○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、
労働者災害補償保険法等改正案に反対の討論をいたします。
政府は、五十五年に主に財界の要望に沿って、民事賠償分を労災年金から減額調整する改悪を行いました。財界は不遜にも、さらにこの調整幅の拡大や老齢年金との減額調整まで主張し、残念なことに、財界のこの要求が今後の
検討課題に上るに至っています。
本改正案は、
労働者の給付改善要求はほとんど無視され、財界の労災保険制度を根本的に転換しようとする意図の線上での経過的な改定と言えます。
この際、
政府に厳重に警告をしておきたい。そもそも事業主は、労働災害被災
労働者とその家族の生活を全面的に補償する責務を負っているのであります。これが労災保険制度の原則であり、したがってその給付
水準は、賃金
水準や国民生活の向上を反映したものに改正されるべきものであります。この労災保険制度の基本的性格から見て、
今後は安易に財界要求に屈服されないよう注意を促しておきたい。
以上が、私が本改正案に反対する総論的な理由であります。
各論的には、まず、年金給付の最高限度額の
新設であります。最低額の引き上げを見返りに最高限度額を設けることは、先に述べた労災保険の本旨から見ても、現実に高齢被災
労働者と家族に与える打撃は大きく容認できません。
次に、被災
労働者が収監された場合、休業補償を打ち切ることとしますが、これは運輸
関係労働者に与える
影響は大きく問題であります。
また、本改正案では、未加入零細事業主に百罰一戒的な保険給付の一部を徴収することとしていますが、この改正は、小規模事業主の実態を無視したもので、零細事業主に過酷な負担を強いることになります。小事業主の理解と協力のもとに加入促進を図る
行政努力を先行さすべきであります。
以上の理由により、本改正案に反対であります。
私は、重ねて
政府に、特別支給金の充実や最低保障日額の引き上げその他保険給付の改善に努力されんことを強く要望して、反対討論を終わります。