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政府委員(中村守孝君) 先生御指摘のように、高
レベル廃棄物の最終的な処分のために、その形態といたしまして現在ガラス
固化技術というのが世界的に開発が進められ、もう既にフランス等においては実用に供されておるということでございます。この技術につきましては、最終的な地層処分との関連においてよりよい技術が出てくれば地層処分の方法が楽になる、こういったようなこととの関連におきまして技術というものはどんどんいい技術を生み出していくということは必要でございます。
そういう
意味で、シンロックの技術につきましても、日本としてもオーストラリアと協力して取り組んでおるわけでございます。現在既にガラス
固化技術につきましても、一応最終処分するにつきましては十分な適合する技術であるという認識が国際的にも確立されておるところでございます。このガラスにつきましては、多種類の元素を均一に溶かし込んで内部に封じ込めることができるという特性を有しておりますし、過去のいろいろな遺跡からもガラス製品が発見されておることでもわかりますように、長期間にわたって非常に安定な物質でございます。それから過去人類がガラスの製造技術というものにつきましては非常に長い歴史を有して、技術的にも完熟度が高いというようなことから、この高
レベル放射性廃棄物の
固化に使うのに非常に最適なものではないかということで、各国ともこの技術の開発を進めてまいりました。
ガラスと申しましても材料はいろいろあるわけでございますが、化学的にも非常に安定性にすぐれた硼珪酸ガラスというものが世界的にも使われておるわけでございます。この硼珪酸ガラスというのは、いわゆる試験管とかビーカーとか化学実験、いろんなものに使われるように、非常に薬品にも強い安定したガラスであるわけでございます。ガラス
固化技術につきましては、既に国内的には動燃
事業団を中心にして研究開発を進めてまいりまして、いわゆる放射性のものがない状態での模擬
固体、これは成分は全く同じでございますが、そういったものでは実物大での実験も全部済みまして、実際の
廃液を使ったもので現在最終的な
確認作業をやっておるところでございますし、安全性の点、例えば放射線に対するガラスの変化がどうなるかというような影響等につきましての安全性の面については原子力研究所でやっておるところでございまして、動燃
事業団におきまして近くガラス
固化のためのプラントも建設する予定にいたしております。
一番進んでおりますフランスでは、我が国の場合と異なりまして、異なるというのは加熱方法が異なるだけでございまして、ガラスの
内容とかそういったものは同じでございますが、そういったものをマルクールの再
処理工場において既に実用いたしておりまして、一九七八年以来既に約千二百本のガラス
固化体が製造された実績がございますし、こういったものを踏まえて、現在ラアーグに建設中の再
処理工場におきまして大型のガラス
固化プラントを建設中でございます。それからこの技術は英国にも導入されまして、英国でもこの技術を用いたセラフィールドの再
処理工場、大型の工場を今建設中でございますが、これにも同種のものをつくる予定でございます。また、西ドイツでは我が国と同じような加熱の方法でやっておりまして、これはベルギーと共同で開発いたしております。既にこの方式によりますがラス
固化プラントがベルギーのモルにございます再
処理工場において建設され、昨年十月からホットの運転に入っている、そういうような
状況でございまして、世界的にも技術的に確立されている
状況にあるわけでございます。
一方、シンロック
固化法につきましては、チタンとかジルコニウムというような酸化粉末と高
レベル廃液を仮焼きしまして、仮焼といいますが、仮焼した粉末のものを一緒に混ぜまして高温で圧縮焼結する、いわば人工的な岩石をつくってしまおう、こういう種類の技術でございまして、
固化体の浸出率とか長期的安定性という面にすぐれている性質があるわけでございますが、一方では結晶質ということになるわけでございますので、それを構成する
核種の組成が変動した場合に安定性があるかどうかというような難しい問題もございまして、現在基礎的な研究の段階にあるわけでございます。我が国の原子力研究所とオーストラリアの原子力
委員会の研究所との間で基礎的な研究を進めているところでございます。