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1986-10-08 第107回国会 衆議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月八日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 細田 吉蔵君   理事 小此木彦三郎君 理事 小里 貞利君    理事 佐藤 守良君 理事 三塚  博君    理事 山下 徳夫君 理事 井上 普方君    理事 嶋崎  譲君 理事 西中  清君    理事 河村  勝君       逢沢 一郎君    甘利  明君       粟屋 敏信君    石破  茂君       臼井日出男君    小沢 辰男君       大石 正光君    大島 理森君       大野 功統君    岡島 正之君       片岡 清一君    片岡 武司君       亀井 静香君    亀井 善之君       北村 直人君    久間 章生君       古賀  誠君    佐藤 静雄君       斉藤斗志二君    桜井  新君       笹川  堯君    杉浦 正健君       杉山 憲夫君    鈴木 宗男君       関谷 勝嗣君    津島 雄二君       渡海紀三朗君    虎島 和夫君       中島  衛君    中村正三郎君       野中 広務君    野呂田芳成君       長谷川 峻君    原田  憲君       前田 武志君    増岡 博之君       松田 岩夫君    松田 九郎君       三原 朝彦君    村上誠一郎君       持永 和見君    森田  一君       山村治郎君    若林 正俊君       阿部喜男君    上田 卓三君       小林 恒人君    関山 信之君       戸田 菊雄君    村山 富市君       山下洲夫君    浅井 美幸君       石田幸四郎君    遠藤 和良君       大橋 敏雄君    柴田  弘君       阿部 昭吾君    中村 正雄君       工藤  晃君    中島 武敏君       村上  弘君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣 金丸  信君         法 務 大 臣 遠藤  要君         外 務 大 臣 倉成  正君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 塩川正十郎君         厚 生 大 臣 斎藤 十朗君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君         労 働 大 臣 平井 卓志君         建 設 大 臣 天野 光晴君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     葉梨 信行君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 玉置 和郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 綿貫 民輔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      近藤 鉄雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)     三ツ林弥太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 稲村 利幸君  出席政府委員         内閣審議官   中島 眞二君         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第四         部長      大出 峻郎君         総務庁長官官房         審議官     稲橋 一正君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局長      佐々木晴夫君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  千秋  健君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      岩見 秀男君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁大都市圏         整備局長    柳   晃君         大蔵省主計局次         長       角谷 正彦君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       頼松 祥典君         文部省初等中等         教育局長    西崎 清久君         厚生大臣官房審         議官         兼内閣審議官  佐々木喜之君         農林水産大臣官         房長      甕   滋君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡松壯三郎君         運輸政務次官  柿澤 弘治君         運輸大臣官房審         議官      井山 嗣夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      棚橋  泰君         運輸省貨物流通         局長      松村 義弘君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         労働大臣官房審         議官      齋藤 邦彦君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 小粥 義朗君         労働省労働基準         局長      平賀 俊行君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    渡辺  尚君         建設省都市局長 北村廣太郎君         建設省住宅局長 片山 正夫君         自治大臣官房審         議官      森  繁一君         自治大臣官房審         議官      渡辺  功君         自治省税務局長 津田  正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     岡田 昌久君         日本国有鉄道常         務理事     澄田 信義君         日本国有鉄道常         務理事     前田喜代治君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 十月八日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     斉藤斗志二君   大島 理森君     村上誠一郎君   亀井 静香君     虎島 和夫君   亀井 善之君     笹川  堯君   古賀  誠君     石破  茂君   桜井  新君     杉浦 正健君   関谷 勝嗣君     大石 正光君   中島  衛君     粟屋 敏信君   山村治郎君     岡島 正之君   山下洲夫君     阿部喜男君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     前田 武志君   石破  茂君     持永 和見君   大石 正光君     大野 功統君   岡島 正之君     杉山 憲夫君   斉藤斗志二君     松田 岩夫君   笹川  堯君     亀井 善之君   杉浦 正健君     片岡 武司君   虎島 和夫君     渡海紀三朗君   村上誠一郎君     大島 理森君   阿部喜男君     山下洲夫君 同日  辞任         補欠選任   大野 功統君     関谷 勝嗣君   片岡 武司君     桜井  新君   杉山 憲夫君     山村治郎君   渡海紀三朗君     佐藤 静雄君   前田 武志君     三原 朝彦君   松田 岩夫君     北村 直人君   持永 和見君     逢沢 一郎君 同日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     古賀  誠君   北村 直人君     小沢 辰男君   佐藤 静雄君     亀井 静香君   三原 朝彦君     中島  衛君     ───────────── 十月八日  国鉄分割民営化法案廃案等に関する請願安藤巖紹介)(第四号)  同(石井郁子紹介)(第五号)  同(岩佐恵美紹介)(第六号)  同(浦井洋紹介)(第七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第八号)  同(金子満広紹介)(第九号)  同(経塚幸夫紹介)(第一〇号)  同(工藤晃紹介)(第一一号)  同(児玉健次紹介)(第一二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一三号)  同(柴田睦夫紹介)(第一四号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一五号)  同(田中美智子紹介)(第一六号)  同(辻第一君紹介)(第一七号)  同(寺前巖紹介)(第一八号)  同(中路雅弘紹介)(第一九号)  同(中島武敏紹介)(第二〇号)  同(野間友一紹介)(第二一号)  同(東中光雄紹介)(第二二号)  同(不破哲三紹介)(第二三号)  同(藤田スミ紹介)(第二四号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五号)  同(正森成二君紹介)(第二六号)  同(松本善明紹介)(第二七号)  同(村上弘紹介)(第二八号)  同(矢島恒夫紹介)(第二九号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第一五七号)  国鉄分割民営化関連法案廃案に関する請願中島武敏紹介)(第一五五号)  同(矢島恒夫紹介)(第一五六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道改革法案内閣提出第一号)  旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出第二号)  新幹線鉄道保有機構法案内閣提出第三号)  日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出第四号)  日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出第五号)  鉄道事業法案内閣提出第六号)  日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出第七号)  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  日本鉄道株式会社法案伊藤茂君外八名提出衆法第一号)  日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案伊藤茂君外八名提出衆法第二号)  日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案伊藤茂君外八名提出衆法第三号)      ────◇─────
  2. 細田吉藏

  3. 浅井美幸

    浅井委員 昨日に引き続いての質疑でございますけれども、まず最初に、きのうもいろいろと御要求申し上げました用地売却価格の問題でございます。けさ新聞報道によりますと、本日中に提出というような報道がございました。これはそのような方向に進んでおるのですか、まず運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 報道機関の皆さんの方が私よりも大変詳しく記載をしておられまして、けさ私もびっくりいたしました。ただし、お昼の理事会までには提出をいたすべく、今、最終の詰めをいたしております。
  5. 浅井美幸

    浅井委員 できるだけこの当該委員会審議に支障のないように、またできるだけ私どもの要望にこたえた数字が出てくるような資料提出方を再度お願いしておきたいと思います。  そこで私は、本日はまず清算事業団性格といいますか役割というか、これから触れたいと思います。  国鉄改革の根幹にかかわる重要課題は、まず何といっても長期債務の三十七兆五千億の処理であります。そして二つ目は六万一千人の再就職であり、三つ目は先ほど来申し上げました三千三百ヘクタールの用地売却であります。これらの課題が、法案では清算事業団がほとんどこれを引き受けることになります。この業務をこれから清算事業団が引き受けるに当たって、既存の公団や事業団業務に比べて極めて大きいものと言わなければならないと思います。業務の遂行に当たって国及び地方公共団体民間企業を含めた国民全体の協力を前提にしている大事業であります。  ところが、清算事業団法案には国会に対する報告規定がない。ただ四十一条で債務保証の限度を国会の議決としております。このようなことだけで事足りるかというのが私が最初に申し上げたい問題点であります。なぜ国会に対する業務財務報告規定を置いていないのか、お答えいただきたいわけであります。
  6. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 財政法二十八条には御指摘のとおり、国会提出する予算には、国が出資をいたしております主要な法人資産、負債、損益その他についての調書を添付することになっております。清算事業団は確かに国の出資法人という形でありますが、内容的には御指摘のとおり大変特殊な役割を有する事業団でございます。今私どもとしては国会に御提出を申し上げたような内容でこの清算事業団を位置づけたわけでありますが、今後この二十八条の規定対象とするかどうかにつきまして、あるいは御議論等がございますならば、今後関係機関と相談しながら決めてまいりたいと考えております。
  7. 浅井美幸

    浅井委員 今運輸大臣の御答弁で今後御検討になるということでありますので、余り深く申し上げませんけれども国鉄政府出資ではない、そういういろいろな言い方があって、この財政法第二十八条にそのまま該当はしない。しかしながら、国鉄に対しては従来から政府出資を続けてまいりました。ですから私は、このいわゆる財政法に準じた扱い、こういうことをしていいのではないかという観点から御質問申し上げたわけであります。どうかこの問題についてはしっかりと御検討いただいて修正を願えればと、こう思うわけであります。  国鉄清算事業団に対して任していく仕事の中身、非常に重要な役割がありますので、いわゆる清算事業団性格としては、半官半民といいますか、国のほかの会社特殊会社でありますけれども、いわゆる特殊会社の制約も受けない、こういう形の性格であります。ほかの、財政法二十八条に基づいて従来国会報告をしておる法人がございます。それはNTTあるいは日本航空、雇用促進事業団日本私学振興財団、こういう五十四法人は、既に国会報告の義務が課せられているわけであります。したがいまして、この財政法二十八条がどうしても無理というのであるならば、今私が申し上げるように、法案追加修正をして、財務状況業務状況、この報告を義務づけるべきだと考えるわけでありますけれども、重ねてお伺いしておきます。
  8. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御論議を踏まえて関係機関と相談をしてまいりたいと申し上げました。そして、その対応について、あるいは修正を必要とするものなのか、法律修正を伴わなくても実行上の担保が可能なものなのか、こうした点も含めて十分検討いたしたいと思います。
  9. 浅井美幸

    浅井委員 それからもう一点、長期債務処理方法の中で株式売却益を見込んでおりますが、改革法案の中に株式売却規定が全く書かれてない。わずかに事業団業務として「土地その他の資産処分を行う」とされているだけであります、国鉄監理委員会の答申では、「当初、国鉄全額出資により設立するが、経営基盤確立等条件が整い次第、逐次株式処分し、できる限り早期に純民間会社に移行する。」こういうふうにされております。なぜ、株式公開の時期や処分方法等規定をこの中に置かなかったのか、お伺いしたいわけであります。
  10. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御指摘のとおりに、旅客会社並びに貨物会社株式につきましては、清算事業団がその処分を行うということにいたしております。ただ、その御質問に対して、私は二つのお答えを申し上げておくべきであろうと思います。  これが将来処分のできる状態になりました場合に、これが公正な状況処分ができますようにするためには、資産審議会審議を得た上で、公正かつ適切な方法での処分を行いたいと考えておりますが、具体的に私どもが頭に描いておりますのは、現在進行中でありますNTT株式処分方法等、こうしたものが非常に参考になるものだというふうに考えております。  ただ、まず第一は、私ども自体がこうした経験を持っておりません。同時にまた、その公開の時期あるいはその比率ということを申し上げるには、まず会社としての経営の実績が積み重ねられませんと、そしてやはりそれが一定の成績をおさめるということが不可欠の条件であろうと私どもは思っております。そうなりますと、むしろ国会で御審議をいただき、これらの諸法律が成立をいたしまして新会社スタートをいたしましてからも、相当の期間その経営動向等を見きわめませんと、株式売却といった状態にまで実態的に到達ができないのではなかろうか、率直に申してそう思います。そうなりますと、今からその処分の時期とかあるいは処分方法、あるいは公開の時期といったようなものを規定するだけの状況に到底ない。実態的にこうした状況があることも御理解をいただきたいと思います。
  11. 浅井美幸

    浅井委員 今の御答弁でほぼ納得はするわけでありますけれども、大体そういうものが株式公開の時期あるいは処分——NTTの例を今挙げられましたけれどもNTTは昨年新しいスタートをして本年もう株式売却ということで、約一年後でやっております。それに倣うわけでありますけれども国鉄の場合、昨日来から論議になりました収支見通しによっても黒字が出ることになっております。こういう状況の中でいくならば、およそ一年後ですか二年後ですか、めどはいつごろと今推定されますか。
  12. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 NTTの場合は非常に状況のよろしい中で民営化をいたしました。そして、私どもは今回この国鉄分割後の姿について、清算事業団長期債務を集中し、負担を負わせる会社にはその資産状況に応じた債務しか負わせておりませんので黒字スタートが切れるという算定をいたしておりますが、私どもはこの試算はそのとおりにいくと思います。  しかし、その結果として民間に株を放出し、その株式がそれなりの信頼を持って受け取っていただくためには、やはり一年、二年という数字では余りに短過ぎはしないであろうか。むしろそういう状況の中で無理をして株式放出に踏み切った場合、昨日来の御論議でもさまざまありました含み資産前提とした投機対象として取り扱われるのではないかとか、いろいろな問題を惹起する可能性がありはしないかと私どもは考えております。むしろこの株が大変もてはやされるようであれば我々としては本当に幸せなことではありますけれども、やはり国民資産処分していきます過程の一つのプロセスとしては余り時期を限定しないでいただきたい。我々はできるだけ早くこの株式放出して完全に民間に移譲できる状況になることを期待いたしますが、今から一年あるいは二年という時期を設定することについては、私どもとしては控えさせていただきたいと思います。
  13. 浅井美幸

    浅井委員 例えば、今の政府案でいきますと、本州三分割東日本東海会社、そして西日本会社と三つあります。東海会社、これはだれが考えてみても優良会社になる見込みであります。そういう例えば優良会社東日本東海西日本ということになって、経理上、収支バランス上あるいは経営見通し上、そういう会社は今あなたが答弁なさったようにいわゆる純民間会社にした方がいい。優良会社から順番にやるわけですか、一括してやるわけですか。
  14. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 そうした収益のバランスをとりますために新幹線保有機構リース料というものを二年ごとに見直すというような規定をとりまして、そこである程度それぞれの会社バランスを調整してまいりますので、極端な内容の差が生ずるような形はとっておりません。ただ、一括して同時期に放出をすることになるか、あるいは個別に放出をすることになるかといったようなことは、むしろ今後の課題として検討させていただきたいと思います。
  15. 浅井美幸

    浅井委員 大蔵大臣、ちょっと聞いておいてください。運輸省の六十二年度概算要求の中で、この間そちらからいただいた資料の中で、清算事業団に対する財政措置で、昭和六十二年度収入支出がございまして、清算事業団の必要な支出は二兆八千三百三億ですね。その中で新幹線保有機構からの収入土地売却、雑収入特定地方交通線交付金が六千二百十億円、財政投融資が一兆五百億円、あと残り補助金民間借入金等が未定になっております。大蔵省として、この補助金運輸省概算要求に対してどのようなお考えをお持ちなのか、もう一遍確認しておきたいわけです。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる長期債務につきましては、資産土地等処分、それから今後の雇用状況等々を考えまして、なるべく国民負担を軽減する形で処理をしていこう、こういう方針がありますことは御承知のとおりでございますが、六十二年度の清算事業団予算は、その最初の年であるというふうに私ども観念をいたしております。  そこで、ただいま御指摘のように、財政投融資一兆五百億円、これは民間借入金等を含めまして一応暫定的な数字として予算要求を受け取っておりますが、補助金未定要求になっております。これは先刻申し上げましたような理由でこれから予算編成最終の時期までにいろいろな要素が不確定でございますから、それをもう少し見きわめました上で運輸省から要求がある、こういうふうに考えまして未定にいたしております。
  17. 浅井美幸

    浅井委員 いろいろな要素があるから未確定という。この初年度の国有鉄道清算事業団がうまく成功するかしないか、スタートがきちんとできるかどうかというのが今私どもが一番心配な点なんです。膨大な債務がどのような形でこれから処理をされるのか、それを国の責任においてやっていかなければならない範囲のことについて、いまだにこれが決まらないというのは一つの問題点だろうと私たちは思うわけなんですよ。ですから大蔵大臣、いろいろな要素というのは何でしょうか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはむしろ運輸省側の御事情ではありますけれども、先ほど申しましたような長期債務処理の第一年でございますから、これからどのような不確定要素があるかということ、それを運輸省としてももう少し見きわめて要求をしたい、こういうお立場というふうに承知しております。
  19. 浅井美幸

    浅井委員 いわゆる民間借入金がふえるとこれからのスタートにおいてつまずきの始まりになる。補助金についてはきちんとした形で示していただき、あるいはまたつけていただかないと、運輸省としての最初スタートでこれからの前途がまた数多くの借金財政になってくる、こういう問題でございますので、大蔵当局、財政の厳しい中ではあったとしても、従来の国鉄のこれだけの状況に追い込まれた原因は歴代の政府が国鉄を放置してきたという責任を感じていただいて、私は、この補助金についての各般の努力をここで強く要求しておきたいと思います。  そこで、時間の関係もございますので、職員の雇用対策に移りたいと私は思うわけであります。  雇用対策は極めて重要な対策でございまして、政府は雇用対策本部を置いて再就職のフレームを閣議決定して、一応スタートをされております。  この雇用対策につきましては、従来、政府も国鉄も余剰人員という言葉遣いをなさっておられたときがございました。国鉄職員が自分の生涯の仕事として国鉄を選んで、そうして就職をした、それがいわゆる会社の事情、国鉄の事情で離職をしなければならない、そういう状況に追い込まれている。余剰という言葉、あり余る、うちの御主人はあり余っている、あるいはうちの父ちゃんはあり余っている人なんだというふうに、子供たちが学校でもいじめられたという例がある。そういうことで、この余剰という言葉についてはけしからぬではないかということで私ども指摘いたしました。最近この言葉がだんだんなくなりまして、余剰人員という言葉を引っ込めて離職者対策という言葉になったことは、私も喜びとするところであります。  その意味において、この雇用先の確保という問題でありますけれども、当面六万一千人の離職者対策でありますが、この六万一千人については、今政府の試算でもあるいはまた運輸省の試算でも数はいろいろと出てまいっているわけでありますけれども、その就職につきましては、どうしても、いろいろな諸状況から考えて、六万一千人おられるならば六万一千通りの温かい離職者対策が必要だということを私はまず申し上げたいわけであります。一括してこの役所だ、一括してこの事業団だというふうな——自分が一生涯の仕事として選んだ国鉄から離れる人たちに温かい離職者対策を私は望みたいと思っております。この点について、まず総理にその決意を伺いたいわけであります。
  20. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今次の改革のために離職しなければならないという立場に立たれます皆さんのことも考えてみますと、我々としては全力を尽くして誠意ある処置をしなければならぬとかたく肝に銘じております。でありまするから、政府は、もう二年ぐらい前からこの問題を手がけてまいりまして、私自体がまた雇用対策本部の本部長にも就任をいたしまして、そして国鉄はもとより、政府及び政府関係機関、それから地方公共団体、財界等にも御協力をいただきまして、一つ一つきめ細かい対策をとるように指示しているところでございます。  特に、北海道とか九州とか四国とかという遠距離の、雇用の難しいところから移転しなければならぬというような場合も十分あり得ますので、その場合における就職先あるいは住居の問題、子供の入学の問題、こういう大問題を控えておりますので、文部省あるいは各省庁とも緊密な連絡をとりまして、そういう点についても心配のないように努力していきたいと思っておる次第でございます。
  21. 浅井美幸

    浅井委員 雇用先の確保ということでありますけれども、一般民間企業も今の円高不況の中で非常に厳しい経済状況の中ですので、なかなか就職というのがこれから先厳しくなるんじゃないだろうかということが言われております。この中で今いろいろと進められているわけでありますけれども、この確保についていろいろな課題がまだ残っております。職員の再就職先の部門別の採用フレームは決められたものの、その中身はかなり不確定なものがある。  そこでお伺いしますけれども、政府のスケジュールどおりに改革が進んだ場合に、国鉄職員が新会社に入るか清算事業団に行くかの振り分けはいつごろ行われるのか、運輸大臣、お答えいただけますか。
  22. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これはむしろ、国会で御審議をいただいておりますこの一連の関係法をいつ成立させていただき、いっから私どもがその準備作業にかかれるかということにも密接に関連をいたしますけれども、私どもとして、これは本当にラフに申し上げきせていただくならば、逆算をしてまいりますと、新たな会社が発足をする日よりも少なくともその一カ月ぐらい前には、それぞれの会社に採用の内定した方々は、それぞれの会社の中での振り割りも決めていただかなければならないだろうと思います。また、そのための引っ越しその他のこともあるでありましょう。そして、国鉄からそれぞれの会社に対して推薦をされた名簿を各会社が受け取り、その中で採用を決定をしていく等々を考えていきますと、各設立された会社が自分の企業で採用する人間を確定をする時点が、同時に新たな就職をしていただかなければならない方々を確定する時期にもなると思いますので、二カ月ないし二カ月半ぐらい前には、準備状況からいくならば、それぞれ、これは清算事業団をも含めまして、現在の国鉄の方々がどこにこれから移られるかということを決めなければならなくなるのではなかろうか。非常にラフな言い方でありますけれども、そんな感じを持っております。
  23. 浅井美幸

    浅井委員 国鉄職員は、今精神的にいろんな不安をこの半年間持っていると言われております。自分がどのような会社に行けるのか、自分が入れるのか入れないのか、どこへ行くのか行かないのか、新しい会社に行けるのか清算事業団に行けるのかという不安な毎日を今送っていると言われております。いわゆるこれからの選定基準といいますか、この会社に入る入らないということの選別というか、そういうものは、まず新会社に入る人を決めてから残りは清算事業団というふうに決めるのですか。
  24. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今大変核心に触れる御質問がありましたので、これからの法律案が成立をいたしましてから新会社スタートをいたしますまでの必要な準備について、簡単に申し上げてみたいと思います。  改革法等が成立をいたしますと、まず当然行わなければならないのは法令の公布であり、同時に第三者機関の発足であります。また、設立委員会、評価審査会を発足させなければなりません。同時に、研究所、システム会社、基幹通信会社等は会社設立の手続をとらなければなりません。そして、基本計画を政府が確定をいたしますと、ここの中で承継の職員数が決まってまいりまして、承継法人の設立委員の方々はそれぞれの会社における労働条件とか採用基準を御決定になります。そして、それを国鉄当局に対して通知をされるわけであります。  国鉄は、その時点から今度は職員の配属希望の調査を開始いたします。これには一人一人の職員の、今御指摘のとおりに人生がかかるわけでありますから、その決断にもある程度の時間は差し上げなければなりません。そして、その調査票の提出を受けましてから後、今度は国鉄当局がそれを集計し、分析し、調整し、それぞれの方々の、いわばあなたは例えば第一志望でこの会社を希望されたが、大変地域に偏ってしまって、その職種は大変あふれてしまうからこの会社に行ってもらえないかとかといった一人一人の相談をいたします。これは相当な時間を必要とします。  そして、一応候補者の名簿を作成をいたしました段階で、それぞれの承継法人、各企業に対してこの候補者名簿を提出をいたします。それぞれの承継法人はその名簿の中から職員の選考をし、採用を内定し、通知をし、その応諾の返事を受けて採用の決定をいたします。そして今度は、それぞれの承継法人会社の中でその職員の配属を検討し、配属を決定され、そして今度は、それを受けて国鉄当局は配転の準備をしてまいりますけれども、配転計画を決定し、配転発令をし、お引っ越しを必要とする方もありましょう、あるいはお子さんの転校の手続を必要とする方もありましょう、あるいは御両親を老人ホーム等にお預けになっている、自分の任地の近くの老人ホームにかわっていけるかどうかを調べてもらうといったような必要もありましょう。そして、新たな職場における移行慣熟の期間を経て新会社スタートに結びつくわけであります。  ですから、今の御質問の部分は、まさに採用を各企業が、また研究所等々が決定をする段階で、清算事業団に移っていただく方は事実上確定はいたします。ですから、私どもはその時点で、ただ単に御本人のそれから先の人生を全く明らかにしないままに清算事業団にお移りをいただくのではなくて、あなたは例えばこの会社からの採用がありますよ、あるいは例えばこのお役所が採用しますよ、一括採用して、例えばそのかわり、あなたは六十三年から事実上採用されますから、その前の一年間はその職に応じた職業訓練を受けておいていただきたいといったようなことをしたい。そのためにもできるだけ多くの雇用機会を確保したい。お願いを申し上げているわけであります。
  25. 浅井美幸

    浅井委員 今、改革法第二十三条の「承継法人の職員」のところであなたはお述べになったと思います。この設立委員というのは一体だれが任命するのか。どういう機構といいますか、どういう組織、どういう人数、どのような人がこの設立委員になるのですか。  何か運輸省の中に設立委員会を設けて、各会社ごとに設立委員で今言われたようなそういう業務をやられる、それぞれの承継法人の職員の労働条件及び職員の採用の基準を提示して職員の募集を行う。この労働条件及び職員の採用の基準、これを私は今御質問をしたいと思うのです。どういう採用の基準をもってこれから新しくこの法案が成立した場合に承継法人がやられるのか、どういう基準を設けるのか、お伺いしたいわけです。
  26. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一点の、新会社についての設立委員、どのような考え方を持っているかという点につきましては、私どもはそれぞれの会社ごとに設立委員は任命することを考えております。そしてどのような方にお願いをするかということについては、過去の特殊会社の例等を参考にして今検討をいたしておりますが、例えば全国知事会から代表を送っていただく、あるいは分割された各地域の旅客会社でありますならば、その地域の経済界の代表にもお入りをいただくことになるでありましょう。そうした方々に学識経験者等も加わっていただくといったようなことを考えております。  また、その設立委員がどういう条件を決めるのかという点になりますと、これはまさにそれぞれの会社としてお決めをいただくことでありますから、その中身まで私どもが限定するわけにはまいりませんけれども、当然、例えば雇用条件、給与水準といったようなルールづくりをした上で、その中身についてはそれぞれの設立委員会に作業をお願いするということになろうと思います。
  27. 浅井美幸

    浅井委員 新しい会社でありますから、新会社が労働条件あるいは採用の基準を決めるべきであって、今私が答えられないという答弁でありますけれども、今国鉄職員は、この数カ月の間に自分は職を離れるのかどうなのか、どういうところへ行くのか、そういう基本条件というか採用の条件等を早く示してもらいたい、こういう強い要請もあるわけなんです。それで私は今ここでただしたわけでありますけれども、明確な基準が出てこない。これは、採用の基準についてはもう少しこれから今後の審議の中で明らかにしていただければと思うわけであります。  昨日総理が、この再就職の問題の中で、この離職者対策が国の方がまだいま一つ受け入れが進んでいない、こういう話でございますけれども、確かに私もそう思います。きょうは大臣、きのう以来余り運動もなさっていらっしゃいませんので、各省庁、受け入れの確信を一遍述べていただきましょうか。  まず、自治省は何人ぐらいこれから受け入れられるでしょうか。大体公的部門の中で国が受け入れを決めるのは、この審議中に決めなければいかぬということになっているはずなんです。いつまでに何人各省はこのいわゆる国鉄の離職者を受け入れられるか、順番に自治大臣からお答えいただけますか。
  28. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 自治省といたしましても、雇用対策につきまして地方自治体に協力を求めておりますが、十月六日現在で、総体の人員は一万一千五百名でございますが、そのうち九千六百名について見通しが立っております。  内訳を少し申し上げてみますと、東京都が千二百五十人、大阪府が四百五十人、愛知県が三百八十名、神奈川、新潟、それから埼玉の各県が三百名等でございまして、まだあと二千名足らず残っておりますけれども、受け入れの態勢は甚だ順調であると考えております。これらの方々が、昭和六十一年から六十五年の初頭に至る間に各地方公共団体に移られることになると思われます。
  29. 浅井美幸

    浅井委員 いや、私は、自治省が今まで働きかけてきたのではなくて、自治省自身、今私の手元の資料によれば、十月一日は四十人なんですよ。あなたの自治省だけなんですよ。
  30. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 大変残念でございますが、ただいままでのところ三十九名受け入れが決まっております。(浅井委員「これより少ない。問題」と呼ぶ)大変恐縮でございます。
  31. 浅井美幸

  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国税庁におきまして六百人の申し出をいたしております。
  33. 浅井美幸

    浅井委員 次……。
  34. 倉成正

    ○倉成国務大臣 外務省は、まことに申しわけございませんが、数は少ないのでありますけれども、本年度既に十六名国鉄職員を採用いたしております。六十二年度から六十五年度の当初までの採用については、その目標数を六十人から八十人に定めまして努力をいたしております。しかし、できるだけこの雇用情勢にかんがみまして採用するように努力したいと思います。  なお、特殊法人について申しますと、国際協力事業団あるいは国際交流基金に対しても、閣議決定の趣旨に基づいて最大限努力をいたしたい、そういう決意でございます。
  35. 浅井美幸

    浅井委員 防衛庁。
  36. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 六十一年九月一日現在で六十二名を受け入れております。それから、六十二年度から六十五年度当初の間に約四百名を受け入れたいということで、国鉄側に申し出ております。
  37. 浅井美幸

    浅井委員 労働大臣。
  38. 平井卓志

    ○平井国務大臣 お答えいたします。  労働省は雇用を預かる立場でございますので、六十一年度既に八十七名を採用いたしておりまして、今後さらに六百七十名を予定いたしております。合計で七百五十七名となりますが、残りの六百七十名につきましては、六十二年度から六十五年度の間でございますが、本年十月中にすべて採用を決定いたしたい。約二八%と相なります。以上であります。
  39. 浅井美幸

    浅井委員 国土庁はどうですか。
  40. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 私は国土庁長官と北海道開発庁長官沖縄開発庁長官、三つを兼ねております。それぞれ役所は各省庁から出ておりまして、国土庁はこの対象になる人員が少のうございまして、六十一年度で一名内定いたしております。沖縄開発庁は二名。北海道開発庁はまだ聞いておりませんが……(浅井委員「十一名です」と呼ぶ)ああ、そうですが。じゃ、そのとおりです。
  41. 浅井美幸

    浅井委員 では、経企庁。
  42. 近藤鉄雄

    ○近藤国務大臣 経済企画庁でございますが、実はことし一名を考えておりまして、来年何とか二名ぐらいはということで、今一生懸命考えておる状況でございます。
  43. 浅井美幸

    浅井委員 官房長官、官房長官のところは離職者は何人採用されますか。
  44. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 六十一年度分として九名でございます。
  45. 浅井美幸

    浅井委員 農林省は何名でしょうか。
  46. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 昭和六十一年度百十二名採用いたしております。
  47. 浅井美幸

    浅井委員 厚生省はどうでしょうか。
  48. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 お答えいたします。  厚生省は平均目標の一〇%に対して一八%の採用計画をいたしておりまして、六十三名の計画をいたしておりますが、本日までには三十五名採用をいたしております。
  49. 浅井美幸

    浅井委員 時間がないので、ほかの大臣の方、申しわけないのですけれども省略させていただきますが、国の採用で、大体いわゆる採用というのは新規採用の一四%以上、そういうふうに聞いておりますけれども、総理大臣、こういうふうな状況の中で、あなたも推進本部長ですか、改革の本部長としても、もう一遍各省庁に督励をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  50. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 厳しい折からでもございますし、また、一面において行革をやって人員削減を今進めているというところでもありますので、役所のなかなか難しい点もあるのではありますが、しかし、これは政府が率先してやるべき性格のものでございますから、先般一〇%以上というのを一四%以上というふうにも直しまして、六十二年以降からは政府はさらに力を入れるように今努力をしておるところでございます。御趣旨に沿いまして大いに督励いたしたいと思います。
  51. 浅井美幸

    浅井委員 少し時間が差し迫ってまいりましたので取り急ぎますけれども、では、いろいろと受け入れ部門の問題、鋭意努力をしていただくこととともに、これから新会社清算事業団に振り分けられるわけでありますけれども、聞くところによりますと、清算事業団に行った場合、清算事業団の二千五百名の職員の給与と、それから清算事業団に属しながらほかへ出向しておる人の職員の給与ベースと、それから清算事業団で新しい職場に行くために職業訓練等を重ねておる者とについてはまた違ったランク、すなわち、給与基準が一〇〇%、九〇%、八〇%という予算の仕組みになっていると聞きますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  52. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 清算事業団におきまして長期債務の償還等に従事をしてもらう職員、これは給与水準につきましては、従事する勤務の実態を踏まえて、また監理委員会の意見等をも踏まえてまいりますので、これは関係者間においての適切な給与水準が設定をされるものと考えております。  また、再雇用を待っていただく方々につきましては、これは今お話のありましたようなケースがございます。いつまでということではありません、その待機期間中、その生活の支障を来さないということは基本原則でありますから、その点まで私どもはマイナスを生じるような状況にはいたしておりません。  ですから、今御指摘のありましたように、教育訓練等に従事する職員につきましては、実務に従事をしておらないということ、その業務の実態を踏まえた検討という点から現国鉄並みの八〇%、また派遣、受託業務、再就職を必要とする職員の管理業務等に従事する者は、実務にも従事をしておりますけれども、同時に求職活動等を行い、三年間で退職する職員であるということもありますし、今後の検討が必要なことから、現国鉄並みの九〇%として積算をいたしております。  この理由というのは、教育訓練等に従事をいたします職員の給与につきましては、完全に実務に従事していない休職者の給与水準の六〇%、鉄道業務に従事する職員の給与水準の一〇〇%との中間値である八〇%という仮定をいたしまして、派遣業務等に従事する職員は、職業訓練等に従事する職員、教育訓練に従事する職員と鉄道業務に従事する職員のちょうど中間値という考え方をとったわけであります。
  53. 浅井美幸

    浅井委員 総理、お聞きしたいのですけれども、今大臣の答えたように、同じ人間が、いわゆる本人が望むと望まざるにかかわらず、そういう雇用がえを行われる。清算事業団に行った者は給与が今までの八〇%になるあるいは九〇%になる。こういう差別というか格差というか、こういうものをつけようというのが今の考え方なんです。  私は、雇用対策には温かく、離職者対策には温かくということをまず最初に申し上げましたけれども、今現実にそのような冷たい風が吹きそうになっているのが、これが今現実なんです。この六万一千人の中には、皆それぞれが家族を抱え、あるいはまた親しい友人やいろいろな友達から離れて、住みなれた土地を離れてやってこなければならない。子供の就学の問題だとかきめ細かい配慮だといいながら、そのように給与においても明らかに格差が出てくるというのは余り温かい施策とはいえないのじゃないですか。
  54. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これはそうした御指摘も私は否定はいたしません。しかし同時に、完全に清算事業団の中で本来業務に従事して事業の遂行のために働いている職員、そしていわば求職活動を行いつつ勤務をする職員、これが同等というのはやはり実はまた違った問題が出てまいります。ですから、私どもは何とか一括採用を各省にもまた民間その他にもお願いをして、清算事業団にいていただく期間を減らしてスタート時に移りかわりができるように今一生懸命に努めておりますのも、今のような御批判を受けないための努力と御理解をいただきたいと思います。
  55. 浅井美幸

    浅井委員 それは私と大臣と議論の分かれるところであります。私はもっと公平にやってもらいたいということをまた要望しておきたいと思います。  そこで、最後の質問でありますけれども、総理はきのう資産処分のことで、運輸省処分基本計画を策定する委員会あるいは払い下げの評価をする委員会、そして清算事業団には第三者機関の資産処分委員会をつくって、三段階で公正を保障したいとおっしゃいました。この清算事業団資産処分委員会をつくれというのは、私どもが先国会強く主張したところがこういうふうな形にあらわれてきたことは私は評価したいと思うのです。  ただ、運輸省処分の基本計画を策定する委員会の中身というのは一体何なのかお伺いしたいわけですけれども、私ども用地の利用ということについて昨日来、今の国鉄用地というのは今の日本における非常に代表的な貴重な土地でございますので、この土地をこれから払い下げるあるいはまた再処理をする、再利用する、いろいろなことにしても、これを利用するのに利用委員会というものを設けてはどうかという考え方を持っています。  公有地の活用については民間活力を生かしてという中曽根総理の主導で国有地等有効活用推進本部、金丸本部長でございますけれども、これが進められております。この本部が発表した国有地等の対象用地のうち、三大都市圏を中心とする国鉄用地は十件であったと思います。ところで、その対象地として汐留、新宿、梅田、錦糸町を初め、国鉄本社、東京八重洲北口と南口、品川東口などがありますが、汐留については東京都が買収の意向を示し、本社ビルについては東京都と建設省が計画の検討を行うなど、その利用、活用について百花斉放の感があります。  こういう状況の中でありますから、利用計画はぜひとも必要な問題であろうと私は思います。さきに払い下げられたあの国鉄の品川駅貨物跡地の場合は、何のプランもなしに民間売却された結果、地元の港区の公共住宅団地を核とした再開発計画が御破算になりました。こうしたことがあってはならないということから、いわゆる用地利用というものを真剣に考えなければならない。  今、この間から払い下げの土地の一覧表が発表になって、各地の自治体が目を皿にして都市計画再開発計画というものを考えておったのだけれども、これが大きな影響を受けないかというふうに心配もしております。用地、とりわけ大規模な用地の利用方法を検討するのはどの機関か、きのう述べられた運輸省処分の基本計画を策定する委員会なのか、払い下げの評価をするところの委員会なのか、お答えいただきたいわけであります。
  56. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに、御指摘のように、都市計画等の調整を今後必要とする場合は多々あろうかと思っております。私どもとしては、その第三者機関というものはまさに清算事業団に設置をされます資産処分審議会、これが地方公共団体の意見等も聞くことによって対応すべきものと考えております。  なお、その資産処分審議会の委員はどういう者から構成されるのかというお尋ねがありましたが、都市計画、不動産鑑定評価、鉄道事業関係法制等の分野に学識経験を有する方の中から、運輸大臣の認可を受けて清算事業団理事長が任命することとなります。ただし、例えば土地の売買等を業とする者であり、清算事業団と取引上密接な利害関係を有する者は法律委員となることはできないように仕組みとしてなっておりまして、ここで私どもは対応したい。
  57. 浅井美幸

    浅井委員 私が聞いておるのは、清算事業団というのは、いわゆるやるのは資産処分審議会であって、売るというものを、決まったものをどういう価格で売るということ、あるいは相手先がだれだということを決めるのであって、そうではなくて、その資産処分する前に、用地をどういうふうに利用した方が国民に対して一番効果のある用地利用になるのか、それを計画する。用地利用という大きな前提条件があって、そこでこれは払い下げましょうということが決まってから資産処分審議会になるのです。二つの構造にしないと、資産処分というのは資産の価格を決めるあるいは公正な取引という観点からあるのです。そうではなくて、その前に、前提に公正な利用をするための委員会を総理府の中につくれというのが私の考え方なんです。私ども公明党としては、この利用計画を検討する機関を総理府に審議機関として置き、関係省庁や学識者によって国民のための用地利用計画をつくるべきことを提案したい、こういうことを言っているわけです。総理大臣、いかがですか。
  58. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、確かに総理府の中に一つの審議会を設けるというお考えも成り立つとは思います。しかし、実態的にその国鉄の所有地を私ども長期債務の弁償のために売却をしていかなければならないという責任を持っておりまして、その取引が公正に行われ、適正に行われることは当然必要でありますし、私どもとしては考慮の対象として十分考えることでありますけれども、その上にいわば網をかぶせるような形で何らかの規制が加えられることは、長期債務償還のためにも決してプラスにならないと私は考えております。その場合、せっかくの御意見でありますが、屋上屋を重ねるということにならないか、率直にそういう感じを抱いております。
  59. 浅井美幸

    浅井委員 全然お話にならない。国鉄用地国民のものなんです。ただそれを売ればいいという考え方に立脚するか、これからの国家百年の大計、二十一世紀に向かってこの貴重な土地国民に還元されるような使われ方をすることが、本来のこの委員会審議の焦点でなければならないのです。ただ財源、これだけでこの用地売却に当たることになったならば、私は多くの国民が大きな不満を持つと思うわけであります。国民が納得するような売却、利用、これが両々相まってこの資産処分というものができるのではないかと私は思うわけです。だから、公明党としてはこの用地の利用を真剣に考えて、学識経験者やいろいろな角度から検討して、このような利用の仕方をしましょう、国土の開発のためにこうしましょう、町づくりのためにこうしましょうという意見をまず前提条件に置いてから処分したって、何ら悪くないと思います。私はおかしいと思いますよ。
  60. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 せっかくの御指摘でありますけれども、今実は私どもにはさまざまな角度からその土地の有効利用と称するお話が届いております。そして、地方自治体は地方自治体としてのお立場、あるいは民間の企業経営者は民間の企業経営者としての立場から、それぞれ実は長期にわたってのビジョンを描かれていろいろな利用のお話をいただいております。しかし、まさに長期債務国民に御負担を願う金額をどれだけ少なくできるかということは、私どもにとっては大問題であります。それだけに、適正な利用が図られるような状態を考慮するることは当然でありますけれども、これは私どもは現在御審議を願っております仕組みの中で対応できる、また、しなければならないと考えております。
  61. 細田吉藏

    細田委員長 浅井君、時間が参りました。
  62. 浅井美幸

    浅井委員 私は、何も土地を売るなとは言っておりません。最大の利用、最大の国民のために還元される利用というものを願って言っているわけでありまして、何も売るなということを言ったわけではございません。これだけを申し上げて私の質疑を終わります。委員長、ありがとうございました。
  63. 細田吉藏

    細田委員長 これにて浅井君の質疑は終了いたしました。  次に、関山信之君。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  64. 関山信之

    ○関山委員 嶋崎議員に続きまして、日本社会党の立場から国鉄一連の問題についてお尋ねをいたしますが、昨日来の議論を聞いておりまして、私自身いささかいら立ちを禁じ得ません。恐らくテレビを見ている国民の皆さんもいら立ちを感じているんじゃないかと思うのです。マスコミの方も、差別か選別じゃありませんが、私のこの時間はテレビの放映がないようでありますけれども、いずれにいたしましても、私は、百十四年の歴史を持つ国鉄の大きな転換期にあって国民の合意形成を図る、そのことが今この委員会に求められている最大の任務だろうと思いますが、端的に申し上げて私は六つあると思うのですね。  一つは、昨日来御議論があります赤字とは何なのか、国鉄が垂れ流してきたという赤字とは何なのか。二番目に、膨大な借金、この借金の中身とは一体何なのか。そして三番目に、そういう事態に追い込まれた原因は何なのか。そしてさらには、借金はいかに返済、始末をされていくべきなのか。そして、雇用は確保されるのか。しかもなお、国鉄の再生は今政府の分割民営化の方針で本当に大丈夫なのか。  この六つ、以上申し上げた六つの課題についてお互い共通の認識ができれば、これはまさにこの時期における国鉄改革という道が、大きなレールが敷かれることになると思うのですけれども、総理の役目は、政府の役目は、この委員会審議を通じて可能な限りその合意形成を図っていく、そのことのためにはあらゆる角度から資料も出し、あらゆる角度から今日までの国鉄経営の中身をガラス張りにしながら、国民の合意をつくっていくということでなければならないんだと思うのですけれども、総理はこの点についてはいかがでございましょうか。
  65. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 できるだけ資料提出し、かつ、合意の形成に努めるという点は同感でございます。
  66. 関山信之

    ○関山委員 そこで、いら立ちと申し上げておりますのは、私は少なくとも今六つ申し上げたうちの前提条件ですね、赤字とは何か、借金とは何か、原因はどこにあるのか。少なくとも前提となるこの三つぐらいは、それぞれ対案を持って私どもも臨んでおるわけでありますけれども、その認識ぐらいは合意ができるんじゃないかと思うんですね。今までの議論を聞いておりましても、私はその議論を聞いておりましても合意ができると思うのです。  例えば赤字の問題につきましても、昨日来嶋崎委員の御議論がありました。既に国鉄は一般営業損益でいえば黒字じゃないか。あるいは改善計画に従えばその目標を達成しているじゃないか。これは一つの事実ですよね。間違いのない事実だ。しかしその余の赤字を出している原因というのは、今日までの累積している借金に原因がある。  その借金の問題についても、これも例えば自民党の小里先生の質問なんかにもちょっと出ていますけれども、三十年前の年金負担などが長期債務等の中に含まれているとか、あるいは二十数兆円に上る長期債務、累積債務、これも五十九年の数字でいえば、既にことしの春の予算委員会で明らかにされておるわけでありますけれども、約二十二兆円に及ぶ長期債務、その中身は設備投資が十四兆円だ。そして運営資金の不足は七兆八千億だ。この設備投資の中身は新幹線ほか大都市圏の通勤需要に対応するための政策的な要請に基づいて重ねられてきた借金ですね。  そしてまた、この財源についても、日鉄法の第五条では政府の出資が義務づけられているにもかかわらず、なかなかそういうことができなかった。あるいは新幹線にいたしましても、整備法第十三条で資金についての助成その他の必要措置が法的に定められているにもかかわらず、それが残念ながらできなかったのですね。そういう事実というのはそれ自体を否定するわけにいかないんだと思うんですね。  ただそれだけではない。原因ということになると、総理何遍もおっしゃっているように、親方日の丸の赤字垂れ流しの体質がと、こうおっしゃるわけですね。私も、私はそれ自体を否定するものでもない。社会党だって否定はしていないと思うのですね、それ自体を。しかし、それだけではない。外部干渉、政治的なさまざまな国鉄に対する持ち込みが今日の破綻の状況を生み出した原因になっていることも否定できないじゃないか、こう言っているわけですね。  そうしますと、それぞれ何か違うことを言っているようだけれども、少なくともこの三つの問題については総理大臣も御否定なさるわけにはいかないんじゃないかと思うのです、これは極めて具体的な数字の問題でありますから。いかがでございましょうか。
  67. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 それらの問題に関しましては、国鉄再建監理委員会が分析をして、あの報告の中に書いてあります。政府はあれを尊重する、そういう立場をとっておりますので、大体監理委員会のリポートに書かれた分析を我々は受け取って、我々の考えも同感であるという立場でおるわけでございます。
  68. 関山信之

    ○関山委員 総理、監理委員会のレポートについて伺っているのじゃなくて、今申し上げている借金と赤字と原因の問題について三点申し上げているわけですから、そうお逃げにならずに、せめてその前段の前提条件ぐらい基本認識を一致させることが私は国鉄問題の議論を進めるために大事だと思うものですからお尋ねをいたしておるわけでありまして、お答えいただければと思います。
  69. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 総理とのやりとりの間に大変失礼でありますが、事実関係として一つだけ直していただきたいと思うのです。  東北及び上越の新幹線の出資をしていないとおっしゃいますが、出資はいたしております。ただ、私は数字が苦手で覚えておりませんので、必要でありましたら事務当局から御答弁をさせますが、東北、上越とも出資はいたしております。
  70. 関山信之

    ○関山委員 その手でいつでもすれ違うわけですよ。出資してないと私は言ってませんよ。(橋本国務大臣出資してないとおっしゃいました」と呼ぶ)要するに十分に必要な措置がとられていないという意味で、これは途中で打ち切られているのですね。そこで議論をする気もないのですけれども、計画中の総工事費の一五%の約一兆五千億の政府出資が予定されていた。しかし、この政府の出資は三年目の昭和五十年度で、総額三千七百八十億円で打ち切られているのですよ。つまり、そういうことがあったからそういう側面も否定できないじゃないですかということをなぜ御否定なさるのですか。
  71. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今正確にお話しをいただきましたので、それは打ち切られたかどうかは別として、その後出資がされていないということは事実でありますが、先ほどは出資がないとおっしゃいましたので、出資はありますと申し上げただけであります。
  72. 関山信之

    ○関山委員 つまり、その手の議論でこの大事な問題を議論していくことは不毛なんです。私は何も、まるっきり政府が銭を出していないとか——後藤田さん、後ろで笑っていらっしゃいますけれども、本当にそうでしょう。ですから、そういう議論のやり方というのは、いかにも数の上にあぐらをかいたなんてすぐ言われるのですよ。もう少しまじめに議論してほしい、運輸大臣だもの。僕らみたいなまだ二年生の未経験の者でも、その程度のことは承知して物を言っているのですから。どうですか、あなたは僕の間違いを指摘したのですが、それは間違ってないでしょう、つまり十分な手当てがしてなかったということは。
  73. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は別に御議論を申し上げているわけではありませんで、先ほど事実の認識を数字を挙げて確認をされましたから、その数字についてだけ補足を申し上げただけであります。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、その赤字というものについてどう考えるんだと言われれば、私は、御議論のような部分があったことも決して否定はいたしません。そうした要素があったことも否定はいたしません。しかし同時に、それにお答えをするとすれば、そうした事実を踏まえて、しかし事業経営というものを鉄道特性のある分野に特化することが十分できなかった、そして経営改善が適切に行われなかった、また、業務の運営の効率化が適切に行われず経費の縮減が不徹底であった、あるいは設備投資に伴う資本費負担が増加した、こうしたような理由もそれぞれにあると思います。そして私どもは、こうした問題が発生するその基本というものを、やはり公社制度というものの持つ一つの限界性、また、全国一元的運営という体制的なものの中で、モータリゼーションの進行等の経済社会の急速な変化に適切に対応し切れなかった、効率的な経営ができなかったということに基本的には要因があると私は考えております。
  74. 関山信之

    ○関山委員 私は、最初に申し上げましたように、国鉄再建の方途がいろいろあるにせよ、ここの委員会でできる限りの合意形成を図りたいという立場で、せめて前提ぐらいはと申し上げたのですが、どうも最初の私の願いはかなえられそうもないのですけれども、おっしゃっていること自体は共通だと思うのですね。どうですか、共通だとおっしゃれますか。
  75. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 やはり同じ問題を縦から見ました場合、横から見ました場合、左から見ました場合、右から見ました場合、言い方はさまざまになろうかと思います。
  76. 関山信之

    ○関山委員 もう少しまじめに答弁してもらえませんかね。それは詭弁というものだね。つまり、縦からも横からも眺めてみんな議論するんですから、そういう言い方でおっしゃるなら縦横じゃないでしょう。縦から見て、横から見て、共通じゃないですか、こう言っているのですよ。
  77. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、最初に私は、あなたの御指摘になったような事実も踏まえて、それは否定をいたしませんと申し上げております。ただ、それだけではありませんよと申し上げたわけでありまして、そこが縦か横かと申し上げた理由であります。
  78. 関山信之

    ○関山委員 それだけでないということは、私が最初から申し上げていることですから、この辺で空中戦をやっていてもしようがありませんから、どうぞひとつ私の申し上げている意図を御理解をいただいて、以下御答弁をいただきたいと思うのです。  先ほど申し上げましたように、いわば前段の三つの前提条件はそれなりに了解できるものとしながら、残された問題は、借金をいかに始末するかであり、雇用はどうするか、国鉄の再生は可能かということになるのですが、借金の始末についてはもう随分いろいろな議論が続いてきているのですけれども、今も公明党の浅井先生からもお話がありましたが、土地問題ですね。私も同じような観点になるのかもしれませんが、最初に国土庁の長官にお伺いをしたいのです。  きのう来ずっとお話を承っておりますと、運輸大臣はいかに高く売るかだけを強調なさる。それは、借金をともかく返すには高く売ればいいということになるのですが、しかし、果たしてそれだけでよいのかという議論はやはり残ります。とりわけ最近の土地騰貴の状況は、もう連日新聞などの報道に明らかなとおりでございますから、こういうことにかんがみまして、国土庁長官はどのようにこの問題についてお考えになっているのでしょうか。前国会予算委員会などの前大臣の答弁どもあるのですけれども、事態はさらに土地騰貴の問題については深刻な様相を示しておりますだけに、長官のお考えを伺っておきたいと存じます。
  79. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 国鉄用地売却につきましては、国民負担を軽減するという意味におきまして、その必要性は理解しておるところであります。  昨日もお答えいたしましたように、十月一日付で各都道府県で調査いたしました土地調査の結果を見ましても、全国的には地価は安定いたしております。しかし、東京を含む一部の都市で急激な高騰が見られるわけでありますが、これらの周辺における国有地の処分等につきましては、それが地価高騰の引き金にならないような方法というものを、各関係省庁と今鋭意検討をいたしておるところでございます。
  80. 関山信之

    ○関山委員 この国鉄土地処分の問題と関連をしてどのようにお考えになりますか。
  81. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 国鉄用地処分につきましては運輸大臣からもいろいろと述べられておるところでございまして、我々国土庁といたしましては、それらの土地売却につきまして、異常な高騰を招かないような方法というものについて、国鉄あるいは運輸省を含めまして、各関係省庁とこれから検討を進めていきたいと考えております。
  82. 関山信之

    ○関山委員 もう一点ですが、異常な高騰をもたらさないようにということは、できるだけ高くという橋本さんの御発想と矛盾しませんか。
  83. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 国鉄用地につきましては、いろいろの利用計画があるだろうと思いますし、また、一般競争入札ということを原則とするという運輸大臣の御答弁もございますが、それらの諸問題を、環境その他も含めまして関係省庁で、高騰の引き金にならないようにということで検討を進めておるということでございます。
  84. 関山信之

    ○関山委員 ぜひひとつお願いしたいと思うのです。  それにしても土地売却については、やはりただいまの浅井先生の御議論にもございましたが、関連事業への活用の方がさらに有利かもしれないとか、あるいは不当に安い売却になるおそれという場合も地方の場合なんかはないわけじゃありませんし、あるいは時価による公正な売却でも、将来の値上がり益を回収できないという、そういう問題の視点もありますし、今ほど来問題にしております優良地の売却により地価インフレを誘発するという側面だって、これは本当に心配だと思いますし、橋本大臣だってそういうことをお考えになっていらっしゃらないわけじゃないと思うのですが、その辺、総体的な立場での御判断というのはどうでしょうか。
  85. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、ある意味では私どもにとって大変つらい御質問を受けておりますが、確かに私の立場からすれば、最終的に国民に御負担を願わなければならない長期債務を少しでも減らすためには、その用地を少しでも高く処分したいというのは本音であります。しかし同時に、それが地価騰貴の原因と言われるような事態も、私どもとして全く考えないというわけにはまいりません。  ただ、ここで一つ私どもが政府部内でこの論議をいたしましたときに申しましたのは、現在、確かに例えば東京あるいは大阪等大都市部において地価の高騰は大変著しいものがありますが、これはほとんど新規の土地の供給がないということも非常に大きな原因になっておると思います。そうなりますと、特に大都市部において非常に大きく固まった国鉄用地というものがいわば民間の需要に対して放出をされることになれば、その需給のバランスが相当緩和するという意味では、総体的なバランスをとった地価の形成にも役立つのではないかという気持ちも持っておることは隠しません。  そして、これは私自身が存じておるわけではございませんけれども、臨調、そしてそれを受けた再建監理委員会、そしてその再建監理委員会の検討を経て出されました「意見」からこの法律をまとめるまでの間に、政府部内において、また運輸省の内部におきましても、国鉄におきましても、この用地処分という問題については随分さまざまな角度からの論議を交わしたと聞いております。そして、今お話しになりましたようなさまざまな、例えば信託制度の利用とか、そうしたことも検討されたと聞いております。その場合に、清算事業団債務の償還を行うのに十分な配当収入が期待できるかといったような点になりますと、なかなかこれという結論が出なかったように聞いております。  また、私が運輸大臣を拝命いたしました後に、ある知事さんから売却ではなくて借りたいという御陳情を受けた土地がございました。しかし、その自治体が考えられております借地料では到底債務を賄うのに足りる状況ではない。しかし、その債務を賄うに足りる状況であれば到底借地料が払えないといったような議論になり、平行線のまま終わってしまったようなケースもございまして、やはり私ども最終的には売却という手法に頼らざるを得ないであろうと今率直に考えております。これは内部の論議も含めまして検討いたしましたものをそのままお答えを申し上げるわけでありますが、私どもとしては、相当いろいろな考え方をしてみました。しかし、的確に例えば信託等々の手法でこの長期債務を償還し得る自信がなかったというのが事実でございます。
  86. 関山信之

    ○関山委員 幸い、今信託制度の問題についてお触れになっていらっしゃるものですから、私もそれなりに過去いろいろな経過を踏みながら御議論があったことは承知をいたしておりますけれども、確かにお話しのように、土地の大量の放出によって需給が緩むという側面も否定はできませんけれども、今起きている事態というのはどうもそういうことではない。特に大都市、東京でありますとか大阪でありますとか大都市中心の事態はそういう事態ではない。しかも、国土庁の調査では、そういう土地の騰貴は大都市だけのものであって地方へは波及せぬだろう、こう言っておったのが、数字はそうでなく動きつつある傾向を示している。あるいは、これだけの金余りの中でどこへ持っていってみようもない過剰流動性が発生しつつあるというようなことを考えれば、私は改めてこの時期、長期債務処理方法としても、全部が全部売るなと言っているわけじゃありません、ある特定の部分についてはもう一遍積極的に土地信託制度みたいなものを考える必要があるのではないか、こう思うのです。  私どもは、立場からすれば、本来土地はできるだけ手放さないで、公共的に利用しながらなお借金返しにという立場でございますけれども、しかし、そういう立場を強調するということとは別に、この時期何もかも売ればいいということにはやはりならないのではないか。私どもがそう言うと、どうも立場上ということになってしまうのかもしれませんが、鹿島建設の会長石川六郎さんの発言なども最近そういう御主張のようでありますし、あるいは三菱地所の中田乙一さんという方の小論などにも具体的に、むしろ競売による単純売却でなくて、場合に応じて貸し付けあるいは未利用容積の活用等の、それぞれの土地にふさわしい提供手法を積極的に取り入れていけばいいというような御指摘があったり、あるいは先般新聞で御承知のとおり、東京都では汐留など黒字運用も可能というような報道もなされておりますだけに、この際改めてこれを一定の部分に限って積極的な土地信託制度みたいなものを考えてはどうか。私どもも、今具体的にどういう団体でというところまであれしているわけではありませんけれども、しかし、国や清算事業団民間などによる第三セクターのきちっとした、国鉄の財産を守りながらなお長期の運用の中で債務返済に寄与し得る部分があるのではないか、こう判断をするものですから、改めて御提起を申し上げておきたいと思うのです。  何せ土地を売るにも十年、こうおっしゃるわけですね。十六兆七千億返すのに三十年と言っているのですから、今ぱっぱっと売ってぱっと返すというような仕掛けのものにはどっちにしたってならないのです。八年たてば黒字になると言っているのですから、都の試算は。本当かどうかは、これは十分な精査を必要とするでしょうけれども、いかがですか、もう一遍検討するぐらいのことは今おっしゃっていただいてもいいのではないかと思うのですが。
  87. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は率直に申しまして、検討するとまで申し上げ切る自信はございません。ただ、確かに私ども自体が、これから先清算事業団資産としての土地処分をしてまいります過程において、付加価値を高めるという努力も考えておるわけでありますから、そうした中で私どもは、よりよい道があれば、そうしたものに道をふさぐという必要ももちろんないと思います。  ただ、現実に今の時点で私どもは、実は債務償還を行うのに十分な配当収入が期待できるかという点について自信が持てないということを申し上げました。業者の方々から、いろいろな長年の商取引の御経験の中から出てきた御意見等もさまざま述べられておることは承知をいたしておりますし、また、地方自治体がそれぞれみずからの郷土の将来の青写真に向けての図面をかいておられることも承知はいたしておりますから、いずれにしても私どもは慎重な検討が必要なものだと考えており、その中で全く土地信託等を考慮しないとは申し上げません。今の時点においては自信が持てないテーマでありますだけに、その程度でお許しをいただきたいと思います。
  88. 関山信之

    ○関山委員 ぜひひとつ自信の持てるような御精査をいただきまして、こういう分野も御検討いただきたいと存じます。  次に、株式の問題ですが、これもいろいろな議論が重ねられてきておりまして、先ほども答弁がございましたが、先ほどの運輸大臣の御答弁の中でも大変微妙なんでありますけれども、実はことしの春の予算委員会で、我が党の多賀谷議員がこの問題について御質問を申し上げておるわけでございます。当時、三塚運輸大臣の時代でございますけれども、多賀谷先生の質問は、つまりその株式は全面的に放出してしまうのじゃないでしょうね、一定のコントロールをする程度のものは、政府はちゃんと株を持つのでしょうねということをこの中で確かめられておるわけですね。これに対して三塚運輸大臣の御答弁は、「最初全額政府持ちであります。それで、逐次事業の好転を待ち株を放出するという方針に相なっておるわけでございますが、ただいまの論議を踏まえまして法案提出時までに十二分にその辺のところも詰めてまいる、こういうことになろうかと思います。」こうなっているんですね。  そこで、先ほど来のやりとりを拝聴いたしておりますと、大臣はきつき、時期、比率を申し上げるのには会社の実績を見ないととおっしゃっているわけですね。そこで、比率ということは、つまり政府持ち株が何%になるのかということも念頭に置かれながらそういう御発言があるのだろう、この春の予算委員会でもそういう御発言がありますから、そこのところをなおひとつ確かめておきたいわけですね。これは法律でどうこう書いてあるわけじゃありません。したがって、これについてどうこうということになりますと難しい議論になるのかもしれませんが、しかし、私どもはやはりあくまでも、あくまでもというよりも、今の旅客会社やあるいは貨物会社分割の実態からして、やはり一定の責任を政府が持っていかなければならないような状況が当分続くだろうということになりますと、少なくともそのことについては一定の歯どめや物の考え方というものがこの時期に明らかにされておかなければならないのじゃないか。「逐次事業の好転を待ち」ということについては大変微妙な問題のようで、なかなかきちっとした御回答をいただけないままきょうまで来ておりますけれども、ですからいつまでとは聞きませんが、どういう判断基準でこの株の問題を扱うというぐらいなところは明らかにしておいていただきませんと、この後の議論がなかなかしにくいという側面もございますので、お聞かせをいただきたい。
  89. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 関山さん、よく御承知でお尋ねなんで大変答えにくいのでありますが、むしろ私どもとしては、放出の時期とか、あるいはまさに比率といったものについてここですぱっとお答えができる状態であれば、本当に一番幸せであります。ただ、現在本当にスタートをさせてみて、そしてどれだけの評価を国民からいただけるか、まだ私どもにはその確信が持てない状況の中でありますだけに、株式公開の時期あるいは比率等について、何とも今お答えをする自信がございません。  ただ、これはちょっと例示としては適当を欠くかもしれませんが、今日本航空が完全民営化をみずから望み、私どももその方針に従って政府の保有株式を将来処分しようと考えております。私どもも、国鉄の今回御審議を願って成立をした後の姿が完全な民営化を目指すものでありますだけに、最終の段階においては政府保有株式を残すつもりはございませんが、むしろ政府保有株式を残さずに済む状態にまで、一日も早くそれぞれの会社が到達をしてくれることを望みたい、基本的には最終の姿としては完全民営であり、全株を放出するという決意をいたしております。その日がむしろ早く来てくれればいいと祈るような思いでありますが、今率直に申し上げて、その時期をいつと申し上げるだけの自信を持っておりません。
  90. 関山信之

    ○関山委員 ですから、いつというふうに聞いても無理なんですが、しからば放出をする条件というのは、会社経営がどういう状況になったときのことを御想定なさるのでしょうか。  それから、監理委員会の答申を最大限尊重といえば、監理委員会は全部放出となっているのですけれども、しかし監理委員会の答申から政府の御方針をお決めになるその間には、さきの三塚大臣の答弁なり橋本大臣の御答弁にも、株式の保有についてはある中間的な判断が残るような御発言があるのですよ。比率というのはそういうことですし、前回のやりとりもそうなんですね。一応それはそれとして伺っておきましょう。しかし、三島基金を設けなければならないような会社を完全民営化するというのも、これは中身の議論はしませんが、そういうことというのは僕はやっぱりなじまぬと思うのですね。  いずれにしてもそういう状況で、ああこういう状況までは、この程度のものはきちっと持っているんだというようなお考えぐらいは示せないのですか。
  91. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 それがお示しできるだけの状況であれば、本当に私は何も隠すつもりはございません。ただ、今まさに御審議を願いながら、いつこれらの会社の設立の準備にかからせていただけるか、そしてその設立委員の方々がどうした会社としての御方針をお決めになるか等々が未定な状況でございます。そして私どもとしては、率直に申し上げて一日でも早く完全に政府保有株式放出し、民間の力の中で立っていける状態になることを本当に願いますけれども、御指摘のように三島基金を設ける必要等があるという事実も決して私は否定をいたしませんので、その時期等、今何とも私は確定ができません。  ただ、一遍で株式放出をするという状態にはならないだろうと思っております。そして、経営状況等を判断しながらある程度ずつ分割して民間にその株式放出することにはなろうと考えておりますが、先ほど各会社経営状態でばらばらに売るのか、それともそろえるのかという御質問がありましたが、それらも含めてこれからの推移の中で考えさせていただきたい、これは率直にお答えをさせていただきます。
  92. 関山信之

    ○関山委員 総理の分割民営化に対する大変な自信に満ちた御発言と大変対照的な、いわゆる分割・民営に対する不安が今御答弁があって、まことに妙な感じさえするのですが、これはしかし、いずれにしてもどこかで一定の考え方みたいなものはきちっとしていただかないと、まだ序の口でありますから、ひとつ早急に御検討いただくことをお願いをしておきたいと思います。  それから、次は利子の問題なんですが、これは大蔵大臣宮澤さん、ちょっと通告漏れだったかもしれませんけれども、考え方を聞かしていただけばいいのです。利子の問題については、国家が国民の金を、民間の金を借りているのに、利子の棚上げだとか利子のカットだとかというようなことは、政府の信用にかけてできないという御答弁が昨日来の議論の中でもあるのですが、しかしこれだけの異常事態の中で、こういう利子の問題というのは、各長期債務にかかる利子の問題なんですけれども、何らかの措置があっても、緊急異常事態の中ではやっぱり考えられてしかるべきじゃないのか。一部利子をまけろとか、あるいは利子を肩がわりをするとか、何かそういうことというのは考えられないことなんでしょうかね。
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはお言葉ではございますけれども民間に対しましてはもちろんでございますが、政府部内におきましてもやはりおのおのの会計が独立をしておるわけでございますので、それに対する利子を免除する、あるいは削減するということは、その会計それぞれの独立の計算に関係をいたすわけでございますので、なかなかやはり困難なことではないかと思います。
  94. 関山信之

    ○関山委員 国鉄の方に伺いますが、この利子の問題ですけれども、一体どこからどういうものを借りてどの程度の利率でということを資料として出せとお願いをしているのですが、個別企業の秘密だから出せないというようなことをおっしゃるわけですね。今、頭から、要するにこの手の話は乗れないんだということになってしまいますと、これは議論してもしようがないということになるかもしれませんが、少なくとも実態ぐらいは明らかにされるべきだと思うのですが、いかがですか。特に、民間借入金の分野について、借入金、鉄道債券の引き受け等、大きな数字で結構ですからおっしゃってください。
  95. 前田喜代治

    前田説明員 六十年度末の債務額でございますが、その中でどういうふうに各機関から借りているかということをちょっと御紹介申し上げたいと思いますが、まず六十年度末の債務残高は、債務整理勘定にございますものを含めますと二十三兆五千六百十億ございます。このうち大きいのは、債務整理勘定、特別勘定と言っておりますが、棚上げ勘定に約五兆三千億ございます。これは、借り先は運用部、それから一般会計でございます。  それから、一般勘定の方でございますが、長期の借入金という形で借りているのがございます。これが七兆五千億ございまして、その内訳は、借り先でございますが、運用部が六兆七千億、それから簡易保険局から借りておりますのは……(関山委員民間だけでいいです」と呼ぶ)民間でございますか、政府から借りているのは、まとめまして七兆五千億でございまして、民間の金融機関から借りておりますのは、借入金という形でございますのが五千八百五十一億でございまして、その内訳は、信託銀行から千九百三十一億、それから保険会社、これは生保、損保でございますが、保険会社から二千二百七十一億でございます。それから、その他農林系機関その他をまとめまして千六百四十九億でございます。その他は約十兆ございますが、鉄道債券でございまして、これはそれぞれ証券化いたしまして流通いたしておりますので、特段の借り先がどこかということは、保有者が不明でございますので、今のところどこが借りているかと申し上げかねます。  それから、民間借入金の内訳でございますけれども、先ほど信託銀行と申し上げましたが、これは信託銀行全社七行でございます。それから、生保、損保でございますが、これはそれぞれ生命保険会社二十一社、それから損害保険会社二十二社でございます。
  96. 関山信之

    ○関山委員 いずれにいたしましても借入金、それから鉄道債券もへ号、と号などという九・二%、九・一%といったような、低金利の時代にこういう債券がかなりな金額に上っているということになり、かつまた、引き受けがシンジケート団であったり金融機関であったりすれば、私は何らかのその辺の国鉄の側から、いよいよ困れば利子をまけてくれという話は民間では幾らでもあるのですよ、これから民間になろうというんだけれども、その辺は総裁、今までこの問題についてはそれなりの御努力はなかったのでしょうかね。対応はなかったのですか。
  97. 杉浦喬也

    杉浦説明員 お答えいたします。  国鉄の場合は一般の民間企業と異なりまして、財投あるいは鉄道債券というようなものを主体にいたしまして長期債務を借りておるわけでございます。そうした金額も大変膨大なものがございますし、全体の金融市場というような面で大蔵省等の御指導のもとに対策を講じておるところでございますので、今先生御指摘のような、金利が安いにこしたことはございませんが、なかなかそうした面での実行ができないという状況でございます。
  98. 関山信之

    ○関山委員 それは大蔵省の指導を受けてやっていることだから、国鉄としてはそういうことへの対応はできないという意味ですか。
  99. 杉浦喬也

    杉浦説明員 特に大蔵省からこうせい、ああせいというような指導のもとにということではなしに、全体の我々の金融のあり方といたしましてそうした行動がとれないというふうに私ども判断をいたしております。
  100. 関山信之

    ○関山委員 これはひとつ改めて委員会の席で資料請求をしておきますが、この民間借入先並びに鉄道債券の大口の引き受け先について、大口のというのはそれなりの御判断でいいと思いますけれども、少なくとも実態ぐらいは明らかにしてください。いかがですか。
  101. 杉浦喬也

    杉浦説明員 先ほど申し上げましたように、個別の金融機関別の引き受け額につきましては、企業の秘密等もございますので申し上げるわけにはまいりません。
  102. 関山信之

    ○関山委員 大蔵大臣、先ほどの御答弁をいただいておるのですが、私はこういう異常な事態と申し上げたのは、まさに国を挙げて今日の国鉄の危機をどうしょうかというとき、それは政府ももちろんでありますが、国民もそうでありますし、同時に企業だって、やはり痛みはみんなで分かち合わなければならぬという議論が絶えず出てきますよ。そして企業は、この間二十五兆円にも上る、全部とは言いませんよ、それなりに民間はこの鉄道の借金でそれなりの利益を上げてきた側面もあるわけですね。ここだけ別よという話にはならないんじゃないかと思うのですが、私は今具体的にどういう方法があるかわかりません。しかし、物の考え方として、そこだけは別だという理屈にはならないような気がするのですが、いかがでしょうか。もう一遍お尋ねしておきたい。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 物の考え方といたしまして、民間に対してそのような不測の損害を与えるわけにはまいりませんし、また政府の各会計に対しても、それは私は同じであろうと思います。  そこで、物の考え方といたしまして、過去においてそのような国鉄に対して、国がいわば納税者の負担においていろいろな財政的な援助をしてまいったことは、それはございます。しかし、それは最終的には納税者の負担になることを決心しなければできないことでございます。物の考え方といたしましてはそのようなことであり、しかも過去にそういうことをやってまいりました結果が必ずしも好ましいことにはなっていなかったということもございますので、物の考え方としては、私はやはりそういうふうに考えていくべきだと思います。
  104. 関山信之

    ○関山委員 押し問答してもしようがありませんから、後の議論にまた譲りたいと思います。  そこで、国民負担のあり方についてなお念を押しておきたいと存じますが、これも春の段階では、新税については考えないという御答弁が当時の竹下大蔵大臣からございますが、宮澤さん、大蔵大臣になられてもこの点は変更はございませんね。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これからの資産処分あるいは雇用状況等々見きわめまして、ある将来の段階で全体、歳入歳出を見ながらこの処理を考えなければならないわけでございます。それはかなり将来のことになると思いますけれども、ただいまそのために新税を考えるかとお尋ねであれば、そういうことを考えておりません。
  106. 関山信之

    ○関山委員 それから、概算要求についての御議論もありましたけれども、この段階で相変わらず漠然としているのですね。そこで、基本的には経過を見てというのはわかりますけれども、当面六十二年度に向けていわゆる補助金、これは八月十五日の日本経済新聞によりますと、補助金二千億をベースという閣議決定があるというような報道がございますが、来年度予算に向けての一番問題になっております補助金はこういうことを前提にして、さしあたりあとはみんな借入金でやっていく、こういうことになるのでしょうか。
  107. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今閣議決定云々というお話がありましたので、ちょっと事務方に確かめてみましたが、そういう閣議決定はございません。そして、私どもとしては補助金はできるだけ多い方がいいにこしたことはないわけでありますけれども、逆にその補助金額が今の時点で確定をいたしますと、反射的に今度は民間の借入金の額が決まってしまうという大変嫌みな中身を実は持っておりますために、年末の予算折衝の時点において決着ということで、未定要求をさせていただいたという次第であります。
  108. 関山信之

    ○関山委員 物の考え方、これは絶えず不確定要素があるものですから、その条件のもとではわからない、わからない、わからない、こういくわけですね。そうしますと、せめて考え方ぐらいはというふうに聞く以外にないのですよ。  そこで六十二年度の、新国鉄といいましょうか、再生国鉄スタートにおける政府の財政的な対応というのは、やはり一つの方向性を示すだろうというふうにも考えるものですから、そこのお考えをそれぞれ伺っておきたいわけです。運輸大臣の方のお立場は相変わらずなんですけれども大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げたことでございますけれども、これはいわば長期債務処理の第一年に当たるというふうに私どもは考えております。  そこで、今まさにおっしゃいましたように、資金計画としましては、補助金と財投からの借り入れと民間からの借り入れ、その三つの間に相関関係が当然出てまいりまして、その間のことを運輸省としてはお考えになって、年末までに補助金要求額も決めよう、こういうお考えであると思います。  私どもとしては、いわゆる資産処分あるいは雇用等々の状況を見ながらこの長期債務処理を将来してまいると申し上げましたその第一年に当たるものと考えまして、運輸省から要求が出てまいりました段階でこの補助金の額を決定をしてまいらなければならない、こう思っておるわけでございます。
  110. 関山信之

    ○関山委員 よくわかりませんが、押し問答をしていると時間だけがたちますので、先へ進みます。  借金をいかに返すかの問題の最後に一つ。承継法人の方に引き継ぐ債務の中身というのはどういうことになるのですか。これは具体的にどう処理されるのですか、林さんの方から。つまり、さっきのいろいろな借入金がどういうふうに……。
  111. 林淳司

    ○林政府委員 各承継法人に引き継ぐ債務の具体的内容につきましては、これは、例えば財投がどうであるとかあるいは鉄道債券がどうでありますとかということについては資料を御提出してございますから、そういうことで御了承願います。
  112. 関山信之

    ○関山委員 後で拝見します。どうもありがとうございました。  それでは次の、国鉄の再生に向けての問題について幾つかお尋ねをいたしておきたいと思いますが、時間がなくなっていますので、後の議論のためにお尋ねをいたしておるわけでありますから、ここでは余り議論はいたしませんので、ぜひ簡潔に、しかも中身をはっきりとひとつ御説明をいただきたいのです。  一つは、三島基金の性格というのは一体どういうものなのか。それからこれの原資は、これは事業団の会計の中でやりくりされるのでしょうけれども、これは三島基金の積み立て方、支払い方、私、説明を聞いていますからよくわかっています。わかっていますが、どうもどこまでいっても納得がいかぬのは、つまり、原資はきちっと特定をされなければならないのじゃないのかという気がするものですから、そこら辺のところのお考えを伺いたい。
  113. 林淳司

    ○林政府委員 三島基金の性格でございますけれども、これは今回の六分割によりまして各旅客会社がそれぞれ健全に経営していける、こういう条件をつくらなければならぬわけでございます。そこで、北海道、四国、九州の会社につきましては、第一の方法として、債務を全額免除するということでまず対応する。ところが、それでも営業損益で赤字が出ますので、その赤字を埋められるだけの基金をそれぞれ設定する、こういう考え方で基金が設定されるわけでございます。  そこで、この基金の原資でございますけれども、これについては特に特定しているわけではございませんで、あくまで国鉄が三島に対して、まずそういう債務負担する、それを承継法人である清算事業団に引き継ぐということで、あとは清算事業団の財源全体の中でこれを処理していくという考え方でございまして、特に財源を特定しているわけではございません。
  114. 関山信之

    ○関山委員 あくまでも三島の経営の安定のための基金である、手切れ金ではない、こうですね。  それから、貨物の方ですけれども、きのう黒字転換の理由はアボイダブルコストと人件費ということだ、こうなっているのですが、このアボイダブルコストの中身を聞かせてください。  それから、一緒に聞きます。そして、このアボイダブルコストはどのような手続を経て確定をされるのか。つまり、旅客会社貨物会社の分担の割合や配分はどういう手続を経て確定をされるのか。  そして三番目は、言うなればアボイダブルコストの運用というのは、今三島基金について伺いましたけれども性格的に言えば同じような役割を果たすということに現象的にはなるわけですね。いかがですか、その三つ。
  115. 林淳司

    ○林政府委員 貨物のいわゆるアボイダブルコスト、回避可能経費でございますが、これにつきましては、要するに旅客鉄道会社の施設を共用する部分があるわけでございます。それを共用して貨物輸送が行われるわけでございますが、その場合に、仮にその貨物輸送がなければ旅客鉄道会社においては発生をしない、そういうふうに考えられる経費、それがアボイダブルコストでございます。  具体的には、ではどういうのがあるかということになりますと、例えば客貨共用の線路、架線、信号設備等があるわけでありますが、それに関連しまして例えば修繕費が発生する。そのうち貨物列車の通過に見合って発生する分、例えばレールの更換でありますとか、あるいは電線路、トロリー線の張りかえでありますとか、あるいはその修繕一般の費用でありますとか、こういうものは要するに旅客と貨物の使用頻度、それに応じて分配するわけでございまして、これはアボイダブルである。  一方、客貨共用のトンネルの修繕費であるとか、あるいは客貨共用の線路や架線やトンネルの資本費でありますとか、これは利子とか減価償却費ですね、そういう資本費でありますとかそういうものは、貨物列車があろうがなかろうが発生する経費でございますので、それはアボイダブルではない。すなわち回避不能経費、このように仕分けをしておるわけでございます。  その考え方でございますけれども、今回の案では、貨物鉄道会社は旅客鉄道会社に対しまして、アボイダブルコストに若干のインセンティブを加えましてその使用料として支払うということになるわけでございますが、これは現在の鉄道貨物輸送の実態から見ますと十分経済合理性がある。要するに、旅客会社に費用を転嫁するのではなくて、現在の旅客と貨物の使用実態から見ますと、それは十分合理性がある費用の仕分けの仕方である、こういうふうに考えております。  その具体的な手続と申しますか、どういうふうに決めていくかということでありますが、これは結局、旅客会社貨物会社の使用料に関する協議を経まして、協定を両者で結んでいくという形でこれが決められていくというふうに考えております。
  116. 関山信之

    ○関山委員 その協議にかかわっては、林さん、法的な措置がかかわるという部分はありませんね。ありますか。
  117. 林淳司

    ○林政府委員 これは具体的には、今回御提案申し上げております鉄道事業法の中に運輸に関する協定というのがございます。その協定事項になろうかと思います。
  118. 関山信之

    ○関山委員 いずれにいたしましても、この協定の中身によって、しかも法で規定をされた約定がこの間の収支を左右するということになりますと、やはりきのう来の御議論のように、貨物の分離は非常に無理があって、余りはっきりしない部分でやりとりがされるという感じは否定できないわけですね。  きょうの議論には間に合いませんけれども、このアボイダブルコストの具体的な資料を、ひとつ人件費、物件費その他含めて数字を入れて御提出をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  119. 林淳司

    ○林政府委員 可能な限り御提出を申し上げたいと思います。  それから、ただいま先生から御指摘ございまして、私ちょっと今答弁を間違えました。運輸に関する協定ではなくて、鉄道事業法の中に鉄道線路の使用料、線路使用料についての規定がございまして、これについては運輸大臣の認可を経て線路使用料が決められる、こういうことで法的な手続はそこにあるわけでございます。
  120. 関山信之

    ○関山委員 協議そのものは法律的には制約がないということですか。
  121. 林淳司

    ○林政府委員 それはもう会社同士で協議をするわけでございますが、最終的にその使用料について大臣認可が必要でございます。その中で法的に担保されるということであります。
  122. 関山信之

    ○関山委員 それから、今、三島、貨物の今までの御議論を踏まえて、若干残った部分について確かめをしておいたわけでありますけれども、不安定な部分を一方で抱えながら将来国鉄がどう生き延びていくかという側面でいささか気になっている部分もありまして、それはリニアモーターカーの関係なんですね。  先般、運輸、建設、国土の三省庁が実用化へ合同調査委員会をつくったというような報道があるのですけれども、これは運輸大臣、今までいろいろな面で国鉄が他の輸送機関に追いまくられてきているのですが、いずれ遠くない将来に競合の関係に立つことも考えられるし、また国鉄のそれぞれのネットワークの中に組み込んでいければ、これまたある意味では国鉄再生のためのやはり大きなウエートにもなるのではないか、こう思うのですね。この問題に対する運輸省としての、この国鉄問題とのかかわりでどういう関連を持たせていこうとなさっていらっしゃるのか、一言伺っておきたい。
  123. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これはもう委員が御承知のように、現在リニアモーターカーにつきましては国鉄等において技術開発が進行しつつあります。そしてまた、それと並行して、本年度から三カ年計画で、国土庁の調整費により三省庁が共同で、リニアモーターカーの輸送特性や国土の構造、都市の構造、そしてそうしたものとあわせて総合交通体系に及ぼす影響等についての調査を行う計画にいたしております。これは私どもは一応今の国鉄改革の問題とは切り離して考えたいと考えております。  まさにリニアモーターカーは新しい軌道交通体系、機関として将来一定の役割を果たす可能性を多分に持つものであることは間違いありませんし、この調査そのものもそこに着目をするものでありますが、実用化までには今後さらに相当な技術開発が必要であるとも聞いておりますし、当面の国鉄改革の問題とは直接に関係はないものというふうに考えていきたいと思っております。現在、国鉄自身の開発を進めておりますリニアモーターカー、現在宮崎の実験線において実用化のための実験を行っておりまして、新たな実験線をつくるまでもなく、ここでの研究を推進するという体制にございます。
  124. 関山信之

    ○関山委員 直接関係ないと言いますけれども、そうじゃなしに、地元のことだからちょっと恐縮ですけれども、私は新潟ですけれども、直接の選挙区ではありませんが、新幹線へのアクセスとして、今上越地方から長岡駅へのリニアモーターカーの実験線の設置の要望なんか出ているのですよ。ですから、先のことといったって、もう具体的にはそういうものはどんどんはまり込んでくるわけですから、これは別というふうにおっしゃるのは、いささかこの時期いかがかと思うのですね。  私ども、今いかに国鉄をよみがえらせるか、こういうテーマで幾つかずっと伺っているわけですけれども、このリニアモーターカーはその一つの前向きの部分としてどういう施策が考えられているかということの一つとして姿勢を伺っているわけなんですけれども、これはやはり積極的に組み込んで検討していくぐらいなお立場がないといけないのじゃないでしょうか。
  125. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、研究推進という意味におきましては、むしろ国鉄の持っております現在の技術力を低下させないためにも研究所を独立させて維持していこうとしておるわけでありまして、その必要性を我々は決して否定するものではございません。  ただ、たまたま委員御郷土の話をされましたが、実は先日北海道に参りましたときにも、北海道の方々から、リニアモーターカーを我が地域へという実験線の誘致について大変積極的なお話も伺いました。ただ、これからの実用までには相当なテストを繰り返さなければならないと技術者たちが申しており、その技術者たちが宮崎の実験線でのテストでこれを行うと申しております以上、私どもはその実験というものを見守り、その中で出てきた実用化データというものを踏まえて将来を考えるという方が、私は正直な考え方ではなかろうかと思っております。
  126. 関山信之

    ○関山委員 ちょっとすれ違っているのかもしれませんけれども、私は、国鉄が本当に再生をしていくためには、もちろんまさに地域に密着をして、新しい国鉄の生き延びていく道を次々とつくっていかなければならぬということがあるわけですね。先ほど来土地の問題を議論いたしておりますのも、ただ売ればいいというものじゃない、ただ分ければいいというものじゃない、ただ民営化すればいいというものじゃないんでしょう。問題は、中身が問われておるわけですね。したがいまして、そういう点では、新しい技術や新しい方向への開発の努力というのは、やはり絶えず国鉄の再建というものを軸にしてしばらくは動かなければならないのじゃないか、そういう問題意識で伺っているわけなんですね。  ですから、仮に例えば上越から長岡までこういうものがつながりますと、それはもう上越新幹線の利用度というのも随分違ってくるわけですから、これは即座にいろいろな意味であすの国鉄の運営、経営にかかわってくるようなことでもあるのですね。ですから、研究機関としてというようなお立場はわかりますけれども、しかし、あなたの頭の中には絶えずそういう分野が、今総合交通体系まで議論しようとは思いませんけれども、さしあたり周辺にあるぐらいのことは絶えず組み込まれていなければだめなんじゃないでしょうかね。
  127. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから私は、実用になっておるものである、あるいは少なくとも実用テストまで行き得るものであれば、またお答えは違うかもしれません。しかし、現時点においてなお技術者としての良心にかけての実験を行いたい、そしてそれは宮崎の実験線において行うと技術者たちが申しております以上、それを踏み越えて実用化後の状況においての御論議までは、私は踏み越えられないと思うのです。その点は御理解を願わなければなりません。
  128. 関山信之

    ○関山委員 これはもうその宮崎の段階を越えているのですよ。橋本さんは国鉄問題でもう連日お忙しいものだから、そっちの話は余り聞いてないのじゃないかと思うんだ、運輸大臣になってから。三塚さん、そうだものな。まあいいでしょう。これはぜひそういう発想に立ってくれということにしておきましょう。  しかし、それと裏腹で、相変わらず親方日の丸というよりも、今本当に国鉄の職場へ行きますと大変な事態があるのですが、一方で、この間毎日新聞に報道されました資材の隠匿ですね。これは国鉄の方に伺わなきゃならないのだけれども、これは新聞で拝見していますから、これはこれでいいんですが、こういうのはあちこちにあるのじゃないですか。
  129. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生お尋ねの件につきましては、実は五十九年の秋ごろ、現場における資材の帳面とそれから実際の物品との間にいろいろ乖離があるのではないかということで、大変な調査を実施したわけでございます。五十九年の秋、それから六十年の春、六十年の秋、そういった三回にわたりまして、現場の実態と帳簿上のものとの精査をいたしまして、一応全部整理をしたわけでございます。それの仕上げの意味におきまして、六十一年の春から夏にかけまして、現場にさらに最終仕上げの監査に入ったわけでございますが、その監査の席上、たまたまそれまでの調査で調査漏れのものがごくわずかあったということで、その監査に対応するために現場職員がそれらを一部埋設をしたというまことに遺憾な事態でございます。  全国的にどうかというお尋ねでございますが、既に五十九年秋以降、六十一年の春から夏にかけまして、全体にわたりまして整理をいたしまして、正式に売却するものは売却をする、転用するものは転用するという形に整理をいたしておりますので、ほとんど一部の例外であるとお考えいただければ結構だというふうに考えております。
  130. 関山信之

    ○関山委員 もう少しはっきり言ってください。一部のじゃなくて、具体的に何件ぐらい挙がっていますか、その件数。
  131. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 長野で新聞報道にありましたもの以外につきましては、東京周辺におきまして二件程度の問題があるのではないかというふうに考えております。
  132. 関山信之

    ○関山委員 総裁、この期に及んでこういう事態が発生するということについては、あなた一言コメントなければ済まないんじゃないでしょうかね。
  133. 杉浦喬也

    杉浦説明員 この重大な時期でございます。国鉄全職員が改革に向かいまして一生懸命やっている中に、こうした、何といいますか、監査を逃れるというようなことのための、いじましいといいますか、極めて好ましくないそうした行為が行われたということは、私といたしましてまことに遺憾でございます。今後こういうようなことが絶対起こらぬように厳重に現場を督励したいと思います。
  134. 関山信之

    ○関山委員 いろいろとこの手の問題について問題があるようですから、これはまた別の機会に質問をすることがあるかもしれませんけれども、これはまあこれで一応置いておきます。  そこで、この問題の最後に、分割の問題について、国鉄は六十年の春に分割のデメリットという資料をおつくりになっていらっしゃるのです。社会党案は、総理大臣に言わせると、親方日の丸の垂れ流しと、こう十把一からげで切り捨てられているのですが、しかし、その割じゃないのですね。基本的な違いは分割・民営と雇用の問題と、そして株式の保有の問題なんですね。しかし、この分割・民営だって、ある意味で言えば、分権か分割かという議論をすれば、かなりいろいろな違いが狭まってくる部分もある。ですから、問題はやはり分割について明らかにしなきやならないのですが、その資料をお出しいただけませんか。
  135. 杉浦喬也

    杉浦説明員 昨年私が総裁になる前の問題でございます。国鉄の内部におきまして分割論に対するいわばメリット・デメリット論ということで、両方にわたって検討が行われたというふうに聞いております。  ただ、その中身の詳細についてのファイルといいますか冊子といいますか、最終的な結論になったものを今私ども見ておりませんので、それらをお出しするというわけにはまいりません。ただ、事実はありましたということを申し上げます。
  136. 関山信之

    ○関山委員 あったんなら出してください。総裁、これは自民党の交通部会に配られた資料だというふうに私どもは伺っておるのですね。松田さんはともかく同僚だけれども、差別、選別は困る。松田さんがもらって僕はもらえないという話は……。これは出してください。  これはやはりこういうものをきちっと出していただきまして——監理委員会は確かに答申の中では、分割のデメリットはこうして乗り越えられるというのが若干コメントついていますよ。しかし、そんなものでは済まないわけだし、しかも六十年の春にこういうものをつくっておいて、そしてわずかあっという間にそれがひっくり返るのですね。日本でもすばらしいと言われている国鉄の首脳陣、技術陣が、分割のデメリットはこういうものがありますよといって時間をかけてつくった資料を、こういうものはやはりすんなり出していただいて、この機関を通じてそれはきちっと議論して、越えられるものなら越えられるということがはっきりすれば、これまた僕らも政府の分割に賛成することだってあり得るわけですね。そこは議論をしなきゃだめですから、それはやはり資料を出してください。  あることは、国鉄総裁、今そごでお認めになったんだ。私は、それは自民党の交通部会に配られたかどうかというのはこれは仄聞ですから、別にそこにこだわって言うわけじゃありませんが、そう言われている。あるということは認めているわけだから、これは出してください。一番私どもと最大の争点なんだから、これは出てこないと議論できない。
  137. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今あると申し上げましたのは、そういうデメリット論、メリット論を行ったという事実はありますというふうに申し上げたわけで、まとまった資料は私は見ておりません。
  138. 細田吉藏

    細田委員長 関山君に申し上げます。ただいまの資料の件については後刻理事会において協議をいたします。
  139. 関山信之

    ○関山委員 そうなんですね。何でもかんでも理事会もいいんですけれども、しかし、きのう私あらかじめ資料請求もしているのです。あるけれども出せないということも、あらかじめそういう雰囲気だということも承知をしながら、公の場でやはり要求をしなきゃだめかな、こう思っておるわけで、私は持っているのです。しかし、これは正式のものじゃないんですよ。正式に出してほしいのですよ。そうでないとこの議論になりませんからね。いかがですか、もう一遍。
  140. 細田吉藏

    細田委員長 関山君に申し上げます。あなたの本委員会における発言を踏まえて理事会で協議をいたしますと、かように委員長が申しておるわけでございます。
  141. 関山信之

    ○関山委員 わかりました。当時の運輸大臣がおっしゃっているのですから、委員長にお任せをいたします。これはぜひ出してください。  というようなことを言っているうちに時間がなくなってしまいまして、一番大事な雇用問題について議論をする時間がもう何分もないのですが、これも一つ資料の問題なんですよ。  林さん、きのう雇用の問題の一番基本になります要員算定の根拠についていろいろ議論を重ねられてきたが、きのうの御答弁、新しい答弁なんですね、今までの議論の経過を見てみますと。つまり、どういうことかと言えば、今までの要員の算定の根拠は、監理委員会の回帰方式によって算定された十八万幾らでしたか。しかし、きのうの御答弁では、改めて国鉄が積み上げ方式によって数を確定をしました、こういうことですね。もう一度念を押しておきたいのですが、監理委員会の回帰方式そのものについての当否についてはどうお考えになっているんですか。最終的な数字は、きのうの御答弁のとおり積み上げ方式によって決まった、こういうことですね。その積み上げたというのは、一体、中身はどういうことなんですか。きのう、線区別で出せる、出せないまま終わっているのですね。しかし、積み上げると言う以上は、積み上げた具体的な材料があるはずです。それは線区別であろうと業態別であろうと局別であろうと、あるはずです。これはしっかり出してくださいませんか。これはこれから先の議論のためにどうしてもなきゃだめなんだ。
  142. 林淳司

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  監理委員会は、昨日御答弁申し上げましたとおり、これは私鉄に準拠しまして回帰式をつくりました。その回帰式によって各線区別の要員数を計算をした、これは相当綿密な計算をいたしております。その結果が十八万三千人という数字になったわけでございます。  それから、昨日申し上げましたように、この監理委員会の答申を受けまして、政府といたしましては、これを検証する意味で各現場において具体的な積み上げをした。これは系統別でございます。電気とか施設とか運転とか、こういう系統別に積み上げ計算をしたわけでございます。それで要員を最終的に積み上げたということでありまして、その結果が監理委員会の適正要員数にほぼ近い数字が出たということで、両者を判断いたしまして、その辺、監理委員会の十八万三千というところが適正な要員数であろうというふうに判断をしておるということでございます。  そこで、資料といたしましては、系統別、会社別の要員数については既に御提出を申し上げております。なお、これについて何らかの御指示があれば、また検討させていただきたいと思います。
  143. 関山信之

    ○関山委員 系統別のやつは資料として出ているということだそうで、何しろ委員会始まってからどこどこどこどこたくさん資料を持ってこられたって、読んでいる暇もないんだよね、本当、正直話。ですから、そういう行き違いがあったことはお許しをいただきたいと思いますが、しかし、線区別の資料も、これは当然出てくるはずですから、ひとつ具体的にお出しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  144. 林淳司

    ○林政府委員 その辺の資料の御提出については、委員会の方の御指示に従って御提出を申し上げたいと思います。
  145. 関山信之

    ○関山委員 線区別全部は無理だということでありますから、幹線の重立った線区別は数字が出る、そういう御判断もあるやに承っておりますけれども、その程度の数字は出していただけますね。
  146. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、系統別に現場で積み上げ計算をしたわけでございまして、したがって、例えば運転区あたりをとりますと、複数線区を担当する運転士がその中に含まれておるというようなことで、これを線区に分解するのは非常に難しいわけでございます。したがって、その辺のところも踏まえて、具体的には委員会の方の御指示に従って対処をしたいというふうに考えております。
  147. 関山信之

    ○関山委員 この議論は、いずれ専門の担当の方で議論をさせていただきます。  雇用の問題、いろいろありますが、なお伺っておきたいのは、運輸大臣の今までの御答弁の中にも出ている部分ではあるのですが、確認をしておきたいのですけれども、国等公的部門の一括採用の問題です。これについては、不確かな部分もあるのかもしれませんが、あなた御自身としては一括採用の方針でいきたいということなのかどうか。もしくはその見通しが立っているのかということを改めてお尋ねをしておきたいと思います。  それから、もう一つ一緒にお尋ねいたしますが、関連事業の問題なんですね。これも細かく議論をしているいとまがないのですが、基本的に言えば、やはり玉突き現象が一番心配をされておるところでありまして、これは当然当該の関連企業の労使間協議というものを大事にしてもらわなければ困ると思うのですが、この辺に対しての対応を伺っておきたいと思います。
  148. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 順序をひっくり返してお答えをいたしますが、関連企業で二万一千人の採用を国鉄当局がお願いをしておりますけれども、その中において今御心配をいただくような現象が起きておるという報告は受けておりませんけれども、確かに御注意のような点は問題が起こり得る可能性はありますし、それは当該労使間の協議問題であろうと思います。  それから国の雇用部分につきまして、私は一括採用をぜひ関係各省庁にお願いをしたいと考えておりますし、それがまた職員の方々にとっても不安を解消する一助にもなろう、こう考えておりますので、この後もそうした方針で努力をしたいと考えております。
  149. 関山信之

    ○関山委員 時間がなくなりましたので、最後に総理にお伺いをいたしたいと存じますが、雇用の問題あるいは労使関係の現状など大変深刻なものがあるわけですけれども、一つは、やはり最終的にどういう処遇を受けるかという問題もございます。しかし、今現実には差別への動揺だとか選別への不安だとかというようなものが、ある意味ではまた大変に深刻な問題としてあるわけでございまして、繰り返し、そういう問題は起こさない、起きていない、こうおっしゃっているわけでありますけれども、私は、この間ますますそういう事態が国鉄並びに国鉄をめぐる関連事業等も含めていろいろな問題を発生させていくおそれがありますだけに、くれぐれもそういう問題が円満に決まりがついていくことを心からお願いを申し上げたいと思うのです。  先ほど申し上げましたように、社会党の立場と政府の立場と違っているのは、分割の問題と、会社株式の保有形態と、そして雇用の問題と、大別すればこの三つに絞られるというふうにも思うのですが、もちろんそれだけじゃありません。それから派生するいろいろな問題がありますけれども、それにしても、雇用の問題をいかにソフトランディングさせるかということは、いろいろな御配慮はやられていらっしゃることは十分承知ですが、五十九年三万人、六十年一万九千人、六十一年一万八千九百人、既にこの三年間で七万人の方が国鉄を退職をされているのですね。こういう状況だからということはあるにしても、これは三年間で雇用の問題に決まりをつけるというなら、今の状態のままで、いわば雇用をソフトランディングさせる方法だっていろいろな議論の中から出てきてしかるべきじゃないかとさえ思うのですが、そんなことも含めて、最後に総理の雇用問題の現状等についての御認識を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今回の国鉄改革の中で一番重要な問題は、この雇用問題の処理、それから長期債務処理、これに関係する財産処分の問題、こういうような問題がやはり最も重要な問題であると心得ております。そういう意味におきましても、内閣全体を挙げてこの雇用問題には対処しようというので、かなり早い時期からもう既にその対策をやって、今まで御報告申し上げたような政策を進めておるわけでございます。  現在の状況を見ますと、おっしゃいますように、一体自分はどの会社に行くのかと、あるいは行った場合にどうなるんだろうかと、人々によってみんな大きな不安を抱いていらっしゃる方が多いと思います。それらの人々に対しましても、政府は誠心誠意万全の手当てをいたしまして、心配かけないように努力してまいりたいと思う次第でございます。
  151. 細田吉藏

    細田委員長 これにて関山君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  152. 細田吉藏

    細田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。
  153. 河村勝

    ○河村委員 我々民社党は、御承知のように、終始一貫して今回の国鉄の民営・分割による改革の方針を基本的に支持をして、推進を図ってまいりました。それは今も変わっておりません。しかし、民営・分割というのは非常に大きな問題でございまして、その中には多くの問題を含んでおります。基本的に、国鉄再建のためには莫大な長期債務、この相当大きな部分を国の負担国民負担によって処理をしなければならない。でありますから、国民の皆様方に納得をしていただくためには、国鉄の財政の崩壊は必ずしも国鉄だけの責任ではありませんけれども、しかし、国鉄自身も徹底した合理化をやること、それと同時に、これまでの親方日の丸的な体質を改めて、一種の意識革命をやって、そして将来民営によって立派に仕事をやって、国民の負託にこたえるというための一つのあかしを立てなければならない。それにはやはり分割という大きな手術に耐えていかなければならない、そう思って我々は賛成をしているわけであります。  しかし、国鉄は御承知のように、百余年にわたる栄光ある歴史を持っているものでありますから、この国鉄がその歴史を閉じて新しく分割された会社としてスタートをするのですから、その会社、新しい事業体というものは、今までのような政府の支配、介入を受けないようにして、そして経営的にも自立可能になって、そこで働く労使が今度こそ一生懸命に働けば明るい未来が開ける、そういう条件をつくるのがこの改革の目的でもあるわけであります。  そういう見地から見ますると、この法案の中身には幾つかの問題点がございます。この前、選挙前の本会議のときに質問の中でも明らかにいたしましたけれども、これから問題点を申し上げますが、総理大臣は、これまでの答弁の中で、今度の改革のこの法案は現在考え得る最善の策だと考えているとおっしゃいました。それは政府の当事者として当然おっしゃるでありましょうけれども、しかし、この審議の中で私が申し上げますことに納得をしていただけるならば、そうした政府の立場を離れて、もし手直しすべき部分がありとお考えになったら、ぜひともそれに率直に対応をしていただきたい。  我々は、とにかくこの法案を今国会中に成立をさして、来年の四月一日には新しい事業体がスタートできるようにしたいと考えてやっております。ですから、我々の主張を駆け引きの道具に使うことはやりませんし、できません。ですから、私が今要求していることはいわば二律背反みたいなもので、何も駆け引きをやらないで、ただ本当に審議の中で、意見交換の中で一致点を見出していきたい、そういう考えでありますから、ぜひとも私の話もよくお聞きをいただいて、そして応ずべきものは応ずるという態度で臨んでいただきたい。それを冒頭にお願いをし、かつお尋ねをいたします。総理大臣の御回答をお願いします。
  154. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 民社党のお考えは私はつとに承知しておりまして、私も非常に高く評価しておるところでございます。今回の審議に当たりまして皆様方からいろいろ御指摘された諸問題等について、我々が合理的であり立派な考え方である、そういう点がもしありますれば、与党とも相談をいたしまして、これを虚心坦懐に検討するにやぶさかでございません。
  155. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣、いかがです。
  156. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもは一応最善と信じて国会法案提出をいたしました。しかし、国会の御審議の中におきまして国会の御意見がまとまりました場合、それに従うことは当然であり、総理の御答弁とほぼ同様でございます。
  157. 河村勝

    ○河村委員 それではこれから具体的な質問に入りますが、問題点に入る前に、長期債務の問題と要員対策の話をお尋ねをいたします。  何しろ国鉄再建の前提には長期債務の大きな部分の棚上げというのが絶対条件で、これがなければどんなに新しい会社をつくっても絶対に成り立たないわけですから、これが確実に行われるということが前提条件になるわけです。  私は、今までの国鉄の財政崩壊の経過をずっと見ておりまして、それにはいろいろな原因がありますけれども、その一つの大きな原因として、これは財政当局の責任が相当大きい。なぜならば、昭和四十六年、初めて償却前赤字を国鉄が計上して以来、毎年の赤字を補うのに、一般会計からの支出を避けて借金によって穴埋めをしてきた。金を貸してその利子だけを補給する、ある場合には利子まで貸して孫利子を払うというようなことで、とにかく直接一般会計の支出を避けてきましたから、国の財政が何とかかんとか持ちこたえてきた。逆に言えば、それがために大改革の時期をおくらした。  もし一般会計で赤字を補てんしておれば、もう十年も前に、もうこれ以上は出せないという限界が来たはずなんですね。その場合に、もうこれ以上国からは赤字の穴埋めはできないから国鉄自身でこれだけの改革をやれ、国の支払い得る限度はこれだけだということをはっきり言えたはずなんですね。そうすれば、もっと早くこういう大手術、大改革の時期が来て、したがって、そのときにはこんな大きな余剰人員も抱えることもなかったであろうし、同時に、長期債務もこれほどに累積しないで済んだはずです。そういう経過があることを大蔵大臣はお認めになりますか。
  158. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過ぎ去ったことでありますけれども国鉄側には国鉄側の御主張があり、財政当局には財政当局の考え方があったのであろうと思います。そのときまで独立採算ということが可能であったわけでございますから、なお独立採算ということをお願いをしたい、それで行けるのではないかという財政当局の立場が恐らくありまして、したがいまして、最小限のことでそれをお助けしていこう、こう考えたのではあるまいか。過ぎ去ったことでありますけれども、立場の相違はあったろうと思います。
  159. 河村勝

    ○河村委員 立場の相違はあったでしょう。別段悪意であったとは思いませんけれども、結果的にそうなってきたわけです。ですから、過ぎ去ったことを言うのではなくて、国の負担に帰せられるもの、一応今の段階で十六兆、十七兆近いもの、さっき昼ごろ、売却すべき土地の評価の試算が新しく出てきまして、それを計算に入れれば一兆円ぐらい減るような勘定に相なりますが、しかし、いずれにせよこれからこの長期債務処理するに当たって、結局清算事業団の持っている債務を償還しながら、債務以外のいろいろな事柄を消化していかなければならない。その場合に同じ手法を用いたら、また一般会計の支出を避けて、借金で借金あるいは借金に類するものを償還したり充てて、それでやっていきますと、一般会計の支出は減るけれども、また問題を先送りするようになるのですね。  ですから、私はこの際、もう一遍同じことを繰り返さないために、非常に財政の苦しい中ですから大変だとは思うけれども、しかし、一般会計から出すべきものは出していくべきだ。もうこれ以上長期債務が累積することはないのですから、ここでもって一応一区切りがついたわけですから、どんなことがあってもこれ以上はふえないというけじめはつくわけですから、今度はもう一遍借金で借金の穴埋めをするというような方式はやめるべきだと私は思いますが、大蔵大臣はいかが考えますか。
  160. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過去において国鉄が累積赤字を出しましたのは、鉄道事業経営することから主として生じたわけですが、清算事業団についてはそういう問題はもはやないわけでございますから、そういう意味では過去の場合とケースが違う。鉄道事業経営するがためにさらに清算事業団の赤字が累増していくことはないということになるはずであると私は思います。したがいまして、清算事業団が清算をしていきますときに、やはりまず持っておられる資産土地等々の処分、それから雇用状況の進展等々見きわめました上で、当時の歳入歳出を考えながらどれだけの国の負担をしていくべきかということを決めてまいらなければならないと思います。その間、確かに借金が借金を生むといったようなことは、できますならばなるべくそういうことになりませんように、先々のことでありますが考えていかなければなりませんが、財政の事情等々も勘案いたしましてそれは決めていかるべきことだろうと思います。
  161. 河村勝

    ○河村委員 長期債務の枠の中に「年金負担等」というのがございます。これが五兆円計上してあります。これは本来債務というべきものではないですね。毎年定例的に支払うべきものです。これを債務に計上しているのは一体どういうわけですか。
  162. 林淳司

    ○林政府委員 追加費用は、これは先生御承知のとおり、昭和三十一年以前の給付に対する支払い額でございますので、今後数十年まだ給付が続いていくわけでございます。ただ、今回の再建対策におきましては、六十二年の当初と申しますか、六十二年の三月三十一日の時点での顕在化した長期債務のほかに、将来の負担にかかわるものについてもその時点で債務換算をいたしまして、そしてその額を確定し、これをどう処理するかということを検討したわけでございます。そういう意味で、追加費用については将来発生する給付のいわば年金現価と申しますか、それを来年の三月三十一日時点で債務に換算した額ということで御理解をいただきたいと思います。
  163. 河村勝

    ○河村委員 年金負担、具体的に言えばいわゆる追加費用、過去の恩給期間の掛金不足を補う費用、今までは国鉄で払っていたものを来年からは清算事業団が払う。それに公経済負担、これは一般にすべての年金で国が払うもの。これは当然国が毎年支払うようになると思いますが、両方合わせて四千億ぐらい毎年払わなければならない。大蔵省としては不本意であろうけれども、そういう結末になっているわけですから、払うべき義務があるわけですね。ですから、これは当然、さっき申し上げたような資金繰りのためのやり方ではなくて、毎年四千億程度のものを一般会計から支払っていく、そういうことでないと、また借金が借金を生むということになって、固定しているはずの長期債務がまたふえるということに相なるわけです。大蔵大臣、どう考えますかっ
  164. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは先ほど申し上げました長期債務処理方針を繰り返して申し上げるようなことになりますが、清算事業団としては、資産処分等々でやはり相当の収入の努力の余地が少なからずあるわけでございますから、今の問題も含めまして、それは長期債務をどういう時期にどのような処理をするかということの一環ではないかと考えます。
  165. 河村勝

    ○河村委員 全く問題を回避した御答弁で、議論にならないのですが、清算事業団の六十二年度の収支、きのう運輸大臣が説明をされましたが、遠くの方だったものではっきり聞き取れなかったのです。もう一遍ちょっと言っていただけますか。特に支出に全然触れなかったようですが、一体どうなっておるのですか。
  166. 林淳司

    ○林政府委員 御説明申し上げます。  来年度の清算事業団に対する財政措置ということで概算要求いたしております数字でございますが、清算事業団関係では、来年度支出項目としまして、いわゆる長期債務の償還、利子が一兆五千九百六十八億でございます。それから雇用対策費が三千七百二十九億。それから年金等の負担金が五千九百五十五億、この中に追加費用等が入っているわけでございます。それから売却用地の基盤整備費が四百九十六億であります。それから特定地方交通線の転換促進費、これは今後、特定地方交通線を来年の四月以降二年半ないし三年の間に結論を出すわけでありますが、来年の四月以降はこの転換促進費は清算事業団から支出するわけでありまして、これが二百四十一億。それから市町村納付金その他の管理費等が千九百十四億ということでありまして、支出全体で二兆八千三百三億であります。  それから収入の方でございますが、これは新幹線鉄道保有機構からの収入が二千三百二十六億。それから土地売却収入が三千億。それから雑収入が六百四十三億。それから特定地方交通線の交付金、これは一般会計からの交付金を概算要求しておりますけれども二百四十一億。合計いたしまして、いわゆる自主財源が六千二百十億であります。したがいまして、この二兆八千三百三億と六千二百十億の差額がいわば不足額でございます。そこで、補助金は現段階ではまだ未定の要求。それから財投が一兆五百億プラスアルファという要求。それから民間借入金、これも未定ということでありまして、昨日も申し上げましたように、補助金と財投のプラスアルファと民間借入金でもって最終的に二兆八千三百三億を資金的に賄うということで、年末までにこれを財政当局と検討してまいりたいということであります。  そこで、若干余分でございますけれども、この二兆八千三百三億、これは来年度現実に発生する経費であります。しかし、これは今後長期にわたってこれだけの金額がそのまま発生するわけではありません。例えば先ほどの追加費用、これは次第に額が減ってまいります。それから雇用対策費、これは三年たてばいわゆる雇用対策は完了いたしますので、三年たてばこの経費はなくなるということで、次第にこの発生経費は減少していくということになります。あるいは年度によって非常にでこぼこが出てくるということでありまして、したがって、これを長期にわたって、こういういわゆる十六兆何千億の負担というものをある一定期間をかけて解消するに当たりましては、当然いろいろな資金繰りが必要になってまいります。したがって、一時的にはいわゆる借入金でつないでいくということでありまして、毎年発生する経費と自主財源のその差額を全部一般会計で埋めるということではありませんで、あくまで発生経費とそれからいわゆる国民負担というものをある一定の条件で考えました場合に、当然資金繰りが出てくるわけでありますから、その資金繰りを含めて最終的には国の責任において処理をする、ある一定期間、長期間かけて処理をするというのが今の考え方でございます。
  167. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、例えば土地売却費三千億、来年は少ないわけですが、これは売れれば本来債務の償還に充てるものですね。そういうものを債務の償還に充てないで、償還財源を流用してそれで使うということも考えているわけですか。
  168. 林淳司

    ○林政府委員 清算事業団収支については全体として見ております。したがって、土地売却収入をどれに充てるとかいうことではありませんで、あくまで支出がどういう項目で幾ら発生するか、それから自主財源として土地売却収入あるいはその他新幹線保有機構からの収入というものが毎年どう入ってくるか、その差額を、どういう資金繰りをつけながら二十五年ないし三十年という期間を考えて最終的にきれいにしていくか、こういう考え方であります。したがって、それぞれの支出項目、収入項目というものがそれぞれ対応しているわけではなくて、全体として見ておるということであります。
  169. 河村勝

    ○河村委員 しかし、清算事業団収入というのは新幹線貸付料、これは後で伺いますけれども、とにかく債務の償還財源しかないのですね。それを流用して毎年の通常の事務といいますか費用に充てていたら、これはいつまでたってもまた債務の償還はできないということになるわけですね。だから、ひっくるめて金の使い方を考えるといったって、新幹線貸付料を除いたら全部債務償還財源だけじゃないですか。そうしたらはっきりけじめをつけて、通常の清算事業団固有の仕事として長期間続くものについては、これは国の一般会計から出してもらう以外には手がないわけでしょう。そうなんじゃないですか。
  170. 林淳司

    ○林政府委員 ただいま申し上げましたように、新幹線保有機構からの収入、これはいわゆる二兆八千億に相当する分でございますけれども、これは三十年間清算事業団に入ってくる。それから土地売却収入については、これはそれほど長くない、おおむね十年程度で終わるというようなことで、収入につきましてもかなり期間の違いがございます。それから支出の方につきましても、先ほど申しましたように、国鉄長期債務の償還、利子につきましても、これは約定に従って償還をし、利子を払うわけでありますから、年々その額は違ってくる。それから雇用対策費は、これは短期間で完了する。それから追加費用については、これは相当長期間続くというふうに、支出収入ともいずれもかなり年によって変動があるわけであります。したがって、その支出項目についてのそれぞれの支出額、毎年出てくる額もトータルは相当の変動がありますし、それから収入の方についても、いわゆる自己財源としての収入についても変動がある。したがって、その差額については、来年度以降長期にわたって解消するに当たりましてもかなりの変動があるわけでありまして、その不足額を国民負担最終的には解消する。その場合に当然いろいろな資金繰りが必要になってくる、こういうことを申し上げているわけでございます。
  171. 河村勝

    ○河村委員 今の説明で、大体大蔵省も同じような考えでやっておられるのだと思いますから、見当はつきます。だから、本格的に「必要な「新たな財源・措置」については、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で」検討すると政府の資料には書いてはありますけれども、結局大蔵省としては金を出さないで済ませたい。だから当分の間、とにかく本来なら償還に充てる財源を、そっちの方には回さないで、それで当然支払わなければならない毎年の固有経費というものに充当してつないでいこう、そのうち何とかなるであろうということなんだろうと思います。  しかし、その中でもこの二・八兆円の貸付料収入、これを一体これに投入するというのはどういうわけなんですか。これは新幹線の再調達価額で評価した資産額から簿価で計上した資産額を引いた差額ですね。ですから、それは新幹線が収益力が高いから、その分だけ余計に簿価の資産以上に新事業体に債務負担してもらおう、そういう趣旨でしょう。そうであれば、当然新幹線保有機構というものが新幹線の資産を承継するのですから、債務も承継するのは当たり前ですね。そうであれば、これは新幹線貸付料——新幹線保有機構そのものの存在について私は異論がありますけれども、とりあえずそれを前提にして言えば、新幹線保有機構は毎年のリース料で、その両方合わせた再調達価額による資産に見合った債務の償還を毎年やっていくべきものでしょう。そうでしょう。ですから、それがこっちの清算事業団の方に回ってきて、何か他の用途に使われるというのはおかしいのじゃないですか。
  172. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは河村委員がよく御承知でお尋ねでありますけれども、今御指摘のように、確かに新幹線につきましては他の在来線に比べて収益性が極めて高い。そしてその機構が再調達価額に相当する債務を背負って、これを基準として各旅客会社が貸付料を支払うとしても、各旅客会社がこれを健全に経営し得るという見込みを立てました上で、国鉄長期債務に係ります国民負担をできるだけ軽減したいということから、まさに機構にこうした特別の債務を負わせたわけであります。  国鉄債務をそのまま単純に承継すればいいではないかという御指摘でありますが、これを国鉄に対して特別の債務という形をとりましたのは、改革に当たって新事業体は承継財産の簿価相当額の債務を継承するという原則、これを一方で持ちながら、国鉄清算事業団に移行した後、雇用対策費等に充てるためのいわば現金が必要である、それを生み出す手法として考えたものでございます。
  173. 河村勝

    ○河村委員 だから、これは本当の意味の債務ではなくて、賦課金みたいなものですね。ちょっと収益力があるからその分だけ余計払え、それを清算事業団の仕事に充てよう、結局はこういうことですね。そうだとすると、東北新幹線と上越新幹線の分の再調達価額と簿価との間の差額まで、これまで召し上げて清算事業団に使うというのは、これは乱暴じゃないですか。一体東北新幹線、上越新幹線の収支というのはどうなっているのですか。
  174. 林淳司

    ○林政府委員 この点につきましては、確かに東海道新幹線は非常に大きな利益を上げておる。それから東北新幹線、上越新幹線につきましては、これは営業損益だけ見ますと利益を出しておりますけれども、資本費を含めればこれはもちろん赤字でございます。そういうふうに、収益性が非常に違うということは言えるわけでございますけれども、結局はこの四つの新幹線が果たしておる役割という面から見ますと、その収益性の違いというものをそのまま会社の方に反映させるということになるのは非常に問題がある。そうやりますと、各会社ごとに非常に運賃水準等が違ってくるという可能性がございます。やはりこの四つの新幹線は、これは幹線の交通体系として一つの脈絡を持って、国土の均衡ある発展という見地からも、いわゆる幹線的な交通体系をなしておる、そういう考え方からいいますと、やはりこの四つの新幹線を利用する旅客のいわゆる負担と申しますか、これは運賃の水準になりますけれども、それをできるだけ均衡化させるということも必要ではなかろうか。したがって、このいわゆる新幹線保有機構に一括新幹線を保有させるというのは、そういう観点も含めた方法でございまして、その点をひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。
  175. 河村勝

    ○河村委員 私は、今そのことを言っているんじゃないのですよ。本当に再調達価額ではじいた債務を、それを将来にわたって分割して払えということなら、東北新幹線、上越新幹線を入れてもそれはまあ仕方がなかろう。だけれども、特別負担金、賦課金みたいなものを召し上げてほかで使うというのに、それを東北、上越のように大赤字、特に資本費がべらぼうに高いから大赤字なんですよ。東北線は運輸収入が二千七十六億、それで資本関係費が二千八百八十九億、要するに建設費の減価償却費の方が収入よりはるかに多いんです。上越だって運輸収入は八百十五億、資本関係費、建設費の減価償却が千二百二十九億。一般の経費を抜きにしても建設費の償却で大赤字だというものに、それを、収益力が高いからおまえのところからもお金を出してそれをほかの仕事に充てようというのは、これは本来めちゃくちゃですよ。だから、新幹線のリース機構のことは後でもって御質問するので、今の問題じゃないのですよ。そういうことを私は申し上げているので、これはもう一遍考えていただきたいと思います。  この問題ばかり議論していると切りがなくなりますし、どう言いましても、本当に清算事業団収支と申しますか、長期債務の長期的な償還計画というのは今お出しになる気がないようですから、ですから一応そういう問題が大きくあるということを指摘をしておきたいと思います。  そこで、長期債務の償還に、償還というよりも国の負担をする長期債務を幾らかでも減らすためには土地売却を当てにするしかさしあたりのところはないわけでありまして、きのう以来土地売却ということが非常に大きな問題になっておるのも当然かと思います。きょう昼の理事会の際に、きのうから要求のあった新しい資料が出てまいりまして、これまで一応の試算額が二千六百ヘクタール、五・八兆円であったものが、今度の試算額では、三千三百三十ヘクタールにふえたことによって、七兆七千億までふえております。約二兆円ふえている。結構なことだと思います。しかし、これだけ一体出るのか、あるいはもっともっと出るのか、これはやってみなければわからない話でありますから、これ自体の額は余り大きな意味を持たないと思います。  ただ、問題は、きのうから議論になっておりますように、この土地売却するに際しまして、地価が非常に上がるとか、あるいは何か不公正なことが行われるんじゃないかといういろいろな問題があるわけでありますが、やはり何よりもまず一番大事なのは、この土地売却がガラス張りの中で、いささかの疑惑も抱かせないようなきれいな形で売れるということが一番大事だと思うのですね。総理もこの件については同じお考えだと思いますが、重要なことでございますから、総理に、その辺にまず明確なお答えをいただきたいと思います。
  176. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 御指摘のとおり、今回の国鉄最終処理に当たりましては、財産処分、特に土地売却の問題と雇用問題、職員整理の問題、これが最も重大な問題であると思います。
  177. 河村勝

    ○河村委員 大事な問題であるではなくて、ガラス張りの中で、いきさかも疑惑を差し挟めないようなやり方でもってやるということについてのお答えをいただきたいわけなんです。
  178. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 御指摘のように、公明正大に、ガラス張りの中で、いささかも疑義を起こさない方針でやりたいと思います。
  179. 河村勝

    ○河村委員 値段の問題でありますけれども運輸省の立場で言えば高く売れれば売れた方がいい、これは当たり前でありますし、また、国民負担という意味からいってもなるべく高く売れた方がいい、これは決まっているわけでありますが、大ざっぱに言いまして、都市計画関連で地方自治体に売らなければならぬものがやはり相当大きな部分を占めると思います。ですから、この部分については適正な時価、一般競争入札に付するものについては、これはもう遠慮することはないので、高く売れるだけ売るという方針でやるべきだと思いますが、いかがですか。
  180. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほどから御指摘を受けておりますように、私どもは、公明正大にこの用地処分するために、一般公開競争入札を原則としております。  ただ、御指摘のように、公共用地として地方自治体等から御要望のあるものは、確かに随意契約で適正な払い下げをする方が好ましいケースもありましょう。ただ、その場合にも、やはり適正な地価というものは前提になると思います。そしてなおかつ、先日来問題になっておりますように、昨今一部の地方自治体で、国鉄用地を公共目的として払い下げを受けながら極めて近い時期に民間に転売をしたケース等もありますので、随意契約をして地方公共団体に公共用地として売却をいたします場合にも、その約束が担保されるような何らかの方法、あるいはその約束が破られた場合に対しての買い戻し条件の設定とかペナルティーとか、そうしたものも十分に考えなければならない、それが私どもの責任であると考えております。
  181. 河村勝

    ○河村委員 転売ないしは転売に類する行為、最近はやりの土地信託というようなものをやれば、所有権は移転しなくとも事実上所有権が移転したと同じ効果を発生させるわけで、これを防止すべきだと考えておりますが、しかし、法律で決めるというのはなかなかこれは困難ですね。国有地については転売防止の、法律ではなくて一つの取り決めがあってやっておられるようですが、十年間とか五年間とかあるようでありますが、一体それはどういうやり方でやって、どの程度の効果があるものですか。
  182. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 担当は理財局でございますが、ただいまおりませんので、私から簡単にお答えさせていただきます。  現在におきましては、五年間の転売禁止あるいは転売禁止等に違反した場合の一つの違約加算金等の条項を定めて、投機的取引を防止しているというふうに承知いたしております。
  183. 河村勝

    ○河村委員 結局、類似のようなことを運輸省としては考えているのですか。その点はどうなんですか。
  184. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今大蔵省から御答弁がありましたようなことは、一つの私どもの参考と思います。しかし同時に、私はもう少し厳しくできないものかという気持ちを持っておりまして、その辺の条件についてはなお検討をいたしております。  ただ、例えばその五年の期間が十年であるとか、また、民間に転売をされまして善意の第三者が取得した場合に果たして買い戻しが効果を発するかどうかとか、いろいろ法的な問題がありまして、気分的には買い戻し条件をつけたいという気持ちが大変強くあるわけでありますが、それが成立するか等もう少し研究をさせていただきたいと思っております。
  185. 河村勝

    ○河村委員 法律によって決めない限りは第三者に対抗はできませんから、売られてしまえば仕方がない。結局は当事者同士の約款で違約金を取るとか、その程度のことしかできないのですよ。ですけれども、この際やはり十年ぐらいの転売防止の制約というのはどうしてもやらないと、これで土地ころがしが行われるようになったらこれはもうおしまいですから、運輸大臣、ひとつこれはぜひとももう少し研究をして、どうしても必要なら法律でやったっていいじゃないですか。その点を十分に検討してほしいと思います。よろしゅうございますか。
  186. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 十分に検討させていただきたいと思います。
  187. 河村勝

    ○河村委員 それでは、長期債務問題は一応終わりまして、余剰人員対策に入ります。  今度の国鉄改革の焦点は、やはり長期債務が一方にあると同時に、さっき総理もおっしゃったように、人員の縮減とそれに伴う余剰人員対策です。これまで六万人に上る余剰人員ですから、本当に大変なことだし、我々としても随分深刻に受けとめておりますが、政府もこの点については随分よくやってくださっていると思います。世の中今円高不況で、国鉄だけではなくて方々にこうした離職問題が起きている際であるにもかかわらず、政府機関だけではなくて民間に至るまでいろいろ手を伸ばしておやりをいただいていることは、私どもは大変高く評価をいたしております。しかし、何としてもこれだけは確保しませんとこの改革が成立いたしませんから、総理にももう一踏ん張りしていただきたいと思います。  これまでの努力の結果を表にしたものを拝見をいたしますと、全体の中で、他の部門に比べて国自身が採用しようと言って申し出たものという割合が一番少ないのですね。ほかが大体五割から六割くらいいっているところで、国だけがまだ三分の一だという状況になっているわけです。もちろん行革の進行中ですから大変なところもあろうと思いますが、ぜひとも総理もこういう数字であることをごらんをいただいて、ひとつもう一段と頑張っていただいてこの確保に全力を挙げていただきたい、まずお願いをします。
  188. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政府は率先しなければならぬ立場にあるのでございますから、さらに督励いたしまして成績を上げるように努力をいたします。
  189. 河村勝

    ○河村委員 先ほど運輸大臣は、清算事業団に行く四万一千人についても、ただいつ職が決まるかわからぬ、どこに行けるかわからぬということではなくて、大体いつごろこんなところに行けるであろうというような道筋をつけて、そして清算事業団に行ってもらいたいという答弁をされておりましたが、具体的にそういう方向で検討し、かつ実行しておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  190. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほど関山委員にお答えをいたしました中の言葉を一つ訂正させていただくこととあわせて、お答えを申し上げたいと思います。  先ほど私は、実は公務員の場合一括採用という言葉を使いました。しかしこれは、公務員の採用は毎年次毎年次行われるわけでありまして、一括採用という言葉は、いわば大変不正確な言葉を申し上げたと思います。この点をおわびをしながら、あわせて御答弁を申し上げますが、国全体の国家公務員の場合の数字のおくれております原因は、去る九月十二日の閣議に至りますまで各省庁ごとの採用率が決定をいたしておりませんでしたために、各省の数字がおくれておるという事情がございました。  運輸省といたしましても、例えば六十二年から六十五年までに千人という数字を、従来一〇%という採用率を規定しておりましたときには申し入れていたわけであります。しかし、この数字は雇用率が変われば当然上乗せをしてふえる性格のものでございます。そうした数字をあらかじめ明らかにし、そして各省庁ともにやはり人事計画の都合もありましょうから、例えば何年までにどれだけを採用するということを決めますと同時に、あらかじめその採用を内定しておきたいという希望を大変強くいただいております。運輸省自身もまたそうしたいという気持ちを持っております。そして、清算事業団に移りました場合にも、例えば来年どこどこに自分は行けるという安心感を持って事業団に身分を移っていただくようにしてまいりたい、その決意は変わりがございませんし、全力を尽くすつもりであります。
  191. 河村勝

    ○河村委員 ぜひともそれをやっていただきたいと思います。  今、国鉄では人員縮減の計画を進めていて、相当速いテンポで行われておるようでありますが、具体的には一体どういうことになっているのでしょうか。現在員は幾らで、それで十九万五千人という要員規模まで持っていきたいというお話であるが、これは定員のことなのか現在員なのか、最終的に六十二年度首の現在員というものはどのくらいになるのか、その辺の数字をひとつ聞かせてください。
  192. 澄田信義

    ○澄田説明員 お答え申し上げます。  六十一年度首の現在員は二十七万七千人でございます。これに対しまして、現在、先ほど御指摘ございました十九万五千人の体制、これを実現すべく鋭意合理化努力を続けておるところでございます。目下のところ、十九万五千人以下の体制を目指して進んでおりますけれども、私どもの今の予測では、恐らく六十二年度首にはこれが十八万六千人ぐらいの体制に持っていけるのではないかということで、現在鋭意努力しております。  それから、今の十九万五千と申しますのは要員規模でございまして、現在員ではございません。あくまでも要員規模ということで、所要員をそこまで持っていくという目標でございます。
  193. 河村勝

    ○河村委員 ついでに、現在員の目標はどうなるのか。六十二年度首には幾らくらいになるのですか。
  194. 澄田信義

    ○澄田説明員 六十二年度首には、今の予測ではいろいろな要素がございまして、必ずしもそこまでいくかどうかという点につきましてはいろいろまだ不確定要素もございますけれども、希望退職二万人が実現したという前提に立ちまして、私どもの推定でございますと、二十七万二千ぐらいにはいくんじゃないかというぐあいに考えております。
  195. 河村勝

    ○河村委員 計算すれば出ることですけれども、二十七万二千ということになりますと……
  196. 澄田信義

    ○澄田説明員 失礼いたしました。ちょっと訂正させてください。二十五万二千でございます。
  197. 河村勝

    ○河村委員 新会社に引き継ぐのが二十一万五千とすると、そうすると、清算事業団に行く数というのは四万一千を切るわけですね。一体どのぐらいになるのですか。
  198. 澄田信義

    ○澄田説明員 今の状況で推移いたしますと、清算事業団移行は、監理委員会答申による数字は今のとおり四万一千でございますけれども、私どもの今の推定でございますと、これを切っていく予測でございます。ただ、それも先ほど申し上げましたように希望退職二万人が実現できたという前提でございますので、いろいろ不確定要素もございますけれども、四万一千は切るのではないかという予測を立てております。
  199. 河村勝

    ○河村委員 国鉄総裁、いよいよこの法案が通るとともに、一番つらい作業、新事業体に行く人々と清算事業に行く人との選別をやらなければならないわけです。これほどつらい仕事はありませんが、ぜひとも血の通った、心の通った温かい気持ちでやってほしいということと同時に、将来を考えて誤りのないように厳正な態度でやってもらわなければいかぬと思いますが、一体どういう決心でおやりになるか、まず聞かせていただきたいと思います。
  200. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今先生お話しのように、これからいよいよ法律が通りました後におきまして、大変な人数の職員の配置を具体的にやらなきゃいかぬということでございます。非常にそれぞれの個人が生活を抱えておる、将来の設計を持っているだけに、今先生おっしゃいましたように、一人一人に対しまして温かい気持ちで本人の将来を考えながら振り分けをやっていきたいというふうに思うわけでございます。  そうした仕組みにつきましては、先般来から運輸大臣からお話がございますように、法律的に、設立委員の方からの条件の提示におこたえいたしまして、私ども名簿をつくりましてこれを提出するわけでございます。そうした際におきます準備につきましては、私ども、一人一人の希望なりあるいは一人一人の勤務成績というものを十分に把握いたしまして、そうした条件にいかようにも対応できるように万全の準備をしていきたいというふうに考えております。
  201. 河村勝

    ○河村委員 私のところに東京の現場長さんたちから手紙が来ております。この法案審議の経過を非常に心配をしているわけでありますが、この間披露があった運転関係管理者有志というようなものではなくて、東京駅長初め何人かの駅長、機関区長、電車区長、客車区長、そういうような各種類の現場の長が連署をしてよこしております。私のところだけでなくて、ほかにも行っておると思いますけれども、中身が非常に重大な問題にもかかわっておりますので、一部分を読んで御披露いたしますので、お聞きをいただきたいと思います。  いよいよ国会において国鉄改革法案の御審議が始まろうとしていますが、この法案を通していただき、来年四月一日から、予定どおり新会社が発足していただきますようお願いしたい。同時に、現場管理者の心情をお酌み取り願いたいということでございまして、そこで一番の焦点になっているのが、国鉄改革に当たり私ども現場管理者の最大の関心事の一つは、今までの事なかれ的な、親方日の丸的な労使関係、最大組合との無責任な癒着を清算できるかどうかということです。これができなければ、どのように経営形態を変えても、新会社の内情は旧態依然のままであるということになります。近年筋の通った労務管理が行われてきて、現場管理者としての自信もよみがえり、同時に職員の意識改革も次第に進んで、国鉄改革への熱意が盛り上がっておる。ようやくそういう時期になりまして、最近になって憂慮すべきうわさが現場に流されています。それは、国鉄改革法案審議の過程において政労交渉が行われて、現在の労政が転換されようという内容であります。多数の職員が、改革の必要性を理解し、管理者が先頭に立ってその指導に専念している今、万が一にもそのようなことがあれば、現場にはあのマル生以上の混乱が生じます。そうなったのではこの改革も結局形骸化してしまって成功しないであろう。そこで、私ども現場管理者の心情を御理解いただき、今後とも国鉄の問題について一層の御指導、御支援をいただきますようお願いをします。  こういう趣旨でありますけれども、そのポイントは、やはり一番心配しているのは、こういう時期に労使関係にまた政府が介入してくるんじゃないかということなんです。  私もかつて国鉄におりまして労務関係を担当しておって、自民党政府の介入に随分悩まされて、それを排除するのに苦労したことがあります。一番大事なことは、やはりこういう労使関係のことには政治が介入しちゃいけないということなんですよね。ですから、私はこういうことは杞憂だとは思いますが、せっかくこういう訴えがございましたので、この際、運輸大臣とそれから総理大臣にひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  202. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私のところにも多数のお手紙をいただいております。名前をきちんと明記をされてあるものもあり、また明記をされておらないものもあります。大抵の場合、明記をしておられる方は、この御審議を急いでいただき、早く成立をさせてほしいという趣旨でありますが、中には真っ向から反対の御意見を正々堂々と名のってこられておる方もあります。私はそのすべてにそれぞれ返事を書いてまいりました。その中で今御指摘になりましたようなお手紙もたくさんいただいております。しかし、基本的には労使の問題というものは労使で話し合うべきものでありまして、政府が介入すべきものではないと私は思います。しかし、所管大臣として、関係の労働組合の諸君が会いたいと言えば、私は門戸を閉ざすつもりはございません。これまでもそうしてまいりました。ただ、その門戸を閉ざさないということは、その要望をそのままに聞いて、それに従って行動することではないことはもちろんであります。
  203. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政府が労使関係に介入することはいたしません。これはここではっきり申し上げておきます。
  204. 河村勝

    ○河村委員 先ほど、清算事業団の労働条件が、その勤務の態様によって国鉄時代の労働条件に比べて一〇〇%のものもあるし、九〇%、八〇%のものがあるというお話でありました。事情はわかるにしても、本当に私はつらいことだと思いますので、ぜひともその辺のところはもう少し配慮をしてほしいということと、再就職のために待機中の人たち、訓練を受けている人たち、この人たちは、仮に八割給料をもらってやはり業務の専念義務は持つのでしょうか、その辺の勤務の条件というのはどういうふうに考えているのでしょうか。
  205. 林淳司

    ○林政府委員 今回御提案申し上げております清算事業団法に、明文でいわゆる職務専念義務というものは書いてございません。これは一般の公団等と同じでございます。ただ、やはり教育訓練を受ける方々につきましては、これは清算事業団の職員でございますから、清算事業団の定めた就業規則その他の規則に従いまして正規の教育訓練を受けるという義務は、これは当然持っておるわけでございます。
  206. 河村勝

    ○河村委員 給料は下げる、だけれども仕事としてはそれだけに、ほかのことはやってはいかぬというのも、これは随分無理な話であります。もちろんそっちの方に主眼があるわけではないけれども、しかし、給料をカットするという場合には、当然それなりの、労働条件の方もそれを考えなければ私はうそだと思うので、これはもう一遍検討してほしいと思います。  余剰人員対策の問題は一応終わりまして、新幹線リース方式についてお尋ねをいたします。  総理は、新幹線鉄道保有機構という特殊法人が今度できるのですけれども、一体それはどんなことをするのか、御存じですか。
  207. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、なかなか知恵を働かして機構をつくり上げたな、そういう感じがいたしております。それは、新幹線というものといわゆる在来線というものと、それから三分割された本州の内部の新しい新会社との調整、調和の問題、そういうような性格の差を、こういうリース方式というやり方によって三会社バランスをとるとか、そういうような特別の配慮を持って新しい発想を加えた、そういう意味でなかなかよく考えた案だな、そう思います。
  208. 河村勝

    ○河村委員 どうもちょっとお考えが足りないのじゃないかと思うのですね。大体、行政改革を実行しながら特殊法人をそのために新設するというのは、よくよくのことでなければいけないのですよ。どうしてもなければならないというなら別だけれども、なるべくつくらない方が本当でしょう。  これは、本当は総務庁長官に伺うつもりだったけれども、病院に行かれたそうで、これを決めたときの総務庁長官は多分官房長官ですわね。後藤田さん、一体行革の目玉である国鉄改革を遂行するのになぜこんな特殊法人が要るかというのはおわかりですか。
  209. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私は、一般的な原則として、あなたがおっしゃるように行革のさなかに特殊法人をふやすというのはおかしい、これはそのとおりだと思います。したがって政府は、今やっていることは必ずスクラップ・アンド・ビルドとでもいいますか、一つふやすときには一つ減らすといったようなことで変化に対応する、ここらを大体の原則としてやっているのです。しかし、あなたも御案内のように、やはり例外のない原則はないわけですよ。これまた余りにも窮屈過ぎますと、かえっておかしなことにもなるではないか。今度の、国鉄という百年以来の大機構を改正をしょうというときには、やはりそれなりの実態に合った処置もまたやむを得ないのではないのか、私はそういう考え方で今回のこの何とか機構といったものはよかろう、こういうことにしたわけでございます。
  210. 河村勝

    ○河村委員 この新幹線保有機構というものは、一つには、さっき債務の償還のところでお話ししましたように、新幹線は収益力があるのだから、ほかの在来線については簿価に見合った債務をしょっているけれども、新幹線だけは再調達価額に見合った債務をしょってもらおう、こういうところから出発しているのですけれども、このリース機構というのはそれだけではなくて、東海、東日本、西日本と三分割やったものですから、普通に計算をいたしますと東海会社だけがべらぼうにもうかってしまう、東も西も赤字になる。この問題は一番重大問題ですから後で議論しますが、ですから、この新幹線保有機構というものをつくって、新幹線の資産債務——債務はどうも承継しない。さっきの二・八兆円分、この使い方インチキなんだ。私は極めておかしいと思っておりますけれども、とにかくその債務を三十年にわたって分割払いをしてもらう、その際にリース料によって収益のアンバランスを調整をして、それで大体同じような収支になるようにしよう、こういうことですね。  しかし、そうであるならば、なぜこの三つの会社に初めから債務として、ちょうど収支に見合った債務として預けないのか。債務として持たせれば、このリース機構なんてなくて済むんですよ。みんなそれぞれ自前で債務を償還してくれればいい。最初にちゃんと収支のアンバランスを調整した額をそれぞれに割り当てればよろしいのですよ。そうでしょう。わかりますね。何でこんな特殊法人をつくる必要があるのですか。
  211. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 河村委員、そのプロに対して釈迦に説法のような言い方になりますけれども、私は、そういった御意見が成立しないと申し上げるつもりも決してありません。しかし、現実にバランスをとって各会社経営を安定させていこうとすれば、何らかの仕組みが必要なことは委員もお認めになると思います。その場合に、各旅客会社経営努力をされて利用客の増減があったりなんかした場合にも、こうした機構を設けることによってそれぞれの企業のバランスをとり得るという意味では、私は新幹線保有機構は一つの考え方として御審議をいただけるものと考えております。
  212. 河村勝

    ○河村委員 それが間違いなんですよね。大体各会社収支見通し、一応三島を別にしましても、とにかくそれぞれ収支見通しは立っているわけでしょう。一回決めた以上は、後はやはり自立してやってもらわなければならぬ。三島は新幹線がないから、完全に最初に決めたベースでやってもらうことになるわけだ。だから、いずれもいわば仮定の計算のもとに仕分けるのですよね。それで後は、およそ一生懸命計算したのだから大きな間違いはないだろう、後はみんな自前でもって努力して、それぞれの会社は立派にやっていきなさい、こういうことですね。そういうものなんですよ、新しく会社をつくるときは。それをわざわざリース機構などをつくって、新幹線の建設費だけは——これは建設費じゃないんだ。東海道新幹線に至っては事実上もう償却を終わっているのですよ。それに建設費相当のものをかけて、そしてこの法律によれば、輸送量に応じて二年ごとにリース料を見直すとある。一体どういうことなんですか。民営にして会社をつくった以上、それぞれの会社の自主性というものがあって、それぞれ努力しておやりなさいということですよ。それを、二年ごとにリース料を見直す。  だから、ごく簡単に言えば、この間五月の本会議で申し上げたのだけれども、例えば、東北新幹線が車両を増備をして、十二両編成を十六両編成にして、それで列車回数をふやして収入を上げる。そうすると、そこのところのリース料は高くなる。それで、東海会社西日本会社は何もしなかった。そうすると、リース料の総額は同じだから、債務の償還ですから、だからそっちの方は安くなるのです。怠けているとリース料が安くなって、一生懸命働いて稼ぐとリース料が高くなる、一体こんなばかなやり方があるのですか。
  213. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 どうも先日来たびたび同じ議論を申し上げるようで恐縮でありますが、確かに、旅客会社経営努力をし、その結果利用客の増大が図られた場合、他の条件に変動がなければ貸付料は増加をすることはそのとおりであります。しかし、その場合においても、その貸付料の増加額は旅客会社が利用客の増大で得た収入増の範囲内のことでありますから、旅客会社がそれだけのやはりもうけは出るわけです。お客がふえたからそれを全部召し上げるというのであれば、御指摘のような話は出るでありましょう。しかし、利用客が増大すれば、確かに貸付料もふえはいたしますけれども旅客会社収入そのものはそれ以上にふえているわけでありますから、それを理由として、怠け者が得になるというお話はちょっと違うのではなかろうか。  そして、そういうことを考えてみますと、私は、河村委員が一つ御心配になりますことは、むしろこのリース料の見直しというものを一つの足場として、政府が民営化後の各企業に介入するのではないかという御心配をあるいはお持ちなのかもしれないと思います。しかしその場合に、実は額の見直しといいますか、これは法律及びこれに基づく運輸省令で定める客観的、技術的な基準によって算定をするそのものでありますから、政府の経営介入を招く恐れは私はないと思っております。そして、全体のバランスを着実に把握していくことを考えるならば、先日、どの場でありましたか、河村委員から五年後に一遍だけ見直せばいいのではないかという御指摘もあったと記憶をいたしますが、むしろバランスをきめ細かく見るためには二年ごとの見直しということの方が妥当性があるのではないか、私はそう思っております。
  214. 河村勝

    ○河村委員 もうかった分を丸ごと取らないからいいんだなんて理屈は、一体どこにあるんですか。そんなことは当たり前ですよ。一生懸命稼いだら丸ごと貸付料でその分召し上げるなんて言ったら、これはもう気違いのやることですよ。  しかし、なぜそんな細かな操作をやる必要があるんですか。どんな会社だって、一回スタートしたらそれぞれ自分の責任においてやるんで、そういう見通しのもとに初めから会社を設立しているわけでしょう、これからの見通しも一応立てて。それほど見通しの立て方に自信がないんですか。
  215. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 むしろ今まで民営・分割の方向で一番御支援をいただいておりました河村さんからこういう御質問をいただきますと、大変私も恐縮をいたします。そして、我々は政府としてそれほど自信のない試算でこの法案をつくったつもりはございませんけれども、やはり将来を考えれば、それだけの安全度も見ておきたいと考えるのも、私は決して間違いではないと思います。  殊に新幹線、今河村委員御自身からの御発言にもありましたように、東海道新幹線、山陽新幹線、その後に建設をされた東北、上越それこそ債務そのものも違いますし、また技術的な進展の度合いも相当違うものであります。国民の受益もそれによって異なります。これをむしろ全体のバランスをとって新幹線保有機構により調整を図る方が、私は全国民的によほど公平なやり方ではなかろうかと考えております。
  216. 河村勝

    ○河村委員 そこまで役所が面倒を見ようとすることが、そもそも間違いなんです。それは民営の会社にする意味をなくすことなんですよ。  さっきお話があったから聞きましょう。貸付料は運輸省令によってきちんと決めるから恣意的に変えられる余地はないというお話であったが、一体どういう省令をつくるつもりなんです。
  217. 林淳司

    ○林政府委員 貸付料の配分基準でございますけれども、これは二つ要素がございます。一つは輸送量でございます。これはそれぞれの新幹線の人キロというものが指標になるかと思いますが、その輸送量が一つの指標でございます。それからもう一つは建設単価でございます。これは具体的には再調達単価というものを念頭に置いておりますけれども、要するに、東海道新幹線あるいは上越新幹線と比較した場合に建設単価が違う、それを現在その状態で再調達した場合の単価というものを一つの指標にする、それによりましてそれぞれの新幹線の新しさ、古さという問題あるいは非常に立派なものであるかどうかというふうな側面が指標としてあらわれてくる。要するに、利用客にとって新しくかつ立派な施設を利用するのはやはり快適であるという要素があるわけでございますから、そういう再調達単価というものと先ほどの輸送量、つまり人キロ、この二つ要素を勘案して貸付料を配分していきたいというふうに考えております。
  218. 河村勝

    ○河村委員 二つ要素を勘案してと言うのでしょう。裁量の余地があるのでしょう。計算機を回せば出るというようなものじゃないのでしょう。どうなんですか。
  219. 林淳司

    ○林政府委員 ただいまは実質的な話をしたわけでございますが、これについては、さじかげんの余地がないようにきっちりした基準を運輸省令で決めていく予定でございます。
  220. 河村勝

    ○河村委員 さじかげんのないような、計算機を回せば自然に出てくるようなリース料の変更をやるというならば、なぜ理事長一、理事二、監事二というような堂々たる特殊法人が必要なんですか。計算機を回す人間だけあればいいじゃないですか。
  221. 林淳司

    ○林政府委員 新幹線保有機構は、非常に莫大な資産を管理するということが一つございます。それから、承継した非常に大きな債務、五兆以上の非常に大きな債務を償還していくという、こういう会計経理上の仕事もある、そのほかに大規模な災害復旧工事というものについては、これはもちろん旅客会社の申し出に基づくわけでありまして、さらに他の会社の同意も要るわけでございますが、そういう大規模な災害復旧工事も、これは自分で仕事をするわけじゃありませんが、一応それについての管理をしていく必要がある、そういうような諸般の業務がございますので、一つの独立法人が要るであろうということでございます。ただ、その機構については極力簡素化をしていく、要員もぎりぎり必要な要員で運営をしていくということは当然でございます。
  222. 河村勝

    ○河村委員 資産を管理していると言うけれども資産を管理するのは三つの旅客会社ですよ。持っているのは帳簿だけじゃないですか。債務を償還といったって、電子計算機を——電子でなくてもいいのだ、そろばんでもいいぐらいの計算をやる帳簿があればよろしい。それだけでしょう。  それで、大災害工事をやるというのは、なぜそんな余計なことをやるのですか。どうもこの法案によると、災害工事を希望があればやる。保有機構がやるのですよ、工事能力も何にも持たない法人が。それで、一カ所で災害が起こったら、それを手当てをして、それをリース料で地ならししてほかの方にも持たせようというのですよね。大体、独立の会社を三つつくって、一カ所で災害が起こって、そこでもって被害があったらその復旧工事の費用を、山陽線で起きた事故の損害を東北の会社にかぶせるなんというばかなことがありますか。余計なことですよ。大体大規模災害工事をやろうということ自体が間違いだ。私は甚だよくないと思う。  総理聞いていて大体の筋はおわかりじゃないですか。
  223. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 河村さんのおっしゃることはよく理解できます。ただ、もう御存じのごとく、東北新幹線あるいは上越新幹線、それから東海道、それから山陽、収益力が非常に違う、原価もまた非常に違う、そういう間にあって、今後、将来の格差がますます大きくなっていくという可能性もあるという、それも考えてみまして、やはりバランスをとる必要があるなと思うのです。大体稼ぎ屋は新幹線という状況に今なって、しかも東海道新幹線という状況になっているものですから、東海道新幹線が配属されたところが非常に膨大に大きく利益的には膨れ上がってくる、そういうものを調節しようという、そういう意図が非常に強くあったのだと考えております。
  224. 河村勝

    ○河村委員 おっしゃることはそのとおりだけれども、なぜこんな特殊法人が要るかということにはならないのですよね。強いて言えば、そんなにこの仕分け方に自信がないというなら、一遍こっきりですよ、五年ぐらいたったら。ずさんな計算をやっておられても、五年ぐらいたてば大体わかるでしょう、見当が。そのころに一遍だけやればよろしい。そして保有機構は解散したらよろしいのですよ。それ以上のことは必要ない。そうじゃないのでしょうか。いつまでも役所がにらんで、三つの会社にしょっちゅう、どっちが輸送量がふえたか、減ったか、何の工事をやったかというのを見て、それでリース料のそろばんをはじいて、こっちを上げる、こっちを下げる、一体いいとお思いになりますか。  特殊法人というのはそういうものなんですよね。一回つくると仕事をだんだんとふやして——初めは災害工事なんてやることになっていなかった。私は亀井監理委員長ともこの問題ではつくる途中から随分議論をいたしました。亀井さんも再検討を約束をしました。それがおかしいんですよね。そのころから、亀井さんばかりでなくて、再建監理委員会の方々は、林君もそうだ、これはペーパーカンパニーです、だから何にもしないのですということを繰り返し繰り返し言った。ペーパーカンパニーがいつの間にか二年ごとに会社に干渉する。災害が起きたらその工事をやってやろう。それからまだあるんですよ。東北新幹線の東京—上野間の工事が残っているからそれもやってやろうと言う。余計なことですよ。四百億ぐらいの残工事は東日本会社にやらしたらいいのだ。利用増で簡単にそんなものはペイします。そのうちに、これをだんだん育てて、今度は整備新幹線をおれのところでやるというようなことになるのですよ。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)だれが保証します。だって、わずか一年の間にペーパーカンパニーから、理事長一、理事二、監事二、それでもう二年ごとに新会社に干渉する、災害工事をやる、そういう……(「そのようなことは心配せぬでいい」と呼ぶ者あり)心配ないと言ったって、今私が言ったことわからないの。(発言する者あり)まあよろしい。どうなんです。そう思いませんか。
  225. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 新幹線保有機構というものは、調節のために主としてつくられたと私は考えております。したがって、新会社が発足して、各旅客会社経営の動向、新幹線の経営の動向あるいは今の災害等に対するいろいろな処置の実態、そういうものをよく検討しまして、私は、永久にこの保有機構を置いておかなければならぬというものでもないと思います。ともかく発足さして、その実績を見て、そしてその結果、ある程度の安定性のある方向が出てくる、そういうような段階においては検討しても結構だ、そう思います。
  226. 河村勝

    ○河村委員 多少の前進です。  この理事長、理事以下の人件費、これはどこで払うのですか。新旅客会社が払うのでしょう。
  227. 林淳司

    ○林政府委員 この新幹線保有機構の人件費その他の管理費でございますけれども、これはもちろんリース料から支出をするわけでございます。  それから、ちょっと先ほどの補足をさせていただきますと、財産管理、もちろんこの新幹線施設の維持管理は新会社がやるわけでありますが、やはり財産管理は、これだけの五兆円以上の財産を持っているわけでありまして、税金もかかります、諸般の諸税もある、そういうものも含めていろいろな管理があるわけでございます。  それから、大規模災害復旧の問題でございますけれども、これにつきましては、鉄建公団等においても現在、貸付線については大規模災害復旧をやっておる、しかし、鉄建公団が国鉄経営に介入しているということは一切ないということでございます。  それからさらに、二年ごとの見直しでございますけれども、これはやはり新幹線保有機構の本来の性格に絡む問題でございまして、先ほどいろいろ御答弁がございましたように、現在東海道新幹線とそれから東北・上越新幹線とでは成熟度が非常に違います。したがって、これについてはさらにまたこれから相当期間輸送量に変動があるであろう。その場合に、これを固定的にしてしまいますと、利用者負担が非常にアンバランスになってくる可能性がある。やはりこれらの四つの新幹線は日本の国土の基幹的な一つの交通部門でございますから、これの利用者の負担はできるだけ均衡化した方がいい、そのためには輸送量等によって二年ごとに見直しをしていく必要があるんじゃないか、こういうふうに考えたわけであります。  ただ、この輸送量について、これはもう輸送量のどういう指標でこのリース料を見直すかというようなことについては、法令できちっと客観的な基準を決めますので、これを機械的にそれに当てはめて二年ごとに見直しをしていく、こういうことになるわけでございます。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  228. 河村勝

    ○河村委員 いろいろ説明があったけれども、要するに管理費、人件費、全部旅客会社が払うんですよね。旅客会社が養うんです。その養っている会社に監督される、こういう仕組みに相なっているわけです。  一体、貸付期間が三十年になっておりますが、終わった後は旅客会社に譲渡することになっていますが、これは有償ですか、無償ですか。
  229. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに貸付期間は三十年ということを予定をいたしております。また期間終了後、新幹線一括保有貸付方式というものは使命は終わるわけでありますけれども、そのときに残存している施設を、これは各旅客会社に譲渡することにしておりますが、その譲渡の方法等その段階において立法措置を講ずることとしております。  この新幹線保有機構、言いかえれば一括保有方式は、原則として国鉄改革時、すなわち現在現存している施設の資本費の負担について、貸付期間中の貸付料の徴収によってバランスをとろうということであります。これが三十年後に施設の譲渡を受けた旅客会社がどういうふうにしていくかというようなことまで考えてまいりますと、これは当然譲渡はしていきますけれども、どういうふうな譲渡の仕方とかということになりますと、今からちょっと決定をいたしかねると思います。
  230. 河村勝

    ○河村委員 三十年先だからみんな大体生きてないからいいとおっしゃるのかもしれないけれども、しかし、債務を全部支払って、なおかつ有償か無償か決まらないというのはどういうことなんですか。やらずぶったくりですか。これは全部払い終わったら無償に決まっているんじゃないですか。
  231. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 しかし、現に存在する鉄路の敷地等々までを無償で民間に渡すということを当時の国民が了解をされるかどうか、これは私にもちょっと自信がありません。
  232. 河村勝

    ○河村委員 冗談じゃないですよ。全部ひっくるめた建設費に見合う、それも時価に評価したものを、貸付料として三十年にわたって利子を払いながら、払うんですよ。払い終わって、それでそれが自分のものになる。月賦だって、払い終わったら全部みんな自分のものじゃないですか。同じことじゃないですか。なぜそれがここで決められないんです。総理大臣、おかしいでしょう。国民が納得しないとはどういうことなんです。
  233. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 払い終わるといっても、その間でも各旅客会社は収益を得て相当量の利益を享受しているわけであります。そういう面から見ますと、なるほどもう減価償却も全部終わってしまったものだから、それは旅客会社に渡せばいいじゃないかという議論があるかもしれませんが、そもそもこの新幹線は国民のお金でできている国の財産でございますから、そのとき既に旅客会社は皆民間会社になって、それで株式民間にもう既に譲渡になっているかもしれません。本当に今の私鉄と同じようになっているかもしれません。そういうところへ、仮に減価償却が済んだからといって、そのまま無償で渡すということを国民の皆さんが果たして承知するであろうかどうか、そのときのいろいろ財政事情もありますし、国民の意識の問題そういうものもありますから、今ここで独断的に申し上げるということは、これはちょっとはばかる、そう思うのでございます。
  234. 河村勝

    ○河村委員 私は、中曽根さんがそんなに物わかりが悪いとは思わなかった。月賦で物を売るのに、月賦の代金を払い終わっても幾ら自分の物になるのかならないのか、また払わなければならないのかわからぬ、そんな月賦があるのですか。月賦ですよ、これは。だって、とにかく新幹線の資産に見合う債務、それも再調達価額、だから、東海道新幹線なんというのは二重払いですよ。それを、営々と三十年にわたって、それでもってもうけるのは当たり前じゃないですか。お金を払って資産を借りて、それをもとにして稼がなかったら一体どうするんです。どこから分割払いのお金を出すのです。全部それを払い終わったのに、まだ国民が納得するとかしないとか、全然理屈ないじゃないですか。私はあきれ返って物が言えない。あなたの言っていることの方が、多分きょうは放映をやって、国民の皆様は、中曽根首相というのはこんな程度の理解力なのかと思って、私は驚くと思いますよ。
  235. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 河村さんのお考えは、非常に商業主義といいますか、そういうものに、経済観念に徹したお考えのように思いますけれども、こういう公共財を管理する政府の立場から見ますると、やはり国民全体がどう判断するかということが非常に大事なのでございます。経済観念から見たら、これはもう既にツーペイになっておる、そういうことで、あなたのおっしゃるようなことが経済性から見れば言えるかもしれません。しかし、また片っ方から見ますると、国の大きな財産によってそういう収益も旅客会社は得たわけであって、もうその利益は完全に享受し尽くしているとも考えられる。そういう状態のもとでこれだけ膨大な、大きな財産を無償でその会社旅客会社にやるということが果たして、ある程度の公益性を持っておるあるいは公共性を持っておる新幹線の発生から見て許されるであろうか。私は、これを聞いておる国民の皆さんは、いや、中曽根の方が正しい、そう考えてくださるに違いないと思います。
  236. 河村勝

    ○河村委員 いや、私は余りわからないので物を言う気力がなくなってしまったのです。三十年先には多分、中曽根さんも私も両方ともいないでしょう。ですから勝負はけりがつきませんけれども、じゃ、この問題は保留して、もう一つ伺いましょう。  三十年たって払い終わった、そのときに収益調整はもうなくなるわけですね、一応。そうすると、この三つの会社はもとの姿に戻るわけだ。——ああ、そうか、有償、無償にこだわるのはそこかな。そうなりますと、三十年たってリース料を払い終わりますと、収益格差が出てきてしまうのですよ、裸で。東海会社はうんともうかって、東日本会社と西日本は余りもうからぬというのが。三十年先はわからぬとおっしゃるかもしれませんが、昭和三十年と六十年、これを比較してごらんなさい。東京—大阪間というのが日本の輸送のメーンルートであって、ここが一番もうかるという体制は変わらないのですよ。恐らく後三十年たってもこの体制だけは変わらない。だから、裸になったときにまた非常にアンバランス会社ができてしまう。もしそれを想定して、それで有償、無償論をぼかしているのだとしたら、これは大変悪賢い。ですけれども、それに気がつかないでいるとすれば、もともとスタートが間違っているんですよ。そう言わなきゃならなくなる。  私は、本当は三分割論に触れることはすまいと思っていたんだけれども、そこまで頑張られると言わなきゃならないので、やはり三分割したことがもともと間違いなんです。収支の極端にアンバランスなものを三つつくる必要がどこにあったのかということなんですよ。だから、収益のバランスするところでもって東西に切れば、こういうリース機構論なんというのは必要なくなってしまう。何も要らないんですよ。多分、静岡県と愛知県の境目ぐらい、あの辺のところでもって東西に分けますと、大体収支均衡します。東海道線を二つに切るという問題はありますけれども、実際のコントロールはすべてコンピューターで全部東京とコントロールしていますから、それには支障がありません。ですから、そうすれば何もなくなってしまうのです。私は、本当はそこまで言わないつもりでありましたけれども、突き詰めて言うとそこまで行ってしまうのですよ。  ですから総理、先ほどいつまでも管理機構を置くつもりはない、つもりはないまでじゃなかったのですかな、置く必要はない、正確には忘れましたが、要するに……(中曽根内閣総理大臣「検討する」と呼ぶ)検討するですか。とにかくもう一遍これは検討なさい。それでよく頭を冷やして考えていただけば、そのうち私は、テレビでお聞きの国民から、あなたの言っていることは間違っているという投書が多分来るだろうと思うのですけれども、考えてほしいと思います。どうですか、もう一遍検討してください、総理大臣、運輸大臣
  237. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御命令であれば何回でも検討はいたしますけれども、私どもは必要と信じてこの案を提出をしたわけであります。  きのう、浅井委員にも私は、二分割というのは本当に一つの考え方であるということは素直に認めました。ただ同時に、中京経済圏というものが現実に存し、そこに対する輸送の状況等を考えれば、三分割案も私は間違いではないと思うということを申し上げた次第であります。ですから、検討は何回もいたします。しかし、私どもはそう間違った内容のものを提出したとは思っておりません。
  238. 河村勝

    ○河村委員 大間違いなんです。だけれども、検討はするがというのじゃ、本当に期待できませんが、中曽根さんがそういつまでもやっていいものかどうか、検討するというお話でございますから一応矛をおさめますが、しかし、行革を本当に熱心にやっておられる方は、おわかりでなければならないはずなんです。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  一体、特殊法人というものは常に自己肥大をいたします、一回つくると。いろんな仕事を始めまして、それで永続するものなんです。それが決して新しい民営の会社を育てるゆえんではないということだけは間違いがありません。これだけは申し上げておきましょう。  旅客会社収支と、それから貨物会社をどうやってバランスさせるか、この二つの問題を次にお尋ねをいたします。  旅客会社収支を見ますると、輸送人キロ、輸送量ですね、輸送人キロで見ますというと、東日本を除いて全部輸送人キロは減少しております。ずうっと減ってきておるのです、六十五年まで。ところが、運輸収入はふえることになっております。それがなぜかといいますと、結局、運賃値上げによって輸送人キロ、輸送量の減少をカバーして、なおかつもうちょっともうかるようにしよう、こういうことなんですね。そうすると、一体そんなことが可能なんだろうか。輸送量が減っていくという会社では、もう常に値上げ以外に——ベースアップなどをしなくとも、輸送量が減っていくのですから、ですから値上げをしていかなければやっていけないという会社なんですね。そういうものが本当に成り立つものであろうか。いかがですか。
  239. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今回、旅客会社収支見通しの試算におきましては、確かに運賃の改定というものを織り込んでおります。しかし、これは賃金の上昇あるいは物価の上昇等がありますために、確かに年率三ないし六%程度の上昇を見込んでいるわけでありますが、これは過去の国鉄の十年間の人キロ当たり運賃・料金支払い額の上昇率、年率八%程度に比べれば、随分抑えた試算をいたしております。また同時に、今度の収支見通しの計算上、旅客会社の人キロ当たりの運賃・料金支払い額が、六十三年度以降私鉄における場合の平均的な支払い額に徐々にさや寄せをしていくという仮定をいたしておりまして、私鉄経営にだんだんさや寄せをしていこうと考えておりますので、国電等としましても私鉄との運賃の開きが拡大をするようなことはないと考えておりますし、この試算で推移できるものと考えております。
  240. 河村勝

    ○河村委員 私鉄並みというのは、私鉄の場合には都市の大手の交通会社と地方の会社とは全然別の運賃の立て方もやっておりますね。今度の運賃値上げ、毎年三%というのは、これは一体どういうふうに考えておりますか。
  241. 林淳司

    ○林政府委員 これは全私鉄に対して、すべての会社を比較するわけではございませんで、私鉄を四つのランクに分けております。要するに、輸送密度が八千人未満のいわば非常に過疎地帯の私鉄、いわゆる中小私鉄、それから八千人から二万四千人まで、それから二万四千人から九万六千人、それから九万六千人以上、これは大手の私鉄でございますけれども、そういう四つのランクに分けまして、それぞれのランクの平均的な、要するに人キロ当たりの運賃支払い額というものを出しておるわけです。そして、今回新しく発足する六つの会社について、それぞれのランクに当てはまるもの同士で比較をしていく。当然、東日本会社の平均輸送密度は高い。それから、北海道会社の輸送密度はそれより低いわけでございますから、先ほどの四つの私鉄のランクに合うようなレベルでそれぞれ比較をしまして、昭和六十六年度、発足から五年後に大体そのレベルに近づくように一人当たりの支払い額というものを考えていく。その結果が資料としてお出しした各会社ごとの一人当たり運賃支払い額のアップ率ということになるわけでございます。
  242. 河村勝

    ○河村委員 それはわかりましたが、一つの旅客会社の中では運賃は同じですか。
  243. 林淳司

    ○林政府委員 これは当面は、来年の四月の時点では、現在の国鉄の運賃水準あるいは運賃体系というものがそのまま移行するという前提で試算をしております。現在国鉄の場合、例えば幹線と地方交通線ではおおむね一割程度の運賃差がある。さらに、東京国電その他大都市の国電については、一般の運賃より若干低い水準。これは他の私鉄との関係がございますので低い水準にあるというふうに、既に現在でもある程度の水準差があるわけでありまして、それが新しい会社に移行する際には、とりあえず来年四月一日はそのままの姿で移行する。その後、その会社の中でどういう運賃体系をとるかということは、これはまさに会社経営判断にゆだねる事項ではなかろうかというふうに考えております。
  244. 河村勝

    ○河村委員 若干の裁量によって、都市の運賃の上げ方を多少小さくして地方を高くすることはやっているようでありますが、しかし、大体一律に近いところですね。これからも一体それでもっていいんだろうかということなんですね。  ちょっと非常に卑近な例を挙げますと、今ここは国会です。ここから私のうちのある小田原まで行こうとしますと、地下鉄でもって新宿に行くか東京に行くか、どっちかです。それから小田急か国鉄かに乗る。そうすると、赤坂見附から東京へ行くのも新宿へ行くのも、両方とも百二十円で同じなんです。ところが、東京から小田原間は国鉄が千三百十円、小田急が五百五十円なんです。二倍半。五百五十円と千三百十円。だから、小田急のロマンスカーに乗っても千五十円、まだ国鉄の普通列車に乗るよりも安いんですよ。だから、私のところに陳情に来た人なんかは、国鉄に乗る人は一人もいないのです。みんな新宿へ行って小田急に乗っちゃうのです。所要時間もほとんど変わらない。  ですから、これから独立してやっていくのには、これでまた大体多少の調整はあっても三%ずつ値上げをしていくというようなことでやっておれば、都市は競争に負けて、それで田舎の方は、逆に私鉄の方が国鉄より倍ぐらい高いですね。この数字はちょっと後で聞かしてもらいたいと思いますが、そんなことなんですよ。ですから、同じようなことを考えているならば、私は本州旅客会社の将来はないと思うのですけれども、いかがでございますか。
  245. 林淳司

    ○林政府委員 国鉄につきましては、ここ数年来、運賃改定に際しまして、大都市におきまして、並行する私鉄その他の関係で、できるだけ競争条件が不利にならないような形で運賃改定を実施してきたという経緯がございます。ただしかし、おっしゃるように、まだ私鉄との間には相当の格差があるということも事実でございます。  それで、これから新しい会社スタートをして、先ほど申しましたように経営判断でどうするかという場合に、まさにその辺のところ、いわゆる競争条件というものを考えるということが、経営者のこれは非常に重要な仕事になってくると思います。  先ほど申しました三%と申しますのは、これは運賃改定率ではございませんで、その会社の平均的な一人当たりの支払い額、一人当たりの運賃負担額と申しますか、それを出しまして、それが実質的に三%程度年率で増加をするという前提で試算をしておるということでありまして、決してこれは運賃改定率ではございません。したがいまして、実質三%一人当たりの運賃負担額が増加するということの中身をどういう運賃制度で実現していくかというのは、これはまさに会社の判断にかかわる問題ということでございます。
  246. 河村勝

    ○河村委員 私、今度監理委員会の答申を見て非常に強く感じるのは、地方交通線問題、これの扱いが君子豹変と言っていいぐらいがらっと変わっちゃったことなんですね。本答申の出る前に二回緊急提言というのをやっているのです。緊急提言というのは、直ちに実行せよという種類のものであったわけです。  その中で地方交通線、要するに特定地方交通線というのは、これはバス転換その他をして既定の方針でやっておりますから別としまして、そのほかの七千キロにわたる地方交通線、これを分離独立させなければならない。その理由は、要するに全国画一的にやっているから、賃金、それから運賃、二つの基幹的な要素を全部一律にやっておる、これではだめだから何とか分離独立をすることを考えろというのが第二次提言だったのです。ところが、これがすっかり消えてしまいました。しかし、地方交通線の赤字というのは依然として非常に大きいのですね。  今、昭和六十年度の監査報告、これで見ますと、地方交通線七千キロの赤字というのは、六千億円を超えているのです。輸送量で言えばたったの四%。ですから、これがガンになっていることは、新会社になっても変わらないのですよ。だからこれをどうするかという問題が、この監理委員会の答申にも何もない。何か新しい会社になれば地域の実態に即した経営ができるから、活力が生まれて何とかなるであろうというようなことが書いてあるだけであって、実際どうなるかというのは何にも答えが出していない。この問題、新会社ができてすぐの問題にはならないけれども、必ずこの地方交通線の赤字というものが大きくのしかかってくるに相違ない。運輸省というのは、その辺の見通しを一体どう考えているのか、それを伺いたい。
  247. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 数字等を私は承知をしておりませんので、必要があれば事務方から補足をしてもらいますけれども、今回、この十一月からダイヤ改定をいたします。このダイヤ改定の内容は、新会社発足のときそのまま引き継がれるダイヤになるわけでありますから、この地方交通線のダイヤの組み方が従来とは一変しておりますことをお気づきがいただけると思います。  これは私どもからしますと、どうやって地方においていわゆる地方交通線の利用を国民にもっとお願いができるかという視点から、それぞれの沿線地域の住民の方々の一番使いやすいダイヤ編成というものを中心にして組んでみたわけでありまして、これが一つのきっかけとして、もう一度鉄道というものを国民に見直していただければと心から願っておるところであります。
  248. 河村勝

    ○河村委員 ダイヤを多少見直すことはできるかもしれないけれども、それでもって六千億なんていう赤字は、これは解消しっこないんですよね。都市では私鉄との競争に負け、田舎では安い運賃で私鉄に負けと、このバランスは今後も続いてしまうんですね。だから、なぜ分割しなければならぬかという理由であった全国画一的経営とか、行き過ぎた相互依存関係というのは、今後新しくでき上がった会社の中でまた形を変えて存続するんですよね。ですから、これに答えを出さないと、私はこの旅客会社の将来はないと思いますね。現実に、さっき申し上げたように輸送人キロはどんどん減っていくのだからね。それを運賃値上げでもってやっとカバーしているという状態なのですから、ここにメスを入れないと、とても新しい会社の将来はないと私は思うんですね。どうですか、もう一遍この問題を本格的に検討する場を設けてはいかがです。
  249. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、実は運輸大臣というものに就任をしまして初めて知ったことでありますが、それぞれの都道府県において交通機関の依存率というものが地域によって随分違うものであるということを知りました。そして、その中で確かに自家用車の依存率が高まり、鉄道の依存率が落ちておるということは事実でございます。そして、それにはそれなりにさまざまな原因があろうかと思いますが、それに対する一つの答えとしてのダイヤの編成がえというものをし、地域住民の足として今後ともに使っていただけるようにということを私どもは考えてまいりました。もちろん、国鉄当局の諸君は私ども以上に真剣に考えたことと思います。  この地方交通線の問題というものは、最終的にはやはり国民にその鉄道を利用していただけない限りどうにもならないことではありますけれども、その利用率が落ちてきた原因というものを私どもは調べていく過程で、やはり例えば自分たちの一番移動したい時間帯に列車がない、あるいは時間が不定期で、例えば一時間ごとにとか三十分ごとにとかと、きちんとしたダイヤが組まれていれば使いやすいのにそこが不定期であるとか、いろいろな御意見をいただいた中でダイヤ改正という形で一つの答えを用意したわけであります。御指摘のように、これからも私どもとしては真剣な検討を引き続き加えていきたいと思います。
  250. 河村勝

    ○河村委員 旅客会社については、そういう大きな問題が残っているんだということを指摘をするにとどめます。  貨物会社のことを伺います。  貨物会社は、従来の普通の計算方式で言いますと、最近の赤字は六十年度で四千四百六十一億円。それで、今使っておられるいわゆる回避可能経費、アボイダブルコスト、これを採用しましても二千二十二億円の赤字、これが六十年の決算ですね。ところが、人件費は二千五百億円ですから、どっちにしましても、アボイダブルコストで見ても、人件費をゼロにしても成り立たない、そういう計算になるわけです。それが今度の新会社成立と同時に、この収支計算によると一応黒字が出ることになる。だから、ちょっと魔術みたいな感じであります。もちろん、人件費も思い切って減らすことになっておりますが、一体こういう数字が成り立つんだろうかという非常な心配を持っております。まず、その見込みについて先に伺います。
  251. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今回の貨物鉄道会社における今後の輸送需要というものは、通運事業者あるいは荷主の方々等の需要動向を踏まえながら、品目別にある程度の計算をしてみました。確かに、例えば石炭につきましては最近の国内炭をめぐる諸般の情勢、また、石灰石につきましては大口の荷主の動向等を勘案いたしまして、かた目に輸送量を想定をいたしました結果、現在から大幅に減少するものという見込みを立てております。これは委員の御指摘のとおりであります。しかし、石油あるいはセメントなどにつきましては、今後とも安定的な生産量が見込まれておりますことから、輸送量についてもほぼ横ばいという推移を見込んでおりまして、今御指摘のポイントになりますのは、今後のいわば貨物会社の主力商品ともいうべきコンテナについて、これは物流業者への一括販売の推進などにより、将来的にも順調に伸びていくという予測を立てております。  こうした結果から計算をしてみますと、輸送量全体は確かに減少いたします。しかし逆に、輸送距離が長くトン当たり収入の大きいコンテナというものが伸びていくことから、会社全体の収入は、まさに先ほど御指摘のありました要員の問題等も含めまして、着実に増加をし得ると考えているわけであります。
  252. 河村勝

    ○河村委員 今おっしゃったように、石油、石灰石、セメントその他車扱いの大口の貨物は、六十五年までずっと減っていく。それをコンテナでカバーしているわけでありますが、六十二年度で千六百十四億円の収入を予定しておりますが、一体コンテナに依存している額は幾らですか。
  253. 林淳司

    ○林政府委員 昭和六十二年度のスタート時点、初年度でございますが、その時点での、六十二年度の貨物会社収入、ただいま先生から御指摘のありました千六百十四億のうち、コンテナは八百一億を試算上計上しております。
  254. 河村勝

    ○河村委員 「新しい貨物鉄道会社のあり方について」という運輸省でつくった書類があって、大体それに基づいてこれからの会社の運営をやっていかれるようでありますが、その場合、コンテナ輸送は往復列車単位の卸売、まとめて列車ごと売って、それで稼ぎなさいというようなことに相なっているようでありますが、一体八百億のうち、卸売で列車ごと売るのでどれだけをカバーしているのですか。
  255. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 お答えいたします。  現在でも実は卸売というのはいろいろな手段、いろいろ多岐にわたると思います。現在でも販売の約四〇%は列車を固定的に販売いたしております。六〇%につきましては出荷量をつけまして販売いたしまして、そういう意味では、突然ある日、毎日毎日ばかばか発売しているわけではございません。したがって、今四〇%は固定的に売りまして、六〇%は量的に売っているわけでございますが、今回からはもう少しそれを拡大いたしまして、往復販売を計画いたしております。と申しますのは、千二百十八万トン昨年送りましたが、六十二年度は一三%増で考えておりますので、今ダイヤ改正以降は詰めておりまして、かなり往復販売ができるという段階になっております。
  256. 河村勝

    ○河村委員 かなりというのは大変大ざっぱな話ですが、八百億のうちのどのくらいに該当するのですか。
  257. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 実は卸売販売の先ほど申しましたような形で今詰めておりますので、形としては千三百七十万トン台の販売が年間平均ではできるというふうに考えております。ただ、売り方としましては、今のように四〇%ぐらいが固定の列車売り、六〇%は量的な売り方で売っております。それを今後会社発足と同時にだんだんと往復型に、というのは業者もいろいろございますので、往復で例えば千五十一列車は今六〇%売れております。しかし、千五十一の帰ってくるのは四〇%売れてない。しかし、これを往復の業者ごとに一括して売れるかどうかというのは今後の詰めでございますので、売れているという意味では、私ども自信を持って、六十二年度の会社発足につきましては千三百七十万トンぐらいのコンテナが売れるというふうに確信いたしておりますが、契約のやり方としましては、今後さらに往復だとか、さらにもっと含めて地域別だとかというような売り方を拡大していきたい。その方がどちらかといえば売り方としてはより固定的になる、そういうふうに考えております。
  258. 河村勝

    ○河村委員 なぜしつこく聞くかといいますと、列車ごと売っている場合には、その列車に幾ら積んであろうと値段は変わらないけれども、そうでなければ、積載効率いかんによって非常な違いができるわけですね。だから、大体これまでの、今までの状態、これでは一体積載効率がどのくらいであって、今後の計画としては積載効率をどのくらいにするように見ているのか。
  259. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 積載効率を申し上げます。  今現在、コンテナ列車平均九十個積むわけでございますが、現在メーンの列車、地区間を走っておる列車が百七十一本のうち、百四十一本が地区外、地区を越えて走っております。長距離の列車が走っております。これの積載効率は、厳密に言いますと五四%でございます。したがって、今回の列車ではその百四十一本の列車をさらに精査いたしておりまして、十一月からはこのうちの約九十本につきまして平均八十分ぐらいスピードアップします。そういうようなことも織りまぜて、しかもピギーバックとかそういうものを織りまぜて考えておりまして、このメーンの列車を充実させようということで考えております。これは百三十一本ございまして、この積載効率は六九%、約七〇%を見込んでおります。したがって、メーンの列車だけの積載効率を見ますと二九%のアップになりますが、これは全体の輸送量が一一三%にふえることを計算しておりますが、メーンの列車に絞り込みますと、積載効率は約二九%ほど上がるというふうに考えて積算しております。
  260. 河村勝

    ○河村委員 私は、コンテナ輸送というものがこれからの貨物会社の運命を決定する材料であって、同時に、日本の道路事情、それから長距離トラックの過酷な労働条件等を考えれば、そうすれば、商売のやりよういかんでは、長距離の貨物はトラックから鉄道に移ってくる要素は幾らでもあると思うのです。だから、それをどうつかんでいくかというのが貨物会社のこれからの唯一最大の課題だと私は思っている。それには従来既成の通運業者だけに頼ってそれでまとめて買ってもらうということだけに集中しておりますと、そうするとどうも将来性がないんじゃないか。もっと幅広く多くの物流業者を相手にして、それでコンテナを充実させることを考えなかったらだめだと思うので、その点を一体どう考えているかということを聞きたかったのです。
  261. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先日、私もこの点を河村委員からお教えをいただきました。今まさに御審議を願っております改革法等施行法の中でも、免許種別の統合あるいは駅別免許制度見直し等を内容として改正法の御審議を願うわけでございます。しかし、これでは足りないという御指摘を先日もちょうだいをいたしました。やはり私どもとすれば、現実問題として円滑な鉄道貨物輸送の確保と通運事業者の健全な発達あるいは利用者保護の機能というものを考えます場合、これを廃止するというのはなかなか困難だということを言われております。しかし、やはり新会社への移行の後の鉄道貨物輸送の動向等を見ながら、鉄道貨物輸送というものが円滑に行われるように必要な検討を私どもは業法について進めてまいりたい、そのように考えております。
  262. 河村勝

    ○河村委員 何か先回りして答弁されちゃったような格好ですが、今準備しておられる改正法案内容というのは、あれはただ一駅一駅指定するのをまとめて指定するというだけのことなんですよ。あと何にも変わってないんです。それじゃちっともふえやしない。  まず第一、今新しく通運免許を取ろうと思うと、既存の業者の同意書を取りつけて持ってこいということになっているんですよね。御存じかな。こんなのをやっていたんじゃ、どうにも世の中に逆行しているのですけれどもね。大臣、知っていますか、これ。
  263. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 いや、私は存じませんでした。ですから、先日御指摘を受けて初めて私もこういう問題のあることを承知したということで、素人の情けなさを感じた次第です。ですから、先回りしたわけではなくて、今回出しております中での改正部分はこれこれでありますが、なお当然検討を必要とすると思いますし、検討いたしますと申し上げたのもその意味であります。
  264. 河村勝

    ○河村委員 これは貨物会社の営業活動にもよることなんですけれども、私の知る限りでも、いわゆる地場のトラック業者というのがありますね、区域貨物自動車運送事業。この業者というのは、みんな大きな荷主を持っているのが大部分なんですよ。ですから、遠くに運んでいるのが多くて、鉄道を利用したいという潜在的な需要というのはうんとあるのです。ただ、通運会社に持っていきますと、手数料は取られるし、通運料金取られて、それでおまけに自分の荷主がわかっちゃいますから、お得意さんを奪い取られるおそれもある。だから、なかなか持ってきませんよね。だけど需要はある。ですから、これを広げていかなければ、やはりコンテナ輸送というのはふえていかないのです。  それにはどんどん免許を取らしたらいいんですよね。もともと通運業法というのは、貨物があり余って、需要があり余って、鉄道輸送力が小さくてどうにもならぬときにつくった法律ですから、非常に制限的になっているのです。ところが、今や貨物の積みおろしをやる駅なんというのはがらがらなんだからね。もう閑古鳥が鳴いちゃって、だれが入ってきたって平気なぐらいあいているわけです。だから、今どきこういう限定的な免許が残っている方がおかしいんですよね。  今事務当局にあなたが聞けば、必ず通運業法十五条の指定というのがあって、それで指定すればいつでも通運の取り扱いができるんですよというようなことを言うだろうと思うんです。言いますよ。ところが、これは集配の免許だけなんだ。通運そのものを扱うことはできない。だから、やはり扱うのには通運業者のところに行かないと扱ってもらえないという仕組みになっている。これじゃだめなんですよ。  ですから、これでもって貨物列車、コンテナ列車もだんだん速くしているようでありますし、荷役というのは本当にやれば五分あれば済むんですから、だから本当に旅客列車並みにダイヤをつくって、いつまでに持ってくればこの時間で走りますというふうにやれば、それはお客が来るわけですよ。ですから、この際ぜひとも運輸大臣に、通運業そのものの自由化ですよね、それは通運業者は必ず反対するでしょう、反対しますけれども、やらなければいけない。  今、通運業者、例えば日通とか全国通運とかいうところの通運をやっている割合ですね、もうけの中で占める通運でもうける割合というのは何%だか、大臣御存じですか。
  265. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もちろん、そういうことまでは存じません。
  266. 河村勝

    ○河村委員 四%。ですから、余り大勢に影響ないわけですよ。だから、それだけに自由化の余地というのはうんとあるわけですね。だから、ぜひともあなたに真剣に検討してもらいたい。きょうは時間も余りなくなりましたから、問題点だけを指摘しておきますから、ぜひひとつ研究してください。いかがでしょうか。
  267. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 人の懐まで存じなかったのは、申しわけないといえば申しわけないことでありますが、私も他の会社の経理状況までは全く存じませんでした。ただ、検討はお約束をいたしましたので、貨物会社が生きていけるようにするためにはどうすればいいかという方策も、あわせて検討をさせていただきます。
  268. 河村勝

    ○河村委員 時間がほんの少し残っていますが、整備新幹線問題を最後にちょっとお聞きします。  最近、自民党でしょうか、熱意が猛烈であって、中曽根総理も何か非常に意欲的な発言をされたという報道どもなされておりまして、私どもは、整備新幹線そのものができるということは、国土の均衡ある発展という意味でも望ましいことだと思っております。おりますけれども、何か時の勢い、三百議席の勢いで、いろいろな条件も整わないうちに突撃してしまって、後でもって大変困ったような事態を生じはしないかと思って気にしているわけでありますが、総理の真意並びに一体これからこれをどうしょうというお考えなのか、それをちょっと聞かしていただきたいと思います。
  269. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 整備新幹線につきましては、今財源問題等検討委員会において検討しておりまして、その間におきまして、財源はもとより、在来線との関係あるいはそのほか諸般の問題等について検討が終わった段階で我々はどうするかということを決めたい、そう考えております。
  270. 河村勝

    ○河村委員 政府・与党申し合わせ、政府と与党の話ですから我々がとやかく言うことではないわけですが、六十年の八月、昨年の八月ですね、「遅くとも、六十二年四月」、国鉄民営・分割化のスタートまでには実行するという意味でしょうか、そういうようなことになっていますが、これは生きているのですか。運輸大臣、御存じですか。
  271. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘のお話は、「整備新幹線計画について 昭和六十年八月二十二日 政府・与党申合せ」の内容だと思います。「六十二年四月」と申します部分は、「検討の目途については、精力的に検討を行い、できるだけ早急に結論を得るものとする。」という次に、括弧書きで「(遅くとも、六十二年四月に予定されている国鉄分割民営化スタートまでを目途とする。)」というふうに記されております。これはそのまま存しております。
  272. 河村勝

    ○河村委員 六十年の十二月に東北新幹線の盛岡以北、それから同じ十二月の二十五日に北陸新幹線、それから六十一年の八月、ことしになって、八月二十九日に九州新幹線の実施計画が国鉄から運輸大臣のところに申請になっておりますね。これを受けて今運輸省でやっておられることはどういうことですか。
  273. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに整備新幹線の工事実施計画のうち、東北及び北陸が昨年十二月、九州新幹線鹿児島ルートが本年八月に認可申請が出されておりますが、運輸省としては、現在整備新幹線財源問題等検討委員会で検討していただいている最中でありまして、この結論が出た段階で私どもとしての検討を行い、もしこの認可を与えると決しますとするならば、昭和五十七年九月の閣議決定を変更した上で行うというふうになっております。
  274. 河村勝

    ○河村委員 どういう形でもって進んでいくのかわかりませんが、結局は、一部は地元負担にするにしても、建設国債でやる以外にないんだろうと私は思っておりますが、ここでもって確認をしておきたいのは、せっかく新しく生まれようとしている鉄道旅客会社が、変なことをやって整備新幹線を押しつけられたら、これはもう破滅的な影響を受けるわけでありますから、いかなることがあっても新しい旅客会社がこれによって被害をこうむることのないようには必ずやるということを、ひとつ総理の口から確認をしていただきたい。
  275. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今度の審議していただいておる法案がまず通って、そして新しい会社が健全にスタートするということをまず第一に私たちは念願しておりまして、それが妨害されないようにまず第一に我々は考えなければならぬ、そういうふうに考えております。(「妨害とは何だ」と呼ぶ者あり)妨害という意味は、この法案の成立が新幹線問題によって妨害されないようにと、そういう意味であります。  それで、やはり新しい新会社が健全に発達していくということが当面我々が考えなければならぬことで、整備新幹線の問題は今検討会で検討している最中でございますから、それらに対するめどが立って、そして、ここでもうやろうという内閣並びに党の意見が一致したときに初めて閣議決定を直す、そういう形になると思います。
  276. 河村勝

    ○河村委員 これで終わりますが、くどいようですが、先ほど大分議論しました新幹線保有機構の問題、くれぐれも忘れないで検討されることを要請して、質問を終わります。
  277. 細田吉藏

    細田委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  278. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、国鉄問題について質問いたします。  まず、運輸大臣に伺いたいのですが、政府はしきりと、国鉄は毎日六十七億円の赤字だから民営・分割はやむを得ない、これをやる以外にはないと宣伝しております。この問題に関してお尋ねしたいのですけれども、六十七億円、六十七億円というふうに言うこの六十七億円のうち、利子と特定人件費を除けば赤字額は一体幾らになりますか。
  279. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今手元に利子と特定人件費を除いた数字資料を持っておりませんので、なぜそう申し上げているかの理由を申し上げたいと思います。  六十年度決算によりますと、一兆八千四百七十八億円の赤字を生じておるわけであります。同年度に一般勘定と特別勘定の助成金五千八百七十九億円を受け入れておるわけでありますから、これを除外して計算すれば、実質上二兆四千三百五十七億円の赤字を出しておることになりまして、これは一日当たり六十七億円ということであります。
  280. 中島武敏

    中島(武)委員 これは私の問うたことに答えていないのですけれども、六十年度決算によると、今運輸大臣が言った六十七億の赤字というのは確かにそういう理由でしょう。しかし、私が聞きましたのは、利子と特定人件費であります。  資料をもらっておりますから、私の方から申し上げますけれども、一般勘定が一兆二千百九十九億円の利子、特定勘定が三千四百五十七億円、合わせますと利子は一兆五千六百五十六億円であります。それから特定人件費は、三千五百五十八億円、これは特定年金相当額であり、また七千六百二十一億円、これは特定退職手当であり、合わせますと一兆一千百七十九億円ということになりまして、これを三百六十五で割れば、一日当たり七十四億円という結果が出るわけであります。つまり、六十七億の赤字だと言いますけれども、実際には利子と特定人件費を合わせれば七十四億円でありますから、一日の黒字が七億円というのが実態なんでありまして、つまり営業収支は七億円の黒字、直接輸送にかかわるところは七億円の黒字ということなんでありまして、いかにも何か赤字、赤字、こういうふうに言っていらっしゃる中身というのは今申し上げたとおりであります。
  281. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 支出ということで申しますならば、確かに利子は一兆五千六百五十六億円であります。減価償却費も五千九百八十八億あります。物件費等も九千八百四十億であります。人件費は二兆七千七百九十七億円であります。その中で数字を組み合わせて御論議をいただきましても、現実の国鉄の実態は今申し上げたとおりであります。
  282. 中島武敏

    中島(武)委員 これは政府の資料で私が試算をして申し上げているわけであり、この中身についての間違いは何もないわけなんです。  それじゃ、重ねてお尋ねしたいと思っておりますが、国鉄長期債務残高の区分を、設備投資額と赤字による資本金不足領に区分をして、そして設備投資額と設備投資の長期債務残高に占める比率を明らかにしてほしいと思います。  もう一つあります。今のものを昭和五十年度とそれから五十四年度とそれから昭和六十年度、この三つに分けて述べていただきたいのです。なぜこれを言うかといいますと、第一回の累積赤字の棚上げは五十一年でありますから、その前年の状態はどうだったのかということ。それから第二回の棚上げが五十五年でありますから、その前年の五十四年はどうであったのか。そして、今民営・分割ということを言ってきているわけでありますから、その前年の六十年度と、こういうふうに求めておるわけであります。
  283. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 以前の二つにつきましては、私は手持ちをいたしておりませんので、事務当局から補足をさせたいと思います。  ただ、今の御質問、六十年度末長期債務残高二十三兆六千億円の中で、設備投資によるものは約十四兆五千億円、償却前赤字に相当いたします運営資金不足による長期債務残高は約九兆一千億円であります。なお、設備投資によるもののうち約五兆円は減価償却費相当の取りかえ工事分であります。ですから、純粋の増強工事等のための設備投資によるものは約九兆五千億円であります。  残余の数字は今手持ちをいたしておりませんので、事務方から補足をさせます。
  284. 前田喜代治

    前田説明員 御指摘の五十年の数字でございますが、五十年度は累積赤字が三・二兆円ございます。そのうち資金不足が一・四兆円ございます。したがいまして、残りました一・八兆と、それからその他の設備投資等に、増強等に向けられました三・六兆、合わせまして五・四兆というのが事実上設備投資に向けられた、こういうふうに推定できます。  それから五十四年でございますが、資金不足によりますものが三・六兆、それから償却費相当分が二・五兆ございます。これと増強投資等に向けられました六・六兆がございますので、投資に向けられたものが九・一兆、こういうふうに考えられます。
  285. 中島武敏

    中島(武)委員 今の数字のとおりだと思うのですね。これは結局、パーセンテージに直しますと、長期債務等累積赤字の中に占める設備投資の枠、これは五十年度が七九・四%、それから五十四年度が七一・六%、六十年度が七一・四%ということでありまして、やはり設備投資によるものであるということが、非常にこれらの数字からも明らかなところであります。  それで、設備投資による借金が多いということは、これはもう今も明らかになったところなんですけれども、私がお尋ねしたいと思っておりますのは、これだけの設備投資をどんどんやるというのに対して、これは運賃収入で返せる、こういうふうに当時思っていたのかどうかという点について伺いたいのです。
  286. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 昭和四十年と申しますと、私は国会に出た直後ぐらいのころでありまして、そのころどういう考え方をしておったか、残念ながら私は存じません。  ただ、今御指摘のように、設備投資による赤字要因、債務要因というものは、これは確かにあることでありますが、これだけではないことも事実であります。そしてまた、設備投資によるものにつきましては、これは輸送サービスの向上とか安全確保等それなりの役割を果たしてきたと私どもは考えておりますが、運営資金不足というものも、先ほど申し上げたとおり相当の金額になるわけであります。この発生の原因というものは、やはり経営の効率化、重点化を的確に図り得る体制になかったということが、こうした長期債務を発生させる大きな要因であったと考えておることもつけ加えさせていただきたいと思います。
  287. 中島武敏

    中島(武)委員 ただ、例えば新幹線なら新幹線が開業をする以前と後とではどっちへ入れるかという点に関して言えば、開業前は設備投資額の不足の方に入りますし、それから開業後は一般経費の中に入るんだという点は、やはりはっきりさせておかなければならないと思うのですね。ですから、いかにも運転資金がないかのようなふうに、運輸大臣の話を聞いておると聞こえてくるのですけれども、そうなんだということをはっきりちょっと指摘をしておきたいと思うのです。  それで、昭和四十七年の六月に列島改造論が発表されまして、これによりますと、貨物輸送は低く見積もっても昭和六十年には一兆三千二百億トンキロになり、昭和四十四年度に比べて四・二倍になる、そのため鉄道の輸送能力を当時の四・六倍にしなければいかぬ、そのために新幹線は九千キロ以上建設をして、浮いた在来線を貨物に使うんだ、こういうことが述べられております。  それからまた、これはある新聞によりますと、四十四年の春に当時の田中角榮幹事長が国鉄総裁磯崎氏らを前にしまして、赤鉛筆で新幹線網の構想をかいてみせたということが具体的に報道されております。東京から新潟へ真っ先に赤い線が走った。次は東北を抜けて札幌まで一本。北陸へ、四国へ、赤鉛筆は地図の上を駆けた。九州まで進んだところで、二階堂君がいたなとひとり言を言いながら鹿児島へ一本。さらに橋本君はと、水戸近辺から新潟方面へ一直線に一本引いたというようなことが生き生きと語られておるわけであります。そして、もう既に御存じのところでありますけれども、これから新幹線の建設が始まったということはもう周知のところでありまして、東北、上越、そして成田新幹線、この建設が始められていったわけであります。  そこで、実は総理にお伺いしたい。  中曽根総理がたしか運輸大臣をやられているときに、第一次の再建計画が出されたと思うのですね。この再建計画は総理がよく御存じのところですけれども、設備投資を抑制をする、そして投資規模は十年間で三兆七千億円にするということが決定されたわけであります。この政策がずっと実行されていたら、長期債務はこんなふうに発生しなかったのではないかと思うのですけれども、総理の見解を伺います。
  288. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 もう二十年くらい前のことですから、精細には、正確には記憶しておりませんが、たしかAB線等も通ずる設備投資の抑制という考えは、当時からあったと思います。
  289. 中島武敏

    中島(武)委員 総理に重ねてお尋ねをいたします。  第二次再建計画、これは実は第一次の再建計画を百八十度転換する、そういう内容のものでありました。第一次の方は先ほども言いましたように設備投資を抑制する、そして十年間でこれこれと、こういうふうに抑制をしておったのですけれども、第二次は逆に超拡張政策をとったわけでありまして、投資規模は十年間で十兆五千億円、第一次計画のざっと三倍であります。また、借金政策を転換して、国は補助をするんだということを言いましたけれども、しかし、実際には大した補助はされなかったわけであります。総理は当時田中内閣の閣僚だったわけですけれども、みずから決めた第一次計画、これとは全く百八十度違う政策が決定された。同じこれはまた閣僚としてでありますから、この点についてどう思われたか、お教えをいただきたいと思います。
  290. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 そのころ通産大臣をしていたと思いますが、そのことはよく記憶しておりません。
  291. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、鉄道建設審議会で東北、上越、成田新幹線を決定するに当たって、政府が五〇%お金を持つ、そういうふうにだました、こういうことがあるのです。  これは鉄道建設審議会の議事録ですけれども、ここに  なお、これにつきましては半額政府出資を受けるという前提によりまして試算をいたしております。それによりますと、東京—盛岡間、東京—新潟間、東京—成田間、いずれも非常に収支が良好であるということでございます。なお東京—盛岡間、東京—新潟間につきましては、現在線の収支ともからめて相当早い時期に黒字になるということが明らかになっております。 こういうことが、これは総理がこの鉄建審の会長に就任したそのときに、過去の経過の報告としてやられておるわけであります。  私はまず、これは運輸省報告なんですけれども、鉄建審をこういう点でごまかしているんじゃないか、率直に言うとそういう感じがするのですけれども、総理はこの点について御承知でしょうか。
  292. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 よく知りません。恐らく総務会長をしていたころ、これは鉄建審の会長になることになっておりますからそういうことがあったのかもしれませんが、それらもいずれも国が半分お金を出せばという仮定の上に立ったお話ではないかと思うのでございます。確固とした、これを建設しようという、そういう考えで政府の決定とか党の決定とかということで出た話ではないと思います。
  293. 中島武敏

    中島(武)委員 仮定というよりは、半額政府出資を受けるという前提によって試算をしてみると、非常に良好になっていくということでありますから、私が申し上げたとおりなんですけれども、私、非常に大事だというふうに思いますのは、いろいろ国鉄の赤字問題は非常に議論になっておるわけであります。赤字、赤字と一口に言いますけれども、今いろいろお尋ねをしてきたことともかかわってなんですけれども、例えば前運輸大臣の三塚さんもその著書の中で、問題は設備投資に要した資金のほとんどが戦後全期間を通じて借入金であった、このことなんだということを言っているわけであります。私は、そういう点ではやはり赤字は借金政策による巨大投資に原因があったんだということをはっきり認めなければいかぬのじゃないかという気がするわけであります。この点について運輸大臣と総理の見解をお聞きしたい。
  294. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほど御指摘のありました鉄建審において、東北・上越新幹線の建設に際して、建設資金の二分の一を政府出資、残りは長期借入金という前提を置いて計画決定がされたということは承知をいたしております。しかし、そこで今度は申し上げたいことでありますけれども、東北・上越新幹線の建設費については、政府はこれに係る借入金の利払いのうちおおむね三・五%を超える部分について利子補給をし、資本費の負担の軽減を図ってまいりました。この利子補給によります方法と工事費の半額を出資として助成する方法と対比してみました場合、これは確かにそのときどきの金利の状況にもよりますけれども、例えば一般金利七%という水準を仮に仮定をさせていただいたといたしますと、実はほぼ同程度の利子負担軽減効果が出ております。したがって、今御指摘のような助成方法をとったとしても、新幹線の収支が大幅に改善をされたとは言いにくい状況でありまして、必ずしも御指摘のとおりではないと私は思います。
  295. 中島武敏

    中島(武)委員 その試算は今聞いた話でありますけれども、先ほどからずっと私がお尋ねしてきたように、やはり非常に大きな借金、それも設備投資が大きな原因になっていることは、これは明瞭だと思うのですね。その点について運輸大臣はどう思われるのか、その点は認めないのか、これが私の質問であります。
  296. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、先ほども申し上げましたように、設備投資のうち純粋の増強改良工事の設備投資によるものが約九兆五千億円という数字を私は認めております。ただ、先ほどから委員は、運営資金不足についての部分についてはお触れをいただけないわけでありますが、運営資金不足による長期債務残高というものが九・一兆円ありまして、その意味では、純粋の増強改良工事の設備投資による長期残高とほぼ見合う数字が出ておるという事実も御理解をいただきたい。
  297. 中島武敏

    中島(武)委員 私だけがこれは言っておるわけじゃないのです。例えば、これはよく御承知だと思うのですけれども、例年監査報告書が提出をされております。この中でどういうふうに言われているか。   経営再建を達成するためには、国鉄自身の経営努力とあわせて次のような重要課題が解決されなければならない。すなわち、退職金・年金の異常支出による特定人件費、地方交通線から生ずる損失、東北・上越新幹線の資本費関係負担等の問題であり、さらに重大なものは巨額の過去債務とそれに対する利子負担の問題である。 こういうふうに指摘をして、   これらの問題の解決についても、まず国鉄自らが今後累積債務を極力増やきないことを念頭において最大限の努力を行うべきであるが、その大部分は国鉄の企業採算を越える構造的問題であり、国鉄自身の努力のみでは到底解決し難いものである。本委員会は長年にわたり、これらの問題の解決を国に対して要望してきたところであるが、これまでになされた助成措置等では問題の根本的解決にはなり得ず、事態はますます深刻の度を加えている。特に毎年度の欠損金の処理については、これを借入金によって補てんするという欧州諸国に例をみない措置がとられてきたが、このことは欠損と借入金とが相互に増大していくという悪循環に陥ることになったのみならず、問題の処理を先送りしてきたものであって、国鉄財政の今日の窮状を招いた大きな要因である。  これは例年例年監査報告として報告をされてきているところであります。ここにやはり国鉄財政の処理を政府においてもっと早期にやれということを監査報告は非常に強調しているわけでありまして、私どももそれはかねてから言ってきたことでもありますけれども、この点私は、非常に大事な点じゃないか、もっと率直に申せば、もっと早くこの問題の解決をなぜやらなかったんだろうかというふうに思うわけであります。
  298. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 中島さんの所属される政党が民営・分割ともに反対をしておられる事実はよく承知した上で、あえてお答えを申し上げさせていただきますなら、でありますからこそ抜本的な改革策として私ども分割・民営という方向を選び、それに基づいた法案の御審議国会でお願いを申し上げておるところであります。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 そして、監査報告書における記述は、そのとおり事実ありましたものでありますから、私はこれを否定するつもりはございません。しかし、設備投資のための借入金が多額に上っておることは事実でありますけれども、逆に設備投資そのものは、輸送サービスの向上あるいは安全確保等を通じて経営の改善にむしろ寄与するということであり、かねてから工事費補助金あるいは建設費補助金等の所要の財政措置を講じてきたところであります。また、東北・上越新幹線につきましては、先ほど利子補給方式において七%という仮定を置きましたが、むしろ相応の助成をしてきておるということも申し上げたところであります。
  299. 中島武敏

    中島(武)委員 経営形態に原因を求めるのは正しくない。赤字が累積したのは経営形態のせいではないわけですね。さっきから言っているとおりであります。やはり公共性の高い企業、国鉄が、民間企業並みの独立採算制でありながら、借金による巨大投資を押しつけられたからであります。借金政策でやらなければならない、ここにやはり大きな問題があるわけでありまして、こういうやり方を押しつけられているならば、これは経営形態に原因があるわけじゃないわけですから、たとえ国有であれ民営であれ、あるいはまた公営であっても、にっちもさっちもいかないことは言うまでもないことじゃないでしょうか。私はそういう点では、これははっきり申し上げて、いろいろと親方日の丸というふうに言われておりますけれども、それはむしろこういうものを借金政策で押しつけてきたところに、ずばり言えば政府・自民党にあるということを言わなければならないのじゃないだろうか、この点は経営形態のせいにすりかえることはできない問題じゃないかということをはっきり指摘をしたいと思うのです。
  300. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私がたしか運輸大臣のころ、また総務会長のころ、記憶したところによりますと、鉄建審等を使ってAB線、地方ローカル線をつくっておりましたが、その経費はそれほど大きくないのです。国鉄の赤字の大部分はどこからきているか。私の記憶では、黒字になっている線はどこかというと、東京の山手線とか、それから高崎線、それから東海道線、大体この三つは黒字であって、あとは東北線とか山陽線とか北陸線とか九州の各線は全部赤字になっている。これを見ますと、つまり固定資本がうんとかかるという意味は新線建設からきているので、新線建設の場合は地方ローカル線が多いわけです。しかし、その負担というものは全体の赤字から見ればそれほど多くはない。しかし、赤字の大宗はどこからかというと、これはさっき申し上げたように、山手線と高崎線と東海道線しか黒字になってないので、あとの動脈線であるところの東北本線も、あるいは山陽線も九州の各線も、北陸線も全部赤字になっておる、それが赤字の大きな原因であるということを私、記憶しております。これはどこからきているかと言えば、やはり経営それ自体がモータリゼーションに対抗できなかったとか、あるいは人員が多過ぎた、私鉄に比べてみたら人員が多過ぎて経費も余計かかり過ぎた、そういう部分も非常にあったんではないかと思うのであります。
  301. 中島武敏

    中島(武)委員 モータリゼーションに負けて一体幾ら赤字ができたんでしょうか。私はさっきから申し上げておりますように、やはり大きな設備投資、ここに一番大きな原因があるということは、数字が証明しているところだと思うのですね。それから経常収支は、さっきも見たとおり決して赤字ではないわけであります。先ほどはっきりしたところではありませんか。だから、私は数字を挙げてこの問題をやっているのでありまして、一番の問題というのは、やはり問題はどこにあるかと言えば、借金政策で投資をしなければならないというところにあったわけであります。だから、この問題を経営形態の問題にすりかえるというのは全く正しくないということをはっきりもう一度私は申し上げて、次の質問に移りたいと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  共産党の村上議員が本会議の質問で、国鉄の全資産を再評価し、その全容を所有者国民に明らかにすべきである、こういうふうに申し上げたのに対して総理は、九月三日付官報で公表している、こう言いました。これは時価評価をした数字でしょうか。(発言する者あり)
  302. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。——橋本運輸大臣
  303. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 前回、本会議の皆さんからの御質問でもその辺が大変御議論をいただいたところでありますけれども、政府は、新事業体に承継する事業用の資産というものにつきましては簿価で引き継ぐという方針を決めておりまして、その時価を必ずしも明らかにする必要はないと考えております。なぜなら、これは国鉄資産処分が目的なのではありません。あくまでも鉄道事業を継続をさせていくことを目的とするわけでありますから、その大半を占める事業資産につきまして、その処分を行うことを前提にする価格で再評価をするというのは意味がないと私どもは考えております。ですから、国鉄財産を処分予想価格で一律に再評価をすることは、今回の改革では必要がないと考えておりますし、また行う予定もいたしておりません。
  304. 中島武敏

    中島(武)委員 つまり今のお答えは、私の質問に対する答えとしては、九月三日付の官報は簿価であるという意味を含めてのお話かと思うんですけれども、どうなんですか、その点は。総理がちょっと今座を外しましたけれども……。
  305. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 それで結構であります。簿価であります。
  306. 中島武敏

    中島(武)委員 村上議員がお尋ねをしたのは、時価評価したものを公表されたし、こういうふうに言ったわけでありますから、すりかえないでまじめに答弁をしてもらいたいという気持ちを持つわけですね。  今の橋本運輸大臣から答弁のあった点なんですけれども、私がお尋ねしたことじゃないことにお答えをいただいたわけなんですけれども、きのうの当委員会におきましても、それからまた過日のNHKの討論会におきましても、世論調査が問題になりまして、民営・分割賛成が非常に多いという結果が出ているということが言われました。私は、これはあれだけ政府が大宣伝をする、そして今も議論になりましたように、国鉄経営形態に赤字の大きな原因があるんだというような宣伝があれだけやられれば、やはり国民はそうかと、じゃあ民営・分割やるのはやむを得ないなというふうに考えるのは、私は道理があると思うのですね。しかし問題は、実は先ほどから言っておりますように、そうじゃないわけであります。そして、今の資産の問題に関してもそうなんですけれども国鉄は赤字でにっちもさっちもいかない、そういうふうに言われれば、もう破産状態か、こういうふうに国民が思ってしまうのも無理からないところであります。  そこで、私はお伺いしたいのです。今橋本運輸大臣が言われましたけれども事業資産はその簿価で引き継ぐんだというお話でありますけれども、それじゃ簿価で引き継いだ資産は鉄道事業に永久に使うというふうになっているのか、あるいは将来とも他に転用できない、あるいは転売することはできない、そういうふうになっているのかどうか、ここをお尋ねしたいと思うのです。
  307. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、先ほど私は、本会議の貴党の御質問をも踏まえてお答えを申し上げると申し上げた。それが答弁をそらしたと言われれば、それは大変私としては心外でありますから、その点は御理解をいただきたいと思います。  ただ、今私は、先ほどから何遍も同じことを申し上げておるのでありますが、大変失礼ですけれども、お気に召す数字だけを拾い上げて黒字であると言われましても、事実赤字であるという状態は消えません。この点だけはひとつはっきりさせていただきたい。  そこで、まさに事業用の資産でありますから、事業をしていくために必要な資産を新会社に継承するわけでありまして、これは会社が存続するし、鉄道事業を営む限りにおいてそれが処分をされるとは考えておりません。
  308. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、赤字を何も全面的に否定しているんじゃない。経常収支は黒ではないかということを言っているわけであります。輸送にかかっている費用は黒字じゃないか、こういうことを言っておるのでありまして、何も赤字の事実を否定しているわけじゃない。どうも、橋本さんとの論争は、本当はすれ違っていないんです。いないんだけれども、すれ違わせてこられるようだから、この辺はもう一回はっきり申し上げておきます。  それじゃお尋ねしますけれども、その土地の引き継ぎがやられた、五年間を過ぎても簿価で買い戻すことができますか。五年間を過ぎない間は買い戻すことができるようでありますが、この点はどうですか。
  309. 林淳司

    ○林政府委員 今度御提案申し上げている法律案によりますと、五年間はおっしゃるとおり清算事業団に簿価での先買い権がございます。その期限は五年間でございますが、いずれにしましても、新会社が重要資産処分する場合には運輸大臣の認可が必要でございますので、その段階で行政判断が入るということでございます。
  310. 中島武敏

    中島(武)委員 今申し上げましたのは、この改革法等施行法案の三十二条に係る問題なんですけれども、いただいた資料によりますと、会社法の八条関係のところで、今お話のありました運輸省令ですね、これによりますと、「譲渡等に関し認可を要する重要な財産は、一定価額又は一定面積以上の鉄道施設等とする。」と、こういうふうにあります。お尋ねしたいのは、「譲渡等に関し認可を要する重要な財産」というのは一体何なのかということであります。
  311. 林淳司

    ○林政府委員 財産の種類は、これは土地に限らずすべての資産を含むわけでございますが、やはり認可を必要とする資産というものにつきましては、ただいま省令案で、省令案といいますか省令の骨子案でお示ししておりますように、土地であれば一定の面積、あるいはその他の資産であれば一定の価額以上というふうに、すべて細目に至るまでということではなくて、ある限界を設ける必要はあろうかと思います。ただその場合に、先ほどから御指摘のような点については十分勘案の上、その面積とか金額を決めていく必要があるだろうというふうに考えております。
  312. 中島武敏

    中島(武)委員 例えば営業線を廃止をするというような場合だとか、あるいは土地の問題だとか、そういうようなことが含まれるという話らしいですけれども、もともと先ほどから明らかになっておりますように簿価で引き継いでいる、帳簿価額で引き継いでいる、そういう土地を譲渡するという場合に、大臣の方はこれは結局何も関与しないということになるのでしょうか。よくわからない。「重要な財産」は一体何なのか。「一定価額又は一定面積以上の鉄道施設等とする。」と、こうなっているわけですね。そうすると、これは一体、もともとはその鉄道をやるということで簿価で渡されている、引き継がれている。それに対してどうなんですか、これは関与できるのですかできないのですか。
  313. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もともと、新たに発足をいたします会社は、鉄道事業を営みつつ、それに関連する事業が営める状況にもなっております。それは民間の鉄道企業でも、現実に御承知のように、附帯事業によってその収支を支えていくケースが往々にしてあるからであります。そして、そうした意味での事業を行う最小限の資産を継承してこれらの会社は発足をするわけでありますから、売る売るとおっしゃいましても、現実にそれを売ってしまったら企業として存立し得ない場合も出てくるわけでありますし、また例えば、不動産処分を必要とするような場合に清算事業団が譲り受けを可能とするわけでありますし、そうしたことで十分対応できると私たちは考えておるのです。
  314. 中島武敏

    中島(武)委員 これは五年間を過ぎたら簿価で買い戻せない。そして今お話のあったように、鉄道施設であるから簿価で渡した、しかし事情があって営業線を廃止するという場合もあるでしょうし、あるいはもっとここは土地利用の有効活用を図りたいというようなことであれば、この高度利用をやって空いたところをいろいろ譲渡するとか、まあそういうことができるわけでありますけれども、そしてそれは大変便利なところであるならば簿価との開きは極めて大きなものがあると思うんですね。その場合には率直に言って大変大きなもうけが保証されるということになるんじゃないかと思うんですね。だから、その点についての歯どめが何もないのかという点についてもう一回伺いたい。
  315. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、今度の鉄道の事業再建というのは、あくまで鉄道を将来にわたってこれを維持していくということが基本でございます。したがいまして、その事業資産売却するということは、本来的にはこれは考えていないわけでありまして、やはりそれを活用して鉄道事業を継続していっていただくということがまず基本にあるわけであります。  ただしかし、それにしましても、何らかの事情でその資産の一部を売却することがあるかもしれない。これはまあ、いろいろ今後の事業の合理化その他の進展状況によりましてそういう部分もあるいは出てくるかもしれない。その場合に、少なくとも五年間は清算事業団に簿価での先買い権を付与しておるということでありまして、その後につきましては、先ほど来申し上げておりますように、重要財産については運輸大臣の認可をもって担保していくということで十分であろうかというふうに考えております。
  316. 中島武敏

    中島(武)委員 五年間過ぎれば、しかしそれもできないわけでありますね。  もう一つちょっと伺っておきたいのは、転売をするんではなくても大きなもうけを上げることができるという可能性も極めてあるわけであります。東京駅を再開発して十六ヘクタールほどを、霞が関ビル十棟前後分ほどをつくり出す構想があると新聞が報道をいたしております。いわゆる天野建設相構想なんですけれども、これに対して、建設大臣にこの構想についてお聞きをしたいと思うんです。
  317. 天野光晴

    ○天野国務大臣 私のまだ私案程度でございます。まず政府当局には一応調査をさせておりますが、できれば十一月いっぱいぐらいに構想をまとめ上げて、来年度予算で着工できるようにしたいと考えております。
  318. 中島武敏

    中島(武)委員 この問題について、東京駅は当然のことですけれども、帳簿価額で新会社に引き継がれるということになるわけですね。運輸省からいただいた資料によりますと、これは計算しますと平米当たり二千四百七十六円、坪当たりで八千百七十円という数字になりますけれども、ここで新聞が報道しているところによりますと、例えて言えば霞が関ビル相当のものを十棟前後というふうに相当するかと、こういうふうに言っておりますけれども、これはどうなんでありますか。
  319. 天野光晴

    ○天野国務大臣 一応この計画は地価の暴騰を抑えようという考え方で進めております。そういう観点から一応今再開発できそうだという地域を検討しますと、霞が関ビル八棟分以上建つという、設計の権威者がそう申しております。
  320. 中島武敏

    中島(武)委員 地価の高騰を抑えるという話なんですけれども、国土庁が発表しております首都改造計画、これによりますと、紀元二〇〇〇年までには東京区部において五千ヘクタールの事務所床面積が必要だということを言っております。今、建設大臣のお話を伺いますと、霞が関ビル八棟分ぐらいというお話なんですが、霞が関ビルは床面積十六ヘクタールであります。それの八倍ということになるわけですけれども、地価の鎮静にこれは果たして効果があるかどうか、私としては非常にこれはむしろ疑問だというふうに思うわけであります。なぜならば、五千ヘクタールと十六ヘクタール掛ける八、これとの比較を考えてみますと、大変疑問に思わざるを得ないわけでありますね。  同時に、霞が関ビルの場合に賃借料が一体どうなっているのかということについても調べてもらいました。これによりますと、一平方メートル当たりですけれども、敷金、礼金、賃料を含めましてまあ七万円ぐらいというお話だったんです。そして、霞が関ビルの場合には賃貸に供している部分が九ヘクタールあるということであります。何も私は、霞が関ビルがそのまんま東京駅でというようなことを言うわけではありませんけれども、ほぼ大体そんなに大きな違いはなくなるんじゃないかというふうに思うものですから、そして私の計算に間違いなければ、賃料などは月六十三億円入ってくるという計算になります。  簿価で引き継いだ資産でこういう事業をやるということは、新しい会社が大変大きな利益を上げることができるんじゃないだろうか。私たちはやはり、一体国鉄資産というのはどれだけあるのかということを明瞭にしておく必要があるんじゃないかということを非常に痛切に思うんですね。今国鉄がにっちもさっちもいかないから分割・民営だ、こういうふうに言うんですけれども、じゃ、時価による資産は幾らかということを何度お尋ねしてもこれは出てこないわけであります。そういう点で私は、この問題をやはり明瞭にしておく必要があるというふうに考えるわけであります。
  321. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 東日本会社に引き継がれる東京駅の用地というものは、東日本会社が鉄道事業を行うための最小限必要な事業用地であり、非事業用地売却対象用として生み出しておりますことはもう既に明らかにしております。  東京駅周辺の再開発につきましては、自由民主党の公的事業への民間活力の導入に関する特別調査会の御提言を受けて、現在政府部内で検討中でありますが、線路敷については検討の対象にはなっておりません。  大変失礼でありますが、天野大臣の東京駅構想は、私は詳細を伺っておりませんので何とも判断のつきかねる部分でありますが、仮に東京駅の線路上空にビルを建設すると仮定をいたしました場合に、工法あるいは工事費、都市計画との整合性等今後検討すべき事項は相当広範にわたると思っておりまして、現在論評は私は差し控えさせていただきたいと思います。
  322. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、先ほど指摘したようにやはりこういう問題が起きてくる、だから時価で引き継ぐということをやり、かつ、全資産を明らかにしないということになりますと、時価で幾らかということについて明らかにしなければ、今私が申し上げたようなことは一つの例なんですけれども、そういう問題が起きてきたときに、やはり国民は大変な疑問を感ずるのじゃないかということであります。  同じような問題でありますけれども、私はもう一つお尋ねしたいと思うのです。通信施設の問題であります。  通信施設に対して、昭和五十一年から六十一年までの間だけでも、投資している額は千七百六十二億円になります。引き継ぎ資産額は、通信会社が三百七十九億円、システム会社が百七十億円、合わせて五百四十九億円であります。私は、ここで再調達価額、これをやはり明らかにする必要があるんじゃないかということであります。
  323. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘でありますけれども、今回の国鉄改革というものは、国鉄資産処分を目的とするものではございません。あくまでも現在国鉄の行っております鉄道事業等の継続を図っていくというものを目的とするものでありますから、鉄道事業などに必要な通信設備について、その処分を行う場合の価格というもので再評価をするというのには意味がないというふうに私は考えます。
  324. 中島武敏

    中島(武)委員 これは新しくつくるとどれくらいかかるか、何兆円もかかるのではないかというようなことが言われておるわけですけれども、問題は、さっきから申し上げておるように、国鉄が赤字でもう破産状態であるかのように受け取っているのに対して、いや、そうではない、こういう点だという点を明瞭にするためにも、私は再調達価額というものを明らかにする必要があると思うのですけれども、似た問題についてもう一つ伺います。  宿舎用地の問題なんですけれども、この点について清算事業団の方にほぼ三分の一ばかり行くわけですけれども、そのほか、残るものは簿価でやはり引き継ぐわけでしょうか。
  325. 林淳司

    ○林政府委員 国鉄の宿舎につきましては、現在もう既に空き家になっている部分がございます。その空き家になっている宿舎の用地については清算事業団の方へ持ってまいります。それから、現在まだ職員が入っておる宿舎がございますが、そのうち適正要員規模というものを考えて、将来、とも必要な宿舎に見合うものについては簿価で引き継ぎます。しかしそれ以外の、余剰人員でございますね、現在入っておるけれども、いずれ適正規模になれば空き家になるであろうという部分については時価で引き継ぎます。
  326. 中島武敏

    中島(武)委員 使うものについては簿価で引き継ぐ、空くものは時価でという今の御答弁なんですけれども、ところが、これはまた、簿価で引き継いでも、高度利用をするとかいろいろやればまたいろいろ出てくるという問題があるわけですね。だから私は、これらの問題をやりますと、簿価で引き継ぐというだけではなくて、やはり時価をはっきりさせるということが非常に必要になってくるというふうに思うわけであります。よく言われておりますように、鉄道資産が百兆円とか二百兆円というふうにあったら、本当に国民は、これは国民の共有財産でありますから、このまま残して借金を処理した方がよいというふうに考え直す国民もまた多いはずであります。ですから、再評価をしてその判断を国民に問うということが大変必要じゃないか。こういう点からいって、私は時価での資産額を明瞭にすることを要求したいと思います。
  327. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、林審議官から御答弁を申し上げましたように、売却を将来予定をする宿舎用地については時価でということをちゃんと申し上げております。  そうして、今のお話を伺っておりますと、私ちょっと一瞬錯覚に陥る部分があるのでありますが、確かに国鉄という一つのこの大きな世帯が、一切借金を清算して仕事をやめてしまうのであれば、それはあらゆる資産を時価に評価がえをし、それを売却し、それによって赤字を解消することはできるでありましょう。しかし、私たちはその鉄道事業は存続したいのであります。そうすれば、あらゆる資産を売り払ってしまうことはできないのであります。帳簿上幾らあるといいましても、赤字は赤字として現に存しておるわけでありますし、事業用に必要な資産処分することができません。  今お話を伺っておりますと、何か借金を返すためにみんな売り飛ばしてしまって、もうこれでなくしてしまうという状態を想定してのお話かと思いますけれども、それであれば確かに時価評価というものは必要でありましょう。しかし、業務を継続しようとする限りにおいて、引き続き必要とし、使われていく資産をわざわざ時価に換算をしてみる、私はその必要はないものと思っております。
  328. 中島武敏

    中島(武)委員 新会社がやっていけないというような場合、例えば、先ほどからお話の出ておるようにローカル線の撤去をやらなければならないという羽目に追い込まれた場合とか、あるいはさっきからこれも言っておりますけれども、高度利用を図るというようなことからそういう問題が起きてくるとかいう場合が大いにあるわけでありまして、私はそういう点でこの問題を申し上げておるわけであります。この点でやはり明確にしておく必要があるということであります。  それで、次の問題についてお尋ねしたいと思いますが、国民負担の問題であります。  事業団法の三十一条の「償還基本方針」、この問題なんですけれども、償還計画のない財政再建計画というのはあり得ないわけでありまして、どんな償還計画を立てていらっしゃるか、この点についてお尋ねします。
  329. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この答弁に入ります前にもう一回だけ申し上げさせていただきたいのでありますが、中島委員は新会社が立ち行かなくなった場合を想定すればとおっしゃいますけれども、我々は新会社を立ち行かせようとしておるのでありまして、その点についてはどうか御理解をいただきたいと思います。  また、三十一条の「償還基本方針」の中身というお尋ねでありますが、「償還基本方針」では、清算事業団債務の償還等の確実かつ円滑な実施を図るという観点から、まず第一に、将来における債務償還等に関する方針の前提を示すために、清算事業団に帰属させて処理することとされた債務の償還及び利子の支払いの予定額を明らかにすること、第二に、清算事業団の自主財源の確保と支出の削減とを図り、債務の償還を円滑かつ確実に進めるために、清算事業団資産処分、より有利な資金への借りかえ等についての政府の基本的な方針を示すこと、債務償還等の円滑かつ確実な実施のため、政府が講ずる補助金等の交付、資金の融通、あっせん等の施策に関する基本的な方針を示すこと、以上であります。
  330. 中島武敏

    中島(武)委員 立ち行かないというその問題に関して言えば、私の舌が少し足りなかったかどうか、会社としては十分やっていけても、鉄道事業としては廃線しなければならないとかいう場合がが出てくるということを私は言ったわけでありす。  それから、今の方針に基づいてやっていくという場合に、きのうは、土地処分の問題についてめどがつくのは大体三年先ぐらいというお話がありました。そうすると、それに至るまでの三年間の収支見通しを立てておられますか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  331. 林淳司

    ○林政府委員 清算事業団に帰属する債務の償還につきましては、相当の期間をかけてこれを最終的に処理をするということになります。ただ、最終的に国民負担になる額が一体幾らになるかということについての額のある程度めどをつけないと、その辺のきちっとした財源措置を講ずることは難しゅうございます。したがって、当面、雇用対策というもののめどが立つ時点、さらに土地についても、ある程度売却計画等についての詳細が固まってくる時点まではその辺の最終的な国民負担額が確定できませんので、それまでの間は、当面の措置としまして、財政事情の許す範囲内で一般会計からの御負担も願いますし、それから、足らざる分は資金繰り等によって当面処理をしていく。いずれにしても、清算事業団として支払いをしなければならない諸般のお支払いには支障のないように措置をしていくというのが現在の方針でございます。
  332. 中島武敏

    中島(武)委員 まだ実際には何も決まってないというお話なんですが、二十五兆四千億円の長期債務、これはどうなりますか。ふえるのですか、減るのですか。
  333. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先日来申し上げておりますように、私どもは、監理委員会試算でいきましたならば十六兆を超えると言われました最終的に国民に御負担を願わなければならなくなる長期債務の額を、今一銭でも減らそうとしている最中であります。
  334. 中島武敏

    中島(武)委員 これがはっきりしなければ、結局国民負担は一体どうなるのかという点についてはっきりしないわけでありますから、きのう総理がここで答弁の中で、民間の破綻会社は人員問題に手をつける、国鉄問題でも人員の問題に手をつけたと言われました。九万三千人が合理化で国鉄をやめなければならない、職を失うというこれは大変な問題であります。労働者がこういうふうに犠牲になっているというときに、国鉄の債権者である大企業や大銀行が負担をしないというのは、私は率直に言っておかしいんじゃないか。それで、一体どこにだれがどれだけの債権を持っているのかという点について明らかにしていただきたいと思います。
  335. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄に対する債権者ということでありますが、長期借入金の借入先は、資金運用部、郵政省簡易保険局、一般会計及び民間金融機関であります。鉄道債券の債権者は、これ自身が転々流通をしておりまして、特定をすることはできません。引受先は、地方公共団体あるいは関連会社、金融機関及び国鉄共済組合であります。  しかし、今御指摘のありました長期借入金の借入先別の金額を明らかにせよと言われますことについては、これは個々の金融機関の経理にも関連する問題であり、差し控えさせていただきたいと思います。
  336. 中島武敏

    中島(武)委員 国民負担をしなければならない、そして形がどういう形かはこれから決まることですけれども、どっちにしろ払わなければならない、しかし実際には自分の払い先がはっきりしない。私はそんなおかしなことはないというふうに思うのですね。いただいておる資料によりましても、例えば、政府保証債は都市銀行等金融機関よりなる募集引受団等、この中身ははっきりしないわけですね。それから、その他の鉄道債券についても民間会社等工事の受益者、こうなっている。これも中身ははっきりしないのです。国民が払うお金は一体どこへ行くのかということが明瞭じゃないわけであります。あるいはへ号債は車両会社、建設会社等関連会社とあります。個々にはわからないのです。それから都・長銀、地銀、相銀、信託、生保とありますけれども、この中身がはっきりしない。  私は、ちょっと角度を変えてお尋ねしたいと思うのですけれども最終的に国民負担をしなければならないものの中には、成田新幹線もあれば南方貨物線もあれば、また京葉線貨物線も入っております。しかし、成田新幹線に八百二十八億円かかったというのですけれども、これが使われる見込みは、半永久的とは申しませんけれども、いわば半永久的に近くないわけであります。あるいは南方貨物線についてもそうであり、それから京葉線の貨物線についてもそうであります。そういうものを国民負担しなければならない。ところが、大企業の方にはどういう負担をさせるのか、またどこに債権を持っている者がいるのかということを明瞭にしないというのは大変おかしい話じゃないかと私は思うのです。もう一度答弁願いたい。
  337. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、今申し上げましたように長期借入金の借入先は資金運用部であり、郵政省簡易保険局であり、一般会計及び民間金融機関と申し上げております。また鉄道債券につきましても、これはまさに流通をして転々としておるものでありますから、特定をすることは到底できません。その引受先につきましては、地方公共団体あるいは関連会社、金融機関及び国鉄共済と申し上げておりますが、ただ、個別にこれを公表しろと言われますのは、これは逆に言えば個々の金融機関の経理状況にまで及ぶ話でありまして、これはやはり差し控えさせていただくべきものだと思います。
  338. 中島武敏

    中島(武)委員 国民が払うのです。その払い先がはっきりしないのです。それは相銀とかあるいはどこの何々、個別のことがわからないで、大きくくくったことしかわからないのですね。これを明瞭にするということは、何もそこの経理の問題にかかわるわけではないじゃないですか。もっと全部、ここにこれだけの債権がある、国民の皆さんにはこれだけ——私は国民負担をやることに反対ですよ。だけれども、そういうふうに言うのが当たり前じゃありませんか。
  339. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほどから国や大企業というお言葉をお使いになりましたけれども、資金運用部は、確かに我々、我々といいますよりも国鉄の大きな借入先であります。しかし、その資金運用部資金というものもまた国民のお金であります。簡易保険のお金も国民のお金をお預かりをしておるものであります。約定どおりこれらのお金を返すのは当然のことでありましょうし、また、それぞれ民間企業として新たに発足をいたします企業にいたしましても、今後資金調達をするとすれば、民間の金融機関に頼る場合も当然出てまいるでありましょう。そうしたことを考えてまいります中で、個々の金額を明らかにするということが望ましい姿であるとは考えておりません。
  340. 中島武敏

    中島(武)委員 この点については議論をしても結論が出ませんので、私は、重ねてこういう点は明瞭にするべきであるということを要求して、次へ進みます。  雇用問題に関してなんですが、余剰人員対策を改革法二十三条のやり方でやったらどうなるか。二十七万六千名、六十二年度首、六十二年の初めであります。全員が一たん三月三十一日に国鉄をやめなければいかぬ。そして、このうち二十一万五千人だけが新会社に採用される。残りの六万一千人のうち二万人は希望退職、四万一千人は清算事業団に行き、三年の間に他に職を求めなければならなくなるわけであります。全員が新会社に引き継がれるわけではないのです。二十三条によりますと、承継法人の設立委員が設けられて、承継法人の職員の労働条件、それから職員採用基準を提案をし、職員の募集を行う、こうなっております。そして国鉄は職員の意思を確認をして、採用基準に従って選定をし、名簿をつくって提出する。そうして設立委員がその中から採用する者に通知を出し、採用する、こういうふうになっているわけであります。  ですから、このことは、来年の三月三十一日をもって労働条件、営々として築き上げてきた労働協約、協定も効力を失ってしまう。新しい労働条件についてはどうか。労働条件は、言うまでもなくこれは団体交渉の事項なんでありますけれども、しかしその機会はどうやらないようであります。その点では、これは労働基本権の否定にもなるんじゃないだろうか。  また、労働者を一方的に二重にも三重にも選別をして新会社に採用するという問題であります。私は、この点について、同じく民営化された電電公社の場合に、資産だけではなくて、人員についても、労働条件、労働協約についても引き継いだのではなかったかと思うのですけれども、郵政大臣、どうですか。
  341. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 NTT法の附則の規定によりまして、NTT設立時に電電公社の職員であった者はNTTの職員になるとありまして、そのとおりになっております。それから、労働協約や労働条件も、実質的にはそのまま引き継がれております。しかし、これは公社がNTTにそのまま移行したわけでございまして、複数の事業体に引き継がれる国鉄の場合とは事情を異にしていると考えております。
  342. 中島武敏

    中島(武)委員 たばこ専売の場合は、大蔵大臣、いかがですか。
  343. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 人員につきましては、公社の解散の際現に公社の職員として在職した者は会社の職員となること、資産につきましては、公社の財産がそのまま新会社出資されました。それで、一切の権利義務を新会社が承継いたしました。
  344. 中島武敏

    中島(武)委員 九電力の分割のときはどうだったのでしょうか、通産大臣。
  345. 田村元

    田村国務大臣 これは昭和二十六年の五月のことでございますからもう三十五年以上前のことで、当時のことを調べるのに苦労したわけですが、発送電、九配電、これの資産とか設備というものは、電気事業再編成令というので処置されておりますけれども、職員に関しては何の法令もないのですね。何の法令もなしに、それで勤めておる会社がなくなった、新しい会社ができたというので、そこへ新規にまた採用する形で入れて、そして地位、給与、勤続年限等は過去の発送電あるいは九配電時代のものをそのまま生かしたというようなことで、全く法令も何にもなしの処置ということのようです。実は、これは当時の偉いさんはもうほとんどいないのです。それで調べるのに苦労したのです。ようやく聞きまして、昭和二十六年といえば、孫五人ある私が嫁さんもらった年ですから、本当にそうなんです。苦労したのです。ようやくそこまでわかった。当時の国会議員で今この席にいらっしゃるのは中曽根総理と原田憲さんぐらい、あとは皆その後。古い話なんでちょっと頼りない返事ですけれども、それしかわかっておりません。
  346. 中島武敏

    中島(武)委員 九電力の問題、それからたばこ、電電——たばこ並びに電電の方は非常にはっきりしているわけでありますけれども資産も人員も、それから労働協約も引き継ぐということになったわけであります。国鉄の場合には二十一万五千人は指名採用されるわけでありますから、指名採用されない四万一千人というのは事実上の指名解雇ではないかというふうに考えるわけであります。どうですか。
  347. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私はそう考えておりません。それは、二十三条において新会社はその職員を国鉄の職員から採用することになるわけでありますから、その残った職員はそのまま清算事業団の職員となるわけでありまして、国鉄職員を全員退職させるという状況にはないわけであります。むしろそのまま引き継がれる。一たん退職という形にはなっておりません。
  348. 中島武敏

    中島(武)委員 新会社に行けないことはそのとおりであります。事実であります。ですから、そこは何という規定を行っているわけでもないのですけれども、そこではっきりした選別がやられるわけでありまして、事実上の指名解雇であることは間違いないじゃありませんか。
  349. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 いや、国鉄の清算事務は清算事業団に引き継がれるわけでありますから、国鉄との継続性からいえば清算事業団が継続をしております。これはへ理屈を言うようでありますけれども、指名解雇という言い方をされるならば、実は清算事業団に残る職員の方々は国鉄から継続性を持っておるわけでありまして、むしろ新会社に行かれる方の方が、もしそういう言い方をすれば指名解雇なのかもしれません。私はそう思います。これはへ理屈だと認めて私は言うのですよ。(発言する者あり)
  350. 中島武敏

    中島(武)委員 事実上指名されない。新会社に行くことを自分は希望してもこれは指名されないわけでありますから、その点においては事実上の指名解雇だ、こういうふうに申し上げておるわけであります。  それから、もう一つ労働条件の問題。この問題については、新しい会社の労働条件は設立委員が一方的に決めるものではありませんか。これは当然団体交渉で行わなければならないという性質のものでありますけれども、この点はどうですか。
  351. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、ふざけているというおしかりを受けたようでありますけれども、私は決してふざけているのではない。清算事業団にむしろ引き継がれる、一たん解雇という状態ではないということを申し上げて、御理解をいただきたかったわけであります。そこは御理解をいただきたい。  そこで、こういう採用方式を新会社にとりましたのは、新会社の職員構成等、もちろんこれはそれぞれの会社の将来を左右する重要な問題であります。そして、設立委員分割・民営後の地域の実情を踏まえながら、新たに発足する企業として定めていく要件の中で採用されていくわけでありますから、その職員の構成あるいは労働条件等において経営の方針が反映をされるということは、私は新会社の発足としては当然のことであろうと考えております。
  352. 中島武敏

    中島(武)委員 四万一千名もの労働者がここで新しい会社を希望しても行けない。そしてまた、新しい会社はどんな労働条件のもとで働くのか、その労働条件については設立委員が決めるわけですね。労働者はこれから働くという場所にちっとも関与してない。こんなむちゃくちゃなことありますか。一方的に設立委員が決めるということになるわけじゃないですか。運輸大臣は、これはちゃんと団交の責任があるのですか。
  353. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は団交の責任はないと思いますが。私との雇用関係が生ずるわけではございませんので、私に団交の権限があるかどうかもちょっと疑問であります。
  354. 中島武敏

    中島(武)委員 文字どおり、今ここで四万一千名の働く労働者が新会社に行くことはできない。労働条件についても、国鉄で働いている労働者の人たちが、どんな労働条件で働くのかということについてもみずから発言する権利を持っていない。団体交渉でやるという権利もないことは事実であります。  ですから、こういう異常な事実上の首切り、これに対して非常に職場では不安が広がっているわけであります。たくさんの人がとうとい命をみずから断つということもありました。昨年は四十五名が、本年になってから九月二十九日までに三十八名がみずから命を断つということになりました。国鉄水戸管理局水戸機関区の高野さんという方もみずから命を断たれた。共産党の同僚議員が水戸管理局にこの問題で抗議に行きました。何と答えたか。同世代に比べれば国鉄の自殺者は三分の一というような暴言さえ吐いていると聞いております。これは人数の問題ではありません。私は、こういうことを言うというのは全く不見識だと思います。しかも国鉄の方では、自殺をすれば統一様式の報告書を設けて報告をせよということを言っておられる。私は、甚だこのことについては遺憾に思うわけであります。総裁の見解を聞きたいと思います。
  355. 杉浦喬也

    杉浦説明員 ただいま職員の問題でいろいろと大変な状況でございます。私、一番心配しておりますのは、現場の職員がいろいろな意味で不安、動揺がある。そうしたことから、仮にそれが自殺というようなことに結びつくことがあるとすれば、これは非常に痛ましい大変なことだと思います。そういう意味で私も非常に関心を持ちまして、痛ましい事故の原因を調べておりますが、なかなかこれははっきり言いましてわかりません。家庭の事情、個人の事情、いろいろとございます。したがって、その事情というものはよくわかりません。しかしながら、痛ましい事故のないように私としましては十分に気をつけて対処していきたい、こう思っております。
  356. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、運輸大臣の見解も聞きたいと思います。
  357. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 いかなる原因であれ、私は、自殺者が出るという、その自殺をされた方々に対しては本当にお気の毒だと思います。そしてまた、今御引用になりました国鉄の内部における発言が真実のものであるとするならば、私も人間的に憤りは感じます。しかし、私はそういうことがあったとは思いたくありません。
  358. 中島武敏

    中島(武)委員 総理の見解を伺います。
  359. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今回の新会社への移行ということが原因でそういうような不幸な事態が起きないように、大いに努力いたしたいと思っております。
  360. 中島武敏

    中島(武)委員 総裁の方で出しておられる「職員自殺の報告方について」という通達で統一報告を求めていらっしゃる。私は、これは廃止した方がよろしいと率直に言って思います。
  361. 杉浦喬也

    杉浦説明員 そういう通達は廃止しております。
  362. 中島武敏

    中島(武)委員 民間で、一たん企業をつぶして全員を解雇して、気に入った者だけ必要なだけ集める、採用する、こういうやり方がまかり通るというようになったならば、労働者の雇用も権利も何一つ守られないことになってしまいます。私は、今度出されている法律の中でこのようなことと同じようなやり方がやられるということは甚だ遺憾であります。この問題について撤回を要求して、次の問題に移ります。  私鉄並みの生産性にするということで、九万三千人もの大変な人減らし合理化をやろうとしているわけですけれども、結局私鉄並みということで私鉄並みの生産性にすれば、適正要員規模は十八万三千名だ、激変緩和で三万二千名を合わせて二十一方五千名、これは国鉄監理委員会の書いているところであります。これが実際に行われたら、またこれを目指して要員の合理化が進んだならば、職員の合理化が進んだならばどういう事態になるだろうか。  ホーム要員の問題について、先日参議院の予算委員会で上田議員が取り扱いました。あれはホーム要員の廃止問題なんですけれども、駅ごと無人化されているというところも多々あるわけであります。このことが、乗客の安全とサービスにやはり大変な事態が引き起こされる非常に大事な点だと私は思います。  そういう点でお尋ねしたいのは、国鉄が最近三年間に無人化した駅の乗降人員はどれだけか、つまり、乗車人員五百人以上千人未満の駅は何駅無人化されましたか。最近三年間のことです。
  363. 須田寛

    ○須田説明員 五十八年度から六十年度までの数字でお答え申し上げますが、この間、千人以上の駅では無人化が一駅……(中島(武)委員「いや、五百名以上千名未満です」と呼ぶ)五百名以上千人未満の駅でお伝えいたしますが、無人化をいたしましたのは百三十八駅でございます。業託をいたしましたのが三十九駅、計百七十七駅の効率化を実施させていただいております。
  364. 中島武敏

    中島(武)委員 大手私鉄の十四社、これについてどうなっているかについてお尋ねしたいのですけれども、乗車人員千人を超える無人駅はどれだけありますか。
  365. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、資料がありませんので、後日お届けをいたします。
  366. 中島武敏

    中島(武)委員 私が事前にいただいた資料によりますと、小田急で一つ、それから名古屋鉄道、名鉄で八つ、これだけであります。それから大手私鉄で乗車人員五百名以下でなおかつ有人駅、これは幾らあるかということについて申しますと、六十二駅という数字が出ております。  私が非常にここで問題だと思いますのは、千人を超える駅は、大手私鉄はほとんど皆駅員を置いているわけであります。さっき申し上げたように小田急で一つ、名鉄で八つという、これだけであります。無人駅で有名な名鉄でさえも今言ったように八つなんでありまして、私は、そういう点では国鉄と私鉄を無人駅の問題をめぐって比較してみましても、その差は非常に歴然としていると思うのです。この点では私鉄並み生産性といいながら、実際には利用者に対する安全サービスは私鉄並みどころじゃない、大変な格差が出てきている。そういう不合理な物差しで首切られる労働者はたまったものじゃないと、これは率直に私は思います。そういう点では、駅員だけを見ましても、十八万三千人は適正規模とは言えないのではないか、実態に見合ってやり直しをするべきじゃないかというように思うのですけれども、どうですか。
  367. 林淳司

    ○林政府委員 御質問について、御質問の趣旨に関して一部御答弁いたしますが、今回我々が考えております旅客鉄道会社と私鉄の関係を若干比較してみますと、一有人駅当たりの駅の職員数の比較でございますが、私どもが考えております旅客会社の場合、一有人駅当たり全社で約十九人でございます。それに対して民鉄の場合は、大手十四社で約十一人、それから中小私鉄の場合で三人ということで、決して有人駅の配置が今度の旅客会社が少ないというふうには私ども考えておりません。  それから、駅職員一人当たりの取り扱い旅客数、これを比較してみますと、今度新しくつくります六つの旅客会社の場合で、全社平均しますと、駅職員一人当たりの取り扱い旅客数は約十八万人。それに対して民鉄の場合は大手の十四社で四十一万八千人、それから中小私鉄の場合で二十七万人以上ということでございまして、決して私どもの要員配置が私鉄に比べて少ないというふうには考えておりません。
  368. 中島武敏

    中島(武)委員 今の私の申し上げた点についてはどうですか。
  369. 須田寛

    ○須田説明員 駅の要員を考えます際には、今先生御指摘がございましたが、お客様の数もそうでございますが、やはり駅のお客様の性格もいろいろあると思います。私どもはやはり、無人駅にいたします場合におきましては、場合に応じますれば車掌を増し乗務をさせましてカバーをさせましたり、あるいは管理駅から駅員を巡回させてピークの時間を対応させたり、いろいろなことを実は考えているわけでございます。したがいまして、お客様のサービス、それから安全その他には十分留意をいたしまして効率化を進めさせていただいている、こういうことでございますし、今後もそのようにしてまいりたい、かように考えております。
  370. 中島武敏

    中島(武)委員 国鉄ですから、当然安全、サービスに努力をするのは当たり前であります。だから、これをしっかり守っていけるようにしてもらいたい。ただし、私がさっき言ったような点は、これもまた事実でありますから、やはり私はこういうふうな、私鉄並みといいながら実際には私鉄並み以下になっているような実態については改めなければいけないのじゃないかということを要求しまして、次の問題をやります。  人減らし合理化と安全問題に関してでありますけれども、人減らし合理化は列車の安全性にも重大な影響を及ぼしております。横須賀線と総武線をつなぐ東京地下トンネルでは、コンクリートまくら木とレールをつないで安定を保つためのタイプレート、これはスクリューボルトで固定をさせているわけですけれども、これが腐食をして数カ月でぼろぼろになってしまう。そして、それが大変緩んで振動で飛び出してしまって、レールがまくら木にただ置かれているという状態にわかりやすく言えばなってしまう、大変危険な実態があります。国鉄にも見てもらいたいのですけれども、実は今申し上げたボルトというのは、スクリューボルト、これでとめてあるわけであります。ところが、これが数カ月でこんなふうになってしまうわけであります。なぜこんなふうになってしまうかということに関して言いますと、この東京地下トンネルは汚水が漏水をしてくる、それから塩分を含んだ海水、これがやはり入ってくるということが、数カ月にしてこういう状況を生み出す原因になっていると言われております。  ところが、私が重要だと思いますのは、国鉄当局はどう言っているかといいますと、コンクリート道床であるから大丈夫だ、こういうふうに言いまして、巡回要員も、実は昨年十二月までは八名だったのですけれども六名に減らされて、かえって受け持ち区域もふやされている、そういう状況であります。さらに巡回の回数、これも三日に一回から十日に一回に逆に延ばされてしまう、そういう実態にあります。このために間引き点検しかできないで危険がいっぱいだ、率直に言ってこういう状況であります。職員の合理化問題、要員の合理化問題というのはどんなに安全性を無視するということにつながっていくかということであります。総裁はこうした事実について御存じでしょうか。
  371. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 技術的な問題については国鉄から答えてもらいますが、事実関係で二点のみ、この場合に申し上げておきたいと思います。  列車の百万キロ当たりの事故の件数を見てみますと、現在国鉄は一・七であります。民間鉄道は一・〇でありまして、民間鉄道の方が、人員が多いと言われております国鉄よりも事故の発生件数は少なくなっております。また、合理化と事故について申し上げますならば、昭和四十五年をそれぞれ一〇〇として計算をいたしました場合、確かに昭和六十年度は職員の数はその当時の六六・五%に下がっておりますが、事故の発生率は四七・一%まで下がっております。必ずしも数の問題ではなく、心構えの問題であろうと思います。
  372. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生御指摘のございましたトンネルは、横須賀線の東京—品川間のトンネルでございます。これは四十三年度に着工いたしまして、五十一年に完成をいたしております。地下三十メートルのところを通っております。工事に着手いたしました当時では、地下水位が非常に低位に安定をいたしておりました。ところが、地下水くみ上げの規制が功を奏したことだと思いますが、完成いたしました五十年前後から地下水位が上昇を始めまして、この十年間に約二十メートルの地下水位の上昇がございました。そういう原因がございまして漏水が多くなる。しかもあの地区の地下水は、先生のお話もございましたけれども、海水がそのままということはございませんが、一部混入をしておるということから、腐食も進むようになったことは事実でございます。  国鉄といたしましては、こういった実態は早くから把握をいたしておりましたので、各般の調査を行い、万全の対策を立てて対応しているところでございます。例えば注入をいたしまして漏水を少しでも少なくするというような方法もその一つでございますし、それから今お話ございましたような締結ボルト、締結金具あるいはレール本体、そういったものの更換周期につきましても、他の区間より一層早く更換をするといったような対策を講じて、万全を講じているところでございます。  したがいまして、これの腐食の原因、今のそのボルトの原因というのは、合理化によって生じたということでは決してないということでございますのと、それからもう一つ申し上げておきたいのは、今のそのボルト、数カ月というお話がございましたけれども、私どもは数カ月でそのようなことになることはない、トンネルで平均をいたしますと十年、最低でいたしましても一年以上の寿命は十分あるというふうに考えているところでございます。  なお、巡回の周期につきましては、徒歩巡回の周期につきましては十日に延ばしたわけでございますが、それ以外の列車巡回あるいは軌道モーターカーによる巡回を含めまして、これらを二日に一回ということでいたしております。したがいまして、その腐食が幾ら早く進行すると申しましても、巡回周期の間に何か大変なことが起こるというような事態にはならないということでございまして、安全問題では全く心配はないということを申し上げておきたいと思います。
  373. 中島武敏

    中島(武)委員 橋本運輸大臣の方から、私が聞いたことじゃないのですけれども、お話がありました。私鉄と国鉄条件が違います。特に先ほど申し上げたようなホームの条件だとか、こういうものはうんと違います。車両も小さく、また短い。国鉄の場合には車両も大きく、また長い編成を行っているというような点があるわけでありますから、そういう点をも十分に考慮しなければならないものだと思います。  それから、今のお話についてなんですけれども、実際にこれはどうやって発見するか。大変発見しにくいというわけですね。合理化によるものではないというふうに言うのですけれども、実は上から見ただけでは非常に見分けがっきにくいわけであります。これは上から見ただけでは大変見分けがつきにくくて、熟練者がよくよく点検をしなければ見にくいという問題であります。そして今、軌道モーターカーで点検をしているというお話でありますけれども、私が訴えられ、職場の労働者から話を聞いたところによりますと、マヤカーは走るけれども、しかしこれがどういうふうになっているかということの点検は、その車ではできないというふうに言っております。それで万全の対策と言うのですけれども、要員合理化とかかわりはないと言うのですけれども、実際にはこういうことがたくさんやられている。  本当に安全に乗客を運ぶという観点からいえば、こうした問題の解決を抜きにしては安全に乗客を運ぶことはできないと思う。そういう点で私は、もう一度よく点検をする必要があるんじゃないか、そして見回り点検期間をもっと短縮をする、それから要員も実態に合わせてもともとの八名、あるいは必要ならばもっとふやすというようにしなければならないと思うのですね。そういう点でもう一度よく調べてみる必要があるということを言いたいのです。
  374. 杉浦喬也

    杉浦説明員 安全問題は私どもの最大の使命でございます。そうした意味での今後の注意は今まで以上にやってまいります。列車事故も減ってまいっております。安全を第一に考えております。
  375. 中島武敏

    中島(武)委員 この東京トンネルの場合にはどうですか。
  376. 杉浦喬也

    杉浦説明員 実情は先ほど担当の常務からお話ししたとおりでございまして、安全上は心配ないということでございます。
  377. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一度私はやっぱりきちっと再調査をすることを要求したいと思います。そして、次の問題をやります。  人材活用センターの問題に関して伺いたいというふうに思うのです。  国鉄の職員局長の通達によりますと、大量の余剰人員、この余剰人員という言葉は私も非常に使いたくない言葉でありますけれども、余剰人員がそれぞれの職場でブラ日勤の状態が生じることは必至であるため、七月一日以降、一斉に体制を整えて、増収施策、経費節減策、多能化のための教育訓練、こうしたことを目的に人材活用センターを設置したと言っております。  この人材活用センターは不当労働行為や人権侵害の場になっているということの訴えを受けて、私どもも大変重視をして全国的に調査を行ったわけであります。そしてわかってきたことは何か、これは人材活用という名前、看板とは全く実態は相反するということがはっきりしてきました。客観的な基準なしに、当局の恣意的な判断によって人材活用センターに配属された労働者は、国労の労働者とかあるいは全動労の労働者が圧倒的に多く、また、それらの組合の役員、活動家を中心として配属をされているということがわかってきました。  余剰人員として特定するものではない、こういうふうに言っているのですけれども、私も実は調査に参りました。東京南局で話を聞きましたら、成績がよくならねば人材活用センターからは出られない、そういう答弁がありました。これは事案上の余剰人員の特定化であり、かつ選別化であります。また、残された本来職場、ここでは雇用不安が広がる。言うことを聞かなければああいうふうになるんだぞ、こういう見せしめに使われて、雇用不安があおられ、恫喝がやられているわけであります。組合の役員が中心に人活センターに入れられておりますから、事実上またこれは正常な組合活動が大変阻害をされる、そして、組合つぶしがやられるということになっています。仕事はどうかといいますと、運転や検査やその他のベテラン、熟練労働者が、本来の仕事と全く違う、草むしりであるとかあるいはガムはがしであるとか、文鎮づくりであるとかいうような仕事をいろいろとやっているわけであります。  そこで、私はお尋ねしたいと思うのですけれども、東京の西局の施設部総務課長から七月の十四日付の通達で出されているものによりますと、人活センターへ送るための職員管理調書の総合評価、これの四及び五の者を送る。差別、選別がここでもやられているわけであります。組合の所属についても書くようにということになっております。組合の所属についてもこれによってまた差別をするとするならば、これは言うまでもなく不当労働行為であります。この点についてやられている実態というのは、表向きの看板とは全く違うことがやられている、こうあってはならないというような人権侵害がやられているわけであります。また、余剰人員の特定化が、さっきも言いましたが、やられている、直ちにやめるべきじゃないか、廃止するべきじゃないかというふうに私は思うわけであります。この点について国鉄の方の見解を聞きたいと思います。
  378. 杉浦喬也

    杉浦説明員 人材センターへの配属の仕方でございますが、先生今御指摘のような事実はございません。私どもは、本人の成績あるいは仕事への意欲、こういうものを見まして判断をいたしておるところでございまして、思想、信条、組合別の差別は一切しておりません
  379. 中島武敏

    中島(武)委員 私が実際に入って調べたところでもそうでありますけれども、文鎮づくりの職場、東京運転区の人材活用センター、ここには国労の組合員しかおりません。それ以外の組合員はいないのです。全員がそうなんです。そういうことであります。  それから、我々が先ほどから言っているようなことというのは、何も一つの人材活用センターだけではない。総裁はそういう事実はないというふうに言いますけれども、我々自身が実際に調査を行って見てきていることは、こういうことであります。私はこの点では、今総裁が言った答弁では到底納得できない、このようなことは直ちにやめるべきだというふうに思います。もう一度答弁を。
  380. 杉浦喬也

    杉浦説明員 先ほど申し上げましたように、本人の成績によりまして私ども判別しております。本人の組合の所属によって決めておりません。
  381. 中島武敏

    中島(武)委員 それはまた違うのです。先ほどから言っているように、成績成績と言いますけれども、何が基準になっているのか、公表されていないわけであります。これは……(「出勤日数から全部調べればすぐわかるじゃないか」と呼ぶ者あり)出勤日数とかそんなこととかかわりがあるのではない。そういうことはまじめに全部やられていても、送られているというのはやはり事実なんです。そういう点については、日本は法治国家でありますからこういうことは放置されておってはいけない、これはどうしたって解消しなければならない、そういう性質のものだということを私は強く要求をいたしたいと思います。  いろいろと二度もそんな事実はないというふうに言いましたから、私はそうじやないということを申し上げて、この廃止を強く要求をして‘私の質問を終わります。
  382. 細田吉藏

    細田委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。  次回は、明九日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会