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1986-11-26 第107回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 深谷 隆司君    理事 白川 勝彦君 理事 関谷 勝嗣君    理事 田名部匡省君 理事 額賀福志郎君    理事 吹田  愰君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君       尾形 智矩君    川崎 二郎君       佐藤 守良君    園田 博之君       虎島 和夫君    野中 広務君       二田 孝治君    穂積 良行君       宮崎 茂一君    阿部未喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    遠藤 和良君       森本 晃司君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      赤倉 啓之君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省理財局次         長       安原  正君         郵政大臣官房長 成川 富彦君         郵政省郵務局長 富田 徹郎君         郵政省貯金局長 中村 泰三君         郵政省簡易保険         局長      相良 兼助君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         郵政省放送行政         局長      森島 展一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      佐藤  謙君         会計検査院事務         総局第五局電気         通信検査課長  野崎龍之輔君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   林  乙也君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役経営企画本         部長)     草加 英資君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役電話企画本         部長)     高橋 節治君         逓信委員会調査         室長      古田 和也君     ───────────── 委員の異動 十一月六日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   田中美智子君     佐藤 祐弘君     ───────────── 十一月二十一日  有線音楽放送事業者電話柱等不法使用に関する請願(武田一夫君紹介)(第一九五〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 十一月二十日  放送公共性に関する陳情書(第一七四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ────◇─────
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  5. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。唐沢郵政大臣
  6. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 深谷委員長を初め逓信委員会皆様には、平素から郵政行政の適切な運営につきまして、格別の御指導をいただき、厚く御礼を申し上げます。  私は、就任以来四カ月を経過した今日、郵政行政が、国民日常生活に極めて密着したものであることを改めて認識し、かつ、責任の重大さを痛感しているところであります。  私は、先生方の御指導と御助言をいただきながら、私どもに課せられた重大な使命を遂行し、さらに一層、国民福祉の増進に努め、国民皆様の御期待に沿うべく渾身の努力を傾けてまいる所存であります。  この機会に、所管業務の当面する課題等につきまして申し述べさせていただき、先生方の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  私にとりまして、目下の最大課題は、郵便貯金利子非課税制度の見直し問題であります。  御承知のとおり、現在、我が国税制全般あり方について論議が行われているところでありますが、貯蓄税制あり方のいかんは、我が国貯蓄動向、ひいては経済社会動向にも重大な影響を及ぼす問題であります。特に、郵便貯金利子非課税制度につきましては、郵便貯金の根幹にかかわる重要な問題であり、郵政審議会答申でも重ねて言われているとおり、今後とも、ぜひ、この制度を存続させるべく努めてまいる覚悟であります。  また、金融自由化、とりわけ、小口預貯金金利自由化に積極的かつ的確に対応していく方針でありますが、そのために必要な郵便貯金サービス資金運用制度改善に努めてまいる所存であります。  次に、簡易保険郵便年金につきましては、今後とも、一層その普及に努めるとともに、長寿社会における国民経済生活の安定に資するため、新商品・新サービス開発に努めてまいる所存であります。そのために簡易保険郵便年金資金運用制度改善に最善を尽くしたいと考えております。  次に、最近における郵便事業は、各種のサービス改善営業活動強化等により、五年連続して利益を計上しており、業務運行もおおむね順調であります。来るべき年末年始の年賀郵便物の配達を初め、今後とも、郵便サービス基本である正常運行の確保はもとより、お客様のニーズに的確に対応したサービスを提供し、郵便国民基本的通信手段としての役割を果たすよう努力する所存であります。  次に、電気通信行政につきましては、高度情報化の進展の中で、電気通信に対する需要の一段の高度化多様化に対応し、ニューメディア先端技術開発・振興を初め、電気通信高度化推進するための諸施策を適切かつ着実に進めていくことが肝要と考えます。  こうした考えのもとに、電気通信高度化地域社会活性化にも大きな役割を果たすことから、地域高度情報化の円滑な推進を図るため、テレトピア構想推進、いわゆる民活法に基づくテレコムプラザや研究開発促進施設整備促進等に努める所存であります。  ところで、昨年四月の電気通信制度改革により電気通信事業分野への新規参入が実現しましたが、これまでに地上系四社、衛星系二社が事業許可を受け、既に地上系四社が専用線サービスを開始しております。  このほか、国内及び国際通信分野への新規参入の動きも活発化してきており、制度改革の実は確実に上がり、電気通信市場活性化がもたらされつつあるものと考えております。  今後とも、競争原理導入の利点が十分に発揮され、利用者期待にこたえることができるよう、総合的な諸施策推進してまいる所存であります。  次に、放送は、即時に、広範囲に、かつ経済的に情報伝達ができる代表的なマスメディアとして国民日常生活に不可欠な役割を果たしております。放送は大きな影響力を有するものであり、その健全な発展と最大限の普及が、今後とも重要な課題であると考えます。  近年の急速な技術開発により、衛星放送多重放送都市型CATV等いわゆる放送ニューメディアが実用に供されつつあり、これと相まって国民放送に対する需要多様化しておりますが、こうした動向に即応した適切な放送行政推進してまいる所存でございます。  また、国際放送についても、その重要性増大にかんがみ、今後とも、その充実に努めてまいる所存であります。  最後に、郵政省は、三十一万人余の職員を擁し、人力に依存する度合いの極めて高い事業を営んでおりますので、その円滑な運営を図るため、人材育成能力開発推進し、明るい活力に満ちた職場をつくるとともに、信頼感に裏打ちされた正しい安定した労使関係確立・維持していくために、さらに努力を払ってまいる所存であります。  以上、簡単に所感の一端を申し述べましたが、委員各位におかれましては、郵政省所管業務の円滑な運営のために、一層の御支援を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)
  7. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて郵政大臣発言は終わりました。     ─────────────
  8. 深谷隆司

    深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。虎島和夫君。
  9. 虎島和夫

    虎島委員 一八八五年、これは明治十八年でありますが、十二月二十二日、これは我が国における内閣制度創設された日であります。そして、同日逓信省が設置され、初代逓信大臣榎本武揚氏以来今日に至るまで約百年、現在の唐沢郵政大臣は百七代目に当たられるわけであります。しかも創設以来百年、この十二月二十二日をもって百一年を迎えるという極めて節目の大きい今日、大臣としての御職務に寧日なきありさまに対しましては心から敬意を表する次第であります。  ところで、私は過日の衆議院選挙において初当選の栄誉をかち得ることができました。そして、その第一回の本格的委員会でその巻頭を飾って質問機会をお許しいただきましたことに対しまして先輩各位に対し心からお礼を申し上げます。委員長、よろしく御指導をお願い申し上げます。  ところで、今最大課題は、先ほど大臣御指摘のとおり郵便貯金利子課税の問題であります。今、内政におきまして最重要課題一つ税制改革であります。私は、今回の改革は次の諸項目が満たされなければならないと考えます。  すなわち、第一に、シャウプ税制以来、年の経過とともに税にゆがみ、ひずみ、重圧感を生じており、その是正であります。第二番目は、急激な長寿社会到来に対応し得るものでなければならないということであります。第三番目は、経済国境意識が薄れつつある今日、国際性を持った税制の創造であることであります。そして第四番目には、民族悠久の繁栄のために社会資本充実に資するものでなければならぬという確信を持っておるのであります。  歴史的に、そして今日の社会情勢の中で郵便貯金の果たしてきた役割、今後果たすであろう役割はまことに大きいものがあるのであります。しかも、ただいま申し上げました四項目に照らし、そのいずれをも充足する郵便貯金、その郵貯制度を支えてきた限定預金額に対する利子非課税制度、これが今まさに政治的に崩壊させられようとしておるのであります。私はこのことを心から憂えるものであります。すなわち、過日、政府税制調査会少額貯蓄利子非課税制度の廃止を答申し、このために今、与党である自民党の税制調査会は大論争を続けておるのであります。ここで主管の郵政大臣が明確にその所信を述べられることは、税制論議一つ方向を与えるものと確信し、ここに大臣質問申し上げるものでございます。  質問は、第一に、国民はなるべく遊べ、消費は美徳である、このようなこと、あるいは消費増大国際収支改善にも役立つという説が横行しておるのでありますが、これに対する御所見を承ります。  第二番目は、日本人は貯金し過ぎであり、これが日本国際収支の膨大な黒字に連動しているとの説があるわけであります。私は、かつて総理が国民は百ドル分だけ外国品を購入しようと提唱されましたけれども国民協力は得られなかったことを考えざるを得ないのであります。個人を貯蓄から追い出しても実効ある内需拡大とはならないと考えますが、いかがでございますか。  第三番目に、我が国における社会資本充実に果たしている財投資金役割と、その財投資金を支える郵貯資金役割の大きさをどのように評価しておられるのか伺います。さらにまた、財投の今後の需要動向、私は拡大するということを判断いたしておりますが、大臣の御所見を承りたいのであります。  第四に、郵便貯金長寿社会における老後の安定した生活を得るための自助努力の涙ぐましい蓄積であります。けさ全国母子寡婦福祉団体皆さんから御要請を受けましたけれども、利子非課税の問題に対するこれらの方々の心情はまことに切々たるものがあるのであります。政治がこのことにこたえないで何にこたえるべきかを私はけさ改めて痛感をいたしました。どうか大臣のこのことに関する御所見を承りたいと思うのであります。  第五に、万一利子課税の際、資金シフトが起こり、郵貯から有価証券の購入など他の貯蓄手段への移行をどのように判断しておられるかであります。  第六番目に、非課税制度限度管理にどのように対応し、改善されようとしておられるのかお伺いするものであります。  第七に、本件に関する地方自治体の賛否等状況等を把握しておられればお伺いしたいと思うのであります。  最後に、大臣郵貯利子課税のことについて賛否いずれの御所見を包括的にお持ちであるのかお伺いします。郵政審議会答申、すなわち「郵便貯金利子非課税制度については断固これを堅持していく必要がある。」との明確な意見集約意思集約を踏まえて御答弁賜りますようお願い申し上げる次第であります。  まず第一にこのことをお伺い申し上げます。
  10. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 お答え申し上げます。  一日も早く衆議院逓信委員先生に御指導をいただきたいと思っておりましたが、いよいよきょうから御教導をいただくことになりまして、大変ありがたく思っておる次第でございます。  ただいま虎島先生から、今一番問題になっております郵貯の問題についていろいろ御心配をされ、懸念をされる面から御発言がございました。  いろいろ細かい点は中村局長から答弁をしていただきますけれども、やはり私は貯蓄重要性というものは変わらない、まだ外国に比べて社会資本、特に下水道の整備とか都市公園の一人当たりの面積というものは著しく劣っておりますから、まだまだ社会資本充実のためにも必要であるし、先生申されましたように、長寿社会を迎えて自助努力による貯蓄重要性というものはむしろ高まっていくのではないかと思っております。  それから、シフトの話をされました。これは私も経構研会議には出ておりまして、やはり消費をもっとふやしたらいいだろう、そのためには貯蓄を抑えたらいいのではないかというお話がありましたが、貯蓄重要性は今申し上げたとおりであります。しかし、その経構研報告は、大体貯蓄が減れば消費がふえるであろうという一元、一次方程式がやはり根底には根強かったと思うのですが、それがいよいよふたをあけてみましたら、貯蓄の中で先生が心配されるようにシフトが起こりつつあるのではないか。郵便貯金は九月、十月純減でございました。黙っていても郵便貯金はふえるものという神話が崩れない日がないとは言えない。私は、郵便貯金が伸びてきたのは、車の両輪に例えますと、片方職員皆さんの御努力国民の御理解がある。しかし、車の両輪片方には非課税制度創設時代からあった、これが大きかったと思っております。税制改革によりまして国民にとっても国家にとっても最も安全であり確実である貯蓄が減り、投機的な貯蓄がふえたらどうなるのだろうかということを私も先生に負けずに心配いたしておるものであります。  さらに、各先生が心配されますように、もし郵貯が停滞したらどうなるのかといいますと、資金運用部資金の大宗を占める郵貯にもしものことがあれば、これは財投計画に大きな支障を来す、それがまず第一でございます。最近、私調べましたところ、郵便事業単独黒字を出してやっている国は世界じゅうありません。アメリカ一般会計からこれに繰り入れておりますし、ほとんどの国は電気通信事業を国営でやっておりますから、この資金郵便事業に投入してやっておるわけです。日本は御承知のように郵便局特定局局舎割り掛けとか特定局長さんやいろいろ兼務しておる職員皆さん人件費は、事務量によって分担をしておりますから貯金の負担する分が非常に多いわけですね。もしも郵貯に陰りが見えるということになれば、これは郵便事業にも大きな影響を及ぼす。あるいは公的サービスを低下せざるを得ないかもしれないし、また郵便料金を上げなければいけないし、さもなければアメリカのように一般歳出からつぎ込むことにもなりかねないわけであります。  いずれにいたしましても、最後に結論をはっきりせよということでございましたから、私はやはり国家国民のために、貯蓄重要性にかんがみ、郵政審議会答申趣旨を踏まえ、今後とも郵便貯金非課税制度存続のために全力の努力を傾注してまいる所存でございます。
  11. 虎島和夫

    虎島委員 大変に積極的な御所見を承りました。私は私なりにまた先輩の驥尾に付して本問題については対処していきたいと思っておるところであります。  次に、第二番目でありますが、今一部大臣からも触れられましたけれども、活力のある郵便局活力のある郵政組織確立、これは今日的な課題であります。私はこのために一、二の提言を申し、御所見を承りたいと存じます。  その第一は、臨時行政改革推進審議会等々でいろいろと郵政事業の将来について触れられたものがあるのであります。こういうことが果たして現業において不安、動揺の感なからしめておるかといえば、私は若干危惧するものでございます。したがって、郵政省におきましては、郵政省の将来を見通して、郵政省独自の二十一世紀を目指す郵政事業の大綱とでも言うべきものの策定が必要ではないかと思いますけれども、このことに対する御所見を承りたいと思うのであります。  第二番目については、先ほどシルバープラン実現等々いろいろと新しい分野に進出したいという大臣の御所見の表明がございました。どうかそのような姿勢で積極果敢な事業の展開を図られるよう、このことは要望申し上げておく次第であります。  第三番目には、組織活力を図るためには生き生きとこれが動くという条件整備する必要があると思うのであります。今日、特定郵便局あるいは簡易郵便局全国をネットして膨大な組織と機構と人を持っておるのであります。これが動くか動かないかはまさに郵政事業の将来を制すると申しても過言ではないと存じます。そこで、これらの局の施設改善機能充実、例えば地域コミュニティーの場としての活用等を含めまして組織改善あるいは改革等を行わなければならぬと思いますけれども、これらに対する御所見を承りたいと思うのであります。  最後には、簡易郵便局、これがまたいろいろと都市近傍にも配置されております。これらもまた同じく、先ほど申し上げましたように、活力の有無が問われておる時代であります。したがって、一定の事務取扱量を超えるなど、基準を超える地域については無集配特定局を新設して簡易郵便局にかえる。そして、努めてその簡易郵便局職員をこれに任用する等々のことを講ずべきではないか。そして職員にやる気を起こさせる、あるいは簡易郵便局皆さんにも元気を持って仕事をしてもらうという体制が必要でないかと思いますけれども、御所見を承りたいと存じます。  何せ与えられた時間が短うございますので、よろしくお願い申し上げます。
  12. 成川富彦

    成川政府委員 一点目につきましてお答えさせていただきます。  高度情報社会到来あるいは金融自由化等社会的動向の変化が大変著しいものがございまして、長期的な観点から郵便局あり方役割調査しなければいけないということで、一昨年十一月に郵便局の将来ビジョン懇談会をつくっていただきまして、有識者の御意見を拝聴したところでございます。  昨年五月に中間報告が出されまして、その中で郵便局が進むべき方向を示されております。例えば、総合的なサービスセンターとして郵便局は今後あるべきではないか、あるいは地域コミュニティーセンターとして、あるいは国民生活に密着した情報センターとしての機能を果たしていくことが今後の郵便局役割として望まれるのではないかというような御意見を伺っているところでございます。それに基づきまして、現在具体化を検討しているところでございます。御趣旨に従がいまして、またさらに一層検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  13. 富田徹郎

    富田政府委員 郵便局の行っておりますサービスにつきましては、郵便貯金保険、それぞれの事業がそれぞれいろいろなアイデアを凝らしまして新しいサービスを続々と登場させまして、サービスに努めておるところであります。  局舎あるいは施設等改善につきましても、その郵便局がその地域社会に果たす役割にかんがみまして、例えば窓口、ロビーのスペースを広くする等、いろいろな改善措置を講じてきているところであります。ただ、何分にも予算が限られておりますので、予算の許す範囲内で逐次考えていきたいと思っております。特にニューメディア、キャプテンなどのニューメディアの配備ということもいろいろな観点から行いまして、それで地域コミュニティーセンター、あるいは情報センターあるいは情報サロンといったような考え方で、その地域社会に貢献できるような郵便局施設づくり努力しておるところであります。  なお、簡易局につきましても、原則としましては、無集配特定局で、市街地でありますと八百メーター以上、利用区域内人口が八千人以上のところには無集配特定局を置くという原則を持っておりますが、それ以下のところでありまして、例えば局間距離が八百メーター利用区域内の戸数が二百戸以上のようなところでは簡易局を置くということにいたしまして、簡易局と無集配特定局は相まって地域サービスの提供に遺憾のないよう、遺漏のないように努めておるところでありますが、状況によりましては、簡易局設置のところにおきまして人口がふえる等の状況が出ますれば、その簡易郵便局を無集配特定局とすることもあり得るわけであります。そういう条件が満たされたところでは簡易郵便局を廃止いたしまして無集配特定局を設置しておるところでありますが、これも何分にも予算の制約もありますけれども、その地域社会郵便局サービス遺漏のないように提供されるように常日ごろから配意しておるところであります。
  14. 虎島和夫

    虎島委員 第三番目には、電気通信行政について郵政省並びNTT参考人にお伺いいたします。  二百四十万円、これはNTT一般公開株式入札最高価格であります。驚くべき高価格でありますが、よって来った理由は、私は次のように考えております。  第一は、新しい情報産業社会時代到来の中で、NTTの果たすべき役割への国民期待であります。第二番目は、NTT執行部を中心に労使一体となっての努力郵政省指導のよろしきを得、民営化への華麗なるNTTの変身を国民が高く評価したということであります。第三番目には、逓信省以来の技術蓄積国際競争能力への評価であります。  ところで、東京は今国際的な情報集積都市であるわけであります。これにまた国際金融都市としての機能も加わろうとしておる今日であります。地方は、その情報が速やかに大量に、より低廉な価格で供給されることを望んでおるのであります。このことに果たすNTT役割は極めて大きいと言わなければなりません。  より低廉な料金とは、具体的に申しますと遠距離電話料金の引き下げということであります。法律では、政府は、電気通信事業法施行後三年以内、あるいはNTT発足後、日本電信電話株式会社法によりますと五年以内に、法律の施行の状況に検討を加え、「その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と定められておるのであります。その三年目はまさに来年であります。その中で、我が遠距離通話料金は諸外国に比べまして極めて高額であります。料金の遠近格差もまた西側先進諸国中最大最高であります。都市と地方との連帯、国土の均衡ある発展のためにも早急に引き下げないしは格差の是正が行わるべきと考えますけれども、三年以内に向けての料金の検討の状況あるいは国際料金との整合など、あるべき遠距離料金の姿と改善の時期について御回答賜りたいと思うのであります。
  15. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 NTT料金問題並びに国際電気通信料金についてのお尋ねでございますが、まずNTTにつきましては、NTT発足の際に、先生承知のとおり、それまでの日本電信電話公社の業務を全面的に引き継ぎまして、かつまた日本電信電話株式会社法第二条の責務におきまして、今後とも国民生活に不可欠な電話役務を公平に提供するということによって、全国あまねくその役務を供給する義務が課せられております。そのような見地から、NTTにおきましては、今後とも全国における電話料金を含む電話役務の適正なサービスの供給ということについては非常に重い責務が課せられているというふうに考えております。  ところで、先ほど大臣が冒頭の所信表明の中で申し上げましたように、現在既に新規参入者が地上系で四社、衛星系二社が許可を得て発足をいたしております。そのうち、地上系の四社につきましては、既にこの夏から秋にかけまして、東京、大阪、名古屋あるいは関東圏において専用線のサービスを開始しておりますし、また来年の秋に至りますと、すべてのこれら四社が電話サービスを開始することになっております。そうした新規参入者による競争の導入に伴うそれぞれの切磋琢磨、あるいは競争を通じての電話料金の引き下げということが当然期待されるわけでございますし、またそのことがなければ、電電改革三法の趣旨は没却されるわけでございますので、私どもといたしましては、新規参入者相互間の適正な競争による料金水準の低下、それに伴ってNTT料金体系についても当然検討がされるものというふうに考えております。  ただ、その際、先ほど先生御指摘になりましたように、新規参入者が東名阪といったようないわば都市地域に限定をされて、地方の部分、ローカル地域が取り残されるのではないかというような御懸念があるかと存じますけれども、これにつきましては、そのような競争体制が確立されることによりまして、新規参入者も逐次業務範囲を地方にも拡大してまいる計画になっております。そのような新規参入者に誘発をされまして、かつまたNTT本来の責務からいたしましても、NTTといたしましては、新しい事業体における十分な経営能力並びに状況変化に対応し得る活力のある企業体といたしまして、今後とも労使双方の協力のもとに料金水準の引き下げに向かって努力がなされるべきものというふうに考えております。  その時期につきまして、事業法見直しとの関連の御質問がございましたけれども、料金の適正化の問題につきましては事業法の見直しと直接の関係はございませんので、事業法の見直しと切り離した形で検討をされるべきものというふうに考えております。  なお、御指摘のありました国際電気通信料金の問題につきましては、ことし九月のKDDの料金の引き下げによりまして、現在の国際通話の平均時分であります四・一分で換算いたしますと日米間の相互の格差はない状態になっております。しかしながら、まだ西ヨーロッパのイギリスとか西ドイツに比べると日本の方が割高になっておりますので、今後ともKDDの経営の健全性を勘案しながら適正な料金水準に向かって指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  16. 虎島和夫

    虎島委員 確かに法律は、政府はこれに検討を加えるものとするとあるわけであります。政府が考えなければならぬ。しかし、事業主体はNTTであります。やはりみずからが判断をする必要が,あると思うのであります。  したがって、重ねてお伺いしますが、それでは、遠近格差が日本では一対四十、アメリカでは一対十六、イギリスでは一対三ないし一対四、こういう現状をどう御判断でありますか。日本は高いとお考えですか。高いとお考えならば早急に是正の必要があるとお考えでありますか。これは郵政省並びNTTそれぞれ御答弁賜りたいと存じます。
  17. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 昭和五十一年に現在の料金体系になりましたときには遠近格差は一対七十二でございましたけれども、すぐその後の五十五年の引き下げ並びに五十八年の引き下げによりまして現在一対四十にまで下がってきております。これもNTTの労使双方の御努力であろうと思います。しかしながら、先ほど御指摘がありましたように日本の遠近格差が高いことは事実でございます。そのような遠近格差の是正等を含む料金水準の低下ということがまさに電電改革三法の趣旨でございますので、これにつきましてはやはりその事業体において真剣に検討されるべき課題であろうというふうに考えております。
  18. 虎島和夫

    虎島委員 政府はどうお考えでありますか。
  19. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 政府といたしましては、高いことは事実でございますので、先ほど申し上げましたように臨調並びに電電改革三法の趣旨に沿ってNTT指導してまいりたいというふうに考えております。
  20. 虎島和夫

    虎島委員 次に、国際放送についてお伺いいたします。  今、国際世論の日本に対する無理解によって貿易摩擦その他を惹起しておることを私は大変に憂えております。これを解決するためには、やはり我が国情報を多量に外国に向かって出さなければならぬと思うのです。その中で大きな役割を受け持っておるのが国際放送であります。  放送法によりますと「郵政大臣は、」「協会に国際放送を行うべきことを命ずることができる。」とあります。あるいはまた第九条の二には、NHKは「国際放送を行うものとする。」という規定がございます。そしてまた、NHKが国際放送郵政大臣の命令によって行った場合には「協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」ということが定められておるのであります。  ところが、各種資料を調査いたしますと、このことが必ずしも、というよりはむしろ諸外国に比べて大変に立ちおくれておるということを指摘せざるを得ないのであります。大変に残念なことだと思います。例えば放送時間一つをとりましても、日本放送協会は一週間に二百八十時間、アメリカのVOAは千三百六時間、同じくアメリカのラジオ・フリー・ヨーロッパ、ラジオ・リバティーは千五十五時間、イギリスは七百二十八時間、フランスは六百七十七時間、西ドイツは五百六十八時間。西ドイツの半分がまさに日本の海外放送時間であるのであります。東洋という地域の中で極東という呼ばれ方もする日本、東の果てにある日本、そういう位置づけ、地理的な条件にあるわけでありますから、私はこの項目についてはもっと法の趣旨に従って、あるいは日本の置かれた現状、そして諸外国日本を見ておる目、こういうものを自覚されまして大幅な改善をする必要があるというふうに思うのであります。  そのためには、第一には施設改善、そして放送時間の延長、サービスエリアの拡大など、挙げればいとまのないほどの課題をこのことは含んでおるのであります。過去の委員会速記録を承ってみますと、先輩方も何回となくこのことについては論じておられるので、既に郵政当局は御承知のことであります。ひとつこのことに対して積極的な拡大をし、投資をし、時間を延長する、将来は映像放送まで持っていくというような御所見があれば、この際承っておきたいと思うのであります。
  21. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 ただいま国を憂うる立場から一番重要な問題である国際放送につきまして先生意見を述べられましたが、そのとおりだと思います。  これは二つ目的がありまして、一つは在留邦人に国内のニュースを伝える。中には相撲の結果や野球の結果も早く知りたいとおっしゃる方もありますが、外国で苦労された方にはできるだけ早く知らせてあげなければいかぬ。また、非常時の緊急連絡もございます。もう一つは、先生おっしゃるように日本の姿を正しく伝えるために今こそ必要だ。昔日本に興味を持っていたのは、珍しい国だ、異国趣味を持った人が日本に興味を持ってきた。明治維新後百数十年でこれだけの経済大国になったその秘密はどこにあるのか、日本は何と偉大な国かということで非常に日本に対する関心が高まった。その段階を飛び越えまして、この大きくなった日本は一体どこに行くのかということで非常な警戒や誤解を生んでいるのが今日でございますから、先生おっしゃるとおり、外国日本に対する関心は非常に高まっている、そのときに一番見えにくい日本を正しく理解してもらうことが今の経済問題、政治問題を解き明かす一番大事な方途であろうと思っております。  先生仰せられましたように、確かにちょっと立ちおくれておりました。しかし、先生方の応援を得まして徐々に充実しつつございまして、十月一日からはカナダのサックビルの送信所を通じまして北米向けも放送ができるようになりました。来年になりますと、ガボンからヨーロッパだけでなくて中南米も放送できるようになる、さらに南西アジアに向かっても中継所をお借りしなければいけない、このように考えておりまして、それは着実にふやしてまいります。  それから、最後に言われましたように、もうラジオの時代じゃないぞ、テレビの時代だぞというお話でございますので、今放送行政局長を中心に映像交流懇談会というのを設けまして研究をいたしております。国際放送充実のため来年は前年度比二億五千万円の増額を要求しておりますが、とりあえずこれを何とか実現をさせていただきたいと思っております。
  22. 虎島和夫

    虎島委員 積極的な御答弁であります。一日も速やかな実現を望みます。  委員長の御指導を心から感謝いたします。ありがとうございました。
  23. 深谷隆司

    深谷委員長 尾形智矩君。
  24. 尾形智矩

    ○尾形委員 この逓信委員会質問機会を与えていただきまして、委員長初め関係の皆様方に心から感謝を申し上げる次第でございます。  最初は十一月五日ということでございまして、十一月の初めごろから大変ハッスルをして勉強しておったわけでございますが、延び延びになってまいりまして、どうもいささか熱が冷めた感がありますが、一生懸命質問をさしていただきますので、どうぞ御答弁の方もよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  サービスの問題につきまして先ほど虎島先生の方からいろいろな御質問がございましたが、私、具体的なことについて一、二御質問を申し上げたいと思っておるところでございます。  最近、郵政省は非常にサービスがよくなったと私は感じておるわけでございます。窓口にいたしましても、今までは何か郵便を送ってやるんだというお役所的なと申しますか官僚的なと申しますか、そういうような態度も見られたわけですが、今、そういう点が改善されて非常によくなっておるというふうに理解をいたしております。それからまた、それぞれの局にいたしましても、地域の特性を生かしながら、またそれぞれのアイデアを出しながらいろいろ努力をいたしておるところでございます。  私は、当選してこちらへ来る前は、九年ほど北九州市の隣の人口三万三千ぐらいの町の町長をいたしておったわけでございますが、苅田局という郵便局の歴代の局長さんも大変努力をいたしておりまして、例えば一つの例を申し上げますと、正月の一月一日の日は朝七時に局長みずから出まして、そして郵便の、いわゆる年賀状の配達が始まるわけでございますが、その出陣式をみずからやられるわけでございます。もちろん郵便局職員皆さん、それからアルバイトのたくさんの人がおるわけでございますが、そういう人を全部集めて、よろしく頼むと言う。それから、町長は必ずそこに出席してくれと要請を受けまして、私も毎年そこに出てまいりまして、皆さんが胸を膨らまして待っておるので、事故のないように元気で頑張ってくださいということを申し上げております。そしてジュースで乾杯をして出かける。これも一つの儀式でございますが、何と申しますか、大変思いやりのある行事でございまして、実は来年も、一月一日には北九州の小倉局で既にもう私に出てこいということになっておりまして、約束をしております。  そういう一つの事実を見ましても、いろいろな面で大変配慮をされておるわけでございまして、私は、努力の跡が見られて心から敬意を表しておるわけでございます。そういう点から一、二お伺いいたしたいと思います。  郵政事業の収支が昭和五十六年以降五年連続して黒字になっておるわけでございますが、これも国民のニーズを的確に郵政御当局がとらえて、サービス改善を打ち出しておるようでございます。非常に喜ばしいことでございますが、最近実施をいたしましたサービス改善策、それからまた、今後どういうふうなサービス改善策を考えておられるか、まずその点について御質問を申し上げたいと思います。
  25. 富田徹郎

    富田政府委員 五十五年度末には約二千五百億円の累積赤字を持っておったわけでありますが、その後経営努力を重ねまして、昭和五十六年以来五年間連続して黒字であります。現在のところ約七十五億円の累積欠損金まで減じてきたところであります。その間、御指摘のようにいろいろなサービス改善を実施してきました。細かいのも取り上げますと、この五年間に恐らく優に百件は越えるようなサービス改善をやってきました。  大まかに申し上げまして、まず、郵便物のスピードアップを図るような改善策をやってきました。そして最終的には、ことしの十月一日に百十四年間の歴史のある鉄道郵便というものを全廃いたしまして、普通小包等も含めましてすべて航空機搭載あるいは自動車便等による輸送路線を確保いたしまして、全国的に翌日配達、約八割程度の郵便物は翌日には届くような、あるいはその残りの二割につきましてもほとんどが翌々日には配達されるようなスピードアップ体制を図ってきたところであります。  また、小包郵便サービスにつきましても種々の改善策を加えました。「ふるさと小包」というものを昭和五十八年度から開始いたしまして、五十八年度四十三万個の取り扱いでありましたけれども、五十九年度には百万個、六十年度には二百九十三万個、そして六十一年度、今年度でありますが、恐らく四百万個近くには達するものというふうに考えておるところであります。また、小包郵便物の料金の減額制度あるいは生もの、壊れ物等の取扱注意の小包、そういう取り扱いをするような施策等、いろいろな施策改善してきたところであります。  また、電気通信を応用いたしました電子郵便サービス「レタックス」でありますけれども、「レタックス」の改善もいろいろな形で努めまして、恐らく今年度は四百万通程度の取り扱いになるものというふうに考えておるところであります。  そのほか、くじつきの暑中見舞いはがき「かもめーる」あるいは十月一日から実施いたしました「配達日指定郵便」といったような新しい、高い付加価値のついた郵便サービスの開始等を続けてきたところであります。  今後とも、例えば「ワールドゆうパック」これは外国の製品を郵便小包として輸入するものでありますけれども、さらに、外国の在留日本人あてを想定いたしました「海外ふるさと小包」等を十月一日から開始する等、いろいろな新しい商品といいますか郵便サービス改善開発というものに努めてまいりたいというふうに考えております。
  26. 尾形智矩

    ○尾形委員 大変御努力をされております。先ほども申し上げましたように、その努力の跡が中央だけじゃなくて地方にも積極的に見られておるわけでございまして、どうぞひとつ今後も頑張っていただきたいと思いますし、特に第二の国鉄にならないように十分配慮していただきまして、御尽力を賜るようにお願いをしておきたいと思います。  次に、先ほど虎島先生からの御質問もあったようでございますが、何かまだ的確な御答弁がなかったようでございますので、関連して御質問をさせていただきます。  六十年度の税制大綱によりますと、少額貯蓄非課税問題は限度額の管理の強化ということで決着をいたしておるようでございますが、郵便貯金の限度額管理の現状、それから、今後の強化の方針等について御答弁をいただきたいと思います。
  27. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、昭和六十年度の税制改正によりまして少額貯蓄制度の管理の厳正化の方針が決まったわけでございます。  限度額を管理いたしますためには二つの要素が必要でございまして、一つは、預金者が正当な本人であるかどうか、いわゆる架空名義を防止する措置、それから、その預金者が非課税枠でありますところの三百万円を超えているかどうか、いわゆる名寄せと言っておりますが、この本人確認と名寄せの二つの要素が心要なわけであります。  本人確認につきましては、ことしの一月一日から預入の際にいわゆる公的証明、運転免許証であるとか住民票であるとか、そういった公的証明を提示していただきまして、架空名義による預貯金の預入の防止というものを徹底させているわけでございます。  それで、現在のところ、限度枠をオーバーしているかどうかという名寄せにつきましては、本人の氏名と住所をコンピューターに入れまして、それで限度枠の管理をいたしているところであります。郵便貯金につきましては全国一本のオンラインシステムが完成しておりますので、それで名寄せを行っているところでございます。現状から申しますと、昭和六十年度でいわゆる限度額をオーバーしていた件数が約九万件、減額をいただきました額が千二百十四億円というような結果が出ております。  今後の限度額管理の強化策といたしましては、現在大蔵省とも詰めているところでございますが、私どもとすれば、この名寄せの際に従来の住所、氏名に加えまして生年月日を入れることによりまして、例えば住居を転居したといったような場合に、転居届が出ていなくても、今までは出ていませんと同一人であっても住所が違うということで違う人という形にしかとらえられないわけでありますが、生年月日を入れますことによりましてこの同一人物を特定できるという形で、より一層厳正な限度額管理に努めてまいりたいというふうに考えております。明年の三月末から施行したいというふうに考えております。
  28. 尾形智矩

    ○尾形委員 今いわゆる郵便貯金の利子の非課税の問題が大きく論議をされておるわけでございますが、これは郵便貯金じゃなくていわゆるマル優も含め、脱税と申しますか、インチキが相当多いからというのが、これはすべてじゃありませんが、議論の中の一つの大きな問題になっておるわけでございます。この郵便貯金利子非課税制度、これは堅持をすべきであるというふうに、私自身はそういうふうに考えておりますし、そのために微力ですが努力をしてまいりたいと思いますが、同時にやはり先ほどから申し上げておりますように、管理の強化をきちんとしていかなければいけないというふうに思います。その点についてなお新しく生年月日等も考えられておるということでございますので非常に結構なことだと思いますが、何としましてもやはりそういう不正がないんだということを皆さん理解いただくように、ひとつ制度の面からも御努力をいただきたい、かように考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから金融自由化の問題でございますが、先進国におきましては時代一つの趨勢になっておるようでございますが、我が国におきましても、国債の大量の発行、そしてまた金融の国際化等を背景に順次進展をいたしておるように伺っておるわけでございます。  特にこの預金金利の自由化につきましては、大口は昭和六十二年春の完成を目途に着実に進んでおると聞いておるわけでございますが、大口に引き続き推進をされる小口預貯金の金利の自由化も間近に迫っておるというふうに考えておるわけでございます。郵政大臣、この金融自由化にどのように対応していかれるか、御所見を賜りたいと思っております。
  29. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 国際化、自由化、平準化、これは世界の趨勢でございます。このような趨勢をいち早くとらまえてそれに的確に対処することが政治家の責任だと考えております。  郵政省といたしましても、預金者の利益を守り社会的公正を確保いたしますとともに、金融全体の効率化を図りますために、金融自由化につきましては積極的かつ的確に対処してまいる所存でございます。  具体的に申しますと、入り口に当たる郵便貯金の利率、資金調達面、それから出口に当たる貸出金利、資金運用面ですが、ここまで一貫して市場金利が反映する仕組みが不可欠だと考えております。そのために、金利自由化に対応した商品を開発するとともに、一番重要なことは郵便貯金資金運用制度改善に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  30. 尾形智矩

    ○尾形委員 郵政大臣郵便貯金金融自由化に積極的かつ的確に対応してまいるということでございますし、また郵便貯金資金運用制度改善にということでございますので、この点につきましてはひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  次に御質問申し上げたいわけでございますが、我が国の財政事情が極めて悪いということはもう御承知のとおりでございますが、今後毎年二十兆円を超える大量の国債が発行される見込みのようでございます。このように今後発行される膨大な国債をいかにして円滑にかつ安定的に消化をしていくかということは、日本にとりまして重要な課題となっておるところでございますが、こうした事態に的確に対処していくためには、安定的保有者として期待ができる個人により多くの国債が保有されることが大切なことは当然で、論をまたないわけでございます。また近年、金融自由化の進展や長寿社会到来などで、社会経済情勢の変化に伴いまして国民金融サービスに対するニーズが多様化してまいっておるわけでございます。こうした国民のニーズにこたえるために、国民に最も親しまれている郵便局国民の健全な資産形成を積極的に支援をすべきではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。そのためには全国津々浦々にある、約二万というふうに承っておりますが、郵便局で国債販売を行うことが必要であるというふうに私は考えるわけでございますが、この点につきまして郵政大臣の御所見をお伺いをいたしたいところでございます。
  31. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 今先生から、金利の自由化さらに国債の窓販、次々と郵政事業の重要な問題についてお挙げになりました。私もかつて大蔵政務次官をやっておりましたが、国債というものはこれは機関投資家が持つものではなくてできるだけ広く一般の国民にお持ちをいただき、そして税制にも関心をお持ちいただく、こういうはずでありました。確かに先生おっしゃるように、国民のニーズの多様化にこたえる、また国民の健全な資産形成を支援する、そういう意味で国民に最も親しみのある郵便局で売らしていただくのがこれは当然のことではないかと思っております。その実現に向けて全力を尽くさせていただく所存でございます。
  32. 尾形智矩

    ○尾形委員 先ほど虎島先生の御質問の中にも出てまいりましたのですが、もう少し概要を聞かしていただきたいと思って再度関連質問をさせていただきたいと思いますが、シルバープラン創設を要求されておる。先ほど大臣の御答弁の中にもその言葉が出て、シルバー貯金でございますが、シルバー貯金創設を要求をしていくということでございます。この概要について、これは必要性については私も意見を述べたいと思っておりましたのですが、時間の都合もありますので、必要性は十分認識をいたしておりますので、シルバープラン創設を要求しておると言われておりますが、その概要を簡単に御説明いただければと思っております。
  33. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 急速に高齢化が進んでいる中で、長くなりました老後をいかに安心して過ごすかというのは、国民一人一人ひとしく備えなくてはならない大きな課題だと思うわけでございます。  そういうことを考えますと、やはり老後のことを心配し始めるというのは三十歳代ぐらいからでございまして、できるだけ人生の早いうちに蓄えておくということが大切だろうというふうに考えております。そういう意味で、三十歳以上の方を対象にしまして、毎年百万円の限度内で積み立てをしていただく、そうして一千万まで、現在の三百万の非課税枠よりも別枠で一千万まで積み立てるようにシルバープラン貯金というものを考えているわけでございます。
  34. 尾形智矩

    ○尾形委員 NHKの問題について二、三御質問申し上げたいと思います。  まず最初に、NHKの財政運営の仕組みと最近の決算の状況がどうなっておるか、概要を御説明いただきたいと思います。
  35. 森島展一

    ○森島政府委員 NHKは受信者の負担する受信料を主な財源といたしておりまして、その収支予算は国会の承認を得て決定されます。それから決算につきましても、郵政省を経て国会に提出する、こういうことになってございます。  最近のNHKの決算の状況でございますが、五十八年度には百四十一億円の収入不足を生じました。五十八年に受信料額を改定いたしましたことによって、五十九年度、六十年度、これはそれぞれ百七十六億円、それから七十七億円という次年度以降の繰越金を生じたところでございます。
  36. 尾形智矩

    ○尾形委員 受信料の収入が伸び悩んでおるということを伺っておるわけでございますが、過去五年間ぐらいで結構だと思いますが、その状況。それからまた将来の収入見通しと申しましょうか、受信料はどういう傾向にあるのか、将来ぐんと伸びるのか、もう横ばいで伸びないのか、そういうことで結構ですが、そういう点についてお聞かせいただければと思います。
  37. 森島展一

    ○森島政府委員 過去五年間の受信料の収入の伸びを見ますと、五十六年度には三・六%前年比伸びておりますが、それ以降大体二%から一・数%の状況でございまして、五十九年度だけでは受信料値上げで一七%伸びております。受信契約数がもう飽和状態で、三千万ぐらいでございますので、今後も受信料収入の増加というのは微増にとどまるというふうに思っております。
  38. 尾形智矩

    ○尾形委員 受信料の滞納の問題でございますが、伺いますと九十九万件余、まあ百万近い。全体の収入の三・三%になるというふうに伺っておりますが、どんな理由でこれだけのものが徴収できないのか、その大きな幾つかの事例を教えていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  39. 森島展一

    ○森島政府委員 受信料の滞納九十九万件の内訳でございますけれども、半分強に当たる五十二万六千件、これは、集金人が受信者に会えないという、面接困難という理由でございます。そのほか、航空機の騒音それから受信障害、それから受信料制度や番組に対する批判、こういったことで滞納になっております。なお、契約そのものを拒否しているということが十四万件別にございます。
  40. 尾形智矩

    ○尾形委員 NHKの収入のすべてといいますかほとんどが受信料ということのようでございます。受信料をたくさん収納していただかなければならないわけでございますが、そのために受信料収納に大変努力をされておると思います。その中で振り込みもなされておるわけでございますが、振り込みと集金人で集めている比率がどういうふうになっているかということをまずお知らせいただきたいと思います。
  41. 森島展一

    ○森島政府委員 受信料の口座による振り込み、これは、五十九年度の受信料値上げの際にそういう制度をお認めいただいて、現在六五%ぐらい口座振り込みになっておりますが、年々口座の比率をふやすということで、六十一年度は六七%ぐらいまでこれを持っていくというような予定でございます。
  42. 尾形智矩

    ○尾形委員 先ほどの御答弁の中で、九十九万件の中で五十二万六千件は面接困難だということでございますが、これはどういうことを意味しておられるのでしょうか。住所はそうなっているけれども行ってももういないんだというのか、逃げ隠れていないのか、そこらあたりの内容を、非常に細かくなりますが、わかれば教えていただきたいのです。
  43. 森島展一

    ○森島政府委員 面接困難の内容といたしまして、いろいろございますが、移動によるものとか、それから単身の世帯がふえておるとか、あるいは共稼ぎでなかなか面接しようとしてもその時間いないとか、そういうものが多くなっております。
  44. 尾形智矩

    ○尾形委員 大変努力をされておることはわかるわけで、この種のものにつきましては一〇〇%というようなことは全くないわけでございまして、それぞれ難しいわけでございます。  私も、先ほど申し上げましたように町長をしておりましたときに、国民健康保険の未納者がおるわけでございますが、この徴収に大変苦労しまして、どんなに努力をしても九三%から先はなかなか伸びないわけで、議会でいつも追及をされたりというようなことの経験があるわけです。管理職全部動員して、夜討ちで私を筆頭に全部一軒一軒滞納者の家を回ったりというようなこともしてみたわけですが、しかしそれでも、一%ぐらい伸びるぐらいで、九三が九四になるぐらいで、それから先は伸びないわけでございます。  そういう意味で、私はこの数字が不的確であるとかということを申し上げておるわけではないわけですが、ただ、一番問題になるところがあるわけでございます。これは地方自治体の国保の会計の場合でもそうだったのですが、このNHKの場合もそういうことが言えるわけでございます。と申しますのは、料金値上げをしていくわけでございまして、どうしてもそれぞれの経済事情に従って受信料の値上げをしていきますが、まじめな人だけが払っていくという形になるわけでございまして、払わない人はいつまでも払わないわけでございます。そういうところの不公平さと申しますか、金額も私は大事なことだと思うのですが、金額より以上に大事なことは、そういうところを国民に対してどういうふうに説明をしていくかということです。これだけの人が払わぬのだ、しかしこれはどうしても不可能なんだという考え方が先行いたしますと、おれもそんなに払わぬでもいいじゃないかというような考え方が出てくるわけでございまして、私は、そこがやはりこの種の問題の場合に一番大事なことだろうと思うのです。そういう点についてどういうふうにお考えになっておられるか、そこらあたりをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  45. 森島展一

    ○森島政府委員 確かに受信料の滞納ということは、NHKの財政基盤にもかかわり、それから、受信者の負担の公平という点からも大変重大な問題でございますので、郵政省としましても、従来NHKに対しまして、この受信料の滞納ということを減らすように努力してほしいということを、NHKの予算に対する意見書等でたびたび要望してまいりましたが、NHK自体も、休日それから夜間等に受信者に面接する努力を重ねるとか、非常に努力はいたしております。しかし、なお一層の努力をNHKが重ねることによりまして受信者の信頼、理解を得ることが、今後もその受信料収納の確保に必要なことと思っております。
  46. 尾形智矩

    ○尾形委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、委員長初め大臣、御答弁本当にありがとうございました。
  47. 深谷隆司

    深谷委員長 阿部未喜男君。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほど大臣所見を承りました。おっしゃるように、今郵政の三事業が直ちに大変な事態になるというふうには考えません。大臣もおっしゃるように、むしろ現状では順調ではないかと私も思います。しかし、金融自由化があり、外圧があり、また輸送の過当な競争があり、三事業とも大きな曲がり角に来ておるということについても間違いのない事実ではないか。そういう意味では、大臣、大変重要な時期に御就任をされたわけですが、とりわけ、先ほど所見の中で述べられました郵便貯金利子非課税制度を廃止するなどという無知蒙昧のやからの意見が横行しておるようでございます。  そこで私は、きょうは大蔵大臣並びに政府税調の小倉会長に御出席をいただいて、大蔵大臣政府税調の会長が郵便貯金というものについてどのような認識を持っておられるのか、それをも承りたいと思って要請をしたのですけれども、残念ながら大蔵大臣は参議院の大蔵委員会、これはいたし方ございません。そこで、政務次官に出てもらいたいと言ったら、痔の手術をしておしりが悪いから出られない。政府税調の小倉会長は友人のお葬式で出られない。私がお伺いしたい大事な方はだれもお見えになれないのでございます。最近、どうも政府全体で国会を軽視し、委員会を軽視する傾向が強い。  かねて私は、宮澤さんが官房長官のときに、内閣は連帯をして国会に責任を負うことになっておる、当然要求があれば、自分の所管事項を審査する委員会があるときはともかくとして、それ以外のときには大臣大臣がどうしてもおつかえであれば政務次官に出席をしてもらいたいと強く要請をして、当時の宮澤官房長官はこれを了とされたわけでございます。しかし、その後一向にこれが改まりません。大蔵省などに至っては、よその委員会には課長をもって対応させろなどという横着な言辞がこれまた横行しておるようでございます。  そこで、せんだって私は改めて衆議院の議院運営委員会において後藤田官房長官にこのことを申し入れをいたしまして、政府は責任を持って責任者を各委員会出席させるようにお願いしました。官房長官も、大変ごもっともな意見であるということで快諾をされましたが、各省庁にそういう通達が回っておるでしょうか。官房長いないようですが、わかりませんか。——では大蔵省見えていますね。大蔵省は、政府委員の人はそういうことを十分承知しておりますと言っておりましたが、本当ですか。
  49. 赤倉啓之

    ○赤倉政府委員 お答え申し上げます。  そういうことは承知しております。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで郵政大臣、大蔵省が承知しておるわけですから郵政にも来ておるはずだと思いますけれども、これはひとり大蔵省だけでなく、政府全体の責任として、今後よその委員会の場合にも郵政省は責任を持って御出席をしていただくようにお願いをしておきます。  そこで、実は私はせっかくの郵便貯金質問については腰を折られまして、これは後回しにいたしまして、先に、先ほど大臣所見の中で、国内及び国際通信分野への新規参入の動きが活発になってまいりまして活性化がもたらされつつある、こういうふうにお述べになっておられますけれども、最近の特に国際通信分野における新規参入状況、見通しと申しましょうか、どういう状況か、これは事務当局で結構ですが、お答えを願いたいと思います。
  51. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 昨年の四月一日における電気通信改革の一環といたしまして、法制上は国際電気通信分野におきましても新規参入の道が開かれたところでございます。そのような法制上の改革を受けまして、国際分野におきましても現在二つのグループが国際電気通信事業分野に参入しようということで調査会社を発足させております。一つのグループは、三井物産、三菱商事等商社グループを中心としたものでございます。もう一つのグループは、伊藤忠並びにイギリスの国際電気通信事業者でございますC&W、ケーブル・アンド・ワイヤレス等が中核になって調査会社を設立したところでございます。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは当然、新しい電気通信事業法によって外国資本が三分の一参入できるということになっておると思うのですけれども、外国の資本が参入する場合に三つの形が考えられないでしょうか。資本だけが参入してくる場合、二つ目には資本、経営の参入がありますね。三つ目に、外国事業体そのものが三分の一の資本を持って事業の経営に日本の国内に入ってくる場合、この三つの場合があるように思われますが、これはそういう認識でいいのですか。
  53. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 外資の電気通信事業への参入の形態については幾つかのパターンが考えられると思います。先生御指摘になりましたように、単に資本だけが参入をするというもの、それから経営に参画をするというもの、さらには事業体そのものが日本電気通信事業をやろうというもの。しかしながらこれは、第一種電気通信事業につきましては第三番目のものは三分の一未満という外資制限がございますので、全面的に一〇〇%の電気通信事業は第二種電気通信事業しか認められておりません。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、大体国際通信というものは、二国間では五〇対五〇のいわゆる対等の相互主義による権益を守ってきたというのが今日までの国際通信のあり方であったと思うのです。しかし、今おっしゃるように仮に外資が三分の一であったとしても、大臣も御承知と思いますが、今うわさをされておるイギリスのC&Wという会社は、伊藤忠と組んで明らかに日本でみずからが国際通信をやろうという計画を持っておるようでございます。もしそうなりますと、国際間の権益は日本が三分の一、イギリスが三分の二という不公平な形になってきますから、まず第一点目で大きく国益が損なわれるということになってくると私は思うのです。  二点目に、一社だけで済むかということになりますと、もしC&Wが出てきていいのならば、ほかの会社も日本において事業をやりたいというところはたくさんあるようでございます。したがって、アメリカからも来るでしょう。ほかの国からも来るでしょう。そうなると日本の国際通信の市場というものは草刈り場になってしまう。これは国際通信のあり方として非常に混乱を招くおそれがあるし、特に私は、かねて主張しておる通信主権という問題が一体どうなるのか、あるいは国の安全という問題についてどういうことになるのか、非常に懸念をされるのですが、その辺どうお考えでしょうか。
  55. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生御指摘になりましたとおり、国際電気通信事業には国内の電気通信事業と違った別の性格がございまして、それはまさしく他の国の国際電気通信事業者とあまねく緊密かつ友好的な関係を保って、相互にフィフティー・フィフティーで事業を営むということが根底になっております。したがいまして、もしある特定の外国電気通信事業者が日本の国際電気通信事業に経営の参画をするというような形で中核的な役割を果たすようなことになりますと、これは不平等な取引になるのではないかというおそれを私どもも抱いているところでございます。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は大臣、先般来、イギリスの高官などがお見えになりますと、総理大臣の耳元や郵政大臣の耳元でひとつC&Wをよろしくお願いしますなどと言われますと、ついにこにこっとする日本の政治家もおるようでございます。まだ私新聞を見ていませんが、さっき田並先生が勉強されていましてちょっと耳打ちをしていただいたのですけれども、けさの新聞で何かそのことについて大臣はきっぱりとお断りになったというふうに承りました。倉成さんは何かはっきりせぬそうで、倉成さんは国際経済はかなり詳しいお方だと私は思っておったのですが、この点まだよく御存じないのかもわかりませんので、大臣がお答えになった内容と、それから閣議等において倉成さんにちょっと教育をしておいてもらわぬといかぬと思いますので、その辺いかがでしょうか。
  57. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 その前に委員会出席のことでございますが、私はかつて、官房長官が出れないでふつつかな副長官が出てまいりまして、阿部未喜男さんに厳しいおしかりをいただきまして、早速帰りまして内閣から指令を発した次第でございます。その問題はそういうことで、私も非常に敏感になっておりますが、今回の場合、官房長官から閣議で、大臣、政務次官、やむを得ないときは政府委員出席して答弁するようにということは、確かにそういうような指示がありましたことを、まずもって昔を思い出しながらお答えを申し上げる次第であります。  国際電気通信のことにつきましてはただいま局長答弁申し上げたとおりであります。私のところにもC&Wのサー・エリックも参りましたし、昨日もイギリスのチャノン貿易産業相が参りました。先生が御質問があるというので、不正確なことはいけないと思いますので一応確実なところを申し上げております。  第二KDDの問題については「市場規模から、複数社の参入は困難と判断している。 民間の二つのグループの間でも一本化の気運があることも聞いており、話し合いが行われて、妥当な結論が出されることを希望している。」それで、ここから大事なところだと思うのですが、「先進国では、国際電気通信事業の中核に外国の国際電気通信事業者が入っている例はないこと及び国際電気通信事業は、各国の国際電気通信事業と協調しなければならないという性格を有することから、慎重に検討する必要があると考えている。」ということで、相手でありますからにっこりは笑いましたが、言うことだけははっきり申し上げておきました。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで通信局長、先ほどちょっとお話がありましたが、ITJとIDC、二つ出ておるようでございますが、これはそうすると調整をしながら、外国資本の参入を三分の一までは仕方がないにしても、通信事業者、通信事業体として日本で営業を認めるというようなことはないような調整を監督官庁として行っていきたい、そう理解をしていいですか。
  59. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 ITJの方は七月上旬に既に企画調査会社を発足させておりますし、IDCの方は先週でございましたか、十一月十七日に調査会社を設立しております。したがいまして、これからそれぞれの会社でフィージビリテイースタディーと言われる企画調査を行っていくと思います。その過程で、先ほど大臣が申し上げましたように、市場規模からいって到底二社は無理であろうという機運が出てきて一本化に向けて話し合いが進むことを私どもとしては期待しておりますし、また先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、話し合いの中で妥当な結論が出ることを省としてはあくまでも期待いたしますけれども、最終的にこの問題の処理に当たりましては、大臣がきのうチャノン大臣にもお話し申し上げましたとおり、外国電気通信事業者がある他の国の国際電気通信事業の経営の中核に参加している例はないということ並びに国際電気通信事業は他国の国際電気通信事業者と緊密かつ友好な関係を保っていかなければならないという、二つの着眼点を念頭に置いて処理をしたいというふうに考えております。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、実はこの電気通信事業法をつくるときに、KDDの方は十分頭になくてNTTの方を中心に考えたものですから、少し拙速であった嫌いがあるような気がします。今大臣のお考えもそうですし、当局もそういうお考えのようですから、特に国際通信についての電気通信事業法を一遍見直しをしてみる必要があるのではないか、こういう意見を私は持っておるのですが、どうでしょうか。
  61. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 いわゆる電気通信事業法における見直しの規定が附則に入っておりますが、この見直しにつきましては、施行後の状況に照らして多角的に検討した結果結論を出すことになっております。いよいよ三年の期限が再来年の四月には参りますので、再来年の四月に向けまして国内、国際を問わずいろんな問題を分析して、多面的多角的に検討をしたいというふうに考えております。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、大蔵省の大山審議官お見えですね。あなたは税調の方の窓口にも当たっておるし、いろいろ税調のことにはお詳しいということを政府委員室の方からお伺いしたわけでございますので、一つだけ聞かせてください。  ことしの五月、衆議院大蔵委員会におきまして小倉税調会長が我が党の堀昌雄先生質問に答えて、マル優制度あり方について御答弁をなさっています。そのときに小倉税調会長は、マル優の廃止というのはなかなか意見がまとまらなくてこれは難しい、今限度額管理の問題を各金融機関が取り組んでおるので当分これを見守ってみたい、こういう御答弁があっておるのです。これは会議録で明らかでございます。それからまだ何カ月もたたないうちに、限度額管理を見守ると言った小倉さんがマル優制度の廃止を答申したという、これはあなたはわからぬでしょうが、その辺の心境の変化がどこら辺にあったのか、知っておるなら答えてください。
  63. 大山綱明

    ○大山政府委員 お答え申し上げます。  会長の心境のことでございますのでちょっと難しい御質問でございますが、税制調査会は昨年の九月から一年有余にわたりまして審議を続けたわけでございます。私ども事務当局はいろいろなデータを出しましたし、委員先生方も五十人に増員されて、けんけんがくがくの議論があったわけでございます。そういったような議論を通じましてあるいはいろいろなデータを通じまして、税調の答申先生御案内のとおりかと思いますが、多額の利子が課税ベースから外れているとか高額者が利用割合が多いとか、こういうふうに一律的に利子を優遇するのがいいのかどうか、そういったような点で、そういった今申しましたような意見の方に多数の意見が傾いた。ここで小倉会長としても御案内のような答申を出された、こういうことかと存じます。  確かに郵便貯金非課税問題等、二年前にも大議論を郵政当局とも私どもさせていただきまして、結局は限度管理の強化ということでそのときは結論を得たわけでございます。そういった状況から考えますと、小倉会長、大変難しい問題だと御判断される理由は五月の当時にはあったのかと存じますが、その後のいろいろな議論の結果からかというふうに推測をいたす次第でございます。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いや、長い議論の中ではいろいろ出ましょうけれども、ことしの五月です。ことしの五月に、これは難しい、当分限度額管理を見守りたいという会長の御心境であったようですから、今おっしゃるような問題は、まあ議論すれば長い問題ですが、結局悪いことをしておるのがおるからということで、それは結果的には角を矯めて牛を殺すことになる。限度額管理によって悪用しておる諸君を排除すればいいのであって、かつても大蔵省はグリーンカードというのを準備をされて、まさに発足寸前までいったときにおやめになったようでございますが、私はあのグリーンカード制度賛成だったのですけれども、これはやむを得ません。  時間がありませんからもう一つ。そうなりますと、さっき御質問もあり大臣は答弁をされておりましたが、郵便貯金政府財投とのかかわり合いで、郵便貯金がどんどん細かくなっていって、日本の財政運用はどういうふうにお考えになるのですか、構わないのですか、どうなんですか。
  65. 大山綱明

    ○大山政府委員 財投も大変大事であるということは私ども大蔵省一致した意見でございます。郵便貯金課税あるいは利子一般の課税の結果、財投資金が先細るというような御議論があるわけでございますが、政府税制調査会答申におきましては、郵便貯金それから利子一般それから他の貯蓄手段に中立的な税制を構築するべきだということを言っておりまして、私どもは、貯蓄水準そのものが課税によって動くことはない、しかし貯蓄手段の間でシフトが起こることは課税がアンバランスに行われる場合にはあるという見解に立っているところでございますが、貯蓄手段と申しますか、商品の間の課税のバランスを適切に考えてとっていくということを通じまして、財投資金が減る、郵便貯金が減るということのないような対応ができるものと考えております。
  66. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうは時間がありませんから大臣最後に、私せんだって自民党税調会長の山中先生にもお目にかかりましていろいろお話をさせてもらいました。特に郵便貯金日本経済の戦後の復興等に大きな役割を果たしてきた。とりわけ経済の高度成長期においては、庶民の皆さん貯金の目減りがあることを承知をしながら、ほかに手段がないから国の機関であるということを頼りにして郵便貯金をしてきた。これが今郵便貯金の大宗を占めておるのです。枠外に出ておるとかというのはこれはわずかな頭数でしかないはずなんですよ。そういう点について山中会長にも私どもの意見を十分お話をいたしました。山中会長もそういう点については理解を示されたようでございます。もちろん若干意見の合わない点もなかったわけではございませんが、ぜひひとつ大臣の方からも自民党税調の方にも働きかけていただきまして、先ほどの御決意のように、特に私は郵政郵便貯金だけでなく三つの柱、三位一体で運営をされるところに公共事業として国民に奉仕をするいい姿があると思っておりますので、決意のほどをお聞かせいただきまして質問を終わりたいと思います。
  67. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 先日の本会議に引き続きまして阿部先生から専門家のお立場で御激励をいただきまして、本当にありがたいと思っております。  税制問題、今党税調で御審議をいただいておるわけでございまして、余り閣僚はいろいろ発言をしないことになっております。私は昨日夕刻、山中会長にはお会いをしてまいりました。確かに最後先生言われましたように、税の問題を離れてこれは財政、経済、社会問題になるおそれがありはしないか。それは今大山さんが言いましたシフトがあるのかないのか、その辺を私はもう少しはっきり教えていただきたいんですよ。日銀みたいにシフトがなければ非課税制度を廃止してもいい、あしたお天気ならゴルフに行こう、こんな重要なことをこんな軽く言われては大変困るわけでございますが、何しろいろいろ調べますと、ちょうど大山さんもいるから聞いておいてもらえばありがたいのですが、先生言われましたように郵政は三事業一体でやっている。その中でやっているんですね。しかし、よその国でほかの助けを得ないで郵便事業をやっている国はない。  それはいかに進んだ社会でも配達は人間がやりますから、テクシーが自転車になりバイクになってもそれだけの話です。特に日本はPOボックスが少ないから、宅配だからこれは大変人が要るわけですね。それでアメリカ一般会計からお金を出している。あとは電気通信を国でやっているからこの上がりでやっている。それで今まできたわけで、もしものことがあると、これは郵便料金を上げられるかと言ったって、日本は高い方ですからね。間違えてはいけないのは、割り掛けはどうやっているかといいますと、あっち向いたりこっち向いたりして言わなければいけないのだけれども、まず局舎の負担をどうするか、特定局長人件費をどうするか。小さいところは兼務で効率的にやっておる、その人たちの人件費割り掛けをどうするかというと、これは事務量でやるほかない。百兆ある郵貯が大き過ぎるかどうか、これはまた別問題でありますが、それで支えている。郵政事業郵政の中でやりくりしているのは日本だけだと私は思うのですね。ですから、郵政事業を守るということは郵政省郵政省職員のためではない、これは本当に国家国民のために皆様に御検討いただきたいということで、何しろ結論は、私は郵政審議会答申趣旨を踏まえて最後最後まで努力をさせていただく所存でございます。
  68. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣の御答弁、満点でございます。終わります。
  69. 深谷隆司

    深谷委員長 伊藤忠治君。
  70. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 実は先ほど阿部先生の方から御指摘がございました国際通信市場のいわば参入問題についてです。重複を避けまして関連の質問になるわけですが、外資が参入する場合のケースは三つあるということで局長の方もそのことについて説明ございました。今回私が問題にしたいC&Wの問題、IDCですか、これは三つのケースのうちの強いて言えばどのケースに当たるのでしょうか。
  71. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先週の十七日に発足いたしましたIDCと言われる伊藤忠並びにC&Wグループの企画調査会社の設立内容を私ども見ましたところ、役員の派遣並びに出資比率C&W二〇%でございます。したがいまして、役員を派遣するということはとりもなおさず経営の中核に参画をするということを意味するものだと思います。出資比率二〇%というのは三分の一未満ではないかということもあるかもしれませんが、二〇%の出資比率を持っておりますのは、当該会社におきまして伊藤忠と並んで二社だけでございます。つまりIDCにおけるC&Wはトップシェアを持っているということでございますので、この点におきましても単なる株式保有の率の問題だけではないというふうに考えております。
  72. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうしますと、三つのうちの一つが資本参加のケースですね。これは三分の一以下ということになっていますから、二〇%取得ということになれば、単純に見ればそれは第一のケースに該当しまして、次が経営のコアとして参加をするというふうに私は理解するものですから、そうするとこれは二番目のケースというふうに考えてよろしゅうございますか。
  73. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 結論的には先生のおっしゃるとおりの経営の中核に参加をするというケースだと思います。ただ、出資比率にいたしましても確かに二〇%ではございますけれども、先ほど言いましたようにトップシェアであるということ、したがいまして、これは実際に事業会社になる際にどうなるかわかりませんが、他の出資比率が非常に小さければ、それとの相対比較におきましてパーセントが相対的に高ければ株主総会等の議決を左右する力を持ち得るわけでございます。その点は実態を見た上で判断をしたいというふうに考えております。
  74. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私はここで定義の問題を結論づけようとは思っておりません。そういう趣旨じゃないのですが、今の局長の答弁を聞いていますと、あえて言えば一、二、三とケースを分けられたのですけれども、これは全体に関係するような問題だ、こういうふうに私は理解をしたいのですが、そういうことでございますか。
  75. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先ほど阿部先生の方から三つのパターンにお分けになりましたのでそれにのっとってお話し申し上げましたが、先生おっしゃるとおり出資比率並びに役員の問題等総合的に判断をしたいというふうに考えております。
  76. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 このように制定当時にはどちらかというと想定できなかったような問題が現実に起こっているわけで、今後この種の問題が起こるということがあっては非常に困るわけでして、政府側としても今後法律の見直しについて検討課題にしたいという一定の見解を述べられておりまして、私もそれを支持するものであります。  二点目の問題としてお伺いをしたいのは、それと関連をしまして、市場参入の問題といいますのは、例えば市場そのものが非常に巨大であった場合にはまた参入の形も変わり得るものだろうと私は思っているわけです。ですから、今回の国際通信市場そのものにはおのずから限界もあるわけでして、今議論をしているわけですが、ネットワークの関係が当然これは絡んで将来出てくる問題ではなかろうかと私は想定するわけです。  つまり、何が言いたいかといいますと、国際間の回線、ネットワークといいますのは、今国際条約なり、日本の場合ですとKDDが所管になって国の窓口としての通信に当たっているあるいは運用に当たっていると思うのです。ところが、C&Wのように大西洋ケーブルだとか太平洋ケーブルだとか、あるいは地球をぐるっと巻いていくようなネットワークが全地球的にしかもバイパス的に張られていくということと、さらに関連をしまして通信衛星などが、もちろんこれは国際規約の問題とかいろいろ取り決めはございますけれども、これからそういうものも時代の変化に伴って固定的には考えられないと思うのですね。そういうネットワークそのものが背景としてどんどんと進展していく中で国内における国際通信市場参入の問題で、これは必ず密接不可分の条件というものがつくられていくような気がしてならぬわけですが、その辺の心配というのはないものでしょうか。郵政省としてはどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  77. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 グローバルネットワーク化の前にちょっと説明させていただきますが、法律の見直しについての先ほど私が答弁申し上げました点は、現行の電気通信事業法の附則によりまして、法律施行後の状況に検討を加えて必要な措置を講ずるという規定になっておりますので、その意味から国内通信、国際通信あわせて多角的に検討したいということを申し上げたわけでございまして、現在の外資比率三分の一未満を国際通信について見直しをするという決定をしたわけではございませんので、これからの検討課題というふうにお受け取りいただきたいと思います。  それから、ただいま御質問のございました今後国際的なネットワークというものが地球全体を取り巻いていくのではないかということはまさしくそうだろうと思います。最初の海底ケーブル、大北電信による日本—ウラジオ間の明治時代のケーブルから始まりまして、ただいまも先生お話しございましたように現在は衛星によるネットワークも既に全国、世界に張りめぐらされております。こうしたケーブルなりあるいは衛星につきましても、さらに技術開発によりまして例えば光ファイバーケーブルを利用するあるいは多重化装置を講ずるというようなことで容量等も飛躍的に増大することにもなりますし、また衛星につきましてもさらに大容量のものが多数打ち上げられていくことが考えられます。  したがいまして、地球を取り巻くグローバルネットワーク化ということは避けられない趨勢だと思いますが、そういうことを前提といたしましても、国際電気通信事業というものはそれぞれの主権を有する国と他国との平等な関係を維持しつつ行うのがあくまでも基本原則でございまして、外国電気通信事業者をパートナーとして友好でかつ緊密な関係を維持しつつやるということでございますので、ある特定の企業体が特別に他の国に乗り込んで経営に参画するというようなことはやはり好ましくないと考えております。
  78. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いずれにしましても、御答弁いただいておりますように、国際通信分野といいますのは相互主義ですから、通信主権そのものがしっかり守られた上での言うならばルール化というのが法制上も確立されなければいけないという趣旨を踏まえられまして、今後いろいろな事態、ケースが起こるのだろうと思いますが、適切に対処をいただきますように、不備な点については検討をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、国際放送のことについて、先ほどもお触れがございましたけれども、国際化時代を迎えましてこの果たす役割は非常に重要であろうと私自身も思っているわけです。最近の喜ばしいといいますか成果を上げた問題としましては南イエメンの事件もございます。あのようにラジオ日本が果たしている国際的な役割は非常に大きいと思うわけです。  とりわけ、国際社会ということもありますが、一面では、国際化時代になりますと邦人が海外に多く出られておりまして、その電波を生活の中に仕事の中に有効活用するという価値はますます高まっていると思うわけですが、それにつけても政府の交付金が非常に少ないのじゃないかと私は思うわけです。海外援助資金などの議論を聞いておりましても、相当膨大な援助を日本としては出してきているわけですね。ところが、国際放送というのは、今日までの予算を見ましても十二億三千九百万です。  今回、郵政省の積極的な施策の実施もございまして、カナダに中継所が新しくできる、放送時間を拡大するというふうに拡充策について具体的に踏み出していただいているわけですが、この二億五千万の概算要求額というのは予算化について完全にオーケー、見通しがついたところまできているのかどうか。これは郵政省に聞くより大蔵省に聞いた方が早いと思うのですね。日本を代表する放送、テレビなんかそこまでいっていないわけです。ですから、テレビで代替することはできないので、ラジオ日本というこの短波放送が電波に乗って文化を運ぶというネットワークとしては唯一無二なんですね。世界の人々がどこにいても日本のこの放送を聞くことができるという状況をつくり出していくというのは、経済大国というよりも文化大国としてこれから発展をしたいという中曽根さんのその積極姿勢からいったって、そのことは早急に解決されていってしかるべきだろうと私は思っているわけです。それぐらい重要だと思っているのですね。  にもかかわらず、今日までの予算状況を見ますと十二億三千九百万で、運営に当たっている総経費のパーセントから見ましても政府交付金の占める位置というのはたかだか二四%ですね。あと七五・九%というのはNHKが持ち出してやっているわけですよ。これで果たして文化大国日本というふうに言えるだろうか。非常にこれは貧弱じゃないのか。予算をどんどんこの部分につぎ込んでいくならば、それこそもっとグローバルに地球を、電波をどこの地域でも聞くことができるように放送の体制をつくることができると思うのですが、そういう点から考えれば、六十二年度概算要求で、これまでの十二億三千九百万にプラス二億五千万円ですか、これが丸々実ったって十四億九千万、たかだかその程度です。これは大蔵省に私は言いたいのですけれども、そんなことだったのか、いやこれは当然だというふうに考えられてみえるのか、それともこれは概算要求の段階で、いろいろまた大蔵はシーリングがどうの、今は行革の時代だというので厳しい態度をとられるのか、その辺をちょっと聞かしてください。
  79. 佐藤謙

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  国際放送についてのお尋ねでございますけれども、私どもといたしましても、国際放送の果たす役割重要性ということにつきましては十分認識を持っているところでございます。ただ、今先生からも御指摘ございましたけれども、片方におきまして厳しい財政事情という状況もございますので、その中でどういうふうにこれを実施していくのかということかと思っております。これまで厳しい中で、例えば六十一年度予算につきましても、これは、こういった財政事情のもとでございますからいろいろな経費がそれこそ対前年度三角になっているような、そういった時期でございますけれども、この六十一年度予算につきましては、前年度と同額の十二億四千万を確保した、そんなふうな経緯になってきております。  それで、今お尋ねの六十二年度のお話でございますけれども、六十二年度の概算要求におきましては、郵政省から国際放送充実強化ということでNHKの交付金の増額等の御要求が出ております。これにつきましては、こういった厳しい財政事情のもとでございますから、それを踏まえての検討ということになってくるわけでございますけれども、今後よく郵政当局とも御相談をしながら検討を進めてまいりたい、かように存じております。
  80. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 どうもはっきりしないのですけれども、大体いつも大蔵省答弁はそうなんですよ。趣旨はわかるけれども実際には厳しいからということに決まっているのですよ。ところが、私が言いたいのは、これは例えば財政状況が厳しいからとか行政改革の世の中だとか、そういうふうな次元では論ずることはできないと思うのですね。例えば、この南イエメンの事件は御承知だろうと思うのですね。つまり、こういうふうな事件をフォローできる役割を実際にこの短波放送、ラジオ日本が果たすとは普通は余り考えられていなかった。ところが、外国生活をされている、仕事をされている皆さんは正確な情報というのはこれしかなかったわけですよ。皆さん承知のように、政変がどんどん起こるような開発途上国ではそのニュースそのものも当てにならぬでしょうが。そのときにどこの放送が一番信頼性があるのかという点では、世界的にもこれは評価されているわけですよね。非常に投書も来ておりまして、私も一枚一枚見させていただいたのですけれども、これは非常に評価をされているわけです。  そういうことになれば、これは何か一たん緩急あるような、事件とかそういう紛争問題が起こったときにはその果たす役割は非常に大きいわけです。そういうことを考えますと、金額の点で考えても、たかだかと言ったら怒られるかもしらぬけれども、五千万は調査費で、二億ですよ。正直言うならば二億が施策の拡大に使っていけるということなので、これらについて目を開くような姿勢がなければ、実際に経済大国日本だと言ったって、文化の面では非常に諸外国に劣っているじゃないですか。そういう点を私は強調しているわけで、私は、その点をしっかり踏まえて郵政省予算実現のために最大努力をいただきたいと思っているわけです。  聞かずもがなですが、郵政省の方としてはひとつ積極的に大蔵に対して物も言っていただいて、これぐらいのことが解決できないようではさらにこれから先の拡大策について実現するのは難しかろう、こう思いますので、その点を含めてひとつ態度表明をいただきたい、こう思います。
  81. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 今国際放送重要性につきましてお話をいただきました。本当にそのとおりでございまして、先生方が海外へ行かれると在留邦人の方から聞こえない聞こえないという話があると思います。おかげさまで十月一日からサックビルから北米向けの放送を開始しまして、アメリカのちょうど中部ですが、そこのテープにとったものを私聞かせてもらいましたら、かなりよく聞こえておるようです。それで、来年はガボンから中南米、さらにサックビルの時間延長ということで、それはあと二億五千万あれば足りるわけでございます。しかし、とてもそれだけでは十分ではございません。あと南西アジアも残っております。世界じゅうどこへ行っても在留邦人が日本のラジオが聞けるのだ、日本のニュースは逐一わかるのだ、今おっしゃいましたように緊急時の連絡、これももちろん重要でございます。  さらに、私は昨年党の日本文化研究交流小委員長というものをやりまして、文化交流と今の国際交流とやったのですが、昔は確かに異国趣味から日本を研究した。しかし、最近は偉大なる日本はどうしてできたかということで見ている。それより恐ろしいのは、各地へ行っていろいろな人が日本は恐るべき国だということを非常に大きく誇大に宣伝をしている。これが日本に対する認識を非常に誤らせている。そして、日本に対する研究熱は非常に強い。昔ジャパノロジーと言っておりましたのを今はジャパニーズスタディーズと言いまして、日本語みたいに難しいものを選択科目でとる人は昔はいなかった、みんな先を争ってとるようになっている。というのは、社会に出たときそれだけの特典があるというのですね。それだけ関心はあるけれども、いろいろ聞いてみると、非常に認識不足の点がある。これは我々のいろいろ知らす努力が足らなかったので、今こそ正しい日本、しかも外国からいって最も見えにくい日本を知らすときである。  一億とか二億とか十億とかいう話じゃないと私も思いますが、来年はあと二億五千万で何とかなる。さらに、先ほどお話ししましたように、将来はテレビなんだ。だから、映像交流懇談会を設けまして今から御研究をいただいておるわけでございますが、やはり郵政行政の目玉の最たるものであると私は認識をいたしておりまして、微力ではありますが、全力を挙げて取り組まさせていただきます。
  82. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 大臣の答弁を聞きまして心強く感じました。どうぞひとつよろしくお願いをいたします。  最後になりますが、非課税貯蓄制度の問題について大蔵省にお伺いをしたいのです。  私はこう思っているわけです。政府税調の答申が出ました。あれはつまり、減税をやろう、所得税の簡素化をやろう、不公平も一定の範囲で解消をしていこう、その財源を大型間接税あるいは非課税貯蓄制度の廃止によって充てる、一口に言えばこういう内容だろうと思っているわけです。  本来、歴史的な税制改革、大改革を今回やろうとするわけです。このことが税制改革の大目的だろうと私は思うのです。それだとするならば、現在ある不公平な制度、仕組みをどう直すかということが焦点に座らなければいけないと思うのです。現状、クロヨンだとかトーゴーサンピンだとか、例えば給与所得者と事業所得者との税の公平が実際にそのようにやられているか、税の捕捉がされているか、徴収が実際にされているのか。あるいは農業所得者と給与所得者と比べましても明らかに不公平があります。そういう問題にメスを入れるということ、これがおざなりになって、つまり所得税の一定の改革をするための財源を非課税貯蓄制度に求めていくというのは、私は、やり方として、物の考え方として基本的に極めて問題がある、こう思っているわけです。  私の考えから言わしめるならば、政府税調が出しました今回の答申のその中身というのは、大型間接税を導入されるわ、マル優貯蓄つまり非課税制度を廃止されるわ、そのことによって大衆課税、大衆増税という結果をもたらすのではないか、このように私は考えているわけです。その一環として、言うならば郵貯非課税制度をつぶそうなんというやり方は筋違いだし、全く問題の解決を基本に据えた真っ当なやり方じゃなかろう、私はこう思っているわけです。まず前提問題がそうなんです。  それで、この非課税貯蓄制度、これを原則廃止をするという今回の答申なんですが、十二兆円ですか、それぐらい利子課税されなくて、そういう資金があるからこれを捕捉しよう、ここから税金を取ろうという発想が政府税調から出ていると私は思うのですが、今限度管理を徹底すれば、つまり課税を徹底すればどれぐらい税として取ることができるのでしょうか。非課税貯蓄制度に潜り込んでいるアングラマネーがありますね、それを完全に捕捉をしたらどれぐらい税収として財源確保ができるのでしょうか。その点をお伺いしたいのです。
  83. 大山綱明

    ○大山政府委員 今回税制の大改革をしようということで政府税制調査会から答申が出されたわけでございますが、ただいま先生おっしゃいましたように減税をするためにその財源あさりだ、こういうことでその答申全体がまとめられているわけでは決してございません。やはり活力を失わない、そして公平感を持って二十一世紀を見渡した安定的な税収、税制を構築するためにはどうしたらいいか、そういう観点からいろんな角度から議論が行われたわけでございまして、どうやって公平感を持って皆さんが納めていただくような税制にしていくか、こんな点も一つ議論の非常に大きなポイントでございました。そんな観点からクロヨンの問題でございますとかあるいは給与所得者と農業所得者あるいは事業所得者との不均衡の問題、こんな議論もあって、それが所得税減税につながったわけでございます。  前置きはさておきまして、今の御質問の点にお答えをいたすわけでございますが、限度管理を徹底したら幾ら税収になるか。実は、どこにどういう不正が潜んでおるのかということが、私どもとしても全貌がつかめないわけでございます。国税庁で時々、時々と申しますか、サンプル調査をいたしておりますが、約一割程度の店舗に臨場いたしまして非課税貯蓄申告書の適正さというものをチェックいたしておりますけれども、それから例えば六十事務年度でございましたら四百億円余りの追徴税額があるとかいうようなことから、巷間、一割程度でそのぐらいの追徴税額があるのなら、全部やったらその十倍ぐらいになるではないかということが新聞等で取りざたと申しますか、推定されている数字は御案内のことかと思います。しかし、これは民間の貯蓄だけでございまして、郵便貯金の方がいかがかということは私ども存ずるすべもございませんので、全体がどのぐらいかということにつきまして的確に申し上げる数字は持っておりませんことを御了解いただきたいと思います。
  84. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いずれにしても都合のいいところはなかなかつかんでないわけですよね。潜り込んでいるということが問題だとすごく問題視しながら、どのように逃げているのか、悪用しているのか、その実態なんかつかんでないわけです。現行制度をきちっと守らせるという努力が中途半端に終わっていて、だからこれをつぶさなければいかぬなんという議論にすりかわっていくというのは、言うならば、不公平税制そのものがあいまいなままでさらに新たな税制改革だという名前のもとに貴重な非課税貯蓄制度が廃止をされるというのは、どう考えたってこれは国民の気持ちの中に不公平感を助長するものではなかろうか、私このように思っておるわけです。歴史的に果たしてきた役割なり、それから資金シフトの問題で言えば今も大変議論がございました、さまざまな問題を含んでいると思うのです。ですから、この制度を何としても堅持しなければいかぬし、これをつぶして財源を確保するなんて視点の方が強いのですよ、現実には。そんなふうにやられていくということは、どう考えても私は納得ができない、このように思います。  いずれにしたって大蔵省もやはりそういう立場に立って税制改革に取り組んでいただかなければ、政府税調が言ったことはああそうですか、あるいはほかの税調が出されてきたらああごもっともでございますとかいうようなことでは、ますます税に対する言うならば不平、不満というのは根絶できない。それはやはり国家に対する不信として残る。まじめに納めている者がばかを見ているから不公平感が出ているわけですから、そこのところにメスを入れていくというような大英断を政府としてはやるべきだ。これが私の主張でございますので、そのことを強く要望しておきたいと思います。  最後に、大臣にはもう何度か百点満点とか言われる表明をいただいておりますので私の方も満足をしているわけですが、ここまで各委員の方々もマル優の堅持を求められているわけですから、本委員会でひとつマル優堅持の決議を採択いただければありがたいと私は思うのですが、委員長どうでございましょう。
  85. 深谷隆司

    深谷委員長 ただいまの件については理事会で改めて相談いたしたいと思います。
  86. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 ひとつ実現方をよろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  87. 深谷隆司

    深谷委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ────◇─────     午後一時三十三分開講
  88. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。松前仰君。
  89. 松前仰

    ○松前委員 郵政大臣には大変お忙しいところ、あちらこちら飛び回って御苦労さまでございます。先ほどからいろいろ質問の中で郵政大臣の御答弁を伺っておりまして、非常にはっきりと物を申されるということについて政治家として非常に立派だというふうに私は思います。ぜひともその態度で国民の前にしっかりとしたみずからの態度を出していただいて、国民の信頼を得るように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、用意した質問の前に二つばかりちょっと質問をさせていただきたいと思います。  まず郵政省でございます。今回の三原山の噴火につきまして、関係二十省庁で集まってこの対策について協議を行っているということを私先ほど聞いてきたわけでございますけれども、郵政省という分野はこの大噴火というものについては余り関係がないというように思っていらっしゃったらちょっと困ると思うのでございますけれども、電気通信というものについては、やはりああいう災害の状況におきましてはしっかりと通信網等を確保してやっていかなければならぬ。避難民に対して避難する前の電話を増設するというようなことは緊急にやっていただいたということを聞いておるわけでございますけれども、その後の状況につきましても、これからいつ何どき何が起こるかわからない、そして船舶も避難のため近くにいるというような状況でありまして、通信というものが混乱しないように、また飛行機も盛んに飛び回る、こういうときに電波の混乱というものがないように、いつ何どきどういう状況になっても対処できるように、ぜひとも郵政省としても十分な対策をお願い申し上げたいと思う次第でございますが、その辺について郵政省の現在の状況についてお答えいただきたいと思います。
  90. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 大島三原山の噴火に伴う電気通信関係設備の現況と対策について御説明申し上げたいと存じます。  噴火が起きました直後から、私ども電気通信設備について関係の機関と連絡をとりながらすべての点検をいたしたところでございますが、電話への一時的なふくそう等はありましたものの、設備そのものに被害は現在まで及んでおりません。しかしながら、ただいま先生御指摘になりましたように、今後どのような事態が起きるかもわかりませんので、それを考えますと、今後の対策についても万全を期す必要があるということで、NTTその他関係機関と相談いたしまして、もし島民等が帰島して、その暁にすべての電気通信関係の疎通が支障なく行われるように、いつでも必要があらば可搬型の例えば地球局を設置することができるような出動態勢を整えてございます。  それからもう一点は、大島がそれから先の伊豆七島でございますかへの電気通信の中継地点という非常に重要な拠点になっておりますので、万が一あそこの中継設備がやられますと、大島もさることながらそれから先の島々の通信がすべて不通になるというようなことになりますので、もしそういうことがあったらいけないと思いまして、その先の島に既に中継回線をバックアップで迂回回線を設定いたしまして、仮にもし万一三原山の噴火で大島の中継基地が壊滅いたしたといたしましても、それ以外の島への本州からの通信には影響がないように既に回線を設定済みでございます。  今のところ、大島における無線、有線通じまして電気通信設備に支障は生じておりません。
  91. 松前仰

    ○松前委員 いろいろ検討されてやっていらっしゃることについて私としても大変安心はしたわけでございますが、今、島に帰っていらっしゃる方もいるわけですね。こういう方々がもし何どきどういう状況になっても安心して常に情報連絡がとれるというような状況に持っていく必要があろうと思うので、最後にはやはりそこの人一人の命というものが一番重要でございますから、その辺にも十分対処できるような方策を考えていただきたい。船なんか行っているようでありますけれども、その上に通信衛星のアンテナを積んでおくとか、いろいろな方策があろうと思いますので、十分御検討いただいて今後の緊急な場合に対処していただきたい、そのように思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  もう一点、これはまたちょっと質問としてするということは申し上げておりませんでしたが、私が常日ごろ考えているものなんでございますけれども、電信通信というものについて、今までずっと世界の状況の中で、歴史の中で発展してきておりますけれども、かいつまんで申し上げますと、これがかなりお互いの国と国との相互理解というものを深めてきたということは十分おわかりだろうと思います。もしこれがなかったならば誤解が誤解を招いて、ますます混乱の社会になっていっただろう、そんなように思うわけでございますけれども、そういう意味で通信の果たす役割というのは非常に大きい。ですから、インテルサットとかああいう国際通信というものが設立されたその一番大もとは、やはりそういうような全世界との通信をやって、そして相互理解を深めていく。当面は電話でありましたけれども、その後テレビやらそういうものを通じて相互に情報交換というものが行われておるわけでございます。インテルサットの設立というのはやはりそういう全世界、地球全体の規模でもって通信によって世界を結んでいこうじゃないか、手をつないでいこうじゃないか、こういう考えがあったと思うわけでございます。  それで、今現状を考えてみますと、国内の通信においてはとにかく第二電電等々で競争原理がどんどん導入されてきている。どっちかというと、悪い言葉で言うともうかるところ、もうかるものばかり先行するというようにしか見えないというような現状であるわけでありますけれども、世界の状況を見ますと、今日本も先進国に仲間入りしたわけですけれども、そういう日本のような状況の国だけではないということをやはり我々は十分知っておかなければならぬだろうと思うのですね。  もう御承知だと思いますが、東南アジアとか南の方の国に行けば電気通信さえもそんなに普及していない。イラン・イラク戦争なんて起こっておりますが、イランなんかは放送でも電話でもかなりまだ行ってないところ、かなりといいますか、ほとんど行ってないと言ってもいいくらいの状況でありまして、だから教育も普及していない。そのために、教育のためにアラブサットという人工衛星をつくって、アラブの国、あの辺の周辺の国を全部ひっくるめて教育放送をして教育レベルを高めて、そしてあの辺の国の安定を図ろうということでアラブサットという人工衛星をつくろうとしてやっておったのでありますけれども、もしそれができていれば現状のようなことはなかったと私は思うのであります。  しかし残念なことに、それがつくられていくその途中でイラン革命が起こってホメイニさんになって、それでおかしくなってきて、アラブサットそのものもだめになってしまう。現状は一切そういうことがないわけですね。そういう教育のための人工衛星を上げるなんというのは、今少し出てきておるようでありますけれども、なかなか統一してアラブの国でやろうなんということになっていないようでございます。そんなようなことで、南の方の国というのは大変に今情報交換といいますか、情報というものが行き届かない。誤解が誤解を招いて混乱に陥るという状況が続いているわけでございます。  そんなことを考えますと、我が国だけが一生懸命国内に目を向けて、アメリカも含めて目を向けて、競争原理そして活力ということだけでもって考えておったのではどうも片手落ちだ。日本の国として世界のトップの国になってきたということになるならば、少しは今の世界の現状、これをどうやってもっと平和の方向に持っていったらいいかということを考えていくべきじゃないだろうか、そんなように思うのです。  ODAというのをやっておりますけれども、ODAというのはいろいろやっているようでございますけれども、結果としては余り喜ばれていないODAであるし、またそのODAに日本から出したお金がまた日本に半分くらい戻ってくるような、そういうような経済援助であるならば、こんなのはやはり相手の国からはちっとも喜ばれてこない。  そして今貿易摩擦といって盛んにアメリカからやられている。なぜこうやられているかという原因、これを考えてみますと、日本の国が国際的に使命を果たしてないじゃないかというのがどうも一番最初にあったわけでございます。それが軍備だとかいろいろなことがありますけれども、しかし、やはりこの世界の混乱、将来の混乱を混乱の方向に持っていかないように、日本が果たすべき役割というものをしっかりやっていかなければいけなかったのじゃないだろうか。現時点で外国にやっておるのは、何か外国に土地を買ったり建物を買ったりするというようなことしか今現時点ではやっておらぬというような状況でございます。  その昔、アメリカが非常に繁栄して、百年くらい前になりますけれども、そのときにアメリカ日本に対して何をやったか。アメリカは繁栄したときに日本に対して、アメリカ政府ではありません、民間でありましたけれども、日本にたくさんの学校をつくりましたですね。私のところの委員長の土井さんの出た同志社大学、これも恐らくそうだったと思います。それから、何々学院大学という名前がついているところはほとんど外国の人が日本に学校をつくった。そして日本の教育レベルを高めて、日本が非常に教育レベルの高い、そして豊かな国になってくれなければ世界は混乱するということで、アメリカ、それからフランス、ドイツ、そういう諸外国日本に対して教育レベルを高めるということを一生懸命やった。そういうことが過去の歴史にあるわけであります。ところが日本は今現在そういうことがほとんどないと言ってもいいぐらい。だから貿易摩擦だとかなんとかいって外国からたたかれる。日本はやることをやっていないじゃないかということを言われるわけです。  そういうことで考えてみますと、この電気通信というのは、先ほどお話ししましたように放送衛星なんかを使って教育の普及なんというのをやりますと非常に大きな効果がある。ですから郵政省も国内だけに目を向けていないで、世界の状況、そして国際情勢、そして将来の安定、二十一世紀の日本の安定ということを考えるならば、やはり東南アジアそれから南の国々、こういうところに対して、電気通信というものをもっともっとあちらに普及さしてやるような援助というものを考えていったらどうだろうか、私はそのように思うのでございます。  これは恐らく、物で与えられるのと違って、その国のインフラストラクチャーというか、そういう基盤をつくる、そしてその国のレベルを、教育的レベルそれから文化的レベルを向上していく、これこそその南の国を救う道になっていくんじゃないか。そういうことをやっていくと、ああ、日本はやっておるな。貿易摩擦だといって、日本はけちくさいことばかり言っておる、いろいろな関税が高いとか、何かそういうものをアメリカあたりが言ってくるのですけれども、そういうことも余り言わなくなってくるんじゃないだろうか、私はそんなような気がするのであります。  これは外務省あたりに本当は言わなければいけないんだけれども、郵政省としてもやはりそういう大きな目を開いて、そうして世界に対してやっていくぐらいの姿勢を持っていただきたい、そのように思うのであります。その辺について、これは私の考え方でございますのでいろいろ反論はあろうと思いますけれども、大臣の御所見をちょっとお伺いしたいと思います。
  92. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 今、松前先生から非常に高い見地に立って電気通信重要性を述べられたわけでございます。確かに電気通信は二十一世紀に向かって高度情報化社会を構築していく上においても中核的、先導的な役割を果たさなければなりませんが、今先生御指摘のように、自由化、国際化の現在、本当に国際的にも電気通信が重要であるとおっしゃることは、もうそのとおりでございます。  日本は非常に進んでいるというお話ですが、私のところにはのべつ幕なしに各国の電気通信の関係の大臣や何か来ます。非常に驚くのは、放送網も公共放送二つのほかにキー局が六局あって、地方が四局化を目指しておる、非常に驚くのですが、もう一つは、世界に先駆けてよく自由化に踏み切った、そして地上系、宇宙系合計六社が参入をしているということで、日本の実験を期待し、その結果を待っているということでございます。  特に、先生申されましたように開発途上国からは最近、電気通信設備に関する開発のニーズが増大いたしておりまして、また、それぞれの国におきましても経済社会開発についての電気通信役割も大きくなっております。そういう意味で、先月も、中国の郵電訓練センター日本技術援助をして、そして機械ですか援助をして、オープンセレモニーに小澤政務次官が出席いたしたわけでございますが、そういうように徐々に今増大をいたしております。今後とも技術協力資金協力、いろいろな面で協力をしてまいりたいと思いますが、先生からそのような強い御要望がありましたことをよく銘記いたしまして、積極的に進めてまいりたいと思っております。
  93. 松前仰

    ○松前委員 それでは、マル優の問題に移らせていただきます。  本当なら先ほど話がありましたように大蔵大臣、政務次官に出ていただきたかったのですが、大蔵省の担当者に、議院運営委員会ですか、そこでもっての阿部先生の確認事項、こういうものについて知っているかと言ったら知らないと言ったですね。先ほどおたくは知っていると言ったですね。それはちょっとおかしいんで、知ったのはつい最近だと思うのです。そういううそは余り言わないでいただきたい。後藤田さんですか、そちらの方からほとんど流れていなかった、これが本当だろうと私は思います。  いずれにしても、きょうは大臣と政務次官いらっしゃらないので、イエス、ノーという返事は全然できないのだろうと思います。大蔵省に御質問しても、これは何かのれんに腕押しという感じだろうと思うのですけれども、せっかく出てきていらっしゃるから多少質問させていただきたい、このように思います。  マル優の利子非課税の廃止理由についてずばりお聞きしたいのです。さっきからいろいろお話がありますけれども、私は廃止の理由がどこにあるのかさっぱりわからない。全然わからないですね。減税のための財源ということが一部では言われてみたり、時には貿易摩擦、これは貯蓄率が高過ぎるからだというものがあって、その貯蓄率を下げるためにはどうしても利子課税について優遇措置をとらないというようなことをしなければいけないとか、内需の拡大だとか、いろいろなことを言われておるのです。そういう中で一体どれが、これだといって国民に言えるものなんですか、その辺ちょっとお伺いしたい。
  94. 大山綱明

    ○大山政府委員 今回税制調査会を中心に進められました税制の抜本的改革、このねらいは、今後高齢化社会を迎えるあるいは国際化が進む、そういった中でいかに安定した歳入構造を構築していくか、そういうような二十一世紀を展望したと申しましょうか、そういう税制をつくっていくことが眼目でございます。そういった観点から、特定の分野に高い負担をかけるというのは適当ではない、いろいろな例外をなくして課税ベースを広げていく、そして国民の信頼、理解を得た税制を構築するというような点にその趣旨があるように私思うわけでございます。ただいま課税ベースを広げると申しましたが、そういったような観点から税制を眺めてみますと、利子所得の分野で課税ベースから欠け落ちている部分がかなり大きいという点が、ただいま先生の御質問にお答えする第一点でございます。  税制調査会答申を引用させていただきますと「多額の利子が課税ベースから外れており、所得種類間の税負担の不公平をもたらしている」これは具体的には、給与所得、これは課税されております。不動産所得、配当所得、いろいろな所得がございますが、いずれも課税されているわけでございますが、利子所得に関しましては、利子所得の七割に及ぶものが課税ベースから落ちている。一方でこういうふうに課税ベースから外れた部分がある、他方で所得税、給与所得なんかについて見ますと、八八%の最高税率を持つようなそういうきつい課税をしている。これは所得税制としてやはり一つのゆがみと申しましょうか、そういったものなのではないか、この点が第一点でございます。  第二点といたしましては「高額所得者ほどより多く受益しているという現状にある。」こういう点が税制調査会答申の中でうたわれているわけでございますが、利用の状況を見ますと、これは当然のことながら、収入の多い方ほど貯蓄の量も多いわけでございます。収入に対比いたしまして、第一分位の場合には一対一ぐらいでございますのが、第五分位になりますと一対一・三ぐらいになるといったことで、高額所得者をより多く利している、この点が第二として挙げられております。  第三点として、税制調査会答申でうたわれておりますことは「貯蓄奨励といった目的で一律的に政策的配慮を行う必要性も薄れてきている」第三点としてそういう点が挙げられておるわけでございます。これは貯蓄重要性とかそういったことを否定するわけでは決してないわけでございますが、貯蓄が重要であったら、お金をたくさんつぎ込んで一律的にいわばばらまき的にやるのがいいのか、それとも特定の目的を持った貯蓄は優遇するとか、そういったようにもう少しセレクティブにやった方がいいのか、これはいろいろ議論があるところかと思いますけれども、そういったような一律的な政策的配慮を行う必要性は薄れている。  この三点が税制調査会答申には挙げられているところでございまして、不公平があるからとか、あるいは減税財源かというような議論も巷間伝えられるところではございますけれども、そういったことよりも、まず税制あり方として、多額の利子が非課税になっている、これが所得税制としていかがなものか、こういう観点からの御答申を私どもいただいたところでございます。
  95. 松前仰

    ○松前委員 税制あり方というところにぼやっとぼかしちゃったですね。ところが、あちこちいろいろな雑誌やら文章、本やら、そういうものを見ますと、いろいろな議論が出ておりまして、これはそういうぼやっとしたものじゃないのですよ。それぞれみんな、いろいろなところから郵貯に対してつっついてきておりますね。最後には郵便貯金をやめさせちゃうぐらいなところまで話が出ている。最後郵貯をつぶすというところがどうも私は目的のような感じがしてならないわけでありますが、これは恐らくそういうふうには言わないと思うけれども、さっき税制ですか、これについて見直すんだ、こう言うのならば、先ほど同僚議員から質問がありましたが、不公平税制の是正、これについてはどれだけ手をつけたのか、国民に対してどれだけ明らかにしたかということですよ。  それで、不公平といえば私は申し上げたいんだけれども、いろいろな不公平、たくさんありますけれども、一番最近の顕著なのはマネーゲームですね。これは働かず——働かずといっても頭は働かすのだけれども、汗水垂らしてという言葉で言えばそうじゃなくて、お金が変動する分でもってそれを利用してもうける、それから土地の転がし、いろいろなものがあります。そういうものでたくさんの利益を得ている、こういうところに対して全然あれがないじゃないですか、税を取ってないじゃないか、こういうような不公平が存在している。そこにどうしてメスを入れないでおいてマル優の方にぼんと突っ込んでくるかということなんです。そっちもやるなら話はわかりますよ。そっちもやって一生懸命かき集めたけれども全然財源がないよ、それを国民の前に明らかにして、国民もそうだと言うのならマル優に手をつけるということはいいと思うけれども、いいというか、恐らくそういうふうにはならないと思うけれども、そういう、本当に国民の前に不公平税制の是正が全然明らかになっていないですよね。それだから、我々は盛んにこうやって郵貯利子課税、これについていろいろ皆さんに話をしておるわけでありますけれども、国民は一番その辺に不信感を持っている。この辺について国民の前に明らかにする予定は大蔵省としてあるのですか。
  96. 大山綱明

    ○大山政府委員 不公平税制の是正をしていないじゃないかという御指摘でございますが、私ども、五十年代に入りましてから歳入欠陥が出てまいりまして、それから毎年毎年の税制改正において不公平税制の是正に積極的に取り組んでまいったつもりでございます。具体的には、企業関係の租税特別措置、これは毎年毎年のように見直しをいたしておりまして、今や法人税収全体の中の三%程度のものにまで細かいものとなってきております。  ただいま御指摘の土地税制などでございますけれども、これはたしか五十七年度の改正で税制といたしましては整備をいたしまして、今はある一定水準を超えるものについては二分の一総合課税ということで、税制といたしましてはちゃんと税をいただく建前になっております。執行面がどうかというような御指摘があろうかと思いますけれども、これは税制の話でございますので、税制としてはしっかりなっておる、執行面におきましても国税庁は最大限の努力をして執行の適正化を期していると信ずる次第でございます。  あと、マネーゲームでございますとかいろいろ出たのでございますが、マネーゲームにいたしましても、非課税というふうになっているものが何かございましょうか。実は譲渡所得にいたしましても、雑所得になるものにいたしましても、これはすべて課税対象になっているものでございます。  こういったことで、先生おっしゃいますように、人によりまして不公平税制という言葉の意味を違って使われる場合があるので、私ども不公平税制の是正というのは注意をしながら発言をさせていただいておりますけれども、私どもの申しますところの租税特別措置等の不公平税制の是正にはずっと取り組んでまいっているところでございまして、まだ今後努力すべきところは残されているとは思いますけれども、そちらの方もやる、一方で税制のゆがみも直す、こんな観点から今度の税制改革にまた取り組んでいるところでございます。
  97. 松前仰

    ○松前委員 税を取っているからいいのだというのじゃないのです。税を取っていても、それが不公平に見える代物はまずいのです。そういう点が国民が納得するようなものになっていないということです。そういうところをはっきりと国民の前にすべてを明らかにして、それでマル優もやらなければいかぬということになれば、国民も、ああそうか、それは仕方がないな、こういうふうになると思うのですけれども、しかしそうじゃなくて、全然そういうところは明らかにしないでマル優に手をつけるということですから大きな問題があるわけです。だから、大蔵省ももうちょっと国民というものを、大衆たくさんおるのですから、これを意識してやってもらわなければ困る。  それで、ちょっと話は変わりますけれども、このマル優を、利子課税を大蔵省とか政府とかそういう人たちの思うようにしてしまうということになった場合に、一人一人の国民生活について、利子は下がってくるだとか年金は高くなってくる、医療費は高くなってくる、老健法は高くなってくる、土地はどんどん上がる、消費者物価も少し上がる、教育費は高騰する、こういうようなものですべて考えて、一人一人の国民生活についてこのマル優廃止によって得になるというものがないと私は思うのです。こういう所得の低い層についていじめ抜くというのは大変問題がある。  さっき所得の高いところと言ったのだけれども、統計からいったって平均値は世帯当たり六百九十二万でしょう。その五〇%、全体の半分というのは四百五十五万円というのですから、貯蓄率ですよ、ですからそう考えてみると、たくさん取っている人は少なくても物すごく貯金している、こういうデータですね。ほとんどの人は四百五十五万以下のところにおるということなんです。そういうことをちゃんと考えてもらわなければ困る。ほんの一部の人だけのことを表に出して、そして高額所得者がこれを悪用しておるとか高額所得者がマル優をたくさん使っておる、そんな言い方をするのは国民をだますことになろうと私は思うのです。  この議論はいつまでたっても終わらぬと思いますし、また大山さんではイエスともノーとも言えないから全然だめだと思いますので私はこの辺でやめますけれども、先ほどから郵政大臣の大変すばらしい御答弁をお聞きしておりまして、どうぞ政治家としてこの郵貯の意義というものをしっかり酌んでこれから対処していっていただきたい。最後に御決意をお願い申し上げます。
  98. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 朝方から御答弁申し上げておるとおりでございまして、先生方の御発言、御意見を十分踏まえまして、郵政審議会答申趣旨にのっとりまして、非課税制度存続のために今後とも努力してまいります。
  99. 松前仰

    ○松前委員 終わります。
  100. 深谷隆司

    深谷委員長 木内良明君。
  101. 木内良明

    ○木内委員 まず初めに、三原山噴火災害に関する問題で何点か確認をし、要請もしたいと思います。  御案内のように、二十一日の夜半に至りまして、一万島民が住んでおられるあの伊豆大島からの緊急避難命令が出されました。この日から二十二日の未明、午前中にかけまして、私も党の対策本部に詰めまして、緊急避難をされる一万島民の方々を、それぞれ竹芝桟橋、日の出桟橋あるいは晴海埠頭に迎えたわけであります。また昨日までも、千代田区の総合体育館あるいは港区のスポーツセンター等々、緊急避難会場になっております施設に足を運びまして、その都度、激励とお見舞いを申し上げてきたわけであります。  特に二十二日の未明、真夜中ですが、私が政治家の使命と責任を強く感じましたのは、着のみ着のままで東京に避難してきた皆さんに対して、特に小さなお子さんでありますけれども、おなかすいているのじゃないか、心配だっただろう、もう大丈夫だからねということで毛布をかけてあげたり抱っこしてほおずりして激励してあげると、大粒の涙をぽろっと流してその親御さんが、国会議員さんがこんな真夜中に私たちのためにわざわざ応援に来てくれたのですか、お見舞いに来てくれたのですかということで、それは私にとっても大変胸の熱くなるような光景が、あの緊急避難命令が出た直後、繰り広げられたわけであります。  私は、政治というのは、たった一人のためであっても差し伸べられる措置、配慮がどのくらいまで行われ得るかということが大事なことだと思っております。特に我が国の長い歴史の中で、一万人に上る規模の方々がわずか一時間足らずの間に身の回り品だけをわずか二つ、三つの手荷物にまとめて避難されるという事例はこれまでほとんどないわけであります。先ほど来の質疑にもあったわけでありますが、政府関係機関はそれぞれにでき得る限りの配慮をせんがために対策本部を今設けてこの対応に当たっていただいておるわけでありますけれども、とりわけ郵政関係の行政面での対応についても何点か確認をし、要請もしておきたい、こういうふうに思います。  まず、やはりこうした緊急事態の中における生命線といいますのは、通信情報システムがいかに確保されるかということが一点。さらにまた、郵便郵政の日常のいわば国民に与える利便というものがいかに確保されるかという点になろうかと思うのであります。  まず一つは、郵政省として二十二日の段階で避難をされた方々一人当たりはがき五枚、ミニレター五枚を用意されたということでありますけれども、この需要と使われ方がいかなるものであるか。また、既に数日を経ているわけでありますけれども、私も現場に行ってまいりましていろいろ聞いてみると、大変これはありがたいことであるし、今後この配慮の枠を拡大してもらえないかというのが避難をしている会場の各責任者の声でありました。これが一点。  それから郵貯の非常取り扱いということで、通帳等書類がなくても、本人であることが確認できて取り扱いの局が明確であれば十万円を限度として郵貯の利用ができるということであります。申し上げたように、避難の準備もそこそこに来ておる方がほとんどでありまして、特にこのように避難が長きにわたってまいりますと、身の回り品を買ったり、あるいはお子さんたちが、深谷委員長の地元でもありますが、晴海の皆さんあるいは港区千代田区等の学校に分散をして、入学をする手続が今早急に進められているわけですが、このための学用品であるとか、あるいは思春期の中学生や高校生のお嬢さんによっては、制服がない状態で、私服で、それも何枚も洋服を持ってきていないから私服で学校に通うのは恥ずかしい、嫌だという人もいるわけであります。これは国会の議論のテーマではないと言われるかもしれないけれども、しかし、他律的、環境的要因によって余儀なくこういう事態を招来している、そのたった一人の少女の気持ちなども考え合わせて、あるいは生活の身の回り品の整備等も考え合わせますと、この限度額十万というのは、あるいはまだまだ足りない、こういう意見も現場を回って私は耳にしたわけであります。  まず、以上二点に絞るわけでありますけれども、初めに大臣からぜひとも前向きの答弁をいただき、さらに事務当局からも回答願いたい、こういうふうに思います。
  102. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 避難をされました島民の方を早速深夜慰問をされました、本当に心優しい先生に敬意を表しますとともに、そこで出ました島民の方の切々たる声、また生の声を今じかに聞かしていただきました。私もこれからも、郵政省としても早速その対策には取りかかっておりますが、今後また、いろいろ先生、さらにこういうことをすべきであるという御要望も今出されておりますので、その二点につきましては担当の局長から御答弁をいたさせます。
  103. 富田徹郎

    富田政府委員 大島町の郵便の取り扱いにつきましては、町の全体の住民が島外に避難しておる状況でありまして、大島においては何らの郵便業務がないわけでありますけれども、十一月二十五日の午後から当分の間、都内の避難場所におきまして郵便物の交付を行うようにしておるところでありますが、避難場所以外のところに避難されておる方につきましては、申し出により郵便物の転送をする手続をとっております。ただ、避難場所自身がかなり混乱しておるような状況でありますので、郵便物の交付が必ずしも避難場所で円滑に交付できておるという状態ではないわけでありまして、したがいまして、大島町あての郵便物につきましては、全国郵便局の窓口に掲示いたしまして、遅延承知の上で引き受けることとしております。特に配達日数を要する現状につきまして、生もの等の小包や、あるいはスピードを要する電子郵便等の差し出しはなるべく御遠慮していただくようお願いしておるところであります。  災害用のはがき交付等につきましては、二十三日の日曜日、二十四日の連休におきましては日本橋、麹町、京橋、城東、高輪等の八つの郵便局におきまして午前九時から午後九時まで窓口業務を行い、そして被災者の方への郵便はがき等の無償交付を避難場所において行ったところであります。交付枚数は、御指摘のとおり郵便法十九条の二に基づきまして省令の定めるところによりまして一世帯当たり郵便はがき五枚、郵便書簡一枚ということになりまして、二十三日に交付を完了いたしました。
  104. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 郵便貯金の非常取り扱いにつきましては、先ほど先生のお話もございましたように通帳や証書、判こ、ともにない場合でありましても、保証人を設定していただくことによりまして十万円を限度として払い戻しに応じておりますし、また、判こだけがないというような場合には拇印によって払い戻しをしているところでございます。  この十万円という金額が少ないといったような御批判もあるようでありますけれども、私どもとすれば、避難が長期化するような場合、あるいはその被災者の方の資金需要が非常に強いということでありますれば、当然この金額を引き上げるようにいたしたいというふうに考えております。
  105. 木内良明

    ○木内委員 今、貯金局長から具体的に前向きな答弁がありましたので、ぜひその方向で、大臣もいらっしゃるし、そういう答弁でありますので、実施に向けての準備もなさっていただきたい、こういうふうに思います。  それから今、郵務局長の方から答弁のありました集配業務の問題でありますけれども、まだ名簿が避難会場ごとによく整備をされておらないような現状のようですが、これも一刻も早く現場の会場の責任者等との連携をとっていただいて、より円滑な状態で集配ができるように御配慮を賜りたい、このことをお願いします。  ちなみにちょっと聞いておきますが、今、滞貨といいますか、大島あてに全国から送られてきて、たまっている件数はどのくらいになっていますか。
  106. 富田徹郎

    富田政府委員 現在郵便局の方に集まっております大島町あての郵便物総数は約一万通であります。それから郵便小包は三百五十個ほどであります。
  107. 木内良明

    ○木内委員 一万は大体どのくらいで配達できそうですか。
  108. 富田徹郎

    富田政府委員 今、非常に努力しておる最中でありますけれども、どの町の方がどの避難場所に入っておられるかを判別するのは、名簿を繰りながら、避難場所の名簿と照らし合わせながらやっておるような現状でありまして、かなり手間取っておる様子であります。聞くところによりますと、避難場所が逐次集約されつつある、そして集約が町ごとといいますか、集落ごとに集約が進めば配達はかなり容易になるものと思っております。ちなみに郵便の差し出し箱の方は、郵便ポストの方はなるべく早く仮設の郵便ポストを手配いたしまして、できればきょう、あす中にも配備いたしまして、郵便の差し出しの方は問題なく行われるようになりましたが、交付の方はやや時間を要するような現状になっております。
  109. 木内良明

    ○木内委員 きょうは少額貯蓄非課税制度をテーマに質疑を行う予定でありましたので、余り時間をとるわけにはいかないわけでありますけれども、このような緊急災害事態に対する対応の仕方というものは、今回の三原山の噴火の事例一つをとってみても、対症療法として対応するのではなくて、一つの教訓として今後の災害時における郵務、郵便の大きなテキストにしていかなければならないと思いますので、これは答弁は結構ですけれども、その御決意で一つのノーハウというものをここでまたつくっていただければ、こういうふうに思います。  それから、情報通信の円滑化ということでいえば、電話回線の問題もやはり押さえておかなくちゃいけない問題であります。  聞くところによりますと、NTT職員の方、今、四名向こうに残留をしておりまして、これはNTTさんだけでなくて町役場、消防庁、気象庁あるいは東電さん等々がそれぞれ島に踏みとどまっているわけであります。先日も新聞で、疲労の色をにじませながらも電話回線の保安に当たっておられるNTT職員の方の報道が出ておりました。この現状を簡単に御報告願いたいことが一点。  それから、私が回りました避難関連箇所、例えば申し上げたような日の出、晴海、竹芝、さらにまた避難会場である各種の施設に参りますと、臨電が相当数設置をされておりまして、これは大変好評でありました。これは、中長期的にこの期間が及ぶ場合にさらに避難者の方々の要望に応じた設置を維持していただきたいという点が一つ。  それから、電話料金の問題でありますけれども、これは東京都、地方自治体としての都が負担をするのか、あるいはNTTがこういう緊急事態に対応しての措置として無料でサービスをされるのか、お答えを願います。
  110. 高橋節治

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、噴火の翌日の二十二日にはNTT職員が東京都の現地対策本部と一緒に大島に再上陸と申しますか逆上陸いたしまして、現地の通信回線は全部今、生きておりますので、その確保というか、状況の点検に当たるとともに、町役場とか警察とかということで臨時の回線をつけてほしい、こういうような要望がございましたので、そういう回線の作成とか、あるいは地震観測回線というのが現在十五回線ございますけれども、何にも増してこれの確保が必要でございますので、そういうものの確保、こういうようなことのために四名が当時行っておりましたのですが、急遽またその後八名増加いたしまして、現在十二名の者が東京都の現地対策本部と行動をともにいたしております。  それから二つ目の御質問でございますけれども、避難されて本土の方においでになっていらっしゃる島民の方々のために、それぞれの避難場所に臨時公衆電話、特殊公衆電話というものをつけております。それで、一番多いときには、十一月二十二日から二十三日にかけてでございましたけれども、六十九カ所、四百九十台の公衆電話を設置しております。その後、家族の方々が親戚をお頼りになったりして分散しておられまして、現在四十二カ所、三百四十台の公衆電話がついております。この料金はすべて無料でございまして、自由にお使いいただく、こういうことになっております。  それから、これから避難が非常に長期化する、こういうようになった場合どうするかという問題がございます。そうしますと、島民の方々が例えばある仮の宿舎に家庭ごとにお入りになるのじゃないかということが想像されますけれども、その場合は大島で現在加入していらっしゃいます加入電話を本土の方に移す、こういうようなことも中には考えられるかと思います。そういうときの工事費というのは大体一万一千円くらいかかるわけですけれども、これは無料にいたしたい、このように考えております。  以上でございます。
  111. 木内良明

    ○木内委員 NTTにおかれても特段の配慮を願いたい、こういうふうに要望しておきます。  先ほど来、少額貯蓄非課税制度、マル優についての質疑が繰り返されているわけでありますが、特に大蔵省の答弁を聞く限り、政府税調の答申を金科玉条のようにして振り回すというのが私は甚だ釈然としないわけであります。少なくとも、国権の最高機関たる国会のこの場で議論をすることが我が国方向を決める実は大きなポイントであるということをお互いに認識しないと、そうでなくても審議会の答申だとか調査会の報告だとかいうことに振り回される最近の傾向があるわけですから、これはお互いにひとつその点確認をしなければいけないと思います。  その意味で、まず私は政府税調あるいは大蔵省の考え方を一つ一つ切り崩したいということで本委員会の質疑に臨んでいるわけでありますが、一つは、非課税制度貯蓄率との因果関係が見られないとする考え方が大蔵あるいは政府税調から出ているわけでありますが、これは極めて暴論であると私は考えます。少額貯蓄非課税制度の廃止は長期的に国民貯蓄性向に大きな影響を与え、貯蓄率の低下をもたらすことは明白である、こういうふうに思います。日本貯蓄率、いわゆる家計貯蓄率は、昭和四十九年二三・二%あったものが昭和五十九年には一六・一%、十年間で七・一%も低下しているのが実態であります。さらにまた高齢化社会の急速な到来がそれに拍車をかける。加えて年金、医療保険の給付が大幅化するため、その負担率増加によって勢い相乗的に貯蓄率が低下する。こうした社会的背景の推移の中で利子課税によってさらにこの率を低下させる方策をとることは、我が国の長期的な貯蓄、投資バランスに極めて多大な悪影響を与え、経済活力をそぐことになる、私はこう断定せざるを得ないわけでありますが、この点について簡単に大臣所見を伺いたいと思います。
  112. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 確かに、私も常々申しておりますのは、貯蓄重要性時代とともに変わってはきておらない、内部資本蓄積の上でも重要であるし、長寿社会を迎えての自助努力による貯蓄重要性はさらに増している、このように考えております。さらに、先ほども申しましたけれども、郵便貯金なんかも今まで伸びてきたのは、一方に職員努力国民の御協力もありましたが、車の両輪だとするともう一つの輪は非課税制度であった、私はそのように考えておりまして、先生の御高見を大変関心を持って興味深く伺っておりました。
  113. 木内良明

    ○木内委員 ちなみに、老後の生活費と公的年金の支給額の比較を申し上げてみたいわけでありますけれども、総務庁統計局のデータによると、世帯主が六十歳以上の平均消費支出は二十一万二千円になっています。これに対して、社会保険庁の事業年報、五十九年度のデータですが、公的年金の支給額平均は厚生年金で十一万六千円、国民年金で二万六千円、夫婦合わせて十四万二千円にしかならない。一世帯平均で消費支出の六七%しか賄えないことになってしまう。年金や医療保険の給付が当然大幅化してきますから、それを負担する若壮年層の負担は増大する、勢い貯蓄率は相乗的に下がる。また一方で老後の生活については自助努力をすべきだと言って社会保障費を削っておきながら、それが実際には不可能となる政策を今まさにとろうとしているわけでありまして、これはまことに矛盾した、整合性のない政策であると言わざるを得ないのであります。申し上げたように老後の生活費と公的年金の支給額の比較をも勘案するならば、この上さらに利子課税が追い打ちをかけるという行き方は断じて許せない。  政府の閣僚の一人として郵政大臣もまた、これは決意になるわけでありますけれども、一言で結構ですからおっしゃっていただきたい。
  114. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 老後を安心して暮らしたいというのは、老人の方ばかりでなく若い人からすべて国民の願いだと思うわけでございまして、今おっしゃいましたように公的年金だけでは十分な安心した生活を送ることはなかなか難しいわけでございまして、今先生のおっしゃるとおりだと思っております。
  115. 木内良明

    ○木内委員 政府税調の指摘する論点の一つにいわゆる金持ち優遇だというのがあるわけでありますけれども、やはりこれも総務庁統計局の貯蓄動向調査によると、昭和六十年の全国勤労者世帯の貯蓄額は一世帯平均六百九十二万円となっているが、世帯全体を二分する中位数をとる貯蓄高は四百五十五万円で、最も世帯数が集まっているところ、いわゆる最頻値では貯蓄高は百七十三万円になっている。大多数の国民の実態はこの中位数や最頻値にあるわけですが、一部の高額所得者の非課税枠の悪用をもって非課税制度そのものを否定することは、むしろ逆に弱い者いじめになってしまうと思うわけであります。時間の関係で駆け足で申し上げていって恐縮でありますけれども、これは大臣も同じスタンスにお立ちになっておられるだろうから、時間の関係で答弁を割愛していただきたい。そういう基本的な考え方、よろしいですね。  それで、先ごろの報道によりますと、自民党の内部的な議論の高まりの中で私が今一番懸念しておりますのは、少額貯蓄非課税制度の扱いについてどうも郵貯までも押し切られる危険が出てきたぞ、ややもするとこの勢いはとどめることができないように見受けられる皆さんの御発言だと思うけれども、仮にこれを奪われるようなことがあれば財投資金の自主運用を見返り措置としてとったらどうかというようなものも、公式の議論ではないけれども仄聞するわけであります。私は、財投資金の自主運用という問題と少額貯蓄非課税制度の問題というものは全く別個の問題であって、これを絡めて、言ってみれば政争の具に使うようなことは国民不在の議論のあり方だと思う。したがって、大臣の口からじかに、そういうことは断じて考えておらないということをはっきりまずおっしゃっていただきたい。
  116. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 自由化は世界の流れでございまして、我々も金融自由化には積極的に的確に対処してまいりたい。そうするとまず調達の方のお預かりする方もそうであるし、運用する方もやはり同じようにしなければなりませんので、当然のこととして郵便貯金資金運用制度改善は我々が常々要求をいたしております。それと今先生言われました少額貯蓄非課税の問題は全く別個の問題として我々も考えております。
  117. 木内良明

    ○木内委員 明確な答弁が出たところで、私の持ち時間もいよいよなくなってきたわけでありますけれども、最後に名委員長たる深谷委員長に強く要望いたしますのは、私も、これまで再三にわたって理事懇、理事会等で提案をしてまいりました少額貯蓄非課税制度存続に向けての委員会としての決議を行うよう、この質疑の場をかりて再度ここで申し上げたい、こういうふうに思います。  いろいろ自民党の理事さんからも事情については聞いてもおりますし、自民党内の税調の議論の経過、経緯についても知悉をしているところでありますけれども、あくまでも国民本位の少額貯蓄非課税制度を存続させるということは国民の立場に立って議論を行うこの国会の権威によるところでありまして、いわばこの委員会の決議を行うことによって、場合によっては大蔵委員会にも決議をさせ、ひいては院の決議にまでこれをレベルアップをして、そうして縛りをかけていくことが今まことに我が逓信委員会にとって喫緊の課題である、私はこう承知しているわけでありまして、この決議の問題については今後引き続いて委員長の職権のもとで理事会で精力的な御協議、検討を行われるよう要望いたしまして、委員長の御決意を一言聞いて私の質問を終わります。
  118. 深谷隆司

    深谷委員長 先ほどの御質問の中でも理事会で協議するという旨申し上げましたが、既にお話にありますように理事懇、理事会においてもこの点については各理事間で協議をしていただきました。まだ十分煮詰まっていない部分がありますので、委員長として積極的に調整するように努力いたします。
  119. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  120. 深谷隆司

    深谷委員長 森本晃司君。
  121. 森本晃司

    ○森本委員 ただいま我が党の同僚議員の木内氏から非課税制度存続についての強い要望がございましたが、私も、経済動向、また本当に国民を守る立場からも、このマル優制度を存続させていかなければならないと強く思うところでございます。また、きょう大臣所見の中で「目下の最大課題は、」というところで「今後とも、ぜひ、この制度を存続させるべく努めてまいる覚悟であります。」という力強い御所見もいただきました。また、委員長も積極的に取り組んでいただくようでございますので、ぜひ今後ともこの逓信委員会国民のためにもこの問題について取り組んでまいりたい。朝からいろいろ論議がございましたので、私のその要望だけを申し述べさせていただきまして、質問に入らせていただきたいと思う次第でございます。  そこで、今、町の中で大きな課題になり不便を感じている問題で、赤電話の撤廃の問題があります。NTTさんは二千円以下の赤電話を一挙に撤廃しよう、対象台数が十三万五千台、そのうち九月末で既に十万台が撤去されたと伺っております。もう間もなく十二月でございます。そういたしますと、もう相当の台数が撤去されているように私も思うところでございますが、通信事業における公衆電話の位置づけがどうもはっきりされないままに、今回の二千円以下、検査院は千円以下などとしておりますけれども、まるでそれを免罪符のように受けとめて撤去していく今回のNTTの措置について、郵政大臣はどのようなお考えでおられるのか。  また、特に郵政大臣は長野四区でございますけれども、今度の撤去対象になっている二千円以下の台数が一番多いのが信越方面の二一%という状況下にあるわけでございます。これは恐らく、郵政大臣のときにこういう状況になったということで、お帰りになりますと相当いろいろと御意見もあるんじゃないかと思っております。  また同時に、これから郵政省が大事な通信業務の基地に郵便局をと考えておられます郵便局の中の八〇%の公衆電話約一万四千台が二千円以下の対象になるようにも聞いておりますし、またNTTからもそういった申し入れがあったようにも聞いておるわけです。こういった赤電話、通信業務における公衆電話の位置づけと、こういう状況下における大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
  122. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 今、国民の立場に立っての赤電話の撤去の問題を取り上げられまして、御親切に信越地方の状態までお教えをいただきましてありがとうございました。  もう先生百も御高承のとおりだと思いますが、第一種公衆電話と、利用度を高めてより多くの収益を上げることを目的とした第二種の公衆電話とがあって、会計検査院の指摘は、この第二種の電話について「効率的な設置及び適切な管理を行って、収支改善を図る要がある」という指摘でございます。いずれにいたしましても、公衆電話利用者にとっては戸外における連絡手段として、また事業者にとりましては電話の利用増にもつながるものとして非常に重要なサービスであると認識をいたしております。  また、細かな点は担当の局長から御答弁をさせていただきます。
  123. 森本晃司

    ○森本委員 きょうはNTTさんからお見えいただきまして、大変御足労いただいておるわけでございますが、会計検査院の内容を見ますと「一箇月当たりの収入額が千円以下で委託手数料相当分にも満たないものについては早急に見直しを行うなどし、」「など」がついておりますが「もって、委託公衆電話の効率的な設置及び適切な管理を行って、収支改善を図る要があると認められる。」私は今四百億ほどの公衆電話で赤字があるという事実も伺っておりますので、会計検査院の指摘は決して誤った指摘ではないと思っているところでありますけれども、一つはこの千円としたのを二千円という状況にした。それから、「見直しを行うなど」という状況をほとんど考えていらっしゃらないんじゃないだろうか。前半のこの部分だけを行っていらっしゃるんではないか。一律的に二千円と区切って撤廃されている。「適切な管理を行って、」というところの工夫等々がされていないんではないだろうかという感がしてならないわけでございますが、そのことに対していかが考えていらっしゃいますか。
  124. 高橋節治

    ○高橋参考人 ただいま大臣の方からも御答弁をいただきましたのですけれども、公衆電話につきましては設置という物の考え方、どういう形で公衆電話をつけていくかということでございますけれども、これは公衆電話を第一種公衆電話と第二種公衆電話というふうに分けまして、第一種公衆電話はあくまでも公共性を保つ、こういうようなことから第一種というものを規定しております。それで、いわば社会生活上の安定性とか戸外における最低限の連絡手段確保のために公衆電話を設置する、これが第一種でございまして、少なくとも市街地におきましては五百メートル四方、それから市街地を外れましたところにつきましては一キロメートル四方に公衆電話を一個つけていく、これによって公共性を少なくとも保っていく、こういうような趣旨で第一種というものを決めておるわけであります。第二種はそうではなくて、あくまでも、公衆電話を使っていただいて、そのことによって収益を上げていく、こういうような物の考え方が第二種でございます。  それで、今回、収支の改善面から会計検査院の方からも御指摘ございましたのは、第二種公衆電話について収支を今後改善していかないといつまでたっても収支が赤字のままに続くだろう、こういうようなことでございまして、そういう点につきまして会計検査院の方は特に千円以下、いわばこれは手数料にも満たないというものについては早急に改善策を講じなさい、こういうような趣旨でございます。  そこで、私たちの方といたしましてはそれを二千円ということに上げているわけでございますけれども、では千円を二千円に上げたという物の考え方は何かということでございます。一般の加入電話につきましてはいわば昔で言う基本料というものをいただいているわけです。これは東京の場合は住宅用の電話でございますと千八百円、これは電話を使っても使わなくても千八百円を常時いただくということでございまして、公衆電話につきましてはそういう制度がございません。それで、その辺のところを勘案いたしまして、二千円はいただきたい、こういうことで、二千円以下のものにつきましてはお客様と話し合いながら撤去の御了解を得て取り外しをしていく、あるいは利用が非常に多いようなところにつきましては、これは二千円を超えるような形になりますから全然対象外になりますけれども、そういうようなことで千円を二千円にして収支の改善というものに努める、こういうようなことで施策を打っているわけでございます。
  125. 森本晃司

    ○森本委員 会計検査院からもお見えいただいておりますので、一言で結構でございますが、こういう御指摘をなさいましたときに、赤電話ということですから収益性を上げる電話を御指摘なさったわけですが、会計検査院の中には、そういったものを指摘する場合に当然公共性というものを加味した考え方の上で御指摘があるのではないだろうかと私は思うわけでございます。お答えいただきます。
  126. 野崎龍之輔

    ○野崎会計検査院説明員 お答えいたします。  第二種委託公衆電話は、公共的見地から設置されております第一種公衆電話と違いまして、利用度を高めてより多くの収益を上げることを目的としておるものであります。その第二種委託公衆電話について調査いたしましたところ、利用度が低く、損益分岐点を下回っているものが八割以上ございました。確かに第二種委託公衆電話の中にも公共的な場所に設置されておるものがあると思われますが、本院といたしましては、主として収益性が著しく悪いもの、特に委託手数料にも収入月額が満たない一千円以下、一日当たりに直しますと三回程度の利用しかないものについては早急に見直しを行う必要があると考えまして指摘をした次第でございます。
  127. 森本晃司

    ○森本委員 検査院が調べられた中に、自分の家に赤電話を引っ張って、そして公衆電話としての役を果たしていないものが九千台ほどあるようにも伺ったわけです。こういったものはやはり私は撤去していかなければならないと思うわけでありますけれども、要するに、先ほども一種は公共性、二種は収益性というふうにおっしゃいましたが、利用する国民側の立場から考えますと、一種も二種もないのです。十円でかかる電話です。公共の建物についているものは、それは公衆電話としての考え方です。私はこの問題があるまで電話が一種、二種という状況一つ一つ分かれているとも認識もしなかったし、同時にまた、今もかけるときに、これは一種か二種かということを選択して公衆電話をかけるわけじゃない。だから、公共の建物の中にあった赤電話が今なくなったということに対して、国民は非常に不便を感じているわけですよ。なくなった理由が、一種ですから、二種ですからというわけにはいかない。少なくとも公共の建物の中にあるそういったものについては、NTTさんの今日までの経緯からあるいは公共性から考えても、それはよくよく検討し存続をさせてもらわなければならないと私は思っているところであります。  四百億の赤字だからそれをなくすんだというわけでございますけれども、NTTさんの八二%を支えている電話事業の三千百六十一億円、経常利益が上がっているわけです。したがって多少の赤字のあるところもあってもやむを得ない。それも、先ほど検査院の指摘があったような電話のみ、よく調査してやるべきであって、公共の建物から外すべきでない。非常に不便を感じている。図書館で勉強を終えた子供が、お父さん、お母さん迎えに来てくださいと電話をかけようとする、既にその電話がなくなっているという声も聞くわけです。郵政省にも相当苦情が来ておると思いますし、NTTにも相当の苦情が私は上がっていると思うのですけれどもね。  そこでお尋ねいたしますが、学校や病院の建物、公共施設から撤去された赤電話は今何台でございましょう。私たびたび伺っておるのですけれども、なかなか明確に答えが出てこないわけでございます。いかがでございましょう。
  128. 高橋節治

    ○高橋参考人 六十年度に外しております第二種の公衆電話が三万五千個ございますけれども、そのうちの五千個はいわば公共施設というところについている電話でございます。
  129. 森本晃司

    ○森本委員 五千台撤去した公共施設の中に、恐らく学校や病院もあるかと思います。それから、我が奈良県でも山村を抱えております。そういったところが大体対象になっているわけですね。電話の不便なところこそが対象になっている。これは都会の人ではなかなかわからないと思う。それから、我々が走っていまして山村へ入っていきますと、電話をかけたい、一刻も早く連絡をしたいと思うときにどこを目当てに行くかというと、公共の建物に行けば公衆電話があるという考え方でございます。  この撤去した五千台、第一種は公共性で第二種は収益性なんて、第二種を取り外しましたと言った以上は、第一種の電話を設置されたのですか。いかがですか。
  130. 高橋節治

    ○高橋参考人 取り外したかわりに第一種を取りつけておるということはございません。
  131. 森本晃司

    ○森本委員 第一種が公共性であり第二種は収益性を求める電話であって、その赤の赤字電話を外したというのであれば、そういったところに第一種の公共性の電話をきちっと設置して皆さんの便宜を図るべきではないだろうか。NTT民営化になりますときにいろいろと論議されました。その論議の中に、民営になったときに公共性をなくして収益性中心の会社になってしまうのではないだろうかということが皆さんから大変危惧された問題でありますけれども、今この赤電話の撤去についてはそういう感じがしてならないという実感も私はするわけです。  なお、郵便局の一万四千台分については撤去されたのですか、あるいは今後の方向はどうされようとしているのですか。
  132. 高橋節治

    ○高橋参考人 郵便局に対して設置してあります電話のうち二千円以下のものを試算してみますと一万四千個ございます。それにつきましては今郵政省と話し合い中でございまして、今後の問題は目下話し合い中でございます。
  133. 森本晃司

    ○森本委員 じゃ、郵政省とは話し合いで撤去するかどうかを決め、それ以外の地方都市の公共的建物については、約五千台撤去された分については話し合いがあったのですか。
  134. 高橋節治

    ○高橋参考人 今まで撤去したものにつきましては、すべて相手の方とお話し合いを申し上げまして、話し合いのついたものを撤去しております。
  135. 森本晃司

    ○森本委員 本社の方ではそういう指示をし、そういうふうに受けとめておられるかもわかりませんが、現場では、これを外さないと仕事を十分果たすことができないという形で撤去されているのも数多くあるように私は伺っております。今後の撤去、特に公共施設のものについては十分御検討をお願い申し上げたいと思う次第でございます。  なお、郵便局だけじゃなしに、公共職業安定所に設置されている電話も撤去の対象になって、労働省からそのことに対する申し入れがあったように伺っていますが、あったのでしょうか。あった場合の対応はいかがされたのでしょうか。
  136. 高橋節治

    ○高橋参考人 労働省の方と話し合いをいたしまして、労働省の方と了解のついたものについては外しております。
  137. 森本晃司

    ○森本委員 そういう形でどんどんと撤去されていくわけでございますけれども、どうか十分な話し合いがされる、そして公共施設でそれに満たない場合に、例えば建物の中にあって二千円に満たない、これは夕方五時以降は使用することができませんから二千円に満たないという場合に、だけれども工夫して、その電話を外へ持っていったならば二千円を超えるということも考えられるわけです。私は、今後NTTさんはきめ細かな手を打っていただきたい。少なくともこの二年間は電話に関してはNTTさんはまだまだ独占企業の中にあるわけですから、ひとつその辺もよく考えて、きめ細かなやり方をしていただきたいと思います。  私の知っておる話ですが、山村の公民館は、例えば一週間のうちに一日か二日しか使わないところもあるでしょう。その中にある公衆電話は、収益性から見ると確かに一月に千円には満ちません。それを一週間を分けて見るとなおさらのことです。だけれども、そこに集まった人たちが帰るときには、その電話をかける必要性が物すごくあるわけですね。特にこれから、その二千円以下の地域が先ほど申し上げましたように大臣の信越が二一%、その次が東北の二〇%、北陸の一九%、北海道の一八%、山村あるいは雪国の大変な過疎地域にこそそういった公衆電話というものをうまく考えてやっていく必要がある、そのように私は、思いますので、どうか過疎地域だからといって、弱いところはだんだん弱くなっていくようなあり方ではなくして、そういったところにはそういう工夫をしていただきたいと思います。  それから、今度の撤去について、私は今までNTTさんはすばらしいなと思っておりましたのは、このNTTさんからいただきましたパンフレットの中にもありますが、オレンジラインというのがあります。あるいはオレンジ会議というのがある。これは利用者の声を反映するための会議ですね。「御意見、御要望はオレンジラインへ」というのがここにも書いてあるし、NTTさんからいただきます封筒にはほとんどそんなことが書いてある。ある人に、なぜこれはオレンジ色ですかと言うたら、温かさを強調していますと言う。だけれども、今回の公衆電話の撤去は、オレンジじゃなしに冷たさを感じる色になってしまう。オレンジラインでいろいろ利用者皆さんの御意見は聞かれたのですか。オレンジ会議というのは、NTTが拡大するときにいろんな皆さん意見を聞くためにできたと私は思うのです。だけれども、ある程度拡大したら、もうオレンジラインというのは今度は聞かないラインになってしまうのですか。どうですか。
  138. 高橋節治

    ○高橋参考人 オレンジラインの一環としまして各扱い局、いわば電報電話局、電話局にお客様代表者会議というのがございまして、公衆電話の二千円以下のものの整理につきましては、お客様代表者会議の中に十分説明をいたしまして、そこで意見を闘わしながら話し合いを進めているところでございます。
  139. 森本晃司

    ○森本委員 せっかく設けたこういったNTTのすばらしいあり方でございますので、お客さんの意見をよくよく聞いていただきたいと思います。  それから、我が奈良県ではまだ私も余り見ていないわけですけれども、山村へ入りますと、あと千メーターで公衆電話というふうな案内板が最近民営化になってからちょこちょこ見られるようになってきたと伺っておりまして、これは非常にすばらしいことだな。山を走っているときに緊急の用事を連絡をつけたい、公衆電話まであと何メーターというぐあいに指示があると非常に安心して、そこまであと五分で連絡がつくなというふうに思ったりするわけでございます。こういったのをむしろ徹底することによって二千円以下の電話を二千円以上になるようにすることもできますし、利用者にとっては極めて便利な、またNTT民営化になって心ある作業だなというふうに思うのですが、そのことについて御答弁を願います。
  140. 高橋節治

    ○高橋参考人 ただいま先生からの御指摘、NTTにとりましては公衆電話を使っていただく一つの大きな手段でありますし、それから利用者の方にとって非常に使いやすいやり方であると思っております。こういうものをできる限り早く全国に広げたいと思っております。  今まで各方面からの御指摘ございましたけれども、そういうものを十分勘案しながら今後の公衆電話対策というものを考えていきたい、このように考えております。
  141. 森本晃司

    ○森本委員 民営化になりましたので、収益だけではなしに、本当に利用者が喜べる企業としてNTTに今後も伸びていっていただきたいと私は思いますので、そういった点についてきめ細かな配慮をいただきたいのです。  NTTが新しく伸びるために「日々新しく」という社歌をおつくりになったそうでございますけれども、「風の音に耳をかたむけ 問いかけるものに応(こた)えよう」どうか公衆電話、今私たち一生懸命問いかけておりますので、おこたえいただきたい。その後「かなえようあなたの希望(ねがい)」でございますので、ひとつこの社歌にふさわしい公衆電話に対する御配慮もお願い申し上げたいなと思う次第でございます。最後の方「ゆたかな社会を築いて行(ゆ)こう」これは二番の中にあります。三番は「無限に役立つ誇(ほこ)りを持とう」。どうかNTTさんが、国会でいろいろと言われるよりも、むしろすばらしいですね、無限に役立っていますねと、NTTの社員の皆さんが誇りを持っていけるようにさらに努力をお願いしたいと思うところでございます。ありがとうございました。  時間が余りございませんので、最後に、続いて一言だけ私の方でお願いを申し上げたいと思います。  ATRインターナショナル、国際電気通信基礎技術研究所という構想があるわけでございまして、今その計画が着々と進んでいるように伺っております。設置場所は我が奈良県のもうほんの目と鼻の先の京都府相楽郡でございまして、関西文化学術研究都市の奈良、京都、大阪で行うその中にこのATRが設置されるということについては、関西の活性化とともに、情報がともすれば東京に集まりがちであるというふうに言われておりますが、このATRができることによって関西へも多大の情報を持ち込んでくることができるように私も期待しております。大臣、ひとつこの点については今まで以上に御尽力を賜りたいと思う次第でございます。  そこで、ATRインターナショナルを民活法の対象とするために第三セクターの設立が考えられているというふうに伺いましたが、現状と今後の見通しについてお答えを願いたいと思います。
  142. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 第三セクターの件でございますけれども、民活法によりまして、第三セクターがこういった研究施設運営に関与することになりますと税制上の優遇措置も受けられる、建物や施設につきまして固定資産税あるいは不動産取得税の軽減措置が認められるというようなことでございまして、そういった面で私どももバックアップしてまいりたいということで、目下ATRIといいましてこの本社と京都府、奈良県、大阪府、この三者間でいろいろ協議が進められているように承っております。
  143. 森本晃司

    ○森本委員 その具体的な内容はまだでございますか、見通しは。
  144. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 これの見通しということになりますか、大体設立の時期のめどといたしましては昭和六十二年の三月を予定しております。この第三セクターは今申し上げました京阪奈とATRIでございますけれども、資金規模としては一千万円程度のものを用意しまして設立準備を目下進めておるという段階でございます。
  145. 森本晃司

    ○森本委員 土地取得が難航しているというふうにも聞いていますが、当初十ヘクタール、将来二十ヘクタールの確保を目指しておられるそうでございますが、これはめどが立っておりますか。
  146. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 今のお尋ねの土地取得でございますけれども、これは御承知のとおり精華西木津地区に研究所の建設を予定しておりまして、現在住宅・都市整備公団と研究所の用地に関しまして面積、整地条件価格等について鋭意話し合いを進めておるところでございます。私ども、できるだけ早くこの土地取得ができるように期待しているところでございます。
  147. 森本晃司

    ○森本委員 この中で、産学官共同研究の場の提供というのがあります。第三セクター方式で促進をしていただくのは私も非常にうれしい思いですし、それだけに今度はこういった共同研究の場の提供をしていただくこと、それから地元民も、せっかくそこにそういうものが来たんですから、何とか私たちも利用したい、あるいは還元があってしかるべきだろうというふうな大きな期待を持つのは当然のことでありますが、そういった点についてどう考えておられるのか。あるいはまた、今後研究員をどのような形で人材を集めようとされているのか、いろいろと御質問申し上げたいわけでございますが、時間が参りまして、最後大変急ぐわけでございますけれども、共同研究の場の提供あるいは地元への還元といったことについてはどのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  148. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 森本先生、地元の中で、私どものこの国際電気通信基礎技術研究所、長い名前でATRと言っておりますけれども、御関心をお寄せいただいて大変ありがたいと思っております。  私ども、これはいいますならば研究交流の拠点として、先生おっしゃいますように産学官、一般企業からも研究者を多く受け入れているところでございますし、また将来大学からの研究者の受け入れも考えておるわけでございますけれども、そういったことで研究交流の拠点としまして関西文化学術研究都市の中核的な機能を果たしていく、そこで地元に貢献することもまた一つのいい点ではないかと思っております。それから、先端技術に関しまして、いろいろここでセミナーですとかシンポジウムあるいは技術情報を提供するなどいたしまして、地域技術開発能力の向上に寄与することについても期待しております。  いずれにしましても、我々、こういった基礎的な技術研究がとかくおろそかにされていたといいますか、そこをもっと強化する必要があったわけでございますけれども、これをきっかけにいたしまして電気通信技術面について大きな飛躍をして、あわせて地元にも貢献してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。何とぞよろしく御支援をお願いいたします。
  149. 森本晃司

    ○森本委員 ありがとうございました。大臣、この問題については十分質疑することができませんでしたが、この日本の中において極めて重要でございますので、御尽力いただきますことを御要望さしていただきまして、質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。     〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
  150. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 阿部昭吾君。
  151. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私は、実はこの委員会、初めてなんであります。その意味では全く素人なんでありますが、今唐沢郵政というのでありましょうか、大変重要な時期に直面しているのではないか。そういうときにこの委員会のメンバーになることができて、大変私も喜んでおるのであります。  いろいろ御質問申し上げます前に、今森本先生の大変御勉強なさいました御質問を聞きまして、前もって通告しておらなかったのでありますけれども、若干NTTさんに対して申し上げたいのであります。  それは、カーテレホンというのは今後どういう計画で進めようとしておるのか。まだ全国で全然できないところがたくさんある。これをどのぐらいの計画でどうされようとしておるのか。今までのところカーテレホンという事業は、私が聞いておるのでは相当もうかっておる事業ではないか、今後NTTでは相当広がっていくジャンルではないか、こう言われておるわけであります。そのことについてぜひひとつ、前もって通告しておりませんでしたので、後で何かで御回答いただきたい、こう思います。  今御指摘ございました赤電話の問題なども、私は、やはりNTTの使命というのは国土の均衡ある発展、こういう任務も持っているのではないか。したがって、民営に踏み切ったわけでありますから、NTTがもうかるかもうからぬかというのは、これは大変重要なことであります。しかし、例えばカーテレホンのような今後大いにもうかるであろうというような分野をどんどん広げていくということになりますれば、やはり少々はもうからぬところでも国民サービスをちゃんとしてしていくというのが任務ではないかというふうに思うのであります。  その意味で、今申し上げました自動車電話の今後の整備をどのように進めるのか。現状の段階でこれは相当もうかっておると聞いておるのでありますけれども、今の現状がどうで将来はどういうふうになるというふうに考えておられるのか、これは改めてひとつ御回答いただきたい、お願い申し上げたいと思います。
  152. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 新規参入の問題もございますので、私の方から現行のNTTの自動車電話とあわせて御答弁申し上げたいと思います。  自動車電話は昭和五十四年にサービスインいたしまして、ちょうどことしで七年目になります。その結果、現時点でNTTの自動車電話は七万七千台全国普及しております。さらに、自動車から取り外しをして携帯型として使うことができる道も開いておりますので、それが七千台ありますので、七年で七万七千台で、またそのうち七千台がショルダーホンということで非常に覚えやすい数字、ごろ合わせみたいになっておりますが、いずれにいたしましても、サービスイン以来非常に順調に伸びてきております。現時点で申し上げますと、全国六百五十の市のうち約七二%強をカバーをしておりまして、これは人口カバレージで申し上げますと既に九〇%をカバーしておりますので、ほぼ日本全国の主要なところはカバーをし得たかと思います。  先ほどもうかっているのではないかという御指摘ございましたが、確かにNTTの自動車電話サービスも順調でございますので、経営状況等にらみながら、さらに現在そのサービス区域を拡大するようNTTにおいて検討をしているところでございます。  また、昨年の電気通信事業改革によりまして自動車電話の分野にも新規参入の道が開かれましたので、それを受けまして、現在NTT以外の事業体として自動車電話を行いたいという希望が既に動きとして始まっております。まだ具体的に会社ができ上がって郵政省に申請が出てきておりませんけれども、早晩新規参入としての自動車電話も参入すると思いますので、両々相まちまして今後全国各地での自動車電話の展開が行われていくものというふうに推定をしております。
  153. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。  なお、今申し上げましたことを後で書いたものか何かで御答弁願いたい。  郵政大臣、実は今少額貯蓄利子課税問題の論議をめぐって起こっておる問題は、ある意味でいえば、郵政省、長い歴史を持っておるわけでありますが、やはりどえらい一つの節目だろう。この節目のときにどのように立ち向かっていったかというのは、相当やはり歴史的な問題だろうというふうに私は思うわけであります。唐沢大臣はまだお若いわけでありますから、これから何度も大臣をやるんだろうと思いますけれども、このことのためにやはり郵政の将来、進路というものをきちっとするという意味では職をかけていいくらいの問題ではないか。長い長い歴史のある郵政事業、その中でやはり今起こっておる問題というのはそのくらいの大問題なんではないか。したがって、私は、閣議の中で余り物を言うななどと言われておるようなことではこれは務まらぬ問題じゃないか、こういう認識すら持っておるわけであります。  今こうやって見ますと、与党の方は、私は国会の中で与党が半分以上いないときは委員会というのは成り立たぬ、こういう認識なんですよ。しかしながら、きょうはここにおられないのはどこかでみんなこの問題で頑張っているんだろう、こう思っておりますから、きょうは与党の皆さん出席が悪いのも、ほかで頑張っておる、このことのために頑張っておる、私は今こういう認識なんであります。したがって、大臣はぜひこの問題では、やはり長い歴史のある郵政にとっては大変大きな、毎年毎年起こってくる問題とはわけが違う、ある意味ではまさに危急存亡をかけた歴史的な問題、大臣の職をなげうってでもという問題ではないかというのが私どもの認識で、我々などもこの委員会に生まれて初めて出てまいりましたのは、そういう認識のもとに、実は全くの素人なんですけれども、これはと、こういうつもりで喜んでこのメンバーにならしてもらった、こういうことなんであります。したがって、ぜひ私は唐沢大臣に、そういうお気持ちだろうと存じますけれども、勇猛果敢に立ち向かってもらいたいということを冒頭希望申し上げたいのであります。  それで、今は率直に言ってこの郵政の現場というものを見ると、労使の関係も、まあ恐らくいろいろあります職場の中でも最もいい状態にあるのではないか。我々が現場でいろいろ触れ合ってみておりましてもやはり皆さん非常に熱心であります。ただ参るのは、貯金の勧誘とか簡保の勧誘などというのはあらゆる手づるを伝って、我々などもしょっちゅう来られて、まあ熱心なものだ、こう思うのでありますけれども、そういう意味では郵政の現場というのは非常にうまくいっているのではないか、私はこういう認識であります。今は郵政の業務全体は、いろいろなあれはあっても大変順調にいっておる。そういう中でよく三事業と言われるのでありますけれども、今後の、今目の前にあるこの問題を、これは歴史的な課題でありますからどう乗り切っていくか、断固としてどう頑張っていくかという問題だと思いますけれども、やはりその先の郵政事業の展望をどうするか、どういうふうに考えていらっしゃるか。  例えば、私は二十年前に国会に来たときに、国鉄が今のような事態になるなんということは何人も、ちょうど我々が来たころ、その前の前の年あたりからやっと赤字に変わったというときでありました。それでもあの当時は今日の国鉄のような状態になるなんということは何人も思わなかったのですよ。わずか十年、二十年の間に一気かせいでここまで来たというふうな思いなんであります。したがって、郵政の現場、現在の状態はトータルとしても非常に円滑にいっておる。しかし、十年、二十年、三十年の将来というものをどういうふうに考えていくのかというのは大変私は重要な問題だろうと思うのであります。そういう意味で今後の長期的な展望は、まあ審議会のいろいろな答申とかいろいろなものを見ると、またいろいろな角度からいろいろなことを言われておりますけれども、唐沢郵政大臣としてはどういうような長期的な展望のもとに今を闘おうとなさっておるかということを承りたいのであります。
  154. 成川富彦

    成川政府委員 先生お話にございましたように、郵政事業を取り巻く環境は大変厳しいわけでございますが、おおむね三事業順調に推移しております。職員努力あるいは時代の要請に合わせた商品の開発サービスの積極的な向上等によりましておおむね順調にいっているわけですが、最近の変化、高度情報社会到来あるいは長寿社会の進展だとか金融自由化、国際化など経済動向の変化が大変激しいわけでございまして、そういう中で、二十一世紀に向けて郵便局としてどういうあり方がふさわしいか、望ましいかというような観点から、郵政大臣の私的懇談会として将来ビジョン懇談会というものを一昨年の十一月につくりまして、昨年の五月に中間報告を受けたところでございます。二十一世紀に向けてということでございますので十数年先を目指すだけでございまして、三十年、四十年というような長期的な観点からの郵便局あり方の検討ではございませんが、そのような二十一世紀へ向けての郵便局あり方ということにつきましての中間報告を受けましたものですから、それを中心といたしまして現在具体化を検討を進めているところでございます。  その報告書の中では、郵便局は総合的なサービスセンター地域コミュニティーセンターあるいは国民生活に密着した情報センターとしての機能を果たすことがその役割として望まれるのじゃないかというようなことが言われているところでございます。私どもはこの提言の具体化に取り組むとともに、今後とも社会経済情勢の変化に的確に対応して国民のニーズに合った新しい商品の開発あるいはサービス改善に努めていきたいというふうに思っているところでございます。
  155. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 今の官房長のそれは、総論としてはよくわかるのですよ。そういうものを目指しながら、今それならば、当面現状の中で何をどのようにされようというスケジュールをお持ちでしょうか。
  156. 富田徹郎

    富田政府委員 郵便事業だけに限って申し上げますと、郵便事業は昭和五十六年度に大幅な値上げをいたしました。そして、五十六年の郵便物数は前年度に比較しまして五%落ちました。そして郵便小包は一五%の減少を来したわけであります。しかしながら、その後いろいろな経営努力を重ねまして新しい郵便の商品を開発し、郵便小包等につきましては「ふるさと郵便小包」に象徴されるような新たな需要を喚起するようなもろもろの施策を講じました。そして、ことしの十月一日からは百十四年続きました鉄道郵便というものを全廃いたしまして、速い郵便という体制、郵便ネットワークのひとまずの完成を得て、速くて確実な郵便、そして豊富な種類、例えば配達日を指定する郵便でありますとか、くじがついた暑中見舞いの「かもめーる」でありますとか、そういうようなものをいろいろ開発いたしまして、そして営業収入の確保に努めておるわけであります。その結果としまして、六十年度も、予算では三百五十億円余の赤字を組んでおりましたが、決算では十二億円の黒字ということで、ぎりぎりの黒字ではございますが、一応黒字基調を保ちながら経営しているわけであります。  今後とも、こういう黒字基調を保ちながら、郵便料金の値上げということをなるべく避けるように経営努力を続けつつ、豊かな郵便というものをつくっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  157. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私はそういう努力も大変重要だと思うのであります。しかし、私は正直言って、郵便小包などというのは、宅急便も始まってまいりましたし、国鉄も今度、貨物会社は戸口までどうやるかなんということをやっていくし、もっと肝心なものは、しかし郵便事業というものはもうかるもうからぬにかかわらずやらなければならぬ事業なんです。どこかの分野で、郵政は経営的に絶対大丈夫という分野にどんどん手を伸ばさなければいかぬだろうというふうに私は思うのです。  そういう意味で言うと、今百何十兆と持っておる郵貯及び簡保等の資金が全部資金運用部に吸い上げられて、郵政は働きバチに各戸とにかく目の色を変えて集めてきなさいと言うだけでいいのかどうかという問題であります。したがって、この分野郵政は新しい道を開いてもっともっと広げていかなければいかぬのではないかという認識なんです。そこのところを遠慮しておったんじゃ、これからの、郵便物を配るとか、あるいはそれをなくするわけにいかない、未来永劫続く事業ですよ。小包や何かも黒字にされた努力は大変なものです。しかし、それだけで将来展望が明るいのかということになると、私はどうもそうは思えないのであります。したがって、とにかく物すごく各戸に密着して働いて、親戚、知人、友人全部をたどって百数十兆の郵貯、簡保というものを集めて、それがなければ今ごろ資金運用部なんというのは成り立っていないでしょう。ここまでやってきておって、ただそれだけでいいのかということになると、それらのものを自主運用をやるということにもっともっと勝負をかけていかなければいかぬのじゃないかというのが私の認識なんであります。
  158. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、これは単に郵便貯金事業の将来ということばかりではなくして、三事業一体的に有機的な全国二万余の郵便局のネットワークを有効に活用して国民皆様サービスを提供していくためには、貯金事業といたしましても、現在着々と時代の趨勢になっております金融自由化に十分対応していかなくてはだめだ。まさに郵貯は全額資金運用部に預託をしておりましてその辺の経営の自主性がないわけでありますけれども、これからの金融自由化時代に適切に対応するためにはぜひともその有利な運用ができる道を開いていかなくてはならぬというふうに私どもも思っておるところでございます。  六十二年度の重要な予算要求としましても、この郵便貯金資金の直接運用というものを実現すべく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  159. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣、今のことはどうですか。間もなく予算編成も始まってくるわけでありますが、この問題は、当面の唐沢郵政としては何が何でも断固としてやり抜きますということなのかどうか。
  160. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 先ほどから先生から郵政事業全般にわたっていろいろ御高見をいただきまして、本当に大事な時期だと私は思っております。郵貯の問題も、初めは国民の七割の方が今の制度を支持しておられる、地方議会の九八%が存続を決議しておられるということを受けまして、私も非課税制度の存続を主張しておりました。また、貯蓄も重要だと言っておりました。しかし、だんだん事ここに及んでまいりますと、国民にとって最も密接な関係にある大事な郵政事業をどうするか。これはあくまで守っていかなければならない、おまえも重大な決意をせよというお話でありますが、私も前島密先生や榎本武揚先生に会わす顔がなくなったら大変だと思って、浅学非才、不明不敏ではありますが、今一生懸命頑張っておるわけでございます。  いろいろな意味で郵政事業がこれから伸びていくためには、ただいま担当局長がそれぞれ申しましたように、できるだけ高能率、高サービス、次々に新しいアイデア、創意工夫も必要でありますが、先生おっしゃるようにやはり長期ビジョンを持たないと、国際化、情報化、自由化、高齢化の世の中でございますからなかなか難しいと思っております。やはりその中の大きな目玉は、金利自由化に的確に積極的に対処していく上には何といっても資金運用制度改善しなければならない。一遍に大幅な前進を望むことはどうかと思いますが、資金運用の改善だけはどうしても図っていかなければならないということで、全力を挙げて取り組むつもりでございます。
  161. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 それから私の記憶では昔、私は戦中派でありますけれども、国債を郵便局が扱っておった時代のことを私は記憶しておるのであります。今全国にこれだけ大きなネットワークを持っておると同時に、大きな資金運用部資金などをやっておるそのもとをつくっておる郵政が国債を扱っておらないというのは、これもどうもおかしな話だろうと私は思うのであります。最近のいろいろな情勢の中では、郵便局の窓口で国債を扱えるようにという議論が地方でも強いのであります。唐沢郵政大臣はこの問題も当面の重要なテーマということで全力を挙げておるのだというふうに承知しておるのでありますが、この点はどうでしょう。
  162. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 次々に郵政の重要な問題について御指摘いただいてありがたいわけでありますが、こういう大事な時期でございますから、阿部先輩にこの委員会に入っていただいてひとつ大いに御指導のほどお願いする次第でございます。  今言われましたように、たしか国債は昭和二十六年までは郵便局で扱っておりました。昭和五十年、五十一年、私は実は大蔵政務次官でございまして、特例債を発行するときには、これはできるだけ国民に広く持っていただこう、一部の投資家が持つことは不安定であるという考えであったわけでありますが、現在のところ郵便局は取り扱っておりません。国民皆様のニーズ、郵便局の窓口へ来る声等を伺いますと、いろいろなものを求めていらっしゃいまして、その中にはやはり確実な投資と申しますか貯蓄と申しますか、国債もなじみのある郵便局で買いたいという御要望が非常に強くあるわけでございますので、これも来年度の予算編成においてその実現に向けて努力をいたしてまいるつもりでございます。
  163. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 最近、これもどこかで議論になっておるのでありますが、四全総策定作業の経過の中で、地方単位で貯蓄した金を地方でどういうふうに運用するか、こういう議論が起こっておるのであります。これなどは郵政にとりましても大変重要な切り込みをかけるべき角度ではないか、こう私は思っておるのでありますけれども、お伺いしたい。
  164. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 現在国土庁が中心になりまして策定作業を進めておりますいわゆる四全総の中間報告の案の中に、今後の国土基盤を確立するための総投資額は約一千兆円になるといったような数字が出ているわけでありますが、その財源の確保と配分は今後検討するけれども、財政制約が厳しい中で地方の投資を確保するため、地方での貯蓄をその地域への投資に回す仕組みを考えるといったような提言がなされようとしているわけでございます。  先生承知のとおり、郵便貯金資金というのは全国から広く集められた資金でございますので、地方に対して資金を還元していくという立場からも、私どもこういった構想にお手伝いができるということは大変有意義なことだというふうに考えております。それで、六十二年度に予算要求をいたしております公共債等に三兆五千億、郵便貯金資金から直接投資をしたいという中には、国債もございますけれども地方債もあるわけでございまして、地方債を購入することによりまして地方でのそういった国土基盤づくりのために郵貯資金が有効に活用されることを私どもは希望もし、ぜひそういった資金運用制度改善の実現をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  165. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 時間が参りました。  最後大臣、例えば自主運用であるとか国債を扱うとかいろいろな新しい問題をひっ提げてやられる、そのかわり利子課税の方はなんということは断じてこれはまかりならぬわけであります。したがって、利子課税の方と郵政省が当面目玉として掲げていく幾つかのテーマと、いろいろな相殺などなされることに断じてならぬように、私どもも全力を挙げて一体になって頑張りたいと思っておりますので、最後までひとつ、この唐沢郵政というのはある意味でいえば長い間の郵政事業の歴史的な節目にかかっておる、こういう意味で、職を賭す覚悟で頑張っていただきたい、このことを強く希望いたしまして質問を終わります。
  166. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 佐藤祐弘君。
  167. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 焦点になっております少額貯蓄利子非課税制度の問題につきましては、午前中から繰り返し質疑がありました。制度は存続させるという大臣のかたい決意の表明もありましたので、私の方でもう繰り返しません。ただ、庶民のせめてもの貯蓄の利子に対する大衆課税、こういうものについては我が党も断じて反対であるということを強く申し上げて、質問に移りたいと思います。  きょうは公衆電話の問題と同和対策についてお伺いをしていきたいと思います。  最初に、NTTが進めておられる委託公衆電話の撤去の問題であります。これは相当方々から、非常に不便である、また、いつ撤去されるのかという不安が広がっているといいますか、そしてそういうNTTのやり方に対してかなり批判の声が上がっているという状況だと思います。森本議員の質疑もありましたけれども、過疎地域だけではなくて、やはり都市部でもいろいろ問題が起きておりまして、具体的な問題で二、三お尋ねをしたいと思います。  私、ここにNTTの王子電報電話局長名で出されております文書を持ってきたのです。これは足立区内にあります医療生活協同組合鹿浜診療所あてのものなんです。こういうふうに書かれておるわけです。「当社も国の指導にもとづき、費用(一台につき一カ月一万七千五百円)に見合う収入がない公衆電話は整理せざるを得ない事態に到っております。 その初めとして一カ月当たりの収入額が三千円以下の公衆電話から整理させていただくこととしました。」そしてもう既にこれは撤去されたわけです。  最初に郵政省にお聞きしたいのですが、一カ月一万七千五百円以下の委託公衆電話は整理する、手始めに三千円以下は整理する、国の指導に基づきこうするのだという文面になっておるわけですが、こういう指導をしておられるのかどうか。
  168. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 国の指導という意味は、恐らく会計検査院の指摘を指しているのではないかと思います。先ほど来お話が出ておりましたように、五十九年度の当時の日本電信電話公社の決算に関連いたしまして、会計検査院の方から、公衆電話の効率的な配置並びに管理の適正化によって収支の改善を図るように処置要求がなされたところでございますので、それを受けまして、NTTの経営の意思として、一定の基準に満たないものについては公衆電話を撤去するという方針で臨んでいるというふうに承知をしております。
  169. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 質問は具体的にお聞きしておるので、具体的にお答えいただきたいのです。  郵政省NTTにつきましても指導監督するという立場にあると思います。それで、今お聞きしたのは、一カ月一万七千五百円に見合う収入がないものは整理する、その始めとして一カ月当たりの収入額が三千円以下の公衆電話から整理させていただく、これは国の指導なんだと言っておるわけなんです。こういうことを郵政省として指導しておられるのかどうか。
  170. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 郵政省といたしましては、検査院の指摘にのっとって適切に改善措置を講ずるような指導はいたします。しかしながら、今御指摘になりましたような具体的な数字を挙げての指導はいたしておりません。
  171. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 NTTにお聞きします。  国会答弁で、撤去するのは二千円以下だということを言っておられます。このこと自体についても後で触れたいと思いますが、先ほど参考人の答弁でも二千円以上は対象外だということがありました。ところが、実際には二千円ではなくて三千円以下は撤去するということがやられているわけです。現にこれは撤去されました。これは一体どういうことですか。
  172. 高橋節治

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  本社の方といたしましては、三千円以下ということは一言も言っておりません。二千円以下を整理しなさい、こういうことで指導しております。
  173. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そうした場合、実際にはこういう電話局が現にあるわけですね。王子局です。これは調べれば一分でわかることです。こういうことがあった場合には、では、当然是正の指導をする、是正の措置をとるということでしょうね。はっきりお答えいただきたい。
  174. 高橋節治

    ○高橋参考人 もしそういうことがあれば、私どもの方もよく事情を調べまして是正の指導をいたしたいと思っております。
  175. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私、今回の委託公衆電話の撤去については非常にいろいろ疑問が多いわけです。今言ったのもその一つの例ですね。電話局によっては拡大解釈をどんどんしていく、エスカレートする、こういう危険があるわけです。こういう点では、国会での答弁と実態が違うということになりますと、国会をもだますようなやり方ということにこれはなってくるわけですね。こういうことが絶対にあってはならぬということを強調したいと思います。  先月の決算委員会でもこれは議論にもなったわけですが、検査院の指摘は一千円以下、それを二千円というふうに、私は明らかにこれは拡大解釈だと思うのですね。しかもこういう「Q&A」なるものまで出してやっておられるわけです。これは東京総支社がつくった部外秘の印がついてある「Q&A」ですが、ここで、会計検査院の指摘をにしきの御旗、水戸黄門の印籠、これとして使えというふうなことまでやっておる。だから、これは会計検査院の指摘をいいことにして、悪用になりますか、そういう使い方をなさっているということで大変これも遺憾だというふうに思います。  それで、 一つのポイントは公共性の問題です。先ほどの答弁で一種が公共性で二種がそうでない、収益性だというのがありましたけれども、どうもその分類は国民から見ては余り根拠がないと言わざるを得ないと思うのですね。これはあくまでNTTの内部の区分けでありまして、たしかそれも以前からではないのですね。私の記憶では五十七年からだろうと思うのです。たかだか四年のことなんです。ですから、むしろ我々の感覚からいいますと、五百メートル、一キロ、そういう地域公共性ですね、それだけではなくて病院、学校、そういった公共施設、ここに設置されているものも第一種に分類すべきだ。むしろ国民感情としては一種なら一種のBでもいいんですよ。それ以外のものは二種だというのなら分類の話もわかる。しかし、あくまで以前に、独自に決められた一種というので、それで押していっているというところに現実に矛盾が起きるそのもとがあると思うのですね。  実際に撤去されている例で、いろいろあるのですが、例えば新潟でも先ほど大変問題になりました。これは、新潟の場合は特別養護老人ホームです。そこからも撤去するということが行われようとしたわけです。それで、これは県議会でも大問題になって、全会一致で申し入れをするという事態になりまして、結局これはNTTの新潟局が撤去をやめて存続を決めるということになったと聞いております。その際に、それまでは第二種という分類であったのを一種に切りかえた。ただし、委託手数料は払わないというような措置があったようでありますが、そういうことも可能なわけですね。現にやっておられるわけです。  ところが、新潟はそういうことだったのですが、今東京の各区でも大変問題になっておるわけです。それで、真藤社長あてに東京の特別区長会の会長名で要望書が出ている。これもポイントは「設置場所の公共性に鑑み、収益性の観点のみから判断することなく、慎重に取り扱われたい」これがポイントであります。当然だと思うのですね。  最初に私が引用しました鹿浜の診療所、ここなんかもこういうことなんですよ。大臣も聞いておいてほしいのだけれども、病人の方が駆けつけるのに最初は家族に車で送ってもらう。診察が終わって、一時間、二時間かかりますね、帰りに家に電話をして車を呼ぶあるいはタクシーを呼ぶ、そういうことに多く使われているわけですね。それを撤去するというのは私は非常に無慈悲といいますか、本当に冷たいやり方だと言わざるを得ぬわけです。やはり建物の設置場所をよく吟味して対処することが必要だ。公共的な施設については、小学校もそうですし、特に病院とか福祉施設、こういうものは取り外すべきではないというように思うのですが、その点いかがですか。
  176. 高橋節治

    ○高橋参考人 何回も繰り返すようでございますけれども、NTTの物の考え方としては、公共性というものの維持というものをどういう形で考えるかということにつきましては、第一種公衆電話というものにつきまして、これはたとえ利用度数が少なくとも多くとも、とにかく利用の度数とは関係なく、社会生活の安全性や戸外における最低限の連絡手段として、市街地におきましては五百メートル四方というようなことで、公共性の確保ということで第一種ということで、それであと利便性、利便性というか使っていただくということで第二種ということで考えておりまして、それから第一種の方についてはどういう施設ということで置いているという考え方ではございませんで、公共性の確保ということから最低一台置くという物の考え方でございます。ただし、その場合に、万が一のときの避難場所とかあるいは福祉施設、こういうものについてはこれは特に例外として、施設というか具体的な場所を指摘しまして第一種の中に含めているわけですけれども、第二種については場所というようなものについては何ら指定をしておりません。こういうようなやり方をしております。
  177. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 その点は私の方から既に申し上げてあるわけですよ。NTTの独自の一種、二種の分類の仕方に問題があるのじゃないかということですね。やはり内容を見て分類が必要ではないかということも言ってあるわけですから、今の答弁は全く無意味だと思うのです。そういうことではなくてきちっと答えていただきたい。  今福祉施設の問題をおっしゃったから言いますが、東京各区でも福祉施設から撤去するということで実は大騒ぎになっておるのですよ。私の地元の葛飾区の例でいいますと、区内に二十カ所敬老館があります。そこのうち九カ所から撤去する、こういう通知が現に来ているわけです。これは福祉施設ですよ。私も調べてみましたら、公社時代に設置されたのですが、敬老館ですから、その公衆電話は、お年寄り向けのいわゆるシルバーホンというのがありますね、それがつけられているのですよ。それを撤去しちゃおうというんですね。近くになかなか公衆電話がないという地域もあります。あっても、シルバーホンなんか一般公衆電話にはついていないわけですね。そういうお年寄りの集まられる敬老館ということでシルバーホンをつけてきた。せっかくいいことをやってきたのに、それを問答無用で取り払う。これはおかしいんじゃないですか。NTTからいただいた資料でも、福祉施設は残すんだと書いてあるのですよ。現にこういうことをやられようとしておる。どうですか、これは。
  178. 高橋節治

    ○高橋参考人 お答えします。  福祉施設という中身、具体的なものにつきましては老人ホームと身体障害者の施設、こういうことで限定しておりまして、そのほかのものについては第一種の中に入れておりません。
  179. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 だからNTT国家なりというのか、そういう感じがするのですよ。すべてNTTが決めて——そんなことどこにも書いてないですよ。NTTからいただいた資料に、福祉施設とは何と何だというような限定は書いてないですよ。しかも、敬老館というのは明らかに福祉施設なんですよ。区役所でも厚生課が担当しています。福祉という扱いのものです。それを恣意的にこれはそうじゃないとか区分けをできる、そういう資格がNTTにあるのですか。そういうまさに思い上がった態度だと私は思うのですね。そうではなくて、やはり国民の利便性、一般常識で福祉施設というところは福祉施設と認めるべきじゃないですか。  この点、同じお答え、用意してきたお答えしか答えられないようですから、では聞きますけれども、病院、診療所を含む病院ですね、公衆電話は六万一千台あると聞いています。第一種は何台ありますか。
  180. 高橋節治

    ○高橋参考人 約十四万台ございます。
  181. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 病院で……。
  182. 高橋節治

    ○高橋参考人 病院でですか。病院については一種という区分けはしておりません。
  183. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 つまり、二種ですか。
  184. 高橋節治

    ○高橋参考人 一種も二種もございます。
  185. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 だから、六万一千台あるうち何台が一種かと聞いているのです。
  186. 高橋節治

    ○高橋参考人 いや、その区分けはしておりませんということです。
  187. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 区分けをしていないとはどういうことですか。答弁にならないじゃないですか。では、全部一種なら全部残すのですか。
  188. 高橋節治

    ○高橋参考人 一種と二種とがクロスしているところがあるのですね。ですから、公共施設とか病院とか学校とかということで、一種という形で置いてはいませんということなんです。
  189. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そんなことはわかっているのですよ。だから、病院の場合、具体的に一種があるのかどうかと聞いているのですよ。
  190. 高橋節治

    ○高橋参考人 病院の場合、 一種もございますけれども、統計上一種と二種というものの区分をして統計をとっておりません。
  191. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実におかしな話だと思うのですね。そういう分類もしていなくて、ともかく撤去するんだ、二千円で切って撤去するんだという、結局基準はこれしかないんですね。非常に乱暴な、公共性とか福祉とか言っているけれども、中身が伴っていないじゃないですか。本当にそう言うのなら、やはり福祉観点公共性観点で個々に検討して、これはどうかということでやるべきじゃないですか。この点についてはどうも決まった答弁しか出てこないようですし、数字も挙げられないと言う。大変お粗末だと思うんだな。無責任な態度だと私は思いますよ。その点は強く指摘をしておきたいと思います。  そこで、郵政省にお聞きをしたいのですが、郵政省は、郵便局の問題、一万四千台ですかというような問題もあります。これについては、奥山さんの決算委員会の答弁もありました。要するに、地域住民に対する利用度、言うならば公共性観点から検討してもらいたい、できれば残してもらいたいということであろうかと思います。郵政省郵便局についてはそういう答弁をなさったわけですが、ほかの公共施設についてもやはり今申し上げたようないろいろな住民の要求、要望があるわけですね。ニーズがあるということで、公共施設については慎重に検討して残されるようにという方向NTT指導していただきたいと私は思うのですが、どうでしょうか。
  192. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 検査院からの指摘は、処置要求という、いわば非常に程度の高い、厳しいものでございます。単なる意見の表示あるいは意見の表明といったものではございませんので、それなりに重いものだというふうに私は考えますので、それを受けとめてNTTの方で、現在、所定の基準で効率的な配置並びに管理の適正化を通じて収支の改善を図っているところでございます。したがいまして、郵政省といたしましては、そのような収支の改善の面とそれから地域の住民に対する電話サービスの確保という面の調和点を求めてNTTがこの問題を措置するように強く指導もし、期待をしているところでございます。
  193. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 もう一点だけNTTにお聞きします。  先ほどの答弁で、話し合いがついたものについて撤去しているということはありました。これはいろいろ要望が出て、公共的な施設その他のケースがあると思いますが、話し合い中にあるいは話し合いがつかないのに強引にやるということはありませんね。
  194. 高橋節治

    ○高橋参考人 私の記憶ではないと思っております。
  195. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今後のことです。
  196. 高橋節治

    ○高橋参考人 今後もそうさせまいと思っております。話し合いがついたものを撤去する、こういうふうに考えております。
  197. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題で、最後大臣にお聞きをしたいと思います。  病院で患者さんが使われるような公衆電話を撤去するとか、それからお年寄りのための福祉施設からも今のような何かあいまいな分類で情け無用に取る、こういうことでは公共性が継承されるということにならぬと思うのですね。公共性の継承という点は民営化法案の審議の際に再三当時の郵政大臣もおっしゃったし、本会議答弁、委員会答弁もあります。ですから、ぜひとも公共性が継承されるようにしてもらいたい。そうでなければ、高度情報化社会とかいろいろ言われておりますけれどもちっとも国民にとっては便利にならぬ、かえって不便になるじゃないかということになって、これは支持を失うと思うのですね。そういう点で郵政省として、公共施設などに設置されている公共性のある公衆電話ですね、これは確保されるようにぜひ私は指導していただきたい、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  198. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 赤電話につきまして今佐藤先生からお話があり、先ほども森本先生からお話がありました。私も伺っておりまして、これは大変重要な問題だ、また同時に大変難しい問題だなという気がして聞いておったわけでございます。  第二種というと収益性を重んずるわけでございましょうが、NTTというのは全国にネットを持っている基幹的な電気通信事業者ですから、やはり公共的な使命というものは強く持っておると思うのです。反面、御承知のように電気通信分野には競争原理を導入した、それで第一種通信事業者としても新規参入者が既に事業を開始しているということで、有効、公正な競争をしていく、NTTとしてもできるだけ合理的な経営をして低廉、良質のサービスをしていかなければならないということになりますので、この問題は大変難しい、忠ならんと欲すれば孝ならずというような感じがするわけでございますが、やはり結局は住民サービスと合理化努力と申しますか、と申しましてもやはり血の通ったところも必要でありますし、ケース・バイ・ケースだろうと思うのです。そういう意味で、よく関係者の方と話し合っていただくとおのずから私は解決するんじゃないか、このように考えております。
  199. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 時間がありませんので次の問題に移ります。  郵政省の同和対策についてです。私たちは以前から郵政省の同和対策のありようについて問題点がいろいろあるということを言ってまいりました。去る八月には総務庁長官の諮問機関であります地域改善対策協議会の基本問題検討部会の報告書というのも出ています。ここでいろいろ、同和問題の解決と行政等の果たすべき役割その他詳しく展開をされております。きょうは余り時間がありませんからこのことは省略しますが、郵政省としても以前から同和対策については検討を進めてこられたわけです。  そして特に同和問題のウエートが大きな近畿郵政局、ここで七月に、近畿郵政局人事部長名の正常な勤務管理のための通達というのと、それを補完する形の「同和対策の正常化について」という文書、こちらの方は人事部長の公用私信という形式になっておるようでありますが、こういうものを出されたわけです。この「同和対策の正常化について」という文書の内容なんでありますけれども、資料要求をいたしましたところ、全文は勘弁してもらいたいというので簡略なメモのようなものをいただきました。全文はB5判で四ページ強のものなんです。簡略なメモではいかにも不十分でありますので、二、三確かめていきたいと思うわけです。  第一番目は、職場によりましては職員を強制的に同和研修に参加させるというような局が今もあるわけですが、こういうことは是正されるのかどうか。それから、新任の管理職、管理者が参りますと、解放研なるサークルの要求で個人の所信表明をやらせる。その際にはプライバシーにかかわるおそれのあるようなことまで出てくるわけですね。こういう点について今後中止させるかどうか。この点をまずお伺いしたい。
  200. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど先生からお話ありました近畿郵政局の同和対策関係の私信でございますが、十年間同和対策をやってきたわけでございますけれども、一定の成果が上がっている反面、一部の郵便局において種々の問題が発生しているということから、これらの問題点を早急に是正するということで各郵便局長を指導したものでございます。  先ほどお尋ねの第一点のことでございますが、同和問題の早急な解決は国民課題であるという認識のもとに教育啓発対策を積極的に省としてもしてきたわけですし、近畿郵政局としても取り組んできたところでございます。したがいまして、職員には教育啓発施策、省が主体性を持ってやる施策につきましては参加してもらうようにということで指導しているところでございます。  それから二点目の、管理者の所信表明というようなことがあるんじゃないかというようなこと、それらにつきましては、行き過ぎた面は是正していくということで指導しているというふうに聞いております。
  201. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 時間がありませんので簡潔にお答えをお願いします。  次に、この人事部長の文書では「同和対策は省の責任において実施するものであり、これについて、労働組合との団体交渉に相当する「交渉」等をサークルと行うことはありえない。」こうされております。実際にはいろいろやられておることも承知しておりますが、ここで言われておるようなこういうサークルとの交渉ですね、こういうことは直ちにやめるべきだ、郵政省としても是正措置をとるべきだと考えますが、どうですか。
  202. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど申し上げましたように、省が主体性を持って取り組むということでございまして、主体性を持った上に、同和問題の認識と理解を持っている団体の意見は聞くことは聞く、正すべきは正すということで取り組んでいくということでやっていると聞いております。
  203. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 お聞きしましたのは、労働組合とやったのと同じような交渉をするのかどうか。そういうものはあり得ないんだというようにこの文書では言っておるのですが、その点はどうかということです。
  204. 成川富彦

    成川政府委員 意見を聞くという場が交渉というふうにとられるということであれば別でございますけれども、交渉という形かどうかは別として、意見を聞く場はあるということでございます。
  205. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 どうもちょっと、どう言いますか、はっきりしませんね。意見を聞くというのは当然ですよ。いろいろな職員から意見があればですよ。そうじゃなくて、特定のサークルに対しては団交をやっているのですよ、簡単に言えば。団交の確認文書まで現にあるのです。これは大阪の北の方のある郵便局です。ここに書いてありますよ。「四・三時短実施に伴う職場改善についての解放研要求に基づく確認」こういう文書まであるのです、現に。こういう状態があるから人事部長名で、そういう交渉等やることはないのだ、あり得ないことだというふうに言われているわけです。どうなんですか。
  206. 成川富彦

    成川政府委員 先生のお持ちの私信と私の方で聞いておる私信とは違うかもしれませんが、組合との団体交渉のようなことはするな、是正するというような中身が入っているというふうには聞いておりませんですが。
  207. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 では、あなたはどう考えるのですか。本省の責任者として、そういうことをやるのが好ましいと思うのか。サークルは労働組合とは明らかに違うわけですね、任意団体にしかすぎぬわけですよ、どうも逃げ腰のようですが。
  208. 成川富彦

    成川政府委員 労働組合とは違いまして、今おっしゃっているのは部落解放研究会を指しているかと思いますが、そういう団体は任意団体でございまして、労働組合と同様の交渉ということはあり得ないわけでございます。
  209. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 もう質問時間が最後になりましたから、では最後質問にします。  近畿の実態というのは本当に大変なことなんですよ。これは私は実際のことをよく知っているのですが、この解放研のメンバーに対して勤務解除というのをやっているのですね。勤務をさせない、勤務を解除する、勤務解除というのが相当広範囲にやられているわけです。先日資料をいただきました。九月現在で「大阪府下の普通郵便局における部落解放研究会について」という資料です。これはおたくからいただいた資料です。この中で、勤務解除は総延べ人員一カ月だけで二百七十二人なんです。総時間で五百三十七時間、これだけの勤務解除をやっている。まさに異常な事態ですね。これでもなお、三年前にいただいた資料から見ますと人員では六割減っています。勤務解除した時間の総数は、三年前は千五百七十三時間でしたから三分の一に減っているということで、前進したと言えば言えるわけですが、この勤務解除は現在もなお大変なことですね。こういう点についても「今後、法令・労働協約を逸脱する、いわゆる勤務解除の取扱いはこれを厳に行わないこととする。」というように、これは人事部長文書ではっきりあると思います。こういうことで、私はぜひ是正をしていただきたいと思うわけです。  それで、最後なので大臣にお聞きをしたいのです。  今短いやりとりでしたけれども、主なポイントはおわかりかと思うのですね。この人事部長名で出されました文書は、総務庁長官の諮問機関の文書と内容的には大体合っているのです。大体には合って、いい方向が出ているわけです。せっかくこういういいものを出しながら公用私信というのは私は理解に苦しむのですが、こういう形にしてやっておられるところに私はまだ態度がはっきりしておらぬというふうに思うのです。この地域改善対策協議会の報告書でも、本当にこの同和問題を解決するにはオープンにしてやることが大事なのだ、糾弾とか確認に恐れをなして発言を控えたり、そういうことがあってはだめなのだ、かえって解決をおくらせるのだということが指摘されているわけです。重要なポイントなのです。これまでは恐れてふたをしてきたところに問題がずっと続いてきたわけですから、そういう点では郵政省もせっかくいい方針を出しておられるわけだから、どういう形式かは別ですが、こういうのも明らかにして具体化を進めていただきたいと思うわけです。解決のための具体的な措置を進めていただきたい。そういう点で大臣の決意を最後にお聞きしたい。
  210. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 先生言われました解放研につきましては、郵便局の職場に働く職員が同和問題を学習研究し、その理解と認識を深めることを目的とした任意の団体であると理解をいたしております。郵政省といたしましても、同研究会の活動が部内において真に同和問題の正しい理解と認識を深めるのに役立つことを望んでおりますので、同研究会に対しては、聞くべきは聞き、正していくべきは正してまいりたい、そのように考えております。
  211. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の御答弁ではちょっと不満でありますけれども、大変よくない役割を果たしておって、同じ職員の中からも、例えば勤務解除なんかについては強い批判が出ているのです。指導部に対しても批判が出ているわけですよ。だからそれを是正していく、正常化するということが課題でありますから、一般的に解放研がいい役割を果たしているからというような御答弁を私は承服することはできません。現によくない役割を果たしているのです。そこははっきり腰を据えて、この地域改善対策協議会の報告も言っているように、陰でこそこそやるのではなくて、公用私信なんてわけのわからぬ文書を出すのではなくて、もっと堂々とやっていただきたいということを重ねて要望いたしまして質問を終わります。
  212. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 次回は、明二十七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会