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1986-09-09 第106回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年九月九日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 大島 友治君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 服部 信吾君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 杉山 令肇君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 久保田真苗君                 佐藤 三吾君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 刈田 貞子君                 田代富士男君                 沓脱タケ子君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        外 務 大 臣  倉成  正君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君        農林水産大臣   加藤 六月君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  稲村 利幸君         ─────        会計検査院長   大久保 孟君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        公正取引委員会        事務局審査部長  樋口 嘉重君        警察庁刑事局長  仁平 圀雄君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        防衛庁経理局長  池田 久克君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁自然保護        局長       古賀 章介君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省経済協力        局長       英  正道君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        厚生省保健医療        局長       仲村 英一君        厚生省年金局長  水田  努君        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        農林水産省経済        局長       眞木 秀郎君        農林水産省食品        流通局長     谷野  陽君        林野庁長官    田中 宏尚君        通商産業省立地        公害局長     加藤 昭六君        通商産業省生活        産業局長     浜岡 平一君        建設大臣官房長  高橋  進君        会計検査院事務        総局次長     秋本 勝彦君        会計検査院事務        総局第一局長   三原 英孝君        会計検査院事務        総局第二局長   天野 基巳君        会計検査院事務        総局第三局長   大沼 嘉章君        会計検査院事務        総局第四局長   吉田 知徳君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 一哉君        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君    参考人        地域振興整備公        団総裁      中橋敬次郎君        地域振興整備公        団理事      小野 眞魚君        国際協力事業団        総裁       有田 圭輔君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提出) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百四回国会内閣提出) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書(第百四回国会内閣提出) ○国家財政経理及び国有財産管理に関する調査  (派遣委員報告)     ─────────────
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、前回に引き続き全般的質疑第二回を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 久保田真苗

    久保田真苗君 初めに、SDI関係ですけれども、きょうの閣議でこれをお決めになるということですが、どういう形でどういうことをお決めになるということですか。
  4. 倉成正

    国務大臣倉成正君) お答えをいたしたいと思います。  米国戦略防衛構想、いわゆるただいま御質疑SDIについては、政府としては昨年初頭、本構想非核防御システムによって弾道ミサイルを無力化することにより、究極的には核兵器廃絶を目指すものであるとのレーガン大統領説明を受け、かかるものとして我が国本件研究計画に対する理解を表明してまいりました。その後、米国政府からこの研究計画に対する参加要請を受けて、これまで我が国としての対応ぶりについて慎重に検討を続けてまいりました。  この間、昨年五月のボンにおける日米首脳会談において、中曽根総理は本構想に関して、一、ソ連に対する米国の一方的優位を追求するものではない、二、西側全体の抑止力の一部としてその維持強化に資する、三、攻撃核兵器大幅削減を目指す、四、ABM条約に違反しない、五、開発配備については同盟国との協議、ソ連との交渉が先行すべきであるとの諸点を確認しました。  また、米側からその後も種々の機会に、本構想米国が将来、戦略防衛システム開発配備可否決定するに当たって必要な技術的知識を提供するための研究計画であり、本構想基本的考え方軍備管理軍縮交渉努力と並行しつつ、非核による高度な防衛システムについての研究を進め、究極的には核兵器廃絶しようというものであるとの説明を一貫して受けておるところであります。米国がこのような基本的理念のもとで研究を行っていくことは、前記の我が国平和国家としての立場に合致するものであると思っております。  したがって、米国がかかる構想のもとでの研究を進め、非核防衛システムに関する技術が一層発展することは、米国のみならず、我が国を含む西側全体の抑止力強化に資する可能性があるものと考えております。また、我が国が同研究計画参加することは、日米安保条約に基づく日米間の相互協力の発展にもつながるので、日米安保体制効果的運用に資するものと考えております。  また、本構想は、関連技術実現性を探求するための多数の研究プロジェクトを同時かつ大規模に実施するものであり、我が国当該研究計画参加する場合に、我が国が適切な形でその成果を利用し得ることになれば、我が国関連技術水準向上に大きな影響を及ぼす可能性があるものと考えております。  我が国からのSDI研究計画への参加は、米国が策定する個々具体的プロジェクト特定局面への参加となるものと考えられるところ、政府としては先ほど述べましたごとき我が国SDI研究計画への参加の意義にかんがみ、本件参加問題については、現行の我が国国内法及び日米間の取り決めの枠組みの中で処理することが適当であり、従来からの防衛分野における米国との技術交流と同様に取り扱うとの立場に立ちまして、かかる参加を円滑にするため、所要の具体的諸措置について米国政府と協議することにしたわけでございます。  なお、これにつきましては関係閣僚会議を六回ほど開きまして、そして本日の……
  5. 久保田真苗

    久保田真苗君 その内容いいです、関係閣僚内容は。きょうの閣議で何をどういうところまで決めるのですか。
  6. 倉成正

    国務大臣倉成正君) きょうの関係閣僚会議の結果を踏まえまして、閣議においてこれを報告し、そして了承を得まして、米国との交渉に入る、そういうSDI参加についての了承を得まして、そして米国交渉に入る、そういうことを決めたわけでございます。
  7. 久保田真苗

    久保田真苗君 閣議の形は何ですか。閣議決定ですか。閣議了解ですか。報告ですか。
  8. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 閣議において座長であります官房長官から報告がありまして、了解を得たという形でございます。
  9. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり閣議報告ということになるわけですね。随分内閣というのもばかにされたものだと私は思うんですよ。どうしてこんな大事なことが、これほど国会でさんざん問題になったことが閣議報告なんという形で処理されるのか私には理解できない。  それから、SDIへの研究参加というのは国会決議に反するという議論があるんですが、これはどういうふうに考えておられるわけですか。
  10. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 先ほどるる申し上げましたけれども、その件を省略しましたが、我が国宇宙開発及び利用基本に関する国会決議については、政府としては同決議我が国における開発及び利用対象としたものであって、他国の開発及び利用に対する我が国の関与は、我が国みずからが行う開発利用と同列に論じられるものではないと考えておる次第であります。  SDI研究計画の場合は、あくまでも米国が策定し推進している計画であって、我が国参加の態様はこのような計画個々具体的プロジェクト特定局面への参加にとどまるものであり、本件決議がこのような参加までも対象としたものとは考えておりません。
  11. 久保田真苗

    久保田真苗君 国会決議趣旨宇宙空間平和利用ということにあるわけですよ。そしてこの平和利用ということは、これまでの国会答弁で非軍事的目的ということに限られているわけですね。そういたしますと、我が国が打ち上げるというふうに限定されるけれども、実際は宇宙空間平和利用ということがこの国会決議精神なのであって、それが日本でなくてアメリカがやる研究開発に協力することはこの国会決議に抵触しないなんというのは、もうこれは三百代言の解釈ですね。どうしてこの国会決議趣旨というものが尊重できないのか。今おっしゃったような解釈では納得できませんね。一体政府はこの宇宙利用平和目的に限ると、そしてこの平和利用とそれから非核という、さっきSDI非核だとおっしゃったけれども、そんなことはないですね。ミサイル破壊エネルギー核爆発によって支えられるということは非常に広く知られていることなんです。その辺どういうふうにお考えになりますか。
  12. 倉成正

    国務大臣倉成正君) SDI研究計画は、非核防御的手段によって弾道弾を無力化して究極的に核廃絶を目指すものであって、これは平和国家としての我が国立場に合致するものであるのみならず、かかる研究計画への我が国参加は、日米安保体制日米信頼関係維持強化にも貢献するものである、そういうことを考えれば、本件決議がこのような参加までも禁じているとは考えておりません。  なお、今エックス線レーザー等の問題についての専門的なお話がございましたけれども、これはまだ現在存在していない兵器でございますから、具体的にいかなるものであるか現段階で予測することは困難でありまして、いずれにせよSDI非核防御的手段により弾道弾を無力化して、究極的に核兵器廃絶を目指すものであるとの説明レーガン大統領より受けていることは、従来より繰り返し述べておるところでございます。
  13. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは交渉相手国なんですよ。レーガン大統領の言うことを丸のみにするということでは、とても日本国益が守られない。  大臣は、SDI核エネルギー利用する兵器体系一つではない、そういうふうにお考えになるわけですか。そういうふうに考えてきょうの決定をなさるわけですか、どうなんですか。
  14. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまの点は政府委員からお答えさせます。
  15. 藤井宏昭

    説明員藤井宏昭君) ただいま大臣が御答弁なさいましたように、SDIとは非核防御兵器非核技術によりまして核兵器を大幅に削減し、究極的には廃絶に持っていく、非核であるということはアメリカも累次日本側にも説明しておりますし、中外に宣明しているところでございます。  御指摘の点につきましては、御存じのとおり、SDIは大変に広範な研究でございます。SDIの中にいろいろな分野がございますけれども、その中で核弾頭に直接の破壊をもたらします兵器の部分は大きく言って二つございまして、一つ指向性エネルギー兵器でございますし、もう一つは全く別の原理に基づきますところのキネチックエナージー、物理的なエネルギー兵器でございます。その中にもいろいろな種類の兵器があり得るわけでございますけれども、指向性エネルギー兵器の中の一部にエックス線レーザーというものが研究されており、それが核をエネルギーとして使うということが研究されているということは事実でございますけれども、あくまで指向性エネルギー兵器の中で自由電子レーザーとか中性子ビームとか、そういうものが主流でございまして、エックス線レーザーというものはソ連が従来から研究しておるので、この対抗上研究しておるという説明アメリカから受けておりますし、そのほんの一部である。さらにその兵器研究の過程でございまして、それがいわゆる核兵器であるのかどうか、その点についてはわからないわけでございます。  いずれにしましても、全体をひっくるめましてSDI非核であるというこの性質、この性質アメリカも、冒頭は申し述べましたように累次宣明しているところでございまして、そのほんの一部にそういう研究があり得るということで、SDIの全体の性格を否定するということにはならない、かように存ずる次第でございます。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 時間がないですから大臣お答えいただきたいんです。  大臣は、このSDIが非核兵器だということを、それを前提にしてきょうの閣議に臨まれるわけですね。そこのところだけ確認します。よろしいですね。
  17. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 政府委員からも申しましたように、SDI米国が将来戦略防衛システム開発配備可否決定するに当たって必要な技術的知識を提供するための研究計画であり、本構想基本的な考え方は、軍備管理軍縮交渉努力と並行しつつ、非核による高度な防衛システムについて研究を進め、究極的には核兵器廃絶しようというものであるとの説明を一貫して受けておるわけであります。  なお、非核原則SDI研究参加との関係について見れば、非核原則我が国主体的意思に基づき、我が国の域内に核兵器の存在を許さないことを内容とする政策であるので、米国が行っているSDI研究との間に特は関係があるとは思っておりません。
  18. 久保田真苗

    久保田真苗君 時間がありませんから、大臣がこれは非核であるというその点だけを確認しておきます。よろしいですね。
  19. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 非核による高度な防衛システムと理解しております。
  20. 久保田真苗

    久保田真苗君 SDIとは弾道弾迎撃用ミサイルとおっしゃいますけれども、SDI大陸間弾道弾、つまり米ソにとって最も関係のある、そういう兵器でございまして、我が国のように中距離ミサイルの撤去を求めているような国に一体どういう利益があるのか、私は非常に疑問に思うんです。  それから、技術的向上と言われますけれども、これが非常に一方的な、不平等な、一方的な米国の権利という、そのような協定が結ばれた西独の例もありまして、今の段階でこれが日本国益に資するというようなことは到底考えられない。私は、やはりこの国会決議精神に沿って、宇宙の非軍事利用のみに限られるものに日本は協力すべきであって、それ以外のものに協力すべきではない。そして非核については絶対的にこれが非核であるという保証がなければならない。その点について政府はちっとも説明してないんですよね。この点確ついてもっと十分な説明が行われることを私は要求しておきます。  次に、防衛庁関係ですが、防衛庁防衛予算円高差益の問題に絞ってお聞きします。  特に六十一年度に入りまして、非常に円高差益が増幅しておりますね。支出官レートは二百九円で設定していらっしゃる。そして今のドルの平均を仮に百六十円と設定しますと、そこに大きな差益が生ずるわけです。私の計算では、今年度の外貨建て支払い分はつきまして、一般輸入国産品中の輸入分と、この二つの項目だけは絞りましても合計千七百九億円、そしてこれは八億一千七百七十一万ドルということですが、実際には百六十円換算で払いますと、ここに総計四百一億円の差益が生ずるわけです。この点防衛庁長官は、このような不用額がことし大幅に出るということをお認めになりますね。
  21. 池田久克

    説明員池田久克君) ただいま先生の御指摘のとおり、六十一年度の外貨建てについては総額で、これはドル以外のもの全部含めますと、二千三百億程度のものがあることは事実でございます。そしてその中に一般輸入国産品中の輸入について、先生指摘予算を組んでいることは事実でございます。そしてそれが支出官レート二百九円で計上していることもそのとおりでございます。  問題は、六十一年度にどれだけ差益が出るかという点でございます。先生一般輸入国産品中の輸入についてお話しでございますが、一般輸入につきましても我々はその都度精査をいたしまして、差益が出れば払わないということをしていることは先般も申し上げたとおりでございますが、国産品中の輸入につきましては、さらにこれ長期にわたる契約でございますから、いつの段階で材料を先行手配したか、そして最終のものがいつ入ったかというものを個々は精査いたします。我々は中途確定とか、そういう表現を使っておりますけれども、これは契約最終年度でかなりの人数が長期間にわたって個々に一件ごとに精査いたしまして、外貨建ての部品の先行手配等が具体的にどの時期にどれだけの額で支払ったかということを個々に精査いたしまして、そして最終的に結論が出るわけでございまして、今この段階で六十一年度が四百億程度のものが出るはずだというようなことは申し上げられない状況でございます。そして、そういうことが出るであろうということも我々は今判断できない。そんなに大きくはならないのじゃないかと思いますが、外貨動きから判断いたしますと去年程度以上のものが出ることは、それは十分予想されると思います。これはなぜそうわかるかといえば、外貨動き状況からそう申し上げるわけでございます。
  22. 久保田真苗

    久保田真苗君 去年程度のものどころではないですね。去年よりはずっと大きい差益が出るはずです。一口で言いますと、これは防衛庁事務局とも打ち合わせ、一応確認してありますけれども、円が十円上がると防衛庁のこの関係の経費で八十億円の不用額が出るんですよ。そうしますと、円レートがわからないといったって、仮に非常に甘く百七十円レート考えたって三百二十億円になるんです。百七十円よりも円が低くなるという見通しは非常にないと思いますね。  栗原防衛庁長官に伺いたいんですが、こういう状態なんです。防衛庁長官、今度アメリカへいらっしゃって、ブッシュ副大統領、それからワインバーガー国防長官に会われました。いろいろな注文がついたようですね。私が伺いたいポイントは、円高差益分在日米軍への財政的支援に使うよう求められましたか。そして、もし求められたとすれば、どういうお答えをなさいましたか。
  23. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 円高によるところのメリットを在日米軍駐留支援に使ってほしい、そういう形でのお話はございませんでした。そうじゃなくて、円高で非常に余裕ができただろうと、それを防衛力整備にお使いになったらいかがですかと、こういう話でございます。それに対しまして私は、いわゆる円高になったからといって装備品をたくさん買うというわけにはまいらない。なぜかというと、防衛力整備というのは継続的かつ計画的にやらにゃならぬから、そういうふうに円高になったからって装備品をたくさん買う、装備品を買うということは人ともリンクしますから、そういう人的な問題もあって、それはだめだということを一般的な形で話した。ただ、アメリカ側が言うのは、非常にアメリカも苦しいし、議会筋から同盟国のそれぞれ防衛力については格段の努力をしてもらいたい、そういう要求、要望もあるので、例えば駐留軍関係労務費、そういったものについても考えられないかという話がございました。
  24. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛力の増強を求められるというけれども、中期防衛力整備計画、そういうものを超えて、そして円高差益を使われるなどということは到底容認できないことです。特に在日米軍の問題につきましては、日本自衛隊に比べまして、その住宅、隣舎の設備というものは、例えば二十五万人の自衛隊の分よりも五万人の米軍の費用の方が高いというような状況にありますので、私はこういうことは、円高不況で苦しんでいる国民の納得を到底得られないことだと思うんです。特に差益還元はなかなか実行されませんし、防衛庁だけが先憂後楽の逆で、自分のところだけが非常に甘い支出官レートでやっているということは本当に国民に対して申しわけないことなんじゃないんでしょうか。  大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、この六十二年度の支出官レートを百七十円というふうに提出されていますけれども、私はこれはせめて百六十円にすべきだと思うんです。そして、もし不足が生じたときは補正でそれはなさればいいと思うんです。当然そうすべきだと思いますが、大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府委員からお答え申し上げます。
  26. 篠沢恭助

    説明員篠沢恭助君) お答え申し上げます。  六十二年度の支出官レートを幾らにするかということにつきましては、要求時点でとりあえずのものとして百七十円程度という形にしてあったと記憶しておりますけれども、現実の六十二年度予算編成段階でどのようなしレートに持っていけるかということは、予算編成最終段階で慎重に検討さしていただきたいと思っております。
  27. 久保田真苗

    久保田真苗君 今いろいろな円高差益の問題がありますんで、防衛庁不用額が立たないようなそういうことをお願いしたい。円高差益だけでなく、石油価格の下落というようなこともございます。こういうものを全部計算して一定の時期に私は報告していただきたい。そして、できるだけこのお金を節約していただきたいと思うんです。防衛庁長官いかがですか。
  28. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今のそれぞれの政府委員から申し上げたとおり、一定の時期にそういうことができるならば、それを発表することは、を知らせることはやぶさかでございません。
  29. 久保田真苗

    久保田真苗君 それじゃ外務大臣、次にJICA汚職について伺いたいんです。  JICAの総裁お見えになっていらっしゃいますね。まず総裁にお伺いしたいんですけれども、九月八日、きのうのサンケイでバンコクの社会教育文化センターという非常にタイとして最大の規模の施設、これに関連して、記事をごらんになっていると思います。総裁がこれを、コンサルタント業者の選定の時期に、もうほとんど選定が終わりかけた、内定した時期に待ったをおかげになったというふうに報道されていますけれども、これは事実ですか。
  30. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) お答えいたします。  そういうことはありません。
  31. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、では六社を呼んで現地政府の都合を理由として事業発注の延期を申し渡したとあります。そして、その後審査が一年中断してやり直しになった。このことは事実ですか。
  32. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) それも正確ではございません。正確には、この事業につきましては、一度事前調査団を出して業者を選定というプロセスが開始されたことは事実であります。その後、タイ政府の方から事前調査団の基礎ともなるべき諸元ついて重大な変更を申し出てまいりました。それは、一つは、最初はたしかルンニ公園につくるというような話だったんですが、そういうサイトを数カ所変更したい、数カ所の候補を出してですね、そういうこと。  それから、最初はたしか主管庁が一つと聞いておりましたけれども、文化関係その他いろんなタイ側の関係省庁が変わってきたと。そしてまたつくるべきものについての基本的な考え方というのも変わってきたということで、そういう事態に面しまして、これは一度見直さなければならないということで見直しの作業が始まったわけであります。それで、それが六カ月ぐらい後になってまたタイ政府の方でいろいろ議論して、そういう点が固まって、それではということで二回目の事前調査団を出すということになりましたわけです。これも、すべて政府の指示によって私どもはいたした次第でございます。そういう事情でございますので御了承いただきたいと思います。
  33. 久保田真苗

    久保田真苗君 政府の指示というと外務省の指示ですか。
  34. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) これは政府間の援助でございますから、建前はやはりタイ政府の要請ということが前提になります。それを受けまして、日本政府の方でそれを取り上げるかどうかということを決定し、そうしてそれが事業団に指示されると、こういう仕組みになっております。
  35. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務大臣に伺います。  外務省の方からこのタイ政府の要請を受けて、そして一たん内定したものを延期させたということは外務省の指示ですか。
  36. 英正道

    説明員(英正道君) 事実関係について御報告申し上げます。  先ほど有田総裁からも御説明がございましたので重複を避けますけれども、タイにおける本社会教育文化センターの建設計画につきましては、五十七年に先方政府から要請がございまして、五十七年の九月に調査団を派遣いたしました。そして、先ほど申し上げましたようにコンサルタントの指名の手続が開始されておったわけでございますが、その後タイ側から若干の点について、この事前調査団を出した段階からそのサイトにつきましては実は問題があるということであったわけでございますが、その後先方から二、三の点について要請がございました。現地の大使館からももう一度調査団の派遣をしてもらいたいという意見の具申がございました。そこで、五十七年の十一月の初めに、一日でございますが、外務省から調査内容が変更したので予定の基本設計調査団の派遣を中止するように、改めて調査を実施するようにと指示を行いました。
  37. 久保田真苗

    久保田真苗君 総裁、新聞によりますと、業者選定の時期に国会の某代議士からこのセンター畑設を某業者に任せられないかという申し入れがあったということは事実ですか。
  38. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) それは聞いておりません。
  39. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務省はいかがですか。
  40. 英正道

    説明員(英正道君) ただいま久保田委員の仰せられたような特定の政治家から特定の業者にこれをさせるというようなお話があったとは全く承知しておりません。
  41. 久保田真苗

    久保田真苗君 聞いてない、承知してないとおっしゃるんですが、じゃ、それは事実じゃないと否定なさるわけですね。有田総裁いかがですか。
  42. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) さようでございます。
  43. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういうことはなかったとおっしゃる。しかし、この内定したものを先送りして、中断させてやり直したという、このことは事実としてお認めになるわけですね。
  44. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) ただいま申し上げましたように、内定ということはございません。これは最初に御説明申し上げたように、一連の調査その他の手続が進行中であったと、その進行中に重大なタイ側の要請の基本条件に変更があったと。そこで大使館その他から、これはもう一度調査をやらなければ仕事にならないということで二度目の調査が行われたと。その前の段階でコンサル云々ということは内定というようなことは全くありません。これはあり得るはずがないわけであります。契約をして初めてそれが決定されるわけでありまして、内定というようなことは全くございません。
  45. 久保田真苗

    久保田真苗君 それではこのサンケイ新聞に書かれているこの記事は、これは間違っているわけですね。
  46. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) それは間違っているわけです。いろいろ基本的にそういう一年延期されたとか二度やり直しをしたとか、あるいはコンサルの数がふえたとか、こういう点は合ってございますけれども、基本的な点について間違っております。
  47. 久保田真苗

    久保田真苗君 今警視庁も重大な関心を持っているというような情報もあるようですけれども、ここで御答弁になったことがうそでないということを祈ります。今の点、確認いたしました。  次に、同じJICAの汚職でございますけれども、モロッコに続きましてパキスタン関係にも収賄容疑が出てまいりました。これは警察が調べていらっしゃることなので私は警察にしっかりやっていただきたいと、こう思うわけです。しかし、これらの背景にありますJICAの実施体制について質問したいと、こう思います。  まず、このモロッコの件につきまして特定の業者が調査団に同行してきたということですが、このことは事実としてお認めになりますか。どのように報告を受けられましたか。
  48. 英正道

    説明員(英正道君) モロッコの地下水開発についての事前調査団のメンバーに、特定の企業の者が入ってはいなかったということは前にも繰り返し申し上げているところでございます。現地に調査団が着いたときに、これは私ども調査の結果を間接に聞いたところでございますし、現在、事実関係につきましては司直の手によりまして究明がなされておりますので、私どもとして間接的に承知していることを申し上げますと、私が聞いておりますところでは現地に着いたときに企業の者が現地に来ているということを調査団員が知ったということはあるようでございます。そして、若干の現地調査等にその者が一緒に動いたということはあるようでございます。
  49. 久保田真苗

    久保田真苗君 同行して一緒にいろいろなやりとりに立ち会ったということはお認めになる。総裁もお認めになりますか。私、総裁に伺っています。
  50. 英正道

    説明員(英正道君) 事実関係でございますので私の方からお答え申し上げますが、先方政府との協議に参加したということはないと承知しております。
  51. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) この問題を含めて司直の手で捜査が進められているわけでありますが、JICAの関係者は美谷島君が逮捕されております。私どもの方で直接美谷島君にこの点をただす手段はないものですから、その辺は新聞報道あるいは方々からの報告ということで推察するしかないわけでありますが、しかし、遺憾なことにその中央開発の社員が現地におりいろいろと同行に類する行為があったということは、遺憾ながら事実のようでございます。
  52. 久保田真苗

    久保田真苗君 それはそうでしょう。さもなければ外務大臣からの御指示も総裁お答えもなかったと思うんです。  ところで、この業者の事前調査あるいは予備調査、つまり業者選定以前の段階で業者がこういうものに参加するということについては、JICA並びに外務省の規則はどういうふうになっておりますか。
  53. 英正道

    説明員(英正道君) 具体的には国際協力事業団の問題でございますが、外務省としての立場を御説明申し上げます。  外務省としてもコンサルタントの選定が公正に行われるように、事前調査団の構成については疑惑を招くことのないように監督しているところでございます。したがいまして、事前調査団は、本格調査を委託するコンサルタント企業等の公正な選定を確保するためにも、原則として政府関係者及びJICA、国際協力事業団の職員がそのメンバーとなっております。しかし、事前調査を行うに当たりまして政府関係者の間で手当てが困難な専門家を必要とする場合、JICAは例外的に役務提供契約を結んで民間専門家を調査団に加えることはございます。ただし、この場合には、当該専門家の所属する企業は本格調査のための指名競争入札に参加できないこととしております。
  54. 久保田真苗

    久保田真苗君 総裁も同じでよろしいですね。
  55. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) そのとおりでございます。
  56. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、事前調査とコンサルタント業者の指名とは当然切り離されなければならない、そういうことがあるわけです。私が今伺いたいのは、この調査団の構成はほとんど農林省の幹部になっているわけです。農林省の側はこのことを十分知っておられたのか、周知されていたのか。その辺は外務省はどうお考えになりますか。
  57. 英正道

    説明員(英正道君) この原則は非常に重要な公平性の確保の上での原則でございますので、事業団が業務を実施する際にいろいろ協力をお願いする関係の省庁にも当然周知していることと考えております。
  58. 久保田真苗

    久保田真苗君 じゃ農水大臣のこの問題に対するコメントをいただきたいんです。
  59. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 事前調査団がその調査内容が民間業者等に漏れないように十分注意する必要があると考えております。今回の事前調査が疑惑を招くような結果になったことはまことに遺憾であると考えております。今後このような問題が生じないよう、推進体制の見直し等につきまして外務省、国際協力事業団とともに対処してまいる考えであります。
  60. 久保田真苗

    久保田真苗君 このルールを御存じのはずなんですから、帰国後であっても事業団側に通告して指名から外すということができたはずなんですよ。どうしてそれをなさらなかったんでしょう。専門官は上司に報告したらしいけれども、その辺はどうなっていますんでしょうか。
  61. 眞木秀郎

    説明員(眞木秀郎君) 本件の問題につきましては現在捜査が進められておりますので正確に詳しいことはわからないわけでございますが、当省といたしましてこの調査団員から一応の事情を聞いたところによりますと、調査団の職員はいずれもこの事前調査に専門家の立場から参加いたしまして調査業務に専念をしておりまして、同調査団に調査の実施者でございます事業団から参加していた美谷島課長代理が、中央開発の社員が一緒に動くことをあえて拒まなかったような態度を示していたというようなことから、この点につきまして若干、今も大臣から申し上げましたように、疑惑を招くような点があったのではないかと考えております。今後十分注意したいと思っております。
  62. 久保田真苗

    久保田真苗君 少なくとも団長で行かれるわけですから、こういうことについて幾ら調査に専念していてもその人が見えないわけじゃないわけで、どうしてこういうふうにお互いに収賄や情実で不正を行う人がいると周りが黙認してしまうのか。そしてその結果が警察の手に頼るしかない、こういうことになるということは非常に残念なことなんです。暗たんたる気持ちですね。特にマルコス疑惑以来この経済援助という問題は国民の大きな関心を呼んでいるわけです。ですから、この競争入札という制度をもっと厳しく実施していただきたい。しかし競争入札は非常に少ない割合しか実施されていないようですね。この辺私は外務大臣に一遍この経済協力関係のことを、JICAそれから経済協力基金、こういうものを含めてぜひ徹底的に洗って、そうしましてどのような改善が行われるのか、そういうことを国会にも報告していただきたいんです。お願いできますか。
  63. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 久保田委員から国民立場に立っていろいろと適切な御指摘をいただきましてありがとうございました。  私は、国際経済協力という我が国の重要な国際的責務の実行に携わるJICAの業務に関連して、いささかでも不祥事を招いたということにつきましてはまことに遺憾に存じておりまして、自分としては再びこのような事件が発生することのないようにできる限りの努力をいたしたい所存であります。したがってこの問題に関しましては、先般の事件の際に直ちに有田総裁を招致しまして、厳重にこの問題の解明に努め、今後再度このような問題が起こらないように私から指示をいたしたところでございますが、同時に去る五日、有田JICA総裁を外務省に招致いたしまして、再発防止措置等を検討するためのJICAに先般設置されました調査、規律の両委員会の中間報告の結果を詳細に報告を受けまして、その詳細の内容は時間の関係上省略いたしますが、綱紀粛正のための措置、またコンサルタントの選定の厳正化についての業務体制の改善等の措置等々がございます。しかし私は同時に、この報告を受けるとともに、一層の適正かつ効率的なJICAの業務の実施を確立するための施策を部外の有識者の意見も徴して検討の上、速やかに報告するように命令をいたしました。これは事業団法に基づく命令を私からいたしました。さらにまた、事業団の指導監督を行う立場から、事業団のあり方につきまして別途各界の有識者の意見を聴取して、このような幅広い各界の意見を踏まえて今後のJICAのあり方についてさらに必要な指示を与える所在でございます。  いずれにしましてもJICAを監督する責任にある外務大臣として、今回のような不祥事を再び繰り返さないよう最大限の努力を行い、もって国民の信頼を回復するとともは、国際協力に寄せる国民の期待にこたえる所存でございます。
  64. 久保田真苗

    久保田真苗君 総務庁長官おられますね。総務庁長官は行監を持っていらして、行政監察をする立場なんですがね。私は、この問題を特別事項として行政監察に即刻取り上げていただけないか。これは警察の領域じゃなくて、いろいろあるわけですよ。この業務の実施体制、そしてこういうルールというものが守られているのかどうか、競争入札の制度が公正に行われているのかどうか、こういうことはまさに長官の御責任だと思うんですね。行政監察を厳正に即刻実施していただきたい。お願いできますでしょうか。
  65. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) この海外援助という問題は、政府にとりましても非常に重要な問題です。そこでこの監察権の問題ですが、権限の問題については個々の問題には余り触れないという今までの流れがあります。そこで個々の問題については政府委員をして答弁させますが、私は非常に苦々しく思っています。今度の不祥事件で、とにかく人数が足らぬから人数をふやしたら解決できるんだという、こういう報道の記事を読みまして、非常に遺憾千万。そこで私が考えておるのは、幸か不幸か私のところは定員要求に対していろいろな問題、削るとか認めぬとか認めるとかというのがあります。僕は今のJICAの体制、こういうものについては本質的な改革がなかったら定員増は認めない。私ははっきり決心をして、外務大臣にも通告しております。それだけに、有田さんがきょう来ておりますから、私は強い姿勢でその方面で頑張っていきたい、こう思いますので、よろしく御協力をお願いします。
  66. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひ行監でやっていただきませんと、行監ももうあってなきがごときものになりますから、しっかりお願いします。
  67. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) そんなことはない。それはやってみなければわからない。私の姿勢を見てからあなた言いなさいよ、物を。それはおかしい。
  68. 山本貞雄

    説明員山本貞雄君) ただいま先生の御質問で、まず権限上の問題でございますが、総務庁の行政監察は、各行政機関における業務の実施状況を監察して必要な勧告を行う、こういうことになっておりますので、各省庁並びにJICA等の政府関係機関の政府開発援助にかかわる業務につきましては監察調査が可能でございます。しかしながら、御案内のとおり、この政府開発援助業務のうち事務処理手続の相当部分、それから援助事業の具体的な実施、これは外国政府及び外国の地において行われるわけでございますから、他の行政問題と異なりましてそれなりの制約があるということは御承知おきいただきたいと思います。  それから、ただいま大臣からお話がございましたように、行政監察は行政運営の一般的な改善を目的として行うわけでございますから、個々の不正事件につきまして非違の糾弾を目的とした調査は行わない、こういうことでございます。  それから、行政監察をしたらどうか、こういうことでございますが、まずJICA、外務省におきまして、事件の解明とかあるいは再発防止等々の検討を今行っておられますので、まずこれを見守るべきだと思いますが、しかしながら政府開発援助の問題というものは極めて重要な問題でございますので、今後これにつきまして行政監察を行うことにつきましては、関係方面の御意見も伺いながら大臣の御指示を待って、取り上げることにつきましては今後検討してまいりたい、このように考えております。
  69. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは個々の問題じゃなくて、全体的な競争入札、あるいはこのルールが守られているかどうかという問題なんです。総務庁長官、今私の姿勢を見てから物を言えとおっしゃったけれども、それはもう拝見しておりますから、早く病気をお治しになって国会へちゃんと出られるようになさってくださいね。総務庁長官結構でございます。
  70. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  71. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 速記を起こして。
  72. 久保田真苗

    久保田真苗君 時間が大変なくなりまして、厚生大臣にいらしていただいておりますので一つだけ伺いたいのです。  厚生省の高齢化社会に向かっての中間施設、これは五年、十年といった長期計画のもとに整備されて、予算もそのような目標を持った予算があるのかどうか、それを伺います。
  73. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) ただいまのお話は老人保健法の中にございます中間施設の問題かと思うわけでございますが、御承知のように老人保健法、明後日から始まります臨時国会に再提出をさせていただきまして、そこで御議論をいただき、この法律が成立をさしていただきましたならば、中間施設という新しい制度にのっとって発足をするものと思うわけでございます。これにつきまして、本年にはとりあえずモデル的な事業を行っていくために十カ所の予算を計上いたしておりますが、これが成立をいたしますならば、来年度以降全国で百カ所ほどのものをやりたいということで概算要求はいたしておるわけでございますが、何にも増しまして老人保健法の成立のほどをお願いをいたしたいと思う次第でございます。
  74. 久保田真苗

    久保田真苗君 厚生大臣、厚生省の予算は高齢化社会の将来推計が非常に的確にできるにもかかわらず、いつでも単年度予算なんですよ。なぜこれが防衛庁計画とか、あるいは建設省の計画、そのようにできないのか。私はこれは非常に不安なんです。きょうは要望にとどめまして次の機会にお願いしたいと思いますけれども、私はこういう片手落ちな扱いをしないでいただきたい、このことだけ要望させていただいて次の問題に移らせていただきます。どうもありがとうございました。  さて、最後に、知床半島の貴重な森林の伐採問題が今起こって、非常に国民の関心を高めておりますけれども、たしかきのう、きょうあたりが山場になっているんですが、林野庁に伺います。これは今地元あるいは自然保護団体との間でどういういきさつになっておりますか。どのように処理されるおつもりですか。
  75. 田中宏尚

    説明員(田中宏尚君) 知床の伐採につきましては、昭和五十六年に一度伐採計画を立てまして地元関係なりといろいろな議論がございまして、五年間各種の検討を加えて六十一年から実施するということで、先般伐採計画を提示したわけでございますけれども、不幸にいたしまして自然保護団体等からいろいろその案につきましても御議論がございまして、最終的に先週三点について今まで提示してあった案に加えて改善点を示したわけでございます。従来の案そのものは先生御承知のとおり、全体として択伐率を六ないし七%と百本に一本の木を伐採すると。それから林道は使わないでヘリコプター集材するというようなことで、我我としては最大限の自然保護への配慮はしたわけでございますけれども、その後鳥でありますとか、けだものでございますとか、こういう動物に対するいろいろな御議論もございまして、我々なりに検討をいたしました結果、第一点といたしましては、知床にボランティアで百平米運動と称しまして、あそこに植林をするという地帯が若干あるわけでございますが、そこから少なくとも百メートルは伐採地域をずらすということが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、現在伐採しようと思っておりますのは第二種、第三種地域でございまして、法令上は択伐率三〇%以内ならば切ってもいいという地域になっているわけでございますけれども、これについても先ほどお話ししましたように六ないし七%ということにしたわけでございますけれども、この中でもいろいろ御議論がございますので、一千ヘクタール程度につきましては遺伝子確保のための特別な林ということで、今後守っていくというようなことも提示したわけでございます。  それからもう一点。動物の問題につきましていろいろな調査はあるわけでございますけれども、定かでない点も残念ながらかなりありますので、我々の施業と動物への影響というものがどういう相関関係で出てくるかということにつきまして、我々としても十分把握する必要がございますので、施業と並行いたしましてそういう調査もいたしましょうということで、三点提示いたしました。昨八日に反対運動をなさっている方々と再協議いたしましたが、きのうは最終的結論に至りませず、もう一週間最終的な返答を待ってくれということが関係団体からございまして、地元の町長も中に入りまして、一週間、自然保護団体がそういう提示をめぐりまして再検討をするという動きなので、それを受けて林野庁の方も対処するようにというようなことでございますので、この一週間の返答を見守りたいというふうに考えているのが現在の状況でございます。
  76. 久保田真苗

    久保田真苗君 林野庁が気を使ってやっていらっしゃるということはわかるんですよ。この木を切るということはまだ実行していないわけですね、今折衝中ということで。今の状態はそうなっていますか。
  77. 田中宏尚

    説明員(田中宏尚君) 現在はまだ手は入れておりません。
  78. 久保田真苗

    久保田真苗君 今おっしゃいました二種、三種に該当すると。  ところで、この特別保護区それから一種、二種、三種の決め方なんですが、環境庁にもお伺いしたいんですけれども、この決め方が実は、現地に行きますと特別保護区というのはハイマツだらけの山地で、切る木なんかないということなんですね、特別保護区は。そして、二種、三種、特に今は三種のところに非常に大きいちょうどいい木がある、そういうことで、実は一番森林の豊かなところに手をお入れになっているということが一つ問題なんです。私は、木を切って売ることを前提とした区分の設定ということが一番どうも大前提にあるように思う。  環境庁は、この地域の動植物等につきまして十分調査をなさったんでしょうか。
  79. 古賀章介

    説明員(古賀章介君) 今、先生言われました区分でございますけれども、特別保護地区、それから特別地域につきましては一種、二種、三種というのがあるわけでございます。この知床半島の中の伐採予定地域といいますのは、やはり三種が非常に多いわけでございます。  この点につきましては、知床半島が国立公園に指定されましたのは昭和三十九年の六月でございます。同時に、景観及び風致維持上の観点から重要な地域につきましては特別保護地区、特別地域等に区分しまして保護計画を定めておるところでございます。その後、昭和五十九年の六月に……
  80. 久保田真苗

    久保田真苗君 時間がありませんので質問に答えてくださいませんか。この地域の調査を十分になさいましたか。
  81. 古賀章介

    説明員(古賀章介君) 昭和五十九年六月に保護の強化をいたしますために公園計画の再検討を行ったわけでございます。その再検討に際しましては、社会的条件の変化でありますとか公益等の調整などを図りました上で、自然環境保全審議会の御審議をいただきまして決定したものでございます。したがって、御審議の際には十分各界の御意見、それから調査等も行っておるということでございます。
  82. 久保田真苗

    久保田真苗君 今問題になっている知床のこの部分につきまして、環境庁は知床半島全体の非常に豊かな自然、この状態を自分で調査した資料をお持ちですか。
  83. 古賀章介

    説明員(古賀章介君) 環境庁が調査の上、審議会にその資料を御提出いたしまして御審議をいただいて、そのように決定したということでございます。
  84. 久保田真苗

    久保田真苗君 資料があったらそれじゃ見せてください。  私、最後にお願いだけしておくんですが、この知床半島は尾瀬と並びまして歌にも歌われ、非常に日本人の心のふるさとになっているところなんですよね。それで、北海道の中でもこれだけ自然がそのままに残っているところは非常に少ないのでございます。  ですから、もう十分に国民の意見も聞き、特に関心を持っている自然保護団体、地元、こういったところと十分な了解を遂げられた上で、そしてまた私どもの意見も聞いていただいた上、十分の調査をなすって、この知床半島の巨木がお金のために次々に失われていく、そういうことのないように配慮していただきたい、そう思うわけです。いかがでしょうか。
  85. 田中宏尚

    説明員(田中宏尚君) 知床半島は原生林的な様相を呈しておりますけれども、過去におきましても択伐という手法で、むしろ山を活性化しながら自然の景観を守ってきたという経緯にあるわけでございます。  我々といたしましても、できるだけ自然保護団体等とのコンセンサスづくりというものには努めますけれども、そういう山を守っていくというためには、ある程度の択伐をし、活力を与えるということも必要かと思っておりますが、最後までぎりぎりの努力はいたしてみたいと思っております。
  86. 久保田真苗

    久保田真苗君 今おっしゃった木を切ることによって活性化、これにつきましてはもっと学問的な研究が必要なんです。天然更新ということがどのように行われるか、あの地域は非常に難しい地域ですので、一般論でやらないでいただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。
  87. 服部信吾

    ○服部信吾君 まず初めに、この一両日ですか、昨日もいろいろ問題があったんですけれども、文部大臣の発言あるいは罷免、こういうような事態になったわけでありますけれども、これは単なる文相の罷免というよりは、今後の中曽根外交の姿勢あるいは臨時国会等においてもかなり大きな影響が出てくるんじゃないか、こう思うわけですね。  きょうはここに自民党さんに大変大きな影響を与えますところの宮澤さんもいらっしゃいますし、あるいはこの問題の収拾に当たった総務庁長官もいらっしゃいますので、きょうは各閣僚いらっしゃいますので、この罷免問題、この問題についての御感想をまずお伺いしておきます。  大蔵大臣から答えてください。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は先週の末ごろから昨晩でございますか、この時間の間で起こったのでございますけれども、たまたま、実は私は先週の金曜に別の用事で渡米をいたしておりまして、昨日午後帰ってまいりました。したがいまして、藤尾前文相の書かれましたものを実は読んでおりません。読む機会がございませんでしたので、私としては十分これについての状況を存じておりませんので、どう思うかということにつきましては私からはちょっと申し上げにくい、事情を知らないということでございます。事情を知っておられます、あるいは関係の直接おありの閣僚からお聞き取りをいただきたいと思います。
  89. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 新聞だとか何だとかいって書かれておりますが、それほど私は値打ちのある男でございませんで、ただ藤尾さんとは長年のつき合いで、兄弟以上のつき合いをしておりました。  そこで私が申し上げたのは、事が成功するのには人、時、所の三相応がある。人です、時です、場所です。それから見れば、これは藤尾さんが非常に大事な文部大臣である、しかも教科書問題でああいう問題を引き起こしたその後であるということで、人ということについては不穏当というか、配慮に欠けるんではないか。時、それは日韓関係を非常に大事にしたい、近隣外交を大事にしたい、日中問題もそうでございますが、そういう政府の大方針のもとにおける時、これがやはり配慮に欠けたんじゃないだろうか。場所、それは日本政府という場所の中の重要閣僚の一人であるということにおいて非常に残念であったということを申し上げまして、そして私なりに、しかし藤尾君は藤尾君の立場がある、そこであちこち連絡を申し上げた。私は結果的にはやむを得ない処置だと、こう思っております。  以上でございます。
  90. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 感想を申し上げますと二点あると思います。  一つはうらやましいなと思います。政治家がその信念に基づいて、その信条を変えずに終始一貫そのことを貫いていくということはある面では非常に大切ではないか、こういう感じがいたします。  それから、先ほど玉置総務庁長官お答えになりましたが、こういう事態になり、最も大切な我が国の外交上のいろいろな問題に影響を及ぼすようなことになったことについては残念である、このように考えます。
  91. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私も藤尾君とは友人でありますが、今回総理大臣がこういう処置をとられたということは、結論的には適切であったと、こう思います。
  92. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私も、年こそ違いますが同期生でありますし、どうなることかと心配しておりました。しかし結果においては一番いい方法がとられたような感じがいたしております。
  93. 服部信吾

    ○服部信吾君 私、大蔵大臣総務庁長官にちょっともう一回この問題についてお伺いしたいんですけれども、大蔵大臣として、大蔵大臣というよりも党の有力な政治家として、まあ自分が要するにアメリカかどこかへ行っていて、それでこれだけの重要な問題に対してその程度の御答弁というんじゃちょっと納得がいかないと思うんですよ。これは極端な話が、ただ文相の首を切ればそれでいいというものではない、罷免すればいいというものではないわけです。これはやはり私は中曽根内閣全体の一つの問題じゃないか、こう思うんですよね。そういう観点からとらえて、この問題に対して宮澤大蔵大臣並びに総務庁長官に再度お伺いしましてこの質問を終わります。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の申し上げたことは、極めてもう簡単なことを申し上げているのでありまして、藤尾さんが雑誌にいろいろなことを語られた、その内容を雑誌が出ておりません段階で私は知っていない。それが新聞に報道されたということなんですが、私はその新聞を渡米中で見ていない。単純にそういうことであるものですから、その基礎になります事実を私は知っておりませんから、それで判断を申し上げられないと、こう申したのでございます。それだけのことでございます。
  95. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) さっき加藤農林大臣が答えましたが、僕らも性格的に見ると「”放言大臣”大いに吠える」という方で、それだけにさっきおしかりを受けましたが、僕らはやっぱり自分の信念に基づいて一たん発言したものを途中で撤回するという性格じゃない。こういう性格の政治家がおります。それは野党にもおられます。自民党の中にもおられます。それだけに藤尾君の発言については、僕らは、彼は彼なりの歴史観を持っておるなと、その部分において大事にせにゃならぬことと、やっぱり今言ってはならぬこととそういうものがあるなという判断をいたしておりまするが、とにかくまあ藤尾君自身の心境に至っては私ははかり知ることはできませんが、まあ、藤尾君は自分のやった行動に対して満足をしておる状態じゃないだろうかなと。しかし、これ以上この問題が国際的に波及して、日本政府の国是を曲げるということがあってはならぬと、今服部先生がおっしゃったとおり政府全体の問題としてこれは対処していかなきゃならぬと、こう考えております。
  96. 服部信吾

    ○服部信吾君 外務大臣が今ちょっと出られたようでありますので、この日韓問題については後ほどちょっとお伺いしたいと思います。  最初に総務庁長官、先般二十七日の管区行政監察局長会議、ここにおいていろいろな御発言をなされておる。その中で、今回の特に米価決定、据え置き、これについていろいろとお考えがあるようでありますけれども、今回の米価の据え置きについての総務庁長官のお考えをお伺いしておきます。
  97. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 私はもともと協同主義者なんです。それだけに、現在は資本主義社会だと、こう言われておりまするが、協同主義というのは何で始まったかといいますと、先生御承知のとおり明治の初めに生糸、またそれからお茶、そういうものの栽培をしておった、つくっておった、そういう農家の方々が知恵を寄せ合って、ここはこうしようではないか……
  98. 服部信吾

    ○服部信吾君 これ読ましていただきまして大体わかっております。米価について。
  99. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) これ読んでくれておったらそれでもう演説要らぬですよ。  そこで言いますが、僕はだれかが物を言わなきゃいかぬと。そこで総務庁が持っておる監察権の問題ですが、この監察権の権限がどこまで及ぶのかというのは政府委員をもって答弁させます。  しかし、これで中央会も全農も全共済も全共連もかなりいろいろ対応に苦慮しておるようであります。そこで私は、皆さんもそうでございますが、農協というものも大事にしたい、そういう気持ちにおいては人後に落ちない、先生もそうだと思いますが。それだけに私は、ここで肥大化していく農協にどこかやっぱり、政府も自治体も一生懸命になって行財政改革をやっておるんですから、あれだけの組織でございますから自助努力をしてもらいたいということでお願いをしておるわけでありまして、昨今聞くところによりますと、中央会も全農も全共済も全共連におきましても、その問題については一生懸命自分たちでどうしたらリファインできるのか、そういうことについていろいろと心配をしていただいておるということを聞きまして、きょう朝、加藤農林大臣とも話したんですが、加藤農林大臣あっせんで近くそういう人たちとお会いをして、そして、さてこれからどうするのかということについて考えていきたい、こう思っておりますので、どうかひとついろいろの点におきまして御支援をお力添えをお願いしたい、こう思います。
  100. 服部信吾

    ○服部信吾君 というのは、今の農協のあり方に対して、いろいろな活動、いろいろなことをやっていらっしゃいますが、それに対してのやはり御不満があると。要するに、協同主義という立場からすれば、農協はある意味から言えば本来の使命をちょっと出ているんじゃないか、こういう御意見ですか。
  101. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 全くそのとおりでございます。
  102. 服部信吾

    ○服部信吾君 農林大臣、この農協に対する考え方をお伺いしておきます。
  103. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農協が農協法に基づき営農指導あるいは経済事業、信用事業、共済事業など各般の経済的事業を行うのは法に基づき当然の行為をしておると思います。私としましては、そしてその農協が信用事業、共済事業の比重が大きくなってきておるという認識はありますが、これらは組合員にとって必要な事業活動であり、また営農指導面においても生産コストの逓減など組織を挙げて取り組んでおると判断いたしております。
  104. 服部信吾

    ○服部信吾君 総務庁長官、あなたの発言の中で農水省を通して農協に対して行政監察、これを行っていきたい、こういうようなことを、既に行政監察については農協に対してはいろいろやっているようでありますけれども、あえて今回、今ここで行政監察するというのは、どういう観点からするのか、どういう点についてしていくのか、この点についてお伺いしておきます。
  105. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) これは私は、そこの「協同主義を見つめて」の中に書いておりますように、それぞれの大きくなっていった組織というものは、初めの原点を忘れてそして少し外れていった場合には必ず崩壊するという私自身の一つの歴史観も持っています。それだけに協同主義というものは、協同組合主義というのはやっぱり個々の農家のいろいろな問題をお助けする、そこから出発しておるのでありまして、資本主義の中で確かに功罪があります。例えば銀行、証券、損保、生保、そういうものの移しかえのようなことばかりやっておったらだめじゃないか。というのは、員外の貸し付けの農家戸数が最近急増しております。純農家は減ってきております。そういうふうな金貸し業ばかりやっておったんじゃと、人はそう言うんですよ。私もそれに近いことを知っています。その辺のあたりを一番知っておるのは中央会であり、全農であり、共済です。それだけに、この辺にやっぱりしっかりしたみずからの自助努力、みずからがみずからを監察するという、そういう努力の成果が出てきてほしい、こう願っておって、それをやらぬのだったら仕方がないから我々の監察権というものを行使せざるを得ない。そこから出てくる問題は大変なことになりますよということで、少し薬が効き過ぎたぐらい今よう効いておりますので、いろいろといいものが出てくると思いますから、よろしくお願いします。
  106. 服部信吾

    ○服部信吾君 もう少し具体的に、どういう形でどういうふうに行政監察するのか、この点だけについて。
  107. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 政府委員をして答えさせます。
  108. 山本貞雄

    説明員山本貞雄君) 行政監察は、基本的には毎年計画を定めまして十分事前準備をいたしまして行うわけでございますが、もちろんそのときどきの必要性に応じまして機動的な対応もいたすわけでございます。農協の指導監督行政についての行政監察につきましては大臣の御指示を受けまして、どのような取り組み方をするか、また時期、規模等につきましてはただいま検討中でございます。もちろん農協に関する行政監察はあくまで農協に対しまする指導監督行政というものが対象になるわけでございますが、もちろん必要に応じまして農協の協力も得まして農協の活動実態につきましてもあわせまして調査をする。そういうことで、ただいま内容、取り組み方、時期等につきましては検討中でございます。
  109. 服部信吾

    ○服部信吾君 総務庁長官と農水大臣結構です。  外務大臣戻られたんで若干お伺いしたいんですけれども、今回の文相発言等によってあしたから開かれる日韓外相会議、これが昨日韓国側の外務大臣から延期の申し入れがあった、こういうようなことがありますけれども、日韓正常化後最悪の状態、こういうふうに韓国側もこれを認識しているようでありますけれども、この問題を含めて外務大臣にお伺いしておきます。
  110. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 日韓閣僚会議は当初今月の二日に開く予定でございましたけれども、韓国政府における内閣改造がございまして、延期したいという申し入れがございました。なお、その後いろいろ折衝の結果十日にということを予定いたしておったわけでありますけれども、八日の段階において藤尾発言もございまして、もう少しゆっくりした雰囲気の中で会談を行ってはどうかという先方のお話もございました。  しかし、我が方としては、ひとついろいろな困難な問題があればあるほどそういうときに両国の外相が率直に意見の交換をするのが適当ではないだろうかということでございまして、なお御案内のとおり、昨夜藤尾問題についてはあのような決着を見ましたので、直ちに昨夜、深夜でありましたけれども、現地における御巫大使を先方の崔外務部長官に対し、我が方の立場官房長官談話を含めまして報告をいたし、そして我が方の立場をお伝え申し上げました。なお、外務省には、昨夜十一時過ぎでございますが、李大使をお招きいたしまして、丁重に我が国立場をお伝えし、そして我が方のとった態度についてのことを御説明し、また官房長官談話についても先方にお伝えをしているけれども、なお念のためこういうことでございますということをお伝えしました。  なお、その際でき得れば外相会議は予定どおり十日に開かしていただけば幸いであると、そういうことを我が方から伝えたわけでございます。しかし、まだそれに対する反応は、反応と申しますか、お答えがないというのが現在の状況でございます。
  111. 服部信吾

    ○服部信吾君 そうすると、まだあしたからの外相会議は完全に延期とは決まってなくて、いろいろこれからの話し合いによってあしたからの外相会議もあり得ると、こういうことですか。
  112. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 率直に申しまして時間の設定であるとか、それぞれの問題がございますから大変難しい状況があると思いますけれども、日本側日本政府立場としてはでき得れば外相会談をさしていただいて、私も十三日から実はウルグアイのガットの総会等がございまして、いろいろな外交日程が詰まっておりますので、十日を除きますとこれはなかなか難しいような段階でございます。しかしながら、私もできるだけ、もし先方の事情が許せばそういうことをさしていただきたいということを申し入れている段階でございます。まだ返事をいただいていないというのが現在の状況でございます。
  113. 服部信吾

    ○服部信吾君 もしあすからの外相会談が延期というようなことになった場合、二十日から総理がアジア大会に出席すると、なおかつ日韓首脳会談もやる予定と、当然こうなると思いますけれども、そうなりますと、一応そういうものも非常に微妙になってくるんではないか。また、日韓外相会議をきちっと開いて、そしてある程度根回しというのですか、首脳会談のいろんなこともやらなくちゃならないと思いますけれども、そういうことにかなり影響が出てくるんじゃないかと、こう思うんですけれども、外相のお考えをお伺いしておきます。
  114. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 大変ごもっともな御質問でございまして、私は体が二つあればガットの総会、同時にただいまお話しのようなことをも含めていたしたいというような気持ちでございますけれども、事実上我が国が提唱しておりますガットのニューラウンドの総会には出席せざるを得ません。国会の御了承を得た上で出席をさしていただく予定でございます。したがって、私が留守をいたしておりましても、いろいろな手段でひとつ我が方の誠意を示し、総理が二十日の段階でアジアの青年スポーツ大会に出席することが円滑に行われるように最大の努力をしたいと思っておりますし、これは若人の祭典に隣国の総理である我が国中曽根総理が出てまいりまして、青年の祭典を祝うということでありますから、これは意義のあることではないかと思っておりますから、そういうことに影響のないように最善の努力をいたしたいと、また十三日、私がウルグアイに立つ前にも、どういう形でできるか別といたしまして、最善の努力をしてまいりたいし、留守中もまた同時にそういう努力もいたしたいと考えておる次第でございます。
  115. 服部信吾

    ○服部信吾君 前回の教科書発言あるいは靖国問題等の発言によって遺憾だと、こういうようなことで韓国政府側に釈明をしたりいろいろしているわけですね。なおかつまたこういう事態になったと。韓国側としては日韓の本質的な問題まできていると、こういうようなことまで言っておってね、何か非常にお話聞いていると、もう一回何かお話すれば何となくまた正常化するような、正常化といいますか、にもとれるわけでありますけれども、韓国側の態度、これは外務大臣としてどのようにお考えになっておりますか、これらのこの発言に対して。
  116. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 韓国政府並びに韓国の国民感情ということを踏まえまして、我が方としては誠心誠意この問題に対処しておる。そしてまた、昨夜行われました政府決定というのもそういう決意のあらわれであるということでございますので、私といたしましては十分韓国政府、韓国の国民感情を踏まえ、また同時に我が国立場も踏まえながら最大の外交努力をいたして、両国の友好関係に傷がつかないように最大の努力をいたしたいというのが現在の心境でございます。決しておろそかに考えたり甘く見ているということではないということはひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。
  117. 服部信吾

    ○服部信吾君 それで、外務省として今回のこの一連の問題に対して、やはりきちっと韓国側に対して釈明すべき点はする。まあ官房長官の談話でというようなことじゃないとは思いますけれどもね、やはり特使なり何らかの形をとって、それで韓国側の理解を得るべきだと、こう思いますけれども、最後にこの問題について外務大臣に、私は特使あたりを派遣すべきじゃないかと思いますけれども、お考えをお伺いしておきます。
  118. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 韓国政府からは、御案内のとおり、韓国の崔外務長官から現地の御巫大使に対して正式の抗議があったわけでございます。したがいまして、私としては昨日時間を大体同じくして、先方の大使を日本の外務省にお呼びするのと、それから御巫大使から崔長官に日本政府の態度を伝えるという、大体時間を同じくということで、外交慣例に従ってやらせたわけでございます。  しかし、本質的には私はこの問題はやはり外交ルートを通じてこの問題についての我が国立場を正確に伝え、そして我が国の誠意を示すということで、官房長官談話を引例しましたのは、あの中に我が国考え方というのが尽きておるものですから申し上げただけの話でございまして、これで全部だということではございません。あの中に我が国の極めて遺憾であるという意味のことがちゃんと書いてございますから、このことをひとつ御理解いただきたいということで、丁重に事柄を運んでおるということは御理解賜りたいと思います。
  119. 服部信吾

    ○服部信吾君 要するに特使かなんかを派遣するということですか。
  120. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまのところ、特使の派遣は考えておりません。外交ルートをもって正規に我が方の誠意を伝え、そして先方の理解を得るというのがただいま私どもの考えている立場でございます。
  121. 服部信吾

    ○服部信吾君 次にSDI問題ですね、SDI研究参加するかどうか、この一年半ぐらいいろいろと後藤田さんを中心に四省庁が検討してきたと。きょう閣議ですか、閣議報告があったということでございますけれども、要するにSDI研究我が国としては参加すると、こういうことを正式に米国に伝えることですか。
  122. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 本日の閣議におきまして官房長官から従来の閣僚会議の経過を踏まえ、これは六回ほど関係閣僚会議を開きました。その経過を踏まえまして報告をいたし、了解を得たわけでございまして、これに基づきまして米側とこれから交渉に入ると、そういうことでございます。
  123. 服部信吾

    ○服部信吾君 要するに参加するということでこれから米側交渉に入る、こういうことですか。
  124. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 研究計画参加をすると、そういう立場交渉に入るということでございます。
  125. 服部信吾

    ○服部信吾君 もしこれからの今後の米国側との交渉の、そういう何か過程があったらお伺いしておきます。  これからの交渉に当たってのいろいろな考え方とか、あるいは米国との話し合い、そういうような日程とか、そういうものがわかればちょっと教えていただきたい。
  126. 倉成正

    国務大臣倉成正君) これは相手もあることでございますから、これからどういうスケジュールでどうやるかということをここで申し上げる準備はいたしておりませんけれども、我が国非核原則があるということとか、いろいろな我が国基本的な立場、またこの研究成果について我が国の企業ができるだけ不利にならないような問題を考えるとか、あるいは現行法の枠内でこの問題をやると、そういう基本的な立場を踏まえながら米側との交渉に入るということでございます。
  127. 服部信吾

    ○服部信吾君 このSDIは、これは結局アメリカにおいてもかなり議論のあるところで賛否が分かれておると。レーガンがかわればこんな計画はなんということもかなり言われておりますし、NATOにおいてもやはりフランスあたりはかなりこのSDI計画に対しては反発をしておる。もちろん我が国においてもかなりいろいろと世論が分かれている。まだまだ非常にわからない部分がたくさんあるわけですね。しかし、今回いろいろなことを考え研究参加に踏み切ったという中に、私はこれは要するに西側の一員として踏み切るべきだと、もしこれで我が国がこのSDI研究参加をしなければ、西側の一員とは言えないと、こういうような非常に大きな政治的なものがあったと思うんですけれども、この辺はどうですか。
  128. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま委員の御指摘の点も考慮の中の一つの要素であると思います。
  129. 服部信吾

    ○服部信吾君 中曽根総理も、これからは一応日ソ問題だと、こういうようないろいろと日ソの打開をしていくんだと、ゴルバチョフさんあたりからもいろいろ提案も来ていると。来年早々には向こうからゴルバチョフが来るという、こういうような状況になっておるわけですね。そういう中でこのSDIに対してソ連は大変これはもうそれこそ、何というんですか、頑強に反対をしておる。そういうことを考えますと、日ソ外交を展開する上においてこのSDIの今ここで参加をするというあれは私は非常に大きな弊害になるのじゃないか、こう思いますけれども、今後の展開をどう思いますか。
  130. 倉成正

    国務大臣倉成正君) これはいろいろ御意見があろうかと思います。国民の中にもいろいろな御意見があることも承知しております。ただ、今般の政府の方針の決定は、非核の防御手段によって究極的に核廃絶を目指すという米国基本構想に対する基本的な考え方に対する理解の上に立ちまして、我が国平和国家としての基本立場を踏まえて自主的に我が国の方針を決めたものでございます。したがって、このような我が国決定とまた日ソの関係とは別個の問題であるというふうに心得ております。
  131. 服部信吾

    ○服部信吾君 外務大臣、この問題で、SDIに対してこの程度の認識ですか、外務大臣として。SDIというのはただ非核だという、それは確かにレーガンさんが言うことは理解しますよ。それだって問題がある。しかし、今これが全世界、特に米ソの間で非常に戦略的な問題で大きな問題になっているわけですよ。それで、ただ単に非核とか、そういうことで我が国参加決定したと。先ほどちょっと言ったら、西側の一員のその要素もあるんだ、日米安保条約、それはいろいろあると思いますよ。しかし、今みたいな外務大臣の感覚でこのSDI問題に研究参加したら大変大きな、SDIに対する考え方おかしい、私はそう思いますけれども、外務大臣どうですか。
  132. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま服部先生そうおっしゃいますけれども、研究計画です、これは、御承知のとおり。これを配備するとか今後どうするかという問題はまた別問題でございますから、全体の計画についてまた今後どういう対処をするかということはまたその時点で考えるべき問題ですから、研究計画について我が方がいろいろ企業等がこの研究参加することの道を阻まない、そういう意味でございますから、その点は誤解のないようにお願いしたいと思いますし、我々はいろいろ研究団を外国に派遣し、そしていろいろな研究をし、そして六回にわたる閣僚会議あるいは国会決議等の諸問題を踏まえましてやったわけでございまして、安易にこの問題を考えている問題ではないということは御理解いただきたいと思います。
  133. 服部信吾

    ○服部信吾君 研究計画と言うけれども、やはりSDI研究参加するということに対して、今SDIが世界でどのような形で、米ソ間でどのような形で取り扱われているか、こういうことを思うと、そのような簡単な認識ではないと私は思います。  時間ありませんので、若干具体的にお伺いしておきますけれども、宇宙における平和決議に抵触しないと。これは非常に大きな問題になると思いますけれども、この辺明確はひとつ、今回参加に踏み切ったわけですから、外務大臣からお答えいただきたいと思います。
  134. 倉成正

    国務大臣倉成正君) これは先ほどもお答えを申し上げましたとおり、アメリカの行う計画でございまして、日本がみずから行ういわゆる研究計画ではないわけでございますから、その点はひとつ御理解賜りたい。したがって、アメリカが行う研究計画我が国として技術的効果の問題等考えて、また先ほどお話しの点も踏まえて研究参加するという政府の方針を決めたということでございますから、その点は私は国会決議には抵触しないというふうに考えております。
  135. 服部信吾

    ○服部信吾君 だからね、アメリカ計画ですわね、アメリカ計画だけれども、これは当然SDIというのは宇宙に対する計画ですわね、これ。ある面から言えば、核をなくすんだということでありますけれども、これは当然防衛兵器とはいえ兵器ですからね。ですから、私ちょっと聞きたいのは、非常に単純な素朴な質問ですけれども、要するに宇宙兵器と言われるSDIですね、はっきり言えば。宇宙というのは日本から見てどこが宇宙の領域なんというのはないと思うんですよ、私。地球全体から見て宇宙ですから。そうなったときに、アメリカが、非核兵器とはいえ、これは宇宙に対する軍備の要するに一つ戦略防衛構想ですから。そうなったときにそれに参加するということ。宇宙というのは日本宇宙というよりも地球の宇宙でしょうから、これは全体から見れば、今外務大臣が言ったような簡単なことで我が国の四十四年の平和決議をクリアしたとは私は思えないんですよね。この点どうですか。
  136. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 再度繰り返して申し上げますが、SDI研究計画非核の防御手段によって弾道弾を無力化し、究極的に核廃絶を目指すものであって、これは平和国家としての我が国立場に合致する。のみならず、かかる研究計画への我が国参加は、日米安保体制日米信頼関係維持強化にも貢献するものであると考え参加決定した次第でございまして、国会決議がこのような研究計画参加までも禁じているものではない、そう考えている次第でございます。
  137. 服部信吾

    ○服部信吾君 じゃ参加方式ですけれども、民間だけ参加するのか政府だけするのか、あるいは政府と民間と一緒に合同でやるのか、この参加方式はどうですか。
  138. 倉成正

    国務大臣倉成正君) これはいろいろ政府機関にはそれぞれの制約等がございますから、参加できるものもありましょうし参加できないものもございましょう。しかし、基本的には今民間の方でこういう計画宇宙について非常に未開発の部分がございますし、御案内のとおりスペースシャトルを打ち上げたときに、少年たちが何か自分たちの実験をひとつここでやってくれというようなこともございました。したがって、宇宙に関してはいろいろ、それは今服部委員はスターウォーズみたいなことを頭の中に描いてお話しになっているような感じがするわけですけれども、そういうことではなくて、私は、やっぱり宇宙というものはこれから未開発の部分がいろいろある、したがって、それについて全然日本がこれに関与しないでいるのがいいのかどうかという問題で、まあ小さな少年たちでも自分たちの実験をひとつスペースシャトルやってくれというような夢を持っておるわけでございますから、そういう意味で我が国技術の進歩にも関与する以上に貢献する部分もある、そういうことも踏まえながらこの問題に対処したということを御理解いただきたいと思います。
  139. 服部信吾

    ○服部信吾君 まあこの問題ちょっと時間がありませんので、また次に移さしていただきます。  大蔵大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、まず、先般ベーカー財務長官といろいろと会談されてきたようであります。当初は向こうがこちらへ来るんだとかいろいろな議論があったようでありますけれども、結局大蔵大臣が向こうへ行くようになった、こういうことで非常に非公式とか余りはっきりしないような、会談そのものがきちっとしたあれじゃないというようなこともあるわけでありますけれども、今回の会談の内容ですね、この点についてお伺いしたい。
  140. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまお話しになられましたような経緯でございますけれども、結局今月の末にはIMF、世銀等の会議も各国集まりまして開かれることでございます。今世界経済の中でやはりアメリカ我が国などは非常に大きな力を持っておる国でございますので、その国際的な場を控えてお互いによく知っておきたいというのが基本的にベーカー長官が会いたいと言われた動機であったわけでございます。結局のところハーフウエーでサンフランシスコで話をいたしました。その結果、お互いの考えておりますことをお互いがかなりよく知ることになりまして、それが一番大きな成果であったと思いますが、話されました問題といたしましては、世界経済あるいは世界金融の今の現状でありますとか、あるいは日米両国がおのおの持っております国内の経済、財政の問題でありますとか、日米両国が共通に持っております問題でありますとか、そういうことにつきまして二時間半ほど話をいたしました。会談の性格上結論といったようなものは別にございませんでした。
  141. 服部信吾

    ○服部信吾君 まあアメリカ側要求として特に内需を拡大せよ、こういうようなことが随分あったようであります、これは新聞報道によりますとね。まあ三兆円の補正予算を組むとか、あるいはこれを総合経済対策に盛る、このような問題、あるいは大幅な金利の引き下げということで向こうから要求があって、大蔵大臣としても、これが最後の引き下げになるんだ、こういうようなことも述べられておりますけれども、これらの要求に対して、やはり大蔵大臣として、今言われたようなことをこれから考えておるんですか。
  142. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 要求と仰せられましたけれども、要求という性格のものではございません。お互いに両国の経済事情を話しております中で、何といっても今アメリカ我が国それから西ドイツでございましょうが、できるだけ高い成長のために努力をするということが、現在非常に保護主義的になりやすい世界の経済、貿易に一番有効な方法であるという点では合意が当然のことながらございました。  そこで、そうなりますと、そのためにアメリカとして何をしたらいいか、日本として何をしたらいいかということは当然におのおのあるわけでございまして、我が国としては、やはりできるだけこの際内需を中心にいわゆる経済対策を立てていくべきである、私どもそう考えておりますし、国会においてもしばしばはそういう御指摘がございます。そこで、そういう見地から、日本としてそういう努力をどのようなことでどのような時期にどのような規模でやられるつもりかというのが、ベーカー長官の関心であるわけでございます。私はこの九月の中旬以降、そのような経済対策を決定したいと考えておること、並びにそこから補正予算を編成する必要が生じるであろうということ、そういったようなことについて説明をいたしたわけでございます。  金利の問題につきましても、これも要求といったような性格のものでないことはもとよりでございますが、私が申しましたのは、公定歩合というものは本来日本銀行総裁がお決めになるべきものであって、大蔵大臣が口を出すべきことでない。私はそのルールを守ってまいりましたし、今も守っております。殊にここまで金利が下がっておりますと、かなり金というものが預金以外に流れやすい。それほど金利が低いのでございますので、やはりそうそう今後何度も何度も引き下げる余地があるとは客観的に見て思われません、かなりの過剰流動性も生じておるわけでございますから。そこで、私としては、恐らく日銀総裁がこの問題をお考えになるときには、そういう背景のもとで、もう何度もそういうことができるわけではない、したがって、有効な目的を達するために、その時期においてお考えになるとすればお考えになるであろう、私はそれは日銀総裁にお任せしていい問題であると思う、こういうふうに答えております。
  143. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、防衛庁長官にお伺いしますけれども、今回、防衛首脳会談を行われてまいりました。この一、二年米国側からは、要するに、余り防衛力の増強についてはなかった、こういうようなことですけれども、今回は大分、米国の中間選挙、いろいろあるようでありますけれども、かなり厳しい防衛力増強に対する要求があった、このように聞いております。この点についてのお考えと、それから、今回防衛と経済が非常にリンクしていろいろなあれがあった、こういうようなこともあるようでありますので、この点について。それからまた、こう言っては大変あれなんですけれども、防衛力増強の中に、これは大変言いづらいことですけれども、自民党さんの大勝利、こういう中で思い切ってやるというような、そういうようなニュアンスも出た、こういうようなことも聞いておりますけれども、この点についてあわせてお伺いしておきます。
  144. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 後の方から話をいたします。  自民党が三百四議席を得た、したがって、中曽根内閣は非常に強力な施策ができるんじゃないか、それに対してアメリカ側は、防衛だけでなくして、いろいろな意味で期待をしておる、そういう向きは私が接した方々の中にありましたね、全部一様に。それに対して、私はこうお答えをしたんです。三百四議席というのは自民党の政策が全体として整合性といいますか、バランスがとれておった、そして自民党に任せれば安心だ、そういうことが反映して三百四議席が得られたものと思う。したがって、ここでバランスを崩すというようなことが出ますと、国民は自民党に対して批判的になる、この点については十分にお考えいただきたい。向こうの方の要望に沿ったんじゃなくて、向こうからそういう話があったから、それは私の方の見解は違いますよ、ということを言ったのであります。  それから、確かにアメリカの私が会った方々の底流にあるのは、アメリカ国民のいら立ちですね。それは非常に、経済摩擦、貿易摩擦、そういうものがある。それから、アメリカはオールオーバーにコミットしておる、もっと同盟国がそれなりに分担してくれたっていいじゃないか、特に日本について言うならば、経済的に非常にいいんじゃないか、こういう認識ですよ。したがって、苦しいときに我々の話も聞いてくれというのが、ざっくばらんに言うと、向こうの人たちの話です。しかしこれは、要求をするなどという、そういうようなものじゃないんですね。議会の方でも相当あれ問題になっている、ひとつそういう点を頭の中に置きながら、防衛面については、防衛力整備と増強ということについてひとつ考えてもらえないか、という話でございました。私は、そういうアメリカ動きというものについては十分にお聞きいたしましょう、しかし、我が国はいわゆる基本的な防衛政策に基づいて継続的かつ計画的に中期防衛力整備をやっているんだ、そういうことでおこたえをしていきたい、これが大体主なやり取りであります。
  145. 服部信吾

    ○服部信吾君 あと、NLPですね、三宅島の問題、あるいは池子弾薬庫、こういうような問題も大変問題になったようでありますね。特に三宅島の問題に対しては、ついせんだっても賛成派がリコールで負けたというような、こういう非常に厳しい状況にあるわけでありますね。それで池子においてもいろいろと今やっておる。今回、概算要求の中に、両方へもつけてかなり強硬的ともいうような態度もあるわけです。そういうことで、この問題に対してどのような意見が出たのか。  それから、長官とワインバーガーさんとの話ししているところに、これは一応九月四日だそうでありますけれども、日本側日本野鳥の会、あるいは池子米軍住宅建設に反対して自然と子供を守る市民の会、あるいは池子緑作戦センター、これは日本側ですけれども、アメリカ側として、環境防衛基金、あるいは地球の友、ナショナル・オーディボーン協会、ナショナル野生生物協会、それからシエラ・クラブ、特にこのシエラ・クラブにはワインバーガーさんも会員だと、こういうことでありまして、この日米の環境団体から、環境問題について、やはりもう一度三宅島と池子は見直してくれないか、こういうようなあれが両長官に行ったようでありますけれども、これについてどのようにお考えか。  この二点について。
  146. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 後の方につきましては、そういう御要望のあることはよく承知しております。しかし、私どもが一つの政策を実行する場合には、最終的にどうすることが一番よいかということで政策を進めていくのでございまして、これを無視するというわけじゃございませんが、そういう意見は十分頭の中に入れながら、最終的にどうするか、その場合に結論が違うことはあり得るわけであります。  なお、三宅島と池子のことについてワインバーガーさんの方から触れられたか。触れられました。私は、正直言って、特に三宅の問題については今住民の間に大変反対の空気が強いということも率直に申し伝えました。ただ、これは参議院の決算委員会ではなくて内閣委員会で申し上げたと思いますけれども、このNLPという問題につきましては、日米安保条約日本アメリカとが協力し合っていくということになりますと、これは必要なんですね。そうでないという人もありますが、我々の考え方からいくと日米安保というものは大切にしていかなきゃならぬ。その前に、NLPというものは、これは必要である。必要であるならば、ひとつ日本の国のどこかでこれを背負ってもらわなきゃならぬ。御案内のとおり、日米安保で基地がありまして、そして日本の国の中でそれなりに皆さん背負っていただいているわけですよ。ですから、そういう背負ってもらうところとして適地を見ると、三宅島が一番適地である。したがって三宅島の方々にもぜひそういう観点から背負ってもらえないかというお願いをいたしたい。また、三宅島の方々について今反対が非常に多いようでありますけれども、いろいろの経緯がございました。なぜそうなったのか。一つには正直申して私どもの三宅島に対するアプローチについて欠けるところがなかったかというふうに私は思っております。そこで、現在はそのような状態になっておるけれども、将来にわたって三宅の島を考えた場合に、いろいろとこの問題について御協力できることもあるのではないか。それが三宅の将来のためになるのではないかということをよく御理解をいただくようにしていきたい。これが私の基本的な態度である。そういうことで今誠心誠意その対策を実行に移そうとしているのであります。そういう点で理解をいただきたい。池子についても同機な趣旨で理解をいただきたい、こういう話でございまして、よくわかりましたと、こういうことでございます。
  147. 服部信吾

    ○服部信吾君 最後に運輸大臣、例の整備新幹線、あれ中曽根総理は何となく、選挙が終わった後、全国知事会か何かで再開したいと、閣議決定があるようでありますけれども、この辺について運輸大臣のお考えと、それから、公取も来ていらっしゃいますけれども、例の航空三社の談合問題ですね、この問題について日航と全日空と東亜国内航空が料金決定するに当たって談合を行った、こういうことで公敗から指摘をされておりますけれども、この内容、これは公取の方からひとつお願いしたいんですけれども、と同時に、運輸大臣からこの談合問題についてどのようにお考えか、この質問をお伺いしまして質問を終わります。
  148. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 整備新幹線につきまして、関係の各地域で大変強い要望があることは私自身も存じております。そしてまたちょうど先日全国知事会で総理が御発言になりましたときも、その御発言を私も聞いておりました。しかし同時に、現在国のまた国鉄自身の財政状況から見て非常に慎重な対応が求められるテーマであることも事実であります。従来から、こうした状況の中で政府・与党の間に設置をされております整備新幹線財源問題検討委員会において財源問題、また国鉄の分割・民営後はおける建設主体、また運営主体のあり方、さらには在来並行線をどう対応していくべきかという具体的な内容の検討、こうした着工の前提条件についての検討を行い、その結論を得た段階閣議決定を変更するということで今日まで参りました。そしてまだその検討委員会の検討が終了をし、結論を得ておりません段階でこれを云々することは私の立場としてはできないわけであります。ですから、今後できるだけ早くこの検討委員会の結論を得て、その上で検討をさせていただく状態になる、そのように考えております。総理の当時の御発言というものも私は同様の趣旨を述べられたというように、その場で聞いておりました。  以上です。
  149. 樋口嘉重

    説明員(樋口嘉重君) お答えいたします。  航空三社に対する警告の概要についてでございますが、いわゆる航空に関する自由化の一環といたしまして、運輸省は昭和六十年二月に割引運賃制度につきましてその運用を弾力的に行うという方針を明らかにしたところでございます。  御承知のとおり、航空運賃につきましては運輸大臣の認可を受けなければならないことになっているわけでございますが、公正取引委員会の調査によりますと、日本航空株式会社、全日本空輸株式会社及び東亜国内航空株式会社の航空三社は、新たな割引運賃の認可申請を行うに際しまして団体割引運賃の割引率、それから旅行業者の募集する団体包括旅行、いわゆるパック旅行でございますが、の最低販売価格等の認可申請内容を事前に共同して決定した疑いが認められ、さらに航空三社は市場秩序確立委員会というものを設置いたしまして、団体包括旅行の最低販売価格を下回っている旅行業者に対してその販売価格を引き上げさせた疑いが認められたわけでございます。  そこで公正取引委員会は、昭和六十一年八月二十二日に、航空三社に対しましてこれらの行為は独占禁止法第三条及び第十九条に違反するおそれがあるとして警告したものでございます。
  150. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 航空企業の方からはその割引運賃を共同して決定したことはないという報告を受けておりますけれども、いずれにしても公正取引委員会からそうした指摘、疑いのあるという指摘を受けたこと自体大変残念なことだと思います。  現在、航空運送事業の運営について競争を通じて利用者の利便の向上を図ると、そうした観点からの新たな航空政策を展開しているところでもありますし、運賃割引についても各社の創意工夫というものが発揮をされるように指導してまいりたいと、そのように考えております。
  151. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  152. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  これより後藤田官房長官に対し質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  153. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 官房長官、昨夜は大変御苦労さまでした。久しぶりに会うものだから、懐しいものですからね、きょうは少し立ち入って質問させていただきたいと思うんです。  先月の二十二日ですね、あなたが静養なさった日です。総理も何か午前中はテニスをして静養なさったようですが、この日に総括の第一日が始まったわけですよ、決算審査の。総理もそうですが、決算審査の重視については再々強調なさっておるんですけれども、どうして当日御出席できなかったのか。これは理事会の方でも要請を再三したようでございますが、まさか三百九議席というのがそうさせたんじゃないと思うんですが、いかがでしょう。
  154. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まあ、申し上げるまでもないことでございますけれども、決算委員会というのは国民の税金が予算を通じてどのように有効に適切にそれが使われておるかという、まことに極めて重要な、その結果の審査をする委員会であると、私はさように理解をいたしておるわけでございます。それだけに、決算委員会の審査が成果を上げることが当然できるように政府としては最大限の御協力をしなければならぬという基本的な考え方、これはいささかも私は間違えてはならぬ、こう思っておるわけでございます。  ただ、先般の八月二十二日でございましたか、私、実は遠方に行っておりましたのと、それともう一つは多少の、率直に言いまして事務的な手違いもございまして、聞いてみますと、一週間とか五日前に既に通告があったと、こういうことでございましたが、私はそれを承知をしていなかったといったようなことがございまして、それは当日朝早く出れば、私はたしかあの日も間に合ったと思います。しかし、連日のいろんなことで疲れてもおりまして、本当に申しわけないと思いながら、何とかひとつ理事の皆さんにお願いをして、できればひとつ次の機会にお許しをいただければありがたいなということで、できる限りひとつお許しをいただければということで、懇請を申し上げた結果、お許しを得たことで、大変ありがとうございました。そういうことでございます。
  155. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 理事会の方の意見としては、再三要求したけれども出れなかったということで、大分中身が違うようですがね。これは口先だけでは困るんですよね、私の委員長時代からも随分この点は言われてきておるんですから。私は、いわゆる総括の場合には四日間、総理以下全閣僚がきちっと出席して予算委員会と同様に審議を尽くすべきだ、これが持論ですが、これはひとつぜひ閣内でも御検討願いたいと思うんです。  同時に、委員長にも私は要請しておきたいと思いますが、今、長官の話を聞きますとああいう内容なんですから、やっぱり理事会でもう一遍この辺をきちっと議論してもらって、そして、もし決算委員会決議する必要があるなら決議をして、本当に参議院改革の最重点であるこの決算審査の重視をやっぱりきちんとしてもらわないといけないと私は思うんで、この点はひとつ理事会でも諮って審議していただきたい。よろしいですか。
  156. 菅野久光

    委員長菅野久光君) わかりました。
  157. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで、この際にひとつ官房長官に、いつ出るのかということで私ども期待しておるんですが、なかなか出てこないからお伺いしておきたいんですが、ロッキード事件が起こってちょうどことしが十年目ですね。その再発防止の一環として会計検査院法の改正が取り上げられて、衆参両院でも決議された、何回も。そして、福田さんから大平、鈴木さんも早期提出を約束なさった。しかし、中曽根さんになって私とやり合った中で、いわゆる翁、藤森通達を出して、特に藤森通達の肩越し検査で実効があるかどうか、今もう少し期間を置いて検討してみたい、もしそれがなければ決断したい、こういうのが私とのやりとりの結論だったと思うんですね。これは率直に言って各省庁の束ねとして官房長官がその調整に当たっているわけですけれども、私とやりとりしたのが昨年、そういうことから考えていつごろまでにこの問題に結論を出そうとしておるのか、官房長官の見解をひとつ聞きたいんです。
  158. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御説のように、この会計検査院法の改正の問題は、しばしば委員会でも御指摘があり、また御決議等もあったわけでございます。  ただ、そういった際に政府としてしばしばお答えをいたしておりますように、もちろん会計検査院の検査を十分な成果が上がるように政府としても協力しなきゃならぬということは当然ではございますけれども、何せこういった自由経済の時代でございますから、政府関係の金融機関等からの貸出先の民間企業にまで直接会計検査院が検査するということになると、政策金融そのものが十全の効果を上げることができるかどうかという点についての多少の問題もなきにしもあらずと、こういうことでございますので、政府系の金融機関そのものの検査、これはもう当然のことでございますが、それを通じて、何といいますか、肩越し検査、これにはできる限り当該金融機関にも協力をさせるように強く政府としては指導をするということで、目的を達成ができれば一番いいのではないのかといったようなことで、従来から、立法の問題も当然検討はしなきゃならぬであろうけれども、さしあたりやはり肩越し検査に協力をさして、その対象もできる限り広げていくといったようなことでやるのが今の時代には一番いいのではないかなあということで、今日に至っているわけでございます。  私が聞くところによりますと、こういったことで現在たしか開銀でしたかね、開銀、あるいは北東公庫等はそれによって対象の範囲を広げて肩越し検査に協力をさせるということで、相当成果が上がっておるやに承知をいたしておるわけでございますので、私は当分やはりこういったやり方でやらさしていただきたい。どうしても将来ふぐあいがあるといったようなことであれば、これまた政府部内でも検討し、検査院当局とも十分話し合いはしなきゃならぬなと、かように考えておるわけでございますが、したがってさしあたり院法改正について政府が処置をするということは考えていないと、かように御理解を願いたいと思います。
  159. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 検査院長、今言ったような後藤田長官の答弁なんですが、私は検査院はまだ院法改正について断念してないという理解をしておるんですが、後藤田さんは藤森通達でかなりいい線をいっておると、検査が、こういう言い方をするんですが、しかしやはり肩越し検査には私は限界があるんじゃないかと思うんです。問題の発端はやっぱり全日空、日商岩井の政府資金の融資先でロッキード事件、グラマン・ダグラス事件が起こっておるわけだから、ですから私は確かに政策融資についてそこまで公権力が立ち入ることについての遠慮も考えなきゃならぬと思いますけれども、しかしそこでこういう不正事件が起こって、その再発防止という意味での院法改正ですから、私はあいまいなことでは済まされない、こう思っておるんです。  この藤森通達後の輸銀の調査を見ると、ほとんど実質的な総合検査をやっていない、検査院自体も。またできないんじゃないかと私は思うんですが、ここら辺の問題について検査院としてどう対処しておるのか、この辺を含めて院長の見解を聞きたいんです。
  160. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) 今具体的に輸銀の検査につきましてお話がありましたので、とりあえず担当局長から輸銀の検査の実態について報告させていただきます。
  161. 小川一哉

    説明員(小川一哉君) 日本輸出入銀行に対しましては、毎年本店につきまして二回、大阪の支店につきまして一回の実地検査を施行しております。日本輸出入銀行の融資には、船舶、プラント等を延べ払い輸出するのに必要な資金を融資いたします輸出金融とかそういうふうな融資に対しまして、輸銀本・支店におきまして輸出契約書、資金証明その他の書類を調査いたしまして、貸し付けの適否とかその後の管理の妥当性を確認をしておりまして、もし必要があれば貸付先まで行って調査すると、そういうふうな姿勢で検査をしております。しかし、現在までのところ特に貸付先まで赴いて調査をするような事案は全然なかったというふうなことでございます。
  162. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 院長、どうですか。
  163. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) 輸銀の検査につきましては、ただいま担当局長からお話ししたとおりでございます。我々といたしましても、しないということではなしに、いつでもする態勢で臨んでおるということでありまして、先ほど佐藤先生からの御質問の趣旨につきましては、肩越し検査で我々はもちろん満足しておるわけではございませんが、現在の段階においてはその肩越し検査をしまして、それで特別な支障があるということを現在まで私のところには聞いておりません。これが現在までの状況でございます。
  164. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 院法改正は断念したんですか。
  165. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) それから基本的な問題でございますが、院法改正につきましては、先生御承知のとおり、たびたび当委員会におきまして御議論もあり、また御決議もありまして、その趣旨を体しまして、また我々は憲法上の機関といたしまして十分な検査を行うという立場から申しまして、院法改正をしたいという立場は改正案要綱を内閣に送りました当時と決して変わっておりません。
  166. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 長官、検査院長も断念したわけじゃなくて院法改正が必要だと、肩越し検査には限界もあると、こういうことですからね。私は、あなたは調整役みたいなものですね、この問題では。ですから、ひとつ早急にこの辺の問題を精査してもらって、本当に支障がないのかどうかを含めて、その上で私はやっぱり、中曽根総理も決断をすると言っておるんだから、院法改正について、ひとつ全力を挙げて取り組んでいただきたいということだけきょうはひとつ要望しておきます。  次に移りますが、そこで撚工連の問題で二、三聞いておきたいんですが、この問題については再発防止の措置が必要であることはもう私が言うまでもないと思うんですね。刑事事件としては一応行政処分も八月に行われたようでございますから決着はついたということが言えるかもしれませんが、まだ高沢の件は残っていますね。この改善措置をどういうふうにやるのかということが一つの課題だと思うんです。それからもう一つは、撚工連自体が不正経理の解明がまだできてない。さらに負債額がどの程度あるかもまだつかんでない。これの解消策をどうするのか。そこら辺についてはどの程度作業が進んでいるんですか。
  167. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 御指摘の第一点でございますが、制度面の見直しでございます。これにつきましては鋭意政府部内で検討を進めているところでございますけれども、五月三十日の経済対策閣僚会議におきまして「現行制度の抜本的な見直しを行い、現行設備共同廃棄事業を廃止することとし、改めて厳格な要件及び監視体制の強化のもとに、特定産地等の構造調整を促進するための新たな設備共同廃棄事業を実施する。」という基本的な考え方をお取りまとめいただきまして、それに即して検討いたしているところでございます。  検討の第一の主眼は事業主体でございまして、先生御承知のとおり、従来は東京にございます工業組合連合会を事業主体にいたしておりましたけれども、今後は産地組合を事業主体にいたしまして、現地での相互チェック、相互監視が十分に働くように考慮していってはどうかというようなことを考えております。  それからまた、実際の設備廃棄対象のチェック等につきましても、設備廃棄計画を今後は公表するというようなことにいたしまして、さまざまの角度からのチェックが行われるようにしたいというぐあいに考えております。  また、費用負担の問題等につきましても、鋭意従来の経緯等を踏まえながら見直しを行っているところでございまして、現在までのところ確定的な案を取りまとめるまでに至っておりませんけれども、鋭意努力をいたしまして早急に成案を得たいというぐあいに考えている次第でございます。  それから、第二点の撚糸工連の経理の問題でございます。  確かに刑事上の問題は一つの峠を越しているわけでございますけれども、経理面に穴があることは事実でございます。工連自身も対応に非常に苦慮いたしているところでございますので、私どもといたしましては七月十七日に日本撚糸工業組合連合会経理監理委員会を設置することにいたしました。関係の方面のお知恵をおかりいたしまして、現在の損害額の推定、それからその損害の回収のための具体的方策、さらには、いろいろな債務関係が残っているわけでございますけれども、これの円滑な処理方針というようなものをアドバイスしていただこうと思っております。私どもといたしましては、このアドバイスに従って厳正な処理を行うように、中小企業団体法に基づきまして監督命令を発したところでございまして、こういう角度から厳正を期してまいりたいというぐあに考えている次第でございます。
  168. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 経過は聞きましたが、これは国民の税金を含まれた重大な事件ですから、今後もひとつその経過を含めて経緯を御報告いただきたいと思います。  そこで、官房長官ね、通産省のこういう共同廃棄事業は約二千五、六百億ですが、そのほかの直接公団、公社などから出す融資を見ると約一兆円ですね。それからその他銀行経由で出す融資を見ると約十兆円ですね。こういう事例が起こってくると、この問題に対してやっぱり再発防止を含めて抜本的な検討をしていかなきゃならぬのじゃないかと思う。ただ、しかし今通産省側の御報告を聞きますと、肝心なところが抜けておる。これはあなたが衆議院段階で渋沢議員の質問に対してやりとりやっていますが、ならば政治資金規正法二十二条三の解釈をめぐって議論がございましたが、例えば共同廃棄事業などこういう事業というのはほとんど国民の税金が中心ですわね。そうして、しかもこれはやっぱり救済的な意味が含まれておるわけですね。今度円高でもそこが出てくると思うんですがね。そういう資金から、そういうもらっておる事業体が裏に政治連盟をつくって、そうしてそこからその金を政治家に政治献金する、これに何ら歯どめがない。あなたの解釈によると、今言うようにこれはむしろ立法論じゃないかというふうにあなた逃げていますね。立法論ということになれば、やはりこの際この再建に再発防止を含めてここら辺にやっぱり網をかぶせるべきじゃないか。そうしないと、例えば三谷にしろ小田さんにしろ井上さんにしろ当時皆さんのインタビューで話を聞いてみますと、使途不明金の中から税金を払って政治家に出したんだから正々堂々とやっておるというんです。こういうことでは国民のせっかくの、言いかえれば特別の措置ですよ、それが全く裏腹に乱費される、こういうことを野放しにすることになる。いかがですか、この点について。
  169. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) その点は、この前衆議院でございましたですか御質問があって私がお答えしたんですが、これは私の承知している範囲では政治資金規正法立法当時いろんな問題があって、そして現在のような規定になり、そこで、国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をすることはできないと、こう書いてあるんですが、この「国から」というのは直接国から受けたと、こういうことに解釈論としては今確立をしているわけですね。だから私はやはりこの規定は、今、佐藤さんおっしゃるようにその間接的になっているところまで全部やるべきじゃないかという御意見はわかるんです、私には。しかし、この政治資金規正法成立当時の経緯もあって解釈がそのようになっている以上、これは罰則規定の適用のあるものですから、それだけにこの解釈を変更するというのは難しいだろう。それでおっしゃるように確かにこれは抜け道でないかと言われれば、それは佐藤さん抜け道じゃありませんと私も言いにくい面が率直に言ってあるわけですね。だからこれは、事は政治資金規正法に関することでございまするので、私がお答えしているのは、ならばそういう点が皆さんが御相談なさってやっぱりこれは立法論として是正すべきであるということであれば、これはやっぱりひとつの法改正という方向に進んでいっても一向差し支えない問題ではないかなと。ただ政府立場で、これは何しろ政治資金規正の法律でございますだけに、各党谷会派のいろんな活動そのものに重大な影響を与える問題でございますので、これは各党間で御協議いただかなければならぬのではないか、改正ということになれば。そこで政府立場として、これ改正しますとかなんとか言えないと私は今思っているんです。それと同時に、解釈でこれを適用ができるように解釈変更するということも、これもちょっと私は面倒な話でできないと思いますね。だからやっぱりこれは各党各派で、今政治資金に関する改正問題も私が仄聞するところ、いろいろ論議の種にもなっておるようでございますから、そういう機会にこういうところも各党各派でお話し合いをいただいて一定の結論を出していただければいいのではないかと、かように考えるわけでございます。
  170. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私はこういう事件が起こった例で、今再発防止を含めて検討し直しておると言っておるわけ、通産側の方でね。私はそういうことを考えてみると、今あなたがおっしゃったような内容のものですから、これはやはり立法論的にとらえてもこの際再発防止の一環として政府としても積極的にひとつ対応する、こういう姿勢は大事だと思うんです。  私ども政党間の問題についてはこれはいろいろあるでしょう。しかし、こういう事業についてこういうところが政治献金を公然とするということは、これからまた円高対策の救済とかいろいろ起こるでしょう。いわゆる国民の血税を使って救済する対象の事業体が、その金を手づかみでつかんで献金するというような、これは許しちゃならぬと思うんですよ。その点は、ひとつぜひそういう面から政府部内においても検討してもらいたい。よろしいですか。
  171. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 佐藤さんの御意見として十分拝聴さしていただきます。
  172. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ひとつそれは信順しておきます。  そこで、時間がございませんから、防衛庁長官、せっかくおいでになって、訪米で大変御苦労なさったようですし、先ほど服部委員からやりとりがございましたから、もうその辺はひとつカットしまして、一言だけ聞いておきたいのは、自衛隊の事故が多発しておるわけですね。今年に入って四件。特に六月から九月二日の事故を見ると民家にも犠牲が生まれてきておる。この点について、私が不可思議でならぬのは、例えば百里基地のミサイルの誤射ですね。それから、宮崎の新田原の場合などは燃料切れで墜落というんですから、プロとしては信じられぬことでしょう。こういったことについてどういうふうにとらまえておるのかね、長官、いかがですか。
  173. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 一連の防衛庁自衛隊の事故、これはまことに申しわけないことでございまして、私は機会があるごとに、大変申しわけないということを国民の皆さんにも申し上げておるわけであります。  自衛隊自体は、厳正に訓練をし、安全管理ということには意を注いできておるわけでございますが、しかしこういう事故が相続きますと、問題がどこにあるか、このことについてさらに真剣に考えなきゃならないと思っております。  私はちょうどミサイル事故につきましては渡米中でございまして、臨時代理の後藤田官房長官に大変御厄介になったわけでございますが、アメリカから事故対策について適切な処置を直ちにとるようにということで指示をし、それなりにやっております。それにつきましては、後ほど政府委員の方から答弁をさせますが、基本的にはやはりこれはどこに問題があるか、俗に言う、心のたるみがないか、そういうことについて心してやらにゃいかぬ。私は、この問題は私自体の責任である、私自体の責任としてこれがどこから起きたか。いやしくも精神的な面で緩みがあったということじゃ、これはまことに申しわけないということで、しっかりした対応を立てるべく今陣頭に立って指揮をしておるところでございます。
  174. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は、これは素人考えですけれども、どうも大蔵省が予算をつけ過ぎるものだから、だから自衛隊機やミサイルなど高性能、新鋭化、新兵器をどんどん入れていく。ところが、基本的にはやっぱりコンピューターでいろいろやろうといっても、これは隊員が使うんだから、その隊員の皆さんの能力が追いつかない、私はそのずれじゃないかと思うんだ、いかがですか。単なる緩みじゃなくて、やっぱり大蔵大臣予算をつけ過ぎるところに根本原因があるような感じがしてならぬのです。その点は、私はもっと、一機、一台といえば大変な高価なものですから、私はやっぱり国民としても不信を持つと思う。  もう一つは、これを公表したがらない、自衛隊が。そしてしかも、基地内で起きたんだから余り社会的影響がなかったというようなことを言って、今度は百里基地の場合には、余り見物人が多かったからしようがなくやったとか、こういうことは新聞で書かれていますが、これだけの国民の財産を落としてみて、そういう感覚、そこに問題があるような感じがする。この点、改善を含めてどういう考えを持っていますか。
  175. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 大蔵省が予算をつけ過ぎるんじゃないかというのは私と全く意見が違います。というのは、やはり自衛隊ですから、我が国の防衛をやるんですから、それにふさわしい装備と訓練をしなきゃならぬ。あえて言うならば、訓練時間が諸外国に比べてみて非常に少ないんですね。練度を高めるということをしなきゃいかぬ。そういう意味合いでは予算の問題ではないと思います。  ただ、今言ったように何か隠すところがあるんじゃないかと、そういうことはないと考えておりますが、そういうふうに思われたこと、思われることは大変不徳のいたすところでございます。今後さようなことがないように厳重に注意をいたしたい、こう考えております。
  176. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 今後ひとつ厳重に注意するというんですから、すぐあなたやめるわけじゃなかろうから、もう少し見守りましょう。そこら辺はひとつ大事にしてくださいよ。  それでは、時間がございませんので、次に移りますが、国鉄総裁お見えですか。大変御苦労さまです。国鉄問題は、これは臨時国会で本格的にやりますから、私はそこでもやりたいと思いますが、きょうは二、三問題を絞ってお聞きしたいと思っておるんです。  あなたは二十六年に運輸省に入省なさっていますね。いわゆる国鉄が三十八年から赤字になる時点ごろから運輸省の課長、官房長、鉄道監督局長、そして五十七年に最高責任者で次官、五十九年に退任と、主要なポストを歩いておるんですが、言いかえれば、国鉄が火だるま、借金車になって落ち込んでいく過程をずっとあなたは運輸省で指導的な立場で対処しておった。そういうことで今日のこの国鉄の現状に対してどういう認識を持っていますか、あなたとして、それをまず第一にお伺いしたい。
  177. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今先生おっしゃいましたように、私運輸省の在職期間中、国鉄問題を担当する期間が非常に多うございまして、いろいろと苦心をいたしたわけでございますが、残念ながら改革はその都度うまくいかないということで経過して経験をしたわけでございます。そういう意味におきまして、私自身も国鉄の再建問題につきましては非常に責任があると責任を感じて、今回国鉄総裁の大役をお受けするに当たりましても、改めて気持ちを新たにしまして、この難局、難問題を処理したいというふうな気持ちでお受けをしたわけでございます。  国鉄の現状は、もう今さら申し上げるまでもなく、大変な現状でございます。ぜひともこれは改革を実行しなければ一刻を争う、そういう状況であるというふうに認識をしておりますので、先国会におきまして廃案になりましたが、引き続く国会におきまして改革のための諸法案を再度提出をお願いいたしまして、ぜひとも改革を完遂をしなければならぬというふうに思っておるところでございます。
  178. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 うまくいかなかったと、あなたが運輸省におって、次官、鉄道監督局長やっておりながらうまくいかなかった最大の原因は、あなた二つ挙げてください、何と何ですか、いろいろあるでしょうが、二つだけ主なやつを挙げてください。
  179. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 何といいましても輸送形態の激変の状況、これは昭和四十年代から五十年代にかけてでございますが、そうした輸送状況なり日本の経済状態を踏まえまして、将来予測という点におきましてなかなかうまい予測ができなかった。具体的に申し上げますれば、やはり将来予測に輸送量の過大な評価をなしがちであったということが一つあろうかと思います。それに対しまして、現状はどうかといいますと、モータリゼーションなり航空機の発展というような、いわば輸送機関の大きな変化というものが現実どんどん進んできておる、その辺の私どもの考えた輸送見通しと、それから現実の輸送の変革というものが非常にマッチしなかったというところに、最大の原因があるというふうに思います。
  180. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 六代の総裁の磯崎さんもそう言っていますね、百年の国鉄をつぶすのはむちゃくちゃだと。そのむちゃくちゃの論理は何かというと、あなたがおっしゃったように、総合交通体系を示さずにやるのはむちゃだ、こう言っておる。私も国会で随分この問題を取り上げたけれども、運輸省、あなたのところは一遍もそれを出さなかった。二つは、やっぱり磯崎さんはこう言っています。国鉄の赤字は、国が道路のようにただ金を出さない。そして、新幹線をつくれ、それ通勤輸送の改善を図れということで、膨大な設備投資が全部借金で、これは当然借金になるのは当たり前じゃないか、こう言っておる。この点は、私はわかるような気がするんです。そこら辺が、あなた自身どういう理解をなさっておるのか。これはひとつ、これからの再建の一つ基本になると思うので聞かしてもらいたいと思う、簡潔に。
  181. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 国鉄を中心といたしました鉄道なり他の輸送機関の全体の動きなり見通しという問題、それからそれに対する建設投資という問題が別な問題として大きな観点かと思います。  国鉄の過去の歴史を顧みますと、国鉄の公共事業という公共性に着目いたしましたいろんな施策が、いわば経営成績の中にすべて包含された時代があったわけでございます。昭和三十年代までは確かにそのとおりであったと思うんです。引き続きまして、四十年代に入りましていろんな意味での公共的な見地からする要請、それに応ずる投資というようなものが従来の形のまま、端的に申し上げますれば借金、それに対する政府の助成も含めまして借金による投資というような点が、国鉄経営の中ですべて吸収できるというような形でまいったというところに大きな問題があろうかと思います。  今後は、やはり公共的な問題と経営というものをはっきりと分けて対処する必要があるというふうに思います。
  182. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そういう認識については私もそう変わりはないんですが、にもかかわらず、ここからはひとつ杉浦さんに私は聞きたいと思うんですが、それが職員にも責任がないわけではないでしょう。しかし、国鉄の職員というものはやっぱり国鉄を愛して、親子代々入っておるのが非常に多いですね。ところが、今度の問題で人材活用センターと称して、そしてこの問題いろいろありますが、これはまた後ほど臨時国会が始まってから私も出していきたいと思うんですが、ここに国鉄労働組合は八〇%を入れておる、そして、国労組合員は多いから仕方がないとあなたはおっしゃっているけれども、例えば長崎機関区の場合を見ると、動労が百三十八名中ゼロ、国労が七十一名中二十五、全動労が二十八名中二名と、国労が多いから八〇%になるんだという論理は全然うそっぱちですね。さらに、そこでは何をやっているかというと、点呼で国労のバッジが勤務評定の対象になる、鼻ひげを伸ばしたらそれが不当配転の対象になる、こういう想像もつかないことがやられておる。そして、今度は箱根八里の三十二キロを走れとか、こういうのがやられてきておるし、そのきわめつけはスト権ストの損害賠償訴訟をよい子、悪い子よろしく動労はゼロにする、国労はやる、こういう、総裁、ありようというのは私はやっぱり異常という以外にない。ここはやはり私はこの国鉄再建という未曾有の事態を控えておるんだから、何とかして一緒に盛り返せないかということで、もしそこに説得の早い遅いはあるでしょう、それはやはりあなたが先頭に立って説得する、こういう姿勢でもって再建することを国民は望んでおるわけです。この点いかがですか。
  183. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) こういう大変なときでございますので、労使が一体となりましてこの難局を対処したいという気持ちは私も最初から申し上げているところでございまして、各組合に対しまして全く公平、平等な形でいろんな提案をし、場合によりましては団体交渉をし、いろいろと話を進めてまいっておるところでございます。非常に事態が切迫しておりますので、矢継ぎ早にいろんな提案をいたしております。すぐに対応していただく組合、そうでない組合、特におっしゃいました国労につきましては、いままでのいきさつあるいは組合自体が非常に大世帯である、内部のコントロールがなかなかうまくいかないというようないろんな理由からいたしまして、私どもの提案に速やかに対応していただいておりません。しかしながら、先生がおっしゃいますように、組合に対しましてはできるだけこれは理解と説得を今後も重ねまして、改革の道を進んでまいりたいというふうに思うわけでございます。それの個々のいろんなあらわれといたしまして、今御例示の例えばバッジの問題でございますが、これは国鉄内部の規則によりまして、いわば服装の規律の厳正という意味でこれを禁止いたしております。したがいまして、そうしたことをあえてバッジをつけるということについては、私どもそれはいけないという指導をしておるところでございますし、また、人材活用センターの職員の教育なり訓練というものの一環といたしまして、新聞に出ましたような箱根の走行というような訓練をあわせて行っております。これは今改めてやっておるわけじゃありませんで、昔から三島の学園におきましてはいわばチームワークの団体訓練とかあるいは体力の向上という意味におきましてこうした集団的な行動をとらしております。改めて国労なり何なりに対して行ったものではございません。二百二億の問題につきましては、動労についての各般の過去の経緯なり将来への協力度合いというものを見まして、動労に対する二百二億の訴訟を継続する理由がないということで取り下げたわけでありまして、国労については従来どおりでございますが、国労も同様な対応をしていただくならば、私ども訴訟関係はきれいなものにしたいというふうに考えているところでございます。
  184. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 あなたが動労とか鉄労とかの大会にあいさつに出て国労には出ないとか、きのうの四十周年パーティーにも出ないとか、そういう姿勢に私は問題がある。この今日の国鉄の現状は職員に大半の責任があるんじゃなくて、あなたがさっき言ったように、むしろあなたなり運輸官僚なり、そうしてやっぱり政治の部面とのずれが起こって原因があるわけですから、そこに責任を求めるのじゃない。これはひとつ一番大事な点は、私も分裂組合等の経験がございますが、やっぱりそこになると憎しみになる、憎しみになると結果的にはテロということになる、目には目、歯には歯とこうなる。現に国鉄の場合には下山事件、三鷹事件、松川事件と起こっておるんです、こういう場合に。また最近でも起こっておるでしょう。こういうようなことはやはり慎んでいかなきゃ私はいかぬと思うんですよ。総裁としてむしろ積極的にわからないところを総裁みずから出て説得する、こういう役割こそあなたに期待されておるわけです。そこら辺をひとつ改めていただきたい。私はこの問題についてはせっかく橋本運輸大臣、新進気鋭ですが、お見えでございますから運輸大臣内閣を代表して後藤田官房長官に見解を聞いておきたいと思う。それで私の質問を終わりたいと思います。
  185. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今お話しを伺っておりまして佐藤委員の御質問のお立場もわからないわけではありません。ただ、私の立場から申しますならば、勤務の評定の仕方あるいは人材活用センターをどう活用しているか、いわばこれは国鉄の内部の問題でありまして内部で解決をすべき事項であろうと思います。ただ、いずれにしても正当なまた正常な労働組合活動が行われている限りにおいて、その労働組合の行動の差別というようなものがあっていいとは私は思いません。
  186. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 各組合とも同じような、差別をしないで平等に扱ってやるべきであるということは私はおっしゃるとおりであろうと思います。ただ、現在の国鉄の現状から見ますとやはり労使と言わず各組合と言わず、ここまでくればみんなが私は共通の認識に立って国鉄の再建に全力を挙げて協力をするという気持ちをみんなに持っていただきたい、私はそれを念願しておるわけでございます。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私はまず最初に、午前中もお話がありました藤尾前文部大臣の発言問題についてお伺いをいたします。  けさの新聞に、昨晩の後藤田長官の談話が載っておりまして私も読ませていただいたわけでありますが、今回の発言の一連の問題の中で、その下敷きになっております藤尾文部大臣の個人という立場の発言ですね、このことについて私は少し考えてみました。そのことについて長官は、藤尾文相の発言も、一政治家としての私見を述べたものであるが、国政の責任を負う閣僚の地位にある者の発言は、たとえ個人的なものであっても、一私人のそれとはおのずから異なる重みを持つというふうにおっしゃっておられました。私はそのとおりだと思うんです。閣僚の立場にある方の個人というものの考え方、これは非常に難しいかと思いますが、けさの新聞等では、こういう後藤田長官の談話をよそに、個人だと断って雑誌紙上で発言をしているのに、罷免とは非常に言論弾圧だというようなコメントが既に与党の中の方のコメントとして上がっているのであります。  したがいまして、こういう種類の事柄について私は大変に一つの大きなテーマとして今回の事件を考えているわけでございまして、かつてこの決算委員会でも元労働大臣の山口大臣大臣印乱発というのをやりまして、このときにこの委員会の中で私的大臣印という言葉が出てまいりまして、私もその質疑をした一人として大変に不本意に思ったことがあるわけでございます。私的大臣印というものが実在するんだという認識を大変にびっくりして受けとめたわけです。したがいまして閣僚の立場における個人、こういう物の考え方について長官のシビアな御見解を伺わしていただきたい。
  188. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 最近のような言論の自由な、また行動の自由な自由主義、民主主義の社会の中では、私はいかなる立場におろうとも個人の言動というものは自由であり、それのいわゆる弾圧といったようなものがあるべからざることであるということはこれは当然であろうと思いますが、しかしながらやはりお互い大臣であろうと役人であろうと議員であろうと一定の公的な資格を持っている者の言動というものは、全くそうでない一私人の言動とはおのずから私は違った面があってしかるべきではないのか。しかしそれではどこまでが私的でどこまでが公的な性格を帯びるのかといったことになるとなかなか私は区分けは難しいと思いますが、要はその言動の行われた場所であるとか目的であるとか性格、こういったような点を総合的に判断して社会的通念によってこれは判断をしなければならないのではないか。しかし、一般論として言えばやはり言葉は悪うございますけれども、個人の上に閣僚であれば閣僚というはっぴは絶えず着ておるわけでございますから、その心構えというものは絶えず認識をしてないと、これは私はかえって祉会に対し、また国民に対しても申しわけないといったような結果になるおそれがある。この気持ちは絶えず私は必要であろう、かように考えておるわけでございます。
  189. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ぜひそうした官房長官のお気持ちを閣僚の皆さんに徹底をしていただきたいというように思います。  それからもう一つは、閣僚の資質という問題について私は大変疑問を持ちました。そういうことを言っていいのか悪いのかいささか迷いますけれども、例えば過去の大臣在任中にある方々の失言問題についてもずっと私も調べてみました。古い話ですと倉石農林大臣とか小林法務大臣とか西村防衛庁長官とかいろいろあります。ですけれども、この方たちは全部辞任をしておられます。近くは中曽根内閣になってから平泉長官の問題とかあるいはまた渡辺通産大臣の毛針発言とかいろいろあったわけでございますけれども、このことは陳謝をなさった、こういうことであったわけです。ただ、今回の場合は説を曲げない、つまり信条であったということです。私はこういう物の考え方を持っておられた方を閣僚に据えられたということ、このことのやはり政府の責任というような問題も考えました。これは中曽根総理お出ましになればお伺いしたいところでございますけれども、総理お見えになりませんので、番頭役の後藤田長官にお答えいただかなければならないわけでありますけれども、これは罷免をして済むという種類のものではないというふうに私どもは受けとめておりますけれども、閣僚の資質を閣僚をお選びになるときにどのように考えるのか、そして今回藤尾前文部大臣を文部大臣として配置なさったこと、そしてそれにかかわって起きてくるいわゆる政府の責任、こういうものについてどのようにお考えですか。
  190. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 現在はほとんどの閣僚は議員という資格を持った者の中から任命がされておるわけですね。そうしますと、やはり国会議員というのはとにもかくにも五万、十万という大多数の選挙民の得票を得て、つまり選ばれた人として出てきているわけでございますから、私はやはりそれだけの見識というものは十分皆さん持っていらっしゃると思います、これは。ただ、率直に申しまして、議員というのはしたがって通俗な言葉で言えば一国一城のあるじでございます。個性も極めて豊かな人が多いであろう、これまた同じような個性ばかりじゃどうにもならぬわけですからね。私はそういう意味において、ともかく数万の得票を得て国会に出るという人は、これはやっぱり他の社会におる人とは違ってそれなりの私は立派な資質を持っている人がなっていると思いますね。そして同時にそれを何回か選挙の洗礼を経ながら、そしてさらに一層磨きをかけて見識の高い人、その中から閣僚というものは私は選ばれておる、こう思います。しかし、おっしゃるように、それが時々発言で問題を生じたりするわけでございますけれども、これは十分それぞれの方にお考えを願って、常に留意をしていただかなきゃならぬことだろうとは思います。  今回のようなことはやはり藤尾さん御自身の歴史観、これに基づくものであって、自分のことだから自分で始末をつける、こういうことでございましたから、私どもとしてはやはりここまで問題が国際問題になった以上は、やはり御自分で自発的におやめをいただくのが一番いいのではないかと思いましたけれども、そうなると自分自身の歴史観そのものの否定につながる心配もあるので、それはひとつ勘弁をしてもらいたい、やはり罷免という処置で処分をしてもらいたい、こういうことでございましたので、あえて罷免という処置に出ざるを得なかった。これが結果でございますが、私は藤尾さん御自身の見識なりあるいはまた今日までの功績なり、こういうものは私は毛頭これを否定する気持ちはございません。しかしながら、残念ながら今回のあの御発言については、たとえそれが個人のものであろうとも、やはり文部大臣という立場から見るならば、そしてこれが大きな国際問題になった以上は、それなりの責任というものは果たしていただかなければならぬ、こういうことでああいう解決に至ったわけでございます。  したがって、結果としては私はまことにこの種の事件は残念でもあるし、遺憾であったと、かようにお答えせざるを得ないわけでございます。
  191. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 もろもろ余波についても申し上げたいことがございますけれども、限られた時間でございますので、ぜひ今後ともこのようなことのないように閣僚の方々への自粛を長官からもお願いしていただきたい、このように思います。  次に、私も自衛隊機事故の連続して起きております問題について取り上げる予定でございましたけれども、先ほど来佐藤委員の方からもお話が出ておりますので、私はむしろこれも後藤田長官の方にお尋ねをしたいんでございますが、まさにねじが緩んでおるというふうにおっしゃられて、そして早速に再発防止のための対策委員会を設けなさいということで指示をなさいました。防衛庁にその種の対策委員会ができるのかできたのかわかりませんけれども、なるんだということなんでしょうけれども、私はこれは防衛庁にその種の再発防止の委員会を設けるというのではなくて、政府規模でそういう内閣考えて、げたを防衛庁に預けておくんではなくて、つくっていただきたいという希望を持っております。  先ほど来お話がありましたけれども、ことしの二月来八カ月の間に起きた事故が私どもが知らされている限りで六回でしょう。そしてそれ私もあらあら計算すると大体百四十六億ぐらいからがらっと計算してもおっことして壊しちゃったと、こういう感じなんですね。これみんな国民の税金ですからね。こういうふうな事柄が連続して起きていること、そしてまたサイドワインダーの暴発なんかに至っては、これは一歩間違えれば近くに民家もあるしということで、既に宮崎の民家事故、民間に及ぼす被害もあるというようなこういうものが連続して起きている中で、私は再発防止策を防衛庁だけに預けておいてよろしいものかどうかという考えを持っておりますんですが、再発防止のために政府としてはどんなお立場をおとりになられますか。
  192. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は今の御質問の御趣旨はわからぬではありません。ただ、やはりこの種の事故防止ということになりますと、やはりそれなりの知識も十分に持っており、そして同時に部隊員の気持ち、これらも絶えずつかんでおる防衛庁御自身がこの事故原因を究明をして再発防止に当たるのが一番適当であろう、政府全体といえばこれは話はわからぬではありませんけれども、それは形だけであって、実質の効果を上げるのはやはり防衛庁の中できちんと処理をするのがいいのではないかと、私はさように考えるわけでございます。
  193. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 後藤田官房長官の御答弁を聞いておりまして私はそれだと思います。私が防衛庁長官でございますので、私の責任で行いますのでお預けをいただきたいと思います。
  194. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 防衛庁長官あっちへ行っていらっしゃったからわからなかったんだけれども、ねじが緩んでいるというふうにハッパかけられたのです。
  195. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは誤解があるといけませんので私の考え方、そしてまたあの当時防衛事務次官、また空幕長等がお見えになった際に私からも話をしておいた事柄をお答えをいたしたいと思います。  あの種類の事件、事故というものが起きたときに、その原因がすぐにこれだとわかったときには是正措置は大変楽なんだと、これは。容易ですよと。しかしながらこういった事件、事故が連続してとかく起きがちな場合があると、殊に大組織の場合にそれがあるんだと。ところが今回の航空自衛隊のことは中身は私にはわかりませんか、ああいった事故が頻発しておるということを考えますと、私自身の長い役人時代の経験に徴しても言い得ることは、航空自衛隊というのは命をかけた命と背中合わせになった訓練、そして同時にスクランブル、こういった日々の厳しい勤務に服しているんだと。ならはやっぱりそれを管理しておる基地の幹部とかそれぞれの立場の人間を十分私は事件、事故が起こらないように絶えず注意している、これは当たり前のことなんだと、にもかかわらずとかく起きるというのは、実際は事件、事故の原因がどこにあるかということを調べてみるとこれだということが出てこない場合があるんだと。それが事故の連続に発生しがちだと、これは私の経験ですよと、そういうときにはよくよく見てみると、いつとはなしに絶えず注意しているけれども、大組織の中には至るところのねじが少しずつ緩んでおると、それが事件、事故の連続としてなる場合が私は多いと思うんだと、だからそこをよくひとつ考えてくれよと。  そうしますと、質問の中にああいった事件、事故を起こしながら幹部の責任はどうするんだと、こういうような厳しい質問がありました。それは当然それなりの処置はとらなければならぬと思うが、とかくこういう事件が起きたときに最高の者が責任をとればそれで終わりだといったのが、これは一番いかぬのだ。そうじゃありませんよ、これは。やっぱり至るところのたがが緩んでいるからそれをきちんと直して、その直すときには調査をするだろう。その調査のときに余りにも責任追及ばかりが先へいったら本当の原因が出てこないんですよ、それは。そこらはよっぽど気をつけてやるのが適切だと私は理解をしておる。  しかし、いずれにしてもこういう事故は大変残念な事故でございますから、十分注意をいたしましょうと、これを言ったのが私の真意でございますので、御理解願いたいと思います。
  196. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 再びこんな事故のないように、よろしくたがを締めていただきたいと思います。  次に、私は補正予算の問題についてちょっとお伺いをしたいんでございますが、衆議院の議運でも補正予算はいつ、どんな規模で出すのかということが再三話し合われているようでございますけれども、その都度に今検討中だということであった。それから先回の当参議院の内閣委員会でも、補正予算はどんな形で組むのかということについては、たしか後藤田長官はまだ検討中だというふうにお答えになられているはずですね。ところが、大蔵大臣アメリカで、補正予算を編成する、三兆ぐらいの規模で編成しますというふうにアメリカに行って言ってこられて、帰ってきてこの談話を発表なさったんだと思うんですが、私は先回の選挙前から、今回のこの臨時国会は景気対策が一番中心になるんだということがだれの目にも、そしてだれの確認においても当たり前のものであったはずだということで、補正予算は一番最初から論議されなければならない大事な命題だと私は思っておりましたんですが、なかなかその規模、めどが立たぬということで、確かじゃなかったわけですね。  それが、私どももけさの新聞あるいはきのうのテレビで、大蔵大臣が記者会見していらっしゃる中で初めて知った。こんなふうな感じなんですけれども、この補正予算についてまず大蔵大臣からお伺いします。時期、めど、規模。
  197. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは経済企画庁長官の御所管でございますけれども、既に政府部内におきまして、こういう経済状況の中で経済対策を新たに考える必要があるということは合意がございまして、その経済対策はできるならばこの九月の下旬には内閣として、与党とも連絡をいたしますけれども、取りまとめたいと思っておるわけでございます。この経済対策の中で、今後どういうことをすべきかという何本かの柱が立つわけでございますから、その柱の中で補正予算を必要とするものを補正予算の編成の中へ取り込んでいくという、そういう順序になるわけでございます。したがって、順序としましては、まずどれどれの経済対策が必要かということの決定がありまして、その後に、その中で補正予算に導かれるものはどういうものであるかということになるわけでございます。  他方で、補正予算を組むといたしますと、例えば災害でございますとか、その他、歳入歳出両面にもうちょっと見きわめたい要素がございますので、それらも見きわめまして、私どもとしては十月の半ばごろには補正予算の編成にかかれる、そのようにいたしたいというふうに今努力をいたしておりまして、そのように運べるといたしますと、私どもとしてはそのような補正予算を来るべき臨時国会において御審議を願って成立をさせていただきたいと思っております。  従来でございますと、昨年もそうでございましたが、一般に補正予算は本予算と同時期に編成をされまして、昨年度の場合、成立いたしましたのは二月であった、昨年度で申しますと今年、六十一年でございますが。でございましたが、今回は経済情勢がこのようなことでございますので、それをできるだけ早くいたしまして、臨時国会で御審議をいただきたい、ただいまこのように考えております。
  198. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 財源はどのようにお考えですか。
  199. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実はそのあたりが歳出面、歳入面、両方とも十月の中旬ごろまで見きわめたいと申しましたゆえんでございますが、歳入面について申しますと、今年度の経済情勢の推移いかんで、かねて見積もりました歳入に変動を生ずるかどうかという問題がございます。これはマイナス要因になり得るわけでございますが、他方で例えば既に成立しております子算の中で電電公社の株式を百九十万株売却することを予定しておるわけでございますけれども、単価が二十一万円と一応設定をいたしております。しかし、この値づけを十月の初めごろからいたしてみまして、場合によりますと、前評判が高うございますのでかなり高い、それより上の値で公売し得るかもしれないという公算がございます。これはかなりの財源にいわばなり得るわけでございます。  といったような幾つかの要素が不確定のままございますので、したがいまして、十月の中ごろにはそれを見当をつけまして、そして予算編成をいたしたいと思っております。
  200. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、その補正予算がどの範囲のものをクリアするかということになるわけですけれども、実は私、きょう農林水産大臣もおられるんですが、その補正予算の中にどうしても北洋漁業の補償対策を何とか入れてもらいたいというふうに、この間稚内に行ってきて感じてきたわけ。これは農水大臣の代弁をしてあげるような立場になるわけですけれども、後藤田長官、本当に厳しい。  これは、四月に日ソ漁業交渉が成立した段階のときに、前農水大臣の羽田大臣があちらへ行くについて、これは政府レベルでみんなで考えて対策していかなければならない問題だということで、中曽根総理も大変にこの北洋漁業対策については心を砕かれたはずなんです。  したがいまして、今回の補正予算にはどうしても、私は時間があればもっと細かく言いたいんですが、とてもできませんが、この減船補償、そして再雇用の問題、そして関連産業の補償、こういうふうなことについては必ずクリアしていただかないと、これは約束違反になりますよ。どうしてもこれを入れていただきたいことをお願いいたします、何としても。質問じゃない、もうお願いだ、農水大臣にかわってお願いしますんで、大蔵大臣、頼みますね。農水省は大蔵省の顔を見い見いどうも請求しているらしいんでございますけれども、私は現地の者の立場に立ちましてこのことをお願いしたいと思う。大変です。さびついた漁船が稚内港にみんな鎖でつながれるようにしてつながっていた。さびていました、もう。  こういう減船補償をどうやってやっていくか。先が見えないから身の振り方が決まらない。地元金制機関はもう一切減船者にはかかわらない。自助努力で金を借りてやろうと思っても、金融機関は金を貸さない。そういう状況になっているんですね。どうしてもこれは大蔵大臣、一肌脱いで頑張っていただきたいし、政府規模でということで、後藤田長官、一肌脱いでいただきたいと思うんですね。  私は、あとこのほかに例のグリコ・森永事件の解決が大変におくれていまして、それが社会的に大きな影響を今ももたらしているということについても御質問したかったんで、公安委員長もおいでいただいたんでございますけれども、それぞれお答えいただくこととして、まず減船の約束だけ後藤田長官やってください。
  201. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今の北洋漁業の問題については、現地で非常にお困りなことを私どももよく存じておりまして、したがいまして、その漁業者等にどういう対策を講じたらいいかということを水産庁とただいま相談をいたしております。非常にお困りの事態でございますから、いずれにいたしましてもできるだけ速やかに対策が実施できるように処置をいたします。
  202. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) きょうは大蔵大臣も、それから肝心の農水大臣もお見えでございますから、今大蔵大臣せっかくお答えになったので、政府としてはこれは大変重要なことでございますから誠意を持って今話し合いをしておる、こうおっしゃっておられるんですから信用をしておいていただきたい、こう思います。
  203. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは食品業界恐喝事件についてちょっとお尋ねいたします。グリコ・森永事件が解決をしていない。私は日本の優秀な警察がなぜこの事件が解決できないのだろうかというのが一つ大変疑問なんですけれども、そのことはさておきまして、この問題に関連して、ロッテが脅迫をされましたね。そして三千万の金をおどし取られた。こういう事件なわけですけれども、こういうのが明るみに出てマスコミにいろいろ書かれるということ以降、食品会社の恐喝事件が大変にふえてきている、こういう事態がありますね。その件数なんというのは私も調べてみてびっくりしたんですが、かなりふえているわけでありますが、こういう社会的影響というようなことをどのようにお考えでしょうか。
  204. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 食品関係企業等に対します恐喝事件が大変多発しておりますのは今先生指摘のとおりでございまして、特に昨年九月、某食品企業が犯人の要求に応じまして金を出したということが発覚しましてから以来急増を見ておるわけでございます。  具体的に数字を申し上げますと、ことし一月から六月までの月平均の発生件数は十一・五件にとどまっておったわけでございますが、七月三日にこの事件が明らかになりまして以来、七月には三十八件、八月には三十九件と発生を見たわけでございます。  この種事件というのは、被害企業はもとよりでございますが、社会一般に与える影響というものは大変深刻でございます。そういうことで、警察といたしましては何としても解決しなければならないわけでありまして、現在も関係府県警察がいわば全力を挙げてこれに取り組んでおるわけでございます。しかし、この種事件を検挙するためには、一方ではおどかしを受けました企業が犯人の要求に応ずることなく速やかに警察に届けてくださるなど、企業側の一層の協力も必要でございまして、そうしたことによりまして捜査の万全が期せられるものと考えておるわけでございます。  そのような趣旨から、農林水産省とも協議いたしまして、去る八月十九日に食品関係業界を御指導いただきますように要請を行った次第でございます。
  205. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 農林大臣にお伺いいたします。  その要請を受けて農林水産省はどんな手を打ちましたのですか。
  206. 谷野陽

    説明員(谷野陽君) ただいま警察庁の方から御説明がございましたように、一昨年三月に発生をいたしましたグリコ・森永事件に端を発しまして、食品企業に対します恐喝事件がその後も後を絶たないという状況にあるわけでございます。私どもといたしましては、この種の企業恐喝事件は食品流通秩序に対しまして大きな影響を与えるものでございまして、警察はおきましてその検挙につきまして格別の御尽力をいただいておりまして、その御尽力に期待をしておるわけでございますけれども、ただいまお話がございましたように、警察で捜査をしていただきますに当たりましては、被害者の立場から企業の協力というものもこれまた重要であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、このたび警察庁から捜査の協力に関しまして御要請がございましたので、農林水産省といたしましてもただいま申しましたような観点から、その趣旨を食品流通局長の名前で文書をもちまして関係業界に伝えて協力を求めたところでございます。
  207. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この種の事件というのは、食べるものに毒を入れるぞというような形の国民の生命を担保にして起こす犯罪だということで、非常にけしからぬたちの悪い大変な犯罪だ。一つ問題が起きれば実は大きなことにつながりかねないという私は問題であろうというふうに思うんでございます。したがいまして特にスーパーの営業者とか、あるいはまた具体的に菓子を買うて食べるお母さんたちが実は関心が高いんですよ、この事件は。警察は何やってんの、こういう話がすぐ出ますんですね。したがいまして、やっぱりこの種の事件については極力解決をするという。もっとも、ここでもってロッテ以降多発している事件について私が調べたところでは、検挙率は高くなってますね、そのようですね。そこのところもちょっとおっしゃっていただくと一番いいんだけれども。やはり解決をすること、そして情報をできるだけ流すこと。それには企業に協力をしてもらわなければいけません。国民は非常な不安を持っております。  そもそもさかのぼるとこれが例のグリコ・森永事件が解決していないことに端を発するということで、私はこの問題の解決ができてないのも大変遺憾だと、こういうことになるわけなんですけれども、検挙していくその率なんかを発表してください、そうすると皆さんも安心するから。全部あのグリコ・森永事件のように迷宮入りだと思っているわけなんです。そうじゃないことをおっしゃってください。
  208. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) ただいま申し上げました発生件数は、本当のちょっとしたいたずらのようなものまで含めました数でございまして、本気で企業からおどし取ろうと思っているような事案につきましてはそのほとんどを解決いたしておるところでございます。
  209. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、大変短時間でございますので、藤尾前文部大臣の暴言問題に限って内閣官房長官にお伺いをしたいと思います。  我が党は、去る九月六日に藤尾文部大臣について罷免をしなさいということで内閣に対して申し入れをしてきたところでございます。藤尾氏の今回の罷免というのは、内外の激しい批判の中で、こういう高まりの中では当然だと思うわけでございます。この問題は、我が党が既に申し入れをしたときにも指摘をしておりますように、藤尾氏が、日本が侵略戦争を引き起こし、他は族を抑圧してきたという消すことのできない歴史的な事実を否定する考え方の持ち主であり、しかもこんな人が、真理と平和を希求する人間の育成、これを目指す文部大臣としてはふさわしくないではないか、こういう立場でたびたびやめさせるべきであると要求をしてまいったところでございます。  そこで、今回藤尾氏を罷免したとはいいましても、このような人を閣僚に据えて、あまつさえ匡民の教育の最高責任者である文部大臣に任命をしてきた中曽根内閣の責任というのは極めて重大ではないかと思うのであります。先ほど同僚委員からもその点についてのお尋ねがあったようでございますが、その際に、事態は遺憾であるという御意見がありましたけれども、その任命をした側の責任についてはどうなのかという点、お触れでなかったと思いますので、その点をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  210. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今の日本のような世の中では、過去の歴史等についての見解というか評価、こういうものはやはり人によっていろいろの意見がある、これは私は当然であろうと思います。これを一つにまとめるわけにはまいらない。そういったようなことで今回ああいったことが起きて、藤尾さんの御意見を聞くと、これは藤尾さん御自身の歴史観に基づくものである、しかもそれは個人の見解であると、こういうことでございますので、それはそれとして私どもとしてはこれはやむを得ないことであろうと。しかしながら、文部大臣という地位を一方に持っておる、これは重要な立場でございますから、それなりにやはりこれだけの国際的な事件となった以上は責任を負ってもらわなければならぬ、こういうことで罷免の処置に踏み切ったというのが実態でございます。  藤尾さんについては、今あなたおっしゃったけれども、あの方も過去九回選挙の洗礼を経、そして長い間の修練によって高い見識をお持ちになり、そしてまた過去において労働大臣もおやりになり、そしてここ数年は、自由民主党の政務調査会長という党に対しても非常に大きな貢献をなさった方でございます。したがって、この方の政治家としての今までのお立場あるいは功績そしてまた資質等については、いささかの疑問も私は持っておらないわけでございます。恐らくや、これは私は任命権者ではございませんので明確なことはお答えしかねるわけでございますが、中曽根総理御自身もやはり藤尾さんのそういった点をお買いになって文部大臣という地位におつけになったものと、かように思うわけでございます。  ただ、今度のような事件が起きますと、これが藤尾さん御自身の歴史観である、それがたまたまやはり今の国際情勢の中では日本立場考えた場合には認めるわけにはまいらない、こういった残念な事件になったわけでございますから、そのことを考えますと、結果としては本当に遺憾な出来事であったと、かように思わざるを得ないわけでございます。それについて任命した者はどうかといえば、それはそれぞれのお立場でそれぞれの御批判があろうと思います。その御批判については私どもとしてはやはり率直な気持ちで受けとめなければなるまい、かように考えておるわけでございます。
  211. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 といいますのは、我が党は、この藤尾氏の問題については、七月の東京裁判についての暴言、それから八月のときの教科書問題についての発言のときに、その都度都度これは責任を追及をしてやめさせるべきであると実は主張してまいっております。  ところが総理のお立場では、外国の批判に対しては遺憾の意を表明するということはおやりになってきておられますね。しかし、当の藤尾氏に対してそれに伴う適切な措置をやってきたかどうか。この点、十分それが適切な措置をおとりになっていなかったから、また三たびこういう批判を受けるような暴言ということになってきているんではないか。このことは、外国からもその点、繰り返しということについての批判はかなり厳しくされているようでございますが、このたび重なる暴言に適切に対応してこなかったという点では、やはり内閣としては責任があるのではないのかなという点はやはり感じるんです。国際問題の中でもそういうことを繰り返して言われているという点が指摘されているでしょう。その点どうですか。
  212. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん国内、国際両方に目配りをして慎重な政局運営をやるということは私は当然のことであろうと、こう思うわけでございますが、とりわけ日本のようなこういった国柄の、いわば無資源の海洋国家でございますが、こういった国は、長い間の国民の繁栄を維持しようと思えば、国際関係には特段の私は目配りをしなきゃならぬなと、こう考えるわけでございます。そういうような意味合いから、内閣としては絶えず国際的な批判というものには注意をしていこうと。しかしそのことは、結局はそれが我が国の長き繁栄を維持するゆえんである。つまりは、これは国内をにらんでのそういった配慮であると。こういうことで私どもは仕事をさせていただいておるつもりでございます。  ただ、結果としてこういう残念な事件が起き、しかも共産党から、この前の教科書でございましたか、それからもう一つ何でしたかな。東京裁判、これについての御意見がありましたけれども、東京裁判はこれまた昔からいろんな意見があるのは沓脱さん御案内のとおりなんです。あの裁判のさなかにおいても、インドのパール判事のような批判がある。つまり、戦争というのは国家間の戦争であって、それを個人の責任に転嫁するわけにはいかぬといったような批判も裁判官の中にすらあった事件でございます。しかし日本は、再生をするために、やはりこのサンフランシスコ条約を国家としては承認をしておるわけでございますから、この裁判を否定するというわけには私はいかないと。これはあれなりに、歴史家であるとか評論家であれば幾ら言ってもいいんですけれども、政府の者としてはそういうわけにはまいらない これはやっぱり尊重しなきゃいかぬと思いますね。  それから教科書の問題等については、あの当時いろんな点を見ましたけれども、今度のようなはっきりしたあれが出ておるわけではございませんから、藤尾さん御自身の明確なああいった事柄に対するお考えというのは、ともかくいろんな批判は受けましたけれども、必ずしも今度ほどの明確さというものはなくて、政府としては十分対応できるということで、本人にいろいろお話もし、本人のお考えも聞いて、それでああいった中国なり何なりに対する外交的な手段で解決をして今日に至っておったんだと。国内の批判に耳を傾けないといったのはけしからぬと、こうおっしゃいますが、我々は政治をやるためには、国内の批判にも国外の批判にも十分目配りをしてやっていかなきゃならぬということは絶えず心がけていくつもりでおりまするので、そこらはひとつ御理解をしておいていただきたいと思います。  ただ、その場合に一々閣僚罷免といったようなことは、これはもう最後の最後の手段であって、日本日本としての立場もございますから、そこらはよく比較考量をした上で処置をせざるを得ないんだということを御理解願いたいと、こう思います。
  213. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと時間がありませんので、できるだけ簡潔に御答弁を頼みます。  今おっしゃったように、三十三年ぶりだというんでしょう、閣僚罷免というような出来事は。そういう事態が起こったのが初めての発言で起こったんじゃないという点で、やはり内閣としては、繰り返させないということ、あるいは後引き続きそんなことが起こらないようにという点では非常に重大な責任を感じていただかなくちゃならないんじゃないかと思うんです。  私は、この藤尾氏を文部大臣に任命をし、そしてこういった、たびたび、さっきも申し上げたんですが、三回目ですが、暴言を許してきたということになっていきますと、中曽根総理自身が同じようなお考えを持っておられるからではないかということになってくると思うんですよね。そういう点は、それらの問題については、例えば昨年の七月二十七日の自民党の軽井沢セミナーでの総理の御発言などを見ましても、東京裁判についての東京裁判戦争史観などということについてお触れになっておる箇所を見ますと、「あのとき出てきた思想には、何でも日本が悪いんだという、ややもすると自虐的な思潮が日本をおおった。」「私はそういう考えには反対だと前から言ってきた。」、そういうくだりもあるんですね。そういうことを述べておられますように、ファシズムや軍国主義を許さないという戦後政治の原点を否定するという点で、そういった点では総理も同じような考え方だから藤尾氏を文部大臣にも任命をし、そういう発言が繰り返されてきてもそれを許してきたということになりはしないかという点ですね。国民の側から見たらそういう心配をするんですよ。だから、そういう点はどうでしょう、簡潔に。あなたは総理じゃないんだから、ちょっとしんどいだろうけど。
  214. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 総理がどういう人生観をお持ちになり、どういう歴史観をお持ちになっておるのか、これは総理にお伺いをしていただかなければ、私からとやかく申し上げることはできないと、こう思うわけでございます。しかしやはり、藤尾さんの過去の経歴、党への貢献、こういうようなことを十分お考えになって私は任命をせられたものだと。  それと同時に、総理はよく戦後政治の総決算と、これはけしからぬという御批判をよく受けるわけです。しかし、あの意味合いは、決算という言葉がどうかなという点はあろうかと思いますね。決算というと清算してしまうというような意味にとられるとこれは大変なことで、そうじゃなくて、やはり戦後四十年の間の平和憲法のもとでの今日までの国づくり、それが立派な成果をおさめてきたという前提の上に立って、しかしながらやはりこの四十年間のうちに忘れてきたものもありはしないかと。そこはやっぱりはっきりと見据えて、残すべきものは当然民族として残さなければならぬのではないのかと。同時に、この四十年間非常に成功した時期ではありましたけれども、先を考えた場合に、今いろんな面で行き詰まりが出てきておることも事実だから、この行き詰まりはやはり直さなければならぬと、こういうような両面をお考えになっての私は総決算路線であろうと、かように理解をしておりますから、これには私は全く総理のお考えには同感でございますので、その点は申し上げておきたい、こう思います。
  215. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 総決算まで説明をしていただきまして、その辺は聞いてなかったんだ。  時間がありませんので、私は藤尾氏の暴言というのは侵略戦争と他民族抑圧というこの歴史の事実を認めないという点ね。ああいう十五年戦争を侵略戦争だと認めないというところに根源があってそれが出てきていると思うんですよね。  そのことで論議しようと思ってないんです。具体的に言いますと、総理は九月三日は共同通信の加盟社の編集局長会議の講演で、これは新聞で報ぜられているんですけれども、「私は侵略したと思っている。いろいろ議論があるだろうが、歴史の流れから考えるとやはり侵略行為で、反省しなければならない」と述べたと報ぜられているんです。この記事は毎日新聞です。各紙ともそれぞれ報道してます。そこで、この総理の発言というのは政府の方針として受けとめてよろしいですかということですよ。
  216. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は総理がどういう場所でどういうお言葉を使われたのか、これはやっぱりその場に立ち会っておりませんしね、だから全体の流れの中でどういう雰囲気で言われたのか、そこらは詳細にお聞きをしないことにはここで断定的なお答えはできません。ただ、私どもが今日まで言っていることは、過去のあの戦について諸外国がですよ、諸外国があれは侵略であるといったような事実は、そう言ってることの事実はこれは日本としては認めざるを得ないと、こういうことをお答えしておるのが政府立場でございます。
  217. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、総理がおっしゃっているんだから内閣の方針に違いないんだろうと私は思うんで、念のためにお聞きしたんですがね。これは各紙が報道してましたから、質問にも答えてコメントしてますからね、きちんと言われたんだと思うんです。そういった点を、過去のそういった残念な事態を侵略と認めるという立場をおとりになるということになるならば、これは私は戦前の野蛮な植民地支配だとか、あるいは十五年戦争の評価だとか、あるいは教科書問題などというのは、こういう総理のお考えに基づいて、あるいは貫いてというんでしょうか、対応されるということが当然だろうと思うんですけれどもね。そういうふうに見てよろしいんですか。
  218. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) よくわからぬ、質問の意味が。
  219. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いやいや、侵略戦争だということを総理が、これは新聞記者の、新聞記者というか、共同通信加盟の各社の編集局長会議で講演をされて、そこでそういうふうにおっしゃっておられるんですよね。わからぬとおっしゃるんで、やむなく繰り返しますが、そういうふうにおっしゃっておられて、長官もそばにおらなかったからよくわからぬけれども、そういうふうに言われたということは考え方としてはそうなんだと。外国ではそういう過去の事実について侵略と認めておると認識をしておるという点についてはちゃんと認めているとさっきおっしゃったでしょう。だから、そういうことをお認めになるということになればね、これは国内問題、国際問題ともに、例えば十五年戦争の評価についても、あるいは問題になってきた教科書問題についても、そういうお考えを貫いた形で対応をなさるんでしょうねと言って聞いている。
  220. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは、私はお答えしているのはですよ、総理がそういうことを言われたのかどうか私はわからないから、それを認めた前提でお答えしているわけではない。これは調べてみなけりゃわからないと、こう言っている。  今私が官房長官としてお答えをここでしておるのは、過去のそういった日本の戦争について諸外国があれは侵略戦争であったと言っている、そのことは我々としては認めなければならぬと、こう申しているわけでございます。  なお、十五年戦争その他についてはどうだと、こういうことになれば、私はやはり日本の一番肝心な立場は何かといえば、ちょうど何といいますかな、不忘前事といいますかな、前のことを忘れず、そして現在の師とする、将来の師とする。つまり、前のことを忘れないでこれから先の戒めとするということが東南アジア各国と長き友好を保つために、私はこの心構えが一番肝心であろうと、このことはお答えをいたしておきたいと、こう思います。
  221. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私がこれから質問することは、本来総理大臣に対して質問することでございます。    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 第一回の前総括質疑のときに総理大臣の出席を要求したんですけれども、前例がないということで断わられて、そのかわり官房長官を出すからという話だったので、したがって官房長官も総理大臣の代理としてお答え願いたい。女房役、懐刀でございますので、よく総理の考え方は御存じだろうと。  最初に藤尾問題。先ほど来いろいろ取り上げられました。今は共産党の沓脱委員の方からも質問がございまして、私はふだんは共産党と意見が違うんですけれども、この問題に関しては非常に似ている点があるわけで、ただ全部が全部同じではございませんので、私の考え方をはっきりさせる意味で、多少重複しますけれども、質問したいと思います。  今度の藤尾文部大臣の罷免で一応国際関係の問題は打つだけの手は打ったと思いますけれども、私はやはりそういう人を国務大臣に任命したその責任はやはり免れることはできないんじゃないかと思うんです。何もきのうきょう初めて知り合いになったという人ではなしに、長年同じ自民党の中にいていろいろの交渉があった人であるし、藤尾さんがどういう考え方の人であるかということは十分御承知のはずの上だ。その上でなお国務大臣、しかも非常は大事な文部大臣に任命されたということは、これは私は中曽根総理大臣としては非常に軽率であった。どういう基準で大臣の選考をされるかは知りませんけれども、個人がどういう意見を持っていても構わないけれども、しかしやはり国務大臣になるような人は、軽率な国際問題を起こす、あるいは単に国際問題だけでない、私はこれは非常に教育に重要な影響を及ぼす問題ではないか、そういう点について任命について軽率であった。その点について責任を感じられるかどうか、そのことをまず第一にお伺いします。
  222. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほど同じような御質問にお答えをいたしましたが、国務大臣の任命に当たって十分な配慮が足りなかったのではないか、その点について任命者としての責任を感じておるかと、こういうことでございますが、私はやはり本件が発生した以後、関さん初めそういう御意見があり、御批判があることは、率直に政府としては、総理としては受けとめなければならぬ。やはり、今後の任命に当たっては十分配意をしなければならぬ事柄だなと、こういうことはお答えをいたしておきたいとこう思います。
  223. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 先ほど官房長官は、国際問題になった以上、藤尾氏を罷免するのはやむを得ないというふうにお答えになりましたけれども、私は仮にこれ国際問題にならないにしても、当然やっぱり罷免すべきじゃないかと思う。確かに韓国あるいは中国の問題ございますけれども、例えばあの文春の中に書かれている論文なんかを読みますと、東京裁判に対する批判がある。私自身も東京裁判に対しては批判がある。国際法上あれは非常に無理がある、正当化することはできないということは私もよく知っております。しかし、そのことは決して日本が過去に満州事変以来やったことは、それによって正当化されることには少しもならないと思う。何かあの論文を読むと、東京裁判がけしからんかったから、ほかの外国もやっているから、日本がやるのは当たり前じゃないかと、そういったふうに受け取られる。そういった考え方を持っている人が文部大臣になるということは、私はとんでもない話だと思う。何も日本の歴史がすべて弾圧の歴史であり、人民の搾取の歴史であったと、そういった今までの一部の歴史書、これは私はけしからぬと思う、逆に。それを是正するのは必要ですけれども、それまた行き過ぎて過去の日本すべてよかったんだと、それは本当の私はナショナリズムじゃないと思う。殊に私は今まで昨年の決算委員会あるいは本会議なんかで、日本では本当の意味のナショナリズムがない、マイホーム主義、企業主義、地域主義それぞれその地域の利益、家庭の利益、企業の利益ばかり主張して全国民的な立場から物を考えるその意味のナショナリズムがないから日本人はインターナショナリズムになり得ないんだということを私は強調してきた。ところが、その議論をせっかくしているのにああいう藤尾さんなんかのことを言われると、それと同じような、藤尾さんなんかの考えと同じような意味でナショナリズムを鼓吹しているんだと思われたら、私の立場はもう本当になくなってしまうので、そういう意味で仮に国際問題が起こらなくても私は当然に罷免すべきであったと思う。いかがでしょうか。
  224. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 関さんのようなお考えもあろうかと思いますが、今回の処置は藤尾さんの歴史観というものが近隣諸国に大きな反発を生んで、我が国の外交の基本に触れるといったようなことがあって、ああいった処置に出ざるを得なかったということでございます。それがなくても国内でもやはり責任を追及すべきでないかという関さんの御意見については、御意見として拝聴させておいていただきます。
  225. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 余りこの問題に拘泥していると私の質問時間がなくなりますので次に移りたいと思いますけれども、いわゆる戦後政治の総決算、先ほども言われましたけれども、その戦後政治の総決算というのが戦前の日本に帰すんだという意味の総決算ではないと。これはたびたび中曽根総理大臣も言われましたんで、その点は私も了解しております。そういう意味の総決算は困るんですけれども、しかし、ある意味においてもっと総決算をやってもらいたいことがたくさんあるわけです。その一つは行財政改革。これは確かに過去の日本において戦後の日本の行政が非常に効果を上げたということは認めますけれども、同時に過去においてよかったことが現在においてかえってしがらみというか拘束になっている例も少なくない。それが行政改革の問題だろうと思うんですけれども、最近新聞の報ずるところによると、どうも自民党なんかの中にはもう行政改革はたくさんだ、行政改革疲れ、そういうふうな意見があるように聞いておりますけれども、官房長官として今後どういうつもりで行政改革に取り組んでいかれるつもりか、まずそのことをお伺いしたいと思います。
  226. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 行財政改革というのは当然のことながら既存の体制の中から見れば痛みを伴う仕事でございますから、こういった仕事が長く続けばそれなりの反対といいますか、飽きといいますか、うんでくるということはこれはまあ否定し得ない事実だろうと思います。しかし、本来行政改革とか財政再建というのは相当長期間を要するものでございますから、これらはやっぱり私は辛抱強く進めていかなければ到底中途半端でやめるべき筋合いのものではない。したがって、今後ともこれは私は我が国の国政上の大きな課題であるという考え方で精力的に取り組んでいかなければならない、こういう考え方でございます。
  227. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そういう決心を実際の行いによって示していただきたいと思うんですけれども、どうも政府の方でも少し疲れてきたというか、いいかげんになってきたんじゃないかと思いますのは、そういうことを思わせる事件は、前回の総括質疑のときにも質問したんですけれども、米価の問題、加藤農水大臣に出てもらってお答えいただいたんですけれども、米価審議会に対して三・七%マイナスの諮問をした。それで多数意見はそれを支持するけれども、一部に反対意見があった。そういう答申を得た。それで結局は前年度と同じに決まったというお話でした。諸般の事情、いろいろの事情がございましてそういうふうに決まりましたという加藤農水大臣の答えでしたので、どういう事情があったんですかと聞きましたら、幾つかの事情の中で、その一つは、自民党の中にもいろいろな意見がございましてという話でした。  私は、今まで赤字の元凶と言われた三Kのうち、健康保険はどうやら軌道に乗ってきた、国鉄はこれから軌道に乗ろうとしている、やはり最後に残っているのは米の問題じゃないかと。これに対して抜本的なメスを入れるのでなければ本当に行財政改革をやるとは言えないと思うんですけれども、内閣の決意をお伺いしたいと思います、その問題について。
  228. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 米価の決定は、やはり選挙の大きな公約の中にもあるし、自由民主党の四百数十名の国会議員の中で三百数十名の人がマイナスにするということには反対であるといったようなことでございますから、我々としては、党内のそういった意見にも配慮しなければならぬと。ただしかし、この問題をそのままというわけにはまいらない。御案内のように、来年度からさらなる生産調整、これがあるわけでございますから、それには農協を初めすべての方がこれに協力をする、こういうお約束をいただいた上で据え置きという措置にしたわけでございます。したがって、米価の改定については二年がかりでやる、こういうのが政府決定であったと、かように御理解をしていただきたいと思うわけでございます。  なお、米の問題は、米の値段というのは一体高いのか安いのかということがある。国際比較から見ればこれぐらい高いものはない。甚だしい場合は十倍ぐらい高いかもしれない。それから、費やす労働力から見ればこれまた高い。しかし、お互いの日常生活の中で、食卓に上がってくるもの、あるいは身辺で絶えず使用するもの等との値段から見れば米は大変安い。こういったようなことがあって、米の値段というのは本当に何であろうかという難しい問題が根底にあるなと、こう私自身は考えております。  それと同時に、米の値段を決める場合に考えなきゃならぬことは何かと言えば、ともかく米をこれだけ生産しておるということによって日本社会に大きな安心感を与えておる事実、これだけは見なければならぬ。経済効率だけで、安い米をどんどん輸入したらいいではないか、これはよくわかります、それは。国際的な適地適産主義、これはよくわかる。しかし、本当に世界各国で、至るところでことしは飢饉が多い。この食糧の生産が不足であるといったときにも、今これだけ穀物の輸入の多い日本の国で、それじゃ飢餓感というものは国民の中にあるのかと言えば全くない。これはなぜかと言えば、私は、日本人の主食の米が十分生産ができておるというこの事実、これはやっぱりこういう問題を考えるときに配慮しなければならぬ一つの要素であらうと。もちろん関さんのようなお話の、都会のいろんな居住している方々からは、消費者の立場として米は高いと、これに対する配慮もしなきゃなりません。そこらを十分、右、左見ながら決めていくのが米の値段であろう、かように理解をしております。
  229. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 何か私の質問を、日本の農業がどうなっても構わないというふうに受け取られているんでしたならば、大変な誤解ですから、改めて私の真意を言っておきたいと思うんです。この前、加藤農水大臣にも申し上げました。農業の問題は、単にプライスメカニズムの自動調節作用だけで決められる問題ではない。そのことは、私は十分承知している。しかし、本当にいかにして日本の農業を強くしていくか、それが私は問題だと思う。今のような農業政策で本当に日本の農業を強くしていくことになりますか。私はその問題を突いているんですよ。もっと専業農家の、本当に農業をやりたいその人たちを育てていくようにしないと日本の農業は危ない。しかも、自由化の外圧の要求は次々に迫ってくるでしょう。それに対して対抗していくためにも今のうちに早く農業を強くするような政策をしなくちゃいけない。そういう意味で米の問題は取り上げたわけですから、誤解のないようにしていただきたいと思います。  内閣官房に今度内政審議室、外政審議室ができたですね。そこで、私はやってもらいたいと思っていることがあるんですけれども、どうも政府委員にいろいろ聞いてみますと、外政審議室の方では、市場アクセスの問題で各省庁間でうまくいかないような問題、そういう問題をやっているんだと、今起こってきている問題をいかにして調整するかと。むしろ今まで惰性として行われてきた、外政、内政縦割り行政で行われてきた政治をそれこそ総決算して、戦後政治の総決算で、改めて問題を先取りして、こういう方向に変えていくべきじゃないか、それを審議する、そういう機関が私は必要じゃないかと。そういう機関がないものですから、結局、臨調であるとかそういった外部の機関に頼んでいるわけですけれども、外部の機関に頼むのも必要でしょうけれども、同時に内閣全体として、統合調整機能というのは、単に起こってきた問題で後始末をいろいろやるんじゃなしに問題を先取りしていく、そのことが必要ではないかというふうに考えております。  具体的にいろいろ例を挙げるつもりでしたけれども、時間がありません。補助金の問題であるとか、それから対外経済協力の問題、これなんかも一本化してやっていく、そういうふうな問題も質問するつもりでしたけれども、時間がない。  ただ一点だけ。例えば、中央省庁の統廃合というのはもう打ち切りでございますか、これで。まだそれ以上のことを考えておられますか、現在のままでよろしいというふうにお考えでございますか。
  230. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 臨調の答申に沿って今中央省庁の統廃合の問題も考えておるわけですが、その答申の中でまだできていないのは国土三庁の統合の問題がございます。しかし、これは国土の総合的な有効活用というような意味での調整官庁でございまして、これはそれぞれの地域のまだ特性がございます。したがって、一挙に、一遍にするということは見合わせておるわけでございまして、今の段階では、国土の調整官庁でございますだけにてんでんばらばらじゃぐあい悪いということで、各省の連絡調整の仕組みをつくってお互いに調整をしながら仕事をすると。そこで、行革審からは、さしあたりは担当大臣を兼任にしたらどうだと、こういう御意見も出ておりますが、それは、今回の第三次中曽根内閣で初めて一人の国務大臣に三省庁を兼任させるという措置で今日やっておるわけでございます。
  231. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 例えば、中央省庁の統廃合で、北海道開発庁というふうなものが果たして必要なのかどうか。私は、過去において北海道開発庁がいろいろ果たしてきた功績を認めるに決してやぶさかではない、しかし本来の機能はもう終わっているんじゃないかと。そういう点をオーバーホールして新しい組織を考える。それは外部の臨調なんかの機関ももちろん必要ですし、国会も必要でしょうけれども、やっぱり内閣自体の中からそれをやっていくのが私は本当の戦後政治の総決算じゃないかと思う。その点をぜひ頭に置いて取り組んでいただきたいと思います。
  232. 梶原敬義

    ○理事(梶原敬義君) 以上で内閣官房長官に対する質疑は終了いたしました。  それでは引き続き全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  233. 松尾官平

    ○松尾官平君 大蔵大臣には先般来大変厳しい環境のもとでの渡米、大変御苦労さまでございます。お元気でお帰りで何よりでございます。今後非常に大切な時期に入ると思いますので、御精励をお祈り申し上げます。  私はきょう二つの問題を質問するわけでありますが、いずれも最終的には大蔵との関連が深い問題でございますので、お疲れのところ大変恐縮でございますが、お耳をかしておいていただいて、質問の最後に所感をお漏らし願えればありがたいと思います。  きょうは決算委員会に当たりまして質問者が九人も立つわけでありますが、その中で御婦人の方方が五名ということであります。この間まで労働省に籍を置かせていただきました私としては大変欣快に存ずる一日になりました。答弁側もひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて質問は海外経済協力の方からさしていただきますが、国際協力事業は、我が国は国際社会に対する積極的な貢献を国家目標としているわけでありまして、我が国にとりまして非常に重要な政策分野であることは何人も異論がないところだろうと思うわけであります。  そういう共通認識のもとに立って考えるわけでありますが、私は去年の三月に参議院の命を受けましてIPUの会議でアフリカに参りました。トーゴ共和国というところへ参りました。会議の合間を縫いまして、たまたま現地の大使のお取り計らいがありまして、日本からの無償供与物資の引き渡し式に国会議員であるから参列したらどうかというおもてなしをいただきまして、喜んで出席をしたわけであります。ところがあそこに出席してみまして、無償供与でトーゴ国へ渡される物資というのは、自動車であります。乗用車から始まりましてライトバン、マイクロバス、大型バス、トラック、各種の自動車。見ましたら、これが全部日産自動車なんであります。私はその自動車を見まして思い出しましたのがこの川柳なんでありますが、「輸出増はげみし青春いま昔」。これはかつて輸出促進の使命感に燃えたジェトロの職員の詠んだ川柳であります。笑っておられますからなるほどと思っておられると思います。そういう句がふっと思い出された。日本が今置かれている立場、これはもうちょうちょう申し上げるまでもなく、いろいろ難しい問題がありますが、最終的に外貨を減らすということが一つの大きな目標ではなかろうか。  そういう中で、トーゴ共和国というのは一体どういう国かということなんでありますが、いわば日本から最も遠い国と言ってもいいのではないでしょうか。私も予防注射を四回やりまして、マラリアの薬を飲みながら出かけた国でありますが、総人口は二百数十万であります。そして輸出は一九八四年時点で二億五千四百万ドル日本への輸出はたったの百万ドル、こういう国であります。  そういうところへなぜ日本車を持っていって、くれなきゃならないんだろうかと。聞いてみますと日本人は一人もその国に住んでいないということであります。そういう国だったら、外貨減らしに今苦労している我が国にとって、旧宗主国であるフランスの車を買って援助してやってもいいのではないだろうか。一体この日産自動車のこれからの修理やいろんなそういうものをどうやって援助するつもりなんだろう。いろいろなことが思い浮かんだわけであります。  このことについて、まず外務省の方からどういうお考え日本車があのトーゴ国まで無償供与で行ったのかということをお聞きしたいわけであります。  隣国はガーナ、反対側はベニンとかいう国でありまして、昔は奴隷海岸と言われた大変な国なんでありまして、まさか日本がその自動車をあそこへ持ち込むことによって、将来日本の自動車工業をあそこで伸ばそうなんという野心はないんじゃないかとも思うわけでありますが、どういう経緯で日本の車が持ち込まれたのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  234. 英正道

    説明員(英正道君) 松尾委員の御指摘のございました車両の供与は、五十八年に交換公文が結ばれましたトーゴ国に対する輸送力増強計画という、約四億円の供与限度額を限度とする無償の協力のことだと存じます。  これは、食糧輸送のための車両、トラック、それからトーゴ国の首都のロメの公共輸送力増強のための車両、小型バスを先方政府の要請に基づきまして供与するという計画で、御指摘のように、公開入札の結果調達されましたのは、日本の日野のトラックと日産の小型バスと、こういうことであったわけでございます。  そこで、こういう地の果て、地球の反対側のような国に日本車を輸出促進のため出しているのは時代錯誤じゃないかという御趣旨の御質問ではないかと思いますけれども、この無償資金協力による先方の役務、財の調達の仕組みについてちょっと御説明さしていただきますと、この無償資金協力は、御案内のように、開発途上国が行います開発計画、施設の建設でございますとか、機材の購入のために実施するわけでございます。そのために必要な資金を供与すると。  そこで、援助の実施に当たっての物資、役務の調達先は、この援助資金の有効利用という観点から大抵の場合はアンタイドということになっておりまして、第三国ないし現地調達を認めているわけでございます。この結果日本の無償資金協力におけるアンタイド状況というのは、OECDの中にございます援助委員会、DACの平均をも非常に上回っているというのが実態でございまして、主要援助国と比べても遜色のないものだということはございます。  御指摘のとおり、アンタイドを進めることが結果として日本の国際収支の黒字の減少にもつながる可能性があるということは確かに事実でございます。例えば、我が国の食糧援助では、主要穀物の全量をタイ等の第三国から調達しておりますし、また外務省といたしましても、無償援助の実施に当たりましては、相手国の需要に沿った効果的な援助を心がけておりまして、無償援助における第三国産品の調達についても引き続き着実に進めたいというふうに考えております。  このトーゴに対する輸送力増強計画に基づく調達につきましては、トーゴ政府が行った競争入札の結果、日本製の車両がトーゴ政府により購入された、つまり先方政府が購入を希望したということでございまして、先方政府要人からは非常にいい援助だということで評価されているということでございます。  ただ、そういうアフリカの地に日本の車両を輸出してサービスができないようなことはないかという御質問に関連いたしましては、このトーゴに対する技術協力の一環として、バス、トラックの整備技術者をJICAの研修員として受け入れる、先方の技術者を受け入れるということ、それから車両整備の専門家を日本から派遣しております。したがいまして、こういう無償協力と技術協力の連携ということでやっておりますし、また、通常の貿易でトーゴに対してかなりの量の日本車が輸出されておりまして、現地の代理店を通じてスペアパーツの入手、アフターサービスは可能と、こういうことで実施されております。  今後とも、供与車両のアフターケアには留意していく所存でございます。
  235. 松尾官平

    ○松尾官平君 アフターケアはつけ足しなんでありまして、問題はその無償供与をやる姿勢なんですね。今までこういうふうにやってきたからこれでいいんだという姿勢でずっと来ているんじゃないか、それが無償供与あるいは有償の借款等もありましょう、そういうものがいわゆるさっきのジェトロの川柳ではありませんけれども、時代が全く変わったわけですから、私はいろんな面で外貨減らしという観点に立って、また世界各国との協調を進めるという上において、見直しが必要じゃないかということを御指摘申し上げたいわけであります。案外、国際入札なんだからどこをとったっていいんじゃないかとか、そういういわば平易な考え方で今後いろんな国際協力事業を進めましても、その陰には、その事業を欲しい国もあれば、いろんな反感を持つ国もあると思うんです。そういうことは私はきめ細かい配慮をする必要があるんじゃないか、それが今まで外務省がずうっと海外協力をやってきて、これでだれにも何とも言われてないからいいんだということではなくて、今大変な時代の転換になったわけでありますから、そういう意味で、日本に対する経済的ないろんな攻撃を幾らかでも緩和する意味においても、各方面にわたって御検討を願いたいものだという気がするわけであります。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 トーゴ国が国際競争入札で安い方がいいといってやったら、たまたま日本の商社が落としたんだということも聞きましたが、果たしてそれで公平だと言えるのだろうか。いわゆる経済的には公平であっても何といいますか、世界的公正といいますか、ソーシャルジャスティスといいますか、そういう意味で、ああいう国にもっと深い意味の公正な援助、あるいは彼らが気がつかないところまでも助言しながらやってもらうことが、今後いろいろな意味で日本が貴重なお金を使ってする海外援助の効果が上がってくるんじゃないかと思いますので、私の考え方に対してどんなものか、ごく簡単にお答え願えれば結構ですから、中身は要りません。
  236. 英正道

    説明員(英正道君) 確かに国際情勢が非常に変わっておりますので、松尾委員の御指摘は大変重要な御示唆だと受けとめまして、今後の参考にさしていただきたいと思っております。
  237. 松尾官平

    ○松尾官平君 次は、地域振興整備公団についてお伺いをいたします。  我々、地方の人間は地域振興整備公団に対して大変な期待も抱き、この事業がどんどん政策目的に向かって推進されることを望んでいるわけでございます。  そういう中で、残念ながら必ずしも地域振興整備公団が設置された目的が最近十分に発揮されている、消化されているとは思えない面があると思うんであります。  地域振興整備公団の方々のお名刺をちょうだいしますと、地域振興整備公団と刷り込んである名刺がたまたまございますが、地方の方々は名前が長ったらしいものですから、略称、地振公団と言うんですが、これが田舎の方へいきますとなまってジシン公団というふうになるんです。地震公団とはよくもなまったもんだと思うんですが、考えてみれば一面の私は真理を言い当てているような気がするわけであります。地方に対して大きなインパクトを与えますけれども、震動は与えますけれども、なかなか思うようにそれが地震のように、わっと衝撃は来ますが、その後どうも設備の方がゆるがせにされている面があるように見受けられるわけであります。  先般来、私も質問をしようと思って資料をいただきましたら、公募を開始してから八年経過してもまだ譲渡率が五〇%に達していない地域とか、あるいは五年半以上七年経過してもまだ譲渡率が三〇%以下というような地域もあるわけであります。これは大変法の目的に照らして残念なわけでありまして、これらの事態を打開するために基本的にどういう方針を考えておられるのか、総裁に承りたいと思います。
  238. 中橋敬次郎

    参考人中橋敬次郎君) ただいま御指摘のように、地域振興整備公団が発足以来、地方におきまして中核工業団地というのを造成をいたしまして、そこに企業を誘致することによってその地域なり地方においての所得の稼得、あるいは地域の発展ということを目指してやっておるわけでございますが、その事跡を顧みますると、ただいま御指摘のように確かに造成いたしまして、公募を開始しましたのが今から八年前でございまするから、そのとき以後今日まで公募を開始しました総面積と今日までに譲渡をしました面積の率を単純に比較をいたしますれば、御指摘のとおり四八%強という数字を示しておりますし、個別に団地ごとに見ますれば確かに二〇%前後に今もなおとどまっておるというところもございます。  そういうことは確かでございまするけれども、そもそも地域振興整備公団が設けられまして、こういう中核工業団地を造成して企業を誘致するという思想は、我が国土の均衡ある発展を目指しているということでございまして、本来自然の経済の流れに任せればあるいはその地にはなかなか企業が来ない。したがいまして、経済の発展というのも他の地域に比べては非常にスピードが遅いという、そういう地域に向かいまして、例えば工業団地のことで申しますれば、そこに中核工業団地をつくって、普通の経済の流れにあるいは逆らいながらも企業にそこに進出していただいて、そして、その地域に国土の均衡ある発展の成果をもたらそうということでやっておる次第でございます。したがいまして、ある地域においてその譲渡率が非常に低いではないかという御指摘は確かにそのとおりでございますけれども、経済の流れということを考えますれば、そこに普通ならば本来はもっと企業の進出というのがあるいはなかったかもしれないという地域に企業を求めるべく、我我は努力をしておるような次第でございます。  しかし、不幸、我が国の経済というのも公団が中核工業団地の仕事を始めまして以来非常に変動が激しゅうございます。当時、工業団地を計画し、造成に着手し、そして分譲に至ったという時代は我々が申すまでもなく非常に難しい時代でございますが、そういう中でも、私どもは鋭意それまでの計画に沿ってできるだけ所期の目的を達しようと努力をいたしておるわけでございます。そういうことについて私どもは、できますれば計画いたしました団地の譲渡ということをできるだけ早く高い率に持っていきたいということは御指摘のとおり努力をしておるわけでございます。  そういうことにつきましては、いろいろと分譲についての我々の努力、そうしてまた、現地におきますところの地方公共団体、県なり当該市町村との協力をいよいよ深めることによりまして、またそうして、企業に我々が強力に働きかけることによりまして、今後ともそういう地域におきますところの所期の目的を達する企業の誘致を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  239. 松尾官平

    ○松尾官平君 今の答弁の中でちょっとひっかかるところがあるんですが、本来であれば全然工業立地なんか考えられないようなところへそういう中核工業団地をつくってどんどん誘致をやるんだ、そこが言葉がひっかかるんですね。黙っていても来るかもしれない、しかし、それを中核工業団地として造成して、政府が関与し、地方公共団体が関与してやることによってスピードも速まり、形としても整ったものができてくる、こういう考え方でなきゃいかぬと思うんですよ。本来ならばおまえらのところなんか山の奥だから全然工業行かないんだよ、それを我々がつくってやって工業誘致するんだよというようなもしお考えが頭の隅っこにありとすれば、それは地域振興整備公団をつくった法律の趣旨に反するものだと思う。ぜひひとつそこは考え直していただきたい。  法律はときどき読んでおられると思いますけれども、目的のところに、「大都市からの人口及び産業の地方への分散と地域の開発発展を図るため、」、途中飛ばしまして、「当該地域における鉱工業等の振興に必要な業務を行なうことにより、全国的な人口及び産業の適正な配置と地域住民の福祉の向上に寄与することを目的とする。」、法律で目的がはっきり出ているわけであります。そういうことをお忘れにならないようにして事業を進めていただきたいし、私は、もっともっと元気を出して、この売れないような土地に対しては柔軟な方策を用いて、場合によっては法律を改正してでも処分のスピードアップを図るような検討をされないか。  何しろ経済は生きているわけであります。この事業が始まってから第一次オイルショック、第二次オイルショック、そして円高不況という物すごい経済の基盤を揺るがす事件が出てきているわけですから、当初の方針をかたくなに守っておったんでは、そして、いろいろな経費を全部土地の単価に上乗せして高い土地をつくったんじゃ、これはもう地方ですから企業は敬遠するのは当然だと思うんです。やはり、土地の単価も安くするような努力もする、それからまた、処分するには条件の緩和、今、国際的に日本の大勢は基準・認証等を緩和するということになっているんですから、まして内需拡大という時代でありますから、そういうのも細かに精査して、緩和して、事業をもっと活発にしてもらいたい。どんどん、ここはできた、売った、次だ次だとやるように頑張ってもらいたいという趣旨から言ってるんですよ。それを、本来ならば全然企業が来ないところなんという、頭の底にそれがあれば事業に熱意がなくなるわけですよ。来るんだけれども我々が手伝いしてもっと早くやってやるんだ、こういう基本的な立場に立ってやっていただきたいということをお願いしたいわけであります。  これからの問題点を時間がありませんので私なりに考えてみますと、やはり経済環境の変化に速やかに、柔軟に対応するという基本的な立場で事業運営に当たっていただくことが大切ではないか。  それから、公団の財政問題もありましょうけれども、そういうことが障害になって目的が達成されないということになれば、そこには立法のポリシーが何にもない、財政がないから何もできない、こういう姿勢になっては立法の趣旨に反するのではないかと思いますので、今言ったような柔軟な対応で目的を達成していただきたい。  あるいはまた、これを見ておりますと予算採択年度から起工式まで三年とか四年かかる、起工式やってから公募開始までまた三年とか五年かかる、こうなれば事業を採択した時点と実際に土地を譲渡する時間が大変な長い期間になっちゃうわけですね。それでは私はなかなかこれは処分困難だと思いますので、予算採択する時点で企業側の意向等も聞きながら、できたら行くぞというようなできればこういう予約ぐらいとっておいてぶっかかる。そういう姿勢で今後、いろんないわゆる民活といいますか、民間の考え方、あるいは機動的なそういう面を織り込んだ地域公団の活発な事業展開を希望いたします。  時間がありませんのでいろいろ細かい点は聞けませんが、総括的なお考えを通産と地域公団から伺えればありがたいと思います。
  240. 加藤昭六

    説明員加藤昭六君) 中核工業団地造成事業は、法にございますように、工業の集積の程度が低い地域におきまして、工業用地の造成を行うことによりまして人口、産業の地方への分散を図ることを目的としております。こうして国土の均衡ある発展、地域間格差の是正を図るという国の重要な政策課題の実施策の一つ考えております。  近年、地域間格差が非常に拡大の傾向を示しております。このため、この事業の必要性は一層高まっておると考えておりますので、当省といたしましては、既存団地の分譲促進、先ほど御質問ございましたが、例えば地域公団に企業誘致関係の組織を強化、企業誘致活動をより積極的に行うとか、あるいは地方公共団体におきまして必要に応じ企業助成制度の創設を行うなど、地方公共団体との連携を強化していくとかいうふうなことを進めながら、また先生指摘のような産業の多様化、ソフト化などに対応いたしました中核工業団地の造成を引き続き着実に実施していきたいと考えております。
  241. 中橋敬次郎

    参考人中橋敬次郎君) 先ほど私がお答えをしましたのが言葉足らずで先生の御指摘をいただきましたけれども、私も、あるいは我が公団自体は国土の均衡ある発展のために一層の努力を続けておるということは御了承いただきたいのでございます。  なお、それにつきましても先ほど御指摘のように、私どもの仕事というのは確かに計画を立て、そして調査をし、具体的に詰めをしますということについては多年の日子を要することは確かでございまして、それに伴い当初の計画とどうも情勢がそごを来すということはございます。それにつきましても、我々としましては今後十分にできるだけの体制を整え、また柔軟にできるだけのことをやって所期の目的を達するように努力を続けてまいりたいと思っております。
  242. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどから承っておりまして、非常に示唆の深い御質問であったと私は思っています。  まず、トーゴに対する無償援助が結果として日本からの自動車の購入になったということは、先ほど外務省の政府委員説明を聞いておりますと、対象が自動車でございましたから公入札をいたしましても日本からの車が選ばれたということは、性能、価格からいってあるいは自然にそういうことがあったかもしれないというふうに思います。その点はそうであったかもしれないと思いますが、松尾委員の御質問の趣旨は、援助というのは援助であって商売ではない、そこをだんだん我が国もはっきりさせろという御趣旨であったと思うので、その点私は大変大切な御指摘だと思います。  振り返ってみますと、戦後我が国の工業製品あるいは機材が外国に出ていきました最初の機会は賠償であったわけでございます。これはただでございましたから抵抗なく出ていったわけでございますが、賠償がなくなるに及びましてそのような販路を何とかして確保したいという気持ちが我が国の側にございました。そこへ援助というものが結びついたという、そういう事実は確かに私はあったと思います。その段階での我が国はあるいはそれを必要としたかと思いますし、また、乏しい財政の中から援助を出すといたしますと、多少そういう動機もございました方が予算を国家的な面からつけやすかったという点もあったと思います。そういう過去三十年ぐらいの歴史がこの問題にはございまして、しかしどうもそれではもういけないであろう。我が国としてはもっと商売を離れた見地で援助は援助として考えなければならないのではないかという、そういう御主張は私はまさにそのとおりであろうと思うのであります。  そこで、いわゆる援助がひもつきでないアンタイ、タイということはよく申しますが、なるべくひもつきでないものにしていくことが大切だということは、やはり私どもとしてはこれからの指針としても考えていかなければならない、それはそのとおりであると思います。まだまだしかし産業界等々の立場からいいますと、完全にそこまで一〇〇%踏み切れないという要素も、我が国の各省庁の間にまた幾らかそういう完全に全部アンタイでというところまで踏み切れない、かなりいいところまでまいりましたけれども、要素もなきにはあらずで、御質問の趣旨は十分私どもがこれからの日本のあり方として考えていかなければならないと思います。  それから、地域整備公団のことでございましたが、確かに総裁が非常に物をわかりやすく言うために、ほっとけばなかなか工業立地がないところへ投資をするんだということは、いわば先行投資というような意味で言われたのだと思います。あれこれちょっと目先のことに走りやすい今の我が国の場合、この地域整備公団のようなところで苦しくてもあっちこっちに先行投資をしておいてもらいますことは、私は大切なことであると思いますが、松尾委員も言われましたように、これが始まりましてから後、我が国の設備投資意欲が急速に今日まで減退をしておるものでございますので、なかなか当初思ったように譲渡率が進んでいないということも確かと思います。しかし、いずれの日にかやはりこういう地域にも発展してもらわなければなりませんので、整備公団の努力は続けてもらいたい。ただ、そこでこれは納税者の負担において国民のお金でしている仕事でございますから、どういう損をしてもいいというようなことはないわけでございますけれども、土地をつくって売るということは、やはり一つの経済行為でございますので、そういう面もやはり考えていかなければならない。その辺の兼ね合いのところは政府としても公団としても十分御説を御参考にしてまいらなければならないと思います。
  243. 松尾官平

    ○松尾官平君 ありがとうございました。
  244. 石井道子

    ○石井道子君 きょうは女性議員の四番手といたしまして質問をさせていただきまして大変光栄でございます。  大蔵大臣も、ベーカー財務長官との重要会談を終えられましてお帰りになったばかりでございますし、またきょうは朝からずっと座り続けで大変お疲れではないかと思いますけれども、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  今まさに内憂外患と申しますか非常に厳しい財政状況の中、また難しい国際情勢の中にあって、大変難しいときに大蔵大臣に御就任をなさいまして、大変御苦労なことだと思うわけでございます。大蔵大臣は、大臣御就任以前からかねてより資産倍増論や三兆円の補正予算等、大変積極財政を進めるというような立場でいろいろと御提唱なさっておりましたので、今までここ何年も続いております行財政改革路線によって非常に経済が低迷をいたしまして、また円高の影響もありまして、非常に難しい局面を迎えてきているときの御登場だけに非常に宮澤大蔵大臣の財政通として、また経済政策通といたしまして、さらに国際通といたしましての手腕、力量に大変期待をしている方が多いのではないかと思うわけでございます。また一味違った財政運営というものを大いに期待をしたいと思うわけでございます。今まで前の竹下大蔵大臣が財政再建の旗は絶対におろさないと大変に頑張られて、忍の一字で非常に頑張っていられたわけでございまして、多くの行革法案も成立をいたしましたりして、かなりの成果も上げられてきたのではないかと思います。このたび五十九年度の決算審査を行うに当たりましての五十九年度会計検査院報告がございましたけれども、そのときに、政令または予算に違反し不当と認めた事項が百四十八件、四十八億三千七百九十三万円というふうな数字が出ておりまして、これは全部の検査対象が四万一千カ所のうちのわずか九%の三千七百カ所についての検査でございますから、どのような評価を受けるかわかりませんけれども、この内容につきましては収入の面で二十三億千三百四十八万円、そして支出の面で二十二億三千五百五万円と、そんなような数字が出ているわけでございます。これは昨年の五十八年度の検査の内容と比べますと、非常に改善をされておりまして、昨年は百五十七件で八十三億八千四百八十万円でございましたので、非常に大きな成果が上がっているわけでございまして、このことも今後の財政運営のために、また行財政改革の上にも生かしていただきたいと思うわけでございます。  一方、一般歳出の面につきましては、四年連続伸び率がゼロでありますし、公共事業費につきましては四年間で六・五%のマイナスがございます。毎年一兆円ずつ赤字国債を減らして六十五年には赤字公債依存体質を脱却するというふうなことで行ってまいりましたけれども、五十九年が五千二百五十億、六十年が七千二百五十億、六十一年が四千八百四十億円で到底その目標には達しないというのが実情ではないかと思うわけでございます。そのような状況の中でございまして、さらにこれに加えて、昨年九月のG5以降の急激な円高によりまして内需拡大対策が重要な課題でございます。円高によって貿易数量効果とか交易条件改善効果などがある一方で、輸出関連企業の業績が非常に悪化をしておりますことは御存じのとおりでございますし、中間配当を見送る企業も三一%に上っているとも言われているわけでございまして、当然税収の落ち込みというものは避けられないのではないかと思うわけでございます。さらに、男子の失業率も三%を超えるというような雇用環境も悪化しているわけでございますから、今までの財政再建路線だけでは済まされない、そのような事態を迎えているとも思われるわけでございます。一方、円高差益によります恩恵をこうむっている企業もあるわけでございますし、せんだって北海道の赤平炭砿に視察に行ってまいりましたときに、非常に不況な中にありましてバイテクを生かしましてカーネーションとかバラの栽培を行いまして、研究をして転換を図っているような実情も見てまいりました。この際、活力を生み出せるような、そのような補正予算あるいは六十二年度の予算をぜひ考えていただきたいと思うわけでございまして、六十二年度の予算の関連の中で、今回の補正予算内容とか規模とかそのようなものも伺いたいと思いますが、刈田議員の質問ともちょっとダブりましたので省略をさせていただきたいと思いますけれども、今後円高不況とか内需振興に資するような対策について今後の補正予算を組む上での考え方、そして対策についてのお考えをお伺いをしたいと思います。
  245. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘がありましたように、この財政改革路線、長いこと努力を続けておりますが、まだ道半ばであるという感じが深うございまして、既に国債費が一般会計の二十何%になるというようなことで、大変に大きな圧迫要因になっておりますことは石井委員も御承知のとおりであります。しかも、間もなく国債発行残高百四十兆円に達するというようなことで、国債費の負担はふえていく方向であるわけでございます。ですから、この路線を放棄するわけにはまいらない、忍耐強く財政改革をやってまいらなければなりませんが、その途中において先ほども御指摘がありましたように、昨年の九月二十二日以来の非常に急速な円高が一年足らずの間にこうやって起こりまして、これはいかに日本経済といえどもこの短期の間にこれだけ大きな通貨の上昇はその対応は容易なことではないということは明らかであると思います。また、行革審におきましても、財政改革ということはもちろん基本としてやっていかなければならないが、その間に起こった事態について臨時緊急に対応することは、これはもとより当然であろうという考え方をとっておられまして、したがいまして、そういう原則の上に、基本の上にどの程度に臨時緊急なことができるかということが、今私どもに与えられている課題であるというふうに考えております。私自身、昨年の九月以来の我が国経済の状況というものは、それは長い目で見れば金利が低いことも円が高くなることも油が安くなることも全部やがてはプラスの要因になるわけでございますけれども、余りに急激な変化というものはこれは対応が容易でないということもまた明らかでございますから、それに対して国としてともすれば沈滞しそうな経済に何ができるか、先ほど石井委員は現在の状況を、企業収益が殊に製造業については非常に落ちている、あるいは税収もどうなんだろうか、したがって、雇用の方も心配ではないかと言われました。私はそのとおりであると思いますし、またそのような我が国が国際的にも大きな黒字を抱えているために、内需拡大ということをいわば約束をしておる形になっております。いろんな面から見まして補正予算をできるだけ早くことしは組まなければならないということは私どもほぼ一致した判断を持っております。  そこで、まず今月下旬ごろに私ども政府、与党間で相談をいたしまして、関係各省庁の間でこの際行われるべき経済対策を全部取りまとめてみたいと思います。この経済対策は政府がいたします部分とそうでない部分とあろうと思いますけれども、その中で政府に直接関係あります部分はやがて補正予算の形で御審議を仰ぎたい、こう考えておりまして、ただいま全く民間の投資、例えば電力事業の投資といったようなものは、これは政府に直接関係ないことでございますので、そういうものを計算いたしませんで、直接政府に、中央、地方の政府にかかわり合いのあります事業を、関連のものをまあ三兆円ぐらい何とか柱として立てられないものであろうかということをただいま目標は作業をいたしております。その後、その中から予算化すべきものをできれば十月の中旬ごろ予算の編成にかかれますように歳入歳出面でまとめたいと思っておりますが、その際、先ほども刈田委員に申し上げましたが、歳入面、歳出面両方にわたりまして幾つかの不確定要因が九月時点では幾つかございまして、災害もその一つでございます。九月の末では災害が出切らないと申しますか、そういうことはしばしば過去にございますので、あるいはまあ九月決算を正確にではなくってもちょっとのぞける程度の感じがございますと税収の見当というのが幾らかわかってくるであろう。あるいは、電々公社の株式がどのぐらいに売れるかといったような問題等々が歳出歳入両面にございますので、それらをともかく一番早くある程度見当がつく時期というのを大体十月中旬ごろと思っておりますので、そのときに予算編成を始めまして、十月中には国会で御審議がいただけるような提出準備が政府としてはほぼできておる、そういうような時間表の中で考えてまいりたいと思っております。
  246. 石井道子

    ○石井道子君 次に、長寿社会対策についてお伺いをいたします。  六月六日に「長寿祉会対策大綱」が決められたと伺っておりまして、大変多角的、総合的な取り組みがされておりまして、喜ばしい限りであると思うわけでございます。その中で痴呆性老人対策、このことについてお伺いしたいのでございますけれども、この問題は非常に難しい問題でございますし、いわゆる痴呆性老人の問題というのはまだまだ不完全なものがあると思います。痴呆性となる原因はまだ解明されておりませんし、脳の器質的な障害によって非常にさまざまな問題行動を起こすというふうに言われてまいりました。痴呆性老人を抱えている家族の御苦労というものが大変なものでございまして、随分いろんな方々から救いを求められることが多いのでございます。現在痴呆性老人というものが五十五万人以上にもなろうというふうに言われておりまして、今後ますます人口が急速にふえてまいりますので、確実にこの老人もふえてくるということは言えるわけでございますので、放置しておくわけにはいかないのではないかと思うわけでございます。この痴呆性老人対策についての厚生省の考え方と対策についてお伺いをしたいと思います。
  247. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 御指摘のとおり長寿社会の到来を迎えまして、老人がふえてまいるわけでございますが、それに伴いまして痴呆性の老人の方も残念ながらふえていくというのが実態だと考えておる次第でございますし、お世話をする方々を含めましての御苦労を考えますと、痴呆性老人対策というのは非常に重要な課題であると私ども考えておるわけでございます。従前からも若干対策としては実施をしてきておりますけれども、これまで得られておるいわゆる知験が限られておることもございまして、私どもといたしましては痴呆性老人の研究の推進が非常に重要だと考えておりますが、同時に発生予防対策というのも並行して行っていかなければなりませんし、既に痴呆となられた方々の在宅介護に対する支援対策でございますとか、入所施設の整備等総合的な対策が必要であると私ども考えております。  このような観点から、私ども速やかに総合的な痴呆性老人対策の確立を図りたいと考えておりまして、去る八月二十九日に厚生省の中に痴呆性老人対策推進本部というものを設置いたしまして検討を開始することといたしたところでございます。さらに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、緊急に実施すべき対策については、これまでの施策をさらに充実するように取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  248. 石井道子

    ○石井道子君 次に、厚生年金と国民年金の積立金の自主運用の問題についてお伺いをしたいと思います。  昨年、高齢化社会に備えて画期的な年金法の改正が行われまして、また婦人年金権も確立をされまして、大変多くの方々から大きな期待と関心が寄せられていると思うわけでございます。年金給付の財源となる積立金につきましてもその重要性について注目をされているところでございますけれども、厚生年金、国民年金の積立金の累積額は、五十九年で四十八兆円、六十年で五十三兆円というふうに聞いているわけでございます。その運用の状況についてお伺いをしたいと思います。
  249. 水田努

    説明員(水田努君) お答え申し上げます。  厚生年金、国民年金の積立金は、毎年四兆円前後増加しておりまして、先生指摘のとおり、六十年度末現在で五十三兆に達しております。この積立金は、御案内のとおり年金の給付財源掛金とともにその運用収益構成をいたしておりまして、大変重要な財源でございまして、ちなみに、本年度の厚生年金の給付費が八兆でございますが、これに対しまして運用収益はその四五%に相当する三兆六千億という規模に達しております。  運用の状況でございますが、積立金はすべて資金運用部に預託をすることが義務づけられておりまして、財政投融資の原資として運用が行われております。この預託をいたします際の預託金利でございますが、昨年度後半に七・一%から前後三回にわたりまして一年間の間で急速に下がりまして、今日まで一・〇五%引き下げが行われ、現在は六・〇五%の金利という状況になっております。
  250. 石井道子

    ○石井道子君 年金の財源の目減りが非常に甚だしいわけでございますので、その防衛策としてやはり自主運用の道を考えて年金財源を確保しようとすることも無理からぬことではないかと思うわけでございます。この運用収益の一部を長寿社会対策のためにも生かすべきではないかとも思うわけでございまして、昨年から厚生省はこの自主運用について大蔵省に要求をしているわけでございますけれども、ことしも引き続き要求しているところでございます。このことについては相当の決意があってのことと思うのでございますけれども、厚生大臣にその率直な御所見をお伺いしたいと思います。
  251. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) ただいまお話しのように、厚生年金、国民年金の積立金の運用益というものが年金の支給に非常に重要な部分を占めております。でありますので、できるだけ高利に運用をしていくということが非常に必要なことになってまいると思い、ただいまお話しのように、自主運用をすることについて来年の財投計画の中における概算要求で今要求をいたしておるところでございます。  私は、大まかに三つのことを考えておりまして、この自主運用というものはこれまでの長い保険者の皆さんの御要望でありますし、また、これから到来します長寿社会において年金制度が安定的に運用され、そしてできるだけ保険料を引き上げないでできるだけいい給付を行っていくということを考えるときに、できるだけの運用益をもたらすような工夫をいたしてまいらなければならないということが第一点であります。  第二点は、年金の一元化という方向へ今進んでおります中におきまして、共済年金等につきましても自主運用等を行っておるわけでありますが、そういう意味におきましても一緒の同じようなレベルにおいて厚生年金や国民年金についても自主運用をし、そして運用益の確保をいたしてまいるべきではなかろうか。  また、第三番目には、そうは言いましても財政投融資計画というものもしっかりやっていかなければならないわけでありますので、財政投融資計画がしっかり組める範囲内で最小限度の中でまず要求をいたしてまいりたい、こう思っておるところでございます。  私どもといたしましては、ぜひとも来年はそのような自主運用の制度に入りたいと考えておりますが、今後予算編成の過程におきまして政府部内でいろいろ協議が行われてまいる。またそういう中におきましては、これまでの過去の経緯等を見ますると、なかなか簡単にいくかどうかということについて私も難しい問題であるというふうには十分理解をいたしておりますが、ぜひこの年金者の将来を考えるとき、これは全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
  252. 石井道子

    ○石井道子君 高齢化社会に対応した社会保障制度を確立するための一つの手段として、やはり年金制度を長期的に安定させることが必要でございます。そのための一つの手段と考えられるわけでございますけれども、この積立金の高利運用要求、このことについては大蔵省は余り御理解がないように聞いているのでございますけれども、この点を御理解いただいてぜひ前向きに検討していただきたいと御要望をさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、せんだって政府税調の小委員会におきまして老齢年金についての課税強化の問題が出されたと聞いているわけでございますけれども、老齢年金に対する課税についての厚生省のお考え、それから大蔵省のお考えもお伺いをしたいと思うわけでございます。  今年金に頼っている、これだけで生活をしている方というのが昭和五十六年には三二・八%であったものがだんだんとふえまして、五十九年度には四一・九%、この方が一〇〇%老齢年金に依存している世帯でございます。そういうような状況がたんだんふえてまいりますので、できるだけ税制はよって優遇をすべきではないかと思うわけでございまして、その点についての御見解をお伺いしたいと思うわけでございます。課税強化をいたしますと老後保障が脅かされますし、長寿社会対策の大きな後退となるわけでございますので、ぜひ血も涙もある対策を考えていただきたいと思うわけでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  253. 水田努

    説明員(水田努君) 長寿社会に突入をいたしておりまして、リタイアをし、稼得能力を失って、大体二十年間老後生活を送るのが一般的な姿になっているわけでございます。  その老後生活を支えるものは、非常に核家族の進行、それから子供が親を扶養するという形が変わってきておりますので、公的年金に依存するという度合いが先生数字をもって御指摘のとおり非常に高まってまいっておりますし、私どももそれだけ長寿社会における公的年金の果たす役割、国民の信頼を裏切らないように制度の維持を図っていかなければならない、こう思っているわけでございます。  現在、年金の給付水準は年金の再計算期ごとに設定をいたしておりまして、現在二百二十万という標準的な年金額を設定しております。現在の課税は事実上二百二十九万までいろんな控除があるために非課税となっております。この大きな恩典を受けておりますのは、年金所得を給与所得というふうにみなすことによって夫婦で最低六十万、それから租税特別措置法で老年者年金特別控除というものが七十八万、計百三十八万という控除制度があることが結果的に平均的な年金水準までの、六十五歳以降の方は非課税となっておるわけでございますが、先ほど八月の五日に出ました専門小委員会の報告によりますと、平均的な年金水準の二百二十万まで非課税措置を機能さしておりますこの給与所得控除と老年者特別控除の廃止というものが打ち出されておりまして、それにかわる措置を講ずるということも書かれておりますが、その内容が定かじゃないため私どもも大変心配をいたしているところでございますが、私どもはいずれにしましても公的年金に対する国民の信頼を維持するためには、再計算期ごとに設定をしております年金水準、これは物価スライドをしながらその実質価値の維持を図っておるわけでございますので、そのラインまでは今後とも非課税措置が講ぜられることがやはり年金制度に対する国民の信頼を得るゆえんではないかと、このように考えている次第でございます。
  254. 大山綱明

    説明員(大山綱明君) 税制につきましての御質問につきましてお答え申し上げます。  現在、税制の抜本的な見直しが政府税調を中心に行われているわけでございますが、その一環といたしまして年金課税のあり方につきましても検討が行われているところでございます。ただいまお話にございましたように、過日、八月の五日でございますが、学者グループから成ります専門小委員会、これのレポートが税制調査会の第二特別部会になされたところでございます。その中身は、ただいまもちょっと御披露がございましたけれども、いろいろな年金の差異を勘案して公平の見地に立った課税方式がとられることが必要である。それから第二番目は、いろいろな控除がございますが、各種控除の整理、整序というような観点から、給与所得控除についての検討が別途行われているのでございますが、それを踏まえまして、年金に着目した負担調整措置、それと老年者への税制上の配慮について整序する方向で検討することが望ましいというような二点の御提言がございました。その眼目といたしますところは、年金課税のいわば合理化あるいは簡素化という観点に立つものでございます。これはまだ専門家、学者の御検討でございまして、それが税制調査会の本体の方に上がりまして、現在議論がまだ続けられているところでございます。  基本的に年金税制をいかに合理化していくか、あるいは簡素化していくかという観点でございまして、例えば給与所得控除の廃止というお言葉が今出ましたけれども、給与所得控除というものが勤労者の必要経費を賄う部分というのがある、それをどうするかというような給与所得控除独特の議論がもう一つ行われているところでございますものですから、給与所得控除にかえて別の形での、例えば負担調整がなされるべきではないか。その負担調整の仕組みについてはこれからの議論ということになっております。必ずしも強化というような方向での議論だとは私どもは認識をいたしておりませんけれども、今後税制調査会から出されました検討の結果、答申を踏まえまして政府としてどういうふうな対応をしていくかということを考えていかなければならない、適切な対応の仕方をすべきものと心得ております。
  255. 石井道子

    ○石井道子君 どうもありがとうございました。
  256. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、まず最初に環境庁にほんの少しですが聞いておきたいと思います。というのは、時期的にも緊急性を要すると思いますので、まず一言聞いておきたいと思います。  第二臨調以来、環境庁では公害の健康被害補償法における見直しについて中公審に諮問をしておられますが、その進行状況と答申の具体的なめど、それを簡潔にちょっと聞かしてください。
  257. 目黒克己

    説明員(目黒克己君) 現在、公害健康被害補償法の第一種地域のあり方の問題につきましては、中央公害対策審議会におきまして鋭意審議をいただいておるところでございます。現時点で答申の時期を明らかにいたしますということについては大変難しいところでございますが、しかしながら私ども中央公害対策審議会の環境保健部会長の金沢先生は、遅くとも本年じゅうに答申を行いたい御意向というふうなことを言っておられるわけでございます。環境庁といたしましてもできるだけ早い時期に答申をいただきたい、こういう状況にあるわけでございます。
  258. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この答申がいよいよ目前に迫っているということもありまして、今公害患者の中で大変不安が広がっています。というのは、全国で九万五千人、大阪でも三万一千人以上の患者さんたちがおられるわけですが、苦しい闘病生活の中で制度の見直しというのが、制度の改悪あるいは具体的には指定地域の解除などという形で、財界あるいは公害の加害者の側の主張でやられるようなことが強行されたら、被害者にとっては命網が切れるという立場での不安というのが大変広がってきています。  多くの時間をとりたくないので詳しく申し上げるつもりはありませんが、現にNO2の環境基準も緩和をされ、緩和されたけれども、しかしそれは達成をされていない。大阪では光化学スモッグがまた昭和六十年度あたりから急速にふえ出してきている。そういう状況でございます。そして、今日全国的には年間約九千四、五百人の新しい患者さん、大阪でも二千五百人以上の新しい患者さんがふえ続けておるわけですから、被害者の不安というのが大変広がってくるのは当然だと思うのです。  私、きょうは難しいことを詳しく聞こうとは思っておりません。例えば患者さんの中にどういう不安が起こっているかといったら、つい最近ですが、八月の六日か七日、大阪の西淀川区で七十三歳の公害患者の方、気管支ぜんそくなんですよね。その方はひとり暮らしだった。ところが、すとんと死んで、三日ほど亡くなっているのがわからなかった。その後解剖したら心不全だというのですが、一人でぜんそく発作を起こしてすとんと死んでおったということも考えられるわけで、そういう点では非常に患者の中に不安が広がっている。そういった実情、西淀川で今起こった実情は初めてじゃありません。もう何人かそういう方があるのですが、つい最近そういうことが起こっておりますので、被害者の実態から見ますと、見直しなどといって制度を改悪するんじゃなしに、むしろ諸施策を改善するということが望まれていると思うのですよ。そういう点をひとつしっかり踏まえてほしいなと。  現に中公審の専門委員会の結論だとか、大気保全局の疫学調査の結果なんかも見ましても、安心できる状態じゃないということになっていますよね。大丈夫だと言っていない、実際。日本科学者会議だとか日弁連、それから日本環境会議、医療団体等々の御意見を見ましても、とにかく改悪や指定解除というのは時期尚早だという御意見というのが有力でございます。  そこで、私は長官にお尋ねをしておきたいと思うのは、答申の出るのが近いというふうに言われているのだけれども、この公害健康被害補償法の精神から見て、被害者の状況要求というのがどういう状況かということを十分踏まえていただいて対応してほしいなということです。例えば西淀川で起こっていることなども恐らく御承知ないでしょうから御調査をいただきたい。そういう立場で、環境庁が唯一の被害者を守ってもらえる官庁でございますから、そういう立場で対応していただきたいと思うのです。その基本的な点についての御見解を長官からお伺いをしておきたいと思います。
  259. 稲村利幸

    国務大臣(稲村利幸君) 環境庁といたしましては、もうこれは先生専門家であられますので、今中央公害対策審議会からの答申を待っている段階ですが、さらに関係各方面からの意見を十分聴取し、その上に答申が出たらこれを尊重していきたい、こういうふうに思っております。
  260. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 追ってまた臨時国会でも具体的にお尋ねをしていきたいと思いますので、きょうのところはあとちょっと課題もありますので、ぜひそういうお立場を踏まえていただきたいということを重ねて御要望申し上げておきます。  ちょっと国鉄に関連をいたしまして、決算も上程をされておることでございますので、国鉄問題についてお尋ねをしたいと思います。  政府は十一日から開かれます臨時国会で、国鉄の分割・民営化の関連法案を御提案の予定だと聞いております。  ところで、今国鉄の職場では、昨年来、既に六十五名もの自殺者が出ておる。ちょっと異常ですよ。しかも当局が、真夏の炎天下、箱根八里、三十二キロ歩けというふうな異常なことが命令をされるなどということが、余りひどいじゃないかということで新聞報道などをもにぎわしているというふうな、いわば異常な事態というのが国鉄の職場の中に起こっております。  そこで、きょうは大変短い時間でございますので、国鉄の中で起こっております人材活用センターをめぐる諸問題を中心にして、若干お聞きをしておきたいと思います。  まず国鉄にお伺いをしたいのは、この人材活用センターの設置の目的。全国に何カ所とか何人とかいうのは発表されておるのかと思いますが、何人配置されて、何カ所にあって、仕事は何をしているのかということをまず簡潔に御報告いただきたい。
  261. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) お答えいたします。  国鉄、大変余剰人員がたくさん発生をいたしておりまして、ことしの四月で三万八千人ということでございます。現在合理化を進めておりますので、これがどんどんふえております。こういう余剰人員対策といたしましては、従来も、例えばほかの会社に派遣を出すとか、あるいは直営売店を経営させるとか、いろんな手だてを講じてきたわけでございますが、こうしたふえる現状をこのまま放置いたしますと、やはり現場におきまして勤務上の弛緩というものが生じ、あるいは職場規律にも影響するというような事態を憂慮したわけでございます。  従来、各局でばらばらという形でこういう余剰人員対策、活用策を講じておりましたものを、今回、統一的な方向といたしまして新たに人材活用センターという仕組みを設けまして、各局の本来業務には所要に見合う現在員を配置いたしまして、それでその所要の人数を上回る人数につきましてこのセンターに集中的に配置をするということにいたしたわけでございます。現在、このセンターでは、どんどんふやしておりますけれども、現時点で千三百十六カ所に設置をされまして、活用センターの人数は一万五千二百十人ということになっております。  どういうことをやらしておるかということでございますが、大ざっぱに分けまして三つに分けられるかと思いますが、一つは、直営売店に勤務をさせるとか、あるいはセールス活動に従事させる、あるいは混雑時の特別改札に従事させる、こういうようないわば増収施策に関する業務を行わせるというのが一つ。  それから二番目は、外注業務につきまして、これを一時直営化に暫定的に行っておるわけでございます。そういうような外注業務の暫定直営化というようなこととか、あるいは忙しいときの波動対策に要員として派遣するとか、あるいは自動車の検査、こんなようなことに従事させるということで、これは概括いたしますと経費の節減のための仕事というふうに言っていいと思います。  三番目は教育訓練でございまして、各職種の多能化といいますか、例えば貨物の機関車の運転士さんを電車の運転士ができるように教育をするとか、あるいはまた、パソコンとかワープロとか、新しい時代に対応いたします職業訓練、レベルアップ、こういうような教育をさせておるわけでございます。  これが実態でございます。
  262. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 人材活用センターの実態というのを共産党国会議員団、きのう、きょう全国的に調査に入っておりますし、私も先日来何回か調べてきたんですけれども、いわゆる人材活用という名前というんですか、その実態というのは想像するのとは大分実態が違うなということを実は感じております。  それで、従来と余り変わらぬ仕事をしているところもないわけではありませんね、少々は。しかし、ベテランの運転士だとかあるいは検修の技術者だとか、そういうようなのが炎天下で草むしりをやらせてみたり、一日じゅうガラスふきをやらしたり、その一方で一時間もあったら終わるようなポイントの掃除というようなものだけがやられてみたり、増収対策やというのでなんや二、三十枚のビラを配らしてみたり、中には一日の仕事を与えないというところもあるんだそうですね。しかもその人材活用センターという場所というのは、大阪あたりは鉄筋コンクリートの建物であったりちゃんとした建物の一室使っているようですけれども、だけれども、その部屋が食堂にもなるし更衣室にもなるし仕事場でもあるし、そして講義を受けるところでもあるという状況になっておるし、全国的に見れば、ひどいところは雨漏りがするような建物であったり、コンクリートむき出しで窓もろくにないというようなところであったりというようなところに一日じゅう押し込められていると。人材活用センターというのはこんなことになっているということは、国鉄御当局は御承知なんですか。
  263. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) いろいろな箇所でいろいろな活用の仕方をそれぞれの所属長が決めましてやっておるわけでございますが、いろんな対応があろうかと思います。今、先生が御指摘になったような事態というもの、私詳しくはわかりませんが、そういう職場環境というもの、こういうものはやはり一般の本来業務に従事する者と同様によく整備をしてあげたいというふうに思うところでございまして、その辺の実情もよく現場から調査をしたいと思います。
  264. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 人材活用センターというのは余剰人員対策だというて言われたですね。ところが、その人活センターへ人を抜かれた職場、後の職場ですね、どんなことになっているか、どんなことが起こっているかということは御承知いただいているかなということがちょっと心配なんです。というのは、これはもう時間がないから余り具体例たくさん挙げられませんけれども、私は大阪だから大阪の実態を見てちょっと驚いているんですが、ホーム要員がなくなったいうことでいろんなサービスの低下とか、あるいは事故が起こっているとか、起こる心配が起こったとかいろいろありますわ。それも一つの大きな問題なんだけれども、例えば大阪で起こっているのは、大阪に東淀川駅というところがあるんですよ。そのすぐ駅からものの五、六十メートル、百メートル以内に長さが約五十メートル、幅が六メートルというような長い踏切がある。長い上に、そこは交通量は多いし、おまけに踏切の中に線路が八本ですからね、真ん中に中間地帯というのか島みたいのができて小さい踏切がまたできている。そこを走る列車というのは非常に多いですね。速度もそれぞれ走る列車で違うし、そしてばらばらの列車が走りますわね、八本ですからね。そういうところの保安係というのはベテランでも大概緊張するんですね。ところが、そこでどういうことが七月以来起こったかといいますと、ここの要員というのが、実は、現状では九月一日十四名なんですよ。十四名のうち九名は九州から広域配転で送られてきた人たち。そして、そこにおったなれた九名は人活センターに送り出されている。そこでどういうことが起こっているかいうと、なれた人でも緊張するんだから、なれないから、列車が通るまでに踏切をあける、自動車が入る、中間地帯にとまっている、出すまでにどうするかということで、列車の運行をとめるというふうな非常事態が、これが四月は二件、五月は二件、六月、七月は一件だったのが八月には一挙に五件にもなっている。これは局に報告をしている、申告したものだけでそないになっているんですね。だからこれは大変なことが起こっているわけです、時間がないから詳しく言えませんが。だからその状態見たら、真ん中に自動車がとまった、それで列車が来る、遮断機おろすいうことになったら、列車とめなかったら、自動車に当たったら事故が起こると、あるいは真ん中に人や自転車がしょっちゅう入り込むということで大変な状況で、いつ事故が起こってもおかしくないというところまで来ているんです。  そういう事態があるというふうなこと、あるいは運転手の場合でも、九州から広域配転されてきた人たちが大阪の電車区に乗っているわけですよ。そうしたら九州や北海道でいわゆる本線に乗っていた人でも、線路が八本並んでいて自分が運転する電車と並んで運転するというような電車が来るというのは経験がないわけですね。だからその状況を見てぞっとして身の毛がよだつというようなことが率直に言われているとか、そういうことで芦屋駅ではブレーキミスで三十メートルも引きずったとか、行き過ぎたとか、高槻では信号を冒進してしもうたとか、またあるいはサイドブレーキかけたまんまで走ってあわや脱線寸前というような状況もあるやに聞いておりますし、安全輸送の点から言いましても大変脅かされている。ですからこういう余剰人員づくりやら人活センター送りということをやって国民の安全輸送、乗客サービスというのは大変な状態になってきているという事態をよく御承知でしょうか。
  265. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) いろんな角度からする合理化、効率化という方向は、これは私ども今必死になってやっておるわけでございますが、その場合におきましても安全の観点はこれはもう私どもの至上命令、最大の責務であるということでございまして、あらゆる角度から安全上の支障がないという確認なとりながら合理化を進めておる状況でございます。  今いろいろと先生から御指摘具体的にありましたんですが、広域異動の問題もやはり余剰人員対策の一環としまして、これは全国的な配慮で、九州、北海道、これはもうしょうがないと、どうにもならないということでやむを得ず故郷を離れて他の勤務に勤務していただく、こういう仕組みをつくったわけでございます。その場合も、今御指摘のようなふなれ、訓練不十分ということではいけないので、学園に入ってもう一回教育をしたり、それから現地に戻った場合に十分に訓練、教育、見習いをやりまして、その上で運転業務等につかせるというような配慮もいたしておるつもりでございます。事、安全輸送という大事な仕事でございますので、そういう面は今後とも十分に意を尽くしまして問題の起こらないようにしたいと思っております。
  266. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、時間ないからゆっくり聞けないんだけれども、今言うたことを考えたら人材活用というけれども人材不活用になっているのと違うかと思うんですよ。訓練された運転士が草むしり片方でやっていて、片方でなれない、一本の線路を走っていたような運転士が大阪のような過密ダイヤのところを走らされてはらはらしているというのは余り見られた格好でもないし、国民が聞いたらぞっとすると思うんです。本当に人材不活用センターになっているんじゃないかなと思うんですよ。細かい点はまたどうせ臨時国会で詳しく御論議を申し上げる時期があると思いますが。  そこで、そういうところに今一万五千人余り人活センターには入れておられるんだが、選抜の基準ですね、これは一体どうなっているか。もう時間ないから私聞きますからそれにお答えしておいてください。  一つは、性別によって選別をしないか。健康状態ではどうか、病弱者あるいは障害を持っている方によって差別はしないか。それからもう一つは、思想、信条によって選別の基準にしないか。所属組合によって選別の基準にしないか。それから分割・民営化に対する態度によって選別の基準にするのかしないのか。それから勤務成績はどのように選別の基準になっているのかどうか。そういうことでまとめてちょっとお伺いをしておきたい。
  267. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 人活センターへの配置の仕方は、やはり職員の持っておる資質なり職業に対する意欲、能力というような観点からする勤務成績、これはもう総合的に把握を現場でいたしておりますが、そういう勤務成績を十分に判断をしながら、やはりその人その人に応じた適材適所の配置をするということが基本でございます。  そこで、今先生おっしゃいましたように性別、これは、性別は現場では余りないと思いますけれども、そうしたことももちろん余り考えませんし、それから病弱とか障害等の健康上の問題の有無ということについても、これも一切考慮はいたしておりません。  それから思想、信条、それから組合別、分割論に対する考え方というようなことについても一切問題としておりません。すべて本人の資質、能力に応ずる適材適所をどういうふうにしたらいいかという観点から、従来の勤務成績等を参考にしながら適正に配置をしているというつもりでございます。
  268. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんので、あとちょっと聞きたいんだけれども、そういうことが、今私が御指摘申し上げたことが選別の基準になってないと言うんですがね、例えば大阪の宮原というところで二十一人の中で病弱者四名ですよ。組合別で言えば鉄労という組合に所属の病弱者が一人、国労の人が三名ですわ。しかも、その中でひどいなあと思うのは、労働組合の幹部というのがこの二十一名の中で分会三役が四人含まって七人ですね。だから、労働組合の機能がもう全部人活センターへ行ってしまっているというふうなことだとか、あるいは吹田の機関区で人活センターへ入っている人は全員が国労の組合員だとか、そのうち十七人が組合役員、しかも組合の三役が四人とも含まれているというふうなことになっているんです。こういう事態は、組合差別をやらない、やってはならないということになっておるんですが、現にこういうことになっておるというのは明らかに差別をしているとしか思えない。この問題について詳しく言えませんから、最後に私、総裁と運輸大臣にお聞きをしておきたいと思います、もう詳しいことを言う暇がないんで。  一つは、まあ磯崎元国鉄総裁も新聞等では大分国鉄の分割・民営化についての御批判が述べられておられましたね。そのように今日の分割・民営化、国鉄の分割・民営化というのはいろいろな御意見が国民の中にはまだあるという点ば、これはまだ事実だと思う。ですから、反対意見であっても賛成意見であっても、当局あるいは運輸省や国鉄御当局が進めようというんであれば、もっと正々堂々と協議をして納得のできるような姿で進めるべきではないか。何となく分割・民営に反対をしている反対者は不当に差別をしたり、人活センターに、不活用センターに追い込んでしまうというような力ずくで抹殺をしないとやれぬというふうなことになったんでは、これは当局が進めようとする分割・民営化というのは、こういう力ずくでむちゃなやり方をしなかったらやれぬものなんだということを天下に公表するような結果になるんではないか、その点をおそれます。だから、そういう点で本当に国民の良識にちゃんと訴えられるような、もっと正々堂々としたやり方をやって、力ずくでやるというようなファッショ的なやり方というようなものは改めるべきではないか、その焦点になっている人材活用センターみたいなものはちょっとやめなさい、やめるべきだと私は思います。その点で国鉄御当局それから運輸大臣の御見解を伺って終わります。
  269. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 大変分割・民営の問題というのは非常に大きな問題でございます。政府がそういう方向を決めまして法案につくり上げておるわけでございますが、これについての理解の問題も、これも職員の中あるいは一般の国民全体にわたりましてなかなか理解しにくいという面もあるかと思います。私どもはまず身内から、職員の諸君はもうその改革の中身をよく理解せいということが第一であり、また、ひいては国民全般の方にこういう方向についての御理解を得る必要があるというふうに私は思う次第でございまして、これからもいろんな形でPR、御理解のためのいろんなことをやっていきたいというふうに思うわけでございます。  諸施策の推進は決して力ずくでねじ伏せてやろうというつもりは毛頭ございませんで、事柄の中身をよく説得しながら理解を求め、進めているつもりでございますし、そういう意味で人材活用センターも十分に理解を求めた上でやっているつもりでございます。
  270. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御指摘は伺っておりましたけれども、現実に相当な要員の過剰状態というものがあるわけでありますから、その余剰労働力といいましょうか、過剰な状況の中で要員に効率的に働いてもらうということからいけば、私は人材活用センターというものが有効に機能すれば問題はなかろうという感じがいたします。  ただその中で、今御指摘の中にありましたように、例えば身体上のハンディキャップ等が問題になるということであれば、そうした点はもちろんきちんとしてもらわなければなりませんけれども、少なくとも私どもはそういう報告は受けておりません。
  271. 抜山映子

    ○抜山映子君 本日は不用額の問題についてお聞きしたいと思います。不用額につきましては全省庁について問題があるわけでございますけれども、特に潤沢な予算をお持ちの建設省と農林省にきょうはお伺いしたいと思うのでございます。  ところで、五十八年度、五十九年度につきまして、予算額そして不用額、そしてその比率はどうなっているかお答えいただきたいと思います。
  272. 高橋進

    説明員(高橋進君) 建設省の分について申し上げます。  一般会計につきまして、まず五十八年度でございますが、歳出予算現額四兆九千五百十五億七千二百万円余に対しまして、不用額は七十一億六百万円余で、その割合は〇・一四%、治水特別会計については、歳出予算現額一兆一千六百十九億九千三百万円余に対しまして、不用額は百二十四億九千二百万円余でございます。道路整備特別会計については、歳出予算現額二兆二千三百七十五億四千九百万円余に対し、不用額は八十二億四千三百万円余でございます。都市開発資金融通特別会計については、歳出予算現額四百八十億三千九百万円余に対し、不用額は四億六千百万円余でございます。  五十九年度についても申し上げますと、一般会計については、歳出予算現額四兆七千九十億九千百万円余に対しまして、不用額は十三億三百万円余でございます。治水特別会計については、歳出予算現額一兆一千五百四十億八千七百万円余に対して、不用額は百十八億一千三百万円余でございます。道路整備特別会計については、歳出予算現額二兆二千五百六十二億二千六百万円余に対し、不用額は百一億六千五百万円余でございます。都市開発資金融通特別会計については、歳出予算現額四百八十三億四千四百万円余に対し、不用額は九億一千五百万円でございます。
  273. 甕滋

    説明員(甕滋君) 農林水産省の関係についてお答え申し上げます。  昭和五十八年度の歳出予算現額が三兆七千百十三億円でございまして、それに対します不用額が二百三十五億円でございました。五十九年度について申しますと、歳出予算現額三兆五千四十二億円に対しまして、不用額が二百五十二億円という状況になっております。
  274. 抜山映子

    ○抜山映子君 その不用額になった比率を明らかにしていただきたいんですが。
  275. 高橋進

    説明員(高橋進君) 五十八年度一般会計については〇・一四%、治水特別会計については一・〇七%、道路整備特別会計では〇・三六%、都市開発資金融通特別会計では〇・九六%でございます。  五十九年度につきましては、一般会計〇・〇二%、治水特別会計は一・〇二%、道路整備特別会計は〇・四五%、都市開発資金融通特別会計は一・八九%でございます。
  276. 甕滋

    説明員(甕滋君) 農林水産省の関係で申しますと、五十八年度の比率は〇・六%、五十九年度につきましては〇・七%でございます。
  277. 抜山映子

    ○抜山映子君 この不用額発生の原因につきましては、土地の補償交渉が難航したとか、為替レートが変更したとか、いろいろ原因はあると思いますが、その原因をどのように分析されておられますか。両省庁、お願いいたします。
  278. 高橋進

    説明員(高橋進君) 不用額の生じた原因でございますが、今先生おっしゃいましたように、基本的には、用地取得につきまして地権者との調整が難航したこと、あるいは用地に直接かかわりませんでも、地元住民の方の要望やあるいは反対とかいうようなことで事業の実施が大幅に遅延したというようなことが大きな要因かと考えております。
  279. 甕滋

    説明員(甕滋君) 農林水産関係につきましては、一般的な理由に加えましてこの行政分野の特性といたしまして、農作物の作柄あるいは災害の発生状況等のように確定的に予見しがたいものがありますとか、経済事情等の変化に応じて農林漁業者の投資意欲に違いが生ずるといったようなこともございまして、一部の経費について見込みと実績に過不足が生ずる場合があるという悩みがあるわけでございます。今後につきまして、厳しい財政事情であることでもございまして、見積もりと実績に大きな差異が生ずることのないよう努力をしておるところでございます。
  280. 抜山映子

    ○抜山映子君 建設省も農水省も大変きれいごとで言われたわけでございますけれども、両省に共通してお答えになったのは、予算成立後に予見しがたい事情が生ずることがあると、そのために不用額が生じたというような回答であったかと思いますけれども、こういう事由によって不用額が生じた、これは私は当然あり得ることであって、別にこれはとりたてて問題はないと思うんですけれども、それ以外に不用額発生の原因というものは考えられませんか。
  281. 高橋進

    説明員(高橋進君) 基本的には今申し上げましたようなことでございますが、さらに考え得ることといたしましては、積算の見積もりが不適正だとかそういうことは別といたしまして、実際に積算したものが現実に落札する場合の入札差金というものが生ずる場合もございます。そういった要因もそのほかの問題として考え得るわけでございます。
  282. 甕滋

    説明員(甕滋君) 農林水産関係予算の編成に当たりましては、そのときどきの行政需要にこたえますように、客観的な指標に基づいて極力適正な所要額の計上を図っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、農林漁業の特殊性等もございまして、他省庁に比べまして平均的には不用額の発生度合いが多いと、こういうふうに認識をしておりますので、見積もりと実績の差異につきまして、これを極力縮めるように努力しているという現状でございます。
  283. 抜山映子

    ○抜山映子君 今の御回答によって、必ずしも明確にはおっしゃいませんでしたが、予算見積もりの積算が多少ずさんである場合もあったかもしれないというようなニュアンスの御回答がいただけたと思うのです。  この一、先ほどの予算成立後予見しがたい事由が生じた。そして二番目に予算見積もりの積算が必ずしも適当でなかったという二番目の理由ですね。私はそのほかに予算の効率的な執行、あるいは節約によって不用が生ずるという場合が当然なくちゃいけないと思うんですね。民間の企業であれば当然そういうものが出てくるわけでございますが、そういう不用額発生の原因というものは考えられないかどうか、御回答いただきたいと思います。
  284. 高橋進

    説明員(高橋進君) 先ほど私御答弁申し上げたのは、積算の見積もりがずさんとかそういう意味ではございませんで、一応一般的な基準によりまして考え得る適正な価格の積算をするわけでございますが、すべてが数字がぴたっと決まるという、落札するというものでは当然のことながらございません。そういう範囲での入札差金というものが出ることが当然あるわけでございます。今おっしゃいました効率性といいますか、できるだけ合理的な効率的にやるために予算の節約という工夫もあるべきではないかということでございますが、その点につきましては基本的に最も経済的なといいますか、国費支出を少なくするようなことで基本的な運用といいますか、積算なり運用なりをいたしておる所存でございまして、そういったことにも今後とも先生のおっしゃるようになお意を尽くしてまいりたいと思います。
  285. 甕滋

    説明員(甕滋君) 予算の執行に当たりましては、農林水産省の場合もこのところ年々大幅な縮減の一途をたどっておりまして、貴重な予算につきまして効率的な執行に心がけたその中で、その後、見積もりと異なる事態が発生するということも踏まえまして、その残額が不用額と、こういう形で出ているように見ております。
  286. 抜山映子

    ○抜山映子君 これは建設省からいただいた資料でございますけれども、五十八年、五十九年、六十年度、各年度の決算額でございますが、五十九年度の決算額をとってみましても、これを四半期ごとに分けて分類していただいたわけですけれども、一般会計では第一・四半期が二一・九%、第二・四半期が一一・九%、第三・四半期が一九・一%、これらに比して第四・四半期が四七・一%と格段に多いわけです。治水特別会計につきましても第四・四半期が四〇・三%、道路整備特別会計についても第四・四半期が四六・九%、都市開発資金融通特別会計、これも第四・四半期が五四・七%、こういうように明確に数字が出ておるわけです。もちろん工事というものは最後に精算して最終のお金を払うという事例も若干あるために、この第四・四半期が多くなるということも考えられないではないですが、これだけが原因とはとても考えられないわけです。農水省の方につきましても同じように第四・四半期に集中している数字が出ておりますけれども、時間的な制約がございますので特に申し上げませんけれども、新聞紙上なんかで、予算を使い切るために第四・四半期に不必要な道路工事を行ってみたり、不要不急の物品を購入したりということがあるということが非常に何回も新聞紙上で指摘されております。このことについて建設省、農水省どのようにお考えかお聞きしたいと思います。
  287. 高橋進

    説明員(高橋進君) 今先生指摘の数字、昭和五十九年度の数字かと思います。支出についてはそのような数字になっております。例えば六十一年度、今年度につきましては相当、八〇%の前倒し執行ということで、契約は上半期に八〇%やるということで、支出も今お話しになったよりもっと前に行くことになろうかと思いますが、いずれにしましても今の五十九年度の数字はそういうことで、支出についてのベースでの話でございますが、そのとおりでございます。  これはある意味ではやむを得ない面がありまして、特に建設省の所管する公共事業の規模というのは相当大きいものでございますから、相当長期の工期を設定してその事業を実施することになるわけでございまして、一方、支出は工事の出来高に応じて支払うことになります。最終的な工事の契約期間が年度第四・四半期にかかる分が相当数があるものでございますから、その支出がやっぱり年度の後半に集まるということはやむを得ない面が基本的にはあろうかと思っておりますけれども、なお、本来的に早く契約すべきものは契約し、ちゃんと適正な工期に従って早く工事をやってもらい、それに応じて支出するように今後とも努めたいと思っております。
  288. 抜山映子

    ○抜山映子君 農水省の方にお伺いいたします。  水田利用再編対策費でございますけれども、今ここに数字がございますけれども、不用額が百十四億。これは昭和五十九年度の農水省の決算報告書ですが百十四億、パーセンテージにしますと四・五%の莫大な不用額が出ておりますが、これはどういうことでございましょうか。
  289. 甕滋

    説明員(甕滋君) 先生ただいま御指摘のように、水田利用再編対策の五十九年度の不用額が百十四億四千万円になっておるわけでございます。この不用がどうして出たかということでございますが、これは転作等を実施した農業者に交付される転作奨励補助金でございますが、転作定着化推進加算制度のうち第二種加算といわれるものの対象となる転作等の実施面積が計画を相当下回ったことがその内容になっておるわけでございます。  その第二種加算といいますのは、転作等を地域の実情に応じて進めます場合に都道府県知事が要件を定める制度になっておりまして、ちょうど昭和五十九年度、この年度からでございますけれども、転作奨励金の基本額あるいは加算額についての奨励金体系が新しく改定をされました年度でございまして、昭和五十九年度に新たに導入をすることになった加算でございますので、現場に十分浸透するまでに時間を要したということからいたしまして、これだけの不用額を生ずる結果になったわけでございます。
  290. 抜山映子

    ○抜山映子君 要するにその第二種加算についてのPRが足らなかったという面もあるかと思います。そういう点も今後気をつけて使っていただきたいと思うわけです。  ところで、予算の編成の仕方ですが、大蔵大臣にお伺いしたいんでございますが、第四・四半期に予算を意図的に乱用する、とにかく予算の次のシェアを獲得するために第四・四半期に一生懸命使う。その方が要求側のメンツも立つし前年度査定された方のメンツも立つんだというような、こういう意識が大変に強いということが一般に指摘されております。一般の民間企業では、原価を節減することが利益につながるということで、コストを安くするという意識が非常に強いわけですけれども、国家予算に関しましては、経費の節減は実は納税者の利益につながるんですけれども、そういう方面の意識はさっぱり前面に出ずに、とにかく次の予算計上のために使い切るという意識が大変に強い。この点について大蔵大臣予算編成について何を基準として決めているのか、そして今申し上げたような弊害を除去していくためには、大蔵大臣として今後どういうようにするということをお考えか、この点を明らかにしてください。
  291. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 詳しいことがお要りでございましたら政府委員から申し上げますけれども、ただいままで建設、農水両省の政府委員お答えになりましたように、なるべくそういう不用額というようなものが後になって出ませんようにきちんきちんと事業をやっていただくという御努力はいろいろにしていただいております。また、年度末に私どもよく節約というものを各省にお願いいたしましてかなりのものを出していただいているということも御承知のとおりでございます。  そういうことでやっておりますが、今のようなやはり何となくそういう一般的な印象がある。これはまあこの数年のように予算編成が苦しくなりましてからはもうほとんどそういうことはない、なくなってしまったんであろうと思いますが、かつてはそういうことがございました。やはりそのときには前年度の予算の上に次の年度を組むというようなそういうことはないはずなんでございますけれども、何となくそういうやはり受け取り方、受け取られ方があったようで、一番大事なことはそれでございますから、いわゆる前年度対比という考え方でなく、その年度そのもののニーズに従って予算を査定していく、それを厳しくすることが大事ではないかと思います。
  292. 抜山映子

    ○抜山映子君 ぜひそのように御努力いただきたいと思うのでございます。予算の計上には熱心であるけれども、予算の効果的な執行には余り熱心でない。ましてや、予算執行の結果については把握しようとしない、こういう傾向が非常に強いと思います。  そこで、農水省、建設省にお伺いしますけれども、各省庁において予算の効率的な執行結果ですね、そういうものを把握、分析する制度が今あるのかどうか、ないとすれば今後どうすればいいとお考えになっているか、この点を御回答いただきたいと思います。
  293. 甕滋

    説明員(甕滋君) 予算の執行につきましては、第一・四半期、第二・四半期、第三、第四と、それぞれの概算決定段階、それぞれの執行の段階を通じまして、予算執行の管理を私どもの省でもやっておるわけでございまして、ただいまのように不用が生じたような場合には、またその不用の分析もいたしまして翌年度の予算編成にも役立てるということを毎年やっておるところでございます。
  294. 高橋進

    説明員(高橋進君) 私どもの事業というのは、現在数年にわたるシーリングといいますか、厳しい財政事情のもとで需要といいますか要望が非常に強い中で、限られた予算をいかに効率的にやるかというのが基本的な問題として意識として常に持っているわけです。要望が非常に多いものをやはり限られた予算でもってやらなきゃならぬ、要望といいますか、社会資本の整備を進めなきゃいかぬ、こういうことでございまして、省全体でいかに効率的に経済的にやるかという基本的な心構え、これは全員が持っているというふうに考えております。  実際の執行の問題につきましては、本省におきましても会計課の中に一つのセクションを置きまして、執行状況についてのチェックを四半期ごとにやりまして、個別の問題、トータルの問題についていろいろ問題を整理し、次の効率的な執行に役立てるつもりでございますが、なお今後ともそういった方針でやりたいと思います。
  295. 抜山映子

    ○抜山映子君 今の回答は監査の担当部課があると、このように御回答になったのかどうか、もうちょっと明確じゃありませんでしたが、イエスかノーかそれ御回答いただきたいと思います。
  296. 甕滋

    説明員(甕滋君) 予算執行につきまして、それを管理するセクション、それから適正な執行であったかどうかという監査の体制をそれぞれ持ちまして、予算の効率的な執行、管理に努めているところでございます。
  297. 高橋進

    説明員(高橋進君) 私どもの方でも執行管理室というところでそういったことを担当すると同時に、個別の問題については監察官室の方で必要に応じてチェックをいたしております。
  298. 抜山映子

    ○抜山映子君 最後に一言だけ。  今、そういうようなきれいごとの御回答でございましたが、実際には予算執行結果が把握されていない、欠如しているということはもうこれは私ども一般有権者が感じているところでございますので、ひとつその充実にお努めいただきたいと希望いたしまして私の質問を終わります。
  299. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 以上で昭和五十九年度決算外二件の全般的質疑は終了いたしました。     ─────────────
  300. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題とし、派遣委員報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。大島友治君。
  301. 大島友治

    ○大島友治君 本委員会の委員派遣第一班につきまして御報告を申し上げます。  第一班は、菅野委員長、石井理事、非上吉夫委員、寺内委員及び私、大島の五名で、八月二十七日から二十九日までの三日間、国家財政経理及び国有財産管理に関する実情等を調査するため北海道へ参りました。  調査の日程を申し上げますと、第一日目は、まず、北海道電力株式会社江別発電所を訪れ、発電所の概要について説明を聴取するとともに、ボイラー室等主要な設備を視察いたしました。当発電所は昭和三十八年に運転を開始したもので、国内炭専焼の四つの内陸火力発電所の一つでありますが、国内炭への対応と設備の老朽化の安全対策が課題となっております。  その後、札幌市の東方に所在します野幌自然休養林において、代表的な大都市近郊森林の状況を視察いたしました。  次いで札幌市に入り、札幌共済会館におきまして北海道財務局、北海道開発局、札幌通商産業局からそれぞれ所管事項の説明を聴取いたしました。北海道の産業経済の現況は、公共事業の抑制、先端技術型産業の導入の立ちおくれ、農水産業の先行き不安、あるいは円高の影響などによって、総じて厳しい環境下にあります。このような状況の中で、民間活力による国有地の有効利用開発事業濁の前倒し執行、産業基盤の整備エネルギー問題への対応筆蹟極的な行政を展開しつつある状況説明されました。続いて北海道庁からは財政状況について説明を聴取した後、知事からの国の行政全般にわたる要望事項についても説明を聞きました。  第二日目は、まず、住友石炭赤平炭砿株式会社赤平鉱業所を訪れ、炭鉱の概況説明を聴取した後、関連事業として経営するカーネーション栽培の実情を視察いたしました。赤平炭鉱は昭和十四年の開坑以来、四十七年間の出炭量四千三百万トンの実績があり、なお当面七千万トンの炭量を有しておりますが、昨今の厳しい石炭事情のもと、今や赤平市に残る唯一の炭鉱としての当山の帰趨は、従業員のみならず地域経済社会に甚大な影響を及ぼすものと予想されており、今後とも、各般にわたる一層適切な対策の必要性を痛感してまいった次第であります。  次に、陸上自衛隊第四特科群を視察いたしました。部隊が所在する上富良野駐屯地は、当特科群のほか、第二戦車大隊、第二対戦車隊の三つの戦闘部隊とその他の諸隊で構成されております。概況説明の後、隊舎及びこれら部隊の主要装備である七四式戦車、自走多連装ロケット弾発射機等を視察いたしました。  次いで、旭川市への帰路、市郊外にあります国際染織美術館及び北海道の手織り工芸として知られている優佳良織を展示する優佳良織工芸館を視察いたしました。  第三日目は、旭川市を出発して石狩川水系の忠別川沿いをさかのぼり、その中流部に建設を完了した忠別川羽衣ダムと、さらにその上流地点に建設中の忠別川第二号ダムを視察いたしました。これらはいずれも重力式コンクリートの砂防ダムでありまして、天人峡上流の忠別川両岸の険しい峡谷から供給される大量の土砂によって河床が上昇し、災害の危険が大きいことから、国の直轄事業として実施されたものであります。  最後になりましたが、今回の委員派遣に当たり、関係各機関に大変お世話になりましたことを申し添え、お礼を申し上げます。  以上で口頭報告を終わりますが、別途委員派遣報告書を委員長に提出してありますので、本日の会議録に掲載させていただけますよう、委員長においてお取り計らいをお願い申し上げます。
  302. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、第二班の御報告を願います。松尾官平君。
  303. 松尾官平

    ○松尾官平君 本委員会の委員派遣第二班につきまして、御報告を申し上げます。  第二班は、梶原理事、田代委員、それに私、松尾の三名で八月二十七日から二十九日までの三日間、国家財政経理及び国有財産管理に関する実情等を調査するため、青森県及び秋田県に参りました。  調査の日程を申し上げますと、八月二十七日は、北洋漁業の中心基地でありますとともに、八戸は海とともにあることをモットーとしております八戸漁港を視察しました。当地では、八戸水産会館におきまして漁港の整備状況を初め、水産物の陸揚げ量、生産金額等の港勢状況等の説明を聴取いたしますとともに、引き続いて現在大きな問題となっております日ソ・日米漁業交渉に係る漁業者等の救済対策等についての陳情を地元関係者から受けてまいりました。  次に訪れましたのは、三沢市にあります航空自衛隊北部航空方面隊であります。当方面隊では、三沢基地内に昭和五十八年十月から配備されております早期警戒機E2Cの機内及びFI支援戦闘機の模擬スクランブルを視察いたしました。  さらに、青森県庁におきまして、東北財務局青森財務事務所及び青森県からそれぞれ管内の概況、県勢概況の説明を聴取しましたのに加えまして、青森県から東北新幹線、盛岡—青森間の本格着工について等の陳情がありました。  第二日目は、ほとんど完成しております青函トンネル内の附帯工事の進捗状況を視察いたしました。まず、青森市内から今別開発センターに行くためのマイクロバスの車内で、日本鉄道建設公団の松尾理事からトンネル工事の経過、工事事業の概況等の説明を聴取しました。その後、私たち一行は、増川開口部からモーターカーに乗車しまして、千分の十二という緩やかな斜傾度の本抗を進みまして、定点、横取基地、第二連絡抗のそれぞれの現場に立ち寄り、坑内火災が発生した際の排煙、乗客の避難誘導の施設等を視察いたしました。  第三日目は、現地参加として出口議員にも御同行を願い、秋田県庁におきまして東北財務局秋田財務事務所から管内概況を、秋田県から県勢概況の説明をそれぞれ聴取いたしました後に、八郎潟干拓農業の実情を視察するため大潟村に参りました。大潟村は現在、一部一道三十六県から五百八十名が入植しており、入植者の営農は、一戸当たり十五ヘクタールの経営耕地をトラクター、大型コンバイン等の農業機械を利用し、近代的な作業を行い、収穫物の処理につきましては、カントリーエレベーターを全体で共同利用し、生産性の高い農業経営を行っていますのが特徴点として挙げられます。  次に、地場産業の実情を把握する観点から、清酒高清水の醸造元であります秋田酒類製造株式会社に参りました。当社は、昭和十八年の企業整備令に基づきまして酒造業界が企業合同を実施しましたのを機会に、当時の秋田市並びに周辺の酒造業者が集中生産方式による経営合理化を企画して発足しました企業であります。当社では、清酒の製造工程の概略を聴取いたしますとともに、工場内で清酒生産の稼働状況等を見てまいりました。  最後に訪れましたのは、秋田県のテクノポリス構想の一環として誘致しました秋田日本電気株式会社であります。当社は、資本金一億円で昭和五十六年に創立され、同五十八年四月から操業を開始しまして、現在、従業員五百六十名で、IC、LSIの製造、販売を行っております。  最後になりましたが、今回の委員派遣に当たりまして関係各機関に大変お世話になりましたことを申し添え、お礼を申し上げたいと思います。  以上で口頭報告を終わりますが、委員長に別途派遣報告書を提出してありますので、本日の会議録に掲載させていただけるよう、委員長においてお取り計らいをお願い申し上げます。
  304. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいま各班から御要望のございました詳細にわたる報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会