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1986-12-10 第107回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 竹内 黎一君    理事 久間 章生君 理事 古賀  誠君    理事 野田  毅君 理事 中西 績介君    理事 鍛冶  清君 理事 小渕 正義君       上草 義輝君    尾形 智矩君       松田 九郎君    三原 朝彦君       岡田 利春君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    藤原 房雄君       吉井 光照君    青山  丘君       児玉 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 平井 卓志君  出席政府委員         通商産業政務次         官       中川 秀直君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省立地         公害局長    加藤 昭六君         資源エネルギー         庁長官     野々内 隆君         資源エネルギー         庁石炭部長   高橋 達直君         労働政務次官  松岡滿壽男君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         労働省職業能力         開発局長    野見山眞之君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      小西  亘君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       新村浩一郎君         自治省財政局指         導課長     松本 英昭君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(第八次石炭対策に関する問題)      ────◇─────
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件、特に第八次石炭対策に関する問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
  3. 三原朝彦

    三原委員 石特で初めての質問でありますけれども、過去、私の同期生の北海道出身鳩山先生北村先生がなさいました。私は旧産炭地を抱える北九州筑豊地区の代表というような気持ちできょうは質問させていただきたいと思う次第であります。  十一月二十八日に石炭産業に対する第八次の答申が出されまして、答申にあるように政府及び需要業界から他産業に例を見ない多大な助成及び協力を長期にわたり受けてきたのでありますけれども、にもかかわらず近年エネルギー需給緩和、特に石油のだぶつき、そしてまた二番目は円高による安価な輸入炭の取得、第三番目は石炭消費に多大な協力をしてきた需要業界円高原因による輸出不振から生ずる石炭消費への厳しい態度等がありまして、その助成協力が望めない環境になってきたということであります。このような状況のもと、先日来今後の石炭政策のあり方について数々の質問がこの委員会でされてきたのでありますけれども、私は先ほども申しましたように第八次答申を踏まえ、その中の大きな項目、第五番目の項目閉山対策離職者対策地域対策、及び項目の第七番目、産炭地地域振興対策に的を絞って少し質問をさせていただきたいと思う次第であります。  来年期限切れになります石炭三法の一つであります炭鉱離職者の再雇用に関する法律などがありますが、あのような法律が存在していても私の地元であります、ふるさとであります旧産炭地筑豊地帯、いまだ雇用の場が少なく、そのために再就職の問題など抱えもう既に二十年になりますけれども、そういうようなのがクリアされないというような実情もあるわけでございます。御承知のように大体炭鉱のあるところ炭鉱中心地域経済発展し、また雇用も創出されておるという形をとっております。このような現状のもとでは、炭鉱閉山になりますと極めて深刻な影響がその地域に生ずることは過去の例をとってもおわかりのとおりであります。イギリス、フランスあたりでは、炭鉱閉山されました場合には公社が子会社をつくって離職者対策企業誘致などを行っておるということを聞き及んでおります。我が国においては、先日三菱高島礦閉山を見、また今後新たな閉山が予想される中で、閉山対策産炭地域対策に万全を期すべきだと私は考えるところであります。  そこで、本日は閉山後の産炭地域振興対策雇用対策等について政府のお考えを尋ねたいと思うところでございます。  まず第一に、昨日、通産省は八次策答申を受けて予算要求の差しかえを行われておるようでございます。その重点項目に関し少し説明をしていただければと思うところであります。
  4. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 お話にございましたようにちょうど昨日、通産省から大蔵省に対しまして石炭対策予算の差しかえ要求を行ったところでございます。御案内のとおり、石炭鉱業審議会の第八次答申を十一月二十八日にお出しいただいたわけでございますので、それに基づきまして第八次石炭政策関連予算中心大蔵省お願いをしたところでございます。  その重点項目でございますが、第一に需給ギャップに対処するための貯炭管理制度をつくるという問題でございまして、具体的には貯炭管理会社に対しまして新エネルギー総合開発機構から出資をし、また貯炭についての無利子融資を行うという内容となっております。  第二に、今後生産規模縮小していくことが予測されるわけでございますが、その規模縮小を円滑に行うための対策創設したいということでございまして、具体的には現在の制度でございます石炭鉱業安定補給金制度減産加算追加を行うあるいは規模縮小交付金創設を行うということでございます。  第三は保安対策拡充でございまして、具体的には重要保安専用機器等補助率引き上げ、それから不燃化、難燃化工事保安専任職員経費補助対策への追加等となっております。  また、第四に閉山対策拡充でございまして、具体的には閉山交付金制度のうちの退職金限度額現行の四百万円から六百万円に引き上げお願い中心にしております。  第五に、地域対策といたしまして新規閉山地域対策拡充ということで、具体的には産炭地域振興臨時交付金制度拡充等をしておりまして、これによりまして来年度の全体の新しい予算要求額でございますが、千三百七十九億円程度となっておりまして、前年度に比べまして百四十三億程度の増加という要求になっております。
  5. 三原朝彦

    三原委員 きょう私が質問することで、四、五あたりはかなり考慮して通産省大蔵省要求をしていらっしゃるようでありまして、この点、何とかよろしくお願いしたいと思います。  二番目に移りますけれども、私がきょう聞きたい第八次策におきます項目の五番と七番、つまり閉山対策地域対策離職者対策そしてまた産炭地振興対策の基本的な考え方を再度確認させていただきたいと思うわけであります。
  6. 野々内隆

    野々内政府委員 今回の答申では、国内炭が一定の役割を果たすということを評価した上で、生産規模を段階的に縮小することもやむを得ないという考え方をとっておるわけでございますが、同時に、閉山が一時的に集中をいたしまして大量に失業が発生するというような事態を回避するということもまた基本といたしておりまして、地域経済あるいは雇用に及ぼします影響をできるだけ緩和するというふうな考え方に立っているわけでございます。  答申指摘されております閉山対策地域対策あるいは離職者対策、この具体的内容につきましては、答申を踏まえまして、現在予算要求、その他具体的な対策検討いたしておりますが、これを早急に固めまして、当省としましては、いずれにしましても地域経済あるいは雇用に及ぼす影響、こういうものをできるだけ緩和するように、関係省庁とも連携をとりながら、その対策に遺漏なきを期してまいりたいというふうに考えております。
  7. 三原朝彦

    三原委員 今私が最初質問したことと次に質問すること、それの比較といいますか、そういう形になるかもしれませんけれども、今回、予算の差しかえをされて、私が今質問をずっと続けていきます閉山とか、そういうことに関していろいろ考案された差しかえをしたということを最初高橋部長はおっしゃいましたけれども、じゃ、八次策を踏まえて差しかえの中で具体的にどのような配慮がされてきたか、そこのところをもう一度ちょっとお尋ねしたいと思います。
  8. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 閉山対策、それから産炭地域振興対策の点でございますが、答申におきましても、閉山対策については、石炭会社親会社等会社側での最大限自己努力を前提にして、政府所要支援をすべしという趣旨の指摘があるわけでございます。私どもといたしましては、その点を踏まえまして、閉山対策につきましては、特に労働者に直接関係のございます退職金の問題を重点に置きまして、現行の四百万円を六百万円に引き上げ措置を講じたところでございます。  また、産炭地域振興対策、特に新規閉山が予想される地域につきましては、その地域維持発展が非常に大きな問題になる、これは今度の答申の基本的な視点でございまして、るる指摘があるわけでございますが、私どもといたしましても、そういう点を踏まえまして、新規閉山地域対策に万全を期したつもりでございます。  具体的には、産炭地域振興臨時交付金の枠内で行っておるわけでございますけれども一つは、閉山が行われました場合の自治体への交付金基準額でございますが、この基準額を、従来は閉山規模トン当たり百十五円ということになっていたわけでございますが、これを五割程度引き上げを行っております。  また、閉山後の地域維持にとって基本的な問題として、公共サービスをどう維持するかという問題があるわけでございますけれども、この公共サービス維持に関する負担の軽減対策として、夕張の例などを見ながら、特に水道の給水の確保という問題に焦点を当てて補助金を交付する制度をつくっております。  また、中小商工業者対策でございますが、これも中小企業対策の体系の中でこれまでもいろいろと措置が講ぜられているところでございますが、特に、閉山地域において、閉山後の仕事が少なくなる中小商工業者地域外に出ていかれます場合の資金面につきまして必要になってくるわけでございまして、そういう資金面につきまして、この産炭地域振興臨時交付金の中から低利の融資が受けられる、そういう補助金を工夫して出しております。従来からもこの制度はあったわけでございますが、従来の制度では金利が五%という水準になっておるわけでございますが、この金利の五%について、道県制度になるわけでございますが、結果的にはそれ以下の水準でも受けられ得るような仕組みを検討し得る余地を残すような制度になっておるわけでございます。
  9. 三原朝彦

    三原委員 今度は少しばかり具体的な話になりますけれども、今まで通産省の方から今度の八次策を踏まえてのいろいろな対応策をお聞きしました。それを、最も最近閉山しました高島に当てはめて考えさせていただきたいと思います。  高島が閉まって、これで残ったのは、掘るところは十鉱になりますか。それでまた、一千万トン体制になりますと、急激には閉める山はふやさないようにということも政策としてなさるでしょうけれども、いずれどこか閉めざるを得ないような山が出てくるのじゃないかと思います。そういうところに働いておるような方々にとっても、一つの指針と言っては失礼ですけれども、閉まった場合にはこういう形が起こり得るのじゃないかという具体的なものが見えるのじゃないかと思います。それで、高島の例をちょっと出させていただいて、その中で議論させていただきたいと思うわけでございます。  そうなりますと、第二の高島礦のようなものが生まれてくる。そして、この現状考えると、私どもが直面している高島閉山に対するいろいろな処置も十二分に考案しながらみんなでやっていかなければいけないと思う次第であります。  そこで質問でございますけれども、いただいた資料によりますと、高島礦で働く人は一千四百人余、もちろん下請の人を含めますともっとふえるわけでございますけれども報道機関などによりますと、自助努力ということで、親会社三菱さんあたりももちろんいろいろな再就職道あたりサービスもしておられるようでありますけれども高島離職者対策など、具体的にはどういうふうにしておられるでしょうか。労働省の方にそれについてちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。
  10. 松岡滿壽男

    松岡政府委員 三原議員指摘のように、産炭地問題はやはりすぐれて地域対策でなければならないと思うわけでありますけれども高島の場合は専ら炭鉱に依存してきておるということでありまするし、現段階におきましては直ちに多くの雇用の場を見込み得ないという状況があるわけです。したがいまして、離職者の再就職のための環境としては非常に厳しいものがあるわけであります。そのために、労働省といたしましては、省内に炭鉱離職者対策本部を設置いたしますとともに、現地に臨時職業相談所を開設したところでありまして、今後、地元の長崎県とも緊急な、緊密な連携を保ちながら、職業訓練機動的実施広域職業紹介活動促進各種給付金制度積極的活用等によりまして離職者の早期再就職促進に努めてまいりたい、かように考えております。  さらに、地域におきます雇用機会確保のために関係各省と十分に連携を図りますとともに、労働省といたしましても現在検討を進めております総合的な地域雇用対策対象地域といたしまして、地元における雇用機会開発に積極的に努めてまいりたい、かように考えております。
  11. 三原朝彦

    三原委員 先日、国鉄の雇用の担当の人とちょっとお話をしたことがあるのですが、九州の人は、何だか一度九州に生まれ育つと余り出たがらないそうであります。高島人あたりも、九州に生まれ育ったような人はなかなか出ないようなことがあるのかもわかりません、そこは私はわかりませんけれども、そうなりますと、やはり今政務次官がおっしゃったように何とかあの近辺に雇用機会をもたらしむるようないろいろ知恵も出していただければと思う次第であります。  次に、高橋部長さんも先ほど水道の件おっしゃっておられましたけれども高島町財政、これもまた厳しい状態になると思います。私がいただいた資料によりますと、地方税に占める炭鉱比率が八割以上、そしてまた総人口に占める炭鉱関係しております人の比率は九割以上というような、高島イコール高島炭鉱であるということも言えるような状況であります。このような実情のもとで、町財政を破綻させない、今もう閉山したこの町を破綻させないためには何とかいろいろな方策も知恵も出していただかなければならないと思いますけれども、当面自治省としてはどういうことをお考えになっていらっしゃるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  12. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  高島炭鉱閉山に関しまして先般地元から国に対する要望書が提出されたところでございますが、これに対しましては関係各省庁が産炭地域振興関係省庁等連絡会を通じまして検討することとされております。自治省といたしましても、連絡会において関係各省庁と連絡をとりながら適切に対処してまいりたいと考えておりますが、具体的にはただいま先生指摘のような収入の減の問題に対しましては、交付税の算定におきます人口急減補正適用等によって交付税をある程度確保していくとかあるいは地域整備振興等に際しましては過疎債等を充当するとか、また地域活性化対策事業による措置などを考えております。  また、先生ただいま御指摘になりました水道問題等につきましては、有収水量が減少することに伴いまして高料金にならざるを得ないというような場合には、高料金対策として交付税措置していくとか、そういうことを今検討している次第でございます。
  13. 三原朝彦

    三原委員 今、閉山する高島のことに関して二、三具体的にちょっと聞かせていただいたわけですが、実はまだまだこれからというような感じが、もちろん閉山して一カ月余りでありますから対応する方もそうあれにはいかないと思いますけれども、しかし今から先こういうことが起こることが当然であるというふうに、先日参考人向坂先生あたりも、やはり日本は石炭をみずからの国の中で掘ってするということに関していろいろ消極的な意見を出されておられましたけれども、それが実情ではないかと私も考える次第であります。ですから、高島一つのいい例になるようにしていただいて、そしてまた今から先閉山するであろう山を持つ町や市あたりが混乱しないような形をお願いしたいと思う次第であります。  再度お尋ねしますけれども、今度は全体のことをしておられる通産省の方にお尋ねしたいと思いますけれども大手閉山するときには、何と申しましても大手ですからいろいろな、経済的な意味でも余裕があります。ですから何とか、やめていく人、山をなくする町あたりに対してもいろんな意味での援助をしてきていただいておるところでありますけれども、それが小さいところなどになりますとそうもいかないようでありまして、これまた地元の話になりますけれども一つの例が、私の地元の鞍手郡宮田町というところに貝島という中小企業炭鉱がありまして、そこが掘った露天の跡地は、国が債権者更生会社になりました貝島債務者というようなことで、町自体は何ら直接関係はないわけですけれども、そのせいで町の真ん中にでっかい跡地がありまして、町自体発展にそれがマイナス効果をもたらしておるというようなことで、自分たちが何も理由や原因をつくったわけでもないけれども、実はそれが町の発展一つのネックになっておるというような事実もあるわけでございます。そういうときに国が何とかできればなという、国や地方自治体あたりが手伝いできる場面があればというような気持ちを私は持っていたわけでございますけれども、そうは簡単にいかないともちろん思います。それと同じようなことがもし万が一今から閉山するところに起こるようなことがないように何とか考えていただくような手だてみたいなことを、すごく抽象的な質問になりますけれども、そういうことが起こらないように努力する方法みたいなのはないんでしょうかね。総合政策としてそういうところをちょっとお尋ねしたいわけです。
  14. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今後閉山が予想される事態の中で地域をどう維持発展させていくかというのは大問題でございまして、答申の中でも、やはり第一には企業側最大限努力を期待しているわけでございますが、今御指摘のような点も含めまして、企業だけでなくて、これは関係者の全員が一体となってその地域考えていかなければいけない問題であるという指摘になっているわけでございます。  具体的には、当該市あるいは町、それからそれの所属いたします道あるいは県というところがまず第一に真剣にこの問題に取り組むべきでありますけれども、国といたしましてもそうした地元努力支援して、一緒になってその地域対策を講じていかなければいけないという考えでございます。閉山がございますと当面いろいろな問題が出るわけでございまして、そういう問題につきましては国といたしましても、各省庁の権限、機能を十分に活用するという観点から関係省庁等連絡会というのが設けられておりまして、そこで今度の高島の場合も鋭意その対策について県の方の要望を踏まえながら十分な検討が行われているところでございまして、今後ともそういう格好で閉山地域についての対策が当面の問題として検討されていくものと考えられます。  しかしながら、中長期的にその地域維持し、そこに住んでいかれる方々雇用の場を確保していくということになりますと、やはり中長期的にその地域を脱石炭型の地域構造にしていくための努力が必要でございまして、国におきましても、私どもといたしましてこういった努力支援するという観点から、今年度から産炭地域活性化支援事業という事業も興しております。いずれにしてもこれは地道な努力の積み重ねということになるわけでございますけれども、そうした努力関係者一体となって行うことによりまして何とかその地域の再活性化を図っていくしかないということでございまして、私どものイメージによりますと、やはりその地域の特性を生かしたプロジェクトを導入するビジョンをまずつくっていただきまして、これには国も現在の予算の中で支援ができる体制になっておるわけでございまして、さらにそのプロジェクトビジョンのうち実行可能性のあるものについて事業化のための調査を行っていく。これについては私どもも六十二年度の予算要求の中で所要経費の半額を補助するという予算要求をしているところでございます。こういった事業調査が成功いたしますればさらにそれを事業化するためのいろいろな措置考えてまいりたいと思っておりまして、地域振興整備公団機能活用いたしましたり、あるいは現在通産省全体として財政当局要求しております経済構造調整基金の成立が成りますればそれも石炭活用していくというようなことも考え、いずれにしましても、関係者一体となって地道な努力を積み重ねて何とかその地域の再活性化を図っていくという努力を国としてもいたしたい、かように考えております。
  15. 三原朝彦

    三原委員 大手ですと今部長さんがおっしゃったようなこともかなり経済力がありますから、資力がありますからできるでしょうけれども、やはり一番問題なのは小さい方の山が閉山するときの問題だと思います。そういう点特に御配慮いただいて御指導、御鞭撻をいただきたいと思う次第であります。  時間が少なくなりましたので、あと二つばかり聞きたいと思っておりましたけれども、最後に一つだけ通産省にお聞きしたいと思いますけれども、いずれにしましても閉山地域振興策関係省庁地方自治体、そしてまたその炭鉱を経営する会社等が全力を挙げて取り組むべき課題ということはもちろん当然なことでありますけれども産炭地域振興対策の主省庁であります通産省としては今からどういう方針でいくのか、その所信を聞きたいと思います。
  16. 中川秀直

    中川政府委員 地域対策につきましては、ただいま御指摘のとおりでございまして、八次答申におきましても各地域の主体的な取り組みとそれから石炭企業等の積極的な貢献並びに地域民間関係者一体となった取り組み、加えまして関係道県の積極的な支援、挙げて加えまして政府においても各省庁挙げてこれを積極的に支援をしてまいる、こういうような答申がなされておるところでございます。  政府地域への影響緩和ということに万全を期すということを主眼に置いておりまして、閉山地域経済産業構造の転換、先ほど御指摘のございました地域住民への公的サービス維持、あわせまして経済環境変化への地元中小企業の円滑な適応、こういうことに対する支援充実強化を図ってまいりたい、答申においてもそう触れられておるところでございまして、この答申を着実に実行してまいりたいと思うところでございます。  今石炭部長からも御答弁を申し上げましたが、そういうことのためのいろいろなプロジェクトを立案をしていただき、またそれを実行していく過程において、今年度から産炭地域活性化支援事業というものを創設をいたしまして、地域の特色を生かした、あるいは潜在性可能性を生かした産業興しの活動支援をしてまいりたいと思うところでございます。  また、これもやや重複をいたしますが、六十二年度予算において経済構造調整基金所要額百二十億、事業規模四百五十億という基金要求をいたしておりますが、この設立が認められた場合にはこの活用を図ってまいりたいと思っておるところでございます。  先ほど三原委員高島に具体的に触れられてお話しでございましたが、高島地域につきましては、今回の特定地域中小企業対策臨時措置法におきましても指定地域ということで指定をさせていただきました。この中にも地域活性化事業として百五十億という枠をとっておるところでございます。こうした諸制度活用しながら産炭地域振興関係省庁等連絡会、約十五省庁でやっておりますけれども、こういう各省の協議を通じまして、高島については既に二回開催をされておりますし、それぞれどういうことが可能であろうかということを、今月の十二日にはその検討状況について中間的な取りまとめをする予定でございます。具体的にはいろいろ地元においても三菱炭鉱業あるいは親会社である三菱鉱業セメントにおいて高島町に適した企業の誘致あるいは産業興しの可能性などについても調査検討が行われている由でございまして、例えばコンクリートの二次製品工場を考えてみたらどうであろうかとか発電プラントの活用、魚の養殖、海洋開発構想による基幹産業の育成といったような項目もいろいろ検討されているようでございますので、そうしたものを各省間の協議の中で十分詰めてまいりまして、可能な限りの支援をしていきたい、こう思っておるところでございます。
  17. 三原朝彦

    三原委員 どうもありがとうございました。終わります。
  18. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、岡田利春君。
  19. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 去る十一月二十八日に一年二カ月ぶりで第八次の答申が行われました。まず私は、この第八次の石炭答申に対して政府としてどういう取り扱いをなされたのか、御説明を願いたいと思います。
  20. 中川秀直

    中川政府委員 お答え申し上げます。  今回の八次答申は、昨年の九月三日の諮問以来約一年余にわたりまして、今後の石炭政策のあり方について広範な観点から慎重な審議を尽くしてまいったわけであります。エネルギー需給緩和、大幅な内外炭価格差の発生、需要業界の動向等石炭鉱業を取り巻く諸情勢を十分に踏まえて取りまとめられるに至ったものでございます。  その内容は、石炭鉱業の労使双方に最大限自己努力をしていただくということを前提に、政府の適切な支援需要業界のぎりぎりの協力によりまして、今後の石炭鉱業の歩むべき道を見出そうとするものでございます。  今後、この答申の実施に当たりましては、生産の段階的縮減という石炭鉱業の労使双方にとって非常に厳しい対応を要するものになっておるわけでございますけれども通産省といたしましては、こうした答申を踏まえまして、第八次石炭政策の遂行に当たりましては、関係者の血のにじむような御努力が報われるよう愛情を持ってできる限りの支援を行う考えでございます。特に、需給ギャップを調整するための過剰在庫対策閉山対策等に最大限努力をしてまいる所存でございます。また、そういうことを通じまして、地域経済雇用に及ぼす影響をできるだけ緩和をするために関係各省庁と連携をとりつつ雇用対策地域対策には万全の、遺漏なきを期してまいりたいと思う次第でございます。
  21. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私はこの答申を受けて、従来、第一次から第七次までの答申では閣議決定した場合もございますし閣議了解という処置をされた場合もありますし、あるいはまたエネルギー関係閣僚会議に報告されたという場合もあります。今回の場合にはどういう措置をとられたのですかということを端的に伺っておるわけです。その点いかがですか。
  22. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 去る十一月二十八日の第八次石炭答申通産省としていただきまして、その段階で大臣からも今後最大限努力をする旨の談話を発表したわけでございますが、御指摘の閣議との関係でございますが、今回の場合は、去る十二月五日の閣議におきまして通産大臣から、当省としての決意並びに関係省庁への対策の推進についての協力要請を行ったところでございます。  具体的には、この八次答申を受けて、この答申が、生産を段階的に縮小し、おおむね一千万トンの供給規模とすることを提言されているけれども、その過程においては何としても短期集中閉山を避けて、地域経済雇用に及ぼす影響をできるだけ緩和していく必要があると考えているという点であります。これを受けて当省として石炭政策の充実を期することとしまして、このために各般の対策の具体化を急いでいるところであり、各省庁においても本問題の重大性にかんがみ、その対策の推進につき格段の御配慮をお願いしたいという趣旨を発言しております。  なお、その際高島炭鉱閉山問題にも言及しておりまして、現在関係省庁連絡会におきまして検討がされておりますけれども、その対策の推進についても各省よろしくお願いしたいという趣旨の発言をしております。
  23. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうしますと、答申の骨子については、政府としては変更するものはない、こういう認識なのでしょうか。また、そうであったとしても、この答申の骨子に基づいて、運用については弾力的に運用するというお考えでしょうか。政府としてはどういうお考えでしょうか。
  24. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 第八次石炭答申が先般行われたわけでございますが、これは今後の石炭政策についての方向を示したものでございまして、私どもはそれを受けまして、それをあくまでも尊重する立場で、それを踏まえて今後の石炭政策を樹立してまいりたいということでございます。したがいまして、その答申の骨子を変更する、しないという問題については、十一月二十八日の段階で最終的な決定がなされて通産大臣に提案がなされておりますので、それはその限りで最終的なものになっているものと理解しております。
  25. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 政府は、各種審議会がありますけれども、審議会が答申した場合に、政府はそれを受けてその内容検討し、一応尊重するというのが原則でありますけれども、また、それに対して付加するものあるいは多少変更するものというのがあるのも本来はもっともなんですよ。だから審議会をつくって諮問するわけです。しかし、政府と合作でやったと言えばそれきりですけれども。  そこで、この答申を受けて、では来年、通常国会に対する提出法律案についてはどういうことになるでしょうか。
  26. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 その点につきましては、今度の石炭答申におきましても、関係法令については、「本答申の趣旨に沿って検討を加えた上で、その延長を図る等所要措置を講ずる必要がある。」という指摘がなされているわけでございまして、現在の法律のうち対象となるものが、私どもの省の所管その他を含めまして五本ぐらいになろうかと思っておるわけでございますが、当省としましては、答申を踏まえまして具体的な作業に現在入っているわけでございまして、対策の実効を確保する上で石炭鉱業合理化臨時措置法等、来年三月末で期限切れになります石炭関係法令については所要の見直しを行った上で、その結果として所要法律の制定をお願いしたいと思っております。
  27. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私もそう思いますね。石炭鉱業合理化臨時措置法、石炭鉱業経理規制臨時措置法、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法、炭鉱離職者臨時措置法、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律、大体この五本だと思うのです。  そこで、この答申の中で特に重要だと思われますのは、今後の需給関係というものがどう推移をするかという問題であります。六十一年、大変なこの需給関係の変更が行われて、いわば第七次政策の重大なる変更が行われたわけですね。鉄鋼や一般産業向けの需給を第七次の最終年度にセットしたということは、第七次政策の変更ですよ、これは。  私は、そういう観点に立って、昭和六十一年度の需給計画はでは一体いつこれは決定されるのか、あと三カ月しかないわけです。そしてまた、結果的に今年度の需給計画の見通しは一体どうなんでしょうか。
  28. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように、毎年度の需給見通しはその年に決めているわけでございますけれども、本年度については現在その作業を急いでいるところでございまして、具体的には御案内の石炭鉱業合理化臨時措置法の中にございます石炭鉱業合理化実施計画をまず策定いたしまして、その上で輸入炭も含めた需給数量の見通しをつくるということに相なるわけでございますが、本年度はいろいろな情勢がございまして、その作業のテンポがややおくれているところでございます。合理化実施計画につきましては近々審議会を開いて決定をいたしたいと思っております。その後輸入炭等についても見通しを決めまして需給見通しを決めたいと思っておるわけでございます。  これまでの私どもがやりましたヒアリングでは、ややちょっと古いのでございますが、八月時点でまず一回やっておりまして、現在またヒアリングをやっているところでございますが、八月時点のヒアリングの結果では、輸入炭につきましては前年度を下回るという状況考えられております。  なお、国内炭につきましては、今年度の供給実績見通しはトータルで千六百九十万トン程度になるものと考えられておりまして、六十年度の千八百二十一万トンを下回るという状況になろうかと思っております。
  29. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今年度末どうなるかということなんですけれども、大体需給の面では千四百六十万トン、したがって貯炭が四百万トンを若干オーバーするのではないか、そういう計算でいきますと、生産は恐らく千五百十万トンくらいになるのではないかという感じがするのです。そういう感じで大体推移する。六十年度末の見通しについては、大体今私が申し上げたような点でよろしいですか、どうでしょうか。
  30. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 大体そのようでございますけれども、私どもの現在までの作業では、生産が千五百五十ぐらいになろうかと思っております。また在庫は四百をちょっと下回るくらいかと思っております。
  31. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 早目に需給指針を、需給計画を出すということが大事なんです。というのは、後から関連しますけれども、今年度の予算要求の場合、例えば減産基準というものは六十一年度の実績を基礎にするわけでしょう。六十年度であるならば問題ないのですけれどもね。六十一年を基礎にすると内閣はもう方針を出されたわけでしょう。そうすると、やはり六十一年度の落ち過ぎというものが非常に重要視されるわけです、それを基準にするわけですから。そういう意味で、やはり早く作業を急がれるのが当を得ているのではないか、こう私は思いますので、お尋ねをいたしておるわけであります。  そこで、政策期間を私は六年間だ、こう受けとめておるのですけれども、そう思うのが素直ですよ。通産省もそう思ってやった方がいいですよ。五年と言わないで、今年も含めてやるのだ、こういう素直な気持ちでおやりになる方がスムーズにいくのではないかと私は思います。  そこで、今年度の貯炭が激増するわけです。四百万トンを若干下回るのではないかという見通しを出されましたけれども、千五百十万トンに対して四百万トンを若干下回るということでありますから大変な増加のしようであります。通産省としてはどの程度のものを平常貯炭と思われますか。
  32. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 大体業界における一般的な通念といたしまして、正常在庫は一カ月以内ということが言われているわけでございまして、そうなりますと、現在の年間の供給規模からまいりますと百二十万トンぐらいではないかと思っております。
  33. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ずんずん出炭規模が減ってくるわけですから、一千万トンになれば九十万トン弱ぐらいが平常貯炭ということに通産省の認識としてはなると私は理解をいたしておきます。  そうしますと、四百万トンに近い貯炭というのは異常な貯炭ですね。この貯炭に対して一体どういう対応策をとられるのか。同時にまた、これからNEDOが出資できるような体制をとるといっても合理化臨時措置法を改正しなければいかぬでしょう。そして、正式に機関ができてそこに出資をして初めてこの貯炭の管理機構が動くわけでありますから、大分時間がかかるわけでしょう。その間一体具体的にどういう対応をされようとしているのか、お示し願いたいと思います。
  34. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように、今年度の問題といたしましてもいわゆる過剰在庫が発生することは避けられないということでございます。百二十万トンが正常在庫とすれば、それの三倍以上になるわけでございますので二カ月以上の過剰在庫が積み上がる見通しでございます。  これの対策でございますけれども、今度の八次答申におきましても、今後の需給ギャップについては政府としてもその需給キャップを解消するような措置を講じなければいけないという指摘があるわけでございますけれども、何分にも法律予算等の新しい手当てを必要とする制度でございますので、今年度の問題といたしましては、私どもとしてできる限り運用の範囲でこれらの過剰在庫問題について業界を支援してまいりたいと思っております。  具体的には、業界の負担といたしましては、一つは経常赤字の要因になるという問題がありまして、また一方では資金繰りを圧迫するという両方の側面があるわけでございます。赤字の問題については、今年度は親会社を含めて企業側努力をしてもらうということにいたしまして、当面は私どもとして資金繰りの問題に着目して支援に万全を期してまいりたいと思っておりまして、具体的にはNEDOの機能活用してその対策に当たってまいりたいと思っております。
  35. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これは、答申がおくれて、しかも突如として原料炭、産業向け一般炭の供給をほぼ半減させたという極めてドラスチックな答申になったわけでありますから、対応する必要性が十分ある、こういう認識を持っておりますので、この点、管理機構ができるまでの間特に注意深く対応してほしいということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、今度の答申を見て「国内炭生産の在り方」①、②にその認識が示されておるわけであります。向坂さんにも聞いたのですけれども、第一次政策から第七次政策まで生産に合わせて需給をつくったということがあるのでしょうか。そういう認識を通産省はお持ちですか。
  36. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 これまでの第七次答申までを振り返ってみますと、第五次政策まではいわば非能率炭鉱閉山と高能率炭鉱の構築ということを、スクラップ・アンド・ビルドの歴史であったと思うわけでございます。その上で国内炭のエネルギー政策上の観点からこれをいわば政策需要として需要を確保していくという考え方がとられたものと理解しております。また、六次、七次につきましては、石炭のエネルギー全体の中に占めます位置づけがオイルショックを経まして変わってきたわけでございまして、そういう中で国内炭の問題も位置づけられておりまして、生産を確保した上でそれの需要を見出していくというようなやり方がとられてきたかと思っております。
  37. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 第五次が二千万トンを最低として、第六次が二千万トン程度、第七次が二千万トンを目指して、こうなっていますね。むしろ生産量は下がっているのですよ。ですから、決して生産を固定化して需要をつけるということじゃないのですね。素直にその当時の状況に合わせて需給を考えながら生産というものを考えてきたからこれは千六百万トンまでなってしまったのです。私はそう理解するのが本当だと思うのです。だから、どうもこの答申は気負った感じですね。気負った感じで認識しているものですから、何か今度の生産は需要に合わせてやるという文章になったのではないかと思うのですが、私は間違いだと思うのです。石炭政策というのはいろいろな要素を考えて、地域経済考えたりエネルギーの安定供給を考えたりあるいはセキュリティーを考えたり、そういうものをトータルして需給というものを考えて生産を決めてきた、これが石炭政策の歴史なんですよ。だから、第八次になって特に需要を考えて生産量を決めるというようなものではないのではないですか。一次からずっと一貫性があるのではないですか。私の言うのは違うでしょうか。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  38. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 確かに、第一次から第七次につきましても需要家の動向もバックグラウンドに置きながら物事は考えてこられたと思うわけでございます。第七次までは国内炭のエネルギー政策上の役割というものが前面に出ていたものと考えるわけでございますが、今回の場合には、もちろんこの答申の中でもエネルギーセキュリティーの観点から国内炭の役割を認めておりますけれども、諸々の情勢からその役割が変化しているという認識に立たざるを得ないということでございまして、その上で、したがって今後は需要動向をも十分勘案した生産体制ということで、需要動向だけで決めろということは言ってないわけでございます。それで、実際の需要家との調整に当たりましても、当然ながら国内炭のエネルギー政策上の役割あるいは地域雇用上の役割、そういうものをバックにしまして需要業界にその引き取りについての要請を行ってきたわけでございまして、需要家の意向だけで今回のレベルが決まったということではないことを御理解いただきたいと思います。
  39. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 本質的な問題じゃないですけれども、今後の石炭政策の進め方、また第九次を展望する場合にどういった考え方なのかという問題があるものですからお聞きいたしておるわけです。  そこで、原料炭、一般産業向けの一般炭は今年度半減するわけですが、昭和六十五年度末で、六十六年度にはゼロになる、これは絶対動かないのですか。そのときの状況によっては弾力的に検討されるのですか。いかがでしょうか。
  40. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今回の八次答申を策定する作業の過程において、今年度の問題といたしまして、御案内のような需給両業界の意見の大きな隔たりが出てきたわけでございます。その中で、国内炭のエネルギー政策上の役割なり地域雇用に果たす役割なりを考えて需要家にぎりぎりの協力を要請してきたわけでございまして、その上で今度の八次答申ができているわけでございます。  そういうことでございますので、今後の八次答申の方向といたしましては、生産者側の努力に加えて、需要家側のぎりぎりの協力政府のそれを支える支援という三本柱で進むわけでございまして、そういうことからまいりますと、八次答申にございます、原料炭については「最終的にはゼロ」「産業用一般炭についても、原則として同様の傾向」ということは、そのまま推移するものと考えております。
  41. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 既に十月末で原料炭は約五十五万八千トンの貯炭があり、一般炭が二百五十五万六千トン、合わせて三百十一万トンの貯炭があるわけですね。これはふえるわけです。そうしますと、半減政策をとって、例えば原料炭の場合には、大ざっぱに言えば、四百万トンと見て半分が一般炭に転換する対象の原料炭、あとの半分はスクラップ化する方向に位置づけられている原料炭、そういうことになるわけですね。現実には貯炭があるわけでしょう。若干ふえるわけでしょう。そうなると、今後の一般炭の産業向けや原料炭の引き取りがどういうカーブでこの四年間描かれていくのかということが問題になってくるわけです。ゼロになったら原料炭の貯炭は売れないわけでしょう。あと売る方法は、輸入炭価格並みで引き取ってもらわなければならぬわけでしょう。これは文句ないところだ。だれが考えたってそれしかないわけでしょう。これ以外に方法がありますか。あるいは、もしゼロだというのであれば補給金を出して買ってもらう。これはそううまくいくものではないですよ。こんなに短い期間でぼすっと半減して、そして六十六年にはゼロにするというのですから、そんなにうまくいかないですよ。やるならスクラップジャッジをもって、計画生産、計画貯炭、そして計画的に全部これはやらなければならぬわけですよ。そうするときちっといきますよ。だから弾力的に対応しなければならぬものではないのですか、こう私は伺っておるわけなんです。  では、そういう縮小の傾向は毎年毎年決めるということになっておりますけれども、何を基準にして考えていくのでしょうか。毎年毎年やるといって力関係でやるとなると大変なことになりますよ。いかがなものでしょうか。
  42. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のような過剰在庫の状況があるわけでございます。六十一年度末の見通しにおきましても、原料炭が九十七万トン程度になり、一般炭については二百八十万トン程度というようなことで、全体として四百万トン弱というような格好になろうかと思うわけでございます。  これの対策といいますか今後の対処の仕方でございますが、企業といたしましてはできるだけ一般炭シフトを行っているようでございまして、全体がスリム化する中で、原料炭を一般炭に切りかえていくというような方針をとっているところが多いと思っております。  また、原料炭の今後の問題につきましては、今御指摘のございましたように、毎年毎年需給両業界の話し合いで決まってくるわけでございまして、その一つの目安としましては、私どもとしては、あくまでもなだらかな縮小確保できるという点でございまして、他方、需要業界の方からまいりますと、答申にもあります「ギリギリの協力」というようなものが目安になろうかと思います。そういった目安の中で需給両業界が話し合うわけでございますけれども、これは結局のところ、今年度の制度がもし来年以降法律で手当てをいただきますれば、実施計画の問題のバックグラウンドとして、需給両業界の代表が入っている、また中立委員の入っている石炭鉱業審議会の中で調整が行われ、その際には、今申し上げたなだらかに行くというのと、それから「ギリギリの協力」とは何かというようなものを目安に毎年毎年の話し合いが行われていくものと考えております。
  43. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 初めが押さえられて、最後が押さえられているわけですから、これはうまく軟着陸させなければならぬでしょう。そういう手品をやらなければならぬわけです、集中閉山しないと言っているのですから、なだらかに行くと言っているのですから。  では、これはもう大体出てくるわけでしょう。その場合に無理があるのかないのかと私は聞いているのですよ。例えば六十六年度末の貯炭量がどうなるかということを想定できますか。いかがでしょう。ゼロの時点ですね。
  44. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今後、毎年毎年の話し合いが行われるわけでございますので、その結果として在庫も出てくるわけでございます。ただ、需給管理機関を今後つくっていこうということになりますと、その需給管理機関が管理すべき貯炭の量については、最終的にはプラス・マイナスが帳じりが合うようなそういうものにしていかなければいけないということでございまして、その辺も今後の毎年毎年の需給両業界の話し合いの一つの勘案要素になろうかと思っております。
  45. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 答申に向けてスタートするわけですから、余り弾力的にやるというふうにも答弁はできないでしょう。気持ちはわかりますよ。だけれども、初めに無理があるんだからやはりある程度弾力的にやっていかないと、六十五年度末になってみたら多少あった、これをどうするかというようなことを考えていかないと、雪崩閉山はしない、スムーズに縮小をやっていく、それはもうその時点ではあったなんということにはならないと私は思うのですね。そういう点を特に指摘しておきたいと思います。  そこで、来年度の閉山規模が百四十万トン、高島炭鉱が五十六万トンぐらいですか、これが入ってないというのでありますから減産が六十万トンで、来年度は二百万トン規模縮小をされる。このペースがどうも速いように私は思うのですね。いかがでしょうか。
  46. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘の点は、あくまでも来年度の予算要求の積算の基礎としての数字でございまして、実際にどういうペースで今後縮小が行われていくかにつきましては、最終的には企業の経営判断の問題になるわけでございます。その場合に、それでは二百万トンの縮小、百四十万トンの閉山なり六十万トンはどういうことで出てきたかということでございますが、予算の積算といたしましては、できるだけ多目に確保していろいろな事態に対処できるようにした方がいいのではないかという配慮でございまして、端的に申し上げれば、今年度の水準が千七百万トン程度の供給規模になることが見込まれるわけでございますから、それをおおむね一千万トンにするということになりますと、六十二から六十五までの四年間に七百万トンを落とすということになるわけでございまして、最初の三年間に二百万トン、残りが百万トンで七百万トンになるという計算で二百万トンが出てきております。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕  さらに、閉山縮小関係でございますが、縮小については、一律五%の縮小が仮に行われた場合にどういうふうになるかということを想定しながらその組み合わせをつくったわけでございまして、なお二百万トンの縮小の中には中小炭鉱及び雑炭の縮小の分も含まれているというふうに理解していただきたいと思います。
  47. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今後段に言われた雑炭もと言われたのですが、昭和六十年度で百七十六万トンあるわけですね。その前の年が百八十五万トンだったわけです。これは常に議論をする場合に伴うわけですね。余りにも量が多いんじゃないですか。一〇%ぐらいあるのじゃないですか、生産量の。需給関係でいうと千八百万トンで生産は千六百五十万トン、こうなるわけですね。この問題は特に注意深く考えていかないと今後の政策に大きな影響を与えると私は思うのですね。何でこんなに出るんでしょう。原因をつかんでいるかつかんでいないかというだけでいいですが、いかがでしょう。つかんでいますか。こういう実態をつかんでいますか。例えば水洗炭なんかつかんでいますね。それ以外のいわゆる雑炭というのは把握できていますか、把握できていませんか。
  48. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今先生が御指摘になりました水洗炭から出てくる供給源は確かにあるわけでございますが、その他いろいろな供給源があるようでございまして、必ずしも全体は私どもとしても把握しかねる実態にありまして、結果的には統計として需給のギャップとしてそれがとらえられるというような状況になっております。
  49. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 もう少し実態を、九北にそれぞれ事務所があるわけですから、つかむ必要があるんじゃないかと思います。  そこで先ほどの貯炭管理制度の問題でありますけれども政府は二億の出資をして石炭業界は四億の資本で一つの管理会社をつくる、そして平均ベースで三百四十万トン受ける。しかも金利の補給をしてこの貯炭を支える。ただし六カ月ごとに買い戻すということですね。六カ月間でしょう。六カ月たつと一回買い戻す、そしてまた新しいものを貯炭する、こういう制度でしょう。そうなると、これは一時貯炭預かりという感じですね。一時貯炭預かり所、預かり機構というのが今度の予算要求の構想だと私は思うのですけれども、極めて簡単に言うと一時預かり、六カ月ごと、六カ月預かり。そのうち閉山になって会社がなくなったらば一体だれが引き取るのかという問題だってあるのですよ、これは。そこまでは詳しい議論はいいですけれども、認識は六カ月間とにかく三百四十万トンを最高にして預かるんだ、六カ月たったらおろしてまた新しい貯炭があればそれを受け入れるんだ、こういうことでしょう。そして貯炭は皆それぞれ各企業が管理するわけでしょう、この構想は。だから一時貯炭管理所というのかな、預かり所。預かり所だな。そんな感じじゃないですか。私のこういう表現は当を得ていますか、いかがでしょう。
  50. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 現在、昨日大蔵省予算要求をしたばかりの段階でございまして、今後この管理会社がどのような機能を持ち、どういった実態にすべきかということはさらに詳細検討をしていかなければいけない問題だと思っておりますが、いずれにいたしましても、国の財政が関与する以上、その管理会社に対する歯どめの議論というのはどうしても出てくるわけでございまして、適正な在庫を買い入れ、これを購入する、また適正な仕組みでこれをやっていかなければいけないという問題はどうしても出てくるわけでございまして、今後各方面の御意見を承りながら詳細詰めてまいりたいと思っております。
  51. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 需給調整なんということになりますと、六カ月、六カ月でいかがなものか、あるいはまた実際に今度は閉山された企業石炭をどうするのか、いろいろ問題はあると思うのですよ、これは。だからそういう点でこれは相当詰めた深い検討をする必要があるということを、時間もございませんから申し上げておきます。  次に、石炭鉱業安定補給金の制度はそのまま残すという予算要求であって、そのうち減産加算分をつくるということなんですが、これも一つ問題なんですね。この減産加算分をもらったその生産規模というものは、それを将来超えることができるかできないかということについていかがでしょう。わかりますか。例えば百万トンあった。一〇%減産した。九十万トンですね。それで、これを対象で一〇%の減産加算分をもらうわけでしょう。三年間逓減でもらう。そうすると、将来全部落ちついた場合に、需要があれば、じゃもう少し、生産規模をもとの百万トンにしたい、そういうことは可能かどうなのか。この政策から見ると、私は不可能ではないかという感じがするのですね。一回減らしたものを、永久にあとなくなるまでその規模は、この拡大は認められないという趣旨ではないかと感ずるのですが、どういう意図で、どういう趣旨でこういう制度考えたのでしょうか。
  52. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 答申にもございますように、今後段階的縮小はやむなしという状況でございまして、趨勢的に今後国内炭の生産は縮小をしていかざるを得ないという認識があるわけでございます。その場合にコストアップが生じるわけでございまして、そのコストアップの一部を国として支援をしていこうという考えでございます。  御指摘のような問題については、むしろ構造的、計画的に規模縮小するということであれば、別途いわば閉山交付金の前倒し的な制度といたしまして規模縮小交付金制度要求をしているところでございまして、これで対処をしていくということでございます。  また、当該年度に規模を減産をして次年度にまたふやすということにつきましては、これは今後の流れとして基本的にやはり趨勢的に縮小していく流れになろうかと思っております。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 山の態様はいろいろあるわけですね。例えばある島の炭鉱なんというのは貯炭場所がないわけでしょう。貯炭というのはどこか遠いところに分散して貯炭しておかなければならない。貯炭経費は大変かかるわけですね。そうすると、一時的に縮小する、将来はちょっとふやす、そうしてこれが経済出炭規模じゃないかなということを考える場合、いろいろあるわけですから、こういう点はやはり明示をしないと多少混乱をするのではないか、私はこう思いましたから今の質問を実はしたわけであります。そういう点で、十分ひとつこの点も、この運用について御検討いただきたい、かように思います。  それから、NEDOの経営改善資金の貸し付けの無利子、これを予算要求をするということになったわけですね。現行六・二五%、融資額が百八十五億ということになるわけです。この場合に、これは設備近代化資金と無利子ですから並ぶわけでしょう。何か違いがありますか。同じという理解でいいですか。
  54. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 貸付期間がこちらは短いという違いがあります。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 その場合、それ以外のNEDOの貸付金というのがありますね。その検討はされたかされないか、いかがでしょう。
  56. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 検討はいたしましたけれども、その他については一応現行制度を今後とも継続するということにいたしたいと思っております。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 問題は縮小閉山、この点についていろいろ検討されて、来年度の予算要求答申に基づいてされたということだと思います。その中で閉山対策拡充という問題があって、今から十八年ぐらい前にこれは決められた退職金の四百万を限度とするいわゆる補てん交付金制度。十八年ぐらいになるんじゃないですか。特閉ができたときに各山のあれができたのですから、もう十八年になるでしょう。十八年たって、今度四百万から六百万に引き上げる、ただし、一般債務の見合い額の支給は原則としてこれを廃止する、トン六百円、また、坑外その他のものがプラスアルファあるわけですが、そういう内容になって、いわば労務者負債の関係を最優先にして、あとは切り捨てるという予算要求になっておるわけです。この点で、原則としてはそうだ、例外的にはいろいろまた若干検討しなければならぬ部分もある、こういう説明を受けているのですが、この後段の方は聞かない方がいいのでしょう。ですから、前段の方の四百万が六百万になった、これは何か特に目安があって六百万になったのでしょうか。いかがでしょうか。
  58. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今回の退職金限度額引き上げの六百万円につきましては、現状における実態を調べてみますると、従業員一人当たりで最高退職金が千二百万円という実績があるわけでございます。しかしながら、答申にもうたわれておりますように、会社側最大限自己努力ということもございますので、そのあたりを勘案いたしましてその半額としたところでございます。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これは労働力から調べた退職金なんですが、炭鉱労働者の場合に、中学卒男子生産労働者で見ますと、調査した産業全体では一千二百七十五万四千円、三十九・五カ月、鉱業の場合には一千四百五十八万三千円、三十九・四カ月、製造業が一千二百三十八万九千円、三十八・八カ月。まあ男子高校卒も出ておるわけなんですね。したがって、今部長が一千二百万円と言われたわけですが、これは、大体全産業平均という意味で言われたのですか、炭鉱だけを言われたのですか、炭鉱だけを言われたとするとどうも数字が合いませんけれども、いかがでしょう。
  60. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭企業からの事情聴取によって得た数字でございます。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうしますと、メタルが入っているのでしょうけれども、メタルというのは坑内労働者という面では炭鉱よりも随分ウエートが低いわけですが、労働省の数字はそうなっている。だから、ちょっと奇異に感じたものですから今お尋ねをいたしたわけであります。  特に石炭の場合は、賃金で見ますと、坑内労働者は三十五万一千九百四十五円、男子の生産労働者は三十二万六千六百五十六円。ただし実労働時間は、坑内労働者が百九十八・四時間、製造業は百八十七・六時間。ですから時間当たり賃金にすると、坑内労働者の賃金水準というのは一般製造業の労働者の賃金ぐらいなわけですね。そういう状況にあるわけです。  ですから、今度の政策を見ますと、労働条件の部面に見ると、努力をしなさい、自助努力をしなさい、わかりますけれどもね。親会社もやりなさい。企業は当然やらなければいかぬでしょう。今もう始まっているのは何かというと、ボーナスはことし六〇%ですよ、ローンも払えないという状況です。交渉をやって、きのうストライキをやったわけです。この六〇%をむしろ下げなければならぬという状況です。賃金も下げなければならぬ、こう言っているわけです。こんなことで五年間もつのだろうかという心配もあるわけですね。  そういう労働分野については通産としてどう検討されたのか、あるいはまた労働省の分野で何か労働省検討願ったのか、恐らく通産省検討する以外にないと思うのですけれども、そういう分野についてはどの程度検討されたのでしょうか。
  62. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今回の八次答申の中におきましても、「労働環境等の整備」ということで、地下産業にふさわしい労働条件を確保すべきであるという指摘があるわけでございます。  私どもといたしましては、何といたしましても、企業の経営の安定を通じてそういった労働者に対する労働条件の確保という問題を実現していくという方針のもとに、企業の経営の安定のために企業としても最大限自己努力はしていただくものの、国としてもこれを支援をしていかなければいけないという観点から、先ほど来の減産加算であるとかあるいは経営改善資金の無利子化というような思い切った措置予算要求しているところでございます。
  63. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 余り具体的な答弁はいただけないと思うのですが、しかし非常に問題ですね。  これからの政策で、労働省は今度答申を受けて、来年の通常国会には労働時間の週四十時間の方向を目指すわけですね。外国は地下労働の方が四十時間を先にやる、日本の場合には官庁と銀行の方からやるという全く逆立ちの方向でやらざるを得ないような状況にあるわけですね。製造業の状態を見ると、ますますそういう感を深くするわけです。炭鉱の週休二日制は一体どうしていくのか、このことも第八次政策の中では全然考慮に入れないというわけにはいかぬのじゃないかと私は思うのですね。それと、賃金水準考えてみても、そこには問題が多過ぎるということを申し上げておかざるを得ないと思うのです。  そこで、労働省にお尋ねしますけれども、今年の労働省予算を見ますと、これは石炭勘定の関係はかわりばえはないですね。随分通産省の方は政策の変更が行われているわけでしょう。重大な政策の変更が行われておって、それに対応する予算としては、この部分は旧態依然とした内容ですね。この点について何か工夫ができなかったのでしょうか。いかがでしょう。
  64. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  予算の中身そのものについては、いろいろな手当単価その他について充実をさせるべく予算要求になっておりますが、石炭鉱業自体については、特定不況業種として十一月十八日に、雇用調整助成制度活用が可能になる指定を行っておりまして、これに基づいて、炭鉱離職者臨時措置法に基づく施策に加えまして、炭鉱労働者に対する雇用対策は一段と手厚いものといたしております。  さらに、炭鉱離職者臨時措置法に基づく再就職促進施策についても、今申し上げましたように、予算の中でその充実強化検討しておりますが、いずれも現行法の枠内で対処し得るものであるというふうに考えておりまして、予算額その他をアップいたしております。そういうことで対応してまいりたいというふうに考えております。
  65. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 閉山が多くなれば、当然その分の離職者対策予算は多くなるわけですね。費目というのは皆同じでしょう、変わったところというのは何もないですね。しかも、炭鉱重点というのは、今や北海道に重点があるのでしょう。十一の主力炭鉱のうち高島炭鉱閉山したのですから十、そのうちの二つが九州、あとの八つは北海道のわけでしょう。そういう視点で見ますと、これから進められる第八次政策雇用問題に対して一体どう対応するかという点について、不況業種の指定は、前にも大臣から説明がありましたようにいただきましたけれども石炭特別会計の分野では、従来の黒い手帳だとかそういうものは当然予算としてふえていく、就職紹介活動はもちろん失業者が多くなればふえていくというだけであって、費目は何も変わっていないわけですね。  そういう意味で、もう一工夫したらどうだろうか。例えば、今一番要望されているのは、炭鉱閉山しても炭住が残る、事業跡地が残る、いわゆる惨たんたる状態に産炭地がある、これを整理しないと、環境ができないと何をやるといったってだめですよね。夕張のときには閉山したときに炭住の整理について通産省予算をつけたのですけれども、これはやはり通産省労働省連携でそれぐらいの対応策考えてしかるべきじゃないのか。これは昭和六十二年度の予算でなくてもいいのですよ。六十三年度の予算で間に合うのです、この場合は。六十二年度の予算でなくても六十三年度にこういう予算考えられるとそういう対応ができるんですよ。このくらいのことは通産、労働で、雇用機会をふやす、また産炭地振興もするという通産、労働の両方の関係なんですけれども、何らかの方針を出すべきじゃないでしょうか。どうでしょう。
  66. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今先生指摘の夕張の問題は、恐らく建設省との相談の上だったと思いますが、先ほどから通産省からも御答弁申し上げておりますように、関係省庁連絡会その他を通じまして通産省とは緊密な連絡をとって今対応しているところでございまして、今おっしゃるような問題、それから公共事業の傾斜配分その他につきまして、十分各省と連絡をとりながら対応してまいりたい、かように考えております。
  67. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これは随分長く出ている要望ですから。九州の場合ですと、前には緊就、開就、特開、あるいは常磐でも山口県でも佐賀県でもやっているわけでしょう。北海道だけないのですから。鉱害も適用除外ですけれども、こういうことも適用除外というのが北海道なんですよ。ですから、今度の八次政策状況を見ますと、その程度の問題についてはやはり考慮を払うべきだ。これはどうせ各省集まってやるわけでしょう。その場合に、そういう問題にどうこたえるかという点についてぜひ検討してもらいたいということを申し上げておきます。  なお、先ほど部長の答弁で産業構造調整基金の問題、中川次官からもそういう答弁がございました。これは産業構造の調整としての一環もあるということを答申に書かれています。これは石炭が第一号でしょう。だから第一号に指定されてそういう対応策がとられたという文脈としては極めて素直な流れだと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。
  68. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘経済構造調整基金はまだ予算要求中でございまして、結果については何とも申し上げにくいわけでございますが、私どもの理解としては、石炭産業調整の一つのモデルケースであると理解いたしておりますので、これが成立いたしました暁には、ぜひこういうものが適用になるような方向で検討してまいりたいと思っております。
  69. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 せっかく予算要求中でありますけれども、その場合に、やはり北海道といったって限定されていますよ。空知ですね。ですから空知という場合に、広域的に物事を考えていかないといけないと思うのです。また、そういういろいろなプロジェクトもそれぞれ検討され、準備をされておるという部面もあるわけでありますから、特にその場合は広域的に考えられた方がいいのではないかという意見をこの機会に申し上げておきたいと思います。  なお、財源の確保の問題でありますけれども通産省としては今の石油石炭特会、石炭勘定というのはそのまま移行したいという気持ち予算要求されておるのでしょう。それだけにとどまるかどうかという問題も実はあるわけですね。今度の大型間接税、いわゆる売上税の問題の帰趨もあるのでしょうけれども、今の場合、予算要求の段階ではこの延長にある、この財源確保が基本だ、こういう理解でよろしいのですか。
  70. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 財源問題については、答申では幅広く検討しろという御指摘があるわけでございますが、私ども予算要求におきましては、今先生指摘のような考え方、すなわち財源としては原重油関税の一部及び剰余金、そして足りないところは借入金で賄い、いずれにしても所要対策費に見合うような財源を確保してまいりたいと思っております。
  71. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間が参りましたから最後にこれで終わりますけれども、労働大臣にせっかくおいでいただいておりまして、先ほど質問しましたように、不況業種として石炭も指定されまして、弾力的な対応も過程でとられる仕組みになったということは確かに言えると思うのです。しかし、九州は、高島はああいう離島であります。北海道の空知というのは沢に深く入っているという地点であるわけです。そういう意味で苫小牧からも遠く離れていますし、札幌からも相当距離があります。何しろ全国の二四%の面積があるのですから、ちょっとした町といっても、北海道の町は一つの県くらいの町があるのです。足寄町なんというのは香川県くらいの面積があるのですから、スケールが違うのです。そういう点で雇用政策というのは、従来の本州方面のスケールで考えていると非常に難しい面があると思うのです。  ただ、北海道人は非常にフロンティアですから、もともと本州から北海道へ来たということがありますから、過去の例を見ても、北海道の閉山後の労働者が相当対外的に出ている面も多いわけであります。かつては関西を越えて就職したという面もありました。ですからそういう意味では、今の政策の中でも例えば見せないとだめなんですよね。やはりその職場を見て納得させるということが必要なんです。そうすると、一回だけじゃだめなんですね。一回行ってだめな場合でも別のところへ行ってみる、こういうことが一番実効が上がるのではないかと思うのです。そういう点が一つ。  それから、先ほど言いましたように、せっかく黒い手帳でお金を上げるのですから、それにもう少し足したらそこで産炭地振興の基盤整備ができるじゃないか。こういう物事の考え方産炭地振興、環境整備ができる、そこに雇用もある。黒い手帳でお金を出すのですから、黙っていても仕事がなければ三年間のハンディがあるのですから。そういう、例えば減炭したら休んでいてもお金をやるなんというのは、政策としていかがなものかと思うのです。ですから、そういう点をもう少し検討されて、この第八次政策にぜひもう一工夫してほしいという切なる要請を私は申し上げるのですが、いかがでしょうか。
  72. 平井卓志

    ○平井国務大臣 いろいろ御議論を拝聴いたしておったわけでございますが、率直に申し上げて、特に北海道地区の場合は、三次産業等々の一部を除きまして展望が開けない、地盤沈下、こう考えてよろしいかと思うわけであります。今後さらに経済力の底の浅い北海道の産業をリードするのも見当たらないということになりますと、私たちが最も心配いたしておりますのは、大型の雇用不安ということになりますると石炭鉱業のみでございませんで、あと鉄鋼すべてを含めて考えました場合に、やはり北海道地区に社会不安を起こすような雇用不安の拡大は何としても防止しなければならぬということになります。これはもう正直な話、労働省の従来の対策というのはどうしても対症療法になりまして、そういうことで総理も御心配になりました結果、つい先般、雇用対策推進本部というものを政府・与党でつくりまして、昨日、第一回会合をやったわけでございます。これは単に会合で議論するのみならず、私が強く要請をいたしておりますのは経済構造の調整、産業構造の転換、これはやらなくてはなりませんが、時間がかかります。最短距離でも五年、六年はかかる。相当の出血も覚悟しなければならぬ。そういう意味で犠牲を少なく最小限に食いとめるための施策というのは五年先の問題でございませんで、きょうとあしたの問題が問われておりますので、何としてもここは応急の処置であろうと緊急対策であろうと相当大幅な財政の出動をお願いしなければならぬ。特に公共事業とよく申しますが、ある意味考えれば、こういう大きい雇用不安を解消するために公共事業の出動というのは大型に踏み切るべきであるということで私は順次御要望申し上げ、各事業官庁に対してお願いをいたしておるわけでございますが、こういったような雇用不安が来年の三、四月がピークか、いやいやそうじゃなくて秋ごろになるのか。いずれにしましてもこの雇用問題は一年、二年、単年度の単位で徹底的な対策を立てなければならぬというふうに考えておりますので、早晩、これは私が独断で申し上げるわけにはまいりませんけれども、特に地域に対する特別な配慮ということで、財源その他の問題は私が論じる問題でございませんけれども、相当従来の発想を変えた大幅な公共投資等も考えなければなかなか収拾できないような非常に懸念すべき雇用問題である、雇用不安であるというふうなとらえ方をいたしておりますので、そういう意味で今後労働省のとるべき対策の上にさらにそういったような緊急地域対策ということで、労働省自体地域の総合対策を来国会にお願いいたしますけれども、やはり来年度の予算等々におきましてはかなりなことを考えませんと、特に北海道の場合、先ほど申しましたように社会不安につながりやすいんではないか。これは政治が最も心すべき問題でございますので、せっかくこの雇用対策の推進本部が政府・与党首脳で発足いたしましたから、ひとつここで私なりに今後重点的にその問題を発言いたしまして、各官庁にもお願いし、最終的にはまた党幹部、また総理の御決断もいただいて、それなりの対策を立てたいというのが私の念願であります。
  73. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 終わります。
  74. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、中西績介君。
  75. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほどからの岡田同僚委員からの質問の中でも出ておりましたけれども労働者の賃金が非常に安い、就労時間は非常に長い、そういう条件の中でも現在なおトン当たり九百円を超える赤字になっておるという状況。それに対応して今回の場合、原料炭千円、一般炭五百円というマイナスの状況が出てきておるわけですから、こうなりますと果たして経営が可能かどうかということになれば、先ほど説明があっておりました、来年度予算に向けてのいろんな施策はある程度しておるといたしましても、これが可能かどうかということ、ここいらについて企業側なりあるいはこれを討論された方々内容的なものを含めてさらに行政としてはどうなのか、この点についてお答えください。
  76. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように今後石炭企業の負担はかなりなものになることが予想されるわけでございます。ただ今度の基準炭価の値下げにつきましては、最近の卸売物価であるとかあるいはそれを受けましての電力あるいはガソリン等の油代、そういったものの値下がりがございますので、必ずしも千円引き下げあるいは五百円引き下げの全部が企業の負担になるということではないということを御理解いただきたいわけでございますが、私どもの推定するところでも一部は企業の負担になることが考えられるわけでございます。  また御指摘のように、今後いろいろな減産をしていかなければいけない、その他の事情で企業の負担がふえることも考えられるわけでございますけれども、私どももそこが企業の経営としての限界の中でやっていけるように目を配って注意をして対策を講じていくという観点から今度の支援策を打ち出したわけでございます。石炭業界について、現在そういった問題について、むしろこういう中でやっていくんだという考え方で経営者は考えているものと私どもは理解しております。
  77. 中西績介

    ○中西(績)委員 経営者側がそういう考え方に立って可能だといたしますと、答申の中では合理化なりあるいはそれに現在の枠の中で対応せよということになるわけですから、そうなってまいりますとどこかにしわ寄せをしないと、今言うようにある程度物価とかいろんな面での原料の価格低下等があったといたしましても、それは私は到底及びつかないのではないかという気がしてならないわけです。したがって、どこかにしわ寄せをするということになると、先ほどから問題になっておる、また賃金なりこういうところにしわ寄せをしていくんではないかということを一番恐れております。  答申の中には、地下資源を生産する労働者として位置づけを明確にしておるし、それに対応する労働条件なりいろんなものについてはちゃんと措置をせよということになっておりますけれども、先ほどから論議を聞いておると、どうも逆の方向に行くのではないかという気がしてならないわけですね。ですから、この点はこれから後具体的に出てまいりますので、そのときは指摘はいたしますけれども、こうした問題がやはり出てくる可能性があるということを十分認識をした上で労働省なりあるいは通産省等におきましても対応策を、今後どうするかということも含めて腹決めはしておかなければいかぬのではないか、こう思いますので、この点は要望だけしておきます。  そこで離職者対策の問題になるわけでありますけれども雇用が特に悪化をしておるという状況は私がここで申し上げるまでもありません。前川レポートなりあるいは政府の予想をはるかに超えて急激に現状は悪化しておるということを指摘せざるを得ません。こうなってまいりますと、ほうり出される労働者考えますと企業の責任というものが、かつての高度成長のときに対応した場合には、あれでもやはり相当問題があったわけでありますから、今回の場合には周囲の環境が違うという、こういう状況があると思うのですね。  特に私が感じますのは、従来からの状況を見ますと、大手資本の場合には具体的な手だてというものが抜ける場合が非常に多いのですね。地場資本の場合には転換に当たって、例えばいわきにしましても宇部にしましても、それぞれが企業内において多様な転換をしていったという経緯があります。その中である程度労働者を吸収したということがあるのですけれども、今回の場合にはそれが可能かということを考えますと、非常に問題があるのではないかと思います。したがって、こうした問題を含めて、企業の責任について指導をどうなさっておるのか。あるいは従来に倍してこうした問題について企業側に行政として要請なりあるいは何らかの措置をしておるのか、この点どうですか。
  78. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  第八次答申では、先生御存じのとおり炭鉱離職者の再就職に当たっては国、地方公共団体だけでなく石炭企業及び親会社に対しても、下請企業からの離職者を含めてその再就職にできる限りの配慮を払うべきであるとされております。このため労働省としましては特定不況業種・地域雇用安定法に基づきまして、先ほど申し上げましたように石炭企業に再就職援助等計画を作成させるとともに、石炭企業及び親会社に対し関連グループ企業等の協力を得て離職者の再就職促進努力するよう強力に指導し、あわせて関連グループ企業等に対しても離職者の受け入れの要請を行う方針でございます。
  79. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは具体的に聞きますが、高島ではどうなんですか。
  80. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 高島におきましては既に三菱鉱業、親会社から、閉山に際しましては再三再四本省におきましてヒアリングその他をやっておりますし、その間に関連グループでの就職促進につきまして要請もいたしております。  なお具体的には、高島では閉山が始まる前に炭鉱関係の従業員千四百人プラス関連を入れますと二千人になりますが、これらのアンケート調査等を実施いたしまして、今後の方針をどういうふうに考えておられるか、それらを調べますとともに、今週早々からは既に現地に相談室を設けまして、担当者が今後の職業紹介その他についての相談を実施いたしております。これらと求人開拓その他を結びつけて今後の就職のあっせんその他を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  81. 中西績介

    ○中西(績)委員 企業はどれだけのものを今予測しているのですか。
  82. 新村浩一郎

    ○新村説明員 現在三菱炭鉱業から我々聞いているところによりますと、三菱炭鉱業におかれましてもそれぞれの関連企業グループの社長方に対しまして離職者の再就職について協力をしてほしいという要請を行われまして、その結果、十一月二十五日現在におきまして関連会社からの求人数といたしまして八百人余の求人を確保しているということを我々承知いたしております。それ以外にも会社が全国の各需要地の職業安定所を回りまして、炭鉱離職者向きの求人をそれぞれリストアップいたしまして、これも再就職のために役立たせようということで求職者に対して提示する等の努力をいたしております。
  83. 中西績介

    ○中西(績)委員 企業側がこの前デモンストレーションか何か知りませんけれども、三十数社代表が高島に参って、そうした結果がこの八百人を超える数になっておると、この点はそのようにとっていいわけですか。
  84. 新村浩一郎

    ○新村説明員 ですから関連企業グループに対しまして三菱炭鉱業が、親会社ともども働きかけました結果、八百人余の求人を現在のところ確保しているという報告を我々は受けておるわけでございます。
  85. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなりますと、これはさらに拡大するかどうか知りませんけれども、これから後の問題として、企業責任の中でさらにどれだけのものが果たし得るかということをやはりある程度追求しておかないと、今後これが一つのテストケースになるわけですね。しかもこれからの状況というのは、-先ほど申し上げたように雇用が大変悪化する中での対応になってくるわけでありますから、この点で一つモデル的なものをここでつくり出すくらいの迫力でもって指導してほしい、さらに具体的に実現をしてほしいと思います。  そこで今度は政府にあってどうなのかということになるわけでありますが、指導性を発揮することはもちろんでありますけれども、具体的に高島あるいは空知などを考える場合に、さっきから言っております島であるし沢であるという局限的な地域である。しかもそれに対応する地域がそれを受け入れる可能性のあるところはほとんどないと考えていいわけでありますから、そうなってくると再就職をどういう形で、先ほど局長言われましたけれども、何か新しいことも考えやっていこうとするのかどうか、この点もう一度お答えください。
  86. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣からも御答弁ございましたように産炭地域におきます雇用機会確保、今御指摘地域は特に非常に問題があるわけでございまして、地域産業の振興を図って雇用需要の拡大を図っていかなければならないわけですけれども、それらについては全体的な、関係各省庁との連絡を密にして公共事業等を重点的に実施していかなければならないというふうに考えております。  地域問題につきまして労働省自体といたしましては、地域求職者に対します賃金助成制度その他を内容といたします地域雇用開発についての総合的な立法を現在準備いたしておりますが、この地域立法において産炭地域をその適用対象としながら雇用機会開発施策を推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  87. 中西績介

    ○中西(績)委員 今言われましたように特別立法なりなんなりこうした内容のものを十五省庁ですか集まって検討されておるということですが、そういう中でやはり総合的な対策というものを考えていかなければならないのではないかと思っています。  これは後で私申し上げようと思っておったのだけれども、二十年間近くの旧産炭地域状況から考えてまいりましても、そこでの対策で目に見えるものは、さっき申し上げた地場産業のあるところにおいてはある一定程度の前進はあったけれども、筑豊だとかこういう地域における状況というのはほとんどだめだと言っても過言ではありません。そしてこれは大変重要なことでありますけれども地域振興対策とのかかわりの中で振興法の論議を五年前にやったときに、例えば筑豊の場合に筑豊東、中、西、そしてこれは北九州との関連の中でブロックを組んで基本計画そして実施計画を組んでいった。ところが、そのときに計画されておる中身を見ましても五年たっても内容的にはほとんど変化がない。しかも我々指摘をしたように、北九州は大きく落ち込んでいくであろう、だから牽引車の役割を絶対に果たし得ないということを当時私は主張したのですけれども、それが今まさに筑豊よりも北九州の方が落ち込んでいるでしょう。求人倍率なんか見ると〇・一六、一七などという八幡におきましても、九月から十一月まで八幡の職安などにおきまして鉄鋼関係の求人が全くないという状況にまで今なってきているわけでしょう。  そうすると、この地域というのは先ほどから申し上げるようにかつて政府が主張した牽引的な役割を果たすというそういう都市だって何だって全く皆無のところで措置しなければならぬという中身ですね。ですから、この点をこの二十年の経験を経て雇用対策についてもそうした面で論議をしておく必要があるのじゃないか、こう私は思うのです。ですから、先ほど言われておる総合的な法的措置なりなんなり行政として出し得るものを可能な限りそこで検討していただく、この点ぜひやってほしいのですが、どうですか。
  88. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 先ほどから申し上げておりますように政府全体の施策の中で緊密な連絡をとりながら措置いたしますとともに、労働省としては労働省のとり得る最善の措置検討してまいりたいというふうに思います。
  89. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなりますと、炭鉱離職者臨時措置法は単純な延長になるのですか、内容的にある程度補充して出されるのですか。
  90. 新村浩一郎

    ○新村説明員 労働省といたしましては、第八次答申が詰まるに従いまして離職者対策につきまして検討をいたしたわけでございますが、その結果、先ほどから御説明いたしておりますように、去る十一月十八日、第八次答申が出る前でございましたが、いわば第八次答申の先取りの形で石炭鉱業につきまして特定不況業種として指定したわけでございます。この結果、炭鉱離職者に対しましては、従来の炭鉱離職者臨時措置法に基づきます諸施策に加えまして雇用調整助成制度活用等が可能になりました等、特定不況業種としての対策もあわせて講じられ得ることになったわけでございます。この結果、炭鉱労働者に対します雇用対策は一段と手厚いものになったところでありますが、さらにまた、石炭鉱業をめぐります状況にかんがみまして、臨時措置法に基づいて行っております各種の再就職促進施策につきましても具体的な検討を行っておりまして、一部のものに、つきましてぜひ要件の緩和であるとかかさ上げをしたいと考えているわけでございますが、これらはいずれも現行法の枠内で特に法律をいじるまでもなく対処し得るのではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、来年の三月三十一日に廃止期限を迎えます炭鉱離職者臨時措置法につきましては、第八次答申を踏まえまして通産省御所管の石炭鉱業合理化臨時措置法等と歩調を合わせましてその廃止期限を延長することにいたしたいと考えておるわけでございます。
  91. 中西績介

    ○中西(績)委員 単純な延長の中で政令なりなんなりでやるということでありますけれども、これについてはさらに密度の高いものを可能な限り出してほしいと思います。  そこで、時間が何ですが、文部省見えてますか。高等学校あるいは小中幼稚園それぞれあるわけでありますけれども、そこに在学する児童生徒の数の大体三分の二以上、約五分の四に近い数が炭鉱関係の子弟であるということになっています。ですから、これらについて具体的に文部省なり、これは県教委なりあるいは地方教委がやるべきことですけれども、文部省としてこれから後こうした単身赴任じゃなしに、単身赴任でも考えようかという時期ですから、今度はその地域全体がアウトになってくるという状況が出てくるだろうと思うのです、炭鉱だけじゃなしに。これからのこうした対応というのは非常に重要ですね。これらについて何か施策持っていますか。
  92. 小西亘

    ○小西説明員 お答えいたします。  高島炭鉱閉山に伴う高校生の転校等の問題につきましては、既に長崎県の方でいろいろ措置をいたしておりました。例えば十七日付で県内の公私立学校長に特段の便宜を図るようにという通知、さらに同日付で各都道府県に対して高校生の転学が円滑に行われるようにという依頼、さらに文部省に対する依頼ということが行われております。このことにつきましては、文部省といたしましては、実は昨日都道府県の教育委員会の指導主事連絡会議というのを開きまして、その席でこれらの高校生の転学が円滑に行われるようにという指導をしたところでございます。  ところで、今先生指摘がございますように、確かに親の転職に伴う転入学が今かなり大きな問題になっていることは事実でございます。このことにつきましては、文部省といたしましては既に五十九年度に各都道府県の教育委員会に対しましてこういった場合には可能な限り転入学試験の実施回数をふやすとかあるいはまた特別定員枠を設定するとかいうようなことで、こういった転校の措置が円滑に行われるようにという一般的な指導を行っておるところでございます。さらに、従来支障がない場合に限り転学は受け入れるという制度だったわけですが、これをまた改めまして、支障がない場合には転学が許可されるようにという所要制度改正等を行っているところでございます。
  93. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで、特にこれから高校受験生が問題になるわけですね。ですから、これらの問題につきましても、五十九年に発したそういういろいろな問題もあろうが、特にこれから出てくるであろうこうした問題について配慮をするということで、各県教委なりの指導を今後どのようにするかの検討を始めてほしいと私は思うのですね。この点、一つ要望しておきます。  次に、先ほど炭鉱離職者について、同僚の岡田委員の方から出ておりました基盤整備事業なり、その地域における、例えば北海道等でこれが今実施されておらないわけでありますから、これらについても、炭住の整理、ボタ山あるいは事業所の跡だとかたくさんあるわけですから、そうした問題について特別何らかの措置をできる労働省側の考え方あるいはそれに必要な経費は地方自治体を圧迫するわけでありますから、地方自治体に対するそれぞれの措置等についても、これは答えはいただきませんが、各省庁連絡会の中でももう一度検討していただくようにお願いをしておきたいし、要望を申し上げておきたいと思います。  それから、地域対策の問題であります。問題は、答申地域対策のところの③のところにいろいろ出ておりますけれども、先ほども申し上げましたように、筑豊等の例を挙げて申し上げるまでもなく、従前の基本計画あるいは実施計画などは大体破産したのではないかという感じが私はしてなりません。特にこれの③のところに産業基盤、生活基盤の整備あるいは企業誘致対策等いろいろ掲げておりますけれども、このことが果たして可能かどうかということを考えますと私は大変危惧いたしております。特に島であり内陸部であるという限定された地域におきましては特にこうした基礎をどうしていくか、その地域が落ち込んでいくわけでありますけれども、その地域をどう基盤を支えていくかという一番大事なところが、この前からの産炭地振興計画なりなんなりの中でも鉱工業だけを中心に据えてやろうとしておったわけですけれども、私はこれは大変な誤りだと思うのですね。少なくとも基盤になるべきものは何なのかということ、そこでの教育、文化から始まってその地域における主体性をどう確立するかということになってくるわけですから、こうした問題等についてどうお考えなのか、お答えください。
  94. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 産炭地域振興の問題については、御指摘のようにいろいろと難しい問題もあるわけでございますが、これまでの成果といたしましても、私どもとしては相応の成果はもたらしていると評価をしているところでございまして、御案内の産炭地域振興臨時措置法に基づきまして、地方財政援助なりあるいは生活基盤、産業基盤の整備企業誘致等々の施策はそれなりの成果は上げているというふうに思っているわけでございますが、その施策の実施にもかかわらず、地理的条件が恵まれてない地域についてはなお疲弊が残存している状況にあるという点については御指摘のとおりでございます。  したがいまして、こうしたこれまでの努力は引き続き継続をすべきであると考えますが、それに加えまして、今後新しく閉山のような事態になりまして疲弊してくる地域につきましては、さらにその地域維持振興策について中長期的な観点からいろいろな努力を重ねていかなければいけないということで、単なる工業の誘致というだけではなくて、その地域の特性を生かしたプロジェクトをどのように構築していくかということが大事かと思うわけでございます。私どもといたしましても、これらに対する補助を行いつつ、また、一緒なって企画立案をいたしまして、その地域に合ったプロジェクト事業化し、その事業について調査あるいは事業そのものについても地域公団等の機能活用して考えてまいりたいと思っております。何分にも、立地条件その他を考えますと、なかなか即効薬はないわけでございますので、地道な努力をしてまいる必要があるかと思っております。
  95. 中西績介

    ○中西(績)委員 この地域対策の⑤のところあたりにも出ておりますように、いろいろなことで支援をする、こういう内容になっておりますね。関連施策の活用あるいは地域振興計画の策定あるいは調査、こうしたものによって計画を立て、そして地域経済構造の多様化を図る、そのための所要支援ということになっておるわけですね。その前には、経済構造の脱石炭化などという言葉まで含めて言っておる。ところが、これに特効薬的なものがなかなか見つからない。今までの長い経験の中でもそうだ。すると、何を一番柱にしてやるという考え方なのか、ここいらがやはり明確になってないような気がしてなりません。ですから、それはこれからだということなのか。この点は各省庁での話し合いの中で具体的なものはなかったのですか。
  96. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 答申の中でも指摘しておりますように、そういった問題、基本的にはやはり地元の主体性を持って構築をしていかなければいけない、これを地方自治体なり国が支援していくという構えになるわけでございます。  現在私どもが承知しておりますプロジェクトといたしましても、例えば空知地方をとってみても、いろいろとレジャー開発なり、あるいはバイオテクノロジー等々を使ったプロジェクトを計画しておるわけでございまして、そういう計画をさらに拡充していくという観点から、資金的にも、またいろいろな企画立案の面でも、私どもとしても努力をしてまいりたいということでございます。即効薬がないわけでございますので、関係者一体となって知恵を出し、また、その地域を魅力あるものに少しずつでも変えていかなければいけないというふうに考えております。
  97. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後になりましたけれども、そういう実情ですから、これから後、全体的にそうした面の問題が所々方々でも出てくるし、先ほどから申し上げておるように、それの一つのモデル的なものになってくるわけですね。ですから、やはり通産なりあるいは労働なり、そういうところが中心になって、これからどういう施策をしていくかということ、特に旧産炭地域にしてもあるいはその他の問題にしても、「従来からの対策の趣旨を尊重し、」云々というようなことで一言で片づけられておるわけですね。ですから、この際改めてそうした意気込みを持って対応をしていかなければだめじゃないか、こう思うのですね。ですから、政務次官なり労働大臣なり、そうした面に向けてこれからどうやっていこうとするのか、その点についての決意ぐらいはお答えできると思いますので、ひとつお答えいただきたいと思います。
  98. 平井卓志

    ○平井国務大臣 やはり今委員が御指摘になりましたように、従来の施策、発想において効果的な結果が得られたかということになりますと、これは疑問の点もございます。  今後の問題としましては、やはり地域の特性もございますし、地元関係者、さらにはそれの関係諸官庁の方々、これは特性を生かしながらの知恵を絞って、さらに新しい発想を持って果断にこの問題については取り組んでいかなければならぬと考えております。
  99. 中川秀直

    中川政府委員 労働大臣と同趣旨になりますが、いずれにせよ、八次策答申の中にもございました脱石炭化というものの形成に向けまして、地域の主体的なお取り組み政府、また関係道県挙げて応援をしてまいる、そのための本年度から始めました活性化支援事業、また、新規要求いたしております経済構造調整基金等々活用いたしまして、努力最大限してまいりたいと思っておるところでございます。  高島につきましては、先ほど三原委員にもお答えを申し上げましたが、既に石炭企業の側において、あるいは親企業の側において、あるいはまた地域においてさまざまな次へ向けての模索が始まっております。我々もそれを関係各省庁と相協力しながら取り上げてまいりまして、地域対策、また離職者対策につなげてまいりたいと思っておる次第であります。
  100. 竹内黎一

    竹内委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ────◇─────     午後一時四分開議
  101. 竹内黎一

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍛冶清君。
  102. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それでは質問をさせていただきますが、午前中文教の質問がございまして、そちらの方へ出ておりまして午前中質問をなさった方の内容をお聞きいたしておりません。したがって、質問内容がダブる点が多少出てくることもあると思いますけれども、御回答を賜りたいとあらかじめお願いいたしておきます。  まず第一に、我が国のエネルギー政策の上での石炭の位置づけ、これはどういうふうになっていくのか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  103. 野々内隆

    野々内政府委員 石炭につきましては、経済性あるいは供給安定性という両面に非常にすぐれた特性を有しておりますので、今後とも電力用を中心といたしまして一般炭の需要が増加すると見込まれております。  我が国のエネルギー政策の指針でございます「長期エネルギー需給見通し」におきましては、総エネルギー需要が増加をする中で石炭を重要な石油代替エネルギーという位置づけをいたしておりまして、今後とも着実に需要が増加してまいりまして、昭和七十年には総エネルギー需要の中の約一八%を占めることになると見込んでおります。
  104. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 確かに石炭自体はそういう見通しはあると思いますが、国内炭との問題の絡みの中でこれは考えていかなければならないのではないかと思うわけです。したがって、五十八年度に「長期エネルギー需給見通し」というものが策定されておるわけですが、その中を見てみますと、昭和六十五年度には国内炭は一千八百万ないし二千万トンという記述になっているわけです。これは八次答申の目標であるおおむね一千万トンということと大きく食い違いが現時点で出てきておるわけです。確かに石炭の需要は全体的には徐々に上がっていくのかもわかりませんけれども、この中で国内炭というものの位置づけはやはりしっかり見通しをつけながらやっていかなくてはならないだろう。今言ったように食い違いも出ておりますし、「長期エネルギー需給見通し」を改定すべきではないかと思うのですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  105. 野々内隆

    野々内政府委員 第八次答申で示された方向では「長期エネルギー需給見通し」の中の輸入炭国内炭の振り分けが変わるということだろうと思っておりますが、「長期エネルギー需給見通し」そのものにつきましては、本年九月の総合エネルギー調査会の需給部会におきまして、最近の我が国のエネルギー需給動向は全体としてこの見通しに沿って推移いたしておりまして、現段階では見通しの改定は必要ないという結論に達しております。もちろん、今後エネルギー需給動向というものをよく注視いたしまして、この需給見通しを改定する必要が生じた場合には、御指摘の修正もあわせて行うことになろうかと考えております。
  106. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それぐらい国内炭の位置づけ、考え方というものが非常に悲観的になってきているというふうにも答弁の中からうかがえるように思うのですが、とにかく国内炭というものは我が国唯一のエネルギー源とも言われておりますし、この確保についてはしっかりとした見通しをつけていかなければならぬだろう、こういうふうに思います。  そこで、きょうは大臣おいでになりませんので、次官にお尋ねをしたいと思います。  石炭の第八次答申が出ておるわけですが、これについての見解、それからこの第八次答申では最終的にはおおむね一千万トンの供給規模ということで国内炭の位置づけをしているわけですが、この八次策までは一応これでいくとして、それ以後問題が出てくると思うのですけれども、その見通し等につきましてお答えをいただきたいと思います。
  107. 中川秀直

    中川政府委員 第八次答申は、昨年の九月三日諮問以来約一年余にわたりまして、今後の石炭政策のあり方について広範な観点から慎重な審議を行ったものでございます。  委員御指摘のとおり、エネルギー需給緩和、大幅な内外炭価格差また需要業界の動向等、石炭鉱業を取り巻く諸情勢の変化というものがあるわけでございまして、そうしたものを踏まえて取りまとめるに至ったものと考えております。ただいまお話のございましたそうした変化の中で国内炭のエネルギー上の役割というのは明らかに変化しておるわけでございまして、そういう意味では今後「生産規模を段階的に縮小することも止むを得ない」こういう答申になっておるわけでございます。しかし、中に踏まえております「生産体制の集約化」という言葉の中には、単に縮小だけではなくて、石炭企業そのものの経営基盤の安定化をできる限り図っていくということも踏まえておるのではないかと考えておりまして、縮小はするが安定はさせたいというような意味もあるように私は感じておる次第でございます。  したがいまして、この答申の実施に当たりましては、石炭鉱業の労使双方にとって非常に厳しい対応を要するものではございますけれども、私どもとしましては、この答申を踏まえて、第八次石炭政策の遂行に当たっては、関係者のそうした努力が報われるように、できる限りの支援を行ってまいりたい。特に、需給ギャップを調整するための過剰在庫対策閉山対策というものに努力すると同時に、地域経済雇用に及ぼす影響緩和するための雇用対策地域対策には、関係各省庁と連絡をとりまして、遺漏なきを期する考えでございます。  第二点のお尋ねでございます八次策以降の国内炭生産のあり方についてでございますけれども、八次答申は、この第八次石炭政策の期間を昭和六十二年度から五年程度ということにいたしておりまして、その間の政策のあり方を示したものでございます。それ以降の問題につきましては、今回の第八次石炭政策の実施状況を踏まえつつ、今後のエネルギー情勢、内外炭の動向、その中における国内炭の役割などを総合的に勘案して、適正な生産体制確保に努める観点から、改めて検討すべきものと考えております。
  108. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 国内炭の安定を目指してとか、改めてとかいろいろお答えの中にございましたが、八次答申内容を見ておりますと、国内炭としての方向は、確かに石炭需要がふえておる中で、国内炭の方はむしろダウンしていく、海外炭の方ヘシフトしていくのだというふうに思えるわけです。新聞報道を見てみましても、電力業界は、一般炭の関係で、六十七年度以降には早い段階で引き取り量ゼロとすることを通産省などに求めていく方針である、こういうことが出ておるわけです。そうすると、国内炭の位置づけというのは実質的には極めて暗くなるわけでありまして、こういう点を含めて、改めてもう一度、国内炭の意義と位置づけ等についてお答えをいただきたいと思います。
  109. 野々内隆

    野々内政府委員 国内炭をめぐります内外の諸環境考えますと、答申でも指摘いたしておりますように、国内炭は今後ともエネルギー政策上相応の役割を果たすべきものということでございますが、その程度は、従来に比べますと変化し、小さくなってきているのではないかと思っております。したがいまして、そういう相応の役割を考え、その役割の変化を踏まえまして、今後国内炭につきましては、需要動向を十分勘案した生産体制をとるという考え方であろうかと理解いたしております。
  110. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 次に、第八次答申は生産体制の円滑な集約化ということを基本にしているわけでありますけれども、いわゆる雪崩閉山というものが非常に心配になるわけです。これをどのように回避しながら対応していくのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  111. 中川秀直

    中川政府委員 鍛冶委員御指摘のとおり、石炭鉱業の短期集中的な閉山というのは、雇用地域経済に極めて深刻な影響を与えるものでございます。これまで、石炭鉱業審議会の意向を受けまして、通産省としても、そうした見地から、需要業界の御理解と御協力をいただくために、最大限努力を続けてまいったわけでございます。その結果、厳しい経営環境に置かれている鉄鋼業界を初め、需要業界もそれぞれ極めて困難な事情にあったにもかかわらず、御理解を賜りまして、今回の最終答申ということになった次第でございます。  したがいまして、私どもとしては、この答申を踏まえまして、御指摘の雪崩閉山を回避するために、そして大量の失業が発生するような事態を何としても避けるということを基本といたしまして、第八次答申の線に沿いまして、過剰在庫対策等できる限りの努力をしたいということで、昨日も大蔵省に対しまして、新たなる予算措置追加要求もいたした次第でございます。
  112. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 過剰在庫対策等は、雪崩閉山の防止と絡んでやはり大切なものになると思います。これについても、実効を確保するための機関の設置について検討を行うべきだと言われているわけですが、具体的にはどういう措置を講ずるお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  113. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように、答申におきましては、過剰在庫対策につきましては「所要措置を講ずるべきであり、その実効を確保するための機関の設置について検討を行うべきである。」という指摘があるわけでございます。  当省といたしましては、この答申の趣旨を踏まえまして、昨日、大蔵省に差しかえ要求お願いしたところでございますけれども、その中に、過剰在庫対策といたしまして、石炭会社親会社、それに新エネルギー総合開発機構の出資によりまして貯炭会社を設立するという趣旨が入っているわけでございます。また、この貯炭管理会社に対しましてNEDOから無利子融資を実施するということも予算要求しておりまして、これらを通じまして過剰在庫対策に遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
  114. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはぜひそういう形で対応をお願いしたいと要望を申し上げておきます。来年度からのはともかくとして、問題は、今年度の貯炭について、貯蔵融資制度等で対応すべきではないか。今年度の貯炭の対応は大変大切なわけですから、そういう形で対応したらどうか、こう思うのですが、これに対する御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  115. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 ただいまお話がございましたように、今年度も貯炭問題が大きな問題になりつつあるわけでございまして、十月末の時点で貯炭が、在庫が三百十一万トンということでございまして、六十年度末が百五十二万トンでございますので、既に倍近く積み上がっているという状況にあるわけでございます。  今回の答申に当たりましては、関係需要業界の引き取り協力が得られることになったわけでございますが、その引き取り量につきましては、昨年に比べて大幅に落ち込むということが見込まれるわけでございまして、今年度のこれからにつきましても、石炭企業で一定の減産を行うとしても、さらに貯炭は増加せざるを得ないという状況考えられるわけでございます。  この貯炭問題でございますが、資金繰りにつきましては、個々の石炭企業側で、親会社支援を含めまして、自己努力をすることが基本ではございますけれども、私どもといたしましても、今後の資金繰りの状況を十分見守りまして、必要に応じまして、新エネルギー総合開発機構融資機能活用するなど適切に対処してまいりたいと思っております。
  116. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この問題は、対応をぜひ強力にお願いいたしておきます。  次に、基準炭価の引き下げが今年度ございました。また今後の据え置きということも確定いたしました。このことによって石炭企業の経営が非常に苦しくなってくる、こう思うわけです。特に、稼行しておる炭鉱に対する政府助成なり援助が必要になってくる、こうも思われるのですが、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  117. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭企業の経営でございますが、これまでも厳しい状況にあったわけでございますが、御指摘の基準炭価の引き下げ並びに今後の据え置きを原則とすること、及び減産をこれからしていかなければいけないということに伴うコストアップ、それらいろいろとコストアップ要因が予想され、一層厳しいものとなることが見込まれておるわけでございます。答申の中でもこうした事態指摘しておりまして、これに対しましては石炭企業側での自己努力をするのは当然であるけれども、それを補完する観点から政府の適切な支援ということを指摘しているわけでございます。  昨日、大蔵省に差しかえ要求をいたしました六十二年度の石炭関係予算の中におきましても、私どもといたしましてはこうした答申の趣旨を踏まえまして、減産に伴うコストアップに対処するために安定補給金制度の中に新たに減産加算追加する等、稼行炭鉱対策に対する所要支援を盛り込んだ予算要求を行ったところでございます。
  118. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 加算ということでありましたが、新しく減産に対応して減産対策交付金制度というものも創設してもいいのではないか、それぐらい重要な内容のものであるというようにも思うのですが、これについて御意見をお聞かせいただきたい。
  119. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 確かに、御指摘のように今後減産を強いられていくわけでございますので、それの対策として今先生お話では減産対策交付金という制度をつくったらどうかということでございますが、私どもの昨日行いました大蔵省への差しかえ要求におきましても、先ほども申し上げました減産加算のほかに、規模縮小交付金という制度創設してございまして、一定の規模につきまして計画的にこれを縮小する、かつ、人員の削減が発生するというような場合に、賃金債務見合い額の一部を交付するという仕組みの制度要求してございまして、厳しい財政状況の中でございますが、できるだけそういった減産対策の面で政府としても支援をしていきたいと思っております。
  120. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私は福岡県の出身でございますけれども、福岡県の中に三井三池の炭鉱がございます。これはいろいろなお話を伺っていて、また情報として聞いている中で、将来残っていく炭鉱一つになるだろうというようなことが言われているわけですが、どうもいろいろと聞いておりますと、複数の坑口のうちの一つは閉鎖しなければならぬとかいうような事態というようなこともいろいろうわさされたりお話なんかが出ておりまして、それぐらい厳しくなる、こういうようなことが言われているわけです。  こういったことがもし起こるとする場合に、こういったものに対する助成制度というものも設けていいのではないかなと思うのですが、これについてお答えをいただきたいと思います。
  121. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 生産体制の円滑な集約化の過程におきましては、確かに御指摘のようないろいろなその炭鉱の事情を踏まえた生産体制がとられていくということでございまして、御指摘のように複数の坑口のうちの一つを閉鎖するような方法を選択する炭鉱もあろうかと考えるわけでございます。これらにつきましても、一定規模以上の生産規模縮小が行われた場合には、先ほど来申し上げております規模縮小対策の対象にいたしたいと思っております。
  122. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それから親会社の問題があるわけですけれども、こういう石炭企業に対しての親会社、これはそれだけしかないところもあるようではございますけれども、この親会社に対しては、石炭企業に対してもっともっと支援というものをしっかり行っていくべきではないか、こういうふうに思うのですが、そこらあたりが余りしっかりしていないような気もいたしますし、この点、強く指導を通産でやるべきではないか、こういうふうにも思いますが、この点についてお尋ねをいたします。
  123. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 昭和四十年代以来、各社が石炭部門を専業部門として分離をしていったわけでございますが、その際にも、いわゆる親会社がこの石炭専業部門につきましていろいろな意味支援をし、ある意味では責任を持つということになっているわけでございまして、そういう分離の経緯を踏まえますれば、今後いろいろと困難が予想されます石炭企業に対しまして、その親会社が責任を十分に認識して、関連グループの協力も得まして、雇用地域への影響の問題も含めて取り組むべきであるというふうに答申にも指摘がされておりますし、私どもとしてもそれらを踏まえて、これらの親会社を含めた企業に対しまして適切な指導をしていきたいと思っております。  これまでも親会社は、特に資金調達の面で、石炭企業が必要といたします資金の調達に当たっての債務保証であるとか、あるいは直接の融資であるとかいうような格好で種々支援はしてきているわけでございますが、今後、石炭企業に対する問題というのは一層困難をきわめるわけでございますので、親会社の責任あるいは私どもが期待するところは大きいわけでございまして、十分指導をしていきたいと思っております。
  124. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 次に、ちょっと石炭の引き取りの問題がやはり出てくると思うのですが、特に鉄鋼業界、原料炭引き取りをやっているわけですけれども、これは、その引き取る量をあと五年でゼロにするということで徐々に減らしていくというのですが、これは雪崩閉山との関係もあり、この引き取り方というものはやはり非常に重要になるだろうという気がいたします。特に、五年先がゼロでよければ、来年からはもうゼロに極めて近い数字にしてずっとそれを続けてゼロにするということも、まあ考え方によれば考えられないこともない。そういったいろいろな意味を含めて適正な引き取りをしてもらうように協力を求めるためにも、通産省としてこういった点の指導というものはやはりしっかりやっていく必要があるのではないか。  また、電力業界の方の引き取りの問題も、さっきちょっとお話ししたように、新聞報道によれば、六十七年までは待って、それ以降は早い段階で引き取りをゼロにまで持っていこうというような記事が新聞に出るようなことですから、そこらあたりの引き取りについての動きというものが実際にはあるのかなというような心配もあるわけですが、こういったことを考えると、やはり電力業界に対しても強力に引き取りについての指導というものが必要ではないか、こう思いますが、これについてお答えをいただきたいと思います。
  125. 野々内隆

    野々内政府委員 石炭鉱山の短期集中的な閉山とか、あるいはこういうものが雇用地域経済に深刻な影響を与えるということで、こういう事態を回避するために通産省といたしましても石炭鉱業審議会の意向を受けまして、需要業界の理解と協力を得るべく努力を続けてきたわけでございます。鉄鋼業界につきましては、原料炭問題で意見の対立が激しかったものですから、石炭鉱業審議会の中に七人委員会を設けまして、これの調整を経て通産大臣から鉄鋼業界の代表に要請を行いまして、その結果、六十五年度までの引き取り協力を得るというふうに至ったものでございますが、鉄鋼業界は今非常に厳しい経営状況に置かれておりますので、こういうことを考えますと、ぎりぎりの協力を得たというような認識を私どもはいたしております。  電力用炭につきましても、答申では八次策においては「電力用一般炭を中心に需要の確保を期待する」ということになっておりまして、この電力の需要というのは非常に大きなウエートを占めておりまして、八次策の最終年度では八百五十万トンの引き取り協力ということを期待いたしております。したがいまして、この八次策の成否は需要業界の理解と協力にかかっていると言ってもいいかと思われます。  したがいまして、電力業界につきましては私ども最大限努力をいたしてまいりまして、大臣から直接電事連の那須会長に対して要請をし、その結果電力業界からも最終的な理解と協力を得たわけでございます。この八百五十万トンという数字は、電力業界のいろいろな事情を考えますと、ぎりぎりの最大限努力であろうかというふうに考えております。
  126. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今後の一般炭につきましての需要確保の決め手となるのは、いわゆるIQ、輸入割り当ての制度にあると私は思うわけですが、この厳格な運用、それから第八次策以降の存続、これが大切になってくると思うのですが、これについてどういうお考えか、承りたいと思います。
  127. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今回の答申におきましても、「今後も国内炭と海外炭との競争条件の基本的な改善は見込めない状況にあることを勘案すると、第八次石炭政策においては、国内炭の引取り協力を支えるための措置は必要であり、このため、生産規模の段階的縮小を進める過程においては、当面、輸入割当制度の適切な運用により対処することもやむを得ない」という指摘がございまして、政府といたしましても、それを受けまして今後輸入割り当て制度の適切な運用を図ってまいるところでございます。ただ、この制度につきましては、やはり基本的には需要家の理解と納得がなければいけないというふうに私ども考えておりまして、今後ともこのIQ制度の運用につきましては、需要家の協力を得るよう私どもとしても努力をしていくという方針で臨みたいと思っております。  なお、八次策以降の問題でございますが、これにつきましてはその時点での石炭産業のあり方等々を総合的に吟味をいたしまして判断すべき問題でございますが、いずれにいたしましても、今後とも国内炭と海外炭の競争条件の基本的な改善が見込めないという状況が存在する限り、また国内炭生産の必要性が存在する限り、何らかの国内炭引き取りの協力を求めていくための措置が必要であるというふうに考えておるところでございまして、その時点においてもいろいろとそういった措置検討していくことになると思いますけれども、その一つとしてまた輸入割り当て制度考えていくことになろうかと思います。
  128. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いろいろと施策なり議論なりというのはできるわけですけれども、やはり何といっても一番大切なのは今後の財源問題であろう、こういうふうに思います。第八次策を推進するために相当な財源を必要とするわけですが、この財源問題についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  129. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 答申におきましては、幅広い角度から今後検討すべきというふうにされているわけでございますが、来年度の予算要求も昨日行ったところでございますけれども、当省としての考え方といたしましては、答申の趣旨を踏まえまして八次策の円滑な推進のために所要の施策を講じていく、そのための財源、予算確保するということで最大限努力をしてまいる所存でございまして、具体的には、来年度につきましては原重油関税の一部と、それから剰余金と、不足の部分につきましては借入金によって賄う考えでございます。
  130. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それだけで完全に手当てができていくという方向であればいいのですが、まだまだそれよりも財源的には必要であるというようなことがあり得る可能性は強い、こう考えられるわけですけれども、新たな財源確保のため、これは前回の委員会のときにもいろいろ議論はなされておりましたけれども、新たな税を検討してこれに充てるという考え方が必要ではないかとも思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
  131. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭課税の構想につきまして関係方面において御議論があることは私どもも承知をしておりますけれども、全体を眺めまするに、やはり国際的な問題がかなり問題となってくるのではないかという感じがするわけでございまして、具体的にはガットとの関係あるいは海外産炭国との国際関係、そういった問題が検討を要する対象になるのではないかと思うわけでございます。また、国内の需要業界との関係ども種々考慮すべき点がございます。  今後この問題は慎重に検討しなければならない問題であると考えておりまして、当面来年度の問題といたしましては、私どもといたしましては原重油関税その他で来年度の所要対策費を賄っていくことで予算要求をしているところでございます。
  132. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは推移を見ながらも十分検討していただかなければならぬ問題であるとも思います。  それと、今後炭鉱閉山というものが当然出てくる中で、炭鉱離職者方々に対する対策というものも真剣に考えなければいかぬだろう。特に私の地元は、御承知のように筑豊田川地区がございまして、閉山後の離職者の問題、そのほか鉱害対策を含めてさまざまな問題がございまして、いまだに随分と苦労が続いているわけでございますけれども、この閉山になったときに職を離れられる方々のことを思いますと、大変に胸が痛むわけですが、通産省としてはこの対策をどういうふうにお考えなのか、これは大臣がいらっしゃいませんので、ひとつ次官にお尋ねしたいと思います。
  133. 中川秀直

    中川政府委員 離職者対策につきまして、通産省としては、事態はまことに深刻である、総合的なきめ細かな対応が必要である、こう考えております。  企業親会社に対しましてその雇用対策について万全を期するように指導するということが一つはございましょうし、また事態の深刻さを考えますと、これは政府、各省挙げて対応していかなければいけない、こうも考えておるところでございまして、既に昭和四十四年からそのような組織が設けられておりますけれども産炭地域振興関係省庁等連絡会、約十五省庁で設置いたしておりますが、こうした場を通じまして関係各省庁、地元自治体等と密接な連携をとりながらできる限りの努力をしたいと思っております。既に高島についてももう二度開催をいたしておりますし、近々三回目を開きまして、この産炭地域の振興、地域対策というものについての各省の御検討の結果も中間的に取りまとめる、こういうような方向のようでございます。  従来から、御承知でございますが、産炭地域振興対策につきましては、企業の誘致あるいは広域的な地場産業興し、あるいはまた中小企業対策産業あるいは地域のインフラの整備というような柱で各種の対策を講じてきたところでございますけれども、それだけでも万全とは言えないほどの深刻な状態であるかもしれない、こうも考えておりまして、これは離職者対策と密接不可分のものである、こうも考え経済構造調整基金という新しい制度要求いたしまして、これにまた対処もしてまいりたい。あるいはまた、地域公団、新エネ機構等を活用した地域総合開発産業の多様化という事業についても支援をしてまいりたい。今回の中小企業新城下町法においても高島を指定しましたとおり中小企業対策にも万全を期してまいりたい、こう考えております。
  134. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 現実は、地元におりましていろいろな施策というものが後手後手になっていることが多くて、離職者の皆さんを初め大変なことが随分起こるわけでございますので十分そういうことを配慮した取り組みをしていただきたいと思います。  今経済構造調整基金の話が出ておりましたが、現在大蔵省要求中のようでございますけれども、お答えの中に出てまいりましたのでこの経済構造調整基金の概要についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。同時に、この経済構造調整基金というものは産炭地域振興のためのプロジェクトをつくった場合に、これにも対象として適用されるのかどうか。やはり今産炭地域振興ということになりますと、どうしても小さな地域だけではだめで、広域にわたって協力体制が必要だ。その中でプロジェクト等も必然的に生まれてくるわけでございますが、こういったことについてお尋ねをいたします。
  135. 野々内隆

    野々内政府委員 経済構造調整基金は、産業構造の転換の動きの中で必要となります企業新規事業分野進出というような事業の円滑化、それから産業構造の転換に伴います雇用あるいは関連中小企業地域経済への影響緩和、こういうために出資、融資、債務保証というようなことをいたします、金融面を中心とした支援業務を行う機関というものを考えておりまして、現在関係省と折衝を行っております。  この基金の主要な業務としましては、一つ産業構造の転換に伴い影響の懸念される地域内の企業の設備の新増設に対する低利融資及び地域活性化を図るプロジェクトの実施主体となる第三セクターに対する出資、融資というもの、それから二番目に、輸入などの影響を受けている事業者が新規事業分野に進出する際に必要となる設備資金への低利融資、それから研究開発法人の設立に対しての出資、三番目に、生産能力の適正化のため設備の休廃止を行う事業者に対する債務保証、こういうようなことを中心考えております。  産炭地域の問題につきましては、今回の八次政策というものが産業構造調整の一つのモデルケースであるというふうに考えられておりますので、今後予想されます閉山に伴う地域への影響緩和いたしますためにこの基金活用ということを検討してまいりたいと思っております。
  136. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そこで地域振興、特に産炭地域の振興というのは、たびたび申し上げるようですが、私どもの実際の経験の上からも地方自治体との連携、それから地方自治体の積極的な取り組みというものが非常に必要になるわけです。このことについても答申にはうたってあるわけですけれども通産省としてはそういう取り組みについて全面的にバックアップをお願いしたいわけですが、同時にひとついろいろな知恵も出していただきたいというふうにも思いますが、通産省としてはどういったことをこういう問題について地方自治体に対して期待されておるのか、この点についてひとつお尋ねをしたいと思います。
  137. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今回の答申におきましても、各地域地域振興対策につきましては極めて重要な取り扱いをされておるわけでございます。その答申の中では、まず各地域が主体的にその地域対策に取り組むことが重要である、また政府もその取り組みに対して所要支援を行っていけという指摘があるわけでございまして、地域石炭に依存しているわけでございますけれども、中長期的な観点に立てば、この産業構造をできるだけ多様化しまして、地域経済活性化していくことが極めて重要であり、その際には地域関係者一体となって進めていくということが極めて肝要となるわけでございます。そういう意味におきまして地方自治体がこの地域対策中心的な役割になるわけでございまして、私どもとしてもそういうことを期待しているわけでございます。同時に、そういった自治体の活動に対しまして私どももできる限りの支援をしてまいりたいと思うわけでございます。  具体的に現在高島の問題が検討されているわけでございますけれども、先ほど政務次官からも御答弁がありましたように、現在町、県、国一体となって緊急対策検討しているところでございます。また高島町につきましては中長期的な観点からは海洋開発を念頭に置きながらビジョンをつくろうということで、これに対しまして私どもからも補助金を交付いたしているところでございますし、またそのプロジェクト内容につきましても私どもでできることはいろいろと知恵をおかししていこうという構えもとっております。  また北海道の空知地方につきましても、御案内のように炭鉱が集中しているところでございまして、この地域の脱石炭化の問題もなかなか頭の痛い問題でございますが、関係看が知恵を集めて、とにかく一歩でも二歩でも前に進み、中期的な視点から脱石炭産業構造地域構造を実現するという方向に向かっていかなければいけないということで、現在炭鉱が所在しております五市一町の自治体の皆さん方が振興協議会をつくられまして、そういう広域的な観点からその地域をどうするかということに取り組んでおられます。こういった努力に対して私どもも、産炭地域振興活性化事業という制度の適用によりまして補助金等の支援を行ってまいりますし、また地域振興整備公団のノーハウなども活用いたしましてできる限りの支援をしていく所存でございます。
  138. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 現在産炭地域振興の臨時交付金制度というのがありまして、これは私ども地元も大変助かってきているわけですが、これをひとつうんと充実して、産炭地域の振興のために充てていくべきではないかと思いますが、この点をぜひお進めいただきたい、こういう観点からお尋ねをいたします。
  139. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 お尋ねの産炭地域振興臨時交付金制度でございますけれども、今年度からは産炭地域活性化を図るため制度拡充いたしまして、地元みずからの発意によります内発型の地場産業興しのためのビジョンの作成あるいは人材の養成に支援を行っておるところでございます。また今回の六十二年度予算の差しかえ要求に当たりましても、今後予想される閉山地域対策の充実を図る観点から、その産炭地域振興臨時交付金制度の中で閉山地区に交付する基準額の単価のアップあるいは閉山地区の中小企業、商工業者に対しまして資金の貸し付けを行った場合の道県に対する援助等を行っているところでございます。いずれにいたしましても、厳しい財政事情の中でございますけれども、できる限りの拡充をこの制度については図ってまいる所存でございます。
  140. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 もう一つは、閉山後の地域振興とかいうことについては、大切なことは、これは企業誘致ということがいろいろあるわけです。  これも、たびたび申し上げますように、うちの地元でもそういう経験の中で一生懸命企業誘致に取り組んでまいりました。今後、そういったところが各地に出てくる可能性が強いわけですけれども、これは地元だけではいろんなことがございまして、条件もありますが、誘致というものがなかなか進みにくいというような実情があるわけです。そういう中で、ぜひ政府系機関とか政府企業を計画的に誘致してほしい、こういうのが切実な声としてあるわけですが、こういう点についてぜひやっていただきたい、こういうふうに思うのですが、この点についてお尋ねをいたします。
  141. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 政府系機関あるいは政府企業等の誘致につきましては、常々移転等の計画につきまして関係省庁等の意向を聞いているところでございますけれども一つには現下の財政事情が極めて厳しいということで具体的な計画が余りないということもございますし、また移転のある場合でもぎりぎりの立地条件の制約ということもございまして、なかなか具体的なプロジェクトがない状況にございます。  しかしながら、先ほど来話の出ております関係省庁等連絡会という場がございますので、こういった場等を通じまして情報交換、意見交換を重ねまして、今後ともそういった立地の計画あるいは移転の計画、そういうものがないかどうかについて注意深く私どもとしてもフォローをしていく考えでございます。
  142. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはぜひひとつ強力な推進方をお願いしたい、こう御要望申し上げておきます。  と同時に、地域振興のためにもこういう企業誘致については、石炭企業の関連のグループ企業、こういうところにも計画的に推進をするように通産の方でもうんと指導をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、この点についてお答えをいただきたい。
  143. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 答申の中でも、石炭企業親会社及び関連グループ企業は、各地域地域振興に積極的に貢献する必要があるという指摘がございます。仮に閉山という事態になった場合に、その地区について、それまで炭鉱活動をしてきました企業あるいはその親会社、関連グループ企業はいろいろな意味でそこの地域の振興について責務を負っておるわけでございますので、私どもとしてもそういった企業群に対して今後とも指導ないし要請を行ってまいりたいというふうに思うわけでございます。また、一般的な企業誘致につきましても、地域振興整備公団の団地造成であるとかあるいは低利融資等がございますけれども、これも一段と企業誘致努力をさせるように指導をしてまいりたいと思います。
  144. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは、八次答申の中で、私読んでおってちょっと疑問に思ったところがあるのですが、これについてちょっと御説明を含めてお答えいただきたいのです。  それはどういうことかというと、保安の関係について、この八次答申の中で、第七次開始以降災害が着実に減少してきている、こういう言い方をしているわけです。ところが、その後の方にいきますと、災害の影響もあって生産量が減少傾向をたどっている、こういうふうな説明が出てきているわけですね。これはちょっと考えれば、災害の件数と災害の内容とは別にして書いたのかなというような気もするのですが、そこらあたりがちょっと明確でないので、第七次策中の災害の発生と国内炭の生産との関係、これがどのようなものであったのか改めてお聞きをいたしたいと思います。
  145. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 第七次対策中の災害率でございますが、全体で見ますと、五十七年が一一八、これに比べまして六十年が七二でございます。着実に減少しております。ちなみに六十一年の一月から十月が五一でございます。しかし、この間、五十九年一月の三池炭鉱、これは有明鉱でございますが、におきます坑内火災、六十年四月の高島炭鉱のガス爆発、それから同年五月の南大夕張でございますか、これもやはりガス爆発でございますが、この重大災害が発生したことで国内炭の生産量が五十七年度千七百四十一万トンでございましたが、これが六十年度には千六百四十五万トンということで減少傾向をたどっておるということでございます
  146. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 現実、数字の考え方によってそういうことになるのでしょうけれども、こういう書き方というのはちょっとどうかなというように思っております。  それはそれとして、保安の関係に絡んで第八次策の生産規模はずっと縮小してくるわけでありますけれども、この保安確保策というものが、縮小してくればくるほどこれは大変難しくなるような気もしているわけですが、この点はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  147. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 今回の答申におきましても保安の確保、これは生産の大前提であるというふうに指摘されております。今後、石炭政策は大変厳しい環境にございます。このために保安対策に多少なりとも緩みが生ずることのないように万全を期していきたいというふうに考えておりまして、このために、まず石炭企業でございますが、特に労使一体となった保安対策が、特に自主的な保安対策が必要であるというふうに考えております。  また、政府といたしましても、石炭企業に対します監督指導、それから企業がいろいろ保安確保事業をいたしますが、それに対します補助事業支援などに適切な措置を講じていきたいと考えております。  特に先生が御指摘ございました生産規模縮小、この過程におきます問題でございますが、こうした場合、採掘区域の厳選それから不要坑道の早期密閉でございますか、あるいは保安管理体制整備、こうした問題が特に重要であると考えております。こうした点につきまして各炭鉱の保安計画を事前にチェックするとかあるいは巡回検査とか追跡検査なども交えまして、きめ細かい監督指導を行っていきたいというふうに考えております。
  148. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 何でも上向きになっているときはいいのですけれども、減少していくときにそういうことに対する、要するに資金を入れてそういうところをきちっとやっていくというのがおざなりになる傾向が強いんじゃないかなという心配をするわけです。第八次策の答申の中では、国内炭の位置づけに関して、その一つに国内石炭の資源の技術の問題が言われているわけですね。特に保安の技術の点について、これは国際的ないろいろなことに資するにも大切だというようなことをいろいろ挙げてあったと思うのですけれども、逆にこうやって需要は少なくなる、閉山してくるということになると、それに対して保安のための機器類も、業者等も新しくつくってそれを納入するとかその技術開発に力を入れるとかいうものにはちょっとなりにくいのじゃないか、そういう心配も実はしているわけでありまして、今後、稼働しながら頑張っていく炭鉱、こういうところをやはり――そういう意味で、保安という立場から見ると率直に、素人考えかもわかりませんが、不安が残るのですが、これはいかがでしょうか。
  149. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 石炭保安技術の開発につきましては、石炭技研あるいは工業技術院の傘下の公害資源研究所などで各種技術の開発をしております。こうした技術の成果として各炭鉱で機器類が使われるような場合に、今回新たに補助率のかさ上げなどの要求をいたしております。一般の保安用機器につきましては、従来は七五%でございましたが、これを八〇%にかさ上げするという要求をいたしております。その他一部保安工事につきましてもやはり七五から八○%へのかさ上げ、こうした要求を今いたしておるところでございます。
  150. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 時間も参りましたので最後の質問にいたしますが、残存鉱害です。これはこれから閉山になるというのではなくて、たびたび繰り返して恐縮ですが、私の地元などは残存鉱害がまだ随分残っておるわけです。こういう残存鉱害については鉱害二法の期限内に、昭和六十七年七月までということに一応なっているのですが、この解消は図りたいとおっしゃっているのですが、今後どういう取り組みをなさるのか。前回の質問のときも若干これに関連して御質問申し上げたのですが、お聞かせをいただきたい。  そしてまた、鉱害対策予算確保については全力を挙げるべきであろうと思っておるわけですが、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。  最後に総括といたしまして、次官からもひとつ御決意のほどを承りたいと思います。
  151. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭鉱害の復旧の問題でございますが、御指摘のように五十七年に告示をした長期計画に基づきましてその復旧に努めてきたところでございます。現在十年計画の約半分を経過したところでございますが、復旧事業状況は総じておおむね順調に進捗してきているものと評価しております。  今後ともこの鉱害対策の重要性にかんがみまして予算確保を図ることがまず第一でございますが、事業につきましても一層計画的、効率的な復旧を進めまして、法の期限内に鉱害復旧が完了しますように私どもとして最大限努力をしてまいる所存でございます。来年度の予算要求につきましても全力を挙げてその所要経費確保していく所存でございます。
  152. 中川秀直

    中川政府委員 鍛冶委員より現下我々が直面しております石炭政策についてほとんど漏れなく御指摘をいただき、またお尋ねをいただいたと存じます。大変厳しい我が国の経済調整、この構造調整は考えてみますと反面国際協調への取り組みであり、同時に国内産業の非常な調整をまた図らなければならぬというまことに二律背反の厳しい対応が求められておるわけでございます。そういう中で、今日の曲がり角に来た石炭政策というものが我が国の将来にとってどう行くべきかという、今最も大切な時期ではないかと思っておるわけでございます。長い間積み重ねてこられた関係各位の御努力やこれからの地域発展という問題を十分踏まえながら、ただいま御指摘いただいた点をまた十分踏まえながら遺漏なきを期してまいりたいと思っております。  実は新聞等でも、一刻も早く通産省労働省、大臣がという意味でございますが、現地も視察をし、またつぶさに現状も把握せよというような論説も出ておるところでございまして、今いろいろ大臣とも御相談をし、労働省とも相談をして、どうしてもこの時期に大臣が出られないのであるならば、私ども政務次官でも現地へ参りまして、そうした皆さんのお声を千分踏まえながら対策を立ててまいりたいと思っておる次第でございます。  決意の一端を申し述べます。ありがとうございました。
  153. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。
  154. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、小渕正義君。
  155. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 我が国の石炭政策についてここ三カ月ほどほとんど新聞等の記事にならないことはないような、それだけまた社会的にも大きな関心を持たれた内容だと思います。  今度の第八次の答申をめぐりましていろいろ見方はあるわけでありますが、まず最初に端的に私はお尋ねいたしますが、我が国のエネルギー政策の中において国内炭というものは果たしてどのように位置づけられておるのか、どのように考えられておるのか。このところがきちっとしないことには今後の石炭政策について大きな変化が出てくるのではないかと思います。したがって、端的に申し上げますならば、我が国の国内炭は我が国のエネルギー政策上ももうあえて必要ないと思うのか、これは我が国のエネルギー政策の中ではいろいろ役割の重さは変わったとしてもやはりぜひ必要だという考え方に立つのか。これによって政策の展開がまるっきり変わってくるわけでありますが、そういう意味において行政としては、特にエネルギー政策を担当しているエネ庁としてはこの基本的な認識についてどのようなお答えをお持ちなのか、まずそこらあたりをはっきりただしたいと思います。
  156. 野々内隆

    野々内政府委員 石炭鉱業審議会の今回の答申では、今日においても国内炭は、特に一般炭でございますが、我が国のエネルギー政策上、セキュリティー確保観点から相応の役割を担うべきものというふうにしているわけでございます。ただ従来と異なる点は、大幅な価格差によりまして海外炭との競争条件が悪化をいたしておること、あるいは国内需要業界の動向を考え国内炭を取り巻く内外の環境現状あるいは将来を考えますと、今後とも国内炭はエネルギー政策上相応の役割を果たすべきものとは考えられますけれども、その程度は従来に比べて変化をしてきているという認識に立っておるわけでございます。  今後我が国の石炭の需要量は確実に増加をする予定でございますが、その中で石炭は主要な石油代替エネルギーと位置づけられておりまして、国内炭はこういう役割の変化を踏まえて、今後の需要動向も十分勘案した生産体制とすべきものであると考えており、第八次策におきましては生産規模の段階的な縮小を図り、最終的にはおおむね一千万トンの供給規模とするという考え方に立っているところでございます。
  157. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 答申の中身は、今言われたことは読めば十分わかるわけです。だから、その上に立ってエネ庁としてはどのような御判断をお持ちなのかということを聞いておるわけです。  この前IEAの事務局次長ですか、名前はちょっとはっきりしませんが、新聞報道の中では第三次石油ショックは必ず来るであろうというようなことを言明されたということであります。また、西ドイツのシュミット元首相も、第三次石油ショックというかそういう形のものは必ず来るであろうというようなことをあるインタビュー記事等で言われていることも載っておりました。そういう意味では、国際エネルギー情勢、特に石油情勢の予測は非常に難しいわけでしょうが、何らかそこにきちっとした基本的な認識を持ちながらエネルギー政策を展開しようとしているような感じがするわけですね。  ところが、今の我が国の場合には答申がこうでございますということだけであって、その答申を受けてしからばエネ庁としては我が国のエネルギー政策上どうなければならないかという基本的認識が今まで何ら示されない、すべて答申というか第三者任せみたいな形になっているような感じがしてならないわけであります。一番肝心の監督官庁であるエネ庁がこれらのエネルギー情勢についての認識をどうお持ちなのか、その認識がスタートにならなければいけないと私は思いますのであえてお尋ねしたわけであります。そういう意味で何らかの御見解がありましたら、再度お尋ねいたします。
  158. 野々内隆

    野々内政府委員 第三次石油ショックがあるかどうかというのはショックという言葉にもよりますが、石油にしましても石炭にしましても化石燃料でございますので、いつかは限界が来ると考えられるわけです。しかし、現在の技術で考えられる範囲では、石油に比べまして石炭の可採埋蔵量というのは非常に長うございまして、石油代替エネルギーの中では安定性、経済性からいって石炭は非常に大きなウエートを占めるというふうに私ども考えております。  他方国内炭につきましては、石炭の特性ということは同じでございますが、残念ながら経済性において相当劣る、しかも長期的にそれが回復される見込みは少ないと考えざるを得ないと思います。したがいまして、私ども国内炭につきましては、エネルギーのセキュリティー上一定の意義を有しつつもそれには限界があるという認識に立っております。
  159. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今言われたように、国内資源としてある程度の評価はされるけれども、結果的には価格その他の面からいって限界があるということであります。したがって、そういう状況の中で我が国の場合には、国内炭は占める割合が非常に小さくなっているからある意味においてはあきらめてもいいという感覚の方にいくのか、そういう一定の限界があるといいながらも何らか踏みとどまってぜひ最低のものはきちっと守っていかなければいかぬという認識に立つのかによって違うわけですね。  この前、西ドイツのエネルギー担当の関係者と私どもエネルギー調査団でお会いしたときも、いろいろありますが、必ずやある時期には石油がまた高価格になっていくであろう、そういう点からいっても、経済性としては非常に難しい問題を抱えているが、国内資源としての石炭はやはり自国の資源として大切に守っていかなければいかぬ、こういう見解がはっきり述べられておったわけであります。そういう点をいろいろ勘案しますと、それ相応の役割は一定の評価をするといいながら、経済性その他においてもうそれが限界だということになれば、結果的に国内炭が、現在は答申で一千万トン体制になっていますが、それがなし崩し的に七百万トン、六百万トンになっていってもやむを得ないのだということになるのかどうか、そこらあたりについての現在の御認識はいかがですか。
  160. 野々内隆

    野々内政府委員 ECでは国内炭というのはかなり大きなウエートを占めておりまして、統一的な石炭政策というものは考えられておりますが、ことし六月にできました新しい石炭政策でも、国際競争力という観点から積極的に合理化を進めるという考え方をとっているというふうに理解いたしております。私どもも、現在の日本の石炭需要の実態から見まして、電力用炭以外につきましては国内炭のウエートは相当低くなっておりますし、セキュリティー上余り大きな意義は認められないという考え方でございますが、電力用炭につきましてはまだ依然として相当のウエートを占めておりまして、当面セキュリティー上の意義を認めるというふうに考えております。  ただ、第八次策の後いかにするかということにつきましては、世界的なエネルギー情勢は不安定でございますし、今の段階から見通すということは難しいと考えておりますので、もうしばらく内外情勢あるいは国内の石炭の合理化の状況等を見て最終的な判断をするということになろうかと思います。
  161. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 この答申案では五年後には一千万トン体制、なだらかな生産規模縮小という形の中で一千万トンという一応の数字が出ているわけであります。この五年後に一千万トンという状況でありますが、もしもこれを割り込んでしまう、五年後にはもう一千万トンどころではない、八百万トン、七百万トンぐらいにしかならないような状況にまで割り込んでいくような事態も予想されないことはないわけです。というのは、原則として炭価はすべて五年間据え置きでしょう。そういう価格面から考えますならば、現存する炭鉱の中でどれだけ合理化努力をするか、いろいろありましょうが、いずれにいたしましても結果的には、炭価据え置きということが原則としてきちっと守られていくような状況になれば、必然的にもう持ちこたえ切れないで閉山せざるを得ないような方向にどんどんいってしまうという可能性はなきにしもあらず。  そういう意味からいきますと、一千万トン体制といいながらも、結果的には八百万トン、七百万トンという形にならざるを得ぬような状況に追い込まれていくのではないかと懸念されるわけでありますが、エネ庁としてはこの一千万トン体制をどのように位置づけておられるのですか。五年後に一千万トンを割り込むような状況の予想ができるならば、何としてでも一千万トンだけは守らなければいかぬ、歯どめをしなければいかぬという形の中での政策を遂行していくのか。そこらあたりは出たとこ勝負で、結果的に割り込んで八百万トン、七百万トンになった場合もやむを得ないという方向にいくのか。現実に非常に厳しい環境の中でこういういろいろな枠がはめられた中における状況を想定しますならば、今申し上げたようなことも当然想定される可能性があるわけでありますので、そういう意味で一千万トン体制ということについての認識はどのようにお持ちですか。
  162. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 先ほど長官からも御答弁申し上げましたように、今度の答申におきまして、国内炭に対してエネルギー政策上の一定の役割が与えられているわけでございます。また、国内炭の持つ地域雇用への影響等を考え、そういった観点から需要家に対して協力を要請したところでございまして、そういった役割を踏まえて六十六年度のおおむね一千万トンという数字はできているわけでございます。  しかしながら、炭価は据え置きで、減産でコストが上がっていったらば企業がむしろやめてしまうのではないかという御指摘の点でございますけれども、私どもといたしましては、現在のエネルギー政策上の役割からいたします国内炭の位置づけといたしましては、需要業界とのいろいろなやりとりの中でおおむね一千万トンという体制ができたわけでございますので、企業努力、需要家の協力、それに政府支援という三本柱でその一千万トン体制を実現していくように努力をしていきたいと考えております。しかしながら、具体的にその生産をどうするかは企業、経営者の問題でございまして、当然のことながら企業の中で労働組合といろいろその経営についても御相談もあるでしょうし、将来の方向を決めるのは最終的には企業であることは間違いないわけでございますけれども、全体の枠組みとしましてはおおむね一千万トンを達成できるようなそういう枠組みで政府支援をしていきたいと思っております。
  163. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 前半を聞いておるのと後半となると、また少しニュアンスが変わってくるわけですが、最終的にはお話のありましたように、要するに、もちろんそれは企業の自主的な努力、その他これは政府が介入すべき内容じゃないという原則はありながらも、やはり少なくとも答申で一千万トン体制ということが言われている以上はそれを何としてでも維持できるような、そういう意味で、先ほど言われた三つの考え方の中で、行政としてはそういう指導、行政を行っていく、こういうふうに一応理解していいですね。  それでは次にお尋ねしますが、今回の答申の中でなだらかな閉山、集中的な閉山を避けるということでなだらかな閉山という言葉が使われているわけでありますが、なだらかな閉山の中で、五年後には一千万トン体制にまで生産規模縮小するということでありますが、それならばやはり当然、それは企業がすべて判断することかもしれませんが、しかしなだらかな閉山に持っていくための具体的な実行計画というかそういうものがやはりないことには、ただなだらかな閉山と言葉は言われておっても、企業自身でもうやめたということになってしまって、集中的な閉山が発生する可能性なしとしない、そういうことも考えられるわけであります。そういう意味では、なだらかな閉山という形に持っていくために、エネ庁としては行政指導の方向でそういうものを何らか考えながらやっていくのか、これはすべてもう業界任せで一切、タッチするという言葉はちょっとあれですが、やはり業界にすべて任せてそういうものをさせるのか、やはりこの点は私、非常に大事な問題だと思うのですがね。  したがって、この前からこの委員会でも、幻の閉山計画ということで、新聞で報道されまして、いや、そういうものは実際通産は一切タッチしてない、知らないと。しかし、マスコミ、あらゆるものが政府閉山計画によれば、こういうことでもうNHK自身がはっきりニュースの中で、政府閉山計画によればという言葉を使って発表しているわけですから、いかに委員会で否定なさっても、全体的にはもう政府が何らかのそういう、あのときにも幻の閉山計画と言われましたけれども、ある一定の指標というかめどというものを持ちながらやるのかなという感じを強く持つわけでありますが、このなだらかな閉山、集中閉山を避けるという意味で、行政当局としてはどのような行政指導をなさるおつもりなのか、この点いかがでしょう。
  164. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 先般一部報道が報道いたしました政府閉山計画というものは存在しないわけでございまして、その点につきましては当委員会におきまして私どもの大臣から明確に否定申し上げたところでございます。  しかしながら、今先生の御指摘の、今後なだらかな閉山をどのように通産省として考えているのかという点につきましては、私どもとしましても、先ほど申し上げましたように、生産業界の自己努力に加えまして、需要業界協力、それに政府支援という三本柱で何とかこの一千万トンの枠組みを達成していくという考え方でございまして、そのために具体的には毎年の需給両業界の話し合いによりまして、電力、ガス以外は当座需要規模が決まってくるわけでございますけれども、そういった場合にも一方において集中的な閉山が起こらないようにというのを一つの基準といたしまして、他方、需要業界といたしましては、本来経営が苦しいあるいはコストダウンを図らなければいけない事情の中を、エネルギー政策あるいは地域雇用政策の上から国内炭生産に協力をするという観点からすれば、やはりぎりぎりの協力をしていくという態度があるわけでございます。そういう意味で、なだらかな閉山確保していく、なだらかな縮小確保していく、あるいはぎりぎりの協力確保していくという、そういう両面の指針をベースにいたしまして毎年話し合いをいたしまして、最終的にはやはり国の合理化実施計画の中にその旨が反映されてくるということでございまして、毎年毎年の枠組みは石炭鉱業審議会中心に議論をされるわけでございまして、決して小渕先生がおっしゃるような企業の勝手に任せるということにはならないわけでございます。やはり審議会、それからそれを支えますあるいは事務局としての通産省、それからまた私ども炭鉱業を所管する立場から、先ほど来申し上げましたそのなだらかな縮小でおおむね一千万トンにいく、そういう体制について十分注意を持って年々の需給計画を決めてまいりたいと思っております。  ただ、個々の閉山であるとかあるいは縮小というものはあくまでも経営者の判断ということになろうかと思います。
  165. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 本日一斉にマスコミに報道されておるのは、通産省が今回の石炭関係の概算要求大蔵省要求した内容が出ていますが、これによりますと、来年度、六十二年度は閉山は二つ、ざっと百四十万トン、閉山交付金が八十億、こういうのが新聞で報道されておりました。二つの山が年間百四十万トンということであれば、大体どこかすぐわかると思うのですが、いずれにいたしましても、このようになだらかにそういう縮小をたどるためには、場合によっては、もし集中的に閉山という事態の発生が予想される場合には、政府としては何らかの形で行政的な指導をし支援しながら、やはり年に少しずつということで、なだらかにという形で、何としてでもこれだけはやはり集中しないように政府としては努力していく、こういうふうに理解していいですかね。
  166. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 ただいま先生お話のございました二百万トンというのはあくまでも予算の積算の根拠でございまして、実際にはそれは個々の企業の判断の問題になるわけでございます。今後その一千万トンに向けて、それを確保するように行政指導をするのかという点でございますけれども、私どもとしては、枠組みとして一千万トンが達成できるように政府としても支援をしていくわけでございますけれども、一方において、企業最大限努力あるいは親企業、関連グループも含めての企業も我々としては求めていかなければいけないわけでございます。そういう中にあって、最終的に企業がどういう判断をするか、それは最終的には企業の、まさに基本的な経営の方針にかかわる問題であろうかと思うわけでございまして、私どもとしては、企業としても最大限努力をして一千万トンを達成するように、企業の側でもそういうラインで行動することを期待しているところでございます。
  167. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 例えの話で恐縮ですが、しからば、六十二年度の、現在通産省大蔵省要求したこの新聞報道の記事ですね、閉山、二つの山で百四十万トン、閉山交付金八十億円、減産する企業に対しては安定補給金の加給金をやるとかいろいろ数字が出ていますが、この報道は間違いないわけですね。その点いかがですか。
  168. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 閉山する山につきましては、現在の千七百万トンが六十六年には千万トンになるという機械計算の中で平均的に割り振りまして、毎年の減少量を二百万トンというふうに置いたわけでございまして、それを閉山と減産は百四十万トンと六十万トンというふうに割ったわけでございます。  なお、この閉山について、いっするかという時期の問題が予算要求上必要になってくるわけでございますので、これも機械的に年度央に閉山が行われるというふうに置いております。  したがいまして、百四十万トンの山が閉山をしたとしても、年度央の閉山でございますので、減産量としてはその半分の七十万トンになりまして、トータル二百万トンを減産するという関係からまいりますと、年度央の閉山によって七十万トンの減少、それから減産によるものが六十万トン、そのほかに中小雑炭等の減少によって七十万トンがさらに減少するであろうということで、二百万トンを見込んでおります。  その場合の閉山に伴う解雇者の人数が閉山交付金関係してくるわけでございますけれども、これも現存十炭鉱雇用されております人数と比例して計算をして、仮の姿で出しておりまして、おおむね二千人ぐらいというふうになっております。
  169. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 角度を変えて、ちょっと時間がございませんので。  この産炭地域の中で、現在生活保護世帯数が総計で幾らなのか。これはたしか質問の予告をしておったと思いますので数字が出ておると思いますが、大体私どもがいろいろ仄聞しているところによりますと、やはり閉山になった産炭地域での生活保護世帯が非常に一般水準より高いということを聞いておるわけでありますので、参考までに世帯数と大体年に支払われる金額等がおわかりであれば、それをちょっと説明いただきたいと思います。
  170. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 厚生省の調査によりますと、全国の産炭地域市町村の生活保護世帯の総数でございますが、五十九年度の月平均で十一万八千百八十四世帯というふうになっております。このうち、現存炭鉱のございますいわゆる炭鉱所在市町でございますけれども高島炭鉱高島町も含めまして五十九年度月平均で九千三百九十一という数字になっております。  なお、生活保護費でございますが、全国ベースで六十一年度約一兆九百億ということで承知をしておりますけれども産炭地域市町の生活保護の総数は集計はしてないということでございまして、全体を把握しかねている状態でございますが、当省の調査によりますと、例えば三池炭鉱のございます大牟田市においては七十五億円程度支払われている模様でございます。
  171. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 労働省にお尋ねしますが、このたびの第八次の答申で、特に閉山後の諸対策についてはそれぞれ答申の中にもいろいろ触れられておりますが、特に雇用行政を預かる立場の労働省として、今回のこの第八次答申に盛られた閉山後の対策の中で、労働省関係として従来よりも少し前向きにいろいろ取り組んでおられる考え方、取り組む姿勢といいますか、そういうものの中身がありますれば、そういった点について御説明いただきたいと思います。
  172. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  先ほどからもお答えいたしておりますが、十一月十八日に、これは高島閉山等伴うのを見越しまして、石炭鉱業につきまして特定不況業種として指定させていただきました。これの指定によりまして、従来の炭鉱離職者臨時措置法に基づきます離職者対策に加えまして、雇用調整助成制度活用が可能になってきた。また、離職した場合に黒い手帳はそのままでございますが、黒い手帳で従来失業給付最高三百日のものがあったわけでございますけれども、これが失業給付の方で九十日の延長が行われた、手帳の枠内は同じでございますけれども。そのような措置離職者に対してもとられる。それから、これによって従来手帳がなくてもその周辺の、いわゆる石炭鉱業と見られる関連従業員または失業者に対しての対策もとられるということになっております。  これらをあわせまして、一段と手厚い対策にしたわけでございますが、さらに炭鉱離職者臨時措置法に基づきます再就職促進の施策につきましては、現在その充実強化について検討をいたしておりますが、いずれも現行法の枠内で対処し得るものというふうに考えておりますので、先ほど部長の方からも答弁いたしましたけれども、来年の三月三十一日で期限切れになる炭鉱離職者臨時措置法については廃止期限の延長を実施したいというふうに今考えている次第でございます。
  173. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 高島閉山に伴って、特に緑の手帳といいますか、ああいった対象が新しく、ああいうふうな条件が出そろったということは、特に関連業界の人たちに非常に感謝されております。そういう意味で、従来の実績の上に立った可能な限りの法の運用をできるだけやっていただきたいと思うわけでありますが、その中で、これは私どもあちこち不況地域を回って言われるのですが、今回の不況は従来とちょっと質を異にして、非常に広範にわたっていろいろな業種が重なり合った不況による雇用情勢だ。恐らく失業率ももうすぐ三%を超えると思いますが、そういうような非常に特定の地域の中でそれぞれ重なり合った関係における雇用不安の状況にあるわけでありますので、今回はもうやはり何らか、一定の期間だけに限ってでも、特例、臨時的な事業を興して就業させるというようなことを思い切って考えないことには、何tしても今のそういう雇用その他の法律だけでは救えないのではないだろうかというような声を真剣に各業界から聞くわけでありますが、その点について労働省としては、従来の労働対策からいっても、そこらあたり、これはかなり慎重になっておられると思いますが、今回の場合はぜひそういった思い切ったものも含めて雇用対策考えないといかぬのじゃないかという気がしてならないわけでありますが、せっかくお見えでございますので労働大臣にそこらあたり含めて御見解をお伺いしたいと思います。
  174. 平井卓志

    ○平井国務大臣 大変御心配いただきまして、従来の発想、枠組み、そのような諸施策、諸手当てでもって、今回非常に多業種、また地域に偏っておる雇用問題を解決できるかということになりますと、私も多大の疑問を持たざるを得ない。雇用調整その他いろいろ不安が出ておる問題は、現時点でとまるわけでございませんで、今後さらに日米関係、世界の貿易内部における日本のしかるべき地位等々考えますと、年が明けましたらさらにまた容易でない事態ではないか、こういうふうに考えております。  したがって、今委員仰せのような形で特例的にでも考えられぬか。これはいろいろ発想の転換も必要でございますが、午前中にも御答弁申し上げましたように、せっかく総理御自身の発想で政府・与党幹部によって雇用対策の推進本部というものができました経過の中には、そういったような問題も特に含んでおりまして、今後どういう結論が出まするか、できるだけ早目に従来の枠を超えた緊急の、さらに大型の景気浮揚ないしは雇用対策が必要でなかろうかというふうに考えております。公共事業、例えば財政出動と申しましても、過去の経過を振り返ってみて中身に必ずしも問題なしといたしませんので、そういう点も勘案しながら、こういう際は思い切った財政の出動が特例としてどうしても不可欠でないかというふうな考え方に立っておりますので、今後その方面で積極的に施策が成就するような努力をいたしまして、万全を期してまいりたいと考えております。
  175. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 過去の経験並びにやはり新しい発想等を取り込んで、特に非常に難しい、労働省にとってはいよいよ来年度は大変な年になるかと思いますが、ひとつ実のあるものに、実効性あるものにぜひ御努力お願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  176. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、児玉健次君。
  177. 児玉健次

    ○児玉委員 私ども委員会の審議に労働大臣がおいでになっておりますから、私はまず雇用の問題、失業の問題から入りたい、こういうふうに思います。  私どもの方で多少独自に調べたものも含めまして、日本を代表する幾つかの企業、そこの人減らし合理化の計画、それを五つに限定してちょっと御紹介をしてみたい、こう思います。  石川島播磨重工業、早期の勇退、転職援助などで七千人を早期に削減する。新日鉄、十二月から一日二千人を一時休業にする、九〇年度まで一万五千人を削減する。神戸製鋼、八八年度までに出向などで六千人を削減し、十二月から一時休業に入っている。これはいずれも西暦です。  日産自動車、五千人を販売会社に出向させる。三菱炭鉱業、高島です、八百六十六人の鉱員と下請労働者七百五十人、これが解雇された。  きょうの午前中の質疑の中で労働大臣は、大型の雇用不安は石炭だけではないというふうに言われました。確かに私たちもそう思います。  そういう中で通産省が最近出された主要業種の動向について大変興味深く拝見いたしました。通産省のこれによれば、過去一年間で二万人が既に削減をされている、製造業に関しては戦後初の本格的な雇用調整段階に入っている、こうも指摘をされています。  そこで通産省労働省にお伺いしたいのですが、そういった中で経済審議会経済構造調整特別部会が十二月一日に中間報告を発表いたしました。ここでも筆頭の方は前川春雄氏です。仮にこれを新前川リポートというふうに言いましょうか。その中で中間報告はこう言っております。「構造調整が進む過程において、雇用企業経営、地域経済等の面で摩擦が生じつつあり、国民の間には将来に対する不安を持つ向きもある。」こう述べて、次の部分で「我が国が直面している構造調整過程で生じる困難に対しては、政策的対応を含め」云々と言って、そして「構造転換を円滑に推進することを目指すべきであり、この構造転換を避けるべきではない。」国民の中にどのような不安があろうとどのような雇用経済の摩擦があろうと構造転換を避けるべきでない。ある意味では突撃ラッパを鳴らしています。こういった認識は通産省労働省の御見解と一致しているのかどうか、まずそれからお伺いしたいと思います。
  178. 杉山弘

    ○杉山政府委員 お答えいたします。  御指摘産業構造転換問題につきましては、我が国経済の置かれております特に対外的な膨大な不均衡が存在をしているという事態から考えますと、中長期的にはこれを進めていかなければならない、こういうふうに承知をいたしております。ただその過程におきましては、御指摘のような雇用地域さらには下請中小企業等への各種の摩擦も想定をされますので、そういった点につきましては政策的にきめの細かい努力をしてできるだけ摩擦を少なくしていく、そういう面に政策的な努力を集中すべきもの、かように理解をいたしております。
  179. 平井卓志

    ○平井国務大臣 ただいま御指摘の点、考え方によって大変難しい問題を含んでおるわけですが、戦後四十年の経済成長の基本政策は外需依存型であったことはこれは否定できません。特に、それだけの技術革新をなし、また設備投資をし、資源のない国でございますから貿易立国として今日までやってまいった。やはり物事はおのずから限界がございまして、貿易摩擦なる言葉で日米間、ヨーロッパ含めていろいろ問題が出てまいった。今日的に見ると、GNPも世界の第二位なら、さらに貿易量も世界の一割。いま一つ、私はよく申し上げるのでございますが、いつの間にか世界一の債権国になってしまった、問われるべき責任も非常に大きい。  それで、御案内のような経過で今のようなレポートが出たわけでございまして、経済構造の調整と申しましょうか、言葉はいろいろございますけれども産業構造も転換せざるを得ない。好きこのんでやるわけではございませんで、相当の出血も伴う、時間もかかる。そういうことになりますと、できるだけ犠牲を少なく、出血を少なくするためには、俗に言われております思い切った内需の拡大という、内需面のパイを大きくしませんと、どこかにしわ寄せが参るということで、政府は総合経済対策として内需振興のために政策を打ち出しておるわけでございますが、基本的にはこの産業構造の転換、追い詰められてやるという言葉は私は好きではございませんが、これは日本経済の今後のあるべき姿としてやむを得ないものであるというふうに考えております。
  180. 児玉健次

    ○児玉委員 今、日本の経済全体で非常に深刻な失業、雇用の問題が起きている、この点では認識が一致していると思うのです。  そこで、今、大臣がおっしゃった出血の問題なんですが、だれが血を流すのか。血を流すのは、社会的な弱者がこの経済構造調整の中では血を流していくということになる。それは常に労働者の側である。  そこで、私は先ほどの通産省のお答えも含めて重ねて言いたいのですが、この産業構造調整、そこで職を失って社会に出ていく労働者、そういう方々、その中で一番再就職の困難なのは、けさ来の論議の中でも繰り返し指摘されてきている炭鉱労働者だと思うのです。なぜか。第一に平均年齢が高いです。四十歳、五十歳。そしてもう一つは、失業が生まれている地域は、日本における最も雇用が困難な場所です。労働省よく御存じの有効求人倍率が最低のところでこの問題が起きている。そういう中で集中的な、雪崩的な失業、雇用不安、これを解消するに足る有効な政策的対応がどのようなものでなきゃならぬのか、ここが今政治に問われていると思うのです。中長期についても私たちは言いたいことがいっぱいあります。しかし、時間がないからそれはやめておきましょう。  そういった中で大企業の海外への進出が今問題になっております。例えば八六年版の通商白書では我が国企業の国際的経営展開と国境なき経済活動、この問題が大いに謳歌されている。  そこで伺いたいのですが、海外における日本企業雇用者数と国内における完全失業者の数、一致はしておりませんけれども深い相関関係があると思うのですが、この点はどうでしょうか。
  181. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいま手元に資料がございませんので、我が国企業が海外に進出します場合の現地の雇用者数というものを明確にお答えできませんで恐縮でございますが、現在までのところ私どもが承知をいたしておりますところでは、我が国企業が海外に進出をしたがために国内で失業が起こっている、先生おっしゃいますように海外での雇用増が国内での失業増に見合っている、こういう事態ではないのではなかろうかと思います。  ただ、いろいろ御指摘がございますように、最近の円高によりまして我が国企業の海外進出というのはかなり加速されております。国内的には円高デフレということで御指摘のように雇用問題が出てきております。そういう中におきまして海外進出というのがこれまで以上に加速されてまいりますと、今度は国内におきましては一層の雇用不安、雇用機会の喪失といった事態が起こるのではないか、こういう懸念が出てまいります。こういった点につきましては、先ほど労働大臣からもお答え申し上げましたようなことで、まず第一には、日本経済の運営につきましてできるだけ内需を中心として高目の成長を維持していくということと同時に、新しい技術開発の成果を生かした製造業の分野とかさらには新しい国民のニーズに即したサービス産業の育成といった面を通して雇用機会をつくり出していく、こういった政策的な努力をしていくべきものというふうに理解をいたしております。
  182. 児玉健次

    ○児玉委員 先ほど来の質疑を大変興味深く聞いていたのですが、労働大臣は、これまでの政府が出してきたいわゆる雇用対策、公共事業も含めて、それらが有効に働いていた部分と、それから一部についてはやはりこういった深刻な時期にさらに検討を進めなければいけないところもあるかと思うと、そういう趣旨の御答弁を何回かなさっていたと思うのです。  そこで、時間の関係もありますし、この御答弁をいただいたら御多忙でしょうからそちらに行ってくださって結構なんですが、ここまで失業の問題が深刻になっている、有効なそれに対する政策的対応がない、この点は前川さんですらと私はあえて言いたいけれども、不安を持つ向きがあるのだという形で表白されているのですよ。そういう中で、この雇用対策について言えばかなり思い切った視点が必要ではないだろうか。例えば北炭夕張新鉱の閉山の問題がございました。そのとき労働省は御苦労になって、いろいろ新しい知恵も工夫もなさりながら黒手帳なども出されました。しかし、夕張では、黒手帳の期限が済んでなおかつ今職を求めているかつての北炭新鉱労働者が何百人かおります。  そういう中で、この際、日本の経済全体として言えば、思い切った労働時間の短縮と週休二日制それから大企業の人減らし合理化に対する政府としての一定の規制、そして海外への雇用。今労働省のお答えがありましたが、私は一致しているとは言ってないので、相関関係がある。これはもう事実は頑固でして、見事な相関関係があります。海外雇用に対する雇用賦課金、これは今制度がありませんが、そういったものにまで踏み込んで雇用失業対策をつくる時期に来ているのではないか。とりわけそれを最も急いでいるのが国内の石炭産業だと考えるのですが、大臣の御見解を承りたい、こう思います。
  183. 平井卓志

    ○平井国務大臣 御指摘のように、いろいろな御議論の中で従来の雇用不安といささか形が違うではないかと。うまくいった場合はこれは考える必要がございませんので、あらゆる対策が功を奏さなかった場合に雇用不安が広がってまいりますと、これはまた世に言われる社会不安につながる。これはどうしても政治として黙視してはならぬところであります。  そこで、ただいまいろいろ御指摘、御示唆をいただいたわけでございますけれども労働省雇用に対する従来からやってまいった一つの枠組み、またその対策、おのずから限界がございまして、私が特に申し上げたいのは、先ほど来御答弁申し上げておりますように、このたび雇用対策本部というかつてない組織ができて、これはもう容易ならぬ事態であるという認識のもとに本部長に総理がなられて、これから抜本的に対策を練っていこうということでございまして、残念ながら、労働省の従来の対策というのはやむを得ない一面もございますけれども、どうしても雇用問題に対してはある角度から見れば受け身にならざるを得ない。雇用不安が出てまいる、調整される、そこで労働省が乗り出す。ところが、御指摘ございましたように非常に大きい経済構造の調整を迫られるような、ある意味で日本の産業界、経済界にとって大きな転機とも言われるような中での構造不況業種、さらには地域に対する非常な雇用不安等々を考えました場合、これはもはや労働省の従来の枠組みだけでは解消できないだけの見通しを持たなくちゃいかぬのじゃないかというのが私自身の考えでございまして、ずばり申し上げれば、基本的には、思い切ってどこまで内需の拡大ができるだろうかということがやはり基本政策でございませんと、パイを大きくした中でないとどうしても構造の転換に対するそういう雇用不安というのは到底吸収できません。したがって、思い切った内需の拡大をやる。そこで不可欠に表裏一体となって一本筋の通った産業政策なるものがくっついていかなければならぬわけでございまして、そういう間にあって労働省のすべての政策は、そういう雇用を配慮しながら、さらにはそれを中心に置いての政策として実行できるように、それなりの手だて、またあらゆる法律整備等々を考える時期ではなかろうかということが私の物の考え方でございまして、そういう意味で、今回の対策本部においても、労働省は何をやっておるかということだけではございませんで、労働省がやった施策の上で、国の総合政策としてこの雇用対策にいかような有効な手段としてどういう対策を打ち出すかという結論がございませんと、なかなか先行き、来年春ごろになりますか秋ごろになりますか、私どもが心配いたしておりますのは、決め手を欠いたままずるずると雇用不安が広がるということは絶対回避しなければならぬという観点に立ってただいま急いで検討を進めておるところでございます。そういうふうな形で今後でき得る限りの範囲で万全を期すべく努力をいたしたい、かように考えております。
  184. 児玉健次

    ○児玉委員 じゃ、次の問題に移ります。  この後の国内の石炭産業をどう考えるか、国内炭の需要確保という点が最も肝心の点だと考えるわけです。十二月二日の参考人の皆さんの御意見を伺っていても、いろいろ政府が八次策に基づいてやっておるが、雪崩閉山の危険性を感ずるという趣旨の御発言もあったように私は受けとめております。  そこで、国内炭の需要の確保と拡大という観点からお尋ねをしたいのですが、最近ある新聞の報道の中で、電気事業連合会が国内炭一千万トンの配分を協議した。その中で、これは一つの例でしょうが、北海道電力について六十二年度は九十万トンを減らして国内炭の引き取りを三百六十万トンにする、その削減分は常磐共同火力と電源開発などが引き受ける、こういうふうに報道されておりますが、通産省はこのような動きについて御承知でしょうか。
  185. 野々内隆

    野々内政府委員 電力業界につきましては、六十二年度に約一千万トンの国内炭の引き取り協力をするということになっておりまして、電力業界では、現在この引き取りに関しまして、大幅な内外炭価格差による負担の平準化を図るために引き取り量の調整について検討がされているというふうに承知をいたしておりまして、具体的には、北海道電力が六十一年度に比べまして国内炭の引き取りを九十万トン削減をする方向で検討されているというふうに聞いております。ただ、その場合、どの電力が幾らこの九十万トン引き受けるかということについては、まだ検討中ということであって、私どもとしては承知いたしておりません。
  186. 児玉健次

    ○児玉委員 十二月五日に私、北海道電力に行きまして、燃料と火力のそれぞれの責任者にお会いしたのですが、その段階ではその方々は、いろいろ部内では論議をしているが、外部に対してこのことを表明したことはないというふうに述べているのですが、今の長官の御発言とどうもちょっとそこのところが難しいのですが、どうですか。
  187. 野々内隆

    野々内政府委員 本件は、電気事業連合会の中で北海道電力の負担を減らすということについて議論が行われておりまして、その結果こういう方向になりつつあるという報告を受けております。
  188. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、これまでの論議の経過から、苫小牧の東部厚真一号機、二号機の問題について私は改めてここで若干の問題を提起をしたい、こう思うのです。  苫小牧東部の開発というのは、北海道民の世論が二分した非常に重要な問題でして、そこに北海道電力の石炭専焼の火力発電所をつくる、大いに議論がありました。そういった中で北海道電力は、周辺の苫小牧市に対してこの厚真の一号機をつくることについてさまざまな協議を行い、苫小牧市との間で幾つかの条件で合意をいたしました。それは昭和五十年に市長の名前で市議会に提起されたわけですが、例えば「冷却水には、水中生物への影響考え、塩素ガスなどの殺菌用薬剤を添加しないこと。」こういう約束だとか、「東部工業地帯における現存する樹林などの保全、湖沼群河川などの自然環境」の保全、これらについて十分配慮するとか、そういう条件の中に厚真一号機で使う、「発電所に使用する石炭は、高カロリー低いおうの道内炭を使用すること。」と明確に協議をし、合意をしているのですが、この点について通産省は御存じでしょうか。
  189. 野々内隆

    野々内政府委員 昭和五十年当時に北海道電力が地元にどういう文書でどういう約束をしたかということについては、通産省は直接関与していないわけでございますが、その後エネルギー情勢等の変化に伴いまして、このような国内炭利用問題というのが非常に大きな問題になっているというようなことは、私どもも承知いたしております。
  190. 児玉健次

    ○児玉委員 一号機については、この前この委員会で論議をして、北海道電力自身も、こういった条件で一号機を設置したことについては、この十二月五日、私との話の中でその事実を率直に認めて、公益性の非常に高い電力会社としてその社会的責任についての言及をしておるわけです。一号機の協議が行われるときにこういうことが論議をされている。「苫小牧東部に石炭専焼火力発電所を新設する必要性について住民の理解を得るよう努力すること。」昭和五十年の段階で苫小牧市と北電の間でそういう話し合いがされて、それに基づいて昭和五十五年の十月「苫東厚真発電所二号機の計画と環境保全について」、こういう文書が出されました。この文書に基づいて北海道電力は周辺の町村に説明をした。その中で「燃料計画」という部分がありまして、「燃料の種類 石炭を使用します。燃料多様化により主力は海外炭となりますが道内炭も使用します。」こういうふうに述べている。厚真二号機で道内炭を使用したことがあるかどうか、そのことについて伺います。
  191. 野々内隆

    野々内政府委員 二号機について道内炭を使用したという報告は受けておりません。
  192. 児玉健次

    ○児玉委員 そうなりますと、電力会社の社会的な責任として、私はこの文書をあるがままに読むわけですが、「燃料多様化により主力は海外炭となりますが」、こう書いてあることを私は忘れません。「道内炭も使用します。」こういうふうに述べている以上、北海道電力は昭和五十五年におけるこの約束に対して相応の責任を負うべきだと私は思いますが、その点どうですか。
  193. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘環境計画書には「燃料多様化により主力は海外炭となりますが道内炭も使用します。」とあり、それからその後、五十六年四月に提出されました「修正環境影響調査書」によれば「二号機に使用する石炭は主として海外炭であり、産地、銘柄が多種にわたることからその性状も広い範囲に及ぶため」云々というふうになっておりまして、主として海外炭になるということを言っておるわけでございます。  それで、主として海外炭と言ったというのはどういうことかというふうに考えざるを得ないわけですが、北海道の石炭産業を振興するために、当然供給余力がある場合には北海道炭を使用することがあるということをここで述べていたものというふうに考えられるわけです。  ただ、お考えいただきたいことは、その当時は第二次石油ショックの直後でございまして、世界的に石油需給が逼迫をし、石炭転換というのが大変盛んでございまして、北海道電力におきましても国内炭の調達が極めて困難であったという情勢にございまして、そのために全量海外炭を使用することになったというふうに承知いたしております。その後エネルギー情勢が変化をいたしまして需給が緩んでまいりましたが、その段階では内外炭の価格差が非常に開いてまいりまして、国内炭を使用するということについての経済的負担が大きくなったということで、国内炭を使用することが困難な情勢になったというふうに私どもは理解をいたしております。
  194. 児玉健次

    ○児玉委員 この説明で二号機の設置に同意した周辺の人々が決して納得しません。あなたの今言ったのは解釈であって、昭和五十五年の段階に北海道電力がこのような約束をしたということは事実として残っていまして、その社会的責任は重大です。この点、私たちは引き続いて明らかにしていく、その社会的責任をとるように私たちは努力をしていくということを述べて、時間が来ましたから最後に一つだけお伺いしたいのです。  売上税の問題が今、問題になっております。私たちは、これは明々白々たる公約違反だ、そう考えておりまして、それを認めることはできません。しかし、来年度の予算編成に向けてこれを前提にした作業が進められている、そういった中で国内炭、例えば基準炭価の問題、そういったこととの関連で、この売上税の問題は万一それが実施されたらどのような役割を果たすのか、この点についてお聞きをしておきます。
  195. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘の売上税でございますけれども、現在政府・与党において検討が行われておるところでございまして、これまで明らかになっているところでは、御案内のとおり、前段階税額控除方式の採用による五%以下の課税という内容になっていると承知しております。ただ、現在議論中でございまして、まだ全体の様子が明らかでないわけでございまして、この問題と基準炭価をどう関連づけるかということは現段階で私どもからコメント申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、基準炭価は御案内のとおり石炭鉱業合理化臨時措置法に基づいて実施しているところでございまして、本年度末で期限切れとなるわけでございますが、その延長の新しい法律を御制定いただいた場合にも同じような内容になるとすれば、生産量、内外炭価格差、需要業界の動向等を総合的に勘案して毎年決定されることになるわけでございまして、その段階で仮にある一定の内容を持つ売上税というものができておるとすれば、それとの問題については詳細議論をさしていただきたいと思っております。
  196. 児玉健次

    ○児玉委員 じゃあ時間ですから、これで終わりますが、この後の石炭政策の基本は、国内炭の需要を確保し、拡大することと海外炭との価格差をいかにして縮めていくのか、そこにあると思うのです。そういった面からすれば、この売上税の問題というのは、国内の石炭産業に対する新しい困難な要因になる。私たちはこれをあくまで撤回させるために努力をするということを申し上げて、質疑を終わります。
  197. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十二分散会