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1986-10-23 第107回国会 衆議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十三日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 細田 吉蔵君   理事 小此木彦三郎君 理事 小里 貞利君    理事 佐藤 守良君 理事 三塚  博君    理事 山下 徳夫君 理事 井上 普方君    理事 嶋崎  譲君 理事 西中  清君    理事 河村  勝君       甘利  明君    井上 喜一君       臼井日出男君    江口 一雄君       遠藤 武彦君    小川  元君       小沢 辰男君    尾形 智矩君       大石 正光君    大島 理森君       片岡 清一君    亀井 静香君       亀井 善之君    久間 章生君       古賀  誠君    古賀 正浩君       佐藤 敬夫君    斉藤斗志二君       桜井  新君    杉浦 正健君       鈴木 宗男君    関谷 勝嗣君       園田 博之君    津島 雄二君       虎島 和夫君    中島  衛君       中村正三郎君    野中 広務君       野呂田芳成君    長谷川 峻君       原田  憲君    二田 孝治君       前田 武志君    増岡 博之君       町村 信孝君    松田 九郎君       村上誠一郎君    森田  一君       若林 正俊君    上田 卓三君       小林 恒人君    佐藤 徳雄君       戸田 菊雄君    堀  昌雄君       村山 富市君    山下洲夫君       浅井 美幸君    石田幸四郎君       遠藤 和良君    大橋 敏雄君       柴田  弘君    阿部 昭吾君       工藤  晃君    中島 武敏君       村上  弘君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君         労 働 大 臣 平井 卓志君         自 治 大 臣 葉梨 信行君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      近藤 鉄雄君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         内閣審議官   中島 眞二君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    吉田 耕三君         経済企画庁総合         計画局長    及川 昭伍君         経済企画庁調査         局長      勝村 坦郎君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁地方振興         局長      澤田 秀男君         大蔵省主計局次         長       角谷 正彦君         大蔵省理財局次         長       入江 敏行君         運輸政務次官  柿澤 弘治君         運輸大臣官房審         議官      井山 嗣夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省貨物流通         局長      松村 義弘君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 小粥 義朗君         労働省労働基準         局長      平賀 俊行君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         建設省道路局長 萩原  浩君         自治省行政局公         務員部長    柳  克樹君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     長谷川 忍君         日本国有鉄道常         務理事     岡田 昌久君         日本国有鉄道常         務理事     澄田 信義君         日本国有鉄道常         務理事     山田  度君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長)    亀井 正夫君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 十月二十三日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     村上誠一郎君   亀井 静香君     遠藤 武彦君   古賀  誠君     小川  元君   桜井  新君     井上 喜一君   中島  衛君     江口 一雄君   中村正三郎君     町村 信孝君   長谷川 峻君     佐藤 敬夫君   山村治郎君     斉藤斗志二君   若林 正俊君     古賀 正浩君   関山 信之君     佐藤 徳雄君   村山 富市君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   井上 喜一君     大石 正光君   江口 一雄君     中島  衛君   遠藤 武彦君     虎島 和夫君   小川  元君     二田 孝治君   古賀 正浩君     園田 博之君   佐藤 敬夫君     杉浦 正健君   斉藤斗志二君     前田 武志君   町村 信孝君     中村正三郎君   村上誠一郎君     臼井日出男君   佐藤 徳雄君     関山 信之君   堀  昌雄君     村山 富市君 同日  辞任         補欠選任   大石 正光君     桜井  新君   杉浦 正健君     長谷川 峻君   園田 博之君     若林 正俊君   虎島 和夫君     尾形 智矩君   二田 孝治君     古賀  誠君   前田 武志君     山村治郎君 同日  辞任         補欠選任   尾形 智矩君     亀井 静香君     ───────────── 十月二十三日  国鉄分割民営化関連法案廃案に関する請願外一件(緒方克陽紹介)(第四一〇号)  同(児玉健次紹介)(第四六七号)  同(中路雅弘紹介)(第四六八号)  国鉄分割民営化法案廃案等に関する請願児玉健次紹介)(第四六六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道改革法案内閣提出第一号)  旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出第二号)  新幹線鉄道保有機構法案内閣提出第三号)  日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出第四号)  日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出第五号)  鉄道事業法案内閣提出第六号)  日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出第七号)  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  日本鉄道株式会社法案伊藤茂君外八名提出衆法第一号)  日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案伊藤茂君外八名提出衆法第二号)  日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案伊藤茂君外八名提出衆法第三号)      ────◇─────
  2. 細田吉藏

  3. 上田卓三

    上田(卓)委員 私は、三島会計中心といたしまして諸問題につきまして御質問を申し上げたい、このように思うわけでございます。先週末の土曜日に四国高松地方公聴会がございまして、私もそちらに参加させていただいたという関係もございますので、とりわけ四国中心にいたしまして御質問を申し上げたい、このように思っております。  さて、政府民営分割化の中で、北海道それから四国九州三島につきましては長期債務を引き継がないということで、別建て会社ができる、こういうことのようでございます。しかし、この三島会社赤字が予想される、こういうことから、経営安定基金利子でその穴埋め、補てんをする、こういうことのようでございます。特に、北海道につきましては六千二百億円、四国については一千九百億円、九州は三千七百億円、計一兆一千八百億円のこの基金で、過去十年間の国債の利回りの平均が七・五%である、こういうことで、との運用の利子で欠損を穴埋めをする、このようなことのようでございます。  政府の案によりますと、四国は初年度の六十二年度は三億円の黒字が見込まれる、あるいは以降六十六年度まで毎年十数億円の黒字を見込んでおられるようでございます。御存じのように全線赤字路線昭和六十年度には五百三十二億円の赤字を出している四国において、分割民営と同時に黒字転換となるという見通しそのものに、実は大変疑問を感じておるところでございます。  まずこの輸送量見通しに疑問があるわけでございます。例えば監理委員会試算によりますと、昭和六十年度は十五・二億人キロ、そして六十二年度は十五・二、六十三年度は十五・六、六十四年度は十五・一、六十五年度は十四・七、六十六年度は十四・五、こういうような見通しのようでございますが、政府見通しによりますと、昭和六十年度が十五・九、それ以後十五・二、十六・三、十五・八、十五・三、そして六十六年度には十四・八億人キロ、こういう形で、政府案によりますと監理委員会試算よりも相当強気の輸送量の見込みを行っておるわけでありまして、その根拠というのはどこにあるのか、ひとつお答えをいただきたい、このように思います。
  4. 林淳司

    林政府委員 監理委員会昭和五十八年度の実績ベースにして将来の輸送需要推定しておるわけでございますが、その後五十九、六十と実績が積み重なってまいりましたので、政府試算では昭和六十年度の実績ベースにして将来推定をしたわけでございます。監理委員会で想定した当時より六十年の実績がかなり上回ったということがございまして、そこをベースにして推定をしたために、全体として輸送需要監理委員会よりは増加しておるということでございます。
  5. 上田卓三

    上田(卓)委員 今のお答えでは、六十年度が割といい成績であった、こういうことから、それをベースに今後の計画見通した、こういうことのようでございますが、国鉄資料によりますと、例えば昭和五十四年から六十年の年平均輸送量減少率は何と四・七%であるわけでございます。そういたしますと、監理委員会においてもあるいは政府見通しにおいても、過去の四・七の平均低下率ということを考えますと、私は相当問題があるのではないか、こういうように考えざるを得ないわけでございまして、例えば過去の四・七%減ということになりますと、先ほどの四国の数字でいきますと六十年度は確かに十六億人キロということになりますが、その後十五・二、十四・五、十三・八、十三・一、十二・五ということで、六十六年度には監理委員会では十四・五、政府見通しは十四・八、しかし四・七%減少で計算すると六十六年度は十二・五億人キロということで、はるかに下がるというような状況にあります。ちなみに、年平均三%減ということにいたしましても六十六年度においては十三・六億人キロ、こういうことになるわけでございまして、やはりこの輸送量見通しが狂いますと大変この会社が先行き不安である、こういうことになるわけでございますので、その点やはり政府見通しは甘いのではないかと思うのですが、その点についてもう一度お答えをいただきたい、このように思います。
  6. 山田度

    山田説明員 四国輸送量につきまして大変御心配をいただいているわけでございますけれども、私どもの想定におきましては、監理委員会時点より約二年程度新しい時点で見ております。五十六年からの大体の傾向線上に乗っておると思います。ごく最近、五十九年及び六十年ぐらいからの施策といたしまして、地方密着型、地域密着型ダイヤということでいろいろとダイヤ上の改善あるいはまた販売努力等を重ねてまいりまして、従来の減少傾向よりは緩和してきているものと見ております。  例えば五十六年度から見ますと、十九・六億人キロでございましたけれども、六十年度時点で十六・二億人キロということでございまして、この傾向線上で見てまいりますと大体カーブに乗っておるものと思いますが、ただ、六十三年度におきまして本四備讃線の開業というものを予定しております。したがいまして、これは従来の低下傾向よりは、さらにそれに上乗せする要素であると私どもは前向きに受けとめております。この本四備讃線のせっかくできてまいります橋を利用いたしまして本州への直通列車を増発してまいりたいという構想を持っておりますが、そういうことで六十三年度首より輸送量の増加を見込んだというものが今回の政府試算における増分でございまして、監理委員会よりはその分だけ多くなっております。  しかしながら、その後もさらに厳しい輸送推移をするものと見通しておりまして、結果的には監理委員会政府試算との差は六十六年度におきまして〇・三億人キロというふうに、大変かたく見たというふうに考えておるわけでございます。
  7. 上田卓三

    上田(卓)委員 確かに地方密着型とかその後のいろいろのローカル的な努力ということもわからぬこともないわけでございますし、また、本四架橋瀬戸大橋開通等によってやはり輸送量も伸びるのではないかということもそれなりの一理であろうというように思います。しかし、それと同時に、やはりそのことによって車が横行するという問題とかあるいは高速道路の完備とか、そのほかいろいろな交通網の発達によってかえって、政府見通しでも六十三年度はある程度高く見積もっておりますが、その後はやはり下降線をたどっておるというのが現状ではないか、私はこういうように思うわけでございまして、そういう意味で、政府の案においてもやはり輸送量は減っていくという見通しに立っておる。ただその減り方が過去のような四・七%のベースになるのか、あるいは低く見積もっても三%ということにもなるのか、あるいはもっと高目の、そんなに減らないということになるかどうかということであろうと思いますが、輸送量がどうなるかということはこの会社の存立にやはり大きな影響があるということはこれまた言うまでもなかろう、こういうように思っておるわけでありまして、その点は余り楽観的に見るのじゃなしに、やはりそういう非常にシビアな形で見ていかなければならぬのではないかというように思います。  さらに、そういう輸送量の減をカバーするという意味から、年平均六%の運賃値上げを考えておられるようでございます。しかし、全国的な過去の十年間の運賃値上げの動向を見ますとそれ以上の値上げをしておるようでございまして、六%と言っておりますが、やはりそれ以上の値上げでそういう輸送量の減をカバーするという可能性も出てくるのではなかろうか。運賃値上げされますと、その分だけお客が、利用者というのですか、やはり減るということも考えておかなければならぬのではないか、こういうように思うわけでございまして、どう考えましても、政府は何とか四国会社あるいは三島会社はやっていけるんだということで過大な見積もりをしている嫌いがあるのではないか、こういうように思っておるわけでございます。その点についてもう一度お答えをいただきたい。大臣、お願いします。
  8. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今基本的な問題点につきましては審議官並び国鉄当局からお答えを申し上げたわけでありますが、多少私から補足をさせていただきますと、監理委員会試算当時に比べて経営安定基金そのもの政府の手で積み増ししておることも御承知のとおりでありまして、私どもは決して甘い予測を立てたものではありません。また同時に、今委員が御指摘になりましたように、他交通機関との関係というものは当然考慮に入れなければなりませんが、これは道路整備五カ年計画でありますとかあるいは運輸省自体空港整備の五カ年計画でありますとか、こうしたものの進捗状況を見込んで需要予測を立てておるということもこの際あわせて御報告をいたしたいと思います。  先ほど、今後の運賃改定というものにもお触れになりました。確かに運賃改定は六%程度見込んでおります。そしてこれが今委員指摘のように、従来の国鉄実績とでも申しましょうか、九%程度上がっておったものに比べれば低く抑えておることも事実であります。しかし、これは今度はローカルのそれぞれの他交通機関との競争というものを考えていきます場合に、そう大幅な運賃改定によってその収益減を補うという手法はとれるものではないと私は思います。そして、そのためにも私どもとすれば、それぞれの会社関連事業進捗によっていわば利益上積みをすることを期待しているわけであります。  現在の収支試算におきましては、私どもそれぞれの会社がどんな関連事業を将来考えていくか予測はできませんので、現在国鉄経営をしております関連事業というものが引き継がれ、大体現在の収入は約三%と言われておりますが、これを土台にして、これが明年は四%、そのうちに七%と、まさに今国鉄経営しておるものを引き継いだそれらの関連事業収益のみを算定の基礎に入れておるわけでありますから、それぞれの新会社がそれぞれのアイデアによって新たな分野を開拓し、新たな事業を行い、それによっての利益を上げていきますものは、当然今の収支試算の上に上積みをされていくものでもございます。  それやこれやを考えてまいりますと、私どもなりに相当厳しく三島会社につきましても積算はいたしたつもりでありますが、それなりに私どもは前進が図っていけるものと考えております。
  9. 上田卓三

    上田(卓)委員 その問題について大変私ども疑問を持っておりますし、心配をいたしておるわけであります。輸送量が減っていく。幾らかの改善はされておるとはいうものの、今後の全体の交通体系の中で果たしてどうなるのか、あるいは過去の実績から見てそれをそれ以上にならないようにどうカバーしていくのかということにもかかわらず、政府見通しによりましても減少傾向にある。さりとて運賃の大幅な引き上げも利用者を減らすということになるとするならば、私は、さらに先行きは不安であろう、こう言わざるを得ない、このように思うわけであります。  そこで、四国鉄道の基盤は、現地でも報告があったのでありますが、また政府資料に基づいても実は全国最低水準にあるわけでございまして、電化率は〇%、全国平均は四三・八%でございます。それから複線化率はたったの三%、全国平均は二七・八%、それからコンクリートまくら木への転換率は八%、全国は四〇%、こういうような状況でございます。現在香川県の一部のみ電化工事が進行中でございまして、本年度四十億円の予算で工事がなされる、こういうことでございますが、この資金不足分十二億円は新会社の負担になる、このようでございます。  ところが、この向こう五年間の設備投資額はほとんどが現設備維持更新のための投資でありまして、新規投資はほとんどない。例えば六十二年度の設備投資額は六十三億円でございますが、そのうち維持更新投資が何と六十億円で、新規投資がたったの三億円、こういうような微々たるものでありまして、これは大変問題ではないか、このように思っておるわけでございまして、そういう意味では今後新規投資はしないということになっておるのかどうか。それから、やはり四国の県民の宿願でありますところの複線化とか電化事業は今後どうするのか。もうやらないのか、それとも別途財源を手当てするのか、どうなっておるのかということをひとつお聞かせをいただきたい、このように思います。
  10. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この間もたしか井上委員にでありましたかお答えをしましたが、四国輸送力増強投資につきましては、現在主要なプロジェクトとして進行いたしておりますものはそのまま皆持ち込んでまいります。六十二年度以降につきましても、これら継続する線増電化工事のほかに、経営体質改善投資としての例えば踏切の近代化でありますとか、こうした投資も見込んでおります。今回の投資計画の策定というものには、現在工事施行中でありまして未完成なもの及び投資効果等を勘案をいたしますと今後の五年間にほぼ確実に実施されると予測されるプロジェクトについて輸送力整備等投資額の中に見込んでおりまして、その限りにおいては今後の需要に私どもは対応できると思います。  しかし、その後における例えば複線化電化等輸送力増強投資というものは、実は個々のプロジェクトごとにその投資効果採算性等を見きわめた上で、それぞれの会社経営判断によって行われるべきものではないか、私どもは基本的にそう考えております。四国会社につきましても、投資効果のある案件というものは必要に応じて実施をされていくでありましょう。その場合には、現在民間鉄道等におきましても行っておりますように、必要な資金確保について政策金融としての開銀融資等を私どもは考えております。
  11. 上田卓三

    上田(卓)委員 昭和六十三年度に本四架橋が開通する。それから六十四年度に高松空港整備が完了する。それから、それ以後いずれにしても高速道路網整備、こういうことになってくるわけでございまして、四国の全体の交通体系から見ても鉄道部門は著しいおくれが予想される。これで新規投資が見込まれないということになれば、四国鉄道事業というものはもうなくなってしまわざるを得ない、こういうことになるのではないかと思うわけでございます。それに対応しようということで、政府の援助がないままで新事業体経営努力だけでということになりますと、これまたかつて国鉄が陥ったような形で、やはり借金によって、長期債務によって近代化を図っていくということになればまたぞろこれは赤字体質ということになるわけで、それが嫌ならば他の交通産業に皆取られてしまって四国国鉄はやっていけない、こういうことになるのではないか、こういうことで私は大変危惧をいたしておるわけでございます。  それから、四国での公聴会では、四国は地質の関係また台風などの気象の条件で災害の多発地帯である、災害が起こった場合の復旧対策は新会社のみに責任を負わせるのではなくて、政府からの援助が必要だとの意見などが陳述人からたくさん出ておったわけでございまして、この点についてどう考えるのか。もともと経営基盤の弱い四国の新会社に災害復旧対策をすべて負わせるのは、私は無理があるのではないか。政府として何らかの援助を、システムを考える必要があるのではないか。設備投資においてもそうでございます。  それから、もう一点それに関係して申し上げたいのは、本四架橋児島—坂出ルートが完成した後には宇野—高松の航路は原則として廃止するという閣議決定がなされているようでございますが、四国の地元ではこれを何らかの形で存続してほしいという意見が大変強いわけでございます。また、これまでに蓄積された運航のノーハウ、技術あるいは船舶や関連施設などの財産をこのまま捨ててしまうのは大変惜しい、これらの財産を活用して新規事業の分野を開拓する可能性はないのか、こういうような意見が出ておるわけでございます。特に昭和六十年度の国鉄監査報告では「蓄積された運航ノウハウ及び船舶等の財産の活用、例えば、クルージングなど新しい事業分野の開発の可能性についても検討することが望ましい。」こういうことがなされておるわけでございますが、今の諸点について大臣お答えをしていただきたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変多岐にわたる御質問でありますので、順次お答えを申し上げます。  今御指摘になりました安全あるいは防災投資、この確保につきましては、安全輸送というのは当然必要な問題でありますし、その投資を確保することが重要であることは私どももちろん認識をしております。新会社においても、むしろ健全経営を維持していく上でも安全、防災投資というものは極めて重要視されるべきものでありまして、十分私どもも配慮していきたいと思います。  例えば現在国鉄に対して行っております助成の中で、防災事業費補助あるいは踏切や保安施設の整備費補助、こうしたものは、安全輸送が鉄道事業にとって最大の使命でありますから、新会社に対しても引き続き行っていきたいということで、六十二年度予算についても私どもは概算要求をいたしておるところでございます。こうした点について十分心を配っておるということはぜひ御理解をいただきたい。  また宇高航路につきましては、これは大変言いにくいのは、私はその片側でありまして、同じような陳情を地元では私も受けております。四国だけではございません。しかしこれは、本州四国連絡橋児島—坂出ルートが完成をいたしました段階で原則として廃止する旨の閣議決定が昨年十月十一日に行われておるわけであります。これは変えられない事実でありますし、またこの閣議決定を招きました新たな本四連絡架橋、そしてそれが稼働いたしました場合の宇高航路というものを考えました場合に、現在の運営実態から考えて新会社が連絡橋の完成後もこれらの航路を存続するとは考えられないという判断があるわけでありますが、最終的には新会社経営者が判断をされるべき事項であろうと私は思います。そして、いわゆる連絡船業務というものとは異なった形での活用というものは現地においてもいろいろ相談をされておるところでありますし、それらの状況というものは新会社においても判断をされるであろうと思っております。
  13. 上田卓三

    上田(卓)委員 今後の問題についてはすべて新会社、新会社ということですけれども、その新会社が果たしてやっていけるのかどうか、そういう手当てがないままに新会社にゆだねるということにやはり地元の人たちが不安を感じておるということでございます。  その端的な例が、例えば三島会計赤字基金利子で埋め合わせをする、こういうことでございまして、利子を受けなければやっていけないような民間会社というのは果たして民間会社と言えるのか。これは後段でまた述べようと思っておったわけでございますが、いずれにいたしましても過去十年間の利回りが平均七・五%である、そういうことで、例えば四国については初年度百四十四億円ですか利子補給があってやっと三億円の黒字、こういうことのようでございます。しかし、それは七・五%の利子でそれだけでありまして、先ほど大蔵省の銀行局から聞きましたら、今の長期金利の利子は六・四%であるということを聞いておるわけでございまして、それが事実であるのかどうか。まず確認することと同時に、六・四%ということになりますと一・一%見込み違いということになっておるわけで、それだけでも四国で二十億円の減が予想される。三億円の黒字じゃなしに十七億円の赤字ができるということになりますし、また北海道においても六十億円のこれは見込み違いが出てくるわけであります。九州においても三十億円の見込み違い。そういう意味で、六十二年度からの三島会社はすべて赤字という結果になるのじゃないですか。その点ひとつお答えをいただきたい、このように思います。
  14. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今三島基金というものが政府補助と同じじゃないかというお話でありますけれども、実は三島会社に対して経営安定基金を設定したという趣旨は、これらの会社の発足に当たって現在の国鉄事業を継続して経営していくに足る経営基盤の整備を図ろうということでございます。ですからこの措置はあくまでも、新会社の発足に当たって三島会社に対しての固有の資産として一定の基金を設定する特別の措置でありまして、まずこの基金を設けたことを理由として以後の会社経営に、例えば他の旅客会社以上に政府が介入をするというような性格のものではございませんから、私はこれが政府補助と言われることにも多少疑問がありますし、民間会社とする趣旨に何ら反するものではないと思います。  また、現時点における金利というものを、実は私は大変申しわけありません、その正確な数字を存じません。恐らく委員が述べられたような現在の水準ではありましょう。ただ、三島基金の運用利回りを設定いたしました基準というものは、あくまでも過去十年間の長期国債の応募者利回り、その平均というものを参考にして七・五%としたものでありまして、私はこの数字をとったことはそんなに無理な設定ではないと思います。私は国際金融は素人でありますけれども、今の金利水準について各国の金融担当者の中にもいろいろな議論が出ておることも新聞等で見ておりますが、私はこの数字そのものがそう根拠のないものだとは考えておりません。私は、長期的に確実有利な運用を平均していきました場合、この程度の運用利回りというものは確保できるものと考えております。
  15. 上田卓三

    上田(卓)委員 いずれにしても毎年七・五%ということで計算されておるわけですね。七・五%の利子補給を行う、それで何とかやっていけるという計算になっておるわけでございますが、もう既にことしは六・四%の金利である。それでなくともここ当分はずっと低金利時代が続くのではないか。それとも金利が将来上がるという見通しでもあるのであればまた聞かしていただきたいというように思うわけでございますが、いずれにいたしましてもこの基金の運用を一体どういうように考えておるのか、運用計画がどうなっておるのか、私はちょっとよくわからないので聞かしていただきたい。というのは、七・五は必ず責任を持つ、そのときの金利が六・四であっても七・五は保証するのだ、あるいは将来九%になっても七・五は保証するのだ、そういう金利の動向いかんにかかわらず七・五は必ず保証するということになっておるのかなっていないのか。そこが非常に大事だと思うので、その運用とそこの歯どめについて、どういうように考えておられるのですか。
  16. 林淳司

    林政府委員 七・五%というのは、先ほど申しましたように十年間の過去の国債の平均利回りというものを参考にしまして、将来的にも長期的にはこの程度の運用益というものは十分期待できるであろうということで設定したわけでございます。法律上も「確実かつ有利な」運用ということで、特に運用方法については制限をしてないわけでございます。通常、特殊法人でありますと資金の運用については限定列挙しまして非常に制限するわけでございますけれども、今回の場合は経営者のかなり自由な経営判断に基づいてこれをできるだけ有利に運用していただく、こういう観点から「確実かつ有利な」運用とだけしか法律にも言っていないということで、この運用の仕方というのは非常に多角的なものが考えられると思います。通常の場合ですと、元本が法的に保証された金銭信託とかそういうものに制限されるのが通常でございますけれども、今回の場合は、例えば株式購入あるいは投資信託というふうなことも含めて、これはもちろん元本は保証しておりませんけれども、通常現在の経済情勢から見て確実であるというものは当然見込まれるわけでありまして、そういうものに対する運用も会社の方の経営判断に任してある。さらに、そういういわば預金あるいは債券購入ということだけではなくて、その他の運用もこれは経営の工夫の仕方によっていろいろあり得る。そういうことを総合的に含めまして、通常の国債購入、一番かたい国債購入の利回り程度は十分確保できるであろう、こういう考え方でございます。  それで、私どもがそこにさらに安全サイドを見まして、先般来申し上げておりますように、これは十年の分割払いの債務というふうに考えておるわけでございますが、当初二年間はこれを据え置くということで少なくとも六十二年度、六十三年度は七・五%に相当する運用益相当額というものは確実に三島会社に入るようにしてございます。その後、六十四年以降これは逐次八年間にわたって基金が造成されていくわけでございます。十年たてば完全に全額基金になるわけでありますけれども、これは、この間申しましたように、どちらかと言いますと、元利均等償還でございますから当初は非常に金利部分が多いということで、その分だけ三島会社の方は確実な運用益というものが確保されるということになるわけでありまして、最終的に基金の運用を自分で責任を持っていくというのはやはり五、六年後ぐらいから次第にその責任部分がふえていくということになるわけであります。したがいまして、長期的に見れば金利情勢というものは相当変わると思いますし、それからさらには先ほど申しましたように、単に預金あるいは一定の債券購入ということだけに限らない広い運用を認めておりますので、そういう意味で運用益というものは十分確保できるというように判断しておるということでございます。
  17. 上田卓三

    上田(卓)委員 六十二年度と六十三年度のこの二年間については間違いなく七・五%の利子分は責任を持って清算事業団から出す、こういうことですね。あとの問題については、元利については後の八年間で均等になるのか——均等になるのであろうと思いますが、それが新会社に渡っていくということですね。その運用については株式とか投資信託とか、債券もあるのでしょうし、またそのほかいろいろなことで運用して七・五%は最低確保していくように努力するということですね。努力してあかん場合もありますね、これは。あかん場合はこの会社がつぶれるということになるのですね。うまくいけばいいのですよ。うまくいけばあなた方の言うようにこの会社はやっていけるということになるのですけれども、うまくいかないで、株式なんかでも失敗する場合があるのですからね、ずばり言うたら。そういう意味で、日本の国債あたりが一番確実だろうと思うのですけれども、この金利が下がってきている。既に六・四である、こういうことですので、この新会社の将来性というのは非常に不安定なのじゃないですか。その点、大臣、どう考えておられますか。
  18. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は決してその点でそう不安定だと思っておりません。  私、ちょっと今正確な数字を覚えておりませんので大変恐縮でありますけれども、うろ覚えで申し上げますと、たしか厚生年金が自主運用幅を本年度持っておるはずであります。そして、現在御承知のような金利水準の中でありますが、相当程度の黒字を上げております。そして、従来の資金運用部預託の状況よりも有利な運用をいたしておるはずでありまして、そうした例をも一つの参考として私どもは御提示申し上げたいと思います。
  19. 上田卓三

    上田(卓)委員 そういう、見通しがいいという形で新会社に押し売りしてはいかぬと思うのですよね。相手が弱い立場ですからね。何が何でも、いけるのだ、いけるのだ、やってみい、心配するな。それはいいのですよ。やりなさい、心配するな、後は政府が責任持ったると言うのであったらいいのですけれども政府は責任持ちもしないで、いけますよ、やりなさいだけでは問題があるのではないか、こういうふうに私は思うわけです。  そこでやはり、政府の思うように収支がいかなかった場合に一体どないなるかということになりますと、これは運賃値上げということにもなりましょうし、余り値上げをすると客離れということにもなりかねない、私はこういうように思うのですね。あるいは要員の切り下げ。それでなくても要員を相当削減しておるわけでございますので、それ以上やることによって安全運転が確保できるのかという問題も一つ出てくると思います。それから、赤字路線というのですか、そういう部分でやはり路線が廃止されていくということにもなりかねないのではないか、私はこういうように思うわけでございまして、将来的に行き詰まって赤字路線が次々に切り捨てられていくということになりますと、一体四国なり九州なり北海道の経済に与える影響はいかがなものだろうか、こういうように思うわけでございます。  四国公聴会でも、分割民営に賛成する人の中にも、あるいは反対の中にも、やはり新会社経営見通しに対する不安やあるいは産業基盤の弱い四国経済の中での鉄道事業の強化充実を訴えるという意見が大変多かったわけでございます。北海道の場合においても、基幹産業ともいうべき水産、林業、石炭、鉄鋼、造船などが軒並み内圧、外圧の直撃を受けて、開道以来かつてない経済危機と言われているもとで、国鉄職員を半分にし、また地方交通線の廃止ということになればその影響ははかり知れない、こういうように思っておるわけであります。そういう意味で、公共交通としての鉄道の役割あるいは地域経済の中での鉄道事業とかあるいはバス事業の役割をやはりどのように位置づけするのかということが一番大事な問題ではないか、こういうように思いますので、運輸省なり国土庁の御意見をお伺いしたい、このように思います。
  20. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもは、特定地方交通線についてはバス転換等々を図っていかなければならぬと考えておりますけれども、繰り返して申し上げておりますとおり、地方交通線を廃止することを考えてこの会社をつくっておるのではございません。むしろ、地方交通線をいかにして存続させるか、そうしたことを考えておるということは繰り返し申し上げたとおりであります。そして、まさにその鉄道輸送というものの、国民の交通機関依存度の中から出てくる極めて大きな要望、それを受けての公共性というものは、まさに大都市部における通勤通学輸送、中距離都市間の輸送というものを中心に大変大きな希望が持たれていることも事実でありまして、こうした点も十分考えながら対応しておるつもりであります。  事務的な補足が必要でありましたら、事務方から説明をいたさせます。
  21. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 地方交通線は、特定地方交通線は別として、地域住民の重要な足でありまして、また、地域の振興にとっても極めて重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。  新会社は健全な姿で発足することとなっておりまして、その後の経営努力により、全体として健全な経営が行われることによって地方交通路線の維持がなされるものと私どもは期待をいたしております。
  22. 上田卓三

    上田(卓)委員 次に、バス部門です。  この部門については、再建監理委員会の答申では十三分割の予定であったようですが、政府案では十分割で、うち北海道四国九州三島については旅客鉄道会社と分離しないことになったということで、三島会社にひっつく、こういうことになったようでございます。恐らくこれは、三島でのバスの経営は単独ではできないということから三島会社にひっつけるということになったのではないかというように思うのですが、本当に三島会社自身がやっていけるのかどうかと言われているときに、さらに経営の困難なバスをひっつけるということになっておるようでございますが、このバスの部門について一体どのような見通しを持っておられるのか、お聞かせをいただきたい、こういうように思います。
  23. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、三島の場合は、バスが非常に苦しいからくっつけるというふうにしょうというのでは決してございません。むしろ北海道四国の場合は、本州の西の方の会社と申しますか、西の方のバスに比べまして経営基盤は非常に強い。北海道四国の場合は、バス事業はかなり健全な経営が可能であるというふうに見ております。  ただしかし、北海道四国については、どちらかといいますと、今後の鉄道とバスとの連携関係というものを考えた場合に、むしろ本州の会社より一体で経営した方が相互の連携がうまくとれるのじゃないかということで、そういう事情を考慮して北海道四国はむしろ一体経営の方がいいのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。もちろんこれは現段階での私どもの考え方でありまして、最終的には、新しい会社がスタートした後に六カ月以内に分離するかどうかの検討をして、それぞれの会社の判断で分離するかどうかということになるわけでございますけれども、現段階で私どもが考えておりますのは、北海道四国についてはむしろ鉄道との連携関係というものを重視して一体経営の方がいいのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  24. 上田卓三

    上田(卓)委員 それでは、将来この三島会社からバス部門は分離するということはないのですか。
  25. 林淳司

    林政府委員 これにつきましては、先ほど申しましたように、九州を含めまして三島については一体経営が適当であろうというふうに現在判断しておるわけでありますが、先ほど申しましたように、会社の方で六カ月以内に分離するかどうかを検討して運輸大臣の方に報告をしてくる、その上で必要なアクションをとるということでありますので、最終的には行政的な判断を加えた上で実施されるということでございます。
  26. 上田卓三

    上田(卓)委員 三島会社は、御存じのように過去ずっと全線にわたって赤字路線であった、こういうことは事実でありまして、そして、新会社になったらこれが黒字になるのだ、しかし、それは正真正銘の黒字ではなしに、安定基金利子補給、七・五%平均しての利子補給があって初めて黒字になるということでありますから、民間民間ということで、大手を振って民間になったから黒になったのだというふうな大きなことを言える立場ではなしに、安定基金利子補給があるから辛うじて黒字になっておるということで、その点ひとつ、普通の民間企業でやっていけるのだ——そういう民間的な手法によって改善の余地はそれはあったでしょうけれども、幾ら改善をしてもなおかつ百億近い、それ以上の赤字がある、そして七・五%の利子補給によって辛うじて黒字になる、こういうような代物であるということをやはり考えなければならぬのではないか、こういうように思うのですね。やはり基金とその利子というのは、これはその会社を継続していくための固有の資産である、固有の資産であるからこれは国庫補助であるとか補助事業であるということには当たらないといったって、結局これは国の費用でしょう、はっきり申し上げて。これは将来国民が負担するところの十六兆七千億なり、あるいは国有財産の売却部門の利益でいずれにしても清算事業団が二十五兆円近くのお金を清算する、長期債務する、その中に含むところの一兆二千億近い金であるわけでありますから、これは国民の負担であるということは事実でありまして、この新会社はずっと未来永劫国民の負担によって、国の援助によって、補助金によって運営されていく民間会社というように、これはどうこじつけてもやはりその事実は消えないのではないか、私はこういうように思っておるわけでございまして、こういうような解釈でいくならば、これは大臣横に顔を振っておられますけれども、それじゃ例えば、私はこういうことは言いたくないのですけれども、地方の私鉄、バスの会社で運輸部門だけ見れば赤字会社は余計ありますよね。そうしたら、そういうところもひとつこの赤字部門を解消するために三島会社みたいに基金利子補給してくれと言ってきたらどうしますか。それとどう区別をつけるのですか、今回の三島会社とは。
  27. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は今確かに首を横に振っておりました、どうも上田さんの御意見に必ずしも同調できませんで。  私どもは今、国鉄という公社の将来の新しい図面を描き、その中で分割民営という手法を用いていわば再生、継続を図ろうとしております。そして、その中における三島会社というものの経営を安定させる手法としての安定基金を用意をいたしました。大都市部の私鉄あるいは私バス、その経営とこれを同列視されて御論議をいただくのはいかがかと思います。
  28. 上田卓三

    上田(卓)委員 いや、それは私は同じことだと思いますよ。私鉄になるわけでありますからね。  こういう継承する資産かて、これは国民の国有財産であるわけでございまして、そしてこの新会社経営基盤を確立するために赤字補てんをする安定基金、そしてその利子、これも国民の財産であるということになるわけでありまして、この会社が先行き不安だ、政府が何とかいけるだろうということでありましても最終的に行き詰まって赤字路線を廃止しなければならぬというような状況にあり、その赤字路線は、廃止すれば公共性という立場からあるいは地域の産業の基盤という立場から見てどうしても助けなければならぬというときには、政府はこれを援助するのですか。最後の担保ですね、行き詰まったとき一体どうするのか。うまくいったらいいですよ。いかなかったときは最終的にどうするのかということをお答えいただきたい、このように思います。
  29. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもは、繰り返し申し上げておりますように、それぞれの会社が立ち行く試算をお示しをし、立ち行くようにいたしております。そして、長期にわたって安定的な経営が可能になることを試算でもお示しをいたしております。また、民営化というその趣旨から見て、むしろ国に依存する体質というものをなくしていかなければならないということからも、会社が発足をいたしました後において私どもは特別の助成を行うことは考えておりません。
  30. 上田卓三

    上田(卓)委員 うまくいけば物事は何でもそんなに苦しまなくてもいいのですけれども、やはり最後うまくいかなかったときに、それが国民経済に与える影響、地元に与える影響が大かつ非常に重要な問題であるために、最後はどうするのかということを明らかにしない限り、そういうことになればやはり三島会社というのは切り捨て御免というのですか、固有の資産という言葉がございましたけれども、そういう意味でこれは手切れ金というのですか、そして、その会社がうまくいかなかったら、それは赤字路線廃止あるいはその会社が倒産してもやむなし、こういう恐ろしい意図が含まれている、こう言っても——いや、うまくいけばいいんですよ。しかし私は、なかなか先行き難しい、金利の問題も含めて非常に難しい状況であるということを申し上げておるわけでございます。  分割についてのメリットというものをいろいろ聞いておりますと、いわゆる地域の要求に見合ったきめ細かなサービスとかあるいは責任体制の具体化とか幾つかあるようでございますが、同時に、分割によるところのデメリットというのもやはりたくさんあることもこれまた事実ではないか。例えば管理部門の重複ですね。これはむだの拡大ということになりましょう。あるいは各会社間の乗り継ぎなどで運賃割高になるのではないか。あるいは三番目には、乗り継ぎ精算など、従来にないコストの負担ということもありましょう。それから四番目には、現在既に完成しているオンラインなどのシステムを分割会社がリースで借りるということは屋上屋を重ねることにならないかという意味で、分割のメリットも数々あるでしょうけれども、デメリットというものも数々あるということをやはり十分に考えて、慎重に対処しなければならぬ。  特に、そういう経常安定基金という基金利子でもって、未来永劫その補給がなければやっていかれない会社というものを考えたときに、幾ら民間民間といっても果たして民間会社と言えるのか、あるいは私鉄からの要求をどうするのかというようなことも私申し上げたわけであります。そういうことを考えますと、鉄道とかバスとか、あるいは貨物というものもそうでございますが、やはりそういう不採算でもやらざるを得ないという会社で公共性のあるものについては、全国一社制で見ていくという社会党の案というものがやはり一考されてもいいのではないか、私はこういうように思っておるわけでございます。そういう点で、今までそういう不採算の部分があるということで公社制ということがやはりあったわけでございまして、今度民営化するということでありますが、それをデメリットのある分割にしなきやならぬということについて我々は非常に疑念を感じておるということを申し上げる次第でございます。最後に大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  31. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 基本的に、私どもからいたしますと、仮に民営にいたしました全国一社制というものであっても、その場合には現在の国鉄の持つ問題点というものはそのまま内在をし、将来に移行するものではないかという感じを持っております。  ただ、本日御論議いただきました中に、我々が将来にわたって考えておくべき問題点も幾つか示唆をちょうだいいたしました。それらの御意見については今後私どもなりに参考として勉強をしてまいりたい、そのように思います。
  32. 上田卓三

    上田(卓)委員 時間が来ましたから終わります。
  33. 細田吉藏

    細田委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  34. 細田吉藏

    細田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の各案について、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 細田吉藏

    細田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  36. 細田吉藏

    細田委員長 質疑を続行いたします。小林恒人君。
  37. 小林恒人

    ○小林委員 先般も各部門にわたっての御質問を申し上げてきたところでありますし、加えて同僚議員の皆さんの各般にわたる議論が展開をされておりまして、今なお私どもが解明を求めている部分に不十分なものが数多く存在をするわけであります。そんな立場から、きょうもまた幾つかの部分について御質問を申し上げたいと思いますので、正確な意味での御答弁を冒頭にお願いをしておきたいと思っています。  運輸省と建設省、労働省三省で、積算基準のための根拠として労賃にかかわる三省協定が行われていると記憶をいたしておりますけれども昭和六十一年度の三省協定にかかわる労賃の単価について、地域別に、大ざっぱで結構ですからお示しをいただきたいと思います。
  38. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生のお尋ねは、公共事業施行する際の単価の問題だと思います。ただいまちょっと担当がおりませんので、調べまして至急御返事を申し上げます。
  39. 小林恒人

    ○小林委員 それじゃ、それは後ほどこの質問中にでも、簡単なことだと思いますから、調べた結果をお知らせをしていただきたいと思います。  国鉄における軌道保守作業の積算単価は、昭和六十一年度は、軌道にかかわって幾らと算定をされておりましょうか。
  40. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 地域別に異なっておりまして、ただいま具体的な数字は持ち合わせておりません。  その考え方といたしましては、先ほど先生からお話がございました三省賃金に準拠をした労賃を使用いたしております。
  41. 小林恒人

    ○小林委員 そんな難しいことではないのですが、こんなことはできれば常識的にお答えをいただけるかと思っておったのでありますが、それでは後ほどできるだけ早い時間帯で答えを出していただきたいと思っています。  実は、なぜこんな御質問を申し上げなければいけないかというと、本年八月の段階で、大阪にございます大阪施設工業株式会社の中での労使紛争、ここは新幹線の保守業務を施行している会社でございますけれども、ここでの労使紛争がもとで、計画をされておった夜間保守作業が突発的に延期になったという、私はある意味での事件ではなかろうかと思いますが、こういう経過があったことを聞き及んでいるのであります。これは賃金紛争を軸にして発生をしたと伺っておりますけれども、この点の経過について御承知でしょうか。
  42. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄と今先生おっしゃいました大阪施設工業株式会社の間で工事請負契約をいたしまして、新幹線の軌道整備事業、これが継続をされておりました。その間にストライキが当該大阪施設工業株式会社で発生をいたしまして、八月五日と八日の二日間、この作業が中止をされたという事情でございます。
  43. 小林恒人

    ○小林委員 さらに具体的に申し上げますと、本年五月に大阪施設工業の従業員七十名をもって全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部関西地区生コン支部新幹線大阪保線分会を結成をした、あわせて労働基準法の遵守を初め職場の諸要求を提出をした。しかし、今日まで三度にわたる団体交渉を重ねてきたが、一向に進展を見ておらない。  その中で、これは組合員の言い分でありますが、突発的にストライキを実施されて結果的には保守工事が延期になるという極めてゆゆしい状況に立ち至った経過を見ますと、当該大阪施設工業の大西専務が団体交渉の席上で一貫して労働組合否認の態度をとり続け、法律を守るか否かは会社で検討すると答弁をするのみで、問題の解決のための具体策を何ら示さなかったというところから端を発したと私どもは承っているわけであります。この点の経過について御認識でしょうか。
  44. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 私ども会社の中におきます労使紛争の詳細については承知をいたしておりません。  それから、先ほど先生から例の三省賃金のお話がございましたけれども、実はこれはまことに申しわけございませんが、大変地域が多くかつ職種も非常に多いものですから一々その数字をそらんじているほどではございませんので、まことに申しわけございません、今調べております。
  45. 小林恒人

    ○小林委員 当該労働組合のことだから関係ないと言わんばかりの御答弁でございますけれども国鉄新幹線総局長高木謙治名をもって六十一年八月二十九日、本年ですが、大阪施設工業株式会社社長に対して「契約履行の確保について」という書面まで出されているわけです。これは公文書で出されているわけです。公共機関の安全性、正確性は綿密に組み立てられた個々の保守作業を確実に実施していくことで支えられておりますということがこの文面の中では記載をされているわけです。したがって下請会社である大阪施設工業は今後の取り組み方について文章をもって回答せられたし、こういう締めくくりになっているわけです。  こういう事態を発生せしめたということを重要だとお考えでしょうか。重要だとお考えだとすれば、内容について正確に承知をする必要があるのではないでしょうか。
  46. 杉浦喬也

    杉浦説明員 新幹線の施設保守の関係は非常に重要な仕事でございます。したがいまして、当該会社がストライキによりまして休業をした、その間の事情は私どもは承知をいたしておりませんけれども、しかし、契約の当事者としまして我々は当該会社に対しまして、その契約を続行してほしい、そういうことがないとこれはもう新幹線の運行上、安全上の問題として極めて重要であるということで、ただいま先生おっしゃいましたような文書を会社に対して提出し、その善処方を要望したものでございます。
  47. 小林恒人

    ○小林委員 善処方を要求したのはわかりましたけれども、もう既に十月の下旬ですからね。回答はどうだったのですか、回答は。
  48. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 会社側からは、今後労使関係の信頼回復に努め、契約の履行の適正を図っていきたいという趣旨の回答をいただいております。
  49. 小林恒人

    ○小林委員 労使間の信頼関係を回復をする、そういう回答が出てきたのだとすれば、問題は賃金紛争から端を発しているわけですからね。——まだわかりませんか。
  50. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今調査中でございます。地域としましては、先生今御指摘がございました大阪地域の、それから軌道工ということでよろしゅうございますでしょうか、少し職種と地域を限定させていただきませんと、大変膨大な資料に当たりますものですから。——それでは、そのようにして今調査を進めております。
  51. 小林恒人

    ○小林委員 できるだけ早く調べてもらいたいと思いますし、私がこの件で申し上げておきたいことは、こういうことがあってはならない、労使間の信頼関係もない程度の会社国鉄工事を委託をしているのですかということになるわけでしょう。数多くの旅客の安全輸送を図っていくという責務から考えるならば、こういうことがあってはならないだけに、賃金紛争ばかりではなしに労働組合に対する否認行為、こういった現象があらわれていることについて、これは会社の問題だと言い切れる問題ではない。やはり正確を期する必要があると思うんですよ。  書面で見ますると、数字がなかなか出てこないから私の方から申し上げますけれども、実に低賃金で働かされている。日中時間帯の一日単価がせいぜい六千五百円、夜間作業に入ってせいぜい五百円の上積みしかない。日中と夜との賃金格差が非常にささやかな状況で業務に従事をしているという実態もあり、あえて三省協定まで御質問申し上げながらこのようなことのないように善処をしてほしいという願いを込めての質問なんです。総裁のお考え方を示していただきたいと思います。
  52. 杉浦喬也

    杉浦説明員 私どもが契約の相手方として選ばしていただいておる会社、これはやはり会社経営として健全性を保つということが大事なことであり、契約の継続性が必要であると思います。しかしながら、内部におきます労使紛争、こういう問題について私どもは介入をする一切の権限はございませんし、意思もございません。したがいまして、これは当該会社がみずからの責任において労使紛争を解決することを期待するものであります。
  53. 小林恒人

    ○小林委員 質問してないことまで答えていただく必要はないのですからね。要するに、工事を下請に出した側として、しかし一方では旅客の安全輸送ということが軸で経営をされている経営責任者としてどう考えているかということをお伺いしただけの話ですから、その点についてお間違いのないような受けとめをしていただかなければ困るのです。後ほど書面で結構でございますから、数字についてはお示しをいただきたいことをお願いしておきます。  それから、これは運輸省にちょっとお伺いをしておきたいのですが、旅客鉄道株式会社法の中の第十条に「中小企業者への配慮」という項がございます。仮に政府が提案をしている法律案どおりに施行されることになったと想定をした場合に、今日旅行業法二十七条では、旅行業を営む場合に、例えば営業保証金の供託、取扱主任者の選定、旅程管理資格の取得などなど、国鉄は適用除外となっているわけです。民営化をするということになった場合に、旅行業法二十七条との関連ではいかような取り扱いをされますか。
  54. 林淳司

    林政府委員 それは、今まで国鉄でございましたのでそういう適用除外規定がございましたけれども、今回の改革によりましていわゆる民営会社になるということでございますので、当然その旅行業法のただいまの規定は適用になります。
  55. 小林恒人

    ○小林委員 それでは、それらに伴っての、例えば取扱主任者というのは資格が必要なんですが、国鉄は養成をされましたか、あるいは養成する計画がございますか。
  56. 須田寛

    ○須田説明員 現在は適用除外でございますが、現在自発的にその資格を取っております者が約四百名ばかりおります。今、新しい改革によりまして、今のような主任者を、少なくとも「みどりの窓口」のございます駅、約七百駅でございますが、この程度には置き、さらに将来は有人駅に置きたいということで考えておりますが、現在その資格を取らせるためのいろいろ養成、研修をいたしておりまして、先般も受験をさせましたところでございます。
  57. 小林恒人

    ○小林委員 次の課題に入ります。  きょうは大変お忙しいところを監理委員長においでをいただきましてありがとうございました。過般にも御質問申し上げておりますから、貨物にかかわっての監理委員会の中で議論された経過を若干御説明を賜りたいと思っているのであります。  言うまでもなく、全般的な答申をされるに当たって、貨物問題については一時保留をするという部分がございましたし、加えて、後に出された答申の中でも、随分多くの部分について言及することなく、当該省において十分に検討をするようにという検討事項が数多く出されました。貨物に限っては全国一社体制で経営をするという、路線設定をするに当たっては大変難しい議論を監理委員会の中でもされたのだと思いますけれども問題点等について簡単に幾つかの点をお示しを賜りたいと思います。
  58. 亀井正夫

    亀井参考人 お答え申し上げます。  貨物問題、今先生がお話しございましたように、これは非常に難しい問題で、私ども委員会が発足しました当時、その前年度の成績を見たところが、売り上げがたしか三千億弱に対して出費が一兆円いっておる。七千億の赤字。まあこの数字を見たときには茫然自失、一体どうしたものだろうかと深刻に考えた次第でございます。  そこで私どもといたしましては、やはり旅客と貨物というものは、これは全く同じレールの上を輸送いたしますけれども、対象物が違いますし、性格も全く違う。そこで貨物については、やはりこれは経済合理性という観点からいろいろ考えていく必要があるのではないか、そして旅客につきましては御承知のように六分割ということにいたしましたけれども、貨物につきましては、これは全国一社制、一本ということにするのがよかろう。ですから第一点は、旅客と貨物というのは分離して、経営責任を明確にするということが非常に大事ではないか。  それから第二点は、今度はそれについての、貨物一本の場合に成り立ち得るかどうか、いろいろ仮定を置いてやりました。そうしますと非常に恐るべきことが——その当時三千億の売り上げが二年ぐらいしますと二千億ぐらいの売り上げになりましたが、従業員は何と四万六千人というものがかかわっておる。そうすると、一人五百万円としますと人件費だけで売り上げをはるかに超えておる実態である。そうすると、これから予想される貨物に適応するくらいの陣容で、どういう方角で、しかも新たなるニーズに対応するのにどうしたらいいか、いろいろな角度から検討いたしました。しかし、そこに貨物の将来の動向という不確定性の問題がいろいろございますし、もろもろ考えました。それからアボイダブルコストとか、いろいろ技術的な問題もありまして、ですから、そういう問題については想定をしたところ人員の適正化といいますか、それからコンテナというものの需要がこれからどんどんふえていく、そういうものに対応してそれの規模に持っていけばいけるはずだという確信を得まして、あと細部のところは専門的に検討してもらったらいかがかということで、運輸省と国鉄にこれをお願いするという意見書を出した次第でございまして、これもなるべく早急に出してくれということで昨年の年末には案が出てまいりました。これによって私どもの意見書は補完された、こういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 小林恒人

    ○小林委員 私どももこの監理委員会の答申を待つまでもなく、あるいは法案を待つまでもなく幾人かの学者の皆さんの御意見なども伺いながら、貨物のあり方論と申しましょうか、そういった部分については結構幅広く勉強させていただきました。一番問題なのは国内物流、五十六億トンと呼ばれている物流が国内には存在をするわけでありまして、監査報告書によりますと、結果的には五十六億トンのうち、シェアがトンキロにしてせいぜい五%程度にまで落ちてしまった国鉄の貨物輸送、こういう問題点が一つはあるわけですが、しかしこれは現行輸送をしている貨物だけに限定してよいのだろうかという議論を随分したわけであります。  そんな意味では、貨物輸送というのは荷物をも含めて国内経済に大きな影響を与えるという視点を持ったからこんな議論が当然なされたわけでありますけれども、五千八百万トン体制という限定した範囲での全国一社における貨物輸送体制、こういった最終的な結論を出されたことについて監理委員長はどのように感想をお持ちでおられましょうか。
  60. 亀井正夫

    亀井参考人 運輸省並びに国鉄で鋭意検討されまして、人員を適正化する、それから今までの金利負担といいますか借金も軽減をする、そして旅客会社との間の費用分担についても適正を期すということによって、大変な御努力によりましてとにかく現状においても黒字体制、そしてこれから恐らく今先生御指摘のように、豊かな社会に日本がなっております、物の流れというのはどんどんふえていくわけでございますね。しかも持っていくのは嫌だというふうなことでございますから、そういう潜在需要をトレースしていって、民営化によってやる気を起こせば、今が最低であって、必ずこれから需要は伸びていく。しかも、きょうはトラックの問題はお触れになりませんでしたが、今トラック輸送というものは特に太平洋ベルト地帯ではほぼ限界に来ておると思いますので、これからのあの体制でやり方によってはよくなるというスタートポイントを、非常にいい案をつくられたというふうに私どもは評価しておるのでございます。
  61. 小林恒人

    ○小林委員 貨物についてのみ全国一社制をしいた。考え方によれば、貨物会社は旅客部門から独立して全国一社の事業体ということになるわけですが、分離によってスケールメリットは発揮し得なくなるのではないだろうか、こういう考え方を実は私どもは持つわけです。全国ネットワークの維持は貨物列車の運行というソフト面に限定をされてしまう、レールを中心としたハード面は旅客会社が持つことになる、別々に保有をするということになった場合、客貨の分離で利害の対立が起こりはしないか、随分多くのデメリットがあるのではないかという議論が今までもなされてまいりました。先ほど監理委員長も触れられておりますように、アボイダブルコストそのものをとってみても矛盾がありはしないかという議論があるわけですけれども、そういった問題点を軸にしながらもなおかつ分離の方がベターであるという方向を示唆されたことについては、ちょっと理解しづらいところがあるわけです。この点についての御見解をもう一度賜っておきたいと思います。
  62. 亀井正夫

    亀井参考人 先ほども申し上げましたように、旅客と貨物というのは性格が全く違う点があるわけでございます。旅客の方は、人間が行きますから、乗ってくれて、しかも大体往復乗る。大体行って帰るというのが人間です。ところが貨物の方は、大体ある物を特定すれば行ききりというのが全体でございまして、そういう面からこれは全国一本にして、四国のミカンを青森へ運んで、青森のリンゴをこっちへ持ってくる、こういうふうにしてやっていくのが合理的、そういうことで全国一本を考えました。  その場合に、やはり貨物と旅客というものは性格が違いますので、経営責任を明確化するという意味で分けた方がいい。しかも、人間というのは、一生おれは貨物でやるのだという気持ちと、旅客会社へ行ったり貨物会社へ行ったり、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、今まではそういうことでしたね。これはもう先生、事情はよく御承知だと思います。そういう意味で、一生ここでやるのだという気持ちでやるのと、また自分は旅客の方へ行けるかもしらぬという気持ちでやるのとでは全く変わってくる。これは人間性という問題からいたしまして貨物というものはやはり分離した方がよろしい、しかも先ほど来申し上げているように、やれば伸びるに違いない、そういう確信を持ってこれを分けたということでございます。
  63. 小林恒人

    ○小林委員 運輸大臣、ちょっと御所見を賜っておきたいのでありますけれども、監理委員長のおっしゃった御主張、客貨の分離をした、こういう考え方なわけですけれども、私どもとは若干異なりがあります。一方では、こういった大改革を推し進めていく過程で大変な余剰人員が出ざるを得ない、こういう考え方になった場合、例えば旅客変動、貨物輸送量にかかわる変動といったものなども将来的に考慮をしておかなくてはいけないのではないだろうか。そんな場合に、客貨各会社との要員交流というものについてはあるべきだと考えますか、それはそれぞれの会社ごとに始末をすべきだと考えられますか、考え方を聞かせていただきたいと思います。
  64. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大体専門家の小林さんが私にお尋ねになるのは大変ずるいと思うのですけれども、率直な感想から申し上げれば、私は必ずしも固定的にそれをとらえる必要はないと思います。これは率直に申し上げて、固定的にとらえる必要はないと思います。
  65. 小林恒人

    ○小林委員 これは国鉄並びに運輸省の見解を賜っておきたいと思うのでありますが、私どもの考えた鉄道のあるべき姿というものと政府あるいは監理委員会が示した案との違いはありまするけれども、しかし一致する部分が数多くあるわけです。例えばモータリゼーションに伴って現下盛んに言われることは、レール特性を十二分に生かすような状況になっていない。例えば戸口から戸口までという、こういう発想からする、ニーズだと言えばそれまでのことでありますけれども、そういったことになってきた場合に、それはレールでは戸口から戸口までということにはなり得ないわけですね。したがって、勢い貨物輸送というのは減少をしていくという、こういう経過をたどってきたわけです。  しからば、今後の貨物会社における経営指針として、マーケティングの拡大というような角度ではレール特性をどのように生かして全国一社での貨物会社経営しようとしているのか、具体例があればお示しをいただきたいと思います。
  66. 林淳司

    林政府委員 先ほど来御議論がいろいろございますけれども、貨物につきましては、私どもとしてはやり方次第で将来はかなり展望があるんではないかというふうに考えております。  それは、大量長距離輸送というものについて、これはやはりトラックと比べた場合に非常に強い特性を持っているということが言えると思います。そのためには徹底したコストの削減、それから非常に質のいい輸送商品というものをつくっていくということ、これが非常に不可欠の条件でございますけれども、これはやはり経営責任を持った独立の全国一本の貨物会社ということによって初めて達成できる。例えばコンテナで申しますと、八百キロあるいは千キロというふうな距離帯の、しかも大量の流動があるところでは、これはトラックに比べれば非常に強い特性を持っておる。それからもう一つは、百キロ前後のいわゆる大量物資輸送でございますけれども、石炭とかあるいは石灰石、これについては今回非常にかた目の輸送需要を見ておりますけれども、石油あるいはセメントといったものについては、これはやはり固定的な需要があると思います。そういう面を生かしていくことによって、貨物輸送というものについては、むしろ旅客会社と併営することではなくて、ぎりぎりの責任を持った貨物会社という形でやることによってその特性を十分発揮して将来健全な経営をやっていくということは十分可能ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  67. 小林恒人

    ○小林委員 私はもう少し具体的にこれは検討しなければ不十分なのではないのかなという気がするのは、私なんかは長いこと国鉄にいましたから、貨物の輸送というのはこういう範囲、こういうエリアという、勝手に私自身も決めてしまっているところはあるんですね。ですから、こんなものは改革をしていかなければいけないんだなという気がしないではないのですが、知り過ぎているからよくないという、固定観念の中に陥ってしまうというところがあるんだと思いますけれども、輸送対象の軽薄短小化、多様化、それから輸送サービスの水準高度化というものが一つはありますね。それから長距離はカーフェリーが充実をしてきた。適切なルートの設定という意味では貨物輸送というのは、監理委員長、先ほど、例えば静岡のミカンを青森に、こういうお話がありました。しかし、年間を通じて今だって秋冬季繁忙輸送体制というのはしかれているわけですね。秋から冬にかけての繁忙というものが存在をするわけですけれども、季節的な課題の解消あるいはマーケティングを中心としたルートというような問題について必ずしも今回の法案の中で目に見えるものがないのではないだろうか。それは新会社がやればいいという課題ではなくて、前段私が反省を含めて申し上げているように、国鉄の貨物の果たさなければならないエリアというのは相当固定観念が定着をしているという前提からすると、やはり経営指針といいますか、そういったものはもっと具体的に示すべきではないのかなという気がするのですけれども監理委員会並びに運輸省の御見解を基本でありますから承っておきたいと思います。
  68. 亀井正夫

    亀井参考人 これは私どもが貨物を考えたときの考え方を申し上げてお答えにしたいと思いますけれども、今回のできた案では、コンテナに主体を置いて、車扱いは、やはり今先生おっしゃったように物の流れが減ってくる、例えば石炭が減るとかいろいろで減らしておる。そういう意味の合理性がございますし、それからコンテナに重点を置いたという点は、今先生御指摘のように軽薄短小化ということ、しかも物の動きというものが豊かな社会になると非常に多くなってきておる。例えばゴルフバッグも運ばずに宅配便で運んでもらうという時代に変わってきたわけですね。そういう意味で、そういうものを知恵を働かせればうんとコンテナによってやれる。私は宅配便の経営者の何人かに意見を聞きましたら、やはり特に太平洋ベルト地帯はもうトラックがいっぱいになっちゃっている、いろいろな問題も出てきたので、国鉄のコンテナ中心にこれで大いに活用したいんだ、ただ、今のダイヤなりサービスが残念ながらそれに適応してない、これさえよくなればうんとふやしますよと言う。そういう点に私は非常に励まされて考えておるわけでございまして、やり方によっては非常に明るい。  もう一つ、余談でございますが、宅配便で私はそのときに非常に勉強になりましたのは、宅配便を運んでおる運転手ですね、あれは単に運ぶだけの人でないと言うのですね。第二にはセールスマンの役をやらす。それから第三は、情報の端末機を持って情報を集めてくる。どういう物が動くか、その情報によって、やはりゴルフバッグというものを送ることが一つの商売になるという判断をして始められた。それが飛躍的に伸びた。先生方もお使いになっておられると思いますが。  そういう意味で、考え方を持てば、今言われました今までのとらわれた考え方から離れる、そういうところに民営化という意味も非常に多いということで、私は非常に先に明るい希望を持っておるということでございます。
  69. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今監理委員長が監理委員長としてのお考えをお述べになりました、その方向、もちろんそのとおりだと思います。と同時に、今回の貨物会社の収支をお示しをするに当たっての商品需要というものを予測をいたしました。それ自体がまさに今後あるべき貨物会社経営の方向であろうと思っております。  御承知のとおり、従来国鉄の貨物輸送で非常に大きなウエートを占めておりましたものの中で、まさに非常に減少という判定を下して積算をいたしたものもございます。横ばいという判断で伸びを見込まなかったものもございます。そして、まさにコンテナというものに将来の貨物会社のいわば経営の成否をかけた試算をいたしたと申し上げても過言ではないかもしれません。そしてそのコンテナ輸送を伸ばしていくということになれば、これはまさに固定観念だけの発想では対応のできない部分は多々出てくるでありましょう。また周辺業者との連携その他においても新たな発想での展開を考えてもらわなければならぬ部分も多々あると思います。まさに私はその需要予測、そして収支試算に用いました商品構成そのものがこれからの貨物会社に対する指針というべきものであろうと考えております。
  70. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今先生からお話がございました点について私、二、三、大臣、監理委員長の補足を申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、鉄道貨物輸送の特色はレールの外に両端の集配行為が伴う。戸口から戸口へといいますが、そこにどうしてもレール輸送の宿命がございます。これが非常にコストが高いというところに問題点があるわけでありますから、まずレール部門におきましては極端な徹底した輸送体系の効率化、合理化、これが必要であろうということであります。これがコンテナ輸送あるいは専貨輸送の直行便の体系に組みかえた基本的な考え方であり、また両端の集配におきましてはやはりどうしても従来の通運業者も使わなければいけませんし、販売体制におきましても両端におきます通運事業者の販売能力というものも十分活用する必要がある。これが第一点でございます。  それから、貨物輸送のあり方につきまして、単に荷物だから運べばいいのだという観念ではやはりいけない。おっしゃいますように軽薄短小の貨物に移行してまいっておりますから、貨物輸送であろうとやはりスピードが要求されますし、また正確性が要求されます。そういう意味では今回のダイヤ改正におきましてかなり思い切ったスピードアップを行い、また定時隔的な運送というようなことで、いつどこにどういう荷物があるかということが荷主さんにわかる、こういう信頼性を保つようにいたそうとしているところでございます。  さらにまた、自動車との連携輸送というようなものが今後とも検討されるべきだと思います。今回ダイヤ改正におきまして初めてピギーバック方式というものを採用いたしました。トラックを列車に載せて運ぶという日本で初めてのやり方でございます。いろいろ技術的な問題がございますから今後の検討を要しますが、そうした自動車輸送と列車輸送というものをうまく組み合わせるというような工夫も今後絶対に必要ではなかろうかというふうに思います。
  71. 小林恒人

    ○小林委員 今答弁されたような形で未来がバラ色ならいいなと私も思うのです。ところが現実は大変厳しゅうございましてバラ色でないところから、この点は大丈夫か、この点は心配ないのかという質問をするわけです。  例えば、今総裁なんかも言及されている点で申し上げますと、都市内輸送というのはどうする気なんだろうか。トラック輸送との提携というのをどう綿密に図っていくかというようなお話が出てまいりますね。ところが現実にはヤード敷跡などについては売却対象になっているのですね。都市内あるいはその周辺における貨物輸送用地というのは、こういった立場から見て荷主ないし物流業者誘致の強力な手段になるのだとすれば、現行貨物ヤード跡地などについては特に都市周辺に集中をしていることも確かなんでありますから、全部だとは申しませんけれども、そういった有効活用をするという計画は目下のところありませんね。ないことに不思議さを感ずるのです。バラ色の未来像を示すのだとすれば、せっかく持っているそうした用地の有効活用などについて検討された経過があるのならば一つでも二つでも結構ですからお示しをいただきたいと思います。
  72. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 現在でも、トラックの中継あるいはトラックでそこにたまりにするという意味の、デポと申しておりますが、その用地を持っております。そして今回の改正におきましては約四十カ所ぐらい考えました。ただ、もちろん貨物会社は収支を厳しく算定いたしておりますのでむだな用地は持ちませんけれども、必要最小限度なそういう自動車運送業者との接点の用地を持ちました。そしてまたもう一つは、十三カ所、これは駅を廃止したその跡地に代行基地というものを設けまして、これはピストンで自動車輸送を行うというところも設けまして、対策を講じているつもりでございます。
  73. 小林恒人

    ○小林委員 必ずしも十分だとは思っていません。将来的にぜひそんなことなんかも十分考慮をすると。  十一月のダイヤ改正の内容を見まするというと、ヤードを使用しなくなる地域というのはもう既に明らかなわけですね。そういったことだけを考えてみても、有効活用をしていくという方向での検討は、ぜひ所管大臣である運輸大臣中心にして積極的に進めていただくことができるのかどうなのか、所見を賜っておきたいと思います。
  74. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私、申し上げていいのかどうか、先ほどから大変考えておりましたが、たまたま、私自身こういう方面は素人でありますから、貨物の流通に当たっている業者の二、三に自分の郷里で聞いてみました。そして返ってきた答えは大体共通でありまして、国鉄さんの貨物と組んでこれからも商売をやりたいと思う、だけれども、今までの国鉄さんというのは威張っていて我々を相手にしてくれなかった、だから、民営になればきっと我々も対等に扱ってくれてちゃんと仕事ができるようになるだろうし、そうすれば国鉄さんの貨物だってよくなるんじゃないでしょうか、率直な感想としてそういう表現を幾人かから聞きました。そうしたことも含めて十分考えてまいります。
  75. 小林恒人

    ○小林委員 そこでやはり帰結するところは、この貨物問題というのは余りこの委員会の中で議論されていませんから内容的にまだまだ相当幅広く存在するのですけれども、旅客と貨物を分離をしたというところから出てまいります問題点、例えばレールなどの基礎施設の使用、列車ダイヤの調整、経費の負担のあり方などについては、旅客、貨物会社間での協議によることが基本になってくると思います。両者の円滑な事業運営を確保するために事前に適切なルールを設定するとともに、必要に応じた法的措置を含めた所要の担保がなければならないのではないだろうか。法案にはこうしたことについては何も基本的なことは示されていないと思うのでありますけれども、法的措置について必要だとお考えでしょうか。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  76. 林淳司

    林政府委員 貨物会社と旅客会社の間の例えばダイヤの設定ということについては、基本的には、ただいま先生おっしゃったようにそれぞれの会社の協議というものがまず基本になると思います。その上で、例えば協議をし、ダイヤ調整会議を必要に応じて開催するというふうなことで調整をしていくわけでございますけれども、やはりその前にあらかじめ一つのルールというものを決めておく必要があろう。どういうふうな優先度で、どういうふうな形でダイヤを設定するかというふうなルールを決めて、これは恐らく運輸に関する協定という形でなされると思います。それから、法的にはそれは届け出ということになるわけであります。それから、運行計画等についても、これは届け出があるわけでございますが、そのようにして、必要に応じまして行政サイドとしてもその実態を把握して、所要の指導が必要であれば指導をしていくということになるわけであります。  さらに、これはそうやたらと使うものではないと思いますが、最終的な公益性の担保という意味におきましては事業改善命令というものも法律上は規定をしてございますので、例えばダイヤ等についてどうしてもこれは変更が必要であるというふうに行政が判断した場合には、そういう事業改善命令でこれを担保することも法的には可能でございます。これについては、やはり基本的には民営会社でございますから、やたらと行政が介入するのはよくないと思いますけれども、最終的にどうしても必要な場合にはそういう担保措置もあるということでございます。
  77. 小林恒人

    ○小林委員 事業改善命令なども含めてというお話ですが、アボイダブルコストについては若干の議論がされた経緯がございますけれども政府側から「回避可能経費(アボイダブルコスト)について」、こういう書面が示されているわけです。これなんかを見ても、企業が違うという見地からすると、例えば現行は国鉄一社でやっているわけですから、アボイダブルコスト論というのでしょうか、こういったものがあったとしても、論理的なものとしてこういうものがある、こういうものがあるという議論をすることはできるのだと思います。しかし、実際に会社が異なってくるということになると、おのれの会社の利潤追求というのはごく当たり前のことになってくるわけでしょう。  例えば「動力費のうち、電力料については、機関車の走行により電力を消費するので、後述の発電所の資本費相当額等を除き、機関車の走行キロに応じて算出することとしている。」というこんなことを初めとして、「架線の修繕費のうち、トロリー線の張替に係る費用は、パンタグラフが通過するたびにトロリー線が摩耗していくので、通過量に応じて客貨に按分することとしている。」逆に回避不可能経費というものも存在をするわけですね、逆の論理として。  私ども若干の勉強をさせていただいた範囲内では、例えばヨーロッパ圏あるいはアメリカ圏などでのアボイダブルコストの導入などにかかわっては、いい方法かなと思って導入はしてみたけれども、結果的には矛盾が拡大をしていって、あなたたちが示したこういったものが逆に矛盾を生じてきて、解消への方向をたどっているという論文も明らかにされているわけですよ。私どもは、そういう事柄が単なる論文としての位置づけだけではなしに、今正確に回避可能経費という論理に基づいて始末をするんだから問題ないよという言い方だけでは済まないような気がする部分が数多くあるわけです。  回避不可能経費の中には、例えば「トンネルの修繕費は、壁面等の修繕に係る費用であるが、これは、経過年数、湧水等、列車の通過本数とは無関係の要因により発生するので、これは旅客鉄道会社の負担とする。」こう書いていますけれども、常識的に考えますと、客車というのは軽いんですね。貨物列車というのは一車に何十トンも積んで、重いのを何十両も引っ張ってどんどん走る。振動が与える壁面への影響ということを考えたら、貨物会社関係ありません、こういう分け方をしたことについては私は疑問を感じますよ。私自身も工事屋の端くれですからね。こんな考え方については慎重な議論をされたのでしょうか、こういう書面を出す以上は。御回答を賜りたいと思います。
  78. 林淳司

    林政府委員 このアボイダブルコストにつきましては、具体的な内容はかなり今まで数年かけていろいろな勉強をしてきました。  それで、この考え方でございますけれども、確かにおっしゃるように、当初、ヨーロッパ特にイギリス国鉄において各部門別の収支管理ということが目的でこういう考え方が導入されたというふうに考えておりますけれども、その後、この考え方で企業間の負担関係というものを決めていくということは、現実に例としても存在するわけであります。例えばアメリカの場合でございますけれども、アメリカのアムトラック、いわゆる都市間の旅客公社でございますけれども、このアムトラックにつきましては、まさにいわゆる私鉄のレールを借りて運行しているわけでございますが、その場合にはこのアボイダブルコストという考え方をべースにして使用料を払っておるということでございます。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  今回私どもといたしましても、やはりこの考え方は、基本的にはその業務がなければ回避できる、ということは逆に言うと、その業務がなくても残る経費というものは、これは旅客会社がいずれにしても負担せざるを得ない。決して旅客会社がそれによって損するわけではございません。少なくとも最低限それは旅客会社として負担せざるを得ない。お出しした資料にもございますように、例えば電力の関係を考えますと、発電所というのは、最大の出力というのは当然旅客サイドの方のいわゆるピーク時の電力量というものをべースにして発電所の規模というものが決定されるわけでございますので、貨物がなくても発電所の資本費というのはどっちみちかかる経費である。そういう考え方でこれは旅客会社の負担にしてもいいのではないか。貨物会社はその回避できる経費だけを負担する。しかし、それプラスやはりインセンティブが必要でございますから、旅客会社に対して、旅客会社が使わしてやろうという気を起こすだけのインセンティブは与えなければいけないだろう。こういうことで、今回の試算におきましてもある程度のインセンティブは計上してあるわけでございます。今後、貨物会社経営努力によってそれだけの収益力を高めればその分だけインセンティブは多くなるわけでございまして、そういうことで、この考え方は決して不合理なものではないというふうに考えておるわけでございます。
  79. 小林恒人

    ○小林委員 不合理でないと言い切る。主張ですから、それは主張としてお伺いをしておきます。私どもは不合理だと思っているのでありますけれども、時間がありませんから、余りこのことについてだけ議論しません。もう幾ばくもなくなりましたので、簡単にあと一つだけ御質問申し上げておきたいと思っています。  旅客会社と貨物会社に資産をそれぞれ承継をしていくということになるわけですけれども、具体的な基準が示されておりません。ちょっと調べてみましたら、例えば具体的な例ですが、東海道貨物別線、小名木川線というのは旅客会社に承継をされると伺いましたが、現下のところ貨物列車しか走っていない線路がなぜ旅客会社に承継をされるのだろうか。ちょっと理由がわからないのでありますが、この点について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  80. 林淳司

    林政府委員 ただいま御指摘の東海道別線でございますけれども、確かにこれは、本来、東海道本線が旅客で非常に過密になってきた。したがいまして、同じ東海道本線を旅客と貨物が共用するというのは問題があるということで、当初は貨物専用のつもりで東海道別線をつくったわけでございますけれども、その後貨物の需要も落ちてきた、一方また旅客需要が非常にふえてきたということで、現在では東海道別線は旅客列車もこれを使っているわけであります。したがって、今回の仕分けの考え方としましては、貨物だけしか絶対使わないというものについては貨物会社に承継いたしますが、客貨が共用する線路についてはこれは旅客会社に承継させまして、旅客会社に使用料を払ってこれを使う、こういう形で整理をしたわけでございます。
  81. 小林恒人

    ○小林委員 もう時間が参りましたからこれ以上質問しませんけれども、東海道貨物別線というのが正確な名称ではありませんか。それから、最近旅客列車が使っていることを、私も調べておりますからわかっていますよ。臨時の列車が使っているのでしょう。臨時の旅客列車をたまたま東海道貨物別線を走らせている、こういう例があることについて承知していますよ。しかし、そもそもは貨物列車を運行するために建設された線路であり、私は前段申し上げているように、貨物の将来あるべき姿というものを考慮してみた場合に、なぜ旅客会社に継承されるのですか、これは不思議ですな、こういう気持ちを非常に強く持つのです。したがって、後ほどで結構ですから、具体的に何を基本にして承継基準をつくられたのか、この点についてお知らせをいただければありがたいと思っています。  持ち時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  82. 細田吉藏

    細田委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。  次に、堀昌雄君。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 本日は、この特別委員会国鉄民営分割問題について、私は随分古くからこの国鉄問題にかかわっておりますので、その過去の私の論議をいたしましたことを踏まえながら、特に、一体民営というのはどういうことなんだろうかという問題、要するに昭和五十七年七月三十日、臨時行政調査会が「行政改革に関する第三次答申」というのを出しておられまして、「新しい仕組みについての当調査会の結論は、現在の国鉄分割し、これを民営化することである。」これが私はこの問題のスタートだ、こう理解をしておるわけでございます。  きょう亀井監理委員長に御出席をいただきましたのは、亀井さんは住友電気工業株式会社の会長をしていらっしゃいまして、長い間民間会社の中でお仕事をしていらっしゃっているわけでありますが、この民営というのは民間会社にするということだというふうに私は理解をいたしておりますので、一体民間の会社というのは本来どういうものだろうかということをちょっとまたお尋ねをするわけでございます。  ここへ御出席の皆さんは、実はこの国鉄問題については全然責任が、ゼロとは言いませんけれども、ほとんど責任のない方が今ここへお並びになっていただいているのですね。橋本さんは、私も長いおつき合いでありますけれども、橋本さんが運輸省の関連した仕事なんというのはこれまで一回もなさったことはないのじゃないかと思いますが、大臣いかがでございましょうか。
  84. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 就任をいたしましたときに申しましたとおり、本当に本人がびっくりいたすぐらい、地方事務官問題に携わった程度の経験であります。あとは、社会労働委員会国有鉄道関係の不当労働行為問題が持ち込まれたとき対応したという記憶ぐらいであります。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 でありますから、きょう私は、この委員会に御出席をいただいた方にいろいろと問い詰めるとかそういう気持ちは実は毛頭ないのでありますが、これは非常に重要な基本問題を含んでおりますので、そこに専門家がおられますけれども、要するにこれから申し上げることをお聞きいただいて、一体民営化とはどういうものか、分割をするということは、資本主義というこの経済体制の中で一体どういうことを意味するかということをちょっと申し上げたいのであります。  最初に、昭和四十二年四月十九日、今から約二十年前でございますけれども、ここで実は私は、水田大蔵大臣と当時の磯崎副総裁に来ていただきまして、ちょっと論議をしております。ポイントだけをちょっと申し上げます。   ちょっと国鉄のほうからお答えをいただきたいのですけれども昭和三十七年から四十年の間の黒字線、それから赤字線で直接費がまかなえる分と直接費がまかなえなくなった分というもののシフトの姿を答弁をしていただきたい。  それに対して磯崎副総裁は、私の方の黒字線と赤字線につきましては、  昭和三十七年度が赤字線の赤をカバーしまして六百二十億円の黒字、三十八年度は六百七十億円の黒字、それから三十九年度に急激に悪くなりまして二百十四億円の赤字、四十年度には千九十億円の赤字というふうに、この数年間で非常に急激に悪くなりました。   赤字線から発生いたします赤字の絶対額は、昭和三十七年度は四百七十四億円、昭和三十八年度には五百十五億円、昭和三十九年度は千十三億円、昭和四十年度は千四百四十億円になっております。この赤字線の中にも、ただいま御質問の中にございましたとおり、いわゆる直接費はまかなえる線と、それから直接費もまかなえない線とございます。一応一緒にして御答弁申し上げましたけれども、大体昭和四十年度には赤字線から出ます赤字の合計が千四百四十億円、赤字線の数が二百三十一線、全体で二百四十二線ございますが、九五%も実は赤字である、こういうことでございます。 昭和四十二年でございます。   そこで、いまのお話のように、国鉄が言っています経費の中の直接費と間接費というのがあるわけですが、企業として見ると、ともかくもそこまではがまんができるというのは、赤字であっても直接費はまかなえるということが企業というものの限界だと思うのですが、大蔵大臣はどうお考えになりますか。  ○水田国務大臣 企業の限界は、直接費はまかなえるというのが限界、それがまかなえないということではもう企業にならぬ、こう思います。 こう水田大蔵大臣は答えておられるのであります。  そこで私は、   私も同じだと思います。   そこで、いま国鉄副総裁が答えられました直接費をまかなえない線、それが昭和三十七年には線数で百二十二あって、赤字が二百四十八億円だった それが三十八年には百三十一線にふえて、赤字が二百八十九億円、三十九年には百七十八線にふえて、六百三十二億円という赤字になってくるわけです。  それが四十年になりますと、これは何と百九十九線——全部で二百四十二線の大体八二%の百九十九線というのが直接費をまかなえない線、こうなっているわけです。赤字金額が九百二十八億円。企業というのは、いま大臣お答えになったように、何にしても直接費をまかなえるところまででないと企業としてはおかしいわけです。しかし、その直接費もまかなえない線が八二%の百九十九線もあって、その赤字が九百二十八億円も出ているにもかかわらず、国鉄は依然としてそれを続けていかなければならぬというのは、なぜでしょうか。 それから、  三十七年に百二十二線で、全体の五四%しかなかったのですよ。 というように申し上げて、  直接費すらもまかなえない線、あなたの言う限界外のものが半分あった。 それがだんだんふえてきて、このトレンドというのは逆転しないと思いますと。   国鉄副総裁どうですか。いまのどんどんふえてきているトレンドが逆転しますか、この二、三年で。  ○磯崎説明員 非常にむずかしい御質問ですが、あらゆる努力をいたしましても、全体の傾向としては逆転することはむずかしい、ただ運賃値上げしていただきますので、多少の出入りはございます。赤字路線だったものが黒字線になることはございますが、それでも全体の傾向が全般的に変わるということはちょっとむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えております。 それで私は、  運賃だけを上げたから収入がふえるということにはならない。それはさっき私が申し上げたように、独占企業であった時代と比べて、いまはバスが競争する、また、都会地へくれば自家用車で競争がある、私鉄電車その他の競争がある。あらゆるものがあるのですよ。片一方、飛行機もあるわけですからね。あらゆる競争の中でやっておる。この国鉄のかつての独占企業としての性格がいろんなところにいまそのまま残されていて、国鉄にすれば、制約というかっこうで、実は手かせ足かせがされていると思うのです。 こういうふうに私は申して、そしてその先で、   もちろん、企業が黒字でずっといけるのなら、利子の負担が幾らになろうと、それはあなたのおっしゃるとおりでしょう。   しかし、すでに副総裁が最初に答えておられるように、国鉄というのは、すでに現在赤字になっておるわけですね。運輸収入その他でまかなえない部分がすでにあるわけですから、赤字になっている企業がさらに借り入れをしなければならぬ。資本主義の民間ベースなら、こういうことは常識からいって私は銀行で金を貸さないと思うのです。水田さんどうですか。大体資本主義社会で銀行が——これは公共企業体、国だと思っているから別ですが、そうではなしに、民間企業で、ともかく毎年赤字が出ます、そうして金を貸してください、設備投資をやります、タイムラグが十年なり二十年あります、二十年先には何とかお返しできるでしょう、しかし、当分の間、十年から二十年は毎年赤字でございます、そのうちにはともかく借金の利子も借金でまかなわしてもらわなければまかなえません、こういう民間企業があったとき、あなた、銀行の立場に立って金を貸せますか。  ○水田国務大臣 私なら貸せません。 それで私は、  貸せないでしょう。資本主義というのはそういうものですね。 こういうことで、この中で私は、今の国鉄というものが四十二年の段階で、もうこれは成り立たないところに来ていますよ、それをこれだけはっきり申し上げていたのですけれども、実は政府も運輸省もどこもこの問題に全然本気で取り組んでいない。これが四十二年でございます。  その次に、今度は五十一年です。ちょうど今から十年前であります。昭和五十一年十月八日、運輸委員会でございます。   本日、この法律のわが党としての最後の質問を私が行わせていただくわけでありますが、実は、私の感じでは、国鉄の再建問題というものを政府はきわめて局限された狭い範囲の問題として受けとめられておるような感じがしてなりません。政治というものは、確かに、経済あるいは国民生活の当面の問題に対処しなければならないのは当然でありますけれども、さらに重要なのは、われわれがこれから二十年三十年先のわが民族の将来について現在やらなければならないことを行い得るかどうかということが政治上の重要な課題であるというふうに私は考えているわけであります。ですから、その観点に立って、今後二十年三十年の日本経済における長期展望の中における日本国有鉄道のあり方はいかにあるべきであるかという問題について私はこれから少しお尋ねをしたいと思うのであります。 こういうふうに申して、要するに歴史的に昭和二十四年に三つの公社ができました。一つは電電公社、一つは専売公社、一つは国鉄です。ところが、専売公社と電電公社は実は今日に至るまで、民営化になるまでは独占企業であったわけです、公的企業の独占企業。しかし国鉄だけは、既に昭和三十七年のこの時点から競争の中で大変なダメージを受けつつあった。これが同じ公企業ということで今日まで放置されてきたというのは、私は率直に言って自由民主党政府がそういう政策上のビジョンを欠いたし、本質を十分にわきまえていなかったのじゃないかということが感じられてなりません。  そこで、これは三木総理との論議でございます。   総理に申し上げたいのは、総理、言葉だけではだめなんですね。やはり言葉の裏づけになるものをあなたがここでお答えをいただかないとだめなんです。再建の方向については自分もそうだということはそれは私も評価しますよ。しかし、それだけでは中身にならないのですね。   そこで、ちょっと中身の問題に入るのですが、総理は企業の独立採算という制度はどういうふうにお考えになりますか。   これを民間の企業で考えてみましょう。民間の企業がバスをやっているとしましょう。だんだんと乗り手が少なくなってきて、バス事業としてはペイしなくなってきたとすると、民間企業というのは利益を主体にしていますから、利益の出ないところはやめますね。だんだんとやめてくる。ところが、もし都市バスが同じようなことをやっていると、都市バスというのは住民サービスのためにあるのであって利益のためにあるのではありませんから、人が減ってきたからといってやめられませんね。要するに、民営バスと都市バスとの違いはどこにあるかといえば、民営バスはもうからないところはどんどん圧縮して、もうかるところだけで論議ができる。ところが、公営バスはもうからなくてもサービスしなければいかぬ。都市交通の責任者はやめたいと言うでしょうが、しかし、市は市民サービスのために残せと言う。そうなれば、やめたいと言うところが企業採算として合わないのなら、本来市が補助してやるということでなければ成り立たないのは当然でしょうね。   これは国鉄も同じじゃないかと思うのです。民間ならやめたいというところをたくさん抱えておるのに、国は地方自治体の関係もあるし、住民の関係もあり、やりなさいと言う。言うなれば、企業として採算をはずれたものを強制しておるわけです。企業の採算を離れたものを強制するならば、それに対する何らかの対価がないと独立採算という原則は成り立たないと思います。これが第一点です。  第二点は、赤字になっているにもかかわらずいろいろな割引やその他のことが行われておる、これが非常に大きな問題ですということであります。  三つ目は、大体イコールフッティングで競争しなければだめなのに、実は飛行機の場合は飛行場は国がつくる、トラックの場合は道路は全部国がつくる、船の場合は港湾は全部つくる、国鉄だけが土地を買って、その上に道床を敷いてレールを敷いて全部自前でやらせている。既に競争条件で劣後になっておる国鉄が依然としてこういうことをやっているのではどうにもならぬということで、   そこで私はちょっと試算をしてみましたが、要するに昭和三十九年から赤字になって、それから後もし仮に国鉄が求めておる地方交通線の赤字と公共割引の赤字分を国が全額持っていたとしたならば今日の国鉄の損益勘定の債務の状態がどうなったか、五十年度末で計算をしてみますと、その累計はいま三兆三千二百五億あるのですが、もしこれを国鉄が望むように、国が三十九年以後地方交通線の赤字とそれから公共割引の負担部分を——これは法律を越えた部分ですよ。それを入れてもらったならば、五十年度末で六千四百八十一億円しか実は国鉄の損益勘定の赤字はないのです。  これは、桜田国鉄監査委員長ですかね、桜田武さんが監査委員長で、このとき成田委員長に会いたいと言っておいでになりまして、私、政審会長でおつき合いいたしました。私はこの問題を、桜田武日経連会長でありますところの国鉄監査委員長に申し上げたわけです。要するに競争条件に既におくれておるものに対して、本来ならその部分を見てやらなければならないのに赤字の企業にまだいろいろな負担をさせて、赤字企業は知らぬぞ、おまえのところでやれ、累積赤字がどんどん出ていく、これが今日の国鉄を招いた問題だ。  これは五十一年の十月八日でございますから、今から考えるとちょうど十年前でございます。二十年前に問題を指摘をし、十年前に問題を指摘をしてなおかつ今日この状態になったというのは、私に言わせれば、今いらっしゃる皆さんは関係ないのですけれども、歴代自由民主党政府がこの国鉄問題については大きな怠慢と誤りをしてきた、こう思うのでありますが、これは細田委員長に聞いた方がいいかもしれません、委員長、いかがですか。
  86. 細田吉藏

    細田委員長 せっかくでございますが、私、答弁をする立場にございませんので、いろいろ承っておるところでございます。いろいろ感懐はございますが、答弁は控えきせていただきます。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 結構です。一応申し上げただけです。それは結構でございます。  そこで、これは運輸省事務方で結構ですけれども、イギリス、フランス、西ドイツの鉄道の形態というのは公営だと思いますが、どうですか。ちょっと答弁してください。
  88. 林淳司

    林政府委員 イギリスは国営でございます。それから西ドイツ、これも国営でございます。それからフランスも、これは一時民営の資本も入っておりましたけれども、たしか五八年ころでございましたでしょうか、完全国営になりました。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 実はこの欧州の三つの国鉄は全部国営であります。たしかこれらの国鉄は、その年度に赤字が出ますと——今世界の国鉄黒字になる国鉄などあり得るわけはないのでありますから赤字が出るのですが、この赤字は単年度で国が補てんをしているというふうに承知しておるのですが、どうですか。事務方、答えてください。
  90. 林淳司

    林政府委員 これは国によって違うと思いますが、例えば西ドイツの場合で申し上げますと、かつてこれは、毎年出た赤字を、その決算の数値に基づきまして二年後にその全額を政府が補てんをするという制度できていたと思います。ただ、数年前からその赤字について政府が全額補てんが非常に難しくなりまして、その一部しか補てんしない。例えば……
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 簡単にやってください、時間がないから。フランス、イギリスはどうですか。
  92. 林淳司

    林政府委員 イギリスにつきましては、いわゆる補助の限度を設けまして、その補助の限度内でしか助成は出さないというふうになっていると思います。  それからフランスの場合は、これはいろいろ個別の補償をするということで、例えば都市交通につきましてその自治体と国鉄が契約をしまして、その契約に基づいて赤字を補償するという形をとっていると思います。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 細かいことは別ですけれども、考え方として欧州の国鉄は要するに単年度赤字をできるだけ単年度で処理する、こういう処理がされているからここには累積赤字というのはないのですよ。だから要するに一番の問題は、あの私が四十二年ぐらいにやったときに、その処理を単年度処理でやっていくということになると、毎年毎年赤字が出たのを補てんするためには当然大蔵省は運輸省や国鉄に対して厳しい合理化を求めることになるのですが、どんどんともかく借金を認め赤字の繰り越しをこうやっていくものですから、実は国鉄というのはしりが抜けたおけみたいなものでどんどん抜けていったということで、イギリス、フランス、西独の国鉄に比べて、同じ国鉄であってもそういうシステムとしての問題点というものが大変不十分であったということが感じられてなりません。  そこできょうは、時間が十分ないのでありますが、四国旅客株式会社でございますか、この問題をちょっと私取り上げたいと思うのです。  なぜ四国を取り上げたかと申しますと、私は小学校の六年生のときに、父親が高知の赤十字病院の院長になったものですから京都から高知へ参りました。小学校の六年生の二学期、三学期、中学校、旧制高知高等学校、この間を私は四国の高知で過ごしておりますので、多少四国の諸条件というものが頭に入っておりますから、一つの例示としてこの四国旅客会社というものを実は課題にしたい、こう思っておるわけであります。  そこで、実は「昭和六十二年度以降五か年間の旅客鉄道会社経営見通し」、こういう資料をちょうだいいたしました。この四国会社の場合には、要するに営業収入が六十二年度三百億円で、六十六年度に三百五十五億円、一六%ふえるということでございます。営業費用、コストの方は四百四十一億円が四百九十一億円ということで、実は営業費用もコストもふえるわけでございます。  しかし、営業損益は百四十一億の六十二年度の赤が六十六年度に百三十六億とこうなっています。皆さんにお聞きするといいのですけれども、時間が足らないのでこちらから言います。結果的には利子基金から百四十四億最初に入れて、毎年、百四十六、百四十七、百四十八、百四十八というふうに入れて、その結果、経常損益が六十二年度で三億、六十三年度十一億、六十四年度十三億、六十五年度十六億、六十六年度十二億、こういう経常損益のプラスが立つことになってきます。しかし、これは私がさっきから申し上げているように、今の補給金がなければ四国会社というのは五年間赤字決算がずっと続くわけでございますね。  そこで、亀井監理委員長に伺いたいのでありますけれども、これは民営だというのでありますから、民間企業ならば最初の四、五年はあるいは赤字決算になるかもしれません。しかし、その赤字決算がずっと十年も続くような民間会社が日本の資本主義社会で現存しておりますでしょうか。民間会社というのはそういうものではないと私は思うのでありますが、亀井委員長からの御答弁をいただきたいと思います。
  94. 亀井正夫

    亀井参考人 民間会社は、原則としてやはり黒字を出して株主さんに配当を出すというのが原則でございますから、そういうことは、石炭とかいろいろ十年以上無配当の会社もございますけれども、これは例外でございます。  ただ——もうちょっと時間をちょうだいしてよろしゅうございますか。この四国の場合につきましていろいろ私考えましたのは、やはり公社という仕組み、先ほど先生がおっしゃいましたね、ここに根本的な問題があるのではないか。そうすると、この公社を外すということは民営化、民営化というと今の日本の法制では株式会社というシステムがいい。しかし当面は、これは国有という、株主は全部お国という格好になりますから、あえて民営化という言葉を使った次第でございますが、順次四国の方々が本当にアワ・レールウエーで守り立てるという気持ちでやっていただきましたら、今までのような大きな国鉄の中の末っ子の扱いというのが今度は飛躍して総領息子で、我々の方でやるということでいけるのではないか。ただそのためにスタート、最初から赤字ではだめなので、やはりここに持参金をつけて経営基盤をしっかりして四国の方々にお渡しをする、こういう形がいいのではないかということで、現在は純然たる民営ではない、民営化ということの一つのタイプを打ち出した、こういうことでございます。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、実は今の資料を拝見しますと、収入が大体一六%ぐらい五年間にふえるだけですから、ほとんど横ばいでございます。ところが、四国の管内鉄道昭和五十年から六十年までの間にはどういう推移であったかという過去のトレンドを見ますと、収入は昭和五十年百七十七億、経費四百八十五億、損益三百八億の赤字でございましたものが、昭和六十年には収入が二百六十五億、約五割ふえました。経費は七百九十七億、六四%経費がふえて、損益の赤字は七二%実はふえているわけであります。過去の四国における管内鉄道の経過は、黒字の方向に行く傾向は一つもなく、だんだんと赤字が拡大する傾向が五十年から六十年の経過でございます。  それでは、これからはどういうことが起こるだろうか。それは、まず第一に、本四架橋というのが実はこれからかかるわけでございます。この本四架橋がかかりまして昭和六十三年度に児島—坂出ルートが開通いたしますと、一日に二万五千台の車がここを通ることになります。これまで国鉄で行ってフェリーか何かに乗ったりいろいろしていた人は、一日二万五千台この四国と本州の間を車で通過することになりますから、国鉄の利用度はかなり影響を受けるだろう。七十三年には神戸—鳴門ルートが完成をいたします。一日に三万三千台、これがそこへオンしてきますから、七十三年には合計五万九千台の車が四国と本州の間を往復することになります。七十五年には今度は尾道ルートが完成いたします。そうするとさらに一万台ふえて、昭和七十五年には合計七万二千台の車が本四架橋を通って四国と本州の間を動くことになる。これは明らかに国鉄にとっては非常に大きな影響がもたらされる。  これまで四国の管内鉄道はそういう条件がなくてもどんどん損益、赤字はふえてきておる。そこへもってきてこういう条件ができているだけではなくて、建設省にちょっと聞きたいのですけれども、今高速道路四国は十キロぐらいしかないようですが、今後の計画では、四国における自動車高速道のぐあいというのはどうなのか、ちょっと答弁してください。
  96. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘のとおり、現在四国の高速自動車国道は十一キロしかございませんが、計画では三百七十四キロ計画がございます。ただし、そのうちの二百七十四キロ整備計画ができ上がっておりまして、その完成を当面急ぎたい。現在、昭和七十年代の半ばまでにこの二百七十四キロを完成させたいというふうに考えている次第でございます。
  97. 堀昌雄

    ○堀委員 今お聞きになりましたように、要するに四国で七十五年、今私は大体七十五年を目標に物を申し上げているのですが、二百七十キロの高速道ができる。今の本四架橋と連なってくるのだと思うのですね。そのときに一体今の四国会社がどれだけの輸送力を持ち得るのか。私は、この前も申し上げているように、昭和四十二年にも長期の展望の話をし、五十一年にも二十年、三十年先を考えよう、こう言っているわけですが、これからでしたら、今は六十一年でありますから、十五年先には大変な時代が実は起こるわけであります。  もう一つ問題は、飛行機であります。昭和五十年から六十年までの間の飛行機の状態を調べてみました。東京—高松間はこの十年間で旅客が四・五倍になりました。東京—松山は三・二倍です。大阪—松山は一・三倍ですが、東京—高知は十・八倍に旅客がふえているわけであります。要するに、これからはゆっくりした国鉄で行くなどという時代が過ぎて速いものを使いたい、こうなるわけでありますから、自動車がどんどん行く、飛行機もどんどん行く、その中で一体四国旅客会社は、この皆さんの見通しでは横ばいになっているわけですね、収益は増加しない。しかし、基金から百四十億程度入れてでも、やがてこれは百四十億ではカバーできなくなる、赤字決算がますます大きくなってきたときに、この四国会社というのは一体どうなるのでしょうか、それを私は大変心配しているわけであります。監理委員長はどういうお見通しでございましょうか。
  98. 亀井正夫

    亀井参考人 私どもは横ばいにいけるという確信を持ってこの案をつくりました。といいますのは、今先生おっしゃったように、モータリゼーションあるいは航空、これによって四国の産業がこれから興り、経済活性化ということができてくると人間の動きがもっと激しくなる、こういうことであれば今より下がることはないだろう。しかも、独立をして自分たちの鉄道だ、こういうことでいくという気構えができれば、この実験は三陸鉄道なり樽見鉄道におきまして見捨てられたようなものがまた伸びてきた、樽見鉄道なんか非常に乗客がふえております、そういう状況が出てくるというふうに確信をしております。
  99. 堀昌雄

    ○堀委員 こういう問題は極めて冷厳な問題でありまして、いろいろな期待や希望を持っていただくことは自由なのでありますけれども、私が今ここで申し上げているのは客観的事実を申し上げているだけなのですよ。要するに過去はこうでしたよ、その過去においてやってきたことが突然何か変わるか。今四国の状態を見ておりまして、坪内さん、御承知のような大変な経営の神様みたいな人でももうともかくギブアップしておられるということは、日本経済というものの動きがどんどん変わっていくわけであります。亀井監理委員長四国に非常に産業が興ってとおっしゃるのですが、現在この状態が、人口がどんどんふえるように、産業が興隆するように四国がなれば大変結構だと私は思いますし、何とかこの四国旅客会社がうまく運営できるのはいいと思うのですが、経済的な問題というのは問題が違うのじゃないだろうか。  そこで、時間がありませんので、今の私のこの経済的分析、そして企業というものの本来のあり方、公営企業というものが持たされている一種の宿命といいますか、民間と違って公的な制約がある。だから、もしどんどん赤字ができてどうにもならなくなってきたら、恐らくこの民間会社になった会社は線路を縮小してしまうだろうと思うのですね。せざるを得ないでしょう。そこらの点についてひとつ運輸大臣、一体そういうときに国はどうするのか、いよいよ赤字で今の線を減らしたいということがどんどん起きてきたときに一体どういうふうになさるのか、そのお気持ちだけ、あなたがそのときにいらっしゃるわけじゃないので、今から十五年から先の話を言っているわけでありますが、運輸大臣としてはどういうふうにお考えになるのかを承りたい。
  100. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 たびたび本委員会でも御答弁を申し上げてまいりましたが、私どもはそれぞれの新会社の積算に当たりまして、例えば道路整備計画あるいは空港の整備計画、これらを参酌しながら、将来の他の交通機関の変動というものも要因として計算に入れてまいりました。そしてその上で、四国会社につきましても私どもは採算がとれるという見通しを立てたわけであります。その中で、確かに特定地方交通線につきましてはバスへの転換等をお願いいたさなければなりません。しかし、その他の地方交通線についてはむしろこれを積極的に生かしていくことによって鉄道収益を上げていきたいということで、これをつくり上げておるということであります。
  101. 堀昌雄

    ○堀委員 宮澤大蔵大臣、これは国に関係がございますので国の財政に関係がございます。私は、今ほかの問題はちょっと時間がありませんから触れませんが、こういう民営化ですか、そうなった企業で、しかし公的にはこの路線は必要だというときには、国は財政的に今後も協力をする可能性があるのかどうか、その点を一点、大蔵大臣にお伺いをしておきたいと思うのであります。
  102. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる三島基金という構想は、毎年毎年の補助に頼るということでは企業努力というものがなくなってしまいますので、その限度を決めまして基金を創設するということの考え方であると思いますが、社会的な意味合いの高い、この種の公的な色彩の高い企業に対して国民の負担においてそういうことをする、そういう考え方であると承知しております。
  103. 堀昌雄

    ○堀委員 今この基金はたしか千九百億円が四国の分のベースになるのだと思うのですけれども、しかし、千九百億では賄えなくなる時期がやがて来るだろうということを考えているわけです。それはいつ来るかわかりません。しかし、少なくとも今私が申し上げているこういう経済的なトレンドから見ると必ず来ると私はここではっきり断言できるのです、過去に、四十二年に私が言ったことが確実に起きている、五十一年に言ったことも確実に起きているのですから。だから、そういうことになったときに国が財政として対応するということでなければ、一体国鉄というものの公共性、今度の四国会社といえどもこれは公共性のある交通機関でございますので、そういう意味で、公共性の高い交通機関については国民全体の利益を守るという角度から——いけるうちはいいのですよ、いいのですが、先の将来にはそういう問題が必ず起こるということを予測して、私どもが生きているうちにそうなるかどうかは別ですが、しかし会議録にはちゃんと歴史的に残るのでありますから、私がここで言ったことがやがて起きた、しかしそのときには国もそれなりの対応をしますということであるならば私はこの考えでいいだろう、こう思うのでありまして、ちょっとそこだけもう一点、大蔵大臣から御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  104. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私は運輸政策の責任者でございませんのでその立場から申し上げることはできませんが、運輸大臣におかれて、やはりこの種の企業と申しますか、四国における鉄道、これは国民的な必要があるという判断をされ、それが政府の判断になっておるわけでございます。しかもそれは、私企業としてはやはりどうしても経常損益はしばらく赤である、しかもこれはやめるわけにはいかない、そういう場合に国民的な負担において三島基金を設けた、私はそういうふうな理解でございます。
  105. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  106. 細田吉藏

    細田委員長 これにて堀君の質疑は終了いたしました。  この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ────◇─────     午後一時四十分開議
  107. 細田吉藏

    細田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
  108. 石田幸四郎

    ○石田委員 経企庁長官はお見えになっていますか。——それでは、経企庁に関する質問は後回しにいたしましょう。  用地問題についてお伺いをいたしたいと存じます。  土地の売却問題について、今までの質疑の中でいろいろと議論が交わされてきたわけでございますが、先般も御指摘を申し上げましたように、運輸省の考え方と国土庁の考え方、いわゆる国民が負担すべき債務を少しでも軽減をしたいというので運輸省の方はなるべく高く売りたい、こういうような議論の中で一般公開入札の話が一つ確定的に出ております。それから随意契約の話が出たわけでございます。それから土地信託の話も出ましたけれども、いずれにいたしましても、これらの売却については、国民が負担すべき債務を軽減をするという方向と、それから東京等の都心部におきます土地の抑制の問題と、話が非常にふくそうをいたしておるわけでございます。特に国鉄売却地の売却価格ですか、そのウエートは都心部にかかっておって、約八〇%がそれに当たるであろう、こんなような話も委員会で伺ったわけでございますが、事は極めて重大でございましょう。  特にこの売却計画、前回公示価格を中心とした予想売却価格、八兆五千億の価格が出たわけでございまして、六十二年度は三千億を売却するというような計画だそうでございますが、そうしてみますと、六十三年度からはざっと九千億規模の売却、一遍にはいかないにいたしましても、ならして考えてみて——じゃちょっと委員長、今用地問題の質問を始めたわけでございますが、経企庁長官がお見えになったようでございますから、そちらの方へ議題を切りかえさせていただきたいと思います。
  109. 細田吉藏

    細田委員長 どうぞ。
  110. 石田幸四郎

    ○石田委員 それでは経企庁長官の方にお伺いをいたします。  この前、総合交通体系のお話を若干申し上げたわけでございますが、その際、経企庁長官の方は「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、その中のいわゆる運輸政策に関する部分ですか、これについてのお話がいろいろとございました。その中身について若干さらに話を詰めておきたいというふうに思うのでございます。  この「政策の基本方向」の中で、「国民生活の安定と向上」の中の「八 良質なネットワークの形成問題」について、さらにそれが分かれておりまして「幹線交通」と「地域交通」、こういうような分類になっておるわけでございます。その「地域交通」の項を見ますと、このように言われております。   地域のモビリティの活性化を図り、地域発展の基盤を充実するため、広域ブロックから地方都市圏に至るまで各段階に応じた計画的な交通体系整備・充実が必要である。その際、地方公共団体、国の関係機関等の協調を緊密にする必要がある。 こういう項目があるわけでございます。  前回もお話し申し上げたのでございますが、全国一本の交通総合体系というものをつくることはなかなか難しい、そういうようなことで私は地域的な交通体系をまず基本的に考えた方が早かろうという意見を申し上げたわけでございます。この五十八年八月に閣議決定をされた「経済社会の展望と指針」を見ますと、まさにそういった趣旨でこの地域交通問題が取り上げられておるわけでございます。そういった意味におきまして、これをさらに具体性を持たせなければならないと思うわけでございますが、これは一体経企庁が直接なさるのか、あるいは地域の問題でございますから運輸省にやらせるのか。  特に地方の実情を聞いてみますと、県ごとではいろいろ物流の問題、その他の交通の問題もいろんな検討をされているようですね。そういうような状況があるのですけれども、長官も御存じのとおり、今この交通の流れというのは一つの県だけではどうしようもない、やはりブロック的な観点で考えなければなりませんね。今度の国鉄分割についても政府が提案をされている三分割案は、その三地方においてそれぞれ旅客の流動性というものがほぼ完結を見ておる、これもブロック的な考え方をちょっと広げたというような感じなんでございますね。  そういうようなことを考えてみましても、この地域交通というものをもう少し政策的に方向づけができれば大変ベターであると私は思うわけでございまして、これに対して経企庁はどういうような対処の仕方をなさろうとしていらっしゃるのか、この点を伺いたいと思います。
  111. 近藤鉄雄

    ○近藤国務大臣 お答えをいたします。  先生の御指摘もございましたように、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきまして、交通に対する取り組み方、基本的な考え方は、各交通手段間のいわば競争と利用者側の自由な選択、これが適切に発揮できるような形でこれからの交通ネットワークをつくっていこう、こういう原則を示したものでございまして、そういう中で遠距離は航空なり、中距離区間は新幹線を中心とした鉄道、さらには大都市圏とか地方圏においては鉄道、さらにバス、タクシー、そうしたことでそれぞれの地域の特性に応じた形の交通機関が利用されることが望ましい、こういうことでございますので、「展望と指針」の中では全体の考え方を示したわけでございますので、地域地域の具体的な計画につきましては運輸省を中心として、またそれぞれの責任者、具体的には都道府県とかそういった関係者の中で話を詰めていただくことではないかな、こういうふうに考えておる次第でございます。
  112. 石田幸四郎

    ○石田委員 運輸大臣、経企庁長官のお話を聞いていらっしゃったと思うのですが、各県間にわたる協議、私どもも今までいろいろ新聞等でも拝見をいたしておるわけなんでございますが、例えば水資源の利用であるとかあるいは高速道路をつくるとかいうような個別の問題になりますと、割と意見交換がスムーズにいっているらしいのですね。ところが、いわゆる交通全般という問題になりますと、なかなかこういった問題が各県ごとの協議の中で進むというケースは、余り私ども地元の動きなんかを拝見しておって見られないわけなんでございますね。経企庁の方は全国のそういった物流の動きであるとかあるいは人間の動きであるとか、そういうものを観察しながら基本的な施策を施そうとしていらっしゃるわけでございますが、ブロック的な流れ、これについては運輸省の方で何らかの交通政策をこれから誘導するようなものをおつくりになろうというような、そういうようなお考えがございましょうか。
  113. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これはもう委員が御承知のように、私どもは本来都道府県単位の計画をつくってまいっております。しかしその場合にも、実は地域ブロックとしての産業構造とか施設計画等についても整合性を持たせるような工夫はいたしながら進めておるものであります。地域ブロックごとの交通計画を一律に策定すべきかどうかと真正面から論議をいたしますと、実はこれまでの交通計画の策定状況とか実施状況あるいは国土庁が現在策定作業中の四全総との関係などというものも出てまいりまして、私どもとして検討しなければならない部分もなお残されております。  ただ、都道府県の区域を越えた交通計画、例えば昨年七月の「東京圏における高速鉄道中心とする交通網整備に関する基本計画」、これは運輸政策審議会から御答申をいただいたわけでありますが、こうしたように必要に応じてつくってきておるところでございます。ただ真正面からとなりますと、先ほど申し上げたような検討部分が残るということでございます。
  114. 石田幸四郎

    ○石田委員 私がこれを申し上げておる根拠は、まさに今度の国鉄改革に関しての問題でございまして、新聞を拝見いたしておりますと、北海道はこれは一つの県でございますからよろしいのでございますが、九州でも九州ブロック的なそういう交通体系みたいなものが必要ではないかというような御意見もあったやに新聞では拝見しておる。私も四国へ行って公聴会に参加しましたけれども四国の意見陳述者も交通体系ということを盛んに言っていらっしゃる。それはやはり道路鉄道との関連という問題があるわけでございますから、そういった意味でこれはひとつ、特に鉄道がこんなふうに分割になることが一つのチャンスではないのかというふうにも思いますので、特に四国九州のこれから鉄道の安定ということを考えてみましてもあるいは経営基盤の問題を考えてみましても、この二つの地方についてはもう少し地域的な運輸政策というものができないかなと。いわば四全総の話も出たわけでございますが、国土庁長官、四全総はいつごろ取りまとめというふうにお考えでございますか。
  115. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 ただいま御審議をいただいております国鉄法案によって国鉄がどのような形になるのか、それらも今見きわめつつ内容を固めていきたいと考えておりまして、来春早々までに内容を固めたい、こういうふうに考えております。
  116. 石田幸四郎

    ○石田委員 四全総、来春というお話が出たわけでございますので、もちろんそれを見てからでなければならないと思いますけれども、そういった意味で、ぜひこの点御検討を願えないか。  これは二つございます。運輸大臣にお願いしますのは、四国九州の方の各県の連合体の中ではなかなか話が煮詰まらない感じもありますので、あるいはそういったものを推進するという立場でも結構でございますけれども、そこら辺、もう少し運輸の総合政策的なものが出せないかな、こういうふうに思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
  117. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 紋切り型のお答えをしてしまいますと、私どもの立場から言えば、総合交通体系といいますか対策についてはいわゆる五六答申というものがあり、その五六答申というものが私どもとしては現時点において十分たえ得る内容を備えておるということになるんだと思います、紋切り型のお答えをしますと。  しかし、その後の、今御指摘を受けました国鉄自身の分割民営といった変化あるいは内外における経済情勢とかの変化等もあるわけでありますし、また円高あるいは原油安、こういった動向も見きわめなければならないかもしれません。そうした中で今後の我が国の経済構造の調整のあり方あるいはまさに今国土庁長官からお話のありました四全総の策定状況等も勘案をしながら見直しを必要とする場合があるかないか、あるとすれば総体なのか、御指摘を受けたような特定の地域を想定しながら見直すべきなのか、そうしたことについても検討をしていきたいと思います。
  118. 石田幸四郎

    ○石田委員 経企庁長官にお伺いをするわけでございますが、今国土庁長官、四全総のお話ございました。そういうことで来春ということでございます。それから、先般来お示しの「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、これは五十八年八月の閣議決定でございますから、昭和に直しますと六十五年までの目標かなというふうに思うわけでございます。それで、鉄道状況も変わりますね。それから四全総も出てくる。この「経済社会の展望と指針」もそういった意味では少しずつ変わりつつあるというふうに思いますので、ここら辺で総合交通体系、前回おつくりの意欲を示されたわけでございますが、そこら辺もにらんで、ここ何年かの間で総合交通体系をつくり得るのではないか、こんな感じがいたしますけれども、経企庁長官の御所信を承りたいのです。
  119. 近藤鉄雄

    ○近藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、「展望と指針」の中では基本的な考え方、原則を示したわけでございますが、大都市圏とか地方都市圏とか、具体的に固有名詞でここはこう、あそこはこうという形のとらまえ方をしていないわけでございます。  ただ、お話がございましたように、これは六十五年までのプランでございますが、私どもの方でリボルビングプランということで、その目標の六十五年をセットし、毎年毎年の現状に即して計画をまさにリボルビングしながらつくって発表しておる段階でございますので、先ほど申しましたように具体的な固有名詞を持った地域としてどうだという形までは実はこれまでやっておりませんが、御質問の趣旨を体して、どこまで具体的なものになり得るか。まあ経済企画庁としては全体の計画という形でやっておりますので、ブロック化または特定地域化ということは必ずしもやっておりませんが、いろいろ研究をさせていただきたいと思います。
  120. 石田幸四郎

    ○石田委員 研究するということでございますからそれ以上申し上げませんけれども、これは運輸省あるいは経企庁の方か、いずれかにいたしましても私的な単なる勉強機関でもいいからそういうようなものが設置できて、私的な機関として何らかの御意見がまとまるようなことであればベターかなということでございますので、これは御要望にとどめておきましょう。なお細かい問題もあるのでございますが、長官のお時間もございましょうから、経企庁長官結構でございます。ありがとうございました。  再び土地の問題に戻りまして、先ほど来申し上げておるわけでございますが、いずれにしても六十三年度から相当な金額、規模を売却しなければならない、そういう事態に迫られておるわけでございます。そこでこの間から、抑制か公開入札原則かというような問題の中で、高く売るか抑えるか、ここら辺の問題について論議が交わされてはおるのですが、いずれにしても基本的にどうもはっきりしない。  特に国土庁長官の方にお伺いをいたしたいのでございますが、これからいろいろ協議をする、あるいは運輸省とも知恵を出し合ってというお話でございますけれどもへ今申し上げましたように、実際六十二年度から現在の倍以上の、六十三年度になりますればざっと六倍規模の土地が売却されようとしているのでございますから、これはどうしても基本的な方針をどこかで詰めていただかなければならない。一体いつごろをめどにして運輸省との協議をまとめようとしていらっしゃるのか、これだけはどうしてもお伺いをいたしておきたいわけでございます。
  121. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 先般の委員会でも石田先生から御質問をお受けいたしまして御答弁申し上げましたが、今度の国鉄の用地に関しましては、今度の法案が通りました後で、国鉄の清算事業団その他に設けられます用地の処分の審議会、これらでいろいろと協議いただくわけでありますが、そういう機関とも十分協議をさせていただきながらこの方向を相談してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  122. 石田幸四郎

    ○石田委員 そのお話はこの間も伺ったわけでございまして、私が申し上げますのは、土地売却の量的な問題はもう迫られてきているわけでございますから、これは仮に抑制が強く働いて一〇%ぐらいの影響が出ますと、実に八千五百億ぐらいの影響力が出てくるわけでございます。そうしますと、意地の悪い言い方をいたしますと、抑制が強く働くことによって国民負担が八千五百億ふえるというようなことになってしまうわけでございまして、現内閣の中でその方針を御決定なさるのがどちらに主導権があるのかわかりませんけれども、仮に国土庁だとしますと、国土庁長官は大変な責任を負わなければならぬわけでございまして、やはり時期的な問題を、ここまではこの段階においてははっきりさせるということがなければこれは特別委員会の審議も前へ進まない、当然参議院の段階でもまた問題になるということになってくると私は思いますね。いま一度御答弁をお願い申し上げます。
  123. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 先般からもお話し申し上げておりますように、この国鉄用地の売却がなされますことは当然国鉄として必要なことだと認めておりますが、そのために周辺の地価が異常な高騰をしないようにという配慮をしていかなければならない、こう申し上げておるわけであります。  従来からも国土庁は、国公有地の処分に当たりましては、その土地関係のあります地方公共団体の開発計画等との調整、あるいは土地騰貴につながらないようにいろいろの条件をつけていただくようなお願いをしたり、また場合によっては高騰いたしております場合にはその時期あるいは地域についてしばらく見合わせていただくとか、いろいろな関係のことをその場その場でいろいろ御要請をしたこともございます。したがいまして今回の場合も、今、清算事業団の処理に当たりましていろいろの問題が出てきた場合には御相談をしていく場合もあり得るのではないか、こう申しておるわけでございます。
  124. 石田幸四郎

    ○石田委員 林審議官の方にお伺いしますけれども、今申し上げましたように、たしか今までの計画ですと六十二年度は売却規模は三千億程度ですね。六十三年以降はどのぐらいの規模になるというふうに思っていらっしゃいますか。
  125. 林淳司

    林政府委員 六十二年度の概算要求で、清算事業団の自主財源の一つとしまして土地売却収入三千億というものを一応計上しております。これは暮れの予算編成の段階までにさらにもう少しよく詰めまして、この三千億に少しでも上積みできるかどうかということについても検討したいと思っておりますが、現段階では三千億程度。これは、今までも国鉄の資産充当という形で毎年土地を売却しておりますけれども、これの実績が、予算上は千六百億でございますが、大体千五百億程度でございますので、それの倍程度は初年度消化できるかな、こういう考え方で計上したわけでございます。  その後につきましては、現段階ではまだ確たる数字を詰めておりませんが、徐々にふやしていきたいということで、最終的には十年程度をかけて土地売却についての処理を終わりたいというふうに考えているわけでございまして、二年度目以降の確たる金額はちょっと今の段階ではまだ算定しかねるという状況でございます。
  126. 石田幸四郎

    ○石田委員 今運輸省の土地売却の計画について伺いましたが、六十三年度以降はまだ計算をしていらっしゃらない。これはむべなるかな、やむを得ないことであろうと思うのですが、しつこいようでございますけれども、六十三年以降になりますとどんなことをしても五千億は下らないわけですよ。それで、既に随意契約、一般公開入札と、こう出ましたですね。方法は出てきたのだけれども、そうすると、八兆五千億の予定価格と申しますか、一つの試算でございますけれども、これもどうもはっきりしない。これで一体国民の皆さん納得されるかなという感じがしてならないわけなんです。  いずれにしても、いろいろな工夫をしなければならないことは私どももわかっております。ですから先般取り上げたのは、大型整備を必要とする箇所は何カ所ぐらいありますかということに対して、たしか百カ所ぐらいというようなお話もございました。その百カ所を想定してみますと、地ならしをしておいて、半分なら半分は一般公開入札、半分なら半分は随意契約というようなことになっていくわけですよ。だから、その間におきますいろいろな工夫の仕方はあるかもしれないけれども、あるいは先ほど長官がおっしゃった、今この地域においては大変土地の高騰があるからむしろ売るのを後ろの方へずらしてくれというようなことになりますれば、これは国土庁の御要請はわかるにしても、しかし今度は運輸省の方は、年間に一兆二千億規模の土地をぽんぽん売れるかというとそうはならぬでしょう。やはり平均的にいく以外にない。そうすると、やはりそこに何か方向性がはっきりしなければ、資産処分のめどというものあるいは国民負担分というもののめどは出てこない。今の国土庁長官のお話でございますと、三年後になるか五年後になるかわからないわけでございますから、これじゃだめだと思うのですね。少なくとも事業団の事業がいわゆる発足する来年の三月ぐらいまでが一つのめど、あるいはまた、一年ぐらい積極的にこういうものを処理してみて、一年ぐらい経過した六十三年の三月末ぐらいか、いずれにしてもそこら辺で方針を出さないことにはその後のめどは出てこないはずなんですね。そういう意味で私は申し上げておるわけですが、いかがでございましょう。
  127. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 一説には、一斉にばっと売り出した場合には地価が下がるのじゃないかというような説もあるのです。だから、この売り方の問題とかその他もいろいろ絡んでまいると思うわけでございまして、運輸大臣がいろいろ御答弁になっておりますような点、また今後国鉄の中にあります清算事業団の方向、それらを刻々に御相談をしたり各関係省庁と協議をしながら、国鉄の資産が国民のためにうまく売却できますように、また同時に周辺の地価が暴騰しないように、その辺の知恵をこれからお互いに協議をしてやっていく、こういうことだと思います。
  128. 石田幸四郎

    ○石田委員 それ以上話は詰まるまいと思いますから、これでやめましょう。しかし、そういうような危惧がどうしてもこの法案を審議している中にあったということをよくよくひとつお心にとめていただきたい。国民の皆さんにも同様な心配があろうかと思います。私が申し上げているのはかなり単純論理であるというようなおしかりを受けるのかもしれませんけれども、しかし極めて大事な問題でございますので、よくよく留意をされたいということを御要望いたしておきます。  それから運輸大臣の方にお伺いをいたすわけでございますが、土地信託の問題についてでございます。この間御答弁もいただきましたが、我が党の委員の御質問に対して、もし土地信託方式を導入する場合、その実施の詳細については政省令で規定しなければならない、このように林審議官が答弁をされておるわけでございます。そしてそれは、もしこの方式が導入することになればという前提条件でそういうふうにおっしゃっておると思うのでございますが、私その場にいなかったものですからちょっとそこの点お答えいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  129. 林淳司

    林政府委員 おっしゃるとおり、将来いろいろ検討を行いまして、その結果、直ちに売却するよりはその方が有利であるというふうな確たる信証が得られればそういうこともあり得るという、将来の仮定の問題として申し上げたわけでございます。
  130. 石田幸四郎

    ○石田委員 そうしますと、運輸大臣、これは総理大臣からも、土地信託方式もあるよ、一つは土地価格高騰抑制という意味合いも含めてそういうことをおっしゃったわけでございますが、今の審議官のお話でございますと、これは将来検討であるというようなニュアンスでお話が出ている、したがって今のところは省令にも書いてない、こういうようなお話なんでございます。運輸大臣としましては、総理答弁もあったのでございますが、これはあくまでもやはり今後の検討課題というふうに思っていらっしゃるのか、あるいは総理がそこまでおっしゃったんだから検討を直ちにするというふうにおっしゃるおつもりなのか、ここら辺はいかがなものでしょうか。
  131. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは先日、総理を横に置いてと申し上げては総理に大変失礼でありますけれども、総理もおられる委員会の席上で、私は信託というものの可能性は否定いたしませんということは確かに申し上げました。  ただ、清算事業団の土地の処分、これはあくまでも、繰り返し申し上げておりますように、一つは将来における国民に御負担を願わなければならなくなるかもしれない金額を少しでも減らすためにも、また本当にその不動産の処分というものが疑惑を呼ばないようにするためにも、公開競争入札というものの基本というものを私どもは崩すつもりを持っておりません。そして、随意契約で地方公共団体等に譲り渡す場合につきましても適正な地価が前提であることは当然でありますし、しかも、それは国民がどなたも疑われないような、道路でありますとか本当に国民の用に供されるというものが明らかなケースというもののみを想定して実は私は随意契約の話を申し上げてまいりました。そして、その時点でも私は総理の目の前で申し上げており、総理もそれを御否定になってはおりませんから、私どもとしてはまさにその信託の方法による運用の可能性というものを完全に否定するものではございませんけれども、現時点における検討の結果によれば、信託というものが通常長期間のものが多く、またその信託によって得られる配当というものが清算事業団の債務の元利償還額に見合うかどうかという問題があり、現段階においては慎重に考えざるを得ないと考えております。  なお、今国土庁長官に御論議になっておりましたさまざまな想定について、私も横で拝聴いたしておりましたが、そうした具体的な処分についての問題としては、先般来の御指摘もあり、清算事業団に置かれる資産処分審議会において私どもとしては検討してまいることを考えております。
  132. 石田幸四郎

    ○石田委員 国土庁長官、もう結構でございますから。  そうしますと、資産処分委員会が正式に発足した時点でこの土地信託問題も検討をする、こういうことになりましょうか。
  133. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 土地信託問題も検討をする可能性のテーマであります。
  134. 石田幸四郎

    ○石田委員 そうしますと、少なくとも六十二年三月末まではなおこれは検討事項として残るんだ、土地信託方式というものはその後の検討の中に入るんだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  135. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先般もお答えいたしましたように、実は私どもは、この清算事業団による用地処分というもの、いろいろなケースを今までも検討してみてまいりました。そして例示で申し上げましたように、ある地方公共団体から借りたいというような御要望のあったケースまで含めまして、実は信託の場合でもどうやっても元利償還に満たないという結果しか出てこなかったというのが従来の検討の結果であります。それだけに、私は決して検討の可能性を否定するものではございませんけれども、早急に動き出すものとも考えておりません。
  136. 石田幸四郎

    ○石田委員 大分わかったようなわからぬような話でございますが、いずれにしても、現段階一つの方法としては考えられるかもしれないけれども、今考えていない、こういうことだろうというふうに理解をいたしたいと存じます。  次に、用地の貸し付けの問題について若干お伺いをいたしたいと存じます。  先般私の方で資料要求をいたしましたところ、一万平方メートル以上の用地貸し付けが十六件、一万以下の貸付件数が四万七千件、このようにあるというふうに言われておるわけでございます。この中で、これらも売却の対象として考えているというような御説明があったのでございますが、これを両方合わせてみますと、一万平米以上のものが三百十四ヘクタール、それ以下のもの四万七千件で三百九十八ヘクタール、合計で七百十二へクタールになると思うのでございますが、このうち売却予定の土地はどのぐらいと見ていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  137. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 実は、先般国会に御提出申し上げました現在の作業の結果における売却予定用地三千三百三十ヘクタールと申しますのも、ごく最近把握をした数字でございます。そういった中で、今どこにどれだけ貸付地があるかということにつきましては、ごく概数になるということを御承知おきいただきたいと思いますが、おおむね百五十ヘクタールあると把握をいたしております。
  138. 石田幸四郎

    ○石田委員 この貸し付けの中で百五十ヘクタールぐらいが、したがって七百十二ヘクタールのうちの五分の一ぐらいになりますね、二〇%強が売却予定になっているようでございますが、この百五十ヘクタールのうち事業団に返還してもらってそれから公開入札するもの、それから使用状況等によって返還を求めることができない、したがって随意契約になるもの、引き続き貸し付けでいかざるを得ないもの、こういう三つのケースがあろうかと存じますが、それでいいかどうか。それから、それぞれそれが百五十のうちどのぐらいのパーセントになるのか、お答えをいただきたいと存じます。
  139. 杉浦喬也

    杉浦説明員 売却予定の中の貸付地につきまして今先生がおっしゃいました今後の方法でございますが、これは原則といたしまして今使っておる使用者に全部返還を求めます。その返還につきましては原状回復をして返還を求め、それから返還をされましたらこれを公開競争入札に付する、こういうのが原則でございます。ただ、貸し付けの相手方が地方公共団体等の場合がございまして、いわゆる公共的な使用が行われておる、そういう貸付地がございますので、この場合はいわゆる公開競争入札ということにしない、原則の例外としまして、今までいろいろと議論がございましたが、公共的な目的に使用されるという場合には随意契約の対象となり得るということでございます。  いずれにいたしましても全部返還を求めるということでありますので、原則として貸付地を継続して貸し付けをするということは考えておりません。
  140. 石田幸四郎

    ○石田委員 貸し付けはもうしないのだというお話でございますから、それはよろしゅうございましょう。  ただ、この随意契約のうち、例えば地方自治体等公共用地に使うもの、これは随意契約の答えが出ているのでございますが、現在貸しておる中には民間に貸し付けておるものもあるように思うのですね。そういうもので売却せざるを得ないもの——ちょっと総裁のお答え、これは民間の場合でも随意契約の分は残るのじゃないでしょうか。
  141. 杉浦喬也

    杉浦説明員 全部返還を求めますので、その売却予定用地の売却方法につきましては、これは一般論になってくるわけでございますが、今まで運輸大臣その他から御説明ございましたように、いわゆる公開競争入札が原則であり、公共的な用に供する場合に、これはいずれ省令で決まることになると思いますが、随意契約もあり得るということでございますので、一般の民間の場合には随意契約はございません。
  142. 石田幸四郎

    ○石田委員 ちょっとおかしいんですけれどもね。この資料を見ますとそんなふうには考えられないのですが。例えば電力会社あるいは私鉄の連絡設備、線路敷あるいは自動車の駐車場、こういうのなんかもあるんですけれども、これは返さして、そして一般公開入札にしちゃうんですか。こういうのは細かいのがたくさんあるんじゃないですか。
  143. 杉浦喬也

    杉浦説明員 その点が若干、例外の中のまた例外でございますが、例えば私鉄に現在貸しておりまして私鉄との間で連絡運輸を行っておる、そういうような場合に、これは公共的に使っているということで、この場合に随意契約もあり得るかと思います。
  144. 石田幸四郎

    ○石田委員 細かいやつ、四万七千件もあるわけですから、それを一つ一つ出せなんと言ったってこれはどうしようもない話ですからそんな要求はいたしませんが、特に民間に対して随意契約でも払い下げざるを得ない場合ですね、この委員会でもしばしば問題になっていたように、不当に安い価格で売却をされるということのないように、あるいはそれが転売されて国民から指弾を受けることのないようにというようなことでの質疑があったわけでございますが、そこら辺のことは十分配慮しながらやっていただきたいというふうに思いますが、いかがでございますか。
  145. 杉浦喬也

    杉浦説明員 随意契約の場合におきまするやり方はもう全く公正が第一番でございまして、今までいろいろと御答弁申し上げましたように、公開競争入札によるもの以外の随意契約にありましては、あくまで近傍類地価格その他適正な時価を基本といたしまして予定価格に組むことになろうと思います。
  146. 石田幸四郎

    ○石田委員 四万七千件の中の細かい問題を議論してもしょうがありませんので、それだけの時間もないでしょうから、その問題については特にそういった点御注意ありたいということで、御要望だけ申し上げておきます。  次に、貨物鉄道の問題についてお伺いをするわけでございます。  私が今手元に持っておりますのは、日本国有鉄道が発行いたしておりますところの「R」という小冊子、十月号でございます。この中で「活力ある貨物鉄道をめざして」というので、岡田務理事と読売新聞の論説委員松井さんとの間でいろいろと対談が交わされておるわけでございます。この岡田務理事の弁明といいますか、貨物鉄道全国一本にしなきやならないということのいろいろなお話が出ているわけなんですが、どうもこれを見ても、従来私どもが主張しておりました旅貨併合、その立場からこれを考えてみますと、どうしても貨物だけを別にしなきやならないという理由があんまりはっきりしないと思います。そういった意味で、これから若干質疑をお願いをいたしたいと思います。  まず、岡田務理事は、旅客と貨物ではレールを使って輸送することは同じであるが、営業の対象もそれぞれの輸送の方法も違うということを挙げていらっしゃいます。「違うものを一緒にやろうとすると経営責任がどうしても不明確になるので、むしろその特性を明確にし、経営責任をはっきりさせ、コスト意識を高めて、独立採算でやっていけるようにして活力ある会社にする、というのが旅客と貨物を分ける基本です。」というふうにおっしゃっておる。さらに、それだけならば貨物も六つの会社に分けてもいいではないかということが考えられるが、貨物輸送には特色がある。一つには、輸送距離が平均して八百キロメートルになるコンテナ輸送などは全国的な規模で動いている。そしてその中で、さらにもう一つの本質的なことは、貨物は片道輸送である、どうしても空車で帰すわけにはいかないという特質があるんだ、全国的に見て物資の流動もあるから何かを載せて帰りたい、そのためにはばらばらの会社でやるよりも全国一本の会社でやった方がやりやすい、こういうようなことを挙げていらっしゃるわけでございます。しかし、貨物輸送は距離が長いといっても、長いだけならブルートレインの例もあるわけでございますので、余りこれは分けるような理由にならぬのじゃないかなというような気がしてなりません。  さらにもう一点挙げていらっしゃるのは、石油、セメント、石灰石などの専用貨物の大部分は一旅客会社内で完結しておる、むしろそういった点を岡田務理事も触れられておるわけでございます。それについては、石油とかあるいはセメントとか石灰石とかそういうものは比較的距離は短いんだけれども、それをやっている会社、これは全国的に物流が計画をされておるわけでございますから、やはりこれは全国一本で扱った方が、その他のそれぞれの会社、例えば石油会社なら石油会社に対しての利便の提供にもなるわけであるから、全国一本の貨物会社の方が対応しやすいというようなことをおっしゃっておるわけでございます。  しかし、これは私はちょうと言葉足らずではないかなと思うわけでございまして、いずれにしても、そういうような条件が仮にあったとしても、それは特に貨物会社だけを別に取り出して一つの機構をつくらなきゃならないという理由にはならないのじゃないか、こういうふうに思うのでございますが、これに対してどう反論をされますでしようか。
  147. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 対談でできるだけ易しくと思いましたので、舌足らずの点たくさんあったと存じますので大変失礼いたしましたが、まず先生御指摘の、一社の方がいいのではないかというふうに私が申しました点は、申しました点のほかにいろんなことが考えられます。確かに、トラック輸送等におきまして、共同してあるいは荷物をあっせんしながらやっておられる業者もたくさんございます。また、大きな物流業者の中には、各支店を展開いたしましてやっておられます。それぞれを私、批判する力もございませんし、それぞれ皆さん方一生懸命やっておられることでございますが、私、鉄道貨物だけを考えてみますと、先ほど申しましたような片荷のほかに、実はそのためのいろんな操配、例えばコンテナが偏るあるいは貨車が偏るというものの操配、そういうものが当然起こってまいりますが、そのほかにも、実はダイヤの編成を行う場合に、個々に地方地方でやるよりも、そのニーズを一本でつかんでやった方がはるかに編成の仕方が易しいというふうに私は考えております。  それからまた、収入精査におきましても、これは収入精査する場合には、通過するだけのところもございますので、やはり客貨をきちんと分けなければ収入精査ができません。その場合にも、旅客の中の貨物、また貨物対貨物というふうにつなぎ合わせるということは、また大変複雑な操作を要するのではないかというふうに私は考えております。あるいは、運賃を実際に適用する場合の弾力化の問題、あるいは発本位では営業できませんので、発本位にならないような営業の仕方とか、あるいは物流業者自体の連携だとか、いろいろ取りまとめてばらばら申しましたけれども、もちろん組織論でございますのでいろいろ考え方ができると思いますけれども、そういうものを勘案いたしまして私は全国一本の方がよりベターではないか、そんなふうに考えております。
  148. 石田幸四郎

    ○石田委員 よりベターであるということは、要するに一本の方がやりやすいであろうということで、旅貨併営ができないことではない、こういう議論にもなりますね。その点、何か大きな欠陥がございますか、いかがですか。
  149. 杉浦喬也

    杉浦説明員 基本的な考え方といたしましては、旅客と貨物というものを今まで一緒になってやってきたわけでございますが、貨物部門におきまして非常に大きな赤字が出る。そうした赤字をどういうふうにしてきたかといいますと、結局一種の内部補助で全国的な旅客部門、特に黒字部門で補ってきてしまった、こういうのが今までの実態でございます。  経営というものを考えますと、やはり旅客の輸送と貨物の輸送は非常に違いますので、こうしたものをはっきりと分離いたしまして、貨物は貨物なりにしっかりとしたコスト計算及び収支バランスというものを見る必要があるという意味におきまして、まず客貨というものは分離をする必要があるというふうに思うわけでございます。さらにまた、これを旅客のように分割した方がいいのか一本化した方がいいのかという議論につきましては、今岡田常務が一、二、例を挙げて申し上げましたとおり、貨物輸送の特殊性からいいまして全国一本の方がいいという結論になったわけでございます。
  150. 石田幸四郎

    ○石田委員 この雑誌の中で岡田務理事が挙げられているのは、こういうことをおっしゃっているのですね。石油とかセメントとか石灰石などを輸送せしめる企業がその他の鉄道輸送の商品を利用している、そういった意味全国的な対応が必要である、そのために貨物一会社案の方がいい、こういうようにおっしゃったのでございますけれども、私はそこのところはちょっと疑問なわけでございまして、石油なら石油を運搬をしている会社がある、そしてその他のものについても鉄道輸送を利用している、こういう話なのでございますけれども、石油を運ぶのにコンテナを利用した場合、何か他の商品分を割引するというようなことには基本的にならないのではないか。専用列車は専用列車の運賃、コンテナはコンテナの運賃であるはずでございますから、こういうものは会社対貨物会社というような契約ではなくて、やはり一本一本の運賃ということになるわけではないか、こういうふうに思うわけでございますが、これはいかがでございますか。
  151. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 先生御指摘のように、契約としましてはコンテナあるいは車扱い別々でございますが、例えばの例で大変失礼でございますが、石油でも北海道で冬季に送る場合大変困難な輸送になります。また、メーンの太いところで送る場合どうするんだということを、我々はもちろん個別に契約するわけでございますが、相手は全国的な規模で物流を考えそして物流に対応しているわけでございまして、それに対して我々がどういうふうに対応したらいいかということでございますので、まず卑近な例で言いますと、損したり得したりということを各地で展開いたしております。そういう場合、全体的な総合的な物流をお互いに考えて仕組みをつくって、全国的な規模で展開した方がよりやりやすいと思いますし、現にそういうやり方で基本的な輸送を考えてやってきております。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  152. 石田幸四郎

    ○石田委員 それじゃちょっと話が違うのじゃないでしょうか。運賃料金の問題について、国有鉄道改革法等施行法案に基づく運輸省令案要綱が出ておりますね。これを拝見をいたしますと、「貨物会社鉄道事業運賃及び料金の実施に関し運輸大臣に届け出る場合に添付する書類は、貨物会社が実施する運賃及び料金が日本国有鉄道が実施していたものと同一であることを説明する書類とすること。」というふうになっておるわけでございまして、これはいわゆる認可料金でございましょう、あるいは認可の運賃であるわけでございまして、一つの会社全国的にいわゆる貨物会社がお得意にするから、そういったものも勘案してこっちはまけたりこっちは基本べースでいったりというようなことは、この認可運賃の制度からいけば極めて違背しているということになりませんか。いかがですか。
  153. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生がお述べになりました運輸省令でございますが、これは施行法によりまして移行時の経過措置を定めております。すなわち、貨物運賃につきましても、将来と申しますか、原則としてこれは認可運賃でございますけれども、この経過措置によりまして、その移行時点で従来国鉄が実施をしていたのと同一の運賃である場合にはこれをみなし規定でもって認可は要らない、不要にするという経過措置を設けたわけでございます。その同一であることを政府として確認するために、この省令にございますように「同一であることを説明する書類」を遅滞なく出してくださいというふうにしておるわけでございまして、あくまでこれは移行時点で同一運賃ならば認可があったものとみなすという経過措置であります。したがって、その後におきましては、これは会社経営判断でいろいろな運賃体系が考えられる、会社の自主判断で運賃が設定されるということでございます。
  154. 石田幸四郎

    ○石田委員 今の問題は違った角度から御質問しようと思ったのですが、しかし、従来はそういうような運輸省に届け出をした認可料金、認可運賃であったわけですね。そうすると、今国鉄でやっているのは、大きな会社があって、それが国鉄さんのお得意であるから、一本一本の契約ではなくてそれ以外に運賃をまけているというケースもあるということですか。
  155. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 現在の運賃の中で会社別に割引をしていることはございません。石油なら石油ということを、どこからどこの石油について、それが大量であり定型でありあるいは季節であり、そういう面を勘案して割引をいたしております。会社別には割引をいたしておりません。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  156. 石田幸四郎

    ○石田委員 そういうことになれば、先ほどの原則論が消えてくるわけでございまして、まあいいでしょう、そこら辺いろいろ議論していても始まりませんから、違った角度から少し議論を申し上げたいと思います。  先ほど、ダイヤ編成の問題が出ました。私は前回も議論をいたしましたけれども、何といったって設備そのものは旅客会社が保有をいたしておるわけでございますから、このダイヤ編成権というのは、貨物会社はその優位性というものが旅客会社よりも少ない、こういうふうに見ておるわけですね。したがって、ダイヤ編成の場合を考えたときに、貨物会社が、例えば東京から福岡へ行く場合、東日本から東海、西日本、九州と四社に交渉しなければならぬわけですね。旅客会社と貨物会社が併営の場合は三社交渉で済む、こういうような問題。それから、清算事務あるいは連絡事務も、貨物と旅客を併営した方が一段階減少することができるはずでございまして、そういった意味でも事務の簡素化にもつながる、こういうふうに私は思うわけでございます。ここら辺の問題は、貨物会社一本で別にしようというときにはそういう議論は全くありませんでしたか。
  157. 杉浦喬也

    杉浦説明員 旅客会社と貨物会社との相互関係におきまして、清算事務あるいはダイヤの変更におきます協議、いろいろな角度から調整を要する事項がたくさんございます。そういう場合に、今先生おっしゃいましたように、旅客会社だけでそれぞれ貨物を持っておれば手続は貨物一本のものよりはやはり簡単ではないかというような見方もあるいはあろうかと思いますが、また別な見方からいたしますと、貨物会社一本、それが六つの旅客会社に相談をすれば足りるというような見方もございますので、これはどちらが手続、経費その他簡便であるかはなかなか一概に言えないと思います。
  158. 石田幸四郎

    ○石田委員 私はそれではなかなか納得しませんので、前回もちょっと触れましたけれども、例えば貨物専用の運転士の人が三千人おって、そして、その一五%ないし二〇%が受託、委託ということで貨物会社、旅客会社両方の運転を兼務する、こういうふうに言われておるわけですね。こういった点を考えてみても、併営の方が簡単だ、清算事務の手続もする必要がない、こういうふうに思わざるを得ない。  それで、これをさらに聞いてみると、貨物会社一万二千五百人、この要員の中で、現実に駅などでは切符を切った人が荷物の扱いあるいは整理等もするというような話も聞いておりまして、恐らく一万二千五百人ぐらいの中で一〇%から二〇%ぐらいの間で要するに旅客会社の仕事もするし貨物会社の仕事もするというような話も聞こえてきているわけですね。そこら辺、受委託の関係、仕事がふくそうする部門は、貨物会社の中で、一万二千五百人のうちの今私が申し上げた一〇%ないし二〇%の人、千二百五十人ないし二千五百人ですか、そのぐらいの人たちが両方の仕事をするという仕組みになっているわけですか。
  159. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 基本は旅客と貨物がそれぞれ明確に責任を分け合って、コスト意識を持ってスタートしようというふうに考えておりますので、貨物会社をつくる場合は、マイカンパニーといいますか自分たちの会社であるというところで、貨物の職員は基本的に貨物の仕事をやるというふうに考えております。したがって、一万二千五百人の要員は基本的にそれだけで貨物の仕事を完結すべきでございますけれども、例えば乗務員の場合のように、線区によっては貨物列車が一日一本しかないというようなところもございますので、そうすると、一本行って十時間も向こうで待つのでは大変不合理になりますので、そういう場合には例えば旅客列車を運転してくる、また逆の場合もあろうかと思います。そういう場合を今いろいろ具体的に詰めている段階でございまして、やはりメーンは一万二千五百人が自分たちの会社であるという意識を持ってやるという仕組みを考えております。
  160. 石田幸四郎

    ○石田委員 基本的な考え方はそうでしょう。それでなければおかしいですよ。だから、私は現実論を申し上げているわけで、聞いてみると、やはりそのぐらいの人間が両方の仕事をするんだというのでしょう。これは違うのですか。
  161. 杉浦喬也

    杉浦説明員 個別の列車の運用なりあるいは駅の使用等におきまして、若干そういう旅客と貨物が相互に受託し委託するというような関係が生ずることは事実でございます。ただ、その辺がどの程度発生するか、余り多くの人数ではないと思いますが、今精査をいたしておる段階でございまして、全体の姿に影響のあるような人数ではないというふうに思います。
  162. 石田幸四郎

    ○石田委員 しかし、ここでの御説明はそうなっておりますけれども、現場でのお話を聞くとなかなかそういうぐあいになっていないのですね。  さらにお伺いいたします。そういうふくそうを避けた方がいいというのが私の趣旨でございまして、それではお伺いするわけでございますが、この貨物会社、要員が一万二千五百人というふうに想定をされておるわけでございますが、この一万二千五百人がそれぞれの社屋に入って仕事をするわけでございましょう。そうしますと、一万二千五百人のうち、収容すべき貨物会社の専用の駅舎といいますか、事務棟といいますか、そういうものがどの程度あるのですか。四国なんか聞きますと、ほとんど貨物会社の建物の中にはそういう場所はないから、旅客会社のそういった建物を借用して、そしてそこへ要員が配置されるのだというふうに聞いております。恐らく北海道あたりだって九州だってそういう傾向が多いでしょう。下手すると一万二千五百人のうちの半分は旅客会社の社屋の中に入って仕事をするということになるわけでしょう。そうすると、その清算事務やなんかいろいろ複雑じゃないですか。どうもそういうことを考えてみると、これは貨物会社をぽんと先に分けちゃった、分けちゃったから今やむを得ずそこら辺のいろんな整理の仕事をしているというような感じがしてならないわけですね。私のこの指摘は間違いでしょうか。
  163. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 先生御指摘四国の貨物につきましては、確かに総勢九十人ぐらいと算定いたしておりますので、確かに駅の中に貨物の要員が一緒になって仕事をすると思いますけれども、それは実は貨物の独自性、コンテナを中心とした貨物がメーンになりますけれども、それをやることにつきましてさらに経営意識を持ち、責任を明確にし、そして営業意欲を持ってやるということについては、旅客の駅舎を借りてやるとしても差し支えはございませんし、また、しかしそうかといって貨物のフロントの駅の資産は貨物会社の資産でございますので、それを使いまして十分やっていけるし、またやらなければならないというふうに考えております。
  164. 石田幸四郎

    ○石田委員 それは質問の観点とちょっと違うじゃないですか。私は、例えばそういった清算事務を行うようなことを考えると、そういうような旅客会社の建物の中に入って仕事をするわけだから、借りた分はこれは清算をしなければならぬわけですよ。四国の例をとると、この九十人というのは完全に貨物会社の建物の中に入って仕事をしているわけじゃないわけですよ。工場だってそうでしょう。貨物の工場に五人か十人配置するというのでしょう。旅客会社の方は百人ぐらいの貨物のそういった工場の要員を持っているわけでしょう。恐らく九州だってそうじゃないですか。北海道だってそういう傾向が出てくる。そういう——まあ、ここら辺でもうやめましょう。  いずれにしても、そういった意味で、政府がどうしても貨物一本化で推すというならば、逆に言えば、貨物の工場に五人や十人配置するというようなことであれば、そういうものは完全に旅客会社の方に委託をしてしまって、そして、むしろその要員を営業なら営業に回して営業活動を拡大していくというような方向の方が私は合理的だと思うのです。今回の国鉄の改革だって、合理性が一つ追求されている大きな柱でしょう。だから、例えば山陰の方を考えてみたって同じような現象が起こるわけでございますから、運転士にしてもあるいはそういった設備要員にしても、そういうものはもう旅客会社に委託してしまう、その方が清算事務やなにか必要ないわけです。簡単にいわゆる人件費幾らというようなことで出てくる方がよりベターではないか、こういうふうに思いますので、この貨物会社の要員の配置についてはもっともっと合理的に弾力的に運用をすべきではないかということを申し上げたいと思うのですが、いかがですか。
  165. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 駅で確かに先生おっしゃる点もございました。しかし、メーンの大きな駅はすべて貨物専用駅でございますので、ここは貨物職員が専用してやっているわけでございます。  そこで、貨物会社をつくる上に一番大切なのは、やはり貨物をやって貨物会社を立派にしていこうという一つの団体ができて初めて貨物会社ができていくというように考えておりますので、そういう意味では、人数が少なくても、あるいは場合によっては四国のように九十人であっても、四国はメーンが石灰石を除きますとすべて本土とのやりとりでございます、そこで一体となって仕事をしていく、そして貨物会社という意識を持ってやっていくということが欠くべからざることだと私は思います。  そしてもう一つは、先生御指摘の、貨物というのはただ販売とか営業だけでございませんで、やはり運転もあれば駅での貨物通知書を切る人もおれば、いろいろなものが総合して一つの貨物の輸送というものが完成されるわけでございますので、そこをみんなが一体となってやるという意識、それがまたこの会社の一番大事なところではないかというふうに考えております。
  166. 石田幸四郎

    ○石田委員 そこら辺の議論は余りしたくないのですけれども、それは一つの理論的な発言であって、じゃ、私鉄の場合を考えてみたときに、私鉄から発生をした例えばトラックの輸送会社あるいはその他のレジャー施設あるいは百貨店、いろいろな部門が発生をしておるわけでございますけれども、それはそれぞれの経営責任をはっきりさせてやっていくわけですよ。そういうようなことを考えると、この貨物会社というのは、ただ貨物会社になったから責任体制が明確になるというものではないと思う。これから貨物会社だっていろいろな関連事業等もやっていかなければならないでしょうから、そういう面ではもっと弾力的に機動的にやる余地がまだまだあるのではないか、そういう意味で申し上げておるわけでございます。貨物会社をつくったから、じゃみんなしっかりするか、そういうものじゃないでしょう。これは四国の例ばかり申し上げて恐縮だけれども、百人の旅客会社の中に十人のあるいは五人の貨物会社の人がいて、それでおれは貨物会社を担って立っているんだとは——やる仕事は一緒なんですから。そういうようなことも御指摘を申し上げておきたいと思います。  いずれにしても、そこら辺は、どうですか総裁、もう少し貨物会社の人員の配置あるいは業務のあり方、委託できるところはもう委託してしまうというぐらいの弾力的な発想があってもいいんじゃないかということについてどういうお答えがございましょうか。
  167. 杉浦喬也

    杉浦説明員 先生からいろいろと今貴重な御意見をいただきまして、要は、いかにして人件費を含めました経費を効率的に運用し、これを安くするかという点でございます。要員の運用に当たりましてもそういう気持ちで効率的な運用を図る、そういう方向は先生と全く同じだと思いますが、そういう方向で努力をしてまいりたいと思います。
  168. 石田幸四郎

    ○石田委員 もう余り時間がなくなってきましたけれども、今の国鉄の貨物会社を考えてみますと、要するに、荷物は通運業者が集めてそしてそれを運んでおるというようなのが現実であろうかと思いますが、ここら辺の関係はどんなふうにお考えになっておりますか。貨物会社そのものが要するに荷を集めるような、そういうような営業方式もこれからどんどん拡大をしていくのか、あるいはまた通運業者に主としてそういった貨物の集配等は依頼をしていくのか、そういった点はどんな方針でございましょう。
  169. 杉浦喬也

    杉浦説明員 コンテナの関係とそれから物資別専用輸送の関係とちょっと事情が違いますが、コンテナの関係では、今までの物流業界、通運等の集荷力を十二分に生かしながら、それでほっとくわけじゃございません、貨物会社も十分に荷主とコンタクトをとる。それから物資別の問題は、これは従来ともに国鉄自身が荷主と直接折衝しております。したがいまして、物流業者とよく連携をとりながら、なおかつ貨物会社の主体性を持って販売をしていくという方向でございます。
  170. 石田幸四郎

    ○石田委員 この問題、いろいろ議論していくと話が細かくなりますから、これ以上いたしません。いずれにしても、ひとつ貨物会社の運営に当たっては、どうか機動的に合理性を追求しながらやっていただきたいことを要望申し上げておきます。  次に、出資会社の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  国鉄が出資している会社が全部で百二十二でございますか、この中で国鉄が筆頭株主である会社は何%ぐらいでしょうか。
  171. 長谷川忍

    長谷川説明員 出資会社百二十二社ございますが、そのうち筆頭株主である会社は百十三社でございます。
  172. 石田幸四郎

    ○石田委員 この百十三社の中で赤字が計上されている、累積赤字で結構でございますけれども、そういう会社がどのぐらいございますか。
  173. 長谷川忍

    長谷川説明員 先ほど申し上げました筆頭株主である会社百十三社でございますが、そのうち累積赤字会社が合計で四十七社ございます。ちょっとこれの内訳を申し上げますと、四十七社のうち現在営業中の会社が三十八社ございます。それから未開業が九社、合わせて四十七社、以上でございます。
  174. 石田幸四郎

    ○石田委員 これらの会社の中で七社別にその資産が継承されるもの、これをできれば御報告を願いたいわけでございます。交通公社のように全国規模のものについては今後七社別に資本を持つというふうに振り分けをするのかと思いますが、そこら辺の実情について御報告をいただきたいと思います。
  175. 長谷川忍

    長谷川説明員 出資会社百二十二社を七社に分けまして申し上げますと、北海道が四社ございます。それから東日本会社が五十社、東海会社が六社、西日本が二十五社、九州が五社、それから貨物会社が二十六社、差し引き六社が全国規模の会社でございまして、これにつきましては今株式をいかに七社に引き継ぐか、その辺は検討中でございます。
  176. 石田幸四郎

    ○石田委員 さて、その中で心配なのは特に赤字会社の問題でございます。旅客会社もしくは貨物会社が、現在赤字を出している出資会社に対して将来この赤字を到底負担できない、こういうふうに判断をした場合に経営から手を引きたい、こういうふうになったときに、これはあくまでも新会社の長の判断によるのか、あるいは運輸省はこれに対して何らかの行政指導的なものをするのか、ここら辺についてはどんなお考えでしょうか。
  177. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは委員が御承知のように、国鉄がその業務運営に必要がある場合また財政上に必要がある場合に今まで運輸大臣の認可を受けて関連会社に出資をしてきたわけであります。ですから、こうした関連会社への出資の必要性というものは国鉄改革によって直接的に影響を受けるものではないと思いますから、分割民営に際して新会社に出資の株式を承継させることとしたのは今国鉄当局から申し上げたとおりであります。  ただ基本的には、将来にわたってその出資を継続するかどうかというのは、これは赤字であるかないかとかは全く別の問題としてそれぞれの新会社経営方針にかかる問題でありますし、新会社経営者の判断にゆだねることになるものと私は理解をいたします。
  178. 石田幸四郎

    ○石田委員 なるほど運輸大臣のおっしゃることごもっともでございますけれども、あくまでも従来国鉄の業務に関連して出資会社ができている、そう簡単に手放すわけにはいかないというようなことにもなるかもしれませんけれども、しかし北海道九州経営が問題になっているわけでございまして、そういうものが赤字を生むということになりますと、これは本体の方で責任を持たなきゃならぬというようなことになりますね。そういうものの赤字が拡大をされていくということになりますれば本体の方の経営にも響いてくるわけでございまして、責任を持たなければならぬわけですから、そういった意味で私は将来の問題として申し上げておるわけですね。これは原則はあくまでもやっぱりその新会社の長の判断になりましょうか、いかがですか。
  179. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、御指摘の問題はなるほど考えておかなければならぬなと思います。しかし基本としては、その会社赤字であるなしにかかわらず、今後の関係を継続するしないというのは私は新会社経営方針になるものと思います。
  180. 石田幸四郎

    ○石田委員 わかりました。  さらに話をほかの問題に切りかえておきたいと思いますが、新幹線が東海道新幹線から山陽新幹線に延び、上越、東北の新幹線ができたわけでございますが、いわゆる山陽新幹線ができて東京から博多まで新幹線がつながっておるわけでございますけれども、今までの乗客のふえ方を見ておりますと、五十七年から六十年までの間四年間で約八百二十八万人、一年間で二百七万人ふえておるわけでございます。これがあと十年ということを想定してみますと、まあこのまま推移するとは考えられませんが、単純計算でいきますと二千万人からふえて一億五千万人時代になってしまうというようなことが考えられます。そして、一時新聞などでも話題になりましたけれども、やがてこの東海道新幹線が走っている線区というものは六十年代末ではパンクするのではないかという予測が出まして、そしてそれに伴って中央新幹線構想が必要ではないか、こういう議論がされたことがございました。  そういう意味で、この東海道新幹線が走っている線区の許容量というのはこの十年間で心配はないのかどうか、ここら辺についての御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
  181. 須田寛

    ○須田説明員 東海道新幹線が最近二、三年お客様が順調にふえていることは事実でございますが、最大のピークでございましたのは昭和五十年でございました。実は、東海道新幹線だけで申し上げますと、その後お客様がどんどん減りまして、昭和五十四年がボトムであったわけでございますが、その後微増いたしまして、現在最盛期の昭和五十年に対しましてようやく昨年度で八七%まで復元したという状況でございます。  今後の問題でございますが、昨年は非常に順調でございましたけれども、これはつくば博等のいろいろ特殊要素がございましたので、やや異例と存じます。したがいまして、これから私どもはさらに数年先を見通しました場合には恐らく横ばいであろう、その後も空港の整備でございますとかあるいはその他の状況等を考えますとそれほど大きな伸びが期待できないというふうに考えておりますので、私どもは今のところ輸送力の限界に達する時期というのは相当先ではないか、当分問題はないのではないだろうか、こんなふうに思っておる次第でございます。
  182. 石田幸四郎

    ○石田委員 そうしますと、仮に輸送量がふえた場合にはどんなふうに対応されますか。今新幹線、東京から名古屋の間はひかりが一時間四本ないし五本、四本原則ですか、走っておりますね。かなり過密になっているような感じでございますけれども、これはさらにまだひかりもふやせる、こだまもふやせる、そういう状況なのか、あるいは列車を長くして対応しようとしていらっしゃるのか、そこら辺はいかがでしょうか。
  183. 須田寛

    ○須田説明員 現在、六・四ダイヤという規格を使っておりまして、東京発を基準にいたしまして、一時間にひかり六本、こだま四本が許容できる規格のダイヤを使っております。ところが、現在におきまして実際ひかりを六本全部使っております時間帯は一本もないわけでございまして、お客様の非常に多い時期の臨時列車等でいっぱいになる時期がございますが、ほとんどの時間帯は四本しか使っておりません。それからこだまは四本の規格を持っておるわけでございますが、これも規格を全部使っている時間帯はございませんで、ほとんど二本しか使っていないということでございますので、まだ比較的にはややゆとりがあるという状況でございます。  連結両数につきましては、現在ひかりは全部十六両でございますが、こだまはかつて十六両でございましたものを、お客様が減ったものでございますから現在は十二両にいたしております。したがいまして、これからお客様がふえました場合の対策といたしましては、現在のひかりのあいております規格をまだかなり使えますので、これを使うことと、それからこだま号を場合によりますれば編成増強をすること等まだいろんな余地もございますし、ダイヤパターン自体もまだ変更の余地もございますので、その辺を考えて対応してまいりたい、こんなふうに考えております。
  184. 石田幸四郎

    ○石田委員 もう一点伺いたいのでございますが、そうしますと、この旅客の伸びというのは最大限いきましてもこの線区で一億四千万人台、そこら辺がピークか、こんなふうに想定していらっしゃるのでしょうか。
  185. 須田寛

    ○須田説明員 現時点におきましては、先生の今御指摘ございましたよりもさらに弱気にむしろ実は考えておりまして、一億四、五千万人の段階には達しない。ちょっとこれは人キロベースで私どもいろいろ検討いたしておりますので正確な比較にはならないかもわかりませんが、現在東海道新幹線だけで申し上げますと、山陽を除いて申し上げますと、六十年度で三百六億人キロでございます。私ども昭和六十五年時点におきまして、約三百億人キロということでございますから、むしろ弱含み、横ばい程度に見ておりますので、大体今程度の輸送量が相当まだ続くもの、また、これを維持するのも今のような客観情勢から見ますとむしろ相当施策を必要とするぐらいの感じだ、こんなふうに思っております。
  186. 石田幸四郎

    ○石田委員 それからもう一つ、時間もありませんけれども、他の問題でお伺いをいたします。  前回、私どもの草川委員が御質問をしました愛知県の南方貨物線に関連してお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  この論議をいろいろ聞いておりますと、いわゆる主体工事が九七%で三%ばかり工事が残っておるわけでございますが、一部を旅客会社が利用をしておる、その財産については、あるいは債務については旅客会社が継承をすることになっておる、それ以外の工事の凍結分は清算事業団が引き継ぐということをおっしゃっておりました。  そこでお伺いをするわけでございますが、この清算事業団に引き継がれた南方貨物線、しかもこの間の大臣のお話では、貨物の環境変化で、貨物は東海道本線で十分であるからその必要はなくなったというふうに言われました。そうしますと、一体、これだけ膨大な経費をかけてつくった貨物の設備というものは将来どうなるのだろうか、いつごろどういう方法でなくすことにするのか、あるいは他の利用方法を考えるのか、ここら辺が依然として不明確なままになっておるわけでございますので、その間の考え方をお伺いをいたしたいと思います。
  187. 林淳司

    林政府委員 先般も御答弁申し上げましたけれども、一応私ども試算上は、現在工事凍結分については清算事業団の方に移すという前提で試算をいたしております。ただしかし、これにつきましては、これから移行時点までにさらにその将来の見通しというものをもう少しよく詰める必要があると思います、承継計画をつくる段階までにですね。それで、今後の名古屋の東南部と申しますか、その方面の輸送需要というのはどうなるだろうか、それからもう一つは、現在の東海道本線の輸送余力と申しますか、それがどういう見込みであるかということをさらにもう少し詳細に詰めて、承継計画の段階で最終的にその辺の判断をするということになろうかと思います。  ただしかし、いずれにしても、その段階で旅客会社に持っていくあるいは清算事業団に持っていくということが決まったといたしましても、仮に清算事業団に持っていくといたしましても、将来的にその施設についてどうするかというのはなお清算事業団段階でもいろいろ検討する必要があると思いますし、地元とも十分御相談をしながら、将来見通しを踏まえながら最終的な取り扱いを決定していくということになろうかと思います。
  188. 石田幸四郎

    ○石田委員 そうしますと、今のお話を承っておりますと、どうも早期にということは考えられそうもないので、四、五年ないし十年先に結論というような感じになるのでございますけれども、そんなふうに理解してよろしゅうございますか。
  189. 林淳司

    林政府委員 明確に何年というのはなかなか難しいわけでございますが、一つの節目としては、承継計画をつくる時点での判断が一つあろうかと思います。それから、その段階を過ぎて現実に旅客会社に仮にこれが引き継がれることになりますれば、それは将来的にやはり使うという前提でございますから何らかの使用方法を考えることになりましょうし、それから清算事業団の方へこれを移行する場合には清算事業団においてやはり早急にその辺の見通しをつけるということになろうかと思いますので、明確に何年というのはちょっと難しゅうございますけれども、今すぐどっちかといいますか、その帰趨を決めるということでは必ずしもないということであります。
  190. 石田幸四郎

    ○石田委員 林審議官、さらにお伺いいたしますが、この利用方法を提起するのは、所属が決まりますればその所属の方の提起になると思うのですが、引き受ける場合はあくまでも旅客会社か貨物会社かということになるわけで、やはり採算の問題から、いや引き受けます、引き受けられませんというようなことになるんだと思うのですけれども、しかし、貨物はもうあきらめたということでしょう、これは。そうすると、対象は旅客会社ですな。いろんな話もあることは私も知っておりますけれども、旅客会社が利用方法を確定する場合、決定権が事業団にあるのかということになりますと、いかがなものでしょうか。
  191. 林淳司

    林政府委員 決定権と申しますか、一たんは先ほど申しましたように承継計画をつくる段階で、これは政府が基本計画をつくりまして、それから現在の国鉄で実施計画をつくって大臣の認可をとるわけでございますけれども、その段階での判断、政府あるいは現在の国鉄の判断というものが一つあろうかと思います。それで、あと旅客会社に行った場合には、当然それは旅客会社がどのような使い方をするかということを決めるわけでございますが、清算事業団に行った場合には、清算事業団においてその活用方法等があればそれを検討していくということになろうかと思います。
  192. 石田幸四郎

    ○石田委員 運輸大臣、こういうような問題、まさに氷山の一角かと思うのですけれども、せっかくつくったんだけれども、要するに使い道がないというわけですな。私、思いますに、何百億かけてやったものが利用ができないということで、要するに国民の税金なりそれなりを使ってつくったというふうに考えられなくもないわけですから、こういうようなむだなものをつくったその責任は一体どうなるんだということをついつい考えたくなるということですね。  例えば南方貨物線なるもの、あるいはその他の問題にしてもそうでございますけれども、その見通しを誤った人たちというのは、もう国鉄を卒業して、おらないのじゃないかと思うのですけれども、しかし何らかの形でやはりこれは大きな失敗であったとかいうようなことできちんと記録にとどめるとか、何らかの措置がないと国民の皆さんは納得しないんじゃないかな、こんなような感じがいたしておるのでございますけれども大臣の御意見を承りたいと思います。
  193. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 その責任をということになりますならば、認可を与えたのは運輸大臣でありますから、その地位を継承している私であろうと思います。  ただ、それはそれといたしまして、大部分完成している施設というものを活用して、あるいはそれこそ道路あるいは倉庫等鉄道以外の用途に利用する可能性をも含めてむしろ十分検討する必要があり、今、だからだれが悪かったかと言われるなら認可を与えた運輸大臣の地位を継承する私の責任でありましょうが、むしろ今後どういうふうにしていくかを考えることの方が大切であろうと私は思っております。
  194. 石田幸四郎

    ○石田委員 その議論をしてもしようがないのでお聞きしませんけれども、実際にこれはもうだめなんですよ。壊す以外にない。  そのことは別にしまして、こういった施設に関連してお伺いをいたすわけでございますが、北海道の札幌駅周辺、これは今着々と高架化が整備をされておるわけでございます。今後こういうふうに地方自治体あるいは地域の要望によって高架化の要望等が出てきた場合に、かなりの額になるわけですね。私も岐阜でそういうような要求が起こっていることはよく知っておるのですけれども、考えてみまするに恐らく千億単位の資金になるだろうと思うのです。  札幌を考えた場合に、いわゆる札幌市あるいは道ですか、そちらの方からもかなり地方自治体が負担をしておる。そういうような意味でこの工事が進んでおるわけでございますけれども、将来こういった何百億あるいは一千億に近いような工事を必要とされた場合、その資金の手当てというものは恐らく各旅客会社として手に余るものではないだろうか、こう思います。そういうようなことで、要求が出てきた場合に、政府はそれに対して貸与するとか、あるいはそういったような用意はあるのか、この点を一点お伺いをいたしたい。  それから、特に今年特定都市鉄道整備促進特別措置法が成立をしたわけでございます。これは運賃の一部分のアップを認めて、それを将来の工事費に充当するというようなことでございました。この適用が今度の旅客会社にも適用されるのかどうか、この点について、二点お伺いをいたしたいと存じます。
  195. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 道路鉄道の連続立体交差化事業というものは、都道府県知事が鉄道事業者と協議を行った上で都市計画を行うものであることは委員が御承知のとおりであります。  そこで、ほかの部分を省きまして、今三島というお話がありました。三島会社におきましても、旅客会社が負担する高架工事の負担額は受益相当部分ということでもあり、また六十二年度以降の旅客会社収支試算におきましても所要の費用は見込んでおりますので、今後とも必要な高架化事業というものは実施可能だと考えております。なお、こうした投資については、民間鉄道の場合と同様に、必要な資金の確保については政策金融としての開銀融資などによる対応が考えられると思います。  それから、もう一点御指摘のありました特定都市鉄道整備促進特別措置法、これは理論的には分割民営後の旅客鉄道会社も一応その対象となります。しかし、指定都市で、鉄道工事が東京、大阪、名古屋の都市圏における既存線の輸送力増強のための複々線化等の工事、大規模な工事、その整備期間十年内の工事費がその会社の年間旅客運送収入以上になるものという限定をされておりますところから見ますと、旅客鉄道会社の予定されております運送収入の規模などから見ますと、実質的にはこの法律の適用というのはちょっと想像しがたいのではなかろうか。理論的には適用の対象になります。
  196. 細田吉藏

    細田委員長 石田君、時間が参りました。
  197. 石田幸四郎

    ○石田委員 時間が参りましたからこれで終わりにいたします。  ただ、先ほど来、私問題にしておりましたように、貨物の問題については細かい議論がまだたくさんあるわけでございますが、先ほど国鉄総裁が答弁をされましたように、貨物会社ありきということで無理をして経理上の操作をする、仕組みを複雑にするというようなことは絶対やめてもらいたい。これだけはぜひひとつ留意していただきたいことを申し添えて、質問を終わりたいと思います。
  198. 細田吉藏

    細田委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。  次に、河村勝君。
  199. 河村勝

    ○河村委員 この委員会でも、土地売却問題がいろいろな角度からたくさん質問がありまして、いろいろな議論がなされました。その中で、三千三百三十ヘクタールの土地を放出をしたら土地インフレを起こすおそれがあるのじゃないかということでいろいろな議論をされております。  しかし、私は、今度の場合のように土地があらかじめオープンになって公表されておって、それで地主は一人で、そのやり方がガラス張りの中で公明正大に行われるという前提が必要ですけれども、これだけオープンにやっておれば、もう原則的に都市計画関連のものは当然適正なる時価で地方自治団体等に売る、しかしそれ以外は一般公開入札でできるだけ高く売るということが十六兆七千億とも言われる債務をなるべく減らす、余計減らすということにもなるのだし、それで特にインフレを起こすような可能性というのはないであろうと私は思っているのですが、国土庁長官はどう考えております。
  200. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 先ほど石田さんの御質問にもお答えしておったわけでございますが、売り方の問題あるいは物件によっていろいろ違うと思いますが、一斉に売り出した場合に逆に土地の供給が過剰になって下がるのではないかというような議論もあるわけでございます。いろいろのことが想像されるわけでございますが、しかし昨年あたりから一部の国有地が売られまして、ある程度の高値を呼んだという事実もあるわけでございます。そういうことでありまして、運輸大臣が御答弁になっておりますように、国鉄が今後用地を売り出しになります場合には、私は、やはりそれなりのいろいろ目的があるわけでありますから、適正なる値段で取引されるものだと思っております。異常な高騰が起きるというようなことは、やってみなきゃわからぬわけでございますが、なるべくそういうことが起こらないように常識的な取引が行われるように期待をいたしておるわけであります。
  201. 河村勝

    ○河村委員 国公有地の払い下げが現実に周辺土地の高騰を生んだという例が最近あるのですか、本当に。
  202. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 具体的な例では、五十九年の三月に国鉄品川駅の東口の貨物跡地が売られた場合、周辺の地価公示価格が一平方メートル当たり五十二万円というときに落札価格が二百二十万円というようなことになっております。また、旧司法研修所跡地は、六十年の八月八日に入札いたしたわけでございますが、当時、周辺の地価公示価格が一平方メートル当たり三百十万円というときに落札価格が八百四十七万円、そういう例もございます。
  203. 河村勝

    ○河村委員 しかし、それは公示価格より高く売れたというだけのことであって、それが周辺の土地の価格にずっと波及していったということではないのでしょう。ただ単独にそういう例があった、そういうことじゃないですか。
  204. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 国土庁は直接土地を売り買いするところではございません。いろいろ各省庁におきまして国有地あるいは公有地を処分される場合には、その地元の公共団体等との計画の調整とかあるいは地価が暴騰しないようにいろいろの地元の計画との調整をしたり、また高騰した場合にはその土地の売却をしばらく見合わせるようなことをやってほしいというようなお願いをしたり、そんなことをしながら暴騰しないような施策も講じてまいっておるところでありまして、国公有地の売却によって直ちに周辺の地価が暴騰するというように即断するのは早計だと思います。
  205. 河村勝

    ○河村委員 きのうの新聞でしたか、住友商事の人と、それからあの言葉は初めて聞いたのですけれども、上げ屋というのがいて、それが組んで土地融資をめぐる詐欺があった、そういう記事が出ておりましたが、この種類の上げ屋というのが土地騰貴の——地上げ屋か、あれは一体どういう種類のものですか。
  206. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 新聞で解説しておるとおりだと思いますが、転がし屋というか、その辺の、中間マージンを得るためのいろいろなことをする商売なんだろうと思います。
  207. 河村勝

    ○河村委員 この地上げ屋というのは、私は多分大きな商社、大きな企業に対するダミーですね、俗に言う。それで大きな企業が表面に出ると仕事もやりにくいというので、ダミーで土地を買わせるというのはあるんですよね。これは大体、不特定多数の地主がいっぱいあって、それをぼちぼち買っていってそれを転がしていくということが多いわけですね。だからそういうことが起きるんで、今度の場合のように、特定の土地、公表された土地に対して買い手がつくという場合には、それが転がしを目的とするのではなくて自分で何かの利用計画を持ってそれで買うということであれば、それは公示価格との乖離は多少あるかもしらぬけれども、しかしそれ自体で異常な価格になるということはまず考えられない、そう考えるのが正当じゃないのでしょうかね。いかがですか。
  208. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 河村さんも国鉄の用地がなるべくいい値段で売れることを期待しておられるようでございまして、確かに国鉄にすればそういうことだと思います。  私ども国鉄さんが用地を売って国民負担を減らしていただきたいということをこいねがっておるわけでございますが、異常な値段を生むような事態が起こらないように、こういうことをおもんばかっておるわけでございまして、それがそういう心配がなければこんないいことはない、こう考えております。
  209. 河村勝

    ○河村委員 何しろ今金余り時代ですから、確かに土地を買うという余裕は方々にいっぱいあるわけですが、これは正当な利用計画を持って買われるものなら、このくらいの規模の土地が買われていくというのは、大蔵大臣、今の過剰流動性、これは大蔵省が内需拡大をさっぱりやらないものだから過剰流動性が生じているということになりますが、過剰流動性を吸収していくというのに大いに役に立つのじゃないのですか。逆に土地インフレを防止することになりはしませんか。転がしではなくて、本当に利用計画を持ったところが七兆円ぐらいの土地を買っていくということになれば大いに役立つと考えるべきじゃないのですか。いかがですか。
  210. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 適正な価格で有用な目的に使われてまいりますれば、そのとおりだと思います。
  211. 河村勝

    ○河村委員 要は土地転がしを防止できるかできないかということなんですね。  大蔵省、この前、国有財産の転売防止の扱いを聞いたのですけれども、ちょうど専門家がいなくてよくわからなかったのですが、理財局の人がおりましたら……。
  212. 入江敏行

    ○入江政府委員 国有地というのは、御承知のとおり国民全体の貴重な財産でございますので、これが土地転がしの対象になるというようなことは厳に抑制しなければならないわけでございまして、民間への処分の場合には、御承知のとおり一般競争入札を国有地の場合原則としております。ところが、その実施に際しましては、今御指摘のありましたように、投機的な要因の対象になるあるいは実需がないのにその対象になるというようなこと、これを排除しなければならないわけでございまして、そういう観点から条件を付しております。  今の御質問の具体的な条件を、やや細かくなって恐縮でございますが申し上げますと、一定規模以上の土地、例えば市街地でございますと二千平米以上の土地、そういう一定規模以上の土地につきましては五年間の土地所有権移転の禁止、いわば転売禁止五年間という条件をつけておりますし、さらに必要がある場合には、工事着工を二年以内にしなさい、それから五年以内にそれを完成しなさいという工事着工、完成条件というのを付しておりますし、さらには権利設定も五年間禁止するというような条件を付すことにいたしております。  この条件に違反した場合には売買代金の一定割合を違約金として徴収するということにしておりますけれども、極端な場合、例えば工事着工、完成、それから今の転売禁止、そのすべての条件に違反したような場合には五割の違約金が徴収される、こういう状況になっております。
  213. 河村勝

    ○河村委員 この違約金五〇%というのは、実際やった例がありますか。
  214. 入江敏行

    ○入江政府委員 実は今申し上げた条件を付すようにいたしましたのがつい数年前からでございまして、現状では全部違約しないでまさに工事着工し、あるいは完成し、転売をしないということでいっておりますので、現実には五割という徴収実績はございません。
  215. 河村勝

    ○河村委員 実際、違約の例がなくて適用がないというならこれ以上望ましいことはないのです。運輸大臣、この前転売禁止を十年くらいというお話がありましたが、買い戻し条件といってもこれは法的に恐らく無理でしょう。契約でもって買い戻し条件をつけても、善意でも善意でなくても第三者に対抗できないでしょうから。ですから、結局は違約金制度というのが一番有効な気がします。土地転がしの利益を考えれば少々ぐらいじゃとても有効であるかどうかはわかりませんから、私は、今の国有財産の五〇%というのは割といい線じゃないかと思いますけれども、場合によっては、国有財産の場合それくらいだから今度の場合はもう少し高くということかもしれませんが、その辺でもってお考えになったらいかがでしょうかね。
  216. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まさに今理財局の方からお話のありましたルール、これは私どもとして大変参考になるものと思います。ただ、私は五年よりももっと長く期間設定をしたいと思いますし、五〇%が妥当かどうかはなお検討させていただきたいと思うのです。むしろ私からしますと、後で転売をするには高過ぎるぐらいのお金で公開入札で買っていただくことがベストでありまして、そういう状況を一番こいねがっております。
  217. 河村勝

    ○河村委員 国土庁長官、いかがです。
  218. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 国鉄の用地が適正な値段で処理できますことを望んでおります。
  219. 河村勝

    ○河村委員 私はどっちかというと楽観論でして、これだけオープンにガラス張りでやっておればそう変なことはできませんから、少しぐらい高いのは高くてもいいのですよ、本当に。国土庁長官が御心配になるようなインフレの懸念はないのですから、土地転がし防止の、国有財産よりちょっときついものをつくっていくというぐらいのところでぜひやってほしいと思います。  次に清算事業団のことなんですが、この前——この前というか、この委員会での答弁で、運輸大臣、あなたは存続期間を十年と考えているという御返事があったように思いますが、そうでしょうか。——国土庁長官、結構ですよ。大蔵大臣、もうちょっと待ってください。
  220. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 いや、私が申し上げましたのは、十年をめどにしてめどをつけたい、そのめどのタイミングとして十年ということを申し上げております。これは、清算事業団自体は償還の終了までは存在し得るわけでありますし、監理委員会ではその期間を二十五年とか三十年というふうに見ておられます。ただ、私どもとすれば、この長期債務の償還という大きな業務に際してその見通しが全くつかない状態が延々と続く状態では困る、そしてその不動産、すなわち用地の処分というものもやはり一つは十年くらいをめど、そういう意味で私は十年という言葉を使ったと思います。
  221. 河村勝

    ○河村委員 非常に大胆な発言で、大変結構なことだと僕は思っていたのですが、さて十年はちょっとどうだろうかなという気もしたものですから、ちょっとお尋ねをしたわけであります。  債務の償還が続く間は残すということになりますと、さっきのお話のように土地がべらぼうに高くたくさん売れて、それで債務がなくなってしまえば別ですけれども、そうはいかないでしょうから、常識的に、長期債務は残って、やはり借りかえでつないでいくというこれまでの大蔵省の手法が財政再建との見合いで続くのだろうと思いますが、大蔵大臣は一体どのくらいで償還できるとお考えですか。
  222. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 恐縮でございますけれども、確たる御返事がまだできる段階ではないようでございます。  閣議決定によりますと、御承知のようなことで、本格的な処理のために必要な財源措置につきましては、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しとあわせ検討、確定したいということを申しておりまして、その態様、時期、年限等につきましてはそのときにやはり考えていくということであろうかと思います。
  223. 河村勝

    ○河村委員 十年と言われたときに、私が一番これはどうするのだろうなと思ったのは、例の二兆八千億。新幹線の調達価格と帳簿価格との差額ですね、これが毎年二千億くらいずつ、一種の特別負担金みたいになって旅客会社から新幹線保有機構を通って、それで清算事業団に入っていく。そうすると、これは二兆八千億の三十年均等償還ですから三十年続くのですよ。もし仕事が終わるまで置かなければならぬとしたら、清算事業団も三十年続いてしまうということになってしまうのですね。これは一体どう考えるべきなんですかね。
  224. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、清算事業団の業務というものをおおむねこのように分離ができると思います。一つは、まず職員の再就職促進でありますが、この業務は、法律案で明らかにしておりますとおりに三年で完了するわけであります。また、長期債務そのものの償還については相当長期にわたるものとなるでありましょうけれども土地の処分というものについては、私は本当におおむね十年程度を目途にこれを進めてまいりたいと思っております。  そうなりますと今度は、その十年というものがもし私の思ったとおりに進めば、実は主力業務は、今委員指摘のような問題をも含め、また年金負担の支払いなんかも含めた、まさに償還業務という部分に当たってくるわけであります。ですから、今大蔵大臣から御答弁がありましたように、この役割については去る一月二十八日の閣議決定で方向は示されているわけでありますけれども、もしその時点において清算事業団の業務というものを再検討する必要が出たと仮定をいたしますと、やはりその時点で改めて御論議を願うものになると思います。
  225. 河村勝

    ○河村委員 私は十年というのは大変いい見当だと思っているのです。なぜかといえば、土地は確かに十年あれば処理できるでしょう。あとの仕事というのは清算事業団でなくたっていいのですね。余剰人員の処理、これはもう三年で済むわけですから、あるいは土地の方は十年かからないで処理が終わるかもしれないですね。そうすると、あとは結局広い意味での債務の取り扱いですね。年金関係も一応長期債務の中に分類して入れてあるのですからね、本当は随分性格が違いますけれども。ですから、十年というのがいいか、むしろ余剰人員の雇用対策が済んで、それで土地の売却が終わった段階で、残りの業務は大蔵省に入れてしまうということなのじゃないですか。私は、そういうふうに割り切ってやればすべてがきれいに処理できる。未償還の債務は、これは当然大蔵省に行っても一つもおかしくないのですよ。そうでしょう。それから年金の追加費用等は、公経済負担はもちろんですが、これも結局大蔵省で何かの形で面倒見なければならない。だからあとは大蔵省に持っていくということであれば、これで清算事業団というのはきれいになくなるということであろうと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
  226. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、お言葉でございますけれども、どのような債務が残ってまいりますか、今おっしゃいましたほかにもいろいろありそうな感じが実はいたしておりまして、そこで、それらのことをやはり将来ある段階で全部見きわめをつけなければならないと思っておりますけれども、簡単にどうもそうだろうとおっしゃいますと、さあ、それはやはり将来決定しなければならないことではないかと思っております。
  227. 河村勝

    ○河村委員 随分用心なさいましたけれども、今申し上げた以外にないのですよ、未償還の債務は。あとあるのは二・八兆円の特別負担金、これは収入になるのですから大蔵省が怖がる理由は何もないですね。だから、利子や何か払わなければならないのは今申し上げた以外にはないのですよ、全くないのです。もし自信がなければ大蔵省の事務当局にお聞きになっても大丈夫です。いかがですか。
  228. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはりいろいろな問題が残りそうな気がいたしますので、今にわかにどうもお答え申し上げられない。
  229. 河村勝

    ○河村委員 どうも用心深過ぎます。それでは総理大臣になるのはなかなか難しいと思います。いや、本当にないのですよ。間違いないのです、洗いざらい申し上げたのですからね。  ところで、清算事業団は国鉄と法人格が全く同じ、したがって、労働契約、雇用契約、それと労働協約もそのまま引き継がれるということになるんですか。
  230. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄改革に伴って現在の国鉄が清算事業団に移行するわけでありますから、労働協約は原則としては有効だと私も思います。しかし、清算事業団において行われる業務は、鉄道事業等を行うものではなく、従来の状態とは全く異質のものになってくるわけでありますから、私は、これを前提とした労働協約については実は実質的に意味を失ってしまうものも相当あるんじゃないかというふうに思います。ですから、むしろ移行時までに現在の労働協約について可能な限り整理をすると同時に、清算事業団の業務にふさわしい労働条件となるような、必要に応じての労使交渉というものが行われるものと考えております。
  231. 河村勝

    ○河村委員 実際問題と理論的なものと分けて考えないといけないので、事前にそういう労使交渉が行われて変わっていけば、これはもちろんそれでその新しいものがそのまま継承されるということですから、理論的には同じことですね。ですから、実際問題は抜きにしまして、理論的には労働契約も労働協約もともに継承される、これはもう正しいわけですね。そうでしょう。
  232. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 理論的にはそのとおりであります。
  233. 河村勝

    ○河村委員 ですから、もし新しい実態に即した賃金、勤務時間その他をつくろうと思えば、事前に国鉄である間に新しいものにふさわしいように更改をしておくか、そうでなければ新しい清算事業団になってから労使交渉をやってそれを変えていく、こういうことになるわけですね。  そこで、事業団に行く人たちの給料を、先般あなたは事業団固有の仕事をやる人はこれは満額一〇〇%、それからあとは態様によって九〇、八〇——八〇というのは教育訓練を受けている人たち、そういうふうな発言をされましたが、今の理屈で言うと、それはあなたの一つのお考え方であって、そういうものを土台にして改定をやっていきたい、そういうふうにお考えになっている、そういうふうに了解していいのですか。
  234. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 清算事業団の職員の給与条件というものについては、従事する勤務の実態を踏まえ、また同時に監理委員会の意見にも示されておりますように、職員の生活の安定にも十分配慮して今後適切な給与条件というものが設定されるべきものであると考えておりますし、具体的な給与条件の設定というものについては、私は必要に応じて労使交渉が行われると思います。ただ、先日私がお答えを申し上げましたのは、予算の積算ととして、御指摘のありましたような形で予算を積算しているということであります。
  235. 河村勝

    ○河村委員 大蔵大臣、お帰りになって結構です。  私は、これは願わくは、教育訓練を受ける人たちであっても当然、引き継がれていきなり給料が下がるというのも随分気の毒でありますから、またそう長い期間ではないわけですね。ですから、基準内賃金ぐらいは確保するというような考え方で扱ってほしい、そう考えているのですけれども、一体その点はどうお考えですか。
  236. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、委員の御質問が理解できないわけでは決してありません。そうしたことも含めて、清算事業団の職員の給与条件についてはその生活の安定を十分配慮して確定すべきものだ、設定すべきものだ、こう考えております。いずれにしても、私は、今後関係者間で適切な給与条件が設定されるべきものだと考えています。
  237. 河村勝

    ○河村委員 それでは次に、旅客会社の収支の見通しと地方交通線のかかわりについてお尋ねをしたいと思います。  この前、問題を提起だけして、それでこれからどうすべきかという議論を省略をいたしました。そこで私が申し上げた一つは、地方交通線問題というのは、再建監理委員会の答申の出る前の緊急提言、第一次、第二次緊急提言では分離、独立、特定地方交通線は別としまして、特定地方交通線を除く七千キロの地方交通線について余りにこれが重荷になる、だから早急に分離、独立をさせよというのが第一次、第二次緊急提言で続いて出されているんですね。これはすぐに実行せよというので、何といいますか、単なる意見ではない。それが今度、本答申が出された段階で一切触れていないのですね。これは一体どうしてこう変わっちゃったのか私は非常に不思議に思っているのですが、どういうことだとあなたはお考えになっておりますか。御存じでしょうか。
  238. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは、私も実は再建監理委員会の作業を横目で見ておりました立場でありますから、正確であるかどうかの自信はございません。ただ、再建監理委員会が確かに二度にわたって行われた緊急提言の中で、特定地方交通線以外の地方交通線というものについても、第三セクターかあるいはバス転換等の推進の必要性を述べておられた、この事実は私も存じております。  ただ、これは抜本改革の前に現行公社制度の中で至急に行えという意味で述べられたものだ、その緊急提言自体は私はそう考えております。そして、最終的に再建監理委員会からいただいたいわば処方せんと申しますか御意見の中では、特定地方交通線を除く地方交通線については、現行の国鉄経営形態を離れて、分割民営という姿の抜本的な改革の中で、地域と一体となった活力ある経営を行うことによって存続させることができるという方針を打ち出されたわけでありまして、政府としての立場からすれば、再建監理委員会が最終的にそうして述べられたその結論の見解というものを現実に最も適したものと認めて法律案の形にまとめ、その実現に努めておる、私の立場からするとそういう感じでおるわけであります。
  239. 河村勝

    ○河村委員 おわかりにならなくてもこれはやむを得ないのですけれども、ただ、再建監理委員会がなぜ分離、独立をやれと言ったかというその理由ですね。理由は、とにかく従来のようなやり方では労働賃金、それから運賃、そういう経営の基本的な事柄が画一的になるから、だから地方交通線というのは独立してやらなければならないのだというのが趣旨であったわけですね。一体、今度六分割された段階で果たして賃金の画一性、それから運賃の画一性、これを克服して、それで地方交通線が重荷にならないで済むようなことができるであろうか、そういう疑問が残るのですね。その点は一体どうお考えになっておりますか。
  240. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは河村先生は専門家でいて、どうもアマチュアにそういう質問は少々ずるいと思うのですけれども、輸送密度八千人未満の線区を経営している中小の民鉄四十九社の五十九年度決算というものを見てみますと、このうち二十社が全事業利益を計上いたしております。そうしますと、そういう状況を現実に私ども考えてみますと、これは要員の合理化等もありましょうし、さまざまな努力をもちろん行う必要はあるわけでありますけれども、そうした中でそれだけの思い切った改革を行っていけば、私は、旅客会社鉄道部門中心として地域と一体になって経営していく中で、地方交通線は十分維持しつつ経営ができると考えております。
  241. 河村勝

    ○河村委員 今あなたのおっしゃった数字は地方私鉄ですか、地方私鉄の収支ですか。
  242. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まさに地方私鉄でありまして、例えば弘南鉄道、福島交通、長野電鉄、関東鉄道、上信電鉄、秩父鉄道等々、ずらずらと並んでおります地方の中小私鉄であります。
  243. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、それは何とか収支が償っている。関連事業の問題もありますけれども、それは後回しにしまして、それは鉄道部門だけでの損益になっていましょうか、どうでしょうか。
  244. 林淳司

    林政府委員 ただいま大臣が申し上げました数字は全事業でございます。
  245. 河村勝

    ○河村委員 全事業だとちょっと問題が残るのですが、それにしましても、その前提に、こういう地方の私鉄と今の国鉄との間の運賃の格差、それから賃金の格差、それが一体どうなっているかというのがわからなければ、今の私の疑問の答えにはならないわけですね。それはどうなっていますか。
  246. 林淳司

    林政府委員 確かに中小私鉄の場合は、大手私鉄に比べれば賃金水準等には差があると思います。そういう意味では、今度の場合同一の会社でございますからその辺のところの事情は必ずしも同じではないというふうには考えますけれども、ただ、これからの新しい会社で非常に経営面で効率化が進んでいくと思いますので、赤字は出るとしても、その幅は相当小さくて済むだろうというふうには考えております。
  247. 河村勝

    ○河村委員 話をよそに持っていかないで、今私の聞いたことだけを返事してください。一体、今の国鉄と地方私鉄との賃金の格差、それから運賃の格差、これはどうなっていますか。それだけ返事をしてください。
  248. 林淳司

    林政府委員 賃金についてはちょっと今調べますけれども運賃でございますか、運賃というよりは人キロ当たりの運賃料金の支払い額、単価というふうにお考えいただきたいのですが、ランクを仮に四つに分けますと、八千人未満の民鉄の場合は人キロ当たり二十三円、これは六十年度の実績でございます。それから八千人から二万四千人までが二十一円九十銭、それから二万四千人から九万六千人までは九円九十銭、それから九万六千人以上が同じく九円九十銭ということになっています。
  249. 河村勝

    ○河村委員 格差は、国鉄は……。
  250. 林淳司

    林政府委員 国鉄を比較いたしますと、現在八千人未満が十四円、これは同じく六十年です。それから八千人から二万四千人が十四円七十銭、それから二万四千人から九万六千までが十二円、それから九万六千以上が十円二十銭ということで、格差を見ますと、八千人未満が民鉄の方は国鉄を一といたしますと一・六四、それから八千人から二万四千までは一・四九、それから二万四千から九万六千までは〇・八三、九万六千以上が〇・九七という状況でございます。
  251. 河村勝

    ○河村委員 全部並べて数字がよくわからないような表現になりましたけれども、ですから、私は今地方交通線の話をしているわけですから、いわゆる地方私鉄と国鉄運賃を比較すれば八割ぐらい国鉄の方が安い、そういうことになるわけですね。ですからこの格差、賃金の格差は今わからないということだからこれはあえて追及をいたしませんけれども、これを一体新しい会社の中でどうやって消化をして、それでこういう赤字を減らしていくかというのが、これが最大の問題になってくるのですね。  この間も私は、この国会から小田原まで行くのに、国鉄で行くと千三百十円で、小田急で行くと五百五十円だというお話をしましたが、とにかく倍かかる。都市ではそうなっておって、地方では逆に国鉄の方が八割安い。だからこれを一体、この間の運賃の収支見通しを見ていまして、本当に消化していけるのだろうか。  この間、私は林審議官の説明を聞いておりまして、今話のあった輸送密度によって四つのランクに分けて、それで今度の旅客鉄道については四つの私鉄のランクに見合うようなレベルでそれぞれ比較して、昭和六十二年度発足から五年後に大体そのレベルに近づくように一人当たりの支払い額というものを考えていく、こういう答弁をしているのですが、ということはどういうことになるのですか。例えば東日本鉄道なら東日本鉄道全体をひっくるめて、輸送密度ではどのランクに属するというのを決めて、そのランクの私鉄のレベルに合わせて運賃を決めていく、こういうことなんですか。どうも意味がよくわからなかった。
  252. 林淳司

    林政府委員 先般申し上げたのは大ざっぱでございましたので、若干御説明いたしますと、先ほど申しましたように、私鉄を四つのランクに輸送密度別に分けたわけでございます。それと、基本的には全国国鉄の線区を三百十単位に分けまして、これは、線区は実は管理局境で切っておりますので全部で三百十単位になっておりますけれども、このうち新会社に引き継ぐ単位線区ごとにそれぞれの輸送密度のランクに当てはめまして、そして昭和六十五年の時点でそれがすりつくように考えた。  ただ、その場合当然、特に輸送密度八千人未満というような線区ではそのままいきますと非常に大きなアップ率になりますので、これは上限を六・五%で切っております。そこで頭打ちにするということで、毎年の改定率を六・五%で頭打ちにするという形でそれぞれ昭和六十五年までにすりつけを行った。そして、それらを全部合計いたしまして、それぞれの会社ごとの収入あるいはその年度別の運賃支払い額のアップ率というものを出したということで、あくまでそれぞれの線区と各私鉄の輸送密度ランクとを対応させたということでございます。
  253. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、大づかみに言って、線区別運賃の積み上げで計算をしたということになるのですか。
  254. 林淳司

    林政府委員 運賃ではございませんで、これは運賃となりますと、普通運賃、さらには定期、さらには特急、急行というような料金、いろいろございますから、そういうことではなくて、各それぞれの線区の人キロ当たりの運賃料金全体の支払い額、いわゆる単価というものがございますから、あくまでその単価で比較をしたわけでございます。
  255. 河村勝

    ○河村委員 運賃料金算定の基礎になるキロ当たりの単価ということですね。  そうなると、今後運賃は、やはりこれは運輸省がずっと認可の責任を持ってやっていくわけですね。これから旅客会社がどういう方針で臨むかは、これはそれぞれの経営者の考え方でありますけれども、もし線区別運賃体系というようなものをつくって、これは仮定の話ですけれども、それで運賃改定の申請をしてきたらそれには応ぜざるを得ない、そういう計算方式をとっているということになりますね。ですから、運輸省としてはそういう考え方でこれから臨んでいくということになるのでしょうか。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  256. 林淳司

    林政府委員 先ほど申しましたように、年率は上限を六・五%ということで抑えておりますので、昭和六十五年の時点でも線区の間でそう大きな開きはないはずでございます。  それから、現在国鉄におきましては幹線と地方交通線では一割の格差がついているわけでございますが、これが今後どうなるかということでありますけれども、例えば私鉄の場合でも、同一会社の場合はそれほど大きな格差はついていないケースが多いと思います。先ほど申しましたように、八千人未満でありますと現在国鉄に比べて私鉄は一・六四、六四%高いわけでございますけれども、例えば名鉄なんかの場合でありますと、やはりあそこも採算の非常にいい名古屋本線とかその他の採算の非常に悪いローカル線を抱えておりますけれども、その運賃格差は、たしかベースを一〇〇としますと一一五、一二五という二つのランクがあったと思いますが、四割、五割というような大きな差はついていないはずでございます。その辺はまさに会社経営判断の問題になってくると思いますので、当然適切な判断を会社の方でされて運賃の認可申請がなされると思いますので、そういうことで対応していきたいというふうに考えております。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  257. 河村勝

    ○河村委員 これは新しい会社の問題になりますから、これ以上言っても仕方がないでしょう。しかし、いずれにしましても、私は大ざっぱに言って、これから新しい会社がスタートをしましても鉄道部門だけで本当に配当を立派にやれるような会社になるかという話になると、どうも余り見込みないような気がするのですよね。  私の手元にあるのは大手私鉄の五十八年と五十九年の鉄道部門だけの収支実績のリストがあるのですけれども、五十八年には九七・八ですから欠損ですね。それで、五十九年は運賃改定をやった年ですね、それで一〇一・五、こういう数字を私は持っております。これは民鉄協会の資料ですが、これは正しいでしょうね。——いいです、これは民鉄協会の出したやつですから間違いないでしょう。  こうなると、運賃値上げをしたときは一%の黒、それからその一%が消えていって、だんだんなくなって赤になるということの繰り返しということですね。そうなると、鉄道部門だけじゃ私鉄の株が七百円や八百円になるという可能性はゼロで、ほとんど株はもともとということで、とても商売にはならない。ですから、今度の旅客鉄道の場合でも、私鉄の平均的な関連事業収入というのは会社によって格差が大きいものですから比較しにくいけれども、ならしてバス部門を除いて多分四〇%ぐらいと考えていますが、大体そんなものじゃないでしょうか。
  258. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大体その程度だと思います。たまたま今昭和六十年の数字のみございますけれども、大手十四社で、関連事業収入五千三百二十八億円は営業収入一兆五千九百五十六億円の三四%という数字であります。
  259. 河村勝

    ○河村委員 だから、そういう意味で私は、新しい旅客鉄道会社がこれから収益を上げて、とにかく株が売れて、それが借金の償却ができるほどのものになるということが一番望ましいわけですよね。ところがどうも鉄道部門だけでもって今程度の関連事業をやっていたのではとても見込みがないと思うので、これからこれを思い切って拡大せにゃならぬ。そのためには、私は二千六百ヘクタールの土地を三千三百三十まで売る面積を拡大したのは本当は反対でして、とにかく洗いざらい裸にしたんじゃ差し当たり関連事業を拡大する有力な根拠地を失いますから本当は私は残念だと思いますが、まあしかしこれは動かしようがないし、今切実な問題だから仕方がないとしまして、今度の旅客鉄道法の中で、関連事業を認可にかかわらしておりますね。一体、これはなぜ私鉄と同じにはできなかったのでしょうか。私鉄の場合には、それぞれ定款にさえ書けば、あと、それぞれの事業事業法の枠はあるけれどもそれ以外は自由ですよね。そしてこの場合、関連事業について私鉄と区別する事由というのは実際はないと私は思うのですが、どうなんでしょうか。
  260. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私はいろんな原因があったろうと思います。現在の国有鉄道からいわば事業用地として簿価で引き継ぐ資産を活用して行っていく関連事業等々もありましょう。そうした場合に、いわば駅という巨大な空間とそこに昇降する多大な人数をそのまま相手取ることのできる関連事業というのは、一般の民間事業者に対しては極めて脅威的な武器になるかもしれません。しかし、私どもとしては本当に民営化の趣旨を考え、自由な事業経営を認めることが本来の姿だと思っておりますから、事業範囲については特に制約を加えておりません。ただ、本来の目的である鉄道事業の適切かつ健全な運営に支障を及ぼすような場合には、やはりこれは国鉄改革の趣旨に反することでありますから、そうした点への判断というものの基準は必要であろうと思います。そうしたことから認可制をとったわけでありまして、同時に、会社法の一条の三項では、この鉄道事業の適切かつ健全な運営に支障を及ぼすおそれがないと認めるときに、認可をしなければならない。」としてあるわけでありまして、そうした観点というものも御理解をいただきたいと思います。
  261. 河村勝

    ○河村委員 その認可の際に、十条という中小企業に対する配慮の一項目がちょっとひっかかるのですが、その認可をする際に、十条というのは一体どの程度の意味を持つのですか。
  262. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 恐らく、この法律案の審議までの間に河村委員のところあるいは民社党に対しても、中小企業団体等から国鉄民営分割後営む事業というものについて非常に心配をする声というものがたくさんあったであろうと思います。そして私どもとすれば、あの規定を用意いたしましたそのゆえんのものといえば、これは新たにスタートする各会社はそれこそ大企業としてそれぞれの法律の適用を受けるわけでありますけれども、相願わくは、それぞれの営む事業がそれぞれの地域のそれぞれの業種、中小企業に影響を与えないような事前の調整というものをしておいてもらうことが望ましい、そうしたことを指導していきたいと考えておりまして、そうした根拠を必要としたということであります。
  263. 河村勝

    ○河村委員 時間が来ましたので終わりますが、一つだけ。この認可は包括的な認可なんですか、個別的な認可なんですかということですね。例えば不動産事業を認めるといったらそれでいいのであって、個別のどこどこで不動産事業をやっていいかとかなんとかというのじゃなくて、要するに定款に書くのと同じような効果を持つのかどうか。
  264. 林淳司

    林政府委員 これは要するに、認可の判断基準が、先ほど御答弁申し上げましたように鉄道事業に対する「適切かつ健全な経営」という観点から支障があるかないか、こういうことでございますので、したがってそのためには、そういう判断をするということでありますならば、判断基準としては当該業種の一般的な業況でございますとかあるいは当該業種をやるとする場合のノーハウでございますとか、そういう点に着目して判断をすればよろしいわけでありますので、個別の企業ということではなくて業種というものを基本に考えております。
  265. 河村勝

    ○河村委員 ですから、ごく簡単に言えば、不動産事業はどうせやらなければならないのですが、不動産事業を認可するといったら日本じゅうどこでどんな規模でもやってよろしい、こういうことになるわけですね。
  266. 林淳司

    林政府委員 これはこれからの検討結果にもよりますけれども、一応私どもが今考えておりますのは、産業分類表に言いますところの小分類、その程度のくくりでよろしいのじゃないかなと思っております。
  267. 河村勝

    ○河村委員 変な言い方だな。小分類とわからぬことを言われたのでは困るので。不動産業も幾つにも分かれておるのですか。
  268. 林淳司

    林政府委員 それほど細かく分かれておるわけではございませんで、例えて言いますと、例えば旅館というのは一つの分類でございますね。あと、簡易宿泊所とか下宿業とかいう程度の分類でございます。
  269. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  270. 細田吉藏

    細田委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次に、村上弘君。
  271. 村上弘

    村上(弘)委員 きょうは、政府国鉄分割民営化政策のもとで国鉄の第一線現場が今どうなっておるか、そのことを国鉄の総裁や運輸大臣はもとより、広く国民に知っていただきたい、そういう問題について的を絞って紹介もし、お尋ねもしたい、こう思います。  国鉄経営危機の原因は、国鉄経営形態にあるのではありません。それを無理やりに国鉄経営形態のせいにして、政府はみずからの責任を棚に上げて、しゃにむに国鉄分割民営化を強行しておるわけでありますから、どうしても現場に無理が出てくるわけです。よく、無理が通れば道理が引っ込むという言葉がありますが、今国鉄の中は、上は国鉄総裁から下は第一線の労働者に至るまで、分割民営化に批判をし、抵抗し、反対する者は最高責任者であろうと管理職であろうと現場の労働者であろうと実際上排除されたり村八分にされたりするなど、ある種の無法状態がまかり通っておるのであります。  一昨日、東中議員が告発をした職員管理台帳に基づく驚くべき振り分け作業の進行も、その典型の一つであります。だがしかし、あのような振り分け作業の進行の背後では、第一線の現場でもっと冷酷な振り分けが日々に実際に進行をしているのであります。その典型の一つが、今や有名になっている全国一千カ所を超える人材活用センターであって、ここに国鉄分割民営化の諸矛盾がある意味では集中しているのであります。  ところで、初めに国鉄当局に確かめておきたいのですが、十月一日現在の人活センターの数は全国何カ所か、合計何人が収容されておりますか。同じく十月一日現在の国鉄の所要定員といわゆる余剰人員は、それぞれ何人になっておりますか。
  272. 澄田信義

    ○澄田説明員 十月一日現在の人活センターの設置箇所は千三百八十三カ所、配置職員数は一万七千七百二十人でございます。  それから、十月一日現在の所要員及び余剰人員をお尋ねでございますけれども、まだ十月一日現在は集計中でございます。九月一日現在で申し上げますと、所要員は二十三万八百人でございます。過員は四万二千人でございます。
  273. 村上弘

    村上(弘)委員 そうしますと、この人活センターは九月一日時点に比べまして六十八カ所ふえ、それから収容されている人は二千五百十人ふえたわけです。それから、九月一日現在のようですが、所要定員は本年首が二十三万九千人ですね。それが二十三万八百人ですから約八千人ばかり所要定員が減っておりますね。ですから、それだけいわゆる余剰人員がふやされておって、年の初めに比べますと、三万八千人から四万二千人に余剰人員がふえておるわけであります。そういうわけでありますから、これから人活センターの数もふえるでありましょうし、そこに収容される人たちもふえていくことになると思います。  もう一つお聞きしておきますけれども、そうしますと、ことしの年末時点で人活センターに入れられる人の数はどれくらいになると見込んでおられますか。  それから、国鉄当局としては、当分の間ということが人活センターに担務収容されている人の期間となっておりますが、最終時点はいつまでということを予想しておりますか。
  274. 澄田信義

    ○澄田説明員 今年十一月にダイヤ改正をやりまして、それに伴いまして効率化を行います。その時点で余剰人員の数は恐らく八万人を超えるかと思います。  ことしの年末時点では、あと希望退職とかあるいは今の現在員が減る要素がいろいろありますので明確に申し上げることはできませんけれども、おおむね約八万人程度ではないかというぐあいに考えております。
  275. 村上弘

    村上(弘)委員 それから、当分の間というのは大体いつまでの時点だというふうに考えていますか、それもお答えください。
  276. 澄田信義

    ○澄田説明員 当分の間と申しますのは、もし法案が無事成立いたしますれば来年の四月一日から新事業体に移るわけでございます。そうしますと局面は変わってまいりますけれども、私どもは今、当分の間と申しますのは、余剰人員のローテーションを通常の人事異動ということで現在考えておりまして、通常の人事異動と申しますとほぼ一年ないし二年ぐらいが常識でございます。その他、仕事の内容によりましてそれぞれいろいろなローテーションがございますので、一概に申し上げるわけにはまいりません。
  277. 村上弘

    村上(弘)委員 察するところ、来年の三月三十一日時点までが当分の間ということのようであります。  それから、ダイヤ改正時点で八万人の余剰ということでありますから、これから人活センターの設置数も、そこに入れられる人の数もますますふえていくのであろうということに相なるわけです。そうでありますから、この人材活用センターの実態が一体どういう状況にあるかということはいよいよ重要になってくるわけです。  私ども共産党は、九月の初旬に議員団を挙げまして国鉄の現地調査を行いました。そして人材活用センターなるものの状況どもいろいろ調査をしたわけでありますが、具体的に申し上げますと、例えば大阪に宮原電車区という職場があります。そこの電車運転士大家計美さんほか八名が、七月二十六日、八月一日、九月八日、九月十一日付の四回に分かれて宮原電車区大阪派出所人活センターへの担務を指定されまして、人活センターに入れられたわけであります。この大家さんのことについては九月四日付の朝日新聞に載っていましたが、人活センター発令で最後の乗務となった「雷鳥」、敦賀駅で運転席からホームへおり立つ大家さんを妻と孫娘の二人が拍手で迎えた、こういうことも報道されておるわけでありますが、この実際上配転された、収容されたこれらの人々は、いずれもベテランの電車運転士であったわけです。そして、いずれも国労の組合員であり、組合役員経験者などの活動家でありました。毎日電車の運転をしていた人々が、ハンドルを取り上げられて人活センターへ入れられて、ほとんど何の仕事も与えられないわけです。大家さんらが、人材の効率的活用といいながら何の仕事もないというのはどういうことかと追及をいたしますと、当局の担当者は、古い時刻表を机の上に置いて、これでも研究しておいてください、そういう状況なんですね。これが果たして人材の効果的運用ということになるのだろうか、これはほど遠い状況であることは明白であります。  それから、東淀川駅の交通保安指導係の上原一孝さんほか八名も、八月六日、七日、九月一日付でそれぞれ吹田信号場駅の人活センターに担務を命じられ、そこに配置をされております。この人々は本来の職務とは全く関係のない草むしり、草刈り、庭木の整備などの業務をさせられてきたわけですが、そのために、後で触れますように、この人たちが守っていた怖い踏切と呼ばれる長大踏切の安全性が著しく脅かされる状況が生まれているわけであります。  国鉄当局は、この人材活用センターの設置目的について、職々二一一号の通達で数項目出しております。「「人材活用センター」に配置された要員については、」「いやしくもブラ日勤との指摘を受けることのないよう教育も含め有効な活用方を図ることとする。」その他ありますが、「なお、今回、業務運営の必要から上述のような措置をとる訳であり、余剰人員の特定化を目的とするものではない。」こういうふうに言っておるわけであります。しかし、実際の状況は、先ほど言いましたように余剰人員の有効活用にはほど遠いものであります。  それから、実際の作業内容を現場でもよく聞きましたけれども、いろいろな類型がありますが、一つは、先ほどのようにほとんど仕事を与えられていないというのがあります。それからもう一つは、全く本来の職務と関係のない、草むしりその他をやらされているというのがあります。それから第三は、今までの仕事と全く同じ仕事を人活センターの判断のもとでやっている、こういうものもあります。これは特に保線区関係に多いようですね。  例えば、東京の保線区関係の人活センターでは、線路の保守、修理、管理など、ほとんど全員が以前と同じ仕事をしているわけです。電気関係も大体同じであります。九州の門司地域の保線区関係でも、七月十八日から七月二十四日ごろにかけてつくられた人活センター、これは二つありますが……
  278. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  279. 村上弘

    村上(弘)委員 若松人活センターが三十八人、直方保線区小竹人活センターが二十四人。さらに、十月一日に当局が新しく保線区の合理化としてスタートをさせた二カ所の人活センター、折尾人活センターに二十一人、若松人活センターに二十二人。これは、そこに入れられている労働者は保線の仕事として同じ仕事をやっているのですね。なぜ人活センターに入れられたのかということがこれまた疑問に思われるような、理解に苦しむような状況もあるわけです。しかし、にもかかわらず非常にはっきりしていることは、人活センターに入れられる最大の理由、最大の根拠は、その人がどの労働組合に所属しているか、ここに一番の大きな特色があるということが、いろいろ調査をすればするほど明らかになってくるわけであります。  そこで、人活センターに担務指定をする場合の選定基準については勤務成績などを総合的に判断して決めるということが言われるわけでありますが、しかし、一昨日東中議員が紹介をした職員管理台帳の二十項目による選定でも明らかになったように、結局組合所属と組合活動が中心的な選定基準になっているわけです。人活センター収容の選定基準も事実上これが中心になっておるわけであります。  そこで、今人活センターに収容されている人たちの労働組合別の内訳、所属別の内訳がわかっておればお答えをいただきたいと思います。
  280. 澄田信義

    ○澄田説明員 先ほど申し上げました人材活用センターへ配置されておる人員一万七千七百二十人のうち、組合別にパーセンテージで申し上げますと、国労が七九%、動労が九%、鉄労が六%、全動労が二%、その他四%でございます。
  281. 村上弘

    村上(弘)委員 明らかに、組合の構成数とその収容されている人との比率を見れば、もう圧倒的に国労、こういうことになるわけですね。  国労大阪地本の数字も私調べてきましたが、九月二十五日現在の大阪地本関係で人活センターに入れられている人は九百七十五名で、そのうち国労が七百八十八名、八〇・八%。それから鉄労が百三十四名、一三・七%。それから全動労が二十三名で二・四多。それから全施労が十二名で一・二%。動労が七名で〇・七%。こういうことになっています。
  282. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  283. 村上弘

    村上(弘)委員 大阪の場合、鉄労が百三十四名と割と多いのですが、これは直営売店、それから動労の七名はパソコン教育というふうに、実際にそれまでやっていた仕事の延長でついておる、こういう特徴があるわけです。明白なことは、国労の組合員が人活センター入りをねらい撃ちされておるということであります。  そこでお聞きしたいのは、この職々二一一号通達、人活の担務は当分の間ということでいつまでということを言われないわけでありますが、結局はこういう状態で、人活に入れられている人たちが事実上特定化された状態が続くのじゃありませんか。
  284. 杉浦喬也

    杉浦説明員 通達に明示してありますように、人活センターに配属される人間を余剰人員として特定はいたしておりません。したがって、そうした今後の振り分けその他にこれを使うというようなことは毛頭ございません。
  285. 村上弘

    村上(弘)委員 総裁の言われるお話を聞いておりますと、非常に白々しい気がするわけであります。少なくとも今収容されている人たちは、人活センターがある限り結局続くでありましょうし、それからほとんどが国労の組合員であるという状態も続くでしょうし、それは実際上の特定化でありまして、人の思想、信条によって差別しておるものではありませんと言っても、実態がそういうことになっておることはもう明白であるわけです。  そこで、もう一つぜひお聞きしたいのは、これはどこでも共通しているわけでありますが、その職場に事実上余剰がなくても、広域配転で北海道九州から配転されてくる職員のためにところてんのように人活センターに押し出される、こういう仕組みがあるわけであります。  今、私ここに持っておりますが、本年九月四日付の隅田川客貨車区長あての要求書があります。これは、隅田川客貨車区兼松戸電車区人材活用センター担務の藤田勲さん初め三名が、東京北鉄道管理局隅田川客貨車区長殿あての文書を出しています。その中にこういうことを書いていますね。  「隅田川客貨車区に於ける七月十五日」、これが事前通知日でありますが、「現在の基準定員は、検査係の「余剰人員」が存在せず、長欠者を含めると一名の減員状態である」にもかかわらず、ベテランの検査係三名、これは国労の副分会長、書記長、青年部書記長ですね、こういう人たちが松戸電車区人活センターへ担務がえを行われているわけであります。それから、同じ時期に大宮客貨車区より四名の検査係を転勤させている。また、退職前提の休職制度の適用によって検査長一名、検査係二名の欠員が生ずるのに、先ほどの三名の担務指定を解除していないのです。その上に、当局は九月一日付でまたしても大宮客貨車区より検査係三名を転勤発令をしている。要するに、この三名を所属区に復帰させないためによそから配転をさせておるということになるわけです。この「三名は国鉄の職務制度に於ける規程上の検査係としての本来の業務を所属区に於いて就労させる事を書面で要求するものである。」こう言っているわけですね。  実際上その職場では定員減であっても、わざわざよそから配転をさせて、そしてこの三名はもとの仕事につかせないということが続いておるわけですが、これは非常に非合理なやり方ではありませんか。
  286. 杉浦喬也

    杉浦説明員 広域異動に参加いたしました諸君は、故郷を離れて、熱意ある、また成績の非常に優秀な人たちであります。これは本務に従事をさせるということにいたしております。  人活センターの配属の問題は、職員の意欲なり適性なり勤務成績を所属長がその権限と責任において判断をし、適材適所に配置をいたしておるものでございます。
  287. 村上弘

    村上(弘)委員 いかに適材適所でないかということはおいおいわかってまいりますが、今言っておられるようなことでさきの隅田川客貨車区の実情を説明したことにはならないと思います。実際にその職場に余剰があってもなくても、ある特定の人を追い出すというやり方がその基本にあるということは極めて明白だと思います。  そこで、今人材活用センターに入れられている労働者が文字どおり大義なき迫害に遭っているわけでありますが、このような職場の実情や実態からかけ離れた要員運用というものが、国鉄本社から、つまり上から押しつけられるために、職場や現場に近い管理者がいろんな矛盾や困難に直面をしているわけであります。  ちょっとここで資料を配りたいわけですが。
  288. 細田吉藏

    細田委員長 はい、どうぞ。
  289. 村上弘

    村上(弘)委員 ちょっと委員長、配っている間に、審議が聞こえないようなことについては制止してください。国会は言論の場ですから、賛成であろうと反対であろうと、言っていることが聞こえなければ審議にならないです。これはとめてください。
  290. 細田吉藏

    細田委員長 はい、注意しますから続けてください。村上君、もう資料は配られました。
  291. 村上弘

    村上(弘)委員 今お配りしております資料は、東京西局施設部総務課長の各長あての文書であります。ここに書いてあることの要点は、一つは、「上部機関は当初予定を繰り上げて七月末には設置を完了するよう強く指導している」、これは人活センターを早くつくれというあれですね。第二は、「希望退職・公的部門への転出等流動的な面があるほか、いわゆる勤務成績4及び5が全てスピンアウトの対象となった場合においては施設関係トータルとして逆に欠員を生じることとなり人活センターへの担務指定数の確定は極めて困難となってしまう。」第三に、これは先日、東中議員が指摘した問題ですが、「とりわけ職員管理調書の総合評価において現場長と人事課との差が大きく人事課の評価(本社登録済)によることは施設関係にとって極めて苦しい実態にある。」こういうことが訴えられておるのですね。そこで、各長がいろいろ工夫してほしいということが述べられておるわけであります。  こういうことのほかにも、職場の実情に合わない上からの押しつけ、人材活用センターへの無理やりな担務指定という事実上の労働条件の変更、これは団交を避けるために担務指定などというすり抜けのようなやり方をとっておるわけでありますけれども、そういうやり方をどんどんやることによっていろいろゆがみが生まれてきておる。  ここには朝日新聞九月三日付でこういうのもありますね。「国鉄・旭川鉄道管理局 大量転出させすぎて列車運行支障の恐れ」「カムバック!運転士」「異動延期しても足りず民間から呼び戻す」、こういう記事ですが、こういうことが報道をされておるわけです。
  292. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  293. 村上弘

    村上(弘)委員 こういうように、国鉄分割民営化の強行、そのための人減らし、そのためのゆがんだ振り分け作業の押しつけが管理者の内部にもさまざまな困難や苦悩さえ生み出している、こういうことがこの文書には端的にあらわれておると思うわけですが、総裁はこういう事実について知っておりますか。
  294. 杉浦喬也

    杉浦説明員 ただいまの資料はちょっと私、見ておりません。よく中身を拝見させていただきたいと思います。
  295. 村上弘

    村上(弘)委員 現場のことはさっぱり伝わってないというのが実情だろうと思います。要するに、現場では上から押しつけられた実情に合わないいろいろな指示や指令のためにさまざまな困難や苦痛の状況に置かれておるということですね。  この委員会では既に同僚議員が質問の中で触れましたけれども、職場管理者有志の声というものも紹介されておりました。私もその東京運転職場管理者有志の文書をもらっておりますので、それを一部紹介したいと思います。これは九月八日付で「東京運転職場管理者有志」ですね。こういうことが中にあります。   特に職員の査定にかかわるものについては、本人の勤務態度、能力、適性など、厳格公正に処理するよう務めています。   しかしながら、我々現場管理者が職員に日々接し、公正に判断し局へ上申したものが、最近差し戻しになる場合が次第に多くなり、職員管理とは何か考え込んでしまう毎日です。   例えば、職員管理調書で前から管理者に反抗的で技量も不十分な職員がおり評価を5で上申したところ、局から「この男は3にしておけ」と指示がおりました。彼は動労の役員をやっています。 また、こういうことも書いていますね。  八月末になり局から国労組織を切り崩せとの具体的指示がありました。マル生での苦い経験もあり、これだけはないだろうと思っていたことが現実に指示となってきました。私共は、実際に国鉄改革を推進する国鉄幹部の姿勢や考え方が間違っていたのでは、国民負担を含む大きな代償を払って行われる改革が台無しとなり将来に大きな禍根を残すことを大変心配しています。   現場からみていますと、本社局が次から次に打出す施策は、我々管理者より早く動労の役員が知っており、しかも施策の意図するところは、当局の大義名分は立てながらも、実際は組合所属により有利不利が決まるという誠に巧妙で不条理きわまりないものです。   数多くの実質的な不当労働行為、一方的な人事政策、国鉄幹部と動労松崎委員長が結託して進めている国盗り物語のような労務政策は、真の国鉄改革を最終的に破局に導くものではないかと思われます。  その他いろいろ述べておりますけれども、こういう声については総裁は一度も聞いたことはありませんか。
  296. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今お読みになられました書面も私見たことがございますが、だれがつくったのかよくわかってはおりません。いろんな意見あるいは怪文書が大変出回っておるようでございますが、私どもはその中から正しい意見をくみ出し、今後の参考にしていきたいと思います。
  297. 村上弘

    村上(弘)委員 どの点が正しいと思われますか。
  298. 杉浦喬也

    杉浦説明員 現在なお実情をよく認識し、今後のあるべき姿をよく理解をせなければならぬというところでございます。
  299. 村上弘

    村上(弘)委員 実際上巧妙なやり方で労働組合の所属、とりわけ国労に所属している者を差別、選別、振り分けしていっておるということが現場の声として、真実の悩みの声として挙げられておるんですね。さきの文書もそうでありますが、運輸大臣、今いろいろ私が指摘しましたようなことは全く根も葉もないことだと思われますか。
  300. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私のところにもたくさんのお手紙をいただいております。そして、私は一応すべてに目を通しております。そして、その中には今委員が御指摘になりましたような文書も参りますが、そうした文書について私が大変不思議なのは、いずれも差出人のお名前がない、お返事を出しますとあて先不明で返ってくるということであります。逆に、大変私どもにこれからの改革の方向というものの中で自分たちの努力を訴え、絶対にこの国会で改革を仕上げてほしいという投書には、皆住所がきちんと記され、お名前が記されております。
  301. 村上弘

    村上(弘)委員 国鉄の中では国鉄分割民営化が事実上の最高規範、法律にかわるほどの今や権力的な作用をしておりますから、職場で批判的な意見を出すということがいかに命がけのことであるかということは少しはおわかりだろうと思います。名前を出したり所を書くということは、もうほうり出されるということを覚悟しなくちゃならぬでしょう。そういうことをよく理解して判断する必要がありますね。  私は、この所属する組合の違いによって人の扱いを差別するというようなことがあってはならぬと思うわけですが、これに関連して再就職の問題では、我々は分割民営には反対だし、人減らしも反対ですから、再就職の必要も本来ないわけでありますが、最近の大阪朝日の報道を見ますと、滋賀県の受け入れ試験のことが報道されております。それを見ますと、滋賀県の側は「全員受験歓迎なのに…」ところが「国鉄内部で事前選考 国労組合員排除めだつ」こういう見出しで出ておるんですね。滋賀県の稲葉稔知事は十月二日の県議会で、希望者は全員受験してもらいたい、こういう趣旨の発言をしておりますね。しかし実際には、最終応募者二百八十人を内部選考で百七十七人に絞って受験させることに結果としてなっておるわけです。それで、国労と動労の組合員各十一人が応募した米原機関区では、内部選考に残ったのは国労が三人に対し動労は十人、まあ米原駅その他ずっと出ていますけれども。  自治大臣おいでいただいておりますけれども、そういう自治省のもとにあります各地方自治体での公務員採用の基準というものはどういうものか、労働組合の所属によって受験資格に差をつけるのか、お聞きしておきたいと思います。
  302. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 地方公共団体が国鉄職員を採用するに当たりましては、国鉄の推薦者の中から選考することとしているところでございます。選考に当たりましては、優秀な職員を採用するために、地方公共団体が採用を予定しております職種に応じた能力、適性を判断した上で適正に行われているところでございます。そして、その当該職員がどの組合に属しているかということは選考の判断の基準にはなっておりません、しておりませんことをはっきり申し上げておきます。
  303. 村上弘

    村上(弘)委員 まあ当然のことだろうと思います。職員の採用に当たって受験資格に、組合の所属によって資格があるかないか、そんなことはありませんと言うのは当然のことだと思います。  これは自治体関係そのものではありませんけれども、大阪の天王寺管理局の管轄のもとに鳳駅という駅があります。そこでは個人面接その他いろんな形で振り分けがやられておるわけでありますが、ことしの九月の十日に鳳駅の駅長が、そこの横井さんという職員に対してこう言っているんですね。三重県知事は国労の者は三重県職に採用しないと言っているぞ、こういうことを言っているんですね。それから、同じく鳳駅の中前助役が、三重県の知事は意識改革をしていない者は採用しないと言っているぞ、こういうことを言っているんですね。三重県知事が果たしてそういうことを言ったかどうかということがあると思いますが、これは言ったかもしれないし、言ってないかもしれません。仮に言ったとしても、国鉄の管理職の人、駅長や助役が、こういうことを言っているぞと言うこと自体について、それは適切な対応であると考えるかどうか。総裁、どうですか。
  304. 杉浦喬也

    杉浦説明員 事実の調査をいたしましたが、そのような事実はございません。
  305. 村上弘

    村上(弘)委員 ちょっとよくわからなかったのですが。
  306. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今おっしゃいましたような事実について調査いたしましたが、そんな事実はございません。
  307. 村上弘

    村上(弘)委員 それはそういう事実がありましたなどとは言わぬでしょう。ですから、私どもは天王寺管理局長とも実際にこの問題について……
  308. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。
  309. 村上弘

    村上(弘)委員 そのときに管理局長はそういうふうに言ったとまではもちろんよう言いません。しかし、三重県やいろんな自治体の人たちが集まってくれておるところでいろいろ説明をすると、そういうようなことを言う雰囲気があるということを言いましたね。そのことについてあなたはどうするんだと言ったら、そのことに対してきっぱりした態度は言わないのです。ですから、そういうところにも、今私が幾つか挙げましたこういうのは決して部分的な問題じゃないんだということ、こういうところにまで組合の所属による振り分けがされておるんだということを指摘をしておきたいと思います。  そこで、時間がなくなってきましたけれども、人材活用センターと安全のかかわり、このことについてお尋ねをしてみたいと思います。  これは、組合の所属によってどんどん振り分けがされていっておることを通じて、ベテランの労働者が人材活用センターに入れられていく、そこへ広域配転でふなれな人たちが入ってくる、こういうことで今や国鉄の安全輸送が大変脅かされておるわけです。——自治大臣、もう結構ですから。  御承知のように、国鉄全国で二千五百八十二名の第一次広域配転を行っております。大阪鉄道管理局管内では、三百七十三名の動労組合員が主に九州などから大阪に配転されている。すると、その分だけ大阪は余剰人員ということになって、人活センターに押し出されていくわけですね。
  310. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  311. 村上弘

    村上(弘)委員 そこで、宮原電車区大阪派出所の場合は、五十九名の動労の組合員が広域配転で配置させられた。そして、この広域配転者のうち十数人は九州では単線の電車の運転をしておった人たちあるいは電気機関士の経験だけの人たちで、これが過密ダイヤの大阪の仕事につくわけです。電車の運転士であった人の場合にはわずか二、三日の講習と一カ月の線路見習いをやっただけで、また電気機関士経験者はわずか一カ月の学園教育と二カ月そこそこの見習いをやるだけで大阪の複線や複々線の乗務につくわけです。自分の運転している電車と同じ方向に走る後続電車に追い抜かれてびっくりする、こういう事例もあるのですね。あるいは、何本もある複線の信号機で信号の誤認を行う。重大な事故につながりかねないような事態があちらこちらで起こっているのです。  これは八月二十八日の一日のことですが、ベテランの人がついていて、見習いの人の運転の状況を述べています。これは京都から明石の方向へ走る電車ですが、岸辺第三閉塞を、道路の信号を見て喚呼するなどが二回ほど。神戸場内では三番進入のところ、二番注意が出ていて、それを見て四番場内注意と喚呼する。朝霧駅付近では私鉄の信号を見て山陽線と見間違う。あるいは、芦屋駅上り三番線では、八両停止位置を一五〇C列車で四十五キロメートルアワー以下でブレーキを扱ったが効かないために、追加ブレーキと言ったところが、ブレーキ位置は抜き取り位置になって制動が効かずに三十メートルほど行き過ぎた。こういう小さいミスではありますけれども、そういうのが頻発しておるわけであります。  それからもう一つは、私が実際に行って見たのですが、新大阪の駅の近くに東淀川という駅がありまして、その駅の近くに北宮原という五十メートルの長い踏切があるわけです。この踏切は線路が八本ありまして、遮断機が、もちろん両方の入り口にありますが、真ん中にもう一つあるのですね。ですから、よくなれてない自動車が来ると、入り口の遮断機があいていますと、その向こうがおりておっても入ってしまうわけですね。それで非常に危険な事態が生まれるわけです。ですからここは非常に怖い踏切だということになっておるわけで、かつて人身事故も何回か起こっています。東海道本線の普通、快速、新快速、急行、特急、普通貨物、高速貨物など、実に八種類の列車が方向やスピードを違えて入れかわり立ちかわり通過するわけです。一日当たりの通過本数は合計八百七十本、五十秒に一列車、朝夕のラッシュ時には一分間余りのうちに三本の列車が行き交う、こういうすさまじい踏切です。したがって、この踏切は取り扱いの特別の難しさから、この踏切を担当する労働者は、本務につくまで二年から六年も交通量の少ない別の踏切の作業にまず従事し、仕事の勘を養ってからここに配置されるのが普通になっておるわけです。ところが、この七月から広域配転の速成の警手が着任しているわけです。ベテラン警手は人活センターに入れられておるわけですね。そこでどういうことが起こっておるか。  ベテランが去った八月から、北宮原の踏切では、非常措置として列車をとめる特殊信号発光機でとめなくちゃならぬ、こういう特発の回数がふえてきているわけです。従来は、四月には二件、五月は二件、六月は一件、七月は一件だったものが、ベテランが人活センターに入れられて新しいふなれな広域配転の労働者がついてからは、八月にはこの非常停止措置が五件にはね上がっておるわけです。  記録を見ますと、八月八日午後二時十分、北宮原踏切に車が進入、中間でとりこになる、特発扱いで車をバックさせる。八月十日午後一時八分には、女性運転の車が進入し、貨物列車接近、前方の遮断機が閉まる、バックするにも後方に東海道本線があるので閉まってとりこになる。これは……
  312. 細田吉藏

    細田委員長 村上君、時間が参りました。
  313. 村上弘

    村上(弘)委員 こういう非常に神経をすり減らす仕事に広域配転の人がついて、その人自身がどう言っているかというと、神経を使うし、体が参って入院してしまいました、むちゃくちゃです、早く他の仕事に変えてほしい、こう言っているのですね。  人活センターがいろいろな矛盾を生み、今や安全にまでかかわってきておるという状態で、これは新幹線の十一月ダイヤ改正でもそういう事態がこれからやってまいります。
  314. 細田吉藏

    細田委員長 村上君、時間が参りました。
  315. 村上弘

    村上(弘)委員 全国でそういう事態が生まれるわけでありますが、そういう問題について、安全第一の国鉄の問題ですから、非常に危険なこういう事態が今や生まれつつあるということを考えて、人材活用センターは廃止すべきじゃないか、それぞれのベテランは本務に戻すべきじゃないか。
  316. 細田吉藏

    細田委員長 村上君、時間でございます。
  317. 村上弘

    村上(弘)委員 分割民営化はやめるべきだということを指摘したいと思いますが、総裁と大臣の最後の答弁をお聞きしたいと思います。
  318. 杉浦喬也

    杉浦説明員 安全には万全の対策を講じ、しっかり責任を持ってやっております。
  319. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御意見は拝聴いたしました。
  320. 細田吉藏

    細田委員長 これにて村上君の質疑は終了いたしました。  明二十四日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会