運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-10-17 第107回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月十七日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 友納 武人君    理事 奥野 誠亮君 理事 片岡 清一君    理事 小泉純一郎君 理事 山崎  拓君    理事 佐藤 観樹君 理事 伏木 和雄君    理事 岡田 正勝君       石井  一君    上村千一郎君       左藤  恵君    戸塚 進也君       額賀福志郎君    村上誠一郎君       森  喜朗君    角屋堅次郎君       堀  昌雄君    山花 貞夫君       井上 和久君    中村  巖君       野間 友一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 葉梨 信行君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      関   守君         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         法務省刑事局長 岡村 泰孝君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君  委員外出席者         自治省行政局選         挙部選挙課長  吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部管理課長  岩崎 忠夫君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       中地  洌君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件(第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙の結果等概要)      ────◇─────
  2. 友納武人

    友納委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  去る七月に行われました第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙並びに第十四回最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について、政府から説明を求めます。葉梨自治大臣
  3. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 この機会に、第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙並びに第十四回最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について御報告申し上げます。  御承知のとおり、過般の選挙は、六月二日に衆議院が解散されたことに伴う総選挙と、七月七日に任期が満了となる参議院通常選挙とが、七月六日に投票日を同じくして行われるという選挙でありました。  選挙当日の有権者数は、約八千六百四十三万人で、前回の総選挙に比べ約二百十七万人、前回通常選挙に比べ約二百七十四万人増加しました。  次に、投票状況について申し上げます。  投票率については、前回の総選挙及び通常選挙とも史上最低投票率でありましたので大変心配したところでありますが、衆参両院議員選挙に対する有権者の関心が高まったこと、また、投票当日は多くの地域が曇りで天候に恵まれたことなどもありまして、有権者の出足は好調でありました。総選挙投票率前回投票率を三・四六%上回る七一・四〇%、また、通常選挙投票率前回投票率を一四・三二%上回る七一・三二%でありまして、いずれも七〇%を超える投票率を記録いたしました。  次に、総選挙状況について申し上げます。  衆議院議員定数につきましては、さきの第百四回国会におきまして一人増員され、五百十二人とされております。  立候補状況について申し上げますと、今回の候補者数は八百三十八人で、前回の総選挙に比べ十人減少し、その競争率は戦後二番目に低い一・六四倍でありました。  次に、当選人状況について申し上げます。  党派別に申し上げますと、自由民主党は三百人、日本社会党は八十五人、公明党は五十六人、民社党及び日本共産党はそれぞれ二十六人、新自由クラブは六人、社会民主連合は四人、無所属は九人となっています。なお、自由民主党無所属から四人を追加公認いたしましたので、これによりますと自由民主党は三百四人、無所属は五人となります。  次に、全有効投票に対する党派別得票率は、自由民主党四九・四%、追加公認を含めますと五〇・〇%、日本社会党一七・二%、公明党九・四%、民社党六・四%、日本共産党八・八%、新自由クラブ一・八%、社会民主連合〇・八%、諸派及び無所属六%、自由民主党への追加公認を除きますと五・四%となっております。  次に、通常選挙状況について申し上げます。  一、過般の選挙における改選議員数は、定数どおり比例代表選挙五十人、選挙選挙七十六人、合計百二十六人でありました。  二、立候補状況について申し上げますと、比例代表選挙につきましては、候補者名簿を届け出た政党は二十七政党であり、前回に比べ九政党増加しており、その届け出名簿に登載された候補者の数は二百四十三人で、前回に比べ五十二人の増、競争率は四・九倍でありました。選挙選挙候補者数は二百六十三人で、前回に比べ二十四人の増、競争率は平均三・五倍でありました。  三、次に、当選人状況について申し上げます。  党派別に申し上げますと、自由民主党は、比例代表選挙で二十二人、選挙選挙で五十人、合計七十二人。日本社会党は、比例代表選挙で九人、選挙選挙で十一人、合計二十人。公明党は、比例代表選挙で七人、選挙選挙で三人、合計十人。日本共産党は、比例代表選挙で五人、選挙選挙で四人、合計九人。民社党は、比例代表選挙で三人、選挙選挙で二人、合計五人。新自由クラブサラリーマン新党、第二院クラブ及び税金党は、比例代表選挙でそれぞれ一人。諸派無所属は、選挙選挙で六人となっております。なお、自由民主党は、無所属から二人を追加公認いたしましたので、これによりますと、自由民主党は七十四人、無所属は四人となります。  次に、比例代表選挙の全有効投票に対する党派別得票率は、自由民主党三八・六%、日本社会党一七・二%、公明党一三%、日本共産党九・五%、民社党六・九%、新自由クラブ二・四%、サラリーマン新党三・一%、第二院クラブ二・五%、税金党三・一%、諸派三・八%となっています。  また、選挙選挙党派別得票率は、自由民主党四五・一%、追加公認を含めますと四六・一%、日本社会党二一・五%、公明党四・四%、日本共産党一一・四%、民社党四・六%、税金党〇・六%、諸派無所属一二・五%、自由民主党への追加公認を除きますと一一・四%となっています。  次に、選挙違反状況について申し上げます。  投票日後九十日目の十月四日現在の両選挙を合わせた検挙件数は五千三百八十七件、検挙人員一万一千九百人となっておりますが、前回の両選挙を合わせた検挙状況と比べ、検挙件数で三百六十五件、九・八%の増加人員で二千六百八十一人、二九・一%の増加となっております。  最後に、最高裁判所裁判官国民審査状況について申し上げますと、今回の国民審査は十人の裁判官について行われたものでありますが、その結果、罷免を可とする投票はいずれも有効投票の九・七一%ないし一一・〇四%程度でありまして、審査に付された全裁判官国民の信任を受けたのであります。  以上をもちまして、過般の衆議院議員選挙及び参議院議員通常選挙並び最高裁判所裁判官国民審査の結果の御報告を終わります。
  4. 友納武人

    友納委員長 次に、第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙違反検挙警告状況について説明を求めます。警察庁仁平刑事局長
  5. 仁平圀雄

    仁平政府委員 本年七月六日に施行されました第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙における違反取り締まり状況につきまして御報告申し上げます。  選挙期日後九十日現在で集計いたしました数字は、お手元資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。  まず、総選挙関係について申し上げますと、検挙状況は、総数で五千百十四件、一万一千百七十六名となっておりまして、前回、すなわち昭和五十八年十二月に施行された総選挙における同時期の四千六百三十四件、八千百六十八名に比べますと、件数で四百八十件、一〇・四%の増加人員で三千八名、三六・八%の増加となっております。  罪種別に申し上げますと、買収四千六百四件、一万八十四名、自由妨害四十件、四十六名、戸別訪問百九十八件、四百九名、文書違反二百二十五件、五百九十二名、その他四十七件、四十五名となっておりまして、買収検挙事件のうち件数で九〇・〇%、人員で九〇・二%と最も多くなっております。  また、警告状況を申し上げますと、総数で一万五千八百七十一件でございまして、前回の一万四千五百十六件と比べますと、千三百五十五件、九・三%の増加となっております。  なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九五・一%を占めております。  次に、通常選挙について申し上げますと、検挙状況は、総数で二百七十三件、七百二十四名となっておりまして、前回、すなわち昭和五十八年六月に施行された通常選挙における同時期の三百八十八件、一千五十一名に比べますと、件数で百十五件、二九・六%の減少人員で三百二十七名、三一・一%の減少となっております。  罪種別に申し上げますと、買収百九十九件、五百七十七名、自由妨害十八件、二十名、戸別訪問十二件、二十四名、文書違反四十件、百名、その他四件、三名となっておりまして、買収検挙事件のうち件数で七二・九%、人員で七九・七%となっております。  また、警告状況を申し上げますと、総数で一万四百四件でございまして、前回の九千三百六十六件と比べますと、千三十八件、一一・一%の増加となっております。  なお、総選挙と同様でございますが、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九六・六%を占めております。  以上、簡単でございますが、概要を御報告申し上げる次第でございます。
  6. 友納武人

    友納委員長 これにて説明は終了いたしました。     ─────────────
  7. 友納武人

    友納委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  8. 堀昌雄

    堀委員 参議院選挙衆議院選挙が終わりまして、今これに関連するいろいろな御報告がございました。  そこで、ちょっと最初にお伺いをしておきたいのは、警察庁が出しております第十四回通常選挙での検挙とか警告がありますが、これは比例代表選挙選挙一つに入っていますが、区別してちょっと言ってくれませんか。要するに、私は参議院比例代表選挙においては前回違反はないという報告を聞いておりますので、今回どうなっているか、ちょっとお答えください。
  9. 仁平圀雄

    仁平政府委員 今回の参議院議員通常選挙における比例代表選出議員選挙に係る違反といたしまして警察検挙いたしましたのは、四十六件、八十四名となっております。お手元に配布しておる資料のうち、今申し上げました件数人員比例代表選出議員選挙に係る違反でございます。
  10. 堀昌雄

    堀委員 今のそれは検挙ですか、警告ですか。
  11. 仁平圀雄

    仁平政府委員 検挙でございます。
  12. 堀昌雄

    堀委員 簡単にその内容を言ってください。私は比例代表選挙一体選挙違反というのはどうやってするんだろうかよくわからないのです。
  13. 仁平圀雄

    仁平政府委員 罪種別に申し上げますと、この四十六件、八十四名のうち、買収が十六件、二十四名、自由妨害が一件、一名、戸別訪問が十四件、三十二名、文書違反か十四件、二十六名、その他一件、一名ということになっております。
  14. 堀昌雄

    堀委員 きょうは時間がありませんから細かい議論はできませんが、比例代表選挙買収というのはちょっと考えられないのですよね。自由民主党投票してくださいといってだれかを供応したり買収することは常識で考えられないのですよ。前回はゼロだったのです。ですから、自由妨害というようなことは、これは政党選挙自民党投票するなとかなんとかいうことをやるということはあり得るかもしれませんよね。今の買収だとか、文書も何かあるかもしれないが、しかし、政党のために文書違反をしようなんというそんな奇特な人が今のこの時代にあるかな、考えられない。ですから、これは次回に詳しい案件内容報告とその状態についてひとつ御報告をいただきたい。政党本位選挙というものは基本的には選挙違反は起こらないというのが原則でして、選挙違反が起こるのは個人選挙という制度にかかわりがある、私はこう考えておるからであります。  そこで、きょうは時間がないようでありますから私の方からお話を申し上げた方がよかろうと思うのですが、実は、私は昭和三十五年二月四日に当委員会委員となりました。当時の委員長高橋英吉さんでございまして、私は初めて第三十四国会の二月四日に公職選挙特別委員となりました。引き続き第三十七回国会の十二月十三日に公職選挙委員となり、十二月十四日に互選によって当委員会理事になりました。自来、政審会長をしておったときに抜けたことがあるかもわかりませんが、今日までほとんど連続して公職選挙委員をやっておるということでございます。  現在のこの比例代表選挙というのは、実は、私が政策審議会長のときに、昭和五十年にこの案を実は党の案として問題を提起いたしておるのでありますが、たまたま今の竹下幹事長自民党選挙調査会長になられたときに私のところにおいでになって、どうも全国区の今の選挙は金がかかって仕方がないので、堀さん、ひとつあなたの案のあれを自民党の案として国会に出したいと思うがどうだろうか、こういう御相談を受けました。私が昭和三十五年にこの公選の委員に参りましてから、日本選挙制度の一番の問題点というのは個人本位選挙ということが非常に大きな問題点であって、これは実は先進諸国に例を見ない制度なのでありますから、どうしてもこれを政党本位選挙制度にしなければならない、こういうことを当初から強く考えておりまして、その後この公職選挙特別委員会選挙制度審議会というものをつくろうという話が出てまいりまして、選挙制度審議会法というものがこの委員会成立をいたしました。その後、第一回、第二回の選挙制度審議会特別委員として、三回、四回は党のほかの方にかわっていただいて、五回、六回の選挙制度審議会特別委員として実は選挙制度の問題にかかわってきたわけでありますけれども、その選挙制度審議会の中でも政党本位選挙制度にすべきだというのが委員の多数の意見でございました。そこで、竹下さんのお話に私は賛意を表しまして、ただ幾ら何でも、私の原案といえども自民党がお出しになったのに全部社会党賛成というわけにもまいらないのでちょっと一ひねりするが、法案成立については私が責任を持ちましょうと竹下さんにお話をいたしました。久野忠治公職選挙委員長のもとで、御案内のように、参議院におきましては強行採決でございましたけれども衆議院では整々と処理がされまして、当時は公明党共産党は御反対でありましたけれども、多数をもって現在の比例代表制度ができた、こういうことでございます。  私は、その質疑の中で、二回選挙を行ったら、新しい制度であるからいろいろと問題があろうから、二回選挙後には改めてこの制度を見直す必要があるということを公式に委員会で提案をしておるわけでございます。今度参議院藤田参議院議長が中心になられまして、今参議院におきましてもこの比例代表選挙についてのいろいろな御検討がされるということになっておるように承っておるわけであります。  そこで、ちょっと簡単に法務省警察庁から、この比例代表選挙ということによって私は選挙違反は起こらないと思っておるのでありますが、起きたとしても極めて例外的な問題だと思うのでありますが、そういう比例代表制度法務行政上の問題点警察庁からは警察行政上の問題点について、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  15. 仁平圀雄

    仁平政府委員 警察違反取り締まりに当たる立場にあるわけでございまして、特に申し上げるような問題点はございません。
  16. 岡村泰孝

    岡村政府委員 法務省及び検察庁も、選挙違反取り締まりということが任務でございまして、そういう面から申し上げまして、特別申し上げることはないわけでございます。
  17. 堀昌雄

    堀委員 両取り締まり当局から特に意見がないとおっしゃることは、この制度は、現行の個人本位選挙に比べて取り締まり上からも望ましい方向ではないか、こう考えておるわけであります。  そこで、私、この間あるパーティーの席上で藤田参議院議長にお目にかかったものですから、こういうふうに申し上げたのです。選挙法というのは国会議員を定める極めて重要な国の法律でございますから、ある一つ制度ができて、それを直ちに取りかえてしまうというようなことは実は私はいかがかと思いますが、参議院議長は今度の検討について、比例代表という枠内でいろいろと御検討をいただき改正されることは大変結構だと思うのでありますが、もう比例代表をやめてまた別の選挙制度を導入しようというようなことであれば、これは私はちょっと問題があろうかと思いますが、議長いかがでしょうか、こうお尋ねをしましたら、藤田参議院議長も、いやそれは堀さん、朝令暮改のようなにとをやるべきではないと思います、私も比例代表選挙の中で改正が行われるのがいいんじゃないかと思いますよ、こういうお話がこの間ございました。  また、ある会合の席上で久野忠治先生にお会いをしまして、何か比例代表の問題について改正論が多いけれども久野さん、この制度のいろいろな問題について、中身の検討はいいと思いますが、比例代表制度そのものをほかの制度に取りかえるということは、私はこの法案大変苦労して成立をさせた当事者の一人として、そういうことには賛成できないんですがと言いましたら、久野先生も、いや堀さん、私も全く同感だ、あの選挙法をやるときに自分委員長として大変苦労をしたし、この制度は決して悪い制度だと思わないので、私は堀さんの意見賛成ですよと、当時の公職選挙委員長で大変な御苦労をいただきました久野先生もそういうお話でございました。  そこで、私が大変古くからこれをやっておるということを御披露いたしましたのは、私は国会議員でございますけれども、別の角度から見れば、公職選挙法等については学識経験者としても外で評価されるというか通用するような立場にもございますので、きょうは党の問題とは離れまして、ある意味では学識経験者としての色彩の濃い立場から、この問題についての個人的な見解を申し上げたいと思うのでございます。  といいますのは、私は、当委員会鈴木総理に御出席を願って、実は衆議院選挙制度についてもここで問題を提起させていただきました。それはどういうことを申し上げたかといいますと、何にしても、参議院一つできたけれども衆議院は依然として個人本位選挙制度です。例の田中角榮さんの問題というようなことは、田中角榮さんというのは大蔵大臣として最も有能な政治家でございましたから、ああいう事作が起きたことは大変残念だと私は思っているのですが、結果的には個人選挙というのは大変お金がかかる。特に、自民党の場合はすべての選挙区に複数候補が出ておられますから、個人選挙をするときに、政党政策を掲げて二人も三人も出ておられるところでは実は選挙にならないのであります。どうしても個人色彩を強く出して争わなければならない。そうすると、今の現実は、お金がたくさんあっていろいろと後援会組織を拡大をして、ふだんに旅行に連れていく、観劇会に連れていく、いろいろなサービスをすることによって後援会組織を広げて、そうして当選をする。そうでない方もたくさんいらっしゃいましょうが、一番手っ取り早いのはそういうことが行われていると見ているのであります。私も昭和三十三年に国会に出てまいりまして、今日まで在職二十六年になるのでありますけれども、目の当たりによく見せられているのであります。  そこで、どうしても衆議院政党本位選挙制度にしたいということで、実は西ドイツ式比例代表小選挙区制というものを導入してはどうでしょうか、それも、導入するとなれば大変な混乱があると思いますから、どこかで決めて、施行は十年先から施行すればいい。選挙は大体三年に一回行われますから、十年先ということはその間に三回選挙が行われるわけであります。私どもが承知している範囲では、我々の総選挙現職議員の大体二〇%から三〇%程度は入れかわると言われているわけでありますから、三回やりますとかなりの方が入れかわっている。ですから、十年先に選挙をやるときにはこの制度だよということがわかっていればいいんじゃないですかということを鈴木総理に申し上げたら、鈴木さんは、堀さん、十年は長過ぎるな、五年でいいんじゃないかなんて言われたですけれども、五年でいいと言ったって、決めなければ五年でいいことにならないんで、私は、すべての法律についてどこかで決めて、急がない、ともかくも実施ができる、望ましい方向に行くということが大切だと思っているのでありますが、そういう考え方をもとにして、今の比例代表を私が拘束名簿式という格好で案を書いたわけであります。現在そうなっているわけでありますが、実は私は、最初から拘束名簿よりも有権者比例代表順位に介入できる西ドイツ方式比例代表の方が望ましいと思ったのでありますが、最初から複雑な仕組みにしましたら、なかなかこういう基本的な抜本的改革というのはうまくいかないだろう、一番シンプルなものを提案した方かいい、こう考えて、実は拘束名簿式比例代表という案を昭和五十年に私どもの案にしたわけであります。  選挙をやってみた結果、この前、金丸さんが話しておられたのですが、堀さん、ともかく人間人間順位を決めるなんというのはさたの限りだとおっしゃるので、私は金丸さんに、あなたの言うとおりだ、私も人間人間順位を決めるのはおかしいと思う、福沢諭吉先生が、天は人の上に人をつくらず人の下に人をつくらずと言われておる、民主主義原則ですから、私もそう思う、だからそれは改正に値するということを金丸さんにお話をしたことがあるのであります。  そこで、今私は学識経験者という立場から、ちょっと新しい問題を提起させていただこうと思っております。今皆さんのお手元に、実はこれは自治省からいただいた、比例代表でないのも入っているのですが、「参議院比例代表選出議員選挙投票用紙様式」、左側が比例代表様式のようでございます。これは、現在は政党投票でありますから、政党名前だけを書いたものが有効ということに現状はなっているわけでありますが、これに右側にちょっと一枠設けて、政党名を書く欄と候補者名を書く欄と、一票でありますけれどもそこに二つ書くようにしたらどうだろうか。そういたしますと、比例代表としては政党名政党枠組みは決まります。今度は候補者は、当然候補者リストが出ておりますから、その候補者リストに対して選挙民選択権を持って、甲野一郎さんという人を自分は推したいと思えばその人の名前を書く。ただし、これは異種政党では無効になります。要するに、社会党甲野一郎というのであれば、社会党甲野一郎という社会党員が同じであれば有効でありますが、これが自民党の人の名前を書いておればこの票は無効になる。ですから、同一政党同一候補者によって国民がその候補者リストを見て投票をして、投票の一番多い人から今度は順位がつくという格好になりますから、言うなれば、政党枠組みは決めましたけれども、その順位は同時に国民選択に任すということになれば、政党がそれを決めるのではなくて有権者がみずから決める、こういうことになるのであります。当初私はこういうことを考えたのでありますが、これをやりますと非常に複雑で、昭和五十年につくったときに、まだそれが法律になるとは思ってなかったわけでありますが、もしやるとしたら、まずシンプルにやろうというので拘束名簿、今度は二回やってこの制度が定着をいたしましたから、有権者選択をひとつお願いしてはどうか、この参議院全国区比例代表制を考えた者の一人として、これがさらに望ましい姿ではないか、こんなふうに実は考えて、今私なりの試案を、個人的なものではございますが、御提案を申し上げたわけでございます。  今の中身の話もさることながら、比例代表選挙というものについて、政党本位選挙制度のプラス面、個人本位選挙制度のマイナス面というようなものをいろいろと申し上げました。簡単で結構でございますから、ひとつ自治大臣から、一体、比例代表選挙というのは望ましい制度かどうか、そして今私が申し上げたように、拘束名簿というのを政党が決めるということはやはり問題があるというさっきの金丸さんのお話も私同感なものですから、今度は有権者が決めるという方法が今の拘束名簿式よりはより開かれた民主的な選挙制度になるのではないかという感じがいたしますので、自治大臣の感触をひとつお答えをいただきたいと思います。
  18. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 ただいま堀先生から、比例代表選挙に至る先生並びに自民党の当時の竹下選挙調査会長とのやりとり、いきさつなどいろいろ伺いました。勉強になったと思います。五十八年の導入、そしてことしの七月の選挙、二回経験をいたしまして、執行上は円滑に行われたというように認識をしております。  ただ、拘束名簿式というその仕組みにつきましていろいろ問題点もあるのではないかと私も認識しているところでございます。第一には、拘束名簿式というために有権者の関心が高まりにくい。第二には、自民党においても社会党においても各党順位をつけるのに非常に御苦心をなさったということがございます。それから、第三には、比例代表選挙候補者選挙運動が認められていないため、個人としての活動、運動の成果がわかりにくく、また有権者も、個人名でなく政党名投票するということにつきまして、なれていないといいますか、多少違和感を感じている、こういうことがあろうかと思うのでございます。そういう意味で、先生のただいまの御提案は大いに議論を深めていただく価値があろう、このように考えます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 自治大臣も前向きの方向でのお答えをいただきましてありがとうございました。  それで、記載上の問題として、今度は社会党とだけ書いて候補者名が書いてないのが出てくるかもしれません。しかしそれは有効だ。比例代表として有効になる。今度は政党名は書いてないけれども候補者名だけが書いてあるというものができるかもしれません。これは政党所属の票ということにみなして、要するに、いろんなお年寄りの方もおられるし、なれていらっしゃらない方がおられるわけでありますので、どちらか一つずつの場合はよろしい、これがクロスしたときだけが無効という取り扱いが適当ではないか、こんなふうに考えております。ただ、これは一つの試案でございますので、今後のこの参議院比例代表制の改正のために、各党、衆参両院でいろいろと御検討が行われるだろうと思いますが、私はこの原案を作成した者の立場から、この方がよりましな改正になるのではないかということをきょうは御提案を申し上げて、私の質問を終わります。
  20. 友納武人

    友納委員長 中村巖君。
  21. 中村巖

    ○中村(巖)委員 ただいま自治省の方から今回の衆議院選挙参議院通常選挙の結果について御報告がございましたけれども、今回、この両選挙が同日選挙という形で行われたわけでございまして、同日選挙は五十五年のときにもあったわけでありますけれども、この同日選挙については、現在憲法学者の間でも、同日選挙というのは憲法に違反するのではないかという議論がかなりあるわけでございまして、私どももこの同日選挙というものは大変当を得ない選挙のやり方であると思っているわけでございます。しかし、実際には今回も行われてしまったわけで、この同日選挙という選挙のやり方について、殊に憲法との関係を含めて自治省としてはどういうふうにお考えになっておられるか、まず自治大臣からお伺いをしたいと思います。
  22. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 衆参同日選挙と憲法との関係につきましては、既に先例もございまして、政府といたしましては特に問題はないと考えております。
  23. 中村巖

    ○中村(巖)委員 同日選挙が行われるようなことになりますと、その選挙期間中に参議院の緊急集会を開かなければならないというような事態が生じたときに、仮に参議院の半数の議員が既に任期満了しているというような場合においては緊急集会が開けないことになるのではないか、こういう考え方もあるわけでありますけれども、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  24. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 参議院の緊急集会は定員の三分の一の議員が出席すれば開けることになっておりますので、半数改選になりましても可能である、このように考えます。
  25. 中村巖

    ○中村(巖)委員 自治省はそういうお答えでありますけれども、私どもとしては、やはりこの同日選挙というものは大変当を得ない選挙である、こういうものが今後繰り返されるということであれば、有権者の本当の意思を国会に反映させることはできないと考えるわけであります。  そこで、一つの問題としては、例えば同日選挙というようなものが行われますと、候補者も多数あることでありますし、今現に参議院の場合においては比例代表の全国区と選挙選挙というものがあるわけで、それに衆議院と合わせますと、一人三つ書かなければならぬ。さらにまた、あわせてその際に最高裁判所の裁判官国民審査というようなことも行われて大変煩雑になる、こういうことでございます。そういう結果としてやはりどうしても無効投票というようなものが生じてくるわけでありまして、私どもが直接見聞している限りにおいても、各投票所において無効投票が膨大な数に上っておるように思われるわけでございます。五十五年の選挙のときにもそうでありましたし、今回もそうであるように思われますけれども、今回の選挙、その前の五十八年選挙、同日選挙でない場合の無効投票の実態と比較をしてどういう実情にあるか、お伺いをいたします。
  26. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 今回の衆参同日選挙におきます無効投票状況を過去の選挙と比較してちょっと数字を申し上げてみますと、衆議院の五十五年のダブル選挙のときの無効投票率は二・一七%でございます。五十八年に単独で行われました衆議院選挙の無効投票率は〇・八〇。それからさらに、ことしのダブル選挙のときの無効投票率は二・〇三%ということになっております。それから、参議院の方は比例代表の方だけちょっと申し上げてみますと、五十五年ダブル選挙のときは七・一八%ということになっております。それから、そのときは従来の全国区制度でございましたので単純に比較していいかどうか問題がございますけれども、五十八年は比例代表選挙においては二・四二%ということでございます。それから、本年のダブル選挙におきましては六・九三%というふうになっております。  今申し上げましたことでおわかりのように、やはり単独の場合に比べまして衆参同日選挙の場合は無効投票率が高くなる傾向がございます。これの原因といたしましては、ただいま御指摘がありましたように、どうしても投票すべき選挙の数が多くなりますから、選択すべき政党候補者の数がふえるということで、有権者の方々が多少戸惑いをされるということもあろうかと思います。また、今回特に比例代表選挙を導入して初めての同日選挙でもありましたので、そういうことも多少影響しておるのではないか。特に、名簿届け出政党が非常にたくさん出てまいりましたので、そういうことも関係しておるのではないかというふうに考えております。
  27. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そういう観点からするならば、自治省としては、選挙当局とすればやはりこの同日選挙というものは望ましくない選挙ということになるのではないですか。いかがですか。
  28. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 衆参同日選挙につきましては憲法上問題がないことは先ほど大臣がお答え申し上げたとおりでございまして、衆参同日選挙になるかならないかというようなことはまさに政治上の問題でございまして、私どもといたしましては、今のように単独の選挙の場合と比べて同日選挙になりますと無効投票率がふえるというようなことがございます。したがいまして、せっかくの一票がむだになるようなことは望ましくないわけでございますので、そういう無効投票が少なくなるように十分、今回も啓蒙したつもりでございますけれども、今後とも単独の選挙の場合におきましても無効投票を減らすように、いろいろ選挙の啓発に努めてまいりたい、このように考えております。
  29. 中村巖

    ○中村(巖)委員 望ましくないということはおっしゃられないのですけれども、やはり今おっしゃられたように、せっかくの一票がむだになるというようなことを避けなくちゃならない。これはやはり同日選挙というようなものをやめるということが一番早道である、こういうことになるわけでございます。  次に、問題を変えまして、もう既にこの委員会でもって大変論議をされまして、前々国会におきまして国会決議までなされましたこの衆議院定数配分の是正の問題でございます。  国会決議におきましては、御案内のように、国勢調査の確定値の発表があれば即時にこの定数是正、前回の暫定的是正にかえて今度は抜本的な是正を行うんだ、こういうことでございます。そこで、まず、この国勢調査の確定値の発表、これがいつごろになるというふうに自治省は承知をしているか、このことからお伺いをしたいと思います。
  30. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  国勢調査の結果の公表につきましては総務庁において所管をしておるところでございますが、昭和六十年国勢調査の結果による確定人口の官報告示は、これまでのところ四十一道府県において行われていると聞いております。残る六都県及び全国結果につきまして、明日、十八日に、そのうち福島県、新潟県、和歌山県、広島県、鹿児島県分が官報告示される予定でございまして、さらに十一月の十日前後に東京都分及び全国結果の官報告示が行われる予定だ、このように聞いております。
  31. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そうすると、もはや確定値が出るまでに一ヵ月足らず、こういう状況になってきたわけでありますけれども、もちろん従来の経緯そのほかの関係からすれば、国会として抜本是正に向かって鋭意努力をしなければならぬわけでありますが、自治省としてはこの抜本是正ということに対して、どの段階において具体的にどういうふうにするということの考え方を持って取り組みをしておられるのかどうか、この点をお伺いします。
  32. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 定数是正の問題につきましては、さきの通常国会におきまして、違憲とされました定数配分規定が改正されまして、数年来の大きな懸案でございました問題が実現したわけでございまして、立法府の各党の御努力に対しまして敬意を表しているところでございます。  ただ、さきの国会におきます定数是正は、違憲とされた規定を早急に改正するための暫定措置として行われたものでございます。衆議院会議の決議でも、「昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまつて、速やかにその抜本改正検討を行う」とされているわけでございます。衆議院の議員の定数配分規定の抜本改正内容をどのようにすべきかは選挙制度の基本にかかわる問題でございますので、まず各党間で十分に議論をしていただきたい、このように考えております。
  33. 中村巖

    ○中村(巖)委員 この問題については各党間で議論をしなくちゃならぬことは、それは事実でございますけれども、私もこの委員会でもって毎回質問するたびに、自治省はその責任を回避をしているのではないかということを常々申し上げているわけでありまして、自治省は、とにかく議員の定数のことだから国会にお任せします、国会で全部決めてください、私の方はそれに従うだけですよといったような態度で終始をしているわけでございます。やはり何といいましても、この選挙の事柄に関しましては、自治省がまず第一に行政機関として責任があるわけでありまして,それを、ただ国会のことだからといって、選挙に関して自治省が負っておられる責任を回避をするような態度ではこれは仕方がないというふうに思うわけで、自治大臣としてはこの抜本改正に対してどういう決意で本当に臨んでおられるのか、その点をお伺いをしたいと思うのでございます。
  34. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 今先生と私どもとのやりとりの間に今日に至る経緯がはっきりしたわけでございますが、何といいましても、この定数抜本是正ということは選挙に関する基本的な問題でございまして、やはり各党間の御論議が先にあって、もちろん自治省といたしましてもその御論議を踏まえていろいろ対応策は考えなければなりませんが、御論議を見ながら最大限努力をしていきたいと考えておるところでございます。
  35. 中村巖

    ○中村(巖)委員 論議そのものに対して自治省というものは何にもタッチをしないんだ、例えばこの論議を促進をさせるような方途を講ずるとか、あるいは各党に働きかける、あるいはまた各党間を自治省自体が主体的に調整をする、こういうようなことは一切なさらぬ、こういうお考えですか。
  36. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 この御論議が深まってまいります過程でいろいろな調査等もまた必要であろうと思います。そういうことにつきましては、各党からの御要望あるいは国会としてのいろいろな行政庁に対する御要望に対しまして、積極的に資料の提出とかあるいは判断等も申し上げながら、その結論についてはやはり政党間で主導的に行っていっていただきたい、こう考えるわけでございます。
  37. 中村巖

    ○中村(巖)委員 これ以上押し問答はいたしませんけれども、それでは何となく自治省は拱手傍観をしている、こういうふうな感を免れないわけでありまして、これでは責任ある行政官庁あるいは大臣というふうに言えないのではなかろうか、こういうふうに思います。これは国会としても取り組まなくてはならぬことは事実でありますけれども、やはり自治省もそれ相応の決意を持って臨んでいただきたい、こういうふうに思っております。  では、次に進みまして、時間も余りありませんが、選挙管理委員会の機能というか、そういう問題についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  選挙管理委員会というのは、地方自治法によって都道府県、市町村にそれぞれ選挙管理委員会があるわけであります。と同時に、公職選挙法によって中央選挙管理委員会というものが一つあるわけであります。これらのうち地方選管は参議院比例代表制について所管をしているということで、あとの国政の選挙については衆議院参議院選挙区ともに自治大臣が所管をしている。それで、実質は都道府県、市町村の選挙管理委員会がこれを行うということであります。  選挙管理委員会そのものは、都道府県、市町村におきましてもそれぞれその都道府県、市町村の通常の部局からは独立をした形で運営をされているわけでありますけれども、そういう意味で、選挙事務というものは各自治体の理事者との間に独立性を保ってもらわなければならないということでやられているわけであります。しかしながら、それらの選挙管理委員会に委任をして選挙を行う主体が参議院比例代表制を除いては自治省であるという制度は、私はいかがなものであろうかという感じかするわけでありまして、やはり国のレベルにおいても選挙管理委員会というものを自治省から切り離して独立の行政委員会なりなんなりということで進めていかなければならぬのではなかろうかという考え方を持っているわけでありますけれども、これについて自治省としてはいかにお考えでしょうか。
  38. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  選挙管理委員会がどういう機能を持っておるか、あるいはどういう独立、中立的な立場で仕事をしておるかということにつきましては、ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。ただ、それに対してさらに自治省から独立をした機関を設けたらどうかというお話でございますが、そういう考え方もあろうかと思うのでございますけれども、今のやり方も、自治大臣が参議院比例代表選挙以外の、選挙について管理といいますか指導監督する立場にはごさいますが、実際の選挙事務は都道府県が管理することになっておりまして、都道府県は中立的な機関である選挙管理委員会のもとで行っておるわけでございますから、今のシステムで特段の問題はございませんし、改善といいますか改正をする必要がないというふうに私どもは考えております。
  39. 中村巖

    ○中村(巖)委員 その辺、時間がありませんから議論をいたしませんけれども……。  次に、選挙管理委員会選挙違反の関係、これについてお伺いをしたいと思うのです。  選挙管理委員会それ自体は犯罪を摘発する機関ではございませんから、選挙違反について直接これを取り締まるという立場にはないわけでございますけれども選挙管理委員会はこの選挙違反に関してどういう権限なりあるいはまた実際の活動なりをされているのかということであります。今回の選挙におきましても選挙違反というものが、私ども自分選挙をやってまいりましたけれども、大変目に余るものがあるわけでございまして、あるいはまた、その選挙違反が形式犯といたしましても、文書あるいはポスター等の掲示の問題にいたしましても、私どもとしては、こういう選挙違反があるじゃないかということを選挙管理委員会に指摘をいたしましても、現実問題としては選挙管理委員会そのものは余りお動きにならないという実態にあるわけで、もう少し選挙違反に対して選挙管理委員会が介入——介入というか、それをどうこうする権限があってもいいのではないかという感じもいたすわけであります。その点について、自治省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  40. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 選挙違反に関連をいたしまして具体的に選挙管理委員会の権限として規定されておりますのは、公職選挙法の百四十七条で、違反して掲示されておる文書図画の撤去を命ずることができるとか、あるいは公職選挙法の百三十四条で、違反して設置されておる選挙事務所の閉鎖を命ずることができるとかというようなことが規定されておりまして、これらの規定に基づいて、選挙管理委員会としては、各種の違反事実を確認した場合にはそういう措置をとっておるところでございます。そのほかの事例につきましても、確認ができた場合には警察当局に通報するなど、取り締まり機関と密接に連携をしながら公正な管理、執行に努めておるところでございます。  ただ、選挙管理委員会というのはあくまでも選挙公営など選挙の管理、執行というのが任務の中心でございまして、それが極めて短期間に複雑多量な事務を処理する関係上手いっぱいでございます。そういうことでございまして、先生が御指摘になりましたように、いろいろの違反事実があってもなかなか選管が動いてくれないということを言われたわけでございますけれども、やはりそういう選挙管理委員会の任務といいますか、本来の任務から来る制約ということも御理解いただきたいと思うわけでございます。
  41. 中村巖

    ○中村(巖)委員 選挙管理委員会は今選挙人名簿の調整とそれを保管というかそういうようなことを主たる任務にしているような格好でいるわけでありますけれども、やはりもっと選挙に対して積極的な姿勢というものを要望いたしたいというふうに思っておるわけでございます。  時間がなくなりましたので、あと一点だけ。選挙管理委員会の権限というものは法律に定められて限局されているわけでありますけれども、都道府県、市町村の議員定数の問題について考えてみますと、都道府県、市町村におきましても議員定数の配分の不均衡というものがこの衆議院あるいは参議院定数の場合と同じように多々存するわけでございまして、これについて選挙管理委員会が今日何ら積極的に発言をする権限ないし機会というものがないということは困ったことだというふうに思っておりますけれども、その辺の権限の問題について自治省はいかがお考えでございましょう。
  42. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 地方公共団体の議会議員の選挙区別の定数は当該団体の条例で定めるということになっておるわけでございますけれども、その条例はだれが提案できるかと申しますと、地方自治法の百十二条とか百四十九条あるいは百八十条の六によって規定をされているわけでございますが、条例を議会に提出することができるのは地方公共団体の長と議員でございまして、選挙管理委員会は条例案を議会に提出する権限を持っておらないわけでございます。したがいまして、議員定数配分を定める条例につきましても選挙管理委員会として法律上権限を有しないということになるわけでございますけれども、条例案が議会あるいは長の部局においていろいろ検討される過程においては、選挙管理委員会というのは選挙事務に携わる専門的な中立的な機関でございますので、いろいろと意見を聞かれることもございますし、また適宜意見を述べることもいたしておりまして、積極的に協力を行っておるというふうに承知いたしております。
  43. 中村巖

    ○中村(巖)委員 時間ですので、終わります。
  44. 友納武人

    友納委員長 岡田正勝君。
  45. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 衆参同日選挙について冒頭にお尋ねをしたいのでありますが、大臣の方からは先ほどお答えがあったので、これは内閣法制局の考え方をお聞きしたいと思います。  衆参同日選挙につきましては、参議院の緊急集会を著しく困難にする、先ほど二分の一、三分の一という問題がありましたけれども、困難にすることは聞違いない、ひいては参議院の存在価値を失わせるなど、違憲の疑いが非常に濃厚でありますけれども、どのようにお考えでございますか。
  46. 関守

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる衆参同日選挙につきましては、衆参が同日選挙であるという場合におきましても参議院議員の半数は改選されていないということになるわけでございまして、議事及び議決につきましては総議員の三分の一以上の出席があれば足りるというふうにされているわけでございますから、参議院の緊急集会自体は可能であるということがございます。  それから、衆議院議員選挙参議院議員選挙は同日に行われましてもあくまで別個の選挙でございますし、それぞれの選挙で民意を的確に反映させる機能が失われることはないということでございますので、御指摘のような違憲の疑いというものはないというふうに考えております。
  47. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 定数の違憲状態の解消を目的といたしまして解散をするということになったわけですが、このたびの改正というのは、大臣もおっしゃったように暫定措置であります。解散、総選挙によって選挙権の平等が回復されたということは私は言えないと思うのですよ。したがって、違憲状態解消を名分とする解散というのは解散権の乱用ではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、これも内閣法制局の方からお答えいただきましょう。
  48. 関守

    ○関政府委員 衆議院の解散権につきましては、これは国政の重大な局面におきまして民意を問う手段として、憲法上実質的に内閣に与られております重要な権能でございます。したがいまして、いかなる場合に衆議院の解散を行うかということにつきましては、内閣がその政治的責任で決すべきものであるというふうに考えます。  したがいまして、ただいま解散権の乱用というようなお話がございましたけれども、個別のケースにつきまして解散権の乱用に当たるかどうかというような問題につきましては、今申し上げましたようなことで衆議院の解散権の行使が内閣の高度の政治判断というものに基づいて行うわけでございますので、法制局としてそれについてコメントする立場ではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  49. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣にちょっとお尋ねするのですが、気楽にひとつお答えください。  比例区代表選挙というのは二回ありましたね。表と裏が済んだわけですが、こういう時期に当たりまして、もう比例区選挙はやめたらどうだという声が国民の間でも非常に多くなっております。これに対して大臣はどのような感想をお持ちですか。
  50. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 五十七年に議員立法によりまして全国区選挙が比例区選挙に改まりまして、二回選挙が行われ、選挙執行上は問題もなく終わった、こういうことを申し上げましたが、この選挙立候補された方々のいろいろな経験がございす。それが政党としていろいろな御意見が各党ごとにあろうかと思います。そういう御意見を踏まえて、一体次はどうするか、こういう問題、我々も大きな関心を持って見守っているところでございます。  自治省としての見解がどうかということは、むしろ各党間の御議論がどうかということを踏まえて対応すべきものと思いますが、私個人として申し上げることをお許しになるならば、新しい制度を始めてそれをまたすぐにやめるということは、一議員としてはいかがなものかな、いろいろな欠点があればそれを直しながらその新しい制度の円滑な運営を図っていくということの方がよりベターではないかと考えております。  役所としては、各党間の御議論を踏まえて対応していきたいということでございます。
  51. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは大臣からでも部長さんからでも結構でありますが、定数是正の問題です。  いよいよ国勢調査の確定値が出てまいりますので、抜本是正ということがこれから焦点になってくるわけでありますが、格差何倍以内を許容範囲と考えるべきであろうかということについてはいかがでしょうか。
  52. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先ほどの中村先生の御質問にもございましたが、暫定的な緊急是正を行い、いよいよ抜本是正をしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。この内容をどうするかということでございますが、選挙制度の基本にかかわる大事な問題でございますから、格差の問題につきましてもまず各党間で十分に御論議いただきたい、こういうことであろうと思います。
  53. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣としては今のようなお答えになるのかもしれませんが、この衝に当たる自治省としての考え方というものはもうちょっとあっていいのではないかと思うのですね。もう少し発言があってもいいのではないでしょうか。今の暫定是正は格差三倍以内ということでやっておりますが、その三倍以内で抜本是正もいいではないか、各党で合意ができればそれでいいではないかという考え方なんでしょうか、どうなんでしょう。それはやはり高裁の判例にもあるように二倍以内とするのが望ましいとか、あるいは三倍以内というのは望ましくないとか、何か声が出ぬものですかね。
  54. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 この間の緊急是正は三倍以内。この三という数字は最高裁の判決を踏まえた対応でございましたが、緊急是正の際の各党間の御主張も、伺ってみますと二倍以内にすべきという政党もあれば、二・五倍でどうかという政党もございました。そのように意見が多く分かれているわけでございますので、まず各党間の御意見を調整していただきたい、このように考えます。
  55. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、次の問題に入らせていただきます。  総定数ですね。現在の総定数、これを一体どうしたらいいんだ。多いという声が非常にありますね。それから、現在の暫定是正は、暫定でありますから、五百十一より一名多くなっておるわけでありますから、多いというのにもいろいろな言い方があると思います。本則の四百七十六という意見もありますし、その総定数についてはどのようにお考えであろうかということのお答えを願います。
  56. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先国会におきます衆議院会議の決議におきましては、「抜本改正に際しては、」「議員総定数及び選挙区面の見直しを行い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。」とされておるわけでございます。それで、定数配分の問題もございますが、総定数の問題につきましては、この決議を踏まえ、やはり各党間で抜本改正の議論を尽くしていただく中で検討を深めていくものであろうと考えるわけでございます。
  57. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 いろいろ議論の中に、格差の倍数だけで定数配分を行うというのは少し乱暴ではないか、人口以外の要素を考慮に入れるべきではないのかという意見もたくさんあるのでありますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  58. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 衆議院議員選挙区別定数配分の基礎をなすものでございますが、それはまず人口であろうと考えられます。しかし、この人口が唯一絶対の基準ではない。最高裁判決におきましても、都道府県、市町村等の行政区画、地理的な状況、人口の都市集中化の現象等、社会情勢の変化などさまざまな事情が考慮されてしかるべきであるとしておるわけでございます。これは昭和五十一年四月十四日の最高裁判決、昭和六十年七月十七日の最高裁判決に述べられておるところでございます。
  59. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 前回の暫定是正のときに二人区と六人区というのができてしまったわけでありますが、これを解消するということの各党の約束ができ上がっておるわけでありまして、自治省といたしましても、やはり今の一選挙区当たり三ないし五名という中選挙区制というのはまことに立派なものである、中選挙区制を守るべきであろうというふうに考えておられると思いますが、いかがでしょうか。
  60. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 今先生おっしゃいましたように、さきの国会におきます衆議院の本会議におきまして決議が行なわれ、抜本改正に際しては二人区、六人区の解消を行なうものとされているわけでございます。これを踏まえまして各党間で御議論を進めていただきたい、このように考えます。
  61. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この抜本是正でありますが、議長の発言というのはきょうは取り上げないことにいたしますけれども、抜本是正は第三者機関に任せるべきだ、当該者である議員がやっておったのではなかなからちが明かないという声があるのでありますが、こういう第三者機関で行うべきではないかという声に対しましてどのように思われますか。
  62. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 定数是正を第三者機関にゆだねることとする場合におきましては、前提といたしまして定数是正の基本原則選挙区の区画の基本原則などが確定されていなければ、現実問題として非常に困難なものになると考えられるわけでございまして、事柄が選挙の基本的なルールづくりの問題でございますので、その検討の手続きも含めて、まず各党間において十分御議論をいただきたいと考えるところでございます。
  63. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 全く同感であります。そうあるべきだと思うのです。  そこで、こういう基本的な原則というものが各党間において一致いたしましたならば、それ以下のいわゆる作業については第三者機関にゆだねていいのではないか。もっと言うならば、五年ごとに国勢調査が行われますけれども、その国勢調査が行われたならば、もう常設機関的なものを置いておいて自動的に改正がなされていくという姿の方が望ましいのではないかという声がありますが、いかがでございますか。
  64. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先生がおっしゃるお考えも一つのいいアイデアであろうと思います。それにつきましても、また各党間の御相談をいただきたいと考えます。
  65. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 現在選挙制度審議会というのがありますね。これは有名無実でありますけれども、現実にあります。これの活用ということについては自治省側としてはどうお考えでございますか。
  66. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 これも一つ選択肢であろうと思います。
  67. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 在外選挙制度についてお尋ねをしておきますが、この国際化社会に向かって在外邦人が非常にふえておるという昨今、昭和五十九年の一〇一国会での公選特に付託をされたまま現在自然消滅となっております在外選挙制度を改めて創設すべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  68. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 在外邦人に選挙権行使の道を開くため、いわゆる在外選挙法案を去る第百一国会に提案したわけでございます。衆議院議員定数是正が最優先課題とされたことから、第百一国会以降、実質的な審議がなされないまま継続審議とされまして、去る第百五国会におきまして衆議院が解散されたため廃案となったわけでございます。この間、委員会におきまして正規の法案審議はなされませんでしたが、各党を初め各方面からさまざまなご意見問題点の御指摘をいただいておりまして、今後関係省庁とも協議の上、さらに検討を重ねてまいりたいと考えております。
  69. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ぜひ検討を進めていただきたいと思います。  そこで、この検討を進めるに当たりまして、在外選挙制度創設に当たりましては、船員の不在者投票制度を一層拡充整備するという意味におきまして、指定船舶の範囲の拡大だとか、あるいは指定船舶に対する投票用紙の交付時期の早期化、在外公館における投票用紙の交付、投票後の投票用紙の送致を、郵便ではなくて最寄りの在外公館を経由する等々実施すべきであろうと思うのでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  70. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 船員につきましては、一般の方と同様に不在者投票を行う道がありますほかに、就業形態が特殊でございますので、船舶内における不在者投票とか、あるいはいわゆる指定船舶における不在者投票、指定港等における不在者投票、いろいろな不在者投票の手段が認められておるわけでございます。しかしながら、こういういろいろな制度によってもなお投票が事実上困難な、例えば長期間にわたって遠洋航海をされておる船員の方々がおられることは私どもも承知しておるところでございまして、また大変強い要望があるわけでございます。それで、これらの方々に投票の機会をできるだけ拡充していくために適当な方法がないかどうか、在外選挙制度検討ともあわせて従来も検討してまいったところでございますけれど、今後とも非常に重要な課題として検討を続けてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  71. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、外務省が、先般提案になりましたああいう考え方について、非常に荷が重いというのでやはり非常に消極的であるというように聞いておるのでありますが、その態度は変わったのですか。情報がありませんか。
  72. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 さきの在外選挙制度国会に提案するに当たりましては、私ども自治省と実際にやっていただく外務省といろいろ協議をして提案したわけでございまして、両者とも積極的に取り組んでまいったつもりでございます。ただ、先ほど大臣がいろいろ申し上げましたとおり、各方面から意見がございまして、問題点の指摘等がございまして、もう一度見直して考えていくということになったわけでございまして、私ども、外務省も含めて、この問題に対する態度が変わったということはございません。
  73. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはお答えが決まっておるようなものでありますが、何といっても、何か知らぬばかばかしいなという投票があるのですね。それは最高裁判所裁判官国民審査でありますが、まことに形式的ではないか、有名無実ではないか、国民の関心も非常に低い、恐らくあれに鉛筆を加えられた人というのはほとんどないのではないかというふうに思うのでありますが、改善の方途というものはないものでしょうか。
  74. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 最高裁判所裁判官国民審査につきましては、今先生お話しになられましたが、いろいろなご意見があることは十分承知をしておりますし、また、各選挙管理委員会等におきましても、現行制度のもとでの国民の関心を高めるために、啓蒙活動等に努力を払っているわけでございます。現行の審査方式は、憲法の規定を受けました解職制度として具体化されておるものでございますので、これを改めるについてはやはり慎重に研究を進めなければならない、このように考えております。
  75. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 警察庁の方にお尋ねをしたいと思います。  きょうも報告がありましたけれども戸別訪問に対する取り締まりというのは非常に件数が多いですね。それで、この取り締まりの対象になる戸別訪問、いわゆる立件される、これは罪になりますよという、その戸別訪問となる要件というのは一体どういうものなんですか。
  76. 仁平圀雄

    仁平政府委員 法文の解釈にも絡みますので、自治省からお答えいただいた方がいいかと思いますが、常識的な線で私からもお答えいたしたいと思います。  「選挙に関し、」ですから、選挙が特定していることが必要だと思いますし、それから「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的」ということでございますから、主観的な意思が存在しなければいけないと思います。それから、戸別に訪問することということでございまして、これは今まで判例等におきましては、連続して二以上の住居につき訪問するということを必要とするということになっておりますので、そういった客観的な要件も必要であろうというふうに考えております。それに該当するものにつきましては一応戸別訪問と認めまして取り締まりを行っているものでございます。
  77. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今伺いますと、選挙ということで特定されたものでなければいかぬ、それから主観的な意思がなければならない。それからいま一つは、二以上連続して、こういう要件が整えば戸別訪問として立件することになります、こういうお話であります。非常によくわかりました。  そこで、よく言われることでありますが、戸別訪問をしたといっても、そこで選挙のことは頼んでおりません、選挙については何にも頼んでいないというのにやはり有罪になる人があるのですね。それで、どういうわけで有罪になったのかといっていろいろ聞いてみますと、あなたが行って、戸別訪問をして、選挙のことについては何にも頼んでおらぬと言うが、しかしあなたは心の中では、例えば奥野先生に入れてもらいたいな、こう思っておったんじゃないのということで、それはひいきですから思っておったと思います、心で思っておればそれは犯罪だというので立件されるという例をちょこちょこ聞くのですが、こういう戸別訪問の場合でも、言葉に出していない、文書にも出していない、ほかのこと、あさってのことを言っておっても、心で思っておればそれは有罪となるというのはほんまでしょうか。
  78. 仁平圀雄

    仁平政府委員 大変微妙な御質問でございまして、お答えしにくいわけでございますが、公職選挙法上の条文の要件からいたしますと、客観的要件として戸別訪問という事実があればいいわけでございますね。ただ、現実の問題としましては、やはりある程度その行為の外形からしまして客観的に推測されるものがなければならないだろうと思います。全く心の中の問題ということでは判断できないわけでございます。
  79. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。  時間が切れましたので終わります。
  80. 友納武人

    友納委員長 野間友一君。
  81. 野間友一

    ○野間委員 警察庁の方からいただいた資料の中で、今もお話にありました戸別訪問検挙ですね。百九十八件、四百九人、こうありますが、このうちで強制捜査、身柄の拘束をしたのはどのくらいの件数あるのか、それから起訴したのはどのくらいあるのか、わかったら答えていただきたいのです。
  82. 仁平圀雄

    仁平政府委員 今御質問のような区分けは、統計をとっておりませんのでお答えいたしかねるわけでございます。
  83. 野間友一

    ○野間委員 そうしたら、この中で起訴した件数はどうでしょうか。
  84. 仁平圀雄

    仁平政府委員 警察としては把握いたしておりません。
  85. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ、これは後でいずれまた資料をもらいまして、この点についていろいろお伺いしたいと思います。  きょう私がお伺いしたいのは、戸別訪問が今なお我が国の選挙運動については禁止ということになっておるわけですね。これは憲法上言論表現の自由という観点から許されない、憲法違反だという観点、そういうふうに私は思っておるわけですけれども、きょうは憲法論議ではなくて、それじゃ実際に戸別訪問の持つ意義なり、あるいは実際どうなのかという点から、私はこれを禁止する必要がないということを踏まえてただしたいと思うのです。  もともと選挙というのは、主権者である国民が政治に直接参加する最も重要な機会なんですね。選挙のときこそ、国民の公正な選択が行使できるよう、候補者とか政党政策あるいは人柄あるいは理念、そういうものを明らかにする言論あるいは政治活動の自由、これは何物にも増して保障されなければならない、こう思うわけですね。国民ももちろん候補者も、知る権利あるいは知っていただく権利、これは皆持っておるわけですね。  そこで、これは選挙管理制度改善研究会というのがございますね。おわかりのとおりで、これは全国区市選挙管理委員会連合会、東京都特別区選挙管理委員会連合会、全国指定都市選挙管理委員会連合会等々、こういう団体が集まってつくられておる組織ですが、これが外国の選挙制度について調査レポートを出しておられます。これを見ましても、選挙運動について言いますと、「自由かつ達に行なえるかどうかということは、その国の選挙制度が生きるか死ぬるかの重要な一つのポイントであり、その国の民主主義の達成度をはかるバロメーターともいわれている。」ところが、残念ながら我が国ではそうではないということで、やはり「公平な選挙は自由な選挙運動によってこそ担保される」、したがって、「腐敗行為や地位利用による利害誘導行為とか、選挙運動の責任所在の明確化等ごく限られたもの」に規制はとどめるべきだ、自由にやるべきだというのがこのレポートの中にも書いてありますが、この点について自治大臣の所見を承りたいと思います。
  86. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 戸別訪問につきましてはいろいろな御議論がございます。今先生がおっしゃったような御主張もございます。戸別訪問は、選挙人サイドに立った選挙運動の方法じゃないか、必ずしも買収等の機会を与えるというふうなことは言えない、認めるべきだという主張が一つございます。反面で、現状では、現実問題としましては、政策普及中心の訪問とはなかなかなりにくい、候補者選挙人双方とも煩にたえないことが多いというような従来から指摘されてきた弊害が認められて、自由化は時期尚早だという意見も一方において強いということを承知しているわけでございます。  戸別訪問を禁止しております公職選挙法第百三十八条第一項は言論の自由を保障する憲法第二十一条に違反しないことにつきましては、最高裁の判例として確立しているところでございます。  いずれにいたしましても、両論ございまして、これは選挙運動をするに当たっての基本的なルールの問題でございますから、立法政策上自由化すべきかどうかにつきましては、さらに各党間で十分議論をしていただいた上で判断をしていただきたい、このように考えております。
  87. 野間友一

    ○野間委員 最高裁判所の判決は私も承知しておりますけれども、これは下級裁の中で違憲判決はうんと出ていますよ。これは最高裁判断の判決を今言われましたけれども、判決がどういう判決があったかということではなくて、本来民主主義の発達をはかるバロメーターであって、規制はごくわずかな、買収とか利害誘導、そういうものに基本的には限るべきだ、こういう欧米の調査結果の報告も引いたわけですけれども、そういうことは絶対我が国の選挙運動においても必要だと私は思うのですが、再度その点についてお伺いしたいと思います。
  88. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 それでありますからこそ、ただいま申し上げましたように、立法府の各党の御議論と御判断をまちたい、こう申し上げているわけでございます。
  89. 野間友一

    ○野間委員 自由法曹団という法律家の団体がございます。私も入っておりますが、一九七九年に、これは当委員会でも引いて論議もされたわけですけれども、これが七九年の選挙に関して各党のすべての候補者に「戸別訪問による選挙運動の是非に関するアンケート」をとったわけですね。各党全部回答されておりますが、これを見ますと、これは立候補者全員の八九・四%、二百五十二名、これは回答があった分ですね。八九・四%が「戸別訪問の自由化」は賛成、反対は七%しかないわけですね。これは自由民主党の中でも賛成が三十八、反対が九、こういう数字も出ておるわけですけれども、これはいわば残っておること自体民主主義の恥部だと言わざるを得ないと私は思うのですね。  それから、これも当委員会でもたしか引かれて論議があったと思いますが、ここにおられます小泉純一郎さんも、朝日の「論壇」で、これは七九年二月九日付ですけれども、「全面的に解禁にすべきだ」、こういう主張をされておるわけですね。これの中を読みますと、確かに私もそうだと思うのです。したがって、私は、自由民主党も含めまして八九・数%という戸別訪問の禁止を解けという要求は真っ当だと思いますし、こういうものを踏まえた上でやはり禁止を解くということを今もうやるべき時期に来ておるというように考えておりますけれども、再度いかがですか。
  90. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先生の御主張はよく理解できます。でありますからこそ、政党政党の問題として各党間の御協議を進めていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  91. 野間友一

    ○野間委員 戸別訪問というのは、お金がなくてもだれでもできるのですね。しかも、身近にいる有権者に対して語りかけ、また有権者から反応を受ける。政策とか人柄、こういうものを知るには一番いい選挙運動なんですね。  先進的な欧米でこういう戸別訪問を禁止しておるところはないと思いますが、いかがでしょう
  92. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 御指摘のとおり、私どもが承知しておる限りでございますけれども先進諸国においては戸別訪問は禁止はしておりません。
  93. 野間友一

    ○野間委員 それでは、先ほど自治大臣も若干触れましたけれども戸別訪問を我が国で禁止しておる、この立法趣旨は一体何なのか、お答えいただきたいと思います。
  94. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 戸別訪問が禁止されておりますのは、戸別訪問買収等の機会に利用される余地がある、したがって選挙の公正を害するということが一つございます。それから、選挙人にとってもまた候補者にとっても煩にたえないといいますか、そういうことになればどうしても競って戸別訪問をやる、それが大変競争を激化するとか、選挙人も応接に煩雑になるとかいうようなおそれもある。そういう両面からこれが禁止されておるというふうに承知しております。
  95. 野間友一

    ○野間委員 それでは警察にお伺いしますが、買収等の温床というか、買収と結びつきやすいというのが立法趣旨の一つの理由として挙げられたわけですけれども、それはそうですか。
  96. 仁平圀雄

    仁平政府委員 私どもは、戸別訪問絡みの買収とか利益誘導というものを統計はとっておりませんので、ちょっとその実態につきましては掌握いたしていない次第でございます。
  97. 野間友一

    ○野間委員 これはかつて、昭和二十五年に公職選挙法が施行されまして、二十五年のときには一部、候補者が親戚知己とかそういうものに対してはいいんだということもありましたね。それも二十七年の改正でとってしまったという経過がありまして、我が国では戸別訪問の自由を認めたという時代はそれを除いてはないわけですね。だから、実際にはこれはどういうふうに買収との絡みがあるのか統計はないという話ですけれども、しかし、警察公職選挙違反でずっと取り締まりの活動をしておるわけでしょう。その中で、私は、当然経験上からしても、買収と関係があるかないか、これはわかっておると思うのですが、いかがですか。
  98. 仁平圀雄

    仁平政府委員 個別のケースにつきましてはそういった事案もあることは承知しておりますけれども、それがどの程度あるのかということを掌握していない、こういうことでございます。
  99. 野間友一

    ○野間委員 警視庁捜査第二課の伊東さんという、一九七一年当時警視をやっておられた方が「選挙違反取締り 十五年を顧みて」というのを「捜査研究」に出されておるわけですね。これを見ますと、こういうふうに書いてあるのです。「罪種別による特殊性」、これは選挙違反の問題ですね。買収罪との関係について言いますと、「最近の傾向として戸別訪問等によって選挙人に直接金品を供与するなどの買収事犯は皆無の状況である。」警察はちゃんとこういう評価をしておるわけですね。皆無なんだ。  それから、警察庁も、これは「選挙犯罪の概況」と題する宮地さん、刑事局捜査二課の警視正の方ですけれども、この人の書き物を見ましても、その点についていいますと、最近においては、戸別訪問によって買収する等の事犯はほとんどなくなった、これは一九六〇年の八、九の「捜査研究」ですが、警察庁も警視庁も、実際自分たちがずっと取り締まりというかこういう仕事をしておられた中で、先ほど自治省も言いましたが、戸別訪問買収というのは関係ないのですよ、選挙お金をまくのは、選挙運動にばっとまいてそれで運動させる、後援会を集めてそこで金をまくとか飯を食わすとかそういうことであって、取り締まりの当局である警察庁あるいは警視庁みずからも買収とは関係ないのだ、こう言っておるわけですよ。これはいかがですか。
  100. 仁平圀雄

    仁平政府委員 確かに御指摘のように数は少ないだろうと思いますけれども、私どもは具体的な例としても幾つか承知しておるわけでございまして、皆無だというふうには断定できないだろうと思います。
  101. 野間友一

    ○野間委員 いや皆無とは言いませんよ。どんな場合だっていろいろなあれがあるわけですからね。ただ、私が申し上げたいのは、警察庁も警視庁もいずれも実際に現場でタッチされた中でのこれはトータル、集約ですけれども、評価としては、戸別訪問によって買収する事犯はほとんどなくなったのだ、こういうのが押しなべて書いてあるわけです。あなたのところの書き物に書いてあるわけですから、この事実は否定しないでしょう。
  102. 仁平圀雄

    仁平政府委員 非常に少ないと言えることは言えると思います。
  103. 野間友一

    ○野間委員 自治省、そういうことなんですよ。自治省が出しております逐条解説を見ましたら、今部長が言われたような戸別訪問禁止の理由に今なお固執されておると思うのですけれども、これは時代おくれだと思うのですよ。実態とは全く今かけ離れておるのです。これは論拠は成り立たぬと思います。自治省いかがですか。
  104. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答えを申し上げますが、御承知のように、我が国の選挙制度というのは、諸外国に例は見ないぐらいいろいろ言論とかあるいは文書図画の規制を一面でしながら、一面ではそのかわり選挙公報であるとか政見放送であるとかいうような選挙公営を充実させて選挙の自由公正を確保するという選挙制度をとっておるわけでございます。そういう中で、戸別訪問の規制も大正十四年以来ずっと、当時の事情と変わっておると言われるかもしれませんけれども、以来ずっとこの規制があるわけでございまして、長い歴史を持っておりますし、我が国の政治風土の中でやはりやむを得ない制度として行われてきたのだろうと思います。これを自由化いたしますといろいろこれが中心的な運動になるというようなことにもなるおそれもございますし、選挙制度全体あるいは選挙運動全体のあり方の関連において検討しなければ、これだけ自由にしていいということも必ずしも言えないのではないかというふうにも考えております。
  105. 野間友一

    ○野間委員 いや、それはごまかしですよ。あなたのところで禁止する理由の一つとして第一に挙げておるのが、買収、利害誘導と関係あるのだ、格好の温床になる、こういうふうに言っておるから、それは今の時点ではもう既に論拠はない、憲法論争は別ですよ、実態からしてもこれは全く関係ないのだということを明らかにされておると思うのです。ですから、今も警察庁の方からもお答えがありましたけれども、こういうものについてはほとんど関係ないということは自治省としても認めざるを得ないと思うのですけれども、いかがですか。ほかとの関連をいろいろ言われますけれども、そうでなくて、これは聞いておればわかるでしょう。
  106. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 戸別訪問に関連して買収の実態がどの程度あるかということについては私ども実態を承知していないのでございますけれども、この戸別訪問禁止の理由も必ずそうなるといって断定しておるわけではございませんで、自由化すればそういうおそれがあるという言い方をしておるわけでございまして、この判断はやはりいろいろあろうかと思います。それは実際に選挙運動をおやりになっておる先生方で十分御検討していただいて、お教えをいただきたいというふうに考えております。
  107. 野間友一

    ○野間委員 それでは伺います。昭和二十五年から二十七年まで一部解除、そういう時代があった。ところが、二十七年の改正でこれが全面禁止になった。この全面禁止にした二十七年、これを一つの軸にしてその前後、買収事犯はどうなっていますか。つまり戸別訪問を、これは一部の者で例外ですけれども、認めたということにおいて買収はふえたですか。またこれを禁止したがために買収は減ったですか。いかがですか。
  108. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 昭和二十五年に一部の者に限って戸別訪問が許される、親族等の訪問に限って認めるというふうになっておりまして、それが禁止されたのは御指摘のとおりでございます。これは買収がどうこうというよりも、そういうふうに例外を設けておきますと戸別訪問自体がなかなか捕捉しがたいわけでございまして、ましてやそういう例外を親族とかいうようなことで置いておきますと、それに籍口して非常に紛らわしい戸別訪問が事実上行われて、やはり候補者あるいは有権者立場から煩にたえないという批判が相当ありまして、そういうふうな禁止の措置になったのだというふうに理解しております。
  109. 野間友一

    ○野間委員 いや、私は、これは一部ですけれども戸別訪問を認めておった、ところがそれをストップした、これによって買収事犯の推移はどうなったのか、ふえたのか減ったのかということを聞いておるわけですよ。これは禁止を、全面禁止した、それによって買収事犯は減っていないですよ。ずっとふえていますよ。統計上そうなっているでしょう。
  110. 仁平圀雄

    仁平政府委員 手元にその統計資料を持ってきてありませんので、お答えいたしかねるわけでございます。
  111. 野間友一

    ○野間委員 自治省いかがですか。
  112. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 ちょっと手元資料を持っておりませんので、その点についてはお答えできません。
  113. 野間友一

    ○野間委員 だから、そんなことで行政をやられたら困るのですよ。もっと真剣に、これは最も大事な民主主義の根幹にかかわる運動ですからね、戸別訪問。そういうものをずっと禁止しながら、今なお言葉を濁してこれを解除するということは言わない。もってのほかだと思うのですよ。そういうのを全部つぶさに今もう既に調べておかなければならぬ。調べてないとするならこれは大変大きな問題だと思うのですよ。沖縄の場合には、本土復帰前は戸別訪問自由でしょう。ここでは買収がうんとあったかどうか、私も若干調べましたけれども、どういうふうに評価していますか。
  114. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 沖縄の選挙制度のもとにおける戸別訪問買収等との関連につきましても、手元資料を持っておりませんので承知いたしておりません。
  115. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、もう一つ。煩にたえぬということですけれども、これは私は選挙民を愚弄したことだと思うのですね。候補者自分政策や人柄を皆さんに知っていただきたい。これは動くのは当たり前ですよ。これは受け手じゃないのだ。有権者候補者政策や人柄あるいは政党政策を全部知って、これは知る権利がありますね。知った上でどこのだれに投票するかということを選択するわけでしょう。だから、煩にたえぬというのはこれはまさに選挙民を愚弄したことですよ。どういう点で煩にたえぬというのですか。
  116. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 大正十四年に戸別訪問が禁止されて以来そういう説明がなされておるわけでございますけれども、私どもが想像いたしますのに、先ほど申し上げましたように、いろいろな規制の中で戸別訪問だけ自由にいたしますと、入れかわり立ちかわり、夜も昼も候補者あるいは運動員が押しかける、それでまた候補者の方もすべてのところを回らなければ、あのところだけはだれが直接来た、ここは来なかったというようなことを言われることがやはり懸念されますので、そういうような過当な戸別訪問が展開されるおそれがあるということが言われておるように承知しております。
  117. 野間友一

    ○野間委員 戦前のつくったときの理屈を今も維持して言われるのは、これはとんでもない話ですね。これこそ有権者を愚弄した言葉にしかならぬと思うのですね。もっと僕は真剣にこの点について検討していただきたいと思うのです。第七次の選挙制度審議会、この小委員会でも、戸別訪問を認めるべきだという結論を出しておるでしょう。いかがですか。
  118. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 第七次の選挙制度審議会における報告をちょっと手元に持っておりませんけれども、たしかそういうような内容も含まれておったように理解しております。
  119. 野間友一

    ○野間委員 ですから、いつまでも時代おくれのそういうものに固執して、全く実態とは乖離しておるわけですよ、大臣、お聞きいただいてわかると思うのですけれども。ですから、やはりこれは各党間全部で戸別訪問の禁止は取っ払っていく、これは自治大臣も真剣に考えてほしいと私は思いますけれども、いかがですか。
  120. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先ほど先生からも、いわゆる西ヨーロッパ型の先進国の中で我が国だけだという御指摘もございました。ですから、先生の御主張もごもっともなところがあるということも申し上げておるわけでございます。今までの経緯については、日本人のメンタリティーの問題とか行動様式の問題だとかいろいろそういう面もあっての判断が煩にたえないという、ちょっと表現が適当でなかったかもしれないけれども、そういうことにもなったかと思います。時代は変わり、また農村中心の社会から都市が中心の社会になってきたとかいろいろ日本状況も変わってきておりますから、先生のような御主張もごもっともだと思います。  そこで、先ほどから申し上げておりますように、選挙を担う、選挙を実際に行う各政党間で十分にこういう議論な深めていただいて、コンセンサスをひとつつくり上げていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  121. 野間友一

    ○野間委員 煩にたえぬということからすれば、これは例えば押し売りなんかについて言うなら別なんですよ。今、訪問販売にしたって、御用聞きとかいろいろな人が各戸に全部出入りするわけでしょう。だから、規制というのは、例えば軽犯罪法とか不退去罪とか、いろいろなほかの方で規制ができるわけですね、一般的に言って。私は、そういうことでなくて、やはり戸別訪問というのは選挙の原点だということを踏まえて考えるべきだというふうに思うのです。  その点で、時間ありませんから最後にもう一度、戸別訪問というものはやはり選挙の原点だというようなことについて自治大臣の所見を伺って終わりたいと思います。
  122. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 選挙における働きかけの一つの手段、方法であると思います。ただ、原点とまで申し上げていいかどうかわかりませんが、立会演説会とかテレビ、ラジオ等による放映とか、あるいは選挙公報による周知徹底とか、いろんな方法の一つであろう、このように考えるところでございます。(野間委員「立会はもうありませんね」と呼ぶ)失礼いたしました。かつての立会、今はいろいろな許可を受けた上での演説会を開催するとか、そういういろいろなその他の選挙運動の方法が許されているわけでございますので、それらの一つであると考えているところでございます。
  123. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  124. 友納武人

    友納委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十四分散会