○
国務大臣(竹下登君) ここに、
昭和六十一年度
予算の御審議をお願いするに当たり、今後の
財政金融
政策の
基本的な
考え方につき所信を申し述べますとともに、
予算の
大綱を御説明いたしたいと存じます。
我が国経済は、二度にわたる石油危機を初めとする幾多の試練を乗り越え、今や
世界経済のほぼ一割を占めるまでに
発展を遂げ、
国民生活の着実な
向上を見ました。その背景としては、
我が国経済が
自由貿易体制の恩恵を享受しつつ民間の創意と柔軟性を
最大限に活用してきたことによるところが大きいと
考えます。
今後の
我が国の進むべき道を
考えてみますと、
我が国経済がなし遂げた成長の
成果をもとに
国民生活の一層の
向上を目指すとともに、現在
我が国の占める国際的地位の重要性を
考え、
国際社会においてその地位にふさわしい
役割を果たしていくことが必要であります。
これらの
目標の達成のためには、まず第一に、
我が国経済の安定成長を確保していくことが肝要であります。
そのためには、まず
財政の
対応力の回復を図らなければなりません。高齢化
社会の到来など今後の
社会経済情勢の
変化に弾力的に
対応し、
我が国経済の安定成長を確保していくため、
財政の
対応力の回復は緊急を要する
国民的課題であると
考えます。
また、
市場経済を
基本とする
我が国経済におきましては、
民間活力の活用を図っていくことが重要であり、そのための
環境を
整備していく必要があります。これまでにも
民間活動の円滑化のための規制緩和等の
施策を
推進してきたところでありますが、今後とも、このような
施策を一層
推進し、
我が国経済の安定成長の
基盤を一層強固なものにしていく必要があると
考えております。
第二に、対外面におきましては、
我が国経済が
世界経済に占める重要性を一層自覚し、
調和ある
対外経済関係の形成を図っていく必要があります。
そのためには、
我が国みずから率先して
自由貿易体制の
維持強化を図り、
経済摩擦の解消に取り組んでいかなければならないと
考えます。
経済摩擦の解消は、
我が国経済のみならず、
世界経済の安定と
発展にも不可欠のものであります。
以上の
考え方に立って、私は、今後の
財政金融
政策の
運営に当たり、次の五つの
課題を設定し、
政策目標としてまいる所存であります。
それらの
課題とは、インフレなき持続的成長の確保、
財政改革の強力な
推進、
税制の
抜本的見直し、
世界経済発展への貢献、金融の
自由化及び円の
国際化の
促進、この五つであります。
まず第一は、引き続きインフレなき持続的成長の確保を図っていくことであります。
現在、
我が国経済は、戦後最良の物価の安定が続く中で、民間設備投資を
中心として緩やかな
拡大を続けております。
インフレなき持続的成長の確保は、
さきに申し述べましたように、
国民生活の
向上を目指す上で必要不可欠なものであります。今後とも
民間活力の一層の活用を
基本としつつ、その確保に努めてまいる所存であります。
このため、厳しい
財政事情のもとで、
昭和六十一年度
予算におきましても、一般公共事業の事業費につき前年度以上の
伸び率を確保し、また
住宅減税を行うなど景気の
維持拡大にはできる限りの配慮を払っており、昨年末には、これらの
予算、
税制等に係る内需
拡大のための
措置を取りまとめたところであります。今後、昨年十月の
対策と今回の
対策とをあわせ、その着実な
実施を図ってまいる所存であります。
金融面では、
我が国金融は、現在、量的に緩和しており、長期金利も低い
水準で推移しております。今後の金融
政策の
運営につきましては、従来同様、物価、景気、
内外金利の動向、為替相場の状況等を見守りながら、適切かつ機動的に対処してまいる所存であります。
第二は、
財政改革を強力に
推進することであります。
財政改革の目的は、できるだけ早期に
財政の
対応力を回復することにより、
我が国社会経済の活力を
維持し、
国民生活の安定と
充実を図っていくことにあります。
このため、
政府は、「一九八〇年代
経済社会の展望と
指針」において、
昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに努めるという
努力目標を示し、それに向けて懸命の
努力を重ねてきたところであります。
昭和六十一年度
予算におきましても、
昭和五十八年度以降四年連続で
一般歳出を前年度以下に圧縮する等、
歳出歳入両面にわたっての厳しい
見直しに
最大限の
努力を払い、公債発行額を前年度の当初
発行予定額に比し、七千三百四十億円減額することといたしております。
しかしながら、このような
努力を行ってもなお、
昭和六十一年度
予算においては、国債費が
歳出予算の二割を占めるに至り、また
昭和六十一年度末の公債残高は百四十兆円を超えることとなるなど、
財政事情は極めて厳しいものとなっております。
このため、
政府は、今後とも
財政改革を引き続き強力に
推進してまいりたいと
考えます。その際、中長期的視野に立ち、国、
地方を通ずる行
財政の守備範囲の
見直しを進め、既存の
制度、
施策について、その
改革にさらに努めていくことが肝要であります。これらの
改革を進めていくに当たっては種々の困難が伴うものと思われますが、それに憶することなく、さらに一層の
努力を払い着実にその歩を進めてまいる所存であります。
第三は、
税制の
抜本的見直しを行うことであります。
税制につきましては、
税制調査会において、公平、公正、簡素、選択並びに活力といった見地に立って、シャウプ
税制以来の
抜本的見直しの御審議、御検討をいただいているところであります。これまで各税目につき一わたり御審議をいただきましたが、今後さらに検討を深めていただき、本年秋ごろには包括的な
指針をいただく
予定となっております。
税制は、
国民経済全体はもとより、
国民生活や企業
活動に密接な
関係を有しており、その
見直しに寄せられる
国民の
期待と関心は多大なものがあります。各方面から指摘されている
税制のゆがみ、ひずみ及び重圧感を除去し、産業、就業構造の
変化、所得
水準の上昇と平準化を初めとする最近の
社会経済の著しい
変化と将来の
我が国経済、
財政の展望を踏まえた望ましい
税制を確立することは、ぜひともなし遂げなければならない重要な
課題であります。
税制は歳入の根幹をなすものであり、
国民各位の御
理解と御
協力のもとに、その幅広い支持に基づく新しい
税制を確立し、安定した歳入構造を確保することを目指して検討を進めてまいる所存であります。
第四は、
我が国がその国際的地位にふさわしい
責務を果たすため、
世界経済の
発展に貢献することであります。
ここ数年、
我が国の
貿易、
経常収支は、
米国の
財政赤字に基づく高金利等を原因とするドル高や、一次産品価格の低迷等を背景として大幅な黒字を続けております。この不
均衡を是正するためには、
基本的には国際的な
経済環境の
変化が必要であると
考えられ、私としては、このため国際的な協調行動をとるべく
努力してまいりました。この結果、昨年九月に五カ国蔵相・
中央銀行総裁
会議が開催され、為替レートの
適正化のためのより密接な
協力を図ることなどが合意されました。以来為替レートはドル高是正の方向で推移しており、今後
貿易、
経常収支の不
均衡の是正に資するものと
期待しております。
他方、
我が国としては、
自由貿易体制の
維持強化を図るとの見地から、新
ラウンドを
推進するとともに、率先して
市場の開放と輸入の
促進に努めることも重要と
考えております。
このため、
政府は、昨年七月、「
市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの骨格」を策定し、千八百を超える品目の関税率の引き下げ、撤廃を本年一月一日から
実施する等各般の
施策の着実な
実施に努めているところであります。
さらに、
昭和六十一年度関税改正におきましても、引き続き諸
外国の関心の強い品目の関税の引き下げ等を
措置することとしております。
新
ラウンドにつきましては、本年九月に開催される閣僚
会議に向けて、
交渉の早期開始のために鋭意
努力してまいる所存であります。
また、
国際通貨制度につきましては、ウィリアムズバーグ・サミットの指示を受けて、十カ国蔵相
会議及び代理
会議において徹底的な検討が行われました。これに基づき、昨年六月の十カ国蔵相
会議東京会合において、私は
議長として、
国際通貨制度をよりよく機能させるための現実的かつ漸進的な
改善策の取りまとめに当たったところであります。そして、本年四月のIMF暫定委員会においては、この
改善策の本格的な検討が行われることとなっております。
我が国といたしましては、今後とも、諸
外国と密接に
協力して、
国際通貨制度の機能の
改善に積極的に貢献してまいる所存であります。
一方、
開発途上国の自助
努力を支援し、もって
世界経済の安定と
発展に資することも
我が国の大きな国際的
責務となっております。
経済協力につきましては、厳しい
財政事情のもとではありますが、昨年九月に策定された第三次
中期目標に沿って
政府開発援助の着実な拡充に努めているところであります。
また、累積債務問題につきましては、債務国において中長期的
観点に立った
調整政策を一層
推進するとともに、それを支援する国際機関、債権国
政府及び民間銀行の協調した真剣な
努力が引き続き重要であると
考えております。
第五は、金融の
自由化及び円の
国際化の
促進であります。
経済構造の
変化や
経済全般にわたる
国際化の
進展等に
対応して金融の
自由化及び円の
国際化を進めていくことは、
我が国経済の効率化と
発展に資するものであると同時に、
我が国が
世界経済の
発展に貢献していく上で有
意義なものであると
考えております。
このような
考え方に立ち、金利の
自由化、短期金融
市場の
整備、
外国金融機関の
我が国へのアクセス
改善、ユーロ円
市場の
発展のための
措置を逐次とってきたところであり、昨年七月に策定した「アクション・プログラムの骨格」においても、預金金利の
自由化等可能な限りの金融の
自由化及び円の
国際化のための
措置と
実施スケジュールを盛り込んだところであります。
また、いわゆるオフショア
市場についても創設に向け
準備を進めております。
他方、このような金融の
自由化を進めるに際しては、信用秩序に混乱を来さないようにするための方策を
整備する等、金融
自由化の
環境整備を図っていく必要があります。このような
観点から、金融機関の健全経営確保のための方策の
充実、金融機関の経営危機に
対応するための預金保険
制度の拡充等各般にわたる
措置を講じていきたいと
考えております。
我が国の金融の
自由化及び円の
国際化に対しては、諸
外国から強い
期待が寄せられており、
米国を初め、英国、西独、EC委員会とも金融協議の場を設け、
意見交換、意思疎通に努めているところであり、今後とも、
相互の協調と
理解の増進に努めてまいりつつ、金融の
自由化及び円の
国際化を積極的に進めてまいる所存であります。
次に、
昭和六十一年度
予算の大要について御説明いたします。
昭和六十一年度
予算は、引き続き
財政改革を一層
推進するため、特に
歳出の徹底した
節減合理化を行うことを
基本とし、あわせて
歳入面についてもその
見直しを行い、これにより公債発行額を可能な限り縮減することとして編成いたしました。
歳出面におきましては、既存の
制度、
施策の
改革を行うなど徹底した
節減合理化を行い、全体としてその規模を厳に抑制したところであります。
概算要求の段階から、引き続き厳しい要求基準のもとに、各省庁において、それぞれ所管の
予算について根底から洗い直し、優先順位の厳しい選択を行ったところでありますが、その後の
予算編成に当たりましても、あらゆる
分野にわたり経費の
節減合理化に努めるとともに、
社会経済情勢の推移に即応した
財政需要に対しましては、財源の重点的、効率的配分に努めることといたしました。
補助金等につきましては、引き続きその
整理合理化を
推進するとともに、事務事業の
見直しを積極的に進めながら、補助率の総合的
見直し等を行うことといたしております。また、厚生年金の国庫
負担の繰り入れにつきましても、
所要の特例
措置を講ずることといたしております。なお、これらの
措置につきましては、別途、国の
補助金等の臨時特例等に関する
法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
なお、
国家公務員の定員につきましては、定員削減
計画を着実に
実施するとともに、新規増員を厳しく抑制いたしました。この結果、行政機関職員について四千五百二十八人に上る大幅な縮減を図ることといたしております。
以上の結果、
一般歳出の規模は三十二兆五千八百四十二億円と前年度に比べて十二億円の減に圧縮いたしております。これは
昭和五十八年度以降四年連続の対前年度減額であります。
これに国債費及び
地方交付税交付金を加えた一般会計
予算規模は、前年度当初
予算に比べ、三・〇%増の五十四兆八百八十六億円となっております。
次に、
歳入面につきまして申し述べます。
歳入の基幹たる
税制につきましては、現在進められている
税制全般にわたる
抜本的見直しとの関連に留意しつつ、
昭和六十一年度改正において、
住宅取得者の
負担の軽減、
民間活力の活用等を通じ、内需の
拡大等に資するため
所要の
措置を講ずるとともに、最近における
社会経済情勢と
現下の厳しい
財政事情にかんがみ、
税負担の
公平化、
適正化を一層
推進する
観点から租税特別
措置の
整理合理化等を行うほか、たばこ消費税の税率を臨時
措置として引き上げることとしております。
税の執行につきましては、今後とも、
国民の
信頼と
協力を得て、一層適正、公平な税務行政を
実施するよう、
努力してまいる所存であります。
また、
税外収入につきましては、極めて厳しい
財政事情にかんがみ、可能な限りその確保を図ることといたしております。
公債につきましては、以上申し述べました
歳出歳入両面にわたっての
最大限の
努力により、その
発行予定額を前年度当初
予算より七千三百四十億円減額し、十兆九千四百六十億円といたしました。その内訳は、
建設公債五兆七千億円、特例公債五兆二千四百六十億円となっております。この結果、公債依存度は二〇・二%となり、前年度当初
予算の二二・二%より二・〇ポイント低下しております。特例公債の発行等につきましては、別途、
昭和六十一年度の
財政運営に必要な財源の確保を図るための特別
措置に関する
法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
また、
昭和六十一年度においては、十一兆四千九百二十四億円の借換債の発行を
予定しており、これを合わせた公債の総発行額は二十二兆四千三百八十四億円となります。これらの公債につきましては、国債引受団による引き受け、資金運用部資金による引き受け及び公募入札により円滑な消化を図ることといたしております。
財政投融資
計画につきましては、内需の
拡大、
地方財政の円滑な
運営など、
政策的な必要性を踏まえ、積極的かつ重点的、効率的な資金配分に努めることとしております。
この結果、
昭和六十一年度の
財政投融資
計画の規模は二十二兆一千五百五十一億円となり、
昭和六十年度当初
計画に対し六・二%の増加となっております。
次に、主要な経費につきまして申し述べます。
極めて厳しい
財政事情のもと、
昭和六十一年度
予算におきましても、あらゆる経費にわたり経費の徹底した合理化、効率化を図っておりますが、
他方、限られた財源の中で質的な
充実に配慮することとし、特に、真に恵まれない人々に対する
施策等については、きめ細かな配慮を行うとともに、中長期的
観点から
対応を図る必要があるものについては重点的に配意したところであります。
まず、
社会保障関係費、文教及び科学
振興費につきましては、今後における高齢化
社会の
進展等
社会経済情勢の
変化に
対応して、今後とも各種
施策が長期的に安定的かつ有効に機能するよう、
制度面、
運営面において不断の
見直しを行うことが必要であり、かかる
観点から、老人保健、失業
対策事業について
制度の
改革を行うほか、医療保険、年金及び公立文教施設費等についてその合理化、効率化を進めることとしております。また、特に、老人や心身障害者に対する在宅福祉
施策の
充実、高齢者の就業
機会の確保、
教育環境の
整備、
基礎科学
研究の
充実などの
施策の
推進に努めております。
経済協力費につきましては、昨年九月に策定された第三次
中期目標を踏まえ、
政府開発援助予算の増額について特段の配慮を行い、防衛
関係費につきましても、
中期防衛力整備計画を踏まえつつ、他の諸
施策との
調和を図りながら、その質的
充実に配意いたしております。また、エネルギー
対策費につきましても、中長期的な需給見通しを踏まえ、各種
施策を着実に
推進することとしております。
中小企業対策費につきましては、最近の
中小企業を取り巻く国際的な
環境変化に
対応し、その近代化、構造
改善を
促進していくための各種の
措置を講ずることとしております。また、農林水産
関係費につきましては、需要の動向に即応した生産の再編成を行いながら、
生産性の高い農業の
実現を図ることを
基本に、
施策の重点的、効率的な
推進に努めることとし、また、食糧管理費の
節減合理化をさらに
推進したところであります。
国鉄財政につきましては、新経営形態への円滑な移行に資するための特別の
措置を講ずるとともに、経営の合理化等をさらに
推進することとしております。
公共事業
関係費につきましては、厳しい
財政事情にかんがみ、総額として前年度を下回る
水準としておりますが、
国民生活充実の
基盤となる
社会資本の
整備に重点的に配意するとともに、内需の
拡大に配慮し、一般公共事業の事業費につきましては、民間資金の活用など種々の工夫を行うことにより、前年度以上の
伸び率を確保することといたしております。
昭和六十一年度の
地方財政につきましては、補助率の
見直しによる影響等を織り込んで一兆一千七百億円の財源不足が見込まれますが、国、
地方のたばこ消費税の引き上げにより
所要の財源確保を図る等の
地方財政対策を講ずることとし、その適正な
運営に支障の生じないよう配慮しております。
地方団体におかれましても、
歳出の
節減合理化をさらに
推進し、より一層有効な財源配分を行うよう要請するものであります。
この
機会に、
昭和六十年度補正
予算につきまして一言申し述べます。
昭和六十年度補正
予算につきましては、災害復旧費の追加、給与
改善費、
国民健康保険特別交付金、義務的経費の追加等、当初
予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となったやむを得ない事項について
措置を講ずることといたしております。
まず、災害復旧につきましては、
建設公債三千五百三十億円の発行によりその財源を確保し、復旧の
促進を図ることといたしました。
その他の経費につきましては、既定経費の節減、
税外収入の増収等その財源の捻出に
最大限の
努力を払いましたが、なお財源が不足するところから、やむを得ず、前年度の
決算上の純剰余金千七百五十五億円について、臨時異例の
措置ではありますが、その全額を一般財源に充当することとし、さらに税収が当初
予算額を四千五十億円下回ると見込まれることから、同額の特例公債の発行により対処するのやむなきに至りました。
この結果、
昭和六十年度一般会計補正後
予算の総額は、歳入
歳出とも当初
予算に対し七千二百三十二億円増加して、五十三兆二千二百二十九億円となっております。
なお、一般会計及び特別会計において、内需
拡大に関する
対策の一環として、一般公共事業に係る国庫債務
負担行為三千九百八十七億円を追加計上し、これにより事業費として六千億円を確保することといたしております。
また、今回の一般会計補正
予算において所得税及び法人税の
収入見込み額を減額いたしておりますが、
地方交付税交付金につきましては、特に立法
措置を講じてこれを減額しないこととし、
地方財政の
運営に支障を生じることのないよう配慮しているところであります。
以上、
昭和六十一年度
予算及び
昭和六十年度補正
予算の大要について御説明いたしました。御審議の上、何とぞ速やかに御賛同くださるようお願いを申し上げます。
我が国は、戦後、英知ある先人たちの
努力と忍耐の結果、現在の
繁栄を築き上げることができました。今、我々の
責務は、冒頭にも申し上げましたように、
内外の
調和ある一層の
繁栄を築き、これを我々の子孫に伝えていくことであります。
そのためには、これまで申し述べました諸
課題を一歩一歩着実に実行していく必要があります。
財政改革や
税制の
抜本的見直しを初めとするこれらの諸
課題は、一朝一夕には
解決しがたいものではありますが、今我々が創意と忍耐をもってこの
解決に取り組むことは、未来における
我が国社会経済の一層の
発展のために大きな貢献をなすものと確信をいたしております。
国民各位の一層の御支援と御
協力を切にお願いする次第であります。(拍手)
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