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国務大臣(
渡辺美智雄君) 地価問題、私の
所管でございませんので余り勉強はいたしておりませんが、要は
民間にかなりの
資金があるということは事実でございます。また、
貿易黒字等で入ってきたものがアメリカあたりに逃げていっているからまだいいようなもので、これが全部そのまま円で国内にばらまかれるということになれば、かなりの過剰流動性が出てくるわけでございます。
問題は、
一つは需要と供給の問題である。この間高崎駅前で、ある人が二千坪の土地を売りたいという話があったそうですが、なかなか買い手がないそうです、これは。ところが、東京だったら、二千坪の土地がこの辺どこかあったら、それはもう二千万とかやれ一千何百万とか、あるいはもっと高い値がつくかもしらぬ。問題は、そうするとこれはどこまでも需給の
関係。果たして
都市だけに人が集中しちゃっていいのかどうかというような
日本国全体の計画の
問題等もございましょうが、いずれにしても高い値段がつくということは、買う人があるから高い値段がつく、買う人があるということは、入居者があるからビルが建てられるということで、問題はこのビルらしいですな。
ビルだったらばワンフロア全部借りたい。あるビル会社に対してワンフロア全部貸してくれと言ったら絶対貸せないと、あなたのような商売では。もっと地位と身分の高い人がいっぱいいるんだから順番待ちだ。私聞いてびっくりしたんですよ、実際は。それが現実の姿のようですよ。結局そうすると、それだけ値打ちがあるから高いのかしらぬですな、これは、自由主義経済体制下だけから言えば。そういうことになれば、もう
一つは、金が余っているから買えるということであって、行く先がないので
民間資金が外国に流れたり、土地の方へ行ったりあるいは株に行ったりということになっているんじゃないか。したがって、地価対策を有効にどうやるかということになりますと、その裏返しということになるでしょう。
一つは供給をふやす、供給をふやすというのは面積をふやすということと、空間利用をもっと制限を緩めるということになるでしょう。
それから、余り東京にばかりいろんな
公共施設というか官庁その他、あるいはそういうものをつくるようなことはいかがなものか。ここらに考えを変えるということが
一つあるんじゃないですか。銀行は、日銀総裁が、やはり土地投機に金貸すのはやめなさいと銀行を指導したと、これも
一つの対策ですね。だから、なかなか
一つだけでは決め手は私はないんじゃないかと、いっぱい総合的な対策で、ある程度ブレーキはかかると、そう思っております。
建設国債の発行につきましては、これは本当に私の大蔵
大臣時代からの
議論でありますが、きのうのサミットでは、内需拡大やれと言っておきながら、各国はいずれも
公共の
投資を抑制して財政の健全化を図るべきであるというのがきのうのサミットの宣言ですね。これどういうようにやっていくか。問題は内需拡大ということでありますが、大蔵的に言えば赤字国債も、
建設国債も、利息のつく国債は同じだと。だから、結局GNP比四〇%を超える
日本の財政事情は世界で一番悪い部類のうちの
一つである、だからここで出せないということを言っておるんだと思います。
問題は、私はこの円高によって
日本の経済にどういう影響を及ぼすか。世界に対して四%達成をいたしますということを、公約したわけではないが、そう思われていることも事実でありますから、これが三%にも満たないという見通しが出たとき、あるいは失業がうんとふえたときとか、あるいはいろいろなそういう
問題等があって、内需拡大ができないためにさらに国際の紛争を増勢する、増幅するというような場合等は、私は臨時的
措置としていろいろ考えてもいいんじゃないか。
しかし、今またそれを言う段階ではない、とりあえずやれるべきことがたくさんあるわけですが、やっていないわけですから、前倒しもやっていないし、いろんな、これはこの
法案もまだ通ってもいない、いろんな
公共事業もこの間一律カットを通したばかりで、実行には本格的に入っていないという
状態でありますから、ここしばらく状況を見て、その上で私は、どうしてもという場合にはいろいろ考えてもいいんじゃないかと思っておるわけであります。