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1986-12-04 第107回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月四日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 伊藤宗一郎君    理事 大島 理森君 理事 桜井  新君    理事 笹山 登生君 理事 長野 祐也君    理事 若林 正俊君 理事 新盛 辰雄君    理事 古川 雅司君 理事 滝沢 幸助君       新井 将敬君    井出 正一君       内海 英男君    加藤 卓二君       木村 守男君    佐藤 敬夫君       斉藤斗志二君    園田 博之君       虎島 和夫君    野呂 昭彦君       宮崎 茂一君    村井  仁君       持永 和見君    粟山  明君       上田  哲君    木間  章君       佐藤 徳雄君    馬場  昇君       松前  仰君    薮仲 義彦君       川端 達夫君    安藤  巖君       中島 武敏君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         国土庁防災局長 山本 重三君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局企画課防         災科学技術推進         調整官     高木 譲一君         大蔵大臣官房企         画官      田谷 廣明君         大蔵大臣官房企         画官      窪野 鎮治君         大蔵省主計局主         計官      武藤 敏郎君         国税庁直税部法         人税課長    瀧川 哲男君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       林田 英樹君         文部省学術国際         局学術課長   長谷川善一君         文部省体育局体         育課長     岡  行輔君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   小林 康彦君         厚生省社会局施         設課長     福田 孝雄君         林野庁指導部治         山課長     岡本 敬三君         工業技術院総務         部研究業務課長 山浦 時生君         中小企業庁小規         模企業部参事官 桐山 正敏君         運輸省国際運輸・         観光局観光部長 辻  宏邦君         運輸省国際運輸・         観光局観光部振         興課長     高橋 義典君         運輸省港湾局技         術参事官    奥山 文雄君         海上保安庁水路         部長      佐藤 任弘君         気象庁地震火山         部長      河村あたる君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      鈴置 哲朗君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省河川局砂         防部砂防課長  友松 靖夫君         建設省住宅局民         間住宅課長   荒田  建君         国土地理院地殻         調査部長    春山  仁君         自治大臣官房参         事官      柳原  瑛君         消防庁防災課長 田中 基介君         特別委員会第三         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 九月十六日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     粟山  明君 十二月四日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     新井 将敬君   浜西 鉄雄君     上田  哲君   安藤  巖君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   新井 将敬君     佐藤  隆君   上田  哲君     浜西 鉄雄君   中島 武敏君     安藤  巖君     ───────────── 十月八日  集中豪雨災害対策に関する請願粟山明君紹介)(第四六号)  集中豪雨被災地災害対策に関する請願亀岡高夫君紹介)(第七二号) 同月十六日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願野呂田芳成君紹介)(第二六二号) 十一月十八日  防災事業推進等に関する請願坂口力紹介)(第一三九四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  災害対策に関する件(昭和六十一年伊豆大島噴火による災害等)      ────◇─────
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十一年伊豆大島噴火による被害状況について、本委員会から委員派遣し、その実情を調査するために、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本委員派遣は、来る十日に行う予定でございますことをつけ加えます。      ────◇─────
  5. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、昭和六十一年伊豆大島噴火による災害等について、政府から説明を聴取いたします。国土庁山本防災局長
  6. 山本重三

    山本(重)政府委員 お手元に配付しております資料に基づきまして、昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火及び十一月二十三日桜島爆発について御説明申し上げます。  初めに、資料のうち、「昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火について」という資料をごらんいただきたいと存じます。  「噴火状況等」でございますが、要約して申し上げますと、伊豆大島三原山は、十一月十五日午後五時過ぎ、南側火口壁から噴火し、十九日には溶岩が内輪山を越えてカルデラ内に流下し始めましたが、二十日未明にはその流れもほぼ停止しました。  しかし、二十一日十六時十五分に、カルデラ内の北側に数カ所噴火口ができ、大規模噴火が始まり、十七時過ぎには、外輪山の外側でも火口列ができ、溶岩流れ元町の市街地に迫り、これらの噴火は二十二日未明まで続きました。  一方、地震は、二十二日の震度五の地震二回を含み頻発しましたが、その後次第に減少してきております。  その他、北部及び南東部で幾つかの地割れが見つかっておりますし、また、島の十数カ所では変色水観測されております。  次に、IIの「被害状況」についてであります。  現在関係省庁において調査中でありますが、現在判明しております概要は、公共土木施設関係には、道路の亀裂、崩土等、次のページへ参りまして、農作物には、小菊、サヤエンドウ、冬野菜等が十一月二十日現在で一億八千七百万円の被害中小企業関係には、休憩所一件約五千万円の被害等が生じておりますが、二十一日以降の噴火により被害が増大している模様であります。  次に、IIIの「避難状況等」についてであります。  十一月二十一日の大規模噴火後、十七時五十七分には泉津、岡田地区住民に対し最初の避難指示が出されましたが、二十時二十三分には全島避難指示が出され、二十二時五十分には全島民に対し島外への避難指示が出されました。  島外への避難は、二十一日十九時ごろから二十二日午前中にかけて、東海汽船、海上保安庁海上自衛隊の船及び漁船等によりまして、一万余の島民観光客等が、静岡県二十二カ所、東京都三十五カ所の避難所等避難いたしました。その後、静岡県内への避難者東京都内へ移動いたしまして、十二月三日現在、都内二十三カ所に六千十七名の方々避難されております。  資料の三ページに参ります。  十一月二十一日十九時には、大島町に対しまして、被災者の救出、炊き出し等食品給与等を内容とする災害救助法の適用がなされました。  Vの「関係省庁連絡会議等の開催」についてでございますが、十一月十七日に第一回の会議を開き、警戒体制に万全を期すること等を重点事項として申し合わせました。十一月二十一日の会議においては、次に御説明申し上げる本部設置について決定するとともに、住民等の安全を最優先に避難に万全を期する等の事項を申し合わせました。  次に、VIの「本部設置」についてでございますが、二十一日二十三時四十五分、閣議決定によりまして、国土庁長官本部長とし、関係二十一省庁から成る昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火対策本部設置いたしました。  資料の四ページをお開きいただきたいと存じます。  対策本部は、十一月二十二日第一回会議を開催いたしまして、避難住民避難所、食糧、飲料水生活必需物資臨時電話確保等避難住民不安解消等重点事項決定しました。  二十五日の第二回会議では、火山活動状況監視観測体制強化等を、二十七日の第三回では、島民の一時帰島等の安全性、その具体的方策についての検討を、二十九日の第四回会議では、一時帰島の措置が安全かつ円滑に実施されるよう警戒避難その他政府支援措置の万全を期する等の重点事項を、事態推移に対応しながらそれぞれ決定してきたところでございます。  資料の五ページをお開きいただきたいと存じます。  VIIIの「政府調査団派遣」につきましては、十一月二十二日及び十二月一日の二回にわたり、綿貫国土庁長官を団長といたしまして、噴火及び現地状況調査いたしております。  次に、IXの「避難完了後にとられた措置等」につきまして、要約して御説明申し上げます。  多数の避難者に対しまして特設公衆電話設置され、また、伊豆大島噴火避難者案内所設置されました。  児童生徒に対しましては、5にありますように、十一月二十四日より約千五百名に対しまして入学措置がとられております。  元町に向かっていた溶岩流に対しましては、8にありますように、東京消防庁等溶岩冷却作戦によりまして、二十六日朝には動きがとまっております。  十一月二十五日からは、公共職業安定所特別相談窓口を開設し、十一月二十六日には、世帯更生資金貸付業務が開始されております。  また、13にありますように、十一月二十七日には、小企業等経営改善資金の機動的、弾力的運用を商工会に指導しております。  次のページに参りまして、15以降にありますように、十一月二十九日には、政府系中小企業機関及び環境衛生金融公庫等に対しまして、債務者に対する返済猶予各種災害貸し付けの発動を行うよう指導しております。  19にありますように、都災害対策本部は、十二月三日以降の一世帯一名の日帰り帰措置決定したところであります。  Xの火山噴火予知連絡会につきましては、十一月二十四日及び二十八日に総会が開かれまして、火山活動の現況と今後の可能性及び一時帰島する場合の必要な対策等について発表されております。  以上、昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火について、要約して御説明申し上げました。  次に、十一月二十三日桜島爆発について、「十一月二十三日桜島爆発について」という資料に基づき御説明申し上げたいと思います。  桜島南岳は、資料の「参考」にもありますように、本年は、記録的な昨年の活動状況に比べまして、爆発回数等観測値は減少してはおりますが、依然として活発な火山活動を続けてまいりましたところ、十一月二十三日十六時二分にことし二百六回目の爆発をしまして、その噴石が山ろくまで達し、被害が発生いたしました。  一般被害といたしましては、噴石の落下により、ホテル一棟が一部破損し、六名の負傷者が生じましたほか、非住家一棟を焼失いたしております。  2の商工関係被害額といたしましては、ホテル被害額が約一千三百万円に達しております。  今回の災害に対し、政府といたしましては、十一月二十五日、被害状況の把握のため、国土庁より担当官現地派遣いたしております。  以上でございますが、今後とも関係省庁と緊密な連絡をとりまして、対策に万全を期してまいる所存でございます。  以上で報告を終わります。
  7. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  8. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新井将敬君。
  9. 新井将敬

    新井(将)委員 質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。  質問に入ります前に、この二百年に一度という本当に大災害が我々のすぐ足元で起きました。しかも、それだけの大災害にもかかわりませず、わずか七時間で一万人に上る島民皆様災害による事故もなく無事に避難できたということにつきまして、関係各位島民皆様に心から御敬服申し上げ、また、今全員が帰島できる日を一日一日と待っておられる大島島民皆様に対し心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  また、政府、都そして我が自由民主党も、繰り返し現地の視察、そして会議を開き、この緊急事態に対処してまいりました。そういうことも今後また全力で推し進めていただきたいと思う次第でございます。  さて、まさに世界史的規模じゃないかと言われるようなこの大災害、しかもわずか七時間の間に四十五隻の船を集めて一万人以上が無事に脱出する、こういう大災害、我々はその大災害状況を逐一テレビを通じて見、本当に自然の災害はすさまじい、こういう災害に対して、政府としても我々としても常に打てるだけの手を全力で打っておかねばいけないということを、皆様本当に痛感されたのではないかと思う次第であります。特に火山列島、我々日本人全体が火山の上に住んでおります。そういう中で、今度の大島のこうした大災害は、やはり我々日本人運命というものを象徴するような一つの大きな出来事と私は思わざるを得ません。そういう意味で我々の運命というものを一つ象徴している、そういうことを私は申し上げたいわけでございます。  そういう意味で、この災害につきましては、単に大島一つの問題ではなく、日本人全体また日本列島のそういう運命がかかっている、そういうお気持ちで今後対処していただきたいということをお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。  まず、第一点でございますけれども、この大島三宅島あるいは八丈島、そして富士山、いわゆる富士火山帯と言われる火山帯には、三年前、五十八年に三宅島で大噴火が生じたことは皆様御承知のとおりであります。しかしそのときも、大噴火の二時間ぐらい前には異常が起きているんじゃないかという兆候が強くあったにもかかわらず、何らの手も打てないままに噴火に至ってしまいました。今度の大島の第二次の大噴火に際しましても、やはり二時間ぐらい前には体積ひずみ計が異常な数値を示し、大噴火兆候があるんじゃないかということがささやかれており、現場測候所長も大噴火があるんじゃないかという非常に強い感じを持っておられたにもかかわらず、また異常値を示すブザーが鳴ったにもかかわりませず、前回三宅島における失敗と教訓というものを生かせず、またしても二時間後に打つ手がなく大噴火に至ってしまったというのが現状であります。  特に、三年前三宅島ではたった一個しかなかった観測計が、今回の場合には十二個も備えつけられていた。特に、七十七個の火山を持つ日本の中でも四つの精密観測をやる、桜島と並びそういう精密観測をやる地域でありながら、またしても事前に観測予知とを結びつけることができなかった。こういうことを思いますにつけて、まず、地震観測予知についてどうして前回教訓を生かせずこういう唐突な大噴火になったのか、そういうことについてひとつお伺いしたいと思います。
  10. 河村あたる

    河村説明員 噴火予知連絡会というものがございまして、いろいろな火山の異常が見られます場合には、それぞれの段階におきまして火山活動推移それから見通し等を総合的に判断をしていただくということをいたしておるわけでございます。今回も、七月に火山性微動が十二年ぶりにあらわれるようになりました。十二年ぶりと申しますのは、ちょうど四十九年の噴火のときに、やはり噴火と同時に火山性微動があらわれていたわけでございます。そういうことで、私ども、遠からず噴火が起こる可能性があるということで監視体制を強めることも考えまして、この連絡会を開いていただきまして監視体制強化等検討していただいて、実際にそういう手も打ってまいりました。しかし、残念ながら、先生御指摘のように、私どもの経験が十分でございませんで、噴火がいつ起こるか、それからどの程度規模になるかということに対しては、今回は予知と申しましょうか予測が十分にできなかった点は、私どもも反省すべき点である、そういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 新井将敬

    新井(将)委員 ちょうどまだ大噴火のずっと前、十月三十日にいわゆる予知連見解ということでは、異常は見られるけれども噴火はないということでありました。また、噴火が現実に始まりました十一月十五日には、この噴火は大きくならないという意見が出たところであります。しかし、地元の測候所では既にこの段階で大噴火予測というものをしていたというふうに聞いております。予知が困難ということはわかりますけれども地元測候所長が大噴火の危険があると現に言及されたと言われる状態にあるにもかかわりませず、そういう情報を総合して判断される際になると、突然に予知ができないあるいは現場の生の声を聞けない、そういう情報収集するメカニズムがおかしいのではないかとか、特に予知連気象庁がどうもしっくりといっていないというようなことが繰り返し言われておりますし、いろいろな都や行政判断に対して予知連の方からクレームがある、あるいは気象庁の方から言われる、いろいろなことがあると我々国民の目には見えております。  こういう災害指示系統の乱れがないということについて、今後も重要な問題でありますから、いわゆる予知連というものが今後の東海沖地震やあるいは富士火山帯におきますいろいろな火山活動観測予知に対してどういう心づもりで仕事をしていかれるのか、それに対して気象庁がどういうふうな責任をとってやっていかれるのか、そういうことをお聞きしたいと思います。
  12. 河村あたる

    河村説明員 予知連と申しますと、地震予知連絡会噴火予知連絡会の両方がございます。今、噴火予知連絡会について申し上げますと、これは測地学審議会昭和四十八年六月二十九日の審議会でございますが、「火山噴火予知計画推進について」という建議がございます。この建議によりまして、「火山噴火予知に関する関係機関研究及び業務相互連携を密にし、もって、火山噴火予知推進に関する計画の円滑な実施に資することを目的とする。」ということになっておりまして、気象庁において事務局を担当するということで設置されているわけでございます。  各先生方、それから関係行政機関方々、非常に熱心に議論をいたしております。二十八日の一番最後の噴火予知連絡会でございますけれども、実は三時間を予定しておりました議論が六時間半にわたり、いろいろな角度からいろいろな意見がフリーに思ったとおりに出せるような環境のもとで議論を尽くしてああいうコメントになったわけでございます。決して先生方あるいは予知連絡会気象庁との間に意見の食い違いのようなことがあるとは考えておりません。噴火予知連絡会長の下鶴会長は私のところにほとんど毎日顔をお見せになって無休でございますが、あたかも気象庁職員のごとく一日十時間ぐらい詰めて私どもと綿密に打ち合わせをしていただいております。そういう状態噴火の前後に続いたわけでございます。
  13. 新井将敬

    新井(将)委員 一つ今御答弁いただかなかったのですが、この三原山の大爆発、大噴火に引き続きまして桜島でも噴火が起こりましたし、またアリューシャン列島の方でも噴火が起きる、あるいは伊豆の方の観測計が異常なゆがみを示す、これは我々は関係ないと言われましても、いつ東京のおひざ元であるいは関東大震災クラス地震東海沖地震が起きるんじゃないか、富士山爆発をするんじゃないか、本当にそういう危険な感じを持っておるわけですけれども、そういうときにどういうふうな今感じを持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  14. 河村あたる

    河村説明員 火山は個別的に噴火をするという性質を持っております。過去の歴史で見ましても、どの火山噴火をしたから次にどの火山がということはございません。そういうことで、火山噴火に対しては他の火山噴火と直接の関係はございません。桜島は三十年にわたって非常に異様な状態であると私認識いたしておりますが、非常に活発な噴火活動を続けております。たまたま今回は伊豆大島噴火が、今までの噴出量から申しますと、昭和二十五年、二十六年に相当する中噴火程度噴火が起こったわけでございます。先ほども申し上げましたように、直接に関係があるとは私どもとっておりません。  それから、ひずみ計につきましては、きのう地震防災対策強化地域判定会委員打合会気象庁で行われました。そういうことで伊豆大島の今回の噴火に関しまして、東海地域を含めて容積ひずみ計にかなり大きな異常が発見されておりましたが、その異常はやはり大島噴火によるものであって東海地震とは無関係であるという結論が得られております。
  15. 新井将敬

    新井(将)委員 無関係で安心だということなんで安心することにいたします。  次は、きょうやっと第一陣がちょうど伊豆大島に着かれたところだと思いますが、帰島問題についてお聞きしたいと思います。  きのう夜に第一陣の方が、きょう朝岡田あたりにちょうど今帰られている途中ではないかというふうに思いますが、一時帰島の決定につきましては本当に非常な熟慮をされた大決断だと私は評価いたしております。もちろん安全の確保そして避難経路、万全の準備が必要でございますけれども、この一時帰島に引き続きまして来週明け早々には全島永久帰島に向けて準備を進めていかれるというふうに承っておりますが、こういう一時帰島の決定にいき至りましたいきさつ、そして全島永久帰島と申しますか、そういうものに向けての実施時期あるいは見込み、方法、その問題についてお伺いしたいと思います。
  16. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の伊豆大島噴火の後におきまして、今後噴火活動がどのように進行するかは極めて重要な問題でございます。そういう意味で、十一月二十四日には火山噴火予知連総会を開きまして、今後の火山活動状況について慎重な検討を行い、統一見解が発表されたところでございます。  この統一見解が発表されました後、さらに帰島問題とも関連し、東京都知事から私たち政府本部に対しまして、今後伊豆大島観測監視体制をさらに強化してもらいたいという強い要望を受けますと同時に、二十七日に至りまして大島町議会の方から、特に東京避難されておられる方々の強い要望を踏まえて町議会が一時帰島の実現についての強い要望を表明され、その要望書をこちらの方へ提出されておられます。こういった要望を踏まえまして、私どもは一時帰島についての具体的な考え方、方法等について詳細に調査し、それを提出していただきたいということを東京都に要請いたしました。  その後、こういった状況を踏まえまして、二十八日には火山噴火予知連が再度総会を開きまして、会長コメントが総会後に発表されたところでございます。  この会長コメントを踏まえて、現地調査をされました東京都知事は、大島町長の参加のもとに開きました東京都の災害対策本部会議におきまして、一時帰島の方針を決定されたところでございます。  この一時帰島の方針が決定されたことに対しまして、私ども政府の第四回本部会議を開きまして、都の対策本部決定に基づく一時帰島の措置が安全かつ円滑に実施されるよう警戒避難その他政府支援措置の万全を期することとして、その後対策を鋭意進めているところでございます。
  17. 新井将敬

    新井(将)委員 全島の永久帰島の時期と見込み、実施についてお伺いしたいのです。
  18. 山本重三

    山本(重)政府委員 島民方々が一日も早い帰島を望んでおられますことは、報道機関のアンケート調査、あるいは先ほどの町議会の議決、あるいは私ども避難所に参りまして直接避難者から聞きました熱望等からよく存じております。しかしながら、この帰島の問題につきましては、やはり専門家による科学的な判断を尊重しつつ、安全確保を最優先に考慮しながら大島町長が判断することになろうと思いますが、政府としては、東京都とも緊密な連携を図りながら、今後観測監視体制を強化しあるいは避難警戒体制の整備を図って、安全確保のための対策に万全を期しながら、その対応に適切に対処してまいりたいと考えております。
  19. 新井将敬

    新井(将)委員 全員の永久帰島につきましては、安全と避難観測体制、ひとつ万全の配慮をしていただきつつ、できる限り一日も早く進めていただけることをお願い申し上げる次第であります。  また、その際には、現在山頂付近だけの観測網ではないか、あるいは筆島の付近にブイを置いたり、危険だと言われております南部のあたりにもうちょっと複雑な装置をつけなければいけないのではないか、そういう観測体制が非常に不十分だと言われておりますので、そうした観測体制というものを、今鋭意進めておられると思いますが、早急にひとつ準備していただきますと同時に、幾ら観測データがそろっておりましてもそれを判断をする機構がなければ、生データだけを幾ら送られても判断機能がございませんので、やはり予知連だけではなく、もう少し大島の実情に詳しい地元に詳しい学者の方々を入れた小部会でもさらに置いて、しっかりとした判断を早急に下せるようにお願い申し上げます。  避難体制についてひとつお伺いしたいと思います。  全員が帰島されました際にも、やはりいざというときにいろいろなデータに基づき総合判断を下しました際に全員が速やかに避難できる体制というものを確保しなくてはいけません。また、強風などで接岸できない、右往左往してしまうというケースも起こらないとは限りません。そうした避難体制についてどのように今後考えていかれるのかお伺いしたいと思います。
  20. 山本重三

    山本(重)政府委員 最初に、ただいま先生から御指摘がございました観測監視体制の強化でございますが、私どもは、二十七日に開きました第三回の本部会議で、観測機材の増強、各観測機関のネットワーク化等を早急に実施して観測監視体制を一層強化するという観点から、緊急な観測監視体制の整備計画を策定いたしまして、この内容を二十八日に開かれました火山噴火予知連にお諮りし、その了承を得て、直ちにこの計画本部決定として二十九日行ったところでございます。現在、この計画に基づき早急に資機材等を現地に配置し、あるいは測量観測実施すべく作業を進めておるところでございますが、これの財政的措置につきましても本日の次官会議、明日の閣議で決定するという手順も既に進めておるところでございます。  また、今後の避難体制の問題でございますが、当然島民が帰島された後、今後の火山の活動の状況等から、いざという場合には安全に円滑に避難できることが非常に必要だと思います。私どもとしましても、今後の帰島の計画にあわせてそれに必要な、避難にかかわります具体的な避難対策というものを、町の当局、特に町と東京都の支庁長あるいは地元の警察署それから測候所長との四者におきます合同対策本部ができておりますので、そこにおいて十分検討をしていただき、それに基づいた速やかな住民避難が行われるよう、個々の具体的な地区ごとに細かい避難計画というものを定めていきたいと思います。また、その避難計画にあわせて適切に、避難する場合にはやはり島外へ脱出するということも考えなければなりません、そのために必要な船舶等につきましては、海上保安庁あるいは海上自衛隊等々の船等を適宜配置し、なお非常の場合の空中輸送も考慮して自衛隊のヘリコプターの配置、そういったものも考えながら万全を期してまいりたいと思います。  なお、今後の島におきます恒久的な対策としましては、いろいろな面から、やはりこういった火山のある島に生活するという実態を踏まえた対策、十分配慮した対策というものを我々は鋭意検討してまいりたいということも、既に対策本部でも決定しておりますし、準備も進めておるところでございます。
  21. 新井将敬

    新井(将)委員 今の緊急避難の場合の安全対策もございますけれども、今回一万人の方が本当に無事に脱出できたわけですが、今言われましたようにいつまた大災害に見舞われるかこれは予断を許さない状況でございますので、今後の安全確保のための公共施設の整備についてお伺いしたいと思います。  特に、今回、例えば波浮港におきまして非常に水深が浅いために百トンくらいの船しか入れないという状況でございましたので、沖合に大型船舶がおりましてもはしけでピストン輸送する際に波が荒くてなかなか乗り移れない。一番最後に江東区の体育館に入った方なんかは四時間もあの噴火のはしけの中で過ごした。あるいは元町に行け、波浮に行けと非常に危機に際しての情報の乱れがあったと聞いております。現在波浮の港では千トンクラスを目標にして第七次港湾整備の五カ年計画が進んでおりますけれども、この伊豆大島全体の緊急避難ということを考えますと、岡田、元町を中心とする北部からの五千トンクラスの脱出港と並んで、やはり南部の方の中心である波浮を中心とする地域にどうしても五千トンクラスの船が接岸できるような岸壁をつくっていただきたいということをお願い申し上げる次第でございますが、ひとつ大臣にぜひこれはやるぞと言っていただければ幸いでございます。
  22. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 このたびの伊豆大島火山噴火によりまして避難をしておられます皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。また、先ほど防災局長から報告のありました桜島によって被災された皆様方にもあわせてお見舞いを申し上げたいと存じます。  ただいま新井先生いろいろと大島の問題につきまして御心配をいただき御質問をされておるわけでございます。今一万人を超す島民皆様方が避難をされ、ようやく一時帰島ということで島の状況を目で確かめたいという皆様方の御希望がかないまして第一船が着いたところでございます。しかし、島の安全につきましてはさらに監視体制を強めていかなければならないのでございまして、東京都あるいは大島町それぞれ御心配をいただいておりますが、政府としましてもいち早く対策本部をつくりまして、二十一省庁が水も漏らさぬ連携のもとに東京都、大島町と連絡をとって今日までそのバックアップをしてまいったところであります。  今お話のございましたこの後の大島の問題につきまして、今後の火山活動状況、あるいはもし爆発したようなときに、それを未然に防止するようなことも考えながら、活火山対策特別措置法ということによって島の安全を守るというような方向ができないかどうか今事務当局にも検討させておる、こういうことでございまして、ただいまお話のありました港湾整備その他も当然その中に含まれるものだと考えておる次第であります。
  23. 新井将敬

    新井(将)委員 どうもありがとうございます。やはり火山とともに暮らしていくしか本当に暮らす方法がない、これが大島島民の皆さんのぎりぎりの立場でございますから、いざというときに一万トン級、五千トン級の船が着けるそうした本当に安心して暮らせる島にしていただきたいと思いますし、それがまたこの火山列島日本政府の重大な一つの仕事ではないかと私は信じておりますので、ぜひ波浮港に五千トンの船舶が着けるような港湾をつくっていただきたい。同時にまた、その周辺の泉津とかいろいろな小さい漁港、小さい港がございますが、そういうところにも避難港というような意味での災害対策をしていただきたいということをお願いだけ申し上げます。答弁は要りません。  また、江東のスポーツセンターに中曽根総理が御視察に行かれた際にも、やはり地元の皆さんから、特に南部の皆さんから、波浮にとにかく大きな港がなければ危ないという直の陳情がございました。そのとき総理も口頭で、わかりました、皆さんの安全のために全力を尽くしますと確かに言われたのを私もここで聞いておりますので、できる限り港湾対策というものに全力を尽くしていただきたいということをお願い申し上げます。  次に、時間がありませんので、帰島後の生活の確保についてお聞きしたいと思います。  現在、大島の事業の主力は農業、漁業そして観光ということになっております。しかし、この災害は、先ほどいろいろな法律でもってとおっしゃいましたが、こういうかつてない、どの法律を適用してもなかなかうまく補償ができない面がどうも多いのではないかという気がしてなりません。激甚災害法の適用が行われるかどうかと考えてみましても、倒壊家屋というものが必ずしもそうあるわけでもございませんし、また牛や豚や鶏が現実に死亡したかというとそういうわけでも実はないわけであります。ところが、二週間全島避難しなければいけないという大災害に陥った中で、えさを与えていても、現実には豚であっても豚としては商品化できないようになってただ生きているだけであるとか、鶏であっても鶏の形をしていても商品化できないようになっているとか、そういう状態が非常に多いわけであります。特に農産物、家畜、水産物の被害に関しまして、園芸共済や家畜共済いろいろとございますけれども、これにすべての人が加入しているわけではありません。こういう、特に鶏などになりますと、六千羽も飼って非常に主力になっているわけでありますが、これに対して共済制度もありません。また自創資金というものもございますけれども、農地を持っていないとなかなか使えないというような制約もございます。こうした島の中核を占めるそういう農家、漁業あるいは畜産、こういう方に対する救助措置というものについてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
  24. 青木敏也

    ○青木政府委員 現在、島の農作物あるいは漁業関係被害状況につきましては、先生御案内のような状況でございまして、現在時点で精査できない状況にあるということを言わざるを得ないわけでございます。いずれにいたしましても、私ども、都も十分督励をいたしまして早急に農林水産業関係被害の実態を把握いたしまして、それに対応する的確な、ただいま御指摘ありました資金措置等も含めて適切な対応を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 新井将敬

    新井(将)委員 今おっしゃいましたが、お気持ちは非常にありがたいわけですけれども、現行制度の中でなかなか処理できないことが多い災害であるということだけは念頭に置いていただきたいのです。例えば出荷ができない。いろいろな園芸の花につきましても、出荷ができない、戻っても、根っこがやられている、あるいはビニール栽培につきましても商品としての性格を失っているというような形の災害、そういう目に見えない形で商品としての性格を失っているという災害が非常に多いので、お願いだけ申し上げておきます。  次に、これから大島の方は活火山と一緒に生活をしていかなければいけないわけです。そういう中で、大島方々が今後新たな観光資源を開発し、本当に島での生活をやっていける、生活を確保できる、こういうことも今度の災害を転じて福となす方向で大いに努力しなければいけないと考えている次第でございます。特に今度の噴火、あるいは安全が確保されてからの話でございますけれども、そういう意味では観光資源としての一つの性格を持っておりますので、島内を縦断するような観光道路、そして大島にとっては何よりも生活用水というものが非常に悪く不足しております。脱塩施設を使っておりますけれども元町あたりの水は花が枯れてしまうというほど悪いと言われております。そうした生活用水のためのダムをその道路を利用して、利島で現在行われておりますように天の雨水を道路で受けてダムにつないでそしてそれを利用するというような形の政策というものを、今後全力推進していっていただきたいというのが第一点でございます。  時間がないので質問だけもう一点させていただきます。  あともう一点、最後のお願いでございますが、大臣が来ておられますので、これは大臣、旧来の法律ではなかなか救いようがない、いろいろな意味で難しい状態に立ち至っております。三十年代の災害には大体個別立法でやったはずでございます。今回の大島災害につきましても、何とか特別立法をつくっていただきまして、この善後策、全体を包括して大臣が統括できる、そういう形で全力を挙げてやっていただけないかということをお願い申し上げる次第でございます。
  26. 高橋義典

    ○高橋説明員 伊豆大島の観光の振興の関係でございますが、二段階で考えていかなければいかぬと思っております。  第一段階目は、安全宣言が出た直後の観光客の呼び戻しの件でございます。現在、伊豆大島には年間約五十万人程度の観光客が入り込んでおります。こういった観光客を早急に呼び戻して安全宣言が出た後観光地として活躍していくといったことを確保するために、まず安全宣言の周知徹底と受け入れ態勢の整備が第一段階として必要でございますが、その後、地元の観光協会等が中心となりまして誘客活動を行っていく必要があるわけでございます。こういったことにつきまして私ども運輸省といたしましても関係業界を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。  第二段階目は、先生御指摘の今後の伊豆大島の観光振興計画ということでございますが、これにつきましては、地域の特性、大島の持つ個性といいますか、これを生かしながら観光の振興を図っていくという見地から、東京都なり大島町が中心となりまして今後の観光振興計画をつくっていかなければいかぬ。現在も東京都に離島振興計画なり地域活性化計画といったものがございます。こういったものを改定するあるいは新たに計画をつくるといったことが当然予想されるわけでございますけれども、そういった際には、運輸省といたしましても従来の実績を踏まえながら側面的な援助協力を積極的に行っていきたい、こういうふうに考えております。
  27. 小林康彦

    ○小林説明員 大島では水源の状況に恵まれませんので、生活用水の確保には今までも苦労をし、井戸水あるいは湧水、お話のございました塩分濃度の高い井戸水の脱塩装置等で水道を行っているところでございます。  今回、水道施設につきましては重大な被害には至っていないようでございまして、当面の給水は可能な状況でございます。今後さらに、管路等の破損につきまして調査を待ちまして、その復旧に努めますれば、当面の給水においては心配はないというふうに考えております。  将来的な生活用水の確保につきましては、先生御指摘の点も含めまして、将来の需要に適切に対処できるよう、東京都あるいは大島町とも連携をとって、整備が円滑に進むよう水源の補助の制度も活用しながら努力してまいりたいというふうに思っております。
  28. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 このたびは災害対策につきまして、いろいろの制度を運用しながら一生懸命やっておるところでございます。また、先ほど申し上げましたように、活火山対策特別措置法の適用等も今指示しておるところでございまして、それぞれいろいろの問題があると思いますが、適切に対処するように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  29. 新井将敬

    新井(将)委員 どうもありがとうございました。
  30. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、長野祐也君。
  31. 長野祐也

    ○長野委員 私は、三原山に関連をしまして、委員長及び理事皆様方の御配慮で、桜島問題について質問をさせていただきます。  これは鹿児島県の地元紙でありますが、「三原山、緊張続く」という記事の上に、一面のトップに「桜島爆発 巨大噴石ホテル直撃」「鉄筋屋根、床突き破る」というこのような大きな見出しになっておりまして、社会面も「爆弾、恐怖の直撃」という形で、ほとんどまるで全体がこの記事で埋められております。三十一年ぶりの人身事故でありますし、あるいはまた「ぶ厚いフロア突き破る」「一トン爆弾のような衝撃 自然の脅威まざまざ」、こういうような形で実は郷土紙でも大きく報道をされているところでございます。  このように、桜島は十一月の二十三日午後四時二分にことし二百六回目の爆発をして、南岳火口から約三キロメートル南に位置しております鹿児島市古里町の温泉街の旅館に直経約二メートルもある巨大噴石を落石させました。噴石は旅館の玄関屋根を突き破り、ロビーの厚さ三十センチの鉄筋の床に直径三メートルの穴をあけ、さらに地下倉庫の地面に潜り込むという物すごさでありまして、これにより六名の方々が重軽傷を負われております。お気の毒にも負傷されました方々には早期に回復をされるよう願っておるところでありますが、自然災害とはいえ、このようなことが二度と起こらないように私どもは祈るほかはないわけであります。  古里地区は古くから栄えた温泉街でありまして、人口三百人を超える地区でありますために、噴石に対する対策というものは大変難しい面があると思うのでありますが、住民の生命を守るために今後どのような対応をなさるおつもりか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  32. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の桜島噴火につきましては、二十三日に古里温泉街を中心に落下いたしまして大被害を起こしたわけですが、この噴火は今年度ちょうど二百六回目の噴火でございます。その後、観測しておりますところによりますと爆発回数は二百十回と聞いております。また、地震回数は三万六千八百六十六回、降灰量は平米当たり四千百六十六グラムという観測がされております。
  33. 長野祐也

    ○長野委員 ちょっと打ち合わせが悪いのかもしれませんが、私が質問をしていることと同じようなことを答えてもらっても意味がないのです。時間がありませんから……。  私が伺っているのは、先ほど申し上げたようなことで地域住民の不安が強いので、地域住民の命を守ってくださるために一体どのような対応をなさるおつもりかということを伺っておりますので、はっきりお答えをいただきたい。
  34. 山本重三

    山本(重)政府委員 大変失礼いたしました。  私どもは、現在桜島につきましては、先ほど来お話し申し上げております活火山対策特別措置法に基づきまして、各種の避難施設あるいは避難道路、避難港等の整備を図りますとともに、火山噴火活動観測監視体制を強化する、あるいはこれらのほか、実際にそこで仕事をしております営農事業等に対します適切な対応措置を講ずる、あるいは学校等に対する降灰対策も進めるというような各種対策をいたしておりますが、これにつきましては、五十九年に桜島火山対策懇談会を開きまして各種対策の提言をいただいております。この提言の実現のために、毎年着々と事業を進め、万全を期しておるところでございます。
  35. 長野祐也

    ○長野委員 関係機関の連携を強化していただいて、地域住民の不安がなくなるようにひとつ万全の対応をしていただくことを強く要望しておきます。  さて、桜島火山対策につきましては、活動火山対策特別措置法及び今お話のあった桜島火山対策懇談会の提言に基づきまして、国土庁初め各省庁に積極的に取り組んでいただいておりますことに対して、この機会をかりて心から御礼を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、桜島は昨年、昭和三十年に爆発を再開して以来過去最高の爆発回数と降灰をもたらし、住民生活へ大きな影響を与えたところであります。本年も依然として活発な活動を続けておりまして、既に現時点で二百十回の爆発回数を教え、昨年に比べて減少はしておりますものの、昭和三十年以降の年平均爆発回数を大きく上回り、また、鹿児島地方気象台観測の降灰も過去三番目に当たる量を記録しておるところであります。  このように、桜島火山活動は長期化、恒常化してきておりまして、農林水産業を初め各般にわたり膨大な被害をもたらしておりますので、以下、具体的問題につきまして私の所見を申し上げながら、政府の考え方をただしてまいりたいと思います。  まず、火山観測研究体制の充実について伺います。  桜島における火山観測研究体制につきましては、第三次火山噴火予知計画に基づき、鹿児島地方気象台及び京都大学防災研究所附属桜島火山観測所の施設整備がなされ、火山活動に関する一定の研究成果を得られてきております。しかしながら、このたびの三原山噴火に見られますように、自然の力は物すごいものがあり、鹿児島では桜島爆発に対する住民の不安が高まっております。火山噴火そのものは抑止できなくても、的確な噴火予知がなされれば被害は最小限度に食いとめることが可能であります。このため七つの火山を有する鹿児島県では噴火予知を初めとする観測研究体制の拡充を図ることが緊急の課題となっておりますが、これについて気象庁及び文部省ではどのように考えておられるのか。特に文部省において京大の観測所の施設整備の現状と今後の整備状況の見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  36. 河村あたる

    河村説明員 確かに、桜島におきましては過去三十年来噴火活動が続いているという非常に異常な状況であるということは、私どもよく認識をいたしております。特に去年はその三十年来でも最も活動が激しく、爆発回数でありますとかあるいは地震回数あるいは噴煙量とも皆記録を更新したような状態でございました。それは先生のおっしゃるとおりでございます。  私どもは四つの精密観測火山というものを規定しておりまして、その筆頭が桜島火山でございます。そういうことで、震動観測点の五点、それから傾斜計を一点、そのほかに震動計数装置というようなものあるいは赤外放射温度計等を設置いたしまして、しかも人的にも六人というすべての火山担当官署の中では一番多くの人員を配して監視を行っているところでございます。火山に異常がございますと、私どもは臨時火山情報というような形で刻々の異常の状況皆様方にお伝えして適切な対応をとっていただくようにしているわけでございまして、十一月に起こりましたような大きな噴石によって人命に被害が出るような場合には、あるいはそれが予測される場合には、火山活動情報というものを出して、これは県知事に一番先にお届けをするということでございますが、そういうことで防災対応に万全を期していただくような体制をとっているわけでございます。今後とも関係機関と協力をしまして、私ども、まだ十分にでき上がっておりません予知の技術の向上を図っていくとともに、観測体制も今後測地学審議会等の建議の趣旨を踏まえて進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 長谷川善一

    ○長谷川説明員 京都大学の方では五十九年度から横穴式観測坑を設置いたしまして、それから六十一年度、現在地中地震計を設置するなど進めてまいっております。今後とも火山活動の総合観測装置の整備、こういう点を中心にいたしまして京都大学等の関係者の意向をよく酌んで観測研究体制の充実に努めてまいりたい、かように考えています。
  38. 長野祐也

    ○長野委員 防災営農対策について伺いますが、火山活動に伴います降灰や火山ガスで農作物の被害が非常に膨大に上っておりまして、今日まで防災営農施設整備計画によって対応してきたわけでありますが、これが昭和六十一年度で終了をいたします。そこで、鹿児島県が昭和六十二年度からの第五次の防災営農施設整備計画を今策定をしておるわけでありますが、これが農水大臣の方に承認を求めてまいりましたならば引き続き国として助成をしていただけるかどうか、この点が第一点。  それから、この事業に関連をしまして、ビニールハウスにつきましては、降灰や火山ガスによりまして破壊が著しいために、五十九年度から降灰等に対し耐久性の強い優良な被覆資材の開発調査実施されておりますが、この調査結果と、これに基づく耐久性ビニールの張りかえに対する助成措置について見解を伺います。
  39. 青木敏也

    ○青木政府委員 第一点の防災営農施設整備計画、第五次の策定作業が県段階で進められておるわけでございます。農林水産省といたしましても、先生御指摘の昨今の火山活動が非常に活発だという状況にかんがみまして、新たな計画におきまして適切な防災営農対策の内容が盛られた計画が策定されますように、県に対して必要に応じ指導をしてまいりたいと考えております。新たな計画が策定されますならば、それに基づきまして降灰防止なり降灰除去施設の整備等につきましての所要の予算の確保も図りながら整備事業の適切な推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、第二番目の耐久性ビニールの問題でございます。この点につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、五十九年度以降優良な資材の開発につきまして県に調査を委託するという形で調査研究を進めてまいりました。その調査結果につきましてはなお最終的に県と私ども総合的な検討の余地がございますけれども、これまでも調査の過程におきましてある程度優良な資材の候補と目されるものが出てまいっております。そういうものの経済性等につきまして今後十分検討をいたしまして、その結果に基づきまして必要に応じ補助等の対象とすることにつきましても検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  40. 長野祐也

    ○長野委員 第五次の防災営農整備計画については所要の予算をということでありますから、第五次整備計画について引き続き国の助成をしていただけることを意味すると理解をいたして感謝を申し上げます。それから、ビニールの問題については五十九年の六月の本委員会でも私が質問したことでありますが、前向きの答弁をいただいてありがとうございました。  次に、防災林業対策でありますが、桜島の降灰は、鹿児島県の重要な林産物でありますシイタケにも大きな被害を与えておりまして、このため新たに昭和六十二年度から五カ年計画によりかん水施設やビニールハウス等の防災林業施設整備が望まれているところでありますが、この点についてはどのようにお考えになっておられるか、結論だけお願いします。
  41. 岡本敬三

    ○岡本説明員 シイタケ対策につきましては、最近噴火活動が非常に活発だということがございまして、六十二年度から当該事業に関します予算の要求を行っているところでございます。
  42. 長野祐也

    ○長野委員 次に、土石流の対策について伺いますが、ちょっと時間がなくなりましたので結論だけ御質問申しますが、六十二年度から建設省は特定火山周辺総合泥流対策事業を実施されるということでありますが、その内容と桜島地区での計画がどのようになっておるのか、よろしくお聞かせをいただきたい。
  43. 友松靖夫

    ○友松説明員 桜島の土石流対策につきましては、従来から積極的に推進をしてきたところでございますが、さらに、先生ただいま御質問の新規施策といたしまして、昭和六十二年度から特定火山周辺総合泥流対策事業というものを要求いたしておるところでございます。この新規施策は、大規模火山泥流に対しまして被害を最小限に食いとめるために特定の火山地帯において行うものでございまして、具体的には砂防ダムあるいは遊砂地といったような砂防施設の設置、それから火山泥流を対象にいたしました導流堤の建設や遊砂空間の確保といったようなハードな対策と、さらに泥流発生監視装置の設置や砂防指定地の指定によりまして適正な土地利用への誘導等を図るというようなソフトな対策というものもあわせて実施することにいたしておりまして、桜島におきましても地域特性を勘案いたしまして事業を実施するべく要求をしておるところでございます。
  44. 長野祐也

    ○長野委員 時間の関係でまとめて三点伺います。  文部省に対しては、学校水泳プールの上屋建設につきまして、本年度から簡易鉄筋づくり上屋を補助対象にしていただきましたが、本年度この当該施設を設置した学校におきましては降灰時でも水泳の授業が可能となりまして、大変感謝をされております。この施設整備を要する学校がまだ多く残されておるところでありますが、この事業費枠の確保についてどのように考えておられるかお尋ねをいたします。希望した学校がすべて対応していただけるかどうかということであります。  それから綿貫長官に、今までの私の質問を通しまして桜島の厳しい状況地域住民の不安について一段と御理解を深めていただいたものと思いますが、御就任以来大臣には桜島問題でいろいろ御配慮賜っておりまして、大変感謝申し上げておりますが、一段と御理解を深めていただく、つまり百聞は一見にしかずということで、目下三原山対策、予算の編成等で大変御多忙だと思いますが、これらが一段落しましてから後、ひとつ桜島を訪れていただいて、自分の目と耳で見ていただいて行政に反映していただきたいということを希望いたしておりますが、これについての大臣の御所見を承りたいと思います。  最後に、災害援護資金の貸し付けの問題でありますが、台風十号とことし七月の鹿児島市の梅雨前線豪雨災害の例などを見ましても、この災害援護資金の必要性を感じている家庭が非常に多いと思います。そこで、この貸付額が昭和五十六年に引き上げられたところでありますが、その後五年間がたっておりまして、諸物価の上昇等社会経済情勢の変動を勘案しますと、現在の額では被災者の救済は十分なものとは言いがたいわけであります。そこで、ことし七月の鹿児島市梅雨前線豪雨災害までさかのぼっていただいて貸付額の大幅引き上げが必要であると考えますが、政府としての見解を伺います。
  45. 岡行輔

    ○岡説明員 降灰防除のための学校プール上屋の整備につきましては、極めて重要な事業であると考えておりまして、本年度は御要望のありました十六校全部について国庫補助を行ったところでございます。来年度以降の御要望につきましては、その数は全部で六十四校、そのうち六十二年度分は二十一校というように承っております。六十二年度分につきましては現在予算要求を行っている段階でございますけれども、この御要望については最大限対応していきたいというように考えております。
  46. 福田孝雄

    ○福田説明員 災害援護資金の貸付限度額でございますけれども、これにつきましては、従前から社会経済情勢の変動等を考慮いたしまして、その都度引き上げを図ってきたところでございます。御指摘のように、前回改正から五年が経過しておるところでございますので、従前と同様に諸情勢を勘案いたしまして誠意を持って検討してまいりたいと思っております。
  47. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 桜島の降灰問題あるいはその防除対策等地元皆様方が大変御苦労しておられるということはよく聞いております。ただいま長野さんの方からぜひ現場に来て見ろということでございまして、今事務的に日程を詰めさせておりますので、近いうちぜひ伺いたいと思っております。
  48. 長野祐也

    ○長野委員 最後に、もう時間が来ましたので、二点だけ。  大臣、できるだけ早い機会ということは、予算編成が終わって一月ごろというふうに理解していいですか。  それと、先ほど誠意を持って厚生省の方は援護資金の引き上げ額をと言われましたが、これはやるというふうに理解してよろしいですね。結論だけで結構です。
  49. 福田孝雄

    ○福田説明員 今の御質問の趣旨も十分踏まえまして、誠意を持って検討したいと思っております。
  50. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 実は二度ほど行く日程を立てたのですが、ほかの用事で流れておりますので、今おっしゃるように一月中には伺いたいと思っております。
  51. 長野祐也

    ○長野委員 どうもありがとうございました。
  52. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 上田哲君。
  53. 上田哲

    上田(哲)委員 大島町民の皆さんの御苦労に心からお見舞いをまず申し上げたいと思います。また、同僚各委員の御高配にも心から感謝を申し上げて、質問をさせていただきます。  問題の第一は、みんながいつ帰れるかということであります。  そこで、昨日の東京都議会の本会議で鈴木知事は、年内にぜひ全員帰したい、正月を島で迎えさせたい、こういう強い希望を申し述べられましたし、また気象庁側も、できるだけそうした行政的配慮を述べられたように承っております。何とか年内に全員を帰して正月を島で迎えさせたい、これは長官、同じお考えでありますか。
  54. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 島民皆様方の御不安を解消するという意味におきまして今一時帰島の措置がとられておるわけでありますが、全員帰島の希望も非常に強いということを聞いておりますが、いずれにいたしましても、まず安全ということが前提でございます。そういうことで監視観測体制を今強化するために予備費の使用も認めていただきまして、明日の閣議でいろいろ監視観測体制の強化措置について取り決めていただくわけでございますし、もう既に実施いたしております。それらの状況を高めつつ、しかも大島町、東京都がいろいろと状況を踏まえつつ対策をお立てになっておるわけでございます。その方針をバックアップしながら、島民皆様方の御期待に沿うような方向に努力をしてまいりたいと考えております。
  55. 上田哲

    上田(哲)委員 きのうも植村町長以下にもお目にかかっておるわけでありますが、一日も早く帰りたい、これがポイントなんですね。安全対策その他いろいろな問題があります。おっしゃるとおりであります。  もう一度お伺いいたしますが、東京都知事がきのうの本会議で明快に、さまざまな条件はあります、安全問題その他はありますが、何とか正月は全員島で迎えさせるようにしたいのだ、この方向を打ち出された。長官としてその趣旨を支持するということでよろしいですか。
  56. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 これは政府の方でも対策本部をつくっておりますが、東京都の方においても対策本部をつくっていただいておるわけでございまして、この連絡は絶えず密にしておるわけでございますが、あくまでも町あるいは都が主体でございまして、この皆様方の意思決定を尊重するように私どももバックアップしてまいる、こういうことでございます。
  57. 上田哲

    上田(哲)委員 これは非常に具体的なことなんで再度お尋ねいたしますが、正月を島で全員迎えさせるように最大の努力をするというふうに理解していいのですか。
  58. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 きょうも午後から東京都知事がお見えになるようでございます。いろいろとまた御相談があるものだと考えております。
  59. 上田哲

    上田(哲)委員 この問題は与党、野党じゃないので、私は御決断と温かさを求めているわけですから、ひとつ明快に、知事もそこまで踏み込んでいるわけですから、それならばその方向で努力するんだ、都知事の見解を支持されるのかどうか、これはもう一遍お伺いいたしたいと思います。
  60. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 知事の方針は漏れ聞いておりますが、正式にまだ聞いておりません。きょう恐らく午後からそういうことでごあいさつに来られるのだと思いますが、それらの状況もよくお聞きしながらバックアップしてまいる、こういうことであります。
  61. 上田哲

    上田(哲)委員 そこで、もう少し具体的にお伺いしたいのですが、一時帰島が行われておりますのは結構なことであります。これも決断であります。さて、全員帰島ということはだれが決めるのですか、だれの権限でやりますか。
  62. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の大島火山噴火につきましては、先ほど私からも御報告申しましたように、噴火が起こりました後、地元大島町長が関係機関と十分協議しながら、適時、災害対策法第六十条第一項の規定に基づき避難指示をし、最終的には全員島外避難の指示をしたところでございます。  この全員帰島の問題につきましても、この避難の指示の解除という手続をとることが必要だと思います。そういう意味で、法律的には町長がその指示の解除を行う。これに対して東京都及び私ども政府対策本部としても全面的にこの判断が行える条件について最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  63. 上田哲

    上田(哲)委員 法律的にそれで結構であります。  これはまさに大島町長の避難指示、俗に避難命令が出された。したがって、全員帰島については大島町長の指示解除という形になるはずであります。  しかし、先ほどの御答弁を伺っておりますと、一時帰島という例外的な処置については都の対策本部の都知事が決定をされ、政府もこれを了承した、こういう御答弁がございました。事実関係として、町長が一人で勝手に判断はできないだろうと思いますけれども、法律的には町長の解除命令、指示解除という形になるが、それを立ててその決定をもたらすについて、都や国や、そしてその中には気象庁等々の問題が入りますが、総合的に判断をして事実上は決めるのですか。
  64. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の一時帰島につきましては、私どもは災対法の六十条第一項に基づく避難指示の解除がなされたものとは考えておりません。東京都の本部としては、大島町長の参加のもとに、住民の意向を踏まえて、特別措置として一世帯一名という原則のもとに一時帰島を行ったと思います。  それで、先生が言われる今後の全面帰島の問題につきましても、町長が避難指示の解除を行うという形で行われると思いますが、それにつきましては、判断を行うにつきましては私ども東京都の本部と密接な連携をとって全面的な支援態勢はとりたい、かように考えております。
  65. 上田哲

    上田(哲)委員 法律的な処置は、議論はもう終わりました。これは町長です。ただ、町長が勝手にひとりでやるわけにはいかないだろう。そうすると、東京対策本部、そして国の対策本部、この中にはさまざまな問題は含みますけれども、そういうものがみんなで総合的に判断して決める、こういうことだということでいいわけですね。——よければそれで結構です。  そうなりますと、この東京都の対策本部と国の対策本部とはどうも法的に違うのですね。東京都の対策本部は法に基づく対策本部であります、基本法に基づく。国の対策本部は、これは閣議決定に基づく対策本部。権限としては、国の対策本部というのはこの中には法的にはかまない、しかし事実上はかむ、こういう理解でよろしいですか。
  66. 山本重三

    山本(重)政府委員 東京都の本部災害対策基本法に基づいて設置をされたものであると聞いております。  私ども、今回の災害の発生状況といいますか、大島火山噴火状況にかんがみまして、災対法に基づく非常災害対策本部設置する段階ではないということで、とりあえず閣議決定に基づく伊豆大島噴火対策本部設置したところでございます。
  67. 上田哲

    上田(哲)委員 そういう仕組みになっているところに私は不安を感ずるのでありまして、何か法体系上の不備をつこうあるいは権限上の不足をつこうというつもりは全くないのです。  問題は、そういう問題を乗り越えて、ぜひひとつ国土庁長官が、国の立場で、都知事が言っているのを漏れ承ればみたいなことを言わないで、その辺のところを実行行為として埋めて判断をしていただきたいということを強調しておきたいのであります。その意味でもう一遍伺うが、長官、都知事が正月にはみんな帰したいと言っている気持ちをそういう立場で支えていきたいというふうに考えてよろしいですか。
  68. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の一万人を超す皆様方の避難あるいは今回の一時帰島の問題、町と都が御協議いただきまして、また国とも連絡をしていただきまして、実に整々と行われたと私は思っております。  今回の全員帰島の問題についても、今そのような方向で検討されておるということでございますので、我々はもちろんその方向を支持し、実現できるようにしてまいりたいと思います。そのためにも監視観測体制安全性というものは、これはやはり国としても責任を持ってこの体制を強化していかなければならぬということでございます。
  69. 上田哲

    上田(哲)委員 そこが問題なんです。  そうしますと、法律上の権限としては、大島町長が避難指示を解除する、それを東京都、そして法律上の権限はないけれども国の本部も一緒になってみんなで考えてやろう、そして正月までにはぜひ帰したいという気持ちだ、そこはわかった。  そこで、その中で安全対策と言われたが、予知連絡会あるいは気象庁、この判断はどうなのか、ここが例えば安全でないと言っている場合には帰すことにならないのか、いかがですか。
  70. 山本重三

    山本(重)政府委員 火山噴火予知連の性格は、先ほど気象庁からも御答弁あったと思いますが、あくまでも測地学審議会建議に基づきまして気象庁長官の私的諮問機関として設置されたものでございます。  現在の火山噴火予知というものは、現実にその噴火状況から考えまして予知は不可能な状態だと聞いております。まだ研究段階にある状況であると聞いております。しかしながら、やはりこれらの一番我が国におきます火山についての専門学者が集まりました方々の専門的な意見を聞いて対策を打つということは非常に重要でございます。そういう意味で、予知連絡会の中でいろいろ検討された結果というものは最大限に尊重しながら、それに対応した安全対策を立ててこの問題の解決をしていきたいと考えております。
  71. 上田哲

    上田(哲)委員 端的に聞きますと、気象庁連絡会の問題も含めてですが、安全宣言が出なければ全員帰島になりませんか。安全宣言が出なくてもその事態がありますか。
  72. 山本重三

    山本(重)政府委員 予知連見解の中で安全宣言というものが出されるのかどうか、これは私はわかりません。恐らく、今後の火山活動状況等につきまして、その後の観測監視されたデータに基づいて見解を発表していくものだろうと思います。  そういう状況の中で、私ども大島町なり東京都なり、また私たちもそれに対する最大の支援をいたしますが、帰島をすることがいろいろな手段を行いつつできるかどうか、そういうことを判断することに相なろうかと思います。  安全宣言というのは出されるのかどうかわかりませんが、私どもは、やはり予知連絡会の中での検討結果というものは十分尊重しながらそれに対応した安全対策を講じつつ、この問題を検討してまいりたいと考えております。
  73. 上田哲

    上田(哲)委員 よくわかりませんね。端的にひとつ回りくどくなく答えていただきたいのです。  では、もう一遍戻しますが、安全か安全でないかという指標を出してくれるのは予知連絡会ですか、気象庁ですか。
  74. 河村あたる

    河村説明員 気象庁の仕事といたしましては、私ども観測をしました観測成果あるいは集めました情報によりまして、民生にお役に立つようなものがあればそれを関係行政機関とか報道機関にお伝えをして、それに沿って対応していただくということで、情報を提供するという立場でございます。そういう安全宣言というのは私どもでありましてもあるいは噴火予知連絡会でありましても出せる立場ではございません、そういうふうに存じます。
  75. 上田哲

    上田(哲)委員 行政当局としてひとつしっかりお答えいただきたいのです。長官のお答えの中にも安全を確認した上でというお話があった、これは当然なことであります。安全の確認というのはいかなる機関のいかなる判断に基づいて行政官庁は行うのですか、それを聞いているのです。
  76. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 私も予知連の下鶴先生と個人的にもいろいろお話しいたしました。火山予知ということは学問的にも非常に難しい、一番おくれた問題。しかも、下鶴先生大島にずっと住んで、私の恋人だと言っておられるぐらい非常に心配をしておられるわけなんです。そういうお話なんかも聞きながら、しかも片一方では一万人を超す島民皆様方の帰島したいという希望があるわけです。その中で、長らく島に住んでおられました町長さんを初め皆さん方も、長年の体験とか歴史とかいうものをお調べになって、行政判断として東京都としては全員帰島という方向をお決めになった、こういうふうに聞いておるわけです。したがいまして、我々としては、片一方ではそういう予知連その他の御警告もあるわけですから、この東京都の行政判断というものは尊重しつつ、これをバックアップして、万が一ということがあった場合には避難をするための体制を絶えず解かずにおくとか、あるいはさらに強化するとか、さらに火山噴火に対して科学的な予知体制を充実するとかいうことでひとつお手伝いをして、行政判断は十分尊重していく、こういうことでございます。
  77. 上田哲

    上田(哲)委員 よくわからないのですよ。私は、繰り返しておきますけれども大島で御神火と一緒にずっと生活をしている人たちの生活体験等々を軸にしながら、一日も早く正月までには帰してもらいたいなと思っていることを軸にして御質問しているのですが、さりとて安全でなくていいわけにはならないから、そこの行政庁の判断はどうするのかというポイントを聞いているのです。  そこで、予知連絡会の御出席も得たかったのだが間に合わなかったので、気象庁に端的に伺っておく。噴火予知というのは学問的にはできない、ゼロである、こういうふうに私は伺っているのですが、間違いありませんか。
  78. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 お答え申し上げます。  火山噴火予知に関しましては、いろいろな観測データの中から前兆を選び出す、そしてそれを判別する必要がございます。残念ながら、火山の歴史に比べましてまだ観測の歴史は大変に浅うございますし、また、火山現象そのものが大変複雑でございまして、火山によっても非常に違います。そういうこともございますので、現在の段階におきましては、そういった観測データから前兆現象を判別して噴火を的確に予知するということは、残念ながらまことに困難な状況にございます。これは今回の伊豆大島の点も同様でございまして、伊豆大島に対する過去の知識といいますか噴火に関する知識あるいは経験、これが十分ではなかったということが事前に予測できなかった大きな理由の一つではないかと思っております。  ただ、これは今後の問題でございますが、今回の観測データを含めましてデータを十分に蓄積し続けることによりまして、これから噴火予知技術というものを開発していくことに努めてまいりたい、これが私どもの気持ちでございます。
  79. 上田哲

    上田(哲)委員 時間が非常にないものですから、どうぞひとつ大島をみんなで助けようという気持ちで端的に答えていただきたい。言いわけは要らない。  したがって、端的に言いますと、申しわけないけれども今日の学問的水準、能力としては噴火予知はできないのです。これはゼロなんです。これから努力をするよとおっしゃる気持ちはわかるが、ひとつ縮めてお話をしていただきたい。  そうしますと、話の筋道はこうなってくるのです。みんな帰りたい、帰してやりたい、正月までに帰すように努力したい、これは長官以下同じだということがわかった。しかし、安全でなければいけない。安全をだれが確認するかというと、学問的に確認できるところがないのです。  そこで、私が伺っておきたいのは、それが安全宣言という俗称の言葉が出る出ないは別にして、そういうことがあれば安心して、学者がそう言ったのだからいいだろうということになるのだろうが、それがないということになると、いつまでたっても帰さないということになってくる。それは困る。ですから、ここは無謀なことを言えと言っているのではないが、学問的には噴火予知はゼロであるけれども、学者の御努力は買いますけれども、しかし、そういうものが安全宣言的なものとして出てくるのでなくても、その以前にさまざまなデータ分析なり判断なりの中で、全員帰島という判断を町長を含む都や国がみんなで判断をすることがあり得るということになっていいですね。
  80. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 噴火予知に対しましては、今度の対策の中でもいろいろと、熱赤外線センサー等を使いまして上空から熱度を調べるというような科学的な方法等も取り入れるようなことも検討してもらいたいと言っておるわけでありまして、さらに前向きに安全の確認をする、観測監視体制を強めていくということが前提でございます。  そこで、先ほどから上田先生は、一万人の島民皆様方がいつまでも帰れないのではないかという御不安がある、これに対してやはり帰るのだという前提がなければならぬというようなお話でございますが、これは先ほどから何遍も申し上げておりますように、東京都がまた町がお決めになったということを聞いておるわけでございます。これはやはり地方自治体がそこでお決めになって行われるということを我々はひとつバックアップしていきたい。しかし、それについてはさらに安全性を確認するということがやはり国の大きな任務だと思います。そういう点で、私どもは今後の島の安全、また場合によっては島にお帰りになってからまた噴火するというようなことも考えて、活火山対策特別措置法の適用ができないかどうかということも今検討しておるわけです。  例えば、先ほど話がありました桜島なんかも……(上田委員「答えだけ簡単に言ってください。ほかのことはまた聞きます。桜島はいいです」と呼ぶ)島にいたいということで、そういうのはたくさんあるのですから、そういうことで私ども検討しておる、こういうことです。
  81. 上田哲

    上田(哲)委員 よくわからない。非常に端的に聞いていますから、ほかのことはいいです。  長官以下みんなぜひとも帰してやりたいと思っているわけです、島民だけの気持ちじゃなくて。しかし、本当にこれが安全かどうかということは学問的に証明できないのです。何%でもできるというなら別だけれども、今噴火予知はゼロなんです。将来は努力しますなんという話は幾ら聞いたってしようがないのですから。それは学問を責めるのではないが、そういう状況なんだが、そういうところがイエスと言わないのだから帰せないということがいつまでも続いてしまうということになるとこれは実態的でないから、私は蛮勇を振るっちまえとかいいかげんにやっちゃえということを言っているのでは絶対ありません。さまざまな判断の中で、予知連なり気象庁なりが一〇〇%大丈夫だというようなことを言わない前にも判断をするということがあり得るな。大臣は、権限は町にあり、都の本部がやるのだからおれの方は知らないのだと言ってしまえば話は別です。そうでないのだったら、そういう政治判断というのはあり得るなということを、一言言っていただけるか言っていただけないかははっきりしてください。
  82. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 東京都の方針を支持してまいります。
  83. 上田哲

    上田(哲)委員 そういうふうにいきましょう。  そういう調子でぽんと一つ確認しておきますけれども災害救助法は直ちに二十一日午後七時に適用された、そして、長官は現地を視察されて活動火山対策特別措置法を適用するように指示された。これは時間の問題だと思いますが、適用は間違いありませんね。今の調子でやってください。
  84. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 間違いありません。
  85. 上田哲

    上田(哲)委員 はい、結構です。とんとんといきましょう。  そうしますと、もう一つの激甚災害法の適用、これはいかがですか。端的にイエス、ノーでいいです。
  86. 山本重三

    山本(重)政府委員 先ほど御報告いたしましたように、現在はともかく島民避難ということでそれに全力を挙げておりますから、二十一日以降の、大噴火以降の被害状況については必ずしもつまびらかにしておりません。そういうことで、大島噴火による被害状況については現在関係省庁において鋭意調査を進めているところでございます。この調査の結果をまってこの問題を判断いたしたいと考えております。
  87. 上田哲

    上田(哲)委員 そういう答弁をしてもらっては困るのですよ。激甚災害法は適用しないでしょう。今回のこの災害といいましょうか、私たちは災害という言葉を使いたいのだが、災害かどうかということの解釈にそもそも政府部内にも問題があるのでしょう。だから、災害救助法の適用というのは、これはすぐ行われたし、まあ異論はないだろうけれども、人間がけがをしたり、死んだ人がいるわけじゃない、家が壊れたわけじゃない、牛や豚もどうやら何とか生きているということになると、だから軽いと私は言っているわけじゃ決してないのですよ。一万人もあれだけの大騒ぎしてやっている、今もこんな苦労があるのだから、これは大変な災害ですよ。しかし、災害救助法的な基準から言うと、厚生省、災害救助法の適用だって実は議論はあったでしょう。拡大解釈としてやったという判断があったと私は聞いているが、いかがですか。
  88. 福田孝雄

    ○福田説明員 災害救助法の適用につきましては、今回の火山噴火によりまして人命が被害を受けるおそれがあるというようなことで適用したところでございます。ですから、その結果といたしまして実際に人命が損なわれたらどうかということとは別だというふうに考えております。
  89. 上田哲

    上田(哲)委員 私は、できるだけ拡大解釈をしてくれと頼んでいる方なんですよ。なるべくけちれなんということを少しも言っているわけじゃないのだから。大いに拡大をしてもらいたいと思うけれども、普通の台風だとか大火事だとかいう場合に比べて今回の場合は、測定しがたい、判定しがたい要素があってここは非常に困ったでしょう。そこのところを、そんなきれいごとを後から言ってもらってはこれは困るのだ。不まじめだ。もっとまじめに答えてもらいたい。今までの基準からすると難しい基準であったけれども、さっとこの災害救助法を適用してくれたことはよかったということを何なら褒めてやりたいと私は思っているんだ。それを、そうでもございませんみたいなことを言っていると、これは愛情が通じませんよ。そうでしょう。
  90. 山本重三

    山本(重)政府委員 激甚法の適用について、適用にならないだろうということをはっきり発言しろという御趣旨の質問がございましたが、農業被害についても二十日現在の被害しかつかまえておりません。実際には噴火によります噴石でかなりの被害を受けております。その状況が把握できない現在、適用があるとかないとか判断することはむしろ農業経営者に対して大変失礼な、調査もしないうちに、そういう考え方で申し上げたわけでございます。
  91. 上田哲

    上田(哲)委員 言うことがどうもあっちこっちするので困る。厚生省に聞いていたら、向こうから手を出してきてほかのことを言ってもらっては困るじゃないか。前向きに言ってください。  もう一遍繰り返すが、私は、災害救助法を直ちに適用してくれたことは、当然とはいえ御苦労だったと言っておるのですよ。今度の場合は難しいのですよ。けがもしていなければ人も死んでいないし、よかったことだけれども家も何にもならなかった。さっきの質疑ではほとんどなんということを言われたが、ほとんどじゃない、これは全くないんだ。しかも、あの大噴火になってくる直前までのところ、それから後もいろいろな人が行っているのだから、今やざっと見ればどんなものだということはわかりますよ、ヘリコプターで見たってわかるのだから。そういうことからすれば、私が今言っていることは、激甚災害法も適用してもらいたいとは思うけれども、基準からいえば難しかろうと言っているのです。そうでしょう。うなずいているからもう一々聞かないけれども。だから、そういう形でいうとなかなかできにくい。そして、長官が乗り込んでヘルメットで歩いて、活動火山対策特別措置法をやろうと言ったことも結構だと言っている。しかしこれは、半年もかかってこれから道をつくろうという法律なんだから、急場には間に合う法律ではないのですよ。そうすると、ここのところで、すり足抜き足でいろいろ努力をしていくのだけれども、間に合わない問題がいっぱい出てくるだろうし、今までの基準とは違う考えで見ていかないと、昭和の初めに一回だけ全島が逃げたという鳥島の例はありますけれども、めったに例のない今回の問題の対応が隔靴掻痒になるのではないかという心配をしているものだから、そこをより細かく温かく処置してもらいたいということを言いたいわけですよ。激甚災害法をやるにしたって難しいでしょう。難しいからできないんだということで隘路ができてしまわないようにお願いをしたいわけですね。だから、言いわけをしてもらいたいと言っているわけじゃない。  時間がないから先に進んでいくのですが、観光で成っている島、そして農水産でやっている島であります。いろいろな問題がたくさんあるから言うと切りがないんだけれども、その中で一番大きい花卉栽培だけを例にとらえておきましょう。花卉栽培で申しますと、ブバルディア、ガーベラ、フリージア、ストレリチア、これは今正月に向けて非常に大事なところへ来ているわけですね。目の前の出荷の問題もあるし、将来の種物の問題もあるわけですし、いろいろあります。  そういう中で被害総額を、これは農業、林業、水産業その他さまざまな分野に分けて、きのうもじっくり各省から聞いたのだけれども、一切二十日以前のことしかわかりません、そこまでで一億八千万でございます、そこまでで一億八千万なんだから後は大変だということは見当はつくけれども、まだ算定できませんという話だから、きょう幾ら言っても仕方がないから省きましょう。省きましょうが、その中で花卉栽培だけを例にとっても、これは九億九千万ぐらいになっているわけですから、十一月、十二月というのが大体三分の一を占めているということになれば、三億から四億くらいの被害になるよというようなことは例えば言えるわけですね。だから、それを精査して細かく積算せよと言ったら、国会答弁はそれでなければできないでしょうけれども、大まかに、今何とかしなければならないという立場からすれば、例えば一番大きな産業である、農業の半分の花卉産業は三、四億の被害が見込まれるというふうに大づかみにつかんで、これに対する対応をいろいろ考えなければならないんだというような考え方に立ってみる。これはいかがですか。
  92. 青木敏也

    ○青木政府委員 被災農林漁業者に対します諸対策については、実情に応じた適切な対策を考えていかなければならないわけでございます。被害額を精査するということは対策の前提として必須のことだ、こういうように考えておりますので、この点は先生から御開陳いただいたような見解もあるかと思いますけれども、やはり私どもといたしましては、都、町を督励いたしまして被害額の適正な把握にまず努めたい、こういうふうに存じております。
  93. 上田哲

    上田(哲)委員 そんな答弁をしてもらったんじゃ大島島民が泣くな。そんなことを言わないで、もうちょっとちゃんと、温かい、血の通うことを言えないものだろうか。私は本当にむなしくなってくるが、時間がもう七分しか残されてないから一瀉千里にいかざるを得ないのです。真剣にいきましょう。温かくいきましょう。  例えば救助法が動いている間は食べ物はいいわけですよ。あるいは寝具その他もいいわけです。炊き出しは七日間、寝具、被服は十日以内、その都度事務的に延伸してもらえばいいんだけれども、一応はそういうことになっているが、安永年間の一七七七年のは二年あったんだから、ひょっとして一年、二年、噴火したりしなかったりするような間欠的な状況の中で、もし老人、子供がそれでも残るみたいなことになってくれば、一体この先は大丈夫だろうかという心配が出てくる。例えば船がいっぱい出た。国の船はいいとして、東海汽船の船が活躍をしてくれた。大変うれしいと思う。しかしこれは、避難するときは国と都で半分ずつ持ってくれてどこにも被害は行かないけれども、例えば一時帰島というのは応急避難ではないんだからこの船賃はどうなるのか、あるいはそうした問題に関連してさまざまな船が行ったり来たりする場合にはだれが払うのか、こういう問題だっていっぱい出てくるわけです。あるいは救助法に基づいて、救助法適用後二十日以内に応急住宅の着工をしなければならないという規定になっているはずだ。これも延ばすという手続をすればいいようなものだけれども、やれば百億かかるとか、だから早く帰ってもらわなければならぬとか、いろいろな議論も出てくるというのは、これは今大きな体育館や何かで毛布にくるまっている人々や何かの立場を考えれば非常に大きな意味があるわけですから、そうした問題に対して私は十分な処置を講じてもらいたいということを一括して申し上げる以外にない。  あるいは世帯更生資金でありますとか手持ち資金、五万、十万のことですけれども、今のところ一億五千万円ぐらい、利率三%ですぐ手当てをするとか、あるいは環境衛生問題、その他農水から運輸、建設その他に至るまで、例えば農林漁業金融公庫の自作農維持資金の枠を拡大する問題とか、これはもういっぱいあります。これはひとつ全力を振るって善意の拡大解釈をしてやってもらいたいということを言うだけで、時間を節約せざるを得なくなります。  しかし、一つだけ言っておきたいのは、もう五分前というのが来ちゃいましたから、答弁の回りくどいのをうらみとしますよ。特交をどうしますか。特別交付税、当然配慮をしていただいていると思うけれども、私が心配することの一つは、先ほど来申し上げているように、家が壊れた、人がけがをした、牛や豚が累々として死体を横たえているという状況ではないだけに、この特別交付税の問題というのも十分に、できれば、これは来年十二月分に持っていくということになってしまう心配もあるんだけれども、三月分、そうなると今月中の算定ということがどうしても必要になってくる。こういう処置を抜かりなくやってくれるかどうか、これはもうたくさん聞いていると時間がかかってしまって困るから、自治省、ばちっと答えてください。
  94. 柳原瑛

    ○柳原説明員 大島町が行います災害復旧事業等に要する経費につきましては、実情を十分調査いたしまして、被害状況とか財政状況を勘案して、特別交付税の配分において適切に対処してまいりたいと考えております。
  95. 上田哲

    上田(哲)委員 三月に間に合うように今月中の算定、努力しますか。
  96. 柳原瑛

    ○柳原説明員 都を通じまして状況をお聞きして、三月分の算定において対応できるものにつきましては対応するという形で対処してまいりたいと思います。
  97. 上田哲

    上田(哲)委員 長官、今私がさっと言いましたね。さまざまな救助対策、例えば支払い延伸の処置であるとかその他の問題、一括して一言でいいですから、十分心配ないようにする、さまざまな手続の延伸等々につきましても、一口でいいからやるよということをお答えいただきたい。
  98. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 島民の不安を解消するために全力を尽くします。
  99. 上田哲

    上田(哲)委員 それでいきましょう。  最後に、今後の問題です。  先ほど、これは明快にという言葉を使っていいかどうかわからぬが、噴火予知というのは全くできない。全くできないのはこれは責めるわけにはいかぬけれども、何とかしてこれから予知対策というものを進めてもらうということになってまいりますから、そういう点では今おやりになっている観測体制は、総合観測班、気象庁を中心にして東大、岡山大、東北大、科学技術庁の国立防災科学技術センターあるいは海上保安庁、地質調査所等々が一緒になって今総合的な努力をしていらっしゃるということに、これは御苦労さまと申し上げておく。そして学問的に到達してないものをしりをたたいてどうなるわけではないけれども、これは観測データと過去のデータの総合ということになるわけですね。したがって、その両面から鋭意努力をしていただきたいと思うんだが、今のところは、あの裂け目噴火のちょうど線上にある大島測候所、夜は危ないから昼そこに詰めてもらっていることと、それから夜は大島支庁で観測を続けるということで、これを合わせて二十四時間体制で頑張ってくれている、こういうふうに理解をしております。これは今のところ精いっぱいのところでしょう。巷間、島でやろうと思っているのだが気象庁が許さないとか、いろいろな話も出ていますが、その辺のところをあえてきょう問題にしようとしているのではないが、何としてもこれは十分先を見通して、これは少なくとも年の単位で見なければいけないのだから、それを見通して物がはっきり言えない以上、何としても最大、毎日毎日の観測体制の強化を進めて、例えば火山微動なんということはとれるわけですから、そういうものを積み上げて、相なるべくの範囲で情報というものを的確にとらえ、しかも収集をするということの努力を積み重ねていただく以外にない。  そこで、そういう努力の上に立って、例えば地震計、今新しく五カ所設置されたようであります。旧来のものと合わせて、だめになったものを除いて九点になるわけですね。九カ所に地震計を設置された。あるいは傾斜計、一カ所のようですね。さらに伸縮計等も必要でしょうが、伸縮計は今のところありませんね。そういうようなものを全部設置していって、かなわぬまでも、この際最大限の観測体制あるいは言えるならば予知体制というものをつくっていかなければならぬと思うのですけれども、どういう体制を今組まなければならないと当局はお考えですか。
  100. 山本重三

    山本(重)政府委員 今後の伊豆大島火山噴火対策は、特にこの伊豆大島対策を進める上に非常に重要でございます。そういう意味で、私ども対策本部におきましては、伊豆大島噴火緊急観測監視体制整備計画を定めまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、あすの閣議でこのために必要な経費も予備費支出をすることを決めた次第でございます。  現在、主に観測機器としては、地震計が気象庁あるいは東大地震研、防災センター等、壊れたものを除きまして合わせて十一台、それから傾斜計が二台ありまして、大体計器としては十三台ございますが、このほかに新たに地震計を十一台、それから傾斜計を十九台、そのほか磁力計、比抵抗測定計、伸縮計、それから作業としては測距観測、地下水観測、ガス観測、それから水準測量の実施、検潮、温度計による温度観測、それからELFという地球磁場の周期変動の観測、こういったものを合わせて五十八の観測機器の整備あるいは観測作業の実施を行うこととして、最大限の努力をするということにいたしております。
  101. 上田哲

    上田(哲)委員 テレメーターはどうなっています。
  102. 山本重三

    山本(重)政府委員 なお、こういった観測結果が一元的に集められることが非常に重要でございます。そのために、これらの観測されたデータにつきましては、地元測候所それから気象庁に一元的にテレメーター化されて、それに対して予知連の方でも随時その資料を分析して観測することができるよう体制をとっております。
  103. 上田哲

    上田(哲)委員 テレメーター、東北大からいろいろ便宜を図ってもらうようだし、それから東大との関係もつくりつつありますね。これは支障はないだろうと思いますが、督励してください。  今のお話を聞いていると、大体手薄ではあっても何とか今までと比べると相当手を広げて努力をされる体制だというふうに私は理解をします。十分だというようなところであるかということは言えないと思いますね、各集落ごとに三台ずつぐらい必要だという計算もあるわけですから。近隣の集落の問題は別かもしれないけれども、そんな数字も出てきますから、それと比べるとどうかなという議論は私なりにありますけれども、問題は今予備費を使ってというお話がありました。その機材の配置その他について、予備費は今どれくらいの見通しになっていますか。
  104. 山本重三

    山本(重)政府委員 額につきましては、手続を進めておりますので現在のところまだ発表できませんので、差し控えさせていただきたいと思います。しかしながら、最大限の予備費は確保したいということで作業を進めております。
  105. 上田哲

    上田(哲)委員 大蔵省来てくれているので、今の裏づけですね、これについては心配させないということできょうはまとめておきましょう。一言答えてください。
  106. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 予備費の使用につきましては、国土庁初め関係省庁からいろいろ御要望を承っております。できるだけ早く必要な額は措置をしたいというふうに考えております。
  107. 上田哲

    上田(哲)委員 じゃ最後に、いろいろ申し上げたいのだが、長官、私が非常に心配することは、これまでの御努力は多としますよ。よくやっていただいているという言い方で私はきょう質疑を締めくくっておきたいと思いますよ。しかしながら、懸念をするところは、何としても今回の災害が、例えば東京都の場合は災害対策本部と書いてある。ところが、国土庁にある政府本部には伊豆大島噴火対策本部となって、災害という言葉がないのですよ。これは特段の意味があるのかどうか聞いてみたいところもあるが、最後の一問だからこれ以上のことは言いません。これは災害という言葉に当たるか当たらぬかというところにそもそも議論があったはずであります。こういう観点が非常に役人的に処理されてしまうことになると、しゃくし定規になると心配になります。  さらに、先ほど来申し上げておるように、災害対策基本法に基づいてつくられた都の対策本部と、閣議決定によって行われて、法律に基づいてつくられていない国の対策本部とは性格が違うし、その意味では権限上の問題がまた出てくると思う。非常に端的に言うと、国の方は二十一省庁も集めて上から連絡調整をやっている。これは大変けんらん華麗でありますけれども、二十一省庁も集めて連絡会議をやっておるけれども実際には権限がないということになっては困るのでありまして、そういう意味では、ここは行政的に政治的に長官が最大の責任を負って努力をするということを、先ほど来融資の問題、救助対策、支払い遅延の問題、さまざまな問題、それからこれから先の予知についての観測システムの問題、予備費の問題、全部を含めて、最終的には権限的に町長の権限にゆだねることになることであっても、そのことをひとつ国の責任において立派に支えていくぞ、行政的には最高責任は国が負う、長官が負うということを、ここはひとつ頼もしく御決意を表明していただいて、それを期待して終わりたいと思います。お願いします。
  108. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 災害のみならず、いろいろの問題は、まずやはり地元がやってもらわなければならぬわけでありますから、それをサポートしていくことは当然のことでありまして、何でもかんでもトップダウンで命令してやるというものではないと思っております。  そういう点で、災害も適時適切、リーダーシップを発揮したり、政治的判断をするときはその方向に従って決断をするときは決断をする、こういうことでケース・バイ・ケースでやらせていただきたいと思っています。
  109. 上田哲

    上田(哲)委員 ちょっと弱いからもう一言。国の対策本部にだけ災害という字がないということは何ですか。
  110. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の伊豆大島噴火状況にかんがみ、災対法に基づく非常災害対策本部をつくる状況を踏まえるよりも、いち早く噴火対策本部をつくることが適切であるという過去の事例等も考えまして、閣議決定噴火対策本部をつくったところでございます。
  111. 上田哲

    上田(哲)委員 残念だが、終わります。
  112. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、新盛辰雄君。
  113. 新盛辰雄

    ○新盛委員 伊豆大島噴火についての討議の中ですが、桜島巨大噴石落下に伴う諸問題について、もう時間もございませんので前置きをやめてずばりお聞きしますから、簡潔にお答えいただきたいと思います。  それで、委員長も長官も、桜島火山活動に関する状況は十分把握しておられると思いますが、各新聞に収録されている内容について鹿児島市が出しておりますから、これをもう一回ちょっと見てください。  先ほどから議論になっておりますこの噴火予知の問題、どうも現実的に内容が、予知連の方もそうですけれども、大変把握しにくい。予知の技術を向上させたいという先ほどの御答弁がございますが、観測及び調査研究、こうしたことについてのこれからの、特定の指定されている活動火山の中でも桜島が筆頭だというお話もありましたが、本当にどういう向上をさせるのか、お聞きしたいと思うのです。
  114. 山本重三

    山本(重)政府委員 特に桜島につきましては、この三十年間活発に活動しておりまして、昨年の降灰量、爆発回数は観測史上最大を記録し、本年も昨年に引き続きまして噴石被害が出るなど、極めて住民としても不安を感ぜられる状況であろうかと思います。そういう意味で私どもも(新盛委員「演説はいいからどうするのか」と呼ぶ)現在、桜島火山対策懇談会で定めております方針に従いまして、観測体制の充実強化を具体的に進めてまいりたいと思います。
  115. 新盛辰雄

    ○新盛委員 もうそういう議論をしているとまた時間がなくなりますから、次に進みます。  大蔵省、お見えになっていますか。——降灰防除に伴う所得税雑損控除を決めました。既に五万円の足切りの控除請求が行われているわけでありますが、六十一年度はまだ確定申告その他なされていないわけですから不明でしょうが、この制度が決められてから以降の実態はどうなっているか、何件請求し、幾らの額になっているか、示していただきたい。
  116. 瀧川哲男

    ○瀧川説明員 雑損控除というものもいろいろございますし、災害もいろいろございますので、統計的に把握をしているわけではございませんけれども、御質問でございましたので、現地に架電いたしまして一線の感じを聞いたところでは、鹿児島市におきまして昭和六十年分で二十件程度、それから控除金額で約百二十万ぐらいだということでございまして、なお、降灰につきましてこの制度を適用したのは六十年でございますので、五十九年以前はございません。
  117. 新盛辰雄

    ○新盛委員 なぜこんなに件数が少ないかということ、金額においてもそうでありますが、大変手続が複雑になっている。そしてまた、五万円なんというのは、といに詰まった灰を落とす、あるいは屋根から落とす、宅地の降灰除去をする、そうした経費を一々積算するというのはなかなか難しいのですね。人を頼んで領収書をもらって雑損控除に出すということなので、五万円以上となっておりますね、これを引き下げるつもりはございませんか。
  118. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の点でございますが、どの家計と申しますか個人にも、災害でございますとか病気でございますとか、こういったことに伴います特別の費用の支出というものが多かれ少なかれあるわけでございますが、所得税の制度としましては、そのような支出のうち日常生活に通常伴うといった程度のものは、いわば基礎控除を初めとします課税最低限でカバーされているという考え方に立っております。それが相当な額になった場合に、それは私どもの言葉で申しますれば担税力の減殺要因だということで税制上配慮するという意味で雑損控除という制度が設けられているわけでございます。したがって、それをあくまでも通常の支出額に比べまして異常と言えるような災害損失あるいは災害に関連する支出というものを対象とすることにしているわけでございます。  御承知のように、雑損控除につきましては、長い間、所得の一〇%という基準がございましたが、特に豪雪の場合あるいは今日問題になっておりますような異常噴火による降灰といったようなことを頭に置きまして特別に配慮して、いわば足切りを五万円まで引き下げたという経緯もあるところでございまして、医療費控除とのバランスの問題とかございますので、私どもの税制としましては、この五万円がぎりぎりの低い水準ということであることを御理解いただきたいと存じます。
  119. 新盛辰雄

    ○新盛委員 実態に沿わないようなことを決めたってどうしようもないのでありますから、これからこうした具体的な問題としてさらに御検討いただきたいと思うのです。  自治省にお尋ねしますが、この特別交付税の問題については今も議論になりました。桜島火山活動が長期化しておりますので、この火山対策に要する経費、これは非常に多額になってきております。これらに要する経費について特別交付税、財源措置、こうしたことについてどういう指導をされるのか。また、具体的に今交付税を全国行革の中では切り下げようとしているときですから、災害という火山活動の現実の問題として、多額になっている諸経費を負担するために地方も大変苦しんでおりますから、どう処置されるか、結論だけお願いします。
  120. 柳原瑛

    ○柳原説明員 お答えいたします。  桜島火山対策に対する経費に対しましては、従前から措置しているところでございますが、本年度も地元の事情を十分お聞きした上で適切に対処してまいりたいと考えております。
  121. 新盛辰雄

    ○新盛委員 その決定はいつですか。
  122. 柳原瑛

    ○柳原説明員 火山対策関係は三月の特交で措置することにいたしております。
  123. 新盛辰雄

    ○新盛委員 早急に結論を出してもらわなければならない問題ですから、三原山と同じ次元でとらえていただきたいと思います。  農林水産省、防災営農施設整備計画については先ほども確認されました。所要の予算措置を行うことで敬意を表します。この具体的な問題もこうしてやっていただかなければなりませんが、六十二年度以降も継続をするという確認をしておきます。  さらに、降灰激甚地域内の被害は極めて甚大になっております。野菜降灰防止栽培促進事業等というのがありますが、この補助についてどうお考えになっているか。  もう時間がありませんから、ついでにビニール洗浄施設の設置だとか、桑の葉の洗浄をするとか、あるいは火山ガスによる腐食をした機材、こういう使用不能になったものの取りかえ、こうしたことに対する措置をどうされようとしているのか。さらには果樹共済制度の運用として園芸施設共済の対象にしてほしい、こういう強い要求もあるわけであります。これは降灰防止のための被覆施設などにかかわる問題でありますからお答えをいただきたいと思います。
  124. 青木敏也

    ○青木政府委員 第一点の防災営農施設整備計画の第五次の策定作業につきましては、現在県レベルでその作業が進められております。私どもも、昨今の火山活動状況にかんがみまして適切な計画が策定されるよう期待をしているところでございます。  それから、降灰激甚地域におきます各般の対策につきましては、先ほどビニールハウスの被覆資材の張りかえの助成の問題につきましては御答弁申し上げましたが、お尋ねの腐食が進んだようなパイプとかそういったものの再整備についての助成の問題、それからビニール洗浄施設あるいは桑葉の洗浄施設の設置助成の問題でございます。県レベルでビニール洗浄施設なり桑葉の洗浄施設の設置につきまして新たな計画の中に一つの事業として位置づけたいという希望を持っているというふうに伺っております。県レベルでそういったものが計画内容とされます場合には、私ども、十分その趣旨をそんたくいたしまして、計画の承認並びに今後の必要な予算措置等につきまして努力をしていきたい、こういうふうに存じております。  それから、被覆施設を園芸施設共済の対象にできないかということで地元から大変熱心な御要望があることは、私ども十分わきまえてございます。ただ、先生も御案内のとおり、現在の農業災害補償法の法令におきましては被覆ベースの施設は対象にならない形になっております。現在はそうでありますけれども、今後こういう被覆施設の普及状況、またこれを共済等に取り込むとした場合の技術的な問題点等ございます。そういった問題を十分見きわめまして、今後の長期検討課題とさせていただきたい、こう思います。
  125. 新盛辰雄

    ○新盛委員 最後に、長官にお願いしますが、桜島の二百六回目の爆発で御承知のような結果になりましたが、異例の速度で十一月二十五日に小島防災企画官現地を訪れて、これはすごい、最善の策を講じたい、こうおっしゃってお帰りになったそうですが、長官も先ほどのお約束で一月にはぜひ現地を視察してみたいということなんです。  そこで、今後の活動火山対策として、現にこうして活動火山周辺地域の自然条件、社会経済的な諸条件、こうしたことに対する施設整備とか防災体制、諸問題を調査するなり研究するなりあるいは対策を講ずるにしても、すべて予算にかかわる問題であります。この災害予算の、特に噴火が現実こうして発生している地域に対する予算措置、このことの六十二年度の予算編成ももう既に始まっているわけですが、国土庁長官としてもすべての責任においてこれらの予算確保について決意をいただきたいと思うのです。
  126. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 桜島の降灰を初め今回の二十三日の爆発による被害等いろいろの状況をお聞きしておるわけでございまして、ぜひ近いうちに現地に参りまして視察をしたいと思います。先ほど新盛先生から御質問のありましたきめ細かい問題等たくさんあります。これらの施策をさらに充実させ推進するための予算につきまして、関係省庁と十分連絡をとってできるだけ予算を獲得するように全力を尽くしてまいりたいと考えております。  なお、鹿児島の鎌田知事が大変御熱心に進めておられます国際火山会議を鹿児島で開催しようという動きもあるようでございまして、国としてもこれらの方向を全面的にパックアップしてまいりたいと考えております。
  127. 新盛辰雄

    ○新盛委員 終わります。
  128. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ────◇─────     午後一時十三分開議
  129. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  130. 薮仲義彦

    薮仲委員 最初に、長官初め政府関係の皆さんにお許しをいただきたいのは、きょう我が党党大会だったものですから、午前中同僚委員質問を聞いておりませんので、大変申しわけないのですが、あるいは重複する箇所が出るかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。よろしくお願いします。  きょう、新聞、テレビが報道しますように、一時帰島ということで約八百名弱の方がお帰りになられました。このことについては国土庁長官初め東京都、それから大島はもちろんのこと、関係方々が大変御苦労をなさった。警察の方や海上保安庁あるいは消防、ガス、電気の保安の方、地元関係皆様、さらには気象庁初め東大地震研の方々も昼夜を分かたず安全確認のために御尽力いただいておりますことは、本当に当該委員として心から敬意と感謝を申し上げます。  以下何点か不安に思うことを長官初め関係方々質問をさせていただきたいと思います。  冒頭、長官にお伺いしたいのは、今回の一時帰島、これはやはり民生安定といいますか、緊急避難をなさった方々の生活あるいは家庭の事情等を考えますと、私は万やむを得ざる措置といいますか必要であった、この判断はやむを得ないと私は十分理解をいたしております。  しかし、そこにちょっと不安に思うことは、表現が余り穏やかでございませんけれども、欠落している部分がなかったかなといえば、これはやむを得ざる行政判断だと思うのでございますが、必要で十分な安全が確認されていたのかな、こう問い返されますと、ちょっと不安の思いが心をよぎります。特に、噴火予知連会長のコメントは、全島安全というコメントではないことは長官初め皆様御承知のとおりでございます。特に北部、南東部については依然危険な状態であって、観測を強化してほしい、こういう指摘もございます。そういうことを承知の上で帰島させた、これは冒頭申し上げたように私はやむを得ざる判断であろうと思うのでございますが、このことについて対策本部本部長である国土庁長官のお気持ちをまず冒頭お伺いしたいと思います。
  131. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の噴火によりまして一万人を超す皆様方が無事避難されたわけであります。しかし、避難をしながらも、島に対する思いは熱いものがあるわけでありまして、そのお気持ちを察するに、我々も十分気持ちはわかるわけでございますが、特に、東京都並びに大島町の方でもこの問題についていろいろと御協議になった結果、まず一時帰島という形で島の皆様方の気持ちを安心させたいということから結論を出されたようでございます。  もちろんこれに対する安全、あるいは監視体制あるいは安全対策、こういうことに万全を期していかなければならないわけでありまして、私ども国の対策本部といたしましても、この都の方針を支持しながらも、さらに監視体制あるいは安全対策、これを十分やってまいりたいという気持ちで現在おるわけでございます。
  132. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、長官の言葉の言外にもあらわれておろうと思うのでございますが、島民の方のことが非常に心配である、これはここにいる全員の思いは同じだと思うのでございます。特に一万人の方の今後の生活はどうなんだろう、これはどうしても今一番心配な問題でございます。特に生活の基盤が大丈夫かな。長官も大島のことはもう十分御承知のとおり、ちょうど今大島ですとブバルディアという花あるいはツバキ、こういうものが出荷の一番の時期でございます。十二月から一月にかけて今最も手入れをしなければならない。こういうものに対して、農業収入を生活の基盤としていらっしゃる方は非常に心が痛むと思います。あるいはまた、サヤエンドウも非常に農家の収入を支えている主要な農産物ですが、いずれも今非常に大事なときです。今三日も四日もいて手をかけたい、こういう農業基盤は大丈夫かな。あるいは、後ほど詳しくお伺いしたいと思うのですが、やはり大島というのは観光によって生計を立てていらっしゃるのが大半だと思うのです。大半あるいは七割ともいわれておりますけれども、そういう方はこれから生活が大丈夫なんだろうか。たとえ一時帰島であろうと、あるいはこれから暮れまでには全員帰島という話も後ほどお伺いしますけれども、帰島したところで、じゃ観光のお客様が来ていただけるかどうか。こういうことを考えますと、今一たん島へ帰りたいというお気持ちはわかります。でも、一たん帰って、さて生活はとなったときに愕然とする暗い思いが今度お一人お一人の胸をよぎると思うのです。そうしますと、帰れればまた不安、もしも帰れないとなったらばまたこれは大変だと思うのです。  いずれにしましても、一時帰島ということはやむを得ざる措置だと私は理解しますけれども、もしもこれが長期にわたるという最悪の事態を考慮いたしますと、生活の基盤が失われて飢餓といういろいろなケース、最悪の事態も考えなければなりません。仕事は大丈夫だろうか、生活はどうするのか、子供さんの教育は、こう考えてまいりますと胸が痛むわけでございますが、やはり避けては通れないと思うのです。やはり政府として、長期にわたった場合に対しての施策は、なければいいと思いつつも避けて通れない課題としてそれなりの覚悟はしなければならない。覚悟しておいて今やるべきことはやっていくということだと思うのですが、長期にわたった場合、私は国が、東京都があの大島方々の生活をどう支えてあげるか、これは非常に重大なことだと思いますが、その辺の長官の御決意はいかがでございますか。
  133. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回、災害救助法の適用をいち早く決定をさせていただいたわけでございまして、当面の問題の手当てをしていきたいと考えておりますが、午前中からの御質問の中でも特別立法をせよとかいろいろの御意見がございました。現在、災害対策に対しますいろいろの制度がございますので、ひとつこれらを十分多角的に運用させていただきまして、できるだけ島民皆様方の御不安のないように最大の努力をさせていただきたいと今考えておるところでございます。
  134. 薮仲義彦

    薮仲委員 確かに、現在手持ちの法律はいろいろあろうかと思いますが、私もこの災害の問題は、当選して十年間いろいろな災害を見てまいりました。しかし、じゃ噴火の場合の皆さん方を本当に適切に救済できる、生きたといいますか、大島の場合に適切に対応する法律があるか、これは現在の火山関係の法律であってはなかなかできません。避難のための施設をつくりましょうとかそういう周辺整備のことはできますけれども、生活の再建ということは想定しておりません。ですので、やはり私はここで長官にお願いしておきたいのは、今産業構造の転換ということで石炭の山の閉山とか銅山の閉山とかいろいろございますが、この大島の場合も、本格的な取り組みはやはり政府に、どうしても長期にわたった場合のことは長官が対策本部長というお立場でありますので、関係省庁連絡をとって、今おっしゃられたような長期にわたったときの最悪の事態も想定なさった対応をぜひともお願いしたい。このことをもう一度お答えいただきたい。
  135. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今一時帰島が行われつつあるところでございまして、今後全面帰島ということになるのかあるいはこのまま長期避難態勢になるのか、この辺の見きわめをしなければならないと思います。それらの方向が都や町の方で決定されるのを待ちまして、国としてもそれらに十分対応できるように考えてまいりたいと考えております。
  136. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、次の問題でございますが、私も静岡でございますので、現在の地震予知というものは大変だなということは十分わかっております。ただ、地震予知につきましては大震法という法律がございまして、マグニチュード限りなく八に近ければ見つけてみせるという力強い専門の方々判断があるわけですね。巨大地震ならば何とか前兆現象をつかまえてみせるということに基づいてあの大震法はできているわけでございます。  しかし、一番問題なのは、火山噴火についての前兆現象について的確な理論といいますかあるいは予知の技術というものが必ずしも確立しているか、これは大変困難な学問だろうと私は理解はいたしております。しかも今回の場合、火山周辺の、本来マグマによって隆起すべきところが逆に沈降しておった。これは判断に狂いを生じたという言われ方もございますけれども、それはやはりこれからの研究の途上の一つの事柄であるかもしれません。しかし、結果は住民に対して非常に大きな影響がございます。一万人の生命財産、そういうことを考えますと、今長官がおっしゃったように、じゃ今何が必要なのかといえば、国のできること、あらゆる機関を動員しても、ならば現在の予知技術あるいは考えられるすべての施策について手を打って、安全についてあるいはちょっとでも前兆現象があればそれがキャッチできるというような観測体制の強化といいますか、当然火山噴火の専門の先生地震圏に残ってずっと頑張っていらっしゃるのは我々報道機関を通じて本当に感謝をいたしております。しかし、こうなってきますと、学問の分野も、地質から地磁気から地下水から、あるいはガスの専門の先生から水質から、あるいは海洋の先生から海底に至るまで、本当に一万人の方のことを考えますと、今国ができることあるいは研究機関が応援していただけること、すべて長官の対応の中で総合的な調査体制といいますか研究体制といいますか、そういう体制をぜひともとっていただきたい。あらゆる力、あらゆる能力、あらゆる技術、そういうものを集積して、その総結集の上で島の安全をやることは、もしも永久に帰れないとなったときのその方々の生活にかかる負担あるいは国の持たなければならない責任を考えますと、研究にしっかりやることが、いろいろな火山を抱えている日本でございますから、あるいは桜島も休火山と言われているものもいつやるかわかりません。必ず大島のこの研究はむだにならないと思いますので、私は総力を挙げて、この際できることは長官にやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  137. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の伊豆大島噴火に際しまして、島民が全部島外に無事避難できたわけですが、今後のこの伊豆大島対策を進めるに当たりましては、何と申しましても一番重要なのは今後の火山噴火活動監視体制の強化の問題であると思います。こういう点を踏まえまして、政府対策本部におきましても、観測機材の増強、観測機関のネットワーク化の早急な実施を図って観測体制を強化するということを決定いたしまして、関係機関が集まりまして緊急の計画につきまして検討を進めたところ、これがまとまりましたので、二十八日に行われました噴火予知連総会におきましてこの計画の内容について了解をいただきましたので、二十九日の本部会議決定におきまして、伊豆大島噴火緊急観測監視体制整備計画決定したところでございます。この計画の内容につきましては、本日の次官会議、明日の閣議で予備費の使用も含めまして早急に体制を整備し、直ちに実施していく考えでございます。
  138. 薮仲義彦

    薮仲委員 そういう手続を進められているようでございますが、やはり最終的には長官がどうか全力で取り組んでいただきたい、重ねてお願いをいたしたいと思います。  私は、ここでちょっと火山噴火予知連の性格づけを明確にするためにお伺いしたいことがございます。気象庁にお伺いしたいのですが、この噴火予知連というのは性格的にどういうスタンスにあるのか、ちょっと正確に言ってください、簡単で結構ですから。
  139. 河村あたる

    河村説明員 噴火予知連と申しますのは、測地学審議会建議に基づいてできたものでございまして、法律的な用語で申しますと気象庁長官の私的諮問機関であるということになると思います。  現在の連絡会でございますが、火山現象の観測に直接に携わっていらっしゃる地球物理学あるいは地球化学あるいは地質学等の広い分野の第一線で活躍されている先生方関係行政機関によって構成されております。その任務といたしましては、火山噴火のようなことが起こりました場合に、火山活動の今後の動向というようなものに対して検討をいたしまして総合判断を下して、それを防災等に利用していただくようにするというのが役割であろう、そう考えております。
  140. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは国土庁長官にぜひとも明確な判断を仰ぎたいところでございます。  先ほども申し上げましたように、私は静岡県民でございます。我々は東海大地震というものを覚悟して生活しております。あすこに大震法がございますが、先ほど申し上げましたように判定会がございまして、六人の先生が招集されて、あらゆるデータの中で異常現象があればそれを即座に判定材料として判断を下す、それが最終的に気象庁長官、国土庁長官を経まして、いわゆる警戒宣言という形で国民にきちんと法体系の中で警戒宣言が発令されます。これは長官がいつもおやりになる、九月一日のときには経験なさっていらっしゃることだと思うのでございます。  私は、今回の場合、この噴火予知連の性格というものをこれからはっきりしておきませんと、国民は非常に不安を持つと思うのですね。冒頭の質問はそれなんです。私が最初に、どういう決断でおやりになりましたか、噴火予知連見解というのは少なくとも全島帰島ではなくて、北部あるいは南東部が異常でありますよということは言っておりました。全島帰島ということは、昨日の鈴木都知事の都議会における御発言の中でも、帰してあげたいと、行政の長としてそのお気持ちは私はもう痛いほどわかります。ただ、もしも噴火予知連が今後のデータが集積されてきて、危ないよ、これはちょっと安全に対して不安だよ、こう言ったときに——今回の場合は一部危険ですという判断でした。でも、それを乗り切って行政判断予知連はいわゆる安全か安全でないかの行政判断行政に任せますと言って譲ったわけです。そこで東京都知事もしくは大島町の町長さんが判断なさった。しかし、今後もしも噴火予知連から会長コメント、見解というものが出てきます。冒頭のころは、私このペーパーをもらっておるのですけれども噴火予知連の会長の見解で出ていますよ。最近は気象庁として出ているのです、そこにいろいろいきさつもあったのかもしれませんけれども。  この噴火予知連見解に対してどういう判断を示すかということは、今後大島の一万の島民の方にとって非常に大事なことだと思うのです。と申しますのは、長官御承知のように、現在の災害対策基本法六十条で避難命令の勧告、指示ができます。これは行政の長、市町村長がするわけですね。仮に噴火予知連から危険な兆候がありますよというデータが出てくる、一万人の島民避難大島の町長さんの判断にゆだねるのか、あるいは東京都知事にお任せするのか、これは確かに法体系はそうなっております。ですから、首長さんがきちっと判断しなければならない。ただ、一万人の方の避難命令、しかも水害とか越波するとかという問題とは違いまして、学問的にも非常に的確な判断がつきかねる。これはもしもこうなったときに生活が全然だめになったことを考えますと、今の災害対策基本法で、避難命令は町長、解除も町長、これで全員帰島になるとこれは解除になると思うのですが、そういうことを考えますと、行政の長にだけ任せておくことは非常に無理ではないか。ならば噴火予知連の位置づけをはっきりして、噴火予知連からそういう報告もしくは見解があったとき、建議がなされたとき、長官を中心とした判定機関といいますか総合的に判断する機関がないと、これは国民は不安感を持つと思うのです。片や予知連はこうですよ。気象庁長官のテレビのインタビューを見ておりますと、何となく長官は不安を持っていらっしゃるのかなと私も感じました。学問の専門家の方は困っていらっしゃるなという感じを受けます。  私は、やはり今後のために予知連の位置づけをはっきりすると同時に、長官を初めとしてもちろん行政の長も入り、専門家も入り、あらゆる機関で総合的な判断を下すべき判定組織をつくる必要があると思うのです。これがなければ国民はいたずらに不安を感じます。行政の中で、運輸省、気象庁ですからね。国土庁の間に意見の違いがある。意見の違いでは許されない。生命の安全がかかっています。しかるべき政府機関判断を行って、帰りなさい、あるいは避難をいたしましょう、こうしませんと、国民の多くの方は不安を抱きますので判定組織を確立する必要があると思いますけれども、いかがですか。
  141. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今地震の場合と噴火の場合とを比較されたわけでございますが、地震に対しましてはある程度の科学的ないろいろの対策を今講じておるわけでありますが、噴火予知というのはなかなか難しい問題で、予測ということについては学問的にもまた実際的にも極めて難しい状況にあるようであります。しかしながら、それらの貴重な御意見も十分承ってまいるということでありまして、予知連先生方の御意見は十分参考にさせていただかなければならないと思っております。  ただ、今度の場合、あの一万人を超す方々が整々と避難をされたということでありますが、それはやはり大島町では二十一日の大噴火の以前から、町長、支庁長、警察署長、観測所長の四者で十分な連絡をして、二十一日の夕方の大噴火の際は町長の的確な避難指示でこれが行われたというのが一つの大きな対策の基本になっておるわけであります。それで今回、今も都の方と町の方で一時帰島という瀬踏み的な形でおやりになっておるわけですが、これらを見ながら全員帰島ということにするのかどうか、こういう方向をこれから決めていただくのだろうと思います。  しかし、国は何も責任逃れをしておるわけではございません。やはりそれらの方々が安全に帰島をされる、こういうことがまず基本であると思いますので、監視観測体制というものは各機関が十分連絡、協調してバックアップしていく、こういうことでやってまいるつもりでございます。この帰島問題につきましては、避難のときと同じようにやはり自治体が中心になってこれをお決めいただくというのが適切ではないかと考えておる次第であります。
  142. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはきょう余り時間がないからまたじっくりやりますけれども、長官、静岡三百五十万県民は同じような状況にあるのですよ。ここで私にこのことを余りしゃべらせると長官がかえって窮地に陥りますので、私は、地震の方は最初に申し上げたように、地震の学問はこうですよということを前提にして言っているのです。しかし、これから後どんどん観測体制もやっていきますけれども、余り私にしゃべらせないでいただきたいのは、判断するところがないとこれは非常に問題になるのですよ。大変なんですよ。静岡県民の場合は、空振りしてもということを前提にしてあの判定会の判断を県民は納得しているのです。空振りしてもいい。この空振りという意味をよく考えてください。各企業は営業をストップするのです。ガス会社はガスをみんな発散させてしまうのです。そのときにどういうことが出てくるか。いろいろな企業のデメリットがあるのですよ。余りこれ以上言って今島民の方に不安を与えてはいかぬので言いませんけれども、そのときに行政側、例えば町あるいは都の言っているような事柄で済む問題ではないのです、一万人の方の生活がかかっておりますから。  だから、私は、噴火予知連の位置づけと、本当のことを言えば、内閣総理大臣を長として、こういう異常事態ですから、予知連判断、専門家の意見東京都の意見大島意見も聞きましょう、でも最終的に国が責任を持って、お帰りくださいあるいはこうしましょうというときがやがては来るかもしれない。このまま噴火が続かなければよかったかもしれません。有珠山だって安全宣言に五年かかっているのですよ。私は有珠山にも行ってきたのです。安全宣言というのはそんな簡単なものじゃないのです。出せないのです、専門的なジャッジは。ましていわんや噴火予知は不可能に近い、いまだ研究の途上なんですから。恐らくあの専門の先生方は、断じて予知をしてみせるぞぐらいの気迫は持ってらっしゃると思うのです。でも、残念ながらまだいろいろ困難な中で頑張っていらっしゃる。  そういうことを踏まえて、最終的には行政判断しなければならない。だから、私は、災害対策基本法の六十条も申し上げました。確かに首長です。首長だけでははっきり言って素人です。素人一人の判断でやるということではなくして、やはりある判断グループをつくるべきだ。これは絶対必要だと私は思いますので、長官、余りこの問題で私に突っ込ませないで、私の言うことをよくこれから検討する、検討の余地は絶対ありますから検討していただきたいと思います。これがなかったら大変なことが起きると私は思いますので、やはり国がやらなければ、ある機関をつくってやらなければ、だれもこれは責任持てないわけですよ。じゃ、町長さんに解除の判断をしろ。できますか。都知事にやれ。できますか。だれかがやらなければならない。そのしかるべき判断は、責任ある対応の中でやらないと大変なことになる。これは一つのこういう事態にかんがみて決断をし対応しなければならない、それは行政の責任だと私は思うのです。避けて通れないと私は最初からも申し上げた。我々も逃げる気はありません。やはりこれは受けて立って、判断をだれかがしなければならないのだったら、的確な判定する機関をつくるべきである。そうすることが民政の安定です。だれもが納得できるのです。そういうふうに検討していただきたいと重ねて申し上げますが、いかがでしょう。即答は求めませんが、検討はしたのかどうか。
  143. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 薮仲先生おっしゃるとおり、行政判断というのが要るわけであります。今度の場合は、その意味におきまして、東京都で行政判断をしようということでありますから、政府はこれを支持していく、こういうことであります。またさらに、いろいろのケースがありますが、大きな行政判断あるいは政治判断、そういう場合は適切に対応していくのが当然だと考えております。
  144. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか私の申し上げたことを十分心に入れておいていただきたい、こう思います。  時間がありませんので次の問題に行きますけれども、これは簡単にお答えください、事務的な話でございますから。  私は、各大学、旧帝大と言われたところはもちろんでございますけれども、あらゆる各大学の研究機関すべて動員して、あらゆる専門の先生のお力をおかりしたいというような気持ちを持っておりますし、また、通産省もいろいろと応援してもらいたい。海上保安庁も水質、海上のラジコンボートで海水を採取するということを聞いておりますし、あるいは科学技術庁もすぐれた技術を持っております。各省庁、自分の持っている技術を網羅してもこの三原山噴火のために、大島の町民のために御努力いただきたいと思うのですが、全力を挙げてやっていただきたい。そのことについて簡単に、我が方はこういうことをやって島民の皆さんの安全に寄与したい、ごく簡単に結論だけ御答弁いただけませんか。各省順次、文部省、今言ったように……。
  145. 長谷川善一

    ○長谷川説明員 ただいま大学の研究についての御指摘でございましたけれども、現在、東京大学地震研究所の伊豆大島火山観測所というのがございまして、そこを中心にやっておるわけでございますが、噴火が始まりましてから、東北とか京都、九州、岡山等々の八つの火山研究しております大学の研究者を組織いたしまして、現地における観測研究の拡充を図ろうとしておるところでございます。  二十九日の、ただいまお話ございました「緊急観測監視体制の整備について」ということに基づきまして、緊急に地震計、傾斜計、そういったものを増設いたしますとともに、観測データのテレメーターによる気象庁へのネットワーク化を図るということで、現在急いで必要な措置を進めておるところでございます。今後とも各大学協力してやっていくように文部省としても必要な措置を講じたい、かように考えております。
  146. 山浦時生

    ○山浦説明員 通産省といたしましては、工業技術院の地質調査所が各省庁、大学と協力いたしまして、予知に必要なデータをとるということに努めてまいりたいと思っております。具体的に申し上げますと、大きく分けて四項目ございまして、一つは、伸縮計を設置いたしまして、地盤における地割れの観測ということでございます。第二番目が、井戸を利用いたしまして地下水の水位をはかる。それともう一つが、地下のガスの分析をいたしまして、その異常の有無というのをはかる。それからもう一つは、島全体を地質調査するということでございますが、特に溶岩の精密分析をいたしまして、溶岩規模等についての予測をするためのデータをとってその予測の一助にしたい、そういうことでございます。
  147. 佐藤任弘

    佐藤説明員 今回の伊豆大島三原山噴火以来、海上保安庁では、航空機によりまして三原山火口付近の目視観測、それから写真撮影、さらに変色水溶岩流状況調査及び観測実施しております。今後は航空機による伊豆大島及び周辺海域の地磁気の観測、ラジコンボートによる変色水の採水、測温及び航空機による水温の観測などを速やかに実施することにしております。そしてなお、これらの観測結果は、その都度火山噴火予知連絡会事務局である気象庁に通知することとしております。
  148. 高木譲一

    ○高木説明員 科学技術庁といたしましては、国立科学技術防災センターにおきまして既に関東・東海地域の地殻活動観測ネットワーク等の整備を行っておりまして、大島におきましては波浮港の観測点において傾斜計や微小地震計を設置し、データをとっております。また、外輪山にございます御神火茶屋周辺の観測点におきましても、傾斜計のデータをとっております。それで、それらにつきましてはテレメーター等によりまして常時入手、連続観測を行っておるところでございます。  それから、今後の対策といたしましては、先日対策本部の方でおまとめいただきました方針に沿いまして、御神火茶屋観測点のテレメーター化、それから傾斜計の増設、そういった対策について早急に実施できるよう、現在センターの方と詰めておるところでございます。これによりまして、火山噴火予知連絡会に対しまして迅速にデータを提供できることと考えております。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと海上保安庁に確認したいのですけれども変色水域の海水調査をおやりになった。その結果、火山性の物質が検出されたか、されなかったか、簡単に言ってください。
  150. 佐藤任弘

    佐藤説明員 海上保安庁では、十二月一日にヘリコプターによりまして変色水域の目視観測実施した際、試験的な採水を行いました。採取した海水は、岡山大学の小坂丈予教授に依頼いたしまして化学分析を行っております。その分析の結果によりますと、少量の鉄分及びアルミニウム分が検出されております。この分析結果も、同様気象庁にも通知してございます。
  151. 薮仲義彦

    薮仲委員 気象庁にこのことをちょっと聞きたいのですけれども、鉄とかアルミニウムというのは、例えば変色水域というのはがけが崩れてこうなっているんですよとか、いろいろな報道がされます。ところが、今のは純粋に火山噴火関係する物質とは違うのですか。その辺どうですか。土砂崩れの影響なのか、いわゆる火山噴火に関連する物質なのか、それだけ簡単に言ってください。長く言っても専門的にはわかりません。
  152. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 お答えいたします。  化学成分だけではなかなか判断しにくい面がございます。あと、例えば水温を測定する等なお幾つかのデータが必要ではないかと思っております。
  153. 薮仲義彦

    薮仲委員 もうちょっとはっきり言いなさいよ。がけが崩れた物質なのか、それとも火山性の物質なのか、どっちなんだと聞いているんです。そのくらい、我々にわかるように言ってくれないと……。
  154. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 一般には鉄が多いあるいは珪酸分が多い、そういう場合には火成活動といいますか、火山活動に近いものから出ていると言われております。また、がけの場合も、火山島でございますので、風化した土砂等が崩壊いたしますとその辺の区別はちょっと難しい問題を含んでいるかと思います。
  155. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうも専門家の方はだんだん聞けば聞くほどわからなくなってくるのであれですけれども、それは確かに正しいと思うのですが、やはりその辺が危ないよということで予知連が言っておることですから、もしも必要であれば、今のことでわからなければ、さっきから言うように何と何と何があれば大丈夫なのかという機材はきちっと設置して、それが島民の方の不安の材料なんですから、筆島周辺が変色水域だ、だったらば徹底的にやって、そして、かくかくしかじかですからこれは山から崩れたものでございます、あるいは地下から噴出しているものでございますと、きちんと専門的な判断をやらなければ、不安が不安を呼ぶのですから、それは適切に早急に必要ないわゆる試料を全部収集して分析して、きちんとした結論を早急に出していただきたいと思うのですが、どうですか。
  156. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 変色水域の問題に関しましては、これがもし火山活動に直結しているという場合には大変危険でございます。ですから、その辺の安全性を十分考慮して慎重に対応しなければならないと思っております。今御指摘の点を十分考慮して今後も調査を続けたいと思います。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 気象庁は後でまとめてしっかり聞かせてもらいますが、その前に、教育問題心配ですのでどうしても聞かしていただきたい。特に、受験期を控えたお子さんにとってはこれは非常に大変な問題であろうと思うのです。やはりお子さんの将来のことを考えますと、これが長期にわたった場合、大丈夫かなと非常に心配な面がございます。義務教育の小学校、中学校はこうなっております、高校はこうなっております。しかし、これが長期にわたったときの対応も十分考えていただきたいと思いますけれども、その辺の現状、それから将来についての文部省の考えをお聞かせいただきたい、不安のないようにしていただきたい。いかがでしょう。
  158. 林田英樹

    ○林田説明員 子供たちの就学の問題でございますけれども、文部省といたしましては、この就学の問題につきまして適切な措置が講じられますように東京都教育委員会に対しまして指導いたしますとともに、状況を把握しながら必要な措置を講じてまいっているわけでございます。  東京都教育委員会におきましては、小中学校の児童生徒につきましては、児童生徒が寄留いたします地区にございます小中学校に臨時に入学をさせまして、就学継続を図るという形をとっておるわけでございます。このため、関係の区市町村教育委員会に対しまして、文書でもって受け入れについて特段の配慮方を指導しておるところでございます。これによりまして、伊豆大島から避難した児童生徒東京都等の学校に就学しているところでございます。小中学生、現在、大島に在籍しておりました者が千三百七十四名であるわけでありますが、これらのうち千三百七十名につきましては、東京都内関係区市の学校に在籍をしているところでございます。残り四名につきましては、これは居留地がなかなか定まらなかったというようなことがございますけれども、現在千葉県に一名、神奈川県に三名ということで居留地が固まりつつあるようでございますので、必要な就学措置がとられるよう見守ってまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、学用品、教科書等につきましても、必要なものにつきましては措置が既に講じられているところでございまして、教育に支障のないような形の措置がとられているわけでございます。  それから、高等学校につきましては、これは二校あるわけでございますけれども、学校ごとに教員の指導体制を確立いたしまして、場所を確保して教育活動を行っているところでございます。御参考までに、大島高等学校につきましては都立の紅葉川高等学校に、それから大島南高等学校につきましては、旧新宿区立淀橋第二小学校に学校を臨時に移しまして教育活動を行っているところでございます。  文部省といたしましては、引き続き児童生徒に係る教育活動の実施状況の把握に努めまして、必要な指導助言や支援態勢を講じてまいりたいと思っているわけでございます。  長期化した場合の対応につきましても、東京都教育委員会としては今後その状況を見守りながら支障が生じないよう対策を講じると言っておりますので、私ども連絡を密にしながら、東京都の措置が適切に行われますように援助してまいりたいと思っておるわけでございます。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、かわいい子供たちが思わぬ災害で大変な苦しい立場に追い込まれておるわけでございますけれども、それも人生の一つの経験といえば大切なことかもしれませんが、やはり私は、親としてあるいは文部省として、子供の教育環境だけは守ってあげてほしい。特に長期にわたった場合、いろいろお父さんやお母さんの生活環境も変わってくると思います。住まいもあるいは変わってくるかもしれません。そういうときに子供たちが不安を感じないように、文部省は十分きめ細かく一人一人の子供さんの将来のために配慮していただきたい。特に、将来のあるお子さんあるいは受験期を控えたお子さん、大変な御苦労をしていらっしゃるわけでございますので、何とぞ重ねてその点はよろしくお願いをいたしておきます。  それから、もう一つ心配なことがございます。それは、冒頭にも申し上げましたけれども大島の生活基盤、どうなっているんだろう、これはどうしても不安でございます。恐らく、農水省に被害の想定どうですかと聞けば、まだ調査をしておらないという御答弁が返ってくるかもしれません。また、農業共済あるいは自作農維持資金等を発動なさって対応するということはもう既にやっていらっしゃるかもしれない。でも、先ほどもうお話ししたように、今がちょうど、ツバキであるとか、ブバルディアというんですか、あの花等々がすべて出荷の段階で一番手のかかる時期。花が咲いたら出荷ができない等々も聞いております。こういうことを考えますと、やはり今の共済で救われるのかな、あるいは自作農維持資金だけで大丈夫なのかなという不安はございます。そういう意味で、私は、農水省としていろいろな制度、施策を弾力的に運用なさって、これから被害の実態がわかってくると思うのですが、大島の農業を生活の基盤にしていらっしゃった方々が将来にまた帰島なさったときに、やる勇気が、来年また頑張ろうという勇気のわくような、思いやりのある施策を弾力的な考えで運用していっていただきたいと思うわけでございますが、その辺、農水省さんいかがでございますか。
  160. 青木敏也

    ○青木政府委員 今回の三原山災害によります農作物の被害状況につきましては、現時点のものは非常に残念でありますけれども精査できない状況にございます。いずれにいたしましても、第一次の噴火段階におきましても、小菊とか花卉類あるいはキヌサヤエンドウといったもので約二億弱の被害が出ております。この被害額は恐らくかなり増大しているものと、こういうふうに存じているわけでございます。  今後、都とも連携をとりましてそういう被害の実態の早期把握に努めますが、いずれにいたしましても、今後具体的な営農資金対策等が大きな課題になってまいると思います。被災農林漁業者に対します資金措置につきましては、各般の資金が用意されております。しかし、その中で、例えば自作農維持資金といったものが今回の災害については一番ふさわしい資金の一つかもしれません。そういうことで、今後資金需要等の把握にも努め、適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、被害の実態がわからない段階でありましょうけれども、お話しのように、できる施策を十分運用なさって、農家の方の将来を不安のないものにしていただきたい、こうお願いをいたしておきます。  それから中小企業庁、ちょっとお伺いしたいのですけれども、その前に国土庁さん、大島の観光収入が例えば全産業の何割ぐらいとか、もしも簡単にわかれば教えていただきたいのです。産業基盤の中で例えば農業収入何%、あるいは漁業収入何%、観光収入何%、こういう区分けがあれば、観光にどの程度依存しているか観光の依存度がわかれば、観光だけちょっと教えていただけませんか。
  162. 山本重三

    山本(重)政府委員 具体的な収入の割合については統計資料があいにくございませんが、大島の中におきます産業分類によりまして産業分類の状況、一次産業が島の中で一五・二%、第二次産業は一〇・五%、第三次産業は七四・三%と報告されておりまして、この第三次産業の大半は観光に依存するものと考えられます。  なお、非公式な推計資料として手元にあるところによりますと、観光客の消費額はほぼ九十三億円ぐらいに上るのではないかという推計数字がございます。なお、観光に参ります観光客は年間四十二万人近くでございます。  以上でございます。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここで中小企業庁、運輸省にお伺いしたいというよりも、中小企業庁、運輸省の対策をお伺いしたいのですが、やはり中小企業の中で、今観光に関する商店、お土産物屋さんですね。観光物産等々の方々は、非常に観光客がいない、特にこれからいろいろなイベントを、大島は寒ツバキにあわせておやりになると思うのですね。その観光収入がどんどん減少してまいりますと大変だと思います。  これは決して大島だけの問題ではなくて、先ほどから私は静岡静岡と言いますけれども、私の静岡伊豆半島でございますが、この間大島の方が避難していらっしゃった伊東であるとか、伊東を中心としてあの辺は大島との交易の非常に大きいところです。伊東あたりの、いわゆる観光お土産物屋さん、あるいは食料品屋さん、中には建設会社で倒産というケースも出ております。やはりこれは大島だけでなく、交易のある周辺の都市も非常に影響が出ておりますので、そういう連鎖倒産、あるいは大島本体の中小企業の皆さんが再生、立ち上がれるような施策は、中小企業庁としていろいろお持ちでしょうけれども、それをやはり幅広く弾力的に活用していただきたい。返済猶予の問題、あるいは別枠であるとか融資枠の拡大であるとかいつも言われますけれども、やはりその辺の思いやりというものが再建の道を開きますので、これは中小企業庁にお願いをいたしたい。  これは無理な話かもしれませんけれども、やはり運輸省観光局になるのですかね、運輸省にお願いしておきたいのは、やはり安全宣言が早く出てほしいと私は祈っております。どれほど大島の人がそれを願っておるか。国土庁長官もそうだと思うのですが、本当に安全な島になって、早く大勢のお客様が来てほしい。昨年よりことしと観光客がふえておるやさきにこういうことでございまして、非常に残念なことでございますが、やがて観光ができるようなときになったら、運輸省観光局はトラベルエージェンシー、旅行業者等を集めて、大島へ行きましょうというような側面からの何か、安全な大島が確認されたら、お客様が行っていただかないと大島の方は大変じゃないかな、こういうことも、今少し早過ぎますけれども、将来の問題として運輸省考えておいていただきたい。この二つ、簡単にお答えください。
  164. 桐山正敏

    ○桐山説明員 御説明いたします。  三原山噴火災害によります商工業関係被害につきましては、御承知のようにまだ島民方々がお帰りになっておりませんのでその状態ははっきりいたしませんが、生鮮食料品、それから観光関連業者の方々に相当程度被害というものが発生しているものと思われます。  そういう状況に対応いたしまして、中小企業庁といたしましては、政府系中小企業金融三機関、中小公庫、国民金融公庫、商工中金の三機関につきまして、被災地の債務者につきまして返済猶予措置をとるようにと、まず今それが当面何よりの措置だということで指導をいたしております。  これとあわせまして、帰られまして損害額等が判明いたしますと、次にはその復旧のための資金が必要になるという段階になりますので、災害復旧貸し付けということの発動ができるようにということで準備態勢を整えております。  それから、小規模事業者につきましては、御承知のマル経資金、無保証、無担保でございますが、こちらのマル経資金の方につきまして、簡易、敏速な対応ができるように、機動的、弾力的運用を図るようにということで、商工会の方に指示をしております。  それから、その次に、関連の伊東地域等で大島に依存をしておる業者の方が相当程度おられるということで、先般、一件その関連の業者の方の倒産というお話がございました。伊東地域、相当程度大島に依存している状況があるということでございますので、こういった伊東地域につきましては、大島と同様に、小企業等経営改善資金融資、マル経資金でございますが、こちらの機動的、弾力的運用を図るということ、それから政府系三機関につきましては、返済猶予についてケース・バイ・ケースで対応をするようにということで対応を進めていきたいと考えております。  さらにまた、今後事態の進展等に伴いまして、しかるべく対応措置を講じていきたいというふうに考えております。
  165. 辻宏邦

    ○辻説明員 伊豆大島にとりまして観光は大変大切な産業であることは先生御指摘のとおりでございまして、その一日も早い復活は島民全体の願いだと思います。  そこで、伊豆大島につきまして、安全宣言が出されるなど、観光客が大島を訪れても本当に支障がない状態となりましたら、これを旅行業者に対し周知徹底をしてまいりたいと存じます。  なお、観光客の呼び戻しのためには、地元の受け入れ態勢を整えるとともに、都や地元の観光協会等が中心となっていただいて、観光客に対する誘致、宣伝活動を積極的に進めていただくことが大切でありますので、関係者が協力をしてこれに当たるよう指導してまいりたいと思っております。
  166. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかよろしくお願いをいたしておきます。  たくさん質問したいのですが、もう時間がなくなったものですから、要点というよりも最後に大事な点を幾つかまとめて確認をしておきたいことがあります。  今度、私も静岡でしたから、稲取とか下田、伊東、熱海へ避難なさる方々の実態を、地元にいてよくわかっておりました。この避難という問題は非常に大事だと私は思います。我々、地震の場合はいわゆる第一次避難場所、広域避難地というように逃げてまいりますけれども大島の場合は島でございます。例えば避難命令が出て波止場まで出てきた、今度波浮の港と元町を行ったり来たりということも言われておりますが、こういう経験にかんがみて、消防庁が地域防災計画を所掌なさる省庁として、当然当該の大島あるいは東京都と協議はもう既になされていると私は思いますが、では元町の方はどこの港へ逃げます、あるいは岡田港へはどこの方がいらっしゃいます——岡田と元町には御承知のように四千トンバース、あと千トンバースもあります。四千トン二バースと千トン二バースです。波浮の港は、御承知のように水深が二メーターあるいは三メーター、非常に浅いわけでございます。きょう運輸省お見えですから、あそこに避難港を、避難岸壁をどうおつくりになるのかお伺いしたいわけでございますが、今手元にあるのは何かというと、四千トンバース二本と千トンバースです。そうすると、どこの町の方がどこへ逃げていくか、そのときどういう形で逃げてくるか、この体制はやはりきちっと確立をしておいていただきたいと思うし、確立しなければならない。  と同時に、あのときは夜間でございました。例えば定期航路を持っている船等も用船しやすかった、あるいは海上保安庁も素早く来てくださった。いろいろな条件の中で困難をクリアなさって、見事に一万名の方を避難させた。しかし、時間を見てみますと、大体十時間から十二時間要しているのじゃないかな。きょうは、ゆっくりやればその辺も詰めていきたかったのですが、私の手元にある資料で大体十時間から十二時間くらいかかるのかなと思います。  気象庁に聞いてもこれはお答えいただけないのですけれども予知連が危ないよと言って、果たしてどのくらいの時間の担保があるのですか。避難する時間がどのくらいあるか。大規模地震の場合は少なくとも一時間弱の時間にどうのこうのということは、我々体で承知しております。しかし、噴火予知連が、前兆があります、私はさっき長官に言ったのは、判定会を持っていないと困りますというのはそういうことなんです。予知連が異常データを集めた、ではどこで逃げると言うかあるいは逃げなくてもいいと言うか、その判断をしっかりどこかで決めておかないと、判断がつかないでじりじり時間がたったら、一番困るのは大島の場合は船を集めなければなりません。海へ逃げるわけにはいかないのですから。やはりその港へ定期航路の船あるいは大島周辺を航行している船舶にSOSを発信して、来てください、乗っけてください。噴火がいつも夜だけあるとは限りません。いつあるかわかりません。定期航路の船が全部とんでもないところへ行っていれば、じゃ今考えておかなければならないのは、何かあったときに周辺航行の船はすぐ救援に来てくださいということを、災害対策本部として運輸省を通じて各船舶にお願いをしておかなければならない。そして、大島へ来るのに、午前中発災したら、午後発災したら、大体どの程度の船が、例えば今ぼんと連絡すると何隻の船が実際救援にどのくらいの時間で来れるのか、こういうこともきちっと避難計画の中に入れておいていただかないと、陸続きで逃げるのとは全く違うわけです。  そういう点で、さっき私が長官に検討してほしいと言うのはそういうことなんです。噴火予知連が出した、じゃ来てくださいという発信を船にしていいものやら悪いものやら、しなければ一万名の方は乗って逃げる船がないわけです。そうしますと、島という特殊事情ですから、だれかが判断をして、船が来るまでどうしても時間がかかります。また長官も、東京に逃げればいい。東京までの所要時間、ここで聞くのも失礼ですからやめますけれども、大体四時間ちょっとかかると思うのです。我々の静岡の一番近いところへ四十分なんです。稲取とかあのあたりへ行くのに片道四十分前後で来るのじゃないかと思います。そうすると、東京へ四時間何分かかると思いますが、静岡避難した方が早いし、ピストン輸送もあるいはできるかもしれない。用船のいろいろな研究等を考えておきませんと、決してまだ安全宣言がなされているわけではありません。等々やはり避難についても、いつ起きるかわからないこの噴火に対しての万全な体制、またもしも今の四千トンバース二本、千トンバース二本で足りなければ波浮の港にどうするのだ。沖合船待ちでやったケースもございましたけれども、じゃすべての避難体制についてきちんとしていただきたい。  もう時間がありませんのでこれでやめますけれども、ここでそういうことを含めて、長官、どうか大島の方が不安のないような、そしてまた生活が再建できるような、万が一のときに避難できるような体制をどうしても長官のところで鋭意検討して、どんなときでも対応できるような万全の対応を長官にどうしても私はお願いしたい。  運輸省一言、長官の最後の御答弁の前に避難港をどうするのか簡単に答えてください。それで長官の御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  167. 奥山文雄

    ○奥山説明員 運輸省からお答えいたします。  大島の港湾、現在ありますものが三港ございますけれども、一般の物流であるとか旅客というようなものに対しまして整備を図っているわけでございます。そういうことでございますから、今回のような緊急避難というような特殊な条件下におきまして十分であるかどうかにつきましては、なお全般的な検討を要するものであると考えておる次第でございます。そのために、今後の対策に当たりましては、先生御指摘の現地におきます避難体制等々の整合を図りながら、国土庁など関係機関との緊密な連絡をとって早急な対策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  168. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 いろいろの災害、またあるいは今回のような噴火の問題、今具体的に大島の問題、いろいろの場合に適切なる行政判断というのが要るのはもちろんでございます。そういうことでありまして、適切なる行政判断がなされるように、それぞれの機関で十分今後検討してまいりたいと思っております。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  170. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、滝沢幸助君。
  171. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、御苦労さま。長官以下政府委員の皆さん、御苦労さんです。  このたびの伊豆大島災害につきまして、まずもって関係者の方々の御苦労に敬意を表し、罹災された方々の一日も早い立ち直りをお祈りする次第でございます。  ところで、私はきょうの委員会の初めに要望事項がございます。それは、災害特別委員会というものは、不幸にして災害に遭われた方々に対する適切な対策を講ずるために協議するものであると私は思っております。そのためには、私はいたずらなる政府の批判や与野党の対立の議論を展開しようとしていないわけでありまして、これは双方、権限や法規をいわば乗り越えた臨機応変の措置が時としては必要ではないか、こう思うのであります。そういうふうに考えますと、大体この委員会も先週ぐらいに開かれた方がよかったと思いますが、諸般の事情からやむを得なかったことではあります。またそこで、これから質問するに当たりまして、私は、都や町の御苦労を思いまするときに、少なくとも都の御意見も聞きたかったわけであります。ところがしかし、手続的に実現しなかったのは残念なことでありますが、これは新盛理事さんも御希望があったやに承ります。私は、ひとつ今後の参考として申し上げるのでありますが、このようなことにつきましても、いわばさっき申し上げました臨機応変の措置をとられることがいかがなものかと思うのであります。都の方の傍聴等もいただいていると思うのでありますが、そのようなことで、少なくとも政府と議会、そして自治体との理解を深めていく、こういう姿勢が必要ではないかと私は思うのであります。というようなわけで、御答弁の方も建前論ではなくて、お互い本音の議論をいたそう、こういうふうに思うのでありますが、いかがなものであるか、要望申し上げておきます。  ところで、まずもって気象庁にお伺いしますが、先ほどから、例えば予知連そして気象庁、特に火山部長さんのコメント、それと都、町の判断というようなことでいろいろと言われておりますが、端的にお伺いしますならば、大体噴火は大きなものはないであろうというようなニュアンスのお話の後にあの大噴火があったように私は新聞等で見ているのでありますが、もっとすかぱっと予知が徹底する方法はないものかと思うのであります。それとともに、今いろいろと言われておりますが、二十八日に例の予知連会長さんが、一時帰島に当たりましては地域の限定が必要であろうとおっしゃったのに、全部一時帰島ということが決定したということにつきましては、要するに、科学の立場と行政の立場、そして理想論と実際論、そして建前論とそれこそ本音、こういう立場の違いがあのようなことになったのだと私は思うのでありますが、それにつきましても、今後は、双方がもっとそれぞれの立場を乗り越えたより緊密な連絡、少なくとも新聞、テレビ等に発表する以前にその意見といいますか方針といいますかをお互いに合わせておくという努力が必要ではないだろうか。一たん学者さんの集まりのような予知連ないしは気象庁という立場で一つのコメントがあって、その後にそれとはニュアンスの違った選択を行政がなさると、いろいろといわば大変御迷惑をかけることがあるのではないかと思うものでありますから申し上げたのであります。一言……。
  172. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のような点、時々伺うわけでございますが、私ども東京都に対しましては、火山噴火予知連絡会あるいはその幹事会が開催されました折には必ずその結果等をお伝えしておりますし、それから、今回十二年ぶりに七月に火山性微動というものがあらわれました。それ以来我々としては何回か情報を出しておりますが、それに加えまして、状況に多少変化があったときには逐一東京都には御連絡をさしていただいてきております。  今回の二十八日の件でございますが、気象庁といたしましては、先ほどお話ございましたように、火山学的な立場といいますかいわゆる技術的な立場から参考意見として都に対してお伝えをいたしております。東京都の立場では、行政的な立場から当方の意見を踏まえられまして一時帰島の計画を立てられたものと思っております。そういうことでございますので、意見の交換、情報の伝達等はかねがね行っておりますし、したがいまして、両者の間に特に食い違いといったようなものがあったとは私どもは思っておらないところでございます。
  173. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 ところで、長官お見えでございますが、今回の住民のいわば避難でありますか、大変整然と行われましてよかったと思うのであります。これは条件が大変恵まれておりました。  ただ、私が心配しておりますのは、関東大震災なんということが時々言われておりますが、かつてあったのですから、またある可能性もあります。そのようなことが仮にこの首都圏にありましたならば、この災害そのものよりも、人間同士の先を争うようなそういう関係においてパニック状態が起きるだろう、こう私は心配するのでありますが、仮にこの首都圏にそのようなことがありましたときに、その避難措置というものは今考えられているものでしょうか、お伺いします。
  174. 山本重三

    山本(重)政府委員 ただいまのような大地震が起こりました場合の避難につきましては、できるだけ混乱なく整然と行われますように、私どもは現在も九月一日の日を防災の日にいたしまして、この日を中心に総合的な防災訓練を実施しているところでございます。特に南関東地域につきましては、一都三県共同で政府対策本部と合わせた総合訓練を実施しております。いずれにいたしましても、こういった訓練を具体的に実施いたしまして、例えばこれもできるだけ実践的に訓練を行うということで、最近ではターミナル駅の周辺における避難誘導訓練でありますとか、道路等を規制いたしまして訓練を実施するとか、あるいは社会福祉施設とか学校における児童生徒避難誘導訓練でありますとか、あるいはさきの秋田で起こりました津波災害等も考えまして、そういった津波危険区域のありますような地域につきましては、情報伝達の避難誘導訓練でありますとか、あるいはこれに関連します自衛隊等の実動部隊の訓練、こういったものを常時繰り返しながら訓練をいたしまして、特に国民の皆さん方には、災害から自分を守ることは、何よりもその災害というものの恐ろしさを自覚してみずからがこういった災害に対応した行動がとれることを身につけるということを中心に、鋭意訓練を通じてそういったことのないような対策を日ごろから推進しているところでございます。
  175. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 長い説明ほど本当は実がないんだよね。  そこで、同じことを自治省さんにちょっとお伺いしますけれども、戦争中いわゆる敵の爆撃に備えて、あの隣組、隣保班、町内会を全国的に組織化して、大変な避難訓練をしたでしょう。しかし、新憲法で平和宣言はしたけれども地震、雷、火事、昔はおやじ、こうついたんだけれども今はそれはない、そういうものに対しての立場からいうと、私はあの組織体系というものを決して崩してはならぬものだと思うのですが、今おっしゃったようなことは空論ですよ。実際に地域の人たちが力を合わして一つ災害に対して対処する訓練は行われていない、こう思うのです。自治省の立場では市町村で終わりでしょう、皆さんの指導は。その下における住民組織等を通じてこうした災害に対処する方便は考えられているかどうか、簡単にお伺いします。
  176. 田中基介

    ○田中説明員 きめ細かな避難訓練の重要性、先生御指摘のとおりでございまして、消防庁といたしましてもかねてより強調してきたところでございまして、例えば自主防災組織というようなものについてもできるだけ各地域で整備をするようにということを指導しておるところでございます。また、訓練の実際のあり方につきましては、火山噴火でありますとかあるいはまた地震、風水害などの災害によりましていろいろな特性がございます。あるいはまた、非常に広域的な災害であるとか離島であるとか、そういったような地理的条件など、それぞれの場合に応じて実践的な訓練を実施する必要があるということで、今後とも指導してまいりたいと考えております。  避難訓練の単位といたしましては、予想されます災害特性に応じまして、例えばただいま申しました自主防災組織による町内会単位のものによる訓練でありますとか、あるいはまた市町村合同のものというようなものもありますし、それは災害のそれぞれの態様に応じて指導してまいりたいと考えておりますが、指導に当たりましては、ただいま先生御指摘のような点も十分踏まえて指導してまいりたいと考えております。
  177. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大体、この大島という島が今後永住するに適する土地であるかどうか、この判断を私はやはり大胆に下すべきであろうと思うのですよ。そこで、そうしたときに、新しいふるさとを差し上げなくてはなりませんね。そういうことについてもひとつ考えを持っていただいていいと思うし、列島改造論の著者は今お休みになっておりますが、著者はだれであれ、日本じゅうが再編成される時期はもう遅い、こう思うのであります。  例えば、この東京首都圏、人口の一割以上を集めておりますよね。こういうようなのはやはり都市再編成が必要だと思うし、そのためには、この前も私は環境委員会で、東京大学がとにかく疎開しなさい、こう言ったんだけれども、やはり国の持っている各種の機関をどんどん疎開して、新しい町づくりをすべきだと私は思う。特に十万都市、二十万都市、三十万都市の模範都市を、富士山ろくでもどこでも結構です、広い地域に新しく公共機関等をつくって、郵便ポストまでつくって、ここに住まうことにしてくださる方には例えば減税の措置とか何でもいい、そういうようなことで新しい町を、模範都市を建設するぐらいの設計が政府になくてはいかぬのではないか、こう思うのです。  最近、政府のやりなさることを見ると、全部、あしたのことをどうするか、きょうわからぬ。むしろ後追いなんですね。そうではなくて、国民をして十年後、二十年後、百年後に理想を求め、選択を求めるという政治姿勢も私は必要だと思うのでありますが、長官いかがですか。
  178. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 きょうは冒頭に滝沢先生から、今度の伊豆大島噴火に対しましての対策本部へのいろいろのおねぎらいの言葉をいただきまして、大変ありがとうございます。今回の島民避難その他につきましては、東京都、町、そして我々政府調査団、一致結束いたしましてこれを実行したと考えております。私どもも、今後さらにこの体制によってこの伊豆大島噴火対策に当たってまいりたいと考えております。  なお、ただいま滝沢先生から御指摘のありました一極集中あるいは過密問題、こういうものにつきましては、国土庁では今、四全総を策定中でございまして、いろいろの意見を聞いておりますが、滝沢先生と同じような人口が集中するところに防災体制としてどうするのかというような御意見もあるわけでございまして、それらの防災体制も含めて、今後四全総、二十一世紀につなぐ日本のあり方、特に今、多極分散型の国家を目指そうという目標を持っておるわけでございまして、今のような御意見は十分拝聴しながら策定してまいりたいと考えておる次第でございます。
  179. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 ところで、文部省さん、見えていていただいているはずであります。今回の災害につきまして、児童生徒の学習に不安がない措置が講ぜられておると思うのでありますが、これがやや長期にわたる転校になる場合も考慮して、ひとつ対策をしていただきたい。例えば教科書等も今まで教わっていた学校と同じものなのであるかどうか、あるいは進みぐあいも差があったりすることもありましょうし、御配慮を願いたいと思います。  そして、この際お伺いしておきたいことは、いわゆる学校の安全対策であります。児童生徒をして緊急避難の場合に整然とこれが行われるだけの措置、これはやはり私は、先ほども申し上げましたが、戦後ぼけの中で不十分だと思いますよ。そこで、いつかも私は、この委員会でありませんが委員会で申し上げさしていただきました。一つの例で時々申し上げて大変申しわけありませんが、ある二人だけの先生が配置されている学校で、女の先生と、そして男の先生がいらっしゃるのだけれども半身不随であります。要するに足三本、手三本ですよ。こういう学校があるのですよ。豪雪地帯にあるのですよ。そうしたらあなた、いざ大雪崩というようなときにあるいは火災というようなときに、どうして生徒を先生が率先して避難せしめることができましょうか。むしろ子供に手足を引っ張られて先生が出ていくのじゃないですか。百人の学校だったらば二百本の足、二百本の手ですよ。それが仮に九十九本であってもさほどの差はない。四本の手のうちの三本では大変なことです。大体こういう先生方が人情論で職にとどまっていらっしゃるのがおかしいのでありまして、文部省がもっと勇気のある人事管理をしていただかなくてはなりません。そのような意味で人事管理の面までこれは及んでいるかどうか。例えば分校等で女の先生だけの分校なんかはないのかどうか。男女雇用平等法というのでありますが、しかしいろいろの能力においてはそれぞれの差はあります。ひとつ承りたい。
  180. 林田英樹

    ○林田説明員 御指摘のように、学校におきましても防災の面での対策ということは非常に重要であることは私どもも認識しておるわけでございますが、今御指摘の例えば分校などにおいて、人事構成において御指摘のような女性だけとか、身体に障害のある方と女性だけとかというような形の学校がどの程度あるかということの詳細は私どももつかんでおらないわけでございますけれども、人事当局におきましては当然御指摘のようなことも十分配慮しながら人事をやっていかなければならないことだと考えておるわけでございます。学校におきましては、いろいろな各種の人事構成上の制約もございますし、また配慮すべき事項もいろいろ幅広いわけでございますので、人事当局としてもいろいろな面で限界のあるところもやむを得ない面があるわけでございますけれども、私どもも、いろいろなバランスを考えながら今後とも適切な人事が行われますように都道府県にも指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  181. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 去年聞いてもおととし聞いても同じだ、実態はつかんでない。つかみなさい。私が申し上げておるのは、後で速記録も読んで勉強してちょうだい、この前はそこまで言ったんだけれども、つまり、そういう山の中の学校に先生方は一年交代なんだ。だれもそんなところへ行きたいやつはいない。一年交代。そして、新しく辞令を持っておいでになる、それが女の先生だったら女の先生に、先生、あなたには分校勤務をしていただくことになっておりますということなんだよ。初めて大学を出てその土地の事情もわからぬ子が分校に勤めるわけです。そこが豪雪地帯で雪崩常襲の場所でしょう。そこに半身不随の男の先生と初任の女の先生が勤めるわけであります。抽せんで行くんですよ。わかりますか。分校に勤める人がいないものだから抽せんに当たった人が勤めるのですよ。そして、その人が車を運転できないということで、みんなでタクシー代を出し合ってその先生にタクシー代を上げるのじゃないですか。それが実態ですよ。僻地教育の実態をよくつかんでちょうだい。いつでも質問すれば、その実態はつかんでおりません、教員の構成によりまして、なんというようなことでは、答弁になりません。文部省がそういう姿勢だから教育の末端がゆがんでおるのです。臨教審は何を議論していらっしゃるか知らないけれども、私はもっと生きた教育を期待している、これを申し上げておきます。また災害質問のときに私はこれをずっと言いますから、きちんとしてちょうだい、お願いします。  さて、消防庁にお伺いしますが、全国の自治消防の充足率というものは全きを得ておりますかどうか。最近農村が非常に行き詰まりまして自治消防隊の消防団の定員も確保できない、これが実態であります。ひとつ最近の数字を承りたいと思います。
  182. 田中基介

    ○田中説明員 最近の消防団の充足状況でございますが、全国で昭和六十一年百二万六千でございます。これは、昭和二十八年当時二百万を超えておりましたものが、次第に減ってまいっておりまして現在百二万になっておる、そういう状況でございます。
  183. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 建設省さんにも見えていていただいているはずでありますが、大変簡単な質問でありますが大事な質問であります。  今回の災害の査定の状況はいかほど進んでおりますか。そして、これが復旧対策についての日程、そして、これはちょっとわからぬでありましょうが、予算規模ども承ることができれば幸いに思います。
  184. 帆足建八

    ○帆足説明員 被害状況でございますが、島の南東部が最も被害が大きいのですが、この部分につきましては立ち入りが現在規制されておりまして十分な調査がなされておりません。したがいまして、正確に被害状況を把握するに至っておりません。  現在までわかっている被害状況でございますが、溶岩流によりますところの河川の埋塞が一カ所、それから道路の亀裂が六カ所、崩土箇所が七ケ所、落石一カ所、舗装が隆起しております箇所が一カ所、それから降灰がありました路線が十二・五キロでございます。概略の被害状況がそういうことでございまして、十一月の二十九日までに泉津から波浮港の間につきましては島の西側に二車線を確保しております。したがいまして、災害査定の予定及び復旧の見通しにつきましては、被害状況調査ができない関係で現段階ではお答えすることは難しい状況でございます。調査が可能になり次第、災害査定官を現地派遣いたしまして、直ちに応急復旧工事ができるように、また本復旧の工法等の指導をしてまいりたい、このように考えております。
  185. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 もう一度自治省さんに、都と大島町に対する特交など、これからなし得る財政等の援助の措置はいかがなものでしょうか。簡単で結構です。
  186. 柳原瑛

    ○柳原説明員 お答えいたします。  被災団体が行います災害復旧等に要する経費につきましては、経費の性格によりまして地方債あるいは特別交付税で措置することになっております。今般の案件につきましては、今後どういう経費がかかるのか、その状況によりまして、地方債なり特別交付税の配分で適切に対応してまいりたいと考えております。
  187. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 以上、質問はこの程度で、あとは川端委員に譲りますが、長官、実は「立正安国論」で日蓮上人が、国の状況、国民の生活が乱れてきますると、まず地震、そして噴火、そして疫病、そういうものが蔓延しまして、そして最後に飢饉ですね、凶作、そして七番目には外敵の侵入がある、それを七難、こういうふうに言ったということで、例の蒙古来襲を九年前に予言したというのでありますが、まあこれは大島方々に申し上げるのじゃありませんけれども、私はあの地震噴火の情報を聞きまして、「国の悪政、民の悪業、怒りたもう神の火か大島また桜島」、こういうふうに実は所感をまとめたことであります。  ところで、私は、今この繁栄の中で、先ほども苦言を呈しましたが、総理大臣以下私をも含めて、もちろん私もそうでありますが、行政なり政治なりの衝に当たる者の決意のほどが、やややっぱり神仏の御心にかなっていないのではないか、こういうふうに反省するのでありますが、長官は神主さんだそうでありまして、神の御心を一番よく御存じかもしれませんから申し上げるのでありますが、どうかひとつ、これからいつ起きるかもしれない各種の災害等に対処して、理想的な安全な国土運営をさらには建設をなさる御決意のほどを最後に簡単に承っておきたいと思います。
  188. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 災害は忘れられたころに来るという言葉がございますように、我々は絶えず防災の意識を持っていかなければならないと思いますし、また一たん緩急のときにはそれに対応するような機敏な態勢を日ごろから心がけていかなければならないと考えております。また、おごれる者は久しからずと申します。やはりおごることなく、国政の中におきましても謙虚に、これから日本の繁栄を続けるために努力をしてまいらなければならないと考えておる次第であります。
  189. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 ありがとうございました。
  190. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、川端達夫君。
  191. 川端達夫

    ○川端委員 まず、質問に先立ちまして、今回災害に遭われました大島町の島民の皆さんに心からお見舞い申し上げますとともに、奇跡ともいえる全島避難という大役を本当に見事にやり通されました、しかも今日までいろんな形で御尽力されています大島町そして東京都、国土庁を中心とする政府海上保安庁、警察、自衛隊等々の関係者の皆さんに心から敬意を表したいと思います。今後とも島民の安全そして生活を守るという観点から御尽力を賜りますことを要望いたしておきたいというふうに思います。  いろんな形で御議論がきょうされてまいりましたけれども日本においても大島に限らずいろんなところで火山の活動があるとか、あるいは世界的に見ましてもいろんなところで火山活動というものが報じられておりまして、国民としてはいろんな形の情報の中で非常に不安を感じる部分でありますが、国民に対していたずらな不安や心配あるいは興味本位な対応というふうなことにならないように、政府としての情報の管理それから対策をとられることについて要望をしておきたいというふうに思います。  時間が限られておりますので、今、爆発をしてから二十日近く、そして島民避難をされましてから二週間経過をした中で、今一番皆さんが不安に思っておられる、そして心配されております帰島問題、私はこのことを中心にして幾つか御質問をさしていただきたいというふうに思います。  きょうもテレビで報道しておりましたけれども、きょう日帰りの帰島ということで、留守にされたおうちをいろいろ回っておられるというふうな一時帰島がきょうからあす以降にかけてやられているわけですけれども、今の島民の最大の関心事であり心配事でもある帰島問題ということに対して、基本的な考え方として長官にお伺いしたいのですが、これからの手順としてどういうふうに考えておられるのか、それから中身としてどういうことを検討されようとしているのか。要するに、手順と中身と態勢について、帰島というものに絞って長官としての御見解をお伺いしたいと思います。
  192. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 帰島という問題は、ただいま川端先生がおっしゃいますように、島民皆様方が一番こいねがっておられる問題でございますけれども、その前提として、まず、安全と申しましょうか、さらに再度の災害になるのではないかというような不安、こういうものがまずあるわけでありまして、これに対してはやはり監視観測体制というものを十分確立しなければならない、こういうことでございまして、先ほどから防災局長からも申し上げておりますように、伊豆大島噴火に係る緊急観測監視体制の整備計画というものを立てたわけでございます。これは八つの重点に分かれておりますが、それらについて機材の補充とか整備またそれの据えつけ等を目下行っておるわけでありまして、明日の閣議におきましてこれらの予算措置も講じたいと考えておるわけであります。  それらの厳重な監視観測体制をとりつつ、今、一時帰島という措置によりまして、島民皆様方の心理的な御不安がないように、しかも一目島を見てきたいという皆さんの願いが少しでもかなえられるように今実施されつつあるわけであります。しかもこれは、町当局あるいは東京都、一番地理的な問題をよく御存じの方々が協議をされて、この方向を決定されたわけでありまして、政府も今全面的にこれをサポートしてまいっておるところであります。  なお、今後、全員帰島というものにつきましても、都と町当局でいろいろと御協議になっておるということでありまして、我々は都の決定に対しまして全面的にこれを支持してまいりたいと考えておる次第であります。
  193. 川端達夫

    ○川端委員 昨夜から始まりました一時帰島に関して若干お伺いをしたいのですが、二十八日に気象庁から予知連会長のコメントということで出された予知連の会長見解ということでは、「一時的な帰島がある場合には、地域の限定のもとに火山活動の動向を厳重に監視しつつ、観測体制の強化、緊急避難対策の万全を図ることが前提である。」こういうふうに述べられているわけです。そういうコメントに対して、都がきょう一時帰島を実施されたわけですけれども、これについては政府としてはこういう前提条件は満たしていると判断されているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  194. 山本重三

    山本(重)政府委員 火山噴火予知連総会を開きまして会長コメントか出され、なおかつ東京都知事大島現地を踏査された上で、避難住民の声を直接聞きながら、今回一時帰島の方針を決められたわけでございます。これに対して私どもも、早急にできるものから観測監視体制の整備をいたしますと同時に、今後噴火活動が再発した場合の危険に備えますために、避難警戒体制の厳重な対応ができるよう関係機関に協力を要請しております。  今回の一時帰島に際しまして東京都がつくられました計画、私も詳細に検討させていただきましたが、実に慎重な計画であり、気象関係機関から火山情報等が出されました場合は直ちに通報されて避難ができるという態勢もとっておりますので、私どもとしては、こういうような措置に対応して、一時帰島が円滑、安全に行われることを心から願って、万全の措置を講じているところでございます。
  195. 川端達夫

    ○川端委員 先ほどの長官の御答弁あるいは今の御答弁も伺っていまして、確かに、町あるいは都が判断をされ実施される、それに対して関係政府機関等は全面的なバックアップをする、これは法的な部分の整理で言えばそういう形だと思うのですけれども、今回の問題に関してそういう御答弁をお聞きしますと、印象としてどうもしっくりしない問題が残るわけです。といいますのは、例えば予知連の会長がそういう体制の強化、万全を図ることが前提であると言われた。その中で都は判断をして一日帰ることにした。その計画を見ると非常によくできておるので、我々としてはうまくいくことを願っておる。人ごとのようにやや聞こえるわけです。  前のコメントのときに、後藤田官房長官は、「火山噴火予知連絡会検討結果は島内全域にわたって危険が及ぶことが考えられるということだ。一時的とはいえ帰島は適当でない。」こういう政府の官房長官談話を発表された。それから、予知連のコメントが出た後で東京都が帰島を決められた。そうしますと、予知連としては、「「マグマ水蒸気爆発に向けた南部の監視態勢は、まだ出来あがっていない」などと、都側の“見切り発車”に強い不満の意を表明した。」また、内田気象庁長官は、「「一時帰島が全島に及ぶとは聞いていない。観測体制がまだ整備されていないので、都は慎重にやると思っていた」と、困惑の表情。河村地震火山部長も、「あえて帰島するというなら、わたしどもはどうしようもない」と語り、」云々。こういうふうに、我々、一般にはマスコミを通じていろいろな情報を聞く、そういう中で法的に、町長が避難命令を出された、だからそれを解除する等々を含めては町あるいは都の権限の中であって、政府はバックアップするだけだというふうなことをそんなに厳密に法的に理解をするものではない。そういう中で、いろいろな部分で何かまるで都が勝手におやりになるような印象を受けるというのは、皆さんの御努力を含めては本意ではないと思います。  そういう意味で、今の町と都それから政府関係機関が今回の問題に対してどういう関連を持って取り組まれているのか。私は、そのおのおのがあって、権限でいえばこういう整理ですよということではなくて、上下関係でもなくて、前の委員の方からもありましたけれども、発表があったらそれに対して何か批判的な言葉がどんどん出てくるということではなくて、十分にそれが横並びで協議をして一体となって考えるという態勢をとらなければ本当の推進はできないと思うのですけれども、いかがでしょう。
  196. 山本重三

    山本(重)政府委員 私どもは、この問題につきましては、大島町それから東京都、政府対策本部それぞれ密接に連携をとりながら対策実施する必要があるということで、東京都の対策本部会議が開かれます際には私ども担当官派遣しております。また、政府対策本部を開きますときには東京都の本部員に同席していただいて一緒に議論していただいております。そういう形で、私どもは、三者密接な連携をとりながら、大島噴火対策に最善の努力をしていきたい、実際にそういうふうにいたしているところでございます。
  197. 川端達夫

    ○川端委員 現実にそうされているという部分と、例えば今私が御紹介した記事で言う分でいうとそういうふうには理解できないという気持ちが強いのですが、なぜこういうものが出るのかということを含めて、もう一度どうですか、そこら辺。
  198. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の一時帰島の決定に至ります経緯を整理いたしてみますと、ともかく今回、二十一日の大噴火を契機といたしまして、六回にわたる大島町長の避難指示に従って全島民島外避難したわけでございます。しかしながら、島外避難いたしましても、今後果たして噴火活動が続くのかどうか、帰島が可能かどうかということが非常に重要になってまいります。そういう意味で、今後の噴火活動についてどうであろうかということにつきまして、十一月二十四日に火山噴火予知連が緊急総会を開きまして慎重な検討をされた結果統一見解が出されたわけでございます。その後、東京都知事が二十五日に、今後の対策を進める上で観測監視体制の強化が必要だということで、政府に対してその強化についての要望がなされております。これを受けまして私ども対策本部会議を開きまして、観測監視体制の強化を具体的に図ると同時に、その後二十七日に大島町議会の議決をもちまして大島町が、ぜひとも一時帰島を実現させていただきたいという要望書を持ってまいりました。これは住民の声を率直に伝えた要望書でございますが、私どもも、どういう形でどういう方がどういう目的で帰島したいのか、その具体的な内容を示していただきたいということで、東京都の本部調査を依頼いたしました。その結果、東京都の方でも、こういった状況を踏まえて気象機関あるいは噴火予知連との連絡をとったのだと思いますが、十一月二十八日再び火山噴火予知連の緊急総会が開かれまして、この結果が会長統一コメントとして発表されたわけでございます。この状況の中で東京都知事も直接現地に赴かれまして現地状況を視察し、その上なおかつ避難された関係住民方々要望等を踏まえて、二十九日に大島町長の参加のもとに開かれました都の本部会議で一時帰島の方針を決定されたところでございます。  私どもは、この一時帰島の都の決定方針に即応すべく第四回目の本部会議を同日中に開きまして、この東京都の本部決定に対して、一時帰島の措置が安全かつ円滑に実施されるよう、警戒避難体制あるいはその他の政府支援措置に万全を期するということで、関係各省ともどもこの問題について取り組んだところでございます。
  199. 川端達夫

    ○川端委員 結局、私が問題にしたいのは、スタッフを含めて専門的な部分でいうと政府機関がお持ちになっている、それは当然バックアップ態勢というのはわかるのですけれども、そういう科学的な判断というものと、現実に自分たちの町民あるいは都民であるという行政サイドの判断というものをトータル的にどう判断するかということなんです。そういうことで、行政サイドとしての思いは痛いほどわかっていますが、何とか実現したい。科学的な判断で言うと、総論というか理想論になるかもしれません。その折衷を求めるときに、連携は十分とっているとおっしゃるけれども、やはりトータル的な、例えばきのうの都議会で知事は、お正月は島民が島で迎えられるように最大の努力をしたいと言っている。その思いとしては非常によくわかるし、皆さんもそれはこいねがっておられる。そうしたら、そういう思いを非常に重視すれば、何とかそういうふうにしようと後追い的に今可能な限りの対策を打つことしかできないのじゃないか。もっときっちりとした帰島に対する方針を打ち出さなければ、予知連はちゃんとしなさいと言っておいたのに、行政のことは最終的に行政が責任をとられるのでしょうから、おやりになったらあと可能な限りの対応は政府としてとりますなんて、別に責任がだれにあるかということじゃない。それでいろいろな方が、申しわけございませんでした、やめますと言われても、何の責任でもないのです。本当に島民の生命財産を守る観点から、思いはそうだけれども、トータル的な判断としてはこういうことにしようということが今どこでどうされるかわからないわけです。結局は、都が判断されたらそれを支援しましょう、こういう形というのは本当にそれでいいのだろうかな。お正月に向けてどんどんそういう要望が強くなってくる、周辺の方を含めてのいろいろな声が強くなってきたときに、その思いを整理して、それでもやはり難しいという部分に、科学的な論拠も踏まえてきちっと対応できるかどうか非常に心配である。そういうことに押し流されてはいけないのではないかと思います。  気象庁予知連が十月三十日には、そういう火山の微動を含めて動きがあるけれども爆発するには至らないのじゃないかという見通しをコメントとして出されて、それから間なしに翌月に爆発した。それから、慎重な言い回しではありますけれども、外輪山を越えるような溶岩流の噴出にはならないだろうというコメントが出て間なしにまたドカンと爆発した。そうすると、いろいろな兆候も含めて、一挙に島が真っ二つに割れるということが起こり得るという見解が出された。それから、いろいろな条件つきであれば帰ってもいいんじゃないかというふうに、予知連機関が出されたコメントは随分変化するわけですけれども、それに対して長官は、専門家という立場じゃなくて、率直な感想をどういうふうにお持ちでしょうか。
  200. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 火山噴火予知、あるいはいつこれが静まるのかという予知、これは大変難しい問題でございまして、これに科学的判断を求めることも重要でありますが、その科学的判断行政判断をどの辺でどうするのかという川端先生の御質問、大変難しい問題だと思っております。しかし、だれかが行政判断をしなければならない。いろいろな災害やその他の問題に対しましては、だれかが行政判断をしなければなりませんが、そのときそのときによっていろいろなケースがあると思います。今回の場合は、これに対しまして大島町と東京都がいろいろと御協議の上行政判断をされたわけであります。  噴火に対するその後の科学的判断につきましては、政府対策本部の中に予知連とか気象庁も入っておるわけであります。したがいまして、我々はそれらの意見も十分入れながら、政府対策本部は、行政判断を出されました東京都の方向を支持していきたいと考えておるわけでありまして、今申されました、いろいろくるくると変わる判断に対してどう考えるかと言われますが、予知というのは非常に難しいものだなというのが私の感じであります。
  201. 川端達夫

    ○川端委員 私も、難しいなあというよりも、自然の力というものに対して人間の力がいかに小さく本当にとるに足らない力である、自然の力の大きさを感じるわけです。火山爆発、そしてそれが安定化するということに関しても、必ずこうなるということを予知するのは、難しいのではなくて、できないことだと感じました。予知をするというと、必ず当たるというイメージをどうも持ってしまうのですけれども予測をして起こり得るという予想は立てられても、当たらないこともあるし当たることもある。そのように明らかに限界のあるものであるということを明確に認識することが科学的な立場だというふうに理解するわけです。皆さん非常に御努力をされてやられたことについては私は敬意を表しますし、それをもちろん否定するものでもないし、これからももっと力を入れなければいけない。しかし、それはある部分限界があるということを、逆にみんなもしっかりと認識をしなければいけないことを示唆しているのではないかなと思います。そういう意味で、万全の体制をとっても、予知という限りは、最終的には危険は残る、これが大前提ではないかと思います。  そういう中で帰島問題を考えるときに、今の科学技術の及ぶ範囲で、可能な限り予知観測体制をこれからどういうふうに強化するのか、どこがするのかという問題が一つ。  それから、そういうふうに強化をした中で、結局そこでの生活も帰島も非常に制限されてくると思います。そこでの生活というのは、やはり危険と共存することは避けられないと思うのです。だれも完全に安全であるということを宣言できないと思います。そういう中で、起こり得る万一の危険に対して、どういう防災避難体制がとれるのか、あるいはとろうとしているのか、それはどこがどういうふうに検討するのかという問題。  三つ目は、若干かかなりかの程度の差はあっても、危険が残る中ではもうそこに住まない。十年、五年、いろいろな科学データから見ても、もう完全に大丈夫であるというところまでは住まないという方に対して、あるいは住めば避難のときに危険であるという老人や御病気の方に関して、かなり長期的なレンジでの生活をどう見ていくのかということ。このように、危険予知体制と避難防災体制と、それからいわゆる一時的ではあるけれども長期的な疎開というものに対する体制という、この三つをセットにして帰島というものを考えていかなければならないというふうに思っているのですが、個々の項目についてどの部署が、これは東京都あるいは大島町でということではできないと思います。そういう部分で、おのおのその専門の部署を含めてどの部署がどういうめどで時期的にも検討されていくのかということについてお示しをいただきたいと思います。
  202. 山本重三

    山本(重)政府委員 まず、観測監視体制の強化でございますが、先ほど来御説明申し上げていますが、今回の伊豆大島噴火に伴います帰島問題に関連いたしまして、今後の問題を考えるためには、やはり何としてでも緊急に観測監視体制を強化することが必要であるということで、私ども関係機関と協議いたしましてこの必要な体制についての計画を定めました。その計画につきましては、この計画が今後の観測監視体制に対して、当面十分対応すべき内容のものであるかということにつきましては、先ほどの二十八日の噴火予知連総会にお諮りして了承いただいたところでございまして、直ちに二十九日の本部会議でこれを緊急整備計画という形で決定したところでございます。  この具体的な内容を申しますと、現在伊豆大島におきましては一部破損したものがございますので、既存のものとしては、気象庁、それから東大地震研究所、それから防災センター、これらに地震計が十一カ所、それから傾斜計が二カ所ございますが、これらの十三カ所の計器に加えまして、地震計についてはさらに十一カ所の増設、それから傾斜計については十九カ所の増設、それから磁力計につきましては五カ所の新設、比抵抗計につきましては二カ所の増設、伸縮計につきましては三カ所の新設、それから測距の観測を二カ所で実施、それから地下水の観測を七カ所で実施、それからガスの観測を三カ所で実施、ELFという、これは地球磁場の周期の変動観測でございますが、この観測を二カ所で実施、それから水準測量を実施するとともに、検潮それから温度測定を二カ所で実施する、こういう体制で計五十八カ所、あるいは作業も含めて五十八カ所等で観測監視体制実施することを決め、直ちにできるものから実施に移すということにいたしております。  なお、どの機関がどの分野を担当するかということにつきましては、細かくなりますので、また後ほど資料をお届けしたいと思います。  それから、二番目の防災体制、特に避難体制の問題でございますが、今回の一時帰島につきましても、かなり綿密な避難体制を組んだ上で一時帰島を実施しております。今後、避難体制をどうするかという問題につきましては、短期的、長期的も含めて島民の帰島がありました場合には、それに対応してどういう形で避難するか、さらに具体的に今回の噴火、その後の状況等も踏まえながら、綿密に地域防災計画として定めていくよう、関係省庁とも十分協議しながらあるいは関係公共団体とも協議しながら、この問題を取り扱ってまいりたいと考えております。  それから、一時帰島に際して、これを受け入れないで帰島されない方、こういう方々に対しましては、私どもといたしましても、今回これによって一時帰島を全員されるのかされないのか、まだ状況ははっきりわかりません。しかしながら、今後の島民のこの帰島問題に対する具体的な意向を踏まえながら、それぞれ具体的な措置が適切にとられるよう、関係公共団体、関係省庁とも十分協議して対応してまいりたいと考えております。
  203. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまいましたので、まだいろいろお伺いしたかったのですが、質問を終わりにしたいと思います。  今まで本当に御尽力をされているわけですけれども、思いとしての部分はもう申し上げるまでもないことだというふうに思います。ただ、これからのその対応につきましては、情報も含めていたずらな不安を与えない。と同時に、皆さんの御努力が本当の形で理解されるように、何か責任を押しつけているんじゃないかというふうなニュアンスをやや受けましたので、残念なことだと思います。そういう意味で、これからの対策について万全の処置をおとりいただきたいのと、予知連も提言をされておりますけれども、データの一本化と総合的な判定機関設置というものをやっぱり具体的に考えて、先ほどお伺いしましたいろいろな処置がトータル的に一本化してコントロールされるということでないと、いたずらな混乱を起こすのではないかというふうに思いますので、御努力をお願いをして、質問を終わりにしたいと思います。
  204. 山本重三

    山本(重)政府委員 なお、説明で申し落としましたが、先ほどの観測機器等の設置に伴いまして、私どもはできるだけこれをテレメーター化して、地元の測候所、気象台あるいは気象庁に一元的に情報が把握されるような措置をとりたい。それと同時に、火山噴火予知連の中におきましても伊豆大島噴火に対する部会を設置いたしまして、この問題を鋭意検討していただくということになっておりますので、つけ加えて御説明させていただきます。
  205. 川端達夫

    ○川端委員 どうもありがとうございました。
  206. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、中島武敏君。
  207. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、今回の五百年ぶりと言われる伊豆大島の大噴火によって、島を後にして、大変な苦痛を忍びつつ避難されている島民の皆さんに心からのお見舞いを申し上げますとともに、万全の安全対策のもとに一日も早く帰島できることを心から望んでいることをまず申し上げて、質問をいたしたいと存じます。  日本共産党は、十一月二十一日の大爆発の後、直ちに国会議員団に伊豆大島噴火災害対策本部設置して、避難住民への万全の対策観測体制の強化、帰島に向けた対策について取り組んできました。いよいよ一時帰島が始まり、今後の見通しはまだはっきりしない状態ではありますけれども被害状態が日一日と増大いたしておりますし、島の復興について議論を進めなければならないところへ来ていると思うわけであります。  最初に、国土庁長官に伺いますが、今回の被害について激甚災の指定を考えていらっしゃるかどうか、まずこの点について伺います。     〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
  208. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 このたびの伊豆大島噴火に際しましては、政府もいち早く対策本部をつくり、また東京都におきましても対策本部をつくられたわけでありますし、また各政党におかれましても対策本部をつくってこの問題に御心配をいただいておるわけでございます。今、中島さんのおっしゃいました大島避難民の皆様方が島に寄せられております気持ちは、私どもは十分痛いほどわかるわけでございまして、安全対策を講じつつ、全島民が帰島される日が一日も早いように努力をしたいと思うわけでございますが、この激甚災の適用につきましては、午前中からもいろいろと御質問がございましたが、ただいま被害状況その他を調査中でございまして、パート、パートによっていろいろな問題があると思いますので、今後検討してまいるつもりでございます。
  209. 中島武敏

    中島(武)委員 いろいろ研究してまいる、調査も進める、これは当然なんですけれども、やはり激甚災の指定をぜひやってほしいというのが島民の皆さん方の気持ちであります。今、全島避難という歴史上初めてと申し上げても決してうそではない特殊な条件のもとで、いわゆる物損ではないのですけれども、農業、畜産、漁業、観光、中小企業などは膨大な売り上げ損失を初めとして非常に大きな被害を受けているわけです、これは長官既に御存じのところでありますけれども。それで、もし物損がないからということで激甚災の適用がないということになりますと、私は、非常に島民の皆さん方はがっかりしてしまうということを率直に申し上げなければならぬ。それで、もしその適用がないという場合でしたら、激甚災並みの特別の対策をとる、措置をとるということが必要だと思うのですけれども、この点について再度長官の見解を伺いたいと思います。
  210. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいまもお答え申し上げましたように、いろいろな実態をつかんだ上で判断をさせていただきたいと考えております。
  211. 中島武敏

    中島(武)委員 否定的な見解ではないと思うのですけれども、やはり島民の皆さん方に対して前向きな答弁が必要じゃないかと私は思うのです。  それで、同じく関連してなんですけれども、中小業者に対しての問題なんですけれども、実は、旅館とかホテルその他観光業の方々は、来年の一月末から始まる、三月まで続くところの椿まつり、この椿まつりの期間は、期間は短いのですけれども、年間売り上げの半分ぐらいの収入が実はこのときに入る、こう言われておるのです。ところが、これも現在の状況では非常に無理ではないかということも言われておるわけでありまして、中小業者の皆さん方に対して、建物なんかの被害がなくても大噴火によって営業ができなかったというこの問題、この問題で、長官御存じと思うのですけれども、過去に例がありますね。有珠山の場合です。この有珠山の場合には、有珠山噴火等の閣議決定がやられまして、そして激甚災と同等の対策をとるという措置がやられたわけですね。私ここに閣議決定を持っているのですけれども、この閣議決定によりますと、「今回の噴火が長期にわたり人心に他に類例をみない危ぐを与えることにより中小企業者等の経営が著しく不安定をきたしている実情にかんがみ」ということを述べて、「中小企業者等に対する五機関からの融資については、特段の措置として、激甚災害の例に準じ、」行うということを書いてあるわけなんです,私は、やはりこういう点が必要じゃないか。島民の皆さん方は非常に心配しておられますから、調べてから、調べてからと言うだけじゃなくて、やはり調べてみてもこうの場合にはこうだ、それから、調べてみても激甚災の適用は難しくてもやはり何らかのことをやってこういうふうにやっていきたいと思う、こういうふうに御答弁をいただきたいと思うのです。
  212. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の噴火に当たりましては、政府といたしましてもいち早く災害救助法の適用を決定いたして、当面の島民皆様方の不安にこたえようということを実行いたしたわけであります。  またさらに、今後災害対策に対するいろいろな制度の運用を十分に活用して、少しでも島民皆様方の御要望にこたえていきたいと考えておるわけでありますが、今一時帰島ということできょうやっと一時帰島の第一船が出て帰ってくるというところでありまして、今後全員が帰島するかどうかというような判断もまだついていない状況でございまして、それらの状況やその後の被害等も踏まえて政府としては考えていきたいということであります。
  213. 中島武敏

    中島(武)委員 もう少し前向きの答弁が出るかなと期待したのですけれども、残念でありますが、ぜひひとつ島の実態、実情を踏まえて、政府としても最善の対策をとっていただきたいということを重ねて申し上げまして、農水省に伺います。  農業、特に花卉園芸、それから畜産、こういう関係も、収穫とかあるいは換金等の手だてが一切奪われたまま商品価値を失うものが続出しておりますが、これも当然噴火被害として扱うべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  214. 青木敏也

    ○青木政府委員 今回の災害によります被害農林漁業者につきましての具体的な被害額の精査は、現在のところできない状況にございます。しかし、ただいま先生のお話のありました地域におきます花卉等、そういったものの出荷時期を失ったとかそういうことによる損失、これは当然被災者被害額ということでカウントして今後の対策を考えるべきもの、こういうふうに理解しております。
  215. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一つ関連してお尋ねしますが、今度の被害は局地に限定をされてしまうということから、率直に言って、天災融資法の発動が非常に難しくなるのじゃないかと私は思っておるわけです。しかし、そうなってくると、また島民の皆さんががっかりされるという問題が出てくるわけでありまして、その点では天災融資法並みの特別の手だてというものを考えなければならないと思うのですけれども、この点、農水省はどうですか。
  216. 青木敏也

    ○青木政府委員 現在のところ最終的な被害の実態の把握ができておりませんので、天災融資法の発動につきましても軽々に判断はできないわけでありますが、これまでの一般的な天災融資法の発動のケースを想定いたしますと、今回の災害についてはなかなかその発動が難しいのではなかろうかという印象を私ども強くしておることはそのとおりでございます。  ただ、被災者に対します資金対策につきましては、仮に天災融資法が発動されない場合におきましても、例えば自作農維持資金とか農林公庫の施設災害復旧資金等各種の災害資金が用意されてございますので、私どもとしましては、早急に被害の実態の把握また被災者の具体的な資金需要を把握いたしまして適切に対応したい、こういうふうに考えております。
  217. 中島武敏

    中島(武)委員 政府対策本部長としての長官にお尋ねしたいのですけれども、もちろん人命は非常に何より大切なんですけれども、島に残してきた営業手段、それから財産の保全、これも生きていく上でもう欠かすことができないものであります。それで、現在一世帯一人の一時帰島が実施されている。この時間はもう到着して活動しているのじゃないかと思うのですけれども、これとは別に、花卉園芸、畜産世帯の代表を直ちに一定数帰島させるべきではないかというふうに思うのです。もちろん安全対策避難対策を万全にとることは当然のことなんですけれども、私はなぜこれを言うかというと、実は花卉園芸、畜産関係は今現在が大事なんです。といいますのは、サヤエンドウの早まきは今が出荷どきなんです。日がたつとこれは種になってしまう。そうすると、茎が枯れてしまう、商品にならない、こういう問題が起きてしまうのです。それから遅まきのものも今支柱が必要なんです。これをやらないとだめなんです。  それから、花卉に関していいましても、花の咲いてしまったものはもう無理なんです。これは四億円を超える被害じゃないかというふうに言われているのです。しかしそうでない、例えばブバルディア、フリージア、ガーベラ、ストレリチア、こういった今花の咲いているものはすぐに出荷をしなければならない。それからさらに言えば、これをほっぽっておきますと冷害にやられて根まで枯れてしまうということになってしまう。だから、今防寒対策を施さなければ、一年あるいは半年の収入を棒に振ってしまう、こういう事態が追っているわけです。ツバキも今が出荷のときなんです。  それから、畜産に関して言いますと、乳牛は三〇%ばかりもう乳房炎にかかっている、疑わしいのを含めますと五〇%だ、こう言われているのです。しかし、何人もいらっしゃることはないのです、七人帰せばいいわけなんです。それから豚ですけれども、これもあるおうちは十五匹子供が産まれたけれども十二匹死んでしまった。なぜかというと、親豚が踏まないようにフェンスが必要なんですが、フェンスがされていない。それから保温措置がやられていない。それから、親がえさが十分ないものですからおっぱいが出ないというようないろいろな原因が重なってこういうふうになっておりますし、またそれぞれの豚の出荷時期を外れてしまったら脂身が多くなってしまって、これは商品価値としてはうんと下がってしまう、こういう問題が起きてくるのです。これも幾人も帰さぬでいいのです、六人帰せばいいのです。それから鶏だってあるのです。  そういうふうに今が非常に大事な時期だということであります。もちろん航路を保証するという問題も必要なんですけれども、私はこういう点を考えますと、これはやはり島民の皆さん方の非常に痛切な要求なんです。知事の方にもいろいろ話を申し入れて、できるだけそういう方向で検討しましょうという返事もあったそうでありますけれども対策本部長としても、こういう問題について、今花卉園芸それからまた畜産の代表を一定数に限って、万全の安全対策避難対策というものをとって実行すべきじゃないかと思うのですけれども、御見解を聞きたいと思う。
  218. 山本重三

    山本(重)政府委員 ただいま先生御指摘の園芸ハウスの問題あるいは畜産関係者の問題等につきましては、被害拡大防止のために十一月二十三日から畜産農家代表者等による一時帰島あるいは本土からの牧草の緊急輸送というものを実施するなど、最大限の努力をしてきたところでございます。ただいま御指摘の問題につきまして、一般の畜産、施設園芸農家の優先帰島ということになりますと、これまた安全確保の観点等々から十分慎重な検討が必要であると思いますが、ただいま御指摘の点につきましては、なお東京都の本部あるいは町の本部とも十分協議しながら検討してみたいと思います。
  219. 中島武敏

    中島(武)委員 先ほどからの答弁を聞いておりますと、きょうの午後に本部長、長官は知事に会われるようでありますから、ぜひひとつこういう点も知事との間で話し合って、実現ができる方向で、また今答弁のあったような方向で、時期を失しないということが大事であります。時期を失してしまったら何にもならない、今が大事だ、重ねて申し上げておきますので、ぜひひとつお願いをしたいと思います。  それでは、もう一つ長官に伺いたいのですけれども火山活動を見きわめて万全の安全対策をとりつつ全体的な帰島を実現するということは、これはもう申すまでもなく島民の痛切な願いであります。この帰島問題の見通しについて長官の見解を伺いたいと存じます。
  220. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今一時帰島が行われておる最中でございまして、これらの一時帰島は四回に分けて行われることになっておりますが、これが一応一巡いたしました後で、東京都がいろいろとまたお考えのようでございますので、それらの考えを十分聞きたいと思っておりますが、島民皆様方の全員帰島という願いが非常に切なるものであるということは十分私ども承知しております。
  221. 中島武敏

    中島(武)委員 次の問題なんですけれども島民は不便な避難生活の上に、島に残してきたいろいろな問題を抱えております。その一つは、島には農漁業者、中小業者など自営業者が大変多くて、そしてその多くの人が政府系金融機関、系統金融機関、市中金融機関等から借金をしております。例えば国民金融公庫の融資は二百四十件、貸付残高三億七千万円だと聞いております。また農協関係の融資も二つの農協で五億円から六億円に上ると言われております。  そこで、農水省と中小企業庁に伺いたいのですけれども政府系金融機関や制度融資の償還条件の緩和についてどういうふうにお考えになっておられるか。最大限の期限の延長とその間の利子の据え置きをぜひ図るべきじゃないかと考えるのですけれども、この点についてどうか。  もう一つは、帰島して災害から立ち直ろうという場合には大変長期低利の融資も大いに必要であります。特別の融資枠も設けなければならないと考えるのですけれども、この点もあわせてお答えいただきたいと思います。
  222. 青木敏也

    ○青木政府委員 災害を受けた農林漁業者に対します既貸付分の資金の償還条件の緩和の問題でございます。この点は、被災者の実情に応じまして弾力的にそういう償還条件の緩和措置をとるように、既に私ども関係金融機関に指導しているところでございます。どうぞ被災者の中でそういう償還条件の緩和を希望する方は、それぞれ関係金融機関に率直にお申し出をいただきたいと存じます。
  223. 桐山正敏

    ○桐山説明員 御説明いたします。  中小企業者の関係の金融でございますけれども政府系中小企業金融の三機関に対しまして、先般返済猶予につきまして一括して対応するようにということで指示をしております。これから島民の皆さんが島にお帰りになりまして、その被害状況等に応じて対応していただくということになろうかと思います。  それから、貸し付けの方につきましては、災害貸し付けということで通常の貸付枠と別枠で融資をする準備を現在しておりまして、これもお帰りになった後、被害状況等を御判断いただきまして、それぞれ御相談に応ずるということで準備をしております。
  224. 中島武敏

    中島(武)委員 建設省、来ておられますか。島の人たちの心配の中でも住宅問題も切実な問題なんです。マイホームを建てたばかりという人もおります。住宅金融公庫の返済条件の緩和についてどんなふうに考えていらっしゃるか、伺います。
  225. 荒田建

    ○荒田説明員 お答えいたします。  現在、住宅金融公庫の貸し付けを受けて返済中の方々が約四百九十数名ほどおられるわけでございますが、この公庫の既借り受け者、既に借り受けている方々の償還金については、期間が来ているものもありますけれども、当分の間延滞というような取り扱いはしない、口座引き落としもしないということで、現在のところ停止している状況でございます。  また、これから元利金の支払いが非常に困難になるということが予想されますが、そういった場合には、償還期間とかあるいは償還方法などについて変更措置を講ずることができるようになっておりますから、島民の借り受け者から申し出があれば公庫の方でも弾力的に御相談に応じて対応したいと考えております。そのように指導してございます。
  226. 中島武敏

    中島(武)委員 大蔵省に伺います。  一般金融機関の住宅ローンの返済条件の緩和についても指導すべきであると思いますけれども、どうですか。  あわせて、自営業者等への貸付金の返済についても同様にしていただきたいと思います。  もう一つ言いますけれども、手形が不渡りにならないように、ぜひひとつ手だてを打つ必要があるということが要求としてありますけれども、これについても適切な手だてを打っていただきたい。以上について伺います。
  227. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 お答えいたします。  今回の伊豆大島噴火につきましては、大蔵省といたしましては、民間金融機関に対しまして、ただいま先生御指摘の既貸付分の返済あるいは手形の交換、それから預貯金の払い出し、こういった金融の各面につきまして適切な措置を講ずるように指示したところでございます。  具体的に申し上げますと、まず手形交換の分野でございますが、東京手形交換所では罹災事業者の災害に基づく手形等の不渡りにつきましては、噴火に基づくものにつきましては不渡り報告あるいは取引停止処分を猶予する、そういう取り扱いをしているところでございます。  また、既貸し出しの返済につきましては、住宅ローンあるいは事業資金、こういうものも含めまして、例えば口座からの引き落としを停止する取り扱いをしているところである、こういうふうに承知しております。
  228. 中島武敏

    中島(武)委員 農水省に伺います。  伊豆大島には観光用の馬が四十四頭いるのです。今度の災害で、馬に人を乗せて歩く観光は大変無理じゃないかというふうにそういうことをやっておられる業者の人たちの間では言われているわけなんです。もう埋まってしまっていますからね。それでどうするかということがまた問題になっているのです。動物園に買い取ってもらうというのも一つ方法なんですけれども、多くは実際は処分しなければならないんじゃないかという問題があるということでありまして、今度の場合は非常に特別な場合ですから、家畜共済、普通だったらこういう場合は適用にならないのですけれども、やはり特別な適用ということを検討するべきではないかというふうに考えるのですけれども、どうですか。
  229. 青木敏也

    ○青木政府委員 家畜共済の共済事故は、ただいま先生も十分御認識のとおりでございまして、死亡、廃用、疾病及び傷害ということになっておりまして、この死亡には人為的な屠殺による死亡は除外されているわけでございます。  先生が今言われたようなことを関係農家の方々が思っているのかどうかはよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、ただいまお尋ねの観光用の馬のすべてを家畜共済でカバーするということは無理である、こういうふうに言わざるを得ないわけでございます。その飼養農家なりなんなりのいろいろな判断で、例えば馬をだれかに譲るとか、そういうことであれば、それはその中で具体的に所得が入るわけでございますので、お尋ねのようなケースにつきまして家畜共済で救済するということは無理であろう、こう言わざるを得ません。
  230. 中島武敏

    中島(武)委員 それがどうしても無理な場合には別の方法をまた講じていただきたいということを思うのですが、もう一つ農水省に伺いたいのは、農協や漁協の運転資金が欠乏して職員の給料が大変心配されているという話を私は聞いているのです。それで、これに対する手を打つ必要があるのじゃないかということと、それからこれは島へ帰った場合のことになるのですけれども、信用不安に陥らないようにあらかじめちゃんと対策を講じるということが必要だと思いますので、この点についてお答えをいただきたい。
  231. 青木敏也

    ○青木政府委員 ただいま先生のお尋ねの点につきましては、私どもも直接関係の農協また漁協等に照会をいたしまして、例えば十月、十一月の給与の支払い状況、今後の見通し等調査をいたしておりますが、関係農協、漁協ともに十一月分の給与の支払いは大体滞りなく支払いを済ましております。また、関係農協、漁協の手持ち資金等の実情から見まして、当面職員の給与の支払いに充てる資金に欠くということはないというふうに考えております。  ただ、万一そういうような事態がありますれば、これはまさに農協、漁協は系統組織になっておりますので、単位農協は連合会等から資金の融通は可能になってございます。そういう系統の持っているメリットも十分生かしながら、ただいまのそういう職員に対します給与の支払いとかあるいは信用不安とかそういうことのないように、私どもも指導、対処してまいりたい、こういうように考えております。  信用不安の方でございますが、この点は、確かに今回の災害を機にいわゆる貯払いの措置も進んでございます。しかし、これは被災農林漁業者の当面の生活資金の需要に応じて行われておるわけでありまして、農協、漁協のいわゆる経営基盤が危なくなって、そういう取りつけ的な貯払いということではありませんので、そういう信用不安という問題はまず絶対ない、こう断言しても可能だと考えております。十分系統内でカバーできる問題でございます。
  232. 中島武敏

    中島(武)委員 厚生省に伺います。  避難所の生活が既に二週間になって、文字どおりだんだん極限状態が続いているという状況なんですが、一万人の救助という前代未聞の事態となったわけですけれども災害救助法の不備も明らかになってきていると思うのです。  三つ伺いたいのですけれども、その一つは、救助の単価ですけれども、例えば食費は一日に七百五十円になっております。実際は一回六百円の弁当とか、そういうところなんですね。首都東京で三食七百五十円というのは、毎回お握りだけということになったり、あるいはパンと牛乳だけということになりかねないわけであります。これはほっぽっておきますと都道府県の持ち出し、今度の場合には東京都の持ち出しということになるわけです。ですから、この単価を直ちに改めるべきじゃないか、これが一つです。  もう一つは、せっかくの善意で親戚や知人のところに引き取られていったという場合に食料品も衣料も何も支給されない、これはちゃんとすべてに支給するというふうにするべきではないかと思うのです。  それから三つ目は、これは避難しておられる方々は大変広い体育館などに毛布を敷いて生活をしていらっしゃる、大変健康が大事なのです。子供さんなんかも風邪が非常に多くなってきている、風邪引きが。毛布のほこりだとか、体育館のすぐ近くの床の上まで土足が許されているのでほこりがたつとか、あるいはストレスも原因するでしょうし、そういう点でこれに対して適切な対策がやはり必要じゃないかというふうに思うのですけれども、以上三点についてお答えください。
  233. 福田孝雄

    ○福田説明員 お答えいたします。  まず初めの、災害救助法によります救助の単価という問題でございますけれども災害救助法によります救助の内容につきましては、毎年諸物価の上昇等を勘案いたしまして改善に努めてきておるところでございます。しかしながら、今回の三原山噴火による避難されてきた方々に対する食品の給与等につきましては、確かに今回の災害が過去に例を見ないほど多いわけでございますので、従来は急場の炊き出し等で行っていた場合が多いわけでございますけれども、このような多量の食品の需要というのは、そういう方法では賄えないんじゃないかというようなこともございますし、また、避難場所が東京という物価水準の高い場所でもあるというような点もございますので、そういう点も考慮いたしまして、特別基準の設定という問題につきましても東京都の方とも相談いたしまして検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、親戚等へ避難されておられる方の問題でございますけれども、私どもは、食品の給与とか日用品の支給、また学用品の支給等につきましては、そういう方々に対しても同様に取り扱うように当局の方に指導していきたいというふうに考えております。  それから最後の、避難所における健康の問題でございますけれども、確かに各避難所に入居されておる方々は集団生活を営んでおられるわけでございますので、いろいろの面で不自由が多いことと存じますけれども、生活環境面というような面では、できるだけ不自由が起きませんように、空調の強化であるとか、また加湿器の設置等、いろいろの面で努力を払っておるところでございますけれども、さらに、各避難所の実態に合わせました環境の改善につきまして、東京都を通じてその実施に努めていきたいというふうに考えております。
  234. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、火山観測予知問題について伺いたいと思っておりますが、火山噴火予知を的確に行うことは極めて重要な問題であります。しかも、今回の伊豆大島の二回の噴火は、さまざまな前兆がとらえられていた中で的確な予測がなかなかできなかったということでありまして、観測予知体制の強化が大変急務になっております。  まず、噴火予知連絡会事務局気象庁に伺いたいと思いますが、伊豆大島における各機関観測体制はどうなっておるか、地震対策のものも含めて何が何個と簡潔に、噴火前と噴火後とお答えいただきたいと思います。
  235. 河村あたる

    河村説明員 まず、噴火前でございますが、気象庁につきましては、火山用の地震計が五台設置されておりました。そのうち一台は今度の噴火によりまして破壊されました。噴火後は、それを補強するために簡易型の地震計五台を主に西海岸方面を中心に展開して、現在九台で監視をいたしておるところでございます。そのほかに、気象庁といたしましては五九型という百倍の地震計と強震計が測候所にございます。これは正常に作動をいたしております。  それから、体積ひずみ計が大島の測候所の構内地下三百メートルぐらいのところに埋められておりまして、これは気象庁の方にテレメーターされております。  防災科学技術センターにつきましては、波浮に傾斜計が置かれておりまして、これは防災科学技術センターの筑波の方にテレメーターされておりまして、その情報は私どもがいただいております。  それから地震研究所も、これは測点の数は私十分に把握しておりませんけれども、島内にたくさんの測点がございまして、そこで得られましたデータにつきましては測候所の方にあるいは火山室の方に即時にデータを送っていただきまして、私ども火山活動情報あるいは臨時火山情報、そういった火山情報を発表するための資料として使わさせていただいております。
  236. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、予知不可能論をとるものではありません。きょう議論がいろいろとされておりましたけれども、私はやはり今の科学を大いに活用して、ぎりぎり予知を追求するべきだ、こういう立場であります。  そういう上に立って伺いたいのですが、九月二十二日に東大地震研談話会が開かれまして、「伊豆大島における最近の異常現象について」という報告があって、火口壁の温度も地磁気も、比抵抗も地震も、それから火山性微震動も異常を示している、ただ地殻隆起についての資料が見つからない、島一周の水準測量は一九八二年を最後としてやられていない、これをやる必要があるんだということが大変な議論になったと聞いておるわけであります。水準測量は、特に大島では噴火予知の上で非常に大きな役割を持つのではないかと思いますが、気象庁の方ではどう考えておられますか。
  237. 河村あたる

    河村説明員 火山活動を監視する立場で申し上げますと、地震の活動、それから傾斜というようなものと同様に、マグマが上がってまいりますと多分山体が膨らむということで、水準の測量というのは一つの決め手になる、私どもそう考えております。
  238. 中島武敏

    中島(武)委員 十一月十五日からの噴火について、私もいろんな資料を見てみますと、それぞれ相当な変化があったようであります。  問題の水準測量による地殻変動調査なんですけれども、これは四月と八月に東大地震研の方で実施をいたしておりますけれども、これは私はあくまで部分的なものだと思うのです。本職の国土地理院に対して再三水準測量を要請しておられたのではありませんか。
  239. 河村あたる

    河村説明員 先ほどお答えいたしましたように、噴火予知連絡会長も、先生御指摘のように地殻変動だけマイナスのサインでございまして、あとは皆何らかの火山活動期に入るという兆候を示しているということで、ここらでもう一度水準の測量をお願いしてはどうかということで、多分そういう措置を考えられたのではないか、そう思っております。
  240. 中島武敏

    中島(武)委員 いつ要請されましたか。
  241. 河村あたる

    河村説明員 はっきりしたことは覚えておりませんけれども、十月三十日の噴火予知連絡会を開く数日前ではなかったかと存じております。
  242. 中島武敏

    中島(武)委員 国土地理院に伺いますが、地理院はいつから測量に取りかかりましたか。
  243. 春山仁

    ○春山説明員 国土地理院では、十一月十九日に作業に入っております。
  244. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、率直に言いますけれども、今の気象庁の方の答弁と、それから十一月の十九日という今のお答え、二カ月近い間がこの間にある、非常に重大なことだというふうに思っております。  といいますのは、ほかでもないのですけれども、国土地理院というのは必要に応じて地震火山噴火予知の観点から観測を要する地域に出かけて各種の測量をすることになっておるわけであります。第一、火山噴火予知連の構成機関でもあるわけでありまして、予知連の運営要綱に「任務」の(2)というのがありまして、ここにも、噴火が起こったらその見通しの総合判断を下さなければならない、こう規定されておりますが、その一員でもあるわけなんです。ですから、火山性微震動が起き始めましたのは七月の末ですから、もうだれに言われなくてもこのときには水準測量にかかるということが必要だったわけでありまして、ましてや予知連の会長から要請があったということになったら直ちに測量にかかるべきだったのじゃないのですか。
  245. 春山仁

    ○春山説明員 御説明いたします。  測量の時期につきましては、測量を実施することについて火山噴火予知連会長からの要請を受けまして直ちに実施することに決めました。それをいつ実施するかということにつきましては、その緊急性の判断を含めまして、噴火予知連会長と御相談をしながら最終的に決めております。
  246. 中島武敏

    中島(武)委員 予知連の会長と相談しながら日にちを決めたというのが今の御答弁の趣旨ですか。  僕は、これをちょっと配っていただきたいのですけれども予知連の会長から国土地理院の院長にあてて「伊豆大島水準測量実施に関する依頼に就いて」という依頼書が発せられております。それで、第二のパラグラフのところを見ますと、「さて、本年七月頃より、伊豆大島におきまして、十二年ぶり火山微動が特殊なパターンで発生し始め、また、島内にも地震観測されております。このような火山活動に鑑みて、九月二十四日火山噴火予知連絡会の幹事会を開催し、現在までの観測資料を基にして火山活動の評価を試みました。その際、一九八三年の三宅噴火の前後に於ける地殻変動資料からも明らかなように、同様な玄武岩火山である伊豆大島に於いても、地殻変動資料が緊急に必要である」緊急なんですね。「緊急に必要であるとの多くの意見がだされました。」こういう経過を経て、こういうことも中身に書いて要請しているわけなんですね。私は、ここにも三宅島の経験というのが出されているのですけれども三宅島と大島三原山は岩石は玄武岩なんですね。三宅島の噴火のときにも地理院の方で、その後ですけれども、いろいろ測定をして大きな変化があるという非常に貴重な資料を皆さん方が発表しているのです。それで、非常に性質が似ているからということで、この教訓に学ばなければいかぬというので緊急に必要だ、こういうふうに要請がされているわけですね。  私は、会長と相談してからというのは大変残念に思うのですよ。さっきも言ったのですけれども、本来だったらどこからも要請がなくてもどんどんやらなければいかぬというのが本当だったと私は思うのです。七月の末にもう火山性微震動が始まっている。第一ここは常時観測の四火山一つじゃないですか。そういうところなんですから、イの一番に飛んでいく、どこからも要請がなくても行ってしまう、これぐらいが国土地理院に期待されているものだと私は思うのです。  そこで、私は長官に伺いたいのですけれども、この予知の問題というのは非常に国民的な要望でもあるわけなんでありまして、今言ったように、相談してやったから遅くなったんだなんというようなことを言わないで、ちゃんとどんどんやるべきだ、政府機関なんですから、そういうふうに姿勢を改めなければいけないんじゃないかというふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
  247. 春山仁

    ○春山説明員 ただいまも申し上げましたように、緊急度にも幾つかの段階がございまして、そういったどの程度の緊急性があるかということの判断も含め、噴火予知連絡会会長と御相談申し上げながら時期を決めております。
  248. 中島武敏

    中島(武)委員 長官、見解ありませんか。
  249. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今初めて文書も拝見したわけでありますが、この予知につきましては、あらゆる英知を傾け、また手段を尽くして正確な予知ができるようにということを願っておるわけでございます。それぞれ政府機関におきましてもその辺は十分心得てやっていただいておると思いますが、今後ともぜひこの予知については、より科学的なまた正確な予知ができるような方向で皆さんの御協力を要請してまいりたいと考えております。
  250. 中島武敏

    中島(武)委員 水準測量は毎年毎年やらなければならないものなんです。ところが、八二年を最後にしてやってないわけですね。しかも、さっき言ったように四火山一つなんですよ。そういう点から言っても、それからまた、状況が異常現象を示しているということになれば、すぐやらなければいかぬ。毎日水準測量をやっているという国もあるわけでありまして、私は非常に重要なものとしてこれを大いにやっていただきたい。残念ながら十九日に出かけたときには間に合わなかったのですけれども、これからはすぐやらなければいかぬと思うのです。  それで、そういう点では計画があるのかどうかという点について伺いたいのと、それから、私は、これまた率直なことを言うのですけれども、予算も人員も含めて、こういうことがどんどんやれるということが非常に必要なことじゃないかというふうに考えているのです。国土地理院に対してこれをうんとやれるような人員とか予算、こういったものをちゃんと保証して、それでどんどんやって国民の皆さんの要望にこたえられる、こういうふうにぜひいきたいと思うのです。地理院の方から聞きましょう。
  251. 春山仁

    ○春山説明員 伊豆大島の今後の水準測量の実施につきましては、火山噴火予知連絡会とも密接な連携を保ちながら関係省庁と協力して適切に実施してまいりたいと思っております。
  252. 中島武敏

    中島(武)委員 適切にと言うのですけれども、まだ計画はないのですか。いろいろな、帰島問題がこうやって議論になるというような段階なんですよ。それでもまだ適切に、相談してですか。それはのんびりし過ぎているんじゃない。
  253. 春山仁

    ○春山説明員 お答えいたします。  できれば早期に実施するということで現在関係省庁と詰めております。
  254. 中島武敏

    中島(武)委員 できれば早期にじゃだめだよ。それはやらなければだめだよ。そんな答弁じゃだれも承知しませんよ。
  255. 春山仁

    ○春山説明員 ちょっと言い方が悪かったかと思いますが、訂正いたします。  実施することとして計画をしております。ただ、往復の交通の問題、現地での宿泊の問題その他等々ございますので、ここらの点を関係省庁と詰めているところでございます。
  256. 中島武敏

    中島(武)委員 どんどん歯切れのいい返事をしてもらわなければ、島民の皆さんだって浮かばれないよ。一万人も超えて避難してきて、いつ帰れるかいつ帰れるか、大体観測はどうなっているのだろうとみんな気にしているときに、こんな政府答弁、政府だから政府答弁かもしれぬけれども、そんなことを言っているのではだめです。ちゃんと早く実施してください。  次に、第二回目の噴火についてです。  いろいろな機関がそれぞれ前兆現象をつかんでいたらしいということは既にたくさん報道がなされております。私も幾つかの資料を集めてみたのですが、気象庁地震計だとか体積ひずみ計、体感地震回数、それから科技庁の防災センターの傾斜計その他、どれも大体私の知る限りでは二時間ほど前から一斉に変化しているのですね。ですから、これは的確に判断できておったら非常に重要だったと思うのです。これは約二時間前の当日の十四時二十五分のものなんですけれども、体積ひずみ計もずっと下がってきて、また上がろうとするとか、有感地震の回数もふえるとか、それから傾斜計は南北成分も大きな変化を示すとか東西成分も変化を示すとか、同じ時刻に全部そろってずっと変化を起こしているのです。素人の私が見たってこういうのはすぐわかるわけであります。  それで、これはある新聞なんですけれども、こう書いてあるのです。「気象庁では大噴火より二時間早い午後二時二十分、異常に気づいた。大島測候所の地下に埋設してある体積ひずみ計が急に異常値を示し始め、気象庁二階にある地震現業室のブザーが鳴った。」それで「長官らをまじえて長官室で火山情報を出すかどうか検討したが、有効な手を打てないうちに大噴火した。」ということが書かれております。  私は非常に大事だと思うことを申しますけれども、それは、現地においても異常な現象を相互に出し合って話し合うという仕組みはないのですね。こういう仕組みはつくられてないのです。それから、予知連としてもすぐ判断検討されるというふうになってないのです。だから私が思うのは、やはり予知連の体制、そのあり方、現地での協力のあり方、やはりそうしたものの現状を直ちに改善することが必要じゃないかと思うのです。気象庁見解を伺います。
  257. 河村あたる

    河村説明員 確かに、今度の二十一日の噴火と申しますのは、私どもが想像していたよりも非常に急激にやってまいりました。そういうことで私どもの対応が十分に追いつかなかったということはあり得ると思っております。これからは、先ほど国土庁の方からもお話がございましたように、今政府で考えられております監視体制の強化と情報の一元化ができますれば、私ども火山情報等に即刻反映して、できるだけ適切な情報を出し得るような体制になると考えております。
  258. 中島武敏

    中島(武)委員 今テレメーター化してその情報を集中するというお話がありましたけれども、私は、この生データが幾ら来ても解析する能力と体制がなかったらこれは大変だと思うのです。そういう意味では、火山室に一体何人いるかといいますと、幾ら情報をそうしてみても、何しろ十一名かそこらでしょう。これではとてもじゃないけれども、どんどん情報を集中したってこれを的確に処理してやるということはとても大変なんじゃないかと思うのです。そういう意味では、人員も予算もやって、火山室をもっと強化する、そうしてせっかく情報がどんどん集まってきたら、その情報を的確に分析をしてやられる、こういうふうにしなければならないと思うのです。  それで、このことについて、時間もないから僕は長官にちょっとお尋ねしたいのですけれども、今回気象庁が言っているみたいに予知観測体制がおくれているということは非常に重大だと思うのです。気象庁は当初、ことし傾斜計を山頂につける予定だったのですけれども、先送りで八七年度に概算要求、こうなっておるわけです。これがついておったらあるいは山頂の隆起は測定できたかもしれない。防災センターの方も御神火茶屋の下に傾斜計を入れておられるのですけれども、これはテレメーター化されておらないために二十九日に記録を回収に行ったわけです。それから、東大地震研も外輪山の北側に傾斜計を置いたのですけれども観測所までテレメーター化はまだだったものですから、記録をとりに行って、一時間半前に隆起があると気づいたらその直後に爆発してしまった、こういう実態なんです。  そういう点では、ことしの気象庁火山予知推進費というのはただの六百六万円なんです。噴火予知というのは、私が申し上げるのもおこがましいのですけれども火山ごとのでータの蓄積というのは絶対的に必要なものなんですね。そういう点では浅間山についても、一つの例を申し上げれば、五日間に地震の回数が七百回を超すと五日以内に高い確率で爆発をするとか、あるいは有珠山についても、マグマがかたくて地震をとらえれば起こりそうな場所までわかる。
  259. 長野祐也

    ○長野委員長代理 中島君、時間ですので取りまとめを急ぎお願いします。
  260. 中島武敏

    中島(武)委員 はい。そういうふうに言っているわけですね。桜島も傾斜計で予知できるというふうに言われておるわけなんです。  それで、私は長官に申し上げたいのは、今度いろいろやっておられますけれども、一時的な体制ではなくて、やはり噴火予知のための観測体制というのは抜本的に改正をすることがぜひ必要なんではないか。それからまた、予知連のあり方という問題についても、やはり改めてここで考えるべきではないかということです。その点では、活火山法を改正して予知連をきちんと位置づけるということも非常に大事な点ではないかと思っておるわけです。最後に以上についての長官の見解を伺って、質問を終わりにしたいと思うのです。
  261. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の伊豆大島噴火に当たりまして、中島さんは何か予知体制とか監視体制が足りなかったから大災害につながったようなおっしゃり方をしましたが、今回は一万人を超す島民が無事島を離れて避難しておられるわけでありますし、幸い家屋や住宅地等の被害もまだ起こっておらないわけであります。  噴火予知につきましては、根本的には地球学的に、地質学的に、物理学的に、いろいろな面からまだ解明されていない。だから、これを解明する基礎学的なこういう研究はぜひ各機関でやってもらいたいと思っております。  当面起こっております伊豆噴火に対する不安解消、こういう問題につきましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、明日の閣議でも決定いたしますが、観測体制についてのいろいろの機器の投入をやりながら万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。  この噴火予知ということも極めて困難でございますが、ではいつこれが静まるのか、これを予知するのはもっと難しいと言われておるわけでありまして、これができれば今非常にありがたいわけです。これが科学的に解明されるようなこともあわせて今後研究していかなければならない問題だと思います。いずれにいたしましても、一万を超す島民皆様方が一日も早く帰島されたいという願いを私ども十分受けとめて、今後万全を期してまいりたいと考えております。
  262. 長野祐也

    ○長野委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会