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1986-12-19 第107回国会 衆議院 外務委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和六十一年十二月十九日(金曜日) 午後三時一分開講
出席委員
委員長
山口
敏夫君
理事
甘利 明君
理事
浦野 烋興君
理事
奥田 敬和君
理事
北川 石松君
理事
中山
利生君
理事
高沢 寅男君
理事
神崎 武法君
理事
永末 英一君
石原慎太郎
君 小川 元君 大石 正光君 鯨岡 兵輔君 坂本三十次君 竹内 黎一君
中山
正暉君
村上誠一郎
君 岡田 利春君
河上
民雄
君 伏屋 修治君 渡部 一郎君
岡崎万寿秀
君 松本 善明君
出席国務大臣
外 務 大 臣
倉成
正君
出席政府委員
外務省北米局長
藤井 宏昭君
外務省欧亜局長
西山 健彦君
外務省中近東ア
フリカ局長
三宅
和助君
外務省経済局次
長 池田 廸彦君
外務省経済協力
局長
英 正道君
外務省条約局長
小和田 恒君
委員外
の
出席者
外務大臣官房外
務参事官
村田
光平
君
外務委員会調査
室長 門田 省三君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件
国際情勢
に関する件 ────◇─────
山口敏夫
1
○
山口委員長
これより
会議
を開きます。
国際情勢
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
外務大臣
より
発言
を求められておりますので、これを許します。
外務大臣倉成正
君。
倉成正
2
○
倉成国務大臣
私は、十二月九日、本邦を出発し、
ベルギー
、
イタリア
、
フランス
を
訪問
した後、十七日帰国いたしました。 今回の
訪問
の目的は、
ベルギー
の
首都ブラッセル
において開催された
日本
・
EC委員会閣僚会議
に
出席
するとともに、
イタリア
、
フランス
との間で
外相定期協議
を行うことでありましたが、
ベルギー
では
日本
・
EC委員会閣僚会議
に加え、
ドロールEC委員長
及び
マルテンス
・
ベルギー首相表敬
並びに
ドクレルクEC委員
、
ティンデマンス・ベルギー外相
、
シュルツ米国務長官
、
ハウ英国外相
、
キャリントンNATO事務総長等
との
会談
を行い、
イタリア
では
アンドレオッティ外相
との
協議
に加え、
ローマ法王ヨアンネス・パウルス
二世にお目にかかる
機会
を得、
フランス
では
レモン外相
との
協議等
を行いました。 今回のこれらの
諸国
及び
EC委員会訪問
は、西欧が
世界
の政治、
経済
の中で占める極めて大きな地位にかんがみ、対話を深めることが有意義であり、特に
我が国
の
安全保障
にとって重要な
レイキャビク
以後の
東西関係
及び
日欧経済関係
の
改善
と
緊密化
について
意見交換
を行うことが時宜を得ているとの
観点
から行われたものであります。
東西関係
については、
各国
なりの評価がそれぞれありましたが、
レイキャビク首脳会談
以後の新しい局面にもかんがみ、
西側諸国
の結束を一層固めることが必要であることについては、
意見
の一致を見たところであります。また
国際経済情勢
及び二国間
経済
問題については、
先方
より特に
日欧
間の
貿易
不
均衡
問題につき懸念が表明されましたが、これに対しては、私より、我が方の
努力
を
説明
するとともに、
先方
の
努力
の
必要性
も強調いたしました。
各国
との間で率直な
意見
の
交換
が行われたことは、極めて有意義であったと思います。さらに
シュルツ米国務長官
とも
会談
し、
東西関係
、
アジア情勢等
、グローバルな
日米協力関係
につき話し合うとともに、
日米関係
を総覧する
立場
から、
日米
間の
貿易
経済
問題についても有意義な
意見交換
を行いました。 なお、私は
日本
の
外務大臣
として初めて
キャリントンNATO事務総長
と
会談
を行いましたが、
情報
の
交換
という面で意義深いものでありました。
ローマ法王
にもお目にかかりましたが、
世界
の平和と正義のために行動しておられる同法王の
姿勢
に深い感銘を受けた次第であります。 第三回
日本
・
EC委員会閣僚会議
には、
田村通産大臣
、
三ツ林科学技術庁長官
とともに
出席
をいたしました。
日本
と
EC諸国
との
貿易
不
均衡
が増大するに伴い、過去数カ月間、
日本
・
EC関係
が相当に厳しくなる状況のもとで開かれた今次
閣僚会議
は、
国会開催
中にもかかわらず、我が方より三
閣僚
が
出席
したこと、及び
核融合協定締結交渉
の開始、
産業協力センター設立
、スキーSGマーク問題の
早期解決等
我が方の
積極的意向表明
もあり、
EC側
も
我が国
の
努力
と
姿勢
を多とし、
日本
・
EC関係
の保全、発展のため建設的、友好的な
意見交換
ができた次第であります。
EC側
は、近年の
我が国
の
市場開放
、
構造改善
についての
我が国
の
努力
を多としつつも、右が具体的な成果として
貿易
の
拡大
にあらわれる速度が遅いこと、
日本
からの
輸出
の急増しているという傾向と
EC産品
の
日本市場参入
の困難な点を訴え、具体的問題として、アルコール問題、関西空港問題、
金融市場
への参加問題とを挙げました。 これに対し、我が方よりは、
日本
・
EC
間の
貿易
不
均衡
問題に関する
EC側
の
関心
は理解するも、右は、
日本
・
EC双方
の
努力
による
均衡拡大
によって
解決
されるべきものであり、我が方としては、
円高不況
にもかかわらず、引き続き
市場アクセス
の
改善
、
構造改革
に
努力
する
意向
を伝えると同時に、
EC側
においても、
経済構造改善
に、より一層取り組むべきことを述べました。また、
EC側
の対
日差別措置
の
是正方
を申し入れ、今後、
日本
・
EC
の
双方
が両者の
関係
の
積極的側面
を強調し、消極的な面を限定するような
努力
が重要であると述べました。
EC側
が最も強調した具体的問題はアルコール問題でありました。
ドロール委員長
によれば、この問題が
解決
できるか否かは
日本
・
EC
間の
友好関係
が維持されるか否かの試金石であるとみなされております。我が方からは、この問題に関する
EC側
の強い
関心
は十分
承知
しており、現在検討中の
税制改革
及び
関税率
の改定において真剣に考慮する旨述べた次第であります。 総じて、
EC側
も
世界経済
の運営、特に
自由貿易
の維持、南北問題の対処、累積債務問題の
解決
に当たって
米国
とともに
日本
と
EC
の果たすべき
役割
と責任の重さを強調し、今後とも、
日本
・
EC関係
を強化していきたいという
積極的姿勢
を示していました。 翻って、
EC
は今や三億二千万の人口を擁する
一大経済圏
を目指しつつ、一九九二年の
統一市場実現
に向けて一歩一歩統合の
努力
を進めつつあります。
我が国
としてもかかる視点に立って
日米欧三極関係
の最も弱い部分、すなわち
日欧関係
、特に
日本
・
EC関係
の強化に従来以上に意を用い
努力
する必要があるものと
考え
られる次第であります。 以上御報告申し上げます。 ─────────────
山口敏夫
3
○
山口委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
河上民雄
君。
河上民雄
4
○
河上委員
ただいま
倉成外務大臣
から、最近の訪欧の
帰国報告
を承ったわけでございますが、
EC
・
日本閣僚会議
におきまして大変御苦労いただきましたことに対して
敬意
を表します。 時あたかも、
外務大臣
がヨーロッパに行っておられますときに
日本
・
EC議会
の定例の
会議
がこの
我が国
会で行われまして、私もその一員として席を汚したわけでございますが、その際、
EC議会側
の
皆さん
から、長年この
日本
・
EC議会
における
日本側
の団長を務められました
倉成先生
が
外務大臣
になられたことに対し、
大変喜び
とまた
敬意
を表したいということでございましたことをお伝えしたいと思います。 さて、きょうは、会期の末でございますし、非常に時間も限られておりますが、先般来話題となっております
イランゲート
の問題につきまして、報道されたところによりますれば、
中曽根総理
の
イニシアチブ
が、特に直接関与という形で伝えられておりますだけに、一体どういうことになっていたのか、
日本国民
の
立場
からぜひとも伺っておきたいと思うのでございます。 ここで、
外務省側
からまず御
説明
をいただくのが順当かと思いますけれども、きょうは私の与えられました時間も四十分ということでございまして、余り時間もございませんので、それは省略させていただきまして、まず私の聞きたいことを順次伺いたいと思います。 今、私どもが
承知
いたしておりますことは、十一月の四日、
レバノン
でしたか、アッシラーという
週刊誌
でこのことが公表されまして、以後
世界各国
一斉に報道がなされて
世界
は驚かされたわけでございますが、その中で渦中の人であります
アメリカ
の
レーガン大統領
は、
沈黙
を守った末、十一月の十三日にホワイトハウスを通じまして
説明
をいたしたわけでございます。もちろんこれでみんなが納得したとは当然
考え
られないわけでございますが、振り返ってみますと、
レーガン
氏と
イラン
の
関係
というのはある
意味
では
大変因縁
がございますことは御
承知
のとおりでありまして、一九七九年の末、
イラン
で
アメリカ大使館人質事件
が起きました。そのときの
カーター政権
の
対応
が極めて弱腰である、こういう攻撃のもとに翌年の
大統領選挙
で
レーガン大統領
は当選するということで今日に至っておるわけであります。 私も、七九年のちょうどそのときに
飛鳥田社会党委員長
の
訪米団
についてまいりまして、
バンス国務長官
やモンデール副
大統領
ともお会いをいたしまして、当時の
アメリカ政府
の苦悩というものの
一端
に触れる
機会
があったのでございますが、その後
レーガン大統領
は
テロ
に対しましては一貫して一切交渉せず、一切妥協せずという態度でまいりまして、特に
各国
に対しまして
アメリカ
の方針に協力するようにと強く
要請
をして今日に至ったと思うのでございます。 その一番のあらわれは、もう
皆さん
御
承知
のとおり、ことしの五月五日の
東京サミット
におきます
国際テロリズム
に関する
共同声明
でございました。そこには「
テロリズム
を
主唱
若しくは支援する国に対する
武器
の
輸出
の
拒否
。」ということが四
項目目
に強くうたわれているわけであります。ところが、このたび判明いたしました事実は、
アメリカ
・
レーガン大統領
みずからが
イラン
に対する
武器売却
と
人質解放
の
取引
をしたということでございまして、この本音と建前の食い違いというものについて
日本政府
はどのように今受け取っておられるか、そのことをまず最初に伺いたいと思います。
三宅和助
5
○
三宅政府委員
まず、御
指摘
の、
アメリカ側
が、
レーガン大統領
でございますが、
人質
と
武器
を変換したというぐあいにとられておりますが、
レーガン大統領
の
演説
、十一月十三日の中に言っておりますのは、
米国
は
レバノン
での
米人質
の
解放
と引きかえに
イラン
に
武器
を
輸出
したのではないということを明確に言っておりまして、むしろ
イラン
の
穏健派グループ
との将来の接触のために行ったというぐあいに言っております。 片や
イラン側
の発表でございますが、
イラン側
も
人質
と
スペアパーツ
は
交換条件
ではない、これは
ハメネイ大統領
が十一月十四日、金曜礼拝の際の
演説
をしているわけでございまして、それに触れましては
人質
の問題と
武器
の
取引
とは
関係
はないという両方の
立場
が述べられております。
河上民雄
6
○
河上委員
倉成外務大臣
、お
帰り早々
でございますけれども、こういう
レーガン大統領
の
説明
というものを一体真実として受け取っておられるのかどうか。また、それを支持するお
立場
をとっておられるのかどうか。 もうごらんのとおり、
レーガン大統領
の
演説
の後、
アメリカ
の
ABC放送
が行った
世論調査
では、対象になりました
アメリカ人
の七二%は、これは
レーガン
の単なる言いわけにすぎない、こんなものは信じられないということを答えておるのでございますが、
倉成外務大臣
はどうお
考え
でございますか。
倉成正
7
○
倉成国務大臣
ただいま
河上委員
の
お話
でございますけれども、御案内のとおり、この問題に関しましては、今、鋭意
米国
の
議会
におきまして真相の究明が図られているところでございまして、我が方といたしましてこれに対してコメントする
立場
にはございません。したがって、この点は御容赦いただきたいと思います。
河上民雄
8
○
河上委員
それでは
倉成外務大臣
にお尋ねしたいのでありますが、
テロ
に対する
対応
の仕方というのは、
各国政府
、非常に苦慮しておる。私ももちろん
テロ
に対しては、絶対あってはならない、許してはならないという
立場
に立っているわけでございますけれども、
日本政府
におきましても、かつては
日本国民
の人命を救うために超法規的な行為を行って
人質解放
をいたしたことは御
承知
のとおりでございます。いろいろ方法はあろうと思うのでありますが、
一般論
といたしまして、
武器
を売り渡し
人質
を
解放
するということが国際的に容認できるとお
考え
でしょうか、どうでしょうか。
倉成正
9
○
倉成国務大臣
御
承知
のとおり、
日本
は
武器輸出
をいたしておりませんし、いろいろな、
日本
人が
人質
になるような
事件
がございまして、苦慮いたして
それなり
の
対応
をしたこともございますけれども、
武器輸出
をいたさない
立場
の
日本国
として言及する
立場
にはございません。
河上民雄
10
○
河上委員
大臣
は、この問題についてきょうはもう一切コメントを避けるという決意で来ておられるようですけれども、それではもう少し、極めて具体的なことを伺います。 先ほど私が、御披露するまでもないのですが読み上げましたことしの五月の
東京サミット
における
テロ
に関する
共同声明
第四
項目目
に、「
テロリズム
を
主唱
若しくは支援する国に対する
武器
の
輸出
の
拒否
。」これには
イラン
は入るとお
考え
ですか。
三宅和助
11
○
三宅政府委員
先生
御
指摘
の
国際テロリズム
に関する
声明
でございますが、「
テロリズム
を
主唱
若しくは支援する国に対する
武器
の
輸出
の
拒否
。」この
項目
でございますが、その前段につきましては「いかなる国家、特にリビア」というものが先回
東京
ではメンションされておりまして、それ以外の国については特定の明記はございません。 これにつきましては、
各国
がそれぞれ自主的に判断するということになっておりまして、
日本側
といたしましては、今
イラン
が直ちにこれに該当するというぐあいには私
たち
は
考え
ておりません。
河上民雄
12
○
河上委員
アメリカ
を含めて七カ国が
宣言
に調印をいたしているわけです、サインをしているわけですね。ところが、日程を翻って繰ってみますと、
アメリカ
は既にこの
時点
で
イラン
に
武器
を売却いたしております。そして、その
見返り
かどうかわからないといいますが、現に
見返り
として既に
レバノン
の
アメリカ人
一人は
釈放
されております。これはごく普通に
新聞
に出ていることでございますけれども、昨年、一九八五年の九月十四日に米人の
人質
がお一人
釈放
されております。そして、八六年の一月十七日には、
レーガン大統領
は
イラン
への
武器供与
を承認する
秘密命令
に
署名
をいたしております。そして五月五日、
東京サミット
でこういう
宣言
に
レーガン大統領
みずから
署名
をしておるわけです。ことしの五月五日、
東京サミット
のときに
中曽根総理
並びに
日本政府
はこのような
経緯
、経過、事実を知っておられたのかどうか、それを伺いたい。
三宅和助
13
○
三宅政府委員
お答えします。
アメリカ
の
イラン
との
武器取引
につきましては、実は発表されるまで全く私
たち
承知
してないわけでございまして、したがいまして
東京サミット
のときには全く
本件
事実は
承知
してなかったというわけでございます。
河上民雄
14
○
河上委員
それでは、七カ国がサインいたしておりますが、
日本
以外の、つまり
日本
と
アメリカ
以外の国も同様全く知らされていなかった、いわばだまされていたというふうに
日本政府
はお
考え
でいらっしゃいますか。
三宅和助
15
○
三宅政府委員
日本
は通報を受けておりませんでしたが、推測しますのにそれ以外の
サミット諸国
も
本件武器取引
については同時に通報されていなかったのであろうと思われます。
河上民雄
16
○
河上委員
倉成外務大臣
は
中曽根総理
と大変お親しいというふうに伺っているわけですけれども、いわゆるロン・
ヤス関係
というのが非常に強調されるのですが、サッチャーには知らせなくとも
中曽根
さんには知らしたということはお
考え
にならないですか。
倉成正
17
○
倉成国務大臣
国際情勢
その他について
意見
の
交換
は十分あると思いますが、そういう問題について
中曽根総理
が相談を受けたことはないと信じております。
河上民雄
18
○
河上委員
今
三宅局長
は、
アメリカ
と
イラン
の
武器取引
につきまして知らされていなかったという
お話
でございますが、事実を知ったのはいつでございますか。
三宅和助
19
○
三宅政府委員
まず
イラン側
が、
ラフサンジャニ議長
が四日、現地で発表しまして、それに
対応
して
アメリカ
が発表して、その
時点
でニュースを通じて知ったということでございます。
河上民雄
20
○
河上委員
しかし、一方では
新聞
に大きく出ておりますように、
秦野章
氏あるいはライターの落合氏などの証言によりますれば、昨年の七月末でございますか、
イラン
の
ラフサンジャニ国会議長
が
我が国
に来られましたときに
首相
は会っておられるわけですけれども、その前後、
アメリカ大統領
が
中曽根総理
に直接、
日本
を通じてこの問題の
仲介役
をしてほしい、こういう
要請
をしたというふうに伝えられておるわけでございますが、この点については、
大臣
、いかがでございますか。
三宅和助
21
○
三宅政府委員
ちょっと事実
関係
だけ申し上げたいと思います。 実は電話が
中曽根総理
に直接かかってきて英語でしゃべられた、それが七月の末か八月の初めだということを聞いておりまして、その際に
中曽根総理
に対して
レーガン大統領
の方は、
日米貿易摩擦対策
などにつき話し合い、その際、
総理
が
大統領
に対して最近の調子はどうかと尋ねた際、
先方
より頭の痛いのは
レバノン
における
人質
問題であるとの
発言
があったというぐあいに、実際に受けられた
総理
がそういう
ぐあいにきのう国会
の場で述べられておりまして、その前のいろいろなことが書かれておりますが、これは
中曽根総理
は、カーテンの
向こう側
のことであって全く関知しておられないという
答弁
をなされております。ちなみに、
委員
が御
指摘
の、お二人とも実は
武器取引等
の
関係
では全く
日本
は
関係
ないということを言っておられます。 とりあえず事実
関係
だけ、
大臣
が御
答弁
になる前に申し上げたいと思います。
河上民雄
22
○
河上委員
そういたしますと、
武器売却
ということは
承知
していなかったが、何らかの
意味
で
レーガン大統領
からの
要請
にこたえて、頭の痛い問題にこたえて、
イラン
に対し
日本
が
仲介者
としての
役割
を果たすというふうにその
時点
でお
考え
になったわけですか。
三宅和助
23
○
三宅政府委員
二つの点だけ明確にいたしたいと思います。 実は
ラフサンジャニ議長
が来られましたのは七月の上旬でございまして、その
時点
のはるか前、すなわち半年も、相当前から
日本
は
日本
独自の
イニシアチブ
で
人質解放
のための
努力
を
日本なり
にしてまいったわけでございます。これはいろいろな
外交チャネル
を通じまして
安倍外務大臣
、私あるいは
大使
のレベルでやってまいったわけでございます。これは決して
アメリカ
からの
要請
に基づいたわけでございませんので、
日本
は
イラン
との間に非常に深い、最も有効なパイプを持っているということから、やはり
西側諸国
の
人質
が捕まっているということに対して
人道的見地
から
日本
はできるだけの
努力
をしようということで
努力
してまいったということで、
米側
の
要請
があったとかないとかいうことでは全くありません。実際問題として、
米国
から正式の
要請
はございませんでした。
河上民雄
24
○
河上委員
そういたしますと、
日本政府
は独自の
立場
でやったというふうに
考え
てよろしいわけですか。
三宅和助
25
○
三宅政府委員
さようでございます。
河上民雄
26
○
河上委員
同じころ
TWA
、つまり
トランスワールド航空
の
ハイジャック事件
がございまして、当時、
安倍外務大臣
は
人道的見地
からその
釈放
のために随分動いた、
シリア
、
イラン
に働きかけたということを当時既に公表しておられるのでございますが、そのときも何か独自の
立場
でということを強調しておられるのですが、余り独自の
立場
、独自の
立場
と強調することは、実は
アメリカ
から頼まれたからではないかという推測を逆に引き起こすのですけれども、それはそれといたしまして、一応独自の
立場
でやられたというふうにいたしますと、今、
釈放
すべき
人質
に関しまして、
人質
が捕らえられておりますのは実は
レバノン
でありまして、
イラン
の国内ではないわけですね。 じゃ、なぜ
イラン
に着目したのか。また、
日本政府
が動けば
イラン
にそんなに大きな
影響力
を与え得ると
日本政府
はなぜお
考え
になったのか。また、
仲介
する以上は何らかの
条件
を出したのか。その点はいかがでございますか。
三宅和助
27
○
三宅政府委員
まず第一点の、なぜ
イラン
に働きかけたかということでございますが、
委員
御
承知
のとおり、
レバノン
におきましては、
シリア
の
影響力
の強いアマール、それから
イラン
の
影響力
の強いヒズボラ(神の党)、いろいろとそれぞれ
影響力
を持ち得る
立場
に
シリア
も
イラン
もございます。したがいまして、現在
レバノン
に直接働きかけると申しましても現在の
政府
はなかなか思うようにならないという
観点
から、それがどの程度有効かは別といたしまして、できるだけの
努力
をするという一環におきまして
シリア
と
イラン
に働きかけたということでございます。 それから、
仲介
の
努力
ではございません。これは、
日本
は決してよその国から頼まれたということではございません。 第三点、これに対しまして、
日本
が
条件
を出したということは全くございません。
日本
は
人道的見地
からぜひ
釈放
してもらいたいということを粘り強く交渉したわけでございます。
河上民雄
28
○
河上委員
確かに
人道的立場
から、特に
TWA
の場合は子供がいたり何かして無辜の民も含まれておるということで、
人道的立場
ということはよくわかるのでございます。もちろん、
レバノン
の場合、少数ですが五人、その中には一説によればCIAのスタッフもいるとかいうようなうわさもあるわけでございまして、若干違うかもしれませんけれども、仮に
人道的立場
で
要請
したというふうにおっしゃるならば、私ども非常にそこに一つの疑問があるのですが、
TWA
のハイジャックされた
人たち
を
釈放
したときには、今度は当時の
新聞
を改めて読み返してみますと、直ちに
安倍外務大臣
はこの
経緯
を発表しておるわけです。それでは、なぜ
イランゲート
の場合は今日まで
沈黙
を守ってきたか、そのことを伺いたい。
三宅和助
29
○
三宅政府委員
いわゆる
イランゲート
、
武器
の
取引
の問題につきましては、既に御
説明
いたしましたように、
日本
は全く関知しておりませんし、また事実も知らされていなかったというわけで、
日本
がこれについてどうこう言う
立場
になかったわけでございますが、
TWA
の
事件
につきまして一言申し上げますと、その当時、
日本
といたしましては、
イラン
と
シリア
に対しまして
人道的見地
から
日本なり
の
努力
をしてまいった。それで、
ラフサンジャニ議長
みずからが
シリア
を
訪問
してそのために
努力
したということを聞いております。ですから、
それなり
の
日本なり
の
立場
から
努力
して、どの程度貢献したかは別といたしまして、多少なりとも貢献したと私
たち
は確信しておりまして、その旨の記事が出たということでございます。
河上民雄
30
○
河上委員
しかし、
TWA
の場合も
人道的立場
から、しかも独自の
立場
で動いたということでございまして、今回の
イラン
の
人質釈放
のために動いたことと動機としてはちっとも違わないでしょう。
武器売却
があったかどうかは知らなかったというのは、それはまあ仮にそうとしましても、
人質解放
という点からいえば、ちっとも変わりないはずです。それをなぜ今日まで
沈黙
を守ったかということを聞きたい。
三宅和助
31
○
三宅政府委員
TWA事件
につきましては、その後、
人質
が
解放
された後の段階において、多少なりとも貢献したという
情報
が外に出たということでございます。その後の
人質
につきまして、現在なおたくさんの人が
レバノン
におりまして、
各国
とも
人質解放
のための
努力
もしておりますし、また
日本
もその
努力
を継続してきた。その
一端
が今回いろいろな形で判明しましたけれども、できるだけ
相手国
の
立場
、今後の
人質解放
という
関係
からいたしましても、すべてを公表するという
立場
にはないということは御理解いただきたいと思います。
河上民雄
32
○
河上委員
それでは、
首相
の指示に基づいて
中山
元
大使
が八五年の八月に
イラン
を訪ねております。また、これは公式のものかどうか私よくわかりませんが、自民党の藤尾氏が同じく
中曽根
氏の指示で
イラン
を訪ねておる。いずれの場合も親書を携えてというふうに報道されておりますが、これと今日の
イランゲート
の一連の動きとどういう
関係
があるのか、明らかにする必要があろうと思います。
三宅和助
33
○
三宅政府委員
事実
関係
を申し上げますと、
中山
中東
調査
会
理事
長、元
フランス
大使
がたまたまこの地域を
訪問
するということで
総理
のところへあいさつに行きましたら、ぜひ親書を持っていってもらいたい。ちょうど
ラフサンジャニ議長
が
日本
を
訪問
した直後でございますので、両国
関係
の今後の一層の発展とか、それから
イラン
・イラク戦争に対する
考え
方、さらには国際
テロ
に対する
考え
方ということを親書で述べておりまして、なお
人質解放
についての
イラン側
の
努力
を
要請
したということで、
イランゲート
と今のは全く
関係
ございませんが、そういう親書を託した。 藤尾政調会長は、ことしの一月、
日本
イラン
議員連盟の会長として御
訪問
になるということで、やはり
総理
の方から親書を託した。その中に、二カ国
関係
あるいは
イラン
・イラク戦争に対する
考え
方が触れられております。したがいまして、全く一連の
日本
の独自の外交
努力
の一環でございまして、いわゆる言われている
イランゲート
とは全く
関係
ございません。
河上民雄
34
○
河上委員
その場合、今
お話
がありましたように、
テロリズム
一般についても親書で書いてあるということでございますけれども、受け取る方は当然、あるいはまた会話の中では、
イラン
の
人質釈放
について
中曽根総理
の、つまり
レーガン大統領
から電話があったときに頭の痛い問題があるというその趣旨が伝えられているのではないかというふうに、これはそう理解する方が当たり前でございます。何も親書の中にそういうことを具体的に書くわけはないのでありまして、当然ただ紙を渡して帰ってきたということではないと思うのでありますが、その点はいかがですか。
三宅和助
35
○
三宅政府委員
レーガン大統領
が
中曽根総理
との電話の中で頭の痛い問題と言っておられますが、
日本側
としては、
米国
なりあるいは
フランス
なりにおける最大の
関心
を
本件
に持っておるということは当然
承知
しておりまして、そういうものを踏まえまして、そういうものを念頭に置きまして、
日本側
が独自の
人道的見地
から
要請
したということでございまして、親書の中にはそれほど明確になりませんが、その後、
会談
を聞きますと、その旨強く口頭で申し上げたというぐあいに聞いております。
河上民雄
36
○
河上委員
そうしますと、親書を携えていくとともに、その問題は十分話した、こういうことでございますね。その場合、親書のあて名はどなたでございましたか。
三宅和助
37
○
三宅政府委員
双方
とも
ラフサンジャニ議長
あてでございます。
河上民雄
38
○
河上委員
そこで、今までは経過でございますけれども、
外務大臣
に、一つの
立場
といいますか、方針として伺いたいのでありますが、人道上、
人質
を
解放
するという場合に、
武器売却
が
条件
の場合はこれを受け入れるというのが
日本政府
の
立場
か。もちろん、
日本政府
が
武器
を売却するわけじゃありません。今回は知らなかったということで
皆さん
通しておられるわけですけれども、既にこういう前例があるわけですから、
日本政府
の
立場
を明らかにしていただきたいのでありますが、
武器売却
が
条件
の場合、そうしたあっせんを
日本政府
は引き受けるのか引き受けないのか、今後の方針として伺いたいと思います。
倉成正
39
○
倉成国務大臣
先ほどからるる申し上げておりますように、
日本政府
は
武器
は
輸出
をしないことになっております。したがって、そういう
要請
が
日本政府
にあるはずもございません。また、そういうことを
条件
として云々というような仮定の御質問がございますけれども、まずあり得ないと思いますので、私はそういうことはまずあり得ない、さように
考え
る次第でございます。
河上民雄
40
○
河上委員
もう一度確認さしていただきますけれども、
日本政府
は
武器売却
はしない。これは国是である。
武器輸出
はしない。しかし、別な国が
武器売却
をすることが
条件
で
人質
が
解放
せられるという場合、
日本政府
はそのあっせんを引き受けるかどうかということを伺っているのです。
倉成正
41
○
倉成国務大臣
まず申し上げたいのは、仮定の問題にお答えするというのは極めて危険なことでございますから、お答えできないというのが私の
答弁
でございますけれども、一般的に申し上げれば、
武器
を売却することによって
人質
を云々というようなことは
日本政府
としてはとらない方針でございます。
河上民雄
42
○
河上委員
それでは、
大臣
、きょうはもうコメントをしないという決意で臨まれているようなので、これ以上お聞きしてもなかなかでございますけれども、ただ少なくとも
中曽根
内閣としては、これを大変な成果として今回の選挙に臨んだ
東京サミット
で、非常に重要な部分で
レーガン大統領
に裏切られたという感触はお持ちでいらっしゃいませんか。 これだけ重大なことを
日本政府
に一切知らせない。そしてこういう共同
宣言
を他国に協調するように強く
要請
をしたわけです。そのことについて今どのようにお感じになっておるか。今後こういうことは国民の名において許さないという決意をお持ちになっておられるか。
倉成正
43
○
倉成国務大臣
この問題につきましては、御案内のとおり、
アメリカ
の
国会
におきまして重要な問題として本当に真相の解明のために真剣な
努力
を続けておられるところでございますから、この推移を真剣な
立場
で見守りたいと思っておる次第でございます。
河上民雄
44
○
河上委員
やがて来年、年が明けますと、
アメリカ
上下両院の合同
調査
委員
会なりその他で次第に真相が明らかになると思うのでありますが、食い違いが起きないことを私どもは望んでおるわけでございます。 それでは、もう時間がございませんが、許されましたあと二、三分で幾つかのことを伺いたいと思うのです。 きょうの議題と少し外れるのでありますけれども、先般、ジャクソン師が
我が国
を
訪問
されました。招待をしたのは、我が党の同僚の上田卓三議員が責任者でお呼びをしたわけでございまするけれども、例の人種差別問題について、この際、ジャクソン師が
中曽根総理
と会見をしておるわけですが、これで人種差別
発言
につきまして氷解をしたというふうに見ておるのかどうか。
日本
の
新聞
とは違いまして、向こうの
新聞
では、ジャクソン師は
中曽根総理
に対してかなり鋭く、ある
意味
ではあけすけに批判をしておられるのであります。
日本
の
新聞
では官邸の記者発表だけをそのまま書いているような感じでございますが、向こうの
新聞
にはかなりあけすけに書いてございますが、その中でジャクソン師は
日本政府
に対し態度で示してほしいということを強く
要請
して帰っておられます。 そこで、人種差別撤廃条約批准につきまして来年どうされるか、伺いたいのです。
藤井宏昭
45
○藤井(宏)
政府
委員
総理
とジャクソン師の
会談
の事実
関係
について御
説明
申し上げます。 ジャクソン師が
総理
にお会いになりましたときに、人種差別と申しますか、につきまして、例えば指紋押捺の問題とかいろいろな問題を提起いたしまして、いわゆる
中曽根総理
の
発言
ということに関連いたしましては、不幸な
発言
があったということを簡単に触れただけでございました。さらに、
日本
の企業が
アメリカ
におきまして必ずしもマイノリティーに対して十分な配慮を払っていないという趣旨の
発言
をしております。これは、しかしながら注をさせていただきますと、ジャクソン師は一九八〇年からそういうことを言っておるわけでございます。それが
総理
とジャクソン師の間の人種差別と申しますか、ただいま御言及になりました問題に関連しての事実
関係
でございます。
河上民雄
46
○
河上委員
ちょっと私の質問に答えていただいてないのですが。
村田光平
47
○村田
説明
員 人種差別撤廃条約につきましては、この条約の趣旨にかんがみまして、できる限り早期に締結すべく検討作業を行っている次第でございます。しかしながら、この条約に規定されております処罰義務に関しまして、表現の自由等基本的人権との
関係
をいかに処理するかなど、いまだ
解決
しなければならない問題が残っておりまして、現在、
政府
としましてはこの点を含めまして検討作業を鋭意進めているところでございまして、したがいまして、次の
国会
に提出するかどうかにつきましては、いまだお答えできない状況でございます。
河上民雄
48
○
河上委員
それでは、もう時間が来てしまいましたが、最後に一言だけノーかイエスだけ伺いたいのです。 思いやり予算に関連しまして地位協定の改定を図ると聞いておるのですが、これは予算を伴う以上
国会
にかけるのが本筋だと思いますけれども、
国会
にかけられる御予定かだけ伺っておきます。それで質問を終わりたいと思います。
藤井宏昭
49
○藤井(宏)
政府
委員
いわゆる思いやり予算と申しますかに関連いたしまして、駐留米軍の労務費の負担問題でございますけれども、この問題について鋭意
政府
部内で検討しておるということでございます。その
対応
にはいろいろな可能性があるわけでございますけれども、協定を結ぶということも一つの
対応
であるかもしれませんが、現在検討中でございますので、どういう形があるか、あるいは今後どういうふうに取り進めるかということについて、残念ながら現段階で申し述べることは困難かと存じます。
河上民雄
50
○
河上委員
じゃあ、時間が参りましたので、これで終わります。
山口敏夫
51
○
山口委員長
次に、永末英一君。
永末英一
52
○永末
委員
アメリカ
・
レーガン
政権が
人質解放
のために
武器
を
イラン
に売った件について
我が国
が
関係
しておるというような、そのことが最近わかるまでは我々も全く知らなかったわけでございます。
外務大臣
は、国際的なああいう
人質
をとる、ハイジャックなどをやる、あるいは暴力によってそういうことをやっている国に援助をするということがいいことであると思いますか、よくないことであると思いますか。
倉成正
53
○
倉成国務大臣
よくないことだと思います。
永末英一
54
○永末
委員
レーガン
政権が
武器
を売ったことに直接
日本
が
関係
あるとは私も思いたくございませんが、この間いろいろな報道で明らかにされた事実によりますと、次のような事実を外務省は御
承知
であるかどうか。 昨年七月二十六日に
秦野章
氏が
中曽根総理
に会いまして、そして
人質解放
について自分が動いておる状況を
説明
し、なお自分がこれからやろうとすることを
説明
をし、
中曽根総理
に何を言ったか明らかではございませんが、
中曽根総理
はそれら一連のことについて同意を与えた。二十七日に秦野氏は
中曽根総理
との
会談
の内容を
アメリカ側
に伝えた。二十八日、
レーガン大統領
が
中曽根総理
に電話してきた。こういうふうにつっつっつっつっと三日間にわたってきているわけですね。したがって、我々はこれら三つのことはそれぞれ因果
関係
のあることであると思いますが、
大臣
はどう思いますか。
倉成正
55
○
倉成国務大臣
ただいまの事実
関係
は、
総理
自身が
委員
会等でお答えしたと思います。 昨年夏の
レーガン大統領
から
中曽根総理
への電話連絡について種々報じられているところでございますが、昨年七月末か八月初めごろか、
レーガン大統領
から
中曽根総理
に電話があって、それについては
日米
貿易
摩擦等の問題について話し合いがあった。その際、
総理
が
大統領
に対して調子はどうかと問うた際に、
先方
から、頭が痛い。頭が痛いのは
レバノン
における
人質
問題であるとの
発言
があった。そう
承知
をしているわけでございます。
我が国
は、こうした
レーガン大統領
の
発言
にも示されているように、
アメリカ
が
人質解放
を真摯に望んでおるということは常々
承知
しておることでございまして、こうしたことを踏まえ、従来から
レバノン
での
人質
問題や
TWA
人質
事件
についても
人道的見地
から独自の
イニシアチブ
で
我が国
なりの
努力
を払ってきたところでございます。
永末英一
56
○永末
委員
外務大臣
、
アメリカ
の
大統領
が
日本
の
総理
大臣
にそういう直接の電話をするときの直前の外交的回路はどうなっておるのですか。
三宅和助
57
○
三宅政府委員
一般論
というよりも
本件
に絞りまして、
総理
からきのうの
委員
会その他の
機会
に私がお聞きしたことでございますが、
委員
御
指摘
のとおり、秦野議員が
総理
にお会いに来られた。
総理
はそのときのことを、
米国
は
人質
問題で困っている、
各国
も助け合っている、
日本
と
イラン
との
関係
にかんがみ一肌脱いだらどうか、首脳外交の時代でもあり、親書でも出したらどうかということを秦野議員が
総理
に言われた。それに対しまして、
総理
の方からは、
条件
が整えば結構だと答えた。で、その後、秦野議員がどういうような
アメリカ
とのコンタクトをとったかは、
総理
の表現によりますと、カーテンの
向こう側
のことで、自分は関知していない。七月の末か八月にかけて軽井沢に電話がかかってきた。そこで今
大臣
が御
説明
したような会話があったというような
関係
でございます。
永末英一
58
○永末
委員
我が国
総理
大臣
中曽根
康弘氏は、要するに避暑に行っておったんでしょう。軽井沢のホテルという報道である。
アメリカ大統領
は、毎日毎日、
日本国
総理
大臣
中曽根
康弘氏がどこへ行って何をしておるか知っておるわけがありませんわな。したがって、そこへ電話をしてくるというのは、電話をするあらかじめの連絡があって知っておるからそこへ電話してきたと思う。あっちに用事があった、あっち側に。 その用事は何か。
外務大臣
の
お話
をさっきから聞いておりますと、
日米
経済
摩擦がふにゃふにゃという話があって、
中曽根総理
の方から調子はどうだと言ったら、頭が痛いのは
人質
だと言った。そうじゃないでしょう。
人質
よろしく頼むと言って電話をかけてきたんでしょう。
倉成正
59
○
倉成国務大臣
私どもでもいろんな外国の人と話をいたしますが、そのとき自宅にいないときには行き先を探して電話するということもよくあり得ることでございますから、それは別に場所をどこにいたからどうこうということではないと思います。両国の首脳が時々電話をし合って話し合うということは、私は至極当然のことだと思います。
永末英一
60
○永末
委員
電話にもいろいろありましてね、ソシアルインターコース、社交的な電話もございますが、しかし、
日本
と
アメリカ
の政治的責任者がわざわざ太平洋を渡って電話をかけてくるというのは、忙しい時間を割いて電話をかけるというのは用事があるからだ。 一体
レーガン大統領
にその時間に電話をかけなきゃならない重大な
事件
があったのかどうか、そう思うと、まさに今の一連の因果
関係
からいえば、
人質
の問題について
日本国
の
総理
大臣
が、
条件
が整えばひとつ一肌脱ごう、こう言ったという
情報
を聞いて、よろしく頼むと言った、こう解釈するのが当然じゃありませんか。あなたもいろいろ忙しいですが、会う人がおらなければ探して電話をかけるよ、そんな問題じゃないと思います。どうですか。
倉成正
61
○
倉成国務大臣
私自身語学が得意でありませんから、
各国
の
外務大臣
と電話で話すことも少ないわけでございますけれども、本来ならもうしょっちゅう電話でいろいろなことを話し合ってしかるべきだと思うわけでございますから、電話をかけたこと自体がそんなおかしいことじゃないと私は思います。また、これからテレビ電話等がはやると申しますか普及してまいれば、画面に出て話もできるわけでございますから、これはせっかくの
お話
でございますけれども、もっともつと対話を深めるべきであると私は思っております。
永末英一
62
○永末
委員
私は電話をかけたことが異常なことだと言うてるんじゃないのですよ。用事があるから電話をかけてきたんでしょうと聞いておる。昨年、一九八五年に
レーガン大統領
は何遍
中曽根総理
大臣
に電話をかけましたか。
藤井宏昭
63
○藤井(宏)
政府
委員
申しわけございませんけれども、
レーガン大統領
は
中曽根総理
へ電話等で大変に頻繁に通信、交信をなさっておりまして、昨年の八月ごろでございますか、どういう用件であったかということを私ただいま記憶しておりません。
永末英一
64
○永末
委員
日本国
の
総理
大臣
と
アメリカ大統領
とが電話で話をするというのは外交案件に決まっていますわな。「君、今晩のおかず何ですか」というようなばかなことは聞かぬはずですよ。 そうすれば、
中曽根総理
大臣
と
レーガン大統領
の話の内容を
外務大臣
は知っておらなければいけませんね。あなたの知らぬことを
総理
大臣
と
アメリカ
の
大統領
が話をして、あなたが知らぬということになれば、
日本
外交は一元化していないということになる。あなた、それを知らされたのでしょう。
倉成正
65
○
倉成国務大臣
重要な問題についてのいろいろな
発言
については絶えず
総理
から伺っております。しかし、具体的な、今
お話
しのようなことについては存じておりません。
永末英一
66
○永末
委員
北米
局長
、頻繁にかけているなんて、数までわかりませんわ。いやしくも
日本国
の内閣
総理
大臣
と
アメリカ
の
大統領
が電話している回数は、いつ、何時で、どういう案件であったかということを外務省は
承知
していなければならぬと私は思います。
承知
していないというならば、それは
日本
外交の大問題である。
調査
をしてこの
委員
会で報告してください。これが一つ。
外務大臣
、その話があって、八月に
中山
元駐仏
大使
が行かれた。先ほどの話を聞いておりますと、たまたま行かれたので、おれの親書を持っていかぬかと
中曽根総理
が言った、こういう話でございますが、どうもそうは思えないですね。
中山
元
大使
の旅費はだれが出したのですか。
三宅和助
67
○
三宅政府委員
外務省が支出いたしました。 一言御
説明
いたしますと、実は
中山
元
大使
はちょうど
シリア
の
日本
週間の準備もあり、副団長ということで九月に行くということを予定しておりまして、それから中東
調査
会
理事
長ということで
イラン
にもぜひ行きたいというような御希望がありまして、それで
総理
のところにお伺いして、私もそのときいたわけでございますが、ひとつ親書を持っていってくれないかということでお願いしたということでございます。
永末英一
68
○永末
委員
中山
さんについてはシークレット、秘密特使という表現が使われているんですね。しかし、外務省が旅費を出して行っておるのだから、外務省は
中山
元
大使
の任務というものは十分
承知
しておるに違いない。たまたまあいさつに行ったら、
中曽根総理
が親書を持っていかぬか、こう言った。私は逆だろうと思うのです。親書を持っていってくれ、だれがいいだろうか、
レーガン大統領
が頼みに来た、親書が一番いいだろう、親書を出そう、たまたまその前に
ラフサンジャニ議長
が来ておるから、あの人がよかろう、外務省はいろいろ検討したに違いないですな。そして
総理
に連絡をし、
中山
さんがよかろうというわけで、
中山
さんをして
訪問
をせしめた。だからこそ外務省が旅費を出しておるのじゃありませんか、外務省の仕事ですよ。そうじゃありませんか、
外務大臣
。
三宅和助
69
○
三宅政府委員
いろいろな
機会
を通じましていろいろなレベル、あるときは適当であれば民間人に助けてもらうということがございます。
中山
元
大使
は駐仏
大使
で語学に堪能、それから中東
調査
会
理事
長ということで、先ほど申しましたように
シリア
に公的な用務で行ってもらう、それで
イラン
にも行ってみたいということでございまして、そのときに
総理
から親書を託す、外務省から旅費を出しました以上、当然ながら事前にも事後も十分連絡した上で
中山
元
大使
が現地を
訪問
したわけでございます。
永末英一
70
○永末
委員
首相
の親書なるものは、
中山
元
大使
が持参される前に
外務大臣
はその内容を
承知
しておられましたか。
三宅和助
71
○
三宅政府委員
私が記憶しておる限りにおきましては、
総理
から
中山
元
大使
に親書を託したいということで当時の
安倍外務大臣
に相談がありまして、
安倍外務大臣
が私
たち
に相談しまして、非常に結構ということで、親書の中身を十分当時の
安倍外務大臣
、私
たち
も
協議
にあずかったわけでございます。——まず、親書を託したらどうかということを
総理
が言われまして、それから
安倍外務大臣
と御相談になりまして、
安倍外務大臣
が私
たち
幹部とも相談いたしまして、親書を託するのが適当であろう、それでは中身はということで、中身につきましても十分
協議
にあずかったわけでございます。
永末英一
72
○永末
委員
大体事態が明らかになりましたですね。これは外務省の仕事なんです。
中曽根総理
はよそのところで、変なことはやらぬ、自分のやるのは
日本国
の外交なんだから、このことを言っておられますから、今
三宅
さんが言われたように、外務省と相談して送っておるというのは当たり前のことだ。全然わけのわからぬ人に頼んでやったのではおかしい。しかし、そこまでやっておるのにどうして秘密特使というような形容詞がつくのか私もわかりませんがね。 そこまで
協議
をするというのは、やはり
中曽根総理
が
レーガン大統領
に頼まれて、よしそれならば一肌脱ごうということで
努力
をして、
日本
外交がいいものかどうか。外交力の見せどころだと思ったかどうか知りませんが、だから外務省も一緒になってこれだけの作業をやってきた、こう解釈するとすらすらとよくわかるのですが、たまたま手紙を渡したとか、
レーガン大統領
は頼みもしなかった、頭が痛いのは
人質
だなんて、そんなことじゃないんでしょう。 先ほど私が申しましたように、
中曽根総理
と秦野さんの話はどうか知りませんが、そこで起きた
事件
、それにこたえて
レーガン大統領
が
中曽根総理
に頼んでくる、
中曽根総理
がよしやりましょうということで外務省と相談し、適当な人を人選し、
中山
さんに白羽の矢を立て、そして親書を持っていって渡した。これが一連のコースじゃありませんか、いかがですか。
三宅和助
73
○
三宅政府委員
もう一度繰り返すことになりますけれども、一連のこの外交、これはもう昨年の一月ぐらいからいろいろなレベルでやっておりまして、
中山
元
大使
に一役買ってもらおうということで親書を
総理
が託されたわけでございますが、前段の電話につきましては、確かに頭が痛い、
総理
の記憶では、
アメリカ側
は何か今までの
日本側
の
努力
に対してお礼も言われたような気がする、これは実はきょうあたりの
新聞
に、その電話の中で
アメリカ側
はお礼を言ったような気がする、そういうぐあいに答えております。いずれにしましても、直接の
要請
はなかったと
総理
は言っておりますし、今までもそういう具体的な形で
アメリカ
から
要請
はなかったと私
たち
は
承知
しておりますので、あくまでも
アメリカ側
の強いそういう
関心
を踏まえまして
日本
が自発的にやったというふうに理解しております。
永末英一
74
○永末
委員
もう一つ聞きたいのですけれども、
レーガン大統領
と
中曽根総理
が英語で直接の電話をした、その記録はあるのですか。
三宅和助
75
○
三宅政府委員
記録はないと思いますが、ただその直後、今言った同じようなこと、頭の痛い問題、それからたしかお礼も言われたということを私は
総理
からじかに聞いております。
永末英一
76
○永末
委員
外務大臣
、
我が国
の
総理
大臣
とよその国の最高責任者が電話をする場合に、その記録を外務省はとらないのですか。
小和田恒
77
○小和田
政府
委員
突然のお尋ねでございますので、全く
一般論
として申し上げますが、一般的にとるかとらないかということでお答えするのはなかなか難しいと思います。通常は、重要な用件でありましてそういうことが想定されている場合には、通訳が中に入りましてきちっと記録をとるというのが多いケースであろうと思います。 ただ、状況によりまして、そういうことが間に合わない場合であるとか、あるいはその他そのときの状況で厳格な
意味
での記録をとることが不可能な場合もございます。そういう場合には、先ほど中近東ア
フリカ局長
がお答えしましたように、直接
総理
からその話を伺って記録しておくというような形になるであろうと思います。
永末英一
78
○永末
委員
私が伺っておるのは、要するに
我が国
の最高責任者である
総理
大臣
が外国の最高責任者と直接の電話をする、それが記録にないといえばとんでもないことが起こるかもしれませんね。
我が国
の運命を決することがそれで決まるかもしれない。当然私は記録にとっておくべきである。 それから、先ほどからちっともわからぬのは、なぜ一体
レーガン大統領
が避暑先の軽井沢まで電話をかけてきたか。この
答弁
が一つもありませんよ。
外務大臣
、私だっていろいろ探して電話かけることがある、そんな案件じゃありませんよ。分刻みの日程をやっている
アメリカ
国の
大統領
が
日本国
の
総理
大臣
、これも非常に忙しい、それを探して電話をかけてくる。用事があったからだ。あなたは、あの電話は用事のない電話だと思われますか、用事がある電話だと思われますか、そのことをお答え願いたい。
倉成正
79
○
倉成国務大臣
やはり何か用事がなければ電話はかけないと思いますが、
レーガン大統領
はサンタバーバラによく行かれるわけでございますが、やはり私が
レーガン
さんを探すとすれば、ホワイトハウスにおられなければサンタバーバラに電話するでしょう。ですから、私は、そう目くじら立てて、どこで電話を受けたかということが問題ではないんじゃないかと思います。 そしてまた、先ほどから
お話
しのように、本当に国の運命を決するような重要な問題については、当然記録をとり、そして言葉がわかっても通訳を通していろいろ話をするというのが筋道であろうかと思います。
永末英一
80
○永末
委員
電話を受けた場所がどうだこうだ言っているのじゃないのですよ。あなた方の方は、何となく電話がかかってきたような印象を与えようとしておる。そうじゃないのであって、はっきりとした目的があるから
アメリカ大統領
は電話をかけてきたのだろう、そう申しておるにもかかわらず、あなた方はそれをうんと言われない。だから、そんなばかなことはない、
国際情勢
いかんによって両国の責任者が電話を直接するというのは用事があるからやってきておる。その用事が今の
人質
問題だろうと聞いておりますと、そうじゃない、そうじゃないと言って逃げ回っておられますが、そんなことぐらいはっきりお認めになったって何ということはないじゃないですか。 もう時間が来ておりますが、それをもう一遍国民の前にひとつお答え願いたい。
倉成正
81
○
倉成国務大臣
私の知る限り、
中曽根総理
は少なくとも年に二、三回は必ず電話をするということを聞いておりますけれども、もっと電話されたかどうかということはよく
承知
しておりません。
永末英一
82
○永末
委員
答弁
、不十分でございますが、時間が参りましたので、やめます。
山口敏夫
83
○
山口委員長
次に、神崎武法君。
神崎武法
84
○神崎
委員
米国
の
イラン
への
武器売却
と
我が国
の関与の問題につきましてお尋ねをいたします。 この
イラン
への
武器売却
問題につきましては、
米国
内で大変大きな問題になっておりますし、
関係
諸国
でも大変注目を集めているわけであります。 現在、
米国
の司法省及び上院、下院、両院の
情報
特別
委員
会で捜査を開始しているわけでございますけれども、その罪名も、
テロ
リスト国家への
輸出
違反という
輸出
管理法違反、それから、千四百万ドル以上の兵器移転に際しての対
議会
通告義務違反という兵器
輸出
管理法違反、あるいは
テロ
リスト組織支援国家への兵器
輸出
という包括的反
テロリズム
法違反、秘密工作の対
議会
通告義務違反という一九四七年国家
安全保障
法違反等さまざまな法律違反があったということで、重大な犯罪という
観点
からも捜査が行われているところでございます。 ところで、この
レーガン
政権の
イラン
に対する秒密工作と時を同じくして、
中曽根総理
がベイルートの米人
人質解放
を目指して
イラン
に対して外交工作をしていたことも明らかにされたわけであります。その関連がどのようなものなのか、国際的にもこの点についても疑念が持たれているわけでございます。 現段階では
事件
の全体像がはっきりしない点が多いわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、
イラン
への
武器売却
の時期と密接に関連した時期に
総理
の関与がなされている点、また今回の件で
日本
の中東外交に対し中東
諸国
に多くの疑念を生じさせた可能性があるという点、また、後ほどまた議論いたしますけれども、外務省による外交と官邸の外交の二元外交という重大な問題をはらんでいるという点からいたしまして、私は今回の
事件
におきます
日本側
の関与について、
政府
は真相を徹底的に解明し、問題がなかったかどうか十分吟味する必要があろうし、また国民及び中東
諸国
に納得のいく
説明
を行うべきであると
考え
るわけでございますが、この点いかがでございましょうか。 また、これまでに真相解明のために
政府
としてどのような
努力
をされてきたのか、あわせてお尋ねをいたします。
倉成正
85
○
倉成国務大臣
先ほどからしばしば
政府
委員
からも、また私からもお答え申し上げましたとおり、この問題につきましては、
人質解放
問題については
日本
が独自の
イニシアチブ
で行ったものであって、決して
仲介
を頼まれたものではないということは明らかでございます。 なお、
アメリカ
の
大統領
の
イラン
に対する
武器
の供与の問題については、法律に詳しい
先生
がよく御
承知
のように、
米国
の
議会
の中でかなり綿密な
調査
を行うべくいろいろな手段で今この真相究明に当たっておるところでございますから、この行方を注意深く見守っておるのでございます。
三宅和助
86
○
三宅政府委員
先生
の御
指摘
の中で、中東に疑念を生じた、それに対してどうしているかというお答えの分でございますが、
日本
は今回
人質
の
解放
という人道的な
立場
で
アメリカ
の
武器
とは全く
関係
ないということを、もちろんこれにつきましては中東
各国
も誤解はないと思いますけれども、念のために中東
各国
に対しまして十分
説明
しておりますし、私自身も
大使
を招致しまして念のために
説明
しまして、完全に理解を得ているというわけでございます。
神崎武法
87
○神崎
委員
政府
といたしましては、今後ともこの真相解明のために全力を挙げて
努力
をされるというお
考え
でしょうか。
倉成正
88
○
倉成国務大臣
この問題は米
議会
の中で今真相解明のために全力を尽くしてやっておられるところでございますから、この動向を注意深く見守ってまいりたいと思っております。
神崎武法
89
○神崎
委員
私がお尋ねをしたのは、
我が国
政府
の関与あるいは
我が国
の
関係
者の関与について真相解明のために引き続き全力をお挙げになるかどうかという点であります。
三宅和助
90
○
三宅政府委員
日本
の
人質解放
のための自主的な外交
努力
と
アメリカ
の
武器取引
とは全く無
関係
ということでございまして、これが真相でございます。 したがいまして、これをここで全く
関係
がないということを申し上げているわけでございまして、それ以上の
努力
と申されましても、関与してないわけでございます。したがいまして、外務省、本当のことをここで申し上げているわけでございますので、それ以上の打つ手はないのではなかろうかと私は思います。
神崎武法
91
○神崎
委員
レーガン大統領
から
中曽根総理
に直接電話が入ったという点でございますけれども、この事実を外務当局はその当時
承知
していたのかどうか。知ったとすれば、一体いついかなる方法で
承知
されたのか。
三宅和助
92
○
三宅政府委員
中曽根総理
が軽井沢で電話を受けられまして、その後帰ってまいりまして、私に、
アメリカ
から、
レーガン大統領
からあった、非常に頭の痛い問題であって、たしかそのときのあれでは今までの
日本側
の
努力
に対していろいろとお礼も述べられていたというようなことを私は聞きまして、その旨の連絡は受けております。
神崎武法
93
○神崎
委員
落合信彦氏の著書のこの「挑戦者
たち
」によりますと、この
レーガン大統領
の
中曽根総理
に対する電話が実現するまでにはいろいろな下準備があったということが明らかにされているわけであります。ケーシーCIA長官あるいはCIA
東京
支
局長
、
中曽根
サイドの人、これがワシントン・ポスト紙等によると
秦野章
氏だ、そういう者が十分に打ち合わせた上でこの電話が実現したんだ、そういう経過が明らかにされているわけでありますけれども、そういう動きがあったということ、これは真実かどうかわかりませんけれども、そういうことを含めて外務当局は当時
承知
をされていたのか、あるいはもう全くかやの外に置かれていたのか、その点はいかがでしょうか。
三宅和助
94
○
三宅政府委員
本に書かれているようないわゆる裏工作につきましては、実は本を見まして初めて私は
承知
したということでございます。
中曽根総理
もきのう
国会
の場で、自分も興味深く読んだ、しかしながら、確かに電話がかかってきた事実、それから
秦野章
先生
がお見えになった事実はありました、しかしそれの背後にどういうようなことがあったかということは、いわばカーテンの
向こう側
のことであって、自分は全く関知していないという
答弁
をされております。
神崎武法
95
○神崎
委員
そうしますと、外務当局としてはその当時は全く知らなかったということになるわけですね。それから、その後、外務当局としてその事実
関係
を
調査
されたかどうか、この点はどうでしょうか、この今の私が
指摘
した点について。
三宅和助
96
○
三宅政府委員
現実問題といたしまして、確かに
中曽根総理
あてに電話がありました。それからその後の一連の過程から見まして、
中山
元
大使
が
イラン
を
訪問
したわけでございますが、十分に私
たち
と
意見
を調整しまして出ているわけでございまして、あそこに書かれているようなシナリオが事実かどうか、私は全く関知しないわけでございますが、少なくともこれが全く実現されてないわけでございますので、事前にそういう話があったかどうかということにつきましては私
たち
も全く関知してないわけでございます。
神崎武法
97
○神崎
委員
私はなぜこういうことをお尋ねをしているのかと申しますと、これはもう外務省の専権に属すべき重大な外交上のことが、外交工作が外務省の知らないところで進められていた、そういう可能性が極めて強いわけですね。ですから、果たしてこれが事実かどうか、これは外務省は本当に真剣になって真相を明らかにして、そこに問題があるのであれば国民の前に明らかにする責任があると私は思うのです。その
意味
でお尋ねをしているわけです。もう一度。
三宅和助
98
○
三宅政府委員
先生
御
指摘
の二元外交という点でございますが、
人質解放
の問題、すべての外交工作は外務省を中心といたしまして十分相談された上、既にもう去年の初めぐらいから一連の過程において行われてまいったわけでございます。いろいろな各個人の方がいろいろな思惑がありましていろいろなことを言われ、いろいろなことをやっていると思いますが、少なくともすべての外交工作はすべて外務省を通じましてやられておるという
意味
におきまして、各個人、いろいろな思惑その他あると思いますが、それについて一々外務省がどうこうするという
立場
にはないんじゃないかと
考え
ております。
神崎武法
99
○神崎
委員
今回の件では、そうしますと、外務省は
総理
から指示を受けてどういう動きをしたのかという点でありますけれども、一つは落合、秦野氏の献策行為について知っていたのかどうか。それから先ほど聞きました
大統領
の
要請
についてどの程度
承知
していたのか。それからCIAの関与についてどの程度
承知
していたのか。それから田中清玄氏あるいは
中山
氏、藤尾氏等の特使の人選の経過ですね、人選についてどの程度
承知
していたのか、こういう点を含めてお答えをいただきたい。
三宅和助
100
○
三宅政府委員
「挑戦者
たち
」という中に書かれておりますいわゆる裏工作と称しますか、私は裏工作であったかどうかということも、そうじゃないんじゃないかと思いますが、いろいろな各個人がいろいろな個人的な
考え
でお
考え
になり、いろいろなことをされるかもしれませんが、少なくとも
イラン
との外交
関係
につきましては一切それが実現されておりませんで、外務省を通じて十分
協議
した上で行われているということが第一点でございます。 それから、
総理
がいわゆる親書を託した件でございますが、これは藤尾政調会長が
日本
イラン
議員連盟の会長としてみずからの
イニシアチブ
で行かれる。それに対して
総理
から親書を託す。
中山
中東
調査
会
理事
長が現地を回られるあるいは
シリア
に行かれるという公的業務に対しまして
中曽根総理
がこれに親書を託すということで、一連の外交工作の中で十分相談した上で、しかも現地におきましては野村
大使
も立ち会い、事前に十分相談して事外交に関する限りは行われているというわけでございまして、人選をどうこうしたという問題ではございません。 それから
総理
自身のお
考え
も、当然ながら当時の
安倍外務大臣
と十分相談され、また事務当局も十分相談にあずかって進めてきたというわけでございます。
神崎武法
101
○神崎
委員
私は、今回の件で
アメリカ
で問題になっているのも、やはりこの二元外交の問題が一つの大きな焦点になっているだろうと思うのですね。国家
安全保障
会議
のスタッフによる対
イラン
秘密工作、これはもう国務省との
関係
で、これが
大統領
直系ということで、そこが大きな動きをした、そこに大きな問題があると思うのです。 今回の
日本
の国内でのこの一連の動きもまた
アメリカ
と全く似たような官邸主導のそういう外交工作というものがなされた可能性が非常に強いと私は思うのです。その
意味
において、
アメリカ
と同じような危険性というものを
日本
の外交の面でも持っているんじゃないか。私は今回の
事件
でそれを危惧するからお尋ねをしているわけでございまして、今の外務省のお
立場
からすれば、二元外交はないんだ、常に綿密に打ち合わせをして進めているんだとおっしゃるけれども、私は
アメリカ
において起こったと同じ危惧を持っているわけであります。その点、
外務大臣
、いかがでしょうか。
倉成正
102
○
倉成国務大臣
ただいまの
先生
の御危惧の点はよく理解できますけれども、御
承知
のとおり、
アメリカ
と
日本
とでは制度が全然違うわけでございまして、
アメリカ
は
大統領
制をとっておりまして、補佐官というのがありまして、そこでいろいろ重要な政策が論議されるということも御
承知
のとおりでございます。一方、国務長官がまた全体を総覧する
立場
にもあるということでございますから、二元外交の可能性があるわけですけれども、
日本
の場合は御案内のとおりそういうことではございません。したがって、私は
アメリカ
のようなことにはならないと思います。また、そうあってはならないと確信をしております。
神崎武法
103
○神崎
委員
外務大臣
、よくよくこれは心して、外交に関してはやはり外務省が本当に頑張っていただきたい。やはり責任があるのは外務当局ですから、官邸との
関係
、その点、心していただきたいと切に要望する次第でございます。 今回の、
アメリカ
において今捜査が進められているわけでございますけれども、落合さんの本などを読みますと、そこに今
アメリカ
議会
等でもいろいろ証言を求められているケーシーCIA長官が登場するとか、CIA
関係
者も登場するわけでありまして、そういう対
イラン
の秘密工作の絡みで
日本
に
要請
をしたというのが、これは
アメリカ側
からの捜査ではそういうことになろうかと思いますけれども、そうなりますと、この落合さんを含めて
日本
人もこの件に関与しているようでありますけれども、
アメリカ
の
議会
あるいは司法当局の捜査において
日本
人
関係
者が証人あるいは参考人として将来召喚を受ける、そういうような可能性があるのかないのか、外務当局としてどのようにごらんになっておりますか。
三宅和助
104
○
三宅政府委員
先ほどから御
説明
しておりますように、
日本
の
人質解放
のためのいろいろな
努力
と
米国
の
イラン
との
武器取引
は全く無
関係
でございます。たまたま同時期に、と申しますのは当然のことでございまして、一昨年の末ぐらいから
人質
が出てきたということで、当然ながら
アメリカ
としても
本件
に
関心
を持つ、
日本
としても
各国
との
関係
におきまして非常に頭の痛い、
関心
のある問題、しかも
イラン
との
関係
では最も有効なパイプを持っている
日本
が
人道的見地
において
それなり
の
努力
をする。もちろんそれだけではございませんで、
イラン
・イラク紛争あるいは二カ国間
関係
というような一環として
本件
を
努力
してまいったわけでございますので、関与は全く
関係
ない問題でございますので、米
議会
に
関係
者が呼ばれるというような事態はあり得ないと思います。
神崎武法
105
○神崎
委員
今回の
アメリカ
の
武器売却
問題、この
事件
の反省として、
アメリカ
の与党・共和党のドール院内総務の提案というものが
日本
に伝わってきているわけであります。対
イラン
、ニカラグア秘密工作で同盟国首脳
会議
を開いてはどうかというものであります。その席で政策ミスを
アメリカ
として率直に認めるべきである、また、
イラン
への
武器
提供など秘密工作を今後しないことを確認して、今回の
事件
発覚で失った外交政策への信頼回復に努めるべきである、こういう提案を共和党のドール院内総務がしているのでありますけれども、
我が国
としても信頼回復のための同盟国首脳
会議
を開くべきであるという提案を積極的にすべきであろうかと私は思うのですが、
外務大臣
、いかがでしょうか。
倉成正
106
○
倉成国務大臣
ドール院内総務の提案については、
新聞
報道では
承知
しておりますけれども、今せっかく
アメリカ
の
議会
で相当真剣にこの問題について真相を明らかにするために
努力
している最中でございますから、この推移を見守るというのが現在とるべき最善の方策ではないかと思っておる次第でございます。
神崎武法
107
○神崎
委員
今回の
アメリカ
における
事件
の及ぼす影響がどういうものであるか、まだ十分わからない面が多いのでありますけれども、
レーガン
政権のレームダック化を決定づけた面があることは疑いのないところであろうと思うわけであります。その
意味
において、外務当局はどういうふうにごらんになっておるのか。 一つは、今後の米ソの核軍縮交渉へ悪い影響が生ずることが懸念されるわけでございますけれども、この点について今回の
事件
の影響をどのようにごらんになっていらっしゃるでしょうか。
倉成正
108
○
倉成国務大臣
私、ブラッセルでシュルツ国務長官とお目にかかりまして、最近はよくテレビでお目にかかりますという
お話
をしましたら、余りテレビに出たくないけれども出ているんだという
お話
でございました。しかし、現在起こっている問題は別として、しっかり外交は続けていくんだという力強いシュルツ国務長官の
お話
がございました。したがって、こういう際こそ西側の
諸国
は団結して協力すべきであるということで
双方
の
意見
が一致したところでございます。
神崎武法
109
○神崎
委員
さきの中間選挙におきまして民主党が勝利する、そしてまた
アメリカ
国内において膨大な
貿易
赤字を背景に保護主義の声が台頭しておる、そういうこともいろいろなところから
指摘
を受けているわけでございます。 私もワシントンにいる友人に何人か電話をしていろいろ聞いてみますと、一番
日本
人が懸念をしておりますのは、今回の
事件
は
レーガン
政権のレームダック化を決定づけた、この
事件
を契機に
日米
の
貿易
摩擦問題に大変大きな悪影響が今後出てくるのではないか、そういう角度の懸念を大勢の者が強調しているわけでございますが、この点についてどのような影響が出てくるとお
考え
になっているのか。
倉成正
110
○
倉成国務大臣
今起こっております
イラン
の
武器売却
の問題は、御
承知
のとおり外交問題でございます。もちろん外交、政治と
経済
とは無
関係
ではございませんけれども、この問題と
経済
摩擦とを直ちに結びつけるというのはいかがなものであろう。やはり今、膨大な黒字を
アメリカ
に対して持っておる。そして、
アメリカ
から言わせると、
日本
の市場の開放がまだ不十分である。そういうことが
貿易
摩擦の最大の原因でございますから、この問題が
貿易
摩擦を激化させるというふうには
考え
ておりません。やはり本質的には、基本的なそういう
日米
の
貿易
上のインバランスあるいは相互の認識、そういうことが
貿易
問題の
解決
の基本であると心得ておる次第でございます。
神崎武法
111
○神崎
委員
最後に、
イラン
情勢をどう見るかという点でお尋ねしたいわけであります。 今回の
米国
と
イラン
の秘密交渉が明らかになりましたのは、十一月三日に発売されました
レバノン
の親
イラン
系のアッシラーというのが報じた、翌日
イラン
の
ラフサンジャニ議長
も公式にこれを確認した、そして
世界
的なニュースになったということが経過としてあるわけでありますけれども、その背景として、十月二日にテヘランで発生いたしましたアルマフムード駐
イラン
・
シリア
臨時代理
大使
の誘拐
事件
——この人は
レバノン
における米人
人質解放
の実現に対して
アメリカ
と
イラン
の調停をしていたのじゃないかというふうにも言われておりますが、その者が誘拐をされた。その後
解放
をされておりますけれども、この
事件
で、十月二十七日に、
イラン
の最高指導者ホメイニ師の後継者になることが決まっているというモンタゼリ師の身内のハシェミ
世界
イスラム
解放
運動本部長がこの誘拐
事件
に関与したということで逮捕されている。このハシェミ氏は、
米国
と
イラン
との秘密交渉に対して大変反対をしていた人物と伝えられているわけであります。 そこで、今回の
事件
が明るみに出た背景として、
イラン
におきます指導部内の権力闘争が発生しているのじゃないか、そういう点が一方では言われているわけであります。もう一つは、もともと今回の
米国
の秘密交渉自体が
イラン
のわなである、
イラン側
は今そういう
説明
をしているようであります。そういう見方もあるようでありますけれども、外務当局としては、今回この
イラン
と
米国
の秘密交渉が明らかになった背景を、
イラン
の国内情勢も含めてどのようにごらんになっておるか。
三宅和助
112
○
三宅政府委員
ただいま、一連の
事件
がまず
イラン側
から発表されたという背景いかんということでございますが、これにつきましては、既に
先生
御
指摘
のいろいろな
情報
が入っておりますが、ただ、私
たち
としましては、この公式の場で
イラン
国内のコメントをすることは果たして適当かどうかということで差し控えさせていただきたいと思いますが、いろいろな国内情勢、いろいろな諸外国との
関係
を考慮しながら
ラフサンジャニ議長
が発表されたのだろうと思っております。 なお、その中で非常に重要な点は、
総理
の書簡が出たわけでございますが、これに対して
ラフサンジャニ議長
、あるいは外交筋を通じまして、全く
日本
に対して悪意はない、全く
日本
との
関係
を誹謗するとか非難するつもりは毛頭なかったという
説明
が入っております。 それから最後に、
イラン
情勢でございますが、いろいろ御
指摘
のようなことがございますが、基本的には
イラン
の内政は安定していると見てよろしいかと思います。すべては
イラン
・イラク戦争に対してどういうぐあいに持っていくかということで、現在のところいろいろな
情報
がございまして、例えば来年の三月までに攻勢を行う可能性が強いとかいろいろなことがございますけれども、基本的なイラクに対する戦争方針というものにつきましては、イラクのサダム・フセイン
大統領
の退陣ということを最大の
条件
としているという点におきましても基本的には変わっていないということでございます。
神崎武法
113
○神崎
委員
終わります。どうもありがとうございました。
山口敏夫
114
○
山口委員長
次に、
岡崎万寿秀
君。
岡崎万寿秀
115
○岡崎
委員
私も同じく
イラン
問題について質問いたします。 先ほどからの御
答弁
を聞いていますと、昨年八月に
総理
の親書を持って
イラン
を訪れた
中山
元駐仏
大使
、そのことについては
安倍外務大臣
も
三宅局長
も相談にあずかり、親書の内容も御存じだということでございます。同じような特使は、ことしの一月、自民党の当時の藤尾政調会長も行かれておりますし、親書もお持ちなんです。これも同様に相談を受け、そして親書の内容も御存じでしょうか。
三宅和助
116
○
三宅政府委員
藤尾元政調会長の
イラン
訪問
につきましても十分相談を受け、かつ親書の中身につきましても十分相談にあずかっております。
岡崎万寿秀
117
○岡崎
委員
それではお聞きしますけれども、外交問題でございますので、当然、特使として外務省も相談にあずかり、内容もよく検討した上で
イラン
に行かれて、その交渉の中身について、状況について報告は受けられましたか。
三宅和助
118
○
三宅政府委員
当然報告を受けておりますが、同時に、現地におきましては野村
大使
が立ち会っております。また、一月の場合も、私がたまたま
訪問
しておりましたものですから、立ち会っております。したがいまして、内容的にもすべて把握しております。
岡崎万寿秀
119
○岡崎
委員
そうしますと、外交交渉でございますから単にお願いするだけじゃないでしょう。
イラン側
の
人質解放
に当たっての要望、要求があるはずです。感触等がつかめられたはずですね。それはどういうものでありましたか。
三宅和助
120
○
三宅政府委員
交渉の中身につきましては、
イラン
、
相手国
の事情もあることでございますので、内容につきましてはここで
発言
することを差し控えさせていただきたいと思います。
岡崎万寿秀
121
○岡崎
委員
内容は言えない、しかし、それが重要なんですが、その中に、要望やその他についてお聞きになっているかどうか。単にこちらの方から
アメリカ人
人質
について
釈放
してくれとお願いするだけじゃなくて、その
交換条件
としてのいろいろな
イラン側
の要望を聞いているはずですね。中身が言えないなら、要望があったのかどうか、お聞きしたいのです。
三宅和助
122
○
三宅政府委員
本件
につきましては、
アメリカ側
から
要請
されてそれを
仲介
したとか交渉したということでは全くありません。全般的な二カ国
関係
あるいは
イラン
・イラク紛争問題を中心にしながら、その中で
日本
の
立場
といたしまして
人質解放
に対する
影響力
を行使してもらいたいという希望を
先方
に伝えたということでございまして、
仲介
したとか、交渉したというわけではございません。
岡崎万寿秀
123
○岡崎
委員
三宅
さん、私の聞いていることに答えてもらいたいのです。だれも
仲介
とかなんとか今聞いていないのです。要望があったのかどうかということなんです。要望はあったのでしょう。その感触はどういうことだったのですか、中身は言えないとおっしゃいましたが。
三宅和助
124
○
三宅政府委員
先方
からの要望ということではなしに、
先方
側の
立場
を
説明
を受けております。
先方
との
関係
もございますものですから、中身につきましては
説明
することを差し控えさせていただきたいと思いますが、当然ながら
先方
の
立場
についての
説明
は受けております。
岡崎万寿秀
125
○岡崎
委員
立場
と要望というのはどういうものか、恐らく
イラン側
の
立場
に立ったいろいろな希望が述べられたんじゃないかと思いますけれども、それは
日本側
に対するものでしたか、それとも
アメリカ側
に対するもの、あるいはその両者に対するものなんですか。
三宅和助
126
○
三宅政府委員
これは
米側
の
要請
を伝えたわけではございませんものですから、したがいまして、
イラン
は
イラン
の基本的な
立場
を
日本側
に伝えたというわけでございます。
岡崎万寿秀
127
○岡崎
委員
その
イラン側
の
立場
の中で、今
イラン
・イラク戦争が行われていますが、
武器
を非常に必要としているような感触は受けませんでしたか。
三宅和助
128
○
三宅政府委員
イラン
といたしましては、
日本
が
武器
を
輸出
しない国であるということは十分
承知
しておりますので、
武器
関連についての
発言
は一切ありませんでした。
岡崎万寿秀
129
○岡崎
委員
イラン側
の
立場
を聞いたという話でございますけれども、そのことについては別に
アメリカ
の方から
要請
を受けてやったわけじゃないでしょうけれども、当然の
日米関係
でございますので、
アメリカ側
に
イラン側
の
立場
なり
意向
なりをお伝えになりましたか。
三宅和助
130
○
三宅政府委員
必要な範囲内におきまして適宜
米側
にも通報しております。
岡崎万寿秀
131
○岡崎
委員
アメリカ側
の秘密工作とは全く
関係
ないとおっしゃっていますね。それは結構です。しかし、
情報
交換
はかなりおやりになっているように感じますけれども、必要に応じてやった、また、向こうからも必要に応じてもらっていませんか、どうです。
三宅和助
132
○
三宅政府委員
米側
との
関係
では、特に国務省との
関係
におきましては、例えば中東に関する
協議
がございまして、かなり集中的に
意見交換
を中東につきましてもやっておりますが、この
武器取引
の問題については、既に当
委員
会で申し上げましたように一切通報は受けておりません。
岡崎万寿秀
133
○岡崎
委員
では、
日本
から一方的に
情報
を伝えるだけなんですか。
情報
交換
は全くなかったのですか、動きについてでも向こうからもらうようなことは。
三宅和助
134
○
三宅政府委員
中東の
協議
という中には
イラン
・イラク戦争に対する見方とか中東和平に対する見方、あるいはそれ以外の国際
テロ
全般にわたるものでございますので、こちら側の
意見
もあれば
米側
の
意見
もありますし、
米側
の
情報
もあれば
日本側
の
情報
もあるわけでございまして、お互いに十分な
意見交換
を行ったわけでございます。
岡崎万寿秀
135
○岡崎
委員
人質釈放
問題を聞いているのです。
三宅和助
136
○
三宅政府委員
人質解放
につきましては、
アメリカ
は外交
関係
がございませんものですから、
日本
が
イラン
との外交
関係
を持っておりまして、必要な範囲内におきまして
日本
が独自で行ったものにつきまして
米側
に通報してございます。
岡崎万寿秀
137
○岡崎
委員
それは
三宅
さん、さっきおっしゃったとおりなんです。
アメリカ側
から
人質釈放
問題について何らの
情報
も受けなかったのかどうか、そのことをお聞きしているのです。
三宅和助
138
○
三宅政府委員
米側
から
本件
が出たような形での
人質解放
についての
米側
の工作につきましては、一切通報を受けておりません。
岡崎万寿秀
139
○岡崎
委員
いずれにせよ、
日本
の方から
情報
を提供したということは今言明されたわけですけれども、
イラン
のホラサニ国連
大使
は十二日の記者会見で、
イラン
と
アメリカ
の接触に
日本
が
仲介者
として協力したということを言われているわけです。
仲介者
というのはいろいろな
意味
があります。直接もありますし、間接もありますね。今は
日本
が
情報
を提供したとおっしゃいましたが、
人質解放
問題で
アメリカ側
と
イラン側
と接触する、そういう
仲介
はなさっていないのかどうか。どうでしょう。
三宅和助
140
○
三宅政府委員
米・
イラン
間の接触の
仲介
といたしましては、
日本
は全く行っておりません。
岡崎万寿秀
141
○岡崎
委員
総理
と
イラン
の国
会議
長とは三回会っているのです、おいでになったとき。そして親書を持って去年の八月、ことしの一月ですね。同じ内容じゃなかったはずなんですね。その内容については外務省でもいろいろと検討の上にやっているわけなんですね。そうして、
中山
特使が行かれた後、
アメリカ
の
人質
が一人
釈放
されているんです。そして、後でわかったことですけれども、
取引
かどうかはともかくとして、
アメリカ
の
武器
が
イラン
に流れているわけですね。そういう動きについて、つまり
アメリカ側
の秘密工作などについて全く関知しない状況で
日本側
は進められたのか、別ルートでそういういろんな動きもあるやに知った上で
イラン側
と接触されていたのか、どうでしょうか。
三宅和助
142
○
三宅政府委員
日本
は
日本
の独自の
イニシアチブ
でやっておりまして、
米国
が同じ時期、今回発表されたような接触ないしは
武器
の
取引
の話が進んでいたということは全く
承知
しない、そういう状況のもとで
日本
が
日本
の独自の
立場
から
イラン側
と接触していたということでございます。
岡崎万寿秀
143
○岡崎
委員
親書の中身についてはおっしゃらないんですけれども、少なくとも藤尾政調会長が行かれるときの親書の中には、一人
釈放
されて、何らかの
取引
があったということは
承知
の上で新たな提案をなすったはずなんですね。そういう動きさえも全く知らなかったのですか。お願いします、お願いしますだけですか。いつも同じ文書じゃないでしょう。外交
関係
ですから、よく動きをつかんだ上で親書があるわけでしょう。その点、どうなんですか。
三宅和助
144
○
三宅政府委員
親書の中では、
人質解放
に対する
イラン側
への
要請
と同時に、従来行ってきた
イラン側
の
努力
に対しても、例えば
TWA
に対する
ラフサンジャニ議長
の
努力
に対して謝しているという文がございます。
日本
は
日本なり
に、
人質
を
解放
されたということで、
日本
の
努力
がどの程度効果があったか必ずしもわかりませんが、
日本なり
の
努力
をしてまいって、
それなり
の貢献をしたんじゃないかと思います。 ですから、表面的に見ますと、いろいろな国がいろいろな形で
努力
しております。
日本
は
日本なり
の
努力
をしております。それで
人質
が
解放
されていくということで、これが
武器
関連であるかどうかということは
承知
しませんでしたが、
日本
は
日本なり
、
フランス
は
フランス
、あるいは
ローマ法王
関係
、それ以外の
関係
者がいろいろと
努力
された、その集積の結果
人質
が
解放
されたんだろうと私
たち
は思っておりまして、
それなり
の評価も、欧米の
諸国
からも
日本
がよくやってくれているというお礼の言葉も随時あったわけでございます。
岡崎万寿秀
145
○岡崎
委員
フランス
は
フランス
なり、
アメリカ
は
アメリカ
なりにやっていることなどは御存じだったのでしょう。それが秘密の
武器取引
ということは知らないにしても、ある程度のことは知った上での
日本
のミッションがあったんじゃないですか。
三宅和助
146
○
三宅政府委員
アメリカ
がやったことを今から振り返りますと、確かにこの時期にこういうことをやっていたんだなということはわかりますが、その
時点
におきましては
アメリカ
は
イラン
と外交
関係
を持っておりませんでした。ですから、
シリア
との
関係
はございますから、
シリア
との
関係
ではあるいは働きかけていたのだろうと思います。ですから、
レバノン
における
人質解放
でございますから、あるいは
イラン
あるいは
シリア
というものがそれぞれの
影響力
を行使していた。その
時点
におきまして、
アメリカ
は例えば
シリア
に対して
要請
しておるようなことはあり得たかなと思っておりましたが、
イラン
については我々は
承知
しない格好で、
日本
の独自の
立場
から
努力
していたというわけでございます。
岡崎万寿秀
147
○岡崎
委員
日本
の
立場
からおやりになったということを繰り返されていますが、しかし、
情報
も提供したりされていますし、
アメリカ
の
シリア
等との動きについても知った上でなすっているのです。 いずれにせよ、
アメリカ
と
イラン
との
関係
で、
人質釈放
問題をめぐって
日本
が
仲介者
の
役割
を果たしたということはお認めになりますか。
三宅和助
148
○
三宅政府委員
日本
は
仲介者
の
役割
を果たしたわけじゃございません。繰り返し申しますが、
日本
は
アメリカ
あるいは
フランス
などの非常に苦しい
立場
というものを踏まえまして、
日本
が独自の判断において、
イニシアチブ
において
人質解放
の
努力
をしたわけでございまして、
米国
とか
フランス
とかの
要請
を受け、その
仲介者
としての
役割
を果たしたわけじゃございません。
岡崎万寿秀
149
○岡崎
委員
要請
は受けなくても、
仲介者
の
役割
は自発的にできるわけなんですよね。客観的に
仲介者
の
役割
を果たしたというふうにお認めになりませんか。もう一回どうぞ。
三宅和助
150
○
三宅政府委員
私
たち
といたしましては、
日本なり
の最大限の
努力
をしてきたということで、
仲介者
的な
立場
ではなかったと今でも
考え
ております。
岡崎万寿秀
151
○岡崎
委員
それは判断の違いでございましょう。 それで、外相にお聞きしますけれども、いろいろなスキャンダルが報道されています。冒頭にも決していいことでないというふうにおっしゃいました。特に落合さんの本を読みますと、また秦野さんの
発言
等を聞きますと、CIA絡みで今度の問題はいろいろなシナリオをつくられて、実に時期的にも符節の合った形で
総理
への
レーガン大統領
からの電話が入っているということもありますし、何らかの秘密工作の一翼に
日本
が組み込まれたのじゃないかという懸念を強く感じるわけなんです。 先ほど中東
局長
は、
アメリカ
の強い
関心
を踏まえて自発的にやったというふうにおっしゃいますけれども、それは今覆す状況にありませんけれども、しかし、いずれにせよこういう大きな秘密工作の一翼に組み込まれて、追随外交に加わったと言われても仕方がないような状況ができてきている。また、今後ともいろんな形で文書、
情報
等が発表されるかもしれません。こういう状況全体について、外相の判断、いかがでございましょうか。
倉成正
152
○
倉成国務大臣
ただいまの
人質
の
解放
の問題については、
政府
委員
からお答えしたとおり、
人道的立場
から
日本
独自の
イニシアチブ
でこの問題に対処したということでございます。したがって、いろいろ
先生
から御注意がございますけれども、これからいろんなことで巻き込まれないようにという御親切な御注意は心に銘じて、今までもそうやっておりますが、今後もそういうことには注意してまいりたいと思います。
岡崎万寿秀
153
○岡崎
委員
ぜひ注意してもらいたいと思います。 これで終わります。
山口敏夫
154
○
山口委員長
本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十七分散会