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矢野俊比古君 鹿児島、宮崎両県への
委員派遣について、その
概要を御報告いたします。
去る一月二十日から二十二日までの三日間にわたり、
山本委員長、
藤野委員、
鈴木和美
委員、
鈴木一弘
委員及び私は、鹿児島、宮崎において、九州財務局、熊本国税局、熊本国税不服審判所、長崎税関、門司税関及び日本たばこ産業株式会社鹿児島支社並びに宮崎財務事務所、宮崎税務署及び細島税関支署から管内の概況を
聴取するとともに、民間
金融機関及び納税
協力団体から
意見聴取するほか、日本たばこ産業株式会社鹿児島工場及び地場産業として錦江陶芸工房、雲海酒造綾工場を視察してまいりました。
以下
調査の
概要について申し上げます。
まず、経済、
財政金融情勢についてでありますが、九州財務局が管轄いたしておりますうち、熊本、大分、鹿児島及び宮崎の南九州について目を向けてみますと、いわゆる過疎地域が多く、同地域内総
生産は四%経済と言われ、一人当たりの県民
所得で見ても全国水準約八割にすぎないのであります。
南九州四県は、農業粗
生産額が全国の一一・三%を占めるなど、第一次産業に依存する割合が高く、中でも畜産のウエートが大きいのが一つの特色となっております。しかしながら、第二次産業についても、空港や高速道路などの産業基盤
整備に力を入れるとともに、積極的に企業の誘致に努めた結果、IC、同関連企業の進出が目立っており、五十九
年度のIC
生産額で見ると五千五百億円で、全国のシェアの約三割を占めております。また、最近、高度情報化、
国際化の流れの中で、テクノポリス
計画、ニューメディアコミュニティー構想、テレトピア構想など、先端分野へ積極的に取り組み、新時代への対応を図るとともに、熊本県の日本一づくり、大分県の一村一品、宮崎県の新ひむかづくり、鹿児島県のふるさと特産等の地域活性化運動が展開されております。
南九州管内の国有財産の処分については、地価の高騰を招かぬよう適正価格に
配慮していくとの方針のもとに、まず
地方公共団体の意向を確認してから民間への処分を考えており、現に、宮崎大学の分散する三学部の統合に伴う跡地三十ヘクタールのうち十ヘクタールは県の総合文化公園の建設に向けられ、その他は民活対象財産としております。
税外収入の
確保の要請にこたえつつ、地価問題等への慎重な対応が望まれるところであります。
管内
金融機関の預金残高は全国比二・〇%であり、これに比べて店舗数は全国比六・二%であって、経営効率の面でもおくれが見られます。
地元
金融機関による
意見聴取におきましては、地銀代表から、郵貯の定額貯金の高金利固定化の
是正、三百万円の預入限度額引き上げ
反対、奨励手当金の廃止等、
現行郵貯のあり方の
見直しが強調され、相銀代表から、合理化のための機械化に
努力しているものの、それには限界があること、小口預金の
自由化のテンポについては慎重に対処されたいとの要望が述べられました。また信金代表からは、
現行のマル優
制度を廃止し、すべての利子への一律分離課
税制度の導入の希望が表明されました。
次に、税務、税関行政の状況についてであります。
五十九
年度国税徴収決定済み額は約七千億円で、その構成比について見ますと、申告
所得税、揮発油税及び
地方道路税のウエートが相対的に高く、
法人税が低いという特徴が見られます。また、しょうちゅうは、酒税の面のウエートは一位のウイスキーより低いものの、その管内での消費量は全国の四分の一を占めております。
また、国税不服審査請求の大半はサラリーマン減税事件となっておりますが、これは全国的に見られる傾向であります。
さらに、税関行政についてでありますが、主として九州の西側と東側の管内の輸出入構造は、それぞれの地域の産業を反映し、長崎税関扱いは、輸出では船舶、一般機械が、輸入では原粗油、トウモロコシが、また門司税関扱いは、輸出では鉄鋼、自動車が、輸入では原粗油、石炭、石油ガスがそれぞれ主要な
品目となっております。
これら税務、税関行政を通じ、その機能の
充実が要請されておりますが、職員の増加が極めて困難な現在、広範囲にわたる機械化の強化と、そのための
予算措置が緊急の課題と考えられます。
最後にたばこについて申し上げます。
日本たばこ産業株式会社鹿児島支社管内の鹿児島、宮崎両県での葉たばこ耕作はそれぞれ全国五位、六位であります。六十
年度耕作面積は、前年の約一割強の減反がなされました。また、たばこの販売数量は六十
年度六十四億本で、前
年度より二億本減少しております。この売れ行き不振は、人口の老齢化、社会環境の変化、輸入たばことの競争の激化がその要因となっており、六十一
年度に
予定されているたばこ定価の引き上げでさらに販売数量の減少が懸念され、これが葉たばこ耕作にも影響が生じるのではないかと危惧されるとのことであります。
以上概略を申し述べましたが、今回の派遣におきまして
調査に御
協力をいただきました
関係行政機関、民間の各機関、団体及び
事業場の方々に対し、この席をかりて厚く御礼申し上げ、派遣報告を終わります。