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1986-05-20 第104回国会 参議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年五月二十日(火曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————    委員異動  五月十六日    辞任          補欠選任     林健太郎君       岩本 政光君     菅野 久光君      浜本 万三君     井上  計君      三治 重信君  五月十九日    辞任          補欠選任     三治 重信君      井上  計君  五月二十日    辞任          補欠選任     井上  計君      三治 重信君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          下条進一郎君    理事                 前田 勲男君                 松岡満寿男君                 福間 知之君                 市川 正一君    委員                 岩本 政光君                 大木  浩君                 佐藤栄佐久君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 浜本 万三君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   渡辺美智雄君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       平泉  渉君    政府委員        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁調査        局長       丸茂 明則君        通商産業政務次        官        大坪健一郎君        通商産業大臣官        房長       児玉 幸治君        通商産業大臣官        房総務審議官   鎌田 吉郎君        通商産業大臣官        房審議官     松尾 邦彦君        通商産業省貿易        局長       村岡 茂生君        通商産業省産業        政策局長     福川 伸次君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        逢坂 国一君        資源エネルギー        庁石炭部長    高橋 達直君        中小企業庁長官  木下 博生君        中小企業庁計画        部長       広海 正光君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課防災環境        対策室長     千々谷眞人君        科学技術庁原子        力安全局原子炉        規制課原子炉施        設検査室長    吉村佐一郎君        国土庁計画・調        整局特別調整課        長        鈴木 康司君        林野庁林政部林        産課長      脇元 裕嗣君        建設省建設経済        局調査情報課長  六波羅 昭君        建設省道路局道        路経済調査室長  藤川 寛之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (円高対策に関する件)  (中小企業対策に関する件)  (地方経済振興に関する件)  (住宅と市街地再開発に関する件)  (国内炭政策に関する件)  (原子力発電所安全性に関する件)  (LST(揚陸艦)修理問題に関する件)  (大規模小売店舗出店調整に関する件)  (フィリピンからの木材輸入に関する件) ○国鉄駅施設に建設される大型小売店出店規制  に関する請願(第二号) ○中小企業振興対策に関する請願(第一七号) ○悪質商法法規制に関する請願(第五一号) ○石炭産業の長期安定と産炭地振興政策確立に  関する請願(第一〇〇号) ○中・小規模企業経営危機打開に関する請願  (第一一八号) ○中小企業下請企業に対する円高緊急対策に関  する請願(第一一九号) ○中小企業円高不況対策に関する請願(第二四  七号外三件) ○特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に基  づく指定業種への建設関連産業の追加に関する  請願(第一〇九七号) ○中小企業円高対策充実強化に関する請願(第  一〇九八号) ○円高による輸出関連中小企業救済対策に関す  る請願(第一二五〇号) ○非鉄金属産業の存続と抜本策に関する請願(第  一四八三号) ○ぶどう・野菜・花き等ハウス栽培用電力に農  事用電力を適用し、電気料金の値下げに関する  請願(第一九一八号) ○円高不況克服対策確立に関する請願(第二〇  八二号) ○皮革・革靴輸入自由化反対等に関する請願(第  二一二六号外八件) ○不況繊維産業に対する実効ある円高対策に関  する請願(第二四三四号) ○中小企業対策充実に関する請願(第三一〇八  号外三件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月十六日、林健太郎君、菅野久光君が委員辞任され、その補欠として岩本政光君、浜本万三君がそれぞれ選任されました。
  3. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 梶原敬義

    梶原敬義君 経済企画庁長官、久しぶりです。  日本の最近の経済運営といいますか、一体どっちの方向に、いい方に向かっているのか、悪い方に向かっているのか、国民にとってどうなのか、最近さっぱりわからぬのですが、それは後におきまして、昭和六十年度経済成長率貿易収支状況、それから総合収支物価円高勤労国民生活は一体どうなっているのか、中小企業あるいは農村の状況、こういうものについて一通り最初経済企画庁の方から御報告をお願いいたします。
  5. 丸茂明則

    政府委員丸茂明則君) 昭和六十年度日本経済でございますが、それまでと申しますか、五十九年度にかけまして急速にふえておりました輸出が昨年の春ぐらい、つまり六十年度の初めごろからほぼ頭打ちになったわけでございます。これは、この結果といたしまして鉱工業生産伸び方もかなり鈍化をしまして、夏以後は弱含みという状況になってきております。しかし一方、国内需要個人消費でございますとか、あるいは民間設備投資でございますとか、さらに住宅建設というようなものは比較的堅調を続けておりまして、その結果、年度数字はまだ出ておりませんが、昭和六十暦年の実質GNP成長率は四・六%ということでございます。四半期別に見ましても七−九月が〇・七%、前期比でございます。十−十二月は一・七%ということでございまして、年率に換算をいたしますと十−十二月あたりは七%を超える、これは一時的な要因が多いと思いますが、かなり高い成長をしてきたわけでございます。  一方、国際収支の方はと申しますと、輸出の方はやや横ばい、先ほど申しましたように頭打ちぎみに昨年度からなったわけでございますが、一方原燃料、特に原材料価格の低下というようなこともございまして、貿易収支経常収支はかなり大きな黒字でございました。これは六十年度数字が出ておりますが、昨年度経常収支は約五百五十億ドルでございまして、一昨年度五十九年度の三百七十億ドルに比べてかなり大きくなっております。また、特に昨年九月以後、いわゆる昨年九月のG5以後、御承知円高が急速に進みまして、その結果いわゆるJカーブ効果といわれるものがございまして、ドル建てで見ますと貿易収支経常収支黒字はさらに拡大をしておりまして、ことしの一月から三月までを見ますと百五十六億ドル、年率にいたしますと六百億ドルという非常に大きなものになっております。これが日米間の貿易アンバランスということもございまして貿易摩擦を激化させているということは御承知のとおりでございます。  一方、国民生活の方でございますが、賃金の伸びは昨年度一年間平均いたしますと約四%弱でございましたが、物価が安定しているということもございまして個人消費は比較的堅調でございます。特に最近、ことしに入りましてからでございますが、百貨店販売は一年前に比べまして一月から三月までで六%半ぐらいの伸びということでございまして、比較的堅調でございます。住宅建設も昨年度、六十年度は百二十五万戸でございまして、前年度に比べまして四万戸ほどふえておりますし、その後もややふえぎみでございまして、ことしの一−三月は百三十一万戸になっているということでございます。  一方、最近になりますと円高影響もございまして、輸出横ばいから減少ぎみになってきている。それから円高影響もございまして、ドルベースではともかく、企業にとって必要な、大事な円ベースでの輸出額というのが減少しております。  くだくだ申し上げましたが、簡単に申し上げますと、製造業中心としては比較的かなり厳しい状況にある。特に輸出関連企業では大変厳しい状況にあるということでございますが、その一方で個人消費あるいは住宅等が堅調であるということもございまして、非製造業の方は景況も比較的良好である、こんな状態にあるというふうに判断をしております。
  6. 梶原敬義

    梶原敬義君 四・六%の実質成長の六十年度成長内需外需の内訳、わかりましたら……。
  7. 丸茂明則

    政府委員丸茂明則君) 昭和六十年の四・六%の実質成長のうち国内需要によるものが三・六%でございまして、残りの一%分が外需でございます。
  8. 梶原敬義

    梶原敬義君 住宅関係ですが、いろいろと昨年度から融資枠をふやしたりあるいは金利を少し下げたり、そんなことがありましたが、そういう関係影響というのは出ているんでしょうか。
  9. 丸茂明則

    政府委員丸茂明則君) 御指摘のように、政府といたしましていろいろな施策を講じてきているわけでございます。その直接の影響がどのくらいあるかというのはなかなかわかりにくいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、昨年は年度を通じて見ますと住宅着工件数がふえております。ただ、この推移を見ますと、昨年夏ごろはやや停滞ぎみでございまして、私どもやや心配をしたわけでございますが、その後秋から特にことしの初めにかけまして、先ほど数字を申し上げましたように、かなりふえてきております。この中には、対策と申しますか、住宅公庫融資条件の緩和というようなものが貢献しているというふうに考えております。
  10. 梶原敬義

    梶原敬義君 大体これまでのことはわかりましたが、これから先の見通しですね、今の円高状況想定しながら、一体どのように日本経済全般国民生活が動くのか、その辺の見通しを少し最初にお尋ねをします。
  11. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) 六十一年度日本経済でございますけれども、昨年の暮れに作業をいたしまして、政府の公式な見通しがございます。これによりますと、成長率は四%ということでありますけれども、内需外需ということでありますと、内需寄与が四・一%、外需寄与が〇・二%のマイナス。四捨五入の関係で合計をして四%成長内需中心成長ということを見込んだわけでございます。  さらに、特徴点といたしましてその当時考えましたことは、内需中心成長、そうした場合に、その結果といたしまして経常収支、これは黒字はふえない。これはドルベースでございます。それに対しまして、円ベースでは黒字は一兆円程度減少する、こういうことで内需中心の四%成長。その際に物価は引き続き一層の安定を示すだろう、こういうふうに考えました。そういうことで六十一年度見通しを立てたわけでございますけれども、それからほぼ五カ月を経過いたしまして、見通し前提が幾つかの点におきまして、重要な前提におきまして変わってきております。  その一番大きなものは、予想以上の円高が進んでいるという点だと思います。見通し前提になりました円レートというのは一ドル二百四円ということでございましたけれども、きょうの寄りつきなどは百六十七円台、こういうことでございますから、想定以上に円高が進んでいる、これが第一の大きな条件変化。第二の条件変化というのは、石油価格でございます。石油価格につきましては一バーレル当たり二十七・三ドル、こういう想定前提のもとに作業をいたしましたけれども、この四月の一バーレル当たりCIF価格は十六ドル五十セント弱、こういうことでございまして、想定よりも十ドル余り下がっている、こういう点がございます。こういったような点を考慮いたしますと、これはプラス影響マイナス影響というのが考えられると思います。  まず、マイナス影響という点から申しますと、予想以上の円高ドル安、こういうことで円高ドル安の持ちますマイナス効果がその当時考えていたよりも大きくなった、こういうことだと思います。  それに対しまして、やはりプラス効果もまた大きくなっているという点が指摘できると思います。  第二の前提条件であります石油値段が十ドル余り下がるだろう。現に、四月においては十ドル余り下がっている、こういう状況はむしろプラス要因、ほとんどがプラスとして日本経済には働くだろう、こういうふうに考えられます。それから、さらに加えまして、五カ月ほど前の世界経済見通し、それから最近の世界経済、特に先進国につきましての見通しと比べてみますと見通しが明るくなっている、こういう好条件があろうかと思います。さらに、国内的に申しましても、一月以来三回にわたる公定歩合の引き下げがある。こうした点から見ましても、景気という面においてプラスの点があろう、こういうふうに思われます。  このようにマイナス要素、さらにはプラス要素、これを差し引きしてどれぐらいになるのかという点が重要でありますけれども、円高プラス効果に加えまして石油値下がりと、こういったようなものも勘案いたしますと、円高マイナス効果というのは十分埋め合わせることができると。これがマクロ経済効果という観点から見ました六十一年度の姿、現時点での見通してはなかろうかと思います。  ただし、経済にはミクロ経済についての影響といったようなものも考えなければいけないわけでありますけれども、そういったような点で申しますと、円高、あるいは原油値下がりメリットデメリット、これは輸出産業あるいは輸出企業という点ではデメリット、つまり、金額で見ました輸出収入が、円が高くなるに従いまして、どんどんと目減りをしていくと、こういうことでなかなか企業経営が苦しくなっていく、こういうマイナス効果と、あるいは輸入に依存する度合いの高い産業、あるいは輸入品を扱って商売をしている企業という面におきましては円高メリットというのはどんどん大きくなっている、こういうことがあるわけでございます。ミクロ経済効果という点から見ますとデメリットメリットが偏在をしている、こういう点に問題があろうかと、こういうふうに考えております。  ただし、これもメリットが次第に均てんをされる、物価が下がってくる、この過程を通じまして被害を受けているところに対して円高メリット均てんが進むと、こういうことならばその被害の一部は相殺される、こういうことではなかろうかと思います。そういうことで、ミクロ経済効果という点から考えますと状況は区々であるということだと思いますけれども、全体として考えますと五カ月前の見通し、本質的には変える必要がない、こういうふうに見ているわけでございます。  もちろん円が高くなる、あるいは原油の代金の支払い額が減ると、こういうことがございまして、これも内需外需関係から言いますと、プラスに働いたりマイナスに働いたりするわけでございますけれども、結果として実質GNPに対する寄与度ということになりますと、外需マイナスが大きくなる、こういうことではなかろうかと思っております。
  12. 梶原敬義

    梶原敬義君 ありがとうございました。  通産省にお尋ねしますが、円高で、通産省で把握をしている景気後退側面とか、あるいは全般的に円高による不況風というものを、また別な角度で通産省の方では把握されているんではないかと思うんですが、今経済企画庁から特にマクロの面でお話がありましたが、通産省は一体この今の円高状況、この状況をどうとらえておられるか、お尋ねいたします。
  13. 福川伸次

    政府委員福川伸次君) マクロの面からの分析が企画庁の方から御説明がございましたので、私の方からは産業、主要な業種別の点について申してみたいと存じます。  まず基礎素材産業でございますが、これは三つぐらいの性格に分かれるかと思っております。一つ輸出依存度の比較的高い業種でございます。例えば鉄鋼とか、合繊といったようなものでありますが、こういうものについてはやはりこの円高輸出数量減少してまいりまして大幅な赤字が出てくる、国内需要もそれほど強くない、こういうことでございまして、かなりこれは収益が悪化する、これが一つグループであります。  もう一つは、輸入品がかなり入ってきておって、それとの競合で、輸入がふえることによってさらに影響が大きいもの。例えばアルミとか、銅、鉛、亜鉛等非鉄金属類でございまして、これは国内市況もさらに下がって危機的状況になるというようなものがございます。  三番目の基礎素材関係グループは、これは輸出あるいは輸入の比率はそれほど大きくはございませんけれども、輸入品の量はそれほど多くございませんけれども、国内の相場が輸入品との関係等でかなり下がっていくものということでございまして、例えば綿糸とか小棒とか、あるいはセメント、板紙、石油化学、こういったようなものがございますが、これはむしろ国内市況が下がることによって収益減少をしていく、こういうようなものであります。  もう一つ加工組み立て型の産業でございますが、これにつきましては、比較的非価格競争力の強い部類は、ある程度ドル建て価格を引き上げましても、ある程度の量は出ていくということで、比較的量の面での影響はそれほど大きくはございませんが、しかし収益が圧迫をされる、こういうたぐいのものでございまして、例えば自動車とかVTRとかいうのがその範疇に入ろうかと思います。  機械組み立て型の中で、もう一つグループは諸外国との競争にさらされているものでありまして、これはかなり輸出について数量も落ちる、また収益も圧迫されるということでございまして、プラントとか建設機械とか、あるいはカラーテレビ等がその範疇に入ろうかと思っております。  また一方、もちろんこの円高メリットの出る分野がございまして、これは先日の当委員会でもいろいろ御議論があった点でございますので省略させていただきます。  中小企業関係は、担当の方からお答えさせていただきます。
  14. 木下博生

    政府委員木下博生君) 中小企業関係影響でございますが、円高がこのように急激に進みますと、当然のことながら輸出関連中小企業産地中心影響は深刻になっているわけでございまして、現在各産地についての調査を行っておる段階でございますけれども、現在まで得られた感触といたしましては、多数の企業産地輸出向け新規契約のストップや契約価格が低下しているということがございますし、操業短縮、休業、廃業も見られるほか、倒産増加傾向にあるようでございます。今後とも現在の円レートが続きますと、六十一年度はそういう輸出関連産地の大部分の中小企業赤字になってしまうのではないかという見通してございます。  それから下請中小企業につきましても、親企業の方が輸出単価をなかなか引き上げにくいということで、そのために下請単価引き下げ値引き等の形で下請企業へのしわ寄せも見られるケースもあるようでございます。  そういうような状況でございまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、倒産件数は昨年の十月以来七カ月で百十四件、これは負債総額は一千万円以上の、比較的大型倒産でございますが、円高によって影響を受けた倒産がそのぐらいあるというふうに民間調査機関では見られております。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは経済企画庁通産省がどちらかわかりませんが、今の円高状況がこれから続いていった場合に、マクロではいい結果だ、ミクロでは問題がある、そうした場合に、失業者等の予測ですね。要するに失業率失業者数、これから一年間こういう状況がずっと続いた場合にどのような形でどうなるのか、この辺について見通しをひっくるめまして頭の整理をしたいと思うのですが、よろしくお願いします。
  16. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) まず雇用への影響ということでございますけれども、最近若干雇用指数は少し軟化をしてきている、こういうふうに思っております。しかしながら、失業者が非常にふえる、こういうふうな状況ではありませんけれども、求人倍率などを見てみますと若干軟化をして きている、こういうふうに考えます。  雇用状況というのは、若干でありますけれども、経済活動よりもおくれるという傾向がございます。しかし、そうは言うものの、大ざっぱに言いますと、やはり生産活動、これにほぼ相伴って変化をする、こういうふうに考えていけばいいのではないかと思いますけれども、そういたしますと、これから年度末、これから先まだ一年近くあるわけでございますけれども、それにかけての経済の動きをどのように見るのか、こういうこととかかわりがあるというふうに思います。  先ほど円高あるいは原油値下がりマクロ経済効果ということでプラスマイナスあるけれども、原油の十ドル以上の値下がりといったような点まで考えると、円高原油値下がりマクロ効果マイナス効果を償って余りあるだろう、こういうふうなことを申し上げましたけれども、しかしながら実際にはプラス効果というものが個人消費あるいは企業投資活動あるいは住宅建設、こういうのに本格的に波及をしてくるには多少の時間がかかるわけでございます。従来の経験からいたしますと、このタイムラグというのは大体三、四半期ないし一年ぐらいかかるわけでございます。本格的な円高というのが始まりましたのが大体昨年度の後半、年末以降である、こういうことでありますし、石油値段が本格的に下がり出したのはこの春からである。  こういう点を考えますと、このプラス効果というものが経済活動生産活動プラスとなって本格的にあらわれてくるのはやはり年度の後半であろう、こういうふうに予想しております。ですから、年度の後半には再び生産活動の回復、こういう局面にくるであろう、こういうふうに考えております。そういたしますと、最近あらわれております雇用指数につきまして若干軟弱な傾向があらわれておりますけれども、これなども下半期あるいは年度末にかけまして再び雇用に対するプラス効果があらわれてくる、こういうふうに考えている次第でございます。  他方、倒産をどのように予想するのか。これは非常に難しいわけでありますけれども、円が高くなる、それから石油値段も下がる、こういったような、非常に大きな経済活動前提条件が変わる、それに企業が適応する、この過程で適応ができない、こういう面からの倒産、あるいは倒産という形ではないのですけれども廃業、こういったようなことは当然予想される、こういうふうに思います。ただ、しかし、これがどのような推移をたどるか、これは私ども現在予想するという作業はやっておりませんし、余りうまくできない、こういうふうに考えております。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、我が国の経済全体は去年ごろから少し下り坂に向いていたんじゃないかというような皆さん方の説明がかつてあったやに聞いておりましたが、これ今ずっと聞いておりますと、一体我が国経済はトータルで上を向いていくのか下を向いていくのか、これは非常に判断に苦しむところですが、どうも今のお話では、やがては全体が上を向いていくだろう、こういうような認識に立っていいわけですか。
  18. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) 先日のサミットの会議におきまして東京経済宣言というのが発せられておりますけれども、この中には昨年のボン・サミット以降一年間におきまして経済前提条件プラス効果が四つ起こった、こういう考え方が示されております。  一つは、インフレがおさまった。二つ目は、金利が下がった、高金利が是正された。三番目の点といたしましては、為替レートの調整が進んだ。四番目に、原油価格の低下、下落。こういうものも先進国にはプラスになっている。その結果、先進国中心とする世界経済全体として見ますと、経済拡大の四年目に入ったということがうたわれております。私どもも日本経済、最近経済拡大の過程が続いておる、こういう認識でおります。しかし、そうは申しますものの、拡大のスピードは昨年の後半あるいは年度の後半以降かなりペースが落ちてきているということは事実でございます。そういう意味で拡大率がスローダウンしてきた、こういう状況だと思います。これが先ほど申しましたように、六十一年度下半期に円高あるいは原油値下がりメリットが本格的に国内需要中心としてあらわれてくる、そういう段階になりますと、再び拡大のスピードが速くなる、こういう事態を想定している、こういうことでございます。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産大臣にお尋ねしますが、本国会が二十二日で一応会期末が来ておりまして、お互いに切磋琢磨をいたしまして法案やなんかもどんどん審議をしまして、比較的スムーズに進んできたとは思います。  ただ、私どもも国会の審議をする過程の中で、円高あるいは今の貿易摩擦のもとでは、特に産地を初めとする中小企業というのは非常に困るじゃないかと、具体的な例も挙げながら何回も質問をしてきました。それから、昔借りました高い金利のお金というのは、公定歩合も下がっているんだから、やっぱりこれは下げたらいいじゃないか。いや、それは昔契約したものはそう下げられぬという中小企業庁長官の答弁を私聞きましたが、とにかく先々予想されることにつきましての手の打ち方が、どうももう我々はあきらめざるを得ない。こんな感じも一部強く持ったんですが、しかし国会が終わりまして、また何か円高法案がなんかをつくって、そして臨時国会を開いて衆参同時選挙をやろうか、こういうことが新聞にたびたび載るわけであります。円高法案の扱いやなんかにつきましては担当は通産大臣でありまして、解散・総選挙、同時選挙を非常にやりたいと言われております中曽根総理と通産大臣はまた同じ派閥であるようですが、一緒になって一生懸命そんなことを考えておるとすれば、これは本当に、そんなことを今さら言うなら、もっと早く打つべき手はあったじゃないか。なぜ打たなくて今そんなことを急いで言い出したのか不可解でなりません。  きょう新聞を見ましたら、日経で「円高中小対策へ5本柱 政府固める」ということで内容が五つの項目にわたっている。これは、とりあえず立法措置は必要がないんだということで載っておりますが、やっぱりやれるところからどんどんやって、そして何か政治と絡んで無理やりに今法案をつくって、そして解散・同時選挙を持ち込むというような、もし不純な考え方があった場合は非常に遺憾であります。これは国民もこのところはよくわかっておると思います。中小企業の苦しい皆さんも、これは法律をつくったからといって、今までの政府がやっている中小企業対策も、中小企業というのは、これは国の宝だ、国の基礎だ、こう言いながらやはり中小企業に打つ手というのはなかなか基本的にない。やるとすれば、やっぱり全体の内需の拡大をして国内消費が全体が上がっていくことしか抜本的な対策、本当に今打つ手はない。これは、二年前ですか、河本経済企画庁長官のときにも何回も議論しました。彼もやはり基本はそれだ、だからそこの大きなところをほったらかしておって、そして枝先のことで何かすべてやれるんだというような幻想を与えるような、もしそういうような手があるとしても、これはなかなか国民はそうはとらないと私は思う。  だから、やれることは今どんどんやって、本当に手を打って、それから一生懸命次々に問題があれば考えていけばいいわけですが、解散・総選挙と中小企業対策とを絡めて持ってくるというのはもう不純きわまりないと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  20. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 解散そして同時選挙、これを決して絡めておるものではありません。これは二つに分けて考えなければならない問題であると考えております。  一つは、要するに円高対策として内需拡大をやれという言葉が一つございます。内需拡大は、いつでも私が言っているように、政府が関与できるものは金利の引き下げとか減税とか、あるいは公共事業の拡大とか、そういうようなものであります。公共事業の問題については、御承知のとおり、ことしは四%程度総事業費をふやしておりまし て、九月までに七七%以上、史上最大の規模の前倒しをやってくださいということをお願いいたしております。ところが、これは現実の問題として、最大の前倒しと言われましても、それは事務手続上非常に最大の努力をするのがもう精いっぱいであるというのが実態であります。  例えば農業関係でも、田んぼに水が入っているとき土地改良をやれと言われましても、なかなかそれは現実はそうできるものではないし、一挙にふやすといっても設計とか見積もりとか土地買収とかいろんな問題が絡んでまいりますから、すぐにできる、頭の上ではできますが、現実にはそれは簡単にいかない。したがって我々は、今与えられたその七七%以上前倒しを許しますからやんなさいということで、ともかくやってくださいよと。そうするとどこまで進むか九月になってみないとわかりませんが、後半景気がさらに低迷をして、それで仕事がないという状態の場合は、当然にそれは補正予算等を講じましても、それは必要なものを提供いたしましょう、そこまでは総理が言っておるんです。それは建設国債を出すか、財投資金を運用するか、民間活力を使うか、詰めはありませんが、いずれにいたしましても事業量の拡大についてはもう十分に考慮いたしますということをこれは言っておるわけですから、今すぐ慌てなきゃならないということは実はありません。  金融の問題で、現に輸出が非常に少なくなったと、金繰りが困っているというような方は、これはもう現に出つつあることは間違いないのであって、    〔委員長退席、理事松岡満寿男君着席〕 そのときに、その金利の問題でございますが、政府の金利というものがもう一段下げられないのかと、預金金利がこれほど下がっておる中で、郵貯の関係でも一・五%の利ざやが本当にどうしても必要なのか、そんなに要らぬじゃないかという議論が一方ございます。しかしながら、六・〇五%よりも下げて貸し出しすることはまかりならぬと法律で決まっておるわけでありますから、下げたくともこれを直さないと下げようがない、これも事実であります。したがって、できることであれば、そういうような面で法律を直してでも何とかできないかということが一つあるんです。  すぐやったらいいじゃないか、こうおっしゃいますが、実はこれは利害関係がありまして、郵貯の特別会計からすれば利幅がいっぱいの方が黒字になるわけですし、また厚生年金の方からいえば六%以上で厚生年金の積立金の運用を計画しているんですから、それを全部下げられることは困るんだという議論が一つある。なかなかそこの各省間の利害の調整がいまだついていない、これも事実なんです、実際は。ながながしかし、それは臨時異例の措置として、長期にわたってそうじゃなくて、本年度限りの措置というようなものを何かとれないか。あるいは金利を全部下げるということになると、開銀から何から大手企業の分までも下げるのか、そんなことは必要ないんじゃないか、とりあえず中小企業者だけに限定したらいいんじゃないか。そうすれば厚生年金等に被害も少なくて済むし、資金上もそう莫大なものでもないというなら、そこらのところの話をもう少し詰めたらどうかねということなどで目下鋭意詰めつつあるという状況なので、今国会に出せ、こう言われてもきょうあしただけでまとまるという見通しはちょっとないんです、実際は。極力やってはいるんですよ。そういうふうな事態が一方にある。ですから、臨時国会開いてもできたらやりたいなという気持ちがございます。  もう一つは、これは全然別な問題でありまして、定数是正の問題というのは、これは憲法違反の状態があるから憲法違反の状態を直しましょうと最高裁の判決から言われている。そこで直さないでいいという人はだれもいないんですよ。各党とも憲法違反の状態は困る。だから最低一対三の格差の以内の中に直そうじゃないか、これはみんな一致しているわけです。そこへ議長の裁定が出まして、それについてそいつは受け入れましょうということになりましたが、少しの減員するべきところを増員したのがいかぬとか、多少完全な意見の一致を見ないで、委員会においては自民党と公明党が賛成をし、その他が反対をして通過した、それで本会議にかけるという段階に今なっているわけですね。だから、これは一刻も早くかけて直してくださいよということを我々は言っているわけです。  そうすれば、憲法違反の状態がなくなったらば、それじゃ法案が通って選挙ができる状態になって、選挙はやらない、ずっと任期いっぱい違反の状態で置くんだ、それがいいんだという議論なのか、それとも法案が通った以上はなるべく早い時期に憲法違反の状態から脱却するのがいいのかという議論があるわけです。なるべく早い方がいいという方が私は大多数の人の考え方だと。だから、いずれはなるべく早い時期に解散をして憲法違反の状態から脱却するというのが筋ではないか。法律は通したけれども、違法状態を長く続けるというのはおかしいという議論がありまして、そこで同時選挙かどうかという話になりますが、何も同時選挙でなくたってこれは構わぬのですよ。なるべく同時選挙の方が、二回続けてやるよりもいいんじゃないかという議論も一つあります。だから、それは一緒にして私どもは考えているわけではありません。なるべく早い時期にやる方が筋道ではないか。それをごっちゃにして考えますと、円高対策をやるために、同時選挙をやるために、何のためにと、こうなりますが、筋道は私はそうじゃなかろう、そう思っておるわけでございます。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 円高対策の問題については、私、何回も言いますように、ちょこっと法律をいじって少し金利をどうこうしたぐらいで今の流れがとめられるわけじゃないです。    〔理事松岡満寿男君退席、委員長着席〕むしろやっぱり今やらなきゃならぬのは、もう少し財政支出をしてそして打つしか手はないでしょう。これは今の総理大臣でやれぬというなら、総理大臣かえてやらなきゃしようがないでしょう。それは、今まで土光さんやなんかに約束して行政改革、行政改革、こう言っておるんだから今の総理大臣じゃやれぬでしょう。やはり党首をかえて対応しなきゃこれは間に合いませんよ、今の中小企業のこの置かれている状況は。ちょこちょこっといじったぐらいでこれは手が打てませんよ。  通産大臣、私は非常に違憲状態だからもう早く定数是正が決まったらやらなきゃならぬというのは、ほとんど周知期間の三十日の問題が出ましてその以降、総理大臣やあるいは国会筋、国会議員の有力な皆さん方が言い出したことでありまして、もしそういうことを言うんなら、なぜもっと早くから定数是正の問題を議論する初頭からこの問題を叫び続けなかったか。もう本当に意図的なものが感じられてしようがないんです、その憲法違反云々というのは。最高裁が言っているのは、何もそんな今、国会議員になった衆議院の皆さんがすぐ憲法違反だからだめだと言っているんじゃないでしょう、そういう変える努力をしなさいと。今、だから選ばれている人まで全部最高裁は裏口入門だからだめだ、そこまで極言している内容じゃないでしょう。何かこじつけて、そしてあなた方はしゃにむに解散、総選挙に持っていきゃ投票率も上がると、上がれば政府・与党はプラスになる、だからやりたい。中曽根総理は自分が選挙をやったときに非常に手痛い打撃を受けたから、こういう状況だからもとに返すために同時選挙をして投票率を上げりゃ有利になる。まさにそこからしか出てきてないでしょう。不純です。これはもう答弁要りません。  次に、時間がだんだん来てあれですが、もっと議論を深めたいのですが、地域間格差が非常に私は今問題になっていると思うんです。確かに、今先ほど経済企画庁の方から言われましたように、トータルの話はある程度理解ができますが、その中でも地域間格差が非常に問題になっている。雇用状況を示す有効求人倍率なんかを見てみますと、極端に九州あるいは北海道が非常に低いわけであります。  私の出身の大分県なんかも今大変な厳しい状況に立ち至っておる。ここには新日鉄なんかありまして、新日鉄も非常に困っておりまして、関連するところもあるのです。それから全般に中小企業やあるいは土建業も非常に厳しい。それから自動車、電機の下請工場がありまして、そこも大変なんです。帰りましたらどうかしてくれぬかと、こういうのもあっちこっちから聞きまして、合理化もあっちこっち今出ております。  そういう状況から見まして、日本経済政策あるいは経済運営をやる場合に、もう少し地域間格差のついているところについてはもっと思い切った手が打てないのかどうなのか。地域の均衡発展という観点からしますと、どうも最近の中曽根内閣でやっている経済政策というのは、東京湾横断道にしましてもあるいは新大阪空港あるいは明石大橋にしましても、あるいは非常に雇用指数でもいいところ、この首都圏内というのは有効求人倍率は今〇・八何ぼ、〇・九に近い。東海は一を超えておる。大阪周辺もいい。今の貿易摩擦解消で内需拡大の手はこういうところにどんどん思い切って打とう。田舎は、北海道や九州は少々どうでもいいと、こういうようなことがもう感じられてしようがないんです。この点について経済企画庁長官、どうもひがみかもわからないですが、そう考えられてしようがないんですが、いかがお考えでしょうか。
  22. 平泉渉

    ○国務大臣(平泉渉君) 今おっしゃるような問題というのは非常に重要な問題でございまして、今国会の初めの私の経済演説でも、特に最近の経済というのが一部の地域といいますか、非常に偏る傾向がある。それで、やはり地域全般の日本の国全体の経済景気状況というものがよくなるような経済政策が非常に必要だということを特に述べておるわけでございます。その間、先般の総合経済政策でもそういう点を加味いたしまして、公共事業の施行促進というような項目につきましては、特に各地域の経済情勢、社会資本の整備状況、事業の優先度を勘案して適切に行うと、こういうふうに決めておりまして大変努力をいたしておりますが、御承知のように北海道とか九州のように産業の基盤がまだ十分でない、公共事業に頼る部分が非常に多い、政府の出資、消費に非常に頼る部分が多いというところにつきましては、我々も十分注意をして、こういう地域の、殊にまた輸出関連の地場産業影響を受けている、こういう地域もまた全国各地に存在をするわけでございますので、そういう点を十分配慮して円高対策その他を行っていかなきゃならぬ、かように考えておりまして、各省庁とも十分その趣旨で調整を図っておる所存でございます。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 産業基盤が十分でないというところが非常にひっかかるんですが、これは地理的なものでありまして、基盤というよりはもう自然条件、非常に便利が悪いし。そこで、さらにそこに対してほったらかしたような形にすればどんどん格差が加速するだろうと、こう見ておるんです。  私どもは小倉からずっと帰るときに、いつも汽車に乗って日豊本線で帰りますが、新幹線で小倉までは便利がいいんです。それから先は乗りかえて、大分までわずかな区間が二時間ちょっとかかる。それでも最近早くなりましたけれどもね。宮崎に行くのはまたさらにどんどんどんどん、延々と行くわけです。これは国鉄が、さらに複線化の問題も進んでおりませんし、それから電化も完全ではない。もう本当におくれております。  それから、道路にしましたら、今国道の十号線というのが一本しかないんです。これはもうあちこちネックになっておりまして込むんです。特にその十号線でも、最近は大分周辺、大分から、大分の市街地を外れて宮崎に抜けるところで、大分市から犬飼というところがあるんですが、この辺は今、土曜、日曜、込む時間とか、これはもう延々と列をつくって、時間がかかってしょうがない、そういう状況なんです。  それからもう一つは、九州横断道、長崎から大分に抜ける道路を鋭意今つくっていただいておるんですが、一生懸命やって、ピッチを上げていただいているんですが、私は東京湾に橋をかけるぐらいなら、こんなところにももうちょっとウエートをかけてもらって、あと何年かかかるものなら、それを半分ぐらい縮めるとか、こんな手を打っていただきたい。しょっちゅうこれは要求しているんですが、九州全体に与えられた予算の中でそれぞれ適当に配分し合うんで、なかなかそれは計画を超えて早く進めるわけにはいかない、こういうことで進まないんですね。こんな状況なんです。  ですから、特にそういうおくれた地域に対しましては何らかの方法でやっぱり手を打つ。そうしますと、今言われましたように、少し自然条件の不利なところにも雇用の場が出るような企業も進出をするかもわかりません。テクノポリスとかなんとかいろいろ言っておりますけれども、なかなか本当は非常に厳しい状況になっているわけです。先般、テクノ工業とかなんとか言って鳴り物入りで来ました企業が国東半島で倒産をして、手を上げまして何とかしてほしいと、こういうことになっておる。非常に厳しい状況でありまして、これは北海道もそういうところがたくさんありますし、九州にも、私が今言いました以外のところでも、まだたくさんそういうところがあるわけですが、とりわけ私が今日に浮かぶことは、九州の東海岸の例をとりましたが、この点については建設省あるいは国土庁も来ておられますから、さっき私が言いましたようなことにつきまして、今現状はどうなって、これからどのような手を打っていただくのか、この辺についてお尋ねをしたいと思います。
  24. 藤川寛之

    説明員(藤川寛之君) お答えいたします。  ただいま先生がお話しいただきました大分周辺の道路の整備状況でございますが、まず国道の十号ですけれども、先生今お話にございましたように、現在非常に込んでおります。ほとんどの区間が二車線でございまして非常に込んでいる。それで、私どもといたしましては、北九州から大分にかけてでございますけれども、十号の改築を、昭和五十二年に北大道路という計画をつくりまして改築を進めているところでございます。まだでき上がった区間はわずかでございますけれども、全区間にわたりまして改築の事業を進めておりますので、私どもとしてはできるだけ早くその事業が完成するように努力したいというふうに考えております。  それから九州横断道路でございますけれども、これは長崎から大分に至る全長が二百四十四キロの道路でございますが、この横断道につきましては、御承知のとおり高速道路の建設というのは、まず国土の背骨ということで縦貫道の整備を進めてまいりまして、それがほぼでき上がっております。したがいまして、現在横断道の建設に力を注いでいるわけでございまして、九州の横断道につきましても、現在、全体二百四十四キロのうち、でき上がっておりますのは、佐賀の大和から鳥栖間、それから長崎の多良見から大村間の四十二キロでございますけれども、その他の区間、特に大分県等につきましては現在用地買収、工事等を進めております。今お話がございましたように、私どもといたしましてもできるだけ事業の推進に努めまして、六十年代の前半から逐次供用できるように努めたいというふうに考えているところでございます。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 国土庁にお伺いしますが、やはりこの際、貿易摩擦でどんどん輸出黒字がふえておりまして、そういう状況の中で、国内を見回して、こういう時期ですから、国土の均衡ある発展を達成するためには、冷めた頭で、冷めたというか、要するによく冷静に見ていただいて、そして先ほど言いましたような、大分で言うとそういうところが非常に問題なんで、あそこで生活してもらえばわかるわけですから、みんな一体どうにかならないかと、こう思っておるんですから、こういう点についてはあなた方やはり積極的に物を言ってもらわなきゃいけないと思うんですが、例えば東九州の関係につきまして一体どうお考えなのかちょっとお願いします。
  26. 鈴木康司

    説明員(鈴木康司君) 委員御指摘のとおり、国土の均衡ある発展を図っていくためには、地方定住推進のための基盤投資、これを積極的に推進していくことが大変重要な課題であります。具体的に今御指摘のありました地域につきましては、私、土地カンもありませんし、発言は差し控えさせていただきますが、長期的な国土政策をやっていく立場からも、また当面の経済運営のあり方におきましても、地方における所要の公共投資を確保するよう十分留意していくというのが国土庁の考えであり、現実の事業官庁に要望している次第であります。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 経済企画庁長官、今幾つかの例を出しましたが、本当に今のような時期ですから、やはりおくれているそういう地域、そこを一体どうするか、これは永遠の課題だろうと思うんですけれどもね。これは東京や首都圏にこれから先もどんどん人口が集中し、ここに人がこれからも恐らく集まるでしょう。それから地方の中核都市も、県庁所在地辺を中心にしてまた人が集まる。それからちょっと奥に入ったところは過疎がどんどん進むわけですね。だから、そういうような形でこれからずっと進んでくるでしょう。それに、それではいけない、一体そこをどうするのか、こういう命題に向かって私はやっぱり立ち向かっていただきたいんですが、もう少しこの国土の均衡ある発展、特に、首都圏あたりには金は突っ込むが地方は一体どうしてくれるのか。これは強い希望があるわけですが、政策全般に少し前向きな姿勢を生かしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  28. 平泉渉

    ○国務大臣(平泉渉君) 大変問題意識は私共通でございまして、やはり今までの日本というのは非常に効率の高い産業を早く整備しなきゃならぬ、こういう非常な制約のもとに大変ぎりぎりな、いろいろな工業配分、配置などもそういう条件が非常に強かったと。したがって、場所によっては十分な就労の機会がないとか、そういうような問題もいろいろあったわけでございまして、これからの高度な産業時代、高度な経済時代において、もう少しその辺を余裕を持って見られると、そういう意味で、やはり均衡ある発展という長年の政策目標をもう少し真っ正面から取り上げなきゃならぬ、かように思っておるわけでございます。  いろいろと新しいレジャー産業とか、そういった意味で地域の活性化を図るという考え方もあり得るのではあるまいか、そのような点も経済企画庁では十分に考慮に入れていかなきゃならぬし、また最近の交通手段の開発とかあるいは通勤距離がもっと大きくなるとか、そういった問題を全部含めまして地域全体が活性化していくということは非常に大きな目標とすべきことである。御指摘の点は十分私どもも考慮に入れておるところでございまして、今後ともそういう気持ちで頑張ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後に、時間が来ましたが、通産大臣、先ほどから何かこじつけて円高法案をつくって、そして解散・総選挙、同時選挙、そういうことを——そういう小手先のことじゃなくて、私は言いましたように、やっぱり今の時期というのは思い切って、例えば地方なら地方がおくれているというなら地方を一体どうするのか、これは政府の金がなきゃ、私どものところでは県の道路公団あたりは何カ所か自分たちがつくって、それは建設省からも応援をいただいてそして道路をつくるなりして、その道路はそのかわり料金を取るわけですね。あの橋を渡るのに百円取られたりするけれども、ただでやってくれれば一番いいわけです。いろいろとこの時期やらなきゃならない日本の社会資本の投下のおくれた部分というのはいっぱいあるわけですからね。そして国民生活が、本当に国民がこの先々どうしてもやらなきゃならない、願っている部分についてはもっと抜本的に物の考え方、力の入れ方というのがあると思います。閣僚会議の中で非常に経済担当の有力な閣僚でありますから、そのことにつきましてひとつ最後にコメントをいただきまして終わりたいと思います。
  30. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) それは仰せのとおりでありまして、先ほど私がお答えしたように、その建設国債を発行するか、それとも財投資金を使うか、それとも今言ったように、地方財政に資金の応援をして地方でやってもらうことを考えるか、いずれにしても、前倒しをやった結果それがうまくいって事業量が足りなくなるという場合には、しかも景気が低迷をしておって悪化する、そして四%成長というものからかなりかけ離れるという状態になってくれば、それは私は最大限のことはやっていきたいし、そのように進言をしてまいりたいと思っております。     —————————————
  31. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま井上計君が委員辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。     —————————————
  32. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 先ほど選挙の問題をめぐっての熱っぽい議論が交わされたわけでありますけれども、今国民はある面では、そういう問題についても白けたムードにあると思うんです。  一つは、やはり行政改革路線の中で地方も定数減の問題について取り組み、真摯な努力をしておるわけですね。そのさなかに一名であるけれども、いろんな御苦労の中ではあろうけれども、増員をしたということに対する一つの批判というものがありまするし、もう一つはやはり不況円高に対する非常な影響国民生活のあらゆる面に出てきているというこの問題があろうというふうに思うわけであります。急激な円高に伴いまして、東京サミット後また急速にこの問題が加速をいたしておるわけでありますけれども、例えば百六十五円、これで日銀総裁はそれに対応できるだけの力が日本産業はつけておるんだということを言っておられますけれども、日経データバンクの予測をこう見ますると、百六十五円で円高デメリット企業、トヨタは四千億円、日産が二千九百億円、日立も千五百億円、新日鉄も千百億円というマイナスの数値予測が円高影響で出てまいってきておるわけであります。  このところ地元に帰りましても、地元の市町村長から、これはもうひょっとしたら来年の予算は税収減で組めぬのじゃないかというような声も出てきておるわけでありまして、現在の為替の動きは実勢以上の円高になっているという感じがいたすわけであります。このデフレ効果が一層顕著になってきますると、もう企業活動が麻痺していく。企業経営者は全くその企業努力以外のところで為替の見通しも立たないので、企業計画自体が立てられないという状態になってきておりまして、まさにこの段階に至りますると悲鳴すら聞こえてくるような状況であります。  いろいろな御努力を大臣初め皆さん方にしていただいておるわけでありまするけれども、四月二日に大臣に、この為替の見通しにつきましてお伺いいたしましたときには、一応百八十円台ということで期待をするというような御答弁もいただいておるわけでありますけれども、それから一カ月以上たちまして、非常に厳しい状況になってきておる。あらゆる団体からの要望、中小企業中心といたしまして全国商工会連合会、あるいは全国中小企業団体中央会、そういうところからの要望も、まず第一項目がやはり為替の安定ということを期待しておるわけでありますけれども、この為替レートの今後の見通し及びその為替レートの安定化対策という問題につきましての御意見をひとつ承りたいと思います。
  33. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 今でも私は念願としては、もう百八十円になってもらえれば大変いいという念願はそれは持っております。おりますが、これは世界じゅうで決めることでございますから、一国や二国がなかなか頑張ってもそう簡単にはいかない。ただ、幸い——章いかどうかこれはわからぬけれども、アメリカで金利がやや上昇ぎみというふうな話になりますと、また一、二円安くなる。日本経済がだめになるという見通しに立ては、それは円は安くなりますよ。しかし、世 界じゅうから日本経済が今のところ当面だめになるというようには見ておらぬわけですね。本当にだめになってくれば、それはもう円安にずっと陥っていくわけですから、だからこれはやはり我々の見方と、世界じゅうがマクロ日本経済を見ている見方にかなり違いがあるということだと私は思います。  ただ、投機筋がちょっと為政者の一言半句をとらまえて急激に投機的な資金を動かすということも、これはなきにしもあらずなんです、実際は。そういうような場合で余り極端に乱高下をするという場合には、サミットにおいても、共同介入をして有益だと思われたときには共同介入するという前のお約束は再確認します。再認識しますというお約束になっておるわけですから、幾らに落ちつくのかと言われましても、やはり成り行きで落ちつくところに落ちつくんだろうということ以外は、幾ら幾らで落ちつかせるということはなかなか言えない。ただ、日銀などでもちょっと介入しても一円や二円動くことはあるんですね。したがって、日銀当局は幾ら幾ら介入しましたということは言いません。それを言えば、この程度介入してこれくらいかねという裏が出ますからそれは申し上げられない。  きょうも総裁言っておりましたが、やはり幾ら介入しても動かないときは全く動きません、別な方向へ行ってしまう、投入する資金の量が違いますから。しかしながら、そういうふうな情勢が出たときにはちょっとの介入でも少しぐらいは動くということで、今のところは日銀としても極力その円高の方にこれ以上走らないということではかなり配慮をしてやっておるものと、そう考えて差し支えないと思っております。
  34. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 そういうことになりますと、現在金融対策いろいろやっておられますけれども、問題は国内需要がない。需要を創造していくということしかないだろうと思うんですね。大臣がいつもおっしゃっておられる、いわゆる内需の拡大、そういう方向に向かっていくということがやはり政策としては一番大切だろうと思うんです。  ただ、このままいきますと、気がついてみたら対米の黒字というものが韓国、台湾の方に移ってしまっただけ、あるいはアメリカで産業というものがドル高の中で空洞化が行われたということと同じように、我が産業の中が、円高が続いていく間に空洞化が起きるということを非常に我々は憂慮いたしておるところでありますので、その辺については、大物大臣でありますから十二分に目配りをされまして対応をしていただけるというふうに確信をいたしておるわけでありますけれども、内需の問題で一つ申し上げておきたいのは、民活をやっていきますとどうしても都市に集中してしまう。このところ、三全総の発想も地方分散ということでやってきたわけですけれども、現実問題として、例えば東京を一〇〇として、県民所得の格差というものがどんどん開いてきている。  例えば山口県を例にとりますと、一九七〇年に五七・四%、これが一九八〇年には五四・九%という形で落ちてきている。これは恐らくその他の県も同じような形で格差が開いてきているだろうと思うんです。ですから、これから地方の問題を考えていきますときに重要なのは、やはり公共事業を伸ばしていくということと、もう一つは、やはり本国会で対応されましたいわゆる電線の地中化というもの、こういうものをやっていくということと同時に、今回OECDの都市政策についての都市レビューが出ております。確かにウサギ小屋と言われておるわけですから、欧米に比べますと一人当たりの住居面積は半分であるという実態がございますね。ですから、そういういろんな形での需要への波及効果を見ますると、やっぱり住宅というものを、この際、質を改善して、そして地方の下水道とか道路とか公共事業のそういう社会資本の充実整備とともに、個人のそういう住居環境の整備をしていく。ですから、簡単なリフォームであるとか、あるいは部屋の増築であるとか、親子同居であるとかですね。  もう一つは、やはりそれぞれの集落の中で非常に密集している、老朽化した集落、例えば漁村とか、いろいろございますね。これは都市再開発をやっていく上においてもなかなか難しいんです。そういうものについてもう少し積極的な長期低利、二世代償還とかあるいは免税とかいう措置をとることによって、短期的なそういうリフォームと長期的な都市再改造というもので、より地方都市を住みやすい魅力あるものにしていく、若者が定着できるようなそういう住居環境を整備していく。やはり過去の体験から、高層建築ではいけない。二、三階建ての低層集合住宅を開発すべきであるという提言が出ておるわけでありまして、私は、まことにこれは時宜を得た適切な提案だというふうに思うわけでありまして、こういう問題につきましてひとつ御意見を伺いたいと思います。
  35. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) いずれも結構な御意見だと私は考えます。したがいまして、それが税制の改正とかいろいろなことに絡む問題につきましては、目下党内におきましても抜本改革をやる中で一緒にまとめてそういうものもいけるように、そして都市と地方の差がどんどんどんどん拡大しないような配慮は必要であろうと、そう考えます。
  36. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 内需の波及効果という面で建設省は今の問題についてはどのようにお考えでしょうか、御出席になっておられると思いますので。
  37. 六波羅昭

    説明員(六波羅昭君) 公共投資の波及効果という御質問でございますが、これについてはいろいろな側面がございまして、例えば公共投資をすることによって建設活動が行われ、それによっていろいろな産業の生産誘発効果が生ずるというようなことにつきましては、数字的にも産業連関表を使いまして押さえておりますので、それについてちょっとコメント申し上げますと、ただいまお話に出てまいりました住宅建設、これは一単位の住宅建設がございますと二・一八という規模の生産活動を誘発いたします。公共投資全体ですと二・一四というようなことでありますが、中身を見てまいりますと、住宅建設よりも高いものとしては、例えば、都市高速道路が二・二〇、あるいは非住宅建築が二・二三というようなことで、細かく見ていきますといろいろでござますが、いずれにいたしましても、例えば民間消費ですと一・六九というふうなレベルでございますかう、公共投資全般として非常に大きな生産誘発効果があるというふうに考えております。
  38. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 大臣、今のような話でございますので、ぜひこの住宅問題、それから地方における公共事業の推進ということについては、国土の均衡ある発展という角度からもこれは非常に重要な問題だと考えますので、ひとつ大物実力大臣としてお取り組みをいただきたい、特にお願いを申し上げたいと思います。  それから、国内炭政策の問題に移りたいと思うんです。  第八次の石炭鉱業審議会の答申が八月に出るということでありますが、たまたま、昨年の九月三日に諮問されるというときに、私もこの問題にちょっと触れておるわけです。鉄鋼業界で当時として三百五十億円ぐらい負担をしておったということでありまするが、その後、急速な円高の中で国内炭と輸入炭との格差というものが非常に拡大してきて三倍ぐらいになってきておりますね。そういう中において、今後、近々この答申が出るということでありますけれども、この十五年間で鉄鋼業界だけで内外炭価格差の負担が累積で五千億円にも実は上っておりますね。そのほか、セメントもあるだろうし、電力もある、繊維もおるというふうに伺っておるのですけれども、こういう全く民間の業界が他の業界の需要を負担していくという例は恐らく世界に例を見ない政策だというふうに思うんです。  西ドイツあたりはある程度そういう政策はあるけれども、政府の財政でそれは補てんするという措置をとっておるようであります。まさにそういう面では、新日鉄を中心に鉄鋼という業界は、私自身もその中で教育を受けた一人でありますけれども、やはり企業の社会的責任というものを非常 に痛切に感じて、それぞれ国家、社会のために努力してきた。しかし、今回この円高影響を受けまして、先ほどちょっと日経の数字を申し上げましたけれども、大変な赤字が出る状況でありますね。  そういう中で、血の出るような合理化努力をしまして、配置転換とか新規分野に対する参入とかさまざまなことをやっておる。そういうものにつきまして、私はこれはやはり財政が負担すべきじゃないかというふうに思うんです。こういう厳しい状況のときにこういうことを申し上げるのもなんでありますけれども、こういうことに至った経緯ですね、どういう法律でどうなってきているのか、あるいは行政指導なのか。これについてどう対応を今後通産省としてはなさろうとしておられるのか。この辺につきましての御見解を承りたいと思います。
  39. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 第八次石炭政策は現在石炭鉱業審議会で御議論いただいておりまして、近く結論をいただくことになろうかと思っておりますが、やはり国内の石炭の需要をいかに確保するかというのが一つの大変大きな問題でございまして、この答申の中の非常に重要なポイントになろうかと思っております。  七次策につきましては、需要業界の協力のもとに現在の七次策が行われているわけでございまして、その場合に電力、鉄鋼、セメント等の大口の業界につきましては協力もいただいておるわけでございます。その場合、今後需要が増大をする部分につきましては、当然輸入炭によってカバーされるわけでございますが、輸入炭を利用するときにその一部を国内炭の使用をお願いするという形で需要確保策をお願いしておるわけでございます。英国とかフランスのように国有化されております場合には、当然国がその負担をするわけでございますが、日本の場合にはすべてが自由主義体制でございますので、千二百億円という石炭対策特別会計によりまして石炭企業に対する支援並びに鉱害、あるいは産炭地振興の費用を負担いたしておりますが、おっしゃるように、相当程度のものが需要家によって負担をされております。  従来、需要業界は大変快くお引き受けいただいておったわけでございますが、最近は御指摘のように鉄鋼を初めといたしまして、需要業界そのものが大変苦しい状態になってまいりまして、国内石炭産業を支援する余裕がないというような御意見をいただいております。しかし、今のような財政状態でございますので、需要業界の負担を直ちに財政面に引き継ぐということは実際上極めて困難でございますし、またそうかといって、直ちに国内炭と輸入炭の価格を同じにするというような政策をとりますと、石炭産業は直ちに崩壊をいたしまして、それに依存をいたしております雇用あるいは地元対策というものにも大変問題が生じます。したがいまして、これらを含めまして、現在石炭鉱業審議会において御議論いただいておるわけでございまして、需要業界の苦境というものも十分私どもも理解をしているつもりでございますが、今後ともできるだけ石炭につきましての御理解をいただき、長期的な観点からの検討というものについて御協力いただきたいというふうに考えております。
  40. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 こういう内外炭の価格差を負担して、他産業の存続を支援しておったということについて、去年九月にも私申し上げておるんですけれども、由民は余り知らないだろうと思うんですね。だから、そういうものをやはりきちっと知ってもらうということも大事だし、もし国民石炭産業に対する一つの合意というものがあれば、そういうものはむしろ公共料金とかそういう形でヘッジしていくという方法だって私はあろうと思うんですね。業界の苦しい状態はもう十二分に御存じのはずでございますから、そういう点につきましてひとつ十分しかるべき対応を強くお願いをいたしておきたいというふうに思います。  ちょっと時間がありませんので、次に移りますが、例の電線の地中化の問題です。  これは地方における唯一の私は民活だと思うんですね。ただ、土木事業が主体になりますから、波及効果というものがどの程度あるかはちょっと予測できませんが、これは地方も期待しておりますので、それぞれの市町村にやはり周知をされて、例えば具体的にどの部分をまず最初に、二年間しかないわけですから、電線の地中化をやっていくかということについての具体的な手順をやはりしていかなきゃいけない。その場合はやはり疲弊している地方を主体にしていく、地方都市を主体にしていく。もう一つは、やはりできるだけ地元の業者にそういう仕事をさしていくということが私は必要だと思い、お願いもしてまいったわけでありますけれども、具体的な、どこそこをどうやっていくという手順等についてはどのように進めておられるんでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  41. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 現在地中化の具体的な実施計画につきましては、国と県、それから電力会社等で構成いたします地域ブロックごとの協議会を設置いたしまして、ここで検討いたしております。建設省、通産省、郵政省、それから警察庁並びに関係の県、それから日本電信電話株式会社、中国電力、そのほかが入りまして、具体的にどの地方のどの部分をやっていくかという計画をやっておりまして、例えば中国地方につきましては本日発表をする予定になっております。個別の市町村につきましてなかなかこの協議会で直接意見を聞くということも難しゅうございますので、県の土木部が代表として入っておりますので、ここを窓口にして地元の御意見を伺いながら詰めていきたいと思っております。  特に御指摘のように、地元の業者を使うということは地域対策に非常に重要でございますので、電力会社に対しましてできるだけ地元の業者に配慮するように要請をしてまいりたいと思っております。
  42. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、ぜひ今の長官の御答弁の趣旨で、市町村の要望というものができるだけ取り入れられるように御配慮をいただきたいと思います。ありがとうございました。
  43. 伏見康治

    ○伏見康治君 皆様が焦眉の急である円高問題でかっかとしておられる最中に、全く別の問題を取り上げて申しわけないんですが、私は原子力屋でございますので、原子力が、チェルノブイリのような事故を起こしますと、こっちは原子力の方でかっかとしてしまいますものですから、お許しを得たいと思うんです。  全く同じような質問を実は昨日も科学技術特別委員会の方で申し上げているわけなんですが、通産省も原子力の面倒を見ておられるので、同じような原子力に対する責任をお持ちのお役所ですから、二、三御質問申し上げたいと思っているわけです。  原子力施設の検査体制について、まず質問したいと思うんですが、科学技術庁関係の方では新しい溶接のところだけをいわば専門に検査してくれるような民間の団体をつくろうというふうに考えておられるようですが、通産関係では原子力の商業用炉と申しますか、電力屋さんの原子炉の検査体制はどういうふうにしてやっておられるでしょうか。まずお伺いいたしたいと思います。
  44. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 現在、電気事業法に基づきまして諸検査がございますが、そのうち溶接などの検査につきましては財団法人発電設備技術検査協会という専門の検査機関ございまして、そちらの方で検査機関として指定して、そこに代行業務をさしておるところでございます。
  45. 伏見康治

    ○伏見康治君 これは専門によってというか、どういう部門を検査するかによっていろいろあって、その中の一つなんでしょうか。例えば、一月ほど前に春の嵐があって、どこかで送電線が倒れて大分停電が起こりましたが、例えばその送電線の、しっかりしているものであるかどうかなんという検査はまた別の団体がやるんでしょうか。
  46. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 現在、法的に実施しているのは、今申し上げました溶接検査だけでございますが、法制度といたしましては、指定すれば できるということになっております。先生御指摘の送電線の検査につきましては、現在私ども主に地方の通産局が担当しております。
  47. 伏見康治

    ○伏見康治君 そうすると、部分的にはお役所自身が検査しており、部分的には第三者的なところに任せてあるというふうに理解してよろしいかと思いますが、それでこの第三者的な発電設備技術検査協会というのは、しばらく前に臨調がいろいろな検査機構を第三者的なものに任せるという勧告をなさって、その線に沿っていろいろなことが行われているというふうに承知しているんですが、そういう線の一こまと考えるものなんですか。そうではないんですか。
  48. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 今の検査のうち、溶接検査ににつきましての制度は、先ほど先生御指摘の臨調の答申よりもずっと前から実施しておる制度でございまして、特に今回の臨調の制度に従って新たに指定したということではございません。
  49. 伏見康治

    ○伏見康治君 以前からやっておられるというわけで、つまり臨調の方の勧告とたまたま同じ線の仕事が既に行われていたというふうに理解したとしまして、そういう第三者検査機構というものの持つべき性格といったようなものを科学技術特別委員会の方で科技庁の方に質問したんですけれども、同じような質問をここでもしたいと思うんですが、臨調の答申の線に沿ってつくったものではないけれども、同じ性格のものとして理解してよろしいんでしょうか。つまり、第三者検査機構的なものであって、つまりお役所の息吹を余り受けていない、独立したものであるというふうに考えてよろしいんですか。
  50. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 私正確にお答えしなくてあれですが、ここの実務といたしましては四十五年六月からこの委託事業をやっておるわけでございますが、法改正をしましたのは五十八年でございまして、それで、そのときの趣旨といたしましては、臨調の精神に沿って法改正をしておるところでございます。ただ、この業務が国の重要な仕事といいますか、本来国がやるべき仕事を代行するという立場から、民間の活力を利用するということでは精神に沿っておりますが、それなりの監督が残っておりまして、役員の認可でありますとか、業務規程のいろんな認可でありますとか、そういうような重要な規制は残っております。そういう意味で純粋の民間ということではないわけでございます。
  51. 伏見康治

    ○伏見康治君 私は、臨調の答申に沿う純粋な第三者検査機構というものにいろんな検査業務というものを任せるべきだという立場を私自身はとっているものですから、そういう方向にお役所がだんだんに移行されることを心から希望したいんですが、しかし日本という国は大変民主化されたようですが、いまだにお上思想で、政府がやることでなければ信用しないという面も非常に強く残っているわけですね。民間の本当の団体に任せて、しかも国民の信頼を得るためには、相当しっかりした機関をつくらなくちゃいけないと思うんですが、通産省の方のその発電設備云々というこの協会の方は、今言われたような役員の任命とかなんとかいうところでお役所が監督していると言われましたが、それ以外にどんな考慮が払われておられますか。つまり、この検査が公明正大に行われているということを保証するような方途をどんなふうに講じておられますか。
  52. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) まず業務の範囲が、何でもやれるということではございませんで、現在指定する業務の範囲は、先ほど申しました溶接検査という原子力発電所の検査の中のごく限られた分野であるということがまず一点でございまして、それからあと内燃機関関係で使用前検査の一部と、それからガスタービンに関する定期検査の一部が指定するその業務の範囲となっているということがまず一点でございます。  それから、指定の場合の基準でございますが、まず一点目といたしまして、省令で定めます条件に適合する知識経験を有する者が検査を実施すると、それから数も省令で定める数以上だという、すなわち検査員の能力及び数についての規制があります。  それから二番目に、この業務を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があるということ。  それから、民法第三十四条の規定によって設立された法人であって、しかもその役員または社員の構成が検査の公正な遂行に支障を及ぼさないものであることというのが三番目の規制でございます。  それから四番目に、この検査業務以外の業務を行っている場合には、要するに兼業といいますか、別の業務をやっている場合には、その業務を行うことによって検査が不公正にならないようにというものでございます。  そのほか一般的なものといたしまして、検査の適確かつ円滑な実施を阻害することにならないという五つの基準でございます。
  53. 伏見康治

    ○伏見康治君 溶接部門を主にしているけれども、しかし原子力だけに限定しているわけではないわけですね。もう少し広い、普通の火力発電関係もやっておられるというのは私はいいことだと思うんですが、つまり専門というものは、溶接なら溶接という専門分野は何も原子力に限ったことではなくて、広く工業界に行き渡った技術だと思いますので、むしろ広く行き渡った面でだれからも専門家と認められるような人をその検査に当たらせるというのが私は理想だと思うんですね。  そういう意味で、今度の科学技術庁の方の法改正に伴って新しく溶接を新しい機関にやらせるというときに、どういうイメージを持っているかという質問をいたしましたときに、科学技術庁の方では全く別のまた団体を想定しておられるようなんですが、私は今通産が持っておられる発電設備云々という協会が科技庁の方の検査機構も兼ねておやりになるということがやはりいいのではないかとさえ思うんですが、その点どうですか、御意見は。
  54. 吉村佐一郎

    説明員吉村佐一郎君) お答え申し上げます。  今回科技庁が検討しております検査関係の指定機関の業務の範囲でございますけれども、今先生がおっしゃっております溶接検査、これが一つの範囲として定められてございます。そのほかにでございますが、これもともと原子炉等規制法という法律に基づく検査関係でございますが、ほかに確認というような業務もございます。その確認と申しますのは検査とは多少違いまして、例えば埋設します廃棄体、それの確認、それがあるわけでございます。それからもう一つ、運搬というのが核燃料物質等あるわけでございますが、その運搬されるものの確認もしくは運搬される方法の確認、そういうのもございます。我々としましては、溶接検査も含めまして、一体として指定機関が検査、確認関係の業務を行っていくということも大いにあり得るのではないかと考えでございます。  それで、御指摘の先行しております電気事業法に基づく指定検査機関でございます通産省の機関、それとの関係でございますが、もともとこの法律発効の暁には、自分が指定機関になりたいという者の申請によりまして具体的な指定をすることになるわけでございます。その場合の指定の要件でございますが、先ほど通産省の方から御説明ありましたように、全く同じ条件、五つの条件を課しておるわけでございますが、その指定がありました段階で、特に後発機関であるということもありますので、検査員の資質等十分なものを確保するようにやっていきたいと考えでございます。  いずれにしましても、申請があった段階での話ということで、安全確保という点から慎重な検討を進めていきたいと考えでございます。
  55. 伏見康治

    ○伏見康治君 せっかく新しくつくるんですから、私は臨調が言っているような第三者検査機構というものの性格をできるだけ盛り込んだものになさるべきだということを強く感ずるわけでございますが、科技庁はしばらく前に分析化学研究所かでデータ捏造事件というのがありまして、時の大臣が後に辞職するような羽目にまでなっておりますので、できるだけ気をつけてそういう検査機構というものをつくっていただきたいと思うんで す。  そのお話はそれくらいにいたしまして、原子力発電所の安全審査に関連したお話を少しお願いいたしたいと思うんですが、チェルノブイリのお話は余りに間近でございまして、その実態がまだよくわかっておりませんし、それの影響ということを云々する時期にはまだ来ていないと思うんですが、アメリカのTMIの方の事故はもう七年ぐらいたったはずでございまして、それの内容も実は中が非常に怖いことになっておりまして、手がつけられない、中がのぞけないという時間が随分長くあって、二、三年前になってからようやく中がのぞけるようになったというようなお話でございます。したがって、近ごろになってようやく本当の実態がわかってきたというのが本当だろうと思うんですが、それだけにTMIの事故の性格をできるだけ読み取って、日本の原子炉の安全性を保つための土台にするということは大変大事な時期に来ていると思います。そういう意味で、TMIの調査活動は日本でもいろいろな方々が現場に出向いて調査してこられているはずだと思うんですが、それがどういうことになっているかということを伺わせていただきたいと思います。
  56. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) スリーマイルの事故が起こりまして後、安全委員会におきましてこの問題の調査委員会ができまして、その結果各種の事故を反映させるべき事項ということで取りまとめておられます。五十二項目ございまして、これは安全研究とか防災関係、それから安全審査や運転管理、全面にわたりまして五十二項目の勧告をしてございます。その勧告に従いまして基準の整備が行われると同時に、運転管理などにつきましても体制強化といいますか、ということをやられております。  既に実用発電炉につきましては通産省の所管でございますが、この勧告を受けまして運転管理その他の事項につきまして、適宜監視計器の増加とか、そういう関係のいろんな勧告に従った運転管理体制その他についての整備を終わったところでございます。
  57. 伏見康治

    ○伏見康治君 いろんな影響を受けて、それぞれ安全審査のやり方が変わってきているという、今、二、三の御説明があったとは思うんですが、どういうプリンシプルというか、どういう方向に変わりつつあるのかといったような点を説明していただけないかな。
  58. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 五十二項目全部というあれでございますが、少し時間もあれだと思いますので、要点だけを申し上げますと、このときの結論では、まず安全審査につきましては基本的には我が国の安全審査の考え方を変える必要はないということでございます。ただ、この事故がいろんなミス——ミスといいますか、操作ミス、判断ミス、こういうものが重なって、また設備の不備ということも重なったために起こったということを反省いたしまして、それの観点から、もう少し測定器関係中心とする設備の整備をするということと、それから運転員の訓練、こういう関係を強化するということでございます。  なお、安全審査の中で、これは大きな部分ではございませんが、安全審査で例えば冷却材喪失事故の想定をする場合の安全審査のやり方の中で、この事故が逃し弁からリークしたということがございましたので、そういう小破断に対する安全の解析を十分にやるようにということで、そういう関係の小破断についてのLOCAの解析を充実させたという経緯はございます。
  59. 伏見康治

    ○伏見康治君 TMIの事故は多分に人間的な要素で行われたもので、むしろ設備のあれというよりは間違った操作の仕方をして事故を拡大してしまったとよく言われておりますが、そういう意味で運転なさる方の教育というものが非常に大事であろうというふうに考えます。  それで、私がその安全審査で特に伺いたいのは、少し変わった要素でございまして、今度のチェルノブイリのようなものを考えますというと、実際に放射能が逸出した場合に、その付近の住民の方々を避難させるというか、退避させるといったようなことが必要だと思うんですが、そういうことに対する計画というものはあらかじめちゃんと準備されているのかどうかということをお伺いしたい。
  60. 千々谷眞人

    説明員千々谷眞人君) 原子力発電所等の大型原子力施設から大量の放射性物質が環境中に放出されまして付近の住民に影響が及ぶおそれがある、または実際に及ぶといった場合につきましては、災害対策基本法のもとに対策が講じられることになっておりまして、災害対策基本法の中では、原子力施設が存在する県及び市町村は防災計画を策定するということになっております。
  61. 伏見康治

    ○伏見康治君 その計画の中でいろいろな数字的なものが含まれているはずだと思うんですが、つまり大体どのくらいの広さに放射能が散らばるかというイメージを持っていなければ限りなく大きくなっちゃうわけですね。それで、日本では従来は半径八キロとか十キロの円を描いていたのではないかと思うんですが、TMIに関連したタスクフォースの報告書ではその数字が変わってきていると思うんですが、緊急時の計画地帯の半径といったようなもの、それはプルームがとにかく、つまり放射能を帯びた雲が落ちてくるところというような意味で十マイルすなわち十六キロ、それからいろんな食品、野菜等が汚染するということを考えると距離は五十マイル、八十キロとなっていったという話ですが、日本では今どういうことになっていますか。
  62. 千々谷眞人

    説明員千々谷眞人君) 先生御指摘のとおり、原子力発電所等にかかわります災害時の防災対策の指針では、原子力安全委員会昭和五十五年六月に決定いたしました「原子力発電所等周辺の防災対策について」という決定がございまして、この中にあらかじめ「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」の目安ということで八ないし十キロを提案されてございます。この八ないし十キロといいますのは、先生御指摘の放射能を含んだプルームがこの範囲内におさまるということを想定したものではございませんで、これ以上広がることも十分あり得ますが、あらかじめ防災対策を重点的に充実しておけと、すなわち避難道路、灯火それから待避用の建物とかそういったものを的確に把握すべき対象としてこれを決めております。  したがいまして、仮にそのような事故が起こった場合につきましてはこの範囲の外側に影響が及ぶということも十分考えられますので、直ちにこの対策の中、八ないし十キロの範囲内の対策充実しておけば、この外側についても十分応用ができるということでこのような提案がなされております。このことは原子力安全委員会の防災指針にも述べられているところでございます。この範囲を選定するときにはTMIの事故を勘案し、我が国に設置されております原子炉の型式それから安全審査における安全評価等、技術的側面を勘案いたしまして、さらに実際に原子力発電所が設置されております地点の人口分布、行政区画、地勢等から考えて、この八ないし十キロが妥当であるというふうに判断されたものでございます。  もちろん、現在チェルノブイル原子力発電所におきましてどのようなことが起こったのか詳細明らかでございませんが、原子力安全委員会の事故対策特別委員会におきましてこの点の検討が行われることになっておりますので、仮にそのような防災対策の範囲について見直しをすべき事項であるということになれば、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
  63. 伏見康治

    ○伏見康治君 アメリカとかソビエトとか大変土地が広くて人口密度の少ないところと日本のような人口が極めて欄密なところとでは、避難対策といっても相当概念が変わっていてもよろしいと思うわけですね。日本はとにかく人口密度が高いわけですから、何か事故があったときに機動的に大勢の人々を移動させる、あるいは放射能を洗い落としてあげるといったような事後対策ということをよくお考えになるという方がむしろ的確で、ただ半径をむやみに大きくするというだけが能ではないと私は考えておりますが、いずれにしても特別な調査委員会ができているようでござますか ら、それの成果を期待したいと思っております。  それで、十二時を過ぎましたのでおしまいにしたいんですが、最後に、せっかく通産大臣がおられますので、大臣の御意見をひとつ承っておきたいと思うんです。  きょうの質問の初めのうちに第三者検査機構という概念でいろいろ御質問申し上げたわけです。これは臨調がそういう方向へ持っていけ、今の政府の民活という立場とも同じような方向で、お役所が従来直接やっていた検査といった業務をできるだけ民間の第三者的な機関に任せよという趣旨だと思うんですが、先ほどもちょっと申し上げたように、日本にはお上思想というのがあって、民間の検査機構はなかなか国民に信用されないというような面があるわけですね。そういうのは相当しっかりしたものであるというのを政府が育成してやらなければ、結局その第三者検査機構というものが有効に働かないと思うんですが、そのためにはいろんな意味でその検査機構の中立性というものを守ってやらないといけないと思うんですね。  その検査のところへ行って検査を頼んだ人が、検査は甘くしてくれといったような注文をつけたのでは意味がなくなるわけですから、そういう意味で検査機関というものができるだけ中立を保つべきだと思っているんですが、従来の経緯からいって、検査してもらうのにお役所の影響力が強過ぎるように私は思うわけです。もう少しお役所の息吹のかからない、本当の意味の第三者検定機関を育ててあげるという、そういう気持ちが必要だと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  64. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私、専門家じゃありませんからよくわかりませんので、皆さんの意見を聞いて決めていきたい。私は今のところ白紙です。
  65. 伏見康治

    ○伏見康治君 ありがとうございました。
  66. 市川正一

    ○市川正一君 本日が今国会最後の委員会になると思われますので、予算委員会における締めくくり総括ではありませんけれども、今期国会で取り上げ、政府対策調査検討を約された問題についてけじめをつける場といたしたいんであります。  まず、円高問題でありますが、これは私、本委員会で数回取り上げました。特に前回、十五日には通産大臣とのやりとりを通じてまじめに、円高被害を受ける中小企業への救済対策を考えるならば、法改正とか、ましてや臨時国会などを待つのではなしに、金利の引き下げなど今すぐにでもやれるではないか、こうただしたんでありますが、そのときのやりとりをもう一度再現するつもりはございません。ただ、そのときの大臣の述べられた本音というものが次第に明るみに出ております。  例えば、これは本日の日経新聞でありますけれども、「渡辺通産相ら中曽根派幹部がしきりに運用部資金法の改正を訴えている。」、「法改正をしないと中小企業金融公庫などの貸出金利を下げられない——というわけだが、これは表向きで、本当の狙いは臨時国会召集の理由作りにあるとの見方が多い。」と、こう論じております。  また、本日の読売新聞などの報道も、「自民党の福田派最高首脳は」「円高対策の立法化を、臨時国会早期召集の名目にしようとする動きに対し、「信用保証の貸出金の限度額引き上げや、財政投融資の金利下げなどは、行政レベルでできることだ。これだけで臨時国会というのはどうか」と述べた。」と報じております。  先ほどもやりとりございましたし、また本委員会としてもこの問題についての決議をという声も出ておりますので、私こういう問題について真剣に通産省の取り組みを重ねて要請をいたしまして各論に進みたいと思うのでありますが、まず林野庁に伺います。  私、四月十七日の本委員会で、フィリピンからの丸太の輸入に関して調査を約束をいただいたんでありますが、その結果を伺いたい。
  67. 脇元裕嗣

    説明員(脇元裕嗣君) 木材輸入団体でございます日本木材輸入協会の代表者から事情聴取をいたしました。我が国とフィリピンとの間の丸太貿易につきましては、以下に述べますような事情によりまして、先生御指摘のように香港を経由して行われる場合が多いわけであります。  一つは、フィリピンの輸出業者が香港に支店または代理店等の拠点を設置している場合がほとんどでありまして、輸入業者との取引はしたがってここで行われるのが一般的である、こういうことが一つ。それから二つ目は、輸出業者は輸出業者のほとんどが華僑であるということ、それから香港にはほかの南洋材諸国の丸太生産情報が集中をしている、こういった事情によりまして香港に支店または代理店等の拠点を設置しているものと考えられております。  なお、これらの事情につきましては、例えばサバ、サラワクあるいはインドネシアといった南洋材丸太の貿易についても同じでございまして、その場合には、フィリピンにおける香港の位置がシンガポールということになるようであります。  ところで、輸出枠との関係でなお事情聴取をいたしましたところ、取引契約締結の際に、輸入業者が、輸出側が何立方の輸出枠を有しているかということについてはわからないという立場にあるようであります。これはフィリピンにおきましては、輸出業者ごとの輸出枠は公表されておりませんで、したがって個人的な輸出枠もわからない、こういうことでございます。我が国の輸入業者としましては、フィリピン政府の許可を得ました輸出業者と契約を行い、我が国での法律に従っての輸入業務を行っている、こういうことでございます。  なお、先生御指摘の裏契約のシステムにつきましては、業界代表からの事情聴取では、その存在については否定的であります。万が一正規の手続を踏まない輸出といった問題にかかわる調査ということになりますと、これ以上は林野庁の権限を超えた事案になろうかと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  68. 市川正一

    ○市川正一君 フィリピン政府とは連絡をとりましたか。
  69. 脇元裕嗣

    説明員(脇元裕嗣君) 済みません、聞き取れませんでしたが。
  70. 市川正一

    ○市川正一君 フィリピン政府とは連絡をとりましたか。
  71. 脇元裕嗣

    説明員(脇元裕嗣君) 林野庁が直接フィリピン政府と連携はとっておりません。
  72. 市川正一

    ○市川正一君 日本木材輸入協会の話は今のように何か聞かれたようなんだけど、日本の商社について個別に調査されましたか。
  73. 脇元裕嗣

    説明員(脇元裕嗣君) 個別には調査しておりません。あくまで代表である輸入協会の幹部でございます。
  74. 市川正一

    ○市川正一君 林野庁の調査は、本気で実態を解明するための調査ではないですよ。なぜ香港経由なのかだとか、マルコス時代のあの当時、どういうからくりがあったかということを、私、具体的に指摘したじゃないですか。そういう実態を解明するためじゃなしに、委員会で市川理事からこういう資料が配付されたが、これをどう思いますかというふうな、言うならばアリバイづくりみたいな調査じゃないですか。  私は、フィリピン政府にも問い合わせしていない、個々の商社がどういう商売をしているか、それもつかんでいない。そういうんでは実態を迫ることはできぬと思うんです。もう一度個々のフィリピン政府現政権とも、また今の個々の商社とも立ち入った調査をしていただきたい。いかがですか。
  75. 脇元裕嗣

    説明員(脇元裕嗣君) 先生のお話でございますが、私が調査をいたしました輸入協会の幹部は、みずからもフィリピン貿易に従事している商社でございます。したがいまして、フィリピンとの丸太貿易に従事している、昨年の例で申し上げますと二十数社、すべての調査はいたしておりませんが、その一つの例では調査いたしております。  なお、せっかくのお話でございますので、どこまで調査できるか問題がございますが、なお調べてみたいと思います。
  76. 市川正一

    ○市川正一君 じゃ通産省に伺いますが、フィリピンの密輸出に手をかすような一部商社の営業活動というのは、企業の社会的責任、その企業行動のあり方としても厳しく検討すべき問題であると思いますが、いかがでしょうか。
  77. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) ただいま林野庁がお答えになりましたように、本件の事実関係が明らかではございません。  我々といたしましても、もう少し事実関係をつまびらかにすべきであるというぐあいに考えております。そういう前提に立って、先生御下間のような判断をすべきであると考えておる次第でございます。
  78. 市川正一

    ○市川正一君 先日も衆議院のフィリピン特別委員会で我が党の正森委員が追及いたしましたけれども、御存じだと思いますが、フィリピンからの製材輸入を過小申告してまで、言いかえれば日本国内法まで犯して事実上密輸入をしている、そういう手口が、大蔵省の所管なんですが、明らかになったじゃないですか。私は、この点でも通産省の方も引き続き厳正な調査をされることを要望いたします。いかがですか。
  79. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 衆議院のフィリピン特別委員会で正森委員が御質問なさいました件、私も傍聴しておりましたが、フィリピンの製材の問題について提起されたように承っております。本日御下問の丸太の輸入という問題と少し違う性格のものかと私どもは思っております。  いずれにいたしましても、もし密輸と知りながら輸入をしていたということが明らかに仮になるといたしますならば、先生御指摘のとおり、それは社会倫理の問題として取り上げるべき問題だと考えております。
  80. 市川正一

    ○市川正一君 丸太と製材の違いは当然前提にしているんです。その手口の本質的性格を言っているんです。じゃひとつ調べていただきたい。  次に、同じ四月十七日に質問いたしましたフィリピン沿岸警備隊のLSTの修理問題について、杉山機情局長きょうはお見えになっていないようでありますが、調査を約束されましたが、その結果を伺いたい。
  81. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 杉山局長、大変恐縮でございますが、半導体の交渉でアメリカへ行っておりますものでございますから……。
  82. 市川正一

    ○市川正一君 いつ行かれたんですか。
  83. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 日曜日に出発いたしました。  私の方から便宜お答えをさしていただきたいと思います。  大変たくさんの項目について御下問をちょうだいいたしました。
  84. 市川正一

    ○市川正一君 時間がないので要領よく簡潔に。もう大体顔見たらわかっておるから、簡潔にお願いします。
  85. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) それでは極力簡単に。  まず第一問は、修理の注文を受けた艦船は軍用として発注を受けたのか、それとも民用であるかという御下問でございます。  これにつきましては、使用目的といたしまして、フィリピン沿岸警備隊が日本企業等に言ってまいりましたところによりますと、たくさんの離島間の貨物輸送に用いるということを明確に述べております。これらの船舶は三十年以上の船齢のたったものであるからそのぐらいの用途にしかできない、こういうことをサーティファイする、こういうことを言っていたようでございます。  しかし、私ども武器輸出三原則等の立場からいたしますと、フィリピンにおいていかなる目的で使うかということは余り重要なファクターではなくて、輸出する波打ち際の段階でそれが武器と認定され得るかどうかということが重要でございます。つまり、輸出される貨物の属性、形状によりそれが三原則の適用対象となるかどうかということを客観的に検討する、そういう態度でございます。  第二の御質問は、米国籍と日本籍双方あったと東陽通商の関係者の手紙に書いてあるけれども、籍の移しかえは修理の前に行われたかどうか、その時間の関係はどうか、こういう御下問でございます。  これにつきまして、すべての点もそうでございますが、文書の保存期間を過ぎているというようなことから、我々調査に大変難渋を来たしました。当時の担当官の記憶に頼るようなところも間々あったわけでございますが、可能な限り手を尽くして確認作業を行ったわけでございます。  御質問のLST三隻につきましての除籍の手続、これは防衛庁の所管するところでございますが、私どもが防衛庁から確認を得たところによりますと、いずれもこの三隻は四十九年、五十年、五十一年とそれぞれ除籍の手続が行われ、返還通知が米国に対してなされていたものでございます。これらについて五十三、四年ごろ修理をする、こういうことになったものと理解しております。これらの船舶は非常に長期間係留され、老朽化しておりましたために、自航能力に欠けていたということから、米軍がこれをフィリピンに供与したわけでございますが、その供与をしたフィリピンからの依頼を受けましてフィリピンまで航行していくという能力を付与することに限定いたしまして修理を行ったようでございます。  それから、第三の御下問は、船舶の名称及び数ということでございますが、名称について申し上げますと非常に長くなりますので、ここでは数だけを申し上げておきます。防衛庁が供与を受けました後米国に返還した。その返還された米国がフィリピンにこれを供与する。その総数は艦船四十四隻でございます。そのうち我が国において修理を実施いたしましたものは十四隻でございます。その隻数を艦種別に申し上げますと、LST——揚陸艦でございますが、三隻。LSSL、大型揚陸支援艇四隻。LCU、中型揚陸艇三隻。FS、掃海母艦二隻。YTL、小型曳船二隻でございます。  次に、修理の内容はいかがであったかという御下問でございます。これも調査、確認に難航を来たしたポイントの一つでございますが、私どもの確認し得たところによりますと、損傷部分の修理、船体部のさび落とし、腐食防止のための塗装、自航能力付与のためのエンジン取りかえ、それから通信装置、無線装置の修理等々でございまして、いずれも自航能力を可能にするための範囲に限定されて修理が行われたということでございます。特に、銃、砲など直接殺傷あるいは破壊といった機能につながる部位に関する修理、つまりこれは武器の武器たるゆえんのところでございますが、そのような部位にかかわります修理は一切含まれていなかったわけでございます。  それから最後に、三原則との関係はいかがであるかという御下問でございました。  ただいままで、再三申し上げましたように、本件修理は艦船の自航を可能とする必要最小限度の範囲のものであったと。これらの修理によって付与されました部品もその大宗がエンジンであるとか、あるいは通信装置、ペイント等々のものでございます。しかしながら、そのごく一部にバウドア、これは上陸用艦艇が接岸いたしましたときに観音開きになる扉でございます。ランプ、これが接岸して観音開きが開きましたら車両等が上陸できるようにおりてくる板状のものでございます。こういったバウドア、ランプといった部品が一部含まれてございます。これら私どもの鑑定によりますと、殺傷、破壊力に直接関係あるものでは毛頭ございませんけれども、やはり武器の部分品である、こう言わざるを得ないものだったかと思うわけでございます。  艦船自体は米軍が供与したものでございますから、私どもは関係ございませんけれども、これらの修理部品につきましては、私どもといたしましては形式的には輸出を慎むべき武器の専用部品だと、こう考えておりますが、実質的には殺傷、破壊といったような武器の武器たるゆえんのところには関係あるものではございませんので、実質的にはこの三原則の目的といたしました平和国家としての国際紛争等の助長を回避するという理念は損なっていないものと信ずる次第でございます。
  86. 市川正一

    ○市川正一君 時間がないので、もう一問考えておりました玉姫殿の質問は割愛いたします。したがって、林野庁並びに労働省お引き取り願って結構であります。労働省は後でちょっとお聞きしますので、ちょっと残っていただきますか。  ただいまの答弁なんですが、いずれにせよ武器輸出三原則に触れる部品があったことは事実であり、お認めになったとおりであります。したがって、この問題をあいまいにすることはできないと思うんでありますが、私は今後三原則を厳守し、こうした事態を発生させないための対策通産省として明らかにしていただきたいと思います。
  87. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 先ほどもお答え申し上げましたように、実質的な意味合いにおいては私ども三原則を損なったというぐあいには考えていないわけでございます。しかしながら形式的には触れたということは事実でございます。
  88. 市川正一

    ○市川正一君 あなたの答弁時間をひとつ短縮しなさいよ。
  89. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) そういう意味において、今後とも非常に慎重に三原則の問題を検討してまいりたいと考えております。
  90. 市川正一

    ○市川正一君 最後のところ、今後とも慎重に何ですって、対応ですか。
  91. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 今後とも三原則の遵守について慎重なる行動をとってまいり、遵守を徹底したいと考えております。
  92. 市川正一

    ○市川正一君 わかりました。  それでは最後に、この機会に私、大型店の出店問題について伺いたいんであります。  日野市南平というところにダイクマというディスカウントストアーが進出するということで、地元商店街を初め、日野市内全域での問題になっております。本件につきましては、昨日、我が党の内藤功参議院議員、岩佐恵美前衆議院議員が地元商店街の方々と東京通産局長に陳情いたしたところでありますが、通産省としての、本省としての認識をこの機会に伺いたいんであります。  というのは、このダイクマ進出をめぐる東京通産局の対応を見ますと、去る五月六日に開かれた四者協にはずさんな点がありまして、問題があると思うのであります。四者協の開会の通知が商工会には文書で来たのでありますが、都及び市には電話で連絡があっただけで、日野市への連絡は、市長も知らなければ商工部長も知らないまま、担当者だけが呼び出しを受けるというやり方がなされており、これについては日野市長が都に抗議の使者を送るという事態も起きております。  また、商工会の役員は既に三月三十一日をもって任期が切れており、今月二十八日に新役員が選任されるということになっております。したがって、いわばつなぎの期間であり、本件のような重要課題について責任をもって対処し得ない状況にあります。きのうの通産局長への陳情の中で、檜山局長も、四者協の開き方に問題があったかもしれないという認識を述べておられたようであります。  六日の四者協では進出を認める方向は出なかったものの、今後例えば二回程度四者協をやれば法律上の手続を開始するということも考えているという情報も聞こえてくるのでありますが、局長御自身が問題があったとする四者協ではなしに、新しい商工会の役員も正式に決まった段階で、地元の意向が正しく反映できるようにきちっと協議し直すべきであると思いますが、総体としての認識を承りたいと思います。
  93. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 先生御指摘の、このダイクマの出店案件につきまして、地元で中小小売商とかの反対があることはよく承っております。  それで、今御指摘の五月六日の四者協のことでございますけれども、通常四者協の開催につきましては電話で招集する例が通例のようでございまして、私ども手続に瑕疵があったとは思いませんけれども、いずれにいたしましてもこの問題につきましては、ただいま申し上げたように地元の中にもいろいろな意見があるわけでございますから、今後通産局が東京都それから日野市、商工会、関係者の間でよく議論をいたしまして、大店法の趣旨にのっとって、いずれにしてもこれまでの経緯をよく踏まえて慎重な手順を踏んでもらうことが必要だと考えております。  また、商工会の役員の交代時期も私ども承っておりますが、いずれにいたしましても、先般の五月六日の四者協は御指摘のとおり、まだ事前説明が終了したという合意が得られなかったわけでございますので、引き続き慎重な手順を踏む中で、先生の御指摘のような点も事実上十分反映できるような運営が行われるものと考えております。
  94. 市川正一

    ○市川正一君 これで最後でありますが、御承知だと思うのですが、地元ではこの進出にこぞって反対を表明しております。日野市は南平地区の町づくりに一定の構想を持っており、その構想に照らしてもこれは反対ということを市当局も表明しております。また、日野市の三十二の商工会のうち二十九の商工会が反対しておりまするし、市内の商店会に組織されている商店八百店のうち六百七十一店、八割以上が反対しております。ここに私持ってまいりましたのは、その反対署名の写してありますが、要するにそれが圧倒的多数の世論であります。こうした地元の意見が十分に尊重されるよう対応されるべきであって、今松尾審議官がおっしゃったように、慎重な手続をというふうにおっしゃたのでありますが、大店法の第三条あるいは第五条、この手続に乗せてしまえば、もう既成の事実として出店がどんどんどんどん進んでしまう。そういう形式的なことではなしに、市内の圧倒的多数の関係者が反対しているという事実を尊重した対応が、私求められていると思うのであります。  再度確認をいたしますが、地元の意見がまとまらないうちは手続を認めないという、こういう基本的立場を明確にしていただきたいのであります。というのは、この出店問題では現職大臣が圧力をかけたので手続を急がれているとも、そういう地元の話題がなっておりますので、この際、私は通産省の公正な立場をあえて再確認をさしていただきたいのでありますが、いかがでしょう。
  95. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 極めて技術的、手続的なことを申せば、四者協で事前説明が終了したということが確認された場合には、大店法に基づく三条の届け出受理ということは行われることになるわけでございますけれども、仮にそのような事態になるかならないか、その点についてはまだ引き続き四者の間で慎重な検討が行われると思いますけれども、仮にその三条が受理された上でも、当然のことでございますけれども、関係者に意見陳述の機会が、申し出があれば必ず保障されているわけでございます。仮に事前商調協の段階までいきましても、そこで十分地元の御意見は適正、円滑に反映されて調整が行われることになると存じます。  そういう意味で、私どもまだこれから手続がどういう手順で踏まれていくかにつきましては、先ほど申し上げましたように大店法の目的に即して慎重な手順を踏んでいく、こういう中で先生の御趣旨もよく承って処したいと存じております。
  96. 市川正一

    ○市川正一君 これで最後でありますが、要するに地元の意見がまとまらないうちは強行しないという原則は、これは明確に確認できますね。
  97. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 手続の内容について、実は技術的にいろいろ中身があるものですから、ちょっと一言で申し上げ切れなくて恐縮でございますけれども、事前説明そのものは十分事前に関係者の間に内容の説明が行われれば、必ずしも地元の了解まで事前説明というものは求めたものではないわけでございますけれども、事前商調協につきましては、先ほど申し上げましたように、十分地元の方々の適正、円滑な御意見を承り、そこで調整をしていく、こういうことはもう確立したシステムでございますから、そのように運用してまいりたいと考えております。
  98. 市川正一

    ○市川正一君 終わります。
  99. 木本平八郎

    木本平八郎君 私はまず円高の背景ということについて質問したいのですが、実はゆうべ宿舎で電話でレクを受けたんですが、そのときにきょうの質問をそちらの方で書いて用意していただくという話だったんですけれども、その質問もないし、それから数字も確認していただくようにお願いしておいたのですが、それも来ていませんのでアドリブでやりますけれども、大して難しい問題じゃないです。  それで、まず、ここに私持っていますのは、これはアメリカでつくった資料なんです。これによりますと、主要国の輸出輸入のバランスをグラフにしているのですね。これで見なくてもいいんですけれども、これで見ますと、八四年度、五十九年度日本の貿易黒字が四百四十億ドルですか、それで八五年度、去年、六十年度は五百六十億ドルになっているわけですね。だから、輸出入のバランスが五百億ドルということなんです。ところが、これが去年のこれをつくった段階の予測では、日本の六十一年度の貿易黒字は七百億ドルを超すという一応想定があったのですね。七百四十億ドルですか。そこから円高が始まってくるわけですけれども、この七百億ドルというのは大変な数字なんですね。  例えば一国の輸出だけが五百億ドルを超しているというのは世界で七カ国しかないのですね。G7しかないわけです。例えば韓国とかブラジルとかサウジとか、それからオーストラリアとか、そういったところは輸出そのもののトータルが四百億ドル以下です。そういう状況で、日本のバランスだけがそれを超えているというのも大変なことなんですね。それで、七百億ドルになりますとイタリーの輸出を抜いちゃうわけです。こういう貿易黒字の体質というのは、これはやっぱり世界からどう見ても、これはもうほっておけないということになるわけですね。  それで、またこの数字は、例えば石油ショックの後のOPECなんかに集まった、中東に集まったオイルダラーが五百億ドルあるんですね。この数字も確かめていただきたいとお願いしたんですが、それよりも多いわけです、日本の円ダラーといいますか、円高で。これが皆さん御存じのように中東にあれだけのオイルダラーが集まって、それの還流がうまくいかなかった。その結果、私少しこじつけかもしれませんが、私の考えではイラン・イラク戦争になり、それからヨルダンの問題になり、それから今リビアとかイスラエルの問題とかがちゃがちゃやって、結果的にはサウジの建設もそうですけれども、あれもほとんどむだ遣いさせられているわけですね。アラーの神様がそういうふうにおやりになったのかどうかしりませんけれども、神の目から見たらああいうふうなあぶく銭みたいに集めたやつはそういうふうにむだ遣いさせちゃうというふうなことなんじゃないかと私思うわけですね。そういう点から現在の日本の貿易黒字というのも、やっぱりアメリカ側が問題にしているように、これは大変なことじゃないかと思うんですね。そこにもしも今の円高が根を張っているとすれば、これはもうただごとじゃないなと。アメリカ側も現実にそういうことを言っているわけですね。  そこで、これからいよいよ本論なんですけれども、こういう状況がある限り、この貿易黒字が解消されない限り円高というのは解消できないんじゃないかということが一つ。もしも円高を何らかのことで解消される、あるいは緩和されるとすれば、別の面で神の手が動くんじゃないかということなんですね。  そこで、そういうことを考えますと、一番円高問題というのは、今、中小企業とか一部分の問題で言われていますけれども、大企業だって今えらいことになっているんですね。私いろんなこと聞いていますけれども、例えば為替レートが今問題に余りなってないのは、三月末まで二百四十円で皆予約して、それで期限切れたのは手数料払ってエクステンションしているわけです。したがって、まだそこまできてないけれども、しかも今デリバリーというんですか、受け渡しのときですから高い値段で受け渡ししていますからいいんですね。ところが新規契約がもうできないわけですね。これがいよいよことしの後半に一遍に噴き出してくるんじゃないかというふうに考えるんですけれども、その辺の認識、これ非常に概括的なんですが、まず大臣にお伺いしたいんですが、いかがですか。
  100. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) もうまさに御指摘のとおりでありまして、だから騒ぎになっているわけですよ。いずれにいたしましても、日本輸入をもっとふやせ、輸出をやめろとはどこも言っていない。だから輸入をふやしてバランスをとらせる、しかし五百億ドルも六百億ドルも輸入をふやせといってもそれはできない。まして石油がこんなに下がっちゃったら逆に輸入が減っちゃうというのがこれが現実の姿。したがって、我々といたしましては、集中豪雨的な輸出については、いかに自由貿易といえどもこれはある程度自重をしなきゃいかぬ、理屈じゃありませんから。それからもう一つは、ダンピングもいかぬ。それからさらに市場の開放、関税の引き下げ等でもう日本はやっているんだ、どこ突かれても不公正なことはない、よく徹底をさせる。それから、集まった金はやっぱり還流してやる。そのために国際的な協力をしていくということしか私はないんじゃないか、そう思っておるんです。
  101. 木本平八郎

    木本平八郎君 これは、サミットで中曽根総理が、今日本中小企業が大変だということをおっしゃったんですね。ところが外国の反応はもう極めて冷ややかなんですね。そんなものは当たり前だ、中小企業どころか日本の大企業も大変なところに追い込まない限りこの問題は解決しないんだと。だから全然冷ややかだったんですね。私、今大臣がおっしゃったことはよく理解できるし、確かにその方法しかないと思うんですよね。  福川さんにちょっとお聞きしたいんですが、実際問題として、さて、それじゃ輸入をふやせといったって、大体日本のなにが決まっていますから、そうそうふやせない。自動車のことを考えますと、今自動車メーカーは何やっているかというと、円が高いものですから、資本輸出して海外の工場をどんどん強化しているんですね。それで海外で調達しようとしているわけです。海外で調達しますと日本の下請メーカーが仕事がなくなるわけですね。そうすると日本で失業が発生するわけです。一番極端なことを言えば、自動車の輸出禁止しちゃえば一番いいわけですけれども、そんな乱暴なことはできないわけですね。向こうの自動車が入ってくるかというと、これまたいろいろな非科学的な要素でそう簡単に入ってこないんですね。自動車の輸入ってそうふえないだろうというのが自動車業界の見通しなんですね。それから例えば、内需拡大といいましても、ビルディング建てても今の状況なら鉄骨とかセメントは、鉄骨なんかは全部もう韓国からそのまま入ってくるだろうというんですね。セメントも外国のものががっさり入っちゃうというんですね。もちろん設計とかいわゆるソフトウエアの部門は日本の業者がやるにしても、そうしますと、なるほど輸入はふえて結構なんですけれども、セメントメーカーはつぶれる、鉄骨メーカーはつぶれる、そうしたらまた失業が発生するわけですね。サラリーマンにとってこれはえらいことなんです。  私が今非常に恐怖を感じているのは昭和初期の大恐慌が再来するんじゃないかということなんです。皆さんは、いや日本経済規模が大きくなっているからそんなことはないとおっしゃいますけれども、規模が大きいなりにやっぱりこっちの方も大きいんですからね。さてここでどういうふうに個々にやっていくかと。それで、今のように輸入ふえるのはいいけれども、失業がばあんと上がっちゃって、それで結論的には六百億ドルなり七百億ドル減らすということは生産をそれだけ減らすということですからね。生産を減らすということは失業がふえるということでしょう。極めて単純なんですね。この辺は福川さんの御意見をまずお伺いしたいんですがね。
  102. 福川伸次

    政府委員福川伸次君) 御指摘のとおりでございまして、確かに黒字を減らす、こういうことになれば、国内生産活動がそれだけ落ちてくる、失業の懸念が出るということでございまして、したがって、もちろん日本の膨大な黒字を減らすだ めにはいろいろな手だてを講じてそれを解決しないと世界に保護主義が起こるということですから、これは何としてでも改善していかなければならない。そういうことからいうと、今ちょうど御指摘ございましたように、もう少し国際分業を進めて、何でも日本で物をつくって輸出するというんではなくて、少し現地でもつくる、あるいはまた日本にそういったものを外でつくって持ってくる、こういう形になるわけでありますから、どうしてもおっしゃるように雇用機会はそれだけ減少する可能性があるわけで、したがって、それを防ぐために、今内需主導型の構造に変えていかなければならないということで前川委員会もそのような御指摘になっているわけでございます。  もちろん、日本産業というもの、産業社会の活力を保ち続けるということが非常に重要で、またそれがなければ経済協力も産業協力もできないし、技術開発に貢献することもできないわけですから、したがって、物の生産の基地はある程度外に移しても、やっぱり国内で新しい発展の分野、技術開発、研究開発をしてやっていかなければならないし、また既存の産業群でも、そういった新しい技術あるいは新しいソフトウエアに装備されたような形で発展をしていく。と同時に、国内でもう少し雇用機会をつくるということからいえば、もうちょっと内需的な産業をふやすということがないだろうか、こういうことになるわけでございまして、今これから大変第三次産業が、特に情報化とかそういう知的なサービス産業伸びてくる可能性がございますから、そういうところへの発展をもう少しふやしていく、こういうようなことで、もう少し産業の構造を第三次産業にウエートをかけていく、こういうことが必要であって、そこでまた雇用の吸収の場をつくる。  しかし、またこれが行き過ぎますと、日本の活力を損ねるわけで、例えばイギリス、あるいは例としていいかどうかわかりませんが、アメリカのように全部製造業がだんだん外へ行ってしまうということになると、これまた産業の活力が落ちるわけですから、そこは程度問題、こういうことになるわけで、したがって、そこをうまくバランスを保っていくように、レートの問題とかあるいは構造政策とかいうようなことで対応していかなければならないし、したがって、私ども、ただ黒字を減らすには、日本産業競争力が落ちれば黒字は減るんですけれども、そうなってはいけないんでありまして、しかも世界全体が伸びる形の中で、今申したような構造に持っていくという大変狭い道だ、ナローパスだとは思いますけれども、それを努力すべきではないだろうか、こんなふうに個人的には思っております。
  103. 木本平八郎

    木本平八郎君 今私も福川さんの意見にもうそのまま大賛成なんです。  それで、やはり一番問題は、今それだけの失業というか、それはもう必ず雇用の転換せざるを得ないと。ところがその先は、ハイテク産業とかいろいろありますけれども、これの準備に時間がかかるんですよ。ところが、円高デフレの問題は物すごい勢いで突進、ラッシュしてくるわけですね。  私、これいつもイマジネーションとして考えるんですけれども、大洪水が来るんだと。上流にあったアメリカというダムで、いわゆるドル高を人為的に高めていたわけですね。そこへうんと蓄えられた水が一挙にどっと流れてきたということで、それで今、川の中州がつかってアシ原へじゃぶじゃぶやってきたと。そのうちに河川敷まで上がってくるでしょうし、それから将来必ずこれはもう土手を超えてオーバーフローするだろうと。そのときに、どこの堤防が切れるか、これは大問題なんですね。一部分、高台にある産業は確かにあります。しかしそれも、すそを水で洗われて土砂を取られちゃうと、がさっとがけ崩れになる可能性だってあるわけですね。日本産業自体がそうなっている。しかも逃げ口の方が、例えば今流通のシステムが悪いものだから、なかなか円高になっても物価が下がらないとか、それから例えば日本企業が、賃金カットもできないし、レイオフもできないし、軽量化できないわけですね。そうすると、もうそっちの方がふさがれているからどんどんどんどん水位が高くなっちゃうということで、今いわゆる河川敷にある中小企業がまずやられていますけれども、土手の上にある、高台にある大企業といってももう時間の問題なんですね。  これは経企庁にお聞きしたいんですけれども、この洪水の水位がどこまで上がるとお考えになっているか。その下の河川敷ぐらいの程度で過ぎればいいわけです。しかも問題は、水につかってすぐ水が引いてくれれば、またすぐに生き返るんですね。ところが、長い間、水位が低くても水の中につかってしまうと、もう窒息してその企業は生き返らないんですね。そういうことで、ある意味じゃごっそり、もうすべての企業が押し流されてしまうということももちろんあるでしょうね。しかし、日本経済全体を考えた場合、そういう状況に押し込まれていくことは必至じゃないかという気がするんですよ。経企庁の方ではどういうふうにこれを予想されているかお聞きしたいんですが。
  104. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) 政府としては、経済の見方につきまして、いろいろなものにつきまして問題が大きいという点は常に意識しなければいけないわけでありますけれども、経済をこれからどのように運用していくのか、運用した結果というものはどうなるのかという点につきましては、どちらかといえばやっぱり楽観的と申しますか、オプチミスチックに考えるべきであると。しかし、そうは言いましても、かんかんの楽観論、かんかんの強気論ではいけない、いわゆる慎重ながらも楽観論と、こういうことで物事を考える。その上で、政策の効果、これが経済の転換能力、適応能力、こういうものを引き出していくと、こういう考え方で政策の発想をすべきだと、こういうふうに考えております。  また、個人的にも、どちらかといえばやや強気の見方をしがちな個人的な体質、気質でありますけれども、そういう観点から見ますと、円高、確かに先生が御指摘のような、あるいは比喩で表現されましたような重大な問題点というものはあるわけでありますけれども、しかしその反面におきましてプラス要素もまた大きいと、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、そのプラス要素を生かしていく、被害を受けるところ、マイナスの部門に対しまして、このプラス要素均てんさしていくと、こういうことで政策を考えるべきであると、こう考えているわけでございます。特に円高の問題につきましては、円高メリット均てんということが言われます。それには、ほっておけば均てんする点はあるわけでありますけれども、ほっておけばかなり時間がかかると。したがいまして、それをできるだけ早くして、困っている部分の何分の一でも埋めると、こういうことが政府の政策として必要なことではないかと、そう考えまして、先日の総合経済対策におきましても、円高メリットの早期還元、こういう観点から項目を立てているということをしたわけでございます。  一般論として申しまして、円高というのが対外不均衡を是正する上にどうしても必要だと、ある程度の円高は必要だと、こういうことなら、そうした円レートの水準に適応できない分野というのはやはり転換をしなければいけない。ただし、転換をするに当たりましては、政府経済政策としては内需中心の適度な成長率、これを実現する必要がある。内需中心の適度な成長率の実現を通じまして、その過程で新しい分野へ転換をしていっていただく、そのための助力もすると、そういうことであれば、転換の痛みというものも軽減しながら新しい前提条件、新しい外部条件日本経済の置かれております条件に適応できるような産業的な体質と申しますか、産業構造に転換ができるのではないか。確かに、痛いところ、マイナスの部分というのはあるわけでありますけれども、物事には必ず影があればその影の前提として光があると、こういうふうに考えて政策を打つべきではないか、こういうふうに考えている次第でござい ます。
  105. 木本平八郎

    木本平八郎君 確かに、洪水だって、あのナイル川のはんらんだって、あれによって塩分が流されて非常に土地がよみがえるという効果もあるし、確かに円高もあると思うんです。ただ問題は、これだけのスピードではんとアタックを受けていると円高メリットがあらわれるまでもつかどうかですね。  そこで私は、今非常に円高中小企業対策を初め、あちこちの悲鳴が聞こえてくるんで、対策対策ということが先へ来ているわけです。しかし私は、まずもってどういう状況になるのかという想定の方が大事だと思うんです。  私は、ぜひ経企庁にお願いしたいのは、産業連関的に、コンピューターでどういうふうに分析したか知りませんけれども、百六十円でこれが続くと一体どういうことが起こってくるかですね。先ほどのように、内需を拡大するのはいいんだけれども、鉄骨やセメントが皆外国から入ってきてどんどん日本では失業がふえるだけだということ、これもある程度までは耐えなきゃいかぬと思いますよ。しかし、そういうことをまず作業していただいて、その上で政府対策を講じていくということが必要なんじゃないかと思うんです。それでないと、ただ単に臨床的にやっていたんじゃもう追っつかない状況があるんじゃないか。  したがって、私は、これは先ほどから臨時国会とかなんとか絡んでいろいろ話がありますけれども、そんな次元じゃなくて、もっともっと大きな観点から本当に本腰を入れて政府も国会も取り組まなきゃいかぬ問題だと思うんです。したがって、経企庁のそういう一つの絵ができた段階で、それも早く急いでもらわなきゃいかぬですよね。しかし、そこで本気になってこれに取り組まないと、楽観的なことでやっていたんじゃえらいことになるんじゃないかと思うんですがね。最後に大臣の御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。——それじゃ福川さんお願いします。
  106. 福川伸次

    政府委員福川伸次君) 御指摘のように、円高というのはいろいろな影響があるわけでございまして、私どももこれが産業界にいかなる影響を及ぼすべきかという点には大変関心と懸念を感じているわけでございます。それがためにも、やはり内需の拡大ということが非常に重要なことになるというふうに感じております。  今御指摘のように、洪水になって長いことつかってはもうどうしようもないと、円高メリットが出てくるまでもつかどうかという点は確かに重要でございまして、そういう意味では、まずとりあえず対症の療法をしながらも、長期的にはやはりある程度黒字を減らすための構造的な諸問題、内需を拡大する、あるいはまた、ある程度国際分業を進めていく、こういう形で日本の持てる潜在成長力をなるべく発揮させる形でこの問題に取り組んでいかなければならないし、また円高メリットがうまく還元できるような形に経済運営をすべきことでありまして、私どもこの大変急激な円高というのは重要な問題であるという点は先生の御認識を率直に拝している次第でございます。
  107. 木本平八郎

    木本平八郎君 終わります。
  108. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  109. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) これより請願の審査を行います。  第二号国鉄駅施設に建設される大型小売店出店規制に関する請願外二十九件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一一九号中小企業下請企業に対する円高緊急対策に関する請願外四件は採択すべきものにして、内閣に送付するを要するものとし、第二号国鉄駅施設に建設される大型小売店出店規制に関する請願外二十四件はいずれも保留することに意見が一致いたしました。  以上理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  112. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  115. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会      —————・—————