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中野明君 それで次の問題は、類似の
補助金ですね。類似の
補助金が、非常に各省には優秀なお役人がそろっていますので、それぞれ自分の受け持ちをよくしようということで、もうすばらしい知恵を出されて、いいアイデアがどんどん出てくるわけなんですが、ところが、これが縦割りなものですからすごくあるんですね。
ちょっと見てみますと、各省庁の町づくり
事業というのがあります。これに関連するのがこんなにあるんですね。十四省庁、九十一
事業、これ町づくりです。名前が振るっているのがありますよ。建設省の
地方都市中心市街地活性化
事業というような、シェイプアップ・マイタウン計画、シェイプアップというのがあるんですね。それから環境庁にはアメニティー・タウン。国土庁はたくさんありまして伝統的文化都市環境保存地区整備
事業とか、伝統産業都市モデル地区整備
事業、水線都市モデル地区整備
事業とか、リフレッシュふるさと推進モデル
事業というように国土庁もあります。それから郵政省にはテレトピアがありますね。運輸省はニューメディアターミナル、通産省にはニューメディアコミュニティー、それからテクノポリス、テクノマート、コミュニティーマート、舌をかみそうな片仮名が並んでおりますね。これを見たら普通の人はびっくりするんです、一体これどないなってんやと。同じ役所、しかも同じ
政府でこれぐらい、九十一の
事業がいわゆる町づくりでがばっときているんですね。
それで、計画なさるのはいいんですね。もういい計画なんですよ、一つ一つは。けれども、これが
予算に限りがあるものですから、発表されたら全国のそれと思わんところは皆申請をするわけですね。この申請をするのにまたそれ相当にお役人を説得するだけの内容でなかったら申請してももう書類だけですぐだめになりますから、まことにすばらしいその構想に合うような申請書類になって、この書類をつくるだけでも大変なんですよ。それで、つくって出したからといってなかなか指定が受けられるかどうかわからぬのですね。宝くじよりはましですけれども、なかなか指定は難しい。
予算が限りがあって、全国の市町村から申し込んできたら大変なもんですね。それは結局書類をつくるだけでそれこそもうむだになっているわけですね。そういうことが非常に多い。
だから、普通これを見てこれだけの
事業の多さと主務官庁の多さ、そして名前を聞いただけでは何が何やらわかりませんね、一般の人はね。名前を聞いただけで、これはどんなことをするんだろうか。シェイプアップいったら何じゃろうかと。今はやりですから、それは名前が悪いとかそういう
意味で言っているんじゃない。何をするんじゃろかというようなことですね。そういうことに一つの大きな問題があるわけです。
これは要するに国の財政が大変なときですから、どうしてもこういう形にいくんですけれども、これは将来国の財政が回復してきたときにはこんなものは長続きしませんね。すぐなくなってしまうやつですね。継続性は僕はないと思うんです、こういうのはね。ですから、そういうところ辺に非常に問題があるんですけれども、これは厄介な問題でして、やっておられる人はまことに山分の職務を果たすためにそれは知恵を絞ってすばらしい構想なんですよ。ところが横の連絡は全然ない。これは困るんじゃないか。だから、計画が過剰になっているということですね。
地方の一つの都市でしたら、市長さんなり知事さんがおって、そこでちゃんと目を通すんですけれども、国の方は縦割り行政なものですから目を通す人がおらぬわけです。
だから、国として辛うじて大蔵省は
予算の
関係で目を通しているのだろうと思うんですけれども、やはり大蔵省としても他省庁から出てくるものですから、この均衡もあるということで、限られた
予算の中からいわゆるニューメディアでもちょっとずつ通産と郵政と農水に分けてしまうと。大蔵省もできないんですよ、コントロールが。ですから、各省の顔を立ててちょびっとずつつけるから、また一つの構想が出たらもう三省庁でニューメディアといってやっているわけでしょう。受ける方はもういっぱい来るわけでしょう。一つのところへ二つも指定が受けられるところもあるし、関連しているんだから両方、受けたらいいのに、片方だけで片方はほかの町やと、こういうようなことになって、非常に
地方では横の連絡をとるのに困るんじゃないかなという嫌いがありますね。そうすると、これはむだが多くなってきます。
ですから、どうしても中央に、これは行政改革のときにそんなこと言うたらまた怒られるかもしれませんけれども、行政改革というのは要らぬものをなくして要るものはつくっていくというのが行政改革だろうと私は思います。
事業だって、何もかも
事業を皆減らしてしまうというのが行政改革じゃなしに、不要不急のは減らすと。そして新しい要請が出てきたら思い切ってやると、これが行政改革でしょうから、中央にやっぱりそういうコントロールセンターというものが要るんじゃないだろうか。そうしないと、大蔵省だけに任しておいたら、大蔵省は
予算編成の責任があるものですから、各省庁に余りおまえのとこもあかんといって全部切ってしまったら、やっぱり
予算編成に支障がくるといってコントロールしているようで、お金の額を減らすだけのことで、
事業を頭からだめだというわけにいかぬでしょう。説得力がありますからね、この
事業そのものに。だから、申し込みが殺到するわけなんです。
そして、結局そこに過剰な計画になって、むだが多くて、
地方はもううろうろするばかりで、運の悪い役所は書類ばかりつくって何もなし、書類はもうとにかくどんどん出したけれども何も当たらなんだ、こういうことにもなりかねないので、その辺を何か
長官のところで御検討いただけないだろうか。このコントロールする場所と人がおらぬのです。
地方へ行けば首長さんがおるんです。首長さんが、そんな余計ダブっていてはいかぬ、これ一本に絞れとコントロールできるんですけれども、国は縦割りです。それへ優秀なお役人さんが日夜知恵を絞って説得力のあるいい計画をつくるわけですから、大蔵省としてもこれは断りにくいというようなこともあるんじゃなかろうかということなんですが、その辺どうですか。