○角屋
委員 今
お話がございましたが、米国の軍備管理軍縮局発行の「ワールド ミリタリー エクスペンディチャーズ アンド アームズ トランスファーズ 一九八五」、こういう資料で見ますと、一九八三年の全世界の軍事支出というのは約八千百十九億ドル、その中で
アメリカが二六・七%、ソ連が三一・八%、この両国で五八・五%を占めておる。NATOは、
アメリカも入れて四〇%、
アメリカ以外では一三・三%。ワルシャワ体制ではソ連を入れて三六・九%、ソ連を除くと五・一%。こういった形を見てまいりますと、軍事支出では米ソが半数以上を占めておる。
だからこそ、
アメリカにしてもイギリスにしても、経済的には大変な
事態の中でなおかつオーバーコミットメントでいろいろなところへ軍を出し、兵器をじゃんじゃんやる、そういうことはもう少しレベルダウンしたらどうだと言いたいところでありますけれ
ども、現実は
アメリカ、ソ連で軍事費の五八・五%を占める、あるいはNATOとワルシャワを合わせてみると七六・九%を占めるという状態であります。そういう中で軍事費がどんどん伸びておる。しかも武器輸出というのは、第三世界等にやられておるのを見ますと、
アメリカ、ソ連が三分の一、武器輸出をやっておるという
状況であります。
しかも、時間がありませんから触れませんけれ
ども、米ソの海外に展開しておる兵力数を見ますと、
アメリカ、ソ連、それぞれ東南アジア、南西アジアから始まってヨーロッパから中近東、アフリカ、サハラ以南のアフリカ、中南米、大洋州、それから洋上展開しておる部隊というのを見てまいりますと、地域によって
アメリカの方が強い配置もありますし、ソ連の方が強い配置もありますけれ
ども、
アメリカ、ソ連は戦後四十一年を経ておるのに各地域に相当大きな兵力を配置し、あるいはヨーロッパにおいてはNATO諸国に中距離核を配置する、それに対してソ連側も
対応するといった形に相なっておるわけでありまして、
アメリカ、ソ連を、国際的な世論、各国の努力でもっと低レベルの状態に持っていくようにする必要があると私は
認識をしておるわけであります。
同時に、「わが
外交の近況」という
外交青書の一ページを見ますというと、「世界のGNPに占める主要国の割合」というのがグラフで出ております。
アメリカが二九・二%、
日本が九・九%、西独が五・四%、フランスが四・三%、英国が三・八%、ソ連が一三・四ないし一五・一%、こういうふうに「世界のGNPに占める主要国の割合(一九八四年)」というのが
外交青書の一ページに出ております。
これを見ると、ソ連は大変なことだなと思う。つまり、
アメリカ、
日本、西独、フランス、イギリスを含わせますと、世界のGNPの五二・六%を西側と言われておる国で占めておる、それに対してソ連は一三・四ないし一五・一%である、これで対抗的な軍事力をやらなければならぬというのだから大変なことだなと思う。ソ連が脅威だとかいろいろやっておるとか言うけれ
ども、これは非常な苦労だなというふうにソ連についても思う。
アメリカは、地理的に言うと、ソ連のように中国からずっとヨーロッパにかけて長い国境線を抱えておるわけじゃない。地上兵力が多いとかやれなんとか言うけれ
ども、
アメリカは、
北の方のカナダを見たら友好国である、南の中南米にちょいちょい問題があるけれ
ども、これは
アメリカにどうということではない、せいぜい大陸間弾道弾とか潜水艦からの核攻撃とかいうソ連から来るものだけのことであって、北も南も余り心配ない。しかも、独立
戦争以来いまだかつて本土に軍隊が入ってきてやられた歴史がない。逆に言えば、本土の
防衛ということでは一番神経をいら立たせているのは
アメリカではないのか。
かつてキューバに核ミサイルを配置しようとしたときに、ケネディ大統領は異常な対抗を示した。ところが、その
アメリカは、西ヨーロッパ諸国、NATOの西ドイツその他に対しては、ソ連のすぐ近くだけれ
ども、何の神経も使わずに、ソ連からいろいろ警告が出たけれ
ども、これを配置しておる。こういう
アメリカという国の
防衛の姿勢。
これは
防衛白書を見ると、まずソ連の方から書いて、それに
アメリカの方が
対応してかくかくしかじかやっておるということを書いてあるけれ
ども、GNP問題あるいは軍事費の問題、いろいろな点から見ると、シベリアを含めヨーロッパの
北の方を含めたソ連の長い国境線の配置から見て、また、南へというと、自衛隊は
アメリカから三海峡を封鎖せよと強く言われていまして、ソ連からすればなかなか出にくい地勢を
日本が占めておる。
そういった
状況の中で、いわゆる米ソ問題あるいはソ連の性格について「私の
防衛論」というのを前統幕議長の栗栖さんが書いておる。これはいわゆる栗栖
発言で解任をされましたけれ
ども、
防衛問題を勉強するにはこの本も一読の価値がある。
私は時間上そこから引用しますが、ソ連の見方とかあるいはソ連の
防衛力というものを考える場合に、この本では、ソ連の能力について
アメリカ側がNATOの
参加国に前年に問題を出して翌年報告書を出させた。
アメリカは三十六通りの戦力
判断を出した。それで、各国がそれぞれ戦力
判断を出したのを見るというと、数多く出したところと、イギリスの場合はオンリーワン、
一つだけの戦力
判断を出した。これは古い
時代のことで、栗栖さんがそう書いておるのだが、米ソの軍事的対峙の中で、
アメリカはソ連の軍事力
判断を三十六通りも出したのである。
だから、
防衛庁は、さあっとまずソ連から書いて、それから
アメリカのことを書いてということだけれ
ども、もっといろいろなファクターの中で米ソの軍事力問題を考える必要がある。
日本は日米安保条約がございますけれ
ども、いずれソ連とも、日ソ首脳会談でお会いになるときも含めて、核廃絶やそういう問題については国際場裏の中でぜひ
日本外交としてはやってもらわなければならぬじゃないか。
外務大臣がおいでになりましたので、タイムリーでありますから、まずその辺のところから
お答えを願います。