○伏見康治君 私の前に発言されました同僚議員、
岡部君それから稲村君の御発言と似たようなことを私考えておりましたので、それについての御質問をまず申し上げて、それから自分自身の質問の領域に入っていこうかと思います。
岡部君は評価の問題を議論されたわけでございますが、評価の議論というのは大変大事な問題でございまして、ぜひとういう仕組みがいいか大いに
検討をしていただいて、いろいろやっていかれないと困る時代に私は入っていると思いますね。つまり、高度経済成長の
段階で国費が
相当ふんだんにあるという時代にはいろんな
開発プロジェクトがある、
相当大きな度胸でおやりになってよかったと思うんですけれども、これだけ大蔵省のお金が赤字続きであるということになりますというと、そうあったに
研究開発プロジェクトを打ち出すわけにいかなくなっているわけです。今のところは既存のプロジェクトを維持すあだけで辛うじて賄っているといったふうな感じさえ受けるわけで、新しいプロジェクトを打ち出すことさえできなくなっているのじゃないかと思うんですが、それだけに、今継続しているプロジェクトを適当に打ち切るべきか、新しいプロジェクトをさらに出していくべきかといったようなことで、プロジェクトに対する評価の問題というものは昔よりはるかに深刻な問題になっていると思うんですね。ぜひその方面で
科学技術庁が何か具体的な方策を打ち出していただきたいと思うんです。
きょうちょっと申し上げてみたいと思ったのは、そういう評価システムの背後にあるべき批判精神というものですね、それをもう少しいわば奨励していただきたい。
こういうことを申し上げて
関係者の方には御迷惑かと思うんですが、何年か前、まだ国
会議員にならずに学術
会議の会長をしておりましたときに、先ほど話題に出ました「プロメテウス」の編集者に頼まれて作文をしてことがありますが、それは
科学技術庁のいろいろな政策に対する批判を書いたんですね。ところが、その批判がいささか強過ぎたと見えまして、編集者が謝りにこられまして原稿を返却していただきました。私は非常にラジカルな人間ではございませんので、それほど悪口を書いたつもりはないのですけれども、批判的なことを書いたために没書になったという経験がございます。あの「プロメテウス」というのは多分
科学技術庁が面倒見ておられるのだと思いますので、その辺のところは評価問題の
基礎になるところだと思いますので、ひとつ
改善していただくようにお願いいたしたいと思います。
なぜしかし批判精神が、お互いにすぐ隣の人がやっていることを批判するということが空気として余り醸成されていないんですが、
科学技術会議に出ておりましたときに二、三の方とその点について議論をした経験があるのですが、そのとき、どうしてそういう批判精神が表に出てこないのかということがよくわかりました。それは、お互いに競争するプロジェクトがあるといたしますと、当然Aというプロジェクトの人はBを批判する、BがAを批判するという形になるんですね。そういう批判の声が出ると、大蔵省はどっちもだめだと思って両方に
予算をつけなくなる、こういう思想がある。
ですから、
河野長官にお願いいたしたいのは、批判精神というものは健全なる選択をするための必要な土台であって、そのプロジェクトが悪いという意味ではないだということを大蔵省のお役人にひとつ説得をしていただきたいと思います。皆さんは
予算がなくなることを非常に恐怖を持って見ておられますから、大蔵省の目を見ながらいつも物を言っておられるという感じがいたしますが、そういうことが気兼ねなしに物が言えるような、そういう雰囲気を
河野新
大臣に大いに醸成していただきたい、こういう注文をいたしたいんですが、
大臣の御所見いかがでしょうか。