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国務大臣(江崎真澄君) この問題は私どもも非常に深刻にとらえております。
御指摘のように、確かに第一次世界大戦、そして第二次世界大戦の原因をなしたのは貿易摩擦であったというふうに思います。今や
日本のこの突出した貿易黒字インバランスというものは、やはり重大であるというふうに認識をいたしております。したがってあらゆる対策、これは既に御
承知のように、
日本はアクションプログラムを昨年
総理のリーダーシップのもとに
政府・
与党を挙げて実施に移しました。これは、関税率においてはもう世界一安い関税国ということになっている。例外品目もないわけではありませんが、平均すればそういう状況になっておる。そうして輸出製品についても、御
承知のように制限品目を鉄鋼、自動車その他設けておることは御存じのとおりであります。それから、海外に資本投下をしてその国の雇用に貢献をする、こういうことも大切であります。
それから、今お示しのようないろいろな総合対策のうちでも最も意を用いた点は、
日本の市場に非常に入りにくい、そこで規格、基準・認証の手続を最も簡素化していこう、わかりやすくしよう、そして外国の人が入りやすいように、また苦情があるときにはその苦情に即座に対応をするように、これがOTOの組織でもありますし、それを
各省庁ともに的確に守っていこう。それで総合施策をとることももとよりでありますが、やはりまず
内需を振興する面においては、今後といえども、これも
総理の強い指示がありまして、私は民間活力をどう引き出すかという特命相でもありますので、その点についてやはり公的規格デレギュレーションの問題を今後どう進めるか、今作業をしておる最中であります。
それからまた、
予算で御協議をいただいておる一々については申し上げませんが、横断
道路を初めとしていろんな積算をして、そして
内需を振興しようということにしておる次第であります。相当な成果が上がるものというふうに考え、なおこの上ともにこの円高でデフレ傾向にあるときに、
予算についての執行面では公共
事業など弾力的な配慮もなされるでしょうが、どうかして下期に息切れのしないように目下いろんな対策を練っておるところであります。今一々申し上げる段階ではまだございませんが、
皆さんの御期待にこたえられる相当な成果を上げたいということで努力をしております。
それから、もう
一つ私この機会に申し上げておきたいと思いますのは、この間ウォリス国務次官が訪問をされました。私との会談は四十分ぐらいという話でありましたが、一時間半に及んだんです。そのとき私は、もう
アメリカの
経済と
日本の
経済というものは完全にオーバーラップしています、補完し合っております、そして水平分業のような形も相当進んでおるんですよと。それは六百十三億ドル、
昭和五十九年の統計のときに、そのうちの百九十億ドル、三〇%というものは、この
アメリカ独自の企業、
日本の勤労意欲、技術力、こういうものが二十億ドル、それからOEMという
アメリカのブランドの合弁企業による逆輸出、これが五十億ドル、部品の輸出が八十億ドル、
アメリカで全く生産をされていない商品の輸出が四十億ドル、合わせて百九十億ドル。今度の昨年の約七百五十億ドルという対米輸出の中でもやっぱり三〇%以上は、今統計はまだ出ていないが、必ずその程度のものは出てくるわけです。これに十分関心を持ってもらいたいと。
これに非常な興味を示されまして、
日本はなぜもっと宣伝をしてくれないんだ、これはもう
日本と
アメリカの
経済というものは一体だということを自分は今初めて聞くんだ、どうもいかにもそれは残念だと。このことは我々訪米ミッションでも申し上げたつもりだし、またダンフォースその他の上院
議員が訪日されたときにも資料としてお配りしてありますが、どうぞその水平分業体制というものを頭に描いていただきたい、そして双方協力し合った形で協調的競争、そういう
立場で今後の
経済の活性化を図り自由貿易体制を確保したいという話を申し上げたところ、まあ倍の時間をかけて、甚だ好ましい状況であるというので耳を傾けてくださったのが今申し上げたウォリス国務次官でございます。