○国務
大臣(
渡辺美智雄君) この差益還元問題というのは、予算
委員会中もいろいろ出まして、至急に還元しろというお話がありました、もう四月からでもやれと。しかし、私といたしましては、四月からということになると、石油の値段も二十七ドル、二十八ドル近い、二十七ドル七十七とか五十
幾つとかいうような数字であって、全体的に見て石油の値段はもう少し落ちるんじゃないかという私は一つの見込みを持っておりました。ただ、円もこれは幾らになるか全くこれこそはわからないんですけれ
ども、円高傾向で進んでいるという
認識に立ちますと、余り早く還元をやってしまえば、とても先の見通しなんというとわからぬわけですから、過去の実績、直近の二カ月とか三カ月の実績を基礎にしないと、何を基準にしてそういう数字を出したと言われたときに、それはいいかげんに出しましたと言うわけにはいきませんので、やはり過去の実績で出さざるを得ない。そうすれば還元幅が非常に小さくなってしまう。
そこで、うんと今度は延ばして、八月とか九月というときまで待つということになると、これは政治的にもたない、さあ早くまけろ、早くまけろ、こう言われましてね。それも適当ではないという
考え方から、早くやれという人からは遅いというなにが出ますけれ
ども、六月一日の検針から実施をするというのが大体いいじゃないかと。そうすれば世界の方向もおおよそ、
サミットも終わって大体もうある程度見当がつくんじゃないかと。もともとそう考えておったんです。
そこで、結局は為替レートをそれじゃ幾らに見るということでありますが、これは先行き幾らになるなんということで見るということは不可能なわけです、実際、だれも
責任持てる人は一人もいない。したがって、これは機械的に過去三カ月間の平均をとった。そうすると百七十八円という数字が出たというだけであって、きょう現在の為替レートなんというのは、こんなものはすぐどっちへ動いちゃうかわかりませんので、
責任が持てない。だから、
説明がつくのには、過去三カ月平均をして、安定したとすればこの程度だということは一つの
説明になる。五カ月にすればもっと、二百円とかになっちゃいましょうが、それも困る、したがって過去三カ月というふうに見たんですよと。
それから、石油価格はこれもごく最近まで見ておるわけで、二カ月間の平均にしたんです。三カ月にしますと高くなっちゃうんですよ。石油価格は現実にもう安い方向で大体来ておりますし、少しはね上がっておりますが、一年ぐらいはそんな急激に上がっちゃうということもないんじゃないかというのが世界の常識ですから、したがって二カ月平均で見るということにいたしまして、十九ドルという見方にしたわけであります。手持ちで高いやつもあるんですよ、あるけれ
ども平均で十九ドルと。
それから、ここの中で見ていませんが、LNG、天然ガスですね。天然ガスはいまだに値下げになっていないんです、買っているものは。二十七ドルなんです、石油換算にいたしましてね。しかし、これはインドネシアの
大臣などとも話して、あそこから半分買っていますからね。そんな、長期
契約で決まっているんだと言われても、少しはまけてくれよと。向こうは、石油が三十二ドルだ、スポット四十ドルのときはこっちは二十七ドルで売ったじゃないかと、だから石油が下がったからといったって、長期
契約なんだから、それだったら、じゃ上がったときに上げていいのかという話にすぐなってくるわけですね。それは理屈はそうだけれ
ども、当分そんなに上がるはずないんだし、需要が減るのだからまけてやってくれという話を私らもしまして、電気
会社とは交渉いたしましているんですが、まだはっきりした安い価格でというところまでいってない。
しかしながら、これは石油が十九ドルなんだから、今買っている二十七ドル足して二で割って、二十三ドルというぐらいのところで、まだ下がってないんですよ、下がってないんだけれ
ども、大体二十三ドルぐらいまでは下げるという大体ニュアンスをつかんでおりますから、これはかなり、こいつはちょっと見切り発車で無謀だと言えば無謀なんですよ。現に二十七ドルで買っているものを何で下げた値段で計算するんだと言われたときには、私も本当に下がらなかったら立ち往生になっちゃう。
そういうようなこともございますから、円レートでは今六十五円ということならまだ十円幅があるじゃないかとおっしゃいますが、十円ぐらいのものはどっちへ転ぶかわからない、正直な話が。片っ方では高いものを安く見込んじゃって見込み発車しているということになると、ある程度の安全係数を持たないとそれはもう危なくて、認可した以上私の今度は
責任ですから、それはでき得ませんよ、実際は。したがって、いろんなこういう御
議論もございましょうが、安全係数を見込みまして、今のような価格で電気
会社にものんでもらって申請どおり認めるということにしたわけでございます。
今後さらに、石油が大幅にどおっと下がっていくとかなんかすることがあったり、円がもっと強くなってと、それは困るわけですからね、日本にとっては円がこれ以上強くなることは。だから、円がうんと強くなることを見込んじゃってなんてわけにはいかない、実際のところ。もう少し安くなってもらいたいというのが
国民感情ですから。ですから、まあことし一年はこれでやっていただく。そうしてまた来年は来年で、世界の情勢がどう変わるか知りませんが、そのときにはもう一遍見直しをどっちへ転んでもせざるを得ないということで、とりあえず一年の
措置ということで料金をきのう認可したわけでございます。