○中野明君 私は、公明党・
国民会議を代表して、ただいま議題となりました国の
補助金等の
臨時特例等に関する
法律案に対し、反対の討論を行います。
今日、我が国を取り巻く
政治、経済等内外の諸情勢は、一段と深まる国際化
時代の中で極めて厳しい
状況にあり、その
対応は一歩誤れば我が国経済及び
国民生活に甚大な
影響を及ぼすものばかりであります。
昨秋のニューヨークG5以降の急激な
円高によるデフレ圧力は、
政府の
円高メリット
発言とは裏腹に、輸出関連中小企業に深刻な
影響を落としております。また、対外的には五百億ドルを超える貿易黒字に対する海外からの市場開放圧力は一段と強まり、我が国は文字どおり内憂外愚の間で、これまでの他力本願的な外需依存型経済から内需型経済への転換を強く迫られているのであります。
しかし、
中曽根内閣の経済政策は、民活だの、やれ規制緩和だのと、お金を使わない掛け声だけの政策であり、その実態は
内需拡大策とはほど遠く、歪むしろこの間に経済の実相はますます外需型へ傾斜を強めてきたと言っても過言ではありません。さらに、
中曽根総理はさきの訪米に際して、事前に
国会に一度の報告もなかった私的諮問
機関にすぎない経構研の報告を、あたかも
国民的合意事項であるがごとく米国
政府に説明しているなど、その言動は
国民感情を逆なでする以外の何物でもありません。
中曽根内閣の独善的政策に強く警告し、以下、順次反対の理由を具体的に申し述べます。
反対理由の第一は、国の財政悪化による歳出削減を一方的に地方に転嫁しているばかりか、本措置が何ら
行政改革に役立っていないことであります。
昨年度からの一方的な補助負担率の引き下げにより、六十年度五千八百億円、六十一年度は一兆一千七百億円ものツケをすべて地方に押しつけようとしておりますが、これにより地方財政は財政調整資金等積立金の取り崩しや公共料金等の値上げに追い込まれ、その
影響は、
政府の
影響なしとの
答弁とは裏腹に極めて深刻化しております。また、補助負担率引き下げの多くは、補助金問題検討会で地方代表者の強い反対があったにもかかわらず、
政府側による論拠不十分な地方財政富裕論をよりどころに強引に決められたものであり、これこそ地方独自の行財政改革の努力をじゅうりんする中央
政府の暴挙であり、断じて容認できません。
また、既に役割が終わったり、あるいは零細と言われる補助金の整理こそまず手をつけなければならないにもかかわらず、単に補助負担率を引き下げただけの措置は
行政改革とはほど遠く、補助金の零細化を一層強めたにすぎず、
政府に反省を促すものであります。
反対の理由の第二は、補助負担率の引き下げは六十年度限りの措置であると約束したにもかかわらず、さらに補助負担率を引き下げ、しかも三年間も延長する改悪となっていることであります。
昨年度の審議の際、再三にわたる
質疑に対し、
政府は補助負担率引き下げは一年限りの暫定措置であると明言したのであります。しかるに
政府は、補助金問題検討会での議論等を経て再度国と地方の事務事業の見直しを行ったものであり、単なる昨年度の延長ではないとの理屈をもって補助負担率を一段と引き下げ、しかも六十三年度までの延長をもくろんでいるのであります。
さらに重大なことは、六十四年度には五十九年度の率に戻すべきであるとの我々の主張に対しては明言を避けているばかりか、同法の再延長もあり得るかの
答弁をしているのであります。
このような
政府の態度こそ、国と地方の信頼関係を裏切り、
政治不信をますます助長する以外の何物でもなく、到底認めることはできません。
反対の理由の第三は、昨年度の本院での議論を無視し、再び四十八法律、四十九項目にまたがる事項を無理やり一本化していることであります。
近年の財政悪化に伴い、
政府は苦し紛れに法案の一本化によって当面を糊塗することが多くなっておりますが、本来、趣旨の異なる法律は別個の法律として提出するのが近代法治国家の責任ある
対応であることは申すまでもありません。昨年の我々の鋭い指摘に対し、
政府は今後その趣旨に沿って努力すると
答弁しておきながら、本年再び同様の誤りを犯しているのは
国会軽視も甚しく、断じて容認できるものではありません。
さらに、本
法律案の附則において、その執行を四月に遡及させようとしておりますが、これでは本
法律案がいつ成立しようとその執行には関係なく、
政府にとって全く痛痒を
感じない仕組みとなっており、こうした手法は議会制民主主義の否定につながるものと断ぜざるを得ず、到底認めることはできません。
最後に、本
法律案のような制度、施策の根幹にかかわる重大な政策変更は、五十六年の行革関連法がそうであったように、予算編成前に
国会の承認を得ておくべきであることも昨年の大きな論点であったにもかかわらず、本
法律案の提出が本年になってから行われるなど、昨年の
問題点が何ら改善されていないのは極めて不満であります。
このような
政府の
国会軽視の
姿勢に強く抗議し、以後国政の重大な政策変更の場合には、事前に
国会で十分論議を尽くすよう
政府が配慮すべきであることを申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)