運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-12-11 第107回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十一日(木曜日)    午前九時四十一分開議  出席委員    委員長 堀之内久男君    理事 糸山英太郎君 理事 上草 義輝君    理事 熊谷  弘君 理事 古賀  誠君    理事 近藤 元次君 理事 新村 勝雄君    理事 草川 昭三君       岡島 正之君    高橋 一郎君       古屋  亨君    穂積 良行君       森下 元晴君    谷津 義男君       渡部 行雄君    小川新一郎君       古川 雅司君    大矢 卓史君       野間 友一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 天野 光晴君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         水資源部長   志水 茂明君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁大都市圏         整備局長    柳   晃君         国土庁地方振興         局長      澤田 秀男君         国土庁防災局長 山本 重三君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    渡辺  尚君         建設省建設経済         局長      牧野  徹君         建設省都市局長 北村廣太郎君         建設省河川局長 廣瀬 利雄君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         警察庁長官官房         審議官     森広 英一君         国土庁長官官房         会計課長    佐々木 徹君         国土庁土地局土         地利用調整課長 鈴木 克之君         国土庁大都市圏         整備局総務課長 熊  新六君         大蔵大臣官房企         画官      窪野 鎮治君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         農林水産省経済         局金融課長   赤木  壮君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      嶌田 道夫君         水産庁漁港部長 佐藤 稔夫君         運輸省地域交通         局交通計画課長 奥西  勝君         運輸省港湾局防         災課長     塩田 精一君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 堀井 修身君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港課長    圓藤 壽穂君         気象庁地震火山         部長      河村あたる君         建設大臣官房技         術審議官    上條俊一郎君         建設大臣官房会         計課長     市川 一朗君         建設大臣官房官         庁営繕部長   川上  格君         建設省都市局都         市計画課長   伴   襄君         建設省道路局有         料道路課長   藤井 治芳君         建設省道路局道         路経済調査室長 藤川 寛之君         会計検査院事務         総局第三局長  大沼 嘉章君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   京須  實君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   佐藤 和男君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十八年度政府関係機関決算書  昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十九年度政府関係機関決算書  昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管国土庁)、建設省所管住宅金融公庫〕      ────◇─────
  2. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより会議を開きます。  昭和五十八年度決算外二件及び昭和五十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず、総理府所管国土庁について審査を行います。  この際、国土庁長官概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和五十八年度歳出決算に関する概要説明                   国土庁  国土庁昭和五十八年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十八年度の当初歳出予算額は、二千四百十八億千二百八十九万円余でありましたが、これに予算補正追加額千二百二十六万円余、予算補正修正減少額五億四百十九万円余、予算移替減少額千百九十一億五千七百四十五万円余、前年度繰越額二十一億二千八百八十八万円、予備費使用額四千十三万円を増減いたしますと、昭和五十八年度歳出予算現額は、千二百四十三億三千二百五十二万円となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額千二百二十一億八千八百四十五万円余、翌年度繰越額十七億八千四百八十四万円余、不用額三億五千九百二十一万円余となっております。  次に、支出済歳出額のおもなものは、離島振興事業費三百八十五億四千九百七十四万円、水資源開発事業費二百四十七億五千八百六十七万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百三十一億三千万円、国土庁百四十三億五千四百九十六万円余、国土調査費九十四億六千百九十八万円余、国土総合開発事業調整費六十一億九千九百十九万円余、小笠原諸島振興事業費二十億四千三百三十一万円、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十四億二千二百三十三万円余、振興山村開発総合特別事業費六億千百十七万円余、離島振興特別事業費五億六千七百九十六万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越したおもなものは、離島振興事業費九億九千三十二万円余、水資源開発事業費四億六千四百十二万円余等であります。  また、不用額のおもなものは、地域振興整備公団補給金一億二千六百十七万円余、国土総合開発事業調整費一億千五百六十五万円余等であります。  以上が昭和五十八年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和五十八年度決算国土庁についての検査概要に関する主管局長説明                                    会計検査院  昭和五十八年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和五十九年度歳出決算に関する概要説明                      国土庁  国土庁昭和五十九年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十九年度の当初歳出予算額は、二千三百八十七億五千九百二十三万円余でありましたが、これに予算補正追加額十二億八千九百七十六万円余、予算補正修正減少額四億七千六百八十二円余、予算移替減少額千百七十三億九千七十万円余、前年度繰越額十七億八千四百八十四万円余を増減いたしますと、昭和五十九年度歳出予算現額は、千二百三十九億六千六百三十二万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額千二百十四億三百二十三万円余、翌年度繰越額二十一億九千五百三十六万円余、不用額三億六千七百七十二万円余となっております。  次に、支出済歳出額のおもなものは、離島振興事業費三百九十七億六千四百六十八万円余、水資源開発事業費二百四十四億四千八百四十七万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百二十億三千万円、国土庁百四十五億千九百四十一万円余、国土調査費九十億八千百六十二万円余、国土総合開発事業調整費五十九億九千六百九十万円余、小笠原諸島振興事業費二十億七千七百九十九万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十四億円、振興山村開発総合特別事業費五億五千九百八十五万円余、離島振興特別事業費五億六百九十七万円等であります。  さらに、翌年度へ繰り越したおもなものは、離島振興事業費七億八千三百八十五万円余、水資源開発事業費六億七千二百十七万円余等であります。  また、不用額のおもなものは、地域振興整備公団補給金一億四千六百五万円余、小笠原諸島振興事業費七千百五十三万円余等であります。  以上が昭和五十九年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和五十九年度決算国土庁についての検査概要に関する主管局長説明                                    会計検査院  昭和五十九年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────
  4. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  5. 穂積良行

    穂積委員 初めに、私に質問機会を与えていただきましたことにつきまして、関係各位に感謝を申し上げる次第でございます。  さて、国土庁任務といいますと、設置法によりますと、「国土を適正に利用することにより健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図り、豊かで住みよい地域社会形成に寄与するため、国土に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」ということになっておりまして、この任務が果たされれば、まことに私どもの国は住みよい国になっていくということは間違いないわけでございます。  それにしましても、このところ国土庁さんは長官初め大変御苦労さまでございます。三原山は噴火するし、五十九年から六十年にかけての全国的な渇水、さらには当面する関西方面、特に東海地方については愛知用水牧尾ダムが干上がっているというような状況で、実は私も関与いたしました水資源局水資源部に格下げした報いが今きているような気もいたしますが、長官、御苦労さまでございます。頑張っていただきたいと思います。  私はきょうは、そうした国土庁の本来の任務の中で特に重要な全国総合開発計画策定推進について取り上げたいと存じます。  全国総合開発計画は、申すまでもなく、国土総合開発法の規定するところにより、過去、全総、新全総、三全総策定され、その推進が図られてまいったわけでございますが、今四全総策定に向けて鋭意努力されていることは承知しております。  そこでまず、これからの四全総について基本的にどのような考え方策定されるべきかを考える前に、三全総についての実績評価をお伺いしたいと思います。三全総は、これも御承知のとおり、いわゆる定住構想を掲げて、地方と中央、国土の均衡ある発展という理想に向けての計画であったわけですが、これについての実現状況といいますか、その辺は国土庁はどのように評価しているかをまず伺いたいと思います。
  6. 星野進保

    星野政府委員 三全総実績状況についてのお尋ねでございますが、まず三全総が掲げました地方定住ということを幾つかの面からフォローアップしてみますと、第一番目は、人口地方定住というのが昭和五十年以降かなり着実に進んでいるのではないかと思います。ただし、一つだけ問題かありますのは、五十五年以降、東京圏人口がまた少しずつ集中し始めているという問題がございますが、概して言いますと、地方定住が徐々に進んでいるというふうに言えそうであります。  それから第二点でございますが、今度は質的な問題でございますが、三全総が言っております地域の創意や工夫を生かすという点では、例えば各地域での一村一品運動でございますとか、地方の時代の意識でございますとか、そういった面で、主体的な地域開発という観点ではこれまたかなりの定着を見せているのではないかというふうに私どもは判断しております。
  7. 穂積良行

    穂積委員 三全総の場合は「人間居住総合的環境計画的に整備する」ということを基本的目標として進んできた。それについての今のような御評価ですけれども、最近発表されました四全総に向けての検討中間報告におきましては、そうした評価を踏まえての今後の計画策定についてどのようなことを基本的な考え方としているかを簡単に御説明をお願いします。
  8. 星野進保

    星野政府委員 先般、国土審議会計画部会調査審議経過報告としてお出しいただきましたものの骨子でございますが、第一点は、各地域がそれぞれの特性を生かしながら役割を分担、連携しながら均衡ある国土発展を図っていく、いわば多極分散型国土形成ということをまず大きく掲げております。  それから、そのような国土の姿を実現するために、まず第一番目に地域の主体性と特性を生かした地域整備、第二番目に多様な交流機会づくり、第三番目に定住交流基盤であります基幹的交通情報通信体系整備等内容とします交流ネットワーク構想というものを掲げまして、各種計画課題を掲げているところでございます。
  9. 穂積良行

    穂積委員 三全総地方定住推進という考え方は、私は引き続き四全総にも引き継がれるべきものと思っているのですけれども経過を拝見しておりますと、いわゆる総理指示というようなことを契機に、東京一極中心問題をどう考えるかというようなことについて国土庁は改めて検討して、その中間報告に盛り込んでいるというふうに伺っておりますが、この辺について経過を簡単にお話しいただけませんか。
  10. 星野進保

    星野政府委員 先ほどの第三次全国総合開発計画実績についてのお尋ねのときに少し申し上げましたが、最近東京へまた、たしか統計的には昭和五十五年以降だと思いますが、人口等集中が再び起こっておりますので、それの原因、それからそれに対する諸対策、そういうものをかなり真剣に考えなければならないだろうということでございまして、そういう観点から東京問題についても深く検討するということをしておるわけでございます。したがいまして、基本的には、先生指摘のように、国土の均衡ある発展という観点は、国土総合開発計画としては常に基本に置いておくスタンスだというふうに理解しております。
  11. 穂積良行

    穂積委員 これからの国土利用あり方を考えます場合に、実はとりわけ大きな問題といいますのは、今後の日本農業をどう考えるのか、農業のための土地利用国土計画の上でどのように位置づけていくかということではないかと考えております。この中間報告検討の結果として盛り込まれた内容では、農業の今後の位置づけについてはかなり慎重な言い回しになっているように拝見しますが、改めて農業に必要な農地国土計画上の位置づけについてどのように考えているかをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 星野進保

    星野政府委員 計画部会の中での審議経過を御報告申し上げますと、今後の農業につきまして基本的に二つ観点で考える必要があるだろうというのがまず出発点でございました。  それは、先生御専門でございますのであえて言う必要はないと思いますが、いわゆる施設園芸型の非常に資本集約的な農業と、土地利用型、つまりお米でありますとか大家畜の畜産でありますとかいう土地利用型の農地利用という二つの面がございます。特に今後の農業発展の中でいろいろな課題を生みそうであるのが後者の土地利用型の農業の話でございまして、それを今後どのように国際化あるいは国内の各種相対価格の問題その他いろいろ織り込みまして国土利用観点からの農地あり方を考えていくかということになりますと、今後いかに生産性を高めていくか、土地利用型農業生産性向上というのが非常に基本にあるのではないだろうか。そのためには、中核的担い手の育成でありますとか土地利用集約化でありますとかいうことを基本的に進めていく必要があるだろうということが基本のトーンになっておるかと思います。  ただ、その中でまた議論がございましたのは、例えば土地集約化可能な土地というのは平地のかなり規模土地でございますので、そういう土地以外のいわゆる谷地田でありますとかかなり傾斜のきつい土地等についての土地利用というのは、国土管理上の観点からもう少し真剣に別途の方法等も含めながら考えるべきではないかという御意見も出ました。ただ、それにつきまして具体的な方策がまだ十分検討し尽くされていないというふうに感じております。
  13. 穂積良行

    穂積委員 この問題についてはまた別途の機会議論を深めたいと思っておりますけれども、最後に私は意見を申し上げ、大臣所見を伺って質問を終わりたいと思います。  それは、国際化の深まりの中で日本が生きていかなければならないということは間違いないところと思いますけれども農業については、国土自然的条件の中で生産性向上には極力努力するとしても、その見通しは容易でない。国際的に見て、例えばアメリカ農業土地生産性、あるいは労賃格差のある発展途上国との間の、生産性というよりは米価の格差縮小といったことについては甚だ困難な課題であり、時間がかかり金もかかるというような状況にあることは御承知かと思います。そういう中で、しかし民族の将来を考えた場合には、農地を大事にし、農業を大事にしていくということが不可欠だろうと思います。そういう意味で、四全総策定に向けてはその辺を明確にしていただきたい。それを踏まえて、地方定住の実が上がるような国土計画づくりを進めていただきたいということであります。これについての大臣所見を伺って質問を終わります。
  14. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 穂積さんは国土庁のことを一番よく知っておられるわけでありますが、ただいまの御意見のとおり、国土の均衡ある発展を図るために地方圏をどういう位置づけにしていくかということは非常に重要な問題であります。その中でも農業というものは地方基盤であり、また心のよりどころであります。そういう農業基盤あるいは農村関係のものを重要な位置づけにして考えていかなければ、均衡ある発展というものを目的にした四全総はでき上がらないというふうに私は考えておりまして、御説のような精神を十分盛り込んだ四全総に仕立てていきたいと考えております。
  15. 穂積良行

    穂積委員 それでは、質問を終わります。     ─────────────
  16. 堀之内久男

    堀之内委員長 この際、お諮りいたします。  本件の審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事京須實君及び同理事佐藤和男君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  18. 堀之内久男

  19. 新村勝雄

    新村委員 まず最初に、四全総構想と絡んでといいますか、その重要な問題として都市機能の問題、特に東京の問題があると思うのです。  日本国土政策あるいは経済政策の上で東京をこれからどういう位置づけをしていくかということであるわけですが、今東京あり方について、東京機能的にも集中し過ぎている、人口的にも集中し過ぎているから、この機能分散しあるいはまた人口集中についても抑制をしていくべきであるという一つ見解があるわけであります。  同時にまた、世界東京としてその機能を一層充実発展させるべきであるという見解もあると思うのです。これは、日本世界経済大国となっていくに従って必然的に世界経済の中における東京の地位というものは上がっていくでありましょうし、最近オフショア市場開設というようなこともありまして、世界文化経済、特に経済の中心になっていくであろうということは自然の勢いであると思います。  そういうことを考えた場合には、東京機能分散ということよりはむしろ、東京機能集中するという努力をする必要はありませんが、これは自然に集中するわけですから、その集中の自然の勢いについてはむしろそれを容認して、東京機能を一層経済的にあるいは文化的に高度なものにしていくべきであるという見解が一方にあると思います。しかも、人間文化経済というものは集積の利益というものがあるわけでありまして、人間文化発展は必ず人口集中集積という形の中から生まれてきたということは疑うことができないわけであります。今後ともそういう原理は続くと思うわけでありますので、東京の果たすべき役割については積極的に評価をして、財政的にも一定の投資をし、世界東京としての機能をこれから一層助長、充実をしていくべきであるという見解があるわけです。  そういった点で、二つ見解のどちらに大臣は重点を置いて今後四全総あるいは国土政策を進めていこうとなさるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  20. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 新村さん御指摘のとおり、東京一極集中という現象が最近非常に激しいわけでありまして、これはやはり国際化情報化という中で集中化が図られておるというふうになっております。確かにその一面もあると存じますが、国際化情報化という中で果たして東京無限大に拡大をするということが必要なのかどうか、私もその辺には一つの疑問を持っております。したがいまして、今後東京機能というものを多極的に、多少各地域に持っていく必要があるということも言われておるわけでございまして、そのためには、東京と近接する三十キロ圏、五十キロ圏、三百キロ圏、いろいろの話があるわけであります。そういう中でそれぞれ機能を分担していただければ、東京一極集中ということについてある程度の歯どめができるのではないかと考えるわけであります。同時に、各地域におきましても、東京でなし得ない別の特色を出していただくような地方圏における振興策も最近図られておるわけでありまして、それらの均衡を図っていかなければならないと考えておる次第であります。  今の東京一極集中に対する需要というものは、いわゆるオフショアマーケット開設を初め、情報化国際化ということで需要がどんどん出てくるのだと言われますが、どこまでその需要があるのか、これはもう一遍よく見きわめてみなければならない問題だと私は考えております。
  21. 新村勝雄

    新村委員 大臣はどちらかというと分散という御意向のようでありますけれども分散とはいいましても、やはり世界東京ということは世界の中に既に印象づけられておるわけであります。経済の問題にいたしましても、日本との経済取引をするという場合に、それを仮に分極をした場合にはその機能低下をするということ、あるいは世界経済社会の中における日本経済力低下とか不便さというようなものも当然出てくるわけでありますから、仮に分散ということを志向されたとしても、東京機能集中するという勢いをとめることはなかなかできないと思うのですね。ですから、東京及び東京圏、その圏域をどう開発といいますか整備をしていくかということについては、国政、特に国土政策の最大の問題として、一定の方針なり定見を持って、長期にわたって進めていかなければいけないと思うわけです。  例えばこれは環境の問題とも関係があるわけでありまして、環境庁のときもお伺いしたのですが、東京あるいはその東京と密接な関係のある東京湾及びその東京湾の周辺、東京近郊というものを一つの圏域として考えた場合に、将来これをどう開発をしあるいは自然を保護していくか、維持していくかということについては、これは非常に重大な問題だと思うのですね。  ところが、従来の趨勢を考えてみますと、東京及び東京湾の周辺の開発構想にしても極めて場当たり的であります。東京湾の千葉県沿岸は相当の埋め立てを行いまして、そこに工業の誘致を図ったわけでありますけれども、あれも全体の構想ではなくて、場当たり的なその場その場の判断で行われたわけでありまして、それが後になって公害を引き起こしたり、地域との調和のバランスを失ってくるという問題を多々引き起こしておるわけであります。  現在進められておる東京湾横断道路にしましても、あるいは横断道路に付随する人工島も、かなり大規模な人工島をつくって、そこに多くのいろいろな施設をつくるという構想があるようでありますけれども、そういう問題にしてもやはり同じでありまして、まず総合的な開発の構想あるいは開発と並んで東京湾の自然、東京周辺の自然をいかに保持するか、保存するかということ、これを両立させながら東京圏の充実を図っていくという全体構想がなければならないわけでありますけれども、従来それがなかったように思いますね。  そういう点について、四全総とも絡んで、東京を中心とする将来構想について短中期的なしっかりとした構想をお持ちでなければならないと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  22. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 東京地域利用問題につきましての基本的な考え方は、本年六月に第四次の首都圏基本計画でその考え方をまとめたところであります。  東京地域は、これまでも首都圏の中で物流とか産業とか生活とか、あらゆる方面にわたりまして大変貴重な空間を提供してまいったところでございます。将来におきましても、我が国の経済社会国際化あるいは情報化等に伴います首都圏あるいは日本全体の多様な要請にこたえるためにも、大変貴重な内港あるいは空間でございます。また同時に、漁業とか海洋レクリエーションとか海上交通とか、多方面にわたって有効活用が行われているところでございますので、先生指摘のような新しい利用あるいは埋め立てにつきましては、適切に対処するという考え方で今後とも対応していきたいというふうに考えております。
  23. 新村勝雄

    新村委員 ですからそれに関連をして、例えば東京湾横断道路に関連をして人工島という構想が突如出てきたというように我々は考えるわけです。そういう人工島の問題にしてもあるいは羽田空港の拡張にしても、そういったものの将来構想がどうなっているかということについて、全体構想が今までなかったというように思います。今おっしゃったのは極めて抽象的なお答えでありますけれども、そうではなくてもっと具体的に、東京及び東京湾あるいはその周辺地帯の将来の開発と同時に、それと両立をさせる自然保護の配慮についてどういうものがあるかということの総合的な計画あるいは構想、その点は四全総ではっきり出てくるのですか。
  24. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 東京都と東京圏と申しましょうか、あるいは大都市圏と地方圏、いろいろな分け方がありますが、東京機能をある程度分担していただくようなことで、首都圏におきましても、例えば今横浜ではみなとみらい21、千葉県では幕張メッセ、それぞれ具体的なものを煮詰めつつあるような構想もあります。それらのところで東京機能をある程度分担していただけるのかどうか、さらには五十キロを超えた圏域で分担してもらえるのかどうか、そういうことをこれから煮詰めていかなければならないわけであります。  したがいまして、今後四全総を煮詰めてまいります場合には、各地区の皆様方とのヒアリングを開始いたしまして、それぞれの地区で発展策を考え、またその中に東京機能を分担していただける分野がどこまであるか、そういうものを見きわめながら四全総というものは仕上げていく必要があるというふうに私は考えております。
  25. 新村勝雄

    新村委員 その東京機能を分担するということ、これは開発の面ですよね。ですから、その開発の面と同時に自然保護の面を両立させなければいけないわけですけれども、そういう東京機能を近傍の地域にどう分担をさせるかということについての具体的な計画、これは空港の拡張にしても人工島にしてもそういったことでしょうね。そういうこの地域の将来の開発がどうなるかということのアウトラインをやはりあらかじめ短中期的に国民に示しておかなければいけないであろう。  先ほど申し上げたように、今千葉県の沖に人工島ができるという構想が突如出てきたということによって、千葉県民はむしろ当惑している面が多いわけなんですよ。というのは、人工島ができれば、したがってその環境に必然的に影響を及ぼしていくわけでありますし、東京湾には今微生物を除いても大型の動物が約二百種類ぐらい生息していると言われておりますけれども、そういう自然に対してどういう影響があるのかというようなことについても、これは十分なアセスが行われなければならないわけでありますから、そういう総合的な開発の構想、これがぜひ必要だということであります。  ですから、大臣がおっしゃったように、東京の近傍の地域東京機能分散するというお考え、これはいいと思うのですが、そのお考えがどういう形でどういうふうに具体化していくのかということのアウトラインはやはり知っておかなければ、その地域の住民としても不安であるというか、政治に対する信頼というか、そういったものからしてもこれが必要だというふうに申し上げておるわけなんですけれども、そういう具体的な構想なり計画四全総で出てくるのか、お出しになるのかということです。
  26. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 人工島の計画は、私の記憶では現在運輸省関係でいろいろな構想をお持ちのように承知しておりますが、東京湾全体の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな考え方を踏まえまして、環境問題、あるいはいわゆる保全問題、利用問題を含めまして四全総の中で何らかの形で位置づけたいと考えております。  また、東京湾の問題は大変重要な問題でございますので、従前からいろいろな調査を行っておるところでございますが、今後も引き続きまして、短期に解決するような問題あるいは中長期的に検討すべき問題につきまして調査を続けてまいる考えでございます。
  27. 新村勝雄

    新村委員 ぜひ地域の住民にも歓迎されるような、あるいは理解をされるような計画をしていただきたいわけでございます。人工島は運輸省だ、羽田空港も運輸省だ、それからこっちの埋め立てはどこだということではなくて、やはりそのために国土庁があるわけですからね。総合的な計画をやはり国土庁で把握をなさっていなければいけないわけでありますから、そういう観点からの計画をひとつお願いをしたいと思うわけです。  次の問題に移りまして、地価の対策でありますけれども、これは東京機能あるいは発展と密接な関係があるわけです。東京機能の高度化、あるいは世界経済の中における東京の地位の向上というようなことにも関係があるのでしょうけれども東京の都心を中心にして地価が暴騰している。これは事務所が足りない、あるいはビルが足りないというようなことだというふうに伺っておりますが、それにしても都心部の地価の上昇が異常であるということが言われております。しかも中心部の地価の高騰がやがて周辺部にも及んでいく、この周辺部の高騰が全国に波及するということも考えられるわけでありますし、今、余剰資金がだぶついているという事情もありますし、また金融機関が土地投機に手をかしているというような、そういう事情もありまして、地価の高騰が予断を許さない、こういうふうに言われておりますが、この地価の上昇の現状認識についてはどういう認識をお持ちですか。
  28. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 先生指摘のように、東京都心部の地価の高騰、これは大変著しいものがございまして、東京都の商業地の変動率が三四・四%、住宅地の変動率が一八・八%ということで、近年にない上昇を見ているわけでございます。これは先生指摘のように、東京都心部におきます事務所需要が非常に大きくなってきている、これに対応する供給が不足している、こういうことから都心部の地価が非常に上昇いたしまして、その地価がまた買いかえ需要等を通じまして周辺の住宅地等に及んでいる、こういう状況であろうかと思います。さらにこの過程におきまして、短期的な投機的取引というものがこの地価上昇に拍車をかけているということでございます。また、その背景に金融緩和の状況ということがありまして、不動産業関連の融資が非常に活発化しておる、こういうふうなことが背景にあると思います。  今後これが地方にどういう影響を及ぼすかということでございますけれども、政令指定都市のような大都市におきましては中心部でかなり上昇が見られる地点もございますが、これはかなり地域的には限られている現象でございまして、全国的にこれが波及するというふうに我々は思っておりませんけれども、警戒を要するというふうに認識しているところでございます。
  29. 新村勝雄

    新村委員 今のお答えのような事情だと思いますね。  そこで、それに対してどう対処するかという問題は、これは政治の課題だと思うのですが、今おっしゃったように買いかえが地価の上昇を促進している、これは事実だと思いますね。それからまた、金融機関が野方図というか、かなりルーズに土地投機に手をかしているというようなことがありますが、例えば税制にしましても、これはちょっと優遇し過ぎる税制だと思うのですね、現在の税制が。買いかえについての特典なんというのは、これは非常な優遇であります。税制の担当ではないと思いますけれども、当然これは検討されていると思いますし、また国土庁としても税制当局、大蔵省等に要請をして、そこらの是正を至急に図っていかなければいけないと思いますし、同時にまた金融機関、これはあり余る資金が今あるわけでありますから、それらの資金が土地投機に流れていく、こういう傾向についてもこれは政策的に抑制をする方法があるはずでありますから、そういった点についての手だてを考えておられるとは思いますが、どういうふうにこれから対処をされていかれるわけですか。
  30. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 税制につきましては、現在私どもの方で六十二年度の税制改正要望をさしていただいているわけでございますが、この地価対策の当面緊急に必要な税制対策として一つ考えておりますのは、短期的な投機的取引を抑制するために、非常に短い期間、二年の間に買った家を売るというふうな譲渡益につきましては、現在の短期譲渡所得よりもさらに重い税金を課するというふうなことを考えております。  それから買いかえ需要、都心部で土地を売った者が、その居住用資産の買いかえ特例を利用いたしまして周辺の住宅地でかなり高い価格の土地を買っているという例が見られますので、この買いかえ特例の課税の繰り延べを認めることにつきまして一定の限度を設ける、土地の値段について適正な価格、公示価格とかあるいは取引事例等を勘案いたしまして、適正と思われる価格までしか繰り延べを認めないということで、買いかえ特例について繰り延べ制度の一定の枠を設ける、こういう見直し、この二つを今要望しているところでございます。  それから、金融関係でございますけれども、金融機関等が非常に投機的な取引とか著しく不適正な価格での取引に対しまして融資を行わないように自粛してもらいたいということで、大蔵省の銀行局の方から指導をお願いしているわけでございまして、昨年と本年、二度にわたりまして金融機関に対する通達を出していただいた、こういうふうなことで金融関係の御協力をお願いしているわけでございます。
  31. 新村勝雄

    新村委員 至急にそういった有効な手を打っていただきたいと思います。  それから、大臣にお伺いしたいのですが、土地投機の一つの原因に政府の考え方あるいは政府の政策があるのではないかという見方がありますね。地価上昇というのは国民の間に貧富の差を拡大し、そして同時にまた、庶民の住宅の要求に対して住宅建設を非常に困難にするという面もありますし、土地投機は極めて一部の人たちを利するだけで、国民全体に対してはマイナスの影響を及ぼすことは論議の余地はないわけであります。  政府におきましても地価の安定については努力をなさっていると思いますけれども、最近のいわゆる民活あるいは国有地の払い下げが地価上昇の一つの誘因になっているというような見方もあるわけであります。国有地の払い下げについては、国の資産はもちろん国民の資産でありますから、これを払い下げる場合にはできるだけ高価に売らなければいけないという一つの要請があるわけでありますけれども、同時に、それが地価の上昇につながってはいけないという逆の政策的な要請もありまして、政府も非常に矛盾に苦しんでいらっしゃると思いますけれども、そこらの点はどう認識されていますか。国有地の払い下げについては矛盾する二つの要因に挟まれているわけですが、これらの問題をどう処理されようとされるのか。特に、国鉄の膨大な土地の払い下げを控えましてそこらの賢明な施策が要請されるわけですけれども大臣はどうお考えですか。
  32. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 我が国の土地政策がどうなっているのかというような基本的な問題でございますが、十年スパンで考えますと、昭和三十年代は土地の上昇率が二三・一%でありました。それが昭和四十年代に一四・九%、その後、国土利用計画法等ができまして、昭和五十年代には三・八%と全国的に地価は鎮静化し、しかも、ことしの十月一日に発表いたしました地価の調査結果を見ましても、全国で二・七%ということであります。  特に地価の問題は、東京を中心にした地価、しかも商業地域、一部地方都市の商業地域ということに限られておるわけでありまして、我々といたしましては、国土利用計画法の中で定められております二千平方メートル以上の取引に対する届け出制というのを、東京都とも相談をいたしまして五百平方メートル以上ということに新しい条例をつくっていただいたわけであります。従来、国土利用計画法では、東京土地は届け出制には二%程度の捕捉しかないと言われておりましたが、今回の改正によりまして一八%程度の捕捉ができるだろう、こういうことで、地価対策に効果があるというふうに私どもは考えております。なお、先ほど土地局長が申し上げましたように、短期の転がし等を防除するためのいろいろの重課税等も今いろいろと協議をしておるところでございます。  今御質問の中にありました国公有地の処分につきましては、周辺の地価が上がらないように、特に地方の公共団体等の利用計画等もあわせてこれまでも指導してまいったところでございますが、今後ともその方針を貫いてまいりたいと考えております。国土利用計画法の十分な活用によって、今後の土地対策に処していきたいと考えておる次第であります。
  33. 新村勝雄

    新村委員 地価の抑制は、何といっても基本的には供給を増加させるということだと思いますね。供給の増加によって地価の抑制ができるわけですけれども、都市計画法の施行以来、いわゆる線引き、市街化調整区域、市街化区域という地域の指定をし、区別をしたことによって、土地の供給が著しくその面から抑制をされているわけです。  都市計画法実施以来既に十五、六年たっていまして、一応の法の目的も達成をされたと思いますし、また同時に、調整区域であっても、そこに開発許可は当然に必要なわけでありますから、その開発許可のときに厳重な制限を加えて、調整区域の中に建築をすることについては、もっと大幅にその制限を緩和すべきではないかという意見があるわけであります。  特に東京周辺の地域、良好な宅地になる条件を十分備えていながら、機械的な線引きのためにそこが宅地になり得ないというところも相当あるわけであります。そういったところの実情に即した都市計画法の運用あるいは都市計画法の制限の大幅な緩和、これが今要請されているのではないか、そういう時代になりつつあるのではないか。そのことによって大幅に供給を増加させることができますし、また、人為的に線を引くことによって、線のこちら側は何十万という値段をしている、こっちはもう格段にその何分の一の値段に下がってしまうという、これはある意味では経済に対する極めて不当な介入ですね。そういうことについては再検討をしていくべきではないか、そういう時代ではないかと思います。  それからまた、憲法には住居の自由というものがありまして、これは侵すことのできない権利、侵すことのできない自由なわけですね。法律をもってしてもこの住居の自由を侵すことができないわけなんですね。これは制限つきではなくて、無制限の日本国民の自由であるはずなんです。ところがそれを制限するということについては、都市計画法は違憲の疑いがあるのではないかという議論も一部ではあるわけですよ。  そういった点で、都市計画法の抜本的な再検討についてお考えがございますか。
  34. 伴襄

    ○伴説明員 お答え申し上げます。  線引きの見直し、それから調整区域の運用等についての御質問、あわせて都市計画法の見直しあるいは改正の用意はあるかというような御質問だったと思いますが、基本的には、乱開発のおそれの多いところについては、やはりこの線引き制度にかわる乱開発防止の手段はないというふうに考えております。したがって、この線引き制度そのものについては堅持すべきだと思っておりますが、ただ、御指摘のように、特に地方都市を中心といたしまして、十五年間運用してまいりまして余り厳しい仕分けでは通用しない面が出てきております。  そこで、現在検討しておりますのは、例えば市街化区域の設定要件である人口規模要件とか密度要件をもう少し緩くして、市街化区域を設定しやすくするというような手法とか、あるいは線引きの意味が薄れてきておるようなところについては線引きを一部適用を廃止するといったようなことも検討させていただいておるわけでございます。基本的には、市街化区域を五年間に一度ずつ見直してきておるわけでございますけれども、それを適宜的確にやってきておるつもりでございますが、今回の見直しでは、その線引きの対象の都市計画区域の大体八割ぐらいを終わっておりまして、それによりまして、現在のところ五万八千ヘクタールほどの市街化区域を拡大しております。これは住宅で換算しますと百十万戸分ぐらいに当たるわけでございますが、このようなことを適宜やっていきたいと思っております。  それから、五年に一度の線引きですと、その期間待たないといかぬというような事情がございますので、随時線引きを見直すという意味で、人口保留フレーム制度というものを設けまして、一応将来想定人口を一部保留しておきまして、その範囲内ですと五年に一度でなくて線引きを随時見直していく、市街化区域に入れていくという制度もやっておるところでございます。そういう形で今後とも運用をしていきたいと思っております。
  35. 新村勝雄

    新村委員 乱開発とは何かということになりますと、これはなかなか一概には定義のできない問題だと思います。現在のような制度のもとに線を引いて、その区域の中しか家は建たない、これは一つ地域をつくって、そこに国民を押し込めていくということですね。これは極めて不適切ではないか。住居の自由をどうするのか。憲法に保障されている住居の自由が著しく、しかも不当に制限されていると言わざるを得ないわけですよ。そういう点はどうなのかということ。  それから、乱開発とは何かということでありますけれども住宅をつくる場合に、これは無許可で自由にいつの間にかできてしまうというものではないわけです。ちゃんと設計図を示し、許可申請を出して、その内容検討して開発許可が出て初めて建築ができるわけでありますから、乱開発ではないような条件、これは一定の厳しさがあってもやむを得ないと思いますけれども、一定の条件を付して開発許可をすれば、将来に累を残すようなことはほとんどないんですよ、私は経験から言うのですけれども。  そういうことで、調整区域あるいは市街化区域というように地域を分けること自体が基本的に間違いだと思いますけれども、開発許可のときに十分な条件をつける、それからまた、その地域が将来市街化した場合あるいは公共下水道ができた場合にはすぐにそこへつなげるような用意も建設の段階でしておくというような配慮を十分し、そういう条件をつければ、どこへ家を建てようが将来に累を残すようなことはない。そういう手だてができるはずなんですね。それをやらない。これは極めて安易な方法ではないか。むしろそういう方法を考えるべきではないか。そのことによって、国民の自由を束縛することもなし、また同時に宅地の供給も増加させることができると思いますけれども、まあこれはそれでやめます。  次に、住宅公団の問題でございますが、住宅都市整備公団におかれましては住宅政策に大変な御努力をいただいておりまして、相当の成果を上げていらっしゃるわけでありまして、敬意を表するわけであります。しかし現在、せっかく土地を取得しながら、まだ未利用地が相当あるというふうに聞いておるわけでありまして、これはちょっと調査が古いのですけれども、一万五千ヘクタール程度の土地を未利用のままお持ちになっているということでありますが、その現状はいかがでございますか。
  36. 佐藤和男

    佐藤参考人 お答えいたします。  先生お尋ねの未利用地は二つあろうかと思いますが、私どもがかつて昭和五十五年に会計検査院から指摘されました長期保有土地二十一地区は、千三百二十九ヘクタールでございます。これはある意味では、素地を買ってそのまま開発の見込みが立たないというようなことで長期保有の状態に陥ったものでございます。ただ、その後、建設省の公団住宅等事業促進対策委員会で示された対策で、市街化区域への編入とか関連公共施設の整備の促進、それから例えば工業団地等への転用というような方向が示されまして、これに即して具体的な方針を検討して、このうち十三地区三百三ヘクタールについては事業に着手し、残りの五地区六百十九ヘクタールについても、市街化区域への編入がなされて、事業着手への見込みがついてございます。現在のところ、この御指摘の件につきましては三地区について地元と調整中でございます。  もう一方、昨年の十二月に会計検査院から別途御指摘を受けましたのは、でき上がりました宅地を処分しないでそのまま放置しているのではないかという御指摘でございます。この点については、細かい御答弁は避けますが、全体として現在時点でそのほとんどを御指摘の方向で処分することといたしてございます。
  37. 新村勝雄

    新村委員 宅造して家ができないということ、そういうところは解決をされたとおっしゃるわけですね。そうであれば結構なわけですけれどもかなり広大な土地が買収されたままで十年あるいはそれ以上も放置をされているということ。実は私は千葉県の北部でありますけれども、野田市内でもそういうところがありまして、相当広大な土地なんですが、それが依然として開発をされない。今、市と協議中だということは聞いておりますけれども、遅々として進まないわけですね。せっかく土地をお買いになっているわけですから、そこに早く家を建てて利用することが国民のためにもなると思うのです。  そこで、これは調整区域の中なんですが、調整区域の中であっても公団がやる場合は例外措置として、もちろんそれはいろいろな条件はありますけれども、条件に合う場合には調整区域であっても当然許されるべきではないか、またそういう道を開くべきではないかと思うのです。これは公団だけではなくて、地方公共団体が公営住宅をつくる場合にもやはり同じような問題がありまして、せっかく住宅に適する土地があっても、それが調整区域であるためになかなか公営住宅ができないということがあるのです。これは極めて不合理なわけでありまして、そういう場合には都市計画法の適用から除外するという運用が必要だと思います。  それから、先ほど申し上げたように実は野田市内にも広大な未利用地があるのですけれども、そういったところの開発をぜひ至急にお願いをしたい。そのことが地元の——地元はもう了解しているわけですからね、種々の協議はあるでしょうけれども。これは国民のためにもなると思いますし、それからまた公団さんの財政的な面からもいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  38. 佐藤和男

    佐藤参考人 私どもが保有しております土地について、先ほど申し上げましたように、未利用地についてはできる限り地元公共団体と調整してこれを市街化区域に編入し、土地利用計画を定めて利用していくというのを基本方針としてございます。これはいろいろ御議論があろうと思いますが、宅地の造成は、基本的には基幹的な公共施設などの整備が相まちませんと整備ができない。単に素地を買いましてそこを地ならしするということでは、やはり新しい町として基本的な欠陥があろうと思います。こういう公共施設の整備を公共団体とマッチしながら進めるためには、線引き制度の枠の中で、市街化区域という公共施設を優先的に投資していただく地域に編入していただくという基本的な地元との調整が必要であろうということでやってまいっておるところでございます。  個別具体の話といたしまして、千葉県には先生指摘のようにこれから造成し供給していくべき地域が幾多ございます。千葉ニュータウンもそうでございますし、先生指摘地域もその一つだと思いますが、これにつきましては、今後千葉圏域はある意味では首都圏の中の宅地供給の最大のリゾートと申しましょうか保有地であろうと思っておりまして、これについて私ども最大限の努力を払ってまいりたいと思います。
  39. 新村勝雄

    新村委員 千葉ニュータウンにしても、千葉ニュータウンの大規模団地造成のあれは失敗の例ですね。というのは、これは造成そのものの例ではなくて、それに伴う交通対策等が全く欠けておったということだと思いますけれども、こういった点はやはり総合的な対策をしなければ、せっかくいい団地をつくりましても家が建たない、家が建っても入る人がいないということになりますので、そういった点の総合的な配慮をお願いしたいと思います。  もう一つの問題として、今公団さんでは古い建物の改築の計画をなさっておるようでありますけれども、それはどうなっておりますか。
  40. 京須實

    京須参考人 住宅都市整備公団におきましては、三十年代に管理を開始いたしました住宅十七万戸ばかりございますが、これらにつきましては、立地が非常によいにもかかわりませず十分に土地利用しておらない。具体的に申しますと、容積率が法定では二〇〇%程度、大部分があるのでございますが、実際使っているのは六〇%にも満たないといったような現状がございます。また建物も、当時建てましたものは面積も十分でございませんで、平均いたしましても二DKで三十八平方メートル未満とか、非常に小さいものでございます。また、畳も団地サイズでございますし、それから設備等につきましても、例えば洗濯機の置き場もないとか、あるいはまた天井と申しますか床の厚さでございますが、現在の公団住宅では二十センチあるものが、わずか十一センチであるとか、そういう意味で遮音性能が悪いとか、いろいろな問題がございます。そのためにぜひ建てかえをお願いいたしまして、大都市の都心近くに立地している良好な土地でございますので、そこに新たに賃貸住宅等をふやしまして、良好な賃貸住宅を求めている国民の御期待に沿いたい、このように考えているわけでございます。
  41. 新村勝雄

    新村委員 今計画の対象になっている建物は、もちろん耐用年数以内であるはずですね。まだまだ数十年の耐用年数があるわけです。そうすると、建てかえについては、現在入居していらっしゃる皆さん方のお考えは、アンケート調査等によりますと積極的に改築を希望するという人は極めて少ないのですね。千葉・茨城で七・五%、東京二十三区内では七・三%、それから東京多摩では八・六%、埼玉が五・二%、神奈川は七・五%と、積極的に改築を希望する人たちは極めて少ない、こういうことが出ております。そして、希望しない、絶対反対だという人たちが千葉・茨城では四六・六%、東京二十三区では四六・二%、東京多摩では四三・五%と、ほぼ半数の人たちは建てかえてもらっては困る、こういう考えを持っておるようでございます。このことについては、これは団地の自治会の方の調査というか情報でございます。これは間違いないと思います。  なぜ反対をされるかといいますと、改築後の家賃が恐らく数倍になるだろう、十万を超えるだろうということですね。よくなるのは結構でありますけれども、そこに住んでいる人たちはもちろん所得のそんなに多くない人たち、それからまた、建物が古い建物ですから、老齢化している人たちもいる、稼得能力のない人がいるということがありますね。そういうことのためにこういう結果が出てくると思うのですけれども、こういう現状に対してどういう考えを持っておりますか。
  42. 京須實

    京須参考人 公団の自治協の方々が建てかえにつきましてアンケートをおとりになったことは、私ども承知しております。そのアンケートについてどうこう申すわけでございませんが、十二分にいろんな条件を提示してやられたものなのかどうか、いささか疑問の点がないでもございません。そういうこともございまして、私どもといたしましては、また別途、建てかえに決定になりました本年度の団地につきましては、十二分にいろいろ御説明をして御納得をいただいております。  現に、大阪の臨港第二団地は、既に一名を除いて全員の方々に了承を賜りまして、その一名の方も、二次の工区に分けまして後の方の分でございますので、間もなく建てかえを始めるといったような例もございますし、公団の方で責任を持って十分御理解を賜るような説明をやろうと考えております。  また、具体的な内容でございますが、家賃につきましては、先生おっしゃるように、建物が新しくなりまして設備も更新されまして、また住宅の面積等も大幅にふえてまいります。そのために、新しくつくります賃貸住宅との均衡を考えますと、私どもも残念に思いますが、四倍とか相当な家賃の値上げになっているわけでございますが、実はこれは、従来から入っております方々につきましては七年間の低減措置を講じます。でございますので、実際には、事前の説明の二年間と建築等の工事の年数を入れますと、昭和七十一年ごろになりましてその四倍程度の家賃になるといったような計算でございまして、直ちにあしたから家賃が四倍になるということではございません。その間にいろいろの素地がございます。  それからまた、家賃がどうしても上がっては困るという方につきましては、公団の他の、四十年代等の住宅でございますと家賃の適正なものもございますので、そういったところにごあっせんいたしましてお好きなところへお移り願う、こういう制度も講じております。その際もまた、五年間は家賃を四〇%割り引いて激変の緩和を図りたい、こう考えております。それからさらに、お年寄り等につきましては、また別途いろいろの措置を講じております。  そんなわけでございまして、個々の方々に御納得願ってお移り願うわけでございますから、お一人お一人、世帯ごとにきめ細かく御説明いたしまして御納得いただいて対策を講ずる、このように考えたわけでございます。
  43. 新村勝雄

    新村委員 一方には遊休土地があって、一方では嫌だというのに建てかえるということは極めて不合理なわけでありますから、その点は十分の理解と納得のもとに進めていただきたいということを特にお願いしたいと思います。  次は、時間がありませんから簡単に申し上げますが、交通問題と国土の調和ある発展ということは切り離せない問題だと思います。その中で、東京圏の中で今交通問題として一番強く要望されておる、あるいは大きな課題になっておるのは東京の東側、常磐線の沿線。常磐線の方向の開発が著しくおくれているという事実が一つあるわけですけれども、その区域に人口が急増いたしております。千葉県北部、埼玉県の東部、茨城県の西部、その地域が広大な土地が未開発のまま残されている、その中に今着々と部分的な開発が進んでおり、人口がふえておりますけれども、残念ながら地域開発の根幹ともいうべき交通問題が、非常にここがおくれておるわけであります。  私は何回も何十回もこの同じ問題をお願いをしておるわけでありますけれども東京の周辺の地図をごらんいただけばすぐわかるわけでありますが、常磐線方向の放射線というのが一番少ないわけです。東京から東側に向かっての放射線は常磐線が一本、ほかに支線はありますけれども、その支線はすべて常磐線に乗り入れをして、最終的には常磐線で東京に入ってくるということでありますから、東京の東側には常磐線一本しかないわけです。東北線と総武線の間には常磐線しかない、こういうことでありまして、これは一見して、なるほどここは交通に恵まれていないなということがわかるわけであります。これはもう何十年の歴史的ないろいろな条件がしからしむるものだと思いますが、今やこれは放置することのできない問題だと思います。  運輸政策審議会におきましても、この問題については緊急の課題だということで答申がなされております。この常磐線に並行して第二常磐線あるいは常磐新線、そういうものをつくることは緊急の課題であって、ほかの一般の交通問題とは切り離して、特に特殊な大問題として扱うべきだ、こういう扱いを運政審ではやっておるわけですね。ところが、国鉄さんがああいう状態であるというようなことのために、それからまた国の財政も思うようでないということで、この最大の緊急な課題が、そのまま放置されているとは言えませんけれども、一向に進展しない、進まないという現状であります。  そこで、これは後でまた別の機会に詳しく申し上げますけれども、現在どういうふうにこの問題が取り組まれているのか、そして今後どういうふうにこれを前進をさせていくのか、これをまず簡単に伺いたいと思います。
  44. 奥西勝

    ○奥西説明員 常磐新線につきましては、先生のお話のとおり、先般の運輸政策審議会の答申におきましても極めて重要なプロジェクトとして位置づけられております。我々としましても、目標年次までの完成というものを目指しまして、鋭意具体化が図られるべきだという強い認識を持っておる次第でございます。  このため現在、運輸省と、関係しております東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、この一都三県との間で常磐新線整備検討会というものを設けまして、その場におきまして、実際にだれが事業主体となるべきか、あるいは先生の御指摘のとおり沿線開発との関係も非常に重要な課題でございます、それをどのようにして行うのか、あるいは資金調達の問題等々さまざまな問題につきまして現在具体的に検討を進めておる段階でございまして、さらに今後新線計画推進を図る観点から努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  45. 新村勝雄

    新村委員 努力なさっていると思いますけれども、もう少し具体的に、運政審の答申が出たのは去年の七月ですから、それからですともう一年以上たっているわけですよ。こういう重大な課題を一年以上たって、まあ努力はされているのでしょうけれども、さっぱりあらわれてこないということは、我々地域の住民にとっては全く理解ができないわけでございます。緊急の課題としてははるかに下だと思う大プロジェクトが突然出てきてたちまちそれが軌道に乗る。一方では、毎日通勤者、通学者が、定員の三倍ですよ、定員の三倍詰め込まれて苦しんでいるのにさっぱり先へ出ない。これは政治の不公平といいますか、政治のあるべき姿ではないと思いますね。  国鉄がいかに苦しくとも、日本は少なくとも国民総生産三百数十兆を有する経済大国なんですね。その中でああいう状況があるということ、これはあの地域の人にしかわからないですよ。皆さん方、お乗りになったことないでしょう。ああいう状況を放置しておくということは、国政上の大問題ではないかと思うのですね。ですから、そういうことで、国鉄の窮状あるいは運輸省さんとしては非常にお困りではあろうと思いますけれども、これは一国鉄の問題あるいは運輸省の問題ではなくて、国家的な課題だと思いますよ。大臣、その点、国土の均衡ある開発ということも直接関係してきますから、将来東京圏の数百万の人口を収容するであろうと思われる地域なんですから、ぜひひとつ認識を改めていただきたいと思いますが、大臣からお願いします。
  46. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいまの問題を含めまして首都圏改造計画あるいは首都圏整備計画、その中でこういう問題を今いろいろ検討しておるわけでございまして、それらの状況を見詰めて首都圏の整備を図ってまいりたいと考えております。
  47. 新村勝雄

    新村委員 終わります。
  48. 堀之内久男

    堀之内委員長 草川昭三君。
  49. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三であります。  まず最初に、抵当証券の問題に関連して、不動産鑑定士の信頼性の問題についてお伺いしたいと思うのです。  私は、かねてから豊田商事を初めとする悪徳商法の消費者保護の問題に取り組んできておりまして、過日来、他の委員会等におきましてもいろいろとこの問題を取り上げてきておるわけであります。抵当証券の発行というのは、現在では約一兆円に達しておるわけでございますが、いずれにいたしましても悪徳業者の入り込むすきが随分ございまして、抵当証券業法の制定というのを一日も早くやってもらいたいという要望もしていたわけでございます。  そこで、たまたま十月二十三日、物価問題特別委員会で抵当証券に関する不動産鑑定士の問題を取り上げてきたわけですが、その委員会の中で法務省は、また警察庁はこういうことを言っておるわけです。  警察庁は、抵当証券を入手するにはその前提になる抵当権を設定しなければならない、さらにその前提として債権債務があることが必要であるけれども、そのような債権がないにもかかわらずあったかのごとく装って抵当権を設定する、その抵当権に基づいて抵当証券を入手した、こういう事例があることを言い、それから法務省は、たくさん債券が出回っているために、私ども、どういう事故が出てくるかということについては非常に心配をしている、抵当証券を発行するまでは私どもの所管でございまして、その発行の際、現在はその担保目的物がちゃんとした価値があるものかどうかということを不動産鑑定士に評価していただいて、その評価を信じて抵当証券を出しているわけだ、この不動産鑑定士の評価書をつけていただいて、それで間違いがなければ断るわけにはいかないという状況にある、というようなことも言っておるわけであります。  これは国土庁に直接関係はないのですけれども、悪質業者の中には、一たん抵当証券の発行を受け、それに基づくモーゲージ証書の発行をしておりながら、最近になり、それを受け取った顧客に無断で抵当証券の原券を法務局に返還をし、抵当証券を抹消している事例が幾つか見られるという、非常に手の込んだことになっておるわけであります。そういう中で不動産鑑定士の役割というのは非常に重要になってきているわけですが、その信頼性が揺らいでいる事例もあるわけですけれども、それは第二問で申し上げますが、当局はどのような指導をなされるのか、まずお伺いしたいと思います。
  50. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 最近、抵当証券につきましては一部悪質な業者が参入しているということが報じられておりまして、これに関連いたしまして、不動産鑑定士が土地の鑑定評価をするわけでございますけれども、そういう動きに巻き込まれることがないように、私どもといたしましては、不動産鑑定士の団体であります社団法人の日本不動産鑑定協会というのがございますが、この協会に対しまして注意を喚起しているところでございます。  この協会では、これを受けまして、会員の広報、講演会といったものを通じまして会員に抵当証券の問題について啓蒙活動を行ってきたところでございますが、さらに近日中に抵当証券発行に伴う不動産鑑定のあり方について留意点等につきまして通達を会員に出す、この通達の内容につきましては私どもにも相談がある予定になっておりますけれども、そういう措置をとろうとしているところでございます。  今後とも、不動産鑑定士がこのような悪質な抵当証券の発行の問題に巻き込まれることがないように、不動産鑑定協会と連絡をとりながら監督をやってまいりたいと思っております。
  51. 草川昭三

    ○草川委員 私は、今申し上げました十月二十三日の物特委で、抵当権をつけた土地に対する不動産鑑定士の評価の信頼性について不満、苦情がないかという質問をしたわけです。そのときには国土庁の方は、不動産鑑定士の問題については、鑑定評価に関する法律というものがあって、国土庁土地鑑定委員会が実施をする試験によって資格を与えられた者だ、こういう者の評価については、専門家であるという立場からその鑑定技術は十分信頼に足るというように考えているというように、当時はそういう事例をつかんでいなかったのではないかと思うのですけれども、そういう答弁があったわけですね。  ところがその後、いろいろな報道機関にも既に発表されておるわけでございますが、私がそのときの委員会で間接的に取り上げました丸和モーゲージというのがあるのですが、これは閉業したわけですけれども、証券発行のために抵当権をつけた土地について不動産鑑定士が三倍もの鑑定評価をしたことがわかった。国土庁評価額の水増しの疑いがあると見て、係員を現地に派遣し、事情聴取などの調査を始めたという報道がなされているわけであります。この問題についての国土庁の調査報告なり見解をお伺いしたいと思います。
  52. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 丸和モーゲージにつきまして先生指摘のような事実についての報道がなされましたので、私どもといたしましては事実関係を確認するように現地に係官を派遣いたしまして、現地の調査、それから関係者からの聞き取りその他の調査を進めているところでございます。私ども、その報道をもとにいたしまして、本件の評価につきまして問題があると思われますので、鋭意調査を続行中でございます。
  53. 草川昭三

    ○草川委員 今、大体調査をされたこと、そして問題があるということを御答弁になったわけでありますが、報道が言うように三倍もの鑑定評価であったかどうか、あるいはなぜそういう事例になったのか、そのあたりをいま一歩突っ込んで御答弁を願いたいと思います。
  54. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 具体的にどういう点が問題であるかということについては、現在調査中でございますので答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、不動産鑑定の通常のやり方から見た場合に相当な注意が怠られたのかどうか、その点を中心に調査をしているところでございます。
  55. 草川昭三

    ○草川委員 調査中でありますからそれは本日までに具体的な答弁ができないとしても、これは国土庁によく聞いていただきたいのですが、抵当証券に関するトラブルというのは現実に物すごくあるわけなんです。現在進行中なんです。それで、警察庁においても、連日のごとく新聞に抵当証券をめぐります悪徳業者の摘発というのが現実に行われているわけであります。そして、今申し上げましたように一兆円に及ぶ規模の発行が行われているわけですから、それを一々検証しなければいかぬわけです。あるいはそれが二重に三重に行われているかということも考えなければいけない。あるいは、私が先ほど指摘しましたように、一たん抵当権を設定しておきながらそれを抜いてしまって、モーゲージ証書だけが空で消費者の手に渡っているという問題もあるわけであります。  そういうものの根拠にこの不動産鑑定士の役割というのが非常に大きくあるわけでありますから、悪いものは悪い、そして断固として処分すべきものは処分する、こういう強い態度というのが国土庁にございませんと、他の省庁が悪徳業者を幾ら取り締まろうと思いましても、もとになるところの鑑定評価の信頼性があるということをきちっとしておきませんと問題があるのじゃないかと私は思うのです。でございますから、原因の問題なり、調査中の問題ではありますけれども、どの程度問題があるのか、もう一度御答弁を願いたい、こう思います。
  56. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 先生おっしゃいますように、この問題は対象不動産の額が大変大きいわけでございますし、抵当証券が今日大きな社会問題になっている現状でございますから、私どもとしても大変重大な関心を持って調査を進めているところでございます。早急に調査を完了いたしまして、しかるべく必要に応じて措置をとりたいというふうに決意を持っております。
  57. 草川昭三

    ○草川委員 ではもう一回、くどいようですけれども、この丸和モーゲージの問題については、不動産鑑定士が明らかに水増しの問題、今御答弁では問題があったということでございますが、鑑定士の鑑定技術に明らかに疑いがあるということは少なくとも言えるのではないかと思うのです。その点、もう一回どうですか。
  58. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 不動産鑑定評価のやり方について相当な注意が払われることを怠ったおそれがございます。
  59. 草川昭三

    ○草川委員 今、基本的な態度について明らかに間違いがあったというようなことを言っておりますが、問題は不動産鑑定士が不当な鑑定評価を行った場合に、ではどういう処分が行われるのか、あるいはそれには具体的にどういうような手続が行われるのか。不動産鑑定士に対する問題は、こういう社会的な問題については多分初めてだと私は思うのでございますが、どのように考えられるか、お答えを願いたいと思います。
  60. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 不動産鑑定士がその業務に関しまして故意または相当な過失を犯した場合には、不動産の鑑定評価に関する法律に基づきまして懲戒処分が行われるわけでございます。この手続といたしましては、聴聞というのがございます。それから、国土庁にございます土地鑑定委員会の意見を聞いてその上でなされるわけでございますが、故意に不当な業務を行った場合には一年以内の営業停止あるいは登録の消除という措置がとられるわけでございますし、過失があった場合には一年以内の営業停止という範囲内で懲戒処分が行われ得るということになっておるわけでございます。
  61. 草川昭三

    ○草川委員 では、本件の場合も、この調査が完了すれば当然その処分の対象になることは間違いないのですか。
  62. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 先ほど申し上げましたような事実が認定されますれば、そのような措置をとることになると思います。
  63. 草川昭三

    ○草川委員 それからもう一つ、第一回の質問のときの答弁にありましたように、業界の自主的な通達を近く行うという話でございましたが、どのような点に力点を置いた通達になりそうですか、あるいは事前にどのような相談をなされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  64. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 私はまだ詳細を聞いておりませんけれども、例えば土地評価につきましては、将来計画というものを考えないで現状の利用のされ方を基礎にして評価するということ、それから抵当券の発行ということについては、担保の価値が十分あるかどうかということをよく念頭に置いて評価するようにというふうなことを中心に、細かくいろいろな内容を盛り込む予定というふうに聞いております。
  65. 草川昭三

    ○草川委員 本問題については、先ほど来から言っておりますので、これはぜひ長官から御答弁を願いたいわけでございます。  今も答弁がありましたように、抵当証券というのは、今日の低金利の時代から、非常に高金利商品として一兆円の規模にわたる大変な流通というのですか、販売が行われているわけであります。しかし、消費者といたしましては、その担保が本当に保証されるかどうかということについては、基礎になるところの抵当権の証書というものを見るわけにはいかないわけでありますから、大変な社会問題になってきておるわけであります。  今も局長の方の答弁にありますように、しかしその大もとは不動産鑑定士の評価というものを信頼する以外に法務局の方はないわけでありますから、その鑑定書に応じた証書というものを法務局は発行する。従来と非常に違った意味での、単なる取引の評価という意味以上の大きな役割があるわけでございますが、残念ながら具体的に、不動産鑑定士の過ちというのですか、社会的な糾弾をしなければいけない鑑定評価というのを行ったことは事実だと思うのです。そういうことを二度と繰り返さないためにも、監督官庁であるところの国土庁としての長官見解をお伺いしたい、こう思います。
  66. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま土地局長から、具体的な例についての調査をしておるということでございます。調査の結果が、不動産鑑定士という制度の権威に反する、傷つけるようなものである場合には、厳正に対処していきたいと考えております。
  67. 草川昭三

    ○草川委員 今申し上げましたように、一日も早くこの調査というのを完了していただかないと被害が多くなります。でございますから、最後に局長に、調査完了時点は一体いつごろになるのかということをお伺いして、この問題を終わりたいと思いますが、どのように考えておられるのか、明らかにしてください。
  68. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 具体的にいつまでということはちょっと申し上げられませんけれども、早急に結論を得たいというふうに思っております。
  69. 草川昭三

    ○草川委員 早急にという内容を余り詰めませんけれども、私が今発言をしておりますように、非常に事態を急いで、しかもこの鑑定士の問題については関係省庁も非常に注目をしておるところでありますし、そのために私も質問主意書を出しておるわけでありますから、これは早急にその結果というものを明らかにし、二度とこのようなことが行われないように、関連業界全体に態度を表明していただきたいということを強く表明をいたしまして、この問題を終わりたい、こう思います。  第二番目の問題は四全総の問題になるわけでございますが、過日、この調査審議経過報告というものが発表されております。それによりますと、今後東京はますます世界都市としての重要性が増していく、したがって、それにふさわしい業務、居住環境の整備が重要課題になると、東京重視の姿勢が前面に打ち出されているのではないかと思います。また、事実そうだと思うのです。しかし、最近の過度の東京集中の現象というものが地価高騰あるいはオフィスの需要の逼迫などを生み出していることも事実でありまして、従来から言っていたところの国土の均衡ある発展を阻害するのではないかという疑いを我々は持つわけでありますし、東京の過密や危険性もかえって増大をするのではないかと思います。  特に、八月でございましたか、最初に国土庁が試案を出されていたわけですが、あの試案の内容を見ていきますと、従来、三全総まで、多極分散型の国土形成ということを非常に強く言われておったのですが、試案の段階では、ニュアンスは多少の違いがありますけれども、やはり多極分散型国土形成というものが流れの大きな柱になっておるように我々は見ていたわけであります。基本的な理念では一致をしておったのではないかと思うのです。ところが、中曽根総理が都市重視の方向で見直せというようなことを言われたやに聞いておりますし、事実、長官の個人的な審議会もその趣旨でいろいろな作業をなされておるようでありますが、国際金融や情報機能を中心とした巨大な集中東京には予想される、いわゆる世界の中枢的な都市としての位置づけで今後さらに人口や産業が集中をするということになってきておるわけであります。  今回の経過報告というのは、そういう意味では本質的な路線変更だと私は思うのでございますが、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
  70. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 中曽根総理から私が、過密を助成しろとかあるいは懇談会をつくれとか、そういう御指示を受けたことはございません。今の国土政策懇談会も、全く私の意思によってつくった懇談会でございます。  なお、この東京あるいは都市集中という問題につきましては、草川さん御存じのように、最近の国際化情報化ということで、ある程度の集中が行われておることは事実であります。現実を是認してそれを延長するのは計画ではないという御説がございまして、それはもっともだと思います。しかし、現実を、国際化情報化という事実によってある程度過密になっておるこの状況を今どういうふうに考えていくかという問題を含めて、私は、大都市圏と地方圏というものを分けながら均衡ある発展を図る四全総をつくりたいと考えております。  なお、先ほどからお話がございましたように、これで決定をされたものではございません。これから皆様方の御意見を聞きながら最後の策定をしていきたいというふうに考えておる次第であります。
  71. 草川昭三

    ○草川委員 総理に指示を受けない、独自の発想だと言うのですが、それはそれでいいのですけれども、新聞にはそういうのが一般論として紹介をされておるわけであります。その点は、言われた言われないは別にいたしまして、しかし、流れが変わったのではないか。  特に、三全総までは巨大都市の限界説というものが我々の耳に非常に残っておるわけであります。いわゆる過密による公害、環境問題、交通混雑などの弊害というものが非常に強く出されてい、それから、機能地方分散ということもまた言われていたわけであります。その点は、本当に従来の三全総の延長線なのか、三全総までと都市の機能評価というものが変わったのか、そこをひとつわかりやすく説明していただきたい、簡単で結構ですから。
  72. 星野進保

    星野政府委員 今回の審議経過報告におきましても、各地域定住が確保されるということを重視しておりますから、その限りでは、三全総考え方であります定住という考え方は引き継いでおるものと思います。  ただ、後者の、巨大都市の限界の話でございますが、ちょうど高度成長期末につくりました三全総と今回のものとでは、産業構造に対する考え方かなり違うというところが一番大きな問題ではないかと思います。つまり、従来の重化学工業から、よりクリーンなインダストリーといいますか、サービス、ソフト化、先端産業という格好で、環境問題その他についての環境条件、そういうものがこれからかなり変化してくるだろう。それと同時に、都市的な活動がより一層活発になるだろうということを意識しておるのが、今度の経過報告の一つのポイントではないかと考えております。
  73. 草川昭三

    ○草川委員 私どもは与党の中身まで要らぬことを言うつもりはありませんが、これも新聞報道によればという前提でお伺いをします。  伊東政調会長が、この経過報告に対して、国土の均衡ある発展の見地が必要ではないか、東京だけが中心というのはおかしいと言っているとか、あるいはその他の方々からも、東京への人口集中を放置すべきではない、民活あるいは規制緩和、こういうのは地価高騰につながっていくのではないかとか、さまざまな議論があったやに我々は伺っています。  大変傾聴すべき意見だったと私は思うのですが、国土庁内部としても、今、東京集中というものを素直に御理解なされているのか。巨大都市東京をどうするかということを真剣に考えれば、地方分散の重要性というのはもっと強くこの文体の中にも出てくるべきではないか、本当に東京を住みよくしようと思えば、人口や諸機能の多極分散はもっと強くすべきだということがこの文案の中に出てくるべきではないかと思うのですが、その点、もう一度お伺いしたいと思います。
  74. 星野進保

    星野政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、実態として、現在東京に、世界都市東京としての国際金融機能とかその他の情報機能集中しつつあるということであります。それと同時に、この経過報告で非常に重視しておりますのは、先生が先ほどからお使いいただいております多極分散型ということで、それぞれの地域がそれぞれの機能を十分発揮しながらお互いに分担し合っていくようにしていかないと、均衡ある国土発展はしないだろうということをこの報告でも言っておるわけでございます。先生指摘のように、東京機能というのをかなり明細にしているところが東京重視的な印象をお与えになるかもしれませんが、基本的な流れとしましては多極分散型を言っておるということでございます。
  75. 草川昭三

    ○草川委員 くどいようですが、三全総までの流れからいきますと、今回の報告というのは、戦略的な見地、スタンスが変わったのではないかということを言いたいわけです。もし東京重視の情報機能集中化国際化ということを考えるとするならば、もう一つ国土全体の安全性を維持する観点から、災害時にどのように対応するのか、代替機能をどう分散するかという考え方もこの中に併記すべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  76. 星野進保

    星野政府委員 今先生指摘の、大震災害その他につきまして、いわゆるリダンダンシーという言葉が最近はやっておりますが、この経過報告でも十分注意すべきであるということを書いております。具体的にどういう施設等を動かせということは今後の検討に待つわけでございますが、首都機能についての分散その他についても十分配慮すべきであるということを指摘しております。
  77. 草川昭三

    ○草川委員 私もこれをいろいろと読ませていただいたけれども、今私が申し上げました戦略的な東京機能を国際的に高く評価するならば、同じウエートでその問題をもっと強く訴えるべきではないかということを言いたいわけであります。しかし、この問題をやっておりますと時間がどんどんたっていきますから、この程度にしておきます。  先ほど長官から御答弁がございましたが、この中間報告のまとめ、来年の春には本当にまとめられるのか、それまでの間に修正が加えられるのか。いわゆる四全総の今後の策定予定についての見解を賜りたい、こう思います。
  78. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどからお話しいたしておりますように、今回計画部会審議経過ということで中間報告を出させていただきまして、本日は国土審議会を開きまして、これをもとにいろいろ御論議をいただくことになっております。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕  御存じのように、国土審議会というのは、国会の方からも与野党の皆様方、地方御出身の皆様方もたくさんお入りになっておりまして、本日はいろいろな御意見が出てくると思います。そういう御意見を聞きながら今後の方向を決めてまいるのでございまして、もう既にスタンスが決まった、これで変えないのだ、そういうことはございません。  以上であります。
  79. 草川昭三

    ○草川委員 私どもの方から少し具体的に問題提起しながら話を進めていきたいと思うのです。  今回、関西圏、名古屋圏、特に名古屋圏というのは明確に言葉に出してもらっておるわけでありますし、国際都市としての機能を整備する、そしてその影響圏を全国土に広げていくというような視点を持ってもらわなければいかぬ、こう思うのでございます。特に名古屋圏については、世界に開かれた産業技術都市として位置づけられております。このような位置づけをバックアップする意味から、プロジェクトというものを積極的に盛り込む必要があると思うのですが、それは来年の三月までの間に盛り込んでいただけることになるのかどうか、お伺いします。
  80. 星野進保

    星野政府委員 今後各地域の地元の方々その他と御相談をするための素材の審議経過報告でございますから、これから議論をしてまいりたいと思っております。
  81. 草川昭三

    ○草川委員 東海三県と地元政財界が推進いたしております中部新国際空港のプロジェクトのことになりますが、今回間接的な表現ではございますけれども、「国際交通体系の形成」という中に「中部圏等において航空需要の動向を見極めつつ対応策について長期的な視点にたって調査する。」ということになったわけであります。その間の経過については、我々も超党派の議員団の先輩の先生方からもある程度お伺いしておるわけでありますし、関係者の皆様方の御努力に敬意を表するわけでありますが、いわゆる中部新国際空港について具体的な名称が挙げられなかった理由はどういうことか。これが精いっぱいなのか。そこらあたりの経過について話をお伺いしたい、こう思います。
  82. 星野進保

    星野政府委員 今回の審議経過報告の性格からいいまして、余り具体的なプロジェクトを各所にちりばめるということはしておりませんで、むしろ基本的なその地域発展方向づけその他につきまして、政策の考え方という方向でまとめておりますことが基本的な点かと思います。
  83. 草川昭三

    ○草川委員 私が申し上げたいのは、プロジェクトについては具体的に名前が出ておりませんけれども、人工島の問題等については、各所に随分画期的な問題として出ておりますね。この人工島のようなものは、頭の中で意識的に地元の要望等については名前が出ていなくてもわかるわけですよね。これは中部の場合でも、静岡県清水でございますか、今度人工島というのが出ておりますけれども、この国際空港問題というのは、そういうもの以上にもっと大きなプロジェクトとしての位置づけに当然なるわけでありますから、私は今のような質問をしたわけであります。  そういう視点に立って、では具体的にこの四全総の修正の中で名前が出るところまで、私の今のような意見からいってあり得るのかどうか、いま一度お伺いをしたいと思います。
  84. 星野進保

    星野政府委員 先ほど申し述べましたように、これから具体のプロジェクトその他について地方公共団体等と御相談していくわけでございますから、物によりまして今後具体的になるものもあるかと思います。
  85. 草川昭三

    ○草川委員 では一つ、ちょっと細かいことになりますけれども、私どもがプロジェクトにぜひ積極的に盛り込んでもらいたいというので、今申し上げました中部新国際空港以外に、名古屋東部丘陵研究学園地区、あるいは東海北陸自動車道及びその南伸、名古屋港までこれを延長するという意味でのプロジェクトでございますけれども、東海環状道路、伊勢湾岸道路、それから名古屋環状二号線の建設、主要なプロジェクトが出ておるわけですが、その地元からの要望のプロジェクトをどの程度まで御理解なすっておられるのかお伺いをしたい、こう思います。
  86. 星野進保

    星野政府委員 先生今お話がございました東部丘陵学園地域だとかその他につきまして、かなり地元で御関心があることでもございますし、それから東部丘陵学園地域につきましてはかなり実態が進みつつあるということも承知しております。  ただ、一つ逆に先生にお願いでございますが、四全総というのは全国全体を眺めていく計画でございますので、各地域のあらゆるプロジェクトを掲載するということは不可能でございます。むしろ、その他域の今後の産業構造転換あるいは住みよい地域をつくるという観点から非常に戦略的に重要である、そういう施設については、これはどうしても書かざるを得ないというものについて書いていくということにならざるを得ないと思いますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  87. 草川昭三

    ○草川委員 私どもが申し上げたいのは、確かに今局長が言われるように一々細かいのを書いたら切りがない、あるいは漏れたらそれだけで大騒ぎになって大変なことになるという、多分その御心配から今のような答弁になっておると思うのです。私どももそれはわかるのですよ。わかりますけれども、一体地元で、例えば学園都市についても道路についても非常に要望が強いから、個々別にはいろいろと関係省庁に陳情なり予算をつけてもらいたいということがありますが、大きな意味で国の役割、そして地元の負担、こういうものをひとつ考えないと、地方自治体でも今後の計画のありようがないわけですね。だからいま少し、本当に国土庁の立場から言うならばこうあるべきじゃないかとか、あるいは方向を変えるべきじゃないかとかいうような議論というのがともにかみ合うようなものが本当の四全総になっていくのではないか、そういう意味から私はいま一歩こういう言い方をしておるわけです。その点、どうですか。
  88. 星野進保

    星野政府委員 先生のお考え、まことによくわかりました。そのとおり私どもも考えております。
  89. 草川昭三

    ○草川委員 そういう意味で、私どもいろいろなことを言っておりますが、もう少し今度は、これも細かいことになりますけれども、文章の揚げ足取りをするわけではありませんけれども、名古屋圏という言葉の中に、データ処理上、愛知、三重という言葉になっておるわけです。これは大きな話ですが、愛知、三重の二県ということになっておりますが、社会経済活動の実態を踏まえますと、岐阜県というのもあるわけでありますから、少なくともこれも大きな意味で、言葉じりをとらえて言うわけでありませんけれども、愛知、三重二県という言葉の中には当然岐阜県も加えた三県ということで、データなりネットワークをつくるとか、情報という一つ機能になるゾーンになるのではないかと思うのです。これはどうして載ってないのか。私はたまたま岐阜県の出身ではありませんけれども、隣の愛知県の立場から申し上げても、これは読んで奇異に感ずるわけですが、どうですか。
  90. 星野進保

    星野政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、特に南岐阜につきましてはまさに一体的な経済圏域だと思います。  それから、東海環状都市群というような表現がどこかにあったかと思いますが、それは実はそういうことを含めながら意識しておるわけでございます。さらに言えば、恐らく静岡に入る地域も大変関連の深い地域が出てくるわけでございますので、これは人口統計上実は分割ができないものですから、愛知、三重というのを代表させて名古屋圏というようなことでくくっておりますが、実際の経済圏としては御指摘のとおりだと思っております。
  91. 草川昭三

    ○草川委員 それから、名古屋の東部の丘陵研究学園地区、これはもう本当に地元の方では都市化現象の中からどちらかというと追い出された形で学園都市というのがおのずと集中しておるわけでありますが、これも地元の強い要望もありまして、国際研修機関なども入っておるわけでありますから、東海環状都市帯構想としてこの研究学園地区としての位置づけがもっと必要ではないだろうか、私はこう思うのです。最近では海外からの大学の分校というようなものもぜひ誘致というのですか、受け入れてもらいたいというような話もございまして、四全総の中にもうたわれておる国際化というものに対応することになっております。だから私はそういう点が非常に必要だと思うのですが、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  92. 星野進保

    星野政府委員 先生の今御指摘の大学あるいは海外の分校あるいは研究所その他、釈迦に説法でございますが、これからの経済社会の一番重要なポイントというのは人材の育成といいますか、創造的な人間をつくっていくことだと思いますが、そういう観点からいいまして、各地域の振興の非常に重要なポイントは、研究機関でありますとか大学でありますとか、そういうものをいかに適正に配置していくかということだと私ども思っております。したがいまして、現在臨教審等においてもいろいろ御検討いただいておりますし、また事務的には文部省等ともいろいろ御相談申し上げながらそういう方向で検討しておるところでございます。
  93. 草川昭三

    ○草川委員 ちょっと話がまた前へ戻って申しわけございませんが、今、国際化という問題と四全総という話で具体的に少し入ってしまったのですが、私、実はこの四全総の問題で非常に基本的なことは我が国の路線だということを言ったわけですけれども、前川レポートというのがありますね。これはもう去年の暮れからいろいろと前川委員会というのが非常に大きな役割を果たしている。これは今さら言うまでもございませんけれども、私どもにとってみれば、前川委員会の位置づけというのを非常に重要視し過ぎるという不満はあるのですよ。本来ならばもっと議会で前川報告というもの、方針というものを議論すべきじゃないかということをかねがね主張しておるのですが、残念ながらそういうことにならなくて、路線というものがどんどん進んでいく。  そういう中で経済審議会というものも行われる、フォローアップも行われる、あるいは海外にもどんどん約束させられるということに一議員として焦りを感ずるわけですけれども、今回はそういうような方向も含めてこの四全総というものが経過報告がつくられ、あるいは将来これが固定化していくのではないかという考え方を持っておるのですが、この四全総考え方と前川レポートとの関連というものはどのような位置づけになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  94. 星野進保

    星野政府委員 私ども国土政策観点から前川レポートで特に関心がありますのは、いわゆる従来の輸出型経済構造といいますか、そういうものからむしろ内需型経済構造に変えてくれという御主張をされている点で、ところが恐らく先生が御心配になられる点は、そのことが大変な産業構造転換を引き起こしてくる、現に現在の円高の影響等で産業構造転換が進んでおるわけでございますが、まさにそういう形で、どううまくそれを調整していくかということだろうと思います。  基本的に私どもそういう考え方は受け入れていくことが国土政策としても肝要だというふうに思っております。したがいまして、今度の審議経過報告におきましても国際化というものを非常に重視しておりますし、同時に、産業構造転換をどうやって国土的に受けとめていったらいいかということに非常に関心を持っておるところでございます。したがいまして、先ほど来先生が御指摘の中部圏あるいは名古屋圏等一つのブロック的な固まりでどう対応していくかというような多極分散型の構造というのは非常に重視されるわけでございます。  と同時にもう一つ、内需型にしていく場合に、私ども非常に俗な言葉で言いますと、海外に持っていくお金があるのなら、むしろ国内で社会基盤整備等に使っていただきたいという気持ちが根底にあるわけでございまして、今度の経過報告でも、二十一世紀になりますとかなり高齢化が進みますので貯蓄率が落ちるであろう、これは予測でございますが、そういう観点からいいますと、二十世紀中にかなり基盤整備をやっておくべきではないかということを御指摘いただいておりますので、私どももそういう点に従って今後勉強していきたいというふうに思っております。
  95. 草川昭三

    ○草川委員 全く今おっしゃる形で海外に資本が流出することを放置していいのかどうか。あるいはそれは当然雇用という面にも影響するわけでありますし、我が国の内需がどういうことになるのかという総合的な対策になってくるわけでありますから、その点も含めながら、先ほど申し上げましたように、多極分散型というのを固定するか、あるいはまた交流ということをこの中にも書いてありますが、交流ということが本当に豊かにできることが大切ではないかと思うわけであります。  時間が来たようでありますが、最後に一つ。実は中部圏、今特に名古屋を中心といたしまして、水資源というものについて非常に渇水問題で苦しんでおるわけであります。そこで、その名古屋を中心とする水問題について、細かく言えば切りがございませんけれども国土庁は今後どのような対応をするのか。あるいはまた名古屋地方の木曽川水系における水利調整をどのように考えられるのか。あるいはまた、これは一つ意見でありますけれども、いわゆる渇水用のダムというものを、地方自治体でつくる能力がありませんから、国がつくる、そしてもし使うときだけ費用は払うというような構想意見があるやに我々も聞いておるわけでございますが、そういうダム建設等についての考え方はあるのかないのかお伺いをして、時間が来たようでありますから、質問を終わりたいと思います。
  96. 志水茂明

    ○志水政府委員 ことしは台風が本州に全く上陸しなかったというようなこともございまして、豊川とか木曽川水系で、八月以降四カ月間の雨が平年に比べまして四五%といったように非常に少なかったわけでございまして、現在二〇から四〇%の取水制限を加えるような渇水になっております。  この渇水は、確かに降雨量が少なかったことが直接の原因でもございますけれども、ダムなどの水資源開発がおくれておるということに加えまして、戦後間もなく実施されました本地域の水資源開発事業におきまして計画時に想定をしておりました降雨、雨の条件に比べまして近年は非常に雨が少なくなっておるわけでございまして、渇水時におけるダムからの補給必要量が増大しまして、ダム容量が不足してきていることも原因の一つと推察いたしております。  また、この地域におきましては、先ほど来話が出ておりますように、今後生活水準の向上、それから人口の増加あるいはまた都市化の進展だとか産業活動の活発化等によりまして、私どもといたしましては、この地域の水需要も緩やかに増大をしていくものと見ております。したがってそれに対しましては、二十一世紀に向けての経済社会にふさわしい水供給の安全度を確保する点からも、長期的視点に立ちまして計画的な水資源開発を推進していく必要がある、このように思っております。  それから、先生が最後に申されました渇水ダム、私ども渇水対策ダムという言葉も使っておりますが、おっしゃいますとおり、今後の経済社会の高度化にふさわしい水供給の安全度を確保しなければならないということは先ほども申し上げたとおりでございますが、特にその中でも命にかかわる水あるいは社会経済活動の維持のために絶対必要な水、これにつきましては、どのような渇水が参りましても対応できるようなきめ細かい対策が必要であろうと思っております。このような観点から見ますと、こういった絶対必要な水につきましては、先生指摘のような渇水対策ダムをつくりまして、一種の水の備蓄を行うことは非常に重要なことだと思っております。国土庁といたしましても、関係省庁と十分調整を図りながらこのような観点から必要な施策を進めていきたい、このように思っております。
  97. 草川昭三

    ○草川委員 これで終わりますが、建設省の道路課長がおいでになっておられますが、時間がなかったので、大変申しわけございません。また次の機会にしたいと思いますから、以上で終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  98. 熊谷弘

    ○熊谷委員長代理 大矢卓史君。
  99. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。  まず、長官にお伺いをいたしたいと思います。  現在の国土庁のお仕事の中で、土地の暴騰を防ぐ、また適正な価格で売買ができるということがお仕事の中の大きな一つを占めておると思うのでありますけれども、過般十二月一日行われました林野庁の公開入札につきましての長官の御意見をまず承りたいと思います。
  100. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 林野庁の宿舎用地の売却につきましては、三年来、それぞれ地方自治体を含めましていろいろの話があって今日に至っておったように聞いております。その中から、林野庁としてもいろいろの状況から一般競争入札による売却に踏み切ったというふうに理解しておる次第であります。
  101. 大矢卓史

    ○大矢委員 その結果についての御感想を伺いたい。
  102. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 公正に入札制度というものによって地価というものが形成されていくということは、基本的には理解しておるところでございます。ただ、周辺の地価等を引き上げる引き金にならないように、これは従来からも国土庁としてもいろいろ留意しておるところでございまして、今回もそれが波及することがないように十分留意をしていかなければならないと考えております。
  103. 大矢卓史

    ○大矢委員 先ほどの長官の御答弁にございましたように、大変な都内また大阪等の地価の上昇がございます。その中で、今妥当ではないかということでございまして、また報道でもそういうことも書かれておるのでありますが、その反面、そこで言われております公示価格と今回の売買価格との関係についてどのようになっておりますか、御説明願いたいと思います。
  104. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 今回の林野庁六本木跡地の入札価格でございますけれども、一般的に考えられております地価水準よりはやや高いかと思いますけれども、私ども国土利用計画法を運用しておる立場から申しまして、その価格審査観点に立って見た場合には、今回の価格というものは著しく適正を欠く水準には至っていないというふうに思っておるわけでございます。  今回、周辺公示価格に比べれば二倍くらいではないかという報道がなされておるわけでございますけれども、公示価格は御案内のように一月一日における価格でございます。その後の地価上昇を勘案する必要がございます。昨今は残念ながら都心部におきまして地価がかなり上昇しておりますから、そういう期間の差に伴う修正を行う必要がございますし、それから地価公示地点と今回の入札の対象になった地点との地域の格差というものもあるわけでございまして、これらを細かく分析して比較してみますと、今回の落札価格が公示価格を基礎として比準をした価格から見て、それほど乖離していないというふうに考えております。
  105. 大矢卓史

    ○大矢委員 世間一般的にはそういうふうに理解をされておるわけであります。  そこでお尋ねをいたしますけれども、林野庁でございますとか官庁の関係は国土法によります届け出が除外をされておるようでありますが、もしこれが届け出をしなければならぬということになりますと、これで許可になっておったかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
  106. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 確定的なことは申し上げられませんけれども、もしこれが国土利用計画法に基づいて届けられました場合には、著しく適正を欠く価格ではないということから受理されるというふうに思います。
  107. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこでお尋ねをいたしたいのでございますけれども、各都道府県でそういうものを受理をいたします、審査をいたします。当然その審査についての公示価格とのかかわり合い、これらについての指導の方針があると思いますが、それをお示しを願いたいと思います。
  108. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 現在、私ども国土利用計画法の所掌をしておるわけでございまして、その運用につきましては地方公共団体と密接な連絡をとり、必要な場合には指導をしているわけでございますけれども、原則的な考え方といたしましては、その届け出に係る土地の予定対価の額が、近傍類地の取引価格等を考慮いたしまして算定したその土地の相当な価格に照らしまして著しく適正を欠くものであるかどうか、こういう観点から審査をするというふうにしておるわけでございます。  土地の相当な価格を算定する方法といたしましては、国土利用計画法の施行令に規定があるわけでございますけれども、地価公示価格等を規準とする標準地比準方式、近傍の公示地あるいは基準地の価格を規準といたしましてその当該土地の位置、地積、環境等の諸要因を比較いたしまして、さらに届け出時点までの時点修正を行いましてその土地の相当な価格を算定する、こういうやり方が一つございますし、あるいは直接不動産鑑定評価の手法によりましてその土地評価する、こういうやり方もあるわけでございますけれども、それぞれ土地の地目、形態あるいは周辺の土地利用状況等に応じましていずれかの方法をとるように指導をしているところでございます。
  109. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の御説明では、具体的に地方に任せておいて自主的にやったらいいのではないかというようなことだろうと思います。それでは特にこういう狂乱の土地値上がりということになってまいりますと、今後運用が難しい問題があろうと思いますので、その点、適切に御指導を願いたいと思います。  そこで、今公示価格と申されましたが、公示価格というものは一体どういうものなんですか。
  110. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 先生御案内だと思いますけれども、公示価格と申しますのは、毎年一月一日時点の基準地点、これは一万六千六百ございますけれども、この地点につきまして先ほど申し上げました手法によりまして評価をいたしまして、これを社会に発表いたしまして通常の条件における取引の参考にするということ、取引の指標として使っていただく、こういうことを目的として皆さんにお知らせしているというものでございます。
  111. 大矢卓史

    ○大矢委員 大体それくらいであろうということだと思うのですけれども、言葉上そうでありましても、今言われましたように一年間、一月一日に決めたこととはいいながら、十二月一日に倍以上になっていて、これが正常なんだ、そうなってまいりますと公示価格そのものが一体何を意味するのか、私どもちょっと判断に苦しむのですけれども、その点の御解釈はどうですか。
  112. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 確かに公示価格は毎年一月一日ということでございますけれども、実はそのほかに都道府県地価調査というのがございます。これは基準地価格といっておりますけれども、毎年七月一日時点で、全国で二万四千余りの地点につきまして各都道府県が地価の調査をするわけでございまして、これも同じような趣旨で発表されるものでございます。そういった指標を使いながら、さらにその間いろいろ地価の変動があるわけでございますから、必要な場合には取引事例等も収集いたしまして時点の修正を行っていく、こういうふうな運用をしておるわけでございます。
  113. 大矢卓史

    ○大矢委員 この林野庁の問題につきまして国土庁でも大変な関心を示しておられたことと思いますのでお伺いをいたしますが、しからば、今申されました七月一日現在での都道府県の基準地の価格は幾らになっておりますか。
  114. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 林野庁のこの六本木の場所のごく近くというところにはその都道府県地価調査の基準地というのはございませんけれども、それほど遠くないところで、かつ住居地域の地点がございまして、割合似ている場所だと思いますけれども、ここでは平方メートル当たりたしか三百六十二万円であったと思います。
  115. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういたしますと、一般的に言われております平米当たり三百六十万というのは、一月一日現在も七月一日現在もそう変わっていないということでございますか。
  116. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 これは先ほど申し上げましたが、公示価格の地点と地価調査の地点とは場所が違います。公示価格の場合は標準地、地価調査の場合は基準地と言っておりますけれども、この地点が同じではございません。したがって、そのたまたま違う地点と割合近いというところをとりますと、公示価格で発表されました価格と地価調査で得られた額とは余り違っておりませんけれども、これは場所が違いますので、たまたまそういうことになったということだと思います。
  117. 大矢卓史

    ○大矢委員 国土庁が行っております公示価格が全国で約一万七千カ所でございますか、そしてまた、今都道府県で行っております七月一日の調査結果は二万五千カ所ということでありますから、やはり都道府県の方が多うございますので、そこらも含めてこういう価格を決めますときに——これ以外に税務署が相続税や贈与税の課税の基準といたしております路線価格というのがございます。そしてまた、地方自治体が基準といたしております固定資産税の評価額というのがございますけれども、このように一つ土地にいろんなところでいろんな評価をしておるわけである。この固定資産の評価額が正しいのか、税務署の相続税や贈与税の路線価格が正しいのか、公示価格が正しいのか、時価が正しいのか、取引の現状の価格が正しいのか。  やはりこういう価格の設定の中で、できれば一本化して地価対策を考えていく方がいいのではないか、そして、それがもし従来と違っておりましたら相続税や贈与税の税率を考え直したらいいことであって、また固定資産税の税率を考え直したらいいことであって、そのかけます税金とか国民に示される価格というのがおのおのまちまちであるということが果たしていいのかどうか、その点について長官、いかがでございますか。
  118. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 先生指摘のように、公的な土地評価制度につきましては、私どもの方の公示価格、それから相続税評価額、それから固定資産税評価額と三つあるわけでございまして、それぞれが数字が異なるということは事実でございます。  私どもの方の公示価格は、先ほど申し上げましたように一般取引の参考にする、指標としていただくという趣旨でございますし、相続税評価額あるいは固定資産税評価額の方は課税の基礎とする、こういうことで目的が異なっておりますけれども、できればこういった公的評価が一本化されることが望ましいということは、私どももそのとおりだと思っております。  そういう方向を目指して私どもも、国土庁、国税庁、自治省で担当者の研究会をつくっておりまして、ここ二、三年ずっと研究を続けております。いろいろ実務上の問題が多々ございます。また課税の面から申しますと、非常に評価額が一挙に変わるということはいろいろの問題点もあるようでございます。しかしながら、私どももそういった実務上の問題点をよく吟味し、将来的には一本化へなるべく進めるように鋭意研究をしているところでございます。  なお、固定資産税につきましても相続税につきましても、その評価がえをする場合には、私どもの行っております公示価格というものが非常に重要な参考になっているというふうに認識をしております。
  119. 大矢卓史

    ○大矢委員 局長仰せられるように、一本化に向けて努力をしていらっしゃる。ですから、相続税でございますとか固定資産税が、それが上がることによって非常に不合理だというなら、税率を下げればいいと思う。その点について長官、国務大臣としての御意見を承りたい。
  120. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 地価の評価その他については、なかなかいろいろの市場取引あるいはそれぞれの各地域における事情等によりまして捕捉するということが難しい問題だと思いますが、今現在、土地局長がお話し申し上げましたように、いろいろ国土庁としても苦労し、工夫をしておるところでございます。適正に、御質問のように的確にとらえられれば非常に幸いだと思いますが、なかなか苦労の要るところで、今後とも努力をさせていただきたいと思っております。
  121. 大矢卓史

    ○大矢委員 今非常に土地が高騰しておるということが言われていますけれども、勤労者が世界一の給料を取っておるのになぜ充実感がないんだという、その一つにやはり住宅を求める土地問題、土地の価格が非常に高いからだと言われておるのであります。そのためにも、どうしても土地というものが安定をしていくことが非常に望ましいのではないか。それが、たまたま東京を中心にいたします異常な高騰を来しておるわけでございます。いろいろと原因が言われておりますけれども国土庁としては、どのようなことでこれだけの暴騰があるとお考えでございますか。
  122. 田村嘉朗

    ○田村政府委員 今地価の高騰ということは、東京都心部及びその周辺であろうと思います。全国的には安定しているわけでございます。  東京都心部の地価の高騰の原因は、やはり何と申しましても東京国際化あるいは情報化という時代の中でいろいろ大きな役割を期待されておる、そういうことを背景として事務所の需要が非常に増大しておる、ところがこれに対する供給がそれほど進まない面もある、こういうことで都心部の商業地の地価が上がっているんだろうと思います。その商業地の地価が、都心部で土地を提供した人がまた周辺の住宅地でかなり高い価格で土地を買っている、買いかえ需要というものがある。また、これらの需要を当てにした不動産業者、これは全部じゃございませんけれども、一部の業者の投機的な取引、いわゆる転がしですね、手当て買い、こういった現象が地価高騰に拍車をかけているというふうに思われますし、さらにまた、もっと大きな背景といたしましては、金融緩和の状況であるということで不動産関連融資が非常に増大している、これが大きな背景としてあるというふうに思っております。  したがいまして、東京とその周辺、それから地方の主要な都市の都心部におきましても、時代の進展に伴いまして新しいニーズに対応したビルの需要というものがありまして、都心部では一部高騰している地域もございますけれども、これは局地的に限られている現象でございます。そういった原因及び現象というふうに私どもは認識しております。
  123. 大矢卓史

    ○大矢委員 都心部の事情は私、余りわかりませんけれども、ビル需要がどうのこうのということは一つ原因ではあると思いますけれども、やはり二番目に指摘をされました金融緩和、すべてが土地に対しての金融ということになっておることにつきまして、国土庁におきましてもそれの対策で金融対策を打ち立てていらっしゃいますけれども、これに対する大蔵省の方のそれを受けての対策をお伺いいたしたいと思います。
  124. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 お答えいたします。  金融機関の融資につきましては、基本的には金融機関の自主的な経営判断の問題であるとは考えておりますが、もちろん金融機関は公共的な性格を有するものでございまして、いやしくも投機的な土地取引を助長するというようなことで社会的な批判を招く、こういうことのないように私どもといたしましては従来から指導をいたしているところでございます。  最近の地価動向にかんがみまして、国土庁等とも十分情報交換等をしながら、最近の地価動向を踏まえまして昨年の七月、さらには本年の四月に、金融機関に対しまして投機的な取引を助長することのないよう指導をしているところでございます。
  125. 大矢卓史

    ○大矢委員 土地に対して金を貸し付ける、これは商売だから仕方ないんだ、基本的に仕方ないんだということでございますけれども、やはりこれだけの高騰があるということは、金融機関がどんどん金利を下げて、そして貸し先を決めます場合に新しい貸し先というのがないわけであります。そうなりますと、必然として土地の取得をいたす、その金を貸すことによってせめてもの銀行が安い金利で貸し出せる先を見出すということ、これは、全般的には今の金融制度が土地でなければ金を貸さない、いろいろなものに金を貸しておると言うかもわかりませんけれども、すべて担保といいますと土地なんだということで、基本的な金融政策に問題があろうと私は思います。  非常に難しい問題ではございますけれども、金が余ってくる、一部では株を買って操作をして、その利ざやでもって金利を稼ぐということ、これは非常にリスクを伴いますので危険だと言われております。先日、大蔵省の方で注意を勧告したようでありますけれども、それは危険でありますけれども土地の方はどんなに高い土地を買いましてもいつかは元が戻ってくるだろうということで、土地を買うと言うと金融機関は今でもすぐにでも金を出す。しかし、ほかのことで金を貸してくれと言いましたら、なかなか金を貸さない。銀行には金がだぶついておる、その銀行が、やはり商売ですから金を貸さなければならぬ、そうなってまいりますと、今言うようにまた順送りで、不動産にだけしか金を貸さない、そういうことが繰り返されていくわけであります。  こういうことは非常に難しい問題だと思いますけれども、金融のあり方について、不動産以外に金を貸していけるんだ、その企業の将来性について、またその企業を運営している人について金を貸していくんだ、ハードの面よりソフトの面に金を出すんだという切りかえがなければ、土地問題はこれからもますます、一部理由はつけましても、不動産に金が貸せる、また不動産に金を貸すことが一番安全だということである限りにおいては土地がますます暴騰していくと思うのです。その点についていかがでございますか。
  126. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 お答えいたします。  確かに土地関連の融資につきましては、先生指摘のような大変悩ましい問題が多くございまして、まさに現在は内需拡大という観点から、金融政策もその一環といたしまして確かに緩和基調にございます。内需拡大という国民経済的な要請の観点からは緩和基調に保つ必要がございますが、それが一方では、確かに土地の投機と関連してくるという問題がございます。また、個々の融資をとりましても、確かに土地の価格が上がってまいりますと、その土地関連の融資自体もどうしても多額なものが必要になる、あるいは先生指摘のように、土地が担保となるという観点から担保価値が上がってくるということで大きな額が貸しやすくなる、そんな面もあることがございます。     〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、一方におきまして、内需拡大の観点から、いろいろ民活でありますとかそういう観点からむしろ望ましいものもある。金融を大きく全体として締めますと、経済全体がまた縮んでしまいますし、個々のよい取引、悪い取引というようなものをうまく仕分けができるかというのは大変難しい。ただ、難しいところではございますが、金融機関には、そういう公共的使命という観点から、投機的な取引を助長することはないようにということは指導しているところでございます。  先生指摘の担保等の問題でございますが、大蔵省としますと、金融機関の健全性、こういう観点から、一つには審査能力あるいは御指摘のようにそういう担保の問題、そういうところを総合的に勘案して適切に対応するよう指導しているところでございますが、確かに御指摘のように土地が極めて高騰した、それをそのまま担保価値と考えて融資をするということでは、場合によりましては健全性の観点からもいかがかというのはごもっともな指摘であると考えておりますので、その辺も含めまして、国土庁ともいろいろ相談をしながら金融機関の適切な対応につきまして今後とも指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  127. 大矢卓史

    ○大矢委員 金融機関の指導だけではなくて、これはいかがでしょうか。金融機関が持っております傍系会社、かつてはサラ金に対してそういうところを通じて金を出しておったように、そういう傍系会社を通じて金を出しておるという実態まで踏み込んでいただいて行政指導していただくということはいかがでございましょうか。
  128. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 お答えいたします。  金融といいますのは、ある意味では経済の血液みたいなものでございまして、また、そこへのいろいろな働きかけというのも大変難しい面がございまして、それは私どももサラ金のときでありますとかいろいろなときに経験したわけでございますが、一カ所急にぎゅっと締めますと、どうしてもいろいろ迂回して、まさに関連会社であるとかその他の金融機関とも関連のないようないろいろな機関を使っての融資、あるいは最近は国際化をしておりますので外国からのいろいろな資金の取り入れとか、いろいろな道がございまして、一カ所締めればそれで済むかというと、なかなか難しい問題がございます。また、関連会社と申しましても資本関係等五%ぐらいでございまして、またそれぞれがそれぞれの経営判断によりまして融資判断等をしておりますので、金融機関を指導すればその辺まで指導が徹底するという性質のものではございませんが、その辺は全体の実情等をよく注視をしながら適切な対応をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  129. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が参りましたので、最後に長官、国務大臣として再度お尋ねをいたしたいのですけれども、今申しますように、日本の国の全体の土地を不動産に取りましても、それ以上の土地はないわけであります。土地だけが担保価値だということになりますと、当然これからもずっと土地が値上がりをしていく、限られた土地で限られた人たちがそれを求めようとするときに、担保価値だけでもって土地というものを見られていきますと、今後実際に内需拡大と申しましても金が要るところに金が回らない、もう既に担保は出尽くした、そういう中でこれからの内需拡大をしていく、土地を安定させていくということについて、国務大臣としての今後の決意のほどをお伺いいたして、質問を終わりたいと思います。
  130. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 地価の高騰が不公平感を生み、またいろいろの発展の阻害になるということは非常に重要なことでございまして、政府も一昨日、地価対策関係閣僚会議を設置いたしまして第一回の会合をいたしまして、今後地価の高騰を抑制するためのあらゆる総合的な施策を、それぞれの各省庁とともに対策を協議していくことになったわけであります。  御指摘のような点につきまして、今後地価が安定し、また公平感が失われないように、また国土の均衡ある発展が図られるように、土地の問題に国土庁としても取り組んでまいりたいと考えております。
  131. 堀之内久男

    堀之内委員長 野間友一君。
  132. 野間友一

    ○野間委員 最初に、伊豆大島の火山噴火の対策についてお聞きをしたいと思います。  いよいよ全面帰島というようなことも言われ、都内に分散して避難されておる皆さんは大変期待をしております。しかし、観測体制あるいは避難体制、これは万全を期すことは当然の話であります。  そこで、まずお聞きしたいのは、活動火山対策特別措置法第二条に言う避難施設緊急整備地域に大島町全体を指定して、早期に避難のための道路、港湾等々の整備を強力に進めなければならぬと私は思いますが、国土庁長官にまずその点についてお聞きしたいと思います。
  133. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 ただいまの活動火山対策特別措置法の適用の問題につきましては、先般綿貫長官の第二回目の伊豆大島の現地視察の結果、伊豆大島につきましても桜島と同様に避難体制を整備する必要があるのではないかということで、私ども事務当局はその適用についての検討の指示を受けたところでございます。また、先般八日に東京都知事が、三日から六日にかけて行われた一時帰島が無事終了したことに伴いまして長官を訪ねてこられましたが、その際にも同法の適用についての要望を受けた次第でございます。  これを受けて私ども、九日の政府対策本部の第五回目の会議において、活動火山対策特別措置法の適用について具体的な検討を行うことを決定し、特に具体的にどういう形でどういう地域を、どういう施設を対象としてこの適用を図るかということについては、十分地元の大島町及び東京都の意向、それから関係省庁の意向等も踏まえて検討しなければならないということで、今具体的な内容について詰めているところでございます。
  134. 野間友一

    ○野間委員 もう帰島もやがてという段階ですから、ぜひその点について早急に指定をされるように。これは大臣、いかがですか。
  135. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今防災局長がお答えしたとおりでありまして、私からも検討するように示達してありますが、急がせるようにしたいと思っております。
  136. 野間友一

    ○野間委員 運輸省にお聞きしたいのですが、新聞報道等によりますと、波浮港あるいは各集落ごとの避難港をつくるという計画を持って今検討に入っておる。特に波浮港については大型の船が入らないということで、今回の避難についていろいろな障害があったやに聞いておるのですけれども、この点についての具体的な方針についてお聞きしたいと思います。
  137. 塩田精一

    ○塩田説明員 伊豆大島の港につきましては、元町、岡田、波浮と三港ございます。従来は生活物資の輸送とか観光という観点から港を整備してきたわけでありますけれども、今回の伊豆大島の噴火による一万人を超す人々の避難に当たって港の果たした役割が非常に大きかったということから、避難対策として別の観点から検討が必要ではないかと考えております。  したがいまして、今後、避難のための港湾整備につきましては、大島全体の災害の態様に基づく避難対策と十分整合をとりながら、国土庁あるいは東京都と十分緊密な連絡をとって、その整備のあり方について早急に具体的な計画策定することにしております。
  138. 野間友一

    ○野間委員 国土庁に観測体制についてお聞きします。  今回、緊急整備に十一億円を予備費からかけたようですが、問題は人の体制をどうするかということ、これまた大事な問題だと思うのです。今回の噴火の予知についても、計器の不足はもちろんですが、連携のまずさあるいは体制の弱さがいろいろ指摘をされております。参議院の内閣委員会で我が党の内藤議員の質問に対して防災局長は、人員の点について関係省庁と連絡をとるというふうにお答えされておりますが、もう少し具体的に、どういう方向でということを答えていただきたい。
  139. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 今回定めました緊急観測監視体制の整備の実施につきましては、その中身において、できるだけこの観測監視体制が一元的に機能的にかつ効率的に行われるようシステムを考えるということで、従来にはなくテレメーター等を活用いたしまして、気象庁等にこの情報が一元的に集まるというシステムをとったわけでございます。そういう意味で私どもも、これだけの機器を整備し、観測体制を強化するに当たりましては、特にそういった機能的、効率的な運用というものに鋭意配意したところでございます。  人員の問題等につきましては、これは関係省庁においてそれぞれ具体的な事情があるということで、関係省庁がそれぞれの立場においてその状況を踏まえ、適切な対応をとっていただきたいということを要請いたしております。
  140. 野間友一

    ○野間委員 ぜひ強力に進めてほしいと思います。  気象庁にお伺いします。  観測データについて、既設が十三カ所、新設が五十八カ所、計七十一カ所のデータが火山室にテレメーターされる、そうして常時監視となるわけですが、また今回と同じような全島挙げての避難ということも起こりかねないわけであります。火山室というのは今十名の体制のように聞いておりますが、職員の増強、体制強化も急務だし、必至だと思います。少なくとも倍増をするべきだというようなことも私は聞いております。ただ、そのことと、ほかの地震とか天気予報等のそういう体制にひずみを来さない、これもまた大事だと思いますけれども、この火山室の人員増加はぜひする必要があると思います。いかがですか。
  141. 河村あたる

    ○河村説明員 先生お尋ねの火山室の陣容でございますが、来年の一月一日から人員が十一名にふえることになっております。  それから、今回の観測体制の整備においては、極力自動化あるいは省力化を図ることにいたしておりますほか、火山活動の常時監視体制は万全を期さなければならないと考えておりますが、必要に応じ応援態勢をとる等の措置によって対応をとっていきたいと考えておる次第でございます。
  142. 野間友一

    ○野間委員 ほかの体制にひずみを来すようなことがあれば何にもなりませんから、そういうことのないように人員増加は我々もバックアップしてやりたいと思いますけれども、大蔵に対してぜひ強力に要請していただきたい。我々もやりたいと思います。  それから、予知連の関係について聞きたいと思います。  これは聞いてびっくりしたのですけれども、予知連の運営費は年間四十四万一千円なんですね。本当に手弁当なんですよ。よく皆さん我慢して頑張ってこられたと思うのです。これは非常に大事な組織であります。これは実際それだけですか。これはボランティアじゃないかと思うのです、体制というか予算が。これは三原山の今回の噴火を一つの教訓にして、抜本的な予知連の強化ということもぜひ必要だと思いますけれども、いかがですか。
  143. 河村あたる

    ○河村説明員 予知連の経費の点でございますが、今回の予備費において、火山噴火予知連絡会の経費については、同連絡会の分析、判定業務を迅速かつ的確に行えるようにするためのデータ処理及び伊豆大島現地におきます調査のための経費を含めて、その運営に要する経費として約一千五百万円が計上されており、相当充実したものになると考えております。
  144. 野間友一

    ○野間委員 事が起こればそのときにさあ、その程度ではだめなんです。運営費が四十四万一千円というのは間違いないでしょう。だから、普段から体制の強化が必要だ、何か事が起こってからさあということでは間に合わぬと私は思うのです。その点なんです。
  145. 河村あたる

    ○河村説明員 運営費四十四万一千円といいますのは、六十一年度の噴火予知連絡会経費でございます。それに加えまして、今回非常に大きな経費を予備費の方から御配慮いただいて、万全を期してやっていくことにしたい、そういうふうに考えております。
  146. 野間友一

    ○野間委員 遠慮ばかりされておるけれども、もっと堂々と要求しなさいよ。皆さん困っておられます。そんな遠慮しておったら大蔵省になめられますよ。時間の関係がありますから、これはまたやりたいと思います。  半島振興の問題についてお伺いしたいと思います。  半島振興法が昨年の六月に施行されました。この法は依然として日本列島改造型のスタンスになっておりますし、第一に国の財政責任が非常に不明確だ、あるいは手続が住民の意思をくみ上げるという保証がない、そういう点を踏まえまして我々共産党はこれに賛成しなかったわけで、対案も出したわけでありますが、それはそれとして、具体的に若干聞きたいと思います。  この法が施行されて一年半経過したわけですが、この法に基づいて、一応国税あるいは地方税の上では一定の措置がとられております。六十二年度もさらに加えて措置をとるやに聞いておりますけれども、大蔵に対してどういう要求をやっておるのか。その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  147. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 六十二年度におきましては、まず税制につきましては前年度に引き続いて特別償却制度、これは前年度に設けられたものでございますが、その対象事業の拡充を図ること、それから特別土地保有税を非課税にするという方向で現在要望中であります。また、金融上の措置につきましては、前年度に特利制度が認められたわけでございますが、その貸付条件の改善等を引き続き図ってまいりたいということで、今申し上げました特例制度の拡充強化を関係方面に要求中でございます。
  148. 野間友一

    ○野間委員 特利といったって、六・三から六・二にわずか〇・一下げるだけの要求ですね。それはそれで六十二年度の要求として承っておきたいと思います。  半島そのものは、これは長官も御案内のとおり、とにかく農漁業はさっぱり衰退するわ、地場産業もそうだし、高齢化がうんと進む、地勢的にも三方を海に囲まれて陸からうんと遠いというハンディもありまして、大変な状況なんです。私の地元の紀伊半島、和歌山でも深刻なんです。松下幸之肋さんという人は和歌山県の出身でありまして、この人はあちこちに工場を持っていますけれども、和歌山にはないわけですね。それだけ紀伊半島を初め半島はハンディを持っていると思うのです。ですから、地元としては公共事業をうんとつける、これが半島振興にとって一つの大きなインパクトになるという期待があるわけです。  そこでお聞きしたいのは、一つは、この法律には過疎地とか離島等の補助率のかさ上げというのはないわけです。我々は前から強く要望しましたし、地元の要望も強いわけですけれども、ぜひ補助率のかさ上げを実現していただきたい。今逆に補助率をうんと減らしておるでしょう。いかがですか。
  149. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 半島振興計画については、現在関係県のレベルで市町村とも十分協議を重ねながら、どういう半島振興のための事業を盛り込むかということについて鋭意計画内容を詰めている段階でございます。私どもは、その半島振興計画内容を十分見きわめた上で、どういう財政措置が必要であるかということを検討してまいりたいと考えております。
  150. 野間友一

    ○野間委員 そんなもの見きわめんかて、かさ上げはありませんから、自治体が相当負担しなければならない。当たり前の話なんですね。だから、半島振興の所管は国土庁ですから、補助率のかさ上げ、これは特に僕は与党にもお願いしたいのですけれども、ぜひそういう新しい制度を設けるべきだ。国土庁もそういう考えに立っておるのじゃないですか。
  151. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 半島振興計画については、事業主体が地域により極めて多様でございます。事業主体が国である場合、公団である場合あるいは県である場合、市町村である場合、さまざまなものが予想されるわけでございます。国庫補助事業もあれば単独事業もあります。具体的な半島振興計画内容を見た上で、必要な財政措置については検討せざるを得ないというふうに考えております。
  152. 野間友一

    ○野間委員 それではだめですよ。  もう一つ聞きます。和歌山では近畿自動車道の紀南延長、特に高規格道路の問題、早期にという要求が非常に強いわけです。  国土庁に聞きますけれども、この法律の一つの効果として、こういう強い要請に対して法律が一定のインパクトを与えるものかどうか。
  153. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 半島地域指定後、現在関係道府県知事のところで、それぞれの地域特性に応じて半島振興計画策定中でございます。その後、内閣総理大臣が承認をするという段取りになるわけでございますが、その承認が得られた計画に盛られた事業については、半島地域の振興上必要な戦略事業としての位置づけがなされるわけでございますから、各省においても事業の促進が期待されるというふうに認識しております。
  154. 野間友一

    ○野間委員 建設省、それでよろしいですか。
  155. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今先生からお話がございました近畿自動車道の延伸の問題でございますが、そういう高規格な、これは私ども考え方といたしましては、時間が正確で速く行けるような道路というふうに考えております。そういう道路の整備につきましてはぜひ拡充が必要だということで、現在調査検討を進めているところでございます。延伸の問題につきましても、全国的な調査の中で現在検討を進めているところでございます。
  156. 野間友一

    ○野間委員 私が聞いているのは半島振興法との関係で、半島はいろいろなハンディを持っておる。今国土庁も言われたわけですけれども、順位の選択についてこの法がインパクトを持っておるというふうに我々は理解しておるのです。建設省は採択する場合の優先順位、この法に基づいてそういうところを優先的にやれということになると思うのですが、その点についてのあれです。
  157. 藤川寛之

    ○藤川説明員 いずれにいたしましても、半島振興法に基づく振興計画というのが策定されることになるというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、当然そういう整備計画を踏まえまして関連する道路の整備等については進めていきたいと考えております。
  158. 野間友一

    ○野間委員 どうも質問に答えてないですね。  白浜空港について運輸省に聞きます。  おかげさまで五次の整備計画で入ったわけですけれども、ここについては法との関係ではどのように理解しておりますか。
  159. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えいたします。  今先生指摘のありましたように、今般第五次空港整備五箇年計画、これは六十一年度から六十五年度までの整備計画でございますが、この中で南紀白浜空港のジェット化の整備計画、これを組み入れたところでございます。この計画は、現在の白浜空港、千二百メーターでYS空港でございますけれども、この現空港の近辺に、隣接をしてと言った方が正確かと思いますが、千八百メーターの滑走路を有する空港をつくろうというものでございます。この空港の設置管理者は和歌山県でございまして、第三種空港として整備をしていこうというふうに考えておるわけでございます。  今後の整備の方針と申しましょうか、どのような段取りになろうかということでございますが、運輸省といたしましては、今後の航空需要の動向がどうなるであろうかということ、さらには着工につきましての地元の同意等がどのような状況になっていくのか、あるいは財政事情、こういったものを総合的に勘案しつつ、適切な時期に予算要求してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  160. 野間友一

    ○野間委員 紀南の悲願でもありますから、これは引き続いて要請しますが、しかるべく早期によろしくお願いしたいと思います。  関連して、関西新空港に関する問題についてお聞きしたいと思います。  一つは、これは国際空港で二十四時間空港、初めてのものですね。これは国際空港というから国際線が中心ですが、今最初の計画、第一期ではこれは滑走路はたしか一本だったと思いますが、国内線への併設を一体どうするのか。これは地元でも物すごく大きな関心なり問題意識を持っておるわけですね。これは特に公害とか騒音等々、この関係で新たなアセスメントが必要だというような観点からも言われておりますし、そういう点を踏まえましてお聞きしたいのは、国内線との併用、併設ですね、特に大阪空港、今の豊中空港、これとの関係を今どういうとらえ方をしておるのか、お聞かせいただきたい。
  161. 圓藤壽穂

    圓藤説明員 関西国際空港につきましては、国際線だけではございませんで、国際線、国内線併用空港として計画されているところでございます。  ただ、国内線の取り扱いにつきましては一体どうするかということにつきましては、その前提となります同空港開港後の大阪国際空港のあり方について現在運輸省でも検討しておるところでございまして、その結果を踏まえて詰める必要があると考えておるわけでございます。
  162. 野間友一

    ○野間委員 これは最初は滑走路が一本ですね。これは国内線との関係でどうなりますか。
  163. 圓藤壽穂

    圓藤説明員 確かに第一期計画では滑走路一本として計画してございます。これにつきましては、滑走路一本でも十六万回の処理能力があるというふうに考えておりまして、現在大阪空港の処理能力というのは十三万回でございます。これは、国内、国際合わせて十三万回でございます。したがいまして、仮に大阪国際空港が廃止された、国内線も国際線もすべて関西国際空港に移ったといたしましても、十六万回でございますから十三万回より三万回能力アップになるということで、国内線についても相当程度受け入れられるということになると考えております。もちろん、需要予測の動向を見きわめまして、将来非常に需要がふえるというような段階になりました場合には、これは二期計画といいますか、滑走路をふやすということも踏まえまして、そのほか、大阪空港を暫定的に使用するというようなことも踏まえまして、そういうことを総合的に検討していきたいというふうに考えております。
  164. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、この既存の豊中空港との関係とも絡むのですけれども、一体、関西新空港の果たす国内線への役割について、幹線が中心になるのか、あるいはそうでなくて、例えば四国とか九州とかこういうローカルから旅客、貨物を集めて、そういう集配の機能が中心になるのか、ローカルかあるいは幹線か、何が主体になるのかということでいろいろ言われております。県民の要望としては、私、聞いておる範囲によりますと、そんなもの、国際線と幹線だけならもう意味がない、フランスやアメリカへ飯食いに行くような人は、ごく一部の人を除いてはありませんので。だからそういう点で非常に関心があるのですけれども、今はどういう方向で検討しておるのですか。
  165. 圓藤壽穂

    圓藤説明員 先生指摘の点は、仮に大阪国際空港が存続するということを前提とした場合の議論だと思います。その場合の議論でございますけれども、関西と大阪の両空港に国内線をどう振り分けるのかということは、これは全く白紙でございます。したがいまして今後の検討によるわけでございますけれども、ただ、考え方としまして、大阪国際空港の騒音問題が非常に問題になっておるということはあるわけでございますから、その機材によります騒音の影響の程度がどうであるか、あるいは旅客の利便性といいますか、乗りかえだとか需要の発生地、そういうものを考えた旅客の利便性あるいは路線の性格、そういうものを総合的に勘案して検討すべきであろうと思いますけれども、まだこれは全く今後の検討課題でございまして、現在何か具体的にもう既に検討を始めているというものではございません。
  166. 野間友一

    ○野間委員 本会議が迫っておりますので、その点についてはそれで終わりまして、最後に大臣に、火山噴火対策について一言聞きたいと思うのですけれども、先ほどから申し上げておるように、避難体制とかあるいは観測体制の整備強化、これは本当に急務だと思うのですね。そういう点を十分整備した上で、そして安心して島に戻れるという体制ですね、これは所管が国土庁あるいは長官になりますから、十分に万全を期してほしいということと、それから、帰島の具体的な日程については大体いつごろを国土庁として考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  167. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 観測体制、監視体制の重要性につきましては、東京都を初め皆さんも非常に心配しておられるわけでありますから、国土庁といたしましても全力を挙げてこの体制の整備を今急いでおるところであります。  帰島の日程等については、東京都や大島町とも十分協議をしてその時期を設定していくものだと考えております。
  168. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  169. 堀之内久男

    堀之内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ────◇─────     午後一時十八分開議
  170. 堀之内久男

    堀之内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、建設大臣概要説明会計検査院検査概要説明住宅金融公庫当局の資金計画、事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和五十八年度建設省所管決算概要説明  建設省所管昭和五十八年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済歳入額は、一般会計三百六十六億三千九百万円余、道路整備特別会計二兆二千八十五億三千万円余、治水特別会計の治水勘定九千三百一億一千六百万円余、同特別会計の特定他目的ダム建設工事勘定二千七十四億二千八百万円余、都市開発資金融通特別会計四百七十九億六千七百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分六千円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済歳出額は、一般会計四兆六千三百八十六億六千七百万円余、道路整備特別会計二兆一千九百五十一億四千六百万円余、治水特別会計の治水勘定九千百五十六億四千百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定一千九百四十四億六千三百万円余、都市開発資金融通特別会計四百七十五億七千八百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分五十一億四千三百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第六次治水事業五箇年計画の第二年度として、河川、ダム及び砂防の各事業を実施いたしました。  このうち、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川、中小河川改修事業七百五十八河川について工事を実施し、ダム事業では、直轄四十九ダム、補助百三十六ダムの建設工事を実施いたしました。また、砂防事業では、直轄四百三十九箇所、補助三千七百四十四箇所の工事を実施いたしました。  海岸事業では、第三次海岸事業五箇年計画の第三年度として、直轄十一海岸、補助九百二十六箇所の工事を実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の初年度として、二千四十八地区について補助事業を実施いたしました。  次に、災害復旧事業につきましては、直轄では、五十七年災の復旧事業を完了し、五十八年災について復旧事業を実施いたしました。  補助では、五十六年災について復旧事業を完了し、五十七年災及び五十八年災についてそれぞれ復旧事業を実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第九次道路整備五箇年計画の初年度として、一般道路事業及び有料道路事業を実施いたしました。  このうち、一般道路事業では、一般国道及び地方道の改良二千五百二十六キロメートル、舗装三千二十五キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業、維持修繕事業等を実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業を実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第三次都市公園等整備五箇年計画の第三年度として、国営公園十箇所、都市公園二千六百四十二箇所の施設整備等を実施いたしました。  下水道事業につきましては、第五次下水道整備五箇年計画の第三年度として事業を実施し、管渠(きょ)一千九百三十八キロメートル、終末処理場の施設百八十四万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、公共団体等施行分として四十八地区、組合等施行分として四十一地区の事業を実施いたしました。  都市開発資金の貸付事業につきましては、工場等移転跡地六箇所及び都市施設等用地五十箇所の買取りに対し、資金の貸付けを行いました。  次に住宅対策事業につきましては、第四期住宅建設五箇年計画の第三年度として、公営住宅四万七千四百十八戸、改良住宅四千八十二戸、住宅金融公庫融資住宅五十万二千二百八十八戸、住宅都市整備公団住宅二万一千二百七十二戸のほか、農地所有者等賃貸住宅、特定賃貸住宅等の建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百八十三箇所の工事を実施し、このうち、三百十二箇所を完成いたしました。  以上が、昭和五十八年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算の執行に当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監査等を行い万全を期してまいりましたが、昭和五十八年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことは、誠に遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業の実施の適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和五十八年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明                                    会計検査院  昭和五十八年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十四件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件及び特に掲記を要すると認めた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一一二号は、公営住宅建設補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。  これは、埼玉県が、既往年度に国庫補助金の交付を受けて建設した公営住宅三百四十二戸を建設大臣の承認を得ることなく無断で除却したうえ、新規に確保した用地に公営住宅五百九戸等を建設するとして国庫補助金の交付を受け、前述いたしました無断除却の跡地に建設したものでありまして、公営住宅法関係法令に違背していたという事態であります。  また、検査報告番号一一三号から一二五号までの十三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものでありまして、工事費又は補償費の積算が適切でなかつたり、工事の施工が設計と相違していたり、事業の一部を実施していなかつたりなどしていたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について説明いたします。  これは、住宅新築資金等貸付事業における貸付目的を達していない期限前償還金の取扱いに関するものであります。  地方公共団体では、建設省の補助を受け地域改善対策の一環として住宅新築資金等貸付事業を実施しております。この事業の貸付目的を達していないため返納された期限前償還金につきまして三十市町村における処理状況を調査いたしましたところ、この期限前償還金は、国庫補助金としての目的が未達成なものでありますから、新規所要資金の算定に当たつては、当該年度の貸付計画額からこれを控除し再度貸付資金として運用すべきであるのに、建設省が定めました「住宅新築資金等補助金交付要領」において取扱手続きを明確にしていなかつたことなどのために、これを控除しないまま新規所要資金を算定し国庫補助金の交付を受けておりました。  したがいまして、住宅新築資金等補助金交付要領等において示している新規所要資金の算定方法の取扱手続き等を明確にすべきであると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、建設省では、期限前償還金の取扱手続き等を明確にするとともに、「住宅新築資金等貸付事業における期限前償還に係る貸付金の適正な取扱いについて」の通達を発し、昭和五十九年十一月以降の事業に適用するよう処置を講じたものであります。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  これは、多目的ダム等建設事業に関するものであります。  多目的ダム等の建設事業は、洪水を調節し利水を図ることを目的としており、緊急かつ計画的に推進することが要求されておりますが、他面地元住民の理解を得ることがなかなかに困難な事業でございます。本院ではさきに昭和五十二年度決算検査報告におきまして、大滝、川辺川両ダムの建設事業が、準備工事等のため多額の事業費を支出しておりながら、補償交渉等が難航していることもあつて、事業が著しく長期化し、事業効果の発現が大幅に遅延することが憂慮される事態となつておりましたので、特に掲記を要する事項として掲記したところであります。  今回、五十八年度に建設中のダム等建設事業の進ちよく状況を調査いたしました結果、前回指摘した大滝、川辺川両ダムにつきまして、その後に事業の進展がみられましたが、新たに八ツ場、長島、温井の三ダム及び矢作川河口堰の四事業につきまして、前回の指摘と同様の事態が見受けられました。すなわちこれらの事業では、地元関係者から建設の同意が得られず、用地調査や測量が行えなかつたり、用地買収、補償交渉が難航したりしているなどのため、実施計画調査に着手後十箇年以上を経過し、準備工事や一部家屋の移転等のため多額の事業費を支出しているにもかかわらず、いまだダム等の本体工事着工の見通しも立つていない状況でありまして、このまま推移いたしますと、事業の効果が今後も長期間にわたつて期待できないこととなり、治水目的の達成に支障をきたすこととなるほか、用水の安定的確保を妨げ、原水単価の高騰を招くなど利水効果に大きな影響を及ぼすおそれがあると認められますことから、特に掲記をいたしたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十七年度決算検査報告に掲記しましたように、公営住宅関係国庫補助事業の実施及び経理の適正化及び地方公共団体が実施している住宅新築資金等貸付事業に対する国庫補助金の経理について、それぞれ処置を要求しましたが、これらに対する建設省の処置状況につきましても掲記いたしました。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    昭和五十八年度決算住宅金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                                       会計検査院  昭和五十八年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、公庫貸付けを受けて購入したマンションの第三者賃貸等の防止に関するものであります。  住宅金融公庫では、貸付業務の一環として、民間業者が分譲するマンションを購入する者に対して団地住宅購入資金貸付け及びマンション購入資金貸付けの二種類の貸付けを行っておりますが、これらの貸付けは、いずれも公庫から貸付けを受けなければ住宅の取得ができない者が自ら居住するために住宅を必要として購入する場合に貸し付けることを要件としております。今回これらの貸付けのうち六千七十九件について調査いたしましたところ、自ら居住するための住宅という貸付要件に違反して、購入した住宅を第三者に賃貸したりなどしていて貸付けが不適切と認められる事態が四百五件見受けられました。  したがいまして、審査体制及び管理体制の整備を図つて第三者賃貸等の防止に努める要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、住宅金融公庫では、不適切な四百五件の貸付けについてすべて繰上償還等の措置を講ずるとともに、昭和五十九年十一月までに通ちようを発するなどして、審査体制及び管理体制を整備する処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十七年度決算検査報告に掲記しましたように、土地担保中高層建築物貸付けの対象建物の無断用途変更の防止について処置を要求しましたが、これに対する住宅金融公庫の処置状況につきましても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     …………………………………    昭和五十八年度住宅金融公庫業務概況  住宅金融公庫昭和五十八年度の業務の計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金貸付け三兆二千九百六十七億七百万円、関連公共施設等資金貸付け百億円、宅地造成等資金貸付け一千八百二十一億八千八百万円、財形住宅資金貸付け一千億円、合計三兆五千八百八十八億九千五百万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を住宅等資金貸付け三兆二千四百八十二億七千九百万円、関連公共施設等資金貸付け三十六億七千二百万円、宅地造成等資金貸付け一千六百四十八億三千三百万円、財形住宅資金貸付け二百三十三億一千三百万円、合計三兆四千四百億九千七百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約の実績は、住宅等資金貸付け三兆二千四百八十二億三千七十七万円余、関連公共施設等資金貸付け三十六億七千百四十万円、宅地造成等資金貸付け一千六百四十八億三千三百万円、財形住宅資金貸付け二百三十三億一千二百九十万円、合計三兆四千四百億四千八百七万円余となったのでございます。  資金の貸付予定額は当初、昭和五十八年度貸付契約に係る分一兆七千二百四十六億七千万円、前年度までの貸付契約に係る分一兆八千三十一億六千五百万円、を合わせた計三兆五千二百七十八億三千五百万円でありましたが、その後、財投追加及び前年度決算による改定等により、合計三兆五千四百七十八億八千七百七十四万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金の借入金三兆六千二百五十二億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金の借入金三百五十億円、財形住宅債券発行による収入三百四億九百五十万円、宅地債券発行による収入三億六千七百三十四万円余、住宅宅地債券発行による収入百十二億六百万円を合せた計三兆七千二十一億八千二百八十四万円余から借入金償還等一千五百四十二億九千五百十万円余を控除した額をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金の貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金貸付け三兆三千百六十二億三百五十八万円余、関連公共施設等資金貸付け三十六億六千九百四十万円、宅地造成等資金貸付け一千七百億一千八百四十二万円、財形住宅資金貸付け百八十三億九千九百九十四万円、合計三兆五千八十二億九千百三十四万円余となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、八百四十四億八千五百二十五万円余、率にいたしまして、二・四パーセント減となっております。  また、年度間に回収いたした額は、九千七百九十九億六千八百九十一万円余でありまして、前年度に比べますと、一千七百五十二億二千二百五万円余、率にいたしまして、二十一・八パーセント増となったのでございます。  この結果、年度末貸付残高は、二十一兆十億七千五百六十七万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、二兆五千三百億四千八百九万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十八年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、百三十二億八千五十八万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、八十三億五千百六十九万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、昭和五十八年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千六百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千三百四十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは、八百六十億八千八百十四万円でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額一兆三千七百八十九億六千九百三万円余に対し、一兆三千六百七十九億五千三百二十六万円余となりました。支出済額は、支出予算額一兆四千七百四十億二千六百八十五万円余に対し、一兆四千二百八十七億二千百六十七万円余となり、収入より支出が、六百七億六千八百四十万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益一兆五千八百五十億八百八十五万円余、総損失一兆五千七百五十億八千九百六十万円余となり、差し引き九十九億一千九百二十四万円余の利益金を生じましたが、これは住宅資金融通事業に係る利益金九十三億二千二百五十四万円余、住宅融資保険特別勘定の利益金五億九千六百七十万円余によるものであります。  このうち、住宅資金融通事業に係る利益金は、全額を同事業に係る繰越損失金九十三億二千二百五十四万円余の補てんに充てることとし、住宅融資保険特別勘定の利益金は、住宅金融公庫法第二十六条の二第三項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとしました。  なお、昭和五十八年度において、住宅金融公庫法附則第八項の規定により特別損失として整理した額は七百七十八億円でございます。  以上をもちまして、昭和五十八年度の業務概況の御説明を終わらせていただきます。     ─────────────    昭和五十九年度建設省所管決算概要説明  建設省所管昭和五十九年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済歳入額は、一般会計百八十三億一千万円余、道路整備特別会計二兆二千二百二十八億四千六百万円余、治水特別会計の治水勘定九千二百五億六千八百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定二千六十三億三千六百万円余、都市開発資金融通特別会計四百七十四億六千五百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済歳出額は、一般会計四兆五千五百三十六億九千六百万円余、道路整備特別会計二兆二千百二十四億九千百万円余、治水特別会計の治水勘定九千七十八億三百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定一千九百七十四億六千九百万円余、都市開発資金融通特別会計四百七十四億二千九百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分八十六億九千百万円余、となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第六次治水事業五箇年計画の第三年度として、河川、ダム及び砂防の各事業を実施いたしました。  このうち、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川、中小河川改修事業七百五十九河川について工事を実施し、ダム事業では、直轄五十ダム、補助百三十七ダムの建設工事を実施いたしました。また、砂防事業では、直轄四百四十二箇所、補助三千七百四十四箇所の工事を実施いたしました。  海岸事業では、第三次海岸事業五箇年計画の第四年度として、直轄十一海岸、補助九百七箇所の工事を実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の第二年度として、二千百三十六地区について補助事業を実施いたしました。  次に、災害復旧事業につきましては、直轄では、五十八年災の復旧事業を完了し、五十九年災について復旧事業を実施いたしました。  補助では、五十七年災について復旧事業を完了し、五十八年災及び五十九年災についてそれぞれ復旧事業を実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第九次道路整備五箇年計画の第二年度として、一般道路事業及び有料道路事業を実施いたしました。  このうち、一般道路事業では、一般国道及び地方道の改良二千四百十一キロメートル、舗装二千八百七十七キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業、維持修繕事業等を実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業を実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第三次都市公園等整備五箇年計画の第四年度として、国営公園十二箇所、都市公園二千五百九十七箇所の施設整備等を実施いたしました。  下水道事業につきましては、第五次下水道整備五箇年計画の第四年度として事業を実施し、管渠(きょ)一千九百三十三キロメートル、終末処理場の施設百四十一万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、公共団体等施行分として五十五地区、組合等施行分として五十一地区の事業を実施いたしました。  都市開発資金の貸付事業につきましては、工場等移転跡地五箇所及び都市施設等用地四十七箇所の買取りに対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第四期住宅建設五箇年計画の第四年度として、公営住宅四万三千四百七戸、改良住宅三千八百八十戸、住宅金融公庫融資住宅四十八万八千七百三十四戸、住宅都市整備公団住宅二万百七十七戸のほか、農地所有者等賃貸住宅、特定賃貸住宅等の建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百六十箇所の工事を実施し、このうち、二百八十箇所を完成いたしました。  以上が、昭和五十九年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算の執行に当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、昭和五十九年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことは、誠に遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業の実施の適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………   昭和五十九年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明                                   会計検査院  昭和五十九年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項十件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び特に掲記を要すると認めた事項一件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について説明いたします。  検査報告番号一〇八号は、空気調和設備工事の施行に当たり、機器材料費を重複して積算したため、契約額が割高になつたものであります。  これは、通商産業省総合庁舎の第三期第四回空気調和設備工事として自動制御設備等を設置する工事の施行に当たり、建設本省において予定価格を積算する際に、自動制御機器等を取り付ける計装工事の費用に、別途積算していた機器材料費を重複して積算したため工事費が過大となり、積算過小となつている工事費を考慮しても、契約額が約七千七百万円割高になつていたというものであります。  また、検査報告番号一〇九号から一一七号までの九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものでありまして、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかつたり、工事の施工が設計と相違していたりしていたものであります。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について説明いたします。  これは、公営住宅の管理に関するものであります。  公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することを目的として建設されていることから、公営住宅法において、収入超過者は公営住宅を明け渡すように努めなければならないこと、事業主体である都道府県及び市町村村の長は高額所得者に対して公営住宅の明渡しを請求することができることなどが規定されておりますが、住宅の明渡しについて事業主体で積極的な対応策を執つていないことなどのため、収入超過者や高額所得者が多数入居したままとなつている事態がございまして、公営住宅の制度の趣旨に沿わない事態と認められました。  したがいまして、建設省におきまして、公営住宅の管理運営に制度の趣旨が十分実現されるよう周知徹底するとともに、各事業主体に対しても指導監督を強化し、制度の適切な運営を図るよう意見を表示したものであります。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  これは、都市施設等の整備事業の実施に関するものであります。  都道府県及び市町村等では、建設省の補助を受けて、都市計画区域における都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、都市施設等の整備事業、すなわち、街路、下水道のうち都市下水路及び土地区画整理の各事業を施行しておりますが、これらの事業のうちには、地元住民等が環境問題を理由として事業に反対していたり、取得を要する用地に関して買収価額等について地権者等の同意が得られなかつたりなどしているため、事業が休止していて再開の見通しが立つていないものや、数次にわたり延伸を重ねた現在の事業施行期間内においても、なお完了する見通しが立つていないものが見受けられました。このような事態がこのまま推移しますと、事業が長期化することにより、物価上昇等により事業費が増こうするばかりでなく、投下した多額の事業費がその所期の効果を発現しない状態が継続することとなり、事業の意図する交通需要への対応、雨水による市街地の浸水防止及び土地利用の促進が阻害されて、都市の健全な発展と秩序ある整備が達成されないことになると認められますことから、特に掲記したものであります。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    昭和五十九年度決算住宅金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                                       会計検査院  昭和五十九年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和五十九年度住宅金融公庫業務概況  住宅金融公庫昭和五十九年度の業務の計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金貸付け三兆二千二百三十四億九千四百万円、関連公共施設等資金貸付け百億円、宅地造成等資金貸付け一千八百五十一億四千六百万円、財形住宅資金貸付け一千億円、合計三兆五千百八十六億四千万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を住宅等資金貸付け三兆二千二百三十四億九千四百万円、関連公共施設等資金貸付け十八億三千万円、宅地造成等資金貸付け一千三百十九億六千六百万円、財形住宅資金貸付け二百六十八億二千八百万円、合計三兆三千八百四十一億一千八百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約の実績は、住宅等資金貸付け三兆二千二百三十一億二千七百二十五万円、関連公共施設等資金貸付け十八億二千六百八十万円、宅地造成等資金貸付け一千三百十八億三千六百二十万円、財形住宅資金貸付け二百六十七億四千二百三十万円、合計三兆三千八百三十五億三千二百五十五万円となったのでございます。  資金の貸付予定額は当初、昭和五十九年度貸付契約に係る分一兆六千九百九億四千七百万円、前年度までの貸付契約に係る分一兆七千八百三十四億円、を合わせた計三兆四千七百四十三億四千七百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計三兆四千六百二十二億五千五百四十七万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金の借入金三兆四千二百九十六億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金の借入金三百億円、財形住宅債券発行による収入三百四十九億一千百二十五万円、住宅宅地債券発行による収入百九十八億三千六百万円を合せた計三兆五千百四十三億四千七百二十五万円から借入金償還等五百二十億九千百七十七万円余を控除した額をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金の貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金貸付け三兆二千二百六十四億九千二百七十四万円余、関連公共施設等資金貸付け二十五億四千百十万円、宅地造成等資金貸付け一千四百二十二億七千四百六十万円、財形住宅資金貸付け二百四十五億四千八十万円、合計三兆三千九百五十八億四千九百二十四万円余となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、一千百二十四億四千二百十万円余、率にいたしまして、三・二パーセント減となっております。  また、年度間に回収いたした額は、一兆二千百九十八億九千六百八十七万円余でありまして、前年度に比べますと、二千三百九十九億二千七百九十六万円余、率にいたしまして、二十四・五パーセント増となったのでございます。  この結果、年度末貸付残高は、二十三兆一千七百九十一億五千二百七十万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、二兆一千七百八十億七千七百二万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十九年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、二百六億二千百七十二万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、百四十三億四千八百七十九万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、昭和五十九年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千六百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千三百四十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは、七百三億一千二百四十万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額一兆五千二百九十七億六千七百十四万円余に対し、一兆五千百十七億四百四十七万円余となりました。支出済額は、支出予算額一兆六千六百十一億五千五百二十二万円余に対し、一兆六千二百七十八億六千六百七十二万円余となり、収入より支出が、一千百六十一億六千二百二十五万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益一兆七千九百八十一億一千六百三十二万円余、総損失一兆七千九百七十四億九千二百八十七万円余となり、差し引き六億二千三百四十五万円余の利益金を生じましたが、これは住宅融資保険特別勘定の利益金によるものであります。  この住宅融資保険特別勘定の利益金は、住宅金融公庫法第二十六条の二第三項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとしました。  なお、昭和五十九年度において、住宅金融公庫法附則第八項の規定により特別損失として整理した額は一千四十五億円でございます。  以上をもちまして、昭和五十九年度の業務概況の御説明を終わらせていただきます。     ─────────────
  172. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷津義男君。
  173. 谷津義男

    ○谷津委員 最初に、会計検査院にお聞きいたしたいと思います。  「特に掲記を要すると認めた事項」の中の多目的ダム等の建設事業の中で八ツ場ダムの件について、質問の時間が非常に短いものですから、これだけに集中して質問をいたしたいと思います。  五十一年に群馬県と当時の長谷川建設大臣との間で、建設省はこのダムにつきましては群馬県がこの再建案をつくって地元との交渉をするから入らないでほしいということの約束のもとに、群馬県が五十五年に生活再建案を地元に提示をいたしまして、そして地元との交渉に入ったわけであります。ところが、五十八年の決算報告書の中で、この八ツ場ダムにつきまして「特に掲記を要すると認めた事項」として指摘をされているわけでありますが、五十八年度は実はこの再建案をめぐりまして地元との折衝に積極的に各部落ごとに、あるいはここには温泉がありまして、千年も続いた温泉があるわけですが、その温泉の移転等の問題、またボーリング等を行いまして湧出するお湯も出まして、そういった面の検討に入っている真っ最中であります。そういうことにつきまして、会計検査院はどのような認識のもとにこれをとらえてこのような報告書になったのか、その辺のところをまずお聞きしたいのであります。
  174. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、私ども五十八年度決算検査報告で、八ツ場ダムを含めまして建設省が直轄で実施しておりますダムにつきまして四ダム、それから水資源関係も含めますと七ダムになるわけでございますが、そのダムの事業の実施状況について特記事項という形で記述させていただいております。  八ツ場ダムに限ってという御質問でございますので、八ツ場ダムについて申し上げますけれども、これらの検査を実施いたします場合には、ただいま申し上げましたように、実施官庁が建設省でございますので、そういういろいろな経緯、遅延しておる事情、こういうものにつきまして建設省から、どういう形で現在事業が進められているかということについていろいろ聴取をいたすわけでございますけれども、ただいま先生指摘のように、八ツ場ダムにつきましては、群馬県当局がかなりの御努力を払われて、独自の再建案を町に提示されて、地区に対する説明会などもいろいろなされておる、そういう実情は建設省を通じまして私ども十分承知していたわけでございます。  ただ、事柄が事柄でございまして、これは申すまでもございませんが、地元の住民の方々は、ダム事業が実施されますと生活基盤が失われるわけでございますので、非常な不安をお持ちでございます。そういう不安が、私ども検査報告を取りまとめる段階で残念ながらまだ解消されておらない。したがいまして、今後の実施に当たりましても、事業の本体工事の着工の見通しがついておらないという段階でございましたので、これを特記事項という形で掲記させていただいたのでございます。  御案内と思いますけれども、私どもが特記事項という形で掲記いたします事項は、諸般のいろいろな事情が絡みまして、必ずしも当事者の方々の責めに帰すことができないような事態、こういったものを取り上げまして、これを広く問題提起をいたしまして、幾らかでも事業の進捗に資するようにいろいろな御議論をいただく、そういうつもりで掲記しているものでございます。したがいまして、諸般の事情をいろいろ考えて、この場合にも特記事項という形で記載するのが一番適当ではなかろうか、そういう考えで記載させていただいた次第でございます。  以上です。
  175. 谷津義男

    ○谷津委員 今の説明、わかるのですけれども、群馬県が生活再建案というのを作成するに当たりましては、日本で初めてのやり方というふうに私どもは聞いております。また、当時私ども会議員として地元に入りまして、いろいろ説明にも当たった一人であります。  そういう中で、五十八年八月に、関東地建の局長からも立入調査をしたいという話もあったわけですが、ちょうど説明会の真っ盛りのときでございましたから、建設省、ちょっと待ってほしい、これをまとめることが先だということで、そういった努力を払いました結果、五十九年度に地元から回答が来たわけであります。それを受けまして、六十年十二月には県議会において基本計画を提案し、この同意を得るとか、あるいはダム指定をしたとか、あるいはまた、六十一年七月には基本計画策定して大臣に提出する、このように非常に急ピッチで事が進んでまいりまして、急速に解決の方向に向かっている一番大事な時期が実は五十八年でございましたものですから、この報告書を見ますと「水没地域への立ち入りさえ容易にできない状況である。」ということがあるわけでありますが、建設省はちょっと待ってほしいということで、群馬県が建設省にかわって説明していただけに、特記事項にしろ、こういうふうに書かれることは非常に残念だという気持ちがあるわけなのです。その辺のところ、会計検査院はどういう認識で当たっておられたのか、ちょっとお聞かせ願いたいのです。
  176. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 先ほども説明申し上げましたとおり、地元の地方公共団体の方々が非常な御苦労を払って事業の推進に努めていらっしゃるということは承知いたしておったわけでございます。ただ、今立ち入り云々というお話がございましたけれども、これは先ほども申し上げましたように、本件のダム事業が建設省の直轄事業という形で実施されておるものですから、私ども、事業主体でございます建設省の立場から見た記述という形で記載させていただいたわけでございます。  私どもがこれを取りまとめましたのは、暦年で申しますと五十九年でございますけれども、現実の問題といたしましても、先生今お話しのように、地元の方々も、生活再建案の確定が優先であるということで、建設省の方々に対しまして、地質調査とか土地の測量その他は差し控えてもらいたい、そういう実情があったものでございますから、こういった実情を先ほど先生指摘のような形で記載をさせていただいたわけでございます。  なお、この問題につきましては、たしか昨年五月の当委員会における建設省当局の御答弁は、昨年五月の段階でもなお立入調査は建設省サイドとしてはできかねる状態であるということであったわけでございまして、私ども、そういう点から申し上げまして、決して事実と異なるような記載をしたという認識は持っておらないわけでございます。
  177. 谷津義男

    ○谷津委員 もう一点お聞きしたいのですが、この記載の中に、実は受益者のことについてはかなり執拗に書いてあるわけですね。例えば「物価上昇などによる事業費の増こうなどから原水単価が高騰するなど、受益者にかかる利水効果に影響を及ぼすおそれがあると認められる。」とか、そういったものが幾つか書かれているわけであります。八ツ場ダムの場合は、特に千年も続いた温泉地がつぶれるわけなんです。移転もしなければならないという状況になりますと、地権者も非常に苦痛であるし、また新しく生活再建をしなければならない、あるいは田畑を移動しなければならない、大変なことがあるわけなんです。確かにここに書いてはありますけれども、余り地権者のことは重要視しないで、受益者のことが力強く書かれている。こういう場合には地権者の立場というものもいま少し見てやってほしい、そういう感じを持つわけですが、この点はどう考えておられますか。
  178. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 先生指摘のように、この種の問題といいますのは、いろいろ関係者がふくそういたしますので、それぞれの立場立場というものを私ども十分考えて記述はいたしておるつもりでございます。  今、地元の関係の記述が余りないではないかという御指摘をいただいたわけでございますけれども、事例のところではございませんけれども、前文のところにおきましてかなり記述はしたつもりでございます。例えば地元の方々には当該事業によります直接の受益がないということ、それから、職業の転換を余儀なくされるような場合が多くて、生活再建に非常な不安感を持つというようなこと、それから、被補償者が多数存在いたしまして、それぞれの利害が相対立するようなこともある、そういった当事者サイドの記述もいたしたつもりでございます。  それから、地方公共団体に関係する記述も、列えば水源地域に対します諸対策については、地方公共団体等の関係団体の協力を得て実施しておる、そういった関係の記述も記載してございまして、私どもとしてはそれなりの配慮はしたつもりでございます。
  179. 谷津義男

    ○谷津委員 それでは、建設省の河川局長にお伺いしたいのですが、今のやりとりをお聞きになっておわかりのことと思いますが、建設省としましては、こういった会計検査院指摘に対しましてどう考えておられるのか、お聞かせいただきたい。
  180. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  検査院からは、用地買収、補償交渉が難航しているなどのため、本体工事に着工の見通しが立っておらず、五十八年度末までに多額の事業費が投じられたにもかかわらず、事業効果の発現が著しく遅延しているというような御指摘があったわけでございますが、建設省といたしましては、会計検査院といろいろのやりとりをいたしておりまして、そのやりとりの中で、先ほど先生が御指摘になられましたダム問題が非常に難しいという点、特に八ツ場ダムにつきましては大規模である、それから川原湯温泉という温泉、しかも河川の峡谷にあるなどの非常に難しい条件を御説明いたしまして、いろいろやりとりをやっているわけでございますが、そういうやりとりを踏まえて会計検査院の御指摘ということでございますので、私たちは、会計検査院の御指摘は我々の事業を少しでも促進するために、そういう趣旨からなされたものというふうに理解をいたしておりました。
  181. 谷津義男

    ○谷津委員 建設大臣にお伺いいたします。  群馬県が今地元と交渉に当たり、再建案をつくっておるところでありますが、実はその再建案の提示が五十五年に行われまして、その再建案に対する回答というのが地元の長野原町、また地権者側から出てきたわけでございます。  その再建案につきましては、実は関東地方建設局長の名前で、五十五年の六月の三十日と六十年の十二月の十二日にわたりまして、この再建案についてはこれに協力をして実施を図るというふうな、実は清水知事あての文書があるわけですが、この件につきまして大臣は、この関東地方建設局長の文書を守っていくつもりがあるのかどうか、お伺いいたします。
  182. 天野光晴

    ○天野国務大臣 ただいまの問題は、地建の局長といえども、本省の直轄ですから、お約束したことはそのとおり実行するつもりであります。
  183. 谷津義男

    ○谷津委員 ありがとうございます。実は、地元におきまして、実際これを守ってくれるのかどうか非常に疑問視する向きもあるやに聞いておりますものですから、ただいまの回答は非常に地元に勇気を与えるものと思います。ありがとうございます。  そして、実は六十年の十二月の十二日付の地建局長の回答、これは「八ツ場ダムに係る生活再建案に関する覚書について」というのですが、これは群馬県と長野原町、そしてまた住民との間に取り交わされた覚書です。その中にこういう項目があるわけであります。「水源地域対策特別措置法等に係る要請については、政府において今後調査検討の上適切に対処していく」というふうに書いてあるわけでありますが、実は水特法の改正というものを含めましてこれは要望しているわけでありますが、大臣はこの点についてどういうふうに対応してくださるのか、その点、ひとつお願いします。
  184. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 私から前にちょっと説明させていただきたいと思いますが、私たちは、先ほども申し上げましたように、ダムの建設につきましては生活再建が優先、第一でございまして、この生活再建をどのように対処していくかということに主眼点を置いております。したがいまして、先生指摘の水特法あるいは水源地域対策基金等々も、この生活再建を適切に十分にするための一つの方策というふうに理解をいたしておりますので、先生指摘の水持法の見直し等のこともございますけれども、生活再建を十分に地元の要望に沿った線でやるということに主眼を置いて、一生懸命取り組んでいきたいというふうに思っております。
  185. 谷津義男

    ○谷津委員 また、この件につきましては受益県等も入るわけですが、こちらの協力ということについても今群馬県から要請をし、また建設省もその件についてはお骨折りをいただいておるところでありますが、この件についてまだ必ずしも的確な回答を得ていないところもあるわけであります。そういう面から申しますと、建設省はそういった面で受益県に対しても積極的に働きかけをしてくれるのかどうか、その辺のところの御回答もひとつお願いいたします。
  186. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 私どもは一年懸命やっているつもりでございますけれども、一部そのようにまだ努力が足りないという点があろうとすれば私たちの不明のところでございますので、一層みずから引き締めまして今後努力をしていきたい、かように思っております。
  187. 谷津義男

    ○谷津委員 時間が参りましたので、一点だけお聞きいたします。  これから建設省は、群馬県がこれで再建案ができ上がりまして、私の考えでは間もなくこの再建案の決着がつくというふうに考えておるわけでありますが、その場合に今度は建設省がそれを引き受けるということになって、先ほどの大臣の御回答があったわけでありますが、そういうふうになってまいりますと、いよいよ現地に建設省も入っていくということになります。その段階で、この再建案の中にいろいろな要望も実は出ているわけであります。しかし、県といたしましても、それはめちゃくちゃな要望は取り上げられることはできませんが、問題は、ダムにかかわるその周辺整備ということも、地域の住民にとってこれはダムに直接関係ないところの整備みたいなものも幾らか入ってくる要素があるのですけれども、その辺のところを踏まえて地域の開発ということについては協力ができるのかどうか、その辺のところはいかがなものでございましょうか。
  188. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 ダムの建設の場合には、個人の生活再建と地域の整備というものが車の両輪でございまして、私たちは今までその両輪のどちらもゆるがせにしないで整備をしてきたところでございます。先生指摘のように、私たちでできる範囲で可能な限り、あるいは各関係省庁に関しますことは各関係省庁に働きをかけ、御理解を得て、一緒になって整備に邁進をしていきたい、かように思っております。
  189. 谷津義男

    ○谷津委員 まだ時間が少しありますので、もう一点お聞きします。  この八ツ場ダムがこういった俎上に上がってきてから、その地域、特に水没地域につきましては、災害等を除きましてはできるだけ予算をかけまいということで、いろいろと苦慮してきておるところであります。それがために、その地域の人たちもかなりの損害といいますか、当然やってもらえるべきところも水没地域だというところでできない面があったわけでありますが、この辺につきましては、まだ解決するまでの間多少の時間があるわけでありますし、また、いよいよ実行に移るまでの間にもそういった時間もまだ相当あろうかと思うのですが、その辺のところを配慮しながら、少し温かい目で見ていただいてその辺の対応も考えていただきたいと思うのですが、局長、どんなふうにお考えでございましょうか。
  190. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 先生指摘のとおり、一生懸命取り組んでまいりたい、かように思っております。
  191. 谷津義男

    ○谷津委員 それでは、時間が参りましたので質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  192. 堀之内久男

  193. 穂積良行

    穂積委員 私は、ふるさと福島の出身の先輩、天野建設大臣、それに廣瀬河川局長質問機会を与えられましたことを、個人的にも大変光栄に存ずる次第でございます。  申すまでもなく、水を治める者は国を治めると言われておりまして、治水については国政の基本であることは言うまでもありません。ところが、我が国の河川の整備の実情を見ますときに、いろいろ問題があるということも事実でございます。そこで、若干の質疑をして、治水政策の前進を期待したいと思います。  まず、河川のはんらんによって日本の国民の生命あるいは財産が脅かされるというような状況が続いておりますが、これを防御するための河川整備につきましては、現在どのような洪水あるいははんらんの規模を前提として行うこととしているか、お答え願います。
  194. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  大河川におきましては、長期的には百年から二百年に一回程度起こる降雨による洪水防御を目標といたしておりますが、当面の目標といたしましては、それよりも低く、戦後最大洪水、すなわちおおむね三十年から四十年に一回程度の洪水を対象に整備を進めております。  中小河川につきましては、同じように、長期的には時間雨量八十ミリ、すなわち五十年から百年に一回起こる程度の降雨でございますが、八十ミリ洪水を対象にして計画を立てておりますが、当面の整備目標といたしましては、時間雨量五十ミリ、すなわち五年から十年に一回程度の洪水を対象として現在整備を進めております。
  195. 穂積良行

    穂積委員 今の御説明にありましたような洪水確率を前提とした河川整備だと、やはりどうも大河川では三十年から四十年に一回くらいはその確率を超える洪水被害に見舞われる、中小河川に至っては五年ないし十年の降雨以上の激しい降雨の場合にはどうもあふれる、こういうようなことが続いているということで、甚だ寒心にたえないわけでございます。  しかし、これは後で御質問しますけれども、治水の予算との関係もあってなかなか計画どおりその整備が進まないというのも実態だということのようですけれども、河川の整備の現況、それから現在の第六次治水事業五箇年計画の進捗状況についてはどのようになっているか、お伺いいたします。
  196. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 昭和六十一年度末におきます整備率は、大河川におきましては五七%、中小河川におきましては二八%が見込まれております。  なお、第六次治水事業五箇年計画の進捗状況は、最終年度であります昭和六十一年度当初予算を加えますと、七八・九%の達成率にとどまっております。  なお、第六次治水事業五箇年計画の実施に当たりましては、人命と財産を守るために、災害対応に計画を大幅に上回る予算を優先配分せざるを得なかったというような事情がございまして、計画的に整備を進めなければならない通常の河川事業は、さらに低い整備率にとどまっているというのが実態でございます。
  197. 穂積良行

    穂積委員 今お答えのありましたような、どうも計画もなかなか達成できないというような治水の計画について、その進捗状況について大臣はどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  198. 天野光晴

    ○天野国務大臣 なかなか予算は、今言ったように五カ年計画を立てても仕上がりが八〇%に満たないというような状態であります。災害に遭えば、災害の復旧はやむを得ないというような格好である程度無理はできるのですが、国の予算の獲得についてはなかなか容易でありません。そういう点で、我々としては今まで最大限の努力をしてきたつもりでありますが、なかなか思うようにはいかないのが実態でありますから、この点は、その繰り返しをここでおざなりに答弁すれば、そういう結果になると思います。今までより以上に努力をするという答弁きりできないわけであります。  これは穂積先生のように若い人たちがひとつ一生懸命勉強してもらって、国の基本である治水事業、治山事業というものに対する予算の獲得には格段の御協力をお願いしたいと思います。私の方から逆にお願いを申し上げておきたいと思います。
  199. 穂積良行

    穂積委員 どうも大臣からお願いをされてしまいまして、これは頑張らなければならないと思うわけですが、建設省としては第六次に続いて第七次の治水事業五箇年計画を定めようとしており、また、その計画のもとでの六十二年度予算確保に努力しておられるということは承知しておりますが、その第七次の計画は、これまでの状況を踏まえてどのようなことを特に配慮した計画策定をされようとしておるのか、お伺いします。  また、特に六十二年度予算の確保については、昨今のシーリングとの関係でどうなっているかもあわせお伺いいたします。
  200. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 第七次の治水事業五箇年計画は、六十二年度を初年度として策定を予定しておりますが、その場合、我々は三つの主要課題を掲げております。第一番目は、まず安全で活力のある国土基盤形成すること。二番目の柱は、経済社会発展に向けての水資源、これは非常に重要でございますので、水資源開発を促進する。それから三番目の柱でございますが、昨今のいわゆる社会の要請が潤いと触れ合いを求めておりますので、これに果たす河川の役割を大きく評価いたしまして、潤いと触れ合いのある水辺環境の形成ということを三つの基本方針として掲げております。  なお、第一番目の柱の「安全で活力ある国土基盤形成」の部門に入るわけでございますが、二十一世紀の初頭までに、当面の目標であります大河川の戦後最大洪水、中小河川につきましては時間雨量五十ミリ対応で河川改修が概成できるように努めていきたいというふうに盛り込んでございます。  それから二番目のお尋ねでございますが、六十二年度の予算編成についてでございますけれども、河川環境、河川をめぐる財政状況は非常に厳しいものがございますので、森林・河川緊急整備税の創設を今各方面に熱烈にお願いをしているところでございますが、この新しい税は、一般会計の財政事情に左右されない安定した財源としたいというようなことで、治水特別会計への直接組み入れということを考えて、いろいろ各方面に運動を展開中でございます。
  201. 穂積良行

    穂積委員 今お話しの森林・河川緊急整備税の創設につきましては、私もその創設のために運動している一人でございます。ただ、これについては利水側の反対もあって容易ならない問題となっている、頑張らなければと思っているわけですが、仮にこの目的税が創設された場合のその税収は、予算シーリングに上乗せして今後予算化するということはいかがなものなんでしょうか。そこは目的税で税収が上がり、それを治水予算に加える、そのかわり従来のシーリングの枠を逆にへこますというようなことはないのか、その辺を確かめておきたいと思うわけでございます。それに、シーリングにプラスしての新税による上乗せ分のみで治水予算というのは本当に満足していいものかどうか、そうした問題が実はあると思うのでございます。その辺について当面の建設省の考え方をお伺いしたいと思います。
  202. 天野光晴

    ○天野国務大臣 日本の国というのは非常に不思議な国で、基本的な公共事業、恐らく世界のどの国へ行っても、道路という公共事業がその国の最大の公共事業だと思っております。ところが、その道路が一般会計で出す予算では足りないというので、過去において一般会計プラスアルファということで、自動車重量税と、その前にガソリン税と二つの税金を取りました。これはあくまでも一般会計に対してのプラスアルファだという、当時大蔵省と我々の折衝がそうであったのでありますが、現況になってみたら、プラスアルファどころか、プラスの根っこが何もないわけですから、丸ごとその二つの税金で扱っている。これほど重要な公共事業を限られた国民の協力によってのみやっているという国、不思議な国だと、私、公共事業に関係して三十年間やっておるのですが、そう思っております。  ですから、今度の場合非常におくれているのは、河川関係は非常に予算が取りにくいと、私、自分が今までやってきてみて考えております。そういう観点から、これは今度は絶対プラスアルファであるという考え方でこの整備税はかけてもらうつもりであります。整備税が出せないというのなら、一般会計でこれだけはどうしても足してもらいたい。農林省と建設省で約一千億ちょっとでありますから、それほど大量のものではありません。そういう意味で、あくまでもこれはプラスアルファだという考え方で進めていきたいと思っております。
  203. 穂積良行

    穂積委員 その考え方は結構だと思うのですが、それでもまだどうも治水予算は十分確保できないんではないか。そうなりますと、これは財政政策の基本にかかわる話ですけれども、建設国債を発行して、それによって公共事業の枠の中で河川対策費というものをふやしていくというようなことも課題になるのではないかと思うわけですけれども、建設国債を発行して、公共事業の各種事業の枠取り比率を変更しても、治水を大事にその予算をふやすということについては、大臣、いかがなものでしょうか。
  204. 天野光晴

    ○天野国務大臣 これは私の職務権限外です。私の方で予算を要求する、大蔵省はこの予算にこたえるだけの財源を確保する。大蔵省のやりくりで建設国債を出すかどうかということは決まることでありまして、私の方で、金がなければ建設国債で出せという主張は、ちょっと立場上言いかねると思いますが、政府がどうしてもやりくりして財源がないというのなら、それは当然赤字国債と違いますから、建設国債は六十年間にわたって返済をする国債でありますから、当然我々の今やろうとしている仕事は五年三年の問題ではなくて、これから子供の代、孫の代まで利用できる基本的な政策を実行するわけでありますから、それは当然建設国債で賄うというのは常識だとは思いますが、これはちょっと私の発言の中ではございませんので、その点、よろしく御承知を願いたいと思います。
  205. 穂積良行

    穂積委員 それでは、その問題はこのくらいにしておきますが、残りの時間で実は阿武隈川水系についての治水の問題を取り上げたかったのでございます。  大臣、過般の八月四日から六日までの豪雨被害、台風十号災害に伴う措置につきましては、大変お骨折りをいただき、天災融資法の発動あるいは激甚災指定などでありがとうございました。  ただ、私は現地に行きまして、見たときに大変驚いたのでございます。あの福島県から宮城県にわたる大河川の阿武隈川の河川改修が正直言って随分おくれている、問題がありというふうに実地で痛感したわけでございます。一つは、建設省の直轄管理区間と県の管理区間について、いわゆる乙字ケ滝あたりで区分されておりますが、こうしたことでいいのかどうかということ、それから、先ほどの一般的な質問で伺いましたけれども、本川と支川、要するに大河川と中小河川との整備の関係などでいろいろ問題があるように見受けたわけでございます。  私が実際に見た箇所の一つは、局長御出身の近くの鏡石町成田地区でございましたが、昭和二十四年ごろに手作業といいますか、もっこで築いた堤防のしんがどうも砂まじりの土を使っていた、そういうところの河川改修がおくれているということで、先ほどの洪水確率で、またいつ洪水、はんらんが起こるかわからぬという状況になっているということは、甚だ憂えるべきものだと思っております。こうしたことにかんがみて、阿武隈川水系の本川、支川、その連係等を含めて早急な河川改修を特にお願いする次第であります。またその場合、治水ダムの建設も場合によっては必要になるかと思いますが、それらについてどのようにお考えか御質問して、時間が参りましたので、私の質問はこれで終わります。
  206. 廣瀬利雄

    ○廣瀬政府委員 先生指摘の阿武隈川の改修状況でございますけれども、全国の河川の改修状況とほぼ同程度でございまして、阿武隈川だけが特におくれているという現状ではございません。ですから、阿武隈川の現状程度、日本全国の河川改修の現状がそのようにあるということを御理解いただきまして、今後とも河川改修財源の獲得にひとつお骨折りを賜りたいと思うわけでございます。  それから、支流あるいは本川関係のことを指摘されましたけれども、私ども、河川改修におきましては、本川、支川の流量のバランスであるとか、あるいは上下流関係、それから重要度、緊急度、そういうものを総合的に勘案いたしまして施行あるいは計画を進めているというところでございますので、今後ともまたよろしく御指導、御鞭撻を賜りたいと思います。
  207. 穂積良行

    穂積委員 終わります。
  208. 堀之内久男

    堀之内委員長 渡部行雄君。
  209. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、きょうは、青森県の港湾及び漁港等の防波堤や離岸堤その他について、今度いろいろと問題になっておるいわゆる不正工事に関連して集中的にお伺いしたいと思います。  そこで、私どもも去る九月の十二日、十三日と実際に調査をいたしまして、そして会計検査院についてもその調査方を依頼してまいったところでございます。この調査の結果はただただ驚くばかりであって、こういう工事が今日まで一体どうして許されてきたんだろうか、そういうふうに感じました。  これは口で言ってもわかりませんから、今その証拠品を委員長のところに持っていきますから。こうしているだけでもパラパラと石が崩れて落ちてくるのですよ。これをひとつよく見ていただきたい。この石は別な会社の和田石材の石で、あとは皆問題の土屋石なんです。パラパラとこうして手で崩れてしまう。そういう実態であります。それが堤防の基礎に打ち込まれたり、そして被覆石として使われていたわけです。  そこで、この事件は、青森県が昭和五十六年度から今日まで約五年間にわたって行われたものでありまして、その件数は百七件、そして使われたお金は約六十億円と言われておるわけです。この公共工事に対して、会計検査院が見て一体どのように判断をされてきたか、その調査の結果、そういうものについてひとつ御報告願いたいと思います。
  210. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  私ども先生指摘の青森県の捨て石の問題につきましては、本年の十月に、関係するところが港湾関係、それから建設省の海岸関係、それと農水省の漁港関係と局が二つ、課が複数にまたがるものでございますので、忙しい時期でございましたけれども、それぞれの関係課から調査官を動員いたしまして、十名ほどの班で検査を実施したところでございます。  検査の結果につきましては、現在、現場で採取いたしました石から供試体を作成し、それの物性的な試験、例えば比重でございますとか含水状況でございますとか、そういった品質上の点、それからこの種の石材が構造物として使われた場合の構造上の問題点につきまして、外部の専門家に検討、鑑定を依頼して詰めておる段階でございます。  以上でございます。
  211. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、直轄工事はその中でどことどこで、どの程度予算上あるのか、それから補助工事はどのくらいあるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  212. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  昭和五十六年度から六十年度までにおきまして、土屋石材、これが先生指摘の石材を供給している土場、採石場でございますけれども、この土場の石が使われました工事、補助の工事といたしまして件数で百十件、工事費で五十八億余円でございます。それから直轄工事といたしましては、件数で二十七件、工事費といたしまして二十一億余円ということになってございます。  それから、内訳と申しましょうか、所管別に区分けして申し上げますと、補助のうち、運輸省関係でございますと件数で三十四件、工事費で十九億余円、補助の建設省関係でございますと件数で二十五件、工事費で七億円、それから農水省関係の補助工事といたしまして件数で五十一件、工事費で三十二億余円ということになってございます。それから、直轄関係でございますけれども、運輸省関係で三件、金額的に六億余円、建設省関係で二十四件、工事費で十四億余円となってございます。  なお、今工事費を申し上げましたけれども、これは捨て石工事のほかに、その工事の中で上部にいろいろなケーソンその他の構築物をつくるものも入って、総体としての工事費でございます。  以上でございます。
  213. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 直轄の中には、水産庁関係はないですか。
  214. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 ございません。
  215. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、これは県が挙げておる件数と、それから県で説明しておる金額も大分違うわけですね。県は百七件というふうに説明し、そして約六十億というふうに議事録等によって説明されておるわけですが、会計検査院は具体的にはどことどこを調査してきたのですか。
  216. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 先ほど申し上げましたように、私ども、十月に十名ほどで、日数的には延べ四日間検査をしたわけでございますけれども、この捨て石の現場と申しますのは、もちろん先生承知のように海中に投入されている現場でございます。したがいまして、そこでいろいろな調査を実施するということになりますと、船団を組んで大がかりな形で石の採取を行わなければならないということになってございます。それから、十月ということになりますと、気候的にも波風がかなり荒くなっている時期でございますので、そういった関係から、今回私ども実際に検査を実施いたしましたのは、全部で九件につきまして検査を実施いたしております。
  217. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、運輸省に聞きますが、運輸省関係で今件数と金額が出ましたが、この中で土屋石は何万トンくらい使ったのか、何万トンまでいかないまでもその量、それから箇所でどのくらいあるのか、お伺いいたします。
  218. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 昭和五十六年度から六十年度までの間に、合計で十二万立方メートルの石が港湾関係の工事に使われておりまして、それは直轄工事の関係では四万立方メートル、補助関係で八万立方メートル、概数でございますが、そのような格好になっております。それから、使用箇所につきましては、青森港など三港、七地区の防波堤なり離岸堤の工事で当該問題の石が使われておる、こういうことでございます。
  219. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この石は、水産庁ではどのくらい使ったか、水産庁の方から今と同じケースで答えてください。
  220. 佐藤稔夫

    佐藤説明員 お答えいたします。  漁港関係におきましては、昭和五十六年度から六十年度までの五年間に、数量にいたしまして約五万七千立方メートルの使用をしております。また、関係いたしております漁港は、漁港の数といたしまして十二漁港でございます。
  221. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは大変な石を使っていますね。そして、五年間にわたってそれほど悪い石が気がつかないでおったというのは、どうしても私、理解できないですよ。これはどうして検査をしたのですか。どういう検査をして、それからどういう契約をしたのですか。これは運輸省と水産庁、お願いします。
  222. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 まず、工事を発注いたします場合に、我々俗に捨て石と申しますが、この捨て石の基準について仕様書で定めておりまして、その仕様書で定めた基準どおりないしはそれに合格する石が果たして現場に運び込まれているかどうかということの確認をする業務を現場監督の一環として行っておるわけでございます。  さて、そういった工事の過程を経まして工事が完了いたしますならば、私たち、直轄工事におきましては竣工検査検査職員がいたしますが、図面なり仕様書その他関係書類をもとにいたしまして、目的物の出来形なり使用資材の品質の確認を行うというやり方をいたしております。今話題の石材について申しますならば、仕様書なり品質の試験の結果表とか工事写真というようなもので確認をいたしました。  それからまた一方、補助事業等につきましては、私たちの成果検査というものを行っておりますが、いわゆる補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、俗に適化法と申しますが、これに基づきます書類審査、そして必要に応じた現地調査というものをやっておるわけでございます。これまた話題の石材につきましては、現地当該県が提出いたしました工事写真とか試験結果表等に基づいてチェックをしておる、こういうことで全体の工事の確認をやっておるところでございます。
  223. 佐藤稔夫

    佐藤説明員 お答えいたします。  漁港関係事業につきましては、事業主体が県あるいは市町村でございます。直轄工事ではございませんので補助事業でやっておりますが、事業の契約が捨て石ということだけではなくて、防波堤工事あるいは護岸工事というようなことで一体として契約がなされます。請け負いました業者が、今度は材料、例えばこの場合ですと土屋石材ですかと契約を結ぶということになります。私どもといたしましては、法律に基づきまして、この県営の事業につきましては、その工事の完成報告を待ちまして工事の内容、出来形等について検査を行っておるわけでございます。  また、市町村工事につきましては、県の方にその検査等の業務、権限が委託されておりますけれども、事業の指導監督をするという立場から、県に対する検査等を行う際に、極力市町村工事につきましても検査等を実施しておるところでございます。
  224. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大変立派な検査等をして瑕疵なくやってきたような御答弁ですが、それじゃ、なぜこういう事件が発生しているのですか。あなた方の検査が確実であり、そしてその完工検査もきちんと行われて、契約どおり、設計どおりになされているという確認がされておるならば、なぜ今になってこのような事件に発展しているのですか。その辺はどういうふうに解釈しますか。今答えた方からお願いします。
  225. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 仕様書の中に幾つかの事項を捨て石について定めております。例えば扁平細長でないとか、風化倒壊のおそれがないとかといったようなこと、ないしは比重なり重量なりを必要に応じて定めておるわけでございます。  まず、直轄事業におきましては、私たち施工に先立ちまして、受注者から見本となる石を提出していただいたり、また試験成績表を提出されたりいたしまして、仕様書の条件を満足するかどうかを確認いたしますとともに、原石山の採掘場とか現地を見まして、そして見本となる石と比較をして確認をするというやり方をいたしておるわけでございます。  県の補助事業におきましても、基本的には同様なやり方をとることを前提としておりますが、補助事業では一部現場の立い会い等に必ずしも十分でなかった、十分とは言いがたいところがあったということは聞いておるところでございます。
  226. 佐藤稔夫

    佐藤説明員 ただいま港湾局の方からお答えがございましたが、漁港関係におきましてもほぼ同様の検査が行われておるわけでございますが、仕様書に基づいて県の監督員なりが地山を検収をしあるいは材料の検収等をいたしまして、仕様書に適切であるかどうかを検査の上使用しているものと思いますが、県からの報告によりますれば、強度上の問題はないという報告を受けておりますけれども、一般論といたしまして、このような問題か起きましたのは大変遺憾に思いますので、今後こういうことのないように注意していきたいと思っております。
  227. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 会計検査院はそれを検査をした結果、補助事業は後からにしますが、直轄事業の中で問題箇所はどのくらいありましたか。
  228. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 先ほども申し上げましたとおり、私ども今現在採取した試料につきましていろいろな面からの検討を継続しておるところでございます。したがいまして、検査の結果につきまして本日この席でお示しするということは、差し控えさせていただきたいと思っております。  ただ、一点だけ申し上げておきたいと思うのですけれども、例えば運輸省の関係でございますけれども、先ほど私は今度の検査で九件に検査の対象を絞り込んだというお話をしたわけでございますが、先ほどのお話の中でなぜ九件に絞り込んだかということの一つに、土屋の石材の中でも、五十六年から生産を開始しているわけでございますけれども、どうも私どもいろいろ調査しました結果、特に五十九、六十というものに何か問題があるような形になっているのじゃないか、そういうふうな形で、先ほどの船団の問題、天候の問題、期間の問題、それにもう一つあわせまして工事の対象を五十九、六十年度のものに絞り込んだわけでございますが、運輸省の直轄関係で申し上げますと、たしか五十九年と六十年度につきましては土屋の石材を使っておらない、そういうふうな状況だと聞いてございます。  以上です。
  229. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 余りそういう子供だましみたいなことを言われると、こっちもちょっと頭に来るのですよ。あなた、現場で検査する人が、これを見て大体比重はどのくらいだという検査方法もやっているわけでしょう。あなた、実際に調査してみて、その石を見て、この石は問題だというのが、これから検査しなければわからぬというばかな話はないでしょう。それは学問的に確実な科学的な証拠として出されるには相当な時間がかかるでしょうが、今までの経験も持っているし、石がいいか悪いかの判断くらいつかないで、会計検査院、務まりますか、そんなことで。問題があったでしょう、実際に。そこはどうなんですか。
  230. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 これは私ども会計検査院の従来からの姿勢でございますけれども、私ども一つの問題につきまして結論を出すのは、検査報告という形で掲記することになるわけでございます。その間の過程におきまして、私どもいろんな面から調査検討をするわけでございますけれども、その間の過程の中にある問題、過程の状況にあるものにつきましては、最終的な判断が下るまでいろいろとコメントするのは差し控えさせていただくという形で、私ども今までお願いをしてまいったところでございます。  私ども、もちろん検査担当者はベテランでございまして、現地へ赴きましていろいろな調査はやってございます。その調査の結果と、ただいま申し上げましたように、また別途の専門的な立場からの調査、これを合わせまして最終的な私どもの判断を下す、そういうふうな形で現在仕事を進めておるわけでございます。したがいまして、甚だ先生申しわけございませんけれども、ただいまこの席で、その最終的な結論が出るまでの過程の中で私どもの今回の調査の結果をお話しするということは御容赦をいただきたい、このように思っております。
  231. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、報告書を今ここで求めているわけじゃないですよ。最終的な報告書を求めているんじゃない。あなたが国費を使って、会計検査院という特殊な権限を持って、そしてこの該当する港や防波堤や離岸堤を調査してきたんだから、その結果このくらい今のところこうだ、詳しい結論は報告書にまつけれども、我々の調査した感じではこういう点が問題があった、ああいう点が問題があったということを、その報告がなければ、何のために国会があるの。ここはあなた、国の最高機関ですよ、国会は。そこであなたの意見を求められているときに、それは報告書ができるまで話できませんでは話にならぬでしょう、それこそ。感じがあるでしょう、感じが、だれだって。例えば道端で人と会っても、あの人は感じがよかったとか、どうも人相が悪かったとか、いろいろ感じがあるでしょう。その感じを言いなさいと言っているのですよ。
  232. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 繰り返しになるわけでございますけれども、公の席で感じという形で物を申し上げるというのは、かえって失礼に当たるんじゃないかなという気もいたすわけでございます。ただ、先生おっしゃいますように、土屋の土場の石の中でも非常に品質のいいものと、それからそれに比べて品質の劣るもの、こういったいろいろな段階の石があるんじゃなかろうか、こういうふうな感触は持ってございます。それの内容につきましては、繰り返しになりますけれども、現在いろいろな角度から検討をしておるところでございます。
  233. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、その土屋の土場にいい石というのは、何%くらい含まれておると推定されますか。
  234. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 これも年によって違うようでございますけれども、現地に赴きました調査官の話を今聞いたわけでございますが、最初、初年度のころは大体七割程度、それから後年度の場合には三割程度、そういった程度のものが良質な石ではなかったろうか、そういうふうな感触を持って帰ってきたようでございます。
  235. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは全くもう笑わざるを得ないですね。これは普通の風化と違うのですよ、ここの山の風化は。普通のように自然に外側から風化してきた石と、これは温泉化現象といって、化学現象によって岩の割れ目にどんどん鉄分が入って、それがさびて、そして今度そこから質的な変化を起こしている山なんですよ。そこで最初は七割くらいいい石があって、今は三割に減ったという、どこでそういうことを言われるのですか。  その石、見てくださいよ。石なんというのは十年、二十年で変わるものじゃないですよ。学者の話によると、何千万年だそうですよ。何千万年経ないと、ぼろぼろになるように石の質が変わるということはあり得ないと言っている。ところが、青森の土木部長は、詰めるときには差し支えなかったけれども、その五年間のうちに風化したのでしょうという全くお話にならない答弁をしているのですよ。今あなたの言うことも同じだ。  それでは、今度運輸省とその関係省の方に聞くけれども、試験に出された標本の石と、それから今度この土屋土場の石とが不当に一致しているのかどうか、この見本の石は土屋の土場の石であることに間違いないという確認はどうしてされましたか、その確認しましたか。
  236. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 先ほどもちょっと監督なり検収の方法で申し上げたところでございますが、試験に合格したものないしは仕様書の条件に満足しておりますものの石を見本として現場搬入場所に置きまして、そして石山から運ばれてくる石を外観、つまり肉眼で見るという形でその大きさなり性状なりを確認する、そういう方法をとっておるわけでございます。
  237. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 いや、私の言っているのは、その土屋石であったのかどうかと、見本に出されたのは。  ここに土屋石材骨材試験成績表というものがちゃんと出されているのですよ。これによると、昭和五十六年五月には、質として、吸水率が〇・五八二、それから見かけ比重が二・四八九、圧縮強度が八百七、こういうふうになっているのです。これは土屋石に間違いないのかと私は聞いているのですよ。  それから六十年の四月、これはうんと悪くなってからですね、最近悪くなったというから。この六十年の四月には吸水率が〇・五三一、見かけ比重が二・五八三、そして圧縮強度は今度は千四キログラム、千四ですよ。こういうふうにすばらしい石になっているんですな。これは一体どういうことなんですか。逃げることばかり考えないで、まじめに答えろよ。
  238. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 受注いたしました施工業者が、自分が用意しようとする石山の石を試験場へ持ち込んでくるわけでございまして、そこのところはひとつ信用しなければならぬと思っておりますし、それから私たち、特にそういうサンプリングをいたします場合に、現場で立ち会うなどして当該場所の石であることを確認するような方法を基本的にとっております。  そういうことで御趣旨に合いましょうか。
  239. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 あなた方の考えていることはそういう趣旨なんでしょう。そういう趣旨でやっているはずだということでしょう。やったということじゃないでしょう。これは私は現地に行って見ているのですよ。そして聞いているのですよ。  その見本に出された石がどこの石かわからないのです。しかもそれは、和田石材という立派な石を出す石材会社がまた別にあるのですが、そこの石が出されているという話が専らなんです。また、そこの石と石を比べてみると、さっき委員長に出したいい方の石、あれは和田石材の石なんです。そして、検査のときにはほかの石を検査させて合格させて、埋めるときには泥が固まったみたいな最も悪い石を埋めていったらどうなりますか。この責任はどこにあるのですか。データを皆持っているのだから、やるとなれば私は何時間でもやりますよ。  しかも、和田石材の石というのは、五十六年から六十一年にかけて本当にすべてが平均しているのです。吸水率も見かけ比重も圧縮強度も全部平均しているから、これは同じ土場からとった石に間違いないなということがわかる。ところが、土屋石材の方はどうかというと、圧縮強度だって五百五十八があったと思えば今度は千四があったり、吸水率だって一・二七九があったと思うと〇・五八二とか〇・五三一とか、考えてみただけでも同じ山からこんなに違う石が出ますか。あなた方は最高学府を出ているのだから、ごまかすことよりも、そういうことを見抜く力を養ってくださいよ。こういう状態なんです。  ですから、この土屋石というのは、今度そのほかに成績書を見ると、見かけ比重が二・四七、吸水率が一・六なんです。そして、圧縮強度は何と三百十六ですよ。これは一体どういうことですか。一センチ当たり三百十六キロでぺしゃんと崩れてしまうのです。こういうものが出ていてこれが工事に使われ、しかも五年間にわたってなされてきたということは、私は常識では考えられないと思います。この点についてはどういうふうに考えますか。
  240. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 試験に供せられた石が別の山の石であったというような報告を私は受けておりませんので、先ほど来申し上げておりますようなことになるわけでありますが、いずれにいたしましても、今回こういったことが話題になりまして、現地でいわゆる粗悪石材が使用されたということに関連して現地調査をしていただきました。その結果、幾つかの箇所で粗悪石材が混入しておるということで技術的に問題ありということから、港湾関係では二港、六施設において構造物としての機能を確保するために、県の方で部分的な手直しをしたということでございます。  そういった形を通じて、いずれにいたしましても手直しをしなければならなかったということでございますので、そのこと自身は私たちとしても反省をするところがあり、今後同類のことが起こらないような指導を全国的にもしたい、また私たちも心がけていきたい、かように考えておるところでございます。
  241. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これについては、会計検査院は請負契約書と設計書、そしてそのつくられた構築物とを照らし合わせて検査してきたと思いますが、それには設計違反というような、いわゆる設計図によって検査をしたところ設計図とぴったり合っていないとか、そういうことはわかりませんか。
  242. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 工事の出来形が設計図面と照合しておかしな形になっておる、そういう事実というものは、私ども今回の検査では見出しておりません。
  243. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それは検査で見出していないというのは、検査をしなかったのか、しても大丈夫であった、設計上問題がなかったということなのか、どっちなんですか。
  244. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 そういう面での検査をしたけれども、特におかしな事実はなかったということでございます。
  245. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 どうも私は理解できないんだな。現地から上がってくるいろいろな資料によると、これは青森市大字原別地区、いわゆる青森港の中の問題ですが、これによると標準横断図というのがあるわけです。そしてこういう形で捨て石が土台に積み重ねられて、その上にコンクリートの構築物がつくられる。こういうふうになっているが、この土台の長さでも、これが設計図ほどないというじゃないですか。それから、傾斜の角度も設計図と違うというじゃありませんか。その点についてはどうです。
  246. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 ただいま現地に赴いた担当の調査官からも事情を聞いたわけでございますけれども、そういった事実は発見しなかったと言っております。
  247. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 その事実は発見しなかったはいいけれども、実際にこの長さをはかってみたのですか。そして、角度をはかってみたのですか。
  248. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 実際に寸法を合わせて計測したということではございませんそうでございます。
  249. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 だから、そういうふうに詰めていくともうころころと変わって、今度石垣が一つ一つ崩れてきている。実際にはからないで、海底の中のこの長さなんかわかりっこないですよ。角度だって同じですよ。結局何も緻密な検査はしてこなかったということなんです。
  250. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 私どもが今回実施いたしました検査というものは、使われた石がどういうふうな品質のものであるかということを主眼として検査をいたしたわけでございます。したがいまして、冒頭でも御説明申し上げましたように、非常に手間暇のかかる仕事でございます。一つの工事現場で五立米程度の石をとるというのも、これが非常な長時間を要する。そういうことで、今回の主目的をそういった石の採取と、その採取した石の状況把握ということに置きました関係で、先ほど私は検査をした結果ということを申し上げたのですが、厳密な意味での、例えば尺を当ててどうこうというふうな形の検査はいたしておりません。その点は撤回をさせていただきたいと思います。私ども検査の中心は、あくまで使われておる石材の状況把握ということで実施しておりました関係で、ただいま申し上げましたように、一々その出来形を、尺度、角度を水中に潜っていろいろ計測するというふうな形での検査は実施いたしませんでした。
  251. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは建設省の方が一番専門的かもしれませんが、大体会計検査院というのは、行ったらまず契約書と予算とを突き合わせて、それから今度その工事が設計図どおりにいっているかいないか、そして補助金が出されておれば、その補助金が効率的に使われているかどうか、そして国の直轄ならば、その目的が完全に達成されているかどうか、そういう観点から、今度その素材が悪ければ、これは科学的メスを入れるということで、それを検査に回すなりそういうことをしていないで、私は会計検査院という立場が今度は逆に疑わしくなってきましたね。  会計検査院というのはそういう目で常に、国の工事というものあるいは公共工事というものは国民の血の出るような税金を使ってやる、しかも公共の福祉のためにやる工事なんだから、これだけは厳密に調査しなければならぬし、メスを入れなければならぬ、そういう思想を持たなくてはならぬと思いますよ。まずその点が一つ。  それから、運輸省でも建設省でもいいですが、こういう場合、検査体制は、上の方からはやったものとしてそれは瑕疵なく指示されていたかもしれませんが、実際にこうして現実の問題としてそれが全くそうでないということがわかれば、この問題についてはどう考えたらいいのか。つまり青森県側が言っているのは、これは過失であったと言っているのです。しかし、石をよその方から買ってきて検査に出して、埋めるときは自分の山の悪い石を埋めて五年もそれを続けてきたというのは、これは過失と言えるでしょうか。私は故意にやったとしか思われないのです。この辺は、建設省あたりは見ておってどういうふうに考えますか。そういう事例はたくさんあると思うのですが。
  252. 上條俊一郎

    ○上條説明員 お答えいたします。  ただいまのような事例はないと確信いたしております。
  253. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 委員長まで笑い出してしまったが、それはそうあるべきなんですよね。あるべきだけれども、実際にこうなってしまったんだから、これはやはりそういう立場で検討しなくてはならないと思うのです。  これは過失というのは、善意をもってしてもなおかつ注意が万全でなかった、こういう場合には過失という言葉が使われていいでしょうけれども、全く心は善意じゃないのです、いかにしてもうけるかということなんですから。その請負金額の中で最も安く上げることを考えて泥のような石を使ったのですから、これは過失とは言われませんね。こういう場合どうですか。これは警察庁の方からひとつ御判断をお願いします。
  254. 森広英一

    森広説明員 青森県警察におきましては、今お尋ねの問題につきまして犯罪行為があるかどうかということを現在捜査中であるというふうに聞いております。
  255. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 いや、今私の言った事例についてあなたはどう判断しますかと言うのです。故意か過失か、この問題についてのあなたの判断を私は聞いている。
  256. 森広英一

    森広説明員 ただいまのような問題提起の仕方で、直ちにそれが犯罪になるかならないか、到底お答えはしかねるところでございます。
  257. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは本当に、思った以上にガードがかたいのですな。  そこで、これが過失でないとすれば大変な問題が出てくるわけですね。過失でないと仮定した場合は、いわゆる故意にやったということになるわけです。その際にはどういう犯罪が構成されますか、警察庁。
  258. 森広英一

    森広説明員 犯罪の成否につきましては、事実を確定して判断をいたさなければならないのでございますが、ただいまの程度のお話でどういう犯罪が構成されるかということを、私お答えできないところでございます。
  259. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 しかし、それではあなたはどうして犯人を捕らえていろいろな角度から調べたりするのですか。今は前提があるのですよ。仮に故意にこういうことをした場合にはいろいろな犯罪がありますね、詐欺とかそのほか。どういう犯罪がこの中から適用されるかという法律の勉強を私はしているのですよ。だから、それを教えてくださいと言っているのです。何もあなたの責任追求をしているのじゃないのです。こういう場合はどういう問題ですかと言っている。
  260. 森広英一

    森広説明員 故意にこういうことをした場合という、その「こういうこと」の内容をはっきり伺っておりませんけれども、仮に全くの一般論といたしまして、故意に他人を欺罔して財物を騙取したということが事実であれば、詐欺罪であるということが言えると思いますが、本件に照らしてこれがどうかこうかという具体的な問題について判断を行うことは、適当ではないというふうに考えます。
  261. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 「こういうこと」というのは、先ほど言ったように、いわゆる規格外の不良な石、粗悪石を故意に使って、そして県や国に損害を与えたということです。この場合は、建設省あるいは運輸省では行政的にはどういう処置を考えられるわけですか、これが仮に事実だとすれば。
  262. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、関係する施設を調査いたしまして、そして不適当な石のあるところにつきましては必要な部分的な手直しをするということで、まず対応したところでございます。それ以外のところは、技術的に要請されている構造物の機能に特段の支障もない、こういうことでございますので、それに対して構造上の問題はない、かような判断をいたしておるところでございます。
  263. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 どうもしっくりと落ちないですね、おたくの答弁は。  そこで、実際県では高重組というものについて、元請ですね、指名停止の六カ月の処分にしようという内定をしておるようでございます。今ごろは決定されたかどうか、ちょっとわかりませんが、そのほかにも六社ほど対象の業者がいるわけですよ。ですから、明らかに県ではこれを事実を認めて、そして県知事も陳謝をしておるし、それからこの処分もしているのです。まあこの処分は適切かどうかは別といたしまして、そういう事実があることについて拱手傍観しているわけにはいかないでしょう。それについてはどういうふうに監督官庁として考えておられますか。
  264. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 先生今お話しのように、幾つかの企業について県の方では指名停止ということをしておるようでございます。確かに、補助事業という形の県と受注者であります建設業との関係においてこのような手当てがなされたというふうに考えますが、当面私たちの直轄事業に関係しては特段のことがなかったという理解もいたしておりますので、こういった県の措置を静観させていただくということかと考えております。
  265. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、直轄事業の中で使われた粗悪石についてはどういう処置をされたのか、またこれからしようとしておるのか、そこをお伺いします。
  266. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 直轄事業に関係しては特段問題になる石を発見いたしておりませんので、現状のままで推移いたしております。
  267. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 こういうことを知っておりますか。高重組の下請と孫請の請負契約書の中に、捨て石ならし一立方メートル当たり三千円となっておるそうでございます。ところが、県の積算単価は九千円である、こういうふうに言われておりますが、もしこれが事実だとすれば、大変な中間搾取というか、非常なでたらめな請負の体制というか、そういうことがここからうかがわれると思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  268. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 お話のような事実関係を私たち全く承知いたしておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
  269. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 都合が悪いと皆、承知しないのではね。  そして、この契約書の中に使われておるいろいろなデータがありますね、検査成績表とかいろいろ。これはほとんど捏造されておる、あるいは改ざんと言った方がいいのか、そういうもので今までやられてきたということのようですが、その点はどうです。
  270. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 まことに申しわけございませんが、そのような事実も承知しておらないために、本席でのコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。
  271. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、これは知らないのはどうしようもないので、そういうことについて今後十分調査検討をしていただきたいと思いますが、そのおつもり、ありますか。
  272. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 先ほどもちょっと申し上げたかと存じますが、今回の一部ございました粗悪石材の使用ということについては、確かに不適当なところもあり、そしてその事実を私たちも承知したということもありますために、部分的な手直し、修復をしたということでございます。今後かかることのないように私たち自身も心がけなければならぬと思っておりますし、全国的にもそのような指導を文書をもってしておるところでございます。
  273. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題が発覚してからは、監督官庁としてはどういう指示なり指導を与えたか、その辺についてお伺いいたします。
  274. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 当該石が防波堤なり護岸、離岸堤でしたかなどの機能を阻害するものであるかないか、これはすべて技術的な諸問題でございますために、現地の青森港をも担当しております私たちの港湾建設局が中心になってその技術的な指導に当たり、そして先ほど来申し上げました一部修復等についてもその協議に乗るというふうな形をとって、青森県の今回の問題に対して私たち運輸省の対応を図ってきたところでございます。
  275. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それで、これはここまで議論してくれば、この中の問題点というのはどういうふうに整理されておりますか。これは運輸省とそれから会計検査院としての立場から、今までの問題についてこれからどうしようとしているのか、どう整理しようとしているのか、問題点は何なのか、その辺についてお伺いいたします。
  276. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  この種の問題は、結局、私ども検査に参りました段階では既に工事が済んでおるという形になってございますので、これはまず第一に工事の施工の途中におきます監督検査、こういったものの体制というものをしっかりとっていただかなければいけないんじゃないか。今後この種の事態の発生を防止するには、まず第一に工事途中の監督検査、これの充実を図る必要があるのじゃないかと考えております。  それから、当面の私どもとしての対応でございますけれども、先般来お話し申し上げましたように、私ども今回現地で各種の試料を徴取してございますので、その試料に従いまして種々の面から検討をして、構造物としての種々の安定性その他についての検討を重ねて、詰めて結論を出すように努力をいたしたい、このように考えております。
  277. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 二つの視点から申し上げたいと思います。  第一点目は、材料の性質なりまた構造自身に課せられておる機能なり、そういった技術的な諸問題についての理解を十分しておくことを前提といたしまして、そうしてそれに基づく適切な監督を確立していくことだというふうに思っておりまして、先ほど来申し上げましたような指導もそういう視点からしてまいりたいと思っております。
  278. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題は、一番検討、調査をしなければならないのは、検査をさせた石と実際に使った石が違うということ、これが一つです。  それから、土屋土場の山全体の性格はというと、先ほど一部よい石があったと言われたけれども、これは柱状節理といって柱のような石からずっと成っておって、その山の中央下部のところに若干それがあって、その石が少しかたい。しかし、それは大体二十センチぐらいの幅しかないので、とても捨て石には使えそうもない。そうすると、どこの石を捨てたのだろうか。トン石という一トン前後の石を捨てていくには、そこには十分な石は全然ないのです。その北か南かわかりませんが、裏側のところに若干そういうトン石になりそうな石が一、二ありますが、これは先ほど言ったように、非常に質が悪くて使い物にならないのが大半であります。こういうふうになっていると、大体これは石山として企業が成立しないのです。前にこれを買って企業として利用しようとした業者が、全然許可にならないでこれを手放しているわけですよ。  ですから、こういう問題はもう県は知り尽くすほど知っておったわけです。にもかかわらず、過失というような言葉でこの問題を濁しておるということは許せないのではないか、私はこういうふうに思いますが、その点についてはどういうふうに思いますか。
  279. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 粗悪な石が産出されたり、またそれが搬入されるということを県が事前に知っておりまするならば、そういうことに対しては必ず何らかの適切な措置がとられたであろうというふうに私は考えるものでございます。
  280. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 のれんに腕押しみたいでどうもすっきりしませんが、とにかく、きょうここでこれだけ議論したのですから、その問題点については今後真剣に検討、追及をしていただきたい。  そこで、最後に警察庁にお伺いいたします。  この問題は、とにかく地元に行けば新聞がこういうふうに物すごいのですよ。そしてシリーズにまでなっているのです。それから、NHKではテレビでこの特集までやっているのです。だから、情報が足りないのじゃないのですよ。情報は十分あるのです。足りないのは、その情報に基づいて本当に手を入れようとする意思が足りないのではないか。私はその辺を非常に重要視するわけですが、これらの問題を今までずっとあなたが聞いておって、今後どういうふうにこの問題に取り組むおつもりなのか、はっきりと答えていただきたいと思います。
  281. 森広英一

    森広説明員 青森県警察から捜査に当たっておるという報告を受けておりますから、もしそこに犯罪があるときには、適正に処置をするであろうというふうに考えます。いずれにしましても、犯罪の有無に応じて適正に処置するというふうに考えております。
  282. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題は、一つは、業者のやった行為について犯罪性があるのかどうか、つまり故意にこういうことをやってきたのか、それから二つ目は、県や国がそれを知りながら今日まで五年間も放置していた、その政治上の責任というか行政上の責任はどうか、こういうことが言えると思うのです。  そこで私は、参考のために若干その問題点を読んでみます。  土木部長の県議会における答弁では、これは瑕疵がない、一生懸命基本どおりにやったというような答弁をしているわけですが、しかし一方で、知事及び副知事、土木部長もこの事実を認めて謝っておるわけです。こういう一つの矛盾ですね。  それから、この問題についてそれでは県民はどういうふうに感じておられるのかということでございますが、県民の方では、つまり「粗悪、癒着の問題が非常に、私ども県民の茶の間にまで入って、その言葉が流行語になるようなそういうような状態であります」、これが県民の今の問題に対する一つ状況です。     〔委員長退席、古賀(誠)委員長代理着席〕  そして、いろいろな方から投書がいっぱいありますから、その中の一文を読んでみますと、   本来的には平内石材は小枝社長となっていますが、実質的オーナーは○○○○○○○○であります。 もちろんこれは本人は知っているわけです。  だれでもあの石——石材——あの平内石材の石を強制的に使用させるように、一現場ごとに○○より指示が出ています。もし仮に使用しないことになると、その後の○○の圧力は恐ろしいものがある。あの石で県技術センターの試験が合格品となるはずがありません。あれは石ではなく硬土である。池田土木部長の「一年で風化した」との苦しい言いわけは全くナンセンスである。部長以下全員現在まで、○○、○○、マルマルより強硬な圧力をかけられてあの石の使用を黙認してきた。○○を頂点とするマルマル、○○にくみする○○○○○○で圧力をかければ、知事、副知事、部長、だれでも黙せざるを得ません。この十年間の○○建設の勢力伸長ぶり。高重組の昨今の威勢。○○の弟が高重組の社長であるが、半命令的に工事の談合を強要し、従わざる者は後日入札の指名に参加できないおそれあり、これすべて○○のさしがねである。——中略——本当に世の中が明るくなるように、問題が表面に出て、悪が悪として裁かれるのであれば、私は勇気を持ってすべてをいずれかに告発します。問題が途中で線香花火のようになれば告発した者が将来生き抜いていけないことになる。ばからしいから申し上げません。 これは社会党に対してですが、  貴党のこれからの調査の進展ぶりを新聞で確認し、さらに詳報したい。勇断を持って悪に挑戦してほしい。 こういうふうに書いてあるのです。  時間もそろそろ参りますが、こういう一つの県民感情あるいは業者間感情があることを十分知っておいて、こういう問題に今後は真剣に取り組んでいただきたい。特に警察庁からひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  283. 森広英一

    森広説明員 現地の警察は、今おっしゃるような新聞の記事も含めまして、いろいろな情報を広く収集しておると思います。すべてそういうものも参考にした上で、しかし厳正に証拠をもって事案を裁いていくというふうに思っております。     〔古賀(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
  284. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 いよいよ時間が参りましたので、最後に、この問題は国費や県費などが直轄、補助あるいは負担金などの形で、いわゆる国民の血税が不正に使われ、公共の安全を脅かす危険性すらあるわけでございます。これは非常に重大な不正工事事件と言わなければならないと思います。特にちまたでうわさされるような癒着の構造があるとすれば、ゆゆしい問題であるわけです。よって、私はこの際、決算委員会の責任においてこの真相を究明することが何よりも重要だと感じております。ここで委員長において、次回、青森県知事、もし県知事がどうしても都合が悪ければ副知事、県土木部長参考人として呼んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  285. 堀之内久男

    堀之内委員長 参考人の出頭については、後刻理事会において協議することといたします。  小川新一郎君。
  286. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣にまず一言お尋ねします。  最近の東京都心の土地の値上がり、国鉄の用地買収に伴うところの査定の問題、それから五十キロ圏、三十キロ圏の首都圏の土地の値上がり、銀座の土地が一坪三・三平方メートル当たり一億二千万円で売り出された。新宿の副都心、要するに東京都庁の移転に伴う土地の高騰という問題が不動産業者、地上げ屋の大きな暗躍のもとで今大変社会問題化していることを、大臣は非常な関心を持ってお認めになっていることと私も思います。その理由としていろいろと挙げられておりますが、大臣は、都心のビル用地の床面積の不足を訴えられ、東京駅の再開発その他のプロジェクトという大臣なりの御構想を発表いたしております。  私は、昭和四十二年に本院に初めて当選して以来、建設委員会の理事として、当時、天野委員の御指導を受けながら公明党の土地政策の一環にした思い出を今思っている次第でございまして、当時の天野先輩の、今の大臣土地問題に対する非常な情熱、こういった問題を踏まえた上で、私は土地政策こそ日本のあらゆる政策の基幹をなすものであるという確信を持っておりますので、土地の重要性について一言大臣の御所見を承ります。
  287. 天野光晴

    ○天野国務大臣 小川先生の御質問でございますが、領土の狭い日本において、土地はもう最高の重要性を持つものでございます。特に現在のような非常識な地価の暴騰が続きますと、経済の根本が失われるのではないかという心配もいたしております。そういう点で、この土地対策は緊急にやるべきだということで、ようやくきのうの朝でございますか、内閣の中に土地対策閣僚会議というものができまして、真剣に取り組んでいくことになりました。具体的な問題は数多くありますが、ともかくも捨てておくわけにはいかないということだけを申し上げまして、御了解願いたいと思います。
  288. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 見識のある建設大臣の御所見土地問題に対する高邁な理想、まことに尊敬に価する答弁でございますが、大臣の御所属になっております派閥の大将は中曽根総理であります。この中曽根総理があらゆるところによって地価高騰の最高の原因者であるかのごとき「「中曽根民活」の虚構を衝く」といって、「中央公論」の新年号には、衆議院議員、法務委員会委員長、自民党安倍派、東京一区当選五回の大塚雄司氏の論文が載っております。私はこれを一読いたしまして、まことに大変な論文であるという印象を受けました。大臣ももうお読みになったと思います。  「国有地を競争入礼によってやみくもにバカ高値で払い下げるといった“虫食い開発”は、腐ったリンゴが木から落ちるように、東京を内部から崩壊させてしまう」という訴えであります。それには二つの理由があることを訴えております。一つは、   国有地の払い下げを中心とする土地政策に一貫性がないことが、最大の要因といえるのではないか。そして中曽根首相の「都区部の容積率を緩和する」という不用意な発言が、残念ながら、地価高騰に輪をかけ、地揚げ屋などと称される悪質土地ブローカーの暗躍を許す結果となったのである。 云々とありまして、「これでよいのか国有地処分」と出ておりまして、西戸山のケース、十月末、新宿区の旧公務員宿舎跡に建設された超高層マンション西戸山タワーホウムズの入居に対して、まことに疑惑、不正があるということを述べております。   人々を異常なブームに走らせた「西戸山」は、中曽根首相お声がかりの「中曽根民活」第一号として宣伝された。しかし、ここへくるまでにきわめて不可解な経緯をたどったのである。 云々とあります。中間は飛ばしますが、これは新宿西戸山開発株式会社に国有地を随意契約で払い下げたものであるということが指摘されております。   六十年十一月、大蔵省関東財務局長の諮問機関、国有財産関東地方審議会は、新宿西戸山開発会社への売却を答申、これによって随意契約で払い下げられることになったのである。   国有財産の売却は、入札によるべきと決められており、随意契約で特定民間会社に払い下げることは禁じられている。だが、これを可能にする方法として、この土地利用を都市計画事業として決定し、公共的事業の装いをこらす工夫がなされた。   入札によって売却すれば、確かに土地の値段は上がっていく。購入した業者が都市計画に沿った開発を行なわずに、自由に使われてしまうおそれもある。しかし、「西戸山」の随意契約のケースは、あまりにも不透明な部分が多すぎるといわざるをえない。   とにかく、会社が先にできてしまっているのである。当時、私は大蔵省に「どういう理由で随意契約の対象となるのか」と追及した。担当者の回答はどうにもあいまいで「首相の命令ですので」と口をにごすばかりであった。当時の水平官房副長官にも「こういう先例をつくるのはまずい。あくまでも公募の原則を貫くべきだ」と主張したが、「これが最初で最後ということにする」という弁明が返ってくるだけだった。   異例の随意契約が行なわれた背後に、政治的な圧力があったことは容易に想像がつく。 云々とございます。   「西戸山」の随意契約のケースは、政治と開発業者の癒着の疑いを抱かせ、都市開発に汚点を残した。こうしたやり方は二度とあってはならないと思う と結んでおります。  「「首相の命令ですので」と口をにごすばかり」。総理大臣に多額の政治献金をした不動産業者の入った西戸山開発株式会社、なぜこれに随意契約をさせたかということを、大塚さんはこの論文の中に発表いたしております。そこで「これが最初で最後ということにする」というのが当時の水平官房副長官の言葉だと言っております。まことに不明朗、不愉快、こんなことが一体自民党の当選五回、法務委員会委員長の中央公論に載せた論文であると思うと背筋が寒くなる思いがするのであります。  そこで、私は委員長にお願いしたいことは、このような疑惑が自民党内部、しかも法務委員長の筆から書かれたということは重大視するのでございますので、私の考えていることは、この大塚さんを参考人に呼び、総理大臣出席を求めてこの問題、すなわち西戸山の国有地の払い下げの疑惑について、どういう事の経緯になっているのかということを、当時の責任者である水平官房副長官出席をいただき——失礼しました。そこで私は、この委員会に参考人として呼んでいただけないかということをまずお願いする次第でございますとともに、建設大臣、ただいま私が一部ここで読み上げましたが、大臣はこれをお読みになった御感想等々ございますでしょう。  私は、「これでよいのか国有地処分」という一項。その後にもう一つ出てまいります。これはまた後日聞くといたしまして、「地価はなぜ高騰したか」という原因の中に、不用意に、地方自治体の長が定めるべきことである東京の大都市におけるビルの容積率緩和発言、これは大変な発言だとこの人は感じているということを述べております。  「建設次官に「首相にああいうことをいわせておいてはいけない。」」ということはどういうことかと申しますと、   中曽根首相は五十八年三月、建設省の丸川次官を首相官邸に呼び、各種建築規制の緩和策について報告を求めた。民間活力導入の有効な手段として、検討を指示していたのである。   この席で首相は「山手線の内側では、すべて五階以上の建物を建てられるようにしてはどうか」と、容積率の見直しを進めるよう指示した。   これ以後、首相は一度ならず、三度にわたって、同じ趣旨の発言を繰り返した。容積率を緩和するとともに、高さ十メートルに制限されている第一種住宅適用地域を高さ制限のない第二種住宅適用地域に切り替えよ、というのである。   私は、これはたいへんな発言だと感じた。 ということを今結んだわけであります。  これはどういうことかと申しますと、   第一に、容積率などは地方自治体の権限にあることだ。都知事が同じ発言をしたのならまだわかるが、地方自治体と何ら協議もせずに容積率を緩和するといってみても、カラ手形に終わりかねないのだ。都知事に要請するというのなら手順を踏むことになるが、首相の発言は一方的といわざるをえない。   第二に、首相の発言は、実態を無視したきわめて非現実的な認識に基づくものであるということだ。 このことによって首相の発言は、大塚さんが危惧したとおり、地価高騰に拍車をかけることになってしまった原因であるとこの論文では結んでおります。  地方自治体の権限を総理が無視するような発言を、最高法的責任者が述べることは一体どういうことなのか、私は全く理解に苦しむものであります。この点について、二点お尋ねをいたします。
  289. 天野光晴

    ○天野国務大臣 いろいろ御質問があったようでありますが、小川先生から中央公論の大塚君の論文について質問があると聞いたのは、ここの会場に入ってからでございまして、まだ中央公論見ておりませんから、中央公論の内容についてはここで御批判申し上げるわけにはまいりません。その点、御理解願いたいと思います。  また、総理大臣中曽根がやったと言われても、これも私、答弁のしようがないのですが、これはどうしましょうな。
  290. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 少なくとも私の発言の通知が非常に遅かったことは私も認めますが、それではこうしたらいかがでしょうか。  お互いにこの問題は、中央公論という権威のある本に、大塚さんも政治生命をかけて、自分の主義主張を代議士として、また法務委員長の立場としてお述べになられたということを考えたとき、こういう疑惑がある、西戸山ホウムズにおけるところの国有地の払い下げ随意契約、何で一般競争入札にしなかったという疑惑があるのは、政治的な総理大臣の声がかりだ、総理が言うんだからしようがないんだ、しかも、こういうケースは最初で最後にしたいと言っているということは、まことに我々野党の議員も知らないことであります。  この問題は国会でも追及されている問題でございますが、新しい視点に立って我々はこの問題を明快にしていただきたいと思うものでございます。今ここでどうのこうのと、私は結論を出せと言っているのではございませんので、委員長にお願いしますことは、この委員会に大塚代議士をお呼びいたしまして、その真意なり内容なりについてお尋ねを我々にさせていただきたいし、できるならば、総理もそういう不名誉なことを言われて黙っているわけにいかないでしょうから、公的な場において堂々と釈明なり、また大塚発言に対する、疑惑は、誤解は、真意は、そういった問題についてお述べになるチャンスを求めるのが一番フェアであり公平であると私は思います。いかがでしょうか。
  291. 堀之内久男

    堀之内委員長 ただいまの小川委員の発言でありますが、これは後刻理事会において協議いたしたいと存じますので、さよう御了承いただきたいと存じます。
  292. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで大臣、こういった今の問題を踏まえて、旧司法研修所跡地、六本木林野庁跡地等国有地の売却価格が地価高騰を招くものと批判されてきたところでありますが、国等の財政の健全化と地価高騰の抑制という——随意契約でいくと、あるところで値段が抑えられて契約をいたします。一般競争入札となれば、値段の高いところの競争によって土地が落札されます。ということは、国有地の売却、公有地の売却については、国及び地方公共団体がそれだけの土地の売却益を得ることになります。ところが、これが御存じのとおり、今回の土地狂乱、田中内閣の日本列島改造計画以来の土地高騰として今批判をされておる問題と、国有地の払い下げの一番大きな問題である国鉄の跡地の払い下げ、こういう問題と絡み合って二律背反になると思いますが、大臣、どういうふうにこの土地問題を踏まえていらっしゃいますか。
  293. 天野光晴

    ○天野国務大臣 土地問題には、田中内閣のあの時代から絡んで勉強しているつもりであります。言うなれば、需要供給のバランスをとる以外に措置はないと思っております。そういう観点に立ちまして、土地担当特命大臣、金丸副総理が担当しているわけでありますが、もうその審議に入る予定だったのですが、残念なことに急遽病気で入院し、手術しまして、お正月の半ば過ぎでなければ出てこれないということなものですから、その対策は至急講じたいと思っております。小川先生自身もこのことは十二分御承知済みであろうと思いますが、なかなかそう簡単にはまいりません。  ただ、私は残念に思うのは、国有地を販売することによって土地の暴騰に拍車をかけるということだけは、あくまでも避けたいと思っております。ちょっと今の政府、中曽根内閣の考え方と私、違いますが、国鉄用地だって一円でも高く売りたいというのが運輸大臣考え方でありますが、自由に競争入札でやっても高く入らないような措置を、その前にやはり講ずべきではないかという感じを持っております。いろいろ腹案はありますが、これは担当大臣が退院してからと思いまして、ちょうど一カ月ぐらい私の予定ではおくれたわけでありますが、何らかの措置は講ずるつもりであります。その点、御理解願えればありがたいと思います。
  294. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、国有地や公有地、こういった土地の競争入札があるいは土地の高騰に拍車をかける、また随意契約になると不正が行われるおそれが出てくる、こういう二律背反の土地政策の中で、天野大臣は新たな土地高騰の歯どめ政策というものを今お考えになっているやに私、理解をいたしております。  そこで、住宅地まで既に投機の対象になっている今日、一部住宅地は狂乱状態というほど地価が高騰しておりますが、このような地価の高騰を抑えるための土地の超重課税制度の導入など、緊急に土地の税制の抜本改正を行うべきが一つの手法であると思います。特に転売による地価の高騰を防ぐために、転がしですが、二年以内の短期保有による法人の土地譲渡所得に限って、現行の重課七六%の税率を九四%程度に引き上げる超重課制度を設けるべきではないかという声も挙がっております。また、宅地の供給を促進するため、重課税の対象とならない長期譲渡は、現在保有十年以上でありますが、これを逆に五年以上に短縮する考えはないのか、これが二点目でございます。  三点目は、地価抑制になぜ国土利用計画法を積極的に活用しないのかという点であります。地価上昇の激しい地域に対しては、当該知事が規制地域に指定し、取引価格などを許可制にできる制度が設けられておりますが、いまだかつてこの伝家の宝刀は抜かれたことはございません。  また、国土法では二千平方メートル以上の土地取引について届け出制になっておりますが、東京都は条例で五百平方メートル以上を届け出の対象にしようとしております。条例任せでなく、国家的な立場から国土法の改正もしくは国土法の適用の強化を図るべきではないかというのが私の意見であります。  そこで、東京湾の開発、東京駅の再開発——昭和四十四年、私は天野建設大臣ともども、この開発二法の改正法案のときには、当時保利建設大臣だと思いました、そして現茨城県知事が都市局長だったと記憶しておりますが、そのときの議論の中で、我々はこの地価問題を夜も寝ないでお互いに検討した思い出がございます。私は三度あなたのお部屋に行って御高見を承り、党の政策に用いたという経験もございます一人として、明快なる御答弁をお願いしたいと思いますが、天野建設大臣の御持論は国土法の、都市計画法の改正を今考えているということを聞いておりますが、どこを改正するのか、こういった土地政策の基幹に関する問題についての改正点なのか、この点、お願いいたします。
  295. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 何点かお尋ねございましたが、そのうちの最初の二つでございます超重課の考えはないかという点と長短期の年限の問題、この点についてお答えいたしたいと思います。  もう申すまでもないと思いますが、先ほども大臣が申しましたように、地価の問題というのはやはり需要供給の問題ということがございます。そこで、供給をいかに促進するかという点が一つであります。しかしながら、現在の状況を見ますと非常に投機的なものも見られる、したがって、同時にそういうものをどうやって鎮静化するかという二つがあるわけでございます。  そこで建設省は、国土庁と一緒でございますけれども、協力いたしまして、今度の税制改正の要望の中で、長短期の期間を十年から五年にする、これによって供給を促進する、それと同時に、二年以下につきましては現在の短期よりも非常に重い重課をするという制度を要望しておるところでございます。
  296. 鈴木克之

    ○鈴木説明員 私は、国土庁の方から、土地譲渡益課税の点と、それから国土利用計画法の改正の点についてお答え申し上げます。  まず、土地譲渡益課税の見直しの点でございますが、先ほど建設省の方から御答弁がありましたように、私どもも六十二年度の税制改正要望をいたしておるところでございます。さらに国土庁といたしましては、都心部商業地等の地価高騰の周辺住宅地への波及が見られておるわけでございますが、これにつきましては、居住用財産の買いかえ特例制度がその一因となっていると考えられますことから、この特例に一定の枠を設けることが必要であると考えておりまして、この点につきましても税制改正を要望しておるところでございます。  次に、国土法の改正の問題でございますが、地価高騰の抑制のためには国土利用計画法の土地取引規制の強化が必要であるというふうに認識しております。この観点から、昨年来東京都と具体的な対策につきまして協議を重ねてまいったわけでございますが、緊急的な措置として、先般、御指摘のように東京都条例によりまして小規模な土地取引の届け出制が創設されたところでございます。国土庁といたしましては、このような制度は東京都以外でも必要となる可能性もあるといったようなことなどから、最終的には国土利用計画法の体系の中で位置づけることが望ましいというふうに考えておりまして、今後ともこの点につきましては、関係各方面の意見も徴しつつ、この方向で国土法改正の検討を早急に進めてまいりたいというふうに考えております。
  297. 天野光晴

    ○天野国務大臣 大体答弁をしたのじゃないかと思うのですが、ただ、法律改正の問題については、これから進める内容によって、関係する法律は全部改正しなければいけないと考えております。
  298. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いずれにいたしましても、一国の総理大臣が地価高騰の引き金の担い手になったのでは、これは大変でございます。しかも尊敬する大臣の所属する指導者でございますし、言いたくないけれども、これは公私を、また人情を超えて、自民党の総裁であると同時に総理大臣という一国の最高責任者である立場を貫くためには、こういった疑惑が御党の中から出てきたということが、中曽根内閣の現在の政治姿勢を象徴する一つの姿ではなかろうかと私は思うものであります。  私も政治家の端くれの一人として、この問題については天野建設大臣が一番よく私たちの苦しみを聞いてくれた一人でありませんか。土地はだれのものでもない、国民のものであり、国家のものであり、そして子孫に残す大事な財産だ。当時、あなたが声涙下る思いで、若き建設大臣が、今より健康に恵まれ、意気まさに天をつくのとき、建設委員会であなたの火を噴くような演説を聞いて私は拍手をした一人でございますので、明快なる御答弁をいただくとともに、先ほど申し上げました中央公論の問題につきましては、私情を超えて総理の御出席をいただき、そして大塚さんとも丁々発止私をも含めて議論を展開し、いやしくも疑惑や誤解のないことを明快にしながら、土地政策の遂行に誤りなからぬことをこいねがう一人でございます。大臣の御決意をまず伺います。
  299. 天野光晴

    ○天野国務大臣 中曽根康弘を呼んできて聞けば、一番いいかもしれません。しかし、その前にまず中央公論に掲載した大塚君の論文を十二分検討してみる必要があると思います。私、きょう帰ったら早速買い求めまして、すぐ勉強さしていただきたいと思いますし、その中の問題で今小川先生が取り上げたような諸問題があるとすれば、どう措置するかは十二分考慮の上やりたいと思います。
  300. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 結構でございます。まことに男らしい答弁、誤りのないようにひとつお願いします。  そこで、首都圏整備法に基づいて首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律が制定されておりますが、昭和四十年から埼玉県の川口市の一部千六百六十ヘクタールが制限区域に指定され、工場等の新増設が制限されております。国土庁は首都圏、近畿圏での工場立地の規制を緩和する考えはあるのか、また次期通常国会に工業等制限法の改正案を提出する考えがあるのか。今埼玉県川口の状況をつぶさに御調査の上、川口市の一部千六百六十ヘクタールの制限区域に指定されているところをどうお考えになっているかをお尋ねします。
  301. 熊新六

    ○熊説明員 工場等制限制度につきましては、先生よく御案内のとおり、昭和三十四年に制定されたわけであります。昭和三十年代、四十年代の大都市圏への人口、産業の集中を防止するという観点から制定されたものでございます。その後、昭和五十年代に入りまして、人口、産業の大都市への集中は確かに鈍化の傾向にはあるわけですが、現状ではその集積が全国的観点から見た場合依然として非常に大きいものがございます。そういうようなことから、大都市圏域の工業団体あるいは経済界等からも制限緩和の要望等もいただいておるわけですが、実態を慎重によく調べさせていただいて、それを踏まえて全国的な産業政策等との関連で検討していきたいと考えておるわけでございます。
  302. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 御答弁としてはまことに不的確なものだと私は思います。あなたはこの問題で川口の人に本当に聞いたことがありますか。御調査をするということは、もう五回も六回も私は国会議員のときにあらゆる角度から聞いております。そのたびに調査をする、実態を聞く。今のあなたの立場からいけばそのような御答弁にならざるを得ないことは十分に理解をしますが、余りにも不勉強な御答弁のように思われてならないのであります。でありますので、通り一遍の答弁ではなくして、このような問題がいつから提起され、こういう問題がいつ起きてきて私がこの問題を取り上げているかという歴史的経緯を今述べれば、三十分や四十分では語れないほどの時間を必要とします。だからそれは言いませんが、どうか真剣にお考えいただきたい。もう一回答弁してください。
  303. 熊新六

    ○熊説明員 川口市は、特に鋳物を中心とした鉄工業等でも全国的に有名なところだと存じておるわけでございます。そのような点も踏まえまして、昨年度も地元工業団体等からのヒアリングもさせていただいております。今後も真剣に検討していきたいと思っております。
  304. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣日本の政治は自民党によって動かされ、野党によって批判され、その中から取捨選択、よいものはよい、悪いものは悪い、そうして国民や大衆のためになる政策をとり続けていくことは当然であります。新型間接税とも言い、付加価値税とも言い、大型消費税とも言い、日本型○○税とも言う。我々選挙に出た政治家は、五カ月前には与野党ともに増税反対、「増税なき財政再建」をお互いに叫び続けてきた。ところが、ここへ来て減税と増税の問題が相呼応して、政府税制調査会より自民党の税制調査会によって今なされようとしておる。国民は今大きな疑惑を持っております。  私は、極めて問題の多い新型間接税の導入に断固反対の立場から質問をいたしますが、大臣に御関係のある住宅問題についてお尋ねしますと、新型間接税、例えば日本型付加価値税制で税率五%を課税しますと、標準的な木造一戸建て住宅の場合、一戸当たり約百十五万円の負担増となります。住宅減税七十万円の政策減税が負担軽減とはならず、逆に四十五万円もの大きな負担増になってしまいます。これは明らかに減税ではなくして増税であります。また、住宅は生活の基盤であり、土地と同様に消費財ではないことは、大臣の御見識の中からも明らかであります。消費税である新型間接税の課税対象にすべきではないと思いますが、大臣、どう思いますか。
  305. 天野光晴

    ○天野国務大臣 小川先生の発言、そのとおりです。そうですから、今折衝中でございます。どう決着をつけるかはここ二、三日中に話し合いがつくと思いますが、私も新型間接税を住宅関係に導入するのは反対でありますから、その問題につきましてはこれから十二分に折衝を続けるつもりであります。
  306. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣のお言葉を聞きまして意を強うするのでございますが、我が国の住宅等の不動産にかかわる取引については不動産取得税、登録免許税の二つの流通税が課税されております。この上新型間接税が導入されると、住宅は二重に課税されることになります。EC諸国においては、不動産取引に不動産取得税等の流通税と付加価値税の両方を課税する例はございません。不動産取得税等の流通税を存続して課税する以上、不動産取引に新型間接税を課税すべきでないと思います。また、新型間接税が住宅そのものに課税されないとしても、種々の建築材料に課税されることになれば、百十五万円の六〇%の約七十万円の負担増になり、現在の住宅減税分七十万円は帳消しになってしまいます。住宅の建築材料にも新型間接税を課税すべきでないと思いますが、いかがでしょうか。
  307. 片山正夫

    ○片山政府委員 売上税が住宅にかかりました場合の試算につきましては、先生指摘のとおりであります。したがいまして、その場合には住宅取得の価格を押し上げるということになりまして、当然住宅建設の促進に支障を来してまいります。特に来年度住宅減税を大幅に拡充すべく要求しているときでもございますので、売上税に関しましては、住宅に関して非課税となるように要請をし、努力をしているところであります。
  308. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 もう一点お尋ねいたします。  公益法人の事業及び公益法人の公益事業については当然非課税とすべきでありますし、非課税だと思っております。これは間違いないと思いますが、そのとおりかどうか、お答えいただければ結構です。私が聞きたいことは、この公益法人からの道路、下水道施設等の維持管理等の民間への委託業務についても課税すべきでないと思うかどうかという質問であります。  業種の一例といたしまして、下水道処理施設の維持管理の民間委託業務がございます。この業務は本来地方自治体が直営にて行ってきたものでありますが、行政改革、合理化等の理由から、全国的にその業務の委託が進んでおります。すなわち、民間に委託されているということであります。聞くところによりますと、この委託の内容は、委託料全体の七〇%近くが人件費であります。こういうことが課税の対象となることは、委託事業そのものが成り立っていかなくなると思いますが、この点については十二分の御配慮をしていただきたい。いかがでしょうか。
  309. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 お尋ねの下水道事業に対する売上税の課税の問題でございますが、現在、下水道事業につきまして、ただいまの御質問にもございましたとおり、委託という方向で相当合理化が進んでおります。下水道事業そのものは地方公共団体の固有事務でございますので、しかもその合理化の方向で検討している最中でございますので、売上税の課税については非課税処置をしていただくようにということでお願いしているところでございます。
  310. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 しっかり努力して、あなたの御答弁のとおりになることを期待しておりますので、よろしくお願いいたします。  見沼田んぼの開発問題についてお尋ねいたします。  時間がございませんので、読み上げてまいります。  見沼田んぼは総面積千二百五十七・五ヘクタール、埼玉県、大宮市、浦和市、川口市及び関係者が見沼田んぼの見直し問題について鋭意検討をし、調整を図っているところであります。  昭和四十四年の見沼三原則の補足の中で、都市計画法に基づく区域分けの設定に関連して見沼田んぼの取り扱いについて「全域を調整区域とする。」とありますが、これは将来の土地利用計画によっては、線引きの見直しを行う考えはあるのかどうか。  また、「見沼三原則にいう緑地とは、治水上支障を来たさない永続的な空地をいう。」となっておりますが、「治水上支障を来たさない」とは、「芝川河川改修計画に支障がないこと。」「遊水機能を阻害しないこと。」「河川流出係数を増大させないこと。」これらの「要件を総て満たしていることをいう。」と言っておりますが、見沼田んぼの開発について治水問題との関連は非常に大きな問題になっております。そこで私がお尋ねすることは、特に建設省にお尋ねしたいことは、見沼田んぼについて現在の見沼三原則を確保するのかどうか。開発するとすれば、今後の開発基準及び緑地保全基準について明確にお示しいただきたい。  ただし、御答弁は、埼玉県とよく諮って、埼玉県が検討しておる問題だからその結果を見て我が方は答えを出すなどというばかな、まことに無能な答弁はないと想像しております。そんなことなら、何も私は決算委員会で大臣の前でのど筋突っ張らかして質問することはございません。このことは沢田広社会党議員からも公開質問状になって出ておりますが、まことに無味乾燥な答弁書が返ってきておりますからよく承知をしております。  そこで、見沼田んぼについて、現在の見沼三原則を確保するのかどうか。開発するとすれば、今後の開発基準及び緑地保全基準について明確に示していただきたい。というのは、埼玉県議会で今大激論になり、知事の政策は開発に向かっており、農林水産省が反対をする、関東農政局ではこれまたクレームがつくという中で、建設省は宅地利用とか土地需要とか、先ほど言った土地需要問題等を勘案したこれらの、昭和四十四年という今から一昔前の政策決定が果たして今の時代に合うのかどうか。こういった高度な政策決定の中から明快な、少なくとも国会議員を納得させ得るような御答弁を期待して、私の質問を終わらせていただきます。     〔委員長退席、糸川委員長代理着席〕
  311. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 通称見沼田んぼの線引きの見直しの問題でございます。  私どもとして、この見沼田んぼの最大の問題は治水機能だと考えておる次第でございます。やはり現在の見沼田んぼの治水機能、これを確保することが第一。第二といたしましては、やはり良好な環境があることも事実でございます。環境を保全することがその次。それから、土地開発については、現在相当学校とか住宅も建っております。やはりこの人たちの利便のことも考慮する必要がございます。これが三番目の問題というふうに考えておりまして、具体的には今埼玉県あるいはその関係市と御相談しておる段階でございます。
  312. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 御相談してどうなんですか。
  313. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 関係者の意見が一致しますれば、線引きの見直しも考えられるという現状でございます。
  314. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 知事及び埼玉県は、見沼三原則を撤廃し、開発の方向に進んでいます。それに対していろいろな問題点が出ていることは承知しております。でありますから、その問題を解決するならば、開発の規制については建設省は御賛成していただけますか。
  315. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 十分検討してまいり、現実に最もいい案ができましたら、都市計画法上もそのように扱いたいと考えております。
  316. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大変わかったようなわからないような、ちょっと。中央公論に出ているようなことでございますと、同じような考えを持つのでございますが、いずれにいたしましても前向きの御検討ということで了解をしました。どうかひとつ十二分なる御配慮をいただきたい。大臣、この問題は非常に大きな問題でございますので、大臣から何か一言お励ましのお言葉なり御構想なり決意なり、一言で結構ですから、特に委員長は同じ埼玉県の糸山英太郎大先生ですから、どうかひとつよろしくお願いします。
  317. 天野光晴

    ○天野国務大臣 激励するも何もありません。ただ、小川先生、無理してはだめですから、ひとつもっとお静かにやるようにしていただきます。希望だけを申し上げておきます。
  318. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私がたしなめられたようでございますけれども、私は、この問題は無理とか無理でないとか言っているんじゃないのです。だから、先ほどから申しておりますように、見沼三原則という大事な問題につきましては十二分に配慮をして私も考えておりますから、開発の方向に今県民の総意が向いておりますので、お願いしたい、こう言っているのでございますので、どうか誤解のないように。  大臣、私がこのまま引っ込みますと、何か議事録を見ますと、小川新一郎はむちゃくちゃなことを決算委員会で述べて横車を押して、ごり押しでまことに話のわからない代議士のように選挙民に映っては、私の政治生命にも傷がつきますので、大臣の心温まるお励ましと言っているのですから、どうかひとつよろしくお願いします。
  319. 天野光晴

    ○天野国務大臣 先ほど来答弁しているように、十二分に連絡をとりまして急いで仕上げるようにいたします。今この段階ではやはりそれ以上のことは言えないと思いますので、その点、御理解を願います。
  320. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ありがとうございました。終わります。
  321. 糸山英太郎

    ○糸山委員長代理 大矢卓史君。
  322. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。  まず、五十九年度会計検査院によります通商産業省総合庁舎第三期第四回空調設備工事の指摘につきまして、私はいろいろと説明をお伺いいたしましたところ、ただ単なる単純ミスかなと思っておりました。ところが、この契約そのものは、この報告書によりますと、第一回の工事につきましては二億五千九百四十七万円でございまして、これは指名競争入札、十社が行っておるわけであります。それから以後ずっと随契、随契で第五回までございまして、その合計額が二十一億八千六百一万五千円ということでございますので、第一回の指名競争入札が最終の大体十分の一というような形で行われておる。こういうやり方についてはいかがかと思うのですけれども、その点、お答えを願いたいと思います。
  323. 川上格

    ○川上説明員 お答え申し上げます。  この空気調和設備工事は、昭和五十五年度から昭和六十年度の六年間にわたる大規模な工事でございまして、工事の進捗に伴う仕様書の変更とか他の工事との調整等に適切に対処するため、段階的に発注したものでございます。
  324. 大矢卓史

    ○大矢委員 段階的ということだろうと思いますけれども、当初の指名競争入札の十倍にわたります工事を、段階的といいながら小刻みに出していくというやり方そのものに、私はまず割り切れないものを持っております。そして、この指摘を受けました第四回が最も多い金額で、最終的には十億六千五十万でございますけれども、これもやはり当初の契約の四倍にもなっておるわけであります。  そして、当初はやはり指名競争入札でございますから、そのものにつきましてはいろいろと検討された中での業者の入札であったろうと思いますけれども、この御報告の中の第六項目に書いてございます「業者側の応札価格について」ということでございますけれども、これら随契についてはどのような形で価格が決められるのでございますか。
  325. 川上格

    ○川上説明員 こういった継続工事と申しますか、前年度に発注いたしましてそして工事を行っております、そして次年度にまたさらに同じような工事を行う、これは次年度以降の工事、それから前年度の工事と一体となりまして一つ機能を発揮する、そういった設備工事ということでございます。それで、そういった工事の場合は随契ということをこれまでも行ってまいったわけでございますが、これは私どもの方で予定価格をつくりまして、その予定価格の範囲になるまで応札を繰り返す、その範囲になりまして初めて落札ということになるわけでございます。
  326. 大矢卓史

    ○大矢委員 単純な計算ミスだということでございますけれども、しかし、これが真剣に業者側として計算をいたしていきますと、最終的に七千七百万というような大きな過払いになるようなミス、少なくともオーバーをするような業者側の計算は出なかったのではないか。そうなりますと、第一回が十分の一の競争入札をしながら、そのまま次から次、次から次と、ただ単に業者は決められた金額だけを結構でございますというような形で十倍もの仕事をとっていく、私そういうところに少し割り切れない感じがいたします。しかし、それ以後いろいろと指摘をされ、検討され、また改善をされておるようでございますから、これ以上私は申し上げるつもりはございません。  今後このような単純ミスと言われておりますこと、これはやはりその中に、今私が指摘をいたしましたように、やはり業者も真剣になって計算をいたしますと、当然業者の方自体もこれが見つからなければならぬわけであります。それがただ単に当初の計算だけであと四回はそのまま、それもずるずると当初の十倍もの仕事をさしていただく、そういうようなところ、業者自身にも甘えがあったろうと思いますので、この点、業者にも私は深く反省を求めておきたい。そういうことで、割り切れないこともございますけれども、この点は今後の努力にまっていきたいと思います。  次に、公営住宅の問題でございますけれども、終戦直後から、非常に住宅難の中で、私は大阪市内でございますが、大阪市営、また大阪府営、大阪市の供給公社、大阪府の供給公社、そして住宅公団というように、いろいろと公営住宅が国の政策で、また地方自治体が国からの補助金をもらいながら住宅の緩和のために努力をしてまいられました。  当初、公営住宅にはそれなりの歴然とした考え方がございまして、市営、府営に入っていらっしゃる方が、ある程度収入ができれば供給公社の方の住宅に入り、また住宅を取得していく、そしてまた公団の方に入っていくというような、明らかにわかりますような、家賃、収入でわかり得るような区分がございましたけれども、今建てかえ建てかえをやっていらっしゃいますその中で見ておりますと、公団の古い家賃と市営、府営の新しい家賃とが、逆に公団の方が安い家賃があるのではないか、そのような中でこの区別がなかなかつきにくくなってまいりました。このようなことについてどういう御見解をお持ちでございましょうか。
  327. 片山正夫

    ○片山政府委員 公的賃貸住宅につきましては、各施策別にその施策対象を決めておりまして、公営住宅につきましては低所得階層、それから公社公団賃貸住宅につきましては大都市の中所得階層などを対象にいたしまして、役割分担のもとに供給されているわけであります。そのために、その家賃設定に当たりましては、施策対象層の負担し得る額となりますように、公営住宅につきましては工事費、一種につきましては二分の一、あるいは二種につきましては三分の二という補助を行い、また公団賃貸住宅につきましては、利子補給措置によりまして資金回収コストを低位に置くことなどの措置を講じてきておるところであります。  御指摘の点につきましては、住宅が建設されました後、建設費の上昇など経済情勢の変化が大変起こりまして、そのために各施策住宅ごとの中で新旧の家賃のバランスを欠いてきまして、そのためにそれが今度施策間のバランスにも影響してきているという点で、御指摘のような事態が生じているところであると思っております。したがいまして、各施策住宅におきまして新旧の住宅の相互間の家賃のバランスをとるべく、既に古い住宅等につきましては定期的に家賃の改定を行いましてバランスを保持する、こういう措置を行ってきているところであります。今後ともそういうバランスの保持に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  328. 大矢卓史

    ○大矢委員 何か今お聞きしておりますと、高い方へ高い方へとバランスをとっていくような考えのようでございますけれども、私が申し上げますのは、やはり何と申しましても庶民の住宅は確保しなければなりません。しかし、今言いますように、庶民の住宅と思っておりました市営、府営が、御説明を聞きますと建てかえによって、取得をいたしました土地そのものも固定資産税相当額も原価に組み入れて新しく住宅をつくっていく、全国平均ではまだまだ安いようでありますけれども、建設費につきましては、地方と申しますかそんなに土地代の高くないところも都心部も同じだけの建設費用がかかるわけであります。そこに従来取得しました土地代を新しく加味していくということになりますと、当然住宅の家賃が高くなっていくわけであります。そういうことで、住宅公団の古い家賃よりも市営住宅、府営住宅の家賃が高いというようなアンバランスができていることも御承知のとおりだと思います。  その中で、公団でございますとこれだけの収入以上の方が入ります、しかし府営、市営の場合にはこれだけの収入以下の方しか入れませんというような決めをしていらっしゃるのであります。そして、全国的に建設省が指導されますことによって、ある時期が来たらその収入を変えておるようでありますけれども地方のそういう土地の安いところでの公営住宅は、なるほどその基準で私は結構かと思いますけれども、建てかえ等でだんだん高くなります大阪の市内等非常に家賃の高い市営、府営住宅につきましては、これは地域性を見ながら収入制限というものを考えていかれないと、これからの公営住宅が、本当に家に困っておる方たちが入っていくということができないのではないか。  せっかく取得をいたしました、ローンで買いました家も今の賃金状態からいくと手離さなければならぬ、また公営住宅のお世話にならなければならぬというような状態の中で、何かそのはざまに入って公営住宅も申し込めないという苦情もよく聞かされて、私どもも相談に乗りましても難儀するわけであります。ですから、今出していらっしゃいますその基準につきましても、ある程度の指針は別といたしまして、各地区地区における実情を踏まえて収入の基準を決められたらいかがかと思いますけれども、その点、いかがですか。
  329. 片山正夫

    ○片山政府委員 公営住宅は、住宅の性格上低所得者ということで収入基準を法定しております。第一種公営住宅につきましては、全世帯収入分位の下の方から三分の一くらいを目指しまして、また第二種住宅にありましては、下の方から六分の一を目指して収入基準を設定して、それ以下の方々を入居させている、こういう状況であります。  これはおただしの地域に応じまして収入基準を変えたらいかがかという意見も確かにあることはあるのですけれども、これをとりますと全国的な統一性を欠くということがまず一点。それから、地域間のバランスをとるのにいい手法がなかなかない、大変難しくなってきてしまう、各県の問題あるいは各県の中での市と村の問題とかいろいろ難しい問題が出てきてしまいますので、地域間を考慮するということはなかなか難しい問題であるので、慎重に対処しているという状況であります。しかしながら、また確かに収入基準を固定しておきますと、だんだん全体の収入は上がってまいりますから、収入階層の幅が狭くなってしまいますので、適宜その収入基準の見直しをしております。本年の七月におきましても収入基準の改定をして引き上げたところであります。
  330. 大矢卓史

    ○大矢委員 今のお答えの中で、市町村と県と一つ地域で別々にすると非常に困るのだと言われますけれども、それはもっともな話でございまして、ただ地方地方で、私言いますように少なくとも大都市圏で非常に土地の高いところと安く手に入るところといいますのは、今申しましたように建てかえをいたしましたときに固定資産税相当額、また地代をその家賃に上乗せをしていく、そういう実情で非常に家賃が高くなっておるわけであります。だから申しましたように、古い公団住宅よりも高い市営住宅、府営住宅ができていっている。  そういうところについても今おっしゃるように全国的にしなければならぬということなら、これを全国的に家賃を公営住宅は幾らということで市常、府営住宅を下げていただくというふうに、現実の建設費は同じなんでありますから、その固定資産税を見ないで、それを入れていかないでやると下がっていくわけでありますから、その点をもっと指導していただくか、それともそれができなければその府県の実情に応じて収入の基準を決めるか、どちらかにしていただかないと非情に不合理だと思いますけれども、いかがですか。
  331. 片山正夫

    ○片山政府委員 公営住宅の中に地代相当額というのを徴することができるようになっておりまして、その場合は固定資産評価額を基準に定めております。この趣旨は、その土地の使用の対価を入居者の負担に求めるということでありまして、その場合、固定資産評価額というのはその地域地域の実情をあらわしますので、そういう土地の利便性等に対応して、経済価値に見合う使用の対価をいただくということで、これは法定上入れざるを得ない状況であります。  しかしながら、そのために、例えば建てかえをしました後に家賃が高くなる。建てかえ団地というのは立地が大変よろしいですから、大変高くなるということも確かにございます。その場合、新しく供給されます新規住宅の家賃との公平ということも考えまして、その固定資産評価額相当の地代相当額は入れざるを得ないのであります。  しかしながら、その場合に、例えば従前居住者につきましては、建てかえ後住宅に入ります場合には、家賃が急激に増高する、そういうことがありますので、その緩和措置をするということで、家賃の軽減措置、五年間にわたって軽減をしていくというような措置も講じておりますし、また、新規住宅につきましては、家賃対策補助というのがございまして、これは当初五年間に限りまして、団地ごとの建設原価とそれからそういう負担し得る能力の家賃との基準から、そういう家賃対策補助を五年間行う、こういうことで家賃の軽減措置も行っているところであります。
  332. 大矢卓史

    ○大矢委員 いろんなことをやっていただいても、やはり五年後になりますともとの家賃になるわけです。そういうことで、私が申し上げているのは、土地代が高いために高い家賃を払わなければならぬ。それならそれで、どうしてもそれが是正できないのなら、収入の点でやはり考慮していくべきではないか。そのどちらかをやられるべきじゃないかと言っておるわけです。その点について、大臣、いかがでございますか。
  333. 片山正夫

    ○片山政府委員 大都市の低所得階層が公営住宅に的確に入居し得るように、収入基準を適宜適切に見直してまいりたいと考えております。
  334. 大矢卓史

    ○大矢委員 だから、適宜見直しをされると言いましても、全国一律では、それはやはり見直しの仕方が違うわけであります。そこで私は、ある程度府県でもってその責任を持たしたらどうか、指導はしていただかなければなりませんけれども、やはりその実情に見合うようなことを考えられてはどうかということでございますので、大臣、ちょっとお願いします。
  335. 片山正夫

    ○片山政府委員 その前に事務的に。  収入基準を決めますときに勤労者の収入実態をもとに算定するわけですけれども、その場合に、特に大都市の勤労者の所得関係を重点的によく見まして、そして収入基準を設定してまいりたい。そうしますれば大都市対策になる、こういうことであります。
  336. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことになりますと、完全にそれが守られて、収入基準をオーバーしておられる方が一人もないということになるわけですけれども、やはり会計検査院指摘されておりますように、常に収入基準をオーバーしておる方がいるわけであります。それは決してその方たちがずぼらで出ていかないのではなくして、出ていくにも出ていけないという事情があるわけで、その点、実際に住民の声を十二分に反映することができる大臣に対しまして私は御答弁を求めているわけである。大臣、お願いをいたします。
  337. 天野光晴

    ○天野国務大臣 今先生の御主張のように努力いたします。
  338. 大矢卓史

    ○大矢委員 ありがとうございます。  余り時間がございませんのでちょっと走りますけれども、お許し願いたいと思います。  御承知のように、大阪では天王寺から杉本町へ参ります国鉄阪和線、これの高架化、それに伴いまして、その上に阪神高速道路公団がまた上るということの計画がございます。これがちょうど昭和四十六年に大阪府都市計画審議会を通過をいたしました。しかし、この間も環境庁へ質問をいたしますと、私鉄なり国鉄の高架の問題は騒音等対処できますけれども、その上にまた道路がつきますということにつきましては、まだまだ対処できる状態にもないというような、四十六年に都市計画で決まったにもかかわらず、環境庁ですらそのようなお答えでございまして、これから研究してみるということでありますけれども、そういう状態では住民が納得しない。そういうことでいまだにこの着工に至っておらないわけであります。  都市計画を決定をされて、四十六年からでございますから、今大阪は湾岸線をやっておりますので、それが終わってからといいますと、二十年ほどは手つかずでおる。それは阪神高速道路公団がその上に乗っかる。それも前後の関係がいまだにはっきりしておらない。その中で、ただ単にその地域だけを上っておりるということでは、地元の方たちの説得は難しかろう。  そこで、まず第一に、阪和線の高架をするということだけが今決まっておるようでありますけれども、それについても土地取得等について阪公の方でやはり協力をしていく、こういうような現状でありますが、その点、今後の見通し等について建設省の御見解を承りたいと思います。
  339. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 ただいま御質問にございました阪和線の高架化と、これに伴います阪神高速道路の建設が、当初の計画から見ますとかなり大幅におくれていることは遺憾に存ずる次第でございます。  五十八年度から両事業相まって用地買収に取りかかりまして、計画で申しますと、八%程度の用地の取得ができているというような段階にございます。この地区は非常に人家も密集しておりますし、事務所、それから商店等も密集しておりまして、他にその路線の選択の余地がないというようなことでございまして、どうしてもやはりこの阪神高速道路も大阪の、その南大阪地域と都心とを結ぶ重要路線でございますので、ぜひ一体としてつくりたいということで、関係者一同、地元の御理解を得ながら事業を進めたいという方向で、協力して今進めている段階にございます。
  340. 大矢卓史

    ○大矢委員 将来の計画ということでございますので、私どもは決してそれは反対のための反対ということではないのであります。ところが、聞きますと、将来の計画は今何もないというのです。計画につきましては大阪市がお考えになることだということは阪公の答えであります。ですから、今の大阪を回っております環状線、それに第二環状線をつくってつなげるとか、また空港の方に抜ける高速にするのだとか、私はいろいろ意味はあると思いますけれども説明を聞きましたら、今のところ何も入れるものがないのだ。それだけで五キロほどのものを上げて下げてということになりますと、交通の緩和にも何もならないわけである。その点、どのように解釈していらっしゃいますか。
  341. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 今阪神高速道路につきましては、大体中央の環状線を中心に、出入り関係非常に渋滞しているところでございます。ぜひこれはもう一つ外回りにその環状の高速道路をつくりまして渋滞改善に役立てたい。それから湾岸の問題もございますが、やはり終局的には二番目の環状線が必要だということで、関係者の間でどういう路線が最適かということで検討を進めている段階でございます。  その中で、ただいまの大阪泉北線につきましても、決してその関連関係で、単発的でむだになるというようなことではございませんで、できるだけこれを有効に生かし、地元の方々の利便に供するという方向で検討を進めている段階でございます。
  342. 大矢卓史

    ○大矢委員 阪公の方もやはり自分のところの考え方を持って大阪市と当たらないと、私どもは何も物が言えない。大阪市がお決めになって、工事だけやるのですと、それこそ道路公団の理事長の仕事のように週刊誌に書かれておりましたように、計画は建設省がやって、工事は下請がやって、すべてのことはこれまた下請企業がやるというように、何もすることがないのだというように書かれておりましたけれども、阪公もまさしく、自分のところで立案をしないで大阪市任せということでは少し無責任ではないか。  おっしゃいましたように、そういう大阪の今の高速道路が不測の事故で停滞するのではなくて、毎日毎日同じ時間に同じところで停滞するわけであります。全く機能を果たしておらないわけで、俗に言います高速道路でも何でもないわけであります。ひどい市長さんに言わせますと、低速道路という名前をつけたらどうだというぐらいに、毎日毎日同じ時間に同じところで停滞をいたしております。一日も早くそれを解決するために、今おっしゃるような今後の方策はあると思いますけれども、住民の理解を得るように積極的にそれを進めるなら進めるということでやらないと、それを私どもがお聞きしても説明が一切できないというようなことでは困るわけであります。その点、建設省といたしましても、予算の面も含めて、これからいつになるかわからないというような状態でなくして、早急にやっていくという決意のほどをお示し願いたいと思います。
  343. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 大阪市及び関係府県とも早急に計画を固めまして、事業着手、早期完成を図ってまいりたいと存じます。
  344. 大矢卓史

    ○大矢委員 大阪市が交通の一環として考えておりますのに、地下鉄工事がございます。今、花の万博で鶴見線というのがございますけれども、これが完成をいたしますと当然次の路線が考えられるわけでありますが、従来から言われております大正区の鶴町へ参ります路線が大阪市では決定になったようであります。当然運輸省の議を経て建設に着手ということになろうと思いますけれども、このことにつきましても専門の方々よく御存じだろうと思いますので、鶴見線が終わりました後における鶴町線についての御所見を承りたいと思います。
  345. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 六十年十一月に、大阪市交通事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例という中で、ただいまお話のございました京橋−鶴見緑地とあわせまして、大正区鶴町の通称地下鉄鶴町線の計画が公に定められたと理解しておりますので、当面花と緑の博覧会のために鶴見緑地路線を急ぎますけれども、その次に重要な路線として私ども都市計画の段階でも協力してまいりたいと存じます。
  346. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間がございませんので、最後に大臣にお伺いをいたしたいと思います。  行政改革の名のもとに一律的な補助金のカットということで、建設にかかわります地方自治体への補助金がカットをされておるのでありますけれども、私は補助金といいますものにはいろいろな補助金があると思います。私は、建設省が行っていらっしゃいます地方自治体への建設費の補助というものは、決して一般に言われる補助金ではないと思うのです。それが五%削られますと、地方の方でそれを節約して五%削られた分だけ少なくするというわけにいかない金額であります。そうなりますと、当然これからも、内需拡大、社会資本の充実ということが叫ばれておるときでありますし、建設省、非常に厳しい財政情勢ではございますけれども、一般的な補助金という性格でないこういう建設費、社会資本の充実ということにつきましては、現在以上に補助金が減らないように、大臣も頑張られると思いますが、実力大臣として、中曽根派の大臣とされても、地方に対する建設の補助率だけは下げないように頑張っていただきたいことをお願いして、最後に大臣の決意のほどをお聞きいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  347. 天野光晴

    ○天野国務大臣 決意のほどはあり余るほどあるのですが、相手がございますので懸命に頑張って——これは余り体裁のいい話じゃありませんからね。大蔵大臣と闘わなければいけないわけですが、とりあえず今の税制改革における結論までにはある程度のことはしたいと思います。もし、今まで行政的にやった以外にそれをどうにかしなければいけない、例えば先ほど御質問があったように、住宅の問題のようなものがあればそれはどうしまするか、ともかくも税のでき上がるまでに基本的な問題の話し合いはいたしたいと思います。  来年度の予算編成に当たりましては、今まで以上に努力をするつもりであります。というのは、私、予算編成に大体三十年近く関係しておるのですが、ことしほど、来年度予算編成ほど難しい予算編成はないのではないかと思っておりますので、十二分の努力はいたしますが、公共事業はイデオロギーがございませんから、ひとつ皆さん方からも御協力をお願い申し上げておきます。
  348. 大矢卓史

    ○大矢委員 終わります。
  349. 糸山英太郎

    ○糸山委員長代理 野間友一君。
  350. 野間友一

    ○野間委員 天野大臣、大変お疲れのところ、また今おみ足を痛めておられますが、私、最後のバッターになりましたので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  私は、午前からもいろいろと論議されましたけれども土地の異常な高騰、狂乱地価をめぐる問題、メカニズム、これらを中心にして少し質疑をさせていただきたいと思います。  初めに建設省にお伺いをするわけですが、ことしの十一月一日付で建設経済局長名で不動産業界団体の長あてに「不動産業における信頼ある経営の確立について」という要請書を出しておられます。こういう文書を出さなければならぬほど今地価狂乱は大変深刻で、一刻の猶予もできないというふうに私も思うわけですが、いかがですか。
  351. 牧野徹

    ○牧野政府委員 私の出しました通達についてのおただしでございますが、最近の地価の動向は、先生も御承知のように、国土庁の御発表によりますれば、全国マクロで見れば安定的に推移しているが、しかし御指摘のように、最近の都心商業地などにおいて顕著な地価上昇がある。その原因として、これは日本経済社会状況の変化に応じたビル需要を反映したものだという御指摘もございますが、その中で一部に不動産業者の投機的な土地取引が地価上昇に拍車をかけているという御指摘もございます。さらには、一部でございますが、不動産業者が買収に関連をいたしまして違法、不当な行為を行っているという報道、これは私がそのことが事実だとかなんとか申し上げているのではございません、それは警察の御調査等によることになると思いますが、そういう報道があることも事実でございます。  実は、私がこの通達を十一月に出しましたのにはもう一つ別の背景、要因がございます。それは不動産業というものが今後の日本の産業界の中で非常に大きな柱になるだろうと私も思います。ただ、不動産業界に対して国民一般の中で必ずしも高い評価が得られていないのではないかという業界御自身の考え方もございます。そこで、有識者の方に集まっていただきまして、六月に「二一世紀への不動産業ビジョン」というものをお出しいただいているわけでございます。その中の目指すべき四つの方向の中のトップに、信頼産業を目指す、これは今申し上げましたように業界の方もお入りになった中のレポートで、イの一番に信頼産業を目指す、こう書かれております。実はその後で私は局長になったのですが……。ということで、信頼ある経営をぜひ確立していただきたいという観点からいいますと、先ほどのようなことを反映しますと、いやしくも国民の信頼を損なうような行為がないようにお願いをしたいということで通知をした次第でございます。
  352. 野間友一

    ○野間委員 時間に制約がありますので、簡潔に聞いたことだけにお答えください。  大蔵省も、昨年の七月、そしてことしの四月に、「土地関連融資の取扱いについて」という文書を各銀行あてに出しております。これも今建設省の方からお話がありましたようなことを背景にして出されたと思いますが、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  353. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 お答えいたします。  金融機関の融資につきましては、基本的にはみずからの経営判断の問題だというふうに理解をしておりますが、ただ、金融機関の公共性という観点から、投機的な土地取引を助長するというようなことがないように、国土庁からの要請等も踏まえまして、先生指摘のとおり昨年七月、それから本年四月、金融機関に対して注意を促し、指導しているところでございます。
  354. 野間友一

    ○野間委員 ことしの日本新語流行語大賞、これは新聞報道にもありましたが、この選定委員会におきまして、「底地買い」、それから「地上げ」、これが不快語追放応援賞というものに選ばれておるわけです。これは扇谷正造さんが委員長ですね。そして、地上げ等々と今現に闘っておる俳優の馬淵晴子さん、この人が受賞されておるわけですね。新聞報道等で底地買いあるいは地上げの文字が躍るたびに音を立てて地価が上がる、こう言っても過言ではないというふうに私は思うのです。  建設省にまずお聞きしますが、いわゆる底地買いとか地上げ、これは一体何なのか。今現に女性のランドコンパニオンと称する地上げ屋さんも存在するのですが、御承知かどうか。
  355. 牧野徹

    ○牧野政府委員 後ろの方から申しますと、ランドコンパニオンというのは、私は存じません。  ただ、地上げとか底地買いという言葉がありますけれども、場合によるとこの言葉の持つ響きが確かにちょっと不快感があると私は思うのですが、実は、ある事業を計画された方がみずから、あるいは別の会社でもいいのですが、適法な手段で土地を取得するということ自体は否定されるものでは決してないと私は思っております。
  356. 野間友一

    ○野間委員 午前、午後を通じて地価の高騰について相当論議があったわけですけれども、結局これも、政府答弁でもありましたように、一つは金融のだぶつきですね。もう一つはビルの需給のアンバランスですね。需要はあるけれども供給が追いつかない。だからどうしても土地の手当てに走る。ところが実際、更地がほとんどない。要するに、どこかで何か無理をしなければならぬ、手当てをしなければならぬということで無理が無理を生ずる、そこに投機が生まれるということも言われていますね。そのとおりだと思うのですね。  ですから、いい意味での地上げ屋と申しますか、要するに土地の権利関係を整理するということはある意味ではあり得ると私は思うのです。ただ、今は投機等が中心になりまして、まさにこれがぼろもうけの一つの職業として世の中にはびこっておるというところに、先ほど申し上げた不快語のこういう問題が流行語として取り上げられ、そして賞が与えられるというところに、今の狂乱地価の象徴が出ておるというふうに私は思うわけです。  しかも、いろいろな地上げの手段を見ておりますと、嫌がらせとか脅迫、おどし、だまし、居住者のそれぞれの不信や不仲を醸成する、あまつさえ火つけ、放火までうわさされるというような状況ですね。大臣も首を縦に振られましたけれども、西新宿とか神田、ここでは不審火が発生しておるということがございますね。  いろいろ調べてみますと、これは全部とは言わないのですが、結局大手のデベロッパーが、ダミーあるいは零細な地上げ、こういうものを使って、こそくな手段で、今申し上げたようないろいろな手段で地上げを行う、複雑な権利関係を全部一つ一つ整理して、一つの面にして大手に売り渡す。その間には土地の転がしがありますし、また借地権とかいろいろな居住権がありますから、どうしても多額のお金でけりをつける、これが地価の高騰につながるわけですね。結局、それは単にそこだけの問題ではなくて、そういうことでずっと上がりますと、マンションを買うについても価格がうんと上がる、あるいは周辺の賃貸マンションだって入るにしてもなかなか入れない、そこを売り払って今度は外に出かけていっても、結局また高くなっているというような悪循環が考えられるし、実際あるわけです。  ですから、先ほども局長が言いましたけれども、国民の信頼を損なうような行為というものは起こしてはならぬ。私が今申し上げたいろいろな悪い手段で地上げをやるということは許されない。こういう手段いかんによりましては損なう行為に当たると思いますが、いかがですか。これは一般論ですよ。
  357. 牧野徹

    ○牧野政府委員 一般論として申し上げますれば、私どもは常日ごろ、宅地建物取引業法に基づいて業界の指導監督を行っておりますが、もし先生のおっしゃるような違法、不当な行為がその業務の遂行過程でございました場合には、これは法に照らして厳正に処分をするということになろうと思います。従来からもそういうふうにしておりますが、今後ともそのように厳正に、適切に対処をしたいと思っております。
  358. 野間友一

    ○野間委員 農水省にお聞きします。  農林中金は、御案内のとおり、政府系の制度融資の金融機関ですね。それから、協同住宅ローン、協住不動産サービス、株式会社靖和、それぞれどういう関係にあるのか、ちょっと事実関係をお答えいただきたいと思います。
  359. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 お答えいたします。  今先生は、協住ローン、それから協住不動産サービスの名前を言われましたが、協住ローンは、農林中金、それから信連が主な出資者となっております。それから、協住不動産サービス会社は、協住ローンの一〇〇%の子会社でございます。靖和は、中金、協住ローン、協住不動産とは資本的に何ら関係はございません。
  360. 野間友一

    ○野間委員 建設省にお聞きします。  大手の総合建設業者にフジタ工業というのがございます。これと商店街再開発株式会社、株式会社新都市開発機構、城東土地株式会社、これらの関係ですが、いずれもフジタ工業の子会社というふうに私は理解しておりますが、間違いありませんか。
  361. 牧野徹

    ○牧野政府委員 きのう先生からお話がございましたので調べましたところ、ただいま御指摘の三社に対しましてフジタ工業がそれぞれ出資をしているということは承知しております。
  362. 野間友一

    ○野間委員 調べてみますと、この三つの会社はペーパーカンパニーじゃないかと私は思うのです。というのは、電話帳にもないのです。電話局へ聞いてもないというのですね。結局、これはフジタの会社の中にありまして、一つのセクションが法人格を取得しておるのじゃないかというふうに私は思うのです。つまり、フジタ工業と実体は同じだと思うのです。  そこで、一つ具体的な例を挙げたいと思いますが、俳優の山村聡さんとか馬淵晴子さんを初め、余り名前を挙げませんが、ほかに文化人とか学者がいっぱい住んでおるライオンズマンション赤坂というのが赤坂七丁目にあります。これはライオンズマンションの第一号なんですね。昭和四十四年につくられまして、ちょうど築後十七年になります。これは赤坂七丁目で円通寺坂を上がり切った、日本コロムビアの斜め前という非常に一等地なんですね、大臣も御案内のとおり。この地番は港区赤坂七丁目百八十三番地、ここに四十九戸の土地つき共同住宅があります。鉄筋コンクリート地下一階、地上八階、敷地面積が千二百四十一・〇四平方メートル、約三百坪ですね。建物の床面積、これが四千七百四十四・七七平米、これは土地の関係を調べてみますと、平均の土地の共有部分約七・五坪、今大体坪二千万円弱というふうに言われております。  この敷地及びその周辺は、これは都市計画法上第二種の住居専用地域、今都が見直し作業を進めておりまして、容積率の緩和等々政府はいろいろ言っています関係で、これは緩和されるのじゃないか、二種の住居専用地域から住居地域あるいは商業地域に変更されるというような見通しを持った、これは業者、専門家の話ですけれども、そういうところであります。ここで昨年の七月ごろから異常な状態が起こったということなんです。  先ほど農水省は、靖和という会社は農林中金等々とは関係がないというふうに言われました。確かに形の上ではそうかもわかりませんが、実際調べてみますと、ここの経営者は、これは婦人ですけれども、この女性は元全国共済農業協同組合連合会、全共連、ここに勤めておられた方で、これは会社をつくられてからもことしの三月まで実は勤務をし、開発部長の秘書をされておったということがわかっておるわけです。問題はこの靖和、この婦人の方、代表取締役。それから役員を調べてみますと、前埼玉県共済農業協同組合の会長、それからフジタ工業の営業部長武田という人がおりますが、この人のお知り合いの方とかおられるわけですね。  これは五十九年の九月に設立された三千五百万円の資本金の会社で、不動産の売買等を目的としてつくられておりますが、昨年の九月ごろから、仮にMと申しますが、Mという人が、自分の息子が関西から上京して麻布中学へ入るんだ、ところが住むところがない、だから何とか今申し上げた物件の部屋を分けてほしい、売ってくれ。これは同じ文句で、メロンを持ってずっと回ったわけですね。そんな息子がおるわけじゃありませんし、これは一つの手段として欺罔したわけですけれども、メロンを持って、麻布中学へ息子を入れる、住むところを何とかしろ。  最初は一戸当たり大体二千数百万円の売り値が出たようですけれども、だんだん上がって六千万ぐらいというような話もあったようですが、これを調べてみますと、靖和がいろいろな画策をして、まず居住しておる人を欺罔して部屋の買い入れを図るというところがそもそもの発端だったのですね。このマンションは築後十七年、先ほど申し上げたように非常に古いのです。雨漏りがしますし、私も現場を見ましたけれども、大変なところですね。そこをとにかく、私は再開発だと思うのですけれども、目的にやられた。  ところで、この靖和と、それから先ほど申し上げたフジタのダミー、子会社ですね、実体はフジタだと私は思うのですけれども、これが登記簿上見ますと、靖和が中間省略されまして、うまいぐあいにこの三つの子会社に行っているわけですけれども、その中間に、先ほど農水省に聞きました協住不動産サービス株式会社というのが介在しておるわけですね。つまり、本来の居住者から靖和というものが介在して、そして今申し上げたように欺罔しながら一つ一つ部屋を買っている。そしてそれが一定のまとまりを見せ、これは八戸初めにまとまったわけですが、それを今度は協住不動産サービス、これは農林中金の孫会社ですが、ここへ処分、売買する。そして協住不動産サービス株式会社がこれをフジタ工業の子会社に売買するということで、今四十九戸中の十三戸がこのフジタ工業の関連するそういう会社の手に渡っているということなんですね。  もともと農水省も御案内のとおり、協住不動産サービスというのは、農林中金がありまして、これは農協、漁協、それから森林組合、そういうところが出資をして農林水産業の振興のためにつくられた政府系の金融機関なんですけれども、その受け皿としてつくられたのが協同住宅ローン、家を建てる、そのためのいろいろな仕事ですね。その焦げつき等々の債権の回収のためにつくられたのが協住不動産サービスという会社です。これは定款を見ましてもそのとおり書いてあるのです。ところが、農林中金の今申し上げた孫会社が、実質は、いろいろ役員構成を見ましても、農林中金の方がずっと入っておられますが、結局一つは今申し上げた靖和という会社と、それからもう一つはフジタのダミー、子会社ですね、これらが一緒になりまして、そしてこの物件の所有権の移転を見ましたら、転々としておる。  これは参考までに事実関係ですから、委員長、ちょっとお見せしますが、どうぞ見てください。そちらの方に渡してください。よろしいですか、委員長。——事実関係、登記簿の関係です。それをごらんいただいたら、全部権利関係、私の方で整理しておりますのでおわかりいただけると思うのです。つまり、冒頭からいろいろとお話ししておりますように、本来的に地価狂乱のために投機的なこういう行為が拍車をかける、この一つの端的な例がこのケースなんですね。  ですから、本来の金融のあり方としての農林中金、このビヘービア、これはまさに大蔵省の銀行局長からの通達でありますけれども、それの趣旨にも反しておると思いますし、また建設省の建設経済局長がせっかく不動産業界に通達を出しておられる、これは時期的には五十九年ですからこの以前で、これには直接かかわりありませんけれども、しかし言われたように、少なくとも国民に信頼されるようなそういう業界なり業者という点からいいましても、こういう形で一つ一つの一戸買いをし、これは共同住宅土地の共有ですから底地買いになるわけですね。こういうことをして、そして今大変な事態を起こしておるというような事態について、建設省は御存じなのかどうか、まずお伺いしたいと思うのです。
  363. 牧野徹

    ○牧野政府委員 ライオンズマンション赤坂、先生指摘のマンションでございますが、ここにおいて関係者の間で紛争が起こっているということは承知しております。
  364. 野間友一

    ○野間委員 今申し上げたように、こういう農業、漁業、森林のそれを出資の母体とする農林中金、その系列、それから本当に開発のフジタとして非常にいろいろ宣伝、私も見ておりますが、そういう大きな資本金百六十三億円ですか、こういう大手が、子会社、ダミー、そして当時、五十九年から六十年当時は全国共済農業協同組合連合会、これの職員で別会社をつくって、そして今申し上げたように、メロンを片手に麻布中学に入れる子供の住居というようなことで一戸ずつ撃破するというようなことは、何ぼ考えても正当な地上げの方法ではないと言わざるを得ないと思うのです。  事実関係をお聞きになりまして、大臣にまず所見を承りたいと思います。
  365. 天野光晴

    ○天野国務大臣 宅地建物取引業者がビル建築等を行うために、みずからあるいは別会社を使って土地を取得する行為は、一般的には自由な経済活動の範囲内のものと考えられるが、ただいま申されましたような具体のケースにおいて、宅地建物取引業者の業務に関し違法または不当な行為を行った場合には、宅地建物取引業法に照らしまして適切に指導監督いたしたいと思います。
  366. 野間友一

    ○野間委員 いや、本件をお聞きになりまして、大臣としての所見を承りたいのです。
  367. 天野光晴

    ○天野国務大臣 もうちょっと中身を調べないと、やはり今聞いてすぐというわけにはいきかねると思います。
  368. 野間友一

    ○野間委員 これは実際にトラブルが起こっておるのですよ。大臣、ここの管理費は大変なんですよ。ところが、今申し上げたフジタあるいは靖和、そういう方々は、買って今所有権を持っておるのですけれども、実際には住んでいない。居住者から見ますと、暴力団まがいの者がうろうろする。大臣、マンションで住まないところがたくさんありますと、ゴーストタウンみたいになるわけですね、御承知のとおり。  それから、管理費を払ってくれない、それで裁判を起こすとその分だけ払う。今供託したりなんかしているそうですけれども、未払いが全体で六百万。これはほっといたら水道がとめられてしまうのですよ。電気もいろいろ出てくるのですよ。それで、居住者にずっと電話があるのですよ、こんなぼろマンションもうすぐに売ってしまえとか出ていけとか。管理組合なんかにどっと出てきてはいろいろなトラブルを起こす。トラブルメーカーがおるのです、これは女性の人ですけれどもね。ですから、こういうことを許すとこれはどうにもならぬ。  こういうメカニズムを建設省は本当に知っておるのかどうか。局長は先ほど、いい意味での地上げというものはあり得る、これは私は否定しないわけですよ。しかし、少なくとも違法、不当な手段、これは通達にも書いてありますけれども、そういうことで住民を追い立てるということは許されない。  これは坪が大体二千万といたしますと、一戸当たりの土地の共有部分が大体七・五坪ですから、二、七、十四で一億をはるかに超えるわけですね。だから、更地の手当てをするよりも、古いマンションの各部屋部屋というのは年々老朽化しますから、それを三千万とか四千万とか、これは一億で買ったって、壊して再開発すればもうかるということになるわけですね。だから、そういうようなことがありましてこういうのがはびこるわけですよ。  これは一つの例ですけれども、こういうメカニズムをぜひ建設省も十分知ってほしい。トラブルがあることだけは局長認めましたけれども、いわゆる底地買いや地上げというのは言葉が非常に不快だというのは、まさにこういうのをみんな知っておるからですよね。  それでフジタがいわく、この件については、自分はあちこちにマンションを建てています、それで再開発するのにいっとき住んでもらう代替の住居が欲しいから云々、こう言うのですが、これは違うのですよ。例えば、この中に店舗があるのです。あるいは藤和不動産という立派な賃貸マンションをたくさんつくっているフジタの系列があるでしょう。それで、一つのマンションで十二も十三も、そんな同じところに買うような人はないですよ、そういうような目的で。  だから、結局これは、特に建物の区分所有の新マンション法ですが、これで五分の四まで占めますと要するに建てかえができるわけですよ。これは反対なら立ち退き請求できるわけですね。だから、そういうさまざまな形で、今や新しいマンション法というのは地上げや底地買いの役割を果たすというようなことすら言われておるわけです。  こういう実態は、そのメカニズムにメスを入れなければ、口先だけ、通達だけで、投機はしてはならぬ、信頼できる不動産業者になれと言ったってだめなんですよ。ですから、ぜひ実態を知って、これに対する適切な手当てをしていただきたい。大臣、いかがですか。
  369. 牧野徹

    ○牧野政府委員 違法、不当なことがあれば宅地建物取引業法に照らして適切に対処と先ほど申し上げましたが、これは余り大きな声で言うと問題があるかもしれませんが、例えば五十九年度でも、その業法に照らして千件近い監督処分が行われております。三百数十件の免許の取り消しもございます。そのように私どもは法の適正な執行をやっておるつもりでございますが、今後とも十分に厳正に執行してまいりたいと思います。
  370. 野間友一

    ○野間委員 不動産取引業法の問題じゃないのですよ。こんなものを何ぼやったって、これはだめですよ。これがそういうふうになるかどうかは知りません。私は違法、不当だと思いますが、しかし、やはりこういうメカニズムを知らぬことには対策が立てられぬということを言っておるわけですよ。私はそういう一般論を聞いておるのじゃないのです。  それから、協住不動産のこういうビヘービア、これは農林中金経営と言わなくても、私は、こういうような地上げの先兵として働くということは許されないと思うのです。この点についてぜひ調べて、行き過ぎがあれば是正してほしい。  最後に、農水省と、それから全体を通じまして大臣に、そういうことで調べた上で——調べぬと何ともわからぬとおっしゃったから、調べた上で行き過ぎがあれば是正していただきたい、このことを答弁を求めて終わりたいと思うのです。
  371. 天野光晴

    ○天野国務大臣 先生の御意見、十二分にわかります。その点は適切に指導しまして、適切に処置をするようにいたします。
  372. 赤木壮

    ○赤木説明員 金融機関の融資につきましては、先ほど大蔵省からも話がありましたように、金融機関みずからの経営判断において決定するのが基本であるということでございますけれども、金融機関としての公共性を十分自覚して、投機的土地取引等を助長することのないよう、かねてから農林中央金庫に対しても指導してきたところでございます。  ただ、協同住宅ローンに対しては、農林省自体直接指導監督する権限は有しないわけでございますけれども、今回の事件を契機に事業運営を見直すと同時に、貸付審査体制の充実強化とか貸付債権の回収等に努めるよう、農林中央金庫を通じて指導を行ったところでございます。また、協同住宅ローンにおきましても、昨年三月、事業運営の見直しを含む経営改善計画を樹立して実行いたしておるところでございます。今後とも従前と同様な指導を中金を通じてやりたいというふうに考えております。
  373. 野間友一

    ○野間委員 では、終わります。
  374. 糸山英太郎

    ○糸山委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散