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1986-10-13 第107回国会 衆議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月十三日(月曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 細田 吉蔵君   理事 小此木彦三郎君 理事 小里 貞利君    理事 佐藤 守良君 理事 三塚  博君    理事 山下 徳夫君 理事 井上 普方君    理事 嶋崎  譲君 理事 西中  清君    理事 河村  勝君       甘利  明君    石渡 照久君       臼井日出男君    大島 理森君       片岡 清一君    亀井 静香君       亀井 善之君    久間 章生君       古賀  誠君    桜井  新君       鈴木 宗男君    関谷 勝嗣君       田中 直紀君    津島 雄二君       中島  衛君    中村正三郎君       野中 広務君    野呂田芳成君       長谷川 峻君    原田  憲君       増岡 博之君    松田 九郎君       森田  一君    山村新治郎君       若林 正俊君    上田 卓三君       小林 恒人君    関山 信之君       戸田 菊雄君    村山 富市君       山下洲夫君    浅井 美幸君       石田幸四郎君    遠藤 和良君       大橋 敏雄君    草川 昭三君       柴田  弘君    阿部 昭吾君       工藤  晃君    中島 武敏君       村上  弘君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         外 務 大 臣 倉成  正君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君         労 働 大 臣 平井 卓志君         建 設 大 臣 天野 光晴君         自 治 大 臣 葉梨 信行君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         内閣審議官   中島 眞二君         内閣法制局第四部         長       大出 峻郎君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         北海道開発庁計         画監理官    大串 国弘君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁大都市圏         整備局長    柳   晃君         外務省条約局長 小和田 恒君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵大臣官房審         議官      新藤 恒男君         大蔵省主計局次         長       角谷 正彦君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         文部省初等中等         教育局長    西崎 清久君         文部省高等教育         局長      阿部 充夫君         厚生省社会局長 小林 功典君         厚生省年金局長 水田  努君         運輸政務次官  柿澤 弘治君         運輸大臣官房審         議官      井山 嗣夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 小粥 義朗君         労働省労働基準         局長      平賀 俊行君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         建設省建設経済         局長      牧野  徹君         建設省都市局長 北村廣太郎君         建設省道路局長 萩原  浩君         自治大臣官房審         議官      渡辺  功君         自治省行政局公         務員部長    柳  克樹君         自治省税務局長 津田  正君  委員外出席者         会計検査院長  大久保 孟君         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     川口 順啓君         日本国有鉄道常         務理事     岡田 昌久君         日本国有鉄道常         務理事     前田喜代治君         日本国有鉄道常         務理事     山田  度君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 十月十三日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     田中 直紀君   桜井  新君     石渡 照久君   浅井 美幸君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     桜井  新君   田中 直紀君     小沢 辰男君   草川 昭三君     浅井 美幸君     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道改革法案内閣提出第一号)  旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出第二号)  新幹線鉄道保有機構法案内閣提出第三号)  日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出第四号)  日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出第五号)  鉄道事業法案内閣提出第六号)  日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出第七号)  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  日本鉄道株式会社法案伊藤茂君外八名提出衆法第一号)  日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に 関する法律案伊藤茂君外八名提出衆法第二号)  日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案伊藤茂君外八名提出衆法第三号)      ────◇─────
  2. 細田吉藏

  3. 大橋敏雄

    大橋委員 我が国の鉄道国有から民有へと、いわば歴史的な大転換を図ろうとしているわけでございますけれども国民はかたずをのんでこれを見守っていると思うのであります。まずその一つは、大改革合理化、これに絡んで一般国民を巻き添えにするような不祥事件が起こるのではないかという不安を抱いていることが一つでございます。もう一つお金の問題でありまして、国鉄の膨大な借金やあるいは資産処理などの後始末が果たして立派にできるんだろうか、また新会社経営サービスはどのようにやっていくんだろうかということが一つです。三つ目が人の問題であります。最重要課題と言ってもいいわけでございますが、鉄道事業に継続していく人、それから離職して新しい職を求めて出ていく人、この際完全に退職していく人。そして四つ目に、退職していく人は自分の将来の年金、つまりこれに対する関心が非常に高うございます。その他もろもろということでございましょう。今の内容につきまして、多少順番は変わるかもしれませんけれども順次質問していきたいと考えます。  最初に、国鉄合理化に絡む問題からでございますが、国鉄総裁にお尋ねしたいと思います。  国鉄百年の歴史の中で最高記録した職員在籍人数昭和何年で何名だったのか、そして現在の在職職員数は何名になっているか、お尋ねしたいと思います。
  4. 杉浦喬也

    杉浦説明員 過去、国の時代とそれから公企体時代を通じまして最も多い職員数を抱えた年は昭和二十二年度末でございまして、そのときの職員数は約六十一万人でございます。最高になりました理由は、戦地からの復員それから満鉄職員等採用というようなことがその理由かと思います。
  5. 大橋敏雄

    大橋委員 現在数、お述べになりませんでしたけれども……。
  6. 杉浦喬也

    杉浦説明員 現在、ことしの四月一日の職員が二十七万七千人でございますが、現時点ではそれよりもう少し減っていると思います。
  7. 大橋敏雄

    大橋委員 今の御答弁では、昭和二十二年度末が六十一万人であった、それが現在二十七万七千からまだ減っておるんだろうということで、約三十八年間はかかっているわけでございますが、半分以下に減っているわけですね。いわばまさに人減らし、合理化歴史であったと言っても過言ではないと私は思うのであります。今も総裁の方からお話がありましたように、私も国鉄の資料を見てまいりましたら、昭和十二年度から十九年度までの採用員数は五十八万人になっております。それから昭和二十年、戦後ですね、二十年から二十三年、三年間で二十五万九千人、何はともあれ戦中、戦後の大量雇用解雇原因となってさまざまな問題が惹起され、そうしながら現在に至ったと言っても過言ではないと私は思うのであります。  そこで、最終的な国鉄問題でございますので、歴史を振り返るのも意味があろうかと思って見てみたわけでございますが、戦後の歴史の中で最も深刻な事件が起こったのは第三次吉田内閣時代でございまして、昭和二十四年五月三十日、十万人以上の人員整理、これも若年層を中心に人員整理をするという法律が成立をいたしまして、二カ月の短期間の間に事件が続発しております。そういう記録が残っておりますが、その二十四年のころは国鉄ストを決行をして拡大しつつあったわけでございますけれども、六月の十日に東神奈川で人民電車事件が発生しております。翌日、マッカーサー総司令部からスト中止勧告が行われております。六月の三十日は、福島県の平警察署が占拠されておる、いわゆる平事件が発生いたしております。七月一日、問題の第一次人員整理基準、九万五千人が発表されたわけです。その四日後の七月五日に、初代国鉄総裁下山事件が発生いたしております。その死因の真相はいまだになぞだと言われておりますけれども、それから七月の十二日に第二次人員整理六万二千人が発表され、その三日後には、七月の十五日、三鷹無人電車が暴走しております。いわゆる三鷹事件発生で、死傷二十人という記録があります。  このように不祥事件が続々と発生しているわけでございますが、当時は戦後の混乱期、あるいは思想的にも右と左とに真っ二つに対立して激突している時代ではございましたけれども時代は、歴史は繰り返されるということわざもあります。既に過激派による鉄道妨害同時多発事件も起こっておりますし、二、三日前にも変な事件が起こっております。また、きょうの新聞報道等にも「中核派地雷工場摘発」というような記事まで出ておりますが、最後国鉄総裁という立場での杉浦国鉄総裁総理にいかなる心境、心構えで対処なさろうとしているかを最初にお伺いしておきたいと思います。
  8. 杉浦喬也

    杉浦説明員 昭和二十四年の当時の混乱、私どもも記憶に新しいところでございますが、当時の社会事情、大変な情勢であったということ、それから当時の九万人近くの大量の解雇という非常に端的な政策がとられたということ等々を背景といたしましてそうした事故が起こったということでございますが、現時点合理化の進展という意味におきましては同じでございますが、そのやり方につきましては、政府を挙げまして雇用の確保という問題を非常に重要な問題としてとらえて、総理を初め全政府がそうした面での御支援をいただいておるわけでございます。私ども、一人も路頭に迷わせないということを基本的な方針といたしまして、職員の気持ちを安心させるように日夜苦労しているところでございます。  そうした面で、安全の問題あるいは社会的ないろんな事件というものがこうした合理化なりあるいは雇用の問題について万が一そうした原因があっては絶対ならぬというふうに私は思うわけでございまして、万般の施策を通じ懸命の努力をしているところでございますし、まして安全問題は、これは私ども交通事業者最大の使命でございます。大きな事故はもう絶対に起こさないという方針で、今臨んでおるところでございます。
  9. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 百十余年に及びます国鉄歴史を想起して、先輩たちの御努力に心から敬意を表したいと思います。  人員整理の問題は最も大事な問題であり、政府としても最大の注意をもって万全の措置を講じておるところでございます。秩序整然として、そしてこの対象になる方々の生活に不安を与えないように、あらゆる方面に目を配り気を配りながら、我々としては最大限の努力を傾けてまいりたいと考えて、これが秩序整然として行われるように念願いたしております。
  10. 大橋敏雄

    大橋委員 それで、国鉄総裁にもう一度お尋ねいたしますが、今、分割・民営に対する国民世論は大枠七〇%以上が賛成の意を表しているわけでございますが、肝心の国鉄職員の内部は一体どうなっていっているのだろうか。  実は、先日行われました国労臨時全国大会では、非常にそういう意味では遺憾な結果になっているように見ているわけでございますが、総裁としてはこの辺はどのように考え、努力なさろうとしていくか、お尋ねしたいと思います。
  11. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄職員の数は、現在二十八万人、大変な数でございます。例えますと巨大タンカーというようなものが方向転換を今やろうとしておるわけでございますので、なかなか一朝一夕にはまいりませんが、一生懸命改革必要性雇用の安定の問題につきまして職員に語りかけをしておるところでございまして、職員の対応におきましても、企業人教育、あるいは既に行っております一般企業への派遣とか、あるいは直営売店自分経営するというような事柄の行為を通じまして、各職員民間的な経営はどういうものか、現在と比較してどういう問題があるかというようなことを次第に自覚をしつつある状態でございます。改革意識の問題につきましても、最近若手の諸君なりあるいはまた管理者諸君が、みずから各地域におきまして国鉄改革に重大な関心を持っていろいろな集いを開催をしているということがあるわけでございまして、全国的にそうした意識の問題は非常に高まりがあるというふうに思います。  今お話しの組合の問題でございますが、労使関係、こういった時期でございますので何よりも信頼関係を置きたいということで、各組合に私は一生懸命呼びかけをしておるところでございますが、各組合のいろいろな主義主張がございまして、こうした面で反応の早いところと遅いところがございます。  最近の国労動きにつきましても、ようやく新しい方向転換しようというような動きが前の主流派の間で大変兆しが見えたことは非常に喜ばしいというふうに思っておったわけでございますが、せんだっての臨時大会におきましては、そうした方向が一応とんざしたということは非常に残念であるわけでございます。私ども組合との信頼関係を今後とも築き上げたいということで、各組合に対しまして今まで以上にお話し合いを進めて理解を深めたいというふうに考えておるところでございます。
  12. 大橋敏雄

    大橋委員 しっかり努力してもらわないと、これまで国労の中でも一生懸命今の方向に同調していこうという動きがあったわけでございますから、その方々努力が無にならないようによろしくお願いしたいと思います。  再建監理委員会、六十年七月二十六日付の「国鉄改革に関する意見」の最後のところに「変革の苦しみを乗り越えて国鉄の過去を清算し、将来にわたり鉄道の役割を十分に果たし得る体制を確立して、百年の歴史を有する国民的財産を健全な姿で次の世代に引き渡すことが我々の世代の責務であると考える。」これはまさに全体の意見がここに述べられていると思います。そういうことで次に移りたいと思います。  まず二番目のお金の問題、借金資産処理関係になるわけでございますが、清算事業団処理すべき長期債務のうち二十三兆一千億の財源についてでございます。これはいつどんな形で確保されるのかということがこれまでも論議されてきたわけでございますが、いまだに定かではございません。土地売却収入あるいは株式売却収入、そうして国民負担によってその二十三兆一千億円があてがわれることになっているわけでございますけれども、その処理財源というものは実際的には裏づけのない単なる計画予算案であると言われてもいたし方ないのではないかと思うのです。そのことがこれまでの論議でもかなり進んできたわけでございますが、私がもう一つ非常に不思議に思っていることは、あと半年後に来ている、法律が成立した場合の話ですけれども、六十二年度から新発足する清算事業団収支見通しが非常にあいまいだということであります。それこそ半年後に迫った新会社収支見通しがあいまいだということは、いかにずさんな内容であるかを証明することになるわけでございますが、それを申し上げますと、支出の方は長期債務償還額で一兆六千億、余剰人員対策で三千七百億、三島基金土地造成費などで小計で二兆八千三百億円と計上されておりますことに対しまして、収入の方がさっぱりですね。土地売却で三千億円、新幹線をリースする保有機構からの返済金で二千三百億円、その他九百億円、小計六千二百億円、全然話にならぬわけでございます。財投資金から借り入れ一兆五百億が計画されたようでございますけれども、それでも一兆一千六百億円というのが不足しているわけでございますが、こんな収支の立て方があるのでしょうか。
  13. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今大橋委員からの御指摘でありますが、確かに私どもは六十二年度の予算編成のための概算要求におきまして、収支見通しをはじきました上で来年度の概算要求をいたしております。そしてその中で御指摘のように補助金及び民間借入金は未定の要求をいたしております。  ただ、これは委員よく御承知のとおり、財政投融資で一兆五百億を計上し、まさに民間借り入れ等が一体どの程度まで可能なものなのか、その辺は現時点においては定かでございません。また、全体の中におきまして補助金としてどれだけを受け入れるべきかにつきましても、全体の財政需要の中におきまして、今後予算編成過程財政当局と私自身が折衝すべき項目であります。ですから、決して要求自体はずさんなものではありません。項目として未定という項目を立てることは、これは私は予算編成に向かうそのプロセスとしての概算要求でありますから、御理解をいただきたいと思うのであります。
  14. 大橋敏雄

    大橋委員 今の御答弁では納得しかねます。と申しますのは、今も申しましたように、もう法律が成立すれば六十二年度から発足する新会社収支見通しでありまして、一兆一千六百億円というのがどこからどう対処されるのか、いまだに定かでない。恐らく一般会計からと民間からの借り入れになるんであろうと思いますけれども、その内容もまだ明確ではないんですか。
  15. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 支出の方は、委員先ほどお述べになりましたとおり明らかに数字は出ております。そして収入の方、多少細かく申し上げますならば、新幹線保有機構収入の二千三百三十二億というものはまさにそのとおりの数字でありますし、土地売却収入の三千億というものはいわば清算事業団が三千三百三十ヘクタールの売却資産受け入れ、今後処分をしていきますその初年度として売却可能数字をはじき出したものであります。また、雑収入六百四十三億という中には、例えば派遣職員一万人の負担金受け入れとして百四十億円、あるいは新事業体から受け入れます市町村納付金負担受け入れ三百七十三億円、租税公課負担受け入れ、これも新事業体からの受け入れでございますが、百三億円、また一般会計からの受け入れ額といたしまして、御承知のとおり戦傷病者の割引がございます。それに係る受け入れで十七億円、不用になりました車両の売却収入として十億円。また一般会計からの補助金として特定地方交通線交付金を二百四十一億円計上いたしておりまして、これが六千二百十六億円の内訳であります。  ですから、その残余の部分で委員が御指摘として、けしからぬとおしかりを受けますけれども、この財政投融資額そのものも実は変動の可能性を持っておる数字であることは御承知のとおりでありまして、まさに予算編成の結果確定をいたしますべき金額として補助金について未定でありますし、民間借入金等についても未定を立てておりますこと自体がずさんな資金計画とおしかりを受けるのは当たらないと私は考えております。
  16. 大橋敏雄

    大橋委員 今るる御説明申されましたけれども、それは六千二百億円の説明でありまして、私が今お尋ねしているのは一兆一千六百億円をどうするんだ、この不足額をどうするんだ。それは清算してみなきやわからない内容だから今のところ——そうじやないの。
  17. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、清算ではございませんで、これは予算編成過程において財政当局との折衝の結果補助金として幾らを受け入れるか、また民間借入金がどの程度までいけるかということを確定したいと申し上げたわけでありまして、要求段階としての未定要求であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  18. 大橋敏雄

    大橋委員 それでは百歩譲りまして、この一兆一千六百億はいつの時点までにはっきりするんですか。
  19. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 予算編成最終段階までにはこれは当然確定をいたさなければなりません。
  20. 大橋敏雄

    大橋委員 じゃ次に移りますが、処理すべき長期債務等の配分の中で、事業団における処理内容として年金負担等として五兆円が計上されておりますが、これはいかなる内容のものであるか、説明願いたいと思います。
  21. 林淳司

    林政府委員 お答え申し上げます。  年金負担等五兆円でございますが、その中の一つ追加費用でございます。昭和三十一年以前の給付に対するものでございますが、これが四兆八千億でございます。それからもう一つ公経済負担清算金でございまして、これが約二千億というふうに見込んでおります。それからもう一つ恩給負担金としまして一千億ということで、年金関係、これらにつきましては、新会社から切り離して清算事業団の方で処理をするという計画でございます。
  22. 大橋敏雄

    大橋委員 簡単に申し上げますと、整理資源に対する費用について清算事業団が五兆円、今おっしゃったのは四兆八千億ですか、それがいわゆる年金現価として積まれたんだと理解してよろしいですか。
  23. 林淳司

    林政府委員 おっしゃるとおりでございまして、六十二年度以降、いわゆる昭和三十一年以前の給付原因が解消しますまでの毎年の給付を六十二年の時点に、年金現額に換算をして計上をしたものでございます。
  24. 大橋敏雄

    大橋委員 追加費用は、その整理資源として五兆円が計上され、年金現価としてとられたんだという話でございますが、これはいつかの時点で五兆円がファンドされるというふうに理解してよろしいですか。
  25. 林淳司

    林政府委員 現実にファンドされるといいますよりは、六十二年の時点で四兆八千億の年金現額というものに換算をいたしまして、そしてそれだけの債務を清算事業団がその時点で負う、これについては、当然六十二年度以降毎年五千億弱の支払いがあるわけでございますが、それは逐次減っていくということでありまして、現実の支出は毎年毎年出てくるわけでございます。したがって、六十二年の時点で四兆八千億の債務を清算事業団が負担しておけば、それについては最終的にいわゆる追加費用の支払いは可能であるということでございます。
  26. 大橋敏雄

    大橋委員 運輸大臣、今お話があったのですが、大蔵大臣がいいかもしれませんね、整理資源としての年金現価である、年金現価というのは当然ファンドして、そこから生み出される利益も換算しながら、将来にわたって支払いが可能であるというふうに計算されるわけでございまして、もしその利益が生み出せないような状況であれば年金現価という言葉は当たらないのじゃないか。今清算事業団に四兆八千億担当さして責任を持たせるんだという話はわかるわけでございますが、もしファンドしなければ利子分がまた不足していくわけですから、収支数字がまた変わってくるわけですね。その点いかがですか。
  27. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、林総括審議官からお答えをいたしましたように、この仕組みは、ファンドを形成して、その運用によって処置していくという形をとっておりません。むしろ、将来にわたっての整理資源に必要な額、それ自体を債務として清算事業団受け入れる、そしてそれを今後において償還をしていくというやり方でありますから、この方式はこの方式で私は成立をいたすものと思います。
  28. 大橋敏雄

    大橋委員 そうしますと、恐らくファンドしなければ不足額が出てくるわけでございまして、その不足額についてはまた借り入れをやらねばならぬ、ということになると、全体のいわゆる総額も変わってきますし、また事業団において処理する、担当する額も当然変わっていくということでございますね。
  29. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 と申しますよりも、将来にわたっての整理資源に係る債務を一括して清算事業団に計上したわけでありますから、その数字自体が問題なのではなくて、むしろ今後各年度ごとに償還していきます数字が予定どおり償還されなかった場合には将来にわたってその債務が存続をする、そういうふうに考えた方が素直ではないでしょうか。
  30. 大橋敏雄

    大橋委員 私が最初に、このお金年金現価でしょうかと聞いたら、そうでございますと。年金現価というのは先ほど申しましたように過去勤務債務に対する支払いの原資でございますから、当然そこは利子が生み出せる計算として成り立っているわけですから、そういう意味からいって少しおかしいのじゃないかということを言っております。これは議論がかみ合いませんので、次に移らしていただきます。  順番からいきますと人の問題に入りたかったのですけれども、今、年金問題を話しておりますので、ついでに退職していく方々の問題を取り上げてみたいと思うのであります。  国鉄年金財政と国鉄の自助努力の問題をお尋ねしたいわけでございますが、その前に、国鉄職員で退職して現在年金を受けている人はどのくらいいるのかお尋ねしたいと思います。——では、私の方で調べてありますから言いますので、もし間違いがあれば訂正をしてください。六十年度末で四十四万三千人というふうに理解しておりますが、もし間違いがあれば後で訂正してください。  このように大変な対象者がいるわけです。と同時に、これからも続々と退職して老齢年金を受ける立場になるわけでございますが、年金は給与所得ということで課税の対象にされていることは承知しておりますが、問題は、六十五歳以上の高齢者に対しては優遇措置が講じられているわけです。しかしながら、今政府の方では課税強化の内容でいろいろ検討されているわけでございます。今の検討のまま実施されますと、例えば厚生年金の例をとりますと、今夫婦で平均年収百八十万になっているはずですが、月に十五万です。ということは、今度の課税強化が実施されたとすれば丸々一カ月間分が税金に持っていかれる、一月間は飲まず食わずで暮らしなさいという形になるわけでございます。厚生省においても年金と税金の研究会が設けられたと聞いておりますけれども、結論は出たのでしょうか。その辺は検討されたのかどうか、あわせてお答え願いたいと思います。
  31. 水田努

    ○水田政府委員 お答え申し上げます。  税につきましてはやはり税金の論理だけではなく社会保障の論理も十分踏まえて検討してもらう必要があると私ども考えておりまして、ことしの二月からその両面にわたって造詣の深い学者の方に集まっていただきまして年金税制に関する研究会というものをつくりました。その中には、政府税調で御活躍いただいている大阪大学の藤田先生であるとか東大の貝塚先生にも御参加いただきまして、ことしの九月に厚生大臣に「公的年金税制のあり方について」の御提言をいただいております。  その主たる内容を簡単に申し上げてみますと、皆年金になりまして四半世紀も過ぎてこれから本格的な年金時代を迎えるに当たって、高齢者の生活維持を図る上で年金制度が果たしている役割を十分認識しながら年金に対する課税制度というものを考えていくべきであるというのが基本的な基調になっております。  時間がございませんのでかいつまんで申し上げますと、高齢者は収入支出の両面から生活条件に制約がある、しかも、退職後二十年に及ぶ老後生活というものが一般化しているので、生活基盤を賄うに足る終身給付をその実質的価値を維持しつつ保障する年金制度というものが今後とも重要であり、こういう観点に立って年金税制について配慮すべき点としましては、国民的な制度として確立している公的年金については、その給付費が世代間の扶助という社会連帯のシステムによって賄われていることから、税制上もこれにふさわしい対応を考える必要がある。こういう観点から、保険料を拠出する加入者の負担水準と年金を受ける高齢者の年金水準とのバランスというのは世代を通じての合意のもとに設定されていると理解すべきであって、標準的な年金額までに課税が及ぶことは本来想定されていないと考えるのが至当である。  こういう観点から、公的年金にふさわしい税制のあり方としては、今申し上げました老後の生活維持の基盤を支えるものとして、いわゆる社会連帯の合意のもとに設定された標準的年金額、六十一年度価格で二百二十万までは課税が及ばないようにすべきだ。このことが公的年金に対する国民の信頼を得るゆえんでもある。また、この標準的な年金額を上回る公的年金についても、現に年金に依存して生活を維持している人が課税強化によって生活設計に新たな負担を生じることは適切ではない。この二点について集約をしていただいたということでございます。
  32. 大橋敏雄

    大橋委員 今、年金課税に対する基本的な研究の中身が述べられたわけでございますが、先ほど申しましたように、今、政府が高齢者に対して、特に六十五歳以上の高齢者に対して年金に課税しようとしている内容を見てまいりますと、非常に厳しい内容になっております。給与所得控除が最低五十七万円、それから老年者年金特別控除が七十八万円、この二つとも廃止しようという考えでございます。六十五歳未満の方についても給与所得控除、最低五十七万円、これを廃止しようというわけでございますので、これは非常に不都合な内容になってくると思うのです。  そこで、これは総理によく理解していただきたいし、また認識を同じにしたいと思っているところでございますが、我が国の公的年金に対する基本的な部分ですね。この認識をまず合わせたいと思うのですけれども、基礎年金の導入に際しまして、二十一世紀に向けて長期的、安定的な公的年金を確立しようということで、社会保障年金の負担と給付について根本的な見直しを行ったわけですね。その結果、基礎年金を導入しまして、社会保障年金の水準は勤労者の平均賃金の六九%程度が適当であろう、五十九年度価格で基礎年金月額五万円としまして、厚生年金、夫婦のモデル年金としては年額二百十一万四千四百円、月額十七万六千二百円、このようになったわけでございます。また、給付率の六九%は、予測されておりましたピーク時の八三%を大幅に抑制したということで、当時は非常に不満の声、反対の声が強かったわけでございますが、負担のことを考えるとやむを得ないのではないかなということで法律が成立をして、ことしの四月一日に基礎年金が導入された形で出発をしたわけですね。これはそのままお認めいただけると思いますが、いかがでしょうか。
  33. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 国鉄の共済年金問題は、国鉄改革を推進するに当たりまして極めて重要な問題であると認識しております。このため、六十年十月十一日に閣議決定を行い、また同年十一月二十八日には政府統一見解を示しまして国鉄共済年金の支払いが維持できるように取り組んでおるところであり、さらに現在四閣僚による懇談会を開催しているところでございます。政府は、閣議決定や統一見解の趣旨を踏まえまして、今後とも鋭意検討を進めているところであります。  年金の問題につきましては、政府も公的年金の統合ということから打ち出しまして、今まで公社等を中心に努力をし、国家公務員あるいは公社あるいは地方公共団体、国、府県、市町村、そういうようなものを対象にいろいろな統合について努力してきたところでございます。その中にやはり国鉄年金問題というものを助けなければならぬという頭も必ずしもないとは言えないのであります。その一環といたしまして基礎年金あるいは二階建て年金、そういうような形で大きな変革をもくろみつつ前進してきたところでございますが、既定の方針に従いましてそれらの年金の大改革は進めてまいるつもりであり、かつまた国鉄の問題につきましても、我々といたしましては年金受給者にできるだけ今までの待遇を保障するように最大限の努力をしてまいりたい、そういう考えで努力してまいるつもりでおります。
  34. 大橋敏雄

    大橋委員 今私が聞かんとしたところとちょっとずれております。というのは、基礎年金を導入して、二十一世紀の年金を決めるに当たって社会保障年金としての水準を決定しましたよ、それは今申しましたように年額二百十一方四千四百円になった、これはもうぎりぎりのいわゆる社会保障年金としての長期安定的な年金として二十一世紀に向かっての内容で設定したんですよ、これは社会保障年金ですから、ぎりぎりの線ですからこれに食い込むような課税がなされないようにお願いしたい、実はこういう趣旨でお尋ねしたわけです。この基礎年金導入に当たっての負担と給付の見直しの中で、今言ったように五十九年度価格で平均賃金の六九%にして二百十一万四千四百円、月額十七万六千二百円、これはぎりぎりの線であることを認識していきましょうねという話です。これはいいですか。
  35. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その趣旨に沿って今後も努力していきたいと思っておるところであります。
  36. 大橋敏雄

    大橋委員 先ほどの高齢者の課税強化についていろいろ厚生省の研究の内容も伺ったわけでございますが、とにかく高齢者というのは稼得能力がございませんね。それから心身の機能が低下をいたしておりますし、また加齢に伴う出費の増大あるいは生活維持の不安、安定性が問題にされる状況にあるわけですから、言うならば非常に弱い立場の方々です。その六十五歳以上の夫婦が現在では年金額は百八十万円です。月に十五万円。ここまではせめて非課税にしていただきたい。今いろいろ税制調査会の方で研究されているようでございまして、また報告があっているかもしれませんが、それはそれなりとして、今言った分だけは絶対に課税強化しない、また、それ以上ふえる分については現行の内容よりも強化されないようにしながら所得税法あるいは租税特別措置法あるいは地方税法の中で措置をしていただけませんか、こういうことを今言いたいわけでございますが、いかがでございましょうか。
  37. 水田努

    ○水田政府委員 先ほどお答えしました年金税制に関する研究会の御提言にありますように、今回の年金改革で設定されました六十一年度価格で標準的な年金額年額二百二十万、それから、それを超えるものについても現行よりも課税強化にならないようにという線を出していただいておりますので、私ども、その線に沿って財政当局にこれからも理解を求め、協力をしていただくように努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  38. 大橋敏雄

    大橋委員 大蔵大臣、いかがでしょうか。
  39. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように、いわゆる長寿社会になってまいりますと、年金からの所得というものは一般的に非常にふえていくわけでございます。そういう新しい状況を所得税の面でどういうふうにとらえるべきかということをただいま税制調査会でいろいろに検討しておられるところでございます。これという結論がもちろんまだ出てまいったわけではございませんが、私の承知しているところでは、税制調査会では、そういうふうな情勢の変化がございますので、これについての課税を強化するというよりは合理化するとか簡素化するとか、どういう考え方で整理をしたらいいかということを検討しておられるというふうに承知をしておりますけれども、ただいまのところ結論が出たわけではございませんで、その答申を待ちまして考えてみたいと思っております。
  40. 大橋敏雄

    大橋委員 きょうの我々の要望もしっかり胸に入れながら最終的な判断をしていただきたいことを強く要望しておきます。  何といいましても、今老後生活を年金だとかあるいは恩給に一〇〇%依存している人がどのくらいいるだろうかという調査が五十九年度も行われたわけですけれども、そのときも四一・九%だったか非常に高い率ですね。いよいよそれがふえてきているんではないかと思うわけでございますが、老後生活、いわゆる社会保障としての所得を年金にいかに依存しているかということを十分承知していただきたいと思います。  それでは次に移りますが、国鉄年金に関して六十年の十月十一日に「国鉄改革のための基本方針」という閣議決定が行われております。また、六十年の十一月二十八日にも連合審査の際に政府統一見解というのが出されておりますが、この閣議決定だとか統一見解というものはどの程度の権威があるものだろうか、非常に私は今疑問を抱いているところでございますので、まず初めに総理にその辺をお伺いしておきたいと思います。
  41. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、閣議決定及び統一見解の線に沿って誠意を持って努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  42. 大橋敏雄

    大橋委員 これは、言うならば国民に対する公約だと思うのですが、いかがですか。
  43. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 政府としての考え方を国民の皆様方にお示しした、そういうつもりでおります。
  44. 大橋敏雄

    大橋委員 コウヤクといっても薬のこう薬ははがされますけれども、皆さんのこうした統一見解だとか閣議決定というものは雑なものではないことは十分御承知のはずでございますので、その立場から御質問申し上げます。  国鉄の自助努力ということがよく言われておりますが、職員の自助努力は、再度にわたって給付の引き下げ等が行われているわけでございますので、私は、国鉄全体云々ではなくて、国鉄職員そのものの立場から見た自助努力はもう十分限界ぎりぎりまでなされているように思うのでございますが、これまでどのような自助努力職員給付引き下げが行われたか説明願いたいと思います。
  45. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘国鉄職員における自助努力ということになりますと二つあろうかと思います。長い歴史の中でいろいろな努力はあったわけでございますが、特に大きなものとして二つ申し上げたいと存じます。  一つは、五十九年四月でございますが、例の制度統合の際の措置でございます。このときには、五十九年度以降、他の共済に比べまして国鉄共済の年金水準が一割程度低くなるまで年金額のスライドを行わないということを一つしております。同時に、このときには国鉄組合員の掛金率が千分の百二まで引き上げられております。これは本俸ベースでございますので、現在では標準報酬ベースで話をしておりますから、標準報酬ベースに直しますと千分の八十四・九五というところまで、かなり高い数字でございますが、引き上げをしたわけでございます。  それから第二番目には、御承知のとおり、本年四月に共済年金全体の制度改正が発足をいたしました。昨年の年末の臨時国会で法案が成立いたしまして、本年四月から制度改正になっておりますが、この際にはいわゆる職域年金の相当部分というものを国鉄については設けないということにいたしました。それからまた、いわゆるみなし従前額保障と申しますか、これは国鉄については御遠慮いただこう、こういったような措置はとっておるわけでございます。
  46. 大橋敏雄

    大橋委員 たしか昭和五十八年に公共企業職員共済は国家公務員共済年金に吸収されたわけですね。それまでは国鉄共済は有利な立場にいたわけでございますが、国家公務員共済並みに抑えられた。その上にまた一〇%ほどのカットを受けたわけでございます。また次に、基礎年金導入の際、官民格差の是正という一環から基礎年金が共済にも導入されたわけですが、これは、共済年金も基本的には厚生年金並みに抑え込まれたわけですね。ただし、共済年金は公務員の特殊性ということで、職域部分が、新厚生年金部分の二〇%が上乗せされたわけですね。しかし、国鉄職員の皆さんはこの上乗せも、職域部分もカットされたわけです。そして保険料はこれまでにない高い保険料を取られるようになっております。今共済年金の中ではトップですが、八十四・九五となっておりますね。したがいまして、私は、国鉄職員の自助努力はもう限界ぎりぎりまで行われていると判断するわけでございますが、この点いかがですか。
  47. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えいたします。  国鉄職員の自助努力は、おっしゃいますように相当厳しい状況に、共済年金に比べましてそこまでやっていただいているということは事実でございます。しかし、その問題を踏まえまして今後その点をどう考えるかということになりますと、こういった掛金の状況でございますとか給付の状況でございますとか、いろいろ国鉄共済年金の実態を踏まえながらさらに検討していくべき問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  48. 大橋敏雄

    大橋委員 実は先ほどの統一見解のときにも、今後は国鉄の自助努力と国の負担も含め、諸般の問題を検討して収支が整うように努力していきますという趣旨が述べられているわけでございますが、国鉄年金がそもそもこんなに苦しい状況になってきたのは、先ほどから議論しておりました整理資源に相当する財源を、本来ならば恩給期間の問題等ですから国が面倒を見なければならぬ問題を国鉄の運賃に依存した、肩がわりした格好になってきたわけですね。  私なりにちょっと調べてみたわけでございますが、例えば昭和五十年、国鉄給付総額は一千八百二十九億円だったわけですけれども、その中の七二%は整理資源なんですよ。それから五十一年も五十二年も五十三年も五十五年も、今資料を持っておりますけれども、ほとんどの金額は、五十五年度は総額で四千三百三十五億支払っておりますけれども、その中の二千七百三十七億は整理資源関係なんですね。これは七〇%までいっておりません。六三・一%には落ちておりますけれども、長い間そういうことで、国鉄の運賃ではなくて国が当然面倒を見てこなければならぬそういう内容国鉄の方に背負わせたわけですから、国鉄年金が苦しくなっていくのは当然のことでございます。そして今申しましたように、職員の方の自助努力はなされてきたわけですから、これからはいよいよ国の責任でこの不足額を埋めてもらわなければならぬと思うわけでございますが、いかがでございますか。大蔵大臣。
  49. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどお話しの自助努力ということについては確かに非常に厳しい努力をしてもらっておることはそのとおりと思います。が、さりとてこの問題全部が片づいたわけでないこともよく御存じのとおりでございますから、したがいまして、十一月二十八日に申し上げましたように、これは六十四年度までの分はともかく支払いに支障がないように考えていかなければならない。六十五年以降はさらにその後に検討いたします。前段につきましては、本年度中に諸般の情勢も考えながら結論を出す、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  50. 大橋敏雄

    大橋委員 そこで具体的にお尋ねしますが、国鉄年金が国家公務員共済年金に助けられてきているわけでございますが、六十年から六十四年度は財政調整がなされたわけですね。それでようやく収支均衡しているところだったわけでございますが、今回の国鉄改革で十万人以上も縮減することがわかりまして、均衡していた収支に対して年平均約七百億円が不足していく格好になったわけです。この問題についてだれがどのようにして穴埋めをするのでしょうか。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年の十一月二十八日に統一見解を申し上げましてから、関係の閣僚が本年度中にこの答えを出さなければなりませんので、協議を続けておりまして、運輸大臣と官房長官年金担当大臣と私でございますけれども、何回か会合を開いております。ただいま仰せられましたようなこともその際私どもの検討の対象になっておるわけでございますけれども、ただいまのところまだ結論を出しておりません。
  52. 大橋敏雄

    大橋委員 要するに、六十年から六十四年度の内容は三十二万人だったのがもう二十一万五千人に減っていくんだということから、年七百億円も赤字が出てくるわけですね。その後六十五年度以降、またどうなるんだろうか。いよいよ問題になるわけですよ。というのは、今言うように、この不足分をまさか職員の自助努力に求めるわけにはいかぬでしょう、もうこれ以上は。そうなってきますと、国で面倒見なければならぬ、また国が面倒見るべきだということを、先ほど当然国鉄の運賃で面倒見なくていい内容を見てきたわけですから、この際は国の方で面倒見てくださいということを今、私申し上げようとしているわけです。  さて、先ほどの五兆円の整理資源に対する年金現価が清算事業団の方で担当されるということで、この分については一応めどがついたと見ましょう。しかし三十一年七月以降のいわゆる共済、公企体の新法以後の支払いについては、全く問題が出てきております。私は、今の国鉄年金財政は恐らくゼロに等しい、こういうように判断しております。今の積立金の残高、恐らく四千二百二十億だと理解しておりますが、いかがですか。
  53. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 四千二百億弱と理解しております。
  54. 大橋敏雄

    大橋委員 この中で恐らく住宅ローンに一千億、そしてまた債券の方で一千億が出る形になっておりますので、直ちにこれは利用できないわけですね。そうしますと、この手当てをしない限りは四千億もないわけでございまして、年金の財政の立場から見ていきますともうないに等しいわけですね。これ一体どうするんだということなんですが、総理、これをどうしていったらいいのでしょうかね。
  55. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ないに等しいとも申し上げられないのでありまして、中に流動性のちょっと乏しい部分があるということは言われましたとおりと思いますが、これから六十四年度までの間でございますので、その中でできるだけ流動性のあるものから、そしてまた流動性の乏しいものは流動性をつけるというような努力は、これはもうしなければならないことだと思います。
  56. 大橋敏雄

    大橋委員 では、もう一つお尋ねしますが、国鉄年金財源がなくなってきた、自助努力職員の方にはそれなりに辛抱してもらった、しかし、先ほどの統一見解ではございませんが、自助努力の中には国の負担も含めて、こういうことがあるわけでございますので、今後は必ず国の責任でそれを賄っていくことも考える、こういうふうに理解してよろしいですか。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま積立金のことをお話しになったわけでございますから、そういうことについても最善の努力をいたさなければなりませんし、ただいま私ども閣僚が何度か協議をいたしておりますことは、最終的に昨年の十一月二十八日の統一見解で申し上げましたようなこと、すなわち六十四年度までの支払いには支障を生じないように処置をいたしますということにつきましては、これは統一見解のとおり守ってまいらなければならないと思います。
  58. 大橋敏雄

    大橋委員 監理委員会がつまり長期債務の整理の仕方を示しまして、清算事業団の方でこれだけのものは責任を持って処理していきます、こう決まっているわけですね。その中で先ほどの整理資源に対する五兆円何がしかの問題も決められて、その三十一年七月以前の問題はこれはそれなりに処理されると理解するわけでございますが、その後については先ほど申しましたような非常に乏しい財源でしかないわけです。  そこでお尋ねしたいわけでございますが、国の責任も含めるわけでございますので、恐らく今の国鉄資産が売却されることになってきているわけでございますが、そういうものが年金財政の中にも配慮されるのかどうか、いかがでしょうか。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 共済の六十四年度までの問題を具体的にどのように処置するかということは、先ほども申しましたように今年度の末までに閣僚間で結論を出しまして支払いに支障のないようにいたしますということは統一見解で申し上げておりますところでございまして、これはそのように誠実に結論を出してまいります。  ところで、これはやはり一種の長期債務であろうとおっしゃる点については、それはもうそういうことでございましょうから、そういう意味資産の処分と無関係ではない、そういうことは申し上げることができると思います。つまり、考え方の問題といたしまして無関係とは申し上げない、こういうことだと思います。
  60. 大橋敏雄

    大橋委員 私は今聞きたいことは、整理資源の方は清算事業団の方で責任を持ってくださるということになって安心でございますが、あと、肝心の三十一年七月以降の職員の皆さんの今後の年金財源がどうなっていくのか。今言ったようにもうほとんどなくなってきている状態にあるわけでございますので、その財源について、今言ったように、整理されている国鉄土地、それの収入等を充てる考えはないのか。  というのは、この前の統一見解が出されるときの質疑応答を見てまいりまして、前の大蔵大臣がその資産の売却等も考えられますという趣旨のことを発言しているわけですよ。ということは、最初計画された後に三千三百ヘクタールの追加の土地が出てきたわけですから、これが売れて入ってくるお金年金の方に回したっていいんじゃないか。確かに国民の負担を軽くしなければならぬということも重要なことですけれども年金財政を思ったときに、そちらの方に回してもいいんじゃないかという考えに立つわけでございますが、その点いかがでしょう。
  61. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこのところを先ほど、考え方の問題といたしまして、あるいは観念的にはと申し上げましたゆえんでありまして、これはいわゆる長期債務一つでございますから、長期債務処理のためには国鉄の持っております土地等の処分をできるだけ有効にやっていかなければならない、できるだけ国民負担を減らさなければならないということは御承知のとおり私どもの考えているところでございますから、したがいまして、そういう資産の処分の結果が長期債務処理に当然のことながら関係をするという意味におきまして前大臣もそのように答弁をしておられるものと思います。したがいまして、ただいま仰せのように処分できる土地が三千三百ヘクタールにふえたのでその増分をもってこの支払いに充てるといったようなそういう具体的な考え方を申し上げておるのではありませんで、観念的に長期債務資産処分との関連を申し上げておるということでございます。
  62. 大橋敏雄

    大橋委員 いずれにしましても国の責任で何とかしなければならぬ状況に追い込まれていることは事実であります。  そこで、六十五年度以降の財政がまだ、いよいよ不明であるわけでございますが、政府の考え方とすれば今後の年金の各制度間の統合で財政調整を図ろうという考えのようでございますが、これから地方公務員共済もありますが、あるいは最終的には七十年をめどに全般的な統合を図るのだという話ではございますが、この国鉄年金の赤字に対する国の責任がはっきりしないで幾ら統合しましょう、統合しましょうと言ったってだれも了解しないでしょう、納得しないでしょう。ですから、統合するからには国はこれだけのものをきちっと責任を持って財源を充てます、したがいまして制度間統合を了解してください、そういうことでいくならば、むしろ私は昭和七十年を待たずに早くやるべきだという考えがございますが、この点いかがですか。
  63. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 六十五年度以降はさらに問題が難しくなるだろうということは恐らく仰せられるとおりでございます。それとの関連もあって今おっしゃいましたようないろいろな問題が出てくる、その処理の中でこの国鉄の問題が大変に大きな比重を持っておるということ、それも私はおっしゃるとおりであると思いますが、実は六十四年度までの問題をきちんと年度末までにはいたさなければなりません。したがいまして、六十五年度からの問題はその後に鋭意ひとつ詰めてまいらなければならないと思っております。問題が容易でないであろうということは御指摘のように想像するにかたくございません。
  64. 大橋敏雄

    大橋委員 総理にも確認をとっておきたいのですが、今国鉄年金財政は非常に厳しい。前回の大改革のときに国家公務員共済等の皆さんに助けられてやっともってきたわけでございますが、今度の改革でまた十万人以上の人が計算上変わってくるわけでございまして、年に七百億の赤字が出てくることははっきりしたわけです。しかもお金がない、こういう状況にあるわけでございまして、まず六十四年度までの年金財政の確立をどんな手法でやっていくか、当然国の責任が明確にされねばならぬわけでございます。  と同時に、六十五年度以降の年金財政はまたいよいよ厳しい問題になってきます。給付の面では、先ほど申しましたように大体の整合性が図られたわけでございますが、負担の面はまだ非常に不均衡でございまして、これを調整していかねばならぬ。その統合の内容でございますけれども総理大臣といたしましてもこの点を十分踏まえた上で対処をしていただきたい。御意見を承っておきたいと思います。
  65. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その点につきましては閣議決定及び政府統一見解も出しておるところでございますから、その趣旨に沿いまして最善の努力をいたしてまいる所存でございます。
  66. 大橋敏雄

    大橋委員 それでは年金問題はその辺で終わりたいと思いますが、次は人の問題でございます。  一番重要な問題だと先ほど申し上げたわけでございますが、私は今度の国鉄改革人員整理を見てまいりますと、六十二年度の在籍職員は約二十七万六千人である。そして大きく分けますと、新事業体関係に二十一万五千人、清算事業団の方に六万一千人、その中で二万人は希望退職を募るという計画のようでございますが、要するに二十一万五千人と六万一千人、大きく振り分けられる作業が行われるわけでございますが、職員の皆さんはそのいずれかの労働条件あるいは採用基準についてどういうものなのだろうかと当然知りたがっているわけでございますが、これまでの質疑を聞いておりますと、とにかく法律が成立して新会社にゆだねる以外ないのだ。法律が成立をしたならば準備室を設置する。その準備室が設立委員を決めて、その設立委員は新会社採用基準労働条件をそこで決めるのだ。その決められた内容国鉄の方に提示をする。この提示された内容国鉄の方は基準、条件に基づいて本人の意思を確かめながら割り振りを決める、そして名簿にまず登載をする。その内容をまた再び設立委員の方に返して、そこで最終的に判断が下され、採否が決まっていくんだ、こういうふうに話がなされていたと思いますけれども、私の理解がもし間違っておれば訂正してください。
  67. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 概略においてその手順に間違いはございません。
  68. 大橋敏雄

    大橋委員 そこで、私は私なりの提案でございますが、職員は基本的な労働の問題それから職業選択の自由ということもございまして、自分が今後行くべきところの労働条件だとか採用基準等を知りたいといっても、今言うように法律を盾にとって、今の段階ではどうにもならぬとおっしゃるならば、今の労使の協議の場において、少なくとも準備室に提示できる参考意見のまとめといいますか、そういうものはやるべきではないか。少なくともその程度のことをやらないと、職員の皆さんの意見とか意思は全くどこにも反映されないんじゃないかという不満とか不信が残ります。いかがでしょうか。
  69. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今の御提案そのものは、率直に申し上げて大変無理なお話をなさっておると私は思います。  というのは、この法律が通らなければ、この法律によって生まれる新会社そのものは存在しないわけであります。そして、それぞれの新会社の設立委員はそれぞれの会社の置かれる立場あるいは地域の実態等を踏まえてそれぞれの計画を組むわけでありますから、その作業を現在の国鉄が行うということは私は大変おかしなことだと思います。まずこれが第一点であります。  それと同時に、私の方からぜひこの機会にお願いを申し上げたいのは、今職員が不安を持つというお話を出されました。私もそのとおりだと思います。だからこそ私どもはこの国会で一日も早く成立をさせていただき、すべてがはっきりと職員の前に提示できるようにさせていただきたいとお願いを申し上げているわけであります。  そして私どもが今考えております作業手順、先ほど委員お述べになりましたとおりでありますが、労働条件、採用基準の決定がされました時点から職員の配属希望調査を開始し、調査表に希望を記入していただくわけでありますが、私どもは実はこれに三・五週間の時間を考えております。これは第一次の広域配転をいたしましたときにも、実は御両親が特別養護老人ホームに入っておられるために、変わる意思はあるけれども変わった行き先で老人ホームにすぐに入れるかとか、あるいは公立の高等学校にお子さんが入学をしておられる、その転校の可能性はどうかといった家庭状況の中で配転に応じられないという結論を出された方々も随分ありました。それだけに私どもはこれは一生の問題として、その配属希望等の調査に応ぜられるためにはそれなりの決心の時間御相談の時間が要ると考えております。それだけにこの時間を三・五週間私どもはとりました。  同時に、それが御本人の意思を全く無視して配属が決められたりすることがないように一人一人に対して、例えば特定の会社の特定の部分に大変希望が集中してしまったような場合に、それはすべての方の御希望に応ずることはできません。そうなりますと、あなたの第一志望はこうだが、ここにはこういう理由であなたは無理なので第二志望のこちらに移っていただけないかとか、そういう御相談の期間を入れて、調査表を締め切ってからいわゆる候補者名簿の作成までに六週間という時間を計算いたしております。私どもにとって一番貴重なのはこの時間でありまして、この時間がきちんと我々に与えられさえすれば、今委員が御指摘になりましたような、我々の希望が全くわからぬ、行き先が全くわからぬ、不安で仕方がないと言われるような声に対しては我々はこたえていける、そのように考えております。
  70. 大橋敏雄

    大橋委員 確かに今度の、分割・民営になるわけで、会社は新しいものでございます。しかしながら実態的には鉄道がなくなるわけではないのですから、鉄道をそのまま承継するわけですからね。だから鉄道という特殊な仕事場のいろいろな問題がありますので、当然、従来そこに勤めてきた方々意見というのは非常に重要な問題になるわけですから、そういう意味で労働者の意見が十分反映されるような中身を、つまり労使が話し合ってああだこうだと労働条件とかあるいは採用基準とか厳しいそういうしかつめらしいものではなくとも、こういうふうにあるべきではないでしょうかとか、あってほしいとかいうものを労使の間である程度まとめる必要はないか、こう申し上げているんですよ。
  71. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 会社は六十二年四月一日に発足をするわけであります。その時点以前に労使は存在しないわけであります。六十二年四月一日に会社が発足いたす以前に労使は存在しないのであります。
  72. 大橋敏雄

    大橋委員 余り型にはまったことを言ってもらっては論議にならぬと思うのですよ。事実労働組合が現にありますし、また使用者の立場に国鉄当局はあるわけですから。ただ形の上でなくなるのであって、実態はつながっているわけです。そういう意味で言っているわけですよ。
  73. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 しかし、今の大橋委員の御質問をそのままに肯定するとすれば、むしろ新会社の発足に当たってのあらゆる設立の準備というものは、現在の国鉄が恣意的に行わなければその関係は存続をいたしません。現在の国鉄が恣意的に新たな会社の設立を行うのでなければ、その労使関係というものは存続しないと思います。しかし、それでは新たに発足する会社というものの性格は今までの国鉄と全く変わりのないものになります。そういう状態がいいとは私どもは思いません。  ですから設立委員方々計画の策定、そうした基準の作成というものをもお任せをし、いわば国鉄はその意思を受けての補助者の立場で作業をするという形に組み上げてあるわけでありまして、私は機械的に労使が存在しないと申し上げているわけではない、まさに新たな会社が設立されるわけでありますから。むしろ労使関係が存続をし得るとすれば、これは現国鉄清算事業団においては労使の関係は成立し得ると私も思います。継続する部分はあると思います。しかし、新たに設立されるそれぞれの会社はまさに現在の国鉄の恣意的な設立によってつくられるものであってはならないはずでありまして、それが私が労使は存在しないと申し上げている意味であります。
  74. 大橋敏雄

    大橋委員 今の説明はそれなりに理解できないわけじゃございませんが、いずれにしましても、現在の職員の心境は、その労働条件ないしはその採用基準についてどういうものかという非常に不安を抱いていることを改めて主張いたしておきますので、その点を十分踏まえた上で配慮していただきたい。  次に、分野別の雇用の場の確保が現在どうなっているかお尋ねしたいと思います。
  75. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 内閣の雇用対策本部の事務局でございます。  現在まで、六万一千人の目標に対しまして、国が約五千人、それから清算事業団を含めました特殊法人などで約四千八百人、それから地方公共団体が約九千六百人、以上合計いたしまして、公的部門で約一万九千四百人となります。それから一般産業界が約一万九千七百人、それから国鉄関連企業が約二万一千人でございまして、全体では重複を除きまして約五万九千五百人の採用の申し出がなされている状況でございます。
  76. 大橋敏雄

    大橋委員 基本的に公的部門には三万人ということで打ち出しがなされているわけでございますが、その公的部門の内容をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  77. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 公的部門につきましては、国につきましては各省庁それぞれございますが、六十一年度の採用分につきましてはすべて出そろっておりますが、六十二年度から六十五年度当初分につきましては先般九月十二日の閣議決定をもちまして採用すべき割合というのを決めたこともございまして、まだ一部しか出ておりません。そういう状況のもとで六十一年度と六十五年度当初までの分も含めまして国の合計が約五千人ということになっておるわけでございます。  それから特殊法人等、これは認可法人を含みますが、清算事業団の方では非事業用地を引き継ぎまして、これに対して基盤整備事業等を行いますが、そういう要員のために約二千五百人を見込んでおります。そのほかに日本電信電話株式会社だとか雇用促進事業団だとかそういう特殊法人それから認可法人から六十一年度から六十五年度当初分につきましての採用の申し出がございまして、これが約二千三百人でございますので、清算事業団の約二千五百人と合わせまして約四千八百人が特殊法人等の申し出でございます。  それから地方公共団体につきましては、都道府県それから市町村それから特別区からでございます。都道府県の方が一番進んでおりまして、まだ全部ではございませんけれども相当の都道府県からの申し出がございまして、これは六十一年度から六十五年度当初まで合計いたしまして約九千六百人の申し出がある状況でございます。
  78. 大橋敏雄

    大橋委員 総理にお尋ねしますが、退職していく、また再就職を願っている皆さんの希望は、とにかく公的部門に行きたい、それから地元が欲しい、地元で公的部門、これが最大の希望ですね。それができない場合は関連企業ということでございまして、一般産業界にはやむを得ずというのが皆さんの本当の気持ちのようでございますので、三万人を公的部門で採用していくんだ、こういうことが早々と打ち出され、また採用率も決められてもう一カ月以上もたつわけでございまして、私は少なくとも雇用の場の確保、つまり公的部門の地域別、職域別、そういうものは少なくとも月内くらいまでにきちっとそろえるくらいの努力をすべきではないか。それがはっきりしないと身の振りが、判断がまた変わっていくんではないか。やはり希望に沿った姿での再就職退職ということにしたいわけでございまして、その点総理に少なくとも月内には数の上では地域別等にきちっと把握できるように努力するというくらいの決意をしていただきたいのでございますが、いかがですか。
  79. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 前にもこの席で国あるいは公共団体の方がおくれている、特に国がおくれていると申し上げまして、それ以後におきましても鋭意努力さしておるところでございます。本年度は採用予定の一四%は国鉄からとるように、そういうことで数もふやしまして今鋭意各省を督励しておるところで、できるだけ早く一括してまとめまして安心のできるような体系を整えてまいりたいと考えております。
  80. 大橋敏雄

    大橋委員 とにかく職員の皆さんの気持ちは公的部門、せめて関連企業まで、やむを得ず一般産業界にということになっているわけでございますが、それでは一般産業界は今どの程度把握されておるのでしょうか。
  81. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今一般産業界、一万九千七百名の応募をいただいておりますが、そのうちで一万一千二百名につきましては採用条件等が既に明示をされております。残り八千五百名分につきまして今鋭意その採用条件等を詰めている最中であります。  ただ、大橋委員おっしゃいましたが、私は民間も非常に御努力をいただいておりますし、そしてまた、民間の各分野で国鉄職員受け入れようという気持ちも随分広く持っていただいております。私から言えば、もっとたくさん声をかけていただきたいとお願いをしているところではありますけれども、私は必ずしも職員方々自分に一番ふさわしい職場をということであって、今お示しになりましたような順位に固定されてはいないと思っております。それだけに民間産業界における雇用の場を一層拡大をしたいと努力中であります。
  82. 大橋敏雄

    大橋委員 一般産業界に対する希望というのが先ほど言ったように非常に低いわけでございますので、職員の皆さんが希望するところへ行くためには、その職場の選択肢が広いほどその確率は上がってくるわけですから、三倍、四倍と職場の確保をお願いしたいところでございます。  ところで、実はある調査に参りましたら、今円高不況で非常な離職者が続発しているわけでございまして、その離職者から実は思いがけない声がかかったのです。国鉄改革について、退職あるいは再就職する人に対しては国を挙げて援助がなされているけれども、我々は一体どうなるのだ、こういう手厳しい声がかかったわけでございます。この一般産業界に対する失業者救済には労働省としても当然全力を挙げていると思いますけれども国鉄職員のこうした再就職の場の確保とどのように連携をとってなさっているのか。また、労働省として今の急激な円高による物すごい失業多発、今後も深刻な事態になろうかと思うわけでございますが、どのように対処されていくか、お聞かせ願いたいと思います。
  83. 平井卓志

    ○平井国務大臣 お答えいたします。  委員指摘のように、当面する日本経済の最大の課題というのは雇用問題であると申し上げても間違いでない、かように考えております。基本的に雇用対策という問題をとらえました場合どうしても不可欠の問題は、思い切った内需の拡大によりまして景気を刺激し総需要量をふやす、その中で雇用の増加を図っていかなければならぬ。私はもう抜本的な対策だと思っております。その中で一般産業界を取り巻く景気問題雇用不安が非常に出ておるわけでございますが、まず問題点を二つに分けまして、労働省は関連する国鉄雇用安定と申しましょうか、雇用確保についてどのような連携をとっておるかということでございますが、現在国民的課題とまで言われております国鉄問題の成否、ずっと政府答弁にもございますようにまさにこの問題の成否のかぎであろうかと私は思っております。  そこで、国鉄職員の再就職を図るためには、ただいま委員が申されましたように、やはり公的部門においてこれは相当の責任を持たなければいかぬ、当然関連企業にもお願いをいたさなければいかぬ、そしてまた御希望の向きがいろいろあろうかと思いますけれども一般産業界にもきめ細かく御要請を申し上げてそれなりの雇用の場を確保していかなければならぬと思うわけであります。  当然のことながら労働省といたしましては各都道府県に設置してございます再就職促進連絡会議これを通じまして既に関係の経済諸団体にいろいろお願いをいたして雇用の確保に努めておるところでございます。さらに公共職業安定所において事業主説明会の開催、さらには求人開拓を実施いたしまして、国鉄における雇用対策等の担当者に対する実務研修、この実務研修の実施等の援助、これらの施策の実施に努めておるわけでございます。当然のことながら、こういう国鉄職員雇用対策の推進に当たりましては、国鉄本社はもとよりのこと、各都道府県さらには各安定所と各鉄道管理局段階においても非常に密接な連携を図りながら取り組んでまいっておるところでございます。  さらに今後の問題でございますが、当然非常に必要になってまいります職業訓練、これも国、都道府県を挙げて関係機関におきまして全力を挙げて取り組んでまいりたい。当然既に予算要求もいたしておるところでございます。  以上が第一点でございまして、いま一つ一般の非常に円高不況等で離職者も多発しておる、こういう難しい状況の中で一般雇用対策がどうかというお尋ねでございますけれども、ただいま前段で申し上げましたような内需の喚起ということで先月、既に総合経済対策を発表いたしまして、その中で労働省としましても雇調金の内容について指定基準も緩和していこう、さらに助成率も上げていこうというふうな強化策もとっておるわけでございます。さらには地域別、業種別に非常な不安もございますので、今後さらに地域対策、これも地域雇用開発促進という面において具体案を練っておりまして、さらに強力な施策を展開してまいりまして、何が何でも当面する最大の課題である雇用問題につきまして全力を挙げて対応してまいりたい、かように考えております。
  84. 大橋敏雄

    大橋委員 円高不況による失業率は全国で今、従来最高の失業率を示しているときでございまして、造船、石炭あるいは鉄鋼、繊維、北洋漁業等々もその中小企業は今非常に深刻な状態に立ち至っております。恐らくこれから続発するであろう失業者の問題もございまして、国鉄職員の問題とあわせまして万遺漏なきよう、ひとつ最善の努力をお願いしたいところでございます。  ここで運輸大臣にお願いがございますが、雇用の問題で、九州の方からかなり大阪あるいは東京の方に広域異動していく方々がいるわけでございますが、その中で一番気になっていることは高校生の転校の問題なんですね。これは文部省の方もそれなりに配慮をしてくださっていると思うのですけれども、特に運輸大臣から文部省との連携をとってもらって、この点を何かしてもらいたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  85. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御指摘の点は私どもも非常に気になっておる点でありまして、実は第一期の広域異動を行います場合にも、文部省に相当積極的な御協力をいただきました。しかし、不安が残りまして、なかなか現実に応募をしてくださる方々最後にやはり応募断念という一つのポイントは、まさに公立高等学校にお子さんを通わせておられるケースというのが随分あったと思います。そして、結果的にもたしか八十七名、公立高等学校にお子さんを通わせておられる方々で広域異動を受けてくださった方がありまして、随分文部省にも御努力をいただきましたが、実はどうしても十名だけ入学ができないという事態になり、私学等へのお願いを申し上げておるという実情がございます。それだけに、これからも広域異動ばかりではなく、殊に新会社の設立に向かって人員の配置をしていきます場合に職場を移っていただくケースも相当出てこようと思います。その時点における最も配慮すべき点、先ほど申し上げました御両親を老人ホームに入れておられるといったようなケースとあわせまして、私どもとして非常に慎重に考えなければならないポイントだと思いますし、文部省にも、また老人ホーム等につきましては厚生省にも十分御協力をいただこうと思っており、また御協力もいただけると信じております。
  86. 大橋敏雄

    大橋委員 せっかくの努力をお願い申し上げます。  時間がもう迫ってまいりましたので、最後に九州関係経営見通しについてちょっと確認をしたいのですけれども、六十二年度の新会社収支見通し数字がくるくる変わっているような感じがしてなりません。最終的な営業収入その他の内容をちょっと示していただきたいのですが。
  87. 林淳司

    林政府委員 九州会社の六十二年度の経営見通しでございますけれども、営業収入が千百九億でございます。それから、営業費用が千三百七十九億でございます。その結果としまして、営業損益が二百七十億の赤字ということでございまして、これに基金を設定して二百八十一億の利息を受け取りますので、結果的には十一億の黒字というのが九州会社の試算結果でございます。
  88. 大橋敏雄

    大橋委員 私もそう理解していたのですけれども、何か最近事務局が入手した情報によりますと、営業収入の千百九億が千八十一億に訂正されたように聞いたのですが、そういうことはないですね。
  89. 林淳司

    林政府委員 私どもちょっと今千八十一億という数字は持っておりませんのですが、恐らく監理委員会の数字か、これは現在九州会社全体の鉄道、バス、関連事業全部を含めた数字でございますけれども、あるいは部門を分けた数字か何かかと思いますが、後でちょっと調査してみたいと思います。正しい数字は千百九億でございます。
  90. 大橋敏雄

    大橋委員 それでは後で結構ですので確認をしてもらいたいのですが、営業損益が三角の二百七十億になっておるのが事務局の方では二百五十六億だ、それから受取利子が二百八十一億のところが二百六十七億、こういうふうに変わったように報告を受けたので、変わっていなければ結構ですけれども、もし変わっている場合は改めて理由を聞かせていただきたいということです。  もう二、三分ありますのでもう一つ最後にお尋ねします。  九州の新会社の旅客運賃、またその運賃の引き上げ率が他の地域に比べて非常に高いという話を聞くわけでございますが、現在の国鉄運賃と比べてどのようになっていくのか、それから将来の引き上げの考えについてどういうふうになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  91. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほどの数字につきましては、後ほど事務局が調査をいたしました結果を御報告いたします。  また、今般お示しをしております政府試算、六十二年度以降六十六年度までの人キロ当たりの運賃、料金支払い額の年の平均の上昇を約五%と見込んでおります。ただ、六十二年度発足時は現行の運賃体系がそのままいくわけでありますから、六十三年度以降ということに実際上はなりましょう。ただ、国鉄の過去十年間の人キロ当たりの運賃、料金支払い額の年の平均の上昇率は約九%であります。ですから、この五%という見込みは私どもは決して高過ぎるものとは考えておりません。
  92. 大橋敏雄

    大橋委員 では、もう時間が参りましたが、最後最後に要望申し上げたいのです。  今度新会社がもし発足すれば、九州は九州の会社ができるわけですけれども、その本社は、現在稼働いたしております北九州にある建物といい設備といい、あるいは陣容、体制といい、全部今機能しているわけでございまして、変なところに持っていかないように、それは新会社の問題でございましょうけれども、運輸大臣の方から私の気持ちを十分伝えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  93. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私の郷里も実は西日本会社の本社を誘致しろと騒いでおります。実はそういう御希望というものは各地からそれぞれいただいております。それぞれ設立委員会の方に十分お伝えをしたいと思います。
  94. 大橋敏雄

    大橋委員 終わります。
  95. 細田吉藏

    細田委員長 これにて大橋君の質疑は終了いたしました。  午後零時四十五分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十六分休憩      ────◇─────     午後零時四十七分開議
  96. 細田吉藏

    細田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村山富市君。
  97. 村山富市

    ○村山(富)委員 私はこういう交通問題というのは全くのアバウトでありまして、政府から専門家がつくった資料も拝見させてもらいましたけれども、そう一朝一夕になかなかわかるものじゃないのです。全体の中身がつかめないものですから、こういう形で審議を進められても責任を持った審議ができないのではないか、やはりもう少し現状認識をきちっとやってその上で大いに議論をする、そして国民の皆さんが納得できるような結論を出していくということが大事ではないかと思うのですけれども、そうはいっても恐らくこれは理事会で決まっていることですからもうやむを得ないと思うのですが、私はそういう意味も含めて、これからできるだけ時間をかけてそして議論をするような日程にぜひしてもらいたいというふうに思うのです。  そこで、そういうことを前提にしてお尋ねをしたいと思うのですけれども国民の皆さんや地方の地域に住んでいる皆さんは、やはり分割をされて民営化されるとどんな問題が起こるのかといういろんな不安を持っていますよね。心配を持っていますよ。そういう不安にぜひおこたえをいただきたいという意味で、若干お尋ねしたいと思うのです。  第一番目に、百十五年の歴史を持っておるこの国有鉄道を分割して民営化する、言うならば歴史的大転換を図るわけです。それだけに、一体この国鉄というものが持っておる財産というものはどれぐらいあるんだろうかということに対して、やはり大きな疑問を持っておると思うんですね。これは資料を見ますと、土地だけで見ますと面積は六億七千三百万平米、それから簿価にしますと六千八百九十九億円、こういうふうに言われておるのですけれども、これは大体時価に見積もって、あるいは公示価格でもいいですが、そういうものに見積もってどの程度あるというふうに考えたらいいのか、その点についてまずお尋ねしたいと思います。
  98. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもとしては、今回の国鉄改革というものを国鉄資産の処分を目的といたしておりません。これはもう委員承知のとおりであります。あくまでも鉄道事業の継続を図っていくことを目的といたしておりますので、その大半を占めております事業用資産につきましては、私どもはその処分を行った場合の価格で再評価するということには意味がないと考えております。  したがって、今御質問のように、国鉄資産というものを処分予想価格、あるいは時価と言いかえても結構であります、で一律に再評価することは今回の改革においては必要のないことであり、また、それを行うことも予定をいたしておりません。あくまでも事業用として継続をしていくという前提でありますので、そうした作業をいたしておらないということであります。
  99. 村山富市

    ○村山(富)委員 今度の法案自体にはそれは関係ないかもしれませんけれども国有鉄道というのはやはり国民の財産ですから、その国民の財産が民営化されて株式会社になろうかとしているそのときに、その持っている資産というものはどれぐらいあるのだろうかということが皆目つかめないというのでは、私は議論にならぬと思うんですよ。  現に、これはこの本に書いてありますけれども、自民党国鉄基本問題調査会の国鉄再建委員会で岩瀬という国鉄の常務理事が発言をいたしております。その委員の中からのアバウトでよいから今大体どの程度あるものか言ってくれ、こういう質問に対して、大体簿価の百倍ぐらいあるんじゃないですかという答えをしているわけですが、そうしますと大体七十兆近くになるわけです。何かの本で見ましたけれども、前の磯崎国鉄総裁は百兆円ぐらいあるんじゃないか、こういうふうに言われておりますが、大まかに見て大体どの程度あるものなのかということぐらいわからせてもらわないと、これは国民の財産が幾らあるのかさっぱりわからぬというのではやはり議論はしにくいんじゃないですか、どうですか。
  100. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘になりました特定の人名とその方の御発言については私は存じませんけれども、私は、事業が継続する限りにおいて、その事業用資産について簿価であることについて問題はないものと思います。ただ、御指摘のとおりまさに国民資産でありますから、その処分対象とされました三千三百三十ヘクタールの土地につきましては、試算は再建監理委員会数字をもとに、あくまでも仮定の試算として御了解を得ながら、一応七兆七千億という数字提出をいたしました。  しかし、これも国民のこの不動産の処分について不当な疑念等をお持ちいただかないで済むように、基本的に公開入札という手法をとり、ガラス張りの中で処分をしていこうというわけですから、これとても最終の金額というものはわからないわけであります。しかし、それがわからないことが国民に対して誠意のないということではありませんで、むしろ国民に対して最終的に御負担を願わなければならない長期債務というものを少しでも減少させようとすれば今の時点においては確定した数値が申し上げられないという方が、私は正直なお答えだと思っております。
  101. 村山富市

    ○村山(富)委員 ずっとこの委員会における質疑を聞いておりますと、三十七兆三千億円という長期債務を抱えておる。いろんな意味があるのですけれども、抱えておる。その借金はやはり払って、健全な経営にするためには分割して民営化する以外にないんだ、こういう論調ですよね。そうしますと、一つ事業体が健全な姿であるかどうかということを判断するのに、資産が何ぼあるのかということは、当然計算の中に入るわけですよ。資産がうんとあってその一部が長期債務だということになれば、それはその企業体は必ずしも破産状態ではないということが言えるのであって、そういう全体の構想というものが、全体の姿というものが前提にある程度把握されておらないと、こういう問題の議論にならぬのではないか、こう私は思います。それは仮に売却する資産だって、売ってみなければ何ぼになるか正確にはわからぬというのは当たり前の話ですからね。しかし、大まかに見て大体どの程度あるものだということぐらいはわかるのじゃないですか。
  102. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、村山委員、その借金を返すための分割・民営という御発言を承りました。私どもは、その借金を返すための分割・民営とは考えておりません。むしろ、国鉄という大変国民に親しまれてきた鉄路、これが今の交通事情の変わりの中で、変革の中で、まさに国民の志向としては都市圏における通勤通学輸送また中距離の輸送というものに大きな期待を持つ交通機関に変わりつつあります。その変わりに対応し、変化に対応して、あるべき将来の鉄路の姿というものを考えますと、分割という方向が出てまいります、また同時に、急速に変化する時代の流れに対応し切れなかった原因というものを突き詰めてまいります場合に、先日来いろいろな角度からの御指摘はありましたが、つまるところは、そうした変化に対応し切れなかったというものはいわゆる全国一社制、公社制というものの一つの欠陥というふうに私どもは認識をいたしました。  そうした中から分割・民営という方針を出し、長期債務処理についても工夫を凝らしておるところでありまして、これはあくまでも鉄道事業を継続していこうという前提でありますから、その継続される事業に必要な資産について、これをわざわざ処分価格に換算し直すという必要はないと私たちは思うところです。
  103. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは議論してもなかなか回答を得られませんけれども借金を返すためという受けとめ方は、これは私の言い方が悪かったかもしれません。そうじやなくて、国鉄事業を再生して守っていくためにはこれしかないんだというのがあなた方の説明ですね。で、ただ処分をするという意味ではなくて、やはり国鉄というものを再生するためにも、国鉄の現状はどうなっているのかということをつかまなければこれは議論のしょうがないんじゃないですかという意味で私は聞いているわけですけれども、これはいずれにしても何ぼあるかということはわからないということを確認しますね。  それからもう一つは、六つの旅客鉄道会社資産を承継しますね。その資産の承継の仕方は、事業用資産は原則として簿価、関連事業の資産は時価で換算をして承継する、こういうふうに説明されているわけですが、その六つの旅客鉄道会社に承継される資産のうち、簿価で承継されるもの、時価で承継されるもの、その区分はわかりますか。
  104. 林淳司

    林政府委員 簿価で承継されますのは、新しい六つの旅客会社あるいは貨物会社が本来の鉄道あるいはバス等の事業の用に供する資産でございます。時価評価をして承継をさせますのは、例えば駅ビルでございますとか——現在駅ビルに貸しておる敷地でございますね、そういう関連事業用の敷地でありますとか、それからもう一つは、現在国鉄がいろんな会社に出資しておりますけれども、そういう企業に対する出資株式でありますとか、こういうものは時価で評価をして承継をさせるということでございます。
  105. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、私が聞いているのは、六つの旅客会社だけでいいですから、その六つの旅客会社に承継される資産のうち、例えば九州旅客鉄道株式会社資産は三千億円ですね。三千億円の資産が承継される。その三千億円の資産の中で、言うなら簿価で承継されたものが何ぼ、それから時価で承継されたものが幾らという大まかなその区分だけはわかるんじゃないですか。できればひとつそれを資料に出していただきたい。
  106. 林淳司

    林政府委員 それでは会社別に申し上げましょう。(村山(富)委員「それは後で資料を出してくれればいい」と呼ぶ)それでは後ほど資料を調製しましてお出しいたします。
  107. 村山富市

    ○村山(富)委員 では、それはひとつ資料で出してください。  私がそれを申し上げますのは、再建監理委員をいたしておりました加藤教授がこういうことを言っているわけですね。「新会社に帳簿上の価格で資産が移されれば当然そこには現実の資産価格との差が存在します。すなわち含み資産です。含み資産の有無はその企業の株価に影響します。それが多いほど株価は高くなります。」こういう説明をしているわけです。その株が高く売れれば国民はその分負担が軽減される。ですから、土地と同じように株が幾らで売れるかということは国民負担には大変な影響があるわけです。したがって、そういう実態がわからないとやはりなかなか判断しにくいというふうに思いますので、ぜひその資料は出してもらいたいと思うのですが、ここで言われているような含み資産というのは大体どの程度あるというふうに考えたらいいですか。
  108. 林淳司

    林政府委員 含み資産というのはどういう意味で使っておられるかよくわからないのですが、いずれにしても、私どもとしましては、本来の事業の用に供する資産については、簿価で承継をすることによって初めてその会社が健全経営が可能である、要するに健全経営最大限の効率化をやった上でぎりぎり健全経営を行える限度が簿価であるということでありまして、そういう意味では必ずしも含みがあるということではないということでございます。今後その会社経営努力等によりまして収益性が向上していくという場合に、その収益性の向上の原因として何らかの含みがあったかどうかという問題はあろうかと思いますが、私どもとしましては、現段階では、簿価で引き継ぐことによってぎりぎり健全経営が確保できる、こういうことでございますから、そういう意味では、含みが必ずしもあるということではないというふうに考えております。
  109. 村山富市

    ○村山(富)委員 それは、実際に株式会社が株を放出する場合にその株がどの程度の価格になるかということは、その会社の持っている健全な経営の姿だとか条件とか、いろいろなものが基礎になると思うのですね。その場合に、資産がどの程度あるのかというようなことも当然これは計算の中に入るわけですから、したがって、そういう意味で加藤教授は、簿価で承継されたことによって仮に時価との資産評価との間に大分差があればそれだけ健全な経営になるというので、株価は上がる、それを含み資産と言う、こういうふうに説明していると思うのですよね。これはまたいずれ機会を見て質疑をやりたいと思いますから、先ほど申し上げました資料だけひとつ出していただきたいと思うのです。  それからもう一つは、地方の人たちは、今例えば九州を考えますと、ほとんどのローカル線は赤字ですね。したがって、民営になるとこうしたローカル線はいずれ廃線になるのではないかというようなことを大変心配をしているわけです。  まず第一にお尋ねしたいことは、北海道、四国、九州、この三島の会社については、六十二年度から、健全経営とはまだいかないにしても、いずれにしても黒字が計上できる、こういうふうに説明をされているわけですが、今持っておる路線をそのまま引き継いで維持してなおかつ黒字経営でやっていけるということを確信を持って明言できますか。
  110. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員承知のとおり、三島の経営につきまして経営安定基金を設けております。そしてその安定基金の金額も、再建監理委員会の試算を詳細にはじき直してみまして、そのままでは足りないということから、追加をして今回御審議をいただいております。  特定地方交通線につきましてはこれは転換をしていただかなければなりませんけれども、その他の在来線につきましては、地方線につきましては、私たちは今回十一月からスタートをいたします新しいダイヤ、これを一つの振り出しとして、それぞれの地域方々が使いやすい鉄道というものを目指すことによって、三島の会社経営として黒字、最終的に安定基金を入れて黒字になり得る、そしてその中において地方線も存続できる、そう確信をいたしております。
  111. 村山富市

    ○村山(富)委員 その特定地方交通線との関連で申し上げますと、特定地方交通線は、再建法が二年ないし二年半延長されますね。延長ですから効力を持っているわけです。二年半ぐらいするとそれはもう廃案になる、そういうことになると思うのですが、今申請中のもの等についてはその再建法の適用で処理をされるわけですか、どうですか、この点は。
  112. 林淳司

    林政府委員 現在、特定地方交通線として、バス転換等を行うという前提で廃止の申請をしておるものがあるわけでございますけれども、これは来年の四月以降その廃止の申請は承継される、引き継がれるということでございます。
  113. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、今申請中のものは引き継がれるのだけれども、これは分割された各会社に引き継がれていくわけですか。
  114. 林淳司

    林政府委員 廃止申請中のものにつきましては、来年四月以降六つの旅客会社にその経営が引き継がれるということでありまして、あと、今回の法案によりまして、第一次、第二次地方交通線については二年、それから第三次地方交通線については二年半という期間をかけてバス転換等の手続を協議していただく、そして、その二年ないし二年半の間にその協議が調ってその廃止の許可申請というものがなされた場合には、その後それぞれ六カ月間の期間を置いて実際の転換をしていただく、その場合には、本来の転換交付金あるいはその後五年間のいわゆる欠損等に対する助成というものが継続される、こういうことでございます。
  115. 村山富市

    ○村山(富)委員 それとの関連で今度の鉄道事業法の第二十八条を見ますと、「鉄道事業者は、鉄道事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。」「運輸大臣は、当該休止又は廃止によって公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、前項の許可をしなければならない。」こういう規定になっているわけですね。これは、今までのその関係法律を見ますと、むしろ逆にこういうふうになっていますね。地方鉄道法の第二十七条を見ますと、「地方鉄道業者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ運輸営業ノ全部又ハ一部ヲ休止シ又ハ廃止スルコトヲ得ス」、むしろ積極的に防衛する側に立っているわけですね。廃止させない側に立っているわけです。今度の場合は逆にむしろ廃止の方を、督励と言っては悪いですけれども、廃止がしやすくなるように認めなければならないというような規定になっているわけです。そういう意味から申し上げますと、今すぐというのではなくても、こういう二十八条との関連を考えてまいりますと、やはりどうしても採算がとれないというようなローカル線は、この規定からすれば廃止の運命になるのではないかというようなことが心配されるわけですが、なぜこういう条文にしたのか、ちょっと御説明いただきたいと思うのです。
  116. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 なぜそのような条文にしたかと言えば、法制局の審査の中で、他の類似の、最近できておりますようなものと全体の符牒を合わせたということでありましょう。私も細部にわたっては存じません。  ただ、今委員が読み上げられましたように、二十八条は、事業の廃止については採算性そのものを判断基準としているのではございません。まさに廃止に伴う公衆の利便の阻害状況というものを見て許可の当否を判断するわけでありますから、その廃止が地域住民にとって極めて大きな利便の阻害になるという状況であれば、この認可はいたさないと私は考えております。
  117. 村山富市

    ○村山(富)委員 私は、総理答弁は残念ながら聞き得なかったのですけれども、今度こういうふうに改革をしていく前提は、国有鉄道という公共性よりも、やはり企業としての健全な経営というものを主体にせざるを得ない、そういう意味答弁があったと思うのですが、そういう意味の解釈から前提を踏まえて考えた場合に、この二十八条というものは、今運輸大臣が答弁されたことよりも、どうしても採算がとれない、赤字の解消ができない、これは例えば九州鉄道株式会社のお荷物になる、こういう状況になれば、この二十八条が適用されて廃止されるという運命になっていくのではないかというふうに思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
  118. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御指摘でありますけれども、私どもは、鉄道事業の持つ公共性は今までにも一度も否定をいたしておりません。ただ、その上に立って現在国鉄に負わせている、また、従来負わせてきたと同様な考え方を、この交通機関の依存度の大きく変わりつつある中で将来ともに国鉄という形に求めていくことはいかがなものか、他の例えば民間鉄道の有する公共性と差異をつける論拠がないということを申し上げてきたわけでありまして、公共性を否定は私どもはいたしておりません。ですからこそ、今の御指摘の条項につきましても、採算云々が理由ではなく、あくまでもその地域の住民の利便、これが阻害されるかされないかに重点を置くわけであります。
  119. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、私はやはりこだわるのですけれども、これまでの地方鉄道法では、もう一遍読み上げますと、「地方鉄道業者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ運輸営業ノ全部又ハ一部ヲ休止シ又ハ廃止スルコトヲ得ス」、廃止することができないと、これほど強く歯どめをかけているわけですね。今度の場合には、「運輸大臣は、当該休止又は廃止によって公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、前項の許可をしなければならない。」と、むしろ積極的に廃止ができるような条文になっておるというふうに変わっておる。その変わった理由は一体どこにあるのですか。
  120. 熊代健

    熊代政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の地方鉄道法は非常に古い法律でございまして、我々今回の鉄道事業法を立案します場合に、最近の立法例を参照したわけでございます。最近の立法例におきましては、先生御指摘のような公共の利益が阻害されるおそれがないと認めるときでなければ許可をしてはならないという書き方をしておりますのは電気事業法、ガス事業法だけでございまして、そのほか電気通信事業法、道路運送法、航空法等々におきましては、今申し上げたような公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き許可をしなければならないというふうな規定のしっぷりでございまして、内容的には今大臣が申し上げましたように、我々としては特に規定のしぶりによって廃止を促進するとかそういう意思は毛頭ございません。
  121. 村山富市

    ○村山(富)委員 それから、次に移りますけれども、現在国鉄が継続しておる事業がありますね、例えば複線化の問題とか高架の問題とか。また、今継続していないけれども計画している事業もあると思うのですね。そういう現に継続事業としてやっている仕事やら事業やら、あるいはこれから計画をしておる事業、今持っておる事業等々は、株式会社に承継された場合に全部承継されるわけですか。
  122. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は基本論のみお答えを申し上げ、なお必要があれば政府委員から補足させたいと思いますけれども国鉄改革をされた後におきまして、例えば複線化などの輸送力増強に関するような投資、こうしたものにつきましては、基本的には個々のプロジェクトごとの投資効果あるいは採算性等を見きわめた上での新会社経営判断によって行われるべきものであろうと思います。  また、例えば連続立体交差事業のような、高架事業の工事のようなもの、こうしたものにつきましては、それぞれの都市の側と鉄道事業者側が協議をされた上でそれぞれの都市側の都市計画事業として実施をされる。しかし、例えば踏切がなくなるということで安全性の向上も図られるというようなことになりましてからは、これは国鉄改革をされた後におきましても都市側から新会社に対しての協議があれば個別に十分検討をしていくという性格のものではなかろうかと思います。  もし具体的に説明を必要とすれば、事務当局から補足をさせます。
  123. 村山富市

    ○村山(富)委員 これから会社になって、踏切をどうするとか、あるいは線路を複線化するとかいうような問題については、当然それは会社とその地元の関係者と協議してやるということになると思うのですけれども、現に継続している事業あるいは今持っている計画の事業等々についてはそのままこの新しい会社に承継されるのか、引き継がれるのかという意味でお聞きしているわけです。  これは例えば具体的に申し上げますと、日豊本線なんかは今複線化をやっておりますね。ついでにお聞きしますけれども、その複線化の現状がどうなっているのか、一体これは完成までにどういうことになるのか、新しい会社に引き継がれてやることになるのか、具体的に聞きたいと思うのです。  それからもう一つは、大分駅の高架なんか、期成会ができて今までもずっと交渉して、運動しておるわけですね。これはまだ決定しているわけじゃないんでしょうけれども、こういう高架なんかをつくる場合には建設省と国鉄と協議をして、国鉄が一〇%の財源負担をするというようなことの取り決めがあるように聞いておるわけですけれども、こういう協定というものはやはり新しい会社になっても変わらないのかどうなのか、そういう点についてもお聞きしておきたいと思うのです。
  124. 杉浦喬也

    杉浦説明員 具体的な日豊線の問題につきましては、現状、大臣認可を受けました工事の区間の完成されましたキロ程が百十九・七キロメーター、約九〇%でございます。残りをどうするかという問題でございますが、これは新会社への承継計画の中にこれをどう織り込むかという問題でございまして、諸般の事情等を十分勘案いたしまして、承継計画書作成までにこれを決めたいというふうに思っております。  それから、高架化事業でございますが、今御指摘のように、運輸省と建設省との間の協定がございます。これの現状は、今一応事業調査が完了をしておる、そういう段階でございますけれども、これから都市計画事業の主体者でございます大分県知事から都市計画上の協議がございますれば、これは恐らく九州旅客会社が従来どおりの運建協定の取り決めに従いましてこれをどうするかという取り扱いを決めていくものと思います。
  125. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうすると、もう一遍確認しますが、今継続してやっている事業それから計画で決定している工事があるかもしれませんけれども、そういうものは、承継する話し合いの中に入れられるものと入れられないものが出てきますか、どうですか。
  126. 杉浦喬也

    杉浦説明員 おっしゃいますように、これから全部洗い直しを、今やっておりますけれども、承継するものとそうでないものというふうに分けます。
  127. 村山富市

    ○村山(富)委員 それから、お尋ねしますけれども、現在国鉄が実施しているいろいろな割引制度がありますね。例えば身障者に対しては五割引きするとか、あるいは学生割引は二割にするとか、あるいはまた、運賃逓減方式といいまして距離が長くなると運賃が安くなる、こういういろいろな制度というのは、全部各会社に承継されるわけですか。
  128. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘のように、国鉄において現在身体障害者に対して普通運賃の五割引き等の措置を講じております。また、平均約七割の通学定期割引等を行っております。  本来、旅客会社の運賃、料金の割引というのは、旅客会社の自主的判断で行うべきものでありますけれども、そしてまた、新たにスタートをいたします会社に現行の私鉄の割引等を大きく上回った負担を押しつけるというものは、私どもも適当ではないと思います。  しかし、現在の状況を見ておりまして、私どもは、旅客会社経営見通しからいたしますと現行程度の割引の実施は不可能だとは思いません。そしてまた、他の事業者がとっております同種の措置に比べても、それほどの差異があるわけではございません。ですから、当然、運賃制度の運用上、私どもとしても現行の割引制度が維持されるように最大限配慮してまいりたいと考えております。
  129. 村山富市

    ○村山(富)委員 さっき運賃の問題やらそれから割引制度の問題やらそれから路線の休廃止の問題等々についてもお尋ねしたわけですけれども、再建法に基づいて特定地方交通線を廃止する場合には、協議会を設けて、そして協議会で十分議論をして、検討して、できるだけ地元の了解を得ながら結論を出していく、こういう手法をとられておるわけですね。こういう国民生活に重要な関係がある、あるいはその地域の経済に大変大きな影響を持つ、そういう運賃の問題とか路線の休廃止の問題とかそういう問題について、利用者やら消費者のあるいは地域方々の声が反映されるような、そういう場というのはこの法律の中では全然ないわけですね。制度の中にないわけです。  私は、やはりそういう点も考えていって、そしてこれから国鉄が厳しい状況を乗り越えて再生をしようということですから、そういう皆さんの協力も得なければいかぬということから考えますと、当然利用者の声が反映できるような機関を設ける必要があるのではないかと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  130. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今国鉄の運賃改定の認可あるいは路線の休廃止の許可等を行おうとする場合には、運輸審議会に諮問をし、同審議会が必要に応じて公聴会を開催するなどさまざまなお声を聞かせていただき、慎重な審議を行った上、下した決定を尊重して行う、こういう形になっております。改革法の施行法によりまして運輸省設置法の第六条の改正が行われておるわけでありますが、その中で、新会社につきましても御指摘のような問題はございますので、原則として同様な手続がとられるようになっております。この運輸審議会の場というものを、私どもは、まさに委員指摘のような利用される方々地域の住民の声というものを集約し、判断をさせていただく場所、そのように考えております。
  131. 村山富市

    ○村山(富)委員 私は、その運輸審議会というものを、本当の意味で地方代表の声が直接反映されるとか、それから利用者の声、消費者の声が直接反映されるとか、そういう委員の構成についてももう少し検討する必要があるのではないかというふうに思いますし、それから、先ほど申し上げましたように、再建法に基づく特定地方交通線の休廃止の問題については、あれだけの協議する機関を設けてするわけですから、やはりそれと同じような考え方で、十分地域の住民の声が反映されてそうしたものが決定されるというふうな民主的な方法というものを検討する必要があるのではないかと思いますが、これはもう答弁は要りませんから、今後ひとつ十分検討していただきたいと思います。  それからさっきの含み資産との関連でちょっとここで聞いておきたいのですけれども、株式の放出についてはこれから生まれる会社の状況によって時期を考えるというふうに答弁がされたと思うのですが、どういう状況になったときに株式の放出ができるのか、またその時期は大体何年ぐらい先になりそうだというふうなことはお考えになっておりますか。
  132. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 たしか、私は、株式が放出できるめどをつけるまでに三年ぐらいはかかるんじゃないか、大体それぐらいはかかるだろうという見通しを申し上げた記憶がございます。  ただ、これはまさに実はこれから後スタートをいたしますそれぞれの会社というものを国民がどう受けとめていただけるか、そしてどう支持し、信頼していただけるかということによっても大変変わってくるものであることは間違いありません。それだけに、一つのめどとして、そういうものを正式に決めたわけではございませんが、たしか私は三年ぐらいはかかるんじゃないかという御答弁をこの前も申し上げました。  なお、そのためには会社としての安定的な経営の実績というものが積み重ねられていくことが不可欠の条件でありますし、また、その経営動向等を見きわめた上で、公開の時期あるいはどの程度の比率をまず売却すべきかといったようなことについては判断するのが至当ではなかろうかと思っております。  その処分をする場合は、資産処分審議会の審議を受けた上で公正、適切な方法を選んで処分をするわけでありますが、これも先般ちょっと、一つの考え方として申し上げましたのは、現在NTTの株式処分の方法が検討されておるわけであります。これなどは一つの私どもにとっての重要な参考ではなかろうか、これを一つの参考として進めてまいりたい、そのように考えておりますが、まだ時期をいつまでと申し上げる状況にはございません。おおむね三年ぐらいはその様子を見なければと考えております。
  133. 村山富市

    ○村山(富)委員 おおむね三年ぐらいはという意味は、おおむね三年ぐらい経過した状況を見ながら、あの再建監理委員会の報告書を見ますと、一遍に全部放出するというのではなくて逐次放出していく、こういうことが書かれておりますけれども、やはりそういう手法になるわけですか。
  134. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 本当は、一遍にぽんと放出をしてしまえてそれを大変高くお買いをいただけるような状況があれば、これは大変望ましい姿かもしれません。しかし、売却いたします以上、できるだけ有利な状況の中で処分をすることを考えれば、やはり一定の比率ずつ放出をし、最終的にゼロにするということになるわけだろうと思います。ただ、そのときの、これは国鉄から新たに生まれた会社経営状態のみではなく、その放出を考えます時期の経済情勢等によっても変動があり得ることでありますから、今厳密な状況をどう、いつの時点でどうするというようなことを決めてはおりません。
  135. 村山富市

    ○村山(富)委員 次に、共済年金の問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、御案内のように国鉄の共済組合は三十一年七月に発足したわけですね。今日完全に破産状態になっておる。これはだれもが認めることなんです。この今の国鉄の現状から見ますと、責任準備金というのは大体八兆円ぐらい不足するのではないか、それから恩給などの追加費用を含めますと、十兆円をはるかに超える額になるのではないか、こういうふうに言われておるわけです。これらの不足は一朝にしてできたものじゃないわけですね。既に四十年ごろから関係者の間では、これはだんだん危険な財政状況になるぞということがそれとなくささやかれておったことは私も耳にしておるわけです。本来、厚生年金にしても、いろいろな共済年金にしても五年ごとなら五年ごとに財政見通しの見直しをしますよね、財源率の。そして掛金率なんかも変えていくわけですね。恐らく国鉄の共済もこれまでにそういう財政の再計算はやっておると思うのですけれども、一体財政再計算は何回ぐらいやってこられたのか、あるいは財政再計算をするごとの収支見通しはどうだったのかということをこの際私はちょっと明らかにしてもらいたいと思うのです。
  136. 川口順啓

    ○川口説明員 お答え申し上げます。  財政再計算につきましては、従来国鉄といたしまして他の共済制度と同じように五年ごとに再計算をいたしてきております。近年の国鉄共済年金財政につきましては、昭和五十年ごろまでは比較的財政危機が表面化していなかったわけでございますけれども、その後年金改定の大幅な実施とかあるいは退職者の急増によります給付額の増加、それから現職組合員が減少することによる保険料収入の伸びがとまったというようなこと等の理由によりまして、昭和五十一年度以降次第に収支が悪化して現在に至っておるわけでございます。  その間、国鉄といたしまして、保険料率の引き上げあるいは追加費用の繰り入れ方式の変更等財源確保策を逐次講じてまいりました。また、昭和五十年代の後半になりまして、今後独力では年金制度を維持することがかなり困難な状況になってまいりましたので、このため、五十九年四月施行の年金統合法に基づきまして、昭和六十年度以降国家公務員等各公務員共済等から援助を受ける財政調整五カ年計画の策定ということで進めてまいってきておった次第でございます。
  137. 村山富市

    ○村山(富)委員 私が聞いておりますのは、ほかの共済年金と同じように五年ごとに財政の見直しをしてきているわけでしょう。そして、今答弁を聞きますと、五十年ごろからだんだん危機的な状況になった、こういうふうに言われておるわけですが、五十年からで結構ですから、五年ごとに財政再計算をして見直しをしてきたその五年ごとの財政見通しの状況はどうであったのかというのをひとつ資料を出してください。できますか。
  138. 川口順啓

    ○川口説明員 資料を調製いたしまして、お出しするようにいたしたいと思います。
  139. 村山富市

    ○村山(富)委員 どこの厚生年金だってどこの共済だって、やはり五年ごとに財政の見直しをするというのは、収入支出の状況が変わっていくわけですから、年金というのは長期の計画ですから、どう責任財源を確保していくかという意味ではやはり必要なので五年ごとにやっておるわけです。五年ごとにやってきた財政再計算の都度、あなたも答弁されましたように、五十年ごろからだんだんこれは危ないぞということはもうわかっておったわけですから、当然手直しをしてその対策を講じておけばこういうことにはならなかったと思うのです。それを放棄して、ほおかぶりしてこういう状態に持ち込んできたのですよ。私は、ある意味からしますと、国鉄の当局やあるいはそれを監督する運輸省やあるいはまた共済の元締めである大蔵省等々にも相当な責任はあると思うのですが、そういう経過を踏まえてこうなったことに対する責任というのはどういうふうに受けとめていますか。これはひとつ総裁
  140. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄自身の財政上の問題と、それから国鉄共済年金の財政問題、これは大変難しいことには、国鉄財政をよくしようとしまして合理化を徹底いたしますと、組合員が減少し年金受給者がふえる、これは年金財政の方に悪影響が出る、こういういわば両者プラス・マイナスの関係にあるという大変難しい状況でございます。国鉄はその再建計画をずっと今まで樹立してまいって、その中の中核はやはり何といいましても合理化を徹底するということにあるわけでございますが、今申し上げましたように、これを徹底すればするほど逆に年金財政には非常に悪影響が出るという難しい問題を同時に抱えてしまっておるわけでございます。  私ども政府の御指導のもとに年金財政につきましてもいろいろと今まで努力をしてまいっておるわけでございますし、掛金率の問題なりあるいは追加費用の増加の問題なり、最近では、今常務が申し上げましたように、国鉄年金財政五カ年計画をお願いいたしまして国民等の御援助をお願いするというようなことで一生懸命努力をしてまいっておりますが、何しろ今回の計画のように急テンポな合理化の進展と裏腹に年金財政の悪化が非常に大きくなっているということも事実でございまして、私どもなりに一生懸命やる覚悟ではございますが、なお政府当局におきまして、将来の展望に立ちまして適切な御結論をいただきたいというふうに考えているところでございます。
  141. 村山富市

    ○村山(富)委員 私が今お尋ねしたのは、こういう共済の現状になるということは十分想定されておったわけですよ。それはなぜかと言えば、五年ごとに再計算するわけですから、そのときから共済組合組合員が何人減って、収入がどれだけ減って、しかも退職者がふえて支出がふえるというのはわかっているわけですから、それを今まで何らの対策も講ぜずに、言うならばほおかぶりしてきた。そしてにっちもさっちもいかぬ状態になって、さあどうしましょうか、これまでの経過の中で十分対策を講じてやるべきではなかったか、それをやらなかった責任をお感じになっていますか、こう言っているわけです。その責任を感ずる態度がなければ、これは議論になりませんよ、話になりませんよ。これは国鉄当局もそうだし、運輸省もそうだし、同時に共済年金の元締めである大蔵省も当然やはり関係があるわけですから、そういうそれぞれの分野でどのように責任をお感じになっていますか、こう聞いているわけです。
  142. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄年金の当事者でございます国鉄総裁といたしましては、一生懸命やっておりますが、なかなかうまくいかないということにつきましては十分責任を感じておるところでございます。
  143. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、大変この問題については答弁のしにくい感じを持っております。しかし、現実の問題として、国鉄共済が極めて厳しい状況になりました中には、私どもも十分な努力が足りなかったという御指摘をされれば、結果的にこれは甘受をしなければならぬ部分はあろうかと思います。ただ問題としては、これは村山委員が御承知のように、例えば社会保障制度審議会等お互いが委員をしておりましたころにも、これは党派を超えてお互いに問題視をしておりました。ただ、ならばといって、的確な対応が我々自身も考えられなかったということも私は今過去を思い返して考えております。そして、共済制度全体の中において当時の国家公務員共済の置かれた位置そして全体の共済制度の流れの中からそれなりに私はそれぞれの時期において責任者が努力はされたと思います。ただ、その見通しがどうであったかと言われれば、結果を否定することはできないわけでありまして、現時点における運輸省の責任者として私は責任なしとは申し上げません。  ただ、ここから先について、これは既に国家公務員共済等手助けをいただいておる制度以外にも共済のグループはあるわけでございますし、また、年金統合一元化の方向の中において将来国鉄共済をどう位置づけ、その負担を解消していくか等、私どもが研究を要する部分は多分にあろうかと思います。先国会でありましたか先々国会でありましたか忘れましたが、政府は官房長官から統一見解を出し、本年度中に六十四年度までについて工夫を講ずるということも申し上げておるわけでありまして、全力を尽くして対応したいと考えております。
  144. 村山富市

    ○村山(富)委員 ちょっとまた私お尋ねしますけれども、私は、やはりこういう状態になってきた責任はどこにあるのかという責任の所在を明確にしないと、これからその償いをだれがすればいいのか、負担をだれがすればいいのかという問題とやはり関連をするわけですよね。  そこでお尋ねをしているわけですが、責任準備金というのがありますね。例えば今年金をもらっている人、受給者が何年ぐらい年金の受給期間があるだろうか、それに対する原資がどれくらい要るだろうか、それから今掛金を掛けている組合員が将来退職をして年金をもらうようになる、そういうものに対する原資がどれくらい要るだろうか、そういう責任準備金というものはぴしゃっと持っていなければならぬわけですよ。その責任準備金というのは大体どれくらい要ると想定していますか。
  145. 川口順啓

    ○川口説明員 責任準備金という名前のものではございませんが、ただいま国鉄共済組合には六十年度末現在におきまして四千二百億円弱の積立金を持っておるわけでございます。今後の準備金の額がどれくらい必要であるかという御質問に対しましては、追加費用につきましては、過去の昭和三十一年六月以前の期間を有する者が特定できますので、今後の追加費用の発生額は推計できるわけでございまして、それがただいま約四・八兆円というふうに算定しているわけでございますが、それ以外の今後の給付、あるいは昭和三十一年七月以降の給付ということになりますと、そういった個々の職員が特定できませんので、推計は困難でございます。
  146. 村山富市

    ○村山(富)委員 推計が困難、ある意味ではそういういいかげんなことだからこういうことになるのですよ。それは年金というのはそんなものじゃないですか。今掛金を掛けて、何年間掛ければ退職後幾らもらえるということをやはり期待して掛けているわけでしょう。その掛けた金がなくなってしまった、こうなったら年金は成り立たないじゃないですか。  これは厚生年金だってほかの共済年金だってみんなそうですよ。今年金を受給している人がこれから大体何年間くらい受給期間があるだろうか、それに払う原資がどれくらい要るだろうか。今掛金を掛けている組合員が毎年毎年やめていって年金をもらうことになるわけでしょう。そういう方々年金をもらうために必要な原資はどれくらい要るだろうかということは、的確に一銭一厘間違いなく何ぼ要りますなんということは私らにはわかりませんよ。ですけれども、どの程度の原資が必要だということは、それはみんな大まかに想定していますよ。そうでなければ年金制度が成り立ちませんよ。今あなたがおっしゃったように四千二百億円しかない。一年間に支出をしている年金給付額は何ぼですか。
  147. 川口順啓

    ○川口説明員 近年の実績でございますと、年間当たり約八千億円の給付でございますが、今後国鉄職員が、どのような在職期間を持つどのような年齢層の人がいつごろ退職あるいは転職するかということは極めて流動的でございまして、難しい要素があると思います。
  148. 村山富市

    ○村山(富)委員 八千億円要るのでしょう。四千二百億円持っていたって何にもならないじゃないですか。だから、国鉄組合員の皆さんは、雇用はどうなるかとあわせて年金はどうなるだろうかと心配していますよ。これは専門家の計算によりますと、大体国鉄の共済は、責任準備金は追加費用も含めて十三兆円ぐらい要るだろうというふうに言っていますよ。それは参考に勉強してください。  そこで、少し話を変えますけれども、先ほど来お話がありますように、六十年から六十四年まで他の共済組合の援助も受けながら、財政調整を受けながら、五カ年計画をつくって財政見通しを立てているわけですね。この財政見通しは三十二万体制を前提にしてつくられた財政見通しですね。もちろん、共済組合組合員が減っていっているわけですから、この財政見通しは当然修正されなければならぬ。  ここでちょっとお尋ねしますけれども、財政調整を受けておる額は年平均幾らですか。組合員が減少したことによる財源不足は幾らになりますか。
  149. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えいたします。  現在の財政調整、現在決まっておりますあるいは実行中の財政調整によります援助額は、年平均四百五十億円ということになっております。これは先生御案内のように、六十一年度から年を追いまして多少ずつ金がふえるようになっておりますけれども、年平均では六十四年度までの間四百五十億でございます。  それから、もう一つお尋ねの職員がこれから減少していくということに対して、これから保険料の減といったようなものがどういうふうに推移をするのかということにつきましては、実際のところはこれから職員のどういう年齢層の方がどういう形でどういうふうに退職をされるかといったようなこととか、不確定な要素が大変多うございますので、正確な数字を申し上げることはできないのでございますけれども、おおむねの概数としては、私どもとしましては、労使負担分を合わせまして四百億円程度かな、そんなふうに見ております。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  150. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、四百億円程度不足をする。それから、今度の年金制度の改正によって六十歳から——国鉄の場合にはもっと早くもらうのでしょうけれども、六十四歳までは独自給付しなければならぬ、その独自給付の中には公経済負担というものが入ってないわけですね。その公経済負担の分はどの程度ありますか。
  151. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 ただいま先生から御指摘の、基礎年金制度導入というような形で公経済負担がどう姿を変えるのかという御質問につきましても、正確な数字は先ほど申しましたような事情でこれからいろいろ推計をしてみなければならぬ問題でございまして、現在持ち合わせがないのでございますが、これまで五年間におきまして、国鉄が負担をしてまいりました公経済負担というものがございます、その中で六十五歳未満の方についての公経済負担というのがどんな姿であっただろうかというところから演繹してみますと、それがおおよそ二百億ぐらいでございますから、私ども、二、三百億の影響が出るのではないか、そんなふうに見ております。
  152. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、組合員の減に伴う不足額は労使でこれを負担をしますから、両方合わせますと大体四百億、それから公経済負担の分が例えば三百億、こう仮定しますと七百億円不足するわけですね。この七百億円の不足というのは大体どういうふうに始末をするつもりですか。これは六十年から六十四年までの財政調整をした上での計画を立てた、その計画を立てたときと、七百億円だけやはり見込み違いが出てきているわけですから、この分は何らかの形で補てんをしてもらわなければならぬと思うのですが、その処理はどうされますか。
  153. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答え申し上げます。  たびたび御質問をいただいている問題かとも思いますが、昨年末十一月二十八日に官房長官から申し上げました政府統一見解にございますような諸般の検討を尽くしまして、六十一年度中にその処理を遺漏のないように決定しなければならぬということで、そういうことで本年の八月末以降、四大臣の懇談会という形で検討の場を設けて進めておるということでございます。
  154. 村山富市

    ○村山(富)委員 どういうふうな中身の話で進めるわけですか。これはむしろ大蔵大臣、どうですか。
  155. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 閣僚会議をいたしまして、統一見解のとおり、ともかくあそこに書かれておりますように、支払いに支障のないような答えを出さなければならぬわけでございまして、それを年度内には出してしまわなければならない。実は正直なところ非常に苦労をしておるわけでございます。
  156. 村山富市

    ○村山(富)委員 いやいや、苦労をしていると言って済めばそれでいいんですよ。苦労をしていますで済めばいいんですよ。これは私先ほど来るる申し上げていますが、こういう状況をつくり出した責任というのは、むしろやはり国鉄当局なり、それから運輸省なり大蔵省なり関係するものにあるわけですよね。ですから、そういう経過を踏まえた上で、しかもこの組合員の数が減ってきたというのは、何も組合員が勝手にやめていったわけじゃないんです。それは国鉄政策としてあるいは国の政策として数が減らされているわけですからね。そしてこういう結果になっているわけですから、その責任はやはり国が持つのは当然じゃないですか。あるいは国鉄当局が持つのは当然じゃないですか。そういう前提を踏まえて議論をしているんですか、どうですか。
  157. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 午前中にもいわゆる自助努力について相当厳しいものがあるということは申し上げておるわけでございますけれども、この統一見解のとおり、つまり自助努力と国の負担を含め諸般の検討を加えまして、支払いに支障のないようにいたしますと、こういうことを申し上げておりますから、このことだけは何としても実現をしなければならないわけでございます。それは年度中に、年度末までにその決定をいたします。
  158. 村山富市

    ○村山(富)委員 ちょっと国鉄に聞きますけれども国鉄自体が自助努力をしてきている、その自助努力の中身というのは何ですか。
  159. 川口順啓

    ○川口説明員 国鉄におきましては、従来の年金財政の運営に当たりましていろいろやってまいったわけでございますけれども一つは掛金のアップということもございますし、それから追加費用の繰り入れ増ということもやってまいっておりますし、また昭和五十九年四月からのいわゆる年金統合法の実施に当たりましていろいろ必要な措置を講じてまいっておるわけでございまして、これは既裁定者のいわゆるスライド停止ということもやったわけでございます。それから、本年四月施行の共済年金改革法によりまして職域部分の停止あるいはまたみなし従前額の不適用というようなことも自助努力の一環としてやってまいったわけでございます。
  160. 村山富市

    ○村山(富)委員 もう時間がありませんからこれ以上申しませんけれども、ただ一つ要請しておきますけれども、こういう共済組合員の数の減に伴う財政見通し収支見通しというのは大分やはり変わってくるわけですからね。したがって、今のこの改革によりますと二十一万五千体制にするわけですから、三十二万体制でつくった収支見通しからは財政見通しが変わってくるわけです。これは不確定要素はありますよ。当然あります。不確定要素はありまするけれども、今立てられる意味で、三十二万体制から二十一万五千体制に変わっていくこの五カ年間の財政の見通しというものをつくって出してくださいよ。いいですね、出せますか。
  161. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 六十四年度までの収支見通しを年度別に示せというお話でございますが、先ほどからも説明に出ておりますように、これから六十五年度までの間に約四万人に上る職員の方の再就職が予定されるわけでございますけれども、その方々の、再就職される方の年齢構成でございますとか、年金給付に結びつく高齢者がどのくらいの割合で動かれるのかといったようなこと、あるいは年金給付に直接結びつかない若齢者の方がどんなふうな姿になるかといったような点で非常に不確定要素が多いわけでございます。  そういうことで、年度別の収支につきまして確たる見通しを立てがたいものでございますから、その数値を現在時点で明確にお示しすることはできないのでございますが、ただいままでのところ、財調をやりました後でも七百億程度不足をしておる、こう言っておりますのは、単なる一定の、一つの私どもなりの仮定の計算に基づく、いろいろなケースを想定いたしまして出しましたものの平均値ということでこの程度で見込んでいけるだろうという数字でございますので、そのようなものとして御了承いただければありがたいと思います。
  162. 村山富市

    ○村山(富)委員 要するに二十一万五千人体制になるわけですから、仮定で結構ですから、一応その財政見通しを出してください。  それから、ついでに聞きますが、主計局次長は、今、一年間に財政調整をされる負担分は何ぼしていますか、あなたの分で結構です。
  163. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 国家公務員それからNTT、たばこ、この全体を通じまして広い意味での公務員でございますが、公務員一人当たり一万五千円を国鉄共済への救済のためにお出しをしておるということでございます。私の場合は平均値より若干高い数字を出させていただいております。
  164. 村山富市

    ○村山(富)委員 私は、総括的に申し上げたいと思うのですが、国鉄のこれまでの経過というものを考えてみますと、戦後経済復興のためにやはり国鉄というのは大変大きな役割を果たしておるわけですね。これはやはり何といったって物を運んだり人を運んだりするのは国鉄しかなかったわけですから、ある意味では。そのために人がたくさん要るというので人を抱え込んだ。同時に、旧満鉄やら外地から引き揚げてきた方々を抱え込んだということもあるでしょう。これは、言うならば国の政策としてそういうふうにさせられていたわけですよ。それがだんだんだんだん時代の変遷の中で、技術革新等もあって計画的に人がどんどん減らされていった。言うならば、共済組合組合員やらそこで働いている労働者には何の関係もないのですよ。  これは全く国の政策としてあるいは国鉄自体の問題としてやられてきたのですよ。それを、先ほど私は国鉄自体はどういう自助努力をやっていますかと聞きましたら、何のことないじゃないですか、その責任のない組合員、共済組合組合員に全部負担を転嫁している。仲裁裁定は完全に実施されていませんよ。にもかかわらず国鉄の共済組合の掛金率はどこの共済組合に比べても一番高いのです。負担は重いのです。しかもスライドはないのです。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 今度の年金改正で職域年金ストップ、もらえないのです。そういう状況に追い込まれて、すべて労働者に負担を転嫁しているのです。それを国鉄は自助努力と称しておるわけですね。中身はそうでしょう。  私は、これはやはりどこから考えてみても国鉄当局と国が、政府が責任を持つべきものだというように思うのです。それを他の共済組合なんかに負担を転嫁して、そして財政調整で賄っていこうという考え方は基本的に間違いですよ。そういう点を踏まえて、私はこの点は強く指摘しておきたいと思うのですが、今度の長期負債を返済するのに、不要な用地はこの際売却しようというのなら、何をおいてもやはり共済年金の責任財源だけはきちっと確保する必要がある。そうでなければ、組合員は安心して将来を楽しみに働けぬじゃないですか。四千二百億円しかない、もう我々がもらう年金財源はこれしかないんだ、国家公務員やら他の共済の皆さんに御迷惑をかけて援助をしてもらわなければ年金ももらえない、こういう状況になっている姿というものはやはり私は改善をする必要があると思うのですね。ですから、今後の方針として、私はるる申し上げましたけれども、共済組合の今日に至った責任というものをお感じになって、単に六十四年までの話ではなくて、これからも国鉄なり国が責任を持って年金支給に支障のないようにいたしますということをはっきり約束してくださいよ。これはだれがするのですか。総理大臣あなたお話をしてください。
  165. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 あちらこちらにまたがりますので、それでは私から答弁をさせていただきたいと思います。  今まで村山委員が御指摘になりましたすべてを私は否定するつもりはございません。それだけに、少なくとも支払いに支障のないようにいたしますというお約束を政府はいたしました。そして、それを国鉄の自助努力と国の負担ということで、年度内にその対応を決定するということもお約束をいたしました。全力を尽くします。
  166. 村山富市

    ○村山(富)委員 一つだけ申し上げておきますけれども年金というのはいろいろな仕組みがありますね。今度は基礎年金で統合したわけですね。その上に今度は報酬比例部分をつくったわけです。そして、その上に今度は企業年金をかぶせていったわけですね。それは公務員の場合は職域年金で若干違いますけれどもね。そうしますと、この報酬比例部分は給付と負担が全然違うのです。皆それぞれ制度によって違うのです。特に国鉄年金の場合には企業年金的な運営をやってきておるわけですね。例えば四十七歳から年金を支給するという制度がありますね。これは減額率が四%です。ところが、他の公務員の場合には減額率は八%です。違うのですよ。違うということは、やはりその企業体の経営の体制が違うから、それに見合うような、企業の体質に合った年金の支給制度になってきておるわけですよ。だから、これを一緒に考えるというのは無理なんですよ。  それと同時に、やはり政策的にこういう結果が生み出されておるわけですから、年金の一元化などという話もありますけれども、それはもう二階のつくり方が全然違うのですから、それを一元化して、そして財政調整だけで金を賄っていこう、どんぶり勘定でやっていこうというような考え方は、これは経過的に見ても間違いなんですよ。そういうことから考えて、私はもう一遍申し上げておきますけれども、この年金財源についてはそういう形でもって賄うという考え方はこの際やめて、これは国家公務員の皆さんもあるいはNTTの皆さんもたばこ会社の皆さんも、もうこれ以上負担がかかることは御免です、現にこう言っていますよ、これは間違ったことをやっているわけですから。  これからのこの年金は、国鉄改革とあわせて大変大きな重要な問題ですから私はもう一遍確認しますが、総理責任を持って年金は支給に支障を来さないようにやりますということを約束できますか。
  167. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先般の閣議決定並びに政府の統一見解の線に沿いまして、誠意を持って努力をいたします。
  168. 村山富市

    ○村山(富)委員 どういうふうに誠意を持ってやるのかわかりませんけれども……。本当の意味内容がわかって言っておられるのかどうかちょっとわかりませんから、またこれはいずれ機会を見て十分議論をいたしましょう。  そこで、もう時間が参りましたから、次に、雇用問題に入らせていただきますが、最近の雇用情勢を見ますると、例えば円高不況によって中小企業があちこちで倒産をしたり、人員が削減されたりなんかして整理が行われておる。あるいはまた造船やら海運やら非鉄金属やら石炭やら水産業に至るまで、いろいろな制約があってだんだん失業者がふえてきておる。恐らく失業率は戦後最高水準に達しているのではないかと思うのですが、今の現状はどういうふうになっていますか。
  169. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  最近の雇用失業情勢は、円高の進展などで、製造業を中心としまして求人が減少を続けるとともに、本年に入りまして離職者も増加傾向を示しております。このため、有効求人倍率は八月に〇・六一倍それから完全失業率は二・九%という水準に達しております。
  170. 村山富市

    ○村山(富)委員 いろいろ努力をされているけれども雇用情勢というのは極めて厳しくなってきている、こういう現状にあるわけです。それに加えてまた新卒者がふえていく。そうしますと、いよいよ雇用状況というのは厳しくなるわけですね。  こういう状況にあるわけですが、政府は第五次雇用対策基本計画というものをこしらえまして、昭和六十五年の完全失業率が大体二%ぐらいというのを目安にしているわけですが、今の情勢から考えてこの目安は達成できますか。
  171. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今御指摘のように、最近の雇用失業情勢は円高の影響等もあり、厳しさが見られるわけでございますが、基本的には内需を中心としました景気の着実な拡大を図っていく必要があるというふうに考えております。  具体的な雇用対策の面におきましては、高齢化、産業構造の転換等に的確に対応し、雇用の安定を確保していかなければならないわけでございまして、第五次雇用対策基本計画に基づきまして、景気変動に対応した失業の予防を中心とする機動的な雇用対策、それから高齢者対策さらに総合的な雇用情報システムを導入いたしまして、職業紹介機能の強化等を図りまして、ミスマッチが生じないような労働需給システムの整備さらに技術革新等に伴います経済、社会の変化に対応した能力開発等の諸対策を図って雇用対策を進めてまいりたいというふうに考えております。計画に示された六十五年の目標に向けまして最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  172. 村山富市

    ○村山(富)委員 総務庁の統計局が六十一年の八月分として労働力調査の速報を出していますけれども、これを見ますと、完全失業者の数は百六十九万人、前年同月に比べて二十一万人増加しているわけです。特に、この中で、前年同月に比べて非自発的、自分からでなくて離職させられた者が十一万人多くなっているわけですね。こういう現状を見ますと、私は失業問題雇用問題というのはなかなか深刻になっていると思うのですよ。  そこで、先ほどお話もございましたように、労働省は持っている政策の中に、例えば中高年を雇用した場合には若干の援助をするとか、それからまた、一時帰休とかそういう場合には雇用調整の助成金を出すとか、いろいろな手だてを講じて、できるだけ失業者を出さない、できるだけ雇用を確保してもらう。その上でさらに、高齢化社会を迎えて定年も延長してもらいたい、六十五歳ぐらいまでは雇ってもらいたいと言って盛んに指導しているわけですよ。さらにまた、時間短縮もやって、この際仕事がふえなければ一人がたくさん仕事をするのでなくて、労働を分かち合ってみんなで働こう、こういう指導もやっているわけでしょう。こういう全体の労働情勢というものを考えて国鉄の人員削減というものは配慮されているのだろうか。もちろん、国鉄から職場を去る人に対して雇用の保障をすることは大事なことですから当然やってもらわければなりませんけれども、しかし、そういう全体の雇用情勢というものを踏まえた上で考えてこういう労働者の削減なんというものをやられてきたのだろうか。これは国鉄の労働者がずっと入っていけばその分だけ余計に事業体は人を抱えるわけじゃないのですから、本来採用される者が採用されなくなる、よく言う玉突きということになるので、余り雇用情勢全体の改善には役立たない、むしろ悪い作用を及ぼすということも言えるわけですが、そういう全体の雇用情勢というものを踏まえて国鉄計画したのだろうかということを私は心配するわけですが、その点はどうでしょうか。
  173. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今回の国鉄改革に伴いまして、残念ながら離職をしていただかなければならない方々雇用問題が非常に大切であることは委員指摘のとおりであります。一方、私どもの所管だけを考えましても、造船、海運を初め雇用情勢が極めて深刻であることは論をまちません。そうした中で、この国鉄改革のために職場を離れなければならない方々の問題と全体の雇用情勢との調整は、これはいたしてまいりませんでした。これは率直に申し上げて調整はいたしてまいりませんでした。先日、民間の労働組合方々がほかの問題で私を訪ねてこられましたときに、大臣、国鉄はいいですな、我々のところを一体どうしてくれるんですというお話が出まして、大変お答えに窮する思いをしたこともございますけれども民間の場合、これは世界的な経済の流れの中、そしてその中における日本の経済構造、産業構造の転換といった中から生まれてくる部分、これに対しても国が一生懸命に対応していかなければならないことは事実でありますが、今日まで公社組織でまいりました国鉄というものを新たな姿に切りかえていく中で出てくるその離職者に対しては、我々はやはり全責任を挙げてその方々の職場を確保する責任があると思い、努力をいたしております。
  174. 村山富市

    ○村山(富)委員 私は、やはりそういう全体の雇用というものを考えた場合に、国鉄の事業さえうまくいけばいいと——もちろんそれはいってもらわなければ困りますけれども、そういう判断をする際に、雇用というものは全体どうなっていくんだろうかというようなことも当然配慮してそれは検討されてしかるべきだった、こう思うのですが、そういうことを前提にして、果たして国鉄が今計算をしている要員はそれでいいのだろうかということを私は心配しますから、要員算定の根拠について若干お尋ねしたいと思うのです。  再建監理委員会が算定した回帰式による数値は、そのトータルにおいて実際にこの六十一ですか、二ですかの私鉄による実在人員の数と狂いがあるのじゃないですか。計算しますと四千五百二人ぐらい数が違うんですよね。これはもっと中身を申し上げますと、例えば駅の職員、これは回帰式で計算をした計算値が一万七千五百五十五人、実際におる人員は二万三百八十三人、二千八百二十八人違うんです。運転士の場合には、計算値が九千二百五十四人、実際人員が九千三百四十三人、車掌、施設保守、電気保守、車両保守、こういう職種別の分類で計算しますと、計算値のトータルは五万二百九人、それから実際人員は五万四千七百十一人、四千五百二名違うんですね。これは例えば六社の在来線だけの要員数を出して計算してみますと、回帰式によりますと九万五千二百三十一人必要である、それに国鉄の特殊性を加味して一・二を掛ける、さらに管理部門の比率一・一八を掛けますと十三万四千八百四十七人になる。これを専門の学者が線形回帰式で計算をしますと大体実際人員に合うんですよ。その計算は、十三万七千七百十八人に一・二を掛け一・一八を掛けますと十九万五千九人になるのです。ですから、その差は六万百六十二人不足をするということになるわけですね。これまでの質疑を聞いておりますと、この監理委員会の回帰式に現場からの積み上げもやりながら見直してこういう数字になったのです、こういうふうに説明いたしておりますけれども、これは数字が大分違うのです。  そこで私は、資料として積み上げ方式でやってきたその内容を、職種ごとにあるいは線区ごとに計算をした数値を資料で出していただきたいというふうに思うのですが、どうですか。
  175. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、数字の点を事務方からお答えする前に先ほどの答弁を多少補足させていただきます。  今私は質問の趣旨をちょっと取り違えてお答えをいたしましたが、今お話を伺っておりまして補足をさせていただきたいと思いましたのは、そういう状況の中の六万一千の方々の職場探しでありますから、今できるだけ国自身が減量化を進めている中ではありますけれども、国等で三万人の雇用を、また国鉄関連事業分野において二万一千人の雇用を確保しようとしておるわけでありまして、民間で一万人を何とか御採用をいただきたいとお願いをいたしておりますが、先ほど委員から御指摘のありましたような他職種からの移職者というようなこともその点においては十分考慮に入れております。
  176. 林淳司

    林政府委員 今回、政府及び国鉄におきまして、具体的な現場の方から積み上げた適正要員数というものにつきましては、先般、系統別、会社別の資料をお出しいたしましたが、さらにその後委員会の方のいろいろ御要求がございましたので、本日、これを管理局別、系統別、それからもう一つは幾つかの線区について、これは一つの仮定を置いた計算でございますが、幾つかの線区にこれを六十年度決算の方式を当てはめた場合にどういう数字になるかという資料を御提出を申し上げたところでございます。
  177. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、私もこの資料を見ましたけれども、これだけじゃやはりこういう食い違いがどうして出たのかというのがわからないわけですよ。実際に必要な要員というのは、そういう計算式で計算をした場合にいずれが正しいのかというのがわからぬわけですよ。ですから私が言うのは、線区ごとに職種ごとに全部の積み上げた資料を出してください、それを比較してみなければわからぬじゃないですか。これだけ出せたのだから出せるでしょう。
  178. 林淳司

    林政府委員 要員の算定につきましては、国鉄再建監理委員会でいわゆる回帰式を使いまして、いわゆる回帰モデルを使いまして、私鉄との関係で生産性を比較して各線区別に積み上げ計算をした数字、それが十八万三千人という数字でございます。それから今回、それを受けまして、私どもとしては検証の意味も含めまして各現場において具体的な積み上げ計算をした、その結果がトータルは十八万六千人ということでありまして、その場合に、先般来申し上げておりますように、各系統別の積み上げ計算というのは、これは具体的な線区についてこれを当てはめることは非常に難しいわけでございます。なぜかと申し上げますと、卑近な例をとりますと、例えば東京駅の丸の内北口で切符を改札をしておられる方、この方は具体的にどういう線区に乗られるお客さんを扱っておられるかというと、これは中央線とか山手線とかあるいは総武線とかあるいは新幹線とか、いろいろな線区のお客さんを扱っておるということになるわけであります。それから車掌さんをとってみますと、この車掌さんはかなり長距離乗務をいたしますけれども、三つ四つの線区にまたがって乗務をしておられる、それも一つの車掌区だけじゃなくて幾つかの車掌区の方が同じ複数線区を乗務しておるということでありますので、そういう現場の系統別に積み上げた数字というのは、線区別にこれを落とすということは、これは非常に難しいわけでございます。ただ、いろいろ計算の仕方はあるだろう、こういう御要求がございましたので、六十年度の線区別の配分という方式を使いまして、一つのそういう仮定を置きまして、幾つかの線区についてモデル的に計算をしてお出ししたというのが本日の資料でございます。
  179. 村山富市

    ○村山(富)委員 資料を求めますと難しくなるような話ばかりするわけですが、例えば三つの線区にまたがって汽車に乗っていく人、車掌さんですね、の場合には三分の一ずつと計算すればいいじゃないですか、計算の方法は幾らでもあるじゃないですか。ですから、これだけの特定の地区の線区だけの資料を出しているわけですからね、答弁の中にありましたように、監理委員会が計算をした回帰式の数値とあなた方が現場から積み上げてきた数値とあわせた計算をしているわけですから、その計算をした資料を出せばいいじゃないですか。そうすると、今度は私どもが計算した数値とどこがどう違うのかという食い違いがわかるじゃないですか。実際にその必要な要員はどっちが本当に正しいのかという結論を出せるじゃないですか。ですから、そういう意味で、もう答弁はいいですから資料を出してください、時間がもうないのです。  その次にお尋ねしますけれども、きょうこれは午前中にもちょっと質問があったようにお聞きしましたけれども、今の国鉄職員が承継会社雇用される。で、年金やらそれから退職金は通算されますね。そうすると、賃金やら、それは給与ベースですね、給与ベースなんかの実績、それから年次有給休暇等々の持っている権利といったようなものは承継されますか、どうなりますか。
  180. 林淳司

    林政府委員 ただいま御提案申し上げております法律によりますと、新しい六つの旅客会社あるいは貨物会社その他の承継法人でございますが、それぞれ国鉄職員の中から新規に職員採用する、こういうことでございます。したがいまして、新しくできる会社の労働条件というのはこれは設立委員会が新たに定めまして、それでもって現在の国鉄職員の中から新しい会社職員を募集する、こういう方式をとっておりますので、労働条件は、現在の国鉄の労働条件と承継法人の労働条件はこれはおのずから異なってくるということでございます。
  181. 村山富市

    ○村山(富)委員 いやいや、僕が聞いているのはそんなことじゃないのだ。年金やら退職金はこれは継承されるわけですね。そうすると、給与ベースやらそれから年次有給休暇やら、これは新しく採用になりますと一年間勤務しなければ労働基準法による休暇はもらえないわけですからね。ところが、継続されますとそれは権利はつながっていくわけです。ですから、そういう意味のことを具体的に聞いているわけです。それは、新しく会社に雇われるのですから、いろいろな意味の勤務、労働条件が変わってくるでしょう。しかし、年金やら退職金が承継されるのならそういうものも承継されるのじゃないですかと聞いているわけです。
  182. 林淳司

    林政府委員 年金とか退職金につきましては、これは法律的に期間を通算するということを明文で規定をしておるということで通算をされるわけでありますけれども、先ほど申しましたように、新しい承継法人の職員は新規に採用されるということでございますので、賃金あるいは労働時間その他の労働条件はこれは承継はされないということでありまして、あくまで新しい会社の設立委員が決定をして、そしてその条件で職員を募集するという形をとるわけでございます。
  183. 村山富市

    ○村山(富)委員 もう時間がないから、これはまたいずれ議論をしますけれども、それでその次にちょっと聞きますけれども、これは新しい会社採用されるかされぬかは設立委員が労働条件やらいろいろな採用の基準を示して、そしてそれを受けて国鉄職員に提示するわけですね。こういう条件で新しい会社は雇いますといって提示するわけです。その提示を見て、私は行きたいという意思があるかどうかを確認するわけですね。確認をした上で国鉄が名簿を選定して、そしてその名簿を設立委員等に提出するわけです。そして、その名簿を受け取って設立委員採用を決定して本人に通知する、大まかに言えばこうなるわけですね。その場合に、労働条件やら採用の基準というのは公開して募集されますか。もう時間がないから端的に言ってください。
  184. 林淳司

    林政府委員 労働条件とかあるいは採用基準というものはこれは設立委員会が決めまして国鉄に通知をする、国鉄においてそれを例えば現場に掲示するとかあるいは職員に配布するとかいう方法でいわゆる公開をしまして職員の募集を行うわけであります。
  185. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうすると、私はこの条件に合致している、資格もあると思うし、それからぜひ入りたい、こういう意思があった人は、私は受けたいと思いますといって希望を述べる、その希望を聞いた上で国鉄が選定するわけですね。選定して名簿を提出するわけでしょう。その選定される基準は何ですか。
  186. 林淳司

    林政府委員 採用条件というのはこれは設立委員会が決めることでありまして、現段階では具体的にはまだ決めかねるわけでございますけれども、一応考えられることとしては、年齢でございますとか、あるいは適性でございますとか、あるいは健康状態とか、そういうふうな要素が入ってこようかと思います。  そういう具体的な採用条件というものを示しました段階職員の募集を行うわけでありますけれども、そこでその募集した結果各事業体ごとの要員数がアンバランスになることは考えられます。その場合には、その採用条件というものに照らしまして国鉄当局の方で具体的ないろいろな調整が行われるというふうに考えております。
  187. 村山富市

    ○村山(富)委員 それは、経過や手続はいいのですよ。国鉄が選定するのでしょう。その選定をするときの基準は何ですかと聞いているわけですよ。何で選定するのですか。
  188. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは設立委員が決めましたルール、それぞれの会社の最もふさわしい人という視点からの基準になります。ですから、今審議官が述べましたように、例えば適性、健康年齢、さまざまなものが想定をされますが、そのルールに従って決められるということであります。
  189. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは大変私は大きな問題だと思うのですね。それは設立委員がその採用の条件等々を示すのでしょうが。それは公開するのでしょうが。それを見て、私は学歴も職歴も、どういう内容かわかりませんけれども、示された条件を見たら合致している、ぜひ新しい会社に入りたい、こう思って希望を述べるのですよ。希望を述べるだけですよ。あと受けられるか受けられぬか、入れるか入れぬかは、その国鉄が選定をする基準に入れられれば入れるわけですよ。入れられなければ入れぬわけですよ。そうしますと、本人は、私は合致している、だから入れると思います、こう思ったって、国鉄が選定して入らなければ入れぬじゃないですか。本人、家族も含めた運命が決まるのですよ、運命が。これは大変大きな問題ですよ、あなたは簡単に考えているけれども。その基準をはっきり示さぬで、いや勝手に決めるなんてばかな話はないでしょう。
  190. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 勝手に決めるというような非礼なことを申し上げたつもりはありません。ただ、設立委員がそれは自主的に決めるものであることは間違いがございません。本来、そのとおりであります。ただ、今御指摘のような事態が起こらないようにするために、いわばその御本人の希望を調査しましてからその配属が、それは確かに必ずしも御本人の希望どおりにならない場合はございますから、そうした場合に状況を御説明し、第二志望あるいは第三志望といったような調整をするためにも私どもは時間が一分でも欲しいと何回も申し上げているわけであります。そして、本人の希望を調査票として締め切るまでに三・五週間の日時をとっておりますのも、それを受けてその配分を確定するまでに六週間という日数をとっておりますのも、まさに一人一人の人生の一大事でありますから、十分御相談ができる時間をとって私どもはお願いをしているわけであります。十分慎重は期します。それだけの時間を与えていただきたいと思います。
  191. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、時間を与えるとか与えぬとかという問題ではなくて、それは国鉄が選定をするのでしょうが。本人は、私は示された資格を見たら全部合っている、だから行けると思った、だけれどもたまたま国鉄当局が選定した名簿の中には入れられなくて入れなかった、こうなった場合に、私は何で入れなかったのだろうか、全然本人はわからぬまま入れぬことになるじゃないですか。これはある意味から申しますと、職業選択の自由を奪うことになりますよ。  これはもうこれ以上議論しませんけれども、いいですか、時間がないから議論しませんけれども、ただ一つだけ聞きます。国鉄職員管理台帳というのをつくっていますけれども、この職員管理台帳はそういう選定をする場合に使われますか、使われませんか。はっきりそこだけ言ってくれればいいです。使われるか、使われぬか。
  192. 杉浦喬也

    杉浦説明員 職員管理台帳は、職員の個々の勤務成績を詳細に記載しております。採用基準の中に勤務成績これは当然に入るだろうと思いますが、そうした場合におきましては、管理調書は当然に参考にいたします。
  193. 村山富市

    ○村山(富)委員 その管理台帳を見ますと、労働組合運動をやったかやらぬかとか、処分を受けたとか受けぬとか、そんなことまで入っておるわけですよね。これは明らかに労働基準法の二十二条か、抵触しますよ。そういう思想、信条やら組合運動やらをしたものがそんな参考になるといったら、これは労働基準法に違反しますよ。これは後でまた時間をかけて議論しますから。  それから、もう一つ聞きますが、人材活用センターというのは大変イメージが悪いのですよ、イメージが。いいですか。しかも、これから再就職をする皆さん、清算事業団に入る四万一千人。私は仮にも人活センターに入っている人が悪いとは思いませんよ、悪いとは思わぬけれども、今世間一般から言われるものは大変悪いのです、イメージが。
  194. 細田吉藏

    細田委員長 村山君、時間が参りました。
  195. 村山富市

    ○村山(富)委員 しかも、こういう選定をして、そして新会社に入った者、あるいは公務員に採用された者、だんだんこの清算事業団にはふるいにかけられた、あなた方から見て悪い人ばかりが残るじゃないですか。そういう者をだれが責任持って世話をするのですか。私はこの際、人活センターのイメージを変えるためにも、そうでないとするならば、ローテーションを組んで、入れる人は一応大体経験をして入るというぐらいにして公平に扱う必要があるのではないか。さもなければ、この人材活用センターはやめるべきだ。
  196. 細田吉藏

    細田委員長 村山君、時間が参りました。
  197. 村山富市

    ○村山(富)委員 そういうことを考えて、全体が公平に扱えるような仕組みにする必要があるというふうに思うのですが、最後にそのことだけ聞いて終わります。
  198. 杉浦喬也

    杉浦説明員 人活センターは、余剰人員の特定をするものではございません。適正に運用をしたいと思います。
  199. 細田吉藏

    細田委員長 これにて村山君の質疑は終了いたしました。  次に、小林恒人君。
  200. 小林恒人

    小林委員 既に多くの委員の皆さん方から基本的な部分について触れられておりますが、いましばらく、どうしても正確に承っておかなくてはいけない事柄が幾つかございますので、御質問させていただきたいと思っています。  明日は十月十四日でございまして、長いこと国鉄の中で育ってきた私にとってみれば、百十五年の歴史を刻んできた鉄道記念日が明日、鉄道記念日というのは明日の記念日をもって終了するのだろうかなという大変寂しい感慨が一つはないわけではありません、加えて、私は昭和三十一年の国鉄採用でございましたから、まじめに働いていればちょうど明日の鉄道記念日には、家内ともども表彰式に参加をしてはえある効績章をいただく日になるわけであります。残念ながら途中から若干ルート変更した経緯もございまして、私の父親が持っております効績章を昨日も自宅に帰ってしみじみと眺めながら、おれはとうとうこれはもらえなかったなという、こんな気持ちで効績章というものを眺めておりました。昭和三十一年以来ですから、本当に三十年間国鉄一つの歯車になっていかなくてはいけないという気持ちを持ち続けてきたわけですから、結構長い時間になるわけです。国会に出していただいてから以降も、国鉄再建法やあるいは監理委員会法、そして今回の九本にも及ぶ法律案との対応でございますから、片時も国鉄というものを頭の中から失念することのない毎日だったと思っているわけです。  そこで、基本的な部分、ひとつ前提条件としてお伺いをしておきたいのは、国鉄改革の目標は一体何なんだろうかということがいま一つどうしてもつかめません。昭和六十年度の日本国有鉄道監査報告書によれば、まず冒頭に、一般損益は「前年度に対し三千九百七十五億円改善し三千百八十九億円の利益を計上した。」と明記をしているわけです。一般損益でもって利益を計上している企業体が、確かに再建法以来、いやもっと先の四回にも及ぶ経営改善計画を組み立ててきた政府国鉄にしてみれば随分多くの御苦労をされてきたと思いますし、それと対応する現場の労働者各般におかれても大変な苦労をしてきているわけであります。にもかかわらず、今回の法律の中で、明年の三月三十一日から四月一日に変わる間で列車は恐らくただの一秒たりとも休止をするということにはならないであろうと思われる状況の中で、大きな改革だけが進んでいく。数多くの資産は継承をされるけれども、しかし、残念ながら労働力についてだけは継承をしないという、こういった前代未聞の改革案になっているわけでありますけれども改革そのものの目標がどこに置かれて、どのように進めようとされているのか。国鉄改革をしようとしないとにかかわらず公共性は確保されなければなりませんし、国はそれを監督する機関として責任を持たなければならないことは言をまちません。経営形態の改革のみによって今回の改革が進められようとしているのだろうかということが疑問でならないわけであります。この点について、まず基本的な部分だと思いますので、前提条件としてもう一度克明に大臣の所見を賜っておきたいと思います。
  201. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 小林委員御本人が長い間国鉄で働いてこられた体験をお持ちでありますだけに、改めて私から申し上げること自身があるいは蛇足かもしれません。しかし、せっかくのお尋ねでありますので、私なりに改めて申し上げてみたいと思います。  確かに、一部の部分のみを指摘をされれば、最近国鉄の状況が改善をされてきたという事実を私は否定をいたしません。しかし同時に、国鉄経営全体を眺めるとき、昭和六十年度には一兆八千億円余の損失を生じておることも事実であります。国からの助成を除けば二兆四千億円余の損失となっておることも事実であります。また、繰越欠損金が十四兆円を超え、長期負債が二十三兆六千億円に達しておるという状況も、これもまた事実であります。そしてこのような経営状態がこのまま推移していくとすれば、国民の最終的な負担はますます過大になるでありましょうし、再建監理委員会の「意見」でも指摘をされておりますとおり、必要な資金の調達も困難になり、事業運営自体にやがて重大な支障が生じかねない状況であります。私どもは、こうした状況をまさに改革法第一条に記す「鉄道事業その他の事業の経営が破綻(たん)し、」という状態としてとらえたわけでありますが、私は、ここまで来る間にはさまざまな原因があったこと、これも否定はいたしません。ここで何回も御議論がありましたように、敗戦直後外地から引き揚げてこられた満鉄あるいは鮮鉄関係者を受け入れ、しかも、本当にその日その日の一片のパンを得るのに延々長蛇の列をなさなければならなかったような時代において、物資輸送の本当に文字どおり国民の動脈として働かれた国鉄職員の姿というものを、子供心に私どもも忘れているわけではありません。  しかし、そうした状況の中から、次第次第に時間がたつにつれて国民の交通機関に対する依存度も変わり、それとともに鉄道輸送そのものが国民生活の中に占めるウエートというものが変わってきたということもまた事実であります。そして今日、近距離輸送においては自動車が、長距離輸送においては航空機が、それぞれ国鉄とのシェアを大きく逆転をし、鉄道輸送というものを国民が求める度合いは、まず大都市における通勤通学、そして中距離の旅客輸送、こうしたものに変わってまいったことも否定のできない事実であります。こうした状況の中で、私どもは、国鉄という以前に、鉄道、鉄路というものを生かしていくとすれば、その鉄道の持つ路線というものを生かしていくとすればどうすればいいかを真剣に考えてまいりました。そして同時に、こういう状況になりました原因には、さまざまな原因の積み重ねとはいいながら、その時代の変遷に対応し切れなかった公社制というものの持つ限界をも考え、同時に国民鉄道輸送に対するニーズの変わりというものを考え、そしてなおかつ鉄路を生かしていこうとすれば分割・民営という手法しかない、そういう結論にたどり着いたわけであります。  そして、それぞれの新たに発足をする会社を健全にスタートさせるためには、現在抱えております国鉄長期債務というものを、負担し得る内容を持つ本州の三会社等にはそれぞれ分与します資産に応じた債務はゆだねますものの、その多くは清算事業団に集め、それを国鉄の不用の資産の売却等によりましてできるだけ返済をし、最終的に国民の御負担を仰がなければならない部分をできるだけ軽減をいたしますと同時に、新たに発足する旅客会社等が鉄路を生かし得る内容を持つために、そうしたことからこうした改革を考え、現に御審議を願っている次第であります。
  202. 小林恒人

    小林委員 運輸大臣の大変懇切な御答弁でありますけれども、それではなぜ分割でなければならないのかという部分、なお疑問が残るわけです。私ども社会党も、今日まで国鉄のあり方というものについてはそれなりの検討を続けてまいりましたし、私どもは社会党改革案として、現行の国鉄というものについてはやはり改革をしなければならない、こういう視点から三本の法律案を提起をいたしました。加えて、論理立ての中では、鉄道交通システムのあり方そのものが時代のニーズに一部合わなくなってきている部分があるのだろう、だとすれば、国民の側から見た国鉄再建のプログラムというものでなければならないだろう、決して上意下達の形態だけではなしに、そういった視点というものをもう少し大切にする必要があるのではないのか、こういう視点からの検討を数多く重ねてまいったわけであります。  特に、巨大組織を一元的経営をしていくということについての欠陥指摘、この点について、適正な経営規模というのはどうしてもわかりません。三島の北海道、四国、九州を比較してみても、数は大変大きな異なりがありますし、本州三会社を見ても、数の部分、営業キロの部分で大変大きな違いが明らかになってきております。加えて、貨物そのものの扱い方については全国一社制だというのでありますからなお複雑だと言わなければいけないわけでありまして、明確な経営責任ということを現行国鉄というものを軸にして政府が考えるのだとすれば、ここはむしろ分権化をすることで十分だったのではないかという気持ちを今なお強く持ちます。むしろ分割することによって責任の所在が極めて不明確になってしまう、こういう疑問を大変強く持つわけであります。いわゆる分割のデメリットというのは数多く存在をするのではないかと想定をされますけれども、数々のデメリットを指摘をいたしました今までの委員会審議の経過を見ますると、結果的にはやってみなければわからないということが余りにも多過ぎるのではないでしょうか。分割そのものについて適正な経営規模、本当の意味で適正になり得るのかどうなのかという論拠がおありであれば示していただきたいものだと思います。
  203. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 むしろアマチュアがプロにお答えをするようなことで大変僣越でありますけれども、しかし適切な経営管理、あるいはその地域の実情に即した運営、あるいはその不合理な依存関係の排除といったような要請から考えた場合には、理論的には、地域的にはできるだけ小さい経営単位に分割する方が適切かもしれません。しかし、ここに一つの例示としての数字、よく委員承知でありますが、各会社ごとの旅客流動の完結度から見てまいりますと、北海道会社の場合には九九%がその域内において旅客移動は完結をいたしております。四国会社の場合にも九六%、九州会社の場合にも九五%の完結率であります。ただ、この完結率の数字から申し上げますと、実は公明党案で東西二分割論を言われます、その二分割論に論拠を与える部分もあるわけでありますけれども、しかし、東日本会社が九九%、西日本会社が九八%、東海会社、一番自己完結度が低いと言われておるものでもたしか八〇、今私ちょっと古い数字を出してしまいましたが、最近の数字ではたしか八六%になっておったと思います。中京経済圏というものの存在を考えれば、この分割というものは私は至当な分割ではなかろうかと思います。  まさにこれだけの自己完結度を持っておりますそれぞれの地域を全国一社で統括をいたしました場合に、例えば、それはいろいろな対応はできると仰せになるかもしれませんけれども、少なくとも人事面は本社が管轄しなければなりますまい。また、それに伴うさまざまな問題もあるはずであります。しかし、分割をされました新たな会社はそれぞれの地域において、ある場合にはバス、ある場合には並行する民間鉄道、さらには航空機等と競争をしていかなければなりません。そうした状況を考えれば、私どもは全国六ブロックというのはちょうど適切な規模ではなかろうかと考えております。しかし、それならなぜ貨物をという御指摘でありますが、これも委員よく御承知のとおり、旅客の移動の度合いと鉄道による貨物の輸送の距離というものは全く異質であります。仮に貨物をブロック化いたしました場合には、二ブロック、三ブロック、四ブロックとブロックをまたがっての輸送というものが極めて多くなるわけでありますが、これは例えば帰りの荷物を集めるとか、そうしたことを考えてみましても、分割のメリットよりは、一本で運営をし、むしろ今後想定されるコンテナ輸送等の伸びを考えました場合にも、全国一社の方がスムーズな運営ができ有利であると考えた、私はそのように全体を理解をいたしております。
  204. 小林恒人

    小林委員 貨物の分野についてはまとめて後ほど御質問申し上げたいと思っていますけれども、分割する場合にどうしてもデメリットが出てまいります。これは好むと好まざるとにかかわらずデメリットは出るわけです。これを克服するために相当のエネルギーが費やされることになるわけですね。目下のところ、分割することによって投資をしなければならない費用の問題などについてはほとんど触れられていないわけですけれども、この点についてはどう思いますか。
  205. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、個別の中身になりますと十分な知識を持ちませんので事務方に補足をしてもらいたいと思いますけれども、総論的に申し上げるならば、私は、会社間の協議によりそれぞれ十分対応ができると考えております。
  206. 林淳司

    林政府委員 分割に伴うコストの問題かと思うのですけれども、確かに、全国一本の場合に比べまして、分割した場合にその分野において若干のコスト増があることは否めないと思いますが、しかし、先ほど大臣から申し上げましたように、またがりというのは非常に少ないわけでございますので、そのコスト増というのはごくわずかで済むというふうに考えております。
  207. 小林恒人

    小林委員 分割というのは、非常に簡単に二つの文字であらわされているわけですけれども、結果として、これが行われることになれば資産及び負債の分割も行わなければならないことになる。資産の分割に当たっては、共用駅設備であるとかあるいは通信設備などの設備、それから鉄建公団、全国規模の出資会社等にかかわる出資金分割基準が問題となるのではないのかな、こんなことが想定をされますし、負債そのものを考えてみた場合に、債務の引き継ぎは不可能なのではないだろうか。例えば鉄道債券一つをとってみても、個々に、あなたのお持ちの鉄道債券は今度は旧国鉄に行ったのか、あるいは新会社のAに行ったのか、Bに行ったのか、Cに行ったのかわからなくなるという心配を持ちますけれども、そういった理解と協力を得て、正確に負債の分割までやり切れるという考え方のもとにこういった検討が進められたのでしょうか。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  208. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 長期債務の継承についてどういうふうに確定するかと言われますならば、各会社が承継をいたしますその長期債務内容は承継計画書において確定することになるわけでありますが、現時点で考えておりますのは、旅客会社等が承継する国鉄長期債務四兆八千三百億円のうち、六千六百億円は民間借入金、四兆一千六百億円を鉄道債券と考えております。こうした債務の配分にしましたのは、一つは、各事業体の今後の資金調達の方法あるいは社債の発行限度等を勘案して、国鉄長期債務のうちまず民間借入金の全額を旅客会社等に承継をさせる、残りは民間引き受けの鉄道債券を承継させることが適当であるという判断をしたわけであります。御指摘のとおり、確かに鉄道債券は転々としており、債権者が特定しがたいという問題はございます。しかし、当該債務を承継した承継法人及び清算事業団が連帯して弁済の責めを負う、改革法の二十六条に規定しておりますように連帯債務の形で対応をしますので、債権者の利益を不当に害することにはなりません。ですから、個別の債権者の同意は、いわばどこの窓口でも大丈夫ということでありまして、問題はないと考えております。
  209. 小林恒人

    小林委員 大丈夫というお話でありますから心配がないのかなという気がしないではありませんが、ちょっと課題が違うのでありますけれども、株式の売却の件について先ほど同僚委員からの質問が出ております。三年ぐらい後には株式の売却を行うのかなという、この経営主体そのものの今後の推移というものは大切だというお話がありましたけれども、株式の売却をする場合、これは外国人にも売却をする、こういうことになりますか。
  210. 林淳司

    林政府委員 外国人に対する特別の制限は規定をいたしておりません。
  211. 小林恒人

    小林委員 規定がないということは、国内のみに株式の売却を行うだけではなしに、外国人にも売却をすることがあり得る、こういうことになりますね。これは、資本主義社会体制の中での自由競争でありますから、いろいろな角度からの競争があることを前提にして、外国人に対しても株式の売却を行う、いわゆる規制がないわけですね。ましてや民営化をされてしまうと、民営化された会社に対して国が規制措置を加えるということは将来ともにあり得ないと思いますけれども、そのとおりですか。
  212. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほど私、三年と申し上げたかどうか、正確ではないがという言葉を使いましたけれども、一体どの程度までに売れるかどうか、まさにそういうつもりで申し上げておりました。そして、外国人の株式保有制限を付しておらないことは事実でありまして、理論的には、これは外国人が購入をしたいと考えれば購入は論理的には可能であります。しかし、それでは分割後の新会社について、外国人の株式取得制限といったようなことを法律上付すことが果たして妥当なものであるかどうかと言えば、私は必ずしも妥当なものではないと考えております。
  213. 小林恒人

    小林委員 建設大臣の御都合があるようですから、いわゆるデメリット論のところを一区切りつけて、国土庁と建設省にちょっと疑問点がございますので、御質問申し上げておきたいと思っています。  一つは、既に古い資料になってしまいましたけれども、発表されているものの中に四全総に向けて「国土空間の新しい未来像を求めて」という要旨が、これは五十九年十一月の段階で発表されております。この中には交通システムのあり方という項目も起こされておりまして、それぞれ道路網の整備等が回数を重ねて計画をされてまいりました。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 私ども国鉄のあるべき姿を検討するに当たって、道路網の整備と鉄道網というものとの相関関係は非常に大きいと思っているわけです。  過般、北海道でいろいろと調査をしてみましたけれども、実に多岐にわたって、高速道路の完備に伴い、高速道路を使用しての都市間長距離バスが拡大の一途をたどってきているわけであります。ちなみに申し上げますと、旭川と札幌間なんかで見ますと、バスの運賃は千七百円で国鉄を使うと三千三百円かかる。これはもちろん特急料金を含んでのことでありますが、時間にしますとバスは二時間五十五分、国鉄だと一時間四十五分、時間に差はありますけれども、座ってあるいは陸橋を渡らなくてもよいといった便宜等もありまして、バス輸送が大変拡大をしていっているという経緯があるわけですね。将来的な国土の開発計画と道路網の整備という観点で、国鉄の再建に向けた考慮が今日なされてきたのかどうなのかという件について一つはお伺いをしておきたいと思います。
  214. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 私は国土庁長官であり北海道開発庁長官でございます。今北海道のお話が出ましたが、北海道では今高速道路に対して約一千キロの要望が出ておりますし、また、高規格道路その他につきましても一千キロ程度の要望が出ておるわけでございまして、本土に比べてまだ供用部分が少ないじゃないかというおしかりを受けておるような状況でもございまして、道路網に対するニーズが非常に強いということであります。交通体系の中でそれぞれの交通機関が果たしていく使命というものはたくさんあると思います。今日、交通体系の中で国鉄の果たす役割というものはいろいろ変化がございましょうけれども、特に北海道におきましては、大量の旅客輸送という意味におきまして今後とも鉄道の果たす役割は極めて大きいと考えております。それらの点も考えながら、道路網の整備あるいは今後の新しい旅客鉄道会社、それぞれが整合性を保ちながら成り立つような計画を今後四全総の中でも考えていかなければならない、このように考えております。
  215. 小林恒人

    小林委員 六十二年度が第九次道路整備五カ年計画の最終年度に当たるわけです。したがって、六十二年十月の段階では道央自動車道の岩見沢—美唄間が開通するということになるわけでありまして、整備計画全体の既に五一%に達することはもうほぼ明らかになってきているわけですね。こういう状況になった場合、加えて、現行でも年々増加しつつある都市間バス輸送、札幌を起点として、先ほどもちょっと申し上げましたが、正確に申し上げますと十三系統二百九十二往復の便が既に設定をされて、非常に数多くの乗客を輸送しているわけです。一万四千六百人程度毎日輸送するという形態になりましょうか。こういうことを考えますと、ある意味で函館本線の札幌—岩見沢間、札幌—旭川間というのは比較的国鉄のシェアの高かったところが、高速道路の完成と同時に、お客様のニーズというのはそれぞれに変化をいたしますから、変わっていくということになるのではないかということは想定されますね。  道路の方だって、それは利用頻度が高まらないと、せっかく高速道路をつくっても北海道の高速道路は余りペイしないぞというお話が数多くあるわけでありまして、そこら辺が総合的な見地から十二分に検討されるとすれば、鉄道の果たす役割というのはおのずからどんどん小さくなっていくという認識を持っての上でなければできない作業ではないのかなという気がしますけれども長官北海道開発庁長官も兼ねて、将来の北海道のあるべき姿というのを大変真剣に御勉強されているようでありますから、今後のことも含めて、第九次までではなしに、十次、十一次と続くであろう道路整備計画、こういったものとの関連の中ではどんな見解を持っているのか、お示しをいただきたいと思います。
  216. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 北海道は今いろいろ産業におきましても曲がり角に来ておると言われまして、これからの活性化を考えていかなければなりません。その意味におきまして、さらに道民の皆様方のあらゆるニーズを満たすような方向で、北海道の新しい第四次の総合開発計画も今考えておるところでございますが、その中でも広い北海道の交通網というものは極めて多くのニーズがあるわけであります。時には飛行機、時には道路、時には鉄道、そういうふうになっておると思います。その意味におきまして、道路網の整備も進めながら、一方では新しい民間になります旅客鉄道会社が、今回はまた新しい民間の知恵を生かして、それぞれのサービスや新しいニーズを開拓することによって立派な基盤をつくり、経営を維持していただけるものと確信をいたしております。そういうものをすべて含めまして、今後の北海道総合交通体系というものを軸にして北海道の開発を進めていきたいと考えております。
  217. 小林恒人

    小林委員 長官一つ御質問しておきたいと思いますが、ただいまのお話とちょっと食い違うのではないのかなと懸念される事柄が一つあるのです。  これは、陸上交通審議会の部会というものを設定をして、北海道の段階では、渡島管内を中心にし函館を中心とした五十キロ範囲内での交通体系をどう整合性のあるものにつくりかえていくか、こういう議論をした際の議論の六割、七割が、鉄道網を維持、存続をさせながらということが大前提で組み立てられて運輸省に報告されてきているわけですね。これは私ども要求からしますと、全道的、全国的に部会を数多く開催をして、それらの集大成を総合交通体系に結びつけていくという、こんな努力をぜひ政府は急いでほしいなという気持ちを持っておるわけですけれども、なかなかテンポがスローでありまして進んでいない。そんな見地からすると、今長官がおっしゃられた中身とは道民ニーズというのは大分違うのじゃないだろうか、まだそこまでは十二分に北海道の中身を勉強していただけなかったのだろうか、こんな気がしてならぬのでありますけれども、いかがですか。
  218. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 小林さんの鉄道を基軸にして地域の発展を図っていく、こういうお話でございますが、今この国鉄法案の国会が開かれておりますように、いろいろと世の中の変化も来ておるわけでございまして、その中におきまして、国鉄の民営・分割化によりまして北海道の新しい鉄道会社の果たす使命というものも極めて大きいと私どもは考えております。それももちろん考えながら、しかも道民の皆様方がさらに便利に交通網を利用し、北海道の活性化を図っていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。小林さんも北海道の御出身でございますが、私も北海道開発庁長官になりましてから、私は道産子の気持ちになって道産子の目で北海道の開発をやります、こう言ってまいりましたので、あなたと考えは全く今後とも一緒だと思いますので、よろしくお願いします。
  219. 小林恒人

    小林委員 道産子の気持ちになって北海道を考えるということでありますから、ぜひ私どもも期待をしたいと思っていますし、五百六十万道民の期待を一身に集めていることについてだけは万々お忘れのないように、ひとつ私からもこの際お願いをしておきたいと思っています。  北海道の課題数多くあるのですが、ちょっとこれは後に回しまして、先ほどの分割のデメリットの部分で、もう一度ここに話を戻して御意見を伺っておきたいと思っています。  会社を分割するのだから輸送計画、輸送管理関係などについて連絡調整機関が必要ではないか、今までにも何回となく議論をいたしました。ところが、先ほど運輸大臣の御答弁の中でも、例えば北海道は北海道の中だけで輸送が大半終わっているよという御意見でありまして、なかなか私どもの思うような答えが出てこないわけです。なるほど、資産は承継するけれども要員は承継をしないというところから、こういう言い方をしておかなければ後々困るということがあるのでしょう。実態として収入清算関係であるとかあるいはダイヤの調整であるとか、さらに資材の購入等にかかわる経理の推し進め方、それから企画商品等の販売にかかわる部分など、取り上げてみますと、分割をすると前提をした場合には、非常に重要な機構として調整機能がなければ必ず後々問題になってくる。逆にどうしてもこれを設定をしないということになりますと、もうからない会社の中ではその中だけで縮小に次ぐ縮小だけが進行していく、日本列島総体の中で国民ひとしく国からの恩恵を受ける権利があるのではないかという視点からすれば、例えば交通という分野でそこらの欠落するものが生じたとすれば、これは運輸大臣の責任に帰するところ極めて重大と言わなければならないのでありますけれども、連絡調整機能というものについて、考え方をもう一度ただしておきたいと思うのであります。
  220. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 個別の御指摘、これはむしろ専門家である国鉄なりあるいは事務方なりからお答えをする方が正確であろうと思いますので、個別の部分についての答弁はそうさせていただきたいと思います。  ただ、既に何回も御説明を申し上げ、関係の資料等も提出いたしておりますように、三島会社経営安定基金を設けて、一定の利益は、特定地方交通線を除いて、地方交通線を含めて収支がバランスをするように私ども仕組んだつもりであります。ですから、内容的に今述べられたような不安点というものはないと思いますが、その実務的な問題については事務方から補足をしてもらうようにいたします。
  221. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生御指摘の分割に伴う技術上の諸問題でございますが、これについては、分割というものを責任を持って遂行するためにはやはりこれを十分詰めなければいけないということで、私どもとしても相当研究をいたしました。その結果でございますけれども、ただいま先生から御指摘ありましたようなダイヤの問題でありますとか、収入あるいは経費の清算の問題でありますとか、その他直通運輸の問題、やり方、運賃、あるいは企画商品の問題等いろいろございますけれども、基本的には、私どもの検討結果によりますとこれは会社間の協定で担保できるというふうに考えております。これは、今回の法案におきましても「運輸に関する協定」というのがございますけれども、基本的には、この運輸に関する協定を各会社間で協議してあらかじめルールを設定しておくということによって解決可能であろうというふうに考えております。ただ、例えばダイヤ等につきましては、これは単に旅客会社間のまたがりだけではなくて、後ほど御質問があるかと思いますが、貨物会社の問題も絡んでおります。したがいまして、ダイヤについては、あらかじめルールを設定して協定を結んでおくということのほかに、具体的なダイヤ調整について各社のダイヤ調整会議というようなものが必要ではなかろうかと思います。ただしかし、全体としてのこの分割に伴う諸問題のために何らかの機構が必要であるというところまでは、これは私どもとしては必要ないのじゃないかというふうに考えております。
  222. 小林恒人

    小林委員 会社間協定で十分ということですから、ここは会社間協定で間に合わなかった場合どうするのかという心配がないわけではありませんけれども、ちょっと課題を先に進めさせていただきたいと思います。  北海道会社が持つエリアの中で、青函トンネルは北海道会社が持つ、こう明記されましたね。私は、国会へ出していただいてから以降この青函トンネルに大変興味を持っている者の一人なんですけれども一つ教えておいていただきたいのは、公海下に我が国の財産を営々と二十年間かけてつくり上げてきた。公海の定義やあるいは公海に伴う条約などいろいろと調べてみましたけれども、函館側から三海里、青森側から三海里は我が国の領海ですからさして問題はないと思います。しかし、残された大半というのは公の海になるわけですね。ここに我が国の財産が築き上げられた結果——以前私は運輸委員会の質問の中でもしておりますし、大蔵大臣になられております宮澤さんは、かつて昭和五十六年に参議院の決算委員会の中で大変奇妙な答弁をされているわけです。公海下といえども我が国の管轄権は全面的に及ぶと考えられる、関係省庁とよく検討し、将来疑念のないようにしたい。私どもの質問は、主権は及ぶのかというところが質問の要旨なのでありまして、かつて検討が進められておらなかったから公海下の管轄権は及ぶとだけお答えになったのかなという気がしないではありませんけれども、主権が及ぶと思われますか、今日段階で。
  223. 倉成正

    ○倉成国務大臣 お答え申し上げたいと思います。  沿岸国が自国領域内から公海部分の海底下までのトンネルを掘削した場合、同トンネルの公海の海底下の部分について管轄権を行使することが一般国際法上認められておる、こういう意味のことを宮澤大蔵大臣が官房長官のときにお答えになったのではなかろうかと思う次第でございます。したがいまして、一国の主権が及ぶのはその領域の地下及び上空を含む全範囲に対してであり、上部が公海である場合には主権が及ぶというのは適当でない、かように考えておるわけでございますが、管轄権と主権の関係等につきましては、条約局長が参っておりますのでお答えを申し上げたいと思います。
  224. 小和田恒

    ○小和田政府委員 ただいま外務大臣がお答えしたとおりでございますけれども、若干技術的な面について御説明いたします。  主権という言葉はいろいろな意味に使われますけれども小林委員が御指摘になっております主権というのは領域主権という意味でお使いになっているのだろうと思います。小林委員指摘のように、一国は、国の領域に対して、そこにあるすべてのものに対して支配を及ぼす最高の権力を持っておるという意味で主権という言葉が使われるわけでございますが、先ほど外務大臣から御答弁をいたしましたように、海底トンネルというのは、上が公海部分があります場合には、その公海部分は領域ではございませんので、そういう意味におきまして、そこに主権が及ぶという言い方は言い方として必ずしも適切ではなかろう、こういう意味政府は管轄権という言葉を使っているわけでございます。しからば管轄権とは何かということになりますと、これは結局立法、司法、行政というような作用を行う、そういう権能のことを一般的に管轄権ということで言っているわけでございますので、お尋ねの件に関連して申し上げますと、そのトンネルに対して、それを占有して支配し、そこに先ほど申し上げましたような立法、司法、行政というようなあらゆる権能を及ぼすということは、我が国が当然に国際法上有している権利であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  225. 小林恒人

    小林委員 公海に伴う条約の中では、ケーブルであるとか電線等の埋設については、公海の海底については了とされているわけですね。しかし、トンネルを掘っていいとは書いてないわけですね。トンネルを掘るとすれば、これは掘る段階で各国の了解を求めるとかあるいはそれなりの理解が必要だったのではないだろうかという気がします。  主権が及ぶか、管轄権の範囲内なのかということは非常に重要なことでありまして、三年前私は運輸委員会で質問するに当たって、防衛庁に、例えば津軽海峡をソビエトの原子力潜水艦は年間一体どれくらい航行するのでしょうという質問書を出しましたら、宗谷海峡で二百隻程度、津軽海峡は百五十隻程度程度というお答えをいただいたのです。今回も同じ質問をいたしましたら、これは極めて重要なことであって、浮上して航行したものについての目視できたものについてだけは答弁できるけれども、海底深く静かに潜航したソビエトの原子力潜水艦が年間何隻通ったかということについてまではどうしても説明することはできないというお答えだったのです。何でこんな質問書を出したかというと、トンネルの真上にソビエトの原子力潜水艦が深く静かに潜航して停泊をした、停泊という言葉は正しいかどうかわかりませんよ、それから地下百メートルのところには我が国の管轄権が及ぶと言われるトンネルがどんどんお客様を運ぶという状況に立ち至ったとき、あなた危ないですからそこをよけてくださいと言えますかという問題が出てくるのじゃないですか。公海なんですよ。どうお考えになりますか。
  226. 小和田恒

    ○小和田政府委員 先ほど申し上げましたように、公海の下にありますトンネルでございましても、領海部分あるいは領域から掘っていって、地下をずっと通ってそのトンネルが公海に及ぶというような場合には、そのトンネルに対して管轄権を及ぼすことができるというのが一般国際法上確立していると言っていい原則だと思います。そういう先例、学説等もその点についてははっきりしていると思います。ただ、御指摘のような公海部分が上にあるというその公海部分につきましては、先ほど御指摘のあったような公海条約の適用があるわけでございまして、外国の軍艦、潜水艦等がそれを通過するというようなことは許されているわけでございます。もちろん、その結果としてそのことが危険を及ぼすような事態になるかどうかというようなことは、これは一般的な公海の使用の自由の原則との関連で考えられるべき問題であろうというふうに考えます。
  227. 小林恒人

    小林委員 公海の定義の中で、海はもちろんのこと、水面から上も、それから海底の下にも、特定の国が主権を及ぼしてはならないということは明確なんですね。こういう前提で考えますと、公海下に我が国が勝手にトンネルを掘ってしまった。掘ってしまったのですから、間もなく使用されようとしているのですから。かつて宮澤さんが官房長官時代に、省庁間でよく検討し、将来疑念のないようにしたいと答えたのが昭和五十六年の参議院の決算委員会なんです。その後ここはどういう検討をされたのか、明らかにしてください。
  228. 小和田恒

    ○小和田政府委員 一九五八年のジュネーブ海洋法条約の一つであります公海条約の第一条の定義にございますように、公海というのは海洋の部分のことを指しているわけでございまして、したがって、公海条約の適用があるのはその公海の部分に当たります海洋及び海底でございまして、その地下の部分について公海条約の適用がそのままあるわけではございません。先ほども申し上げましたように、一般国際法上の問題として、領海ないしは領域からその海洋を使わないで、陸と申しますか海底の地下を通ったままでトンネルを掘るというようなことは従来から認められておる、学説上もそれは異論のないところであるというふうに御理解をいただきたいと思います。先ほど委員の御指摘のあった検討の件につきましては、そういう国際法上の立場を踏まえまして、現実にそこに対して具体的に行政権、立法権というようなものがどういう形で行使されるかという実務的な問題としては、関係各省庁の間でいろいろと検討しておるということでございます。
  229. 小林恒人

    小林委員 答えになっていないのです。なぜこんなことをしつこく聞くかというと、運輸大臣、こういう非常に重要なものを北海道会社が受け取れと、こう書いてあるから私は聞いているのですよ。いいですか。極めて重要なことなんですよ。今、条約局長ちょっと答えられておりましたけれども、公海下、地下の問題は適用除外だと、一体どこに書いてあるんですか、そんなことは。明確にしてください。
  230. 小和田恒

    ○小和田政府委員 根拠について示せということでありますので御説明いたしますが、公海に関する条約の第一条は次のように規定しております。「「公海」とは、いずれの国の領海又は内水にも含まれない海洋のすべての部分をいう。」こういうことでございます。それ以外の、海洋の中に含まれない地下、いわゆるサブソイルという部分でございますが、その点につきましては、御承知のように、大陸棚でありますれば大陸棚のレジームの適用があるということで、大陸棚の開発については沿岸国がそれを探査、開発する主権的な権利を持つということが規定されているわけでございます。  津軽海峡の場合について申しますと、あそこは大陸棚に相当する部分であろうと思いますが、いずれにいたしましても、海底のトンネルを掘削するというのは、大陸棚の法理とは別に、先ほど来るる申し上げておりますように、沿岸、領域から地下を通じて掘っていくトンネルというものは沿岸国として国際法上なし得ることであり、それが沿岸国の管轄権に服するものであるということは、従来から学説的にもあるいは先例の上でも例のあることでございます。先例についてお尋ねでございますならば、具体的な例としては、例えばイギリスが十九世紀に炭坑を陸から掘ってまいりまして、公海部分の下にまで開発をしたというような先例が挙げられるかと思います。
  231. 小林恒人

    小林委員 管轄権は宮澤さんがもう今から四年も五年も前にお答えになっているんですよ。管轄権は及ぶんだろうと思いますよ。仮に及ぶと認識してもいいんです。しかし、主権は及ぶのかという質問の趣旨なんですよ。トンネル内の財産総体にかかわって主権は及ぶんですかと。管轄権だけでもって、おまえら北海道会社経営しなさい、大事なお客様を運びなさいと、こうおっしゃるのか。間もなくできるんですから、主権が及ぶのかという質問に対して適切に答えていただきたい。
  232. 小和田恒

    ○小和田政府委員 先ほど外務大臣が御答弁申し上げたとおりでありますけれども、主権ということはいろいろな意味に使われますし、管轄権ということもいろいろな意味に使われるわけですが、先ほど外務大臣が主権があの地域に対して及ぶという言い方をすることは適当ではないということを申し上げましたのは、あれは領域の一部ではない、そういう意味におきまして、領土、領空、領海に対して主権が及ぶと同じような意味においてはそこに主権が及んでいるという言い方は適切ではない、こういうことで申し上げたわけでございます。他方、管轄権というのは、先ほど申し上げましたように、国の作用としての立法、行政、司法というような作用を行う、そういう権能を総括して管轄権と言っているわけでございまして、具体的にこのトンネルの場合について申し上げますならば、このトンネルに対して立法、司法、行政の権能を我が国が及ぼすことについては国際法上何ら問題はないということでございますから、あそこのトンネルそのものに対しての規制あるいは所有権、権利義務関係というようなものを我が国の法律によって行うということについては何ら問題はないというのが政府の立場でございます。
  233. 小林恒人

    小林委員 私の記憶によれば、たしかこの関係省庁というのは十八省庁はあると答弁された記憶があるわけです。官房長官、いつの日までにこの協議、結論は出されるのでしょうか。
  234. 小和田恒

    ○小和田政府委員 御指摘のように関係省庁が多岐にわたっておりますので、私が責任を持ってお答えをするのは必ずしも適当ではございませんけれども、現在、地方自治法その他との関係におきまして既にいろいろな形での各省間の検討は行われているわけでございます。ただ、いろいろな法律がいろいろな形で適用になりますので、その作業がいつまでに終わるかということになりますとちょっと私が責任をもってお答えするわけにはまいりませんけれども、現にそういう作業を政府部内においてやっていることは事実でございますし、できるだけ早く具体的な結論は出したいというふうに考えます。
  235. 小林恒人

    小林委員 こんなことだけで時間を費やせませんが、しかし、非常に重要な課題なんですね。世界初の海峡、公海下を縦貫するトンネルが我が国の技術力によって開発をされている。そこを政府にとっても私どもにとっても非常に大切なお客様が通過をする、荷物が通過をする。管轄権は及ぶが主権は及ばない。極めて危険な要素もないわけではないとすれば、これはできるだけ早い時期に結論を出していただきたい。少なくともこの審議をする過程では、青函トンネルは北海道会社に持たせるんだよということを法律の中で明確にして提起をした以上は、この法律ができ上がるまで、審議が終了するまでには結論を出す必要があると思いますので、ひとつ強く要望をし、以降の質問は後々に送りたいと思っています。  それから、せっかく官房長官おいででございますし、大変お忙しい中お呼び立てをして恐縮でございますが、記者会見の時間があるようでありますから、一つだけ御質問を申し上げたいと思います。  これは昭和六十年の二月の十八日の予算委員会で私がお尋ねをした事柄なのでありますが、官房長官にお答えをいただきましたいわゆる公共負担問題、国鉄の運賃上の公共負担問題です。このとき、当時の藤波国務大臣は次のように答えているわけですね。「御指摘のように、国鉄の運賃上の公共負担の問題につきましては、政府で閣議了解をいたしまして、その後鋭意関係省庁で検討を重ねてきておるところでございます。しかし、」なかなか答えが出ない、こういうお答えだったわけです。特に「遅くとも六十一年度以降に運賃改定をするという機会があれば、その機会をタイムリミットとして必ずこの問題の解決に当たるようにいたしますということをお答えを申し上げたところでございまして、」と。ことしの九月に運賃改定というのはやられたんですね。私どもには何らのお答えがないのでありますけれども、公共負担問題、学割であるとかあるいは身障者の割引であるとか、国鉄は赤字だ、赤字だと大変おしかりを受けているさなかに、トータルをいたしますと六百億をはるかに超えるくらいの公共割引をいたしているわけで、これは国庫負担することが正しいのではないかというのが我が党の論理であります。そのことを踏まえて関係省庁の間で十分協議をしたい、こうお答えになってきて、六十一年度以降に運賃改定をすることがあればその機会には適切な答えを出しますぞと、こういう答えであったのでありますが、さて、ことしの九月までの間にどのような結論を出されたのか、明確にお答えを賜りたいと思います。
  236. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 おっしゃるように、前の官房長官のときに予算委員会でおっしゃるような質疑応答があったことは承知をいたしております。同時に、この問題については、国鉄再建監理委員会からも御承知のとおり答申が出ておるわけでございます。そこで、政府としては関係省庁の間でいろいろ検討いたしまして、ことしの八月に一応の結論を出しておるわけでございますが、その結論をせっかく御質問なさった小林さんに私どもの方から御返答してなかったということは確かに申しわけないと思いますので、ここではっきりとお答えをいたしておきたいと思います。  これは、やはり今の国鉄が民営化になるに当たって、従来国鉄がいわゆる公共負担、おっしゃるように学割とか、あるいは身障者あるいは傷病者ですか、大体この三つだろうと思いますが、そのうち学割と身障者につきましては、私鉄と現在国鉄が公共負担として負担してあるのとは内容的にどちらが重い、どちらが軽いとも言いがたい。そこで、政府としましては、再建監理委員会の御意見にあるように、私鉄並みの負担は従来から国鉄がやっていただいておるが、将来ともそれでお願いをせざるを得ない。しかしながら、私鉄以上に負担しておるものがある。それは戦傷病者の扱いであろう。ならば、この戦傷病者について私鉄以上に国鉄に負担をお願いをしておった分については、これは何らかの措置を必要とする、こういう結論でございます。そこで、関係省の間で、ことしの十二月には予算の折衝があるわけでございますから、その段階で結論を出そうということに相なっておる、かように結論を出しておりますので、お答えをいたしておきたいと思います。
  237. 小林恒人

    小林委員 そこで、新会社経営見通しについて質問を移したいと思います。  特に三島収支、北海道、四国、九州の収支問題については多くの皆さん方から既に御質問がありました。私は、そういった質問とふくそうしない範囲内で、出身が北海道ということもあって北海道の収支がわかってきますと、四国や九州などについてもある程度イコールになる部分があるものですから、北海道については少しく細かく精査をしてみました。過去昭和五十五年から六十年度までの実績を平均しますと、毎年収入の面では四・三八%くらいの減少を見てきたわけですね。六十二年度の試算をするに当たって政府の側で示した数字がありますけれども、これを見ますると、余り大きく減少するような、四%も五%も収入が減少していくような数字にはなっておらないわけです。もちろん、これは監理委員会の答申と運輸省として法案を提出するに当たって再精査をした部分では若干の異なりがあるわけですけれども、平均して四・三八%の減少というものを、六十年度から六十一年度、六十二年度にかかわる間では二年間九・七%くらいになりましょうか、これくらいの減少を見込んで精査をしなければならないはずの運輸収入が、逆に六百六億円という形ではね上がっていくような数字になってきているわけなんです。どうしてこういうことになるんだろう。  ここでもう一つだけ念のために質問しておきたいと思うのですが、今回の法案の中では、特に北海道の場合、長大四線については保留四線と呼ばれて保留をされてまいりました。追加の選定承認がなされたのが六十年八月二日でありますから、監理委員会の答申以降に追加承認をされているという認識をいたします。だとすれば、監理委員会の答申というのは、長大四線、保留四線ですね、標津線、池北線、名寄線、天北線、これは新会社が承継をするという前提で試算をされてこういう結果になったのかなという気がするわけですけれども、その点での正確な意味での数字をお示しをいただきたいと思います。
  238. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生御指摘の保留四線、第二次地方交通線でございますが、保留四線につきましては、監理委員会の試算あるいは今度我々の試算におきましても、いずれもこれは既に転換をされたという前提で計算をしております。したがって、その点においては、ベースは同じでございます。  あと収入の面につきましていろいろお尋ねがございましたけれども、輸送人キロにつきましては、六十二年度以降やはり減少していくというふうに考えております。ただ、六十二年度は一応今のところ、北海道の場合三十六・一億人キロと私ども考えております。六十三年度は三十七・六億人キロでございますが、これは青函トンネルが開通いたしますので、そちらの方の輸送人キロがふえていくということが特殊要因として入っております。その後六十四年度が三十六・三、六十五年度が三十五・二、六十六年度が三十四・〇という形で輸送人キロはやはり減少傾向をたどるであろうというふうに見ております。  それから運輸収入につきましては、六十二年度が六百六億でありますが、六十三年度については、先ほど申しましたトンネル関係収入が増加するということで六百六十八億ということで、六十二年度に比べると六十数億ふえておるということであります。その後六百八十七億、七百六億、七百二十六億で微増ということでございますが、これについては先般来申し上げておりますように、いわゆる人キロ当たりの支払い額と申しますか、一人キロ当たりの支払い額が若干ふえていく、北海道の場合、六%程度見込んでおりますが、その程度の増があるということを前提に計算をしておるわけでございます。
  239. 小林恒人

    小林委員 私どもも、これは単純計算でできるのですね。過去五年間に運輸収入が四・三八%ずつ減少してきた。それから、運賃値上げをすればどの程度の増収になっていくのかということについては、実に単純計算で計画を組み立てることができるわけでありまして、ちなみにこの十四線区を中心にして計算をしてみますると、運輸省の林さんのお答えだと六十二年度は六百六億円と言われておりますけれども、どうも六百六億円というのは数字に誤りがあるのではないのかなという気がしてなりません。本当は六百五十八億円という数字に修正をされるのが当たり前なのではないだろうか。五十億円違うというのではちょっと大変な数字でありまして、どうしても輸送人キロが減少していくということと、既にことしの九月の段階で運賃改定を完了した、こういうこととの関連からしますると、まず一つは、六十二年度の試算数値というのは、これはだれが計算してもできることなんであって、先ほども申し上げたように、六十三年度に高速道路が開通をする、こういう要素が出てきた場合、あるいは逆に、青函トンネルはちょっと危ないけれども開通するぞ、開業するよというようなことになった場合、若干の相違はあったとしても、そんなに変わるものではないはずなんです。それが大きく違うということではちょっと理解に苦しむのでございますが、この点、私の指摘していることがわかりましょうか。わかったら正確にお答えをいただきたいと思うのです。
  240. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、六十年度と六十二年度を比較してみますと、六十年度三十八億人キロ、それが六十二年度三十六・一億人キロということで、まあ二億人キロ程度減少しておるわけでございます。それに対して収入の方は、六十年度が六百五億、六十二年度が六百六億とほぼ同額になっております。これにつきましては、六十一年度に運賃改定をいたしております。その分がいわゆる人キロの面では減少しておりますが、六十一年度に、この九月に運賃改定をしておりまして、六十二年度にその効果が出てくるということでありまして、したがって、輸送人キロは減っても収入はほぼ同額ということになっておるわけであります。それから、六十三年度に六十二億の運輸収入の増があるわけでございますが、これにつきましては、一部はいわゆる青函連絡線が青函トンネルに移ってくるということに伴う増収、それからもう一つは、六十三年度からある程度人キロ当たりの収入を増加させておりますので、その効果というものが相乗的にあらわれて六十二億の増加になっておるということであります。
  241. 小林恒人

    小林委員 それと同時に、きょう我が党の要求に基づいて理事会に報告された、旅客会社の管理局別、系統別の要員数について数字で示されました。  線区別に要員をはじき出すというのは大変難しいことについては、私も全くのど素人ではありませんから理解できないわけではありません。例えば、このきょう提出をされた資料で北海道の千歳線なんかを見ますると、施設関係が六十一名、電気系統が十九名という数字が出されてきているわけです。営業系統が八十一、運転が百七十三という、こういう数字が出されてきておりますし、管理部門の数字をプラス・マイナスをいたしますと、おおよその数字は、これは私どもも監理委員会が使用されたと言われる回帰式なども駆使をして計算をしたのですから大きな違いはないのでありますけれども、ただ、系統別に言いますと、例えば私どもが四百七十一・五キロの函館本線を試算いたしますと、現行配置をされている施設関係要員というのは千二百八十一名いるのです、運輸大臣。今度のこの推計要員を試算をいたしますと三百二十九名になるという、こういう数字が飛び出してきたのですね。  千歳線なんかでは現行七十九名配置されているものが六十一名に落ちる、この程度のものなんですよ。しかし、これは六十・二キロの線区でありますから、これが函館本線に置きかえられると、千二百八十一名配置されている職員が三百二十九名で了とするという、こういう数字のトータルになる。きょう当委員会に提出をされたこの「旅客会社等の管理局別、系統別要員数」として提起をされたもののより具体的な数字を私どもが試算をすると、こんな格好になってくるわけですよ。運輸大臣四百七十一キロの線区を施設の皆さん方が旅客を安全輸送する、貨物を安全輸送をする、とりわけ北海道の場合は冬期間雪が降るという、こういった条件をも踏まえて考えてみた場合に、千二百八十一名の要員がわずかに三百二十九名で安全を担保することが可能だと判断をされますか。
  242. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、そういう数字、どちらが望ましい数字であるのかを完全に理解する資格がありませんので、事務方から答えさせたいと思います。
  243. 山田度

    ○山田説明員 お出しいたしました資料は、国鉄におきまして一定の仮定を置きまして、北海道につきましては千歳、札沼、富良野につきまして計算いたしましたけれども、御指摘のような函館本線につきましての特に施設という面での計算はいたしておりません。したがいまして、その三百二十九名とおっしゃるものの試算の根拠はわかりかねますので、ちょっとお答えしかねます。
  244. 小林恒人

    小林委員 いいかげんにしなさい。これはいいかげんにしてもらわなければ困るのですよ。これは政府側が責任を持って数字を示した以上、前もって私どもも計算したのです、多分こう数字をはじき出してくるであろうと。だから他の箇所では、例えば千歳線なんかは幾らも数字変わらないのですね。私たちがはじき出した数字ときょう提出をされた数字とはほとんどと言っていいぐらい変わらないのです。ところが、この中でこっけいだと思われる数字があるのですよ。例えば、あなたたちはきょうは出さなかったけれども、積み上げ方式で、十一月のダイヤ改正をやった後にはこれぐらいの数字でできますよというのは、これは監理委員会の答申と相まってこんな計算をしたのですといって、必死になって何日間も何日間も何百人もの人がかかってやった計算でしょう。函館本線は計算してませんという話はないのですよ。深名線なんかに至っては、現行駅要員が十九人のところ、五十六人なければ仕事できませんという数字になるのですよ。ふえるのですよ、十九名が五十六人に。いいですか。車掌さんなんかは今まで十四人で事足りたけれども、二十九人なかったら列車運行できませんという数字になってくるのです。  ちなみに函館本線の運転要員なんかは、現行二千六百八十人の要員を擁しているけれども、五百九十四人でいいという数字になるのです、きょう出された数字というのは。これはおよそ五分の一でしょう。これくらいの数字になってくる。あなたたち、都合が悪い線区については出さないで、都合のいい線区だけ出したにすぎないじゃないですか。計算してないとは何ですか、計算してないとは。計算もしていなかったものが、全国の二百を超える線区の安全運行、それから会社別に区分けをしたって、きちっとお客さんのニーズにこたえられますなんて、だれが言えるのですか。そんなものもないままでもって審議ができるか。正確に答えてください。
  245. 山田度

    ○山田説明員 先日来申し上げておりますように、国鉄におきましては適正な要員規模を想定してまいりまして積み上げてまいりましたが、それらは箇所別に積み上げてきたものでございます。御指摘のように線区別ということになりますと、例えば車掌区の例で挙げますと二線区、三線区にまたがりまして乗務をしておられます。そういう意味で、それらを適正に配分して計算するということはあくまでも原価計算上の推定ということにならざるを得ないわけであります。私どもの今回の要員の想定につきましては、原価計算上の想定ではなくて、それぞれの箇所別に業務量を見て積み上げたものでございます。したがいまして、線区別に配分された数字には至っていないということでございます。御要望がございましたので、おおむね各会社それぞれ三つの線につきまして一定の仮定によりまして想定をしたということでございますが、その他の線については仮定計算はしておらないという意味でございます。
  246. 小林恒人

    小林委員 山田さん、もっとまじめに答えてくださいよ。「旅客会社等の管理局別、系統別要員数」とあなたたちは答えたのです。そして本委員会に資料を提出したのです。私が今質問している中身は、実績対推計要員、こう言っているのです。私はあえて推計と言っているのです。だから、私の推計が間違いだというのならば、あなたの推計は間違いですよと言うてくれればいいのです。しかし、計算をしていませんでしたという言い方は私は理解できません、こう言っているのですよ。いいですか。線区別に、系統別に積み上げをしていかなければ、監理委員会は数字を出してそのバックデータを出さなかったわけですから、これはなかなかわかりづらいではありませんか、本当にこれで列車運行ができるのでしょうかという心配をするのは当たり前でしょう。あなたたち委員会に法案を提出しているわけですから、そこを私は正確にお聞きをしたいから言っているのですよ。なぜ答えていただけないのですか。やる必要がないとは思われませんよ。
  247. 林淳司

    林政府委員 再々申し上げておりますけれども、監理委員会は私鉄の生産性というものを見まして、それについて一定の回帰モデルをつくりまして、それと国鉄の四百九十単位の線区と照合させて、結果的に積み上げてトータルの要員数を出してきた、こういう計算方式をとっているわけであります。それに対して今回私どもとしては、その監理委員会の一応の数字を受けまして、具体的に現実の問題としてこれを現場の機関ごとに積み上げ計算をしてみたわけであります。その結果が先ほど申しましたようにトータルとして十八万六千人ということで、監理委員会の十八万三千人とその差は約三千人ということでほぼ近い数字が出たということで、私どもとしては、その十八万六千人という数字で、新しい会社のいわば適正要員というものはこれで十分ではなかろうかというふうに判断をしておるということであります。  そこで、先般来再々申し上げておりますけれども、この私どもが計算しました現場の積み上げ計算というのは、あくまでそれぞれの業務機関単位に積み上げをしておる。業務機関というのは、先生十分御承知のとおり複数線区を受け持っておるわけでありまして、例えば、先ほど申しましたように東京駅の丸の内北口の改札の方は中央線、山手線、総武線あるいは新幹線、いろいろなお客様を扱っておられる。では、その方は一体どういう割合でそれぞれの線区に割り振ったらいいのかというのは非常に難しいわけでありますね。したがいまして、業務機関ごとに積み上げた要員を線区に割り振るというのは基本的には無理があるわけでございます。そこで、その点については再々申し上げてきたわけでありますけれども、その点について一定の仮定を置いた推計でもいいから出してみろ、こういう委員会からの御要求もございまして、私どもとしましては、きょう出した資料に書いてございますように、「一定の前提を置いて試算せざるを得ない」ということ、そこで、六十年度の線区別の原価計算における人件費比率を基準として推計をいたしましたと、こういう前提条件を書いた上で、本当の仮定計算というもので計算をしてお出しをさせていただいた、こういう経緯でございますので、御了承いただきたいと思います。
  248. 小林恒人

    小林委員 この問題は後に残します。私も線区別に要員をはじき出すことは大変困難だということを全くわからないで質問しているつもりはないわけです。大変難しいのだろう、しかし、こうやって出してくるから、出してきたらそれに対する議論をしなければいけない。私は出せないと思ったのです。例えば……(発言する者あり)
  249. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  250. 小林恒人

    小林委員 出すのだとすれば、私がさっきから申し上げているように、推計という字が入って出てきたのであれば——理屈を言っているのではありません。推計はこうですという数字だとすれば私もそれなりに理解します。何とも書かずに要員規模はこれこれと、こう出されたら信じなければいかぬではないですか。ですから、この議論というのはまだまだ後へ続きますよ。  そこで、貨物の問題についても少しく質問しておかなくてはなりません。監理委員会は、貨物鉄道会社は基本的には政府において検討してくれることを望んだのですね。しかし、大綱で一万五千人弱もあれば全国一社でもって貨物会社経営することはできる、こういう形になってまいりました。それぞれ検討した結果なんでしょう。一万二千五百人という数字が出てき、加えて、輸送量は六千五百万トン体制という監理委員会の言い分が逆に減少して五千八百万トン体制、こういう形になってまいりました。そこでお尋ねをしておきたいのは、輸送量について五十九年度対六十年度対比では九%の減少をしてきているわけです。六十年度を基軸にして六十二年度五千八百万トン体制ということになれば、実に一五%の減少を見ることになるわけです。一体コンテナがどれくらいあればこの輸送体系を維持することができるのか。車両は一体何両あって、どの程度の歩どまりで輸送体系を組み立てれば、貨物会社は提案をしているように黒字会社として経営をしていかれるような形になるのか、この資料では私にはわからない部分が数多くあります。  なぜこんな質問をするかというと、これもまた北海道の例を出さなければなりません。六十一年十月四日の北海道新聞で「年間わずか九万トン 残存炭鉱、三山で試算」こういうタイトルでもって新聞報道がなされているわけです。通産省もお見えだと思いますけれども、石炭鉱業審議会の答申というのはいまだ出ていないはずです。出ていないにもかかわらず、九万トン体制でもって昭和六十四年から六十六年までの間、国内炭の輸送需要そのものについて試算をされた理由が私にはわからない。なぜこういう数値を示すことができたのか、その理由についても明らかにしていただきたいと思います。
  251. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 お答えいたします。  最初の全体の輸送計画はどうだという御質問でございますが、コンテナにつきましては六十年度は千二百十八万トン送らせていただきました。六十二年度は一三%増、千三百七十二万トンということでございまして、これは今回ダイヤを抜本的に変えましてスピードアップを図る等行っておりまして、既に通運業者等も含めまして実績の見込みを積み上げております。したがって、積み上げ計算におきまして千三百七十二万トンは送れるというふうに考えております。一方、車扱いでございますが、六十年度は五千六百三十七万トン送りました。しかし、今回は石灰石等につきましてはかなりの減少を見込んでおります。また、石油、セメント、紙・パルプ等につきましては、それぞれの年次別の生産量をはじきまして、それに対する国鉄のシェアということで計算いたしております。その他の砂利、鉱石、あるいは鉄鋼化学薬品、食料工業品等につきましては、六十一年ダイヤ改正以降は現在値とほぼ横ばいであろうということで積み上げ計算いたしているわけでございます。  第二点の石炭についてどう考えているかということでございますが、先日資料を提出させていただきました。御指摘のように、石炭につきましては三百五十一万トン、六十年度送らせていただきました。これの将来の見通しでございますが、私ども、今御指摘のように、六十二年度は二百八十七万トン、六十三年度につきましては百三十二万トンというふうに考えておりまして、以降は輸入炭のみの想定をいたしております。先生御指摘の、国鉄がなぜそういうことをしたのかということでございますが、これは私どもの長期計画の想定でございまして、世の中に対して石炭がこうあるべきだということを言っているわけでございません。長期計画をつくる場合は確実な収入をもとにして長期計画をつくらないと、水が入ってしまうと、要するに水増しの収入を立てますと、将来の長期計画を立てる場合に大変なことになります。したがって、私どもは想定としましてはかた目に見る、世の中に対して石炭がどうあるべきかということを問うのじゃなくて、我々の収入としてはどう考えるかということを考えたわけでございます。  例えばの話で恐縮でございますが、例えば農作物等につきましても裏作、表作がございます。そして、ことしは裏作であるというようなときでございますと、私どもとしては収入としては低目に見ます。しかし、それは裏作であることを願っているわけではございませんで、我々輸送を行っている者にとっては輸送量が多ければ多いほどありがたいわけでございますけれども収入を立てる場合にはそのようにして算定いたしているということでございます。
  252. 小林恒人

    小林委員 石炭の国内輸送量、六十二年度の段階で二百八十七万トン。六十三年度までおっしゃいましたね。百三十二万トン。正確にこの数字は出ているのです。六十四年度に入ると、前年度に比較をして一〇%にも満たない九万トンという数字が出てくる。これは予測だとおっしゃるけれども、こういう予測で、もし予測が外れてもっと大量の輸送体制を組み立てなければならないという事態が仮に発生をしたと想定をした場合、輸送体系を確立できるのですか。五年間の六十六年度までの提起をされている資料の中では、輸送総体数字については示されているわけでしょう。示されているとすれば、石炭については運ぶ用意がないからしかるべく運輸機関にお願いをするということになってしまいますか。
  253. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 石炭につきましては、先ほど申しましたように三百六十万トン近くを送らしていただいておりまして、石炭専用の貨車を国鉄で約千百両ほど持っております。したがって、十分それに対応できる貨車を持っているわけでございます。もちろん私どもとしましては、石炭の量が今後ともふえれば、これは今も定型定量大量輸送を行っているわけでございまして、大変むしろありがたい話でございます。十分対応していきたいと思います。ただ、今後の石炭の動向につきましては、セキ、石炭を送る車が老朽化しておりますので、今後どういうふうに——私どもとしましても独立採算でございますので収支をもちろん勘案しなければいけませんけれども、基本的に、先ほど申しましたように我々送る側とすれば固まった貨物が多ければ多いほど助かる、むしろそういうものは積極的にやっていきたい、そう思っております、もちろん収支を考えた上でございますが。
  254. 小林恒人

    小林委員 時間がほとんどなくなりましたので、貨物の問題で旅客会社との相関関係など数多く御質問を申し上げたい部分がありましたけれども、これらについては留保せざるを得ません。しかし、特に旅客輸送、貨物輸送を含めて、これは正確を期さなければ、地域経済に与える配慮といいますか影響というのは極めて大きいわけでありまして、その点では国鉄再建、改革を考える場合に私どもも真剣な取り組みをしていくという立場からすれば、今御指摘を申し上げて正確にお答えをいただけなかった部分など、慎重な審議をしていく必要が数多くあろうかと思います。  最後に、議論総体を通じて総理並びに運輸大臣の御所見を賜って質問を閉じたいと思います。
  255. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 非常に具体的な御質問を受け、私どもとしてもその中には参考にすべき点があったという気持ちはいたします。同時に真剣な御検討をいただいたことにもお礼を申し上げます。なお、私どもとして必ずしも委員の御指摘に対し同一の見解を持つものばかりでありませんでしたけれども、今後ともに御論議を深めていただくと同時に、可能な限りにおいて一日も早い成立を私どもとしては心から願っております。
  256. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 国鉄処理の問題は複雑多岐にわたりまして、しかも国民の皆さんが重大な関心を持っておる多くの点を含んでおります。そういう意味におきまして、充実した審議をしていただき、速やかに成立さしていただくようにお願い申し上げる次第でございます。
  257. 小林恒人

    小林委員 終わります。
  258. 細田吉藏

    細田委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  259. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 最初総理にお伺いをいたしますが、用地の売却の問題であります。  三千三百三十ヘクタールですね。去る九日の委員会におきまして、この用地の売却あるいは処理方法については土地信託もあり得る、こういうたしか御発言もあったわけであります。それでまたその後記者団の質問に対しては、処分審議会でこういった問題も検討してもらおう、このようなこともマスコミには書かれておるわけでありますが、その辺はそのように理解してよろしゅうございますか。
  260. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 土地の処分の問題というのは要するに清算事業団等において借金を返す、そういう趣旨で行うと考えております。したがいまして、その借金を返すについては何といってもまず公正なる処理が必要である。公正なる処理という点から見ると、やはり一般競争入札というものが一番それに適合する。ただ、地方公共団体等において御要望があるという場合には公共性、公益性というものをやはり優先的に考慮せざるを得ない。そういう場合には、情勢によっては随意契約という点もあり得る。しかし、大原則はやはり公正を旨として一般競争入札、これがもう大原則であって、特定の地方公共団体について今のような例外があり得る。  それと同時に、私は、場所により物によっては、借金返済に支障を来さないようなやり方で場合によっては例外的に信託制度というものを活用し得る場合もあるかもしれない、そう思っておるのです。問題は、借金返済にいかに有効であるかどうかというポイントでございましょう。今のようにこれだけ資金が余っているという状態になりますと、二十年なり三十年なりの大きな長期的な計画のもとに国鉄が要望しているそういうお金の返済に役立つ方法が出てくるかもしれぬ、そう見ておるわけです。そういう意味において、これを完全に否定しておくということは必ずしも適切でないだろう。したがって、例外的なケースとしてそういう可能性も否定はしない方がよろしい。しかし、いずれにせよ公正を旨とするということと、それから借金返済に有効に役立つということ、それからそういうような判定というものは、それが果たして役立つか役立たないか、あるいは公正に行われるか行われないか、どの場所がそういうものに適当であるかどうか、そういうすべての問題は、やはり清算事業団に置かれる審議会において選択して決めていただくのが適切である、そういうふうに考えておる次第でございます。
  261. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、清算事業団に果たしてそういった検討の可能性といいますか、そういうことができるかどうかという問題もあるわけでありますが、運輸大臣、あなたはやはり九日の答弁の中で、ただいまの総理の発言、そういった土地信託の可能性もあり得る、あくまで公正そして借金返済のための売却ということを原則とするのだけれども、そういった場合もあり得るということでありますが、一応運輸省国鉄ではあくまで借金返済のためだから売却以外にはない、こういうことをおっしゃったのですが、微妙に総理の御発言と違うと私は思うわけなんですね。だから、私は今の総理の発言というものもなるほどなという肯定する部分もあるわけでありますが、やはり将来の問題としてそういう可能性があるという総理の発言でありますが、あなたもお認めになりますか、どうですか。
  262. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先日御答弁を申し上げましたのも、総理と私と基本的に食い違いはないと考えております。と申しますのは、総理は、将来そうした可能性を残しておく方がより国民の利益につながるという判断をされました。その可能性を私も否定をいたしておりません。ただ、実は、ここまで参ります過程ではいろいろなお話がございました。そしてその中で私どもとしては、要するに信託あるいは貸し地によって得られる配当あるいは借地料というものが清算事業団の債務の元利の償還額に見合う数字に現実にならなかったという事実関係から、現段階においては慎重を期しておるところでございます。  そして、今総理から御答弁がありましたように、まず私どもがこの国鉄用地の処分をしていきます場合に何よりも考えなければならないのは、その資産の処分が不透明な印象を国民に与え、そこに何らかの疑惑が生ずるのではないかといったような御心配を国民にかけないことだと思います。そのためには、やはり公開入札というものが一番明らかな形でありましょう。確かに私ども随意契約というものを、地方公共団体が用地を取得したいという場合については否定してまいりませんでした。現在も、例えば道路用の敷地とかこうしたものについて、私どもはその可能性を否定はいたしておりません。ただ、たまたまこの国会の御審議が始まりましてから、地方自治体に随意契約によって払い下げました国鉄用地が他目的に転売をされたというケースが連続して発生をいたしましたために、こうした状況が続くとすれば、またその心配があるとすれば、やはり私どもは、国民からお預かりをしている資産を売却していくわけでありますから、たとえ地方自治体に売却をいたす場合でありましても、相当程度の例えば転売禁止期間を設けるとか、それが万一破られた場合には逆にその転売によって得た利益を完全に吸収し得るようなペナルティーの方法を考えるとか、非常に厳しい対応を考えなければならないのではないかと考えておるところであります。総理と私は基本的に食い違いはありません。
  263. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 前段の部分だけ答弁をしていただけばいいのですけれどもね。だから、そういった地方公共団体に対しての将来の用地の売却等を含めた土地処理の問題では、運輸大臣も総理と同じように、土地信託の制度も将来的にはあり得るだろう、その道を決してふさぐものではない、こういう理解を私はしているのですが、基本的に変わらないということであるか、重ねてもう一遍運輸大臣。一言で結構です。
  264. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 理論的にその可能性を否定いたしておりません。ただ、現実に今まで私どもは遭遇しなかったということであります。
  265. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 理論的であろうが現実的であろうが将来の可能性なんですよね、総理の言っていることは。どうも微妙にニュアンスが違うと私は思うのですね。それは運輸大臣という立場で、なるほどそれは一般公開入札にせよ随意契約にせよ用地を売却をしていく、これは私はわかるのです。ところが、総理がそのように土地信託の可能性もあるという御発言をされたから、運輸大臣の御発言と微妙にニュアンスが違う、こういうふうに私は思っておりますからお聞きをしたわけでありますけれどもね。一緒でいいですか。——じゃ言ってください。理論的とか現実的とかじゃなくて、可能性なんです。
  266. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もし多少ともニュアンスの違いを感じられたとすれば、私は主管大臣として、最大限高く売りまくりたい、そして、最終的な国民にお世話をいただかなければならない長期債務の額を減少したいという一念であります。しかし総理のお立場からすれば、地価高騰等を考えて適切な対応というものも当然お考えでありましょう。それはやはり、内閣総理大臣とそれに任ぜられている一閣僚との間には地位の差もありますから、そういうところがら出てくるものはあるかもしれません。
  267. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それは運輸大臣そうじやないのですよ。要するに私は、あのときの発言を聞いていまして、あなたも閣僚の一人であるなら、やはり政府としての、中曽根内閣としての一つの、土地の処分についての統一見解というのはきちっとあっていいと思うのですよ。そういう意味で私はいろいろ聞いているわけなんです。  それで、この問題に関連をしてずっとあと議論を進めてまいりますが、とにかくはっきり言って、いろいろおっしゃっておりますけれども、特に自治体等のいわゆる地域活性化、いろいろな事業を今国鉄用地等を中心にしてやっていこうと考えている。そういった処分の仕方については政府部内でまだきちっと詰まっていない、あるいはまた、運輸省、国鉄当局においてもまだ詰まっていない部分があるんじゃないか、私はこういうように思います。  そこで建設大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、新都市拠点整備事業というのがあります。それからもう一つは、来年度からおたくの方でいろいろと御計画になると思いますが、定住拠点緊急整備事業、レインボープロジェクト構想というやつがありますね。それはお聞きするところによりますと、国鉄用地を中心にしていわゆる地域の活性化につながっていく事業だ、こういう説明を聞いておりますが、その目的あるいはまた現在の状況、あるいは来年度の概算要求等々について御説明を賜りたいと思うのです。
  268. 天野光晴

    ○天野国務大臣 都市内に位置する国鉄跡地は、一般市街地の中心部に存在してまとまった規模を有しているため、都市整備上有効に活用していくことが必要であります。しかしながら、国鉄跡地周辺地域は、跡地の高度利用を図る上で、道路、下水道等都市施設が十分整っていないのが現状であります。周辺地域を含めて都市再開発を行い、基盤整備を計画的に行うことが必要であります。このために、建設省は昭和六十年度より、大都市及び地方中核都市において国鉄跡地等を活用した新しい都市拠点の形成を図るため、新都市拠点整備事業を実施しているわけであります。また、来年度からは、地方の中小都市においても国鉄跡地と既存中心市街地を一体的に整備する定住拠点緊急整備事業を創設するよう予算要求中であります。このようにして、地方公共団体が中心となって行う計画策定及び事業に積極的に協力するものであります。
  269. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今大臣から御答弁いただきました。資料をいただきましたが、この新都市拠点整備事業は、もう既に事業地区として継続、新規を含めて七地区、そのうちの六地区が国鉄用地ですよね。それから来年度概算要求で八カ所、そのうちの七カ所が国鉄用地なんですよ。私の方の東海地方の笹島あるいはまた岐阜、こういうところも一応その中に考えられているわけです。それからもう一つレインボープロジェクト、定住拠点緊急整備事業というのは、地方の中小都市でやろう、青森県の黒石市なんかももう相当計画ができているわけですね。  私は、こうした基盤整備をしていく上には、一つは、やはりどうしても地方自治体というものと一緒になって取り組んでいかなければいかぬと思うのです。例えばアクセス道路を一つつけてくれとか、そういったことをやるにしても、みんな自治体の了解というか協力が得られなければできない。やはりこうした建設省の事業をそういった自治体とよく連携をとってやっていく。そしてあわせて自治体が、例えば今総理からいろいろ答弁がありましたが、いろいろな手法があると思います。中には随意契約だけでいけぬ場合もあろうかと私は思う。しかしそれは、そうした建設主体というか開発主体が一体どこか、あるいはそれはどういう目的のためにつくるのだ、公共性、公益性があるのかどうか、地域の活性化、発展につながるかというものをきちっとすれば、その辺は少なくとも建設省がこういった事業について、あるいは自治体等々の要望があればそういった道を開いていくというものも必要ではないか、私はこんなふうに今考えておりますが、建設大臣ひとつ御所見をお伺いしたい。
  270. 天野光晴

    ○天野国務大臣 もとより地域の地方自治団体とよく相談し合ってやらなければできないことでありますから、これは持ちつ持たれつで国鉄土地、跡地などを利用しながら進めていくようにしたいという考え方でございます。  今具体的に進めておる地区についていろいろ問題があるというのなら、それは担当局長答弁をさせますが、ひとつどうぞよろしくお願いします。
  271. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 これは担当局長でも結構ですけれども、現実の問題としてこうした二つの事業が今後進行してまいります。調査をする、そしてその次には事業をしていく。やはり国も三分の一ですか、事業補助をしていくわけなんです。せっかくやって、それが自治体の要望を聞けなくて、そしてこれが一般競争入札でほかにさらわれてしまう、こういう場合だってあろうかと私は思います。だから申し上げたいのは、自治体の意見を聞きながら、あるいはまた運輸省を初め関係各省庁とよく連携をとりながら、自治体の要望に沿った土地の売却なり活用の仕方というものをきちっとひとつ対応していただきたい。もちろん、運輸大臣がおっしゃった、総理がおっしゃったように、いささかの疑惑もあってはならないし、公正に対応していただきたいわけでありますが、その辺もう一言運輸大臣、建設大臣でも結構ですが……。
  272. 天野光晴

    ○天野国務大臣 今話したように、決して建設省独自の態度で進むようなことはございませんし、あくまでも関係する地方自治団体、政府機関と話し合いの上、地域住民のお役に立つような措置を講じたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  273. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで運輸大臣、今建設大臣から御答弁がありましたように、今建設省では積極的にそういった事業をやっていこうとしておられるわけなんですね。そこで、いろいろな地域があります。私は、ほかの地域のことについては余り存じませんが、地元のことについてはよくわかっておりますので、例えばの話で、地元の問題で私は一つ問題を提起させていただきたいと思います。  笹島、十二・四ヘクタールですね。これはもう地元では一体何にするか、コンベンション・コンプレックス案もありますし、あるいはまたドーム型の野球場をつくろう、どうも最近の地元の情勢ではコンベンション・コンプレックス案が一つのあれになってきたわけなんです。あるいはまた岐阜、これも国の新都市拠点整備事業、今の建設省の事業ですね、これを導入してもらって新しい都心づくりを目指していきたい。これは岐阜の貨物駅用地二・一ヘクタールです。そういうふうなあれもあります。それから、稲沢も相当な貨物の跡地で三十五・二ヘクタール、何とか周辺地域を含めた再開発事業の構想を求めている。住宅建設とか先端技術産業の誘致を図っていきたい、そして濃尾平野の中核都市にしたい、こういういろいろな考え方もある。静岡も、国鉄東静岡駅の二十一ヘクタールについて、静岡県中部の核となるべき開発を進めたい、こういうことで各自治体がいろいろな検討委員会とか懇話会をつくって既にいろいろ進めておるわけですね。  やはりこういったところが、ストレートに自治体が全部用地を、いいですよ、引き受けますよというところは私は問題ないかと思いますが、そんなところばかりじゃないと思います。一部分というところもあるでしょう。あるいはまた、全体的な計画の中でこの部分というところもあると思います。あるいは中には、公共的な目的のために、地域発展のために民活を導入してその開発計画を立てていこう、こういうことでありますが、しかし、そういったものも今後自治体の方の意見をよく聞いてやっていくと今建設大臣がおっしゃるならば、あるいはまた、基盤整備にどうしても自治体の協力を仰ぎたいというのであれば、やはり今後の用地の処理のあり方、活用のあり方ということを考えて、十分これは政府部内で検討していかれる問題であろう、こういうふうに私は考えるわけでありますが、どうですか。
  274. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今さまざまな角度から御論議がございましたけれども、私どもは、例えばその新都市拠点整備事業が行われ、結果的に道路等の基盤整備が行われればそれだけ国鉄用地の付加価値が高められるわけでありますから、長期債務処理にむしろ好影響を及ぼすであろう、率直にそう感じております。地方都市所在の国鉄用地の中には、むしろこの制度を活用して地方公共団体の負担軽減を図りながら基盤整備を確実に実行した方がいい場合も、それは多分御指摘のようにあるだろうと思います。しかし同時に、新都市拠点整備事業は、それによって整備をされる国鉄用地が地方公共団体に随意契約で譲渡されるということを前提に行われているものではないことも、またこれは明らかであります。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕 この点は委員はよく御承知でありますが、委員会の席上で明らかにいたしておかなければなりません。  国鉄用地の処分につきましては、監理委員会の「意見」におきましても、基盤整備による付加価値というものは清算事業団に帰属させる、結果的に国民の負担軽減に役立てろということでありますし、また、新都市拠点整備事業の実施というものが公開競争入札の原則を制約するものでは私は全くないと考えております。むしろ、今、御自身の御郷里の話を初め、各地域でさまざま先行している地域利用についての委員会等々についてお話がございました。私どもとしては、各地で検討委員会等々が設立をされて検討されておるという話は聞いておりますし、また個別に陳情されてきたケースもございます。  しかし、随意契約で売却をいたします場合にも、適正な時価というものが前提であることは論をまちません。そして国鉄の用地というものの処分の性格から見て、繰り返して申し上げるようでありますが、国民が、だれが見てもわかるような明らかな形で処分をされなければならぬということも事実でありまして、今この検討委員会等で地域においていろいろな御議論がありますものは、その処分に当たりまして資産処分審議会で十分検討の上、適切に対応してまいりたいと考えておることでございます。
  275. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 運輸大臣、私が申し上げておるのは、それはあなたのおっしゃるように一般公開入札という原則はわかりますよ。そして公共的なものに限ってのいわゆる随意契約、こういうのも私はわかる。だけれども、ずっと先ほど来建設大臣から答弁があったように、自治体等の意見を聞いていくということがやはり一番大事だし、付加価値を高める、基盤整備をするといったって、地方自治体のそういった協力がないことにはやっていけない。だから地方自治体等の意見をよく聞いて、そしてその処理活用方法等については、例えば民活を利用してお願いする場合もあろう、それをむげにぱっと、こういうわけではなくて、今後十分な検討をしていくという用意があるのかないのかということを私は聞いておるのです。ただ、これもあきまへん、あれもあきまへんということではねのけられるかどうか。そうすれば、今度処分審議会の役割というのは何だ、それで十分対応できるか、こういった問題も次の問題として出てくるわけなのでありますが、きょうは、利用計画委員会のところまでの議論は私は申さないつもりでおるわけでありますけれども、やはりそういった点をまずきちっと検討されていかれる意思があるかどうか、こういう問題を聞いているわけなんですね。
  276. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、私は、資産処分審議会がその処分を決定していく段階において地方自治体の御意見を全く無視するなどと申し上げているつもりはございません。  ただしかし、地方自治体が公共目的を名目として払い下げを受けた不動産を他に転用し、転売をしたケースが現実に出ておる状況の中で、地方自治体の御計画だから随意契約と一概に私が申し上げられないことも、これは御理解をいただきたいのです。また、この処分についてさまざまな地方でいろいろな御計画が進んでおります中には、本当にその地域の公共施設のみに限定したようなお考えをまとめておられるケースもあるようであります。また、まさに住宅をおつくりになって分譲されるような計画をお持ちのところもございます。あるいは、そうした目的が混在をしておるところもございます。ですから、一概に私は、その地域で研究をしておられるものが何でもかんでもだめだと申し上げることは今いたしませんけれども、しかし、国民資産を処分する以上、地方自治体といえども、現実のケースが示すようにその負託にこたえ得なかったケースがあるとすれば、注意の上にも注意を重ねたい、厳重の上にも厳重に対応したいと申します私の気持ちも、委員理解がいただけると思うのであります。
  277. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 だから転売禁止もきちっとされるわけでしょう。要は、そういった禁止規定もきちっとやり、あわせて、果たしてその開発主体が一体どこになるのか、あるいはまたどういったものをつくっていくのか、こういったものをきちっとしてやっていった上においての今後の検討だ、やはりそういった一つの道というものもきちっと開いていくべきだ、私はこういうことを申し上げているわけでありますから、その辺はひとつ御理解をいただきたい、こう思いますね。  そこで、最近の地価上昇の問題、国土庁長官もお見えになっている。総理国鉄用地の売却に絡んでいろいろと問題が本委員会においても提起されておりますが、この地価対策というのはもっと早く、これは国鉄用地が云々という問題の前に地価全般が相当値上がりしているのです。だから私は、きちっと対応がある程度の一定の方向で立てられていかなければならぬ、こう思っておるわけなのです。地価対策の閣僚会議の設置も云々されておりましたが、まだやっていない。ましていわんや、その対策についてもまだきちっとしたものがない。ちょっと遅きに失している感があるのじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか、その辺は。
  278. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 最近における東京等大都会における、しかも事務所を要請するという面から来る地価の高騰については、私も非常に心配しております。ただ、全国的に見ますと、たしか二・七%程度であって、暴騰とか騰貴、そういうところまではいっておりません。しかし、今の局所的なそういうことは見逃すことはできない現象であります。一番の長期的な、かつ現実的な対策は供給量をふやすということであると思います。そういう点については、若干時間がかかりますが、そういういろいろな施策を今検討し推進しようとしておるところでございます。  それと同時に、今後のいろいろな総合的な施策を考えなければならぬかもしれません。しかし、地価対策というものはうっかり法規やそのほかに頼りますというと、必ず脱法行為を生んでアングラに走る、そういうような状況も出かねまじきものでありますから、これはよほど注意を要する、そういうように考えてやっておりますが、いずれにせよ、今関係各方面を通じまして検討、努力をさせておるところでございます。
  279. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間も余りありませんので深くお聞きするわけにいきませんが、国土庁長官、国土利用計画法ですね、これは東京都が条例をつくってやっておるわけです。これは東京が一番の、ですからその一つ理由もわからぬでもないが、私は国土利用計画法の見直し、こういったものは考えなくてもいいかという問題が一つあると思うのです。それから四全総の策定の作業の中において東京分散ということを、いわゆる分極型の都市機能というものを考えていかなければならぬ、それからやはり土地転がしのための譲渡所得の問題にどう対応されるか、こういった問題等々、私はあろうかと思いますね。それからもう一つ、あわせていろいろな議論の中に、要するに今度の国鉄用地というものを規制の対象に加えたらどうだ、こういった意見もあるわけなんですね。そういったものは御検討になっているのですか。いろいろ申しましたが、四点まとめてひとつ……。
  280. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 国土利用計画法は、土地の高騰を抑えるという目的があるわけでございまして、これの適用ということをさらに考えていかなければならないわけでございますが、先ほどの柴田委員の御質問に総理からもお答えがございましたが、全国的には土地は横ばい、東京を含む一部の都市において異常な高騰をしておるということでございます。この問題につきまして、新しい税制というような面におきまして各省庁とも今検討いたしておりまして、新しい需要に対しては供給をふやすということと同時に、短期の譲渡所得に対して、これを防止するという意味におきまして重課税を賦するというようなことで税制の面で今検討をしておるところであります。  それから、大都市集中を排除して全国の均衡ある発展を図るという四全総その他を含めましての新しい国土計画におきましても、やはり国際化、情報化等その他によりまして集中する、その集中のメリットというものもあるわけでありますが、しかし必ずしも大都市に機能しなくてもいいというようなものは極力これを大都市から圏外に移していただくような方向にリードしていかなければならぬと考えておる次第でございます。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕  なお、国鉄用地につきまして国土利用計画法を適用してはどうかというような御質問でございますが、国土利用計画法は、今申し上げましたように土地の高騰を抑えるという目的がございますし、今国鉄の新しい御審議をいただいておる中で出てまいっております清算事業団の目的というものもございます。また、土地の処分の仕方というものもございますので、それらを含めまして総合的にこれから考えていかなければならぬと考えておる次第でございます。
  281. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今国土庁長官が御答弁になりましたものに関連して私から申し上げておきたいと思いますのは、先ほどから御論議をいただいております清算事業団における土地の処分、これは国有財産と同様に取り扱うこととして法律案提出をいたしております。ですから、国土庁長官の御発言は、これは国鉄用地を国土法の対象とするかどうかということになりますと、国公有地に対する国土法の適用問題の一環として検討されるものと私どもは認識をいたしておるということであります。
  282. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 運輸大臣からそういう答弁をいただいたのですが、私は、そういった適用をしたらどうかという一つの議論があるからどうだと、こう聞いて、私が主体性を持って、これはやるべきだとかそういうことまで申しているわけではない。そういった一つの、清算事業団というのは、道路公団とかその他の公団に比べて公的な性格が薄いだろう。だからやはりこれは対象に加えたらどうだという、こういう意見もあるわけです。だからどうかということで私は聞いたわけであって、これは公的な性格のものだ、だからその必要はない、こうおつしゃればそれで私はいいわけなんですけれども、その辺の考え方を私は聞いたわけです。これは一言申し添えておきたいわけです。  そこで国土庁長官、そういうことなんで、やはり一番心配するのは土地の、ただでさえ東京を中心にして上がっている、国鉄用地の売却が一般的な用地の、周辺用地までぐっと上げるということが一番懸念されておるわけですね。それで、まさしくいろいろと検討されていると思うのですが、果たして本当に決め手があるかどうか、これは私、非常に心配をしているわけなんですよね。検討されることはいいのですがね。だからそこら辺のところを、一般的な地価対策とあわせて、やはり今回こういった国鉄改革に伴っての用地売却に絡んで、それが土地騰貴のさらなる火つけ役にならない、やはりこれは一番大事だと思いますね。検討する、検討するとおっしゃっているのですが、これはもう何回となくこの委員会において検討するのですが、その検討の中身というものを、国鉄用地に限っては一体どうされるのだ、そこら辺のところ、何かありましたらお聞きしたい。
  283. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 国公有地の処分というものが引き金になりまして地価の高騰を招いてはならない、これは十分考えていかなければならない問題でございまして、今検討する、検討すると言われますが、いろいろ関係する省庁も多うございますので、やはりそこはよく協議をして、今柴田さんおっしゃる……(柴田(弘)委員「国土庁の考えを聞いているのです」と呼ぶ)国土庁は、今申し上げましたように国土利用計画法という法律に基づいてやはり土地の高騰を抑えていくという目標を持っております。しかし、国鉄その他の問題につきましては、今申し上げておりますように、関係省庁とも十分協議をして、地価の高騰の引き金にならないような方法がないか、これは検討を進めていきたい、こう考えております。
  284. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どうもわからないのですよ。検討を関係省庁とこれからはやっていく、こういうことはわかるわけです。遅いということを私言っている。では、一体どういうことをやるのですか、具体的に。関係省庁は関係省庁として、それはいろいろな関係省庁お見えになりますから、特に運輸大臣お見えになりますから、そう言えないかもしれませんが、国土庁としてはどうなんですか、こうしたらいいという方法がありますか、そういった問題を中心にして検討を進めていくわけでしょう。その中身をお聞きをしたいのですよ、私は。教えてください。
  285. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 柴田さんもよくおわかりの上お聞きになっていると思いますが、大変にいろいろ今、清算事業団という中でも知恵を出してもらわなければならぬところでございますし、国土庁も知恵を出さなければならぬ問題、知恵と知恵とを合わせて、同じ政府でございますから整合性のあるような方向を見出していきたいと考えております。
  286. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 綿貫長官、大蔵委員会のときからよく知っていますから私はこれ以上申しませんが、まだあるかもしれませんが、きちっとされていないのですよ。だから心配して私は言うておるわけなんですよね。だから、この辺で私はこの問題はやめておきますけれども、本当に一つの問題として、そういった引き金にならないような対策というものをやはりきちっとお立ていただきたい。これは御要望しておきます。  建設大臣にもお聞きしたかったのですが、きょうはいいです。  そこで、私は今度の民営化という問題について、分割・民営、民営・分割と言われておりますが、これは議論がありましたように、今回の法案を見てまいりますと、どちらかというと民営化、民営というよりも分割に主体が置かれている。これははっきりと、六つの旅客会社そして一つの貨物会社、この七つの会社というのが、なるほど建前としては株式会社形態をとっているのですが、やはり当初は国鉄の全額出資によるいわゆる特殊会社である、これはもうはっきりしているわけなんですね。  それで、今回のこの法案を見る限り、果たして完全な純民間会社に移行できるかどうかということもはっきりうたわれていません。株式売却についても、運輸大臣の御答弁を聞いても、これはやはり三年をめどにするということであって、その辺の純民間会社に移行するいわゆる手順あるいはまたこういった実態、こういったものがまだ明らかにされていない、こういうふうに思うわけであります。これは株式売却と非常に関連をしている問題でありますが、果たしていつこうした特殊会社的なこの会社が、株式会社形態とはいえ、いつまでにこれが純民間会社に移行できるのか。やはりこの辺の一つのめどをきちっと立てないと、いかにこの国鉄改革が最善の方法である、収支も黒字ですよ、あるいは不退転で国鉄改革を取り上げていくんだ、こうおっしゃっても私はそれは空理空論の域を出ない、やはりやってみなければわからぬ、こういうことになると思います。だから、その辺の時期、めど、そしてあわせてそれまでの実態を伴った具体的な手順というものについてお聞きをしていきたいわけでありますが、いかがですか。
  287. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私が今それをすぱっと申し上げられる状況であったら、本当に幸せだと思います。  まず第一点の、株式について清算事業団が行う処分というものでありますが、これは処分に当たって資産審議会の審議を経た上で公正、適切な方法で処分をしていきたいと考えておりますし、具体的にはそのやり方等につきましては、現在進行中のNTTの株式処分の方法が有力な参考になるであろうと考えております。  しかし、株式の公開の時期あるいはその放出していきますそれぞれの時期、その比率といったようなことになりましては、やはりまず会社としての経営が安定している、安定的な経営の実績というものを皆さんに見ていただいた上でなければ、これは到底まだ売却というところに至りません。さらには、その放出を考えた時期における経済情勢全体の状況もございましょう。そうしたことを見ますと、私どもとしては、会社の発足後の経営の動向を十分見きわめた上で判断したいという以上のことを申し上げることはかえって不謹慎ではなかろうかと考えております。
  288. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 不謹慎だとかおっしゃいますが、やはりそういった純民間会社への移行のめどというものがきちっと十分立ってないで、ただ制度的な改正だけをしても私は一つは問題だと思うのです。そういった意味から、確信を持った将来の純民間会社一つ見通しというものも、やはり法案を出す以上はある程度政府の方で立ててしかるべきじゃないか。ましていわんや、黒字の収支見通しも出してきておるわけです。不退転の決意でやっていく、これが最善の方法だとおっしゃるなら、やはりその見通しを立てないでそういった国鉄改革というものを論議するというのは私は不毛の論議だと思う、こういった観点で申し上げた。だから、これは一点私は重要な問題として指摘をしたいわけであります。そのときに本当に会社法というものがどうなるか、純民間会社になったときに、そのめども立ってないのです。分割・民営化後に、これは船出いたしますとこの会社法とそして鉄道事業者としての鉄道事業法と二つの規制を受けることになる。だから私は、これはもう質問いたしませんが、恐らくそのときには、移行したときにはこの会社法というのは必要あるのかないのか、こういった議論も出てくる、私はこう思います。まだそこまでのめども立ってないというならばそこまでの議論を私は申しませんが、やはりそういった一つの重要な問題として私は指摘をしたいわけです。だから、本当にこれは大問題だと私は思います。不謹慎だとおっしゃいますが、やはり出してきた以上はそういった一つ見通し、めどというものが立たなくては議論はできない、こういうように思います。  そこで、会社法第一条一項ですか、一項にいろいろ関連事業の問題等が書かれております。私、一つお聞きしたいのは、国鉄総裁、あなたは分割・民営化後の会社は問題が二つあるだろう、こうおっしゃっていた。一つは、要するに限られた用地で、事業用用地でどういうふうにそれを活用していくか。やはり空中権という問題がここに出てくるのではないかという問題が一つある。それからもう一つは人の問題。やはり意識改革をしていかなければならない。経営陣のいわゆる民間企業への取り組みの問題点もある。時と場合によっては、これは経営陣のスタッフの中には民間人も登用もしなければならない。こういった意味のことをある雑誌の対談で述べられているわけでありますが、そこら辺の真意、状況というものをひとつ御説明をいただきたいと思います。
  289. 杉浦喬也

    杉浦説明員 新しい鉄道会社の何といいましても中心の使命は、立派な鉄道をしっかりやっていく、こういうことに尽きると思います。ただ、今後の民間会社としましていろいろな意味での活力ある事業活動というものが期待できるわけでございまして、今まで国鉄で関連事業をいろいろとやってまいりました。これからは一層自由にそうした面での進展が望まれるというふうに思います。  新しい会社の用地問題につきましては、これはできるだけ用地を生み出しまして、これを売却をし債務の償還に充てるという基本方針に従いますと、事業体そのものでは本来事業の用地というのが主体になるというふうに思います。そこで、それの活用の方法としまして、現在の駅舎、高架下等をもっともっと有効に活用するという方法、それからもう一つは、よく今までも議論になりますが、線路の上があいておる、この上が使えないかという問題がございます。国鉄でもそうした面での検討を今まで行ったこともございます。できますればそういうことを実施したいとは思いますが、ここでやったことのない例でございますので非常にいろいろな問題がある。一つはやはり何といいましても、それはお客様を安全に輸送しております現実の列車が下を走っておる、こういうことに着目しなければいけないし、将来のそれらの計画を十分に練らなければいけない。それから工事に当たりましては、やはり列車運行というものに着目しまして、絶対に安全でなければならない。それから仮に上空に何かつくりました場合に、私権を設定してしまいますと、これをいざ使おうとした場合に非常に問題が出るというようないろいろな問題がございますので、そうした面では慎重に検討した上でこれらの施策を講じなければいかぬというふうに思います。  それから人の問題でございますが、これからの新しい民間企業としての勉強、これは私ども十分にやっておりますが、なかなか実際のところ民間企業をやっておりませんので、本当のところよくわかりません。したがいまして、これからは鉄道事業をしっかりやるわけではございますが、いろいろな民間的な発想という立場からいたしまして、人の問題は、経営者の問題は私から申し上げるべき筋ではございませんが、やはり民間の経験の豊富な方に十分にアドバイスをいただいた方がいいのではないかというふうに私自身は思っております。
  290. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 総理どうですか、今の空中権の問題と新しい会社ですね、それからもう一つは人の問題、民間人の登用というもの、簡単にひとつお伺いしたい。
  291. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 空中権という問題は新しい法学的概念でありまして、これは法的にも十分検討さるべき課題であると思います。今国鉄の線路の上にいろいろなものを施設をするという点については、総裁からお言葉がありましたようになかなか複雑な問題もありますし、沿道の住民の賛否というような問題も必ず出てくると思いますね、日照権と絡むとか。そういう意味で、よほど注意深い配慮をもって検討を進める必要があると思います。  それから民間化につきましては、これはちょうど電電の場合と同じように設立準備委員会をつくりまして、これは大体民間の有力な人が中心になっていただいてやりました。設立準備委員会において次の会社の役員の構成を決める、候補者を決める、そして設立総会においてそれを決定する、そういう段取りでいきました。私は、今回できる旅客会社につきましても大体同じような方向でいくだろうと思いますし、その中にはやはり民間の有力な、目のきいた、腕前のしっかりした、そして清潔公平な人材が入って、そうして民間的手法を大幅に保証できるような体制を組む必要がある、そう感じております。
  292. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 あと関連で草川委員がやられますので、私は簡単に地方交通線の問題で、果たしてこれは将来どうなるだろうということで、私の地元もいろいろと心配をしているのですが、一つ国鉄瀬戸線の勝川—西枇杷島間、これは今回の改革によってもきちっと来年度以降予算を計上されてやられるかどうか、その開業の見通し。  それから、岡多線は第三セクターで発足することになりました。愛知環状鉄道会社というのですが、これはやはり今後運営が大問題だ。もちろんこれについてはいろいろと新線補助金ですとか転換交付金ですとかあるいは運営費補助等々がありますが、そこら辺の金額、見通し、簡単にひとつ御説明をいただきたいと思います。  それからもう一つ、工事施行と開業の見通しですね、それだけ。
  293. 林淳司

    林政府委員 一つは瀬戸線の勝川と枇杷島間の問題でございますけれども、この区間の問題につきましては、昨年の国鉄再建監理委員会の「意見」におきましても、完成後東海会社経営を行うという前提で意見書が出されておるわけでございます。同区間につきましては、当面、現在道路等の公共事業等と一体となって行う必要のある工事に限定して建設を進めております。  今後の建設の進め方でございますけれども、鉄建公団と結局は経営主体となる新しい東海会社というものが十分協議、検討してこの取り扱いを決めていくということになろうかと思います。  開業時期でございますけれども、これについては現段階ではなかなかその時期を明示するのが非常に難しゅうございまして、ただ建設工程とか予算措置というものを考えますと、やはり工事完成にはこれから五、六年はかかるだろうというふうに思います。  それから次に、岡多線、瀬戸線の、今度第三セクターになりましたけれども、その転換交付金等の問題でございますけれども、これにつきましては、岡多線、これは岡崎と新豊田間でございますが、これの転換交付金の限度額は五億八千五百万円でございます。  それから岡多・瀬戸線、これは新豊田と高蔵寺間の地方鉄道新線補助金でございますが、これの限度額は二億五千八百万でございます。  以上でございます。
  294. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 審議官、要するに路線免許の免許がおりたわけだ。あと工事施行だ。工事をやる、開業があと一年ぐらい、こういうことですね、そこら辺の見通し
  295. 林淳司

    林政府委員 失礼いたしました。  工事着手から一年ぐらいの期間がかかるというふうに考えております。
  296. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 最後に、時間も参りましたので総理にお聞きしておきますが、総理、先回この総括質問の中で、本州旅客会社の二分割論、三分割論、そうなったときに、要するにそれはいろいろな競争原理が働く、それから、東海会社一つでかしたということは、それとあわせていわゆる中京圏という一つの経済圏を形づくっている、そしてそれが中京圏なり中部圏のいわゆる活性化というものにつながってくる、こんなような意味の御発言をされました。  今、総理も御承知のように、中部新国際空港とかあるいは伊勢湾岸道路の民活とか、いろいろこう中部活性化のためにやっております。それとどう関連づけて、その東海会社が民営化になってそれが存立をされることが活性化につながっていくかという問題が一つと、総理のお言葉のように、もし中京圏の経済圏というのが一つの単位であり、そこにこの活性化とそして一経済単位でのこの存立というものが意義があるならば、私は、当然これは中京圏の一番中核都市である名古屋にこの本社は置くべきであろう、これはもうだれの目から見ても間違いない。どうも水面下では東京へという話もあるが、そこら辺、これは総理の御所見というか基本的なお考え方ですね、中京圏東海会社の存立の意義とあわせてひとつ最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  297. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 名古屋のことを申し上げる前に、まず三分割に賛成していただく、それがまず先決ではないかと思うのです。私が本州三分割を申し上げましたのは、できるだけ分割した方が活性化して地元に密着する、そして民間的手法が取り入れられる。しかし、流動性の完結度というものがありますから、それを見るとやはり東、真ん中、西で、真ん中というものは完全に一つの完結度を持っておる、独立の社会経済圏である、名古屋を中心とする大社会経済圏である、そういうふうに我々は考えておりまして、やはりそういう意味からも、名古屋のような、これから非常に未来性のある、エネルギーに富んだあそこを独立させるということは、特に名古屋の人は商売がうまいですから、ですから、あれが中心になって民間経営をやるということになると、東と西に非常に大きな刺激を与えて影響を持ってくる。これは、本州を東と西だけにしてしまうと、かなり大きな、膨大なところですから、やはり手が届きかねる点も出てこまじき情勢が出ると思うのです。二つに割ってしまって両方が安居してしまって、そして改革やら密着した努力が多少減殺されるんじゃないか。そこへ中部の名古屋、中部圏というものが出てきて、得意の民間手法でやっていただけば東にも刺激を与えるし西にも刺激を与えるし、この三つが競争し出すと、二つだけではやはり競争が鈍い。衆議院の定員でも二人区より三人区がいいという、そういう御主張がございましたけれども、競争は激甚になれば激甚になるだけ密着しますからね。そういうような面からも、私は三分割を支持して、あれがエネルギーの原動力になってもらいたいと思うのです。その中心は、私の感じではやはり名古屋じゃないかと思います。  しかし、これはいずれもその準備委員会設立のときに皆さんがいろいろお決め願い、また会社設立のときに定款で決めていただくことでございますから、我々はそこを干渉はいたしませんが、物事は常識というものがあるので、常識に従って行われるであろうと予測をいたしております。
  298. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それじゃ、私の時間が参りましたので、関連質問を草川委員にお願いいたします。
  299. 細田吉藏

    細田委員長 この際、草川昭三君より関連質疑の申し出があります。柴田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。草川昭三君。
  300. 草川昭三

    草川委員 草川でございます。同じ我が愛知県でございますので、もう一問総理に、今のお言葉を付加して確認をしておきますが、設立委員の選定ということにも非常に重大な影響があると思います。これは総理の御意向というのはやはり大きな影響力を与えると思うのでございますけれども、それは従来どおりNTT並みのことをお考えになっておられるのか。例えば学者代表というのも、それは全国的な視野の学者なのかあるいはローカル的な選出のものをお考えになっておられるのか、あるいはまた財界も、全国的な背景を持たれるものかあるいはローカル的なものを考えに持っておられるのか。そういう中で今の御発言では、もう東海新会社の本社は名古屋に決まったような御発言でございましたが、そのように理解していいのか、あわせてお伺いします。
  301. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私がそういうものを決める権限はないので、設立準備委員会及び総会においてお決め願う、そういうことであると思います。  それから、設立準備委員の資格というようなものは、やはりその地盤において非常に力もあり、かつ信用もあり、そして公正であって、しかも全世界、全日本を見渡せる見識のあるお方というものがまず第一にいいのではないかと思います。学者にいたしましても、こういう地域に密着した民間会社をつくろうというのでございますから、地域性というものをやはり尊重することが大事である。もとより、その地域だけしか目が届かないという方では困りますが、そういうところを通して、日本的な、世界的な視野をお持ちの方が適当ではないか、こう私は考えております。
  302. 草川昭三

    草川委員 少し具体的な問題提起をしたいと思うのです。まず、用地管理について。  一つは、未登記の土地処理について、過日当委員会で約二万筆の未登記があるという資料が出ておりますが、最近国鉄用地として長期間使用していた未登記の土地が第三者に転売をされている、買い主から土地の明け渡しを要求されたケースが現実にあるわけでございます。具体的に、例えば何線、御殿場線の何々駅、どこの広場か、おっしゃっていただきたいと思います。
  303. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今先生お話ございました転売の実例は、一件だけございます。それは、御殿場線の富士岡駅構内の駅前広場の用地でございます。
  304. 草川昭三

    草川委員 それは、駅前広場が二人の旧地主の名義がそのまま残っておる、これが六十年の一月三十日に第三者に転売をされまして仮登記をした。用地の広場は約千平米だと言われておりますが、その後どういう対応をなされておられるのか、お伺いします。
  305. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 当該用地は、戦時中に町から寄附を受けた用地でございます。その寄附を受けました用地の中に未登記の用地があったということで、その未登記の用地が転売をされたということでございますが、この件につきましては裁判所に起訴を提起をいたしております。現在までに第二回の口頭弁論を済ましているという状況でございます。
  306. 草川昭三

    草川委員 平米は今おっしゃいましたか。
  307. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 面積につきましては千三平米でございます。
  308. 草川昭三

    草川委員 問題は国鉄の対応でございますけれども、六十一年五月だと思いますが、早急に処理を要する未処理物件、駅区等用地、管理用地及び宿舎用地で未登記になっているもののうち、個人名義になっており、第三者に名義移転をされるおそれのあるものを早急に調べろということをおっしゃっておみえになりますが、六十一年一月三十日に仮登記になっておる。ところが、実際はこの駅ができたのは昭和十九年ごろでございまして、大変その当時は混乱をしておるわけですから、売った、あるいは領収証があるとかないとか、いろんなことがあると思うのでございますけれども、いずれにいたしましても、悪徳不動産業者がこの未登記の土地に目をつけて、現在国鉄にこの用地を例えば東京の一等地と交換をしてもらいたいというような働きかけがあるやに聞いておりますが、そういう事実はどうですか。
  309. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 そのようなお申し出には一切応じることができませんので、裁判を提起をしておるという状況でございます。
  310. 草川昭三

    草川委員 それはぜひそういうことのないように裁判をやっていただきたいのですが、その裁判は登記請求事件だと我々は承知をしておるわけですが、そうですか。
  311. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 そうだと思います。譲渡、質権、抵当権、賃借権の設定、その他一切の処分を禁止をしていただきたいという仮処分の申請もいたしております。
  312. 草川昭三

    草川委員 いずれにいたしましても、そういう事例があることはこれで明らかになりました。  そこで、登記でございますけれども、一口に登記といいましても国鉄としては旧鉄道省から国鉄に名義を変え、さらに新会社に移しかえる、あるいは鉄道の敷地の中には旧白地といいまして昔の国の土地があるわけでございまして、大変な処理が残っておるやに我々もお伺いをいたします。特に保存登記の場合は六万筆から七万筆残っておる、こう言われるわけでありますが、現在人員が、専門の方々が約四百から五百、二千人の方々が応援をなすっておみえになりますけれども、そういう方々が一体いつまでこの作業を続行できるのか、あるいは清算会社だけなのか、あるいは新会社にどのように残られるのか、先行きが非常に不安であります。そういうようなことが続く限り、この未登記の土地処理の問題について悪徳業者なり悪徳者がどのようにばっこするかわかりません。具体的に今後の展望をお伺いします。
  313. 杉浦喬也

    杉浦説明員 現在、未登記の用地がたくさんございます。移行時までにできるだけこれを完全なものにしたいということで頑張っておるわけでございますが、非常に数が多いこともございまして、やはりこれは主として清算事業団の方への仕事ということに相なろうかと思います。そのための必要な要員等につきましても十分配慮していきたいというふうに思っております。
  314. 草川昭三

    草川委員 登記については、また民間方々の登記業務にぜひ影響を与えないようにしていただきたいわけであります。全国で千二百数十の登記所あるいは出張所があるようでございますが、国鉄の業務だけでパンクをすると法務局は言っておるわけであります。そういうことのないように、これはぜひとも各省庁と連絡の上、対応を図られたいことをお願いをしたいと思うのです。  時間がございませんので、第二番目の具体的な問題にいきます。  国鉄用地を実際に売却する際に何よりも大切なことは、先ほど来から出ておりますように取引の公正の確保である、こういうことだと思うのです。公開競争入札を基本とする適切な、適正な地価とおっしゃっておられますけれども、現在でも国鉄は毎年かなりの用地売却をやっておりますけれども、公開競争入札といいながらも必ずしも適切な売却をしていないという事例が山積をいたしております。  それを少し具体的な過去の例と引き写しながら申し上げたいと思うのですが、実は私はここの手元に、現在の当局の方が発表なすっております五兆八千億あるいは七兆七千億になる最初の、いわゆる試算表の図面を持っております。  この表を簡単にちょっと申し上げますと、笹島については、面積はもう当局が発表しておるとおりでありますから避けます。二十二万。あるいは稲沢駅は六万六千三百円。赤萩宿舎については四十六万二千円から九十六万六千円。千種駅は自動車でございますが、五十八万四千円。あるいは旧白鳥駅については十二万六千円から九万七千円までのランク。名古屋貨物ターミナルについては十一万四千円から十六万一千円、岐阜駅については十万九千円から六十四万五千円、浜松駅については六十七万八千円から十五万五千円、金沢駅については十二万三千円から三十四万一千円という試算になっております。  そこで、この表を見ますと、鉄道施設整備後、いわゆる生み出し用地の表と、それから面的整備事業完了時点の表というのがそれぞれあるわけであります。最初はいわゆる生み出し用地をつくる。それを今度は公園につくったり公共用地をつくったりいろいろなものに、いわゆる我々の言う言葉の区画整理です。国鉄は区画整理とは言いません。いわゆる付加価値を高めるためのやり方ですね。こういうふうに二つに分かれておりますが、当局が試算をした五兆八千億、今日の七兆七千億はどちらの表か、面的整備事業完了時点でのいわゆる付加価値を高めた値段の積算のものなのか、いわゆるそれ以前の生み出し用地を出した施設整備後の積算なのか、どちらかをお伺いをしたいと思います。
  315. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 試算は、基盤整備事業を施行した後の価格を前提として試算をいたしております。  それから、今先生から資料のお話がございましたけれども、私どもそういった資料が漏れているということはあり得ないと考えておりますが、なお今後資料の管理は十分気をつけたいというふうに考えております。
  316. 草川昭三

    草川委員 いわゆる付加価値を高めた後の積算資料だ、こういうことですね。もう一回念を押しますが、よろしゅうございますね。
  317. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 付加価値を高めた後の価格を根拠といたして算定をいたしております。
  318. 草川昭三

    草川委員 実は私どもいろんなお方とお話をしますと、大変土地の生み出しというのは御苦労なすっておみえになるようです。私どももこの試算を公示価格及び基準地価価格その他と比較をしてみるわけでありますし、さらにそれを今おっしゃいましたように付加価値を高めたものと仮定をします。これは付加価値を高めるといっても、どう評価をするかというのは非常に難しいわけですから。そこでいろいろと比べてみますと、率直なことを申し上げまして、専門家の御意見を聞くと、高いものもあれば安いものもあるわけです。これは我々も一概に、簡潔にどうのこうの批判はできません。しかし、たまたま五十八年度分に売却をした土地と今回のこの資料とを比べてみる、あるいは六十年度に売却をしたものと比べてみますと、これもまちまちでございますけれども、いささか問題があるわけであります。それを具体的にひとつ申し上げてみます。  東海道線旧白鳥駅構内、五十八年度に既に売却したもの、平米当たり七万四千円で売っております。これは買ったのは名古屋市土地開発公社、いわゆる随意契約です。だからそのことはどうのこうのではございませんが、同じようなところで今回出ておる場合は、平米当たり九万七千円という予定額になっております。これは五十八年度ですから、地価の高騰から考えるといささか安いのではないか、こういう判断になります。しかもこの付加価値の取り方、これはもう一回お伺いをしますが、いわゆる我々の区画整理、町でやる区画整理だと減歩という言葉を使いますね、道路だとか公共用地だとか。減歩を一体国鉄がどの程度お考えになっておられるのか。場所によって違いますよ。違いますけれども、平均して三割なのか三五%なのか、そのことを含めて次の質問に入りますから、お答え願いたいと思います。
  319. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 区画整理事業等を使いましてやります場合の減歩につきましては、それぞれ現在のその土地におきますところの公共施設の整備状況等でございますとかそういったことで変わりますので、それぞれの場所において一応想定をいたしております。したがいまして、平均的とおっしゃいましてもなかなか平均的というお答えをしにくいわけでございますが、ごく大ざっぱに申しますと二割ないし四割、場合によっては四割五分ぐらいの減歩があり得るということで考えております。それらは実際にその地区における公共施設の整備事業によって、整備の現状によって違ってくるということでございます。
  320. 草川昭三

    草川委員 今の答弁はよくわかります。よくわかりますけれども、問題はその区画整理、我々の言う言葉ですよ、国鉄の言う言葉とは違いますが、俗に言う付加価値を高めるための知恵を一体だれがやるのか、これが私の実はお聞きしたいところであります。  といいますのも、次に名古屋市中村区の鈍池の、これは国鉄の官舎を六十年度に売っておるのですが、これは平米当たり二十一万六百四十円で売っております。ところが、今度ほぼ同じところでこれも売り出すいわゆる笹島の駅等については二十二万一千円。あるいは付加価値を高めてこれを倍近く上げたといたしましても、これは町の相場から見てももう少し高く売れるのではないかというわけでございますから、これはどちらかというともう少し、減歩の仕方も含めながら付加価値をもっと高く売れるのではないか、こういう意見も出てくるわけであります。  そういうことをずっと見てまいりますと、一体だれがこういうような積算をしたのか。そこで、国鉄の当局の中で宅地建物取引主任を持つ者は一体何人ぐらいおみえになるのか、お伺いしたいと思います。
  321. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先ほどから個々の土地の価格についていろいろお話がございましたけれども国鉄といたしましては、そういう資料につきましては一切お出しをしていないわけでありますし、また作業中等の資料につきましても厳重な管理をいたしておりまして、今先生がおっしゃいました資料が最終的な数値とは何ら関係がないということを、ここで、ちょっとくどいようでありますが、ひとつ申し上げさせていただきたいというふうに思っております。  それから、最後に御質問がございました土地家屋調査士、四名でございます。  それからこれらの事業、事業と申しますか付加価値を高める方策、あるいはこの場合でございますとこれはあくまで想定でございます。実際には、政府委員からも何回も繰り返し御答弁を申し上げておりますけれども、実際にある具体的な場所についてどういう形で基盤整備をするかということは今後の問題でございます。ただ、一応その五兆八千億に見合う価格を考えてみたらどうなるかという御要望がございましたので、それは大至急いろいろな考え方で想定をしたわけでございますが、それらの作業は、国鉄の部内におきまして今までも区画整理事業等にいろいろ関係を持っている者が多数ございます。そういった者たちが、この地区で、この状況で、今の公共施設の整備事業がこういうことであれば、大体大ざっぱな減歩率としてどれぐらいになるであろうかという想定を行っていたしたものでございます。そういうことでございます。
  322. 草川昭三

    草川委員 じゃ、もう一問追加をしてお伺いをしますが、いわゆる積算をしました根拠について不動産鑑定士の評価を受けておるのかどうか、主なところだけは不動産鑑定士であとはやっていないのかどうか、お伺いします。
  323. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今回の値段の算出に当たりましては、不動産鑑定士の鑑定は得ておりません。ごく全体的な物の考え方等につきましてはいろいろ御相談をいたしておりますが、個々の場所についての不動産鑑定は受けておりません。  なお、先ほど土地家屋調査士四名と申し上げましたが、御質問がございませんでしたけれども、それ以外に不動産鑑定士あるいは宅地建物取引主任といったような国家試験の有資格者もおるということを申し添えさせていただきます。
  324. 草川昭三

    草川委員 私がなぜそういうことを聞いたのかといいますと、問題は、その付加価値の高め方によって逆におつりが来るかもわからない。あるいは付加価値の高め方によって、先ほど来からの御質問がありますけれども、十六兆が十四兆に減ったと言いますけれども、案外減らないのかもわかりません。これは今後国民的な意味での非常に大きな関心を呼ぶところでございますけれども、問題は、今不動産鑑定士の評価も受けていないということがわかりましたし、宅地建物取引主任等の専門家の方々も非常に数が少ないということもわかりました。別に国鉄職員が御苦労なすっておみえになることを我々は評価をしないということではございませんけれども、問題は、売り方は、これで明らかになったのは、どのように基盤整備をして、道路、公園、公共施設をどうつくって付加価値を高めて売るかという、非常に技術的なところに問題は絞られてくるのではないかと私は思うわけであります。  そこで、いろいろと第三者機関をつくるとか監視役になってもらうとかという議論が随分出ておりますけれども、具体的に私が今申し上げたようなことに対して満足のいくような答弁をどのようにされるのか、これはひとつ運輸大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  325. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず、今のやりとりを聞いておりましてびっくりいたしましたのは国鉄当局の資料完備のあり方でありまして、国鉄当局に対しては資料の完備について責任を持ってもらいたいものだという感じがまず第一であります。  それから、先般来さまざまな角度からこの資産の処分については御指摘を受けてまいりました。そして、私どもは、この資産処分審議会というものをもってこれに対応するというお答えを申し上げてきております。今お話のありましたような諸点、実は私が初めて伺うような問題まで御提起がありましたので、十分検討いたしたいと思います。
  326. 草川昭三

    草川委員 それでは、これは総理にお伺いをいたしますが、いわゆる公正な入札をすると盛んに言っておみえになりますね。これは当然なことだと思うのです。しかしビッグプロジェクトというのですか、でかいプロジェクトになりますと並みの民間の開発業者では手が出ぬわけです、例えば国鉄の本社の跡地だとか汐留だとか非常に大きなものについては。もちろん地方公共団体等のいろいろな要望もございますけれども、入札というのは一つ過ちますと談合ということがあるわけです。君はここにしろ、あそこはあそこにしろと。予算委員会でも、過去入札問題というのは随分議論になっていますね。だけれども、この入札問題は、議論になりますけれども、ある程度の年月がたっとやはり話し合いになっていくわけですよ。これを一体だれが付加価値を高めるように刻むのか。例えば、もし民間の大業者を入れて委員会をつくります。専門家の方々意見を聞いて土地を刻む、いわゆる付加価値を高めるようなことをするということに入っていくとするならば、私だって今の情報を持っているのですからね、民間のデベロッパーなんというのは私以上にもっと情報を持っていると思うのですよ。そんな連中が早く持って、国鉄の本社は何々だ、汐留の跡地は何々だ、もう既にそういう話は出ているわけでしょう。話し合いをすれば、十六兆が十四兆に国民の負担が減ったと言うけれども、それはどうなるかわかりませんよ。だから厳正、公正な人選をするとかいろいろなことを言いますが、まさしくこの問題は、もう少し、単なる公正な競争をする、だからいいじゃないかということではなくて、もう一歩踏み込んだ人選まで我々は誤解のないようにするという発言を私は総理からしていただきたい、こう思います。
  327. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ここでいつも申し上げますように、公正を旨とする、それが第一であると申し上げましたように、人選その他についても十分注意をして行いたいと思います。特に、それらの仕事は清算事業団の審議会において取り扱われることになろうと思います。その辺については特に注意してまいりたいと思います。
  328. 草川昭三

    草川委員 私がなぜそういうことを言ったのかといいますと、実は公務員宿舎の戸山ハイツというのがあるでしょう。都心における公務員宿舎の高層化による用地の有効活用に関する研究会というのが開かれたわけです。これは総理も御存じのとおりでございますけれども、ここの研究会の中のメンバーというのは一体どういうメンバーか。これは私はあえてきょうは名前を申し上げませんけれども、研究会のメンバーは、もちろん筆頭は住宅・都市整備公団の副総裁、これは結構です。あとは東大の教授が一人、これも専門家で結構です。あとは日本でビッグ不動産と言われる不動産業者の会長さん、社長さんですよ。それから、日本でもトップと言われる建設会社の社長さんですよ。そして、日本でもトップだと言われるビル会社の社長さんです。こういう方々が研究会のメンバーになって——戸山ハイツはどういうように高層化したらいいかという、これは専門家の御意見ですよ。それをこういう方々が今のように国鉄土地を刻むというような、刻むという言葉が適切ではございませんけれども、付加価値を高めるための仕事をなされるということになれば、そういう方々意見が反映をするということになれば、そういう方々が一番早い情報をとるということでしょう。だったら、今運輸大臣が言われるように、なるべく高く売る、こうおっしゃいますけれども、それは最後はどういうことになるかわかりませんよ。私は、そういうことは全くの要らぬ心配だとおっしゃられるかどうか知りませんけれども、過去のいろいろな例からそういう事例があるということを申し上げておるわけでございますから、運輸大臣、最後にこの件についてもう一回決意を表明していただきたい、こう思います。
  329. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘のありましたようなことは、私どもが一番心配することであります。今回の場合、法律また政省令等におきまして、利害に関係のある方は入れるつもりはございません。ですから、今御指摘のありましたような、関係の業界の代表といった方々をこの中に加えるつもりはございません。ただ、それでも情報というものは、先ほど国鉄答弁で、国鉄としては出ているはずはない、秘密であるというものが委員御引用になるような状態でありますから、そうした事務局構成等についても十分検討しなければならぬと思います。
  330. 草川昭三

    草川委員 では、この問題はこれで終わります。  続いて、未稼働資産についてお伺いをします。六十年度末現在の建設仮勘定の残高についてお伺いをしたいわけですが、未稼働施設、土地、構築物、未竣工施設。土地、構築物その他、合わせて一体未稼働資産が現在どのようになっておるか、トータルでいいから御説明願いたいと思います。
  331. 林淳司

    林政府委員 現在の国鉄の未稼働施設、それから未竣工施設等でございますが、そのトータルは八千二百十六億円でございます。
  332. 草川昭三

    草川委員 では続いて、未竣工施設の内容について言ってください。
  333. 前田喜代治

    ○前田説明員 今お話がございました建設仮勘定の中に、実際には財産としてはできておるけれども使ってないものというものと、それから実際には現在まだ工事中のものであるというものがございます。工事中のものの中には、一部工事を凍結しておるものもございます。
  334. 草川昭三

    草川委員 その中の一番主なものは名古屋の南方貨物線、トータル予算三百五十億、残百九十億、そして今までの利子が百六十億、こういうのが入っておるかどうか、お伺いします。
  335. 前田喜代治

    ○前田説明員 今お話のございましたとおりでございます。
  336. 草川昭三

    草川委員 会計検査院にお伺いします。  会計検査院は、この名古屋の南方貨物線、進捗率が主体工事、高架九七%、土地の取得一〇〇%、こういう状況の中で二回にわたって、投資が生かされていない、こういうように検査報告に特記をしておるということがあると思うのですが、その点どうですか。
  337. 大久保孟

    ○大久保会計検査院長 お答えいたします。  南方貨物線につきましては、先生御指摘のとおりでございます。すなわち、昭和四十二年三月に着工した南方貨物線建設は、四十七年には完成する予定となっていたにもかかわらず、五十二年度当時まだ完成に至らない状況でありましたので、投資効果の遅延などの点を特記事項として掲記し、また五十五年においては貨物営業全体を特記事項として取り上げておりますが、この中で貨物輸送の基幹施設としての機能が発揮されていないという点を指摘しております。  以上でございます。
  338. 草川昭三

    草川委員 問題は、来年の四月から民営化するわけですが、この名古屋南方貨物線を貨物会社が引き継ぐのか、あるいは新しい旅客会社が引き継ぐのか、あるいは清算事業団が引き継ぐのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
  339. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘のありました南方貨物線として建設されましたもののうち、既に在来線として使用されている部分につきましては旅客会社に承継をさせます。残りの区間の取り扱いにつきましては、将来の利用可能性等を検討し、承継計画を決定するまでに結論を得たいと考えております。
  340. 草川昭三

    草川委員 問題は、今お話がありましたように、並行して使うというのはただ単なるホームで遊んでいるところを使うというだけですからね。延長二十六キロ、これは遊んでいるわけです。だから少なくとも、これは鉄建公団と違いますからね、国鉄自身がやっている仕事ですから。少なくとも、この委員会で国鉄関連法案のいろいろな資料を見ましても、もちろん新会社の利益計画にも入っていない、あるいは清算事業団もどのように処置をしたらいいかという見通しも入っていない。いつこれを決めるつもりですか。法案をここで審議しているのでしょう。法案を審議する前提の話ができていないというのは、そんなばかなことがありますか。(発言する者あり)それはあなた、これは鉄建公団の話じゃないですよ。国鉄の直接工事だよ。(橋本国務大臣「これは国鉄の話ですよ」と呼ぶ)これは法案提出者である運輸大臣の責任だよ。法案審議の前になぜこの話を詰めなかったのですか。
  341. 林淳司

    林政府委員 ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、要するに在来線として現在使用されている部分、これは駅の一部とか若干ございますけれども、これについては今回の試算におきましては東海会社の方にその資産及び債務を引き継ぐことにしております。それから、それ以外のいわゆる工事凍結部分でございますけれども、これにつきましては今回の試算上は清算事業団の方にこれを移すという前提で試算をしてございます。したがいまして、そういう前提のもとに一応の試算をしてございますけれども、具体的にこれを最終的にどう処理するかということにつきましては、先ほど大臣から申し上げましたとおり、これは承継計画で最終的に決定をするものでございます。試算としてはそのようにしているということでございます。
  342. 草川昭三

    草川委員 それはあくまでも、これは利子の話だって同じなんですよ。利子だって、今までの百六十億の利子というのは建設仮勘定でいわゆる未稼働資産の中に入っていないのですよ、未稼働資産の方には。片一方はこっちだ、片一方は本体については将来どうしていいかわからぬというようなことで、よくもこの国鉄再建の審議をするということになったものですね。そんなことで審議なんかできっこないですよ、今の答弁では。もうちょっとはっきりしてくださいよ。やれるのですか、そんなことで。審議の前提ですよ、こんなものは。
  343. 林淳司

    林政府委員 今回の試算につきましては、やはり新会社の将来の経営基盤というものをしっかりさせるということが大前提でございますので、したがいまして、南方貨物線につきましては、現在在来線に使用されている部分はこれは現在稼働しているわけでございますから、したがってこれについては資産、債務とも新会社の方に承継させる。しかし、それ以外の凍結部分についてはこれは将来の使用見込みが現在立たないということでございますので、これは清算事業団の方に資産も債務も移すということで、いわば東海会社の負担をそれだけ減らすという前提で試算をしてあるということでございます。
  344. 草川昭三

    草川委員 じゃ、要するに壊すのですね。つくったものを壊すということを言ったのですか、今あなたの発言は。高架でつくったものを壊すということを今あなたは答弁しておるのか、はっきりしてください。
  345. 林淳司

    林政府委員 これを直ちに壊すということではございませんけれども、試算上はあくまで東海会社のやはり健全経営ということを考えなければいけませんので、したがって、将来の使用見込みの現在立たないものについては、現在の試算では清算事業団の方に移すという前提で計算をしてあるということでございます。
  346. 草川昭三

    草川委員 私の言っているのは全然違うのですよ。違うことを言っているのですよ。とにかく駅舎は、駅といったって駅のホームなんてないのだから。あいている土地はそれは現在の国鉄が使うのは当たり前ですよ、そんなものは。しかし、本体の二十六キロというのは高架になったままほったらかしなんですよ、これは。一体それをどこが引き継ぐのかと聞いたって、引き継ぐところはまだ未定だと言っているのでしょう。そんなことでよくこういう大切な国鉄の議論をやるということになりますねということを言っているのです。これは大臣から答弁してくださいよ。
  347. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 でありますから、将来の利用可能性等を検討して、承継計画を決定するまでに結論を得たいと申し上げております。
  348. 草川昭三

    草川委員 それはいつですか。じゃ、それはいつ出すのですか。
  349. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 将来の承継計画を決定するまでにと申しております。
  350. 草川昭三

    草川委員 それは私は極めてずさんだと思うのです。そういう議論というのは、少なくともわざわざこう特別委員会をつくったんでしょう。特別委員会をつくったということは、皆今まで出ておるように、あらゆる考え方というのは、当局の考え方を全部出すわけでしょう。それで、国民の納得という前提であれだけの歴史のある国鉄を民営化するのじゃないですか。なぜそれが我々の前に出ませんか。(「細かいことを言えば幾らでもあるよ、それは」と呼ぶ者あり)細かい話じゃないですよ、三百五十億とかですよ。(発言する者あり)それは違うんだよ。これは国鉄の直営工事なんだ。よく勉強してこい。(発言する者あり)
  351. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  352. 草川昭三

    草川委員 よく我々が言っていることは、委員長国鉄の出身だからおわかりだと思うのですが、国鉄の直営工事が全く行き先がどうしたちいいかわからぬというばかなことを我々は黙って聞いておるわけにはいかぬですよ。だから我々は、少なくともこの委員会の前にその対応を明確にしろということを言っているわけですよ。
  353. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 一体、私はこの南方貨物線というものがどういう歴史を持っておるものかまでは存じません。しかし、私が聞きました中におきましては、貨物線として計画されたものであるけれども、地元との調整に長時間を要し、この間に貨物輸送を取り巻く状況が急激に変化した結果、並行する東海道本線だけでも今後ともに十分対応できるようになったため、貨物線としての必要がなくなったと聞いております。そういう状況を踏まえて、先ほども申し上げましたように、既に在来線として使用している部分については旅客会社に承継をさせる、残りの区間の取り扱いについては将来の利用可能性等を検討し、承継計画を決定するまでに結論を得たいと申し上げておるわけでございます。(発言する者あり)
  354. 草川昭三

    草川委員 ちょっと静かにしておってくださいよ。(発言する者あり)
  355. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  356. 草川昭三

    草川委員 静かにするまで議論しませんよ、極めて重要なことですからね。(発言する者あり)
  357. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。——質問を継続してください。
  358. 草川昭三

    草川委員 南方貨物線の問題は、今言いましたように三百五十億ですよ。しかも、過去の利子というのは百六十億になっているわけですよ。あと百数十億お金が要るわけです。しかし、それをかけたとしても実際は運営が難しいのです。私は、そういう路線だからこそ承継計画を明確にすべきじゃないかと言うのです。ところが、今は決まらないと言う。じゃ一体いつまでに決まるかといえば、見通しは明確じゃないでしょう。新会社の対応ということが前提になってくるわけです。私は、こういう問題については、最後にこれは総理に聞きますが、まだほかにもあると思うのです。総理、どうですか。
  359. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 やはり国民の大事な財産ですから、拙速を排してあくまで公正に、そして有効に使われるような方策を考うべきである。余り拙速で、国会があるからといって余り急ぎ過ぎたりして間違ったことをやるとかえってよくない、そう私は思うのであります。
  360. 草川昭三

    草川委員 じゃ、この点については、まだ私は今の答弁では納得いたしません。ですから、今の答弁では納得しませんからこれは留保いたします。留保して、またしかるべき時期に理事方々の御指示に従って態度を表明したい、こう思います。  あと三分残っておりますので、時間がございませんが、安全問題について最終的に私の問題提起だけしておきます。  実は、新幹線の安全問題については構造物で限界が来ておるのじゃないかというのが専門家の御意見で出ております。例えば、当初設計で考慮した疲労の繰り返し二千万回というのは既に十年前に超えておるというのですね。橋梁なんかも随分ひび割れがあるというのを、実は一九七七年三月の「鉄道技術」の中で、国鉄の現場の課長さん、これは土木部の課長さんが繰り返し、大変な状況だ、橋梁も随分ひびが割れておりますよ、シューというのですが、橋げたを支えているところも随分割れておりますよ、破断寸前のものまでありますよ、というようなことが随分数字で出ております。修理はしておるんだけれども大変だという具体的なデータが出ておるのです、これは技術屋の資料ですが。私もこれはそのとおりだと思うのですね。  そこで、新会社は、基本的な橋梁のかけかえなんかの見積もりというのを経営計画の中に一体どの程度入れておるのか、こうお伺いをしましたら、新年度の予算では二十億だというわけですよ。しかし、その三分の一は塗装のやりかえぐらいで、基本的な構造物の取りかえというのですかつくり直しというのですか、そういうことまではまだ考えておりません。橋梁の年度も六十年から七十年前後でしょう。しかし、今の新幹線の疲労からいいますとこれもちょっと前倒しで考えなければならないということは、少なくとも専門家は指摘をしておるわけです。ところがそれが、少なくとも我々のこの資料の中にはどこを見ても出ていないわけであります。そういうことについてどのようにお考えになるのかということを運輸大臣とそれからまた総理にお伺いをして、時間になると思いますので、私の質問を終わりたい、こう思います。
  361. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、大変申しわけありませんが、専門家ではございませんので、答弁資料を見ながらお答えをさせていただきます。  施設関係の、東海道新幹線の施設維持更新費あるいは老朽施設の修繕費、これは安全確保のために当然必要な経費を見込んでおると私は信じております。具体的には、施設関係の維持更新投資として、東海沖地震対策、変電設備取りかえなどで、六十二年度以降五年間平均で毎年二百六十億円程度を見込んでおるということであります。また修繕費におきましても、六十二年度において線路施設関係及び電気施設関係を合わせて三百六十億円を見込んでおるわけであります。  実は、会計上の償却期間は委員がよく御承知で、お尋ねのとおりに鉄道橋梁の場合、鉄筋コンクリート造五十年、鉄骨造四十年と定められておりますが、私どもはむしろ、これには安全率を見込んでさらに相当年数の耐用年数があると考えておりました。橋梁関係の維持更新費としては、橋台の補強あるいは落橋防止等を引き続いて行うように見込んでおりますが、老朽橋梁の取りかえということに限定をされますならば、東海道新幹線が建設後約二十年しか経過しておらないことから、該当する橋梁がないため見込んでいないというふうに報告を受けております。ただ、橋梁の維持のために必要な修繕費には所要の額を見込んでおるところでありまして、過去の実績からまいりますと、大体毎年二、三十億円ずつ橋梁の関係の修繕費が必要だったようでありますが、六十二年度以降も同程度を見込んでおるところであります。
  362. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 新幹線の管理については、万全を期して、安全を期してやらしたいと思っております。
  363. 草川昭三

    草川委員 これで終わります。
  364. 細田吉藏

    細田委員長 これにて柴田君、草川君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十四日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四分散会