大臣の決意のほどを最後にお伺いして、終わります。
  161. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これも何遍もお答えを申し上げてきたわけでありますが、改めて三千三百三十ヘクタールの売却資産を最大限、転売不可能な高さで売って国民負担を減少するようにいたします。
  162. 戸田菊雄

    戸田委員 これで終わります。ありがとうございました。
  163. 細田吉藏

    細田委員長 これにて戸田君の質疑は終了いたしました。  次に、西中清君。
  164. 西中清

    ○西中委員 最初に、総理にお伺いをいたしたいと思います。  我が党は、今日までの審議を通じまして、清算事業団の用地について、一定の大規模用地はその利用のあり方を検討した上で、公正かつ公平に処分すべきであると主張しました。そのため用地利用計画委員会の設置を提唱してまいったところであります。これに対して政府は、清算事業団の資産処分審議会の機能として、利用のあり方について検討するとの答弁をされてまいりました。  我が党としては、このような大きな土地は都市計画との調整、各省庁の利用構想との調整などが必要でありますし、かつ国民の財産を有効利用するという観点に立っておりますが、こうした重要であり、かつ大変大きな業務を遂行する上において、資産処分審議会が果たして十分に対応できるのかという懸念を抱いております。改めまして、政府のおっしゃる資産処分審議会においてのこうした業務というもの、これからこの課題にどのように対応なさるのか、伺っておきたいと思うのでございます。
  165. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 清算事業団の用地、特に大都市及びその周辺に所在する大規模用地は残された貴重な財産でございますから、最も有効かつ適切に利用が図られるべきであることは御指摘のとおりでございます。  このため、資産処分審議会に土地の利用に関する計画検討する機能を持たせるよう措置することとし、さらにその処分に当たっては、公開競争入札の方法によることを基本として、公正かつ公平に処分が行われるよう必要な措置をとる所存でございます。
  166. 西中清

    ○西中委員 ただいまのお話で部会を設けられるということでございますけれども、この部会の内容というか性格というか、審議会における組織の位置づけはどういうようになるのか、こういうことは大事な問題だろうと思います。具体的に、この点について大臣から御説明をいただきたいと思います。
  167. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今総理から御答弁がありましたように、清算事業団の用地につきましては、その利用に関する計画について検討が行われた上で、有効かつ適切に利用されるよう処分が行われるべきであると考えております。このため、清算事業団に設けられます資産処分審議会に、用地の利用に関する計画について検討を行うため、例えば土地利用計画部会といったものを設けるとともに、個別の大規模用地について、地域、ブロックごとにその利用に関する計画について検討を行う部会を設けることといたしたいと考えております。  さらに、個別の用地の処分に当たりましては、公開競争入札の方法によることを基本として、公平かつ公正な処分が行われることを担保いたすとともに、投機的取引による周辺地価への悪影響をもたらさないよう必要な措置を講ずることとしたいと考えております。
  168. 西中清

    ○西中委員 ただいまの御答弁で私たちもある程度安心を、と言ったら変でございますけれども、いたしておりますが、用地は、先ほどから総理もこの委員会でしばしば申されておりますように国民の貴重な共有の財産である、こういう認識をさらにしっかりとしていただきまして、国民納得する利用と売却を行っていただくことが大事であろうと思います。その役割をしっかりと果たせる、そういう機構、そういう部会、こういうものであっていただきたいと強く要求をいたしておきたいと存じます。  次に、我が党の浅井委員質疑の際に、新旅客会社の損害保険料や物件費の見積もりに甘さがあるとの指摘があり、政府提出した新会社の収支見通しの見直しを求めましたけれども、政府として今後どのように対応していただくのか、伺っておきたいと思います。
  169. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 浅井委員から御指摘のありました新会社の物件費、損害保険料につきましては、法案成立後も引き続きそのあり方について検討を加え、改革趣旨にのっとり新会社が効率的経営スタートできるよう配慮してまいりたいと思います。
  170. 西中清

    ○西中委員 新会社が出発するに当たって万遺漏なきように、しっかりした収支の見通しをお立ていただきたいと存じます。  次に、国鉄の出資いたしております関連会社、出資会社、これについて若干伺っておきたいと思うのであります。  この出資会社は現在何社あるのでしょうか。そして出資金額と出資比率はどの程度になっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  171. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 現在、出資会社は百二十二社でございます。この出資会社の総資本金額は九百十二億でございますが、国鉄出資額が三百七十七億でありますので、出資比率は四一・四%になります。
  172. 西中清

    ○西中委員 この百二十二社でありますけれども、私も手元に資料をちょうだいいたしておりますが、全国、北海道から九州に至るまで散在をいたしております。来年四月一日からのスタートに当たってこれらの出資会社はどこに帰属をするのかという問題でありますけれども、この辺はどういうようにお考えになっておるか、伺っておきたいと思います。
  173. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 出資会社は旅客関係と貨物関係に分かれますが、旅客関係につきましては、地域別にその出資会社が担当するような場合は当該地域を持つ旅客会社、それから貨物関係につきましては、これは全国一本でございますので、貨物会社承継をされる、その場合の株式の持ち方等につきましては、今検討中でございます。
  174. 西中清

    ○西中委員 今御説明があった、地域別に各旅客会社ごとに帰属をさせるということでありますけれども、六旅客会社のそれぞれに帰属を決めておるのは、それぞれ何社ずつぐらいになるのか、御説明をいただきたいと思います。
  175. 長谷川忍

    長谷川説明員 北海道が四社でございます。東日本が五十社、東海会社が六社、西日本会社が二十五社、九州が五社、以上でございます。
  176. 西中清

    ○西中委員 お伺いしますと、日本交通公社、日本旅行、駅レンタカーシステム、日本テレコム、日本トラフィックコンピューターセンター、アドメディアセンター、この六社の帰属は未定だと聞いておるのでありますけれども、これらの会社の帰属は一体どうなるのか、基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  177. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 ただいま先生おっしゃいましたような全国的な規模を持っている出資会社株式をどう持つか、これはいろいろな問題点がございますので、現在鋭意詰めておるところでございまして、まだちょっと結論は出ておりません。
  178. 西中清

    ○西中委員 その場合、かなり規模の大きい会社もあるわけでありますけれども、分割ということはあり得るのかどうか、お考えを伺っておきたいと思うのです。
  179. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 出資会社ではございませんが、鉄道弘済会、こういうような場合におきましては分割が必要だというふうに私は思います。その他の旅行エージェントの場合は、お客さんが全国対象でございますので、大体分割なしに全国を共通の地盤とする方がいいのではないかということでございます。
  180. 西中清

    ○西中委員 同時に、国鉄共済組合、いろいろと財政上の問題が出ておりましたけれども、私がちょっと伺いたいのは、この組合の保健施設、弥生会館と保養所が主体だと思いますが、これは一体、今後扱いをどうするのか、この辺のところを御説明いただきたいと思います。
  181. 川口順啓

    ○川口説明員 国鉄共済組合の運営しております保養所等の施設につきましては、国鉄改革後も引き続き職員あるいは職員の家族の利用に供するために運営をしていくという考え方でおるわけでございます。ただ、やはり職員数がかなり減少いたしますことと、これらの施設が原則的に国鉄の用地の上に建っておるということ等の関係もございますので、若干見直しを行いまして、数の面では一部整理ということになるわけでございます。
  182. 西中清

    ○西中委員 この保健施設の資産は一体どうなっておるのか。弥生会館と保養所等でございますけれども、その辺のところの御説明をいただきたいと思います。
  183. 川口順啓

    ○川口説明員 資産について、まず存続を考えております施設につきましては、建物等が百五十八億ばかりでございます。それから、これは先ほども申し上げましたように原則として国鉄の用地を使用しておりますので、共済組合自身の所有の土地というのは比較的少のうございまして六千万程度、こういう状況でございます。
  184. 西中清

    ○西中委員 今存続とおっしゃいましたけれども、それ以外の土地はどういう処分でどれくらいあるのでしょうか。
  185. 川口順啓

    ○川口説明員 存続しない施設につきましては、建物が二十三億円ばかり、それからそれにかかわる土地が一千万円ばかりという比較的少ない額でございます。これらのものにつきましては、建物等につきましては共済組合の方からしかるべく売却等の処分をする。また、それ以外の国鉄所有地に建っておる建物の場合におきましては、この土地は原則的に清算事業団の方に引き移る、このように考えております。
  186. 西中清

    ○西中委員 弥生会館は九カ所だと聞いておるのですが、保養所は七十カ所ぐらいあるのでしょうか、そのうち、先ほど御説明があった存続する保養所はおよそ何カ所なのか、そして廃止されるのは幾つなのか、伺っておきたいと思います。
  187. 川口順啓

    ○川口説明員 現在保有しております保健施設は、弥生会館が九カ所、その他保養所等が七十カ所で、合計七十九カ所でございますが、改革後に存続してまいるのは、弥生会館の九カ所はこのまま存続させる考えでおりますが、保養所等につきましては、七十ありますものを四十五カ所というふうに数の面で減らすということでございます。
  188. 西中清

    ○西中委員 質問が変わりますけれども、我が党の遠藤委員質問で、五十八、五十九、六十年度に随意契約で売却した国鉄用地のうち三千平米以上のものについて転売等の不正行為があったかなかったか、総点検をすることを約束していただいたわけでありますけれども、その結果は出たでしょうか、まだ調査中なんでしょうか。いかがでしょう。
  189. 岡田宏

    ○岡田(宏)説明員 現在鋭意調査中でございまして、後刻お持ちできると思います。
  190. 西中清

    ○西中委員 いつごろまでにできますか。
  191. 岡田宏

    ○岡田(宏)説明員 明日にでも報告に上がれるものと考えております。
  192. 西中清

    ○西中委員 もうわかっているのじゃないかと思うのですけれども、まあいいでしょう。  それじゃ安全防災投資について御質問をいたしたいと思います。  国鉄民営分割に伴い、これまで国鉄が安全防災のために投資を行ってまいりましたけれども、今後も十分なされるのかどうか、これは何といっても人の生命に重大な影響がございますから、懸念をいたしておるところであります。安全防災規模が現在より低下するおそれがないか、この点について明確な答弁をお願いをいたしたいと思います。
  193. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 安全の確保及び災害の防止は輸送事業にとって最大の課題でありますので、政府としても御趣旨を体して開銀融資、政府補助その他の措置により必要な資金を確保するよう努めてまいりたいと思います。
  194. 西中清

    ○西中委員 昭和六十一年度の防災投資額は三百三十六億円でございますけれども、六十六年度までの新会社の防災投資額は各年度幾ら見積もっておられるのか、伺っておきたいと思います。
  195. 林淳司

    ○林政府委員 六十二年度から六十六年度までの五カ年間で、平均いたしますと二百七十四億の防災投資額を組んでおります。
  196. 西中清

    ○西中委員 順番に言ってください。
  197. 林淳司

    ○林政府委員 六十二年度が二百七十三億、六十三年度が二百七十一億、六十四年度が二百七十六億、六十五年度が二百七十六億、六十六年度が二百七十四億でございます。
  198. 西中清

    ○西中委員 ただいまの御答弁のとおりに、六十二年度以降六十六年度までは毎年二百七十億円程度の防災投資額、こういうようになっているわけです。六十一年度予算額は三百三十六億円こういうことですが、かなり低下をいたしておるわけですね。  さらに申し上げますと、政府提出の資料を拝見いたしますと、防災事業費補助金は、六十一年度百三十一億円、六十二年度八十五億六千万円、六十三年度二十九億三千万円、六十四年度二十二億六千万円、六十五年度十九億八千万円、六十六年度十七億四千万円、こういうように年々低下をいたしておるわけであります。六十六年度は六十一年度のおよそ一三%ということですね。二割にも達しておりません。  それから、この補助対象事業の新会社負担額は、いただきました資料によりますと、六十一年度百二十六億、六十二年度九十億九千万、六十三年度三十二億五千万、六十四年度二十五億一千万、六十五年度二十二億三千万、六十六年度二十億三千万。これは防災事業でございますから、落石、雪崩、海岸補修、河川改修に伴う施設改良、こういった投資でございますが、何でこのように新会社の負担額が低下をするのか、そして防災事業費補助金が低下をしていくのか、この辺のところを明快に御説明をいただきたいと思います。
  199. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 安全投資に対する国の補助金のうち防災事業費補助につきましては、河川改修において従来国鉄公共企業体という立場から二分の一負担を行っており、これを防災事業費補助金対象工事としておったわけでありますが、国鉄改革後の新規河川改修工事につきましては、新会社民間会社となりますため、その負担率を見直すこととしておりますので、六十二年度以降については現在継続している河川改修のみを補助金対象工事としたこと、また、その他落石、雪崩対策及び海岸等の保全に係る工事につきましては、六十二年度から六十六年度の五カ年平均におきましては必要な額を見込んでおりますが、できるだけ前倒しで施行するように考えましたこと、以上の二点によりまして収支試算上の国の補助金は、六十二年度から六十六年度に向かって下がっておるわけでございます。
  200. 西中清

    ○西中委員 ただいまの御説明ですと、六十七年度以降は落石、海岸、これの補助だけである、こう解釈してよろしいのですか。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  201. 林淳司

    ○林政府委員 いわゆる補助金対象事業としては継続分だけということでございますけれども、新規分も防災対象事業費としては計上してございます。
  202. 西中清

    ○西中委員 これまで補助対象事業、防災事業というのは、先ほど申しましたように、大半が経費としては河川改修の場合、これで占められておると思うのです。  ここで、昭和二十五年三月二十八日の閣議決定、一般的には建国協定と言われておりますけれども、「河川工事と日本国有鉄道工事が相互に関連して必要を生じた工事費用の分担について」の閣議決定でありますが、日本国有鉄道がなくなるといいますか、旅客会社としてはなくなるわけでありますから、これは当然自動的に消滅すると考えてよろしいのでしょうか、どうでしょうか。
  203. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御指摘の河川改修工事に伴う国鉄橋梁の新設、改良工事について、従来、昭和二十五年の閣議決定に基づき国鉄が二分の一を負担することとして建国協定を締結して工事を進めてきたわけでありますが、国鉄改革に伴い新会社民間会社となりますため、その負担を見直す必要があると考えておりまして、現在建設省と運輸省との間で新たな取り決めを行うべく協議中であります。
  204. 西中清

    ○西中委員 これは当然なくなるのだろうと思うのですが、閣議決定の扱いが何もなくてそのまま消えてなくなるのが妥当なのかどうか、ちょっと私も疑問に思っておりますけれども、それはそれとして、補助対象事業というのは、もちろん、河川改修で鉄道の橋梁を改修する場合は、河川管理者が五〇%、国鉄が五〇%、このうち国鉄の五〇%に対して補助金は二五%というのが大体の取り決めだ、こういうことだと思うのですね。  それで、今、この負担をどうするか、ルールを決めていこうとしているというお話でございますけれども、どの程度話が進んでおるのか、伺っておきたいと思います。
  205. 林淳司

    ○林政府委員 現在まだ結論を得る段階には至っておりませんけれども、建設省とは詰めた話をいろいろとさせていただいております。
  206. 西中清

    ○西中委員 民間の大手私鉄におきましては、当然受益者の負担ということで、大体多くても一割ぐらいだと思うのですね。そうすると、今は国鉄が二五%を負担しておりますから、これが一〇%ぐらいに減るということは、新会社の負担はそれだけ軽くなる、こういうふうに見ておられるのかどうか、その点確認をしておきたいと思うのです。
  207. 林淳司

    ○林政府委員 私鉄の場合もケース・バイ・ケースでございまして、受益の程度がいろいろあるものですから、その辺のところで必ずしも一律の負担率ではございません。  今先生御指摘のように、現在国鉄は建国協定によりまして工事費の二分の一を負担する。そのうちのさらに二分の一が国庫補助。これはいろいろございますけれども、大まかに言って二分の一程度が国の補助でありますから、二五%程度が実質負担ということでございますが、そのようなことも頭に入れながら、いろいろ受益の程度ということも頭に入れながら、これから建設省と十分相談をしていきたいと思っております。
  208. 西中清

    ○西中委員 ケース・バイ・ケースだということですけれども、かなり一〇%を割るケースが多いわけですよ。ですから私は、新会社に余り負担をかけないという点では私鉄並み、こういうことになるのじゃないかなというふうに思うのですけれども、その点、再度御答弁をいただきたいと思うのです。新会社の負担は現状の国鉄よりも軽くなる、こういうふうに判断してよろしいのですか。
  209. 林淳司

    ○林政府委員 会社の負担は、河川側に対して受益の程度によって決まってくると思いますけれども、先生おっしゃったようなことを十分体して、私どもとしては相談をしていきたいということを考えております。したがって、当然、新会社としても負担が著しくふえるというようなことがありますと、やはり会社経営は非常に苦しくなりますので、その点を十分頭に置いていきたいと思っております。
  210. 西中清

    ○西中委員 私鉄並み、民間並みということがほかのいろいろな問題でよく出てくるわけでありますから、これも当然そういう形にすべきだろうし、そういう期待を持っておられるということはわかりました。  そこで、先ほど冒頭に御答弁をいただきましたが、新会社の防災投資額は六十二年度以降六十六年度まではおよそ二百七十億程度で横ばいの状況が続くという答弁でございました。この金額はこの協定を廃止することを見込んでの数字になっておるのですか。そういう形じゃないのですか。それともそういうことは全然考えないでやっているということなんですか、いかがでしょうか。
  211. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、継続中のものについては補助対象事業として考えております。それから、新規のものはとりあえず従来の二分の一の負担を頭に置いて数字を計上しておるということでございます。したがいまして、その中には一応補助金は含まれておりません。ただ、工事費としては従来の二分の一程度の負担を前提として試算をしておるということでございます。
  212. 西中清

    ○西中委員 そうすると、協定を続けるといいますか、存在しているという状況の中でこの金額を出してこられたということですね。しかし、この協定がなくなるわけですから、受益分に見合う負担ということになれば、防災投資額、こういうふうに二百七十億と出しておられますけれども、これは下方修正しなければならぬのですか。どうなるのでしょうか。
  213. 林淳司

    ○林政府委員 建設省の方との新しい協議の結果によっては、おっしゃるようなことになるかもわからないと思います。そういうケースもあり得ると思います。  ただしかし、ここは一応安全サイドと申しますか、これだけの金額を計上してもなお採算がとれるようにということで計上してある、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  214. 西中清

    ○西中委員 後段の方のお答えで、これぐらいで採算が合うからというようなお話ですと、新会社は補助金が減っていくわけですから投資額はふえてくる、こういう判断をしていいわけですね。この点どうですか。金額は二百七十億で横ばいなんでしょう。補助金は下がってくるわけでしょう。そうすれば新会社の負担分はふえてくるということですね。どうでしょうか。
  215. 林淳司

    ○林政府委員 従来どおりに、建国協定にありますように二分の一の負担を新会社がしなければならないということでありますならば、おっしゃるようにふえていくことになります。しかし、先ほど来申し上げておりますように、負担をどの程度にするかということについては受益の範囲を前提にしてこれから詰めてまいりたいと思いますし、先ほどからたびたび御指摘がありますように、私鉄と現在の国鉄ではかなり負担率も違うという点もございますので、その点は対応が十分可能であろうというふうに考えております。
  216. 西中清

    ○西中委員 本来ですと、この建国協定をどのようなルールに変えるかということを明快にしてから見通しを立てるというのが本筋じゃありませんか。何となく数字を並べておるというような感じがするのですけれどもね。私は、どうもその点ではこの見通しはあいまいな点が多いなという感じを持たざるを得ないのです。もう一遍御答弁ください。
  217. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、これは建設省の方とこれからかなり詰めてみなければいけませんので、現在協議中でございますけれども、ちょっとまだ試算までに結論を出しかねたものでございますから、したがって一応従来どおり二分の一の負担で試算をしてみたということであります。現実には二分の一より少ない負担でいけるのではないかと思いますけれども、その辺の具体的な負担の問題についてはこれからよく詰めたいと思っております。
  218. 西中清

    ○西中委員 この国鉄防災事業費補助金ですが、そもそも国鉄は山岳地帯や海岸、それから河岸、川べりですね、こういうところに沿って走っておる路線が多い。民鉄の場合は、どちらかといえば都市型の鉄道、こういうケースが多いのですけれども、それ以上に自然災害を受けやすい条件が非常に多いということですね。しかもその防災対策には多額の経費を必要とするわけであります。線路に並行する道路、民家、耕地等の危険を防止する等の観点から今日までこの補助がなされてきたと思うのです。ですから、たとえ国鉄民営化されたとしても、この特殊性というものは従来と少しも変わらぬわけです。  しかも、現在の防災事業補助金のうち大部分を占める河川改良に伴う補助、これが現在の形がなくなるということになれば、ひいては新会社の防災対策がおくれるということも予想されるわけでございます。言いかえると、国鉄の負担が仮に私鉄並みに一〇%程度ということになれば、河川管理者は九〇%の負担率といいますか、こういう形になってくるんじゃないかと思うのです。  要するに、河川管理者の方が今までの負担よりも金を余計出さなければならぬ、こういう形になるわけですから、勢い河川管理者の改修工事というものもそれだけ進捗度がおくれてくる。そうなると、鉄橋は非常に悪くなっているのに、かえようにもかえようがない、そういう事態も想定できるわけでございますので、私たちはやはりこの問題については非常に重視をいたしておるわけでございます。  したがって、河川管理者に手厚い手当てをするのかという問題にもつながってくるわけでございますので、この辺のところ運輸省はどうお考えか、また大蔵省にお考えがあれば伺っておきたいと思うのです。
  219. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる建国協定につきましては、先ほど運輸大臣から、建設省といろいろ話を詰めていきたいというお話がございました。そこで、私どもとしましては、運輸省と建設省のお話の結果を踏まえまして、予算編成の過程の中で検討してまいりたいと思います。
  220. 西中清

    ○西中委員 建設大臣、やはりこういう問題は一刻も早く決めていただくということが大事だと思うのです。決意のほどを伺っておきたいと思います。
  221. 天野光晴

    ○天野国務大臣 今大蔵大臣が答弁したように、関係当局集まりまして、連携をとりまして、できるだけ早く措置するようにいたしたいと思います。
  222. 西中清

    ○西中委員 総理、輸送事業にとっては言うまでもなく安全ということが非常に大事な問題で、いわば企業の生命線とも言えるものでございます。ですから、これがいかに民営化されたといっても、政府は、各旅客会社及び貨物会社の安全の確保、災害防止のための施設整備、これに無関心でいるわけにはいかないと思うのです。その意味で、しっかりした配慮が必要だと思います。冒頭に大臣から伺いましたけれども、総理からも決意のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  223. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 安全の確保及び災害の防止は輸送事業にとって最大の課題でありますから、政府としても、御趣旨を体して、開銀融資あるいは政府補助その他の措置によりまして、必要な資金を確保する考え方でおります。
  224. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  225. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 これにて西中清君の質疑は終了いたしました。  次に、河村勝君。
  226. 河村勝

    ○河村委員 財政が完全に崩壊をした国鉄の再生を図るためには、どうしても欠かせない二つの条件がございます。その一つは、新しい事業体がしょい切れない債務を何かの形で国、国民の負担で肩がわりをしてもらわなければならぬということ、もう一つは、徹底した合理化をやらなければなりませんから、それによって生ずる余剰人員を一人も路頭に迷わせることなく新しい職場につけてやるということ、この二つでございます。特に後の方は政府の大変な御努力もあって、この二つについては私はかなりの見通しがついてきたと思っております。  ただ、それだけではこの改革は済まないのであって、やはり民営分割という大手術によって新しい事業体をつくるということであれば、その事業体経営的に自立をして、今までのように国の監視を受けないで独立して行動できて、そこで働く者が一生懸命自由に働けば立派な未来が開ける、そういうものでなければならないはずだと思います。  ところが、再三私が申し上げております新幹線保有機構というものは、どう考えましてもそうした趣旨に反するものである。経営的な自立性を妨げるような経営干渉があるか、あるいはそこに至らないまでも企業の独立性を妨げるような要素が私は多分にあると思うのですね。そう考えるものですから、この前からたびたび質問をいたしております。  いよいよ最後の時間になりましたから、この前は総理にはかなり御理解をいただいて、本質に触れるような前向きの答弁をいただいておりますので、それを頼りにして、ひとつきょうは、大変しつこいようですが、三つ、四つの点について最終的なお尋ねをして、明快なお答えをいただきたい、そう思っておりますので、前もって申し上げておきます。  そこで、新幹線の貸付料、毎年旅客会社に貸し付ける貸付料の基準というものは、前回答弁で抽象的なことは伺っておりましたが、省令案なるものをこの間もらいました。それによりますと、概算総計年額を次の比率により配分をする、その旅客会社の輸送人キロ掛ける一キロメートル当たりの再調達価額、これで概算総計年額を配分した額を「基準として定める」、こう書いてあるんですね。この輸送人キロ掛ける一キロメートル当たりの再調達価額という数式も本当のところわかりにくいのですけれども、それはともかくとしましても、その額を「基準として」と書いてあるわけですね。この「基準として」という意味は一体どういうことですか。
  227. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 新幹線の貸付料の額は、今御指摘のとおり、省令で定めました計算式に新幹線ごとの輸送量及び施設の価額に関する数値を代入して算出することといたしております。したがって、機構が、具体的な各会社ごとの貸付料の額を定めるに当たりましては、金額の端数の処理を行うことはあり得ますが、算式によって得た数値を任意に変更することはありません。運輸大臣もこの基準に適合するかどうかを審査して認可を行うものでありまして、先般来たびたび委員から御指摘を受けましたような政府の裁量による余地はないと考えております。
  228. 河村勝

    ○河村委員 重ねて確認しますが、端数処理だけであって、そこに裁量の余地はゼロである、こう確認してよろしいのですか。
  229. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私はそう心得ております。
  230. 河村勝

    ○河村委員 そうであれば経営介入という非難を受けなくて済みますがね。  この新幹線保有機構というものは単純に、年額大体七千億という貸付料の額は固定しているんですね。それをただ機械的に数式に従って算出して貸付料を徴収する、これが保有機構の役割ですね。単純なる計算センターですよ。これを一体なぜ、行革の目玉と言われる国鉄改革に当たって、理事長一名、理事二名、監事二名というような特殊法人をつくってやらせる値打ちがあるのか。総務庁長官はどうお考えですか。いきさつを御存じなければ、後藤田官房長官に再度伺います。
  231. 玉置和郎

    ○玉置国務大臣 新幹線保有機構については、臨調、行革審の答申の精神からいけばいろいろとチェックをしていかなければいかぬと思いますが、今最大の課題になっております国鉄改革という点を踏まえましたときには、我々はやむを得ないことではないだろうかなということを考えております。
  232. 河村勝

    ○河村委員 だけれども、七千億円の年額をただ一定の算式に従ってはじいて、それで貸付料を取る、それだけのためにこんな立派な特殊法人が要るんですか。やむを得ないんですか。総理大臣どうお考えになります。
  233. 玉置和郎

    ○玉置国務大臣 それは私に聞くより、政府委員に答弁させますから。
  234. 河村勝

    ○河村委員 じゃ結構です。もうよろしい。  その本質的な問題は後回しにして、最後に総理大臣に伺うことにして、仮に単純計算で配分するにしましても、三十年にわたって二年ごとにこういう算式に従って貸付料を変えていくというのは、一体どういう意味を持つのだろうか。  この間も申し上げましたけれども、東北新幹線の方で、東日本会社が一生懸命東北新幹線の車両を増備して輸送人キロを上げて稼いだら、この算式に従って貸付料が上がる。西日本や東海が何もしなかったとすれば、総額が同じですから、片っ方が上がれば片っ方は下がる。この三つというのは独立した会社ですね。一つのところが何かもうかると貸付料が高くなって、片っ方がそれで安くなって得をするというようなことが少なくとも三十年続くというのは、一体どういう意味があるんでしょうかね。運輸大臣どうですか。
  235. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この点は、この委員会審議の始まる前の国会討論会の段階から河村委員の御意見とどうしてもかみ合わない、御理解のいただけない点であります。しかし、新幹線というものの持つ性格、またその建設の年次等々のばらつき、さらにその能力等々、そうしたものを勘案してまいりますと、私は、新幹線保有機構という構想は、どうも委員からおしかりをいただくほど諸悪の根源のようなものだとは考えておりません。
  236. 河村勝

    ○河村委員 少なくとも無用なものになるんじゃないでしょうかね。きょうはもう時間が限られてしまっておりまして、これ以上やっている時間がございませんから、確認するところを先に聞きましてから、総理に最終的に伺うことにします。  災害工事を旅客会社から委託を受けてやるというのでしょう。これは多分、余りする仕事がないから、こういうものをくっつけておかないと特殊法人らしくないから、こういうものをやるんだと私は思うのですけれども、これも別段工事能力を持っているわけでも何でもないでしょう。ただトンネルなんです。  三つの会社のうちの一つが災害工事をやりますね。そこでもって仮に十億円災害工事にかかったとします。そうすると、それをリース会社が吸い上げて、十億円のうちの二億あるいは三億をほかの会社に負担させてやろう。大変御親切なんですけれども、近畿日本鉄道で五億円の災害が起きて、それを東急株式会社に二億円負担しろといったら、これは怒りますよ。こういう規定があればやはり依存心を起こしますから、災害があれば皆頼みに行きますよ。実際は旅客会社がやるんですから。ただ、ツケを半分よそに回してくれるというなら喜んでやりますからね。ですから、これもまた意味のないことですね。  どうですか。本当は、これはやめさせろと言いたいところですけれども、きょうはそれをやっていると時間がなくなって何も得るところがなくなってしまいますから、確認をいたします。  少なくとも災害工事をおやりになるというのならちょっと我慢しますけれども、とにかく非常に異例な事態で、大災害でとても一つ会社ではしょえないというような大事態になった場合に、初めて、場合によってはそういうこともあってもいいかというのがせいぜいのところですね。そうでしょう。その点は、一体あなたはどうお考えになりますか。
  237. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大規模災害復旧工事を機構の業務といたしましたのは、都市間輸送の大動脈となっている新幹線鉄道の復旧を円滑に行わせるという趣旨に基づくものでありますが、その範囲につきましては、各旅客会社の資金調達力、利用者へのはね返り等を考慮いたしますれば極めて限定的であるべきでありますが、その範囲を定める運輸省令の制定に当たり、その点を十分考慮いたす所存であります。
  238. 河村勝

    ○河村委員 その公式的な答弁では余りはっきりしないのですけれども、一応我慢をしておきましょう。  それから、貸付期間が終わった後の旅客会社に対する譲渡の問題なんですけれども、この前橋本さんは、私が当然ただであるべきだと言いましたら、「現に存在する鉄路の敷地等々までを無償で民間に渡すということを当時の国民が了解をされるかどうか、これは私にもちょっと自信がありません。」こういう返事でしたね。これは何か勘違いじゃないでしょうか。鉄路の敷地等々も無償ではないのですよ。八兆五千億という再調達価額で計算した額、この中には敷地も時価で入っている。それを三十年にわたって営々と七・二三%の利子を払いながら完全に償還するのですよ。これを無償で民間に渡すという認識では私は大変困ると思うのです。いかがですか。
  239. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私も本日は議論をいたしません。貸付期間終了後の新幹線鉄道の施設の旅客会社への譲渡につきましては、その時点における旅客会社等の経営状況、新幹線鉄道の施設の状況等を勘案して判断すべきと考えますが、御指摘の点を十分踏まえて検討してまいりたいと思います。
  240. 河村勝

    ○河村委員 御指摘の点といいますのは、当然無償ということもあるのだということを含んでいると了解してよろしいですね。
  241. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御指摘の点を踏まえて検討いたします。
  242. 河村勝

    ○河村委員 どうも皆さん、本当にこれがどういう意味を持つかということをお考えいただかなければ困るのですよ。  中曽根総理大臣、あなたも、私が無償で払い下げろと言ったら、河村さんのお考えは非常に商業主義で、そういう経済観念に徹したお考えのようだけれども、公共財産を管理する政府の立場から見ると、国民がどう判断するか心配だというようなことを言っておられるのですよ。これが商業主義でしょうかね。再調達価額ではじいて、全資産を三十年、七・二三%の利子を払って債務を償還するのです。そうしたら、その財産はおのずから払ったところに帰属するというのは当たり前ですね。  よく橋本さんは、外国人(とつくにびと)と話しているようだということを言われるが、どうも私の方が外国人(とつくにびと)と話をしているような気がして仕方がないのですよ。ですから、きょうはこの辺でもってやめておきますけれども、もう一遍よく検討して将来の方針を決めてください。そうでなければ政府が笑い物になりますよ。それをよく申し上げておきます。  それから、本質的な問題でございますけれども、私も、今これをすぐやめろと言っても、政府のメンツもおありでなかなかおやめにならないだろうと思います。本当は三つの旅客会社に八兆五千億の債務を、収支の見通しを立てて分割して持たせれば、それで一切何にも要らないのです。こんな機構なんて何にも要らないのです。ですけれども、それじゃ多分、収支の見通しが非常に不安で、後で困ることが生じはしないかという御心配があるのだと思います。それはわからぬこともありません。ですから、私がこの間申し上げたように、いつまでもやらないで、四、五年すれば大体三つの会社の収支の見通しというものは見当がつくはずですね。そこまでいっても見当がつかないといったら、これは分割民営そのものを否定する観念ですよ。  一定の見通しを立てて、現に分割しているのです。在来線はみんな見通しを立てて、本州を三分割して、あとは動かさないのでしょう。新幹線だけ三十年、それを動かしていく。これは分割理念そのものの自殺行為ですよ。それなら分割をやめたらいいのです。少なくとも私が申し上げたように、本当はこういう心配があるなら、ちょうど収支のバランスするところで本州を東西二分割すればこういう問題も一切起こらないのですけれども、そこまでいきますと話が大変でありますからやめます。  そこで、総理大臣、今申し上げましたように、二年ごとに貸付料の見直しをやりますから、四年たてば二回やるのです。二回もやれば大体見当がつきますよ。ですから、そのころになりましたら——総理、あなたも、いつまでも置いておかなければならないものでもなかろうということをこの前おっしゃっておいでになりました。私は御理解いただいたことを大変力強く思っているのですけれども、ぜひひとつ、いつまでもこういうものを残して、三会社の相互依存精神を残して独立性を阻害することのないように、四、五年たったところでもう一遍本当に検討して、存廃を含めて最終の決定を下すということについて、総理の御見解をいただきたいと思います。
  243. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 貸付期間終了後の新幹線鉄道の施設の旅客会社への譲渡につきましては、その時点における旅客会社等の経営状況、新幹線鉄道の施設の状況等を勘案して判断すべきと考えますが、御指摘の点を十分踏まえて検討いたしたいと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  244. 河村勝

    ○河村委員 今、いつまでも存続しないでもよいかもしれないというのが抜けていたように思いますが、そうじやありませんでしたか。
  245. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今読んだとおりでありますが、要するに水平飛行に入ったら、そして見通しが出てきたら、その時点において御指摘の点もよく踏まえて検討したい、そういう意味であります。
  246. 河村勝

    ○河村委員 ですから、存廃を含めてと私が申し上げたそれを踏まえて、こういうことでございますね。
  247. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 あらゆる観点から検討する、そういうことです。
  248. 河村勝

    ○河村委員 それじゃ、新幹線保有機構の点はこれでやめます。  あと一点、貨物会社のことを発言しておきたいのですが、貨物会社の収支が非常に厳しいことは皆さん方もよく御存じのとおりでございます。現に六十五年までの収支の見通しを見ましても、石油、セメント、石灰石というような大口の貨物はどんどん減ってきます。コンテナ輸送でそのおくれをカバーして、それで何とか収支の見通しを立てるようにできているのですね。ですから、コンテナ輸送が全体の死命を決するのです。ところが、今コンテナ輸送は、既存の通運会社だけを頼りにしてやっている仕組みになっておりまして、これでは伸びはなかなか見込めない。ですから、もっと実際に通運をやれる業者をふやしていく、これが大切である。  通運事業法というのは、昔、荷物がいっぱいあって輸送力が足りない時分、貨物駅が車でふくそうしてしまってどうにもならぬときに、交通整理の意味もあって非常に限定的な免許をつくったのですね。ところが、今もって限定的な免許をやるような体制が続いているのですよ。  ですから、私はこの前も申し上げたのですけれども、今は時代が変わってしまったのですから、この際、通運免許については原則的に自由であるべきだ。特に能力のある者、区域トラック業者などはそれぞれみんな大きな荷主を持っておりますから、もし新しい貨物会社が本当に営業活動をすれば、今五百キロも七百キロも道路を走っていく長距離トラックのことを考えれば、それは労働条件にしても大変だし、道路事情も大変です。ですから、もし本当にコンテナ輸送というものが機能すれば、それに移っていきたいという需要は随分あるのですね。そういうものに対して門戸を開放してほしい、これが私の要請なんです。それに対して運輸大臣、答弁をしてください。
  249. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御指摘のとおり、貨物会社の将来の発展のためには物流に関する各種の事業を行うことも必要であると考えられますので、通運事業の免許の運用に関し、御意見の趣旨を体して措置することといたしたいと思います。
  250. 河村勝

    ○河村委員 もう議論しているいとまもありませんからこれで終わりますが、二点だけ簡単に伺います。  大蔵大臣、たびたび年金問題がここでもって議論されまして、大蔵大臣は頑強で、とうとう終始国鉄共済年金に関する六十年十一月の統一見解だけを繰り返しておっしゃっておられますが、いよいよもうこれで大詰めになりましたので、実際ここでもって、「国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。」というだけでは不安が多いのですね。ですから、私も国鉄OBの一人で——私はどうでもよろしいけれども、多くの人たち、四十万の人たちも心配しておりますから、何かこの辺でもって一つのめどになるような回答をいただけないであろうか。
  251. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点につきましての河村委員の御関心は当然のことでございますし、また、私どもも重大視いたしておりますからこそ四閣僚が何度か協議をいたしておるところでございます。ただじんぜんと日を過ごしておるわけではございませんで、やはり退職者の年齢構成等々も見きわめたいという気持ちもございまして、年度末までにということで鋭意検討いたしておるわけでございます。  それで、確かに組合員の方々のいわゆる自助努力というものもよくわかっております。わかっておりますから財政調整というような方法も実はとったようなことでございまして、ただ過重な負担をお願いすれば何とかなるといったふうに考えておるわけでは決してございません。あの統一見解にもございますように、いわゆる諸般の措置検討という点もございますので、それらを含めまして鋭意年度末までには結論を出すようにいたしたいと思っております。
  252. 河村勝

    ○河村委員 時間が来ましたので、最後に総理一つお願いです。  先ほども、余剰人員対策で、受け入れ先を公的部門を含めて非常に御努力いただいていることを私は高く評価しております。ただ、今までのところ、肝心の国の部分、国自体、これが一万三千人の目標に対して五千四百人ということで、他の部門に比べて割合として著しく少ないのです。やはりこれだけやっていただくからには、政府が率先して頑張っていただかなければみんなもなかなかついてこないと思うのです。その点、総理にひとつ決意のほどを伺って終わりにしたいと思います。
  253. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 御指摘のように、国が率先垂範してすべき分野でございますから、これからも各省庁を督励しまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  254. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  255. 細田吉藏

    細田委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。
  256. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 総理も聞いてください。これまでの我が党の数多くの重要な問題に対して、まだまともな答弁を得ておりません。要求した資料も十分出されておりません。したがって、数多くの重要な問題で国民に対して納得を与える回答も得ておりません。そうであるからこそ、きょうはその一つの問題として国民の負担問題がどうなるか、伺いたいと思います。  その出発点は、国鉄の債務は、私たち二十数兆円と聞いていたのが、いきなり三七・五兆円に膨れ上がったということでありますが、その中に、例えば工事を凍結している鉄道施設、成田新幹線、京葉線の一部、瀬戸線の一部、計千六百億円、本四公団鉄道施設神戸—鳴門ルート約三百億円、ほとんど二千億円近い金額でありますが、こんな使えないがらくた、二千億円といったような使えないものですよ、それを何で財政再建をしなければいけない国鉄の側に押しつけるのでしょうか。全く非常識だと思いますが、総理、どう思いますか。
  257. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄が資本費を負担した上で経営することを前提として鉄建公団が……
  258. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  259. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 建設してまいりました施設に係る債務については、国鉄の新経営形態への移行に伴いその取り扱いを定める必要があり、昨年七月の国鉄再建監理委員会の「意見」では、このような観点からこれらの債務を取り上げ、国鉄自身の長期債務とあわせてその処理方策を提言されているところであります。  今回の国鉄改革におきましては、国鉄再建監理委員会の「意見」に沿いまして、これらの施設を完成後運営する旅客鉄道会社にその資本費の負担の能力のないものなどにつきましては、これらを旅客鉄道会社から切り離し、清算事業団に所属することといたしました。  また、今御指摘のありましたような……
  260. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。——御静粛に願います。
  261. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 鉄建公団で現に凍結をされております路線につきましては、例えば現在第三セクターの話が進行しておるようなものもございます。こうしたものが第三セクター等で運営をすることが決まりましたら、これは工事をいたしていくものでありまして、それは清算事業団に行くものではございません。
  262. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 成田新幹線は廃線じゃありませんか。それから、神戸—鳴門ルートというのは通るのですか。通らないでしょう。だから、そういうそれこそ使えないものをなぜ押しつけるのかという問題がありますが、この問題で、鉄建公団がそもそも国鉄財政に対して一体どういうことをやってきたのか……
  263. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  264. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 大きな問題があると思います。
  265. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  266. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 これは鉄建公団法案審議の際……
  267. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  268. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 三十八年六月二十四日、運輸委員会……
  269. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  270. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 田中角榮大蔵大臣がそのときどういう答弁をしたのか。このとき、鉄建公団がつくるので、国鉄がいろいろ……
  271. 細田吉藏

    細田委員長 質問が聞き取れませんから、御静粛に願います。
  272. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 委員長、制止してください。
  273. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  274. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 制止してください。いいですか。
  275. 細田吉藏

    細田委員長 質問が聞き取れませんから、御静粛に願います。
  276. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そのとき、鉄建公団が路線をつくって、そして国鉄が使うときに、赤字が出たときにはだれが責任を負うのかということに対して、田中大蔵大臣ははっきりと、「これは政策目的の責任を負わなければならぬのは政府です。」政府が必ずしりを負いますと言っていたけれども、その結果そうなってないじゃないですか。  実際に、鉄建からの有償借入線の収支状況、十五の線について言いますと、約四千億円の赤字をそれこそ国鉄が負わされたわけです。鉄建公団というのは、それこそ国鉄財政破綻に追い込んだいわば政府・自民党の道具の一つであったわけであります。
  277. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  278. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 国鉄財政破綻の犯人の一人が鉄建公団。国鉄財政を破綻にするようなその鉄建公団の……
  279. 細田吉藏

    細田委員長 質問がはっきりするように願います。
  280. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 その借金をなぜ国鉄に押しつけなければいけないのか。鉄建公団自身、鉄建公団として行政改革対象としてこの問題、清潔な観点あるいは政官財の癒着を直すべき……
  281. 細田吉藏

    細田委員長 お静かに願います。
  282. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 放漫浪費をなくすという観点で鉄建公団こそ行革の対象にすべきで、このいろいろな借金を押しつけるというのは全く不届きでありませんか。どう思いますか、総理
  283. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 鉄道建設公団につきましては、青函トンネルの本体工事の完成後その処置を検討することといたしております。  それと、現在、国鉄改革の進行中におきまして、国鉄が資本費を負担した上で経営することを前提として鉄建公団が建設をしてきた部分につきまして、それを清算事業団に引き渡すことについて、私は問題があるとは考えておりません。
  284. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 青函トンネルの場合は、財産としては鉄建公団が保有するわけですね。それで、最後は清算事業団に行く。そして、使用は北海道会社がやる……
  285. 細田吉藏

    細田委員長 お静かに願います。
  286. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 こういうことになると、鉄建公団こそ整理しなければならないのに、青函トンネルを持つためにいつまでも鉄建公団が生き残る。こうして、今中曽根首相も言われている行政改革といいましても、特殊法人は減らすんだという先ほどの問題がありますけれども、国民にとって大事な公共企業体、この国鉄は解体する。しかし、このような今まで浪費を続けた問題のある鉄建公団は事実上延ばそうとする。そして、新たに清算事業団とかあるいはまた新幹線保有機構というような特殊法人を次々とつくっていく。こういうことをやるから次から次へと新たな財政破綻のもとをつくるのだと思います。  そこで伺いますが、国民の負担はどうなるかという問題であります。  国民が負わされる借金が一体どうなるのか、最も大事な点が何一つ明らかになっていないと思います。監理委員会、十六・七兆円、これは三十年でいいますと一年間に一兆三千億円、二十五年だと一兆四千億円。ところが、政府の方は、土地を高く売ります、三年後に計画を決めます。何もわからないじゃないですか。白紙委任しろということでございますか。  そこで総理に伺いますが、第一点は、国は一体毎年幾ら清算事業団に出していくのか、その財源はどうするのか、初年度となる来年度国は幾ら出すのか、十年後国民の負担として残される借金は幾らか、この点について答弁してください。
  287. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先日も申し上げた記憶がありますが、委員会から正式に御要望のあった資料はすべて提出をいたしております。  また、長期債務につきましては、去る一月二十八日の……
  288. 細田吉藏

    細田委員長 お静かに願います。
  289. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 閣議決定において明らかにいたしましたとおり……
  290. 細田吉藏

    細田委員長 お静かに願います。答弁が聞こえませんから、お静かに願います。
  291. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 最終的に残る長期債務等につきましては、用地売却の上乗せ等によりましてその額を極力圧縮していくことにいたしております。その清算事業団において自主財源を充ててもなお残ります長期債務等につきましては、最終的に国が処理することになるわけでありますが、本格的な処理のために必要な新たな財源、措置というものにつきましては、雇用対策、用地売却等の見通しがおおよそつくと見られる段階で、歳入歳出の全般的な見直しとあわせて検討、決定いたす所存であります。
  292. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今のような公式答弁はもう何度も聞き飽きたから。私が聞いているのは三つの点で、国は一体毎年幾ら出すのか、初年度となる来年度国は幾ら出すのか、この点、大蔵大臣どうですか。
  293. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これも何度か申し上げておるわけでございますけれども、清算事業団に対する補助金につきましては未定要求になっております。  それから、財投融資につきましては、一兆五百億円というものが一応将来変わることがあるという形で計上をされております。  これが運輸省からの大蔵省に対する概算要求でございます。
  294. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 結局、来年度のことさえもわからない。来年度、事業団は、支出に対して不足額は二兆一千九十三億円、財投が一兆五百億円、一兆五百九十三億円が不足で、何を充てるかどうかわからない。いよいよ分割民営化をやるというのに、来年度の予算の処理がわからないじゃないですか。これは全く驚くべきことですね。そこを白紙委任させるのかと言うのですよ。重大問題じゃないかと思います。  例えば、毎年国が幾ら補てんしていくのかによって、後に残る国民の借金等は物すごく積もっていきますよ。私も政府の仮定に基づいてざっと試算しておりますと、毎年三千億円ずつ国が出した場合でも、十年後には残る借金は三十兆を超えますから、あの十六・七兆円、これをはるかに上回るわけであります。一兆円ずつ出したところで、十年後に二十兆四千七百七十五億円で、その後土地が売られてしまいますからますます太っていくわけであります。  こういうことで国が幾ら出すかということがはっきりしないで、国民の負担が一体どこまで重くなるかわからないじゃありませんか。どうですか。
  295. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 来年度の概算要求を私どもは未定でいたしておりまして、予算編成はこれから先に行われることであります。
  296. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 だから、国民にとって負担が一体どうなるかということは最も重大な問題の一つ。それを白紙委任しろという、そういうことじゃないですか。来年度大体どういうことをやるということもお答えにならない、そういうことですね。  もう一つ、土地売却の問題があります。土地売却をやれば、それこそ何か国民の負担が軽くなるというようなことを言っております。しかし、一方においては価額隠しがやられております。八兆幾らかという評価を示されました。まあ仮定計算ということでありますが、私たちが東京について調べただけでもたちまち七兆円というお金が出てまいります。東京で、本社や八重洲の北や南、汐留、渋谷、新宿駅の貨物の六カ所だけで五兆円も超える。だれが買い手になるのか、これは大手です。  しかし、こういう売り方をすればどうかというと、高く売ろうとすれば必ずオフィスビルとか高度の利用をしなければならない。こういう問題につきましては、ここでも公述に来られました角本良平さんが言われましたように、都市問題が一体どうなるのか、環境問題がどうなるのか、全く無視したことを国がやるということになるのであります。  しかもどうですか。土地の問題で、今は少し土地のブームがあるかのようでありますけれども、これまで土地の売買を見ますと、四十八年にブームがありましたね、一年か二年。それがずっと冷えてしまいました。五十四年にピークがあって、また冷えてしまいました。今少し持ち上がっておりますけれども、この土地ブームというのはそんなに長く続かないとなると、何か土地が売れるから国民の負担が軽くなるというのは全くタヌキの皮算用になるではありませんか。そのとき、一体だれがどうやって責任をとるのですか、売れ残った後。後は皆さんの税金だ。そして、いかにも土地を高く売れば国民の負担が軽くなるような宣伝をしながら、事実上責任を持った財政措置をとらないとすると、借金はどんどん膨れ上がっていく。一体そのときどうなるのか。こういう問題さえ真剣に答えられていないじゃありませんか。中曽根総理、どうですか。
  297. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄用地の売却に当たりましては、公正を確保するとともに、国民負担、まさに残るべき長期債務を少しでも減少するために公開競争入札を基本とする適正な時価による方針であります。そしてまた、清算事業団におきまして設置される資産処分審議会の意見も聞きまして、この用地の処分は都市計画との調和等にも配慮しながら公正かつ適切に対処する方針であります。  仮に、先ほど委員が示されましたような膨大な金額が発生をし、そういう金額ですべての土地が売却できますならば、むしろ残るべき長期債務はゼロになるであろうと思います。
  298. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そのことを私はタヌキの皮算用と言っているのですよ。国民にかかってくるのですよ。
  299. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 いやいや、あなたが言われたのですよ、高い値段は。
  300. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 高い値段で売れば国民の負担が軽くなる、高い金で売れば国民の負担が軽くなるからと政府が言っているから私は質問しているのであって、人に転嫁しないてください。  また、運輸大臣はこれまで、事業用の資産であって売却用のものでないから、事業用資産は簿価で譲り渡しても結構だという答弁を毎度繰り返されました。しかし、この法案自身が、新会社事業用資産を売却したり抵当権に充当させる、そういうことを想定しているではありませんか。だから、大臣の答弁は全く成り立たないのであります。  しかも、既に最近、いわゆる中曽根民活という中で空中権問題ということが大変大きく問題になっております。そこで、まさに東京駅をめぐる構想というのが出ているわけであります。こういうことを見ても、重要資産を譲り渡すという問題についても、許可制というけれども、重要資産が何であるのか、これがはっきりしない、許可の基準がはっきりしない。こういうことになるならば、それこそどうでしょうか、国民の財産がただ同様で譲り渡される、こういうことになるじゃありませんか。もともと地価というのは、ただ売ったときのあれじゃなしに、そこで高度の収益が上がるというので高い地価が出てくるわけでありまして、それこそ新たな東日本会社や何かがこれらを満喫するということになるわけであります。  さて、運輸大臣は、私の前回の意見に対しまして、ユニークだというような評価をされました。ユニークというようなことは印象的な批判でありますけれども、大臣が私に言われた以上、私もある程度印象的な批判をもってこたえなければならないし、質問を続けなければならないし、この問題について答えていただきたいと思います。
  301. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  302. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 大体、今の国鉄がやってきたことは一体どういうことでしょうか。
  303. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  304. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 イギリス、西ドイツあるいはまたフランスなどと比べて、営業収支に入るところの補助金がこれらの国では五〇%前後あるいは五〇%といったような高さであるのに、国鉄は八・六%にしかならない。非常に大きな違いであります。これは、これらのヨーロッパの国々で、ECの取り組みもありますけれども、それこそ福祉を大事にする、交通権を守るという立場に立つならば、当然国が一定責任を持つ、こういうことをやっているのであります。しかし、日本の方は国の責任を放棄してきた。だからこそ……
  305. 細田吉藏

    細田委員長 工藤君、時間が参りました。
  306. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 責任を放棄したからこそ国鉄財政の破綻を引き起こした……
  307. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  308. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 政府がやってきたことこそまさに逆のことじゃありませんか。
  309. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。  工藤君、時間が参りました。
  310. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 委員長、きょうの時間につきましては、四時間コースだというのになぜ二十分しか割り当てられないのか、これは理解に苦しみます。賛成できません。
  311. 細田吉藏

    細田委員長 そのような答弁は肝要じゃありません。
  312. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 このような大事な問題に対して、まだ政府の答弁が行われておりません。
  313. 細田吉藏

    細田委員長 質疑をやめてください。
  314. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 資料も出されておりません。
  315. 細田吉藏

    細田委員長 工藤君、質疑をやめてください。
  316. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 どうしてこの大事な審議を続けられないのですか。なぜ、こういう重要な問題について、まだ負担問題も答弁されていないのに……。
  317. 細田吉藏

    細田委員長 工藤君、時間が参りました。  これにて工藤君の質疑は終了いたしました。(発言する者あり)工藤君の質疑は終了いたしました。発言者席から御退席願います。
  318. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 先ほど来の妨害で聞こえていないのですよ、大臣答弁が。
  319. 細田吉藏

    細田委員長 注意はいたしました。御退席願います。——工藤君、発言席から御退席願います。(発言する者あり)動議はありません。     〔「議事進行」と呼び、その他発言する者あり〕
  320. 細田吉藏

    細田委員長 議事進行につきましては、理事会の話し合いに従い、また、委員長責任において進行いたします。  ただいま議題となっております各案中……工藤君、御退席願います。——工藤君、発言者席から、時間が参りました、御退席願います。(発言する者あり)動議は出ません。  ただいま議題となっております各案中、内閣提出日本国有鉄道改革法案旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案新幹線鉄道保有機構法案日本国有鉄道清算事業団法案日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案鉄道事業法案日本国有鉄道改革法等施行法案及び地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の各案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     ─────────────
  321. 細田吉藏

    細田委員長 この際、日本国有鉄道改革法案に対し、山下徳夫君外二名から、自由民主党、公明党・国民会議及び民社党・民主連合三派共同提出による修正案が提出されております。  本修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。西中清君。     ─────────────  日本国有鉄道改革法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  322. 西中清

    ○西中委員 私は、自由民主党、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、本修正案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案については、お手元に配付してあります案文のとおりでございます。  今回の国鉄改革は、歴史的、画期的な事業であり、かつ多くの国民が極めて強い関心を寄せているものであります。そのため、国会としては、国鉄改革に関する施策の実施状況を十分把握し、その業務の改善に資する必要があると存じます。  したがいまして、昭和六十二年度以降五カ年間の各年度における日本国有鉄道改革に関する施策の実施状況、すなわち、六つの旅客鉄道株式会社日本貨物鉄道株式会社日本国有鉄道清算事業団及び新幹線鉄道保有機構の収支の状況並びに日本国有鉄道清算事業団の土地の処分状況、長期債務の処理状況及び再就職を必要とする職員の再就職状況等について、政府は、毎年国会に対し、報告をしなければならないこととしようとするものであります。  以上が本修正案を提出いたしました理由でございますので、何とぞ各位の御賛成をお願い申し上げ、提案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
  323. 細田吉藏

    細田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  現在、日本社会党・護憲共同所属の委員が御出席になっておりません。出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。——日本社会党・護憲共同所属の委員に出席を要請いたしましたが、御出席がありませんので、やむを得ず議事を進めます。     ─────────────
  324. 細田吉藏

    細田委員長 これより討論に入ります。  各案及び日本国有鉄道改革法案に対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。久間章生君。
  325. 久間章生

    ○久間委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、内閣提出国鉄改革法案及び修正案に賛成の討論を行うものであります。  今回提出の八法案は、昨年七月国鉄再建監理委員会が中曽根総理大臣提出した「国鉄改革に関する意見」を最大限に尊重し、これに沿ってつくり上げた一連の国鉄改革法案であり、危機的状況にある国鉄事業の再生を図るとともに、政府機構の簡素化、効率化、官業の民営化、活性化、規制緩和、競争原理の導入、さらには民間活力の導入など、いわゆる土光臨調の理念を体したまさに時代の要請にこたえる法案であると考えるものでありまして、以下申し上げる理由により、賛成いたすものであります。  まず、かつて我が国の大動脈として国民の信頼を得てきた国鉄が今日の惨状に陥った根本的な原因は、公社制度のもとにおける全国一元の巨大組織による運営という制度的な制約に加え、時代の変化に適切に対応できなかったことにあり、その経営形態の抜本的な変革がなされなければ鉄道の再生は不可能であるとする点で、政府と認識を同じくするものであります。  責任ある自由な経営民間経営手法の導入、他企業との切磋琢磨、そして何よりも地域思いの経営を実現すること、すなわち分割民営化を実施することが、鉄道の活性化をもたらし、真に国民鉄道として再生することを可能とするものでありまして、二十一世紀に向けて、我が国経済社会の発展に真に貢献し得る未来ある鉄道としての道を開くものであると考えます。  政府案は、分割については、旅客流動等の実態を十分配慮し、また新会社に対する規制も民間鉄道並みを原則として、最小限にとどめる一方、活力ある経営が可能となるよう、新会社経営基盤の安定、確立にきめ細かい工夫を凝らしており、いずれの会社分割民営化の暁には、各地域の発展に貢献していくことができるものと確信しております。  ここに示されました改革案は、鉄道再生の処方せんとして、現実性のある最善の方策であると考えるものであり、これが国鉄改革法案に賛意を表明する第一の理由であります。  第二に、いわゆる長期債務等の処理についてであります。  国鉄長期債務及び関連する諸負担は膨大なものに上り、その負担をすべて新会社に負わせることは、経営の維持が困難となり不可能であります。他方、これを安易に政府すなわち国民の負担を求めることも許されないと考えます。  最終的に何らかの、それも相当額の負担について国民理解を求めなければならないとしても、その前提として、自主財源の確保のために国鉄自身がぎりぎりの努力を尽くすこと、及び新会社が赤字体質のもとで再び国の助成に依存することがあってはならず、いわば今回限りの負担であることが必要不可欠であります。  政府案は、この点において、効率経営を前提として過重となる負担は新会社から切り離し、清算事業団において処理することとするとともに、同事業団の自主財源として、国鉄所有の売却可能用地をできるだけ生み出し、かつ、これを公開競争入札を基本とする適正な時価で売却して、国民負担の軽減を図ることとしております。  分割民営化による効率的な健全経営の確立と用地の生み出しを初めとしたぎりぎりの自助努力は、膨大な長期債務等の処理について国民理解と協力を求めるためにまさに適切な措置であり、これが政府国鉄改革法案に賛成する第二の理由であります。  第三は、今回の改革に伴う国鉄職員雇用の確保についてであります。  今次改革では、経営の効率化が求められ、その過程で多くの人が国鉄の職場を離れることが必要となります。これらの方々の生活の安定、雇用の安定は、十分な配慮を尽くさなければなりません。  政府案は、この点について特別立法のもとに最大限の支援を行うこととしております。また実際上も、中曽根総理を先頭に、政府国鉄一体となった雇用対策が展開され、着実に成果が上がりつつあることを多とするものであります。  政府案雇用対策についても十分きめ細かい配慮がなされていると考えるものであり、これが本改革法案に賛成する第三の理由であります。  最後に、修正案について申し上げますと、国鉄改革国民にとって最も深い関心を有する問題でありますので、それに関する施策の実施の状況国会に対し報告することによって国民に明らかにすることは、まことに適切妥当な措置であると存じ、これまた賛意を表する次第であります。  以上、賛成理由を申し上げましたが、何と申しましても百有余年の歴史を有する国鉄民営化し、分割いたすのであります。安全第一に、整々粛々と、スムーズに移行がなされなければなりません。本改革法案の成立後、政府国鉄関係者は不退転の決意をもって事に当たり、今回の国家的改革を立派に成就されんことを心より希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  326. 細田吉藏

  327. 石田幸四郎

    ○石田委員 私は、公明党・国民会議代表し、日本国有鉄道改革法案など国鉄改革関連法案について、修正部分を含め、賛成の討論を行うものであります。  毎年大幅赤字を続ける国鉄経営状態が放置できない状態に陥っていることは、衆目の一致するところであります。このままでは早晩経営に行き詰まり、事業の運営に支障を来すばかりでなく、その巨額な債務と赤字が国民に過大な負担となってはね返ることは明白であります。  そのゆえに、国民の大多数は、国鉄改革の早期実施を求め、本案反対の立場に立つ一部の人々も公社制度の欠陥を指摘し、民営への改革を期待し、その再生を望んでいると思うのであります。  我が党は、かねてより、経営破綻の原因となった公社制を改め、民営化することを基本として、その企業効率性が図られるよう、経営規模を適正化する民営分割による国鉄改革案を提示してまいりました。  なお、分割の規模や貨物輸送のあり方については、我が党の独自の考えもあり、いずれも国鉄改革一つの選択肢として、そのような考え方存在すると考えます。しかし、民営分割はまさに鉄道事業そのものの大改革であり、今日までの赤字体質を改善するためには、民営分割改革以外にないとの基本認識は、政府案と本質的に大きく異なるものではありません。  しかも、これだけの大改革案であるだけに、当委員会指摘したとおり多くの問題点もあり、その問題が法案通過後の努力にまつことが多いことなどを考えるとき、その経過を厳に見守る必要があるとしても、我々の考え方に固執することで改革への千載一遇の機会を失ってはならず、同時に、国民の期待にこたえるためにも法案の成立は必要と考え、政府案を一部修正し、大局的立場から賛成することにしたのであります。  これまでの審議でも明らかなように、改革に伴う課題はなしとは言えません。我々は、審議の中で、その課題一つ一つを明らかにしつつ、その解決のための対策の確立と推進を求めてまいりました。  すなわち、基本的には国鉄改革国民のための改革を目指すものであり、国民理解と協力のもとで行われるべきことを主張してまいりました。また、用地問題、雇用問題等、今後留意すべき個々の問題点も指摘してきました。  その結果として、我が党の主張してきた用地利用計画検討する機関の設置が図られ、安全防災対策に関する施策も明確化するなど、幾つかの課題が前進を見てまいりました。さらに加えて、法案の一部修正によって施策の実施状況国会に報告されることとなり、その状況いかんによっては、国会の場で改めて審議する道も開かれたのであります。  我々は、この法案に基づく施策の実施によって、国鉄改革の真の目的が達成され、国民の求める輸送機関として国鉄が再生されることを強く望んでおります。  最後に、政府に対し、長期債務の処理に際し、国民負担の抑制に最大限の努力をすること、その償還財源となる用地の処分は厳に公正、公平を期すこと。国鉄離職者の雇用に対してはきめ細かい配慮をなし、個々の人間性と生活を尊重し、万全を期して努力されるよう強く要求し、賛成の討論を終わります。(拍手)
  328. 細田吉藏

    細田委員長 河村勝君。
  329. 河村勝

    ○河村委員 私は、民社党・民主連合を代表して、国鉄改革法案並びに同修正案に対し、賛成の討論をいたします。  以下、賛成の理由を述べます。  財政的に完全に崩壊した国鉄を再生させるためには、不可欠の条件が二つあります。  その一つは、新しく生まれる鉄道事業体が背負い切れない債務を国に、言いかえれば国民の負担において肩がわりしてもらうことです。他の一つは、合理化に伴う大量の余剰人員を、官民の協力を得て一人残らず新しい職場を確保することです。  本法案審議を通じて、この二つの条件はおおむね達成し得る見通しがつきました。そうであれば、国鉄についても民営分割という大手術をあえて断行して、従来の親方日の丸的体質を刷新して、能率的な経営に徹するというあかしを国民の前に明らかにしなければなりません。  したがって、この改革は何としても成功させなければならないということが我が党の考えであって、これが本法案に賛成する基本的な理由であります。  しかしながら、民営分割によって新しい事業体をつくる以上、その事業体は従来のような国の支配を脱して、経営的に自立し、それぞれ独立の企業として自由に行動ができるものでなければなりません。そういう見地から見ると、この法案に基づく改革には幾つかの問題点があります。  特に、新幹線鉄道保有機構については、長期にわたって本州旅客鉄道三社の経営に介入し、あるいは相互の独立性を阻害する危険性があります。私は、その疑惑を解明し、でき得れば機構そのものの解消を図りたいと審議を通じて努力をしてきましたが、必ずしも十分目的を達することはできませんでした。  しかしながら、これまでの審議と本日の総理初め関係閣僚の答弁によって、将来に期待を持ち得る条件もできましたので、不満足ながら、今後に課題を残しつつ了承することといたしました。  貨物鉄道会社経営安定のために特に主張した通運免許の原則的自由化についても同様であります。  以上のような経緯に立って、我が党は、さきに述べた基本的考え方に立って、本法案に賛成するものであります。  本法案国会を通過した後においても、明年四月一日新事業体発足までには、要員問題を初め困難な課題がたくさんあります。政府におかれても、その過程において我々の意見を十分参酌して過ちなきを期するよう要請して、討論を終わります。(拍手)
  330. 細田吉藏

  331. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、日本国有鉄道改革法案等八法案いわゆる国鉄分割民営法案質疑打ち切りと採決に強く抗議し、反対討論を行います。  百十四年の歴史をかけてつくり上げてきた国民共有の財産である国鉄分割民営化しようという、国民生活に重大なかかわりがあるこの八法案について、わずか十二日間の審議しか行わず採決を強行することは、驚くべき暴挙であり、断じて容認できません。  我が党が一貫して強く要求してきた法案ごとの慎重審議、各界の専門家から意見を聴取するための参考人質問国鉄の現場を初めとする現地調査などは全く実施されておりません。本格的審議はまさにこれからであります。  国鉄赤字の原因は、輸送構造の変化に的確に対応できなかったとする国鉄経営形態にあるのではなく、歴代自民党政府の政策そのものにこそ真の原因があることを追及した我が党の質問に対し、政府は何一つまともに答えられず答弁不能に陥ったではありませんか。  また、政府が盛んに宣伝してきたように、分割民営化で国鉄赤字は本当になくなるのかという点についても、借金の大部分を移しかえられた清算事業団の赤字解消見通しについては全くのやみの中なのであります。事は中曽根内閣が推進している国鉄改革なるものの根幹にかかわる問題であり、このことさえ国民の前に明らかにできないまま採決を強行するなど断じて認められるものではありません。  とりわけ重大なことは、我が党議員が本委員会で明らかにした首切りのための労働者選別リストの存在さえ否定するという驚くべき無責任な答弁がなされました。まことに言語道断と言わなければなりません。  要するに、審議はまだまだ尽くされていないのであります。我が党は、質疑打ち切り、採決強行に断固として抗議し、質疑の続行を強く主張するものであります。  次に、国鉄分割民営法案そのものに反対する理由を述べます。  第一に、本法案分割民営化の大前提にしているところの公社制度と全国一元的運営という国鉄経営形態国鉄赤字の原因だとする主張が、歴史的事実に反する全くのすりかえであるということであります。  国鉄赤字の原因は、巨大な設備投資を借金で国鉄に強制した政府の政策にあり、自民党政府国鉄私物化こそ赤字の根源であることは余りにも明瞭であります。  さらに、国鉄分割民営化は、国有鉄道の維持という世界の大勢に逆行するものであり、国民の交通権を奪い去るものにほかなりません。  第二に、国鉄赤字の原因と責任をすりかえて、分割民営化を強行し、国民に耐えがたい負担と犠牲を押しつけようとしていることであります。  それは、国民共有の財産である国鉄が財界、大企業に切り売りされることであり、赤字ローカル線を初めとするとめどもない鉄道網の廃止であり、運賃値上げの押しつけであり、大量の人減らしによる輸送の安全の破壊です。大企業には大盤振る舞い、国民には重い負担と犠牲、到底国鉄分割民営化は容認できるものではありません。  第三に、本法案は、国鉄労働者に対して全員解雇の上選別採用し、さらには労働条件についての団交権が奪われるなど、憲法が保障する労働基本権がじゅうりんされるのであります。  しかも、労働組合に対する不当な攻撃や、国会法律が通っていないにもかかわらず首切りのための労働者の選別が行われていることは、憲法と議会制民主主義を踏みにじるものであり、断じて容認できるものではありません。
  332. 細田吉藏

    細田委員長 お静かに願います。
  333. 中島武敏

    中島(武)委員 なお、修正案が提出されましたが、修正案の名に値しないものであります。  以上、我が党は、希代の悪法である国鉄分割民営法案に断固反対するとともに、国鉄職場における無法行為の即時中止と本諸法案の撤回をあくまで要求して、討論を終わります。(拍手)
  334. 細田吉藏

    細田委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  335. 細田吉藏

    細田委員長 これより採決に入ります。  日本国有鉄道改革法案について採決いたします。  まず、本案に対する山下徳夫君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  336. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  337. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  338. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、新幹線鉄道保有機構法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  339. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、日本国有鉄道清算事業団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  340. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  341. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、鉄道事業法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  342. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、日本国有鉄道改革法等施行法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  343. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  344. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  345. 細田吉藏

    細田委員長 ただいま議決いたしました各案に対し、小里貞利君外二名から、自由民主党、公明党・国民会議及び民社党・民主連合三派共同提出による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。小里貞利君。
  346. 小里貞利

    ○小里委員 ただいま議題となりました国鉄改革法案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、その案文を朗読申し上げます。     日本国有鉄道改革法案旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案新幹線鉄道保有機構法案日本国有鉄道清算事業団法案日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案鉄道事業法案日本国有鉄道改革法等施行法案並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   今次国鉄改革の円滑な実施を図るため、政府は、本国鉄改革関連八法案の施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。  一 各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社は、経営の効率化、合理化に努め、経営の安定と活性化を図ることにより収支の改善を図り、運賃及び料金を適正な水準に維持するよう努めるとともに、輸送の安全の確保のため万全を期すること。  二 各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備に必要な資金の確保について特別の配慮をすること。  三 各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社経営安定を図るうえで関連事業の展開が必要であることにかんがみ、中小企業者への影響に配慮しつつ、その積極的な拡大の推進のため必要な措置を講ずるよう努めること。  四 特定地方交通線対策については、その進捗状況に配慮し、地域の意見を十分聴取するよう努めること。  五 各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社は、地方公共団体に対し、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の趣旨をこえるような負担を求めないこと。  六 日本貨物鉄道株式会社経営安定のため、通運・トラック事業との協業化及び通運事業免許の運用の弾力化等が図られるよう努めること。  七 日本国有鉄道の長期債務等の処理については、昭和六十一年一月の閣議決定に基づき必要な措置をとること。  八 日本国有鉄道清算事業団に帰属する長期債務等の処理に当たっては、用地売却価格の適正化、株式売却価格の安定化等を図ることにより、債務等の償還財源を確保し、国民負担の軽減に努めること。  九 日本国有鉄道清算事業団に帰属する用地の有効かつ適切な利用のあり方を検討するものとし、その売却に当たっては、公開競争入札の方法によることを基本として公正かつ公平に行われるよう努めるとともに、投機的取引による周辺地価への悪影響をもたらさないよう必要な措置を講ずること。  十 再就職を必要とする職員雇用の確保に万全を期するとともに、これらの職員及び家族に生活不安を与えないよう住宅の確保、学校の転入学の円滑化などのため、必要な措置を講ずること。  十一 国鉄共済年金については、昭和六十年十一月の政府統一見解趣旨に沿い、早急に年金財政の改善計画を策定し、年金受給者に対し、不安を与えることのないよう措置すること。  十二 国鉄改革によって影響を受ける国鉄関連企業労働者については、現行の諸制度活用してできる限りの配慮をすること。 以上であります。  本附帯決議は、当委員会における法案審査の過程におきまして委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、国鉄改革法案の実施に当たり、政府において特に留意するところを明らかにし、今次改革の円滑な実施に遺憾なきを期そうとするものであります。  以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。(拍手)
  347. 細田吉藏

    細田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  小里貞利君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  348. 細田吉藏

    細田委員長 起立多数。よって、各案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして政府から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣
  349. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ただいまは、日本国有鉄道改革法案旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案新幹線鉄道保有機構法案日本国有鉄道清算事業団法案日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案鉄道事業法案並びに日本国有鉄道改革法等施行法案につきまして、慎重な御審議の結果、御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分の努力をしてまいる所存であります。ありがとうございました。(拍手)
  350. 細田吉藏

    細田委員長 次に、葉梨自治大臣
  351. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 ただいまは、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の上御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  352. 細田吉藏

    細田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  353. 細田吉藏

    細田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  354. 細田吉藏

    細田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後七時七分散会