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1986-10-28 第107回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十八日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 堀之内久男君    理事 上草 義輝君 理事 熊谷  弘君    理事 古賀  誠君 理事 近藤 元次君    理事 新村 勝雄君 理事 草川 昭三君       岡島 正之君    高橋 一郎君       古屋  亨君    穂積 良行君       森下 元晴君    谷津 義男君       渋沢 利久君    渡部 行雄君       古川 雅司君    大矢 卓史君       野間 友一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 成川 富彦君         郵政大臣官房経         理部長     山口 武雄君         郵政省郵務局長 富田 徹郎君         郵政省貯金局長 中村 泰三君         郵政省簡易保険         局長      相良 兼助君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    大橋 豊彦君         大蔵大臣官房参         事官      松川 隆志君         大蔵大臣官房企         画官      田谷 廣明君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         大蔵省証券局業         務課長     金野 俊美君         国税庁直税部法         人税課長    瀧川 哲男君         郵政大臣官房人         事部長     森本 哲夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小川 一哉君         日本国有鉄道事         業局事業課長  松井 隆平君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社社長) 真藤  恒君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社副社         長)      児島  仁君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役技術企画本         部長)     岩崎 昇三君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役経営企画本         部長)     草加 英資君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社電話企         画本部営業推進         部長)     西脇 達也君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社経理部         次長)     加島  修君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社経理部         資金部長)   小原 暉章君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十八年度政府関係機関決算書  昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十九年度政府関係機関決算書  昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管日本電信電話公社)      ────◇─────
  2. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより会議を開きます。  昭和五十八年度決算外二件及び昭和五十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社から関係者出席を求めることとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 堀之内久男

    堀之内委員長 次に、郵政大臣概要説明会計検査院検査概要説明日本電信電話公社資金計画事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和五十八年度郵政省所管一般会計及び特別会計決算に関する郵政大臣説明  一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険及郵便年金特別会計昭和五十八年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出予算現額は二百四十二億二千九万余円でありまして、これに対する決算額は二百四十二億九百二万余円となつております。  郵政事業特別会計歳入予算額は四兆二千十八億一千五百九十五万余円、歳出予算現額は四兆二千百六十八億二百六十七万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四兆一千四百七億三千九百八十六万余円、歳出では四兆一千百八十二億六千三百万余円となつております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出借入金局舎其他施設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では二兆二千四百二十一億四千四十四万余円、歳出では二兆一千六百五十億九千百六十三万余円となつております。  郵便事業の損益につきましては、収益の総額は一兆二千五百八億四千三百八十五万余円、費用総額は一兆二千百七十億四千三百六万余円でありまして、差し引き三百三十八億七十八万余円の利益を生じました。  この結果、郵便事業累積欠損金は、二百一億三千百十九万余円となつております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は六兆一千七百十億九千四百五十九万余円、歳出予算現額は六兆二千六百十三億四千三百三十三万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆二千六百十四億二千二百六十一万余円、歳出では六兆二千六百十三億四千百九十八万余円となつており、差額八千六十三万余円は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は五兆三千六百四十二億三千百九十万余円、歳出予算現額は三兆九百四十九億五千九百七万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では五兆四千七百七億六千四百二十五万余円、歳出では二兆七千六百四十五億七百二十四万余円となつており、差額二兆七千六十二億五千七百一万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  年金勘定歳入予算額は九百九十六億五千七百五十四万余円、歳出予算現額は九十六億三千五万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では八百六十三億九千九百十万余円、歳出では八十四億一千五百六十四万余円となつており、差額七百七十九億八千三百四十六万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  次に、会計検査院昭和五十八年度決算検査報告において不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。今後、この種事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  以上をもちまして、昭和五十八年度決算概要についての説明を終わります。     …………………………………    昭和五十八年度日本電信電話公社決算に関する郵政大臣説明  昭和五十八年度日本電信電話公社決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十八年度の事業運営は、引き続き順調に推移し、損益計算上三千八百四十億一千五百六十七万余円の当期利益金を計上するところとなり、昭和五十二年度以降黒字決算を続けているところであります。  なお、この当期利益金のうち二千億円は、「昭和五十九年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置等に関する法律」に基づき、臨時かつ特例的な措置として、国庫に納付されました。  収入支出決算の内訳を各勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済額は、四兆四千九百九十四億四千八百八十九万余円で、予算額に比べ一千七百十億八千五百八十九万余円の増収となりました。一方、支出済額は、四兆二千九百六十七億一千四百三十七万余円でありまして、支出予算現額四兆三千五百二十六億二千六百二十九万余円に比べ、五百五十九億一千百九十一万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は二兆五千三百六十九億一千四百五十四万余円、支出済額は、二兆五千三百六十九億一千四百五十四万余円であり、この中には「財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置等に関する法律」に基づき臨時かつ特例的に昭和五十六年度から昭和五十九年度までに納付する臨時国庫納付金総額四千八百億円のうち昭和五十八年度納付額一千二百億円と昭和五十九年度分の前倒し納付額一千二百億円が含まれております。  また、建設勘定におきましては、支出済額は、一兆六千八百二十一億二千二百六十万余円であり、これにより一般加入電話百三十五万一千余加入の増設をはじめとする各種の建設工事が実施されたところであります。  なお、昭和五十八年度予算執行につきまして、会計検査院から職員不正行為に関する指摘を受けたことは、誠に遺憾に存じます。  今後の事業運営におきましても、この種事例の発生を未然に防止するよう、日本電信電話株式会社に対し引き続き指導監督を行つてまいる所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十八年度決算概要についての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申しあげます。     …………………………………    昭和五十八年度決算郵政省についての検査概要に関する主管局長説明                                    会計検査院  昭和五十八年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四十件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号六三号は、特定通信回線規格等の変更に当たり、別途に回線使用契約を締結する方法によつたため、設備料等が不経済に支払われていたものであります。  これは、近年、郵政省為替貯金事務オンラインサービスを推進するため、全国の郵便局電子計算機端末機を設置することとしておりまして、近畿郵政局でも、五十五年度から五十八年度までの間に百二十四郵便局端末機器を増設しております。これに伴つて電子計算機郵便局を結ぶ特定通信回線既設規格では回線容量が不足するため、同郵政局では、より大きな回線容量規格に変更するなどの処置を講じておりますが、その際、日本電信電話公社と新たに回線使用契約を締結して、その工事の終了後、既設回線使用契約を解除する方法によつたため、これら百二十四郵便局に係る回線使用契約は新規に契約する際に必要となる引込線設備料等経費を要するものとなつておりました。  しかしながら、公社データ通信利用規程では、既設回線使用契約変更という方法があり、これによりますと、既設引込線等設備があり、これをそのまま使用できる場合は設備料等の要はないなど回線規格を変更するための費用は割安となりますので、同郵政局でも他の郵政局同様既設回線使用契約を解除しないでこれを変更する方法によるべきであつたと考えられます。  仮に、使用契約変更の手続を執つたとすれば、本件設備料等支払額二千二百八十五万八千五百円は八百八万二千円となり、約千四百七十万円が不経済なつていると認められるものであります。  また、検査報告番号六四号から一〇二号までの三十九件は、職員不正行為による損害を生じたものであります。  これは、東京中央郵便局ほか三十八郵便局で、郵便貯金又は簡易生命保険等事務従事している職員が、預金者から預かつた貯金証書を使用して受領した払戻金や契約者から受領した保険料等を領得していたものであります。  なお、このうち七七号から一〇二号までの二十六件については、五十九年十月末日までに損害額のすべてが補てん済なつております。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、郵便物運送業務における託送船舶に係る船舶請負料の算定に関するものであります。  郵政省では、郵便物船舶請負料を算定する場合には、同省が定めた算定基準によりまして、千百三十三m3を一tとする容積トン当たりの料金に運送する郵袋総トン数を乗ずるなどして算定することとなつております。  そして、この総トン数は実トン数ではなく、航路別郵袋十五個、十七個又は二十一個をそれぞれ一tと定めたものであります。  しかしながら、会計実地検査の際、郵袋一個当たりの体積の実態を調査したところ、〇・〇二m2から〇・〇四五m2となつておりまして、これを一t当たり郵袋数に換算いたしますと、二十五個から五十六個となり、算定基準で定めている一t当たり換算郵袋数との間に著しく開差を生じていたものであります。  仮に、一t当たり郵袋数を二十五個として計算いたしましても、請負料を約三億九千九百万円低減できる計算となるものであります。  以上のことにつきまして当局の見解をただしましたところ、郵政省では、一t当たり換算郵袋数運送の実態に即したものに改める処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十七年度決算検査報告に掲記しましたように、郵便物集業務委託契約について処置を要求しましたが、これに対する郵政省処置状況についても掲記いたしました。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    昭和五十八年度決算日本電信電話公社についての検査概要に関する主管局長説明   会計検査院  昭和五十八年度日本電信電話公社決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件、意見を表示し又は処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  これらは、職員不正行為による損害を生じたものであります。  検査報告番号一三〇号は、職員出納役補助者として現金出納事務従事中、出納役保管に係る政府預金小切手用紙一枚を抜き取り、出納役印を盗用して小切手を偽造し、銀行窓口において現金化して領得したものであります。  検査報告番号一三一号は、職員電話申込加入の受付け等の事務従事中、申込者から出納窓口に払い込むよう依頼されて便宜預かつた加入料及び設備料出納窓口に払い込むことなく領得したものであります。  検査報告番号一三二号は、職員出納員として電話料金等収納事務従事中、加入申込者から受領した加入料及び設備料を領得したものであります。  検査報告番号一三三号は、職員出納役として現金等出納事務従事中、預金口座から現金を引き出すなどして領得したものであります。  なお、これらの損害額につきましては、いずれも全額が不正行為者から返納されております。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について説明いたします。  その一は、電話運用業務運営に関するものであります。  電話運用業務のうち市外電話については、通話接続自動ダイヤル化地域集団電話一般加入電話への切替えなどにより手動接続業務が減少したため地方に所在する取扱局において要員に余剰が生じている反面、番号案内業務の増加により都市に所在する取扱局において要員に不足を生じていて、業務量要員との間に不均衡を生じ非効率業務運営なつており、特に、業務量の少ない小規模な取扱局においても終日運用の体制を執つていて、その業務効率は極めて低いものとなつております。  したがつて要員の不均衡については、他部門等への配置転換を図るほか、他の取扱局への業務の分散を徹底したり、効率の低い小規模な取扱局については、その業務を他の取扱局に集約し無手動局としたり昼間取扱局としたりなどして要員配置適正化に努め、もつて経費の節減を図るよう意見を表示したものであります。  その二は、電話中継所における多重変換装置の設置に関するものであります。  これは、電話中継所に設置する多重変換装置の数量を算定するに当たつて、各電話中継所における市外電話回線等伝送路への収容設計が適切でなかつたため、多重変換装置購入費約三億八百万円が不経済なつていたものであります。  多重変換装置は、市外電話回線の信号を多重化して送信したり、多重化された信号を分離して受信したりするものであります。そして、本社が定めた設計実施要領に基づいて、各電気通信局市外電話回線伝送路への収容設計を行つていますが、これについて調査したところ、各電話中継所で受信した五千七百六十回線単位の五次群を、当該電話中継所を通過する伝送区間のものについてもこの多重変換装置により九十六回線の二次群又は四百八十回線の三次群に分離したうえ、再度五次群に多重化して送信する設計としております。  しかし、電話中継所を通過する二次群又は三次群が多数あるときは、三次群又は千四百四十回線の四次群で通過させても何ら支障はなく、この場合は多重変換装置の設置は必要がないものでありますから、このような設計とすることにより、この装置の設置数量を減少させることができるものであります。  したがつて、このような場合は、三次群又は四次群で通過させることとするよう設計実施要領を改定し、経費の節減を図るよう求めたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、業務関係資料運送作業請負契約における運送方法に関するものであります。  公社では、社内刊行物帳票類料金計算資料運送作業請負により実施しており、東京電気通信局ほか百三機関ではこれらの送受のため、電話局等に順次立ち寄る運送行路を設定して専用便により運送を行つているものであります。  しかしながら、取扱量について実績の把握が十分でなく、少量の運送専用便によつていたり、取扱量に適合する車種の選定をしていなかつたり、一日二回運行の必要がないのに二回運行することとして行路を設定していたり、複数の機関が同一の地域で重複した行路を設定していたりしているなどにより、請負額が約三億二千七百万円不経済なつたものであります。  したがつて取扱量の少ないものについては、専用便によることなく経済的な小口扱化を図つたり、取扱量に適合した経済的な軽自動四輪車を採用することとし、一日二回運行の必要がないものについては、運行回数の削減を図ることとし、また、重複した行路を設定しているものについては、行路の統廃合を図ることとするなど運送方法を適切なものに改める要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、各電気通信局では適切な運送方法とするため指示文書等を発するなどして、契約変更を行う処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十七年度決算検査報告に掲記しましたように、各種システムサービスセンタ設備使用料算定基準について処置を要求し、また、電報事業運営について意見を表示しましたが、これらに対する日本電信電話公社処置状況についても掲記いたしました。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    衆議院決算委員会における昭和五十八年度の事業概要に関する説明                                  日本電信電話公社  昭和五十八年度の電信電話事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和五十八年度の公社事業につきましては、引き続き電気通信サービスの拡充・改良に努めるとともに事業運営効率化に努めた結果、おおむね所期の成果を収めることができました。  昭和五十八年度の収支は、お客様の電話利用の増加に支えられたほか、増収施策の推進、業務見直し等による経費効率的使用、借入れの抑制等により、財務体質改善に努め、引き続き黒字決算となりました。  すなわち、総収益が四兆五千五百二十四億三千三百二十四万円余となったのに対しまして、総費用は四兆一千六百八十四億一千七百五十六万円余となり、その結果三千八百四十億一千五百六十七万円余の当期利益金を計上することができました。なおこの利益金のうち二千億円については、「昭和五十九年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置等に関する法律」に基づき、昭和六十年三月三十一日に臨時かつ特例的な措置として国庫へ納付し、残額についてはサービスの一層の改善に必要な投資の財源に充当しました。  また、こうした財務状況を基盤として、昭和五十八年七月から遠距離通話料等の値下げを実施しました。  以下、昭和五十八年度の決算の内容につきまして御説明申し上げます。  損益勘定収入におきましては、予算額四兆三千二百八十三億六千三百万円に対しまして、収入済額は四兆四千九百九十四億四千八百八十九万円余となり、一千七百十億八千五百八十九万円余予算額を上回りました。  その内訳は、電話収入で一千五百七十億六千三百二十五万円余の増、電信収入等で百四十億二千二百六十四万円余の増となっております。  支出におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則の規定による経費の増額を加えた予算現額四兆三千五百二十六億二千六百二十九万円余に対しまして、支出済額は四兆二千九百六十七億一千四百三十七万円余となっております。  また、建設勘定支出及び債務償還等財源に充てるため、電信電話債券及び借入金により四千五百三十七億六千二百八十七万円余、設備料として一千六百五十七億一千五百四十一万円余の受入れを行い、一方債券及び借入金等につきまして六千百十四億六百十六万円余の償還を行いました。  なお、国の財政再建に協力するため、「財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律」及び「昭和五十八年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律」に基づき、臨時かつ特例的に納付する臨時国庫納付金総額四千八百億円のうち、当年度納付分及び五十九年度納付分あわせて二千四百億円を支出いたしました。  次に、昭和五十八年度の主な建設工程としましては、一般加入電話の増設約百三十五万加入公衆電話は七万四千個の工程をそれぞれ実施いたしました。  最後に、昭和五十八年度決算報告指摘を受けました事項について申し上げます。  不当事項としましては、職員不正行為に関するもの四件の指摘を受けましたことは誠に遺憾に存じます。  これらは、新潟電気通信部において、小切手を偽造し現金を領得したもの、世田谷電話局及び厚木電報電話局において、加入料設備料を領得したもの、岩内電報電話局において、預金口座から現金を引出し領得したものであります。  是正改善処置を要求されました電話中継所における多重変換装置の設置につきましては、設計要領を改定するとともに適切な指導を図りました。  また、業務運営の一層の効率化を図るよう意見表示されました電話運用業務につきましては、小規模局の廃止及び夜間集約等を更に推進するほか、新しい手動台の導入による接続業務の集約を進めるなど、総合的な経営改善を図るよう努力しているところであります。  以上、簡単でありますが、概略御説明申し上げました。     ─────────────    昭和五十九年度郵政省所管一般会計及び特別会計決算に関する郵政大臣説明  一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険及郵便年金特別会計昭和五十九年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出予算現額は二百四十五億九千四百七十八万余円でありまして、これに対する決算額は二百四十一億百五十四万余円となつております。  郵政事業特別会計歳入予算額は四兆三千五百六十三億二千四百六十一万余円、歳出予算現額は四兆三千五百九十九億六千四百九十九万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四兆二千七百二十四億九千四百二十七万余円、歳出では四兆二千五百五十億五百八十三万余円となつております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出借入金局舎其他施設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では二兆三千百二十五億三千七十三万余円、歳出では二兆二千五百二十四億四千四百五万余円となつております。  郵便事業の損益につきましては、収益の総額は一兆二千七百十億二千六百四万余円、費用総額は一兆二千五百九十六億四千三百七十二万余円でありまして、差し引き百十三億八千二百三十二万余円の利益を生じました。  この結果、郵便事業累積欠損金は、八十七億四千八百八十六万余円となつております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は六兆八千七百四十三億三千二百六十四万余円、歳出予算現額は六兆八千七百四十三億三千二百六十四万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆八千二百五十九億六千六十二万余円、歳出では六兆八千二百五十九億五千四百九十二万余円となつており、差額五百七十万余円は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は五兆八千五百四十三億五千八百八十九万余円、歳出予算現額は三兆七千八百一億五千八百十一万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆三百三十八億五千三十五万余円、歳出では三兆三千二百八十三億三千百六十三万余円となつており、差額二兆七千五十五億千八百七十二万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  年金勘定歳入予算額は千百二十五億七千八百五十五万余円、歳出予算現額は百五十三億二千二百三十万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では千百七億六千百八十四万余円、歳出では百十億四千百三十九万余円となつており、差額九百九十七億二千四十五万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  次に、会計検査院昭和五十九年度決算検査報告において不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。今後、この種事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  以上をもちまして、昭和五十九年度決算概要についての説明を終わります。     …………………………………    昭和五十九年度日本電信電話公社決算に関する郵政大臣説明  昭和五十九年度日本電信電話公社決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十九年度の事業運営は、引き続き順調に推移し、損益計算上三千二百七十六億三千九百四十二万余円の当期利益金を計上するところとなり、昭和五十二年度以来八期にわたって黒字決算となりました。  収入支出決算の内訳を各勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済額は、四兆六千七百三十四億七千六百七万余円で、予算額に比べ一千四百九億九千七百七万余円の増収となりました。一方、支出済額は、四兆五千九十七億三千二百三十六万余円でありまして、支出予算現額四兆五千六百四十八億八千七十八万余円に比べ、五百五十一億四千八百四十一万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は二兆五千五百九十七億八千七百六十三万余円、支出済額も同じく二兆五千五百九十七億八千七百六十三万余円であり、この中には「昭和五十九年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置等に関する法律」に基づき、昭和五十八年度の当期利益金三千八百四十億一千五百六十七万余円のうちから臨時かつ特例的に納付した臨時国庫納付金二千億円が含まれております。  また、建設勘定におきましては、収入済額及び支出済額は、各々一兆七千二百二十六億一千八百六十九万余円であり、これにより一般加入電話百十九万四千余加入の増設をはじめとする各種の建設工事が実施されたところであります。  なお、昭和五十九年度予算執行につきましては、会計検査院から委託公衆電話の設置及び管理の改善に関する指摘を受けたところであります。  この点につきましては、日本電信電話公社は「日本電信電話株式会社法」の規定により昭和六十年四月一日に解散し、その一切の権利及び義務は日本電信電話株式会社が承継いたしましたので、同社が今後の事業運営におきまして、このような指摘の趣旨等を踏まえつつ一層の経営効率化に努めるよう、指導監督を行ってまいる所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十九年度決算概要についての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和五十九年度決算郵政省についての検査概要に関する主管局長説明                                    会計検査院  昭和五十九年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項二十六件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について説明いたします。  検査報告番号七七号から一〇二号までの二十六件は、職員不正行為による損害を生じたものであります。  これは、京橋郵便局ほか二十四郵便局で、郵便貯金又は簡易生命保険等事務従事している職員が、預金者から再交付請求があつたかのように装い入手した貯金証書を使用して交付を受けた払房金や契約者から受領した保険料等を領得していたものであります。  なお、このうち八三号から一〇二号までの二十件については、六十年十月末日までに損害額のすべてが補てん済なつております。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について説明いたします。  これは、簡易生命保険の積立金の長期貸付けに関するものであります。  この長期貸付けは、地方公共団体が公共施設の建設事業費等の財源として、自治大臣又は都道府県知事から起債の許可を得たものに対し、その事業が完成した後に貸し付けるものでありまして、貸付額は、貸付対象事業費から補助金や指定寄附金などの特定財源を控除して得た額に、所定の充当率を乗ずるなどして算定することとなつております。  しかし、関東郵政局ほか四郵政局管内の四道県及び八十市町村が五十四年度債から五十九年度債の貸付対象として実施した事業について、本院が検査いたしましたところ、貸付対象事業費から指定寄附金を控除していなかつたり、貸付けの対象とならない費用を貸付対象事業費に含めていたりなどしていて、貸付金額が過大になつていて、貸付けが適切でないと認められるものが二道県及び十四市町村で八十三件、八億三千九十九万余円見受けられました。  このような事態を生じましたことは、郵政省において、貸付けの際の審査や貸付後の監査が適切に行われる制度になつていなかつたことによるものでありましたことから、貸付規則等を整備し、貸付時の審査及び貸付後の監査が十分行えるように改め、もつて本資金の貸付けを適正なものにするよう是正改善処置を要求したものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、郵便小包等搬送機械設備の保守業務における保守費の積算に関するものであります。  郵政省では、保守請負費の積算に当たつて、保守業務に伴う諸種の管理事務に要する時間について、保守業務時間の一〇%として算定することとしております。  しかし、会計実地検査の際、搬送機械設備を設置している東京北部小包集中局ほか三集中局において実態を調査したところ、管理事務に要する時間は保守業務時間の一〇%を相当下回つており、しかも、各局の業務形態によりその割合は異なつていたものであります。  仮に、実態に即した時間で算定いたしますと、保守請負費の積算額を約三千三百万円低減できる計算となるものであります。  以上のことにつきまして当局の見解をただしましたところ、郵政省では、各集中局の実態に即した管理事務に要する時間を個別に適用して積算するよう改める処置を講じたものであります。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    昭和五十九年度決算日本電信電話公社についての検査概要に関する主管局長説明                                        会計検査院  昭和五十九年度日本電信電話公社決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、意見を表示し又は処置を要求した事項について説明いたします。  これは委託公衆電話の設置及び管理に関するものであります。  公衆電話には、社会生活上の安全性及び戸外における最低限の連絡手段を確保することを目的とした第一種公衆電話と、利用度を高めてより多くの収益を上げることを目的とした第二種公衆電話とがあります。このうち第二種公衆電話については、その大部分を部外者に管理を委託しているもので、これらのうちには利用状況が機種別損益分岐点を下回っているものが八割以上にも達し、本院で試算すると約四百五十三億円と大幅に支出超過となつていて、これが公衆電話事業全体の収支を悪化させる要因となつているものであります。  この原因は、一般加入電話の著しい普及及び終日利用が可能なボックス形公衆電話の増設などにより委託公衆電話の利用が相対的に低下してきていることによるものでありますが、その実態を調査しましたところ設置及び管理が適切でないため利用度の低いものが多数見受けられるものであります。  したがつて、委託公衆電話効率的な設置及び適切な管理を行つて、収支の改善を図るよう改善処置を要求したものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは度数計フイルム読取装置(以下「OCR」と称します。)の運用の効率化に関するものであります。  電話料金の計算は、電信電話料金局で一括処理しており、その処理に当たつて、度数計の指数をテープに記録して電話料金の計算資料を作成しておりますが、その方法には、度数計の指数を撮影したフイルムを現像し、OCRを使用して直接それを読み取つて紙テープに記録するものと、印画紙に焼き付けた写真原票を読み取つて人手によりパンチし磁気テープ等に記録するものとがあり、パンチによる場合はその大部分を請負により実施しています。  そして、OCRの運用については、本社でOCRの標準処理能力を示しておりますが、近畿、東北両電気通信局では、OCRの運用について適切な作業計画を策定していなかつたため、OCRで読み取り可能な度数計年間延べ千二百八十万個相当分をパンチ作業することとし部外者に請負わせたもので、これをOCRで処理することとすればこの役務費等約四千八百八十万円は節減できたと認められたものであります。  上記に関し当局の見解をただしましたところ、日本電信電話株式会社では、OCRの運用の効率化に関する指示文書を発し、OCRの効率的な運用を図るよう体制を整備する処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十八年度決算検査報告に掲記しましたように、電話運用業務運営及び電話中継所における多重変換装置の設置についてそれぞれ意見を表示し又は処置を要求しましたが、これらに対する日本電信電話公社処置状況についても掲記いたしました。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    衆議院決算委員会における昭和五十九年度の事業概要に関する説明                                  日本電信電話公社  昭和五十九年度の電信電話事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和五十九年度の公社事業につきましては、引き続き電気通信サービスの拡充・改良に努めるとともに事業運営効率化に努めた結果、おおむね所期の成果を収めることができました。  昭和五十九年度の収支は、お客様の電話利用の増加に支えられたほか、増収施策の推進業務見直し等による経費効率的使用、借入れの抑制等により、財務体質改善に努め引き続き黒字決算となりました。  すなわち、総収益が四兆七千五百六十一億六千六十六万円余となったのに対しまして、総費用は四兆四千二百八十五億二千百二十四万円余となり、その結果三千二百七十六億三千九百四十二万円余の当期利益金を計上することができました。利益金についてはサービスの一層の改善に必要な投資の財源に充当しました。  また、こうした財務状況を基盤として、昭和五十九年七月から中距離通話料等の値下げを実施しました。  以下、昭和五十九年度の決算の内容につきまして御説明申し上げます。  損益勘定収入におきましては、予算額四兆五千三百二十四億七千九百万円に対しまして、収入済額は四兆六千七百三十四億七千六百七万円余となり、一千四百九億九千七百七万円余予算額を上回りました。  その内訳は、電話収入で一千百九十五億一千五百四万円余の増、専用収入等で二百十四億八千二百三万円余の増となっております。  支出におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則の規定による経費の増額を加えた予算現額四兆五千六百四十八億八千七十八万円余に対しまして、支出済額は四兆五千九十七億三千二百三十六万円余となっております。  また、建設勘定支出及び債務償還等財源に充てるため、電信電話債券及び借入金により四千七百九十二億一千五百七万円余、設備料として一千六百三十二億六千六百九十万円余の受入れを行い、一方債券及び借入金等につきまして六千三百七十一億一千八百九十三万円余の償還を行いました。  なお、国の財政再建に協力するため、「昭和五十九年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置等に関する法律」に基づき、二千億円を支出しました。  次に、昭和五十九年度の主な建設工程としましては、一般加入電話の増設約百十九万加入公衆電話は七万個の工程をそれぞれ実施いたしました。  最後に、昭和五十九年度決算報告指摘を受けました事項について申し上げます。  是正改善処置を要求されました委託公衆電話の設置及び管理につきましては、指摘の趣旨を踏まえ、個別管理を徹底し、収益性についても十分配慮した効率的な設置・運営を行うとともに低利用となっているものに対しては、その削除を図るなど、公衆電話事業の収益の向上を図るべく努力しているところであります。  以上、簡単でありますが、概略御説明申し上げました。     ─────────────
  6. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷津義男君。
  7. 谷津義男

    ○谷津委員 本日は、委員長初め委員の皆様方に、発言の機会をいただきましたことに感謝申し上げる次第でございます。  順次質問を申し上げますので、明快な答弁を期待するものでございます。  まず、大臣にお尋ねするわけでございますけれども、政府の税制調査会の答申が本日行われる予定になっておりますが、その内容につきましては、既に二十三日の前広においてはっきりしているところでございます。それによりますと、少額の貯蓄非課税制度の廃止の方向で答申が出されるというふうに私どもは承知しているわけでございます。  それで、この問題につきましては長い間の歴史があるわけでありますけれども、五十九年の五役調停等によりまして、ことしの一月より非常に管理面も厳正にいたしまして、今非常に努力をしている最中であります。そういう努力の最中に、このような政府税調の答申ということになりますものですから、私もこれを守るという立場で何とかこれを残していきたいという考えを持っている一人であります。この答申が出る前にお聞きするのは失礼かと思いますけれども、大臣はこの問題に対してどのように対処をしていくつもりか、まずお伺いをしたいと思うのであります。
  8. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 ただいま谷津先生から、少額貯蓄につきまして大体我々の考えている方向で御支援の話をしていただき、また今進めております限度管理問題にもいろいろ御理解をいただいておりまして、大変ありがたいと思っている次第でございます。  少額貯蓄の利子課税の問題は、結局、貯蓄優遇の歴史的使命が終わったかどうか、また言いかえると、貯蓄というものは昔ほど重要でなくなったのか、今後とも重要なのか、こういう問題に帰着すると思いますけれども、我々は、まだ我が国は、社会資本は大分整備されたといっても、御承知のように下水道あるいは都市公園、道路の普及率、欧米主要国に大分劣っておりまして、まだまだそういうものを充実していかなければならない。また、国民一人一人にとりましては、長寿社会になりまして、長寿社会になれば公助、互助、自助と三助が必要なわけでございますが、やはり預貯金というものは、これは互助ではあるが、内助による老後に対する備えでございます。これは、内助による貯蓄というものの重要性は、今後ますます増大をしていくわけでございます。  そういう意味もあってか、いろいろ世論調査をいたしますと、七割以上の国民の皆さんが、今の制度の存続を希望しておられる。また郵政審議会の答申でも、利子非課税制度は断固堅持すべきであるという御答申もいただいております。したがいまして、郵政大臣といたしましては、この利子非課税制度の存続に今後とも努めて、国民の皆様の御期待にこたえてまいりたい、このように考えているわけです。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  9. 谷津義男

    ○谷津委員 今大臣の方の話でございますが、実は今お話がありましたように、地方議会におきましてもほとんど九七%ぐらいですかの人たちがこの意見書を提出し、しかもこれは存続すべし、廃止反対ということであります。今お話の中にもありました国民の七〇%以上の人たちがやはり存続ということです。審議会においてもしかりということになってまいりますと、世論を挙げてこれは残すべきだという方向に動いていると私は判断をしているわけであります。  そういう中で、政府税調の本日の多分そういう答申になるだろうと思うのでありますが、そうなってまいりますと大臣は、国民のそういった輿望を担ってこれに対応する義務と言っては失礼ですけれども、そういったものがあるのではなかろうかという思いであります。  そうなってまいりますと、大臣は、今お話の中でもありましたけれども、今後この問題は非常に沸騰してまいりますし、あるいはまた議論も分かれるところもあろうかと思いますけれども、担当大臣としてこれを断固貫いていく覚悟があるのかどうか、その辺のところをしっかりと聞いておきたいと思うのです。我々応援隊としてもそれによって対応は考えなければなりませんものですから、大臣のその決意のほどをお聞きしておきたいわけであります。
  10. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 税制調査会は総理の諮問機関でありまして、その答申は、郵政大臣も内閣の一員でありますからもちろん尊重はいたします。また、郵政審議会は郵政大臣の諮問機関でありますから、その答申は郵政大臣として最大限これは尊重していかなければならないと考えております。  私の考えは先ほど御答弁申し上げましたとおりでございまして、私のところにも非常に数多くの老人クラブとか個々のいろいろな団体や国民の皆様からも非常に陳情をいただいております。確かに先生おっしゃるように、地方議会も九七・七%が利子非課税制度存続の決議をしていただきました。こういう国民の皆様の声をしかと受けとめて、私は微力ではありますが、最大限努力をさせていただくつもりであります。
  11. 谷津義男

    ○谷津委員 そこで、ちょっと各論に入るわけでありますけれども、この少額貯金の非課税制度は、マル優の関係で民間の金融機関の制度とも絡まって今問題になっているわけであります。この非課税廃止に対する大臣の決意のほどは、これは断固守るという方向のお気持ちは今わかったわけでありますが、問題は、民間との共同歩調でこれをやっていくかどうかということになろうかと思うわけであります。  しかし、この歴史的な背景を考えてみますと、民間の金融機関、農協等とのあれからいいますと大分違うわけですね。そういう背景を考えてみますと、共同歩調をとるのがいいのか、あるいは全く独自に郵政省は動いた方がいいのか、その辺のところがいろいろとこれから議論になってくるだろうと思うのでありますけれども、この辺につきまして大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、よろしくお願いしたいと思います。
  12. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、マル優制度と郵便貯金制度の歴史的な経緯というのは確かに差異があるわけでございますけれども、先ほど大臣がお答えいたしましたように、これからの長寿社会を迎えまして、国民生活の安定であるとかあるいは社会資本の充実を期さなくてはならない現下の情勢にかんがみますと、やはり貯蓄の重要性あるいは少額貯蓄非課税制度の意義というものは、いささかも減ずることはないというふうに考えております。したがいまして、郵政省としましても、郵便貯金の利子非課税制度はもちろんでございますけれども、少額貯蓄非課税制度全般につきまして、この制度は維持していくべきであるというふうに考えております。
  13. 谷津義男

    ○谷津委員 もう一度局長にお伺いしますが、民間には民間の金融機関の考え方も少しあるようでございまして、もしこれが実施された場合の研究等も既に始めているやに私ども耳にしているわけですね。  そこで、私どもの考え方からいいますと、郵政省の方ではこれは何といっても維持していきたいという動き方に対して、民間の方は多少なりとも次の段階も考えた対応で動いているということになりますと、一緒にやっていくというのはなかなか難しくなってくる事態が起こってくるのではなかろうかというふうな危惧を持つわけなんですね。そういう面で、このマル優制度そのものにつきましては何とか残そうということで今の段階では共同歩調をとっておっても、これからだんだんと煮詰まってまいりますとそうもいかなくなってくる場合が起こると私は判断をしておるのですけれども、局長はその辺のところはどういうふうに考えておりますか。
  14. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 いろいろの見方がマスコミ等の中でも言われておりますけれども、私どもとしましては、先ほどもお答えいたしましたように、この少額貯蓄非課税制度の持つ意義を考え、なおかつ全銀協等の会長さんあたりの談話等を聞きまして、今後ともこの少額貯蓄非課税制度を一緒になって守っていくべきだというふうに考えておる次第でございます。
  15. 谷津義男

    ○谷津委員 次に移らせていただきます。  新聞社の調査によりますと、五十九年度の十二月の調査というふうに私ども資料で見たわけでありますが、少額貯蓄非課税制度が廃止されるということになりますと、他の有利な運用に回したいというふうな希望が四七%もあるんだというような数字を見たことがあるわけであります。実際にこれで廃止が現実ということになりますと、この調査結果を事実というふうに見ますと、貯金の低下が今でも起こっているのに、今まで以上の速度で動くのではなかろうかというふうに感じるわけであります。  そうなってまいりますと、現在ではそう大した問題にはならぬかと思いますが、資金運用部の原資が不足を来す危険が出てくるというふうに思うわけであります。そうなってまいりますと、財投に大きな影響が出てくるのではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。  この財投につきましては、私ども地方の議会にいた者にとりましても非常に魅力のあるものでありまして、今日の日本の発展を支えてきた一つであるというふうに私は確信を持っているわけであります。今内需拡大ということでいろいろと施策が打たれているわけでありますが、こういった問題に対しましても大きな打撃を与えかねない結果になりやしないかというふうに思うわけでありますけれども、この辺の見通しについてはどのようにお考えでございますか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  16. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、特に郵便貯金の資金は全国から集められまして、これが資金運用部に全額預託をされておりまして、財投の主要な原資になっております。したがいまして、仮にも少額貯蓄非課税制度が廃止された場合には、先ほど先生のおっしゃいましたように、この世論調査等を見ましても、他の有利な貯蓄に移しかえたいというような希望が約半数ばかりございますし、また、金融商品の中にも、いわゆる節税商品と称されるたくさんの種類のものが現在発売されておりまして、そういった状況を考えますと、やはり大きな資金シフトが起こるんじゃないかというふうに懸念をしております。特に郵便貯金は御承知のように全額非課税貯金でございまして、非課税貯金しか扱っていない郵便貯金については、大きな影響を受けるものというふうに私どもも心配をしているところでございます。
  17. 谷津義男

    ○谷津委員 局長にお尋ねしますが、財投資金になるということは、郵便貯金をする国民にとってかなりの誇りを持ったものになっているというふうに思いますし、人によってはそういうふうに回されているということを知らない方もありますけれども、そういうことを言いながら貯金を募集しているという傾向も非常に強いのですね。これは郵便局職員の方あるいは特定局の局長さん方、いろいろ夜遅くまで努力する、場合によっては、休みの日でも出てこいということになれば出ていくという中で、非常に努力しているわけです。そういう方たちの誇りが、場合によってはこれによって崩れる危険があるというふうに私は思うのです。それだけに、この非課税廃止というのは何といっても阻止していかなければなりません。  もう一つ大事なことは、そうした誇りを持ちながらいろいろな仕事をなされる、あるいは誇りを持って預金をすることによって、国家財政の中に自分は参画しているんだというふうな気持ちを持つ、これは任意の考え方ではありますけれども、そういうところにあると思う。そうなってまいりましてもし影響が出てくるということになりますと、これからいろいろな面で大きな崩れが心配されるわけですね。これは先ほどの大臣のお答えと同じようなことになるわけですが、非常に抽象的な聞き方になりますけれども、これはそういった打撃を阻止するためにもしっかりとやっていかなければならぬということになるわけであります。  財投に対する影響が大になるということになれば、当然のこととして、大蔵省との折衝の中においてもそれを強く主張されているものと思いますが、その辺のところについて、これからもっともっと私どもとしましても、そういう点を前面に打ち出しながらこの点は立ち向かっていかなければならないというふうに考えるわけです。局長は今までどういうふうに大蔵省との折衝をやられてきているのか、その辺のところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  18. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 非課税制度の堅持の問題につきましては、政府税調に郵政省の考え方をはっきり表明してございまして、その中でも、先生御指摘の、とりわけ郵便貯金資金が社会資本の充実のために使われている意義を十分に強調いたしまして、今後とも非課税制度を堅持すべきであるということを明確に表明しているところでございます。
  19. 谷津義男

    ○谷津委員 次に、郵便貯金運用制度のことについてちょっとお聞きしたいと思うわけです。  私はいつも思うのでありますけれども、銀行その他の金融機関では、自分で募集した預金はまた自分でいろいろな面で貸し出しをするということで、非常に有利な展開をしている面があるわけでございます。ところが、郵便貯金につきましては募集をするだけで、郵便局、いわゆる郵政省としてはそういった面で運用ができない制度に現在なっているわけですね。そういうことがありますけれどもこれから金融の自由化等を踏まえますとそういったことも言っていられないというような状況になっておりますものですから、六十二年度の予算でも三兆五千億ほどのそういった一部の運用がえということを希望しているようであります。非常に当を得たことでありますけれども、この問題につきましてちょっとお聞きをしてみたいと思うのです。  まず第一点として私がお聞きしたいのは、まず貯金局長に聞きたいと思うのですが、全く自主運用ができないでいるわけですね。そういう中で募集だけ一方的に長い間ずっとやってきまして、それが先ほど言いました運用部資金の原資になるということで、使う方はどちらかというと大蔵省ということになるわけですね。一方通行の傾向できたわけです。そういう面について、先ほどと同じような質問にはなりますけれども、募金を一方で督励をしまして頑張れときまして、それだけの資金を持ちましてなおかつそれが自分のところで運用できないということについて、どんなふうに今まで考えておられたか、その辺のところをまず局長に聞いておきたいと思うのです。
  20. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 郵便貯金事業も、独立採算を建前として独立の経営主体が自分の経営責任を全うするという立場からいたしますと、やはり資金調達面とあわせて資金の運用を自分の責任で行うことによって、よりよい商品を預金者に還元するということが本来の姿であろうと思います。しかし、郵便貯金の長い歴史から申しまして、国家的な資金の性格が強いものですから、従来は資金運用部に全額を預託をしていたという状況にございますが、先生御指摘のように、これから金融自由化が進展してまいりますと、それに郵便貯金事業も的確に対応するための制度改善が我々はぜひ必要であるというふうに考えております。
  21. 谷津義男

    ○谷津委員 大臣にお尋ねいたします。  今局長の方からもそういう話があったわけでありますけれども、特に六十二年度からそういった希望を強くお持ちのようでございますし、またその折衝に当たっているところだというふうに漏れ承っております。そういう中で運用部資金の制度を改めて、先ほども申し上げましたように三兆五千億ほど、郵便貯金の一部を運用がえしたいという考え方で今大蔵省との折衝中だというふうに聞いておるわけでありますけれども、現在どのような進展を見ておるのか、その辺のところを大臣にお聞きしたい。じゃ、局長の方から…。
  22. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 既に大口を中心にしまして急速に金融の自由化が進んでいるわけでありますが、特に金利の自由化を中心にして進んできているわけでありますけれども、政府におきましても、六十二年の春までに大口の金利規制の緩和ないし撤廃を実現し、引き続いて小口の金利の自由化に逐次取り組んでいくという方針が決められているわけでございます。  したがいまして、そういった金融の自由化、とりわけ金利の自由化に的確に対応するためには、商品面における金利の自由化を支えるためには、どうしても資金の運用面における自由化といいますか、市場金利が反映できるような仕組みをつくらないと、競争が激しくなってまいりますこれからの金融自由化の時代になかなか対応できないというふうに私ども考えておりまして、そういう意味で、今日の全額預託の制度を、もちろん資金の性格からいいまして財投に支障を及ぼすようなことがあってはならないというふうに考えておりますので、そういった面を考慮しながら、財投計画に支障を及ぼさない範囲で一部でも有利に運用ができる制度改善を図るべきだというようなことで、この三兆五千億を公共債を中心にして直接運用できる道を要求いたしているところでございます。八月末に予算要求をいたしまして、現在まだ大蔵との間では事務的に鋭意折衝している段階でございます。
  23. 谷津義男

    ○谷津委員 そこで、もう一つお聞きしたいのですが、実はこういったわけで政府税調からもいろいろな面で厳しい——私どもから見ると厳しい、大臣側から見ても厳しいということになるのでしょうが、非課税廃止の方向というものが打ち出されてまいる。また、一方においては貯金もふやしていかなければならぬというような状況にある。そういう中で、また新しい一つの考え方としまして、シルバープラン貯金の創設ということもお考えになっているようであります。  これは局長にお聞きするのですけれども、一方においては今の三百万の問題も非常に大きな問題になって、これからいろいろな面で解決をしていかなければならない時期に、一方、今度はシルバープラン貯金の創設もしたいということで予算要求もしておるようでありますけれども、そういうふうなものを考えた場合に、私は、このシルバープラン貯金の見通しが非常に厳しくなってくるのではなかろうかという心配もするのですが、その辺のところは局長はどんなふうな見通しを持っておられますか。
  24. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 日本におきます高齢化の急速な進展というのは、欧米の諸国に類を見ないような形で進展をいたしておりまして、いずれ世界で最長寿国になることは間違いがないわけであります。こういう長寿社会を迎えるに当たりまして、政府におきましても、ことしの六月六日に長寿社会対策大綱というものをつくりまして、急速に進んでまいります高齢化にいかに対応していくか、国民一人一人が本当に豊かに老後を暮らせるために、今日の財政の状況を見ましても公的な援助にはどうしても限界がございますし、やはり老後の生活の不安を除くための自助努力による手段というものは長寿社会対策大綱の中にもうたわれているところでございます。  そういった情勢を考えますと、やはり一人一人が豊かな老後を暮らせるために自助努力によって安心して暮らせるような金融資産を持つ、貯蓄をしておくということが大切であろうということで、私ども、一千万の別枠非課税によるシルバープランの構想をぜひ推進したいということで要求をいたしているところでございます。
  25. 谷津義男

    ○谷津委員 その哲学は私どもでもよくわかるのですね。ただ問題は、今三百万のものでも非課税廃止という方向の政府税調の答申が出てきている。そういう中で今度は一千万の別枠で非課税だというのを出そうとしておるわけでしょう。これは、今の政府税調の思想からいけば、全く違う方向のものを出そうとしているわけですね。その辺をどうなんだと今私は聞いているのですよ。大臣に聞いた方がいいですか、局長、その辺の見通しは。哲学はよくわかりますよ、考え方は。しかし、そういう時期だけにちょっとお聞きしたい。
  26. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 大変厳しい事情があるというお話でございますが、哲学として国民の皆さんに大いに理解もされ、御支援もいただければ、必ず道が開けてくるんではないかというふうに私は考えておりますので、一生懸命努力いたしたいと思います。
  27. 谷津義男

    ○谷津委員 全くおっしゃるとおりなんで、私どもとしましても、こういうものはやはり百年の計のためにもやっていかなければならない。特にこれからの老齢化社会を迎えるに当たりましては絶対に必要だというふうに強く思って、そういうことを意識している一人なんです。ですから、それだけにこの辺のところはよく聞いておいて、これから我々も一緒になって頑張っていかなければならないというつもりでいるわけでございますので、ひとつこの辺を頑張っていただきたいことをお願いするわけであります。  次に、国債等の窓口業務、いわゆる窓口販売についてお聞きしたいと思うのです。  これは昭和二十六年までは郵便局で取り扱っていたというふうに私は承知をしているわけでありますけれども、今金融機関で国債を扱っていないのは、どうも郵便局だけらしいというふうに思うのですが、多分郵便局だけだと思うのです。そういうようなことで、郵便局の国債販売について、特に郵便局の場合は、都心もそうでありますけれども、地方に行きますと地域の人たちとの密着度というのが非常に高くなってくるわけですね。それだけに、地域住民の意識を高揚させる面におきましても、郵便局において国債の販売をやったらどうかなというふうに思うわけであります。そして、個人保有を拡大することによって国への参画ということも非常に必要ではなかろうかというふうに考えているわけでありますが、この国債の窓口再開についてはどのように大臣はお考えになっておられますか。
  28. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 今先生おっしゃるように、二十六年までは郵便局でも国債の窓販をいたしておりました。今後も毎年二十兆円を超す大量の国債発行が予想される中で、国債の安定消化に資するものでもあるし、国民が待望しておる時宜にかなった施策であって、ぜひ郵便局の国債窓販は再開を今大蔵省に強く申し上げておるのですが、実は特例債を発行したとき私は大蔵政務次官でありまして、そのときは、国債というものは、機関投資家に持ってもらうよりは、広く国民に持っていただいた方が安定消化のためになりますし、かたがた国民に財政に関心を持っていただくわけでございますから、そうしようということを考えておったわけでございますが、現在まで郵便局は扱っておらない。一日も早くやはり郵便局でも国債販売ができるように努力をいたしたいと思っております。  それから、先ほど資金運用とか、またシルバープラン貯金についていろいろお話がございまして、あれもこれもやるのは欲張りじゃないか、やるのは結構だけどというお話でありましたが、郵政省というのは貯金、簡保あるいはまた郵便事業を通じて国民にサービスする役所だと私は思っております。二万三千郵便局がありまして、そのうち一万九千特定郵便局で、町村で局長さんというと、大体郵便局長のことを言うわけでございます。それだけ地域で密着し、親しまれた郵便局を通じて国民の皆様にサービスすることが大事であるということで、そうしますと、今我々が大蔵省に要求をし、主張しておりますことは、すべて国民の皆様へのサービスのプラスになることばかりでございますので、全力を挙げてこの辺の実現に努力いたしたいと思いますので、どうぞ御支援のほどをお願いする次第であります。
  29. 谷津義男

    ○谷津委員 今大臣、私の考え方は、シルバープランは欲張りだということで言ったわけではないので、実はこういうふうにお聞きをしたのですよ。  三百万の今の非課税の問題、この三百万の枠ですら非課税を廃止しようというふうな動きが政府税調の中である。そこへもってきて、また一千万の別枠で非課税だというふうに出した場合に、この問題はどういうふうになっていくのか、議論をもう一つ別な面で沸騰させるような感じがするものですから、まず三百万をかち取って、それから後にこれを出していく方がいいんだろうと思うのですけれども、たまたま予算要求の時期とぶつかってこういうふうになってきちゃったものですから、いろいろな面で難しさが出てきやしないかということを聞いたわけなんです。ですから、その辺のところを大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  30. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 ちょっと私の発言が舌足らずでございまして、申しわけありません。確かに先生の真意は、客観情勢が大変厳しいときにいろいろのものを出して、むしろあちらこちらで議論が沸騰してもなんだし、また焦点ぼけがしてもいけないということをいろいろ御心配をいただいたと思っております。  おっしゃるとおりでございまして、我々も情勢の厳しいことは重々認識をいたしておりますが、先ほど申しましたように、国民の皆様にできるだけサービスをしたいということで、どの項目も一生懸命やらしていただきたいと思っております。
  31. 谷津義男

    ○谷津委員 どうもありがとうございました。頑張ってください。  次に、ちょっと人事管理について、人事部長さん御出席だと思いますので、お聞かせ願いたいのです。  今議論をしてまいりました郵便貯金にいたしましても、あるいは簡保等いろいろなそういったものにつきましても、郵便局職員の皆さん方は大変な苦労をしているのを、直接私も見聞きしているわけであります。時によっては夜遅く出てこいということもありますし、場合によっては日曜日に出てこい、あるいは土曜日の午後出てこい、これは共稼ぎの家庭なんかにおいてはそういう論理もあります。また、御主人がいろんな面で実権を握っている、と言っては言い方がおかしいかもしれませんが、そういう家庭では、御主人が来てから来てくださいということになりますと、時間外ということで活動しなければならないのは御案内のとおりであろうと思います。  そこで、いろいろ議論の結果、二時間ほど前後にスライドするというふうなことで話がつきまして、今そういうのが実施されているわけでありますが、郵政省としましては、労働管理のその辺の問題についてはどういうふうにお考えになっているのか、その辺のところをまずもってちょっとお聞きしておきたいと思います。
  32. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 貯金事業にも大変関心の深い問題でございますので、私からお答えさせていただきますが、労働条件の最たるものは、何といっても職員の労働時間、勤務時間と給与でございまして、労働時間につきましては、関係の組合と十分話し合いをしまして、職員の事情も検討すると同時に、またサービス事業であります郵便、貯金、保険の事業がお客様の要望にこたえられるように労働時間を設定してございます。  そういう意味からいきますと、先生御指摘のように、最近の御婦人の就業状況といいますか、あるいは共稼ぎの状況がだんだんふえてくる、あるいは週休二日で土曜、日曜の休みの方も御家庭もふえてくる。そういう中で郵政事業サービスのあり方がどうなくてはならないかということは、私ども関係の労働組合と常に改善方の話し合いをしているところでございまして、勤務時間も固定的に考えるのではなくして、できるだけ弾力運用ができるように考えているところでございます。  ただ、勤務時間だけの対応ではなくして、例えば集金の問題等につきましても、自動振り込みといいますか、保険料の集金につきましても、郵便貯金を御利用していただいているお客様から自動的に毎月引き落としができるような制度もございますし、あるいは御家庭に訪問ができない場合には職場の方に伺ってサービスをさせていただくとか、そういった労働時間の弾力的運用とあわせてお客様の御要望にこたえられるようなサービスを考えるというようなことで対処させていただいておる次第でございます。
  33. 谷津義男

    ○谷津委員 今の話はよくわかるのですけれども、私ども現実に自分の家の近くでいろいろ一生懸命やっている職員を見ますと、はっきり申し上げまして、まじめにやる人ほど時間外になる可能性が強くなるわけですね。極端な言い方をしますと、日曜日に来いということで行く、そうなりますと、公金を日曜日に預かるという場合もなきにしもあらずということになるわけであります。そうなってきますと、一生懸命やる職員は、またこれから銀行とか他の金融機関との競合がますます激しくなってまいりますと、こういった面についても相当の対応を考えていかないと、預金獲得といいますか、あるいは簡保の方の獲得といいますか、そういった面が厳しくなってくるだろうというふうに考えます。  そうした時代の趨勢に合うといいますか、そういった対応を役所は役所なりに考えていかないといけない。と申しますのは、やはり営業が大事だろうというふうに私は考えるわけです。そういった面で、今までいろいろな面で苦慮なされ、それなりの対応はやってきましたけれども、これからのことを考えていくと、今のようなことだけで、例えば職場に行くよといったって、職場でほかの人が来て長い間話をしているというのは、その職場だっていい感じがするわけではありません。そういうことを考えると、今までの対応だけではだめだと私は考えるのです。これは抜本的に考えを改めていかなければできないのじゃなかろうかというふうに考えておるのですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
  34. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、郵政事業は本当に国民の皆様に等しくサービスをさせていただくというところに存在意義があるわけでございまして、世の中の変化あるいはお客様のニーズの多様化にうまく調和するためには、労働組合との間にも十分意思疎通を図りまして、関係労働組合の御協力を得ながら、適切な労働時間の設定ができるように今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  35. 谷津義男

    ○谷津委員 これだけはぜひお願いしたいと思うのです。  最後に、時間がなくなりましたものですから、大臣にちょっとお聞きしたいのですが、また話を戻して恐縮なのですけれども、きょうは政府税調の正式な答申の日です。先ほど決意のほども承ったわけでありますけれども、これからいよいよこの攻防の山を迎えるところになるわけでありますけれども、この点につきまして、政府税調の答申の中においてもいろいろと指摘をされている面もあるわけであります。しかし、そういう中で例えば弱者対策は残すのだとか何かいろいろやっておりますけれども、今度のこの非課税の廃止問題云々というのにつきましては、国家百年の一つの流れをやっていかなければならない大事な判断のときだろうと私は思うのです。  いろいろな意見の中には、むしろこれは廃止した方がよいという考え方をお持ちの方もおります。しかし、今日まで日本の経済を支えてきたもとは、こういった貯金にあることは間違いありません。しかも、そういう中で郵貯の占めてきた割合というものは、非常に高いものがあるわけであります。そういうことを考え合わせますれば、どうしてもこれだけは残していきたい、また残さなければならないという考え方でおるものでありまして、それは大臣と私は一致しているわけでありますけれども、これから最後の詰めに入るに当たりまして、大臣はどういう決意を持ってこれから当たっていくのか、その辺のところをお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  36. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 郵便貯金のあり方について本当にいろいろ御心配をいただいて、ありがたいと思っております。これは事郵政省だけではなくて、日本国の国家百年の計にもつながる大事な問題だと思っております。  私も最近ちょっと懸念いたしておりますのは、郵便貯金が伸び悩んでおって、特に受け入れと払い出しの純増ベースでございますが、九月は純減になっており、十月も数字は余りはかばかしくございません。もしもこういう傾向が続きますと、財政投融資にも大きな影響を来すわけでございます。確かに日本の経済を支えてきたのは貯蓄であり、その中で郵便貯金が果たした役割は非常に大きいわけでございます。  別に冗談というわけじゃないのですが、私が郵政大臣のときに郵便貯金にもしものことがあってこれが減になるようなことになったら、前島密先輩に合わす顔がないと私は申しておるのですが、実際問題、貯蓄というものは健全な増加を続けていって、産業の活性化と資本の充実に努めていかなければなりませんので、私も微力ではございますが、あらん限りの力を尽くして皆様にお願いをし、また主張すべきときは主張いたしまして、非課税制度の存続に努めてまいりたいと考えております。
  37. 谷津義男

    ○谷津委員 頑張ってください。どうもありがとうございました。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 堀之内久男

    堀之内委員長 新村勝雄君。
  39. 新村勝雄

    ○新村委員 まず先に、会計検査院検査の結果の報告がございますので、その中の幾つかについてお伺いをいたしたいと思います。  五十八年度決算郵政省についての検査概要の中に、検査報告番号六四号から一〇二号までの三十九件は職員不正行為による損害である、こういう報告がございます。さらに、五十九年度の郵政省検査の中にも、やはり職員の不正による損害が二十六件ある、こう報告されておるわけであります。  郵政省のおやりになっておる仕事の性質上、この絶無を期することはなかなか難しいことではあろうと思いますが、今までこういう同じような指摘が毎年あるわけでありまして、毎年相当の件数、しかも必ずしも減ってはいないというような事実があるわけでありますけれども、これについてお考えを伺いたいと思います。
  40. 山口武雄

    ○山口(武)政府委員 ただいま御指摘ございましたとおり、五十八年、それから五十九年の決算検査報告に、郵政省職員不正行為が掲記されておる次第でございます。  件数等につきましては、五十八年度三十九件、三億五千万円、それから五十九年度二十六件、二億八千万円に上っておる次第でございます。  内容的には、外務員が窓口で詐取した、あるいは郵便貯金あるいは簡易保険の窓口におきまして職員による不正行為があったということでございまして、これの対応につきましては、私どもも総力を挙げて対応しておるところでございますけれども、現実にこういう不正行為が出ておるということにつきましては、まことに申しわけないと存じておる次第でございます。今後ともいろいろな対応策を講じてまいりたいと考えております。
  41. 新村勝雄

    ○新村委員 性質上、日常金銭を取り扱う仕事でありますから御苦労もよくわかるわけでありますけれども、こういったことによって職員みずからを傷つけていくということにもなりますし、また、行政に対する国民の不信を招く結果にもなりますので、一人一人の心構えはもちろん必要でありますけれども、ぜひこれは体制的な何らかの処置をひとつ行っていただいて、できる限りこういうことのないようにお願いをいたしたいと思います。  それで、五十八年については二十六件は全額補てん済みとなっておりますが、五十八年については全部は決着していないような表現でありまして、二十六件については補てんされておる、残りは補てんされていないということの表現でありますけれども、これはどうであるのか。
  42. 山口武雄

    ○山口(武)政府委員 不正行為によります損害の補てんの状況でございますが、仰せのとおり、五十九年度につきましてもなお未補てんのものがございます。  これにつきましては、いろいろ債務者側の事情等もございますが、国損を最小限度にとどめるという考え方のもとに、引き続き補てんに努めておる次第でございます。
  43. 新村勝雄

    ○新村委員 この場合に、その行為者に対してはどういう処置がとられるわけですか。
  44. 山口武雄

    ○山口(武)政府委員 部内職員不正行為がありました場合には、犯罪の発生後速やかに郵政監察局が対応しておる次第でございますが、犯罪の態様等調べました上で、捜査の上で郵政局、それから本省の方へ報告をいたし、その上で行為者に対しましてはまず例外なく懲戒免職という身分上の措置を講じております。
  45. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、行政罰になりますね。刑事罰までは及ばない、こういうことですか。
  46. 山口武雄

    ○山口(武)政府委員 これはおおむね横領とかそういった罪名に当たる事案でございますので、郵政監察、これは司法警察権を有しておりますから、そこで取り調べをした上で検察庁へ送致する等、司法上の措置も当然講じられておる次第でございます。
  47. 新村勝雄

    ○新村委員 そこで、こういうことのないように、ぜひ制度的、体制的な対応の策をひとつお願いしたいわけでありますけれども、大臣の御決意を伺います。
  48. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 職員による不正行為は郵政事業全般の信用を著しく失墜させるものでございまして、本当に遺憾に考えております。  もちろん、こういう不正事犯がありましたときは、今お話しの事後処理も大事でございましょう。また、こういうことを二度と繰り返さないように、防犯意識の高揚と申しますか、そういうことも大事でございますが、今先生おっしゃいましたように、こういうことが起きないように内部の牽制措置を強化するということが非常に大事だと思いますので、そういう諸施策を今後とも進めさせていただきたいと考えております。
  49. 新村勝雄

    ○新村委員 それからもう一つ、やはり検査院の指摘事項がございまして、これは今の事案とは性質が違うわけでありますけれども、五十四年度から五十九年度の貸付事業について、事務的な手落ちというのですか、そのために八億三千九十九万余円の不当な貸し付けがあったという指摘があります。この指摘に続いて、こういうことが起こったのは、貸付規則等が整備されていなかった、それからまた、貸付時の審査及び貸付後の監査が十分でなかった、こういう指摘があるわけですね。そこで、この貸付規則等を整備し、貸付時の審査及び貸付後の監査が十分行われるように改めるべきだ、こういう指摘があるわけでありますけれども、この指摘については、その指摘どおりになされておりますか。
  50. 相良兼助

    ○相良政府委員 先生のお話のとおり、五十九年度におきまして、私どもの簡易保険、年金資金から地方公共団体に貸し付けをしております一部が過大貸し付けであるといったような会計検査院指摘を受けまして、それぞれ是正の措置をとるようにやってまいったわけでございます。  実際に地方公共団体に貸し付けに当たっておりますのは、地方を管轄しております郵政局でございますけれども、そこの郵政局の保険部の運用課を指導いたしまして、従来貸し付けあるいはその他の点につきまして貸付審査等の基準がやや具体的でございませんところがございましたので、それを明確にいたしまして、今年度から方針として各郵政局に指導を行ったところでございます。
  51. 新村勝雄

    ○新村委員 この事案は前の事案と違いまして、行政当局間の間違いでありますから、行政の専門家同士の中で行政の専門の分野の中での間違いですから、これは国民に対しても大変体裁の悪い話だと思います。貸し付けを受ける方も地方自治体、貸し付けをする方はお役人、両方ともお役人ですから、お役人同士の中でこういう問題が起こったことについてはぜひ厳しく反省をしていただいて、こういうことがないように、それから、検査院が指摘をされておるように規則あるいは体制に不備があるとすれば、それはぜひ万全の措置をとってこういうことのないようにお願いをいたしたいと思います。  NTTさんはいらっしゃいますか。——これは電電公社ですね。電電公社に対する検査院の指摘がございます。五十八年度の指摘の中に、残念ながらこれはやはり職員不正行為でありますが、その職員不正行為の内容というものが、出納役の公印を盗用して小切手を偽造した、こういうことなのですね。こういうことについては、その管理上不備な点があるのではないか。判こが盗まれたというようなことはちょっと体裁が悪いわけですね。こういうことについても管理上の問題がないのかあるのか、これをひとつ伺います。
  52. 草加英資

    ○草加参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、会計検査院における指摘等におきまして幾つかの問題点があるわけでございますが、私どもといたしましては、管理上の問題として十分に慎重に検討しながら今後改善していきたい、このように思っておる次第でございます。また、電電公社時代からNTT、日本電信電話株式会社に移りまして、法律体系その他すべて変わりましたので、さらに一層引き締めながら事態の改善を図っていきたい、このように考えているところでございます。
  53. 新村勝雄

    ○新村委員 公印が盗まれるなんということのないように、これからひとつ厳重に管理体制を強化をしていただきたいと思います。  それから次に、五十九年の電電公社に対する会計検査院指摘でありますが、この中に委託公衆電話設置及び管理についての指摘がありまして、利用状況が機種別損益分岐点を下回っているものが八割に達する。これは委託公衆電話ですね。それで本院で試算をすると、この部分で約四百五十三億円の支出超過になっているという指摘があります。NTTになったわけでありますけれども、こういう問題についてはこれからどういうふうに対処をされますか。
  54. 西脇達也

    ○西脇参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生のお話のございました委託公衆電話でございますが、私どもも公衆電話を一種と二種に分けてございまして、一種と申しますのは、社会、公共の利用に広く供せられるように、都市部の場合には大体五百メートル四方に一個、それから地方の場合におきましては大体一キロメートル四方に一個というような設置をいたしておりまして、これは二十四時間使えるようにいたしております。検査院の御指摘のございましたのは、この一種のようなものと違いまして第二種ということで、これはお客様方の御利用に便利なように、私どもとしましては収益の上がるように設置をしていく、こういうものでございます。  これにつきまして、管理等がよくないために非常に採算が合わない設置をし、管理をしておるではないか、こういう御指摘でございまして、私どもこれを受けまして、二千円以下の公衆電話、これは赤電話中心でございまして全国で約十三万五千ございますが、これにつきまして、設置されております受託者の方々に十分事情を御説明して、この撤去、それからほかの場所への移設、こういうものを進めてまいっております。
  55. 新村勝雄

    ○新村委員 以上で検査院の指摘事項は終わります。  次に、大臣にお伺いをいたしますが、郵政事業についての本題でございますけれども、郵政省は従来は郵便事業あるいは貯金事業というようなわけで、いわば現業省、現業官庁であったわけでありますけれども、これからのいわゆる情報化時代に即応して、情報産業あるいは情報企業の大きな分野を傘下におさめる一つの政策官庁とでも言うべき立場に変わられるわけであります。したがいまして、単なる現業官庁であった時代とは国政に対する影響も、あるいはまた経済界に対する影響も、あるいはまたある意味では国際的な責任というような点からも、比較にならない大きな責任をこれから負われるわけであります。そういう大転換の時代に対処をする大臣といたしまして、どういう基本的な方針なりお心構えであるか、それを伺います。
  56. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 私も郵政省へ来て痛感したのでございますが、郵政省は非常に古くて新しい役所である。昔から温故知新という言葉がありますが、最初の日本のネットワークは明治四年の郵便局、これが一番古いネットワークでございまして、先生お話しのように、郵政三事業を通じまして国民の日常生活、経済活動に非常に密接に結びついて、今も国民の皆様のいろいろなニーズにおこたえをして、いろいろ諸制度の改善を図っているところでございます。  一方、新しいと申しますのは、いよいよ二十一世紀に向かって高度情報社会を構築する、その際には電気通信というものは中核的な先導的な役割を果たさなければなりません。御承知のように、昨年の四月から電気通信分野には競争原理が導入されまして、まあまあ今日のところまで順調に来ておるわけでございますが、我々といたしましては、今後とも公正、有効な電気通信市場をつくり出すんだ、そのための環境整備をさしていただいて、さらに国民の皆様にできるだけ多種多様なニーズに対応した廉価、良質なサービスを提供できるように一生懸命努めてまいりたい。よく自由化、国際化ということが言われておりますが、これも電気通信分野に一番当てはまるわけでございまして、日進月歩でございますので、日々いろいろ検討さしていただいて、この重責を全うしてまいりたい、かように考えております。
  57. 新村勝雄

    ○新村委員 今おっしゃるように、NTTあるいはNHKその他影響下にあるあるいはまた指導監督の傘下にある企業なり分野というのは、これからますます大きくなるわけですね。ですから、そういう意味からいって、二十一世紀を展望する郵政省としては、恐らく現在の各官庁の中で一番影響力の強い、一番大きな責任を有する官庁になるのではないかと思います。したがいまして、それに伴って当然郵政省の責任が重くなる、あるいはまた同時に、経済界に対しあるいはある意味では政界に対する権力の集中ということも当然そこに起こってくると思うのですね。まあ絶大な権力を握って行政をなさるということになるわけでありますが、その場合に、極めて絶大なる権力を振るわれる場合、今までの郵政省とは違った哲学といいますか、政治哲学、官庁としての基本的な心構えあるいは機構、それから権力集中をどう民主的に運営していくかというような問題も当然起こってくるかと思いますけれども、そういった面について大臣はどうお考えですか。
  58. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 今電気通信分野での私の考えは申し上げた次第でございまして、これからは産業間のネットワーク化を進めていく、また地域のネットワーク化を進めていく、また技術もさらに進めなければなりませんし、国際化と申しますか、今一生懸命取り組んでいるのは国際放送でございますが、まさに自由化、国際化の典型的な分野であろうと考えております。そういうことで、時代に対応いたしまして、郵政省の組織も御承知のように数年来改組してまいりまして、新しい時代に対応できるような組織に変えてきたわけでございますが、今後とも各種の審議会の委員の先生の御意見を伺ったり、あるいは議員の先生方、委員会の先生方の御意見をよく拝聴をいたしまして、先生の懸念されるようなことのないように、また時代におくれることのないように、一生懸命努めてまいるつもりでございます。
  59. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、自民党中曽根内閣の一番大きな政策として、行革が行われているわけですね。行革というのは、もちろんこれは行政経費節減ということ、財政再建にも資するということでありましょうけれども、一面からいうと、今まで各官庁が持っていた現業的な部分をどんどん民間に移譲して、現業的なものは全部民間にして、行政当局は身軽になると同時に、それらの各分野における関係業界を指導監督する、そういう政策的な要素だけを握っていく。そして、ある意味では権力的な性格が強くなると思いますけれども、そういう傾向が行革には当然あるわけですね。そういう点から考えますと、郵政省さんは、これから現業部門をほかの例えば国鉄あるいはNTTさんのように切り捨てて、政策的な分だけを確保していこう、こういう方向になるのでしょうか。
  60. 成川富彦

    ○成川政府委員 郵政省は、これまで郵政三事業を一体的に経営するとともに、電気通信に関する行政事務を適切に執行することにより、国民のニーズ、時代の要請にこたえて、その使命を全うしてまいりました。  郵政事業は、郵便、貯金、保険、それぞれあまねく国民に普及するという、国民に密着したサービスを提供することを使命としておりまして、また、採算の合わない面におきましてもサービスを提供するという公共的な使命をあわせ持っているわけでございます。それと、三事業を一体的に運営することによって効率的にサービスが提供できるというシステムでございまして、私どもは国営形態が一番望ましいというふうに現在考えているところでございます。  したがいまして、事業と行政を車の両輪として一体的に遂行していくことが、国民の期待と信頼にこたえていく道かと考えておりまして、今後高度情報社会を迎えるわけでございますが、国民生活に密着した郵政事業と、それから電気通信行政を一体として運営していきたいというふうに考えているところでございます。
  61. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣にお伺いしますけれども、そういう行革という方針を貫徹をしていきますと、自然、現業部門は切り捨てていくという方向になると思いますけれども、郵政省はそういうお考えはない、郵政省として、これからいわゆる行革が郵政省の現在の所管事項の中に大幅に浸透してくることはないということですか、それとも、そういうこともあり得るということですか。
  62. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 今郵政省の考えは、官房長申し上げたとおりでございますが、やはり郵政事業というのは、全国二万三千ある郵便局を通じまして、辺地、離島あまねく国民に等しいサービスを提供する必要がございますので、大体臨調、行革審の先生も国営がいいのではないかとお考えになっているように我々は伺っておるわけでございます。  それから、先ほど先生が、政策官庁になれというお話でございます。まあそうならざるを得ない時代の趨勢でございますが、その際、郵政省一般会計というのはわずかに約二百五十億しかございません。それから人件費とかまたいろいろ分担金とか、そういうものを除きますと、政策経費は約八億程度しかございませんので、これでは、新しい時代に向かって郵政省が政策官庁として十分な機能を発揮できません。またいろいろそういう意味で御支援をいただかなければならないと思いますので、どうかよろしくお願いをする次第であります。
  63. 新村勝雄

    ○新村委員 中枢部分については少ないとおっしゃいますけれども、政策というのは頭脳ですから、頭脳集団ですから、そんなに金は要らないと思いますよ。そういう意味では、やはり今の中枢部分で十分政策的な機能を果たしていかれると思いますけれども、今いろいろ現場等で心配しておりますのは、現場が切り離されるのではないかという心配もあるわけですよ。ですから、そういった点については率直にこの方針を明らかにしていただくことがいいのじゃないかと思います。  それから、全逓信労働組合というのがありますね。大臣の部下が組織をしている全逓信労働組合というのがあります。この全逓さんが、単なる労働運動だけではなくて、今の置かれている郵政事業を大変深く認識をされて、最近ではいろいろと事業に対する提言等もされておるようです。ですから、労使というそのけじめははっきりしなければいけないと思いますけれども、全逓さんの今行っているそういう組合運動、あるいはある意味では郵政事業と取り組んでいる現在の実態、これを大臣は、全逓に対する評価としてどういうふうな御認識を持っていらっしゃいますか。
  64. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 技術革新の進展、社会経済環境の変化等に伴う民間との競争激化等、郵政三事業を取り巻く環境は大変厳しいわけでございます。この環境のもとで三事業が国民の皆様の期待と信頼にこたえるためには、時代の変化に的確に対応した良質なサービスを提供して、効率的な事業運営を目指していかなければなりません。そのため、職員が意欲と創造性を持って生き生きとして働ける明るい職場づくりが基本でございまして、職員が積極的に事業運営に参画し、業績の向上に努めるとともに、労使が事業に対する共通認識を深めて安定した労使関係を確立して、一体となって事業改善に努力していくことが肝要であろうと考えておるわけでございます。  私、その御提言の一つ一つの内容までは存じませんけれども、非常に高能率、高サービスで大いに郵政事業を前進させようというお考えは、我々は大いに評価するところでございます。
  65. 新村勝雄

    ○新村委員 経営参加とは決して申し上げませんけれども、それからまた、労使のけじめというものはやはりつけておくべきだと思いますが、労働組合の積極的な提案等については、ひとつ前向きに対応をお願いしたいと思います。  次に、郵便事業でありますが、これは郵便事業の一つなんですが、実はこういうことがあるのですよ。というのは、私の近所、千葉県柏市というところがございます。人口二十七万のところでありますが、ここで見ておりますと、戦後郵便局が五回建てられているわけです。これは郵政省さんに伺ったし、私も近所ですからずっと見ておりますけれども、二十六年にこれは木造で新築をしました。それから、三十三年に本建築で鉄筋でつくったわけです。ところが、あそこは人口急増ということもありますけれども、三十九年に増築をしております。それから、四十三年には全面改築をしていますね。それで、今回さらに五十九年九月に着工して、最近六十一年六月に、これももちろん立派な本建築が完成をしております。  そうしますと戦後五回、一回は増築でありますけれども、この増築を除いても四回。最初のものは木造でありますけれども、三十三年、四十三年は鉄筋の本建築でございます。しかも、四十三年には既にあの地帯の人口動態は急速な増加がほぼ終わったという段階です。こういう周囲の状況と、増築を除いて四回建築したということについて、実は私ども、それから住民もちょっと納得できない気持ちなんです。今国民の貯蓄を百兆ですか、お持ちになっているということもありまして、郵政省さんは金があるから随分気前がいいんだなというのが地方の人たちの世論なんですよ。もちろん、人口急増によって庁舎が狭くなったということはあるでしょうけれども、四十三年に新築をして、また五十九年というのはちょっと不見識といいますか、見通しがなさ過ぎると思うのです。これは柏だけを申し上げておりますけれども、千葉県内にほかにもそういうところがあるのです。例えば八千代、あそこは四、五回建っていますね。いずれも人口急増地帯であることはあるのですけれども、それにしてもちょっと不見識過ぎるという感じがするわけです。  ですから、これはそのときどういう判断であったのか、また現在どういう判断で庁舎等はつくっておられるか。郵便局の庁舎というのは、必ずしも市街地の真ん中でなくてもいいわけだと思います。素人だからわかりませんけれども、郊外でもいいと思うのですよ。一定の敷地をとって、将来そんなに長期の展望はなかなかできませんけれども、短中期的な見通しだけはお立てになって——これはまさに国費のむだ遣いだと思いますね。四回建てて、それを壊してそこへ建てるということですから、これはまさに国費のむだ遣いだと我々には思われるわけですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  66. 富田徹郎

    ○富田政府委員 柏の郵便局局舎の増築、それから移転、改築につきましては、先生御指摘のとおり、二十六年以来都合五回ほどやっていることは事実でございます。一般的に申し上げまして、郵便局の新築計画に当たりましては、地域の発展状況等を十分見ながら、おおむね十年後程度の郵便物量を想定いたしまして、それにふさわしい局舎を建設する計画で進めておるわけであります。  柏局の場合について見ますと、昭和二十六年当時、戦後間もないころでありましたので、木造で取り急ぎ新築したスペースが余りにも狭いために、三十三年あるいは四十三年というふうに増築、移転、改築に迫られたわけであります。四十三年以来、六十一年の七月に完成したわけですから、十八年ほどの間にまた改築の必要性がなぜあったかということでございますが、柏局区内の発展状況を見ますと、四十年から六十年までの二十年間で、指数で考えまして、人口は二五三という数値になっておりますが、郵便物数の方の増加は、四十年に比べまして六十年は四一〇というふうに、人口を上回る郵便物数の増加が出てまいっております。  そうしますと、郵便局舎は必ずしも市街の中心になくてもいいような面もありますけれども、貯金業務あるいは保険業務のことを考えますと、郵便局としての店舗性と申しますか、店舗としての郵便局のあり方も重要であり、なるべく市の中心部に近い方がその意味ではいいわけでありますから、そういうような観点で選んでまいりますと、郵便物が伸びますと郵便物を配送する郵便自動車の便でありますとか、そういうようなもので敷地の交通の便のよさというものも必要になってまいります。それで、ある程度の敷地の広さ、自動車の出入りができるような敷地の広さも必要になってまいる、そういうことで、実は柏のケースにつきましてはもう少し広いスペースがどうしても要るというような状況になりまして、十八年たってまた移転、改築に迫られてきたわけであります。  先生御指摘のとおり、そういうたびたびの移転、改築は問題があるということは確かにそうでありますが、その時点その時点で計画する場合、おおむね十年後を予想しつつ、予算の制約の中で一生懸命、目いっぱいの敷地、適地というものを探して建築に当たっておるわけでありまして、人口急増地帯におきましては、ややもすれば計画を上回る物量、人口増というのがございまして、そういう移転を迫られるというようなケースも間々あることは事実でございますが、今後ともそういう物増とか将来の計画にそごを来さないような観点で、慎重に局舎の建設に当たってまいりたいと考えております。
  67. 新村勝雄

    ○新村委員 これは柏を申し上げたのですけれども、全国的にそうだというふうに伺っております。ですから、場所の選定あるいはそこに建物をどうレイアウトするかあるいはまた設計をどうするか、狭くなった場合には増築をすれば、はるかにその方が経費が節約できるのです。全部取っ払ってやるというと、これは明らかに税金のむだ遣い。結局は国民の負担になるわけですから、むだ遣いになると思います。ですから、その点で特にこれからのことについて一言大臣のお考えを伺いたい。
  68. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 最初に移転、新築しましたのは大体七年、二回目が約十年、今回が約十八年、少しずつ長くもってはきておるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、今郵務局長から答弁をいたしましたし、また先生も仰せられましたように、都市圏のベッドタウンとして急激に人口が増加して業務量が非常に急激に増加して、それに対応するためにやったと思うわけでございます。いずれにいたしましても、国民の負担のむだ遣いはできるだけ慎まなければなりませんので、こういうふうに将来の変化が予想されるようなところにつきましては、今後とも十分見通しを立てますときに慎重にやらせていただくように、今御注意がありましたので今後そのように取り組まさせていただきたいと考えております。
  69. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひお願いします。  それから、以下細かいことを何点かお伺いしたいと思います。  まず一つは、小包郵便のシェアが非常に減っている、どんどん民間にとられているということでありますけれども、この実態がどうであるのか、それからその対策はどうであるか、それをお伺いしたい。
  70. 富田徹郎

    ○富田政府委員 小包郵便物につきましては、この数年来減少傾向にあることは事実でございます。昭和五十五年から五十八年までの四年間、毎年毎年減り続けてきたことは事実でございますが、五十九年度に至りまして前年度比六%の増加、そして六十年度に至りまして前年度比七・四%の増加というふうに、一転増加傾向を示しております。六十一年度、今年度におきましても、九月までの引き受け状況では前年同期比六%増の状況でございまして、着実に増勢に転じているということは言えると思います。民間の宅配業者と競合関係にあることは事実でございますが、いろいろなサービス改善、スピードアップを十月一日から図りましたし、いろいろな営業活動を通じまして、小包郵便に対する需要の拡大を図っているところでございます。
  71. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひ御健闘、御活躍をいただきたいわけです。  今改善されているかどうかわかりませんけれども、あそこに大きい小包を処理する局がありますよね。あれは江戸川区ですか、あっちにありますよね。ああいうところで処理をしますと小包の内容物が破損をする、傷められるという、これはうわさかどうかわかりませんけれども、そういううわさが一時あったわけです。それで小包が減ったのだという話もありますけれども、何といっても、小包というのは内容物を安全に正確に迅速に相手に届けるというのが使命であると思いますから、内容物が破損するようでは非常に困るわけですけれども、破損を防ぐような何らかの措置なり対策がとられておりますか。
  72. 富田徹郎

    ○富田政府委員 確かに今までの小包の処理機械は、郵袋からあげまして自動区分するときに重力を使うといいますか、多少の落下がございまして、小包が破損したケースもなきにしもあらずであります。それにつきましては、この十年来逐次改善いたしまして、小包が自動区分機にかかりましても壊れないように緩衝材を設けるなど、いろいろな改善を加えてきております。そして最近は、十月一日から、特に生ものにつきましては、生もの専用のラベルを張りましてそういう自動区分機にはかけない、それから「こわれもの」という表示をしたものは、自動区分機にかけずに、人手によりまして安全を確保している、なおかつ飛行機便を多用する等によりましてスピードアップを図りつつ、小包の破損には十分な注意をもって今取り扱いの改善をやっておるところでございます。
  73. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひその点にこれからも一層の工夫をお願いをしたいと思います。  それから、次は郵政省が進めていらっしゃいます住居表示の問題ですが、これがその土地の地名の問題と絡んでまいりまして、地名というのは、言うまでもなくその土地の歴史を物語る、あるいはまたその土地の住民の持つ文化の一つでもあると思うのですね。地名というのは非常に重要だと思うのですよ。地名を、なくすわけじゃないですけれども、住居表示をすることによって影が薄くなっていく、なくなっていくという傾向もあるわけですね。ですから、その場合に、地名を残しながら住居表示をやっていく、こういう工夫が必要だと思うのですね。  この問題について、私もその仕事に携わった経験がございまして痛感をしているわけですけれども、従来の地名についてはぜひ手をつけずにそのまま残していただく、それを残しながら合理的な配達の体制をつくっていく、こういうことができないものかどうか、それを伺います。
  74. 富田徹郎

    ○富田政府委員 郵便配達の利便ということも考えまして、住居表示を地方公共団体等にお願いしておるところでございますが、これはあくまでも系統立った整然たる番地がしっかりしておればいいということでありまして、地名そのものまで変えていただく必要は毛頭ございませんので、その意味で、新住居表示制度はお願いをしておりますが、地名そのものを変更する等については何ら要請しておりませんので、地方公共団体等の御当局によりまして、必要な地名の保存等は図られるべきだというふうには考えております。
  75. 新村勝雄

    ○新村委員 ところが実際には、地名がなくなっている実例があるわけですよ。住居表示をしたために、地名が消えたということが事実あるわけなんです。ですから、特にこれは強制はしないとおっしゃいますけれども、住居表示を進める結果、地名が消えたということがあるわけですから、ぜひその点に最重点の御注意をしていただいて住居表示を進めていただきたい。特にお願いをしたいと思います。  それから、郵便物ですけれども、郵便物についても、時代の趨勢とともにその使命なり内容なりが若干変わっていくと思いますが、例えばあて名なしの郵便物を扱う、そういう構想がおありであるかどうか、また検討の余地があるかどうかですね。今は、新聞折り込みあるいはチラシというような印刷物を、これは印刷物に限ると思いますけれども、不特定多数に対して配る場合に、郵便事業にそういうケースが乗るものであるかどうかですね。一部の外国では既に実施をしているというようなことも聞いておりますけれども、そういった御検討はなされておりますか。
  76. 富田徹郎

    ○富田政府委員 先生御指摘のような、あて名のないといいますか、無名あてと申しますか、そういう郵便物につきましては、明治の終わりから大正にかけまして十八年間ほど、広告郵便という名称で実施したケースがございます。現在の郵便法の体制からいいましてもそれを禁ずるところにはなっておりませんので、地方からの要望もいろいろございますので、そのサービスの可否につきましては慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
  77. 新村勝雄

    ○新村委員 既に経験がおありであるということですね。それでニーズもあるということなのですが、検討される、それは前向きに検討されるわけですか、それとも一応の検討ぐらいになるわけなのですか。近い将来の可能性はどうなのですか。
  78. 富田徹郎

    ○富田政府委員 前向きに検討さしていただきたいと思いますし、検討の結果、ニーズに即応してしかるべきサービスの形態を考えるなら、なるべく早く実施に移すよう努力していきたいと思っております。
  79. 新村勝雄

    ○新村委員 次は、マル優については、大臣既にお考えが述べられたようでありますから重ねて申し上げませんが、それに関連をして、マル優というのは非常にいい制度だと思いますけれども、それが残念ながら悪用されたということが伝えられております。特にそれは郵便貯金で悪用されたというふうに伝えられておるわけでありますけれども、この悪用を防止をする体制が完全にできておりますか、できましたか。
  80. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 郵便貯金は、御承知のように三百万円という限度額が設けられているわけでありますが、この限度額の管理をいたしますためには二つの要素が必要でございまして、一つは、架空の名義を使って利用されるということを防止する、架空名義の防止をして預金者の本人確認を厳正に行うというのが一つでございます。そしてもう一つは、三百万円の制限額をオーバーしていないかどうかという意味での、名寄せと言っておりますが、各預金者につきましての限度額が三百万円を超えているかどうかをチェックする名寄せという要素が必要でございます。  現在は、本人確認の点につきましては、六十一年一月一日以降、貯金をする際に公的証明書類をお示しいただきましてチェックをすることになってございますので、そういう意味では公的証明書類がなければ御利用になれないといいますか、そういう意味で厳正な管理を行っているところでございます。  それから、限度額管理のための名寄せにつきましては、郵便貯金の場合には現在、五十九年の春に全国のオンライン網が完成をいたしまして、そのオンラインを利用しまして、預金者の住所、それから氏名を名寄せキーにしまして限度額管理のチェックをいたしております。ただ、住所と氏名だけで見ましても、まだ同姓同名の方もおられるし、あるいは住所を転居されたときに転居届がきちっと出されてないと、住所が違っているために同姓同名であっても本人とみなされないといいますか、異人というふうにみなされる可能性があるわけでございまして、そういう意味では、完全かといいますとまだ正確度を欠く現状にございます。  そこで私どもとしましては、公的証明書類がこの一月から使われるようになりましたので、その公的証明書類には住所、氏名と生年月日が入ってございます。したがって、その生年月日を従来の住所、氏名にプラスしてこの名寄せキーの中に組み込みまして、この生年月日を入れた三要素に基づきます名寄せをすれば、ほぼ完全に限度額の管理ができるということで、来年の春からその新しい名寄せのシステムを実行に移すべく、今プログラムの作成に取りかかっておるところでございます。
  81. 新村勝雄

    ○新村委員 大変難しい面はあろうと思いますけれども、マル優制度あるいはまた郵便貯金の限度額、これが公正に行われませんと、この制度に対する不信を招くわけでありますから、ぜひ知恵を絞っていただきたいと思います。  次は、いわゆる睡眠貯金といいますか、そういう正式の名前かどうかわかりませんけれども、預金者が忘れてしまっている貯金が一定程度あるということを聞いております。それで、そういうものが一定の時期、十年ですか、十年が来れば国庫に入ってしまう。益金というか、国庫に入ってしまうということのようでありまして、それが六十年で三十八億、五十九年で三十二億、五十八年で二十四億と、相当の金額が預金者がわからないままに国庫に帰属している、こういうことになっておるようであります。  そして、その間一回だけ催告といいますか、それをするそうでありますが、これはほとんど実効を期することができないと思いますね、一定のところへ告示をするなり何なり、そういうことでしょうから。と思いますので、それらの催告というか警告というか、それをもっと回数をふやすとかあるいは方法を考えるということで、たとえ零細ではあっても預金者利益を守っていくためのもう少し親切な工夫ができないかどうかということであります。  それから、郵政省さんの場合には十年たつと国庫に入るということでありますけれども、聞くところによりますと、民間金融機関ではそういう期限を設けない、いつまでもその債務ですか、それは保存しておく、そして預金者があらわれればいつでも払うということのようでありますけれども、そういう点からしますと、郵政省さんはちょっと無情な気がするわけでありまして、十年たてば没収だということではちょっと困るのでありますが、それらについてもう少し工夫はできないものでしょうか。
  82. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のように、郵便貯金の権利消滅は、要すれば、その貯金につきまして十年間預け入れとか払い戻しとか、いわば御利用がない場合に、十年たちますと、その時点で催告をいたしまして、催告をいたしまして二ヵ月間のうちに何らかの、通帳を提出していただく等の御利用がないと、その時点で権利が消滅するというのが郵便貯金法の建前になっておるのでありますけれども、現在のところ、その十年を過ぎまして後もう十年間だけは原簿を保管しておりまして、この催告期間が過ぎましても御利用者の方が気づかれて申し出がありました場合には、私ども払い戻し等に応じておる次第でございます。  それから、単に催告だけということではございませんで、特に定額貯金であるとか定期貯金であるというような定期性の預金につきましては、満期が来る前にあいさつ状等、あるいは満期が参りますから預けがえをなさってはいかがですかというあいさつ状を出しておりますし、それからまた、そういった権利消滅のないように、新聞とかラジオ等を使いまして、毎年注意喚起をさせていただいている次第でございます。私どももできるだけお客様のサービスに努めたいというふうに考えておる次第でございます。
  83. 新村勝雄

    ○新村委員 たとえ零細ではあっても、預金者利益を守るように、制度の改善あるいは思いやりをぜひお願いしたいと思います。  時間が参りましたので以上で終わります。  大蔵省さん、来ていらっしゃっていますけれども、時間がありませんので次の機会にしたいと思います。ありがとうございました。
  84. 堀之内久男

    堀之内委員長 渋沢利久君。
  85. 渋沢利久

    ○渋沢委員 きょうは、マル優の問題に絞って、幾つかお尋ねをしてみたいと思います。  大蔵省、来てもらっておりますね。  まず、マル優について政府税調で答申が出ました。今マル優の廃止を税調はどういう理由で、どういう討議で決められたのか、ここに税調がマル優の廃止を決めた根拠がある、背景があるということについて、大蔵省の考えと説明をできるだけ親切にお願いします。
  86. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  税制調査会におきましては、利子配当課税のあり方につきまして、公平、公正といった見地から、税制の抜本的見直しの一環といたしまして、幅広い観点から議論が行われてきたところでございまして、本日午後答申をいただく予定になってございます。  ただいま御指摘のいわゆるマル優、少額貯蓄非課税制度についてでございますが、この問題につきましては、一部老人、母子家庭といった方々に対しましては現行制度を維持するものの、そのほかの方々につきましては課税を行う方向で見直しを行うこととされております。  税制調査会におきましてこのような結論に至りました理由といたしましては、先般二十三日に所得課税関係の取りまとめが行われてございますが、それによりますと、もともと少額貯蓄の非課税制度は零細な貯蓄への配慮という趣旨で設けられたものでございますが、現在個人貯蓄は大体五百兆ございまして、そのうち六割、三百兆弱のものが非課税になっております。そういった個人貯蓄の大半がこの制度の適用を受けておりまして、そういう意味で、多額の利子というものが課税ベースから外れてございます。  ちょっと具体的に申し上げますと、五十九年で申し上げまして、利子所得が十三兆五千億ございますが、十三兆五千億と申しますと、例えば同じ年の事業所得者の方々が全体で八兆七千でございます。また、法人所得の合計が二十七兆でございます。そういったものと比較してごらんいただきますと、この大きさというものが御理解いただけるのではなかろうかと存じますが、そういったものが落ちておる。  あるいは結果的に見ますと、高額所得者の方々の御利用の割合が高いということもございます。あるいは、貯蓄奨励といったような目的で設けられたわけでございますけれども、現在の経済実態あるいは最近問題になっております貿易摩擦といったような問題を考えますと、課税の公平、公正といったようなものを犠牲にしてまで今貯蓄を優遇しなければならないといったような必要性、緊急性があるのだろうかといったようなことも御議論になりました。  以上申し上げましたようなことから、今回課税の方向で見直すという結論に至ったわけでございます。
  87. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そもそも零細低所得層への対応でできたこの制度が、高額所得者の受益が非常に高い、こういう矛盾を起こしているということが一つの大きな理由になっている、こういうことですね。  それで、実際にそういうことになるのかどうかということですが、総務庁統計局の貯蓄動向調査、これは政府で出した総務庁の資料で見ておりますから間違いありませんが、勤労世帯の平均値が出ています。世帯主の年齢で言うと四十三・六歳、家族四人、年収二百六十五・五万、この貯金の額が、生命保険などを含めてとなっていますが、六百九十二万、優遇の対象になっているものが三百二十二・二万、こういう数字が出ておるのですね。  この調査の回答の中で一番高い、最頻値といいますか、その層で見てみますと、世帯主三十九・六歳、家族四人、年収三百七十二万六千円ですね。この預貯金額は四百四十七万六千円、マル優の対象額が二百七万二千円。  つまり、この数字だけで言いますと、一般のサラリーマンはマル優の非課税限度額以下の貯金をしておるという数字が非常にはっきり出ておるのですね。大部分のサラリーマンのマル優制度の利用は、三百万の限度以下で利用しているという状態なんですね。  この数字の中でも出ていますけれども、今年収八百万を超えるサラリーマンというのは、数字で見ると一五%を切っていますね。このデータの中で一番高い層の割合で見ても、四人家族で年収七百七十三・三万、この預貯金が九百八十九万三千円、こうなっているのですね。  ですから、一般の勤労世帯の大部分はマル優の枠の中でこの制度を利用しているのであって、確かに高額所得者の受益率が高いということ、それは事実だけれども、それは矛盾点だということでこれを廃止することになれば、大部分のサラリーマン層、勤労世帯、三百万の限度以下で預けてこの非課税の恩恵を受けている大部分の層が今度は新たに課税を受ける、こういうことになるのです。  高額所得者の受益率が高い、これはけしからぬ、矛盾だというのはわかるのですが、だから低い所得者層に課税をするという、こういう論理の展開はちょっと僕にはよくわからないのですが、その辺はどういう考え方でそういうことになったのでしょうか。
  88. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答え申し上げます。  先ほどの御説明が舌足らずであったかもしれませんが、税制調査会で一番御議論になりましたのは、ちょっと数字を引いて申し上げましたが、個人貯蓄の中で六割、金額で申しますと利子所得で十三兆五千といった巨額のものが課税ベースから落ちてしまっている、今回の税制調査会の抜本的見直しの一つの基本理念が、課税ベースを広げまして全体で広く薄く負担していただく、こういうことであるとしますならば、そういった多額のものが落ちてしまっている、これをどう考えるかということであったわけでございます。  それから、今御指摘の点でございますが、総務庁統計局の貯蓄動向調査、数字は御指摘のとおりかと存じますが、これでは所得階層別のマル優の利用割合というのは明らかでないものですから、別途私ども、貯蓄に関する世論調査というものによって見てみますと、簡単に申しますと、年間所得階級で二百万未満の方は、マル優の利用は一九・六%、二割弱、郵便貯金にしますと一三・一%といったように、限度いっぱいに利用されている方はこの程度でございます。それから、何らかの形で利用されている方というのが、郵便貯金で三七・八、マル優で五六・四、どちらか片っ方でも使っておられるという方になりますと、六八という数字でございます。  これに対しまして、一番所得の高い七百万から上の方を見ますと、マル優を限度いっぱい利用されているのは四三・一、郵便貯金が二九・三それで、郵便貯金を利用されているのが六一・八、マル優を利用されているのが九三、いずれかを利用されている方は九六ということでございまして、数字がごちゃごちゃしておりますが、非常に単純に申しますと、先ほどの繰り返しでございますが、二百万以下の世帯では七割弱、七百万を超えますとほとんど一〇〇%近いという利用割合になっておりまして、こういうところから、所得の高い階層の方が利用割合が高いのではないか、結果的には受益が多いのではないかということを申し上げたわけでございます。
  89. 渋沢利久

    ○渋沢委員 私も不勉強なので、質問には、百も承知の上で尋ねる質問と、不十分な勉強を質疑でただす質問とあるようですが、私は後の方のまともな質問でございまして、ひとつぜひわかりやすい説明をしてください。大変難しいんですね。  そこで、制度の上でマル優と僕らは一口に言ってしまうのだが、これはちょっと生い立ちも性格もかなり違うんですね。そこのところを聞きますが、郵貯以外の銀行関係、それから国債の関係、それから財形、それから住宅、こうありましょうが、郵貯以外は皆租税特別措置法に基づくものですね。そして郵便貯金というのは、これは所得税法の本則で決めてある、そういう性質のものでありましたかな。ちょっとその点はどうですか。
  90. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、現在の少額貯蓄非課税制度の根拠は本法にあるか、租税特別措置法にあるかということだと思いますが、マル優とそれから郵便貯金の非課税は本法でございます。
  91. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それで、郵貯の中での非課税の制度というものは歴史的にも非常に古くて、郵政審議会の方でお出しになった五島昇会長の答申文を拝見してみますと、非常に的確に整理をして郵便貯金事業というものを位置づけておりますが、一口にマル優と言うけれども、非課税制度の中で郵貯の持っている性質というのは、やはり性格、生い立ちの違いがあるなということをまず思うんですね。「簡易で確実な貯蓄手段をあまねく公平に提供することにより、国民の健全な資産形成や貯蓄心の涵養の上で重要な役割を果たしてきている。」「集められた資金は、財政投融資の主要な原資として住宅・道路・公園・下水道等の社会資本の充実や国民の福祉の増進に大きく貢献してきている。」ここなどは、他の金融機関の預貯金に対する非課税扱いなどとの性質の違いを明らかにしているなというふうに思うのです。大蔵省もそういう認識を持っておられると思うのですが、どうですか。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  92. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  ただいまのお尋ねは、郵便貯金の民間の銀行預金と比べた場合の特質についてのお尋ねかと存じますが、そういった意味合いと申しますか沿革があることも私ども承知いたしておりますが、先ほどの個人貯蓄のベースで申しますと、全体で五百三兆ございますが、そのうち郵便貯金が百三兆ございまして、しかも郵便貯金は全部非課税でございますから、もともと零細ということで始まりましたものではございますが、そういう意味で、今にして見ますと非常に無視し得ない大きなものになっております。それから、税制調査会の御議論といたしましては、郵便貯金と民間の銀行預金との税制上のイコールフッティングということを図ることが何よりも大事であるというお考えをいただいているところでございます。
  93. 渋沢利久

    ○渋沢委員 おっしゃるとおり、郵便貯金が非常に額が大きくなってきたから、大蔵省も大変目をつけるし、金融機関のサイド、銀行資本の側では、金融の自由化というリズムの中で大変気にしている制度だなというふうに思うのであります。それがいろいろ今こういう大きな動きになってきているなというふうに感じるわけです。  しかし、郵貯がここまで長い歴史の中で、しかも大蔵省が財政再建の原資として目をつけざるを得ないほど膨れ上がった背景は、この制度の出発にあるように、そして現状が事実で示すように、この答申にも指摘がありますけれども、国民の側に老後不安、教育費、これは公式なもの以外に、一人の子供を保育園から大学を卒業させるまでの過程で思わない出費がどんなにかかるかということはあえて言うまでもない。大変な苦労なんです。  そうして、高齢化社会へ向けての医療の仕組み、年金の構造。これだけ日本の経済の力が世界経済の中で高い地位にありながら、残念だけれども、社会保障とかいう点ではヨーロッパと比べて大変見劣りがする。万が一大きな重い病気になったときに、どんな長期の深刻な難病に家族が取りつかれても全く心配がないというような医療体制というものができておりますか。できてないです。やはり医療に対する不安が高齢化社会の中で非常に根強くある。  住宅のこともある。土地が高くて、逆説的に言えば政府の施策が大変功を奏して、おかげさまで大変な土地の高騰で都会の者が悩まされておりますね。やはり住宅の問題というのは依然として深刻である。  こういう状況の中で、最小限度貯蓄の必要性に迫られておるんですね。しかも預けやすくて引き出しやすい。いざというときに簡単に間に合う。利息は安いかしらぬが、そういうところに庶民はどうしても金を預けたいということになる。それから、やはり政府がやっている事業だということに対する信頼感というものが基本にあると思います。  そういうことで、もう少し医療政策、年金政策、教育政策、土地政策、そういうものが絵にかいたように将来全く心配のないような状況ができておれば、貯金の率は変わってくると思いますよ。しかし、現状はそうなっておらないです。  これは私が言うんじゃなくて、この五島昇会長の郵政審議会の答申の中でも、その言葉でそのまま言いますと、「こうした国民の不安を解消する具体的な施策が示されておらず、その上さらに少額貯蓄非課税制度を廃止しようとすることは、政府として国民に対しとるべき措置ではないと考える。」私が言っているのではないです。これは郵政審議会の答申の文言そのものであります。残念だけれども、これが一つの常識です。特別な文章だとも思えません。  ですから、五百兆の中で百兆だ、何の中で何兆だという、そこの数字面だけで貯蓄の中での非課税制度というものを考えるということは、これはちょっと視点が違うんじゃないかという気がするのですね。ちょっと郵政省のお考えも伺っておきたいと思うのです。今大蔵省に私は主として尋ねながら、郵政のお考えも実はただしたいことがたくさんある。郵政大臣、私、今幾つか質問しながら申し上げておりますが、今の私の考え方について、あなたはどう思われますか。
  94. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、今個人預貯金五百兆のうち非課税貯蓄が二百八十七兆くらい、非常に大きくなった。こういうことで、その利子が課税ベースから外れているのは不公平じゃないかというようなお話があったわけでありますが、郵便貯金を原則非課税にしている、制限額が三百万円。それからマル優にしましても、貯蓄の重要性に着目をしまして、少額貯蓄非課税制度が限度額三百万円ということでもう随分前に決まっておる。昭和四十八年でございます。そういう制度は貯蓄の重要性に着目をしてつくられた制度でありまして、だんだん国民の生活が向上して資産がそれなりにふえてくれば、その制度が当初から予定している問題であろうと私は思うのです。  したがって、単に非課税の利子が十三兆にもなるから課税の公平を期すために課税すべしだというのは、いわば税を徴税の立場から考えている議論に思えるわけでして、これから迎えます長寿社会に対する国民生活の不安をやはりもっとなくするとか、あるいは欧米諸国に立ちおくれております社会資本の充実が叫ばれている今日、経済白書等でも日本におけるストックの充実は今の貯蓄率の高いときにやるのが最適なんだというような御指摘もありますが、そういう情勢を考えますと、やはり少額貯蓄非課税制度の意義というのは、今日においても極めて大きいというふうに考えております。
  95. 渋沢利久

    ○渋沢委員 局長郵便貯金は非常に伸び悩み状況にあるという、これは具体的にはどういう状況になっていますか。一緒に、なぜ伸びないのか、落ち込んでいるのかということも含めて、ちょっと言ってください。
  96. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 今年度の状況を見ますと、四月から九月までの純増、いわゆる預け入れから払い出しを差し引きました純増加額の累計では八千三十七億ということでございまして、対前年の同期に比べまして五一%、四月から九月までの期間における増加額としましては十五年ぶりの低い実績になっております。  なぜ郵便貯金が最近こういう伸び悩みの状況にあるかということでございますが、一つには、ことしに入りまして連続三回、二月、三月、五月と預貯金の金利が引き下げられまして、今の金利水準は超低水準にあるという、預貯金の利子に対する魅力が薄れたということが一つあろうと思います。それからまた、利用者の金利選好が一段と高まってまいったといいますか、民間におきましても高利回りの金融商品がいろいろ出回っております。一方、利用者の方も、いわば個人の財テクブーム的な、金利に対して非常に敏感な状況になっておりますし、こういった傾向も郵便貯金が低調な原因であろうと思います。それからまた、可処分所得の伸びも非常に低調になっておりますので、こういったことが背景で最近の郵便貯金も不振の状況になっているというふうに分析をいたしております。
  97. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そうなんですよね。可処分所得もずっと落ち込んでいる。そして一方、高利回りの金融商品がいろいろ出てきて、そっちへ引っ張られるというような形のものもある、金利が非常に低くなっておりますからね。だから、どうしても貯蓄の効率性、経済性というものを追求していくと、動かざるを得ない。それでも、割合に金を持っている人は高金利のものへ移動して追っかけていく、長期に寝かしておいて高い方へ金を回すということができるけれども、少額所得者というか一般の庶民、サラリーマンにとっては、そうはなかなかいかない。少し安くても出しやすいものにということになる。いざというときにすぐ間に合うものに預けざるを得ないというようなことがあって、この廃止はどうも実質金利の引き下げにもなる。この答申の中には、新税の創設と変わらないという大変おもしろいユニークな指摘で、私、大変おもしろいと思ったんだが、そういうことだなと思うのです。  大蔵省、さっきのあなたの説明の中にも、高額所得者の問題だけではなしに、貿易摩擦の問題、海外批判、国際批判みたいなものとの絡みで言われたかと思うんだが、しかしアメリカのシュルツの演説というのは、日本の貯蓄率は高くて、そして特別な税の優遇があることはけしからぬ、こういうことを言っているのではなしに、これだけの高貯蓄の日本が内需拡大に力を注がぬという部分を問題にしておるのであって、アメリカのシュルツ演説をよく見ればそういう趣旨なんであって、何も非課税制度そのものを問題にしているわけではない。内需喚起の政策展開がないことに対する不満を言っておるということなんじゃないですか。経常収支の大幅黒字の原因と日本の貯蓄率の高さというもの、こことのかかわりは昭和五十年代に入って、今も説明があったけれども、貯蓄率は低下傾向にある。経常収支の方の大幅黒字との間に因果関係を見出すことはできないという指摘は、当然のことだと私、思うわけですね。  この制度を廃止するのに貿易摩擦云々の部分は、あなたの意見ではなくて、そういう意見が税調の中で、総理お好みの侍大将か何かしらぬけれども、いろいろ経済界の人などお入りになったから、景気のいい議論があったかしらぬけれども、そういうことが言われたというにすぎないと思うので、これは的外れもいいところだと思うのであります。  やはりちょっと気になるのは、この答申の中にも、貯蓄奨励のため一律に政策的配慮を行う必要も薄れてきた。貯蓄率が非常に高いからそれを促進するための配慮というけれども、さっきも言うように、日本の高貯蓄性の性格の中に、社会福祉、社会保障のおくれに対する不安とのかかわりで日本の貯蓄というものを見ると、政策的な配慮を特別に行う必要性が薄れてきたというようなこの言い方、書き方は何とも気になる部分ですね。  具体的に大蔵省は毎年ばっさり一括補助金の打ち切りだとか、自治体は泣いていますが、そういうことをおやりになって、そして今老人保健法、総理の演説をいろいろ聞いていると、大変豊かな老後保障があしたにも展開されそうなお話が多いのだけれども、しかし現実には、郵政審議会の答申でも言っているように、国民の老後に対する不安というものはかき消すことができない現状なのですね。  ここで言うのはどういう意味ですか。政策的配慮を行う必要も全くなってきた、薄れてきたというような言い方は、先ほど来申し上げている日本の高貯蓄性が持っている一つの性格というものを頭から否定した論理ですね。どうですか。
  98. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  先ほど私が申し上げましたのは、戦前あるいは戦後の一時期のように、我が国全体といたしまして資本蓄積といったものが非常に強調された時代はともかくといたしまして、現在のように所得水準が一般的に上昇いたしておりますし、それから資本蓄積も充実してきている、こういう現段階においていわば貯蓄を非課税にするということは、そのほかの所得に相対的に重い負担がかかるということでございますから、課税の公平、公正といったものを犠牲にしてまで貯蓄を今後も奨励していくという意味での貯蓄優遇税制の政策的意義が乏しくなったのではないかということを申し上げたわけでございます。
  99. 渋沢利久

    ○渋沢委員 先ほどの新村議員の質問の郵政の答弁にもありました限度管理の問題ですが、私ども、最近この限度管理の問題の対応を見ておって、これをきちっとやれば、とかく世間の指弾を浴びるような不正使用というものをかなりきちんとチェックできる、少なくとも郵貯についてはできる。問題なのは、一般の金融機関が、役所と国民とのかかわりというのと違った性質で、銀行事業とお客さん相手の扱いの中で本当にどこまでやり切れるのか。むしろやり切れないということがあって、だから限度管理には限界があるという話が返ってきているとすれば、これは飛躍も甚だしいのじゃないか。私はきちっとやればやり切れると思うのです。また、そういうことへ向けて大変な努力をして、準備を整えているのだという理解をするわけなのです。  大蔵省、どうなんですか。先ほど聞いておられたと思うけれども、あの種の手法を的確にやり切れば、絶対ということはこの世の中ないからだが、しかしまずおおむね不正利用というものを絶つことは可能であるというふうに思うのです。これさえきちっとしておれば、この制度は生かされるべきだし、そのとかくの批判も免れることになりはしませんか。それとも、いろいろ言うけれども、実際にはできないというふうに判断しておるのですか。
  100. 田谷廣明

    ○田谷説明員 ただいまのお尋ねが、いわゆるマル優制度の限度管理というものがきちっとできるのかどうかといったような執行の問題でございますれば、私から答弁いたすのが適切でないかもしれませんが、私どもとしても、コストの問題あるいは環境整備さえできれば限度管理はできるとは思っているわけでございますが、ただ、再三同じことを申し上げて恐縮でございますが、今回のマル優の見直しは、いわばそういう不正利用あるいは制度の乱用が行われているから、それがけしからぬから制度をやめてしまおうということではございませんで、個人貯蓄の大半が課税ベースから落ちてしまっている、つまりそれ自身が所得種類間での不公平をもたらしているのだ、あるいは利用状況を見ますと結果的にお金持ちの方ほど多く受益しておる、そういった問題、あるいは先ほど来申し上げましたような、貯蓄奨励といった政策目的自体が税金をまけてまで引き続きやっていかなければいけないことなのかどうかといったようなことから、今回見直しを行うことが適当であるということでございまして、繰り返して恐縮でございますが、制度の乱用あるいは不正利用といったようなものがあるから制度を見直すものではないということを御理解いただければと思います。
  101. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それは非常に見解の異なるところでして、時間がもったいないから大蔵省の考えをもう一つ、二つ聞きましょう。  この答申の中に、これを廃止して所得税課税方式として四つの方式を検討したというのがありますね。特に言葉を添えて、この中で一律分離課税方式が適当であるという意見が多かったということが言われていますね。その他の意見もあった、こう併記しております、一本に絞り切れなかったのでしょうけれども。  しかし、一律分離課税というのは、これが高過ぎても低過ぎても非常に問題が出てくるわけですね。これは高額預金者も少額者も区別なしに、まさに一律に、一五%と決めればそれなりに税金をかけろというのですから、ある意味ではこれほど不公平で、この結果高額所得者を利益させる以外の何物でもない、そういう方式なんですね。これが税調の主たる意見である。大蔵省の本音でしょうけれども、これが出ていますね。ここへ持ってきたいわけでしょう。何%ぐらいのことで検討されておるのですか。
  102. 田谷廣明

    ○田谷説明員 最初に、四つの課税方式のうち一律分離課税方式に持っていきたいのではないかという御指摘がございましたが、これは新聞記事だろうかと存じますが、先ほど二十三日の所得課税の取りまとめの引用をされましたが、そこにも書いてございますように、この方式が適当であるとする意見が多くの委員から述べられたのは事実でございます。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、今回の場合には、あわせてかなりの委員から、一律分離課税方式の有する特徴を維持しつつ課税の公平あるいは公正確保にも配慮した方式としまして、確定申告不要制度併置方式を評価する意見あるい低率分離課税方式を支持する意見もございまして、税制調査会におきます取りまとめでは、「利子所得に対する望ましい課税方式については、これまでの検討を踏まえ、」「更に具体的に検討を加える必要がある。」とされているところでございまして、大蔵省といたしまして、今回の答申あるいは税制調査会におきます今後の具体的検討を踏まえまして適切に対処してまいりたいということでございまして、現段階で一つの方式に決めたということではございません。  それから二つ目の、その場合の税率の問題でございますが、これにつきましては、どういった課税方式をとるのかという問題とも絡みまして、今後さらに検討をいただく課題だと思っておりますので、現段階でお答え申し上げられないことを御理解いただきたいと思います。
  103. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは、高額所得者の受益性が高過ぎるということ、そういう言葉をもてあそんでいるというふうに、いろいろ聞けば聞くほど、見れば見るほどそう思わざるを得ないのです。本当にそこの矛盾を解決しようというなら、優遇措置のうち、例えば郵貯を残して銀行関係を外すとか、その方がいいですよ。あるいはどうしてもと言うなら、例えば公債関係の三百万を切る。公債はともかくとして、どうしてもというなら限度額を下げるという方法もある。高額所得者と少額所得者との間の矛盾を本気で気にしているなら、手法はいろいろあるのですね。  ところが、そこへ来ないで、逆に、出てくるものはこれをやめて一律分離課税なのですね。持っている者も持っていない者もみんな一律でいただきますぜ。高額所得者云々、老人と母子家庭は特別にどうというけれども、これは老人だって、年とって動けなくなってから優遇措置をもらったってしようがないんだね。制度としてそういうものに備えられる仕組みをつくっておくことが必要なんです。それを老人に、どういう規定かどうか知りませんけれども、それはまだそこまで詰めておらぬかもしらぬけれども、全く言葉をもてあそんでいるという印象が非常に強いのです。  それで、特に私が順序が逆じゃないかと思うのは、キャピタルゲイン課税が触れてあるのですね。これは本当は触れたくはなかったのでしょう。でも、マル優をここまでほざくのだから、このぐらいのことはちょっと言ったふりしておかぬとおさまらぬぞという配慮でしょう。だから、その配慮が文章ににじみ出ているじゃないですか。片一方で廃止というものを明確にして、一律分離課税しかないよというニュアンスでこのマル優については回答が出ているが、キャピタルゲイン課税については、「有価証券市場に与える影響等を考慮しつつ、」重みがあるね、これはずしりと響くよ。「段階的課税強化」、段階的と言葉を選んで、そして「究極的には原則課税を志向すべき」、随分至れり尽くせりの配慮で、一応キャピタルゲイン部分、聖域にもちょっと顔向けます、手を差し伸べる、向けますという、それだけのことじゃないか。これは順序が逆ですよ。  国民の、市民の感覚、一般のサラリーマンの感覚からいえば、株の売買益のとてつもないものをいいかげんにしておいて、ここをきちっとやってと、市民のささやかな株、投資家の部分は別としても、これで仕手のことは言わないけれども、世間の庶民の感覚からいえばいろいろ言いたいことがあるのです。触れてほしい部分がある。そこはさらりとかわしてというのじゃ、これは納得しない。これもやり、あれもやり、その上でマル優、ここまでさわるよりしようがないから、とりあえず郵貯は残しても金融機関のものはちょっと外す、それこそ段階的に納得のいく手法がとられてくるのなら、これは税制のさわりというのは、市民は、国民は理解はするけれども、これは今の大蔵省の姿勢そのままだと私は思うのですね。これはあなたは答えようもないだろうから、おっしゃるとおりだとあなたは言うわけにもいかぬだろうから……。ですが、これはひどいものだ、これが市民の感覚だと思いますよということを申し上げざるを得ないのです。  だんだん時間がなくなってきましたが、そこで郵政大臣、この非課税というのが廃止されますと、郵便貯金制度そのものが完全におかしくなってしまうのと違いますか。そういうことになっていきませんか。そのことを期待している業界もありますね。金融業界は一生懸命そういう運動をやっていますが、それとの絡みだと私は感じているものだから、これは大変だなと思っているわけです。これは、郵便貯金、簡易保険とかいう制度そのものをなくしていこうという発想から出ていますね。だから深刻だなと思うのですね。  明治八年以来続いたこの制度の中で、むしろ今郵政省がやられようとしている国債も、これだけ市民にとって信頼感のある——市中銀行ならどの銀行がいいかな、信用組合とか金庫となるとちょっとまゆにつばをしないとわからないようなものも中にはあるから、相互銀行なんていうのは特にひどいものだからと、選択の幅はあるが、やはりそこは政府がやっている郵便局というものに対する国民の信頼感があるから、それをいい意味で生かしてこの郵便貯金の制度やあるいは国債の販売もやろうという計画を立てておられるように聞いておるけれども、私どもは、まさに積極的に生かしていかねばならぬと思っている一人でいえば、今度の税調の答申の背景にある流れというものは、大変深刻だなと思いますね。ひとつ大臣の所見を伺っておきたいと思うのです。
  104. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 ただいま先生から少額貯蓄の利子非課税問題を、経常収支と貯蓄率とか、高額所得者の受益率ですとか、あるいはキャピタルゲインとか、いろいろに関連させての御高見を私も大変興味深く拝聴いたしたわけでございます。  今中村局長が申し上げましたように、最近の預金、貯金、両方そうだと思いますが、郵貯も伸び悩んでおりまして、特に九月は純減でございますし、十月の数字も残念ながらはかばかしくないわけでございます。私は、預金、貯金というものは安定的に自動的にふえていくものだというのは一つの神話であって、必ず崩れないとは言えないのじゃないか、郵便貯金というものが今まで着実に伸びてきたのは、一つは利子非課税制度であり、もう一つは関係者の努力だったと思っております。実際に、貯蓄が減って消費がふえて、そして内需拡大につながる、これは一つの考え方かもしれませんが、五百兆あります個人の貯蓄の中でシフトが行われまして、預貯金が減ってほかのものにそれが移る、簡易、確実な貯蓄、国にとっても個人にとってもそうですが、それが投機的な運用とか海外流出にマネーゲームの結果回されるということになったら、これは大変ゆゆしいことだと思っております。  それから、貯蓄というものは、やはり国民経済的に申しましても、国民一人一人にとってもまだまだ重要性はあるし、むしろ増しておるのではないか。日本が経済大国となったと申しましても、それはフローの面でありまして、社会資本は、道路の舗装率はまあまあかもしれませんが、これもおくれておりますし、特に下水道の普及率とか国民一人当たりの都市公園なんていうものは欧米主要国に非常なおくれをとっておるわけでございますから、まだまだ資本蓄積ということは大事である。また、国民にとりましては、今の経済環境で、先生の言われました子供の進学だとか不治の病だとか、さらにはある程度お金がたまらないとうちも建たない。さらに、長寿社会を迎えて自助努力による貯蓄の重要性というものは年々高まっておるわけでございますので、この非課税制度を何とか守って、存続させるために努力をいたしたいと考えております。
  105. 渋沢利久

    ○渋沢委員 大臣、本当にかなりの決意をお持ちでないと、税調答申でここまで出しているというこの流れはもう並み大低のものではありませんから、あなたはこれを本気で守り抜くということで頑張らぬと、これは日本の郵政事業の歴史の中にも大変大きな汚点を残すことになる。その奇妙な幕引き役をあなたがおやりになるようなことになっちゃ大変だ。これは本当にかなりの決意で頑張らぬと、この今の状況の中では守り切れないと私は見ているのです。  しかし、五島会長のこの答申を私、見まして、やはりさすがに一つの良識だと思って読みました。ここで最後の締めくくりに、「老人等の一部の人達にのみ少額貯蓄非課税制度を存続すればよいという議論があるが、これは、老人等社会的に弱い立場にある人達に対する配慮ということに藉口して他の大多数の人々の利益を無視するものであり、」「同制度の意義を喪失させ、同制度を事実上廃止することにほかならない。」こう指摘しておるのですね。この部分については、郵政大臣、あなたも同じ考えですか。
  106. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 同じ考えでございます。
  107. 渋沢利久

    ○渋沢委員 老人等の一部の人たちにのみ少額貯蓄非課税制度を存続すればよいという議論があるが、これは老人等社会的に弱い立場にある人たちに対する配慮ということに名をかりて、それで実は大多数の利益を損なうものだという指摘ですね。大臣、この一部の人たちさえ外してやればいいということを、これは総理が言っているのですね。総理も何回もおっしゃっているわけですよ。ですから私は、総理が言おうとだれが言おうと、しかし逆に言うと情勢は厳しいですよ、しかもこれは郵便貯金制度そのものの根幹にかかわりますよ。それは大臣もそういう御認識でいらっしゃる。  しかし、総理が特にこの抜本的な税制改正ということに力を入れて特に選んでいる。僕らはその選び方には物すごく意見があるが、そんなことは議論をしておる暇はない。特殊に選んで援軍を入れて、税調でこういう答申を出した。しかも、総理自身が母子や老人は守ります、こうおっしゃっておる。こういう状況の中で出てきた答申、この流れについて、今おっしゃるとおりだ、この答申の言葉どおりだと大臣もおっしゃった、私も全くそのとおりだと思っているわけです。  しかし、同時にそれは、総理もこう言うがしかしというこの決意を本当に貫くということは、これは大臣、容易ならぬことですよ。そういう意味で、厳しいが本気でおやりになる腹がありますねということを私は先ほどお尋ねしたつもりであります。あなたはその言葉に責任を持って、そしてどのような抵抗や働きかけがあろうと、これは断じてこの制度を守るために、非課税制度をきちっと守っていくために政治生命をかけてぜひ頑張ってもらわなければ困る。  社会保障が薄いから貯蓄率が高いということ、その部分について何一つ十分なことをやらぬで、この答申が言うようにみんなの不安をそのままにしておいて、それで貯金がふえたからみんな税金を払ってもらうぞという国税庁の徴税官の感覚で日本の政治が動かされていい道理がないですよ。これは政治家の判断として我慢のならない発想です。  大臣、頑張ってもらいたい。あと一分あるけれどもやめますから、最後にいま一度大臣の不動の決意をお述べいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 いろいろ先生に御心配をいただきまして、ありがとうございます。  確かにいろいろ税制問題は厳しい情勢にあることも、私はよく知っておるつもりでございます。しかし、また郵便貯金も大変厳しい情勢に置かれて、今のように伸び悩んでおるわけでございます。預貯金というものは黙っていても着実に伸びるという考えが果たして当てはまるのかどうか、私は非常に最近心配をいたしております。当初郵便貯金ができましたときに、なかなかたんす預金から郵便貯金をしてくれる人がなかった、大変な血のにじむような努力をして十四万人の預金者加入させるのに十年かかった。それ以来もう非常に関係者が努力して今日に至っておるわけであります。この郵便貯金の着実な伸びがなければ財政投融資にも大きな影響がありますし、私は国民経済的に申しましても、国民一人一人にとってもこの利子非課税制度は大事だと考えて、先生のおっしゃるとおりでございます。  そういうわけでございますので、大変厳しい環境ではありますが、あらゆる努力をいたしましてこの制度の存続に全力を挙げてまいる所存でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
  109. 渋沢利久

    ○渋沢委員 質問を終わります。
  110. 堀之内久男

    堀之内委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ────◇─────     午後一時十八分開議
  111. 堀之内久男

    堀之内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  112. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  最初に、政府税制調査会の答申案についての大臣の見解を伺いたいわけですが、既に午前中にいろいろと私もお伺いをしておりますので、重複を避けまして、この答申案について郵政省の方から考え方という、主要な論点というのが出ております。この論点の中で、非常に重要な反論として、非課税が原則であり預け入れ限度額が設けられている郵便貯金と課税が原則で預け入れ限度額のない民間とを同列に論ずるのは妥当ではないという反論があります。これは全くこのとおりだと思います。  それから二番目に、いわゆる少額貯蓄非課税制度というものは、海外からも高く評価をされている我が国の国民の勤倹貯蓄心の醸成に大きく貢献をしてきた。  私ども、これはそのとおりだと思う立場からの質問なんですが、実はこのマル優制度の問題は、古くはいろいろと議論になっておりますが、国際的な反論というのですか、国際的な批判というのを十分加味して、実は前川委員会というのがマル優制度の問題についても議論をしておるところであります。この前川レポートのあり方が日本の今後の非常に大きな指針になるものと私は見ておりますが、それだけに、実はこの前川委員会で議論をされたときに既にこの問題については勝負あったかの感があるわけでありますが、前川委員会等について一体郵政省はどういうような反論をしながら、このマル優制度維持を、今日まで反対の論調を張ってきたのか。そのことを含めてお伺いをしたい、こう思います。
  113. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 前川レポートにつきましては、非課税制度の優遇税制を見直すべきだという趣旨のことが書かれてありますけれども、その論拠としては余り前後に説明もございませんで、率直な感想を申し上げさせていただきますと、いささか唐突な感じもするわけでございます。  私どもはあらゆる機会に、郵便貯金の非課税制度を含めました少額貯蓄非課税制度の意義というものが今日において何ら減ずるところはないし、また、これから急速に高齢化が進んでいわば長寿社会を迎えるに当たりまして、貯蓄の意義もますます重大化するというようなことで、関係方面にいろいろ御理解をいただくように努力をしているところでございます。
  114. 草川昭三

    ○草川委員 それはそれでいいのですが、私が言いたかったのは、郵政省の反論の中身では、今日の国際的な風圧の問題を前にして守り切れるのかどうか。もちろん、今おっしゃるように、高齢化社会に対応する国民の預貯金に、しかも少額預金に対して利子を課税するのはおかしい、私もそういう立場で物を言っておるのですが、果たして本当に守り切ることができるかどうかという意味で前川レポートの話を持ち出したわけであります。  前川レポートというのは総理も非常に力を入れているわけでありますし、サミットの際にも、日米首脳会談にこの前川レポートというものを総理自身が説明に行かれているわけでありまして、この中の議論というのは私どもすべて賛成ではありません、問題提起が余りにも多過ぎるという意味、あるいは議会軽視ではないか、さまざまな問題点があるわけでありますが、そういう大きな流れの中でこのマル優制度原則廃止というものが出ておると私は見ておるわけです。単なる税調の新しい税を確保するという、そういう立場からではない、もっと大きなものがある、こういうことを私は主張をしていきたいわけであります。そのことについていま一度大臣の見解を問いたいと思います。
  115. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 午前中からもいろいろそういうお話があったのですが、実は私は、経構研と申しますか前川委員会、ことしずっと出ておったわけでございまして、これはこれなりに貴重な御意見として承っておったのですが、一つ、外国も貯蓄優遇をしている。フランスが千二百万ですか、イギリスが千八百万か九百万、こういうこととか、貯蓄率と経常収支との関係、これは経済企画庁も言っているように、余り最近は相関関係はないんだということでございますが、そういうことは余りそのときは問題になってなかったわけでございます。  いずれにいたしましても、私は、貯蓄の重要性、国民経済的にいっても、国民の一人一人にとっても貯蓄というものは非常に重要だということから、今の制度を守るために一生懸命努力をいたしたいと考えております。
  116. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひその線で頑張っていただきたいと思います。  では二番目に、NTT株の売却について大蔵省の見解を問いたいと思うのでございますが、それと郵政大臣にもNTTの株の公開の問題についても意見を聞きたいと思うのですが、大変な関心を呼んでおる中で大口入札というのが行われました。この金額のあり方でございますが、売り出し価格百十万から百二十万、こんなことが言われておりますし、一般の申し込みが一千万人だというようなことでございまして、これから過熱をするのか、これが一つの限界なのか。  財テクブームの中で株式売却価格というのは非常な関心を呼んでおりますが、せっかく民営化をして新しいスタートを切ったわけでございます。ただ株だけが過熱をする、こういうことは、後にもしこの株価というものが下落をした場合に、多分そういう時代になりますと新規参入の業者との激しい競争合戦の時期になると思うのでございますが、そういう時期に取得者がかえって迷惑を受けるといいますか、反発をするようなことにもなりかねぬわけでございますが、私ども二、三聞いておりますと、証券会社が各家庭に非常に激しい勧誘をしている、こういう事実もあるわけでございますが、証券業界を監督をする大蔵省の見解を問いたい、こう思います。
  117. 金野俊美

    ○金野説明員 お答えをいたします。  電電公社の改革法案を御審議いただいておりました際にも、いろいろ株式の将来の売却問題については御議論があったというふうに承知をいたしております。その際に出てきました御意見といたしまして、国民の貴重な財産でございますので特定少数の方々がこれを保有するということではなくて、幅広く国民各位にこれを持っていただけるような、そういう公平なやり方で幅広くこれを売り出していくという御意見が多数あったように記憶をいたしておるわけでございまして、附帯決議の中にもそれが盛り込まれているというふうに承知をいたしております。そういう意味におきまして、現在証券会社が多数の株式投資家、あるいは正確に申し上げれば株式投資家になるような可能性のある方々に対して投資勧誘行為を行うこと自体は、私ども悪いことだというふうには思っておりません。問題は、先生も御指摘のように、その投資の勧誘の仕方にかかっているのだろうというふうに理解をいたしております。  株式は、御承知のように値上がりもする場合もあれば値下がりもする場合もあるわけでございまして、大変リスクを伴う投資であることは既に御承知のとおりでございます。問題は、このNTTの株式の場合におきましても、市況の変動いかんによりましては値下がりによりまして損失を投資家がこうむることも十分あり得るのだということをあらかじめ投資家に十分説明した上で、このNTT株式を購入するか否かという判断を投資家自身にしていただく、そういうような勧誘の仕方でこの売り出しが証券会社によって行われるかどうか、これが非常に重要なことだろうというふうに私どもは考えているわけでございます。  そういう趣旨によりまして、先般、私どもの証券局長名で証券業協会に、この趣旨が十分に協会加盟の証券会社に周知徹底されるように、そういう趣旨で通達を発出したところでございまして、この線に沿って今後勧誘が行われていくようにというふうに私どもは指導をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  118. 草川昭三

    ○草川委員 今NTTが、民営化をして相当頑張っておみえになりますし、これは一つのマンモス企業ではありますけれども、過去の租税公課等の負担総額あるいは現在までの料金値下げというものに対する努力、こういうものを評価をしながら、なおかつ新規参入とこれから激しい競争をしなければいけない、こういう段階で、本当に今もお話がありましたように、投資という意味では、もし条件が悪ければ評価というのは下がってくるわけでありますから、そのことを、民営化そのものに対して国民に失望を与えてもいけないわけでございますので、老婆心ながらの議論をしておるわけです。  ここで念のためにちょっとお伺いをいたしますが、現在までのNTTの公社時代における国庫納付金の総額、あるいは民間になってからの租税公課等の負担総額、あるいは現在までの料金値下げ、一体国民にどのような形で貢献をしておるのかという趣旨でございますが、総額の金額についてどちらかからお答えを願いたいと思います。
  119. 加島修

    ○加島参考人 お答えいたします。  電電公社時代に納付いたしました臨時国庫納付金でございますが、御案内のとおり、五十六年度から五十九年度まで四年間にわたりまして総額六千八百億円、年度別に申し上げますと、五十六年度が千二百億円、五十七年度が千二百億円、五十八年度が二千四百億円、そして五十九年度が二千億円、以上六千八百億円の国庫納付をしてございます。この資金につきましては、御案内のとおり、外部からの借金という形で調達をしておりますので、これの金利等を考えますと、実質負担は約一・七倍ぐらいになるのではないかと考えてございます。  それから、六十年度の納税額でございますが、国税、地方税とを合わせまして約二千九百億円の納付をしてございます。道路占用料等NTTになりましてから新しく納めたものも入れますと、約三千億円という形になってございます。  それから、料金値下げの状況でございますが、御案内のとおり、五十五年以来、本年の土曜割引を含めまして、五回料金値下げあるいは割引をやってございます。  具体的に申し上げますと、まず第一回は昭和五十五年十一月でございまして、夜間割引制度の時間帯を広げたということ、それから深夜割引制度を設けたということ。五十六年の八月には、五百キロを超える遠距離通話料の値下げ、これは第一弾でございますが、これをやったということと、日曜、祝日割引制度を新設してございます。さらに、五十八年の七月には遠距離料金の再値下げをやっております。それから、五十九年の七月に中距離の通話料の値下げをやっております。そして本年の七月に、土曜日も日曜、祝日と同じような割引制度を導入しているところでございます。  以上でございます。
  120. 草川昭三

    ○草川委員 払うものは払い、努力をしている、こういうことだと思うのですね。そういう中でいよいよ民間競争というのは激しくなっていき、特に市外回線での新規参入業者との激しい競争が始まるわけでございますが、言うところのアクセスチャージというのですか、これは当事者間の話し合いということになるわけでございますけれども、お互いにバランスのとれる方策ということが必要だと思うのですが、指導官庁である郵政省見解を問いたいと思います。
  121. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 アクセスチャージについてのお尋ねでございますが、ただいま委員からも御指摘ございましたように、第一義的には、アクセスチャージというものは事業者間の話し合いによるべきものであるということが言えようかと思います。ただ、日本で言われておりますアクセスチャージと米国で出てまいりましたアクセスチャージとでは性格的に若干異なっておりまして、アメリカにおけるアクセスチャージは、そもそもATTが分割されることに伴いまして、市内事業者と市外事業者の間の市内網の負担分をどうするかということから出てまいりましたけれども、日本の場合には、NTT自身は分割されませんでしたので、NTTと他の競争事業者間の接続料の問題としてとらえられております。  しかしながら、現時点におきましては、NTTが市内回線をほとんど事実上独占をしているという実態がございますので、いずれにいたしましても、市外中継回線業者とNTTとの間では接続という問題が出てまいります。この問題を両事業者間でどう負担するかということにつきましては、結局、アクセスチャージそのものがユーザーにどういう形で影響を与えるかという、そのユーザー負担の見地から十分慎重に考えなければならないと思っております。幸い、この秋からサービスを開始いたしました東名阪の専用線サービスにおきましては、NTTからアクセスチャージのお申し出がございませんでしたので、現時点では、アクセスチャージというものは現実の問題として事業者間の話し合いは出ておりません。
  122. 草川昭三

    ○草川委員 私は、いずれにいたしましても、今後非常に競合という問題が基本的になりますし、せっかく民営化した以上は、非常に数の多い許認可権、一々そういう縛りというのがたくさんあるので、そういうものを解いて、本当にフリーで競争させるということが日本における今後のあり方ではないだろうか、こういう趣旨があるわけであります。  私はなぜそういうことを言うのかというと、ちょっとこれは次元が低いことになりますけれども、今テレホンカードというのは大変皆さんに喜ばれていますね。今テレホンカードというのは何万枚出ておるか知りませんけれども、相当な枚数が出ておるということが新聞報道でも出ておりまして、一億枚ですか、突破をしたと言っております。  問題は、カードの使える公衆電話の施設というのが非常に少ない。現在でも十一万ぐらいしかないというのですね。病院だとか駅だとかというところを私も調べてまいりました。病院なんかでも、直接患者がもっと電話が利用できるようにという指導もあるわけでございますが、国立療養所の例えば精神閉鎖病棟の保有施設なんというのは全国で十六施設でございますし、病棟数が五十四、設置台数はわずか十九台ですね。これは非常に低いわけです。  問題は駅でございますが、今問題になっております国鉄の駅にもっとカード電話を設置してもらいたいという要望があるのでございますが、それを言うと、どうも国鉄との間で話し合いがうまくいっていないというようなことでございます。一体それはどういうことか。我々が漏れ承ると、国鉄もこれからいよいよ新しい電話会社をやるので、この際、NTTのカード電話を既得権のように設置されては困るというふうなことが議論になっておるという話が私どもの地元でもあるのですね。  これは国鉄当局とNTTにお伺いしたいと思うのです。どちらからでもいいですから答えてください。まずNTTから聞きましょうか。
  123. 西脇達也

    ○西脇参考人 今お尋ねのカード公衆電話の駅構内への設置でございますが、お客様から御要望がございますので、私どもとしましては、国鉄さん並びに弘済会さんに対しましてお願いをいたしております。  現在の状況でございますが、特にお客様から強く御要望のございますのは、駅前、それから駅に入ってからはあるのだけれども、構内、改札に入ってから、コンコースあるいはホームでございますが、そこにないというお話がございまして、これは具体的にどこに何台ぐらいということで数も示してお願いをしてございますが、なかなか諸事情があってうまく進んでいないのが現状でございます。
  124. 草川昭三

    ○草川委員 その諸事情ということについて、国鉄からお伺いをしたいと思います。
  125. 松井隆平

    ○松井説明員 お答えいたします。  先生の質問に対しまして、ちょっと状況を御説明したいと思います。  私ども、駅の構内におきまして電話機を設置しておるわけですが、四月現在でちょっと把握しましたところ、約八千台の公衆電話がございます。そのうち約六百台はカード式でございます。十月の時点でございますけれども、トータル台数が八千二百台、そのうちカード式が七百三十台程度でございます。大体百五十台程度が増設になっておりまして、このほとんど大部分がカード式でございます。  そういうことで、例年の電話台数の増加傾向を見ますと大体百五十台ぐらいふえておりまして、カード式につきましては約半年で例年並みの増設台数というふうになっております。ただ、八千台のうちに七百台程度では少ないのではないかということでございますが、これも鋭意利用者の利用状況等を勘案しまして、NTTと打ち合わせの上進めてまいりたいということでございます。  それから、これがなかなかうまくいかないという御指摘でございますけれども、この台数から見ますと、私どもは必ずしも例年に比べて非常に悪いというふうには判断しておりません。ただ、国鉄におきましては、御承知のとおり現在審議していただいております分割・民営化法案の絡みもございまして、民営化後の駅の活性化といいますか、駅のコミュニティーセンター的な機能を強化するとか、あるいはインフォメーション機能を強化するとか、駅機能のほかに事業化をいろいろ考えておりまして、その中に公衆電話というものも入っておることは確かにございます。  ただ、新しい事業体になりましても、公衆電話すべてを新しい事業体でできるかどうか、NTTさんとの接続ということも当然出てまいりますので、これから国鉄が新しい組織形態に向かうわけでございますけれども、十二分にNTTと協議した上で円滑な設置を期していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  126. 草川昭三

    ○草川委員 事業化ということは国鉄も当然考えられるわけでございますが、少なくとも現時点では、一般国民の方々がカード電話を利用したいという強い要望があるわけですから、そういう趣旨でぜひ行政上の努力をしていただきたい、こう思います。  それで、これは本当に言外に、事業化という中で自分たちも電話をやるからというような御発言がございますが、そういうように非常に厳しい現状になってきていますね。だから、そういう現状なるがゆえに、NTTの場合も郵政当局としてはよほど身軽にして、それで新規参入者の方々と共存共栄を図っていただきたい、こう思うのですが、その点は大臣、どのようにお考えになられますか。
  127. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 NTTと新規参入者との適切かつ公正な競争というものは、電電改革三法の趣旨そのものでございますので、私どもは昨年の四月以降、行政の主眼をそこに置いて取り組んできたつもりでございます。  ただいま委員の方から、さらにNTTを身軽にして新規参入者と対等に競争できるようにすべきだという御指摘でございますが、NTTは、電電改革によりまして臨調の趣旨に沿って民営化されると同時に、それまでの政府あるいは国会による規制を大幅に緩和されたところでございます。その結果、私どもといたしましては、現時点でNTTは経営責任を十分に持ち得る、かつまた活力のある、かつ経済社会情勢に十分対応し得る事業体になったというふうに考えておりますので、現時点でなお市内回線等を独占をしているNTT、そしてまた、これまで百年にわたって培われました豊富な資産、技術力あるいは人材等を抱えているNTT、むしろ新規参入者の方を育成強化しなければならない面も逆にあるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、NTT並びに新規参入者が適切かつ有効な競争を通じて、国民により多様でできるだけ低廉なサービスを提供できるように、私どもも環境整備を図ってまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 私、最後に言ったのは、郵政省自身が民営化の厳しさということを本当に理解しておみえになるのかどうか。それから、過去郵政行政、今から私、具体的な事例を出しますが、あなたにも質問しますが、郵政省というのは随分一家主義で、我々が納得できないようなことをやっているんですね。じゃ、それを今から具体的に事例を言うから、もう一回今のような答弁ができるかどうか、聞いてもらいたいと思うのです。  まず、郵政互助会。郵政互助会の設立の経緯、それから現在どういうことをやっておるかということは、もう時間がございませんのであえて聞きません。郵政互助会というのは、郵政職員からの掛金を運用し、さまざまなことをやっておみえになり、現在では六十年三月で三千三百十八億円と言われる総資産額を持っておる非常に大きな団体です。この団体の中で、弘信産業、不動産管理。弘信商事、手形割引、ホテル経営。弘信観光、ステーションホテルなどを管理。それから東北工業大学云々というようなこともあるわけであります。四十四年のときには津久井湖カントリークラブ、ゴルフ場ですけれども、十億円の債権が回収不能になった。こういうものも肩がわりをしてやっている、こういう団体でございます。  きょうお伺いをしたいのは、二つか三つあるわけでございますが、去年の七月に毎日新聞に出ましたね。いろいろなことが出たのは、あれは日本弘信産業ですか、弘信観光ですか、互興建設ですか、津久井観光ですか、そのことをまずお伺いします。
  129. 森本哲夫

    ○森本説明員 この七月の新聞に掲載されましたのは、弘信商事の関係の記事でございます。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 弘信商事、いわゆるサラ金に融資をするというようなこともやっておみえになるわけであります。  それから、互興建設というのがありますが、これは九九・九%郵政互助会出資の建設会社ですかどうか、お伺いします。
  131. 森本哲夫

    ○森本説明員 互興建設は、先生御指摘のとおりでございます。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 互興建設が昭和六十年度に受注した件数がございますが、郵政省発注の工事十九件のうち十三件が随意契約、郵政互助会から四十六件、二十七億の工事が発注をされておりますが、四十六件とも随意契約、こういう会社であるかどうか、確認をしたいと思います。
  133. 森本哲夫

    ○森本説明員 互興建設が六十年度に受注いたしました状況でございますが、郵政省からの発注件数は十九件、三億三千五百万、郵政互助会四十六件、二十七億四千万円でございます。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 そういう会社があるというわけでございますが、これは郵政省なり郵政互助会の宿舎建設が中心なんですが、こういう公な建設についてすべて随意契約であるということはいかがなものかという感じがしますけれども、その点はどういうお考えでございますか、お伺いします。
  135. 森本哲夫

    ○森本説明員 郵政省から発注しております契約の内容でございますが、ただいま十九件と申しましたが、これはすべてではございませんで、このうち十三件が随意契約になっておるわけでございます。郵政省工事に関します契約については、御案内のとおり会計法の定めがございまして、予定価格が少額である場合、具体的には一件二百五十万円ということでございますが、これは随意契約は可能である、それ以外は指名競争による、こういう次第になっております。したがいまして、この場合、全体としては随意契約による部分というのはわずかな部分になろうかと思っておるところでございます。  なお、互助会からの発注分につきましては、これは財団法人でございまして会計法の適用はございませんで、郵政互助会と互興建設との契約によるというふうに承知をいたしておるところでございます。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 要するに、内輪だものですから随意契約でいいじゃないかということでございますが、すべて郵政互助会の発注を一つの九九・九%出資の子会社に指名入札をさせるというのは本来のあり方ではないと私は思うのです。これはまた後ほどほかで意見を聞きますけれども、やはり今日的な、民間活力を活発にしようという時期でございますから、市中にたくさんの業者がいるわけでありますから、そういう方々に私はもっと公開をすべきではないだろうか、こう思うわけであります。しかも互助会でやっておみえになりますのは、郵政省の宿舎が多いのですよ。今言いましたように少額のものだけばかりではありません。よく内容を調べてやっていただきたい、こう思うわけであります。  それから、この互助会の運営の中でいろんな仕事をやっておみえになりますけれども、ビルのテナントなんかを一等地、特に東京では赤坂周辺でたくさんのビルをつくってやっておみえになりますが、これが赤字なんです。赤字の理由は何か、お伺いしたいと思います。
  137. 森本哲夫

    ○森本説明員 郵政互助会は会員から預りました資産の効率的な運用を図る、こういうために、貸しビル業といいますか、ビルを建設いたしましてこれをテナントに貸すという事業をやっておるわけでございますが、これまでの既往を見ますと、五十五年度ぐらいまでは年度単位には黒字にはなってございましたが、五十六年度以降は、確かに先生御指摘のとおり、ビル建設に係る支払い利子あるいは減価償却等の支出がふえる、こうしたために赤字になっておるのは事実でございます。今後は、借入金の返済がふえるにつれまして支払い利子が減少してまいりますので、収支状況は好転してまいるというふうに考えておるところでございます。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 昭和六十年度の貸しビル事業のあれでは、やはりここを見ましても当期剰余は四千百万円ですか、赤字になっておりますが、さらに郵政互助会がいろんなことをやっております。東北工業大学に随分たくさん寄附をなさっておみえになりますが、東北工業大学という特定の大学に三億を超すお金を寄附なすっておみえになる事実があるかないか。その金額を正確に言っていただきたいと思います。
  139. 森本哲夫

    ○森本説明員 先生お尋ねの東北工業大学は、前身を東北電波学校と申したわけでございますが、戦後二十九年に開校いたしたのでございますが、その後諸般の事情によりまして、三十四年に一たん廃校になった。そのとき、地元では東北地方に数少ない施設である、今後の電気通信あるいは電波関係の技術者の養成という見地からぜひ地元で何とか再興したいという強い要請が互助会側にございました。互助会は、郵政省の所管の公益法人としてもこうした人材養成に寄与するというのは公益的な意味合いも認められるということで、この再建に支援を行った。そして、東北電子工業高等学校あるいは後には東北工業大学、こうした学校の設立に参画してきた、こういう歴史がございます。  お尋ねの寄附金でございますが、五十四年には、宮城沖で学校が被災をいたしました。そうしたとき、あるいは六十年度はちょうど二十周年になるというようなことで、その節々に寄附をいたしまして、四十四年から六十一年度まで御指摘のとおり総計いたしまして三億七百万の寄附をいたしておる、経緯はそういうことでございます。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 もちろん、電波系の技術者を養成するためにいろいろと御支援なされるのはいいわけですが、別に、全国では電波関係の技術者を養成する学校は、東北工業大学だけではないわけです。全国にたくさんあるわけですから、そういうところになべていろんな御援助をなされればいいのではないかと思うのです。  ちなみに、東北工業大学の理事長は郵政省の元局長であります。理事は互助会の理事であります。こういう方々が随分中に入っておみえになるわけでありますから、結局、内々のところには三億に及ぶ寄附をなされる。それでビルの方は赤字だ。どこで収益を上げるかというと、子会社の方の配当等もあるからそれを充てられる。子会社の方は悪名高きサラ金にお金を融資して新聞ざたになる、こういうことになるわけですね。お金に印がついておりませんけれども、郵政省ともあろう伝統的な役所のやることにしてはいかがなことか、こう思うわけであります。  この点は、公益法人の業務のあり方について行政監察局の方からも御意見を聞きたいと思うのですが、もう一つ具体的な事例が出てきてから行監局、すなわち総務庁の方からの意見も聞きたいと思いますので、総務庁にちょっと待っておっていただきたいのです。  私は、最初、この郵政互助会というのはこんな組織ではないと思っておったのですよ。そうしたら、内々同士では非常に甘いやり方をしておみえになる、こういう事例があるわけで、納得できません。  ついでながらもう一つ、これは電波局に関係をするわけでありますが、電気通信振興会というのがあります。これは前の電波振興会という財団法人でありますが、パーソナル無線、これは今非常に伸びておりまして、資料をいただいておりますが、累積で相当な数になっております。  まず、このパーソナル無線ということでお伺いしますが、無線局数は六十一年九月三十日までで百三十一万一千六百二十九局、これは国民の方々が本当に簡易に無線を使うわけですが、それには届け出が必要でありますし、許可が要ります。その許可の代行をする団体をこの財団法人がやっているわけです。地方の電波監理局に免許の許可を受けるわけです。あるいはメーカーの方も技術証明の適合証明というのを受ける。そういう手続を全部この財団法人電気通信振興会がやるわけであります。  例えば私がパーソナル無線の申請に行きますと、まず窓口ではねられるわけです。電気通信振興会へ行きなさいよ、こう言われるわけです。だからそこへ行かざるを得ない。個人では実際は無理なんです。きのうもレクチャーで、個人で受けるのかと言ったら、受けぬことはないというのです。その例はあるかと言ったら、これは非常に数が少ないということで、絶対にないとはおっしゃっていませんでしたが、まず九九・九%は財団法人電気通信振興会に行かざるを得ないわけであります。  ところが、この団体が非常に収益を上げておりまして、過日国税局の方から修正申告をしろと言われた経過があるわけであります。これは昨年の七月でございますが、五十八年五月期と五十九年五月期の二年間で、約六億円の申告漏れ所得があったと言われておりますが、これは事実かどうか、大蔵省国税庁にお伺いいたします。
  141. 瀧川哲男

    ○瀧川説明員 お答えを申し上げます。  私どもも、御質問のような新聞報道があったということは承知しておりますが、何分個別事案にわたる事柄でございますので、詳細についての御答弁は差し控えなければならない立場にございます。この点、御理解願いたいと思います。  お尋ねの振興会につきましては、法人税法百五十二条に基づきまして所得金額が公示されております。これに基づきましてお尋ねの五十八年五月期と五十九年五月期の公示所得金額を申し上げますと、五十八年五月期分につきましては、当初の申告が七千四百八十二万九千円、修正後の申告が一億三百七十万八千円となっております。それから、五十九年五月期分につきましては、当初の申告が九千九百四十三万三千円、修正申告が七億一千五百十万四千円、このようになっております。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 この手数料でございますが、手数料五千円のうち四千円は国庫へ、これは収入印紙を張るわけですから別といたしまして、申請の代行手数料として七百円を取るわけです。そのほか三百円を一局についてそれぞれ受ける。こういうことで、年間人数約二十五万局、六十年度だけでも二十二万人の方々を対象にこの財団法人が運営をしてみえるわけですが、この価格はいわゆる原価主義と言われておるわけですね。原価主義というのですか、実費主義でこの申請手数料を受けているのではないか。そして、申請者に対してサービスの向上を努めるのが事業計画の基本だと承っているのですが、その点はどうですか。
  143. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 お尋ねの電気通信振興会の業務におけるパーソナル無線の申請代行業務でございますが、財団法人でございますので、当然のことながら実費主義を建前としております。ただ、五十七年十二月からパーソナル無線を導入いたしました際に、これが非常に使いやすくてしかも簡便なものであるということで、私どもも相当普及するであろうというふうには見込んでおりました。ところが、私どもの予想を上回るピッチで増大いたしまして、五十八年度あるいは五十九年度あたりでは四十万局から五十万局も一挙にふえるというようなことになってまいりましたために、振興会といたしましても、当初予算ベースで予想いたしましたものをはるかに超える決算数字が出てきたというのが実態であろうかと思います。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 予想外にユーザーというのですか、利用者がふえたために収支は非常によくなって、それを国税の方からも指摘をされたという経過になるのですが、国税の指摘から、今度は決算を公益会計収益会計と二つに分けてみえるわけですね。それは当然だと思うのです。それはそれでいいのですが、これは五十九年度の決算ですが、事業費の中に電気通信職員の福利厚生費、こういうものをことしも九百四十二万計上しておみえになります。この電気通信職員の福利厚生費というのはどういう内容になっておるのか、お伺いします。
  145. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お答えします。  お尋ねの電気通信職員福利厚生でございますけれども、これは実はこの電気通信振興会の寄附行為にございます「電気通信関係者の教養の向上並びに福祉の増進に関する事業」ということで実施しているというふうに承知しております。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁だと、教養を高めるためにいろいろな勉強会をやっているから補助金を出す、こういうことだと思うのですが、私の手元にたまたま昭和五十九年度事業計画あるいは昭和五十八年度事業計画があるのです。この事業計画を今回私が資料請求をしてもおたくの方は持ってこないのですが、過去の五十七年、五十八年、五十九年の事業計画を読むと、今の答弁はこういうことになるのですね。電波関係者の教養の向上並びに福祉の増進に関する事業、一番、レクリエーション行事の後援、野球大会とか卓球大会とか、これはこれでいいのですが、二番目、保養施設等の利用に対する補助、電波職員を、これは郵政省のことですよ、電波職員を対象に各地方電波監理局を単位として保養施設として旅館等と利用契約を締結し、利用者に対し年間一回一人二千円の補助を行うこととした、なお、本年度契約した保養施設、こういうことですから、これは本当の電波職員の方々に対する補助金ですね。そういうものをパーソナル無線の利用者がどうして負担をしなければいかぬのか、ここがどうしてもわからぬのです。このわからぬことをきょうここで解明していただきたい。これは最後に大臣の見解も問いたいわけです。  私は電波職員とは関係ないですよ。とにかく、私がパーソナル無線を利用したいから申請をすると、その費用が回り回って、回り回ってではなくて、直接電波職員の保養所の利用になぜ化けなければいかぬのか。郵政省はまだほかにもいろいろな局があるわけですが、こういう各種団体が皆あって、そういうところから皆さんもらってみえるのですか。郵政省というのはそういう役所であり、電波行政というのは非常に恵まれて、国民の我々に肩がわりをするようなことをされておみえになるのか、お伺いをしたいと思うのです。
  147. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 先生が今おっしゃいますように、申請代行等による収入が一つの収入の項目といたしまして、この振興会の収入源になっていることは確かに事実でございます。つけ加えますと、実はそれ以外に振興会は寄附行為に基づきましていろいろなことをやっておりまして、例えば出版事業によります出版収入でございますとか、余裕のある資金の運用による運用益などもございまして、そういったこの振興会の事業活動によるものの一部の収益を、同じ定款で目的としておりますこういった職員の福利厚生の施設といいますか福利厚生事業に使うことは、やはり妥当なものではないかと考える次第でございます。
  148. 草川昭三

    ○草川委員 妥当なものだというと、パーソナル無線の代行業務というのは振興会の収入の一部だから、ほかに出版をやっている、それから食堂の経営もやっておる、だからおれたちはお金をどう使おうと自由だ、こういうことですが、国税の方からも、あなたの方は今までと違うといって、きちっと指摘を受けておるわけですね。それで公益会計収益会計と分け、そして皆さんの方は、今度は電気通信職員の応援の費用を公益会計の方から出してみえるわけでありますが、私ども、今度パーソナル無線を申請するときに、関係のない職員にこの金が行くのは嫌だから、手数料七百円から一部五十円なり百円引いて払うと言ったらどうなりますか。受け付けますか。
  149. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 今の代行事務につきましての手数料は、代行事務に要する原価というものを考えまして、それに見合う経費としてちょうだいしているわけでございますので、その金が全体としての振興会の収入になり、そして支出の一部にそういった職員の福利厚生に使われているということをもって直ちに一部の金額をその分控除してということは、ちょっといただけないのではないかと考える次第でございます。
  150. 草川昭三

    ○草川委員 申請代行の、例えばこれは五十九年度の分だけでもいいのですけれども、収入は八億一千九百三十万九千三百九十九円でございまして、三十二億の中でも結構大きいと思うのですよ。そうでしょう。小さいですか、この申請代行手数料のウエート、パーセントは。何%になりますか。
  151. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 ただいま御指摘の申請代行にかかわる収入、これは五十九年度八億二千万近いわけでございます。比率にしまして四分の一というふうに算定されると思います。
  152. 草川昭三

    ○草川委員 だから二五%でしょう。二五%は一部だから、あとの四分の三はほかで稼いでおるから、そんなこと一々言われぬでもいいという態度ですが、こういう議論というのはまさしく決算委員会にはなじまぬと私は思うのですね。決算委員会というのは、細かい重箱の隅をつつくようですけれども、お金の出し入れも基本的ですが、そういう姿勢全体、私物化をするようなあり方を我々は批判しなければいかぬ場だと思うのですよ。こういう議論がいつも、常時行われていくならば、臨調なんというのは要らないのですよ。民営化だって要らないのですよ。だけれども、こういう場で、今おっしゃるように非常に小さいようなことを言うのだが、それは体質につながると言っているのですよ。  それについてもおたくの方は、いただけない議論だ、別にどうってことないじゃないか、国民がパーソナル無線の申請をするといったって大したことはない、わしらの方は本で稼ぐのだ、そういうことでしょう。食堂で稼ぐのだから、電波職員に対する応援をしたっていいじゃないかと言うのですが、これは制度として応援されるわけですからね。例えば電波局の職員がいろいろな行事のときにこの協会が表彰にいろいろな記念品を出すとか、あるいは奨学のために何か非常に助成をするとか、電波行政の育成のためにというならいいのですけれども、職員の恒常的な福利厚生の肩がわりをするということは、これは今度は郵政省の行政貧困ということでしょう。郵政省が足らざることをこの協会がやるということじゃないですか。  一つのカンパニアというのですか、臨時に何か出すというなら、こういう関係する団体だから、どうぞ出したっていいじゃないですか。しかし、恒常的な福利厚生費としてこういう項目を挙げるというのは全くおかしいと思うのですが、この点を含めて総務庁、今まで公益法人に対する監察をやっておみえになったと思うのですが、どうお考えになられるのか、お伺いします。
  153. 大橋豊彦

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の公益法人の問題につきましては、私ども総務庁におきまして昨年九月に監察結果をまとめまして、郵政省も含めまして勧告をいたしたところでございます。  その監察におきましては、公益法人というのは本来の公益目的を行うべきであるという基本認識に立って勧告をとりまとめたところでございますが、具体的な勧告の内容としては、例えば休眠法人の問題だとか、あるいは中間法人制度の創設の問題だとか、あるいは公益事業適正化だというような非常に広範な問題について勧告をいたしております。その中の一つとして、今先生が御指摘のような、公益法人が本来の公益事業をやるべきところをやってないというものもございまして、そういう実態を踏まえまして、やはり各省における公益法人の運営に関する統一的な指導監督基準が必要なのではないかということを昨年九月、勧告いたしているわけでございます。それを受けまして、総理府本府が中心になりまして、ことしの七月でございますが、公益法人の運営に関します統一的指導監督基準というのを取りまとめております。  今回の勧告では郵政省も対象にしておりますので、郵政省におきましては、私どもの勧告の趣旨、さらには今申し上げました政府全体として取りまとめられました指導監督基準に基づきまして適切な公益法人の運営に関します指導監督が図られるものだというふうに考えている次第でございます。  なお、私ども総務庁におきましては、勧告いたしました後は、ほぼ二回程度にわたりまして、勧告の実施状況というものを各省から回答を求めております。そういうようなことを通じまして、一層公益法人の運営について適切な指導監督ができるよう、今後ともやってまいりたいと思っております。
  154. 草川昭三

    ○草川委員 今総務庁の方からもお聞きのような答弁が出ておるわけですが、郵政大臣、どうですか、こういう事業費の中に福利厚生費といって、制度として九百四十二万もこの五十九年度の場合は計上しておる。毎年一千万近いものが出ておる。制度として出るということは、郵政省のやり方が悪いから我々が肩がわりするのだよ、こういうことになる。しかも、それはユーザーの負担ですよ、こういうことになるのですが、郵政省としてその点どういう見解ですか、お伺いします。
  155. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 電気通信振興会につきまして今先生お挙げになりました事例は、私きょう初めて聞くことで、細かい点はよく承知しておらないのでございますが、電気通信振興会も公益法人でございまして、先生のおっしゃるのももっともだと思うわけでございまして、先生のおっしゃることを念頭に置いて、今後適正に監督指導してまいりたいと考えております。
  156. 草川昭三

    ○草川委員 大臣もそうおっしゃっておみえになるわけですから、ぜひ電波監理局の方も、何も悪いことをやっておるのじゃないよ、いただけないなんてそういう態度じゃなくて、やはり真摯に——とにかく国民、ユーザーがこの窓口を通じないと実際手続できないのですよ。しかも、そのほか寄附金も随分旧振興会は出してみえるわけでありまして、この寄附金なんかも、きょうは余り細かく言いませんけれども、三千万でしょう。この使い方というのは、本当に内輪のために使われるわけですよ。さっきの互助会の大学に対する寄附もあわせまして非常に問題だと私は思うのです。  きょうは時間がありませんのであれでございますが、今のはパーソナル無線ですから、今度は業務用無線ですね。業務用無線の申請代行というのは陸上無線協会というものを通じて出すわけですよ。この陸上無線協会の方は、業務用の方々が少ないものですから、これはまたいわゆる収入が非常に少ないのです。非常に収入が少なくて、どういう苦情があるかというと、これは手紙を読んでもいいのですけれども、この無線協会を通じて手続をする場合に、字句修正については、一字字句修正するのに千五百円取るのですよ。二字違うと三千円取るというようなことです。  これは私のところに来た手紙ですから、ちょっと読みますけれども、協会の仕事は、無線局申請手続をする場合に、直接局へ提出しないで協会を経由して行い、そこで書類のチェックをするということになっておる。当初は千円、現在は千五百円協会の手数料として字句修正のお金を取る。いろいろと苦情が行っておるのでございますけれども、字句訂正料を取られたので納得がいかないので申し出をすると、あなたの給料から引かれるのじゃないからいいじゃないか、協会もお金がないから協力して、こう言われた、こういうような手紙があるわけです。  私、請求書も全部持っております。業務用のこの無線協会は、相手が少ないものですから非常にみみっちいやり方をしておる。この協会も電波監理局のOBの方々がやっておみえになるわけです。私はOBの方々がやっておることをけしからぬと言うわけじゃないのですが、無線協会の方は、今申し上げましたように非常に貧乏だ、片一方の振興会の方はお金が非常に潤沢だ、たまたま時流に合ったからだ、こうおっしゃいますが、時流に合ったから収入がふえるならば、いわゆる手数料を引き下げるべきでしょう。それは当たり前でしょう。ところが、ユーザーがふえたからといって、思わぬところが豊かになったということだけで終わっておるわけです。これはもう民間なら、さっきのNTTの話ではありませんけれども、値下げということを打ち出さなければいかぬわけでしょう。  ところが、値下げを打ち出すという発想が電波監理局にはないわけでしょう。で、さっきのようないろいろな答弁になるわけですよ。私はどうもそこが納得いかぬわけですよ。それが郵政省の体質ではないか。だから郵政省の体質ということが、ホテルの経営をしたり、あるいはサラ金の経営に走ったり、あるいは建設企業をつくるならばそれは九九・九%の建築会社をつくって、それは今申し上げたようないわゆる随意契約になってしまう。内々なんですね。だから内々には非常に甘くて、国民の皆さんの、お客がふえたからといってサービスをするという発想が職員の皆さん方にはない、まして幹部の皆さん方にはない。せっかくいいポジションをつかんだんだからそれはひとつしっかりと握っておこうじゃないかと言わんばかりの態度ではないかと思うのですが、今私が申し上げた全体のことについて反省の色全然ないのか、あるいは聞く耳持たないのか、最後の答弁を局長にお願いしたいと思います。
  157. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 もとより公益法人でございますので、公益法人としてその法人の本来の目的に合致した事業活動をするように、私ども指導監督してまいりたいと思っております。
  158. 草川昭三

    ○草川委員 指導監督はいいけれども、ではもう一回、さっき大臣はああいうことを言われましたね。大臣はこういうことはきょう初めてだけれども、私の問題提起については理解をするというお言葉があったのですが、おたくはさっき言ったようにいただけないという態度でいくのか、考え直すというのか、詰めた返事をしてください。
  159. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 詰めたということでございますけれども、私、先ほどちょっとあるいは表現に穏当を欠いたかもしれませんが、納めていただく手数料の一部をその分だけ削って納めてはどうかということにつきましては、これはそれなりのコストがあるので、それはそれでその金額をお納めいただきたいということでございまして、再度繰り返しになりますが、全体としてこの振興会が公益法人として本来の目的に合致した活動をするように、今後とも指導監督してまいりたいと思います。
  160. 草川昭三

    ○草川委員 こういう委員会でございますから、非常に問題があるならばとことんまで明らかにし、今後の行政に反映をしてもらいたいという立場から私ども問題提起をしておるわけですが、せっかく大臣もそういう答弁をなされておるわけでありますから、しかも国民を相手の財団でありますから、日常活動の中でぜひ反省をして対応を立てていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  最後に、もうあと一分か二分しかございませんので、いわゆる強力な電波というものが体に影響があるのではないか、こういう趣旨で問題提起をしたいわけでございますが、ラジオやテレビの放送あるいはレーダー通信などに使われている電波というものについての人体に対する影響を、アメリカの環境保護局、EPAというところでは、先ごろ発信電波の強さの許容値などを設定した規制指針案をつくったということが言われておりますが、いずれは強力電波というものは野放しでいいかどうか、もちろんその作業者については労働省関係の仕事にもなりますが、きょうはひとつ、もう時間がございませんので、せっかくアメリカでも環境基準ができそうでございますが、日本の対応は果たしていいのかどうか、その趣旨で質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
  161. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 電波の人体に与える影響につきましては、郵政省としてもかねてから大変関心を持っておりまして、昭和五十四年以降電磁環境問題研究会というものを設けて、さまざまなデータを集め、あるいは諸外国の動向等も調べ、あるいは実態的な調査なんかも行っております。また、それと並行いたしまして、技術的にノーハウを持っております電波研究所においても、電磁環境を測定するための装置等の開発並びにそのやり方についていろいろ研究をしてまいっております。  それ以来既に数年になりますので、諸外国の動向も大分明らかになってまいりました。ただいま先生御指摘になりましたように、アメリカではEPAが一定の基準を見直した上でつくり直すという動きにもございますし、また東ヨーロッパあるいはソ連においても一定の値を既に公表しておるところでございます。国際的にはこうしたソ連圏あるいは米国あるいは東欧圏等の基準値が一定の方向にだんだん収れんしつつあるような状況にございますので、私どももそろそろこれらについて日本の値というものを、あるいは値までいかなくても方向といったものを出さなければならないと思っております。  したがいまして、結論的に申し上げますと、この研究会の検討結果を待ちまして、来年度中くらいには電磁環境問題についてのひとまずの方向づけは少なくともしてみたい。具体的な基準値の策定はそれからまだ若干の時日を要するかと思いますけれども、いずれにいたしましても、御趣旨を体して前向きに検討いたしたいと思っております。
  162. 堀之内久男

    堀之内委員長 大矢卓史君。
  163. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。  まず、大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、私も、けさ方からのマル優制度の存続の問題につきまして、いろいろと先輩諸氏の御意見なり大臣の決意のほどを承っておりましたけれども、余り私どもがそれについて重複することを避けたいということでお尋ねをしないつもりでおりましたけれども、各党御意見の中でのそういうことでございますので大臣にお伺いをするわけでありますけれども、郵政大臣として郵便貯金のマル優廃止反対につきましての御意見はわかりましたけれども、国務大臣としてこのマル優制度についてどのようにお考えであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  164. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 本日は、決算委員会の各先生、皆さん少額貯蓄優遇制度に御関心をお持ちになり、そしてこの制度は存続すべきだという御激励をいただきまして、私も本当にありがたいことだと思っております。  私も国務大臣でございますから、内閣のいろいろな審議会、調査会の答申は答申で尊重さしていただきますが、事少額貯蓄優遇税制、これにつきましては、けさほどからるる申し上げておりますように、やはり貯蓄というものは国民経済的にもまた国民一人一人にとっても非常に重要なものであるということから、去る十六日に郵政審議会から少額利子非課税制度は堅持すべきであるという答申をいただいておりますので、この答申に沿ってこの制度を守るように、微力ではありますが、全力を挙げて努力する所信でございます。
  165. 大矢卓史

    ○大矢委員 国務大臣としての決意のほどを聞かせていただきました。これで、中曽根内閣の唐沢郵政大臣がいらっしゃる限りにおいてはこの制度の撤廃はあり得ないというふうに確信をいたしましたので、今後とも御努力願いたいと思います。  先ほど草川委員の方から御発言ございました郵政互助会につきまして、その目的、また現在の会員の加入状況等御説明願いたいと思います。
  166. 森本哲夫

    ○森本説明員 お答え申し上げます。  郵政互助会は、郵政省職員の退職だとかあるいは死亡だとか、そうした際の相互扶助を目的といたしましてその福祉の増進を図る、こういう目的で郵政大臣から設立を許可された、そういう団体でございます。  現在、会員は二十五万九千人であったかと思います。
  167. 大矢卓史

    ○大矢委員 組織状況は、職員の中の何%でございますか。
  168. 森本哲夫

    ○森本説明員 全体のうちで約八六%に相当するかと思うわけでございます。
  169. 大矢卓史

    ○大矢委員 八六%と申しますと、一四%が未加入でございますけれども、この未加入の方々の実態はどういうことでございますか。
  170. 森本哲夫

    ○森本説明員 失礼いたしました。先ほど答弁で八六%と申しましたが、八四%に相当するわけでございますので、したがって、未加入は一六%になるわけでございます。  もともとこの互助会は、会員に入るか入らないかというのは専ら任意、職員の意思による、こういう仕組みになってございますので、この人たちは入らないという意思表示でいる。同時に、大勢の職員でございますから、しょっちゅう職員の出たり入ったり、郵政省に就職したりあるいは退職をしていったり、絶えず人事異動の方々がある中でのただいま申し上げた未加入加入実態にある、こういうことでございます。
  171. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういたしますと、八四%の加入で、一六%の未加入の方々は特別の事情があるのでなくして、自然の流れでそうなっておるということで解釈してよろしゅうございますね。
  172. 森本哲夫

    ○森本説明員 郵政省職員を対象にそういうシステムがあるけれども、加入はあくまでも任意だということでこういう実態になっておるわけでございますので、個々人がどういう理由で入るか入らないかまではつまびらかにいたしませんが、そういう意味では、概括的な話としては先生のおっしゃるとおりになろうかと思うわけでございます。
  173. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、ただいま運用されております総資金は、お幾らですか。
  174. 森本哲夫

    ○森本説明員 現在会員から積み立てをいたしております資産全体の総額は、二千三百七十八億になる次第でございます。
  175. 大矢卓史

    ○大矢委員 それでは、先ほど草川委員が申されました金額は間違いなんですね。資料の間違いか何か、三千三百十六億円ということをおっしゃっておられましたが。  それでは、二千三百億円ということで、この膨大な資金を運用して職員の福利厚生のためにやっていくということだと思いますが、もし退職されました場合、どのような形でこれが運用されて職員に還元をされるのか、今までから何%の割合で金利と申しますか、そういうものがつけられて戻っていくか、その点についてお答え願います。
  176. 森本哲夫

    ○森本説明員 先ほど申し上げました数字、二千三百七十八億は正味資産でございまして、そうした意味合いでこの数字を申し上げた次第でございます。  ただいまお尋ねの退職給付の制度のことでございますが、互助会に職員加入いたしますと、毎月々、職員の俸給から天引きをいたしまして、そしてそれを蓄積する、そしていろいろな運用を図って、退職時にこれを支給する、こういう仕組みでございますが、退職給付金額は基本的には、その職員がどういう俸給をもらっておったかあるいは何年加入しておったか、そうした条件がいろいろまちまちでございますが、これには一定の給付率というものを掛けまして算出をいたしまして、退職給付金というものを支給する、こういうことでございます。  なお、お尋ねの支給率という意味では、現在平均いたしまして、年八・六%程度になっておろうかと思います。
  177. 大矢卓史

    ○大矢委員 御承知のように郵政省郵便貯金からいろいろな金融を扱っていらっしゃるわけでありますが、金利が非常に低金利の時代に入っております。この八・六%というのが、これからもこの水準でやっていくということが果たして可能かどうか、非常に難しい状態になるのではないか。全体的にこの八・六%を維持していくためには、先ほどから指摘されておりますような、いろいろな一見無用と思われるような事業にまで手を出さなければならぬのではないか、そうでなければ、このような八・六%というものが維持していけるのかどうか、今後の見通しをお伺いをいたしたいと思います。
  178. 森本哲夫

    ○森本説明員 先生御指摘のとおり、この給付率というのはこれまでの実績というものを背景にしてきた数字でございますので、今後の金利水準の動向というものを長期に見ますならば、今後はなかなか困難ではないか、これは御指摘のとおりでございます。  そうした意味合いで、今後の長期的な金融情勢あるいは経済情勢、その他全般のもろもろの諸問題を検討いたしまして、こうした予定利回り等は見直す時期に来ているのではないかということで、目下互助会ではこうした面での検討に入っている、こういう次第でございます。
  179. 大矢卓史

    ○大矢委員 金利につきましては、郵便貯金にいたしましても、国の方で決められますと、自由に国の方で勝手に上げたり下げたりできるわけでありますけれども、少なくともこういう限られた互助会という組織は、互助会に加盟をいたしております人たちによって運営されていくというのが当然のことであると思います。  それにつきましては、今の互助会の運営をいたします理事会また評議員会等は、寄附行為で定められておることであろうと私は思いますけれども、やはり時代の流れで加入いたしております人たちの動向が変わってまいります。その現状に即して、これは今非常にいい面ではNTTがございますし、また非常に不幸な面では国鉄がございますけれども、郵政事業全般として、これから一丸となって国民の郵政事業として大いに前進をしていただくためには、やはり従業員が一つになって、今後お互いに協力し合いながら前進に努めていかなければならぬ。  そういうことになりますと、当然この現状というものを認識しながら、これらの運営に当たっては、役員等につきましても、当初の寄附行為そのものはございますにいたしましても、その寄附行為の変更も含めて適正に、今申しました八四%の方々の総意が反映できる運営ができるような役員構成または評議員構成等がなされなければならぬと思いますけれども、この点につきまして、今すぐにということは非常に難しかろうと思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  180. 森本哲夫

    ○森本説明員 互助会ができましたのは終戦直後の状態でございましたので、今日とはいろいろな意味で状況が異なっているのは先生御指摘のとおりでございます。省といたしましては、こうした互助会が職員の福利厚生を目的といたしております以上、この基盤を職員全般にきちんと置いていくということは当然でございまして、できるだけ広く郵政職員の理解あるいは協力等を求めることは大変大事だと考えておりますので、そうした意味合いで、これからも広い職員の支援が得られますように今後とも努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  181. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 郵政互助会は職員の相互扶助と福祉の増進に寄与することを目的として設立されたものでございまして、今いろいろ先生から御指摘をいただきましたが、今後はその設立趣旨に沿うように、また時代の流れに沿うように、さらに公益法人として節度のある適切な運動が行われるように指導監督してまいりたいと思っております。
  182. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣からもそういう今後の決意を聞かせていただきまして、ありがとうございました。先ほど草川委員から指摘がございましたように、余り無理な運営をなさらないように、このことも含めて今後の御努力をお願いいたしたいと思います。  そこで、先ほど申しましたように、これからの郵政事業は最も住民と密着をした中で行われていかなければならぬというふうに私は思うのでありますが、まず、一郵便局ということではございますけれども、現在進んでおります大阪市住吉区の郵便局設置の今日までの経過並びにこれからの窓口開始までの計画について御説明を願いたいと思います。
  183. 富田徹郎

    ○富田政府委員 集配郵便局の新設につきましては、地域の発展等によりまして現行施設で対応できない場合には、行政区画、受け持ち区域の人口、面積、地形、過去及び将来の発展の状況、都市計画の規模、現在の受け持ち集配局との距離、局舎事情、経済性、いろいろな要素を総合的に勘案いたしまして、個別に設置の計画を進めているところであります。  住之江局につきましては、当時局舎狭隘でありまして、その位置での改善が困難でありましたので、住之江区と住吉区両区を受け持つことを前提にいたしまして、昭和五十五年に移転、新築したものであります。  住吉区につきましては、郵便局新設の個別の要素を検討しまして、かつ郵便局用地の取得の見込みもつきましたので、住吉局を新設することといたしまして、郵政業務を将来にわたって安定的に確保するための所要の計画を進めておるところであります。
  184. 大矢卓史

    ○大矢委員 後ほどもう少し具体的に設置場所でございますとかいろいろお聞きをいたしたいのでありますが、聞いておりますと、ただ単に住之江郵便局というのがございまして、それが非常に利用価値がふえたので住吉郵便局というものをつくるのだという非常に簡単な認識であります。  そこで、私がなぜこのことを申し上げるかということを大臣にもお聞き願いたいのでありますが、大阪市は御承知のように行政サービスということで分区を行いました。また、これから合区ということも行うわけでありますけれども、四十九年に分区が行われたわけでありまして、その当時は住吉区という区でございまして、そこに住吉郵便局というのがあったわけであります。たまたま分区によりましてその住吉郵便局が、新しく住吉区と住之江区に分かれたわけでありますが、住之江区に位置をいたしましたので、その名称が住之江郵便局になったのだと思います。  しかし、そうなってまいりますと、住民サービスからいいますと、区役所は二つできますし、いろいろな大阪市の施設というものが二つできるわけでありまして、当然住之江区に局がございましたら、まず新設は住吉区にすべきであったろうと思います。ところが、その旧住吉区の中心にありました郵便局を廃止して、片一方の住之江区の中心へ住之江郵便局を持っていって、従来の住吉郵便局を廃止して、住吉、住之江の両地区を担当する住之江郵便局というものを設置いたしたのであります。  御承知のように、今申しましたように分区は昭和四十九年であります。そして、区役所もちゃんと二つできましたし、警察は、これまた住吉警察というのがございまして、これは旧住吉区から新住吉区の地域に残りました。そういたしますと、住之江区に警察がございませんから、まず住之江区に警察をつくったわけであります。そしてまた、住吉区では一番端になりますから、新しく中心部へ住吉警察署を持っていこうというのが、やはり住民へのサービスの一つの道筋だと思います。  ところが、郵便局は住吉、住之江の中心にある住之江郵便局をわざわざ住之江の地域の中心に持っていって、大臣御存じないと思いますけれども、東西は非常に交通の便が悪うございます。だから、住民サービスということで分区をいたしまして、その結果、住吉の人たちは郵便のことで住之江の中心まで出かけていかなければならぬという非常に不便をいたしたわけであります。  長い間不便をして、後ほどもっと詳しいことをお聞きをいたすのですけれども、今度住吉でようやく郵便局ができる、そして開設は再来年であろうと言われておりますが、この十四年の間、各地で行われるでございましょうそういう住民サービスについて、この分区について大阪市が当然郵政当局と打ち合わせをしなければならぬにもかかわらず、区役所だけが二つできた、警察もできた、そういう諸官庁ができる中で郵政事業、この郵便局だけが一体なぜおくれたのか。それは大阪市の責任であるのか、また郵政当局の怠慢なのか、それとも、やりたかったけれども予算を許さなかった大蔵省の責任なのか、そこらの点についても、この際やはり十四年間おくれた住民に対しての報告をする義務からも私はお聞きをしておきたいと思います。
  185. 富田徹郎

    ○富田政府委員 四十九年に分区が行われまして二つの区になったことは先生の御指摘のとおりでございますが、郵便局が一つで二区を受け持っているという状態は、大阪市におきましても、例えば大阪中央郵便局が北区と大淀区を受け持っておりますし、また大阪城東郵便局も城東区と鶴見区を受け持っておる状況にあります。両局とも分割して二つの郵便局に分けていくという計画は、今のところはございません。  と申しますのは、住民サービスが必要な地方公共団体の場合には、分区と同時に区役所は二つ必要であるかもしれませんが、郵便局サービスは、大まかに言いまして二つサービスがあります。一つは、窓口で住民にいろいろサービスを供給するサービスでありますが、これは分区になりましても、従来八百メートル間隔程度には特定郵便局というものがありまして、そこでまず郵便、貯金、保険の三事業に係りますサービスは提供できるような体制にはなっております。したがいまして、もう一つのサービス、つまり郵便を取り集め、また配達するというサービスは、場所が多少遠くても、機動車等を使いまして、速い配達、取り集めというようなことについては一刻のサービス低下もないように努力をして、そういう配置をしておるところであります。  しかし、それでも大きな区が二つに分かれたのだから、また分かれたなりに住吉区の局舎も早くつくるべきではなかったか、結果としては今度つくります計画の前にもっと早くつくるべきではなかったかという先生の御指摘につきましては、何分とも郵政事業は独立採算で行っておりますので、過剰といいますか、余分な投資が予算上もできないわけであります。そして、発展地におきましては、都会地におきましては、集配の中心の郵便局をつくりますのにはかなりのスペースを要しますので、用地の取得が極めて困難な状況にあります。その中でもより広いスペースを求めて、そして交通の適地といいますか、中心に近いところを探し求めて相当な年月がたったということは事実でございますが、そういう予算的な状況、それから都会地における用地取得の困難というような事情を御賢察いただけるようにお願いしたいと思います。
  186. 大矢卓史

    ○大矢委員 局長、今とうとうと大阪市内のことをよく御存じのようにおっしゃいましたけれども、中央郵便局の北区と大淀区、二つの地区で一つの郵便局でございますと言いましたけれども、既に北区と大淀区は合区することになっているということを御存じですか。そういうことも知らないで区だけ並べて、その事情も知らないでそういうことをどうのこうのと言うのですか、あなた。もう合区になることも決まっているのですよ。それを、二つの区に一つしかないから、分区したところに、二つの区に一つしかないのが当たり前のような言い方をするのはそれでいいのですか。大臣、それはどうなんですか。そういう認識で、現状を知らずに平気で答弁するということはどうなんですか。
  187. 富田徹郎

    ○富田政府委員 失礼しました。北区と大淀区を合区するという計画は、確かにございます。
  188. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういう現状を知らないで、どういうつもりか知らぬけれども、二つのところでも一つしかないのだから、住吉区は今までなかったのが当たり前なんだ、また城東郵便局についても、これはやはり——郵便局は今言いますように郵便局だけのもので、別に来てもらわぬでもいいのだと言いますけれども、やはり手紙を出して、そこにいらっしゃらなかったから取りに来いというのが着くわけですよ。先ほど申しましたように、大阪は中央部に全部交通網が行っているわけだ。住吉から住之江へ行く交通網は何もないわけですよ。しかし、手紙一つで取りに来なさいとなれば、取りに行かないかぬわけです。また住之江郵便局そのものが、私どもの年賀状の中で、同じところに同じ人がちゃんといるのに着いていない。それについて苦情を申し出ても、そのままになっておる。わざわざそこまで行かなければ、その苦情は解決しないのですよ。  来てもらわなくてもいいのだ、それはどういうことなんですか。だから私、先ほど言いましたように、国民と、市民と、住民と一緒になってこれからこの郵政事業というものをもっと盛り上げていこう。郵政局郵政局で勝手にやるから、こっちは勝手に配達するから、そっちはじっとしておったらええやないか、そういう態度はどうなんですか。それを大臣にお伺いしたい。そういうお役所の考え方について、やはり大臣も地域というものをよく御存じだと思います。
  189. 富田徹郎

    ○富田政府委員 失礼いたしました。舌足らずの説明で申しわけございませんでした。  確かに、普通局が遠くにあるということは、住民に対して御不便をかけるという要素はかなりございます。今御指摘のような不在通知などにつきましては、本局まで来なくてはいかぬというようなことで、御不便をかけるケースは確かにあります。そういうケースにつきましても御不便をかけないように、今不在通知の案内などを改善いたしまして、近くの、最寄りの特定郵便局などでもそういう不在中に配達をしました郵便物を受け取りができるようなサービス改善に努めているところでありますが、先生の御指摘のように、十二年間も普通局が遠いところにあったということにつきましては、住吉区の方の御住民にサービス低下という意味で若干御迷惑をかけたことは、予算とか何か困難なところがありますけれども、御不便をかけたこと自体は間違いのないところで、申しわけなく思っております。
  190. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 先ほど郵務局長が申しましたのは、一区に必ず一つの郵便局ということではなくて、例外があるということで申したのではないかと思いますので、それでひとつ御了承いただきたいと思います。  確かに、独立採算でございますから過剰投資はできませんけれども、しかし私は、郵政省というものは二万三千あるいろいろな郵便局を通じて住民の皆様に最高のサービスをするところだと思っておりますので、今後ともそういうことで郵務行政を進展させてまいりたい。  確かに、十二年間住吉区の皆様に御不便をおかけしたことは大変遺憾に思っております。
  191. 大矢卓史

    ○大矢委員 長い間不便をかけておりましたその住民に対して、せめてもこれからできます郵便局が、本当にできてよかったな、住民が利用の非常にしやすいようにということで私、考えておるのでございますけれども、私の知る範囲において、今まで私が見ました郵便局につきましては、今の交通事情等の現状に非常に合っていない。今も申しましたように、住吉区の中心と言われておりますところにいたしましても、これはなお交通の便が全然ございませんので、自転車で参りますか、また自動車を利用するか、そのようなことであろうと思います。ところが今までの郵便局、私ずっと見ましても、そういうような設備が全然ございません。  だから、そういうことにつきましてはやはり設置をする基準というのが、皆様方に来てもらわなくてもいいんだというような先ほどのような考えの中で郵便局を建てていくというのなら、それこそどこかの倉庫に使うようなところに行ってもらったらいいので、わざわざ繁華街のど真ん中に出てきていただく必要はないわけであります。みんなに親しまれる局として中心部に出てこられるというのなら、やはりみんなが利用できるような形での設計も加味していただきたいし、そして、やはりその地域の住民が利用できるような施設もともに備わった非常に理想的な郵便局が、この長い間の待ちくたびれた住民に対するせめてものサービスではないかと私は思いますが、設計等につきましてもこれらを十二分に配慮していただけるのかどうか、その点をお伺いをいたしたいと思います。
  192. 富田徹郎

    ○富田政府委員 先生の御指摘のとおり、地域住民に支えられて郵便局が存在するということは、まことにそのとおりでございます。乏しい予算ではございますが、窓口のあり方の改善については従来からも鋭意努力しております。コミュニティーセンターといいますか、あるいは情報サロンと申しますか、そういう意味のコーナーも窓口の中にとりまして、例えばキャプテン端末機なども配備いたしまして、住民が郵便局においでの折にはその他の情報サービスも受けられるような、そういう雰囲気のある窓口、郵便局というものをつくるべく鋭意努力しておるところでございます。
  193. 大矢卓史

    ○大矢委員 地域住民が使われるような会議室も一緒に併設するというお考えはありますか。
  194. 富田徹郎

    ○富田政府委員 あらかじめ新設の段階から住民サービス用の会議室をつくれるかどうかは今後検討してまいりますが、例えばいろいろな状況で郵便局業務がほかの局へ移ったりいたしまして、その局に余裕の会議室があるケースについては、無料で住民の集会用の会議室として活用していただく、あるいはカルチャー教室的な利用ということで、そういう施策を推進している郵政局もございます。
  195. 大矢卓史

    ○大矢委員 特定郵便局につきましても、そういう住民が利用できるような施設も一緒になってつくっていくという計画もあるやに承っておりますので、ぜひともこの新設の郵便局につきましては、やはり住民と一緒になって前進をさす郵政事業として、建物の建設の段階からそれが利用可能なような設計をしていただきたいということを希望いたしておきます。  次に、これまた現在大阪にございます郵便貯金会館、これにつきましての今後のいろいろなあり方についてお尋ねをいたしたいと思います。  私の聞きますところによりますと、現在の大阪郵便貯金会館、大阪市の天王寺区にございますけれども、これが新しく新大阪の方に建設をされるということをお聞きいたしましたが、今日までの状況について御説明を願いたいと思います。
  196. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 現在ございます大阪の郵便貯金会館は、昭和四十五年に設置をされたものでございますけれども、何分全国初めてできました施設でございまして、会議室あるいは宿泊施設等につきましても、御利用者の皆様方の需要に応じ切れないような状況になってございます。また駐車場の施設なんかも非常に狭いような状況でございまして、十分な貯金会館としてのサービスができない状況でございます。あわせて、それではその会館を大きくするようにできるかということでございますけれども、土地も狭くて、ホールを併設しているわけでございますが、容積率等の制約がございまして増築も困難だというような状況にございます。したがいまして、できるだけ広く御利用者の皆様の御要望にこたえるために、新大阪駅の北側の方に移転をする予定になっておるものでございます。
  197. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうふうに聞いているのですけれども、もう少し事務的な進め方についてお答え願いたいと思います。
  198. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 大阪郵便貯金会館の施設の狭隘につきまして、できるだけ抜本的な解決を図るようにといういろいろの御要望が利用者の方から出されていたわけでありますが、現在の敷地では到底解決は困難だというようなことで、五十八年度ごろから新用地の取得につきましていろいろと内部的に検討をしていたところでございますが、今年の初めごろになりまして適地が入手できそうだというようなことで、新大阪の北側に移るように決めた次第でございます。
  199. 大矢卓史

    ○大矢委員 ちょっともう少し。私、これを全部言うのですか、局長。もう少し親切に言ったらどうですか。どうなんですか、これは。言いましょうか、私から。私から言いましょうか。  局長から何か言いにくそうですので、私、申し上げますけれども、これはおっしゃるように新大阪に新しく建設する予定で、その用地を五十九年の六月に建築大手業者が取得をいたしましたそのものを、本年の三月に天王寺の敷地と交換をして取得をいたしたというふうにこの報告を受けております。  そして、その交換をいたした敷地というのは、大阪郵便貯金会館敷地外三筆。その中で私どもも非常に不思議と思われるような旧大阪西局の敷地、非常に大きな敷地であります。そして、私は現状を存じませんけれども、旧灘局の敷地、そして東京鉄道郵便局旧上野分局敷地、東京都の台東区のようであります。この四つの敷地と今度建ちます新大阪の敷地との交換をあなた方はされたようでありますけれども、この等価交換のおのおのの坪数なり、どのような単価で各敷地を見ておられるのか、この点、お聞かせを願いたいと思います。
  200. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、郵政省が交換渡しをした物件は、現在の大阪郵便貯金会館の敷地が三千百六十六平米、旧大阪西郵便局の敷地が二千百九十三平米、旧灘郵便局の敷地が千八百七十四平米、東京鉄道郵便局の旧上野分局の敷地が五百八十四平米でございまして、受け財産として、移転先の新しい大阪郵便貯金会館の用地は五千二百五十六平米でございます。
  201. 大矢卓史

    ○大矢委員 この単価は幾らに見ておるのですか。
  202. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 交換した土地の評価につきましては、部外の不動産鑑定機関に評価を依頼いたしまして、更地の正常価格をもとに交換価格を設定いたしたものでございます。
  203. 大矢卓史

    ○大矢委員 幾らに見ているのですか。
  204. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 交換価格につきましては、相手方の御了解も得ていませんから、ここで公表することは差し控えさせていただきたいと思います。
  205. 大矢卓史

    ○大矢委員 等価交換ということでしたら当然その金額が出てくると思いますけれども、それでしたらお聞きいたしますが、現在の郵便貯金会館の敷地というのは更地の値段ですか。
  206. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 更地評価でございます。
  207. 大矢卓史

    ○大矢委員 そうしますと、今この上にある建物はどうなのですか。
  208. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 郵政省所有のものでございますが、新しく移転した暁には撤去をいたしまして、更地で渡すという契約になっております。
  209. 大矢卓史

    ○大矢委員 金額等につきましては私はここでお聞きいたしておりませんので、どうのこうのと言う資料の持ち合わせはございませんけれども、大臣にお聞き願いたいのは、今申されましたように昭和四十五年に建った大阪郵便貯金会館、大阪市内におきます文化ホールと申しますか、そういうものが人阪の南部には一つもないわけであります。東京でございますと、各行政区に市民会館、文化ホールのようなものがございますけれども、大阪市には残念ながら一つもない。非常に手ごろで親しまれてまいりましたこの会館が、老朽化して取り壊すということであれば別でございますけれども、行政改革の一つとしての数字合わせということ。大阪に二つできるのは非常にうれしいことでございますけれども、現実にはもう一つの方は取っ払う、なくすということのようであります。  これからの決算というのは、予算に盛られました金をどういうふうに適正に使ったかということはもちろんでありますけれども、それがどのような行政効果を生んでいるのか見なければ、せっかく四十五年につくってこれだけ大阪市民に親しまれた立派な会館を、わずか二十年足らずのうちに、老朽化もしておらないのにつぶしていく考え方というのは、国民を無視して国の財産をなくしてしまうということです。こういう手荒な金の使い方は、果たして郵政省の考えなのか、大蔵省の考えなのか。大蔵省が二十年もたたないものをつぶしていいというなら、もっともっとつぶしていいものがあると私は思います。  そこらも含めて、大臣、こういう大阪市の実情、また大阪市内での建てかえだからいいというのですけれども、大きく言ったら、大阪市から兵庫県、奈良県、他府県に行くようなことなんです。今まで南の唯一の施設がなくなって、これが北へ行ってしまうというようなことでございます。これは私は完全な税金のむだ遣いだと思います。新しくできること自体は非常に結構でありますけれども、耐用年数も来ておらない、それもまた非常に立派な会館であるにもかかわらず、これをなくしていくというような考えについて私は承服しかねる、そういうことについて大臣の御意見を承りたいと思います。
  210. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 大阪郵便貯金会館、先生仰せのように、地域の皆様に大変御利用いただきまして、それなりにお役に立ってきたと思いますが、今貯金局長が御説明申し上げましたように、狭隘になって建てかえなければいかぬ、しかし、現地では容積率の関係があってなかなか増設、増築もできないということで、大変残念でありますが、新大阪駅北側に新築すべく、昭和六十二年度予算を要求しているところでございます。  先生仰せのように、確かに大阪は広いし、四十五年に建った施設であるから、それを残して二つあってもいいではないか。お気持ちはよくわかるのでありますが、同一地域に二ヵ所の施設を設けることは予算的に大変難しい、そこで、新施設が完成した段階では移転する必要がございますので、この点につきましては先生の御理解をぜひいただきたいと思う次第であります。
  211. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間がございませんのでこれ以上は避けますが、大阪といいましても非常に広うございまして、北と南なら他府県にまたがるようなものでございまして、利用価値が全然違うわけでございます。そういうことも加味されると同時に、ただ交換をしていくのではなく、旧郵便局の交換用地がたくさんあるわけでありますから、そういうことも含めてやっていかれるのが至当であると思います。私は、今の御意見は納得することができませんので、この問題に関しましては今後とも引き続いて追及してまいることを申し添えて、終わらせていただきます。
  212. 堀之内久男

    堀之内委員長 野間友一君。
  213. 野間友一

    ○野間委員 最初に郵政大臣にお聞きしたいのは、午前から問題になりました郵貯の非課税制度の廃止の問題であります。  御案内のとおり、税調の第二特別部会がマル優廃止、非課税制度の見直しをやりまして、きょう税調でこの中身を盛り込んだ答申が出たのでしょうか、そういうように伺っております。午前中からも言われましたように、本来郵便貯金というのは国民の零細なお金なんですね。老後とかあるいは病気のとき、こういうのを非常におもんぱかって、そして零細なものを国民が一生懸命貯金するという趣旨のものですよね。これを廃止するなんて、とんでもないことだと思うのですね。私も郵政審の答申も見ましたし、郵政省の方針も、これを堅持せい、廃止してはだめだというようなことについての方針は拝見しておりますけれども、情勢としてはそんなに甘いものじゃないという感じがするわけですね。だから、断固として、これは実際こういうものを許さない、答申がどうであれ一切許さないという強い立場で、ぜひ郵政大臣臨むべきだと思うのと同時に、これも午前からありましたけれども、シルバープランの貯金制度、これは六十二年度の概算要求で郵政省が既に出しておられます。これも今の諸般の情勢の中で私は非常に大事なものだと思うのです。ぜひ実現をさせるように、私も私どもの立場からいろいろと要求はしたいと思いますけれども、その点についてまず大臣から見解なり決意をひとつ聞かせていただきたい。
  214. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 けさからも決算委員会の委員の先生に非常に御激励をいただきまして、ありがたく思っておるわけでございますが、今先生言われましたように、情勢が厳しいことも私どもよく心得ておるわけでございます。いろいろな審議会の答申が出ます。総理大臣の諮問機関である調査会から答申がなされましても、内閣の一員としてこれは尊重してまいりますが、特に審議会の答申というものは、尊重すれど拘束はされないわけでございます。郵政大臣の諮問機関であります郵政審議会からは、郵便貯金の利子の非課税制度は断固堅持すべきであるという答申をいただいております。我々はそれを踏まえまして、断固たる決意で臨ませていただくつもりでございます。
  215. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ、次にはNTTの問題について幾つかお聞きしたいと思います。  これは民営化の論議のときにも、電電が民営化したら国会の統制が外れる、利潤追求、こういう経営に徹するのじゃないかと非常に危惧をしましたし、指摘もしてきたわけです。以下お聞きしますけれども、どうも問題になる点が多いと私は考えております。  最初にお聞きしたいのは、電報の問題なんです。電報の五文字セールというのがありますね。これはどういうものでしょうか。
  216. 児島仁

    ○児島参考人 私ども内部で通信をいたしますときに、お客様の手元に届いた電報ができるだけ理解しやすい、つまり電報はかねてから非常に省略というのが行われていますので、余り省略し過ぎたために受け取られた方にわかりが悪いということのないように、お客様と話し合いでここで句読点を入れたらいかがでしょうか、段落をつけたらいかがでしょうかというふうなことを、お客様と話し合って親切にやっていこうというふうな趣旨を、そういう先生今おっしゃったような表現で短く表現しておるというのが実情でございます。
  217. 野間友一

    ○野間委員 「東京中電」の八五年八月号、NTTが出したものがあります。この裏を大臣も見ていただきたいと思います。これはこう書いてある。「五文字増やせば一日平均五百五十万円増収 工夫しましょう お客さまへのアドバイス」「字数を増やしてこんな心づかい」、こういうところもあります。「日常的な表現で電文にもっと親しみを」「慶弔電報には発信人の住所・肩書・名前を入れて整理しやすい心づかい」、それから「くぎり点、だんらく、カッコを上手に使って読みやすく」「ご結婚のお祝いは「受取人連記」で二人の門出の花向けに」、こういうのが書いてあるのですね。つまり、これは基本料金プラス五文字、五文字が一つの単位になりますから。これは一文字でもふえればそれだけオーバーするわけですよ。だから、五文字ふえたらというのは一文字でも一緒です、ただ表現は五文字ふえればと言っておりますけれども。一日五百五十万円ふえる、もうとにかくこういうことでめちゃくちゃやっておるわけですよ。  これまた「東京中電」の八六年八月号、この前出たやつですね。第一回の全国電報販売戦略会議というのがあります。ここにいろいろ各局から出て座談をやっておるのですよ。例えば広島局では「メロディ・おしばな一人一日五通獲得運動」、福島局では「「電文の終りの社名、役職名」等の積極勧奨」。大臣、よう聞いておってくださいよ。取締役と書くと七文字になるのですよ。住所、和歌山市何とか、私の住所。それから取締役。いろいろ何ぼでもふえるのですよ。それをやれと書いてある。大体電報というのは、ほんまにぱしっと自分の真意を伝えるというのが電報の本来の趣旨なんですよ、簡略で、それを平易な言葉で。これはサービスと言いますけれども、「日常的な表現で電文にもっと親しみを」、こういうことでめちゃくちゃふやしておるわけですよ。     〔委員長退席、新村委員長代理着席〕  私も実は先日、祝電を打ったのです。そうしますと、衆議院議員野間友一、最後にこう言ったのですよ。向こうの方から読み返すときに、衆議院議員の下に段落、そういうことを勝手に入れるわけですよ。これは一字ふえるわけですね。それから、「おしばな電報」にいたします、こう言うのです。私はそのとき、知らなかったものですから、結構ですと言ったのです。後で聞いたら、これは別に五百円取られるのですよ。  ですから、先ほど挙げましたように、座談会の中でも言っておりますように、「メロディ・おしばな一人一日五通獲得運動」、これを広島でやっておる。先ほど言ったように、福島局では「「電文の終りの社名、役職名」等の積極勧奨」、どんどんやれ、こう書いてあるのですよ。これは実際びっくりしましたよ。電話で、非常に不明を恥じたのですけれども、「おしばな電報」にいたしますよ、結構ですと言ったところが、後で五百円取られるわけですよ。電話でですよ。今電報の中心は電話電報でしょうが、一一五番。  それから、電気通信共済会が出しております「ダイヤル一一五」、これは各部屋に、大臣のところにも配っております。これを読んで、お悔やみ電報、びっくりしました。こういうのがあるのです。一つ読みます。「ゴ逝去ノ知ラセニ、涙ガトマリマセン、南ノ果テニモ、北ノ果テニモ、アナタハモウイナイ、思イ出ダケガ悲シク残ッテシマイマシタ、今ハタダゴ冥福ヲ祈ルノミデス」。大体葬式、身内の親しい人は皆葬式に行くのですよ。それをこんなオーバーに、死んで「涙ガトマリマセン、南ノ果テニモ、北ノ果テニモ、アナタハモウイナイ、」こんなことを出しておる。これは例文ですよ。大臣、ごらんになりましたか。ひどいものですよ。今までの例文は、小さい字で遠慮がちに書いてある。「一一五へ番号で申し込める文例」として、今までの小さいのがありますよ。例文は二十五文字のこういうのがあるのです、小さく。大きなのがちゃんとある。これがサービスだというのですよ、大臣。  しかもこの中に、「電報をお打ちになるときの心遣いと工夫」という一番最後の欄があるのです。ここでは、「結婚式、結婚記念日等のお祝いには、受取人をお二人あてにすると喜ばれます。」これは六十円ふえるのですよ、連名にしますと。「通信文には、区切点、かっこや段落を使用すると読みやすくなります。」先ほど言ったとおりです。衆議院議員と野間友一との間に段落を入れるというやつですね。「通信文は、形式・用語・長さにとらわれず、日常的な表現もよいものです。」長さにとらわれず、これがみそなんですね。もうめちゃくちゃですよ。私びっくりしました。こうまでして、それで結局、先ほど申し上げたように五文字ふえれば一日で五百五十万ふえる。こういうことでやっておるわけですよ。ノルマを課しておるのです。  ですから、私たちは民営化するときに、これは利益を追求するようなことに終始するということで非常に反対したのですけれども、まさにそういうことになっておるわけですよ。これを称して我々は悪女の深情けと言うのですよ、ほんまに。電報というものは本来そんなものじゃないでしょう。  お悔やみ電報、今申し上げたように、実際南に行っても北に行ってもその人にはもう会えぬというような、そんな親しい人なら葬式に行きますよ。それをしかも電報で長々と。ちょっと計算しましたら、何ぼになるかといいますと、千四百七十円、こうなるのですよ。これにお悔やみのカバーを入れますとまたふえますよね。普通、「ゴ逝去ヲ悼ミ、慎ンデオ悔ミ申シアゲマス 衆議院議員野間友一」、これをやりますと六百九十円で済むのですね。  だから、こんなことしたらふえるのも無理ない、何ぼでもふえますよ。中を読んだら、こうしてどんどんして、電報というのは成長産業だ、今でも横ばいだからずっと収益が上がっているのですよ、そう書いてあるのですよ。どう思いますか。
  218. 児島仁

    ○児島参考人 全体の構成から申し上げますと、電報事業の赤字はかなり減らすことができまして、それでも現在九百億円の赤字がございます。これはいろいろな理由に基づいておるわけでございますが、この電報の赤字は、結局は電話の利用者からお払いいただく電話料金から補てんをするということになっておりますので、私ども、やはりサービス部門別にできるだけ収支の均衡を図りたいということはかねがね考えておるわけであります。  今先生の方からいろいろ御指摘ございましたが、私ども、お客様に無理を言って長文電報を書いていただいて、無理やり増収をとっていくというふうには考えておりませんで、できるだけわかりやすい、読みやすい電報にしていただいて、それがお客様に喜ばれる過程の中で収入もふえ、赤字も減らしていくということで努力をしておるつもりでございます。
  219. 野間友一

    ○野間委員 これは行き過ぎと思いませんか。思わなければ、私は不正常だと思いますよ。これは局の中で、本の裏表紙ですが、ポスターずっと張っておったわけでしょう。しかも、今申し上げたように「こんな心づかい」、これは決して心遣いじゃないのですよ。深情けですよ。増収を中心として考えるからこうなるわけですよ。これは行き過ぎと考えませんか。一日のノルマ、「おしばな一人一日五通獲得」とか、電文の終わりに社名云々書け、住所から社名からみんな書いたら喜ばれると書いてあるのですよ。何や知らぬけど、ダイヒョウトリシマリヤク、物すごい字になるのですよ。こんなこと奨励しているのですよ。これは行き過ぎだと思いませんか。
  220. 児島仁

    ○児島参考人 先生御指摘の個々の事実について、その一つ一つに、これは行き過ぎである、あるいは行き過ぎでないというような評価、私、直ちにここでできませんが、先生の御質問の中にありますお気持ちは私は理解できますので、全体として受けとめて帰りまして、関係の者たちと今後この問題についてよく相談をしていきたい、できるだけ誤解のない格好で利用をお願いするように取り計らっていきたいというふうに考えております。
  221. 野間友一

    ○野間委員 私は、あなたのところから出しておる資料で申し上げておるので、決してつくったものじゃないのです。これはもう全部御存じでしょう。大臣、感想いかがお持ちですか。
  222. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 NTTは、民営後一年半、事業部制を採用して企業意識を徹底して、今のところまで順調に来たということは聞いておりました。  我々は、電気通信分野では一日も早く有効、公正な市場を現出しよう、そしてそのための環境づくりをいたしておりますが、ひっきょうするところは国民にできるだけ低廉、良質なサービスをすることだと思っております。今先生、そこでパンフレットを見せていただきました。私は近眼でよく見えませんでしたけれども、そのお悔やみ電報は、ほかの国会議員が使うかなというと、きっとその電文は使わないと私は思うのですね。これが果たして国民に良質、低廉なサービスであるかどうか、私もそのようなことを考えております。今児島副社長が、帰ってよく検討すると申しておりますので、それを見守ってまいりたいと思っております。
  223. 野間友一

    ○野間委員 テレホンカードのことについてお聞きしたいのですが、後で時間がありましたら聞くとして、次に、料金の法体系の三年の見直しがありますね。その中で料金の問題についてお聞きしたいわけです。  私は実は和歌山なんですけれども、もともと個人名の電話帳が二冊あったのですよ。今五分冊になっておるのです。これは確かに加入者がふえまして、たしか字をもう少し大きくという要求があるのは事実ですね。これ自体あえて否定はしないのです。問題は、それと電話番号案内一〇四番との関係なんです。もう不便でしようがないのです。和歌山市は一冊で、紀北の方に行ったら別にありまして、有田が別に、紀南が別にある、五分冊ですね。私の家では和歌山市の番号案内しかないわけです。そうしますと、県内で和歌山市以外の人にかける場合に一〇四の世話になるのです。番号案内に聞かざるを得ないわけですね。そうでしょう、大臣。そうしますと、まだ今一〇四というのはただですからいいのですよ。これを今度有料化するというのでしょう。違いますか。
  224. 児島仁

    ○児島参考人 一〇四の有料化については、私ども現在、方針として値上げをする、料金をいただくということの決定はいたしておりません。
  225. 野間友一

    ○野間委員 近い将来、これは有料にするのでしよう。
  226. 児島仁

    ○児島参考人 番号案内についてちょっと申し上げさせていただきますと、一部の方が非常に大量の通話をなさっておる。例えば二〇%の方が、八〇%の通話をほとんど商業用で問い合わせが多いということに着目いたしまして、将来は一部有料化ということは考えなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。
  227. 野間友一

    ○野間委員 それなんですよ。「運輸と経済」、これは財団法人運輸調査局が発行しておる雑誌、八六年七月号、この中で、あなたのところにこんな人がおるでしょう。宮津純一郎さん、これはNTTの経営企画本部の経営計画部長でしょう。そうですね。
  228. 児島仁

    ○児島参考人 その人物は存在しておりますが、現在、役職は変わっております。
  229. 野間友一

    ○野間委員 この人がこの雑誌の中に「新生NTTの軌跡と課題」、こういう論文を出しておるわけですよ。この中にちゃんと書いてあるのです。「将来は番号案内の有料化を進めることとしている。」断定的に書いておるのです。そんな方針も会社の中では決めておるわけですか。
  230. 児島仁

    ○児島参考人 宮津が所属しておりました経営企画本部というものは、私どもの社の基本経営計画についてあらゆる検討を行っております。料金問題もそうでありますし、サービス計画あるいは事業運営計画、すべてにわたっていろいろなチームに分けて検討しておりますが、恐らく、そこではつい筆が滑って、あたかも値上げが決定したかのように書いたのだと思いますが、社として決定はいたしておりません。また当然に、これは私ども一社で決めれることではございませんで、郵政省と十分の意見交換並びに御認可というものをいただかなければできないものであります。
  231. 野間友一

    ○野間委員 今諸般の情勢から、外向けにはそういうふうに言われますけれども、実際、断定的に十九ページに書いてありますから、帰ってよく読んでください。「有料化を進めることとしている。」この人は代表者でも何でもないですよ。しかし、会社の中ではちゃんとやっておるのです。ただ、表向きは言わないだけなんです。署名入りでちゃんと書いてあるでしょう。だから、私は国民をごまかしてはならぬと思うのです。  このことと電話の分冊と関係があると言わざるを得ないと思うのです。一〇四番が有料になったらどうしますか。実際、狭い区域の電話帳しかない、あとは全部有料なんですよ。そうしたら、またポスターに書くでしょう。電話番号案内を利用しましょうというのを書くのじゃないですか。こういうことはほんまに知恵がよく回ると僕は思うのですけれども、中ではほんまにはっきり書いてあるのですからね。
  232. 児島仁

    ○児島参考人 私ども、今番号案内をいたしますのには、人間でほぼ四万人弱、それの人件費あるいは設備費を入れまして、三千億円という費用を要しております。これに対して一銭の収入もないわけでございまして、やはり経営全体としては、この三千三百億というものをどう消していくかということは大きな命題ではあります。ただし、それについて直ちに料金をいただいてやるのか、あるいはその他の方法をもって行うのかということはさらに検討を加えていきたい。  もう一つ、先ほど番号帳の件がございましたが、番号帳の編集につきましては長い歴史がございまして、お客様の要望にこたえて編集し直しますと、これはまた見にくいというようなことがございまして、何度も何度も編集がえをして現在に至っております。現在のところ、県内のものも県によって大きさによって違いますが、二つあるいは三つの分冊にしておりますが、お客様の所属しておられるところの電話帳はもちろん希望で配布をいたしますが、同一県内のものにつきましては、御要望があれば無料で配布をするということになっております。
  233. 野間友一

    ○野間委員 そんなのだれも知らぬですよ。知っとるのは一部だけですよ。せめてそれなら、こんな広告するなら、無料でお配りしますからどうぞとりに来てくださいと、そんなポスターでも張ったらどうですか。  さて次に、時間がありませんので進みます。  これは公衆電話の問題です。今第二種の委託公衆電話ですね、撤去も盛んにやっております。これに関連して、まず会計検査院にお聞きしたいと思いますが、五十九年度の決算検査報告、その中で、当時は、これは五十九年の決算報告ですから電電公社ですね、電電公社に対して六十年の十一月二十八日に改善処置要求をされております。  それを見ますと、こういうふうに書いておりますね。「委託公衆電話の利用が相対的に低下した」。これは一般の加入電話の普及がふえたということとか、あるいは終日利用が可能なボックス形の公衆電話等の設置が促進された、したがって委託公衆電話の利用が相対的に低下したんだということが一般的には書かれておりますね。  それから、「利用度が低い委託公衆電話設置及び管理状況についてみると、」ということで、五点ばかり指摘してあります。「ボックス形公衆電話等を設置するに当たって周辺の委託公衆電話との調整を十分行わなかったため利用が低下しているもの」、これが一つですね。これは電電、今のNTTの措置が不十分だったということの指摘だと思います。二つ目が、「低利用となっていた委託公衆電話の利用増を図るための設置替え又は機種替えに当たって検討が十分でなかったため依然として低利用となっているもの」、それから三番目、「休業等受託者の都合により長期間利用されないままとなっているのにこれを確認していないもの」、これも管理が非常にずさんなNTTの実態が出ております。四が、「飲食店、喫茶店等で屋内に設置していて一般利用者が利用し難いものとなっているもの」、五が、「一般加入電話加入していない受託者が公衆電話を自らの居宅内等で専用に供しているなどのため一般利用者が利用できないもの」、こういうのは特に委託公衆電話設置管理状況についてNTTの不備があるんだという指摘がしてあります。  そして結論としては、こういうものについては十分設置状況、利用状況等を的確に把握して調査検討を十分に行って、個別の具体的なこれに対する収益性向上の対策を立てなさいということと、もう一つは、「一箇月当たり収入額が千円以下で委託手数料相当分にも満たないものについては早急に見直しを」しなさい、こういうことがなされておりますが、これは間違いありませんね。
  234. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 先生ただいま指摘されたような指摘をしております。
  235. 野間友一

    ○野間委員 そこで、電電公社にお聞きしたいのですけれども、この趣旨を正確に電電公社は、失礼しましたNTT、受け取っておるかどうか。つまりこれは、お読みになったと思いますけれども、五つばかり指摘してありますね。これは管理や設置の、あるいは検討の不十分さ、全部厳しく検査院の方から指摘しておるわけですね。それについては、どう収益性を上げるために具体的に検討するかと、かなり宿題が課されておりますね。もう一つは、収益が千円以下の場合には見直しをしなさいと、この二つあります。これは正確に受けとめておると思いますが、現在やっておるのは収入額が二千円以下ですね。二千円以下のものを全部二種の委託は引き揚げておるでしょう。これは検査院の処置要求とは違うでしょう。どうでしょうか。
  236. 児島仁

    ○児島参考人 検査院からの御指摘は、先生今おっしゃいましたとおり千円。私どもは、一個赤電話をつけますと、月々基本料として千円の手数料を払いまして、一回通話をしていただきますと、十円のうちから一円五十銭をお支払いをするということになっております。それで、その検査院の御指摘は、少なくともその基本料千円にも満たぬところにつけておると、やはりどこかに収入の穴があくわけで、全体の財務にまずいのではないかという御指摘だと思っております。  私ども、そういった千円にも満たない赤電話その他トータルで公衆電話全体の収入支出を見ましたときに、千円の公衆電話を廃止しただけではまだ赤字だということでございます。私ども、かつて加入電話の非常に少ないときには積極的につけてまいりましたが、電話もほとんどの家庭にあるという現在では、もう少し整理をしてその赤字を少なくした方が全体の収入構造的にいいのではないかというふうに考えまして、私どもとしては、公共性のあるところについているのは別でありまして、収益性を重んじてつけておるところについては、二千円以下のものについては撤去していくというふうな方針を立てております。
  237. 野間友一

    ○野間委員 いや、私が聞いているのは、この検査院が言っておるのは、「一箇月当たり収入額が千円以下で委託手数料相当分にも満たないものについては早急に見直し」、見直しの中には撤去もあると私は思うのですが、検査院は千円以下について言っておるということを正確に把握しておるのかということですよ。イエスかノーかですよ。
  238. 児島仁

    ○児島参考人 文言としては千円以下というふうに私、読みますけれども、精神としては、公衆電話の収支で問題のあるところについては基本的に検討せよというふうな御指摘だというふうに理解しております。     〔新村委員長代理退席、委員長着席〕
  239. 野間友一

    ○野間委員 会計検査院に聞きます。  私も法律家ですから割に正確に物を読むくせがあるのですけれども、これを読みましたら、「収入額が千円以下で委託手数料相当分にも満たないものについては早急に見直しを行う」、先ほどそのとおりだとおっしゃったけれども、千円以下については、これは見直しの中には恐らく撤去もあると思いますけれども、ということなんですが、千円以下について言っておるわけなんでしょう。
  240. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 昨年の会計検査院改善意見の趣旨でございますけれども、全体の趣旨は、第二種公衆電話のうちの八割が損益分岐点を下回るものであった、したがいまして、その損益分岐点を下回る状態をまず改善をしていただきたい、その際に、毎月の委託手数料九百円なり千円なりにも満たない非常にひどいものについてまず早急に、それであとはひとつ全体で経営の状態を見て改善していただきたい、こういうふうな趣旨で指摘しております。
  241. 野間友一

    ○野間委員 NTTの方、そうなんですよ。だから、ここで言っておるのは千円以下ですよ。これは子供が読んだってわかりますよ。精神なんて、何を言うのですか。  ところが、あなたのところでは部外秘で、これは六十一年一月二十八日付で関東の総支社ですか、ここから各局におろした文書なんですけれども、ひどいことを言っていますよ。「低利用公衆電話のためのQ&A」、こういうのを出していますね。この中でこう言っております。これによりますと、まず「低利用公衆電話の考え方は。」という問いに対して、「従来、定額委託手数料にも満たない千円以下を廃止対象としていたが、今回、会計検査院等の指摘もあり、六十二年度収支均衡を目途に二千円以下を六十一年度中に廃止するものとします。」つまり、これは五十七年ごろから千円以下のものをずっといろいろ撤収していましたね。ところが、二千円以下に変えたのは会計検査院等の指摘もあるからだ。これは会計検査院処置要求がお墨つきにされておるわけですよ。  もう一つ、こんなのがありますよ。「低利用公衆電話の解消に伴う「にしきの御旗」或いは「水戸黄門の印籠」に匹敵するものはないのか。」自分でつくっておるのですよ。それに対して、「会計検査院の「収支の改善・より良い通信サービスの提供」と言う改善命令に基ずき実施するものです。」検査院は千円以下については早急に、特に千円以下については見直ししなさい、こう言っておる。ところが、あなたのところで出しておるのを見ましたら、これは会計検査院が言っておるからだとはっきり言いながら、しかもこれが水戸黄門の印籠であり、にしきの御旗だ、だからこれでやれ、こういうことまで出しておるのですよ。いかがですか。
  242. 児島仁

    ○児島参考人 現在、先生御指摘になりました文書につきましては、私ちょっと確認していないのですが、その表現については帰りましてもう一遍よく読ませていただきたいと思います。  ただ、公衆電話のつけ方で今一種、二種というのがありますが、一般のお客様が外に出たときに大体五百メーター以内、あるいは遠いところでも千メーター以内には必ず公衆電話にぶつかるという必要最小限の一種公衆電話については全く手をつけないということを基本にしております。その他、駅でありますとかお客様が非常にお集まりになる、私どもの収入にも非常に助けになるという二種の電話機で二千円以下のものについては外すということになっております。大変失礼でございますが、全体の構成をちょっと説明させていただきました。
  243. 野間友一

    ○野間委員 私が申し上げているのは、会計検査院会計検査院できちっと正確に調べて処置要求をしておるわけですね。これはいいのですよ、別に。ところが、それにかこつけて、勝手に解釈をして、いや、二千円以下まで全部撤去するのは検査院の指摘なんだというようなことをやるのは許されないと私は言うわけです。これだけではないのです。  NTT新潟東電報電話局長の橋本さんという方が出した「「低利用公衆電話の廃止」についてのお願い」、これはその低利用の委託公衆電話のところに配った文書の写しなんです。これは新潟の県会で問題になったんですね。「会計検査院からの改善命令もあり、」云々とありまして、「二千円以下の低利用に該当しておりますので誠に恐縮でございますが、」契約解除したいという趣旨の文書があるわけです。全部検査院のあれを悪用しておるわけですよ。  NTTの「ビジネス」、ことしの五月号ですが、これにも自慢げに書いておられるのです。これは、電話企画本部営業推進公衆電話担当主査小泉博さんという方が、「公衆電話を考える」というところで書いております。横浜南電報電話局で低利用公衆電話解消作戦を展開した。「短期間に大量の解消ができた理由」の4のところに、「会計検査院指摘説明しながら、単にNTTが儲けるためのものでなく、」云々で「理解してもらった」、こうあるわけですよ。みんな会計検査院処置要求がにしきの御旗、水戸黄門の印龍と、自分で言っておるのですから世話はないのですけれども、言っておるのです。  だから、私が申し上げたいのは、ほんまにNTTが二千円以下はもうしようがないのだというなら、独自に見解を発表して堂々とやればいいわけですよ。それを、事もあろうに会計検査院を使いながら、これを水戸黄門の印籠にしてやるところに問題があると思うのです。こういうことはまさに国民を愚弄するものです。  そこで郵政大臣郵便局の中にある委託公衆電話の二種、このうちの八割までが二千円以下だというふうに私は聞いておるのです、よくわかりませんが。これも一律に、つまり喫茶店や食堂でも、自分のところが使ってなかなか公衆に使えないという低利用の理由がありますね、そういうところと、病院とか診療所とかの公共施設、郵便局にしても国の施設、学校もそうですが、みんな押しなべてこれを全部撤去するというのがNTTの方針なんです。郵便局の中には撤去の対象になる電話が、私の知っている範囲では一万四千台でしたか、そのくらいあるように聞いているわけです。これについて御存じなのかどうか。NTTはこれも撤去するというのですが、いかがですか。
  244. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先ほど来NTTの方から御説明がありましたように、公衆電話の配置の効率化等につきまして、現在全般的な作業が進められております。それらの一環といたしまして、ただいま委員からもお話がございましたように、現在郵便局設置されております公衆電話につきまして、約一万四千台程度を六十四年度までに撤去することの申し出が参っております。しかしながら、この点につきましては、検査院から指摘されておりますような公衆電話効率的な運営の見地ももちろんございますけれども、郵便局で言う通信施設としての一定の地域社会における拠点性、あるいは郵便局地域社会において地域住民に果たしているサービス面における存在理由といったようなものを幅広く検討した上でこの問題は処理されるべきであろうというふうに考えております。そういう見地からNTTと話し合いをしているという段階でございます。
  245. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、郵政省は反対ということでしょうか。それだけ確認と、同時に公共施設についても全部押しなべてということは私は見直しをしてほしい。最後にイエスかノーか、NTTにお聞きして終わりたいと思います。
  246. 児島仁

    ○児島参考人 公共施設につきましては、原則として撤去しないということを方針としていきます。  なお、郵便局に置きますものにつきましては、例えば郵便局の前にボックスを建てて、そこに置くことによって二十四時間使えるというふうな方向もあると思いますので、郵政省とよく相談をさせていただきたいというふうに考えております。
  247. 野間友一

    ○野間委員 いや、二種の委託公衆電話について言っているわけです、学校とか病院とか公共施設。
  248. 児島仁

    ○児島参考人 二種の公共施設につきましては撤去いたしません。在来どおりこれを設置していく所存であります。収益を重んじた格好で——大変失礼しました。公共性のあるところにつけておりますのは私ども一種というふうに分類をしておりますので、これについては在来どおり撤去はいたしません。
  249. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 検査院からの御指摘は、処置要求という検査院の指摘としてはかなり強いものであるという事実が一つございます。これは厳然たる事実でございますので、NTTとしてはそれを受けて、そういう観点からの公衆電話施設についての効率的配置を考えなければならないのは当然だと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、郵便局という地域社会における通信施設というものの役割についても、私どもは世の中の方々の御利便性を十分考えて取り上げなければならないと思っておりますので、それらを総合的に考えまして、利用者の方々の便益に供するようにNTTと今後とも話し合っていきたいと思っております。
  250. 野間友一

    ○野間委員 まだありますけれども、終わります。
  251. 堀之内久男

    堀之内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十八分散会