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1986-08-22 第106回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年八月二十二日(金曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 大島 友治君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 服部 信吾君     委 員                 井上  孝君                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 杉山 令肇君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 久保田真苗君                 佐藤 三吾君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 刈田 貞子君                 田代富士男君                 沓脱タケ子君                 佐藤 昭夫君                 関  嘉彦君    国務大臣        法 務 大 臣  遠藤  要君        外 務 大 臣  倉成  正君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  藤尾 正行君        農林水産大臣   加藤 六月君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君         ─────        会計検査院長   大久保 孟君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        内閣法制局第一        部長       関   守君        人事院事務総局        給与局長     鹿兒島重治君        警察庁刑事局捜        査第二課長    古川 定昭君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁経理局長  池田 久克君        経済企画庁調整        局審議官     宮本 邦男君        法務省刑事局長  岡村 泰孝君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省経済協力        局長       英  正道君        大蔵大臣官房総        務審議官     足立 和基君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        国税庁次長    冨尾 一郎君        農林水産省経済        局長       眞木 秀郎君        農林水産省構造        改善局長     鴻巣 健治君        林野庁長官    田中 宏尚君        通商産業大臣官        房審議官     末木凰太郎君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        中小企業庁長官  岩崎 八男君        郵政政務次官   小澤  潔君        建設省道路局長  萩原  浩君        会計検査院事務        総局次長     秋本 勝彦君        会計検査院事務        総局第一局長   三原 英孝君        会計検査院事務        総局第二局長   天野 基巳君        会計検査院事務        総局第三局長   大沼 嘉章君        会計検査院事務        総局第四局長   吉田 知徳君        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君    参考人        国際協力事業団        総裁       有田 圭輔君        日本銀行総裁   澄田  智君        日本たばこ産業        株式会社代表取        締役社長     長岡  實君        日本電信電話株        式会社代表取締        役社長      真藤  恒君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提出) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百四回国会内閣提出) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書(第百四回国会内閣提出)     ─────────────
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  まず、昭和五十九年度決算、すなわち一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書につきまして、大蔵大臣から概要説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  3. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会に提出し、また、昭和五十九年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額につきましても国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして歳入決算額は五十二兆千八百三十三億八千四百七十七万円余、歳出決算額は五十一兆四千八百六億二千二百七十一万円余でありまして、差し引き七千二十七億六千二百五万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和六十年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十九年度における財政法第六条の純剰余金は千七百五十四億七千四百五十九万円余となります。この剰余金につきましては、昭和五十九年度歳入歳出決算上の剰余金処理の特例に関する法律の規定により、財政法第六条第一項の規定は適用されないこととなっております。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額五十一兆五千百三十三億五千九百六十四万円余に比べて六千七百億二千五百十二万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額、六千百九十一億二百五十七万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は五百九億二千二百五十五万円余となるのであります。その内訳は租税及び印紙収入雑収入等における増加額千三百四十六億二百六十二万円余、公債金における減少額八百三十六億八千七万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額五十一兆五千百三十三億五千九百六十四万円余に、昭和五十八年度からの繰越額六千百九十一億二百五十七万円余を加えました歳出予算現額五十二兆千三百二十四億六千二百二十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は五十一兆四千八百六億二千二百七十一万円余でありまして、その差額六千五百十八億三千九百五十万円余のうち、昭和六十年度に繰り越しました額は四千九百六十五億五千七百八十二万円余となっており、不用となりました額は千五百五十二億八千百六十七万円余となっております。  次に、予備費でありますが、昭和五十九年度一般会計における予備費予算額は千七百億円であります。その使用額は千二百八十七億二千四百九十九万円余でありまして、その使用内容につきましては、別途国会に提出いたしました予備費使用調書等によって御了承願いたいと存じます。  次に、一般会計国庫債務負担行為につきまして申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は二兆五百三十二億九千四百九十八万円余でありますが、契約等による本年度債務負担額は二兆九十億八千六百六十七万円余であります。これに既往年度からの繰越債務額三兆百六十一億六千六百七万円余を加え、昭和五十九年度中の支出等による本年度債務消滅額一兆九千四百三十八億八千五百八十七万円余を差し引いた額三兆八百十三億六千六百八十七万円余が翌年度以降への繰越債務額となります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は一千億円でありますが、契約等による本年度債務負担額はありません。  次に、昭和五十九年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十九でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十九年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は三十五兆六千五百七十六億九千四百七十六万円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組み入れ額等は三十五兆六千四百六億五千六百三十五万円余でありますので、差し引き百七十億三千八百四十一万円余が昭和五十九年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十九年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十九年度末における国の債権総額は百十九兆八千六百四十六億七千二百二十三万円余でありまして、前年度末現在額百十一兆三千七百四十四億二千三十万円余に比べて八兆四千九百二億五千百九十二万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、昭和五十九年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十九年度中における純増加額は四千二百八十三億三千百十一万円余であります。これに前年度末現在額三兆八千三百九十七億千百九十六万円余を加えますと、昭和五十九年度末における物品総額は四兆二千六百八十億四千三百七万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十九年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上が、昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等概要であります。  なお、昭和五十九年度予算執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、百四十八件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書並び昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書につきまして大蔵大臣から概要説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  5. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書並び昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第百四回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について御説明いたします。  昭和五十九年度中に増加しました国有財産は、行政財産一兆六千二百六十四億二千七百八十二万円余、普通財産一兆五千五百七十八億五千九百五十二万円余、総額三兆千八百四十二億八千七百三十四万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産五千三百五十三億七百六十三万円余、普通財産三千五百七十二億四千五百十三万円余、総額八千九百二十五億五千二百七十六万円余でありまして、差し引き二兆二千九百十七億三千四百五十八万円余の純増加となっております。これを昭和五十八年度末現在額四十兆二千八百四十七億四千三百五十万円余に加算いたしますと四十二兆五千七百六十四億七千八百八万円余となり、これが昭和五十九年度末現在における国有財産総額であります。  この総額内訳分類別に申し上げますと、行政財産二十四兆五千五百二十八億六千百二万円余、普通財産十八兆二百三十六億千七百六万円余となっております。  なお、行政財産内訳種類別に申し上げますと、公用財産十六兆三百五十二億四百六十三万円余、公共用財産四千三百十六億八千三百三十一万円余、皇室用財産五千四百七十億千五百七万円余、企業用財産七兆五千三百八十九億五千七百九十九万円余となっております。  また、国有財産総額内訳区分別に申し上げますと、土地十兆七千八百三十八億二千五百六十九万円余、立木竹四兆四千百五十五億八千七十一万円余、建物五兆三千六百十六億三千三百三万円余、工作物四兆七千三百三十二億三千六百十四万円余、機械器具八億三千三百八十一万円余、船舶一兆千四百九十七億六千百八十二万円余、航空機一兆千七百二十七億二千百八十二万円余、地上権等十四億八千九十八万円余、特許権等三十九億七十五万円余、政府出資等十四兆九千五百三十五億三百二十八万円余となっております。  次に、国有財産増減内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和五十九年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は三兆千八百四十二億八千七百三十四万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加しました財産は二兆六千三百二十四億八千二百三十五万円余、第二に、国の内部における異動によって増加しました財産は五千五百十八億四百九十九万円余であります。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は八千九百二十五億五千二百七十六万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少しました財産は三千百九十六億七百三十九万円余、第二に、国の内部における異動によって減少しました財産は五千七百二十九億四千五百三十六万円余であります。  以上が昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書概要について御説明いたします。  昭和五十九年度中に増加しました無償貸付財産総額は千七十八億七千百五十九万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産総額は九百七億三千百二十七万円余でありまして、差し引き百七十一億四千三十一万円余の純増加となっております。これを昭和五十八年度末現在額六千三百五十一億千百四十六万円余に加算いたしますと六千五百二十二億五千百七十七万円余となり、これが昭和五十九年度末現在において無償貸付をしている国有財産総額であります。  以上が昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、昭和五十九年度決算中、日本専売公社決算につきまして大蔵大臣から概要説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和五十九年度日本専売公社収入支出決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、たばこ事業概況につきまして申し上げます。  昭和五十九年度製造たばこ販売数量は三千百四十三億本余、金額にして二兆七千七百四十九億五千五百四十五万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において三十六億本余、金額にして百六十一億二千九百五十万円余の減少となっております。  また、葉たばこの購入数量は二十万五千トン余、金額にして三千三百三十一億四千三十九万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において一万九千トン余、金額にして四百八十一億四千四百三十二万円余の減少となっております。  次に、塩事業概況につきまして申し上げます。  昭和五十九年度塩販売数量は、一般用塩百四十三万五千トン余、ソーダ用塩六百十九万三千トン余、金額にして合計九百三十九億千七百九十二万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において八十二万九千トン余、金額にして百七億八千三十万円余の減少となっております。  また、塩の購入数量は、国内塩九十五万五千トン余、輸入塩六百七十三万七千トン余、金額にして合計六百六十一億六千百九十一万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において八十万五千トン余、金額にして百四億三千三百五十万円余の減少となっております。  次に、決算内容につきまして御説明申し上げます。  まず、収入支出につきまして申し上げます。  昭和五十九年度における収入済み額は二兆八千七百八十一億八千六百五十万円余であり、収入予算額二兆九千四十三億八千八百五十五万円余に比較いたしますと二百六十二億二百四万円余の減少となっております。  これに対しまして支出済み額は二兆八千二百五十四億三千五百三十九万円余であり、支出予算現額二兆九千五百九十一億八千二百六万円余に比較いたしますと、差し引き不用額は千三百三十七億四千六百六十七万円余となっております。  次に、損益計算につきまして申し上げます。  総収益二兆八千八百五十八億四千六百八十二万円余から、総損失二兆八千三百六十三億五千百九十四万円余を控除した利益は四百九十四億九千四五八十七万円余であります。  最後に、専売納付金につきまして申し上げます。  専売納付金は、小売人等に売り渡した製造たばこにつき小売定価数量を乗じて得た額に納付金率を乗じて得た額から、納付したたばこ消費税の額を控除した額八千八百十六億六千五十七万円余及び日本専売公社法附則第四項の規定により納付する額千六十三億四千百五万円余の合計九千八百八十億百六十三万円余であり、予定額九千八百五十五億三千三百九十七万円余に比較いたしますと二十四億六千七百六十五万円余の増加となっております。  以上が、昭和五十九年度日本専売公社決算概要であります。  なお、日本専売公社は、日本たばこ産業株式会社法附則第十二条第一項の規定により昭和六十年四月一日に解散し、その一切の権利及び義務は、日本たばこ産業株式会社が承継いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  8. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、昭和五十九年度決算中、日本国有鉄道決算につきまして運輸大臣から概要説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  9. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昭和五十九年度日本国有鉄道決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十九年度における日本国有鉄道運輸成績は、前年度に比し、旅客輸送人キロは約一%の増加となりましたが、貨物輸送トンキロは約一六%の減少となりました。  運輸収入においては、旅客収入は約七%の増加となりましたが、貨物収入は約一八%の減少となりました。  以下、収入支出内容勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定におきましては、収入済み額は四兆七千百九十一億六千三百八十万円余、支出済み額は四兆六千八百三億七千五百七十六万円余でありまして、収入支出を上回ること三百八十七億八千八百四万円余でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では、一兆六千五百三億九千五百八十八万円余の純損失となっております。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入予算額四兆七千四百七十六億四千八百九十一万円余に対しまして、二百八十四億八千五百十万円余の減少となっております。  他方支出予算現額四兆八千八百三十八億九千四百五十三万円余に対しまして、支出済み額は二千三十五億一千八百七十六万円余下回っておりますが、そのうち九百三十四億九千六百五十五万円余は翌年度への繰越額であり、残額一千百億二千二百二十一万円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆八千八百九十一億一千七百九十一万円余、支出済み額は二兆八千六百四十二億三千九百六十九万円余であります。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入予算額二兆七千九百九十四億七百万円に対しまして、八百九十七億一千九十一万円余の増加となっております。  他方支出予算現額三兆一千九百五億八千四十七万円余に対しまして、支出済み額は三千二百六十三億四千七十八万円余下回っておりますが、そのうち三千二百五十七億六千八百八十九万円余は翌年度への繰越額であり、残額五億七千百八十八万円余は不用額となっております。  次に、工事勘定におきましては、収入済み額は七千六百四十億二千三百三十三万円余、支出済み額は八千百十三億一千八百六十七万円余であります。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入予算額六千六百十九億五千百十四万円に対しまして、一千二十億七千二百十九万円余の増加となっております。  他方支出予算現額一兆五百三十一億八千九十六万円余に対しまして、支出済み額は二千四百十八億六千二百二十九万円余下回っておりますが、そのうち二千二百三十八億二千三百二十一万円余は翌年度への繰越額であり、残額百八十億三千九百七万円余は不用額となっております。  なお、主要施策別設備投資額内訳は、輸送設備維持更新三千百三十四億四千七百二十六万円余、経営の体質改善五百九十二億七千九百二十六万円余、輸送力整備一千六百四十九億六千四百十九万円余、新幹線建設一千八百七十八億九千二百五十九万円余、建設関連利子八百五十七億三千五百三十六万円余、合計八千百十三億一千八百六十七万円余となっております。  また、特定債務整理特別勘定におきましては、収入済み額は三千四百五十六億七千百九十九万円余、支出済み額は三千四百五十六億七千百九十九万円余であります。  最後に、昭和五十九年度予算執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾に存じております。今後は、この種の事例の発生を未然に防止し、予算効率的運用を図るべく、より一層の努力をいたすよう指導監督してまいる所存であります。  以上をもちまして、昭和五十九年度日本国有鉄道決算に関する説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、昭和五十九年度決算中、日本電信電話公社決算につきまして郵政大臣から概要説明を聴取いたします。唐沢郵政大臣
  11. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 昭和五十九年度日本電信電話公社決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十九年度事業運営は、引き続き順調に推移し、損益計算上三千二百七十六億三千九百四十二万余円の当期利益金を計上するところとなり、昭和五十二年度以来八期にわたって黒字決算となりました。  収入支出決算内訳を各勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済み額は、四兆六千七百三十四億七千六百七万余円で、予算額に比べ一千四百九億九千七百七万余円の増収となりました。一方、支出済み額は、四兆五千九十七億三千二百三十六万余円でありまして、支出予算現額四兆五千六百四十八億八千七十八万余円に比べ、五百五十一億四千八百四十一万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆五千五百九十七億八千七百六十三万余円、支出済み額も同じく二兆五千五百九十七億八千七百六十三万余円であり、この中には昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律に基づき、昭和五十八年度当期利益金三千八百四十億一千五百六十七万余円のうちから臨時かつ特例的に納付した臨時国庫納付金二千億円が含まれております。  また、建設勘定におきましては、収入済み額及び支出済み額は、おのおの一兆七千二百二十六億一千八百六十九万余円であり、これにより一般加入電話百十九万四千余加入の増設を初めとする各種の建設工事が実施されたところであります。  なお、昭和五十九年度予算執行につきましては、会計検査院から委託公衆電話の設置及び管理の改善に関する指摘を受けたところであります。  この点につきましては、日本電信電話公社は、日本電信電話株式会社法の規定により昭和六十年四月一日に解散し、その一切の権利及び義務は日本電信電話株式会社が承継いたしましたので、同社が今後の事業運営におきまして、このような指摘の趣旨等を踏まえつつ一層の経営効率化に努めるよう指導監督を行ってまいる所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十九年度決算概要についての説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  12. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、昭和五十九年度決算検査報告並びに昭和五十九年度国有財産検査報告につきまして会計検査院長から概要説明を聴取いたします。大久保会計検査院長
  13. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) 昭和五十九年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。  会計検査院は、六十年十月十五日、内閣から昭和五十九年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十九年度決算検査報告とともに、六十年十二月十二日、内閣に回付いたしました。  昭和五十九年度一般会計決算額は、歳入五十二兆千八百三十三億八千四百七十七万余円、歳出五十一兆四千八百六億二千二百七十一万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において五千三百四億八千十九万余円、歳出において八千四百五十三億千五百六十万余円の増加になっており、各特別会計決算額合計額は、歳入百二十八兆七千八百八十三億四百八十八万余円、歳出百十五兆五千六百八十八億六千六百七十九万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において九兆五千九百七十七億六千五百三十万余円、歳出において九兆二千九百二十二億三千六百三十九万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済み額三十五兆六千五百七十六億九千四百七十六万余円、歳入組み入れ額三十四兆六千五百五億八千三十八万余円であります。  政府関係機関昭和五十九年度決算額は、収入二十五兆千六百九億六千五百三万余円、支出二十四兆九千六百三億百二十二万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において五千七百六十六億千八十一万余円、支出において七千七十二億四千三百七十六万余円の増加になっております。  昭和五十九年度歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十四万千余冊及び証拠書類六千五百九十万三千余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等四万千余カ所のうち、その九・〇%に当たる三千七百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して千百余事項の質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項等について、その概要説明いたします。  まず、法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項について申し上げます。  法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項として検査報告に掲記いたしましたものは合計百四十八件であります。  このうち、収入に関するものは四件、二十三億千三百四十八万余円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが一件、十二億千十四万余円、保険料の徴収額に過不足があったものが三件、十一億三百三十三万余円、また、支出に関するものは百十七件、二十二億三千五百五万余円でありまして、その内訳は、工事に関するものとして、予定価格の積算が適切でなかったため契約額が割高になったもの、監督、検査が適切でなかったため設計と相違して施工したものが二件、一億二千百三十二万余円、役務に関するものとして、予定価格の積算が適切でなかったため支払い額が過大になったものが一件、三千六百三十万円、保険に関するものとして、保険給付金の支給が適正でなかったものが五件、三億千二十七万余円、補助金に関するものとして、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが八十四件、十一億五千九百七十三万余円、貸付金に関するものとして、貸付金の経理が適切でなかったものが二十三件、五億五千六百三十七万余円、職員の不正行為による損害を生じたものが二件、五千百三万余円であります。  以上の収入支出に関するもののほか、郵便貯金の預入金、簡易生命保険の保険料等や、土地の売却について、職員の不正行為による損害を生じたものが二十七件、二億八千九百四十万余円ありまして、これらの合計は、百四十八件、四十八億三千七百九十三万余円となっております。これを前年度の百五十七件、八十三億八千四百八十万余円と比べますと、件数において九件の減少金額において三十五億四千六百八十七万余円の減少となっております。  次に、意見を表示し、または処置を要求した事項について説明いたします。  六十年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは四件、また、同法第三十六条の規定により意見を表示いたしましたものは四件、改善の処置を要求いたしましたものは四件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは、厚生省の厚生年金及び国民年金の支給の適正化に関するもの、農林水産省の繁殖雌牛導入事業の実施に関するもの、郵政省の簡易生命保険の積立金の長期貸し付けに関するもの、住宅・都市整備公団の事業完了後長期間保有している造成宅地の処分に関するものであります。  また、会計検査院法第三十六条の規定により意見を表示いたしましたものは、文部省の国立大学における授業料免除の取り扱いに関するもの、農林水産省の農用地開発事業によって造成された農地の利用に関するもの、建設省の公営住宅の管理に関するもの、水資源開発公団の琵琶湖開発事業における旅客船に対する補償の処理に関するものであり、会計検査院法第三十六条の規定により改善の処置を要求いたしましたものは、厚生省の資産保有者に対する生活保護に関するもの、農林水産省の農業者年金事業における経営移譲年金の支給に関するもの、農業機械作業広域調整促進事業の運営に関するもの、日本電信電話公社の委託公衆電話の設置及び管理に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について説明いたします。  これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示し、または処置を要求すべく質問を発遣するなどして検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは十八件であります。  すなわち、厚生省の医療費の患者負担分の減免に関するもの、農林水産省の農業近代化資金利子補給補助金の交付に関するもの、自主流通米の概算買い入れ代金に係る受益相当分に関するもの、運輸省の地下高速鉄道建設工事で不用となった土地の補助金算定上の取り扱いに関するもの、自動車損害賠償責任再保険事業に関する統計表の作成に関するもの、郵政省の搬送機械設備の保守業務における保守費の積算に関するもの、日本国有鉄道の貨幣輸送における運賃の貴重品割り増しに関するもの、車両燃料等の補給作業費の積算に関するもの、工業用水供給契約の基本使用水量に関するもの、シリコーン・コンパウンド塗布工事の施行方法に関するもの、日本電信電話公社の度数計フィルム読み取り装置の運用の効率化に関するもの、沖縄振興開発金融公庫の農林漁業資金の管理、回収に係る事務処理に関するもの、日本道路公団のトンネル内の監視員通路に設置するハンドレールの工事費の積算に関するもの、首都高速道路公団の極太径異形棒鋼の加工組み立て費の積算に関するもの、借家人に対する補償額の算定方法に関するもの、阪神高速道路公団の借家人に対する補償額の算定方法に関するもの、本州四国連絡橋公団の完成図作成の仕様に関するもの、社会福祉・医療事業団の福祉貸付資金の交付時期に関するものであります。  最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  これは、事業効果または事業運営等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、昭和五十九年度決算検査報告には、次の二件を掲げております。すなわち、建設省の都市施設等の整備事業の実施に関するもの、日本国有鉄道の東北新幹線建設に伴い取得した都市施設用地に関するものであります。  以上をもって概要説明を終わります。会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。  引き続きまして、昭和五十九年度国有財産検査報告につきまして、その概要説明いたします。  会計検査院は、六十年十月十五日、内閣から昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十九年度国有財産検査報告とともに、六十年十二月十二日、内閣に回付いたしました。  五十八年度末の国有財産現在額は、四十兆二千八百四十七億四千三百五十万余円でありましたが、五十九年度中の増が三兆千八百四十二億八千七百三十四万余円、同年度中の減が八千九百二十五億五千二百七十六万余円ありましたので、差し引き五十九年度末の現在額は四十二兆五千七百六十四億七千八百八万余円になり、前年度に比べますと、二兆二千九百十七億三千四百五十八万余円の増加になっております。  また、国有財産無償貸付状況につきましては、五十八年度末には、六千三百五十一億千百四十六万余円でありましたが、五十九年度中の増が千七十八億七千百五十九万余円、同年度中の減が九百七億三千百二十七万余円ありましたので、差し引き百七十一億四千三十一万余円の増加を見まして、五十九年度末の無償貸付財産総額は六千五百二十二億五千百七十七万余円になっております。  検査の結果、昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書に掲記されている国有財産の管理及び処分に関しまして、昭和五十九年度決算検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項といたしましては、建設省の空気調和設備工事の施行に当たり、機器材料費を重複して積算したため、契約額が割高になったものの一件であり、また、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしましては、郵政省の小包集中局等の搬送機械設備の保守業務における保守費の積算を業務の実態に適合するよう改善させたものの一件でございます。  以上をもって概要説明を終わります。
  14. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 以上で昭和五十九年度決算外二件に関する概要説明を終わります。     ─────────────
  15. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより全般的質疑第一回を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最初に大蔵大臣にお尋ねいたしますが、政府は予算の編成時におきましては大変気を使うんでありますが、決算の審査におきましては非常に、何といいますか手を抜くといいますか、そういう状況が続いております。今回、五十九年度決算の総括に入るに際しまして、当然やっぱり総理大臣がこの席に出て対応すべきではないかという私どもの強い要求にもかかわらず総理大臣は出席をいたしませんし、また官房長官におきましても、出席要請があるにもかかわらず休養とか静養とかいうような理由で出席をどうしてもしない、これから見ても、政府の決算委員会軽視、特に参議院改革の面から参議院においては決算審査を重視していく、こういう参議院の大方針があるにもかかわらず、この軽視の姿勢がいまだ変わっておりません。毎年度予算を編成する前段におきまして、決算で使った金をよく吟味し分析をして、予算編成にそれを反映させるのが筋でありますが、そういう点から非常に遺憾であります。  新しく大蔵大臣になられました宮澤大蔵大臣決算委員会に臨む姿勢を最初にお伺いをいたします。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国会におきまして決算の御審査をされますことは、予算執行が所期の目的どおり行われているかどうか、適当にかつ適正に行われているかどうかについて御審査をいただくわけでございますので、これは極めて重要なものでございます。政府といたしましては、国会のこのような御審査に資しますために最大限の努力をいたさなければならないことは当然のことでございまして、私どもそのように心がけております。また、御審査の結果は将来の予算の編成、執行等に非常に大きな示唆を与えるものでございますので、これも御審査の結果を十分その点で反映さしてまいらなければならないと考えております。  今後とも国会、殊に本院の決算御審査につきましては、その重要性を十分認識いたしまして私ども最大限の努力をいたしまして御審査に資したいと考えております。
  18. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最後まで今大蔵大臣の言われた趣旨に沿って努力をしていただきたいと思います。  次に、大蔵大臣の財政、経済運営についてお伺いをしたいと思います。  日経新聞の七月二十四日に「新政策を聞く」ということで写真入りで宮澤大臣の記事が載っております。私は、宮澤大蔵大臣が大臣になられる前は、中曽根総理のどっちかといいますと行革縮小均衡型の内需を抑えて経済、財政のつじつまを合わせるというような、非常に結果的にはアメリカの対外貿易摩擦を招いた経済、財政政策であったと思うんですが、これに対して積極財政政策、経済運営を唱えておられましたが、最近、どうも大蔵大臣になりましてトーンが非常に弱まったような感じを、報道からでありますが、強く受けてなりません。その点につきまして最初に、大蔵大臣のお考えが一体変わったのか、いや変わらないのか、そういう点につきましてお伺いをいたします。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 就任以来ちょうど一月でございますので、省内の意見をいろいろ聞いておるところでございまして、したがいまして余り積極的にただいままで発言をいたしておりませんことは事実でございます。  ただいまの段階で考えておりますことは、何と申しましても財政改革、財政再建というのは大変に長い期間を要する、非常に大きな努力を要することでございますから、これが重要であることはもとよりお互いに異論のないところで、私どもこれを何としてもやってまいらなければならないと思っております。ただ、たまたまその過程におきまして、昨年の九月二十二日のいわゆるG5の会議以来今日まで十一カ月でございますが、大きな変化が生まれております。円が、IMF方式で計算いたしますならば五割以上価格が上昇したわけでございますので、そのこと自身は将来に向かって決して悪いことだとは思いませんけれども、ただ、いかにも非常に大きな変化が短い期間に起こっておりますから、これに対応するということはどの国の経済にありましても容易なことではないであろうと思われます。我が国においても事実そうでございます。それに対応いたしまして国の公共事業等々を八割近く契約の前倒しをいたしましたことは御承知のとおりでございますが、前倒しをいたしました後、下半期にどうするかということは、当然政府として答えを出さなければならないところであろうと思います。そのようなことを総合して考えますと、財政再建の路線というものは、これは極めて大事であり、これから離れるということは許されないことでございますが、いわゆる臨時緊急のこの事態に対する対応もまた極めて大切なことである。事態は前例を見ないような大きな変化であることは確かであろうと思いますので、したがって、その両者をどうやって両立させてまいるか。御案内のように、財政自身がなし得ることは財政の現状から見まして大きな期待は実は寄せられないといたしましても、しかし、それでも全体を総合して最善を尽くしてまいらなければならない。財政もまた与えられた現状が許す限りの寄与をしなければならない、このようにただいまといたしては考えておりまして、そういう線に従いまして省内でもいろいろ専門の諸君と検討を続けておるところでございます。
  20. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今の御答弁に関係をしたことにつきまして重ねてお伺いをいたします。  公共事業の八〇%前倒しをされまして、一体下期をどうするのかという課題につきまして、いま一歩、下期の補正予算の時期とか規模とか、こういうものに対してもう少し具体的に、今大蔵大臣の頭にあることを率直に述べていただきたいと思います。  それから、財政の現状が多く期待できないような現状の中であるけれども、その中で現状が許す限りというお話でありまして、大蔵大臣になられる前にはもう少しその辺は、例えば建設国債を出してもやろうじゃないかというような、何かもっと資産倍増論の精神というのは積極的であったように受けとめておるんですが、その点は第二点としていかがでしょうか。  それからもう一つは、公定歩合の関係でございますが、アメリカが引き下げて、また日本や西ドイツに再引き下げの強い要請が出ておりますが、この点につきまして一体どうお考えなのか。  その三点についてお伺いをいたします。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申しましたような認識を持っておりますので、このような事態に対応して、財政を含めまして国の経済政策が、いかなる時期にいかなる規模で、またいかなる内容を持って対応をすべきかということを、ただいま各省でぼつぼつ検討を始めてもらっておるところでございます。その中で財政がどのような役割を担うかということになるわけでございますので、したがいまして、もうしばらく経済の推移を見ながら、九月になりますと、やがて四—六月期の経済速報値(QE)も明らかになってまいりますし、また日本銀行のいわゆる短観等々も出てまいりますので、もう少し経済の実態がはっきりしてまいるかと思っておりますが、そういうことも考えながら、各省庁一緒になりまして、この事態にどういう対応をするかという対策を決めてまいらなければならない時期が参るかと思います。その中において、財政がどのような役割をするかということも、おのずから決めていかなければなりません。  それが補正予算の形をとりまして、どういう時期にどうなりますかということは、まだ、その全体の対策を見てまいりませんと、確たることがただいま申し上げられませんけれども、そのような手順を考えております。  それから、公定歩合につきましてお尋ねがございました。  基本的にこれは日銀総裁の決定にお任せをすべきことでございますが、殊にただいまの段階においてどうかというお尋ねであれば、ただいまの段階におきましても、私は、それに変わりはない、日銀総裁の御決定について、私としては特に自分の意見を申し上げる必要はない、そういうふうな認識を持っております。
  22. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移りますが、先ほど言いました日経の記事を読みますと、大蔵大臣の経済運営、財政運営に対する考え方がにじみ出ておるんですが、減税と増税のトータルの額というのは、とんとんといいますか、イコールといいますかね、こういうようなお考えに一つは立っておられるということ。それから、増税につきましては、新型間接税を工夫して導入する方法があるんではないかということ、こういうお考えに立っているように読みました。  問題は、この前の衆参同時選挙中に、大型間接税を導入するかしないかという問題で、総理大臣は、しないと、こう公に発表しておりますが、それに対して、新型間接税の工夫をし、減税の財源にそれを充てるようなニュアンスの発言でございますが、これは一体どうなのか。私は、そういうことがこれからまかり通るとすれば、これはやっぱり国民をだましたことになるわけでありまして、その点についてお伺いをいたします。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府の税制調査会におきまして、間接税につきましては、現在の間接税のままでございますとかなり負担が偏っておるという考え方から、これを何か見直す必要があるのではないか、是正をする必要があるのではないかというお考えがありまして、小委員会を設けられて、専門家の方々でそういう具体的な、どういう方法があり得るであろうかという研究をされました。その研究の結果が七月に世の中に公表されまして、この小委員会の検討をいわばたたき台といたしまして、政府税調がただいま検討しておられるところでございます。  なお、この検討をされるに際しまして、小倉税制調査会長はこの問題について、総理大臣が選挙中に発言をされたこと、ただいま梶原委員が御指摘になりましたそのことでございますが、そのことは十分に税制調査会長としても念頭に置いてこの問題を検討すると、こう言っておられます。したがいまして、そういう立場から税制調査会が秋になりますと結論を出してこられることと思いますが、私といたしましては、今その税制調査会の御検討の結果を見守っておる、待っておるということでございます。
  24. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 要するに、総理大臣は間接税を、大型というか中型というか、言い方によりますが、間接税の導入はやらないと、こう言った。しかし、政府税調は最終的にはやっぱり導入の方向を答申をしたと、こうなりまして最終的には政府はやるということになれば、それはしかし国民をだましたことになりはしないか。重ねてその点についてやはり政治の姿勢としてお伺いをいたしたいと思います。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 総理大臣が選挙中に発言されましたことは、非常に慎重な言葉使いを使っておられることは御承知のとおりでございますが、また税調会長も、それを十分念頭に置きながら税調としての答申を出したいと、こう言っておられますので、その点はその間に矛盾のないような形での答申が行われるものというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  26. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もうこれ以上この問題は言っても先に進まないと思いますので、次にいきます。  所得税減税の問題でございますが、去る三月四日の与野党幹事長・書記長会談で、今国会中に成案を得るという、私も合意文書を持っておりますが、その実現に向けて大蔵省は実務作業をどの程度進めておるのか、進んできたのか、この点についてお伺いをいたします。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これにつきましては、三月に与野党幹事長・書記長会談の合意がございまして、各党間でその後協議が行われておりましたが、五月になりまして、与野党の政調会長・政策審議会長等の会談におきまして、引き続き協議をすると、こういうお話があったと承知をいたしております。この間、政府といたしましても主として与党の政調会長、政調会等といろいろ議論をいたしておりましたところでございます。  なお、その間に税制調査会におきまして、四月ごろから所得税の問題について中間報告をとりまとめていただきまして、それは御承知のように所得税の累進構造をどのように緩和するか、あるいは配偶者に対する控除、それから給与所得者に対する控除等々について改善の余地がある、こういう中間報告がとりまとめられております。  そういう環境の中から税制調査会は、この秋にも包括的な指針を出したい、こういうふうに考えておられるようでございますので、したがいまして与野党間のお話の趣旨というものは、それを踏まえながら政府としても税調等々にお願いをして努力を続けておる。  なお、この与野党の合意の中で住宅減税の関連のことがございましたが、この点は御承知のように住宅取得促進税制等々につきましては、政令を改正いたしまして、与野党の合意を現実に実施に移した、それは六月でございますが、ことは御承知のとおりでございます。
  28. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今のような時期ですから増税、その後減税じゃなくて、減税は減税で約束したことですから、やっぱりもっとスピーディーに進めていただきたい。それが、また今貿易摩擦で問題になっておりますが内需拡大、この内需拡大にも通ずるわけですから、やっぱり早く作業を進めていただきたいと思います。  またちょっと増税の問題に返りますが、八月の三日に、大蔵大臣は高知市のホテルで開かれました政経文化講演会で講演をされておりますが、その中で「これだけ所得水準が高く平均して分布している国では、もう少し全体として間接税の重みが高くてもいいはずだ。今の七対三ぐらいの比率のバランスをやはりなおすべきだ」というような意味の発言をされております。これは私は今毎日新聞の八月五日の記事を持っておりますが、そういう一歩踏み込んだ直間比率の見直し、要するに間接税の導入に一歩大きく踏み込んだ発言をされておりますが、その真意をお伺いをいたします。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 現在既に我が国で直接税の比率が七〇を超えておるわけでございます、七二、三というところかと思いますが。したがいまして二六、七というのが間接税の割合になるわけでございます。これは年とともにこの直接税の比率がずっとふえてまいっておりまして、最近のところで申しましても、昭和五十年ごろには六九、ずっと累年ほとんど少しずつ少しずつ直接税のウエートが大きくなっております。この間高知で申しましたことは、恐らくこの七対三、あるいは七対三より、より直接税のウエートが大きいということは、これは我が国のように所得水準が高くてかつ消費水準も高い、また所得も比較的平準化しておるという社会におきまして、いわば国民がもう少し間接税を負担をしてもらえる担税力があるのではないだろうか、直接税が低ければそう申す必要がございませんが、直接税自身がいかにも国民の殊にサラリーマンの中堅層にきつくなっておりまして、税調が累進構造を緩和したいと言っておられるような状況でございますので、そうであるとすれば、それはこれだけ消費水準が高くかつ均等化しております間接税にもう少し重点を移してもいいのではないかということを私としては考えておりますし、またそれは世の中でもそういうお考えの方は少なからずおられるであろうと思うのでありますが、ただ、そこで申し上げておかなければなりませんのは、直間の比率というのはやはりいろいろな経済政策、租税・財政政策のいわば結果でございますから、その結果としてそうなっておる。したがいまして、その観点だけからこの税体系を論ずるということは恐らく適当ではない、一つの税体系を考えますときの大切な参考の資料である、一つのめどであるということには違いないと思っておりますけれども、その観点だけから税体系を考えると、こういう意味で申し上げたわけではございません。ただ、全体のいわば国民的な常識としてもう少し直接税が軽くならないものか、殊に中堅サラリーマン層にならないものであろうか、他方で間接税はもう少しは負担をしてもらえるのではないかと、こういうことを申し上げたのであります。
  30. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移ります。  今、大蔵大臣も御承知のように円高デフレの傾向があって、特に中小企業は直接輸出に関係をしている企業以外でも、中小企業というのは第三次産業もひっくるめまして大変厳しい状況にあります。これは皆様方も選挙をされまして、やはり中小企業の皆さんから強くそれは訴えられて肌に感じておられると思います。こういうような状況の中で一体内需を喚起し、そしてもう少し苦労している中小零細企業の経営者の皆さんやあるいはそこで働いている労働者に光を当てるのか、これはやっぱり大きな政府の課題であると思うんです。  それはG5以降、急激にまたそういう状況が出てきておりまして、これに対して一体民活中心だけで、民活民活とこういうことを言っておりますがやれるのか。今までやってきてやれないから、民活で結果的に何が出たのか、東京都の土地代が急に上がった、このぐらいじゃないですか。そういう状況の中で東京—千葉の橋をかける、これも民活とはいいながら、実際は道路公団やあるいは政府がうんとつぎ込むものはつぎ込む、それから補償もしていく。東京周辺はそういうことで大型プロジェクトがある。あるいは大阪では新空港、関西空港、それから明石大橋、要するに首都圏や大都市圏においては大変なそういう大型プロジェクトが政府が関与してやられておる。ところが私の住んでおります大分県、これは大分、宮崎にかけては東九州、ここはもうなかなか道路も高度成長時代に国道が通ってその道路幅というのはほとんど変わっていない、新幹線はもう恐らく永久に走らないだろう、それから複線化もまだ小倉から大分までは完全にできておらない、電化も十分ではない、こういう状況で交通網もそういう状況である。  先般、私は調査に行ってきたんですが、例えば大分県でいいますと国道十号線、これは我々の地域における動脈でございますが、これが七月の十五日の豪雨で、豪雨といっても毎時五十ミリぐらいだったと思うんですが、これで崩れまして、結局七月の十五日から八月の十日まではもう全線ストップなんですね。そしてもう全部迂回道路、それからもう大型トラックというのはその辺の迂回道路も通れないからまた相当遠回りをする、そしてこれがやっと八月の十日に片道だけ通れるようになった、それから十月の十日ごろに仮橋をかけて、そして二車線通れるようにすると、建設省も鋭意努力をしておるわけですが、本格的にもとの道に復旧するのが一年ぐらいかかるというんです。  こういうような地方と中央における社会資本の充足の度合いというのは非常に、おくれた地域はもういいとほったらかしてどんどん進んでいるような気がしてなりません。「大動脈十号線の切断広がる深刻な影響」、こう地方紙でこれは大きく出ておりますが、私どもも現地調査をして本当に歯がゆい思いをしてきた。こういうような状況ですから、私はやっぱり今のような時期にはやはりおくれた地域の地域開発を兼ねて、そして交通網の整備とかあるいは地域の均衡ある発展のためにもう少し地域づくりをするような、そういう財政支出あるいは建設省の方針、こういう点についても強くお願いをしたいわけでございますが、建設省、さっき私が言いました、短かく言いましたから非常にわかりにくかったと思いますが、若干状況を言っていただいて、そして建設省の努力の仕方をもっと早められないか、これは十月まで片一方一車線で途中で信号で行き来する、大分と宮崎の動脈線だ、十号線は。それ一本しかない。そういったような状況をもっと早くやれないのか。それから一年もかかってもとに復旧するような、そんなぬるいこと、豊臣秀吉なんて墨俣城をかけるときに三日でやったというんでしょう。どうしてやれないのか、どうしてそういう政府の神経なのかわかりません。  大蔵大臣も、きょうは決算委員会ですが、もっと地域の均衡ある発展のために一体どうするのか、こういう点について大蔵大臣からも答弁をいただきたいと思いますが、建設省最初に。
  31. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 十号国道の災害復旧の問題については、具体的には局長から答弁させますが、御承知のように過去はおいては災害復旧の基本を、三回に分けて三年間で復旧するというのが基本的な約束で四、五年前までやってきたんですが、それではいろいろ地元に御不便もかけるし、再災害もこうむるおそれがあるものですから、ここ二、三年来は二年で仕上げるということにして、特に初年度に重点を置くというような施策をとってきました。  梶原先生からの御質問があるというので、けさ私、道路局長を呼んで復旧作業の状態を聞いたんですが、ようやく一車線が開通になった。聞けば、非常に都合の悪い、都合の悪いというのはおかしいんですが、隧道かつぶれたみたいな格好になったものですから、なかなか容易ではないようでございますが、これはこれから予算の問題でおくれるようなことはいたしません、完全に早期に仕上げるように、けさも申し渡しをしたところでございます。  それから、いわゆる全体的に見て大都市中心じゃないかという御意見、それはそのとおりだと私も思います。先生は九州ですが、私東北です。東北の方はなおおくれていること事実でございまして、いろいろ考えまして、例えば今話のあった民活の問題も非常に難しいと思うんです。これは今の日本の状態では、公共事業に民活を導入するという格好でなければ、本格的に民活それ自体のものはなかなか難しいと思うんです。そうしますと、損をする仕事は民活でやるわけにはまいりません。そうですから、損をするのをやるから公共事業ですから、そういう意味でやろうとすれば金を持っていくところは大都会ばかりになってしまうものですから、とりあえず今発表したプロジェクトは大都会中心になっておりますが、大都会中心はこれで終わりにしたいと思っております、私個人的な考え方ですが。その他はひとつ重点的に、今検討をしております幾つかの問題があります、まだここで発表の段階ではないかもしれませんが、高速国道のようなものはそういう格好にしたいと考えて今手配をしております。できるだけの措置は講ずるつもりでございますが、何といっても今までの惰性があるものですから、急に私が建設大臣になったから、それじゃ傾斜配分を多くやれ、東京、大阪には一銭もやるななんというわけにもいかないものですから、その点ひとつ御理解を願いまして、十二分ひとつ措置は講ずるようにいたしますから、御理解ある御協力を、これはイデオロギーなしですから、ひとつ御協力をお願い申し上げておきます。  答弁の足りないところは担当局長から答弁をさせます。
  32. 萩原浩

    説明員(萩原浩君) 先生御指摘の国道十号線の大分市戸次地区の地すべりの問題でございますが、非常に大規模な地すべりが延長百三十メーターというごく短い区間に起こりまして、七月十五日から以来非常に地域の方々に御迷惑をおかけいたしております。現在、先生御指摘のとおり、八月十日の午前九時に仮開通といいますか、片側の交互通行で処理しておりまして、非常に現地が急峻な地形でございますのでバイパスといいますか、迂回路をつくる余地がございません。川の中にとりあえず二車線の応急橋をつくりまして、それで二車線通しながら、現在の大規模な土砂崩れのありました山を押さえまして、そして洞門をつくろうという工事でございます。先生御指摘のとおり、十月の半ばごろまでにはこの応急橋を開通させまして、来年の梅雨の前には何とか山を押さえて開通させたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、現地は昼夜兼行で作業をいたしておりますけれども、残念ながら非常に地形の制約がございまして、この工程が現在では最短ではなかろうかというふうに考えております。しかし、なお今後努力をいたしまして、一日でも一時間でも早く開通できるように努力いたしたいと存じますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。
  33. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣、デノミのことにつきまして新聞でちょっと言っておられるのですが、何か不気味ですが、デノミの準備を大蔵省の方でやっぱり、大蔵大臣はやりませんとこう言っておりますが、その点についてちょっとお伺いをいたします。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 就任後このことはいろいろな機会に何度か聞かれておるわけでございますけれども、私自身は、今デノミというようなことをやる考えを一切持っておりません。また、政府としてもそのような準備をいたしておりません。このような経済界が非常な大きな変化に遭遇いたしておりますときに、非常に大きな負担をまた余計かけるというようなそういう施策は、私はとるべき策でないというふうに考えておるわけでございます。
  35. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。  次に移ります。人事院と大蔵大臣にお伺いしますが、八月十二日に六十一年度の国家公務員一般職の給与について二・三%の引き上げをする勧告をされましたが、これは昭和三十五年以降最低の引き上げ率で、私は今の時期になぜとこう非常に不満でございますが、人事院総裁はその最低勧告を出した根拠についてひとつ明確にしていただきたいと思いますし、さらに大蔵大臣、財政難を理由にこれまでのような勧告を値切ったり、あるいは支給時期をおくらせたり、こういう悪い慣行をつくってきたのですが、そういうことはしないようにお願いをしたいのですが、ひとつ前向きに御答弁をお願いをいたします。
  36. 鹿兒島重治

    説明員鹿兒島重治君) お答え申し上げます。  去る十二日に勧告いたしました本年の給与勧告につきましては、お話のとおり二・三一%という数字になっております。ことしの勧告につきましてもほぼ例年と同様に、民間の給与が大きく動きます四月時点の国家公務員の給与とそれから民間の約七千七百の事業所の給与を比較いたしまして、この数字が出てきたわけでございますが、若干詳細に申し上げますと、四月現在で私どもが調査をしましたときに既にベースアップ分の給与を支払っておりました企業が約八〇%ございますが、その較差が金額で申しますと五千二百九十五円ということでございます。そして、調査の時点におきましてなお支払ってはおりませんが、四月にさかのぼってベースアップをするという企業が約二〇%ございまして、その分が金額で八百一円、合計いたしますと六千九十六円という金額が出まして、これがパーセンテージに直しますと二・三一%という数字になった次第でございます。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま人事院の方から御説明のありましたような勧告がなされたわけでございますが、私といたしましてもこの制度の趣旨、ねらいとするところはよく存じておりますが、同時にまた御承知のような財政の状態でございますのでもうしばらく、大変に財源を必要とすることでございますから、財政経済の推移を見てまいって慎重に検討さしていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  38. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大物大蔵大臣ですから、もうそう二・三%ぐらいはいろいろ言わぬでやると、こう言ってくださいよ。  次に防衛関係費を中心に質問をいたします。  防衛関係費の関係でございますが、人勧の二・三%の支給を実施をいたしますと当然防衛費、GNP一%を超えることになるわけですが、同時に今のような状況ではこの経済成長率も落ちてきて下方修正をせざるを得ないような状況でございますが、そうすれば、ましてや一%を守るというのは非常に難しくなってきていると思うんです。大蔵大臣はかつて官房長官時代に一%はびた一文超えてはならない、こういう答弁をしておりますが、そのお考えには変わりないのか。それから防衛庁長官は、防衛費はGNPに対して一%を超えるかどうかではなくて、防衛大綱の水準をいかにして達成するかについて国会で慎重に論議してもらいたいというこれは新聞報道が出ておりますが、少しニュアンスが違うことになるわけですが、最近の大蔵大臣の発言はないわけですが、ぜひきょうはお二人にどういう対応をするのか御答弁をお願いをいたします。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三木内閣当時の閣議決定の趣旨というものは、私は今日でもやはり考え方として守ってまいることが適当であるというふうに考えております。
  40. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今まで一%問題でいろいろと論議があったわけでございますが、それは私が就任いたしましてから記者会見とかあるいはいろいろの会合での発言がもとになっているわけでございます。そのときには防衛計画の大綱の問題と一%、どちらを優先するんだというような議論、あるいは一%を超えると軍事大国になる、一%以下なら軍事大国にならないじゃないか、そういうような議論の中に出ましたので、防衛庁といたしましては防衛計画の大綱水準を一刻も早く達成する、そのために中期の防衛力の整備計画も立てたわけでございますから、そういう意味で言うたわけでございます。人勧の問題と関連をして一%問題を言うておらないということを御理解いただきたいと思います。
  41. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その点につきましては後でまたお伺いしますが、大蔵大臣にお伺いしますけれども、六十二年度予算の概算要求基準をさきに閣議了解をしたようでありますが、この概算要求基準というのは一体何なのか。要求基準というものは基準より最終予算が決まるときほに下回ることもあるのか上回るのか、その辺についてはっきりしないわけですが、この点いかがでしょうか。
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 概算要求基準、かつてはシーリングと申しましたが、設けられました経緯から申しますと、財政改革を推進しなければならない、そこでしかしその一つの手段として各省庁で要求段階から各省庁の主体性を持って所管の予算をひとつ洗い直してくれないかと、そして優先順位を考えてくれないかと、こういう意味で各省庁から予算要求をされますときの、いわゆる概算要求のときの一つの基準を設けようと、そういう考えから設定をいたしたものであります。したがいまして、この概算要求基準というものはそれ自身が何かの既得権になるということではもちろんありませんで、そのもとになされました概算要求につきましては従来と同じように予算編成過程で十分精査をいたさなければならない、また現にここ何年かそのようにいたしておるわけでございます。
  43. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ということになりますと、概算要求基準はあくまで基準であって、今度決まりました六・三%は下回るということもあり得ると、当然ですね、そういう判断をしてもいいわけですね。
  44. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あり得るということであればそのとおりと考えます。
  45. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それでは聞きますが、防衛庁長官大蔵大臣にお尋ねしますが、六十二年度の防衛費を対前年度比六・三%、非常に突出をさしておるんですが、この点についてはなぜ突出をさせなければならなかったのか、その根拠、理由、これについて簡単にお伺いをしたいと思います。
  46. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 突出という言葉が何に対してというところが非常に重要でございますが、恐らくほかの予算と比べてみてという意味だろうと思います。そういう意味では確かにそのとおりでございますが、私ども自体は防衛力の整備を着実にやっていく、しかも必要最小限度の防衛力の整備と、そういう意味合いでどうしてもこれだけはいただきたいという数字でございますので、私どもの感覚ではこれは必要最小限度のものをいただいておって、ほかの予算との関連におきましてはそういうようなお考えがあるかもしれませんが、私どもとしてはぜひともそれだけいただきたいと、そういう感じでございます。
  47. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 失礼しました。何に比べてと、私も時間がせくものですから言いませんでした。お互いにやっていることですから言う必要ないと思うのですが言いますと、経常部門は対前年度予算比一〇%マイナス。いいですか、投資部門は五%マイナス、このことを言っているんです。このことに対して六・三%は突出しているじゃないかとこう言っているんです。
  48. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そういう意味ではそのとおりでございます。ただ、どうして必要かということになりますとただいま申し上げたとおりです、防衛力の整備を着実にする、そういう意味合いからぜひ必要であると、こういうことでございます。
  49. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 防衛庁長官にお尋ねしますが、六十年度の防衛費の最終額は本年十月に確定をされると、こう聞いておりますが、昨年の秋以降の円の急騰によりまして外国から武器、航空機など装備品購入費が安くなっているはずであります。  しからば、当然六十年度の防衛費は国会で承認をいたしました予算額よりも相当少なくなっている見通しでありますが、その点はいかがでしょうか。そこで減少額と主な装備品別に、減額をしている、このくらい減額するであろうという数字を出していただきたいと思います。  それから、六十年度予算の防衛費、防衛予算を組むに当たりまして一ドル何円のレートで編成をしたのか、この点についてもあわせてお願いをいたします。
  50. 池田久克

    説明員(池田久克君) まず第一点の六十年度の防衛費の決算額でございますけれども、これは先生御承知のとおり、現在計数を締めまして、いずれ十一月になりましたところで内閣として確定をいたしまして検査院に報告するということになっておりますので、それまでには最終的な決算額は確定しないと、こういう仕組みになっております。  次に、どういう節減があるかという点でございますが、これも今申し上げたような趣旨でまだ確定はしていないわけでございますけれども、補正後のものに対して全体で六十五億二千六百万程度の不用額が出るものと思って今計数の整理をいたしておるところでございます。  それから第二点の六十一年度の外貨、ドルについて幾らと判断しておるかということでございますけれども、これは支出官レートのことと了解いたしまして申し上げますと、二百九円になっております。
  51. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 六十五億円というのは、時間がなくて資料を全部集められなかったんですが、私の勘ですが、六十年度予算を編成するときには二百九円、それが今は百五十三円とか百五十四円とかこう言っておりますが、既に六十円近く変わっておるわけです。  そうしますと、私は六十五億というのは非常に少ないと思うんです。その根拠を示していただきたい。今言っておるのは直接アメリカ、外国から買う武器、弾薬、飛行機、そういうものだろうと思うんです。ところが三菱商事あたりが飛行機をつくるときに、アメリカの何というか、パテントやなんか、特許ですか、相当買う部分がある。三菱が確かに防衛庁に納入はしているけれど、アメリカにドルで相当払う金額があると思う。私は当然これはそこまで入れて、そして計算をして、日本は円高によってこれぐらいメリットがあった、だから防衛費もこれだけ安くなる、当然円高によって三菱もあるいは石川島播磨ですか、そういうところへ払う料金というのは相当節約されておるわけですから、その部分は当然防衛庁の方にも安く入るわけです。それも一緒に合わして六十五億というのは余りにも少ない。私はもっと相当大きな額になると思う。一体ここを追及しなくて何で、これはしり抜けじゃないですか、いかがですか。
  52. 池田久克

    説明員(池田久克君) ただいまは六十年度決算についてのお話と理解して御答弁申し上げますが、六十年度支出官レートは二百三十七円でございました。それが六十一年度は二百九円になっております。六十年度の年間の支出官レートが二百三十七円と申し上げましたが、御承知のように六十年度は十月くらいまではたしか支出官レートよりも円安で推移しておりました。したがいまして、その後支出官レート以上に円高に推移した、こういう経緯がございます。  そこで、ドルの、外貨の差益について申し上げますと、六十年度は補正の段階で二十八億減額をいたしました。そしてさらに、この決算の段階で六十五億のうち為替の分が約三十億、これに追加されます。  なぜこういうことになるかと申しますと、あらかじめ申し上げておかなきゃいけないわけですけれども、防衛庁としては外貨建てのものにつきましてはそれぞれ特約条項がついておりまして、差益が出たら召し上げる、支払わない、こういう運用をしております。特約条項がそれぞれの外貨建てについてございまして、外貨の差益が出たら、それは我が方としては見ない、払わないと。円が高くなったことによって会社が不当な利益をもらわないという制度になっております。  これが前提でございますが、次に、その契約の仕方は大まかに言って三種類ございます。  第一は、FMSと申しまして、アメリカ政府から日本政府が直接買うものであります。これは支出官レートで当方は日銀に支払いまして、日銀が実勢レートで支払っておりますから、当方としてはここで差益は出てこない仕組みになっております。もちろん、日銀から不用として大蔵省に計上されることはございますけれども、防衛庁としてはこの点については関知をいたしておりません。  第二の問題は、一般輸入でございます。一般輸入は、原則として実勢レートで運営しておりますが、これはいずれそれぞれの段階で精算をして、不用が出れば不用計上をするということになっています。  第三のグループは、国産品中の輸入というものでございまして、まあ先ほど三菱という話がございましたけれども、例えば三菱に我々が発注いたしますと、三菱が外国から物を買う、こういうものがございます。こういうものは長期にわたりますし、契約の制度上いわゆる確定という行為をいたしまして、中間年度あるいは最終年度に確定行為をいたしまして、その業者がどの段階で外国から資材を入れたか、それを個々に精査して、そして確定する仕組みになっておりますから、初めから、今下がっているから今の金で全部予算を切ってもいいとか、余るはずだとか、こう断言できないわけであります。したがいまして、我々としてはその時点時点で個々に当たりまして、不用なものは不用として計上する、いささかも計算に狂いがないように努力しているところでございます。
  53. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私、先ほど六十年度のことを聞きましたが、六十一年度も、これからのこと、まあ同じ考え方ですね。  そこで、今言われましたように、契約の三つのパターンがありまして、FMSの関係と一般輸入と国産品中の輸入、この三つ。この三つは、防衛予算の中で占める割合は、人件費が何%、糧食費とか何か何%と、こういうような見方からしますと、この三つの段階というのは大体どのくらいのパーセントを占めているのか、それを教えていただければ、私が先ほど言いましたような円高差益といいますか、ある程度はもうおのずから概算で計算ができる、見通しがつくわけですが、この三つのパーセントをちょっと今教えてください、防衛費に占める割合ですね。
  54. 池田久克

    説明員(池田久克君) はい。今年度の、六十一年度の場合で六・九%……
  55. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どっちが。
  56. 池田久克

    説明員(池田久克君) トータルでございます。ちょっと今数字を、それぞれの事項に分けた防衛費の比率が今ございませんので、後ほど資料として御提出したいと思います。
  57. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 六・九%という、そういう低い数字になるはずないんじゃないですかね。要するに、人件費や糧食関係、そういう厚生費関係で約五〇%、こう言えば、あとの五〇%は正面装備費やあるいは消耗品費、こうなってくるわけでしょう。そうしますと、まあ少なくともあと残りの五〇%のうちの二、三〇%ぐらいは要するに外国のブランドかあるいは国産品の中に向こうの技術か何か輸入した、払っているものが入っているんじゃないですか。六・九%ということはないでしょう。  だから私は、ここのところはやっぱりもっと精査をするなら早く精査をして、六・三%というような防衛予算を組まなくても円高によって相当程度メリットが出ているわけですからね、これはもっとしっかり考えてもらわなきゃいけないと思うんですよ。
  58. 池田久克

    説明員(池田久克君) 大変失礼いたしました。六十一年度の場合について正確に申し上げます。  まず、外貨建て総額は二千三百五億でございまして、これが今申し上げました防衛関係費三兆三千四百三十五億に対して六・九%になっております。問題は二千三百五億の内訳でございますが、FMSが五百九十五億、一般輸入が四百七十二億、国産品中の輸入が千二百三十七億、まあ大体半数近くが国産品中の輸入で、残りが半分半分でFMSと一般輸入、こういう格好になっております。
  59. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それにしても二千三百五億の中に国産品中の輸入は、三菱なら三菱が外貨を払った分が、そういうやつの合計が千二百三十七億というのは、私はちょっと少ないんじゃないかと。これはもう少し後ほどこの数字の内訳を出してください、お願いをいたします。  それから、仮に二千三百五億であったとすれば、先ほどあなたが言われました金額は、六十五億というのは違うじゃないですか。二千三百五億なら、二百九円が百五十三円なら三円になった場合には約六十円。六十円ということは何割なんですか。これはあなた違うじゃないですか。四百億近くぐらいにならにゃあれじゃないですか、どういうことですか。
  60. 池田久克

    説明員(池田久克君) これは先ほども申し上げましたように、この三つの契約の仕方が違うわけであります。  まず、FMSと申しますのは、先ほど申し上げましたように、我々の場合は幾ら実勢の価格は変わりましても支出官レートで日銀に支払いまして、日銀が実勢レートで支払う。そこで差額が出れば国庫に日銀から納入される。したがいまして、これは今の何円下がったから幾らという計算には該当をいたしません。  一般輸入につきましては、これは先ほども申し上げましたように、原則として実勢レートでやってまいりますが、個々の段階で精査をいたしまして、いずれ精査、計算して不用に立てます。  三番目の国産品中の輸入につきましては、先ほどもるる御説明いたしましたが、長期にわたるものでございまして、部品の手だての段階がいつになっているのか、いつ、どの段階でどれだけのレートで買ったのかを個々に精査して、いずれ確定する段階で余っておればそれを戻してもらう、こういう仕組みになっておりますから、頭で全部掛けて幾らというわけにいかない仕組みになっているわけであります。  いずれにしても防衛庁としては、差益が出たものについては全部還元していただく、こういう制度でやっております。
  61. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 自信持って六十五億とかこう言いましたけれども、ちょっと今それおかしいんじゃないかと思うんです。  それで、六十年、六十一年、それから中期防衛力整備計画十八兆四千億、これが円高によってどれだけ節約をされるか、それが一つと、それから石油の値下がりによって幾ら節約がされるか、この点についてきょう恐らく資料はもう出ないのだろうと思うんですが、早急に出していただきたい。委員長、お願いをします、要請します。
  62. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 先ほどの資料は先ほどの説明でいいんですか。
  63. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほどもわかりません。
  64. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それと今の資料。資料の関係も含めて答弁をしていただきます。
  65. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) ただいま御質問の中に中期防衛力整備計画が円高でどう変わるかというような御質問がございまして、資料を出せというようなお話でございましたが、御承知のように、中期防衛力整備計画というのは六十年度の価格で実質ベースでつくられておるわけでありまして、名目ベースどうなるかということにつきましては、今後の為替変動というものが読めないからどうなるかということはわからない。あるいは名目ベースで言えばベースアップがあるとか、あるいは運賃が上がるとか、そういった上がる要素もたくさんございます。その種の名目ベースの変化というものについては、時々刻々変わっていくものでございまして、これについて中期防衛力整備計画をつくり直すということは不可能でございますので、我々としては中期防衛力整備計画というのは、いわゆる六十年度価格実質ベースでつくられておって、それを基準に名目ベースというものを、年々の変動があればそれを除いて比較をするというものでありまして、中期計画を一部の名目ベースのものを取り入れてつくりかえるということは不可能でありますので、その種の資料はできかねるというふうに申し上げたいと思います。
  66. 池田久克

    説明員(池田久克君) 先ほどの決算のときの差益の資料でございますけれども、これは六十年度決算のお話と理解をいたしましたが、これは先ほど申し上げましたようにまだ確定するまでに時間が必要であります。しかし、その確定した段階で私が申し上げた外貨の差益の中身ということは御提出できると思います。
  67. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 防衛庁長官に重ねてお願いしますが、事務当局は今のような答弁でありましたが、見通しをひっくるめまして、六十年度は見通しはこのくらいになるだろうと、六十一年度の見通しはこのくらいになるだろうと。それで中期防衛計画、今答弁がありましたように六十年度ベースでとこう言う。状況ががらっと変わっているんですからね。それで変える必要ないなんという答弁は承服できない。一体予算編成に向かってこれからどうやるかという議論を今ここで、決算でやっているわけですからね、これは承服できないですよ。長官、どうですか。それは見通しをひっくるめて大体おぼろげなことが我々の頭に入るぐらいまでは資料を出してくださいよ。
  68. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 見通しのつくものは出したいと思います。ただ、中期防衛力の整備計画ですね、これは今防衛局長も言いましたように昭和六十年度の価格でやっておりますから、今は円高でございますが、今後どうなるのか、そこら辺が非常に不確定でございますので、今の円高のレートでこれを見直すとかと、こうなるということは余り適当でないと、こう思っております。
  69. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 やはり三割も四割も円高になって今のような状況ががらっと変わった状況で、そして全体の予算をやっぱり抑えてこようとしているときに、防衛力整備計画だけは金額は、あといろいろなことがついておったにしても、十八兆四千億円でぼんと表に出すようなやり方というのはこれはおかしいですよ。これおかしくないですか。あなたたちが私の立場に立って考えてもこれはおかしいと、やっぱりもっと国民に現状に合うようなやはり物の示し方をするべきではないか。だれだってこう思うですよ。いかがですか。
  70. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) 先ほど申し上げたように、防衛力整備五カ年計画と申しますのは今後五カ年間の防衛力整備の指標になるものでございますので、実質ベースできちっとつくっておきませんと、仮に例えば今の円高のようなお話の名目部分を入れる。そうしたら今度は、ベアが昨年あったわけでございますが、そのはね返りをどうするかというようなことがございますので、恣意的に名目部分をあるものだけ取り入れるということになりますと、指標としてぐらぐらしてまいりますので、やはり実質なら実質ということできちんと指標は置いておいて、それに対して名目どうなり、実質はどうなったかというように比べるようにいたしませんと、指標部分を一部だけ名目の上がり下がりを入れるということになりますと、我我としては五カ年間の指標、基準としての整備計画の持つ意味というものがはっきりしなくなってくるということを申し上げているわけであります。
  71. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そんなことを言ったって理解できない。状況が変化してその状況によって対応していくというんなら、六十二年度予算の編成六三%、これは突出じゃないと、こう言うんです。しかし、円高メリットによって私はもっと金額は相当出ると踏んでいます、調べりゃわかるんですから。そういう状況にあるにもかかわらず六・三%をやっぱり高い数字に置いているじゃないか。だから、十八兆四千億円を上に置いておれば、いずれにしても状況は変わったといってもいろいろ言うて高いところへ置くじゃないか。だからどうしてもそれは納得できないので、大臣が言いましたように、置くのは置いたっていいですから、大体見通しをひっくるめて資料を出してもらうようにさっきから要請しているんです。
  72. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は、六十年度、六十一年度で大体の見通しができると、そういうものがあるならばそれはお出しをすると、こういうことを言うんです。防衛力の整備の中期計画でございますね、これは防衛庁だけの計画じゃなくて、ほかでも随分そういう計画はあると思うんです、これ。これはそういう中期の計画という一つの性質上、そういうことについてお出しをすることはできないと、こう申し上げているんです。
  73. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 納得できません。時間がないから、納得はできませんが、これはどう考えてもおかしいわけですからね。おかしいですよ。かつて二百三十七円のものが百五十円ぐらいに下がって、二百三十七円の時点ではじいた数字が十八兆四千億ですからね。それをそのままにしておるというのはおかしいじゃないですか。油代も変わっているし、それから円も急騰している。こういう状況の中で、情勢がまるっきり変わっているんですからね。少なくとも、それが固定をするんなら大体の見通しはこのくらいになると、そのぐらいのことは国会に出していいじゃないですか。
  74. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) たびたび申し上げるようでございますが、私どもとしては各年度予算について、これは名目で決まってくるわけでございますが、それを中期計画と比べる意味で実質的に、実質価格ではどのくらいになるからこの程度の進捗率であるというような数字をお示ししておりますので、そういうようにお考えいただきたいと思います。  なお先生の御質問の中で、円レートがどうなるかということについて簡単に出るように申されますけれども、例えば六十年度なら六十年度の平均的な実勢の円レートがある金額であったとしましても、我が方の支払いというものは後払いみたいな格好でありますから、その年の予算の金がすべてその時期に契約されたものではないわけであります。もっと古い時期に、数年前、古いものは四年ぐらい前に契約されたものであると。ということになりますと、その円レートが直ちにそのままの率で予算額に効いてくるというわけではございませんので、それぞれの契約した内容によって、それがドルでどう支払われたかということがその時点、時点で押さえませんと、具体的にある飛行機なら飛行機を買った際に、円レートが逐次変動してくるわけですが、どの時点で契約したかということがはっきりしませんと出てこないということでありますので、一律に円レートがその年の予算に効いてくるということではないことを御理解いただきたいと思います。
  75. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣、円レートが契約がばらばらするからそれはなかなか定まらぬというような話を今しておりますが、そんな枝葉のことを言っているんじゃないんです。だったら、まあ大体政府間で百五十三円というのは無理だろうと、百六十円かまあ大体このごろ皆さんがいろいろ計画を立てるときに、経済企画庁や何か立てるときの見通しの数字をとればいいわけですよ。だから大蔵大臣、私はおかしいと思うんだよ。十八兆四千億の中期防衛力整備計画そのものは、今のような大体だれが考えても常識的に推移している円高の状況の中で、一体どのくらいになるのだろうかと。ここら辺までのやはり予測資料を出せと言ったら出せないと言う。大蔵大臣いかがですか。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今の御質問と答弁を伺っておりまして考えることでございますが、要はこの防衛計画の大綱を達成するために中期防衛計画、それは十八兆四千億円、これは六十年度価格である。固定価格でございます。実質価格である。そこで、こういうふうに経済情勢がいろいろ変わっておりますから、この六十一年度にこの計画を現実に実態として進めていくのにはどれぐらいの予算支出が必要であるかと、こういうことに帰着するのであろうと思われます。これは確かにレートも変わる、油の値段も変化をいたしますが、今政府委員からもお聞きのように、かなりその間の数字を確定するのは複雑な作業のようでございます。私どもはこれから概算要求を精査いたしますのは、実はそういう仕事をやってまいりますわけでございますから、御趣旨の意義もよく踏まえまして、間違いなく予算の精査を、概算要求からの精査をいたしてまいりたいと思っております。  ただ、その数字が今幾らぐらいになるかということを事務当局にお問いになられましても、大変に複雑な要素がいろいろございますので、それは今数字として申し上げられないというのはあるいは無理からぬことであろうかと思いますが、予算の査定に当たりましては御発言の趣旨は当然のことながらよく考えてやってまいります。
  77. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、六・三%が高いか低いかという議論を考える場合に、あるいは六十二年度予算が決まる場合に、防衛予算が決まる場合に、あるいはその十八兆四千億円の中期防衛力整備計画そのものを見る場合に、やはり今の状況で考えた場合には一体どう判断をするかという点について、これはもう少しはっきり資料を出していただかなければ判断ができないわけですよ。ですから、今は恐らく無理でしょうから、先ほど言いましたように、大蔵省と防衛庁一緒になって、六十年度、六十一年度、それから中期防衛力整備計画、これに対する見通しについて私は出してもらいたい。見通しは大体これぐらいだと、大体このぐらいになるだろうと。大蔵大臣、いいですね。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私もどうも余り細かいことをはっきり存じませんのできちんと申し上げられませんが、このたびの六・三%といういわゆる概算要求基準、昨年の場合はこれはたしか七でございました。一昨年も七であったと思いますが、この概算要求基準が六・三で決まりましたことの中に、恐らくは先ほどから梶原委員がおっしゃっていらっしゃいますようないろいろな要素が両省の間で議論されておったに違いないと、私の着任前でございますけれども、想像をいたします。したがいまして、ただいま御指摘のようなことは、防衛庁がこの中期防衛計画のいわゆる六十年度価格での十八兆四千億円、その六十二年度に該当する部分を支障なく遂行していけるための予算というものは幾ばくのものであるか、それはおっしゃいますように、円も高くなっておりますし、石油価格も安くなっておる、そういう等々の環境を考えながら間違いなく査定をしてまいりたいと、こう考えております。
  79. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 防衛庁長官、これはここではいそうですと言って引き下がるわけにいかぬです。次に総括がありますから、そのときはもう今度は総理大臣に出てもらう。総理大臣は総括には出らぬというんですよ。これはこんな状況なら総理大臣も出てもらわなきゃいけない。あなたたちがこの問題を出さぬなら判断ができぬのだから、六・三%をどう見るかという問題、あるいは中期防衛力整備計画十八兆何ぼというのは一体どう見るべきか、今の状況で。これはわからぬ以上は判断できないんだから、これは総理大臣、幾ら出らぬと言っても、出ないと決算委員会続けられぬと思うんですよ。お変わりないですね、考え方は。
  80. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 考え方には変わりはございません。ただ申し上げられますのは、六十二年度のいわゆる今概算要求をするわけでございますが、それをこの十二月の予算でどのように精査をされるか、そのときにいわゆる円高と、そのメリットというものが防衛費の中でどの程度出てくるんだと、そういう論議はあろうかと思います。
  81. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから次に問題を残して移ります。  円高差益の還元につきましては、経済企画庁は「物価レポート'86」を発表いたしましたが、これは七月二十四日ですが、これによりますと、円高や原油価格の低下による効果だけを見ると、四月時点で既に消費者物価は前年水準より三・三%も下落している計算なのに現実はそうなっていない、差益還元が十分に行われていないからであると報告をしております。この点につきまして特に通産大臣、思い切った公共料金、電気・ガスその他公共料金、特にタクシー代やなんかというのば、燃料費は下がっておるのに全然下がっておりませんが、要するに生活部門にかかわる、生活で一番金がかかるようなところからやっぱり下げていかないと、端のところを幾ら下げたってそれはあんまり関係ないですからね。国民生活がもっと豊かになるようなそういうところから下げないと、実際は円高による国民生活への還元というのはほとんど敏感に感じるような状況にはなってない、この点についてお考えをお伺いし、特に中小企業、零細企業というのは、先ほど言いましたように非常に厳しい状況ですから、ただ形だけいろいろやるんではなくて、やっぱり実のある施策をやっていただきたいと思うんですが、通産大臣のお考えをお伺いして次に移ります。
  82. 田村元

    国務大臣(田村元君) まさにおっしゃるとおりでございまして、私ども生活に直結した分野の円高差益の還元ということに対して非常に深刻に考えております。  先般も百貨店、スーパーの代表に通産省へお越しをいただいて私から直接お願いを申し上げた。また、日本の産業に著しい影響を及ぼさない範囲内で適正な輸人の促進ということもお願いを申し上げたわけでございます。  まあ公共料金といいましても、私どもは円高差益の還元を強く求めておりますけれども、それぞれに所管という面で私どもの所管にかかわらないところもございますから、そういう点よく横の連絡をとり合ってお願いをしながら進めていきたいと思っております。  それから電力・ガスでございますけれども、これは去る六月に円高差益の還元、相当大幅なものをいたしました。一兆一千二百億円という還元をいたしたわけでございます。そこで電力・ガス等についてもいま一段の再還元をしたらどうかという御要望が非常に強いことは承知いたしておりますけれども、何さま今の為替レートのフロートというのがもう投機化いたしておりまして、もう常軌を逸しておるような感じがいたします。政府も必死になって鎮静化に努力をいたしておる、こういうときでございますし、また原油価格もOPECの生産調整というようなことを中心にまだ価格の不安定な面がございます。でございますから、六月に大幅な差益還元をいたしました電力・ガス料金でございますだけに、いましばらくちょっと為替レートの、つまり円の動向あるいは原油の価格の動向、LNGなんかの動向を見きわめてからというふうに考えまして、目下横目でにらんでおるというような状態でございます。ただ、おっしゃるとおりでありますから、私も円高差益を各分野において、特に生活関連の分野においてどんどんとやっていただきたいというふうに思っております。  それから、今中小企業対策のことでお話がございました。中小企業、御承知のように、日本の事業所の九九・四%は中小企業でございます。でございますから、私は、私自身の仕事の中心は中小企業対策だと思っておりますから、むしろ通産大臣と言われるより中小企業大臣と呼んでもらいたいというぐらいの気持ちが実はあるわけで、就任のときのごあいさつもそう申し上げたわけでありますけれども、大変深刻な状態であります。特に、輸出関連の下請あるいは地域的な不況産業等等でいろいろと配慮をいたしております。去る二月に、事業転換法、あれはなかなか名前が難しいんで、正確に言いますと、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法というんでありますが、これの施行をいたしました。それを初めとして、円高特別貸付制度、これは事業転換の場合に四・八五%、倒産回避が五・〇%、全体で三千億、半分以上もう消化いたしましたが、あるいは信用補完の特例等の金融対策、それから、都道府県に産地中小企業対策推進協議会の設置とか、産地中小企業活路開拓アドバイザーの派遣、名前が書いてありますが、こういうことを中心とした特定産地中小企業対策とかあるいは相談指導体制の整備とか下請取引あっせんの強化などの下請等中小企業対策、こういうことをやってまいって特別調整対策を講じておるところでございます。特に集中的に影響を受けております輸出型産地あるいは企業城下町ということが言われておりまして、先般も調査をしたところでありますが、こういうところにつきましても、その地域の中小企業の動向を注視しながら、今後も適時適切の措置を講じていきたい、このように考えております。
  83. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ、今本当に中小企業は困っておりますから、早くやっぱり本格的な手を打っていただきたいと思います。  次に、政府開発援助に絡む国際協力事業団の中堅幹部の汚職事件についてお尋ねをいたします。もう時間がありませんから、警察庁あるいは外務省あわせてお尋ねすることになると思いますが、簡単に御答弁をお願いします。  警察庁は、去る八月の十三日、JICAの農林水産計画調査部農林水産技術課課長代理美谷島氏を、モロッコ王国への農業開発援助事業で有利な取り計らいをした謝礼として、コンサルタント会社中央開発から、約数十万のわいろを受けたことから収賄容疑で、また中央開発専務の木村氏を贈賄容疑でそれぞれ逮捕したと、発表をマスコミによってされておりますが、警察庁にお尋ねしますが、捜査状況並びに送致事実についてお答えをしていただきたいと思います。  それから、外務大臣はJICAの有田総裁に対しまして、事実関係を十分調査して、再発防止のために事業団の綱紀粛正に努力するように指示したと、こう言われておりますが、JICAでは一体どういう事実を調査をして対処をしてきたのか、この点について。  それから、農林省の幹部課長補佐が四人の団長として行ったそのときに、このコンサルタント会社の技術者が一緒についてまわったようになっておるわけですが、農林省は、そういうときに外部の者が一緒についてまわるようなことを黙認をしてきたこの責任を一体どう考えておられるのか。その点について答弁をお願いをしたいと思います。
  84. 古川定昭

    説明員(古川定昭君) お尋ねの件につきまして申し上げます。  警視庁におきまして、国際協力事業団が発注しましたモロッコ王国ウジュダ州地下水・農村開発計画実施調査の指名業者選定等に関しまして、便宜を図ってもらったことの謝礼として、調査業務を請け負った会社から現金を受け取ったという贈収賄容疑で、本年の八月十三日に同事業団の幹部職員一名と請負会社の専務一名の計二名を逮捕して、現在捜査継続中であるということでございます。
  85. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたします。  外務省といたしましては、今回のような不祥事が起きたことをまことに遺憾に存ずる次第でございまして、再びこのようなことが起こらないように万全の対策を講ずる所存でございます。  梶原委員御指摘のように、逮捕の翌日、同事業団の有田総裁を外務省に招致いたしまして、私から直接、かかることが再び起こらないように職員の綱紀粛正に最大の努力を払うように、指示したところでございます。  なお、国際協力事業団としても、今日の事態を深刻に受けとめまして、十五日付で国際協力事業団内に調査委員会及び規律委員会を設立し、事件の再発防止のための検討を開始したという報告を受けております。  今回の事件はまことに遺憾でございますが、同時に我が国を遠く離れて異郷の地のアフリカあるいはアマゾンの地区において一生懸命に働いておられる若さ青年協力隊の諸君、そういう方々の士気に影響しないようにするためにも、しっかりした調査をいたしたいと思います。
  86. 遠藤要

    国務大臣(遠藤要君) ただいまの案件につきましては、検察庁として厳正に処理をさせることを申し添えておきます。
  87. 眞木秀郎

    説明員(眞木秀郎君) このたび農業関係の技術協力事業の実施に関連いたしまして、この実施機関でございます国際協力事業団職員から逮捕者が出たことにつきましては遺憾に存じております。  近年、開発途上国から農林水産業協力につきましての要請は非常に増大をしておりまして、これに適切かつ積極的に対応をしていくことが求められておるわけでございます。このため公正かつ適正な事業運営によって、途上国の期待にこたえていくということが一層要請されておると考えております。  当省といたしましても、今回の不祥事件の事実関係も踏まえました上で、外務省あるいは国際協力事業団とともに適切な国際協力事業の実施が確保されますよう対処してまいりたいと思っております。  ただいま御指摘のございました、今回のモロッコ王国ウジュダ州地下水・農村開発計画に係る事前調査につきましては、国際協力事業団からの派遣要請を受けまして、昭和六十年十二月に当省から三名の技術職員が参加いたしたわけでございます。この調査団に中央開発の社員が同行し、あるいはまたそれを黙認したといった報道につきましては、当省調査団員の報告によりますと、現地では同社社員に会うことは会いましたが、モロッコ国との協議の場等には一切そのような者は同席しておらず、同社社員が調査団の一員のごとく行動したものではないと承知しております。  今後とも、疑惑を招くことのないように、一層その点は注意をしてまいりたいと考えております。
  88. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) 今回、国際協力事業団の職員の中から収賄容疑で逮捕者を出しましたことに対しましては、国際協力をますます発展させねばならないこの重大な時期に、まことに申しわけなく、深くおわび申し上げる次第でございます。  ただいま外務大臣からお話がありましたように、十五日に大臣から強い指示を受けました。早速、私どもは両副総裁をそれぞれ委員長にいたします規律委員会とそれから業務調査委員会を設けました。規律委員会につきましては、従来も綱紀粛正につきましては研修の時期あるいはそれぞれの行事の冒頭において、心を引き締めて適正な、適切な効果的な業務を実施するよう注意してまいりましたけれども、さらにこの機会に職員の引き締めが徹底するようにいたしたいと思います。従来もそれぞれの規定がございまするけれども、これを見直し、あるいは従来やっておりますその綱紀粛正、規律引き締めのいろんな手段にさらにつけ加えるものはないか、どうしたらよろしいかということを、関係幹部の参加によりまして目下検討中でございます。  もう一つの調査委員会の方は、これはただいま司直の手においてこの収賄容疑というものが調査されておりまするけれども、事業団の内部におきましてもこの仕事の流れにつきまして調査をするということと、それからそれに基づきまして事業団の内部の仕組み、あるいは仕事の流れというものについて十分見直しの余地があるかないか、あるとすればどういう点に改善をすることができるか、これも関係幹部に寄っていただきましていろいろと検討をさせている次第でございます。  重ねて、今回の不祥事につきましては深くおわびする次第でございます。
  89. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 農林省の答弁は、調査団と相手政府の間にはコンサルタント会社の人は立ち会っていないからまあいいじゃないかというような答弁、これはよく調べてみなきゃわからないし、こういうやったことを免罪するような答弁というのは納得できませんから、また後日調べて、これは今度個々の委員会の中で調べて、農林者、今の答弁に対して私は徹底して追及していくことを残しておきたいと思います。  もう最後になりますが、平和相銀の問題でございますが、八月の十二日に東京地検特捜部は捜査を終結をしたというような新聞発表が出ておりましたが、大がかりな金融犯罪としては中途半端な、決着としか言いようがありませんし、納得ができません。我々国民は、関心を持っている一つの大きな問題は金びょうぶ疑惑の問題でございますが、この金びょうぶ疑惑が具体的にもう解明できなかった、起訴されなかった、捜査が進まなかった、この点について法務大臣、刑事局長の答弁をお願いをします。  そして、私は、この金びょうぶ問題というのは相当大物の政治家がかかわっておりますし、さきの決算委員会の中でも我が本岡議員の質問で随分出ましたから省略をいたしますが、どうもこの問題については政府の指揮権発動といいますか、陰湿な指揮権発動に近いようなそういうことが行われたのではないか、そういう受けとめ方をするものであります。法務大臣の答弁をお願いをして質問を終わりたいと思います。
  90. 遠藤要

    国務大臣(遠藤要君) お答えいたしたいと思いますが、その前に、法務大臣としてこのたび就任させていただきました遠藤でございますので、よろしくお引き回しをお願いいたしたいと存じます。  ただいまお尋ねの件についてまず最初に私が申し上げておきたいのは、法務大臣が指揮権を発動したのではないかというようなお話でございますけれども、今の私の考え、感じとして、今の検察当局の捜査の方法その他が世界でも私はまれなる全く信頼に足る検察当局の捜査だと、こう私は信じております。そのような点もございますし、私、個人的にもやはり、皆さんも御承知のとおり、かつて議運の委員長時代にも、やはり政治家、国会の権威を高めていくということは国民の政治に対する信頼感を増すことだと、そういうふうな観念を強く持っておるだけに、そのような問題について一言も触れておらないということを御理解ちょうだいいたしたいと思います。  さらにまた、この問題が大変早く決着がついたのではないかというようなことでございますけれども、これまた、検察当局として厳正な捜査をやって、証拠に基づきこの結諭が出たというように承知をいたしておるわけでございます。  なお、具体的な面については刑事局長をしてお答えさせます。
  91. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 御指摘のございました平和相互銀行事件でございますが、平和相互銀行事件をめぐりまする不正融資問題、具体的には伊坂元監査役ら役職員の不正融資問題につきまして、東京地検におきましては鋭意捜査を遂げたところでございます。その結果、太平洋クラブの所有しておりましたところの神戸の屏風地区の山林等の売買をめぐります不正融資事件及びコンサルティング・フォーラム社に対しまするところの不正融資事件、これにつきまして既に起訴いたしたところでございます。  ただいま御指摘のございました金びょうぶ事件でございますが、これにつきましては国会等でもいろいろ御議論がございましたところでございますし、またいろいろな報道もなされたわけでございまして、こういったことにつきましては東京地検におきましても十分念頭に置きまして、伊坂元監査役らに対しまする不正融資事件の捜査を遂げたところでございます。その結果といたしまして、御指摘のありました金びょうぶ事件に関しましては背任等の犯罪を構成するに足る証拠が十分得られなかったわけでございまして、そういう意味におきまして金びょうぶ事件については起訴するには至っておらないと、こういう状況であると聞いておる次第でございます。
  92. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  93. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 福島県二本松の霞ケ城の入り口に石碑が建っています。その建てた人は城主丹羽高寛であります。その文章は、「爾俸爾禄民膏民脂下民易虐上天難欺」というのであります。その意味はもう申し上げたとおりでありますけれども、簡単にもう一回言いますと、自分の部下である役人に向って述べた言葉であって、おまえのいただいている俸禄は国民の血と汗の結晶である、ややもすれば民を虐げやすい、しかし天を欺くことはできないという意味であって、我々政治の末席を汚す者としては拳々服膺すべき言葉だと考えております。  こういうときにこの会計検査院報告書を拝見して、会計検査院が本当によくやってくれていると感謝をいたしますが、この膨大な資料の中から一、二を引き抜いて御質問いたしたいと思います。  まず都市施設の整備に関する項目で、七百三十七カ所、その金額一兆六百七十九億円が必ずしも適切に行われていない。その一つの例として鎌倉における道路が多額の金と時間をかけながら一向に解決しないじゃないかということを挙げております。  私自身が体験しているところを申しますと、環状八号線、これは昭和四十二年から工事に着手し、四年間で完成する予定であります。もちろん国から補助金をいただいています。ところが、あれから二十年たっていまだにいつ開通するか見通しが全く立っていない。その着手当時一坪三十八万円で買い上げた土地が現在はもう大変な値上がりでありまして、これから買い上げるとすれば、東京都の用地課に聞きましたところが百八十万だろうと言うのです。それだけ余計国家の金が要ることになるわけです。どうも計画が非常にずさんだったのじゃないかという気がしますし、会計検査院は今申し上げたこの金額の数字についてお調べになったことがあるかどうか。また、この報告の中で一兆六百七十九億というものが挙げられていますが、これをどう処置するのか、会計検査院長にお伺いしたいと思います。  それから第二点は、農用地開発公団については昭和五十五年にもやっぱり特記事項として挙げられているのであります。特記事項というのは世論を喚起して国民の目をそちらに向けようというのがねらいだと承っております。大変適切だと思います。ところが、この五十九年度決算を拝見しますと、約二千四百九十六ヘクタールの農地が貴重な金をかけて開発したにもかかわらず使われていない。非常に遺憾だと思うし、金のむだ遣いではなかったかと思いますが、この点について、五十五年に特記事項として掲げた会計検査院がその後何をなさったか、農林省並びに農用地開発公団に対して何をなさったか、並びにこういう事実を農林大臣はどうお考えになるかを承りたいと思います。
  95. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) ただいまの御質問の点でございますが、具体的に都市施設等整備事業、特に道路でございますが、これについて、確かに我々としましては毎年検査を行っております。したがって、ある程度の数字はつかんでおるわけでございます。  なお、具体的な問題につきましては後ほど担当局長から答弁させていただきます。  それから、今御質問の中で、都市施設等の整備事業において御指摘のような事態が生じたのはどういう原因なのかという点も含めての御質問だと思いますが、この点につきましては、地元住民等が騒音等によりまして環境が悪化することを懸念し、またその協力が得られない、あるいは用地買収に当たって買収価格等について地権者との折れ合いができない、こういった理由によるものと我我は考えております。  したがいまして、当面我々といたしましては、事業主体であります都道府県において地元住民等の協力や地権者等の同意を得るために一層の努力を払っていただくこと、あるいは建設省におかれてもこれらの事態を解決するために事業主体と協力して一層その啓蒙活動等を推進していただくことなどが必要だと考えられますが、先生御存じのとおり、事柄の性質上、これらの措置をとったといたしましても直ちに事態の改善が図られるものであるとは考えにくい面もございます。このようなことから検査院といたしましては、当局者はもとより、広く各方面からこの問題につきまして御論議をいただき打開策の検討がされることを期待いたしまして、検査報告において特記事項という形で問題を提起している次第でございます。  なお、環状八号線の問題につきましては、具体的な問題でございますから担当局長から答弁させていただきます。
  96. 大沼嘉章

    説明員(大沼嘉章君) 環状八号線の問題について御指摘ございましたので、ちょっと詳細にわたるかもしれませんけれども、私どもの今まで把握しておりましたところを御説明いたしたいと思います。  先生御指摘のように、本件の事業は、四十二年に事業認可がおりまして、全延長といたしますと三千二百四十メートルという延長でございますけれども、その間の百六メートルという延長区間が光明寺というお寺さんの境内にかかりまして、墓地の移転の交渉などが難航いたしましてただいままでのところ現在まで工事の着手に至っておらないと。したがいまして、その前後の区間というものは既に完成を見ておるわけでございますけれども、それが接続することができませんで分断されたような状況になっております。したがいまして、路線としての効用というものが十二分に果たされていないという、そういう事態でございます。  私ども事業の効果という側面から、こういった事態というものは非常に適切ではないという認識を持っておりまして、本件の事態につきましても従来から関心を持って推移を見守ってきておるところでございます。ただ、事業主体の東京都といたしましても全く手をこまねいているというわけではございませんで、事態の解決につきましていろいろと努力を重ねておりまして、その結果、墓地の移転等につきましての寺側等との話し合いも進展の兆しを見せておるということで、ただいま私ども報告を受けておるところでは、六十二年度を目途といたしまして、暫定二車線でございますけれども、供用の開始を実施したい、そういうふうな報告を受けております。私ども、したがいまして、この事態につきましては今後ともその進捗の状況を十分な注意を払って見守っていきたいと、このように考えております。  それから、本件自体と昨年私どもが特記事項として掲記しました事項との関連でございますけれども、ただいま申し上げましたように、一応将来の見通しについてある程度の見込みがついておるということと、それから全延長のうち約九七%以上のものができ上がっておりまして、それについては供用が既に開始されておりまして、十二分ではございませんけれども、それ相応の効果は一応果たしておる、そういうことを勘案いたしましてこの事例の中には含めておらないところでございます。  以上でございます。
  97. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 まだ回答してないのがありますね。
  98. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) 失礼いたしました。  先ほど農用地開発公団のお話がございまして、これは五十五年度でございますか。
  99. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 そうです。
  100. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) 五十五年度につきましては、ちょっと手元にございませんので、担当局長から答弁させていただきます。
  101. 秋本勝彦

    説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。  五十四年に出しましたもので、「国営農地開発事業によって造成した農地の利用について」というものがございます。これは特記事項でございまして、先生御指摘のように、事態を披瀝して問題の解決、進展を図るということでございますので、その後やはり私どもとしても、どういう手が打たれて、若干でも解決に向いているのかどうか、そういう点はトレースしておるところでございますが、今一々、どういうことがその後進んだかというようなものが手元にございませんのでちょっとお答えできないんでございますが、こういうものを指摘しっぱなしということではございませんで、必ず翌年もその翌年もその後どうなっているかということをトレースしていっているところでございます。
  102. 鴻巣健治

    説明員(鴻巣健治君) 五十四年の御指摘のところは、私も今突然でございますので、手元に資料がございませんのでその点でその具体的な箇所についての御答弁はできませんが、御指摘のように、当時やった中には、農業事情なり経済の事情が変化いたしたためになかなかうまくいかなくて御指摘のようなことがあったわけですが、地元の県あるいは町村と新しい営農のやり方を相談いたしまして、また逐次事業を改善いたしているという実情にございます。農用地公団については、その他行革審でもいろいろ指摘がありましたので、私ども全体的に今後の基本的なあり方については目下鋭意検討をいたしております。  具体的な点につきましては、今申し上げたとおりなので、お尋ねにはまた後で調べまして申し上げるところでございます。
  103. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 事前に、おととい、この農用地開発公団のことを取り上げるということを連絡してあるんですよ、会計検査院もまた農林省も。資料がないなんということで答弁になるんでしょうかね。私は国民の税金が非常にむだだと思うんです。二千四百九十六ヘクタールという農地、せっかく開発したけれども草ぼうぼうじゃないですか。それで一体税金が有効に使われていると思いますか。これを見ると中世期のイギリスのエンクロージャーを思い出さざるを得ない。すなわち、城主が囲いをしてその中には農民を入れない。やがてそのエンクロージャーは崩壊していきます。今の農用地開発公団のスタートした当時は、食糧増産が必要だったし、農地の造成が必要であった。だから国会は認めたんだと思います。ところが今のように、農村人口は減ってくる、生活環境が変わってくる、食糧は余っている、そういうときに、まだばかの一つ覚えで、いつまでも同じような仕事をしていることがいいかどうかということを聞きたいんです。事前にちゃんと連絡してあるにもかかわらず詳細がわからぬという回答では納得はできません、それは。会計検査院についても申し上げます。
  104. 秋本勝彦

    説明員(秋本勝彦君) 手元に資料を準備してございませんので、今お答えするわけにいかないのでございますが、先生のお手元に納得できるように後日御説明させていただければ幸いだと思います。
  105. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 そんなことではだめですよ。僕と相対でやるんじゃないんだよ。特記事項というのは、国民の世論を喚起して問題解決に役立てようというのでわざわざ特記しているんでしょう。そんなら、これだけ大勢の方の前で堂々と述べたらどうですか。それを僕とあなたの相対でやったらちっとも世論喚起には役立ちませんよ、それは。だから、こんな一兆六百七十九億という多額の金がむだになっておったり、あるいは農用地開発の事業が全く有名無実じゃないですか。むだじゃないですか。そういうことで、もっと世論を喚起しようと思ってわざわざ質問をしているのを、相対で答えようなんていうことじゃ納得しません、それは。
  106. 秋本勝彦

    説明員(秋本勝彦君) 先生がおっしゃることはまことにごもっともでございます。私どもも、国民あるいは国会に御提出いたしまして、世論を喚起していただいて問題の解決を図るという精神で出しておるものでございますので、ここで発表させていただきたいのでございますが、何分にも手元に準備してございませんので、申しわけございません。
  107. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 それじゃ、事前に、二日前に私が連絡したことはあなたの手元には届いてないんですか。
  108. 秋本勝彦

    説明員(秋本勝彦君) 私の手本には農用地の方の話は入っておりません。
  109. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 私の部屋で国会担当の各省の係の諸君と話したときにはっきり申し上げてあるんですからね、そんなばかなことないですよ。後で聞くなんていうことはないよ。私は持ち時間が百分あるんだから、その間に調べてくださいよ。ここでちゃんと報告してもらいたいですね。そんなあいまいなことでは、私は国民に対しては申しわけないと思いますよ。
  110. 鴻巣健治

    説明員(鴻巣健治君) まことに申しわけありませんが、私の方も、今会計検査院の方からのお答えと同じでございますので、あしからず御了承いただきます。
  111. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 私の時間は三時までですから、その間にできるだけ調べて答えてください。お役所はそういうことはちゃんとお得意でしょうから、調べて、必ず三時までにここで答えていただくことを希望いたします。  農林大臣にお伺いいたしますが、私は二週間ほど前に稚内に参りました。漁業交渉の結果漁獲量が十五万トンに減らされる、その結果漁民が非常に困っている。底びき漁船の解体作業を私は見てまいりました。涙なしには見られません。きのうまで働いておった漁船を自分の手でスクラップにするわけです。その地域に及ぼす影響としては、稚内は昭和五十年に第一次のスクラップ化をやりました。そのときの人口五万八千だったものが、今五万二千です。六千人減っています。今度第二次の解体作業をやるわけですが、これが完成すると、恐らく人口は四万五千に減るだろうと言われる。地域経済に及ぼす影響は非常に大きい。  この問題をどう解決するかということで地元の陳情を受けましたが、私はその陳情をもっともだと思うんです。それは、外交交渉でそういうことになったんだからこれは政府に責任がある、したがって、漁船一隻について三億八千万円の補償をお願いしたいと、こういう要望でした。これが第一の御質問、これをどうなさるつもりか。  第二は、そのときに、日本の漁師は韓国の二百海里以内には入らないのに向こうは平気で入ってくる。こちらの漁場が荒らされているが、二百海里を韓国に対しても速やかに適用してもらいたいという要望がありましたが、農林大臣いかがでしょうか。この二点をお答えいただきたいと思います。
  112. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 斎藤委員、稚内までお行きいただきまして、いろいろ国政調査をしていただいたことに対し、冒頭敬意を表する次第でございます。  北洋漁業救済対策につきましては、委員御指摘のとおりでございますが、現在財政当局と協議しているところでございますが、財政事情はまことに厳しいものがあるということは御存じのとおりだと思います。それを踏まえながら、とにかくできる限り速やかに対策が実施できるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、北洋漁業救済対策と絡みまして二百海里問題の御陳情もあったということを今御説明がございましたが、先ほど冒頭お答え申し上げましたように、日ソ漁業交渉の結果、日本の沖合底びき網漁船が減船を余儀なくされておるというときに、韓国漁船が従来どおりの操業を続けておるということに対し、漁業者が強い不満を持っていることは私も存じておりますし、また陳情も受けました。そうした操業というものを継続させるということは妥当ではないと私も考えております。そこで、本年十月末に期限切れとなります北海道沖、済州島仲自主規制措置問題を含めまして、日韓間の漁船操業関係について全般的な見直しを行い、双方共通の理解と認識のもとに実態問題の解決を図るとともに、引き続きこれにふさわしい新しい制度的枠組みへの移行を図る方針でございます。  なお、付言いたしますと、先般水産庁長官をソウルに派遣しまして、韓国水産庁長との会談を行わせまして、北海道沖、済州島沖問題を含め、日韓漁業関係の全般的見直しを行うことにつき韓国側の合意を得たところでございます。さらにこの方向で実務者間での協議を行わせるべく、現在その日程につきまして外交ルートで調整を図っておるところでございます。
  113. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 大臣、結論だけもう一回確かめますが、二百海里を適用なさるんですか、どうなんでしょうか。
  114. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 先般の会議、今後実務者会議もさらに進めていくわけでございますが、実務者協議におきましては、日韓漁業関係全般について生じている具体的な問題を明確にし、その解決策の具体的内容を協議することにいたしておるわけでございます。その解決策の具体的内容が日韓間で明確になりますと、これにふさわしい制度的な枠組みがおのずから決まってくると、このように考えております。
  115. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 同じく大臣にお伺いしますが、アメリカが今三億五千万トンの余剰農産物を抱えております。結局その原因というのは二つあって、アメリカの農業保護政策であることと、第二点は小麦が欲しい、トウモロコシが欲しいんだが金がないという発展途上国の事情で三億五千万トン余っちゃってる。したがって、なりふり構わず補助金つきでソ連に小麦を、中国に砂糖をと、こういう調子でありますが、このために世界の農産物価格が全般的に見て下落の傾向にある。それが日本経済にどういう影響を及ぼすかということが第一の質問です。  それから第二は、日本の農業は二十二品目まだ自由化しておりませんが、そのうちの十二品目についてガットに提訴をされている、これを農林大臣としてはどう処置なさるつもりか。この二つをお伺いしたいと思います。
  116. 眞木秀郎

    説明員(眞木秀郎君) ただいま先生御指摘になりましたように、最近の世界の農産物需給、世界的に景気が低迷しておるということで需要が伸び悩んでおります。また、米国とかEC等、主要な生産国におきます生産が非常に増加してきておるということに加えまして、中国、インド、インドネシア等における生産力の向上によりまして大幅な過剰基調で推移しております。  このような過剰基調のもとでECが共通農業政策のもとで生じました過剰農産物の処理のため、補助金つき輸出を増加させております。このために米国もドル高、あるいは比較的高い、ただいまおっしゃりました国内の保護政策でございますが、国内支持価格のもとで輸出が不振を続けておりますので、この回復を目指しまして輸出業者に対しまして値引き相当のボーナス、これは穀物等の現物でございますが、これを支給するという輸出奨励計画を実施しております。このようなことで両者間の輸出競争が激化してきておりまして、このような輸出競争の余波を受けまして、カナダ、オーストラリア等の先進輸出国やあるいは開発途上輸出国の環境が非常に厳しさを増しているわけでございます。  我が国は、御承知のように、世界最大の農産物の純輸入国でございます。多くの農産物の供給を海外に依存をせざるを得ないという状況にあるわけでございますが、このためやはり我が国といたしまして食糧の安定的供給を確保するということが基本的に重要であると考えております。  このような観点から見ますと、輸出国間の補助金競争、その結果確かにその分だけその相手になりました国が安く買えるという短期的なメリットはあるわけでございますが、これがやはり世界全体の農産物市場に混乱をもたらしまして、結果として中長期的に見て供給が不安定になるということは好ましくないと考えております。この問題につきましては、やはりこういう過度な競争をできるだけ緩和いたしまして、より秩序のある農産物貿易のルールをつくることが大切であるということで、これまでニューラウンドの準備の場等でも種々議論をされておりますし、また新しく予定されておりますニューラウンド等でも議論されることが予定されておるわけでございます。我が国といたしましては最大の農産物純輸入国としての立場を踏まえながら、ガットにおけるこのような議論にも関心を持って対応してまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、日米間の農産物の十二品目問題でございますが、これは去る五十九年四月の牛肉、かんきつ問題と相前後いたしまして合意が成立いたしまして、ガット二十三条の手続を二年間停止するということで決着を見たわけでございます。その期限が本年四月二十二日になっておりましたために、昨年の十二月以来日米間でその後の取り扱いにつきまして協議を行ってまいりました。この協議等を通じまして米国側は十二品目はガット違反であり、即時完全自由化をすべきである、どうしてもできないものについては少なくとも年次別の自由化計画、これはフェーズアウトという、だんだん段階的に消していくということでありますが、の計画を示すべきであると、もしそれがだめな場合にはガット二十三条の手続を再開するという基本的立場を繰り返し主張してまいりました。我が方といたしましては、これら十二品目はそれぞれの地域の農業あるいは経済にとって大変重要なものでございますので、自由化を約束できるような立場にはないということで、前回の決着のときのような日米双方が受け入れできるような現実的な解決策を見出すべきだということで努力してまいったわけでございますが、現在までのところまだ決着を見ていないわけでございます。  このような状況のもとで、去る七月十五日のジュネーブでのガット理事会あるいは去る十一、十二のハワイで行われました日米貿易委員会の場におきまして、アメリカ側からは次回予定されております十月のガット理事会において、ガット二十三条二項に基づきまして多国間協議の場、パネルを設置するようにという要請がございました。我が国といたしましては、前回の措置を誠実に履行しておりますし、今回も現実的な解決を目指してできる限りの努力をしてきたにもかかわりませず、アメリカ側がこれを正当に評価せず、ガット手続を進める提案を行ったのは残念であると考えております。我が国といたしましては、二国間で円満な解決を図るべきであるという従来の立場を引き続き主張するとともに、今後とも我が国農業に不測の悪影響を及ぼさないように適切に辛抱強く対処してまいりたいと、このように考えております。
  117. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 もう一つ農林大臣にお伺いいたしますが、この円高で外材の輸入が怒濤のように入ってきてます。今、日本で使う木材が一年間に一億立方メーター、その七割五分ぐらいが外材に占められている。日本の国土の七割を占める森林というのは、形は残っていても、経済的な価値はなくなりつつあります。これをどうするかということは非常に大きな問題だと思いますね。  そこで、森林開発公団などをおつくりになって、対策としてお立てになったんでしょうが、私はその林道のつくり方が極めて少ないと思うんですね。もう少し積極的におやりにならないと、国際競争力がつかないんじゃないだろうか。アメリカでは一ヘクタールの山に木を植えると、五十メーターの林道をつくる。日本ではたった二メーターしか林道がない。したがって、山の木の手入れは十年しなきゃならぬが、こちらは林道が少ないために非常にコストがかかっちゃう。したがって、私は根本的には林道の開発にもっと重点的に金を使うことが必要だと思いますが、この決算報告書を拝見いたしますと、森林開発公団のたった四十四キロの林道を五十九年つくったというように聞くと、まことに二階から目薬の感がいたします。この点、大臣の御所見を承りたいと思います。
  118. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 二点についての御指摘があったんではないかと、こう思いますが、円高による木材輸入の急増問題と、それから林道の建設促進、こういう二点ではないかと思います。  斎藤委員が御指摘のように、本年上半期の木材輸入量は、円高の進行に伴いまして北米材が製材品を中心に増加傾向を示しております。しかし、統計の数字を見ますと、片一方南洋材等が相当減っておりまして、全体としてはほぼ前年並みの輸入で推移しておるという認識を持っております。しかしながら、この円高の影響によりまして外材価格というものが下がってきますから、その外材と競合しております杉を中心とする国産材価格も下落傾向にあるということは、率直に私も認めざるを得ないと思います。  こういう中におきまして、我が国の林業の体質強化を図っていくということは基本的に大変重要でございまして、その柱としまして、今斎藤委員が御指摘になりました林道等の生産基盤の整備、これ大変重要でございまして、これ並びに林業構造改善等の林業振興対策、そして長期の低利融資制度、こういうものをうまく組み合わせていきましてやっていかなくてはならぬ。各般のこういう施策を今実施しておるところでございますが、御存じのように、先年来、森林・林業、木材産業活力回復緊急対策というものを施行しておりまして、木材需要の拡大、木材産業の体質強化、間伐等林業の活性化ということに今鋭意取り組んでおるところでございまして、厳しい財政事情のもと、そしてまた苦しい林野特会のもとではございますが、頑張って適切に対処していかなくてはならない。そういう中で、斎藤委員御指摘の林道等の生産基盤の整備につきましても、さらに関係当局とも鋭意折衝を重ねまして頑張っていきたいと、こう思っておるところでございます。
  119. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 農林大臣が熱意を持っておられることに敬意を表しますが、どうも何しろ木を植えてから杉で四十年、ヒノキで六十年たたなきゃ金にならぬものですから、今のように財テク流行時代になかなか山に投資をする人なんかいやしません、それは。そこで結局、造林資金の金利をもう徹底的に下げなきゃだめだと思う。それからもう一つは期間を延長しなければだめで、承ると今度五十五年に延ばすそうですが、本当ですか。  それからもう一つ、金利をもう少し下げないと林業というのは成り立たないと思うんですよ。
  120. 田中宏尚

    説明員(田中宏尚君) 造林資金につきましては、これは来週農林水産省として概算要求を取りまとめることにしておりますけれども、現段階で省内で大体調整がついておりますところでは、現在四十五年の償還期間というものを先ほど来先生が御指摘ありますような林業の特殊性ということにかんがみまして五十五年ということで、十年償還期間を延期するということで大体省内の調整がついておりますので、これでぜひ大蔵省に概算要求段階でお願いをしたいと思っておるわけでございます。  それから金利につきましては、現行金利も三分五厘ということで制度融資体系の中では最も低利な融資でございますので、この三分五厘という金利の中で償還期間を延ばすということで何とか林業の活性化を目指してまいりたいと思っております。
  121. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 後でさっきの農用地開発公団の報告が出された段階で農林大臣にまた意見を言うかもわかりませんが、今私の用意してきた質問は以上で終わりますから、御退席なさって結構であります。  次に通産大臣にお伺いいたします。  田村通産大臣がけさ、自分は通産大臣と言われるより中小企業大臣と言われた方がいいという大変ありがたいお言葉で、非常に中小企業者が聞いたら喜ぶだろうと思います。ところが、この会計検査院決算報告の中に一つ大変なことがあります。中小企業設備近代化資金を貸すに当たって四千八百万円が不当に使われているということがある。一体その原因は何か、それをどう処置したかということを通産当局から承りたいと思います。
  122. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) まことに申しわけございませんけれども、そのことについてただいま検討しておりません。それもあるいは手違いかもしれませんけれども。
  123. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 岩崎さんね、これの百四十五ページに載ってますから、ごらんになったら。会計検査院決算報告百四十五ページに載ってますから。
  124. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) その報告自体まことに申しわけありませんけれども、現在私自身は持ち合わせておりません。今の先生のこの御指摘そのもの、これも私今初めて聞きまして、まことに申しわけないと思いつつもその実態について検討してまいっておりません。
  125. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 どうも全般的に決算委員会に臨むのに、我々は十日間かかってちゃんと準備をし、実際現場に行って調べてきてから申し上げていることに対して、会計検査院を初めお役所の方方のこの委員会に臨む態度が非常に私は熱意がないようにとりますが、いかがなものでしょうね。この本さえ読まないというんじゃ、私はこれを二回読んだんですよ。いろんな聞きたいことがいっぱいあるけれども、時間が百分と限られている、往復百分ですから、その間でということになると緊急を要し、国民の世論の力で直さなきゃならぬという問題だけを取り上げているわけですね。ですから、これは私が捏造して言っているんじゃないんで、これの百四十五ページにはっきりと明示されていることでありますから、岩崎さん、これも三時に終わるまでの間に至急お調べになってお答えくださることを要望いたします。  次に大臣にお伺いいたしますが、日本の従来の基礎産業が今非常に悪い。その中でも特に困っておりますのがアルミであります。我が国にはアルミ製造能力が百四十万トンあります。しかし、現実に動くのは十三万トンにすぎないんであります。あとは全部スクラップになる運命にある。今日本のアルミ会社で操業しているのはわずか三社にすぎません。じゃ国内の需要をどう賄うかというと輸入なんであります。百万トンないし百二十万トンのアルミを海外から買っている。そこでアルミの価格はどう決まるかということになりますとロンドン・メタル・エクスチェンジの建て値で決まる。日本は世界最大のアルミ輸入国です。その日本がロンドンの価格で取引せざるを得ないなんてばかなことはないんで、私はこれだけの経済大国になった日本なら当然このアルミを上場すべきだと考えますが、御意見いかがなものでしょうか、大臣の御意見を承りたいと思います。
  126. 末木凰太郎

    説明員末木凰太郎君) 先生御指摘のとおり、日本は大口のアルミの需要国でございます。最近の数字で申しますと、百三十五万トンほどの昨年度輸入をしております。こういう実態にかんがみますと、日本の関係者の立場が十分反映されたような価格形成が望ましいという御指摘はそのとおりだと思います。  ところで、商品取引所の上場でございますが、先生御案内のとおり、商品取引所法の二条二項、それから十五条第一項第二号でございますが、規定がございまして、上場の商品としましては、まず商品そのものの属性、これは比較的均等な性質を持っているとか大量取引に適するものであるとか長期の貯蔵に耐えるとか、こういう属性がございます。この点につきましては、まあ大ざっぱにアルミについてはそういう条件を備えているのではないかとおおむね思いますが、いま一つ上場するかどうかを考えますときには、その商品の取引の状況、ほかの取引所の分布の状況、アルミの場合はこれはございませんが、そのほかのもろもろの経済状況に照らして取引所に上場することが必要かつ適切かどうかということを判断するということに法律上はなっております。これを砕いて申しますと、結局公正な価格形成あるいはリスクヘッジ、こういう観点から上場が必要かつ適当であるかどうかの判断ということになろうかと思います。  ところで、この問題につきましては、アルミにつきましては世界的ないろいろな状況またございますし、あるいは建て値制という制度が存在するとか関税の問題がまだ残っているとかロンドンその他に先発した市場がありますとか、いろいろ考えなければならない点があろうかと思います。私どもといたしましてはそういった点も十分踏まえて、日本で上場するとすればどういうプラスがありどういうマイナスがあるのか、この辺をよく勉強していかなければならない問題と思っております。したがいまして、現時点におきましてはまだすぐアルミを商品取引所に上場するという段階ではないと思っておりますが、よく勉強はいたしたいという考えでございます。
  127. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 一時的な現象でアルミが不振なら、それはもう私こういうこと言う必要ないと思うんですね。しかし構造的に不況なんですよ。アルミというのは、ボーキサイト四トンから二トンのアルミナをつくって、二トンのアルミナから一トンのアルミニウムをつくるわけです。結局コストを形成するものは電力ですよ。カナダあたりは一キロワット二円で済んで、アメリカが六円で日本が十三円でしょう。こういうような構造が変わらない以上は、どこかでヘッジする機関をつくってあげなきゃ産業は成り立ちませんよ。そういう現実を見ながらなおかつ勉強をしますって、いつまでに勉強の結論が出るんですか、承りたい。
  128. 末木凰太郎

    説明員末木凰太郎君) 大変先生の先を見た御指摘かと思います。そういう意味で私ども反省を要するのかもしれませんが、まだ具体的な勉強に着手していないというのが率直なところでございます。と申しますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、このアルミの問題につきましては当面まだ解決を要する問題が目の前にたくさんございますので、そういった問題がこれからどういうふうになるかの帰趨も見きわめる必要もあろうかと思います。また、関係当業者と言っておりますが、当業者の間のコンセンサスを形成していくことも必要でございます。そういう意味で、今後の私どもの姿勢としてお答えをしたわけでございます。
  129. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 なるたけ早く結論をお出しになることが業界のために大事だし、日本の経済全般のために必要なことだと思いますね。自由経済である以上は、ヘッジの機関というものは必ずなきゃならぬはずです。ヘッジの機関をつくらずにおいて門戸を開放しちゃったら、すっかりやられちゃいますよ、それは。その点が私は行政の立ちおくれだろうと思いますね。その点をどうぞよくお考えいただくことを要望しておきます。  次に石油価格の問題で、けさのニュースでソビエトロシアが日産十万バレル減産するということをOPEC側に約束している。OPECは日産千六百万バレル、ソビエトロシアは現在千二百五十万バレル生産しているわけです。その中からソビエトロシアが十万バレルを減産してOPECに協力するということは、これはもう大変なニュースだと思うんですね。  今まで油が非常に安くなりまして、そのおかげで日本の物価も非常に安定をしましたし、経済界では円高で困る面もあるけれども、油のおかげで非常に助かった面もあるわけです。  そこで、油の見通しについて通産当局の御意見を承りたいと思います。
  130. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 油の価格の見通しというのは、これは全く難しい問題でございまして、御承知のように、昨年の十二月にサウジアラビアがネットバックプライスを適用いたしましてから急速に値段が下がりまして、二十七ドルから七月末には十ドル割れまで落ちたわけでございますが、さきのOPEC総会の暫定減産の結果を受けまして、今それが大体十三ドルから十五ドルぐらいまで回復をしてきております。  アメリカのウエストテキサス・インターメディエートが最も早く反発をしまして、これは十五ドルを超えておりますが、日本が現在輸入いたしております中東のオマーン、ドバイあたりですとまだ十三から十四ドルでございまして、一たん反発をした後予想眺めというのが現状かと思います。これが九月、十月の暫定減産でございますので、OPECが本気で減産をするかどうか。これは実はイラン・イラク紛争も絡んでおりますが、それから今おっしゃいました非OPECのうち今二カ国が減産に協力すると言っておりますが、その他トータル五カ国プラスアメリカ、北海あたりの減産の協力、このあたり見ませんとちょっと何とも言えないと思います。  したがいまして、OPECは当面十七から十八ドルを目標にし、年末二十ドルと言っておりますが、減産がともに守られるかということによって動きますので、ちょっと小反発の後、横ばいというのが現状かと思っております。
  131. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 はい、わかりました。  円高問題を緩和する一つの方法は、日本の資本輸出をして相手の国で工業を興す。そうすることによって相手の国の雇用を増大させる。大企業ではもうそれはつとにやっていることであります。だから自動車でもテレビでも既にやっていることで結構ですが、これから中小企業がやはりそういう方向に行かざるを得ないだろうと。そのときに私は行政面でそういう海外進出中小企業に対して適切なるガイダンスをするということが非常に必要ではないか。そのための予算を見ますると、昭和六十一年度でたった十一億円にすぎない。これではどうも通産大臣が中小企業大臣だとおっしゃる見えの割合には内容が乏しいんじゃないかと考えますが、大臣いかがなものでしょうか。
  132. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) 確かに、こういう経済環境の変化に伴いまして、例えば親企業が海外に出ておると、その部品を供給しておった下請企業等も海外に出ていかざるを得ない。あるいはまたこういう環境変化の中で国内ではなくて海外に自分の活動の根拠を求めたい、こういう中小企業が漸次大きくなってきているという実情がございますし、今後ともその傾向は強まるだろう、そのように考えております。  したがいまして、私どもとしても、そういった意欲ある中小企業者に対して何らかの支援をする。特にそういう中小企業は資金面、あるいは海外で活動する人材面、あるいは海外環境、投資環境に関する情報面、こういう面で不利な立場にございます。したがいましてこれを、片やそうやって外へ出ていく企業はいいけれども、残された企業をどうしてくれる、こういう問題もございます。  したがいまして、ただいちずに海外投資だけを促進するというのは業種全体の視点からどういうことになるかというような問題も片やございますけれども、ただそういった方向をとらざるを得ない中小企業が、中小企業であるがゆえにそういった側面の不利性を持っておるということについては、それを是正するという方向を今後私どもも施策の中で、これまでも御指摘のとおり、そういった方向、若干ございましたけれども、今後その方向に沿う施策を強化していきたい、そのように考えております。
  133. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 私は、全国の商店街を歩いてみまして、注目に値するのは、歯が抜けたようにどんどん皆ドアを閉めている店がふえていることです。これは昔からあった有名な商店街ほど激しい。結局、もう成り立たないということです。今までの中小企業庁の施策としてはコミュニティーマートの設置ということで説明をしてこられたわけですが、どうもそれでうまく乗り切れるかどうかという私は感じを持っていまして、残念ながら今のままでいくと有名な商店街ほど脱落が激しいと思います。この点岩崎さん、いかがでしょうか。
  134. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) 確かにこの流通界、分野というのは今非常に大きな変革期にあると思います。それはそういった国民のニーズの変化等もありますし、あるいはいろいろな地域の盛衰ということがいろいろなインフラ設備の進展状況いかんによっても変わってまいります。そういうことで非常に大きな変革期にあると思いますし、特に六十年度のセンサス、これはまだ速報しか出ておりませんけれども、そこで初めて日本の小売業の数が約九万店ぐらい減少を示しております。これは私ども確報統計が出ました段階でどのような要因によるものか非常に注意深く検討しなければいけない現象であるというふうに思っております。  いずれにしろ、そういった大きな変革期の中で、今後中小商業者の生きる道、あるいは発展する道、これについては非常に厳しいものがあると思いますけれども、今先生御指摘のコミュニティーマートといったのは、そういうのに対応する一つの近代化の方向として私ども打ち出していることでございますが、そのほかPOSの普及とか、あるいはより広範な横断的な情報化の促進とか、そういう面でこの流通業界の近代化の促進を図らなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  135. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 午前、梶原委員の質問に対して通産大臣の懇切な御説明がありましたけれども、私はその大臣のお言葉の中で一つ強調したい点は、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の資金三千億円をふやすとおっしゃった。六千億ぐらいになさると承りましたが、そうかどうか。  それから、金利が四分八厘というのはまだ高いですよ、それは。特に農林関係の予算は二分とか三分とかというのがざらにあるわけですから、中小企業の金利ももう少し下げないと画竜点睛を欠くんじゃないかと思いますが、御意見いかがでしょうか。
  136. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) 今先生御指摘のこの国際経済調整対策等特別貸付制度、これは本年二月成立さしていただきました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に基づきまして、    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 現在、百五十一の業種を指定いたしまして、そういう国際経済の変化に苦しんでおる中小企業者に対して今年度中約三千億円の資金を用意いたしまして、御指摘のとおり、経営安定のためには五・〇、転換のためには四・八五%ということで今現在運用している資金融資制度でございます。これまでに非常にこの資金についての需要は高うございまして、三月発足いたしましたけれども、七月末までに千六百九十億円、半分以上消化しております。したがいまして、これは今年内にもう全部消化し尽くすんではないかということで、現状のこの苦しい状況が続きますことは確かでございますので、これの追加というのが必要になってくるというふうに考えております。  これをいつどのようにするか、これは今後政府部内で検討していかなければいけないと存じますけれども、いずれにしろ、早い時期にこれの追加が必要であるというふうに考えております。  それから金利については、この制度そのもの、あるいはその前身は六・八%から出発いたしました。それで、その後の全体の金利水準の低下の中で数次にわたってこの金利条件の改善をいたしまして、現在そういった金利になっておるわけでございますけれども、この金利をさらに下げようとしますと、そのための必要な一般予算の裏づけが要りますし、それからまた全体の中小金融機関、民間の中小金融機関とのバランスの問題もあろうかと存じます。したがいまして、全体としてこの五%を下げるのか、それとも一層特別の影響を集中的に受けているような分野についてだけでも下げられないか、この点については今後検討していきたいと思っております。
  137. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 けさほど大臣は、円高の利益還元が十分に行われていない、極めて残念だとおっしゃった。私も全く同感です。去年の九月二十二日、一ドル二百四十二円。それが現在、きょうの前場の最後のお値段が百五十三円二十銭ぐらい。相当、約五七%も円高になっているのに、我々の身の回りを振り返ってみて、本当に円高の利益というのはあらわれていませんね。  そこで私は、大蔵大臣と通産大臣、両実力者に提案をしたいんです。お笑いくださって結構でありますが、私はこのような円高の利益を還元する一つの方法として円高利益税というものを設けたらいいと思うんです。大体去年の九月の相場と今の相場で計算すると十一兆円安い原材料が買えているわけですよ。もうけた人は黙っていて損した方だけが文句を言っているわけですよ。それを円高利益税として取って、そして本当に事業の転換をしなきゃならぬ、構造改善をやらなきゃならぬのは、これから農業だってそうだろうと思うんです。全く国際競争力のない農業をこのままにしておいたんではもう農家は全滅ですよ。それはもう石炭と全く同じ運命をたどるだろうと思うんです。そういう意味において私は今度の円高は神風だと思いますね。物価は安定している。だから、この際、ぜひともひとつ円高利益税というものを取って、十一兆のうち幾ら取れるかわかりませんけれども、それで体質改善、構造改善の方向に回すということを私は提案をしたいと思いますが、これは全く私の独断でありまして、お笑いぐさになるかもわかりませんけれども、御意見を聞かしていただけたら幸せだと思います。
  138. 田村元

    国務大臣(田村元君) 今おっしゃったとおりでありまして、確かに円高差益というものが相当還元はされておるとはいえども十分であるとは私も思いません。しかも、非常に急速な円高現象でございます。これがどういうふうに、どこで安定するのかわかりませんが、今の御提案、私は一つの考え方だと思って、なるほどなと思って感心して聞いておりましたが、特に大蔵大臣と並んでおる席で御提案いただいたので、これはおもしろいなと思って承っておりましたが、いましばらく為替レートの変動を見定めながら、場合によったらそういう相談もしなきゃならぬかなという気持ちで、唐突のお話でございましたのでそれ以上に申し上げるわけにもいきませんが、そんな感じで今拝聴をいたしておりました。
  139. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ありがとうございました。
  140. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる円高が現実に所得として実現している限りであれば所得税、法人税等で捕捉できるのではないかということをすぐには思いましたけれども、しかし斎藤委員の御提案でございますので、よく専門家たちにも研究をしてもらいたいと思います。
  141. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 前川レポートをどのように実行していくかということについて、内閣挙げて御努力と思いますけれども、通産省関係ではどういう措置を講ぜられるか、それを承って通産大臣に対する質問を終えます。
  142. 田村元

    国務大臣(田村元君) 実は私は、今度の組閣に際しまして、呼び込みを受けて官邸へ参りましたら、総理から、とにかく産業経済の構造改善、これに大なたを振るってもらいたい、かみそりじゃだめだ、そういう意味であなたに特にお願いをするんだ、こういうことでございました。それはどういう意味だか、秀才じゃだめだから行動力のあるやつがいいという意味なのかもしれませんけれども、どうも私に前川リポートの線に沿った構造調整をやらせようということのようでございます。私もそれ以来真剣にこの問題を考えておるわけでありますが、御承知のように、経済閣僚会議に調整会議ができておりまして、そして実施要綱というんですか、これが発表された。そしてそれが発展的解消によって総理大臣を本部長とする会議ができましたことは御承知のとおり。また、私が着任しましてすぐに事務次官を長とする推進委員会を省内に設けました。そして私は、実は率直な感想を申し述べますと、かつて労働とか運輸というのを仰せつかっていろいろ仕事をいたしましたけれども、特に運輸のときは取り組む仕事が一つ一つ非常に正確化、明快でございました。ところが通産ということになりますと非常に抽象的な表現が多かったり、あるいは概念論が割合に多いということでございまして、今私は一つ一つの問題を具体的に拾い上げるようにという指示をいたしております。勉強中と言えばそれまででございますけれども、勉強と同時に、かつて私が衆議院で決算委員会の理事もいたしておりましたが、一個の国会議員として感じ取りました疑問、そういうものを遠慮なく官僚にぶつけております。そのようにして今後福川事務次官を中心にどんどんと作業をさしたい、このように思っておる次第でございます。
  143. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 次に、大蔵大臣にお願いをいたします。  今の私のつたない提案に対して研究させるというお言葉で大変ありがとうございましたが、今国民の感情を率直に申し上げますと、確かに物価は卸売物価で一〇%下がっている。日本は経済大国だと言っているけれども、自分たちの身の回りを見るとちっとも経済大国だという感じが浮かばないんであります。やはりこれだけの十一兆という円高利益があるなら、やはりもう少し豊かだという感じを持ちたいものだと思っていますよ。ですから、ぜひとも大蔵大臣は実力者でいらっしゃるんだし、いろいろの新しいアイデアを出されている方でありますから、ひとつ真剣に一片のリップサービスで研究させるというんではなしに、真剣にこれを取り上げていただくことを重ねてお願いをいたして本論に入ります。  大蔵大臣、御就任の前に国債については借りかえをとおっしゃっておられた。既に国債の発行高百四十三兆、その利払いだけで年間歳出の二割を突破するに至りました。これは大問題です。この国債をどう処置するかということはやはり全国民関心の的なんですが、私は今までの世界の経済史を調べてみると三つしかないと思う。第一は、ソビエトロシアがスターリン時代にやったようにただにしちゃうことです。第二は、戦争中の日本がやったようにインフレにしちゃうことです。実は、私は昭和十一年に学校を出て、そのときに愛国国債を二千円買いました。当時の二千円という貨幣価値は、一軒の貸し家、十坪の家が大体千円ですから、貸し家二軒建てられるお金であります。十年たって私がそれを返してもらおうと思ったら二千円では靴半足しか買えなかった。インフレによる国債の処理の生きた実例だと思います。そこで大臣にお伺いしたいのは、大臣が言う借りかえというのは、目先から見ると金利の安い国債にかえるんですから大変国家の財政上は助かると思いますけれども、国民は、これを借りかえ、借りかえで六十年やられたら、これ今の百万というのは恐らく六十年後にはどのぐらいになるでしょうね、極めてラフな計算ですけれども、今の百万は恐らく十万ぐらいになっちゃうだろうと思います。そういう点を考えると大臣の借りかえ論というものはインフレによる処理じゃないだろうかという懸念を私は持つのです。第三は国債の整理基金の中に繰り入れをやっていくというオーソドックスな方法。この三つがあると思います。  私は、大臣の財政政策の中で一番のポイントは国債の問題だと思いますから、まずこの点について大臣からお教えをいただきたいと思います。
  144. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題はいわゆる減債制度の基本に触れる問題でございますから、そこのところをよほど慎重に考えてまいらなければならないと思っております。  今斎藤委員が二つの処理方法がある、一つはただにしてしまう、破棄してしまうことであるし、もう一つはインフレによってやや時間をかけて返済を楽にしてしまうことである、いずれも私が志向しているところではございません。金融資産としての国債というものがこれを持っている人々にそれだけの重みを持っていなければ、将来国債を発行することすら実は可能ではございませんから、そういう意味では国債がただになる、あるいは極端にインフレーションで減額されるということは極めて不適当なことだというふうに考えております。  ところで、私が先般この際借りかえということを考えたらどうだと申しました意味は、十年国債で申せば六分の五は借りかえになっている、六分の一だけがいわゆる現金償還をしておるということの意味は、他方で赤字国債を、特例公債を発行していないのであればそれなりに非常に大きな政府に対する自制になるわけでございますが、片方で特例公債を出しております限りでは、その限りではどれだけの経済的な意味を持つであろうか、もしこれ六分の一を借換債で賄うことによって、仮に明年度でございますと恐らく二兆何がしかと思われますが、それだけの財源が一応浮いてくる、その場合にその財源を何かの方法で有効に使うことによって今の経済状態なりあるいは我が国の経済成長というものを助けることができるのであれば、永久にと申したわけでは絶対ございませんので、片方で特例公債を発行しているその特例公債の発行がもう発行しなくて済むという段階に至るまで、何かの一種の緊急な便法は考えられないだろうかということを提案をしてみたわけでございます。  私、大蔵大臣になりまして、このことはこれから大蔵省としてどういうふうに考えるべきか事務当局にいろいろ検討してもらっておる段階でございまして、自分が野にあるときに申しましたからその自説を固執するというような考えは持っておりません、持っておりませんが、同時に特例公債を発行しておる片方でそういう状況でありながら、片方で六分の一だけを現金償還をしている。その部分がより有効に国民経済に使われる方法があるであろうかどうであろうか、その辺の可能性はやはり臨時の措置として一遍は検討してみてもよくはないかということを申しておる、こういうことでございます。
  145. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 よくわかりました。  同じく大蔵大臣にお伺いしますが、今、税制問題で国民の関心は税に集まっています。もう大臣に言うと釈迦に説法ですが、一二一五年のマグナ・カルタの制定は税問題から起きているわけです。ですから、税をどうするかということは非常に大きな問題で、革命にまでつながるような性質の問題だと思います。今、恐らく大臣は政府税調で審議中であるから大臣の立場からは何も言えないというお答えかと思いますけれども、私は大臣の考え方がぜひ聞きたい。どうもいろんな審議会をやっても両論併記だとか毒にも薬にもならぬような答申を出しておる。最終的には大臣がどう判断するかという問題になるだろうと思います。  そこで、今の日本の税をどうお考えになるか。どうも直接税七二、間接税二八というのは余りにも不均衡だろうと思います。これの是正をするにはどうしたらいいかということ。それから、アメリカのレーガン税制改正、私は全世界が驚いていると思います。これを大臣はどうお受けとめになっているか、この二点について率直な御意見をお教えいただきたいと思います。
  146. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 中曽根内閣におきまして、政府税調、自民党の方もさようでございますけれども、に対して税制の抜本的な見直しを諮問をいたしました基本的な理由は、聞くところによりますと、シャウプ勧告がなされまして現行税制が発足いたしましたのが昭和二十五年ごろでございますので、これだけの長い期間、基本的にはそれがそのままになっておった、基本的な骨格としてはそれを踏襲してきた。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 しかし、その間に国民の所得水準あるいは所得の分布等々が大変に変わったわけでございますし、生活の態様も変わってまいりました。したがって、この際全般的にやや将来に向かって長い間もう一度しばらく変えないで済むような税体系を考えるべきではないかと、こういうことが発想の起点であるというふうに承知をいたしております。そして、その際の実現されるべき諸原則は公平でありますとか、公正でありますとか、あるいはできるだけ簡素に、しかも納税者側に選択があるように、また、国民経済の活力を維持できるようにといったようなことを中心に税制を考えたい、こういうことで政府税調にお願いしているというふうに承知をいたしております。  政府税調はまず所得税について中間的な検討を終えたわけでございますが、その言うところは、これは私どももそのとおりであろうと思いますが、いかにも中堅サラリーマン階層の税負担が重過ぎて、それは国民生活を圧迫するのみならず、国民経済の自発的な進展にも害があるのではなかろうか。したがって、そういう点では税率構造を改善するとか、累進構造を改善するとか、あるいは勤労控除でありますとか、妻のための控除でありますとか、そういうことについての改善をする必要がある、中間的にはそういう結論が出ておる。法人税についても、どうも国際化の時代から言うと、今の法人税は少し高いのではないかという感想を持っていらっしゃる方々が多いようでございます。ただいまそこで今度は間接税でありますとか資産税についての検討に入っておられる、そういう段階であると承知をいたしております。  斎藤委員が言われますように、いかにも直接税が七三であり間接税が二六何がしであるということは、今の日本の姿から申しますと、もう少し間接税にウエートがかけられるし、そのことは所得税の減税になりますれば決して国民が忌避されることではないのではないか、方法にもよりますけれども、といったような御議論も多いように思いますので、そういうことをやはりシャウプ税制以来もう三十何年たっておりますからやるべき時期ではないかということは、私もさように存じております。  ただ、御承知のように、財政が楽でございますともっともっと思い切ったことができるのではないかと思いますが、このような財政でございますために、答えとしては歳入中立的なものにならざるを得ないということもまたやむを得ないのではないかと思っておるわけでございます。  それから、アメリカで成立いたそうとしておりますいわゆる新税制でございますが、今のところ両院協議会で妥結ができまして、まだ両院とも御承知のようにこれから最終的な決定をするということで、十分なことが具体的にわかっておりません。しかし、おまえは今度のアメリカの税制改正を大づかみにどうつかんでおるか、どういう感じを持っておるかとおっしゃれば、やはりいろいろな控除とかいろいろな特典とかいうものが年を経ますと積もってまいります。それを一遍整理をして、課税対象を広くしまして、したがいまして、そこから増収が出てまいりますから、その部分をもって累進構造全体を非常に簡単にしてしまおう。それは国民にもわかりやすいということもございましょうし、それから、何しろやはりインセンティブになることは累進が少なくなりますから明らかでございます。そういうことを所得税について考えよう。同時に法人税についても、やはりそういういろいろな特典あるいはいわゆる我が国で申しますと租税特別措置法に当たるようなああいういろんな細々したものを、細々と言ってはいけませんが、既存の特典を整理するならば法人税率をある程度下げられるではないか、そういう発想そのもの、私はそれはやはりかなり思い切った発想である。結果としてはやや法人課税が大きくなるのではないか、それがアメリカの経済にどういう影響を与えるかというようなことは私は議論があるところじゃないかとは思いますけれども、全体としては今のような方向を示唆しておるというふうに理解しております。
  147. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ありがとうございました。  日銀総裁、非常にお忙しいところを急に予定を変えて御出席いただいてありがとうございました。  きのうアメリカが第四次公定歩合の引き下げをやりました。全国民の関心の的は、日本はどうか、こういうことです。新聞、テレビ、ラジオを通じて、総裁の御意向は、急ぐ必要はないんだ、やらないんだ、こういうことなんですが、もしも日本銀行が公定歩合の引き下げをやらないということになるともっと円高になる。アメリカだけが公定歩合を下げて、こちらが下げなきゃ円高になっちゃう。私は、もしも仮にこのままで行けば円高はもっと進むんじゃないかという気がいたします。  しかし、日本銀行のお立場もよくわかります。金が余っちゃって、余った金は株に行ったり土地に行ったりしている。この際何も金融を緩める必要はないんだという御意見もよくわかります。  そこで、率直に日本銀行総裁として御苦労のほどはよくわかりますし、こういう公開の席上だから言いにくいだろうとも思いますけれども、今の御心境を率直にお漏らしいただきたいと思います。
  148. 澄田智

    参考人(澄田智君) よく御承知のように、既に今まで我が国は一月以来、一月と三月、四月と三回にわたって公定歩合を下げておりますし、現行の三・五%という公定歩合の水準並びに日本の諸金利の水準というのは、国際的に見てもあるいは日本の過去と比べてみても非常に低い水準になっておる状態でございます。  こうした中で、景気の現状につきましては、私どもももちろん率直に、予断を持つことなく常に注意していかなければならない、こう思っておりますが、しかし、円高に伴う輸出関連産業に対するデフレ効果、これが先行的に相当大きく出ているということは事実そのとおりでございますけれども、他方個人消費あるいは住宅建設、あるいはまた非製造業の設備投資等については底がたい状態と申してよろしいかと思います。そういう状態は現在も特に変わったわけではございません。したがいまして、今後については十分注意してまいりますが、円高や、あるいは先ほどおっしゃいましたような石油価格の引き下げのメリット等も今後ももっと出てくる、当然そうなければならない、こう思っておりますし、景気がこれ以上どんどん累積的に落ち込むという心配はない、こういうふうに思っております。  金融の緩和されている状況については今おっしゃるとおりでございます。量的に十分緩和しておりますし、金利も十分下がっている、こういう状態でございますので、値上がり期待等によって株式の取引が極めて活発化しております。株式相場は、昨日はちょっと下がりましたが、それまでは棒上げでございました。また、土地の値上がりも、都心からだんだん地方都市まで及んでおります。こういう諸般の金融緩和に伴う動きというのは、やはり我々非常に警戒するというところまでまいりませんでも注意は十分していかなければならない、こういうふうに思っている次第でございます。  こういう状況を考えますと、アメリカ側ができれば日本、それから西独の状況は必ずしも日本とすべて同じではございませんが、西独に、アメリカが公定歩合を下げた場合に同時ないし追随して下げるというようなことを期待をする。公定歩合は各国自主的に決めるものでございますので、これを要請するというようなところまでまいりませんことは向こうも十分中央銀行の公定歩合に対するそういう建前というものを尊重しておりますが、しかし期待はしておるということも十分わかるところでございますけれども、しかし現在の状態においては、なお日本としては様子を静観をしてまいりたい、現在の態度を維持してまいりたい、こういうふうに考えております。もちろん、為替相場の点は今後どういう影響をもたらしてくるか、これは十分注意しなければならないところでございますが、ここまでドル安、円高が進んでまいりまして、さすがに警戒感というものも市場にございますし、従来のように金利差というものに非常に大きく感応するという、そういう感応度というものが少なくなってきているというのは認められるところではないか、こういうふうに考えております。  ちなみに、本日までのところはそういったような状況で、為替相場は内外とも百五十三円絡みのところで比較的落ちついている、こういう状況でございます。したがいまして、現時点におきまして私どもといたしましては十分諸般の状況には注意しつつなお現状をそのまま静観をし、そして今後に注意をしてまいりたい、これが私の率直なる現在における考え方と申しますか、心境と申しますか、そういうところでございます。
  149. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  150. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 速記を起こして。
  151. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 日銀総裁ありがとうございました。率直な御意見でよく了解いたしました。  外務大臣にお伺いいたしますが、けさほどもこの席上で外務大臣の苦衷のほどを承りまして、これ以上私は何も言うことはありません。特に、広く全世界にわたって活躍しておられる第一線の諸君に余り心配をかけないように、大臣が一段の御努力をなさることを切望しておきたいと思います。  大臣にお伺いしたいのは、南ア連邦に対する経済制裁問題をどう考えているかということを第一にお伺いしたいと思います。
  152. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 我が国は、一貫して南アのアパルトヘイトに反対する態度をとっております。  右撤廃実現に向けて我が国がとり得る措置として何が効果的であるかについて、今後とも国際社会と一致協力して検討してまいりたいと思うわけでございます。  具体的に我が国が南アに対し追加措置をとるかどうかについては、かかる各国との協議を踏まえながら我が国の置かれている経済的事情及び国際的責務等総合的見地から考慮してまいりたいと考えております。
  153. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 これまた外務大臣にお伺いいたしますが、今私たちは貿易問題で豊かになったがゆえに、国土の問題をややもすれば忘れているのではないかという気がいたします。やはり先祖が眠り、先祖の血の流れた土地ですから、これは猫の額のような小さな土地であってもこれを伝統的に大事にしなきゃならぬと考える。そういう観点から、大臣がまだ御就任早々でありましょうから大変御苦労かと思いますけれども、竹島問題並びに北方四島についての御意見を承らしていただきたいと思います。
  154. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 竹島につきましては、歴史的事実に照らしましても、また国際法上から申しましても我が国固有の領土であることは明らかであります。したがって、政府は、韓国側による同島の不法占拠及び各種の施設の構築を真に遺憾と考えておる次第でございます。かかる我が方の考え方はあらゆる機会をとらえて韓国側に伝えておる次第でございます。  政府といたしましては、竹島の領有権に関する日韓間の紛争は、あくまで平和的な手段によって問題の解決を図るという基本的な立場を踏まえて、また外交上の経路を通じて今後とも粘り強く紛争の解決を図ってまいりたいと存ずる次第でございます。  また、北方領土の問題についてのお尋ねでございますけれども、日ソ最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結することによって、我が国の重要な隣国であるソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することが、従来より我が国政府がとってまいりました対ソ外交の基本方針でございます。  近年、ソ連側は北方領土問題に関し我が国との話し合いに進んで応じてこなかったところでございますけれども、ことしの二度にわたる日ソ外相定期協議の際、我が国より北方領土問題を日ソ間の最重要懸案として提起してソ連に対して話し合いを行いました。そして、領土問題を含む平和条約交渉が再開され継続されることとなった次第でございます。また安倍前大臣は、五月の訪ソの際のゴルバチョフ書記長との会談でも、この問題に対する日本側の立場を強く主張してまいりました。しかし、ソ連側の本問題に対する立場は依然として厳しい状況にございます。従来の立場を変えるに至っておりません。  政府といたしましては、今後とも外相間定期協議を初め、あらゆる機会に歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島一括返還実現のために粘り強い対ソ交渉を行っていく所存でございます。
  155. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ありがとうございました。どうぞその線で御努力くださることを要望いたします。  最後に、大蔵大臣と日銀総裁と外務大臣おそろいのところですからちょっとお伺いいたしますが、一部のジャーナリズムでは一九二九年のような世界恐慌が来るんじゃないかという説をなしています。その根拠とするところは、一九二九年の場合は農産物の大暴落、約五割下がりました。そしてドイツ賠償問題がこじれたということです。今の世界で言うと、農産物は先ほども触れたようにだんだん下落の方向をたどっている。そして累積債務八千八百億ドルになる。この問題がこじれると大変なことになるという心配から一九二九年の再来を懸念するのだと思いますが、一言ずつで結構ですから、その心配はないのかあるのか、また、累積債務問題についてどういう態度をおとりになるかをお述べいただきたいと思います。それで私の質問は終わります。あとは先ほど言った会計検査院並びに農林御当局の回答が用意できたそうですから、それを三時までにきっちり終わるように回答していただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまのお尋ねでございますが、私はそういう心配はないというふうに考えております。  そう考えます理由は、一九二〇年代のあのいわゆる世界の大不況というものが結局すべての人々の不幸になって、それが戦争にまでなったということを我々はあのときに歴史で学びました。ただ学んだばかりでなくて、今の世界はそれをお互いに話をしながら防ぐようないわば協議の場と申しますよりはもっともっと情報あるいは理解等々の、これは体制の異なる国に対してすらございますので、したがってみんな自分たちの最終的に不利益になることというのは何とかしてやはり避けなければならないという意思と、そういう方法を持っておるというふうに考えております。
  157. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいま基本的には大蔵大臣の申されたとおりでございます。  私は、今日の世界のいかなる超大国といえども、一国のみでは生存していくことはできない状況にあろうかと思います。したがって、一九二九年の恐慌時代と比べると、今日の国際協力、相互依存関係が極めて緊密になって、話し合いということが重要であることを世界の国々が認識しておりますので、これらの国々の協力がある限りにおいては、そのような悪夢は再び起こらないと確信をいたしております。
  158. 澄田智

    参考人(澄田智君) 私も国際協力、しかもそれも政策面、かつてであれば各国の内政であるというような点まで、あえて各国ともお互いに相談し合う協力関係というような考え方が確立し、しかもそれが実際の面においてもいろいろと発揮されております。今までの債務累積問題につきましても、八二年にメキシコで起こりましてから今日までの状態というのがそれをよく物語っている、こういうふうに思うわけでございます。そういう意味におきまして、一九二〇年代の場合とはそういうふうな点が根本的に違うのではないか。したがいまして、二〇年代の悪夢の再来というようなことは絶対にないというふうに確信をいたしているものでございます。
  159. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、先刻の斎藤委員の質疑に対し、会計検査院、農林水産省、中小企業庁各当局から発言を求められておりますので、これを許します。会計検査院吉田第四局長
  160. 吉田知徳

    説明員(吉田知徳君) 農用地開発事業によりまして造成されました農地の利用状況がよろしくないということで決算検査報告に掲記いたしましたのが、これが二回ございます。五十四年度決算検査報告とそれから昨年の五十九年度決算検査報告でございます。それで、五十四年度に掲記いたしましたのは四地区について掲記いたしました。その四地区につきまして五十九年度におきましても再度掲記いたしたものは二地区、ちょうど半分でございます。そういうことでございますけれども、これらの二つの地区の状況について見ますと、五十四年度指摘いたしましたときの未利用地の面積に比べまして、五十九年度現在におきましては約半分程度にまで減少してきております。  それから、五十四年度に掲記いたしまして五十九年度に掲記しなかった二地区についてでございますけれども、これにつきましては、全く未利用地がなくなったというわけではございませんけれども、五十九年度で取り上げました国営農地につきましては、一応一事業について四十ヘクタール以上未利用地がある場合に取り上げて掲記したわけでございますけれども、その数に達しませんので、そして五十四年度から比べますと大幅に改善されている、このような状況でございまして、五十九年度に掲記いたしましたものにつきましては、今後におきましてもさらに注視してまいりたい、このように思っているわけでございます。以上でございます。
  161. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 農林水産省鴻巣構造改善局長
  162. 鴻巣健治

    説明員(鴻巣健治君) 今のとおりでございますが、具体的には、最後にもう一回重ねて再度指摘のありました国営農用地開発事業では、羊角湾、これは熊本県でございますが、あと大分県の国東の地区が残っておりました。五十四年に羊角湾は百五十一ヘクタールが管理不良、同じく五十四年に国東については百ヘクタールが管理不良、合計で二百五十一ヘクタールの管理不良が指摘されましたが、五十九年には今会計検査院の方からお話がありましたように、羊角湾の管理不良面積が七十九・五ヘクタール、国東については五十七・八ヘクタール、合計百三十七・三ヘクタールと半分に減らすことができました。しかし、またいろいろ御指摘もございますので、会計検査院の御指摘を踏まえまして一層効果を発現するために管理不良となっております農地につきましては、この三月に農林水産省構造改善局長名で地方農政局あるいは県でその実態の調査、分析をただいま大急ぎでやっていただいておるところでございまして、できるだけ早く結論を取りまとめまして、営農上利用可能と認められる農地につきましては、その利用の促進を図るという考えでございます。
  163. 菅野久光

  164. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) 御指摘の中小企業設備近代化資金貸付制度と申しますのは、中小企業、それも百人以下の小規模企業につきましてその設備近代化のため小口の設備投資をする際に、そのうちの半分を、これまた国と県とで半々ずつ分けて無利子で出す、こういう制度でございます。年間全県で約四百億円、約七千件といった規模で運用しております。  五十九年度につきまして、御指摘のとおりそのうち十六件についてその貸し付けが不当な貸し付けになっておるという指摘を受けております。不当さの態様でございますけれども、例えば千万要るということで、設備千万であるというときに、値引き等で八百五十万であったではないかということとか、あるいは前年度設備投資したものに貸し付けているではないかとか、あるいは本来これの支払いは割賦で支払うことになっておるのに、全部を払うという前提でその二分の一を貸し付けておるではないか、こういったものでございます。  こういう制度の運用の行き違い、これは実は率直に申し上げて、毎年十数件、二十件くらいずつございます。これはそういった貸付対象者が非常に小規模企業であり、それを各県の窓口を通じてやっておりますので、七千件のうちいろいろ私どもも努力し、県の注意を喚起し、県がそういう小規模企業者に対しての説明会等を十分やって、この制度の運用の仕組みをよく理解してから借りていただくようにということを努力してもらっておりますけれども、なかなか根絶していないというのが実情でございます。  ただ、私どもとしては全国七千件、そういった小規模企業者がまじめに設備近代化しようというときにそういった低利の金を借りられる。これはそのこと自体の制度が、こういうごくわずかな制度の運用の行き違いによってその制度全体の印象、これが悪化する。これは非常に遺憾なことであるというふうに思っておりますし、申しわけなく思っております。したがいまして、今後ともそういったこの制度の仕組みを正確に各小規模企業者にどのように理解させるか、これについて県と一緒に今後とも努力していきたいと思います。  ただ、この非違事項として指摘を受けましたこの十六件については、その貸し付けすべてを取り消し、収納させるということをほぼ終わっております。なお若干手続中のものがございます。
  165. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 わかりました。  ありがとうございます。
  166. 田代富士男

    田代富士男君 私は、最初に平和相互銀行の問題について質疑を行いたいと思います。  かねてから乱脈融資や疑惑が繰り返し言われてまいりました平和相互銀行にも官憲のメスが入りまして、現在その不明瞭な実態が暴かれつつありますけれども、国民の金融機関への信用回復のためにも早急の解明を望むとともに、本委員会におきましても若干関係各省についてお尋ねをしたいと思います。  最初に法制局にお尋ねをしたいと思います。  銀行法第二十五条には、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要と認められるときには立入検査ができる旨規定されておりますけれども、この規定の趣旨はどうであるのかお答えいただきたい。特に同条の第四項の規定は憲法第三十五条との関係を明らかにした確認規定と私は理解しておるけれども、この点どうであるのか。  それから第二点は、同法の第六十三条第三号にこの立入検査の拒否等について罰則があるが、これをどのように考えておるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  167. 関守

    説明員(関守君) お答え申し上げます。  銀行法第二十五条第四項の規定は、銀行法二十五条、同条の第一項及び第二項に書いてございます銀行等への立入検査、これにつきまして、銀行業務の健全な運営を図る等の、これもその条文に書いてございますけれども、そういうための行政上の指導監督の見地からなされるものでございます。したがって、それは刑事責任を追及するということを目的とするものではない、その旨を確認的に明らかにしたものでございます。したがいまして、憲法第三十五条との関係については御指摘のとおりだと思います。  それから、六十三条でございますが、この立入検査は刑事的手続ではございませんので、それに直接抵抗を排除してやるという性質のものではございませんので、それにかえてのと申しますか、立入検査を正当な理由なく拒否する場合には罰則にかからしめるということによりまして検査の実効性を担保するという趣旨の規定でございます。  以上でございます。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 今私がまず質問に先立ちまして確認したことは、第四項、これは憲法第三十五条との関係を明らかにした確認規定であるということと、それからこの罰則については間接強制による立入検査の実効性を高めることを目的としたことである、こういう法制局としての御見解、間違いないわけなんですね。  次にお尋ねいたしますが、相互銀行法第十四条で銀行法第二十五条が準用され、罰則についても第二十三条第三号に銀行法と同種の規定がありますが、立入検査については銀行法と相互銀行法は同様に考えてよいのか。
  169. 関守

    説明員(関守君) ただいま御指摘のございましたとおり、第十四条で銀行法の第二十五条を準用しておりますし、また、第二十三条も銀行法の罰則と同種の規定が設けられているという点は御指摘のとおりでございます。
  170. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、この決算委員会を初め各委員会等で平和相互銀行の問題が質疑されてまいりました。その中の問題を私はもう一度確認する意味から取り上げてみたいと思いますが、これまでの平和相互銀行に対する大蔵省の立入調査についての銀行局長の答弁は、金融検査は任意調査で、「有効に実施するためには金融機関との間の信頼関係が重要な前提」、「つまり金融機関から提出される資料をもとにいたしまして検査する」、これは六十一年三月十二日参議院の予算委員会。  次に、「金融機関等を検査いたします場合には、金融機関から提出される資料をもとにいたしまして私ども検査官が検査するわけでございます。」これは六十一年五月十二日参議院の決算委員会で述べられております。  また、当時の竹下大蔵大臣も、「あくまでも銀行側の協力を得て検査を行う」、このように発言している。つまり検査を受ける側の判断を優先させた資料に基づいて検査している旨答弁をしておりますけれども、これはいかなる根拠によるのかお答えいただきたい。
  171. 平澤貞昭

    説明員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいました件につきましては、委員がお話しなさいましたように、これまで銀行局長その他が国会で御答弁申し上げておるわけでございます。これにつきましては先ほど来御議論がございます、例えば銀行の場合は銀行法第二十五条、この規定に従って検査をしているということでございます。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 大蔵大臣及び銀行局長の検査に対する考えは、「大蔵大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、」それからずっと続いておりまして「検査させることができる。」という銀行法第二十五条の趣旨になっておるわけなんですが、この趣旨と今さっき私が、今まで行われた参議院の予算委員会、決算委員会等で答弁された内容を今申し上げました、その根拠は二十五条によるところの根拠であると言われますけれどもニュアンスが違うわけなんです。私はそのように思うんですが、だから間違いのないように申し上げたわけです。二十五条の精神であるならばどうなんだ、ニュアンスが違うじゃないですか、どうなんですか。
  173. 平澤貞昭

    説明員(平澤貞昭君) 銀行法の規定をごらんいただきますと、この第二十五条のほかに第一条、「目的」という規定が総則にございます。それを読んでみますと、「この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」という目的が第一条にございまして、この第一条の大きな目的の中でさらに二十五条があるというふうに解釈されるわけでございます。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 二十五条、私も目を通しました。しかし問題が、大蔵省側のとっている態度とこの根本趣旨との違いがあるから私はそれを確認をしております。  もう一つ申し上げますと、五月十二日の決算委員会でも銀行局長が、「検査に関する銀行法の中には、検査は犯罪の捜査の目的のために行うと解されてはならないということが付記されております。」と、このように答弁をしておるんです。銀行法第二十五条第四項、これを根拠にしてそういう答弁をされていると思いますが、第二十五条第四項を根拠としておりますけれども、私が一番最初に法制局に確認をいたしますということで確認を今とりましたとおりに、この規定は憲法第三十五条との関係においていわば念のためのいわゆる確認規定でありまして、それ以上の積極的な意味はないのではないかと、私はこのことを言いたい。  それと同時に、銀行法の趣旨というものは、検査に際しまして大蔵省、検査官が必要と思われるときは相手方に要求でき、相手方これに応じないときには罰則をもってこれに臨むことができるというのが通説なんです。私が今一番最初に法制局に確認をいたしました。この罰則ということは、間接強制による立入検査の実効性を高めることを目的としたものでありますけれども、決算委員会予算委員会におけるところの答弁、大蔵省の答弁というものは、検査を受ける側の判断を優先させた資料に基づいて検査をしている旨の答弁をしているわけなんです。だからここらあたりはどうなんだと。このような大蔵省の法の趣旨を誤った姿勢というものが、今回の平和相互銀行等の問題に見られますとおりに、早期に乱脈経理を発見できなかった最大の原因ではないかと思いますが、大蔵大臣どうでしょうか。
  175. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大変に難しい法律の問題でございますから正確にお答えができるかどうか危ぶみますけれども、この銀行法の第一条、二十四条、二十五条、この目的がはっきり書いてございますし、六十三条の三項についても、どういう場合にこの「五十万円以下の罰金に処する。」というこれが適用があるかということも明確に書いてございます。したがいまして、これらから見ますと、ここにありますいわゆる調査の権限というのは、司法上に申しますところの強制捜査の権限を与えているものではない。そうではないと、相手方の協力ということを前提にして銀行の業務の公共性と信用を維持する、預金者の保護のために行うものである、こういうふうに読むのが私はやはり素直な読み方であろう。問題は、そのような任意の調査権、それに対する応答でありましても、その場合に虚偽の報告をするといったようなことは、これはあり得るわけでございます。そういう場合にどうなるかということは、これは私は問題があるであろうと思いますけれども、しかし、それは捜査、調査そのものが強制力を伴っておるということとはひとつ違うことであろうと思います。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 大蔵大臣、今申し上げたような取り違えのために早期発見ができなかった問題点を私は指摘したわけなんでございますが、それと同時にもう一つ申し上げることができるのは、この大蔵省の平和相互銀行に対する検査というものは二年置きに行われておりまして、昭和五十五年四月九日の参議院の物価等対策特別委員会における答弁では、検査結果について「経営上問題があるというふうには感じておりません。」と、このように述べているわけなんです。ところが昭和四十九年十二月に行われた猪熊検査官による検査の際には、既に御承知のとおりに小宮山ファミリーへの集中融資を発見しているわけなんです。このことは国会での虚偽の答弁をしているのではないかと疑わざるを得ない、この問題点についても。まだほかにもいろいろありますけれども、この一つをとりましてもそういうことを私は指摘するわけでございますが、しかもこの平和相互銀行に対しまして大蔵省の答弁は、「経営姿勢、」「信用供与の構造等の各種の問題点につき改善を求めてきたところでございます。ただ、それらの指導に基づく平和相銀の対応は遺憾ながら十分であったとは言いがたいと言わざるを得ないと思っております。」、これは六十一年五月十二日決算委員会における銀行局長の答弁ですけれども、このように決算委員会で責任を平和相互銀行だけに押しつけるかのごとき答弁をしておりまして、一向に監督責任というものを感じてない。この間の予算委員会、決算委員会の会議録等もう一度私、目を通しましたけれども、平和相互銀行が悪いんだと、監督官庁の責任は何らとってない。だから私は、今さっき言った二十五条の四項を根拠にしたようなそういう態度であったために、この乱脈経理というものを早期に発見できなかったではないかと、私はこのように指摘しているわけなんです。それも今もまだまだその受けとめ方が弱い。監督官庁の責任というものはどう感じているのか、私はこのことを指摘したい。  大蔵省設置法には第四条で、その所掌事務として同条第九十二号に、「銀行業、相互銀行業」「の免許並びにこれらを営む者の監督に関すること。」と監督責任が明記されております。前に申し上げました立入検査の規定もそのためにあるのではないかと思いますし、そういう意味から、今後のためにもこの法を前向きに解釈し、同様の事件の再発の防止のために監督責任を肝に銘ずべきではないかと、このように私は指摘いたしますが、大蔵大臣いかがでございますか。
  177. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 法律あるいは立法論の分野に入りますので正確にお答えをできるかどうか幾らか危ぶみますけれども、この銀行法にあるいは相互銀行法に書かれておりますいわゆる報告または資料の提出、立入検査等々は、基本的には例えば所得税法等々一般の税法に書いておりますところの資料の提出を求める権利、あるいは立入検査をする権利等と同じ程度の、同じ性格のことを書いておるように思います。すなわちそういう意味では、相手方の協力ということを前提にいたしまして、そういう意味での強制調査、強制捜査権というものは与えていない。もちろん相手が虚偽の答弁をいたしましたとき等々には罰則がありますことは御承知のとおりですが、さればといっていわゆるガサをかけるという意味での強制捜査権は与えていないというのが、この銀行法にいたしましても、一般の税法にいたしましても共通の考え方であろうと思います。  それに対しまして、例えば物品税の逋脱等がございましたときの間接国税犯則者処分法は、これは強制調査権を与えております。いわゆる踏み込んでガサをかけられるということでございますが、そういうふうに同じ税法の中でも分けて考えられております。それはそれなりの立法論の理由があることであろうと思います。そういう意味では、この銀行法なり相互銀行法なりがいわゆる強制捜査権でないその一歩手前の監督あるいは立入検査権を与えておるということは、それなり立法者としての御意思があってそうなっていることであろう、また行政の立場からいってもその方が全体のいわゆる銀行の業務の公共性、信用の維持等等に適切である、こういう立法者の御意思であったのではないか、私はそういうふうに思います。すなわち、田代委員が御指摘をしておられますように、このたびの事件というのはいろいろな意味でまことに残念なことであったと存じますが、それなるがゆえに、この銀行法による資料の提出を求める権能あるいは立入検査権を強制捜査を含むものにすることが、改めて法を改正することが好ましいかどうかということにつきましてはこれは私は議論のあるところではないかと考えるわけでございます。
  178. 田代富士男

    田代富士男君 次の問題がありますから、この問題は時間がありませんから一応ここでとどめておきますけれども、大蔵省の姿勢を正してもらいたいことを再度ここで要望をしておきます。  次に、過日国際協力事業団、JICAの課長代理がモロッコ王国の農林水産開発に関する調査に絡んで収賄容疑で逮捕されたという事件が起きております。つい先ごろは御承知のとおりにフィリピンの開発援助に関する疑惑が国会で大きく取り上げられたばかりでございまして、国民は年間約一兆円にも上る我が国の開発援助に一層疑惑の念を深くしたと思いますし、まことに遺憾であります。政府の責任は重大であると思います。  そこで、まずこの事件の発生の原因についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。それとあわせまして、無償資金協力の実施の流れについて説明をしていただきたい。そして、今回の事件はそのどの段階で発生したものであるのかあわせてお答えをいただきたい。時間も余りありませんから、申しわけございませんですが、要領よくお答えをいただきたいと思います。
  179. 英正道

    説明員(英正道君) お答え申し上げます。  今回の事件の概要ということにつきましては、現在捜査が進展しておりますので、それを見守ってまいりたいと思います。大変遺憾なことであったと存じます。  無償資金協力の流れでございますけれども、御存じのとおり、無償資金協力は無償資金協力、それから技術協力は技術協力と分かれておりますけれども、御質問はそういうことを含めてどういうようになっているんだということだろうと思いますので、お答えを申し上げますが、最初にこのモロッコ王国の水資源開発の調査につきましては、これは先方政府から開発調査の要請がございまして、現在調査報告書を作成しているということでございます。開発調査の要請は六十年の一月に、昨年の一月に先方政府から出てまいりまして、それに基づきまして調査団を送りまして、ことしの一月から本調査団が出ているということでございます。その報告書案というのは既に先方政府に出ているわけでございますが、それを先方政府が見まして、この結果この水資源開発をさらに資金協力を得て実施したいという要請が出てまいります場合には、またそれに応じまして私どもとしては検討を重ねて対応する、こういうことになっております。
  180. 田代富士男

    田代富士男君 この事前調査と申しますか、事前調査の実施主体というのはどこであるのか、またこの段階で業者の介入する余地はあるのか、この点簡潔にお答えいただきたいと思います。
  181. 英正道

    説明員(英正道君) 最初に要請がございまして、この件につきましては四件の要請がありました。そこで予備調査団というのを昨年の七月に出しまして、要請内容の確認等を行いまして、それから事前調査団というのが十二月に出たわけでございます。事前調査団は先方の要請を絞りまして、今後開発調査をやる場合にどういう地域、どういう対象を絞ってやるか、いわゆるスコープ・オブ・ワークと申しておりますけれども、開発調査の内容を定めるという形になっております。事前調査団はJICAが派遣いたしまして、それは我が方が協力の方針を決定した案件につきまして行うということで、構成は通常、今度の場合は政府関係者とJICAの職員がメンバーでございます。
  182. 田代富士男

    田代富士男君 業者の問題です。業者の介入する余地があるのかないのか。
  183. 英正道

    説明員(英正道君) これには介入する余地は全くございません。
  184. 田代富士男

    田代富士男君 今、私確認をいたしましたけれども、この実施主体というものは官の立場でやられて、業者が介入をするものではないということが明確でございますが、もしそうであるならば、事前調査の段階で業者としかも現地で接触するということが今回問題になっておるわけでございます、今回の問題の一つとして。そして、ましてこの業者に調査の秘密を漏らしたとなると、これは重大な問題ではないでしょうか。私、JICAの内務規定も読ましていただきましたけれども、これが今取り調べの最中でございますけれども、新聞報道によれば、このように同行していたことが明らかであるということが報道されております。こういうことであったならば内規違反になるし、事業団の管理体制というものはどのようになっていたのか、ここらあたりはどうなんですか。これはもう重大な内規違反だと思いますけれども、これは、総裁お見えになっていらっしゃるでしょうか。
  185. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) けさほども申し上げましたが、このJICA始まって以来の不祥事ということで、収賄容疑で職員が逮捕されるという事件でお騒がせしましてまことに申しわけないと存じます。私の記憶する限りそういう不祥事というのは今回初めてということでありまして、我々も、このJICAの業務の規模が拡大していく過程の中で、いやしくも事故があってはならないということで、ふだんから綱紀粛正には気をつけるようにということで、いろいろの機会に、あるいは新入社員の研修のとき、あるいは課長その他のレベルの再研修の時期、その他いろんな機会に注意はしてまいりました。したがって、今回の事件がありましてから、現在司直の手で取り調べが行われているわけでございまするけれども、規律委員会というものとそれから調査委員会というものを二つつくりまして、規律の面、それからJICAの業務の仕組み、流れそれ自体についていやしくもそういうすきがあってはならないということでせっかく調査をしておりまして、今後改善すべき点は改善するということでやっております次第でございます。
  186. 田代富士男

    田代富士男君 今、私お尋ねしたのは、この服務規定も私これ読ましていただきました。これに違反しているということはいかがですか。これはもう正直に、これは違反しているんですから、こういう点については認めたらどうでしょうか。
  187. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) この収賄容疑という点につきましては司直の手で調べておりまするけれども、そのほかに一般の職員の行動規範というものはございますし、服務規律というものもございます。したがって、その仮に事業団の内部の秘密にしておくべき、特定の業者に漏らすべからざるそういう情報を漏らしたとすれば、これは明らかに何らかの対処をすべき事項だと思います。
  188. 田代富士男

    田代富士男君 だから違反でしょう。
  189. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) 違反です。
  190. 田代富士男

    田代富士男君 だから今規律委員会等をつくって綱紀粛正を図っているということでございますが、これも新聞に報道されておりましたけれども、あるコンサルタントの会社の幹部が、JICAの職員は暑いから暑さ払いと称して二千円の会費で数万円飲み、残りは業者に支払わせて平気な感覚、たかっているのは金だけではない、たかりが事業団に蔓延していることをこういう話をしているという、これも新聞記事でございます。今調査をしているということであるならば、こういうこともあわせてちゃんとやっていただきたいと思います。  そこで私はここで申し上げたいのは、この今問題になりました美谷島課長補佐の担当した無償協力の事業にどのようなものがあったのか、また、問題の中央開発の手がけた開発調査にどのようなものがあったのか、これをこの三年ほどの間の事業をお示しをいただきたいと思います。
  191. 英正道

    説明員(英正道君) 先ほどの答弁をちょっと一点修正さしていただきますと、具体的なモロッコに対する事前調査団に民間の同行があったかという御質問で、ございませんということでお答えをいたしました。一般に事前調査団に民間業者が参加することがあるかという点につきましては、例外的にはあります。それは特殊の知識を持っている人をちゃんと委託契約を結んで行っているということがございます。ちょっと一点訂正さしていただきます。  それから御質問の点の第一点のこの美谷島課長補佐が担当していた業務云々というのは、ちょっと私からはお答えできませんので御勘弁いただきたいんですが、先ほどの中央開発が過去三年間にどういう業務を担当したかということにつきましては、過去三年間に終了した案件及び現在実施中の案件の中で中央開発が単独で受注した件数、それから中央開発が代表として参加している共同企業体として受注した件数と金額というのを申し上げたいと思います。  終了済みのものは、昭和五十九年度に一件、これは共同企業体としての受注でございますが、ございます。金額は約四億円でございます。それから昭和六十年度に……
  192. 田代富士男

    田代富士男君 案件の内容もあわせてお願いします。終了年度と案件と契約金額、受注形態。
  193. 英正道

    説明員(英正道君) 五十九年度はネパール・コシ川流域水資源開発調査ということで、契約金額は四億二千五百万円、共同企業体としての受注でございます。それから六十年に単独で二件、ルワンダ東部生活用水開発計画調査、金額にして一億五千百万円、これは単独でございます。それからタイの発電司令センター開発計画調査、これは三百万円、単独でございます。それから共同企業体といたしましては、パキスタンの漁村総合開発計画、一億九千六百万円。フィリピンのアスエ農業総合開発計画、一億六千八百万円。それから現在実施中のものが、昭和六十一年現在実施中の案件は単独で二件、スリランカのアッパーコトマレ水力発電開発計画調査、契約金額が一億九千五百万円。それからグアテマラのグアテマラ市地下水開発計画調査、これは契約金額が二億四千百万円。あと共同企業体としての受注しているものがスリランカ・ガンパハ地区農業地域総合開発計画、一億四千六百万円。モロッコの現在問題になっておりますウジュダ州地下水・農村開発計画、八千九百万円。  以上でございます。
  194. 田代富士男

    田代富士男君 美谷島課長補佐の直接担当したところについて、今報告いただいたところでどこが直接担当したのか、これは総裁の方からお答えください。
  195. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) 美谷島につきましては、課長補佐の職責には五十八年から約三年以上ですが、担当しております。農業開発計画の課長の課長代理という職責でございます。  当人がその課長補佐の責めにありましたときに関連して出てきた案件といいますのは、六十年のパキスタンの農村総合開発計画、これは契約金額が一億九千六百万、共同企業体であります。それからもう一つがフィリピンのアスエ農業総合開発計画、一億六千八百万、これも中央開発を含む共同企業体ということでございます。それからさらにスリランカのガンパハ地区農業地域総合開発計画、これが一億四千六百万、これも中央開発を含む共同企業体。それからただいま問題になっておりますモロッコのウジュダ州の地下水・農村開発計画、これも共同企業体という形になっております。金額は八千九百万円と、以上でございます。
  196. 田代富士男

    田代富士男君 過去三年間にわたります中央開発の開発調査の受注実績というものが今お答えをいただきまして、事件の中心者であります美谷島が特に関係をしていたところも明確になったわけでございます。規律委員会、調査委員会等を設置して調査をしているということでございますから、これらの今までの問題、特に共同企業体ということで今御答弁がございましたが、この共同企業体の中でも中央開発がメインとして受注されたということも確認をしておりますし、これらの開発調査の洗い直しをやっているのか、またやるのか、そこらあたりをちょっと明確にお答えいただきたいと思います。
  197. 有田圭輔

    参考人(有田圭輔君) 以上の案件につきましては、ただいま局長さんからも申し上げたように、モロッコの件はこの秋に最終の報告書が出ると。ですから実体的な仕事は済んでいるという形でございます。その他のオンゴーイング、ただいま仕事が進んでいるというものにつきましては、これは調査委員会の方でも仕事の現況その他について十分調査をいたしたいと、このように考えております。
  198. 田代富士男

    田代富士男君 そこで問題は、このマルコス問題が国会で論議された際に、中曽根総理が当委員会におきましても、「政府といたしましても今回の事案にかんがみまして、よく反省、検討もいたしまして、改善すべきものは改善していく考えでおります。」と、このように六十一年五月十六日に述べられまして、また、竹下大蔵大臣も、「総理、外務大臣も申しておりますように、改めるべき問題点があったらこれは改めようと、こういうことだけはお互いが最大公約数として認識をしておるところでございます。」と六十一年の五月十日に述べておるにもかかわらず、今回また海外援助に関しまして国民の疑惑を招き、少しも改められてない。しかも、問題はこの発生の時期というものが、国会でまた国内でもマルコス問題が大きく取り上げられている最中にこの問題が起きたという大胆さ、こういうところから情状酌量の余地はないと思いますけれども、この点いかがでございましょうか、監督責任者として。
  199. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えをいたしたいと思います。  今回の事件は、対比援助をめぐるいわゆるマルコス疑惑とは性格を異にするものでございます。しかし、いずれにしましても、今回の逮捕事件が我が国経済協力に対する国民の信頼を著しく傷つけたことはまことに遺憾でございまして、かかる事態が繰り返されないように国際協力事業団を指導、監督してまいるという決意を申し上げましたことは、午前中の梶原委員、また午後の斎藤委員にお答えいたしたとおりでございます。先ほどもお話しがありましたように、現在捜査当局による調査が進められていることでもございますから、この捜査を注意深く見守るとともに、あらゆる面においてひとつ問題点を検討してまいりまして、国民のこの貴重な税の使い方について、あるいは資金の使い方についていささかの疑惑のないような最大の努力をいたしたいと思う次第でございます。
  200. 田代富士男

    田代富士男君 なお、参議院の決算委員会におきまして、昭和五十八年度決算審査におきましてマルコス疑惑に関しまして、政府開発援助の実施手続の改善を求める旨の警告をしているのでございますが、その後どのように改善をされたのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  201. 英正道

    説明員(英正道君) 外務省といたしましては、日本の国際的責務でございます開発援助の拡充に伴いまして、その援助の一層の効果的、効率的な実施は努めるという観点から、援助の実施のあらゆる段階におけるチェックの問題を強化していかなきゃいけないというように考えておりますが、具体的にはやはり事前調査の拡充、評価の拡充と質的改善、それからアフターケア援助の充実、実施体制の強化というような点が問題になろうかと思います。既に、技術協力、開発協力等は十数年から二十年の実績がございまして、その間にこういう仕組みにつきましてはいろいろ改善を重ねてまいっておりますけれども、さらに改善をする余地がないか十分検討いたしまして、今言ったような面につきまして強化をしていきたいというふうに考えております。
  202. 田代富士男

    田代富士男君 今後の犯罪防止のためにいろいろ具体的な問題をお答えいただいたわけでございますが、問題はどう実行していくかという問題ではないかと思いますし、私はこれらの問題を通じまして、疑惑の温床を排除するためにも、海外援助の基本ルールとして大前提に公開の原則をうたった援助基本法の策定を検討すべきではなかろうかと。これは私は先日のNHKの討論会においてもこの問題を提起しておるわけでございますが、この問題に対する考え方をお聞きしたいと思います。  それと、これはひとつ私の意見というものを申し上げたいと思います。時間がありませんからまとめて申し上げますが、第一番目には、我が国の経済協力の持つもう一つの問題点はどこにあるのかといえば、援助の担当省庁が外務、大蔵、通産、経企の四省庁ばらばら体制となっておりまして、さらに、この実際の援助事業を行うのが十五の省庁にまたがっておりまして、それぞれ独自に実施していることです。こうしたばらばらな実施体制は結局お互いにもたれ合いとなりまして、どこに責任があるかも不明確になりがちです。そこで、この援助を効果的に行うには一元化、総合性、整合性の確保が必要ではないかと思います。そのために、例えば外務省に国際経済協力庁といった責任官庁を設けるべきではないでしょうか。アメリカやヨーロッパでは既に援助専門の省や庁が設置されております。これが第一点でございます。  第二点は、援助を推進するかなめはやはり人です。援助が発展すればするほど、それに携わるすぐれた人材の確保というものが必要になってきます。昨年暮れに外務大臣に提出されましたODA実施効率化研究の報告書でも、専門的知識を持った援助要員を養成するための国際開発大学、これは仮称ですが、の設立がうたわれておりましたが、この構想の早急な具体化が急がれると思いますが、いかがなものかと。  第三点、またさきにも述べましたが、公開の原則に立ちまして、援助を進めるために、これから行おうとする援助とこれまでに実施した援助に関する報告書を毎年度国会に提出することを義務づけ、その内容を厳しくチェックする体制づくりが必要不可欠ではないかと思います。  第四番目、発展途上国への我が国の進出企業のあり方に対しまして、現地権力との癒着や相手国民を企業の要職に登用しない等々、さまざまな批判があります。これはもう御承知のとおりです。これを改善するために、海外進出企業の海外での行動規範を明確にした海外企業憲章、これも仮称でございますが、ぜひ制定して、節度ある公正な企業活動が行われるようにすることが大事ではないかと思いますけれども、この点私、ひとつ提案と申しますか、申し上げた次第でございますが、援助基本法の策定とあわせましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  203. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいま田代委員から大変貴重な御意見の御開陳がございまして、私どもも御意見は貴重な御意見として十分検討させていただきたいと存ずるわけでございます。  現在、我が国の経済援助の実施は関係各省庁にまたがっておりますし、援助実施に関する法令もいろいろあることも事実でございますが、これらは基本的には現法体制の運用の改善、強化で行っていきたい、そして、効果的な効率的な実施を図りたいと思っておる次第でございますが、御承知のとおり、いかなる法律をつくっても、やはり問題は、ただいま田代委員が御指摘のとおり人の問題、また、その運用に当たる者の心構えの問題、それが一番大事な問題ではなかろうかと思いますので、今後さらに拡大していくあらゆる援助を適正かつ公正に実施していくために、法制面を含めまして問題点を検討してまいりたい。そしてその際に、ただいまお話の御意見は十分参考にさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  204. 服部信吾

    ○服部信吾君 まず初めに外務大臣にお伺いしたいんですけれども、本日の新聞報道によりますと、ソ連のゴルバチョフ書記長が来年早々にでも訪日する、こういうような報道があったわけでありますけれども、この点についての御見解、またもし来日されるようであれば総理も訪ソしたい、このようなことも書かれておったわけでありますけれども、この点について外務省のお考えをお伺いしておきます。
  205. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいまの服部委員の御質問でございますが、日ソ両国の最高首脳の相互訪問につきましては、日ソ首脳の過去の往来の経過、すなわち日本の首相は弔問外交を含めまして四回ほどソビエトを訪問しておりますから、我が方としましては、もしゴルバチョフ書記長と我が中曽根首相と会談が行われるとすれば日本で行われるべきである、ゴルバチョフ書記長に今回は来ていただくのが適当である、さように考えておる次第でございまして、先般、在日のソビエトの大使が私のところに参りました際にこのことを伝えまして、今年の末か来年の一月、ゴルバチョフ書記長が東京にお越しになるならこれをお迎えをしたい、こういう意思を伝えた次第でございます。  これに先立ちまして、ゴルバチョフ書記長は中曽根総理あての六月十六日の親書の中で、遠くない将来に訪日の機会があると思うと述べておりますし、また先般のウラジオストクの演説でも、首脳の相互訪問が議事日程に上っておると述べておるので、大変機は熟しておると思うのでございまして、私はゴルバチョフ書記長が訪日の意欲を示したものと受けとめておる次第でございます。  先ほど、ソロビョフ在京ソ連大使を通じて申しましたけれども、またこの実現がどのような形でいつ行われるかという問題につきましては、さらに九月の二十日過ぎから国連総会がございまして、私も出席いたしまして先方の外務大臣と会う機会もあろうかと存じますので、いろいろなそれらの点について具体的な問題をできるだけ詰めるように努力したいと思っておる次第でございます。
  206. 服部信吾

    ○服部信吾君 安倍総務会長によりますと一月確実と、こういうようなことでありますけれども、その中でちょっと一つだけお伺いしたいんですけれども、先般ゴルバチョフ提案の中で日本において、広島等において非核会議、こういうふうな提案もあるわけでありますけれども、こんなことも今検討されておりますか、我が外務省としては。
  207. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 広島というような名前が今出たわけでございますが、日本、我が国の政府としては、我が国の広島でそのような会議が行われるというようなことについて、私ども政府としては関与いたしていない次第でございます。
  208. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、日韓問題について若干お伺いしたいんですけれども、今回皇太子御夫妻の訪韓がたまたま延期になったのか、中止になったのか、この辺よくわかりませんけれども、行けなくなったと、こういうことです。これは延期ですか、中止ですか。
  209. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 端的に申しますと、延期でございます。
  210. 服部信吾

    ○服部信吾君 須之部特使ですか、総理が使いまして親書を全斗煥さんに渡したと。その中で、これは口頭だということだそうでありますけれども、中曽根総理がアジア大会に出席したい、こういうようなことを口頭で申し伝えた、こういうようなことも伝えられておりますけれども、この点については外務省はどのようにお考えですか。
  211. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 先ほど申し上げましたとおり、皇太子殿下御夫妻の韓国御訪問につきましては、政府は本年三月十一日にこれを推進する、この方向で検討するということを発表いたした次第でございまして、その後、妃殿下の御健康の問題で両殿下の御訪米が延期されたこともございまして、今年中の御訪韓が難しくなったということでございまして、いずれにしましても、延期したわけでございますので、韓国政府と現在の良好な日韓関係をさらに発展していくという点で、礼を尽くすという意味からも、たまたま文化交流のために、用事で八月十七日に韓国に参っております須之部外務省の顧問を通じまして、十八日午前、李外務部長官に表敬し、また同日午後、全大統領ともお会いしまして、本件につき日本側の事情を説明して礼を尽くしたということでございます。  親書の中身というようなことについては、これは親書でございますから申し上げるわけにはまいりません。
  212. 服部信吾

    ○服部信吾君 アジア大会の出席。
  213. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) そのようなことは、親書との関係ではなくして申し上げますならば、いろいろなことが検討されているということは事実でございますが、まだ具体的に何ら決まっていないということでございます。恐らく国会の開会中でもございますし、いろいろな問題、先方の都合もございましょうから、いろいろ言われていることは承知しておりますけれども、何ら決まっていないというのが現在の状況でございます。
  214. 服部信吾

    ○服部信吾君 九月二十日、これが開会式ですね、アジア大会の。行くとすれば、そこへ行かなくちゃいけないわけでありまして、まだ全然検討されていない、そういうことでありますけれども、かなり新聞報道等によってはもう実質的に日程まで入っているような報道もされているわけでありますけれども、外務省としては、じゃ総理の訪韓という問題については全く関知していない、こういうふうにとらえていいわけですか。
  215. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) いろいろな問題についていろいろな話があると。また新聞報道等がいろいろこれを伝えるということは民主主義の時代で、社会でございますから、これは当然のことであろうかと思いますけれども、これが具体的に決まったわけではないというのは事実でございます。
  216. 服部信吾

    ○服部信吾君 余りにも唐突なんでね。このアジア大会なんというのは、簡単に言えばオリンピックの中間の四年に一回ということですから、もう既にとっくに決まっている問題ですから。たまたま皇太子御夫妻がいろいろな事情で延期になった。そしてまた、急に総理がまたここで訪韓して、アジア大会に出席する。これはスポーツ大会だからいいんだ、こういうような考えもあるようでありますけれども、非常にそういう面からいうと政治的なものがある。たまたま皇室の御訪韓というのは、アメリカの延期とはまた全然違った種類のもの、特に訪韓の場合は。向こう側としても日韓の新しい夜明けだ、こういうようなあれもあるわけでありまして、非常に期待をしておった。しかし、いろいろな御事情で行けなくなったということでありまして、なおかつ、これでもし開会式となれば九月二十日ですけれども、もう一カ月もないわけです。そういうときに総理がそれに出席する、こうなったら非常に我々としては合点もいかないし、まだ外務省としても何もつかんでいない。そうなると非常に何となくスタンドプレーというか、そんなふうにもとるわけでありますけれども、この点についてもう一回お伺いしておきます。
  217. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) いろいろ服部委員から御意見がございましたけれども、断定的に皇太子両殿下の訪韓延期といろいろな問題とを関連づけてお話しになりました点は、我々はいただくわけにはまいりません。したがって、すべての問題についていろいろな話し合いをしているということは事実でございますけれども、しかし具体的にただいま断定的はおっしゃったようなことではないということでございまして、いろいろな動きについては十分外務省としては承知しているということでございます。
  218. 服部信吾

    ○服部信吾君 我々としては総理がアジア大会に出ることに対して、出ちゃいかぬなんということは決して言うものではありませんしね。だが、余りにも唐突だという面があるわけであります。  一つだけ最後に、九月二日に日韓の外相会議が行われるようであります。いろいろ懸案問題があるようでありますけれども、簡単にどのようなことをなされるのか、外務大臣にお伺いします。
  219. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 御指摘の外相会談は、日韓間の外相会談として昨年以来、ほぼ一年ぶりに行われることになりますので、二国間の問題、韓国と日本との問題、また朝鮮半島の情勢等の問題について意見の交換を行いたいと考えておる次第でございます。
  220. 服部信吾

    ○服部信吾君 文部大臣いらっしゃっておりますので、若干お伺いをいたします。  まず初めに文部大臣にですけれども、まあいろいろと御発言があって、いろいろ物議を醸しておる、大変な問題になっている面もあるわけでありますけれども、まず文部大臣に就任された御感想ですね、と同時にその文部大臣の教育行政、文部行政に対する決意、これをちょっとお伺いしておきます。
  221. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) 私が文部大臣に就任をいたしましたときの感想を述べると、こういうお話でございますけれども、これは何といいましても今の日本の政治、それが半分はこれが物と金というものと関連をする政治というものが非常に半分ある。しかも多いということが言えると思います。それに対しまして心の問題、こういったものが残り半分を占めなければならぬわけでございまして、その心の問題を取り扱うということは、これは主として文部大臣がこれに当たるということになっておるということを考えてみました場合に、文部大臣の責任といいまするものは非常に大きい、かように考えておりますし、感想と言えばそのような立場でこの文部大臣に就任したということをどのように私が果たしていくかということが大きな課題になろう、これが一つでございます。  もう一つは、これは皆さん同じでございましょうけれども、私は中曽根の第三次内閣の文部大臣に就任をしたということになるわけでございますが、今の中曽根第三次内閣といいまするものは、御案内のとおりこれは党則によりまして三選はできないということになっておるわけでございますから、その政治的な立場といいますものは、当然これから数カ月あるいは長くても懸案を処理をするということと関連をする間ということになるわけで、私ども常識で考えれば一年以内であるというように考えるのが普通であろう、かように考えます。  そういうことになって、それじゃ最大限一年ということを考えて文部大臣として何ができるかということを考えてみますと、国民の非常に多岐、多数にわたる方々の幼児から御老人に至るまで、こういった方々の心と教育、教養、文化というような問題を扱うということが一年や半年でできるはずはないわけでございまして、そういった意味におきましては、当然私の任務といいまするものには非常に大きな制約があって、そしてその制約の中でやれるだけのことをやっていかなければならぬ、こういうことになるであろうと、かように考えます。  第二番目に、それではおまえは一体文部大臣として何をやりたいんだ……
  222. 服部信吾

    ○服部信吾君 大臣、もう大体わかりました。
  223. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) よろしゅうございますか。
  224. 服部信吾

    ○服部信吾君 そこで、今大臣のお話を聞いていますと、大変文部行政、特に文部大臣になってよかったというような気がするわけですけれども、やっていることと言っていることがどうもいろいろと、何か最初文部大臣じゃ御不満じゃないかというようなこともいろいろ言われているわけでありますけれども、昨日高校野球終わりまして、それであの始球式だって文部大臣がやっているわけですから、大変青少年問題に対しては重要な立場でありますし、文部大臣の言葉、一言というものは大変影響力があるわけであります。選挙前に、マル優の廃止等々いろいろ当時政調会長である藤尾さんが言われましたけれども、大変大きな反響になっておる。それを後で一生懸命中曽根総理がそうじゃないんだとか消しているような、そういう中で、それだけあなたの発言というのは大変大きく影響が出ておる。  そういう中で、きょうはこういう機会でありますので、例の教科書批判ですね、文句を言っているやつは世界史の中でそういうことをやっていることがないのか云々、こういうことを述べられておる、この真意はどうなっておるのか、大臣にお伺いしておきます。
  225. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) まずもって、いま御指摘になられました言葉遣い、これは非常に不適当であって、かつまた非常にこれは誤解を招く、私の不徳のいたすところであるということをまずもっておわびをしなければなりません。  しかしながら、その中身の問題につきましては、いささか言われておることと私が申し上げておることは違っておるわけでございまして、教科書の問題につきまして、私どもは前内閣が決めました方針といいまするものを堅持いたしますということを申し上げておるわけで、そういった私どもが前内閣の決めた方針を守るということについていろいろな説があるということになれば、その中身について私どもは物を申さなければならぬということになるわけで、私どもはその教科書の中で、私どもの近隣諸国を侵略をしたとか侵犯をしたとかというようなことにつきましては、これはどこでいつどこの国に対しましてどう言っているとか、そのどこかの国がそれに対してどのように反応したかというような特定をした国名といいまするものは一切触れていないわけでございます。  私が申し上げたいと思いますのは、日本のそういった近世史、中でも太平洋戦史というようなものにつきましては、何といいましても、これは歴史が常にそうでありますように、私は百年たたなければその公正な批判、観察というものはできない、かように思いますし、ですからそのような立場におきまして、ある新聞が、これは韓国、中国というような特定の国を私が名指ししたんだというように書きましたけれども、それは明らかに間違いでございまして、そのようなことを申し上げた覚えはございませんし、現にその新聞はその翌日その記事についての訂正を出しておりますから、その誤った記事に基づく認識といいまするものはこれは変えていただかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  226. 服部信吾

    ○服部信吾君 これは陳謝したというか、そういう発言を私は聞きたかったんですけれども、外務大臣、ちょっとお伺いしておきますけれども、この発言に対して、それは文部大臣そういうふうに言っておりますけれども、この発言に対してお隣の韓国あるいは中国また台湾といろいろ批判が出ております。この点については外務大臣としてどうですか。
  227. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいま藤尾文部大臣から、言葉遣いについては極めて遺憾であったという意思の表明がございましたが、文部大臣申しましたとおり、これは特定の国を念頭に置いて発言したものではない、また日本政府としての基本方針は、教科書問題については八二年に官房長官談話を発表しております、この線を踏まえて対処していくということをあらゆる機会に諸外国に対しても説明をいたしておるところでございまして、その御理解を得ているものと存ずる次第でございます。
  228. 服部信吾

    ○服部信吾君 だけど韓国側から要するに遺憾表明が出されて、外務省としてこれは謝っているんでしょう。そうじゃないですか。
  229. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) これは、ただいま藤尾大臣の発言が外国に誤解を与え、あるいは不快感を与えたとすれば遺憾ということは中曽根総理も申しておるわけでございますけれども、真意は、先ほどお話しのように、特定の国を念頭に置いたものではないと。また日本国政府としては、八二年の官房長官談話の趣旨を踏まえてこれからも対処していく方針にはいささかも変わりないということを、十分理解を求める努力をいたしておりますわけでございまして、理解を得ておると思っておる次第でございます。
  230. 服部信吾

    ○服部信吾君 いや、だから韓国側に対して日本外務省として申しわけなかったというようなことを言っているわけでしょうということです。口頭かあるいは文章でやっているかということなんですね。  時間ありませんから、あと文部大臣に聞きますけれども、また文部大臣が靖国神社に関して、A級戦犯合祀問題に対して、近隣諸国への配慮から靖国神社公式参拝を見送った、こういうことであります。これも非常に、去年は総理が公式参拝しておきながら、ことしはしてない。そういうこともいろいろあろうかと思いますけれども、その中で文部大臣が、この問題に関して私は見解が違うと、東京裁判を正当とは認めていないんだと、こういう大変重大な発言をされているわけですね。その戦犯について質問を受けたときに、東京裁判が決めただけだと、そこに疑問があると、こういうようなことも発言されておりますけれども、これは私は文部大臣として大変な問題じゃないかと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えになりますか。
  231. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) 私が申し上げておりますのは、まずもって日本の政治家といたしまして、国のために命までささげて亡くなられました御英霊、それを御慰霊を申し上げて、そういった機会にあわせて将来に対する平和を祈念する……
  232. 服部信吾

    ○服部信吾君 要するに東京裁判を認めてないということでしょう。それを聞いておるんですよ。
  233. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) というのは当たり前のことでございまして、そういった際に、そのA級戦犯を合祀をしておるから参拝はできないんだ。これは、政治家それぞれの立場がございますから、それはそれなりにエクスキューズが私はあってもいいと思いますけれども、私自身の個人的な見解からすれば、これは東京裁判といいまするもの、これは憲法と同じでございまして、私どもは閣僚といたしまして憲法を遵守をすると、当たり前の立場でございますから、遵守はいたします。同時に、私ども自由民主党という政党はです、立党のときから自主憲法を私どもはつくります、憲法は改正するんですということを党議として決めておるわけなんですね。それと同じようにその東京裁判といいまするもの、それの合理性につきましては、私どもは平和条約におきましてその第十一条でそれを認めておりますから、それは認めざるを得ないということではございますけれどもですね、あわせて私どもの政治家の立場から申し上げれば、それは、そういうことがあったから、これから未来永劫私どもは東京裁判といいまするものの合法性を、どこまでもそれを持っていかなければならないのかどうかということになりますと、歴史の中でいろいろな事象がありまして、時間を経ていろんな評価が変わっていく、そういうことがありますように、当時の、私どもが占領下にあったその占領下の占領政策の中の一環として設けられました東京裁判といいまするものにつきまして、当時のインドのパール判事というような方々に代表せられるような御意見といいまする、批判といいまするものもございましたし、また国際法学者の中にもその管轄権をめぐって、その他いろいろなこれに対する疑問といいまするものは世界じゅうから出ておるわけでございます。  そういうことでございますから、私どもがこういったことを、さらに将来にわたってその不名誉をいつまでも私どもがしょっていかなければならぬということではなくて、そういったものを正しく時間を経て歴史の中で、今までのあらゆる世界史の中でありましたような、例えばアヘン戦争でありますとか、あるいは大航海以来のイギリスあるいはスペイン等々のあれと並べてみて、その中において日本の侵犯はどういう地位を占めるかということを御批判いただきたいと思いますし、それを正しく御理解いただくことが私どもとしては望ましいと、そのように私どもは政治家として個人的には考えておるということを申し上げたかったわけでございます。
  234. 服部信吾

    ○服部信吾君 文部大臣としてこの東京裁判は認めると、ちゃんとこのあれも認めているわけですね。なおかつこういうような発言をするということが非常に我々としては合点がいかない。それはいろいろ理由はあります。深い歴史的ないろいろなことがあるかと思いますけれども、非常に合点がいかない。先般の内閣委員会においても後藤田官房長官は、日本政府はサンフランシスコ平和条約で東京裁判の結果を受諾しておると、こういうようなことも言っているわけですから、そういうことの中で、この東京裁判を認めつつ、なおかつそういうことを言うということが、これはやっぱり非常に大きな私は問題じゃないか、こう思いますので、この問題に対して外務大臣並びにやはり文部大臣ね、この二つの発言に対して私は国民の前にきちっともう一回これはやはり申しわけなかったと、こういうふうに言うべきだと思います。と同時に、外務大臣のお考えをお伺いしてこの問題を終わります。
  235. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) 私は文部大臣といたしまして、そのような誤解を招いたということは極めてこれは適当でなかったということは申しますけれども、私の個人的な見解なり政治家としての見識なりというものを、ここで全部間違いであったとか、それを取り消しますとか言うわけにはちょっとまいらぬですな、これは。私の信念でございますから。
  236. 服部信吾

    ○服部信吾君 外務大臣どうぞ。
  237. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいま文部大臣からるる御説明がございましたけれども、先ほどの内閣委員会で官房長官が明確に申しましたとおり、我が国がサンフランシスコ条約を受諾いたしておるわけでございますから、これについていささかの疑義もないと思います。同時に、靖国神社参拝問題については、八月十四日の官房長官談話の中でこれらの諸問題についての政府としての考え方は尽きておると思いますので、時間があれば読み上げても結構でございますが、これをもって御理解賜りたいと思います。
  238. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、法務大臣にお伺いしますけれども、前回の新聞の記者会見で、大臣の任期中に指紋押捺、登録、改正法案ですね、これを処理すると、大変自信があるように言っておるわけでありますけれども、この点についてどのようなことでやっていかれるのか、大臣のお考えをお伺いしておきます。
  239. 遠藤要

    国務大臣(遠藤要君) 法務省としては昨年来、指紋押捺問題について、制度上及び運用上の問題を含めて研究、検討を行っております。しかし、今回の私の発言は、私の任期中に指紋問題がよい方向で解決されることを希望しているということでございまして、これはなぜかと申しますると、韓国の大統領が訪日された際に、共同声明のその趣旨にもかんがみまして、両国間の信頼関係を深めていくということになりますると、いつまでも検討もどうかなと、こう思いますので、できるならば自分の、先ほど文部大臣から任期の問題が出ましたけれども、自分の任期中に処理したいと、解決したいと、こういうふうな気持ちでおることも御理解願いたいと思います。しかし、この点については現在事務当局が検討をしており、法案の内容及び提出の見通しがまだ確定はしておりませんけれども、法務大臣としての希望はただいま申し上げたような状態でございます。
  240. 服部信吾

    ○服部信吾君 もう時間がありませんので、最後に外務大臣、この問題について日韓首脳会談で決着するんだと、こういうような新聞報道もなされておりますけれども、外務省としてこの指紋押捺問題に対してどのように対処されていくのかをお伺いいたしまして、質問を終わります。
  241. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいま法務大臣からお話がございましたけれども、政府部内では法務省を中心に、鋭意研究、検討を行っておるところでございます。いまだ検討の内容等について申し上げる段階ではないということも、法務大臣がお話しのとおりでございます。  しかし、いずれにしましても、私と韓国の外務大臣との会談等もございますし、いろいろな機会にそれらの問題が話題に上ってくることも事実でございましょうから、できるだけ早く結論を出したいと考えている次第でございます。
  242. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、ニュージャージー問題について質問をいたします。  戦艦ニュージャージーの寄港による日本への核持ち込みの危険について、十九日の衆議院の内閣委員会での我が党の柴田議員の質問に対し、外務省は、核トマホークの能力が付与されているかどうか、米側は明確に触れてないと答弁しているのでありますが、八五年の三月五日のアメリカの下院歳出委員会国防省委員会の秘密聴聞会、ここにおいて、レーマン海軍長官が提出をした文書証言で、核トマホークの能力が付与されていることは明らかではないかと思うんです。この証言記録などは当然外務省は入手をしているはずでありますけれども、その中の重要な部分、再度読んでみますと、「昨年(一九八四年)、われわれは戦域核抑止力として核弾頭を装備したトマホーク海上発射巡航ミサイル配備を開始した。現在これは、わが攻撃型潜水艦(複数)、駆逐艦(複数)、再就役戦艦(複数)で作戦可能となっている」と、こう書いている。この再就役戦艦複数とはまぎれもなくアイオワとニュージャージー二隻であるということは、これは明白だと思うんですが、これが作戦可能とはっきり証言をしているのでありますから、問題ははっきりしておると思うんですけれども、こういう証言を行っているということは事実ですね。
  243. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) ただいま先生が御指摘になりました証言は事実でございます。
  244. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 このようにアメリカ海軍長官の証言によっても、核能力を持つ、そういう戦艦だというこのニュージャージーの性格がはっきりしているわけですが、これが日本に寄港をするときに、出港後どこかに核をおろして佐世保に入ってくる、佐世保を出てから今度また積み込む、こういうことは行われないことがこれまたアメリカの議会証言で明白であります。  昨年の三月の八日、上院軍事委員会戦略戦域核戦力小委員会の一九八六会計年度国防総省支出権限に関する聴聞会、ここでホステットラー少将、その証言によりますと、トマホークは海上で核用から非核用へ、またはその逆に切りかえることは大変難しい。一度積載されたなら、地上施設に戻されるまで三十カ月から三十六カ月間そっとしておくんだと、こういうふうに証言をしているわけであります。したがって、日本に入港をするときにどこかに核をおろして入港してくるなどということは、これはあり得ないことだと思うんでありますが、外務省に確認を求めますが、このアメリカ聴聞会でホステットラー少将のそういう証言があるということ、御承知ですね。
  245. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) 先ほどの点につきましてまずお答えさせていただきたいと思いますけれども、先ほどの御質問につきまして、そのような証言があることは事実でございます。  それで、アメリカ政府は、特定の艦にトマホーク、トマホークには三種類あるわけでございますが、その中で核を搭載し得るトマホーク、これが能力が付与されているかどうかということにつきましては、それを明示的には述べていないということでございますが、先ほどの証言にありますように、再就役戦艦ということで間接的に触れているということはあるいは言えるかと思います。しかしながら、それにつきまして累次お答えしておりますとおり、核のトマホークの能力が付与されているということと、それから現実に核トマホークを搭載しているということは全く別の問題でございます。  ただいまの御質問でございますが、その点につきましても、その趣旨のことは八五年三月八日、上院軍事委員会におきましてホステットラー国防省の統合巡航ミサイル部長が発言しておりますが、そこで言っておりますことは、かなり技術的に難しい面がいろいろございますけれども、三十カ月—三十六カ月間に一たん搭載すればそれがとれないということではございませんで、その核ないし……
  246. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 解釈を聞いているんじゃないんです。そういう証言をしているのは事実かと、こう聞いているんです。
  247. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) その証言につきましてはかなり長い証言でございまして、ただいま私が申し述べておりますことは解釈ではございません。事実関係でございますけれども、三十—三十六カ月間とれないということではございませんで、さらに沿岸配置の兵たん部のみでなし得る、艦上では難しい、それについてはコストがかかる、そういう趣旨のことを述べております。
  248. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この後段のホステットラー少将のこの証言の関係で言えば、私はここに文書を持っているんですよ。「もともとトマホークは複雑なシステムで、現地整備には適せず、工場から積み出されたら、発射されるまで、あるいは三十〜三十六カ月目に再点検のため、地上施設にもどされるまで、ソッとおいておく。」、こういうふうに書いているんですから、とにかく私がさっき申したようなそういう証言が行われているということは、これは明白だと。  そこで問題は、そのことについてアメリカ側は核を積んでいますというふうに明示をしておりませんので云々と、こう言うんだけれども、逆に聞くが、アメリカは核を積んでいませんと絶対に、このニュージャージーは。という約束を外務省はとりましたか。そういう約束はとれてないんでしょう。
  249. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) この点は累次申し述べておりますとおり、アメリカ政府は……
  250. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 累次って、また質問始まったばかりで、何が累次だ。
  251. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) 累次、歴代の政府が累次述べておりますとおりでございます。  アメリカ政府は安保条約及びその関連規定を忠実に守るということでございます。安保条約、その関連規定によりますれば、核を搭載いたしまして日本に、港に入港するという場合を含めましてでございますが、日本に、領域に入る場合につきましては事前協議を必要とすると。その事前協議をアメリカはやってこないということでございますので、日米関係の信頼関係からいいましても、アメリカが核を搭載して日本に船舶を寄港させていないということは明白であると思います。
  252. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 お決まりの事前協議制度のような申し出がないから核は積んでないものと日本は信じている、こういう言い方の繰り返しにすぎないわけですけれども、私が尋ねた、しからば核を積んでないという約束をとりましたかということについては、それはついに説明ができないわけです、答弁ができないわけですね。  問題を進めましょう。  今もある日米間の事前協議制度の確認があるかといっても、非常にそれは疑わしいというまず一つの例でありますが、この問題に先立って一九五五年の、要するにアメリカはうそをつくんだという証明です。一九五五年の旧安保条約のもとで核持ち込み疑惑で国会で大問題になったときに、米軍は日本に核貯蔵はしていないし、無断持ち込みはしないとの重光・アリソン合意がある。これは五月二十五日の衆議院予算委員会、六月二十七日の衆議院外務委員会、七月二十九日の参議院内閣委員会、こういうところで次々政府は答弁しているんですけれども、アメリカの国務省情報調査局、ここが一九五七年四月段階でまとめた情報報告ではこうした合意はなかったというふうにそこで書いておるというそのことが、その後一九七八年二月、秘密文書扱いが解禁をされて明るみに出たのであります。これはたくさんの新聞に報道された。この点から見ても、政府が事前協議で申し出がない限り核持ち込みはないと信じているというふうに幾ら繰り返しても、実はアメリカ側がうそをつくということは大いにあったということが、うそをつくというか、うその報告を当時の国会にやってきた。実際はそんな約束はアメリカはしてなかった。こういう一つの実例でありますので、この問題はっきりしておきたい。
  253. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) 御指摘のように、昭和三十年の国会におきまして、同年五月に当時の重光外務大臣とアリソン駐日大使の会談におきまして、米国は我が国の承諾なしに我が国に核を持ち込むことはないと考えているという趣旨の答弁が行われまして、その後いろいろとその答弁をめぐりまして、その法的拘束力の有無等について議論があった。これは昭和三十三年ごろまで議論があったという事実は承知しております。他方、昨年の九月でございますけれども、一部新聞等にアメリカの御指摘の国務省の情報調査局作成の情報報告なるものがこのような重光・アリソン会談で言っているような内容の合意はなかったということをその報告が述べているという報道がなされております。この点につきましては我が方に詳細な記録もございませんし、いかんせん昭和三十年という今から三十年前の出来事でございます。したがいまして、現実がどうであったかということについて、その点について今日判断をしかねるわけでございますが、いずれにしましても、これは旧安保の時代でございまして、その後、昭和三十五年に現在の安保条約が締結されたわけでございまして、そこで事前協議制度というものが初めて明確に規定されたわけでございます。その後、アメリカ政府はこの事前協議制度を含む安保条約上の義務を忠実に守るということを累次表明してきておるわけでございまして、その米国の善意というものを確信している次第でございます。
  254. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 おおよその事実を認めながら、アメリカ側がそんなような約束はないというふうに言っているような、そういう公の文書を持ってない、こう言うんですけれども、きのう外務省の安保課に私の部屋へ来ていただいて確かめておるところでは、非公開のそういう文書があります、そこにはいかなるコミットメントもない、要するにそういう口約束にしろそういう約束事はないというものが、現にそういう記載があるということではっきりしているんですよ。だから、二重のうそをついたらだめなんです。  そこで次は、あなたも言うから、この新安保条約下の問題に移っていこうと思うんですけれども、最近の報道でも、ライシャワー元アメリカ大使は回顧録で、核の一時寄港は核持ち込みに当たらないとの了解があることを再確認をする記述をしているものであります。元アメリカ大使の重みのある発言でありまして、これまでの政府の答弁、すなわち核の一時通過、一時寄港も核持ち込みに当たるので事前協議で申し出がない限りあり得ないというのは、この点でもうそだということになると思うんでありますが、そうした点で、アメリカ側に再度ニュージャージーでの核の有無を明らかにすることと、核の一時通過、一時寄港も核持ち込みに当たるので日本としては認めることができないということをはっきり外務大臣、通告をしてもらいたいんです。どうですか、外務大臣。外務大臣です、もうあなたはいい。ちょっと時間がかかる。
  255. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいまるる政府委員から御答弁申し上げましたとおり、トマホーク巡航ミサイルが、通常の弾頭及び核弾頭の双方を装備できるということと、核を実際に搭載するというのは別個の問題であるということは御答弁申し上げたとおりでございます。また、旧安保条約の時代のこと、あるいはいろいろな記憶に基づいてのいろいろな人の御発言、国会におけるいろいろな発言、また特に日本国民の国民感情、そういうことを踏まえまして、私といたしましては実はこれらの感情を、そして国会の論議等を踏まえまして、実は先般、ニュージャージーの寄港に関連しましてマンスフィールド大使を外務省に招致いたしまして、私から日本国民の中には核兵器に関する特別の感情が存在するということを紹介いたしました。また、日本政府といたしては非核三原則を引き続き堅持する。また、国会においていろいろ多くの論議がなされておるということも申しまして、また多くの場において、米国政府が事前協議の枠組みの中で核持ち込みにつき許可を求めてきた場合には、政府として非核三原則に従って対処する旨を明確にするということをマンスフィールド大使に私から申したところでございます。これらの意見を踏まえまして、ニュージャージーの寄港についても日本政府として安保条約及びその関連取り決めに従って厳格に対処する所存であるということを明らかにした次第でございました。  これに対してマンスフィールド大使は、アメリカ政府は核兵器に関する日本国民の特別の感情を十分理解しているという旨を述べられました。また、核の存否につき肯定も否定もしないというのが米政府の一貫した政策であることを指摘しつつ、米政府としては安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に履行してきており、今後も引き続き誠実に履行する旨保障したところでございます。
  256. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この安保条約の事前協議制に基づく両国の誠実な履行ということで言われても、その事前協議制自身に大変大きな疑いがあるということを前段からるる申し上げて、私は外務大臣にあさっての入港を前にして、特にライシャワー発言との関係で一時寄港も一時通過もこれは核持ち込みに当たるので、そういうことは断じてしないと、やってもらったら困るということを向こうに通告をして、そういうことはいたしませんという約束を取りつけましたかと、この点を聞いてるんですから、その点で答えてください。とれてないでしょう。
  257. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ライシャワー元駐日米大使が、最近出版した回顧録で、事前協議制度について昭和五十六年のいわゆるライシャワー発言とほぼ同趣旨の内容の記述を行ったということは私も承知しておりますが、これはあくまでみずからの記憶に基づくものとして述べられておるということを御承知いただきたいと思います。日米の安保条約の核に関する事前協議制度のもとにおいては、いかなる艦船によるものも含めまして核の持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象であるということが政府の従来からの見解であり、現在も変わっておりません。  米政府は従来から安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する約束を誠実に遵守している旨、再三にわたって言明していることは御承知のとおりでございます。
  258. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 時間がたつだけですね。私が聞いているのは、一時寄港も一時通過も含めてあらゆる核持ち込みには反対だという、そういうことを明確に通告をしてそういうことはいたしませんという約束をとったんですかと、結局そこには答えないじゃないですか、答えられないということでしょう。  問題を進めましょう。  ニュージーランドに対してアメリカは七月二日、国務省声明で他の同盟諸国はこのあいまいさの必要を認めており、どこも、要するにこの核持ち込みのあるかないかというこのあいまいさの必要を認めており、どこも個々の艦船について核の有無を判定しようとは考えていないと、こう述べて、ただ、ニュージーランドが個々の艦船の核の有無にこだわる以上、米艦船のニュージーランド寄港は不可能になった。このことは逆説的に日本に当てはめれば、日本に大手を振って入ってくるんですから、ということは日本は個々の艦船の核の有無にこだわっていないということになるんであって、したがって、これまた事前協議制なるものが個々の艦船の核の有無にこだわらないしり抜けのものだということを証明しているものじゃありませんか、外務大臣。
  259. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 専門家の佐藤委員からいろいろお話はございましたが、佐藤委員御承知のとおり、事前協議制度につきましては御案内のとおり新安保条約におきまして第六条についての事前協議は内閣、当時の一九六〇年一月十九日の岸・ハーター国務長官との間の交換公文があることも御承知のとおりでございます。そういう中で事前協議制度が行われるということでございまして、米艦船が我が国に寄港する場合、米側から事前協議の申し出がなければ核の持ち込みがないことについて何ら疑いを有してないというのが日本政府の立場でございまして、また、そもそも安保条約のような国の安全の基本にかかわる条約については、日米間の確固たる信頼関係というのが前提でございます。したがって、日本側はこのような信頼関係に基づく安保条約のもとで事前協議という制度があるにかかわらず、あたかも米国の条約上の義務不履行を前提として、我が国から米側に対して核搭載の有無について随意協議の一環として何であれ確認を求めるといったことは不必要である、また不適当であると考えておる次第でございます。  したがって、政府といたしましては、米側に対して御指摘のような核搭載の有無を確認する考えはございません。
  260. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく私の問題の提起に対してまともにお答えにならぬということは、答える自信がないということだと言わざるを得ないんであります。  時間の関係で次のテーマに進まざるを得ないわけでありますけれども、このニュージャージー寄港問題というのは結局日本に核持ち込みの重大な局面を開くと、そして非核三原則を踏みにじる、それは言うまでもありませんが、同時に日本を危険な核戦争に導入する重大な突破口になるんだということを、もう一つ私つけ加えておきたいと思うんであります。  御存じと思いますが、アメリカは最近、海洋戦略なるものを打ち出しています。それによると、三つの段階のその第一、ヨーロッパ有事の際にもアジアでの戦線を開く。第二段階、ソ連原潜への先制攻撃を強めて撃滅をする。そして第三段階、同盟国との連合によって上陸作戦、これを敢行するという、これがアメリカの新たな戦略だということで、ことし一月のワトキンス・アメリカ海軍作戦部長の論文、あるいは日本の新聞にも報道されましたけれども、アメリカ国務省のソロモン政策企画局長が六月十七日、アメリカの海軍大学の演説でやっている。ヨーロッパ有事の際にアメリカは極東で第二戦線を開いて攻撃をやる、その際、核トマホーク艦と三沢のF16が重要な役割を果たすということで言っているわけであります。すなわち日本の役割が非常に重大だと。こういうことで日本を危険な核戦争へ巻き込む、破滅の道へ突き進むものとしてこういうニュージャージーの寄港には断固反対をすべきであるということを私、強調をしておきたいと思うんです。また答弁求めていますと時間かかりますから申し上げて、次のテーマへ移ります。  文部大臣、お持たせをしました。先ほど同僚委員の中でも議論ありましたけれども、藤尾文部大臣は教科書問題での暴言に続いて、さっきもありました七月二十五日、東京裁判について勝ったやつが負けたやつを批判する権利があるか、あるいは八月十五日、靖国のあの日でありますが、私は東京裁判を正当と認めていないと発言して重大問題になっています。  そこで、さっきもありましたごとく、十九日の衆議院内閣委員会、我が党の柴田議員の質問に対して後藤田官房長官が、サンフランシスコ条約第十一条で我が国は東京裁判の結果を受諾している、これは中曽根内閣の統一見解と理解してもらっていい、こう答えているのであります。この立場というのは、これはこの裁判に示された侵略戦争と軍国主義否定の立場、戦後政治の原点、出発点であるということからいって、その厳粛な受けとめというのは当然のことであります。ところが、藤尾さんは先ほどのような発言をしておられる。そこで、これは政府の統一見解だというこの後藤田答弁、御承知のことと思いますけれども、十九日の。ただいま時点で、今日時点であなたの七月二十五日、八月十五日発言、まあ表現がどうだこうだというようなことで少し言いわけをされておりますから、その言いわけはともかく、この発言を基本的に反省して撤回をする気持ちはあるんですか、そこを端的にお答えください。
  261. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) 先ほども申し上げましたとおり、後藤田官房長官が言われましたとおりの平和条約第十一条、それによりまして我が国は極東裁判の規定するあらゆる条章といいまするものを認めておるわけですから、それは今日まで私どもの政治的立場、政府の立場といいまするものを縛っておるということは事実でございます。でございますから、私は文部大臣として政府の一員という立場からいえば当然その範疇の中に私は入っておるということでございまして、それは今後ともそれが変わるまで私どもは遵守していかなければならぬことである、かように考えております。  しかしながら、そういった占領政策下に置かれて、しかも当時の占領政策に対する一切の批判とか一切の釈明とかいうものが一切禁止をせられておった環境の中で決められた東京裁判であるとかその他の問題、例えば侵略戦争であるとかいうような問題につきましては、これはやっぱり政治家といたしまして厳密にこれに対する思索とそれに対する私どもは考え方を持っているということは別にあっていい、私はかように考えておるわけでございまして、例えば侵略戦争と一般に言われますけれども、侵略戦争という侵略とは一体なんだということは国際法で何も決められてないわけですから……
  262. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんなことはない。
  263. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) 決められてないわけです。そういうことでございますから、それではその侵略戦争という規定が決まっていないという環境の中で、事後に、その日本のやったことは侵略戦争である、ですからそれは戦争犯罪にこれは当たるんだというような東京裁判の決定というようなものにつきましては、これはこれとして私どもは了承しておるわけですから、今日この段階におきましては私どもがそれを遵守していかなければならぬということではありますけれども、それについて正しいこれからのその反省とかあるいは世界政治の中で歴史家の批判とかいうようなものを加えて、この歴史的な評価といいまするものを変えてもらうべき努力をしていくということはまた別にあってもいいことではないか、私どもは個人的にさように考えておるわけでございます。
  264. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 長い答弁をされてますけれども、あなたも閣僚の一員として発言に適切でない部分があったかのごときことを認めつつ、しかし今の答弁の大部分を、いや、ああいうものに対していろいろな反対意見を述べる自由はあるんだということをるるおっしゃっている。しかし、問題の核心は、閣僚の一人としてそういう発言をしかも公の記者会見などの場でなさったというこのことが、一体大臣として適切であったのかどうかというこの問題なんですよ。そのようなことを今もなおるるとおっしゃるんであれば、大臣をおやめになって言われたらどうですか。私はそう思う。
  265. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) 私はこのことだけのために文部大臣になっておるわけじゃございませんで、文部省に与えられた責任を果たすためにあるわけでございます。ですから、御指摘のとおり私は、冒頭に申し上げたとおり、文部大臣といたしましては官房長官がお述べになられました平和条約第十一条の規定といいまするものを私どもはコミットしておるわけですから、これは政府を拘束しておるわけですから、その政府の一員としてその拘束に従うと、こう言っておるわけです。  しかしながら、政府の拘束に従うのはどこまでもこれは文部大臣といたしまして閣僚といたしましてそうでございまして、政治家としてはまた別の見解があってもよろしいではないかということを申し上げているわけです。
  266. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく長い答弁が能じゃないですよ。それで、とにかく私は閣僚の一人として、文部大臣、閣僚の一人としての文部大臣の発言として適切でなかったこともみずから認めながら、弁解というか自由な意見は許されてしかるべきだということをるる言っている。このことが閣僚の一人として不適切、不適格だということを私は重ねて強調しておきたい。だからあなたはもうおやめになった方がいいと思うんです。なぜなら、この発言が基本になって教科書問題でも次々ああいう暴言が出てくるんじゃないですか。問題の根源なんですよ。  そこで、ただいまこの時点で御出席の三人の大臣の方々にお願いをしておきたい。本来はきょう後藤田官房長官に出席を願って、さっきからありますこの政府の統一見解だということで当然東京裁判これを受諾しそれを支持をするということは当然の態度だと言いながら、藤尾さんのこの発言に対する見解はどうかということについては、いやそれは控えたい、差し控えたいということで事実上藤尾発言を、藤尾暴言をかばうようなことをやってこられたので、ここをはっきりしたいということで後藤田官房長官の出席を求めてきたんです、強く。しかし、やれ夏休みをとりたいだとか理由にならぬ理由できょう出てこないということで、これはまことにけしからぬと思います。私は逃げていると、官房長官自身も態度を鮮明にする問題を逃げているということでありますので、三人のその他大臣いらっしゃいますけれども、ぜひきょうの議論を総理初め閣議にお伝えをいただいて、内閣としてこの藤尾さんの発言問題についてはひとつ毅然たる対処を措置をやってもらいたいということを要望をしておきます。もう時間ありませんから答えは求めません。  そこで次に、いわゆる税制改革問題、大分思わざる時間とりましたので、大型間接税の問題についていろいろ大蔵大臣に聞きたかったんですけれども、もう時間がありません。  言うまでもなく、選挙中の総理公約に照らしても、こういう国民から大収奪を図ろうという、こういう悪税は断じて行うべきでないということを強調しますが、あわせてマル優廃止問題、これについてもきょうの読売新聞が読者声の欄のところに大きな見出しもつけてマル優廃止の問題を大きく載せているがごとく、この問題も単にお年寄りの問題ということだけじゃなく、いろんな中年層、若年層含めて今日切実な関心になっているわけであります。  そこで、まず郵便大臣、次官がかわっていただいているわけでありますけれども、郵政大臣は、去る十八日に少額郵便貯金の非課税制度堅持すべしと、こういう記者発表をされておりますが、これは郵政省の方針として間違いありませんね。
  267. 小澤潔

    説明員(小澤潔君) お答えをいたしたいと思います。  少額貯蓄非課税制度につきましては、世論調査によりましても七割以上の国民がその廃止に反対をいたしておるところであります。また、貯蓄は経済全体の活力維持のために今後とも必要であり、豊かな長寿社会に向け自助努力することにより貯蓄の重要性は今後一層増大することと思います。  郵政大臣といたしましても、こうした貯蓄の重要性にかんがみ、就任以来機会あるごとに少額貯蓄非課税制度は断固堅持するとの決意を述べているところであり、私といたしましてもこの考えに何ら変わりないものであります。  なお、郵便貯金の利子非課税制度の問題は、郵便貯金事業に重大な影響を及ぼすことになりますので、先般郵政審議会に諮問をいたしたところであります。
  268. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 同様の角度から、労働大臣、勤労者財形貯蓄の非課税制度、これも堅持すべきだという従来からの労働省の見解、変わりございませんね。ちょっと時間ありませんので簡単に、もう端的に答えてください。
  269. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 一口に申し上げて、この制度そのものの趣旨、その目的から申し上げますと、これはもうあくまでも非課税制度は堅持しなきゃこの制度の根幹にかかわるものだと。しかも、先ほど御指摘のように、この勤労者の老後生活の安定、その他も含めまして積極的な政策目的を持って行われた制度でございますので、また、最近の税制改正、一部御論議がございますように、限度管理の問題については、これはもう事業主が賃金から控除するという全く不公平性の入るすき間もございませんので、そういう意味からも、この利子非課税制度というのはぜひとも堅持していただきたい、かように考えております。
  270. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ただいまの郵政大臣、労働大臣の見解表明、これをひとつ十分念頭に置いて、全体についての責任を持たれる大蔵大臣として今後の対処をぜひ国民の立場に立って慎重にやっていただきたいというふうに思います。  そこで、片一方ではこういうふうに大型間接税とかマル優廃止など国民に対しては大増税の脅威を与えながら、しかし一方では特定の団体に対して不法な減免税がまかり通っているのではないかと思うんです。四月二十四日の当院補助金特別委員会で、私の質問に対して総理は税務行政に聖域があってはならぬというふうにおっしゃったのですけれども、果たしてその改善が進んでいるのか。  そこで、念のために尋ねますけれども、一つは同和関係者なるがゆえに特別の減免税をするということがあってはならない、そういうことはしていないということですねという問題と、それから昭和四十五年の二月、国税庁の長官通達で、同和地区納税者に対しては実情に即した課税を行うよう今後配慮する、こうなっているんですけれども、これは同和地区関係者には特別の減免税をやる、そういう通達ではないでしょうねという一つその確認と、それからもう一つは、この通達で言う配慮、これに基づいて個々の税務署で対応がばらばらにならぬよう統一的な基準はつくっているのかいないのか、この点をまず実務的なことですから簡単に国税庁答えてください。
  271. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) お答えいたします。  昭和四十五年二月十日に発遣をされました国税庁長官通達、同和問題については、同和地区については、同和対策審議会の答申にも述べられているような社会的、経済的問題が存在するので、同地区納税者についてはその実情を踏まえ適正に課税するよう指示したものでございまして、同和関係者だからということで法令に根拠を有しない税の減免を行うというような趣旨のものではない、このように考えております。  それから、これに関連いたしまして、実情に即した課税という問題でございますけれども、これは例えば他の一般の納税者とは異なった不利な借り入れ条件がある場合とか、通常よりも高いあっせん手数料を払わなければいかぬというような場合とか、個々の納税者の実情を踏まえて適正な課税を行うということでございます。したがいまして、その実情と申しましても、納税者の実情は地域または個々の納税者の実態によって異なるものでございまして、また社会、経済の変化によってもこれは移り変わっていくものでございます。そういうものにつきまして画一的、統一的な基準を設けることは必ずしも適切ではないと私どもとしては考えております。
  272. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ただいまの答弁で、そういう特別の減免税をやろうという趣旨ではない、それから統一的基準もないと、お答えがないんですかというふうに思いますが、ところが実態はそうではないということで、今、大蔵大臣国税庁、委員長のところにも資料を差し上げました。大阪国税局のこれは内部通達であります。明らかに資産税の申告内容検討基準ということで、第一に申告審理の処理区分として一般事案は譲渡価額三千万円以上の者、同対事案は六千万円以上の者と、こう区別する。また、二つ目に、必要経費が過大と判定するのはどういう場合かということで、一般事案は取得費を含めて譲渡価額の三〇%を超えるもの、同対事案は五〇%を超えるものとこれまた区別している。こういうことになっておって、これは明らかにやはり逆差別を生むのではないかというおそれを含む、そういう内部通達になっている。特別の減免税やろうというような趣旨ではないと言いながらこういうものが出ているということで、質問はこれは私は大阪で手に入れたんです、国税庁として承認をしている、そういう基準表なのかどうかということです。そうではないということであれば、これは解放同盟の中で大っぴらに流れているんです。そこから入手をしたんですけれども、こういうものが本当にあるのかないのか徹底した調査をやってください。もしこれが事実だということであれば、そのときには破棄をしてもらいたいということをお尋ねをするんですけれども、これらの点についてお答えを願いたいと思います。
  273. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) ただいま先生からコピーとして受け取りましたこれにつきましては、私いかなる性質のものなのか、このコピーのこれ自体から今直ちにお答えできませんので、どういうものかお示しをいただきたいと思います。
  274. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 示してあるじゃないですか。だからわからぬのなら調査をしてもらえますかと、その点、答えてください。
  275. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもの方で初めて本日拝見をいたしましたものですから、どのような性格のものであるか、私どもでできる限りの調査をやらさしていただきたいと思います。
  276. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 調査はするんですね。
  277. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) どのような性格の文書かということでございましたので、私どもの文書だと先生おっしゃいましたので、そういうものであれば私どもとしては調査をいたします。こういうことでございます。
  278. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 宮澤さんには、内外非常に財政経済問題難しい情勢のもとに、一方を立てれば他方が立たない。ジレンマというか、トリレンマというか、非常に難しい時期に大蔵大臣になられていろいろ御同情申し上げるわけですけれども、同時にそういう問題についてどういう考えを持っておられるかきょうはゆっくり質問したい、質問というよりもむしろ教えていただきたい。幾つかの質問を用意しておりますけれども、その前にちょっと前国会からの持ち越しのごく簡単な問題がございますから、それを先に片づけてから農水大臣及び大蔵大臣に御質問申し上げたいと思います。  最初は、総務庁長官きょうはお体の調子が悪いそうで、それに対する質問を用意しておりましたけれども、それは後回しにいたしましていずれ後日取り上げることにいたしまして、総務庁の人見えていますか。ごく簡単な問題ですけれども、前国会のときに私オンブズマン制度の問題を取り上げて、特に外国あたりから日本の非関税障壁なんかの問題についていろいろ異議が唱えられているので、オンブズマン制度をもっと法的な根拠のあるものにした方がいいんじゃないかという観点から質問申し上げました。そうしたらそれに対しては、今ちょうどオンブズマン制度の研究会に答申をしてもらっているので、その答申が出てからどうするか決めたいという話だったんですけれども、今度答申出ましたですね。それを受けられてどういうふうな受け取り方をしておられるか。私はあの答申大体において穏当じゃないかというふうに考えているんですけれども、それをどういうふうに評価しておられるか、そのことを一点だけ質問いたします。
  279. 山本貞雄

    説明員山本貞雄君) ただいま御指摘のオンブズマン制度の問題につきましては、まあ既存の救済諸制度の活性化とあわせまして臨調、行革審でも今指摘が行われ、さらに政府において検討が進められてきたわけでございます。  先般、オンブズマン制度研究会の報告がまとめられまして、既存救済制度の活性化の方策並びに新たな仕組みについての構想が提言されたわけでございます。このうち、既存の救済制度の活性化方策につきましては検討を行いまして逐次実施に移してまいりたいと、このように考えております。また、新しい仕組みの導入の問題につきましては、実際にこれが有効に機能する仕組みといたしますためには、総務庁の行政相談制度等、既存制度との連携の問題等々さらに検討すべき問題が残っておると、このように認識をいたしております。したがいまして、総務庁といたしましては、この研究会の報告を踏まえまして、また先般の行革審の答申の趣旨に沿いましてさらに具体的な検討を進めてまいりたい、できるだけ速やかな検討を進めてまいりたい、そのような現状においてはスタンスでございます。
  280. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今言われた既存の制度との関連の問題なんかもこのレポートの中に書かれているんですけれども、検討を進める、お役人用語で言えば前向きにひとつこの問題は処置していただきたいというふうに考えております。これは希望を申し述べておきます。  総務庁、それで結構でございます。  それから次は、これも前国会からの引き継ぎの問題ですけれども、対フィリピン経済援助特別委員会というのがつくられまして、いわゆるマルコス疑惑なるものについていろいろ特別委員会で質問したんですけれども、会期切れとともに何かしり切れトンボに終わってしまっているわけです。その特別委員会の席上で、六十一年の四月二十四日ですけれども、国税庁の調査査察部長から、過大なコミッションについて税法上適法な処置がなされたかどうか関心を持って調査を進める、そういう趣旨の御答弁がございました。その後、この問題についてどういう調査をして、その結果はどうであったのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  281. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) お答えをいたします。  対フィリピン経済援助問題にかかる税務調査につきましては、一部調査中の事項もございますが、調査はおおむね終了しております。今回の調査に当たりましては、国会の議論やマスコミ情報等各種の情報に基づいてその取引内容を分析した上で、実情に応じまして交際費や使途不明金として課税すべきものは課税するなど適正な処理を行っております。
  282. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 適正な処理をなされたということは、不適法な事態があったということでございますですね。
  283. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) おっしゃるとおりでございます。
  284. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は別に個々の企業名を挙げろとかそういうことは申しませんけれども、この問題は、先ほど田代議員からも質問がございましたけれども、やっぱり海外援助の問題、いろいろ仕組みを一度オーバーホールして新しい仕組みを考える必要がある、ああいう事態が再発しないようにする必要があると思いますので、その問題についてはいずれしかるべき委員会で取り上げたいと思っておりますけれども、その場合にも国税庁の協力をお願いしておきたいというふうに思っております。  国税庁関係、それで結構でございます。  それから次に、農水大臣お見えになっておられますので、これも私よくわからない問題で教えていただきたいんですが、今度の生産者米価の決定の経緯を見ていてどうも私にはわからない。いわゆる生産費・所得補償方式というもので数量的にある数字を出して、そして激変措置を避けるという意味で今度マイナス三・八%だったと思いますけれども、それを諮問されたわけでございますんですね。そしてそれに対して両論併記ではありますけれども、多数の意見はそれに賛成するような答申だったと思うんですが、それが閣議決定で昨年並みに据さ置きだということに決まってしまったわけなんです。一体米価審議会というのはどういう目的のためにどういう機能を果たすためにつくられておるのか、私が米価審議会の委員だったら、そんな勝手な閣議決定されるんだったら私は委員をやめただろうと思うけれども、そのことをまず教えていただきたいと思います。
  285. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 関委員御指摘のとおりの本年産米の生産者米価決定の経緯はあるわけでございますけれども、ことしは賃金や物価の安定あるいは金利の低下、生産性の向上等から考えまして、前年産価格に比べましてマイナス六・六%という試算値が出たわけでございます。そこで、米価審議会への諮問に際しましては、米価というものの価格が農家の経営意欲に及ぼす影響等を配慮しまして、所要の調整等をやりまして、先ほどありましたマイナス三・八%で諮問した次第であります。そして御存じのような権威ある米審の御答申をいただいたわけでございます。そこで、米審の答申の趣旨を体しまして関係方面との協議を行ったわけでございますが、諸般の事情等から据え置きに決定いたしました。私も、権威ある米価審議会の各委員の先生方の御意見というものを前広という過程を経まして、そして本米審二日間が結局三日間になったわけでありますが、熱心に真剣に承りながら、最終的にただいま申し上げました答申をいただいたというわけでございます。  ただ、この席をかりて申さしていただきますと、そういう据え置きを決定いたしました際に二つの確認事項というのをいたしております。それは、一つは、六十二年産米価は現行の算定方式どおり決定しましょうということと、それから二番目は、ポスト三期対策において生産者団体がみずからの問題として主体的に取り組み、責任を持ってこれを推進するという二点を確認事項としてはっきりいたしまして、今回のこの確認が来年度以降の農政の展開に役立つものだと確信をいたしております。そして、米審の場におきましても答申はああいうようなふうに分かれましたが、それぞれの委員の先生方が生産費・所得補償方式の議論をされたり、あるいはまた米価算定のその要素についてのいろいろな議論をされたり、あるいはまた確認の二項目目になりましたポスト三脚問題等についての議論等が熱心に行われました。いろいろな経過がありましたが、要は、今後の我が国の農政の展開に非常に貴重な意見を米審の皆さん方も開陳していただけましたし、最終的に決定いたしますときの二つの確認事項もこれからの農政の展開に役立つものだということで、私も今後の、来年度以降の農政の展開に確固たる信念を持って邁進していかなくてはならぬと考えておるところでございます。
  286. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 権威ある米審の答申というふうに言われましたけれども、その権威ある米審の答申がほとんど無視されたわけですね。諸般の事情でということを言われていますけれども、どういう諸般の事情があったんでございますか。
  287. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) まさに各界各方面からいろいろな意見が出てまいったわけでございます。そういう中で私たちとしては、先ほど来あるいは出たかもわかりませんが、行革審の御答申とかあるいはまた国際的情勢であるとか、あるいは自由民主党内の内部の情勢であるとか、そういういろいろな問題、そしてまた農家というものが今置かれておる立場というもの、そういったもろもろの問題が幅広く議論せられまして、最終的に据え置きやむなしということになり、その最終的決断をいたす前に米審の会長初めいろいろ発言された皆さん方にも御了解、御理解をいただくということがあったわけでございますが、そういういろいろな問題を含んでおるのが、私が今申し上げました諸般の事情ということになるわけでございます。
  288. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私の理解しておるところでは米価審議会というのは、生産者の側それから消費者の側、それから中立、学識経験者といいますか、いわば国民の意見を総合的に代表している、しかも国会議員のように次の選挙を考えることなしに国家百年の大計から研究できる、答申できる機関だというふうに私は理解している。せっかくつくられたんだったならば、なぜそれを尊重されなかっのか。これは押し問答になりますからこれ以上は申しませんけれども、今後もそういうことかないように注意していただきたいと思います。  それから、それに関連するんですけれども前川レポート、あの中でも農業の徹底した構造改善を推進すべきであるし、価格政策についても、市場メカニズムを一層活用してというふうなレポートが出されておりますけれども、これをどういうふうに尊重されて具体化していかれるつもりであるか。それからあわせて、現在の食糧管理制度というのが果たして日本の農業を本当に強くする政策であるのか。私は日本の農業は大事だと思う。これから国際的な競争、いろいろ圧力が加わってくる。それに負けないだけの強い農業をつくっていく必要があると思うんですけれども、今の政策が果たして日本の農業を強くする政策であるというふうにお考えですかどうか。
  289. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 私も農水大臣に就任いたしまして、改めて農水省の必要性と大切さというものを認識いたしておるわけです。そういう中で一番大切な仕事というのは、国民の食糧というものを安定的に供給していくという仕事が一つ非常に重要な問題がある。それからその次には、農政というものはそれぞれの地域社会の健全な形成というものに非常に大切な任務があり、これをやっていかないと我が国の真の意味の基盤が確立していかない。そしてまた国土、自然環境の保全という意味もある。そういう中でいろいろ考えていくわけでございますけれども、そういう全体をひっくるめて考えた場合に経済メカニズム、市場メカニズムだけで我が国の農政は律していけない、そこに何らかの政策というもの、これを加味していかないといけないという我が国の置かれておる自然的条件があるんではないだろうか。  したがって、経構研の、あるいは前川レポート、私も随分読ましていただき、前川さん自身ともあの案を書く前にも随分議論をさしていただいたことを覚えておるわけでございますけれども、農政というものは経済合理性だけで律し切れないものがあるなと、それは先ほど申し上げました農水省のする仕事としての三つの大きな仕事というものを考えていった場合にあるわけであります。しかし、そうは言いましても、国際的な抵抗力、競争力というものを持たし、足腰の強い農政というものを展開していかなくてはならぬ。そして経済調整を農政に適合していく場合にどうやったらいいかということで、実はただいま農政審議会の方に二十一世紀へ向けての農業、農政の長期ビジョンをお願いいたしておるわけでございますが、その結果を踏まえながらさらに思いを新たにして取り組まなくてはならぬときが来るんではないだろうか。簡単に申し上げますと、経済合理性だけに律し切れないところに我が国農政の置かれておる困難さがあるという認識を私はいたしております。
  290. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私も別に市場メカニズムだけで農業問題をやれるとは考えておりません。ただ、この問題はもっといろいろ議論したいことありますけれども、きょうは大蔵大臣にいろいろ質問したいと思っておりますので、きょうはこれで打ち切ります。どうぞお引き取りください。  私も経済学を多少は勉強したつもりなんですけれども、どうもやってきたことは不経済学ばかりやってきたものですから、どうも最近の経済の問題よくわからない。しかし、わからないながらも通貨の価値がしょっちゅう変動していたんでは国内的な取引もできないし、国際的な取引も続けていけないんではないか、やはり通貨がある程度安定しているということが必要ではないか。  その観点から質問するわけでございますが、先般の東京サミットの経済宣言、あれを読みますと、七カ国の蔵相が、特にそれぞれの国の経済目標及び見通しの整合性を検討するためは、以下に掲げる指標、十ほどの指標ですけれども、を活用して、少なくとも年一回は、共同してその見直しを、レビューを行うよう要請する。いずれまた近くこの見直しのための蔵相会議ですか、これが開かれるんではないかというふうに私は考えているんですけれども、その場合にどうもこの経済宣言の内容を何度繰り返して見てもよくわからない。というのはそのいろんな指標、例えばGNP成長率であるとか、金利であるとか、失業率であるとか、インフレ率であるとか、幾つかの指標があるんですけれども、そういう経済見通しのレビューを相互監視して行うという趣旨でありますけれども、こういったふうな指標というのは単なる見通し、それからその見通しから隔離してくる、デビエートしてきた場合に適切な是正措置をとる、適切な是正措置をとるように了解に達するよう努力するというのか、あるいは各国がこうあってほしい、あるいはあるべきであるというふうに考えている指標、それをもとにしてそれからデビエートしている場合に取り上げるのか、どうもこの宣言の文句だけ見てもよくわからないんですけれども、これはどういうふうに解釈したらいいか。  実は、前国会最後決算委員会のときに質問した。そうしたら大蔵省の国際金融局の方じゃなかったかと思うんですけれども、「サミットで合意されましたいわゆる政策協調のための国際的な協力の手だてでございますが、現在決まっておりますのは経済宣言の中に書かれておることだけでございまして、これから具体的にどういうやり方でこれを推進していくかということが関係国の間で協議」する。つまり、何を審議するかということはあのサミット宣言では決まってないんで、それを何にするかというと今後の問題にゆだねられているわけなんです。大蔵大臣としてこれをどういうふうに解釈しておられるのか。あるいはサミット宣言なんというのはもう問題ないんで、ああいうことは全然無視してやるんだという話であればこれは別ですけれども。
  291. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私自身は東京サミットに参画しておりませんでしたので、事情を関係者から聞いたところでお答えを申し上げるわけでございますが、いわゆるお互いのサーベーランスというようなことは過去にも何度か言われてきたことがございますが、今回の場合にはかなり政治的に、政治的にと申します意味は決してふまじめにという意味ではございませんが、政治的にこういう問題がしかも必ずしも事務方の十分な準備なしに取り上げられて、そして首脳の間で合意ができたというふうに了解をいたしております。したがいまして、先ほど御引用になりましたこのサーベーランスの方法等については、これから後大蔵大臣あるいはその下部機構の間で詰めてまいりますというような実態になっておるのでございます。  そこで、東京サミットでこういう問題がにわかに言われるようになりましたのは、思いまするに昨年の九月のニューヨークの合意以来、為替というものが相当に変動をいたして、それがまた介入が非常にうまく協調して行われれば、新しい制度と申しませんまでも、この方法が生まれるかもしれない。しかし、そのためには各国がお互いの政策あるいは経済のあり方というものについてよほどお互いに知っておって、そしていわゆる、どういう言葉を使いますか、仮に管理されたフロートとでも言わしていただきましょうか、そういったようなものへ進むためにはこういうことが必要ではないかと、そういう私は問題意識の中からこういう提起、提唱がなされたものだというふうに考えております。
  292. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 先ほど斎藤委員からも御質問ございましたけれもど、一九二九年の恐慌の再来を招くんではないかという質問に対しまして、現在ではあのときと事情が違って非常に国際協調が進んでいるからその心配はないというふうにお答えになりましたけれども、それはやはり国際協調がうまくいかなければやはりああいう一九二九年のような事態になりかねないわけで、やはり国際協調、協調して各国の経済政策の調整をしていくということは私は非常に大事だろうと思う。私はこれを見てよく理解できないと思ったのは、こういう幾つかの指標の中で日本の立場としては例えば為替レートの指標なんというのはこれは非常に日本としては重要視するんじゃないかと思う。アメリカの立場からいえば経常収支及び貿易収支のインバランスの問題を非常に重要視するんじゃないか。これ単に今回幾つか並べてあるだけなんですけれども、どういう順序でそれをどういうふうにウエートを置いてやっていくかというふうなことについて、やはり国際間である程度の了解がついてないと、これから会っていろいろ話しましょうというのでは私は本当の国際協調はできないんじゃないか。これはやはり早急にこの問題は国際間のアンダースタンディングをとる必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  293. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはもう関委員に申し上げることは釈迦に説法の感じがいたしますけれども、考え方としてはそのとおりであろうと思います。しかし、事実問題としましては、一国の経済政策が、先ほども米価についてお尋ねがございましたが、その国自身でもなかなかいろいろな意見があることでございますし、これが外国との関係になれば利害が必ずしも一致しない、むしろ対立することも多うございます。そういう中から結局長い目で見てお互いがお互いに不利益になるようなことはやめようではないか、例えば保護主義などはその一つであろうと思いますけれども、そういったような幾つか中長期的に合意できることがあって、そこから、先ほどデビエートということをおっしゃいました、まさにそこから余りデビエートするようなことはお互いに慎もうということから、さらに進んで、できればもう少し協調的に何かを生み出していこうではないか、私はそういう努力をしようという、それがサーベーランスということの精神であろうと思います。したがいまして、そういう意思があるということはまず大切なことでございますから、そのことは大事なことだと思いますが、その意思を具体的な方法でどう具体化するということはただいままでのところ必ずしも明確になっていない、それを詰めていかなければならない段階であろうと思います。
  294. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 経済企画庁見えていますか。経済企画庁のお仕事ではないかと思うんですけれども、いろんな経済見通しを立てられるわけですね。その見通しからデビエートしておればいろいろ国際的に相互協調で是正していくということになるんだろうと思うんですけれども、為替レート、現在の円、この為替レートは大体予測しておられた見通しですか、それとも見通しから非常にデビエートしているというふうにお考えか。  もう一つ、貿易収支、経常収支でもいいですけれども、経常収支の見通し、これ現在もう少し黒字が縮まるだろうと思ったらかえって黒字が対米関係に関する限りはむしろふえつつある。これもやはり見通しからデビエートしているというふうにお考えか、それともこれはJカーブの一時の問題であって、間もなくおさまるというふうに見ておられるのか、その点お尋ねしたいと思います。
  295. 宮本邦男

    説明員(宮本邦男君) まず最初に円レートでございますけれども、先生御案内のとおり非常にフラクチュエーションが激しいわけでございまして、私ども見通しを立てますときには、これは我が国だけではなくて例えばOECDのような国際機関でも同じでございますけれども、技術的な前提といたしまして見通しをつくる前の一カ月間の円レート、それから、これは円に限りませんで、例えば石油の価格のように非常にフラクチュエートするものにつきましても、同じように技術的に見通しをつくる前の値をとりあえず入れて、それのもとに見通しというものをつくるわけでございます。したがいまして、現在の政府見通しもそういった形でつくられておりまして、見通しをつくるに際して円が将来どういうふうになるということを予測してつくったものではございません。  それから経常収支、貿易収支の見通しにつきましては、そういった見通し作成時の円レートと石油価格その他の諸条件に基づいてつくっておるものでございますから、現在それが非常に見通しと違った姿になってございます。円は非常に高くなってございますし、それから石油価格はまた逆に非常に安くなっているということでございます。円が高くなりますと、これは理論的には輸出商品の価格が高くなって輸出が売れなくなる、それから輸入商品の価格が安くなって輸入がふえてくるということで、貿易黒字は減るはずでございますけれども、現実には円高になりたての初めの時期は逆に輸出商品の価格が上がる分が多うございまして、なかなか輸出の数量の減というのが実現しないために、最初の段階で貿易収支あるいはその経常収支が水膨れしてくることになります。それは今先生Jカーブということでおっしゃられたわけですが、例えば数字が確定いたしておりますこの四—六月期の数字を見てみますと、ドル建ての価格が二二・四%上がっておりますけれども、輸出の数量につきましては減ってはいるんですけれども、わずか〇・七%しか減らないということで、輸出金額が二一・六%というふうに膨らんでしまっているわけでございます。加えまして、先ほど申しました石油価格の低下ということもございまして、両方の影響が相まって貿易黒字、経常黒字が大幅化しているのが現状でございますが、過去の経験ですとこのJカーブ効果というのが大体、いろんな条件によりますが、一年前後で終わるというように私ども考えておりまして、現在次から次へと円高になるものですから、それの累積効果を見定めなければいけませんが、円レートが安定するということになりますれば、石油価格も下げどまり、むしろ最近は少し反騰してもいるわけでございまして、今年度の後半には黒字幅も縮小の方向に向かうのではないかと期待しておるわけでございます。
  296. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 まだその問題いろいろ質問したいと思っておりますが、私は一番心配していますのは、つまりアメリカの方は経常収支のインバランスを早く解消するということが非常に大きな課題になっている。その気持ちはよくわかるんですけれども、それだけに、そして私は簡単にアメリカの赤字体質が直るとは思わない、ある程度減少させることはできるだろうと思うけれども。こればかりに気をとられていると、ほかの経済全体の問題が狂ってくるんじゃないか、そのことをちょっといろいろお尋ねしたいと思っていたんですけれども、ちょっとその問題またいずれ改めて取り上げることにいたしまして、それとの関連があるんですけれども、貯蓄奨励税制、先ほども質問が出ておりましたけれども、貯蓄奨励税制、特にマル優ですね。生命保険の控除なんかもありますけれども、特にマル優制度というのは一体本来何を目的としてつくられたんだろうか。確かに初期の段階においては、終戦直後でありましたので貯蓄を大いに奨励する。あの時代貯蓄が足りなかったんですから、貯蓄を奨励する。と同時に、低所得者の老後の保障といいますか、そういう点からの一種の社会政策的な見地も含まれていたんではないかというふうに考えるんですけれども、現在あのマル優制度を仮に廃止したとして貯蓄が減少するというふうに判断しておられるのかどうか。  と申しますのは、前川レポートなんかを読みましても国際協力を進めていく上で貯蓄優遇税制についても見直すということがあるんですけれども、これは端的に言えばマル優なんかを廃止するという方向に持っていけということだろうと思うんですが、果たして現在あれを廃止したからといって日本の貯蓄率が下がって、貯蓄とインベストメントがある程度接近することによって経常収支の黒を解消することができるというのが経済学の理論らしいんですけれども、あれをやめたからといって貯蓄が減少しないものであるならば、この前川レポートで言っていることは余り意味がなくなってくるんじゃないかと思う。大蔵省あたりどういうふうにこれを考えておられますか。
  297. 足立和基

    説明員(足立和基君) 我が国の貯蓄率が国際的に見て非常に高い水準でございますけれども、この理由につきましてはいろいろの議論がございまして、例えば質素倹約をたっとぶ国民性、これは家庭とか学校教育の成果がございましょう。それからまた、現在の若い人口構成のもとでは老後に備えた貯蓄へのインセンティブが非常に強いのでないか。あるいはまた住宅取得とか子女教育、こういうために資金を確保する必要がある。あるいはボーナスの比率が高い。あるいはまた諸外国と比べまして公的負担率が低いというようないろいろな理由が実は論ぜられておるわけでございまして、そういうことでございますので、貯蓄率というのは単一の理由から決定されるものではございませんものですから、実質的に明確な因果関係、特に利子課税というようなものに対しての因果関係というものをはっきりと実証する、あるいは説明するということは大変に難しいのでないか。したがって、利子課税が変更されたときに一体貯蓄がどうなるのか、貯蓄率がどうなるのかということについては一概に申し上げることは難しいのでないかと思うわけでございます。  したがいまして、先生御指摘のように、貯蓄課税というようなものについての変更があった場合に、さらにそれが経常黒字にどうなるのかという問題については、私ども我が国の大幅な経常収支の黒字というものは、むしろ昨年までのドル高であるとか、あるいはアメリカの経済の拡大の問題であるとか、あるいは一次産品の価格の低迷の問題であるとか、こういうところに大変大きな要因があると考えておりますので、税制の改正の問題が直ちに貿易経常収支の黒字、こういったようなものにどのような影響を与えるかということもこれも大変に難しい、一概に論ぜられる問題ではないと考えておるわけでございます。
  298. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 外国あたりで日本の過剰貯蓄が日本の貿易黒字の一つの原因であるので、貯蓄優遇税制なんかを検討すべきであるというふうな意見が外国なんかにもある、日本でもあります。しかし、もし余りそういったこととは関係ないとしますならば、そういう議論の立て方でマル優を廃止するということは私は余り意味がなくなってくる。財源確保のためにやるんだというのでありますならこれはまた話は別になりますけれども、どうもその議論が何のために、つまりマル優廃止の議論が出てきているのかということがどうもはっきりしない。何か国際関係の圧力を利用しながらやるというふうな点が見られるわけです、前川レポートなんか。その点をはっきりさせて議論をしていただきたいということを希望する次第であります。  これで質問を終わります。
  299. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は九月九日午前十時に開会し、本日に引き続き全般的質疑を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十分散会