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1986-10-28 第107回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十八日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 石川 要三君    理事 北口  博君 理事 竹中 修一君    理事 戸塚 進也君 理事 船田  元君    理事 宮下 創平君 理事 鈴切 康雄君    理事 和田 一仁君       有馬 元治君    今井  勇君       内海 英男君    大村 襄治君       河野 洋平君    鴻池 祥肇君       佐藤 文生君    武部  勤君       月原 茂皓君    前田 武志君       宮里 松正君    谷津 義男君       大原  亨君    角屋堅次郎君       田口 健二君    野坂 浩賢君       市川 雄一君    斉藤  節君       川端 達夫君    児玉 健次君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 倉成  正君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         内閣総理大臣官         房審議官    本多 秀司君         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  千秋  健君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       友藤 一隆君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      依田 智治君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 鎌田 吉郎君         防衛施設庁長官 宍倉 宗夫君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      岩見 秀男君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         防衛施設庁労務         部長      西村 宣昭君         外務省アジア局         長事務代理   渋谷 治彦君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省条約局長 小和田 恒君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      林  貞行君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ───────────── 十月二十三日  旧軍人の恩給欠格者に対する特別法制定に関する請願外一件(近江巳記夫紹介)(第三二九号)  同(市川雄一紹介)(第三四八号)  国家機密法制定反対に関する請願金子満広紹介)(第三三〇号)  同(児玉健次紹介)(第三三一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第三三二号)  同(児玉健次紹介)(第四一一号)  同(柴田睦夫紹介)(第四一二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四一三号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)      ────◇─────
  2. 石川要三

    石川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 ちょっと速記をとめてもらわなければなりませんが、外務大臣なり官房長官は十五分程度しかおられないので先にやらせてもらいたいということでして、ちょっと待ちますか。
  4. 石川要三

    石川委員長 今こちらに向かっているそうです。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 そうですか。それでは、おいでになりましたらそちらの質疑にかわるとしまして、防衛庁長官にまずお尋ねをしておきたいと思うのであります。  自衛隊の位置づけについてまず伺っておきたいと思うのでありますが、ごく簡潔に一言で言って、自衛隊の役割というのは日本領域における通常戦力による防衛である、そういうふうに理解してよろしいのでしょうか、まず冒頭に伺っておきたいと思います。
  6. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 領域だけではないと思います。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 鈴木総理の時代にシーレーン防衛ということが浮上いたしまして、幅百海里、長さ千海里というシーレーンというものを航路帯でもつくり上げたわけでありますが、その範囲ということでありますか。したがって、そのシーレーン防衛範囲は北はオホーツク海、南はどこまでというふうに明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  8. 西廣整輝

    西廣政府委員 今シーレーンという言葉を御質問の中で航路帯というふうに申されましたけれども航路帯と申しますのは海上交通を保護するための一つ運用形態でありまして、シーレーンは、私ども通常言葉で言えば海上交通の保護というような言葉で出しておりますけれども、これは我が国が生存をしていくために必要な範囲、あるいは我が国防衛行動をとる、その防衛行動を継続するために最小限必要な範囲海上交通を保護するということでありまして、状況によってその地域なり範囲というものは変わってくるということで、一概に申せないということでございます。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 今の問題は後で論議をするといたしまして、時間のない両大臣に来ていただいておりますので、その方に先に移らせていただきたいと思います。  まず官房長官お尋ねをします。  先日の内閣委員会でも同僚議員質疑に立って若干の御答弁をいただいておりますが、年金恩給受給資格の欠格者問題、もう一つは被抑留者等に対する給付金問題等について若干の質疑をしたいと思います。  この間の第三十八回の衆議院の総選挙でも、あるいは三十七回の選挙でも三十六回の総選挙でも、特にシベリア抑留をされた皆さんに対する恩給問題については随分と水面下議論をされておったようであります。ここにいらっしゃる与党自民党皆さんも、それぞれの選挙区で複数以上の候補者が立候補されるわけでありますから、その中で、シベリア抑留問題はおれが主役であるということをそれぞれが言い張っておるというのが実態であります。しかも、戦後の問題については処理済みであるという政府方針でありましたけれども、個別的にそれらの給付をやるんだというのがいつの選挙でも喧伝をされてきたことは、官房長官もこの間の答弁で明らかにされておる。  抑留をされておった皆さんというのはそう財力のある方ではない。しかも、お示しをいただいておりますように平均年齢は六十六歳と、老齢化し高齢化をしておるというのが現状であります。その方たちはそれぞれの協議会をつくられて、三千円とか六千円とかあるいは一万円とか、ばらばらでありますけれども会費が納入されて、法律を制定するためにぜひという格好でそれぞれの県等で行われておるというのが実情だと思っております。私は、法律をつくるのはこの国会の立法府としての権限でありますから、そのようなことは運動を進めるために自分たち会費を集めておると思いますけれども、うがった見方をすると、それは選挙のためにということだってあり得るだろうと思っております。その可能性は否定できないではないかと思います。  そういう意味で、これらの財力のない方々思いといいますか、それぞれを総決算をする、いわゆる戦後処理をしてしまうということは今非常に重要ではないのか。いつまでも期待を持たせ引っ張っておくということにも問題があろうかと思うのでありますが、これについて戦後処理問題懇談会ですか、そういうものがつくられて、一応個人ではやらないけれども全体的の祈念事業等はやっていきたい、こういうふうにも書いてあるわけであります。しかし、与党自民党皆さん方あるいは全体の各政党の皆さんもこの問題には非常に関心をお持ちでありますから、それについて政府の明確な態度、今後に対処する方針、そういうものがあれば伺っておきたいと思います。
  10. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いわゆる戦後の処理問題、今お話しのように、シベリア抑留者の問題あるいは恩欠の方の取り扱いあるいは在外資産、こういった三つの問題が取り上げられておるわけでございます。政府といたしましては、四十二年に戦後のそういった問題はこれで完結した、こういう決定をいたしておるわけでございますが、その後いろんな立場方々からいろんな御要請もあり、そこで、政府はせんだって戦後処理懇を設けていわゆる有識者の方に御意見をお伺いをしたわけでございます。  その御意見は、なるほどこういった方々は大変お気の毒な立場にある、何らかの慰謝方法は見つけて実施しなければならぬであろう、しかしいわゆる個別補償はやるべきではない、こういうようなことで基金構想を出して、その基金構想の中で慰謝の実を上げるようにすべきである、こういう御意見の結論があったわけでございますので、政府といたしましてはそれを受けて予算をとりまして、過去二年間、基金運営するについての実態調査ということで今調査のさなかでございます。恐らくこれのまとめが来年の中ごろまではかかるんじゃないかな、こう考えておるのですが、それらの調査の結果を見て、政府としてはいわゆる基金構想運営によって慰謝の誠をささげていくという方法を講じたい、これが現在の政府としての基本的な考え方でございます。  ただこれとは別に、今野坂さんおっしゃるように、選挙の際のいろいろな各方面での御意見等もあり、それぞれの党にも御意見があって、ともかくそれでは不十分だ、やはり個別補償をやるべきではないか、こういう強い御意見があり、議員立法への動きがあるやにも私どもとしては承知しておるわけでございます。  私は、やはりこういった問題の基本的な考え方としては、確かにシベリア抑留者の方なんかは本当に厳しい条件の中で故国に帰られた方々ばかりでございますし、それ以外のいわゆる戦後処理の問題についても、それなりに何らかの温かい政治の配慮というものが必要であろうということは私どもも念頭にはありますけれども、今日のこういった厳しい国家財政状況を考え、さらには過去の経緯等から見、そしてまた現在、戦後処理懇意見も拝聴して、それによって予算措置を講じて、個別補償ではなくてともかく基金構想ということで処理しよう、こう言っている段階でございますから、こういった方々の熾烈な御要求、あるいはまたお気の毒な立場の方へのやらなきゃならぬという気持ちは十分私ども持っておりますが、政府として今これに直ちに応じていくということは、現在の時点においては私どもとしては考えることはできないんだ、やはり基金構想処理したいんだ、こうお答えせざるを得ないわけでございます。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 今の段階においては基金構想処理せざるを得ないと思っておるが、強い要望もあるので調査費を設けて調査をしておる段階である、来年半ばにはその調査の結果が出るというお話であります。  その調査というのは、個別補償をすることが可能かどうか、そういうことの意味を含めて調査をしていらっしゃる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  12. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 あるいは私のお答えが舌が足りなかったといいますか、そういう御理解をなさったのだろうと思いますが、そうではありません。やはり基金構想の前提に立って、その基金構想案をどのような中身のものに持っていくのか、基金構想運営についての必要な資料という建前で今約三万名の方について調査をしておる、かように御理解をしておいていただきたい、こう思います。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 ことしの予算委員会ジュネーヴ条約の問題について議論をされております。この訳し方が、「ザ・セッド・パワー」というのは「当該国」ということに確認をされて、外務省も、その場合は例えばソ連抑留者の問題についてはソ連日本というのが当該国ということになっております。この六十七条なり六十条、六十八条で、敵対行為が終わって捕虜賃金を払っておるということがありますね。例えばシンガポールとかオーストラリアとか、そういうところでは賃金を前払いして、その賃金に対しては、終了後、当該国交渉対象になるということになっております。  今度は九月三日に、この訳に直訳をして「当該国」、言うなれば日本にも責任があるということになり、ソ連ではそれらの労働に対する賃金を払っていない、この「ザ・セッド・パワー」というのがそういうふうに理解をされ、誤訳であったということが判断をされれば、他の国々に捕虜になっておった人々と同じように、所属国である我が国はその賃金等は支払っていかなければならぬということになるのではないでしょうか、いかがですか。
  14. 小和田恒

    小和田政府委員 条約解釈についてのお尋ねでございますので、私からお答えいたします。  今御指摘になりましたジュネーヴ捕虜の待遇に関する条約の第六十七条につきましては、ただいま御説明がありましたように、原文におきましては「ザ・セッド・パワー」という言葉が使ってある、その文字を日本語としてどう訳すかという問題が提起されたわけでございます。  日本がこの条約に加入いたしましたときには、この「ザ・セッド・パワー」の内容を勘案いたしまして「抑留国」という訳語が用いられていたわけでございますけれども、最近の国会等における御議論をも受けましてさらに詳細に調査をいたしまして、各国の考え方あるいは国家慣行条約の成立当時の経緯等々を調べました結果、これは抑留国というふうに一義的に決めることは妥当ではない、場合によっては捕虜所属国であるということもあり得るし、あるいは場合によっては抑留国であるということもあり得るであろう。したがって、これは原文意味そのものに即しまして「当該国」というふうに訳すことが適当であろう、こういうことになったわけでございます。  先ほども指摘がありましたように、この六十七条の趣旨と申しますのは、いずれにいたしましても交戦状態終了いたしました後に関係国の間でこの問題について話し合いをするようにというのが趣旨規定でございますので、このことの結果としてどちらがこの賃金支払い等について義務を負うかということについて定めている規定ではない、どちらが払ったにしてもそれは関係国の間で話し合いによって取り決めをつくりなさい、こういう趣旨規定でございますので、先ほど来御指摘のありました補償問題とは直接の関係のない問題であるというふうに考えているわけでございます。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 補償問題と別にしても、他の国では貸金をもらっておる、そして日本に帰ったときに換算をされて、政府は二十二年から二十七年までの間に一億九千二百万円を支払われておるというのが実態であります。ソ連抑留された諸君たちは何ももらって帰ってない。賃金は別としても、補償問題については与野党ともに異常なほどの関心を持っており、異常な状態生活をしておった諸君たちにそれ相応のことをやらなければ戦後処理ということにはならぬじゃないか、そういうふうにも思料できるわけであります。  したがって、これらの問題についてはそういうことも含めて調査をすべきではないか。また、そのことによってすべてが終わるということになれば、一つの案として、五十万円から百万円まで、しかも十年間の国債ということで、しかも無利子であるということもいろいろと、提出をしてはおりませんけれども動きがあることは事実であります。それらも含めて考えるべきではないかというふうに思いますが、いかがですかという点が一つ。  官房長官、もうお立ちにならなければなりませんから、恩欠の問題ですね。恩欠の問題については、十二年という基準というのはどうやってできたのかなということを私たちは素人的に考えるわけであります。しかも十年在職してたった二年足りない、あるいは十一年で一年足りないということになれば、それなりにいろいろな考え方が浮かんでくるのはまた当然でありますし、公務員の場合はそれは勤務年限加算をされますけれども、例えば一つ会社に就職をした場合には、その会社には貢献をしていないわけでありますから何らそれに加えることもできない。  で、有識者皆さんに諮問をされて、昭和五十七年の四月に「軍歴通算問題に関する報告」として、「恩給受給者資格年限に満たない軍歴期間厚生年金保険及び国民年金に通算することは適当でない」、こういうふうに答申がございますけれども、一般の諸君たちは、その辺が不公平、不公正ではないか、そういうふうにも考えるわけであります。だから、最低としても公務員並みにその年金加算にしてもらえないかということがあるわけでありますが、これらについても、それぞれの国会皆さん方の中では、シベリア抑留問題と同じように五十万円から百万円の方式というものを算出をされておるわけであります。これらの期待要望についてできるだけ速やかに処理をしたいと私たちも思料するわけでありますが、それらについてどう対応をしていただけるかという点について官房長官に御答弁をいただいて、長官に対する質問は終わりたい、そう思います。
  16. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 シベリア抑留者の方の問題は、今外務省条約局長からお話がございましたように、「ザ・セッド・パワー」という訳語の問題は補償の問題とは直接の関連がない、こういうことを私も外務当局から承知をしておるのですが、いずれにせよ、この問題は戦後処理問題の一環であるということは、これはもう当然でございまして、各党等でもいろいろ御審議をなさっておりますが、これをどう扱うかということは、政府としては先ほど私がお答えをいたしたとおりでこざいます。  なおまた、恩給の欠格者問題でございますが、これは戦前から、職種によっても違いますが、十二年とか十七年とかいろいろございました、十五年もありましたでしょうかね。これはいろいろな約束事政府としては何年ということは約束事でございますから、この制度をいじるということは、これは大変な制度の変革になると私は思います。  しかも同時に、戦地の地域別にこれは陸・海軍省等で既に戦前から加算年についても決まりがあるわけでございますから、こういった決まりのあるものを、戦後四十年たった今日、十二年というものを十年にしろ、八年にしろ、確かに恩給欠格者方々のお気持ちはわかるけれども、これは私は実際問題としては容易なことではない、どこで一体切ればいいのかといったような問題がまずあろうかと思います。あるいはまた、これの対象人員が一体どの程度把握できるであろうか、恐らく数百万になると思いますが、こういったことを考えますと、なかなか容易な問題ではない。  それから同時に、恩給については、既に御案内のように衆参両院等においても、お立場によって、一体恩給基本性格は何だ、社会保障なのではないか、ならば他の制度と一緒にしてやるべきではないか、こういったこれまた厳しい御意見が出ておりますが、これに対しては私どもは、恩給というものは、本来実質的には、なるほど生活の最低限をある意味において保障するという社会保障的な性格はあるけれども、さらに実際の扱いとしては、恩給というものは国家補償である、こういう観点で今まで来ておるわけでございますが、この扱いいかんによっては、これは社会保障でやるべきで、恩給は少しよ過ぎるんじゃないかといったような批判も実は一方にあるといったようないろいろなことを考えますと、この恩給年限十二年をさらに五年にするとか三年にするというようなお気持ちはわかるけれども、私は、これはそう簡単なことではない、したがって、今政府においてこれを実施するという考え方は持ってない、こうお答えせざるを得ないわけでございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、官房長官お話しになったように、既に四十年前から決まっておる年金恩給の十二年というものを動かすということは考えておりません。足らざるものについてどのようにして補償して納得してもらうか。ソ連抑留者賃金ももらわないし、そしてあの酷寒の地で五万五千人も死んでいったというこの事実はどのような状態であったのかということに思いをいたすと、これは十分配慮していく必要があろう。基金制度も必要であろうが、個別的にも対処、対応することが今必要ではないのか。  これほど経済大国になった、財政は厳しいけれども、それによって戦後処理というものの一断面が終わるのではないかということを考えれば、それらも含めて調査をし対応すべきではないのかということを申し上げておるわけでありまして、それらをも含めて早急に対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それでは、官房長官は急いでおられるようでありますからこれで終わりますが、私はそのことを強く要望をしておきたいと思います。  外務大臣も時間がないそうでありますから……。  私は、今月の二十一日に本会議場総理外務大臣お尋ねをしたのですが、十月十一日、十二日のレイキャビクにおける会談について、決裂という言葉を使いました。総理の御答弁は、あれは合意に至らなかったんだというお話がございました。日本語というのはいろいろの解釈のしようでありますが、合意に至らなかったというのは、引き続いて近い将来に会談再開があるというふうな意味にもとれるのではないかと思うのです。  それについて、今、会談終了後に両首脳会談内容について発表され、あるいはまた厳しく批判されておるという状況下にございますが、総理合意に至らなかったというのは、ただ単に決裂をしたと同じような意味なのか、近い将来あるであろうという期待感、願望というものを込められたのか。そして、その後の動きについて、会談再開に最大の努力をすると言われた総理動き外務省動き、そういうものと、会談再開に対する見通しがあればお話しをいただきたいと思います。
  18. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  総理委員決裂という言葉に対しまして決着に至らなかったという表現を使いましたのは、御案内のとおりレーガン大統領が帰国後のスピーチで、今後米側は、ソ連側用意が整えばジュネーブ交渉等の場で、今回の首脳会談終了した時点開始点としてさらに前進する用意があるということを述べておることは御承知のとおりでございます。また、ゴルバチョフ書記長も、提案を取り下げはしないということをはっきり申しておるわけでございます。  また、最後の段階で、SDIをめぐって実験等の問題で確かに決着に至らなかったわけでありますけれども、両首脳が十数時間にわたって本当に真剣に多くの問題について相互の意見の交換を行い、あるいは合意に達するのじゃなかろうかというところまで話が進んできたということを踏まえてまいりますと、両国とも、それぞれ今回の交渉決着に至らなかったけれども決裂してしまった、そしてもう今後の話し合いのテーブルに着かないということは、いささか私ども認識とは違うのではないか、これは決着に至らなかったという認識政府の見解でございます。  しからば、それではこれからどうなるのか。いろいろ外交官の追放やその他の問題が行われているではないかという問題があるわけでございますけれども、これはお互いに外交交渉でございますからいろいろな立場でいろいろな態度がとられると思いますけれども、基本的には、米ソ両方とも軍縮・軍備管理という問題について世界の人類にとって大きな責任を持っておる、また、世界人々もこの両超大国行動を注目しているという現況の中において、経済的にもいろいろ大きな負担が両国にかかっておるわけでございますから、これらの問題についてそういうチャンスをどういうきっかけでねらうか、どういう形で行われるかということは、やはり米ソの当事者でなければ、私の方で推測することはできませんけれども、真剣にこれらの問題について検討を進めておる、そう考えておる次第でございまして、日本といたしましてもそういう環境づくりについては最善の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 願望と期待答弁として述べられたわけでありますが、それでは端的にお尋ねをします。  日ソ首脳会談というのは米ソ首脳会談再開よりも先に行われる見通しなのか、後からと考えておられるのか、その点いかがですか。
  20. 倉成正

    倉成国務大臣 これも大変難しい問題でございまして、ボールはソ連側にあるわけでございます。日本政府といたしましては、日本政府立場、政経分離はしない、すなわち北方領土の問題についての前進があってしかるべし、そういうことがあって初めて日ソ間の交渉は実りのあるものになって長期的、安定的な関係が生まれるということを、あらゆる機会を利用いたしまして私から先方にるるその意を伝え、ニューヨークにおけるシェワルナゼ外相と私との会談においても伝えてまいりました。その上でソビエトは日本に、ゴルバチョフ書記長の来日はあり得る、来たい、こういうことを申しおるわけでございます。  なお、ニューヨークにおける両国外相の会談の中において、米ソの交渉のことも触れられました。そういうこともありまして、米ソ交渉がいわば決着に至らなかったということが全然影響がないとは申しませんけれども、私はボールはソ連側に投げておるわけでございまして、やはり日ソの交渉を実りのあるものにするためには準備期間が要る。時期をちゃんと決めたら、両国の外交ルートを通じて相互にどういうアジェンダでどういう交渉をしていくかということをやはり慎重に相談し合うということが実りのある会談にするゆえんのものであるということで申し上げておるわけでございますから、ある程度の準備期間がなければ、もうあす来るから、一週間後に来るからというわけにはまいらないと思うわけでございますので、先方に投げておるボールが早く戻ってくることを期待しておるわけでございます。  しかし、これが一体いつ来るのか、米ソの会談よりも早いのか遅いのかという問題は、これはもう全くアメリカ当局またはソビエト当局の考え方交渉次第によるわけでございまして、第三者である日本政府がこれを予断を持って申し上げる立場にないということは、御理解いただきたい次第でございます。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 確かに米ソ首脳会談については我が国当該国ではない、環境づくりに努力をするということしか言えないかと思います。しかし、日ソ首脳会談というのは当該国でありますから、我が国の方から、できれば年末に、遅くとも来年の一月中にというボールを投げられておるわけであります。しかも、議題とか話し合い状況とか、そういうものも想定をしながら準備を進めてこられてボールを投げられたのに違いないというのが一般的な見方であります。  きのうの新聞等によりますと、盛んに流れる一月確定説というようなことで、もし米ソの関係が遅くなればソ連日本に早く来てもいいというようなことも言っておるというふうに、この間おいでになったソ連の外務次官も述べられておったというふうに私ども承知をしておるわけでありますが、それならばそれなりに準備をしていらっしゃるに違いないと思うのであります。その日ソは、当該国である我が国としてはどのように交渉しどのような感触を得ておるのか、そして、議題等の調整等はないにしても、我が国の方からは領土問題を初め経済の問題等いろいろなことが出されておるわけでありますが、それについてどういうふうな対応をされておるか伺いたいと思います。
  22. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えいたします。  ソ連側は、私とシェワルナゼ会談におきましては、年内は無理であるということをはっきり申しました。したがって、一月末までにという日本側の希望は先方に伝えてあるわけでございまして、そのボールはソ連側にあるわけでございます。そのボールがまだはね返ってきていない。カピッツァ次官が先般参りましたときも、なるべく早く来たいという話はございましたけれども、ただいま委員お話しのように、一月末に来るというようなお話は、少なくとも外交ルートについては話は全然ございません。私は伺っておりません。いろいろな説が、諸説紛々としていろいろ情報が流れておりますけれども日本国の外務大臣といたしましては、正式な外交ルートのチャンネルを通じてそれぞれ正確な情報を受け取った上で処理をしていくのが至当であろうかと考えるわけでございます。  また、いろいろな準備というお話でございますけれども、いろいろな研究等はいたしておりますけれども、正式の準備は、やはり時期が確定し、双方でどういうことを話し合うかということを真剣に話し合うことが必要でありまして、時期が確定しない間に双方でいろいろなことを、あれもこれもというようなことをやるのは適当でないと思います。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 外務大臣、時間がありませんから、もう一言で終わって御退席をいただこうと思います。  この米ソの首脳会談決裂によって、それ以前よりも軍備というものは増強されるという方向にいくと見るのか、あるいはそのようなことはないと考えていらっしゃるのか、外務大臣お答えをいただいて、その次に防衛庁長官にも御見解を承りたいと思います。
  24. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの御質問でございますが、米ソとも、ジュネーブ交渉を通じてあるいは今回のレイキャビクの会談を通じて軍備管理・軍縮について真剣に討議をしたということは、少なくとも軍事費に多くの予算を使うことを避けたい、そういう軍備というものを縮小したいという真剣な気持ちが私は両国首脳にあったと思うわけで、これは疑うことのない事業だと確信をいたします。したがいまして、今後ともそういう機運を醸成すべく平和国家の日本としても努力してまいりますし、また、両国首脳もそういう方向で考え、努力されていくものと確信をする次第でございます。  もちろん、双方の相互の力関係、それぞれの相手国の出方によって当該国がそれに対応するわけでございますから、私が断定的にいろいろなことを申し上げる立場にございませんけれども、大きな流れとしてはそういう方向に動いているということは間違いないことである、また、そういう期待を私は真剣に持っておるということを申し上げたいと思います。
  25. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私も、今度の米ソ首脳会談というのは両方とも真剣に軍縮問題を話し合ったと思います。そういう意味合いでは、私どもとしては今後に期待を持ちたいと考えております。  しかしながら、核の問題のほかに、通常兵力といいますか、そういうものもございますので、そこら辺までグローバルに見ますとまだまだここで断定的なことは言えない、そういうふうに考えております。
  26. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、外務大臣は時間が参りましたからどうぞ。  防衛庁長官お尋ねをいたします。  たった一週間前に本会議場で新田原における事故あるいは百里における事故、そして資料の横流し、汚職事件、一連の問題を指摘をして、議場を通じて防衛庁長官が陳謝をされたことはいまだ記憶に新たなところであります。綱紀粛正は三自衛隊の統率者としてはっきりやる、舌禍といいますか、三軍というお言葉をお使いになったのもそのときでありました。二十六日には観閲式に中曽根総理が出席をして、これらについて抜本的な対策を行わなければならぬという訓示を述べておることも御承知のとおりであります。綱紀粛正は必要であるというお話をされました。  しかし、二十五日の土曜日には、昭和四十六年に雫石のニアミス事件で多くの人たちが犠牲になりました、百六十二名の皆さんがお亡くなりになったという事実はいまだ記憶に新たなところでありますが、そのときの該当者でありました隈元一尉の執行猶予期間が切れたという励ます会が福岡で行われ、当日、七つの航空基地からT33練習機が十機飛来して、二十名到着をし、十八名はその励ます会に消えていった。ゆうべ遅く私がテレビのチャンネルをひねると、帰るときの自衛隊員がスーツバッグと土産を手に持って飛行機に乗り込む情景が映りまして、この目で見せていただきました。  これはどういう状況なのか。新聞等に報道されたところによりますと、それぞれの基地司令が、六十時間とか四十時間とかの飛行訓練、それはどこに行ってもいいということで許可をしておるということでありますけれども、国民から見て公私混同のそしりは免れないと思うのであります。私は本会議場でも申しましたように、高い税金を払って、その税金で運営をしておる、そして国民の財産といいますか、自衛隊機を使ってそれぞれ私的な会合に出ていくということは、長官が本会議場で粛正を述べられ、陳謝をされ、総理が述べられていても、このような情景を我々はどのように受け取っていいのか、極めて遺憾としか言いようがないわけであります。  防衛庁側もまた昨日は、調査をしてみなければわからないけれども、それぞれ司令が許可を出されておるので問題はないと思うという意味の発言をされたやにも聞き及んでいるところでありますが、これらについて調査をし、どのような御感想をお持ちか、またどのように対処するつもりなのか承りたいと思うのであります。
  27. 依田智治

    ○依田政府委員 私の方から本件の概要についてまず御説明させていただきたいと思います。  去る二十五日、航空自衛隊のT33練習機十機が、年間飛行、要務飛行等のために福岡空港に飛来いたしまして、搭乗員二十名のうち十八名が、その日の夕方福岡市内で行われました先生御指摘の元自衛官隈太茂津氏の激励会に参加したわけでございます。  早速調査いたしましたところ、それぞれ年間飛行、要務飛行のために上司の許可を得て福岡まで飛行したことは事実でございますが、これらの航空機の運航に当たりまして、目的地を設定するに当たりましては、やはり今回の場合、夕刻私的会合がある、それにも出席するという目的が入っておるということでございまして、私的な会合に自衛隊機を使用したとの批判はまさに免れないところでありまして、この点についてはまことに遺憾な状況であるというように感じておる次第でございます。
  28. 野坂浩賢

    野坂委員 今お話があったわけでありますが、極めて遺憾であるというお話でありました。この中には新田原基地司令の友田勲空将補も含まれております。しかも十機のうち八機は年次飛行を理由にして許可をもらっておる、そしてほかの二機は事務連絡という格好で出ておる。しかも、このことを知りながらそれぞれの司令は許可を与えておるという実態ですね、その点については長官はどうお考えですか。
  29. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私は、率直に言って大変残念であり遺憾だと考えております。年間飛行をやる、要務飛行をやる、それは上可の許可を得ておった、しかし上司自体はその後の会合ということを知っておったということになりますと、どうしても公のことを先にしているのかあるいは私のことを先にしているのかということが通常常識上疑わしくなります。そういうような場合に、これはやめたらどうだ、そういうように判断するのが当然だと思いますけれども、それがなかったということは私は非常に遺憾だと思います。問題は、主観的にいろいろとこういうつもりだった、ああいうつもりだった、これにはこういう理由があったというようなことがあっても、そういうものは客観的に認められないという場合には、規律を正していく、姿勢を正していくというのが当然であります。  先ほど申し上げましたとおり、そういうような事態を聞きまして、私といたしましてはすぐに、空幕長の方に実態調査をして、きのうのことですが今晩じゅうに事実関係を明らかにし処置すべきものがあったら処置をすべきではないか、そういう指示をしておいたわけでございます。大体空幕におきましても事実関係を究明をし、しかるべく処置をする、そういうことになっております。  いずれにいたしましても、今、野坂さんからお話がありましたとおり、私も再々にわたりまして、自分みずからも姿勢を正す、ぜひ全自衛隊の諸君一緒になって国民の皆さんの御期待にこたえようじゃないか、そういうように呼びかけておっただけに返す返すも残念でございますが、こういう事態はやはり身の不徳であるというふうに考えまして、さらに隊員諸君に、ともども規律を引き締めて国民の期待にこたえるように努力をしようじゃないかという呼びかけを徹底をさせたい、こう考えております。
  30. 野坂浩賢

    野坂委員 これ以上追及をとは考えておりませんけれども、一般常識として、激励会、励ます会もいいでしょうけれども、あの事故で百六十二名の人たちが死んでおるという事実、その遺族の皆さんはあの励ます会を見てどういう心境だろうかという点が一つ。  しかも、長官がおっしゃるように、公私混同というよりも私の方が先に立っておる。それが福岡空港に十機も飛来をしてくるという、福岡市民が驚愕の眼をもって見るほどの華やかな動きがあったという事実、そして隊員の諸君たちは許可を得ておるという名分がある。来た人たちには、昔で言う将軍、いわゆる最高の方々もおいでになっておるということになれば、隊員というよりもいわゆる管理者というか指導者というか、その辺に一番の欠陥があるということを指摘しないわけにはいかぬだろうと思うのであります。  これについては、処罰すべき者は処罰せいということでありますけれども防衛庁長官みずから私自身の不徳のいたすところというだけでは逃げられないと思いますし、空幕においての責任を、今までの経緯から照らしてみて、この数ヵ月間にもそういう事故や汚職や他の省庁に見る以上に防衛庁にはたくさんあるというこの実態というものを踏まえて、どのような処理なり措置をされるのか。まだきのうのことなのでということではなしに、どういう決意を持って対応については臨まれるか、そのことを明確にしていただいて、次の質問に入りたい、そう思います。
  31. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 今回のことにつきましては、私の考え方というのは空幕長並びに事務次官等に十分に伝えてあります。この問題につきまして、空幕長が責任を持って対処すると思いますので、私はそれを見守りたい、こう考えております。
  32. 野坂浩賢

    野坂委員 見守るばかりではなしに、こういう相次いでの不祥事件が山積みになったわけでありますから、防衛庁長官みずからが、見守るということではなしに積極的にこれに対して対応していかなければ、本当の意味の綱紀粛正はできないじゃないか。「上正しからざれば下必ず乱る」ということだって昔の格言は言っておるわけでありますから、そういう点についてはっきりさせていただきますとともに、またその結果を当委員会に御報告をいただきますように要望をしておきます。  それでは、今度のこの法案につきましてお尋ねをしたいと思うのであります。  今も自衛隊の位置づけについて局長からもお話があったとおりでありますが、航路帯千海里、幅百海里ということになって、そのときそのときだというようなことでありますけれども、私は自衛隊の任務というのは、本来は日本領域における、核は使わないわけでありますから、通常戦力によって防衛するというのが主任務だ、こういうふうに考えておるわけであります。航路帯千海里というと、大体どこからどの辺までかということをもうちょっと明確にしていただきたいと思うのです。
  33. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど御説明しかけたところでございますが、海上交通保護のために、我が国の船舶あるいは我が国が生存していくために必要な最低限の物資を運んでおる船舶を守るためにどういう行動をとるかという際に、航路帯というものを設けて守る方法もある。それは通常防衛力整備の対象としては一千マイルぐらいの距離を考えておりますが、仮に一千マイルの航路帯を設定いたしますと、地域的にいいますと東京湾からグアム島の少し手前ぐらいまでになろうかと考えております。南方の方にとればフィリピンの少し手前といいますかそういったところまで行き得る距離になろうかと思います。  もちろんこれは防衛力整備上この程度までできるものをということで整備しておるのでありまして、実際の運用そのものは、どこまでやるかということは、別途そのときの状況においてやることになろうかと思います。
  34. 野坂浩賢

    野坂委員 防衛大綱を決めた時期と今とでは、ソ連防衛力の増強はどのように推移し、どのように変わっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  35. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 お答え申し上げます。  防衛大綱をつくりましたのは現在から十年前でございますが、この十年間に極東ソ連軍の戦力は非常に大きな拡充がされております。これは中距離核戦力、また地上、海上、航空というそれぞれの戦力について拡充されておるわけでございますが、これを非常にかいつまんで申し上げますと、中距離核戦力につきましては、御存じのSS20、それからバックファイア等の核戦力が当時はなかった。これが現在においてはSS20ついては百六十二基以上、またバックファイア等の飛行機については八十五機程度極東に配備されているということでございます。  また、陸上、航空それぞれの戦力について非常な拡充があるのみならず近代化されておるわけでございますが、さらに目覚ましいものとして海上兵力がある。ソ連の太平洋艦隊というものはソ連の持っております四つの艦隊の中で今最大のものになっておるということでございます。  さらに、戦力的のみならず、我が国固有の領土でございます北方領土に再度陸上兵力が配備された、また、航空機も近代的なミグ23が配備されているというようなことで、まことに遺憾なことでございますが、我が国に対する潜在的な脅威は拡大していると見ざるを得ないと思います。
  36. 野坂浩賢

    野坂委員 そういうことになっておるという現状を踏まえて、防衛大綱は十年たった、しかし、ソ連の軍備の増強は非常に増加しておるという状況から見て、防衛庁長官はこの大綱の見直しということもお考えになっておりますか、いかがですか。
  37. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私は、大綱の基本的理念というものは見直さない、そういうことをしばしば申し上げているとおりであります。
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 ことしの六月十七日に、アメリカ国務省政策企画局長のリチャード・ソロモンという方がアメリカの海軍大学校で講演しておりますね。「この中でソロモン氏は、巡航ミサイル「トマホーク」搭載の米艦船の太平洋配備、F16攻撃戦闘機の日本配備の二つを特に指摘、こうした軍事力増強が太平洋地域での米軍の攻撃能力を高め、効果的な抑止力をもたらしている、と述べた。」その上で、「もし欧州で戦争がおこったら、」という前提を置いて、「米国には極東に「第二戦線」を開く能力があることをソ連は知っている、」こう述べております。裏を返して言えば、第二戦線を構築する能力を持っておるということになるわけであります。  これについて、アメリカの戦略というものの中に日本は組み込まれておるということに通ずるだろうと思いますし、今防衛局長お話しになりましたように、シーレーンの防備については、アメリカから日本にやってそれを十分監視するというアメリカでの議会法律が決まっておるということになれば、第二戦線論というものは、制服組の中でも議論されておるやに新聞は一部報道しておりますけれども、そういうことになるなというふうに我々は考えざるを得ないのでありますが、いかがでありましょうか。
  39. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 ただいま御指摘のソロモン発言について、私の方から答弁させていただきます。  先生、ソロモン発言を全体としてお読みいただいたことと存じますが、ソロモン発言の中でも、また、このソロモン発言が引用しておりますワトキンス論文というものの中においても、米国の国防政策の基本は抑止であるということが強調されております。この論文の言わんとしておるところも、抑止とは、侵略者というものが自分の好むとき、また好む場所で侵略を行うということは許されない、侵略が行われた場合に侵略者は得ることがあり得るような利益を上回るコストを払うのだということをあらかじめ悟らせるべきであるということを強調しております。これがまさに抑止そのものの概念であろうと思います。  米国の国防政策の基本をなしております抑止というものは、まさにこういうところであらわれているように、侵略者がそういう侵略をするような誘惑に駆られることがあってはならないということを示しているのではないかと思います。そういう意味においてこの論文は書かれていると考えております。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 お話がありましたように、ソ連行動を抑えるんだ、抑止力である、そういう見方もあるだろうと思います。  それがアメリカの本当の本音であっても、その場合、日本の役割というのはどういうことなのか、そういう点が国民には非常に納得しがたいところであります。抑止力のためにはそれ相応の軍事力というものをつくり上げていかなければならぬということに通ずるわけであります。第二戦線論の中で述べられておるように、そのことが、日本有事、極東有事の事態にならなくても、日本海の周辺で米ソが事を構えるということになりはしないかという危惧はあるだろうと思います。その点についてはどうお考えですか。
  41. 西廣整輝

    西廣政府委員 状況はいろいろございましょうが、一般論としては、米ソが現在の世界の中では最も核戦力を保有し、お互いに戦いたくない国であるということで、米ソ間の戦争が最も起きにくい戦争であるというふうに私どもは考えております。  いずれにいたしましても、我が国防衛力というものは、その組成からして専守防衛のものであるし、自衛力を行使する場合は我が国に対する急迫不正の武力行使があった段階から始まるわけでありまして、日本が他の国同士の戦争に参加をするということはあり得ないということで、我が国が米ソ間の戦争に自分が攻撃されていないにもかかわらず参加することはないということは前々から申し上げているとおりでありますから、我が国がそれに巻き込まれるというようなお考えはひとつ思い直していただきたいと思うわけであります。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 アメリカの戦略の中には組み込まれることはないというお話であります。  それでは、今回既に、今月二十七日から三十一日まででありますか、在韓の米空軍も参加をして日米共同統合演習が開催されております。今まで安全保障特別委員会でも画期的な大演習だというふうに防衛庁側は答弁なすっておられるようでありますが、陸上自衛隊が第十一師団約二千人、海上自衛隊は第二護衛隊群が三千人、北部航空方面隊は約五十機千人、計六千人、米軍は第二十五歩兵師団二千人、海軍第七艦隊四千人、第五空軍五十機千人、計七千人、合計一万三千人というふうに言われております。それに加えて在韓米軍は第七空軍が参加をし、地上攻撃機や、大邱基地からも来ているというふうに承知をしておるわけでありますが、あの石狩平野方面での共同統合大演習というものは何を想定して演習を実施していらっしゃるのか、伺いたいと思うのです。
  43. 依田智治

    ○依田政府委員 お答えいたします。  訓練を効果的に実施するために必要限度のシナリオをつくってございますが、その具体的な中身につきましては、戦術等の公表につながりますので控えさせていただきたいと思います。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 シナリオを発表することを差し控えたいということですけれども、新聞その他ではソ連の上陸というものを想定してということであろうと思うのです。私は、北海道の石狩平野でやるということではなしに、本州の東方や南方の海域、空域、この辺が一番問題だろうと思うのです。これは日本防衛なのか、あるいはアメリカの戦略としての相手国に対する戦いなのか、戦争なのか、仮想敵国はどうあろうと、どのような態様になるのか、本州の東方、南方というところに比重を置いて日本防衛のための措置なのかどうなのか、その辺について伺いたいと思うのです。
  45. 依田智治

    ○依田政府委員 お答えいたします。  もちろん日本防衛のための日米共同訓練でございまして、これまで陸海空それぞれ米軍等と年々実動の訓練また指揮所訓練等日本防衛のためにやっておるわけでございますが、今回はそれを統合的見地から陸海空統合して実施する、それでちょうどこの北部方面隊の方が参加しますので北海道大演習場等でやり、また海の方は東、南方海域で海空作戦ということ、それから陸の方では空地作戦といいますかA10、OV10等も参加した作戦をやる、これはもちろん日本防衛のためにやっておるものでございます。  この共同訓練につきましては、再三御説明させていただいておりますが、日米安保体制の信頼性また抑止力の維持向上、さらにいざという場合の相互の理解とか共同対処行動の円滑な推進、また戦術、技量向上というような面で効果的でございまして、日米安保体制に身を入れるためにも実施する必要があるということで、日本防衛のために実施しているものでございます。今回の訓練につきましてもその目的のためでございますので、御了承いただきたいと思います。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 日本防衛のためにということを何回も強調していらっしゃったのですが、主観的には防衛庁当局として見れば日本防衛のためだというふうに言わなければならぬし、当然だと思う。ただ、外国はどういうふうにこの点については見ておるのか、十分承知をしていらっしゃると思いますが、それぞれの近隣諸国の見方について、承知をしておられれば伺いたいと思うのです。
  47. 依田智治

    ○依田政府委員 近隣諸国がどう見ておるか、実は私の方は余り把握しておりません。国内の各方面のいろいろな論調等で、集団自衛権につながるものではないか、米国の戦略に巻き込まれるのじゃないかというような見方をしているところも一部あるわけでございますが、私どもとしては、先ほど御説明しましたようにそういうことは全くないというように考えておるわけでございまして、近隣諸国等でも、日本のそういう防衛努力、また日本防衛のための努力については十分理解していただいているものと認識しておるわけでございます。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 依田訓練局長に代表されるように、余り他の国のことは気にしておらぬし、近隣諸国も評価してくれるだろう、そういう考え方が福岡空港事件、隈元一尉激励会に通ずる考え方だろうと思うのですね。国会でも問題になったように、藤尾発言でもそれぞれ近隣諸国には大きな影響をもたらした。我々の国が専守防衛に徹する、日本防衛のためにやるんだ、一朝有事の際にはこういうことをするんだ、それが日米安保体制に対するより前進的な方途であるというお話であります。  しかし、外から見れば、あれは個別自衛権ではなしに集団自衛権じゃないかという見方もできるだろうと思うのです。昨年在韓米軍は参加をしなかったし、参加をさせなかった、ことしは参加をさせた、いよいよエスカレートしてくるな、こういうふうに見るのも私は客観的に見て当然だろうと思うのです。  それでは、どこまでが日本防衛で――例えば三海峡封鎖とか日本列島不沈空母だとかいう発言は、私はアメリカの戦略から見て言えることだと思うのですね。日本防衛と集団自衛権としての攻撃と、どういう物差しでどのようにやるかということになると、主観的に見た場合と客観的に見た場合と違うので、一つの物差しがなければならぬ、そういうふうに思うのです。その物差し、基準というものは、どこまでを日本防衛日本防衛以外のものだと考えることができるのか、その基準を明確にしていただきたいと思うのです。
  49. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 政府委員からお答えをする前に申し上げます。  周辺諸国が我が国防衛力についてどういう見方をしているだろうかということでございますが、実は昨日、中国の総後勤部長という方がお見えになりました。私とその話をしておりましたけれども、その際に今の日米統合演習についてとやこうということは全然なかった。もし気にされておるならば、あれはどうだ、こういうお話があってしかるべきだと思うのです。その上、総後勤部長から、ぜひ中国へ来ていただきたい、こういう招請もあって、私も、正式に御招待があれば伺いましょう、こういうように申し上げたのでありまして、私の感覚からすると、少なくとも中国はそのような疑いといいますかおそれを持っていないというように考えております。  その他のことにつきましては政府委員から答弁をさせます。
  50. 西廣整輝

    西廣政府委員 御質問お答えいたします。   一つは、周辺諸国の問題でございますが、今回の演習については今のところいずれの国からも何らの反応が出ていないということのようでございます。私ども、例えば昨年のように防衛力整備の五カ年計画をつくる、そういったような状況のときには、在外公館、外務省を通じまして日本の周辺諸国に対しましてこの計画はこういう内容のものであるというような御説明をして、それぞれから十分御納得をいただいておるということでありまして、日本について非常に危険視をされているようなところはないというふうに私ども理解しております。  それから、海上における我が方の行動の基準といいますか、そういったお尋ねでございますが、私ども、これについても幾つかの歯どめ、枠をはめて考えております。例えば、アメリカ側の艦艇を守るような状況が出てくるといったような場合に、まずそのアメリカの艦艇というのは我が国防衛のために行動している艦艇でなければならない。その艦艇がどこかの国から攻撃を受けたというような場合には、我が方が日本防衛という共同対処行動の一環としてその攻撃を排除できるんだというふうに理解しているわけであります。さらにまた、我が国が行う防御行動というものは、我が国に対する武力攻撃から我が国防衛するための必要な限度と認められる範囲だというように、二重三重の枠組みを設けて対応するということになっておりますので、先生御質問のような集団的自衛権に及ぶというようなことはないと考えております。その点、御理解を賜りたいと思います。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 個別自衛権と集団自衛権、日本防衛のために、あるいは関係があって動いておる、それが攻撃された場合に日本自衛隊がこれに積極的に参加をすることは集団自衛権ではないということでありますが、これについては、とめどもなく、歯どめもなく延びていくという危険性と可能性があるというふうに私どもは心配をするわけであります。したがって、今お話がありましたが、これらの問題についてはさらに論議を進めていかなければならぬと考えております。しかし、同僚議員等がこの後それらの問題について十分討議をいたしますから、私は、次の問題について進めていきたいと思います。  今度の法律の改正の特徴というのは、予備自衛官、陸自千人、空自三百人、こういうところに重点が置かれておる特徴があるわけでありますが、この予備自衛官というのは、千三百人の増員で四万四千九百人でしたか定員があるわけですが、今度のこの中期防衛力整備計画の採用目標というのは五万三千人だというふうに聞いております。  このほか、本会議でも話がありましたように、広く一般民間人をも採用する予備自衛官制度も検討中だと聞いておるわけであります。これは将来、二十万人、三十万人までもというふうに考えていらっしゃるというふうに伝え聞いておるわけでありますが、どういうふうに検討され、計画をされておるのか、伺いたいと思うのであります。
  52. 西廣整輝

    西廣政府委員 まず第一点の、五カ年計画で五万数千人の計画をしておるというような御質問でございますが、五カ年計画では予備自衛官の員数については正確な、何人までふやすというような計画はございませんで、全体の経費枠等の中で若干の増員をしたいということで、数字は決めておりません。  それから、今後、自衛官を経験した者以外の者の中から予備自衛官を採用する、あるいはその結果、数十万人になるというようなことが新聞報道等でなされたことは私ども十分承知しておりますが、現在、防衛庁の中では、予備自衛官制度につきまして、部隊の人員の効率的な持ち方という観点から、実員といいますか定員、自衛官で現在賄っておる仕事の中で、これをさらに合理化することこよって外部にもっと仕事を委託できないかといったようなことを検討いたしております。その際に、有事のことを考えますと、予備自衛官という制度を適用して有事にも支障のないようにしたいというようなことをいろいろ研究を進めております。  その中で、自衛官経験者でない予備自衛官を採用することはいかがなものであろうかというようなことも検討課題になっておることは事実でございますが、現在のところ、どういう方向をとるか、あるいはどのくらいの人員までふやすかというようなことについては、いずれも検討中の段階でございます。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 従来、我々の見方は、予備自衛官は自衛隊の経験者というのが常識ですけれども、一般民間人を採用するという意図は、年齢が若いということだけなんですか、そのほかにも意図がありますか。
  54. 松本宗和

    ○松本政府委員 お答えいたします。  ただいま防衛局長が御答弁申し上げましたように、現在まだ具体的な内容については検討中でございます。したがいまして、現在その中身について申し上げられる段階にはございません。特に若い人がとれるとかいうような観点というものは今持っていないということでございます。
  55. 野坂浩賢

    野坂委員 今お話があったとおりに、予備自衛官の今後の問題については検討中であるが、若い人をとる、未経験者を採用するという考えはないというふうにお話しになったと思いますが、そのとおりですね。
  56. 松本宗和

    ○松本政府委員 御答弁いたします。  若いというのと未経験というのとちょっと別に考えていただきたいと思います。未経験者というのは、今の制度では自衛隊を経験した人間でないと予備自衛官にできないということになっております。もし予備自衛官の規模が相当程度拡大されるということになりますと、現在の制度のもとでは対応ができないであろう、そういうところから、一般的に自衛隊を経験していない人からも予備自衛官として採用する道はないかということで、法的側面も含めて検討しておるという段階でございまして、特に若い人ということに限定したわけではございません。
  57. 野坂浩賢

    野坂委員 すると、今の制度自衛隊を経験した者以外の者は予備自衛官にはなれないが、検討の内容としては、若い人に限らず一般の民間人からも予備自衛官を採用する計画があるということですね。
  58. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど御答弁申し上げたとおり、現在計画があるとかということではございませんで、いろいろな方策を考えておるということでございます。  例えば、現在自衛隊はかなりの充足欠をしておるわけです。それは平時から満杯にしておくのがいいかどうか、効率的であるかどうかということも含めて欠員があるわけでございますが、そういったものを完全充足する方を優先する方がいいか、あるいは予備勢力というものをふやして満たした方かいいかというのも一つの検討課題でございますし、そのほか、例えば整備とか補給とかいったようないろいろな業務がございますが、そういったものについて平時から制服の自衛官かそれを担当した方かいいのか、外部に委託するといったような形の方がより合理的な効率的な防衛力の持ち方であるかというような検討をいたしておるわけであります。それに伴って、そういったものの補充のための要員を予備自衛官制度で賄おうとしたらどういう方法があろうかというようなことをもろもろ検討しておりまして、現在、特にどういう人を何人とらなければいけないとかというような一つの計画が固まっておるものではないということを申し上げておるわけであります。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 予備自衛官は今度四万四千九百人ということになるわけですが、予備自衛官の構想としては将来何名にしたいというふうなことも含めて検討されておるのか。制服組では貸金も高いし、思うようにいかぬから、大体どの程度予備自衛官で補給したい、そういう将来構想を持っておるのか。あれば伺いたいし、検討中であれば、その目標は何にもないのか、ただ単に検討しておるということなのか、その辺を明らかにしてもらいたい。
  60. 西廣整輝

    西廣政府委員 今、先生のお尋ねの件も含めて、この検討結果によって将来的にはこの程度の規模のこういう制度で予備自衛官制度というものを運用したいというような結論を得られればということで、今研究中でございます。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは最後に、SDIの研究問題について若干お尋ねをしておきたいと思うのであります。  本会議でもお尋ねしましたように、SDIの研究参加問題につきましては官房長官の談話によってしか承知をしておらぬところであります。  まず、SDI研究問題についてはアメリカでは国論が統一しておるのかどうか、その点をお聞かせいただきたい。
  62. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。  アメリカにおいてSDI研究についていろいろな議論がございます。これは物理学者の中、研究者の中、あるいは議会等にもございますが、国論の統一という意味はいろいろあるかと思いますけれども、圧倒的多数の世論がこれを支持しているということもまた事実でございます。特にレイキャビクにおきましてこの問題がクローズアップされまして、その後のCBS、タイム等々の種の世論調査が一貫して示しておりますことは、五割から六割、七割程度の支持がございまして、これは一般世論でございますが、この支持がレイキャビク後相当程度ふえているということは事実でございます。  それからまた、議会ににおきましても、いろいろな意見がございますけれども、この予算を承認しておるという一事からみましても、議会ににおける多数がこのSDI研究を支持しているということは明瞭でございます。
  63. 野坂浩賢

    野坂委員 北米局長お話でありますが、マクナマラ元国防長官、あるいはきょうの新聞では科学者の皆さんが一斉に、欠陥もあるし欠損もあるし、これは大きな課題であるというふうに取り上げております。アメリカの世論は大体七割が支持だということでありますが、日本の場合はどうなんでしょうか。
  64. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 日本につきましては、SDI研究そのものについて世論調査がシステマチックに行われているということは聞いておりませんので、日本の世論がどうであるかということを、アメリカの世論のようにある程度の数字をもってお答えするのは困難かと思います。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 研究参加の場合に、国民にその内容をできる範囲説明をして、そして国民の合意を得るという方法をやはりとっていかなければ、国会にも承認を得ないで、いわゆる政府の枠内で研究に参加するというのは少し早計ではないかと思いますが、その点について、これは外務大臣がいらっしゃいませんから局長あるいは防衛庁長官でも結構ですけれどもお尋ねをしたい。
  66. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 SDI研究そのものにつきまして、日本国内でもいろいろな意見があるわけでございます。  研究参加ということの意味でございますけれども、これは累次国会におきまして御答弁申し上げておりますように、我が国といたしまして、現在の法制におきましても我が国の企業等がそのSDⅠの研究に参加することは可能であるけれども、それを自主的に可能にするための枠組みをつくっていくといる意味で、いわゆる研究参加問題に対する政府態度官房長官談話という形で決定したわけでごさいます。  その意味での研究参加に対する我が国政府態度につきましては、これもいわゆるアメリカのような形での世論調査というものではございませんけれども、例えば主要な新聞はその社説におきまして、これもいろいろニュアンスはございますけれども、かなりの新聞がその社説でこの政府態度を支持している等、いわゆる研究参加問題につきましての日本政府態度につきましては、そういう国民のかなり広範な支持があるものというふうに了承、了解しております。
  67. 野坂浩賢

    野坂委員 SDIの研究参加について国民は相当数賛成をしておるというようなお話がありましたが、それはどこの新聞ですか。  それと、SDIというのは我々もよくわかりませんが、とにかく戦略ミサイル問題やあるいは中距離核ミサイル問題等の大方の合意が取りつけてあったものが、SDIによって合意に至らず、または決裂という状態になったほどの重大な問題でありますが、私ども日本の国民全体がSDIそのものについて十分理解ができていないと思うのです。だから、それはもっと政府が説明をして、そして国民の合意を得るなら得る、いけないものはいけないという判断をしなければならない、そういうふうに思うのです。  私は大方の皆さんが支持しておるというふうには理解しておりませんが、具体的にどういうふうにそういうことをおつかみになって支持しておるという判断を下されておるのか、もう一度伺っておきたい。
  68. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 先ほど申し上げましたように、SDI研究計画そのものにつきましてと申しますより、日本のSDI研究参加につきましてかなりの理解を得ておるということは言えるかと思います。ただ、先生御指摘のように、SDI研究計画に対する日本の参加ということの意味につきまして、より国民にこれを御納得いただくように、これを懇切丁寧に説明していくという努力は確かに必要かと思いますけれども、先ほど申し述べましたように、世論調査というようなことがあるわけでございませんので、その点について正確な数字などをもちましてということは申し述べられませんけれども、かなりの理解を得ているということは言えると思います。  繰り返しになりますけれども、SDI研究計画に対する我が国の参加問題ということについての御理解をさらに得ていくということは、十分必要であるというふうに考えております。
  69. 野坂浩賢

    野坂委員 しつこいようですけれども、支持があるという判断は、どこにそういうふうな資料がありますか、証拠がありますか、示してもらいたい。
  70. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 かなりの理解があるということを申し上げているわけでございますけれども、一体どこかという御質問でございますが、これについて具体的に政府としてお答えすることは非常に難しゅうございます。  ただ、いわゆるSDI参加問題を決定いたしましたのが九月の九日でございますけれども、その後の本邦各紙の論調等これを子細に御点検いただきますれば、どの程度かということについてはいろいろな議論があるかと思いますが、社説等におきましてもこの日本政府の参加問題についてはかなりの御理解があったということを申し上げて差し支えないかと存じます。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 その辺はなかなか納得しがたいところですね。社説に書いてあったからと言うが、しかし反対の社説、もっと国民に説明すべきだという社説の方が圧倒的に多いというのが現伏だと私は思うのです。むしろその方が多い。わかりにくい、しかも政府が一方的にやるということについては問題があるという社説の方が私の知る範囲では多いという判断をしておりますが、あなたの方は、社説に書いてあったからそれで支持を得られておるだろうというのは極めて一方的だ、独断だ、こういうふうに指摘しないわけにはまいらぬと私は思います。  もしそういうデータがあれば示してもらいたいし、そういう感じで受け取っておるということであれば訂正してもらいたい。
  72. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 先ほどから申し述べておりますように、社説のみならずいろいろな論調等でございますけれども、これにつきまして御理解をいただいておるという点が非常に多いというふうに思いますが、同時に先生御指摘のように、さらに国民の御理解を得るように政府としても努力をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。  それは、日本のSDI研究参加というもの、これは先ほど申し述べましたように、我が国の企業などが現在でも参加をしようと思えばできること、これに対しまして、我が国の企業などがあくまでその自主的な判断でSDI研究計画の一部に参加するということが望ましいと判断するならば参加を容易にするということを可能にしていく、自主的に可能にしていくというのが、つまるところ我が国のいわゆるSDI研究問題に関する参加の態度決定、これは九月九日に行われた態度決定でございまして、その点についてさらに国民の大方の理解を得るよう努力していく必要があるという点については、先生と御意見をともにするものでございます。
  73. 野坂浩賢

    野坂委員 一つはSDI研究参加のメリットは何ですか。  それから、交渉の中で研究の成果が民間で自由に使えるよう取り決めたい、こういう話もありますが、これまでのアメリカの軍事技術体系の開発計画であることからいえば、その成果が民間で使えるかどうかというのは甚だ疑問だと思いますが、その点については一体どうなのか。  それから、政府間の取り決めでありますから、研究参加の方式、例えば西ドイツなどはいわゆる民間が参加をするというような格好になっておるようですけれども、どういる型の参加方式をとろうと考えておるのか。  四点目は、このSDIの研究費というのは、一九八五年から九〇年、あと三年ほどですけれども、この研究のための費用は、アメリカでは約二百六十億ドル、邦貨換算をして約四兆円、こういうふうに聞いておるわけであります。そして、アメリカは八七年度は三十五億ドルを支出をするということを伝え聞いておるわけですが、日本の場合は、参加をするということになればこれらの費用についてはどういう措置をとるのか。もしとるとすればどの費用で、これは防衛費であるのか、あるいは外務省の方の所管になるのか、それぞれ承っておきたいと思うのであります。
  74. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 まず最初のSDI参加のメリットは何かという御質問についてお答え申し上げます。  SDI参加問題につきましては、二つの側面があるわけでございます。先ほどから申しております九月九日の官房長官談話におきまして日本政府が決定した態度、これがいわゆるSDI参加問題に対する日本政府態度の宣明でございますが、その官房長官談話で言っておりますメリットと申しますのは、なぜ日本政府がそういう態度を決めたかという意味でございますけれども、三点ございまして、SDI研究計画の目指すところが非核の防御兵器によりまして究極的には核な廃絶していくということでございますので、それは核の廃絶という点におきましての我が国の基本理念に合致するということが一つでございます。それからさらに、SDI研究計画が我が国の民間企業等に対しましてその技術的な波及効果が考えられるという点が第二でございます。第三は、これによりまして日米安保体制の良好な運用が期待できるということでございます。  そういう考慮によりまして日本政府は先ほど申しました態度を決めたわけでございまして、現在その具体的な方策につきましてアメリカ政府と協議を行っておるわけでございますが、その中で、具体的な意味でのSDIに対する参加と申しますのは、あくまで個々の企業等が自主的な判断でSDI研究計画の一部に契約等によって参加するとすればしていくということでございます。その際のメリットと申しますのは、当然でございますけれども、経済的、技術的なメリットということかと存じます。それを企業等が自主的に判断していくということでございます。  その企業等の判断の基本でございます商業的メリット、これが制約されるのではないかというのが第二の御質問かと思いますけれども、その点につきましては、いろいろな議論が行われておりますけれども、基本的にアメリカが資金とそれから技術を持ちましてそれに関与していくわけでございますので、その成果の帰属などにつきまして一定の制約があり得るということは当然かと思いますけれども、その範囲内でできるだけ自由にその成果が利用できるようにということが、まさに今アメリカ政府話し合いを始めております折衝におけるポイントの一つでございます。  それから、研究費についてさらに御質問がございましたが、日本政府が今回の決定をいたすに当たりまして新たな研究費につきましての予算を求めないということを決定しておりまして、したがいまして、日本政府に関する限り、いわゆるSDI参加決定におきまして研究費を要求するということは考えておりません。
  75. 野坂浩賢

    野坂委員 メリットというのは最終的に核廃絶のためだとお話がありましたし、日米安保の問題も付随的にありました。  これは見解が違いますからさておきまして、民間が研究参加をする場合には、自由にそのメリットを活用するためにもメリットがある、制約が若干あるかもしれないがということですけれども、私は、先ほども言いましたように、軍事技術体系の開発計画でありますから、当然制限があるし、思うようにはなってこないのじゃないか、そういうふうに思います。  一番恐れますのは、このSDI研究というものは、イギリスや西ドイツも加わった軍事システム計画に参加をするということに究極はなるのではないだろうか、そういうふうに考えることもできるだろうと思います。それはやはり三カ国も四カ国も集まっていろいろなことを軍事計画のシステムとして考えるわけでありますから、そうすれば個別自衛権というものから逸脱をしてくるのじゃないのか、そういうふうに疑問が投げかけられるわけでありますが、その点についてはどうなのか。  もう一つ、研究参加の問題で研究費は全く要らないということでありますが、それでは、SDI研究に対する日本での予算措置は今後一切ないというふうに考えていいのかどうか。
  76. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 まず、予算の方から申し上げます。  これは、累次政府国会で御答弁申し上げていることでございますが、SDI研究計画に関連いたしまして日本政府が研究費について予算措置を要求するということは考えておりません。  それから、個別的自衛権云々の話でございますけれども、先ほどるる申し述べましたように、SDI研究参加ということは、具体的には、日本の企業等が個々の契約によりましてアメリカの企業等との契約を通じましてSDI研究計画の一環にもし自主的に参加しようと思えば、それがより自主的に可能であるという環境をつくるということでございまして、現在でもそれは可能でございます。  したがいまして、そういう個々の企業などの判断による個々の研究計画への参加というものが、いわゆる集団的自衛権とかあるいは個別的自衛権の枠を超えるというような問題とは全くなじまないものであるというふうに考える次第でございます。
  77. 野坂浩賢

    野坂委員 このSDI研究参加というものは極めてラフなもので、自由なもので、日本の企業、したければせい、したくなければしなくてもいい。みんな参加をしないということであればだれも行く者はいないということになるわけですか。それとも、財界の中で、おれは行くというふうに、具体的な話し合い政府と財界の間でできておるのかどうか、その点についても言及してほしいと思うのです。
  78. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 SDI研究計画の具体的な内容あるいはその参加に関連しての具体的な点につきまして、政府と財界との間で話をしているというようなことはございません。先般、現在進行中の日米の交渉に関連いたしまして財界の代表がその要望事項を政府に提示したことはございますけれども、これも極めて一般的な点、例えば成果の利用をさらに自由にできるようにというような点でございます。
  79. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたので、これで質問を終わりますけれども、SDIの問題についてはたくさんの疑問があります。したがって、これからいろいろな議論があろうかと思いますけれども、私は、核廃絶のための研究だというところよりも、この間もアメリカの科学者が言っておりましたように、いろいろな衛星があってさらに目標になり、軍事的にもマイナス面もあるし、そのことは、相手の攻撃というものを緩めて我が方のいわゆる核ミサイルというものを保護してより以上の優位の側に立っていくということが一番重要であり、それがいわゆる会談決裂の要因だ、こういうふうに思っておるわけであります。  さらに、防衛庁のたくさんの事故その他の問題については、長官が空幕長の決定を見守るということでありますけれども、再三再四のことでありますから、十分に対処、対応されまして綱紀の粛正をしなければ、国民の眼というものは不信に満ち満ちておるというのが今日の現状である、そういうことを御認識をいただくということを強く要望して、これで質問を終わりたい、そう思います。
  80. 石川要三

    石川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時一分休憩      ────◇─────     午後一時十五分開議
  81. 石川要三

    石川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 きょうは防衛二法の審議に入るわけでございますけれども防衛ということになりますと、これはハードの部分とそしてまた外交ということでソフトの部分と、安全保障という観点から考えるとやはり両大臣がこの防衛二法に参画をして審議をしていただくということは私はベターであろう、こう思うわけであります。  本来ならば、防衛二法ですから当然防衛庁長官の方に先にということになるのでしょうけれども、実は外務大臣もきょうは大変に御予定が詰まっておられるようでございますので、そういうことから、まず外務大臣の方に集中的に御質問を申し上げまして、それから後は防衛庁長官にじっくりということにさせていただきたいと思います。――御了解をいただきましたので、それではそういうことで行わせていただきます。  外務大臣、昨年はジュネーブの米ソ首脳会談がございまして画期的に核軍縮へと大きなステップを踏み出したわけでございます。それに基づきましてつい最近行われましたアイスランドのレイキャビク米ソ緊急首脳会談話し合いが四回、大体十時間以上も持たれたということでございますが、レイキャビク会談は必ずしも両首脳合意して一つの結論が出るに至らなかったというふうに世間では伝えられているわけでございまして、その評価についても、とり方によってはいろいろまちまちでございます。  そこで、日本政府としては、緊急首脳会談の後、実はアメリカからのいろいろの御説明もお聞きになられたし、またソ連の方からもいろいろ御説明を受けられたわけでございますから、この緊急首脳会談の成果をどのように受けとめておられるか、この人についてまずお聞きしたいと思います。
  83. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  ただいまお話しのように、米ソの二超大国世界の人類の運命を背負って核軍縮・軍備管理その他の問題について話し合いをぜひしてほしいということは、世界のすべての国々の人たちの希望でございますし、平和国家日本としても特に熱望しているところでございます。  なお、ただいまお話しのように、ジュネーブで軍縮交渉が行われつつあるわけでありますけれども、アイスランドのレイキャビクで予備会談という形で、いわばゴルバチョフ書記長が訪米をする前の会談として二日間にわたり話し合いが行われた。それもしかも十数時間本当に熱心に会談が行われて、三回が四回に延びた。またその間においては、御案内のとおり専門家に問題点を整理させて、なおその整理されたペーパーをもとにいろいろ議論がされたということで、私は両首脳が本当に真剣にこれらの問題に取り組んだことを高く評価したいと思うわけでございます。  この会談におきましては、軍備管理・軍縮問題、人権問題、地域問題、二国間の問題等が討議されましたけれども、特に軍備管理・軍縮の分野においては戦略核、中距離核及びSDIの問題が大きな問題になったわけでございまして、この三つの問題がパッケージとして結びつけられたために結局合意に至らなかった、かなりいい線までいきましたけれども、最後の段階決着するに至らなかったと承知しておるわけでございます。したがって、私どもとしましては、これは極めて残念なことだと存ずるわけでございますけれども、それほどに軍備管理・軍縮の問題というのは、過去の経過もあり、難しい問題であるなという感じも持っておるわけでございます。  御案内のとおり、今度の会議の中におきましてかなりの歩み寄りが得られた。その詳細についてはもう繰り返すことはいたしませんけれども、御承知のとおり得られたということは高く評価をいたしておる次第でございます。  また、この会談の後、レーガン大統領もジュネーブの会談再開等の問題を申しておりますし、ゴルバチョフ書記長についてもこの糸は切らないという意味の発言をいたしておりまして、会談決着を見ませんでしたけれども、いつこれが再開されるか、いつゴルバチョフ書記長が訪米されるかということはまだわかりませんが、いずれにしましても両国の間で軍縮・軍備管理交渉が忍耐強く、そして成功に向かって続けられていくことを心から期待をいたしておる次第でございます。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今外務大臣から御答弁がありましたけれども、今回の米ソ首脳会談における討議の内容については、一つは防御・宇宙すなわちSDIの問題、二番目は戦略核兵器、そして三番目は中距離核兵器の軍縮、削減の交渉が主体であったわけであります。少なくとも戦略核、INFの削減の合意ができたということで話が順調に進んでいったわけですけれども、最後にやはりSDIの取り扱いで問題になって合意に至らなかったわけでございます。  そこで、ソ連が宇宙兵器のSDIの研究を実験室内に限定することを提案することにより、ABM条約の強化と表現しておりますけれども、アメリカはこのようなことの変更を受け入れられないとして決裂したわけでございますが、SDIの研究を実験室内に限定するということは具体的にどういうことなのでしょうか。両国側からもう御説明を受けられているわけでございますから、政府としてはどのようにこの問題を判断されていましょうか。
  85. 小和田恒

    小和田政府委員 ABM条約解釈にわたる問題でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、ABM条約我が国は当事国ではございませんので、我が国としてこれについて有権的な解釈を行う立場にはないわけでございます。ただ、御指摘がありましたように、レイキャビク会談の過程におきましてソ連側から、SDIの研究を実験室内での研究に制限する、それがABM条約を強化するために必要なことであるということを強く主張したようでございます。これに対しましてアメリカ側は、これはABM条約上当然許されていることをさらに制限をしようということであって、実質的にABM条約の改定になることであって、アメリカとしては到底受け入れられない、こういう立場を主張して物別れに終わったというのが経緯でございます。  実験室内における研究というのが何であるのかということにつきましては、ソ連側は必ずしも明確にしておりません。ソ連側の説明を日本側に対して行われた機会におきましても、その点について我が方から若干の質問はいたしましたけれどもソ連側のこの問題についての非常に明確な態度というものは必ずしも明らかではございませんでした。ただ、御承知のようにABM条約の中には、特に第三条、第五条等関連規定におきましては実験室という言葉は全然出てきておりませんので、私どももこれがどういうことであるのかということは、解釈問題としてはよくわからないというのが実態でございます。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実験室ということをそのまま受け取った場合には大変に限定された場所だというふうなとらえ方もするでしょうし、あるいは実験室は工場ぐらいの広さという見方もあるでしょうし、実験室は地上ということも考えられるでしょうし宇宙ということも考えられる、その実験室という考え方自体はいろいろの考え方があるわけでございます。  十七日、ソ連側の首席代表のカルポフ氏がモスクワで両者会見をしまして、「ソ連レーガン大統領にSDIの放棄を要求してはいない」、「ソ連が第一に禁止すべきものとしているのは、宇宙システム・構成要素の実験を宇宙空間で行うことである」と言っておるわけでありますけれども、この意味はどういうふうにおとりになりますか。
  87. 小和田恒

    小和田政府委員 ただいま鈴切委員が御指摘になりましたような発言がソ連側関係者からなされておるということは私どもも報道では承知しております。他方、この問題につきましてはソ連側関係者の発言の中にも必ずしも一貫していない点があるようでございまして、正確にソ連側が意図していることがどういうことであるのかは、先ほども申し上げましたように、私ども詳細に明確にお答えすることはできないというのが実態でございます。ただこの問題につきましては、恐らく米ソ間でさらに話し合いが行われる過程において、ソ連が言わんとしていることがどういうことであるのかというのはおいおいはっきりしてくることであろうと思います。  他方、先ほども申し上げましたけれども、ABM条約そのものの中には実験室という言葉は出てこないわけでございますので、ソ連側がどういうことを意図しておるのかということは私どもよくわかりませんけれども、米国はABM条約に違反するようなことはSDIの研究過程において一切行わないということを明言しておりますので、両者の話し合いの過程においてその辺の誤解ないしは了解の違いは処理されるということを私どもとしては期待しているわけでございます。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 少なくともこの問題についてはアメリカ側からも詳細な説明を受けているでしょうし、またソビエトからも受けているわけですから、こういう大きなポイントについてはかなり条約局長も聞いておかなくちゃならない、煮詰めなくちゃならない。大体の姿がそこでわかってくるわけです。SDIを分割して、例えば地上と宇宙の配備部門とに分割して、地上のいわゆる配備部門の開発、実験ということならばというようなニュアンスは全然読み取れませんか。
  89. 小和田恒

    小和田政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども米側関係者の説明それからソ連側関係者の説明をそれぞれレイキャビク会談について受けたわけでございまして、この点につきましては私どもも非常に大きい関心を持って先方の説明を聴取いたしました。ただ、結論的に申し上げますと、一方の当事者であるアメリカの考え方というのはかなりはっきりしておりますけれどもソ連側が具体的にどういうことを言わんとしておるのかということについては、今までのところでは必ずしもはっきりしていないということは先ほど申し上げたとおりでございます。ソ連側関係者の中にも、報道によりますと若干ニュアンスの違う説明があるようでございますので、私どもとしてはもう少し情勢を見きわめる必要があろうというふうに考えるわけでございます。  今お尋ねがありました点につきましては、鈴切委員が御指摘になったような形での区別が、ソ連側からソ連立場として明確に述べられているということはないと私は承知しております。ただ、ABM条約そのものは、実験室の外であるか中であるか、あるいは地上の問題であるかそれ以外の問題であるかということに着目して区別をしているのではございませんで、それが研究であるか展開であるか配備であるかというような形で区別をしておるということでございますので、日本はこの条約の当事国ではないという意味で有権的な解釈をする立場にはございませんけれども、基準になるべきものは恐らくそういう概念であろうと理解しているわけでございます。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ソ連側のすべての提案はパッケージだ、まあ提示されたものとの立場であるわけでございますけれども、ABM条約強化、すなわちSDIに関するソ連案にアメリカが同意しなかったことを理由にしてすべての提案を御破算であると言っているが、もちろん、米ソが合意し文書で確認されたのではないわけですから明確になっていないにしても、戦略核、それからINFの合意に達した提案すべてが全くゼロであるというふうになるものか、SDIに何らかの歩み寄りができれば十分復活される可能性があると判断をされているのか、その点について政府はどう見ておられましょうか。
  91. 林貞行

    ○林説明員 お答えいたします。  今後の米ソ軍縮交渉の行方につきましては、私ども直接の当事者でございませんので確固たる見通しを述べることは困難でございますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、レーガン大統領及びゴルバチョフ書記長ともそれぞれの提案は交渉のテーブルにある旨発言しておりますので、私どもとしては、現在ジュネーブにおいて継続中の米ソ軍縮管理交渉において進展があることを期待している次第でございます。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 期待しているということは、SDIの問題が大きく進展すればそういうものも合意されたものがまた復活をする、こういうことでしょうか。
  93. 林貞行

    ○林説明員 この点につきましても、私ども当事者でございませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、全体がパッケージであるのかどうかにつきましても、ソ連側の発言は必ずしも一貫したものがないというふうに了解しております。全体がパッケージであるかどうかは別といたしまして、ジュネーブにおける交渉の進展を私どもとしては心から期待する次第でございます。
  94. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 当事者でないからと言えば何でも答弁にはならぬわけですけれども、私は政府のいわゆる判断というのを聞いているわけです。  十一月の初めにアメリカのガストン・シグール国務次官補が来日することになっておりますけれども、いかなることが話し合われる予定でしょうか。
  95. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 ガストン・シグール国務次官補が十一月四日に来日いたしまして六日に立つという連絡を受けております。これは、その直前にホノルルで東アジア・太平洋の大使会議がある。そのためにワシントンから来るので、その後ガストン・シグール氏の所掌の地域である日本等を訪問したいということでございまして、同氏の職掌柄にかんがみて時々日本に参る、そういう旅行の一環でございますので、いろいろな懸案事項を彼が来た際には話したいということでございまして、特定の案件あるいは特定のミッションを帯びてということではないというふうに了解しております。
  96. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 しかし、国務次官補が日本に来日されるといろいろな問題が話し合われるわけですけれども、話し合われるでしょうという内容について、どういう問題が話し合われるかということなんですけれども、少なくとも日本としては話さなければならない問題は非常にたくさんあるだろう。  一つは日米貿易摩擦の問題、あるいは内需拡大の総合経済対策というような内容問題等お話をしなければならぬだろう、あるいはまた総理大臣の知的水準の発言等に対する真意というものについても日本側としては話をしなければならぬだろう、あるいはまた米ソ会談話し合い、その後の外交官の追放、いわゆるすべてここで決着をつけようということもあったわけですから、その後のいきさつとか、あるいは地域問題についても、アフガンからソ連が今回撤退した問題等についてアメリカとしてはどういうふうに見ているか、あるいは中曽根訪米とゴルバチョフの来日の問題、あるいはまた戦略防衛構想、こういうふうな問題等、言うならば幾つも懸案の問題があるわけですけれども、そういうふうな問題がいろいろと話し合われるのではないかと思うのです。外務大臣、その点どうでしょうか。
  97. 倉成正

    倉成国務大臣 私のカウンターパートはシュルツ国務長官でございます。シグールさんは国務次官補でございますから、恐らく外務省のしかるべきカウンターパートを相手にいろいろと御懇談することであろう、私はその報告を聞くことになろうかと思います。  しかし、今先生お話しのように、日米貿易摩擦の問題、あるいは今回のレイキャビクの問題、あるいはその他もろもろの広範な問題について、せっかくアメリカからおいでになるわけでございますし、また、国務次官補になる前は国家安全保障の関係の仕事をホワイトハウスの中でやられておった日本通でもございますから、広範な問題についていろいろなお話があるだろうというふうに想像しておりますけれども、具体的にテーマをどういうふうに決めてどうということにはなっていないと私は承知しております。したがって、来られれば先方からも問題を提起されるでしょうし、我が方からもそれぞれの担当者からシグールさんに対してこういう問題はどうかということをいろいろお話し合いをして、率直な意見の交換が行われることを期待しておる次第でございます。
  98. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中曽根総理大臣が来年の一月には訪米したいという希望であると伝えられておりますけれども、今回の国務次官補の来日で訪米が具体化する可能性があると見てよいか、訪米するとなれば一月の上旬になるのか、あるいは日程的には日本側としてはどういうふうな御希望を持っておられるのでしょうか。
  99. 倉成正

    倉成国務大臣 せっかくの御質問でございますけれども、現在のところ、中曽根総理の訪米の予定はございません。
  100. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 伝えられるところによりますと、中曽根訪米については来年の一月にしたいということを私、新聞か何かで、あるいはニュース等であれしたのですが、それでは来年の一月の中曽根さんの訪米はない、こう見ていいでしょうか。
  101. 倉成正

    倉成国務大臣 来年のことを申しますと鬼が笑うと申しますけれども、少なくとも外務省当局として今中曽根訪米ということを考えていないということを申し上げておる次第でございまして、いろいろな報道等があることは承知しておりますけれども外務省が関知しているところではございません。
  102. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 鬼が笑うといったってもう二、三カ月の問題ですから、そんな遠くのことを言っているわけではないわけでして、訪米だということになれば、それは今回来た国務次官補との間においても具体化されることにもなるだろうということで私は申し上げたわけですけれども、そういうふうな御予定がないとおっしゃるのですから、それはそのままにお受けしておきましょう。  それから、ジュネーブの首脳会談ではソビエトのゴルバチョフ書記長が本年じゅうにやはり訪米する約束であったわけでありますけれども、レイキャビクの首脳会談が思うように進まなかったことから、来年にずれ込む可能性が強くなってきたというふうに思いますけれども、これはまだまだ流動的であるということなんでしょうか。その点はどういうふうに判断されているのでしょうか。
  103. 倉成正

    倉成国務大臣 今の先生のお話のとおり、昨年の十一月、ジュネーブにおける米ソ首脳会談合意を見たゴルバチョフ書記長の訪米については、今次会談の後でも、レーガン大統領は、米側の招待は今でも生きている、再度会合することは有用である、しかし訪米の決定はソ連が行わなければならないと述べておるところであることは御承知のとおりでございます。  したがいまして、我が国としては、かかる大統領の呼びかけにこたえまして、同書記長の訪米及び第二回の米ソ首脳会談の開催が早期に行われることを期待いたしている次第でございます。ボールはソ連側にあると思います。
  104. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日本としては、ソ連ゴルバチョフ書記長の来日を早期のうちにとかあるいは一月中にでもという希望を表明しておられますが、実際にはボールは向こうから投げてくるということになるだろうと思います。  来日したソ連のミハイル・カピッツァ外務次官が、ゴルバチョフ書記長の訪日問題で近いうちにはっきりできると思うという回答をする意向を表明したとありますけれども、正式な通知というのはいつごろになるだろうかということは大変難しい問題でしょうが、十一月の十三、十四日にモスクワで事務レベル協議なども持たれるわけですけれども、そのころになるのか、あるいは場合によっては、この間外務次官が見えられたときに日本関係者に一月の下旬というお話があったかのようにも伝えられておりますけれども、その点についてはどういうふうに……。
  105. 倉成正

    倉成国務大臣 後の方の御質問からお答えしますと、カピッツァ外務次官が参りました際に、一月の末に来るとかいつ来るとかいうようなお話は全然ございません。私は聞いておりません。外務省当局に関してはそういう話はなかったと申すのが正確でございます。  したがって、これからどうなるのか。十一月十三、十四日の高級事務レベル会議等があることも事実でございます。しかし、私がシェワルナゼ外相とニューヨークで会談した際に、先方はことしじゅうは無理だということを申しました。米ソの関係もこれありということでございまして、我が方から投げたボールは、一月中においでをいただきたいというボールを投げておるわけでございまして、カピッツァさんが来られたときには、なるべく近いうちに、そしてゴルバチョフ書記長日本に行きたいという希望を持っているということはお話がございました。  しかし、それがどういうタームで言われたのか、ちょっと私の方でこれを推測することはできないわけでございますが、日本外務省として、日本政府として考えておりますことは、まず時期を確定してほしい、そうしなければ、少なくとも両国首脳が話し合う以上は十分な話し合いというか準備が要るわけでございます。その準備は、片方だけで準備するわけにいかない、双方でそれぞれの議題についても準備をする必要があるから、まず時期を確定することが必要である。  そして、その準備をするのと同時に、我が日本政府立場としては、政経分離はしない、すなわち北方領土の問題について前進があることが日ソ関係の将来の長期安定的な関係を築く上において大切である、その前進ということを期待して、そういうことを十分踏まえておいでいただきたいということを、ニューヨークでも申しましたし、カピッツァさんにも申したような次第でございます。
  106. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに、ゴルバチョフ書記長日本に来られるとなると、かなり懸案の問題等が話し合われるだろう。なかんずく、今おっしゃった北方領土の問題は、これは外務大臣が明確に、そのようなことまで含んで、おいでになるときには一つのテーマとしてということをおっしゃったということは、私は見識だろうと思います。また、その問題が何らか前進しないことには日ソの友好親善というものも進みませんし、最終的に日ソの平和条約とかそういう大きな段階にはなかなか進み得ないだろう、また、貿易とかさらに懸案の問題等がなかなか進まないだろうということでございます。  そういうことから考えて、外務大臣としてはそれを踏まえてこれからの交渉に入っていかれるだろうと私は思いますが、いずれにしてもまだソビエトの方から実際にいつ来るということが明確でないわけですから、これ以上お聞きしてもなかなか話が前に進まないだろうと思います。  間もなく、十一月の八、九日に中曽根総理の訪中があるというふうに聞いておりますけれども、窓口になっている外務大臣としては、総理は中国といかなるテーマを持って会談に臨まれますか、また、どういう方々とお会いになる予定になっているのでしょうか。
  107. 倉成正

    倉成国務大臣 今回の中曽根総理大臣の訪中は、胡耀邦総書記の招待に応じて、北京において行われる日中青年交流センター定礎式に出席のために、来月の八日及び九日の両日、休日を利用して中華人民共和国を訪問されることになっているわけでございます。北京に滞在中に、総理は日中青年交流センターの定礎式に出席されることになっておるわけでございますが、もちろん日本総理大臣が先方に参るわけでございますから、中国の最高の指導者方と会談されることになろうかと思うわけでございますが、その会談がだれと、いつ、どうされるかということはまだ決定しておりません。  長期にわたる日中関係の安定的な大きな問題については、両国首脳がお会いになる機会があれば当然いろいろなお話が出るだろうと思うわけでございます。率直な意見の交換が行われるだろうということを期待しておる次第でございます。
  108. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の総理大臣が訪中されるということについては、日中青年交流センターを提唱されてその定礎式に行かれるんだということなんでございますけれども、やはり中国が一番心配している問題は、日本が過去の歴史をどう認識しているか、これは中国としては一番心配している問題だろう。なかんずく、御存じのとおり藤尾発言がございましたね。あの藤尾発言については中国は慎重な取り扱いであったということを私は記憶しております。それからまた靖国の戦犯の合祀問題等もございました。あるいはまた教科書問題等、言うならば、中国としてみるならば大変に気にかかるような問題がありましただけに、やはり中国としては、これからの日本は過去の歴史をどう認識しているかという問題が非常に大きなテーマになってくるだろう。中曽根総理が今申し上げたそういうものについて、謝るとかなんとかという問題よりも、むしろその中においてこれからの日中間をどうしようかということについての話し合いが真剣に持たれるんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点の認識はどうなんでしょうか。
  109. 倉成正

    倉成国務大臣 日中両国は永遠に仲よくして、そして日中友好関係が安定的に友好関係にあることが、アジアの安定に、また世界の平和にも通ずることでございますから、いろいろな問題について、国際情勢についても広範な話し合いがされるでありましょうし、ただいま先生お話しになったような問題についてもあるいはあろうかと思います。両国首脳がお会いになるということになれば、いろいろな、もろもろの問題についてお話があろうかと思うわけでございます。余り問題を限定した形で話すということではなくて、やはり率直に、腹を割って、両国首脳がそれぞれ自分の考えを述べ合うということが意義のあることではないかと思うわけでございます。  また特に、今御案内のとおり中国は近代化というか経済の建設を非常に急いでおる状況もございますから、そういう問題もまた重要な課題の一つになるのじゃなかろうかと思いますけれども、何分大変限られた時間でございますから、どういうことになろうかということは、今のところ、どなたといつ、どのくらいの時間でお会いするかということがまだ日程の調整中でございますから、申し上げるところに至っておりませんけれども、もろもろの問題が両国首脳間で、時間は短くても密度の高い話が行われるだろうということを期待している次第でございます。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もろもろの問題といっても、日中間に横たわっている問題をいろいろと分析をしていきますと、例えば日中間の貿易の問題なんかもありますね。これについては、百九十億ドルの中で中国側が六十億ドルの赤字の問題があるわけですから、これについてインバランスをどうするかという問題についても、経済問題としても話し合われなければならない問題でしょうし、あるいはまた国際情勢、やはり首脳同士が会うわけですから、当然国際情勢とかあるいは米ソの問題あるいは中ソの問題、それから日ソの問題、こういうふうな問題がクローズアップされてくるわけですけれども、やはりそういう問題があるということを認識をして、テーマを絞り込んで、そしてそういう方々にお会いをするときには話をしなければならないわけでしょうけれども外務大臣はいろいろなこと、いろいろなことと言うが、そのいろいろなことってそれは何ですか、ご答弁願いたいと思います。
  111. 倉成正

    倉成国務大臣 国際情勢諸問題についてあるいは経済の近代化の問題についてあるいは日中の将来の問題について、広範な話が行われるであろうということを申し上げているわけでございまして、先生からいろいろお話がございましたけれども、その個々の問題、どういう問題にアクセントを置くのか、どういう話をするのかということは、首脳間の話し合いでございますから、今私がここで云々すべきものではないのではなかろうかと思うわけでございまして、国際情勢、今お話しになったようないろいろな問題について、首脳が会えば当然広範な、率直な、密度の高い話し合いが行われるであろうと申し上げておるわけでございます。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官、一言。それじゃ、昨日中国の問題で新聞に載っておりましたが、今回中国の解放軍幹部の方とお会いしまして、そして来年の春に訪中されることに決まったと言われておりますけれども長官として訪中される以上、いかなる点に特に留意されて訪中されるおつもりなんでしょうか。その点はどういうようにお考えでしょう。もちろん中国の方から正式な招聘が来るというふうには思いますけれども、そうした場合にやはり長官としては、いわゆる三自衛隊の統括責任者として中国へ行ってそういう軍事的な面を含めてお話し合いに入るということは初めてだと思うのですけれども、どういうふうなことに留意されて訪中されるおつもりなんでしょうか。
  113. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 きのう総後勤部長というのが参りまして、張国防部長からぜひおいでいただきたい、こういう招聘がございましたので、正式に御招待があれば喜んで参ります、こういうふうにしてお受けしたわけです。  私がお受けいたしました経過を申し上げますと、私がこの前防衛庁長官のときに、張さんという向こうの国防部長が私のところへ表敬訪問に来ておるわけです。その後、我が方からも夏目次官、向こうからも軍の首脳がたびたび来られる。そして前の長官でありまする加藤防衛庁長官にも中国側から御招待が来ておった。私は、中国へ私が参るということはある意味防衛だけの問題じゃない、いわゆる外交的といいますか、大所高所からも判断しなければならぬというふうに思っておりましたので、私自体はじっくり見守っておったんです。ところが、最近いろいろの事情が積み重ねられてまいりまして、向こうさまから正式に御招待があった場合にお受けをしないということは非常に失礼である、そういう意味で決断をしたわけでございまして、正式に御招待があれば喜んで参りますと言った。したがって、今の時点で私が向こうへ行って何を話をするかというようなことは考えておりませんが、私の場合は、防衛庁長官としてどういう話をするかあるいは国務大臣としてどういう話をするかというふうになると思います。今のところ、こういうテーマでということを申し上げられる段階ではございません。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 SDIの日本参加については我が党としては慎重でなくてはならないと主張しておりますけれども、しかし政府は一方的に参加を決めたわけでございます。  SDIの交渉団が二十八日から四日間の日程で米国防総省と話し合いに入ることになっておりますけれども、具体的には何を米国防総省と交渉していくのか、中身は何になるのか、問題点として整理しなければならない点は何でしょうか。
  115. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 御指摘のように、二十八日から関係各省の合同の代表団と申しますか、がアメリカ側とSDIについて話し合いに入るわけでございます。アメリカ側と協議に入るということが官房長官談話にあるわけでございますが、それに基づいてのことでございまして、要するにその目的は、日本の企業等がSDIの計画の一部に参加をするということを判断いたしまして、それで参加をするということを決定いたしますれば、参加しやすいようにそういう状況をつくっていく、現在でも法的には可能でございますけれども、こういうことが目的でございます。  その中でどういうことが特に問題かと申しますと、一つは成果の帰属の問題がございます。これは、アメリカ側がSDIの参加ということになりますと資金と技術をまず持ってくるわけでございますので一定の制約が当然あるわけでございますけれども、成果が生まれればその成果はできるだけ自由に使いやすいようにしていきたいということが、当然でございますけれども日本の企業等の希望でございますので、そういうようにできるだけしていきたいということが一つでございます。  それから、秘密保護の問題というものが起こってくるわけでございますけれども、これにつきましては、累次国会等においても日本政府立場として明確にしておりますことは、我が国は現在既存の法律の枠内で対処するということでございます。  さらに、今回の交渉の結果、今回の交渉はこれからいろいろ続くと思いますけれども、何らかの文書が仮にできるとすれば、その文書はできるだけ公開にすべきであるというのが我々の立場でございます。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 SDIの発注は既に始まっているわけですね。入札等について応募の情報をいち早く伝える方法はどういうものなんだろうかということとか、あるいはそれをどのような形で情報を伝えていくか、日本政府を通じてやるのか、あるいは個々の企業へアタックするのかという問題もあるでしょうし、アメリカのマル秘情報等について、今おっしゃいましたが、特別な機密保護の問題等我が国としては立法しなければならないのかという問題もあるでしょう、我が国としては現在の状況でいきたいということでしょうけれども、いろいろの技術の話し合いの中に防衛庁のマル秘の問題等もあるわけですが、その取り扱いはどうなるのか、でき上がった成果については特許権とかいうふうな問題等もあるでしょうし、できるだけ自由に使わせてもらいたいというのが企業の考え方であることは私はうなずけるわけでありますけれども、いろいろそういうような問題を今回は煮詰めに行かれる、こう判断していいわけですね。  それで、各省といいますか、外務省と通産者、防衛庁、科学技術庁、当然こういうメンバーが行かれるわけですか。
  117. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 メンバーにつきましては、御指摘のとおり外務省防衛庁、科学技術庁それから通産省でございます。  それから、問題点といたしましては、先ほど申し述べましたように成果の利用、秘密保護の話等がございます。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務大臣、本当にどうも御苦労さまでした。  防衛庁長官に御質問いたします。  昭和四十六年七月に岩手県の雫石で全日空機と訓練中の自衛隊機が接触して、全日空機の乗員百六十二名が死亡しました。このことは今でも記憶に鮮明に残っております。ところが、きょうの朝方も若干問題になりましたが、事もあろうに、一時は業務上過失致死罪に問われ、最高裁判所では結果的には執行猶予になった、その執行猶予明けに対する激励会が、去る十月二十五日に福岡市で行われた、しかも自衛隊の基地司令以下十機十八人が全国の基地から飛来して出席したということが明らかになったわけであります。  練習という名目の理由づけは、そんなことは実は後で幾らでもできることなんです。しかし結果として、いずれにしても私的な行事に航空自衛隊機を私物化したことは許すことのできない問題だと私は思いますが、このことについて防衛庁長官は、既にこういうふうな計画があったということの報告を受けて御許可になったのであろうか、全く知らないでこのような自衛隊機の私物化がなされたのか、責任問題だけにこのことは非常に重要であろうと私は思うのです。統率の乱れ、公私混同も実は甚だしいわけでございまして、これは大変に問題が大きいだろうと私は思うのです。  私は今回防衛庁長官に、防衛庁の中における自衛隊機の墜落問題とかミサイルの不祥事件とか、あるいはまた、何というか非常に自衛隊員らしくないいろいろの問題、事件、事故等が本当に頻発しているだけに心配して、実はきょうお聞きしようと思っておったところが、つい最近、二、三日前のことでまたこういう問題が起こったわけです。この問題について、防衛庁長官はどういうふうに責任を感じておられるか。
  119. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 これは本当に残念といいますか無念といいますか、遺憾千万な事件だったと思います。御指摘のとおり、今までいろいろの事故あるいは不祥事件があって、私も、心を引き締めて、みんなひとつしっかりやっていこうよ、国民の皆さんの御期待にこたえなければならぬぞということでまいったのでございますが、今度この福岡の事件がございまして、私も本当に残念であるという気持ちでございます。  特に、一応形の上では上司の許可を得て年間飛行あるいは要務飛行ということになっておりますけれども、やはり私的な会合に行くことを念頭に置いて行動がなされたというふうに見ざるを得ないわけでありまして、そういう点については公私混同のそしりを免れない、したがって、この点については厳正に対処しなければならぬというふうに考えております。  私といたしましては、きのうすぐに空幕長に対して、事実をよく調べて速やかに結論を出し、そして対処すべきであるという指示をしたわけでございますが、昨夜空幕長からも私に対して、厳正な気持ちで対処いたしたい、こういうことになっておりますので、空幕長の対処を見守っておるというのが私の心境でございます。もちろんこれは私が最高責任者でございますので、かかることのないようにさらにさらに努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 上司の許可をもらったというふうに言われますけれども、じゃ、この激励会なる私的な計画はだれが立てて、それについて責任者はだれなのか。実際には全国的な基地から参加しているわけですね。単発じゃないのですよ。言うならば全国的な基地から参加をしているというところに問題があるだろう。命令に服従する武装集団だけに、問願を軽視してはいけない、徹底的に調査する必要があるだろう。これはもう完全に綱紀の弛緩のよい例だ。しかも、犠牲になった善良な国民の百六十二名の家族のことを思うと本当に胸が痛むような思いが実際するわけですよ。  それじゃ、百六十二名の方々の御家族の現状はどうなっているかということについて、防衛庁長官はよくその点について把握されているのでしょうか。補償をしたからそれでいいというものじゃないでしょう。そして、しかも片一方、接触事故を起こして全日空機を落としてしまった、申しわけないという気持ちでしょう。執行猶予になったにしても、それを激励するなんということはちょっと考えられないことだと思うのですね。  そういう点について、防衛庁長官は、こういうふうな武装集団を預かっている言うならば総括責任者ですから、本当にまかり間違うと大変な事故にもつながりかねない問題でしょうから、こういうふうな問題について再発防止にはどういうふうな御決意で臨まれるのでしょうか。
  121. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 一連の対策を立てておりますが、政府委員から答弁をさせます。
  122. 依田智治

    ○依田政府委員 お答えいたします。  一連の航空事故に対しましては、それぞれ専門の調査委員会を設けまして、これまで原因の究明に努めてまいりました。現在、九月二日に発生しましたT2はまだ調査中でございますが、F4の燃料切れまでにつきましては原因を究明し、これに対する対策ということで、全国の航空自衛隊並びにこれを参考として海、陸等も事故防止に努めるようにということで措置をしてございます。  なお、こういう調査と並行しまして、全庁的な立場から航空関係事故防止対策委員会というのを、これは事務次官を長として設置しまして、現在、三十年代以来発生しております航空事故のあらゆるものにつきまして、今日参考とする教訓が生かされておるかどうか等について徹底した点検を実施しておりまして、近くまとめ、その結果に基づいてさらに全国の自衛隊等に対する指示を徹底することにしておるわけでございます。  また、不祥事につきましても、これは海だけの問題ではなく、陸、空につきましても、全庁的立場から徹底した原因を掘り下げて対策を実施すべく現在監察等を行っておるところでございます。  また、今回のこの年次飛行等を理由とするこういう航空機の運用、これはただいま大臣から申し上げましたように大変問題な事項でございますので、早速現在、原因というか実態はどうなっているかということを究明しておりまして、さらにこういう平素における年次飛行等の運用につきましても、いやしくも国民から批判されることのないように、日にちの設定等については、私的なことは一切含まないようにということで、厳重に空幕長の方から通達をし全国に徹底を期する、そしてあらゆる面において航空自衛隊の国民に対する信頼を回復するようにということで、全力を挙げて努力しておるところでございます。
  123. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 栗原防衛庁長官は今回二回目の防衛庁長官に就任されたわけでして、防衛という観点から、非常に熟知されていることについて引き継いでおやりになるということは非常に望ましいことだろう、こう私は思うのです。  ところが、栗原防衛庁長官が前にやはり防衛庁長官であったときにかなり大きな事故があったでしょう。そのときの内閣委員会における栗原防衛庁長官の発言ということで、わざわざこの内閣委員会にも資料を出していただいた。そのときにも本当に申しわけないということと同時に、いろいろ反省を明らかにされているわけですね。その中に、  武器を使用する集団として特に規律厳正であるべき自衛隊において、訓練中に隊員が小銃を他の隊員に向け発射するという事件を引き起こし、国民の皆様に大きな不安を与えましたこと、また昨年四月のPSI型機の事故から一年を経ないうちに再びかかる墜落事故を起こし、貴重な隊員と航空機を失ったことは、まことに申しわけない次第であります。   私は、このような事件が起こった事情や墜落事故の原因を徹底して調査した上で、教育訓練のあり方等について正すべきものは正すとともに、事故の再発防止に努め、国民の皆様の自衛隊に対する信頼を失うことのないよう努力する所存でございます。 これをあなたがおっしゃった。ところがまた今度、御存じのとおりT2の飛行教導隊の新田原におけるところの事故がありましたね。人が亡くなりました。あるいはまた、百里基地におけるF15の言うならば緊急発進の準備中に搭載ミサイルが不時作動をしたという問題が引き続いて起こった。あるいはまた隊員の中に不祥事故がいっぱい出ているでしょう。私、資料をもらっている。一々読むなんということはできません。それくらい大変に事故が続いているわけですね。  これでは、幾ら口で言ってみたって全然事故が絶えない。あるいは問題が頻発しているということについて防衛庁長官として責任を感じませんか。感じるとするならばどういう具体的な行動をもってあなたはお示しになるのでしょうか。しかも今度、二、三日前に今言ったようないわゆる激励会という私的な行動に、許可はもらったと言うけれども、平気で行くというような、そんな問題が次から次へと出ている。これは私はもう許されるべき問題じゃない。国民の信頼をなんて言ったって、こんな状態が続けば国民の信頼が得られると思いますか。その点についてどう思いますか。
  124. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 この前からの私の言動をお引き合いになってのお話でございますが、私はその都度誠心誠意お答えし、自分としては最善を尽くしてきたつもりでございます。現在でもその心境には変わりございません。しかるにいろいろの不祥事作等が起きておるというのはまことに残念無念でございますが、私のやるべき仕事というのは、そういうことを踏まえて一瞬一瞬をやはり本当に身を引き締めて隊員諸君を鞭撻する、指導する、そのことに専念することが私の最大の責務である、そう考えております。
  125. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういう決意で臨まれないと、三自衛隊の、いわゆる武装集団の統括責任者として、それこそ国民に迷惑をかけるようなことにならないとも限らない、そういう問題を含んでいるわけですから、この問題は、防衛庁長官を初めとして幹部の皆さん方の気の緩み、そこに大きな原因があるわけですから、私は、改めてそのことについてはしっかり取り組んでいただきたいということを要望しておきます。  次に進みます。  極東ソ連軍の軍事勢力の推移として、一九七六年の大綱策定時と一九八六年の現在ではどのように違ってきておりましょうか。
  126. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 お答え申し上げます。  この十年間に極東ソ連軍の戦力は極めて大きく拡充されております。その内容といたしまして、もちろん戦略核兵器もございますが、極東をとってみて、日本に直接潜在的脅威となるような中距離核戦力をとりましても、SS20またバックファイア爆撃機というようなものは十年前には存在しなかったものでございます。今日これが、全ソ連にあるものの三分の一程度のものが極東に存在しているわけでございます。  また、通常兵力といたしまして陸上、航空、海上、いずれをとりましても非常な拡充が見られております。陸上につきましては、兵力的に三十一個師団が四十一個師団に増強されている、また航空につきましては、約二千機であったものが現在約二千四百機になっているということであり、それぞれ数がふえているだけではなくて、質的な向上が図られているということでございます。さらに特徴的なことは海上兵力が拡充されておることでございまして、ソ連の太平洋艦隊はソ連の持っておる四つの艦隊の中で最強のものになっているわけでございます。  また、単に戦力的なものを見るだけではなくて、配置におきましても、我が国固有の領土でございますところの北方領土に七八年以降陸上兵力が再度展開されるようになった。また航空も、非常に進んだミグ23という飛行機が配置されているわけでございます。他方、若干極東という範囲を超えますが、ベトナムのカムラン湾、ダナンというところに航空、海上兵力が七九年以降配備され、拡充が続けられているところでございます。
  127. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなってきますと、極東ソ連軍の脅威についてどういうふうに分析されるかということでございますけれども、脅威の実態というものは、御存じのとおり、いつでも攻撃できる装備とか兵力の数と、もう一つは侵攻してくる意図があるかどうかの問題だ、そのように二つの面から見なくてはならないと思います。だから、脅威という問題の中にもハードの問題とソフトの問題があるわけですけれども、これについては防衛庁長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  128. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 ただいま先生がおっしゃられましたとおり、脅威というものを考える場合に、まさにハードといいましょうか、戦力的なものとしてどういうものがあるか、また意図といいましょうか、どういう考えを持っておるか、長期的、短期的にどういうふうな意図を持っておるかという二つを分析する必要がある、全くおっしゃるとおりだろうと思います。  我々の分析では、戦力的なもの、いわゆるハードとおっしゃられたようなものは、我が国にとって潜在的な脅威として、日本防衛責任ある態度で臨むに当たってはこれは常に把握していく必要があるだろうと思います。他方、我が国にとってソ連は重要な隣国でございますので、これはまた潜在的脅威の存在というもののいろいろな考え方はあっても、隣国としてのつき合いは続けていく必要があるわけでございまして、仮にもソ連日本に直接的な脅威になるような意図を持たせないような形で外交的なつき合いをしていく必要があるだろうと思っております。
  129. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次は、防衛行革の一環として、去る五月、事務次官を長とする防衛改革委員会を設置されましたね。そのもとに、業務監査小委員会、それから洋上防空体制研究会、三番目に陸上防衛態勢研究会、四番目は、これは九月につくられたわけでございますけれども、自衛官人材育成・確保研究会、この四つの小委員会がそれぞれ作業に入っておりますが、中間報告で出された三十二項目の検討事項については、いつまでに結論を出されるのか、どういうような検討がなされているのか、その点についてお伺いします。
  130. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  いわゆる防衛行革に関連をいたしまして、四つの小委員会あるいは研究会についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、防衛改革委員会はことしの五月に設立をいたしておりますが、大もとは、昨年十月から効率化、合理化施策として防衛庁独自でやっております業務・運営自主監査委員会の設置から始まっておるわけでございまして、ここで業務、運営全般にわたっての点検を行いまして、ことしの一月に検討事項をまとめて、四月に三十二項目の中間報告を行ってきております。その事業を引き継ぎましたのが今お尋ねのございました防衛改革委員会に改組をいたしました中の業務監査小委員会でございます。  この防衛改革委員会は、それまで業務・運営自主監査委員会と申しますのがいわゆる業務、運営に限定をされておりまして、作戦運用機能面に及んでおりませんでしたので、それを運用面にも広げ、一層の合理化、効率化を徹底させるということで、機構を発展、拡大して設置したわけでございます。  これの検討状況でございますが、業務監査小委員会におきましては、御案内のとおり三十二項目について一応項目を整理してございますが、そのうち十九項目については本年度末ごろまでに大体検討結果が出せるのではないかというふうに考えております。残りの十三項目につきましては来年度以降にずれ込むものが出るのではないかと思いますけれども、現在全般的に一生懸命検討を実施いたしております。  今までの検討の内容としては、統合訓練に対する統合幕僚会議の調整関与の強化につきましては、既に六十一年五月にこれに関連いたします自衛隊の統合教育訓練に関する訓令というものを制定いたしております。それから、婦人自衛官の広い職域への配置につきましても、従前の人事、会計、通信等の分野に限定をされておりました婦人自衛官の特技区分といったものを広げまして、開放率が従前の三九%から七五%に現在拡大されております。これについても今後さらに検討を進めるという進捗状況でございます。  さらに、民間宿舎の借り上げ拡大あるいは単身赴任用宿舎の設置の推進、宿舎の充足率が非常に低うございますので、これを高めるという必要がございます。こういった観点からもこういった項目について検討いたしておりまして、来年度概算要求では一部実現を図りたいという対応措置を現在やっております。  したがいまして、先ほど申し上げました十九項目につきましては六十一年度末をめどに現在検討をいたしておりますが、検討結果の早く出ますものについては、六十一年度末を待つことなく逐次発表し、実施に移せるものは実施に移していきたいというふうに考えております。  それから、残りの十三項目、六十二年四月以降にターゲットを置いておるものにつきましては、これは全般的に検討に時間を要するというふうに考えておるものでございますけれども、検討次第によりましては早く結論が出てまいるものもあろうかと思いますので、同様に、検討の終わったものは逐次発表し、実施に移せるものは実施に移してまいりたいというふうに考えております。
  131. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それから、民間から予備自衛官募集ということを防衛二法の趣旨説明の本会議答弁をされましたけれども、その構想についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。例えば、規模とか募集の方法とか時期とか資格とか訓練の仕方、これについてはどうなんでしょうか。
  132. 西廣整輝

    西廣政府委員 予備自衛官と申しますか予備兵力につきましては、二つの側面から今検討を進めております。  一つは、自衛隊の平時の持ち方といいますかという点で、より合理的、効率的な持ち方として、実員といいますか、自衛官と予備自衛官とどういう配分にしたらいいかという面であります。もう一つは、有事、非常に状況が変わってきたときに、いわゆる弾力性を持たせるといいますか、そういった状況に備えるためにどうしたらいいかという二面からの検討が進められておりまして、主として前者は先ほど官房長がお答え申し上げたうちの業務、運営の方の合理化、効率化の面の分野で検討いたしておりますし、一方の予備勢力といいますか、状況有事の際の対応措置等を含めた問題は、陸上自衛隊の、陸上防衛態勢の方の主たる評価になろうかと思いますが、両方の面から検討しておるということでございます。  まだ検討に着手したばかりで、これは法的な側面も含めていろいろな面から検討しなければいけませんので、今後しばらく時間をかしていただいて研究をしたいというものであります。
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 よく防衛庁長官は、その予備自衛官については、諸外国に比べて著しく少ないんだ、現在の陸上自衛隊が十八万、それから海上自衛隊が約四万五千、それから航空自衛隊は四万七千で、約二十七万二千人ですけれども、こういうふうないわゆる定員が決められている現職の自衛官の拡大というのはなかなか無理なんだ、現行制度では限界なんだ、こういう話がぽんぽんと出てくるわけですけれども、今このようないわゆる定員が決められているところの現職に比べて、それじゃ予備自衛官の規模をどれくらい、各国に比べて少ないとかなんとかおっしゃるのですから、今度は民間の予備自衛官というものをこれから考えていくという段階において、どれくらいの枠をお考えなんでしょうか。
  134. 西廣整輝

    西廣政府委員 今先生御質問の点がまさに我々の研究課題の一番重要な点でございまして、一つは、先ほど申したように、平時の持ち方としてできるだけ民間に業務は依存をするという形の方が効率的なわけでございますが、その際、有事にどうなるかということで、それを予備自衛官制度を活用して有事における人員の確保も可能にしたいというようなことで、それがどのくらいまで可能であろうかという検討が一つ必要だということで今研究しているわけであります。  もう一点は、これは各国の予備役に非常に近いものだろうと思いますが、特に陸上自衛隊等につきましては、平時はいわゆる一線部隊の部隊編成がございますけれども、そのための野戦の補給だとか整備であるとかあるいは野戦病院とか、そういった形のものが編成上つくられておりません。そういったものについて有事は必要になるわけでありますが、その種の大部分のもの、あるいは出動した後の警備等に当たる部隊、そういったものについては予備自衛官に頼らざるを得ないのではないかというように考えておりますが、その種のものとしてどういったものがどの程度必要であろうか、そしてそれらの確保はどうすれば可能であろうかというようなことをこれから研究をしたいということでありますので、もうしばらく時間をおかしいただきたいということであります。
  135. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 民間のいわゆる予備自衛官募集ということについてもしやるとするならば、防衛二法の改正によって法律改正が必要だということなんですね。
  136. 松本宗和

    ○松本政府委員 お答えいたします。  現在、予備自衛官につきましては、自衛隊法によりまして自衛官を経験した者の中から採用するということになっております。したがいまして、自衛官を経験しない者から採用するということになりますと法改正が必要となります。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 徴兵制度について若干お聞きしたいわけですが、法制局来ておると思いますけれども我が国においては徴兵制度は憲法の条文からいってできない、絶対やらないということなのか、それは平時でも有事でも同様なのかどうか、その点についてどうでしょうか。
  138. 味村治

    ○味村政府委員 この問題につきましてはもう従前からたびたびお答え申し上げておりますが、一般に、徴兵制度と申しますと、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度でございまして、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編成の要員として備えるものをいうと理解しております。  このような徴兵制度は、我が憲法の秩序のもとでは、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役と言われる役務の提供を義務として課されるという点にその本質がございまして、平時であると有事であるとを問いませず、憲法の規定趣旨から見て、許容されるものではないというのが政府の見解でございます。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先日栗原防衛庁長官は、私は陸海空三軍の統率最高責任者であるという不用意な発言をされまして、これは取り消されたわけでございますね。となると、自衛隊は陸海空三軍ではない、だから戦前戦中の徴兵制度ではないという、そういうふうなとらえ方をするとなるとこれはちょっと問題に実はなってくるわけでありまして、徴兵制度とは、軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるため、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度をいうということでありまして、三自衛隊は軍隊と違うのだから、国民の生命、財産、公共の福祉を守るためには憲法十八条、十三条より優先されるのだという、徴兵制度を歪曲して、自衛のために自衛隊に入隊する義務を国民に負わせることも憲法上はできないということなんでしょうか。その点は明確にしていただきたい。
  140. 味村治

    ○味村政府委員 これにつきましては、ただいま申し上げました定義の中では軍隊という言葉を使っておりますが、これは自衛のための組織でございましても同じように解釈をいたしております。つまり軍隊と申しますのは、戦前それから世界各国で使われておる言葉をそのまま、まあ徴兵ということ自体が我が憲法のもとではないわけでございますので、したがいまして、外国とか戦前とか、そういうことを頭に置いて定義をしたわけでございます。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、もう一度確認をしておきますけれども自衛隊といえども国民に入隊の義務を負わせることは徴兵制度と同じである、憲法の解釈からはできないということであるということをもう一度御答弁を願いたいと思います。
  142. 味村治

    ○味村政府委員 先ほど申し上げました定義の中で、徴兵制度とは、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、こう申し上げましたが、軍隊、我が国の場合に自衛隊に要する自衛官を毎年強制的に徴集するということは、このような徴兵制度と見られるようなものは憲法上許されないということでございます。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 洋上防空体制研究会はいかなる研究を行っておられるのでしょうか。  装備の近代化に伴うシーレーン防衛の脅威の分析をどのように考えておられましょうか。
  144. 西廣整輝

    西廣政府委員 洋上防空体制研究会としてはまだ始まったばかりで、まださほど検討が進んでいるわけではございませんが、洋上防空全般について申し上げますと、御承知のように、現在諸外国、諸国の軍事技術の動向等を見ますと、まず航空機のスピードが非常に速くなり、かつ航続距離が延びてきたということで、我が国周辺諸国に所在する航空機等を見ましても、かつては洋上まで出てき得るものというものはほとんどなかった、数が非常に少なかった、あるいはスピードの遅いものであったということから大きく変わりつつあるというのが現状であります。  もう一点重要な点は、それらの航空機が搭載しております対地、対艦ミサイル、航空機から発射するミサイル類の射程が非常に延びてきた。従来は数キロとかそういう短いものであったものが、数百キロというように射程が非常に長くなってまいりました。そういうことでありますので、従来のような例えば艦艇に積んでおる対空火器、対空ミサイル等では母機に対応できなくなってきたという状況がございます。したがいまして、相手の母機を撃墜する方法がないものですから、シミュレーション等によりますと、いつまでたっても相手の航空機が、古い言葉で言えば跳梁するといいますか、勝手気ままに行動をしてこちらを攻撃するということで、いつまでたってもこちら側の船舶の被害が絶えないという状況が予想されるわけであります。それにいかに対応するかというのが洋上防空の一判の研究の課題であります。  もう一点は、洋上防空の一つの変形と申しましょうか、例えば日本のある地域に着上陸侵攻が行われておるというような状況があるとします。ということは、その地域における我が方の全般防空の力が弱まっておるからこそ着上陸があるわけでございますが、そういう状況下に我が方の増援部隊を送り込むとか、あるいは補給物資を送り込む、さらにはそういう地域から避難民等を避難させるといったような形で海上交通を利用しなければいけないという場合の、つまり相手が航空優勢を握っておるような状況下でいかにして生き残って海上輸送を可能にするかといった研究もしなければいけないだろうということで、今その種のものについて、我々が想定しております一九九〇年代ごろの洋上等で行動するであろう航空機なりあるいは使われるミサイル等の性能等がどういうものになるだろうかというところの研究から始めておるところであります。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 洋上防空体制研究会が持たれて、これは決して六十二年の三月に終わるというものではないだろうと思うわけでありますけれども、OTHレーダーとか空中給油機の問題とかあるいはエイジス艦等の必要性については、いろいろこの研究を進めていく中で結論が出た場合には、導入に踏み切らざるを得ないというふうにお考えになっているかどうかの問題ですね。  今、現在研究しているというわけですから、とても六十二年にはそういうふうな問題で予算化ということにはならぬだろう。となると六十三年度予算以降というふうなことで、もし必要であるとしてもそういうふうな形にならざるを得ないのじゃないかと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  146. 西廣整輝

    西廣政府委員 今三つの装備についてお話がございました。  まずOTHでございますが、本件につきましては、広い洋上の防空を中心として本土の防空も含めての話でございますが、できるだけ早い時期に相手方の行動を探知し得るということは、専守防衛立場にある我が国防衛力の側から見ますと、非常に重要な機能であるというように考えております。御承知のように、五カ年計画で研究し、必要があればこの辺の整備に着手するということになっておりますけれども、本件につきましては、何せ初めてのことであり、また我々としてもその性能その他わからない点が多うございます。そこで、実は来年度の予算として、アメリカの方でOTHレーダーについての実験が行われるということでありますので、その調査のための費用等を、旅費等が中心でございますが、一応計上いたしております。  なお、空中給油機につきましては、先ほど申したように航空機から発射するミサイルの射程度が大変延びてきたということで、従来のように我が国の本土上空に来てから対応するということでは間に合わない、我が国周辺の海面、水面の上から例えばレーダーサイト等が攻撃されるということになりますと、我が方としてもより早い対応をするために戦闘機が空中で待機をする、そういったようなことも今後考えなくてはいけないのではないかなということで、研究の課題の一つにしておりますが、これはまだ結論が得られておりません。  最後に、エイジス艦でございますが、エイジス艦というのは、対空火砲、いわゆる高射砲、それからターター等の対空ミサイル等が従来の艦艇の対空火器であったわけでありますが、先ほど申したようにミサイル攻撃が遠方からなされるということになると、航空機に対抗するだけではなく飛んでくるミサイルに対抗しなければいけない、クルージングミサイル等に対抗しなければいけない、そういったものに対抗するための火器として、一つの例としてエイジス艦みたいなものが挙がっておるわけであります。これらの有用性なり効果その他についてこれから研究をしたいということでありますので、これまた研究に一年ぐらいかかるだろうというように考えております。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次に、陸上防衛態勢研究会ではいかなる研究がなされているかということでございますけれども日本の地理的特性、将来の軍事科学技術、陸上兵器体系の趨勢、これからの陸上戦闘様相による影響を踏まえ、効率的な陸上防衛態勢のあり方を検討しているというふうにありますけれども、効率的な陸上防衛態勢のあり方ということは、具体的にはどういうことなんでしょうか。
  148. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、日本の国土というものは非常に細長い形になっておりますので、これを全面防御するというようなことは非常に難しい点があります。またさらに言えば、ある地域に攻撃があったときに、ほかの地域から部隊移動をさせてそちらを固める、いわゆる部隊の機動展開といいますか、部隊を機動的に展開して活用するということもなかなかやりにくいといったような、いろいろな防衛上の弱点を持っております。そういうことを考えますと、各地域にそれぞれ必要な防衛力を持ったらどうだということになると非常に多くの防衛力が必要になってくる、ということは余り効率的でないということになります。  そこで我々としてやはり追求しなければいけませんのは、相手方、上陸してくる敵が最も弱みを持っている段階、まだ揚陸し切れない、洋上にいる、あるいは水際にいる、そういった状況でできるだけ相手の勢力を弱めてしまうというようなことを追求していくことも必要であろうかと思います。ということになりますと、従来の陸戦型の陸上部隊というものから、海岸防御型の陸上部隊というような新しい陸上部隊も考える必要があるのではないかというようなことで、今非常に広い面でいろいろと研究をいたしておるわけでございます。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在十三個師団の中に機甲師団が、いわゆる第七機甲師団がありますが、これを例えば機甲化をもう一個師団増加させようというような問題とか、あるいはまた九千人師団とか七千人師団というのがありますけれども、師団自体も、人数を若干減らしても、必要であるならば機動化をするとかというふうな考え方があるのかどうか。特に北部日本防衛部隊等の編成に留意しとありますけれども、何か現在の師団についての改編の必要性があるのか、地理的にどうするかということについてはどんなふうなお考え方に立っているのかどうか、その点についてもう少し詳しくお話しを願いたい。
  150. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど来お答えしますように、目下研究中ということでありますので、まだ我々として結論を得られたものということではございませんが、どういう点が一応念頭にあるかという意味で申し上げたいと思います。  先ほど申したように陸上防衛、着上陸してくる敵から我が国防衛するという場合に一番我々にとって頭が痛いのは、その地域の航空優勢がとれない、要するに十分な防空力が持てれば海空に依存すればいいわけでございますが、そういうことが持ちにくい地域というものがあろうかと思います。その典型的なものがやはり北部日本であろうかと思います。そういう地域においてはやはり陸上自衛隊というものが中心になって国土防衛を図らなくてはいけない。ということになりますと、陸上自衛隊自身みずからある程度の防空力を持つということも必要でありますし、陸上自衛隊が洋上なり水際にある敵を撃破する力を持たなくてはいけないということで、いわゆる列国にありますような大陸型の路上部隊、師団とは少し違った編成が必要になってくるのではないか、装備等も違ってくる必要があるのではないかという点が我々の研究の一つ対象であります。  それともう一点、機甲師団のことがお話がございましたが、先生御指摘のように、現在陸上自衛隊一つの機甲師団を持っておりますが、これは御承知のように、例えば北海道のような地域で考えますと、侵攻してくる敵は、水の上を渡ってくるいわゆる上陸してくる部隊のほかに、空挺であるとかあるいはヘリボーンといったように空中からいきなり着陸攻撃をしてくる部隊があり得るということになります。そういった部隊が、例えば空挺が降下する、ヘリボーンがおりたときに、十分な力を持たないうちに機動的にすぐ駆けつけてこれをたたいてしまうといったような部隊が必ず必要になるわけでございますが、そのために現在最小限の一個の機甲師団というようなものを持っておるわけでございますけれども、そういったことをし得る能力というものが周辺諸国等でどれだけふえてくるかということと、機甲師団をどのくらい持つかということはある程度パラレルに考える必要があるのだろうと思っております。しかしながら、一個師団でいいのか二個師団必要になるのかといったようなところまでまだ詰めておるわけではございません。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今、図らずも出た問題等を具体的におっしゃったわけですけれども、この問題について、「防衛計画の大綱」の別表の解釈からそういうものができるかどうかの問題と、できないとするならば、どこまでできるのか、あるいはそれがいわゆるポスト大網になるのかどうか、その点についての立て分けはどうお考えでしょうか。
  152. 西廣整輝

    西廣政府委員 これはあくまで仮定の話として申させていただきますが、今申し上げたような検討の結果、師団の編成なり装備がある程度変わってくるということが予想されるわけでございますが、それを、現在の師団のまま師団の中の装備としてそういうものを持たせるというやり方も一つあろうかと思います。さらには、例えば対艦ミサイルといったようなものの部隊を独立させてしまうということになれば、そのための人員等を現在の師団から削減していく必要が出てくると思います。その場合に、師団から少しずつ削ってきてそういう部隊をつくるということもある程度までは可能かと思いますが、そうでない場合は、一つか二つ師団を減らして、そういう例えば沿岸防備のためのミサイル部隊なり防空部隊を新設をするというようなことも場合によっては出てくるかもしれません。  その場合は、まさに大綱別表で言っております兵器体系が変わったということで、師団を減らしてほかの部隊をつくるといったような形の装備体系の変化に伴う別表の改正というようなことも考えられないわけではないというのが、あくまで仮定の話でございますが、純理論的に考えられる方法だろうと思います。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 洋上防空体制研究会、それから陸上防衛態勢研究会の位置づけでございますけれども、今後続けられていくというふうに思うわけでありますけれども、六十三年の中期防の見直し、それから六十五年の中期防の最終年度から、やはりポスト防衛計画大綱をにらんだ研究会というふうな可能性になるのじゃないか。もう本当に短期間の研究じゃないんだ、これから二十一世紀までというまでの、長いというわけにもいかないかもしれませんけれども、かなりの長い、少なくともポスト防衛計画大綱に踏み込んでこれから研究されなければならないだろうというふうに思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  154. 西廣整輝

    西廣政府委員 五カ年計画の見直しにつきましては、先般の閣議決定にございますように三年後にその問題について検討をするということになっておりまして、三年後に見直しをするかしないかということを含めて今後の安全保障会議における検討の課題であろうと思いますので、三年後に見直しになるかならないかということを含めてまだ未定だと申し上げる以外にないわけでありますが、いずれにしましても、洋上防空体制なり陸上防衛態勢の研究というものは、それによって防衛力の整備の方向というものにかなりの修正が加えられるということであれば、それを実現するためにはやはり五カ年計画等に十分盛り込んで御審議をいただいて決定しなければ、決められた現在の五カ年計画の中でどうこうするということはできないであろうというふうに考えております。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先日の防衛二法の趣旨説明の折、答弁にお立ちになった栗原防衛庁長官は、本年度は円高による輸入価格のダウンや節約、不用額を合わせれば、人事院勧告の完全実施を行っても防衛資はGNP一%枠内におさまる旨の発言をされました。私どももGNP一%におさまるということについてはその努力を多とするわけでありますけれども、しかし、革新発表では、ならぬわけでございまして、数字的な根拠をどのように考えておられるか、それを明らかにしていただきたい。
  156. 池田久克

    ○池田(久)政府委員 ただいまの先生のお話は、今年度の補正予算の関連と存じまして、その数字を御説明したいと思います。  このたびの給与改定に伴います自衛官等の俸給の増加分は三百四十二億でございます。これに対しまして、人件費等で例えば年金負担金の見通しの減であります。それから、昨年予想しました退職者と変動がありまして、そういうことで退職手当等が不用になるというようなことで、四十五億不用が生ずると判断されます。したがいまして、人件費の増加額はこれを引きまして二百九十七億、そういう増額になる補正予算の要求のお願いをするわけであります。  他方、それ以外の物件費等の事項でございますが、これは各省共通の旅費とか庁費とかそういう節約分が五十三億円、そのほか、御指摘の油の価格でございますけれども、これは最近の実績に徴しまして今後どの程度あれば所要の油の量の確保ができるかと判断いたしまして、百五十三億円が不用になります。また、為替につきましては、一応各省共通で一ドル百五十九円で算定しておりますが、これが百八億円。そのほか電気、ガス代がかなり安くなりますし、また暖房用の油等も安くなります。そういうものを締めまして、全体で三百五十二億の不用、節約がございます。したがいまして、先ほど申しました人件費の増加額が二百九十七億、物件費等の節約、不用が三百五十二億でございますので、差し引き五十六億の節約、不用がさらに出てくるということになります。  このような状況でございますから、補正予算段階で申し上げますと、既に存在いたします一%のすき間にさらにこれが加わるという状況でございますので、この計算でまいりますと政府の当初見通しのGNPに対して○・九九一になる予定であります。  なお、今後どういうふうに名目のGNPが変わるか、これはなかなか定かにわからないわけでありますけれども、しかし、今のような状況でございますと一%のところは何とかなるのではないだろうかという見通しでございます。しかし、これは肝心のGNPがどうなるか、年度末までの推移を見ないと確たることは申し上げられませんが、補正の段階では今申し上げました数字でございまして、先般大臣からお答えしたところでございます。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今数字的な御説明がありましたので、その点かなり御努力はされながら、GNP一%枠におさまるということに対して防衛庁長官が本会議で確信を持って言われたことについてはなるほどなと実は思うわけですけれども、しかし、六十一年度の予算編成の経済成長率は四%と見ているわけですね。巷間伝えられるところによると、今のような状態だと二、三%じゃないか。さらに、内需拡大の総合経済対策等をやれば若干上がるにしても、やはり四%は期待できないということなんです。  そこで、経済成長率四%によって今計算されているわけですけれども、これはGNP一%以内におさまるということを防衛庁長官は言われたわけですから、これから総合経済対策をやって上乗せをしていくという形で経済成長率を四%に近づけようという努力はなされるわけでしょうけれども、最終的にはどうのこうのということはそのときでなければわからぬというふうに申し上げる以外にないわけです。しかし、防衛庁長官、せっかくそうおっしゃったのだから、やはりGNP一%は今後も懸命に努力して守っていくという御決意ぐらいはできるでしょう。防衛庁長官、いかがでしょうか。
  158. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 今政府委員が申し上げましたような趨勢でございますので、一%以内におさまるものと期待しております。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次に、思いやり予算について若干伺いたいと思います。  防衛施設庁の基地対策費でよく思いやり予算という言葉が使われますけれども、この思いやり予算というのはどういう性格のものなのか、また、提供施設の整備及び労務費の一部負担という思いやり予算の法的根拠はどこにあるのでしょうか。
  160. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 思いやり予算通常言っておりますが、御承知のとおり昭和五十三年度及び五十四年度の予算からそういう扱いをやってきているわけでございます。五十三年度の場合には労務費の一部につきまして、それから五十四年度につきましては労務費と施設費につきましてその措置を予算上とっておるわけでございます。  どういうことかと申しますと、地位協定の二十四条で安保条約に基づきます米軍の駐留に関する経費の負担区分が出ているわけでございますが、それに基づきまして施設費、労務費、詳しく言いますと少しややこしくなりますが、要すれば、従前――従前と申しますのは昭和五十二年度以前に考えておりました状況を一歩踏み越えまして、解釈的にも足らざるところを整理いたしまして、我が方、日本が持つ部分を五十二年度以前よりも若干高めた形で米軍の駐留経費の軽減措置を図っておる、こういうことでございます。そのこと自体は、日本とアメリカとの間の経済状況財政状況等々いろいろな問題を踏まえましてそのような措置をとり今日に至っておる、こういうことでございます。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 アメリカと日本との場合では地位協定に基づいていろいろと解釈するわけでありますけれども、地位協定の二十四条一項は、大前提としての米国負担の範囲が、すべての経費を日本に負担をかけないで米国が負担をする、このように示されておりますね。その二項で日本の負担すべき内容を実は示しているわけであります。すなわち、二十四条の一項では日本の負担とすべきものは読めないわけですね。そのように解釈すべきであるわけでありまして、一項で日本が労務費の一部を負担することができると読むというのは若干無理があるのじゃないでしょうか。
  162. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。  地位協定二十四条の一項におきまして、合衆国軍隊を維持することに伴う経費については、在日米軍がその任務を遂行していく上で必然的に発生する経費というふうにこれが解釈されます。したがいまして、労務費について言いますれば、在日米軍がその任務を遂行する上で労働力を使用するに直接必要な経費を意味するというふうに解釈されるわけでございまして、このような経費といたしましては、たとえそれが賃金であっても、間接雇用の制度のもとで日本側がその賃金を種々の状況を勘案しまして決定するものでございますので、そのまま自動的にすべてが米側の負担となるべきものではないということでございます。  したがいまして、労務の需要者たる米側がいかなる水準まで負担して労務の提供を受けることになるかは、諸般の事情を勘案の上合理的に決められるべきものであるということによりまして、労務費の一部は日本側が負担すべきものであるという見地から、昭和五十三年、五十四年にそのような措置をとってきているわけでございます。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大分苦しい御答弁ですが、二十四条二項では日本の負担すべき内容が示されておりますけれども、そこでは労務費の一部負担などというのはどうしても読めない、一項の合衆国軍隊を維持することに伴う経費というところに当たらない性格のものであるというような理屈をつけて読んでいるところに無理があるだろうというふうに私は思います。  思いやり予算は、昭和五十三年度予算で労務費の一部負担として福利費等を六十二億円計上したのが初めてで、五十四年度には、さらに給与の一部と提供施設の整備が計上されて三百億円、その後今日に至り六十一年度には八百十七億円にもなってきておりまして、将来も当然ふえ続けていくようなことが予想されます。  十月二十六日の新聞では、労務費の一部負担を緊急措置として為替相場にスライドさせる案が浮上してきたと報道されておりましたけれども、このような地位協定の拡大解釈をしようとしておられるのか、それとも条約の改定をされようとしているのか、あるいはまた何か解釈の変更を考えておられるのか、この点はどういうふうにあれなんでしょうかね。
  164. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 安保条約によりまして米軍が我が国に駐留するということは、日米安保体制の根幹でございます。したがいまして、在日米軍の駐留に対する支援と申しますものは、在日米軍の円滑な活動の確保という観点から極めて重要であるというふうに感じておる次第でございます。  昨年の円高以来、あるいはいろいろな諸情勢によりまして在日米軍が財政的に困難に直面しているということも事実でございます。このような状況におきまして、在日米軍の駐留支援を一層強化する、さらに在日米軍に働いております日本人従業員の雇用の安定というようなこと、そういう見地からいたしましても、政府として今後とも本件については真剣に考えていく必要があるということは確かにそのとおりでございまして、そういう課題があるということは十分認識しているわけでございます。  ただ現在のところ、特定の方策について具体的な検討が行われておるということではございません。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もう時間もそろそろになりましたので、そこで、若干防衛庁長官にお聞きしなければいけない問題があります。  それは六十一年十月二十二日、防衛庁から安保特に出されました九月二日から九月八日に訪米された栗原防衛庁長官の訪米報告の中で、「米軍の艦載機着陸訓練場確保の問題に関しては、ワインバーガー長官から、その必要性を強調し、早期解決の努力を希望する旨の発言があり、」栗原防衛庁長官からは、「本件適地としては三宅島以外にはないので、引き続き地域住民の理解を得るよう私の責任において最大限努力したい」と述べたとありますけれども、先日の自民党の委員質問に、NLP訓練が三宅島が最適である、三宅島の将来について島民の皆様と話し合いたいという答弁があり、反対勢力は組織的であるという答弁がなされました。しかし、三宅島の島民の方々は決してイデオロギー的に反対するというのでなくして、島の歴史とか島民の将来を考えた上で八五%の方々が反対署名をされたのであって、島民の理解も得られないままごり押しして建設を進めようという方針には問題があるだろう、少なくとも島民の意思を尊重しなければならないだろうと私は思います。  しかも、伊豆小笠原諸島自然保護協会から環境庁だの防衛庁とかそういうところにも請願が出ているわけでございますけれども、あそこは実は伊豆七島、小笠原国立公園なんですね。そういうことからいいますと、非常に景観、自然環境、本当に珍しい鳥獣、文化財、たくさんあるわけです。そういうふうなことからあの自然保護協会から、三宅島は国立公園であり、国立公園は政府が自然環境、自然景観、生息動植物を保護、維持し、破壊を防止するために特に法律で指定し、開発行為に厳しい制限を設けている、このような国立公園に基地が建設されることは国立公園を否定するもので、米国政府も何も国立公園指定地の中にまでつくってくれとは言っていない等、実にこの伊豆小笠原諸島自然保護協会からは九項目にわたって自然保護、生態系維持、文化保存、島民の生活環境破壊等の理由で反対している問題があるわけです。  だから私は、こういう観点からいいますと、三宅島の島民が反対しているのに何も三宅島に固執する必要はないだろうというふうに思うのですけれども、この点どうも納得がいかぬので、防衛庁長官にこの点の答弁をお願いしたい。
  166. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 幾つかのお話がございましたので、大臣の先にちょっと答弁させていただきます。  お話ございました中で、大臣が組織的活動に妨害されているという発言があったということでございますが、これは、私ども速記録を調べた限りそのようなことを申し上げてはいないようでございます。ただ、反対運動が、私どもとしても島民の運動が中心で始まったものだということはよく存じておりますけれども、その反対運動に乗りまして基地反対勢力が組織的に活動している、これもまた事実かと思います。  それから、国立公園の中に艦載機訓練場をつくるのはおかしいのではないか、こういうことのお話がございましたが、国立公園の中に飛行場をつくっておる例というのはたくさんあるわけでございます。例えば伊豆七島だけでも、大島にも八丈島にも三宅島にも、それから新島にもございますし、神津島にも設置計画があると聞いております。――タッチ・アンド・ゴーというのは、飛行場をつくりまして、その飛行場の使い方の一態様でございます。問題は、その飛行場をつくるかどうかということでございます。  それから、三宅島に飛行場をつくりましたら自然が皆破壊されるというような話があるわけでございますが、先日も私、予算委員会で申し上げましたように、三宅島につくる飛行場というのは三宅島の中のほんの南の方の一部でございまして、そこに飛行場をつくりましたら三宅島の自然が破壊れる、全部破壊されるというものではないと思います。それは確かに一部そこのつくりますところの形状が変わることは間違いないと思いますが、しかしそのことがすべて、例えばアカコッコという鳥がおりますが、これが絶滅するということには決してならないはずでございますし、それから、海中公園をつくりたいというようなお話がございます海中のサンゴ礁等が絶滅するという話でもございませんので、もう少し冷静に議論をしていただきたいということを自然保護団体にもお願い申し上げているところでございます。  以上かと思いますが、また後ほど。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後です。  例のいわゆるNLPの訓練というのは、厚木でもよく言われておりますけれども、最大の騒音は百三十ホンに及ぶわけでして、少なくともこれは異常ですよ。自然の破壊というものはおびただしいというように私は思っております。  そこで防衛庁長官、あなたはなぜ三宅島に固執するのでしょうか。アメリカの方では、それじゃ三宅島ということで指定してきているのでしょうか。その点はどうなのか。あるいは浮体工法で十分もっと早く物を解決することができるはずです。浮体工法だってアメリカにおいてもう既に大変な開発がなされておりますし、日本にそういうふうなNLPの開発がなされるというならば、ぜひ入札等にも参加させてもらいたいということもあるし、また、造船不況等で、浮体工法であるならば大変に内需拡大にも貢献できるというのですから、これは一石二鳥で、何も三宅島に固定する必要はない、こう私は申し上げたいわけですけれども防衛庁長官最後にひとつ。
  168. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 浮体工事はだめでございます。アメリカもこれを望んでおりません。――いや、もう一度言ってもだめなのです。この間話してきたのです。浮体工事はだめです。  それから、三宅島をなぜ選んだか。これは総合的に考えてみてNLPとしては三宅島が最適だ、こういうことであります。総合的であります。――アメリカはお任せをするということですから。アメリカがつくるのではなくて、こちらがつくるのですから。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これで質問を終わりますけれども、いずれにしても島民が反対をしているわけですから、その反対の意思を尊重しなければ議会制民主主義とは言えないわけですから、どうかひとつそういう点についてよろしくお願いいたします。
  170. 石川要三

    石川委員長 川端達夫君。
  171. 川端達夫

    ○川端委員 それでは、今回提案をされました法改正について、少し時間が切られておりますので、まずそれについてお伺いをしたいと思います。  自衛隊法の改正の中で、「武器等の防護のための武器の使用」の対象に通信設備などを加えることになっておりますが、これを法案として提案された理由をお伺いしたいと思います。最近もありましたけれども、過激派等の勢力がいろいろな活動をすることが多いわけですけれども、こういうことも考えられて入れられたのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。
  172. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  今回の自衛隊法改正で武器を使用できる防護の対象に通信設備等を加えました理由でございますが、御案内のとおり、自衛隊法九十五条は、自衛隊の武器、弾薬等が破壊をされたり奪取をされたりすることによりまして我が国防衛力に著しい低下を来すことを防ぐために、警察権の行使といたしましてこれらの警護に当たる自衛官に武器の使用を認めた規定でございます。  現在同条の規定に基づいて武器を使用して防護できる対象には武器、弾薬、火薬、航空機、車両、液体燃料までしか入ってございませんが、最近の装備の近代化等から、自衛隊法制定当時と比較たしまして自衛隊の現在持っております有線電気通信設備あるいは無線設備等の重要性が非常に大きくなってまいりました。今御指摘がございましたように、通信関係の事故が非常にいろいろなところへ大きな影響が及ぶ、こういった意味合いにつきましては、世田谷の電話ケーブル火災でございますとかあるいは今お話がございました過激派によります通信ケーブルの切断事件等、こういったものがあったことは事実でございます。  ただ、こういった事件のほかに、先ほど申し上げましたように、設備それ自体の重要性というものに私どもとしては非常に着目をしたわけでございます。
  173. 川端達夫

    ○川端委員 有事法制の研究報告の中に、「武器等の防護のための武器の使用」の対象に通信設備などを加えなさいという指摘が五十六年四月の第一回の中間報告でされているのですけれども、有事法制の研究に関連をいたしまして、ここでは確かに「有事法制の研究と直説関連するものではないが、」というただし書きがついてはおりますけれども、当然ながら有事に関連する、武器等を防護せねばならないというのは有事のときであるわけですから、そういうことからいいまして、この部分だけが特に今回法律の改正を提案をされた、そのほかの触れておられない部分に関してはどういう御見解なのかをお伺いしたい。
  174. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  ただいまご指摘の事項でございますが、確かに有事法制研究の対象として第一分類の中で記述をいたしておるわけでございます。その記述の中に明確に出てございますが、この九十五条の問題について、有事法制の研究とは直接関係を有しないというふうに書いてございます。したがいまして、非常に重要性があるということで今回の改正で取り上げたわけでございます。  御案内のとおり、有事法制の研究を行います前提といたしまして、五十三年の九月に研究の基本的姿勢について私ども見解を明らかにいたしておりまして、「防衛庁における有事法制の研究について」という文書の中に述べておるわけでございますが、「自衛隊法第七十六条の規定により防衛出動を命ぜられるという事態において自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の諸問題」ということで有事法制の研究の対象を絞っておりまして、私どもとしましては、有事法制一般の問題としては問題点を整理する。法制化については、一般的には私どもとしては法制を整備されることは望ましいわけでございますけれども、本会議大臣の誤答弁にもございましたように、この問題については高度の政治的な判断に係るものでございますし、国会における御審議あるいは国民世論の動向等を踏まえまして慎重に対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  175. 川端達夫

    ○川端委員 確かに五十三年九月の防衛庁の見解の中では今言われたような趣旨が載っているわけですが、それは研究報告の出る前、これから研究をしようという時点でありまして、しかもその最後に「ある程度まとまり次第、適時適切に国民の前に明らかにし、そのコンセンサスを得たいと考えている。」こういうことで報告が出されているわけです。しかも、六十一年の防衛白書では、「五十九年十月報告をとりまとめ、公表した。」これは第一分類、第二分類なんですが、「これにより防衛庁所管の法令及び他省庁所管の法令について問題点整理は、おおむね終了したと考えている。」ということで、もう整理は終わった。  そうしたらこれからどうされるのか。準備研究が終わって、法的にこういう問題があるというように、第一分類、第二分類についてはでき上がった。それ以後のお考え、高度な政治判断というふうにおっしゃいますけれども、具体的にもう少し御答弁願えないでしょうか。
  176. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  今御指摘がございましたように、確かに第一分類、第二分類の問題点整理を一応終えているわけでございますが、先ほど高度の政治的判断に係るもので、国会における御審議あるいは国民世論の動向を踏まえて慎重に対処してまいると申し上げておりますのは、きょうこのように御審議の過程でいろいろ御議論をいただいて、国民一般世論の御支持あるいは国会における御審議の大勢、こういった状況を踏まえまして私どもとしてはこれに対する考え方をまとめてまいる必要があろうかと思います。  現段階においては、私どもの判断としては、まだその点まで至ってないのではないかというのが正直なところでございます。
  177. 川端達夫

    ○川端委員 いつまでたってもそういう段階を続けられているというふうに私としては受けとめるわけです。きょうのいろいろな御議論の中でも、やはり防衛力を整備していくということが紛争の未然の防止力それから抑止力につながるという考えに立って日本防衛というものが構築をされていると思っているわけですけれども、そういう中で肝心の有事法制が整備をされていない。現実には法律がない。こういう状態で幾ら装備を整備しても、一たん有事に直面するという切迫した状態のときに、幾分かの空白をあるいは混乱を必ず生ずるというのが明らかになっているわけです。そういうふうなアキレス腱ともいうべきものを持っていながらいつまでも手をつけられないということに関して、非常に遺憾に思うわけです。  このようにいつまでも法案を提出されないということは、防衛庁内部に、いざそういう切迫した事態が起こるときまでこのまま放置をしておいて、そういう事態が本当に必要になるというときに緊急に国会で一日でやってしまったらいいじゃないかというふうな考えがあるのではないかなと勘ぐりたくなる。現にそういうことを発言する人もおられるようですけれども国会議論を全くせずに、切迫しているから一日でやってしまわなければいけない、こういう考え方自体がシビリアンコントロールの原則を踏みにじる、国会の軽視につながるのではないかというふうに言わざるを得ないと思います。  全体的な有事法制に関してはこれ以上の御回答が得られるとは期待ができないので、それであれば、あとそういう全体的に取り組むということではなくて、今回、武器使用に通信設備などが加えられた。そうであるならば、同じこの中間報告で、自衛隊の隊員の防護のための武器使用の規定がない、こういう規定を必要とすることが、指摘されているわけです。今回、設備に対しての、だんだん進んできたから通信設備も要るんだということですが、自衛隊員は昔からいるんです。しかも、この自衛隊員を実際に防護するための武器を使用するということが規定をされてないことが明確に指摘をされている。この点についてはどうなんでしょう。
  178. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  隊員の防護をどうするのかという御質問でございますが、私どもとしましては、装備に劣らず隊員が極めて重要な要素であるということは十分考えておるわけでございます。しかしながら、御指摘の問題点は自衛隊法九十五条に係ります問題点とはちょっと違うのではないかと思います。  今御指摘のございました部隊の要員の防護の必要性、これについて確かに私どもの有事法制の研究の第一分類で述べておるわけでこざいます。新たに規定の追加が必要な部分ということで述べておるわけでございますが、それはあくまで防衛出動待機命令下におきます部隊の要員の防護の必要性というくだりで取り上げておるわけでございます。非常に緊迫した事態におきましては、防衛出動下令直前に部隊の要員が襲われて大きな被害を生じて、その後の防衛出動が下令されても十分有効な任務遂行ができないおそれがあるといった観点から指摘をされたものでございます。したがいまして、九十五条と申しますのは主として平時の警察権の行使として考えている規定でございますので、今御指摘の部分とはちょっとニュアンスと申しますか、方角が異なる部分でございます。  御指摘の点につきましては、くどいようでございますが、先ほどの問題点と同様に今後におきます有事法制の法制化の問題という次元で、私どもとしては国会における御審議あるいは国民世論の動向を踏まえて慎重に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  179. 川端達夫

    ○川端委員 それでは少し観点を変えまして、今回自衛隊法の改正案で、政府の専用機を自衛隊が保有する、それと国賓や総理などの航空輸送を任務に加えることになっているわけですけれども、法の文面から見まして、当面はどうかわかりませんが、将来にわたって政府専用の大型旅客機の導入、あるいは総理などがこれで外国に行くようなこともあるのかどうか、自衛隊がそれを運航することになるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  180. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  御指摘のような政府専用の大型機を政府が保有する計画があるとは私ども承知をいたしておりませんが、仮定の問題として申し上げますれば、今回改正をいたします自衛隊法百条の五第二項に言います国賓、内閣総理大臣等の輸送の用に主として供するための航空機としてそういったものが導入されるということでございますれば、同条の規定によりまして自衛隊がそういった専用機を保有し、運航を行うことは可能であると考えます。  また、お尋ねの海外等はどうかということでございますが、自衛隊法百条の五の規定は、規定上は輸送の地理的範囲を特に限っておりませんので、この規定によりまして内閣総理大臣等を海外へ輸送するということも論理的には可能である、こういうことでございます。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
  181. 川端達夫

    ○川端委員 これは当然仮定の話ですけれども、法的にそういうことは可能であるということを伺った中でお伺いをしたいと思いますが、そういうときに、緊急時に在外邦人の救出というのが今までいろいろ問題になってきたわけです。そういうものにこの専用機等を利用するということが可能かどうか、お伺いしたいと思います。
  182. 友藤一隆

    友藤政府委員 今お尋ねの海外におきます在外邦人の救出の問題でございます。これにつきましては、法律の条文をごらんになるとおわかりのとおり、今回の百条の五の規定は「国賓等の輸送」ということでございまして、この範囲は、私どもの方といたしましては在外邦人の救出とか緊急援助隊、こういったものについては含まれないというふうに考えております。そういったものを想定したものではございません。  在外邦人の救出につきまして自衛隊がやれるのかという問題については、現在、自衛隊法上、御案内のとおり任務として明記をされておりません。今回追加をします規定でも読めないというふうに考えておりますので、こういったことを自衛隊が任務としてやるということにするためには、明確に自衛隊の任務として規定をしていくことが必要であろうかと思います。
  183. 川端達夫

    ○川端委員 今の御答弁、もっともなんですが、かねてからそういう御答弁をされている。国賓あるいは総理等が移動する、そういうために今回法改正をしよう。在外邦人の救出に関しては、国民の財産、生命を守るという意味からその重要性は申すまでもないことなわけですけれども、そういうことを可能にしていただきたいというお願いに対してのかねてからの議論答弁は、そういう行動に対しての法的な取り決めがないから自衛隊はできないんだ。  今回、総理、国賓の移動の法案を提出されるということなのですが、邦人救出に対応する法案の整備の方が国賓や総理を移動するよりももっと重要であり緊急なものであるというふうに考えるわけです。なぜこの部分に関しての法案の提出がされないのか理解に苦しむところでありますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  184. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  今回、百条の五で国賓等の輸送権限の付与等の規定の追加をお願いをいたしておりますのは、御案内のとおり、今年五月の東京サミットにおきます各国要人の輸送のために総理府が購入いたしましたヘリコプターを、三機でございますが、サミット後にいかに活用していくかということの検討の中で、今後国賓等の輸送の所要が恒常的に見込まれる、こういった状況を踏まえまして、これを適切かつ円滑に実施をしていく上で、やはり自衛隊が航空機の維持管理の能力がございますので、自衛隊でこういった航空機の国賓等の輸送を行うことが適当であろう、あるいは管理も十分にできるというふうに考えられまして今回の措置になったわけでございます。  現在、自衛隊法でこういった国賓等の輸送を行う権限が特に明記をされておりませんので、やはり恒常的に行うというような見地からはっきりその点を自衛隊法規定するという趣旨から発したものでございまして、こういった現実の航空機の運用、管理、こういった面あるいは国賓等の輸送の所要がこういった航空機が存在するということの中で十分見込まれるという現実の所要に対応して今回の法案を準備をしたわけでございます。  今お尋ねの邦人の救出の問題、これは非常に重要な問題であろうかと思いますけれども、私どもとしましては、やはり国会の御論議あるいは国民世論等の動向を踏まえて、自衛隊がそういうものをやるべきであるということでまとまっていく過程において慎重に対応をさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  185. 川端達夫

    ○川端委員 ヘリコプターを買ってその維持管理、それから将来の運航の用に供するために法案改正のきっかけになった。在外邦人がどこかの紛争に巻き込まれて国外に緊急に脱出をしなければいけない、そういう事態が発生をしたら考えられるというふうにしか受け取れないのですが、過去にそれでは在外邦人を救出しなければならないような事態が発生したことがないのでしょうか。
  186. 西廣整輝

    西廣政府委員 過去の例を申し上げますと、邦人救出のために政府が民間機をチャーターした事例というのがございまして、一つ昭和四十年にカラチの暴動がありまして、そのために百数十名の救出をやった。それから四十二年でございますが、第三次中東戦争によりまして、カイロからこれも百名弱の人間を救出のために派遣をした。四十六年にはパキスタンの内戦によりダッカから二百五十名強の者を救出しておる。さらに昭和四十六年でございますが、インド・パキスタン戦争のときにやはりカラチから百十数名の者を救出している。昭和四十六年でございますが、これもやはりインド・パキスタン戦争に関連してカラチから百名弱の者を救出のために民間機を出している。昭和五十年にはベトナム戦争でサイゴンへ救出に向かったけれども、この際は民間機が救出のために乗り入れができなかったという失敗の例がございました。最後に、昭和五十一年でございますが、北京の大地震の際に北京から百十一名を民間機が出かけていって救出したというように、過去七件ほどそのような例がございます。
  187. 川端達夫

    ○川端委員 過去に何回もそういう経験があり、そういう任務自体、一回一回民間機をチャーターする、そうするとそういう本来の任務、使命を帯びていない乗員がその任に当たるということは、このときでもいろいろと問題があったのを御記憶になっていると思いますが、そういう意味でいいますと、ごく最近に国賓用にヘリコプターを買ったから法律をつくるというふうなものよりもはるかに重要な問題であるにもかかわらず、一向に国内世論、国会の慎重審議というふうな、失礼な言い方かもしれませんが及び腰の部分で避けられるということがどうしても理解ができない。  同様に、国際緊急援助隊あるいは国連の停戦監視団等々に関しても、自衛隊がその任に当たるということには自衛隊法の改正を必要とするわけですけれども、これは先ほど言われた有事ということではない部分の整理になるわけです。こういう部分に関してもまさに及び腰で前向きの議論ができる雰囲気でないままに、進展しないまま放置をされている。こういうふうなことも当然ながら国賓や総理の輸送よりはるかに重要な問題であり、国賓、総理の輸送は民間機をチャーターしてやっても別に差し支えないという性格ではないかと思っております。  そういう意味で、こういうものに対する考え方、同じ御答弁になるかもしれませんが、これからの姿勢といいますか、今までの実績を踏まえてどういうふうに考えておられるのか再度お伺いをして、きょうは何か本会議があるということで時間を切られておりますので、これで最後の質問にしたいと思います。     〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
  188. 友藤一隆

    友藤政府委員 今のお話、私どもそういった役割は非常に重要な役割であろうかと思いますが、御案内のとおり、自衛隊は武力集団でございますし、その行動、任務等につきましてはやはり国民の皆様の御理解、御支援がいただけませんと十分な機能を発輝することができないのでございます。そういった観点から、先ほど来私ども申し上げておりますように、国会の御論議を十分踏まえあるいは国民世論を踏まえて、国民の皆様に本当に御支援いただける形、御支持いただける形で、大多数の国民の皆様の御理解を得て自衛隊の任務といったものを考えていく必要があろうか、こういう観点から御答弁申し上げたものでございまして、私どもとしましては先ほど申し上げましたような慎重な配慮をしてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  189. 石川要三

    石川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時五十分休憩      ────◇─────     午後五時三十一分開議
  190. 石川要三

    石川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川端達夫君。
  191. 川端達夫

    ○川端委員 それでは、防衛費に関する件で御質問を申し上げたいと思います。  防衛費に関する枠、歯止めという部分に関していろいろな議論をされているわけですけれども、先ほどから議論をされておりました一%枠ということがよく言われるわけですが、それだけでなくて、憲法の平和主義あるいはシビリアンコントロールの原則、こういうふうなものは、どちらかといいますと定性的な歯どめ、精神論的な歯どめということになると思います。また、中期防で五カ年で十八兆四千億円という総額を言われているわけですけれども、そういうふうないろいろな観点から、定性的な部分と定量的な部分、この両面からの総合的なものが防衛費に対する歯どめではないかというふうに考えるのですが、長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  192. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 何をもって歯どめとするかというのはいろいろ意見があるかもしれませんが、今お述べになったようなことは総じて歯どめとしての機能を果たしていると思うのです。そのほかに「防衛計画の大綱」、これなどは定性的でございますけれども、私は「防衛計画の大綱」の、限定かつ小規模の侵略に対応できる、そういう防衛力の整備という、これは非常に定性的ではあるけれども、しっかりした歯どめである、こう考えています。
  193. 川端達夫

    ○川端委員 その中で、定量的にはGNP一%枠というものとそれから中期防の総額というものがあるというふうに思うのですが、この中期防の三年ごとのローリングといいますか、加藤前長官が昨年十月二十九日の衆議院の予算委員会で、「三年後に見直しをし、新しい計画につくり直すということを検討する」、そういうふうな表現をされているわけですけれども、三年後に新しい計画をつくり直すことを検討するということは、中業と同じ方式で別の計画をつくるということがあり得るのかどうかということについてお伺いしたい。
  194. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、防衛力整備五カ年計画におきましては、三年後に新たな計画をつくることを検討するというように書かれておりまして、その段階で、政府部内、安全保障会議等でどうするかということが御議論になると思いますが、技術の進歩その他については最近なかなか著しいものがございますので、場合によってはそういうこともあり得るかというように考えております。
  195. 川端達夫

    ○川端委員 そういう御見解の一方で、これも前長官の御発言ですが、いろいろな経緯があっても五年間で十八兆四千億を超えることはないというふうに六十年十月二十二日の参議院の決算委員会の御答弁されているわけです。いろいろな状況の変化によって三年後には見直しを検討する、見直すことがあるかもわからない、総枠としては十八兆四千億円の枠内だ。五年間の総額ができてきているというのは、当然ながら積み上げ方式といいますか、こういうものが要るという計画の中で組み込まれたわけで、それが三年後に状況の変化に即応して新しい計画をつくり直すこともあり得るという中で、額だけが枠を守るんだ、こういうようなのはどうも数字合わせだけをするということになるのではないかというふうな懸念をするわけです。  防衛計画というのは、本来、大綱に基づきあるいは中期防に基づいていろいろな枠組みをつくっていかれる、そのときの額が出てきた。それを見直していくということを否定するものではないのですけれども、当然見直していかなければならない。ただ、それが防衛費の歯どめという一つの枠として存在する認識を持つならば、見直しの仕方、新しい三年後の計画の見通しの立て方というのにもそれなりの制限、縛りがあるのではないかというふうに思っているのですけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょう。
  196. 西廣整輝

    西廣政府委員 仮に、三年後に新たな計画をつくるということになりました場合、もちろん情勢がどの程度変わっておるかということによろうかと思いますが、次の計画の前半二年間というものはその前の計画の後半二年間とダブるわけでございますから、いずれも政府決定をしたものということになれば、当然その内容というものは相当尊重されるであろうというふうに我々としては考えております。したがいまして、仮に三年後に新たな計画ができても、その当初の二年間というものは、その前に決められた五年間の後半二年間の内容というものと、情勢にそう大きな変化がない限り大差がないものではなかろうかと思っております。  さらに、金額の点について言えば、新たな計画をつくったからといって、また、最初の二年間について当初その前の計画に比べて大幅にふえるということも今申し上げるような理由で考えにくいわけでありますし、逆に、それじゃ十八兆四千億にこだわるからといって、その前の計画の三年間で積み残しといいますか、やり残しがたくさんあったということで、どうしても次の新しい計画の二年間で、十八兆四千億の残り分を二年間で全部使わなければいけないといったような形で、その金額にこだわるというようなこともないのではなかろうかというように考えております。
  197. 川端達夫

    ○川端委員 もとへ戻るわけですけれども、そういう意味では、防衛費に対する歯どめ、定性的な部分は別にいたしまして、定量的にその一番の歯どめというのは何と考えておられるのかということをもう一度改めてお伺いしたい。
  198. 西廣整輝

    西廣政府委員 防衛力整備につきましては、再々お答えしておりますように、また、先ほど長官からお答え申し上げたように、「国防の基本方針」さらには「防衛計画の大綱」というものがまず我が国防衛力を整備すべき基本的な枠組み、考え方を述べておると思いますので、我々としてはそれをまず最大限に守っていく。そのほかに、先生御指摘のように整備五カ年計画であるとか、あるいはその五カ年計画に定められている金額の上限であるとか、あるいは一%枠、そのほか非核三原則とか、もろもろの枠組みというものを我々は十分踏まえて考えておりますが、防衛力整備の直接の基本的な枠組みとしては大綱というものを私どもは一番念頭に置いて作業をいたしております。
  199. 川端達夫

    ○川端委員 ちょっと質問の仕方が悪かったかもしれませんが、定量的な額としての歯どめ、今おっしゃったのは定性的な部分だというふうに思いますけれども、定量的にそれによってもたらされる額ということでいいますと、今の解釈でいいますと、「防衛計画の大綱」に基づいて整備をしていくという部分では、それの五年間の計画が中期防であるというのであれば、中期防の例えば現在ですと十八兆四千億というものが数字的な一つの枠組みになるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  200. 西廣整輝

    西廣政府委員 定量的と申しますか金額的な枠組みとしては、かつては一次防、二次防という形で五カ年間の防衛力整備費というものが国防会議、閣議で定められたわけでございます。  同様に、昨年防衛力整備五カ年計画ができまして、五カ年間の事業内容の主たるもの及び五カ年間の経費の枠というものが定められたので、我々としてはそれを一応念頭に置いておりますし、さらに、それがつくられるについては、昭和五十一年当時につくられました一%という枠組みといったものも念頭に置きながら先般の五カ年計画の閣議決定なり国防会議の決定がなされたものというふうに理解をいたしております。
  201. 川端達夫

    ○川端委員 次に、衛星の利用問題についてちょっとお伺いをしたいのです。  六十年二月六日の自衛隊の衛星利用に関する政府見解で「利用が一般化している」という表現があるのですけれども、その「利用」というのは、各国の軍隊が一般的に利用するのかあるいは一般の市民が広く利用するのか、この点に関してはどういうふうに解釈をされるのか、お伺いをしたいと思います。
  202. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 宇宙の開発利用に関する国会決議の趣旨につきまして、昨年の二月六日、政府統一見解が出ているわけでございます。  その中でうたわれております「その利用が一般化している」という意味でございますが、利用の動機、目的を問わず、利用しようとする衛星の機能に着目いたしているわけでございまして、利用しようとする衛星の機能が広く一般に利用されている状態を言う、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  203. 川端達夫

    ○川端委員 機能が広く一般にと言うが、私が初めに申し上げたのは、一般にというのは、いわゆる軍隊とか一切問わずに一般的に、すべてにわたってということですか。
  204. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 広く一般にという意味でございますが、これは社会通念上判断せざるを行ないわけでございますけれども、今先生の御質問に具体的に答えるとすると、軍事あるいは民間利用を問わず、こういうことじゃないかというふうに考えております。
  205. 川端達夫

    ○川端委員 それでは、いわゆる偵察衛星と例えば通信衛星、いろいろな衛星が軍事用あるいは民間用ということで、あるのですが、今偵察衛星は使えないという見解をお持ちだというふうに思うのですけれども、偵察衛星の機能というものが、普通の例えばランドサット等々とどのように違うというふうに認識をされているのか、お伺いしたいと思います。今、機能が一般的にという言葉をおっしゃいました。
  206. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 偵察衛星につきましては有力な情報収集手段の一つであると言われておるわけでございまして、専守防衛を旨といたします我が国防衛にとりまして、各種情報機能の充実というのは極めて重要なわけでございます。そういった観点から、防衛庁といたしましてもこれに関心を有しておるわけでございますが、ただいまのところ防衛庁としては偵察衛星の保有について構想はないし、計画はない、こういう状況でございます。  そこで、先生のただいまの御質問に入るわけでございますが、偵察衛星の機能でございますが、一般に、衛星から地表面の自然物、人工構築物を精密に観測する機能を有するものであるというふうに理解しておるわけでございます。
  207. 川端達夫

    ○川端委員 いわゆる観測衛星のランドサットと、その機能の面で今おっしゃった表現の差を教えていただきたいのですが。
  208. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 ランドサットと偵察衛星の機能面の差でございますが、ランドサットにつきましては、地表上の構築物等を大体数十メートル程度の精度で測定測量できるとされておるわけでございます。他方、偵察衛星の方は、これは各国とも軍事上の機密になっておりますので正確なことはわからぬわけでございますけれども、大体数十センチメートルの範囲内で、そういった精度で測定できると言われておるわけでございまして、精度が格段に違うわけでございます。そういった意味で、ランドサット衛星と偵察衛星は機能を異にするという判断を私どもとしては一応いたしておるわけでございます。
  209. 川端達夫

    ○川端委員 国語の問題を言うわけではありませんけれども、空から数十メートルを識別できるのと数十センチを識別できるというのが機能の違いという表現は当たらないのではないかと思うのです。性能が違うのじゃないですか。機能というのは大きさの差をもってするものではないと思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  210. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、精度というのはある程度段階的な話になるわけでございます。ただいま申し上げましたように、数十メートルと数十センチということでございまして、精度が格段に違うわけでございます。そういった意味で、私どもとしては機能が違うという考え方に立っておるわけでございます。  ただ、偵察衛星が持っておりますこういった精度の高い機能につきましても、近時の科学技術の発展ということを考えますと、いずれ将来の時点においてこれが一般化するという予測はできるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  211. 川端達夫

    ○川端委員 一般化するという言葉にどうもひっかかるのです。その一般化するという部分が、軍事、民事を問わず広く世間一般に使われるという御趣旨でさっきおっしゃったわけですけれども、空から数十センチのオーダーで物を識別するというものを一般の市民が利用するということは考えられないのではないかと思うのです。地図を作成する云々でランドサットが現在民間でも使われておるのですが、それと性能が格段に違うものを広く一般にという表現だけではどうしても無理があるのではないか。国民一般、みんながそういうものを使ってその情報を得ることができるというふうに一般化されるという解釈をいたしますと、町を歩いておる人もみんな映る、今問題になっておるFFじゃないですけれども、だれでもそういうことを利用できるということにはならないと思うわけです。  そういう意味でいいますと、言葉として、ここの統一見解を出された部分の「一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛生」ということを、おっしゃるような解釈をいたしますと、永久に持てないということでしかないのじゃないかというふうに思うのですけれども、その部分の御見解はいかがでしょう。
  212. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 ただいま御説明を申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、偵察衛星が現在持っておりますような機能というのは、近時の科学技術の発展のスピードということを考えますと、いずれある将来において一般化する可能性があるというふうに考えておる次第でございます。
  213. 川端達夫

    ○川端委員 意見だけ申し上げておきますと、一般化というのは、そういう機能の進展に伴っても、やはり軍事といいますか防衛というものに対しての一般化でしかないのじゃないかなというふうに理解をいたします。そういう意味で、この表現を含めて性能が違うということであって、機能が違うのではないというふうにも思います。  そういう意味で、攻撃、破壊をするという目的でない情報収集による防衛力の行使という観点から、当然将来にわたって偵察衛星の利用というのが現実の問題になってくるというふうに予測をするわけですけれども、そういうときに言葉の遊びのような文言を残しておくということは、将来に不毛の議論を残すだけではないかというふうに心配をしているわけです。そういう部分で今後の御検討をお願いしておきたいというふうに思います。  それから、洋上の防空問題、きょうもずっといろいろ御議論がありましたけれども、昨年六月の日米防衛首脳協議において、「総合的な洋上防空のあり方を検討する」と加藤前防衛庁長官が表明をされました。また、中期防においても「洋上防空体制の在り方について、速やかに検討を行う。」というふうに書いているわけです。  これは長官にお伺いしたいのですが、洋上防空という言葉が最近とみにはんらんをしているわけですけれども、洋上防空をどういうものと認識されているのか、その必要性、想定される具体的な脅威、我が方の守るべき対象などをどういうふうに考えておられるのかということ、それから、シーレーン防衛あるいは我が国防衛全体の中でのこの洋上防空のウエートとあり方、優先順位等々について、御見解をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  214. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生御案内のように、洋上防空と申しますのは、防御対象としましては、海上交通の保護と我々称しております我が国の国民の生存のために必要な物資の輸送をするあるいは我が国防衛行動を続けていくための最低限の物資、弾薬等の輸送をする、そういった海上交通の保護、その中の一部というようにお考えいただきたいと思います。  従来、海上交通保護に際しての最大の脅威というものは潜水艦であるというように考えて防衛力整備を進めてきたわけでありますけれども、最近におきまして、潜水艦の脅威のみならず、洋上遠く離れた地域にまで行動できる足の長いハイスピードの航空機が出現をしてきたということ、さらには、その航空機あるいは艦艇等が搭載しております巡航ミサイル等の射程が従来のものから格段に延びて数百キロというような形になってまいりましたので、そういう面で洋上における船舶の保護のために防空を十分考えなければいけないという事態に立ち至ったというように考えておりまして、最近、海上交通保護の中で洋上防空というものを今後より重視をしなければいけないということを我々考えておる次第であります。
  215. 川端達夫

    ○川端委員 ことしの一月十五日から行われた日米安保事務レベル協議でも、当然洋上防空についての協議が行われたというふうに推察をいたしているわけでありますけれども、行われたのかどうか。  それから、今御答弁ありましたような洋上防空の考え方防衛大綱、別表の枠内で海上交通の安全を確保するということで日本側の説明をされたのかどうか、それを納得されたのかどうかをお伺いしたいと思います。
  216. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほどの御質問の中で、昨年前長官がワインバーガー長官と会われたときに洋上防空の話が出たのではないか、あるいはただいまの御質問で、この一月のハワイにおきます事務レベル協議で洋上防空が議題になったのではないかという御質問でありますが、実は昨年の六月、そしてことしの一月ともこの洋上防空の問題は議題にはなっておりません。  ただ、昨年の六月、日本側からOTHレーダーについて、我々としてはこの有用性というものにかなり着目をしている、ついてはその性能なり運用方法、そういったものについてデータ等の御協力をいただきたいという申し入れをいたしております。その際に、洋上防空などにも役立つのではないかということで洋上防空という言葉が出てきたと思います。同様に、この一月のハワイ会議におきましてもOTHレーダーについての我が国の検討状況等について若干議題に上りましたので、その際あるいは洋上防空という言葉も出たかもしれませんが、洋上防空そのものについての論議はなかったというのが実情であります。
  217. 川端達夫

    ○川端委員 そうしますと、新聞記事を含めまして、昨年の日米の会談で加藤長官が、「OTHレーダー、早期警戒機、要撃戦闘機、艦艇の防空システムを含む総合的な洋上防空のあり方を検討する方針を伝え、OTHレーダーに関する技術資料の提供などについて米側の協力を要請、」というふうな記事がありますが、これを受けてことしの日米安保事務レベル協議においても特に議題としては上がらなかったということでございますか。それをどうしようかということではないということですか。
  218. 西廣整輝

    西廣政府委員 おっしゃるとおりでございまして、OTHレーダーというものに対する我が方の関心を示す際に、洋上防空あるいは本土防空等に有効ではないかというような形では話が出たと思いますけれども、洋上防空そのものについて日米間で意見が交わされたり議題となって検討したということはございません。
  219. 川端達夫

    ○川端委員 先ほどの御答弁の中で明確にならなかったかもしれませんが、洋上防空の対象として物資あるいは弾薬の輸送等の海上交通の安全を守るということで、従来考えていたよりも足が長くなってきたという部分で範囲が広がってきたということで、シーレーンの商船や艦艇に対する航空的な脅威と、それからかねてからおっしゃっている有事の際の内陸の後援航空防衛というのですか、こういうふうなものを考えておられるという答弁が今までにあるわけですけれども、やはり洋上防空の範囲として大別すれば、その二つを考えておられるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  220. 西廣整輝

    西廣政府委員 洋上防空につきましては、大きくはやはり我が国土、つまり航空基地等からかなり離れた洋上にある船舶に対する航空攻撃をいかにして守るかといった、洋上を離れた部分の防空というものが主体になろうかと思います。  もう一点は、先ほど鈴切先生にお答えしたと思いますが、例えばある地域に着上陸侵攻等がもう既に行われている、そういった地域に対して増援部隊を送ったり補給物資を送る、あるいは避難民の避難をするといったようなことについて海上輸送を使わざるを得ないといったとき、つまり敵方の航空優勢下にある地域での洋上防空、海上防空をどうするか、そういった二点を一応私どもの洋上防空を研究する際の対象として考えておるわけであります。
  221. 川端達夫

    ○川端委員 かねてからそういう見解を述べておられるのですけれども、先ほど申されたその洋上防空という言葉が、新たに検討をするということも含めて研究検討されるという最近の動きを含めますと、足が伸びてきたという部分を先ほどおっしゃいましたけれども、そういう部分ではやはりいわゆるシーレーン防衛というものが新たに出てきた、距離的にも含めて。ということから、その必然性といいますか、検討するということが出てきたのであって、以前にもお述べになっているその増援船団に対する航空上の防衛でありますとか、そういうようなものは、内航海運的なもの、後で述べられた部分を含めては、今新たにこういうふうに出てきたという部分でいいますと、今まではそれなりにといいますか、洋上防空という言葉を使わなくてもそれなりの任務として既に持っていたというふうに理解をしているわけなのです。  米国の国防報告でもそのシーレーン防衛というものをはっきりと述べているわけですし、その部分の日本に対するリクエストといいますか要望というものと、先ほど日本が独自に考えている、特に日米で協議をしていない問題だというふうにおっしゃいますけれども日本が独自に考え出そうじゃないかという、あるいは提起をされている問題とか奇妙に符合をしているということを含めまして、御答弁は結構ですけれども、アメリカの思いといいますか、共同防衛体制の中での一環ではないかというふうに私は理解をしているわけなのです。  そういう中で、今おっしゃいましたOTHレーダー、あるいは早期警戒機、要撃戦闘機、空中空域など要撃ユニットをつくっていくということを検討したいということを述べておられるわけですけれども、このレーダーを導入されるとしたら、あるいは要撃ユニットを構成するとしたら、どこに所属をするということを考えておられるのか。
  222. 西廣整輝

    西廣政府委員 まず最初の件について、答弁は要らないということでございましたが、若干補足させていただきますと、従来から、内航部分といいますか、着上陸侵攻等に際しての船舶の防空については考えられておったわけでございますが、その際、従前のように長距離の対艦ミサイル等がない時点では、艦艇が持っておる対空火器あるいはミサイル、そういったもので相当有効に戦えるであろう、防御できるであろうということで考えておったわけですが、先ほど申し上げておるように、数百マイルも離れたところからミサイル攻撃があるということになると、それなりのまた新たな対抗する兵器体系というものが要るのではないかという意味で検討しておるということでございます。  なお、OTHレーダーの所属の件でございますが、これらはまだOTHレーダーそのものの採否というものを決めていない段階でありますので、まだどこということまで決めておるわけではございません。これからOTHレーダーそのものについて研究をいたし、これが非常に大事なものである、ぜひ持つべきであるということが決まった段階で、その運用はどこが持つのがいいか、従来と同じような、例えばレーダーサイト等を持っている航空自衛隊、防空を担当している航空自衛隊が持つのがいいのか、洋上であるから海上自衛隊が持つのがいいのか、あるいは統合部隊として持たせるのがいいのかということについても今後研究をしていきたいと思っております。
  223. 川端達夫

    ○川端委員 それに関連をいたしまして、当然導入をするという――検討をされているのでどうなるかわからないということの御答弁ですけれども、バッジシステムとのリンケージをどうするか、所属をどうするか、いろいろな問題があるというふうに思いますけれども、そういう要撃コニットとして設置をしていくということを考え、あるいは早期警戒機をいろいろなところで持つのは非能率ではないかというような、洋上防空に関連してはいろいろな議論があるわけです。  検討中ということでなかなか御答弁がしにくいかとも思いますが、大綱というのは一方厳然としてある、その枠の中で当然考えなければいけない、そうすれば、そういう枠の中で、大綱の枠ができたときに洋上防空という概念があるいはそう明確になったものとしてはなかったと理解するわけですが、そうであれば、洋上防空を大綱の枠内でやろうとすれば早期警戒機は航空自衛隊の一個飛行隊の中に入れざるを得ないのではないかというふうに読み取れるわけですけれども、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  224. 西廣整輝

    西廣政府委員 洋上防空に際しまして、OTHレーダー以外に仮に早期警戒機といいますか航空機を管制をする航空機が要るというようなことになってまいりますと、当然のことながら現在の大綱の枠、別表の枠組みの中でやるということであれば、その部隊は航空自衛隊が持ち得るように別表で定めておりますので、その中で考えるということが部隊の整備、運用上も最も一般論としては合理的ではなかろうかというように考えております。
  225. 川端達夫

    ○川端委員 そういう枠内で検討をこれからされようとする要撃ユニットを含めたものが、機能の果たし得る十分なものであるというふうに御認識されておるのでしょうか。
  226. 西廣整輝

    西廣政府委員 まさに今研究中でございまして、その答えは難しいわけでございますが、ただ、一つ申し上げたいのは、洋上防空というのは、広い洋上、海の上という、そういう地域、海域を守るというわけではございませんで、守るべきは我が方の船舶であるということでございますので、本土防空のようにべたにその地域を守るというような必要性はありませんので、国土を守ると同様の密度の防空力が要るとか、そういうことではないということは御理解いただきたいと思います。さらに相手方としても、出てくるについては、それなりのそういう長距離爆撃機等についてはそう数多く持っておる国というのはございませんし、それが早期にOTHレーダー等で動静が把握されてしまうということになると、それなり行動の自由というものが縛られるわけでございますから、我々としてはやはり洋上でもその種の長距離爆撃機等に対応し得る措置を持っておるということがまず大事ではなかろうか、それほど多くの兵力が果たして要るのだろうかどうか、そういったことについても十分研究をいたしたいというふうに考えております。
  227. 川端達夫

    ○川端委員 平時の防衛力による抑止力というのはそれでわかるのですが、有事の際にどういう態勢を組むかというのも、当然、いろいろと防衛力の整備ということでいいますと、保有するかどうかは別にして、いろいろ御議論のあるところでありますけれども、全般的にこの防衛議論というものをいろいろ見聞し、例えばきょうでもお聞きをしたというふうなことのときに、検討中であるということはよくわかるのですけれども、アメリカとの日米安保条約に直接関係するということでなくても、共同の防衛体制というものでのいろいろな協議というものは当然ふだんからされているわけですから、そういうものでいろいろ約束と言うと言い過ぎかもしれませんが、両方が理解をして体制を整備していこうというふうに考えて相互理解をして進めるという部分を、大綱の枠というもう一方の枠の中で国民の前に明らかにしないまま、つじつま合わせ的な行動というふうに類推をされる事態が非常に多いというふうに常々感じているわけなのです。  国の守りである防衛というのは決してタブーではないと思いますし、休憩に入る前の議論でも、国民の理解と協力が得られるような時期になるまでというニュアンスの御答弁があるわけですけれども、それはおっしゃるとおりであっても、しからばそういうことを醸成するための努力をされているのかどうか。国民の方からこんなのをやったらどうだということを言うはずはないわけなのでして、問題提起をされるのもやはり政府責任ではないかというふうに認識をするわけです。  この洋上防空問題に関しても、マスコミあるいは専門家の間での議論とこの場なんかで議論する部分とが余りにもずれるような印象をぬぐい切れないわけなのですけれども、そういうことに関してはどんな認識をお持ちなのでしょうか。
  228. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生申されました、国民に十分理解をしていただくように防衛庁としても最大限の努力を払わなければいけないということは全くそのとおりでございますが、洋上防空について若干補足させていただきますと、先生はアメリカ側の要望がかなりあってというような御理解ではなかろうかと思いますが、私どもはそうではなくて、世界の軍事技術というものが今まさにそういう方向に動いておる、例えばクルージングミサイル等がどんどんふえてきて、航空機等が艦船等を攻撃するためにそれが多用されるような時代に入りつつあるということで、期せずして米側日本側も同じような認識に立ったのではなかろうかというふうに考えております。  また、洋上防空といいますか海上交通保護の深刻さについては、アメリカ以上に日本の方が、海外依存度といいますか、いろいろの物資等を海外から運んでくる必要性があるということでより深刻でありまして、米側としては、主として自分たちといいますか海上部隊の行動をいかにして安全を守るかといった軍事的な目的が中心になろうかと思いますが、日本の場合はそうではなくて、国民が生存していくための海上輸送の確保といったことを十分考慮しなければいけないという点で、シーレーン防衛、洋上防空は日本にとってより深刻な問題であるというように考えているわけでございます。
  229. 川端達夫

    ○川端委員 そういう御答弁が多いのですけれども、私が申し上げたいのは、例えば今話題にしました洋上防空の問題あるいはシーレーン防衛の問題、そういうもの自体が日本にとって非常に大事であるということは、もちろんそれは十分理解をしているわけですけれども、そういう言葉があらわれてくるきっかけが、いつも日米の防衛のいろいろな会議のときから、あるいはアメリカに行かれた後からというのが多いように思います。そういう意味では密接な関係があるというか、アメリカが大事よりもむしろ日本の方が大事なのだという言い方はわかるのですけれども、共同的な防衛体制というものの中に位置づけられているのは当然だと思うのです。いけないと言っているわけではなくて当然だと思うのです。  しかし、そういう部分を、議論としては、大綱の枠を守るという見地から、あるいはアメリカと一緒にいろいろなことをするということも、なぜなのかわかりませんけれども言葉を慎重に選ばれて、日本が独自に考えているというようなことを含めて国民に非常にわかりにくいことばかりの積み重ねになってきているというふうに率直に感ずるわけです。  先ほど申しましたように、日本防衛というものは、本当に国民の生命、財産を守るという見地から、もっと国民に対しても、オブラートに包んだような、アメリカとの間で言うことと国民に対して言うことが違うということじゃなくて、真っ正面に対応していかなければ、どこかでつじつまが合わなくなって、だんだんたってくると、別表の枠は大綱とは別に動かしてもいいんだというふうな、そして何かまたそこで議論を呼んでしまうというふうな、本来防衛はどうあるべきかという議論以外のところでエネルギーが消耗されてしまう。有事立法にしても私は同じことだと思うのです。そういう部分では、これからの防衛論議ということで、防衛庁の姿勢としてももっと国民の前に本当に必要なものは明らかにして、国民の議論を経てやるというイニシアチブをとられることを切に要望するわけです。  この質問で最後にしたいと思いますので、この点に関して防衛庁長官に御所感を賜りたいと思います。
  230. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 防衛問題を国民的にわかりやすく議論をする環境をつくることは非常に大切だと思います。  ただ、我が国防衛というのは、御案内のとおり憲法の中で専守防衛、それから日米安保につきましても、日本が攻撃されたときにアメリカがサポートするので、アメリカがやられたときに日本がサポートするというものではないですね。したがいまして、この特性自体がいわゆる防衛問題、軍事問題をわかりやすく議論をするということを多少阻害しているのじゃないかと思います。しかし、そういう範囲内でありましてもできる限りわかりやすく論議をする。私は正直言いまして、特定の考え方に余りこだわることなく、広く防衛問題が論議されるように、そういう意味で発言をしているわけでございます。
  231. 川端達夫

    ○川端委員 ぜひとも趣旨をお酌み取りの上、今後の前向きな議論がされるように御努力されることを、有事法制も含めましてお願いして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  232. 石川要三

    石川委員長 次回は、来る三十日木曜日午前十時十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十八分散会