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1986-04-23 第104回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月二十三日(水曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程第十二号   昭和六十一年四月二十三日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(内閣総理大   臣の帰国報告)  第二 扶養義務準拠法に関する条約締結に   ついて承認を求めるの件  第三 所得に対する租税に関する二重課税の回   避のための日本国政府ソヴィエト社会主義   共和国連邦政府との間の条約締結について   承認を求めるの件(衆議院送付)  第四 在外公館の名称及び位置並びに在外公館   に勤務する外務公務員の給与に関する法律の   一部を改正する法律案内閣提出衆議院送   付)  第五 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第六 特定都市鉄道整備促進特別措置法案(内   閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、議員元本院議長安井謙君逝去につき哀悼の   件  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより会議を開きます。  議員元本院議長安井謙君は、去る三月十日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院わが国民主政治発展のため力を尽くされさきに参議院議長として憲政の発揚につとめ特に院議をもつて永年の功労を表彰せられまた国務大臣としての重任にあたられました議員従二位勲一等安井謙君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます     —————————————
  3. 木村睦男

    議長木村睦男君) 秋山長造君から発言を求められております。この際、発言を許します。秋山長造君。    〔秋山長造登壇
  4. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員元本院議長安井謙先生には、去る三月十日、急性心不全のため忽焉として逝去されました。まことに痛惜哀悼にたえません。  ここに、皆様お許しを得て、議員一同を代表し、謹んで追悼言葉を申し述べたいと存じます。  安井先生には、昨春風邪をこじらせて肺炎と肝機能障害のため入院され、秋一たん退院して自宅療養に努めておられたのでありますが、その後の経過思わしからず、十二月に至り、中曽根総裁公認辞退屈提出、今期限りで政界引退決意表明され、私ども、事の意外に驚いたのであります。  しかし、元来、人一倍健康に恵まれ、医者にかかったことがないのが御自慢の先生でしたから、必ずや遠からぬうちに立ち直られ、再び元気なお顔を見せてくださるものと確信しておりましたところ、三月九日夜、にわかに異常を訴えられ、日大板橋病院において、医師団や御家族の必死の看護もむなしく、翌十日午後三時三十八分、ついに帰らぬ人となられたのであります。生者必滅は人の世の常とはいえ、余りにも突然の訃報に、政界はもちろん、都民、国民ひとしく大きな衝撃を受け、悲痛の念に打たれたのであります。  安井先生は、明治四十四年三月二十二日、岡山市の旧家安井家の次男としてお生まれになりました。今その生家は、岡山市に寄贈され、市の迎賓館として使われており、家に伝わる大量の古文書は岡山市立図書館安井文庫として保存されております。また、元東京都知事安井誠一郎氏が先生実兄であることも皆様御承知のとおりであります。  安井先生は、旧制岡山二中、第六高等学校を経て京都帝国大学経済学部に学ばれました。多感な青春時代を柔道と水泳と野球で鍛えられ、また、昭和初期のいわゆる思想問題の洗礼をも一通り受けられたようであります。先生の物の考え方が意外にリベラルだったのは、あるいはその影響かもしれません。  昭和十年春、京大御卒業と同時に、当時最大の国策会社であった南満州鉄道、すなわち満鉄に入社され、終戦まで一貫して経理部活躍されました。この満鉄の十年間は、先生も若い盛りで、よく励みよく遊び、文字どおり自由濶達に過ごされたようであります。そして、戦後の言語を絶する混乱の中で、最後まで現地に踏みとどまって残務整理を完全にやり遂げた後、翌二十一年夏、ようやくリュックサック一つで引き揚げてこられたのであります。この異常体験こそ、その後の公人としての安井先生の原点になったのではないでしょうか。  昭和二十二年の春、新憲法下初知事選挙が行われ、先生実兄安井誠一郎氏が東京都知事に当選されるや、その政務秘書となられ、さらに、昭和二十五年の第二回参議院選挙東京地方区から若冠三十九歳でトップ当選して政界に華々しくデビューされたのであります。  自後の先生政治経歴を見ますと、まさに順風満帆の感がありまして、吉田内閣労働政務次官池田内閣自治大臣国家公安委員長、そして佐藤内閣国務大臣総理府総務長官を歴任され、特に総理府総務長官のとき、国民の祝日に新たに建国記念の日、敬老の日、体育の日を加える法改正を行うなど、数々の貴重な業績を残されました。  しかし、政治家安井謙先生の真骨頂は、やはり党及び国会役員としての御活躍でありまして、当選六回、勤続三十六年の長い議員歴の中で、参議院議運委員長参議院自民党幹事長参議院議長自民党東京連会長参議院自民党議員会長参議院議長、そして自民党最高顧問など、党と国会のあらゆる要職を一身に歴任されたのであります。これすなわち、安井先生の人格と信望の高さ、識見政治手腕の卓越さを端的に物語るものでありましょう。  特に昭和五十二年七月、輿望を担って第十三代参議院議長に就任されるや、国会運営与野党共同責任対立よりも話し合いの信念に徹して、与野党伯仲下議会運営に当たられ、新たに参議院改革協議会を設けて、前任者河野議長以来の参議院改革を熱心に推進されました。すなわち、参議院先議案件をふやす、請願審査を重視する、衆議院にはないエネルギー対策特別委員会の新設、休会中一般人が本会議場に入れるようにするなどの改革を着実に実行して、参議院自主性独自性を高めるため非常な努力を尽くされました。私は、先生の任期の後半、加瀬副議長病気辞任の後を受けて副議長に選ばれ、一年間コンビを組ませていただいたわけでありますが、安井議長参議院改革にかける執念と熱意に深く感銘したことを合しみじみと思い起こすのであります。  安井先生は、三年間の議長在任中、深夜国会強行採決が一度もなかったことをひそかに誇りにしておられたようでありますが、その裏には、かくのごとき絶えざる御努力と御苦労のあったことを忘れることはできません。  安井先生には、議長の大任を終えられた後、自民党最高顧問に就任され、政局の節目節目にはいつもお日付役調整役として重要な役割を果たされました。  また、議員外交にも力を入れられ、日仏友好議員連盟日本オーストリア友好議員連盟日本フィンランド友好議員連盟日韓友好議員連盟等会長として、それぞれの友好親善関係増進のため尽瘁されました。中でも、すぐお隣り同士の日韓関係の改善には特に献身的な努力を傾け、対韓経済協力問題や教科書問題、指紋押捺問題等の難問題を乗り越えて、日韓首脳相互訪問を実現させた御功績はまさに歴史に残るものであります。  さて、政治以外の分野での安井先生の御活躍もまことに広範多岐にわたり、理事長または会長と名のつく肩書がおよそ五十、顧問相談役等肩書に至っては実に三百前後にも上った由で、まさに驚嘆すべき数字であります。  しかも、安井先生の場合、その多くが名のみでなく、多少とも実質が伴ったわけでありますから、まさに超人的というほかはありません。また、若い政治家の励ます会など、ほとんど皆勤出席で、三月上旬、亡くなる直前の一週間はほとんど毎日外出され、体の不調を押して毎晩この種の会場に出て激励のあいさつをされたと聞いております。現に、病状が急変した三月九日の夜も某ホテルでのパーティーに出席されていたという徹底ぶりであり、その帰宅直後、にわかに訪れた突然の死は、文字どおり壮烈としか言いようがありません。  思えば、安井先生、あなたは私にとっては同郷の先輩であるばかりでなく、くしくも同じ中学校、同じ高等学校の大先輩でもありまして、長年公私にわたり格別親身な御指導をいただいてまいりました。特に議長、副議長コンビを組んだあの一年間は、日夜、間近に接して、あなたの政治手法と生きざま、人間性を、ゴルフ、囲碁、絵画、陶器等趣味世界に至るまで、つぶさにうかがうことができました。あなたは、論語にある「和而不同」を座右銘とされ、勝海舟言葉と伝えられる「著限大局着手小局」とともに好んで揮毫され、かつそのとおり実践されました。一見大まかに見えて、事をなすのに実に細心で慎重でした。一見のんきそうに見えて、実に心遣いの行き届いた気配りの細やかな、いわゆるよく努める人、義理がたい人、面倒見のよい人でした。東京のようなマンモス都市を地盤に三十六年もの長い政治生命を保ち、一貫して政界山脈の頂上を歩き続けられた秘密は、まさにここにあったのではないでしょうか。  安井先生、あなたが三十六年間座り続けてこられたこの議場には、もはやあなたのお姿は見えません。あれを思いこれを思い感慨はなお尽きませんが、そろそろ与えられた時間が尽きようとしております。  今や、私どもを取り巻く内外の情勢はいやが上にも厳しいものがあります。このようなときに、先生のような識見高く、経験豊かな老練な政治家を卒然として失ったことは、本院はもとより、国家国民にとっても実に償うことのできない大損失であり、痛恨のきわみと言わなければなりません。  ここに、皆様とともに、謹んで安井先生のありし日の面影をしのび、輝かしい御功績をたたえ、心から御冥福をお祈り申し上げて、追悼言葉を終わらせていただきます。      ——————————
  5. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第一 国務大臣報告に関する件(内閣総理大臣帰国報告)  内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。中曽根内閣総理大臣。    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、今般、国会お許しを得て、四月十二日から十五日まで安倍外務大臣とともに米国訪問し、レーガン大統領と二度にわたり会談を行ったほか、米国議会上・下両院指導者と懇談し、四月十五日に帰国いたしました。  ここに、その概要を御報告申し上げます。  私の今回の訪米の主な目的は、貿易経済問題を初めとする日米関係全般に関し、レーガン大統領との間で幅広い意見交換を行うとともに、三週間後に迫った東京サミットの成功に向け日米間の協力を確認し、さらに世界的な広がりを有する日米両国間の協力関係につき同大統領と話し合うことでありました。二回の会談での率直な意見交換を通じこのような所期の目的は十分達せられ、実り多い訪問でありました。特に、第一回の首脳会談のためにレーガン大統領夫妻よりキャンプ・デービッドの山荘に招待され、大統領との不動の友情と相互信頼関係を確認することができましたことは、ますます緊密化する日米関係を象徴するものとして、私の大きな喜びとするところであります。  レーガン大統領との会談においては、日米両国の大きな関心事である経済問題に関し、レーガン大統領以下米政府首脳より、MOSS協議円ドルレート等に関する最近の成果への積極的評価表明とともに、先般の国際協調のための経済構造調整研究会報告書を、日本経済国際経済に調和させるための歴史的一歩として高く評価し、同報告書の諸提言の実施への強い期待感表明がありました。また、レーガン大統領よりは、議会における保護主義と断固闘っていくとの強い決意表明がありました。  これに対し私よりは、保護主義と闘うレーガン大統領を最大限支援する旨述べるとともに、経済構造調整研究会報告書を参考として我が国経済構造調整を推進すべく、推進会議を設け、政府与党協力もと、現在の膨大な経常収支の不均衡に関し、適正バランスを回復することを国民的目標として樹立し、当面実施すべき政策中期長期に検討、措置すべき政策を策定し、順を追って適切に推進していく旨説明し、レーガン大統領は私のこのような姿勢を歓迎いたしました。またレーガン大統領と私は、日米経済関係における最近の進展をより確かなものとし、米議会における保護主義を防圧していくため、両国間の協議対話を一層強化すべき点で意見一致を見、MOSS協議の継続及び日米構造問題対話の開始を確認いたしました。また、個別問題についても、引き続き協議を通じて解決を図っていくこととなりました。この関連で、私は、今次訪米中、二十名を超える上・下両院有力議員と昼食をともにしつつ懇談を行いましたが、これは米議会日米経済問題に対する認識を深める上で大きな成果を上げたものと考えております。  レーガン大統領と私は、五月の東京サミットが、先進国開発途上国を問わず、世界の諸国民に将来についての明るい展望と自信を与えることになるよう協力することで意見一致を見るとともに、自由貿易推進のためガット・新ラウンド交渉促進が必要である旨再確認いたしました。また、国際通貨問題、国際開発金融機関等についても有意義な意見交換を行いました。  平和と軍縮の問題については、私より、東西関係の安定と核兵器の大幅削減を目指すレーガン大統領の強い決意に敬意を払い、昨年の米ソ首脳会談により弾みを与えられた米ソ対話が今後着実に進展することを強く希望する旨表明いたしました。レーガン大統領と私は、この問題に関して、自由主義諸国が引き続き緊密な意思の疎通と協調を維持していくことの重要性を再確認いたしました。この関連で、私より、アジア地域に十分配慮しつつINFのグローバルな全廃を目指す大統領努力を高く評価している旨述べました。また、SDIについては、官民合同調査団報告をよく研究の上、政府部内で我が国対応につき慎重に検討していく旨説明いたしました。  なお、地域問題についての話し合いで、私はレーガン大統領とともに、アキノ政権もとにおけるフィリピンの発展と安定のための日米両国の一層の協力必要性、及び開発途上国経済状況や累積債務問題についての日米それぞれの貢献必要性を確認いたしました。  また、日米間の相互理解を今後一層促進するとの観点から、今次訪米の機会に、私は日米友好基金に対し三百万ドルの資金を贈与する旨の意向表明いたしました。  私は、今次訪米を通じて、日米関係が今や真に世界的広がり重要性を有するに至っていることを痛感いたしました。日米両国国民が力を合わせて世界の諸国民の平和と繁栄に多大の貢献をなし得るよう努力をしていくことがますます必要となっております。私は、以上の次第を国会を通じて国民皆様に御報告申し上げ、引き続き国民皆様の御支援と御理解を賜りますようお願いいたします。(拍手)     —————————————
  7. 木村睦男

    議長木村睦男君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。野田哲君。    〔野田哲登壇拍手
  8. 野田哲

    野田哲君 私は、日本社会党を代表して、先般アメリカ合衆国で行われた中曽根総理安倍外務大臣レーガン大統領シュルツ国務長官らによる日米首脳会談内容について質問を行います。  キャンプ・デービッドにヘリコプターからおり立った中曽根総理は、レーガン大統領と抱き合って、いかにもオーバーなアクションで二人の親密さをテレビを通じて国民に示していましたが、この二人の親密さが今日まで日本防衛費の異常な突出という大きなツケを国民にもたらし、また、今回引き続いて経済政策国民に大きな犠牲をもたらす約束をしたのではないか、リビアに対する軍事行動を起こしたアメリカ政策をバックアップする東京サミットとする地ならしができたのではないか、このような懸念が持たれています。このような懸念に答える意味で、以下の質問に対して端的にお答えをいただきたいと思います。  総理にお伺いをしたい第一の点は、今回の東京サミットを、主催国総理として、どのような性格、どのような目標を持ったサミットとして運営されようとしておられるのか、まずその点を明らかにしていただきたい。  総理は、昨年のボンサミットについて、「今次サミット具体的成果は、ボン経済宣言、及び第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言という形で明らかとなっております。」とその成果を強調され、「今後の我が国の対外経済問題への取り組みに対する各首脳期待には極めて大なるものがあり、責任の重さを痛感した」と述べておられます。また、政治宣言について、「サミット七カ国が過去における不幸な対立を超克して、自由と民主主義という共通の価値によって強く結ばれ、世界平和の維持に有効に対処するため、相互の連携をさらに強化する、また、アジア中東、中米、アフリカ等至るところで依然として紛争が続いている状況もとで、紛争国際的平和的処理軍備管理軍縮促進に向かって決然と取り組むことで参加首脳の間であまねく意見一致が見られたことは大きな成果であった」と報告されています。  それから一年を経過した今日、経済問題についても政治問題についても、ボンサミット成果とし。報告された楽観すべき状況ではなく、極めて憂慮すべき状況にあるのではないでしょうか。その第一は、日本が国際的に約束した内需の拡大緊縮財政一本やり政策によって全く進んでいないこと。第二には、中東中南米に対するアメリカ過剰介入、とりわけ先般のリビアに対する軍事行動は、西側諸国内でさえ同意を得られず、大きな国際紛争にエスカレートしようとしています。  サミットは、もともと石油危機後の先進諸国経済政策を調整するために始められたものが、いつの間にか対ソ戦略協議する自由主義陣営同盟確認の場に変質してきています。東京サミットは、一九七五年の第一回ランブイエ会議の姿に返り、経済問題中心の討議の場とし、アメリカ軍拡路線中東中南米に対する過剰介入自重を求める場とすべきではないでしょうか。中曽根総理のこの点についての御所見を伺います。  第二の点は、これからの我が国貿易摩擦解消のための経済政策について、アメリカに対してどのような見解表明され、何を約束してこられたのか、明らかにしていただきたい。  日米首脳会談現地からの報道によると、中曽根総理は、経済構造調整研究会報告書アメリカ側に提示して、この内容によって日本経済輸入指向型に転換することを約束し、レーガン大統領はこのレポート歴史的なステップとして高く評価し、中曽根首相決意に感銘を受け、その実行を強く求めたと報じています。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストを取り寄せて読んでみても、日本側報道と同じように、レーガン大統領ミスター中曽根から、四月七日の日本の最高級の委員会報告書によって日本経済日米貿易均衡の緩和に役立つようヒストリックチェンジ、すなわち歴史的転換を果たすことを決定したとの保証を受けたと報じています。  総理、あなたの進める日米首脳外交は、国会でも何ら論議されていない、与党でさえ関知しないという私的諮問機関レポートもとにして展開をされるのですか。国会無視も甚だしいではありませんか。キャンプ・デービッドホワイトハウスではこれが日本経済歴史的転換国際公約として評価され、日本に帰って問題にされると、中長期の国民的目標として紹介しただけとトーンダウンする。これで日本首脳外交国際的信用を得ることができるのでしょうか。  また、総理私的諮問機関多用傾向は目に余るものがあります。諮問機関からの提言については、公的審議会である経済審議会から昨年十二月に提出された「拡大均衡の下での新しい成長」と表題がつけられた昭和六十年度リボルビング報告があるではありませんか。これを差しおいて、殊さらに私的諮問機関からの報告を求め、これを外国に提示する理由はどこにあるのか、あわせて総理見解伺います。  さらに、一歩立ち入って、このアメリカ側に提示された経構研報告、いわゆる前川リポートの背景について伺います。  貿易均衡の是正を求めるアメリカ側の強硬な態度を和らげ、東京サミットを無難に乗り切るための窮余の策として、あらかじめアメリカ側意向伺い、その線に沿ってまとめられたのが今回の経構研報告書だという説があります。もしそうだとするならば、日本の主体性はどこにあるのでしょうか。中曽根総理政策の選択の基準は、国民の利益よりもアメリカ意向が優先されるのでしょうか、総理見解を伺うものであります。  総理は、近くアメリカで発行される著名な年鑑に特別寄稿し、その中で、「たとえ日本の一部の産業犠牲を払うことになろうとも、日本国内から保護主義的な考え方を根絶するまで努力しなければならないと考えている」と述べておられるということであります。そして、経構研報告書によると、石炭産業の大幅な撤退と海外炭輸入拡大農業政策の大幅な見直し、合理化農産品目輸入拡大が特に強調されています。総理アメリカ年鑑に寄稿されたレポートの中の、「一部の産業犠牲を払うことになろうとも」と述べておられるのは、石炭産業農業犠牲にすることを想定されておられるのか、総理の所信を伺います。  さらに、国際通貨問題についても、総理がただいまの報告で、レーガン大統領と「有意義な意見交換を行いました。」と報告されておられますが、現在急激に進行しつつある円高問題について、具体的に首脳会談ではどのような協議が行われたのか、また深刻な影響を受けている中小企業を初めとした国内産業に対する対策等国内対応策をどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。  次は、アメリカリビアに対する軍事行動について総理見解伺います。  中曽根総理は、今回のアメリカリビアに対する軍事行動を支持されるのか、それとも、反対し、自重を求める立場に立つのか、その見解伺います。  総理は、先日の当院本会議においても、アメリカリビアに対する攻撃については、事前に正確な通告があったものではないと報告されています。しかし、ホワイトハウスのスピークス副報道官の発表によると、キャンプ・デービッド会議の際にアメリカ側から詳細に説明し、総理は強い関心を持ってこれを傾聴し、アメリカ行動に支持を表明したとなっています。総理は、なぜレーガン大統領自重を求める態度がとれなかったのですか。  レーガン大統領は、今回のリビアに対する攻撃について、欧州諸国の同調を求めるためにわざわざ特使を派遣しています。ヨーロッパ諸国に対してはそのような念を入れた対策を進めながら、当時アメリカに滞在してレーガン大統領会談をしている、しかも近くサミットを主催する中曽根総理には、総理の言われる。ような抽象的な報告であったとするならば、世にうたわれているロン・ヤス関係も上辺だけの関係と見なければなりません。もう一回、アメリカ側総理にどのような報告あるいは要請を行ったのか、総理はどのような態度表明したのか、総理説明を求めます。  次は、アメリカ戦略防衛構想SDIについて伺います。  現地からの報道によると、中曽根総理は今回の日米首脳会談において、かねてアメリカ側から要請を受けていたSDI研究参加問題について、政府内で十分相談を尽くしていくと前向きの姿勢を示したと伝えられています。SDIについて今回の首脳会談ではどのような協議が行われたのか、説明をしていただきたい。  伝えられる情報によると、中曽根総理は、アメリカ側貿易摩擦に対する不満と報復措置を回避するためにSDI参加への要請内々オーケーを与えたのではないかと言われていますが、その経緯について明らかにしていただきたい。  また、本日開催されたと伝えられているSDI参加問題についての閣僚会議は、参加を前提としたものなのかどうか、またその会議ではどのような内容協議が行われたのか、総理説明をいただきたい。  我が国には宇宙の平和利用という国権の最高機関である国会で決議された大原則があります。この国会決議とSDI参加との関係についてどのように考えておられるのか、総理並びに新自由クラブの代表でもある科学技術庁長官の見解伺います。  次に、米ソ首脳会談の見通しあるいは対応について、今回の日米首脳会談ではどのような協議が行われたのか、伺います。  昨年十一月に第一回米ソ首脳会談が行われたことは、デタントに向かう兆候として世界が大きな関心を持ちました。そして、その際、第二回会談を八六年中に開催することが合意されておりますが、今回のリビアに対するアメリカ攻撃は、その可能性を大きく後退させることになりました。このような状況の変化の中で、中曽根総理レーガン大統領は、第二回米ソ首脳会談開催の見通しやその対応についてどのような協議が行われたのか、伺います。  以上、私は、旬日に迫っている東京サミット主催国としての中曽根総理の基本的な考え方と、それを展望しての先般の日米首脳会談の経過について、総理並びに関係大臣の見解伺いました。これからの日本産業構造と国際経済との協調については、国民生活の安定向上と国内での十分なコンセンサスを前提にして進められること、東京サミットの運営に当たっては、世界の平和と軍縮促進を基本にして進められることを強く希望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 野田議員にお答えをいたします。  まず、東京サミットの性格と目標でございますが、サミットは、元来、経済問題を中心にして討議し合う首脳会議でございますが、もちろん軍縮や平和という世界制な諸問題についても討議が行われてきております。私は、今回の東京サミットにおきましては、昨年の通貨調整あるいは石油の値下げ以来、世界経済について一部の危惧も出てきておりますが、一部にはまた貿易拡大していくであろうという希望も出てきております。こういうような情勢下におきまして、昨年来顕著に出てきておりまする先進工業諸国の政策協調、それから構造改革、これらを君らに積極的に推進する一つの場にいたしたいと考えております。  昨年以来の政策協調につきましては、金利の協調引き下げであるとか、あるいは発展途上国に封ずるベーカー提案に対する各国の反応であるとか、さまざまな積極策が出てきておるわけであります。それと同時に、アメリカにおきましても、例えば財政赤字を縮減するためのグラム・ラドマン法という法律の提起であるとか、あるいはヨーロッパにおきましても失業問題に対する真剣な財政的対策であるとか、構造改革にみんな積極的に乗り出し、我が国もこの五百億ドルに及ぶ膨大な輸出の黒字に対しまして、今、果敢な挑戦を挑んでおるところでございます。そのようにして、各国が自分たちが持っておる課題に対して協力しつつ積極的に挑戦していく、そのような政策協調及び構造改革に対する積極策を打ち出したい。このことは、きのう我々のところへおいでになりました労働サミットの各国の代表者に対しても私の考えを申し上げたところでございます。  もちろんそのほかにも米ソの平和軍縮に対する努力あるいは地域問題、例えば各国に、イラン・イラク戦争であるとか、そのほか地域問題もございます。あるいはテロ対策、あるいは石油、エネルギー対策、こういうような問題も当然討議の対象になり得ると思いまして、総じて世界に対して希望を投げかけるサミットになるように努力したいと思っております。  次に、経済政策についての約束をしたのではないかという御質問でございますが、そういう公約というようなものは一切しておりません。  先般のいわゆる経構研報告というものにつきましては、私は取り扱いは非常に注意してきたわけであります。言いかえれば、国家行政組織法八条に基づく機関ではなく、私的諮問機関でございますから、扱いは別であります。そういう意味においてこれを参考にして、政府与党でこれを検試しつつ、政府与党責任においてみずから政策を練り上げていく、そういう立場をとってきたわけであります。しかし、経構研報告自体は、まことに時宜を得た、適切かつ貴重な報告であると評価しておる次第でございます。そういう考えに立ちまして、政府与党間におきまして推進会議を設けまして、そうしてどういう対策を選ぶか、どういう段取りでやるか、要するに当面やる仕事と中期的に対応する問題と長期的に対策を立てる問題と分けて、次第に一つずつ実行していくというわけでございますから、そういう段取りもこの政府与党推進会議において決めて内容を充実させていく、そういう段取りで進めようと考えて、既に実行しつつある次第でございます。  さらに、最近の情勢等に対する、中小企業に対する対策等の御質問がございましたが、四月八日に発表いたしました総合経済対策等を着実に実施いたしまして、内需の増大に努める決意でございます。一方において、電力やガスの料金の引き下げというものは原価の引き下げに中小企業にもかなり役立つであろうと考えておりますし、最近における三次にわたる金利の引き下げもかなりこれは有利に動いてくると思っております。しかしまた、一面におきましては輸出産業等においてかなりの苦難も見えてきておりますので、地場産業等に対する個別的政策を強化してまいるつもりで、既に通産省におきましては現地といろいろ話し合いを進めておるところでございます。  農業対策につきましては、前から農は国のもとであり生命産業であると申し上げておるとおりでございまして、これは一貫して変わっておりません。食糧の安全保障ということも大事でありますし、緑の保全あるいは社会経済的な農業の果たしている役割というものについては、我々は非常に重要視しておるわけであります。したがいまして、一面においては国際的調和も考えなければなりませんが、一面においては生産性の向上とか構造改革とか、そういう面を通じまして農業の振興政策というものを推進してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、いわゆる経構研報告に対するアメリカの反応はどうであるかという御質問でございますが、私は、経構研報告の性格を、レーガン大統領にも、合同会議でも、これは個人的諮問機関意見書であって、性格をかなり説明したわけでございます。今までの審議会と答申の性格は違う、政府独自の立場で我々としては政策を練っていくと、そういう話もし、内容も大体説明もしたところです。それに対してアメリカ側は非常に評価を与え、期待表明いたしまして、日本側努力を見守りたい、我々自体としても保護主義の防圧には全力を尽くすと、そのためには援軍を送ってくれというような話があった次第であります。  国内産業等の問題についてはただいま申し上げたとおりでございますけれども、経済対策閣僚会議においていろいろ先般も四月八日の決定をいたしましたが、これらの推進等も通じ、また金利や経済政策の機動的、弾力的運営あるいは地場産業に対する特別の措置等も検討してまいりたいと思っております。  円高に対してトップ会談でどういう協議がなされたかという御質問でございますが、まず昨年の九月二十二日のいわゆるG5の協議については、私はこれを評価いたしました。そのような政策協調がなされていくことは望ましいと。ただし、いわゆるワイダーバンドであるとか、あるいはレファレンスゾーンであるとか、そういう固定的な考え方は今のところ適当ではない、各国が協調しつつ、その時期その時期に応じて適切な協力関係を打ち立てることが望ましい、これをマネージドフレキシビリティーという表現で言いましたが、そういうような話を私はいたしたところでございます。そして、為替につきましては、長期的に安定させることが望ましく、それについては各国は話し合いを行って協力していく、そういうIMF暫定委員会の蔵相会議の結論を支持したわけでございます。  次に、中小企業に対する御質問等がございましたが、これはただいまお答え申し上げたとおりでございます。  米国リビアとの問題につきましては、具体的な事前通報というような話はありません。キャンプ・デービッドにおける食事の間に、レーガン大統領からは、先般の西ベルリンのテロについてはその事前、事後に的確な証拠を握っておるし、またさらに続発する危険性がアメリカの公館その他についてある、したがってこれを放置するわけにはいかぬ、そういうことを言いまして、近い将来適切な措置をとるつもりである、そういう話がありました。私は、その話は、別に国際外交上の正式な通報というものでもない、食事の間のそういう話でありましたから、懇談の一つとしてこれを聞いておいた、そういうことでございます。  この問題に対する政府見解は、その後外務大臣のステーツメントを出したりいたしまして表明いたしましたが、米国が今回の攻撃リビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細については承知していないので、事態の推移を重大な関心を持って見守る。我が国としては国際テロ事件が頻発し、今後事態が一層悪化、拡大することを深く憂慮し、事態の正常化、鎮静化を強く希望する。我が国は、従来より理由のいかんを問わずいかなる形の国際テロにも断固反対しており、今後とも国際社会全体の問題としてこれらテロ防止のための国際協力を積極的に推進していきたい、このように表明しているところであります。  SDIに関しましては、私からレーガン大統領に対して、三次にわたる調査団を派遣したことにアメリカ協力してくれたことについて感謝の意を表明いたしました。研究参加問題については、これまでの調査団の報告等も検討し、そして政府部内で慎重に検討していく、それを表明した程度にとどめておいてあります。  本件につきましては、政府部内の検討のために関係閣僚間の会議を開催いたしました。これは冒頭、官房長官より、本件会合はSDI研究参加についての政府としての対応を検討するに当たり、関係閣僚間においても十分な意見交換を行っていくための場として開催したという説明があり、次いで外務大臣より、SDI研究参加についての検討の経緯が簡単に説明され、その後、先般米国に派遣された官民合同調査団団長その他より、右調査団の調査結果及びSDIの技術面について説明があり、その後自由討議が行われたと承知し、報告を受けております。  次に、国会決議とSDIとの関係でございますが、国会決議については、政府としてはこれを尊重することは、従来から答弁しておるとおりでございます。いずれにしても、SDI研究参加については、現在我が国対応ぶりについてあらゆる角度から慎重に検討しておるところでございます。  次に、米ソ首脳会談の問題でございますが、私より、東西関係の安定と核兵器の大幅削減を目指すレーガン大統領の強い決意に敬意を払い、第二回米ソ首脳会談の成功に向けてレーガン大統領を支持する旨を表明したわけであります。言いかえれば、積極的に第二次会談が行われるように双方で努力してもらいたい、我々も側面から協力したい、そういう意味の趣旨説明をいたしました。大統領は、米ソ首脳会談は本年中に行われる予定であるが、日程はまだ未定であるという発言がありました。この問題に関しては、自由主義諸国が引き続き緊密な意思の疎通と協調を維持していくことの重要性を再確認した次第でございます。  残余の答弁は科学技術庁長官からいたします。(拍手)    〔国務大臣河野洋平君登壇拍手
  10. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 閣僚の一人として、あるいはまた新自由クラブの代表として、さらに国会に議席を持つ人間として、国会決議を尊重することは当然のことである、こう考えておる次第でございます。(拍手
  11. 木村睦男

    議長木村睦男君) 答弁の補足があります。中曽根内閣総理大臣。    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 野田議員に対して答弁漏れがありまして、失礼いたしました。  前川リポートによると石炭産業についてどういう影響が出るかという御質問でございますが、これは地場産業の保護という意味で私は先ほど申し上げた次第でございますが、石炭につきましては、通産省における審議会におきまして、今これをどういうふうにするか審議しているところでございます。これらの結論を見まして措置してまいりたいと考えております。いずれにせよ、石炭問題というものは、その地場や町に対する影響も非常に大きな問題でございますから、その答申の結果につきましては慎重に検討してまいりたいと考えております。  次に、前川リポートを外国に説明した理由はいかんということでございますが、これは前川リポートが最終段階に差しかかったときに、こういういろいろな議論があるけれども、それはECやアメリカに対してどういう反応を起こすであろうか、我々が政策を樹立するその準備といたしまして、そのアメリカの反応あるいはECの反応というものを探るために二人をアメリカ及びECに派遣して意見交換をやり、反応を探ったと、そういうことで派遣したという次第でございます。(拍手)     —————————————
  13. 木村睦男

    議長木村睦男君) 黒柳明君。    〔黒柳明君登壇拍手
  14. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、中曽根総理大臣に質問いたします。  訪米報告に対する質問に入ります前に、当面する緊急政治課題につきまして二、三質問をいたしたいと思います。  まず、一連のマルコス疑惑に関連したことでございますが、マルコス不正蓄財に関する米国側より日本政府に引き渡された資料について、総理は当然それを見られていることと思いますが、総理の率直な感想をお伺いいたしたいと思います。  第二に、フィリピンに対する商品の円借款は、昭和五十三年の第七次借款以来中断されていました。ところが、昭和五十九年になって、総理はマルコス前大統領に対して三百五十二億円という膨大な商品借款を供与され、その供与時期がフィリピンの国会議員の選挙と関連していることから、マルコス支援ではないかとの批判があります。総理みずからこの疑惑に対して責任を持って解明すべきであると思いますが、所信をお伺いいたしたい。  また、総理の「疑惑は解明する」との発言と、今日までの政府の「すべての資料は出さない」との姿勢は明らかに矛盾をしております。疑惑解明のためには、フィリピン政府我が国の企業との円借款に関する契約等、一切の資料を国会提出すべきであると思いますが、その考えはあるのかどうか、お伺いいたします。  また、急激な円高対策について日米間で見解のずれがあり、協調介入は困難との見方もありますが、総理はこの現状にどう対処をされるつもりなのか、あわせてお聞かせください。  なお、次に一番気がかりなことは、衆参両院の同時選挙であります。端的に、衆参同時選挙はあるのかないのか、この席で総理より言明していただきたいと思います。  次に、日米首脳会談に関して質問いたします。  まず、国際協調のための経済構造調整研究会について、これは国家行政組織法上の審議会でないことは、今総理みずからお認めになったわけであります。いわば総理の私的懇談会であります。これにつきましては、昭和三十八年三月十八日の行政管理庁の「審議会と懇談会との差異について」という公式見解によると、懇談会は審議会と違って、会としての結論をまとめるというものであってはならないと言っています。また、五十九年四月十日の参議院予算委員会において後藤田国務大臣は、懇談会は会としての意思決定、結論を出すようなことはしてはならないと、政府みずからを戒めている発言をしているのであります。まして、今総理がおっしゃったような、それを参考として二国間問題に発展させることはいけないという戒めを政府みずからがしております。今回の前川レポートは、この点、政府のルールを踏みにじったことになりはしないか、総理見解を明らかにしてください。  さらに、昨日の政府与党経済構造調整推進会議では、党側より異論が続出し、総理みずから前川報告を手直しするという事態であったと言われておりますが、総理はこの情勢についてどう反省をしているのか、お聞かせください。さらに、国際公約となったこの前川報告内容は、国内中小企業を中心として混乱を引き起こし、多数の失業者が出ると言われておりますが、総理は、万が一の場合、その責任をどうとられるのか、あわせて明らかにしてください。  日米構造問題については高級事務レベル協議で検討されることになったが、事実上の監視機関になるのではないか。大蔵、通産、農水各省も、内政干渉につながるおそれがあるとの危惧を抱いていると伝えられておりますが、この点いかがでしょうか。  貿易均衡の原因は米側にもあり、日本だけが監視されるのは不公平ではないでしょうか。その点、総理アメリカに行ってどう説明されたのかお聞かせください。  総理は、黒字の減少について、今年秋には効果が出てくると断言しておりますが、野党の内需拡大の減税初め諸提案には耳をかさない総理に果たしてその確信はあるのか、またその根拠もあわせて示してください。  今年度実質成長率四%の達成も公約倒れになりつつあります。円高になれば国内の景気低迷が深刻化してくるし、黒字減らしと経済成長の両立は無理なのではないでしょうか。  さらに、自動車部品、背高コンテナなど輸送関連機器について協議したいとのMOSS協議の対象分野拡大要請があったことにつき、総理はどう対処するのか、見解を示されたい。また、MOSS協議拡大要請について、特に自動車部品、ワイン等の関税の引き下げ等開放努力をしてきておりますので、MOSSの対象分野に加えることは国内産業に致命的な打撃を与えるおそれがあります。その点どう認識されておりますか。  日米首脳会談における貿易摩擦等の経済問題に対する米国の強硬姿勢は、東京サミットの論議にも影響を与え、カナダ、EC等から一段と厳しい要請が出されるものと懸念されております。サミットにおける経済摩擦問題への我が国対応についてもお聞かせください。  フィリピンのアキノ政権に対する支持と援助の強化は日米間で既に合意されておりますが、中米カリブ海周辺諸国も援助強化の対象とした合意は、日本が中米へのアメリカ世界戦略援助の分野へ一歩踏み出したとの印象が強い、こう言われておりますが、この点いかがでございましょうか。  SDI参加についてです。総理は、政府内で十分に相談していくとの発言があったと聞きますが、従来総理の考えは、「理解を示す」までであったのではないでしょうか。理解に加え、手続論まで言及したことになります。参加問題に前向き姿勢を示したのではないか、この議題が実際にはどう扱われたのか、まさに不透明であります。国会の公の場では「慎重な対処」を繰り返してきたはずです。総理国民に対してどう説明するのか、明らかにしてください。  最後に、当面の日米間の問題について若干質問いたします。  来月十八日からリムパック86が行われますが、本年はニュージーランドにかわってNATOの加盟国である英国海軍が初参加すると言われております。これにより、単なる環太平洋合同演習から、大西洋にもまたがる世界戦略の一環としての演習となります。このような訓練に、海上自衛隊は参加のたびに派遣部隊を拡大し、今回も米国に次ぐ規模の部隊が参加を予定されておりますが、このことはまさに集団的自衛権に抵触する事態になるのではないでしょうか。御意見をお聞かせください。  また、先日、レーマン米海軍長官が上院の公聴会で、日本のシーレーン防衛はあくまで日本から一千海里に限定するものであり、画本を西太平洋の超大国にはさせないと証言しております。しかし、加藤防衛庁長官は、「自衛権行使の際の作戦行動の限界というものは、必ずしもシーレーンに限られるものではない」と、一千海里シーレーン防衛に枠がないかの発言がありますが、この両者の発言には明らかに相違があります。総理はこの点どう認識しているか。  以上、明快な答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 黒柳議員にお答えをいたします。  まず、対比援助の問題でございます。  政府といたしましては、対比援助を正規の手続に従って今まで処理してきており、その実施は適正に行われていると信じておりますが、これに関連して疑惑やうわさも伝えられております。真相究明のためにはできる限り努力してまいりたいと思い、改善すべき点があれば改善に努めてまいりたいと思うのであります。  第十二次商品借款の問題でございますが、我が国はフィリピンに対し、同国の国際収支の悪化情勢にかんがみ、先方の要請を踏まえまして、五十九年四月、商品借款を供与いたしました。これは、工場がとまってきて失業者が相当出てくるというので、原料、資材が欲しいというので商品借款を与える、そういう形をとったわけでございます。この供与に際しましては、交換公文において相手国に借款の適正使用を義務づけているほか、調達対象品目についてあらかじめ相手国政府と合意する等不正使用されることがないよう必要な措置を講じておるものなのであります。対比商品借款についても正規の手続に従って処理しており、その実施は適正に行われていると信じておりますが、もし具体的な疑惑があれば、しかるべく調査検討を行う考えでおります。  いわゆるマルコス文書の問題でございますが、我々といたしましても、本件真相究明のためにできる限りの努力を行うことは前から申し上げているとおりであります。政府としては、このいわゆるマルコス疑惑というものが日本法律に違反をして、そして汚職等の疑惑が濃厚である、そういう場合には、相手国政府に対しまして協議をし、資料も要求するということもあり得ますけれども、現段階におきまして、まだそういうことが的確にあるという状況ではありませんので要求を行わない、こういう段階にある次第であり、今後の情勢の発展もよく検討しておるところでございます。  次に、衆参同時選挙の問題でありますが、解散は考えておりませんと前から申し上げたとおりであります。  次に、いわゆる経構研報告に関する御質問でございますが、前から委員会等でも申し上げておりますが、経構研というものは総理大臣の私的諮問機関でありまして、国家行政組織法上における八条機関ではない、これは明確に認識してやっておるわけです。私も十九回の会議の中十八回出まして、皆さんの意見を直接お聞きしてきたところでございます。これらに対する取り扱いにいたしましても、これは参考意見として、そして政府与党責任を持って主体的に政策を練っていく、こういう手続と経路をとっておるところでございます。ただし、先般の政府与党会議におきましては、これは経済対策閣僚会議でございますけれども、政府与党首脳部が出てやっておる会議であります。  ここにおきましては、この経構研報告というものは、時宜に適した、貴重なものであり、適切なものであると評価いたした次第であります。そして、政府与党で独自にこれを参考にして政策を立案していくということを決定いたしまして、そのために推進会議をつくりまして、官房長官を中心にして関係閣僚及び政府与党首脳部が集まって、できるだけ早い機会に、どういう対象を選ぶか、どういう段取りで進めるか、当面、中期、長期にわたるそういう段階に分けて、それらを仕分けしていこうということを今これから始めようとしておるところでございます。  もう一つ追加の御質問で、円高に対する協調介入は困難であるかどうかという御質問でございますが、今回の円高は、ドルの全面安、それに対するマルクや円が高くなってきたという現象でございます。これらの通貨関係につきましては、IMFの暫定委員会が先般行われまして、これは長期的に安定することが望ましい、そのために各国は協力しようと、そういう合意は形成されておるわけで、原則的にそういうことは各国とも意識しておるわけでございますが、当面どうするかということは、各国が主権のもとに国立銀行その他が処理することでありますから、当面の問題については言及しておりません。しかし、日本の立場といたしましては、急速な乱高下があるという場合には介入を辞せず、そういう考えで一貫して立っており、今日もそういう立場にあると申し上げる次第であります、  次に、経構研報告国際公約ではないかという御質問でございますが、先ほど申し上げたような次第で、これは対外公約というような問題ではございません。  次に、この報告の実施と国内産業の問題でございますが、我が国は今後中長期にわたって一層内需中心の成長を図り、国民生活の水準を高め、世界経済発展にも寄与していかなければならぬと思っております。経構研報告というようなものは、この政策立案の一つの参考資料として我々はこれを援用し、参考にしてまいりたいと思っておる次第でございますが、内需の振興あるいは輸出輸入の適正なバランスの回復等につきまして積極的に努力してまいるつもりでございます。  次に、政府与党で乱れがあったのではないかという御質問でございますが、先般の経済対策閣僚会議等におきましても、先ほど申し上げましたように、これは時宜に適し、貴重であり、かつ評価する、そういうふうに一致いたしております。そうして、具体的なやり方についても今のような推進会議を設けて実行することに一致しております。問題は、最近の円高に対する対策等につきまして議論がございましたが、それらについても今後協力して対処するということで一致しておるわけでございます。別に乱れはございません。  日米の構造対話の問題でございますが、首脳会談におきましても、日米構造問題対話を行うことを確認いたしましたが、この対話においては、日米双方の構造的問題を扱う、例えばアメリカにすれば財政赤字あるいは金利の問題等を日本側からは指摘しておるわけであります。両国の構造的問題の関係について、相互の認識を深めることを旨として、新たな合意や結論を求めて交渉を行うというそういうものではないのである、これははっきりしております。本件対話のために新たな機構を設けることはしないで、既存のフォーラムを活用する。例えば日米高級事務レベル会議の場を利用する、こういう点についても一致しておるところでございます。  次に、貿易の不均衡に対する米側の責任でございますが、確かに今までの状況から見れば、高い金利と高いドル、アメリカの財政赤字、こういうものが基本でアメリカ輸入が増大した、輸出が減少したということはあり得るわけであります。言いかえれば、あの高いドルとアメリカの高い金利によって世界じゅうのものがアメリカに吸い込まれた、積極的輸出努力よりもむしろ吸い込まれたという現象の方が強いのではないかと思うのであります。アメリカもそれに気がついて、昨年九月二十二日のあのような会議に入り、そうして金利低下にもアメリカ努力してきた、そういう結果であると思うのであります。  黒字の削減については、我々は今後とも努力してまいりますが、当面は、石油の値下がり等によりまして、日本は約二億キロリッター弱輸入しておりますが、一バレル一ドル下がると十二億ドル日本は払う分が減るわけであります。ですから、十ドル下がれば百二十億ドル減るわけで、その分だけ日本貿易収支については今までよりはプラスになってくるわけであります。そういう面と、Jカーブ効果がありますので、黒字が当面減るということは考えられない、これはアメリカ側もよく認識しておるところであります。しかし、中長期的観点から考えれば、今のような高い円相場で中小企業はこれだけ悲鳴を上げてきて、大企業ですら困難を感じてきているという状態でございますから、輸出は困難になりつつある。したがいまして、秋ごろまでにはさま変わりがするであろうと、私は一ドル百八十円のときに大体そういう感想を漏らしたのであります。いわんや今日のような状態になれば、輸出産業は非常に苦しい立場に来ておるのでございまして、秋にはさま変わりがすると私は考えておるわけでございます。  次に、四%の成長の問題でございますが、諸般の総合経済対策の推進等によりまして四%の成長は可能であろうと私は考え、そのことを先方にも見通しを言明してきたところでございます。昭和五十三年にやはりこのようなことがありました。円が非常に強くなったことがあったわけでございます。このときも、秋口になりますと景気はずっと上昇に向かってきております。あのときは石油が高くなって日本のお金が外国にみんな取られてしまったわけであります。今度は、石油は下がって、日本は出すお金を日本国内にとどめておけるという現象が出てきているわけですから、これらを活用すれば内需の振興は十分可能であり、規制緩和そのほかによりまして全力を振るって内需の振興に努めてまいる、そういう考えに立っております。  次に、カリブ海の問題等であります。  今次首脳会談では、開発途上国経済状況の改善のための日米それぞれの貢献必要性を確認しました。我が国は、相互依存と人道的考慮を基本理念として、開発途上国経済社会開発、民生の安定、福祉の向上に貢献するために積極的な援助をしております。この点は中米カリブ海諸国に対する援助についても同様でありまして、米国の援助に組み込まれるということはございません。我が国の独自の主体的立場に立って、民生安定と福祉の向上のために世界の国々に対して適切に行っておるものであります。  SDIにつきましては、レーガン大統領との会談において、私より、先般来の調査団に対する協力に感謝をする、同時に我が国対応を、これらの調査団の報告等も徴し、政府部内で慎重に検討していく旨を表明したにとどまっております。  リムパックの問題は、アメリカの第三艦隊が計画する演習でありまして、外国艦艇等の参加を得て実施しております。これは戦術技量の向上を目的とするもので、集団的自衛権の行使というものには当たらないものであると考えております。  シーレーンの問題でありますが、米国は従来から千海里までのシーレーン防衛能力の早期達成を含む我が国の一層の防衛努力を強く期待する一方、地域的な軍事勢力に日本がなることがないように望んでおるということは一貫しております。いずれにしても、我が国の自衛権行使の地理的範囲については、我が国領域内に限られず、公海及びその上空にも及び得るところでありますが、具体的にどこまで及び得るかは、我が国に対する武力攻撃の態様等によって異なり、一概には言えませんが、我が国を防衛するために必要最小限度の範囲にとどまるべきことは当然でございます。  以上で答弁を終わらせていただきます。(拍手)     —————————————
  16. 木村睦男

    議長木村睦男君) 山中郁子君。    〔山中郁子君登壇拍手
  17. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、今回の日米首脳会談と内外の緊急課題について質問いたします。  まず、アメリカリビアへの武力攻撃についてであります。  今回の攻撃は、強力な海空軍力を動員してリビアの領土主権を乱暴に侵害しただけでなく、世界の平和を脅かし、第三次世界大戦の火種ともなりかねない重大な戦争行為であります。もちろん日本共産党は絶対にテロ行為を容認するものではなく、これまでも、その防止と根絶のため、断固たる国際的措置をとることを強く要求してきたところであります。  総理は、衆議院における我が党の中島武敏議員の、今回のアメリカの行為は国際法違反ではないかという質問に対し、日米首脳会談の際、レーガン大統領から事前にリビア攻撃の方針を持っていると聞いたものの、当事者でもないし、事実関係の詳細を承知もしておらず、会食中でもあったので聞き流したと答弁されました。幾ら会食中であっても、これほど重大な問題が出された以上、レーガン大統領に対し、リビアに対する武力行使を中止するよう直ちに要求するのが総理のとるべき態度ではないですか。総理の答弁は、責任逃れであるだけでなく、その態度こそが、レーガン大統領の国際法無視の野蛮な行為を黙認し、支持するものにほかならないではありませんか。明確な答弁を求めます。  中東をめぐる状況は、我が国の平和と安全にとっても極めて重大問題なのであります。ケリー米海兵隊司令官は、戦争になったら米海軍は直ちに地中海や太平洋でソ連の海軍戦力と交戦する、同盟国の対潜水艦部隊はソ連の潜水艦隊を探し出し破壊する、さらに地上機動戦力は千島列島かサハリンに上陸する、これがアメリカの公式戦略であるとまで公言しているのです。このことから見ても、リビアに対する米軍の戦争行動拡大するならば、安保条約によって我が国民と国土が知らぬ間にアメリカの戦争に巻き込まれることになるのは明らかではありませんか。今からでも遅くありません。アメリカリビアへの攻撃を一切中止するよう強く要求すべきでありますが、総理見解伺います。  また、東京サミットではテロ対策が話し合われると伝えられていますが、このサミットアメリカリビアに対する侵略行動への支持を押しつける場にすることは断じて許されません。総理リビア問題についてどういう方針でサミットに臨まれるのか、あわせてお答えいただきたい。  次に重大なことは、アメリカの戦略防衛構想、SDIに参加を約束したともとれる態度を示されたことであります。  総理、宇宙の平和利用に関する国連決議、一九六九年の国会決議を誠実に守る立場に立つならば、核軍拡を宇宙にまで広げるSDIへの参加の当否などは、今さら議論の余地はないはずであります。にもかかわらず、総理は、関係閣僚会議を開いて検討するとか、参議院選挙後に態度を決定するなどと述べたと報道されていますが、これはSDIへの参加を事実上アメリカに約束したものではありませんか。明確にお答えいただきたい。  次に、マルコス疑惑について伺います。  我が国のフィリピン経済援助は無償援助も含めれば総額約七千億円に達し、その一五%が腐敗し切ったマルコス政権の延命のための資金になっていた疑惑は、リベートの金額の大きさにおいても、政府間の国際政策上の問題であるという点においても、ロッキード事件以上の重大な内容を持っています。そして、中曽根内閣も第十二次、第十三次借款に直接の責任を負っていることは、既に多く指摘されているところであります。疑惑を徹底的に究明し、かかわった企業、政治家政府機関の法的政治責任を明らかにすることは当然のことであります。フィリピンのアキノ政権日本における真相究明に全面的に協力すると約束しています。したがって、外交上の配慮を理由に資料公表を拒否する理由は全くないはずであります。手元の資料は公表し、さらに正式にアキノ政権に資料提供を要請すべきでありますが、総理見解をお示しください。  次に、経済国民生活に関して質問いたします。  今回の日米首脳会談の重大問題の一つは、中曽根総理私的諮問機関にすぎない経済構造調整研究会がまとめた報告を、国会論議も閣議の正式決定もないまま、総理の独断で日米間の国際公約にまでしたことであります。総理、あなたの言われる大統領的首相とか征夷大将軍とは、こういう非民主的な政治手法を強行するということなのですか。総理国会軽視の責任はまことに重大であると言わなければなりません。総理責任ある答弁を求めます。  さらに、問題はその内容であります。この報告は、我が国経済構造を外需依存から輸入指向型に転換し、全面的な輸入拡大に向けて国際分業を促進するための積極的な産業調整を行うというのでありますが、もしもこのような産業構造の転換を強行するとなれば、産業構造審議会報告が言うように、中小企業の倒産などで二百万人に上る失業者をつくり出すことになるではありませんか。また、経企庁の研究報告では、海外直接投資の拡大で三百万もの失業が出ると予測しているのです。総理はこのような重大な事態をも承知の上で対米公約をしてこられたのですか、はっきりお答えいただきたい。また、総理産業の高度化によって雇用創出が見込まれるなどと答弁しておられますが、それは全くの詭弁であります。なぜなら、経企庁の研究会は、増大するのはパートなど大量の不安定雇用であると報告をしているのであります。  次に、石炭産業の問題であります。  現在の生産水準を大幅に縮小し、石炭輸入を増大しようというのでありますが、我が国の豊富な石炭資源を放棄し、自主的供給基盤を崩壊させることになるではありませんか。  農業問題も同様であります。国際化時代にふさわしい農薬政策の推進という口実で、基幹農産物以外の農産物の輸入を一層自由化しようとしていますが、穀物自給率はわずかに三二%であり、さらに一層輸入拡大するとなれば、我が国農業の未来に重大な打撃を与えることになります。日米首脳会談終了直後、米・リン農務長官は早くも、米を含めた農産物自由化の必要性を要望いたしました。総理は、食糧やエネルギーの自主的基盤が崩壊するような事態を招きかねないことについても、レーガン政権への協力を優先すると言われるのですか。米の輸入自由化は将来にわたって絶対にしないと明言できますか、この際はっきりお答えいただきたい。  最後に、今回の日米首脳会談における対米公約が、アメリカの要求の前に日本産業経済主権までも犠牲にするという、日米安保条約の反民族的な危険な本質を国民の前に改めて示したものだということを厳しく指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 山中議員にお答えいたします。  まず、米、リビア関係でございますが、米国が今回の攻撃リビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることについて、米国としての理由があるのであろうが、我が方としては、事実関係の詳細を掌握しているわけではないので、法的判断を行う立場にはなく、いずれにせよ、事態の推移を重大な関心を持って見守っておる、こういう態度で一貫しております。我が国としては、国際テロ事件が頻発し、今後事態が一層悪化、拡大することを憂慮し、事態の正常化、鎮静化を強く希望しておるものであります。我が国は、従来、いかなる理由を問わず国際テロには断固反対しており、今後とも国際社会全体の問題としてこれらテロ防止のための国際協力を積極的に推進していきたいと考えております。  事前に話があったのではないかということでございますが、先方からそういう正式の話はなかったのであります。食事の間に先ほど申し上げたような話がありまして、いつ、どこで、何をするかというような具体的な話はなかったのであります。したがって、聞きおいたということであります。  次に、安保、リビアの問題については、アメリカに巻き込まれる端緒ではないかという御質問でございますが、そういうことはございません。政府としては、安保条約のゆえに我が国が戦争に巻き込まれるとの認識は有しない。はっきり前から申し上げているところでございます。  米国が今回のリビア攻撃に対して自衛の措置であると説明していることについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細について知らない、事態の推移を見守ると言っておるところでございまして、この問題が一層悪化、拡大することを深く憂慮して、事態の正常化、鎮静化を希望しておるということであります。アメリカに対しましても、こういう我々の考えは伝えておるところであります。  次に、アメリカリビア及びこれに関するサミットの問題でございますが、我が国態度は先ほど申し上げたとおりの態度で一貫しております。次のサミットにおきましても、この国際テロの防止については、今までのサミットでも取り上げて議論されてきておりますが、今回におきましても恐らく取り上げられる可能性は非常に強いと私は考えており、何とかしてこのような国際テロを根絶する方法について真剣な討議をいたしたいと考えております。  SDIに関しましては、官民調査団あるいは従来の調査団に対する協力を感謝いたしまして、それらの調査報告を検討の上、我が国対応ぶりについては、現在、政府部内で慎重に検討する、そういう態度であります。  いわゆるマルコス疑惑の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、我が国の国法に違反し、あるいは重要な汚職の容疑濃厚と、そういうような場合には外交当局を通じまして適切な措置を先方に対してもやる、資料の交換等も協力し合う、そういうことももちろんあり得るところでありますが、現在の段階はそういう段階ではございません。  次に、経構研報告というものは、国際公約でないということは前から申し上げ、これが私的諮問機関意見書であるという点については十分注意してきたと申し上げたとおりであります。  産業転換と失業の問題については、新たな技術革新の成果を生かすこと等によりまして、やはり新しい消費ニーズの拡大を伴った産業構造の高度化による雇用の増大ということも考えられ、そういう面については努力しておるところです。特に、情報化社会の進展に伴いまして、そのような方面における新しいニーズというものは相当出てきつつあると考え、積極的に努力してまいりたいと思います。  石炭政策につきましては、審議会の結論を得て対処したいと、先ほど申し上げているとおりであります。  食糧の問題につきましては、国会の食糧自給力強化に関する決議の趣旨を踏まえ、生産性の向上を図りつつ、国内で生産可能なものは極力国内で生産して賄うということを基本としつつ国際的な調和のある総合的な農政を実行していきたい、そう考えておるところでございます。  米の問題については、これを自由化するという考えは持っておりません。  最後に、経済政策その他において対米従属ではないかという御質問でございますが、そのようなことはありません。今の日米関係は、相互に尊敬しつつ協力し合う熟成された民主主義国家の関係にありまして、インフェリオリティーコンプレックスは無用であると考えております。(拍手)     —————————————
  19. 木村睦男

    議長木村睦男君) 関嘉彦君。    〔関嘉彦君登壇拍手
  20. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、民社党・国民連合を代表しまして、先般の総理レーガン大統領との会談に関して質問をいたします。  会談では、米ソ間の軍縮交渉、SDIの問題なども取り上げられましたけれども、本日は私の質問経済問題だけに限ります。  最初に、質問の基本的な姿勢を明らかにしておきたい。  我々は、自由貿易体制による世界経済発展なしには日本の存立繁栄も極めて困難である、そのように考えておりますので、国際的な経済協力の増進のための先進民主主義国のサミット会議で合意が生まれ、その合意が実行されることを希望する点では人後に落ちませんし、また、その準備のために日米会談が行われたことにも何ら異議を差し挟むものではございません。しかし、経済的な国際協力の推進は、短期的には国民の一部に犠牲を強いることにもなるので、言うはやすく実行は極めて困難な課題を抱えております。十分に国民の支持を得て行われるのでないと日本の社会に混乱を招き、結果として、一方において外国を排する排外的ナショナリズムを生まないとも限りませんし、他方において外国に過大な期待を与え、実効のない場合、その対日不信感を増大する危険もあるわけであります。その意味から、今回の日米首脳会談に対しまして若干の疑問を呈するとともに、サミット会議に臨む総理に対して要望いたしたいと思います。  第一は、手続の問題であります。  総理は、出発に先立ちまして、首相の私的諮問機関である経済構造調整研究会報告を求められ、また目前の対策として総合経済対策をまとめて、それを示しながら会談されました。我々は輸出指向の経済構造を内需中心のそれに変える、そういう報告の趣旨に対しては支持を惜しむ者ではありません。しかし、問題はその手続であります。会談に臨む前に、国内において報告書内容について十分討議し、意見の調整の上で臨むべきではなかったでしょうか。  伝え聞くところによりますと、自民党内部においてすら十分の討議がなされなかったそうでありますし、いわんや国会内においては全然討議もされませんでした。中長期的対策とはいえ、その提言の中には、官僚や業界の強い反対が予想される事項も少なくなく、よほど強力な政治指導力なしには実行が危ぶまれるものもございます。外圧を利用して国内改革を行うというのは、日本の歴代政治家がともすればとりがちな手法であります。今回も、まず日米間で話し合いの後に国会報告し、国民理解を求めるというパターンがとられております。  首相は、研究報告は公約ではないと本日も繰り返し述べられました。しかし、ただいまの帰国報告にもありますとおり、レーガン大統領以下政府首脳は同報告書を、以下引用ですが、「日本経済国際経済に調和させるための歴史的一歩として高く評価し、同報告書の諸提言の実施への強い期待感」を表明したとあります。これは、彼らが一種の公約と受け取っていることのあらわれではないでしょうか。  少なくとも、強く期待されている以上、それにこたえなければなりませんが、その結果は、もし対応が不十分であればアメリカ人の対日不信感を増大するでありましょうし、対応が十分であれば日本人の間に外国、特にアメリカは自国の利益のために日本に圧力をかけてくる、そういうアメリカに対する怨念を、ルサンチマンを招き寄せかねないわけであります。これは下手をすると排外的なナショナリズムを扇動する人々への格好の口実を与えることになり、真の国際主義、すなわち国際協調確立への道ではありません。我々は総理のこのようなやり方に対して異議を唱えるものでありますが、総理の所見をお伺いしたい。  第二の質問に移ります。  さきに経構研報告書についてその精神には賛成であると述べましたけれども、そのことは、この報告書から外国人が引き出しかねない結論をすべて支持するということを意味するものではありません。すなわち、その中には、短期的に直ちに実行し得るもの、また、かつ、すべきもの、例えば所得税減税、住宅減税、都市開発のための規制緩和などと、中長期的な政策課題である産業構造の改善あるいは農業政策の見直しなどが含まれております。その区別が必ずしも明確でないために、中長期的な対策が直ちに実行されるかのごとき印象を与えるとすれば、それはかえって新たな摩擦を生む原因になるわけであります。このような誤解を避けるために、今からでもこの経構研報告書をいかに受けとめ、いかに実行するかの政府見解を改めて発表することが必要であると思いますけれども、総理見解をお伺いします。  第三は、経済構造の変革と日本の伝統的文化との関係の問題であります。  報告書にある中長期的対策の中には「流通構造の合理化」という言葉があります。しかし、この合理化という言葉は、解釈の仕方いかんによってはかえって混乱を招く言葉であります。例えば、最近外国からの日本の市場アクセスについての要求の中には、親会社と関係会社との間の特殊な取引関係は非合理的であり、それが外国商品の市場参入を妨げているとの非難があります。しかし、日本の社会は、取引関係を単に価格の高い安いだけで決める一回限りの取引と考えるアメリカの社会とは異なって、むしろ長期的な相互依存の人間関係を重視する社会であります。  西欧社会内部においてすら、かつて十九世紀、トーマス・カーライルは、当時の功利主義的な社会を現金関係に基づく人間関係として非難いたしました。人間のつながりを重視する社会と現金関係を重視する社会と、いずれがより近代的あるいはより合理的であるか、簡単には判定のつかない問題であります。単なる経済的合理性を優先するのではなしに、むしろこのような文化的特色に基づくところの制度の短所を矯め、長所を伸ばしていく、そのことが多様な文化の相互協力という意味での真の国際主義に貢献する道ではないかと考えるのですけれども、その点についての総理見解をお伺いしたい。  最後に、サミットにおいて強調してもらいたいことを述べます。  総理レーガン大統領との会談で、サミットに臨む基本的考えとして、当面の措置としてさきに決定した総合経済対策の効果を説明し、六十一年度の実質四%の成長率は達成できると力説されました。しかし、四%の成長率というのは、為替相場が百八十円程度の水準で安定するとの前提のもとでの成長率ではございませんか。もし円が一層高くなることになれば、デフレ効果のために四%の成長は不可能になります。昨日も円相場は百六十円台に上昇しましたが、これを放置することなく、早急に財政金融政策による景気拡大政策をとるとともに、長期的には、サミットにおいて、為替相場の急激な変動を防ぐための国際的合意が得られるような努力を訴えることが何にも増して重要であると考えるのですけれども、総理の所見はいかがですか。  以上、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 関議員にお答えを申し上げます。  まず、経構研報告の手続の問題でございますが、これは先ほど来申し上げますように、首相に対する個人的な私的な研究報告である、国家行政組織法上の八条機関とは違う、したがってその取り扱いは今までのいわゆる勧告その他と違った扱いをしておりまして、参考として、党及び政府が一体になって独自にこれを参考としつつ政策を練り上げていく、そして当面やること、中、長期に分けてこれから政策を練り上げていくために推進会議もつくっていると、このように申し上げまして、手続は慎重に行っておるわけでございます。また、党内部におきましても、経済対策閣僚会議を開きまして、党の首脳部ともこれについて合議をいたしまして、そしてこの報告が出されましたときに、この報告はまことに時宜に適したものであり、貴重であり、そしてこれを評価すると。適切であり評価すると、そういう意見一致を見て、これを参考にしてつくり上げるということを決めたわけであります。  前川委員長におかれましても、この報告書作成の最終段階におきましては、党の所要の向きに赴きまして懇談もいたしましていろいろ党の意見も聞いておる、こういうことであります。  先般来の党と内閣の会議におきましても、意見の不一致というものはございません。  それからアメリカとの関係でございますが、私は以上のような経過も説明しつつ、我々は我々独自の立場に立ってこれから政策を練り上げていくと、そういう説明をいたしまして我々の意見表明をしたのに対して、先方は期待したということであって、約束をしたという内容のものではないのであります。  次に、経構研報告に関する段取りの問題でございますが、先ほど来申し上げましたように、この内容は、当面行うもの、中期的に処理するもの、長期的に対応すべきもの、それぞれがございまして、いよいよ推進会議を結成し、それに対するアイテムをつくり、仕分けを行い、そして内容に取りかかっていくと、そういう段取りで進むものでございます。これらに対しましては、総理大臣の談話も発表いたしまして、国民にそういう趣旨のことも申し上げ、また国会でも御報告を申し上げておりまして、国民の御協力を得るように努力しておるところでございます。  次に、経構研報告関係して、外国の商慣習と日本の商慣習や経済慣習と違う点があるではないか、まさにそう思います。流通あるいはその他もすべて、日本文化あるいは日本の伝統的社会経済関係の反映でありまして、外国と同じということはないのであります。我が国におきましても、会社においては終身雇用制という特色を持っておる。会社の社長も、利益配当もさることながら、会社の長期的発展を念願してやっておる、アメリカの社長とは違う点もあります。そういう点が日本経済を強力にしてきたもとでもありましょう。  そういう意味におきまして、長所として国際的に我々が対応して、そして維持し得べき問題についてはあくまで我々はこれを堅持していくべきであると思います。何も外国の言うことが全部正しいのではないのでありまして、日本経済がこれだけ伸びてきている根底にはそれなりの長所があるわけであり、国際的に見てこれが不法であり不当であるということで批判を受ける面は直さなければなりませんが、その国の文化、社会的伝統として持っておる長所については我々はこれを守っていくべきである、そう考えております。  次に、為替の適正基準の問題でございますが、昨年の九月二十二日のG5以来世界的に協調体制に入ったと申し上げて、通貨の関係及び金利の問題について何回かの協調行動をとることができました。最近のIMFの暫定委員会におきましても、為替相場については長期的に安定が望ましい、そのために協力する、そういう合意は形成されておりますが、いつ、いかなることをするかということは、国立銀行その他に任せられて、主権の範囲内のこととされているわけであります。しかし、基本的に見ますと、各国の経済的ファンダメンタルズに合致する方向で為替相場が決められていくというのが、長期的に安定し、合理的なゆえんであります。我々はそういう方向にやはり努力すべきであると思っております。  しかし、自由経済、市場経済等を考えてみますと、いわゆるワイダーバンドであるとか、あるいはレファレンスゾーンであるとか、そういう硬直的、固定的な考え方が必ずしも現在妥当であるとは思っておりません。サミットにおきましてもこの通貨問題は重要な議題になると思われますが、各国の意見も徴しまして、私が前から申し上げておりますように、マネージドフレキシビリティーと申し上げておりますが、そういう考え方を基準にして各国の考えも調整してみたら、そう思っておる次第でございます。しかし、これが乱高下したり、急激な変動が起こることは各国国民経済に甚大な影響を及ぼしますから、それらにつきましては適切な措置を行うということは当然のことでございます。  なお、内需の振興あるいは輸出入の適正バランスの維持等々につきましては、これとあわせて我々は努力してまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手
  22. 木村睦男

    議長木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  23. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第二 扶養義務準拠法に関する条約締結について承認を求めるの件  日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  日程第四 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長最上進君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔最上進君登壇拍手
  24. 最上進

    ○最上進君 ただいま議題となりました条約二件及び法律案一件につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  まず、扶養義務準拠法に関する条約は、親族間の扶養義務に関し、扶養権利者の常居所地の法律を適用することを原則とする統一的な準拠法規則を定めるものであります。  次に、ソ連邦との租税条約は、日ソ両国間で二重課税の回避について取り決めたものでありまして、事業所得に対する相手国の課税基準、国際運輸業所得に対する相互免税、配当、利子及び使用料に対する源泉地国の租税減免等を定めるとともに、二重課税の排除の方法を規定いたしております。  最後に、在外公館関係法律案は、スペインのバルセロナに総領事館を設置するものであります。  委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知を願います。  昨二十二日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、扶養義務準拠法に関する条約及びソ連邦との租税条約は、いずれも全会一致をもって承認すべきものと決定し、在外公館関係法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  25. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  まず、扶養義務準拠法に関する条約締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。  両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 木村睦男

    議長木村睦男君) 総員起立と認めます。  よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。  次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  27. 木村睦男

    議長木村睦男君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ——————————
  28. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第五 郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長大森昭君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔大森昭君登壇拍手
  29. 大森昭

    ○大森昭君 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、郵便貯金振興会の経営の活性化を図るため、その役員の選任が自主的に行われるようにする等により、その経営の自立化を図るとともに、郵便貯金事業の効率化の一環として郵便貯金の取り扱いに関する事務手続的事項の省令委任を行うこと等関係規定の整備を図ろうとするものであります。  委員会におきましては、郵貯資金の自主運用の必要性、少額貯蓄利子非課税制度の堅持、公定歩合の引き下げに伴う預金者保護、郵便貯金会館の拡充方策、オンラインサービスの充実強化、OA化に伴う健康管理対策等について質疑が行われました。  質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党山中委員より反対の旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、片山理事より、金融自由化に対応するため、市場金利による資金運用制度の創設に努めること等五項目にわたる附帯決議案が提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  30. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  31. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ——————————
  32. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第六 特定都市鉄道整備促進特別措置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長鶴岡洋君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔鶴岡洋君登壇拍手
  33. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ただいま議題となりました特定都市鉄道整備促進特別措置法案について、運輸委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  本法案は、大都市圏における鉄道の輸送需要の増大に対応して、都市鉄道の輸送力の計画的な増強を促進するため、特定都市鉄道整備積立金制度を創設すること等により工事の実施に伴う鉄道事業者及び利用者の負担を平準化するための特別の措置を講じようとするもので、その主なる内容は、第一に、鉄道事業者は、期間十年以内の複々線化工事等を内容とする整備事業計画を作成し、運輸大臣の認定を受けることができること。第二に、計画の認定を受けた鉄道事業者は、計画期間内において、旅客運送収入の一定割合の金額を非課税として指定法人に積み立てるとともに、取り戻した当該積立金は工事費の支出に充てなければならないこと。第三に、運輸大臣は、工事の実施に伴う鉄道事業者の運賃について認可を行うときは、当該積立金が旅客運送収入により確保されるよう、また、計画期間終了後にその資金が運賃を通じて鉄道利用者の負担が緩和されるようにそれぞれ配慮すること等であります。  委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、別に討論もなく、次いで採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、安恒理事より、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の四会派共同提案に係るいわゆる上乗せ運賃についての認可・実施に際しては、利用の実態等に十分配慮し、鉄道利用者の負担が適正なものとなるよう定めることなど四項目を内容とする附帯決議案が提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  34. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  35. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会      ——————————