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1986-12-19 第107回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十九日(金曜日)     午後三時一分開講  出席委員    委員長 山口 敏夫君    理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君    理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君    理事 中山 利生君 理事 高沢 寅男君    理事 神崎 武法君 理事 永末 英一君       石原慎太郎君    小川  元君       大石 正光君    鯨岡 兵輔君       坂本三十次君    竹内 黎一君       中山 正暉君    村上誠一郎君       岡田 利春君    河上 民雄君       伏屋 修治君    渡部 一郎君       岡崎万寿秀君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 倉成  正君  出席政府委員         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省中近東ア         フリカ局長   三宅 和助君         外務省経済局次         長       池田 廸彦君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省条約局長 小和田 恒君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    村田 光平君         外務委員会調査         室長      門田 省三君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ────◇─────
  2. 山口敏夫

    山口委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣倉成正君。
  3. 倉成正

    倉成国務大臣 私は、十二月九日、本邦を出発し、ベルギーイタリアフランス訪問した後、十七日帰国いたしました。  今回の訪問の目的は、ベルギー首都ブラッセルにおいて開催された日本EC委員会閣僚会議出席するとともに、イタリアフランスとの間で外相定期協議を行うことでありましたが、ベルギーでは日本EC委員会閣僚会議に加え、ドロールEC委員長及びマルテンスベルギー首相表敬並びにドクレルクEC委員ティンデマンス・ベルギー外相シュルツ米国務長官ハウ英国外相キャリントンNATO事務総長等との会談を行い、イタリアではアンドレオッティ外相との協議に加え、ローマ法王ヨアンネス・パウルス二世にお目にかかる機会を得、フランスではレモン外相との協議等を行いました。  今回のこれらの諸国及びEC委員会訪問は、西欧が世界の政治、経済の中で占める極めて大きな地位にかんがみ、対話を深めることが有意義であり、特に我が国安全保障にとって重要なレイキャビク以後の東西関係及び日欧経済関係改善緊密化について意見交換を行うことが時宜を得ているとの観点から行われたものであります。  東西関係については、各国なりの評価がそれぞれありましたが、レイキャビク首脳会談以後の新しい局面にもかんがみ、西側諸国の結束を一層固めることが必要であることについては、意見の一致を見たところであります。また国際経済情勢及び二国間経済問題については、先方より特に日欧間の貿易均衡問題につき懸念が表明されましたが、これに対しては、私より、我が方の努力説明するとともに、先方努力必要性も強調いたしました。各国との間で率直な意見交換が行われたことは、極めて有意義であったと思います。さらにシュルツ米国務長官とも会談し、東西関係アジア情勢等、グローバルな日米協力関係につき話し合うとともに、日米関係を総覧する立場から、日米間の貿易経済問題についても有意義な意見交換を行いました。  なお、私は日本外務大臣として初めてキャリントンNATO事務総長会談を行いましたが、情報交換という面で意義深いものでありました。  ローマ法王にもお目にかかりましたが、世界の平和と正義のために行動しておられる同法王の姿勢に深い感銘を受けた次第であります。  第三回日本EC委員会閣僚会議には、田村通産大臣三ツ林科学技術庁長官とともに出席をいたしました。  日本EC諸国との貿易均衡が増大するに伴い、過去数カ月間、日本EC関係が相当に厳しくなる状況のもとで開かれた今次閣僚会議は、国会開催中にもかかわらず、我が方より三閣僚出席したこと、及び核融合協定締結交渉の開始、産業協力センター設立、スキーSGマーク問題の早期解決等我が方の積極的意向表明もあり、EC側我が国努力姿勢を多とし、日本EC関係の保全、発展のため建設的、友好的な意見交換ができた次第であります。  EC側は、近年の我が国市場開放構造改善についての我が国努力を多としつつも、右が具体的な成果として貿易拡大にあらわれる速度が遅いこと、日本からの輸出の急増しているという傾向とEC産品日本市場参入の困難な点を訴え、具体的問題として、アルコール問題、関西空港問題、金融市場への参加問題とを挙げました。  これに対し、我が方よりは、日本EC間の貿易均衡問題に関するEC側関心は理解するも、右は、日本EC双方努力による均衡拡大によって解決されるべきものであり、我が方としては、円高不況にもかかわらず、引き続き市場アクセス改善構造改革努力する意向を伝えると同時に、EC側においても、経済構造改善に、より一層取り組むべきことを述べました。また、EC側の対日差別措置是正方を申し入れ、今後、日本EC双方が両者の関係積極的側面を強調し、消極的な面を限定するような努力が重要であると述べました。  EC側が最も強調した具体的問題はアルコール問題でありました。ドロール委員長によれば、この問題が解決できるか否かは日本EC間の友好関係が維持されるか否かの試金石であるとみなされております。我が方からは、この問題に関するEC側の強い関心は十分承知しており、現在検討中の税制改革及び関税率の改定において真剣に考慮する旨述べた次第であります。  総じて、EC側世界経済の運営、特に自由貿易の維持、南北問題の対処、累積債務問題の解決に当たって米国とともに日本ECの果たすべき役割と責任の重さを強調し、今後とも、日本EC関係を強化していきたいという積極的姿勢を示していました。  翻って、ECは今や三億二千万の人口を擁する一大経済圏を目指しつつ、一九九二年の統一市場実現に向けて一歩一歩統合の努力を進めつつあります。  我が国としてもかかる視点に立って日米欧三極関係の最も弱い部分、すなわち日欧関係、特に日本EC関係の強化に従来以上に意を用い努力する必要があるものと考えられる次第であります。  以上御報告申し上げます。     ─────────────
  4. 山口敏夫

    山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  5. 河上民雄

    河上委員 ただいま倉成外務大臣から、最近の訪欧の帰国報告を承ったわけでございますが、EC日本閣僚会議におきまして大変御苦労いただきましたことに対して敬意を表します。  時あたかも、外務大臣がヨーロッパに行っておられますときに日本EC議会の定例の会議がこの我が国会で行われまして、私もその一員として席を汚したわけでございますが、その際、EC議会側皆さんから、長年この日本EC議会における日本側の団長を務められました倉成先生外務大臣になられたことに対し、大変喜びとまた敬意を表したいということでございましたことをお伝えしたいと思います。  さて、きょうは、会期の末でございますし、非常に時間も限られておりますが、先般来話題となっておりますイランゲートの問題につきまして、報道されたところによりますれば、中曽根総理イニシアチブが、特に直接関与という形で伝えられておりますだけに、一体どういうことになっていたのか、日本国民立場からぜひとも伺っておきたいと思うのでございます。  ここで、外務省側からまず御説明をいただくのが順当かと思いますけれども、きょうは私の与えられました時間も四十分ということでございまして、余り時間もございませんので、それは省略させていただきまして、まず私の聞きたいことを順次伺いたいと思います。  今、私どもが承知いたしておりますことは、十一月の四日、レバノンでしたか、アッシラーという週刊誌でこのことが公表されまして、以後世界各国一斉に報道がなされて世界は驚かされたわけでございますが、その中で渦中の人でありますアメリカレーガン大統領は、沈黙を守った末、十一月の十三日にホワイトハウスを通じまして説明をいたしたわけでございます。もちろんこれでみんなが納得したとは当然考えられないわけでございますが、振り返ってみますと、レーガン氏とイラン関係というのはある意味では大変因縁がございますことは御承知のとおりでありまして、一九七九年の末、イランアメリカ大使館人質事件が起きました。そのときのカーター政権対応が極めて弱腰である、こういう攻撃のもとに翌年の大統領選挙レーガン大統領は当選するということで今日に至っておるわけであります。  私も、七九年のちょうどそのときに飛鳥田社会党委員長訪米団についてまいりまして、バンス国務長官やモンデール副大統領ともお会いをいたしまして、当時のアメリカ政府の苦悩というものの一端に触れる機会があったのでございますが、その後レーガン大統領テロに対しましては一貫して一切交渉せず、一切妥協せずという態度でまいりまして、特に各国に対しましてアメリカの方針に協力するようにと強く要請をして今日に至ったと思うのでございます。  その一番のあらわれは、もう皆さん承知のとおり、ことしの五月五日の東京サミットにおきます国際テロリズムに関する共同声明でございました。そこには「テロリズム主唱若しくは支援する国に対する武器輸出拒否。」ということが四項目目に強くうたわれているわけであります。ところが、このたび判明いたしました事実は、アメリカレーガン大統領みずからがイランに対する武器売却人質解放取引をしたということでございまして、この本音と建前の食い違いというものについて日本政府はどのように今受け取っておられるか、そのことをまず最初に伺いたいと思います。
  6. 三宅和助

    三宅政府委員 まず、御指摘の、アメリカ側が、レーガン大統領でございますが、人質武器を変換したというぐあいにとられておりますが、レーガン大統領演説、十一月十三日の中に言っておりますのは、米国レバノンでの米人質解放と引きかえにイラン武器輸出したのではないということを明確に言っておりまして、むしろイラン穏健派グループとの将来の接触のために行ったというぐあいに言っております。  片やイラン側の発表でございますが、イラン側人質スペアパーツ交換条件ではない、これはハメネイ大統領が十一月十四日、金曜礼拝の際の演説をしているわけでございまして、それに触れましては人質の問題と武器取引とは関係はないという両方の立場が述べられております。
  7. 河上民雄

    河上委員 倉成外務大臣、お帰り早々でございますけれども、こういうレーガン大統領説明というものを一体真実として受け取っておられるのかどうか。また、それを支持するお立場をとっておられるのかどうか。  もうごらんのとおり、レーガン大統領演説の後、アメリカABC放送が行った世論調査では、対象になりましたアメリカ人の七二%は、これはレーガンの単なる言いわけにすぎない、こんなものは信じられないということを答えておるのでございますが、倉成外務大臣はどうお考えでございますか。
  8. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま河上委員お話でございますけれども、御案内のとおり、この問題に関しましては、今、鋭意米国議会におきまして真相の究明が図られているところでございまして、我が方といたしましてこれに対してコメントする立場にはございません。したがって、この点は御容赦いただきたいと思います。
  9. 河上民雄

    河上委員 それでは倉成外務大臣にお尋ねしたいのでありますが、テロに対する対応の仕方というのは、各国政府、非常に苦慮しておる。私ももちろんテロに対しては、絶対あってはならない、許してはならないという立場に立っているわけでございますけれども、日本政府におきましても、かつては日本国民の人命を救うために超法規的な行為を行って人質解放をいたしたことは御承知のとおりでございます。いろいろ方法はあろうと思うのでありますが、一般論といたしまして、武器を売り渡し人質解放するということが国際的に容認できるとお考えでしょうか、どうでしょうか。
  10. 倉成正

    倉成国務大臣 御承知のとおり、日本武器輸出をいたしておりませんし、いろいろな、日本人が人質になるような事件がございまして、苦慮いたしてそれなり対応をしたこともございますけれども、武器輸出をいたさない立場日本国として言及する立場にはございません。
  11. 河上民雄

    河上委員 大臣は、この問題についてきょうはもう一切コメントを避けるという決意で来ておられるようですけれども、それではもう少し、極めて具体的なことを伺います。  先ほど私が、御披露するまでもないのですが読み上げましたことしの五月の東京サミットにおけるテロに関する共同声明第四項目目に、「テロリズム主唱若しくは支援する国に対する武器輸出拒否。」これにはイランは入るとお考えですか。
  12. 三宅和助

    三宅政府委員 先生指摘国際テロリズムに関する声明でございますが、「テロリズム主唱若しくは支援する国に対する武器輸出拒否。」この項目でございますが、その前段につきましては「いかなる国家、特にリビア」というものが先回東京ではメンションされておりまして、それ以外の国については特定の明記はございません。  これにつきましては、各国がそれぞれ自主的に判断するということになっておりまして、日本側といたしましては、今イランが直ちにこれに該当するというぐあいには私たち考えておりません。
  13. 河上民雄

    河上委員 アメリカを含めて七カ国が宣言に調印をいたしているわけです、サインをしているわけですね。ところが、日程を翻って繰ってみますと、アメリカは既にこの時点イラン武器を売却いたしております。そして、その見返りかどうかわからないといいますが、現に見返りとして既にレバノンアメリカ人一人は釈放されております。これはごく普通に新聞に出ていることでございますけれども、昨年、一九八五年の九月十四日に米人の人質がお一人釈放されております。そして、八六年の一月十七日には、レーガン大統領イランへの武器供与を承認する秘密命令署名をいたしております。そして五月五日、東京サミットでこういう宣言レーガン大統領みずから署名をしておるわけです。ことしの五月五日、東京サミットのときに中曽根総理並びに日本政府はこのような経緯、経過、事実を知っておられたのかどうか、それを伺いたい。
  14. 三宅和助

    三宅政府委員 お答えします。  アメリカイランとの武器取引につきましては、実は発表されるまで全く私たち承知してないわけでございまして、したがいまして東京サミットのときには全く本件事実は承知してなかったというわけでございます。
  15. 河上民雄

    河上委員 それでは、七カ国がサインいたしておりますが、日本以外の、つまり日本アメリカ以外の国も同様全く知らされていなかった、いわばだまされていたというふうに日本政府はお考えでいらっしゃいますか。
  16. 三宅和助

    三宅政府委員 日本は通報を受けておりませんでしたが、推測しますのにそれ以外のサミット諸国本件武器取引については同時に通報されていなかったのであろうと思われます。
  17. 河上民雄

    河上委員 倉成外務大臣中曽根総理と大変お親しいというふうに伺っているわけですけれども、いわゆるロン・ヤス関係というのが非常に強調されるのですが、サッチャーには知らせなくとも中曽根さんには知らしたということはお考えにならないですか。
  18. 倉成正

    倉成国務大臣 国際情勢その他について意見交換は十分あると思いますが、そういう問題について中曽根総理が相談を受けたことはないと信じております。
  19. 河上民雄

    河上委員 今三宅局長は、アメリカイラン武器取引につきまして知らされていなかったというお話でございますが、事実を知ったのはいつでございますか。
  20. 三宅和助

    三宅政府委員 まずイラン側が、ラフサンジャニ議長が四日、現地で発表しまして、それに対応してアメリカが発表して、その時点でニュースを通じて知ったということでございます。
  21. 河上民雄

    河上委員 しかし、一方では新聞に大きく出ておりますように、秦野章氏あるいはライターの落合氏などの証言によりますれば、昨年の七月末でございますか、イランラフサンジャニ国会議長我が国に来られましたときに首相は会っておられるわけですけれども、その前後、アメリカ大統領中曽根総理に直接、日本を通じてこの問題の仲介役をしてほしい、こういう要請をしたというふうに伝えられておるわけでございますが、この点については、大臣、いかがでございますか。
  22. 三宅和助

    三宅政府委員 ちょっと事実関係だけ申し上げたいと思います。  実は電話が中曽根総理に直接かかってきて英語でしゃべられた、それが七月の末か八月の初めだということを聞いておりまして、その際に中曽根総理に対してレーガン大統領の方は、日米貿易摩擦対策などにつき話し合い、その際、総理大統領に対して最近の調子はどうかと尋ねた際、先方より頭の痛いのはレバノンにおける人質問題であるとの発言があったというぐあいに、実際に受けられた総理がそういうぐあいにきのう国会の場で述べられておりまして、その前のいろいろなことが書かれておりますが、これは中曽根総理は、カーテンの向こう側のことであって全く関知しておられないという答弁をなされております。ちなみに、委員が御指摘の、お二人とも実は武器取引等関係では全く日本関係ないということを言っておられます。  とりあえず事実関係だけ、大臣が御答弁になる前に申し上げたいと思います。
  23. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、武器売却ということは承知していなかったが、何らかの意味レーガン大統領からの要請にこたえて、頭の痛い問題にこたえて、イランに対し日本仲介者としての役割を果たすというふうにその時点でお考えになったわけですか。
  24. 三宅和助

    三宅政府委員 二つの点だけ明確にいたしたいと思います。  実はラフサンジャニ議長が来られましたのは七月の上旬でございまして、その時点のはるか前、すなわち半年も、相当前から日本日本独自のイニシアチブ人質解放のための努力日本なりにしてまいったわけでございます。これはいろいろな外交チャネルを通じまして安倍外務大臣、私あるいは大使のレベルでやってまいったわけでございます。これは決してアメリカからの要請に基づいたわけでございませんので、日本イランとの間に非常に深い、最も有効なパイプを持っているということから、やはり西側諸国人質が捕まっているということに対して人道的見地から日本はできるだけの努力をしようということで努力してまいったということで、米側要請があったとかないとかいうことでは全くありません。実際問題として、米国から正式の要請はございませんでした。
  25. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、日本政府は独自の立場でやったというふうに考えてよろしいわけですか。
  26. 三宅和助

    三宅政府委員 さようでございます。
  27. 河上民雄

    河上委員 同じころTWA、つまりトランスワールド航空ハイジャック事件がございまして、当時、安倍外務大臣人道的見地からその釈放のために随分動いた、シリアイランに働きかけたということを当時既に公表しておられるのでございますが、そのときも何か独自の立場でということを強調しておられるのですが、余り独自の立場、独自の立場と強調することは、実はアメリカから頼まれたからではないかという推測を逆に引き起こすのですけれども、それはそれといたしまして、一応独自の立場でやられたというふうにいたしますと、今、釈放すべき人質に関しまして、人質が捕らえられておりますのは実はレバノンでありまして、イランの国内ではないわけですね。  じゃ、なぜイランに着目したのか。また、日本政府が動けばイランにそんなに大きな影響力を与え得ると日本政府はなぜお考えになったのか。また、仲介する以上は何らかの条件を出したのか。その点はいかがでございますか。
  28. 三宅和助

    三宅政府委員 まず第一点の、なぜイランに働きかけたかということでございますが、委員承知のとおり、レバノンにおきましては、シリア影響力の強いアマール、それからイラン影響力の強いヒズボラ(神の党)、いろいろとそれぞれ影響力を持ち得る立場シリアイランもございます。したがいまして、現在レバノンに直接働きかけると申しましても現在の政府はなかなか思うようにならないという観点から、それがどの程度有効かは別といたしまして、できるだけの努力をするという一環におきましてシリアイランに働きかけたということでございます。  それから、仲介努力ではございません。これは、日本は決してよその国から頼まれたということではございません。  第三点、これに対しまして、日本条件を出したということは全くございません。日本人道的見地からぜひ釈放してもらいたいということを粘り強く交渉したわけでございます。
  29. 河上民雄

    河上委員 確かに人道的立場から、特にTWAの場合は子供がいたり何かして無辜の民も含まれておるということで、人道的立場ということはよくわかるのでございます。もちろん、レバノンの場合、少数ですが五人、その中には一説によればCIAのスタッフもいるとかいうようなうわさもあるわけでございまして、若干違うかもしれませんけれども、仮に人道的立場要請したというふうにおっしゃるならば、私ども非常にそこに一つの疑問があるのですが、TWAのハイジャックされた人たち釈放したときには、今度は当時の新聞を改めて読み返してみますと、直ちに安倍外務大臣はこの経緯を発表しておるわけです。それでは、なぜイランゲートの場合は今日まで沈黙を守ってきたか、そのことを伺いたい。
  30. 三宅和助

    三宅政府委員 いわゆるイランゲート武器取引の問題につきましては、既に御説明いたしましたように、日本は全く関知しておりませんし、また事実も知らされていなかったというわけで、日本がこれについてどうこう言う立場になかったわけでございますが、TWA事件につきまして一言申し上げますと、その当時、日本といたしましては、イランシリアに対しまして人道的見地から日本なり努力をしてまいった。それで、ラフサンジャニ議長みずからがシリア訪問してそのために努力したということを聞いております。ですから、それなり日本なり立場から努力して、どの程度貢献したかは別といたしまして、多少なりとも貢献したと私たちは確信しておりまして、その旨の記事が出たということでございます。
  31. 河上民雄

    河上委員 しかし、TWAの場合も人道的立場から、しかも独自の立場で動いたということでございまして、今回のイラン人質釈放のために動いたことと動機としてはちっとも違わないでしょう。武器売却があったかどうかは知らなかったというのは、それはまあ仮にそうとしましても、人質解放という点からいえば、ちっとも変わりないはずです。それをなぜ今日まで沈黙を守ったかということを聞きたい。
  32. 三宅和助

    三宅政府委員 TWA事件につきましては、その後、人質解放された後の段階において、多少なりとも貢献したという情報が外に出たということでございます。その後の人質につきまして、現在なおたくさんの人がレバノンにおりまして、各国とも人質解放のための努力もしておりますし、また日本もその努力を継続してきた。その一端が今回いろいろな形で判明しましたけれども、できるだけ相手国立場、今後の人質解放という関係からいたしましても、すべてを公表するという立場にはないということは御理解いただきたいと思います。
  33. 河上民雄

    河上委員 それでは、首相の指示に基づいて中山大使が八五年の八月にイランを訪ねております。また、これは公式のものかどうか私よくわかりませんが、自民党の藤尾氏が同じく中曽根氏の指示でイランを訪ねておる。いずれの場合も親書を携えてというふうに報道されておりますが、これと今日のイランゲートの一連の動きとどういう関係があるのか、明らかにする必要があろうと思います。
  34. 三宅和助

    三宅政府委員 事実関係を申し上げますと、中山中東調査理事長、元フランス大使がたまたまこの地域を訪問するということで総理のところへあいさつに行きましたら、ぜひ親書を持っていってもらいたい。ちょうどラフサンジャニ議長日本訪問した直後でございますので、両国関係の今後の一層の発展とか、それからイラン・イラク戦争に対する考え方、さらには国際テロに対する考え方ということを親書で述べておりまして、なお人質解放についてのイラン側努力要請したということで、イランゲートと今のは全く関係ございませんが、そういう親書を託した。  藤尾政調会長は、ことしの一月、日本イラン議員連盟の会長として御訪問になるということで、やはり総理の方から親書を託した。その中に、二カ国関係あるいはイラン・イラク戦争に対する考え方が触れられております。したがいまして、全く一連の日本の独自の外交努力の一環でございまして、いわゆる言われているイランゲートとは全く関係ございません。
  35. 河上民雄

    河上委員 その場合、今お話がありましたように、テロリズム一般についても親書で書いてあるということでございますけれども、受け取る方は当然、あるいはまた会話の中では、イラン人質釈放について中曽根総理の、つまりレーガン大統領から電話があったときに頭の痛い問題があるというその趣旨が伝えられているのではないかというふうに、これはそう理解する方が当たり前でございます。何も親書の中にそういうことを具体的に書くわけはないのでありまして、当然ただ紙を渡して帰ってきたということではないと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  36. 三宅和助

    三宅政府委員 レーガン大統領中曽根総理との電話の中で頭の痛い問題と言っておられますが、日本側としては、米国なりあるいはフランスなりにおける最大の関心本件に持っておるということは当然承知しておりまして、そういうものを踏まえまして、そういうものを念頭に置きまして、日本側が独自の人道的見地から要請したということでございまして、親書の中にはそれほど明確になりませんが、その後、会談を聞きますと、その旨強く口頭で申し上げたというぐあいに聞いております。
  37. 河上民雄

    河上委員 そうしますと、親書を携えていくとともに、その問題は十分話した、こういうことでございますね。その場合、親書のあて名はどなたでございましたか。
  38. 三宅和助

    三宅政府委員 双方ともラフサンジャニ議長あてでございます。
  39. 河上民雄

    河上委員 そこで、今までは経過でございますけれども、外務大臣に、一つの立場といいますか、方針として伺いたいのでありますが、人道上、人質解放するという場合に、武器売却条件の場合はこれを受け入れるというのが日本政府立場か。もちろん、日本政府武器を売却するわけじゃありません。今回は知らなかったということで皆さん通しておられるわけですけれども、既にこういう前例があるわけですから、日本政府立場を明らかにしていただきたいのでありますが、武器売却条件の場合、そうしたあっせんを日本政府は引き受けるのか引き受けないのか、今後の方針として伺いたいと思います。
  40. 倉成正

    倉成国務大臣 先ほどからるる申し上げておりますように、日本政府武器輸出をしないことになっております。したがって、そういう要請日本政府にあるはずもございません。また、そういうことを条件として云々というような仮定の御質問がございますけれども、まずあり得ないと思いますので、私はそういうことはまずあり得ない、さように考える次第でございます。
  41. 河上民雄

    河上委員 もう一度確認さしていただきますけれども、日本政府武器売却はしない。これは国是である。武器輸出はしない。しかし、別な国が武器売却をすることが条件人質解放せられるという場合、日本政府はそのあっせんを引き受けるかどうかということを伺っているのです。
  42. 倉成正

    倉成国務大臣 まず申し上げたいのは、仮定の問題にお答えするというのは極めて危険なことでございますから、お答えできないというのが私の答弁でございますけれども、一般的に申し上げれば、武器を売却することによって人質を云々というようなことは日本政府としてはとらない方針でございます。
  43. 河上民雄

    河上委員 それでは、大臣、きょうはもうコメントをしないという決意で臨まれているようなので、これ以上お聞きしてもなかなかでございますけれども、ただ少なくとも中曽根内閣としては、これを大変な成果として今回の選挙に臨んだ東京サミットで、非常に重要な部分でレーガン大統領に裏切られたという感触はお持ちでいらっしゃいませんか。  これだけ重大なことを日本政府に一切知らせない。そしてこういう共同宣言を他国に協調するように強く要請をしたわけです。そのことについて今どのようにお感じになっておるか。今後こういうことは国民の名において許さないという決意をお持ちになっておられるか。
  44. 倉成正

    倉成国務大臣 この問題につきましては、御案内のとおり、アメリカ国会におきまして重要な問題として本当に真相の解明のために真剣な努力を続けておられるところでございますから、この推移を真剣な立場で見守りたいと思っておる次第でございます。
  45. 河上民雄

    河上委員 やがて来年、年が明けますと、アメリカ上下両院の合同調査委員会なりその他で次第に真相が明らかになると思うのでありますが、食い違いが起きないことを私どもは望んでおるわけでございます。  それでは、もう時間がございませんが、許されましたあと二、三分で幾つかのことを伺いたいと思うのです。  きょうの議題と少し外れるのでありますけれども、先般、ジャクソン師が我が国訪問されました。招待をしたのは、我が党の同僚の上田卓三議員が責任者でお呼びをしたわけでございまするけれども、例の人種差別問題について、この際、ジャクソン師が中曽根総理と会見をしておるわけですが、これで人種差別発言につきまして氷解をしたというふうに見ておるのかどうか。  日本新聞とは違いまして、向こうの新聞では、ジャクソン師は中曽根総理に対してかなり鋭く、ある意味ではあけすけに批判をしておられるのであります。日本新聞では官邸の記者発表だけをそのまま書いているような感じでございますが、向こうの新聞にはかなりあけすけに書いてございますが、その中でジャクソン師は日本政府に対し態度で示してほしいということを強く要請して帰っておられます。  そこで、人種差別撤廃条約批准につきまして来年どうされるか、伺いたいのです。
  46. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 総理とジャクソン師の会談の事実関係について御説明申し上げます。  ジャクソン師が総理にお会いになりましたときに、人種差別と申しますか、につきまして、例えば指紋押捺の問題とかいろいろな問題を提起いたしまして、いわゆる中曽根総理発言ということに関連いたしましては、不幸な発言があったということを簡単に触れただけでございました。さらに、日本の企業がアメリカにおきまして必ずしもマイノリティーに対して十分な配慮を払っていないという趣旨の発言をしております。これは、しかしながら注をさせていただきますと、ジャクソン師は一九八〇年からそういうことを言っておるわけでございます。それが総理とジャクソン師の間の人種差別と申しますか、ただいま御言及になりました問題に関連しての事実関係でございます。
  47. 河上民雄

    河上委員 ちょっと私の質問に答えていただいてないのですが。
  48. 村田光平

    ○村田説明員 人種差別撤廃条約につきましては、この条約の趣旨にかんがみまして、できる限り早期に締結すべく検討作業を行っている次第でございます。しかしながら、この条約に規定されております処罰義務に関しまして、表現の自由等基本的人権との関係をいかに処理するかなど、いまだ解決しなければならない問題が残っておりまして、現在、政府としましてはこの点を含めまして検討作業を鋭意進めているところでございまして、したがいまして、次の国会に提出するかどうかにつきましては、いまだお答えできない状況でございます。
  49. 河上民雄

    河上委員 それでは、もう時間が来てしまいましたが、最後に一言だけノーかイエスだけ伺いたいのです。  思いやり予算に関連しまして地位協定の改定を図ると聞いておるのですが、これは予算を伴う以上国会にかけるのが本筋だと思いますけれども、国会にかけられる御予定かだけ伺っておきます。それで質問を終わりたいと思います。
  50. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 いわゆる思いやり予算と申しますかに関連いたしまして、駐留米軍の労務費の負担問題でございますけれども、この問題について鋭意政府部内で検討しておるということでございます。その対応にはいろいろな可能性があるわけでございますけれども、協定を結ぶということも一つの対応であるかもしれませんが、現在検討中でございますので、どういう形があるか、あるいは今後どういうふうに取り進めるかということについて、残念ながら現段階で申し述べることは困難かと存じます。
  51. 河上民雄

    河上委員 じゃあ、時間が参りましたので、これで終わります。
  52. 山口敏夫

    山口委員長 次に、永末英一君。
  53. 永末英一

    ○永末委員 アメリカレーガン政権が人質解放のために武器イランに売った件について我が国関係しておるというような、そのことが最近わかるまでは我々も全く知らなかったわけでございます。  外務大臣は、国際的なああいう人質をとる、ハイジャックなどをやる、あるいは暴力によってそういうことをやっている国に援助をするということがいいことであると思いますか、よくないことであると思いますか。
  54. 倉成正

    倉成国務大臣 よくないことだと思います。
  55. 永末英一

    ○永末委員 レーガン政権が武器を売ったことに直接日本関係あるとは私も思いたくございませんが、この間いろいろな報道で明らかにされた事実によりますと、次のような事実を外務省は御承知であるかどうか。  昨年七月二十六日に秦野章氏が中曽根総理に会いまして、そして人質解放について自分が動いておる状況を説明し、なお自分がこれからやろうとすることを説明をし、中曽根総理に何を言ったか明らかではございませんが、中曽根総理はそれら一連のことについて同意を与えた。二十七日に秦野氏は中曽根総理との会談の内容をアメリカ側に伝えた。二十八日、レーガン大統領中曽根総理に電話してきた。こういうふうにつっつっつっつっと三日間にわたってきているわけですね。したがって、我々はこれら三つのことはそれぞれ因果関係のあることであると思いますが、大臣はどう思いますか。
  56. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの事実関係は、総理自身が委員会等でお答えしたと思います。  昨年夏のレーガン大統領から中曽根総理への電話連絡について種々報じられているところでございますが、昨年七月末か八月初めごろか、レーガン大統領から中曽根総理に電話があって、それについては日米貿易摩擦等の問題について話し合いがあった。その際、総理大統領に対して調子はどうかと問うた際に、先方から、頭が痛い。頭が痛いのはレバノンにおける人質問題であるとの発言があった。そう承知をしているわけでございます。  我が国は、こうしたレーガン大統領発言にも示されているように、アメリカ人質解放を真摯に望んでおるということは常々承知しておることでございまして、こうしたことを踏まえ、従来からレバノンでの人質問題やTWA人質事件についても人道的見地から独自のイニシアチブ我が国なりの努力を払ってきたところでございます。
  57. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣アメリカ大統領日本総理大臣にそういう直接の電話をするときの直前の外交的回路はどうなっておるのですか。
  58. 三宅和助

    三宅政府委員 一般論というよりも本件に絞りまして、総理からきのうの委員会その他の機会に私がお聞きしたことでございますが、委員指摘のとおり、秦野議員が総理にお会いに来られた。総理はそのときのことを、米国人質問題で困っている、各国も助け合っている、日本イランとの関係にかんがみ一肌脱いだらどうか、首脳外交の時代でもあり、親書でも出したらどうかということを秦野議員が総理に言われた。それに対しまして、総理の方からは、条件が整えば結構だと答えた。で、その後、秦野議員がどういうようなアメリカとのコンタクトをとったかは、総理の表現によりますと、カーテンの向こう側のことで、自分は関知していない。七月の末か八月にかけて軽井沢に電話がかかってきた。そこで今大臣が御説明したような会話があったというような関係でございます。
  59. 永末英一

    ○永末委員 我が国総理大臣中曽根康弘氏は、要するに避暑に行っておったんでしょう。軽井沢のホテルという報道である。アメリカ大統領は、毎日毎日、日本国総理大臣中曽根康弘氏がどこへ行って何をしておるか知っておるわけがありませんわな。したがって、そこへ電話をしてくるというのは、電話をするあらかじめの連絡があって知っておるからそこへ電話してきたと思う。あっちに用事があった、あっち側に。  その用事は何か。外務大臣お話をさっきから聞いておりますと、日米経済摩擦がふにゃふにゃという話があって、中曽根総理の方から調子はどうだと言ったら、頭が痛いのは人質だと言った。そうじゃないでしょう。人質よろしく頼むと言って電話をかけてきたんでしょう。
  60. 倉成正

    倉成国務大臣 私どもでもいろんな外国の人と話をいたしますが、そのとき自宅にいないときには行き先を探して電話するということもよくあり得ることでございますから、それは別に場所をどこにいたからどうこうということではないと思います。両国の首脳が時々電話をし合って話し合うということは、私は至極当然のことだと思います。
  61. 永末英一

    ○永末委員 電話にもいろいろありましてね、ソシアルインターコース、社交的な電話もございますが、しかし、日本アメリカの政治的責任者がわざわざ太平洋を渡って電話をかけてくるというのは、忙しい時間を割いて電話をかけるというのは用事があるからだ。  一体レーガン大統領にその時間に電話をかけなきゃならない重大な事件があったのかどうか、そう思うと、まさに今の一連の因果関係からいえば、人質の問題について日本国総理大臣が、条件が整えばひとつ一肌脱ごう、こう言ったという情報を聞いて、よろしく頼むと言った、こう解釈するのが当然じゃありませんか。あなたもいろいろ忙しいですが、会う人がおらなければ探して電話をかけるよ、そんな問題じゃないと思います。どうですか。
  62. 倉成正

    倉成国務大臣 私自身語学が得意でありませんから、各国外務大臣と電話で話すことも少ないわけでございますけれども、本来ならもうしょっちゅう電話でいろいろなことを話し合ってしかるべきだと思うわけでございますから、電話をかけたこと自体がそんなおかしいことじゃないと私は思います。また、これからテレビ電話等がはやると申しますか普及してまいれば、画面に出て話もできるわけでございますから、これはせっかくのお話でございますけれども、もっともつと対話を深めるべきであると私は思っております。
  63. 永末英一

    ○永末委員 私は電話をかけたことが異常なことだと言うてるんじゃないのですよ。用事があるから電話をかけてきたんでしょうと聞いておる。昨年、一九八五年にレーガン大統領は何遍中曽根総理大臣に電話をかけましたか。
  64. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 申しわけございませんけれども、レーガン大統領中曽根総理へ電話等で大変に頻繁に通信、交信をなさっておりまして、昨年の八月ごろでございますか、どういう用件であったかということを私ただいま記憶しておりません。
  65. 永末英一

    ○永末委員 日本国総理大臣アメリカ大統領とが電話で話をするというのは外交案件に決まっていますわな。「君、今晩のおかず何ですか」というようなばかなことは聞かぬはずですよ。  そうすれば、中曽根総理大臣レーガン大統領の話の内容を外務大臣は知っておらなければいけませんね。あなたの知らぬことを総理大臣アメリカ大統領が話をして、あなたが知らぬということになれば、日本外交は一元化していないということになる。あなた、それを知らされたのでしょう。
  66. 倉成正

    倉成国務大臣 重要な問題についてのいろいろな発言については絶えず総理から伺っております。しかし、具体的な、今お話しのようなことについては存じておりません。
  67. 永末英一

    ○永末委員 北米局長、頻繁にかけているなんて、数までわかりませんわ。いやしくも日本国の内閣総理大臣アメリカ大統領が電話している回数は、いつ、何時で、どういう案件であったかということを外務省は承知していなければならぬと私は思います。承知していないというならば、それは日本外交の大問題である。調査をしてこの委員会で報告してください。これが一つ。  外務大臣、その話があって、八月に中山元駐仏大使が行かれた。先ほどの話を聞いておりますと、たまたま行かれたので、おれの親書を持っていかぬかと中曽根総理が言った、こういう話でございますが、どうもそうは思えないですね。  中山大使の旅費はだれが出したのですか。
  68. 三宅和助

    三宅政府委員 外務省が支出いたしました。  一言御説明いたしますと、実は中山大使はちょうどシリア日本週間の準備もあり、副団長ということで九月に行くということを予定しておりまして、それから中東調査理事長ということでイランにもぜひ行きたいというような御希望がありまして、それで総理のところにお伺いして、私もそのときいたわけでございますが、ひとつ親書を持っていってくれないかということでお願いしたということでございます。
  69. 永末英一

    ○永末委員 中山さんについてはシークレット、秘密特使という表現が使われているんですね。しかし、外務省が旅費を出して行っておるのだから、外務省は中山大使の任務というものは十分承知しておるに違いない。たまたまあいさつに行ったら、中曽根総理が親書を持っていかぬか、こう言った。私は逆だろうと思うのです。親書を持っていってくれ、だれがいいだろうか、レーガン大統領が頼みに来た、親書が一番いいだろう、親書を出そう、たまたまその前にラフサンジャニ議長が来ておるから、あの人がよかろう、外務省はいろいろ検討したに違いないですな。そして総理に連絡をし、中山さんがよかろうというわけで、中山さんをして訪問をせしめた。だからこそ外務省が旅費を出しておるのじゃありませんか、外務省の仕事ですよ。そうじゃありませんか、外務大臣
  70. 三宅和助

    三宅政府委員 いろいろな機会を通じましていろいろなレベル、あるときは適当であれば民間人に助けてもらうということがございます。中山大使は駐仏大使で語学に堪能、それから中東調査理事長ということで、先ほど申しましたようにシリアに公的な用務で行ってもらう、それでイランにも行ってみたいということでございまして、そのときに総理から親書を託す、外務省から旅費を出しました以上、当然ながら事前にも事後も十分連絡した上で中山大使が現地を訪問したわけでございます。
  71. 永末英一

    ○永末委員 首相の親書なるものは、中山大使が持参される前に外務大臣はその内容を承知しておられましたか。
  72. 三宅和助

    三宅政府委員 私が記憶しておる限りにおきましては、総理から中山大使に親書を託したいということで当時の安倍外務大臣に相談がありまして、安倍外務大臣が私たちに相談しまして、非常に結構ということで、親書の中身を十分当時の安倍外務大臣、私たち協議にあずかったわけでございます。——まず、親書を託したらどうかということを総理が言われまして、それから安倍外務大臣と御相談になりまして、安倍外務大臣が私たち幹部とも相談いたしまして、親書を託するのが適当であろう、それでは中身はということで、中身につきましても十分協議にあずかったわけでございます。
  73. 永末英一

    ○永末委員 大体事態が明らかになりましたですね。これは外務省の仕事なんです。中曽根総理はよそのところで、変なことはやらぬ、自分のやるのは日本国の外交なんだから、このことを言っておられますから、今三宅さんが言われたように、外務省と相談して送っておるというのは当たり前のことだ。全然わけのわからぬ人に頼んでやったのではおかしい。しかし、そこまでやっておるのにどうして秘密特使というような形容詞がつくのか私もわかりませんがね。  そこまで協議をするというのは、やはり中曽根総理レーガン大統領に頼まれて、よしそれならば一肌脱ごうということで努力をして、日本外交がいいものかどうか。外交力の見せどころだと思ったかどうか知りませんが、だから外務省も一緒になってこれだけの作業をやってきた、こう解釈するとすらすらとよくわかるのですが、たまたま手紙を渡したとか、レーガン大統領は頼みもしなかった、頭が痛いのは人質だなんて、そんなことじゃないんでしょう。  先ほど私が申しましたように、中曽根総理と秦野さんの話はどうか知りませんが、そこで起きた事件、それにこたえてレーガン大統領中曽根総理に頼んでくる、中曽根総理がよしやりましょうということで外務省と相談し、適当な人を人選し、中山さんに白羽の矢を立て、そして親書を持っていって渡した。これが一連のコースじゃありませんか、いかがですか。
  74. 三宅和助

    三宅政府委員 もう一度繰り返すことになりますけれども、一連のこの外交、これはもう昨年の一月ぐらいからいろいろなレベルでやっておりまして、中山大使に一役買ってもらおうということで親書を総理が託されたわけでございますが、前段の電話につきましては、確かに頭が痛い、総理の記憶では、アメリカ側は何か今までの日本側努力に対してお礼も言われたような気がする、これは実はきょうあたりの新聞に、その電話の中でアメリカ側はお礼を言ったような気がする、そういうぐあいに答えております。いずれにしましても、直接の要請はなかったと総理は言っておりますし、今までもそういう具体的な形でアメリカから要請はなかったと私たち承知しておりますので、あくまでもアメリカ側の強いそういう関心を踏まえまして日本が自発的にやったというふうに理解しております。
  75. 永末英一

    ○永末委員 もう一つ聞きたいのですけれども、レーガン大統領中曽根総理が英語で直接の電話をした、その記録はあるのですか。
  76. 三宅和助

    三宅政府委員 記録はないと思いますが、ただその直後、今言った同じようなこと、頭の痛い問題、それからたしかお礼も言われたということを私は総理からじかに聞いております。
  77. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣我が国総理大臣とよその国の最高責任者が電話をする場合に、その記録を外務省はとらないのですか。
  78. 小和田恒

    ○小和田政府委員 突然のお尋ねでございますので、全く一般論として申し上げますが、一般的にとるかとらないかということでお答えするのはなかなか難しいと思います。通常は、重要な用件でありましてそういうことが想定されている場合には、通訳が中に入りましてきちっと記録をとるというのが多いケースであろうと思います。  ただ、状況によりまして、そういうことが間に合わない場合であるとか、あるいはその他そのときの状況で厳格な意味での記録をとることが不可能な場合もございます。そういう場合には、先ほど中近東アフリカ局長がお答えしましたように、直接総理からその話を伺って記録しておくというような形になるであろうと思います。
  79. 永末英一

    ○永末委員 私が伺っておるのは、要するに我が国の最高責任者である総理大臣が外国の最高責任者と直接の電話をする、それが記録にないといえばとんでもないことが起こるかもしれませんね。我が国の運命を決することがそれで決まるかもしれない。当然私は記録にとっておくべきである。  それから、先ほどからちっともわからぬのは、なぜ一体レーガン大統領が避暑先の軽井沢まで電話をかけてきたか。この答弁が一つもありませんよ。外務大臣、私だっていろいろ探して電話かけることがある、そんな案件じゃありませんよ。分刻みの日程をやっているアメリカ国の大統領日本国総理大臣、これも非常に忙しい、それを探して電話をかけてくる。用事があったからだ。あなたは、あの電話は用事のない電話だと思われますか、用事がある電話だと思われますか、そのことをお答え願いたい。
  80. 倉成正

    倉成国務大臣 やはり何か用事がなければ電話はかけないと思いますが、レーガン大統領はサンタバーバラによく行かれるわけでございますが、やはり私がレーガンさんを探すとすれば、ホワイトハウスにおられなければサンタバーバラに電話するでしょう。ですから、私は、そう目くじら立てて、どこで電話を受けたかということが問題ではないんじゃないかと思います。  そしてまた、先ほどからお話しのように、本当に国の運命を決するような重要な問題については、当然記録をとり、そして言葉がわかっても通訳を通していろいろ話をするというのが筋道であろうかと思います。
  81. 永末英一

    ○永末委員 電話を受けた場所がどうだこうだ言っているのじゃないのですよ。あなた方の方は、何となく電話がかかってきたような印象を与えようとしておる。そうじゃないのであって、はっきりとした目的があるからアメリカ大統領は電話をかけてきたのだろう、そう申しておるにもかかわらず、あなた方はそれをうんと言われない。だから、そんなばかなことはない、国際情勢いかんによって両国の責任者が電話を直接するというのは用事があるからやってきておる。その用事が今の人質問題だろうと聞いておりますと、そうじゃない、そうじゃないと言って逃げ回っておられますが、そんなことぐらいはっきりお認めになったって何ということはないじゃないですか。  もう時間が来ておりますが、それをもう一遍国民の前にひとつお答え願いたい。
  82. 倉成正

    倉成国務大臣 私の知る限り、中曽根総理は少なくとも年に二、三回は必ず電話をするということを聞いておりますけれども、もっと電話されたかどうかということはよく承知しておりません。
  83. 永末英一

    ○永末委員 答弁、不十分でございますが、時間が参りましたので、やめます。
  84. 山口敏夫

    山口委員長 次に、神崎武法君。
  85. 神崎武法

    ○神崎委員 米国イランへの武器売却我が国の関与の問題につきましてお尋ねをいたします。  このイランへの武器売却問題につきましては、米国内で大変大きな問題になっておりますし、関係諸国でも大変注目を集めているわけであります。  現在、米国の司法省及び上院、下院、両院の情報特別委員会で捜査を開始しているわけでございますけれども、その罪名も、テロリスト国家への輸出違反という輸出管理法違反、それから、千四百万ドル以上の兵器移転に際しての対議会通告義務違反という兵器輸出管理法違反、あるいはテロリスト組織支援国家への兵器輸出という包括的反テロリズム法違反、秘密工作の対議会通告義務違反という一九四七年国家安全保障法違反等さまざまな法律違反があったということで、重大な犯罪という観点からも捜査が行われているところでございます。  ところで、このレーガン政権のイランに対する秒密工作と時を同じくして、中曽根総理がベイルートの米人人質解放を目指してイランに対して外交工作をしていたことも明らかにされたわけであります。その関連がどのようなものなのか、国際的にもこの点についても疑念が持たれているわけでございます。  現段階では事件の全体像がはっきりしない点が多いわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、イランへの武器売却の時期と密接に関連した時期に総理の関与がなされている点、また今回の件で日本の中東外交に対し中東諸国に多くの疑念を生じさせた可能性があるという点、また、後ほどまた議論いたしますけれども、外務省による外交と官邸の外交の二元外交という重大な問題をはらんでいるという点からいたしまして、私は今回の事件におきます日本側の関与について、政府は真相を徹底的に解明し、問題がなかったかどうか十分吟味する必要があろうし、また国民及び中東諸国に納得のいく説明を行うべきであると考えるわけでございますが、この点いかがでございましょうか。  また、これまでに真相解明のために政府としてどのような努力をされてきたのか、あわせてお尋ねをいたします。
  86. 倉成正

    倉成国務大臣 先ほどからしばしば政府委員からも、また私からもお答え申し上げましたとおり、この問題につきましては、人質解放問題については日本が独自のイニシアチブで行ったものであって、決して仲介を頼まれたものではないということは明らかでございます。  なお、アメリカ大統領イランに対する武器の供与の問題については、法律に詳しい先生がよく御承知のように、米国議会の中でかなり綿密な調査を行うべくいろいろな手段で今この真相究明に当たっておるところでございますから、この行方を注意深く見守っておるのでございます。
  87. 三宅和助

    三宅政府委員 先生の御指摘の中で、中東に疑念を生じた、それに対してどうしているかというお答えの分でございますが、日本は今回人質解放という人道的な立場アメリカ武器とは全く関係ないということを、もちろんこれにつきましては中東各国も誤解はないと思いますけれども、念のために中東各国に対しまして十分説明しておりますし、私自身も大使を招致しまして念のために説明しまして、完全に理解を得ているというわけでございます。
  88. 神崎武法

    ○神崎委員 政府といたしましては、今後ともこの真相解明のために全力を挙げて努力をされるというお考えでしょうか。
  89. 倉成正

    倉成国務大臣 この問題は米議会の中で今真相解明のために全力を尽くしてやっておられるところでございますから、この動向を注意深く見守ってまいりたいと思っております。
  90. 神崎武法

    ○神崎委員 私がお尋ねをしたのは、我が国政府の関与あるいは我が国関係者の関与について真相解明のために引き続き全力をお挙げになるかどうかという点であります。
  91. 三宅和助

    三宅政府委員 日本人質解放のための自主的な外交努力アメリカ武器取引とは全く無関係ということでございまして、これが真相でございます。  したがいまして、これをここで全く関係がないということを申し上げているわけでございまして、それ以上の努力と申されましても、関与してないわけでございます。したがいまして、外務省、本当のことをここで申し上げているわけでございますので、それ以上の打つ手はないのではなかろうかと私は思います。
  92. 神崎武法

    ○神崎委員 レーガン大統領から中曽根総理に直接電話が入ったという点でございますけれども、この事実を外務当局はその当時承知していたのかどうか。知ったとすれば、一体いついかなる方法で承知されたのか。
  93. 三宅和助

    三宅政府委員 中曽根総理が軽井沢で電話を受けられまして、その後帰ってまいりまして、私に、アメリカから、レーガン大統領からあった、非常に頭の痛い問題であって、たしかそのときのあれでは今までの日本側努力に対していろいろとお礼も述べられていたというようなことを私は聞きまして、その旨の連絡は受けております。
  94. 神崎武法

    ○神崎委員 落合信彦氏の著書のこの「挑戦者たち」によりますと、このレーガン大統領中曽根総理に対する電話が実現するまでにはいろいろな下準備があったということが明らかにされているわけであります。ケーシーCIA長官あるいはCIA東京局長中曽根サイドの人、これがワシントン・ポスト紙等によると秦野章氏だ、そういう者が十分に打ち合わせた上でこの電話が実現したんだ、そういう経過が明らかにされているわけでありますけれども、そういう動きがあったということ、これは真実かどうかわかりませんけれども、そういうことを含めて外務当局は当時承知をされていたのか、あるいはもう全くかやの外に置かれていたのか、その点はいかがでしょうか。
  95. 三宅和助

    三宅政府委員 本に書かれているようないわゆる裏工作につきましては、実は本を見まして初めて私は承知したということでございます。  中曽根総理もきのう国会の場で、自分も興味深く読んだ、しかしながら、確かに電話がかかってきた事実、それから秦野章先生がお見えになった事実はありました、しかしそれの背後にどういうようなことがあったかということは、いわばカーテンの向こう側のことであって、自分は全く関知していないという答弁をされております。
  96. 神崎武法

    ○神崎委員 そうしますと、外務当局としてはその当時は全く知らなかったということになるわけですね。それから、その後、外務当局としてその事実関係調査されたかどうか、この点はどうでしょうか、この今の私が指摘した点について。
  97. 三宅和助

    三宅政府委員 現実問題といたしまして、確かに中曽根総理あてに電話がありました。それからその後の一連の過程から見まして、中山大使イラン訪問したわけでございますが、十分に私たち意見を調整しまして出ているわけでございまして、あそこに書かれているようなシナリオが事実かどうか、私は全く関知しないわけでございますが、少なくともこれが全く実現されてないわけでございますので、事前にそういう話があったかどうかということにつきましては私たちも全く関知してないわけでございます。
  98. 神崎武法

    ○神崎委員 私はなぜこういうことをお尋ねをしているのかと申しますと、これはもう外務省の専権に属すべき重大な外交上のことが、外交工作が外務省の知らないところで進められていた、そういう可能性が極めて強いわけですね。ですから、果たしてこれが事実かどうか、これは外務省は本当に真剣になって真相を明らかにして、そこに問題があるのであれば国民の前に明らかにする責任があると私は思うのです。その意味でお尋ねをしているわけです。もう一度。
  99. 三宅和助

    三宅政府委員 先生指摘の二元外交という点でございますが、人質解放の問題、すべての外交工作は外務省を中心といたしまして十分相談された上、既にもう去年の初めぐらいから一連の過程において行われてまいったわけでございます。いろいろな各個人の方がいろいろな思惑がありましていろいろなことを言われ、いろいろなことをやっていると思いますが、少なくともすべての外交工作はすべて外務省を通じましてやられておるという意味におきまして、各個人、いろいろな思惑その他あると思いますが、それについて一々外務省がどうこうするという立場にはないんじゃないかと考えております。
  100. 神崎武法

    ○神崎委員 今回の件では、そうしますと、外務省は総理から指示を受けてどういう動きをしたのかという点でありますけれども、一つは落合、秦野氏の献策行為について知っていたのかどうか。それから先ほど聞きました大統領要請についてどの程度承知していたのか。それからCIAの関与についてどの程度承知していたのか。それから田中清玄氏あるいは中山氏、藤尾氏等の特使の人選の経過ですね、人選についてどの程度承知していたのか、こういう点を含めてお答えをいただきたい。
  101. 三宅和助

    三宅政府委員 「挑戦者たち」という中に書かれておりますいわゆる裏工作と称しますか、私は裏工作であったかどうかということも、そうじゃないんじゃないかと思いますが、いろいろな各個人がいろいろな個人的な考えでお考えになり、いろいろなことをされるかもしれませんが、少なくともイランとの外交関係につきましては一切それが実現されておりませんで、外務省を通じて十分協議した上で行われているということが第一点でございます。  それから、総理がいわゆる親書を託した件でございますが、これは藤尾政調会長が日本イラン議員連盟の会長としてみずからのイニシアチブで行かれる。それに対して総理から親書を託す。中山中東調査理事長が現地を回られるあるいはシリアに行かれるという公的業務に対しまして中曽根総理がこれに親書を託すということで、一連の外交工作の中で十分相談した上で、しかも現地におきましては野村大使も立ち会い、事前に十分相談して事外交に関する限りは行われているというわけでございまして、人選をどうこうしたという問題ではございません。  それから総理自身のお考えも、当然ながら当時の安倍外務大臣と十分相談され、また事務当局も十分相談にあずかって進めてきたというわけでございます。
  102. 神崎武法

    ○神崎委員 私は、今回の件でアメリカで問題になっているのも、やはりこの二元外交の問題が一つの大きな焦点になっているだろうと思うのですね。国家安全保障会議のスタッフによる対イラン秘密工作、これはもう国務省との関係で、これが大統領直系ということで、そこが大きな動きをした、そこに大きな問題があると思うのです。  今回の日本の国内でのこの一連の動きもまたアメリカと全く似たような官邸主導のそういう外交工作というものがなされた可能性が非常に強いと私は思うのです。その意味において、アメリカと同じような危険性というものを日本の外交の面でも持っているんじゃないか。私は今回の事件でそれを危惧するからお尋ねをしているわけでございまして、今の外務省のお立場からすれば、二元外交はないんだ、常に綿密に打ち合わせをして進めているんだとおっしゃるけれども、私はアメリカにおいて起こったと同じ危惧を持っているわけであります。その点、外務大臣、いかがでしょうか。
  103. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの先生の御危惧の点はよく理解できますけれども、御承知のとおり、アメリカ日本とでは制度が全然違うわけでございまして、アメリカ大統領制をとっておりまして、補佐官というのがありまして、そこでいろいろ重要な政策が論議されるということも御承知のとおりでございます。一方、国務長官がまた全体を総覧する立場にもあるということでございますから、二元外交の可能性があるわけですけれども、日本の場合は御案内のとおりそういうことではございません。したがって、私はアメリカのようなことにはならないと思います。また、そうあってはならないと確信をしております。
  104. 神崎武法

    ○神崎委員 外務大臣、よくよくこれは心して、外交に関してはやはり外務省が本当に頑張っていただきたい。やはり責任があるのは外務当局ですから、官邸との関係、その点、心していただきたいと切に要望する次第でございます。  今回の、アメリカにおいて今捜査が進められているわけでございますけれども、落合さんの本などを読みますと、そこに今アメリカ議会等でもいろいろ証言を求められているケーシーCIA長官が登場するとか、CIA関係者も登場するわけでありまして、そういう対イランの秘密工作の絡みで日本要請をしたというのが、これはアメリカ側からの捜査ではそういうことになろうかと思いますけれども、そうなりますと、この落合さんを含めて日本人もこの件に関与しているようでありますけれども、アメリカ議会あるいは司法当局の捜査において日本関係者が証人あるいは参考人として将来召喚を受ける、そういうような可能性があるのかないのか、外務当局としてどのようにごらんになっておりますか。
  105. 三宅和助

    三宅政府委員 先ほどから御説明しておりますように、日本人質解放のためのいろいろな努力米国イランとの武器取引は全く無関係でございます。たまたま同時期に、と申しますのは当然のことでございまして、一昨年の末ぐらいから人質が出てきたということで、当然ながらアメリカとしても本件関心を持つ、日本としても各国との関係におきまして非常に頭の痛い、関心のある問題、しかもイランとの関係では最も有効なパイプを持っている日本人道的見地においてそれなり努力をする。もちろんそれだけではございませんで、イラン・イラク紛争あるいは二カ国間関係というような一環として本件努力してまいったわけでございますので、関与は全く関係ない問題でございますので、米議会関係者が呼ばれるというような事態はあり得ないと思います。
  106. 神崎武法

    ○神崎委員 今回のアメリカ武器売却問題、この事件の反省として、アメリカの与党・共和党のドール院内総務の提案というものが日本に伝わってきているわけであります。対イラン、ニカラグア秘密工作で同盟国首脳会議を開いてはどうかというものであります。その席で政策ミスをアメリカとして率直に認めるべきである、また、イランへの武器提供など秘密工作を今後しないことを確認して、今回の事件発覚で失った外交政策への信頼回復に努めるべきである、こういう提案を共和党のドール院内総務がしているのでありますけれども、我が国としても信頼回復のための同盟国首脳会議を開くべきであるという提案を積極的にすべきであろうかと私は思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  107. 倉成正

    倉成国務大臣 ドール院内総務の提案については、新聞報道では承知しておりますけれども、今せっかくアメリカ議会で相当真剣にこの問題について真相を明らかにするために努力している最中でございますから、この推移を見守るというのが現在とるべき最善の方策ではないかと思っておる次第でございます。
  108. 神崎武法

    ○神崎委員 今回のアメリカにおける事件の及ぼす影響がどういうものであるか、まだ十分わからない面が多いのでありますけれども、レーガン政権のレームダック化を決定づけた面があることは疑いのないところであろうと思うわけであります。その意味において、外務当局はどういうふうにごらんになっておるのか。  一つは、今後の米ソの核軍縮交渉へ悪い影響が生ずることが懸念されるわけでございますけれども、この点について今回の事件の影響をどのようにごらんになっていらっしゃるでしょうか。
  109. 倉成正

    倉成国務大臣 私、ブラッセルでシュルツ国務長官とお目にかかりまして、最近はよくテレビでお目にかかりますというお話をしましたら、余りテレビに出たくないけれども出ているんだというお話でございました。しかし、現在起こっている問題は別として、しっかり外交は続けていくんだという力強いシュルツ国務長官のお話がございました。したがって、こういう際こそ西側の諸国は団結して協力すべきであるということで双方意見が一致したところでございます。
  110. 神崎武法

    ○神崎委員 さきの中間選挙におきまして民主党が勝利する、そしてまたアメリカ国内において膨大な貿易赤字を背景に保護主義の声が台頭しておる、そういうこともいろいろなところから指摘を受けているわけでございます。  私もワシントンにいる友人に何人か電話をしていろいろ聞いてみますと、一番日本人が懸念をしておりますのは、今回の事件レーガン政権のレームダック化を決定づけた、この事件を契機に日米貿易摩擦問題に大変大きな悪影響が今後出てくるのではないか、そういう角度の懸念を大勢の者が強調しているわけでございますが、この点についてどのような影響が出てくるとお考えになっているのか。
  111. 倉成正

    倉成国務大臣 今起こっておりますイラン武器売却の問題は、御承知のとおり外交問題でございます。もちろん外交、政治と経済とは無関係ではございませんけれども、この問題と経済摩擦とを直ちに結びつけるというのはいかがなものであろう。やはり今、膨大な黒字をアメリカに対して持っておる。そして、アメリカから言わせると、日本の市場の開放がまだ不十分である。そういうことが貿易摩擦の最大の原因でございますから、この問題が貿易摩擦を激化させるというふうには考えておりません。やはり本質的には、基本的なそういう日米貿易上のインバランスあるいは相互の認識、そういうことが貿易問題の解決の基本であると心得ておる次第でございます。
  112. 神崎武法

    ○神崎委員 最後に、イラン情勢をどう見るかという点でお尋ねしたいわけであります。  今回の米国イランの秘密交渉が明らかになりましたのは、十一月三日に発売されましたレバノンの親イラン系のアッシラーというのが報じた、翌日イランラフサンジャニ議長も公式にこれを確認した、そして世界的なニュースになったということが経過としてあるわけでありますけれども、その背景として、十月二日にテヘランで発生いたしましたアルマフムード駐イランシリア臨時代理大使の誘拐事件——この人はレバノンにおける米人人質解放の実現に対してアメリカイランの調停をしていたのじゃないかというふうにも言われておりますが、その者が誘拐をされた。その後解放をされておりますけれども、この事件で、十月二十七日に、イランの最高指導者ホメイニ師の後継者になることが決まっているというモンタゼリ師の身内のハシェミ世界イスラム解放運動本部長がこの誘拐事件に関与したということで逮捕されている。このハシェミ氏は、米国イランとの秘密交渉に対して大変反対をしていた人物と伝えられているわけであります。  そこで、今回の事件が明るみに出た背景として、イランにおきます指導部内の権力闘争が発生しているのじゃないか、そういう点が一方では言われているわけであります。もう一つは、もともと今回の米国の秘密交渉自体がイランのわなである、イラン側は今そういう説明をしているようであります。そういう見方もあるようでありますけれども、外務当局としては、今回このイラン米国の秘密交渉が明らかになった背景を、イランの国内情勢も含めてどのようにごらんになっておるか。
  113. 三宅和助

    三宅政府委員 ただいま、一連の事件がまずイラン側から発表されたという背景いかんということでございますが、これにつきましては、既に先生指摘のいろいろな情報が入っておりますが、ただ、私たちとしましては、この公式の場でイラン国内のコメントをすることは果たして適当かどうかということで差し控えさせていただきたいと思いますが、いろいろな国内情勢、いろいろな諸外国との関係を考慮しながらラフサンジャニ議長が発表されたのだろうと思っております。  なお、その中で非常に重要な点は、総理の書簡が出たわけでございますが、これに対してラフサンジャニ議長、あるいは外交筋を通じまして、全く日本に対して悪意はない、全く日本との関係を誹謗するとか非難するつもりは毛頭なかったという説明が入っております。  それから最後に、イラン情勢でございますが、いろいろ御指摘のようなことがございますが、基本的にはイランの内政は安定していると見てよろしいかと思います。すべてはイラン・イラク戦争に対してどういうぐあいに持っていくかということで、現在のところいろいろな情報がございまして、例えば来年の三月までに攻勢を行う可能性が強いとかいろいろなことがございますけれども、基本的なイラクに対する戦争方針というものにつきましては、イラクのサダム・フセイン大統領の退陣ということを最大の条件としているという点におきましても基本的には変わっていないということでございます。
  114. 神崎武法

    ○神崎委員 終わります。どうもありがとうございました。
  115. 山口敏夫

    山口委員長 次に、岡崎万寿秀君。
  116. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 私も同じくイラン問題について質問いたします。  先ほどからの御答弁を聞いていますと、昨年八月に総理の親書を持ってイランを訪れた中山元駐仏大使、そのことについては安倍外務大臣三宅局長も相談にあずかり、親書の内容も御存じだということでございます。同じような特使は、ことしの一月、自民党の当時の藤尾政調会長も行かれておりますし、親書もお持ちなんです。これも同様に相談を受け、そして親書の内容も御存じでしょうか。
  117. 三宅和助

    三宅政府委員 藤尾元政調会長のイラン訪問につきましても十分相談を受け、かつ親書の中身につきましても十分相談にあずかっております。
  118. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 それではお聞きしますけれども、外交問題でございますので、当然、特使として外務省も相談にあずかり、内容もよく検討した上でイランに行かれて、その交渉の中身について、状況について報告は受けられましたか。
  119. 三宅和助

    三宅政府委員 当然報告を受けておりますが、同時に、現地におきましては野村大使が立ち会っております。また、一月の場合も、私がたまたま訪問しておりましたものですから、立ち会っております。したがいまして、内容的にもすべて把握しております。
  120. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そうしますと、外交交渉でございますから単にお願いするだけじゃないでしょう。イラン側人質解放に当たっての要望、要求があるはずです。感触等がつかめられたはずですね。それはどういうものでありましたか。
  121. 三宅和助

    三宅政府委員 交渉の中身につきましては、イラン相手国の事情もあることでございますので、内容につきましてはここで発言することを差し控えさせていただきたいと思います。
  122. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 内容は言えない、しかし、それが重要なんですが、その中に、要望やその他についてお聞きになっているかどうか。単にこちらの方からアメリカ人人質について釈放してくれとお願いするだけじゃなくて、その交換条件としてのいろいろなイラン側の要望を聞いているはずですね。中身が言えないなら、要望があったのかどうか、お聞きしたいのです。
  123. 三宅和助

    三宅政府委員 本件につきましては、アメリカ側から要請されてそれを仲介したとか交渉したということでは全くありません。全般的な二カ国関係あるいはイラン・イラク紛争問題を中心にしながら、その中で日本立場といたしまして人質解放に対する影響力を行使してもらいたいという希望を先方に伝えたということでございまして、仲介したとか、交渉したというわけではございません。
  124. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 三宅さん、私の聞いていることに答えてもらいたいのです。だれも仲介とかなんとか今聞いていないのです。要望があったのかどうかということなんです。要望はあったのでしょう。その感触はどういうことだったのですか、中身は言えないとおっしゃいましたが。
  125. 三宅和助

    三宅政府委員 先方からの要望ということではなしに、先方側の立場説明を受けております。先方との関係もございますものですから、中身につきましては説明することを差し控えさせていただきたいと思いますが、当然ながら先方立場についての説明は受けております。
  126. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 立場と要望というのはどういうものか、恐らくイラン側立場に立ったいろいろな希望が述べられたんじゃないかと思いますけれども、それは日本側に対するものでしたか、それともアメリカ側に対するもの、あるいはその両者に対するものなんですか。
  127. 三宅和助

    三宅政府委員 これは米側要請を伝えたわけではございませんものですから、したがいまして、イランイランの基本的な立場日本側に伝えたというわけでございます。
  128. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そのイラン側立場の中で、今イラン・イラク戦争が行われていますが、武器を非常に必要としているような感触は受けませんでしたか。
  129. 三宅和助

    三宅政府委員 イランといたしましては、日本武器輸出しない国であるということは十分承知しておりますので、武器関連についての発言は一切ありませんでした。
  130. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 イラン側立場を聞いたという話でございますけれども、そのことについては別にアメリカの方から要請を受けてやったわけじゃないでしょうけれども、当然の日米関係でございますので、アメリカ側イラン側立場なり意向なりをお伝えになりましたか。
  131. 三宅和助

    三宅政府委員 必要な範囲内におきまして適宜米側にも通報しております。
  132. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 アメリカ側の秘密工作とは全く関係ないとおっしゃっていますね。それは結構です。しかし、情報交換はかなりおやりになっているように感じますけれども、必要に応じてやった、また、向こうからも必要に応じてもらっていませんか、どうです。
  133. 三宅和助

    三宅政府委員 米側との関係では、特に国務省との関係におきましては、例えば中東に関する協議がございまして、かなり集中的に意見交換を中東につきましてもやっておりますが、この武器取引の問題については、既に当委員会で申し上げましたように一切通報は受けておりません。
  134. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 では、日本から一方的に情報を伝えるだけなんですか。情報交換は全くなかったのですか、動きについてでも向こうからもらうようなことは。
  135. 三宅和助

    三宅政府委員 中東の協議という中にはイラン・イラク戦争に対する見方とか中東和平に対する見方、あるいはそれ以外の国際テロ全般にわたるものでございますので、こちら側の意見もあれば米側意見もありますし、米側情報もあれば日本側情報もあるわけでございまして、お互いに十分な意見交換を行ったわけでございます。
  136. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 人質釈放問題を聞いているのです。
  137. 三宅和助

    三宅政府委員 人質解放につきましては、アメリカは外交関係がございませんものですから、日本イランとの外交関係を持っておりまして、必要な範囲内におきまして日本が独自で行ったものにつきまして米側に通報してございます。
  138. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 それは三宅さん、さっきおっしゃったとおりなんです。アメリカ側から人質釈放問題について何らの情報も受けなかったのかどうか、そのことをお聞きしているのです。
  139. 三宅和助

    三宅政府委員 米側から本件が出たような形での人質解放についての米側の工作につきましては、一切通報を受けておりません。
  140. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 いずれにせよ、日本の方から情報を提供したということは今言明されたわけですけれども、イランのホラサニ国連大使は十二日の記者会見で、イランアメリカの接触に日本仲介者として協力したということを言われているわけです。仲介者というのはいろいろな意味があります。直接もありますし、間接もありますね。今は日本情報を提供したとおっしゃいましたが、人質解放問題でアメリカ側イラン側と接触する、そういう仲介はなさっていないのかどうか。どうでしょう。
  141. 三宅和助

    三宅政府委員 米・イラン間の接触の仲介といたしましては、日本は全く行っておりません。
  142. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 総理イランの国会議長とは三回会っているのです、おいでになったとき。そして親書を持って去年の八月、ことしの一月ですね。同じ内容じゃなかったはずなんですね。その内容については外務省でもいろいろと検討の上にやっているわけなんですね。そうして、中山特使が行かれた後、アメリカ人質が一人釈放されているんです。そして、後でわかったことですけれども、取引かどうかはともかくとして、アメリカ武器イランに流れているわけですね。そういう動きについて、つまりアメリカ側の秘密工作などについて全く関知しない状況で日本側は進められたのか、別ルートでそういういろんな動きもあるやに知った上でイラン側と接触されていたのか、どうでしょうか。
  143. 三宅和助

    三宅政府委員 日本日本の独自のイニシアチブでやっておりまして、米国が同じ時期、今回発表されたような接触ないしは武器取引の話が進んでいたということは全く承知しない、そういう状況のもとで日本日本の独自の立場からイラン側と接触していたということでございます。
  144. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 親書の中身についてはおっしゃらないんですけれども、少なくとも藤尾政調会長が行かれるときの親書の中には、一人釈放されて、何らかの取引があったということは承知の上で新たな提案をなすったはずなんですね。そういう動きさえも全く知らなかったのですか。お願いします、お願いしますだけですか。いつも同じ文書じゃないでしょう。外交関係ですから、よく動きをつかんだ上で親書があるわけでしょう。その点、どうなんですか。
  145. 三宅和助

    三宅政府委員 親書の中では、人質解放に対するイラン側への要請と同時に、従来行ってきたイラン側努力に対しても、例えばTWAに対するラフサンジャニ議長努力に対して謝しているという文がございます。  日本日本なりに、人質解放されたということで、日本努力がどの程度効果があったか必ずしもわかりませんが、日本なり努力をしてまいって、それなりの貢献をしたんじゃないかと思います。  ですから、表面的に見ますと、いろいろな国がいろいろな形で努力しております。日本日本なり努力をしております。それで人質解放されていくということで、これが武器関連であるかどうかということは承知しませんでしたが、日本日本なりフランスフランス、あるいはローマ法王関係、それ以外の関係者がいろいろと努力された、その集積の結果人質解放されたんだろうと私たちは思っておりまして、それなりの評価も、欧米の諸国からも日本がよくやってくれているというお礼の言葉も随時あったわけでございます。
  146. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 フランスフランスなり、アメリカアメリカなりにやっていることなどは御存じだったのでしょう。それが秘密の武器取引ということは知らないにしても、ある程度のことは知った上での日本のミッションがあったんじゃないですか。
  147. 三宅和助

    三宅政府委員 アメリカがやったことを今から振り返りますと、確かにこの時期にこういうことをやっていたんだなということはわかりますが、その時点におきましてはアメリカイランと外交関係を持っておりませんでした。ですから、シリアとの関係はございますから、シリアとの関係ではあるいは働きかけていたのだろうと思います。ですから、レバノンにおける人質解放でございますから、あるいはイランあるいはシリアというものがそれぞれの影響力を行使していた。その時点におきまして、アメリカは例えばシリアに対して要請しておるようなことはあり得たかなと思っておりましたが、イランについては我々は承知しない格好で、日本の独自の立場から努力していたというわけでございます。
  148. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 日本立場からおやりになったということを繰り返されていますが、しかし、情報も提供したりされていますし、アメリカシリア等との動きについても知った上でなすっているのです。  いずれにせよ、アメリカイランとの関係で、人質釈放問題をめぐって日本仲介者役割を果たしたということはお認めになりますか。
  149. 三宅和助

    三宅政府委員 日本仲介者役割を果たしたわけじゃございません。繰り返し申しますが、日本アメリカあるいはフランスなどの非常に苦しい立場というものを踏まえまして、日本が独自の判断において、イニシアチブにおいて人質解放努力をしたわけでございまして、米国とかフランスとかの要請を受け、その仲介者としての役割を果たしたわけじゃございません。
  150. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 要請は受けなくても、仲介者役割は自発的にできるわけなんですよね。客観的に仲介者役割を果たしたというふうにお認めになりませんか。もう一回どうぞ。
  151. 三宅和助

    三宅政府委員 私たちといたしましては、日本なりの最大限の努力をしてきたということで、仲介者的な立場ではなかったと今でも考えております。
  152. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 それは判断の違いでございましょう。  それで、外相にお聞きしますけれども、いろいろなスキャンダルが報道されています。冒頭にも決していいことでないというふうにおっしゃいました。特に落合さんの本を読みますと、また秦野さんの発言等を聞きますと、CIA絡みで今度の問題はいろいろなシナリオをつくられて、実に時期的にも符節の合った形で総理へのレーガン大統領からの電話が入っているということもありますし、何らかの秘密工作の一翼に日本が組み込まれたのじゃないかという懸念を強く感じるわけなんです。  先ほど中東局長は、アメリカの強い関心を踏まえて自発的にやったというふうにおっしゃいますけれども、それは今覆す状況にありませんけれども、しかし、いずれにせよこういう大きな秘密工作の一翼に組み込まれて、追随外交に加わったと言われても仕方がないような状況ができてきている。また、今後ともいろんな形で文書、情報等が発表されるかもしれません。こういう状況全体について、外相の判断、いかがでございましょうか。
  153. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの人質解放の問題については、政府委員からお答えしたとおり、人道的立場から日本独自のイニシアチブでこの問題に対処したということでございます。したがって、いろいろ先生から御注意がございますけれども、これからいろんなことで巻き込まれないようにという御親切な御注意は心に銘じて、今までもそうやっておりますが、今後もそういうことには注意してまいりたいと思います。
  154. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 ぜひ注意してもらいたいと思います。  これで終わります。
  155. 山口敏夫

    山口委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十七分散会