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政府委員(吉田正輝君) まず、保険限度額を三百万円から一千万円に引き上げた理由でございますけれ
ども、御承知のとおり、三百万円になりましたのが昭和四十九年でございます。
創設当時の四十六年は百万円であったわけでございますけれ
ども、三百万円になりまして以来約十年以上経過したわけでございますが、その間の
国民一人当たりの
個人金融資産の残高あるいは預
金額などは三倍
程度まで増加をしておるわけでございます。これを単純に三倍
程度いたしますると切りがよくて千万円ということになるわけでございますけれ
ども、それ以外に、このように保険金の直接支払いの額を改定して水準を引き上げまするということは、この預
金保険制度が信用秩序の安定性に対していわば強くなった、強化されているという
意味で心理的防波堤として機能することも期待しているわけであります。そうしますとやはりある
程度高いことが好ましいという判断もございます。
それ以外に、ただいままさに
法律でお願いしておりますことは、救済金融機関、破綻金融機関等が合併等をいたしますときの資金援助等につきましての機能拡充をお願いしてあるわけでございますけれ
ども、その場合には、預金者全体が救われるということを考えてみますと、保険金の直接支払い方式、これを従来の方式の額を上げていただきまして、ある
程度の均衡を保っておくというような配慮が必要ではないかというふうに考えております。全体としまして、私
ども試算によりますと、一千万円ぐらいにいたしますると、サンプル調査でございますけれ
ども、約九割が預金者の補償の
対象になるというふうに考えておるわけでございます。
それから、第二の御
質問の仮払いの
金額についてでございますけれ
ども、これはまさに、保険金が直接支払うまでにある
程度の期間、
法律では一カ月以内に決定といいますと、やはりいろいろの手続がありまして預金者に対して保険金が支払うまで時間が経過いたしますると、預金者には大変お気の毒だということになりまして、これを生活資金として観念いたしまして、それに相当する
程度が支払われるのがよろしいのではないかというふうに考えております。
そこで、これただいま確定したというわけではございませんけれ
ども、やはり御
審議いただく以上めどを示させていただきますと、支払い限度額につきましては、標準家計の一月当たりの生活費、あるいは、サンプル調査によりますと、引き出す場合普通預金を引き出すという形になるわけでございますけれ
ども、普通預金一口座当たりの残高などを勘案したいと思っております。その第一の方で申しますと、一世帯の一カ月当たりの消費支出は、六十年総務庁統計局の家計調査報告が二十七万円、それから一級地四人世帯の一月当たりの生活保護費が約十六万円。それから普通預金で申しますと、大手都銀の郊外型店舗、郊外にある店舗でございますが、郊外型店舗による普通預金一口座当たりの残高が十四、五万円というようなことを考えますと、大体二十万円
程度がよろしいのではないかというふうに今考えておるところでございます。