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1986-08-06 第106回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年八月六日(水曜日)    午前九時三十三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高木 正明君     理 事                 北  修二君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 川原新次郎君                 熊谷太三郎君                 坂野 重信君                 鈴木 貞敏君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 及川 順郎君                 下田 京子君                 橋本  敦君                 三治 重信君    国務大臣        農林水産大臣   加藤 六月君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        農林水産政務次        官        星  長治君        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        農林水産大臣官        房総務審議官   吉國  隆君        農林水産省経済        局長       眞木 秀郎君        農林水産省経済        局統計情報部長  松山 光治君        農林水産省農蚕        園芸局長     浜口 義曠君        食糧庁次長    山田 岸雄君        水産庁長官    佐竹 五六君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和六十一年産米生産者米価に関する件)     ─────────────
  2. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  加藤農林水産大臣及び星農林水産政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤農林水産大臣
  3. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) このたび農林水産大臣を拝命いたしました加藤六月でございます。  農林水産業をめぐる内外の情勢が厳しさを増す折から、その責務は極めて重大であり、身の引き締まる思いがいたします。  農林水産業は、申すまでもなく国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧等安定供給を図るという重大な使命を担っております。さらに、健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全など、我が国経済社会の土台を支える重要な役割を果たしております。  私は、皆様方の御支援を得て、農林水産行政責任者として、我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていくよう最大限の努力をする決意でありますので、よろしくお願い申し上げます。
  4. 高木正明

  5. 星長治

    説明員星長治君) このたび農林水産政務次官を拝命いたしました星長治でございます。  我が国農林水産行政は幾多の困難な課題を抱えておりますが、加藤大臣を補佐いたしまして全力を傾けてこの難局に当たりたいと存じております。委員各位の御支援のほどをお願い申し上げましてごあいさつといたします。     ─────────────
  6. 高木正明

    委員長高木正明君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十一年産米生産者米価に関する件を議題といたします。  この際、昭和六十一年産米生産者米価について政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長
  7. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 昨日、昭和六十一年産米穀政府買い入れ価格につきまして米価審議会の方に諮問させていただきましたので、その内容につきまして説明させていただきます。  まず最初に、諮問についての説明を朗読させていただきます。    諮 問   昭和六十一年産米穀政府買価格について、米穀需給均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。     昭和六十一年八月五日      農林水産大臣 加藤 六月  それから、諮問についての説明でございますが、一応時間の関係上これは略させていただきまして、もう一つお配りしておりますところの「昭和六十一年産米穀政府買価格試算」についての資料に基づきまして説明させていただきます。  まず、資料に入る前に算定基本的な考え方について出し上げておきたいと思います。  基本的な考え方として、今年産におきましては、五十九年五月の米価審議会において採択されました「米価算定に関する米価審議会委員会報告」の趣旨及び前広米審での御論議をも踏まえまして算定を行っております。  すなわち、算定方式としましては生産費及び所得補償方式によることとし、対象農家平均生産費について、物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえし、この評価がえ生産費平均単収で除して求める価格、いわゆる米全体の農家庭先価格算定しております。  具体的な算定につきましては後ほど資料について説明申し上げますが、主要な点について触れますと、まず生産費対象農家につきましては、生産調整を行わなければ需給均衡が図れないという現下の米の需給事情米価算定に反映させることとしまして、生産費対象農家としましては、農家生産費の低い順に並べて、その累積生産数量比率潜在生産量に対する生産予定数量比率、八二%でございます、になるまでの農家をとっております。その場合、この比率を求める際の需要量につきましては、主食用等生産予定量千八十万トンをとっております。  また、潜在生産量につきましては、六十一年度における潜在生産量千三百七十万トンから昨年の諮問における試算値と同様に、他用途利用米生産予定数量二十七万トンのほか、転換畑相当分を含みます永年性作物等定着分二十九万トンを控除しております。  次に、主な算定要素について申し上げますと、まず家族労働費評価に用います都市均衡労賃とり方につきましては、基本的には五十六年産以降のとり方と同様に、常用労働者数五人以上千人未満事業所規模製造業賃金について、都道府県別米販売量ウエートに加重平均した賃金という考え方に立って算定しております。  また、自己資本利子及び自作地地代評価につきましては、金利動向が大きく影響いたしますが、本年の場合、金利が大幅に低下してきていることを考慮し、その影響を緩和するようなとり方をしております。すなわち、自己資本利子金利とり方としては前年の金利を適用することといたしまして、その際、生産期間の実態に合わせて短期のものと長期のものを平均する、いわばミックスしてとっておるわけでございます。また、自作地地代評価につきましては、五十九年産からのやり方と同じように、固定資産税評価額を元本とする土地資本利子という考え方に立ちまして、その際の適用率としましては、金利低下影響を緩和する観点から十年利付国債の過去一年間の平均応募者利回りを用いております。  以上に加えまして、近年の激しい収量変動算定値に実際上大きく影響していることにかんがみまして、米価算定適用年直近三年平均の単収を基本としながら、一定の係数を用いることによりまして収量変動影響を緩和するようにしております。なお、この考え方は、収量変動を緩和するという性格から、本年のような豊作が強く影響するときだけでなく不作時においても適用されるものであると考えております。  続きまして、資料に基づきまして説明させていただきますが、お配りしておりますところの「昭和六十一年産米穀政府買価格試算」をごらんいただきたいと思います。  その中の冒頭算式でございますが、従来の算式に若干変更を加えております。と申しますのは、Pイコール分母分子で書いてありますその次に掛けることのαとという数字を置いておるところでございます。このαが、先ほど申し上げました収量変動を平準化するための係数というものでございます。従来の計算の中から得られるものにαを乗じまして、これに六十を掛けて六十キロ当たり評価がえ生産費計算し、これを求める価格としておるわけでございます。なお、この収量変動平準化係数につきましては八ページ及び九ページをお開きいただきたいと思います。  八ページの後段を見ていただきますと、3.といたしまして「収量変動平準化係数算定」ということで式を表示しております。見ていただきますと若干複雑なようにも見えるわけでございますが、考え方といたしましては、分子にありますところの三分のアベレージH3、アベレージH2アベレージH1、これは米価算定する直近の三年間の十アール当たり平均収量でございます。アベレージH1が六十年の十アール当たり平均収量でありますし、アベレージH2は五十九年産、またアベレージH3は五十八年産でございます。  分母の方を見ていただきますと、同じようにアベレージH1、アベレージH2アベレージH3というのがございますが、それはそれぞれ六十年、五十九年、五十八年の十アール当たり平均収量でございます。アベレージH4とアベレージH5でございますが、これがアベレージH4が五十七年、アベレージH5が五十六年の十アール当たり平均収量でございまして、この平均収量五つを足しまして五で割る、いわば三年の平均単収と直近五年の平均単収の比を求めまして、これをαとして先ほどの求める価格の場合に使おうとしているわけでございます。  その際、分母の方にございますところのアベレージHプラスAアベレージHプラスB、A、Bというのがございます。このA、Bにつきましては、九ページの上段に書いておりますように、それぞれ数字を持っておりますYという表示をしておりますけれども、いずれも十アール当たりの平年収量でございます。この平年収量につきましては、毎年私どもの方の統計情報部から公表されておるわけでございまして、Y1が六十年でございますし、Y2が五十九年、Y3が五十八年の十アール当たりの平年収量でございます。それの平均と、Y5は五十六年の平年の収量でございまして、その差を求めてAとする。Bも同じように直近四年間のうちの、Y4というのは五十七年でございますが、それと直近三年間の平均の差を求める。それをA、Bといたしまして、先ほどのαの分母のところの計算上使おうとしているわけでございます。  このような一応AとかBの調整係数を足し上げますのは、直近五年の平均の単収につきまして考えますと、三年の平均の単収と技術水準が異なるわけでございますし、できるだけ分子と同じような技術水準において単収を比較してみよう、こういう考え方調整を行っておるわけでございます。  もとに返らせていただきまして、以上のような収量変動に伴いますところの価格が著しく変動するというふうなことを防止しながら、できるだけ上下の変動を少なくしていこう、こういうことで一応この係数を取り入れてみたわけでございます。この点につきましては、昨年の米価審議会及び本年の前広の米価審議会におきまして、作況の変動をできるだけ防止するための考えというものはないか、こういうふうな御指摘もございましたので、私どもいろいろと勉強いたしました結果、このようにしてはどうかということで算定に入れておるわけでございます。  以上の式を使いまして求める価格算定してみますと、二ページの1.にございます一万七千五百二十円に相なるわけでございます。  それから、この価格ベースにいたしまして2.の基準価格算定いたします。これは政府売り渡し場所におきますところの価格でございまして、運搬費を足しましたもので求められるわけでございますが、額といたしまして一万七千七百円、これは昨年の価格に比較いたしまして三・八%のマイナスになるわけでございます。  この基準価格ベースにいたしまして、次にウルチ軟質類一等裸価格算定するわけでございますが、この価格は次の三ページに類別等級別の個々の価格を書いておりますが、その価格算定する場合の一応基準になる価格でございます。基準価格一万七千七百円に一—三等の一—五類平均と三類との格差三十九円、一—三等平均一等との格差百五十六円、歩どまり加算十九円、これを加除して求めておるわけでございます。その額は一万七千七百九十八円になるわけでございまして、対前年比率マイナス三・八%に相なります。  こうした基準となる基礎的な価格ベースにいたしまして、ウルチ一—五類、一—二等平均包装込み生産者手取り予定価格、これを算定してみますと、一万七千七百九十八円に一—二等の三類と一—五類平均との格差五十五円、それから一等と一—二等平均との格差百一円、歩どまり加算十九円、包装代百九十円、これを加除いたしまして一万七千九百六十一円が得られるわけでございます。この基本価格は、昨年の一万八千六百六十八円に対しまして額として七百七円少ない額に相なっておりますし、比率でもってマイナスの三・八%に相なるわけでございます。  三ページの方には御参考までに「類別等級別政府買価格」を掲上しております。これは先ほど申し上げました3.で得られますところのウルチ軟質類一等裸価格、これを基準にいたしまして、まずこれをベースにして類別加算等級別加算、それを計算いたしまして求められるものでございます。  以上が本年の米穀政府買い入れ価格試算のあらましでございまして、あと算定要領の細かいところにつきましては、時間の関係上省略させていただきます。
  8. 高木正明

    委員長高木正明君) 次に、昭和六十一年産米生産費調査結果を聴取いたします。松山統計情報部長
  9. 松山光治

    説明員松山光治君) 昭和六十年産米生産費調査結果について御説明申し上げます。  お手元にお配りいたしました「昭和六十年産米生産費」という資料をごらんいただきますと、一ページに調査結果の概要が出ております。  まず、十アール当たり生産費でございますけれども労働費につきましては賃金上昇労働時間の減少とがほぼ見合っておるわけでございますけれども物財費につきましては、農機具代なりあるいは薬剤費の増といったような要素がございまして、費用合計から副産物価額を差し引きいたしました第一次生産費で見て十三万七千六百十四円、それからそれに資本利子地代を加えました第二次生産費で見ますと十七万六千六百七十九円、対前年上昇率が一・五%という、こういう結果に相なっております。  十アール当たり生産費の長期的な動向につきましては、年々傾向としては上昇傾向をたどっておるわけでございますけれども、五十九年のように大豊作で、好天に恵まれまして労働時間が若干減ったという年を別にいたしますと、例えば五十六年の場合の対前年上昇率は五%、五十七年が二・三、五十八年が二・八と、こういうふうな推移をたどっておりまして、これに比べますれば最近は比較的落ちついてきているかなというのが一・五%という数字でございます。  次に、六十キログラム当たり生産費でございますが、ごらんいただきますように、第二次生産費で見まして二万百三円ということで、四・七%の上昇になってございます。これは今の十アール当たり生産費上昇に加えまして、六十年の場合にも一〇四という豊作ではございましたけれども、前年の五十九年が一〇八という大豊作でございまして、十アール当たり収量が五百四十四キログラムから五百二十七キログラムに三・一%減少しております。その分が加わっての四・七という数字でございます。ちなみに、五十八年の生産費水準は二万一千四百六十円余という姿でございまして、五十六年の二万三百七十八円におおむね見合っておりますのがこの六十年の二万百三円という水準であろうかと思っております。  次に、収益性でございますが、反収の減を反映いたしまして粗収益で対前年マイナス三・八、所得で見ますと十アール当たり所得が八万三百八十八円ということで、対前年マイナス九・三という姿になっております。時系列で見ますと、不作という条件下ではございましたが、五十六年から五十八年までの水準が七万円水準でございまして、それが五十九年に八万八千五百九十五円という水準に大きく上昇いたしましたその後の八万円水準である、このように御理解いただけたらと思います。  次に、二ページから三ページにかけまして費目別構成主要費目動向について御説明を申し上げたいと思います。  費目別構成といたしましては、労働費が三七・八ということで一番大きな割合を占めておりまして、次いで農機具費が二九・八、肥料費が七・六、賃借料及び料金六・〇、農業薬剤費五・三、こういう姿に相なっており、この五つ費目費用合計の八六・五%を占めておるわけでございます。  主要費目動向について申し上げますと、労働費でございますけれども労賃単価上昇した反面、十アール当たり労働時間が二・五%減少いたしまして五十五・一時間、こういう姿になっております。こういう関係労働費といたしましては五万四千三百三十九円、ほぼ前年並みの水準になっておるわけであります。  農機具費は前年を二・五%上回っております。これは機械更新が進んでおるようでございまして、特にその場合自脱型コンバインなり乗用トラクターなどの高性能機械への更新が進んでおるといったような事情を反映するものでございます。  肥料費につきましては、若干前年を上回っておりますが、内容的には高成分化成肥料等への移行といったような事情が背景にございます。  賃借料料金につきましては前年を二%下回りました。これは十アール当たり収量が減少いたしておりますので、ライスセンター等費用なり、もみすり賃が減少しておるといったような事情を反映するものでございます。  農業薬剤費につきましては、前年を六・三%上回ったわけでございますが、昨年の場合には北海道なり西日本を中心といたしまして全国的にウンカが発生するといったような事情がございまして、殺虫剤等使用量が増加したことに加えまして、従来二回行っておりました除草を一回で済ますというかなり効果の高い、そのかわり単価も若干高い薬剤開発等がございまして、そういうものへの移行を反映したものでございます。  地代は前年を一%上回りました。  次に、作付規模別生産費でございますが、十アール当たりの第二次生産費で見ますと、三十アール未満階層で二十三万四百五十九円、一番大きくなっております。作付規模が大きくなるにつれまして費用は逓減しておるわけでございますが、三百アール、三ヘクタール以上の階層では十四万九千二百十四円ということで、三十アール未満階層の六五%という姿に相なっております。この作付規模が大きくなるにつれまして費用が逓減するという形は、六十キログラム当たり生産費で見た場合の方がはっきり出ております。三十アール未満階層の二万七千七十八円に対しまして三ヘクタール以上階層では一万六千五百八十七円ということで、三十アール未満層の六一%というような姿に相なっておるわけでございます。  こういった生産費階層間格差は、そこにございますように、主として規模の大きい階層ほど農機具効率的利用が行われる、それによりまして稲作労働省力化なりあるいは各種費用低下に貢献しておる、こういう状態ではないかと考えております。  四ページ以下には細かな統計表が出ておりますが、時間の関係で省略させていただきます。  以上でございます。
  10. 高木正明

    委員長高木正明君) 以上で説明聴取を終わります。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ただいま新しく農林水産大臣就任をされました加藤大臣から、そしてまた政務次官就任をされました星次官からそれぞれごあいさつございました。そしてまた、六十一年産米米価について、ただいま米価審議会諮問をされておりますその内容等についての概略の御説明がございました。  そこで、私はことしの特に米価を取り巻く状況等について大臣がどのように御理解になっているのかということをまずお伺いをしたいというふうに思います。  たまたま台風ということで、今大変な状況関東地方から東北にかけて生じておりますけれども、本当にあの被害に遭われた方々に対してはお気の毒だと思いますし、そうしてまた、そうした被害の中にはかなりの量の水田等農用地があるわけであります。この農用地被害対策については万全を期していただかなければならない、このように思います。しかし同時に、こうした被害というものも、我が国水田というのは人工的なダムではとても対応し切れないほどの治水の能力を持っております、そういうものがあってなおかつこのような被害ということになるわけであります。それこそ、これから先のことについても、私は大変心配になるわけであります。そのことは、また後ほどいろいろと同僚委員の中から出てくるのではないかと思います。  私は、そうした中で、米の需給水田の確保という観点から考えても、農家生産意欲を失うということは大変重大なことを意味するというふうに思うわけなんでございます。ところが、今回米価審議会諮問をされました内容は、いろいろな理屈を言われるわけでありますけれども、とにかく理屈の方はさておいて、現実の問題は三・八%の引き下げと、こういうことに相なるわけです。これは、農業団体等かなりことしの米価については強く要望をしてきていたところでございまして、そうした農業団体を初め農業に従事をする農民の皆さん方の、言ってみれば私はもうそれこそ血の叫びというふうに言っていいんじゃないかと思うのですけれども、そういうものがあったにもかかわらずなおかつ引き下げ諮問をされたという、その辺のところの意味がどうしても私には納得できないわけでありまして、そこがひとつ私どもにもわかるように大臣のお考え方をまずお聞きをしたいと思います。
  12. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 稲村委員がおっしゃいました冒頭の一昨日の大水害の件につきましては、私もいたく胸を痛めております。また、前回国土庁長官を仰せつかっておったときに、防災局をどうしてもつくらなくてはならないという、厳しい行財政改革の中ではありますけれども必死になってこの問題に取り組んだわけでありますが、今回災害に遭われた地域全体の皆さんに対しては、国務大臣としても必死で取り組み、一日も早い災害復旧をやらなくてはならない決意を固めておる次第でございます。  それから、ただいま引き下げ諮問、あるいは団体要求というものとの関係についての厳しい御意見があったわけでございます。私も、団体皆さん方が今までにないそれぞれの積み上げ方式で最終的に据え置き以上という決議をされましたその間の事情については敬意を払い、大変な御苦労があったということは認識しております。また、それ以上の引き上げの要求というのも相当の県においてはあったという経過を踏まえながら、たびたび承るところによりますと、常任会議を四回以上やってあの要求米価をお決めになったということについても敬意を払っておるところでございます。  しかし、私の今回の諮問米価を決めるに当たりましての基本的な考え方というものはいろいろありますし、また時間が十分ないと思いますが簡単に申し上げますと、ゆとりある需給というものと、それから第三期過剰時代を招いてはならないという非常に選択の幅の狭い、小さいあぜ道を米価というものがこれから渡っていかなくてはならない。そういう中で国民に対する食糧の安定供給を確保していかなくてはならない。ゆとりある需給というものが失敗してこちらに落ちてもならないし、第三期過剰時代を招いたら生産費所得補償方式そのものも、あるいは食管制度そのものも崩壊してしまう、そういう厳しい認識、厳しい選択の中にぎりぎりいろいろな事情を勘案して今回の諮問米価を決めたということでございます。  それを筋道を立てて具体的に申し上げますと、第一番目は、膨大な潜在需給ギャップがさらに拡大しつつある、そういう中で巨額の財政負担により需給均衡を図らざるを得ない事情にあるということが一点でございます。  それから二点は、これは当農林水産委員会においても今後各方面の意見を承りたいと思っておりますが、来年度から開始される水田利用再編対策のいわゆるポスト三期ということにおいては転作面積の相当な拡大が必要になってきておる、こういう点でございます。  そして、三番目も大変大きな問題でございますけれども賃金及び物価の安定、金利の急激な低下と一般経済情勢というものがこれまで見られなかった動きを示しておるということと、それとまた稲作労働時間の着実な減少が見られること、ここら辺の事情を十分配慮しますとともに、最後に、ぎりぎりに米価というものが農家の経営意欲に及ぼす影響にも配慮して決めたということでございまして、そこら辺の事情について御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  13. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 今、大臣の言われた点は、それぞれ私どもには、御理解いただきたいというお話でありましたけれども、ちょっと簡単になかなか御理解できないというものでありまして、例えばゆとりある需給ということと三回目の過剰の時代を招いてはならない、そういうお話は、それはそれなりに理屈の面では、言葉の上では出てくるかもしれませんけれども、しかし現実の問題として、ついこの間、それこそ薄氷を踏むような思いの需給関係にあった。そして、韓国からの加工用については、私どもは輸入と言う、政府の方は輸入ではないんで貸したものを返してもらったんだと言うんですが、こういう言葉のあやみたいなことでも私は問題があると思いますけれども、いずれにいたしましてもあのときは大変な薄氷を踏む思いであったわけです。  私は、二年、三年程度の連続をして比較的よかったからということだけで簡単に判断できるものではなかろうと、いつまた厳しい時代が来ないとは限りませんということが言えると思いますので、これはかなり長期にわたった検討というものをしなければならない問題だと思うんですが、どの程度その辺の見通しを立てられて言っておられるのかということが私どもにはよくわかりません。御説明をいただきたいというふうに思います。  また、潜在需給ギャップ増大というお話、これも前々から何回も議論があるところでありますけれども、大体潜在需給とは一体何なんだということから問題があるわけなんでありまして、そういうことについて私どもはまだまだ納得できる御説明をいただいていない、こういうふうにも思うわけであります。  また、ポスト三期で現在の減反面積をさらに拡大をしようということについては、これも私どもなかなか納得ができるものではないわけでありますけれども、そのポスト三期、これによって我が国水田農業というのは一体どういうふうになるのか、その辺のところのイメージを明らかにしていただかなければならない問題でもあると、こんなふうにも思うわけであります。  こんなことを、いろいろと今のお話、そのほかの稲作労働時間の減少の問題もありますが、物を生産するときに、生産性のメリットが上がれば、上がった分が普通は一般的には経営のための利益ということで還元をしていくのが当たり前なことなんでありまして、利益が上がってきて、メリットが出てきたからそのメリットは全部取り上げてしまいますというんだったらこれは何にもならないことなんでありまして、この辺のところも私は納得がいく御説明がいただけていないわけであります。  このようなことをずっと見てまいりますと、政府は一体これから先の我が国農業のあり方、その中での稲作農業というものの位置づけ、これらのことをどのように考えておられるのか。私は、一定程度の見通しがあって、その目標、農業に対するビジョンがあって、そのビジョンをつくり上げていくために、そのために価格政策をどうするとかなんとかといういろいろな議論が展開されるならばそれは議論としてかみ合いますけれども、賛成、反対がいろいろとあるにしても。今のことだと議論としてかみ合わない、そういう感じがするんであります。  我が国農業について、大臣就任早々でいらっしゃるけれども、精力的に勉強をなさっているというふうにも私は伺っておりますし、我が国農業についての大臣としてのビジョンをお持ちになっているんではないかと思います。その辺と今度の米価引き下げをしたということとどのようにかかわっておられるのか、これも大臣のお考えを伺いたい。
  14. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほどの私のお答えに対する再質問的な問題がありまして、稲村委員がおっしゃいましたゆとりある需給という問題で、昭和五十九年の韓国産米の記憶というのは新しいところであります。  具体的にゆとりある需給という数字につきましては、六十一年米穀年度の末において大体百五万トンから百十万トンぐらいになるだろうと、来年末には百四十万トンないし百五十万トンになるのではないかという問題があるということを申し上げておきます。詳しい数字につきましては、必要があれば政府委員からお答えさせます。  それとともに、私が申し上げました第三期過剰時代を迎えてはならない。私は、第二期過剰の問題は直接いろいろ当たって処置しました。そして、その当時は大蔵委員長もやっております。衆参両院の大蔵委員会におきましてあの際の大変な議論、そしてそれを処置するのに二兆円の金がつぎ込まれた。あの二兆円の金というものを他の基盤整備とかもろもろの問題に使ったらどんなにいいかということを思い思いやったのが二期過剰に対する処置でありました。あのことを我々は夢寐にも忘れてはならないという感じがあるわけでございます。  それから潜在需給問題、納得がいかないとおっしゃいましたが、現実には、先ほどポスト三期の問題でも御質問がありましたが、昭和六十一年度予算におきましても、転作のために二千三百億の金をつぎ込んでおるという事実だけを申させていただきたいと思います。  そして、今後の農業のビジョンというものと稲作農業の位置づけ等についての御質問、御意見があったわけでございます。私も農水大臣就任いたしましていろいろ農水省の今後の問題を勉強したときに、一つは三十一世紀に至る農業のビジョン確立について農政審議会の方に諮問してございます。これがことしの暮れになるのではないだろうか。そして、ポスト三期はこの秋になるのではないだろうか。そして、米価はこの八月に決めざるを得ない。ある面でいうと、これ三つが同時にやっていけば、今、稲村委員がおっしゃった問題がよりはっきりするのではないだろうか。私自身も、その点は深刻に考えたときがあるわけでございます。  そういうこれからのタイムスケジュールがあるわけでございますけれども、しからば農業のビジョンというものと稲作農家の位置づけをどう考えるのかと。私も、農政審に諮問をお願いし、検討をお願いしておるわけでございますから、農政番の検討の結果、答申をいただいた時点においていろいろ申し上げるのがいいんではないかとは思いますけれども、まあ私は、一つのビジョンとしましては、経営規模の拡大や生産組織の育成あるいは効率化、こういうことをやって稲作経営というものの体質強化を図る必要があるというのが一点であります。そして、水稲というものと水田等を利用して生産するその他の土地利用型作物というものを合理的な作付体系のもとで、そして意欲のある担い手によって担われた生産性の高い水田農業というものの展開を図ることが基本的に必要である、このように考えておるところでございます。そして、農政審の御答申を首を長くして待っておるということをつけ加えさせていただくところでございます。
  15. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 大臣が後でちょっと個人的な考え方で言われたと思いますけれども、その辺のお話は、私はとてもビジョンというふうには受け取れないわけでありまして、それは当面、その中のごく狭い一部のことを、こうありたいというお話だというふうに受け取りました。  しかし、いずれにしましても、ビジョンについてはどんなビジョンができてくるのかは、これは暮れにならないとわからない。三期についてもまだ秋にならないとわからない。そうすれば、そういう方向性が決まらないのに、そういうときに価格を決めるといえば、私どもは、当然生産費が上がっているし、いろいろな周囲の状況等、私どもの生産条件から考えていけば引き上げるべきだという主張になるわけですけれども生産者米価ですね。そういう時期に下げるということ自身がおかしいんじゃないですか。そういう方向が決まっていなかったら、最低限現状のまましばらくいきましょう、こういうのが普通だと思うんですけれども、なぜこれをあえて引き下げというふうにされたのか、これは私はどうしても納得がいかないわけであります。  ちょうど、昔、子供の漫画で「銀河鉄道999」なんというのがありましたけれども、行き先を機関車しか知らないで、あとはみんなわからないで、行き当たりばったりに行く、とまる星で何が起こるかわからぬみたいな、そういう漫画みたいな、本当に失礼な言い方で恐縮なんですけれども、しかし今のやり方でいったらそういうふうに言われても仕方がないんじゃないですか。  私は、そこでまず、そうしたビジョンも決まらないのになぜ引き下げ諮問をされたのか、ここのところをもう一度御説明をいただきたいということと、そしてそういう中で農業団体等が主張している考え方というのがこれは間違っているのかどうか、無理なのかどうか、この点についてどう御判断になっているか。それは、あえて無理があったから引き下げたんだというならばそれは一つの理屈かもしれませんが、そこが無理でないんであれば当然現状のままという、最低限そのぐらいのふうに考えるのが常識だと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  16. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 冒頭、今回の諮問を決めるに当たっての私の考え方とその中の要素を申し上げましたが、ポスト三期はこれから決めるわけでありますが、面積は大幅にこれを拡大しなければならない状況にあるということははっきりいたしております。  それからまた、今後、農政番から答申をいただくのでありますが、農業のビジョンとしては先ほど私が申し上げましたようなことが一番好ましいという、これもはっきりしておるのでありますけれども、いただくまではまだわからないということでありますが、おおよその輪郭は先ではあるが見えてきておるということでございます。そして、今回の諮問をいたしました中には、先ほど諮問案を政府委員から御説明いたさせましたように、いろいろな要素の変化というものが加わってきておるわけでございます。そこら辺の問題につきまして、例えば労働時間の短縮の問題であるとか金利の急激な低下であるとか、あるいはまた物価、賃金の安定であるといったような問題等々、米価算定する要素の中に今申し上げましたような数字が現実にはっきりしたものとして出てきておったということでございます。  したがいまして、私たちは、そういうポスト三期やビジョンというものも念頭に置きながら、現実には出てきた数字というものを冷静に見ながら判断したわけでございます。そして、冒頭申し上げましたように、団体要求皆さん方の御苦労ということにつきましては、十分その認識もし、理解もいたしておるということでございます。
  17. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は質問に先立って委員長にお尋ねします。ということは、私たちは野党五派共同提案による六十一年度生産者米価決定に関する決議案を理事会に提出してあります。したがって、この決議案の上程の時期については、本日午前中の各党の審議が終わった段階においてやってもらいたい。昨年もそういう例があります。この取り扱いについてどのようにやっていただくのか、私の質問にも関連しますので、委員長の御答弁をお願いします。
  18. 高木正明

    委員長高木正明君) 昨年同様の取り扱いをいたします。
  19. 村沢牧

    ○村沢牧君 わかりました。  稲村委員の質問に対する大臣の答弁を聞いていて感じたことは、生産者米価引き下げることには強い決意を持っているけれども、日本農業のビジョン、展望については極めてあいまいである、また消極的である、強いて言えば灰色であります。  改めて伺いますが、今我が国農業生産者米価引き下げてもおかしくない、そういう環境にあると大臣はお考えになっていますか。以下、御答弁については、私の持ち時間も極めて短いですから簡潔に答弁してください。
  20. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 稲村委員冒頭お答えいたしたとおりの膨大な潜在需給ギャップ、あるいはまたポスト三期の問題、賃金、物価の安定、金利の急激な低下等々の問題を判断しまして、そして最終的には米価農家の経営意欲に及ぼす影響にも配慮して決めた。そして、冒頭申し上げましたように、ゆとりある需給ということと第三次過剰時代を起こしてはならないという本当に幅の狭い選択のぎりぎり、それを保ちながら国民の主食である米の安定供給を図っていきたい、この選択に従ったものでございます。
  21. 村沢牧

    ○村沢牧君 実は、本年三月二十日の本委員会において、我が党の同僚委員が当時の羽田農相に対して同じ趣旨の質問をいたしておりますが、これに対して農相は、  米をつくる構造の現況、この中で今引き下げる環境にあるというふうには私は思っておりません。ですから、規模の拡大等はどんどん進められ、あるいは多収穫品種なんか生まれてくる、そういう時代になったらあるいは米を引き下げるといいますか、そういう時代が来ればいいなというようなことはしばしば考えますし、また農政というのはそうあるべきじゃないかなということは考えますけれども、今日の状況ではとてもそんなことは一般論として言うことはできない、私はそう思っております。こういう答弁をしているんです。この羽田農相の答弁は実に率直であったと思いますし、我が国の稲作をめぐる状況をよく理解した発言だと思う。  私があなたにお伺いしたいことは、前大臣からこのように国会で所信を明らかにしている、しかしこれがわずか四カ月後の米価決定では引き下げ諮問が行われている、一体これはどういうことなんですか。大臣がかわればこんなに変わるものですか。米作をめぐる環境がこの四カ月間そこそこにこう変わったという客観的な事実がありますか。答弁してください。
  22. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 羽田前農水大臣は、私が尊敬し、また私ども非常に長い間の友情のある関係でございます。羽田農水大臣がそういう御見識、御認識を持っておられたということは、よく私も理解しておるところでございます。  ただ、先ほど来お答え申し上げましているようないろいろな判断を下し、私としてもある時期には深刻に悩み、考えたときもあるわけでございますけれども、真に我が国農業を愛し、農民の生活のこと等を考え、先ほど来申し上げておりますいろいろな諸要素というものが出てきた段階におきまして、これがやむを得ない諮問案であると判断したわけでございます。
  23. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣、私は一年も前に当時の大臣が言ったことを言っているんじゃないんですよ。四カ月前にあなたの前任の大臣が言ったんです。それががらっと変わっちゃった。一体そんな農政でいいのか。じゃ、あなたは羽田大臣の言ったことは間違っている、私の言うことが正しいというんですか。はっきりしてください。
  24. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 羽田前農水大臣がおっしゃったことと今私が申し上げておることとがらっとも変わっていないんで、基本的認識、基本的筋道においては全く同じであると、こう考えておるところでございます。
  25. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は大臣の答弁納得できませんから、これ会議録によって、大臣でなくてもいいですよ、官房長もいるからはっきり答弁してください。見てください会議録、これ違っていないかどうか。
  26. 甕滋

    説明員(甕滋君) ただいま先生のおっしゃいました会議録はもちろんそういった内容でございますけれども、羽田大臣も、全体といたしまして農林水産業をめぐる情勢については、この委員会の場におきましてもいろいろ全体的な見解も申し述べておるわけでございまして、ただいま農水大臣が申し上げましたように、基本的に前大臣と方針が変わっているというふうに私も考えられないところでございます。
  27. 村沢牧

    ○村沢牧君 変わっているんだよ。変わっているから言うんですよ。時間がないからこの問題はまた後日改めてやりましょう、会議録によってやりましょう。いいですか。  そこで大臣、私は農林水産大臣に期待するものは、農業を取り巻く厳しい情勢の中で日本農業の展望をどういうふうに切り開いていくのか、またその農業を担っていく農民の生活をどのように守り、向上させていくかということであるというふうに思う。こうした立場に立って私はこの十年間、十人の農水大臣とこの委員会を初め国会の中で議論してまいりました。あなたに質問するのはきょう初めてでありますけれども、しかしあなたが農林水産大臣就任してから後のマスコミのインタビューを見ますると、日本農業を何とかしなければならないという意欲はわかりますけれども、しかし農業者の経済的地位をいかに向上させていくかということについて残念ながらおうかがいすることができない。今回の米価決定についても、大臣政府の官僚も行政改革だとかあるいは臨調答申、これに固執してまず金が先に来て農民のことなんか何も考えていない。加藤大臣、あなたが農水大臣就任して初めての仕事は、農民の切実な要求を無視して我が国農政史上三十年ぶりの米価引き下げを行うことなんです。今までの農水大臣はできなかったが、あなたはやるんです。しかも、それは食管の問題が出ましたけれども、コスト逆ざやまで食い込んで空洞化しようとする。あなたの悪名は後世に残るでありましょう。  そこで率直に聞きますが、昭和五十二年以降八年間に消費者物価は御承知のとおり三二・九%上がっているんですよ。労働賃金はどうか、五二・七%上がっている。生産資材は一六%も上昇している。にもかかわらず、生産者米価はたったの八%の上昇じゃありませんか。このことは、実質米価の切り下げによって、この結果稲作農家収益は非常に低下をし、農民は苦しんでいる。これに今度あなたは追い打ちをかけようとしているんです。大臣、他の物価がこんなに上がっているときに、なぜ農産物価格だけが犠牲を負わなければならないのか。官僚のつくったこの悠意的な算定方法を議論する前に、あなたに政治家としての心境、所信を伺いたい。
  28. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) その数字は私もたびたび見て、村沢委員のおっしゃる数字そのものは全く同じである、こう認識しております。しかし、逆に考えてみますと、それであるからこそ国民生活が安定してきておるんだ、そうしてまた、国民に対する主食である米の安定供給が図られてきておる、こういう感じを持つわけでございます。  前段おっしゃいました点は私も同感で、一番悪い、難しいときに農水大臣になったな、これは困ったことだ、こういう感じを持ちます。しかし、国民の負託を受け、選挙によって選ばれた我々は、後世の国民が本当に感謝してくれるような政策を展開していかなくてはならぬし、そしてさらに、選ばれて農水大臣になった以上、大きな国民の全体の生活の向上、発展ということと、そして農業に従事する皆さん方の生活の向上、安定というために、そして意欲を持ってもらうための農政というものを展開していかなくてはならぬと強く、深く決意を持ったところでございますけれども、現実に何をしよう、これをしようといっても、難問山積、そして財政事情は厳しい、この中でやっていかなくてはならない悲哀と苦痛を日夜今味わっておるところでございます。
  29. 村沢牧

    ○村沢牧君 大変失礼ですが、大臣は税制だとか経済問題、財政問題についてはベテランだということは私は知っております。今、大臣のいろいろな答弁を聞いておりましても、まさに経済閣僚としては適任者だ。しかし、農水大臣としては、農業をどういうふうに発展させていくか、農民をどういうふうに愛するか、このことがなかったならば農水大臣としては適格者でない。かつて自民党の偉い人は、私はだれよりも農民を愛すなんと言った人がある。あなたは農民のことをどういうふうに考えているんですか。
  30. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) こういうことを申し上げてどうかと思いますが、昨日は三番町で青空交渉というものが行われましたが、そのときに代表者から私の妻の里の話が出ましたが、私の妻の里は農家であります。私自身も農民の子であります。そして、苗代をつくり、苗を投げ、植え、刈り、そしてまた水をためることから病虫害の駆除等に父親、母親とともにやってきた人間であります。そういう点におきましては、農民の心、農業の大切さ、汗を流し努力することのその貴重な労働というもの、これは日夜味わってきておる一人でございまして、農民を愛し、農業を大切にすることにおいてはだれにも引けをとらないという考え方で臨んでおるわけでございます。
  31. 村沢牧

    ○村沢牧君 大変立派な決意を聞いたんですが、そうならば米価なんか下げることはないじゃないですか、これだけ農民が切実に要求しているんだから。農民の気持ちをあなたわかってないんだからだめなんですよ。  そこで、次の問題に移りますが、これはたびたび指摘されることでありますが、大臣はさきの同時選挙で全中のアンケートに対して、農協の要求はごもっともで支持しますという回答をしている。あなただけじゃない、あなたも含めて十人以上の閣僚が同じようなことを言っている。ほとんどの自民党の議員もそうであります。政治家が国民に対して公約したことについては、責任を負うことは当然なんです。これが政治倫理の第一歩なんです。大臣、あなたはまさか農水大臣になるとは思っておらなかったのでこういう回答をしたのかもしらぬですね。立法府の一代議士と行政府責任者の立場は違うんだ、そんなふざけたことを言っちゃいけないんですよ。一体どういう責任を感じているんですか。
  32. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) もう私の答えを先に村沢先生がしていただきましたので余り多くを申し上げませんが、国権の最高の決議機関であり、唯一の立法機関のいわゆる衆議院議員に私の場合は立候補する、いわゆる立法府の立場というものと、司法、立法、行政の三権分立ということはありますが、その立法府の構成員になり、そして今度は選ばれて行政府の方に入る。  そこで、私も立法、司法、行政の三権分立の問題をいろいろ考えたことはあるわけでございます。そして、選ばれて農林水産大臣になった以上は、やっぱり食管法第三条第二項の規定に従って、国民の理解をいただきながら責任を持って適正に決定していく必要があるということでございまして、おしかりをいただいておりますが、昨日米価審議会にその諮問案を出して、ただいま、きょうもその意見を承っておるところでございます。きょうもこうやって権威ある参議院の農林水産委員会で先生方の御意見を承っておるところでございますが、今後関係名方面の御意見を承り、協議した上で適正に決定できるように努めていきたいと考えておるところでございます。
  33. 村沢牧

    ○村沢牧君 その大臣の政治姿勢や基本的な考え方については、また改めてひとつお互いに論議いたしましょう。きょうは時間がありませんから、なぜこんな諮問米価じゃいけないかということについて私は指摘をしていきたいと思います。  先ごろ六十年産米生産費調査が発表になりました。一体六十年産米生産費を現行米価でもってどれだけカバーできるか、私は一々皆さんに答弁を求めようと思ったけれども、時間がありませんから私の方から申し上げます。現行の米価でもって生産費をカバーできる稲作農家は、一・五ヘクタール以上の耕作規模農家戸数でわずか三分の一、販売数量では半分、しかも一戸平均百俵以上の販売農家地域別に見るならば、平均生産費と比べてみると、北海道と東北を除く他の八つの地域では平均生産費も賄えぬです。現行一万八千三百九十八円の基準価格においてこの実態なんです。この現行米価よりも六十一年産米において三・八%引き下げるというのは一体どういうことなのか。単価は下げても六十一年度生産費は下がりますから心配ありませんと言えますか。お答えいただきたい。
  34. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今御質問の点につきましてお答えします。  六十一年産生産費につきましては、これから現在までの……
  35. 村沢牧

    ○村沢牧君 言えるかどうかを聞きゃいい。そういうことがはっきり保証できるかどうか。
  36. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 作柄等がいろいろ影響いたしますので、直ちにそのカバー率なりがどの程度になるかというふうなことを今申し上げかねるのでございますが、他の条件が等しければそのカバー率が仮に今米価引き下げましても下がるということにはならないと、このように思っておる次第でございます。
  37. 村沢牧

    ○村沢牧君 生産費が、仮に六十年度と同じような生産費がかかって米価が下がればカバー率が下がるのは当然じゃないか。  そこで、大臣、これをもってあなたが言う食管法による生産費所得補償方式による米価と言えるんですか。あるいは政府算定した基準価格より生産費が上回るような農家及びそこから生産する米はもう要らないということなんですか。あなたの選挙区の農民の立場に立って答弁してください。
  38. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私の選挙区の農業者の立場に立ってお答えを申し上げろということでございます。  私の選挙区でも、昔小作争議等が頻発したところのいわゆる今の岡山市の興除藤田地区、ここら辺は十二分にカバーいたしており、余裕があると思います。しかし、中国台地の山奥のおやまだの里というところに行きますと、これはなかなか難しくて、どうして米をつくらなければならないのか、米をつくる意義、意欲を若干喪失する田ごとの月が見えるようなところの米作というのは、一反という広さがなくて、七畝とか八畝とかいうところを一つずつ一つずつ耕していって、農業基盤整備もなおかつ行われていない地帯というところは困る、私はこのように判断をいたしております。
  39. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間が来ましたから私は最後に申し上げますが、あなたも自分の選挙区の農民が困ることをやっちゃだめなんですよ。あなたの選挙区の農民が困れば全国の農民も皆困っておる。  そこで、このように現行米価が現実に即さないということは、政府のやっているこの算定方式というのが間違っておるんです。需給ギャップだなんていうけれども需給ギャップがあるから生産調整をして米の水田利用再編対策をやっているんじゃありませんか。先ほど稲村議員の質問に対しましても需給ギャップを言っていましたが、それじゃ、八二%の農家は対象にする、一八%は切り捨てる、その基本は千三百七十万トンの潜在生産量があるということなんだ。  こんな数字がでたらめということは、過去、去年もおととしもあなたの方の官僚が答弁して、この数字は、実際米づくりをやめたらこれだけの数字があるということじゃありません、これは水田利用再編対策をやる基礎数字でございます、また転作奨励金をもらう数字だと言っているんです。だって、こんな間違った基礎数字をつくって、そこでどれだけの農家がどうとかなんとかいう算定をするのが間違っているんですよ。そのほかに間違ったことたくさんあります。  ですから、こんな算定要素でもって諮問するんじゃなくて、もう一遍やり直したらどうですか。またあしたも米審があるようです。もう一回やり直しませんか。後から同僚議員もまた質問しますが、あなた答弁できないようなことをやったってだめですよ。もう一回やり直しましょう。どうですか。
  40. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 村沢委員がかねがね需給ギャップあるいは潜在自給能力という問題についていろいろお考えを持ち、当委員会においてたびたび主張されておるということを承っております。  そこで、私もそれに対していろいろ申し上げませんが、御認識いただきたいのはポスト三期——一期、二期、三脚をやるときのあれほどの大激論があった、そしてまた、県あるいはそれぞれの市町村に大変な御苦労をおかけしてきた、そしてまた、農業団体にもいろいろな格好を通じて御協力を願ったという一つの事実を見ていただきますと、需給ギャップがあり、また潜在自給力が相当膨大なものである、そして、あるいは三百万トン差があるということであるかどうかということについて、それをいつもだめだと委員の当委員会においてたびたび言われていることは詳しく実は聞いております。  それから昨日、実は米審においても、生産者側の代表の皆さん方の撤回して再諮問せよという御要求がありました。私も、暫時休憩をお願いしまして、いろいろ検討し、勉強し、勘案しまして、こういうお答えをさせていただくことによって米審を続けていただいておるわけでございますけれども、ここでもう各委員の皆さん方のお手元には届いておると思いますが、私の昨日の発言は、「生産者側委員から再諮問の御要求がなされたところでありますが、今回諮問申し上げている米価は、米をめぐる最近の諸事情に配慮するとともに、農家の経営意欲に及ぼす影響にもできるだけの配慮を加えているものであり、再諮問を行うわけにはまいりません。」ここから下が問題であります。「もとより、諮問政府試算でありますので、本審議会における生産者側委員を初め各委員の御意見をよくお聞きした上、十分検討の上米価を決定してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。」ということを申し上げまして、御理解をいただいて、私がこれをお答えした後、米審は審議を継続していただいたという経過があることだけを、この席をかりましてお話をさせていただくところでございます。
  41. 浦田勝

    ○浦田勝君 大臣に一言お尋ねしたいと思いますが、一つの大きな節目、切れ目が来ますと大臣もそれにふさわしい大臣があらわれてくるわけであります。かつて河野一郎先生が食管問題のときに荒療治をなさろうとしましてあえなくつぶされたわけであります。全国列島農民の激しい怒りの中でつぶされたわけであります。  その後、大臣皆さん方は、役人の主導型、事なかれの大臣の方、最近になりましてだんだんしり上がりに学究型の大臣が出てきましたと思いますと、実力派の大臣が今度あらわれてこられたわけであります。ですから、今度の米審に対しての先ほどからのお話、あるいはまたただいままでの質問等に対する大臣の御所見等を拝聴いたしておりまして、この一つの転機、節目に際しましてどのような御方針で大臣として施政を行われるのかお尋ねをしたいと思います。
  42. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農業問題に大変熱心で、生涯をかけてこられた浦田委員の大変厳しいと思える御質問でございますが、先ほど来御報告、お答え申し上げておるように、私としましては、ゆとりある需給ということが第三次過剰を招いてはならない。選択の幅が非常に狭いあぜ道ではあるが、そこを落ちないように、一生懸命各界各層の皆さん方の理解を得ながら、特に生産者の皆さん方の理解と御協力をいただきながら歩んでいきたい、そして国民の主食である米というものの安定供給ということを守っていきたい。  そして、具体的には、もうたびたび申し上げておる潜在需給ギャップあるいは巨額な財政負担、さらにはポスト三期の問題、それから先ほど来議論も出ましたが、賃金、物価の安定あるいは金利の急激な低下という一般経済情勢がこれまでに見られなかった動きを示すとともに、農民の皆さん方の御努力によって稲作労働時間が着実な減少を来してきておる等の事情を配慮するとともに、米価というものが農家の経営意欲に及ぼす影響も十分考えた上の諮問であるということを申させていただくわけでございます。
  43. 浦田勝

    ○浦田勝君 私に与えられた時間は十分でありまして、本当にこれは大臣とやりとりしてお話を、さらにお尋ねする余裕もないわけでありますが、私は今回の米価というのは非常に大切なものだと思っております。先ほども出ましたけれども米価というのが過剰につながるというような考え方、さらにまた米価がいかなる立場にあるか、農民にとりましてはこれは基本給的な存在でもあります、ある面で申したら。人事院の勧告は二・三%、今までの穴を埋めるというわけでありますけれども、農民にとりましてはそういうものもないわけでありまして、先ほどからお話しがありましたとおり八年間は実質据え置きであったと、こういうことであります。しかも、農業基本方針とは一体何なのか。基本法に基づいて他産業との所得格差の是正ということで始まったわけでありますが、農工間の所得格差は縮まるどころか今は開きつつあるわけであります。  さらにまた、農政に対する基本方針というのが本当に猫の目のようにくるくる変わるわけであります。一体生産農家はどのような方向づけに基づいてやればいいのか。政府が指導したことによって膨大な負債を抱えたじゃないか、おれたちは一生懸命頑張ったんだ、頑張ったけれども固定負債がふえてしまった、こういうふうな農家が全国にあふれておるわけであります。私のところの中央会の会長が、会社更正法みたいなものにはならないか、農家更正法でもって臨まなきゃならぬと、こういうことも言ったわけでありますが、みんな笑ったんですけれども、だんだんこれが現実なものとして考えざるを得ない。ですから、米穀政策というものを打ち出さずにおって、米価だけを先に持ってくるという政府の姿勢というのは私は度しがたいものがあるなと。しかも、潜在ギャップがあるからということが非常に言葉の端々に出てくるわけであります。  さっきも申し上げましたように、時間がないから重複しないように質問を申し上げたいと思いますが、私は生涯をかけてといってもまだ生きておりますから、どうかひとつ大臣、もうしばらく生かしておいていただきたいというふうにお願いしたいと思います。  米価試算のあり方でありますが、ことしの米価は、農水省においては前年どおりに試算すると現行価格一万八千三百九十八円に対して六・六%引き下げになるとしておりますが、過去の例から前年どおりという言葉は極めて適正を欠くものとして、生産者、農業団体は非常に不信感を持っておるわけであります。  家族労働評価変更についてでありますが、例えば五十三年から五十七年まで前年どおりの試算ならば上がるべき米価を下げて決定している。特に五十六年は、前年どおりの試算なら一一・七%上がるところを算定要素を変えてわずか〇・五%アップに抑え、そのとき変えたのが家族労働評価であります。前年まで採用した労賃を都道府県別米販売数量により加重平均した地方労賃とした。その結果、現行米価に採用されている労賃千七十四円二十三銭は、五十五年の水準である千九十三円四十五銭に回復していないと、こういうことであります。この点、政府はどういうふうに考えているのかお尋ね申し上げます。  さらにまた、対象農家の変更についてでありますが、翌五十七年には労賃の算定要素を変更した前年の試算をもってしても米価は九・四%上がるはずでありました。しかし、農水省は、これまでの必要量比率方式から潜在需給ギャップ反映比率方式に切りかえ、よりコストの低い農家を対象とするようにし、一・一%のアップに抑えたのであります。生産者、農業団体は、需給ギャップ分は既に転作を行っていることから、米価算定には全米販売農家生産費を基礎として行うことを要求しておりますが、政府の見解をお尋ねいたしたいと思います。  次に、本年産米政府買い入れ価格の決定についてであります。ただいままでいろいろと先生方の方で実例を挙げての御説明があったわけであります。米価算定要素改善の必要性が言われましたが、これらの問題を反映いたしまして、米価による生産費カバー率は昭和三十五年の七五%水準まで低下し、稲作農家の経営を大きく圧迫している。先ほど申されましたので、重複しますから申し上げません。  これは、稲作農家にとりましては精神的に最も重要な動揺を与えるということにもなりかねない問題を内包しておるわけでございますので、ことしの政府買い入れ価格引き下げるような事態になりますと、その衝撃、打撃というのは極めて大きいものがあるわけでございます。  この点二、三お尋ね申し上げて、再質問したいと思います。
  44. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  御案内のとおり、昭和三十五年以来生産費所得補償方式米価算定させていただいておりますが、この間、三十五年から四十二年ぐらいまでの間におきましては農工間の所得格差、こういうことで相当積極的に取り組んで価格を上げておりますし、またその後におきまして四十年代の前半には大量の輸入を行っておったと、こういうこともございまして、いわば増産誘導的な価格設定を行わせていただいておるわけでございます。  その後におきますところの過剰発生後におきましては、生産抑制的なねらいを持ちまして価格決定を行うとか、また四十八年のオイルショックの当時、物価、賃金が急上昇したことを反映させていただきまして、この間におきましては相当大幅な米価につきましても値上げを行っております。  その後におきましては、潜在需給ギャップが拡大してきておるということもございまして、いわば生産抑制的な米価の決定に相なっておるわけでございますが、この生産費所得補償方式によって算定いたします際におきましても、そのときどきの経済事情なりまた需給事情、こういったものを的確に反映させながら適正な米価を決めていかなければならない、こういうことで運営されております。  こうした方法につきましては、米価審議会算定小委員会の報告、また決定におきましては、その都度米価審議会諮問させていただきまして、意見を承りながら決定させていただいておるような次第でございます。
  45. 浦田勝

    ○浦田勝君 いろいろ申し上げたくてたくさん持ってきたんですが、もう時間がございませんものですから本当に残念な話でありますが、私は先ほども申し上げましたように、労賃の取り方、資本利子とか地代とか、公債の利回り等の変化等々もあるわけでありますが、そういうものの中で、(「聞こえない」と呼ぶ者あり)聞こえない。余り大きな声を出すということは遠慮したわけでございますが、この労賃の取り方とかこういうものは、非常にあなたたちの取り方によればどうでもなれるような取り方であります。私どもはこれに対しては甚だ不満であります。地代資本利子、あるいは経営者であり労働者である、あるいは管理費の問題、地代の問題、利子の問題、国債利回りの変動的なもの等々についての取り方、こういうものでやられたんじゃたまったものじゃないわけであります。  特に、これは農家所得の、年寄りの皆さん方、これは年金等が含まれておりますが、勤労者には単身世帯の方々にもあるわけでありまして、非常に何か農家所得が勤労者の所得よりか三割も多いんだ、ゆとりがあるからというような取り方でやられたんじゃたまったものじゃない。先ほど申し上げましたように、農家は失業保険はないわけですから、これは勤労者の方々は失業保険もあります。何の保障もないわけでありますが、総合所得の中で食っておるのに、これに対して米生産を抑えるというのはおかしいと思うわけであります。  それともう一つは、先ほどもくどいようですが、やはり米価基本政策、米穀政策は並行していかなきゃいかぬ。したがって、農家皆さん方も、昨年、この前までは良質米産地の皆さん方とそうでない方とのいわゆる意見に分かれがありました。ことしも、要求米価は正常どおりとるべきである、また確保しなきゃならない、獲得しなきゃならない、こういう強い意見のところもあったわけでありますが、それが、皆さん方が本当に日本農業を守り、稲作農家として、あるいは農家として自立していくためには、お互いが国の事情、経済事情、世界的なものをそこで考え直して、一つでいこうということで、最大公約数によって現行水準までということに結論がなったわけであります。  ですから、このパンフレットでありますけれども、これには大臣も載っていますが、これはアンケートでございまして公約というほどでもございませんけれども、しかしこれはアンケートであっても、政治家が一たん口にした以上は、たとえ大臣であろうと秘書が代筆したであろうとこれは生きておるわけであります。これについて、これを支持しないと言ったのが泡沫の方合わせて五名落選いたしております。支持しないという人は全部落選している。あいまいもこの答弁をしておるのが大蔵大臣と中曽根総理であります。まあ当事者としてはそれはそうかもしれませんけれども。  ただ、私が願うことは、過剰であるということは需要と供給のバランスが崩れておる、よく知っておるんです、みんな。人間の胃袋というのは一つですから、これは米五杯食えとか肉を何キロ食えとか、牛乳を何杯飲めとか卵をどれだけ食えとかいったって食えるものじゃありません。全部糖尿病になりますよ、これは。ですから、ならないためにも、我々としては秩序ある、そして新しい生産体制を生み出さなきゃならぬ。そのためには弱者切り捨てじゃなくして、弱者も生きていけるようなこともしてあげなくちゃならぬ。また、本当に経営できるためには、規模拡大の裏づけもしなくちゃならぬ。そういうものが全部出ている、本音でみんなが話し合って、そうして皆さんやりましょうということであればわかるわけです。  ところが、それはなしにして、米は潜在的に自給が増大する可能性がある、価格が自給を保つ、だから米価は抑えなきゃならぬと。こういうことになるということは、だんだん世の中が変わっていってもそれなりにまたまたどんどん下げてきやしないかという懸念もある。農村の果たしている役割というのは大変なものです。国土の保全から、もう私が大臣に言わなくてもわかっておる。これは本当に全国の農民の皆さん方、今度の米価だけは本当に静かに見守っておるわけです。政治というものが公約どおりやるのかやらぬのか、政治家とは一体本当に二枚舌なのか一枚舌なのかというのは全員が見ておるわけです。その後に行動を起こそうというような動きがあるということも大臣、深く御認識をいただきたい。  大臣も、本当に私は尊敬もいたしておりますし、また本当に政策のベテランであることも知っています。ですから大臣におなりになった。しかし大臣、お願いなんだ、悪代官にはならぬでくださいよ、いい大臣だったと。そういうことで大臣が本当にいい行政を残されたと。ですから、大臣は生産者の立場も御存じですから、また今までも、また本当に私どもに対しましても、農政に対しての御指導もいただいたわけでありますから、私ども大臣の後を継いで、ずっと足跡をたどりながらこの席に座っておるわけでございますから、後輩のお願いでございますから、どうぞひとつよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  46. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 浦田委員の胸を打つ御忠言ありがとうございます。  私も実はいろいろ考えるところがあるわけでございますが、先ほどのアンケートの問題、組閣本部に呼び出しを受けて行く自動車の中で一番に思い浮かべたのがそのアンケートの中身であったということを申させていただきまして、お答えにかえさせていただきたいと思います。
  47. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 公明党の刈田貞子です。質問させていただきます。  私は、先ほど来いろいろ昨日諮問米価が論議されておりますが、まことにつかまえどころのない話にもなりがちなので、大臣就任当初、閣僚インタビューとして新聞にインタビューをなさいました言葉じりをつかまえるというわけじゃございませんけれども、その答弁のようなものをひとつ筋道として質問させていただきたいと思いますので、よろしくどうぞお願いをいたします。  大臣は「四百三十万戸の農家のうち、三十万戸でコメの四〇%を作っている。こうした農家と小規模農家とでは生産性に差がある。生産性の向上メリットの配分をどう考えるかが問題だ。」というふうにおっしゃっているんです。これはいいことを言っていらっしゃいます、大変に。  そこでお伺いをするんですが、この生産性向上のメリットの配分を考えたあげくが昨日の三・八であったかどうか、こういうことでございますけれども、先ほど来出ておりますように、農民が生産性向上のために努力をしたそのストックされたもの、この努力が自分たちの手もとに残らないということ、このことを昨日も盛んにこの米価の大会で訴えられていたというふうに私は思うんでございますけれども、この辺をどのように考えられるのか。  しかも、後半では「国民各界、各層の理解と納得が得られるような適正な価格を考えたい」、このように言っておられます。努力をする分だけ損をするような算定の仕方、それが果たして国民各界、各層の理解と納得が得られておるかどうか、まずお伺いをいたします。
  48. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) あのたしかインタビューは、私は二十二日の夜は二時間ほどしか寝てなくて、二十三日の朝じゃなかったかと思うのでありますが、先ほど諮問米価、この数字の根拠、政府委員から御説明いたさせましたときに、六十年、五十九年、五十八年、さらにことしは収量変動平準化係数というものを出しました。これがいいか悪いか、いろいろ御議論はあるところでございますが、五十六年、五十七年の分に対してのA、Bで五とか三とかいう数字が出てきました。  ことしも、生産性というのは毎年毎年向上いたしております。それを過去三年にとるということは、生産性向上メリットを二年分、二年分はことしの算定米価要素の中に取り入れておるという一つの基本的な考え方があるわけでございまして、この点がよく議論の分かれるところでございますが、過去二年間の生産性向上メリットは生産者米価の中へ入っておるということでございまして、これを単収という問題で織り込みましてことしも出しましたのがことしの諮問案になるところでございますので、生産性向上のメリットを三年間三分の二は取り入れて、ことしは三分の二以上取り入れた問題であるという御理解をいただきたいと思います。  それから「各界、各層の納得」という意味は、いろいろな含みを私は持たせて言っておるつもりでございます。もっと厳しく、補助金を二兆円も出して、税金を農民はろくに払ってないとかいう人に対しても、そうではありませんよということを認識してもらいたい。あるいはまた、米の消費の減退傾向がずんずん続いていっておる。先ほど浦田委員がおっしゃいましたように、昔のことを考えると随分消費の減少傾向があります。しかし、そういう中で、消費者の皆さん方も米の消費拡大にひとつ御協力をいただけませんかというような思い、こういういろいろな思いを、各界、各層の理解と納得が得られるようなという意味での適正米価と、こう申し上げた次第でございます。
  49. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その生産性向上ないしは生産者自身が努力してつくったコスト低減というようなものが果たしてこの算定でもって手元へ戻っていくかどうかというようなこと、こういうことについては非常に論議があるところでありまして、私これに時間をかけておりますと先へ進みませんのでやめますけれども、お話し合いをしてみますと、四十二年から四十四年まで政府が採用なさった例の生産性向上環元分の試算の仕方については大変人気があるようでございまして、この辺のところもぜひ御検討なさる必要があるというふうに私は思います。  それから、二番目の質問でございますけれども、インタビューの中で「(米価抑制という)臨調、行革審の要望もあるので、調整を図っていきたい」ということをやはりお答えとしてなさっておるわけでございますが、今回の生産者米価が論議されている中で、この行革審答申あるいは臨調答申あるいはまた経横研報告というようなもの、こうしたものが大変下敷きにちらついておることを私も感じるわけであります。大臣がここで「調整を図っていきたい」という部分のところは、どんなことに苦慮なさって調整を図られたのか、それはどんなところに具体的に昨日の諮問であらわれておるのか、そんなことをちょっと伺いたいんですが、まずそれを一つ先に伺いましょう。
  50. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は四十二年の一月に初めて国会議員にさせていただいたわけであります。そのときは米価の問題にも参画していろいろやったわけでございます。そのときの数値以来、いろいろ毎年毎年かかわってきました。先ほど政府委員が若干その時代その時代の需給状況、財政事情に応じて変化があると申し上げましたが、私が昭和四十二年一月に衆議院に当選させていただいたころは約百万トン外国から米を輸入しておる時代でございました。  したがいまして、その前後私も諸外国を回ったのでありますが、地中海沿岸の諸国においても、ジャパニーズスタイルといって、日本人に米を売り込む、日本人好みの米をスペインやいろいろなところでつくり、イタリアでは苦い米であったのでありますが、つくって、逆に売り込みを日本の国会議員が行くと各国から要請された時代、そういうときに米の安定供給を図るために生産者米価というものを議論した、そしていろいろな指数をとったのと、まあ米の輸入時代、米の不足時代、過剰供給時代、抑制時代、いろいろな私、二十年間の過去の米価を決める歴史を振り返ってみても、そのときそのときの苦しい思い出や、あるいはうれしい思い出があるということを冒頭申させていただきたいと思います。  それから、臨調、行革審というのが当日出ましたのは、各入閣者に対しましては、組閣本部におきまして、行財政改革の推進とか経済構造調整、いわゆる前川レポート問題に真険に取り組むとか、いろいろなお話が出るわけでございます。そこら辺を中心に翌日の質問で私にされたと、そこで私がいろいろお答えしたのをただいま刈田委員はお話しになったんではないかと思います。  私としましても、行革番あるいは経済構造調整推進会議でいろいろ決められた農業に関する問題、あるいはそういうところから求められておる農政に対する問題というものはやはり無視するわけにはまいりません。念頭に置きながらやっていかなくてはなりませんが、しかし何といいましても、稲作農業の生産性向上、そしてまた、健全な発展を図っていくということが農政の基本である。そして、そういうことと需要の動向等を見ながら農業生産の再編成というものもしなくちゃならぬのかな。そして、その中においては、何といっても中核農家や、あるいはまた生産組織、生産集団の効率化ということ等をして、足腰の強い日本の農政、そして国際的に抵抗力のある日本の農政というものを進めていかなくちゃならない。  そういうものをある面では今回の諮問案の中に心の中の願いの一つとしてどう入れるかなということは考えたことがございますが、それは先ほど冒頭政府委員が御説明申し上げましたような諮問案になったわけでございます。
  51. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣、お話がお上手だからとっても聞き入ってしまうのでございますけれども、時間がございませんので少し縮めて答えて下さい。  それで、今中核農家の育成というふうな話が出たので、ついでに私同うんですが、行革審答申、六月十日に発表されたものの中で、生産者米価抑制についてうたっているくだりで「生産者米価については、米需給の構造的不均衡等にかんがみ、生産抑制的に決定することとし、」——そのとおりなさっているわけですね。「この場合、稲作の生産構造を改善し、今後育成すべき担い手がその生産シェアを拡大し得るよう配慮する。」この後段の部分の話を今、大臣が触れられたと思うんです。  私は、古くて新しい話といいますか、価格政策と構造政策がどう絡み合っていけばいいのかというテーマだというふうに思うのでございますけれども、こういうようなことについて、大臣、今回のこの決定米価、まだ決定しませんけれども諮問米価、これをどう考えるか、こういうものが育成につながるとお思いになるかどうか。  実は、つながらないというふうな数字はたくさん私持ってきたんです。難しいなと。例えば、規模拡大するには今何といっても利用権の設定でやっていく、そうすると小作料の話等たくさん出てきているわけです。数字を持ってきました。今それをやっているとどうも間に合いそうもありませんのでそれは省きますけれども基本的には、こういう米価の決定の仕方をしていくと、育つはずの中核農家も育っていくという要件がそろっていかないのではないかという声があるのですが、それに対して大臣どのように答えられますか。
  52. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 意欲を持っていただくように、中核的担い手がそのシェアを拡大していただけるように願いを込めて出したのが今回の諮問案でございます。
  53. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その願いを込められる分だけ大変悲痛な願いを込めて言っていらっしゃるんだと思うのよね。確かに難しさがあると思います。そして、それは現場の方々も非常によくわかっているわけですよね。懸命に中核農家になろうとする方々が、十アール当たり三万七千円の小作料を払って、事実上どのぐちい稲作所得が得られるかというような数字も実は私たくさん持ってきたの。それを言うと時間がないんだけれども、実はこの米価、五十九年のときの努力はかなり実ったんですよ。ところが、六十年になるとそれが非常に裏目に出てくるようなそういう数字があるの、これは具体的に差し上げたいんですけれども。だから、米価がそういう中核農家が土地を集積し規模を拡大していくについていかにかかわっているかという、そういうことも考えていかなきゃいけない。  そして、そのもう一つ基本に、先ほど申し上げましたように、このいわゆる価格政策と構造政策をどういうふうに賢明に連動させていくのか、しかも農家、生産者の意欲をますます向上させながらと、こういうことは非常に大変なテーマなんです。だから、これは真剣に考えていっていただきたい。私、きょうお訴えしたいことの一つとしてこれを取り上げてきたわけでございます。  それから、三番目に食管のことなんですが、大臣、これもまたインタビューでお答えになっていらっしゃいますが、食管制度をめぐって臨調、行革審が米の全量管理の見直しを指摘し、廃止論や直接統制にかわる間接統制論などさまざま意見が出ている。で、食糧庁は制度の弾力運用を一貫して唱えておるが、私の考えは役人の弾力運用とはちょっと違うと、こういうふうに言っておられるのですが、大臣のお考えの、その弾力運用が私は役人とはちょっと違うという、そのちょっと違うところを聞かせていただきたいわけです。
  54. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) いかなる制度もいかなる組織も、それが硬直してはだめになってしまう。常に制度そのものを見直し、そして本来の意義を全うしていくようにしなくてはならない。そして、また逆に、食管制度が厳しい財政事情のもとにさらされて年々相当の削減を受けて、もう骨と皮になってしもうたかなという感じも率直に言うたら持っております。そういう中で思いを新たにして、もう一度食管制度の効用、機能というものを充実拡大あるいは簡素合理化と、相反する問題がぶつかってくるかもわかりませんが、そこら辺に取っ組んでいきたいという意味で申させていただいたわけでございます。  それから、先ほどの先生の御意見、私も一番同感しておるのは、時間がないので簡単に言わせてもらいますが、農政に取っ組んでみまして、市場メカニズム、自由競争原理の世界に農業というものが全部さらされておる国はない。日本も当然である。これに対する政策というものをどう加えるかというこの問題が、私は農水大臣になってみて、市場原理というものと政策を加えるというものと、ウエート、重みに一番今後配慮していかなければならぬ問題ではないか。  それから、先ほど来の数字、実は私の方の中国とか近畿の方の小作代と純収益数字等も見て頭を抱え込んでおるということもついでに申させていただきます。
  55. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 食管の問題については、消費地も含めてこれまた大変に関心の深いところでございまして、これはこのことだけについてまた十分にやる時間をとってみたいというふうに思うんでございますので、それはそのままにおきまして、あとポスト三期対策についてちょっと伺うわけですが、これもまたタイムトンネルの先に来る大変重大な問題でございまして、先ほど来お話が出ているところでございますが、三期目の対策の中で特に顕著に打ち出された四十五万トンずつの積み増しの問題、これの問題をどういうふうにお考えになるか、これをどう処理していくかということと、それからあわせて出てきた他用途利用米の問題、この他用途利用米の問題も、実はこれだけでまたやりたいというふうに思うくらいいろんな意味を私は感じておるわけでございます。で、生産地においても、かなりの論議が出たときからあり、そして今も続いているのが現状ですね。これは細かくは申しません。  しかし、そうした積み増しの問題、そして他用途利用米の問題等も含めて、まず三脚対策が成功したのかどうなのかということを一つ伺って、それから今後これに続くものはどうなっていくのか、そのタイムスケジュール等も伺って、私の質問を終わります。
  56. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 三期対策は、私はうまく機能してもらったと考えております。  それからポスト三期問題につきましては、これから各界各方面の御意見を承りながらやっていかなくてはならぬ問題でございますけれども、先ほど来当委員会の諸先生方から御議論が出ておりますような米の需給状況であるとか転作の定着化問題であるとか、あるいは財政事情、それから長期的な観点からの農業の将来に対する見通し、こういうものを抜本的に検討し、今後、実施期間、転作面積の取り扱いということ等も決めていかなくてはなりませんが、先ほど来申し上げておりますように、相当な面積を拡大していかなくてはならない。それは、先ほどおっしゃいましたが、他用途米とかいろんな議論もありましたし、あるいは昭和五十九年のような御議論もございますし、あのときの国会決議というものもあります。そういうもろもろの問題を踏まえながら、今後は関係各方面の御意見、そして市町村長、地方公共団体農業団体等の御意見、要望も受けながら農政審議会にもお諮りするということで、これも大変だなと。米価と並ぶかあるいは米価以上の、日本の農政の将来を方向づけ、決定していく問題ではないかと思っております。
  57. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、昨日諮問された米価マイナス三・八%、実額で一俵七百七円の引き下げ、これは本当に農家皆さん関係者のもう願いを踏みにじるものだ、到底受け入れがたい、私はまず撤回してほしい、これを最初に申し上げます。  なぜかといいますと、いろいろ問題がありますが、最大の問題はお米づくりの労働費評価の問題。説明にもございましたけれども、五十六年度大変この評価を変えました。その結果、五十六年度は五十五年に比べまして一挙にこの労働費だけでも二〇%近くも引き下げられました。そして、どうなったかといいますと、今回の諮問にありましてもこれが一時間当たり千百二円ということですが、かつての五十五年方式でいけば一時間当たり千四百七円ということになるわけです。ですから、この一時間当たり労働費が不当にも三百円以上も値切られた、こういうことを示しているわけです。これで果たして本当にお米づくりに意欲を持つことができるんでしょうか。とりわけ後継者が希望を持って稲作に取り組むことができると確信しておられますか。
  58. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 数字の問題についてはまたいろいろお話し合いをしなければならぬと思っておりますけれども、先ほど来申し上げております潜在的な需給ギャップが拡大傾向にある現状におきまして、家族労働評価を大きく高める算定方法に改めることにつきましては、生産刺激的な価格の設定を行うこととなりますので、私は需給事情等から困難であると考えておるところでございます。
  59. 下田京子

    ○下田京子君 潜在需給ギャップが大きいので大変困難だというお答えで、私が質問した意欲を持てるかということについてお答えがなかったですね。今のお話というのは、生産調整なかりせば一千三百七十万トン生産できるという論理ですが、現に生産調整大変な苦労しながら一〇〇%以上達成しているんですよ。で、その一方でもって、かつてもう五十七年度からコストの高い農家というのは切り捨てちゃったじゃありませんか。いや、そういう算定から除外していっているんです。そして低米価をやってきたんです。ですから往復びんたです。減反と低米価です。意欲を持って農業を続けられると確信して皆さんにお話しできますかということです。
  60. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今の御質問、御趣旨はよくわかるわけでございますけれども、私も反当たり収入を米作の場合、たばこの場合、あるいはそれ以外のものもそれぞれやり、また一日当たり労働費というもの、あるいは一時間当たり労働費、各農産物ごとに勉強もいたしてみました。そしてまた、それと比較検討するところの都市労働者の関係の勉強もいたさせていただいております。今回の諮問案を決める中身の算定要素で意欲を持つか持たぬかと言われますと、ある程度以上の皆さん方相当の意欲を持っていただけるようになっておる、こう思っております。
  61. 下田京子

    ○下田京子君 どう思おうとそれは個人の勝手といえばそうですけれども、政治というのは、私いつも言うんですけれども、きのうよりきょう、きょうよりあすということで、こう発展させていく上で責任を持たなきゃならないんです。今どき労賃引き下げなんということが国際的に通用しますかという点でこれは問題だと。  それで、次のことで申し上げたいのは、五十三年から水田再編対策がスタートいたしましたでしょう。特に、臨調行革路線がしかれたのが五十六年以降ですが、その五十六年に、今言うようにお米づくりの労働費評価がえをした。それで翌五十七年に、必要量という格好でコストの高い部分を計算から置いていくというようなことをやったわけです。ですから、減反の押しつけと低米価、これがもたらしたものは一体何だったかというと、二年前の韓国米輸入であったと思うんです。大臣、つまりここのところをきちっと今私は政府は反省すべきだと思うんです。ゆとりある米管理とそれから三たびの過剰を招かないんだ、こういうふうにおっしゃって、両側面を大事にしていきたいということをもう繰り返しいろんなところで大臣お述べになっております。  しかし、結果としてどうかといえば、五十二年方式で計算すれば基本米価というものが二万一千六百八十九円になるんです。ですから、諮問米価は今回の場合一万七千九百六十一円ですから、その差額たるや一俵実に三千七百二十八円です。これだけ値切ったということになるんですね。そういうことを具体的に結果として示しているわけですから、あれこれおっしゃいますけれども、結果としては財政事情を優先させ、三たび過剰を招かないということで今回の米価諮問を出されたんではないでしょうか。
  62. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 労働賃金引き下げという言葉をおっしゃいましたが、それはいたしていないということを冒頭申させていただきます。  それから、先ほど申し上げました、私はきょうその数字のお話余り申し上げまい、こう思っておったわけでございますけれども、私の手元にある稲作所得製造業五人以上全規模賃金との比較表によりますと、五十九年、一時間当たりの稲作所得は千六十五円、失礼しました、千六百五円。これは六百円違ったら大変なことです。製造業五人以上の規模の一時間当たり賃金は千四百八十六円になっております。六十年で申し上げますと、千四百九十一円と千五百二十二円になっております。  そして、最後の御質問でございますけれども、私は財政事情によって云々と申し上げておるのではないのです。今回の諮問米価は、生産費所得補償方式を守り、再生産の道を確保し、そして食管制度を守っていく案であるということを御理解いただきたいということでございまして、もちろん農水省全体として見まして厳しいシーリングを受けまして、毎年一千億円以上の削減をされてきておるという現実、これは我々は直視してやっていかなくてはなりませんが、そういう中で今申し上げました生産費所得補償方式を守り、再生産の道を確保し、食管制度を守っていくんだという意味での諮問米価であるということを御理解いただきたい、こう思うわけであります。
  63. 下田京子

    ○下田京子君 財政事情が優先してないと言いますけれども、それから労賃のとり方、これは引き下げじゃないと言っておりますが、結果としては、全国平均を地方労賃に切りかえて、米主産地に切りかえていった結果としての引き下げになっているんですよ。そこまで議論するつもりはなかったんですが、あえて大臣がおっしゃいますからそう言います。  そして、財政事情を優先させたものじゃない、こうおっしゃっておりますけれども、一俵当たり三千七百二十八円の値下げをしておきまして、五十二年方式に比べて。その結果どういうことになるかといいますと、今回の諮問米価というものは、何と実に、政府に対する販売数量を七百七十五万トンといたしますと、その差額、合計額にすると約五千億円値切られているんです。それで、過去五十二年からそうやって計算方法を変えてきた結果、この九年間の間に農家の損失総額というのは三兆六千億円にも上っているというのは、数字的に後でよく大臣計算してごらんになってください。指摘しておきます。  それから、食管を守るんだ、こうおっしゃっておりますけれども、七百七円の引き下げというのは、これは売買逆ざやは現在が七十円でしょう。コスト逆ざやまで踏み込むわけです。つまり、このことは食糧管理経費の中の食糧庁の人件費だとか金利負担、こういったものまで国民に負担させるという論理になるわけです。これは本当に、食管の根幹というものについて、一体もうこれで守られているんだろうかという大きな問題になっていくわけですね。  それで、この論議をやっている時間がありませんから、私はここで大臣に質問したいのはこの点なんです。政府米のコスト逆ざやの縮小、この点については五十七年の七月の臨調の基本答申については述べられておりませんでした。ところが、ことし六月の十日に出された行革審答申の中では明確に言っているんですね、「米価の適正な設定、」によって「政府米のコスト逆ざやの縮小を図る。」と。この路線に沿って決められたものということになるのではないでしょうか。
  64. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回、順ざや論あるいは売買逆ざや論そしてまたコスト逆ざや論、私も諮問を決める前に随分勉強し、議論もさせていただきました。政府管理経費が国民に対して米の安定供給を行うための必要な経費であるという大前提があります。したがいまして、コスト逆ざやの解消自体を目的とした政府買い入れ価格政府売り渡し価格の改定を行うということは考えておりません。  しかしながら、コスト逆ざやの縮小自体は必要と考えております。それは基本的には、下田委員と意見が違うかもわかりませんが、運賃、保管料、事務・人件費等の政府管理経費の節減合理化によって対処していきたい、このように考えております。
  65. 下田京子

    ○下田京子君 管理経費の節減合理化をすべて私どもは否定はいたしませんよ。しかし、食管の根幹は何かといいますと、二重価格制とそれから全量管理でしょう。そういう中にあって、管理経費も含めて今まではきちっと賄っていたわけでしょう。コスト逆ざやまで踏み込んで、その臨調答申の、行革審答申の言うとおりになっていったということは非常に問題だということを改めて申し上げておきます。  そして、このことは何を意味するかということなんですけれども、これこそつまり大臣、一昨年の九月に日米諮問委員会で出されました、もう日本ではお米や大豆や大家畜の生産をおやめなさい、草花や果樹や野菜などをつくりなさいというこの路線、そしてことしの四月に、中曽根総理みずからが大変意欲的に、前川前日銀総裁を座長に据えて、前川レポートという形でまとめ上げたあの日本経済の構造を調整するという内容、つまり農業、中小企業、石炭業の衰退といいますか、そういう路線に一路乗っていくということになるのではないかと思うんです。  そういう点で、大臣が日米諮問委員会あるいは経構研、前川レポートなるものに対してどういう考えをお持ちなのか。
  66. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 冒頭はっきり申し上げておきたいと思いますのは、日米諮問委員会報告あるいは経構研報告に沿って算定したものではありませんということをはっきり申し上げておきたいと思います。  それは、先ほど来当委員会の各委員の皆さん方から次々御要望のあった、御質問のあった点について、需給ギャップあるいはポスト三期の問題、あるいは賃金、物価あるいは金利等の一般経済情勢の変化、そして最後にぎりぎり米価農家の経営意欲に及ぼす影響に配慮して米価算定してきたものでございまして、そういうものに従って算定したものではないということでございます。
  67. 下田京子

    ○下田京子君 答弁。日米諮問委員会、経構研にどういう考えを持っているのか。
  68. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) これは、世界のいかなる国といえども、これはオーバーになるかもわかりませんが、農業政策で成功しておる国は地球上百六十何カ国見て余りないなと、我が日本が参考にしたいと思うような農政を展開しておる国々はないということが一つ。それから、我が国は世界最大の農産物輸入国であるという認識もあります。そしてまた、いかなる国においても農業においてはそれぞれの優遇措置、保護政策等はとっておるんである、こういう認識を持っておりますから、諮問委員会の方々は、いろいろな立場で、視野の狭い方もあるし、あるいはまた自国の農業を何とかしたいという立場の人等もあるんではないかなと思っております。  経構研の問題、いわゆる前川レポートの問題につきましては、私自身も前川さんと内緒に一対一で激しい議論を展開し、これはこういう席で公表すべきものではないから申し上げませんが、私自身はあの前川レポートが出る前に前川さん自身と数時間にわたる議論をさせていただいておるということを申させていただきまして、お答えにかえさせていただきます。
  69. 下田京子

    ○下田京子君 ちょっと明確でないですね。前大臣のことを言うのも何なんですが、前大臣は日米諮問委員会については異なる意見を持っている、経構研問題については参考意見として踏まえたい、こういうお話でした。  いずれにしましても、そういった類に基づいて諮問を出したんではないとおっしゃいますけれども、行革審答申のいわゆる「コスト逆ざやの縮小を図る」、こういうことをお認めになってお決めになったということは重大な問題であり、またこれこそアメリカにお米まで任せようじゃないかという路線に乗っかっていく大変危険なものだということは指摘しておきたいんです。  時間もなくなってきましたから申し上げたいのは、大臣ね、読売新聞に対して記者会見でリン農務長官が将来はお米も自由に輸出したいんだ、こういうようなことを言われているのは御承知かと思います。  一つ明確にしたいのは、今お米もきちっと割り当てで輸入もしておりますし、それから米粉の問題なんですけれども、米粉の場合には輸入許可制にしてIQ品目という格好でこれも輸入しておりますね。資料、今お手元にあると思うんですけれども、これら詳しいことは午後に議論したいと思うんですが、一点大臣に確認したい点があります。それは大臣の許可に基づいて食管法の第十一条で輸入規制の例外扱いしているのが資料2のようにあるんです、いろいろ。私が今、大臣に聞きたいのは、資料3の米粉調製品の輸入問題なんです。米粉の場合にはこれは輸入許可制になっております。ところが、調製品ということになりますと、これは法の網の目をくぐって擬装された形で米粉調製品ということで入ってくるんですね。  資料をごらんいただければわかると思うんですが、タイから入ってきているのは五十八年で約二千トンでした。それが年々ふえて、昨年、六十年で約七千トンですね。こういう格好で米粉のいわゆる擬装である調製品がふえるということは遺憾なことだと思うんです。これらについて食管法上きちっとどういう対応をされているのか、あるいは対応していこうとしているのか、そこをひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  70. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 米粉の調製品は、米穀粉に砂糖を加えたもので、ある面でいいますと既に自由化されたものでございます。そして、今、下田委員御指摘のように、近年米の主要生産国でございますタイから穀粉調製品という名目で輸入量が増加していることは私も承知いたしております。  そこで、今後円高の進行状況いかんによってはさらに輸入が増加する懸念もございますので、当面は引き続き輸入の推移を注意深く監視し、そして必要に応じ関係業界に対し適切な指導をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。  私も、昭和六十年度約七千トンの米穀粉の輸入というものが米に換算したら何トンになるんだということを事務当局に言いまして、一遍これの換算したやつを出してほしいと。それからもう一つは、砂糖をまぜただけて調製品になるのかなという問題、そしてそれを後どうやって何に国内では使っておるんだと、私たちが大好物のあるいはだんごになっておるのか、お汁粉になっているのかなということも話をいたしたところでございます。
  71. 下田京子

    ○下田京子君 きちっと指導してください。
  72. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) はい。
  73. 三治重信

    ○三治重信君 今度の諮問が、対前年度より諮問価格が三・八%下げられた。こういうことについて、非常に野党の私たちも、農協の現行米価を据え置くべきだ、こういうことに賛意を表しているわけなんですが、政府が下げる理由は、この所得方式で計算するとそういうふうになった、こういうことなんですけれども、初めの新聞の報道では六・六%ぐらい今までの方式だと下がる、ところが今度、きょう説明があった計算式に変えて三・八%にした、こういうのはどういう理由でそこまでそういうふうなことをしたのか。その意図は、今度は自民党が絶対過半数を持ったから、諮問米価の前に米価を自民党と調整して、その調整の成ったところで諮問案をつくりたいという意欲が先に立ってそういうふうにしたのか。  しかし、どうも結果を見ていると、政府と自民党と、諮問案について自民党は了解をしてないようなんですね。さらに、諮問の答申が出た後、自民党との米価調整が行われる、あるいは政治加算が行われる、また農民の要求がそれで実現されるということになるのか。そのスケッチを考えていくというと、六・六%から三・八%に緩和したのがむだなことになっているのかどうかということ。
  74. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 具体的な数字につきましては政府委員の方から答えさせたいと思いますが、六・六から三・八になりました問題点は、私として申させていただきますと、御存じのように五十四年から五年間不作が続きまして、その不作と、そして五十九、六十年豊作でございました。不作のときと豊作のときとのバランスを考えなくてはならぬのではないだろうか。したがって、五十九年度の生産者米価の決定というものを基準にいろいろ考えたわけでございます。そういう過程の中で、先ほど御説明申し上げました、いろいろ要素は三、四点算定要素を変えたわけで、変えたといいますか勘案いたしたわけでございますが、その中で一番大きい要素として収量変動平準化係数というものをとらせていただきましたら三・八になった。要は、不作のときも豊作のときもバランスのあるような算定要素にいたしたい、こういう気持ちが勝ったわけでございます。  具体的数字につきましては、必要があれば政府委員から答えさせていただきます。
  75. 三治重信

    ○三治重信君 具体的な数字はいいから、自民党との関係
  76. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私がマイナス三・八という諮問米価を決定いたしましたら、党の方では大変なおしかりと怒りがもろにぶつかってまいりました。しかし、私は党の関係方面の皆さん方のこれも理解と納得をいただきながら、何とかして米価審議会というもの、権威ある米価審議会であり、これは政府の直接お願いする機関であるから、これには諮問をさせていただきたいというお願いを、昨日午前中かかっていろいろ御相談、御意見を承りながら、最終的にはこの諮問米審にかけるのはやむを得ぬというところまで昨日のお昼過ぎの段階で持ってきたわけでございます。
  77. 三治重信

    ○三治重信君 それで、答申がきょうの晩かあるいはあしたになるかもわかりませんが、出た後は、大体政府独自で今度は米価を決められる情勢なんですか、さらに自民党と調整しなくちゃならぬと思っているわけですか。
  78. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 米審は、昨日の最後の時点におきまして、米審会長から私に、五、六でやりたいと思うたが七まで延ばすが、農林大臣としてはどうかという御意見がございましたから、私の方は構いません、よろしくお願いいたしますということで、米審は五、六、七と三日間行われるようになりました。まだどういう答申をいただくか予断を許しません。その御答申をいただいた結果、私は先ほど来御答弁申し上げておりますように、関係各方面の御意見を十分に承りながら適正な価格を決定していきたい、こう思っておりますが、具体的には相当激しい問題が答申をいただいた後にも起こってくるのではないだろうか、目下のところはそういう判断をいたしております。
  79. 三治重信

    ○三治重信君 いかなる場面においても、何といいますか、価格が下がるということについては大変な生産者は恐怖を持つことになるわけなんですが、現下の政府の認識からいくというと、大臣の今までの答弁を聞いていると、また米の過剰時代になってきたんだと、こういう意見が非常に強いわけなんで、そうするとさらに米と他の生産物との収益の差が拡大するようになるとますます農政はやりにくくなる、こういうことに尽きるんじゃないかと思うわけなんです。  そういうふうになってくると、やはり米の農家収益と他作物の収益、それと水田収益と他の畑作との収益、こういうものの調整基本的にやっていかぬと、米価対策だけで上げる下げるということだけだと、これは感情の問題や経営や経済以外のことが入って、私は農政を非常に何といいますか、曲げるものだと思うんです。だから、そういうものに対して、時間がありませんから、基本的な方向づけをちょっとお尋ねしたいと思います。
  80. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ある面で言いますと、水田というものの今後多目的有効利用という問題も私たちは考えなくてはなりません。それから、やっぱり国民の主食である米というものの安定供給ということは何としても守っていかなくてはならぬ。さりとて他の小麦であるとか大豆であるとか、いろいろな国民にとって米と同等かあるいは同じような大切な農産物の自給度というものも、私たちは向上を考えていかなくてはならない。そういうことは十分考えながら、そして先ほど来申し上げておりますが、単なる市場メカニズムに任せ切れない米価という問題を念頭に置きながら今後推進していこう、こう思っておるところでございます。
  81. 高木正明

    委員長高木正明君) 村沢君から発言を求められておりますので、この際これを許します。村沢君。
  82. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ革新共闘の五派共同提案による昭和六十一年産生産者米価の決定に関する決議案を提出いたします。  まず、提案の趣旨について御説明いたします。  政府は、昨日、米価審議会に対して、昭和六十一年産生産者米価を昨年に比べて三・八%引き下ば、一俵六十キログラム当たり一万七千九百六十一円とする試算値を提出いたしました。  これは、全国の農業者や農業団体が、最近における稲作と米をめぐる情勢を踏まえた上で切実な要求米価を決定するとともに、これを支持する野党共闘ともどもその実現に向けて運動を展開してきた経過を全く無視したものであり、極めて遺憾であります。  また、今回の諮問米価算出の基礎となっている算定方式については、三割弱の稲作農家の第二次生産費をカバーしているにすぎず、家族労働費評価にしても、都市均衡労賃とは名ばかりの地方労賃が用いられている等、極めて問題が多く、その改善が強く叫ばれてきたにもかかわらず、何ら基本的な改善措置が講じられてこなかったことも極めて大きな問題であります。  政府は、稲作農家が、長期にわたる減反政策や低米価政策等によって負債の累増を招き、農業経営の維持が困難となる中で、農業の将来に展望を持ち得ないまま生産意欲を失いつつある状況を真摯に受けとめるべきであります。  一方、農政は、市場開放問題への対応、六十二年度以降に予定されているポスト三期対策の推進など、ますます困難な局面を迎えています。このような中で、政策の円滑な推進を図ってまいりますためには、何といっても政府農業者との信頼関係が保たれることが極めて重要であります。  ところが、政府は、我が国農業の長期展望とそれに至る具体的なタイムスケジュールを明確に示そうともしない状況のもとで、さきの乳価や麦価の引き下げに続いて今回は三十年ぶりの生産者米価引き下げ諮問を行うなど、価格抑制策のみを先行させる政策を強行しており、農政に対する信頼感を著しく傷つけているのであります。  耕種農業における生産性の向上は、我が国農業の最も大きな課題ではありますが、その目的達成のためには、特に高地価を背景とした小規模経営が大勢を占めている我が国農業の歴史的な背景を理解し、生産基盤整備のための積極的な投資や、ソフト面の条件整備を推進するなど、長期的な視点に立った誘導措置が必要不可欠であります。しかしながら、今回の生産者米価引き下げ諮問が、このような措置を前提とした条件のもとで行われたとは到底考えられないのであります。  したがって、政府は、昭和六十一年産生産者米価の決定に当たっては、残された時間の中で関係者と十分な協議を行い、稲作農家がその将来に希望を持てるよう、少なくとも現行価格を下回ることのないよう特段の配慮を加えるべきであります。  また、政府は、良質米奨励金を初めとする米の生産、流通、管理等に関する補助金等の確保、減反政策の根本的な見直し、米の需要拡大、超多収米の開発利用の促進、食糧管理制度の堅持、農業生産資材価格の円高差益を含めた値下げ指導、固定化負債の解消、基盤整備、経営対策等の抜本的な実施、国民生活を優先した内需拡大政策への経済政策の転換、農産物の輸入自由化・枠拡大をやめ、農業の再建と食糧自給率向上政策を確立する等の諸点の実現に向けて誠意を持って取り組むよう強く要求し、決議案提出に当たっての趣旨説明といたします。  それでは、次に決議案を朗読いたします。     昭和六十一年産生産者米価の決定に関する決議(案)   政府は、昨日、米価審議会に対し、昭和六十一年産生産者米価について、三・八パーセントの引下げ諮問を行った。   これは、全国の農業者や農業団体が多くの主張を持ちつつも稲作をめぐる諸般の情勢を踏まえて、かつて例のない現行価格以上という要求を集約した経過を全く無視したものであり、極めて遺憾である。   また、政府諮問米価算定当たり昭和五十八年産米以降適用されている「潜在需給ギャップ反映必要量平均生産費方式及び一ヘクタール以上農家平均生産費方式を総合勘案」した算定方式に基づいて試算を行っている。   この算定方式については、従来から、生産費カバー率の在り方、家族労働費評価、企画管理労働に対する賃金付与、自己資本利子率の取り方、自作地地代の元本評価、生産性向上分の生産者への還元等の諸点について極めて問題が多く、「生産費及び所得補償方式」の理念を逸脱したものとして見直しを強く迫ってきた。   しかし政府は、このような関係者の真摯な要求に背を向け、財政主導の米価決定を行おうとしている。   これは、長年にわたる生産者米価の実質的な据置きと、六十万ヘクタールに及ぶ転作等に耐えつつ、経営規模の拡大や生産の合理化に努力してきた稲作農家の意欲に水をさすものであり、国民食糧の安定供給と近代的稲作経営の確立にとって極めて大きな問題である。   よって政府は、昭和六十一年産生産者米価の決定に当たっては、稲作農家所得を補償し、米の再生産を確保するため、少なくとも農業団体等の主張する米価を下回ることのないよう特段の配慮をすべきである。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をいただき、本委員会一致による御採択をお願いします。  この際、私は委員長に特にお願いします。  この決議案は、取り扱い上は野党の共同提案ではありますが、農業団体要求を支持するという三百七十数名の署名の自民党の皆さんも、当然御賛成を得られるものと思います。したがって、本日午後の委員会再開の冒頭、全会一致で議決をしていただくよう委員長において各段の御配慮をお願いいたします。  なお、このことについて理事会において意見の一致を見ないような事態になった場合には、本委員会の採決によって賛否をとり、決議案を処理していただくよう要請いたします。その扱いいかんによっては、我が党は午後の審議について重大な考えのあることを申し上げまして、提案といたします。  以上です。
  83. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまの村沢君提出の決議案につきましては、その取り扱いを理事会で協議いたします。  午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ─────・─────    午後一時六分開会
  84. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 上野雄文

    ○上野雄文君 最初に、二年ほど間を置きましてまたこちらに戻ってまいりましたので、ひとつよろしくどうぞ。  地方行政委員会でいろいろ問題と取り組みましたが、農水省が仕事を進める場合、県や市町村というものを抜きにしてこの仕事を進められないのではないかな、こう思うんですね。かつて土地改良法の一部改正のときにもいろいろ農水省と議論をしたこともありますけれども、県や市町村とこれから仕事を進めていく場合に、皆さんの方でどうとらえていくかというのを最初にお尋ねしてみたいなと、こう思っているんです。  というのは、例えばこの減反政策にしても、何か変わった車が走っているなと思うと、役場の職員が横に米の減反政策推進のための車だなんて看板ずっと書いて運転して走り回っているんですね。そうかと思うと、あるとき集落の隅の方に立派な建物ができてみたりというような、これは減反政策の見返りなんだというようなことも出たりというようなことであるわけでありますけれども、今市町村でも、国の行政合理化のあおりを受けて、地方行革などと言われてかなり締めつけもありますし、補助金の合理化なんかで痛めつけられているわけです。  そういうときに、金がおりていって地域でいろんな事業のセットが行われますけれども地域の意思にかかわりなく、あるいは言い過ぎかもしれませんが、金で物を解決をしようというようなやり方がこれからも行われるんであろうかというようなことについて、今考えていることなどについてお話をいただければ、私が不勉強でよく知らないのかもしれませんが、出戻りの私に改めていろいろ教えていただきたいと思うんです。
  86. 甕滋

    説明員(甕滋君) ただいま先生御指摘ございましたように、県あるいは市町村におきまして、農政推進上いろいろ御協力をいただいていかなければいけないというふうに私どもも考えております。まあ農業自体が現場の産業でございますし、日本の地域的なあるいは気象的にも非常に多様な状況下に置かれておりますので、各地の状況に応じてこれを進めていかなければならない状況にもあるわけでございます。そういったことから、これまでも、県市町村を通じての行政も、我が省全体の行政の中でも比重が高まってきているように思いますし、また特に水田利用再編といった困難な仕事においても御協力をいただいて今日に至っておるわけでございます。  そこで、市町村、県に対しましていろいろな援助、指導、こういったことも濃密に加えてまいる中で、ただ単に補助金を流す、こういったこと以外にも、地域農業の振興を図る拠点となる市町村に対しまして総合的な推進指導体制の整備といった指導面も強化をしてやってきておるつもりでございますが、なお今後ともそのラインで進めてまいりたいと考えております。
  87. 上野雄文

    ○上野雄文君 念のために聞いておきたいんですが、県や市町村は農林省の出先ではないよね。
  88. 甕滋

    説明員(甕滋君) もちろん県市町村は地方自治体でございますので、協力関係のもとに指導、援助を加えてまいるということでございます。
  89. 上野雄文

    ○上野雄文君 これはまたいずれいろんな法案のときに絡んできますから、そのときに時に応じて論争を闘わしていきたいなと、こう思っております。  さて、米の問題に絡んでくるわけですけれども、日本は貿易立国で食べていかなければいけないんだ、こういうふうに言われていますね。実は、今もここへ来る途中我が党の国対委員長と廊下で会いまして話しながら来たわけですが、きょう我が党の国対委員長は通産省にかけ合いに行ったと言うんですね。彼は石炭関係だから石炭でやったのと、こう言ったら、いや米の問題でかけ合ってきたよ、貿易自由化の問題で大変な米への圧力になってきているからと言うのです。そういう話を今したところなんです。これと日本の食糧問題というものについて、農水省の方針としてどうぴしっとさせていくのかということを何かもう一遍間かせてもらいたくなったんですね、お聞かせいただけませんか。
  90. 甕滋

    説明員(甕滋君) 今非常に日本の経済全体が国際化をしてまいりまして、それに農業あるいは農村も的確に対応していくという課題があろうかと思いますけれども、こういった狭い国土に一億二千万人が住みまして生活をしているという実態からいたしますと、食糧の安定確保といったことが国の安全保障の上からも非常に大きな問題であるという認識を持っておりまして、国内で生産し得るものはこれは極力国内で賄うべく努力を尽くしまして、また不足するものについては国民の多様な食生活の要望に応じまして輸入もしてまいる、こういう考え方でやってきておりますけれども、今後ともそんなことを基本に据えまして対応していきたいというふうに考えております。
  91. 上野雄文

    ○上野雄文君 そういう言い方をされると、なるほどと思いがちなんですね。でも、マクロの数字で食糧自給率が三〇%を割り込んだということを言われて久しい。その辺の数字的な物の言い方というのは、農水省の立場ではどうなんですか。これね、私なんかついこの間選挙やったばかりで、いろんなところでいろんな議論をしてきました。一番簡単なのは、自民党が多数をとると生産者米価引き下げ諮問をすることは間違いないんですよと、こういうこと。しかし、これも突っ込んでみると少し無責任な言い方みたいに私は感じているわけなんですけれども、あなたの方では一体どの辺にこの水準を置いてみんなを説得できるような数字的な物の言い方、わかりやすい提起の仕方というのはできるのか、その辺をちょっと教えていただけますか。
  92. 甕滋

    説明員(甕滋君) ただいまお話のございましたように、我が国の穀物の自給率等についての論議があるわけでございます。御存じのように、米についてはこれは完全自給をしてまいる、麦も含めました主食用の穀物については現在七割程度を維持しておりますけれども、一方畜産物の需経の増大といったことから飼料用の穀物はこれは大半が輸入に頼っておるということから、そういったものも含めた場合にはいわゆる自給率が三二%程度、こういう現状でございます。  そこで、自給率につきまして、これをこれ以上落とさないように諸般の施策を進めていかなければならないという状況であろうかと思いますけれども水田の生産力も含めまして、現在、水田利用再編の中で不足する麦等の穀物あるいは大豆、そういったものについても生産を振興するといった観点で全体的な自給率の確保にも努力しておるわけでございます。それと同時に、現在の水田の生産力を維持する。これは土地の保全でありますとか、生産組織の維持強化でありますとか、担い手の確保でありますとか、そういった全体的な自給力といった観点からの体制の整備強化といったことにも心がけながら取り組んでいきたいと考えております。
  93. 上野雄文

    ○上野雄文君 ちょっとよくわからないんだよ、やっぱりね。安定確保なんという、それから完全自給、何か行ったり来たりして。現状維持ということですか、そうすると。そう理解していいですか。総合で三二%、今おっしゃいましたよね。そうすると、それを維持していくという、そういうことでいいですね。
  94. 甕滋

    説明員(甕滋君) 現在、農産物の生産あるいはその需要についての長期見通し等につきまして、二十一世紀を展望した農政のビジョンの検討も農政審議会に御依頼をしてやっております。そこで、そういった中で今後の農業、農政のあり方とかかわります自給力の増強あるいは自給率の維持、こういった御論議もいただいておるところでございますので、そういった検討の中から今後のあるべき姿については現在私どもも勉強をいたしておる段階でございます。
  95. 上野雄文

    ○上野雄文君 今度の米価審議会が始まるに当たってテレビ、新聞、マスコミの動きを見ていますと、率直に言って、米に関しては状況は極めて不利と言わんばかりの報道がずっとなされていますね。私は農業を守るということを選挙中も言い続けてきたつもりですけれども、やっぱり反論に遭って一番頭が痛いのは、さっき言った貿易立国という問題と、米の国際価格と日本の米価との比較ですね。これをやられますと、まあ先ほども浦田委員から話がありましたけれども農業の果たしている役割というのは本当に大きいんだけれども、そのことを幾ら説明してみても値段の話でぶつけられると辟易しちゃうわけですよ。  きのう、ゆうべですか、私、本県の茂木町が町そっくり水没したのでそれを現場視察しまして、帰ってきてからテレビ見ておったら、十一時ごろですか、タイのお米とそれにササニシキとコシヒカリ等並べて、そこにみんな値段が表示してあるんですよ。タイの最高級の米で一キログラム当たり五十二円です。それからカリフォルニア米がありましたね、カリフォルニア米が百三十六円、標準米が三百九十円でササニシキが五百五十円、コシヒカリ五百八十円、こうずっと値段の表示までして比較してあるんですね。それで説明が加えられました。これはタイの最高級米で、普通に売買されている米は二十六円ですと、日本のお米はなぜこんなに高いんでしょうと、こうばっとやられますと、これはウーンとこううならざるを得ないようなことになるんですね。この値段はほぼ間違いないですか、今私が申し上げたような。
  96. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生がごらんになりましたテレビで放映された価格といいますものにつきましては、品質面等につきまして若干はっきりしない点があるわけでございますが、私どもが把握しております数字を申し上げますと、国際的な米取引の指標価格と一応なるかと思いますタイの精米の長粒種で砕米が一〇%ぐらい混入されたものがございますが、その最近の公示価格はキログラム当たり約三十九円となっています。したがいまして、今、先生おっしゃいました二十六円から五十二円の間には入っているわけでございますが、一応砕米一〇%混入の長粒種で三十九円ぐらいということになっております。  カリフォルニア米につきましては、精米の工場渡し価格でこれは中粒種でございますが、その値段はキログラム当たり六十五円ぐらいとなっております。先ほどの御指摘のカリフォルニア米百三十六円と、これはどのような種類のものかちょっとはっきりわからないわけでございます。  国内産のものの価格はおおむね放映されたような価格は現在市場で形成されているのではなかろうかと、このように思っております。  以上でございます。
  97. 上野雄文

    ○上野雄文君 さらに、カリフォルニア米は今すしでもどんどん使えるんですよねと、こう解説がつきますよね。それから、日本は今米の輸入は禁止しているんですけれども、私どもが手を尽くして手に入れてきたんですよという解説がついているんですね。いかにもこうあちこちに流通しているという、そういうふうには言いませんよ、言いませんが、私らがちょっと動けば手に入るんですと、こういう印象をだれだって受けるでしょうよ。  それで、こんなに高い米を、こんなに高い米をというそういうことに関して、これから農水省は一体どういう対応策を立てていこうとしているのか、その辺のところ聞いてみたいですね。食管守る、これもあるでしょうが、みんなにわかりやすく問題提起するようなことをやらない限り、これをぶん投げておいて、引き下げ諮問を出すのは当たり前なんだという、そういう印象がどんどん国民全体に広がるように、そういう攻撃を皆さんは甘んじて受けていらっしゃるんでしょうかね。そうとしか思えないと私が言ったって無理じゃないでしょう。ここは政務次官、どうですかね。
  98. 星長治

    説明員星長治君) ただいまの御意見でございますけれども、今食糧庁の次長が言うとおりいろいろな問題ございますので、この点につきましてはなお一層次長から答弁させたいと思います。
  99. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御指摘のカリフォルニア米等が流通しているという御指摘でございますが、この点につきまして、多少お土産等で持ち帰られましたものが、今、先生の御指摘のような関係で見られることはあろうかと思うのでございますが、一般的にカリフォルニア米につきまして輸入を行うと、こういうことは私ども農林水産大臣の許可がなくしては行われないことでございまして、一般的には輸入されてないというふうに考えております。  ほかに多少例外規定といたしましてお米の入る道はあるわけでございますが、土産物として入るとか、試験研究用等で百キロ以内のものが入るとか、こういうふうなことはございますが、これは一般の商売用ということではなくて、ごく限られた例外的なものであろうかと理解しております。
  100. 上野雄文

    ○上野雄文君 いや、私は流通しているなんということを言っているんじゃないんですよ。そういうふうに思われるようなそういう今の状況の中であなた方がどうやっていくのか、ただ守りだけで、そんなことはしておりませんとか何かということを聞いているんじゃないんですよ。いかにして日本の米づくりを守っていく、そのことを達成していったらいいのかということをあなたの方が攻撃をかけていくのが当たり前の仕事じゃないかということを私は言いたいんでして、政務次官のもっと元気のいい返事を聞きたかったんですよね。それはいいでしょう。  そこで、私は林野三法の審議のときにも言ったわけですけれども、林業が果たしている公益的機能を換算したら何ぼになるんだと、こう言いましたよね。二十何兆かのお答えがあったりしました。今度、米づくりでどれだけ公益的な機能を果たしているのか、衆議院で三十五、六兆という答弁をされたという話も聞きました。こういうことについて、大体同じ土地で同じ作物を三千年来もつくり続けて一つも参らないというのは水田農業だからなんでしょう。それ以外のことではちょっと考えられないんじゃないですかね。地下水の補給だって、きのううちの方では大水害を受けましたけれども、あれが果たしているダムの役割なんというのはこれは大きいんだと思うんですよ。  こういうものが子供たちのうちから、山のときも話に出ましたが、学校で山のことに関して、木のことに関してどんどん教科書の中へ入っていくようなことをやりなさいというようなことを言ったけれども、今、じゃ小さいうちから米の問題、食糧の問題なんかについての提起というのはどういうふうにされているんですかね。国内でできなければよそから買ってくればいいんだということだけでいいのかどうかというようなことですね。こんなものは何かやっていますか。
  101. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) ちょっと私、御質問の趣旨を履き違えてお答えすることにでもなりますれば御勘弁願いたいと思うんでございますが、お米につきましては、五十九年にも衆参両院の決議もございますし、国内で必要とされるものは全量国内で生産し、それを安定的に供給すると、こういうふうに私どももそうした決議を踏まえまして対応させていただいておる次第でございます。
  102. 上野雄文

    ○上野雄文君 もう一つ聞いておきたいんですが、ごく最近の統計でいいんですが、日本の農家の全所得の中での農業所得の割合は平均するとどのぐらいになるんですか。
  103. 松山光治

    説明員松山光治君) 地域によりまして、あるいは階層によりましておのずから違うわけでございますが、お尋ねの全国平均の姿で申し上げますと、農業所得と農外所得を合わせました農家所得が六十年の概算で五百四十四万九千円でございます。これに対しまして六十年の農業所得百六万八千円ということで一九・六%、こういう数字に相なっております。
  104. 上野雄文

    ○上野雄文君 こうなってくると後継者の問題だってこれはもう本当に考えていかなきゃいかぬですね、二〇%を割っちゃっている。こういう現状の中でどうしていくかということなども、きょう午前中の村沢委員と稲村委員の質問の中で、農政番で十二月に答申を期待しています。それから、ポスト三期対策は秋にやらなきゃいけないというときに、そういうことを全部抜きにして米価を決めようといったって本当は無理があるというふうに思いますよね。しっかりしてくださいということを激励したいと思うんです。  それから、おとといからの災害の集計はできていますか。
  105. 松山光治

    説明員松山光治君) 今回の大雨によりまして各地に被害が出ておるようでございます。関東でも栃木、茨城あるいは千葉、埼玉等々の諸県で被害が出ておるわけでございますが、今私どもの統計情報組織としましては、組織を挙げまして被害状況の把握に努めておりますけれども、何分にも被害の直後でございまして、まだ現地にも入れないような地域も幾つかございますので、ここで被害額その他を申し上げ得る状況にございません。ひとつ御理解いただきたいと思います。
  106. 上野雄文

    ○上野雄文君 要望しておきますが、うちの県、栃木県ですけれども、今これちょうど十二時ごろファクシミリで送ってよこしました。相当な額になっていますが、これも途中ですからここで数字申し上げることは避けますが、ふえることは間違いないでしょうね。さっきのお昼のニュースで、小貝川が決壊しましたから、また茨城県下でものすごく広がっていくだろうと思うんであります。米が上がらないで頭抱えているところへ、また水害でめちゃめちゃにたたかれたなんということで、被災者の方々には本当にお気の毒で言葉もない、そういう気持ちでいるわけでありますが、積極的に対応をしていっていただきたいなと、こう思っております。  大急ぎでいろんなことをお尋ねしようと思っておったんでありますけれども、時間がなくなってしまいまして、ひとつ、最初に触れた自治体との関係の問題に関係をしますが、戦後、日本の農業をしっかり守っていくというんで農業改良普及員制度をつくりましたよね。彼らが果たしてきた役割というのは、私は大変な役割だったと思うんです。しかも、この農業が変貌していく中で、それなりに仕事の内容も変えて、一生懸命勉強もし努力もしということで農民と結びついてきたわけですが、これが合理化の波に洗われて、事務所の統廃合やいろんな問題が起こってきました。中でも一番大きいのは交付金制度に切りかえられたことですね。それがまた今度は一般財源化しようという、そういう働きがあらわになってまいりました。  去年は我々が押しかけていって何とか食いとめることができたわけですが、来年度の予算に向けて農林省のひとつ決意のほどを聞きたいんですけれども、ちょっとおっしゃっていただけませんか。
  107. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 普及事業は国と県の共同事業といたしまして実施してまいったところであります。このために、今、先生御指摘のとおりでございまして、国は県に対しまして普及事業交付金として交付金を交付しているところであります。このような状況でございまして、昨年度も議論になったところでございますけれども、一般財源化するということにつきましては私ども適当でないと考えておりまして、今後とも交付金制度を堅持していく覚悟でございます。
  108. 上野雄文

    ○上野雄文君 しっかり頑張ってくださいね。
  109. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は質問に入る前にちょっと委員長にお尋ねいたしますが、午前の最後に我が党の村沢委員が提案いたしました昭和六十一年産生産者米価の決定に関する決議の取り扱いですね、これはどのようになったのか、ちょっとお知らせをいただきたいと思いますが。
  110. 高木正明

    委員長高木正明君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  111. 高木正明

    委員長高木正明君) 速記を起こしてください。
  112. 菅野久光

    ○菅野久光君 それでは初めに、私のところに私の地元であります旭川の東鷹栖の方から次のような要請のはがきが来ております。  実質は米価の値下がり、資材価格の値上り、減反面積の拡大と減反田での収入の望めないことなどで毎年負債が増えるばかりです。今年の生産者米価を一九、五六四円にして欲しい。類別格差は廃止して下さい。農産物輸入は減らして下さい。減反は全国一定率にして下さい。私の所得増は米価しかありません。減反は収入減にしかなりません。今は毎日が張りあいのない生活、農作業です。子供に農業もつげません。引き受けてもらえる農業にして下さい。  このようなはがきが私のところに参りました。今の水田農家の悩みといいますか苦しみ、それをこの文面の中ですべてがあらわされているのではないかというふうに私は思うんです。名前からいいますと女の方ですから、あるいは御夫婦でやられて奥さんが書かれたのか、あるいは女手で営農されているのか、その辺についてはわかりませんけれども、非常に今の水田農家の実態というのが大変な状況になっているということを私はこの文面から読み取ることができますし、また私も実際そうであろうと思っている、そのことが如実にこの文面の中にあらわれているというふうに言ってもいいのではないかと思います。  今回の米価米審に対する諮問に当たって、いろいろ報道関係状況を見ますと、初めは大体試算をすると七%強ぐらいになるのではないか。それを若干いじって、〇・五%ぐらい下げて六・六%だと。しかし、六・六%では余りにもこの幅が大き過ぎる。それで、いろいろ算定要素を変えて三・八%、七百七円の下げということで諮問をしたというんですね。私は三・八という、この三と八という数字を見たときに、昔からうその五三八ということで、適当な数字をはじくときには大体五だとか三とか八がついているんですね。まさに三・八ですよ。  ですから、今回の米価諮問に当たってこの三・八%とはじいた、いわば数字というのは算定要素とり方によってどのようにでもつくれるという、そういうことを今回のこの場合にも私はあらわしているというふうに思うんです。この辺であれば、本来ならば六・六%下げなければならないんだけれども、いろいろなことを加味して三・八%にしたんだから、そういうことで、何といいますか、農民の方々にも御理解をしていただけるのではないかというようなことでこれはされたのではないかというふうに思いますが、しかしこの数字はともかくとして、この数字を出すまでに大変時間がかかりました。  きのうは、本来であれば十時から米審が開かれる予定が、この諮問案が確定しないために午後一時まで延ばされましたね。一時ちょっと前にこのことが確定されましたね。私は、ことしの米価の場合には、もう事前にかなり今回の選挙に当たって、農協など農業団体米価を支持するかという農業団体からの問いに対して大方の候補の方々が答えておられるという状況から見れば、かなり私はこの米価諮問案を決めるのに難儀をするのではないかということは、これは予測できたと思うんですよ。にもかかわらず、こうやって米審を開いて、なかなか十時までに決まらなかった。そして三・八%だ。三・八%に決まってからいろいろ言われていることは、政治加算をして何とか今の米価に近づけるといいますか、あるいは今の米価のまま据え置きということになるのかどうかわかりませんが、この後さらに政治加算の問題が云々されている。  本来、この審議会にかける前に、日本は政党政治でありますから、政府・与党がきちっと意思統一をして審議会にかけて、そしてその審議会の答申を尊重する。これがあるべき姿だというふうに私は思うんですよ。しかし、今までの米価の決定に当たっては全部違いますね。ほとんど違いますね。相当古いことは私はわかりませんけれども、私がかかわってきた段階では、少なくとも審議会で決めた、それに後から政治加算ということでいく。それは私は米価を上げてもらうことについては賛成ですから、それはいいんですけれども、審議会という、政府の正式な審議会というものをどのように見ていくのかということからいえば、今までのは手続的な面からいって私はちょっとおかしいんじゃないか。もう少し慎重にやるべきじゃないかというふうに思うんですが、この辺はいかがでしょう。
  113. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  米価審議会米価をどのように決定すればいいか諮問をいたしまして、私どもその御意見を聞いた上で決定させていただいておるわけでございますが、諮問はあくまで食管法の規定に基づきまして農林水産大臣諮問をする、こういうふうなことに相なっているわけでございますので、私ども政府関係内部におきましていろいろ協議をし、それを固めて米価審議会諮問をする、こういう運びにしておるわけでございますが、今、先生も御指摘のように、米価という問題は非常に重要でございますし、責任政党であられる自民党の、与党の意見も聞く。それ以前においていろいろと御意見等も伺っておるわけでございますが、諮問米価につきましては御説明をさせていただいた上で諮問させていただいているような次第でございます。
  114. 菅野久光

    ○菅野久光君 とにかく従来から、この米価の問題についてはやはり手続的に私はうまくないのではないかというふうにいつも思っておりますので、これはこれが本来の姿だなんということではないというふうに思うのは私だけではないというふうに思うんですね。それだけに、米審を開くに当たって、やはり政党政治という、そういう建前で政府と与党との間の意思統一もやっぱりきちっとしていく、そういうことも非常に大事だというふうに思います。  それで、五、六やってということで答申を受ける予定が、結局きのうの十時に諮問ができなかったために、一日おくらせて七日までということになるわけです。農家の方々は全国各地から米価の決定がどうなるかということを心配して上京されてきている。これは五、六ということで予定して、忙しい日程を割いて、しかも金をかけて来ているわけですよ。簡単に一日なんか延ばされたら困るんですよ。それをどうやって一体補償してくれるんだと私は農家の人たちは言いたいと思うんだ。本当に一日やればそれだけ何らかの形で影響が出るわけでありますから、それだけにこの日程の決定などに当たっても、諮問内容などに当たっても、慎重を期してやるべきではなかったのか。そのことを私は申し上げておきたいというふうに思います。  そして、新聞論調なんかでもいろいろいわれておりますけれども、特に米価引き下げという大変な事態、ことしは乳価の引き下げから麦価の引き下げ、そして次に米価引き下げるというような事態になってまいりました。このままの状況でいけば、一体稲作を続けていくことができるのかどうか。それは本当に稲作農家にとっては私は大変な問題だというふうに思うんです。  稲作経営の基盤強化ということを午前の質問の中で大臣が答弁されておりますが、農家がもっと誇りと生きがいを持って取り組めるような稲作の確立、これが急務だというふうに思いますが、その点についてはどのように本当にお考えになっているのか。具体的にわかりやすく、きょうは農家の方々も傍聴に大分おいでですから、難しい言葉でなく、わかりやすく、ひとつ政府としてはこういう考え方で進めるということを、それこそ胸を張ってひとつ答弁していただきたい、このように思います。
  115. 星長治

    説明員星長治君) 答弁いたします。  最近二十年の稲作の生産は、単収について見ますと品種の改良や稲作技術の進展によりまして二割増加、さらに労働時間については機械化の進展等によりまして約四割に減少、労働生産性は約三倍向上しておるわけでございます。  今後、水田農業の確立を図るためには、生産面で単収の向上、労働時間の大幅な節減を図ることを基本としつつ、経営規模の拡大や生産組織の育成等により稲作経営の体質強化を図るとともに、水稲と水田を利用して生産するその他の土地利用型作物との合理的な作付体系のもとで、意欲ある担い手によって担われました生産性の高い水田農業の展開を図ることが基本的に重要であると考えております。  なお、このような水田農業のあり方につきましては、先般農政審議会にお願いいたした「二十一世紀に向けての日本農業のビジョン」づくりの中で検討願っておるところであり、本年秋にはその第一次の取りまとめを行っていただくことになっております。
  116. 菅野久光

    ○菅野久光君 本当に、何というんですか、言葉の上ではいろいろなことを言われますよ。農業の問題についてどう考えるといえば、あの中曽根総理大臣でさえもと言えば言葉はちょっと過ぎるかもしれませんが、国の基で大事なもんだということを言われるわけですね。しかし、やっていることは全く違うことをやるわけですから、それじゃやっぱり納得できないのが私は農民の方々であり、また農政にいろいろかかわってやっている我々、これはもう納得やっぱりできないわけであります。  いずれにしろ、国際競争力に打ち勝つだとか、あるいはコストを下げるだとかということは、これはこれからの農業にとってはやっぱり欠かすことのできない問題、それが例えば規模拡大だとか、あるいはまあ機械の導入などによる省力化だとか、そういうことにやっぱりかかわっていくんだろうというふうに思うんですね。規模拡大、規模拡大ということを言われる。中核農家の育成ということを言われる。しかし、今の日本の水田農家の中で、稲作農家の中で、もっともっと規模拡大というのができるのか。農林水産省として、その規模拡大は、農林水産省が考えているうちの大体どのくらい規模拡大はいったというふうにお考えなのか、その辺わかる点があればひとつお答えいただきたいと思います。
  117. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 稲作を含めまして、農地の流動化なり生産組織の育成を図りながら規模拡大をしていくことの重要性は今日も変わらないというふうに考えておるわけでございます。  今お尋ねの、流動化が果たして十分にいっているのかというお尋ねでございますが、流動化の量といたしますと、五十五年の農政審議会の答申をいただいた時点で私ども見通しを立てた、年間十万ヘクタール弱程度の流動化量というふうに予測をいたしたわけでございますが、おおむねその線に沿って流動化量としては進んでおります。全体として、やはり後継ぎのいない農家かなりの数に上っております。  そういったことで、世代交代の機会をとらまえながら、少しずつ進んでいくというような状況でございますが、御指摘のようになかなか規模の拡大というものは一挙には進まないいろんな事情がございますので、今後とも私どもそういう方向に向かってあらゆる努力を重ねていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  118. 菅野久光

    ○菅野久光君 今後ともその規模拡大に向かって一層努力をしていく、それはどういうことをやって努力をしようとなさっているのか、どうしなければならないというふうに考えておられるのか、そこをお聞かせください。
  119. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 農地の流動化という面では、五十五年に農地三法というようなものも改正をしていただきまして、農用地利用増進事業、こういうことによって貸し借りが進みやすいような制度環境を整備いたしましたし、また農地等取得資金でございますとかあるいは農地保有合理化事業といったような、そういうものの推進を支えます事業を予算面でも講じてまいっておるところでございます。  基本的には、やはり地域地域農家の方々が御相談をいただいて、特に稲作農業の場合には共同で取り組む水の管理でございますとか、そういう問題も多いわけでございますので、地域農家の方々の話し合いを基礎にして、できるだけまとまった土地利用というものを進めていく。権利の移転という形でそれを進めるものはできるだけ進めていただき、またそこまでいかないものにつきましても、機械の共同利用でございますとか、そういう作業の効率化を通じましてできるだけのコストダウンを図っていく。労働力のある農家、ない農家、土地規模の広い農家、小さい農家、そういうところが相補い合って全体としての生産性を上げていただくというような、生産組織の育成というものも加味しながら実質的な規模の拡大を進めてまいりたいと、こういうことでやっておるわけでございます。
  120. 菅野久光

    ○菅野久光君 言葉では非常に、何といいますかね、簡単だと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、何かうまくいくように思うんですけれども、実際はやはり農家経済と大きなかかわりがある。借りた金は返さなきゃならないわけですよ。ところが、このような価格政策をやっていって、本当にそういう状況になっていくんだろうか。このごろ私どもよく聞くのは、規模拡大、規模拡大ということで言われるし、また担い手がいなくて離農していく、土地はあって買いたいとは思っても買った後が大変だと、だから結局、規模拡大というのはなかなか言うべくしてでき得ない。それが現状ですね。  北海道の場合、農家経済の関係でいいますと、今稲作農家の中でも負債農家がふえてきているんですよ。北海道の農務部で昭和六十年に調べた、農家負債整理についての制度化の問題で借入金残高を調べた数字があります。全部で三千四十八戸稲作農家を調べたわけでありますが、そのうち一千万から二千万までの借金をしている農家が二七・五%、五百万から一千万までが一八・五%、こういったような数字が出ているわけです。これは稲作農家ですよ、稲作農家でもこれだけ借入金の残高。もちろんこの中には営農関連でコンバインだとかそういうものも入っているのもあるんでしょうけれども、それだけのやっぱり負債を抱えているということは言えるわけなんです。こういった中で、規模拡大ということで金を借りてさらに借入金の残高をふやしていく、そしてそれをこう返済していくというような状況には到底なっていかないというのが現状だというふうに思うんです。  ですから、稲作の将来ということについて、本当に農民が安心して営農できるような状況に持っていくということは、なかなか私は難しい問題だし、よほど腰を据えて、そしてはっきり農民にこうしてくださいと、これが日本の今後の稲作に対する方針、方向だということを示せるような、そういうことをやはり早急にやってもらわないと、農民は一体どっちを向いてやっていったらいいのかわからないというような状況になるのではないでしょうか。  特に、北海道の場合でいいますと、ポスト三期が大変な問題ですわ。もう何回も私どもは委員会でもこの件について発言をしましたし、それから農林水産大臣などにもこのことについて要請をしております。きょうの大臣の午前中の答弁でも、さらにポスト三期では減反を相当強化しなければならない、まあ十万ヘクタール以上やらなければならないような答弁ですね。北海道の減反は、六十一年度で全国六十万ヘクタール、このうち十一万六千ヘクタールが北海道に回されております。水田面積に対する減反率は、都府県が平均一八・五%なのに対して、北海道は都府県の二・三六倍、四四・二%という傾斜配分を受けております。この北海道に減反の極端な傾斜配分を強いてきた理由は何でしょう。
  121. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 現在実施させていただいております水田利用再編対策は、全国の農業者の理解と協力を基本といたしまして、地域の特性に応じた農業生産の再編成を図る方向で進めているところでございます。  今、先生御指摘の転作等の目標面積の配分、これは、一つは農業生産の地域の特性、あるいは産米の品質、さらには麦、大豆等特定作物への転作の可能性等を総合的に勘案して行っているところでございます。  先生御質問の北海道農業の転作の比率でございますが、御指摘のとおりでございまして、数字的に申し上げますと四四・一%でございます。  この点につきまして、いわゆるポスト三期、水田利用再編第三期対策以降の対策におきましてどういうふうになっていくのかということでございますけれども、この点につきましては農政の最重要課題といたしまして目下省内で検討を進めているところでございます。本年秋までには骨格を固めるというスケジュールでございます。長期的かつ総合的な観点から農業の将来といったものを展望いたしまして、農政審議会を初め関係各方面の御意見を聞きながら実施をするという考えに立っております。  この転作等の目標面積の配分の問題でございますが、これにつきましても現状に地域的な格差がございますが、格差の大きいところ、格差の大きいところといいますか転作面積の大きいところはやはり改定をという声が強うございます。さらに、低い地域というところにおいては現状維持をしたい、こういう声が強いわけでございます。  今申し上げましたように、こういうような状況といったものを、先ほどこれも先生御指摘でございますが、具体的にどういうふうにしていくかという問題でございますけれども、全体の数字をどういうふうに考えていくか。朝、大臣からもお話を申し上げましたけれども、現在の在庫の積み増しの部分といったようなものがなくなった場合には相当大きな数字という形になります。そういうようなことが見込まれる状況にありますので、具体的配分に当たりましても、このような状況を踏まえまして、関係方面の御意見を十分お聞きしながら結論を得てまいりたいというふうに考えております。
  122. 菅野久光

    ○菅野久光君 この減反が始まったころには、確かに北海道の米はまずいだとか、それから冷害があるから米づくりに向かないだとか、いろいろなそういう要素があって、北海道の農民もある程度というか、ある程度以上にこの減反に対しては協力をしてきたんですよ。してきた上に、さらに今度のポスト三期でこれが上積みされるようなことになれば、北海道の農業全体が沈没してしまう。これは水田の問題だけれども水田の減反は即畑作にも連動していくわけですね。しかも、北海道の稲作農家というのは専業農家が多いわけですよ。そして、コストの引き下げというのは、やっぱり規模拡大ということが欠かせない要素ですね。  食糧庁で出している「米価に関する資料」の中でも、十ページ、十一ページ「地域別」のところを見まして、第二次生産費で全国平均より下回っているのは、北海道、東北、そして関東・東山、ここの三地域なんですね。片方ではコストを下げる下げろといって一生懸命になって規模を拡大もしながら、しかも減反にも協力している北海道に、これ以上の減反のしわ寄せなんということがもしもあったとすれば、これは大変なことになる。  私が冒頭申し上げましたあの御婦人の便りの中にも、減反はもう農民が皆同じように痛みを分け合ってくれと。しかも、北海道の米は今大変評判がいい。北海道の物産展を東京でやりますと、横路知事からお話を聞きましたら、一番引き取りがあるのは北海道の米だというんですね。東京あたりの生協にも北海道の米がたくさん来ていますし、コシヒカリだとかササニシキにも大分北海道の米がブレンドされているわけですよ。そういうことですね。  北海道は農業基地、食糧基地だというこの位置づけ、これをしながら一生懸命頑張ってきているわけです。ですから、減反は北海道的に言えば、そういう専業農家が多いということ、しかもコストを引き下げるためには規模をある程度持っていなければコストの引き下げにはならない。まるで十アールもないようなところを、しかも二兼農家かたくさんあるところは減反率が低くて、しかもコストは高い。そういうところも全部一緒にして、そういうところの減反率が低くて、北海道のような専業農家の減反率が高い、こういうのは本来的にはやっぱりあるべきことではないのではないか。その辺をどうバランスをとっていくのか、それがポスト三期にとっては極めて大事な問題だというふうに私は思うんですよ。私の言うことはよく農蚕園芸局長も理解をしてもらえるというふうに思うんです。  本当に北海道は第一次産業、これが北海道全体のやっぱり基幹産業なんです。今、農業も林業も漁業も石炭も大変な状況の中にあるそのときに、この北海道の農業のしかもその中核になっている稲作ですね、水田農業がだめになったら大変なことになるわけでありますから、その辺は十分認識をして誤ることのないように、北海道の農業を沈没させないように、特に私から強く要請をしておきたいと思いますが、その辺についての私が今申し上げたことを含めて御答弁いただきたいと思います。
  123. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 先ほどお話し申し上げましたように、ポスト三期の問題、この点につきましては、現在の米の需給の問題等々から考えますと、大臣から申し上げましたように拡大傾向の問題があるわけでございます。  この点につきましては、具体的にどういうふうに全体の考え方あるいは規模を考えていくかということは、今後の農政の中での最重要の課題というふうに我々理解しております。具体的な地域の面積の配分等につきましては、先生今るるお話をされたところでありまして、私ども地域配分といったものが地域農業の振興のために極めて重大なものであるというふうに認識をしております。  そういう意味で、各地域の実情を勘案しながら、関係各方面の御意見もお聞きしながら、先ほどの大枠の考え方を決める中で検討して結論を得たいというふうに考えております。
  124. 宮島滉

    ○宮島滉君 私は、六十一年産米米価当たりましての算定要素につきまして、少し事務的になるかと思いますが、御見解をひとつ伺いたい、こう思います。  その前に、六十年産米米価の決定でありますけれども、その折に、前広米審がなされまして、その段階で五十九年産米豊作であったがために、試算されますとマイナス四%程度のいわゆる引き下げになる、そのように報道された経緯がございます。  そこで、私どもは、その四%マイナスになることにつきまして、少なくとも改善しなければならぬし、圧縮しなければならぬ、そのように議論を進めてまいろう、かようにいたしておったところでありますけれども、その後、農林水産省といたしましては、一・四%についてはいわゆる収量とり方並びに利子のとり方等を変更されまして、そしていわゆる一・四%の算定要素の改善がなされたわけでありました。しかしながら、残された二・六%については、何らいわゆる算定根拠がなく、そのままそれをクリアして据置諮問がなされた、そのような経緯に実は相なっているところでございます。  そこで、いわゆるマイナス二・六%の算定要素となる根拠、それがないわけでありますけれども、そのことについてどのような御見解をお持ちであるのか伺いたい、かように思います。
  125. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  昨年の米価試算におきまして、マイナス四%と、もう一つ諮問の段階におきましてはマイナス一一・六%という価格試算したわけでございますが、その主なる違いといたしましては、内容について見ますと、潜在需給ギャップ反映必要量比率算定上で潜在生産量の取り扱い等につきまして若干の修正をしておるわけでございまして、その前年方式といいます四%下げましたものは八二%と計算しておったわけでございますが、諮問米価として算定いたしましたマイナス二・六%におきましては、この比率が八三%に相なっておるわけでございます。  そのほか、自己資本利子といたしまして、そのとり方が前年方式、前年と同じような方式でやってみろと、こういうふうなことでやられましたものが四・九二%でございますが、それを農協一生定期だけれども借入金利率等を上回ることになるのはいかがなものであろうかということも考えまして、最終的に五・二九%に相なりました、その違い。  それから、自作地地代評価におきまして適用金利が通っておった。前年方式でまいりますれば約五千二百円程度の自作地地代でございましたものが、金利とり方によりまして六千二百三十七円程度に相なりました結果、三角の二・六%になったという事情にあるわけでございます。
  126. 宮島滉

    ○宮島滉君 声が少し聞き取りにくいわけでございますけれども、要は、そうしますと、私が質問いたしておりますのは、いわゆるマイナス二・六%の部分についてはどうなっているのか、いわゆる根拠があったのかなかったのか、そのことを実はお尋ねしているわけなんです。ですから、恐らく諸般の情勢と、とのようにも判断されるわけでございますけれども、いわゆる諸般の情勢という判断で二・六%を埋めたと、そういうことなのかどうか、そこをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  127. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  試算といたしましては二・六%の試算があるわけでございますが、それと私どもはその前の年の基準米価と両方にらみまして、最終的には前年並みということにしておりますので、マイナス二・六%のギャップ分につきましての試算の根拠はございません。  以上でございます。
  128. 宮島滉

    ○宮島滉君 今御答弁いただいたように、昨年のいわゆる米価諮問におきましては、マイナス二・六%といういわゆる算定要素というのは全く根拠がないままに据置諮問がなされた、こういうことに相なるわけでございます。  そこで、私重ねてお尋ね申し上げるわけでありますけれども、今年のいわゆる米価の前広米審におきまして試算されましたものはマイナス六・六%でございます。そこで、もろもろ農林水産省におかれていわゆる圧縮改善がなされているわけでございますけれども、その中で特にいわゆる収量算定に当たって変動が非常に大きい。そういう面からいたしまして、今回いわゆる収量変動平準化係数算定を用いられたことはまことに多といたしたい、このように思います。しかしながら、さらには金利の圧縮改善がなされておるわけでありますけれども、それをもって二・八%のいわゆる圧縮改善がなされた、したがっていわゆるマイナス三・八%の根拠は見出すことができ得なかった、したがってそれをマイナス諮問とした、こういうことに相なるだろう、こう思います。  そうなりますと、昨年は、諸般の情勢をもってマイナス二・六%はいわゆる据置諮問をした。今年は、いわゆる根拠がないからマイナス三・八%の諮問をした。ここには少なくとも矛盾があると私は思いますが、いかがでございますか。御答弁いただきたいと思います。
  129. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  今御指摘のように、昨年は、マイナス二・六%の部分につきましては、その前の基準米価と比較し、また諸般の情勢を考えまして私どもは据え置きの諮問をさせていただいたわけでございますが、今年におきましては、諮問をする前の段階にいろいろと私どもも検討をしてまいりまして、現在諮問させていただいておりますようなマイナス三・八%というのが現在ぎりぎりの線として算定し得るものと考えまして諮問させていただいておるような次第でございます。
  130. 宮島滉

    ○宮島滉君 答弁が極めてあいまいでありますし、また納得できないわけでありますが、したがいましてマイナス三・八%の諮問については、私は納得できないことをここで申し上げておきたい、かように思います。  次に、何といいましても、いわゆる米価算定の大事な要素になっておりますのは家族労働費評価だと、このように思います。ですから、生産費所得補償方式の根幹にも実は相なっておるわけでございます。しかしながら、この家族労働費のいわゆる評価でありますけれども、このことについて同僚委員からもそれぞれ御質問等が出ておった次第でございますが、私はこの家族労働費評価について農水省はどのように実は見解を本当に持っておられるのか。その考え方をしっかりお聞きしておきたい、このように思います。
  131. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  家族労働都市均衡労賃評価する場合の問題点といたしまして二つあろうかと思うわけでございます。その一つは、どのような規模賃金をとるかということが一つございます。それともう一つは、そうした各部道府県ことの賃金をどのようなウエートでもって平均するか、この二つであろうかと思うわけでございます。  私ども、現在の適用をしておりますものにつきましては、規模としては企業規模ではなくて事業所規模というのを考えまして、五人から九百九十九人までの事業規模製造業賃金を採用させていただいておるわけでございます。との点につきまして、過去において生産をできるだけ刺激し、増産誘導的な効果を期待しなければならないような時期におきましては五人以上青天の規模を採用させていただいたこともあるわけでございますが、最近におきますところの需給事情が非常にギャップ等を持っておるような事情にございますので、規模としましては五人から九百九十九人を採用させていただいている。  もう一つのウエートの問題でございますが、先ほども申しましたような増産誘導をしなければならないとか、そういった時期におきましては、これは製造業の従業員数のウエートでもって加重平均させていただいておったわけでございますが、最近におきましてはこれを米販売数量ウエートでもって計算させていただいておるわけでございます。  この考え方は、大都市、特に東京だとか大阪といったお米の生産と関連が薄いところの賃金、しかもそのウエートが非常に従業員数が多うございますので、それを大きく反映することにするのか、それとも米の生産と地域的に見て関連の深いところの賃金をできるだけ反映するといいましょうか、米販売数量並みに反映させた平均値をとるかということでございますが、今申し上げました私どもは後者の方を現在とらせていただいておりまして、この方式を採用し、米価審議会の小委員会でも、先生今御指摘のようなまさに評価の基幹をなすものでもございますし、安定的に対応するという、すべきである、こういった小委員会の結論を踏まえまして、最近におきましては今申し上げました五人から九百九十九人の米販売ウエートによる労働費評価がえ、こういうことで対応させていただいておる次第でございます。
  132. 宮島滉

    ○宮島滉君 今の答弁の中に都市均衡労賃という言葉、発言されておられるわけなんですが、確かに今回の算定要領の中にも都市均衡労賃ということをうたってある。しかしながら、実際そのとり方として都市均衡労賃の採用というのは、今御答弁がありましたように、とり方として幾つもあるわけなんです。しかしながら、結果的には後段のいわゆる米販売の加重平均賃金を採用しておりますということとは、私はこれは全く矛盾する、かように思います。  そこで、お尋ねしたいんですが、私は今食糧庁が今回の「米価算定要素についての考え方」という中で家族労働評価についてどのように述べられておるか、実は申し上げてみたいと思うんです。  まず、「農家世帯は、所得が世帯当たりでも世帯員当たりでも勤労者世帯の所得を上回っている」、こういうことを言われておる。これは全くそのとおりでございます。なぜならば、農家の世帯というのは、これは全部働いているわけなんです。勤労者の世帯は全部働いているわけじゃありません。中には主婦の方はいわゆる全く働かないでいる方もいらっしゃるわけです。ですから、いわゆる農家所得ということになりますと、当然勤労者所得よりも多いことは当然なんです。  ですから、そこでなんですが、就業者一人当たりについては下回っているということをおっしゃっている。これは統計上もそう出ておる。しかし、その後なんです。「現状等からみて、米価算定における家族労働費評価を大きく高める算定方法に改めることは困難である。」、いわゆる農家世帯は勤労者世帯の所得を上回っておるから「米価算定における家族労働費評価を大きく高める算定方法に改めることは困難である。」、こういうことなんです。これは極めて重要な私は問題だと思いますよ。農家の人に働くなとおっしゃるんですか。一人当たりの就業者のいわゆる賃金は下回っております。しかしながら、全体の農家所得そのものは勤労者世帯のいわゆる所得よりも上回っております。当然です、みんながたくさん働いているから。  ところが、にもかかわらずそういう事情だから労働賃金を高めるようなことは採用されないんだと、これは食糧庁がお出しになっている今年度のいわゆる家族労働費評価に対する考え方なんですよ。これは極めて私は重要な問題だと思うんです。ですから、そのことについてひとつもう一遍農林水産省の考え方をお聞きしたいと思います。
  133. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  先生御指摘のように、農家の就業者一人当たり所得、こういうことで計算してみますれば確かに農家の方が低いということに相なるわけでございますが、農家世帯の中の世帯員一人当たり所得を比べさせていただきますと勤労者世帯の一人当たりよりも高い、こういう結果もあるわけでございますが、ただこの中身につきましては、いろいろと世帯構成員が違うとか、また所得の確保の態様、それも例えば勤労者にありましてはパートというふうなものがあるとか、また農業世帯にありましては出稼ぎ、日雇いとか、そういうふうなものがあるとか、いろいろ質の違う問題もございますし、また就業時間等も相当の差があるわけでございますので、さらにこの比較等の問題につきましては検討を深めていくべき問題ではなかろうか、こういうふうにも考えておるわけでございます。  私ども、就業者の中で過去にとっておりました五人以上青天だとか、また従業員数並みの平均値、従業員によるウエートで平均を出した賃金を採用させていただいておりましたその当時には、今比較された農家と勤労者との所得関係、これは逆の関係に相なっておりまして、最近におきましては、こういった調査がそれぞれ異なりますし、直接比較してどうだという評価をすることは危険であろうかと思うんでございますが、相当長期にわたりましてとりました結果では、相当前には勤労者の方が高くて農業者の方が低かった、それが現在では逆転したような格好になっている、こういった傾向は見られるわけでございます。
  134. 宮島滉

    ○宮島滉君 要は、その就業者一人当たり所得については、いわゆる農家の就業者の方が下回っているということは事実であります。したがいまして、それならばその算定要素とり方なんですけれども、先ほどからこれは前の質問者も質問なさったようでありますけれども、いわゆる五十六年から現在まで製造業五人からいわゆる九百九十九人規模の米販売数量加重平均賃金を用いていられるわけです。しかしながら、御説明がありましたように、いわゆる四十五年までは製造業五人以上規模賃金を採用された時期もございます。それからまた、製造業五人から九百九十九人までの規模賃金を採用されたのが四十九年から五十五年まで採用された時期がございます。そうして、製造業五人以上の規模で米販売数量加重平均賃金を採用された年が四十七年、四十七年に採用されております。  そうなりますと、この算定要素をじゃどれをとるかということによってマイナス三・八%はきちっと埋まるんでしょう、とり方によって。私の質問をよくひとつ聞いていただきたいと思う。とり方によっては埋まるんでしょう、埋まらないのかお尋ねをします。
  135. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  単なる計算上の問題としてとるということでございますれば、それは埋まる係数はあろうかと思うんでございますが、ただ私どもそうした計算をいたします際には、例えば経済事情だとか需給事情といったお米をめぐる諸条件につきまして配慮していかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  136. 宮島滉

    ○宮島滉君 全く私への答弁になってないんですよ。私がお聞きしているのは、あなたが今こういう要素がありますよということをお話しになった。そのとり方を、どれをとったときにはマイナス三・八%埋まりませんかということですから、いや埋まりません、埋まりますと、この返答を私はいただきたい。
  137. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 三・八%がどの係数で、今先生御指摘の点は家族労働評価がえにおいてそれが埋まるのではないかということでございましょうか、ちょっとはっきりいたしませんので。
  138. 宮島滉

    ○宮島滉君 少し私の質問が雑なのかもしれませんが、五十六年から今日までの家族労働評価、いわゆる規模賃金というのを採用されていますね。ですから、それを例えばいわゆる製造業五人以上青天井でとったと、こうしますとこれは賃金がぐんと上がるはずです。それからまた、製造業五人から九百九十九人、いわゆる米販売数量加重平均を掛けなかったらこれは上がるんですね。だから、例えばそこで私が申し上げているのは、青天井でいくのか、それとも九百九十九人でやるのか、それとも九百九十九人未満でいわゆる米販売量の加重平均を掛けるのか、この三とおりあると思います。これは当然、その採用していた年度を私申し上げたわけなんです。ですから、その中でどれかのものをとるとこれはマイナス三・八%きちっと埋まるわけなんです。  ただ、今おっしゃったように、もろもろの情勢があるから、いわゆる米価を抑制しようと思うから正当な家族労働費評価をしてないと、こういうことになるわけなんです。私が言いたいのはそのことなんです。ですから、皆さんはいわゆる都市均衡労賃に見合うものをとこう言われる。言葉ではいいことを言いながら、片や算定の中では全くそれを認めてないというのは、生産費所得補償方式というものの根幹が理解されていないじゃないですか。  ですから、需給とかいう問題は別なんですよ。需給という問題は、いわゆる構造政策上少なくともいわゆる減反をすれば需給関係はきちっとなる。これは、需給関係も時間があれば私は御質問したいんですけれども、いわゆるその需給関係は政策上やっているわけでしょう、水田再編利用対策という中で。決まっているんですよ。ことしもそれを八二%とった、そして昨年は八三%だ、こう言っている。何で昨年とことしと違うんですか。田んぼがどこか変わったんですか。変わっていませんよ、土壌は。つくっている面積も一緒ですよ。来年変わるんでしょう、来年変えるんでしょう。そのことならば私はわかるんです。ところが、去年もことしも田んぼは全く変わってないんです。できてくるものは一緒ですよ。あとはおてんとうさまのかげんでしょう。にもかかわらず、何でいわゆる数値が八二になったり八三になったりするんですか。そこに根本的に問題があるわけなんです。あるから私どもは納得でき得ないわけなんです。  そのことをしっかり申し上げて、時間の都合もありますからこれ以上申し上げるのもどうかと思いますので、やめたいと思います。あとは関連で初村先生がされるということでありますから、お願い申し上げたいと思います。
  139. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 政府は五十九年と六十年には豊作だからマイナスにするということをうたって、結局今日の三・八%のマイナス諮問されたわけですね。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 私の県は、去年は災害を受けたんですよ、作況指数が八四。私の町は、市は七四ですよ。ところが、私が町に帰りますと、先生、私たちは作況は去年より不作ですよ、何でそれを下げるんですかという質問を受けるんだな。あんた方は共済制度があって共済制度でその補てんをしてもらっておるはずだ。ところが、よく共済制度を聞けば災害額の八〇%でしょう。あとの二〇%は丸々農家は損するわけだ。それを聞かれて私は答弁に苦しむんだよな。どういう答弁をしたらよろしいか、模範答弁をひとつ食糧庁教えてください。
  140. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 災害を受けられました地域の方々に対しましては私どもも心からお見舞い申し上げなければならない、このように思うわけでございますが、価格政策におきまして局部的な、ないしは特定地域災害等に対応した価格政策ということを価格水準に反映させるといいましょうか、運用することは非常に困難ではなかろうか、このように思うわけでございまして、私ども全国の生産費のデータなりまた需給事情なり、こういったものをベースにさせていただきまして政府買い入れ価格を決定させていただきます関係から見ますと、特定地域の今先生御指摘のような災害の救済という面では力がないんではないか、このように思うわけでございまして、そうした被災農家につきましては、例えば保険機能だとか共済制度とか、また災害のための救済措置といたしまして融資で対応するとか、そういったことが主になるんではなかろうかと、このように私考えておる次第でございます。
  141. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 その満たないところは天災資金とかいろいろな方法で私の県も去年度は相当な金額をもらったということを聞いて非常に気を強くしておるんですけれども、不思議なことに今度の米価の陳情のときに共済資金をもらわなかったと言うんだな。おかしいじゃないかと私は反問をしたんだ。ところが、どういうわけかあるグループの地区が共済資金をもらっておらぬというんだな、適用されておらない。この実態を農林水産省は調査しておるかどうか、もし調査してないとするならば今後調査をしてその結論を出してもらいたい。  以上で質問を終わります。いいですか、今の問題。
  142. 眞木秀郎

    説明員(眞木秀郎君) お答え申し上げます。  ただいまの御指摘のございました事例は、恐らくは刈り取り前に組合等に被害申告がなされなくてそのまま収穫が行われて、収穫をした後に被害があることが判明したケースではないかと思われるわけでございます。  共済金支払いの前提になります損害評価につきましては、農家からの被害申告に基づきまして立ち毛の状態でこれを行うというのが原則で、刈り取りを終わりました後には被害の確認が難しい、損害評価ができないというようなことになっているわけでございます。しかしながら、刈り取りが終わりました後でも、圃場乾燥中であると、その耕地の現物であることが明確に把握できるといったような場合にはその状態で損害評価を行うよう指導しておるところでございます。  このようなことから、農家は常に被害の実態を把握していただきまして、被害申告が時期を失せずに行われるというようなことが非常に大事であると考えておりまして、県の課長会議等を通じまして指導をしておるところでございますが、今後もさらに指導を徹底してまいりたいと考えております。先生の御指摘の具体的な点につきましても、さらに調べてみたいと考えております。
  143. 及川順郎

    ○及川順郎君 公明党の及川でございます。  生産者の米価問題に入る前に、当省所管の政策について若干ただしておきたいと思います。  御承知のとおり、北海道の漁業、大変深刻な減船問題に直面しておりまして、北海道を回りましたときに大変な現場の切実な声を伺いました。減船補償に対して、これから減船の規模についてまとめていくという状況の中で、まだ何とも言えないけれども、この補償がどうなるのかという問題。それから、減船によって失職した人、その就労問題をどうするのか。現場の人たちの声をかりますと、おかに上がったかっぱに何ができるか、土木作業のようなものが非常に数多くあった時代ならばいいけれども、今公共事業等も圧縮されているという状況の中で、その仕事の選択というのに非常に苦労している。こういう現場の人たちにとりましてはこの不安を何とか取り除いてもらいたいという、こういう切実な声があったわけです。  やはりこうした漁業関係者の不安を取り除き、将来見通しが立つようにするということは、これは政治の基本ではないか、政府の責任ではないかと思うわけですが、こうした見地から減船補償あるいはまた失職者の就労問題に対する対応、水産庁としてどう現状掌握をしているのか。それから、対策についてどういう見通しを今現時点において立てているのか。今後のスケジュールについてはどういう考え方を持っているのか。この点をまず伺っておきたいと思います。
  144. 佐竹五六

    説明員(佐竹五六君) 北洋漁業対策につきましては、減船関係者の救済対策を除きまして、関連加工業対策あるいはその輸送業者対策等につきましては既に大部分実施に移されているわけでございまして、今御指摘のありました減船対策だけが残っているわけでございます。  これにつきましては、まず具体的に業界においてどの船を減船させるか、船が決まりませんとその減船対策の具体的内容が詰められないということがございまして、若干おくれていたわけでございます。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 しかし、底刺しはえ縄漁業、沖合底びき網漁業、それからまた太平洋小型サケ・マス漁業の一部、いわゆる以東船でございますが、それから母船式底びき網漁業、この四業種につきましては具体的に業界でこの船を減船するということが決まりましたものでございますから、それに基づきまして七月末から大蔵省との折衝に入っているわけでございます。  今後の見通しでございますが、水産庁といたしましてはできるだけ早くこの詰めを行いまして措置いたしたい、かように考えているわけでございます。  それから、漁業労働者の就労対策でございますけれども、これにつきましては国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法という法律が五十二年当時からできているわけでございます。これによって就職指導あるいは職業訓練、職業転換給付金の支給等が行われるわけでございまして、現在これにつきましては、比較的早くその減船の中身が決まりました母船式底びき網漁業につきましては既に七月二十九日から同法が適用されております。残る先ほど申し上げました三業種でございますが、これについては現在労働省それから運輸省と折衝中、かような段階でございまして、これもできるだけ速やかに措置するようにいたしたい、かように考えているわけでございます。
  145. 及川順郎

    ○及川順郎君 今の答弁の中で、やはり漁業関係者の不安を取り除くということについては、こういう問題が上がって、それからそれに対応するというだけではなくて、やはり五年十年の長期見通しの中で将来展望をきちっと踏まえた施策を示すということが大事であるわけでございまして、その点を今後しっかりぜひ取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、次の質問に入りたいと思います。  まず、米価対策に入る前に、ことしの気象状況ですけれども、非常に冬が長くて寒かったという状況、それからこの四日の災害、その前にちょうど長野県でピンポン球ぐらいのひょうが降ったという、こういう連絡がございまして、四日の日に私は現地へ行ってまいりましたけれども、非常にこれから製品にしようという果樹はもうめちゃくちゃにやられている、こういう状況ですね。その中でやっぱり稲の関係相当やられておりまして、これからどういう状況になっていくかということで非常に不安な状況であります。  私は、稲作の問題だけじゃなくて、ことしはやはり農産物に対しては、この気象状況というのは非常に問題点があるんじゃないかということを思っているわけです。私の地元の山梨は、やはり果樹農家ですけれども、ブドウの芽枯れ現象が最近出ている。これは新梢が枯れるという現象なんですね。これが枯れていきますと、来年はそれに果樹がつかない、こういう状況が出ている。  その原因は何かというと、この冬の寒さ、異常な寒さ、そして長さ、こういう状況が最大の原因である。そして、今台風シーズンを迎えて、これから災害が襲いかかってくる。こういうことしの気象状況の特徴を踏まえまして、この現状掌握について農林水産省当省としてどういう現状掌握をなさっているか、それに対して例年との違いのこれに対する対応策を立てているならばそのことを承りたい、このように思うんですが、いかがでしょうか。
  146. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 私ただいまの先生お尋ねの具体的なブドウ等の被害について詳細を承知いたしておりませんが、一般にそういった農作物被害が発生をいたしました場合には、県を通じまして報告が上がってまいりまして、状況によりましてそれぞれの担当のセクションで調査を行い、また共済に入っておるケースでございますと、共済の組織を通じましてその面からの被害調査が始まる、このような仕組みになっておるところでございます。
  147. 及川順郎

    ○及川順郎君 仕組みのことを聞いているのではなくて、現状掌握を当省としてするという考えがあるのかどうなのか、この点を確認をしておきたいと思います。
  148. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 現状把握に努力をしたいと思います。
  149. 及川順郎

    ○及川順郎君 生産者米価について入りたいと思います。  この生産者米価をめぐるさまざまな動きがきのうからきょうにかけてありまして、そしてまた諮問も日にちが一日ずれるという状況の中で、午前からさまざまな論議がされておりますけれども、まずこの生産者米価の算出に当たってですけれども、食管法の第三条では「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と、このように規定されているわけですね。この状況から考えますと、農家の経営規模、これには触れずに、米の再生産を確保すること、これがこの法律では明示されている。  しかしながら現実には、生産の高い農家の米は政府はこの米価算出方式から除外している、一部。こういう状況が、言い方は大変悪いかもしれませんけれども米価の算出に都合の悪い米、これを除外して計算するというやり方、これはやはりこの農家の米の再生産を確保する手だてということには言いがたいんじゃないかという感じがするわけです。こういうところから農家の人たちは、本当に今後も希望を持って農業に取り組んでいこうという希望を失っていくんじゃないか、こういうことが懸念されるわけです。この点に対する政府の所見を求めておきたいと思います。
  150. 星長治

    説明員星長治君) 米穀政府買い入れ価格につきましては、昭和三十五年以来二十数年にわたって生産費及び所得補償方式を採用し、そのときどきの需給事情や経済実勢を的確に反映させながら運用しておりまして、米穀の再生産の確保に努めてまいったところでございます。  本年産政府買い入れ価格につきましては、前年と同様の考え方により生産費及び所得補償方式によって試算した場合、今回の諮問米価よりさらに低い数値になりますが、今回の諮問におきましては、米穀価格農家の経営意欲に及ぼす影響にも配慮した結果このような数値になったものであり、この水準であれば再生産の確保は十分可能なものと考えております。
  151. 及川順郎

    ○及川順郎君 まあ、その意欲に対するとらえ方については農家の方々の現場とは大分ずれがあるということを申し上げておきたい、このように思います。  それから、この算定の方式について申し上げたいんですけれども、少なくともこの食管制度にされて以来今日までの状況を見ますと、昭和十七年からさまざまな算定方式が今年まで行われておるわけでございますけれども、そのときの状況によってくるくる変更されている。とり方によれば、都合のいいように変更されてきているというこの算定方式、これはやはり農家の方には納得でき得がたいところがあるんじゃないか。  したがいまして、将来の農業経営の見通し、こういう状況を踏まえる中で、やはり農家の方々が納得いくような算定方式を、その都度その都度変えるのではなくて、これは中期的にきちっとやはり示していくべき姿勢が大事ではないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
  152. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  先生御指摘のように、諮問米価算定する際の安定性ということは重要な問題だと私どもも考えております。先般、米価審議会価格小委員会におきまして答申をいただいた際にも、やはり算定の安定性について配慮するということも指摘されておるわけでございまして、特に問題になりますのは、コストの中で家族労賃というものが大きなウエートを持っておるわけでございますので、そうしたところについては少なくとも三年ぐらいの期間においては安定させて、固定させて計算したらどうかと、こういう趣旨のことがあるわけでございます。  なお、利子の問題等につきましては、多少幅を持って運用することも考えられる、こういう意見もいただいておるわけでございまして、私どもも極力そうした御意見を踏まえまして、安定性といいますのは算定される価格の安定性ということもございますし、また計算の過程、算定方式の安定と、こういうことにつきましても配慮していかなければならない問題だと考えております。
  153. 及川順郎

    ○及川順郎君 まあ、この問題についてはまた機を改めましてじっくり論議をしたいと思いますが、生産者米価引き下げについて多少耳ざわりな方もいらっしゃいますかもしれませんが、こんなことがささやかれておるわけですけれども政府は大蔵省にどんと引き下げ意見を言わせておいて、農水省で試算米価を発表して、これを聞きますといずれ農民の方が大変驚くと、これでは引き下げ幅が多過ぎるということで関係の議員の諸先生方がこれを一生懸命頑張ると、最終的には米価据え置きかあるいはまたもう少し下げ幅を少なくしておさめるという状況の中で、先ほど来から社会党の諸先生方頑張っておりますけれども、結果的には与党議員が頑張ったという、こういう言い方で農民に宣伝できるんじゃないかというような、こういうパターンが今日まで繰り返されているじゃないかと、こういうことを耳にするわけです。  これは推測であれば幸いですけれども、こういうやり方というものが果たして米価の決め方について今後ともいいのかどうなのか、この点に対してはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  154. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  食管法におきましては、農林水産大臣諮問米価を策定いたしまして、それを米価審議会意見も聞いた上で適正に定めると、こういうふうな手続に相なっておるわけでございまして、その米価算定当たりましては、農林水産省として全力で適正な諮問米価算定していかなければならないわけでございますし、また諮問いたしまして答申をいただきますれば、それを十分尊重いたしまして、関係政府内部の意見調整なり、また関係方面、特に政権を担当されております与党の御意見等も十分踏まえまして最終的に決定していかなければならない。  と申しますのは、やはり米価といいますものが、日本農業にとってはもちろんのこと、また消費者にとっても主食というもので非常に重要であり、日本経済にとって大きく影響するところがあるわけでございますので、できるだけ広範な御意見をいただきまして、適正な米価算定することが必要であろうというふうに考えております。
  155. 及川順郎

    ○及川順郎君 国の財政事情が確かに悪化している状況の中でそれぞれの手だてをしなければならぬという状況はわかりますけれども、しかしこの試算米価のやり方等につきましては、私は再度農家の方々が本当に胸に落ちるやり方で今後きちっと決めていくように路線を引いていただきたい。このことを要望いたしまして、この項は終わらせていただきたいと思います。  次に、減反政策につきまして、先ほど傾斜配分の問題につきましては、私も北海道を回りましたときに同じような陳情を非常に強くいただきました、大変生産費の低いところを何でこんなにばっさり切るのかと。こういう状況の中で、一つは計画生産という問題。日本列島は北から南まで非常に気象状況も違う。本気になって国策として現在の農業政策を確立しようという考え方であれば、適地適作の施策なり指導なりができるはずなんですね。ところが、こういう状況の中で現在のこの適地適作というものがなされていないし、そしてまた、この方向というものが必ずしも成功しているとは限らない。  一つは、その減反のやり方等にも問題がありますけれども、減反した後の水田、これはもう水田をつくらないと、一回だめにしてしまうともう二、三年水田としてこれはもう使うことはできなくなる。さらに私は、今までの転作の状況を見ておりまして、必ずしも転作の方向はこれは成功しているとは言いがたい部分があるんじゃないか。この辺の政府の指導性に対してどういう認識を持っているか、御答弁をお願いしたい。
  156. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 現在の水田再編対策の問題について先生からお話がございました。この点につきましては、具体的な運営の中でどういうふうに考えていくかということは、ポスト三期と俗称言われておりますけれども、次期対策のあり方等に関連いたしまして、農政の最重要課題として今後考えていかなければならない問題であります。  その前に、先生の御指摘のように減反政策の進め方というものをどういうふうに考えていくかという問題でございますが、この点につきましては、ポスト三期と俗称言われておりますけれども、私ども考え方は、五十三年から始まりまして都合三期にわたって九年間行われましたこの実績、これにつきましては全国の農業者の理解と協力を基本として、かつまた地域の特性に応じた農業生産の再編成を図るという方向で進めてまいったわけでございますけれども、そういった地域におけるいろいろな方々の英知と申しましょうか工夫といいましょうか、そういったようなものを、そういう経験やらあるいは教訓というものを総括いたしまして新たに立案をしていかなければならないというような意気込みで考えているわけでございます。  そういった場合におきまして、日本の気象条件あるいは置かれております地域の特性といったようなことから考えますと、やはり稲作といったようなものが、減反政策と今先生おっしゃいましたけれども、この水田再編対策といったようなものの中でも基幹、基本として考えていかなければならないというふうに考えております。  ただ、その場合におきます水田農業のあり方につきましては、これも先生御指摘のとおりでございまして、一度水田をつくらなくなるとその後にというお話もございましたが、我々の過去の経験におきましても、全国的な運動という形にはなりませんでしたけれども、例えば田畑輪換であるとか、あるいは現在におきましても、片仮名で恐縮ではございますが、各地域の知恵ということでブロックローテーションというようなことが案出されているわけでございます。そういったような個々の点としての実績といったようなものを踏まえまして考えていかなければならないというふうに考えているわけであります。  やや抽象的な考え方でございますが、本件につきましては現在農政調査会というものの御意見を賜りながら実施しよう、こういうことでございますので、二、三点私どもの考えております点を申し上げさせていただきますと、第一といたしまして、米の需給均衡を着実に実現し得るよう現下の諸情勢に即応しました有効な調整方策であること。第二番目といたしまして、将来の水田農業のあり方を展望いたしまして、今後の農作物の需給状況を踏まえた農業生産構造の再編成が図られるというものであること。第三は、生産性が高く足腰の強い農業をつくり上げること。第四番目といたしまして、日本型食生活の定着という観点に立って今後とも米の消費拡大に努めること。そういった諸点を重要な視点といたしまして検討していかなければならないというふうに考えております。
  157. 及川順郎

    ○及川順郎君 今の答弁の中でちょっと確認をしておきたいのですけれども、関連ということになるでしょうが、国民食糧である主食用の米については輸入しないというのがこれまでの原則だったのですが、今のそういう考え方の根底に輸入しないという原則は生きているというぐあいに理解してよろしゅうございますか。
  158. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  米につきましては、五十九年に衆参両院の本会議におきます決議もございまして、国内産で全部充当する、このように考えております。
  159. 及川順郎

    ○及川順郎君 それではちょっと観点を変えまして、農産物の価格は高過ぎるという財界並びに政府考え方、若干そういうことを耳にするわけですけれども、大企業は、四十八年の狂乱物価のときには、これはトイレットペーパーなんかも在庫隠しをやって価格をつり上げました。また、石油の便乗値上げでもってこれもやったというこういう状況になっておるわけです。    〔委員長退席、理事宮島滉君着席〕 現在の今非常に重要問題は円高、これがさまざまな形で影響をしておるわけでございますが、この米穀価格に非常に関連の深いものとして肥料原料、これがあるわけです。この一年間に約七〇%、輸入肥料の尿素等はこれはもう半値以下、塩化カリは四割、燐鉱石は三割近くも価格はそれぞれ下がっているんですけれども、例えば硫安の昨年六月と本年六月における国内価格及び輸入価格、その差をもしデータがありましたらお聞きしておきたいと思います。
  160. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 円高の関連につきまして硫安の輸出価格と国内価格の開きについて御質問ございました。基本的に先生今御指摘の点でございますが、農業の生産性を向上させるために生産コストの低減を図ることが重要であるというふうに考えております。とりわけ農業生産資材につきましては、適正な価格で安定的かつ円滑に供給されるようこれまで指導に努めてまいったところであります。    〔理事宮島滉君退席、委員長着席〕  農産物価格の指数で見ますと、最近におきます農業生産資材価格は落ちついた動きを示しておりますが、特に海外から輸入の原材料に依存しております肥料につきましては、円高及び海外原材料の価格低下によりまして、六十一年七月から始まります六十一肥料年度の価格につきまして、硫安等主要十品目の平均価格で前年対比一〇・三%、硫安の場合には一六・二%の値下げが取り決められたところでございます。  ところで、肥料の国内価格につきましては、全農と肥料生産業者が年間一本で価格を取り決めております。一方、輸出価格でございますけれども、国際市況に基づいて取引をされる。そういう意味で先生御指摘のとおり円高の影響を受けております。  肥料の国内取り決め価格と輸出価格、これは通関の統計から算出されるわけでございますが、肥料につきまして単純に比較してみますと、五十八年、五十九年、六十年、六十年の場合は先生六月のお話でございましたけれども、私どもの手元では、六十年の肥料年度の六十年七月から六十一年五月まで、六月を欠いておりますが、その年度で比較いたしますと、単純な計算でございますが、五六%、六一%、四七%とそれぞれ輸出価格の方が低くなっております。  このように国内の取り決め価格と輸出価格との間の格差があることにつきましては、具体的なことを申し上げると時間がかかりますが、簡単に項目だけ申し上げますと、運送費の算入の仕方あるいは包装形態、これは二十キロ袋詰めでいくとかあるいは一トン入りのコンテナという差でございます。あるいは代金支払いの方法といったようなことの違いがございます。  そういうようなことで、なお今後とも適切な価格で安定的かつ円滑に農業生産資材が供給されますよう価格動向に私どもといたしましては注意深く監視をするとともに、関係機関との連携を図りながら関係業界、団体の指導に努めてまいりたいというふうに考えます。
  161. 及川順郎

    ○及川順郎君 私の手元の調べた資料によりますと、時間がありませんから数字的な対比は省略させていただきますけれども、国内の肥料が輸出される場合には大変超安値で輸出されている、少なくとも国内の農家に輸出価格の二倍も高い肥料が供給されている、売られているという実情、この実情について政府はどういう見解を持っているか。私はしかと調べて、そして農家の方々が本当に怒り心頭にこないようにひとつしっかり指導をお願いしたい。このように思っております。  それから、時間が参りましたので最後に、国全体として産業間の均衡ある発展、こういう点で考えた場合に、無資源・貿易立国という我が国状況の中における農業の位置づけというものは極めて重要な問題であると私は思うわけでございます。そういう観点から、工業立国として傾斜してまいりました戦後の歴史の中におきまして、やはり本当に日本が独立国として力をつけていくためには、この農業の面において足腰の強い農業をきちっと確立することこそ国を強くする一番大事な根幹ではないか、このようにかねがね思っておるわけです。  したがいまして、どうか、むしろこの工業立国という状況の中で、農産物は輸入すればいいんだというような考え方ではなくて、両輪のようにこれが相両立していくように、ひとつ今後の当省としての取り組みをぜひ要望しておきたいと思うわけでございまして、この点を強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  162. 下田京子

    ○下田京子君 まず最初に、政務次官、去る四日、五日の台風余波等の被害は大変なものです。これは政務次官の宮城県も含めて、北関東、東北、北海道の一部にも大被害が出ておりますので、速やかな対応を要望しておきます。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  今回の政府諮問米価基本的な問題点、午前中大臣に伺いました。答弁を聞いていますと、生所方式と言いつつも需給事情、財政事情ということを理由にしていかようにでも変えられるということがまず明確になったんです。  いろいろ問題がありますが、この諮問の不当性というのは、問題は何かといったら、ポイントは二点です。一つは、米価算定の際に農家の対象範囲をどうとるかという問題、それから二つ目は、家族労働費評価の問題です。  そこで、その米価算定の対象となる農家をどうとるかということで、五十七年の際に潜在需給ギャップを反映させるということで必要量に見合う販売農家に限定したわけですね。こういう形での家族労賃の評価がえをやって、その結果として、昨年、六十年産方式で計算していきますと、これは米審資料にも出ておりますが、一万七千百八十六円という基準価格になってマイナス六・六%だと、こう言うわけです。ところが、この計算方式の中で、特にその生産費対象農家の部分を全販売農家という形でのみ要素を変えますと、その影響は実に一一・四%アップになって、基準価格は一万九千百五十円、こういうことになり、昨年の基準価格の一万八千三百九十八円に比べれば四・一%アップとなる。事実聞違いないですね。
  163. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  間違いございません。
  164. 下田京子

    ○下田京子君 次に、家族労働費評価がえの問題です。  他の要素は昨年同様ということで、五十六年改悪以前の五人以上九百九十九人までの全国製造業平均賃金ということで試算した場合に、影響は一一・二%のアップになり、基準価格は一万九千百十六円となる。これは昨年の基準価格一万八千三百九十八円に比べて三・九%アップということになる。間違いないですね、これも。
  165. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  今、先生御指摘の一一・二%アップになることには間違いございません。
  166. 下田京子

    ○下田京子君 もう一つ、基準価格で見たら。
  167. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 三・九%となることには間違いございません。
  168. 下田京子

    ○下田京子君 ですから、いかに今回のマイナス三・八%というのが不当なものかということが明確なんですよ。  それで、いろいろございますけれども、この五十七年の改悪前の全販売対象農家ということでやっていけばこれもアップになるし、それから家族労働費評価がえでも、きちっと五十六年以前のやり方でいけばまたアップになる。明らかになったんです。何ゆえにそういう方式を採用できなかったんですか。
  169. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  私ども生産費所得補償方式によりまして米価算定させていただいておりますが、その際、経済事情なり需給事情なり、そういった各般の事情が異なります際には、そういった事情をいかに反映させるかということが問題になるわけでございまして、今、先生御指摘のように、生産費対象農家を選定する場合にもいろいろの方法がございますが、最近におきましては、潜在需給ギャップを反映さす方法をとっておりますので、今申されたような違いが出てくるわけでございます。  また、最近の事情といたしましては、五十六年なり七年、こういったところにおきましては十月末の在庫の古米が相当過剰となって滞積されておりましたし、一方転作といった面におきましても、三千六百億円程度の奨励金を負担いたしまして需給のバランスをとっておった、こういう事情にあったことを一応反映させて算定したわけでございます。
  170. 下田京子

    ○下田京子君 つまるところ、需給事情と財政事情のほかは何物もないと。ですから、もうそのときどきによって、今言うように労働費評価等も含めて歴史的に変えられるということになりまして、これじゃ意欲がわくなんということになりませんし、本当に国民の食糧である米を守り、そして本当に農業の発展を図るというふうにはならない。  これは政務次官に聞きます。  生産費調査の問題でも、いかに不当なのかということが政府資料でも明らかなんですね。六十年産生産費平均でいきますと二万百三円ということになりますね。ですから、米価生産費を償っている、そういう点での農家は幾らかという、いわゆるカバー率と言われていますね。これでいきますと、戸数のカバー率は五十年は八〇%、五十一年が五三%、五十二年は五八%ということで、労賃等のとり方や何かを改悪する以前の五十二年まででいきますと、少なくとも五割以上の農家生産費でいった場合にはカバーされていたわけです。ところが、昨年、六十年の場合にはどうかといいますと、カバー率は二四%ですね。つまり、残り四分の三の農家というのは生産費を償っていないということをあらわしているわけです。こういう状況の中で、本当に意欲を持って農業に取り組むなんということができるんだろうかということです。  さっき、私、大臣に、労賃をそういうことで引き下げたがと言ったら、いや、引き下げてなんかいないということで、たまたま五十九年、六十年の豊作時の一時間当たりの労賃やら所得で見ての話が出ましたが、仮に六十年の場合で見ましても、家族労働報酬は一時間当たり七百六十七円でしょう。そして、地代等を含めた所得で見ても、それでも千四百九十一円でしょう。豊作時でこういう状況なんです。本当にこれで政務次官も意欲を持って農業をみんながやっていけるというふうに確信持ってお述べいただけますか。
  171. 星長治

    説明員星長治君) ただいまの質問にお答えしますが、何せ本年度の諮問米価につきましても、膨大なるところの潜在需給ギャップがさらに拡大しつつあり、巨額の財政負担により需給均衡を図らざるを得ない実情にあること、特に本年度から開始される水田利用再編対策後の次期対策におきましても転作面積の相当な拡大が必要になっていること、賃金及び物価の安定、金利の急激な低下、一般経済情勢がこれまでに見られなかった動きを示すとともに、稲作労働時間の着実な減少が見られること等の事情を配慮するとともに、特に米価農家の経営意欲に及ぼす影響にも十分配慮したものと、こう解釈しております。  以上です。
  172. 下田京子

    ○下田京子君 営農意欲に配慮したなんて言えますか。家族労働報酬を下げておいて、そしてまたそれをときどきの事情で幾らでも変えるなんという格好でいって、生産費も償わないで米づくりに意欲を持てるなんということはとても言えたものじゃないですよ。  そこで、今までもずっと言われております潜在需給ギャップの問題なんです。いいですか。潜在ギャップの中の潜在生産力ということ、これは理論的にいきますとどういうことになるかといえば「基盤整備を進める、技術開発も進められる、そして生産意欲も向上していくということになりますと年々潜在生産力というのは拡大されていくんです。そうですね。そして消費は頭打ち。つまり、結局はギャップは広がりこそすれ縮まるということがなくなってくるんです。こういう論理でいきますと、来年以降十万ヘクタールの減反の拡大などと言われておりますけれども、長期見通し、六十五年なんかになりますとさらに八十二万ヘクタールの減反などと言っていますが、どんどん減反をしていかなきゃならないという論理につながりますね。どうですか。
  173. 星長治

    説明員星長治君) 潜在需給のギャップは膨大なものであります。しかも一層拡大するような傾向にあるんです。しかしながら、今後は定着性のある転作を推進して、そして米の需給均衡を図っていかなければならない。転作の定着によって需給ギャップの問題、いわゆる解消されることができるだろうと、こう思っております。  以上です。
  174. 下田京子

    ○下田京子君 要するに、私が言ったことは否定されてないで、理論的にはそのとおりです。次長、そうですよね。
  175. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  潜在需給ギャップの比率計算する場合におきまして、分子には需要量とか生産予定量を置くわけでございますが、分母の方には潜在生産量から、現在は他用途利用米の生産予定量なり、また定着分といたしまして永年作物とか転換畑相当分、こういったものを引いているわけでございまして、こういった定着分がだんだんとふえればその今先生がおっしゃるような傾向にはいかない場合がある、こういうふうに次官から答えていただいたわけでございます。
  176. 下田京子

    ○下田京子君 要するに、拡大面積がふえるということは事実なんですよ、転作が定着するかどうかは別としてね。そういうことになるわけですよ。——後ろで首を振っているのは答弁じゃないんだからやめなさいよ。理論的にそういうことなんですから。  それから、潜在需給ギャップの方式でいきますと、もう一つでいけば、価格の問題でいけば、生産費コストの高いところは外していくという論理で低米価を押しつけられる結果にもなるでしょう。理論上の話を言っているんです、私は。
  177. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 生産費対象農家の選定の問題でございますが、やはり需給事情が非常に緩和いたしまして需給ギャップがある場合には、それを反映させるものといたしまして、当然その選定を一〇〇%の全農家を対象とするということは適当でないというふうに考えております。
  178. 下田京子

    ○下田京子君 それはいろいろ弁解されていますけれども、その潜在需給ギャップ論というのは、理論的に言えば私が言ったとおりですよね。ですから、問題がはっきりしているのは、お米を生産している全農家を対象にしてないということなんです。同時に、一部の農家のみ、それも限られた部分にという形になっていって、結局はそうした専業農家も本当に再生産が成り立たないような方向につながっていく非常に危険があるということを明確にしていると思うんです。  そこで、財政事情だけやたら言っておりますけれども大臣にさっき聞こうと思ったら時間がなくなったので。大臣しきりに、もう国際的に見ても農業というのはなかなかうまくいってないと、しかし保護しているという議論を言われているんですね。聞いていますよね。そこで、日本の農業というのは本当に過保護なんだろうかどうなのか、どういうふうに思っていますか。
  179. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 今、下田先生御指摘のように、外国におきましても、農業に関しまして各種の振興措置等の保護措置を講じているということは事実でございます。なかなか保護の程度をどういった尺度で比較できるかという点については難しい点があるわけでございますが、私どもとしては、やはり農業基本的な役割という点からいたしますと、日本の限られた国土でもございますし、保護が必要であるというふうに考えておるわけでございますが、一方におきましてやはり国民の食生活との関係ということからいたしますと、先ほども御議論が出ておりましたが、足腰の強い農業にしてできるだけ内外の価格差を縮めていくという努力も一方でやっていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  180. 下田京子

    ○下田京子君 アメリカなりECなりの農業は非常に保護されているということを大臣は言われているんですが、事実お米に関しても大変保護しています。  これは政府からいただいた資料でございますけれども、日本とアメリカとECにおける麦とお米の支持価格の推移がありますが、今お米だけ言いますと、私が先ほどから随分議論している水田利用再編対策が始まる以前の五十二年ですね、一九七七年を一〇〇とした場合に日本のお米はどうなっているかといいますと、生産費や消費者物価が三三%も上がっている中で米価は八・三%ですね。アメリカの場合のお米はどうかというと四四・二%も上がっています。それから、ECにおけるお米はどうかというと五一・五%も上がっています。こういう形で保護をしながら今一生懸命また生産性を上げさせて輸出向けというようなことも対応されているんですね。ですから、決して日本が保護されているなんということは言えたもんじゃない、こう思うんです。どうですか。
  181. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 日米の米の支持価格の推移について今、下田先生からお話ございましたが、過去においてそういう経過があったことは事実であろうと思います。この背景としてはいろんなことが考えられると思いますが、アメリカにおきましては近年物価の上昇が非常に高かった。また、それを受けましてアメリカにおきましてはかなり支持価格水準を引き上げるという動きがあったわけでございますが、御承知のようにごく最近の状況といたしましては、アメリカが価格をつり上げ過ぎたために国際マーケットでの競争力を失ったと、過剰が非常にたまったというようなこともございまして、八五年農業法におきましては支持価格引き下げということに踏み切っているというような状況も生まれておるわけでございます。
  182. 下田京子

    ○下田京子君 米については、アメリカは八六年も引き下げしてませんよ。  いずれにしましても、これも大臣に聞きたかったことですけれども、中曽根内閣になってのこの四年間で、食管予算が四千億円削られて、一方防衛予算が七千六百億円もふえているというような状況、これは現実ですよね。一方、アメリカやECは、支持価格という点では非常に保護してきているというのもまた事実なんです。  そこで、次に問題にしたいのが、午前中大臣にも聞きましたけれども、お米の輸入問題です。  繰り返し今までも、お米については国内産で充当するんだ、こうおっしゃっておりますけれども、先般資料にもお配りしておりますけれども、食管第十一条、政府の許可なくしてお米は原則輸入できないことになっております。しかし、繰り返しこれまでお米は輸入しないとおっしゃっておりながら、二年前にあの韓国からの十五万トン緊急輸入、これは輸入じゃなくて返還米だ、こんなことをおっしゃっておりますけれども、第一に貿易統計上はっきりしてお米が輸入されているのは、資料ごらんください、六十年暦年でも一万九千六百六トン、約二万トン輸入されております。この点間違いございませんね。
  183. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 間違いございません。
  184. 下田京子

    ○下田京子君 問題は、農水省告示ということでもって、食糧管理法の施行に関する件の中で例外規定がございますね。大臣の許可なくしてお米の輸入ができる規定です。その例外規定の中には、いろいろございますけれども、一つは試験用、標本用、見本用という格好でもって、これは百キロを超えない形でもってならオーケーですよ。それから第二番目の問題が、旅客の携帯品なら百キロまでこれもオーケーですよ。米輸入にかかわる項目八項目ほどございますが、そこで一点確認したいのは、(二)の旅客の携帯品に一体船の乗組員の皆さんの土産物というのが入るのかどうか、これについて、従来ですと各港ごとに三十キロ、五十キロあるいは百キロ以内という形でまちまち持ち帰りされていたんですが、どうですか。
  185. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生御指摘の外航船舶の乗組員による米穀の持ち込み、これが旅行者の一応土産物というふうなものに入るかどうか、私どもはこれは入らないというふうに解釈しております。
  186. 下田京子

    ○下田京子君 入らなければ、どういう対応をされるんですか。今までは持ち込まれていたでしょう。
  187. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) これは税関の方での対応でございますが、一応許可がなければ持ち込めないわけでございますので、私どもといたしましては、やはり乗組員が土産物としてお持ち帰りになるということは遠慮していただくようにお願いしておるところでございます。
  188. 下田京子

    ○下田京子君 もう少し具体的におっしゃってくれませんか。私はレクの中では伺っているんです。  私から申し上げますと、こういう事態が逆に船員の方から、港ごとに持ち込み量がまちまちだから百キロまで認めたらどうかという格好でクレームがついた、これがことしの一月だというんですね。それまで食糧庁は全然知らなかった、税関から食糧庁に問い合わせがあって初めてわかったというんですね。そして、五月になりましていろいろと対応した結果、これは今おっしゃったようなことで認められない。認められないというんじゃどうするのかということでもって、六月になってから各税関が統一して、ことし九月一日より乗組員の携帯品のお米の持ち込みはできませんよということでの、そういう電話での指導をしたというんですが、事実間違いないのかどうか。そういうことで食糧庁としてきちっと対応しないというところが問題なんですよね。どうなんですか。
  189. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今事実の確認をされましたが、私どもも九月一日から乗組員による米穀の持ち込みということは認められない旨税関に連絡をしていただいたというように聞いております。  私どもといたしましては、こうした外航船舶の乗組員の携帯品ということで米穀が持ち込まれておった、こういうふうなことにつきましては十分事実を知らなかったわけでございまして、こうした問題で十分食管法の趣旨が最末端まで生かされずに、入っておるところと入ってないところがあったということは反省しております。
  190. 下田京子

    ○下田京子君 反省されるのは大いにこれは必要なんですが、今の例外規定というのは昭和二十七年からとられているんですよ。百キログラムもお土産だなんていう格好で持ち込まれていて一体どうなんだろうか。いろいろ問題がありますが、それはさておいて、私は実態把握がきちっとなされてないというそこに問題があると思うんです。  そこで、さらにお聞きしたいんですけれども、この(五)のところに、米軍並びに大使館等、こういったところにも許可なくして持ち込まれるような実態になっていると思うんですけれども、これも調査せいと言ったら実態把握できないと、こう言っておられたんです。どうなんです、この辺は。
  191. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  米軍用のものにつきましては、事の性格上それがどのように使用されておるかという中身についてまでは十分なる実態が把握し得ない状態でございます。
  192. 下田京子

    ○下田京子君 事柄の性格上とおっしゃいますけれども、実は問題なんですよ。イネミズゾウムシがどういうルートで入ってきたのか、これも大問題になったんです。米軍の横流しでないかという話もありましたが、五万人からおられる在日米軍、そしてその家族、これがどうなのかということで、これは農蚕園芸局長に御答弁をと思ったんですが、時間がなくなりましたから、いろいろ聞きましたところ植防の方ではチェックされているんですね。だから、チェックはされているかどうかだけお答えください。
  193. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 植物防疫の検疫の面については実施しております。
  194. 下田京子

    ○下田京子君 実施されているけれども、これまた具体的にアメリカからどのぐらいの輸入があるのか、その検疫で数量的に把握できないかということでもって急遽頼んだんです。そうしましたら、五十九年暦年でもってアメリカから二千二百四十三トン、うち貨物で二千八十トン、こういう格好で入っているというんです。政府統計で言いますと、アメリカから入っているのは千百四十三トンなんです。ですから、二千八十トンとの差が恐らくこれは米軍かなという推測はできるんですが、いろいろ聞きますと、みんな手作業なんです。コンピューター入れたらどうかと言ったんです。これは国際的だなんていったって実際チェックもできないじゃないですか。  しかも、米軍に対しては国内にある植防上の法律の罰則規定、これが適用できないですよね。こんなことじゃ何にも全然機能しないじゃないですか。この辺はきちっと今後の課題として大臣等々関係者集まって協議をしていただきたい。政務次官
  195. 星長治

    説明員星長治君) はい、よくわかりました。
  196. 下田京子

    ○下田京子君 わかりましたということだから。資料を出せと言ったときも手作業と聞いて唖然としちゃったんです。  それで、問題は今の二十七年に基準ができて以来、百キロ以内という格好でもって、お土産用ならということでどんどんお米が持ち込まれる。これは、考え方によっては悪用しようと思いますと団体客という格好で、航空運賃だと高いでしょうけれども、船積み貨物みたいな格好でやってくるとどんどんアメリカ・カリフォルニア米というのは持ち込まれますね。そしてこれは、食管上はきちっとそういう規制があるんだといっても現実には穴があいている。  午前中にも私質問しましたが、米粉の調製品という格好で、まあ擬装品ですよ、で入ってきている。こういうことになりますと、IQ制度とは一体向なのか、それから輸入制限なんて言っているけれども、一体何なのかということになりまして大変問題になってくるわけですから、少なくとも当面はいろいろあります。大蔵サイド、通産省サイド、厚生省サイド、そして農林省部内でも食糧庁は知らなかった。だけれども、農蚕園芸局の植防課はわかっていたとか、いろいろな問題があるわけです。こんなしり抜けはないので、それらを総合して少なくとも当面は輸入数量をきちっと把握する、これは努めていただきたいんです。
  197. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 非常に例外規定の細部にわたる問題でございますのでいろいろ問題はあろうかと思うのでございますが、関係省庁等と十分協議して検討してまいりたいと思います。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕
  198. 村沢牧

    ○村沢牧君 議事進行について動議を提出したいと思いますが、よろしいですか。
  199. 高木正明

    委員長高木正明君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  200. 高木正明

    委員長高木正明君) 速記を起こしてください。
  201. 三治重信

    ○三治重信君 私は今度初めて委員になったので、今までの農林水産委員会におけるこの米価問題やなんかについてのいきさつをつまびらかにしていないわけなんですが、きょう午前中大臣にお尋ねしても、諮問中だと、こういうことで、その経過を見なければ何とも言えぬというようなことのようですが、その中で言われたのは、ひとつ米価がどう決まろうと大変な需給ギャップが予想される、そうすると来年はもっと減反を強化するような線を出さなくちゃならない、そういう意味において米価というのはマイナス諮問をした大きな理由である、こういうようなことですわね。  そうすると、減反を強化するという、決まったわけじゃないけれども、そういう方向ということになると、その減反の強化の方向というのは、やはり従来のようにもう第二種兼業農家も、第一種兼業農家も、専業農家も、この耕作反別の比率によって一律に、また農業地帯も、また商工業地帯も一律にこうやるというような減反政策の強化になるんですか。
  202. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 転作目標面積の配分の仕方についてはいろんな御論議があるわけでございますが、現在の転作目標面積の配分はある程度地域分担といいますか、そういう要素も織り込んで配分をいたしておるわけでございます。全体の目標面積がふえていくことが予想される中で、今後の配分をどうしていくかにつきましてはいろんな御主張があるわけでございますが、先ほど農蚕園芸局長からお答え申し上げましたように、今後関係方面の御意見を十分承りながら検討していく必要があると考えておるところでございます。
  203. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、最近非常に大都会の宅地が急速に上がっているわけね。特に宅地が上がっているのは、東京圏は特別、それから大阪、名古屋圏、これが特に注目されるところなんですが、一つの意見なんかでは、東京圏においては百キロ以内における農地をもっと宅地に解放したらどうかと、そうすると宅地の非常な値上がりを防ぐことができる、こういうような意見がある。それと減反強化を合わせていくというと、減反するのをこっちで強化をして、そして宅地化を図る。  そういうような、土地政策との関連も考えて、そうして住宅地やなんか非常に上がるようなところにおいては減反政策を強化し、そしてその減反をしたところは住宅への転換をやっていく。減反ばかり多くしていくと、減反を多くすれば多くするだけどんどこ経費がかかるわね。そうすると、減反したやつを農地から宅地へ転換して売っていいと、そういうふうにすれば、売ったものについては、それはまあ減反の補助金を出さぬで済むわけだと思うんですが、どうなんですか。
  204. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 現在の転作目標面積の配分に当たりましては、今、三治先生からお話のありましたような点も考慮いたしまして、市街化区域に目標をある程度傾斜配分するという考え方を織り込んでいるところでございます。ポスト三期対策について、その辺でさらにもっと工夫ができないかという御趣旨かと思いますが、その点につきましても、私ども省内におきます検討の一環として今後よく勉強してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  205. 三治重信

    ○三治重信君 これは非常に農水省そのものも予算を削られることからいって、なかなか米の転換対策米価対策で予算を余計使いたくないところだろうと思うんですよね、農業政策全体からいっても。今までせっかく逐次米に対する予算の使い方を少なくしてきたのに、それをまた減反を多くすることによって、また農業の予算の中で米価対策費を多くすればほかのところがえらい圧迫を受ける。  そういう意味において、これは特に私たち労働者の方を考える場合に、大都会のウサギ小屋がちっとも解決しない。そういう意味からいっても、やはり内需拡大やるといっても、土地がなければ家を建てることもできない。そうすると、これは農地を相当解放してもらわぬと、実際宅地もそう安くならぬだろうし、それから大都会の近くの農家は第二種兼業農家が多いし、所得も保障されているし、土地を転換する、売ることによってまたさらに米の減反の強制についての被害というものが僕は非常に少なくなると思うんですよね。  そういう意味において、やはり第二種兼業農家から減反率を強化していく。しかも、それが都会に近くて農地以外に転換できるところはそういうふうにしていく。そうすると、農業の転換政策における余計予算が要るのが少なくて済むのじゃないか、こんな感じを僕は持っておって、そういうふうに減反を強化するなら、その強化する分はそういうふうな新しい宅地政策や内需拡大の政策にも共通的に理屈が立つような、また農家の方も納得しやすいような減反の推進、あなたの方がそこの犠牲をやってくれればこっちも住宅地として助かるんじゃないかというような、納得がいくような減反を進めていただくと非常にいいんじゃないかと思うんです。  それからいま一つは、何か非常に米が足りなくて韓国から米を輸入するとかなにかというときに、緊急的に食糧の安定供給のためにはやはり貯蔵米を持つことが必要だというようなことから、まあ一千万トン程度ですか、何ぼかよく覚えてないんですが、相当の貯蔵米を食管会計で持つようにしたらどうかというような、その後の経過はどうなっているんですか。来年度の米の非常な需給ギャップに対して、この貯蔵米との関係はどういうぐあいになるんですか。
  206. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  お米も農産物でございますし、やはり作況変動があるわけでございます。過去五十五年から四年連続の不作によりまして韓国からお米を返還していただいたという事実もあるわけでございまして、そうした事実も踏まえまして、転作等の面積を調整させていただきまして、年平均四十五万トンずつぐらいを積み増ししていったらどうか、こういうことで対応してまいったわけでございまして、今のところ五十九年、六十年と豊作が続きましたし、今年で三年目になるわけでございますが、おおむね四十五万トン程度、数字ははっきりそのとおりということには相なりませんが、それに近いようなものが積み増しされる、こういうふうに私ども見ているわけでございます。  ただ、今、先生一千万トンという数字を御指摘いただいたんでございますが、やはりお米の場合におきましては、古くなりますと非常に商品価値が落ちますし、値段も安くしなければならない。また、その保管をするに当たりましては、低温保管ということでございますれば品質が余り劣化しないんでございますけれども、一千万トンというふうな保管のスペースというのは、大体年間のお米総生産量に近いような数字でございますので、ちょっとそういった大きな数字はできないわけでございます。したがいまして、私どもは一応毎年毎年その積み増ししたものは翌年に消費してしまう。で、在庫量は新しいもの新しいものを在庫に持って持ち越す。その持ち越しますものは、梅雨場以降におきましては低温保管というものにいたしまして、摂氏十五度以下の倉庫に入れまして品質の劣化を防ぎつつ回転をしていこう、こういうことで対応しておる次第でございます。
  207. 三治重信

    ○三治重信君 まあ一千万トン、あるいは百万トンの間違いかもしれませんが、いずれにしても、そうするとそういう非常時用の貯蔵をして、年間の需給の、端境の需給のつなぎのほかに常備的な貯蔵もしていこうというのは考え方としては取り入れている、そしてもう現在三年やると大体限度いっぱいぐらいになる、こういうことで理解をしていいわけですか。  そういうぐあいになってくると、なおさら今後、今の生産技術の上昇を考えていくと米の過剰の問題がまた来る、この対策だろうと思うんですが、そこでやはり相当な適地適産のことをやっていかぬと、全国一律にやっていくと、それは生産費を償わぬような米作地帯が出たりあるいは有利なところが出る。だから、やはり逐次不利なところは整理していって有利なところを残すようなことも減反対策としてやっていく。  何か一つの政策を一つだけでなくてほかへも応用して、全体としてやはり何といっても米の値段が、国際価格について、カリフォルニア米にしてもこの五、六倍かかるというようなことと、次に、いつでも受け身な農業政策になる。で、輸入自由化しろ、何だかんだ。それは、国際競争力のあるような農業にしていけばそんなおそれはなくなってくるわけなんだから、その努力に向かってこの減反政策なり米価政策というものが結びついていくような方向で、ひとつぜひ検討してやってもらいたいと思う。  以上で終わります。
  208. 高木正明

    委員長高木正明君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  暫時休憩いたします。    午後四時一分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕