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1986-12-09 第107回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月九日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 石川 要三君    理事 北口  博君 理事 竹中 修一君    理事 戸塚 進也君 理事 船田  元君    理事 宮下 創平君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    内海 英男君       小川  元君    大村 襄治君       河野 洋平君    鴻池 祥肇君       武部  勤君    月原 茂皓君       前田 武志君    宮里 松正君       谷津 義男君    大原  亨君       角屋堅次郎君    木間  章君       田口 健二君    野坂 浩賢君       市川 雄一君    斉藤  節君       川端 達夫君    児玉 健次君       柴田 睦夫君    松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 玉置 和郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         人事院事務総局         職員局長    中島 忠能君         総務庁長官官房         審議官     勝又 博明君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局長      佐々木晴夫君         総務庁行政監察         局長      山本 貞雄君         総務庁恩給局長 品川 卯一君         防衛庁長官官房         長       友藤 一隆君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      岩見 秀男君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         経済企画庁調整         局審議官    田中  努君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       角谷 正彦君         文部省学術国際         局長      植木  浩君         農林水産大臣官         房長      甕   滋君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         気象庁長官   内田 英治君  委員外出席者         警察庁警務局人         事課長     上野 浩靖君         法務省民事局第         三課長     田中 康久君         大蔵省主計局給         与課長     若林 勝三君         労働省労政局労         政課長     澤田陽太郎君         自治省行政局行         政課長     濱田 一成君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ───────────── 委員の異動 十二月九日  辞任         補欠選任   住  栄作君     小川  元君   田口 健二君     木間  章君   児玉 健次君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   小川  元君     住  栄作君   木間  章君     田口 健二君   松本 善明君     児玉 健次君     ───────────── 十二月九日  恩給法等国家補償堅持に関する請願外三件(笹川堯君紹介)(第二一八三号)  同(粟山明君紹介)(第二一八四号)  同(櫻内義雄紹介)(第二一九一号)  同(小此木彦三郎紹介)(第二二一三号)  同(椎名素夫紹介)(第二二一四号)  同外一件(中山正暉紹介)(第二二一五号)  同(東力君紹介)(第二二一六号)  同(宮崎茂一紹介)(第二二一七号)  同外一件(渡辺美智雄紹介)(第二二一八号)  同(笹山登生紹介)(第二二四三号)  同外一件(増岡博之紹介)(第二二四四号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第二二八〇号)  同(穂積良行紹介)(第二二八一号)  同(奥田幹生紹介)(第二二九七号)  国家機密法制定反対に関する請願竹内猛紹介)(第二一八七号)  同(馬場昇紹介)(第二一八八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二一九六号)  同(金子満広紹介)(第二一九七号)  同(児玉健次紹介)(第二一九八号)  同(柴田睦夫紹介)(第二一九九号)  同(矢島恒夫紹介)(第二二〇〇号)  同(山原健二郎紹介)(第二二〇一号)  同(上原康助紹介)(第二二三九号)  同(佐藤観樹紹介)(第二二九四号)  同(吉原米治紹介)(第二二九五号)  スパイ防止法制定に関する請願戸沢政方紹介)(第二一八九号)  同(平沼赳夫紹介)(第二一九〇号)  同(戸井田三郎紹介)(第二二〇二号)  同(愛知和男紹介)(第二二四〇号)  同(佐藤文生紹介)(第二二七六号)  同(中西啓介紹介)(第二二七七号)  同(松野頼三君紹介)(第二二七八号)  同(中山正暉紹介)(第二二九六号)  旧台湾出身日本軍人軍属補償に関する請願高村正彦紹介)(第二二〇三号)  同(佐藤文生紹介)(第二二〇四号)  同(竹中修一紹介)(第二二〇五号)  同(谷垣禎一紹介)(第二二〇六号)  同(玉生孝久紹介)(第二二〇七号)  同(羽田孜紹介)(第二二〇八号)  同(長谷川峻紹介)(第二二〇九号)  同(宮下創平紹介)(第二二一〇号)  同(栗山明紹介)(第二二一一号)  同(高沢寅男紹介)(第二二四一号)  同(藤尾正行紹介)(第二二四二号)  旧台湾人日本軍人軍属補償に関する請願渡辺美智雄紹介)(第二二一二号)  同(渡部行雄紹介)(第二二四五号)  同(藤尾正行紹介)(第二二七九号)  国家秘密法案に関する請願河上民雄紹介)(第二二一九号)  同(不破哲三紹介)(第二二二〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  臨時行政改革推進審議会設置法案内閣提出第一八号)  一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二五号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出第二六号)      ────◇─────
  2. 石川要三

    石川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出臨時行政改革推進審議会設置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 提案をされております臨時行政改革推進審議会設置法にかかわって御質問をしたいと思います。  去る六月二十七日をもって解散をいたしました臨時行政改革推進審議会は、これからは旧審議会というふうに言わせていただいた方がいいと思いますが、最終の段階において答申をいたしております。その答申については、提案理由にも長官がお述べになりましたように、残余のものも数多くある、また改めて答申をされる場合もあるという意味をもって今度の新行革審提案をされておるわけでありますが、これの事務局というのは総理府に置く、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  4. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 事務局につきましては政令にゆだねることといたしておりますけれども、この事務総務庁行政管理局において行うということを予定いたしております。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 第一条に「総理府に、臨時行政改革推進審議会を置く。」というふうに書いてありますね。普通の場合、そこに置くということになると、総じて事務局はそこに置くということに通常なるわけですが、なぜそういう格好になったのか。
  6. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 通常の場合でありますと、それぞれの審議会につきまして最も関係の深いところがその庶務を行うわけであります。  この新行革審の任務、所掌事務、それからその機能、こうしたものを見ますと、これは各省に関連する話でありますけれども、基本的には政府部内でその統括機能を営むところの総務庁行政管理局が一番これに関係をするという趣旨でもって、機関としては、新行革審組織の位置づけは総理府でありますけれども、その庶務を行いますのは総務庁行政管理局、このように考えている次第でございます。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 今度の場合は法案も大体前のとおりでありますが、必要なものについては政令でこれを定める、こういうことになっておりますね。必要なものの中身についてこの際明らかにしておいてもらいたい。
  8. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 政令に委任すべき事項は、一つには事務処理体制でありまして、今申しましたいわばこの審議会庶務総務庁行政管理局において行うということが一点。それから二つ目は、その政令に定める以外の事項につきましては、その会議運営については、原則的に審議会みずからが定めるほか会長がこれを定める、この二点を政令で定めるということを予定いたしておるわけであります。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 残余のもの、またやらなければならないものというものについてはどういうものがあるのか。そのテーマはやはり明確にしていかなければならぬだろう。そうしなければ、新しく七人の委員人選するに当たって、何にもなく、ただ単に行政改革推進審議会ということでは焦点がぼけるだろう、そういうふうに思うわけでして、そのテーマについて明らかにしてもらいたい。
  10. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 新行革審議論をいたしますテーマにつきましては、基本的には、これは法律にも定められておりますように、臨時行政調査会の行った答申、それから旧行革審の述べた意見及び行った答申のいわばその処理状況につきまして、政府側からまずそれについて状況を確かめていただきまして、しかる上で臨調答申及び行革審答申意見のフォローアップというのが第一点であります。  第二点としては、そこでさらに具体化を要すると思われる事項につきましては、これは改めて新行革審が、いわばその御決定によりましてさらに論議をするということがあり得る、掘り下げをするということがあり得る、このように思います。  具体的に申しますと、臨調答申等において提起された行政改革課題のうちで、今後とも引き続き推進を図るべきものとしまして、まず政府部内の話としまして、第七次定員削減計画に基づく国家公務員数の着実な縮減とか、あるいは行政組織特殊法人等の整理、再編、合理化及び活性化三つ目に、地方公共団体行政改革推進、四番目に、財政改革に資する見地から、聖域を設けない各分野の制度、施策の見直しの推進などであると考えられるわけでございます。  もちろん、今申し上げた諸課題につきましても、これまで相当の成果を上げつつございますけれども、ともかくも一層改革の努力を傾ける必要があると思いますので、そういう観点から、そのようなものにつきましては今後とも新行革審論議の対象になろう、このように推察するわけであります。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 これから進めるべきものは、公務員問題、特殊法人地方公共団体等ですね。  そうしますと、この人選について総務庁長官は、第二臨調、旧行革審に続く三回目の委員だから、フレッシュな人にフレッシュな感覚でやってもらいたい、今度の委員実戦部隊だから、こういうふうに新聞は報道しております。私は、旧行革審がそのまま延長だから、そのままの人選ではないかというふうに思いましたけれども、総務庁長官のそういう見解であれば、それなりに私は受けとめるべきだろうと思っております。  そういたしますと、今までの方々とは全部別にして、若い世代で、フレッシュな感覚で実施をされるような方々をお選びになる、こういうふうに考えておいてよろしゅうございましょうか。
  12. 玉置和郎

    玉置国務大臣 基本的な考え方は今先生お話しをいただいたとおりでありまして、そういう趣旨を踏まえて、この審議をしていただいておりますが、可決をいたしますと人選に直ちに入りたい。国会承認事項でございますので、大体国会の始まるまでに人選を終えて、そして国会承認を得て発足いたしたい、こう考えております。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 私たちも新行革審に対しては異常な関心を持っております。旧行革審政府自体も不退転の決意でやれというふうに述べておりますし、本来ならば国会がこれらの問題については十分対応すべきなんですけれども、政府側としては、なかなか進まないじゃないかという意味審議会を設置されておるのだろうと思います。そういう意味では、我々はある意味で残念には思っております。  そこで、旧行革審でやり残すこともあったけれども、反省すべき点もあったのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。政府当局が旧行革審の中で反省すべき点があったとすれば、どういうものがあったでしょうか。
  14. 玉置和郎

    玉置国務大臣 私は、臨調行革審答申大本においては間違いがないと思っておりますが、実行の段階において成果の上がったものは、NTTだとか日本たばこ国家公務員スリム化、地方自治体の改革というものは確かに上がっておりますけれども、しかし、総理が言っておりますように、重い荷物を車に積んでちょうど五合目に来たのだから、手を放したらもとに戻ってしまうという、その辺がやはり一番正しい見解じゃないかと思います。そういったものにつきましては、これから皆さん方の協力を得て、車を坂の上まで上げるばかりでなしに、さらに大きな山があると思いますからまた引っ張っていくということを考えていかなければならぬ。  新行革審は三年間でお願いをいたしておりますが、行革は三年で終わるものではない、政府がある限り未来永劫続くものであるというふうに考えておりますので、そういう趣旨を踏まえながら一生懸命にやっていきたいと考えております。
  15. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 今の長官の言葉にあわせまして補足をいたしておきますけれども、やはり臨調の二年間それから旧行革審の三年間というのは、時間はそれ相応に限られておったということなのだと思うのですね。それだけに、改革課題の中で若干掘り下げ不足のところは確かにないとは言えないと思います。しかし、これは時間的な制約である程度やむを得なかった課題があったのだと思います。そういう意味で、新行革審にありましてそういう課題も今後検討を要する部分が出てくるであろう、このように考えております。
  16. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が多くありませんから私の見解を述べておきますが、三年間では短時日でなかなかできない、政府のある限り未来永劫行革というものは進んでいくだろう、新しい行革審は三年の任期だが、これで終わるものではない。政府がある限り続くならば、本来行革審というものはもうこの辺で終わって、総理府総務庁がそれに積極的に対応するということの方がむしろスムーズではないのだろうかと私は思います。後で一括御答弁をいただきたいと思います。  そこで、旧行革審の中でいろいろと議論をされた、これには参与制というのがあったのですね。五十九名の皆さんがいらっしゃる。労働界から三人出て、三分の二は官僚OB、三分の一は財界の皆さん玉置長官もよく参議院のころに言われておりましたように、原案が出ますと、大体原案たたき台になってまいりますが、若干の修正で、七人の委員皆さんが抜本的にやるということはなかなか難しい。だから私は、この七人の本委員皆さんが真剣になって、皆さん方のコラムを大体説明され、具体的な問題についてはみずからやっていくということでなければ、本当に長官等がねらっていらっしゃる、民間から見てここがこうだというものではなしに、今までの官僚ペースというものが中心になって出てくるのではなかろうか、そういう反省をしなければならぬということを旧行革審委員皆さんが、皆さんと言いませんが、私たちの代表が言っていたわけです。  七名ですべてのものについて検討していく方が、今度はより慎重に、より抜本的に、より国民的なものになるのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  17. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 これは実態の話でありますけれども、臨調行革審審議の様子を私も承知をいたしておりますけれども、御承知のように、臨調にあっては今先生が言われた五十九人の参与、これは臨調の場合の参与の数でありますけれども、これが部会を構成して、部会長のもとにそれぞれ例えば二十人程度の専門委員参与が配置されていろいろな議論をいたしました。それから、旧行革審にあっては、小委員会をつくりまして小委員会参与方々が配置されていろいろな論議をやった経緯があるわけであります。  臨調行革審課題がまことに森羅万象であったというのは御承知のとおりでありまして、こうしたような課題につきまして相当程度専門的な知識を有する方々がいろいろの立場から御論議をいただくのはまことに有益なことであったと考えます。ただし、そのあたり結論につきましては、これがそのまま通ることではなかったわけでありまして、本委員会でもって十分な論議を経てこれが決定をされていったということであります。  その当時の臨調委員方々見識部会長方々見識、それから今言われた専門委員参与方々の御見識、もちろん中にはセクトにとらわれた方もいらっしゃらないとは言いませんけれども、全体として非常にうまく機能していった。それが順次、まずたたき上げられて、本委員会でさらに練られて結論が出た、そういう意味でほぼ妥当な結論が出ておるのだ、私はこのように思います。今先生御指摘の例えば参与の活用というのは、行革審にありましても臨調にありましても結構有益であった、このような認識を持っておる次第であります。
  18. 野坂浩賢

    野坂委員 佐々木局長から見ればそう言わなければならぬと思います。また、そう言わなければ今の職責が勤まらぬと思います。だめだったというようなことでは次に出す意味がないわけですからね。ただ、我々は外から見てそう思う。  そこで、それなれば、大変申しわけないですが長官お答えをいただきたいのですが、今までのやったことについては、素案、原案たたき台というものについては外に出てこない、国民には結論しかわからない、だから審議経過もわかるように十分にオープンでやってもらう。第三期の新行革審では明確に、原案の作成のころから国民によくわかるように、玉置長官は特にPRが上手なんですから、農協問題等でも非常に上手にやられるわけですから、秘密主義はこの際取っ払って、私たちが、上等でした、我々が外から見ておかしいじゃないですかということがないように、そういう秘密主義的なものは一切取っ払う、こういうぐあいに措置していただきたいと思いますが、長官の御見解を承りたいと思います。
  19. 玉置和郎

    玉置国務大臣 今まで先生からお話のありましたことについて触れていきたいと思いますが、何でも審議会ということは、私は党におったときから反対だったのです。国権の最高機関議員国民の負託を受けておりながら、いろいろな問題について審議会お願いしなければならぬのは情けない状態だなということをたびたび言ってまいりました。  しかし、こうした国の大本に関する問題については、選挙の洗礼を経てきた議員だけではなしに、それぞれの分野で御活躍を願って豊富な経験を持った方にいろいろな意見を聞かせていただいて、それを踏まえてさらに政治を前進をさすということ、これはやはり時により折に触れて大事なことだなというふうに考えておりましたので、一時期私たち臨調行革審に批判をしておりましたが、実際やっていただいてみましてやはり間違いがなかったな、こういうことで、さらにまた今度お願いをしておるわけであります。  そこで、七人選定をして、そして一生懸命七人で御相談を願った結果を踏まえてやればいいじゃないか、分科会、小委員会というものは余り要らぬのじゃないか、私はそういうふうに理解したのです。これとて、管理局長森羅万象と言いましたが、こんなものは森羅万象やれるものじゃありません。やはり今国民が何を求めておるのかということに絞って分科会をつくっていきたい、こう思いまして、それはそれなりに専門的な知識が要る、そういうことになりましたら、やはり専門家皆さん方お願いをいたしまして、分科会なり小委員会なりをつくってそこで御検討いただく、しかしその結果は必ず七人の委員先生方のところへぶち込んでさらに検討していただくというふうな格好のものをとりたい、従来もとっておりますが、そういうようなものをとりたい、こう考えております。  それだけに今度の問題につきましては、いろいろ考えてみまして、私の聞いておる範囲では、槇枝先生が非常にいい意見を開陳されて、その方向へ訂正になったとかそれで方向づけされたというようなことも聞き及んでおりますので、ぜひそういう関係方々にもお願いをいたしまして、しっかりしたものをやっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  20. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、総務庁長官の言われた方が正しいだろうと思いますね。すべてのものに七人で目を向けるということは難しい、やはり焦点を絞るべきだ、これは長官の言われる方に私は賛成です。  そういう意味で、長官に再度確認しておきますが、秘密的なことではなしに、オープンで、それぞれの経過国民にわかるように審議経過を明らかにする、こういうふうにお約束いただけますか。
  21. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 ちょっと一言だけ、長官お答えに先立ちまして経過を申し上げておきたいと思います。  先生、全部秘密であったとおっしゃいますけれども、実は臨調部会報告あるいは行革審の小委員会報告は、その時点でもってすべて公表されておったわけであります。それで、その上でもってさらに審議会の討議を経て審議会結論が出されるという経過をたどったわけでありまして、このあたりについてはいずれも公開なのであります。  ただし、これは事柄の性格なんですけれども、やはり行革といるのはなかなか各関係者がおりまして難しい課題でありますから、それだけに発言者名前伏せようではないかという趣旨でもって会議運営が貫かれたわけであります。  具体的に言いますと、臨調、旧行革審におきまして、いずれもその第一回の会合におきまして、各委員の識見に基づき何物にもとらわれない自由濶達議論を確保する観点から、原則として議事は非公開としようという申し合わせが行われましたけれども、あわせまして、毎回の会議の結果につきましては、委員だとか部会長事務局等からそれぞれその大筋についてはプレスに対して御説明をする、このような運営が行われたということでありまして、議事の内容についてはおおむねそのときには発表されたんだけれども、ただし発言者名前は公表しないという運営を行っておったということを、あらかじめ今までの経緯として御説明を申し上げておきたいと思います。
  22. 玉置和郎

    玉置国務大臣 今管理局長お話しを申し上げましたが、大体それで尽きておると思いますけれども、臨調行革審というものの経過を考えてみましたときに、先生承知のように、日本の国はなかなか官僚が強い、縄張り根性が強い、そこで利害の対立が本当に激しくなるんですね。そういうことから審議が停滞することもあり得るというので、原則として公開をしないということになっていますが、考えてみましたら、秘密秘密だ、これはないしょだよと言ったら、これほど早く漏れるものはないのです。それは、日本のマスコミは発達していますから、マスコミは、ないしょだ、オフレコだと言ったって、オフレコはよく書くんですから、それだけに、その辺を考えていただきましてちょうどいい格好になるんじゃないですかな、私はそう思っております。  とにかく、利害の対立が激しいので原則として非公開でいきたい、このように考えております。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 原則として非公開でいくというふうに聞こえたんですけれども、少なくとも七名の審議会委員さんは、知恵を絞って、政府最高機関で討議をして御推薦になるだろう、しかも両院が承認をするんだ、そして専門委員にしても参与にしても相当の見識のある方たちを選ぶ、こうおっしゃった。  自分の言ったことに責任を持たないような発言はしない方がいいと思うのですね。名前を出されたら困るというようなことだったら言わぬでもいい。だから私たちは、責任を持って御発言になる方々、権威のある御発言、そういうものの経過国民は知っておく必要があるだろう、そしていろいろと批判をして、どうあるべきかということは国民の中から声が出てくる、そういう運営の仕方をやっていかなければならぬじゃないか、だから原則的に公開をされるべきだ、こういうことを玉置長官に申し上げておるわけです。私の意のあるところをお酌み取りをいただいて、そのようにするかしないか、お体の調子も十分でありませんから、簡単にイエスかノーかでお答えをいただきたい。
  24. 玉置和郎

    玉置国務大臣 先生、公開するんじゃないのです。原則としてはやはり非公開でいきたいというふうに考えておるわけでありまして、今の御趣旨を踏まえて十分検討していきたい、このように考えております。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、ねらいがつけられた地方行革問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  昭和六十年の一月二十二日に自治省の通達で地方行革大綱というものが出されておりますね。これには、地域社会の活性化及び住民福祉の増進を進めるため、そして、総力を挙げて自主的に、総合的に行政改革を進めていくんだ、こういうことが書いてあります。地方行革趣旨は、地域社会の活性化と住民福祉の増進に資することだ、この原則で自主的に、総合的に進める、こういうふうに考えておいてよろしゅうございましょうか、自治省の方。
  26. 濱田一成

    ○濱田説明員 おっしゃるとおりでございます。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 そういたしますと、今の行政改革大綱に基づいて推進本部とか委員会というようなものが一〇〇%でき上がって、現在進行し、成果が上がっておるということが書いてありますね。  私は、五年前でしたか、今の佐々木管理局長と予算委員会の場でやり合って、当時中曽根さんが行政管理庁長官で、自治省と真っ向から意見が対立して、しばらく休憩して統一見解を求めたことがあります。  この行革審と地方制度調査会の関連ですね。具体的にここまで進んでおりますと、自主的に、総合的に、住民の福祉の増進と活性化のためにと、そして具体化をして提出をしてきましたが、この地方行革を進めるという意味はどういうふうにこれから進められようとしておるのか。地方制度調査会等との守備範囲の問題は、五年前と同じようにまた議論していかなければならぬ、こういう状況になっておるように思うのでありますが、それらについて総務庁長官はどのようにお考えでしょうか。
  28. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 おっしゃるとおり、五年前の臨時行政調査会の設置法の通過後、予算委員会でもって野坂先生と、当時中曽根行政管理庁長官でございましたけれども、地方制度調査会の審議事項との関連でもっていわば統一見解をまとめ、これについて御質疑に応じた記憶がございます。  そこで、その当時も、いわば臨時行政調査会法案に関連をいたしましてこれは統一見解をまとめたわけでありますけれども、そのときの統一見解の内容は、臨時行政調査会審議事項に関連しまして、ちょっと読み上げますけれども、「臨時行政調査会は、行政制度及び行政運営の改善合理化について調査審議する機関として設置されるものであり、地方制度調査会との関係におけるその調査審議の範囲は、前回の臨時行政調査会におけると同様であり、」ということは、これは三十七年から三十九年まで設けられた臨時行政調査会であります。「と同様であり、地方自治の本旨を尊重し、地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議するものであること。」というのが第一項であり、第二項に、「具体的な調査審議の対象については、臨時行政調査会委員として地方制度調査会会長が参加されていることに鑑み、臨時行政調査会において適切な選択が行われることを期待するものであること。」この二項が統一見解として当時読み上げられたわけであります。  臨調それから旧行革審を通じまして、この精神はいわば貫かれてまいったと思います。新行革審においても同様に貫かれるものと、このように考えるわけであります。  端的に申しまして、要するに新行革審の任務は、法案第二条によりまして、「臨調並びに旧行革審意見答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営の改善に関する施策に係る重要事項について調査審議する」とありまして、ここで言う調査審議の対象となる行政の範囲は、広く国が責任を持つ行政全般であるという意味で、地方公共団体の行っている行政についても、国の行政に関連する限りにおいて広く調査審議の対象にはなるわけであります。  しかしながら、一方、地方制度調査会が地方自治の観点から地方行政の審議を行っていることもまたこれは十分承知しているわけでありまして、そこで、新行革審におきましても、そういういわば国の行政との関連においてのみこれは地方公共団体の行政も問題にするという範囲にとどまる、もちろんたまたまダブる場合もありましょう、ただし、審議会同士で若干審議事項がダブるといっても、これは一つの調整問題というふうに一応理解をするわけであります。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 私はまださわりでありまして、これからと思っておりましたのに、時間があと五分程度しかなくなっております。しかも、総理がお見えになるということで、時間は守ってほしいという注意もございまして、困惑をしているわけであります。  第一点は、地方制度調査会と行革審がダブってやるようなことのないようにしてもらいたい、ここまで自治省側で進められておるということであれば、一応静観をされるべきが至当ではないか、こういうふうに思います。  そこで、玉置長官に私はこの際申し上げておかなければならぬと思いますが、国土庁が第四次総というものを出しましたが、東京を世界の東京にすると言っております。私は玉置さんの「協同主義を見つめて」という本なんかをよく読んでも、今の日本の中で過密と過疎という問題がある、過密と過疎の所得の格差なり地域格差というものを少なくしていかなければならぬ、それが、活性化を求めて、住民の福祉をという意味に合致するだろうと私は思うのです。  そういう一点から、長官は和歌山県でまだいい方でありますが、私は鳥取県なんです、非常に過疎地域です。いつも選挙の一対何ぼということになりますと、参議院のところを見るたびにびりびりとしております。私たちはそういうところにやはり活性化を求め、そしてまた、民活民活といいましても民間活力がなかなかないという状態、そういうところに国の政治の手を入れていかなければならぬというふうに思います。  長官も体が不十分のようでありますが、例えば東京ではがんセンター、全国から集まりますね。大阪では循環器センタ−、人がいっぱいです。そういう意味で、八〇年代ということになっておるわけでありますから、今まだまだ厚生的な施設は足らない、きれいな空気や水や緑、そういうもののあるところには過疎が多い、そこに国立、国営のリハビリテーションというようなものを設ければ全国から集まってくる、それが過疎の解消の一環にもなる、そしていわゆる八〇年代に対応する施策となる、そういうことを玉置長官はよくお考えになっておるだろうと思いますが、そういう方向でこれらの審議会についても意見を述べていただき、いわゆる地域格差のない日本の国というものを、そういう意味から、何でもかんでも切るということじゃなしに、そういう前に出た行革審というものも考えていただきたいものだと思いますが、いかがですか、長官の御見解は。
  30. 玉置和郎

    玉置国務大臣 けさほど閣議が八時から始まりまして、その後やったのは、雇用問題、それから土地の問題、これが政府として党としてほっておけないというので、本部長がそれぞれ決まりまして、雇用の方は総理が、それから土地問題は官房長官が中心になってやったわけですが、その中で意見が出たのは、ちょうど今先生からお話しいただいたような意見で、一たんUターン現象が始まって地方に帰った若者たちが、また都市に集まってきた、それはなぜかというようないろいろな議論が出ました。  政治の基本は、四全総で「国土の均衡ある発展」、こう言っておりますが、単に道路、それから空港、交通体系の整備は必要ですが、やはり所得の問題が非常に大事だというので、まだ提案をいたしておりませんが、私が今度総務庁で勉強していただいておりますのは、富裕県と貧困県の差をいかにして縮めるかということで今一生懸命に勉強しておるところであります。  この前からたびたび言っておりますように、東京都は年間八千億黒字です。和歌山も鳥取も御承知のとおりでありまして、円高だといったって、円高の影響を受ける工場がないのですよ。これは鳥取もそうですよ。それだけに、そういう大きな一つの社会の経済的流れの中から疎外されておるそういう貧困県といえども立派な日本人が住んでおる、むしろまじめな人たちが一生懸命に働いている、そういう者にいかにして恩典を与えるか、政治の光をもたらすかということが大事なんで、この次にはぜひひとつそういう問題について総務庁としても一生懸命にやっていきたい、こう考えております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんから一言だけ。  農業、農協問題について玉置長官は激しく週刊誌等でもお述べになっておるわけです。いわゆる協同主義という見解も私どももよく読ませていただきました。その農業批判、農協批判に対して、農協側からいわゆる見解というものが出されております。お読みになっておるだろうと思うのであります。  しかも、総務庁の方がこれからいろいろな点について一つ一つ調査をされる、テストもされるということも承知をしておりますけれども、農協は民間団体でありますから、後藤田官房長官は、農協は民間だから十分にそういう検査は難しいということもお述べになっておりますね。補助金が出ておるところだけということになればなかなか全般ということにはならぬだろう。  私は、そういう意味で、おのずから総務庁の調査は限界があるというふうに判断をし、そのためにも農林省に経済局農協組合課というものがありますから、それについて、それは整々と粛々として進められておるだろうと思うのですけれども、総務庁は農林省を調査をして、農林省を通じてそういうことをおやりになるというのは筋が通る、直接はなかなか難しい、こういうふうに考えておるわけです。  質問の要点は、この批判、見解についてどのようにお考えか、そして農協に対する調査その他についてはどういうふうにして進められるのか、農林省を通じてやられるのか、直に県連とかいわゆる単協に行ってお調べになるということはなかなか難しかろう、おのずから法的な範囲についてそう考えておりますが、いかがでありましょうか。これで私の質問を終わりたいと思いますから……。
  32. 山本貞雄

    ○山本(貞)政府委員 農協に関しまする行政監察でございますが、調査の内容といたしましては、あくまで農林省の農協等に対しまする指導監督行政の改善に資する、こういう観点でやるわけでございます。  ただいまの調査の権限上の問題でございますが、総務庁設置法上、行政機関に対しましては監察をいたします。また、特殊法人の業務あるいは地方公共団体等に対しまする国の委任または補助に係る業務につきましては権限上の調査をいたします。さらに、公私の団体に対しましては協力を得まして調査をいたします。したがいまして、農協に関しまする行政監察につきましては、御案内のとおり、農協法上、国及び知事は設置の認可あるいはその他の指導監督権限を持っておるわけでございます。また、農協に対しましては国等の補助があるわけでございます。したがいまして、今回の行政監察に当たりましては、まず農水省等に対しましてはその指導監督の問題につきまして行政監察をいたす、また、県等に対しましては委任または補助に係る業務につきまして権限上の調査をいたします。また、農協の活動実態につきましては協力を得まして調査をいたす、こういうことでございます。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 さらにと思いますが、時間が参りましたのできょうはこの辺で終わりたいと思います。いずれもっと掘り下げて長官議論をする機会を得させていただきたい、こういうふうに思っております。  以上で終わります。
  34. 石川要三

  35. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ポスト行革審審議も、総理出席前の質問は私で終わるわけでございます。私は、当初、総理質問前に約一時間質疑を行う予定をしておりましたけれども、同僚の野坂君の質問の希望もありまして、二十分の持ち時間が五分たったところで登壇したわけであります。なお、総理に対する私の持ち時間は三十九分であります。私は、土光臨調行革審の功罪については厳しい批判を持っております。しかし、それを一々述べる時間的ゆとりはございません。  まず玉置長官に対しては、本委員会が同和関係で小委員会を持っております。これは御案内のとおり、地域改善対策特別措置法が来年の三月で切れるわけであります。大臣自身も非常な努力をされておるわけでありまして、地域改善対策協議会の方からももう数日中に意見具申が提出されることになっております。我々は、この同和関係については本来部落解放基本法を制定して恒久的な考え方に立つべきだという意見を持っておりますけれども、当面、玉置長官の方を中心にして、来年度予算編成の問題もありますから、どういうふうに対応するかというところはぼつぼつ大詰めに来る段階だと思うのであります。  これは本委員会で小委員会もつくっておる問題であり、玉置長官自身が責任の立場にもございますので、大変な御努力中でありますが、当面、どういう段階であり、どうしようとするのか、まずその点から簡潔にお答えを願いたいと思います。
  36. 玉置和郎

    玉置国務大臣 この地域改善対策は、私が長官に就任しましていろいろなことをやらしていただいておりますが、一番難しい問題です。自民党の中で、また閣僚の中で、三月三十一日にシャッターがおりるんだから、しかも十八年間やってきたんだから、国、県、市町村合わしたら七兆六千億ぐらいこれに金をかけておって、一軒当たり二千三百万くらいの金を使っておるんだから、地域改善対策としての効果も上がっておるし、やはりこの辺でシャッターをおろして、玉置君、余りそれに手を触れぬ方がいいよという意見が圧倒的であったのでありますが、最近ようやく皆さん方の御努力によりまして、やはりこの問題については従来にまさるとも劣らない真剣な努力が必要じゃないかという空気に変わってきましたので、私は今ほっとしておるところです。  それはなぜかといったら、総務庁としましては、各省が同和に便乗して予算要求をしておる、その予算要求に対して、総務庁挙げて、次官から官房長から各局長、皆総力を挙げて同和室に対して協力をいたしまして、各省を呼びまして、削るべきものを削る、そういうことで地対協の方とも相談をしながらやっておりますし、また団体の諸君とも私は腹蔵なく話して、そしてこれは削るぞ、ここも削るぞということで一生懸命努力をしておる成果を党並びに関係閣僚の間でも認めてくれてきまして、ようやく道が開けたなという感じがいたしております。
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 地域改善対策特別措置法の来年度以降の措置については、我々自身にも政治的責任がございまして、大臣、内閣の対応と並行して積極的に進めなければならぬと思っておりますので、ひとつその点、よろしく御努力のほどをお願いいたします。  ポスト行革審という問題については、私はもうそういう手法はやめたらどうだというのが基本的認識であります。臨調ができ、名優土光会長の旗振りのもとに、功罪は別として、一定の役割も果たしてきたと思います。我々は、臨調発足のときには、高度成長期の行政の肥大あるいは国家財政の状況等から見て、この辺のところで総合的な立場からメスを入れる必要があるだろうということで、大局的な見地からその発足には賛成をしたわけであります。しかし、現実に臨調が行われ、しかもその後、行革審ということで、臨調答申の監視機能というところにウエートを置いて、そして若干突っ込みの足りなかった点、そういうものについて議論を詰めようということで行革審は発足したはずでありますけれども、事実上は行革審は第三臨調的性格にまで発展をして、本来ならば地方制度調査会がやるべき地方行革の問題に過当に深入りをして、代執行の問題にまで触れて、それを強行して押し通すというふうなこともありますし、臨調行革を通じて、防衛費は聖域にしながら福祉を切り捨てる、あるいは人勧を抑える、あるいはまた機構、人員等についても、中央省庁は余り手をつけずに手のつけやすいところにその手が伸びる、いわば臨調行革を通じて厳しい批判の見解も成り立つわけであります。  私は、この機会に、一体ポスト行革審が何をやらんとするのか、それは第四臨調的な立場で好きなものを選択をし、いわゆる行政、内閣の隠れみのとしてこれを最大限利用しようとするのではないかという点に厳しい意見を持つわけであります。事実、政府・与党内においても、もうこの辺で臨調行審の手法を通じてのやり方はやめたらどうだという意見がないわけでもございません。内閣の権威あるいは議会の権威というものの立場から申しますれば、こういう臨調行革のような手法によってだらだらと無原則に物事を進めていくというのはむしろ正道ではないわけであります。  私はそういう基本認識を持っておりますけれども、あと十分のうちに総理質問に切りかえなければならぬということでありますので、同僚の上原委員田口委員、そして今野坂委員からいろいろ述べられてまいりました、農政等の問題にも野坂委員が入られたわけであります。総理は三十九分でありますから、農政の問題についてきょうは加藤農林水産大臣の農政の立場からの出席を求めておりましたが、筑波学園の方にどうしても行かなければならぬ日程があるということでございますので、農政の問題について二、三触れたいと思うのであります。これは農林省から甕官房長が来ておると思いますので、大臣の出席がありませんから、少しくお答えを農政の立場からお願いをいたしたいと思うわけであります。  まず、御承知のように、農政の問題については、衆参両院の本会議における決議が行われておることは御承知だと思うのであります。これは昭和五十五年四月八日、第九十一回国会において、与野党の合意によって「食糧自給力強化に関する決議」というのがなされております。これは衆参両院とも同様であります。そして、衆議院の段階においては、内海英男さんが代表いたしましてこの提案理由説明をされ、満場一致可決されたわけであります。  私は、時間の関係上、その案文の全体に触れることはできませんけれども、これは単に農業のみならず漁業も含めて「食糧自給力強化に関する決議」が行われたわけでありますが、前段の部分で厳しい状況のあることに触れながら、後段の部分のところで、   かかる困難な情勢の下にあって、先進諸国に較べ低位にあるわが国の食糧自給力の向上を図り、国民食糧を安定的に供給することは、将に国政上の基本的且つ緊急の課題である。   よつて政府は、国民生活の安全保障体制として食糧自給力の強化を図り、わが国農業・漁業の発展と生産力の増強に万全の施策を講ずるべきである。   右決議する。 というふうに述べられております。  我が国は穀物自給率においては三〇%台に落ち込んでおる。先進諸国を見てもそういう状況はない。アメリカは穀物自給率は一八三%であり、カナダは二二二%であり、フランスは一七九%であり、イギリスは一一一%であり、西ドイツは九五%である。イギリスは食糧自給率が非常に低かったのでありますけれども、食糧の安全保障の立場から、穀物の自給率においては既に一一一%に達しておるのであります。ひとり経済大国を誇る日本は、穀物自給率はわずかに三三%にすぎません。これからの農政あるいは米問題の措置等を誤るということになりますと、この穀物自給率はさらにがた落ちするという危険をはらんでおるわけであります。  私は、そういう点で、昭和五十五年の「食糧自給力強化」というこの国会から与えられた満場一致の決議に基づき、最近の情勢とも関連をして農政の立場からどういう対応をしようとしておるのか、農林省の方から簡潔にお答えを願いたいと思います。
  38. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま先生からお話のございました昭和五十五年の「食糧自給力強化に関する決議」、これは私ども十分承知をした上で今日までの農政展開を図ってまいっております。  食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でございますし、一億二千万人に及ぶ国民に食糧の安定供給を図っていくことは農政の基本的な役割というふうに承知をしております。今回、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」ということで農政審議会からの報告をいただきましたけれども、その中におきましても、農政の展開に当たって留意すべき事項といたしまして、「与えられた国土条件等の制約の下で最大限の生産性向上を図り国内の供給力の確保に努める必要がある」ということが指摘されております。また、「農産物の供給については、国民の納得し得る価格での供給に努める」ということを基本にいたしまして、米でありますとか、現に自給する体制が確立されているものについては一層の生産性の向上を図ることによりその供給体制を維持強化するということがあわせて指摘されております。  政府といたしましても、今後とも国会の決議を尊重してまいりますことは当然といたしまして、今回の農政審議会報告趣旨を十分に踏まえまして、食糧供給力の確保を図ってまいる所存でございます。
  39. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 総理がすぐ御出席になると思いますけれども、私は三重でありますし、玉置長官は和歌山でありますし、半島振興法ではひとつ大臣のお力も得なければなりませんし、同じ地域の政治家としてバックアップを願いたいというお話も玉置長官から聞いておりまして、それはそれとしてやってまいらなければならぬ。  国会で決議されております「食糧自給力強化に関する決議」は、農政上ばかりでなしに国政上の重要な我が国が担っておる命題であります。この食糧の安全保障という立場から我が国食糧の自給力を上げていく、そういう方向については玉置長官も政治家として、国務大臣として当然踏まえて対応されるという姿勢であるというふうに思いますが、いかがですか。
  40. 玉置和郎

    玉置国務大臣 国会議員である限りは、国会の決議を十分尊重してやっていきたいと思います。  ただ、いろいろな国際情勢を考えてみましたときに、考えないで過ごされない問題、これがありまして、いろいろ問題を提起しておりますが、今申しましたように、食糧安保の問題についてもこれからも十分勉強してまいりたい、このように考えております。
  41. 石川要三

    石川委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。角屋堅次郎君。
  42. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 きょうは、ポスト行革審の設置の問題について、お忙しいところ総理の出席を仰いで各党の質疑が行われます。  私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、総理に対する質問を行いたいと思います。  中曽根総理とは、教育臨調のときに、本委員会において冒頭約二時間、教育改革問題の議論をさせていただきました。それ以来、論戦は久方ぶりであります。ただ、私の持ち時間は三十九分でありますので、重点的な問題について総理に御質問をいたしたい、こう思っております。  過般、日ソ円卓会議が、これは議連も入った形で十二月の一日、二日、三日と東京で行われました。私は円卓会議の団長で来られたボス民族会議議長を御案内して、総理のところに表敬訪問いたしました。大変お忙しいところ、時間をあけていただいてありがとうございました。  まず、国際政治上、また日本の外交関係での戦後の大きな宿題になっております日ソの問題について、少しく冒頭触れさせていただきたいと思います。  中曽根総理は、厳しい日ソの関係の状態がだんだん打開されて、そして私もその一翼を担ったというふうに自負をしております。ソ連の国会代表団、クナエフ政治局員を中心とする代表団の訪日あるいは坂田代表団の訪ソ、さらには外相レベルにおける段階で言えばシェワルナゼ外務大臣が本年一月に訪日をする、十年ぶりの訪日、そして当時の安倍外務大臣が訪ソをする、日ソの外相定期協議が持たれるようになる、そういったような、いわば日ソ間の好転の兆しというふうな中で、中曽根総理は情熱を燃やして、首脳会談を通じて日ソの平和条約を懸案の北方領土問題を解決して締結したいという情熱を持って対応してまいりました。私はその点は、まさにことしは日ソの国交回復三十周年である、来年はソ連革命七十周年である、この重要な節目のときに、中曽根総理が懸案のこの問題を解決しようという姿勢には深い敬意を持つものであります。  ところが、申し上げるまでもなく、来年一月の訪日というのは、これは西山欧亜局長とソ連の代理大使の間で、日本としては招請を取りやめざるを得ないということで合意をしたわけであります。しからば、いわゆる中曽根政治の総仕上げという来年の時期を迎えるに当たって、一体日ソ首脳会談というのは中曽根総理の手で持たれるかどうかという点については、日程上厳しい条件が生まれてきておるというふうに思うのであります。  しかし、これは一つには、我々が核廃絶の立場から、米ソ首脳会談を通じて戦略核あるいは中距離核というものが大幅に削減をされる、それを通じて核廃絶にまで至る。中曽根総理も、昨年の十月二十三日の国連四十周年記念総会において被爆国日本の立場から核廃絶の問題に対する堂々たる演説をやっております。私は、先般の防衛二法のときに、外交、防衛を論じたときに総理の国連における演説を紹介し、我々の被爆国の立場でこの演説には賛成であるという立場を申し上げたのであります。  そこで、この日ソの首脳会談の問題は、米ソの首脳会談がいつ再開をされるかということとは無関係ではないわけでございますけれども、当面、日ソの首脳会談というもののこれからの、来年以降の判断についてどういうふうに総理が考えておられるのか、率直にお伺いをいたしたいと思います。
  43. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 隣国と友好、親善を深めていきたいというのは私のかねてからの念願でありまして、ソ連も隣国である、そういうふうに考えて友好を深めていきたいという基本的な姿勢を持っております。  しかるところ、この一月にシェワルナゼ外務大臣が来訪され、そのときの共同声明でも首脳の相互訪問ということが約されて、そして日本側からの強い要請に対して、ゴルバチョフ書記長、できるだけ早く日本へ訪問したいという意思表示もありました。その後ソ連側からは、時間の問題である、そういうことでありました。  我々はゴルバチョフ書記長の来日を歓迎して、そして日ソ間にある領土問題を初めこういう重大な懸案問題等についてもこれを解決して、平和条約締結に向かおうという強い熱意を持って待っておったわけでございます。また、そのほかにも日ソ間にはいろいろな今後とも両方で解決すべき問題や、友好、協力関係を深めていくべき問題もあると考えております。  しかるところ、レイキャビクの問題、そのほか大きな変化も出てまいりまして、消息通の説明によりますと、恐らくソ連側としては世界的な外交体制、戦略というものを検討するときに入っているのではないかと言われておりますが、そういう意味日本に対する訪問がなかなかまだ実現しないということは甚だ残念であります。  しかし、いつまでも待って一月の私の日程というものが拘束される状況ではこっちが困りますから、そこで西山局長から先方に対して、来るなら来る、来られないなら来られないとこの辺ではっきりしましょう、そういうことでこの間話をいたしまして、一月は来られないということを両方で確認した次第です。しかし招待は依然として生きておるし、またいらっしゃれば我々は歓迎したいということは一貫して変わらざることでありまして、今後の問題は、先方がいつ都合がいいか言ってくるのを待っておるという状態であり、それを言ってこられた場合に双方で相談をする、こっちの都合がそのときいいか悪いか、そういうような問題で相談をする、そういう順序、段取りになっておると考えております。  しかし、いずれにせよ日ソ間の関係を先ほど申し上げましたような考えに立って改善していきたいというのは一貫した私の考えでありまして、そういう意味においては、できるだけゴルバチョフ書記長が訪日されることを期待しておる次第であります。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今、米ソの首脳会談再開の問題について若干総理からも触れられましたけれども、一月の通常国会再開以前の外交日程の問題に関連をして、少しく私の意見も申し上げながら、お聞きを願いたいと思います。  総理の一月の外遊日程は総理自身が御判断して決めることであります。しかし、私の意見をもってするならば、レイキャビクで、残念なことだけれども、米ソ首脳会談のせっかくジュネーブで進んできたいい空気というのがSDIの問題がデッドロックになって、机の上に戦略核の五〇%削減とかあるいは中距離核の削減のルールとかいう問題が中断の形になっておる。総理の国連四十周年総会の御演説ではありませんけれども、今日いわゆる核廃絶に対する全人類的な強い熱意というものは、もう今さら私が申し上げるまでもない。  そういう点からすれば、米ソ首脳会談の再開に向けての総理としての御努力という観点からすれば、巷間伝えられておるように、総理は東独あるいはポーランドあるいはその他東南アジア方面、中南米、いろいろな政治日程が伝えられておりますけれども、これは必ずしも公式のものではございませんが、私の意見を率直に言わせてもらえば、国際政治のグローバルの点で、米ソ首脳会談の再開、核廃絶へのプロセスというものに、国際的に大きな力を持っておる中曽根総理が大きな側面的役割を果たすとすれば、ヨーロッパに行ってイギリスを訪ね、フランスを訪ね、西ドイツを訪ね、その足でもってアメリカに飛んでレーガン大統領と話し合うというのも、一つの大きな政治プログラムの計画ではないかというふうに私は思うのであります。  ただ、アメリカの場合はレーガン大統領自身がイラン・スキャンダルで窮地に追い込まれる、あるいは中間選挙の敗北もあるというふうな状況にございますけれども、今言った大きな国際政治の舞台における米ソの首脳会談再開という立場からすれば、そういう計画も考えられるのじゃないかというふうに率直に思うのであります。これは総理大臣みずからが決められることでありますが、それに対して私の希望を率直に言えば、そういうプログラムも当然考えられていいのではないか。  一月のプログラムの問題、あるいは米ソの首脳会談の再開に向けて総理としてどういう方針で臨まれようとするのか、お答えを願いたいと思います。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 どの国もみんな国内的問題というのは抱えているものでありますが、それらを乗り越えてやはり世界の平和、軍縮の問題については努力すべきものであると考えております。そういう意味において、米ソ首脳会談ができるだけ速やかに再開されまして、世界的な核軍縮あるいは軍縮問題に向かって力強く前進するように強く期待しておりますし、そのためにも私は引き続き側面的に努力してまいりたいと考えております。  私の一月の日程につきましては、今慎重に検討している最中でございまして、まだどこというふうに確定したわけではございません。しかしいずれにせよ、一月という大事なときに、国会開会までの間に、もし先方との話し合いで私が行くことができるという情勢が出てくるならば、場所によりましては慎重に検討した上で実践すべきである。その趣旨は、我が国の外交政策、あるいは今言った世界の平和、軍縮に向けてみんなで協力し合うという空気を盛り上げたり、二国間問題を解決したり、そういうようないろいろな意味を持って、その際は考えて行きたいと思っておる次第であります。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 日ソの首脳会談というものに私が大きな期待を持ちますのは、御案内のとおり、日ソ間における最高首脳の会談というのは、過去、正式には一九五六年、昭和三十一年十月に鳩山総理が病身を押して訪ソし、日ソ共同宣言を結んだ、そして日ソの扉が開かれたというのが初めてであり、そして一九七三年、昭和四十八年十月に当時の田中総理が行って、戦後未解決の諸問題、それは領土を含むという形で日ソ共同声明、政治的に言えばこの二つが訪ソによる重要な会談ということになります。  あと、鈴木総理が一九八二年にブレジネフ書記長の葬儀のときに行かれ、中曽根総理自身は、一九八五年三月にチェルネンコさんの葬儀のときに行かれたということでありまして、ソ連からの最高首脳の訪日というのはいまだかつてなかったのであります。そのこと自身も必ずしも正常ではございません。そういう意味で、懸案の問題を抱えて、速やかに日ソの首脳会談が行われるということに対する我々の期待というのは極めて大きい。  ただ、私は、中曽根総理に質問ではありませんけれども希望したいのは、場合によっては、総理が、ゴルバチョフ書記長がおいでになって、そして首脳会談が初めて日本で行われるという場合の片道になる可能性もある、後はニューリーダーが訪ソしてやるというケースもあるだろう。日ソの問題については、非情に難しい問題であり、一挙に片づけようとするという形には必ずしもいかぬケースがある。中曽根総理の時代に、仮に日程上片道になっても、この懸案問題に取り組まれる熱意、姿勢が非常に大切であるというふうに私自身は考えております。これは私の意見で、次に移りたいと思います。  中曽根総理に、臨調行革、今度行われようとするポスト行革の問題に関連して少しくお伺いしたいのであります。  中曽根総理は、中曽根行革あるいは土光臨調行革ということで、この土光さんと名コンビを組んで行革を今日まで推進されてまいりました。私自身は、もうニューリーダーにかわろうとする時代にさらにポスト行革審まで設ける必要はないだろう、それは新しい者の政治手法に任せてよろしい、こういうふうに基本的に思います。行革自身は、もちろん今後とも我が党も考えておりますし進めなければなりませんけれども、臨調行革の政治手法による行革のやり方というのはこの辺でピリオドを打っていいのじゃないかというふうに率直に言って考えております。  同時に、教育臨調問題でありますけれども、教育臨調問題については、来年の春答申が出てまいりますが、それを本格的に実施していくというのには、中曽根総理の任期から見てニューリーダーに任さなければならぬということになりますけれども、そういうことは別としても、教育改革に対する熱意というものが総理自身少し薄れたのではないかというふうにマスコミで報道されたりいたしております。  今度の総務庁長官等に対する総理出席の前の質問、あるいは総理に対する質問を前にいたしまして、実は総理が信頼されるメンバーの一人であります瀬島さんと数日前にお会いしたのであります。当初三、四十分と思っておりましたけれども、時間が延びまして約一時間半ばかりお話をいたしました。それは特別に瀬島さんと会うというつもりじゃなしに、瀬島さん自身は臨調委員でもある、行革審委員でもある、教育臨調委員であるということもあり、そして特に教育臨調の問題等も含めて、私はこれらの法案にいずれも本委員会でタッチをしてきた立場であるということもありまして、参考人として呼びたいというふうにお願いをしてあったわけでありますが、私の質問前に外遊日程がございまして、それならばやむを得ないというふうに判断をしたわけであります。その瀬島さんとの話の内容については、ここで触れるつもりはございません。  ただ、瀬島さんと話をしておるときに、私は、中曽根さんは行革問題には非常に熱心に取り組んできておるけれども、教育改革の問題については少し熱意が薄れたのではないのかというふうに申し上げたわけであります。そのときに瀬島さんは、行革というのは、ある意味では難しい問題だけれども、やるのにどういう方針、手法でやるかということは一応結論は立てやすいのだけれども、教育改革という問題は、心の問題である。心の問題であり、同時に、幼稚園、保育園から小中学校、高等学校、大学に至る、そういう関係者が、直接教育者としても多いし父兄全体にも及ぶ、そういうふうな意味で、教育改革は実際にはなかなか難しい問題にぶつかっておるという感じを実感として持っておるということを言われました。  私は、単刀直入に第二問としてお伺いしたいのは、行革問題については非常に熱心に取り組んでこられたのだけれども、教育改革問題については少しく熱意を失ったのではないのか。いわゆる共通一次試験の問題についても、新テストは予定より一年延長します、ああそうかというふうなところで、少しくこれに対する総理のリーダーシップといいますか、熱意が薄れたのではないか、これはニューリーダーがやればよろしいと思っておるかどうか知りませんが、そこらあたりについては率直にどういうふうにお考えですか。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 教育改革に対する熱意は、増しこそすれ減退はしておりません。ただ、行政改革と違いまして、どちらかというと行政改革は外科手術みたいな要素があるわけですが、教育改革の場合は内科療法のようなもので、外科のように大きく人の目に映るというような要素は少ない、また、それは当然そのように配慮すべきものであります。  しかし、この間も文部事務次官以下を呼びまして、今一体教育臨調の方でどういうふうな審議をしておるか、これからどういうふうなコースで進めるか、一時間有余にわたりまして質問もし、また意見も申し上げたところでございます。来年の春に大体答申を出し、最終答申は夏近くなって出すであろうと思いますが、今まで出された答申につきましても、今文部省ではいろいろ作案もしておりますし、それぞれ手続を進めてやっております。そういう意味で、今まで答申された問題等については積極的にさらに今後手がけてまいりたいと思っておるわけです。  ただ、教育の場合は、やはり潜伏期間といいますか懐妊期間と申しますか、二年か三年かかるわけです。今の中学一年生が高校を受けるときには三年はかかる、そういう意味で、その他子供たちのことも考えてみるというと、おいそれとすぐ来年やっちまおうとか再来年やっちまおうというような問題ではないわけであり、文部省のいろいろな審議会の手続もまた必要としておるというところでございますから、行革と教育改革とは同じような性格であるとは考えておらないわけであります。
  48. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 第三点の質問は、先ほども玉置総務庁長官との質疑の中で少し触れたのでありますけれども、我が国の食糧の安全保障問題であります。  ポスト行革審で何をやるかということは必ずしも明確でございません。明確でございませんけれども、総理が設置する場合には、場合によっては検討の俎上に上せるのじゃないかということが予想されるわけでありますが、いわゆる我が国の農政あるいは米、食管問題。これについては総理直属の審議機関の農政審議会で今鋭意検討中であり、過般、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」ということで中間段階における報告が出、さらに来年に向けて、今言った問題に対する農政審議会としての中身に入った議論答申という段階を迎えようとしておることは御案内のとおりであります。屋上屋を架することなく、そこで審議した結論に基づいて必要なことを内閣自身がやっていけばよろしいというのが私の基本的立場であります。  御案内のとおり、「食糧自給力強化に関する決議」については、昭和五十五年四月八日、第九十一回国会において、自由民主党で当時農林水産委員長でありました内海英男さんから本会議における提案理由説明があり、これは満場一致で可決された国会の意思であります。前段の部分は別として、後段のところでいろいろ困難な我が国の農業、漁業の情勢を述べ、また自給度の後退等にも触れながら、結びのところで、   かかる困難な情勢の下にあつて、先進諸国に較べ低位にあるわが国の食糧自給力の向上を図り、国民食糧を安定的に供給することは、将に国政上の基本的且つ緊急の課題である。   よつて政府は、国民生活の安全保障体制として食糧自給力の強化を図り、わが国農業・漁業の発展と生産力の増強に万全の施策を講ずるべきである。   右決議する。 こういうふうに相なっておるわけであります。  申し上げるまでもなく、先進諸国における穀物自給率一つとっても、我が国は一九八二年三三%でありますけれども、アメリカは一八三%、カナダ二二二%、フランス一七九%、イギリスは昔は非常に自給率が低かったわけでありますけれども、一一一%、西ドイツ九五%。アメリカを見てもヨーロッパを見ても、我が国のように三〇%台というのは皆無であります。そういった中でアメリカのいわゆる米等に対する問題が外圧として出てまいりまして、これらを含めてどう対応するかということが来年の大きな政治的問題であると思いますけれども、国会決議に基づく食糧自給力の強化という問題についての総理の基本的なお考えをお聞きしたいと思うのであります。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 食糧自給に関しまする国会決議はあくまで尊重して、我々はそれを推進していかなければならぬと思っております。  また、先般提出されました農政審の中間答申につきましては、あの内容は非常に立派なもので、高くこれを評価しておりまして、あれが正式に我我のところへ来れば、農業団体と一緒になって大いにあれを推進していきたいという熱意を持っております。
  50. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 後藤田官房長官に若干お伺いしたいのであります。  後藤田官房長官は、恐らく総理の信頼が厚いということもあるのでしょうが、土光臨調あるいは行革審、そして今度のポスト行革審、ポジションは違いますけれども、これらにすべてかかわってきた立場であります。玉置長官はこれからの問題について責任を持っていく立場でありますが、後藤田官房長官は内閣の大番頭であり、これらの問題に深くかかわってきたわけであります。そこで私は、一点だけ後藤田官房長官にお伺いしたいのであります。  臨調ができた。中曽根総理の用いた臨調手法というのは、私は先ほども触れましたけれども、戦後の高度成長の中で肥大してきた行政機構の問題、あるいは財政が非常に困難な状況にあるという中で、この機会に低成長、安定成長の中で行政機構をどうするか、あるいは諸制度の問題をどうするか、十年に一回あるか十五年に一回あるか、そういう見直しの時期に来ておったことは間違いないのでありまして、そういうことで、第一次臨調の失敗の教訓にかんがみて、総理としてはやはり会長にも国民的共感が得られるような会長を据えなければならぬということで土光さんという名優を据えられたと思うのであります。土光さんも八十を過ぎ、目刺しを食べ、家庭野菜を食べ、そしてお医者にもかからぬ、こういうところがまた国民にも非常に受けた点もあろうと思いますけれども、そういう中でいわゆる第二臨調が進められてきた。  それを行革審に継いだ。行革審をつくるときには、やはり行革の熱意を消してはいけない、第一次臨調のときは、理想論は述べたけれども実際には多く行われなかった、だから第二臨調の場合は、答申で出てきた問題についてはできるだけこれをこなさせなければならぬ、そういう意味で、行革審の重要な任務は答申の監視機能的役割ということであった。しかしまだ積み残した分もあるだろう、それはやっていく必要があるだろうということで、いわば賢人的な立場で大所高所から後を行革審でやろうというふうな考え方のもとに行革審は進んだと思うのです。  現実に後藤田さんが責任の衝にあられたわけですけれども、第一年目は行革審はそういう姿勢だったのですが、第二年目になると、さていろいろな任務を与えなければならぬということで、ひとつ地方行革をやってください、危機管理の問題をやってください、後藤田行政管理庁長官時代、大体五つ六つばかり、これをやってくださいということで、我々から言えばとんでもない問題も含めて、議論の多い問題を行革審が取り扱ったわけであります。いわば行革審をつくったときの本来の任務、監視的機能という重要な任務よりも、第三臨調的な性格にウエートを置いた役割を行革審がやったのであります。  その辺の事情についてはどういうふうに当時お考えであったのでしょうか、その辺の事情についてはどういうふうに今日お考えでしょうか、また、それは今度の新しい行革審に対しても第四臨調的な立場で物をやってもらおうという考え方であるのかということにも触れてお伺いしたいと思います。
  51. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 第二臨調は、これはやはり行政全般、聖域を設けることなしに行政の組織運営についての簡素効率化ということで御審議を願って行政改革に取り組んだわけでございます。  ところで、やはり設置期間等の関係もあるし、またそれぞれの緩急順序ということもあったかと思うわけでございますが、事柄によっては精粗の開きがございました。そこで一応使命が終わる、これをやはり推進をしていただかなければならぬということで、行革審を設けて推進を図っていただいた、こういうことでございますから、行革審は第二臨調でお決めになった事柄の推進、こういう役割であったわけです。  しかし、今申し上げましたように、第二臨調答申そのものに精粗の開きがあった。その中には、粗の方の中に、つまり、触れてはおるが必ずしも十分な御審議の時間がとれなかったのではないかと思われるような重要な項目も相当あったわけでございまするので、五十九年の五月七日に私が改めてお伺いをしまして、地方行革の問題であるとか特殊法人の問題であるとか、あるいは緊急事態への対処の問題であるとか、あるいは縦割り行政の是正といったようなことについての内閣の総合調整機能、こういうような問題についてさらに一層深まった御検討をいただきたい、こういうことで行革審お願いをして、そして御意見をちょうだいをしてその後また改革に着手をさせていただいた、こういうことでございます。  そこで、今御審議を願っておるポスト行革審というものも——本来行政改革というのは、正直言って絶えざる政府課題であるという認識を私は持っておるわけでございます。民間の会社であれば、周辺の事情が変わればそれに応じて、おのずから利潤の原理が働きますから、どうしても自己改革ということをやらなければ生き残れないという立場ですが、お役所の場合はそうではない。しかし、世の中は進んでいく。そうすると、進んでいく世の中に対応するために、新しい組織なり新しい仕事のやり方が取り入れられる。  しかし、残念ながら、もはや不要とまでは言わなくても、まあ重要性を失ったと思われるものも相変わらず残っていく、それがために行政の肥大化を来す、これが私はお役所の陥りがちな、これはいいこととは思いませんけれども、やむを得ないなあと思われる面があるわけでございます。ならば、やはり絶えず外からこれに対する刺激を与えることによって、時勢にふさわしいような仕組みに取りかえていく必要あり、これが国民に対する大きな役割であろう。したがって、絶えざる行政改革は我々の課題である、こういう認識。  そうなりますと、そういう立場で、今日やはりこの厳しい客観情勢の中では、ある意味における仕組みも必要ではないか。さらにまた、行革審の御意見、御答申も、私は率直に言って、まだ行政全般にわたって改革が行われてしまったとは思っておりません、残っている面もありはしないのか、こう思うわけです。あれこれ考えますと、やはり今御提案申し上げておるポスト行革審もこの際は必要な政府としての措置ではなかろうか、こういうことを私は考えておりまするので、これらについては、法律を成立させていただければ、新しくこれから取り組まなきゃならぬ課題もあるのではないか、さらにまた、絶えざる改革という観点から取り上げる問題もありはしないのか。  いろいろ残された問題があると思いますが、これは総務庁の方からひとつお聞きをいただきたい、かように思うわけでございます。
  52. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今官房長官も言われるように、行革は将来にわたってやはり推進をしてまいらなければならぬ、そういうことについては我々も異議はないわけであります。  しかし、中曽根さんが鈴木内閣当時、臨時行政調査会の設置ということで行政管理庁の長官としてこれを御提案になる、そしてその後に行革審が監視機能として生まれる、この段階までは、これは行革審がその後第三臨調的性格に変貌したという私の批判は別として、この辺のところで行革の問題については、総理直属のそれぞれ審議会も、地方制度であれば地方制度調査会がある、社会保障であれば社会保障制度審議会もある、税制でいえば政府の税制調査会もある、あるいは農政でいえば総理直属の農政審議会もある、行革の問題については行政管理庁を統合された総務庁がセクションとしては責任を持っておる、行政改革をこれからやる場合に、かつて行政監理委員会という手法をとったこともある、したがって、何でも行政あるいは政府の隠れみのとして、総理直属あるいは審議会の上に従来の性格からいえば君臨する形でやっていくような、そういう審議会システムというのは、これはもうこの辺のところでピリオドを打ってよろしい。  同時に、土光さんが言い続けてきたいわゆる「増税なき財政再建」というのも、来年国会で大きな政治課題になってくる税制改革という問題に、舞台は一つ大きな政治問題に移っておる。土光さんは当初は「増税なき財政再建」ということに非常に熱意を燃やされて、糧道を断って、そして歳出を削減する、あるいはそれは人勧の凍結やいろいろなところにまで及ぶというふうに、ある意味では猛威を振るったんだけれども、この「増税なき財政再建」も、行革審の最終答申段階になれば、いわば土光さんが会長だから、もう中身は空洞化し変質はしているけれども、八十を過ぎた土光さんの卒業論文として、この「増税なき財政再建」はちゃんと最終答申に載せようという段階まで事態は大きく変化してきておると私は見ておるのであります。  新しい事態を迎えておる。従来のように、臨調行革審政府の予算編成の前の段階で編成権を持っておる内閣に厳しい注文をつけておるという時代ではなくて、新しい情勢のもとで、予算編成は内閣の責任でやっていくという時代に切りかえるべきである。また行政改革の問題は、新しい手法をどうするかという問題を考えて再検討すべき時期に来ておるというふうに私は思うのでありますけれども、それらの点について総理の御見解を最後にお伺いをして、私の質問を終わります。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は行政改革は十年、三代の内閣がかかる大事業である、こう申し上げてきておるので、行政改革の基本精神というものは、一貫して、第二臨調ができたときから、また行革審ができたとき、また今新しいポスト行革審をつくろうとするとき、精神的に基本的には変わっていない、そう思っております。  それは要するに、できるだけ小さな政府で、行政の肥大化を防いで国民負担を軽くしていく、これがやっぱり大きな趣旨であり、かつまた行政機構を能率化していくあるいは近代化していく、あるいはさらに不足しておる国際化も取り入れていく、こういうような考えで行われておるわけであります。  三代、十年の仕事というのはまだ半ばでありまして、この行革の精神というものは変わっておるものじゃありませんし、私が去った後でも、自民党内閣が続いて、自民党が過半数を制しておる限り、同じ精神で行ってくれるものであると確信しており、それは国家のためにも必要であると考えておる次第であります。
  54. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 以上で終わります。
  55. 石川要三

    石川委員長 鈴切康雄君
  56. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、ポスト行革審設置法案の最終の締めくくりといたしまして、総理に、これから総理行政改革に対してどのように取り組んでいかれるかという姿勢並びに具体的な問題等について、若干お伺いしたいと思います。  総理は、行政改革に終わりはない、今も、十年はかかるだろうということで、引き続き努力を進める必要があるとのお考え方に立っておられます。しかし、総理がいかに力まれても、みずからの与党内には、六十二年度予算編成を前にして、積極財政への転換を求める声がほうはいとして沸き起こっております。また、国鉄法案の成立を待ち構えていたかのように、整備新幹線の着工を求める動きが激しさを増しておるようであります。総理も、自民党内の多数の声に押されたか、九月の全国知事会など数度にわたり、新幹線の灯を消してはならないなど、臨調行革審の大規模プロジェクト凍結の路線を否定するかのようなニュアンスの発言をしておられるわけであります。  こうした与党内の動向や総理の御発言を見ると、我々としても総理自体が本当は行革の熱が冷めてしまっているのかと疑わざるを得ないわけでございます。国鉄改革といういわば行政改革の正念場を乗り切られたわけでございますが、総理は本当に引き続き行政改革をおやりになる気持ちがあるのかどうか、国民一般もぼつぼつ疑問の目を向けておられるのではないかと思うのであります。それらの疑問に答える意味におきましても、この際、改めて行政改革推進に関する御決意のほどを伺いたいと思います。  また、六十二年度予算編成は従来どおり緊縮財政の域は出ないのか、内需拡大と言ってもかけ声に終わってしまうのではないか、あるいはまた中小零細企業の景気後退に対する打撃、あるいは雇用問題は深刻であると私は思うのでありますが、その点についてあわせてお伺いいたします。
  57. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 行革の精神は、先ほど申し上げましたように、政府の肥大化を防いで、そして小さい政府で合理的な、能率的な政府に改変していく、政府関係機関もそうであるし、地方公共団体もそれに準じてやっていただく、そういうような考えに立って一貫してやっております。それが国民負担の増大を防ぐ一番大事なキーポイントであります。したがいまして、この行革の精神というものは、自民党内閣が続いておる限りこれは強く推進されていくべきものであると考えております。私の段階におきましても当然一貫してこれは行うべきものであると考えております。  来年度予算編成につきましては、今までの公約、例えば「増税なき財政再建」云々、そういうような一貫した考えに立ちまして、行革精神、臨調精神に立った予算編成をやりたいと思っております。そういう意味で、概算請求も厳しい概算請求で行ったわけであります。  ただ、最近の円高の動向あるいは世界経済の情勢、来年度の経済成長率等々、今真剣に検討しておりますが、この雇用問題というものは非常に重大な関心を持って対処しなければならぬ問題であります。一方において国鉄の大きな雇用問題がございまして、政府は責任を持って対処しているところでございますが、それに加うるに、今のような炭鉱の問題、鉄鋼、造船、繊維あるいは輸出関係の地場産業、非鉄金属、各方面でそういう問題の起こる可能性、現に起こってきている場所もざいます。  けさも雇用対策の推進本部の実は第一回会合を開きまして、そしてこれに対する対策の協議を行ったところでございますが、こういうような緊急問題に対処するためには、予算編成上におきましても、緊急対策あるいは緊急避難措置として考えていいところであり、これは臨調答申でも認めておるところでございます。そういう意味に立ちまして、来年度予算編成というものは、基本的な考え方は臨調答申の線に沿って行いますが、臨時、緊急の措置という点については、あくまで雇用問題というものを重視しつつ適切に対処していきたい、そう考えておるところでございます。
  58. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ポスト行革審がこれから取り組まなければならない具体的な問題について総理にお伺いいたします。  対外経済協力の問題も極めて重要であります。「国際社会に対する積極的貢献」とは臨調の掲げた行革の理念の一つではありましたけれども、平和外交を国是とする我が国の国際関係においては、経済協力は極めて重要な外交手段でもあり、その効果的実施は我が国益を左右する重要な課題であります。  しかしながら、先般のいわゆるフィリピンにおきますところのマルコス疑惑、さらには最近の国際協力事業団汚職問題など、対外経済協力については、発展途上国援助のにしきの御旗に隠れて余りにも不明瞭な部分が大き過ぎるとの批判も上がっているわけであります。また、緊縮財政のもとで例外的扱いを受けている予算が、果たして相手国国民に役立つ形で使われているのかどうか疑問を呈する向きも少なくないのであります。  経済協力については無償資金協力あるいは有償資金協力、技術協力と広範にわたり、その実施についても、外務省のみならず多数の省庁にわたっております。これらの点については臨調答申においても体制、運営の効率化が指摘され、また国会においても何度も論議、指摘があったにもかかわらず、政府側では一向に対応の改まった様子はございません。総理も経済協力を聖域にするお考えではないと思いますけれども、対外経済協力の改革については新行革審に検討させるつもりはないかどうか、その点をまずお伺いをいたします。  第二点は、行政改革の重要課題とされております三Kのうち、国鉄は分割・民営と決定し、健保も現在参議院で審議されております。しかしながら、食糧管理の問題は残ったままになっております。臨調行革審答申は、中長期的課題として米の問題についても多くの指摘を行っておりますが、その改善ははかばかしくありません。農政の基本的な見直しの問題について総理はどのようにお考えになっているか、その二点についてお伺いします。
  59. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 まず農政の問題から申し上げますが、私は、農は国のもとであり、農業は生命産業であって普通の工業とは違う、非常に社会的性格もあるし、日本の伝統的な文化性というものにも関係している大事な点もある、前から申し上げておるとおりで、それは変わっておりません。  しかし、農政自体も科学技術の進歩や国際情勢の変化や国民の嗜好の変化あるいは国民の願望というものと対応していかなければならぬことは当然であります。そういう意味において農政に対するいろいろな考え方が今打ち出てきておりますが、最近行われました農政審議会の二十一世紀の日本の農業の改革方向というものは、よくまとまっているいい方向であると私は考えております。したがいまして、私の今の個人の考えでございますが、いずれこれが正式日程に登場してきます場合には、あの考え方を大いに尊重して、そして政策にこれを実現するように努力したいと実は考えております。  それについてはやはり各省あるいは農業団体等等ともよく打ち合わせをして、農業団体にやる気を起こしていただいて、一緒になって政府も協力して実行するという体制が必要である、そう考えており、それを推進する方策について、これは新しい行革審ができました場合にいろいろと注意点や何かを我々に対して教えていただけば、また非常に有益ではないかと思います。いわゆる次の行革審の検討項目は、ODAであろうが農政であろうが特別な聖域というものはないであろう、私はそう思っております。  ODAにつきましては、先般の不祥事件等もありまして、外務省を中心にして国際協力事業団の内部点検を行いまして、相当な処分も行いましたし、改革も行ってきております。これは国政の一部でございますから、今後も当然行革審の検討対象にもなりますし、それ以前に政府自体改革すべきところは改革していかなければならぬのであります。今までのようなマンネリズムに堕することなく、新しい時代の要請にこたえる海外経済協力というものを実効あらしむるために、いろいろ工夫して改善もしていきたいと考えております。  特に、我々は先般総額四百億ドルに及ぶ海外経済協力の方向を示しまして、国際的にもこれは言っておるところでございますから、これらのお金がむだにならぬように、有効に使えるように我我は大いに戒めてやっていかなければならぬと考えておる次第でございます。
  60. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やはり一番大きな問題は税制改革の問題だと思います。  そこで、中曽根総理は衆参同時選挙を前にした六月に、国民や自民党党員が反対する大型間接税と称されるものをやる考えはないと公約をされて、ダブル選挙で三百七議席を確保して圧勝されました。しかし、今回党の税調で決まった六十二年度の税制改正の中身は、二兆九千億という大型付加価値税であることは間違いございません。事実、自民党税調でも、この案では公約違反を犯すことになるとか、あるいは大型間接税を導入しないという首相公約は厳然として存在するという意見が相次ぎました。山中税調会長も総理のうそを認めるという発言をしたことが報道されております。  中曽根総理は、売上税と称されるものは大型間接税とは違う、公約違反ではないと強弁しておりますけれども、総理が公約違反でないとする総理の論拠というものを明確にしていただきたいということが一点。  それからもう一つは、税制改革を進めてこられました党税調で、一応基本方針に沿って売上税とマル優の廃止を決めるということでございますけれども、このところ、細部の煮詰めの段階で、増減税ゼロと公約をした政府の考えから党税調は一歩踏み込んで、増税にウエートを置くような山中税調会長の発言があったというふうに聞きますけれども、増減税ゼロという政府の方針に変わりはないのか、その点についてお伺いします。
  61. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 増減税ゼロという方針には変わりありません。けさ新聞に報道されました山中税調会長の談話というものは、精細に調べてみますと誤解されてああいうふうに引用されておるのです。増税が余計出ていいということは言っておらないのであります。また、大蔵大臣自体が税調に対しまして、六十二年度におきましても増減税ゼロ、そういう形にしていただきたいと強く要請しておるところであり、私ももちろんそういう考えでおることでございます。  それから公約違反云々の問題は、山中税調会長の考えは、公約違反にならないように一生懸命努力しましょう、また、いたしました、どうもすれすれぐらいのところらしいが違反にはなっていない、そういうような趣旨の発言であったと聞いております。現に新聞の報ずるところによれば、山中税調会長は発言撤回したとか取り消したとか事実上取り消したとか、そういうことも報ぜられておる。これは作業の一過程における話であります。自民党総務会は、党議としまして、これは公約違反ではないとはっきりその方に認定いたしまして、そして満場一致でこれを承認した、こういうことを御報告申し上げる次第でございます。  ではどうしてかといいますと、私が申し上げました、議会でもしばしば申し上げましたように、多段階、網羅的、包括的、普遍的で投網をかけるように大型の消費税をかける、そういうような考えはないということを言っておったわけでありまして、一億円というすそ払い、すそ切りをやっております。これで大体日本の企業の八七%はこの種の税は納めなくてもいいようになる、その一事を見てもこれは投網ではない。あるいは地びき網くらいになりますかね、投網ではない。あるいは投網であるにしても大きな穴があいておる、そういうような性格のものではないかと私は思うのであります。  あるいはさらに、マル優の問題にいたしましても、例外規定、特に母子家庭とか老人に対しては言っておるわけです。私は選挙のときの公約でも、マル優の問題については、老人とか母子家庭のような弱い人は守ってあげなければいかぬが、不公平な税制、これは直さなければいけないとはっきり言っておるわけであります。不正は許さないとも言っておるわけであります。今回のマル優問題については、不公平税制の是正という面も非常にあるんだと思っております。そういういろいろな面から見まして、公約には違反していない。  それから、いわゆる間接税の対象になる物品も、恐らくこれから決めることでありますが、教育資材とかあるいは医療、お医者さんや自分の病気の問題とか、あるいは一部の生活必需品とか、そういうものは外されるだろうと予想しております。そういう意味におきましても、網羅的とかそういうような性格はない。私があのとき申し上げましたのは縦横、多段階というのですから、上から下までずっと流れてくる、それから横は横の広がりである。縦横十文字に投網をかけてごっそり全部取ってしまうようなものはやらぬのだ、そういう説明もしておるということをこの際申し上げる次第であります。
  62. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 山中税調会長がどうも総理の言っていることは公約違反であるということを、これは厳然と言われたことでありまして、それに対してもう税調の中では大変な論議がなされ紛糾をしたということ、これはいかにその決まる過程の中であろうとも、問題が問題だけにそういうふうなことになったということでありまして、最終的に総務会がそれについて全会一致だというけれども、それは多数で渡れば怖くないという論理なんです。ですから、非常に今回の問題は問題であります。きょうは時間がありませんが、恐らくこの問題はさらにこれから論議が行われるでしょう。  また政府は、売上税を導入しても一億円の免税点を置いたんだ、だから八七%の人はそれに関係ないんだ、こうおっしゃっても、あとの一三%で、言うならばわずか五%で三兆円からの金が集まるわけですよ。これは大型間接税でなくて何でありましょうか。結局、大型間接税じゃないですか。そういうふうなことを聞きますと、やはり総理は詭弁を使っておられるのだと……。うそをついてもなお政権延命をしたいというお考えなのであるか。  もう一度お聞きしたいのですけれども、三兆円規模の売上税と称する新型間接税が大型間接税ではないという根拠は何であるかということ。  もう一つは、先ほど言われました、一部の金持ちがマル優を悪用するからといって非課税貯蓄制度の原則廃止を決め、定率二〇%の分離課税をかけるということを決めたということでございます。これは低中所得者層を圧迫して富裕層を有利にすると言われておるけれども、総理はどういうふうに考えておられるか。そういうことであるなら、グリーンカードで適正な管理をすればチェックはできるのではないか、私はそのように思うのですが、いかがでしょうか。
  63. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、政府税調に対しても党税調に対しても、審議をやる前に、私は選挙でこういう公約をしましたから公約違反にならぬように審議してつくってください、そうお願いしてあるわけです。そういうふうにつくってくだすったと確信いたしております。  そこで、理由は先ほど来申し上げましたように、一億円という売り上げ以下の方にはかからない、これは相当なもので、さっき申し上げたように、日本の全企業の八七%は免除される、これはもう相当大きな例外であると考えていいと思うのです。あるいはさらに、品物によって例外がつくられる、これもかなりのものが出てくるでしょう。  あるいはさらに、マル優の問題につきましては、これは選挙中から私が言っておることでありまして、そして不公平税制は許さない、不正は許さないと言っていることにも適合しておるわけであります。  金持ち優遇といいますけれども、例えば五百万円の方と五千万円の方と調べてみますと、五百万円の方ならば、五分として五、五、二十五で二十五万が課税対象で、仮に二〇%の税率としても五万円が税金で取られる。ところが五千万円の方はどうかというと、金持ちですから、恐らく家族四人で一人九百万ずつやっておるだろう、そういうお方は。そうでない人もいるし、そういう方もいるけれども、もしそういう方がおるとすれば、これは仮定計算ですけれども、四、九、三十六で三千六百万というのは免税になってしまう、マル優の適用によって。それで残りの千四百万ですか、それに二〇%かかる、そういうような面から見ますと、どっちかといえば、四口も持ってやっている方が有利なんですね。そういうのが今度は四口も全部二〇%かかってくる、こういうわけですから、たしか四十何万円、五十万円近く取られるという形になる由です。  こういう仮定計算の例を見ましても、やはりこれは金持ち優遇ではない。今のような母子家庭とか老人に対して我々が本当にしっかりしたことをやっておけば、かえって公平になる、そういうように自分はその仮定計算を見て感じた次第であります。
  64. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公約違反の問題については私は納得がいかないわけでございますが、恐らくこれからもかなり大きな焦点としてこの問題は浮かび上がってくるでしょう。私は時間の都合がございますので、先に進ませていただきます。  大島三原山の大噴火についてでございますが、先月二十一日、突如、大島の三原山が大噴火を起こしまして、島民約一万人が緊急避難を余儀なくされました。東京都も、各区の協力を得て避難施設を確保し、救援活動を行ってまいりました。また、中曽根総理も施設への激励に出向かれたことについては、テレビでも報道されて、私もよく見ておりました。  突如の噴火のために着のみ着のままで避難をしていた島民にとって、我が家の安否が一番心配されたところでしたけれども、災害対策本部が一時帰島を四回に分けて行ったということは、私はそれなりの勇断が必要であったと思います。これからの問題として、地震予知連としては安全性の面からの見方をしてくることは間違いないと思いますけれども、年末年始を控えているだけに、一刻も早く帰島したいという気持ちで島民の方は待っておられることは事実だと私は思います。第一義的には都知事が判断する問題であるとしても、総理としてはこの問題をどうお考えになっておるのか、まず第一点としてお伺いをいたします。  それからさらに、大島には天然の良港として波浮の港がございます。しかし、出入り口が浅いために大型船が接岸できず、緊急避難ができなかったという教訓も、今回の災害によって明らかになっております。このことはかねがね地元としても大きな問題だということで陳情しておったわけでございますけれども、今回の教訓で、もし噴火で溶岩流によって道路が切断された場合のことを考えると、どうしても緊急避難港として対処できるような港に改修する必要があると思いますけれども、その点についてはどうでしょうか。  今回の三原山噴火や五十八年の三宅島の噴火のように、これらの周期的に噴火する火山に対して、観測や予知体制の強化を図る必要があるのではないか。  また、危機管理のための安全保障室の機能の中にも、予測されない緊急事態に対処してとある以上、これらの問題にも万全を期すべきではないかと思いますけれども、総理の御答弁で、最後の質問を終わらせていただきます。
  65. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 まず地震、噴火の予知体制については、さらにこれを強化してまいります。既に今やっておりますが、学者や専門家意見もよく聞いて、万全を期するようにしていきたいと思っております。  それから、港の問題につきましては、今回のいろいろな経験にかんがみまして、関係者意見もよく聞いて、そして安全に緊急避難ができるような方途を検討しなければならぬだろう、そう思います。  それから、島民の帰島の問題につきましては、もう年末を控えましてできるだけ早くお帰しするのがいいと思います。私は前からそういうことを考えておったものでございますが、何といっても、しかし生命尊重ということが大事でございますから、地震学者や専門家意見もよく聞いて、そして安全を確認しました上で、そして、国土庁長官が都知事と相談していろいろ判断も示すだろうと思いますが、鎮静化してきている様子でございますから、できるだけ早目に全員をお帰しする、しかしまた、いざというときにはいつでも早く帰れるように船を置いておくとか、そのほかそれ相応の準備はしてやるのが適当ではないかと考えております。
  66. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間になりましたので、以上で終わります。
  67. 石川要三

    石川委員長 川端達夫君。
  68. 川端達夫

    ○川端委員 私は、民社党・民主連合を代表して、総理に若干の御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  行革審の再設置の法案提案されております。総理は、かねてから行政改革を勇気を持って断行するという姿勢を堅持しておられます。今般の状況にかんがみまして、基本的なお考えを二、三お伺いをしたいと思います。  かねてから政府は六十五年度に赤字国債体質の脱却ということを公約されておるわけですけれども、ずっといろいろと経由をしてまいります間に、本当に達成できるのだろうかなというふうな不安、疑問を感じざるを得ないわけであります。と申しますのは、今年度予算で赤字国債が五兆二千四百六十億円発行される、これを六十五年度にゼロに持っていく、均等に減額をしていくというふうにいたしますと、年平均一兆二千億弱の減額をしていく予算にならなければならないわけです。ところが、六十一年度でも一兆円強の減額をするというのが目標連成のための必要額であるわけですけれども、わずか四千八百四十億円しか減額ができていない。こういう中で、本当にいわゆる行政改革の根幹である健全な財政、赤字国債を発行しない、こういう財政に六十五年度までに持っていくことができるのであろうかということを懸念せざるを得ないわけです。  きょうの新聞にも載っておりますが、六十二年度の歳入歳出の見通しの中でも、歳入不足が一兆三千億円になるというふうな見通しを述べられております。そういう中で、先ほども出ておりましたけれども、新聞によりますと、山中党税調会長は、歳入が不足する場合には、財政再建を放棄したり、練り直して、赤字国債で埋めるとか云々というテクニックは考えられる、これは考え方ですけれども、こういうふうな意見も出ている。  そういう中で、総理はこの六十五年度赤字国債脱却という公約をどういうふうに今考えておられるのか。公約を守るという決意であるのか、場合によっては放棄せざるを得ないというふうにお考えなのか、その点のお考えと、守るという方針を堅持されるのであれは、具体的にどういうふうな手法をとられるのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 守っていきたいと思っております。非常に厳しい環境にあることはよく知っておりますが、一たんこの旗をおろせば、いろいろな財政要求も出てまいりまして、また政府が膨張する危険性もなきにしもあらずであります。ここのところは、非常に苦しいけれども歯を食いしばってひとつ頑張る。  ただしかし、先ほど来申し上げましたように、臨調答申におきましても緊急避難的措置は認めておるわけでございますから、失業対策、雇用対策の問題については十分注意してやっていく、また景気の浮揚の問題についても、事業量をできるだけ拡大して雇用を維持していくようにしていきたい、そう考えております。  なお、先ほど私の鈴切さんへの御答弁の中で、地びき網ということを言いましたが、これは必ずしも適切でないので撤回させていただきたいと思います。私が申し上げたのは、大海の中で一部をこういうふうに網で引っ張ってとる、そういう大海の中の一部と、そういう意味で申し上げたのですが、これは必ずしも適切でありませんので撤回させていただきます。
  70. 川端達夫

    ○川端委員 現実に赤字国債体質を脱却するということに向けて努力をしたいというお気持ちは、それは我々もそうですし、そのお気持ちというのは重々承知しているわけですけれども、本当にできるのかなという部分で非常に不安に思うということでお伺いしたわけですが、実際にその公約を守っていくという姿勢を堅持される、そういうときの方法としては、徹底した本当の意味での行政改革をして、いわゆる小さな政府といいますか、そういうふうな中でやっていくという方法と、それから、先ほど増税であるかどうかという議論もありましたけれども、いわゆる増税をして税収を図っていく、そういうふうな道しかないのではないかなというふうに思います。  最近の予算を見ますと、政府としては歳出削減を懸命に努力をされている、しかし、五十九年度に〇・一%減、これが最高なんです。そのほかは、一般歳出の伸びがゼロであるというのが精いっぱいである。現在のように、先ほど言われました臨時、緊急の対応というものを考えていかねばならない、そういう時代において、ゼロにするのが精いっぱいという、そういう状態で本当に財政再建ができるのかどうか懸念をするところであります。  そういう意味では、いわゆる増税路線はとらない、それは変わっていないと思うのですけれども、確認をすると同時に、増税路線をとらない中で歳出削減を図るということが不可欠だと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  71. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 税に関しましては、宮澤大蔵大臣が山中税調会長にもお願いしてありますように、六十二年度におきましてもプラス・マイナス・ゼロ、そういうような考えに立って実行してまいりたい、努力してまいりたいと考えております。  それから、六十五年赤字公債依存体質からの脱却、これは先ほども申し上げましたように懸命に努力してまいりたい。ただ、事業量は確保して、そして失業、雇用対策というものも十全を期してまいりたい、そう考えておる次第でございます。
  72. 川端達夫

    ○川端委員 懸命に努力をして歳出削減を図る、それが伸びがゼロであるという程度にとどまるというのは、公約の六十五年赤字体質脱却という部分には到達しないのではないかということを重ねて申し上げたいわけです。  私たちはかねがね、本当の意味での徹底した行政改革を行うということで歳出削減を図っていく、これが不可欠ではないかということを提言をしてきているわけですけれども、この観点からいいますと、確かに電電、たばこ、そして今国会での国鉄という、公社の民営化というものは御努力をされました。その点は評価をしたいというふうに思うわけです。  人に例えますと、今まで非常に重たいリュックを背負い、そしてかばんを持って歩いておった、これでは健康な状態で歩いていく、あるいは国際的に並んで歩いていくということができない。そういう中で、とりあえずかばんだけはその専門の人に持っていただくということにした。しかし体で言えば、本体自身もっとスリムにならなければ肥満体質を脱却しない、健康のためには悪い、そういう中で行革といういろいろな議論がされた。しかし残念ながら、ポケットの中から少し小物を出して、目方が見かけ上ちょっと減りましたよというぐらいで終わっているのじゃないかなというふうに思います。  地方の出先機関の整理あるいは補助金の削減、そして一番肝心な中央省庁の再編・統合という問題に関して言えば、行革というものは、半ばというよりもほとんど緒についたばかりであるというふうに、非常に不十分であるのじゃないかというふうに思っております。  そういう中で、大型間接税、表現がまたいろいろ議論がありますけれども、我々としては大型間接税と考えざるを得ない、そういうふうなものが導入をされてくる、これは、これから減量せないかぬという中において——必死の努力をしてやっていこうという路線のきっかけは確かに総理の御努力でできてきたと思うのです。そういう中でこれからシェープアップをしようというときに、目の前にごちそうを並べて減量しなさいよということではないかなというふうに思います。そういう意味では、これまで国民にいろいろな我慢を強いながらではありますけれども、曲がりなりにも進めてきた行革路線を、いろいろな増税路線をとる、あるいは増税方策をとられることによって、行政の肥大化というものにまた逆戻りさせてしまう懸念を非常に強くするわけです。  そういう意味で、先ほどもほかの委員の方に対する御答弁がございましたけれども、行革に命をかける、行管庁長官のときは行革三昧ということまでおっしゃり、決意を込めて進めてこられました中曽根総理として、この行革に対する改めての御決意をお伺いしたいというふうに思います。
  73. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 石油危機を経験いたしまして、四十年代の高度成長から来た行政機構、政府関係機関等の肥大化等をスリムにして、そして二十一世紀に向かって財政的にも余裕のできる体制に国家をしておくということが非常に大事であるという使命感に燃えまして、行政改革に突っ込んできたわけでございます。  しかし、この仕事は、前から申し上げますように、三代の内閣、十年を要する大事業でありまして、まだ道半ばであります。この志を捨ててはいけない、そう考えており、自民党内閣が続く限りはこの精神を貫いてほしいと考え、私自体もそれに徹して今後も努力してまいりたいと思っておるところであります。
  74. 川端達夫

    ○川端委員 行政改革課題というのはそういう意味では今まで以上に大事だというふうに思うわけですけれども、そういう意味で、今回の法律によって設置される行革審の役割というのは非常に重大であるというふうに考えております。  そういう中で、最近いろいろな形でいわゆる行革路線に対する風当たりといいますか、自民党が圧勝されたということも踏まえて、圧勝された背景は行革総理が断行されるということを国民が支持した部分というのが非常にあると思っておるのですが、結果として自民党が非常に勢力を伸ばされたという部分で、整備新幹線の問題あるいは建設公債の増発の問題、それから米価据え置きの問題等々、いわゆる行革路線答申趣旨に沿わない部分が随分出てきているというふうに思います。必ずしも臨時、緊急のものだけではなくての部分の圧力というのが強まっている。  そういう中で、行革審が旧の行革審のフォローアップにとどまらずに、新たな部分にどんどんとメスを入れていく、ほとんど手をつけられなかった中央省庁の問題、それから補助金の問題を含めて取り組まれるという意義が非常に大きいというふうに思うのですが、新行革審に対する思いというものを、せっかくの機会ですし、総務庁長官おいでですので、長官に御決意のほどをお願いしたいと思います。
  75. 玉置和郎

    玉置国務大臣 今まで各先生方に対して総理お答えをしてきたことに尽きると思います。総理は一番偉い人ですから、私がこれ以上言うことはないと思います。
  76. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来ましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  77. 石川要三

  78. 松本善明

    松本(善)委員 今議題になっております法案につきましては、既に我が党の同僚議員が、中曽根内閣の行政改革の方向でありますとか法案の中身についてもかなり質問をしておりますので、きょうは総理大臣に行政の最高責任者としての政治姿勢にかかわる問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  行政は、言うまでもなくあらゆる分野で厳正、公平になされなければならない、こういうふうに考えております。中曽根内閣としても当然そうでなければならないと思いますが、この点につきまして総理大臣のお考えを最初に伺っておきたいと思います。
  79. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 行政は国民の皆様方に奉仕するものでございますから、何といっても思いやりと申しますか深いおもんぱかりを持って行われなければなりませんし、もちろん厳正、公平、公正に行われなければならぬと考えております。
  80. 松本善明

    松本(善)委員 最近、我が党の幹部についての盗聴事件が起こりました。そのことについて伺いたいのでありますが、十一月二十七日に我が党の緒方靖夫国際部長の自宅の電話が何者かによって盗聴されていたということが明らかになりました。緒方氏はすぐ有線電気通信法違反などで告訴いたしました。我が党といたしましても捜査当局に厳重な捜査を要求しておるところでございます。金子書記局長らが葉梨国家公安委員長に申し入れもいたしましたし、私も藤森官房副長官を通じまして内閣に申し入れをいたしましたし、法務省やあるいは最高検にもそれぞれ申し入れをいたしております。その際、葉梨国家公安委員長は、捜査は厳正に行うということを答えておられますし、また、藤森副長官も私に、厳正に捜査をするということは当然のことであるというふうに答えておられます。  総理は、行政の最高責任者といたしまして、こういう事件については、被害者がだれであろうと、それから加害者がだれであろうと、やはり厳正公平な捜査が行われなければならぬ、こういうふうに私どもは考えますけれども、総理はどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  81. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 その問題については私も報告を受けております。たしか電電会社も告訴しているとか報告を聞いておりますが、おっしゃるように、このような事件については、あくまでも厳正、公平に、公正に、だれであろうと、それは遠慮することなく行うべきであると考えております。
  82. 松本善明

    松本(善)委員 かつてアメリカのニクソン大統領が野党の民主党の本部に盗聴器を仕掛けたウォーターゲート事件、これが主因になって辞任に追い込まれたという事件がありました、御記憶のことと思いますが。この例に見るまでもなく、公党の幹部、政党の活動を盗聴というような犯罪的な方法で探知をしようとすることは、基本的人権のじゅうりんというだけではなくて、やはり議会制民主主義の根幹を破壊する、そういう性質のものであって、直接関係者のみならず、国民全体の自由と民主的権利にかかわりのある大事な問題である、こう私どもは思っております。  言うまでもなく、憲法の十三条で個人としての尊重、あるいは言論の自由、結社の自由が二十一条で保障されている。政治活動の自由というのは民主主義社会の基礎をなすものであります。自由と民主主義を尊重するという立場から見ました場合には、公党の幹部の電話盗聴ということは許すことのできない重大な犯罪、民主主義社会の基礎を崩すような性質のものだというふうに思いますが、当然のことではありますが、総理もそのようにお考えでおられるかどうか、この問題の重大性についての総理の御認識を伺いたいと思います。
  83. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 民主主義社会における公益、安全を害する大きな侵害行為であると考えております。
  84. 松本善明

    松本(善)委員 この事件は、実は盗聴していた部屋を借りた名義人の父親が現職の警察官、保証人も元警官、そういう警察とのかかわりも出ておりますし、それから、先月二十七日に町田警察署が盗聴の事実を知っていたにもかかわらず、四日間、捜査に着手をしなかった、これも大変不可解に思っておるのです。それから、捜査に入った十二月の一日に、やはり同じくこの事件のために現場に赴いた裁判官、これは証拠保全のために赴いたわけですが、その行動に警察官が協力しないばかりか、妨害と思われるようなこともやっておるというようなことで、極めて不可解なことが幾つも起こっております。このことは私も藤森官房副長官に詳しく申し上げたことでございます。  総理質問でありますので、細かいことを総理に伺うというのもいかがかと思いますので、これらの疑問の点につきましては機会を改めて伺おうと思うのでありますが、この種の事件といいますのは、なかなか犯人が処罰をされないということが多うございます。我が党に関して言いましても、党大会の盗聴あるいは宮本議長宅の盗聴あるいは戎谷、高原両副委員長宅の盗聴事件等、宮本議長宅につきましては創価学会の関係者の行ったものということが明らかになってきておりますが、そのほかのものは犯人が処罰をされていないというような状況であります。こういうようなことが後を絶たないということは、やはり日本の民主主義社会として遺憾なことなんで、これについては厳重な捜査が行われるように期待をしておるわけでございます。このことは要求として、総理政府に要求をしておきたいと思います。  私は、もう一点伺っておきたいと思うのでございますが、先ほど来、大型間接税の問題が公約との関係議論をされております。これはやはり公約違反になるかどうかということは議会制民主主義の根幹にかかわる問題で、総理は今この点についていろいろ総理の御主張をお話しになりました。一億円の免税点を設けるので八七%の者が除外をされるから、これは公約違反ではないんだというようなことも言われました。しかし同時に、大蔵省は九一%これで税収が確保されるだろう、九%ぐらいしかそのことによって税収が少なくならないだろうということを予測もしております。また、免税業者を選択するということによってかえって不利になる、むしろ課税業者を選択するだろう、現にヨーロッパでも、この選択制をとった場合には課税業者を選択しているということがあります。自民党税制調査会の中でも、ほとんどの人が課税業者を選択するだろうということを予測しているという議論が起こっております。  私はここで細かくこれが公約違反になるかどうかということについて総理議論しようと思いませんけれども、公約とのかかわりで、多くの国民がこれは公約違反ではないか、山中税調会長がそのように発言をしたということ自身がこれは公約違反だと思う人がたくさんいる。百貨店にも大型間接税反対、新型間接税反対という垂れ幕が下がっております。多くの新聞も、何紙もこれは紛れもない大型間接税だということを言っております。  総理はこれが大方の人たちから公約違反だと受け取られている、そういう事実があるということをお認めになるだろうかどうか、これを伺っておきたいというふうに思うのでございます。
  85. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 一部に誤解していらっしゃる方もおありと思いますが、よく説明すればわかっていただけるだろうと思います。
  86. 松本善明

    松本(善)委員 誤解か正解か、総理とは考えが少し違うかもしれません。私は正解ではないかと思いますが、現に多くの人が反対をしております。総理国民反対をしておるものはやらないというふうに言われました。選挙中には、これは四谷怪談のお化けのようなもので、根拠のないものだと言われました。私はそのお化けが足を生やして歩き出しているというふうに思うのでありますけれども、多くの人たちが現在反対をしている。これはやはり国民反対をしているということになるんじゃないでしょうか。自民党の税調が答申をしさえすればこれは国民反対をしている税ということにはならない、こういうお考えかどうか、伺っておきたいと思います。
  87. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 国民の皆様方の反応にはいろいろなものがあるように思います。賛成もありますし反対もある、新聞の論説等を見ましても、反対もあるし賛成的な傾向の論説もあります。ですから一概には言えないのではないかと思いますが、少なくともいわゆる大型間接税ではない、そう思っております。
  88. 松本善明

    松本(善)委員 時間もありませんからもうこれ以上はやりませんけれども、しかし、新聞で、全国紙で総理の主張を支持しておるのはただの一紙でございます。しかも、大型間接税ですから、そういう点で言えば、三兆円の税収を上げようというものが大型間接税であることは明白であります。  私は、これは今後とも議論をすべき問題だということで、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。
  89. 石川要三

    石川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  90. 石川要三

    石川委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。鴻池祥肇君。
  91. 鴻池祥肇

    ○鴻池委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、賛成の討論を行うものであります。  御承知のとおり、第二臨調発足以来、我が国の行政改革は本年で五年余を経過いたしましたが、この間、政府におかれましては、行政改革を国政上の最重要課題の一つとして位置づけ、臨調行革審答申等を最大限に尊重して行革大綱を決定し、これに基づいて行政改革を計画的かつ着実に推進しておられるのであります。  すなわち、医療保険、厚生年金等の制度の改革行政組織及び行政事務等の整理合理化、電電、専売両公社の民営化等の改革を断行し、また、今次行政改革において最大かつ緊急の課題とされました国鉄改革についても、本国会関係法律が成立し、来年四月より分割・民営化が図られることとなった次第でありまして、私は、これらの政府の御努力に対し、心から敬意を表するものであります。  このように、行政改革のための施策は着実に実施されているのでありますが、なお今後、地方行革の一層の推進特殊法人活性化、民間活力発揮のための各種規制の見直し等、本腰を据えて取り組まなければならない複雑かつ重要な課題が数多く残されており、その改革推進が強く要請されているところであります。  本法律案は、このような情勢にかんがみ、今後とも引き続き各界有識者の意見を聴取しつつ、行政改革推進を図るため改めて審議機関を設置しようとするものでありまして、まことに適切な措置であり、私は本案に心から賛意を表するものであります。  ただ、行政改革は、ともすればマンネリに陥り、中途半端なものになりがちであります。今次行政改革についても、国鉄改革の実現等により、ほぼその目標を達成したかのような声も聞かれるのでありますが、行政改革はむしろこれからが正念場でありましょう。  どうか政府におかれましては、今後とも引き続き不退転の決意を持って行政改革に取り組み、真に国民の期待する行政の実現に向けて最大限の努力を払われますよう強く御要望申し上げ、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  92. 石川要三

  93. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま政府から提出されております臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、反対の討論をいたします。  反対の第一は、土光臨調路線の延長線上にポスト行革審を設置する政治的な意味合いは既になく、また、緊急性も薄いと判断するからであります。  中曽根内閣は、発足以来五年目を迎え、あと一年続投期間を残しておりますが、行政改革に関する限り、その功罪は別として、さきの国鉄改革関連法案の成立をもってその任務の大半を終わったと見るべきであります。  もちろん行政改革そのものは今後とも推進してまいらなければなりませんが、内閣には行政改革のための総務庁があり、必要ならば行政監理委員会を恒常的に設置する方法もあり、あえて内閣直属のポスト行革審を設置するほどの緊急性はないはずであります。  殊に、「増税なき財政再建」を掲げてきた土光臨調行革審路線も、そのタイトルそのものが後半期には色あせたものとなり、最近では、問題の多い税制改革の新たな取り組みが急ピッチで進められ、また予算編成なども、国際的な貿易摩擦解消のための内需拡大をどうすべきか、円高不況にいかに対処すべきかなど、従来のマイナスシーリング、一律カット方式でいかない新たな要因が加わっております。本来それはポスト行革審の手を煩わせることなく、内閣自身が適時適切にみずからの責任で対処すべきものであります。  私は、いつまでも無原則に屋上屋を重ねるような臨調方式をとることには反対であり、内閣と国会の権威のためにも再検討すべきであることを強く要請するものであります。  反対の第二は、土光臨調行革審の功罪に対する厳しい批判に基づくものであります。  中曽根内閣は、行政改革、教育改革実現のために、政治戦略として総理直属の審議会を最大限に活用し、みずからのブレーンを委員専門委員参与等に配置して巧みに国民の意識改革を図り、総理の言う「戦後政治の総決算」の重要な武器として駆使してきたことは、天下周知のところであります。  昭和五十七年五月三日、生長の家の集会において当時の中曽根行政管理庁長官は、行政改革で大掃除してお座敷をきれいにして、そして立派な憲法を安置すると講演しております。  我が党は、臨調発足当時の国家財政の状況、高度経済成長時代を通じて肥大化した行政機構の現状等から見て、臨調の発足には大局的見地から賛成したのでありますが、改憲の地ならしとしての中曽根行革がいかに猛威を振るったかは、改めて指摘するまでもないところであります。  一言にして言えば、財界主導であり、防衛費を聖域にして、福祉の切り捨て、年金、医療の改悪、人勧の凍結、削減、機構、人員の縮小合理化、電電、専売、国鉄の民営化、教育、農林予算等の削減、また、危機管理の名において大統領府的内閣機能の強化に加え、さらに地方行革にまで守備範囲を拡大し、代執行問題に見られるごとく、地方自治の本旨を破壊する暴挙まであえて強行したのであります。  もちろん我が党は、国民的立場から中曽根行革の個々の提案については賛成すべきは賛成してまいりましたが、全体としてその底に流れるものは、政財官を結合した保守権力の強化であり、他方で革新の基盤を揺るがしつつ弱体化を図り、一般庶民には大きな犠牲を強いるものであったことは、紛れもない事実であります。  反対の第三は、臨調にせよ行革審にせよ、政府と同格もしくは各省の審議会の上に君臨するがごとき錯覚を持ち、立法府の決定した既存の法体系を念頭に置かず、何事をもなし得るがごとき思い上がった姿勢のあったことは、立法府の立場から見て看過できない重大な問題を含んでおります。  しかも、その審議は公開制をとらず、密室主義のもとに行われ、審議会委員等の人選も、革新側から若干のメンバーを入れるにとどめ、大半は財界、高級官僚OB等で固め、時に体制側内部で矛盾、対立があったとしても、帰するところ中曽根行革の意向に沿うた隠れみのの役割を果たしてきたと言っても決して過言でないと考えるものであります。  我々は、議会制民主主義の立場から、かかる問題の多い審議会方式は一応この辺でピリオドを打つことが適当であると考えるものであります。  もしそれ、あくまでもポスト行革審をつくり、伝えられる米、食管問題を審議の対象に取り上げるとすれば、最近内閣直属の農政審議会が取りまとめたいわゆる農政の長期ビジョンとの関連をいかに取り扱わんとするのであろうか、極めて疑問であります。それと同時に、衆参両院の食糧自給力強化の決議に基づく食糧の安全保障の立場を忘れ、かりそめにも国家百年の大計を誤るようなことは断じて許してはならないと信ずるものであります。  以上申し上げましたように、今日、行財政改革は新たな段階を迎えております。従来の延長線上でポスト行革審を隠れみのとすることなく、中曽根内閣としてその残された任期中に何をなすべきかを決定し、あとはニューリーダーの政治手法と国会行政改革の問題は任せるべきであるということを強く要求し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  94. 石川要三

  95. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、反対の討論を行います。  本法案反対する理由の第一は、この審議会推進しようとする臨調行革審路線そのものを容認することができないということにあります。  臨調行革審がこの五年間に国民にもたらしたものを見れば、このことは明瞭であります。  その一は、会長に土光氏を据えるなど財界主導の行革推進機関として、国会の上に立つ最高の国策決定機関扱いをし、財界、大企業奉仕の諸政策を民間活力の名で一層進めてきました。その二は、国力、国情に見合った防衛力の整備などは国際国家日本の責務などと称し、行革を軍拡の道具にして、安全保障会議の設置など、戦時即応の国家体制づくりへ足を踏み出しました。  その三は、宇宙開発事業団汚職などの腐敗と浪費の仕組みには何らメスを入れず、反対に国有地、国鉄用地の払い下げなど、財界、大企業に新たな利権を提供し、大企業補助金など大企業と行政の特権的な結びつきを拡大さえしております。その四は、社会保障、教育の切り捨て、中小企業、農業への歳出カット、地方財源の圧縮など、国民生活と地方財政を圧迫し、国民の購買力を低下させて消費不況を激しくしてきました。  その五は、戦後確立され定着してきた福祉、社会保障、教育、労働条件と権利にかかわる諸制度を相次いで破壊してきたことです。その六に、国鉄の分割・民営化を初め、電電の民営化、日本航空の完全民営化など、国民の年活と安全にかかわる公企業を財界本位に解体、再編してきていることです。さらに「増税なき財政再建」を掲げながら、実際には、膨大な税収欠陥の発生、赤字国債の増発を招いたり、財政危機の反動的打開のため大型間接税の導入を図ろうとするなど、財政再建なき増税路線を推し進めていることです。  反対する理由の第二は、新行革審も結局はこうした反動的、反国民的な臨調行革審路線を引き継ぎ、日米軍事同盟体制づくりを目指すファッショ的行革であり、国民の日常生活に密接な関係を持つ地方行財政への一層の圧迫、食管制度の解体などを目指す一方、軍拡、財界奉仕をさらに大規模に促進するものであることであります。  旧行革審を私どもは事実上の第三臨調と位置づけましたが、この間の事態の推移はまさにこれを裏づけました。政府説明とは逆に、反動的、反国民的な数々の答申意見を出してきました。しかも、国会の上に立つ事実上の国策決定機関として振る舞い、国会運営やそのあり方にまでくちばしを挟んできたのは、議会制民主主義をじゅうりんするものであり、断じて許すわけにはまいりません。  我が党は、行革国民の暮らしと福祉を充実する方向に根本的に転換することを要求し、本法案の撤回を求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
  96. 石川要三

    石川委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  97. 石川要三

    石川委員長 これより採決に入ります。  臨時行政改革推進審議会設置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  98. 石川要三

    石川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 石川要三

    石川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  100. 石川要三

    石川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ────◇─────     午後三時四十分開議
  101. 石川要三

    石川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  102. 上原康助

    上原委員 長いこと早目に審議をしてもらいたいと私たちが要望してまいりました給与三法がようやく審議に入るわけです。  実は、給与担当大臣の総務庁長官でも十分私がお尋ねすることにお答えしてくださると思うのですが、政府全体の問題もあり、また人事院勧告が出た段階で官房長官発言などもありましたので、官房長官もおいでをお願いをしてあるわけですが、どうしても日程の都合で後半しか御出席いただけないということでしたので、後ほど官房長官にも若干お尋ねをいたします。それでもいきなり防衛庁長官に防衛問題を聞くわけにもいきませんから、給与法でまず少し基本的な点だけただしておきたいと思います。  既に八月の十九日、人勧が出た後ですが、本委員会でいろいろ議論が交わされております。さらには十月二十三日にも本委員会給与のあり方とか人事院制度、勧告等について質疑をし、また総務庁長官人事院総裁や官房長官の御答弁もあったわけです。大方お考えになっておることについては明らかにされた感はいたしますが、改めて確認をする意味で、まず総務庁長官にお尋ねをいたします。  今後も人事院勧告というのは尊重し、そしてその内容というか勧告内容というものは政府全体として実行をしていくべきだと私は考えるわけですが、この人事院勧告に対する総務庁長官の基本的御認識、お考えを、まずもう一度明らかにしていただきたいと存じます。
  103. 玉置和郎

    玉置国務大臣 前回もお答えを申し上げたように、私はこの人事院の勧告制度なんというのは世界に冠たるものだという認識でやってきております。みずから称してミスター人勧だ、こう言っておりまするので、今後ともこの人事院の勧告については完全実施を目指して一生懸命頑張りたい。これは長官だからそう言うのじゃなしに、私の政治的信条でありますので御了解をいただきたいと思います。
  104. 上原康助

    上原委員 そのかたい御決意は先ほど私が引用した委員会でも既に明らかになっております。御自身からミスター人勧だと自認なさっておられるわけですから、そのことを十分私たちも受けとめておきたいと思います。  そこで人事院総裁、今公務員の皆さんとか我々が懸念をすることは、国家公務員法第二十八条二項、いわゆる五%条項というか情勢適応の原則というのがあるわけですね。これは今日までも、五%未満であっても公務員労働者の労働基本権を制約をされている代償措置としての人勧制度というものの必要性あるいはその独立性からして勧告は行われてきたし、また政府もそれを受けて、まあ凍結をしたり抑制をしたりいろいろ紆余曲折はございましたが、今年は五年ぶりに完全実施という運びになったわけです。  一番ポイントは、これからも五%未満であっても人事院としては勧告というものは継続をしていく、この姿勢を堅持すべきだと見ておるわけです。総裁としてこれは当然そうしたいというお立場で考えておられると思うのですが、この点も、もう一度確認の意味を含めて御見解、御所見をいただいておきたいと思います。
  105. 内海倫

    内海(倫)政府委員 勧告制度そのものにつきましては、在来からたびたび私どもも答弁を申し上げておりますし、また政府においても私どもの勧告制度を尊重し、また私どもの行う勧告についても最大限尊重するという態勢を常にとってきておられるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、将来におきましても国家公務員法に掲げてあります、例えば給与勧告について申せば二十八条に定められておるこの給与勧告というものに対する基本的な考え方というものをどこまでも尊重し、またこれに従って我々の任務を尽くすべきものである、こういうふうに考えております。  しこうして、今お尋ねの五%問題でございますけれども、この五%という問題につきましては、私どもの理解は、これはもし五%を超した場合には人事院としては俸給表の改善というものを必ず勧告しなければならないと定めておるものであって、いわば我々のしなければならない最低下限を示しておるものでありまして、したがって五%を仮に切っておったといたしましても、二十八条第一項の基本的な原則というものは、私どもは常にこれに従ってその任務を尽くさなければならない、これが私どもの考え方でございますから、そのときにおける社会情勢一般あるいは民間における給与の実態あるいは就職の実態あるいは公務員の生活の実態というふうなものを十分総合勘案して対応してまいりたい、これが私どもの基本的な考えであり、また精神でございます。
  106. 上原康助

    上原委員 要するに二十八条一項をまず尊重というか、それを優先して勧告というものは考えていくということでよろしいですね。
  107. 内海倫

    内海(倫)政府委員 今申しましたように、私どもは基本的に二十八条第一項の基本的な考え方に立脚して今後においても勧告という問題は処理していきたい、こういうふうに思っております。
  108. 上原康助

    上原委員 そこで、後ほど官房長官にもこの点は確認をしておきたいわけですが、先ほどの総務庁長官お答えで尽きるかもしれませんが、要するに、せんだって問題になったのは、これだけ物価が安定をしているんだから五%未満なら勧告は見合わせてもいいんじゃないか、また、必要ないんじゃないかという御発言とか、あるいは閣僚の、定昇だけでいいんじゃないのかというようなことがありまして、波紋を呼び、また幾分議論になったわけですが、五%未満であっても勧告制度はやっていきたい、また第一項を尊重してやるという人事院の独自性、基本的な姿勢、立場というものが今明らかになったわけで、これに対しては、もちろん給与担当大臣ですからとやかく言うおつもりは毛頭ないと思うのですが、政府としても、そのことにちょっかいを入れるとかあるいは定昇だけでいいとか、物価が安定しているから未満なら勧告は必要ないんじゃないか、そういうお立場はとらないですね。
  109. 玉置和郎

    玉置国務大臣 後ほど官房長官が参りまして自分の、当時の模様をお話し申し上げると思いますが、私から当時の模様をちょっとお話し申し上げますと、政府・与党の首脳会議であったと思いますが、党の方から、だれとは言いませんが、鉄鋼、造船、そういう民間企業が人員整理をやっておるじゃないか、そういう中で公務員だけがなぜこうした安定した給与を受けるのだという非常に強い発言がありました。そういうことで、ちょうどそういう会議を主宰しておりました官房長官として、押されたというか、あの雰囲気ならああ答弁をしないとなかなか党側が承知しなかったと思いますが、五%云々ということになったのでありまして、本来は官房長官は私よりよくわかっておりまして、今の人事院の総裁の言ったとおり、実施に対しては真剣に考えておられる、このように私は理解をしております。
  110. 上原康助

    上原委員 その点は、官房長官が来られた段階で、今後の完全実施の問題を含めてさらに進めていきたいと思います。  そこで、防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、恐らく参議院でもきょう防衛二法が議了されたと思うので、いろいろ出たのじゃないかという感がいたします。この給与問題とも大変関連をしてくるわけですが、率直にお伺いをいたしますが、六十二年度の防衛予算の対GNP一%枠、私たちはこのことはあくまでも堅持をすべきである、いろいろな背景なり要因があるということはわからぬわけではありませんが、しかし、政府全体の努力いかんによっては、これは堅持をしつつ、なお今抱えている問題処理は私は対応できると思うのです。  そういう前提、条件つきでお尋ねをするわけですが、堅持をすべきであるとの観点に立ってお尋ねするわけですが、一%枠の堅持というのは六十二年度予算においても守るのかどうか、再三のお尋ねですが、まず御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  111. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 これも毎回申し上げておりますが、五十一年の三木内閣の防衛費に関する閣議決定は守ってまいりたい、これが基本でございます。  ただ、これまたたびたび申し上げているとおり、防衛庁長官という立場からいたしますと、「防衛計画の大綱」水準を早期に達成する、具体的には中期防衛力整備計画というのができましてその第二年度を迎えておる、この計画に基づきまして概算要求もしてあるわけでございまして、防衛庁長官としてはこれが達成に全力を尽くす、これも私の一つの姿勢でございます。
  112. 上原康助

    上原委員 その点も、過般の防衛二法の審議のときに、私は直接議論をする時間がなくて大変残念でしたが、同僚議員や多くの方々のやりとりを聞いてある程度わかるわけです。一応そういうのは外に置いて、きょうは短い時間ですから、若干意見とか問題点を指摘をする中からお尋ねをしてみたいわけです。  確かに防衛計画大綱、それから別表、一%、これは三位一体なんですよ。ばらばらじゃないはずだ。三位一体のものでないとこれは意味がないわけで、それも前提でお話しをしておきたいと思うのです。しかし同時にまた、中期防衛力整備計画というものを今おっしゃったように六十一年度から六十五年度にかけてやる。しかし一方ではこの防衛予算が著しく硬直化しているわけですね。我我社会党は、何も一%という枠、足かせがあるからそういう状態になっていると見ないわけです。政府内部の自助努力、あるいはいうところの防衛行革という表現が正しいかどうかは別として、余りにも正面装備であるとかあるいはいろいろなその都度その都度の小細工をやったがゆえに、防衛費というものが非常に硬直化して、ますます膨張化せしめてきている要因、原因というものがたくさんある、このことに防衛庁としてメスを入れない限り、私は防衛論議が土俵にものらないと思うし、ますます異常な、いびつ化した中で議論をされていく結果になると思うのですね。  防衛費がなぜこれだけ硬直化した状態になって、年々、後年度負担を含めて膨らんでいくのか、この背景なり原因は防衛庁としてはどのように見ておられるのか、認識しておられるのか、これはできれば長官、もし政府委員なら政府委員でもいいですが、明らかにしてください。
  113. 池田久克

    ○池田(久)政府委員 年々の防衛費につきましては、「防衛計画の大綱」を中心にいたしまして、最小限度の自衛力を整備するために必要な装備費、人件費、修理費、施設費、そういうものを個々に審査をいたしまして、他の政策とのバランスを考慮しながらまいってきておりまして、審査の結果、国会でも認められて本日に至っているところでございます。
  114. 上原康助

    上原委員 経理局長、それは聞かれるとそうしか言えぬでしょう、公式な立場では。しかし、そう紋切り型でやっても始まらないんだ。私は、もう少し防衛庁も、本当に国民のコンセンサスを得ながら我が国の安全保障というものをどのように考えていくかということを良識的な立場で御認識、判断をするならば、我々野党の質問に対してもいま少し真摯な答弁なりまた議論があっていいんじゃないかと思うのです。  そこで、いずれこれは掘り下げた議論が必要だと私は見ているわけですが、限られた時間ですから、現在の自衛隊の構造と自衛官の定年制の問題、これはどう見ておられるのか。もう今の隊員の年齢構成、特に曹以上の隊員の高齢化というものは、長官、私は限界に来ていると思う。変な話なんだが、もっと強化せよという立場に立たないんだが、いかに防衛費というものがむだに使われているのかというのを私たちはもっと浮き彫りにしていきたいわけです。この点はどうなんですか。  自衛隊発足初期に大量採用した隊員たちが、ほとんどこの六十年度から定年退職を余儀なくされているわけでしょう。そういうものを先送り先送りして小刻みに定年をやってみたり、将補のポストを少なくするとかいろいろなことをやってきたんだが、ではそれが果たして防衛費を節約する内部自助努力につながっているかというと、そうでないわけです。ここに今防衛庁自体がメスを入れる必要があるのじゃないのか。  計画大綱水準云々とか、新しい装備を求めて、ただいい兵器を購入するというだけじゃなくして、本当に専守防衛とか必要最小限度の防衛力整備ということであるならば、もう少し内部の努力によってぜい肉を落としていくという努力を、防衛庁自体、政府全体としてどの程度なされてきたかというのは、行財政改革の中でも極めて大きな疑問、今防衛論議の中でここに新たなメスを入れないとこの問題は土俵にのらない。今指摘したことについてどうお考えですか。
  115. 松本善明

    松本政府委員 ただいま御指摘のございました平均年齢の高齢化という問題でございますが、これは近年におきます平均寿命の延伸でありますとか、あるいは高齢者の労働能力の向上、あるいは民間企業におきます六十歳定年の漸増の傾向、そういうものをとらえまして自衛隊の精強性の維持ということを頭に入れつつ、できるだけ人材を活用し、また隊員の処遇を安定化させるという観点から、昭和五十四年から五十九年にわたりまして徐々に定年を延伸したものでございます。  そういうことでございまして、結果的には、ちょうど自衛隊発足当初大量に採用された人たちが退職する時期にもぶつかったということで、先ほど言われました曹の隊員あるいは幹部につきまして若干平均年齢の増という現象を来しております。  しかしながら、これにつきましては一時的な現象というぐあいにも見られるわけでございまして、今後この現象は解消されていくものと考えておりますし、私どもといたしましても、適正な階級の年齢構成と申しますか、そういうものに配意をしてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  116. 上原康助

    上原委員 今後年々解消されていくという言い分ですが、ではいつごろ解消されるのですか。
  117. 松本善明

    松本政府委員 ただいま正確に資料を持っておりませんが、例えば定年退職者のピークがここ数年でございます。その後徐々に減ってまいりまして、あと数年たちますと、現在の六、七千人台ぐらいの退職者から急激に減りまして四千人台ということになってまいります。といいますことは、その段階である程度階級別の年齢構成が正常化されてくるというぐあいに見ていいのではなかろうかと考えております。
  118. 上原康助

    上原委員 私はそう見てないですね。自衛隊の現在の構造とか定年延長というのは苦肉の策であって、時間があれば退職手当の著しい増額にも触れたいのですが、これは後ほど資料として提出してください、五十五年以降どう変わっているのか。  だから、皆さんは人件費を抑制をするとか一%ということだけを前面突出させて、内部のやるべきことはちっともやってないのです。解消しませんよ、曹以上のことは。ましてや今若い自衛官というものの募集が非常にできなくなっているわけでしょう。こういう逆ピラミッド方式でいくと、これは悪く言えば、戦略上は恐らく一たん有事になれば頭でっかちなものにしておけばすそ野は補強できるというお考えでやっているかもしれませんがね。  では角度を変えて少しお尋ねをしておきますが、現在の陸海空の三自衛隊のいわゆる実存人員はおおよそ何名ですか。
  119. 松本善明

    松本政府委員 陸海空の現員のお尋ねでございますが、一番最近の時点で申し上げますと、陸上自衛隊で十五万五千二百十二名でございます。これは定員十八万名に対してでございます。それから海上自衛隊につきましては四万三千二百三十八名、航空自衛隊は四万四千八百四十九名、統合幕僚会議が百二十九名、トータルいたしまして二十四万三千四百二十八名ということになっております。
  120. 上原康助

    上原委員 そこで、この二十四万三千何百かの中で三士から三曹までの人員は幾らになっているのですか。それから三曹から将までの人員は幾らですか。
  121. 松本善明

    松本政府委員 お答えいたします。  士の定員でございますが、陸上自衛隊で申し上げますと五万二千九百二十四名でございます。それから海上自衛隊で一万八百七十七名、航空自衛隊が一万十名、統合幕僚会議にはおりませんので、トータルいたしまして七万三千八百十一名でございます。
  122. 上原康助

    上原委員 ですから明らかに逆ピラミッドになっているわけですよ。二十四万三千の中で七万三千八百十一しか士じゃない、昔流に言うといわゆる兵隊さんでしょうね。それ以外は全部、十七万近くは曹以上の幹部クラスということになっている。こんないびつな、軍隊構造という表現はよくないけれども、自衛隊構造というのは私はないと思う。こういうことになっておるからますます人件費においてもいろいろかさむ。  同時に私が問題を指摘したいことは、しかも、内部においてこういうことの改革を年次ごとに計画を立てていろいろ皆さん自助努力はやらないでおって、正面装備であるとか近代兵器を購入することだけに、後年度負担を、どんどん転がしを使ったり、一%のシーリングに近づけよう近づけよう、そういうやり方だけで今日までやってきているんですよ。もっと問題点を我々は国会においても指摘をして、国民の前にも明らかにして、削るべきものは削る、したがって一%以内で十分できるということに対しての論点を明らかにし得なかった弱さというものはみずからこれは今後の課題として持ちながらも、今の自衛隊のあり方というものは、非常に安易にしかも高価なものを購入、装備をしていくことに余りにも力点が置かれてきているということ。  だから幾ら高齢化社会といったって、それは防衛庁長官だって、五十二、三歳にもなって本当に一たん有事の場合に対応能力があるのですか、失礼な話だが。そういうのが、どんどんF15を何百機買いなさい、P3C、コンピューターつきのものを幾ら買いなさい、艦艇はエイジスだ、こういうふうに高価なものを買ってみても、まさに宝の持ちぐされとして国民の税金がむだ遣いされているところに今日の一番大きな問題点があるということを私は指摘をしておきたいがために、今若干のことを申し上げたのです。  若い隊員の募集が思わしくない。質の低下が深刻化しているわけでしょう。特にシーレーン防衛とか一千海里なんて言っていますが、一番海上自衛隊に若い者の補充ができないわけでしょう。十年前、二十年前は外国にも行けるということで応募者が多かったらしい。それが最近はもうそうじゃないという、隊員の気持ちとしても。長官、こういうことについて少しは防衛庁全体として練り直してみたらいかがでしょう。
  123. 松本善明

    松本政府委員 お答えいたします。  確かに隊員の募集は楽であるというぐあいには申し上げられません。大変苦労はしております。しかしながら、募集の実態を見ますと、応募者は我々が目標としております二万人ぐらいの人間に対しまして約二倍ぐらいの状況がございます。ただ、おっしゃいましたように、海上自衛隊につきましては、かつてほどの魅力かないと言われまして、かつてのようにはまいらないというのが現状でございますが、今後、この点についてもいろいろな努力を重ねまして、また国民の皆様の御協力も得ながら改善してまいりたいというぐあいに考えております。
  124. 上原康助

    上原委員 どうも問題点を指摘してもそれに十分答えようとしない、いつも、そんなことじゃないんだということでやるところに、非常に姿勢が問われていると私は思うのです。  ではもう一点、具体的なことで聞いておきますが、今の自衛隊の一個中隊、普通中隊でしょうね、普通中隊の場合に大体どのくらいの曹がいるのか、一個中隊に配置されているのか。
  125. 西廣整輝

    西廣政府委員 ちょっと手元に正確な資料を持っておりませんが、曹の数でございますね。曹の数は……(上原委員「一曹」と呼ぶ)一曹でございますか、一曹の数はちょっと、曹全体で全体の半分強ぐらいということにお考えいただきたいと思うのですが、一曹の数ですと十人足らずだと思います。
  126. 上原康助

    上原委員 もうこんな調子だからしようがないね、これは。本当にシビリアンコントロールもどうなるのだろうか。  防衛論というか軍事論という面からすると、皆さんがぴりっとした防衛力整備とかいろいろなことを言ってきた、一%枠のときから。ウサギの耳を長くとか、ぴりっとしたもの、ぴりっとしたものは臨機応変に対応できるということでしょう、簡単に言うと。軍事論から言うとそれは正しい。しかし、そういう表で言っていることと、実際にやっている現在の自衛隊構造の限界というものは目に余るものがある、こんなのにどんどん近代兵器を装備させたって無意味だと言うんだ。  しかも、一個中隊は大体定員がたしか二百人前後ですか、そうですか、普通。
  127. 西廣整輝

    西廣政府委員 二百数十人でございます。
  128. 上原康助

    上原委員 二百から二百五十前後でしょう、二百数十人。その中に大体一曹というものは十九人内外だと思うのですね、二十人以内。しかし、現在は一曹が二十七人から三十人近くいるという。この一例を見ても隊員の高齢化ですよ。だから、こういうところを内部努力をやって防衛費を圧縮していくということで、さらにその上で、ちょっと踏み込んだ議論になるわけですが、必要があれば防衛力整備計画を新たにするとかいろいろなことを考えれば、まだ議論はかみ合う。そうでないということで、非常に今の防衛庁の防衛力整備のあり方については私は納得しがたい。  このような状況で高価な装備だけを買いそろえようとする、こういうことをまず改めていただきたいのですね、長官。それさえやれば一%枠の堅持というものは、今出ているいろいろな問題等を精査をしてもなお可能性があるというのが私たちの主張なんですよ。  この点について、官房長官も見えましたのでほかの質問に移りますが、まとめて防衛庁長官の御見解をお聞かせください。
  129. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今いろいろと御指摘の中で、防衛庁としてしかと承らなければならぬ点は多々ございます。それについては、私は私なりに今後改善の方向に向けて努力をいたしたいと思います。  ただ、お話を聞いてみますと、だから、今装備や何かいろいろやっているけれども、それは宝の持ちぐされだ、あるいは余計なことだ、そういうような意味のお話もございましたが、さようなことはございませんので、どうぞ。
  130. 上原康助

    上原委員 そこは見解の違いで片づけたくはないのです。実態としてはそういう面が大いにあるということ、このままこういう構造にしておって、従来の惰性に基づいての防衛計画だけを先取り先取りしていく、装備の購入だけを。そうなると、これは宝の持ちぐされになりますよ。絶対になりますね。その点は強く警鐘として指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、いろいろなファクターがあっても、さっき言いましたような内部努力をやることによって、ぜひ一%枠の堅持というものは最優先させてもらいたいということを申し上げておきます。  官房長官、お時間をやりくりをなさっての出席、敬意を表します。きょうは給与法案ですので、先ほども総務庁長官にもお尋ねしましたし、人事院総裁の御見解も聞いたわけですが、改めて、政府の一番の窓口ですから、かなめですから聞いておきたいわけですが、今後も政府として人勧制度は尊重するということ、これが一つです。  それと、勧告があった場合には完全実施をやるということ。  三つ目は、官房長官の御発言でも大変物議を醸したわけですが、五%未満なら勧告は必要ないんじゃないのか、あるいは物価やいろいろなものが安定しているのだから定昇でいいんじゃないかという御発言があったわけです。これは人事院制度を無視した、あるいは政府が人事院に圧力を加えるという結果になりかねませんので、そういうことでないということ。  今私が指摘をした三つの点については、人事院が勧告をする、また政府はそれを受けて完全実施に踏み切る、五%未満でも今後も勧告制度は継続をしていくという総務庁長官や人事院の立場というものは尊重なさいますね。
  131. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 人事院の制度は、これは申し上げるまでもなく、労働三権の制約措置の代償でございますから、この制度を政府は今どうこうするという考え方は持っておりません。それだけに、人事院が勧告をなされば、政府としてはそれを最大限に尊重しまして、完全実施に向けて国政全般との関連の中においてやっていきたい、こう考えておるわけでございます。  そこで、問題は、国政全般との関連ということになりますが、これは従来から私しばしばお答えしておりますように、厳しい財政事情が一方にはあります。しかし、同時に、それだけではないのだ、それはやはり国民皆さん方が現在の公務員の働きぶり、それに対する処遇の問題、これらをひっくるめてどういう国民感情にあるかということはよほど考えなければならぬ、私はさように考えておるわけでございます。私自身は、基本はできる限り公務員の処遇というものは優遇してあげたい、そうでなければならぬという考え方は従来から持っておるわけでございますが、ただいま言ったような国政全般との関連の中で考える。  さて、そうなった場合に、今日、造船あるいは石炭、鉄鋼あるいは輸出関連産業を中心とした特に中小企業等の中で非常な失業者が出ておるわけでございます。たまたま人事院勧告の勧告の時期とこれの実施の時期、さらにはさかのぼって人事院の官民較差の調査の時期、これらがずれておるといったような関係もあるわけでございますが、実は、ことしの勧告をどう扱うか、私どもはこれは完全実施しなければならぬ、こう思っておりましたが、政府の首脳の打ち合わせの中では、今言ったような厳しい客観情勢を踏まえて、ただそれだけでいいのかといったような、やや戸惑いの空気を反映した御発言もあり、同時にまた、公務員の処遇そのものについて、従来から一部の経済界等を中心にして、御承知のように、もはやここまで物価が安定した以上はこれは定期昇給制度に切りかえるべきであるといったような厳しい御意見もございました。  しかし私は、それについてはまだまだそういう時期ではないということを、これもまたお答えをしておるとおりでございます。  しかし、それらを頭に置きながら現状を踏まえて考えた場合には、やはり今の人事院の制度を変える必要はないし、そこまでやるのは行き過ぎであろうが、しかし今の制度の中でいわゆる五%条項というものがあるではありませんか、ならばその五%条項ということについては、政府がどうこうしろということは、これは一切言うべき筋合いではありませんよ、人事院がお考えになることなんだ。人事院御自身がそういった点は勉強をなさらなければならぬ時期に来ておるのではないのか。これは制度の変更では有りません、現在の公務員法の中にちゃんと規定があるわけでございますから、そこらを踏まえて御勉強なさったらいかがであろうかという時期が来ておるのではないですかということを私は申し上げたにすぎないわけでございます。
  132. 上原康助

    上原委員 前段の最初のあれは非常によかったのですが、後はああでもない、こうでもない、よくわからなくなってしまった。  それは、おっしゃっていることはわかります。造船であるとか石炭であるとか鉄鋼であるとか、あるいは中曽根さんが約束違反で大型間接税を導入したら、物価も今のように安定するか問題だ、来春以降は。しかし、総裁初め人事院の皆さんは、そういった社会経済動向全体を総合して勧告というのは出てくると思うのですね。国政全般の云々というものは、あくまでも人事院勧告の中に給与という面では包括的に入ってくるでしょうし、雇用の問題とかそういう対策というのは、おのずと別個の問題だと私は思うのです。  だからその点は、勧告が出た段階でそのことを政府は云々するのでなくして、官房長官初め給与担当大臣にしてもあるいは文部大臣にしても通産大臣にしてもなさるのじゃなくして、雇用対策とか不況というものあるいは今後の経済動向というものは、やはり経済財政政策の中でやるべきだと思うのですね。勧告された中でそれが議論されてくるからこんがらかる、国民もまた反感感情を持つということになりますので、その点はひとつ十分御留意をしていただきたいと思います。  要するに官房長官、人事院が、さっきははっきりしたわけですが、五%未満の場合でも勧告なさる。した場合においては、政府としてはそれをとやかく言うわけじゃない、尊重する、こういう立場にはあるわけですね、念を押すようで恐縮ですが。
  133. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 人事院の勧告制度は尊重する、こうお答えをしておるわけでございますから、人事院の勧告があれば、国政全般との関連の中で政府としては最大限尊重をしたい、こういうことでございます。
  134. 上原康助

    上原委員 人事院制度そのものを見直す必要はない、この点もはっきりしたし、勧告がなされればそれを尊重する、ただ少し周囲を見回しながら、これはまた官房長官政府給与関係者皆さんとしては当然のお考えでもあるので、わからぬわけじゃありませんが、ぜひ今後ともこの人事院の勧告ということについては、政府としては完全実施をするという基本方針だけはひとつお曲げにならないように、特に両大臣にお願いをしておきたいと思います。要望をしておきたいと思います。  次に、せっかく官房長官おいでですし、防衛庁長官もいますので、一点だけ沖縄の問題で触れさせていただきます。  軍用地転用促進協議会、軍転協が、十一月二十七日、二十八日の両日、防衛庁や外務省、沖縄開発庁に要望を出されております。これは既に御案内のことと思います。軍転協は、御承知のように、会長は西銘知事ですね。副会長が親泊那覇市長、そして桑江沖縄市長など、県下の三十五市町村で構成をされた、文字どおり保革を超えた協議会であり、その要望は全県民のコンセンサスを得たものと私たちは理解をしているわけです。  そこで、この計画は、十三施設、二千七十四ヘクタールの軍用地の返還を求めて、その用地が返還をされた場合の跡利用計画も盛り込んだ具体的要請となっております。特に返還の希望時期を明記したのも、今回の軍転協がまとめた計画の特徴かと思うのです。これに対して綿貫沖縄開発庁長官から、去る五日の閣議前に栗原防衛庁長官あるいは倉成外相に対して、全面返還ができるようにひとつ政府としても御努力をいただきたいという協力要請があったという報道がなされております。  いろいろ難しい問題はあると思うのですが、官房長官、私はこれは防衛庁や外務省だけに任す問題じゃないと思うのですね。まさに沖縄の第二次振興開発計画が後期に来て、第三次プロジェクトをどうするのか、こういういろいろな問題の中で、この軍転協がまとめた返還要求、跡利用というものは、政府全体の計画として政府がむしろ統括をして、総括をしてやるべき段階だと思うのですが、この点についてひとつ御見解と今後の御方針を明らかにしていただきたいと思います。
  135. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 御質問は、十一月二十七日に西銘知事を会長とする沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会による「米軍基地の返還及びその跡地の有効利用について」の要望のことを御質疑になっていらっしゃると思います。  今さら申し上げるまでもなく、日米安保条約のもとで日本の平和がこうやって維持をされているわけで、基地の重要性ということは今さら申し上げるまでもありませんが、その基地の大部分が沖縄県民の皆さん方の大きな負担の上に存在をしておるということは、これは政府としてはいつも頭から離しては相ならぬことである、かように私は理解をいたしております。  そういうような基本的な認識のもとに、この御要望については関係各省庁に進達をせられているわけでございますから、各省庁で十分できる限度の対応をしていくといることであろう、またそうでなければなるまい、かように私は考えておるわけでございますが、もし内閣全体で私どものところで調整をする必要ありということであれば、調整の役割も担いまして、現実に即しながら基本的な認識のもとに対応してまいりたい、かように考えるわけでございます。
  136. 上原康助

    上原委員 ぜひその線に沿って御努力を賜りたいわけですが、防衛庁長官、これは直接御担当というか、一番関係深いですね。同時に、これも申し上げるまでもないわけですが、今度要請を出されている二十項目があるわけですが、この二十項目のうち九項目は、昭和四十九年および昭和五十一年の日米安保協で返還合意をしたものなんです。もちろんこれにはいろいろな紆余曲折もあるし、地元の意向とかまた言うかもしれませんか、少なくとも日米間で合意を見たものが、官房長官、四十九年、五十一年からもう十年以上も放置を、放置というか、合意を見たにもかかわらず返還されていないわけですよ。だから、あれだけの面積が沖縄に基地として存在をしているというのが今日の実態なんです。  これは沖縄返還のときの約束でもあるわけなんだ、本土並み基地にする、縮小していくということは。だから、いろいろな難しさはあるということは私も重々知っておりますが、防衛庁長官、こういう問題についても、施設庁に任すだけでなくして、もっと督励をするなり、開発庁なりあるいは関係者といろいろな連携をとるなり、外務省を含めてやる、またその間でできない場合は、今官房長官おっしゃるように、政府全体として調整をし協議をしていくという、もう少し血の通った返還交渉ということ、あるいは返還された場合の跡利用をどう具体化していくかという財政措置を含めておやりになってもいいのじゃないかと私は思うのです。この件はいかがですか。
  137. 岩見秀男

    ○岩見政府委員 先生お話しの軍転協の皆様、施設庁にもおいでになっております。安保協議委員会決定に係る整理統合につきましては、先生も御存じのとおり、現在三五%余に至っているわけでございます。  防衛施設庁といたしましては、従来から、御承知のとおり安保条約の目的の達成、それから沖縄振興開発計画の推進との調和を図りながら、かつ、土地所有者の意向等にも配意いたしまして、日米安全保障協議委員会で決められました施設、区域の整理統合計画を実施してまいったわけでございます。  このたび陳情のございました中には、その協議委員会以外のものも含まれてございます。その他のものでありましても、住民の福祉の向上に不可欠なものにつきましては、施設庁といたしましても今後とも十分に検討をして努力をしてまいりたい、かように考えております。
  138. 上原康助

    上原委員 もう一度、去る五日に綿貫沖縄開発庁長官が栗原長官にも倉成外相にも要望しているわけです。この要求についてはぜひ防衛庁としても十分意に沿うようにやってもらいたいと御要望を受けたわけでしょう。防衛庁長官、どうですか、それに対してどうなさいますか。
  139. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私は、正式な形では要望を受けておりません。
  140. 上原康助

    上原委員 しかし、防衛施設庁にはちゃんとこの要請は行っていると思うのですよ。これに対して、防衛庁長官としてはどのように御処置をなさろうとお考えなのかをお尋ねしているわけです。
  141. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 防衛施設庁が受けたならば、防衛施設庁が責任を持ってやらなければならぬ、その最終的な判断は私がする、こういうことです。
  142. 上原康助

    上原委員 そうしますと、先ほど官房長官からもお答えがあったわけですが、政府全体として調整をしなければいかないという問題があると私は思う。ですから、防衛庁長官、そうぶっきらぼうにおっしゃらずに、防衛施設庁が受けてまだ日が浅いから、そのことは当然最終的には防衛庁長官が判断をする、指示をする、防衛施設庁から防衛庁長官の方にこういうふうにやりたいということがあれば、それを受けて早急に取り組みますね。それが一つ。これはぜひ——あなたじゃないんだよ。今大臣が出ているから、短い時間だから、あなたには後で聞くよ。引っ込んでおれよ。  そういうことを受けて、官房長官政府全体としてこの軍転協の要請に対して私は考えてもらいたいのですよ。考えてもらうためには、やはり防衛庁と外務省なり、そこだけに任せておったのでは、四十九年、五十一年でやったままで進んでいないんだ、だから、責任ある大臣なり政治家がこの問題に手を入れなければいかないから、わざわざ官房長官にも私はこの問題をお願いして、要望を含めて今やっているわけで、そういうふうに連携を密にしておやりになりますね。
  143. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 それぞれの御要望事項に応じて、防衛施設庁なりあるいは外務省なりあるいは沖縄開発庁なりの分担はおのずから中身によって決まっておると思いまするので、それぞれの関係省庁で適切に対応していただけるもの、かように私は考えております。
  144. 上原康助

    上原委員 適切に対応してないと私は思っているわけです。また、これまでもできなかった。今度もそれぞれのところに任せておくと、これはなかなか思うようにいかない。だから、切れ者の官房長官がお出ましにならないとなかなか進まないと思うので、それを聞いているわけです。
  145. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 これは今さら上原さんに申し上げるまでもなく、それぞれの所管で分担が決まっておるわけでございますから、分担を乗り越えて内閣がいきなり乗り出すということは適切でない、かように考えます。
  146. 上原康助

    上原委員 それは、いきなりやってもできないでしょう。しかし、さっきの防衛庁長官の御発言を見ても、これはなかなか難しい問題だから余りさわらないと。だから、施設庁任せではいかないということなんですね。その点はぜひ御認識をいただきたいと思います。もう時間が来ましたので、その点はぜひ十分御留意をなさってやっていただきたい。  それで、結びとして申し上げたいことは、特に防衛庁長官にも聞いていただきたいが、きょう私はこの問題を聞くということは通告してあるわけですよ。しかし、肝心かなめの施設庁長官も来ていないわけでしょう。これはどうしたんですか。防衛庁の給与も防衛施設庁も含めて今我々は議論しているはずなんです。その点も注文をつけておきたい。  同時に、冒頭のGNP一%問題、今の軍転問題あるいは自衛隊の構造とか、我々が防衛議論をもし本当に共通の土俵でできるものがあればやって、これは我々はこう思う、この面は削れるんじゃないか、いろいろなことをやることに対しては、誠意を持って防衛庁長官や内閣全体でやっていただかないと、おまえらの言っていることは安保反対だろう、自衛隊反対の立場で聞くんだろうということだけではいかぬと思うのですね。そのことは特に注文をつけておきたい。だから、私たちは今回は給与法に対しても新たな態度でまじめにやってみよう、防衛庁や内閣の姿勢がどう変わるのか、野党が指摘する問題について本当に真剣にお答えになる姿勢があるかどうかも見ようと思っているという点も注文をつけておきたい。  そういうことでないと、ただ聞きっ放し言いっ放しでは、一向に今の防衛問題、安全保障の問題というのは進展しない。きょうのこの防衛庁の問題指摘に対する木で鼻をくくったような、いつものようなことについては私は非常に納得しがたいということも申し上げて、防衛庁長官の今後の御努力を賜りたいし、今私が指摘したことについてお答えがあれば聞いておきたい。
  147. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私は余り愛想のいい方じゃございませんので、木で鼻をくくったというふうにとられたら大変残念でございますが、そういうつもりはございません。  今御指摘の中でも申し上げたとおり、我々として考えねばならぬことについては考えるということを申し上げております。今後も、国民に理解される、国民から支持される防衛力の整備ということをしなければなりませんので、有益な御意見をぜひ開陳願いたい。有益な御意見に対しましては積極的に応ずる、こういう態度でございます。
  148. 石川要三

    石川委員長 上原委員に申し上げますが、先ほど質問の中で一部答弁漏れがございますので、西廣防衛局長から答弁がございます。西廣防衛局長
  149. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど資料がございませんで、答弁漏れなり修正したいところがございますのでお答え申し上げますが、一個中隊、普通科の場合でございますが、その中の曹全体の数は七十一名、一曹は十八名でございます。  なお、先生の方から一曹が二十数名になっておるところもあるというお話がございましたが、私ども個々の部隊については定数オーバーの実員がいるところもございますが、自衛隊全体としては各階級別の定数というものは守って準用いたしております。したがいまして、予備隊発足当時からの、当初の増勢時期に入った人間が今おりまして非常に数がふえておりますけれども、階級別定数というものはきっちり守っておりますので、現在の自衛隊なり予備隊発足当時採った者が逐次今ピークに来ておりますので、退職していく段階で現在の非常に高い年齢構成というものは急激に修正されていくというふうに考えております。
  150. 石川要三

    石川委員長 鈴切康雄君。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 給与の改定に当たりまして若干御質問を申し上げます。  今年度の給与改定については、八月十二日に人事院から出されました二・三一%の給与改定の勧告を、政府は十月二十一日の給与閣僚会議で人事院の勧告どおり完全実施することを閣議決定いたしました。昭和五十六年度以来、財政難を理由に政府は人事院勧告に対して、実施時期の繰り下げ、率の切り下げ、凍結等を繰り返しながら完全実施を見送ってきており、人事院勧告制度そのものを否定しかねない状況にありましたけれども、今回はようやっと六年ぶりに完全実施をすることになったわけですから、今後はこのまま完全実施が続けられるように念願するものでございますが、官房長官の今後の人勧の取り扱いについての基本的な考え方をまずお伺いをいたします。
  152. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、公務員の処遇ということについては政府は最大限の努力をすべきものである。したがってまた、現在ある人事院の勧告制度、これは勧告があれば国政全般との関連の中で最大限に尊重して完全実施に向けて努力をしていくべき筋合いのものである、かように考えておるわけでございます。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院制度、これは少なくとも公務員の労働基本権の代償機関として人事院がこれについて調査をして、そして勧告するわけですから、これについては最大限尊重しなくてはならない、出たものについては完全実施をする、これは私は当然のことだと思うのです。実は六年間も、人勧が凍結されたり、率を下げられたりあるいは政府が独自に給与表をつくったり、異常が続いたわけです。この間、公務員の方々は大変に苦しい生活の中で努力をしてきたわけでありますけれども、そういうふうなことが続きますと優秀な公務員が集まらなくなってくる、そういう弊害にとらわれるだろうというわけでございますから、少なくとも官房長官は、人事院勧告だけは、労働基本権の代償機関としての勧告であるがゆえにこれは完全実施をする努力をする、こういう形でいっていただきたい、こう思うわけであります。  さて、本来人事院というのは、民間企業の調査結果で給与の較差が五%を超える場合は勧告しなければならないと規定されております。今回の勧告率は二・三一%という、昭和五十四年の三・七〇%を下回る史上最低の勧告率であったわけでありますけれども、にもかかわらず勧告されたということはそれなりの理由があったと思います。人事院総裁としてはどのような御所見であられましょうか。
  154. 内海倫

    内海(倫)政府委員 先ほどからお話もありましたように、人事院勧告につきましては、ここ数年来いろいろな事情であるいはこれが見送られ、また抑制されるというふうな措置がとられてきましたが、ようやく昨年におきまして、その率においてはこれを認めて、月数においてこれを抑えるということで完全実施に非常に近づいてきたわけでございます。  本年の勧告におきましては、いろいろな民間給与の実態その他厳重に調査比較いたしまして、確かに率は低うございますけれども、しかしながら、客観的に見ますとやはり官民較差というものもこうしてあらわれておるわけでありますし、また、公務員の生活実態等も考え、あるいは社会情勢一般も考えますと、低率ではあってもこれはやはり勧告をしてこの際完全実施というものをひとつまとめ上げていく、政府においてもその点については積極的なお考えを在来お示しになっておりますし、私どももそういうふうな考え方に立っておりましたので、これは低率ではありますけれども当然勧告をいたすべきもの、こう考えて勧告をいたしたわけでございます。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 基礎給与も今非常に高くなってきており、勧告が幾ら低率であってもその額はばかにならないということは、これは人事院もこの場所で答弁をされたわけでございます。ですから、五%未満であっても過去数回勧告を行ってきておりますけれども、現在のように物価が安定している経済情勢では、官民の給与較差が五%を超えるということはまず今のところは考えられない状況でございます。  今後もこの傾向はある程度続いていくことと思いますけれども、そうなった場合、人事院としては今後とも五%未満であっても勧告を続けていった方がよいだろう、それは何といっても民間との給与の較差でございますから大幅な数字というものはとても期待できないにしても、出たらそこで勧告をするという人事院の姿勢というものはとり続けていくべきではないかと私は思うのですが、人事院総裁、どうお考えでしょうか。
  156. 内海倫

    内海(倫)政府委員 私どもは、たびたびお答え申し上げておりますように、給与に関するあるいは公務員の給与条件に関する問題というものは、国公法二十八条にその精神が明らかに掲げられておるわけでございます。社会情勢一般の変化に対応してこれを改めていくということでございまして、その場合に人事院が勧告を怠ってはならない、こういう基本的な考え方があるわけでございますから、今後におきましても、私どもは、民間給与の実態、あるいは民間における失業問題もございますし、あるいは物価の問題もありますし、あるいは公務員の生活実態というのもありましょうし、いろいろな考慮しなければならない諸条件があるわけでございますから、そういうふうな諸条件を総合勘案して我々はいかに対応すべきかということを考えていかなければならないと考えております。  また、先ほど官房長官からも御答弁がございましたが、公務員に対する国民からするいろいろな意見というものもありますから、私どもは在来も、勧告に際しましてはそういう点についても慎重な配慮をしながら勧告をしてきたわけでございます。今後におきましても、そういう諸条件を十分考えながら、人事院として独自の立場に立って、二十八条の精神に従って措置をしていきたい、こういうふうに考えております。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院は第三者機関として独立をしているわけですから、余り政府の方にすり寄り、色目を使う必要はないだろうと私は思うのです。  そこで、給与担当大臣の総務庁長官、あなたはミスター人勧だ、そのようにおっしゃっているわけでございますけれども、人事院がもし低率であっても勧告を出すということになりましたならば、あなたとしては少なくとも今後も完全実施に対しては前向きな姿勢でお取り組みになられるかどうか、その点についてお伺いします。
  158. 玉置和郎

    玉置国務大臣 さっきから官房長官が御答弁申し上げておりますように、私は完全実施に向かっていついかなるときでもやかましく言っていたところですから、これからもそういう方向で頑張っていきたい、こう思います。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の勧告率が二・三一%という低い率になったということは、民間のベアの水準が低かったということであり、円高による国内の景気の低迷ということが春闘の結果に反映されているのではないかとも考えられますけれども、人事院の民間企業の給与実態調査では、円高による影響はどのように出ていると判断をされているのでしょうか。
  160. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 本年度の勧告に対する円高の影響のお尋ねでございますが、IMFの資料によりますと、本年の四月におきます当時の為替レートは百七十六円ということでございます。昨年のG5がありました九月の為替レートは二百三十七円でございまして、その後百五十円台まで行っておりますから、ちょうど円高が進行中という時期でございました。したがって、既に円高の影響というものは、それぞれの民間企業の態様によって異なりますが、出ている時期であったというぐあいに私どもは考えております。したがって、その結果につきましては今回の勧告の調査の対象の企業の中にも当然に反映されていた。  ただ、御承知のように、私ども勧告に際しまして調査いたします企業といたしましては、円高による影響を、プラス・マイナス両方ございますけれども、すべて含めた形で調査いたしております。したがって、その中でどの程度の影響が出ていたかという具体的な数字につきましては、そういうトータルな数字でございますので必ずしも明らかではございませんし、さらに企業環境が悪化いたしました場合には、企業が経営といたしましてそれを給与の面、賃金の面で反映させるかどうか、その前に雇用調整とか残業時間の規制とか若干のタイムラグがございますので、そういう点も含めますと、影響は出ていたと思いますが、具体的にどの程度であったかということは必ずしも確かではございません。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院は円高に対しての調査はしていないのでわからない、実際に内容的にはわからないということが御答弁だと思うのです。  そこで、労働省にお聞きしましょう。  労働省はことしの春闘において円高がどのような影響をもたらしたと考えておられるのか。円高の影響から業績が落ち込んでいると見られる輸出関連企業、例えば化学、鉄鋼、電気機器、機械、金属といった業種のベア率はどういう傾向になっているのでしょうか、これは労働省は調査していると思いますから御答弁願います。
  162. 澤田陽太郎

    ○澤田説明員 お答えいたします。  民間主要企業の今期春闘時における賃金引き上げ率を労働省の調査で見ますと、全産業で申しますと四・五五%、これは昨年の五・〇%に比較いたしまして〇・四八ポイント低下しております。先生御指摘の輸出関連業と目されます鉄鋼、化学、電機、さらに自動車等について見ますと、今年度の賃上げ率は昨年よりも下がっておりまして、その低下幅は全産業平均の〇・四八よりも大きいという数字になっております。  それで円高の影響でございますが、このように前年を下回る結果になったことにつきましては、マクロ的には、円高等の影響で製造業を中心に企業収益が減益傾向にあったこと、あるいは消費者物価が一層安定していたということが指摘されております。ただ、個別の企業にとりましては、それぞれの企業業績あるいは国民経済的視点から、労使が諸般の事情を考慮されて自主的に決定されたものと考えております。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは数字を若干お答え願いたいと思いますが、化学、鉄鋼、電気機器あるいは機械、金属、車、これらは六十年と六十一年を比べてみますとどういうふるに落ち込んでいるのでしょうか。
  164. 澤田陽太郎

    ○澤田説明員 化学でございますが、六十一年は四・八一%、六十年が五・二七%、鉄鋼は本年が二・七四%、昨年が三・九四%、機械、金属は本年が四・二八%、昨年が五・〇六%、自動車は本年が四・七三%、昨年が五・五五%という状況でございます。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中小企業庁の資料でも、中小企業の倒産件数がこのところ非常に大きくなっております。五十八年が約一万九千件、五十九年が約二万一千件、六十年が約一万九千件でありますが、これらの中には輸出関連企業として円高不況で倒産した件数も相当あるのではないかと私は思います。  いずれにしても、民間のベア水準が低かった原因の一つに円高不況の影響が大きく働いていることは間違いないと私は思いますが、これは政府の内需拡大政策のおくれとか景気浮揚が思うようにいかなかったとか、すなわち経済運営が常に後手後手に回ってしまった感をぬぐい切れないわけであります。しかも、雇用はこのところ深刻化しておりますし、中小零細企業を歩いてみますと、本当に困っている状況なんです。このように政府の経済運営が後手に回ってしまったのじゃないかと思うのですが、官房長官、その点の反省はおありでしょうか。
  166. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 昨年の九月のG5以来、円安から急激な円高に変わってきたといったようなことで、最近非常な不況感が漂っておる、こういうことでございますが、政府としましては、したがって、本年度の予算が成立した直後、四月に公共事業等の前倒しを決定するという中身のある経済対策を決め、さらに五月に入りましてからは中小企業対策を中心とした経済対策を立てたのでございます。  しかし、依然として余りにも急激な円高であるといったようなことでいろいろ影響が出てきておりますので、このまま放置するわけにはまいらないというようなことで、御承知のように、ついせんだって三兆六千億に及ぶ総合経済対策を立て、所要の補正予算も組ましていただいて今国会で成立をさせていただいて、目下その実施に移っておるわけでございます。  政府としては、何とかこの景気の回復ということについては、厳しい財政状況のもとではありましてもやはりやるだけの施策は講じなければ、国民の生活を守るという立場からこのままというわけにはまいらないということで精いっぱいの努力をしておるわけでございます。  そして同時に、金融政策は、これは日本銀行の所管でございますが、日銀当局もついせんだって今まで例のない三・五%の公定歩合を三%に引き下げるといったようなことで、一連の財政金融政策というものをも展開しながら現在施策を講じておるわけでございます。  さらにまた、年末を控えて予算の編成ということになりますが、我々としては現在の経済情勢全般をにらみながら何とか対応策を講じていこう、こういうことでせっかく努力をしておりまするので、この点はぜひひとつ御理解を賜りたい、かように思うわけでございます。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 週休二日制についてお聞きしましょう。  公務員の週休二日制については、昭和五十四年に四週五休が勧告され、その時点では民間の四週五休の実態は六九・三%でありましたが、翌五十五年にも勧告され、民間の実態が七〇%を超えたことから、五十六年度から四週五休がスタートしたという経緯があります。さらに、今年度の給与勧告とともに、本年来から四週六休への試行を提言されております。  そこで、まず民間における週休二日制の実態、なかんずく四週六休の実態はどのようになっているでしょうか。
  168. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 本年四月一日現在で民間の週休二日制の実施状況というのを見てみますと、何らかの形で週休二日制を実施している事業所の割合は七六%、特に先生がおっしゃいます四週六休制の検討のポイントとなる隔週または月二回以上の対応での週休二日制を実施している事業所の割合は五九・一%でございます。企業規模百人以上、事業所規模五十人以上の事業所の割合でございます。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 金融機関につきましては、ことしの八月から従来の第二土曜日に加え第三土曜日も休みになりました。それに伴い四週六休の普及率も当然変化するものと思われますが、その点についてはどのような御認識であられましょうか。
  170. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 五十八年八月に銀行と金融機関が月の第二土曜日を休業する形で週休二日制に入りました。その影響があったのだろうというふうに思いますが、翌五十九年四月一日現在で民間事業所の週休二日制の普及率というのを調べてみますと、一年の間に、週休二日制の普及率では三・九%、隔週または月二回以上の形での週休二日制の普及率は三・六%というふうに伸びております。その前後の一年間の伸び率がおおむね一%内外であったことを考えますと、非常に大きな伸びを示しておるというふうに思います。  ことしの八月から金融機関が第三土曜日も休業する形で月二回の週休二日制に入っておりますが、特段の経済社会の大きな変化がない限り、やはり相当な影響を与えるのではないかというふうに想像をしております。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ことしの八月四日、大分県の役場がお盆休みということで職員がいなくなり、そのために警備員が埋葬許可証を発行したということが明るみに出ました。その例にも見られるように、四週六休ということになると公務部門における行政サービスの低下が心配されるわけでございますけれども、その点について総務庁と人事院はどのようにお考えでしょうか。
  172. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 行政サービスの急激な変化を来さないように配慮しながら公務員の週休二日制を進めていくことが、国民のコンセンサスを得るゆえんだというふうに考えております。したがいまして、政府におかれましてもそういう面の配慮をしておられますし、私たちも、各省庁の週休二日制を推進される過程におきましては、そういう面から各省庁に意見を申し上げてきたわけでございます。  したがいまして、週休二日制を基本形で実施する以外に、交代制部門とか少人数職場におきましては、変形的な形の週休二日制というものあるいはまた他の部門からの応援等を得まして、できるだけ急激な行政サービスの変化を来さないように配慮していかなければならないというふうに考えております。
  173. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 四週六休制の試行、十一月三十日から行っております。  これの検討に当たりましては、やはり現在の情勢から見ますと、まだ人事院の調査でも四割強の事業所が四週六休にいっていないという点を踏まえまして、国民の理解と納得を得るためには予算定員をふやすという形ではまずいであろう、したがって予算定員をふやさない形の中で著しい行政サービスの低下を来さないような工夫を凝らしていただきたいということで、各省庁に御検討いただきまして十一月三十日から試行に入ったわけですが、八七%という高率でもって参加していただいております。その中で各省が、今人事院からも御答弁ありましたように、平日に振りかえたりあるいは応援態勢を組むといったような工夫を凝らしてやっているところでございます。
  174. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 具体的なことについては時間がございませんから、恩給局に伺いましょう。  恩給の額の改定については、現在の給与スライド方式にたどり着くまでには恩給審議会方式を初めとしてさまざまな改定方式を試みてこられましたけれども、昭和四十八年以降現在の方式に実はなっております。  ところが新聞等によりますと、総務庁は、来年度から恩給の支給方式を見直すため、八月二十七日、恩給問題懇談会を発足させ、支給額の引き上げ方式を現行の給与スライドから物価スライドに切りかえる方向で論議し、来年度の予算編成までに考え方をまとめる方針である旨の報道がなされておりますが、懇談会の検討状況はどうなっていましょうか。
  175. 品川卯一

    ○品川政府委員 ただいまの御質問にございましたように、八月に第一回恩給問題懇談会を開きまして、既に本月の三日で九回を数えております。  懇談会におきましては、恩給が基本的に国家補償的性格を持つという御認識をいただいておりまして、基本的枠組みを変更することは適当でないという御認識を既にいただいておりますけれども、ただ、機能的な側面を見ますと、公的年金との間にバランス検討をすべき課題がある。一つはスライド方式の問題でございます。いま一つは多額所得停止制度、この二つの問題につきまして種種御論議をいただいているところでございますが、まだ最終的なまとめに入っておりません。  しかし、六十二年度予算に何らかの具体的成果を反映させるべく、今まとめを急いでいる段階でございます。
  176. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後になりました。  政府は、先ほども御答弁がありましたとおり、従来から恩給は国家補償的な性格のものであり、物価スライドが適用されている他の年金とは経緯も性格も違い、物価スライドは適さない旨の答弁を繰り返してきておるわけですね。給与スライド方式に至る経過においては物価スライド方式を取り入れたこともあったけれども、結局試行錯誤をして今日の給与スライド方式になったことを考えると、そう簡単に物価スライド方式に切りかえることができるものか、非常に疑問に思うわけであります。  最後にその点についての再度の御答弁をお願いをして、質問を終わります。
  177. 品川卯一

    ○品川政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、その点も含めまして今懇談会で御議論をいただいているところでございます。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上です。
  179. 石川要三

    石川委員長 川端達夫君。
  180. 川端達夫

    ○川端委員 どうも御苦労さまでございます。  給与改定法案提案をされたわけですが、公務員の給与に関する人事院勧告制度というのは、労働基本権の代償措置として、当然完全実施をしていただきたい、これを我々かねてから主張してまいりました。しかしながらここ数年、特に五十七年の完全実施の見送り、いわゆるゼロというところ以降、減額あるいは実施時期の先送り等々、人勧制度の根幹を揺るがすような対応がやられており、そういう中で我々としては、公務員の優秀な人材の確保、それから実際に働く人のモラルの問題も含めてゆゆしき事態である、そういう観点から、今年度の完全実施というのを強く要望してきたわけですが、そういう意味では、時期的には若干、我々はもっと早く法案成立をしていただきたいという思いがあったのです。そういうことはありますけれども、完全実施に至る経過を実現できたということは高く評価をしたいというふうに思っているわけです。  そういう評価の中で、十月二十一日に関係閣僚会議で完全実施の方向を打ち出されたその直後に、官房長官の談話として、いわゆる五%条項の問題で、人事院としてはそういうものも勉強したらどうかというふうに思うというふうなコメント、記者会見をされたわけですが、何回もということでくどくなりますけれども、ひとつその真意についてお答えを願いたい。
  181. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 今日のこの人事院の勧告制度、これを大切にしていかなければならない、これをやはり維持し守っていかなければならぬ、こういう基本的な物の考え方を私は持っておるわけでございます。  そういう立場に立って考えますと、今日の厳しい客観情勢の中で、しかも制度そのものに触れることなく、現在の制度の中にある規定をうまく活用することによって考えなければならないような最近は時期になっておるのではなかろうかな、こういう意味合いで私はあえてああいうことを申し上げたわけでございます。したがって、私の基本は何かといえば、何とかこの人事院勧告制度を大切に守っていきたい、これが私の存念でございます。
  182. 川端達夫

    ○川端委員 人事院制度の基本を守っていかれる、これは私たちも全く同感でございます。しかし、基本を守っていくという中で、今までの論議を含めて若干相違がありますのは、人事院勧告が出たら、それは労働基本権の代償、いわゆる民間企業であればストライキ権を背景にして労使交渉を重ねて妥結した結果に相当するものである、したがってこれは完全実施が当然であるというふうに認識をしておるわけで、これが今までの御議論の中で、厳しい客観情勢の中ではできないこともある、そうしますと、いわゆる民間で賃上げ交渉をして妥結をしたけれども、お金がないから払えないというふうなことは考えられないことですので、この部分のずれがあるわけですが、そういう中で、人事院勧告がされても、いろいろな諸般の客観情勢の中では先送りあるいは凍結、減額等々がされてきたというのが今までの実態であるわけです。実施勧告をされてもそういう事態になる。  そうすると、今回の官房長官のお思いとしての発言という意味は十分理解をするわけですけれども、受けとめ側として、勧告がされても完全実施というのがなかなか難しいような状態が多かった、その中で、まだ来年のことを、勧告をするかどうかももちろん、どう判断するか、これは明らかに独立した人事院としての所掌に関することであるし、そういう中でのことを踏まえるまでにそういう意見を申されるということ自体、非常に人事院の考え方に対しての独立性あるいは中立性を侵すことになるのではないかというふうに懸念をするのですけれども、その点は官房長官、どういうふうにお考えでしょうか。
  183. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 だから私は、今の人事院制度というものを大切にしなければならぬのではないですか、そこで、人事院が勧告をなされば政府としてはこれを最大限に尊重すべきものである、こういう私は事前の考え方に立っているわけです。  そこで、勧告をする人事院御自身がよくお考えにならないといけない時期に来ておるのではないでしょうかという私の見解を述べておるわけでございまして、それをおとりになるかならぬか、これは政府がどうこうする筋合いじゃありません、これは人事院でよくお考えになったらいかがなものであろうか、かように思うわけでございます。
  184. 川端達夫

    ○川端委員 それでは人事院の総裁にお伺いしたいのですが、ことしも五%以下の状態で勧告をされた。先ほどの御答弁にありましたけれども、諸般の情勢、いろいろなことを考えた中で勧告をされた。今回殊さら官房長官のそういうコメント、御意見があって、そういう点をよく勉強したらどうか。私がもしそういう立場であれば、小さな親切、大きなお世話かなというふうにも思ったのですけれども、人事院総裁としては、今まで既にそういう条項があることはもちろん御存じですし、そういうことを勘案されて勧告をお出しになっていると思うのですが、御感想、コメントはいかがでしょうか。
  185. 内海倫

    内海(倫)政府委員 私の考え方は、今までもたびたび申し上げておりますように、人事院の勧告というものの基本的な条件というものは国公法の二十八条にあるわけでございますから、この基本的な法律の考え方に則して私どもは仕事をしていく、こういうことでございます。  勧告の問題は、要するに、今までも申し上げておりますように、社会情勢の変化に対応するという基本的な考えのもとに、民間給与がどうであるか、あるいは今度本当に考えなければならないことは、恐らく民間における失業問題とか就業率の問題とかいろいろあるだろうと思います。あるいは物価の問題、さらに公務員の生活条件というふうなものもあろうと思いますし、先ほどもつけ加えましたように、やはりタックスペイヤーと、あるいは我々の給与というものの基本的なもとになっております国民の動向、意向、世論というふうなものを、私どもは在来も非常に慎重に配慮いたしておりますが、こういうことも考え、そういうふうなものをすべて総合勘案した上でこの勧告という問題にどう対応していくかということが私どもの基本的な立場でございます。  その基本的な精神というものは、国公法二十八条に基づいて人事院として独自の立場で慎重に考えて対応していきたい。しかもその場合、我々は公務員というものの立場に立って物を考えていかなければならないし、同時に国民の支持というものをなくするようなことであっては元も子もなくなるわけでございますから、そういうことも十分考えた上で対処していきたいというふうに思います。
  186. 川端達夫

    ○川端委員 その御趣旨はよくわかっているのですが、官房長官がそういうふうなコメントを出されたということについて、五%条項と関連してどういうふうにお考えなのか、そのことは、なるほどそういうことがあるからよく考えようというのか、それは常に今までも考えてやっておられることだと私は思うのですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。  それと、伺いますと官房長官は御用があるということですので、人事院総裁の御答弁が終わったらお帰りいただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。
  187. 内海倫

    内海(倫)政府委員 官房長官のお話につきましては、この前も私申しましたが、政府から人事院に対して圧力がかかっておるなどというふうには私はいささかも考えておりません。後藤田官房長官がおっしゃるように、自分としては、あるいは政府の一員としては、人事院としてこういうふうなことも考える時期に来ておるのじゃないかというふうなことを考えたからその気持ちを言っているんだ、こういうことでございますから、私どもは、いろいろな意見に耳を傾け、いろいろな調査結果を尊重し、いろいろな条件を考えた上で最終的にどうするかということを人事院として主体的に判断する立場におるわけでございますから、そういうふうな観点で、圧力とか干渉とか、そういうふうには理解いたしておりません。
  188. 川端達夫

    ○川端委員 人事院勧告、我々としては来年も、五%云々の判断ということではなくて、本当に官民較差、公務員の労働条件の確保という意味で、諸般の情勢、先ほど申し上げましたけれども、財政の環境が厳しいから勧告をしない、あるいは完全実施をしないということがあってはならないものだということを特にお願いをしておきたいと思います。  そういう裏づけとして、給与改善費を、五十六年以降は一%ずつに下がり、六十一年度はゼロであった、この分に関して、政府が勧告の完全実施に最大限の努力をするということであれば、ゼロということではなくて最低一%、勧告がされたときの財源が一部でも確保はしてありますということをするのが当然だと思うのですが、総務庁としては来年度予算の給与改善費についてどういう御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  189. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 五十七年度についても一%は計上されておりました。しかし、実際には勧告見送りということになったわけでございます。  私どもの方は、財政当局の予算編成技術の問題というふうに理解しております。六十二年度予算でどう扱うかということは、現下の財政事情等とも関連しながら総合的に決定されるものと思っております。いずれにしても、私どもはそれに何%計上されるからそれで勧告がどうなるものではないというふうに理解しておるところでございます。
  190. 川端達夫

    ○川端委員 人勧に関連しまして、いわゆる官民給与の比較について、我が党はかねてから、人事院勧告の制度自体は給料についてでありますが、給料だけではなくて、いわゆる賞与あるいは退職金も含めた生涯賃金としてどう位置づけるのかということが一番大事ではないか、国民に理解を求めるという意味で必要ではないかということを指摘をしてきたわけです。  この部分について、総合的な比較という意味国民もいろいろな思いを持っておるわけですけれども、長官にお伺いしたいのですが、長官として今率直に、トータル的な生涯賃金という意味で民間の給与所得者と公務員を比較してどういうふうに位置づけられているか、お伺いしたいと思います。
  191. 玉置和郎

    玉置国務大臣 そうありたいものだなと考えておりますけれども、これは難しいですね。今度の完全実施についても、財政当局があれだけ抵抗する、党の中でもあれだけ抵抗するということになりましたら、この問題は非常に難しいということに今のところは尽きると思います。  それからもう一つ言っておきますが、きょうは官房長官が呼ばれて、五%問題で、ああでないこうでないといって大分責められておりましたが、今度の完全実施に踏み切った背景の中に、官房長官が去年の秋、十一月ごろだったか十二月ごろだったかちょっと忘れましたが、完全実施に向かって誠意を持って努力をする、あれがなかったら、私があれだけ走り回ってもなかなかできなかったと思います。それだけに官房長官は、自分で約束したことについて、僕にも、玉置君、済まないがあっち走りこっち走りしてくれよということがありまして、完全実施に向かってやれたわけでございます。このこともひとつ参考にしてもらって、余り責めないように、褒めるところは褒めてもらって、やはり責められてばかりおったら、このやろうということになりますよ。だから、褒めるところは褒めてもらって、民社さんはよく褒めるからなかなか上手ですよ。しかし、今の問題はなかなか難しい、それだけまず答弁しておきます。
  192. 川端達夫

    ○川端委員 感謝はしておるので、どうも言葉が足りませんでしたけれども。  それと長官、いわゆる公務員と民間の所得者の官民の比較として、トータル的な賃金としていろいろ議論があるわけです。給料が高い低いという話もあるし、いや退職金がというようないろいろなことがあります。そういう意味で、トータル的な賃金比較を論議して、みんなに公正な労働条件を確保していかなければならないというのが我々の主張なんですけれども、その部分で、長官の御感想として、官民のトータル的な生涯所得としてどういうふうに位置づけされておるか、お伺いしたいと思います。
  193. 玉置和郎

    玉置国務大臣 私は、最近の円高不況、そして構造不況、そういうものを考えていきましたときに、賃金というのが非常に大事ですが、まず、生涯、雇用が安定しておるということ、このことを考えましたときに、実例でございますが、国家公務員はもちろんのこと、地方で県庁の職員あるいは市町村の職員、これを募集したら御承知のように大変な倍率です。それは、賃金は安くともやはり生涯安定した雇用を求めるというのが最近の非常に強い風潮になっておると思います。だから、単に民間と官の方の賃金だけで比較できるものじゃない。また、最近では、民間の方の大企業といえども賃金をみずからカットしておる、それはやはり私がいつも言うように、賃金だけでなしに雇用を安定さすという、そのためには辛抱するものは辛抱しよう、それでみんなに分けていこうという住み分け理論というものが最近非常に高く評価されてきておる、こう思いますので、なかなか生涯雇用の問題、生涯安定の問題については民と官を比較してどうのこうのと言うのはだんだん難しくなってきておるのじゃないか、こう思います。
  194. 川端達夫

    ○川端委員 おっしゃるように一概に一律に幾らであるとかいうことじゃなくて、いわゆる雇用問題、今、日本じゅうの産業構造が、まさに波が来たということではなくて大変革を問われている、いわゆる雇用構造の変革というところに来ているというふうに思います。そういう中で、人事院勧告を含めて公務員の給料、労働条件を我慢しろとかいうことではなくて、いわゆる行政改革というもの、それが本当に国民トータルとして理解できる、そしておのおのが必死に頑張って、痛みがあるときは痛みを共有する、そういう社会でないと、公務員と民間とが何か敵対するような議論になってはお互い不幸でありますし、公務員の方も必死に頑張っておられる、そういう中で理解できる論議をされるべきだと思います。  これは時間が来ましたのであれですが、例えば、今の官民の給与比較を、給料だけじゃなくて退職金あるいは賞与を含めて比較はどうされるのですかということを当局の方にお伺いすると、それは決してまさっているのではないですよとか、こういうふうな議論で終わってしまうのが常だと思います。そういう意味で、今、国民全体が非常に大きな転換期の中での問題としてわかりやすく訴えていくという、政策を打ち出していくということを特にお願いをして、質問時間が来ましたので終わりにしたいと思います。  完全実施については、本当にありがとうございました。
  195. 石川要三

  196. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 短時間でありますので、端的に伺います。  まず、国家公務員給与は、一般、管理職職員について、昭和五十五年度までは人事院勧告どおり内容、実施時期についても改定が行われてきました。それが、昭和五十六年度に入りますと、五・二三%の勧告に対して、期末・勤勉手当は旧ベース凍結、調整手当は一年おくれ、管理職職員は一年おくれ実施。五十七年度には四・五八%の勧告に対して実施見送り。五十八年度は六・四七%の勧告に対して二・〇三%実施。五十九年度は六・四四%の勧告に対して三・三七%実施。六十年度は五・七四%の勧告、三月おくれて実施されました。六十一年度は二・三一%、これはいわば史上最低の勧告でありますけれども、ともかく勧告に関しては完全実施ということで、今、給与法の改定案が提出され、審議されているところであります。  そこで、大蔵省の方にお伺いしますが、この五十七年度から六十年度までの間に人事院勧告を完全実施した場合と、今言ったように勧告どおりに実施しなかったことによって、政府がどれだけの歳出の抑制、支出を減ずることができたか、このことをまずお伺いします。
  197. 若林勝三

    ○若林説明員 お答えいたします。  人事院勧告を完全実施いたしました場合の所要額、これは勧告が出ました当時、概算で計算いたしたわけでございますが、一般会計で必要な所要額と実際の給与改定を行った場合の所要額との差につきましては、五十七年度三千二百億円、五十八年度三千百億円、五十九年度二千二百六十億円、六十年度千百五十億円、概算でございますが、そういうふうになってございます。
  198. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それに五十六年度分を入れて合計すると約一兆六百八億円ということになるようでありますが、人事院から勧告を受けた内閣は、人事院勧告を尊重するという基本姿勢、このことを絶えず明言してこられたところであります。玉置長官のごときはみずから人勧マンだ、こう言われております。  しかし、現に公務員は、給与の支払いを受けるにつきまして、今言われたような勧告と実際の支払いとの間の差額、実損を受けているわけであります。これは、このことから関連して計算すれば、一人当たり五十万円の実損という計算も出てくるわけであります。  この人事院勧告を尊重するという基本姿勢に立つならば、これらの実損の回復、このことも考えなければならない問題であると思いますが、今、政府としてはこの実損の回復問題ということについて、特に人勧マンの長官としてこの問題についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  199. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 先生も御承知のとおり、国家公務員の勤務条件については法定主義ということになっておりまして、給与はその中の最大のものでございます。ということで、毎年人事院勧告が出ますと、政府としてはそれを尊重するという立場に立ちながらも、国政全般との関連において最大限の努力をして取り扱い方針を決定し、それに基づいて給与法案を作成し国会にお諮りする、それで国会の御判断を仰いで決定しているということでございます。  ということでございますので、毎年毎年最高機関たる国会の御意思で決めていただいているということでございますので、過去の分がどうこうということは全く考えておりません。
  200. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 法律の制度の問題はわかっておりますけれども、そういう実態であった、このことについて公務員労働者が実損の回復を求めるのは理論的にも筋が通る問題でありますし、この点は、法律はそうなったけれども、これはその期間だけの問題でなくて、その期間から派生して、公務員である限り尾を引いていくわけですから、これは当然考えなければならないということを特に主張しておきたいと思います。  次は、ことしの八月一日に政府が「第七次定員削減計画の実施について」、この閣議決定をいたしまして、これを発表いたしました。定員削減につきましては既に第六次を数えておりますが、第一次の昭和四十三年から六次にわたるこれまでの期間の公務員の削減実績数、新規採用数、差し引きの増減、これを明らかにしていただきたいと思います。
  201. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 第一次から第六次定員削減計画による削減の実績は十九万三千二百三十一人でありまして、他方この間の新規増員数は十七万四千七十一人であり、差し引き一万九千百六十人の減となっております。  ただし、この中には沖縄復帰の関係の増員というのが入っておりますので、これを除きました場合、削減実績は十九万二千八百七十七人、新規増員数は十六万五千三百三十七人でありますので、その差し引きの純減は二万七千五百四十人ということになっております。
  202. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は防衛庁に伺いますけれども、防衛庁の職員それから自衛官、この定員はだんだんと増加されてきていると思いますけれども、ちょうどその時期の昭和四十三年から今年度までどれだけ定員が増加されておりますか、お伺いします。
  203. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  私どもでは事務官等と自衛官がございますが、昭和四十二年度末から昭和六十一年度末の定員を比較をいたしますと、自衛官で増員が行われましたのが、今回防衛二法の改正でお願いをしております六百六名を含めまして二万二千三百九十六名でございます。それから事務官等でございますが、この間の増員が三千七百八十七名でございますが、定員削減を実施をいたしておりまして、これが七千六百三十二名の削減を実施をいたしております。
  204. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 警察庁の方に伺いますけれども、警察庁、都道府県警察、これを合わせて警察職員の定員は、昭和四十三年から比べました場合に昭和六十年末どれだけの増員になっておりますか。
  205. 上野浩靖

    ○上野説明員 ただいま御指摘のございました昭和四十三年度の警察庁職員と都道府県警察職員の定員の合計は十九万七千三百三十三人でございまして、昭和六十年のトータルで申しますと二十五万三千六百三十一人となっております。したがいまして、この間五万六千二百九十八人の増となっております。  ただ、このうち警察庁職員につきまして申し上げますと、四十三年からの削減計画によりまして合計千百八十四人を削減いたしております。その間、増員数九百六十八人ございますが、それを差し引きましても二百十六人の減というふうになっております。
  206. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 政府は、国家公務員につきましては人をふやさない、それから金もふやさない、そして行政サービスは低下させない、こういう三原則をいつも標傍しておられます。しかし公務員の実態は、いろいろあるでありましょうけれども、業務量が急増するという問題がありますし、そういう中で国民の行政サービスに対する改善向上の期待が裏切られている、この期待に逆行するものとなっていることをいろいろなところで見ることができるわけであります。  第七次定員削減計画の実施は五カ年間で四万三千九百八十人を削減するという目標を立てておりまして、全体の五%の削減、毎年一%の削減の実施を定めておりますが、こういうことをやれば、今の行政の実態の中で公務員労働者にとって今でも過酷な労働をさらに過酷にする、それから国民に対するサービス、いろいろ批判があるわけですけれども、そのサービスをさらに悪化させるのではないか、こういうことが予想されるわけでありますけれども、そういう点については長官はどうお考えでございますか。
  207. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 政府が行っております定員削減につきましては、これは行政需要の消長に応じ定員の弾力的、合理的な再配置を推進する見地に立って、行政事務の簡素化、合理化を図りつつ実情に応じて実施をいたしているところでございまして、第七次定員削減計画につきましてもこのような考え方によって実施をすることといたしております。  一方で、新規行政需要に応じまして所要の増員措置を講じておるところでありまして、例えば国立学校、それから国立病院・療養所、法務省の登記、航空保安等の定員はむしろ相当の増加を図ってきたところであります。したがいまして、定員削減の実施により行政の適正円滑な実施に支障を来すようなことはないもの、このように考えております。
  208. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そのように言われることが実態とは大きく違っているということであります。  それはまた後で言いますが、国公労連が八五年の十月にアンケートをしてその回答を集めました。七万人の回答がありまして、その中で、職場についての不安、不満の第一に深刻な定員不足ということを挙げております。昨年から定年法が施行されましたが、退職者の補充も抑制されたり停止されたりしているわけであります。これ以上の定員削減は限界だ、もうぎりぎりの現状だ、こう言っております。これは組合の方で各省当局と交渉の場合など、各省当局もその現状を認めざるを得ない状況にあるわけですが、こういうことについては理解しておられますか。
  209. 佐々木晴夫

    佐々木(晴)政府委員 定員削減は、先ほど申しましたように、行政需要の消長に応じて行っておるということでございますけれども、具体的に言いますと、事務事業の民間委託とかコンピューターの導入、あるいはオンライン化等の機械化や管理共通事務の能率化、簡素化を進めることによって実施をいたしておるわけであります。  これまで六次にわたり削減計画を実施してまいったわけでありますけれども、行革審の最終答申におきましては、こうした政府の努力を評価しつつも、行政の簡素化、効率化の徹底及び総人件費の膨張抑制の観点から、さらに定員削減を進めるようにという勧告を受けております。これは、行革審において各方面の意見も聞き、民間の厳しい減量経営の経験等も踏まえて検討された上の提言であると承知をいたしております。その意味で、政府としてもこれを尊重して新たな定員削減計画を策定したわけでございます。  お立場によりましてこの定員削減についていろいろな御意見もあろうかと思いますけれども、今後とも行政事務の簡素化、効率化等を積極的に推進して定員の合理化に努める必要がある、このように認識をいたしているわけであります。
  210. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 先ほど言われました国立学校あるいは国立病院、こういうところは人がふえているということですけれども、業務量もまた大変ふえて、そうしたところの職員の御労苦も大変であるわけです。  典型的な例を法務省の登記事務から見てみたいと思います。登記事務職員は昭和四十六年の八千四百三十一人から昭和六十年には九千七百二十七人とふえて、増加率は一一五%に増員されております。しかし、この間の登記事件数は二億二千六十三万九千件から四億七千四百三十七万一千件と実に二一五%になっているわけであります。これだけでも大変でありますけれども、今登記所には新しい問題が生じております。  その一つは、今民間活力の導入ということが言われますし、あるいは公定歩合引き下げということがあって、首都圏を中心とする不動産にそれがはね返ってまいりまして担当法務局の事務量を増加させているわけであります。東京の登記所を見ますと、六十一年九月末現在で昨年比十五万件の登記申請、これは甲号事件です。それから登記簿謄本の発行などが四百五十万件、乙号事件ですが増大した、こう言われているわけであります。  それからもう一つは、国鉄分割・民営化法が今国会を通過いたしました。これがまた登記所に対して大変な影響を生ずるわけであります。国鉄の有する土地を、国鉄清算事業団、六つの旅客鉄道会社、貨物会社、新幹線保有機構へ割り振り、登記がえを行うということになるわけですが、その数は八百万件にも一千万件にも上ると言われているわけであります。この数は全国の半年分の登記の数に値するものであるわけであります。  法務省としては、こういうものに対して今の定員で一体やれるのか、どう対処するのか、どういう問題点があるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  211. 田中康久

    田中説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、登記事件は増加の一途をたどっておりまして、特に本年は東京を中心にしまして大幅に事件が伸びております。これまでも私どもは要員確保に努めてまいったわけでございますけれども、現在の状況を見ますと、まだ十分な要員確保にはほど遠い状況にあると私ども考えております。今後とも、事務量の増加に伴う必要な要員確保が図られますよう、関係当局と協議を続けながら一層の努力を続けてまいりたいと思っております。  このような状況のもとに、今回の国鉄の分割・民営化に伴いまして御指摘のようにたくさんの事件が申請される予定でございます。このように大量の事件が一挙に申請されますと、登記所の事件が停滞いたしまして、一般の利用者に多大の御迷惑をかける事態になるのではないかということを非常に心配しております。そこで私どもは、今国鉄当局に提出の時期それから方法について配慮していただきたいというお願いをしておりますし、これからもそういう点について協議を続けてまいりたいと思っております。  それにいたしましても、今回の国鉄の事件は大量の事件でございまして、登記所の負担は非常に大きいものがございます。そこで今回、この関係についても対策のため必要な予算要求をしているわけでございまして、これからもこの予算の獲得のために努力を続けてまいりたいと思っております。
  212. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたが、結局、今までの公務員の定数純減、それは、自衛官や警察官の増員がありまして、公務員全体としては変わっていない。国民に対するサービス部門、このことを優先して定員問題は考えなければならない。今、気象庁を見ても特許庁を見ても、それぞれの分野において定員不足ということから国民への被害がたくさん出てきているわけであります。国民の権利義務にかかわるもの、生活にかかわるもの、安全に資するもの、こうしたものにはちゃんと定員をあてがって国民へサービスをする、そういう行政機構でなければならないということを申し上げて、終わります。
  213. 石川要三

    石川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  214. 石川要三

    石川委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。児玉健次君。
  215. 児玉健次

    児玉委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、一般職職員給与法改正案に賛成、特別職職員給与法改正案に反対防衛庁職員給与法改正案に棄権の討論を行います。  まず、一般職職員給与法改正案についてであります。  今年度の給与勧告は、今日のように全俸給表にわたって改定する勧告形式をとった一九六〇年以来最低の二・三一%という水準であり、公務員労働者の要求や生活実態から見て極めて不十分なものと言わなければなりません。しかし、公務員労働者と労働組合の要求に根差した闘いを一定限度反映して、一九八一年以来五年ぶりの人事院の勧告どおりの実施であり、また、公務員労働者が早期完全実施を要求していることなども考慮し、賛成するものであります。  次は、特別職職員給与法の一部改正案についてです。  本案には、秘書官の給与引き上げのように、その給与水準からして生活の維持改善のために必要な部分もあります。しかしながら全体としては、大臣や政務次官など一部特権的官僚給与をさらに引き上げようとするものであります。これは特権的官僚を優遇し、一般職職員給与体系は上厚下薄のまま温存することに役立つものであり、国民の一般的生活水準や国民的感情、あるいは国家財政の深刻な現状などから見て賛成することができません。  最後に、防衛庁職員給与法の一部改正案についてであります。  一般の職員と同様に、曹士隊員とその家族の生活を守る上で給与の引き上げは必要であり、今回の改定水準は一般職職員給与改定に準じたものと言えます。しかしながら、対米従属、憲法違反、国民弾圧という自衛隊の基本的性格、また、軍拡と日米軍事同盟強化が国政上の重要問題となっている今日、本案に直ちに賛成することはできません。よって、我が党は従来どおり棄権の態度をとることを明らかにし、給与法改正三案への討論といたします。(拍手)
  216. 石川要三

    石川委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  217. 石川要三

    石川委員長 これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与等に関する法律の可部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  218. 石川要三

    石川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  219. 石川要三

    石川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  220. 石川要三

    石川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 石川要三

    石川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  222. 石川要三

    石川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会