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1986-11-21 第107回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十一日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 竹内 黎一君    理事 愛野興一郎君 理事 麻生 太郎君    理事 久間 章生君 理事 古賀  誠君    理事 野田  毅君 理事 中西 績介君    理事 鍛冶  清君       尾形 智矩君    金子原二郎君       北村 直人君    自見庄三郎君       鳩山由紀夫君    松田 九郎君       三原 朝彦君    山下 徳夫君       岡田 利春君    田口 健二君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       藤原 房雄君    吉井 光照君       児玉 健次君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房総務審議官  山本 幸助君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業省立地         公害局長    加藤 昭六君         資源エネルギー         庁長官     野々内 隆君         資源エネルギー         庁次長     見学 信敬君         資源エネルギー         庁石炭部長   高橋 達直君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡松壯三郎君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      小西  亘君         労働省労働基準         局監督課長   松原 東樹君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       新村浩一郎君         自治省行政局振         興課長     吉原 孝司君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     柘植 一郎君         自治省財政局交         付税課長    小滝 敏之君         自治省財政局指         導課長     松本 英昭君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 十一月二十一日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     北村 直人君   松野 頼三君     鳩山由紀夫君   細谷 治嘉君     田口 健二君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     上草 義輝君   鳩山由紀夫君     松野 頼三君   田口 健二君     細谷 治嘉君     ───────────── 十一月二十日  石炭産業維持発展に関する請願(戸田菊雄君紹介)(第一七四一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 十一月十三日  第八次石炭政策の確立に関する陳情書外一件(第一四七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。
  3. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 質問のお時間をお与えいただきました委員長初め理事の皆様に感謝申し上げます。  実は、去る十二日に石炭鉱業審議会政策部会におきまして第八次の答申原案が出されたわけでございます。それを読ませていただきました。関係者皆さん方のこれまでの大変な御努力に対しまして敬意を表する次第でございます。これまで需要業界そして供給業界大変厳しい中で、このような原案をおつくりになったということに対しては大変な苦心の跡が見える答申案だと思います。しかしながら、問題はこの実行にございまして、いかにこれから政府支援をしていくか、その政府支援方法がやや抽象的になっておるのではないか、そういう気が私自身の率直な感想でございます。特に、私は北海道四区選出でございまして、産炭地を抱えております。最近も上砂川あるいは夕張に伺いまして大変に厳しい現状を目の当たりにさしていただいて、彼らの働いておられる現場を拝見して、これではかわいそうだといういろいろな感慨も持っておりますので、そういう立場を踏まえて少し御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞ御理解をいただければと思います。  まず、基本的な問題についてお尋ねしたいのですが、石油の寿命というのはあと三十年と言われておりますが、果たして三十年で終わるかどうかはわかりませんが、あと数十年だと言われております。さらに、原子力の寿命というものも百年はもたないわけでございます。一方、新しいエネルギー政策、例えば核融合におきましてはまだまだ実用化にはほど遠い現状であると言わなければなりません。  さて、この石炭の可採埋蔵量は五千四百億トンと言われておりまして、現在の使われ方をいたしましてもあと百八十年ないし二百年は優にもつものでございます。世界じゅうにおきましては石炭というものの需要はさらに増していこうという時期において日本国内炭縮小という方向を打ち出されたこと、これはエネルギー政策上極めて危険ではないかと思われますので、その件につきまして通産大臣御所感をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  4. 野々内隆

    野々内政府委員 石炭につきましては経済性、あるいは今御指摘のとおり可採埋蔵量世界的に高品位炭だけでもまだ二百年はあると言われております供給安定性、そういうところから大変すぐれた特性を有しておりますので、今後とも電力用中心といたしまして一般炭需要増加が見込まれておりまして、今後石炭需要日本におきましても着実に増加をすると考えております。日本エネルギー政策の指針でございます「長期エネルギー需給見通し」によりましても、総エネルギー需要増加する中で、石炭がその代替エネルギーの中の非常に主要なエネルギーということで位置づけられておりまして、今後とも需要増加するというふうに考えられております。十年後でございます七十年度におきましても、エネルギー需要の中で大体一八%ぐらいというふうにかなり高い需要を見込んでおります。  国内炭につきましては、今回の答申原案でも一定の供給安定上の位置づけというものを見込みながら、ただ従来ほど大きくはないという観点でその位置づけをとらえております。
  5. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 これは四年前のデータで申しわけありませんが、四年前の一九八二年の世界石炭貿易量は二・七億トンでございます。その中で日本最大輸入国でございまして、全体のほぼ三割を占める七千九百万トン輸入しております。日本が現在の答申原案のような方向に進んでさらに国内炭生産を減らしていくようになった場合に、世界におきます日本石炭輸入量割合がさらにふえていくわけでございます。今でもこういう状況でございますのが、石炭貿易の中において日本の輸入する量がさらにふえていくことになると、売り手市場の独占の形になるのではないか、そういう度を強めていくことが海外炭価格を今度は高めていく可能性があるのではないか。試算いたしますと、例えば全国内需要の一〇%程度をこれから常に日本国内生産するといたしましても、それで一万五千円程度価格差があるといたしましても、将来日本国内炭生産をやめてしまうというようなことになって海外炭に依存する率をさらにさらに高めていくことになると、例えば千五百円程度海外炭が上がってしまうと、これは現在の政策の方が全体といたしまして安く石炭国内に賄われていくことになります。そういう意味におきまして、適度な国内炭生産を常にこれから将来長い意味において維持し続けていっていただきたいと思いますが、その辺に関しましてまたお伺いしたいと思います。
  6. 田村元

    田村国務大臣 今回のこの答申原案は、国内炭を取り巻く諸情勢変化を踏まえまして、中長期的な視点に立って国内炭一定の役割を評価しながら、生産規模の段階的な縮小もやむなし、こういうことにしておるわけであります。  諸情勢変化としては、国際エネルギー需要緩和、それから需要業界動向等を含めて幅広い観点を考慮したものでありますから、単に目先の内外炭価格格差のみを理由としたものではないということで、審議会で現在そして未来、それからバランス、財政需給、いろんなことを勘案して出されたもの、このように考えております。ですから石炭を、今長官が言いましたように否定したものではない、石炭重要性を認めつつ、しかも国内炭にも配慮しつつ長い目で計画を立てていったというふうに私どもは聞いております。
  7. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 と申しますと、六十六年度に、例えば一千万トン体制になるといたしましたときに、これが過渡的なものなのか、あるいは一千万トン体制は将来もできる限り維持していきたいということを含めておっしゃっておるのか、その辺の中長期的なお話を伺いたいと思います。
  8. 田村元

    田村国務大臣 既に御承知と思いますが、原料炭に関しては六十五年度で一応打ち切ろう、一般炭に関してはなおその必要性も認めておるということでありますが、次の第九次でどういうように考えるか、それは私どもまだ承っておりません。
  9. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 答申原案を読ませていただくと、今後集中的な雪崩閉山を回避するということが基本的な方針とされております。ただ、この需給見通しを見ますと、相当の貯炭の蓄積が予想されるわけでございます。これによる資金圧迫等によりまして、雪崩閉山の起きる可能性というものがかなり大きいのではないかと思われますが、政府としては雪崩閉山を回避するためにどのような施策をこれからなされていかれるつもりなのか、できるだけ具体的にお話を伺い、教えていただきたいと思います。
  10. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように、今度の答申原案におきまして最大の根本になりました考え方は、段階的な縮小はこの際やむを得ないけれども、集中的な閉山を回避するということでございまして、そのためには石炭業界がまず最大限自己努力をしていかなければいけない、しかし一方において、需要業界にもぎりぎりの協力を得ていくということでございますが、その上に立って政府としてもできる限りの支援をしていくということになるわけでございます。  具体的には、御指摘のようなことで需要が今後減ってまいりまして生産をなだらかに落としてまいりますと、その間に需給ギャップが出てまいりますので、その需給ギャップを全体としてどう受けとめていくかということが大きな問題になるわけでございまして、答申原案にもございますように、過剰在庫対策、その他の対策について政府もできるだけの支援をするようにということでございますので、私ども最終答申を得ましたらば、早速この点につきまして、具体化につきまして財政当局とも話し合いながらやってまいりたい、かように考えております。
  11. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 その過剰在庫対策に関しまして、党内でも例えば需給調整機関を設けるというようなものを望む声が大変に大きゅうございます。このような機構になりますと、民間だけの力では到底無理ではないかと思われます。特に、政府が出資する等を含めて政府主導型で行っていただきたいと思いますが、御所感をお答えいただきたいと思います。
  12. 田村元

    田村国務大臣 過剰在庫対策に関連して需給調整のための機関の設立など、アイデアとしてはいろいろあると思います。いずれにしましても、審議会答申趣旨を踏まえまして早急にこの過剰在庫対策の具体的な内容を固めてまいりたいと思っております。
  13. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 その場合、雪崩閉山危険性というものはいろいろなところからあろうかと思います。おっしゃるような在庫累増等の問題から発する閉山もあろうかと思いますが、ある別の面におきましては、会社等によりましては経営力が、さほど親会社の力が強くない、そういう会社におきましては、ある一つ炭鉱が、それこそ過剰在庫問題等で行き詰まって閉山というような憂き目に遭うときに、連鎖的に雪崩閉山が起きるのではないかという気もいたします。  このような経営的な基盤に問題があるような企業に対して、特に政府が特別の支援を行っていただくというようなわけにはまいらないでしょうか。
  14. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 答申原案にもあるわけでございますけれども、今後、生産集約化を行う過程におきまして、御指摘のように種々のコストアップ要因が予想されておりまして、石炭企業にとって厳しいものになることが見込まれるわけでございます。これらに対しまして、答申原案の中では、まずやはり石炭企業最大限自己努力ということでうたっておりますけれども、一方において政府支援必要性もうたっておるわけでございます。  そこで、今鳩山先生から御指摘のございました親会社経営基盤が脆弱な場合にどうするかということでございますが、この場合においても単に親会社だけでなくて系列のメーンバンク、金融機関等を含む関連企業協力も得つつ、やはり企業グループにおいて最大限努力をしていただくことが基本であると考えております。  こういう状況の中で、私どもといたしましても、これらの自己努力状況を見守りつつ、適時適切に判断をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 次に、北海道におきます産炭地地域振興の問題に話を移さしていただきたいと思いますが、これまでの、特に空知地域におきます産炭地振興実績と今後の展望について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  特に、産業興しの問題といたしまして、スカイトピア構想などというものも出ておりますし、また長期滞在型のレジャーとしての中空知ナチュラル・プレイ・ゾーン構想というものも構想として挙がっておるようでございますが、そのような構想に関しましてどのように実現性をお考えになっておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  16. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 北海道産炭地振興実績でございますけれども、御案内のとおり従来から産炭地域振興臨時措置法体系の中で、地域公団等を活用いたしまして工業団地造成分譲あるいは工業用水の確保、それから進出企業に対します設備資金融資、税制上の優遇措置等を行ってきているところでございます。  これらの実績について、例えば地域振興整備公団によります団地造成状況でございますが、北海道分といたしまして昭和六十年度末におきまして六百十四ヘクタールが団地として完成している、そのうち約七割の分が分譲済みでございまして、約五百の企業が進出し、約二万人の雇用創出を行っているところでございます。こうした従来型の地域振興策に加えまして、今年度からは内発型の産業興しを助成していこうじゃないかということで、産炭地域活性化支援事業と称する事業を進めておるわけでございまして、外部からの企業誘致等に加えまして、内発型の産業興しを進めていくことを支援する考えでおるわけでございます。  御指摘スカイトピア構想あるいはナチュラル・プレイ・ゾーン構想等、いろいろ地元構想が出ておるわけでございますが、私どもとして、これは地元が主体となっていろいろと地域振興策を検討しているということで、まことに結構なことじゃないかというふうに思っておりまして、今後とも私どももこういった動きを支援していくということで、来年度の予算要求におきましても産炭地域活性化支援事業についてはその拡充を大蔵省にお願いしているところでございます。
  17. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 ぜひその辺のことに関します政府の強い御支援をお願いしたいと思います。  特に、北海道内陸部におきましてもし万一閉山というものが起きると、これは単にいわゆる炭鉱従業員だけではなくて、その周辺の商工業者に大変な影響を及ぼすわけでございますが、その辺に対しまして政府といたしましては支援方法を何か考えておられるか、お聞かせいただければと思います。
  18. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今後の生産の段階的な縮小によりまして、直接の雇用者だけでなくて、御指摘のとおり地元の多くの方々が大きな影響を受けるというふうに私ども考えております。答申原案におきましても、雇用対策地域対策必要性がうたわれておりまして、その中で今御指摘のございました地元中小企業への影響についてもその緩和について政府としても所要の措置を講ずべきであるということがうたわれているわけでこざいます。  仮に今閉山という事態になりました場合の商工業者に対する施策でございますけれども、一般的な中小企業対策に加えまして、中小企業金融公庫等による産炭地域における中小企業向け特別貸付制度あるいは産炭地域対策補助金を受けた道県の低利融資制度等があるわけでございまして、また借り入れに対する信用保証制度も備わっているわけでございます。こうした制度を適切に今後とも運用いたしまして、私どもといたしましては地元商工業者に対する対策十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 よろしくお願いいたします。  この産炭地域振興対策にはいろいろな制度があると思います。ところがそういう制度を利用する段になりますと、市町村の中で大分格差が出てまいりまして、すなわち市町村間である程度裕福な市町村でありますと、そういう制度を利用しやすいことになりますが、本当の産炭地の町は大変に資金力が乏しくなっておりまして、利用したくてもできない制度がたくさんあるように伺っております。そういう問題について、資金力の乏しい市町村におきましても援助の、支援の手が届くようなそういう支援をぜひお願いしたいと思いますが、御所感をお述べいただければと思います。
  20. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように産炭地域市町村でございますけれども財政力は非常に乏しいということでございまして、そういった負担軽減を図る観点から、従来から法律の体系の中で補助率かさ上げを行うとともに、いろいろな公共事業につきまして産炭地域臨時交付金制度によりましてその負担軽減を図っているところでございます。ただいま先生からの御指摘も踏まえまして、今後もこれらの制度を適切に運用することによりまして地元の自治体の負担軽減について配慮してまいりたいと思っております。
  21. 田村元

    田村国務大臣 今の御質問とは関係ありませんが、先ほど鳩山君からお話のありました貯炭の問題であります。  今、ちょっと承ったら、鳩山君にとってきょうの質問国会議員としての初質問であるというので、心からお祝いをしたい。そこで少し御祝儀というつもりで申し上げますが、早速御質問の御趣旨を検討させたい、御提案の御趣旨を検討させたいと考えますことは、これは石特委員全員関係のあることでございますが、何とか貯炭管理会社のようなものを国の出資でできないものだろうか、早速今検討を命じたところであります。これは御祝儀として御答弁を申し上げておきます。
  22. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 御祝儀をいただきましてありがとうございました。大変感謝を申し上げる次第でございます。  さらに、産炭地振興対策について前向きの政府支援一つといたしまして、勝手な名前をつけさせていただいたのですが、コールメモリアルファンドというものの創設を提案させていただきたいと思います。  実は、石特の会計を見せていただきますと、どうも従来後ろ向きの支援策が多いんじゃないかという気がいたしておりますが、真に産炭地に明るい芽を出させるためにはこれからもっと前向きの支援をしなければならないのではないかと私は思います。例えば産炭地の中でもバイオやあるいはハイテクなどのものに興味を持っている若者たち、あるいは若者でない方々でもそうですが、そういう方々は結構おられます。あるいは観光というものに関しましても、これは将来産炭地にとっては大変に大事な産業ではないかと思います。そういうことをなさりたいけれども資金力が乏しい、そういう方々のためにその地域開発に大変に役に立つ手づくり町づくりのためのファンドとして、基金としてコールメモリアルファンドというものを提案したいと思います。こういうものができることによって地域に、今までのような形ではなくて、新しい産業を、小さな手づくり産業でいいわけでございますが、手づくり産業発展のために、開発のためにこのようなファンドを提案させていただきたいと思いますが、大臣御所感がございましたら、ぜひお聞かせいただければと思います。
  23. 野々内隆

    野々内政府委員 コールメモリアルファンドという中身、私もよく十分承知いたしませんが、お考え地元振興ということであろうかと思っております。  確かに、先ほど石炭部長が申し上げましたように、内発型と申しましょうか、地元の力でその地域振興が図られるということが最も望ましいことであろうと考えておりますので、まず、私ども交付金の中にそういう活性化支援事業というものを設けまして、まず地元活性化のためのプロジェクトを発見し、計画をつくるというところをお手伝いし、次にそういうものが現実に動き始めるようにあらゆる角度から支援をしていきたいというふうに考えております。ファンドという方法がいいのかどうか、これはいろいろ検討すべき点もあろうかと思っておりますが、いずれにしましても、何とか地元振興ということについてはできる限りの支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  24. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 このファンドに関しましては政府だけでなくて民間に対しても御支援をいただかなければならないと思いますが、そのようなファンド創設を強くお願いするものでございます。  なお、話を方向を変えまして電力の話にさせていただきますと、電力というものは基本的に全国民統一料金であるべきはずのものではないか、そのぐらいの基本的なエネルギーではないかと私は思っております。国の政策によって地域的に国内炭使用量が違うことにより、その地域によって電力料が変わるというようなことは余り望ましくないことだと思います。例えば西ドイツにはコールペニヒ制度というような制度がございますが、そのような制度の導入というものをお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  25. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のとおり西ドイツにおきましては、電力用一般炭につきまして通常の料金一定額を上乗せした課徴金を原資として内外炭価格差の一部を補てんするといういわゆるコールペニヒ制度が採用されていることは私どもといたしましても承知しているところでございます。  しかしながら、各国の政策については、当然でございますけれどもそれぞれの国情に合わせて行うということでございまして、我が国の場合には、さきの答申原案にもございますが、石炭鉱業審議会答申を踏まえてまいるわけでございますけれども考え方といたしましては、電力業界中心といたします関係需要業界理解協力に基づく引き取りにより需要を確保していくという方式をとることが日本の実情に合っていると考えているところでございます。
  26. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 いずれにいたしましても、これから第八次石炭政策を進めていく場合には、政府におきます財源、予算面での大変な並み並みならぬ努力が必要だと思います。政府支援についての決意のほどをお聞かせいただければと思います。  また、その件に関しまして、従来の原重油関税というものは恒久的におやりになって、当てにできるのかどうか。あるいはまた輸入炭課税というようなことも声として承っておるようでございますが、現在、鉄鋼業などを初めといたしまして需要業界も大変厳しい状況でございますので、そういった問題に関しまして、本当に輸入炭課税などは耐えられるのかどうかということも含めまして、決意のほどをお聞かせいただければと思います。
  27. 野々内隆

    野々内政府委員 今後この八次策の実施の過程で財源の確保問題というのは重要な問題であると考えております。答申原案では、今後の財源確保のあり方については、歳出の効率化を前提として、最近の諸情勢変化に留意しつつ、幅広い角度から検討すべきであるとされておりまして、答申が提出されました段階で、政府部内で議論をいたすつもりでございますが、いずれにいたしましても、この八次策の推進のための予算の確保につきましては最大限努力をしてまいりたいと考えております。
  28. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 質疑時間が終了したそうでございますが、最後に一つだけ述べさせていただいて終わらせていただきたいと思います。  例えば、夕張におきましては石炭の技術研究所というものがございまして、これは新しい石炭ガス化発電のテストプラントでございます。このような新しい石炭の技術利用に関しましてお聞かせいただければと思います。この辺に関しましても、国内炭縮小とともに打ち切りということになると、大変に国内石炭の技術の発展という意味においてマイナスだと思いますので、そうならないように、御意見を伺いたいと思います。これで質問を終了させていただきます。
  29. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭の利用拡大を図るための技術開発、これはエネルギー政策の中の重点課題の一つであると考えているわけでございまして、従来から短中期あるいは長期の幅広い技術テーマに積極的に取り組んでいるところでございます。短中期のテーマにつきましては、近年かなり実用化段階に移行しているものもございまして、成果は着実に上がっているものと考えております。  御指摘のございました夕張における石炭ガス化の研究でございますけれども、流動床方式のガス化炉を用いた発電技術の確立を目指すものでございまして、サンシャイン計画のもとで昭和四十九年度以降開発の研究を行ってきているところでございます。このプロジェクトは計画どおり六十二年度で目標を達成することを期待しているところでございまして、その後は、現在設計が行われております別方式の石炭ガス化発電パイロットプラントの研究を支援する要素試験として引き続き実施していく計画でございます。
  30. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 ありがとうございました。
  31. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、北村直人君。
  32. 北村直人

    北村委員 それではまず最初に、大変厳しい石炭情勢の中で第八次の石炭政策原案の取りまとめに御尽力をされました関係各位の皆さんに私も心から深い敬意を表するものでございます。  私もこの原案を本当に注意深く読まさせていただきました。今の段階では、これはあくまでも答申原案である、そのように私も理解をしております。今後最終答申に向けて、本当に皆さんの大きな御審議をいただいて、過言すれば、最終答申の内容はまだ変わり得るものだという認識のもとで、私がこの原案を読ませていただいて疑問に感じていることに対して政府の御所見をお伺いし、また私なりの御要望を申し上げたいと存ずる次第でございます。  まず最初に、私の見識でございますが、第八次の石炭政策の策定に当たって、これまで需給両業界の意見の隔たりは非常に大きいものがありました。そのため、これまで関係者間の調整に大変御苦労をされ、最後は通産大臣みずからが出馬されて合意点を見出されたと理解をしております。その結果が答申案に盛り込まれていると思います。このことは両業界、すなわち石炭業界の今後の努力あるいは需要業界協力程度としてもぎりぎりの限界が示されたものと私は考えております。  これを具体的に申し上げますと、最終的におおむね一千万トンとされる需要の規模、それに至る生産体制集約化あるいはことしの基準炭価、その後原則として炭価を据え置く等々、答申原案に盛り込まれたものについては、両業界ともこれ以上の妥協の余地はないということだと思っておりますが、この私の認識は正しいかどうか、まずその御所見をお願いをしたい次第でございます。
  33. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおり当初需要側、供給側と意見の隔たりが非常にございました。それで七人委員会というものができて、そこで中立委員中心に本当によく協議をしていただいた。特に私が大変感謝をしておりますのは、みずからが合理化等で非常に苦しんでおる鉄鋼業界がよくあれだけ買ってくれたと思います。私も御依頼を受けて鉄鋼業界に手をついてお願いしたわけでありますが、よくあれだけ買っていただいた、本当に心から感謝をしております。その御恩返しは一生懸命にまた行政の面でしなければならぬと思っております。  そういう意味で、今おっしゃったとおりまさにぎりぎりの線、率直に言って、苦労いたしました私自身の口から申してもよくあれだけやっていただいたと審議会に感謝をいたしておる、ぎりぎりの線が出たという感じでございます。
  34. 北村直人

    北村委員 私の認識が正しいとすれば、それでは具体的にまた御所見をお伺いしたいと思いますが、この答申原案が書かれる前提としてことしの基準炭価を是正をしていただいたわけでございます。すなわち、本年度の炭価が原料炭で千円の引き下げあるいは一般炭で五百円の引き下げと決定をした。そして今後は原則としてこれを据え置くということでございますが、現状の各炭鉱はそれぞれ千円前後あるいは多いところでは二千円前後の赤字を抱えて石炭を掘っているわけでこざいます。そうしますと、千円あるいは五百円の引き下げ自体が経営の圧迫になるばかりか、今後の石炭産業が、いわゆる掘っていく場所が深くなっていく、そのために保安経費の増大ですとか減産によるコストアップなどで資金面あるいは収支面で相当の苦境に立たされるのではないかという懸念がされるわけでございます。そのために政府として、例えば今まで出されております安定補給金ですとか保安補助金、こういうものを何とかかさ上げをしていただいて、基準炭価に対して国が何らかの形で擁護する。本当にぎりぎりの線をしていただいているというふうな大臣からのお言葉でございますので、この基準炭価是正にかかわる国の助成策について、大臣からお言葉をいただければ大変ありがたいと思います。
  35. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、私どももでき得る限りの御協力を申し上げたいというふうに思っております。  答申原案では、生産体制の円滑な集約化を図るために、政府においても、さぞかし厳しい財政事情ではあろうけれども石炭企業最大限自己努力を補完するという観点から、過剰在庫対策閉山対策地域対策雇用対策等について適切な支援を行うことが必要である、こういうふうに審議会は我々に求めておるわけであります。この審議会答申原案、これはまた正式に答申されるわけでございましょうが、この御指示に基づいて、我々は今おっしゃったような気持ちででき得る限りの協力をしていきたい、しかも、それはあらゆる角度からしていきたい、このように思っております。例えば公共事業の傾斜配分の問題でもそうでありますが、率直に言って北海道の場合は積寒地帯でありますからこれが思うように任せない。それでも建設省等にお願いして可能な限りのことはしてもらうことにしておりますけれども、あらゆる英知を結集して取り組んでまいりたい、このように思っております。
  36. 北村直人

    北村委員 それでは、答申原案に一度入ってみたいと思います。  原案の三ページに「基本的な考え方」という項がございます。これが本答申の骨子とも言うべき内容になっていると思われます。  第一は、「国内炭一定の役割を果たすべきことを評価」する、こう書かれております。このことは、最終一千万トンの需給体制を確保するということだと思います。最終の一千万トンに至る途中の生産体制、つまり、第八次の期間中の各年次の需要について答申には明確にされてないわけでございます。今後は話し合いによって決められていくというふうに考えられますけれども、期間中の需要の確保については、答申の案にも「輸入割当制度の適切な運用により対処することもやむを得ない」という項がございます。これは、いわゆるIQ制度だと思います。そうしますと、どうしてもこのIQ制度の運用を通産省としては厳しくしていく必要があるのではないか、需要の確保に万全を期すべきと考えますけれども、今通産省の御指導では、大体二〇%が確保されておるというふうにお聞きしております。本年度、原料炭一般炭を含めて約八千万トンの輸入炭、これに対して二〇%、つまり一千六百万トンの国内炭を確保しておるというふうに理解しております。第八次が終わるときにこれが二〇%がいいのか、一五あるいは一〇がいいのか。段階的にこれらをぴしっと運用していかなければ、答申にあるようななだらかな閉山ということではなくて、本当に激変な閉山、集中的な閉山がなされていくのではないかというふうに懸念をするわけでございます。通産省としてこのIQ制度について、ぜひ今までの指導以上の御指導をいただきたいと考えるわけでございますけれども、そこら辺の御所見をお伺いしたいと思います。
  37. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように答申原案におきまして、現在のような国内炭海外炭との内外炭格差が開いている状況におきましては何らかの需給調整措置が必要であり、当面は輸入割り当て制度の適切な運用により対処することもやむを得ないという指摘があるわけでございまして、私どもといたしましても、最終答申でそのようなことが決定されますれば、それを受けまして第八次政策期間において従来と同様に輸入割り当て制度の適切な運用を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、輸入割り当て制度につきましては国際的な観点からいろいろと問題のあるところでございますので、基本的な考え方といたしましてはやはり需給両当事者の自主的な契約に基づいて引き取りが行われるのが本来の姿であるということも答申原案は言っているわけでございますけれども、現在のような内外炭格差が開いている状況においてはまことにやむを得ないものがあるということでございます。  なお、厳格運用につきましては、私どもはこの輸入割り当て制度につきましては需要家、割り当てられる方々理解協力、合意というものがないと実際には運用できないということで、基本的な問題に立ち返って国内炭の問題に関する需要家の協力を得るという観点から、その具体化としてIQ制度を運用していきたいというふうに考えております。
  38. 北村直人

    北村委員 それでは国内炭生産の維持についてお伺いをしてみたいと思います。  答申原案ではおおむね一千万トンの供給規模がうたわれております。この一千万トンの多くは電力業界で使っていただくということと私も理解をしております。しかし、電力業界では八次策以降はさらに縮小をしていきたいという意見が多いようでございます。さきに私ども自民党の石炭対策特別委員会を何度も開かさしていただきました。そこでは八次策以降も国内炭の役割を明確にして一千万トン以上の供給規模を確保しないと石炭産業に希望はなく、八次策の努力のしがいさえなくなる、そういう意見が非常に多かったわけでございます。ですから、八次策以降の需要確保について本当に明確にしていただきたいというのが委員会での一致した意見でございます。私も地元に太平洋炭礦という非常に優良な、優秀な炭鉱を抱えておる身でもございます。ここで働いている人々の希望の火を消すわけにはいきませんし、また特に若い労働力を地元に置いておくためにはどうしても国内炭の一千万トンの供給規模を八次策以降も堅持していただかなければ、優良炭鉱をもこの後閉山に追い込んでいくという事態が懸念されるわけでございます。  そういうわけで、先ほど質問したとおり、IQ制度を堅持していただきながら八次策以降の明確な供給規模を示してほしいというのが偽らざる心境でございます。言いかえれば、一千万トン体制がなければ第八次の石炭政策原案は絵にかいたもちではないか、そんなように言ってしまっても過言ではないのではないかというふうな気がいたします。ですから、この答申原案に、第八次策においては電力用一般炭中心需要の確保を期待し、「最終的には概ね一千万トンの供給規模とすることが適当」と書いておりますが、第八次策においてはでなくて、第八次策以降もというふうにこの原案がもし書きかえをしていただけるのであればこれは大変ありがたいですし、書きかえないとすれば政府あるいは通産省の皆さんの御意見、御見解をお聞きしたい、そう思うわけでございます。
  39. 田村元

    田村国務大臣 石炭重要性につきましては、先ほど来政府委員がお答えをいたしました。また、国内炭に対する考え方政府委員からお答えをいたしました。そこで、この八次審の答申でそれ以降のことも数量的にも書き込んだらどうか、こういう御意見でございますが、端的に言いまして、この審議会答申というのは、何年間と、五年なら五年という一つのラウンドというもので、ワンラウンドでその間のことを決め、あるいは求めていく、こういう制度になっております。でございますから、八次審の成果を踏まえつつ、しかもそのときの環境あるいは需給問題等々、そういうものを勘案して、九次審というものがあるとすればまた九次審で答申考えていく、こういうことになるだろうと思うのであります。  でありますが、私どもとしては、今、私、通産大臣として一番頭の痛い問題は何かといえば、これは石炭です。はっきり言って、もう石炭貿易摩擦です。この二つが一番頭が痛い。貿易摩擦は頭が痛い、石炭は気の毒でたまらぬという気持ちなんです。でありますから、恐らく通産省の役人は皆石炭に対する気持ちというのは私と同じであろうと思うのです。でございますから、そういう我々の石炭に対する、まことにお気の毒にたえない、何とか少しでも温かい手をというような気持ちで今後も行政を進めていきたいと思っておりますが、ただ、今申し上げたように、八次審で遠い将来のことまで数量的に縛っていくということは、恐らくこれは審議会答申になじまないんじゃないかという感じがいたします。
  40. 北村直人

    北村委員 先ほどの八次策で一千万トンあるいはそれ以上というようなことはなじまないということでございますが、それでは、八次策以降の需要の確保について、私なりに御要望を申し上げたいと思います。  答申にありますように、電力炭の需要が第一であるというふうに、今書かれているわけでございます。これは多分私は八次策以後もここに絞られてくるのではないかと思われます。鉄鋼、セメント、パルプというようなものは私的な企業というふうに理解をさしていただく。しかし、この電力というのは非常に公共性の強いものだと思います。そうしますと、電力炭というのは、この公共性の強い電力への石炭は、やはり八次以後も要らないというわけにはいかないだろうというふうな気がいたします。石炭産業をカバーするために、電源開発株式会社というものがございます。現況では約七百六十万トンほどこの電発でとっておるわけでございますが、大体内訳は、外炭が四百三十万トン、国内炭が三百三十万トンというふうにお聞きをしております。しかし、幾ら民間に移行されるといっても、七二・三%政府が株をお持ちでございますので、政府としても、この電源開発株式会社に対してできるだけ国内炭を使ってほしいという御指導がいただけるのではないのかなという気がするわけでございます。そしてそれを使っていただく。そして、先ほど鳩山先生も申したとおり、西ドイツで行われておりますコールペニヒ制度、これを導入していただく。つまり、国民全体がわずかな負担国内石炭を守る。電源開発株式会社が全面的に国内炭をたくことでのコスト高、これをほかの九電が買い付けていただいて、供給限度を超えた場合は、先ほどの電源開発株式会社増加取引交付金のような形で政府が補助あるいは助成をしていっていただく。そういうようなことをすると八次策以降も一千万トン体制がとれていくのではないのかなというふうな気がいたします。  さらには、先ほど大臣からも御答弁がございましたとおり、私は、やはり石炭の販売公社、財団法人みたいなものをつくっていただきまして、流通機構あるいは国内炭を一手に購入、販売あるいは海外炭も購入、販売を、この石炭販売公社のような財団をつくっていただいたところで一括していただく。そういうふうなことをしていただけますと、緩やかな閉山へも結びついていくのではないのかなというふうな気が実はするわけでございます。  そんなようなことを踏まえて、重複をいたしますけれども、ぜひこの財団法人、これはどういう名前になるかは別ですが、石炭販売公社のような財団法人をつくっていただいて、国もそこに出資をしていただく、あるいはNEDOもこれに参加をしていただく、そして公共的な会社として需給のバランスをとっていくことが私は必要になってくるんではないかなという気がいたします。その辺の御所見あるいは御理解をいただけるかどうか、お話を聞かさしていただければありがたいと思います。
  41. 田村元

    田村国務大臣 今の、一手販売の財団法人もしくは株式会社、実は私も聞き始めのことでございますけれども、これはもう思いつきの答えで恐縮でありますけれども、この場合、国内炭だけを一手販売の販売会社をつくるということになりますと、ガット上大変な問題が起こってしまって、日本はほかの問題で報復を食らうというおそれも出てまいります。さりとて、輸入炭全部を含めてということになればこれは大変なことになってくるということでございまして、そこのところはよほど勉強しないと、ちょっと私もすぐにお答えのしようがないという感じでございます。  ただ、だからといってほうっておくわけにいかない。貯炭等についてでき得る限りの努力をしていく。まだ大蔵省に話をしたわけでもありませんし、エネ庁で具体的に検討に入っておるわけではありませんけれども貯炭管理会社のようなものをつくったらどうだろうかというような感じがしまして、今すぐに検討しろと言って命じたところでございますが、そういう面でカバーをしていくというようなことをしたらどうだろうか。  それから、電源開発会社というのは、いわゆる電力会社とは違って卸売屋でございますから、だから、これのコストの問題もあって、ちょっと電力会社とは異質の存在ということになりますので、これを一緒に考えるということはちょっと無理があるのじゃないかという感じがいたします。  それから、電力業界引き取りにつきまして、審議会において第八次石炭政策における石炭鉱業の縮小閉山をなだらかなものとするために、最終年度における供給規模を電力業界の八百五十万トンの引き取り協力を前提に一千万トンという方針が示されたというふうに承っております。要するに、この八次石炭政策の成否というものは、需要業界理解協力がなければできないもの、これに一にかかっております。中でも、需要最大手は電力業界でございますから、この電力業界最大限引き取りが不可欠でございます。でなければ、審議会で示されたレベルは達成できない。でございますから、今の示された八百五十万トンというものは、まさにぎりぎりで、これ以下に削られたら大変。でございますから、私も十一月の七日の日だったと思いますけれども、私みずから那須電気事業連合会の会長にお目にかかって直接頭を下げてお願いして、そして最終的な理解協力をいただくことができました。随分中で激論があったそうでございますが、ようやく御協力をいただくことになりました。今後も電力業界と緊密な連絡をとっていきたいと思っております。  それから、西ドイツで採用されておりますコールペニヒ制度の問題でございますが、これは各国それぞれ石炭生産数量とか労働者数とか、あるいは一次エネルギー消費に占める国内炭のシェアとかいろんな事情が各国によって違いまして、必ずしも日本にこれがなじむかどうか。何か私も、聞くところによると向こうも大分今もてあまして困っておるようでございますが、なじむかどうか、ちょっと私にも判断がつきかねます。
  42. 北村直人

    北村委員 もう時間がございませんので、あと一つほどお聞きをしたいと思いますが、産炭地の自治体と商工業対策ということで自治省さんにお伺いをしたいと思うわけでございます。  炭鉱のある所在の市町村は、仮に、例えば自分たちの町村が大変なことになる、閉山に向かって大変なことになる、そのために、商工業の人方が職を失われたりあるいはそこから離れていかなければならない、あるいは生産が減少するというふうな、そんなような状況に追い込まれたときに、多分市町村の議会では何とかしてやろうという独自の動きが出てくるのではないかと思います。例えば、ある町で救済対策を議会で決めた、これは議会が決めたことですから、自治省は関係ないと言われてしまえばそれまででしょうけれども、しかし、政府として原案にも書かれているとおり最大限努力をするとうたわれておるわけでございますので、もしそういう炭鉱のある所在の市町村が独自に救済措置をするということで、それでも今、自治体が大変な財政の中からお金を出して商工業の方々を救済をしたときに、自治省として自治体に対する交付金、特交、そういうようなものでかさ上げをしてあげるあるいは裏ごしをしてやれる、そういうことをお考えをいただけるかどうか、そこら辺のことをお聞きをしたいと思うわけでございます。
  43. 松本英昭

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  石炭産業対策につきましては、基本的には私どもは国による産業政策によって対応されるべきものと考えているわけでございますが、もちろん先生今御指摘のように、地方行政といたしましても取り組むべき問題は多々ございまして、地方団体がこれに対応いたしました際には、その施策の内容をよくお聞きした上で財政状況等を勘案しながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  44. 北村直人

    北村委員 大臣、大変ありがとうございました。  最後に、私も今回の衆参選挙で、大臣の御指導をいただきながら実は当選をさしていただいたわけでございます。その選挙に際して、大臣あるいは多くの先輩の先生方から、政治とはということで御指導いただきました。政治とは、恵まれない人、恵まれない産業、そして恵まれない地域を潤すのが政治だ、このように大先輩の先生方から実は教えられて今回当選をさしていただきました。  今、石炭は本当に恵まれない産業であり、石炭を抱えておる市町村は恵まれない地域であり、そこで働いている人方は本当に恵まれない人方ではないかと思います。どうか、大臣におかれましては大変御苦労されておりますけれども、こういう恵まれない人、恵まれない産業、恵まれない地域を潤していただけるような御指導を、これからも大きなお力で御指導していただきますように心からお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらしていただきます。  ありがとうございます。
  45. 田村元

    田村国務大臣 御尊父と大変じっこんに願っておりましたこともあって、今の御要望というか御意見を、何かほろりとするような気持ちで伺っておりました。どうか政治家として立派に大成していただきたい。  また、政治家というものは庶民の味方でなければならぬし、そして恵まれない人を助ける助っ人でなければならない。政治家に一番必要なものは、愛情と情熱と行動と決断と勇気であります。これが必要であります。しかし、同時にまた政治家は、単に公僕といって割り切っていくばかりが能ではない。指導者であるというこの気位というものも、また持たなければならないと思います。公僕であると同時に、また指導者であるということも考えていただきたい。  せっかくの、大きなスケールの政治家に成長されることを心から祈っております。
  46. 北村直人

    北村委員 どうもありがとうございます。
  47. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、田口健二君。
  48. 田口健二

    田口委員 私は、長崎一区の選出でありますので、また与えていただきました時間が非常に限られておりますので、高島問題に絞ってお尋ねをいたしたいと思います。  去る十月二十日に三菱石炭鉱業は高島礦業所の閉山について当該労組に提案をいたしました。十一月二十日をもって閉山をいたしたい、そして、そのために全鉱員を二十日付でもって解雇をする、実はこういう提案がございまして、今日まで当該労使の中で話し合いが続けられてまいりましたが、去る十六日の日に当該労組も臨時大会を開きまして、今後、閉山の具体的な条件について話し合うことを確認をいたしました。今、労使の間で話し合いが持たれておるわけでありまして、いよいよ閉山が現実の姿となってあらわれてきておるわけであります。  御案内のように、高島は一町一島一企業と言われてまいりました。約五千四百人の住民のほとんど、一〇〇%と言っていいと思いますが、何らかの形で炭鉱に依存をし、生活をしておるという実態です。したがって、炭鉱閉山になるということになれば、まさに高島町という自治体そのものが、この地上から消滅することにもなりかねない、このように言われておりますし、近隣の市町村にとりましても、また長崎県にとりましても大変深刻な問題になってきておるわけです。  そういう立場で、さらにまた、先ほど来お話がありましたように近く八次政策答申が出されるようでありますが、これが出てまいりますならば、原案の中にも盛り込まれておりますように、段階的な縮小、これはやむを得ないというふうに言っておられますが、私どもの判断からすれば、この原案を見る限りにおいて、段階的な縮小ではなくて雪崩的な閉山が起こり得るのではないか、こういう危惧を持っておるわけでありまして、そういうことになりますと、まさにこの高島の問題はこれからの閉山のいわばモデルケースという立場にもある、こういう実は認識に立って、以下御質問をいたしたいと思うのであります。  最初に、高島の閉山はいわば七次政策中の閉山であります。しかし会社側の閉山理由の説明を見てみましても、部会長の取りまとめの状況を見ても、段階的な縮小が求められている、企業に対しても決断をすべきだ、こういう内容に実はなっておる。高島の場合には第八次の答申を受けて決断をしたいというふうに会社は今日まで言ってまいりましたが、もうこの段階でどのように検討しても八次政策の中で生き残りの展望は出てこない、したがってこの時期に決断をしたんだというふうに企業の側は言っておるわけであります。  そこで、この高島の閉山対策については、これから策定をされるであろう第八次政策の適用を受けることになるのかどうか、まずそのことをお伺いをいたしたいと思います。
  49. 田村元

    田村国務大臣 八次審の原案は示されましたけれども、まだ最終答申に至っておりません。でございますから、私が今ここで具体的にどうこうという答弁をすることは、これは当然差し控えなきゃならぬことは御理解いただけると思います。  しかし、今のお話のとおりであります。私も何となく、八次審の直前の閉山が七次審の枠内だけで葬られていいものだろうか、私も割り切れない気持ちを持っております。でございますから、今おっしゃった御趣旨、私も全くごもっともと思いますので、最終答申がなされました暁におきまして、でき得る限り御趣旨に沿うように努力をいたしたい、このように思っております。
  50. 田口健二

    田口委員 その点はよく理解をいたします。  閉山に伴って大変重要な問題になってくるのは言うまでもなく離職者対策の問題であります。高島の場合には本鉱で約八百六十六人、関連下請の従事者が約六百七十六人、そのほかに商工関係の従事者、さまざまおられるわけでありますが、会社側の閉山提案の中でこの離職者対策の問題については、例えば南大夕張礦に五十名程度を雇用する、あるいは現地に新しい会社を二つと言っていますが、その中身を見てみますと、生コンやコンクリートの二次製品の会社で、そこに十名から十五名、ヒラメの養殖会社をつくってそこに若干名、これがこの企業の方で考えている今日の雇用対策なんでありまして、まことに憤りを率直に言って感じるわけでありますが、しょせん私企業でありますから、やはり離職者対策というのは国の責任において当然やっていかなければならないというふうに思いますが、この高島の離職者対策について、就職先なりその見通しなり、現状の把握についてどのように理解をしておられるか、あるいはお考えになっておられるか、お伺いをしたいと思います。
  51. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、高島は炭鉱の依存度が非常に高くて、雇用機会の乏しい地域でございます。この閉山によって離職者の発生につきましては非常に憂慮いたしているところでございます。  ただ、現在、閉山を前提として、そのために労使間の協議がいろいろ行われている。これも最近、条件闘争としての協議に入ってきたという事態でございまして、労働省としましては県と密接な連絡をとりながら、臨時職業相談所の設置や離職者に対する再就職のための万全の準備を整えるべく進めているところでございますが、この労使間の協議の中身も十分見定めた上で、実際に閉山となったら直ちにその準備に基づいて対策を進めてまいりたいというふうに思っております。  既にこのための炭鉱離職者対策本部を労働省内に設置いたしておりますし、それから現在、閉山に備えまして地域における労働者の再就職に関する意見、要望等を調査するために、三菱高島炭鉱従業員はもとより、下請関連企業従業員その他商工業者従業員に対しまして、再就職に関するアンケート調査等を事業主を通じて既に配付して実施いたしているところでございます。  そういう万全の体制を整えながら、離職に際しましては今お話がございました事業主自体のいろいろな自主的努力、関連グループでの努力もお願いしたいと思っておりますが、国、地方公共団体挙げまして再就職についての配慮を十分払ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  52. 田村元

    田村国務大臣 先般私が事務次官を連れて労働大臣を訪問したことは御承知と思います。私から労働大臣に——あれは何かちょっと聞いてみると、一省の大臣が他省の大臣を軽々に訪問してはいかぬのだそうです。いかぬのだそうですけれども、しかし協力を求める、その訪問によって私が少々メンツを落としても、その訪問によって人が助かるものならそれでいいじゃないかと言って私は労働省を訪問しました。過去において労働大臣をした経験もあるという気安さもありましたけれども。そうしていろいろな面で相談をし合うということで、両省の事務次官を長とするハイレベルの常置機関で特に不況産業、とりわけ石炭、鉄鋼等を中心に協議をしてもらう、こういうことにして、今両省でいろいろな問題点を洗い出しておるところでございます。これはきっとお役に立ち得るものと私は確信いたしております。  それから、これは特に高島ということに直接結びつけられると困るのでありますけれども、どうぞ高島に結びつけないで一般論としてお聞きを願いたいのでありますが、中小企業の救済のあの二法案、衆議院はおかげで通していただきました。参議院で本当ならきょう通していただきたいところでございますが、これはちょっと委員会はきのう夕方通ったのですが、本会議ちょっとおくれておるようでございまして、これが一日でも早く通りますと心理的にもどれだけ皆喜んでくださるか、どうぞひとつよろしく参議院の方へもお願いを申し上げます。
  53. 田口健二

    田口委員 通産大臣の御配慮、大変ありがたいと思いますし、今後とも何といってもこの離職者対策がやはり最大の課題だというふうに思いますから、ぜひとも今後とも最大の御努力を特にお願いを申し上げたいと思います。  そこで離職者の問題に関連をしてお尋ねをしますが、炭鉱離職者の場合には炭鉱離職者求職手帳が、いわゆる黒手帳というふうに言われておりますが、交付をされるわけであります。ところが、下請関連企業の場合に、労働省の次官通達などによってその範囲が制限をされておるわけでありますが、高島の場合でも下請関連企業の労働者の中で電気関係だとか左官、大工、こういった職種の方で約百六十名の人がこの黒手帳の対象にならないわけなんです。ですから、今回のように、特に国の石炭政策の中で閉山が起こってくるということになれば、従来の考え方を少し変えて、こういった従来対象になっておらないような言うならば坑外労働者、こういう人たちも当然炭鉱離職者求職手帳の支給対象に加えていくべきではないか、このように思うわけでありますが、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  54. 新村浩一郎

    ○新村説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、従来は、炭鉱の下請関連事業所からの離職者に対しましては、一部坑内労働等に従事しておりました人に対しましては炭鉱離職者求職手帳、いわゆる黒い手帳が発給されたわけでございますが、その発給要件に該当しない方々に対しましては特に措置がなかったという状態にあったわけでございます。  しかし、先般十八日に、実は石炭鉱業を不況業種・地域雇用安定法に基づきます特定不況業種として指定いたしましたので、下請関連業種のうち特に炭鉱に依存しております度合いの高い事業所からの離職者に対しましては、特定不況業種求職手帳を発給することによりまして、きめ細かな職業指導等を行いまして、再就職の促進を図りたいと考えておるわけでございます。
  55. 田口健二

    田口委員 石炭産業が特定不況業種の中に指定をされたという点は一つの前進というように見ることはできるのでありますが、それでは、炭鉱離職者求職手帳と今おっしゃられた不況業種離職者求職手帳との差というのは一体どうなっているのでしょう。中身についてお聞きいたしたいと思います。
  56. 新村浩一郎

    ○新村説明員 この効果でございますが、両方の手帳とも、特に再就職を促進させるために濃密な職業指導を三年間にわたりまして行うという点におきましては全く同じ効果があるわけでございます。  ただ、その就職指導を行う期間につきましては、炭鉱の求職手帳の所持者につきましては三年間、これは、炭鉱の労働者の方々はいろいろ従来の仕事の関係上あるいは居住の関係上、他に職を求めるのが大変困難な状況にあるということでそのような形になっているわけでございますが、特定不況業種の求職手帳につきましてはそのような手当はございませんで、雇用保険の基本手当が終了しました後は、個別延長といたしまして九十日がプラスされる、この点が大きな違いになっているわけでございます。
  57. 田口健二

    田口委員 ですから、一般的な不況業種という形の中では今御答弁がありましたようなことも考えられると思うのでありますが、先ほど来私が申し上げておりますように、同じ炭鉱で働いておって、たまたま職種によって、坑外労働ということの中でいわゆる黒手帳が交付されないということになりますと随分問題が出てくるのではないか。確かに、一般的な不況業種離職者手帳という点についてはわかるとしても、これが炭鉱の坑外労働者、いわゆる黒手帳の交付対象になっていない方に支給されたからといって、格差というのはかなりまだ、不公平といいますか不平等といいますか、残るのではないかと思うのです。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 やはりあくまでも黒手帳の対象に拡大をしていくということが本来あるべき姿ではないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  58. 新村浩一郎

    ○新村説明員 先生指摘炭鉱離職者求職手帳を発給いたしております趣旨といたしましては、こういったような労働者の方々は、石炭企業の労働者であるということで、再就職に際しまして大変困難な状況に置かれているという趣旨でこのような発給の要件が法律上定められているわけでございます。したがいまして、その労働者が石炭企業の労働者であるかどうか、また、石炭の掘採またはこれに付随する業務に従事したかどうか、こういったようなことによりまして取り扱いが異なってくることはやむを得ないものと考えておるわけでございます。  現在、下請企業の坑外労働者でありましても、炭鉱におきます一連の基本的工程に従事した労働者につきましては、先生御存じのように炭鉱離職者求職手帳の発給の対象としているところでございますが、この範囲を変えるということにつきましては、法律の趣旨その他、他の産業からの離職者、特に高島につきましては、同じ長崎の職安の管内で造船業の離職者等があるわけでございますが、こういったような他産業からの離職者に対します施策とのバランスから考えまして適当ではないと考えているわけでございます。
  59. 田口健二

    田口委員 今の問題に関連をしてもう一点お尋ねをしたいのですが、現在の炭鉱離職者の場合の就職促進手当は、たしか現行の金額は二千五百七十円から四千六百三十円というふうに聞いておるわけであります。この上限の金額というのは低いのではないかという感じがしてならないのでありますが、これをもっと引き上げるという考え方はないかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  60. 新村浩一郎

    ○新村説明員 就職促進手当の最高限度額につきましては、春闘なりあるいは毎月勤労統計調査によります定期給与等のアップ状況を勘案いたしまして毎年決定してきているところでございます。特に最近は、一般的には財政事情が大変厳しい状況にあるわけでございますが、この促進手当の最高限度額につきましては、このところ毎年増額しているところでございます。  先生から今促進手当の最高限度額の大幅な引き上げについてのお尋ねがあったわけでございますが、この就職促進手当は、炭鉱離職者のみならず、漁業離職者でありますとか特定不況業種の離職者あるいは沖縄の関連失業者あるいは駐留軍関係離職者等、こういったようないろいろな方々に同じような形で支給されているわけでございますので、こういったような最高限度額を大幅に引き上げるということは、現下の財政面を考慮いたしますと大変困難な状況にあるわけでございます。
  61. 田口健二

    田口委員 そこで、実際に離職者が出てまいりますと就職活動がずっと行われていくわけでありますが、先ほどもお話がありましたように、長崎はさらに造船不況という大変大きな問題を今抱えておりますし、雇用状況も極めて厳しい状況にあるわけです。したがって、おいそれと新たな就職口が見つかるというのは非常に困難な状況にあることは言うまでもないと思います。したがって、就職をするまでの期間というのがやはりかなりかかるのではないか。  これに対して、その間の生活を確保していくためにはさまざまな手だてを講じていかなければならないと思います。そこには住宅の問題があり、あるいは生活をしていくための電気、水道、ガスだとかさまざまな問題があるわけです。会社側の提案によれば、離職後、閉山後四カ月は企業の方で保障するというふうに言っておりますが、とてもそのぐらいの期間で全体が新たな再雇用、就職ができるというようにもなかなか考えられないわけでありますが、その間のこういった措置については一体何か具体的にお考えになっておられるかどうか。これはどちらか、よく私もわかりませんが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  62. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 閉山が決定されますと、御指摘のように、その従業員あるいは地域方々が生活にいろいろな面で支障が来ることは、私どもも十分承知をしているわけでございます。  今御指摘の住宅であるとかあるいは電気、水道というような問題をどうするかという問題を含めまして、当面のいろいろ山積する問題については、地元の町それから県、そういった方々の御要望を今までも聞いておりますけれども、私ども政府といたしましても、御案内の関係省庁会議というのがあるわけでございますが、この二十五日にこの関係省庁会議を開きまして、特に長崎県からも責任者の方に来ていただきまして、その住民の方々の困っておられる実情についてるる御説明をいただき、御要望いただき、政府でできるものは最大限その実行をできるだけ早くやるという構えでおるわけでございまして、そういった住民の方々の御事情を少しでも解決するようにしていきたいと思っております。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 田口健二

    田口委員 そういうお考えのようでありますが、少し具体的に私の方でも問題提起をしておきたいと思うのであります。  高島の中には路線バスが私企業で走っておるわけでありますが、一日に七十五回九系統で運行しておりまして、月に平均三千人が利用しておる。閉山になればこれが恐らく経営上困難だろう。したがって、この足がまずなくなる。  それから、高島の場合は離島でございますから、長崎から二隻の船で往復九便が運航されておる。これもまた人間が減ってくるとこのような現行の運航回数が保証されるかということは、恐らくこれは経営上無理だろうと思いますから、大幅に減少してしまう。そういうことになると、またここで島民の足が奪われる。これは高島のみならず、この船は途中でかつての炭鉱の町であった伊王島を経由してくるわけでありますから、伊王島の住民も非常に多くこれを利用しておる。ところがこれが減ってしまいますと、高島のみならず伊王島の住民に対しても大変な不便を来す、こういう問題もございます。  それから病院については、現在、町立病院として六科目四十三床、医師が九人、こういうことで運営をされておるわけでありますが、これまた恐らく現状のままの存立は不可能になってくるだろう、こういうふうに言われておりますし、水道の場合も、現在は対岸の三和町の水源地からトン当たり百七十一円八十九銭という金額で給水をしておるわけですが、これまたその大半が、今まで礦業所が大口消費者でありますから、炭鉱がなくなるということになると水道の問題も大変でありまして、町の試算によればトン当たり千二百七十円ぐらいになるのではないか、これもまた大変な問題が起こってくるわけであります。これらの問題について、離職者の求職期間の生活の確保と同時に、島民の生活を確保していくという点からもぜひひとつ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  64. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 これまでに私どもが長崎県知事の方から要望を承っているところによりましても、今先生指摘のような問題、すなわちバスの問題あるいは船の問題、水道の問題、病院の問題、これが地方財政対策等という項目で政府に対する要望という格好で出ておるわけでございます。今のおおむね六千人の島の方々が、今後この人数が減少することも予想される中で、そういった公共サービスをどう確保していくかという問題は地元にとっても大きな問題でございまして、県の方からもよく聞いておるわけでございます。政府としてもできる限りの支援はしていきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、それぞれ経済性の問題であるとかその他いろいろな問題をはらんでいるわけでございますので、関係者が親身になって知恵を出していくということがこの際重要なことかと思っておりまして、私どももそういう観点からできる限りの支援をしていきたいと思っております。
  65. 田村元

    田村国務大臣 実は昨日でありましたか、知事と高島町長、議長が私のところへ来られまして、いろいろと窮状を訴えられた。私もいろいろと伺ったわけです。実は私は、戦時中でありましたが、香焼に住んでおりましたので、毎日伊王島や高島を見て生活しておったわけです。でございますから、今の姿は余り存じませんけれども、高島へは何回か行ったこともありますし、少なくともあの辺の土地カンというものはあるわけです。それで話も弾みまして、要するに結論として申せば、私も、つまり通産大臣も一生懸命に努力しましょう、同時に知事さん、今町長に何をやれと言ったってその力がないのだから、県当局もでき得る限りの努力をしてやっていただきたい。そうしたら、県の財政も苦しいからという話でありましたから、それはまた他の面で私が、高島をあなたの方で助けていただけるのなら御恩返しもしようじゃありませんか、ほかの面で穴埋めもいたそうじゃありませんか、また、お報いできる方法がもう目の前にぶら下がっておる問題もないでもない、だからそういう点で県も懸命の努力をしてもらいたい、こう言って知事とお互いに提携して協力し合うこと、努力し合うことを誓い合ったというのがきのうのことでございます。
  66. 田口健二

    田口委員 ぜひそういうお立場で今後とも御支援をいただきたいと思います。  文部省お見えになっていますでしょうか。——それではちょっとお尋ねしますが、現在、高島の場合に小学校で十三学級四百五十八人、それから中学校で九学級の二百八十四人、高等学校が五学級の百五十三人、これが閉山に伴って人口がどんどん減っていくということになれば、これらの学校の存続というのが非常に厳しくなってくる。とりわけ高等学校の場合に今言われておるのでありますが、中学の三年生が八十七人いる。そのうち地元の高島高校に進学を希望しておる人が先日の調査で七名だったのですが、つい最近調査をしてみますと四人に減っておるわけです。これはもう炭鉱閉山ということをあらかた見通して、やはり地元の高校に進学するということを断念したということになってきておるのだろうと思うのでありますが、特に学校長の話によっても、問題になるのは一、二年生の高校生の転入の問題ですね。親の就職先のいかんによっては当然居住地を離れていくわけでありますから、この転入の問題というのは率直に言ったら大変難しい状況にあると思うのです。これは高島だけではなくて、今後起こってくるであろうさまざまな閉山の場合には必ず出てくるのです。ですから私は、文部省として今回の八次政策による閉山に伴う高校生の転入の問題についてはやはり特別な配慮が要るのではなかろうか、そういう措置をとるべきではなかろうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  67. 小西亘

    ○小西説明員 お答え申し上げます。  保護者の転勤に伴う高等学校の生徒の転入学の問題につきましては、文部省といたしましては昭和五十九年に各都道府県の教育委員会等に通知を出しておりまして、可能な限り転入学試験の実施回数をふやすこと、それからさらに特別定員枠というものを設定するということなどについて配慮をするように指導してきたところでございます。またさらに同じ年に、従来は欠員のある場合のみ転入学を受け入れるという体制だったわけでございますが、それを改めまして、教育上支障がない場合には転入学を許可することができるようにということで、所要の法令等の改正をしたところでございます。  その後、各都道府県におきましては、転入学試験の実施回数をふやすとか、あるいはまた従来行っていなかった四月当初の転入学試験を実施するとか、あるいはまた受け入れの際の定員上特別の配慮をするとか、そのような改善が全国的にかなり図られてきているようでございます。文部省といたしましては、保護者の転勤に伴う高校生の転入学の問題は非常に大きゅうございますので、これからも引き続き各都道府県を指導してまいりたい、このように考えております。
  68. 田口健二

    田口委員 余り時間がなくなりましたので、少し高島の問題とは外れるかわかりませんが、一、二点、お尋ねをしたいと思うのであります。  今までも言われておりますように、段階的縮小あるいはなだらかな閉山ということが盛んに通産省の方からも言われておるわけであります。そこで、今通産省の方で考えておられるなだらかな閉山というのは一体どの程度閉山を言っておられるのか、何鉱ぐらいが年に閉山をし、何人ぐらいが離職をしていく、これをなだらかな閉山だとお考えになっておるのか、ひとつその辺の目安的なものをお尋ねをいたしたいと思います。
  69. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 なだらか閉山がどのような内容のものであるかというお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、答申原案におきましては、今度の八次政策期間の最後の年に「概ね一千万トンの供給規模」ということになっているわけでございます。現在が、昭和六十年度の実績で千八百万トン程度の供給になっておりますから、そこには八百万トン程度の差があるわけでございます。  ただその期間においてどのようなテンポで供給が行われるかにつきましては、毎年毎年需給両業界の話し合いによってそのレベルが決まるというような仕組みに今度の八次政策にはなっておりますので、その毎年毎年の話し合いによりまして状況が変わってくるわけでございまして、一概にどのようなテンポになるかということは申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、トータルとして考えますと、現在の千八百万トンの規模が一千万トン程度になるということでございます。
  70. 田口健二

    田口委員 ちょっと具体的にはなかなか理解できなかったのですが、時間がありませんので、最後にお尋ねをしたいと思うのであります。  閉山対策の問題もそうでありますし、今お話がありましたように、第八次で今後一千万トン体制を維持していく、こういう立場に立ってみたとしても、財源対策、現在の石特会計千二百三十五億余りですか、これではとても、これから起きてくるであろう閉山対策なりあるいは八次の中で一千万トン体制を維持していくという点から考えて到底この金額ではもうできないのじゃないかと思うのですよ。ですからやはりもっと別個に財源を求めていく。国の政策によって石炭政策は根本的に変わっていくわけですから、そういうものを、やはり国の責任において新たな財源を確保してそれだけの資金手当てというものをやっていかないと、八次政策だってうまくいかないんじゃないかというふうに私は思うのでありますが、その辺の財源対策についてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  71. 野々内隆

    野々内政府委員 財源対策、確かに頭の痛い問題でございまして、今八次答申を踏まえて、六十二年度なり八次策の中の予算というものの考え方をこれからまとめていくわけでございますが、とりあえず暫定的には六十二年度に一部借り入れというのを出しておりますが、答申原案では幅広い観点から考えるべきであるということになっておりますので、答申が出次第大蔵省とも相談をして、まず支出の内容を固め、それに必要な歳出の確保に最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  72. 田口健二

    田口委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。どうも通産大臣ありがとうございました。
  73. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、中沢健次君。
  74. 中沢健次

    ○中沢委員 私の時間は六十五分間でございまして、先ほど来同僚の議員からそれぞれいろいろな質問がございました。私も初めて今度国会に出てまいりまして、出身が北海道四区の夕張でございます。炭鉱の夕張で生まれて夕張で育って現在も夕張市民でございまして、そういう立場で言いますと、とりわけこの第八次政策がどういうふうに最終的に結論が出てくるか、一人の人間として極めて関心が深いし、そして政治家としての、まだ新米でありますけれども、政治責任も極めて重いと思うのです。  まず最初に通産大臣にお伺いをしたいと思うのでありますけれども大臣は労働大臣もされて、しかも本会議の中ではひな壇に副総理の横に座られている。これが象徴されますように、今の内閣の中では非常に大きな力を持っている大臣だと思います。  同時に先月の二十日の委員会、それからきょうの委員会でも、石炭問題につきましては非常に高い見識と心情的にも非常に深い理解を示されている。それだけに通産大臣、十二日の答申原案、出されました。そして二十八日には最終答申が予定をされておる、このように聞いておりますけれども一つまず質問したいのであります。  十二日の答申原案、確かに生産体制については六十六年度をめどにいたしまして九百七十万トンとほぼ一千万トン、数字的にも具体的に示されている。しかし問題は、我々はそのことについては決して容認をするものではありませんけれども、通産省が言うような、いわゆるなだらかな縮小という歯どめの策として考えていらっしゃる過剰在庫対策、先ほどのやりとりの中でも極めて不明確であります。そういう問題が一つある。同時に雇用問題、産炭地問題、これもいろいろ答弁がありますけれども、今のところ、これから検討するだとか、あるいはこれから努力するだとか極めて答弁が抽象的なわけでありますね。ですから、この生産体制については、具体的に縮小の目標が決まる、それ以外が何ら具体的に、ある意味答申原案には盛られていない。これは石鉱審の審議会の主体的な問題でありますから、なかなか御意見をおっしゃるのは難しいんでしょうけれども、しかし今日まで原料炭問題で大臣も具体的に関与されている。あるいは電事連との間でも、八百五十万トン問題では通産大臣もいろいろ努力をされている。  こういう経緯などを考えますと、十二日に出されました答申原案について、大臣としてどういう認識を持っておられるか。そして二十八日の最終答申に向けまして、これからこの委員会でもまだいろいろ議論がありますけれども、当然石炭協会あるいは各業界あるいは労働界、産炭地関係者、あるいは私どものような国会議員を含めてさまざまな要請を続けているわけなんでありますけれども大臣としてどういう腹構えで臨まれようとしているか。もっと言えば、調整役を最終答申に向けてされるということをお考えとしてお持ちなのか。そしていま一つは、最終的に答申が出ましても当然社会党の場合、衆議院の場合は、石特でこれからいろいろ議論がされると思うのでありますけれども、その際における大臣としての、僕はやはりその都度その都度大変な御苦労をされると思いますが、一方では政治的な決断も必要だと思うのです。そういう問題についてまず冒頭大臣の基本姿勢といいましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  75. 田村元

    田村国務大臣 先ほどおっしゃいましたように、審議会最終答申が出ませんと私が具体的なことを申し上げるというわけにいかない。それは私だって全然無思想、無定見かといえば、少々の意見を持っております。持っておりますけれども、やはり最終答申を決めていただかないと具体的に物を言うことはできない。ただ言えることは大変御苦労願った、これだけの答申でも本当に御苦労であっただろう、特に中立委員方々は売り方、買い方両方の中に入られて随分御苦労を願っただろうと思うのです。それで御要請に基づいて私も鉄鋼業界、電力業界等に随分お願いもしたわけであります。でございますから、そこいらはどうか御理解を賜りとうございますが、最終答申が出ましたならば、もちろん答申を踏まえて、誠心誠意といいますよりむしろもっと積極的に、政治的決断も含めて努力をしなければならぬ、もちろん業界の自己努力中心にはなりましょうが、我々が救済措置ということをするときに、それはやはり気の毒なという気持ちを前提にして取り組まなければならぬということは当然でございます。でございますから、どうぞあうんの呼吸で私の気持ちをお酌み取り願いたいのであります。今下手に物を言ったら大変なことで、このごろは大臣が物を言うと首が飛んだりするものですから、うっかり物も言えないということもひとつ御理解を願いとうございます。
  76. 中沢健次

    ○中沢委員 基本的な問題で言えばいろいろあると思うのでありますが、いずれにしても、これから大臣ひとつ、今おっしゃいましたように重要な場面が幾つか出てまいると思いますので、その際は先ほど申されましたように本当に石炭は気の毒でたまらぬ、そんな心情を政治決断に必ず結びつけていただきますようにまずお願いをしておきたいと思うのです。  具体的な問題についてこれからお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず第一にはことしの基準炭価問題でございます。  具体的にお尋ねをします。簡単にお答えをいただきたいと思いますが、過去十年間、基準炭価を引き下げたという経過はありますか、お答えください。
  77. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 過去十年間におきましては据え置いたという実績はあったかと思いますけれども、引き下げたという実績はないものと記憶しております。
  78. 中沢健次

    ○中沢委員 これは通産の資料を私なりにちょっと調べたのでありますが、五十七年から五十八年にかけまして原料炭五十円引き下げている。一般炭は七十円、こういう引き下げの具体的な記録があるのでありますけれども、これは資料の読み違えですか。
  79. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 基準炭価には本体の部分とそれから輸送費の部分が入っておりまして、輸送費の部分につきましてそのときどきの状況で、平均炭価の関係で、平均いたしますといろいろ出入りがあるわけでございますが、いわゆる基準炭価、大臣告示の内容になっております基準炭価についてはそういうことはないというふうに御理解いただきたいと思います。
  80. 中沢健次

    ○中沢委員 あえて私がそういうふうに質問しましたのは、そういう答えを確認したかったわけなのです。といいますのは、先ほど同僚議員がいろいろ質問されました。今度は原料炭で大変な値引きをされる、一般炭も五百円でありますけれども値引きになる。仮に百万トンの原料炭を掘っている山で言いますと年間十億の、これは大変な負担になるわけですね。そうしますと、確かに通産大臣努力をされまして、需要業界石炭協会側の間に入っていただいて量の問題と炭価問題を事実上決めていただいたのでありますけれども、問題は、先ほど北村議員が大臣質問をされたのでありますが、具体的には答弁されていないのです。  つまり、私も質問したいと思うのでありますけれども、炭価を引き下げる、これはかつてなかった。少なくとも過去十年間はそういう経緯がない。引き下げてしまう、そうすると経営が大変になる。もう企業努力の限界を優に超えると思うのです。そうなりますと、現行の石炭予算の制度にありますあらゆる補助金あるいは給付金の単価の見直しその他をやっていわゆる政策助成をかさ上げをしていかなければ、結局は石炭会社が経営が成り立たない。黙っていたら経営困難にぶち当たって、結果としては閉山につながる。火を見るよりも明らかだと思うのです。その辺ひとつ通産大臣、あるいはエネ庁の長官でも結構でありますけれども、具体的な政府援助の腹づもり、具体的な手だて、お答えをいただきたいと思います。
  81. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように、今年度の炭価につきましては、原料炭について千円の前年水準からの引き下げを行ったわけでございます。ただ内容的に見ますると、御案内のとおり基準炭価というのは生産者側の生産費を基本に、あと輸入炭の状況であるとかあるいは競合燃料の価格状況とかそういうものを勘案して決められるわけでございますけれども、その生産費を計算いたします場合に、今年度の場合には卸売物価の動向あるいは油の値段の動向、それを受けました電力動向等から見て一部いわば計算上下がる部分というのも考えられるわけでございまして、御指摘のような千円の値下げがそのまま企業経営の圧迫要因になるとは限らないわけでございます。  しかし、当然のことながら御指摘のように一部につきましては企業にとっての赤字要因になるわけでございまして、この問題につきましては企業として今後一層の合理化でこれを吸収していかなければいけないわけでございますけれども、将来の問題も含めて考えてまいりますと、いろいろとコストアップ要因考えられまして、そういう意味企業の経営を合理化努力にもかかわらず圧迫していくことも考えられるわけでございまして、答申原案においても、そういうことを踏まえて政府においても支援するようにという方針があるわけでございます。最終答申を得ましたならば、私どもも十分企業の経営には今後とも目配りをしながら、会社の経営の限界がどの辺にあるかということも考えながらやってまいりたいと思いますが、その際にも、答申原案にも書いてございますように、単に石炭企業あるいは親企業だけでなくて、全体のグループとして、企業として、その石炭企業を支えていくという企業側の努力というものももう一段要請されるところでございます。
  82. 中沢健次

    ○中沢委員 企業努力というお話があったのですが、私は見解が違いまして、企業努力はもうこれまで長い間やってきている、もう限界を超えている、そういう立場で質問をしたわけであります。  それからもう一つ関連をいたしまして、炭価については答申原案では原則的に据え置きをした方がいいだろう、こういうことが文章的にも明確になっているわけですね。これは関係の法律をいろいろ見ましたら、そちらは専門家でありますから十二分に御承知だと思うのでありますけれども、やはり基準炭価というのはいろいろなファクターを分析してその年その年決めてきた。僕はそれはやはり正しいと思うのです。なぜ今度の答申原案で、そういう制度がありながら、あるいはそういう法律的な仕組みがありながら、据え置きをするということが原則としていいんじゃないか、僕は今度の石鉱審はその部分で言うとやや越権行為じゃないかという感じを率直に持つのです。通産としてはどのようにお考えですか。
  83. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように法律上は毎年度通産大臣審議会の意見を聞いて基準炭価を決めることになっているわけでございます。ただ、この法律につきましては今年度の末で期限切れになることになっておりますので、もしその後の法案について同じような制度をおつくりいただくようなことになりますと、毎年度通産大臣が決めるということに来年以降なろうかと思うわけでございます。  ただ、現在の法律の規定で考慮すべき要因といたしまして、一方において生産費、他方において競合燃料なりあるいは海外炭価格の動向ということでございますので、要するに需要業界の要因それから生産業界の要因両方を勘案して決めるということに法律上の趣旨もなっているわけでございます。  ところで、今回の答申原案におきましては、今後の値段の問題についての方針につきまして需給両業界のいろいろ隔たりがあったところを私ども大臣以下で努力をいたしまして、また審議会におきましていろいろ御努力をいただいた結果、現在のような結果になったわけでございますけれども、その方針といたしまして今後据え置くというのが決まったわけでございまして、その方針を来年度以降通産大臣が炭価を決める際の一つの参考とし有力な考え方として決めていくということになるわけでございます。具体的には審議会で結局御審議をいただいて決めることになるわけでございますので、その審議会での方針としてはこの答申を尊重するということになろうかと思います。
  84. 中沢健次

    ○中沢委員 次に、二つ目の問題に移りたいと思うのですが、原料炭あるいは一般炭需要と供給問題について具体的に質問をしたいと思います。  まず原料炭につきましては、現在およそ三百九十万トン、そして今度は鉄鋼業界が百七十万トンに圧縮する。ただ聞きますと、既に上半期で百四十万トン程度は納炭済み、そうすると、下半期簡単に言えば三十万トン程度しか枠がない。しかし、出炭については一つの目標がありまして石炭はどんどん出てくると思うのです。当面の問題として、これは後でも関連しますけれども、六十一年度の原料炭の下半期の在庫対策、一体どういうふうにしていくのか、これが一つ。  それからもう一つは、六十六年度で原料炭をゼロにする、これは私は結論だけ言いますと、やはり国の石炭政策、とりわけ原料炭で言えば政策放棄だ、このように言わざるを得ないと思うのです。諸外国の例についても僕らもいろいろ勉強しておりますけれども、フランスあたりではまだまだそういうところまで緩やかな縮小の方針はありますけれどもいっていない。確かに鉄鋼の業界の壁が厚いということは僕らもわかります。わかりますけれども、六十六年度原料炭をゼロにするという別な意味での政治決断が私どもとしては納得ができない。先ほど鳩山委員の方から将来的な石炭エネルギー政策観点質問がありました。若干の答弁があったのでありますけれども一般炭もそうでありますが、原料炭についても最終的にゼロどいう方針は通産の方としても再検討しなければいけないのじゃないか、しかるべき量は、日本原料炭はこのくらいは残す、そういうことが大臣の政治決断あるいは通産官僚の官僚としての行政責任ではないかと思うのですが、その二つについてまずお聞かせください。
  85. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今年度の過剰在庫対策の問題でございますが、御指摘のように今年度需要、鉄鋼業界の引き取りが百七十万トン程度ということになりまして、あとガス業界あるいはコークス業界が全部で四十万トンぐらいとってくれるのではないかと思っておりますけれども、全体で二百十から二十くらいの水準になるわけでございます。それに対しまして、生産見通しでは約三百に近くなるというような状況でございますので、百万トンくらいの需給ギャップが出ると思います。この数量あるいはこれに加えまして一般炭の面でもかなりの需給ギャップが出ると思うわけでございまして、各企業における過剰在庫という問題は大きな問題になろうかと思います。資金繰りあるいは経営圧迫の面でかなりの問題になろうかと思うわけでございまして、私どもといたしましては、当面NEDOの資金機能を可能な限り活用いたしましてこの貯炭対策を進めていきたいと思っているわけでございます。抜本的な問題は、来年度以降法律の手当てを必要とするものはまたお願いをいたしまして、とりあえず当面の問題としてはNEDOの機能を活用してまいりたいと思っております。  それから、八次策において原料炭ゼロというのは政策として問題ではないかという御質問でございますけれども、この問題につきまして、御案内のとおりのいろいろな経緯がございます。鉄鋼業界は当初今年度からゼロにしてほしいということを強硬に主張していたわけでございまして、そういう意味では鉄鋼業界の強い要望としては八次策は初年度から全くゼロということになるわけでございます。こうなりますと短期の集中閉山が起こることは間違いないということで、いわゆるなだらかな縮小を確保するために鉄鋼業界にも一定協力を私どももお願いしてきたわけでございまして、鉄鋼業界自体が極めて厳しい状況の中でぎりぎりの範囲で協力をしてくれるということになったわけでございます。その結果が六十五年までということになったわけでございまして、そのようないろいろな難しい問題を経てこの問題が決まってきたということについて御理解を賜りたいと思うのでございます。
  86. 田村元

    田村国務大臣 今部長が申したとおりではございますが、一つぜひ御理解を願いたいことは、原料炭の大部分は鉄鋼業界でございますが、この鉄鋼業界が今もうお手上げの状態になっておることは御承知のとおりであります。でございますから、今人員整理まで始めようかという鉄鋼業界を石炭のために首を締めるということも、また鉄鋼業界にも経営者もおれば労働者もおれば株主もおるわけでございまして、もう最初から全然受け付けなかったのです。こんなものは一切買えない、こう言って頑張ったものをなだめたり泣きついたりしてようやくあれだけ買うようにしてもらった。そこでぎりぎりの妥協が六十五年度ということになったわけでございます。  電力だってそうでございますが、電力は確かに景気がよろしゅうございます。円高の差益で潤っておりますけれども、これも考えてみれば金利だけで一兆三、四千億円も毎年払っておる膨大な借金を抱えておることは事実だし、そして、一兆円の差益還元を六月から三月までの間にすることも事実だし、それから四兆一千億という膨大な設備投資の発注契約をすることも事実、そしてなお残ったものを苦しめてまた吐き出させる、こういうわけで、考えてみれば電力業界も、例えて言うなれば長良川のウのようなもので、くわえたものをみんな吐き出させるわけでございます。そういうふうにして大変苦労しておりますが、特に原料炭の場合は鉄鋼業界が苦しい、苦しいのをあえてお願いした、こういう買い手の事情もぜひ御勘案願いたい。彼らもまた労働者も株主も抱えておるということでございます。
  87. 中沢健次

    ○中沢委員 私は四区の出身で室蘭には鉄の大企業があります。いろいろな微妙な立場ではあるのですけれども大臣も御承知のように、言うなれば原料炭の新鉱開発、かなり以前の問題でありますけれども、これは鉄鋼業界、つまり石炭を買う側の業界の要請があったわけです。そして、かつて北炭新鉱の開発をやった。あるいは三菱南大夕張の開発をやった。しかし今度は、確かに買い手について言えば非常に大変な問題がある。しかしそれよりももっと売り手の山の側に大変な問題がある。特に私はちょっと気になっているのでありますけれども大臣は先ほどから六十五年度で原料炭引き取りがゼロになるようなニュアンスなのですね。しかし、これは六十六年度だというふうに言われているわけです。そうなると六十六年の四月あるいは六十七年の三月と一年間のずれがあるのですけれども、丸と五年という理解でいいのですか。その辺はいかがでしょう。
  88. 田村元

    田村国務大臣 どうも大変失礼しました。六十六年度です。数字を時々間違ってどうも恐縮なんですが、今事務方から注意されて、六十六年ですよ、五年じゃありませんよと言われて、恐縮でございました。
  89. 中沢健次

    ○中沢委員 時間がありませんので、いずれまたこの問題は別の日の委員会でもやろうと思います。  続いて、一般炭の問題について具体的にお尋ねをしたいのでありますけれども、先ほど電源開発問題、質問がございました。僕は、やはり一般炭が六十六年度で八百五十万トン、電力炭、これはもっと上積みの余地があるのではないかということを僕なりに考えているのです。それは立場上というか見解の違いだということをおっしゃると思うのでありますけれども、やはり電源開発で言えば、政府が相当発言力を持っていらっしゃる。確かに卸売であるということも僕らも承知しております。しかし発言力を持っている通産が腹を決めて、国内炭を守るためにはもっと上積みをしてくれ、こういう話は鉄鋼業界と違って容易に——容易というよりも難しいでしょうけれども、しかし比較的容易だと思うのですね。  それからもう一つは、九電力国内炭の問題で言いますと、私の北海道の北電が集中的に使っているわけです。これをほかの八電力にももっと応分の国内炭の消費を行政指導でやる。もっと言いますと、過去何年かにわたりまして、制度として、国内炭を使う火力発電所に対しまして政府がいろいろ補助金を出しているわけですね。つまり政策火力発電所みたいな要素もあるわけです。ですから、そういう問題なんかを考えますと、やはり一般炭需要量というものをもっともっと多くキープする、そういう余地があると僕は思いますけれども、これはこれからの論議の中で通産大臣としての政治決断の一つの大きな節目になってくると思うのでありますが、いかがでしょう。
  90. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問、二点あったかと思うのでございますが、まず第一点は電力全体として石炭国内炭引き取りをもう少しふやせないものかということかと存じます。この点につきましては、第八次石炭対策期間中の石炭引き取りにつきまして、先ほど来御議論ございますように、石炭が急速な閉山にならないように、雪崩閉山にならないようにという趣旨から大臣の強い要請を受けまして、電力業界として当面現状程度引き取りを続けるということを約束しておるわけでございます。  また第二点につきまして、その国内炭引き取りの結果北海道に偏りが出るのではないかという御趣旨でございますが、確かにこの各社別の引き取りについて、現在電力業界内において検討が行われておるところでございます。御承知のように各社別の電源構成を考えますと、やはり北海道に相対的に国内炭引き取り数量が多くなるというのは事実であるわけでございますが、これによります電気料金への問題でございますけれども、御承知のように電気料金というのは原価主義に基づいてはじかれるわけでございまして、各社の電源構成でございますとか需要構成の違い、そのほかの要素も反映されてくるということでございますので、この辺もひとつ御理解をいただきたいところでございます。
  91. 中沢健次

    ○中沢委員 大臣、いかがでしょう。政府が火力発電所の建設に多額の助成を出している。数字は僕らの方でわかっていますけれども。つまり政策火力的な要素があるわけですね。ですから、通産としてはやはりもっと高姿勢で電事連と話し合いをするという余地は僕はあると思うのですけれども、そういう意味での政治決断を、きょう直ちに具体的にお返事がなければ結構でありますが、今後ひとつぜひやっていただきたいと思います。
  92. 田村元

    田村国務大臣 今電力は、先般来差益還元をしてもらって、さっき申しましたように一兆円から吐き出させて、これは十カ月ですから、仮に一年間とすれば単純計算すれば一兆三千億ぐらいになるのでしょうが。それに巨額の設備投資もお願いして、六十二年度の設備投資の発注を前倒しで二千億してもらう。最初三兆七千といったものを一千億ずつ二回上増ししてもらって、その上二千億の前倒しをしてもらって、今度また私が差益還元を決断してお願いしたというような経緯がございます。私に対しては相当心中穏やかならぬものがあるんじゃないかと思いますが、それはそれとして、国民に均てんするということもこれまた必要なことでございますから、そういうことをいたしましたが、今の御意見、持ち帰りまして一遍じっくり考えてみたい、このように思います。
  93. 中沢健次

    ○中沢委員 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  さて次の問題でありますが、先ほどちょっと触れましたけれども貯炭対策。  大臣は先ほど、貯炭管理機構について指示をしたと。そういうものが必要だというふうに当然考えられたと思うのでありますけれども、冒頭私が申し上げましたように通産としてはなだらかな縮小。我々は現有炭鉱を残すというのが最善の道だと思っているのですよ。しかし、これは議論しますと時間がかかりますから、きょうはやめますが、仮に百歩譲ってなだらかな縮小、その最大政策効果を上げるために過剰在庫対策考える。であれば、もっと具体的な中身がなければ、これは山の経営者にしても、労働者にしても、産炭地の住民にしても不安でたまらないと思うのですよ。少なくとも八次の答申原案にそこまで踏み込んでいくのであれば、過剰在庫対策政府の責任で、あるいは関係者との責任でここまできちっと責任を持ちます、こういうことが明示されなければ、総合的な石炭政策の中身で言えば一本柱を欠くことになるのではないか。これから検討されるというわけですからぜひ具体的に検討してほしいのでありますけれども、この際、私は要望したいのは従来のいわゆる貯炭融資の延長でこの対策をやろうとしたのでは必ず失敗します。結論からいうと集中大型雪崩閉山、こういうことになると思うのです。ですから、せっかく具体的に検討するのであれば、この際思い切って、大蔵とは相当財源問題でやらなければならないと思いますけれども石炭を一手に買い上げして一手販売して貯炭についても集中的に管理をする、そういう三つの機能を持ったいわゆる貯炭管理機構にしなければいけないのだと思うのでありますけれども、具体的な中身はともかく、私の今言ったような提案に対しまして、大臣なりあるいはエネ庁の長官として基本的にそれをどのように受けとめるのか、聞かせてください。
  94. 田村元

    田村国務大臣 実は、私が先ほど申し上げた貯炭管理会社のようなものでもつくったらどうかなということでエネ庁長官に指示いたしましたのはまだ先ほどでございまして、大蔵省との接触はいたしておりません。でございますから、中身の問題もとにかく、これはつくるのが大変だろうと思います。宮澤・ベーカーどころか、宮澤・田村大激戦になるということはもう目に見えております。しかし、私もこれは率直に言って単なる思いつきで物を言ったのではないのです。毎晩布団に入ってから、ああもしたらよかろうか、こうもしたらよかろうかと。私の選挙区は石炭何もないので関係ないといえば関係ないかもしれませんけれども、私にとって今一番大事なことは石炭貿易摩擦なんです。それと中小企業、結局貿易摩擦に関係するわけですが、いわゆる円高不況の問題特に中小企業対策なんです。これがやはり一番頭の痛い問題なんです。  いろいろ考えて、そして一つのアイデアとしてこういうことはどうだろうかということで、今まで実は事務方に余りこれを申しませんでした。申しませんで、この委員会で私はいきなり発言したわけです。なぜか。こんなものをあらかじめ大蔵へ相談に行ったら頭からアウトですよ。ですから、大臣がつくると言明はできないけれども、こういうものをつくってみたらどうかというような、たとえアイデアとしても発言して速記録に残すことがどれだけ事務方がやりやすくなるか、こういう判断であえて私は勇気を持って先ほど来申し上げた、こういうわけでございますから、できるかできぬか、あるいは内容はどうか、それはもう全くまだ白紙の状態でありますけれども、私がここまで発言して速記録に残せば、これをないがしろにするわけにはまいるまい、このように考えてあえて申し上げた、こういうわけであります。
  95. 中沢健次

    ○中沢委員 あうんの呼吸でありまして、僕らのような一年生議員はもう少し具体的にお答えをいただきたいのでありますが、しかしきょうのところは大臣おっしゃるようなことでこれからぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  それでは、次の問題に移りますけれども産炭地振興問題について少し具体的にお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず最初に、仮に空知の七山、これは仮にですよ、物騒な話ですけれども、空知の七山、五市一町にまたがっておりますけれども、仮に閉山になりますと、これはもう大変な影響が出る、こういうことを札幌通産局が調査をされてデータをつくられているのでありますけれども、通産省としてはその内容について把握をされておりますか。
  96. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 札幌通産局におきましてそのような勉強をしているということは承知しております。
  97. 中沢健次

    ○中沢委員 これは仮にの話でありまして、ただ、地元の新聞の報道によりますとかなり克明に出ているのです。例えば人口でいいますと、現在五市一町で十二万四千九百人いる。全部山が閉山になると六万四千七百人しか残らない。六万人減る、つまり半分程度人口が減る。生産額でいえば今一〇〇%ということで押さえて三八%になる。六二%ダウンする。生活保護の率でいうと現在は四・九%でありますけれども、これが二五・三%になる。これは北海道の新聞とはいいながら発行部数百万を超える大新聞です。これはやはり世論に与えるインパクトはすごく強いと思いますね。  そこで、ひとつ具体的にお尋ねをしたいと思うのでありますけれども、今までの産炭地振興策というのは、私が判断するには、やはり閉山のアフターケア、閉山した後の産炭地振興、これにウエートがかかって、いろいろな整備公団その他がつくられる、団地造成をされる、しかし結果的にはほとんど工場が張りつかない。確かに分譲はされますけれども、雇用の場を確保するような工場というのは、ほとんど小さい工場でありまして、そういう点でいうとまだまだ非常に多くの問題を抱えている。今度はこの八次政策でいや応なしに生産規模縮小する。おのずからやはり閉山が、本当に残念でありますけれども、いや応なしに来るわけです。そうしますと、従来のような産炭地振興の発想では、つまり閉山後の跡地対策という発想では、僕はだめだと思うのですね。どうせやるのであればやはり先行型といいますか、今まだ炭鉱があって都市や町にいろいろな意味での活力が残っているときに具体的な産炭地振興策、それをやはり発想として持つべきではないか。これが一つ。  それと、手段、方法でありますけれども、これも相当以前から随分いろいろな経緯があるのでありますけれども、率直に言って産炭地振興ということはいろいろやっているけれども、なかなか思うようにいかない。発想の転換をやっても果たしてうまくいくかどうかはわかりません。しかし、手段、方法を具体的に変えるということが僕は一つの成功例につながってくると思う。例えば、かねてから言っておりますけれども、国のいろいろな機関があるのでありますけれども、この際ひとつ産炭地に進出をさせる、あるいはこの際思い切って政府を含めて第三セクターをつくって、そこが企業進出の責任を持つ。今までのような民間ベース任せという、団地はつくるけれどもあと民間べースという、そういう手法ではなくて、工場だとか企業の進出につきましても政府が相当程度責任を持つ、そういう発想と手法について大胆に変えていかなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 産炭地振興の問題につきましては、今度の八次答申の中でも極めて重要な位置づけがされているわけでございます。  まず第一に、御指摘のように単に後追い的な産炭地振興だけではなしに、先生指摘のような先行型の産炭地振興対策に取り組むことも重要だということがうたわれているわけでございます。ただ、産炭地振興ということで地域対策考えてまいります場合に、やはり基本は公共事業その他によりまして産業基盤なりあるいは生活基盤をいかに充実し、その機能を高めていくかという中で振興が行われているという観点からいたしますと、従来型の産炭地振興対策も今後とも重要であろうというふうに私どもは認識しておりますけれども、それに加えまして、もっと総合的あるいは地域を先取りするような形での対策も重要かと思っておりまして、その一つといたしまして、今年度からいわゆる活性化支援事業ということで予算をいただきまして、内発型の産業を興すことを中心にいたしまして、まずやはりその地域の特性を考えてその地域に適したプロジェクトを発掘する、そしてそれを企業化していく。その企業化していく際に、御指摘のように、単に企業に任せるだけでなくて国の機関も関与することもあり得るのではないかということで、私ども、来年度の予算要求におきまして、地域振興整備公団から例えば第三セクターをつくるような場合に出資をできる道も講ずるようお願いを要求としてしているところでございまして、いずれにいたしましても、地域産業構造を多様化していくという観点からいろいろな知恵を絞っていかなければいけないと思っております。  その観点から、第二の御質疑でございます、国の例えば試験研究機関、そういったものを立地させるべきではないかというお話もございましたけれども、私どもも常々そういったことで関係各省の意向を打診をしておりますが、なかなか厳しい財政事情でございまして、適当な具体的な計画がないのが現状でございます。しかし、今後とも、各省連絡会議という場がございますのでその場を通じまして、その他あらゆる場を通じまして情報交換、意見交換を重ねまして、そういった観点も加味していきたいと思っておるところでございます。
  99. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、関連をするのでありますけれども、これも新聞記事にかなり以前に出た問題でありますが、スカイトピア構想、これがいつの間にか通産のサイドでも撤回をされたような節がうかがわれるわけなんでありますけれどもスカイトピア構想の中身そのものについて言いますといろいろまだ問題は持っておりましたが、やはり関係産炭地としては、とりわけこの空知関係としては何とか具体的に実現をしてもらいたいという希望が非常に強かったわけなんです。それがなぜか立ち消えになっているわけですね。なぜそういうふうになっているのか、ちょっと真相を聞かしてください。
  100. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 スカイトピア構想という名前につきましては私どもも存じているところでございまして、これは、実は昭和六十年度の調査事業といたしまして地域振興整備公団が委託事業産炭地域をモデル的に筑豊地域と空知地方をとりましてその地域振興考える研究をしたことがあるわけでございまして、その中で、空知地方については、空知の空をとりまして、それを英語で空をスカイと言うことで、スカイトピアという名前をつけて総合的な振興を図ったらどうだろうかという提案があったわけでございます。具体的には、工業、研究、それからリゾートと申しますか観光面での開発を総合的、混合型で開発をすることによりまして地域の力を浮揚させようということでございまして、このためには、地元の自治体はもとよりでございますけれども、いわゆる民活型のデベロッパーにも入っていただき、また国もそこに資本を投入していくというようなことが書いてあるわけでこざいます。  これにつきましては、私ども一つのアイデアといたしまして今後もこれを育てていかなければいけないというふうに現在思っておりまして、決して断念したわけではないわけでこざいます。具体的には、先ほど申し上げましたその地域における特性を勘案しましたプロジェクトの発掘という中で、いわゆる地域公団の調査事業に言うスカイトピアが今後どう展開をしていくかということで、プロジェクトを調査企業化していく段階でそういった問題も念頭に置きながらやってまいりたいと思っておるところでございます。
  101. 中沢健次

    ○中沢委員 そうしますと、スカイトピア構想については立ち消えにはなっていない、これからいろいろなプロジェクトを組み合わせをしてやるというお考えのようですが、そういう意味でいうと、我々としても、地元市町村北海道でいえば北海道の行政、それと通産との間でひとつ十分な、プロジェクトについて具体的にやはり政策として練り上がっていくように通産の方も今後とも努力をしてもらいたいと思うのです。  それから、もう時間が大分来ておりますので、労働省の関係について以降いろいろ具体的にお尋ねをしたいと思います。  きょうは労働大臣がお見えになっておりませんけれども、職安の局長もお見えでございますので、全国的な雇用の厳しい状況、あるいはこの産炭地を抱える、先ほど来ありました長崎あるいは福岡、北海道、特に北海道の場合は石炭問題に加えましても北洋だとか鉄鋼だとか造船だとか、僕ら流の言葉で言えば、非常に乱暴かもしらぬけれども、このままいったら北海道という島が陥没する、こういう危機感を持っているのです。労働省として、そういう全国的な雇用情勢の厳しさと産炭地を抱える地域の雇用情勢の厳しさを具体的にどのように認識をされているか、それに対して基本的な政策対応の、ある意味で基本的な考え方、具体的な中身は後でまた質問しますけれども、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  102. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  まず、労働大臣がほかの委員会関係で欠席いたしておりますことをおわび申し上げます。  今、先生指摘のように、全体的に見ましても求人倍率が最近〇・六一、失業率が二・九というようなことで、円高不況その他に伴います雇用失業情勢は非常に厳しい状況にあるわけでございますが、特に構造不況産業やその産業で成り立っている地域というようなところが業種別、地域別に非常に深刻な状態になっているということで、そういう問題を懸念いたしておるところでございます。今御指摘のとおり、その中でも北海道につきましては先ほど申し上げました有効求人倍率、全国〇・六一に対しまして〇・三四というような状況でございまして、構造不況業種が多く、また北洋漁業問題や今の炭鉱閉山のおそれ、その他国鉄問題等も控えておりまして、非常に厳しい状態だというふうに理解いたしております。  したがいまして、労働省といたしましては従来からの施策をいろいろ緊急的には弾力化、または内容を充実させながら失業の予防、それから失業者に対する生活の安定を図ってまいっているわけでございますが、現在、北海道におきまして、いわゆる特定不況地域としまして対策の指定をする制度があるわけでございますけれども、全国で三十八地域のうち北海道は十二地域の指定を行われております。それから、漁業離職者対策などの施策も積極的に進めているところでございます。先ほど通産大臣の方からもお話もございましたが、雇用の安定を図るためには今申し上げましたように失業の予防、失業者の対策等でその下支えはなされておりますが、全体の景気の回復、それから地域におきます産業振興、その他労働省だけでは果たし得ない面もあるわけでございまして、通産省その他各省と緊密な連絡をとりながら、今申し上げましたような雇用対策を機動的に講じてまいっているところでございます。  しかし、今後の問題としましては、先ほどからいろいろ御意見がございましたように、そういう構造不況業種によって成り立っております地域につきまして、現在労働省がいろいろな地域施策を持っておりますが、この施策を総合的に統一いたしまして充実させることによって地域対策、特に雇用面での地域対策を拡充していきたいということで現在検討を進めておりまして、来年の通常国会には法律案をまとめまして提出させていただきたいというような施策を進めているところでございます。
  103. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで具体的にお尋ねをしたいのでありますけれども石炭産業には初めていわゆる特定不況業種を適用する。高島は既に閉山が事実上確定をして非常に残念だと思うのでありますけれども、いずれはこの第八次の石炭政策が軌道修正をしない限り第二、第三の高島が北海道に来るわけです。そうしますと、確かに特定不況業種対策は六十三年まで、そして制度のいろいろなかさ上げは来年の一応十月までの一年間なわけなんでありますけれども石炭問題との関連で言えば、期間の問題で言うと当然そこでは見直しをするということにはなると思うのであります。ある意味で先の問題でありますけれども、労働省側としての基本的な考え方、そういう時点に至った場合に期間延長するのかしないのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  104. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今先生指摘のように、今回石炭産業につきまして、高島の急速な問題もございましたので、急遽特定不況業種ということで指定させていただきました。この石炭鉱業を指定することによりまして、先ほど申し上げました不況業種が集積している地域ということで特定不況地域の指定につきましても道が開けてくることになりました。それらの問題につきましても現在検討を進めております。釧路、大牟田、長崎につきましては既に別の特定不況業種の集積ということで指定いたしておりますが、石炭鉱業の集積しているその他の地域についても前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。  それから期限の問題でございますが、この法律の期限、この法律だけではなくて炭鉱離職者臨時措置法も来年三月切れることになっておりますが、これらにつきましては情勢を十分踏まえまして、特に炭鉱離職者臨時措置法は次の通常国会に延長をお願いしたいと思っておりますし、指定そのものにつきましても情勢を見ながら延長等につきまして十分前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。
  105. 中沢健次

    ○中沢委員 もう一つ関連をいたしますけれども、実はこの制度はいろいろな中身で分かれておりまして、補助金にしても三分の二だとか二分の一だとか、従来の制度よりも少し上乗せをしていることは評価できるのです。しかし今までの雇用政策でいいますと、大体炭鉱労働者の組合がその都度いろいろ政府側と交渉を積み上げて雇用政策をつくり上げてきたというフロンティアの役割を持っていたことは御承知だと思うのです。そうなりますと、やや後ろ向きの議論でありますけれども雇用対策関係でいいましてもそういうフロンティア的な役割を果たしてきた炭鉱労働者あるいは産炭地地域に今の制度かさ上げに加えてもう少しいわゆる石炭特別加算みたいに、そういう余地がないのか、僕はやはりそういうことをやるべきだと思います。  同時に今の制度の弾力的な応用について、これはあうんの呼吸でいいと思うのでありますけれども、やはりいろいろなケースが出ると思いますね。製造工場と違いまして石炭産業というのはいろいろな特殊的な産業構造を持っていますから、ケースによっては相当弾力的な応用をしていかなければ実際は政策効果が出ない、こう思うのです。余り具体的に言いますといろいろ差しさわりがあると思うのでありますが、その辺ひとつ大まかな問題でも結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。
  106. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、いろいろな労働省におきますいわゆる離職者対策につきましては、かつてのエネルギー革命の過程で行われました炭鉱離職者に対する離職者対策、これが先鞭をつけてまいったことは確かでございまして、それによっていろいろな対策が進んでまいったというふうに、その貴重な経験につきまして労働省としても評価いたしております。  先ほど申し上げました特定不況業種対策等につきましても、なぜ今まで炭鉱が指定されなかったかと申しますと、炭鉱離職者対策の方が進んでいたからでございまして、そういう意味で、このたび指定いたしましたのはその周辺の問題その他を炭鉱離職者対策により近づけるために指定さしていただいたわけでございます。しかし、炭鉱労働者の職場環境とか居住環境とかいろいろ他産業と違った面もあるわけでございまして、新たな環境へ順応していくとかいろいろな問題もございます。離職者対策につきましては、これは財政当局との折衝その他もあるわけでございますが、先生の意を体しながら今後十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  107. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、先ほど通産大臣の方から両省の事務次官レベルの、つまりハイレベルの協議会をつくっていろいろな問題について対応することにした、私は大変結構なことだと思うのです。やはり雇用問題というのは失業対策であってはならないと思うのですね。その地域に新しい雇用の場をつくる。そうすると、産炭地でいえば産炭地振興と当然ダブってくるわけでありますから、ぜひそういう観点で通産省と労働省で腹を割ってしっかりひとつ産炭地の積極的な雇用が保障されるようにぜひお願いをしたいと思うのです。  それと、もう時間が来たようでございますので改めて大臣にお願いをしておきたいと思いますけれども、二十八日の最終答申がもうほぼ確定をしている。恐らくその前にこの石特を開催してもらいたいということが理事会でいろいろ議論されていると思います。いずれにしても第八次の石炭答申答申が出た後の最終的な石炭政策がどうなるか。高島の問題もそうでありますけれども、それ以外の産炭地にとりましては本当に深刻な問題です。ある意味で言うと神に祈るような思いで、そういう意味で言うとこれから具体的な問題も含めてたくさん我々の方としてはぶつける課題が出てくると思いますので、先ほど大臣はお答えになりましたけれども、ぜひひとつ最終答申が出た後、節目節目の政治決断というのをしっかりやっていただきますように改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 竹内黎一

    竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ────◇─────     午後二時九分開議
  109. 竹内黎一

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤原房雄君。
  110. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 午前中に引き続きまして若干の質問をさしていただきますが、十二日ですか、この答申原案が出されました。その答申原案中心といたしまして、二、三の問題について当局がどう考えているかということについてのお尋ねをするわけであります。  二十八日に本答申ということでございますから、骨格的なことということになるのかもしれません。また、中身についても私どももよく見さしていただきましたが、明確になっていないといいますか、答申としてもっと明確にすべきである、そういうところも何カ所かございました。しかしながら、今日までも当委員会で質疑もございましたし、また政府もいろいろな面について、この石炭問題については去年から相当長い時間をかけまして、今日まで大変な御努力をいただいて、そして今日のこの答申原案になったわけでございますから、事務当局また政府エネルギー庁といたしましても、これらの問題については非常に多方面にわたってのいろんな御検討があったものと思うのであります。  私は、最初にお尋ねしたいのは、閉山やむなし、そしてまた需要動向に即した生産ということ。時代の推移の中でそういう手法をとらなければならないということが大前提となっておるわけでありますが、石炭位置づけといいますか、日本国内の唯一のエネルギーと言われて今日まで参りましたが、八次策でこれがこのように大きく見方を変えなければならない。それは国際経済情勢の大きな変化の中でという一面はわかるのでありますが、少なくとも原案を見ますと、明年から出発するわけでありますが、五年たちましておおむね一千万トン、こういうことであります。数字もはっきり一千万トンと出ておるわけでありますが、私は五十八年に通産省がつくりました「長期エネルギー需給見通し」を見ましても、これは七次策当時でありましたから二千万トン前後、千八百万トンという数字が出ておるわけでありますけれども、この長期見通しという上からいきましても、これが余りにも大幅な減ということを当然のように考えている、私はこういう考え方でいいのかという危惧を非常に抱くのであります。  また、通産省が十四日に発表いたしました二十一世紀エネルギービジョン検討委員会、これはエネルギー庁長官の私的諮問機関ということでありますが、この中にも二十一世紀は複合の時代といいますか、石炭はもちろんのこと原子力や天然ガス、新しいエネルギー等、いろいろなものを持たなければならないということがうたわれております。こういうことを考えますと、経済ベースで答申原案にありますような石炭の撤退や縮小、こういう考え方で将来に大きな禍根を残すことはないのか。その間のことについては答申原案の中にも一部書かれておりますけれども、通産当局としてはこの問題についてはどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、まずお聞きをしておきたいと思います。
  111. 野々内隆

    野々内政府委員 エネルギーの中に占める石炭位置づけと申しますのは、供給の安定性、経済性という点から考えまして、石油代替エネルギーの中で大きな部分を占めるものと考えておりまして、今後我が国でも電力用一般炭中心に、石炭需要は長期的に伸びていくであろうと考えております。  御指摘の二十一世紀エネルギービジョンにおきましても、高品位炭だけでも今後二百年ぐらいは可採埋蔵量があるだろうと考えられておりますし、その生産国もアメリカ、カナダ、豪州などを中心に政治的に安定した国であるということから考えまして、供給の安定性ということについても余り問題がないであろうと考えております。  ただ、その場合国内炭をどう位置づけるかという問題でございますが、二十一世紀ビジョンにもありますように、今後複合エネルギー時代になりまして、エネルギー相互に自由競争というような時代に入りますと、どうしても経済性というものがかなりウエートを持ってくると思います。このビジョンは今後四、五十年先の話ではございますが、当面私どもとしましては、電力用炭における国内炭のウエートがまだ四割もございますので、供給安定上一定のポジションを占めているという前提から、今後第八次策の五年間におきましても中心的な位置を見出すという考え方でこの答申原案が書かれているものと考えております。
  112. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 特に石炭需要というのはこれから決して減るわけではないというお話石炭の中で特に国内炭をどう見るかというのが一つの大きな問題であるわけでありますが、答申原案の中にも、国内炭の役割については一定の役割を果たすべきことを評価した上でということでいろいろ述べられております。また「国内資源の有効活用、」「海外炭に比べて相対的に高い供給の安定性、」また「海外炭開発協力のための技術力の涵養等の観点から意義を有し、」というふうに位置づけられておるわけでありまして、午前中もいろいろ議論がございましたように、明年からこの八次策がスタートしまして五年後に原料炭はゼロやむなし、また一般炭についてもおおむねということで一千万トンということでありますが、国際的な経済の動きの中で、私は決してそれだけを主張しているわけではないのですけれども、こういう国内炭の役割ということを考えますと、五年後には少なくともどのぐらいといいますか必要最小限度のリミットというものはある程度考えなければならないのではないか。経済状況に耐えられないということでそのまま残る炭鉱がほとんどなくなるような状況になっても、それは経済ベースの上からやむを得ないのだと見るのか。国内炭の役割からいって最小限度これだけのものは考えなければならぬ、そういう目標設定というのは非常に難しいかもしれませんけれども、物の考え方として、国内炭としての役割を担わせるためにはある一定限度というものは国内での生産というものについても当然考えるべきだと私は思うのですけれども、その辺についてはどうでしょう。
  113. 田村元

    田村国務大臣 先ほど長官が申し上げたように、石炭、特に日本の場合一般炭というものに対して、我々はまだまだその重要性を認めております。と同時に、経済性の問題もございますけれども、今度の八次策ではおおむね一千万トンというものはやはり国内炭を尊重していこうということで先ほど来原案が示された、こういうことでございます。  そこで、これは正式に答申原案でそのまま出るのかどうか、私からとかくコメントすることもできませんが、それが出てまいったとすれば、一つのラウンドが五年でございますから、その間のいろいろな需給情勢とか環境情勢を勘案して、九次申においてまた改めて検討し直すということであろうと思います。  ただ、私は、何千万トン、何百万トンがいい、悪いということより、国内炭というのはかつての日本の食糧論議と同じでありまして、国内炭に対するある程度理解は恐らく長く続いていくであろうと考えておりますけれども、この第八次の審議会答申のラウンドを超えた六年目からのことについて私がとかく申し上げるのは礼を失することになりますから差し控えなければなりませんが、言えることは、国内炭、特に一般炭に対しては、その必要性というものについての認識は、どの立場におられる方でも恐らくよく似たものであろうというふうに思います。
  114. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 答申原案ということでございますし、さらにその先ということになりますと、八次策の先、私もそこまで大臣に厳しく答弁を要求しているわけではありませんが、企業経営者といたしましては、一応これから五年先のことについての数字はあらあら出たが、その先のことについて一体どうかということや、物の考え方として一体どうなのかということはきちんと腹の中におさめて会社を運営するということでなければならぬわけであります。できるだけ需要を喚起し、国内炭を見直すべきだということについては、与野党の立場は異なっても考えていることはやはり同じだろうと思います。大臣お話がございましたから、これは了といたします。  さらに、先ほどお話がございましたが、石炭需要そのものはこれからふえるであろう、そういう中で、これから新設される石炭火力、一九九五年で、二十三基で千五百九十万キロワットぐらいのものが、東北電力から中国電力そのほかでいろいろ計画があるように漏れ承っておるわけでございますが、これに伴う新規需要は三千七百万トンということも言われているわけであります。これはもちろん安い外炭を中心にしてのことだろうと思いますけれども日本石炭火力がもう全然立たないということでも決してないわけでありまして、計画ですから、これからの経済運営で、基数が減るのか発電容量が減るのか、いろいろなことがあるかもしれませんけれども、これからの需要はそれぞれ考えていかなければならない、それに伴って新規の石炭需要というのがあるわけでございます。現在のところではおよそ三千七百万トンということもいろいろ試算されておりますが、現在電力業界において国内炭の比率は四四%ということであります。このパーセントはずっと落ちるのだろうと思いますけれども、これだけの外国炭が使われ、国内炭の使用もそれに乗せるようにいたしますと、特に一般炭について、これは必要がないということはあり得ないことだと思いますし、今大臣からお話がございましたように、国内炭国内炭としての役割が当然あるのだろうと私は思うのです。今後の電力需要、また各電力会社の新規のいろいろな計画等については通産省でも試算等をなさっていると思うのですが、これらについてはどのように受けとめていらっしゃいますか。
  115. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭の今後の需要の伸びにつきましては今先生指摘のような状況で、今度の答申原案におきましても、「石炭鉱業の現状と今後の展望」という章の中でそのことに触れておりまして、「全体としては増加基調で推移するものと見込まれる。」というふうに書かれておるわけでございます。御指摘のございました昭和五十八年十一月の「長期エネルギー需給見通し」によりましても、昭和七十年までに、これからおおむね三千万トンぐらい石炭供給はふえるだろうということが書いてあるわけでございます。  しかしながら、その中で国内炭がどのような役割を担っていくかということは、国内炭をめぐるもろもろの問題の中で決められてくるわけでございまして、現在の八次答申原案におきまして、今後五年の期間における役割といたしましては、依然として国内炭の、国内におけるエネルギー政策上の一定の役割を認めつつも、これまでの役割に比べますと、それが変化をしておるという認識のもとに、需要業界との調整を経て、おおむね一千万トンぐらいに段階的に縮小するのが適当であろうという答えになっているわけでございまして、その後の問題につきましては、またその時点における総合的な情勢の判断のもとに国内炭の役割が決められていくものと考えております。
  116. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 五十九年、六十年度の炭鉱大手五社または中小会社の経常損益などを見ますと、何も難しいことを聞いているわけじゃないのですが、国からいろいろ対策をいただいておりますが、それがないときには大手五社も損益は確かにある程度マイナスになっております。しかし、北海道の大きいところ、または中小については対策を講じた後は、わずかでありますけれども大体黒字基調になっております。これは統計を見ていただけばわかります。  午前中も大臣が言っておりましたが、通産大臣として一番心を痛めるのは、石炭の問題と貿易摩擦だというお話でしたが、その貿易摩擦の底にあります円高、去年の九月からわずか半年か一年の間に四割も五割も円高が進んだということがやはり経営悪化の大もとになった原因だろうと思います。こういうことからいいますと、他産業でも円高のために大変な苦悩をしておるわけでありますが、石炭産業はそういう面では特に大きな波をかぶっておると言っても過言ではないだろうと思うのです。  過日もいろいろ申し上げたとおり、労働生産性や能率ということからいいますと、日本炭鉱も相当他国に負けない状況になっていることは御存じのとおりでありまして、いろんな条件が悪い点はあるかもしれませんけれども、去年の円高が急激に進む前まではある程度体制といいますか、そういうものは整っておったんですよね。しかしながら、この半年、一年の間にこう急激になったということでありますから、そういう状況の中でさらに努力をしなきゃならぬ。これはしかし、円高だからやむを得ないということでは済まされませんで、やはり企業努力、これは必要なことだろうと思いますけれども、それにはやっぱりある程度時間を要することだろうと思うのです。  こういうことで、各社、私ども会社をあっちこっち回りますと、それぞれ大変な御努力をしていらっしゃる。余り深部に行かないで採炭のできるような状況はないのか、露頭炭はないのか、こういうようなことでそれぞれの企業はそれなりに御努力をしていらっしゃる、こういう現状にあるわけでありますから、経済ベースの今日の非常に窮迫した状況の中で、余りにも過酷な、炭鉱の経営に雪崩閉山を引き起こすようなことは絶対あってはならない。また、国内需要というものも決してこれからどんどんふえるということではないのかもしれませんけれども、それなりの位置づけというものを考えるならば、この国内エネルギーというのは非常に重要なものであって、あらゆる角度から十分に勘案をして物事を決めなければならないと私は思います。  そういうことで、先ほど申し上げたように、答申原案が出る、その中で五年間で半分ほどになる、エネルギー事情というものも非常に流動的である、OPECでも石油が十八ドル、近々するかどうかいろんなことが言われております。経済状況も、ここ数年はそう変わらないとしても、先々は大変に流動的だということも記載されております。実力大臣であります田村大臣大臣のときに、こういう厳しい炭鉱状況を形づくったということで終わったんでは本当にならないと私は思いますし、いろんなそういうことのためにも今いろいろ議論をされておるわけでありますが、最大限需要ということについての御努力、それから円高が大変急激なために一番波をかぶっている石炭鉱業ということ、それで、加工業のように、一分間に十できる機械を二十できる、百できる機械にかえるとすぐ生産性が上がるということじゃなくて、非常に時間を要する産業だということ、こういうこと等も考え合わせて、やはりそういう条件にかなうものについてはできるだけ国内での存続というものについての努力をすべきだと私は思いますが、大臣、どうでしょう。
  117. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。  先ほど来私が申し上げたように、私が今一番頭が痛い問題は何か、石炭それに貿易摩擦、円高による不況、とりわけ中小企業対策、こういうものがもう私は本当に、夜寝てからでもいろいろと考えさせられる、そういうことでございまして、おおむね一千万トンというこの数量を満たす、つまりそれだけ買っていただくということも、私生まれて初めてセールスマンしたようなもので、それも不況に苦しんでおる、本当にかわいそうなぐらいのたうち回っておると言ってもいいような鉄鋼にまで売りに行かなければならなかったというようなことでございまして、大変苦労いたしてまいりました。しかし、そういうような感傷的な問題のみで石炭を見るべきではなくて、将来の石炭位置づけ、とりわけ国内炭位置づけというものを我々はまじめに今後も考えていかなきゃならぬと思うのです。  私はエネ庁長官にも言っておるのでありますけれども、今エネルギー庁でエネルギーの長期展望を立てていろいろと検討をいたしております。それに対して私は、君ら、石油や石炭や原子力やあるいはガスやそういうものに限って検討しておるようだが、それでいいだろうか。例えば、私が我が家で使っておるラジオはソーラーシステムであります。ですから、天気のいい日にうちを出るときにひなたへ置いてくるのです。夕方になると家内が入れておいてくれる。そうすれば立派にラジオが使える。私が今使っておる電卓です。これは、この電卓が活躍する限りにおいて電池は要らないのです。これもソーラーなんです。かつて私が最初に立候補した当時に、トランジスタのあれのマイクが、拡声機ができるなんてことは考えもしなかった。ガラガラ回してやるものだった。それが今日ああいうふうになってきた。新しいものがどんどんできる。例えば自家発電で、簡単にコンパクトな装置で発電ができる、そういうものを今研究されておるという。既に小さな川の流れ、小さな、その辺の本当にちょろちょろした渓流で製材工場ぐらいの電力ならもう発電できるというようなことまで大学の研究室で研究されておるという。そういうような我々が考えられないような新しい未来のエネルギーというものに対しても考えを及ぼしていかなきゃならぬ。それだけになおさら深刻に国内炭というものを位置づける、それはその都度その都度真剣に位置づけていくように、こういうことを言っておりますが、私もおっしゃったとおりの気持ちでございます。
  118. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 そういうことからいいまして、これは原案ですから、答申が出ましてからまたいろいろ質疑、こういう時間を設けていただいて明確にしなければならない点もあろうかと思いますが、縮小が、縮小といいますか、閉山が大前提にあるみたいなことじゃなくして、新しい時代に対応しなければならないのは当然でありますが、そういう中にありまして、石炭産業というものも決して石炭そのものが必要でなくなったということじゃないんだという観点の上に立ってぜひひとつ御配慮をいただきたいものだと思います。そういう点では、基準炭価制度とかIQ制度とか、こういうものも十分にひとつ勘案していただきたい。これは午前中お話がありましたから、私は申し上げるだけにしておきます。  それから、何といっても現在もう既に在庫が二百五十万と適正在庫をオーバーしておりまして、六十二年度明年度からの八次策ということでありますが、去年からもいろいろこの原案答申のための審議をいたしておる間に諸情勢がすっかり変わってしまいまして、貯炭が急増いたしております。七次策の期間中ではありますけれども需要が減っておる中で貯炭がどんどんふえておるこの過剰在庫対策、八次策でいろんなことが盛られて、それを実施するのは当然といたしましても、現在あるこの七次策での過剰在庫対策については政府はどのようにお考えでしょうか。
  119. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のとおり、この十月末の時点で国内炭の在庫でございますが、三百十一万トンに及んでおるわけでございます。昭和六十年度末、昨年度末でございますが、百五十二万トンでございましたので、百五十九万トン増加をしております。今後も需要の落ち込みが見込まれる中でございますので、さらに貯炭増加せざるを得ないという状況でございまして、石炭各社にとりましてかなりの経営圧迫要因あるいは資金面での問題を生ずる要因になっているということは私ども承知しております。これまでに石炭各社の経理内容あるいは貯炭状況等について、私どもとしてもヒアリングを実施して諸々の角度からこの問題を把握しておりますが、今後とも各社の状態を注意深く見守ってまいりまして、経営面その他について問題が生じないように私どもとしても努力をしてまいりたいと思っております。  具体的には、この貯炭問題に対する対策といたしましては、今年度は現在の制度の運用でこれをやっていかなければいけないという状況にございますので、新エネルギー総合開発機構、NEDOの融資機能をできるだけ活用いたしましてこの問題に対処していきたいと思っております。
  120. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 それから、この八次策実施に当たりまして一つ申し上げておかなければならないのは、過剰在庫対策だと思います。本年のことについても、ひとつ十分な融資そのほかの諸対策を講じていただくとともに、新しい八次策、明年から始まりましても、これがしっかりいたしませんと、私がここで偉そうなことを申し上げるまでもなく担当の皆さんはよく御存じだと思いますが、現在千六百万トン少々掘っておりますものが五年間で一千万トンということになりますことは、年に大体百万トンずつということでありますが、各社それぞれ平均して割り当てして減産というわけにはまいりません。ですから、非常に石炭産業というのは、作文や計画は立つかもしれませんけれども一つ会社がどうかということでありまして、資本コストの高い、コスト増につながります一部減産ということは、ほかの企業とは違って非常に難しい。そういうこともございますので、そういうこと等十分に勘案して過剰在庫対策、これはある期間、こういうことのために非常に頭を痛めなければならない期間もあるだろうと思います。これについては同僚委員にいろいろ大臣からのお話もございましたので、私も御答弁をいただきませんが、ぜひひとつ前向きに、十分に御検討いただきたいと思うのであります。  時間もありませんからあれでございますが、そのほかこの経済情勢の中で、どうしてもやむを得ない状況の中でいろいろな対策を講じなければならぬということになりますと、現在石炭関係する法律が六本あるわけでありますけれども、この六法のうち三つにつきましては、明年の三月三十一日に有効期限が切れることになっております。石炭鉱業合理化臨時措置法、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法、炭鉱離職者臨時措置法、これらの三つの法律については、明年やはり有効延長しなければならないだろうと思いますが、それとともにこの八次策は、原案を見るところ今までにない大変な方向転換ということでありますし、また地域に及ぼす影響は非常に大きい。一市一山という、昔のように炭鉱が幾つもあってその中の一つということじゃ決してないわけでありますから、地域経済に及ぼす影響も非常に大きい。  特に北海道では、御存じのとおり国鉄、また漁業、農業、鉄鋼、こういう一次産業に類する産業が主体でありまして、それが今非常な転換を迫られておる。こういう地域を見ますと、雇用対策一つ見ましても、地域の経済ということを考えてみましても非常に大きな問題であります。それを今までと同じような法律で同じことをしたのでは、とてもじゃないが、これは対策は立ちません。今まで以上の諸施策、総合的な対策を講じなければ、対策にはならないだろうと思います。そういうことでこういう法律の改正等もあわせてこの石炭に関する法律についてはどう考えていらっしゃるのか、部内ではいろいろ検討なさっていらっしゃるのだろうと思いますけれども現状についてお聞きしておきたいと思います。
  121. 田村元

    田村国務大臣 実は、これも答申の内容になると思うのです。でございますから、私から今特にどのようにすることが好ましいとか、あるいはこうしたらいかぬとか言うことはちょっとコメントを差し控えますが、エネルギー庁というのはエネルギーをつぶそうとかかる官庁ではなくて、これを育てる官庁でございます。そこいらは十分ひとつお含みおきいただいて、ちょっと答申のぎりぎりのところで非常に微妙なときでございますので、物を言っておしかりを受けてもいけませんので、また儀礼上私が今申し上げるべきでないと思いますが、その点あしからずお許しを願いたいと思います。
  122. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 もう時間もございませんで最後でございますが、労働省の方いらしておりますか。——労働省につきましては、個々の方々の問題もございますが、何と言っても地域的な問題というのは北海道にしましても九州にしましても、特に北海道には影響力というのは非常に大きゅうございまして、この諸対策に万全を期していただきたい。これは通産と労働でいろいろ話し合っているのだということでありますが、最近中央職業安定審議会から「地域雇用対策の整備、充実について」という建議がございました。いろいろこういうこと等もあわせまして労働省としてこの地域問題、地域雇用対策にひとつ今までの何十倍の御努力をいただかないと、職業紹介とかそういうことでいかに窓口をつくりましてもあっせんするところがないという、求人倍率、先ほどお話がございました○・三というような状況でございますから、相当これはきめ細かな、そして地元に密着した対策を講じていかなければならぬと思うのですが、これらの建議等も踏まえまして、現状をどのようにお考えでしょうか、お伺いしておきたいと思うのです。
  123. 佐藤仁彦

    ○佐藤(仁)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり最近の失業情勢厳しい中で、特に地域的に大きな問題が出てきております。ただいま御質問の中にもありましたように、先ほど中央職業安定審議会から「地域雇用対策の整備、充実について」という建議をいただきました。この建議に基づきまして、現在地域雇用対策のあり方について検討いたしておりますが、この建議の中で指摘されておりますことは、これまでも労働省は地域雇用対策をいろいろ講じてきておりますが、それらを抜本的に見直し、整理統合して新たな観点からの地域雇用対策を確立することが第一点であり、第二点は、問題のある地域につきましては地域指定を行って重点的に雇用対策を講じていく、その中で賃金助成制度融資制度などを新たに創設、充実することによって手厚い助成制度を確立すること、第三番目に、そうした雇用対策を今後進めていくに当たっては統一的、体系的な法的な整備が必要であること、こうした三点を骨子とする答申をいただいております。これに基づきまして、地域雇用対策につきましては十分産炭地等に配慮しながら抜本的な見直しをし、充実した対策を確立してまいりたいと考えております。
  124. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、吉井光照君。
  125. 吉井光照

    ○吉井委員 本日の委員会は、当然のことながら第八次答申案の内容が大きい議題となっているわけですが、私は、第八次答申案に対する問題は後ほどお尋ねするといたしまして、まず自治省に、閉山自治体職員の雇用対策についてお尋ねをしておきたいと思います。  まず、閉山に伴う最大の問題は、何といいましても雇用問題と地域問題であります。午前中も問題になりました例えば長崎県の高島町は、約五千三百人の町民のうちそのほとんどが炭鉱関係者とその家族で占められているわけですが、もし閉山後に企業誘致ができないとするならば数年で町の人口は千人程度に減少し、いずれはゼロになってしまうのではないか、このように言われているわけです。その上同町は、離島のために原材料、製品の輸送コストがかさむし、平地も非常に少ない、こういったことで炭鉱離職者を吸収するほどの企業誘致は非常に困難であるということも言われているわけです。こうなりますと当然町民は減少してくる、また町の仕事も減るわけで、現在いらっしゃる百三十人の町の職員はもう相当数過剰になってしまうのではないかと思うわけです。ところで、この余剰となった職員は一体どうするのか。整理する場合には当然隣接市町村や長崎県で吸収するよう国の方は指導されると思うのですが、まずここらの点について自治省の考えをお伺いしておきたいと思います。
  126. 柘植一郎

    ○柘植説明員 市町村の職員数につきましては、それぞれの団体におきます行政需要に対応した適正な規模であることが必要だと考えております。したがいまして、御質問のように炭鉱閉山等による人口減少によりまして行政需要が減りました場合には、それに応じた適正な規模に移行していくことが必要だと考えております。関係市町村がそのような事態になりました場合には、その実情を踏まえまして、適切な対応が図られますように県などと協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  127. 吉井光照

    ○吉井委員 そうした場合、これも高島町の場合ですが、町の人口が五千三百人から大体千人程度に減少する、こうなりますと高島町は相当小規模となってしまうわけですね。このような小規模の地方自治体として存続していくということが果たして現実に可能なのかどうか。全国的には非常に今人口の少ない町村も二、三あるようですけれども、果たしてそうした千人程度で地方自治体として存続していくことが可能なのかどうか、この点いかがですか。
  128. 吉原孝司

    ○吉原説明員 千人の規模でもって成立するかどうかでございますが、現在も一番小さな町村になりますと二百人を切っているようなところもございます。千人でもって、それをもって直ちに成立する、しないというのは少しまだ言い得ない、やはりそれなりの行政努力をした上で判断をせざるを得ないものと考えております。
  129. 吉井光照

    ○吉井委員 ところで、去る六月の行革審の答申によりますと、小規模市町村の合併促進を指摘しているわけですが、高島町や、またそのほかにも八次政策の結果として近隣との合併を必要とする地方自治体が出てくることがないのかどうか、自治省としてはこうした団体について合併ということを指導するのかどうか。今言いましたように、行革審の答申ではこの合併を指摘している、このような状態について、ひとつ自治省のお考えをお聞きしたいと思います。
  130. 吉原孝司

    ○吉原説明員 御承知のとおりでございますが、私ども自治省といたしましては、市町村の合併につきましてはあくまで地域の実情を踏まえつつ関係市町村が自主的に判断をすべきものというのが私どもの基本的な考え方でございます。したがいまして、今御指摘の高島町の場合につきましても、確かに現在人口五千人ほどでございます。今度閉山の結果どのくらいになるのか、地元では千人ぐらいになるのではないかというような話をお聞きいたしますが、いずれにいたしましても、そういう状況の中で今後どういうような格好で行政水準を維持していくのか、そのあたりはこれから十分検討しなければいけないことでございますが、特に長崎県におきましては現在、閉山後の町の行財政のあり方につきまして検討しているとお聞きいたしておりますので、そういう中でいろいろ御相談があれば私どもとしても誠心誠意御相談に乗っていきたいと思っております。
  131. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、地方交付税の補正の強化についてお尋ねいたします。現行の地方交付税では、人口が急減することに伴う基準財政需要額の急減を緩和するためにいわゆる急減補正が設けられているわけです。電力業界のほかに鉄鋼、パルプそれから繊維業界、こういったところも一時に引き取りをやめるのではなく、本年度から段階的に縮小して、そして六十六年度でゼロにするということになっているわけですが、これで短期集中閉山といった事態が避けられて、雇用や地域に与える影響緩和できたのではないか、このようにも言われているわけです。今回の答申原案もそのような前提に立っているわけですが、しかし、今回の国内炭撤退路線は、去る四月の経済構造調整研究会、いわゆる前川レポート、これがいわゆる国内炭産業を名指して縮小を求めているところに示されておりますように、今後大規模に進行しようとしております他の産業構造調整のモデルケースの意味さえ持っていることからして、国は地域対策にも特段の努力を払うべきであると思うわけであります。そうした意味から、先ほどの交付税の急減補正を特に強化して、地方自治体に対する手厚い財源付与を図るべきではないか、このようにも思うわけですが、いかがでしょう。
  132. 小滝敏之

    ○小滝説明員 人口の急減いたします市町村におきましては、人口変動の少ない同規模の団体に比べまして経費が割高となる、そういう状況を反映するために人口急減補正というものを適用いたしまして一定の復元率というものを掛けておるわけでございます。ちょうど今年度の算定からは新しい国調人口、六十年の国調人口を用いて過去の人口の変動等を反映させるということでやってきたわけですが、産炭地市町村等、特に三十年代以降大幅に減少を見ておる市町村におきましては、その国調の基準年の移行等に伴いまして基準財政需要額がさらに減少することも予想されましたので、今後十年間にわたって激変緩和措置を講ずることといたしました。したがいまして、一般的な人口急減補正におきましてまず御指摘趣旨をも織り込んだ算定になっておるものと考えておるわけでございます。  さらに産炭地市町村に対しましては、これは産炭地特有の問題でございますが、その団体の財政状況を勘案しまして、鉱業の人口の減少に伴います財政需要の激変を緩和するという観点から、暫定的な措置としましていわゆる産炭地補正というものを適用して、所要の財源措置を講じておるところでありまして、それなりの産炭地域への配慮をいたしておるところでございます。
  133. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、第三セクターに対する国の助成の必要性についてお尋ねをしていくのですが、産炭地の自治体では、何とか生き残るために独自のアイデアで、地元資源を活用した地域経済活性化事業を実施しておるわけでございます。例えば北海道の芦別市、ここが「星の降る里ワールド」の観光施設、それから上砂川町がキノコ栽培加工、それから赤平市がローカルエネルギー構想、こうしたいわゆる活性化事業を実施しているわけです。さきの国の補正予算でも、民活法によるところの民活事業を実施する地方自治体参加の第三セクター等に対して三十三億円の民活活用推進費というものが新設をされているわけですね。民活は大都市地域でないと成立しないわけですが、その民活事業にさえ国の補助が出るわけですから、こうした過疎地域閉山を抱える地方自治体が第三セクターによって事業を実施する場合には、産業振興にも、また雇用確保にも役立つわけですから、今回の答申原案指摘をしておりますように、こうしたことに対して、その事業が軌道に乗るまである程度長期にわたって積極的に助成を行うべきではないか、このように思うわけですが、通産省のお考えをお伺いしたいと思うのです。
  134. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今後段階的な生産縮小に伴いまして予想されます地域の疲弊、これは従来の産炭地域振興対策だけでなくて、今御指摘のあったようないろいろな創意工夫を凝らした総合的な振興策で臨まなければいけないということにつきましては、私どもも同じ考えで臨んでおるわけでございまして、答申原案にもその趣旨が出ているわけでございます。  そこで、第三セクターの活用の問題でございますけれども答申原案におきましても、地域が主体的に総合的な開発計画をつくり、プロジェクトを掘り起こす、そういうものに対して道県なりあるいは国が積極的に支援をしていくという姿勢で書かれておるわけでございまして、私どもといたしまして、一つ地域振興整備公団に出資機能がごさいますので、この機能を活用することにより、適切なプロジェクトが確立されますれば、それに対する出資について財政当局とも相談をしてまいりたいというふうに思っております。  また、もう一つ考えといたしましては、現在構造調整に悩んでおる地域につきまして、その地域に存在する不況構造調整企業あるいは地域に対しましての支援事業としての経済構造調整基金の構想につきまして当省として検討をしているところでございまして、この構造調整基金の中で石炭地域についても考えていただくように、現在財政当局とも相談をしております。そういう中で、今先生のおっしゃった趣旨についても生かしていけるのではないか、かように考えております。
  135. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、地域対策に関する総合的な国の助成の必要性についてお尋ねをしたいのですが、先ほどの地方交付税の急減補正は、現在の財政需要の急減を緩和するためのもの、こうしたことですから、企業誘致等地域崩壊を防止するためのいろいろな施策に要する経費まで交付税の補正強化だけで見るのは無理だろうと思います。  また、存続する山に対する地方自治体の支援経費も新たに必要となってくるわけです。そのためには、現在の産炭地域振興臨時交付金、やはりこの制度の改変を行って、新たに地方自治体の地域振興、雇用確保に関する事業に要する経費に対して総合的な補助制度を設けるべきではないか、このように思うわけです。  その財源につきましては、現在政府が輸入原油に関税を課してそれを国内炭の救済費に充てている石炭対策費ですね、これが大体一千百億から二百億、これら閉山に伴って不用となる財源の一部をこちらに回すとか、また、先日の委員会でもちょっと議論になりました割安な海外炭に新たに課税をして財源を生み出すとか、こうした方法はとれないものかどうか、この点はいかがですか。
  136. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘産炭地域振興臨時交付金でございますけれども、現在の制度といたしましてもかなり充実したものと私どもとしては考えておるわけでございまして、閉山がありました場合に、その地域を維持活性化するために基本的な資金として補助的に交付をしておる部分もございますし、また、その地域中小企業対策に資するための資金の交付もしており、その他いろいろな観点から公共事業の推進等に役立つ資金の交付等、いろいろな内容が盛り込まれておると思っておるところでございますけれども、今度八次策の最終答申をいただきますれば、またその観点に照らしてその拡充について検討を進めていきたいと思っております。  この財源の問題でございますけれども、現在の財政事情は御案内のとおりなかなか厳しいものがあるわけでございまして、答申原案の中では、これについては所要の対策費を確保するべく幅広くその財源について検討せよという内容になっておるわけでございまして、最終答申案を得まして、関係方面と十分相談をしながら所要の対策費を確保するように努力をしてまいりたいと思っております。
  137. 吉井光照

    ○吉井委員 その場合、もし最終答申が出まして、その答申に従って新しい補助制度ができたとしますと、この八次政策直前の閉山となる高島礦ですね、これも当然対象として、地元高島町や長崎県にもこの新しい補助制度を適用すべきであると思うのですが、この高島礦の場合はどうでしょうか。
  138. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 制度的な面あるいは予算的な面については、それぞれ関係の方面とこれから御相談をしていかなければいけないわけでございますが、私どもといたしましては、できるものについては遡及的に、今度の高島が閉山した場合にも適用したいというふうに考えております。
  139. 吉井光照

    ○吉井委員 では次に、地方自治体への長期地域対策に対する指導の必要性についてお尋ねをするわけですが、地方自治体は今まで七次政策を踏襲して、現存炭鉱を残すべきである、このように主張をしてきたわけですが、今回の答申原案ではこれがほぼ絶望的になった。その急激な政策変更というものが地方自治体や地域住民にやはり大きなショックを与えているわけでございます。優良鉱の閉山も近い将来あり得るのであるならば、できる限り早くそういった見通しを立てて、地元自治体に十分情報を提供して、そして、そういった事態に備える準備、例えば石炭にかわる産業振興等の対策に早くから長期的に取り組んでいくよう、地方自治体に指導をしていくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  140. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のとおりだと思っております。個々の炭鉱がどのような形で今後閉山を決定したかということは、基本的には経営判断の問題で、個々の会社の判断に属する問題であるわけでございますが、現在残されております十一の炭鉱、高島炭鉱については残念なことに閉山の決定が労使の間でなされつつあるわけでございますけれども、残りの炭鉱につきましてもその地域における依存度というのは極めて高いものがあるわけでございまして、いずれにいたしましても、脱石炭地域構造を目指して地域が主体的に努力をしていかなければいけないわけでございまして、それを私どもとしては道県とともにできるだけ支援をしていく。御指摘のようにこれを先取り的にできるだけ早くそういうことについての勉強に着手し、事業に着手しなければいけないということで、六十年度から設けました御指摘のございました活性化支援事業、これにおきましてはプロジェクトオリエンテッドなビジョンをその地域でできるだけ早くつくってもらって、そしてそのプロジェクトで実施に移せるものについては来年度の予算要求におきましてはこれを事業調査に移し、それに対する補助金も用意していこうという構えになっておりまして、私どもとしても前向きに、かつ的確、弾力的にこういった問題に対応していきたいと思っております。
  141. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、今回の答申案の具体的なスケジュールについてお尋ねをいたします。  今回の八次答申案というものが事実上最後の石炭政策ではないか、このように言われているわけですが、それは、石油がだぶついて、そして原油価格が低迷するというエネルギー情勢変化に円高が重なった今日、国内炭を取り巻く環境が好転する見通しは余りないからだろう、このように思うわけです。であるならば、今回の答申案には当然八次政策期間内、いわゆる六十二年から六十六年の具体的な閉山スケジュールの提示がなされてしかるべきである。にもかかわらず「基本的な考え方」として、「産業構造調整の一環として取り組む」また「生産規模を段階的に縮小する」また「生産体制集約化を円滑に行う」というふうな非常に抽象的な表現が繰り返し強調されているわけですが、実際にどう進めていくかとなると、そのほとんどが示されてないわけです。このような中身のないいわゆる問題先送りの答申案では、炭鉱で働いている方々を初め数多くの関係者、そういった方々は非常に先行き不安を免れない、このように思うわけです。したがって、答申案の目的でありますところのなだらかな閉山、これを本当に望むのであるならば、本答申までにこの点のスケジュールを明確にすべきではないかと思うわけですが、この点のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  142. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 答申案の中におきましては、今後の石炭政策のフレームとなるべき事項あるいは石炭企業の個々の活動に対するガイドラインと申しますか指針と申しますか、そういうものを示す性格のものでございまして、個々の具体的な山の消長については、これは先ほど申し上げたとおり個々の会社の経営判断に属する問題であるわけでございます。  ところで、今後のそれぞれの生産の姿がどうなるかというスケジュールの問題でございますが、そういう事情でございますので答申においては基本的な方針を示すのでございまして、その基本的方針としましては、現下のエネルギー情勢その他からまいりまして地域経済に十分配慮をしながら段階的に縮小することはやむを得ない。その結果六十六年度にはおおむね一千万トンの規模になるということになりますと、現在の供給規模でございます千八百万トンから八百万トン程度縮小が行われざるを得ないという状況が示されているわけでございまして、その間にどのような姿が展開されるかにつきましては、さきの原料炭問題についての需給両業界の決着を見ました審議会の決定の状況あるいは一般炭の決定に関する状況を見ましても、毎年の需給両業界の話し合い、具体的には石炭鉱業審議会の中で行われることとなりますけれども、そういった結果を見なければわからないわけでございまして、全体としては一千八百万トンが一千万トンになるという事情の中で、私どもとしては、その基本的な考え方として、なだらかな縮小というものを旨としながら毎年毎年注視をしていくという格好になろうかと思っております。
  143. 吉井光照

    ○吉井委員 では、総合的なエネルギー政策についてお尋ねをいたしますが、今回の答申案によりましてまさに日本石炭産業に終止符が打たれようとしているわけでございますが、時代の流れとはいいながら、今後の日本エネルギー政策はどういう方向に進んでいけばいいのか、石油の時代もやがては去って本格的な原子力の時代に突入をしていくのか、非常に見当がつきかねる時代になってきているわけで、それだけにやはり国民の不安も非常に大きいものがあるのではないか、このようにも思うわけでございます。したがって、政府はこの際、我が国の今後におけるところの長期的な総合的エネルギービジョン、こういったものを国民の前にはっきり提示して、そして国民や企業協力を求めていかなきゃいけないんじゃないか、このようにも思うわけでございます。  通産省・資源エネルギー庁の二十一世紀エネルギービジョン検討委員会、これが去る十一月十四日に二〇三〇年を見通したところの超長期のエネルギー需給分析を発表されたわけですが、それによりますと、新エネルギー実用化を迎え、エネルギー源の分散化が進む一方で、技術革新によって二十一世紀は複合エネルギー時代、このように指摘をされているわけでございますけれども、こうしたいわゆる総合的エネルギービジョンに対しての大臣の御意見をひとつお伺いしておきたいと思います。
  144. 野々内隆

    野々内政府委員 我が国はエネルギー資源が乏しく、大半を輸入いたしておりますので石油依存度も五七%というふうに諸外国に比べて非常に高い。特にその石油の中でも中東依存度が七割ですとか、あるいはホルムズ海峡依存度が六割というふうに非常に脆弱なエネルギー構造をいたしておりますので、これを長期的に安定させるというのが私どもエネルギー政策の基本になるわけでございます。今現在、一時的に需給は緩んではおりますが、中長期的にはまた逼迫化するであろうというのが国際的な常識になっております。  当面の私どもエネルギー政策の目標は「長期エネルギー需給見通し」、これは昭和五十八年につくられたものでございますが、これで、十年後には石油が四八%、石炭が一八%、原子力が一四%というようなエネルギー構成に持っていくというのが一つ見通しであり、政策目標になっているわけでございますが、この線に沿って今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っております。  超長期的には今先生指摘の二十一世紀エネルギービジョン、これは一つのビジョンでございまして、今後国民あるいは国際的な議論を展開していきたいと思っておりますが、いずれにしましても、複合エネルギー時代という形でいろいろなエネルギーが競争し、トータルとして安定的に国民にエネルギーが供給できるような体制、そういうものを目指して政策努力を集中していきたいというふう考えております。
  145. 吉井光照

    ○吉井委員 では、時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。
  146. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、児玉健次君。
  147. 児玉健次

    ○児玉委員 先週私は産炭地を前後三日ばかり回ってきたわけですが、そのとき石炭関係者地域の商工業の皆さん方からこもごも言われたことなんですが、なだらかな閉山であればやむを得ない、こういう意見は一つもございませんでした。  一つの例え話なんですが、皆さんもいすとりゲームというのは御存じだと思うのです。ここに十一人人間がおる、いすが五つか六つ提供されていて用意ドンといったらだれが一番先にそのいすに座るか。座れなくなった人は結局立ち往生ということになるわけですが、そういった状態が、今第八次石炭政策原案が提示されている中であちらこちらの山の関係者に深刻な不安を与えている。  私は最初に、田村通産大臣にぜひ九州であれ北海道であれ、そういった産炭地に直接おいでいただいてじかに見ていただきたいということを要望したいのですが、いかがでしょうか。
  148. 田村元

    田村国務大臣 もちろん私は産炭地のみならず、先般も商工委員会お話がありましてそれに対してお答えしたのですが、不況業種、例えば企業城下町、構造不況業種のところ等々あちらこちら行脚したいと思うのです。ただ、今すぐにでも行脚したいのですけれども国会がさせてくれない。毎日何かはあるわけですよ。例えば国鉄の特別委員会にも座らなければならぬ、ほとんど質問はありませんけれども。そういうようなことでございまして、なかなかそのいとまがないということでございますので、まあ少し、暇ではございません、暇を見つけてとそういう不謹慎なことは言いませんが、時間がとれればぜひどこかを拝見したい、このように思っております。
  149. 児玉健次

    ○児玉委員 なるべく早くそれを実現していただきたい、こう思います。  そこで、実際にそういった方々に会って提起された非常に深刻な問題について、まず一つ二つ御質問したいと思うのです。  今石炭産業がその足元で揺らいでいる、そういった状態であるだけに、保安に対する特別な取り組みが求められている、こう思うわけでございますが、ことしの一月二十九日に三井砂川鉱でガス突出事故がありました。この事故を通産省立地公害局、そういったところはどのようにして御承知になったのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  150. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 まず、当該事故につきましては炭鉱からの報告はございませんでした。一般にガス突出災害につきましては、この三井砂川のように罹災者が生じませんでも鉱業権者が保安監督局に直ちに概況を報告する義務があるわけでございます。しかし、本災害につきましては報告がなかったということでございます。  それからもう一つの御質問のどのように察知したか、承知したかということでございますが、二月十二日に匿名で、坑道掘進のための発破を行った際に多量のガスが突出した事実があるという電話が保安監督署にございました。それによって承知したわけでございます。当局は直ちに立入検査を行って災害の事実、発生を確認したものでございます。
  151. 児玉健次

    ○児玉委員 肝心な点は、この一月二十九日の三井砂川鉱の事故は保安日誌に記載されていたのかどうか、その点を伺いたい。
  152. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 保安日誌は監督局が特別検査あるいはいろいろ書類調査を行いました結果、まずガス濃度でございますが、平常のガス濃度を記載していたことが判明いたしました。
  153. 児玉健次

    ○児玉委員 明らかにそれは石炭鉱山保安規則六十八条に違反していると思うのです。それに対して皆さんとしてはどのような措置をなさったのか、お聞きしたいと思います。
  154. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 通産省といたしましては、今御指摘の保安日誌に虚偽の記載があったということ、あるいは災害の報告を先ほど御指摘のように行わなかったこと、あるいは災害の現場の保存もしておりません、こうした観点、大変に遺憾であるというふうに考えております。このため、通産省といたしましては、鉱業所長を初め関係者に対しまして戒告書を交付いたしまして、かかることが再度行われないように厳しく処分したところでございます。
  155. 児玉健次

    ○児玉委員 ことしの二月に「保安問題懇談会報告書」が発表されまして、私それを拝見したわけなんですが、この中で最近の重大災害がいわゆる後方区域での施設管理不備、不安全箇所の早期発見のおくれ、そういったことに起因している傾向がある、もちろん深部、奥部の第一線の保安というのは重要ですが、そしてこの報告書は「保安確保に対する慣れと過信があった」こういうふうに指摘をされております。そこで、この報告書で触れられている抜き打ちでの実施を含む実地訓練、全山の避難を含めたこういった抜き打ちの実地訓練が今存在している鉱山の中で何山程度実際に行われているのか、その点を伺います。
  156. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 六十一年度、これはまだ途中経過でございますが、実績を四月から九月時点まで調べてみますと、抜き打ち検査につきましてはまだ十分に各社とも進んでおりません。具体的な事例は省略いたしますが、数件抜き打ち検査を実施しているというふうな状況でございます。今後の計画といたしましては、先ほど御指摘の保安懇でこの春指摘されたばかりでございますので、それにのっとりまして今年度の後半には各山とも抜き打ち避難訓練を計画中であるというふうに承知しております。
  157. 児玉健次

    ○児玉委員 最初に言いましたようなこういった石炭を取り巻く厳しい情勢下ですから、ぜひ通産省として検査の基本としては抜き打ち検査を重視していく、そして訓練を実施していくという点で、今お話があった抜き打ち訓練について各山で行うように指導を強化していく、そのように要望したいのですが、この点でお答えをいただきたい。
  158. 加藤昭六

    ○加藤(昭)政府委員 検査につきましては二通りございまして、一般にあらかじめ多くのいろいろなデータを事前に調整しておく必要のある検査と、それから一般の検査とございます。例えば総合検査あるいは施設落成検査、こうしたものは事前によく通告しながら今後とも検査をしていく必要があろうかと思いますが、その他の例えば巡回検査、追跡検査あるいは一斉検査、こうしたものは抜き打ち検査を原則としてやっていきたいというふうに考えておりますし、それから御指摘の被害拡大防止の観点からのいろいろな避難システム、こうしたものにつきましては、従来は事前に予告しながら各社、各山でやっていたわけでございますが、これにつきましても、抜き打ち的に各山で訓練をするというふうな方向で指導していきたいというふうに考えております。
  159. 児玉健次

    ○児玉委員 ぜひ保安確保のための努力を強めていただきたいということを要望して、次に労働省にお尋ねしたいと思います。  今閉山の問題が先日来のこの委員会の中でも随分論議をされておりますが、過去に退職した山の労働者がどのようなことになっているのか。その一つの事例として、北炭幌内と真谷地でこれまでの退職者に対する退職金の未払いが現在どのようになっているか、このことについてお答えいただきたいと思います。
  160. 松原東樹

    ○松原説明員 両会社から報告を徴しましたところによりますと、本年の十月末現在で、幌内につきましては、六十億八百七十三万九千四百十円、関係労働者八百五十八人分でございます。それから真谷地につきましては、二十三億三千四百二十一万七千六百九十五円、関係労働者四百九十一人でございます。
  161. 児玉健次

    ○児玉委員 通産省に一つお願いしたいのですが、いわゆる閉山交付金というのは過去の退職者を対象にしているでしょうか。
  162. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 閉山時における解雇者を対象としております。
  163. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで事態の深刻さについて、これは通産大臣の注意も私はあえて喚起したいのですが、二つの山で千三百四十九名、そして退職金の未払いの総額は約八十三億四千二百万円。私が先日夕張に行って調べてきた金額と今の労働省の答えは完全に一致しております。そこで、閉山交付金における、現に存在している山の労働者が退職したとき、国がその退職金の一部を負担する、そういったものの対象に過去の退職者はならない。この二つの山が決して閉山しないように私は強く希望しているし、そのために今からも努力をしたいと思いますが、八次策が今俎上にのっているとき、もしこの際、千三百四十九人、八十三億何がしの未払いの退職金を完済させておかなければ大変な社会問題になる、このように私は考えるのですが、この現状認識について労働省の考えを伺いたいと思います。
  164. 松原東樹

    ○松原説明員 退職金につきましても、労働協約あるいは就業規則に定められたものにつきましては、賃金ということでございますので、それを定められたところにより支払わなければ、これは労働基準法違反になるというふうに考えているところでございます。したがいまして、使用者がみずからの責任において確実に支払うよう努力すべきが当然でございまして、その支払いのために使用者はあらゆる努力を尽くすべきだと私ども考えております。  この両会社のケースにつきましては、労働省といたしまして、これまで両炭鉱で、先ほど申し上げました未払いになっております退職金につきまして、早期支払いを図るために、両会社に対しまして、労使で構成される退職手当支払促進管理委員会を設けさせまして、支払い計画を明確にさせ、その支払いの確保を図らせてきたところでございますが、いまだ先ほどのような残額が残っておるということでございます。今後におきましても、両社に対しましてあらゆる努力を尽くし、速やかに支払うよう指導を続けてまいりたいというふうに考えております。
  165. 児玉健次

    ○児玉委員 その退職手当支払促進管理委員会ですが、どう見てもこれが機能しているとは思えないのです。そして、個々の退職者に対して個々に支払い計画が示されているという事実は存在していないのです。  この前、随分多くの方にお会いしました。そういう中で、この夕張では「労務債の早期支払いを求める退職者の会」、これが結成されまして、そして会社とも独自に話し合いをなさっているのです。  今の労働省のお話、かなりよくわかるのですが、親会社関連企業グループ協力も含めて、現在の労働基準法違反の状況をこの際解決させなければならない。その点で、労働省の特別な指導の強化を求めたいと思うのです。どうでしょうか。
  166. 松原東樹

    ○松原説明員 賃金の支払い義務を負いますのは、直接の使用者たる両炭鉱それぞれの会社でございまして、労働基準法をバックといたしまして関連の企業あるいは親会社に直接労働省として監督権限を行使するということは無理かと思います。  ただ、当会社が必要と思う範囲でそれぞれの関連会社あるいは親会社等に協力を要請するということは考えられるわけでございます。そういう面につきまして、直接その会社からあるいは協力の要請がございますればその辺の協力をするということはあろうかと思いますが、直接監督権限の行使という面でやることは残念ながら無理かというふうに思っております。
  167. 児玉健次

    ○児玉委員 事柄が深刻なので、もう一遍この点で、このように伺いたいのです。  未払い退職金の支払い義務者がその炭鉱であるということは明白です。そして、その炭鉱がみずから支払い能力に困難があるとき、その炭鉱の当然の社会的義務として親会社関連企業協力も仰ぐ。そこで労働省として、支払い義務を負っているその炭鉱に対して、この機会に過去の未払い退職金を完済するように強い指導をしてほしいということなんですが、どうですか。
  168. 松原東樹

    ○松原説明員 先ほども申し上げましたとおり、両炭鉱がその負っている債務を完済すべきことは当然でございまして、あらゆる努力を尽くして完済するよう、今後とも強力に指導をしてまいりたいというふうに思います。
  169. 児玉健次

    ○児玉委員 その努力が早期に実ることを強く希望します。  そこで、今度論議になっている八次策とも関連するわけですが、石炭産業の将来を考えるときに、国内炭需要をどのように確保していくか、ここが最大の問題だと考えます。通産省のその点での努力を私も強く望むものでございます。  北海道北海道電力の幾つかの火力発電所がありますが、その中に厚真一号機というのがあります。これに対しては、先ほど議論がありましたが、産炭地石炭火力発電所建設費補助金、そういうのが三十二億一千万円既に支出をされております。そして、この北電の厚真一号機が立地するに際して、北海道と周辺市町村との間に継続的な協議が行われて、一定の条件のもとにこの発電所の立地に周辺の町村が同意したわけですが、その条件の中に次の一説が明記されております。  これは当然通産省は御存じだと思いますが、「発電所に使用する石炭は、高カロリー、低いおうの道内炭を使用すること。」こういうふうに条件がつけられて、北海道電力もそれに同意をしている。そしてその石炭は石狩炭と釧路炭を使うということまで述べられているのです。  そういった北電厚真一号機のこれまでの建設の経緯からして、この場所で引き続き国内炭を使用するのが当然だと考えるのですが、通産省のお考えを、これはエネ庁長官にお伺いしたい、こう思います。
  170. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のとおり、北海道電力の苫小牧厚真発電所第一号機の建設に当たりましては補助金が交付されているわけでございまして、昭和五十二年から五十五年にかけまして産炭地石炭火力発電所建設費補助金といたしまして三十二億、その後石炭火力発電所建設費等補助金といたしまして十四億の補助金が出されているわけでございます。このうち産炭地域の火力発電所の建設費補助金につきましては、その趣旨からいたしまして、産炭地の火力発電所の建設を促進することによりまして我が国の石炭鉱業の安定と産炭地振興に寄与するという目的がうたわれているわけでございまして、そういった目的にかんがみますれば、今後とも北海道電力に引き続き一定量の国内炭を使用することを期待するのが適当であろうと考えております。
  171. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、第八次答申原案の問題に私は若干触れたいと思うのです。  これは原案でなくなったときに本格的な論議をしたい、そう思っているのですが、原案を拝見して私が目を疑いましたのは、例えば「はしがき」のところで「我が国が直面している課題である産業構造調整の一環」としてこれを進めるという趣旨のことがございます。産業構造調整の一環としてこの石炭政策を進めていく。そして、それは別の箇所にも同様な指摘があります。ことしの四月七日に出された国際協調のための経済構造調整研究会、いわゆる経構研の前川リポートはあえて石炭を名指ししてこういうふうに述べています。「石炭鉱業については、地域経済に与える深刻な影響に配慮しつつ、現在の国内生産水準を大幅に縮減する方向で基本的見直しを行い、これに伴い海外炭の輸入拡大を図るべきである。」せっかく通産省が昨年八次策について石鉱審に答申を求められた。ところが、その後四月の経構研の前川リポートは結論を既に出している。国内炭の大幅縮減と海外炭の輸入拡大、それが四月七日。四月十三日に中曽根首相はレーガン大統領とお会いになっている。そして、翌四月十四日、ワシントンの通信社の発信によれば中曽根首相はそこで記者会見をなさった。そのプレスリマークスの一部を私は紹介したい。先ごろ、私の私的諮問委員会がこの点——経済構造の転換です。この点に関し多くの貴重な勧告を盛り込んだ報告書を作成した、これらの勧告を政策化していくため、政府として近く作業計画を策定する推進本部を設置する予定である、こう言われている。  そうすると、八次政策について大体もうレールが敷かれている。中曽根首相のレーガン大統領に対する公約、あえてスケープゴートに石炭産業を選んで、それをこの機会に八次策という形をとりながら実現することでみずからの個人的責任を果たす、レーガン大統領に対して申し開きをする、客観的にはその役割を果たしていると私は指摘せざるを得ない。この点について通産省の考えを聞きたい。
  172. 田村元

    田村国務大臣 確かにそれは産業構造改善という観点から盛り込まれたものと私ども理解しております。ただ、産業構造改善というのは、御承知のように、今の円高というのは一体なぜ出てきたのでしょう。これはアメリカが従来政策的に為替レート等に介入しない、強いドル、強いアメリカという考え方でとってきた政策、ところが、それが経常収支が赤字になって大騒ぎになってきて、ついに彼らも悲鳴を上げた、そして、G5というものがいろいろと協議したということでございましょう。なぜ日本は黒字がたまったか。それはアメリカのおかげというのではなくて、アメリカをやっつけたことになるわけです。例えば、どんどんと輸出部門で輸出をする、アメリカはそれに対してそれほど強い拒否反応を当初は示さなかった。それと同時に、金利差がうんとある、ですから、機関投資家はドル債の方へどんどんと金を投入したということになれば、ドル買いで円売りのような形になる。輸出が伸びれば伸びたで、それは当然ドル建てでございましょうから、最近は円建ても若干出てきましたけれども、結局ドル建てで売れば、ドルを売って円を買う、そういうようなことで、とにかく従来は二百四十円前後でバランスがとれておった。それがだんだん日本の黒字がたまってドルが弱いということになって、アメリカに対してドル債に機関投資家が手を出さなくなってきた。そして、ドル債に手を出す場合でも、ドルを借金してやるようになってきたあるいは先物買いをするようになってきたというようなことで、どんどんと円は買うわドルは売るわ、そして同時にドルは使わないわというようなことから黒字がたまってきて、しかも日本はいろいろな意味で輸入というものに対して余り意欲的でなかったという面もあったでありましょう。  そういうことで、とにかく今私が申し上げたのはごく一部でありますが、いろいろな要素があって、まるっきり共産党の方はアメリカと大企業というと目のかたきにされて、そして私どもがその言うことを何でも聞いているようにおっしゃるけれども、一番勉強しておられるのは唯物論弁証法の上に立った理論的な共産党の方じゃないでしょうか。その方々がそういういかにして日本の円が高くなったか、ドルが安くなったか、その経過、経済理論あるいは貿易理論の経過、理論、そういうことを余り探求されない、あるいは本当は知っておられるのだろうと思うのですが、探求されないで、単純に、やあレーガンと結託したとかあるいは大企業はけしからぬとか、こういうふうに非常に単純に決めつけられて——私は割合に感心な男で、赤旗の愛読者の一人でございます。あれを読んでおると、ようもまあ書きおるわいと思って、私は本当に腹が立つ前に感心して拝見しておりますが、これは失礼でございます。レーガンに中曽根が石炭を売り飛ばしたかごとき印象を与える御発言は私は承服いたしかねます。これは失礼でございます。
  173. 児玉健次

    ○児玉委員 今大臣がいろいろと言われたことについて基本的に私は十月二十日の委員会で、円高誘導政策について、G5に端を発する、なぜアメリカが今のようにドルの急激な低落をもたらしたか、この点について言いたいことがありますけれども委員長、僕はあと三分しかないから……。  それで、大臣が言われた最後の点だけれども、私の主観的な意図で述べているのでないということを、そこまでおっしゃるのだったら私も申しましよう。  ある新聞が今度の八次策を論議されている中で十一月十四日にこう書きました。「五カ月近くにわたる実力行使の期間中、」「実力行使」とは何か。鉄鋼大手の基準炭価三分の一の一方的値下げ決済ですよ。委員長やエネ庁長官がどのくらい苦労されたかということは私も多少知っている。その五カ月近くにわたる鉄鋼の実力行使の期間中、中曽根「首相自ら同業界に「もっとがんばれ」と再三激励したことを当の業界首脳が認めている。」そして、その新聞の別の記事では、業界首脳とは「武田鉄鋼連盟会長」である、「二度にわたって」とあえて特定しているのです。私はこういう報道をもとに言っているのですけれども、通産省としてこういう事実を御存じないですか。
  174. 田村元

    田村国務大臣 さようなことは信じられません。私も武田さんと接触をしておりますが、中曽根さんから武田さんが御依頼を受けたということは聞き及んでおりません。  第一、一部の新聞とおっしゃるが、かつて共産党は、新聞に記事が出たことは営利新聞が書く記事だと言って相手にされなかったじゃありませんか。それを今、一部の新聞が書いたといって国会で公式の問題にされる。それなら、どの新聞が何を書いてもそれを問題にされるということになるじゃありませんか。極端なことを言えば、すっぱ抜きの週刊誌や写真雑誌が書いたことだってそれを公式に持ち込むということになるじゃありませんか。すべての新聞がそれを公式にコメントしたというのなら、大新聞全部がコメントしたというのなら、それは私もまたお答えのしようもありましょう。けれども、一部の新聞が——何新聞でございますか、それをはっきり教えていただきたい。
  175. 児玉健次

    ○児玉委員 あなたが先ほどそういうことを言われたから私は述べたので、田村さん、私たちはマスメディアに対して相応の敬意を払っています。あなたの共産党に対する考えは極めてクラシカルで、相当古いです。  私たちは今日の新聞に対して非常に敬意を払っていて、これは北海道新聞です。私が最初に述べたのは、十一月十四日付の朝刊、次に紹介したのは十一月十三日付の朝刊です。後から議事録を読みますけれども、一部の新聞などと私は述べていない、一つの新聞と述べた。  そこで私は、先ほどの大臣の発言の中で、この後の石炭産業に対する国の保護政策をどうしていくのか、このことについて、時間ではありますけれども一つだけ述べて、終わりたいのです。  ことし六月にECが、七月一日から七年半にわたる石炭保護政策の実施をEC全体として確認いたしました。その中には、きょうも論議があったコールペニヒ、それから価格差補給金的なものもあります。それらを含めてECは七年にわたるパースペクティブでこれを決めて、アメリカがそれについてクレームをつけたとは私たちは全然承知しておりません。この際日本政府として、石炭産業に対する国としての保護政策をぜひ強化してほしいということを強く求めて、私の質問を終わります。
  176. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会