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1986-11-26 第107回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 村岡 兼造君    理事 谷  洋一君 理事 中島  衛君    理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君    理事 森田  一君 理事 中村  茂君    理事 坂井 弘一君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    金子原二郎君       川田 正則君    瓦   力君       桜井  新君    中島源太郎君       中村喜四郎君    東   力君       松永  光君    三塚  博君       小野 信一君    坂上 富男君       三野 優美君    薮仲 義彦君       伊藤 英成君    辻  第一君       中路 雅弘君  出席国務大臣         建 設 大 臣 天野 光晴君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         水資源部長   志水 茂明君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁大都市圏         整備局長    柳   晃君         国土庁地方振興         局長      澤田 秀男君         国土庁防災局長 山本 重三君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    渡辺  尚君         建設省建設経済         局長      牧野  徹君         建設省都市局長 北村廣太郎君         建設省河川局長 廣瀬 利雄君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部計         画課長     浅野 楢悦君         厚生省社会局施         設課長     福田 孝雄君         林野庁業務部業         務第二課長   石寺 隆義君         運輸大臣官房国         有鉄道部国有鉄         道再建企画調整         官       岩村  敬君         気象庁地震火山         部長      河村あたる君         労働省職業安定         局雇用保険課長 山口 泰夫君         自治省税務局固         定資産税課長  佐野 徹治君         消防庁防災課長 田中 基介君         日本国有鉄道事         業局審議役   山口 良雄君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     北村 照喜君         参  考  人          (住宅都市整         備公団理事)  京須  實君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 十一月十四日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   野間 友一君     中路 雅弘君 同月二十日  辞任         補欠選任   辻  第一君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     辻  第一君 同月二十六日  辞任         補欠選任   伏木 和雄君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     伏木 和雄君     ───────────── 十一月十五日  中水道の整備促進に関する法律案伏木和雄君外二名提出、衆法第五号) 十月三十日  住宅建設促進等に関する請願岡崎万寿秀紹介)(第六三〇号) 十一月十七日  阪急電鉄京都線高架事業に関する請願村上弘紹介)(第一三三四号) 同月十八日  国民生活関連公共事業に関する請願坂口力紹介)(第一三九二号) 同月二十五日  首都圏住宅地新設等に関する請願小坂善太郎紹介)(第二一一二号)  同(石原慎太郎紹介)(第二一一三号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第二一一四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 十一月十三日  公共事業拡大に関する陳情書外三件(第一一五号)  土地区画整理事業における調整池設置に関する陳情書(第一一六号)  渡良瀬遊水地国営公園設置促進に関する陳情書(第一一七号)  下水道事業推進に関する陳情書外二件(第一一八号)  治水事業促進に関する陳情書外四件(第一一九号)  水源利用税導入反対に関する陳情書外三件(第一二〇号)  国土開発幹線自動車道建設促進に関する陳情書外五件(第一二一号)  東北中央縦貫自動車道建設促進に関する陳情書(第一二二号)  首都圏中央連絡道路早期建設に関する陳情書(第一二三号)  日本海沿岸縦貫自動車道建設促進に関する陳情書(第一二四号)  四国縦貫横断自動車道建設促進等に関する陳情書外一件(第一二五号)  陰陽連絡高速自動車道建設促進に関する陳情書(第一二六号)  一般国道バイパス建設促進に関する陳情書(第一二七号)  九州横断自動車道建設促進に関する陳情書(第一二八号)  九州縦貫自動車道早期完成に関する陳情書外 一件(第一二九号)  南九州西回り高速自動車道建設促進に関する陳情書(第一三〇号)  西九州自動車道整備促進に関する陳情書(第一三一号)  国道号岡垣バイパス早期完成に関する陳情書(第一三二号)  国道号バイパス建設促進に関する陳情書(第一三三号)  国道百九十六号松山北条バイパス建設促進に関する陳情書(第一三四号)  国道二百二号今宿バイパス早期建設に関する陳情書(第一三五号)  国道三百八十六号バイパス等道路整備促進に関する陳情書(第一三六号)  西大津バイパス早期建設に関する陳情書(第一三七号)  瀬戸大橋夜間照明施設設置に関する陳情書(第一三八号)  住宅都市整備公団の縮小・民営化反対に関する陳情書外三件(第一三九号)  特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法有効期限の延長に関する陳情書(第一四〇号)  総合雪対策に関する陳情書外二件(第一四一号) 同月二十日  下水道整備促進に関する陳情書(第一七五号)  都市計画法に係る開発行為適用除外範囲拡大に関する陳情書(第一七六号)  土地問題に関する陳情書(第一七七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 村岡兼造

    村岡委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事北村照喜君及び住宅都市整備公団理事京須實君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 村岡兼造

    村岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沼赳夫君。
  5. 平沼赳夫

    平沼委員 それでは、限られた時間でございますけれども、いろいろな問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。  きょうは大変お忙しいところ、建設大臣、そして国土庁長官、お見えをいただきましてありがとうございます。  まず建設大臣所信をお伺いしたいわけでございますが、今大変景気が停滞をいたしているわけであります。そして、日本世界の中に置かれた現状から考えまして、これ以上輸出を伸ばすわけにはいかない。そうなりますと、どうしても積極的な内需拡大策をしていかなければならないわけであります。内需拡大ということに当たりましては、所得税減税をするとかあるいは法人税減税をする、こういうような考え方もあるわけでありますが、やはり地域経済活性化して、そして内需拡大し、今沈滞した不景気ムードを一掃するために一番決め手になるのは公共事業拡大だ、このように私も思っておりまして、さきの選挙ではこのことを一貫して訴えてきたわけであります。天野建設大臣もまさにこのような御持論をお持ちでありまして、いろいろな場所でお訴えをいただいているわけでございます。  とにかく、我が国は貿易によって約七百兆円という資金があります。その資金が、残念なことに昨年一年間だけでもアメリカに十三兆円も投資をされる。さらにまた、株の乱高下で如実に示されておりますように、実際に生きたお金として使われてなくて、それが投機に走る。こういうことは日本経済にとって好ましくないことだ、私はこういうふうに思っているわけであります。  そこで、建設国債というものに関していろいろ意見があるわけでありますが、建設国債というのは償還期間が六十年である、それはすべて公共事業に振り向けられる、そしてその公共事業というのは、住宅を建設したり河川を改修したり橋をかけたり、あるいは港湾を整備したり道路をつくる、こういうことに振り向けられるわけでありまして、企業に例えればちょうど設備投資に当たるものだと思うわけであります。いろいろ学者によっては、六十年後にツケを残すことになるのだ、だからこれ以上本質的に赤字国債と変わらないのだからやめるべきだという意見がありますが、このままの状況でいくと日本経済はじり貧どころかどか貧になってしまう。ですから、思い切って建設国債大幅増発を含めた積極的な経済政策をやっていくべきだと私は思うわけであります。  そういうことで、天野建設大臣の日夜の御努力に対して、大変私も感銘を受けているわけでありますが、ひとつ大臣のかかる観点における御所信を篤と承りたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
  6. 天野光晴

    天野国務大臣 平沼先生からの御質問でございますが、建設国債を導入すべきだという議論を私からやるわけにはいかないと思うのです、これは財源の問題ですから。公共事業推進することには全力投球します。財源はどうするのだと大蔵大臣から聞かれれば、他に財源がなければ建設国債でやったらどうだという発言はできますが、私の立場で今建設国債をどんどんやれと言うことよりも、一般会計でともかくも公共事業というのは全般やるのが理の当然でありますから、そういう点で変則的な、ちょっと党の方で政府に協力した結果だと思いますが、世界どこの国でも公共事業の一番大きなものはやはり道路だと思うのでありますが、その道路一般会計から一銭も出ていないという国は日本だけじゃないかと思うのです。これは党の方でちょっと面倒見がよかったものですから、ガソリン税自動車重量税というようなものをつくったものですからそういう格好に今なっておるわけでありますが、こういう特別会計ではなしに一般会計から出すのが本来だ、私はそう考えております。そういう点で大蔵省の方で財源がなくて困るというなら、あくまでもやはり建設国債を導入するのが当然である。公共事業は、恐らく道路をつくっても河川をやっても何をやってもほとんど孫末代まで使えるものをやるわけですから、これは子供と孫ぐらいは責任分担をして支払いをしてもいいんじゃないか、今我々の時代で我々だけがこの金を出してつくり上げなければいけないということではないのではないかという考え方を持っておりますから、建設国債でやることには私は大賛成でございますが、これはまだ私の権限の範囲内でございませんから、その点御理解願えればありがたいと思います。
  7. 平沼赳夫

    平沼委員 財源について建設国債を増発すべきであるかどうかということは、立場上その意見は差し控えるというお言葉でございましたけれども、今の大臣の御答弁をお伺いしますと、やはりなければやるべきでないか、こういうことを伺ったわけであります。私も冒頭申し上げましたように、ぜひやるべきだと思うわけでありまして、学者によりましては、六十年先にこれはツケを残すことになる、こういうことで借金には変わりない、だから今は減量の経済政策に徹してやるべきだ、こういう議論もあるわけでありますが、私も大臣がおっしゃるように、これはやってみなければわからないことでありますし、しかも付加価値がついてそこからまたお金が生まれるということにつながりますから、ひとつ所管の大臣としてぜひ積極的にこれからもその御持論を展開をしていただいて、今国民が一番望んでおりますのは地域経済活性化でありますし、内需拡大であります、またこれは諸外国からの要求にも合致することでございますので、ぜひ引き続き積極的にお願いをいたしたいと思うわけでございます。どうもありがとうございました。  次に、内需拡大関連でございますが、内需拡大、そのためにはやはり家が一軒建つことによって五十二種の職種が潤う、こういうことが言われております住宅建設、これは日本現状からいっていろいろ大きな問題を抱えております。特に土地の問題が大きなネックになっておりますけれども、それはさておきまして、ちょうど今我が党の税調でも減税、増税問題をいろいろ論議をしておるところでありますが、やはりこの五十二種の職種が潤うような総合的な一つの起爆剤になる住宅建設、これを促進するためにはどうしても住宅減税をやらなければならないと思うわけであります。  そこで、建設省当局として、住宅減税大幅拡充についてどういう具体的な考え方を持っているか、御所見を承りたいと思います。
  8. 片山正夫

    片山政府委員 住宅対策におきまして住宅減税の占める役割の大変大きいところは御指摘のとおりであります。このため六十一年度におきましていわゆるローン減税の大幅な拡充を図りまして、その効果は本年度住宅建設着工戸数如実にあらわれているところであります。したがいまして、六十二年度におきましても引き続きその大幅改善を現在要望しているところであります。  これは、六十一年度創設をいたしましたローン減税の要件の大幅改善ということで、まず控除率現行の一%から二%に引き上げること。それから控除期間を、現行が三年でございますけれども、これを五年に拡充するということ。さらにまた、住宅にかかわります土地、敷地に関するローンも新たに対象に加えるということ。さらに増改築工事というのもこれから大きな問題になってまいりますので、増改築工事にかかわりますローンもその対象に加えるなど、大変大幅な拡充持ち家対策として要望しているところであります。  さらに都市部におきまして良質な賃貸住宅供給ということが大きな問題でございますので、持ち家対策とあわせまして、賃貸住宅供給のための税制の創設、さらには地方税に関します不動産取得税でありますとか固定資産税軽減措置のこともあわせて要望しているところであります。
  9. 平沼赳夫

    平沼委員 確かに、先年我が党の税調でも住宅関連でいろいろ論議がありまして一歩前進、そしていろいろな対策が効を結んで今年度住宅建設も非常に前年度に比べて大幅に伸びている、こういうふうな趨勢でございます。そういうことで抜本的には土地対策というものを考えていかなければならないと私は思いますが、しかしそういう現状の中で、今御説明のございましたいわゆる住宅減税の諸対策をすることによってさらに住宅建設に拍車がかかるものと思っているわけでございます。そこで、来年度住宅建設の大体の見通しというのはどういうことになっておりますでしょうか。
  10. 片山正夫

    片山政府委員 まず今年度住宅着工状況を申し上げますと、年度の四月の当初に若干対前年比がマイナスでございましたけれども、以後堅調に推移いたしました。特に上期におきましては、従来大変堅調でありました共同借家、これは九月までで五十二カ月間対前年比がプラスになっておるわけですけれども、それに加えまして先ほどの持ち家対策効果があらわれまして、持ち家の方も七、八、九と大変プラスになっております。この十月の統計、まだ最終集計はできておりませんけれども、ここへ来ます前にざっと見たところ、やはり対前年同月比がふえておりまして、この四月から十月までの実績に、また安全側を見まして今後の十一月以降来年の三月までの統計を前年のものを使いまして推計いたしますと、この六十一年度は百三十三万戸くらいという数字が出てまいります。これはあくまでも推計でありますが、六十年度の百二十五万に比べまして約六%強の伸びでございます。さらに六十二年度は、これからの住宅減税でありますとか政策金融、公庫の拡充の問題でありますとか、そういういろいろな施策の内容がはっきりいたしませんとまだはっきりわかりませんけれども、私どもとしましては、六十二年度も引き続きこのような効果があらわれるように施策の実現に努力をしてまいりたいと考えております。
  11. 平沼赳夫

    平沼委員 ひとつ住宅局長にも要望しておきますけれども、特に今山林業者製材業者というのが大変困窮をいたしているわけであります。そして、今年度住宅建設の上向きというものに彼らは非常に光を見出して意欲が出てきているわけでありまして、本当に不況の中にあえいでいるそういう木材関連業者を救済するために、もちろん今までも積極的にやっていただいておりますけれども、これまで以上に特に住宅建設に当たって国産材中心としてなるべ多く使ってもらうようなそういう御指導も引き続きお願いをしたい、このことをしかと御要望させていただきます。  それから、河川局長質問させていただきたいわけでございますが、第六次の治水事業五カ年計画、これも予算上の制約等これあり、大変御苦労が多いところだと思いますけれども、その進捗状況はどういうふうになっているのか、また特に東海地方中心として異常渇水、こういうことになっておりますから、その対策も含めて御答弁お願いしたいと思います。
  12. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  第六次治水五カ年計画進捗状況は、最終年度であります昭和六十一年度末で当初予算ベースで申し上げますと七八・九%にとどまっております。第六次治水五カ年計画の実施に当たりましては、災害対応維持管理計画を上回って優先的に配分せざるを得なかった等の理由がございまして、結果的に計画的整備をしなければならない部分が非常にしわ寄せを受けまして、低い進捗率にとどまっているのが現状でございます。一例を申し上げますと、河川計画的整備の必要とされるもので国で直接管理する通常の改修部分につきましては、計画の五八%というふうに極めて低い状況にあります。  それから二番目に渇水対策というお尋ねでございますが、ちょっとその前に渇水状況を御説明させていただきたいと思います。  木曽川では牧尾ダム貯水率が十一月二十日現在〇%になり、牧尾ダム水源とします愛知用水、東濃用水では十一月二十日より第六次の取水制限、すなわち上水では二〇%、工水では四〇%、農水では四〇%という節水でございますが、これを実施しております。なお、岩屋ダム貯水率は十一月二十四日現在二一%となりまして、十一月二十日から第六次の取水制限、すなわち上水につきましては二〇%、工水農水につきましては三〇%という取水制限を実施しております。なお、これらの実態を踏まえまして十一月二十日から関西電力三浦ダムが上流にございますが、そこから一日一万トンの応援の放水をしてもらっております。  一方また淀川の方に目を転じますと、琵琶湖の水位が十一月二十五日現在マイナス七十八センチとなりまして、これまた十月十七日から第一次の取水制限、すなわち上水一〇%、工水一二%の取水制限を実施しているところでございます。  また豊川では、豊川用水水源であります宇連ダム貯水率は十一月二十五日現在二七%となっておりまして、現在上水一五%、工水二〇%、農水四〇%の取水制限を行っております。  さらに、四国に飛びまして、吉野川水系銅山川を見てみますと、愛媛分水水源であります柳瀬ダム新宮ダム貯水率が十一月二十五日現在三八%となり、現在工水一五%の取水制限を行っております。特に小豆島では、十一月二十五日現在内海ダムが一四%、殿川ダムが一一%、粟地ダムが〇%と貯水率が低下しておりまして、現在十四時間断水を続けております。  このほか、一級あるいは二級水系で、各所でいろいろの問題が発生しているというのが現状でございます。  それで、お尋ね建設省渇水対策はいかんということでございますが、渇水対策には王道はございませんで、やはり貯水、すなわちダムをつくっておきまして不時の用にこたえるということが第一番目でございまして、このために我々は今ダム建設をいろいろ進めているわけでございますが、何分ダム建設と申し上げますと十年あるいは二十年という長期にわたる事業でございますので、十年、二十年の先を見通し事業を執行しなければならない、それに引きかえ財政上大変苦しい状態にあるというのが現状でございます。  それからまた、一たん渇水が発生いたしますと、緊急避難的に建設省渇水対策をいたしております。例えば各種用水間の調整であるとか、あるいは先ほどちょっと触れましたように、発電ダムから一時的に応援してもらうとか等々の渇水対策を実施しておりまして、現在も建設省河川局の中に渇水対策本部を設けまして鋭意努めておるところでございます。
  13. 平沼赳夫

    平沼委員 非常に異常な渇水ということで大変なことだと思うわけで、現段階では天の恵みの雨が降ってもらうしかない、こういうような感じでありますけれども、しかしその中でできる範囲でひとつ御努力をいただいて、地域住民のために頑張っていただきたい、このように思うわけであります。  財源のお話も局長から出ました。こういう河川の問題あるいは水源地涵養の問題に関しましても、やはりどうしても財源を確保しなければならないという問題で、私も今水源税構想、いわゆる森林・河川緊急整備税、こういった問題もやはり積極的に、本来でしたら一般財源でやらなければならない問題だと思いますが、これは推進をして、そして応急的に措置をしていかなければいかぬ、このように思っているわけであります。  時間が参りましたので最後に、私は岡山が選挙区でございまして、今、世紀の瀬戸大橋工事がいよいよ佳境になっておりまして、六十三年度の春にはいよいよ待ちに待った開通でございます。それに関しまして、予算をしっかりとつけていただいて橋の方は非常に進捗状況も順調でございますけれども、仏つくって魂入れずという言葉がありますが、橋ができてもその関連自動車道整備網あるいは自動車路の体系が整備されないと、今申し上げましたように仏つくって魂人れずになるわけであります。  聞くところによると、幹線瀬戸大橋に直結する山陽自動車道路あるいは中国横断道路もなかなかいろいろな問題で進捗をしていない。そこで、道路公団からきょうはわざわざおいでをいただいておりますけれども、山陽自動車道あるいは中国横断道路進捗状況と今後の見通しについて、御報告をいただきたいと思います。
  14. 北村照喜

    北村参考人 お答えいたします。  本州四国連絡橋児島坂出ルート関連いたしまして、このルートは六十三年春までにということでございますので、我が方といたしましては、山陽自動車道の早島から倉敷ジャンクションを通りまして福山東間、これは西の方に向かうわけでございますけれども、このルートにつきましては六十二年度内に供用できるように、今全力を投入して工事中でございます。  また、倉敷から東の方に延びます倉敷ジャンクション―岡山間、これにつきましては現在用地の買収中でございまして、六十二年度、来年度より工事着工いたしまして、六十年代半ば過ぎには早急に供用をいたしたい、このように考えております。  また、岡山から備前の方に向かいまして、三十五・二キロございますけれども、昭和五十七年一月に整備計画が策定されまして、六十年二月に我々施行命令をちょうだいいたしております。同年六月には路線発表をいたしておりまして、現在は中心ぐいを設置いたしております。来年度より地元設計協議を行いまして早急に用地買収に着工し、並びに工事をいたしまして、六十年代後半には供用をいたしたいと考えております。今後とも事業促進に努めまして、早期供用に努めたいと考えている次第でございます。  第二点といたしまして、中国横断自動車道でございますけれども、岡山から鳥取へ参ります岡山米子線、これは百十三キロございます。このうち岡山県内におきましては、山陽自動車道、中国縦貫自動車道を結びます岡山西から北房ジャンクション間、約四十一キロございます。これも本年一月に、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経まして新規整備計画区間として決定されておりまして、三月から我々、調査に入っている次第でございます。  一方、落合ジャンクションから米子間、約六十七キロございますけれども、この間につきましては、岡山側の落合ジャンクション―江府間、約四十五キロを現在設計協議並びに用地買収にかかっているわけでございまして、六十年代後半の供用を予定しております。また、北の方に参りまして、江府から米子間、約十八キロございますけれども、これは現在工事中でございまして、六十年代中ごろには供用をいたしたいと考えております。  当該区間の山陽自動車道、中国横断自動車道につきましては、事業及び調査促進に努めておりますけれども、工事着工までには地元協議、用地買収、特に文化財調査等非常にいろいろ問題がございます。けれども、地元の御協力をいただきまして、我々早期に供用をいたしたいと考えております。  以上でございます。
  15. 平沼赳夫

    平沼委員 どうもありがとうございました。なかなか厳しい状況ですけれども、我々も一生懸命に頑張りますから、ひとつよろしくお願いをいたします。  時間が参りましたので、これで終了いたします。
  16. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、森田一君。
  17. 森田一

    ○森田(一)委員 それでは、引き続き私の方から質問を続行さしていただきます。  ただいま四全総が策定作業中でありますけれども、そしてまた中曽根総理も、東京問題を重点にこの四全総の中で取り上げるようにというような指示を発せられておるところでありますけれども、私は、東京問題という場合にも、東京一極集中という観点からのこの問題は大変重要であると思っておるわけであります。  この東京問題は、従来から首都問題という形で池田内閣の所得倍増計画当時から取り上げられておるわけでありまして、その後、河野建設大臣等による遷都というような形で相当具体的な案が示されたこともあったわけでありますし、昭和四十八年には首都圏整備委員会の事務局が同じような遷都案を発表したこともありました。しかし最近におきましては、この問題に関する国民的な関心は低下をしてきておるように思うわけであります。それは恐らく第一次、第二次石油ショックを経まして低成長の時代に入って、これらの問題に本格的に取り組もうとしても、これはまあ難しいという、一方ではあきらめのムードが広がっておると思いますのと、もう一方では、地方の時代が来たということでこの問題がおのずから自然に解決されるという期待感があったからだろうと思うわけであります。  しかしながら、最近の情報化社会が進展すると、東京一極集中の問題というのがおのずから解決するのではないかというような期待は次第に裏切られてきておるように思うわけであります。最近の東京の地価の上昇の問題あるいは事務所需要の問題等を考えましてもこのようなことが感じられるわけであります。したがいまして、四全総におきまして何としてもこの問題を正面から取り上げて、そして取り組んでいただきたいというのが私の考え方であります。  アメリカにおきましてワシントンというのは政治の首都ではありますけれどもアメリカ最大の都市ではないわけであります。また、ニューヨークは最大の都市ではありますけれどもいわゆる政治の首都ではないわけであります。しかし、東京というのは首都であると同時に日本最大の都市でありまして、このような意味からも、また日本の人口の増加の約半分が東京で増加しておるというような事態からも大変重要な問題であると考えておるわけであります。この点につきまして四全総ではどのような態度で取り組もうとしておられるのか、国土庁長官の御見解を承りたいと存じます。
  18. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 今、森田委員から御発言のありました東京一極集中という問題が最近の急激な国際化、情報化の中で起こっておるという現象につきまして、今回の四全総の中でも、無限大に東京というものが大きくなっていいのかというようなことは頭の中に入れておかなければならない重要な問題でございます。  特に、大都市圏と地方圏という二つに分けてみた場合に、地方圏というものの繁栄というものを念頭に置かなければならないと考えております。東京につきましては遷都説もございましたが、分都説、展都説というものもあるわけでありまして、それらのことも頭の中に入れて今検討させていただきたいと思っております。
  19. 森田一

    ○森田(一)委員 それから、これは事務当局にお伺いするわけでありますけれども、国際化という問題が非常にこの東京一極集中の問題に拍車をかけておるような気がいたすわけであります。これは、恐らく香港、シンガポール等が果たしておる世界経済の中の役割を将来は東京が果たすであろうというような予測のもとに、世界各国の各社が東京に拠点を持とうということで東京への進出を考えておることであろう、そのような影響は大きいと思うわけであります。  このような国際化に伴って、現在の事務所あるいは宿舎に対する需要というのが大ざっぱに言ってどの程度あるのか、その辺のことについてお伺いをいたします。
  20. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 東京が国際金融センターとして、ロンドン、ニューヨークと並ぶ拠点として、また環太平洋地域の拠点として今後発展するであろうということは、森田委員の御指摘のとおりでございます。  御指摘のございましたように、それではどのぐらい事務所とかあるいは宿舎の需要に響くだろうかということでございますが、これは大変難しいことでございまして、私どもがある著名な研究機関に委託をしまして調査した結果によりますと、東京の金融センターの発展に伴います金融保険及びそれらを取り巻く関連のサービス業の都心三区におきます事務所の新規の需要はどのぐらいかという予測でございますが、昭和七十五年、いわゆる西暦二〇〇〇年に銀行の対外貸付残高の世界におけるシェアが、昭和五十五年、すなわち一九八〇年当時東京は三%強でございましたが、当時のニューヨークは約一割、当時のロンドンは約二割ございまして、シェアが当時のニューヨーク並みの約一割になる場合には事務所の面積が新規に約五百四十ヘクタール、それからロンドン並みの二割になる場合には約千百五十ヘクタールぐらいと予測をしておるところでございます。  また、御指摘のございました宿舎の需要につきましては調査したものはございませんが、そのときに従業員の数が新規にどのぐらいふえるだろうかということを予測したものを参考までに申し上げますと、これは年度が少し動きますが、昭和五十六年ですが、当時金融保険及び関連サービス業で約二十三万人東京におりましたものですから、シェアが一割になった場合には新規に約二十四万人、ほぼ同じぐらいの数字、それから二割になりました場合には約五十九万人の増加を当時は予想しております。ただ、その従業員の増加の大半は恐らく日本人従業者が占めるだろうということを推定したものがございます。  以上でございます。
  21. 森田一

    ○森田(一)委員 私は、この問題について要望をいたすわけでございますけれども、四全総を策定するに当たりまして、どうかこの問題を正面から取り上げていただきたい。  という意味は、三全総を読んでみますと、これは私の誤解かもしれませんけれども、この問題が余り大きな問題であるがゆえに、かつこの解決策というのが確定的なことが述べにくいために、大事な問題ではあるけれどもそんなに深入りをすることはぐあいが悪いんじゃないかというような気持ちがうかがわれるわけであります。四全総におきましても、この問題についてこのような解決策で、このような方針でいくべきだというような確定的なことを非常に具体的に述べるということは、恐らく大変難しいことであろうと思います。しかしながら、この問題は、私は東京に住んでおる者だけの問題ではなくて、地方の問題との関連におきましても全国民的な課題でありますから、解決策をできるだけ具体的に述べていただくと同時に、それができない場合にも、この問題について国土発展の観点から問題提起は少なくともしておいていただきたい。恐らくこの四全総における最大の課題の一つはその問題提起をすることではないか、そしてそのような意識でもってやるかどうかによって、この四全総が本当の意味であの時期において非常に大事な点を指摘してあったというふうな評価を受けるかそうでないかということの分かれ道になるような気がいたすわけであります。そういう意味におきまして、ぜひともこの点を要望いたしておきます。  次に、先ほど平沼委員の方から御質問がありました瀬戸大橋の問題について私も触れさせていただきます。  いよいよ六十三年春に完工するということになっておるわけでありますけれども、大鳴門橋は三カ月おくれたと言われておりますが、今回の児島―坂出ルートの場合には、六十三年三月から八月まで架橋博、完成を記念しての博覧会が行われることになっておりまして、この竣工の時期がいつであるか、そしてこれの検査等が終わりまして供用開始になる時期がいつであるかということは大変関心が深いわけであります。博覧会が行われましても、橋は見えるけれども実際にその上を渡れないということでは博覧会というのが大変寂しいものになる、人々に非常に喜ばれる博覧会としては欠陥ができるわけでございまして、何とかこの博覧会に間に合うような形で供用開始ができないかと私どもは切に希望をいたしておるところであります。  この点につきまして、特に建設大臣の方よりこの完成の時期につきましての御見解をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  22. 天野光晴

    天野国務大臣 予定どおり完成をする方針で努力をいたしておりますが、何せ工事現場が御承知のように瀬戸内海のど真ん中でございますから、気候のいかんによってはちょっとずれる公算もあるかもしれませんが、予定どおり進めるように厳重に命じてございますので、その点御了承願いたいと思います。
  23. 森田一

    ○森田(一)委員 それから、この瀬戸大橋は重要な観光資源であります。その点、現在は工事用の電灯がついておりまして、夜非常にきれいに見えるわけでありますけれども、現在の状態のまま推移いたしますと、工事用の電灯は完成と何時に取っ払われるわけであります。そして、夜が来るとこのきれいなアーチ型の橋の姿は見えなくなるわけであります。これは観光資源という点からもイルミネーションの問題が地元の方では切望されておるところでございまして、この点について事務当局の方から、イルミネーションの問題、これをつけることができるかどうか、ぜひつけていただきたいということで、御見解をお願いいたします。
  24. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘のように、児島―坂出ルートが完成いたしました段階では、橋梁を主体といたします新たな景観が創出されまして大きな観光需要を生むものと考えております。  御指摘の橋梁の照明施設でございますけれども、道路交通のための照明施設、船舶の航行援助施設、それから点検用照明施設等維持管理上必要な施設を設置するという名目のもとに、どのような形でイルミネーションを残すことができるかということについて現在鋭意検討をいたしているところでございまして、まだ結論を得てございませんけれども、鋭意検討を進めさせていただきたいと考えておる次第でございます。
  25. 森田一

    ○森田(一)委員 このイルミネーションの問題につきましては、環境庁との問題あるいは航行の問題あるいは漁業者との問題、いろいろ問題があることは承知いたしておりますけれども、これらの問題を一つ一つ解決して、ぜひとも実現をしていただきたいと思うわけであります。  それから、同じく道路の問題に関しまして、先ほど平沼委員の方からも質問がありましたけれども、四国側の方につきましても臨海産業道路その他の受け入れの道路進捗状況について、ごく概略というか、個々の点は結構でございますから、御説明をよろしくお願いいたします。
  26. 萩原浩

    ○萩原政府委員 瀬戸大橋四国側の受け入れ道路といたしましては、一般国道十一号の坂出―丸亀バイパス、それと臨海産業道路、それから一般国道三百十九号の善通寺バイパス等の整備を鋭意促進中でございます。  現在までのところ、臨海産業道路は、高松市から詫間町に至る延長四十キロのうち高松市から多度津町間の三十四キロメートルを第一期事業といたしまして、地方道事業、街路事業土地区画整理事業、一般有料道路事業等各種の事業を組み合わせまして整備を進めておりますけれども、六十三年春までにはこの第一期区間は全線供用を図ろうといたしております。また十一号の坂出―丸亀バイパスについても全線四車線化を完成させる予定でございます。以上によりまして、とりあえずのアクセスは確保できることになると考えている次第でございます。
  27. 森田一

    ○森田(一)委員 それから、この瀬戸大橋が完成して供用されますと、列車あるいは自動車用の道路で、歩行者あるいは自転車は通れなくなるわけでありますが、県民の間に、せめて完成後、供用開始の直前、一定の期間はぜひとも歩行者に開放してもらいたいという希望があるわけであります。この点についてはいかがでございましょうか。
  28. 萩原浩

    ○萩原政府委員 児島―坂出ルート海峡部の供用開始前の一般への開放につきましては、地元、県等においていろいろ企画をされておられると聞き及んでございます。道路等の海峡部は長大橋が非常に連続をいたしておりますので、安全性等については十分考慮する必要がございますけれども、本州四国連絡橋公団において地元、県とも十分協議するように指導してまいりたいと考えております。
  29. 森田一

    ○森田(一)委員 それでは最後に、県民はこの瀬戸大橋に大きな期待を寄せている反面、完成した後の通行料がどのようになるかということについてもまた非常に関心を寄せておるところであります。したがいまして、まず一般の通行料の算定の基本的な考え方かどうかという点が第一点。  それから、いわゆる橋げたになっております島、与島、櫃石島等にアクセスがつくわけでありますけれども、これらの人にとってはこの瀬戸大橋を通る以外に本州、四国の方に連絡する道がないわけでありまして、これらの島民の通行料の問題、すなわちこの軽減の通行料が実現できるかどうかという点。  この二点について見解をお伺いいたします。
  30. 萩原浩

    ○萩原政府委員 本州四国連絡道路の料金につきましては、料金収入によって一定期間内に建設費、維持管理費、利息等の費用を償いますいわゆる償還主義、それと料金の額が本州四国連絡道路の通行によって通常受ける便益を超えないものであるという便益主義、この二つの原則に基づいて設定されることになっております。児島―坂出ルート供用時に、供用中及び建設中の一ルート六橋、具体的には大鳴門橋、大三島橋、伯方・大島大橋、因島大橋、明石大橋、生口橋、この六橋を償還対象とする料金プール制をとることといたしております。  料金プール制を前提といたしまして、料金の設定の方法については、道路審議会の答申も踏まえまして、原則として陸上部と海峡部に区分をいたしまして設定される料率によって全路線画一対距離制をとることといたしております。現在この具体的な数字について詰めているところでございますけれども、あくまでも便益の範囲内で料金を設定するという原則でございます。  なお、もう一点の与島、櫃石島等の島内入路については、一般の車両が利用できるインターチェンジではございませんで、緊急車両等の出入り口として計画をされております。島民車の出入りについては島民の方々から強い御要望があることは十分承知をしておりまして、これに伴う問題点について関係機関も含めて検討をいたしておるところでございますが、そのうちの一つとして料金割引措置につきましても、負担の公平の範囲内で各道路の実情に合わせていろいろ検討したいと考えている次第でございます。
  31. 森田一

    ○森田(一)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  32. 村岡兼造

    村岡委員長 三野優美君。
  33. 三野優美

    ○三野委員 私は香川一区から初めて参りました。きょう初めて質問をさせていただくわけでありますが、委員長初め先輩の皆さんによろしく御指導をお願いいたしたいと思います。また、きょうはお忙しいところ各省庁からも御出席をいただいております。その点、厚く御礼を申し上げます。  少し多岐にわたりますので、早速本論に入らせていただきたいと思います。  まず最初に、今回の伊豆大島三原山の火山噴火について、被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと存じます。御承知のように十一月十五日に噴火がありまして、二十一日の大噴火、そういうことからもう既に十余日に及んでおりますし、大噴火以後緊急避難をしてから既に六日になっているわけでございます。非常に困難な状況の中で、国土庁初め各省庁が一体になってこれに当たっておられることに対して心から敬意を表しますが、二十四日に火山噴火予知連絡会があって、今の状況から見ると今後とも大規模な噴火の危険性がある、したがって、島民の帰島は当面困難ではないか、こういう報告があったのであります。  その際に、いろいろなことが要求されておりますけれども、まず気象庁にお願いしたいのでありますが、この報告以後状況はどうなのか、そして、今なお島民の帰島は当分不可能と見るべきなのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  34. 河村あたる

    ○河村説明員 お答えを申し上げます。  まず統一見解が出ましてから後のことでございますが、現在は一応小康状態を保っておるように見受けられます。しかし、島内各部で亀裂等が発見されておりますし、変色水域等も次々に各所で発見されてきておりまして、異常な現象はやはり継続していると思います。二十四日に発表いたしました統一見解にもありますように、現地調査によりますと大島南東部の筆島付近の海面に変色域が認められており、その変色域は島内各所に現在広がっております。また、筆島の北西の一周道路を横切る地割れ及びその拡大が確認されてございます。そのほかの場所についても現在地割れが発見されてきておるわけでございます。さらに、地震が大島の北西及び南東から南部にかけ海にまで広がって、地域が拡大して発生をいたしております。このように大変危険な状況が続いておると私ども判断をいたしておりますので、今後の火山活動の推移につきましては厳重な警戒、監視が必要であると存じております。  そういうことで、島民の皆様の大変な御心労は重々承知をいたしておりますけれども、現時点におきましていつ帰島できるかということを判断することは極めて難しい、そのように考えております。
  35. 三野優美

    ○三野委員 今お聞きのように、気象庁初め予知連絡会は今の状況では帰島を定めることはできない、だから長期にわたるということが想定されるわけであります。その際に予知連絡会は、もし帰島する場合にはその緊急避難手段として二十一日の大噴火を上回る緊急な対策が必要である、こういうように言われているわけであります。したがって、もちろん帰島をしてよろしいという行政の判断をする場合には一定程度見通しは立っておるとしても、今度の噴火が示すように火山の噴火というのは必ずしも予測をしたとおりいかないこともありますので、消防庁はそういう二十一日の大噴火を上回る緊急避難対策というものは考えておると思いますが、それをお尋ねしておきたいと思います。  続いて、島民一万数千の人たちが都内へ今避難しているわけでありますが、これに対する衣食住を含めた当面の生活手段について厚生省はどういうように対応しているのか、この点をお尋ねしたいと思います。  それから対策本部に対して、現在までの被害状況及び被害総額についてどういうように想定されているのか、これをお尋ねいたします。  それから四つ目には、農水省にお尋ねいたしますが、島内における農産物、水産物の被害状況、とりわけここで飼育されております畜産動物の現状、酪農あるいは養鶏等が行われておりまして、非常に御苦労いただいておるようでございますが、この実態と事業再開までの当面の対策。第一次の対策の人はきのう帰ったようでありますが、やはり生き物相手でありますから第二次、第三次と対応しなければならぬと思いますが、当面のそういう対応と長期にわたった場合の再建の方策についてどういうように考えておるのか、お尋ねをいたします。  第五番目は、今の状況からいうとかなり長期にわたるということになると、今避難している人たちは、親戚その他にもおるようでありますけれども、長期にわたるとなかなか親戚にもいづらいということから体育館その他行政が定めたところに引き返してきているということで、一時減ったものがまたふえているという状況もあるわけであります。過去の災害対策を見ておりますと、こういう集団的な生活というものはなかなかうまくいきませんで、三日、四日、五日はいけてみても、これが十日、十五日に及びますとさまざまな人間関係を含めて複雑な状況が生まれてくる。しかも人間は働いて生きているわけですが、労働がない、働けないという現状から見るとこれ以上放置できないのではないか、あるいはああいう集団生活ももう限界に来ているのではないかという気がするわけであります。  そういう意味で、一つは住宅対策、何か東京都は六本木の林野庁の住宅を当面使わせたらどうだという話もあるようですが、住宅対策を早急にやるべきである、こういうふうに思うのであります。住宅局の方でそういう検討がされているのかどうか。  あるいは経済的にもかなり困窮していると思うのですが、聞くところによると、災害弔慰金等に関する法律はどうも適用にならないということのようですね。ならないでしょう。ところが、世帯更生資金の貸し付けの分で災害援護資金が適用されるということがあるのですが、ああいう集団生活をしている中で、私ちょっと銭を貸してもらいたいということはなかなか言いにくいわけですね。したがって、これはなかなか申し入れは出てこないだろうと思うし、それよりもやはりほかの面で救済対策を考えなければならぬと思うのでありますが、対策本部なり厚生省はどういうように対応しているのか、お尋ねをしておきたいと思います。  同時に、労働省に御出席いただいているのですが、今言ったように三日や五日ならいいのですけれども、十日、十五日になりますと、働かないであの公民館、体育館でじっとしているということはなかなか苦痛なんですね。したがって働く場所を考えなければならぬ、地元に帰れないわけですから。ところが、今までの経験なり職業からいってそれぞれ個別に違うだろうと思うのです。したがって、住宅の場合もそうでありますが、その場合にどういう希望があり、どういう経験があるのかということを個別に聞いていかなければならぬと思うのです。労働省はこの人たちに対して、長期にわたった場合の労働対策としてどういう対応をしているのか。あるいは意見を聞いていると思いますが、そこらの点もお尋ねしておきたいと思います。
  36. 村岡兼造

    村岡委員長 質問は多岐にわたりますので、各省庁とも順次答弁をしていただきたいと思いますが、まず第一番に消防庁。
  37. 田中基介

    ○田中説明員 避難の関係についてお答えを申し上げます。  現在の伊豆大島の状況からいたしますと、大島町民がいつ島に帰ることができるのか、また次の噴火があるのか、あるとすればどのような規模か、これは必ずしも明確ではございませんが、いずれにいたしましても、火山噴火予知連絡会、気象庁、大学の研究機関などの観測監視機関とそれから町当局を初めとする防災機関が緊密な連絡をとり、火山情報を的確迅速に住民に伝達する、また、あらかじめ海上保安庁、自衛隊などと避難方法について十分協議しておくことが必要であると考えております。また、避難に関する情報を正確かつ迅速に伝達をする体制につきましては、既に大島町では防災行政無線が同報系、移動系とも整備されておりまして、今回の避難に際しましても避難指示の伝達に大きな役割を果たしたと聞いております。  消防庁といたしましては、従来からこれらについて指導してきたわけでございますが、今回の噴火の教訓を踏まえまして、引き続き対策の強化を指導してまいりたいと考えております。
  38. 福田孝雄

    ○福田説明員 三原山噴火に対する厚生省の対応でございますけれども、厚生省では、東京都大島町に対しまして災害救助法を二十一日適用したところでございます。これに基づきまして、島外に避難された住民の方々に対する避難所を設置しましたほか、炊き出し等の食品の給与、また毛布であるとか寝具の給与または貸与、そのほか生活必需品の給与を行っております。また、負傷者に対します医療の実施等の応急救助も実施しておりまして、これらにつきましては今後とも引き続き行いまして、避難住民の方々の生活の安定に努めてまいりたいというふうに思っております。  それから、避難住民の方々に対する貸付金の問題でございますけれども、被災者の方々の当面の生活の安定を図るために、世帯更生資金によります災害援護資金の貸し付けを行っているところでございます。これにつきましては、なるべく借りやすい形にいたしますために、できるだけその手続等を簡素化するように東京都に指導しておるところでございます。
  39. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 先生お尋ねの、今回の災害の被害の状況でございますが、御案内のとおり、十五日に噴火活動が始まりまして、その際の降灰等によりまして農作物被害が出ました。この農作物被害につきましては、二十日現在で約一億八千七百万程度の被害ということで報告されておりますけれども、その後再び二十一日以降活発な噴火活動が起こっておりまして、これによって、ともかく全島民を緊急に避難させるという対応に追われております。そういう現状で、現在の段階ではその後の被害の把握はできておりません。しかしながら、噴火の活動状況から考えますと、なおさらに被害が拡大しているものと考えられます。今後関係省庁と十分連絡をとりながら、火山の活動状況の推移を見きわめながら、被害状況の早期把握に努めてまいりたいと思います。  それからもう一点、ただいま厚生省の方から避難者に対する応急救助の対応につきましていろいろ御説明申し上げましたが、先生御指摘のように、一昨日の火山噴火予知連の見解にはかなり厳しいものがございまして、決して予断を許さない状況にあるということが言われております。こういうことを考えました場合に、帰島の問題を考えます場合も直ちに帰島というものが困難な場合も考慮して対応を考えておかないと、避難された住民の方も非常に不安に感じるだろう、こういう観点から、昨日の第二回目の対策本部会議におきまして、直ちに帰島することが困難な場合をも考慮した対策推進するということで、例えば学校の就学問題あるいは避難民の住宅問題等々につきまして関係省庁であらかじめそれを予想した場合の検討を進めるよう、私ども本部会議で決定したところでございます。
  40. 青木敏也

    ○青木政府委員 お尋ねの農作物の被害状況につきましては、ただいま国土庁から御答弁があったとおりでございます。  水産物関係についてのお尋ねがありましたが、率直に言いまして、第二次噴火以降こういう状況でございますので被害の実態を的確に把握することは非常に困難でありますけれども、私ども現在手元に情報としてキャッチいたしておりますのによりますと、漁業関係では、地元の漁協が一部養殖施設を運営いたしておりましてイセエビ、アワビ等をやっているわけでありますが、停電等の事態によりまして一部酸欠的な形で、これは約三十万という被害額の報告がございます。あと心配されることは、地元でいわゆるくさやの生産をやっておりますが、この辺の、くさやの原液の適正な管理をいたしませんと大変なことになるという問題が懸念されている実情にございます。  それから、特にお尋ねの畜産関係でございますが、畜産関係につきましてもその被害の実態を的確に把握することが困難でありますけれども、私ども報告を受けているところによりますと、一部乳牛等に乳房炎等が発生をいたしておりまして、現在獣医師等によります治療等もいたしているわけでございます。今後ともこの辺の被害の実態につきましては早急に的確な把握に努めますが、今後の対応といたしましては、畜産等につきましては御指摘のとおり何せ生き物でございます。畜産のほかに、地元で農作物関係ではハウスの関係をやっております。これも放置はできないですね。一日何回かハウスを開閉する、そういう管理も必要でございますので、畜産あるいはそういうハウス等につきましての緊急のそういう救援チームの派遣ということを都の方で具体化いたしておりますが、国の立場におきましてもそういう体制について支援をしていきたい。  また、長期的な再建措置というお話がありましたが、それは被害の推移に応じて検討しなければならないわけでありますが、例えば家畜等につきましては、島の場合かなり牛等につきまして家畜共済の加入率が幸い高いように承っておるわけでございます。先ほどの乳房炎の治療費等につきましても、これは家畜共済の共済事故たり得るわけでございますので、そういう対応もできますし、またさらには、ひいてはその資金需要等も的確に把握いたしながらそういう適切な対応をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  41. 片山正夫

    片山政府委員 避難が引き続き継続いたしました場合の住宅対策といたしましては、既に建てられております公営住宅等の公的住宅のうちの、年々発生いたします空き家を仮の施設といたしまして一時的に転用することを、関係省庁それから東京都と協議しながら検討しているところであります。
  42. 山口泰夫

    山口(泰)説明員 職業紹介体制の問題でございますけれども、被災によりまして離島された方々の都内での就職を希望される方々に対しまして、昨日、十一月二十五日でございますが、大島を管轄いたします飯田橋公共職業安定所に特別職業相談窓口というのを設置いたしまして、御指摘のような希望、そういった職業相談、紹介、あっせんという体制を確立したところでございます。  なお、被災された方々の中に雇用保険を受給しておられる方々がおられるわけでございますけれども、そういう方々に対しましては認定の日を変更いたしまして、都内の施設に避難しておられる方々に対しましては安定所の職員が出向きまして認定を行う。また、その他親戚、知人等のお宅に避難しておられるような方々に対しましては、次の認定日が十二月十七日ということになっておりますけれども、その前日までにただいま申し上げました飯田橋の公共職業安定所の方に出頭していただきまして、そこで認定、給付を行うという態勢をとっておるところでございます。  今後におきましても、災害の動向を見守りながら、関係機関と連携を密にいたしまして迅速的確な対応を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  43. 三野優美

    ○三野委員 住宅局長お尋ねしますが、今、公団その他持っている空き家住宅あるいは六本木の住宅も開放しろ、こういうお話があるのですが、今用意できる戸数というのはどのくらいで、希望があればいつから入れますか。
  44. 片山正夫

    片山政府委員 避難された方々の総数が一万人で、体育館等の公的施設に仮におられる方が約千六百と私ども承っておりますが、まだ島民の方々の御意向を伺っているわけではございませんで必要数がはっきりいたしませんので、何ともその点については現在段階ではお答えしかねますが、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  45. 三野優美

    ○三野委員 国土庁長官、今お聞きになったとおり、例えば住宅対策にしても、まだ島民の意見を聞いてない。いわば今のところは体育館か公民館にいるからということなんでしょうけれども、先ほど言ったように、私は、そろそろ一週間、十日たちますともう限界に来ていると思うのです。いらいらするでしょうし、やはりああいうところで生活していますと、何ぼ同じ島の人といえどもさまざまな問題が起きてくるだろう。しかも、まだ働く状況ではないということですから、また帰れる見通しが立たないものですから、やはり私は、できるだけ個別に生活できる環境を保持しなければならぬと思うし、また労働対策も含めてやるべきだと思うのです。  また、厚生省の方も、災害弔慰金というのは出せないわけで、わずかの貸付金、希望があれば応じるよという程度なのでして、従来の、例えば水害に遭っただとかあるいは火災に遭っただとかいう災害とは違うわけですね。  率直に申しまして、政府としても、いわば予期しない事態が起きたし、経験もそうないんじゃないかと思うのです。したがって、この現状というものを考えてみた場合に、例えば帰島する場合も、家畜なんか飼っている人はやはり家族みたいなものですし、さっきも言ったように共済に入っているから保険もらえばいいという話にはならないわけなんでありまして、例えば、一時部分的に帰島して、いつでも災害があった場合に引き揚げられるような状況をとるだとか、あるいはまた、先ほど消防庁が言っていたように、できるだけ二十一日を上回る体制をつくりたいと思っていると言うけれども、具体的にはこういう方法で今準備できます、こうなってないのです。したがって、この際政府は、この異常な事態に対して特別な政府としての措置をとるべきではないのか、こういうふうに思うわけですね。長官が本部長で対応されておりますが、閣議でひとつ議論をして特別な対応をする、場合によると、この臨時国会にも特別な法律的な措置も含めて考えるべきではないかと私は思うのでありますが、この際、長官の御意見を聞いておきたいと思います。
  46. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 このたび突然の噴火によりまして、今避難をしておられます島民の皆様方に心からお慰めを申し上げたい、こう思っておるわけでございます。  今御質問がございましたが、政府の方もいち早く伊豆大島噴火対策本部を設置いたしまして、二十一関係省庁が集まりまして、まず島民の生命を守るということを最優先に、世界的にも初めてだと言われます今回の一万人余の皆様方の安全な避難を実施したわけであります。そしてその後も、当面の生活にお困りにならないように各省庁が手分けをして対策を講じてまいりましたし、児童生徒の皆様方にも就学を続けていただくような応急措置も今講じておるところでございます。  災害救助法も適用いたしたわけでございますし、当面はこの面で皆様方に御不安のないように万全を尽くしてまいりたいと思いますが、いつ帰島できるか、こういうことが皆さん方の一番大きな関心でございます。我々といたしましても、島民の皆様方の御不安が少しでも解消できますように、今三野さんからおっしゃいましたように、安全性をまず確認した後で、やはり村の様子を少し見に行ってくるとかあるいは財産その他を確認するとか、こういうような方法ができないものか、そして残っておられる皆さんが少しでも安心できるような方法から手始めにできないか、これを今模索しておるところでございます。  そのために、予知連の皆様方にもお集まりをいただきまして、今慎重な検討をいただいておるわけでございます。立法措置をすることによってこの対策をするということよりも、当面、不安解消、そして帰島ができるような方向が実現できないものか、この辺をひとつ十分考えていきたいと考えておる次第であります。
  47. 三野優美

    ○三野委員 長官、もちろん当面のやれる範囲の中で緊急な事態に対応するということは重要だろうと思いますが、これがあと二日、三日で帰れるという見通しが立てばいいのですけれども、五日、一週間たってみてもなお方針が出ないということになると、今言ったように住宅対策だとか生活保障の問題だとか労働対策だとかあるいは教育問題とか含めまして当然政府として特別な措置をしないと、今までの災害救助法その他は水害とか火災というものを想定をして、地震ももちろん想定してあるけれども、こういう村じゅうが全部引き揚げなければならぬという事態は想定はされてないものと思う。ですから、例えばこの災害救助法でも、適用しようと思ってもできないという弱点が出てきたわけですからね。あるいは家が焼ければ、人が死ねば見舞い金を出すよというのであって、こういう事態ではないわけですね。したがって、そういう点では立法措置も必要かと私も思いますので、少なくともここ二、三日来のそこらの状況を見て決断をしてもらいたいということを私は特にお願いをして、この点は終わりたいと思います。  続きまして、建設省の方にお尋ねをいたします。  今度、建設大臣を含めまして、内需拡大、円高不況ということで補正予算を含めて非常に御努力をいただいたようでありますが、まず最初にお尋ねしたいのでありますが、公共事業の重点配分を実施すべき都道府県として十四県が選定をされました。これはどういうものが基準になっているのか、ひとつお示しをいただきたいと思います。  それから二つ目には、この補正予算における公共事業拡大というのは内需拡大、円高不況対策だ、こういうのでありますが、いわば円高も含めて今日の経済状況の悪化に基づいて中小企業の倒産、あるいは大企業も含めて各種業種の中に失業者が増大しつつある、いわば三%に、あるいはアメリカの統計と同じようにすれば五%を突破するんじゃないかという説さえあるわけでありますね。したがって、今度の補正予算における公共事業拡大というものが雇用の拡大、失業者の吸収にどういうように反映されるとお考えになっているのか。これは非常に難しい問題なんですが、私、前からいろいろ議論を持っているのですが、これをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  48. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 まず最初の点でございますが、建設省といたしましても円高不況等による地域へいろいろ重点配分いたすという方針でいたしております。今御指摘にありましたように、具体的に十四の道県につきましてある程度重点配分いたしました。この基準は、一応有効求人倍率が全国の平均よりも相当下回っているものを中心にして考えたものでございます。  それからなお、今回の補正予算における事業規模、公共事業一兆四千億でございますが、この公共事業の追加による失業者に対しての救済はどうかという点でございますが、今先生おっしゃいましたように計算はなかなか難しいのでございますが、一応マクロ的な試算は建設省でもいたしております。産業連関表を使いまして就業誘発者数というものを計算いたしますと、約三十万人の就業誘発効果があるのではないかというふうに試算はしておりますが、ただこれは、現実にそれだけの人が失業から救えるかというと必ずしもそうではなくて、労働時間が多くなったりというようなことで実際の、現実の数字というものはなかなか算定しにくい点がございますが、相当な効果はあろうかと思っております。
  49. 三野優美

    ○三野委員 今、官房長が言われたのでありますが、恐らく有効求人倍率を試算にしたんだろうと私は思うのです。一応役所的にはそうなるだろうと思うのです。ただ、現実はそうじゃなしに、例えばこれはほかにもあると思うのですよ。私のところの香川県などは手袋の産地ですね。これは家内工業が多いわけなんです。輸出がずっと落ち込んでみても、家内工業なものですから、いわば手袋千持ってきたよ、何日の何時までしておきなさいというだけであって、あともう来るか来ないかわからぬという状態なんです。ボタン産業の場合にもそうなんですね。そういう場合も、ほかにもたくさんあると思いますよ。したがって、数字の上で出ない潜在失業的なものが非常にあるわけなんでありまして、私は一応役所的に言えば有効求人倍率で出すしかないのだろうと思いますが、これは必ずしもそういう点では実情にあってないということも申し上げて、今後こういう場合に十分配慮してもらいたいと思います。  それから、失業者を一体どれだけ吸収するのか、これは結果が出ると思いますが、そのときまた改めて議論しましょう。確かに私も非常に問題があると思っているわけであります。全体として景気浮揚になるだろうけれども、それは問題あると思います。これはひとつその際にしておきたいと思います。  この際、建設大臣お尋ねしたいのでありますが、今度の補正予算の内容を見ると、ゼロ国債の計上を含めて、建設省本省も含めて特に出先ではかなり事業量が膨大になるわけであります。そういう点では、一体建設省の今日の定員の中でこれだけの膨大な事業量というものが円滑に実施できるかどうかということについての見通しはどうなんでしょう。
  50. 天野光晴

    天野国務大臣 なかなか行政機構の改革で絞られつつある定員でございますから、予期せざる仕事を持ち込まれますと大変なことは十二分に承知いたしております。そうですから、今度の一兆四千億の公共事業の配分につきまして、特に債務負担行為を一〇〇%ということでございますから、そういう観点から事務的手続が非常に煩瑣になります。なかなか容易でないわけでございますが、完全に予定どおり執行できるように、今の中では無理なところもありますが、執行に万全を期しておるところでございます。
  51. 三野優美

    ○三野委員 今建設大臣も言われたように、かなり無理なところがあるということでありますが、見てみますと確かに地方の建設局なり工事事務所ではかなり無理をしているということがあるわけです。私も地方議会で五期ほどやっていたものですから、国道など建設省の仕事も随分動員されましてお手伝いしたのですが、夜を徹してやって、かなり無理がある。しかも地元の要求に応じ切れないという事態があって、かえって人手不足が事業執行をおくらしているという現実もあるわけなんです。  ところが、御承知のように今度政府の方は行政改革という名のもとで各省庁の定員削減が出ているのですが、それを見ますと、第一位が農林水産省、第二位が北海道開発庁、第三位が建設省となっているのであります。今後ますます公共事業拡大していかなければならぬというのに、どうして建設省がこの目玉に挙げられちゃって減らされる部分のトップグループに入ったんだろうかと。大臣を含めて本省の皆さんは、予算を取ることは、工事の仕事をとることには非常に熱心なんですが、それを執行するための定員確保なり職員の働きやすい条件というものをともに考えなければならぬではないか、こういうように思うのです。  見てみると、他の省庁から見ると超勤だけは多いわけですね。これはもちろん用地交渉などがあるから特殊な仕事があるにしても、夜通ってみると、夜じゅう電気がついて、やはり用地交渉以外のこともやっているわけです。他の省庁から見ると超勤が非常に多い。あるいは、私は現地でやってみてよくわかるのですが、道路を早くつけてもらおうと思うものですから自治体もかなり手伝っているわけですね。一部事務委任している分と、してない分とありますが、してない分までも県や市町村がともに交渉しなければ対応できないというほど人手不足がある。そのことが今言ったようなこの困難な事態を生んでいる。  もう一つ特に感じるのですが、あなたのところは二年か三年でとにかく転勤が多いわけです。いろいろと地元の交渉しているのを見ても、今度かわってみたら、また違う人が来るものですから全く話がとんちんかんで、いかないということもあるのでありまして、そういう点の人事管理について私はやはりもっと重視してもらいたいということなわけであります。その点についてぜひお尋ねをしておきたいと思います。  それから、建設省関係でもう一つ触れておきますが、先ほども住宅建設のことが出ていましたが、これはまた次の機会にするとしまして、私は木造建築住宅、個人住宅をやるべきだと思うのです。大臣もこの前言っていたように、政府は貧乏しているけれども個人は金を持っているのですよ。この持っている銭を使ってもらうためには、土地を持ち資金を持っている個人住宅に期待しなければならぬ。そうすると、変なところに銭を出すよりも、ここへ補助金を出したって私はいいと思う、木造個人住宅をやる場合には。先ほども出ておりましたが、そういう大胆な方針をとるべきだと思いますから、この点も含めて申し上げてお尋ねいたしたいと思います。
  52. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 第一点の建設省の定員削減計画における数字、ほかの省庁に比べても多いではないか、こういう御指摘でございます。今年度でもちまして第六次が終わりまして、来年度から第七次の定員削減計画が発足することになりまして、そこにおきましてもパーセントで申し上げますと六・七六%の減員ということに決定いたしております。  この定員削減計画につきましては、各省それぞれについていろいろ総務庁の方で判断をし、協議しながら作成するものでございますが、ほかの省のことは必ずしもよくわかりませんけれども、ほかの省の場合には仕事が、この業務にはこれだけの人間がいなければならぬという対応関係が非常にはっきりしているような面がありまして、そういったところは除外されるというようなこともありまして若干低いところもあると思います。建設省の場合はその点、業務量と人間の相関関係というものがきぱっと一対一でなかなか決まらぬということが、攻められますとなかなか守りにくいというところがざっくばらんに申し上げますとありますが、その点は私ども実は非常に深刻に考えておりまして、今回の第七次の削減計画に当たりましても総務庁とも相当真剣な議論を深夜にわたってやりました。その結果、残念と言ってはあれですが、マイナス六・七ということになっておりますけれども、前回の計画に比べますと相当削減率並びに数は少なくしたつもりでございます。それと同時に、どうしても必要な職務につきましては一方では増員が認められるわけでございまして、削減計画とは別に増員の分につきましては従来と違ってより大幅に確保したいという方向で、大体総務庁ともそういう方向で協議しておりまして、そういったことでもって何とかカバーしてまいりたい。いずれにしましても仕事そのものの合理化というものは一方でしなければならないわけでございまして、できるだけ委託できるものは委託する、あるいは機械化、OA化することによって人間を少なくする面はするということ、現在既にもう相当やっておりますけれども、今後ともその点は進めまして、一人の職員に与える荷重というものをできるだけ少なくすると同時に、業務を円滑に実施してまいりたいと思います。  いずれにしましても、建設省の職員、非常に事業量が増大したり、また今回の補正とか前倒しとかいろいろ業務がありますが、仕事の重要性というものはほとんどの人間が十分認識しておりますし、十分やる気を持って文句も余り言わずにやっておるということでございますが、それにいたしましても適正な人員配置とかそういったことも十分考えてやってまいりたいと思います。  二点目の地方公共団体への委託、これは確かに一部やっております。これはやはり地方公共団体にお願いした方が一部の用地とかその他円滑に進む面もありますものですから、それはそれで進めさせていただきたいと思います。  それから三点目の、職員の転勤が頻繁ではないかということでございますが、これは一応データ的に見ますと、管理職で二年なり二年半、一般職員では平均的には四年なり五年、本省は別でございますが、地方建設局におきます職員は大体そんなようなことでございまして、ほかの省に比べ特に頻繁であるというふうには考えておりませんが、今先生の御指摘の点も今後とも考慮に入れていきたいと思います。
  53. 三野優美

    ○三野委員 職員の交流が他の省庁より頻繁ではない、特別ではない、そのとおりかもわかりませんが、ただ、おたくの場合は現場で直接用地権者なり住民と接触しているということがある。ほかの省庁は、少しかわってみてもどうということないところもあるのです。その特殊性というものをやはり考慮に入れなければならぬことが一つです。  もう一つは、この際建設大臣、これもお聞きになっていただきたいと思うのですが、技術屋さんが多いでしょう。県の場合もそうなんです。土木の人というのは、仕事をとってくる、仕事をするのは一生懸命するんですが、人事管理やあるいは定員を確保するとか、そういう点は率直に言ってちょっと弱いんじゃないかと私は前から思っているわけなんですね。したがってこの際、大臣もその点はひとつ十分に考慮に入れて、あそこに座っている偉い人にもそういうことはちゃんと言ってもらうし、あるいは大蔵省なり総務庁にもそういう点はちゃんと言わないと、仕事はふやす、公共事業はやれやれとやっていながら定員削減はトップグループで行っているというのでは、これでは現場の方はもたないし、そのことが逆に言えば仕事が粗雑になるし――そうはいってみても一生懸命やっていますよ。しかし粗雑になるし、住民に不満をもたらしているということをぜひ御理解をいただいておきたいと思うのであります。  続きまして国鉄の用地の関係に移らしていただきますが、今国鉄の分割・民営で国会審議中でありますけれども、既に国鉄当局は全国でかなりの数の面積と箇所において売却予定地が想定されているわけであります。その箇所数と総面積をひとつお示しをいただきたいと思います。  それから、続いて申し上げますが、実はその例として私の住んでいる高松港頭地区ですね、高松駅のところですが、ここも実は既に国鉄の売却予定地に入っております。この売却予定地に入っているところで高松市と香川県が、もちろん運輸省、建設省等関係省庁、国土庁も含めて協議をしながら再開発というものを考えているわけです。こういうところで既にもう国鉄の中では赤線が入っちゃって、今売るのかいつ売るのか知らぬけれども予定しているわけですね。こういうことになりますと地元の計画なり研究しているのがパアになっちゃう。これは少なくとも税金使ってやっているわけですからね。こういう問題もありますから、ひとつ全国的な箇所数を明示していただくと同時に、私はこの際国鉄から報告をいただきながらぜひ御検討いただきたいと思うし、大臣にもお願いしたいのでありますが、自治体なり公共団体で再開発なりその他計画ができているところについては、当面国鉄の用地――あるいは国鉄だけじゃなくてもそうなんですが、当面国鉄の場合ですが、用地売却を凍結すべきである、このことを考えるわけなんでありますが、その点はどうでしょうか。これは議論もされていますが、将来その計画が整って売却する場合にも、私は、できるならば基本的には国鉄がその土地を持ってこの都市計画なり再開発にともに参加すべきである。そして、これを活用することによって本来の事業である鉄道部門をより活性化する。これは私鉄がそれをやっているわけですね。民営的手法あるいは民営だというならば、私は国鉄法を一部改正すればできると思うのですがね。そういう意味で、国鉄が売ることを考えるのではなしに、百十年かかってつくった財産ですからみずからこれをいかに活用するかという方に立たないと、貧乏している、貧乏していると言われるものだから売ることばかり考えちゃって、しかも地域における都市計画にも影響するような事態があると思うのでありますが、この点について建設大臣の方は運輸省なり国鉄に対してそういう意見を申し上げるべきだと思うのですが、その点もあわせてお尋ねをしたいと思います。
  54. 北村廣太郎

    北村(廣)政府委員 国鉄側の資料によりますと、国鉄関係の処分予定地は全国で六千八百八十四カ所、三千三百三十ヘクタールございます。この中で私どもが都市の再開発等に利用できると考えております箇所が約百五十カ所程度ございます。これはまだ単に私どもが構想している段階でございます。  具体的に、それならば国鉄用地を現在どう事業に使っているかということにつきましては、現在都市計画事業で施行中のもの、土地区画整理事業、この中に新都市拠点整備事業等も含まれます。それから市街地再開発事業、合わせまして、地区数にいたしまして三十三カ所、地区面積で三百六十四ヘクタール、うち国鉄の面積が七十一ヘクタールでございます。それから次に調査中のもの、これは国庫補助を出して調査しているものでございます。市町村あるいは都道府県単独のものは含んでおりません。これは全国で地区数二十九ヵ所、地区面積、これは国鉄面積をどれだけ取り込むかということは国鉄用地がまだ決まっておりませんので、地区面積で申し上げますと八百七十六ヘクタールでございます。  これらの用地を都市開発等に使う際には、現在でも地元と国鉄御当局とは十分に協議してやってまいっておるわけでございます。ただいま国鉄分割・民営化の法案が国会で御審議中でございますけれども、新しく発足する事業体あるいはその処分をする清算の事業団というものにつきましても、今まで同様、十分地元の意向を取り込みながらその辺の御処分あるいは活用について御考慮をいただきたいと考えておる次第でございます。
  55. 岩村敬

    ○岩村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘のあった国鉄の売却といいますか、処分対象用地でございますが、建設省さんの方から御報告ありましたように、三千三百三十へクタール、六千八百八十四カ所でございます。ただ、この用地につきましては、現在参議院で御審議いただいております国鉄の改革法案が成立いたしました後、第三者機関の意見も聞きまして、この用地の仕分け作業をいたすところでございます。そういう意味で、今申し上げました数字につきましては、現在の国鉄の案ということでございます。  いずれにいたしましても、この用地につきましては、国鉄改革、現在の予定では来年の四月一日といたしておりますが、四月一日以降国鉄が変わりますといいますか、国鉄の残された姿でございます清算事業団、ここにおきましてこの用地の処分をいたしてまいるわけでございます。その際、先生御指摘の地元におきますそういう土地の利用に関する計画等とどう調整を図っていくのかということでございますが、これにつきましては、清算事業団に設けられます資産処分審議会というところで、こういった地元の御意向ないしそういった計画との調整なども図りながら資産の処分に当たってまいりたいと思います。資産の処分につきましては、国鉄の改革の一つの大きな問題となっております三十七兆余に上ります長期債務の処理ということが一方でございまして、その長期債務の処理に支障を与えないような形で、それと今申し上げた土地の利用との調整、そういったことをこの審議会でいろいろ御議論いただいた上で適切な処分をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  56. 三野優美

    ○三野委員 先ほどちよっと示しました高松の港頭地区については、新都市拠点整備事業をやろうということで地元で調査してやっているわけであります。建設省の方では開発調査地区ということで今御考慮いただいておるようでありますが、その見通しお尋ねしておきたいのと同時に、これは新都市拠点整備事業につながるものと考えていいのかどうか、これをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  57. 北村廣太郎

    北村(廣)政府委員 高松港頭地区につきましては、現在のところ、六十年度、六十一年度年度にまたがりまして国庫補助事業といたしまして区画整理の調査をやっております。それから独自に、県と市で共同いたしまして港頭地区総合整備計画調査というものを施行されておる段階でございます。続きまして六十二年度、私どもで新都市拠点整備事業につながる調査といたしまして、ただいま御質問にもございました開発構想策定のための前提となる調査を手がけたいということで、予算要求中でございます。  内容につきましては、地区面積が五十一・四ヘクタール、うち国鉄跡地面積が十六・一ヘクタール、埋立予定他を予定しておりますが、これは一二・九ヘクタールでございます。それから機能といたしましては、商業業務機能、それから情報機能、ターミナル機能等、市の中心にある好条件からいたしましてできるだけ高次の都市機能を備えたものとして事業化したいということで、地元と十分現在相談中でございます。
  58. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。  続いて、本四架橋の問題、先ほどもちよっと出ておりましたけれども、大臣が言っていたように、完成は昭和六十三年三月末ということでいいでしょうね。確認していいのだろうと思いますが、その点を確認しておきたいと思います。先ほども出たように、博覧会、六百万の人を動員しよう、しかも海外にまで宣伝しているわけなんで、これが狂いますと全く大変な事態になりますので、その点をぜひよろしくお願いをしたいと思います。後で大臣答弁のときに、添えてひとつ御答弁いただきたいと思います。  それから、今、完成に向けて努力していただいております瀬戸大橋児島―坂出ルートが決定する段階で、昭和四十一、二年のころでありますが、宇野―高松、それから今の児島―坂出ルートという二つの案があって、非常に困難な事態があったのですが、これを一本化する際に、当時建設省から香川県に派遣をされております重野土木部長は、坂出と宇多津に決定をするけれども、この起点は高松市及び岡山市である、こういうことが言われて決定をした経過があるわけです。新聞にも載っておりますが、「道路、鉄道も高松起点」こういう経過があるのでありますが、これは御承知でしょうか。これは当然建設省も含まれてやっていることと思いますが、そうなりますと、本来ならば昭和六十三年の瀬戸大橋の供用開始の段階には、高速道路は、今善通寺―高松、くい打ちだけやっておりますね、これがともに供用開始されるということが前提だったわけなんであります。住民はそう思っていたのです。ところが、現実には非常におくれまして、今まだ買収に入ってないという状況なんでありますが、この約束に近づけるとすればできるだけ早めてやらなければならぬと思うのでありますが、地元のこういう約束に対してこたえるためにこの高速道路の供用をいつごろまでに開始できるようにやろうとしているのか、ひとつその見通しについてお尋ねをしておきたいと思います。  それから二つ目は、明石海峡は昭和七十二年度の完成ということで準備をしておるようでございますが、これはそう考えてよいのかどうか、これをひとつお尋ねします。  以上です。
  59. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘の児島―坂出ルートの完成時期につきましては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおり、何とか六十二年度末までに供用開始ができるように努力をいたしたいと存じます。ただ、その節、大臣も御説明申し上げましたけれども、この工事工程は海上部の大規模橋梁の工事工程に左右されることになります。ことしの冬の季節風の強い時期あるいは来年の台風季におきますいわゆる荒天時、作業を中止しなければならない時期、これがどのような期間になるかということによりまして最終的な工事スケジュールが決定されることになりますが、私どもといたしましては何とか努力をいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。  また、昭和四十一年当時、いわゆるDルートにつきまして、道路部門、鉄道部門ともにどのようなところに起終点を設けるかということでいろいろ御議論があったということは承知をいたしておりますが、現在の本州四国連絡橋三ルートは、昭和四十四年五月に策定をされました新全国総合開発計画におきまして正式に決定をされたものでございます。その決定のもとでつくられました基本計画では、Dルート道路部の起終点は岡山県早島町と香川県坂出市というふうになっております。しかし、道路計画としては、それぞれ本土側は山陽自動車道、それから四国側は四国横断自動車道と連結されることになっておりまして、事実上は高松市と岡山市を起終点とする道路交通体系ということができ上がることになろうと存じます。  第三点目といたしまして、先生御指摘の、そのようなことであれば当然のことながら善通寺―高松間も同時に供用開始を図るべきではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましてもそれは当然予想をいたしまして懸命に事業化のための努力をいたしましたけれども、大変残念なことながら路線の選定に当たりましていろいろトラブルがございました。その点で私どもは急遽、先ほど申し上げました臨海道路、それから坂出―丸亀ルートをとりあえず開通をさせまして、とりあえずのアクセスにしたいということでございますが、この善通寺―高松間の供用につきましてはできるだけ早くこれを図るように努力いたしたいと存じます。  第四点の明石海峡大橋の供用開始時期は、現在諸準備を行っております。この準備を終わり現地に着工後十年の工程を予定をいたしておりますが、私どもといたしましては、ぜひこの準備を六十一年度、六十二年度に終わりまして六十三年度から着工いたしたい、そういたしますれば七十二年度の供用が図れるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  60. 三野優美

    ○三野委員 時間が来たようでありますので、いろいろと通告しておったんですが省かしていただきまして、一、二点最後にお願いしておきたいと思うのであります。  この明石海峡が七十二年に供用開始ということになりますと、これは委員長以下各党の先輩の先生方に現地も見ていただいたわけでありますが、先ほども出ていたように中国側本土は山陽道路、そして中国横断道路四国側は瀬戸大橋等、この明石海峡を含めて循環しなければ二兆数千億を投じたものが有効に生きないと思うのです。したがって、私はこの際中国横断道あるいは山陽道も含めまして高松から津田まで、津田から向こうは徳島まではまだ路線決定もされてないわけでありまして、この点についてはひとつ建設大臣として、この明石の大橋に合わして完成さすということの努力をするというお答えをいただきたいと思うのですが、どうでありましょうか。その点が一点であります。  それから最後に、水不足が実は出ている。先ほども報告の中で小豆島のことが出ていたのですが、実はこれはじっくりやりたかったのですが、時間がありません。小豆島は実は毎年水不足で、給水船で水を本土から運んでいるわけなのであります。御承知のように観光しかない、水心足ということになると不潔だということで人が来なくなっちゃうので致命的なのでありますが、吉田ダムも前議員の前川旦さんからもお願いし、委員長にも地元から随分お願いしたわけでありますが、この点について着工見通しをひとつお願いしたいのと、当面の措置についてもぜひ重要視をしてもらいたいと思うのであります。  それからもう一つは、過去五年間のいわば治山治水予算というのはどうなっているのか、この点をひとつ聞かしていただきたい。私の聞いている範囲では、余り伸びていないじゃないかという気がするのです。これほど治山治水が問題になって、いわば水源税まで、私は反対でありますが、水源税まで出さなきゃならぬ状況の中で、この予算の伸びではとてもどうにもならぬと思うのでありますが、この際大臣は、今の現状を踏まえてこの来年度予算を大幅に伸ばすということについてぜひ確信のある御答弁をいただきたいと思います。  以上で終わります。
  61. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 大臣の前にひとつ。  二点ございますが、第一点は治水事業の対前年度の伸びでございますが、五十七年度が一・〇一、五十八年度が一・〇一、五十九年度が一・〇一、六十年度一・〇五、六十一年度一・〇二でございます。  第二点目でございますが、小豆島の吉田ダムについてでございますが、本年度、すなわち六十一年度に新規に実施計画調査に着手しておりまして、早期に完成するように考えております。  以上でございます。
  62. 天野光晴

    天野国務大臣 道路の問題ですが、鳴門大橋と明石架橋、まだできておりませんが、児島―坂出ルートの橋が全部循環状態でやれるということが理想であります。そういう点で、先ほど私が一番気にしておったのは高松と坂出間の国道なんです。これはもう三年も前からやっておるのですが、なかなか地元の御協力が願えなくて残念ながらまだ着工の段取りにはなっておりませんが、これも地元の御協力をいただいて急いでもらいます。それと、高松から徳島を通してという道路の問題もありますが、高規格自動車専用道路などというような陳情もありますが、まだこれは決定している問題ではありませんので、決定する段階において考慮したいと思っております。  それと、水の税金の問題ですが、先生から、水は欲しい、早くやれ、税金は反対だという今御意見がございましたが、全部の国民がそのようですね。この間、関西から中国のある財界の代表者が陳情に参りました中に、税金反対がありました。それは筋論からいけば、先ほど申したように当然一般会計で出すべき筋でありますが、今の経済状態では出せない。山が荒れほうだいに荒れてきた、緊急手段としてやっぱり目的税を取ってやらなければいけないのじゃないかというのが今の水資源税になっているわけであります。大阪の人でしたから、あなたのところでは水は要らないのですかと言ったら、余りいい返事をしないのです。琵琶湖は、あれは大阪のものでなくて滋賀県のものなんですが、滋賀県に御迷惑をかけるほど水が渇水している状態であるのに、水を求める金を集めたいというのに反対ではちょっと困りますなと言ったら、この人は関西で一番偉い人ですが、いや私の反対する理由は、いわゆる農業から税金を取らないということは非常に不公平だ、こう言いましたよ。じゃあどうすればいいんだと言ったら、鉄鋼業から取らなければ私は賛成だと言っていきました。その人は鉄鋼業を専門にやってきた人であります。それでは、その業界その業界から取らなきゃ賛成だといったら一銭も取れないわけですから、どこかで取ろうかといっても、ないわけであります。これは、来年度予算編成に当たりましては大蔵省とよく折衝をいたします。しかし、なかなか難しい問題じゃないかと思いますが、委員会の皆さん方の御協力を願って、何とか一般会計から十二分の金を取れるようにひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。
  63. 三野優美

    ○三野委員 委員長、どうもありがとうございました。  大臣は水のところばかりえらい力を入れて答弁されましたが、私は高規格道路、高松から鳴門を言っていますので、これは大臣答弁で、七十二年の明石海峡に間に合わすという決意が述べられたというように受け取ります。これで終わります。
  64. 村岡兼造

    村岡委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ────◇─────     午後零時五十三分開議
  65. 村岡兼造

    村岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂井弘一君。
  66. 坂井弘一

    ○坂井委員 水資源問題、特に紀の川の分水問題、それからできれば関西国際空港の建設に係る外国企業の参入の問題、それから三原山の噴火、多岐にわたりますが、ちょっと順序を変えまして、最初に三原山の問題からお尋ねをしたいと思います。  今回の大噴火、恐らく観測史上最大の噴火と言われますし、一万人余の全島民が島から脱出、避難せざるを得ない、まことに大変な事態でございまして、被災された島民の方々には心からお見舞いを申し上げたいと思います。しかし、死傷者が、病気ですかね、お一人亡くなっただけで、まず全員無事で避難できた、このことは大変よかったと思いますし、喜ばしいことでございます。極めて冷静に的確に誘導し、人身の安全を期すことができたということにつきましては、関係の皆様方に敬意を表したいと思います。とりわけ今回の伊豆大島噴火対策本部、この本部長に綿貫国土庁長官がつかれまして、連日の御奮闘、うかがっておりまして、これまた大変御苦労さまでございますと申し上げる次第でございます。  そこで、午前中にも質疑がございました。避難された皆さん方、大変難渋されておるようでございますし、だんだん長引きますと、いらいらも募ってくると思います。ただ、そうした中で、子供の教育、学校の問題あるいは住宅の問題あるいは生活に対します資金の貸し付けの問題、さらには大島における農作物の被害、なお拡大しそうだというようなこと、あるいは水産物の被害の模様あるいは畜産関係等々、これまた被害が拡大するんじゃないかということも憂慮されるわけでございますが、それらに対しましては的確な、十分な救済対策を講じていただきたいということを特にひとつお願いをしておきたいと思います。  一万人余りの人が島から全部脱出をするというようなこと、これはちょっと災害史上にも世界的にも類例がないのじゃないかというように思うのです。この復興復旧対策というものは、したがって私は、国家的な取り組み、国家的な事業というぐらいの構えで対応いたしませんと、一万人余の方々のこれからの生活の問題等々を含めまして大変だなという気が実はいたしまして、道路の問題、住宅の問題、農作物の復旧、いろんな問題が山積みしているわけでございますが、午前中のやりとりにもございましたが、今までの災害救助法の枠を超える、ここではちょっと考えられなかったような事態でございますので、やはり特別な手だて、国の対策というのが必要であろう。もし必要とあらば特別立法ぐらいの構え、なお必要であれば補正予算でも組むぐらいの構え、それぐらいのことで対応いたしませんと、どうもこれがいつ終わるかわからないだけに、皆さんの不安の解消ということは、国土庁長官、一番それに力を入れなければいかぬぞ、不安の解消の問題があります。それから、何とか早く帰島できるように、まことにごもっともな御見解でございますが、それがなかなか不安んの解消、いつ帰島できるかもわからないというような事態でございますので、このことに対しましては、私が今申しましたような従来にない構えで対応しなければならぬと思いますが、まず国土庁長官のお取り組み、御決意のほどを、ひとつ特段の御配慮をお願いしながらお尋ねをしたいと思います。
  67. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 ただいま坂井さん御指摘のとおり、まさに異常異例の爆発事故でございまして、今避難をしておられます島民の皆様方には心からお見舞いを申し上げておるところでございます。  おっしゃいますようにこの被害というのはどの程度あるのか、これはまだ実態がつかめません。したがいまして、この復旧とかその他は、これは島の安全が確かめられなければその後で対策が講じられないわけでありまして、今は島の安全性、再び爆発するのではないかというような不安があるわけであります。幸い今、溶岩が流出いたしましたが、あそこで奇跡的にとまったということでありまして、あれがもし元町の中に流れ込んでおりますと大災害に発展したわけでありますが、奇跡的にあそこでとまっておるということは、今のところ町そのものにも被害は出ていないわけであります。  今後、島の安全性を確かめるということでいろいろの皆様方の御意見を聞いておりますが、一番怖いのは水蒸気爆発ということでありまして、水と接触すると水蒸気爆発を起こすことによって大災害に発展するということであります。それらの事態が起こらないのかどうなのかというようなことを慎重に、これは専門家の御意見などを聞きながら判断をしなければならない重要な問題でございます。したがいまして、帰島されるという時期が明確でない、こういうことで大変御不安な方々もたくさんおられるわけであります。この皆様方に御不安の念を少しでも起こさせないように、あらゆる手だてを今各省庁にお願いしてやりつつあるわけでございます。  午前中の三野さんの御意見にも、ただいまの坂井さんの御意見にも特別立法というようなお話あるいは補正予算というようなお話もただいまありましたが、これが長期化するという場合にどういうふうに対応していくかという問題が出てまいりますが、そのときにはまた議会の皆様方のお知恵もかりなければならない時期があるかもしれません。いずれにいたしましても、島民の皆様方の一日も早い帰島ができるような環境ができないか、ひとつ科学的によく調査をしていただき、また判断する時期が早く来るようにこいねがっておる次第でございます。
  68. 坂井弘一

    ○坂井委員 今の事態を見ますと、かなり長期化するであろうという構えで、まず諸般のことについて具体的にどう対応するかということの検討にやはり入らなければならない段階ではなかろうか。例えば、特に三原山の噴火に非常にお詳しいそうでございますが、地震学者、火山学者と言われます諏訪彰先生、元気象庁の地震課長をせられましたこの方が、次のようにおっしゃっています。噴火の規模は、吹き出した溶岩の量から判定すると、これまでの噴火の状況と人間生活にも影響を与えていることを考えると、三原山のここ千数百年の歴史で最大の噴火と言って差し支えないだろう。この噴火はとても一、二年では終わらず、数年、十数年、場合によっては二十年も続く可能性もある。大変権威のある学者先生の指摘というか見解でございます。一万人余の方々が、早く島に帰りたい、これは少々の危険を冒してでもというのは私は人情だろうと思う。しかし、今長官おっしゃいますように、確かに何か水蒸気爆発のおそれもあるとかどうとかということになってきますと、とてもとても今帰ってよろしいとは言えないですね。しかし帰りたい、帰してあげたい、私は、これは大変判断に迷う難しい問題と思います。  そこで、ちょっと法律的なことを伺っておきたいと思いますが、実はこれは避難命令で避難されたわけですが、一体避難解除命令はだれが出すのか、避難解除の判断は一体だれがするのかという問題でございます。  災害対策基本法第六十条一項によりますと、市町村長の避難の指示の規定がございます。今度は、この解除につきましては同じくこの基本法第六十条四項によりますと、「市町村長は、避難の必要がなくなったときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。」こういう規定でございます。ただ、避難の必要がなくなったという判断は一体だれがするのだろうか。噴火予知連がするのだろうかと私は思いまして注目をしておりましたらば、新聞報道によりますと、予知連の見解でございますが、予知連は災害発生確率を予測するのであって、帰島するかどうかの判断は行政がすることである、こういう見解のようでございます。行政がするということになりますと、災害対策基本法第二十四条に基づく非常災害対策部長、本部長は綿貫国土庁長官でございますが、その権限といたしまして、総合調整、災害応急対策を指示する規定はございます。しかし、災害対策基本法に避難解除の判断をし、命令を下す規定が私はないと思います。また、避難解除に対する国のかかわりというものが明確ではないように思いますが、その辺は法律的にはどうなっておるのでしょうか。  もう一度繰り返しますと、この避難解除命令を出す場合、避側解除してもよろしい、解除するという判断はだれかするのか、また、その解除命令といいますか指示はだれか出すのでしょう。
  69. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 ただいま先生がお話しになりました避難命令あるいは避難解除命令でございますけれども、法律的には、先ほど先生も御説明ございましたように、災害対策基本法第六十条第一項の規定に基づいて市町村長が避難の勧告または指示をする。これを通称避難命令という言い方をしておると思います。今回も町長が二十一日の十七時五十七分から二十二時五十分にわたって六回にわたって避難指示をし、島民一万余の方々が島外へ避難をしたということでございますが、この現在の避難の状況を解除して帰島するということになりますれば、法律的には、先生御指摘のように六十条第四項の規定に基づきまして町長が解除の公示をするという形で解除がなされるというのが形式的といいますか、法律的な手続でございます。  しかし、実際に今回、例えば島民の避難につきまして町長がいろいろ判断しながら指示を出すに当たりましては、この大島町につきましては従来から火山対策について相当体制を整えておりまして、島の中にあります東京都の支庁長、それから気象庁の測候所長、警察署長、それに町長が加わりました四者の懇談会が設置されておりまして、いろいろ火山対策等について協議がなされておりまして、今回こういう事態になりまして早速これを協議会に切りかえて、この協議会における協議を重ねなから町長が指示を出したというふうに伺っております。  今後、避難を解除するに当たりましても、やはり具体的な現地の状況、それから今後の火山噴火の危険の状況、そういったものを統合的に判断しながら町長が解除していくことが必要になろうかと思いますが、そのためには、やはり都に設置されております災害対策本部あるいは政府設置しております噴火対策本部等も十分これらの措置が的確に行われますように支援する体制はとっていかなければならないと思っております。  それで、特に今問題になっておりますのは、一昨日特に、段階的な帰島ができるかどうか、そういうことを判断するために、そういうことも踏まえた今後の噴火の状況というものを検討していただきたいということで私ども本部長名で気象庁長官及び噴火予知連の会長に検討を依頼しました結果、統一見解が出されたわけです。それによりますと、なお相当厳重な警戒を要するということでございますので、私どもはこれを踏まえて、さらに関係機関による観測体制を一層強化して、今後の噴火活動の状況というものを的確に判断できる材料をできるだけそろえることができるように最善の努力を今進めておるところでございます。
  70. 坂井弘一

    ○坂井委員 こんなこと聞いても答えが出ないのかもしれませんけれども、およそのめどとしていつごろ帰れるのか、一週間先なのか、年内はどうもだめなので来年ぐらいになるというようなことなのか。いや、本当にそういう不安だと思うのです、いらいらだと思うのですよ。けれども相手は噴火のことであるし、そうなかなかその辺が的確な判断ができないんだと言われてしまえばそれまでなんですけれども、およそのめどといいますか、こんなことを聞いたら答える方が大変無責任になりますか。
  71. 河村あたる

    ○河村説明員 大変難しい御質問だと思いますが、私ども歴史的に大島火山の活動を調べてまいりますと、七世紀以後の千三百年の間に十二回の大噴火と呼ばれる大噴火がございました。平均的に見ますと、ほぼ百年に一度の割合で起こっているわけでございますが、最近はこの間隔が次第に延びてまいっておりまして、前回に起こりました大噴火と申しますのは約二百年余り前に起こりました安永の大噴火というものでございます。先ほど大噴火の定義のことを諏訪さんのお話を引用されて先生申し述べられておりましたけれども、数億立方メートルの噴出物を出すものを大体大噴火とこれまで考えてきたわけでございます。現在はどういう状況にあるかと申しますと、ちょうどそれよりも一けた小さな数千万立方メートルの噴出物を総量として出しておる段階でございます。  それから噴火予知連総会の統一見解にもございましたように、例えば割れ目が広がっているとか、島軸の方向に地震の震源がどんどん移行していって、しかもそれが海底まで延びているということになりますと、先ほど御指摘がございましたようにマグマ水蒸気爆発という非常に破局的な爆発が起こる可能性もございます。過去にそういうことは、波浮の港ができました、あれは一つの爆裂火口でございますが、水蒸気爆発を起こした跡でございます。それからもっと悲劇的なことが起こるとしますと、中央火口でやはりマグマ水蒸気爆発ということが起こる。そうしますと、カルデラを形成するような大きな噴火になるわけでございまして、ちょうど今から千三百年前の噴火ではこの三原山の現在のカルデラを形成した大噴火が起こったわけでございます。  千数百年の歴史しか私どもきっかりとはつかんでおりませんけれども、現在の非常に急激な噴火活動の推移等は、例えば安永の噴火でございますとか明治末から大正にかけての噴火あるいは昭和二十五年、二十六年の噴火に比べましても非常に異常であると私ども考えておるわけでございます。それから震源等も南の海の方へ広がっていることも確かにございます。そういうことで、今後こういうことに移らないと言い切ることは大変難しいので、今は非常に危険であるということでこの統一見解が出されている状況であろうかと考えております。
  72. 坂井弘一

    ○坂井委員 したがって、いつ帰れるかについては何とも言えないということですな。
  73. 河村あたる

    ○河村説明員 島民の皆様の御苦衷、御不安ということは十分承知いたしておりますれども、責任を持ってそういうことを申し上げることはとても現段階ではできないと存じております。
  74. 坂井弘一

    ○坂井委員 綿貫長官に特にお願いをいたしたいと思います。そういうようなことのようでございますし、およそ学者でない我々が、だれが考えても、本当に一万人の人々の立場に身を置きかえますと、いても立ってもたまらぬ気持ちといらいらと、どうしようもない大変なお気持ちだと思います。ですからまさにこれは政府ぐるみ、国会ぐるみで取り組まなければならぬ。私は冒頭言いました、国家的な大事業だぐらいの構えでやりませんと、本当に大変だと思います。まさにこのことに対して金をかけても――いろいろ難しいことをすぐ言うんだけれども、法律上どうだとか整合性の問題だとか公平の原則がどうだとか、そういう理屈を超えたことだろうと思いますね。どうか、そういうことで、国土庁長官先頭に立っていらっしゃいますが、内閣挙げて、国会、国を挙げてこの事態に具体的にどう対応するかということについて早急にひとつ検討を始めていただきたい、これはお願いを申し上げたいと思います。
  75. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、さらに真剣にこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
  76. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうも今回の予知がうまくいかなかったといいますか、失敗したというのですか、既に先月の末に噴火予知連絡会がこの事態に対して、大規模な噴火が切迫している兆候は認められない、こう言ったんですね。これは安全宣言ですね。ところが噴火につながるということになってしまったわけです。噴火の切迫の決め手となる地殻の盛り上がりが観測できなかったというのがこの予知に失敗した最大のものであった、こう言われてございます。  地殻の盛り上がりを観測する水準測量ですか、この水準測量は三原山の山頂と外輪山の頂上の御神火茶屋の二ヵ所にしかない。噴火の前に膨らんでくる隆起というものがなかった、こう言われるのですが、これだけ大きな噴火があったという事実からしますと、我々素人が考えても、何かの盛り上がり、隆起がその前に兆候としてあったんだろう、しかし、この二つの水準測量では観測できなかった。これ二つでは少ないんじゃないんですか、これが一つ。二つの地点で観測というのは、盛り上がりを観測できるに足るだけの十分な観測体制ではない、もっと地点をふやさなければならぬということではないのかということが一つ。  それから、七月に火山性微動が再開をした。三原山の異常が確認された。ところが、その後この三原山の山体の隆起を最も正確に知ることのできる山頂部分と海岸の間の測量が一回も七月以降行われていない。これは事実でしょうか。  つまり、水準測量の地点が二つしかない、これは不十分であるということが一つ、それから七月以降この観測が行われなかったということ、この二つのことについてお答えをいただきたい。
  77. 河村あたる

    ○河村説明員 水準の測量は国土地理院の所管であると思いますので、私十分に今資料等を持ち合わせておりませんので、責任のあることは申し述べられませんけれども、実際には、異常が発生いたしまして、緊急に噴火予知連絡会の幹事会等を数回にわたって開きまして、いろいろな現在定常的に行われている観測に加えまして、例えば電気抵抗の測量であるとかいろいろな観測を付加をして、強化をして監視体制を強めたということは事実でございます。
  78. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、科学技術庁の国立防災科学技術センターの波浮地区での傾斜計が十一月四日にはね上がった、異常を示した。そこで気象庁に連絡をしたということのようでございますが、このようなデータは気象庁はどういう処理をされたのでしょうか。
  79. 河村あたる

    ○河村説明員 気象庁の火山室では、この異常が発生いたしましてから、関係しております観測研究機関の現地での観測記録、それからテレメーターされてそれぞれのところへ送られている資料につきましても、異常がありました場合には刻々とうちの方へ伝えていただいてそのデータを集め、そして判断の材料に使わせていただいております。
  80. 坂井弘一

    ○坂井委員 ちょっとお答えを正確にいただきたいのですが、今私申し上げたのは、十一月四日に傾斜計が異常を示した、気象庁にその報告を連絡をした。これは生かされてないのじゃないかと思うからお尋ねしたわけですが、的確に分析しておれば、これは非常に異常な事態である、すぐ次の手が打てたのではないかと私は思うのですけれども、そういう趣旨でお尋ねをしております。
  81. 河村あたる

    ○河村説明員 先生お尋ねの防災科学技術センターの傾斜計、それから私どもが別の目的で大島の測候所に備えております体積ひずみ計という装置がございます。これもかなり以前から異常を示しておることがわかっております。それから十月の末に一たん途絶え、間欠的に起こっておりました微動が、十月二十七日から再開をいたしまして、十二年前の噴火時のような連続微動になったわけでございます。こういう異常を踏まえまして、先生方といろいろ御相談をいたしまして、十一月十四日に緊急に幹事会を開催したわけでございます。ちょうど噴火の一日前になったわけでございます。
  82. 坂井弘一

    ○坂井委員 それからいま一つ。この噴火の一時間半前に、山頂付近に噴火の前兆と見られる隆起現象があった。これを記録した東大伊豆大島火山観測所の外輪山北部の傾斜計と観測所の計器が回線で結ばれていなかった、そのために予知に利用できなかった、こういうことのようでございますね。予知連の下鶴会長さんは、観測所ができて一年しかなっていない、設備に不十分なところもあったというようにおっしゃっているようでございますが、そのような事実はあったのでしょうか。
  83. 河村あたる

    ○河村説明員 私の承知しております限りでは、多分テレメーターはされていなかったんじゃないかと思いますが、これは東京大学の所管のことでございまして、本当にそうであったかどうかということを責任を持ってお答えすることは今のところできませんので、お許しをいただきたいと思います。
  84. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうも幾つかの報道によりますと、何か予知の体制とか観測の機器が的確に観測網ということでつながれていないような問題、したがってデータは幾つかあるんだけれども、これが一元化されて的確な分析につながっていないんじゃないかというようなことがどうも感じられる、そういうように思うわけでございまして、そこら辺のところをもう少ししっかりしないと、これはまさにきょうは人の身、あすは我が身でございまして、我々、火山列島の上に生きているわけでございますので、もっと観測の体制をしっかりしなければいかぬのではないか。現在、十七の火山に対しまして常時観測体制をとっていると言われてございますけれども、一体これで十分なのかどうか。まあ、今でき得るだけのことはやっていますというお答えなんだろうと思いますから、あえてお聞きいたしませんが、私は決して十分だとは実は思えないわけであります。もう一回点検をし直していただきたいなというような気がいたします。  地震火山学者の、先ほど申しました諏訪さんがこういうように言っているんですね。この人がかねてから火山の臨床医を育てようということを主張され、強調されておりまして、専門知識を持った担当者が常に現場におって観察し、診断に当たる、そういう体制がとれておれば、今回の場合も三原山に、現場にそういう臨床医がいたならば、より適切な見通しも立てられたのではないかと言われるわけでございまして、ぜひ長官にお尋ねし、お答えをいただきたいことは、その火山火山によっていろいろ癖があるのだろうと思いますから、そこに常時おって、そして的確に診断し、判断し得る、そういう臨床医的な担当者、その養成が私はまず何よりも必要であろう、これが一つ。  それから、先ほど申しましたような水準測量とか傾斜計でありますとか、いろんな計器類にしましても、数がまず足らぬのじゃないか、もっと金をかけてふやして充実をして、そういう機器も十分駆使し、的確な分析、判断ができるような機器、人の体制を――これは今回の教訓に学んで、心配のあるところだったら特に三原山から桜島、阿蘇、それからまさに煙たなびく浅間山、この四つはいつぼかんと来るかもしれませんな、こんなところが一体本当にどうなんだろうかなと思って、もう今度のことを見ますとこれは全く人ごとじゃない気がするわけであります。活火山が日本には七十八もあると言われております。まさに火山の上に我々は暮らしているわけでございますので、今申しましたような人の問題、機器、金の問題、全国的に一回総点検をやって万全の体制を整えるということでぜひ臨んでいただきたい。ひとつ長官の御決意のほどを承っておきたい。
  85. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 まさに御指摘のとおり、我が国は火山列島でございまして、絶えず火山に対する不安が絶えないわけでございます。  今おっしゃいましたように、観測体制がこれでいいのかどうか、この再点検はする必要があると思います。ただ、診断をするというようなことはなかなか難しいことでありまして、今一番権威者と言われる下鶴先生も、学生時代から大島にずっとおられまして研究をされてまいったわけでございますが、診断とか予想とかいうのはなかなか難しいということをおっしゃっておるわけであります。この分野は学問的にも大変難しいと聞いておるわけでございますが、さらにこういう問題が学問的にあるいは観測体制を強化することによって予知できないかどうか、十分検討してみる必要があるというふうに考えております。今後ともこの噴火の予知という問題については英知をさらに集めて研究してまいりたいと考えておる次第であります。
  86. 坂井弘一

    ○坂井委員 自然相手でございますし、近代科学の粋をもってしてもなかなか予測をするとか的確な診断をするということは至難なことなんだろうと思います。思いますが、またそれだけにこのことはのど元過ぐれば熱さ忘るるになってはいかぬことでありまして、また繰り返すことでありましょうから、ぜひひとつ万全の対策を講じられるようにお願いをいたしたいと思います。  テーマを変えまして、紀の川、有吉佐和子の小説で知られます紀の川の大阪への分水問題が、関西空港の関連用水との絡みで大変注目をされているわけでございまして、この大阪、和歌山間の分水の問題は実は十八年前から続いておるわけでございます。分水交渉が始まりましたのは、この両府県で組織いたします阪和開発連絡協議会、これが発足をしたのが昭和四十三年、この時点から分水の交渉が始まりました。下って四十八年には、当時の大阪府知事黒田さんが和歌山に見えまして、ぜひ紀の川の水の大阪分水をということで協力の要請がございましたが、和歌山県側はこれを拒否いたしました。自来、水問題、分水問題はタブーだということで経過をいたしました。最近に至りまして、岸大阪府知事が和歌山に参りまして和歌山仮谷知事に要請をした。次いで奈良にも参りまして、奈良県知事にも要請をしたというようなことから、どうやらこの分水問題は年内解決、年内決着の見通しが出てきたのではないか、これは大方の見方だろうと私も見ているわけでございます。  そういうことでございますが、ただこの紀の川の水に対します流域住民の執着というのは非常に強いものがございまして、水の一滴は血の一滴であるということで今日までまいりました。振り返ってみますと、和歌山県に残る資料によりましても、紀の川で、県内で四百回を超す大洪水の記録がございます。さらに八十回余の大干ばつの記録もございます。紀の川の年間の流水量は約二十億トン、こう言われておりますが、干ばつ時と高水時の水量差が主要河川の中では世界一だと言われる川でございます。  長い歴史の過程、経緯がございますが、最近に至りまして、冒頭申しましたように、どうやら広域利水ということで大阪に対する分水ということにやがて踏み切るという、まさにこれは歴史的なときが実は訪れようとしているわけでございまして、このことは、考えますと、和歌山県の紀北と南大阪、これを一体とした地域の発展を図ることのために、この紀の川の水を水の共同域として広域利水、これに利用する、そして今言った紀北、南大阪一体とした地域の発展を図ることのために府県間の道路整備等を初め幾つかのいろいろな地域開発の問題があるわけでございますが、そういう意味で、ある意味ではこれは一つの時代の要請といいますか、時を得たんだろうと私は見ているわけでございます。  そこで、お尋ねをしてまいりたいと思いますが、この大阪分水ということについては、どうやら大阪、和歌山の間で年内合意というところへ持っていきたいということで、今紀の川流域十五市町でつくられておりますところの紀ノ川水対策協議会、略して紀水協と呼んでおりますが、恐らくそのうちにこの紀水協の総会が開かれてこの分水にまず合意をする。次いで、阪和水問題検討会というのがございます。これは大阪、和歌山両府県で組織をいたしますが、阪和水問題検討会、ここで合意をして分水に対してゴー、こういう手順になるんだろうと思います。関係者の間で今鋭意詰められておる最中でございます。  ここで建設省お尋ねをしておきたいことは、実は大阪分水のその前提として、紀の川で分水できるだけの新しい水をつくらなければ、生み出さなければ分水はできない、和歌山県民の水を十分に確保した上で余った水を大阪に、これは当然の考えでございます。そういうことになりますと、紀の川大ぜきというせきを一つつくるということ、それからもう一つ大事なことは、紀伊丹生川ダムというダムをつくる、このことによって水を新しくつくり出して大阪への分水あるいは関西国際空港への分水を行う、こういうことでございます。  そこで、紀の川大ぜきの問題は後でお尋ねすることにいたしまして、紀伊丹生川ダム、この建設の確約を建設省から取りつけたいと和歌山県側は言っております。それがありませんと大阪分水にはオーケーは出せないということのようでございます。紀伊丹生川ダムの建設の見通しについて建設省はどういうようにお考えでございましょうか、予算面も含めてお答えをいただきたいと思います。
  87. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  紀伊丹生川ダムの建設は、本年度約六千万の予算をもちまして予備調査を積極的に進めております。その予備調査調査内容は、地質踏査、ボーリング等の現地調査治水利水に関する計画の検討を行っております。  お尋ねの紀伊丹生川ダムの建設はどうかということでございますけれども、この調査結果を見てみませんとしかとしたお答えは申し上げかねるわけでございますけれども、私どもとしては建設の可能性が高いと考えておりますが、先ほど申し上げましたように調査結果を待って最終的な判断をしたい、かように考えております。
  88. 坂井弘一

    ○坂井委員 現時点においては今の御答弁の域から出るということは難しいのだろうと思います。それは理解できます。ただ、この紀伊丹生川ダムの建設がありませんと大阪へ分水できるだけの水がつくれないわけですから、どうしてもこの紀伊丹生川ダムの建設が大阪分水の前提の最大要件だ、和歌山県側はこういう挙げての認識でございます。したがって、今河川局長から御答弁いただきました予備調査は、これは建設につながる予備調査である、こういう認識と受け取らせていただきまして、ぜひひとつ積極的にお進めをいただきたい。お願いを申し上げます。  それから、紀の川大ぜきの着工、建設の見通しについて御説明願いたいのでございますが、まず、一体大ぜき建設の目的は何なのかということでございます。治水用である、利水は考えていないということで当初始まったわけでございますが、大阪分水ということになりますとこれはもう言わずもがな広域利水ということになるわけで、そういうことになりますと、治水だけではなくて利水も含めた考えで紀の川大ぜきの建設をするということになろうかと思いますが、この計画の内容並びに今のような経緯を踏まえて御説明を願いたい。
  89. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 紀の川大ぜきの建設目的でございますが、河道の疎通能力の増大、流水の正常な機能の維持と増進及び水道用水供給を目的とした多目的事業でございます。それで、昭和六十二年度の新規建設事業として予算要求を行っているものでございます。
  90. 坂井弘一

    ○坂井委員 この紀の川大ぜきをつくることによって新しく毎秒〇・二九トンの水が生まれると言われますね。これは建設省の試算による数値でしょうか。それから〇・二九トンの性格といいますか、この〇・二九トンを関空関連用水として充てるということのようでございますけれども、そういうことになった経緯もあわせてひとつ御答弁をいただきたいのでございます。これは厚生省の関係になりましょうか。
  91. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 〇・二九トンの新規開発水量の積算の問題は私どもお答えの限りではございませんので、これまでの経緯あるいは関西国際空港の開港に伴う水需要の増大に対応するものであるか否かという点についてお答え申し上げたいと存じます。  坂井先生、紀の川分水の問題について長い経過があるというお話が先ほどございましたけれども、ここ二、三年、紀の川分水問題について地元府県間での話し合いが急ピッチに進んでまいりましたのは、御指摘のございました関西国際空港の建設、開港をにらんでのお話でございまして、大阪府からの和歌山県側への申し出におきましても、紀の川大ぜきで、あるいはその上流のダムによる分も含めての話もあろうかと存じますけれども、紀の川から出る新たな利水部分につきましては関西新空港の開港に伴う水道需要の増大を賄うための用水として充てたいということで話し合いをしておると聞いております。  いずれにいたしましても、この問題はなお地元での調整を必要といたしますし、その調整の推移を見守りまして、厚生省としても、例えば水道用水供給事業を行っております大阪府の事業計画等について所要の指導なり認可なりといった手続を進めていく必要があろうと考えておるところでございます。
  92. 坂井弘一

    ○坂井委員 紀の川大ぜきを早く建設をしてもらいたい――元来紀の川大ぜきは治水が目的ということで調査がされ、そういう方向で来たわけですけれども、今回関西新国際空港ができる、これに伴って関西空港の関連用水という今のお話が若干ございましたが、それとの関係があり、大阪府からの要請で、ぜひ紀の川の水を関空関連用水にと、たまたま建設省がこの紀の川大ぜきを建設するということになればここに〇・二九トンの水が新しく生まれる、この〇・二九トンの水を関空関連用水として分水してはどうか、こういうことですね。これは大阪からの要請ですね。  そういたしますと、今度は先ほど申した阪和開発連絡協議会から要請されております大阪への分水という問題は、今の関空関連用水とは全く別の問題なんですよ。これは量的にも違いますし、また時期的にも別の問題であろうと思います。ただ、紀の川大ぜきができてここに取水口を設けて、ここから送水管、水のパイプを大阪に向けるということになりますと、関空関連用水だけの〇・二九トンの小さな管をつくって、これは関空関連でございます、もう一つのもう少し大きな管をつくって、これは大阪分水用でございます、こんなわけではないですな。これは、送水管をつくるのは関空関連用水も大阪への分水の分も一緒に分水することになるのだろう、私はそう認識をしておるのです。そうすると、かなり大きなそういう管で紀の川大ぜきから大阪への分水を行う、こういうことになりましょうか。
  93. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 先ほど申し上げましたように、紀の川分水の規模等につきまして地元での話し合いがまだ最終決着を見ておりません。したがいまして、具体的に分水を受けました水量をどういう施設整備計画によりまして大阪府営水道が受けまして関西新空港あるいはその周辺の人口増を招く地域に給水するかという計画はつまびらかには詰まっておりませんが、紀の川大ぜきから相当のパイプをもちまして導水を行い、途中で浄水場を設けまして浄水をした上、関西新空港ないしはその周辺市町村に給水するというのを基本的な計画内容として想定をしておるようでございます。
  94. 坂井弘一

    ○坂井委員 この紀の川大ぜきの着工のめどはどうでしょうか。
  95. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 六十二年度の新規事業として要求中でございますので、先ほど先生御指摘の関係方面のいろいろの調整がございますが、その調整を待って着工ということになろうかと思います。
  96. 坂井弘一

    ○坂井委員 重ねてお願い申し上げておきたいと思いますが、関係方面の調整の中に、紀の川大ぜき建設に伴います――大阪分水というのは紀の川大ぜきから行われるわけでございますけれども、その前提として余剰水が必要になる、それは紀伊丹生川ダムの建設である、こういう関係が密接にあるわけでございます。したがって、関係方面の調整の中で、大阪分水を可能にする、それは紀伊丹生川ダムの建設の成否いかんにかかっている、こういう私個人の認識でございます。あわせて岩出の狭窄部、岩出井ぜきの改修の問題も関連して起こってくるわけでございますけれども、これは申し上げましてもまず紀の川大ぜきということでございましょうから、このことについては本日はあえて触れないでおきたいと思います。いずれ時を見ましてまたお尋ねをしてまいりたいと思います。  そこで、紀の川大ぜきがつきますと〇・二九トンの水が生まれるというのですが、紀伊丹生川ダムができますとどれぐらいの水が新しくできるのでしょうか。和歌山県の方では真国ダム、箕津呂ダム、そういうダムもぜひつくってもらいたい、そういう強い熱心な要望、動きもあるようでございますが、紀伊丹生川ダムでどれぐらいの水ができるのでしょうか。それから、紀の川水系全体でそうしたダム群を形成することによってどれぐらいの水が生まれるものであろうか。あわせて、関西新国際空港の関連用水は〇・二九トン、これは当面の話だろうと思いますけれども、将来を含めてどれぐらいの水需要を予測しておるのか。あわせて、大阪府が必要とする将来の水需要、紀の川に依頼する分水の量はどれぐらいと見ておられるのでしょうか。建設省はそういうところをにらみながらいろいろ御計画されていると思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  97. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  水資源の開発水量と申しますのは、先生御承知だと思いますけれども、ダムの規模と流量に相関連するものでございまして、特に地質状態によりましてダムの規模、構造が決まってまいります。したがいまして、現在、紀伊丹生川並びに先生がお示しになりました他のダム地点は予備調査の段階でございまして、確としてどれぐらいの水量が開発されるかということを申し上げる段階にございません。しかしながら、先ほど先生から御指摘ありましたように紀の川の水問題は非常に重要でございますので、我々、一層気を引き締めまして御期待に沿うように努力をしていきたいというふうに考えております。
  98. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから上流に大滝ダム、これは当初六十年三月完成の予定でかかったわけですけれども、延び延びになりました。水没家屋が四百七十五戸もあるということで、その補償、立ち退き問題等々なかなか難渋しているようでございます。最近何とか目鼻がついてきたようでもございますけれども、その間会計検査院の指摘等もございました。この大滝ダムがおくれていることに対して流域住民の大変な不信感もあるわけでございますけれども、本体工事というのは一体いつごろ始まるのでしょうか。
  99. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 本体工事というといろいろ定義がございますけれども、一応先生のお話の中から、ダムの本体といいますかダムの構造を発注する時期はいつかというお尋ねかと思います。  そういたしますと、現在大滝ダムで実施されておりますのは、そのダム本体をつくるためのバイパス工事が一応完成しております。次に我々が行わなければなりませんのは上流の水没家屋の移転でございますが、この移転が実はつけかえ道路と密接不可分に関係しております。そのつけかえ道路工事がいつごろできるかということが一つのポイントになるわけでございますが、その辺のいわゆる用地問題あるいは地権者問題等ございまして、現在いつということを申し上げる段階にないわけでございます。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 紀の川大ぜきに戻りますが、この建設によりまして農業用地下水の塩水化に拍車をかける、重大な影響を与えるのではないかと心配する向きもございます。伏流水が減って塩水化が激しくなるということですね。そこで、この地下水に対する影響、塩水化対策、せきの位置の変更に伴う用排水路の整備の問題、それから新六ヶ井ぜき撤去に伴う補償の問題等々、紀の川大ぜきの建設に伴う今のようなもろもろの問題、右岸左岸の沿岸流域住民の方々はいろいろな不安があるわけでございます。それらの対応につきましては慎重かつ十分な対策をぜひお願いしたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  101. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 せきの建設につきましては、先生御指摘のようないろいろの影響が出てまいります。私ども建設省といたしましても、今までいろいろの地点でダムあるいはせきを建設いたしておりまして、その場合にもいろいろ周辺の事情を調査いたしたり学識経験者等の御意見も伺いながら必要かつ十分な対策を講じているところでございますが、紀の川大ぜきにつきましても、先生御指摘のようにいろいろの問題点につきまして学識経験者等の意見を聞きながら慎重に十分に対処していきたい、かように思っております。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、いろいろな開発行為が水系の自然破壊を招くことがないかという心配でございまして、日本のあちこちでダムあるいはせきがつくられるということになりますと、水が濁るとか臭い水とか黄色い水、そうした問題が随所にあるようでございます。その辺については、ぜひそうした自然破壊、それに伴う公害の発生の未然防止ということにひとつ最大の力点を置いていただきたい。  あわせて、それに伴う内水面漁業あるいは海面漁業について、沿岸海域にまでその影響が及んだという例もあるようでございますので、そうしたことになりますと補償関係というようなことにもなるのでしょうが、今申しました内水面、海面漁業に対しては対応をお考えでございましょうか。
  103. 廣瀬利雄

    廣瀬政府委員 せきを建設する場合、私たちといたしましてはできる限り漁業への影響、悪影響がないように、いろいろ学識経験者等の意見を聞いて対処したいと思います。万が一影響が出た場合も想定いたしまして、学識経験者等の御意見を聞きながら調査をし、かつ漁業者調整を図ってダム建設を、あるいはせきの建設を進めていきたい、かように思っております。
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 ぜひそうお願いいたしたいと思います。水は三尺流れれば澄むなんて言われますけれども、確かにダムだとかせきだとかによって水が停滞いたしますと、ちょっと考えられないようなといいますか、想像できないようないろんな事態、害もあるようでございますので、ひとつ十分な御配慮をいただきたい。  それから、道路局にお願いをしておきたいと思いますが、この大阪分水に関連いたしまして、国道第二阪和、それから二十四号和歌山バイパス、それからいわゆる大阪府と和歌山県、府県間道路整備ですね、これは冒頭申しましたように、水共同体、共同城としての両府県間の地域の発展整備を図る重要な項目として挙げられているわけでございますので、これは道路局も特段の御配慮をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  105. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘の道路の、ある一部分は関西空港の関連事業としても取り上げられてございます。また、今回の紀の川大ぜきの関連で、和歌山県側からいろいろ整備の御要請があるということも十分承知をいたしております。その点の県ないし府の地元のお話し合いがまとまり次第、私どもとしてもその整備につきまして責任を持って実施してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。  最後になりました。関西新国際空港建設に対します米国企業の参入問題ですが、この間、米国の大統領貿易代表団ゴールドフィールド団長を迎えまして、関空プロジェクトに関するセミナーが先月大阪で開催されました。一体この目的が何であったのか、実はよくわからぬのですが、その後の動き、見通しについて御説明をいただきたいのと、この際、はしょって私の考えを申し上げておきたいと思いますけれども、この関空建設工事の入札につきまして、建設工事やエンジニアリング分野でありますれば物の輸出入がありませんね。あってもほんのわずかだろうと思います。例えば、繊維でありますとか農産物でありますとか自動車、こうしたものの経済摩擦問題とはもう根本的に性格が異なると思います。一体アメリカのねらいがどこにあったのか。したがって、ほとんど物が動かないわけでありますから、貿易収支の赤字の解消にはほとんど役に立たぬ。なぜこの建設工事への参入に執着するのか。実は、建設工事の参入ではなくて建設関連の資材、機器、そこに一つのねらいがあったのではないかと私は思うのですが、一体政府は、建設省はどういうようにごらんになっておりますか。  それから、どうも、関西国際空港にはもう今回間に合わない、むしろそれに続く東京湾横断道路、それから中部国際空港にターゲットを絞ってきたのではないかなと、そう見られる節もあるようでございます。そういう意見もあるようでございますが、これについてはどうお考えでしょうか。先ほど申しました彼らの関心というのは、建設市場よりもむしろ建設関連市場、つまり機器、機材、そういうものを売り込みたい、こういうことであったのではなかろうか。事実、このセミナーに参加した五十企業を見ますと、大半は機器メーカーあるいは販売業者であった、そういう事実からしてもそのように思われる。  それからいま一つ、アメリカは、この企業が単独ではなくて日本企業の下請として参加をしたいのではなかろうか、当分はパートナーとして参加をして実績を持つ、まず実績を積むということを考えておるのではないか。そういう意図で参加の申し込みがあった場合には一体どう対応するのか。  以上の点につきまして、はしょってお尋ねをいたしましたが、簡潔にお答えいただければ……。
  107. 牧野徹

    ○牧野政府委員 いろいろのお尋ねでございますが、まずゴールドフィールドさんが団長としてお見えになりました大統領貿易使節団のねらいは何であったか、あるいはそれに関連してアメリカのねらいは何であるかということでございます。私どもとしては、この関西新空港建設に関連いたしまして、アメリカの建設業者なりあるいはエンジニアリングの会社なり、あるいは御指摘もございましたように資材、機器等を売り込む業者なり、それぞれがやはり一つのマーケットとして関西空港プロジェクトをにらんで、それぞれに参加をしたいという御希望があってああいう使節団が派遣されてきたと思います。  おっしゃいましたように、役人と民間の方でございましたが、いわゆるゼネコンといいますかコンストラクションを担当するもの以外にも、資材なり機材を中心とした会社の方も参加しておったことは事実でございます。でございますから、先生もおっしゃいましたように、その建設工事よりも資材なのか機器なのかという点につきましては、まだ向こうがそういうことも言っておりませんし、あらゆる分野で、一つの流れとして見ますと、例えば最初のエンジニアリングの段階、ここにも入りたい、それからコンストラクションの段階にも入りたい、ついてはその資材なり機器なりも当然これは入りたい。その辺につきましては、例えば関西空港会社の方では、いいもので安くてアフターサービスが完全ならどうぞというふうな態度を示しておるわけでございますが、私は、どれどれだけに限ってというよりは、関西空港をつくる上にとって必要なものすべてについて参加をねらっているというふうなことではなかったかと思います。  それから、本当のねらいといいますか、関西空港の建設は若干いろいろな蓄積がもうございますので、次の、先生もおっしゃいましたような東京湾とかあるいは中部国際空港でございますか、確かに使節団は主としたねらいは関西新空港問題でございましたが、そのセナミー終了後に愛知県知事あるいは中部の財界人を訪問されて、中部の新国際空港計画について意見交換などを行っております。それから、今度の使節団そのものが私どもの役所にもお見えになりまして、セミナーの前に一時間余り会見をいたしましたが、そういう際に、例えば建設省の所管しております東京湾横断道路のプロジェクト等について具体的に言明したことはございません。ただ、この問題については、先生御承知のようにいろんな経緯がございますが、その経緯の中でアメリカ側から、自分らが関心を持っておるのは関西新空港建設問題だけではない、他の大規模工事についても同様の関心があるということをおっしゃっておりますが、具体の折衝、交渉をした事実はございません。ただ、恐らくアメリカ側もそういうことを考えているだろうな、手紙等の中にも書いてございますからそういう推測は成り立つと思います。  それから、とりあえずは下請で入ってねらうのではないかというお話でございますが、相手の心中は推測ができませんが、私どもといたしましてはやはり、特に公共工事の場合はそうでございますが、発注者が全責任を持って業者の方に発注する以上、指名競争入札制度を堅持したいと思っておりますが、その際にやはり信頼できる業者でなければならない。そうすると、信頼性の根拠はいろいろあろうかと思いますが、一番大事なことは、やはり我が国の中で立派に下請等も使って物事を完成していく、こういうことだと思いますので、これは世界の各国どこでもそうですが、自分の国における建設工事の実績というものを重視していくことになろうと思います。  そういうことで、じゃ、実績を稼ぐのにどうしたらいいかというお尋ね等もございましたが、その際には、例えば全く自由である民間分野との契約の中で、あるいは公共工事でも元請は無理としても例えば下請に入って、いわばここは民と民の契約になるわけですから、そういう中で実績を積まれることがいいだろうと私どもは思います。ただ、具体にアメリカのゼネコンが日本の下請になってやりたいというお申し出を私どもが受けたということはございませんから……。
  108. 坂井弘一

    ○坂井委員 ありがとうございました。
  109. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、坂上富男君。
  110. 坂上富男

    ○坂上委員 十月二十九日は、御丁寧な御答弁ありがとうございました。  突然でございますが、今まで三原山のお話をお聞きをいたしまして、どうしても私も二点ばかり、お聞きにならない部分について急遽御質問をお許しをいただきたいと思います。  三原山に関して、住民の皆様方に謹んでお見舞いを申し上げたいと思うわけであります。いろいろの先生方の御質問の中でもあるのでありますが、私はまた別の角度からお聞きをしたいのでございますが、関係官庁、どなたでも結構でございますが、住民の皆様方が安全かつ一日も早く帰りたいことを望んでおられるわけでございますが、これは間違いなく帰れるのでしょうな、どうでしょうか。
  111. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 ただいま先生御指摘にございましたように、現在東京に全部避難された島民の方々が一日も早い島帰を望んでおられることは私どもも十分承知しておりますが、しかし、全島民がせっかく事故もなく避難できた成果というものをむだにすることのないためには、何としても安全の確保を最優先にしながらこの帰島問題を検討していく必要があろうと思います。この観点から、特に帰島ができるかどうかということについては、今後の大島の噴火活動の状況にもよるわけですが、そういうことで私どもは早速対策部長から火山噴火予知連の会長及び気象庁長官に対しましてこの点についての専門的な検討をお願いしたところ、一昨日、火山噴火予知連絡会の臨時総会が開かれまして、統一見解が出されたところでございます。  この統一見解は、御案内のとおりだと思いますが、特にまとめた部分におきましては、「当面最も懸念される事態は、沿岸海域を含めた島の南東部において、マグマ水蒸気爆発を含むかなりの規模の噴火が発生することであるが、島の北西部についても予断を許さない状況にある。海岸での水蒸気爆発に引き続き山頂火口の活動が活発化した場合には、爆発角礫岩の降下と岩なだれの発生により島内広域に危険が及ぶことが考えられる。今後の火山活動の推移については厳重な警戒、監視が必要である。」という結論を出しております。  こういう極めて厳しい統一見解が出されております。私どもとしては、やはりこうした専門家の判断を踏まえながら、今後の火山の噴火活動の観測体制を強化しつつ慎重にこの問題を検討していきたい。現在のところ、まだその点につきましての判断をする段階に至っておらないと考えております。しかしながら、やはり避難された島民の方々のお気持ちを考えますと、できるだけ島民の方々の不安を解消するために、着のみ着のままで逃げてこられた方々の残されてきた島内の問題あるいは今後の生活の問題、そういったものも含めて私どもは対策を十分準備しながら検討を進めていきたいと考えております。
  112. 坂上富男

    ○坂上委員 今の答えは、今までの各委員の先生方のお答えで出ていることの繰り返しでございます。私は、もうずばり聞いているのです。帰れるのか帰れないのか、見通しをどう思っているのかということなんです。だけれども、現段階ではその判断が無理だというなら、そのようにお答えいただきたいと思っています。
  113. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 先ほど気象庁の地震火山部長からお話し申し上げたとおり、現在の段階では判断が直ちにはできないということであろうと思います。
  114. 坂上富男

    ○坂上委員 できるだけ知識を総動員をしていただきまして、住民の願いの安全そして早期の帰島を実現するよう献身的な御検討をひとつ賜りたいと思っております。  いま一つでございますが、東海地震とこの関係はどんなふうに見たらいいのでございましょうか。
  115. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 今回の伊豆大島の噴火に伴いまして、伊豆大島あるいは東伊豆、湯河原、それからさらには房総半島等に設置されております埋め込み式の体積ひずみ計におきましては、この噴火と関連があると思われますひずみ変化が出ております。  なお、このひずみ変化が先生御指摘のような心配があるかどうかということについて早速検討する必要があるということで、地震予知連絡会の強化地域部会が二十二日に開催されまして、その検討の結果が正式に発表されております。  それによりますと、「各機関から提出された資料によると、大島におけるデータ、他に房総、伊豆両半島のものにも昨日の噴火に相前後して異常な変化が記録されている。 今回の変動は、直接には、大島噴火が原因であることは明らかであり、とりあえずこの変動が周辺地域に発生する大地震の前兆現象であるとは考えられないが、これだけの規模の噴火は、広い範囲の地殻に影響を及ぼす可能性もあるので、連絡会は、南関東地域に加え、隣接地域である東海地域についても注意深く見守ってゆきたい。」という見解を発表しております。こういう形で正式見解が発表されております。  今のところ専門家の判断では、東海地震との直接的な関係はなく、これはむしろ、これらのひずみ計での変化は伊豆大島のこれだけの大噴火による影響であろうというふうに判断されておるようであります。しかしながら今後とも、どのような状況が起きるか、各観測機器等の監視体制というものを一層充実しながら十分にその監視を進めていきたい、こういうことでございます。
  116. 坂上富男

    ○坂上委員 この間、国土庁から我が党の方からの重点項目要求に対する回答を確かにいただきました。  この間催促いたしたときも申し上げたのでありますが、災害というのはいつ起きるかわからないと私は言っておるわけであります。今回の災害は天然と言われる災害でございます。いま一つ原発の災害というのがあるわけであります。原発の災害がいつ超きるかわからぬから、これに対する対応をどうするのか答えてくれと言って私たちの方で要求事項として出してあるわけであります。しかし大変抽象的に書いてあるわけであります。いわば国土庁の関係は災害に関する庁でもあるわけでございますので、原発に関する災害に関してどうしても早く回答を必要とするんだということで要請をいたしまして、そしてこういう回答をいただきまして、その途中におきましてこういう大噴火という事故が起きてきたわけであります。  これもお聞きのとおり、起きないであろうと言われた事故がこうやって一万人以上に及ぶところの大災害となって出てきておるわけであります。ましてや原発の事故は必ず起きる、我々はこう言っている。しかもイギリスにおけるウィンズケール、それからスリーマイル、それからソビエトのチェルノブイリ、これらも大変な問題なんでございますが、ぜひひとつ防災の関係から私は次回に質問させてもらいたいと思っております。きょうはこれは予告でございます。だけれども、あす、今起きるかもわからないのですよ。なぜこれを聞くかと言いますと、住民の訓練が全然行われていないわけです。机上訓練と指揮者の訓練だけやっておりまして、こういう訓練が行われていない。でございますから、お答えは要らないのです、この次、専門的に聞きますからどうぞ御準備を賜りたいし、またこれに対する対応を各地方の方にもひとつ通していただけるようにお願いをしませんと、噴火がそうでございますし、地震がそうでございますし、それから原発の災害。原発の災害というのは、九州に起きた原発が私らの方だってやられるわけでございます。これは三原山以上の事故になるだろうと思っているのです。でありますから、特にソビエトのチェルノブイリの教訓なんというのは一体国土庁はどういうふうに御理解をしておられるのか。これは科学技術庁やあるいは通産だけの問題でないと私は思っておるので、特に避難訓練の問題はおたくさんの関係でございますから、ひとつ十分な準備の上で議論をさせていただきたい。きょうはそれだけお願いをしておきまして別の問題についてお聞きをいたさせていただきたいと思います。それは後でいいです、時間があってから。聞いているわけじゃないですから。  まず、さっき紀の川の分水問題のお話がありましたが、私は信濃川の分水をされそうな事態に対する質問をいたしたいと思っております。これをJAPIC計画とも言っておるようでございます。  そこで、まず一つでございますが、関東地域内における二十一世紀の水需給の見通しがどうなっているかをお聞きしたいと思っているわけであります。なぜこういう質問をいたしますかといいますと、六十五年には、関東地域内なんでございましょうか、六・九億トンの水が不足することが見込まれるということが、何か水計画の中に五十二年ごろなされたようでございますが、その見通しは現在どうなんでございましょうか。
  117. 志水茂明

    ○志水政府委員 首都圏の水需給計画につきましては、現在四全総策定の一環の中で検討中でございますので、詳細は未定でございます。ただしかし、人口の増加あるいは産業活動の活発化によりましてゆっくり増大をしていくものと見ております。しかしながら、先日も申し上げましたとおり、二十一世紀に向けての水需要の増加に対しましては、現在首都圏域内において計画中及び実施中の水資源開発事業でおおむね対応できると思われますので、まずこれらの事業促進していくことが緊要であると考えております。
  118. 坂上富男

    ○坂上委員 それでは、後でまた今の御意見について私の意見を述べさせていただきます。  先刻申しましたJAPICの計画について、国土庁は今どのような御認識、それから対応をなさっているのでございましょうか。
  119. 志水茂明

    ○志水政府委員 JAPICの関越導水計画の内容につきましては、詳細な検討はまだいたしておりませんので評価のしようがございません。ただ、委員に申し上げましたとおり、今後の二十一世紀に向けての水需要に対応しましては、域内のダム建設促進するということでおおむね対応できると思っております。
  120. 坂上富男

    ○坂上委員 「JAPIC」という雑誌が出ておりますが、ことしの七月号、ナンバー一〇でございます。その中の水資源対策委員会の報告の中にこのようなことが書かれておりますが、いかがでございましょうか。  「「関越計画研究会」は、①関東地域の水資源開発プロジェクトの推進、②新潟地域の水資源対策の検討、③関越計画の見直し、を行い、関係官公庁・諸団体等と緊密な連携を図り、プロジェクト構想の推進を図る計画である。」こういうふうなことが書かれておるわけでございますが、国土庁はかかわりをなさっておるのではございませんか。
  121. 志水茂明

    ○志水政府委員 先ほど先生が幾つか御指摘になりましたことにつきましては、全然関与いたしておりません。また、最後につけ加えられました関係官公庁と緊密に連絡を図るといったようなことの働きかけもまだ受けておりません。
  122. 坂上富男

    ○坂上委員 杞憂であればありがたいのでありますが。  それでは、いかがでございましょうか、六十一年、ことしの六月二十三日、ホテルオークラ別館におきましてJAPICの委員の皆様方と国土庁がお話し合いを二時間ぐらいにわたってなされておるようでございますが、これはどのようなお話がなされたのでございますか。
  123. 志水茂明

    ○志水政府委員 六月二十三日はJAPIC側の要請によりまして私ども参加いたしましたもので、特別の意味はございません。この会議におきましては、今後の水需給対策の中で民間サイドとして何か参画できるものはないかといったような話があったわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在四全総策定中でございますので、何ら具体的な話はいたしておりません。
  124. 坂上富男

    ○坂上委員 そうすると余り意味のない話であったということでございますから、それはそれでひとつお聞きいたしておきましょう。  さて、その次に、今度国土庁の調整局になるのでございましょうか、四全総の中にこの関越総合水資源開発計画あるいはこれに類似のものが入るのでございましょうか、どうでございましょう。
  125. 星野進保

    ○星野政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来水資源部長がお答え申し上げているように、現在ちょうど検討中でございまして、広範な観点でいろいろと勉強している最中でございまして、まだ結論が出ておりません。
  126. 坂上富男

    ○坂上委員 そうすると、場合によれば入るということにもなるのでしょうか、場合によっては入らないということにもなるのでしょうか、どっちなんでございますか。
  127. 星野進保

    ○星野政府委員 私が結論を申し上げるわけにはいかないわけでございますが、国土審議会その他で御結論をいただくことになるかと思いますが、私が現在受けておる感触といたしましては、関越導水という形で明確に新潟県の信濃川の水を東京圏を目指した意味の利根川の導水としてやるかどうかということにつきましては、いわゆる三全総におきましても水資源の第一番目の基本といたしましては、水資源というのは地域の資源であるという考え方が基本にありまして、それをベースにこれから全体の水需給その他を考えながら、もし必要があればそれは融通するというような議論も出てくるかもしれませんが、今申し上げましたように、基本的には水資源というのは地域の資源であるという基本は三全総以来貫いている考え方ではないかというふうに私は印象を持っております。
  128. 坂上富男

    ○坂上委員 そうすると、審議会が決定することであるから今局長立場としては云々はできないというようなお話でありますが、しかし、三全総から見て水資源というのはその地域の資源であるからというような観点から、四全総に入れる可能性は全く少ない、こういう御答弁と御理解していいんでしょうか。
  129. 星野進保

    ○星野政府委員 今申し上げましたように、基本的に地域の資源であるという考え方が一つ。  それから、もし必要になれば、それは今後の議論でございますから今後の議論として、例えばちょうど電力が融通電力をやっているとかいろいろなことをやっておりますように、もし必要があれば水需給ということの安全性を維持するためにはそういう融通という議論も出てくるかもしれないということを申し上げたわけでございまして、そこいらは今後の議論にまちたいということでございます。
  130. 坂上富男

    ○坂上委員 この問題をめぐってのあれでございますが、昭和六十一年八月日付の調整計画課、担当西島さん、「国土政策の課題と戦略に関する調査」、こう書いてあるわけであります。「戦略」なんという大変なことが書いてあるわけでございますが、戦略というのは、防衛庁に聞いたり字引を引いてみたら、大体戦争とか闘争のはかりごと、これを戦略というのだそうです。「国土政策の課題と戦略に関する調査」というのは、一体これはどういう意味になりますか。
  131. 星野進保

    ○星野政府委員 御指摘の資料は委託調査でございまして、社団法人の社会開発総合研究所というところへ委託をお願いしたものでございます。その表題は、先生のおっしゃるとおり昭和六十年度「国土政策の課題と戦略に関する調査」の結果取りまとめということで、「戦略」という言葉を使っておりますが、これは別に戦争その他ではございませんで、あくまでもいかに適切な政策の手順その他を考えるかということの意味合いかと理解しております。
  132. 坂上富男

    ○坂上委員 この中の文章を読んでみますと、こういうようなことがやはり書いてあるんですね。三ページ。「この圏域内の地域は」というのは新潟を含むらしいのですが、「東京の有する世界都市機能の恩恵を享受できるが、一方東京の一部機能を補完、代替するという形で、東京の世界都市化を円滑にかつ安定的に進める。同時に」以下なんですが、「この圏域が有する豊かな自然環境等、恵まれた諸資源の存在は、」この諸資源というのはきっと水も含むのだろうと思うのですが、「広域的な観点から東京圏の居住環境の向上に資するものであろう。」こう言っておるわけです。  これは私の推測でございますが、しかしまた私たち県民の心配でもあるわけです。確かに新潟には恵まれた水資源がございます。この水資源についてはこういうことしか書いてございません。しかしやはり、国土政策の課題と戦略、こういうことになりますと、まさにすきあれば持っていこうじゃないか、こういう文章にとれるわけです、ただこうやってきれいには書いてありますけれども。私がいじけているわけでもありませんでしょう、新潟県議会でも問題になったのです。どうもやはりそういうことが書かれているのじゃございませんか。いかがです。
  133. 星野進保

    ○星野政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のいわゆる戦略ということと絡めて、この圏域内、この地域内における自然条件ということと両方結びつけて先生御議論いただいたわけでございますが、要するに三百キロ圏という形で議論をすることが、この報告の戦略と申しますか一番基礎になっているということだと思います。  それから今御指摘のところ、私も勉強しまして、あと四十三ページその他にも書いてございますが、自然的条件として信濃川とか利根川とかそういうものがあります、そういう記述で、自然的条件を素直に記述したものだというふうに私は思っております。
  134. 坂上富男

    ○坂上委員 時間がありませんので、今度建設大臣に御質問申し上げます。  大臣、かつて自民党水資源対策特別委員長をなさったことがおありのようでございまして、五十八年一月号の「開発」という雑誌でございます。これはきちっと書いてありますが、ただ一部、きょうの答弁を聞きながら私の心配を御指摘を申し上げ、大臣のお考えをお聞きしたいのであります。  今の問題について、大臣委員長時代こうおっしゃっておるわけであります。大前提をきちっとおっしゃっています。「地域の了解が得られればという条件つきで、」こうおっしゃっていますから、押さえてありますからいいのですが、「おもしろい計画だと思いますよ。」それから今度「問題は、仮に下流に及ぼす影響があったとしても、その水が他から補給できるような総合的なものであればいいと思いますがね。」その次、これは私は余り賛成いたしかねますが、「新潟県にメリットがなくてもデメリットがなければ、新潟県は了承しても差し支えないんじゃないですかね。」なんてこう言っているわけです。これは、とてもじゃないが賛成できませんよ。「そこで、ダムで水力発電やって、その電気で水を返したっていいんですよ。深夜電気なんていっている必要ないんですよ。」こう言っているわけです。  新潟県は電気余っているのです。原発でみんな放射能浴びて、全部東京に持ってきているのです。半年私たちが雪の下にさせられてこの水をやっと確保しているのです。電力だって、放射能を浴びて電気だけは東京に持っていっているのです。今度は水まで持っていこうかというわけで、新潟は大騒ぎだ。  そこで、心配なのは、こうおっしゃっているのですね。「それはずい分可能性のあることじゃないですかね。問題は誰がやるかということですよ。」特に気になるのですが、それでも少しあるいは力になるかなと思っているのですが、「東京都を中心に神奈川、埼玉、千葉、茨城県がスクラム組んでやればできないことないですよ。力になる代議士は少ないけど。」こう言っているわけですね。これは新潟県にとりましては大変いいのか悪いのか、いられたらお許しいただきますが、そうおっしゃっているわけです。そこで最後に「私で間に合うことでしたらお手伝いいたしますから。」と。  いよいよその最高の地位にお立ちになったわけでございまして、これは推進なさったら大変なのでございますが、ひとつ新潟県の苦衷も察せられまして、国土庁はもうやらぬというようにお伺いをしているわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  135. 天野光晴

    天野国務大臣 寝た子を起こさせちゃうようなものですが、何年か前に私はびっくりした水資源です。  私は、新潟県と県境をともにする福島県ですから只見川の水資源という問題は随分議論もしておりますが、これは十日町かどこかあの辺の山奥にダムをつくって、そして水をためて持っていくという話じゃなかったかと今記憶を呼び戻しているのですが、まず、水はその地域の生命線ですから、その水がその地域の人の了解を得られない限りはできないというのは前提条件です。ただし、新潟県が水が余り過ぎて何とも困っている、東京は水がなくて何とも困っているということになれば、余っている水ぐらいは回してもらえるんではないのかというような軽い気持ちで発言をしたと思いますが、これは、本当にあれほどの大きなダムがあの山脈のど真ん中にできて、そして水がそんなにあるのかと思ってびっくりした問題です。だれかがそのダムをかいたり何かして持ってきて私に見せて、どうだろうという話をされた記憶は今でもあります。雑誌に出るなんというようなことは、ちっとも見ていないから出たとは私も知らなかったのです。  だから、これはお互いに近所同士というか地域同士で話し合いができれば、新潟県は絶対数の水が余るというのであるならそれはある程度いいんじゃないでしょうか。今私はやると言っているんじゃありませんよ。あの計画を実行するにはとても並み尋常の手段ではできませんですからね。あなた自身もおわかりでしょう。そんな簡単な、やみに行って物を買ってくるような簡単にできる品物ではありませんですよ。そうですから、あくまでも地域住民の意思を尊重しながら行うものはやらなければいけないという考え方には変わりはありません。どうしてもその水を利根川に持ってこなければ困るということになればあるいはその話に乗るかもしれませんが、今までのところではそういう意思はございません。
  136. 坂上富男

    ○坂上委員 もう最後でございます。  大臣、今新潟県と福島県が県会同士で提携をしましてこういう野望を粉砕しようじゃないかということができているのでございますから、ひとつよく事情を御調査の上、いわば信濃川、只見川、この水域から水を持ってくることには絶対反対だということになっておりまするので、ひとつその点も御配慮賜りたいと思います。  さてそこで、最後です。一言です。ここに「JAPICの野望」という本がございます。これを見るといろいろのことが書いてあります。このでたらめさといいましょうか、そのひどさというか、皆さんお読みになっているんだろうと思いますけれども、ぜひひとつ見ていただきたいのでありますが、長期水需要計画対策についても極めてでたらめなんだ、こう書いてあります。それから、結果的に建設省は消極的だと確かに書いてあります。ただ一生懸命なのは、中曽根総理とJAPICの会長さんの斎藤さんがことしの年賀の席でこれを推進しようじゃないか、こう言ったとこれに書いてあるわけです。  ちょっと読みますと、「斎藤JAPIC会長も一九八六年一月の鋼材倶楽部の賀詞交換会でこの計画をぜひやりたいと述べているが、地元も消費地も、そして建設省さえも意欲を見せていない状況のもとで、中曽根首相とJAPICだけが力んでいるわけである。このような強引さが批判をうけ、反発をつよめている。」こう書いてあるわけでございます。  どうぞひとつ、私たちの願い、福島県も含めてでございますが、お願いをしたい、こんなことで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  137. 村岡兼造

    村岡委員長 中村茂君。
  138. 中村茂

    中村(茂)委員 私も、通告はしてありませんけれども、ずっと朝から三原山の大爆発についてお聞きしておりまして一つ感じたことがありますので、一点だけでいいですが、お聞きしたいというふうに思います。  確かに、一夜にして約一万人という人が島からの脱出に成功したというか、そこへ携わった多くの皆さんに感謝を申し上げるわけでありまが、ところが、離島してこられた人たちが百人、二百人というような大広間に雑魚寝、あの姿を見たときに、何とかならないか、これはみんな共通した考え方に陥るというふうに思うのです。それと、あの晩に来ないで少し残った人たちがおりました。テレビを通じて聞いておりますと、どうして残っていたか、いや、牛を飼っていて牛をほっていくわけにはいかなかった、牛に物をくれなければ二、三日でも大変なことになるよ、だから牛と一緒に寝ていたんだ。ですから、そういう心情を考えてみれば何とかならないかという気持ちに陥るわけであります。  先ほど、予知連の報告によれば、大島全島が大変危険な状態にある、だからいつ島に帰るようにできるかわからない、その判断が難しい、こういうことです。そこで、どういうふうに変化するかわかりませんが、いずれにしても、一挙に島を離れたからまた一挙に全部が帰るという手だてを別にする必要はないと思うのです。島の状況によって、先ほど申し上げた牛を飼っている者とかビニールハウスをやっている者とか健康な者、または、島全体といっても一定地域、まあまあそういう中でも安全かなという地域も検討していけばこれは出てくるというふうに思うのです。ですから島へ帰るといっても、段階的にどういうふうにどういう人たちをやはり帰していくか、どういう人たちをやはりこちらの方へ置いて温かく対応していくか、そういう対策を進めることが必要だというふうに思うのです。  その点についての国土庁の御見解をまず承りたいというふうに思います。
  139. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 今回の噴火によってとりあえず着のみ着のままで全島民に避難指示を出しまして、ほぼ全島民が二日間にわたって静岡県あるいは東京都、最終的には東京に避難することができたわけですが、後からいろいろ現地の踏査をいたしますと、約四十人ばかりの方が島に残っておりました。その方々に対しましても、やはりまず第一に身の安全ということを最優先に考えなきゃならないということで説得いたしまして、現在どうしても島を離れたくないという方が八人残っております。こういう方々に対しましては、適宜現地の警察官がいつでも保護できるような態勢をとりながら対応しているところでございます。  それと同時に、先ほど先生の御指摘がございましたように、とるものもとりあえずこちらに避難してきたということで、残してまいりました住宅がどうなっているか、あるいは家畜がどうなっているか、さらにはハウス園芸などしているハウスがどうなっているか、そういう点を大変心配されております。そういうことで私どもは最初に、二十一日だったと思いますが、まず豚、牛、それからあそこにございます動物園の動物たちの対応をいたしますために獣医三名をつけて総勢十五人の、これらの動物たちに水、えさを与える隊を編成をして現地に派遣しております。これらの隊につきましては順次交代制をとりながら、当面危険がなければこういった動物たちが今後も生き残っていくことができるような対応をとっております。  また二十二日には、ハウス園芸に対する手当て、例えば閉めっ放しになっていますと、中に栽培してあります小菊とかサヤエンドウとかそういうものが全部全滅してしまいます。そういう意味でそういったハウスの手入れ、それから、あそこはくさやの生産地でございますが、くさやの液の管理、そういったことを考えまして、たしか三十五名だったと思いますが、三十五名の農業関係の代表者を送り込んでその手当てをいたしております。  さらに昨日は、消防団員八十名を組みまして、自衛隊のバートル機を四機使いまして現地へ送り込んだわけですが、実際に天候状況が非情に悪かった点と、また実際に多少地震活動等もありまして心配されましたために、とりあえず一巡して帰ってきたという状況で対応したところでございます。  そのほか、避難所におられる方々にいろいろ相談事をお聞きしまして、警察の方でも避難所の方々からの要望、相談窓口を開いて相談事を受け入れまして、例えばガスの元栓を締めてくるのを忘れたとか、あるいは電気がつけっ放しになっているとか、戸締まりがしてないとか、いろんな要望がございます。そういったものに対応いたしまして、現在現地に警察官二百名を動員して配置しておりまして、ブロックごとにそういった当面の見回りあるいは住民の要望にできるだけ対応するような姿勢をとっております。  今後、火山噴火の活動状況を踏まえながら、そういった住民の要望にいかに対応していけるか、そういった点を十分考慮しながら、それを実施する場合には、いざという場合に的確に避難できる態勢をとるような形でそういった問題を検討していきたいと思います。現に島には五百人以上の警察官、消防団、それから観測関係の職員、その他先ほど申しました畜産あるいは園芸の関係の方がおられます。そういう方がいつでも避難できますように、現在巡視艇が元町港に接岸しておりますと同時に、そのほかに巡視艦、巡視艇あるいは自衛隊の護衛艦あるいはヘリコプター機等を必要数待機させながら現在の作業を進めておるところでございます。  今後の状況につきましても、十分噴火活動の状況を踏まえながら、なおかつ、いざという場合の避難態勢を確保しながらこういった問題に取り組んでいきたいと考えております。
  140. 中村茂

    中村(茂)委員 次に私は、東京の一点集中の地価急騰に関して質問したいと思ったのですが、時間がもう相当過ぎておりますから、少し変えて、時間があればまたそちらの方をお聞きすることにして、土地に対する固定資産税及び都市計画税の課税額というか評価額について若干質問いたしたいというふうに思います。  説明する関係で資料がありますから、ひとつ配付さしていただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いいたします。
  141. 村岡兼造

    村岡委員長 どうぞ。
  142. 中村茂

    中村(茂)委員 今お手元に配付した「参考資料」、どういう資料かというと、上に括弧書きで「(昭和五十九年四月二十日価格修正前の額)」と、こういうふうに書いてありますが、というのは、土地の評価額について実は昭和四十七年に変更された、それからここに書いてある四月二十日までこういう評価額になったわけです。それから、下の「固定資産課税台帳登録事項等証明書」というのは、この四月二十日以降このように修正されたわけです。  そこで、これを対比してみると、熱海市なんですが、ここの一項のところで簡単に説明しますと、地目が宅地だ、ところが雑種地に変更になった、そのことによって評価額が、二十日までは三千七百十五万六千八百六十円だったのが、雑種地に変更修正されて五万八千八百五十円、いわば約六百三十一倍、これだけの差ができた。それから、六番目のところですけれども、これは山林が雑種地になった、そういうふうに変わったけれども、七千四百六十円で変わりがなかった。それから、上から八番目の例で申し上げますと、雑種地だった、変更になっても地目は雑種地だ、ところが、前は三百七十五万二千四百九十円、それが同じ雑種地ということで一万七百四十円。どうしてこういうことが行われるか。しかも、四十七年に変更になった実際の土地状況と、十何年たって今の状況で現場は全然変わりはない。  前に資料を渡して自治省で調査していただいておりますから、自治省が来ておりますが、その経過と、どうしてこういうことになったのか、お聞きしたいと思います。
  143. 佐野徹治

    ○佐野説明員 お答えいたします。  この件につきましては、所有者の方から申し立てがございまして、それに基づきまして関係の市が実地の調査を行いました結果、いずれも現況が傾斜地であるということ、それから現在の開発許可基準にも適合しないということ、こういうことから、従来宅地と認定いたしておりましたものを山林並みの雑種地と認定がえをいたしました結果、今御指摘のような事態が生じておるわけでございます。
  144. 中村茂

    中村(茂)委員 だから、十何年前に地目が宅地になった、そうしてこれだけの膨大な評価額にした、そして十何年たってみてまた調査したところが、これは宅地じゃなくて雑種地だ。これは何か誤りだったのですか、地目認定の誤認ということなのですか。その辺はどういうふうに理解していますか。
  145. 佐野徹治

    ○佐野説明員 当初認定いたしましたときの経緯等につきましては詳細なことは承知いたしておりませんが、先ほど御説明いたしましたように、申し出がございまして関係の市で調査をいたしました時点では従前認定をいたしておりました地目とは違ったものである、こういうことで認定がえをいたしたわけでございます。
  146. 中村茂

    中村(茂)委員 認定がえをしたと簡単に言うけれども、その行為は誤認というふうに見るのが正しいか、不当なやり方なのか。しかも、今申し上げましたように、地目が変われば評価額もちゃんと変わるわね。しかし、同じ雑種地で、また認定したけれども雑種地、それが実際には宅地の評価額に評価額は出ている。だから、ただ地目だけではなしに、認定した、しかも評価がえしたそのやり方にも非常に不思議な点が出てくる。ですから、そういうふうにした行為というのはどういうふうに見ればいいのですか。
  147. 佐野徹治

    ○佐野説明員 いつの時点で地目を認定するかという問題でございます。先ほど申しましたようにその経緯等につきましては詳細は承知いたしておりませんが、少なくとも申し出のございました時点で直ちに関係市の方で調査いたしました結果、これは従前固定資産課税台帳の方に登録されておりました地目ではない、こういうことで地目の認定がえをいたしたわけでございます。  それから、雑種地の件でございますけれども、雑種地につきましては、近隣の山林に比準いたします雑種地と宅地に比準いたします雑種地とございます。先ほど御指摘のございました、同じ雑種地でありながら価格が違う、こういう点につきましては、従前は宅地に比準した価格の認定をいたしましたものが山林に比準する、こういうことの結果、同じ地目の雑種地でございましても価格に変更の生ずる場合もあるわけでございます。
  148. 中村茂

    中村(茂)委員 何回でも質問するけれども、ただ経過を言うだけだ。こういう行為はどういうふうに見るのだ、こういうふうに質問しているわけです。認定の誤認ですか。
  149. 佐野徹治

    ○佐野説明員 少なくとも調査をいたしました時点での地目ではない。こういう点では、台帳の方の登録と申しますか、これは現実には合致をしておらないということでございますので、当然しかるべき措置は講ずるべきものでございますし、また、関係市におきましてもそういう措置が講じられたものでございます。
  150. 中村茂

    中村(茂)委員 その行為はどういうふうに言うのですか。誤って地目を見たわけでしょう。そうじゃないのですか。だから、誤認じゃないのですか。
  151. 佐野徹治

    ○佐野説明員 少なくとも調査の時点におきましてはこれは現況には合致していないということでございますので、台帳の方も修正をいたしたというものでございます。
  152. 中村茂

    中村(茂)委員 その行為は何と言うのですか。
  153. 佐野徹治

    ○佐野説明員 これは台帳に登録いたしました事項の修正ということでございます。
  154. 中村茂

    中村(茂)委員 どうしてそういう事態になったのだね。誤認でしょう。
  155. 佐野徹治

    ○佐野説明員 当初、台帳に登録いたしましたときの現況と申しますか、それにつきましては詳しくは承知はいたしておりませんけれども、少なくとも調査をいたしました時点ではこれは異なっておった、こういうことは事実でございます。
  156. 中村茂

    中村(茂)委員 異なっていたことは、誤ってそういう認定をしたから今になって見れば違った、こういうことでしょう。
  157. 佐野徹治

    ○佐野説明員 当初の認定がどうであるかということにつきましては承知はいたしておりませんけれども、今先生の方から御指摘がございましたように、少なくとも当該年度におきまして課税をすべき地目につきましては、これは課税台帳の登録事項がその現況とは異なっていた。私ども、そういう場合には修正をする、こういうような表現は使っておりますけれども、今御指摘のように現況と記載事項が異なっておったということは事実でございます。
  158. 中村茂

    中村(茂)委員 いずれにしても、そういう誤って認定して、その地目認定を誤ってした評価額を出して、その評価額に対して固定資産税と都市計画税がかかったわけだから、それは不当な行為かね、違法な行為かね。
  159. 佐野徹治

    ○佐野説明員 現況と異なった地目によりまして評価をした結果、それに基づいて税額の計算をいたしましたものにつきましては、地方税法の規定によりまして所定の手続をとるべきものと考えております。
  160. 中村茂

    中村(茂)委員 所定の手続というのは何だね。
  161. 佐野徹治

    ○佐野説明員 地方税法十七条の五に賦課決定等の規定がございます。これによりまして、税額が異なります場合には、一定の手続を経て賦課決定する、こういうような規定がございますので、その所定の手続に従って課税処分をいたすということでございます。
  162. 中村茂

    中村(茂)委員 地目を見る場合には、原則としては土地の現況によるのだ。現況をきちんと見るのを誤ったからこういう状態が起きてきたわけでしょう。だから、間違っていたところに間違って税金をかけたのです。だから、その税金は違法と見るべきか、不当と見るべきかということを聞いているわけです。
  163. 村岡兼造

    村岡委員長 佐野固定資産税課長に申し上げます。質問者に明確にお答えください。
  164. 佐野徹治

    ○佐野説明員 法律の規定に従った課税処分がなされておりません場合にはしかるべき措置をとるべき処分である、こういうように考えております。
  165. 中村茂

    中村(茂)委員 もう少し私の言ったことに対して、そうならそう、そうでないならないというふうに答えてもらいたいのです。いろいろ間違ってやってきた、そこへ実際に税金をかけてきたわけです。ところが、それが間違っていたとわかった、だから修正したわけです。あなた方は間違って税金をかけてきたのだから、その行為は何だ。不当なのか、不法なのか、それとも違法なのか。正常じゃないでしょう。その点を聞いているわけです。
  166. 佐野徹治

    ○佐野説明員 法律の規定に従った処分でないという点では、誤りのあった処分であるというように考えております。
  167. 中村茂

    中村(茂)委員 熱海の市役所から見ればそのようになった税金は不当利得であると解すべきだと思いますが、そういうふうに解釈してもいいのですか。
  168. 佐野徹治

    ○佐野説明員 税の処分につきましては、地方税法に一定の規定がございまして、それらの規定に従ってそれなりの措置を講ずるというものでございます。  今のお話の件につきましては、更正の決定、すなわち従前税額を賦課いたしておりましたのが誤っておるものにつきましては新たな賦課処分をいたしまして、地方税法の規定に従いまして一定の手続により処理をしたものでございます。
  169. 中村茂

    中村(茂)委員 市役所側から見れば不当に税金を取ったわけでしょう。だからこれは不当利得というふうに解すべきだと思うが、どうか、こう聞いているのです。正当な利得なら正当、不当なら不当、こういうふうに言ってもらえばいいのです。
  170. 佐野徹治

    ○佐野説明員 地方税法の規定に従いまして改めて処分をいたしまして、還付をするなり、それなりの規定に従って処理すべきものは処理すべきである、こういうふうに考えておるところでございます。
  171. 中村茂

    中村(茂)委員 よく聞いてくれよな。不当利得でなければ不当利得でない、不当利得なら不当利得と言ってもらえばいいのです。民法上からでも何でもいいんだ。
  172. 佐野徹治

    ○佐野説明員 今お話しになっております処分は、地方税法の規定によりますと、誤った処分によるいわゆる過誤納というものでございます。誤って余分に納められた、地方税法の規定ではこれは過誤納という表現を使っておりますので、これに当たるものであるというふうに承知いたしております。
  173. 中村茂

    中村(茂)委員 時間が過ぎてまで申しわけありませんでした。また別な機会に改めて取り上げたいと思います。大変ありがとうございました。
  174. 村岡兼造

    村岡委員長 伊藤英成君。     〔委員長退席、森田(一)委員長代理着席〕
  175. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 まず最初に、昭和六十一年伊豆大島噴火の問題につきまして、既に他の委員からもいろいろと御質問があったことでございますけれども、改めてお伺いいたします。  今回の予測の状況につきまして、火山噴火予知連絡会等の状況を見ておりますと、あるいはきょうの答弁等にもありましたけれども、非常に不十分、心もとないというのが率直な印象でございます。  この予測できなかった原因はどういうところにあるのか、どういうことがなされると予測の可能性が極めて大きく上がるのかということ。それから、これと東海大地震等との関連性が新聞や週刊誌等にも既に出ているわけでありますけれども、そういう関連性はどうか。そしてまた、今回のこの問題をこれからの東海大地震等の災害予測にどのように生かしていくつもりであるか。これをまず気象庁にお伺いいたします。
  176. 河村あたる

    ○河村説明員 お答え申し上げます。  非常に残念でございますけれども、噴火予知の技術はまだ開発の段階にあると私どもは考えております。噴火を予知いたしますためには、種々の観測データの中から噴火の前兆を判別する必要がございます。私どもの火山観測の歴史は、悠久の火山の歴史に比べまして非常に浅く、特に近代的な火山観測の歴史は浅く、また私どもの経験も乏しゅうございます。また一方で、火山現象は山ごとに非常に複雑でございまして、現段階ではこれらを判別して噴火を予知するということは大変困難な段階にある、そのように存じております。  今回の伊豆大島の噴火についてでございますが、十二年ぶりに微動が発生したということで、噴火発生が近いことを予測はいたしました。そういたしまして、観測強化その他諸種の対策を強化いたしてきましたけれども、現在の火山に対する知識と経験が十分でなかったことから事前に予測することは困難であったという事情でございます。それに対しまして、今後とも私どもは観測データを蓄積し、私どもの経験と知識をふやして予知技術の開発に努めていかなければいけない、かように考えております。  それから、東海地震との関連性のお尋ねでございましたけれども、先ほどもあったと思いますが、私どもは東海地震予知のために埋め込み式体積ひずみ計というのを東海、南関東地区に三十一台展開いたしております。大島で非常に大きな体積ひずみの変化が観測されました。それから、東伊豆ですとかその他の地区におきましてもひずみの変化が出たわけでございますけれども、これは大きさを考えてみますと大島の大きさに比べて距離が遠くなるに従ってはるかに小さくなっておるわけでございまして、やはり原因は大島にあるんだということを考えております。そういうことで、直接今の段階で東海地震との関連があるとは私ども判断いたしておりません。  それから、この災害予測を今後どのように教訓として生かしていくかというお尋ねでございます。  先ほども申し上げましたように、火山の噴火の状況は、火山によりまして、また同じ火山でございましてもそのときどきによりまして噴火の様相は異なるものであるという非常に難しさがございます。そういうことで、現段階では噴火の予知は大変困難であると言わざるを得ないと存じます。今後とも私どもは、火山噴火予知連絡会における検討及び測地学審議会の建議を踏まえまして、大学あるいは関係行政機関と協力をいたしまして、今回の知識経験を生かしながら観測体制を整備していくとともに、また研究を推進し、噴火予知技術の向上を図っていきたい、かように考えております。
  177. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話ですと、非常に不安な気持ちもいたしますし、今国民は、それこそ東海大地震等の問題も含めて非常に不安な状況だと思います。そういう意味では早急な対策推進を進めていただきたい、こういうふうに思います。  今避難をされていらっしゃる方々の状況について、その対策をお伺いしたいわけでありますけれども、先ほどの御答弁、前の委員の方の質問に対する答弁にもありましたけれども、住民が帰島できるめどがつかないという状況にあるわけであります。しかし、今避難をされていらっしゃる方たちは、それこそ着のみ着のままで来ているわけでありまして、それこそ一刻も早く一時帰島をしたいという気持ちであるということもまた事実でありますし、これは実際に、私どもの仲間がお見舞いに行ったとき等にもそういうことを非常に訴えられもいたしました。そういう意味で、これも予測が困難な状況の中でなかなか難しいことだろうと思いますけれども、早急に一時帰島を実施すべく、ぜひいろいろと御協力をお願いをしたいということが第一点。  それから第二点は、もしも帰島することが難しくてこちらにいるのが長期化する場合ですと、それこそ今避難している場所についても、例えば体育館でずっとこれから長くというわけにもいかないでしょう。そういう意味では、住宅問題等も検討しなきゃならぬということだろう、こう思います。  あるいは第三点には、これからどんな状況になるかわからない。それこそひょっとしたらもう島に帰れないかもしれないというようなことだって起こり得るかもしれない。そういたしますと、それこそその人たちの生活保護のためにも特別立法措置の検討もしておかなければならぬのではないか、こういうふうに思いますが、国土庁、どうでしょうか。
  178. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 まず一時帰島の問題でございますが、現在の火山の噴火の活動状況は、一昨日の噴火予知連の統一見解にございましたように、なお大島の火山活動については厳重な警戒、監視が必要だという状況でございます。そういう観点からしますれば、一般島民の帰島を現在考えることは非常に困難であろうかと思います。今後、さらに火山活動の監視体制あるいは観測体制を強化しつつ、この問題について鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。  それからまた、現在避難されている方々が、今後なかなか帰島できないということに対して非常に不安が募るということは十分理解されますし、現に避難されている方々は一日も早い帰島を望んでおられます。そういう面で、今後の火山活動の状況を踏まえながら、一時帰島が可能かどうかという問題を慎重に検討いたしますと同時に、なお、万が一長期的に滞在せざるを得ないような、直ちに帰島することが困難な状況も起こり得るかもしれないということも踏まえて、昨日、第二回目の本部会議を開いたところでございますが、そういった場合をも考慮した対策を今から検討を進めていただきたいということで関係各省にお願いしたところでございまして、関係各省におきましては、住宅対策、教育問題等について今検討を進めておるところでございます。
  179. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 いずれにしましても大変なことでありますけれども、避難されている方々の心情をはかって最大限の御努力お願い申し上げたいと思います。  次に、六本木の林野庁の職員宿舎用地の入札問題についてお伺いをいたします。  まず最初に、国公有地の取引についての基本的考え方を国土庁にお伺いいたしますけれども、御承知のとおりに、六十年八月には紀尾井町の司法研修所の跡地、あるいは五十九年三月には国鉄の品川駅の貨物跡地がそれぞれ一般競争入札になって、いずれも周辺公示価格の三倍以上の価格で落札をされております。そのために周辺地価が約四倍以上にもはね上がった、こういうふうに言われております。国公有地の払い下げが周辺地価の高騰を引き起こす元凶ではないか、こういうふうに問題視をされておりまして、これは土地局長の諮問機関でしょうか、国土利用計画法研究会でも、国公有地等の取引については国土法の届け出制度の対象とすることの検討、地価の高騰している地域に所在する国公有地等の取引については、処分を行おうとする国等の機関、それから国土庁長官、当該都道府県知事との間で事前の協議をルール化するべきであるというような内容の中間報告も出されているわけでありますけれども、この国公有地の取引に関する政府の基本的な態度を御質問をいたします。間もなく国鉄の用地問題が目の前に控えているだけに、これは非常に重要な問題であると思いますので、よろしくお願いをいたします。
  180. 田村嘉朗

    ○田村(嘉)政府委員 先生御指摘のように、国公有地は大変貴重な国民共有の資産でございます。したがいまして、この土地が適正な計画のもとに適正な価格で処分されるということが重要なことであるというふうに認識しておるわけでございます。従来も一般競争入札で売られた例がたくさんあるわけでございますけれども、確かにその地域における突出したような価格で落札されまして、周辺地域の地価に影響を与えているということも事実でございます。  私どもといたしましては、こういったことがなるべくないように、あらゆる機会をとらえまして、各行政機関に対しまして地価になるべく悪影響を与えないような方法で払い下げがなされるようにお願いをしてきているところでございます。例えば、地方公共団体との調整によりまして土地利用計画を確立いたしまして、場合によりますと、公共団体あるいは公団等に随意契約で払い下げるとか、あるいは詳細な利用計画を付したそういう条件あるいは転売等を規制するような条件をつけて入札に付する、その他コンペ方式とか信託方式とかいろいろあるわけでございますけれども、その土地に最も適したいい方法をとるように、各行政機関にいろいろ配慮をお願いしてきているところでございます。今後また、国鉄用地等の処分を控えておりますので、国有地、国鉄用地を含めましていい方法がないか、関係行政機関と検討をしてまいりたいと思っております。  また、同土利用計画法の対象に取り込むかどうかにつきましても、先生おっしゃいましたように国土利用計画法研究会におきまして提言がございましたので、なるべく国土利用計画法で対象とするか、あるいはそれに準ずるルールをつくって適切な方法で国公有地等が処分されますように関係行政機関と検討を進めてまいりたいと思っております。
  181. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 具体的に、先ほど申し上げた六本木の林野庁の職員宿舎用地の問題についてでありますけれども、五十八年五月以来さまざまな経過をたどって、六十一年十月にこれを一般競争入札によって売却することに決まったということでありますけれども、このことについて港区、それから同議会、それから東京都の関係機関等がこの撤回を求めていることについて、政府はどのような認識を持っておられますか。国土庁長官お願いいたします。
  182. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 六本木の土地につきましては、今伊藤さんおっしゃいましたように、三年来にわたりましていろいろと今までも東京都や港区ともお話し合いを続けてきたというふうに聞いております。この処分の問題につきましてはいろいろのいきさつ、経過があるようでございまして、国土庁といたしましても、周辺地価の高騰につながるのではないかということを大変憂慮いたし、いろいろと協議をしてまいったところであります。  今回、十年の転売禁止というようないろいろな条件を付しながら、公正を期するという意味から一般競争入札に付することになったわけでありまして、従来からの経緯からいいまして、今回の競争入札による売り出しというものは林野庁の方針に従っておるところと聞いております。    〔森田(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 林野庁の方針に従っているという話でございますけれども、国土庁としてはこの件に関してはどういう関与の仕方をしてきたのでしょうか。
  184. 田村嘉朗

    ○田村(嘉)政府委員 林野庁の宿舎は、東京都心部、一番地価高騰の著しい地域にございますので、これが一般競争入札によりまして処分されますと非常な高値を呼んで悪影響が出る、こういうことが懸念されますので、私どもとしては終始一貫してこれは慎重に扱ってもらいたい、なるべく差し控えてもらいたいということを強く申し入れてきたわけでございます。また、国有地等有効活用推進本部という組織がございますけれども、そこにおきましても、この土地が処分されることが決まった時点で、私どもとしては処分方法について強くこのことをまた要請してもおるわけでございます。  私どもといたしましては、今後適切な処分のルールというものをつくって、それにのっとって処分してもらいたい、それまで待ってもらいたい、例えば借入金等で当面の状況を乗り切ってもらいたい、こういうふうなことで強く要請してきたわけでございますけれども、どうも林野庁におきましては、この土地を処分して歳入を得ないと事業の執行にも差し支える、こういうことでどうしても差し迫った問題である、処分せざるを得ない、こういうことでございました。そこで内閣内政審議室が中心になりまして、関係行政機関で協議したわけでありますが、いろいろ総合的な事情を勘案いたしますとどうしてもこれは直ちに処分せざるを得ない、こういうことに相なりましたので、私どもとしては万やむを得ないということで了解をしたわけでございます。
  185. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 国土庁長官にお伺いする前に建設大臣にもちょっとお伺いしたいのですが、先回の十月二十九日のこの委員会で、国公有地の払い下げの問題につきまして天野建設大臣はこういうふうにお答えになられました。たしかあれは、所管ではないけれどもというお言葉を前置きされて話をされていたと思いますけれども、国が公共事業国民から土地を買い上げる場合は公示価格でやって、そして国が売るのは自由自在、何倍でも結構だという話はないというような見解をあのとき表明されたと思うのですね。今回の今進んでおります六本木の問題につきましてはどんな感想でいらっしゃいますか、建設大臣にお伺いいたします。
  186. 天野光晴

    天野国務大臣 私、了解を求められましたけれども、了承はしませんでした。内閣の元締めの方から了解を求められましたけれども、私は了承しませんでした。
  187. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ありがとうございました。  国土庁長官にお伺いしますけれども、今建設大臣も、この件に関しては了解を求められたが了承しなかったというお言葉でございました。実は、現在進んでいる状況だけでそのまま推移をしていきますと、この十二月一日には一般競争入札が強行される、そして都及び区との対話、協議断絶という極めてゆゆしい状況になるおそれがあると思うのですね。そうなる前に何らかの有効な調整策を、例えば国土庁の話としては、一時延期するとかその前に適切なルールをつくっていくことをやりたいというような話が先ほどもございましたけれども、今この時点でこの入札の一時延期をして再協議するとか、あるいは保留、見合わせをするといったような措置はないのかどうか、これをお伺いしたいと思うのです。  それは、御承知のとおりに、きょう十一月二十六日に緊急の港区民大会が夕方六時から八時に予定をされております。今そのまま進んでいると思いますけれども、そういうふうになっていたり、あるいは特に東京都は十月二十九日に、本件の土地について買い受けの用意があるという意思表示もされているわけでありますね。さらに東京都が、これは国の要請を受けて、土地取引の適正化条例を制定して都における地価高騰抑制等を推進しておる。これが十二月一日に施行されることになっていますね。そういうような状況を考えたときに、国としては本件に関して本当に深い関心を持ってそれにこたえることをやらなければならない。今日本における最大の問題の一つは、東京の土地の高騰の問題だと思うのです。そういう意味では具体的なアクションが必要だと思いますが、いかがでございますか。
  188. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 先ほども御説明申し上げましたように、この三年間にわたりまして東京都や港区とも何回もいろいろと具体的にお話し合いがあったようであります。それが二転三転して今日に至った、こういう経緯もあるようでございまして、この件につきましてはそれらのいろいろの経緯を踏まえて、今土地局長がお話し申し上げましたように、私もこのことは非常に憂慮いたしまして内閣全体でこの問題を考えようということで内政室の方でいろいろと調整をした結果、今回はやむを得ない、こういう結果になって林野庁の売り出しに至ったということであります。先ほど天野建設大臣も、この問題については基本的に非常に大きな危惧の念を持っておられたことも事実でございます。
  189. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 きょうはこれ以上この問題については議論をいたしませんけれども、今手元にあるのは十一月二十二日の読売新聞でございますけれども、新聞にもこの問題についてわざわざ解説記事を書いております。タイトルは「林野庁跡地の競争入札 地価高騰あおるだけ」そして「政府の無策ぶり露呈 価格抑制の処方示せ」というのがサブタイトルでございます。建設大臣もそのとおりだと言われておりますけれども、私は非常に問題だと思うのですね。先ほど申し上げたとおりに、これから国鉄の用地をたくさん売却して云々ということをやっておるさなかというか、その発端にもなるべき話、だから今からでもできる手は最善の努力をすべきだというふうに私は思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。これは終わった話ではなくてこれから実は本当に始まるところでありますから、時間は余りありませんけれども、ぜひよろしくお願いを申し上げます。  それから次に、道路予算の問題につきましてお伺いをいたします。  六十二年度道路予算の問題でございますけれども、その概算要求では、道路財源として合計二兆一千二百三億円の税収を見込んでおります。しかし一般会計からの繰り入れは一兆七千四百九十五億円しかないために、オーバーフロー対策として新たに二千五百六十五億円の新規直入を要求しております。その具体的な内容、そしてそれが、大蔵省とこの処理の問題について話がついているという言い方がいいのでしょうか、ちょっとあれですが、話はついているのでしょうか。
  190. 天野光晴

    天野国務大臣 具体的には道路局長から答弁させますが、概算要求は私要求していなかったものですから、その内容については申し上げるわけにはまだいきません。これからの折衝に入れば私の段階に責任が回ってきますけれども、今までは前大臣がやった仕事でありますから、その点については具体的には道路局長から答弁をさせます。
  191. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘のように、今国の概算要求基準に照らしまして、一般会計では一兆七千四百九十五億円しか要求ができない、こういう事態に相なりました。一方におきまして、自動車重量税の国費分の八割を含めまして二兆一千二百三億円の税収が見込まれますので、その差額三千七百八億円のうち、地方道路整備臨時交付金としてガソリン税収入の十五分の一を道路特会に直入するという制度が確立しておりますので、その分千百四十三億円を引いた額二千五百六十五億円を新規に道路特会に直入するよう要求をいたしてございます。  そして先生、その後のいろいろな折衝過程はどうかということでございますけれども、現在昭和六十二年度政府予算原案作成に向けていろいろ検討中のところでございまして、直入の具体的な方法については財政当局と折衝中でございます。まだその合意に達するには至っておりません。これから鋭意折衝を進めたい、こういうふうに考えているものでございます。
  192. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今折衝中ということで、鋭意折衝を進めていきたい、こういうことでございました。六十一年度予算のときも新規直入を要求したけれども認められなくて、資金運用部から借金をしたという経緯でございました。そういう意味でも、それこそ腰を据えて取り組んでいただきたいと思います。  これまた御質問並びに要望になるわけでありますけれども、今の道路特別会計法あるいは道路整備緊急措置法の内容あるいは精神からいうと、借入金返済のための借り入れをするのはできないんじゃないのかなというふうに思います。したがって六十二年度は今以上の借入金を積み重ねることができないんじゃないんだろうか。だから、そのためにも建設省は新規直入の実現のためにはぜひ頑張ってもらわなければならぬ、こういうふうに思います。御意見があればお伺いしたいのですが。
  193. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘のように、道路整備特別会計法及び道路整備緊急措置法上、ガソリン税の収入増や借入金はともに道路整備事業に充てるべきものと規定をされております。そのような関係からこれを借入金の返済に充てることはできないのではないかと私ども建設省としては考えておる次第でございます。
  194. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 御承知のとおりに自動車ユーザーは、これは毎回毎回いろいろなときに申し上げたりしておりますけれども、道路投資に充当されるんだよという約束で高い税負担に耐えているわけであります。自動車重量税という特定財源がありながら借金で帳じりを合わせるというのが現在の状況でありますけれども、ユーザーから見ればとんでもない話だというのはみんな思っているわけですね。今も私のところにもはがきやらいっぱい来ますけれども、そういうことであります。だからそのための対策としては、新規直入を認めるか、あるいは早急に大蔵省が責任を持って返済をするのか、あるいは現在の債務を道路特会から移しかえるかということしか方法はないのではないかと思いますが、いかがですか。
  195. 萩原浩

    ○萩原政府委員 六十二年度の概算要求につきましては、先ほど申し上げましたように、二千五百六十五億円の新規直入の措置要求いたしておりまして、今その実現に鋭意努力しているところでございます。  先生あと二つ御指摘がございました、一般会計からの返済、これはいずれは道路特別会計の借入金の返済について別途に一般会計措置していただくというお約束ができておりますけれども、これを今回やっていただけるかどうかという問題が控えてございます。  最後の一般会計の移しかえの問題でございますけれども、この問題につきましては、先生せっかくの御提案でございますので、今後の折衝の一つの課題として検討させていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  196. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 自動車重量税のオーバーフローしている部分について、まず現状認識からお伺いしたいのですが、五十七年から五十九年度の累積オーバーフロー分は四千百八億円でありました。その後、どういうふうに今はなっているのでしょうか。
  197. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘のとおり、五十七年、五十八年、五十九年、三カ年で累積四千百八億円でございます。これに対しまして六十年度は二百億円、六十一年度は二百一億円の一般財源を投入していただきました。それから、ことし六十一年度にさらに補正で三百八十八億円の国費を投入していただきました。したがいまして、もしこれを差し引くといたしますれば、三千三百十九億円というのが現在の金額でございますが、累積のオーバーフローとしては、未充当額としては四千百八億円を抱えておったものでございます。
  198. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお答えは私の認識と同じになるのかな、あるいはひょっとしたら心配だなというのが正直な話でございます。  それは、今例えば四百一億円とか三百八十八億円、この補正の部分を差し引くとこうなります、実は、ことしの三月のときの他の委員質問のときにも、やはり差し引くといたしまして、だったかな、条件つきの説明をしながら、そういうふうにするとこうなる、だけれども今の話で四千百八億円あるという言い方ですね。何かよくわからぬなというのが実態であります。それは四千百八億円というふうに理解するなら、はっきりと四千百八億円と理解をしていただきたい。  私は、今の例えば四百一億円とか三百八十八億円がオーバーフローした部分を返済したというふうには考えておりません。これは、今までも道路財源は自動車ユーザーの負担する特定財源と、ある適当な一般財源、その二つで構成をしてやっていくんだよということで第一次計画からずっとやってきたというわけですね。今、例えば四百一億円とかこういうのを計算すると、それは道路予算が大体二兆円くらいでありますから、わずか一%くらいであります。もしも、これを一般財源からの投入とみなさなくてオーバーフローの返済だというふうに建設省が考えたとしたら、建設省一般財源はもう要りませんよと言っているのに等しいのではないかと思うのですね。その辺も考慮されたんじゃないかと思いますが、そういう意味では四百一億円あるいは三百八十八億円を、そのオーバーフローの返済だとは考えないというふうにはっきりとされた方がいいと思いますが、いかがでございますか。
  199. 天野光晴

    天野国務大臣 本来なら、道路に関する財源は全額一般会計でなければなりませんよ、公共に用する重要性からいって。なかなか国家財政が容易でなくなってきたものですから、そこでガソリン税創設してカバーをする、そしてそれでも容易でなくなったから、今度は自動車重量税になったわけでありますから、一般会計のいわゆる暫定予算にこれを概算要求をするということ、それ自体が間違っていると思うのです、今の段階では。これは、道路は全部、オーバーフローも何もあったものじゃありませんから、約束してあるのですから。自動車重量税創設当時には全額道路に使うという約束で、あれは私が創設した税金でありますから、そういう点でその約束はいまだに変わっておりません。どうしても全額よこさなければ法律改正をするという主張を今しているわけでありますから、たまたま政府が財政上容易でないものですから、四千百億貸したことになっております。その間、今道路局長が言ったように三回一般会計の方から入れてもらったから、それは貸し金を返してもらったんだというような考え方をすれば三千何ぼか残っているということでありますが、あくまでも四千百億は貸し金でありますから、これは取り立てるつもりでございます。大丈夫ですよ。
  200. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ぜひ、今のお言葉、大丈夫だというお言葉でありますので、よろしくお願いを申し上げます。  今大臣からもお話もありましたけれども、私は繰り返して申し上げますけれども、そのオーバーフローについては今は一銭も抱えておらぬ、これは大臣も先ほど言われたとおりだと私は思う。だから建設省大臣の意向どおりに、みみっちく例えば四百一億円とか三百八十八億円がオーバーフローの返済額だ云々というふうには考えない方がいいと思いますので、財政当局との間もぜひよろしくお願いを申し上げます。  そして、さっきこれは大臣も言われましたけれども、自動車ユーザーにしてもしかりでありますが、本当に重量税が道路に使われないなら、その分減税をしたらどうかということでありますね。大臣も今言われましたけれども、これは率直な国民の意識、大臣もそう思っている。だからそれこそ必要になれば、議員立法が必要なら議員立法をしてでも、それは法的措置で変えた方がいいという状況だと思います。  この問題は、私は、今まで建設省、大蔵省との間でいろんな約束をしてきて、すぐ返しますよ、速やかに返しますよ、あるいは第九次の中で反映させてちゃんと組みますよというような約束が長きにわたって行われてきた、しかしそれはなかなか実行されてこないというのが現在の状況でありますね。そういう意味で、先ほど大臣からも非常に力強いお言葉もいただきました。ぜひ頑張っていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  201. 村岡兼造

    村岡委員長 辻第一君。
  202. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず最初に、三原山の噴火に関連をしてお尋ねをいたします。  三原山噴火によって被災、避難された伊豆大島の皆さんに心からお見舞いを申し上げ、質問に入りたいと思います。私ども日本共産党は、二十一日の夜、対策本部を設置して被災者を見舞うとともに、国土庁を初め関係各省庁に万全の対策要求してきたところであります。以下、緊急の問題についてお尋ねをいたします。  まず、厚生省にお尋ねをいたします。  一万人を超える避難救助は前代未聞のことであり、万全の救助をやっていく上で当然予算の問題が起こってくると思います。聞くところによりますと、救助費その他の関係費は八億四千万円ということでありますが、避難の規模と長期化に伴い、当然予備費で対応せざるを得ないと考えるわけであります。十分な対応をぜひやっていただきたいと思うわけでありますが、御答弁をいただきたいと思います。
  203. 福田孝雄

    ○福田説明員 今お尋ねの三原山噴火被災住民に対する救助費の問題でございますけれども、今回の災害によりまして島外に避難された住民の方々に対しましては、避難所を設置いたしますほか、炊き出し等の食品の給与、また毛布等の寝具、そのほか生活必需品の給与等を行っておるところでございます。  これらにつきましては、先生がおっしゃいますとおり、確かに相当数の住民に対する救助でございますので、かなりの費用がかかると思いますけれども、その費用の総額につきましては、現段階におきましては応急救助を実施中でございますので最終的な所要額は算定できないところでございますけれども、従来から当初予算の枠の中で対応できない場合につきましては予備費使用等で対応してきておるところでございます。したがいまして、このたびの災害につきましても、これが長期化し、既定の予算で対応できないというような場合につきましては、財政当局とも相談の上、予備費の使用につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  204. 辻第一

    ○辻(第)委員 十分な対応をしていただきたい、重ねてお願いをしておきます。  次に、林野庁、お越しをいただいていると思います。  避難の住民の方々は、本当に着のみ着のままで脱出をしてこられたということであります。しかも、一ヵ所で二千人もの大世帯の避難場所もあるようであります。御婦人の着がえもできない、トイレも不自由なさっている、お年寄りや病人の方もおられる、しかも板の間の生活というような本当に大変な状況だと聞いておるわけであります。畳があり、仕切りのある最低限の生活ができる避難場所をつくることは緊急中の緊急の課題だと思います。しかも、避難場所が首都東京のど真ん中にあるということを十分考えていただきたいと思います。  現在、東京都でも公営、公団住宅の空き家利用など必死の努力をしていただいているわけでありますが、その一つとして港区六本木の林野庁宿舎跡地が挙げられております。きのう都議会の超党派で、避難先に林野庁宿舎跡地を提供することを林野庁長官に口頭で申し入れておるところであります。林野庁、前向きに検討していただきたいと思うわけでありますが、いかがですか。
  205. 石寺隆義

    ○石寺説明員 先生御指摘のように、確かに昨日都議会の議長さん以下九人の皆様が来られまして、そういう話が話題に上りました。ただ、私ども聞いているところは、被災者の住宅をどうするかにつきましては、東京都なり伊豆大島噴火対策本部におきまして現在鋭意検討しているところであると聞いております。  六本木宿舎跡地について、これを被災者の住宅用に使えないかというお話につきましては、実はこの宿舎は一年半以上無人状態になっているわけでございます。畳はありません。それからガラスは割れております。水道、ガスについても取り外してある、こういうことで、直ちに使おうと思ってもこれをすぐ使える状態にないということがまず一点ございます。また、既に公売公告を行っております。したがって、そういった売り払い物件でもありまして、被災者の住居として供することは適当でないと考えております。  ただ、私どもといたしましては、東京都さんなりあるいは対策本部の方から、政府全体として被災者の住居の用に供する宿舎等について検討を求められれば、これは林野庁としても協力するにやぶさかではございませんで、本件売り払い物件とは別に検討していきたいと考えております。
  206. 辻第一

    ○辻(第)委員 それじゃ、災害対策部長であります国土庁長官お尋ねをいたします。  今、政府全体としての要請があれば考えるにやぶさかでないというようなお話があったのですが、いかがですか。
  207. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 今度の火山噴火に対しましては、各党で真剣に御心配をいただいておるところでございます。  今の林野庁の跡地に避難場所を求めるという話はまだ聞いておりません。
  208. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひそのような方向で御対応いただきたい。強く要望しておきます。  長官は、十一月二十三日に火山噴火予知連絡会に対して、帰島できる安全な場所を探してほしい、このように要請しておられます。しかし、この予知連絡会は法的な根拠もなく、地震予知体制と比べても弱体なものであります。現在の伊豆大島の観測を見てまいりましても、機材等も含めまだまだ不十分だという指摘がなされております。例えば東海地震対策のデータは本庁にテレメーター化されている。しかし、火山予知観測データは電話で送っている状態だということであります。現在の活火山対策についても大規模地震対策並みの万全の予知、防災体制が必要と思うのですが、大臣の御見解を承りたいと存じます。
  209. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 地震予知と火山噴火予知とは、性質が、予知の学問が全然違うのですね。  今御指摘の地震予知に対しましてはいろいろと対策を講じておるところでございますが、噴火予知は、先ほども申し上げましたが、日本の一番権威者と言われる下鶴先生も学生時代から大島に逗留をして研究をされておりますが、この噴火予知というのはなかなか難しいということを現在もおっしゃっておる状況でございまして、噴火予知というのはまだ研究段階と言われておるぐらいでございます。  そういうことでございまして、これからもこの面についてのいろいろの御努力は願わなければならないと思いますが、現在のところはこの噴火予知ということについては難しい状況にあるということをはっきり申し上げておきたいと思っております。
  210. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ万全の対応をとっていただくことを重ねて要望いたしまして、次の質問に入りたいと思います。  次は、建設業法に関連をしてお尋ねしたいと思うのですが、非常に短い時間にたくさんお尋ねをしたいというふうに考えておりますので、恐縮ですが、簡明にお答えをいただきたいとまずお願いをしておきます。  ことしの二月一日に建設省の建設経済局長の私的諮問機関であります建設ビジョン研究会が「二十一世紀への建設産業ビジョン」を発表し、このビジョンの方向をもとにしてといいましょうか、これを受けて建設大臣が二月二十五日、中央建設業審議会に四項目について諮問をされております。その一番目は建設業許可のあり方、二番目は経営事項審査制度のあり方、この二者については年内にも答申が出され、それを受け、来年、建設業法の改定案が出されるという状況だと認識をしているわけであります。  そこで、この「二十一世紀への建設産業ビジョン」、これは「「活力ある挑戦的な産業」に脱皮するための基本的な枠組」このように言っているわけであります。そして、その中の「目指すべき将来像」の中に「業者数の方向」というのがあるのですが、その中で「現在の需給ギャップの拡大は、」云々「過剰な労働力・資本設備の解消のためには、業者数が減少することが必要である。」こうしております。さらに、資本設備の稼働率の低下、それが「直ちに業者数に結び付くものではないが、こうした趨勢からすれば、現在の業者数は、相当数減少すべきものと思われる。また、業者数が多い半面として企業の規模が小さく、しかも近年零細化の傾向にある。これは、企業経営の面から見ても、産業の効率性の面から見ても問題である。今後はある程度企業規模の拡大を目指す中で、その結果として、業者数が減ることが望ましいと考える。」こういうふうに言っております。そしてまた、このビジョン研の座長代理という重職におられた方があるところで、五十一万の業者、兼業も含めて二十万多い、このような発言もされているわけであります。こういうことで、今深刻な不況の中で苦しみ抜いている業者の方は、このビジョンを見て非常な不安におののいているというのが現状であると思うわけであります。  建設省は、このビジョンの方向のように、言うなら中小零細の建設業者業者数の大幅な減少、言うなら締め出しあるいは切り捨てというようないろいろの方向を進めようとされているのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  211. 牧野徹

    ○牧野政府委員 「二十一世紀への建設産業ビジョン」についてのおただしでございますが、一言で言えば、先生もただいまおっしゃっていただきましたが、建設業全体として「活力ある挑戦的な産業」に脱皮するためのフレームを示したものだ。ただその受け取り方でございますが、私どもは、このビジョンは基本的にこういうことを言っていると思います。  それは、企業規模の大小にはかかわらずに、技術あるいは経営の能力にすぐれた企業が伸びられるようにすること、このことが大事だ。だから、したがってお話のありましたような、まじめで施工能力にすぐれた中小企業の方が成長できるように、例えば経営基盤の強化でありますとか技術力の向上あるいは労働条件の改善、そういう施策を総合的に推進すべきだということがビジョンの提言の骨子だと考えております。したがって、いろいろお話ございましたが、ビジョンの考え方が中小建設業者の一義的な問答無用的な切り捨てだとは私どもは全然考えておりません。  それから、当然のことでございますが、今大臣許可、知事許可で約五十二万弱業者がございます。それを単純に数で何十万減らすということは私どもは全く考えておりません。
  212. 辻第一

    ○辻(第)委員 私もあのビジョンを読んでみたのです。今局長の御答弁がありましたけれども、私の印象では、「活力ある挑戦的な産業」ということでありますが、これは大企業が活力を持ち中小零細業者を締め出す、そういうことに挑戦する建設産業のビジョンではないか、こう私は受け取るわけであります。  実際問題といたしまして、今何万を締め出すというようなことは全く考えていないということでありましたけれども、いろいろもっと申し上げたいのですが、時間がありませんのではしょった話になるのですが、今中建審で審議をされている、その法制小委員会の審議の中で、技術者制度の見直し、技術者の資格についてというところであります。  私どもがいろいろ聞いているところでは、その問題についていろいろな案がある。その中の一番有力な案は、「①一般建設業及び特定建設業の技術者の資格要件は、基本的には国家資格に限定する。ただし、その施工技術が技能的、経験的である十四業種については、七条イ、ロの要件に講習の受講を義務付け、十五条イは現行のまま認めるものとする。なお、その講習は、施工管理に関する内容とし、修了試験に合格した者だけを認める。」「②施工管理技士、技術士、建築士以外の国家資格については、講習の受講を義務付ける。」こうなっておるように聞いているわけであります。  そうして、そのことのメリットとデメリットというのがまた言われているようでありますが、そのデメリットは、「現行の技術者の資格要件の考え方を根本的に変更することとなる。」「不適格となる技術者が約七十五万人生じる。」「講習の受講対象者が約二十万人生じる。」こういうふうに、一番有力と言われている案はなっているのですね。その他の案についても、デメリットは、例えば「不適格となる技術者が約六万人生じる。」「講習の受講対象者が約百十万人生じる。」こういう案もあるようであります。  このことはどうなんでしょうか。本当に専任技術者の資格をこのようにするということになると、先ほど来ありました「不適格となる技術者が約七十五万人生じる。」というふうなデメリットが言われているわけですが、これはどういうことですか。局長、お答えをいただきたいと思います。
  213. 牧野徹

    ○牧野政府委員 どういうことかという御質問はあれでございましょうか――私どもは現在の建設業の許可をする際に、それぞれ営業所ごとに一定の技術の資格をお持ちになった専任技術者というものが置かれていることが必要だ、これは私は当然だと思います。ただ、その資格要件について、一体現在の基準でいいのかどうか、それは現在中央建設業審議会のおっしゃるとおり法制小委員会の中で、非常に御熱心にワーキンググループまでつくっていろいろな案をそれぞれ比較しながら検討されております。ですから、今先生おっしゃったのはその案の中のある一つで、例えばこういうことに限定したらこういうことになるということでございましょうが、今のところはそれは審議会の中で鋭意御検討になっていることですから、どうなるということは申し上げられないと思います。  ただ、その審議の場で明らかになっておりますことは、実務経験のみで技術者の資格をお取りになる方あるいは学校を御卒業になった後三年なり五年の実務経験をプラスして技術者の資格をお取りになる方それぞれございますが、そういう実務経験の証明法、これは自己申告かあるいは雇用者の方の証明ですが、それの裏づけとなる証明書等がないこともあります。だから、そういうことで講習を義務づけたらどうかという意見もお話のとおりございます。  ただ、これはなかなかいろいろ問題がございます。一つは、建設業が総合工事業から専門工事業まで二十八職種もありますし、大手から中小零細ということもございます。個人もございます。そこで、いろいろな観点からやはりこの問題は慎重に検討する必要がある問題ではないかなと考えております。
  214. 辻第一

    ○辻(第)委員 今慎重に検討すべき問題と言われたのですが、もしこの一番有力な案で「不適格となる技術者が約七十五万人生じる。」というようなことになると、本当に中小零細な業者はまさに営業できない状況になるわけであります。先ほど申しました、本当に何十方という切り捨てといいましょうか締め出しといいましょうか、そういうことに直接つながると私は言わざるを得ない問題だと思うわけであります。  大臣は建設一筋で非常に頑張っていただいた。ある新聞では、建設の父が建設省へ帰る、こういうふうにも書いておるのを見たことがあるわけでありますが、本当に営々と今の日本の建設産業の中で頑張ってきた中小零細の業者の人が、こういう国の施策の中で締め出されるということのないようにぜひお答えをいただきたいと思うのですが、御見解を承りたいと思います。
  215. 天野光晴

    天野国務大臣 常識的に考えると、五十二万の許可を持っておる者がおるとしますと、人口割にいたしますと百八十人ぐらいに一つの業者がいるということになるわけでありまして、そういう点では、考え方によってはいろいろな面でもうちょっと縮小することの方が業界のためにもいいのではないかという常識的な考え方を私は持っております。しかし、これを一たん清算するということになりますとなかなか難しいものがございます。私の知っている範囲内で、相当数と申し上げていいと思いますが、破産をして、その者が次に別な看板をかけてまた商売をやるというような巧妙なやり方をやっている者もあります。ですから、一応今審議会にお願いをしておるわけでありますが、特に中小零細業者の締め出しなどということは毛頭考えておりませんし、公正、妥当な方法で、皆さんが納得のいくような格好でこの問題を進めたいと考えております。
  216. 辻第一

    ○辻(第)委員 この専任技術者の国家資格の問題は、先ほど来申しておりますように本当に大変な問題を派生するわけでありますから、これはぜひ取りやめていただきたいというふうに思います。また講習につきましても、多大な財政的、時間的な負担を加えるということになりますから、これも私どもは容認できない内容だと思います。  次に移るわけでありますが、これまた建設業許可のあり方に関して、財産的基礎の問題で、資本金の引き上げというのが問題になっているわけであります。私も、これは本当に大変な問題を含んでいると思うわけであります。しかも、五十九年十月に引き上げられてまだ日も浅うございます。この間建設工事費はほとんど変わっていないということでありますから、引き上げる理由はまずないと思うのであります。それから、中小零細企業の経営を非常に圧迫するということだと思います。そして、五十一万の許可業者の九二%、四十七万業者は個人または資本金百万円以下の小零細業者であり、これらの業者が、財産がない、資本金が少ないということで評価を下げられることは大変な問題だと言っておられるわけであります。私もそのとおりだと思うのです。さらに言えば、商法改正問題と同じような考え方であるというようなことも含めて、私はこの資本金の引き上げはやめるべきだと考えているわけでありますが、お考えを聞きたいと思います。
  217. 牧野徹

    ○牧野政府委員 建設業を営む場合に、発注を受けて工事を無事にやり上げるという観点から、建設業の許可の基準の一つとして財産的基礎というものが法律上置かれております。その際に、建設業の中で一般建設業と特定建設業がございまして、ほとんどの方は一般建設業でございますが、こちらは自己資本の額が三百万円以上、特定建設業が資本金の額が一千万円以上であり、かつ自己資本の額が二千万円以上、先生御指摘のとおり五十九年にそれぞれの額が上がったことは事実でございます。  現在私どもがこの財産的基礎の要件について中央建設業審議会で御審議願っておりますが、それは特定建設業者についてでございまして、国民の信頼にこたえながら的確に工事を施工していくという観点から見て果たして今のような額でいいのかどうかということを御審議願っておりますから、もし御審議の御結論をいただければ、必要があれば所要の手当てをしたいというふうに考えております。
  218. 辻第一

    ○辻(第)委員 特定建設業者に対する問題でというふうに御答弁があったと思うのですが、特定建設業者でも非常に小さい業者の方もたくさんおられるということであります。今の状況の中で資本金をふやすということは非常に困難を伴っているということをたくさん私は聞いているわけであります。それから先ほど申しました問題もありますので、資本金の引き上げはすべきでないと重ねて要望をしたいと思います。  もう一点お尋ねをしたいのですが、それでは今特定建設業者だけで、近い将来これを一般建設業者にまで広げられるというお考えはないのでしょうか。簡単にお答えをいただきたいと思います。
  219. 牧野徹

    ○牧野政府委員 現在中央建設業審議会で御審議願っておりますのは、先ほど申し上げましたように特定建設業者についてだけでございます。
  220. 辻第一

    ○辻(第)委員 ですから、将来一般建設業者に及ぼそうという考えがあるのかないのか、局長としてのお考え。これはちょっと言いにくいですか。
  221. 牧野徹

    ○牧野政府委員 現在建設大臣から御諮問を申し上げて御審議願っているのは先ほど言ったようなことでございますから、その辺で御理解をいただきたいと思います。
  222. 辻第一

    ○辻(第)委員 特定から一般に及ばないように強く要望をしておきます。  次に、経営事項審査制度についてであります。これは「審査に当たって必要に応じ実地調査、外部監査を実施するとともに、許可行政庁の審査能力を補完する公正中立な第三者機関を設置し、有料で一元的に業務を行わせる」というふうにあるわけであります。また、民間工事への活用という面が言われているわけであります。  こうした方向で進めますと、公正な審査あるいは企業秘密の保護というような問題、あるいは第三者機関で有料ということになりますと負担の問題、さらに大企業の下請支配、入札での優位に通ずるのではないかという点で、こういうものは撤回すべきであるというふうに私は考えるわけであります。それから、殊に民間工事への活用ということですね。経営事項審査の内容は、数表的であったり過去の大規模工事などを高く評価するなど、大企業に優位に構成されておる。町場の大工さんや工務店などが日夜の努力で築いた信用などについての評価が欠けているといることから、経営事項審査を公表することは結果として中小零細な建設業者はだめですよということを行政当局が助長することになる。また、大企業が強力な宣伝力を使ってその有利さを強調することは、中小零細な建設業者を整理、淘汰することになる。このような問題があるので、民間工事への活用は断じて行うべきでないと考えるのですが、いかがですか。
  223. 牧野徹

    ○牧野政府委員 経営事項審査制度の評価でございますが、冒頭にも申し上げましたように、五十二万業者の中で、やはりまじめで能力があって、技術と経営にすぐれた業者が適正な競争の中で成長していく、不適格業者はだんだんと淘汰されていく、そういう仕組みをつくりたいということでございますから、そのための条件整備の一つとしては、昭和二十五年以来やっておるこの経営事項審査制度というのは非常に意味のある制度だと私は思います。ただ、今の内容、項目あるいはその評価の仕方が全くそのままでいいのかどうかということには多少問題もありましょうから、そこで、現在はまず経営事項審査制度の制度としての位階づけ、いわゆるフレーム、枠組みと申しますか、そういうものを先に御審査を願っております。当然、御答申等があれば必要に応じて適正な措置を講じたいと思いますが、その次に、先生もちょっとおっしゃいましたように、第二ステップとして審査内容あるいは審査基準の見直しも逐次行っていきたいと思います。  それから、民間工事への活用につきましては、これもいろいろ御意見があって中長期的に検討する必要があるというふうなことで、今検討が進められているという状況でございます。
  224. 辻第一

    ○辻(第)委員 この制度、私は今お話をいたしましたように、殊に民間工事への活用というような問題は重大な問題を含んでいるというふうに思いますので、ぜひ建設省としてはきっちりとした対応をしていただきたい、重ねて要求をしておきます。  そして、公共工事の専任制の問題でありますが、「公共工事の専任の主任・監理技術者については、登録証交付技術者を設置する。」ということのようであります。ところが、現在の専任の主任・監理技術者を置かなければならない工事高、それは工事高九百万以上、ただし電気工事等は三百万円以上ということになっているようであります。この工事高を引き上げないと、中小零細企業の場合一件当たりの工事高が非常に低いのですね。例えば、一千万の仕事を請け負って三カ月でやりますと、一ヵ月三百三十方ですか、そういうことになるのですね。そういうところへ専任の主任・監理技術者が少ないというようなことも含めて、受注に困難を来しておるということであります。引き上げるべきだというふうに考えるのですが、いかがですか。
  225. 牧野徹

    ○牧野政府委員 九百万円以上の公共工事について専任の技術者を要求しておるのは、それはもう御指摘のとおりでございますが、ただ、この工事規模で果たしていいのかどうか、この点も現在中央建設業審議会で、これは慎重に御審議を願っております。建設業者等にとって過重な負担とならないように、そういう観点も含めまして、種々の観点からいろいろ御検討を願っておるところでございます。
  226. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、中建審での審議がされておるようであります。それを受けての来年の建設業法の改正ということになろうかと思いますけれども、先ほど来私が要望いたしました問題について十分な御対応を賜りたいと重ねて要望して、次の問題に移りたいと思います。  時間がわずかになってきたのでありますが、住都公団の問題です。  住都公団では、昭和三十年代の賃貸住宅については建てかえ、四十年代の住宅については建て増しというのが基本的な方針のように聞いております。そうして今、既に計画が明らかにされておる川崎の小杉御殿住宅、それから大阪では臨港第二団地というのがあるようであります。さきの当委員会でも同僚の議員からお尋ねをしたわけでありますが、どう考えてみましても、例えば小杉御殿団地で今二DKですか二Kですか、大体二万三千円のが、七年先ですか、一番最終の段階では十万三千円になる。それが三DKや二LDK、あるいは四DK、三LDKになりますと、さらに高くなるそうでありますが、例えばこの二万三千円から十万三千円になる、こういうのは、私はどう考えても余り合理的でない、それどころか、実態としてそこにお住まいになっている方には、かなりの方が立ち退かなくてはならない、結局追い出されるという表現が当たるのではないか、そのような気持ちを持たれるのではないかというふうに考えるわけであります。何とかいい方法がないのか。もっと家賃を引き下げる、あるいは建てかえても十分それにこたえられる人はいいんですが、そうでない方は、建て増しですね、これらの問題を併用されるというようなことができないものかというふうに考えるわけであります。  そして、関西自治協でアンケートを最近とられました。十一月十五日の集計では、一万四千六百二十三戸に対して用紙を渡されたのですが、回答があったのが八千四百六十九戸、五七・九%であります。その中で、家賃を三万円以下にというふうに希望されておるのが三九・一%、五万円以下にというのが四一・八%、もうこれで八〇・九%の方が五万円以下ということを希望されているのであります。  そして、この回答された方々の現在の収入ですが、二百五十五万円までが二〇・八%、二百五十六万から三百五十万までの方が二一・三%、これを合わせますと、三百五十万以下の方が四二・一%おられるのですね。三百五十一万から三百九十九万の方が一〇・六%、四百万から四百五十三万の方が一一%。もうこの四百五十三万までの方で六三・七%おられるのですね。さらに一段上がって四百五十四万から四百九十九万の方が六・七%。もうここで七〇%に達するということであります。ですから、年間の収入、高くないですね。ですから、こういう方々が、例えば先ほど申しました十万三千円のところへ、当初は傾斜家賃があるといたしましても、本当にそこでお住まいになることができるのか、大変なことだと思うのです。しかも、三十年代にお住まいの方ですね。  奈良にも三十年代に建ったところがございます。そのある団地、非常に駅から近くて、本当に住環境がいい。今日まで住都公団がこの住宅問題に非常に大きな役割を果たしていただいたということを本当にその中で感じるような、非常に良好な居住環境を持っているわけです。ただし、非常に狭うございます。これはどうにもならないほど狭いということであります。しかし、そこには非常にお年寄りの方がたくさんおられるのであります。  ここの団地、百八十万で百十一戸の方が回答を出されたわけでありますが、大体六一%です。この回答を出されたうちの二七%が建てかえを望まないとされております。それから、建てかえを希望しておられる方が一六・二%ということであります。  で、建てかえを望まない方の理由は、家賃が高く生活ができなくなるというのが七〇%、それから年収が二百五十五万までが四六・七%、三百五十万までが二六・七%、合わせて七三・三%の方が三百五十万以下ということであります。年齢は、六十歳以上の方が六〇%、こういうことですね。  それから、建てかえを希望しておられる方も、理由は住宅が狭いということでありますが、年収は三百五十万以下の方が五〇%おられます。新家賃を三万円まで五〇%、五万円まで二七・八%、五万円以下と望んでいらっしゃるのが七七・八%であります。この建てかえを望む方は、二十歳代、三十歳代の方が合わせて五〇%おられる。比較的若い方がおられるわけであります。  このように見てまいりますと、非常に高齢者の方も多うございます。年金生活者も多うございます。そして、現在の収入からのバランスを考えてまいりますと新しいところへは戻れない。結局、長年住みなれた、狭くてもこのすばらしい住環境、ここでもう生涯を送りたいというような方がたくさんこの中にはおられるわけであります。そういう人が、民間であろうと公営であろうとあるいは公団であろうと、どこかへ立ち退かなくちゃならないというようなことは、私は非常に深刻な問題だというふうに考えるわけであります。ですから、ぜひこの問題で、三十年代イコール建てかえということではなしに、幾らか建てかえでないところもあるようでありますが、やはり建て増しの問題とか、あるいは家賃をもっと下げる方を、この前いろいろお話がありました、土地の評価の問題なんかありましたけれども、そういうことも含めて十分な対応をいただきたい。  今日まで住宅問題で大きな役割を果たされてきた住都公団として、本当にこういう弱い人、お年寄り、そういう人をいじめるようなことにならないように十分な対応を考えていただきたいと強く要望するわけであります。お答えをいただきたいと思います。
  227. 京須實

    京須参考人 三十年代に管理を開始しました公団住宅でございますが、先生も御指摘のように、非常に狭いのでございます。平均いたしますと三十五平方メートルでございまして、現在建設省の御指導のもとに改修を図っております最低居住水準にも満たないものが大部分でございます。特に、畳が団地サイズでございますし、また、例えば床のスラブと申しますか、厚さも、三十年代は十一センチでございましたが、現在は二十センチと遮音でも大きな性能の違いがございます。しかも、洗濯機の置き場もない、そういったものが大部分でございまして、こういったものを改善することが、やはり私ども公団の重大な使命と考えております。  しかも、大都市の都心部に立地しておりまして非常に容積率を豊かに使っておりまして、現在法定ではおおむね二〇〇%ぐらいの容積率が使えるものが六〇%台といったような、いわば非常に土地をむだに使っておるというような感じもいたします。そのために、戸数を建て増しますと大都市の都心部におきまして新たに公団の賃貸住宅を求めている方々にも希望にこたえられる、そういったこともございまして、ぜひ私どもも建てかえをしたい、このように考えておるわけでございます。  ただし、先生おっしゃいますように面積も相当ふやしますし、また場所もよろしゅうございますので、やはり家賃は上がってまいります。家賃は、先ほど七年間と申しましたが、現在発表しております家賃は、その後撤去いたしまして建築いたしまして、いろいろな時間がかかりますので、平均しますと約十年後の七十一年にそのくらいの家賃になるという話でございまして、相当の時間的余裕がありまして、現在では非常に高いのか、あるいはある程度高いのか、なかなか判定のつきがたい問題でございますが、いずれにしましても私どもは、現在住んでいる方々が非常に高額にどんどん上がっていくことにつきましては対策を考えまして、七年間非常に大幅な家賃の減額をいたす、それでももとの建て直した住宅にお入り願うことが難しいという方々にはほかの住宅をごあっせんする。決して行き場もなく出ていけというのではございませんで、我が国に現在公団で持っております賃貸住宅、三十年代以外でございますと約五十万戸ございますが、どこでもお移り願って結構でございます。ですから、ある意味で申しますと親子が一緒になるチャンスとかそういったものも可能性としてございますし、またそういうところへお移り願った方々につきましては、五年間二万円を限度といたしまして、四〇%の減額をする、そういう配慮も考えたわけでございます。さらに、生活保護世帯あるいは老人世帯、母子世帯あるいは心身傷害者等が一緒に住んでおられる世帯、そういう方々につきまして、所得が低い場合にはまた特段の配慮をしようと思っております。  そのようなきめの細かい配慮をしながら、御協力を賜りたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、ただいま先生お話がありましたように、私どもも、高齢者につきましては生活保護世帯と同様の低い世帯よりは上の方でありましても大変でございますので、そういう方につきましては、特に家賃の低いところを御希望の方にはそういうところをごあっせんする、そういったようなきめの細かいことも考えたいと思っておるわけでございます。  何と申しましても、大都市で非常に土地を豊かに使っております三十年代の住宅を建て直しませんと、新たに適正な家賃の賃貸住宅を求めている方々に対処し得ない、そういう問題が一番の基本でございまして、ぜひ御協力を賜りたいと思っておるわけでございます。  なお、特に申し添えますが、三十年代につきましては建ってから既に時間もたっておりまして、これに新しく増築を加えますと、非常に年度の違ったものが、水と油とは申しませんが、そういったものが一緒になってしまいます。後の管理とかいろいろな面で問題がある。そういう意味で、四十年代でございますと増築は可能でございますが、建てかえについては三十年代はぜひそう行いたい、そういう点でございますので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
  228. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ御答弁をいただいたわけでありますが、納得できないわけであります。  時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  229. 村岡兼造

    村岡委員長 次に薮仲義彦君。
  230. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは大分長時間にわたっていますので、要点だけ、てきぱきお答えをいただければと思います。  それで、ちょっと質問を幾つか割愛をさせていただくかもしれませんので、御答弁をいただくようにお願いをしておきながらあるいは途中で割愛するかもしれません。その点はきょうは御了承いただきたいと思います。  最初に大臣にお伺いいたしますけれども、総合経済対策、補正予算、この急速な円高の進行による不況が叫ばれる中で建設省中心とする公共投資、これは景気を浮揚する上で、国民生活を守る上で大変意義が大きいと私は思っております。特に今回の補正につきましては、例年言われますようにゼロ国債ということではなく、しっかり建設国債を増発して対処した、このことに対する大臣の労を多とするものであります。  そこで、私は何点かお伺いいたしますが、まとめて伺います。  一つは、このように急速な円高、特に、きょうも問題になっておりますように炭鉱においては閉山の問題が急速に迫っております。あるいは造船、非鉄金属等々、各地に不況の声が特に輸出関連等においては起きております。そういう地域に公共投資を傾斜配分してほしいという声は非常に要望の高いところであろうと思います。この傾斜配分についての大臣のお考え。  それから二番目は、台風十号で大変な被害を東北方面、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉と受けたわけでございますが、大臣は特に災害対策は御専門でございますので、この災害復旧に万全を期されて、新しい年に希望の持てるように対処していただきたい。これについてのお考え。  三番目は、来年度大臣が並み並みならぬ決意でこの公共事業というものを拡大していただくことは、来年の予算編成において非常に大事な点ではないかと思います。  以上三点、まず大臣の御決意を承りたいと思います。
  231. 天野光晴

    天野国務大臣 傾斜配分の問題でありますが、今年度の補正予算をなぜしなければならないかという根本的な問題を考えますと、いわゆる貿易摩擦に対処する円高政策の関係で、非常にデフレ傾向に陥ってきた、零細企業が倒産していく地域が出てきたということ、いわゆる内需拡大をそのためにやらなければならない予算でありますから、そういう点でまず第一に、円高対策によって不況をこうむっておる地域、この地域はまず傾斜配分すべきである。そういう考え方から、例えば石炭関係あるいは造船関係あるいは鉄鋼関係あるいは漁業関係、そういう関係でデフレ傾向に陥っている地域に対処して傾斜配分をやるという方針で、まず配分したつもりであります。  災害につきましては、三、五、二の比率で三年間で災害復旧をやっておったのはもう先生も御承知のとおりであります。日本の国は非常に台風災害等が多いわけでありますから、そういう点で災害をこうむらないようにするという考え方からいけば一日も早く復旧作業をやることが望ましいわけでありますから、そういう観点で二年で仕上げたい、特に初年度において少なくとも七〇%から八〇%ぐらいの消化をしたい、そういう考え方でここ数年間やってきたわけであります。そういう点で今年度も初年度八一%、これはいろいろな意味があります。追加補正の関係等もこれあり、出すのなら災害で出した方が大蔵省は楽だというような考え方もあったと思いますが、そういう意味で八一%の災害復旧を獲得したわけであります。十二分にいけるという考え方を持っております。  もとより来年度予算編成は、御承知のように今年度債務負担行為七千億をやっております。当然、来年度の当初予算に七千億の穴があくわけでありますから、これを穴をあけない形の上に立って来年度のいわゆる内需拡大政策につないでいくという建前から相当苦労をさせられるのではないかなというような感じをいたしておりますし、私も自分の立場をかけてもこの問題の始末はいたしたいと考えております。災害関係はイデオロギーはありませんから、各政党ともこの点についてはひとつ十二分に御協力をお願い申し上げておきます。
  232. 薮仲義彦

    薮仲委員 大変力強い御決意を伺って、多くの国民の方は安心もし、期待もしていると思います。もちろん来年の景気浮揚はおっしゃるとおり、ここにいらっしゃる諸先生が党派を超えて大臣に協力するものであると思いますし、大臣の獅子奮迅の御尽力を重ねてお願いをいたしておきます。  ここで本当は住宅問題をやりたかったのですが、これは事柄が大き過ぎますからきょうはやめます。  地価対策、ちょっとこれはお伺いしておきたいのですが、特に東京都心の商業用地の地価が非常に高騰するということが言われております。現在の国土法では、その届け出対象面積は市街化地域では二千平米。しかし実際は、面積要件にかかわらず小さい面積であっても地価高騰の原因になっておるということは言われておりまして、国土庁が東京都と協議の上、さしあたって五百平米を対象面積になさった。これは大変好ましいことだと私は思います。  そこで、こういう考え方は、今後日本の三大都市圏、最近は東京都だけでございますけれども、どこでこういう問題、異常高騰するというケースが起こるかわかりません。そのときにやはり、東京都で国土庁が一つの試行錯誤というよりも一つの手法としておやりになったこのことは大変好ましいと思いますので、もしも地価が高騰したときに同じような手法で地価の低廉、高騰抑制のためにこの手法を適時適切に行っていただきたい、こう思いますがいかがでございますか。
  233. 田村嘉朗

    ○田村(嘉)政府委員 地価高騰の抑制のためには国土利用計画法の規制の強化が必要であるというふうに思っております。  東京都では御案内のように、先般条例を制定して小規模な土地取引につきましても規制をするようにしたわけでございますけれども、先生おっしゃるように、地価が高騰し、あるいは投機的取引が盛んになって、小規模な土地取引を規制する必要が東京都以外でも出てくる可能性というのはあると思います。一方、東京都でも、条例はつくったけれどもやはり国土利用計画法に基づいて規制をしたいという希望もございますし、同じ規制であれば同一の法体系の中でやるのが整合性の確保という点からもいいと思いますので、私どもといたしましても、国土利用計画法でもう少し小規模な土地取引の規制もできるように改正を検討していきたいと思っております。
  234. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、やはり最近の地価高騰の原因にはこういうことがあると思うのです。一つは居住用資産の買いかえ。これはいわゆる買いかえを促進するということで、住宅政策の上からは非常に大事なことであります。しかし、最近これを悪用して、異常に高い買いかえ用地を求める、これが東京周辺において地価の高騰の引き金になっております。  居住用資産の買いかえという法体系は私は大事だと思うのですが、しかしこれが悪用されるということは戒めていただく必要があろうかとも思うのです。これは公共性の意味からも私は十分注意していただきたいと思いますし、特に問題なのは、個人もさることながら、法人の場合です。赤字のダミーの会社がそれを行った場合には、これは全部赤字の中に吸収されてしまいまして、利益の部分がほとんど出てこない。そうしますと、これを悪用した場合にはまた非常に問題が多いこともございます。  それからまた、特に最近は国公有地の問題がいろいろございます。国公有地は国土法の適用除外になっておりますけれども、これから国鉄が民営化されて、いよいよ国鉄用地というものがいろいろな形で処分されていったときに、何らかの形で関心を持たなければならない土地の問題であろうかとも私は思います。  この点について、難しくお答えいただく必要はございませんから、今の考え方についてやはり改正する必要があるとお考えかどうか、それから国土法の中で関心を持っているかどうか、お答えいただきたいと思います。
  235. 田村嘉朗

    ○田村(嘉)政府委員 まず税制でございますけれども、居住用財産の買いかえの特例が周辺の住宅地の地価高騰に関係があるのではないかという御指摘でございますが、私どももそのようなことがあろうかと思っております。したがいまして、居住用財産の買いかえの特例の基本は維持しつつ、特に土地の価額につきましては一定の歯どめをかけて、それ以上の買いかえの繰り延べについては認めないというふうなことで税制改正の要望をいたしております。  それから投機的な、特に短期な投機的取引を抑制するために、二年以内の土地の売買につきまして現行よりも重課する。さらに赤字法人の場合でも、当該取引についての譲渡所得を完全分離課税方式で課税するということをやはり同様に税制改正の要望をいたしております。  それから、国土利用計画法で国有地の処分について対象とすべきではないかというお考えでございますが、私どももできればそのようにしたいということで検討いたしております。
  236. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、これは本当は時間をかけて聞きたかったのですが、きょうはやめますが、地価の高騰でいつも問題になります司法研修所跡地が異常に高かった。今度は林野庁の六本木宿舎跡地がいろいろ問題になっております。これはきょうはやめまして、ただ一番大事なことは、このように国有地がいつも話題になって、地価高騰の原因になっているような言われ方ということは非常に残念であります。その間、建設大臣はもちろんのこと、国土庁長官も、このことは十分御承知で、同とか解決しようといろいろ御尽力をなさったであろうことは仄聞はしております。しかし、やはり都心の地価の高騰ということは大事な問題でございますので、いろいろ条件を関係の方々から十分お聞きになって、林野庁は地価高騰の引き金にならないように、なるほどと納得できるような処分をしていただきたい、これだけ言っておきますけれども、いかがですか。
  237. 石寺隆義

    ○石寺説明員 六本木公務員宿舎跡地の売り払いにつきましては、これまでの三年に及ぶ東京都さん、港区さん、それから住都公団さんと折衝の経緯がございまして、所要の手だては十分尽くしてきた、それと、国有林野事業の極めて厳しい財務事情から、もうこれ以上売り払いを延ばす余裕がないということで、関係省庁の合意を得まして一般競争入札に付することになりました。  その際、最近の都心の地価の動向にかんがみまして、いやしくも土地転がし等を目的とした投機的な取引が行われることのないように一般競争入札においては異例の厳しい条件を付しているところでございます。この条件は二つございまして、一つは、十年以内の転売禁止。これに違反した場合は違約金として売買代金の三割を徴収する。このほかに、差益が生じた場合にはその売買差益も徴収するし、あるいは買い戻し権の行使をするということになっております。もう一つは、契約日から二年以内に着工、五年以内に完成ということになっておりますが、これに違反した場合にもそれぞれ違約金を一割いただきますし、さらに十年間何もしないという場合には特別違約金としてさらに二割いただく。こういう厳しい条件を付しておりますので、林野庁といたしましては、これによりまして適正な取引がなされるものと考えております。  入札後におきましても落札者の行為を厳しく見守りまして、適切な利用がなされるよう努める所在でございます。
  238. 薮仲義彦

    薮仲委員 細かいことをいろいろ言えば私もいろいろ意見もございますけれども、要望をいたしておきます。  やはり国土庁長官、このように問題になるような処分の仕方は、今後は政府として御検討をいただいた方がよろしいと思うのです。特に、今回なぜこれが住宅都市整備公団でできなかったかというと、もしもこんな高い地価で買えば、あそこは公示価格で三百万円程度だと思います。その近くで司法研修所は数千万ですからね、これは問題ありますけれども。それでもという考えになったときに、そこに例えば住都公団が家を建てたときに入居できる家賃はどうかといえば、とんでもない家賃になろうと思うのです。これは御専門でございますからもう計算はできていらっしゃると思うのです。じゃ、あのように公開競争入札以外に、政府の機関でこれを有効な利用ができなかったか。例えば土地の信託であるとかいろいろな方法は、時間さえかければ可能であった部分もあったやに私は感ずるのです。もうこれは間に合いませんから言いませんけれども、今後またこういうことで政府がむしろ地価の高騰の先駆けというようなことであってはいけないと思うのです。やはりただいま御答弁のように、長い間かけていろいろ御苦労なさった経緯は私も十分承知いたしておりますのできょうはこのことについてはやめておきますけれども、しかし今後十分御検討いただきたいとお願いをいたしておきます。  それから、これは建設大臣にお考えをちょっとお伺いしたいわけでございますが、都市計画法第七条、これは言うまでもなく市街化区域と市街化調整区域、線引きでございますが、これの第七条二項に「市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。」こうなっています。これはやはり、その地域は市街化にすべきだということで、この都市計画法は本来法の体系があったと思うのです。ところがこの中にいろいろ問題があるわけでございますが、三大都市圏、特に東京都であるとかそういうところの中で――今時間がございませんからこちらで国土庁の御意見を伺えば、地価はなぜ高騰するのだ、これは需要と供給のアンバランスです、こういう答弁が返ってきます。じゃ、需給を円滑にするためにどうしたらいいのだ。その素地が適正な形で出てくればいい。しかし税制だけで出てくるのか。いろいろ土地を出そうということで建設省、国土庁、御尽力いただいておりますけれども、私はきょうはずばり数字の上でお伺いしたいのでございますけれども、これは簡単に数学だけ言っていただけますか。第二次の宅地需給長期見通しで、昭和六十一年から六十五年までの五期五計、これの首都圏、近畿圏、中部圏圏域の必要面積だけ、面積で言ってください。
  239. 牧野徹

    ○牧野政府委員 今ちょっと資料を探しますが、要するに五期五計に見合った数字はたしか五万九千二百ヘクタール。三大都市圏別は今ちょっと探してみます。
  240. 薮仲義彦

    薮仲委員 そのとおりでございます。全国五万九千二百でございまして、首都圏が一万三千七百、近畿圏が六千七百、中部圏が七千二百、局長の言うとおり、間違いございません。  そこで時間の関係で急ぎます。自治省来ておられますね。自治省にお伺いいたしますけれども、三大都市圏の中にある農地面積をちょっと言ってください。
  241. 佐野徹治

    ○佐野説明員 お答えいたします。  三大都市圏の特定市街化区域の農地の面積でございますが、首都圏が二万九千六百十五ヘクタール、中部圏が六千三百二ヘクタール、近畿圏が九千六十九ヘクタール、合計四万四千九百八十六ヘクタールでございます。
  242. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、今お聞きいただいたとおり、首都圏の五期五計、昭和六十五年までの需要見通しで一万三千七百ヘクタールでございます。ここにあるところの首都圏の農地面積は二万九千六百十五でございますから、五期五計から六期五計までいってもあるほど、土地はあるわけです。これは農業をやっちゃいかぬなんて、決してそんな利粗っぽいことを言うのではないのです。農地だけ言うとちょっと、何だあれはといって公平を欠きますから、建設省が区画整理済み未利用地として持っていらっしゃる三大都市圏の面積を、数字だけこれも言っていただけますか。
  243. 北村廣太郎

    北村(廣)政府委員 首都圏の――恐れ入ります。失礼いたしました。これは農地の数字でございまして、またちょっと後ほどお答え申し上げます。
  244. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは建設省おわかりになっていますから、後で資料を見てください。  三大都市圏未利用地は、首都圏が五千六百五ヘクタールでございます。中部圏が二千九百二十五ヘクタール、近畿圏が千五百六十三ヘクタールでございます。これは数字間違っていないと思います、建設省の資料でございますから。  それから、国鉄お見えだと思うのですが、国鉄用地で三大都市圏にある、三大都市圏というよりも、今度いわゆる売却予定地となっている面積をちょっと言っていただけますか。
  245. 山口良雄

    山口(良)説明員 お答えいたします。  首都圏は五百二十三ヘクタール、中部圏百十一ヘクタール、近畿圏三百十五ヘクタール、合計で九百四十九ヘクタールでございます。
  246. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは大臣、私は宅地並み課税のことで大臣の御意見を伺いたいわけでございますけれども、その前に自治省にもう一つお伺いしたいのは、いわゆる宅地並み課税というのは、今激変緩和といいますか、ちょっと緩やかになっております。例えば市街化区域の固定資産の課税軽減措置がされているのは大体今三十分の一、来年あたりから五十分の一ぐらいになるのではないかと思いますけれども、その辺何分の一ぐらい軽減されているか、何分の一だけちょっと言ってください。
  247. 佐野徹治

    ○佐野説明員 お答えいたします。  現在、長期営農継続農地ということで農地課税をいたしておりますものにつきまして宅地並み課税をいたすということになりますと、今お話ございましたように経過的な負担軽減措置を新適用の特定市街化区域農地に対しては課しておりますので、この措置がないと仮定をいたしますと、おおむね四十七倍程度でございます。
  248. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、そこで質問なんでございますけれども、いわゆるこのキャピタルゲインといいますか、農地のまま持っていますと、現在の市街化区域にある農地は農地法の適用を受けないわけです。ですから売りたいときにいつでも売れる。五条転用は必要ないわけです。もちろん三条も必要ございません。しかし今税金はどうかというと四十七倍、簡単に言えば五十分の一程度。五十分の一というのは、例えば私がここで宅地を持っていれば一万円です、農地を持っていれば二百円です、こういうことですね。二百円のまま持っていて、地価が高騰したときに、じゃ売りましょうか。まあこれは一つの考え方で、粗っぽい考え方です。決してそうではないと思います。この農地の宅地並み課税ということは、本来我が党は、二十年間の営農意思があれば認めてあげるべきだと。やはり農業というのは日本の非常に大事な基礎産業でございますから、これを軽々しく発言することは私は差し控えさせていただきたい。  ただし、今はどうなっているかといいますと、十年間の営農、五年たってその見直し、こうなっておりますが、果たしてこれで本当の営農意思がどうなのかということがございます。これはやはり、本人が営農する意思があるか、また実態があるかということになると思うのですが、先ほど私は冒頭に都市計画法第七条を申し上げました。この法律の根本精神でいくならば、ここは建設者の行政上、責任を持って市街化してまいりたいという地域だと思うのです。ならば逆に逆線引きをして、これは農地でいたいならどうぞ農地でお戻りください、市街化しなければならないというところについては、ある意味では単なる本人の営農意思もそうかもしれませんけれども、ここまで地価が高騰してまいりますと当然区画整理未利用地の有効利用ということで、あるいは私は国鉄をなぜ挙げたかというと、国鉄は都心の、しかも駅周辺の一等地に多くある場合もございます。そういうこともございますから、やはり大臣に関心を持っていただくと同時に、農地だけを言っているわけじやありませんけれども、農地についてはやはり本人の営農の意思のほかに、建設省はどうしてもここは農業よりも市街化したいのだ、住居地域にしたいのだとか、こういうお気持ちがある程度働く必要が今後二十一世紀に向けてあるのじゃないかな。それがきちんと整理されてくれば、土地を有効に活用し、また代替地が必要であれば代替地を出すとかいろんな手法を考えて、この適正な利用をこの辺で御検討いただけないかと思いますが、大臣、いかがでございますか。
  249. 天野光晴

    天野国務大臣 一応、現在施行しておる市街化農地、法律の五年目が今来るところでございまして、長期営農の可能性、これがどうなるか、そういう点で営農の確認をいたしまして、その段階で現在の法律でよければいいと思うのでありますが、いろいろ問題があるという段階においてはやはり改正をするべきじゃないかと考えております。
  250. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはそのぐらいにいたしておきます。どうか大臣、決して農業者の営農意欲とか農業を軽んずるという気持ちはございません。それを大臣も十分おわかりいただいての御答弁でございますので、将来のためにこれはどうか心にとどめておいていただきたいとお願いを申し上げます。  きょうは手っ取り早くやる約束でございますから、大臣、一言すぱっと答えていただきたいのですけれども、先般、我が党で伏木衆議院議員の方から中水道法を提案したわけでございます。この中水道法は私も過去に二回ほどこの委員会質問しておるわけでありますが、特に東京都心は、これからインテリジェントビルあるいはオフィスビル、超高層ができてくるわけでございます。そうしますと、水を将来有効に活用するということは非常にいいことだと思うのです。一度使って捨てるのではなくて、二度使うあるいは三度使えるかもしれない、それは、これからの浄化あるいは科学技術の進歩によって非常に進んでくると思うのです。しかし現時点において、中水道は水道コストより高いものですから、使いたくないという問題もございます。しかし、現にサンシャイン60等は中水道でございます。間違って飲むとか、あるいはそれがまき散らされてビールスがどうのこうのという病気が発生したり、あるいはあってはいけないいろんな問題がほうっておきますと出てきては手おくれだと思うのです。  そこで私は、厚生省あるいは国土庁、いろいろ関係省庁御努力なさっておりますけれども、やはりこの建設を所掌なさる大臣といたしましても、将来大都市の水の有効利用ということで中水道法というのがきちっとあって、いわゆる水質の基準であるとか技術基準等があった方がいいと思うのでございますけれども、大臣、一言お考えいかがでございますか。
  251. 天野光晴

    天野国務大臣 水は人間生活にとって最高の必須条件でありますから、水の有効利用ということについては十二分に検討しなければなりませんし、今先生のおっしゃったように、間違って飲んだりなにかするとやはりちょっと問題のあるものでありますから、科学技術の進歩を踏まえて水の再処理という問題について考慮をしなければいけないのではないかと考えております。
  252. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかその方向で御検討いただきたいと思うのです。  特に水は国土庁が御専門でございましょうし、やはり中水道法、国土庁は御尽力なさった方がいいように私は思うのですけれども、いかがでございますか。
  253. 志水茂明

    ○志水政府委員 先生御指摘のとおり、また建設大臣も今お話ししましたとおり、中水道、いわゆる雑用水利用の促進を図りますことは極めて重要である、こう思っております。ただ、先生も今御指摘ありましたが、やはり再生水の造水コストが非常に高いということ、それからまた衛生的、技術的な問題もまだ若干解決しなければいけない問題がありますから、今、中水道を法律によりまして義務づけを行うといったようなことはちょっとまだ早いのではないかと思っております。  ただ、そう言いながらも、しかしそういう促進を図ることは極めて重要でございますので、当面は雑用水の利用に係ります指針を私どもとしては早期に作成をいたしますとともに、六十二年度には雑用水利用施設の設置に対します税制だとか金融上の優遇措置等の施策拡充強化を要求いたしておりまして、これらによりまして、また同時に関係省庁とも連携をとりながら雑用水利用の促進を今後とも図っていきたい、こう思っております。
  254. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか好ましい結論が出るように御尽力を重ねてお願いをいたしておきます。  あと二、三問でやめますから。  これは、国鉄お見えでございますから、国鉄に関することでちょっと気になることを一つ聞いておきたいと思うのです。これから国鉄が民営化されて、我々も地元へ帰りますと、国鉄用地をどう使うか。例えば私の地元ですと清水市、もちろん静岡もそうですが、清水市の駅裏にいわゆる貨物用地がございます。この用地というものは清水市にとっては歴史の上で最後の一等地だと思うのですね。この跡地利用といいますか、そこを有効に使うことによって都市は再活性化といいますか、すばらしい都市がそこにでき上がってまいります。一たん失敗すればこれは大変な寂しいまちづくりになってしまうわけです。特にこういうことは、建設省あるいは県、地元市がいろいろと長年にわたって都市計画の中で鋭意知恵を集めてどうしようか、もちろん国鉄の御意見も承りながら協議を続けているのは、全国各地域において同じだろうと思うわけでございます。私は、こういう面的な整備といいますか、非常に大事な駅周辺等の一等地の面的整備はないがしろにできない、建設省として重大な関心をお持ちだと思うのでございますけれども、建設省はこういう跡地利用、都市計画の中でどうお考えか、簡単に御答弁願いたいと思います。
  255. 北村廣太郎

    北村(廣)政府委員 先生お話しのとおり、都市の再開発あるいは活性化のために非常に貴重な資料だと考えておりますので、都市局の持っておりますいろいろな制度を活用いたしまして有効利用を図ってまいりたいと考えております。
  256. 薮仲義彦

    薮仲委員 国鉄の御答弁をいただきたいのですが、国鉄というのは百年にわたる国民の共有の財産ですね。いろいろ意見もあるかもしれませんけれども、やはり国民の最も喜ぶような、その地域の市民の方に歓迎されるような有効な土地の利用ということは十分お考えいただいていると思うのでございますが、仮にこれが今、建設省あるいは県、地元の市、その地域がこれを活性化するために都市計画、中では区画整理事業というのが具体的に進んでいくと思うのでございますが、そういう面的整備が始まったときに、国鉄としては地権者として、地主として積極的に協力してほしい、私はそう思うのですが、いかがでございますか。
  257. 山口良雄

    山口(良)説明員 いわゆる国鉄改革に伴いまして債務償還の財源といたしまして清算事業団に所属する用地につきまして、地元の自治体等から区画整理事業等に組み入れたいという御要望があります場合には、その事業区域とか規模とか事業計画が確定した時点におきまして清算事業団が当然検討することになると思いますけれども、その際には地域の土地利用計画にそご、背馳を来さないように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  258. 薮仲義彦

    薮仲委員 そごを来さないというのは、積極的に協力すると言っていいのですね。どうですか。
  259. 山口良雄

    山口(良)説明員 十分配慮してまいりたいということでございます。
  260. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、あと最後まとめて聞きます。これは地元の問題でじくじたるものがあるのですが、大臣、黙って聞いておいてください。  一つは、清水中でございますが、第二インターは地域の活性化のために非常に重要な施策であり、建設省道路公団が建設を決定していただいて地元では大変歓迎されております。このこれからの進捗状況、ちょっと簡単に御説明いただきたい。これが一つ。  それからもう一つ、清水市に久能海岸というのがございます。これは台風のために全部崩れてしまいます。しかし、河川局中心になりまして、補助事業ですが、立派に復旧していただいてイチゴもできるようになりました。ここに国道百五十号線沿いの湾岸線の構想もあります。ここにはリゾートのすばらしいプールをつくったりあるいは自転車の遊歩道をつくろうとか、いろんな楽しい計画を地元では計画しておるのでありまして、やはりこういう計画は地元の市が、これから都市計画を市で行い県で行い、やがて建設省に御相談に参ろうかと思うのでございますが、何とか地域活性化のために十分御配慮いただきたい。この点について、第二点目。  第三点目は、戦後三十年間、都市計画は決定しておりましたけれども、幅員が決まらなくて全然静岡の駅前の道路は再開発ができませんでした。しかし、建設省の適切な指導で幅員二十二メーターで決定をしていただいて、ようやく着手できるような段階になりました。これの経緯、今後について各御担当の局長から御答弁いただいて、本日の質問を終わりたいと思います。
  261. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生御指摘の、通称清水第二インター、これにつきましては現在公安委員会と清水市等と協議中でございまして、昭和六十三年度から工事に着手いたしたい、こういうふうに考えております。そして六十二年度中には完成をいたしたいということで、事業促進を図りたいと存じております。  それから、もう一点の国道百五十号の清水市内の問題でございますけれども、ここにつきましては先生御指摘のとおり、現在地元におきまして都市計画決定の手続をとっておられるというふうに考えております。もしこの計画が決定されましたときに、その道路事業をどのような形で行うかということについては今後の課題でございますけれども、まず計画をがっちり決めていただきたい、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  262. 北村廣太郎

    北村(廣)政府委員 お尋ねの静岡市の静岡下島線、通称石田街道でございますけれども、現在の都市計画決定二十メーターのところを二十二メーターに拡幅すべく、現在、都市計画変更の手続中でございます。十二月の静岡の都市計画地方審議会に上程されると承っております。  手続完了後は、とりあえず市単独事業事業化に着手いたしまして、六十二年度補助事業採択の要望も出ておりますので、前向きに対処したいと考えております。
  263. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。ありがとうございました。
  264. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後五時二十三分散会