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1986-10-23 第107回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十三日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 石川 要三君    理事 北口  博君 理事 竹中 修一君    理事 戸塚 進也君 理事 船田  元君    理事 宮下 創平君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君 理事 和田 一仁君       甘利  明君    有馬 元治君       今井  勇君    内海 英男君       大村 襄治君    鴻池 祥肇君       佐藤 文生君    武部  勤君       月原 茂皓君    前田 武志君       宮里 松正君    谷津 義男君       大原  亨君    角屋堅次郎君       田口 健二君    野坂 浩賢君       市川 雄一君    斉藤  節君       川端 達夫君    児玉 健次君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 玉置 和郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         内閣総理大臣官         房審議官    本多 秀司君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局長      佐々木晴夫君         総務庁行政監察         局長      山本 貞雄君         総務庁恩給局長 品川 卯一君         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  千秋  健君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       友藤 一隆君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      依田 智治君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 鎌田 吉郎君         防衛施設庁長官 宍倉 宗夫君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      岩見 秀男君         防衛施設庁労務         部長      西村 宣昭君         外務大臣官房審         議官      渡辺  允君         厚生省援護局長 木戸  脩君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局審議官  大城 二郎君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  芥川 哲士君         外務大臣官房審         議官      長谷川和年君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ───────────── 委員の異動 十月二十三日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     甘利  明君 同日  辞任         補欠選任   甘利  明君     河野 洋平君     ───────────── 十月二十二日  地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務整理及び合理化に関する法律案内閣提出第一四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)      ────◇─────
  2. 石川要三

    石川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 きょうは、当委員会に上程をされております国家公務員災害補償法基礎にしながら、若干の質問をいたしたいと考えております。当初持ち時間がもう少しあったのですけれども、一時間の持ち時間範囲内ということになっておりまして、後ほどに上原委員からも御質問いただいて午前中に終わるということになっておりますので、それを前提にしながら御質問申し上げたいと思います。  最初に、私はこの質問に入るときに、他の質問関係もありまして、後藤田官房長官の御出席も求め、玉置総務庁長官もあわせて、過般、待望の人勧のことしは完全実施ということがようやく実現をいたしまして、そのお礼も申し上げなければならぬと思っておったわけであります。後藤田官房長官は、この点では内閣の中枢にあって随分苦労されてきた大臣でありますし、また玉置長官は、病身にもかかわりませずこの人勧完全実施の問題では大変な御努力をされまして、八年ぶりという見方もありますけれども、六年ぶり完全実施ができたということについては、公務員出身の私としても、この機会に両大臣に心から厚くお礼を申し上げたいと思うわけでございます。  しかし、人勧問題はこれで次に進めると思っておったのでありますが、たまたま閣議決定の後、後藤田官房長官人勧の見直しとかいろいろなことが報道されておりまして、これは一言申さなければならぬということに相なったわけであります。  申し上げるまでもなく、人事院給与勧告というのは、人事院総裁もおいででございますけれども、これは公務員労働者労働基本権制約する代償として、労働条件もございますけれども、そういう給与については勧告権がちゃんと認められておるわけでありまして、内閣立場とすれば、これを最大限尊重して実施していく、こういう立場でございます。国会内閣も、人事院調査に基づいて勧告が出てまいりますれば、これをそれぞれいただくわけでございまして、それに基づいて議論をするという立場でございます。  私は、ベテランの後藤田官房長官人勧完全実施のときになぜああいう発言をしたかという真意が、率直に言ってわからないわけであります。一つには、給与関係閣僚会議で塩川君以下いろいろ議論が出た、それも念頭に置きながら記者会見ではしゃべらなければならなかったのかなと思いますが、そうじゃなくて、これからの人勧の問題については、発言のような形で政府側から人事院に、直接ではありませんが言い知れぬ圧力を加えて、来年度以降の勧告影響を及ぼそう——後藤田さんと人事院総裁内務官僚先輩後輩という関係もある、これは中曽根さんもそうでありますけれども、そういう圧力に屈する総裁ではありませんが、そういうこともあるのかと、あるいはあの発言によって、来年以降勧告がもしちゃんと出てくる場合には丸々はやらぬぞという、そういう前哨戦としてああいう発言をしたのか、その辺の真意が、後藤田さんほどのこの問題では苦労されてきた人の発言としては私には理解しかねるのであります。その辺のところをまずお聞きしたいのであります。
  4. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 人事院給与勧告制度、そしてそれを最大限尊重しなければならぬという政府の置かれている立場、これについては角屋さんが今おっしゃったとおりであろう、こう私は思うわけでございますが、この勧告取り扱いに当たりましては、いつも国会等でもお答えをいたしておりますように、最大限尊重しながら、国政全般との関連を考えながら政府としてはやっていきたい、こうお答えしておるわけでございます。  基本勧告どおり実施するということでしょう。しかし、同時に、国政全般というのは、一つ財政の問題があると思いますが、もう一つ私の頭の中にあるのは、公務員給与についての国民感情、これをやはり政府としては尊重するということを念頭に置かなければならぬと思っておるわけでございます。  最近のように物価が比較的安定をしてきたという状況のもとにおいては、官民給与の較差を調べて御勧告なさっているのですから、その分だけは公務員の方が下回っておるという実態であることは言うまでもありませんが、しかしながら、物価が安定をしてきますというと、今回だけではございません、前の官房長官時代から既に経済界等中心に、公務員給与というものはいわゆるベースアップの物の考え方でなくて、物価が安定した以上はやはり定期昇給制度によってやるべきではないのかといった意見がございました。しかし、私はそれにはまだそういう時期ではないとお答えをしておったわけでございますが、たまたま本年度勧告実施をするという給与関係閣僚会議においてもそのような御意見が出てきたわけでございます。しかしながら、政府としては、従来からの基本的な方針について官房長官談話趣旨も再度にわたって発表しておるしといったようなことで、やはり勧告どおり実施するということについせんだって決定をしたわけでございます。  その過程において、今のような議論も出ましたし、同時に、最近のように不況業種がたくさん出てきて多くの勤労者整理を行わなければならぬというちまたの厳しい状況のもとで、事情はわかるけれども公務員だけを今の時期に単に引き上げればいいという決定をすることについてのやや戸惑いの気持ちではないかなと思われるような御発言があったわけでございます。そういったようなことの関連で、私はこの給与決定をした際の新聞記者会見でそういう意見を披露したわけでございます。  その披露したときに、制度をすっかり変えてしまう、つまりベースアップからいきなり定期昇給に切りかえるという段階のもう一つ中間段階の物の考え方があるのではないのか、それは御案内の五%条項というものがある、現在の制度の中に人事院の裁量の範囲の中において考えてしかるべき規定があるので、それの運営ということもあり得るのではなかろうか。もちろんこれは政府の当局の者である私の立場人事院にこうしなさいなんということを言っているのじゃありませんよ、これははっきり申し上げておく。しかし人事院自身の御判断でそういうことを勉強していただかなきゃならぬ中間の措置というものがあり得るのではないか、こういうことを私は記者会見で申し上げたわけでございます。それがああいったいろいろな新聞での書き方になったのだ、かように御理解をしていただきたいと思います。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の後藤田官房長官の御答弁自身が、元来人事院機能として持っておる人事院勧告権限について、いわば公務員労働者を使用する立場にある政府勧告権に対する介入的発言だというふうに率直に思うわけであります。  申し上げるまでもなく、この五%条項以内の勧告をするかどうかの問題は、まさに人事院自身がみずから判断をして決定すべき権限を与えられておるのです。過去の人事院ができましてから今日までの状況を見てまいりますと、人事院勧告というのは、昭和二十九年の時点では報告のみで勧告なしという形はございましたけれども、あるいは中身について抜本改正やいろいろな問題を含んだ年がありましたけれども、いずれにしても昭和三十五年八月八日以来今日まで、いかなる経済情勢のもとにあれ勧告がずっとなされてきて今日に及んで、ことしの場合は二・三一%の勧告ということになっておるわけであります。  例えば、後藤田さんから五%条項以下のものについて考えろと言わんばかりの発言がございましたけれども、これまでの中でも勧告が一番大きかったのは例の第一次オイルショックのときの二九・六四%で、その翌年の一〇・八五%、四十八年の一五・三九%というのは異常な状況のもとでの勧告でありますが、最近の例からいきましても五十三年の八月には三・八四%、五十四年の八月十日には三・七〇%、五十五年の八月八日には四・六一%、五十七年の八月六日にも四・五八%といった形で、要するに人事院は、民間準拠ということもございまして四月の民間賃金引き上げを百人規模以上のところで一定の物差しに基づいて精密な調査をして、八月の時点勧告するという形で今日まで来ておるわけでありまして、人事院制度制度が変わらない限りは、人事院立場としては民間とおくれをとらない国家公務員給与を、これは地方公務員にも連動するわけでありますけれども勧告することは当然のことでありまして、五%条項ということからいけば、従来も人事院の独自の判断に基づいて、みずからの権限に基づいて今言ったような形の勧告がなされてきておるわけであります。  もしその五%条項以下のところ、中間ということを言われましたけれども、そういう形のかげんをするということになりますと民間とのバランスがとれないといったようなことになりますし、極端に言えば見送るということになりますと、翌年度に持ち越せばその年の春闘よりも人勧が非常にオーバーする、公務員給与引き上げ民間よりも大きいじゃないかというようなことで、国民の方に人事院公務員給与勧告制度に要らざる批判や不信を招くということになりかねない。  同時に、この人勧制度における勧告というのは、言うまでもなく恩給年金、いろいろなものとの深いかかわりを持つ問題でありまして、また、きょう議論しております国家公務員災害補償法最高限度額あるいは最低限度額、これが新しく設けられるわけでありますけれども、これは労災の場合、前年の八月に決めたものを、公務員についてのベースアップ分を考えて、その次の年の四月に国家公務員災害補償法における最高最低を決めていくということに相なるわけでありまして、民間の賃上げが全体的に山坂はございましてなされても、これを見送るということを恣意的にやるということに相なった場合には、恩給年金、さらには国家公務員災害補償法改正点に示されておる最高限度額なり最低限度額というところにも影響を及ぼすことになるのであって、これは恣意的にやるべきことでは断じてないのであります。  殊に公務員は、抑制され凍結され、また抑制されて、今日ようやく六年ぶり完全実施、その間に公務員労働者は、通常の者でも数十万円、多い者では百万円以上という被害をこうむっておるわけであります。そういった形の中で、今言ったような人事院が法に基づいて勧告権を独自に持っておるということに制肘を加えるような内閣としての発言は、厳に慎むべきものであると思うわけであります。  この際、人事院総裁勧告に対する基本的な姿勢というものについて御答弁を願いたいと思います。     〔委員長退席船田委員長代理着席
  6. 内海倫

    内海(倫)政府委員 今回の官房長官の御発言につきましては、ただいま官房長官からいろいろ御説明がございましたとおりでございますが、私どもはただいまの委員の御発言といささか違いまして、政府から圧力をかけられたとかあるいは介入をされたとかというふうには決して受けとめておりませんで、完全実施に際して閣僚会議においていろいろ出た御意見等は、使用者という立場から御意見があったもの、こういうふうに受けとめております。  私ども人事院勧告というものについては、今までもたびたび私ども考え方を申し述べておりますとおりに、これはいわゆる労働基本権制約されております国家公務員について、その機能代替として、勤務条件あるいは給与というふうなものについて法律に基づいて国会及び内閣勧告をいたしておるのであります。     〔船田委員長代理退席委員長着席〕 そしてまた、この機能が的確に作用しないと、これは公務部内における労使関係に非常に大きな混乱を起こすわけでございますから、私どもは極めて重要な問題として今までもこれを行ってきておるわけであります。  ただ、勧告そのものにつきましては、私どもは決して形式的に行っておるわけではございませんで、やはり民間給与との厳しい調査による比較、あるいは社会経済情勢をにらみ、さらに失業その他の状態、物価情勢その他も、我々で考えられるものにつきましては十分これを勉強し、さらに職員団体意見も十分聞いておりますし、反面また使用者としての政府側で出てくるいろいろな御意見も耳に入れて、その上に、国民の信を失うようなことであってはせっかく公務員というものが仕事をしようにもこれはできませんから、国民の信頼を得る、国民の信にこたえるということも考えなければいけない、こういうふうなものを十分考えた上で、しかしながら、先ほど言いましたように、基本的にこれは労働基本権制約代替機能というものに十分な意をいたして勧告を今までも行ってきておりますし、今回以降もまた行うつもりでおります。  五%問題につきましても、在来私どもが申し述べておりますとおり、基本の原則に立ってこの問題は考えていくべきもの、こういうふうに考えております。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 この問題については、いずれ人勧完全実施に伴いまして一般職給与についての一部改正法案が出てまいるわけでありますから、その機会同僚議員からも当然議論があると思います。  この人勧制度にかわって、公務員労働者労働基本権を与えて新たな角度でやるというなら問題は別であります。しかし、公務員労働者に対する労働基本権制約代償機関として人事院設置をする、第三者機関として給与についての勧告権を持つという立場現行法制上とる限りにおいては、今の後藤田官房長官発言については、これは人事院勧告権に対する不当な介入であるというふうに私どもは言わざるを得ないかと思います。しかし、次の幾つかの問題の議論をしなければなりませんし、いずれ給与法案が出てきたときに同僚議員からも議論があることと思いますので、次に譲ります。  次は、戦後処理問題。これは官房長官みずから手がけられた問題でありますけれども、特に戦後処理問題で恩給欠格者の救済問題とか、あるいはシベリア抑留者に対する問題の対策をどうするかとか、あるいは引揚者の在外財産補償の問題をどうするかとか、その他いろいろ、いわゆる戦後処理問題懇談会で取り上げた問題以外の戦後処理問題は幾つかあるわけでありますが、きょうは、そのうちシベリア抑留の問題について少しく官房長官にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  私自身も当委員会で、シベリア抑留の問題あるいは恩給欠格者の問題、在外財産の問題、いわゆる戦後処理問題懇談会私設諮問機関として設置をされる、五十九年十二月に答申が出てくるといったような段階議論をしてきた経緯がございますが、それには深く触れません。本日お聞きしたいのは、この間のダブル選挙前に自民党の三役が、いわゆるシベリア抑留関係団体の強い要請に対して、次期臨時国会では法案を出してそれを処理するようにいたしたいという趣旨において覚書を出しておる。こういうことで、十五日には党と政府首脳部シベリア抑留の問題の取り扱いをどうするかということで議論が持ち越しになったというふうに承っておるわけであります。  終戦の時期に非常な混乱の中でソ連の東北への侵入があり、そして酷寒の地シベリアに抑留されて大変な苦労をなめ、多数の方が亡くなり、また強制労働の中でそれに耐えてようやく帰国した方々、亡くなられた方々があるわけであります。戦争が終わって戦地から帰る場合は、いずれの地域といえども困難があったと思うのでありますけれども、特にシベリアの場合は特別の厳しい条件下において苦労した。もちろん恩給法における抑留加算等の問題がありますけれども、私自身も、シベリア抑留の問題についてはしかるべき前向きの検討が必要ではないかと考えておる一人であります。  それはそれとして、今言っておるシベリア抑留の問題について、シベリア抑留の本人あるいは遺族を中心にした議員連盟、こういうところから同日選前の先ほど申したようなことと関連をし、あるいは巷間伝えられるところによれば、そういう抑留者に対して時期の問題等も加味しながら五十万から百万円のものを特別給付金として与えるといったような形で法案も準備しておるというふうに承っておるわけでありますが、政府としてこのシベリア抑留の問題について、十五日には党と政府関係における話し合いが持ち越されたわけでありますけれども官房長官としては全体の取りまとめ役としてどういう姿勢でおられるのか、この機会にお伺いしたいと思います。
  8. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いわゆる戦後処理問題については、各方面から何らかの新しい処置をとるべしという極めて強い御要望もあり、またこうした方々の置かれておる立場を考えますと、やはり私どもとしてもこういった方々心情というものには深い理解を示していかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。  御案内のように、四十二年に戦後処理の問題はこれで一切終わりであるという政府方針も発表せられておるわけでありますが、その後、いわゆるシベリア抑留であるとか恩欠の問題であるとか在外資産補償の問題であるとか、こういった問題が出てきて、戦後処理問題懇談会を改めて開いて、こうした人たちの置かれておる立場心情にどうこたえるべきであるかといった御議論を願ったわけですが、やはりその懇談会結論としては、個別の補償はこれ以上やることは差し控えるべきである、しかし何らかの慰謝の事業をすべきであるということで基金を設けるべしということになり、現在、六十年、六十一年と二年間にわたってそれぞれ一億円の、それならば基礎調査をすべしというということで調査費がついて、今その調査のさなかでございます。そのさなかに同じ課題について別の処置をやるべし、こう政府は言われておるわけでございますが、それはなかなか政府としては困難である、調査の結果を待たなければならないというのが一つ考え方。  それと同時に、シベリアの問題については、これは特に角屋さんがおっしゃるように厳しい条件のもとで労働に服されたというようなこともあり、なお一層気の毒だという気持ちは私も十分わかっておりますが、しかしやはりこれは他への波及、つまりはほかの戦後処理の問題、こういったようなことも考えなければならぬし、同時にまた財政上の負担がどの程度になるであろうかといったようなことも、こういう厳しい財政状況のもとでは政府としては考えなければならない。  世上、大蔵大臣なり内閣官房長官も党の三役の覚書というものに同じように署名をしておる、こういうことが言われておりますが、実は署名はいたしておりません。こういったことを考えて、政府としては今調査をしているんだからというようなことで署名は差し控えさせていただいておる現状でございます。  そういったことを踏まえながら、ついせんだっても政調会長のところに両大臣出てこい、こういうことでございましたので、お伺いをして政府の今の気持ちを率直に申し上げ、そこでそれでは改めてさらにまたしかるべき時期に協議をしようということに相なっておって、今結論を出してない、かように御理解を賜りたいと思います。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 シベリア抑留の問題を含む戦後処理問題というのは、特にシベリア抑留の問題については今言ったようなダブル選挙前の自民党の動きと関連をして浮上してきた問題でありますが、当委員会には恩給の小委員会あるいは在外公館の小委員会、あるいは玉置大臣非常に御熱心に取り組んでおられますいわゆる同和地域における改善対策の問題についての小委員会というふうなものもございますので、事態の推移を見ながらそういうところでも議論をする機会があろうかと思います。そのときに譲りたいというふうに思います。  次は、戦後処理問題の中で、戦後処理問題懇談会で取り上げたわけでもございませんし、その他の機会にも台湾兵の問題とかいろいろな問題、あるいは原爆の投下による原爆被災者の援護法問題といったようないろいろな問題がございますけれども、まさに戦後処理問題ということでは、次に取り上げます中国残留孤児問題というのはこれまた非常に大きな戦後処理問題だというふうに私は思うのであります。  私自身も旧満州に、学校を上がって満州の大同学院を卒業してそこで仕事をやっておったわけでありますから、家族も行っておったわけでありますし、たまたま召集になりまして家族が帰ったからこの残留孤児の事態というのは私自身は避けられましたけれども、同僚その他の関係から見ても人ごとでないという気持ちを持っておりますし、同時に、そういう個人的な気持ちを乗り越えて、中国残留孤児問題というのは戦後処理の非常に重要な、政府としても国民としても大きな問題であるという認識に立っておるわけであります。  同時に、中国残留孤児問題というのは、基本的には日中友好の立場とそしてまた人道主義的な立場という二つの面を考えながらやらなければならぬ。相手国がございます。孤児がいわゆる養父母の手によって成長し、社会に出て活動できる条件を得たというのは、養父母を含めた中国の温かい御配慮であって、我々としては感謝しなければならぬと思いますし、また、中国残留孤児問題を取り扱う場合には、養父母に対する対策の問題とかあるいは国費による帰国問題についても中国側と話し合いをしながらやってきておることは、これはもう従来の経緯から見て当然のことであります。  したがって、そういう経緯に基づいて、養父母の点については六十一年五月九日に、ここにおられます当時の今井厚生大臣と呉学謙外交部長との間で双方の合意ができまして、月額六十元、支払い期間十五年ということで合意を得て、既に第一次の支払いがなされた。自後そういう支払いがなされていくという一面もございます。  この金額がそれで十分であるかどうかには私自身意見はありますけれども、そういうことで日中間の双方による中国残留孤児の帰国問題あるいは養父母に対する援護問題というふうなことは話し合いの中で進んできておるわけでありますが、何といっても向こうで残され養父母の手で成長し、そして祖国に帰りたい、帰国しておる親が見つかって、あるいは肉親に会って、それでテレビを通じて出てくる場面というのは、我々まさに胸迫る気持ちを持つわけであります。中国残留孤児問題についての日本側の体制というものは、この間から、戦後四十一年この問題の政府姿勢が問われておるというようなことで朝日新聞その他大きく報道されておることも御案内のとおりであります。  とにかく現在中国に残っておる孤児が千八百十三人、これは日中で確認した人数であります。既に帰国済みの者が三百二十二人、中国残留の日本人孤児というのは二千百三十五人、そのうちで現在まだ中国に残っておる孤児数が千八百十三人、こういうふうに厚生省の確認ではなっているわけであります。これにプラスアルファは当然あると私は思いますけれども、そういう点では大量帰国時代を迎えようとしておるということが言えようかと思います。  厚生省としては、この千八百十三人のうちで大体千世帯ぐらいが帰ってくるであろうという想定に立って、来年度予算要求等も含めてこれからの対応にプラスアルファをやっていこうという姿勢にあることは私自身も承知をしておるのであります。大体平均一世帯四・五人ということでありますから、大量帰国時代を迎えて相当数の者が帰ってくるという時代に入る。第一次が昭和五十六年三月になされてから以降今日までに千二百四十二人訪日調査に来ておる。今来ておるのも含めますと、またプラスしますけれども。  そういう形の中で帰国状況を見ますと、永住帰国者が三百二十二人、身元判明者が二百九十人、訪日の際の身元未判明者で永住希望者として来ておる者が三十二人、一時帰国者が四百二十一人といったような帰国状況に相なっておるわけでありますけれども、これから千世帯あるいはそれをオーバーする人たちを迎える時代に入る。国費による帰国の問題については、スピードアップする必要があるというように基本的に思います。  これらの問題についてはボランティアのいろいろな団体ができておりまして、ある意味においては涙ぐましい努力をしておられる。もちろんこれはそういうボランティア活動にもまたなければなりませんが、この問題の本来の基本的性格からすれば、政府が本腰を入れて我が同胞を迎えるという基本姿勢がなければならない。だから、帰国を制限するといっては表現が必ずしも適当ではありませんが、帰国をいろいろ計画して、そして年のいかぬ前に早く日本語を覚えたい、仕事を覚えたい、安心して定着したいという残留孤児の希望からすれば、必ずしも十分それにこたえているとは言えない。受け入れ態勢についても極めて不十分である。決算委員長のときに所沢のセンターにも参りましたけれども、あれではいささかどうかと思うし、来年度予算要求では五カ所新しくサブセンターをつくるということで、厚生省の見解によれば、大阪と福岡にはつくりたい、あと幾つかの候補の中で三つのものを選んでいきたいという説明もございましたけれども、そういった形の中で受け入れ態勢をさらに進めていくということは結構なことだと思うのですけれども、それだけでは必ずしも十分でない。  いわゆる父も母もわからない、肉親もわからない、しかし日本に帰るという者に対しては、帰ることについて昨年以来それを受け入れるという姿勢をとっておるわけでありますが、これの就籍問題はなかなかはかどらない。これは法務省関係、特に裁判を要する問題でありますけれども、要するに日本人の国籍を得るための就籍問題あるいは戸籍に入れる問題、いろいろな問題がなかなかはかどらない。日弁連あるいは東京弁護士会なんかから積極的な提言がございます。  本来これは国の責任において特別立法で受け入れ態勢あるいはこれからの安定促進対策というものはきちっとやるべきである。それにはやはりボランティア活動を補完しながら、国民的な理解と協力を支えとしながらそういうものを推進すべきだ。その点では極めて不十分であると言われておるわけでありますけれども、こういった問題に対して後藤田官房長官から、政府として、これまでの点について私は必ずしも十分でなかったと思いますし、いよいよ大量帰国時代を迎えようとするこの時期において、どういう姿勢でこれに臨もうとするのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  10. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いわゆる中国残留孤児問題、私はこれは極めて重要な課題である、かように認識をしておるものでございますが、政府としましても、厚生省を中心に全省庁一体のもとに、そして地方団体、さらにまた国民各界各層の協力も得ながら今日までこの問題に取り組んできておるわけでございます。  御指摘のとおり、この問題は、過去の戦争に対する反省といったようなものも含めながら、人道問題であるし、同時にまた中国との間の外交の課題でもある。そして同時に、引き揚げてこられて日本に定着しようとする方々に対する住居なり職業なりあるいは教育なり、あらゆる面における援護の措置をやらなければならないという極めて幅広い課題である、かような理解のもとに、この中国残留孤児問題懇談会の御提言等をも踏まえながら、その線に沿って政府としては精いっぱいの努力をしておるのが今日の実情でございます。  角屋さん御指摘のように、これではまだまだ足りないのではないかといったような点もあるいはあろうかと思いますが、そういった点については、政府は実態に即しながら全力を挙げて中国残留孤児問題の解決に向けて努力をしていきたい、かような決意でございますので、政府の誠意のあるところは御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 玉置総務庁長官大臣の方には、御健康のことも考えておりますが、給与担当大臣として人勧問題のこともございますし、またシベリア抑留問題ということになると、恩給はまさに総務庁直接の所管であります。恩給だけの問題ではありませんけれども、これは抑留加算という形が既にとられているわけでありますが、シベリア抑留に対する対策問題で出てきておる問題、それから今言った中国残留孤児問題はまさに極めて重大な戦後処理問題の課題であるが、これが必ずしも十分やられてない。いよいよ大量帰国時代を迎えて本腰を入れてやらなければならぬ。こういう問題については、人員の問題、施設の問題ということになるとこれは総務庁の審査問題というようなことにもかかわってくるケースがあろうかと思いますけれども、今取り上げておる諸問題について、大臣から御答弁を願いたいと思います。
  12. 玉置和郎

    玉置国務大臣 今お尋ねいただきました三つの問題、官房長官から御答弁がございまして、その範囲を出るものではございません。立派な御回答であったと思います。  しかし、閣僚の一人になったら言いにくいですな。とにかくシベリア問題なんか、私は党の総務会で推進者であった。しかし、閣僚となってきたらなかなかどっこいそうはいかぬ。そういうことを考えてみましたときに、そういう政党政治の中で総務庁長官としてどういう立ち回りをしたらいいのか、そういうことを踏まえて頑張っていきたいと思います。  一番最初の問題の人勧ですが、官房長官の御答弁にありましたように、人事院の中立性、こういう法則性を犯すということは毛頭考えてないと思いますが、国民の中にいろいろな話があります、国政を担当する者の中にもいろいろな話があります。深刻な民間の構造不況の中で情け容赦なく首を切られていく人たち、その人たちの実態を見たときに、やはり当然ああいう声がいろいろと出てきて、そしてこれは国政全般を見守る官房長官としていろいろな御配慮があったのではないだろうか。ミスター人勧を自負します私でも、やはりそういうものに耳を傾けなければいかぬ時期に来たのかなということでありまして、実は個人玉置としてもそういうふうに思っておるわけであります。  最後の中国残留孤児の問題ですが、今話を聞いてなるほどなと思ったのですが、私の兄貴も大同学院で巴彦県におりまして、東溝県で兵隊にとられて、姉が晋悟、研悟という男の子を首を絞めて殺して、そしてピストルで自殺した。私、あのテレビを見ながら、晋悟、研悟が巴彦県におりましたときに行ったものですから、首を絞めたが生き返って、来ておるのではないかなという感じがふとします。それだけにこの問題について非常に関心を持っておりまして、もう少し何とかならぬかなというふうに思っておりますが、関係各省ともよく相談をしましてやっていってみたい、こう思います。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 特に最後に取り上げました中国残留孤児の受け入れ態勢、これからの定着に対する政府の施策という問題については、厚生省関係からは来年度予算で新たな発想等も含めて予算要求が出ておりますが、私はこれだけでは極めて不十分だというふうに基本的には思っておるわけでありまして、そういう問題も含めて、積極的な姿勢で臨んでもらいたいということを両大臣に強く要請しておきたいと思います。  次に、玉置大臣が御就任以来非常にハッスルいたしまして、農林水産省の農協の調査をやる、あるいは外務省のJICAの調査をやる、あるいは在外公館まで手を伸ばしてやろうか、こういうことでいろいろハッスルしておられるわけであります。私もその動きを見ながらびっくりしておるのでありますが、病身のお体を少しいたわられてはどうかという気持ちもあるわけであります。  私は、国会で二十八年農政を基本にやってきた立場でありまして、農林水産大臣と農政問題で議論するというのは当然のことでございますけれども総務庁長官と農政問題でやるという気持ちはさらさらございません。  それはそれとして、きょうは、総務庁設置法の立場、あるいは各省設置法皆共通項でありますけれども、そういう立場で、総務庁が実施する場合の監察、調査というのはどういう性格のものであるかということについて、基本的な問題でお尋ねをいたしたいということで、内閣法制局長官の御出席を願ったわけであります。  そこで、後ほど災害補償法にも一、二点触れたいと思いますので簡潔に申し上げますが、総務庁の場合のことで言えば、総務庁設置法で、これは五十八年十二月二日に法律第七十九号として新たなスタートを切ったわけでありますけれども、この中で第一条に「目的」があり第二条に「設置」があり第三条に「任務」があって、その「任務」の中では「行政機関の業務の監察」ということが書かれております。第四条「所掌事務及び権限」のところでは、「総務庁の所掌事務範囲は、次のとおりとし、その権限の行使は、その範囲内で法律法律に基づく命令を含む。)に従つてなされなければならない。」ということです。  今、国の機関についての監察というのは内部監察で当然やられるわけでありますから、私はそのことについて言うわけではございません。この第四条の第十一号のところで特殊法人の問題について明定しておるわけであります。この明定を受けて、第十二号のところでは「各行政機関の業務の実施状況を監察し、必要な勧告を行うこと。」ということで、各省庁に総務庁がやる監察それから必要な勧告はそういうことでやられるわけでありますが、第十三号では「前号の監察に関連して、第十一号に規定する法人の業務及び国の委任又は補助に係る業務の実施状況に関し必要な調査を行うこと。」となっておるわけであります。この関係で、第四条の「所掌事務及び権限」ということで、この権限を逸脱してやるわけにはいかぬわけでありまして、この権限に基づいてやる場合に、十二号の「各行政機関の業務の実施状況を監察し、必要な勧告を行うこと。」というのはストレートに行われる問題でありますし、第十三号の「前号の監察に関連して、」農協の場合で言えば「補助に係る業務の実施状況に関し必要な調査を行うこと。」ができる、そういう問題がございますし、「国の委任」という場合は、特殊法人あるいは地方公共団体の場合はそういうことが入ってまいります。  それから、そういう面で、第五条第五項、長官の権限のところで、「長官は、各行政機関の業務の監察に関連して、第四条第十三号に規定する業務について、書面により又は実地に調査することができる。」ということが書かれておるわけでありまして、これは「第四条第十三号に規定する業務について、」というふうに、しかもこれは「各行政機関の業務の監察に関連して、」というふうになっておるわけでありますが、法制局にお伺いしたいのは、今言った第四条「所掌事務及び権限」における十一、十二、十三号の中で、特にJICAの調査問題あるいは農協の調査問題は、範囲権限から見てどういうふうに理解すべきものであるかということについて法制局長官にお伺いをいたしたいと思うのであります。
  14. 味村治

    ○味村政府委員 監察に関します総務庁の所掌事務及び権限につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたように総務庁設置法四条の十二号及び十三号に規定をしているわけでございます。JICAは四条十一号に規定しておりますいわゆる特殊法人でございます。それから農業協同組合は、これは特殊法人ではございません。したがいまして、先ほど先生のお読みになりました四条の十二号で「各行政機関の業務の実施状況を監察し、必要な勧告を行うこと。」これにつきましては、各行政機関というのは国家行政組織法上の機関でございますので、それを監察するということはごく当然のことでございますが、問題のございますのは十三号でございまして、「前号の監察に関連して、第十一号に規定する法人の業務及び国の委任又は補助に係る業務の実施状況に関し必要な調査を行うこと。」ということでございます。  この場合に十一号に規定する法人というのは、先ほど申しましたようにJICAは十一号に規定する法人でございます。それから農業協同組合は十一号に規定する特殊法人ではございませんが国の委任または補助に係る業務を行っているのではないか、詳細は法制局として承知いたしておりませんが、そのように考えております。したがいまして、行政機関の監察に関連をいたしましてJICAなりあるいは農業協同組合の国の委任または補助に係る業務の実施状況に関しまして必要な調査を行うということは、総務庁の所掌事務であり、権限範囲内ということになるわけでございます。  さらにつけ加えて申し上げますが、総務庁設置法の第五条第五項に、総務庁長官権限といたしまして、「長官は、各行政機関の業務の監察に関連して、第四条第十三号に規定する業務について、書面により又は実地に調査することができる。」こういうふうに書いてございますので、先ほど申し上げました四条十三号に規定する業務、つまりJICAの業務なりあるいは国の委任または補助に係る業務についての調査は、書面調査あるいは実地調査ができるわけでございます。  もう一つ、先生はおっしゃいませんでしたが、五条の六項に、「長官は、監察上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。」という規定もございまして、これは、行政機関の監察を行う上に必要があれば、公私の団体その他の関係者に対して、必要な資料の提出に関し協力を求めることができるという規定になっております。  以上がJICAなり農協関係の監察に関する規定の大要でございます。いずれにいたしましても、総務庁といたしましてはこれらの規定に従いまして監察を行われることというふうに考えております。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 内閣法制局長官というのはもっとちゃんとしておるかと思ったのだけれども、どうもわかったようでわかりにくい答弁をしておるわけであります。設置法の関係というのは当内閣委員会が専管の委員会でありまして、五十五年の行政管理庁設置法の一部改正をやるときにも、同僚の議員が特殊法人の調査をやる場合のことについて随分いろいろな議論をいたしまして、当時この問題については附帯決議が衆参両院ともついているのです。附帯決議の中身にまで触れませんけれども、要するに、特殊法人の場合もその特殊法人の自主性それから特色というものを十分尊重しながらやるべきだ、そしてまたその立場からの議論も随分行われたこと、これは内閣法制局長官も、また、これからやられようとする総務庁長官自身も十分御承知だと思うのであります。  それから、農協の問題についてむにゃむにゃと言われましたけれども、これは国の委任とは直接、行政機関や特殊法人でありませんし、農協の場合は、「補助に係る業務の実施状況に関し必要な調査を行う」、それを受けるというふうに明確に読むべきであって、これは農協であれ中小企業団体であれ、あるいはその他の、国体の問題が出ておりますけれども、そういう問題であれ、国の委任を受けて何かやるという性格のものでは元来ないのでありまして、先ほどの答弁は法制局長官の答弁としては極めて明確を欠くと思うのです。  ただ、時間が参りましたので、私はやはり、総務庁が実施される場合には法の明定に基づいて実施していただきたい。  先ほど第五条の関係で六項の点に触れられましたけれども、これは、「監察上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求める」、「必要な資料の提出」であります。だから、そこらあたりのところをやはり明確にわきまえて答弁をしていただかぬと困るのです。  国家公務員災害補償法については、ILO百二十一号条約、同勧告、これとの関係あるいは関連、それから諸外国の、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ等の国家公務員等に対する災害補償制度はどうなされておるかという面で私も勉強いたしまして、それらの問題に関連をして人事院の方にもお伺いしたいというふうに考えておりましたが、時間がほぼ参っておりますので、ただ一点、通勤災害の後遺症災害に対する障害特別援護金の問題に係る点についてだけ御質問を申し上げておきたいと思います。  御案内のとおり、民間の場合は、同僚議員によって火曜日のときにも熱心な議論改正点についてはなされたわけでありますけれども、その中で、民間の法定外給付、これが相当の企業において行われておる、それに見合って、通勤災害の場合は、公務災害についてはなされるわけでありますけれども、通勤災害については今の段階では障害特別援護金がなされていないのであります。これは一体なぜかということについてひとつお答え願いたいと思います。
  16. 大城二郎

    ○大城説明員 特別援護金の制度につきましては、ただいま先生のお話しのように民間企業における法定外給付の状況を見まして実施しているわけでございますが、通勤災害の場合の後遺障害に対しまして法定外給付を行っている企業の割合が、六十年度調査で把握したところでございますと企業の四〇・五%ということでございます。ほかの業務災害等の場合はおおむね五〇%以上の企業が実施しているという状況に比べますと、やはり民間企業における実施状況はまだ割合としては低いという事情がございます。したがいまして、現在までのところ通勤災害による後遺障害に対しては障害特別援護金を支給していないということでございます。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 残念ながらこれで終わりますけれども、今御答弁によりますと、民間企業による法定外給付の実施状況、業務災害の場合は実施状況のパーセンテージが高い、ところが後遺症災害の場合は大体四〇・五%だ、だからまだ実施に至っていない、大体民間との関係でそういう御答弁がございましたけれども、やはり通勤災害についても後遺症災害に対する障害特別援護金というものについては速やかに実現できるように御努力願いたいということを注文申し上げまして、質問を終わります。
  18. 石川要三

  19. 上原康助

    上原委員 大変限られた時間ですので、できるだけ簡潔にお尋ねしますから、また適正な御答弁をお願いいたしたいと思います。  最初に、法案についてちょっと要望を兼ねてお尋ねをしておきますが、もう既に同僚委員の方から問題点についてはいろいろ御指摘がありましたし、今回の改正も一定の前進であると私たちも評価をしている面もございますが、しかし、今も御指摘がありましたように、国家公務員の災害補償と一般の労災保険の内容、実態等の相違点とか、いろいろまだ解明をしなければいかない点があると思うのです。あるいは法定外給付の問題、さらに今も御指摘がありましたように通勤災害の適用範囲の問題とか拡大、また公務であるか、それに準ずる面、準用できるようなそういった点はもっと改善をすべきことではないかという気がしてなりません。  その点と、これまで本委員会でもしばしば附帯決議をつけてきたわけですが、どうも附帯決議の尊重というか、そういう面に対して余り人事院なり総務庁、総理府含めて検討してこなかったのじゃないかという感じがしてなりません。こういうことについてはもっと御努力をいただきたいわけですが、そういうことに対してのお答えをちょうだいしておきたいと思います。
  20. 大城二郎

    ○大城説明員 災害補償制度につきましては、民間企業の労働者を対象といたします労災保険の制度との均衡を図るというのが基本原則でございます。  災害補償の内容につきましては、従来、先生御指摘のように附帯決議において給付の改善なり事務処理の促進なりいろいろ御指摘を受けておりますが、労災保険の動向に見合うような給付の改善を国家公務員の災害補償においても図っておりますと同時に、事務処理につきましても迅速に処理が進むように私どもとしては実施機関に対していろいろ指導していくということで努めておりまして、附帯決議の内容については十分これに留意しながら行政を進めているつもりでございますが、これから先もそういう方向で努力を重ねたいと考えます。
  21. 上原康助

    上原委員 ぜひ、これまで各委員が御指摘をなさった問題点についてはさらに改善措置をとるように強く要望をしておきたいと思います。  次に、人勧問題について、今も角屋先生からいろいろお尋ねがございましたが、きょうは私も官房長官をお呼びしようかと思ったのですが、いずれ給与法案も出ることだし、また議論する機会があると思いますから、きょうは人事院総裁と直接給与担当大臣であられる玉置長官がおいでですから、お二人に簡単に念を押しておきたいわけです。  先ほども人事院総裁の御答弁があったのですが、ずばり申し上げて、五%以内云々じゃなくして、人事院人事院機能というか権限というか、いわゆる労働基本権制約されている代償機関としての機能発揮というか、そういう面で今後とも勧告制度は継続をしていく、この基本姿勢は変わりはございませんね。
  22. 内海倫

    内海(倫)政府委員 基本姿勢においては変わりありません。  念のため申し上げておきますと、五%以上の増減があった場合は確かに我々に義務づけられておるわけですが、それ以下の場合については、端的に言えば人事院勧告するに際しての判断の問題だと思います。したがって、先ほども申し上げましたように、私どもはいろいろな面の諸条件を考え合わせて勧告しなければならないし、在来は五%を切った場合も勧告してまいっております。しかしながら、この場合におきまして何が何でもしなければいけないという拘束も我々は受けるべきではないと思いますし、同時にまた、五%以下になったら勧告はすべきでないという拘束も受けるべきではない、これは人事院がその存立の条件である客観的な中立機関として、しかも労働基本権制約されておる国家公務員に対する代償機能というものを十分考えて対策を立ててその措置をとるべきである、こういうふうに私は考えております。
  23. 上原康助

    上原委員 その中立機能というか、公正中立の立場はぜひ堅持してもらいたいと思うのです。  さらには、長官、五%というとたしか平均では一万二千円前後になりますね、今度の二・三一%で平均六千九十六円ですから。そうすると、五%以内といったって、これは生活面からすると相当のウエートがあるわけですよ。このこともお忘れになってはいかないということ。仮に五%以内だからといって据え置いた場合には、次年度においては累積していくわけですから、むしろ非常に誤解を与えてしまう。凍結をしていって何年か先に勧告した場合には、二、三年凍結されて上がらなかったにもかかわらず、一挙に六%とか七%の較差が出たということになると、それだけに予算もかさむし、ますます不平等性というか不公平性、いろいろな矛盾点が出てくるのです、給与というものは。これはまたいずれ議論いたしますが、その点は特に御専門ですから申し上げるまでもないと思うのです。  そこで、さっきの官房長官の言い分はわかったのですが、給与担当大臣玉置総務庁長官なんです。あなたもこの間の閣議終了後、勧告制度じゃなくて物価スライドにしたらどうかというような御発言をしたという報道がなされておる。さっきも御答弁がありましたように、もちろんいろいろな見方、考え方国民の声、世論はあるわけですが、しかし、担当大臣として、人事院制度の見直しをするとか勧告制度に疑問を挟むような御発言は、関係者にとってはかなりショックな御発言と受けとめざるを得ないわけです。先ほどの御答弁で長官の真意はわかったわけですが、改めて、物価スライド制とかいうようなことではなくて、あなたは給与担当においては公務員使用者の最たる長なんですから、行司役がいろいろ言うとやはり人事院とてやりにくい面があるでしょうし、関係者は大変気になるところなんですが、その点もう一度長官の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  24. 玉置和郎

    玉置国務大臣 今度、完全実施が久方ぶりにされまして、念願がかなったなと思っておる一人です。それは、十年間自民党の総務をやっておりまして、いつも問題になるのは人勧の問題です。そのときに私が言ってきましたのは、外国の人に金を渡すわけではなしに、政府が仕えてくれておる国家公務員方々にお支払いする給与だから、この際、できることならばやってもらいたいと言って、ただ一人で頑張ってきてミスター人勧のニックネームをもらったわけです。  そういうものからして考えていただきますならば、私がたまたま記者会見の席上で、いろいろな会議の席上で出た御意見、殊に、出てくる前に、朝見たあの造船業界の解雇の問題、あるいはまた昨晩見た鉄鋼の問題、そういうものを見ておりまして、日本人の中の日本人の国家公務員ですから、やはり国家公務員という場合は日本国全体を見ていただいて、そして厳しい状況下の中にあって、かつ自分たちの人事院勧告完全実施されたんだ、そういうときには、国民の声の中に物価スライドにしてもらったらどうかなとか、これはまだ小さな声だと思いますが、そういう意見がありますよというようなことをふと漏らしたわけてあります。その辺のところは御了承いただきたいと思います。
  25. 上原康助

    上原委員 人事院勧告がなされてから、長官が今年はぜひ完全実施をしたいという御決意をここで御披露なさったのを、ついこの間ですから私もわかりますし、また御努力したというのは多といたします。  きょうは余り深入りしませんが、いずれにしても、不況業種とかいろいろな面で、今、低経済成長期に入って民間企業の面で大変変化が出てきていることは私たちも否定はいたしません。しかし、そのことと人事院勧告制度を即結びつけて、政府首脳があたかも公務員は大変優遇されているんだというような印象を与えるのは、かえって誤解を招くし、正しい理解を得ることにはならないと私は思うのです。五年ぶり完全実施ですし、行革で公務員の皆さんだって相当我慢を強いられてきたことは皆さん御承知のとおり、そういう状況の中での取り扱いというのはより慎重にしていただきたいということです。  そこで、そうしますと、給与担当大臣としては今後も人事院勧告制度は尊重していく、こういうお考えには変わりはございませんね。
  26. 玉置和郎

    玉置国務大臣 そのとおりに受け取っていただきたいと思います。
  27. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつさらに御努力を賜りたいと思いますし、人事院総裁のさっきの決意も、それが守られるように、実行されていくように要望をしておきたいと思います。  次に、これは直接総務庁とか政府への質問としてはあるいはどうかと思ったりしたのですが、先ほども角屋先生からもございましたが、戦後処理問題の中で、大別すると大体三つに分けられておるわけです。さっきもありました戦後強制抑留者の問題と恩給欠格者問題、また在外資産問題。これは既に官房長官でしたかの私的懇談会なんかも置いて、その出ている報告書に私もちょっと目を通したのですが、きょうはこの恩欠問題について長官の御見解をちょっと聞いておきたいと思うのです。  なぜ私がこのことを申し上げるかというと、これはいろいろな経過があって、この間の衆参ダブル選挙などでは、この問題は政治問題として相当クローズアップしてきたことは御案内だと思うのです。いずれまた、小委員会ども設置されましたのでそこでも議論をいたしますが、特にこの恩欠問題との関連恩欠連の速報とかそういうものを見てみますと、余りにも選挙やそういうものに利用し過ぎる、また過大な期待感をこの何百万という方々に与えて、今日地域によっては大変混乱を来している、そのことが高じて政治に対する不信感というものを与えているのじゃなかろうかと私は思うのですね。  こういうことについてはこれまでも党の中でもいろいろ積極的に努力をしてこられた長官としてはおわかりだと思うのですが、この問題についてどういう御認識を持ち、また、これから与党内なりまた政府としても戦後処理問題全体をどう解決していかれようとするのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 玉置和郎

    玉置国務大臣 軍恩欠の問題については、私は長官になります前に党のやはり仲間の会長をしておりましたからよくわかります。それだけに私自身は自分でかなり深い理解を示し、運動してきたなと思っておりますが、やはりさっき申しましたように、シベリアと同じで、閣僚の一人になって恩給を担当する者としては、従来の政府の流れがある、そしてまた政府とそういう国会サイドのいろいろな話し合い、そういう経緯をやはり尊重していかなければならぬ立場がありますので、今、恩給局長が来ておりますので、基本的なことについて恩給局長に話をさせます。
  29. 品川卯一

    ○品川政府委員 恩給欠格者の問題の御質問でございますが、恩給の対象といたしますところの者の身分、資格年限等につきましては、恩給の最も基本的な約束事でございます。  御承知のように、現在の恩給最低支給年限につきましては、昭和八年に、従来それまで一般文官につきましては十五年であったものを十七年、軍人につきましては——そのような制度基本昭和八年に定めまして、自来五十有余年この基本を守ってきたところでございます。  戦後四十一年を経過いたしました現在時点におきましてこれを見直しをいたしまして、新たにいわゆる恩欠者に対しまして恩給をその全部、一部につきまして支給するということをいたしますのは、これは恩給基本に触れる問題でございます。したがいまして、恩給行政を担当いたします立場といたしましては、そのようなことは考えていないということを申し上げざるを得ないことを御理解いただきたいと思います。
  30. 上原康助

    上原委員 これは恩給法改正のときにもいろいろ議論されてきたのですよ。しかし四十二年でしたか、政府は、こういう戦後処理は終結をしたという認識で、今後は個人補償しないという一つのお決めもあるわけですね。それは我々も知っている。  だが、さっきも申し上げましたように、「年金恩給受給資格欠格者に対する特別給付金の支給等に関する法律案の概要」というものをつくって、しかもこれは、「五月二十日政調審議会において了承されました。 取扱い方は政調会長にあずかりとなりました。 右、ご報告いたします。」ということで、特別戦後未処遇者問題に関する議員連盟という自民党の有力者の名前で全国的にばらまいたのですね。これはおわかりでしょう。これに年金恩給受給資格欠格者に対する特別給付金の支給等に関する法律案要綱(案)、さらに提案理由の骨子をつけて全部やったのです。さっきのシベリア抑留者の問題を含めて二つの法案の要綱ができている。これは被抑留者等に対する特別給付金の支給に関する法律案要綱(案)というので、これも具体的にできている。  だから、政府との関係恩給局とか総理府はできないから、これを政治力でやろうとしたのでしょう。このことがどれだけ悪用——悪用と言うと言葉はちょっと言い過ぎかもしれませんが、ある面では、総務庁長官、これは詐欺行為ですよ、こういうやり方は。いかに政治に対する不信感を与えているか。こういう面で、今恩欠連に結集する皆さんも非常に不満を持っているんですよ。まるで与党であらざれば人間にあらずと言う人さえおった。実際、選挙で私なんかうんといじめられた方なんだ。しかも、こういう要綱案をつくって選挙区に全部ばらまいたんですよ。これに一々ちゃんと名前もある。こういうことに対しては、私はやはり責任を持って処理しないといかないと思うんだ。単なる一政党の問題であるとか、いかに選挙前であるからといって、利用できるものは何でも利用していいということじゃないと私は思うんだ、政治道義上の問題として。  今、与党内も、これは、三百議席はとったものの、さて、財政問題に絡んで非常に御腐心をなさっておるようですが、ほっておけない大きな問題だと思えばこそ、この種の難題についてもいろいろと御努力をいただいている長官の見解を私は聞いておるし、何らかの形でこの問題は解決をする方向を見出さないといかないと思うのですね。改めて御見解を聞いておきたいと思います。
  31. 玉置和郎

    玉置国務大臣 この前の選挙でシベリア、それから軍恩欠、これが与党内の候補者に格好の運動の材料になったことは、これはもう否めない事実です。そして、それぞれの選挙区で複数の与党の候補者が立っておるときに、いろんな形で競合しましてかえって混乱を増幅していることも事実です。  そういうことを経験をしまして、政府のそういう担当者の一人になりましたときに、今まで与党内でやってきたこと、また自分たちの選挙区でやってきたことについてここで反省をしないということになったらうそになる。だから、今上原先生言われましたように、何とか処置するという方法でないとこれはやはり問題の解決にならない。完全に打ち切ってしまうのか。やはり政府・与党内に盛り上がっておる、また野党の先生方の中にも盛り上がっています。私も与党の協議会の中にも入っていますから、それだけに、これを何らかの方法で解決しなければいかぬというふうに考えておりますので、関係方面とも閣僚の一人として相談していきたい、こう考えております。
  32. 上原康助

    上原委員 私は、これ以上はきょうのところは遠慮いたしますが、これは与野党の問題じゃないですね。やはり関係者の方々心情なりそういうものを考えれば、さっき恩給局長が言うようなしゃくし定規で片づけられる問題じゃないと言うのです。したがって、ぜひそういう方向で、我々もできる限り実現をさせていくためにいろいろと努力いたしますが、余りにも不正直に物事をやられるということは——この間私は大臣のいろいろな御発言なり御答弁を聞いておって、なかなか物事に対する御見識があるなという気を持っておりますので、あなたがおっしゃるのに皆賛成じゃないんですが、かなりの部分は共鳴できる点もある。ですから、こういうことについてはぜひ前向きに与党内での御努力をいただきたいと思います。  そこで、あと時間がわずかしかありませんので、公務員災害とちょっと関係しますので、防衛施設庁来ていると思うが、これは米軍基地内だけでない、民間の建設業も含めてですが、アスベスト問題、石綿問題です。これが最近大変問題になって、老朽建築物なんかがあるいは基地内で働いている雇用員であるとかそういう方々影響を与えている。がん性の非常に強い性質の物質であって、従業員の健康を相当害している面、また、因果関係についてはまだ十分解明されていないけれども、死亡者が非常に多くなっている、このアスベストとかかわりのある職場で働いておった人々が。そういう面で、これは米国においても規制をされています。また我が国においてもそういった規制があるわけですが、このことについてどういう対策を考え、今後どのようにしようとしているのか、実態と対策をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 芥川哲士

    ○芥川説明員 お答えいたします。  米軍施設内のアスベストの使用実態について在日米軍を通じて調査しました結果は、次のとおりでございます。  主要点として四つございます。  まず、施設区域内の建物等には、過去において屋根材、天井材、壁材及び断熱材としてアスベスト資材を使用しているものがございます。  第二、現在米軍規則では、粉じんが飛散しやすいアスベスト資材、すなわち破砕性があるものでございますが、これの使用は禁止されております。既に使用されているこの種のアスベスト資材は、建物等の解体等特別な場合を除きまして、通常の場合には危険な状態とならないように適切な管理のもとに維持されております。したがいまして、現時点においてこの種のアスベスト資材を直ちに撤去しなければならないという状態にはございません。  第三点、建物等の解体等が行われる際には米側は関連資料を日本側に提供することとしております。  四点、駐留軍従業員の安全対策につきましては、作業地域内でアスベストにさらされる可能性があります場合には、いかなる潜在的な危険も防除できるように、防じんマスク、保護衣の着用等必要な措置をとっております。また、アスベストの取り扱いに関する安全手続につきましては、基地に働くすべての者に対して徹底的に教育するようにしておるわけでございます。  これに対しまして、防衛施設庁といたしましても次のような対策を講じております。  大きく言って二点ございます。第一点は、駐留軍従業員の安全確保につきましては常々在日米軍に申し入れておるところでございますが、今後とも従業員の安全確保には万全を期す所存でございます。なお、在沖縄の米軍施設においてアスベストを取り扱うことのある駐留軍従業員及びアスベストにさらされる可能性のある駐留軍従業員につきましては、毎年度特定化学物質等障害予防規則に基づく健康診断を実施しておりまして、昭和六十年度の当該健康診断の結果は全員異常ございませんでした。  第二点、アスベスト資材が使用されております返還建物の解体工事を行います場合には、関係機関と調整の上、国内法に従い適切に処理することといたしております。  以上でございます。
  34. 上原康助

    上原委員 そんな文書を長々と読まれたら困るんだ。こんなものは書いてあればだれでもわかる。実態と違うから質問しているんじゃないか。あなた方は、何か要求するとそういった文章だけ書いて、こうなっていますときれいごとをおっしゃっているが、実態はそうじゃないのだ、働いている従業員の調査と違うから。毎年度特定化学物質等障害予防規則に基づき健康診断云々、六十年度やったけれども異常なかったと言うが、どういう健康診断をやって、何名受けて異常なかったのか、そういうことについてもっと詳しく報告をしてくださいよ。極めてこの対策は不十分である。きょう労働省を呼びませんでしたが、問題含みであるという点だけ申し上げておきます。  時間ですが、あと一点だけ。  次に、これも施設庁に聞きますが、最近沖縄における米軍演習が非常に頻繁に行われているのですね。この間もまたB52も来た。今までやってなかった訓練をどんどんやっているのですよ。読谷補助飛行場におけるいわゆるシャープンスウオード、鋭い剣というのか、戦後四十一年になるけれどもそういうことはアメリカはいまだ一遍もやっていなかった。それをあの訓練飛行場でやっているわけですね。まさに軍事強化なんです。もってのほかです。  きょうは時間がないからたくさん触れませんが、しかも牧草地であるとか黙認耕作地、キビが入っている、そういうところにブルドーザーや重機を入れてやっているということは余りにも、いかに権限があるかもしれないけれども、そういうやり方は我慢できない。したがって、なぜそういう訓練を今やるのかということが一つ。もちろん、それは即刻中止しなさい、そうは言っても皆さん聞かぬかもしらぬが、もう少しそういう節度と、地域周辺住民が我慢できる限度というのが私はあると思うのですね、物事には。このことについて外務省は、きょう三十分しか時間をとってなかったので来ていないかもしれませんが、施設庁の見解を聞いておきたいと思う。外務省来ておったら、なぜ今ごろそんなことをさせるのか答えてください。
  35. 渡辺允

    ○渡辺(允)政府委員 ただいま先生から御指摘のございました読谷補助飛行場における現在の訓練は、アメリカの海兵隊と空軍が滑走路に損害が生じた場合にそれの補修をするという訓練を行っておるわけでございます。米軍がどのような訓練を行うかということにつきましては、米軍の活動上の種々の必要からいろいろな種類の訓練を行うことはあり得るわけでございますので、私どもとしては特にこの訓練がそういう意味で問題があるというふうには考えておりません。  それから、一言つけ加えさせていただきますと、米軍の方も黙認耕作で入っておられる方の牧草の問題とかあるいはこの施設、区域になっております基地の中を通行しておられる方の問題、それから現地で何かお祭りがあるそうでございますが、その期間までに訓練を終えるというようなことで、周辺住民の方々の事情にも種々の配慮をしているものというふうに承知をいたしております。
  36. 上原康助

    上原委員 これできょうのところは終わらざるを得ませんが、いつもそういう回答しか来ないから我々としては納得できません。少なくとも期間を短縮をするとか、あるいは黙認耕作地であるとか牧草地であるとか、そういった農民や周辺住民に被害を与えない、たとえそこは使用できる地域であっても、最小限度米軍側と話してすんなり地域住民の要望を入れる、その努力は外務省、やりますね。
  37. 渡辺允

    ○渡辺(允)政府委員 私、先ほど御答弁申し上げましたように、米軍は本来この訓練を十月十八日から十一月三日までという予定をいたしておりましたのを、十一月の一、二日に予定されております読谷村の産業祭りに影響を与えないように、訓練を十月三十一日までに終了させるというふうに期間を短縮しておるわけでございます。それから、牧草の刈り取り、住民の方々の通行等についても支障がないように種々調整を行っているというふうに承知しております。
  38. 上原康助

    上原委員 終わります。
  39. 石川要三

    石川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  40. 石川要三

    石川委員長 これにより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  41. 石川要三

    石川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  42. 石川要三

    石川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、船田元君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。船田元君。
  43. 船田元

    船田委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について速やかに検討の上、善処すべきである。  一 災害の予防及び職業病の発生防止のために、なお一層努力するとともに、公務災害の審査及び認定については、現在懸案中のものを含め、その作業を促進して早期処理に努めること。  一 この法律による年金受給者の生活の安定を図るため、社会経済情勢の変化に即応し、年金額の改定が速やかに行いうるようスライド制における要件の改善に努力するとともに、民間企業における業務上の災害等に対する法定外給付の実情に配慮し、公務員に対しても適切な措置を講ずること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じます。  以上、御説明申し上げます。
  44. 石川要三

    石川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  45. 石川要三

    石川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。玉置総務庁長官
  46. 玉置和郎

    玉置国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を十分踏まえまして、人事院とともに検討してまいる所存でございます。     ─────────────
  47. 石川要三

    石川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 石川要三

    石川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  49. 石川要三

    石川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十四分休憩      ────◇─────     午後一時四十二分開議
  50. 石川要三

    石川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。栗原防衛庁長官。     ─────────────  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  51. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊三百五十二人、航空自衛隊二百三十一人、統合幕僚会議二十三人、計六百六人増加するための改正であります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。また、統合幕僚会議については、中央指揮所の二十四時間運用態勢を確保するためのものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官千人、航空自衛隊の予備自衛官三百人、計千三百人を増員するための改正であります。なお、航空自衛隊につきましては、新たに予備自衛官制度を設けるものであります。  第二は、有線電気通信設備、無線設備及び船舶の防衛上の重要性及び防護の緊要度が高まったことに伴い、自衛官が武器を使用して防護することができる対象にこれらを加えるための改正であります。  第三は、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓等の輸送を行うことができることとし、また、自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができることとするために新たに一条を加えるための改正であります。これは、主要国首脳会議の際に使用したヘリコプターを今後自衛隊が運用すること等に伴い、必要となるものであります。  第四は、市町村の境界が変更されたことに伴い、自衛隊法別表第三に掲げられている中部航空方面隊司令部の所在地を入間市から狭山市に名称変更を行うための改正であります。  この法律案の規定は、公布の日から施行することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  52. 石川要三

    石川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  53. 石川要三

    石川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。月原茂皓君。
  54. 月原茂皓

    ○月原委員 ただいま防衛庁長官から、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要の御説明がございましたので、これについて一、二質疑の上、あと国際軍事情勢及び防衛全般の問題についてお尋ねしたいと思います。  まず、今回の法律案は、衆議院の解散によって継続案件であったものが廃案になったものでございますが、実に五十八年以来これを成立すると、そういうようなものであるだけに、防衛庁の方としても大変な熱意を持っておることと思います。防衛の責任を持っておる役所として当然のことだと思います。  まず第一に、予備自衛官の定数の問題でありますが、航空自衛隊の予備自衛官の創設があるわけでございますが、主としてどういうふうな任務を考えての予備自衛官であるかということをお答え願いたいと思います。
  55. 西廣整輝

    西廣政府委員 御案内のように、航空自衛隊には従来まで予備自衛官制度はなかったわけでございますが、今回お願いしておりますのは、有事の、例えばレーダーサイトあるいは航空基地等の防空要員、これは短SAMであるとかあるいは高射機関砲であるとか、そういったたぐいのものを運用する、その機関のごく一部の人員は定員でついておりますけれども、大部分は予備自衛官をもってこういった任務に当たらせるということで、そのために必要な予備自衛官をお願いしておるものであります。
  56. 月原茂皓

    ○月原委員 あと陸上自衛隊の予備自衛官も要求されているわけでございますが、海上自衛隊についてその増員要求のあれがないのですが、それはどういう理由に基づくものか。
  57. 西廣整輝

    西廣政府委員 海上自衛隊につきましては、従来ある程度の予備自衛官制度を認められておりまして、若干の予備自衛官を持っておるわけであります。今後も引き続き、より合理的あるいは効率的な防衛力の維持という面から予備自衛官制度をさらに拡充していく、あるいは海上自衛隊についてもより多くの者を適用していきたいというように考えておりますが、現段階におきまして教育可能でありかつ予備自衛官に切りかえ可能な者は現状で一応の形がとれておる、次の段階に移るためにはなおしばらくの研究をさせていただきたいということで、今回は見送らせていただいたわけであります。
  58. 月原茂皓

    ○月原委員 先般の本会議におきましても、予備自衛官を一般から、要するにOB以外から採用することについての問題点がございましたが、防衛庁が設けておる業務・運営自主監査委員会というのがございますが、これによりますと、「予備自衛官制度の活用」ということで、「適用業務の拡大、自衛官未経験者の採用」、こういうことについて六十二年四月までに基本考え方についての検討を完了する、こういうふうに目標スケジュールには書いてありますが、このように着実に進んでおるのかどうか、めどについてお答え願いたいと思います。
  59. 松本宗和

    ○松本政府委員 お答えいたします。  我が国の予備自衛官につきましては、諸外国の予備兵力に比べましてその規模が非常に小さいというところから改善が望まれております。また、自衛隊の業務の効率化、合理化を図るとの観点からも、より一層の活用が望まれておるところでございます。  例えば、今後業務の民間委託を検討するに際しまして、有事の支援態勢の確保でありますとかそういった観点から予備自衛官の適用業務の拡大について現在検討しておるところでございます。  また、このような予備自衛官制度の拡大ということになりますと、現行制度では自衛官の経験者の中から予備自衛官を採用するというような制度をとっておりますが、拡大の規模によりましてはおのずから採用の数に限界がございます。そういうところから、自衛官の未経験者を予備自衛官として採用するという方向を、これは法的側面も含めまして現在検討中であるというところでございます。
  60. 月原茂皓

    ○月原委員 そこで、一応いつまでに検討するんだということについて、「目標スケジュール」、防衛庁自体がこういうことを設定して行われているわけですから、こういうふうなことで進んでおると了解してもよろしいわけですね。
  61. 松本宗和

    ○松本政府委員 現在のスケジュールでございますけれども、一応めどを来年、六十二年の四月までということに置いております。そういう方向で検討を進めておりますが、現在まだ検討中でございますので、これは一応めどというぐあいに御理解いただきたいと思います。
  62. 月原茂皓

    ○月原委員 あと一点。これは法制的な意味もありますが、通信施設防護のための武器使用、こういうことが書かれているわけでありますが、私がかつて非常に心配したことは、電話施設とか通信施設とかではなくて、司令部に入ってきた場合にはどういう法令を使ってどういうふうに現在の状態で対処できるのか、そして、それで現在十分と考えておるのか。これは最も中枢でありますから、ここらがやられて、電話機ぐらい守っておったってしようがないわけです。私はそういう点で、現在の状態についてどういうふうになっておるのかということをお尋ねしておきたいと思います。
  63. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  今回の自衛隊法九十五条の改正は、警察権の行使としての規定でございまして、自衛隊の武器等が破壊されたり奪取されたりすることにより、我が国の防衛力を構成をいたしております重要な物的手段が損壊されましたり、それによりまして防衛力が低下することを防ぐための規定ということで、そのための武器等の使用については、警察権の行使ということでございますので、厳重な条件がいろいろくっついておるわけでございます。  したがいまして、今回防護対象として追加をいたしております今お尋ねのございました有線電気通信設備あるいは無線設備と申しますのは、あくまでもこれは電気的設備そのものを本来言っているわけでございまして、これを設置いたしております司令部でございますとかあるいは指揮所、こういったものは直接防護対象ということではないわけでございます。ただ、建物や指揮所等に侵入する行為それ自身を阻止をしません限り通信設備自体の防護が全うできないというようなことが明らかである場合には、こういった武器を使用することが否定をされるものではないというようなことは言えるのではないかと思います。  あと、後段のお尋ねの現在どうしているかということでございますが、平時に主としてこの規定が働くわけでございますけれども、通常の設備、施設でございますか、こういったものにつきましては一般の警察によります治安の維持の対象ということが大前提になっておりまして、私どもとしての考え方としては、当然施設の維持管理権がございますので、その一環として現在隊員によります警備を実施いたしておりますが、九十五条の対象として特に警備をやっておるもの以外は武器を使用することが現在は許されていない、こういうことでございます。
  64. 月原茂皓

    ○月原委員 この前の次官会議等でも警察庁の山田長官から、それぞれのところについていろいろ検討しておくようにというような要請もあったようでございますが、とにかく、唯一の実力部隊であり、この司令部が占拠されたら、もう国民に何を考えておるんだと言われるわけでありますから、こういう面について、法制的な面も含めて万全の措置を講じてもらいたい、私はそのように強く要望しておきたいと思います。  それでは、国際軍事情勢、防衛全般の問題に移りたいと思います。  去る十一日及び十二日の両日、レイキャビクで会談が行われたわけでございますが、この会談はいろいろ、いいところまでいったな、しかし最後はだめだった、そういうことで全部パアになったというようにも言われておるのですが、この会談においての成果ということについて、そしてまた今後のことについてどのように見ておられるのか、政府の見解をお尋ねしたいと思います。
  65. 渡辺允

    ○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  十一日、十二日にアイスランドのレイキャビクで開かれました米ソ首脳会談におきましては、取り上げられた問題といたしまして、軍備管理・軍縮の問題、それからいわゆる人権問題、世界各地域における地域問題、米ソ二国間問題等非常に広範な分野にわたるものでございまして、両首脳間で真剣な討議が行われたというふうに承知をいたしております。  このように、両国首脳の間で直接十時間以上にもわたる話し合いが行われたということ、さらに、軍備管理面を中心にいたしまして、最終的な合意という形には至りませんでしたけれども、実質的な面で極めて大きな歩み寄りが見られたということは、積極的に評価すべき要素だというふうに考えております。  この首脳会談につきましては、米国からも早速種々の説明を受け、また、ソ連からカピッツァ外務次官が説明に訪日をいたしましたけれども、カピッツァ次官の説明にもございましたが、ソ連側はこの軍備管理問題に関しますいろいろな提案を、全体を一つのパッケージというふうに考えておりまして、このパッケージが全体として合意できないのであればその部分にも合意ができないという立場で、結局いずれの分野においてもレイキャビクでは合意に至らなかったということは私どもも残念に思っております。この点につきましては、二十一日に外務大臣からカピッツァ外務次官に対しましても、今回の首脳会談で、ソ連の方がSDI研究計画の実質的な禁止をいわばほかのすべての問題とリンクさせてしまうという立場をとったために、最終的な合意を得られないことになったのは残念であったということを表明いたしております。  今後の見通しでございますが、米ソ両首脳ともに、本国へ帰りました後、今後とも今次会談で見られた進展を踏まえながら対話の努力を続ける用意があるという趣旨のことを言っております。レーガン大統領は、帰国直後の国民に対するスピーチの中で、今後米側は、ソ連側に用意が整えば、ジュネーブにおいて行われておる軍備管理交渉等において、今回の首脳会談が終わった時点をいわば出発点としてさらに前進する用意があるというふうなことを言っておりますし、ゴルバチョフ書記長も、レイキャビクでの提案を取り下げることはしないということを言っております。  したがいまして、我が国といたしましては、今後とも米ソ両国がこのような各種の対話の場を通じて協議を重ね、米ソ関係に進展が見られることを期待したいと思いますし、また、レーガン大統領が我が国を含む西側諸国の立場に十分配慮を払いながらこれまで真剣に話し合いを続けてきたことを高く評価いたしますし、また、今後とも東西関係の改善に向けてこのような努力が行われていくことを支援していきたいと考えている次第でございます。
  66. 月原茂皓

    ○月原委員 防衛庁長官はこの会談をどのように評価されておられるのか。
  67. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私は、これは米ソ両国とも大変精力的に、精いっぱい話し合いをされたと思います。最後の瞬間で、何といいますか戸惑いができて、そこで交渉が物別れになった、そういうふうに考えております。  両方とも精いっぱいに誠心誠意やられたので、その後の状況を見ておりますと余韻を残しております。いろいろの報道をされておりますけれども、私は、米ソの間で今後も漸次真剣な討議が行われて、そして世界の期待にこたえる、そういう責務を果たしてくれるのではないかと期待しておりまするし、ぜひそう願いたいと思っておるわけでございます。
  68. 月原茂皓

    ○月原委員 今、外務省及び防衛庁長官からお話がありましたが、私もこれは余韻を持って、今長官のおっしゃった言葉ではないですが、そういうような形でこれから明るい方向に動いていくことを期待するし、そのように動くのではないか、このように思っているわけであります。  そこで、話は少し飛びますが、アフガニスタンのソ連軍が撤退した、こういうふうに言われているわけであります。これは日本の新聞等では非常に大きく、解決にまた明るさを増す材料のように言われておりますが、この中身ですね。新聞等によれば、シュルツ国務長官あるいはワインバーガー長官も、その前にソ連軍はふやしておって後で一部引いたんだ、だから事態は変わらないんだというふうな言い方もしておりますし、また、退いた部隊の質を分析すれば、どういう機能の部隊が引いたのかということを考えたら、現地においてその引いた効果というものが本当に明るさを増すような引き方なのかどうか、その点をどういうふうに考えておるか、分析した結果を教えてもらいたいと思います。
  69. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  七月二十八日にゴルバチョフ書記長が演説をいたしまして、その中で、アフガンから駐留のソ連軍六個連隊をことしじゅうに撤退させる、このようなことを申しました。これは新聞で報ぜられましたが、十月十五日に撤退を開始した、そういうことは知っております。  ただ、撤退の対象とされておる六個連隊が果たして質量ともに実質的なものかどうか、こういったことはなかなか難しい問題ではっきりと断言できない。それから、ゴルバチョフ書記長の演説で、アフガンに対する干渉が継続すればソ連は隣人のために立ち上がる、このようなことも言っておりますので、この撤退意図が果たしてどの程度真剣なものか、これは今後とも真剣に、また慎重に注視していく必要がある、このように考えております。
  70. 月原茂皓

    ○月原委員 私は、この米ソ首脳会談の今後、あるいはいま一つの別の面でのアフガンのこと、こういうことがいかにも大きな活字で躍ると、もう春が来たのだというような印象を国民の多くが持つ。それは希望としてはいいことでありますが、私は、世界の平和というものがどういうふうな構造によって維持されておるのか、そのことについて防衛庁長官からお考えをお伺いしたいと思います。
  71. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 確かに、先ほど申しましたとおり、米ソ首脳が虚心に話をしていただいて核の廃絶に向かって努力してもらう、そういうことに対する期待があります。また、さきの米ソ両国の首脳の会談が最終的な、俗に言うハッピーエンドになることを期待いたしますけれども、しかしこれはどこまでも核というものを中心としておる、通常兵力、通常兵器についてはこれは触れていないわけであります。しかも、今御指摘のとおりアフガニスタンの話にございましたが、いろいろの状況を見ますとそう簡単なものではない。やはり我々は十分に国際情勢を見ながらそれに対応する措置というものを怠ってはならぬ、こう考えております。
  72. 月原茂皓

    ○月原委員 今、防衛庁長官が言われたとおり、そのような認識で我が国もいかなければならない、このように思っております。  それにいたしましても、現在、防衛力の整備が着々と行われておりますが、最近その一つの焦点といたしまして一%というようなことがいろいろ問題にされているわけであります。防衛庁長官も先ほどの本会議等でもお答えになったところでございますが、それに関連して周辺のことについてお伺いしたい、このように思うわけです。  まず、お互いに土俵を一緒にするために私の認識を申しておきますと、「防衛計画の大綱」というものができて一週間後に、経費のこと、防衛力の整備についてという規定が設けられた。しかもそこで「当面」という言葉と「めど」という言葉が挿入された。そういうところから判断して私は、中曽根総理大臣自身も答えられておることですが、防衛の原理、目標が「防衛計画の大綱」水準達成であって、GNP一%に関する決定は、毎年毎年の予算要求に関する運用上その趣旨を尊重して努力していきたいということである、こういうふうに述べているわけであります。  そこで、まず六十一年度の補正予算のことについてでありますが、この見通しといいますか、一%枠内におさまるのかどうか。多くの情報等では、今度はおさまるんだ、こういうふうに言われているわけでありますが、その点いかがなものか、どういうふうに見ておるのか、お教え願いたいと思います。
  73. 池田久克

    ○池田(久)政府委員 六十一年度の補正予算につきましては、先般人事院勧告方針が出まして、防衛庁としてはそれを受けて自衛隊の給与法をこれから整備する段階でございます。したがいまして、どの程度の給与所要が出るかということは確たることはまだ申し上げられない状況でございますけれども、大体三百数十億ぐらいのものになろう、こう考えております。  一方、節約だとか不用だとか、こういうものが生じてまいります。防衛庁も決してよその役所と違っているわけではございませんで、一般行政費につきましては他の省庁と同じように節減をしておりまして、その分野のものが出てまいります。それから、最近は円高とか油の価格の変動がございまして、そういうものを全部詰めまして、財政当局も含めまして現在事務的な折衝を行っておる段階でございまして、いずれ補正予算の段階までには数字は確定するとは存じますけれども、大まかに申し上げまして、大体この給与所要に見合うような節約、不用が生じてくるのではないか、こう考えております。六十一年度当初予算でも一%との間にすき間がございます。したがいまして、そういう関係で一%には達しない、そんな感じを持っておるわけであります。
  74. 月原茂皓

    ○月原委員 非常に技術的な話になって恐縮なんですが、例えば予算編成のときには、人事院勧告もわからない、GNPもどうなるか先行きわからない、こういうところで一%を頭に置きながら非常に大きなすき間をつくってやっていくというようなことがよく行われているわけです。  私は、そういうところから、本来ならば中期防衛力整備計画において、今年度は例えば五を実行したいのだというようなものを、予算のそういうところをにらみながら四に落としておるというような場合があると思うのです。ところがその四が、実は今言ったような情勢によって非常に値下がりした、ある主要装備の例でもいいのですが、下がってくると、おまえのところは、防衛庁はことしは四でいいと言ったじゃないか、だから下がり分は全部召し上げだ。仮に神様かなんかでこのことを見通しておけば、当然五を入れておってもしかるべきだった。そしたらそれはちゃんと入っておるということになるわけです。過去において防衛計画が非常に大きくおくれをとってきた主な原因の一つにこういうことがあると私は思うのです。  例えば飛行機の訓練の問題にしても、ある一つの時間帯を目標にして防衛庁は、石油ショック以来、あのとき以前の訓練の実力というものを、錬成を守るために少しずつその時代に戻そうという努力をされているわけですね。ところが、予算編成の段階ではいろいろな事情から抑えられている。後で振り返ったら、そんな時間は最初からやっておったって問題がなかった。石油が値下がりしあるいは円高になってきた、そういうようなことからですね。私は、この一%の問題というのを、余りその点を頭に置いて当初予算でぎりぎりやっておって、そして非常に大きくおくれてきておることがたくさんあると思うのです。  そういうことも含めまして防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、まず、よく言われておるのですが、一%、今までいろいろ表現があるのです。一%びた一文上がったっていかぬのだという考え方もあったし、あるいはそれを以内で守りますと言ったこともある、それから、最善の努力をしますと言われたこともある。現在の公的解釈というか、防衛庁長官として、一%と聞かれたら、いろいろな新聞を見ても話を聞いても、私、常に全部を見ておるわけではないのですけれども、表現がそれぞれ異なってくるので、どういうふうに考えておられるのか。  それからもう一つ。その場合に、中期計画というものを実現するという、要するに「防衛計画の大綱」というものを実現するということに主眼を置かれておるのか、GNPが頭にあるのだというふうに考えられておるのか。  この二つの点、長官から明快なるお答えをお願いしたい、見解を表明していただきたい、このように思います。
  75. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 GNPに関する公式のお答えは、総理が言われておりますとおり、一%を守ってまいりたいということでございます。  ただ、私がそれにつけ加えておるのはどういうことかといいますと、もう本音で防衛問題にかからなければいかぬ。GNPについて、絶対にこれは枠を突破してはいけないんだという方々と、いやいやそれはちょっとおかしいじゃないか、それから、今御指摘になりましたとおり、いわゆる「防衛計画の大綱」水準の達成、その方が優先するのじゃないか、あるいは一%を超えると軍事大国になるとかならないとか、そういう議論が大分出てきておりますので、この機会に、政府の公式の見解は先ほども申し述べたとおりでございますが、この問題について国民的に大いに御議論をいただきたい。そのことが我が国の防衛の真の発展のために大変好ましいのではないかというふうに考えております。
  76. 月原茂皓

    ○月原委員 続いて、「防衛計画の大綱」策定時の国際情勢と現在の国際情勢というものが、大綱の書いておることを抽象的にいろいろ読めば読み切れるかもしれませんが、現実には非常に大きな変化が来ておると私は思うわけでありまして、特に私が感ずる三点についてお伺いしたいと思います。  第一は、極東ソ連軍の増強というものがその後どのように行われておるのかということ。そして次に、ベトナム・カムラン湾等における基地化というものがどういうふうになっているのかということ。そして第三に、今、金日成主席もソ連に行かれておりますが、あの国とソ連との関係というものがどういうふうになって、我が国の防衛にどういうふうな影響というか、そこまでは言われなくても、その関係というものがどのように緊密になっているのか。  私は、この三点は、「防衛計画の大綱」を考えておった当時の情勢と比べて非常に大きく我が国が見直さなければならない要素だと思いますので、その点について簡潔にひとつ御説明願いたいと思います。
  77. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 ただいま先生が御指摘になりました三点は、我が国が国際情勢を考える上で極めて重要な点であろうと存じます。  ただいま先生が第一番に御指摘になりました極東ソ連軍の増強というものは、我々として無視できないものがあると思います。ちょうど十年前になりますこの大綱を策定いたしました当時と比べますと、地上兵力それから海上兵力、航空兵力、また中距離の核戦力、このいずれの部門を見ましても、抜本的といいますか極めて大きな増強が図られておって、ソ連の全戦力の三分の一から四分の一というものが極東ソ連軍に配備されていると見ざるを得ないと思います。これは我が国にとってやはり潜在的な脅威の増大と受けとめざるを得ないと考える次第でございます。  二番目に先生の御指摘になりましたベトナムにおけるソ連軍の軍事力の強化という、この点も非常に見逃せない点でございます。ソ連は七八年にベトナムとの間で友好協力条約というものを締結いたしまして、それ以来ベトナムに対する政治的な影響力を増大しておるわけでございまして、またカムラン湾の海空軍施設というものを常時使用いたしてございます。それによってソ連は太平洋艦隊を非常に柔軟性を持って運用できるようになったということとともに、この方面の海上交通の安全というものに対して影響力を行使し得る能力を得たと見られております。  また、第三番目に先生の御指摘になりました北朝鮮とソ連との関係でございますが、御存じのように北朝鮮の金日成主席が一昨年五月にソ連に参りました。それ以来ソ連と北朝鮮との間の軍事的なつながりは非常に強まっておるというふうに一般に見られております。北朝鮮が政治的に従来から中国とソ連というものもはかりながら独得の独立路線をとっているということに基本においては変わりはないと見られる一方、軍事的なつながりが強まっているということは、例えばソ連のミグ23の供与であるとかソ連軍用機の北朝鮮の領空の通過であるとか、そういうような事象にはっきりと見られておるわけでございまして、これまた今後どういうふうに発展していくか、我々としてはこれを注目していく必要があるというふうに考えております。
  78. 月原茂皓

    ○月原委員 繰り返しますが、「防衛計画の大綱」、そしてその後の情勢変化、こういうものを、さわるさわらぬの話ではなくて、現実にあれが策定された後に、今申し上げた三点に絞っても我が国が防衛を考える場合に頭に入れておかなければならないことが出てきておる、この点については、防衛庁の方も国民に対して、危機感をあおるということではなくして、やはり国際情勢というものを十分知ってもらう努力をしてもらいたいと私は思います。大綱だけ読んでおると、何年たっても変わらないんだ、このように思うのが多くの人間であると私は思うわけでございます。その点十分努力をしていただきたい、このように思うわけであります。  そこで、防衛庁長官は聞くところによれば大変米国から信頼されておるので、中曽根総理があえて、なかなか二回目というのはないのですが防衛庁長官になられた。それでこの間アメリカの方に行かれて日米の防衛に関することをいろいろ話し合ってこられた、こういうことでございますので、その点について今から見解をお尋ねしたい、このように思うわけです。  まず、防衛庁長官が前に防衛の責任者として米国に行かれたときと、それから今度日本により大きな期待を寄せられているときに防衛庁長官となられてアメリカに行かれたときとでは、向こうの期待と申しますか、日本に対する期待を含めましてどういう点が違っていたかという点をお話し願えればと思います。
  79. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私の印象から言いますと、この前防衛庁長官を拝命したときと今回とでは、ワインバーガー長官に会うのが三回目でございます。俗に、接すれば情を発すという言葉がございますが、気心がわかっておる、そういうことでかた苦しいあいさつをすることなくすっすっと議論ができたということであります。  アメリカの方では、いわゆる議会を中心として、日本に対しまして経済、貿易に対する要望のみならず、防衛についてもさらに大きな努力をすべきではないか、バード議員などは具体的にこうすべきだああすべきだというようなことを言っておりましたから、そういうことを頭の中に置きながら、日米関係は非常にうまくいっているんだけれども、しかし議会筋からはこういう意見がある、そこら辺について私どもも留意をせざるを得ないというような話もございました。  私の方からしますと、日米の防衛問題というのは、日本としては少なくとも必要最小限で公約していることだけやらなければいかぬ、それは「防衛計画の大綱」水準を計画どおりやることだ、これについては私は全責任を持ってやらなければならぬ、そういう話をしたのです。ただ、今アメリカが置かれておりまするいろいろ財政上の苦しい問題、そういう問題につきましては、おたくの方の苦しい立場もよくわかりますが、それに対してこちらで今明確にこうするああするというようなことは言えない、頭の中に考えてはいるけれどもなかなか明確なお答えはできない、こういう趣旨の話をしたわけでございます。
  80. 月原茂皓

    ○月原委員 お互いに信頼している、されている仲だけに率直な話し合いが行われたということであります。  長官がこの前あるところで訪米報告というのを出されたわけでありますが、それに基づきまして一、二具体的に、我が国でなすべきこと、それについて大臣がどのように考えられておられるか、どういうふうに取り組まれようとしているかということについてお伺いしたいと思うわけであります。  私はその長官の報告を読ませていただきまして、中でワインバーガー長官が、「西側同盟諸国の結束と一貫した努力が重要である」というようなことを申したこと、そしてまた、「米議会においては防衛と貿易をリンクさせるなど危険な兆候が見られることを考慮すると、一層の努力を期待する」、こういうふうなことを言われ、大臣としては、米国の事情はわかるけれども、日本の立場を鮮明に、「自主的判断のもとに、国民理解を得ながら、継続的かつ計画的な防衛努力を行っていく」ということを、毅然としてお互いの信頼の上で話し合われたことについて私は高く評価するものでございますが、あとこのレポートに基づきましてお尋ねいたします。  まず、三宅島の問題でありますが、これはよく議会でも問題にされていることでもございますが、ここに、本件適地としては三宅島以外にはないので、引き続き最大限の努力をしていく、こういうふうに言われておるわけですが、大臣は、このとおり真剣に三宅島の問題について、それ以外にないのだという姿勢で進まれるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  81. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 三宅島の問題はきょう始まったものではない。NLPの訓練飛行場をどこにするかということは随分言われてきた、いろいろ考えてみて結局三宅島にお願いする以外にないのじゃないか、そういうことでございますので、三宅島でいきたい、三宅島でいくからということを申し上げ、向こうの方も、そうですか、ぜひよろしくお願いしますということでございます。  ただ、御案内のとおり三宅を取り巻く今の情勢というのは非常に厳しいものがございます。しかし、厳しい状況ではあるけれども、日本国民がそれぞれ日米安保というのは重要だ、日本の平和と安全のためには不可欠なものである、全国でそれぞれみんな日米安保という一つの大きな課題を背負っているのだ、だから三宅島の方々にも、いろいろ考えてみたけれども三宅島以外に適地がないので、ぜひ日本のことを考えてお考えいただけないか。それから、三宅島については今いろいろなことが言われておりますけれども、三宅島の将来のために私どもはいろいろとお手伝いすることも考えておる、そういう意味合いでぜひ話し合いに乗ってもらえないかということを誠心誠意言い合っておるわけでございます。ただ、反対勢力がありますし、その反対勢力が私の見るところでは極めて組織的である、しかし、その中には真実をゆがめたと思われるものも私どもからすると随分ある、ですから、そういう誤解を解いていかなければならぬ。  いずれにいたしましても、総合的にかつきめ細かく島の方々の御理解を得るような努力をやってまいりたい、こう考えております。
  82. 月原茂皓

    ○月原委員 長官の言われているとおり、「地域住民の理解を得るよう私の責任において最大限努力する」、このような気持ちで進んでいただきたい、このように思うわけであります。  その他、共同研究、共同訓練あるいは武器技術交流等の各般の分野でも順調にいっておるという表現がございますが、共同訓練に関して、これはいろいろ批判する勢力からすると、今度は韓国の米軍が参加する、飛行機が参加するからというようなことも批判の一つと言われておるのですが、日本を防衛するために日米安保条約を結び、そして日本が主権国家として堂々とお互いに協力しておるということからいえば、そういう点は何ら問題がないと私は思うのです。  特に今度ことしから、からというか、先のことを言うと鬼が笑いますが、少なくとも今までになかったこととして言われるのは、韓国の米空軍が参加するということだと思うのですが、その点について防衛庁側としてはどういうふうな考え方を持ち、国民に対してどういうふうに説明するというか、こういうふうな考えでおりますよということをこの議会の場を通じて話していただきたい、このように思うわけであります。
  83. 依田智治

    ○依田政府委員 お答えいたします。  来る十月二十七日から五日間、北海道大演習場並びに本州の東南方海空域におきまして、大体一万三千人くらいが参加した日米共同統合実動演習を実施いたします。  先生御指摘のように、この中にはハワイ、フィリピンのほか韓国からも初めて参加するというようなことで、これは日米韓軍事同盟じゃないかとか集団自衛権の問題じゃないかというような批判というか、一部あるわけでございますが、私どもといたしましては、日米共同訓練というのは、まず基本的には共同訓練することによりまして日米双方の戦術、技量の向上を期する。このほか、一緒に訓練することによりまして相互理解並びにいざという場合の行動の円滑な推進という面で非常に有効でありますし、また、日米安保体制というものの信頼性、さらには抑止力の維持向上という面でも非常に効果があると考えておるわけでございます。  各部隊等相互間でいろいろ訓練をやって積み重ねてきておるわけでございますが、今年春に初めて指揮所演習ということで、双方の幹部が指揮所で意思疎通を図るという訓練をやったわけでございます。そういう点を踏まえまして、この秋ようやく第一回としてこの実動演習が、これは日本の場合には統幕議長の統裁、向こうは在日米軍司令官の統裁でやることになった。これまでやってきた訓練を一回陸海空一緒にやってみようということで、世上言われているような極めて大規模というものではございません。こういうことによって、実際にいざというときに役に立たない部隊では困りますので、まず実動でやった場合にはどういう問題点があるかということを訓練によって検証してみようということでやるわけでございます。  韓国の場合、今度A10とOV10という合わせて八機ばかりが支援に来るわけでございますが、基本的には防衛庁設置法六条十二号によりまして「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行う」ということになっているわけでございまして、日本の防衛のために日米が訓練することは当然この権限範囲内にございます。したがって、所掌事務の遂行に必要な範囲内の訓練であれば、いかなる国のいかなる部隊またどこに配属されている部隊と訓練いたしましても、基本的には法律上全く問題がないということでございまして、今度の韓国から参りますA10につきましても、今度の演習がちょうど北海道大演習場で空から地上を支援するという形を重視している形態でございますので、そういう近接支援戦闘機並びに低空偵察機が参加することになっているわけでございます。  これまで正式にこういう参加したいという話が具体的にあったことはないようでございまして、一応事務段階等で一般的な話題になったことはございますが、今回、そういう訓練の中身に応じまして参加したいということで、我が方もその必要を認め、協議が調って参加する運びになったというようないきさつでございます。以上のようなことでございますので、全く我が国防衛のために必要な訓練であると考えておるわけでございます。
  84. 月原茂皓

    ○月原委員 今、依田局長からお話があったとおりだと思います。いざというときに役に立たぬようでは国民の税金を使って申しわけないことだと思っております。私もかつて大村議員を団長として北欧の方を視察したときに、アルゼンチンのときにノルウェーで訓練した英国の部隊が行って初めて戦局が変わった。やはりいろいろな厳しい訓練をし、そしてまた合同訓練をすることによっていろいろな技量を磨いておくということが大切なんだということをノルウェーの国防の最高責任者からお聞きしましたが、自衛隊がやっと一人前になってきたのだというふうな感を私は深くするものでございます。その点、一部マスコミが危機をあおって社説にまでいろいろ書いてくる、こういう点については十分国民に防衛庁から毅然たる態度で説明してもらいたい、このように思うわけであります。  そこでもう一つ防衛庁長官の報告の中に、在日米軍の支援を含め、一層の防衛努力を期待するということ、それからまた、太平洋軍の方でも在日米軍駐留支援等について意見を交換した、こういうふうに報告書に書かれてある。これは安保特に大臣が提出された報告書でございますが、それを読むにつけ私が思うことは、最近の新聞等を見ておると、米国の軍人の奥さん方、それがこのごろたくさん働きに出ておる、また、兵士そのものもパートで働いておるというようなことまで書いておるものがあるわけです。私は実態はわかりませんが、これは急速なる円高によってそういうふうなところまで来ておる。また、ある人によれば、駐留軍の我が日本の従業員、日本人で駐留軍の従業員になられておる方のある程度の年配の方と比べると、米国の佐官クラスの相当大きな責任を持たれておる方の方が実質的な給料は低くなってきておる、そういうふうなことまで言われておるわけです。  私はそういうことを思うにつけ、やはりこの大臣の報告書に書かれておるとおり、かつて防衛庁が大きく踏み出して、思いやりというようなことでその後それぞれの防衛庁長官が大変な努力をされて、米国の方にも本当に感謝されておる、日本はパートナーとして信頼できる、こういうふうなきずなができてきたわけですが、この急速な円高によって、またもう一つ工夫を凝らしていただかなければならない、そういうときが来ておるのじゃないかと思うわけであります。  よく言われておることですが、ただ単に米軍ということではなくて、ここに米軍が家族と一緒にいるわけでございますから、この方々が親族に手紙を書き、親に日本の生活を報告する、それによって日本との本当の民間外交官という役割も果たしておると私は思うのです。そういう意味で、急速な円高について防衛庁長官としては今後どういうふうに取り組まれようとしておるのか。米軍との関係、駐留軍の従業員の問題を含めてその点をお尋ねしたい、決意をお聞きしたい、こう思うのです。
  85. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私も、今回アメリカへ参りましてパーティーなどを開いていただきましたが、率直に言いまして、そのパーティーが一番最初に行ったときよりも大分質素になっていますね。それは、私を冷遇しているということではなしに、切り詰めておるということだろうと思うのです。  それから、公式に出た話じゃないのですけれどもいろいろなところに出てくるのに、この円高で、在日米軍に対して労務を提供している日本人従業員に払う給料が、円で払わなければならぬ、だからドルの持ち出しが多くなるというのですね、これはなかなか痛い。そういう感じをひしひしと感じました。それについてこうせいああせいということは向こうは言っておりませんけれども、ある意味でアメリカ側の苦悩というものが非常に理解できる。ですから、いろいろな話の際に、なかなか難しい問題だけれどもよく留意して考えてみようというようなニュアンスのことは言ってまいりました。  ただ、これは現実問題では、今の基本的な枠組みではなかなか難しいですね。しかし一方、そういったものについていろいろと、何とかすべきではないかという御議論もございまするので、いい考えはないかなというようなことで、これは外務省の関係でございますから、外務省の方にもそういう事情をお伝えをしてあるということでございまして、今の段階でどうするこうするということを申し上げる段階ではございません。
  86. 月原茂皓

    ○月原委員 この点は、私が今申し上げたようなところを長官も十分御承知、そして十分認識されておりますので、真剣に今度の予算においても取り組んでいただきたい、このように思うわけであります。  最後に、次期支援戦闘機の機種選定と申しますか、そういうものを年内に決定することを断念したというような記事が出ておりますが、タイムリミットとかそういうものから考えて、今防衛庁はどういうふうに考えられておるのか、お尋ねしたいと思います。
  87. 西廣整輝

    西廣政府委員 次期支援戦闘機につきましては、御案内のように、現有のFI支援戦闘機の寿命がいずれ来るということで、昨年決められました五カ年計画においてこれについての対応をこの期間中にやるということになっておるわけですが、現在、現用機を転用する、あるいは外国機を導入する、国産開発をする、三つの選択肢によって検討を進めておるところであります。特に外国機の導入につきましては、昨年来、そのための資料をアメリカ及びヨーロッパの方に求めまして、二度にわたって資料を届けてもらった、さらには調査団を出したということであります。さらには、米側の方から現有機をさらに改良した案も提案なされておりますので、現在、その点についてどういう案であるかというようなことについて向こう側の内容を聞いておるという状況であります。  いずれにしましても、防衛庁としては部隊の運用にどういうものが一番適するものであるかというようなことを中心に、公正な立場で慎重に検討しておるということでありますが、さればといって、いつまでにこれをやらなければいけないというタイムリミットを決めてこの作業をしておるわけではございません。したがって、今年中に決めることを断念したとかあるいは今年中に決めてしまわなければいけないのだとかいうことではありませんで、いずれにしろ、できるだけ早く、しかも内容的にはしっかりした検討を終わりたいということで、鋭意作業をやっておるということであります。
  88. 月原茂皓

    ○月原委員 非常に厳しいいろいろな情勢の中でございますが、防衛庁としては国民の負託にこたえるために全力を尽くしていただきたいと思います。  これをもって私の質問を終わります。
  89. 石川要三

    石川委員長 次回は、来る二十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十八分散会