運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-04-17 第104回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月十七日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  四月十日     辞任         補欠選任      内藤  功君     小笠原貞子君  四月十四日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     橋本  敦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴岡  洋君     理 事                 江島  淳君                 吉村 真事君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 梶原  清君                 倉田 寛之君                 高平 公友君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 橋本  敦君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  三塚  博君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        運輸省地域交通        局長       服部 経治君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定都市鉄道整備促進特別措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  特定都市鉄道整備促進特別措置法案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 安恒良一

    安恒良一君 きょうから審議に入りますところの特定都市鉄道整備促進特別措置法案目的は、前回もお聞きをしましたのでありますが、「大都市圏における鉄道輸送需要の増大に対応して、都市鉄道輸送力の計画的な増強を促進することにより、都市鉄道利用者の利便の向上を図り、もって大都市機能の維持及び増進に資することを目的にする」こういうことの御提案でありました。  まず私は、大都市圏交通体系あり方ということを抜きにして、この法案議論をすることはできないと思うわけであります。  そこで質問をいたしたいことは、大都市圏における交通体系あり方、特にこれは首都圏といいますか、それから関西圏中京圏等々の、三大都市圏とこれは俗に言われているんでありますが、こういうところの当面二十一世紀に向けての交通体系あり方について、どうお考えを持たれているのか、またどうしようとされているのか、そのことについてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  4. 服部経治

    政府委員服部経治君) 大都市圏におきましては、先生承知ように、都心業務地と郊外の居住地の間に毎日大量の旅客流動が発生するという実態があるわけでございまして、そういった大都市特有交通実態に適切に対応してまいりますためには、どうしても鉄道あるいはバスといったよう大量公共交通機関というものを適正に整備して、そういった旅客流動実態に対応していくことが何よりも肝要であろうというふうに考えているところでございまして、私ども二十一世紀に向けまして、さらに増大することが予想されます。そういった大都市圏における旅客流動への対応を図るために、今申しましたよう都市高速鉄道中心とする大量公共交通機関整備をさらに積極的に進めてまいりたい、そういうふうに基本的に考えておるものでございます。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 どうもお話が抽象的なんですが、例えば五十六年七月六日の運政審答申の「長期展望に基づく総合的な交通政策基本方向」という中で、大都市圏問題が提起をされていますね。  要約しますと、国鉄私鉄地下鉄建設、改良を進め、軌道系中量輸送機関バス等がこれを補完する大量公共交通中心交通体系整備しろと、これが基本方針だというふうに答申をされているわけでありますが、これを受けて、あなたたちは今私が申し上げた首都交通圏中京交通圏京阪神交通圏をどうしようとされているのですか。  さらに私は、できれば今日現在のことだけでなくて、二十一世紀に向けて、二十一世紀といってももうあと十五年なんですから、これに向けてどのようにこの三つの圏の今交通体系整備をしようとされているのか、お考えを聞かせてください。
  6. 服部経治

    政府委員服部経治君) まず、東京圏につきましては、これも先生承知のことでございますが、昨年の七月に運輸政策審議会から、二十一世紀入口であります昭和七十五年を展望いたしましての都市鉄道整備に関する長期計画というものの御答申をちょうだいしたところでございます。  この答申の内容でございますが、今後十五年間にさらに五百三十キロの鉄道新線整備及び主要幹線複々線化等首都圏の中で進めるべきであるというふうにされているところでありまして、私どもこの答申を真剣に受けとめまして、現在その答申実現化のためにいろいろと具体的な勉強あるいは実際の各地域との話し合い等に入ってきたところでございます。  それから大阪圏につきましては、昭和四十六年に答申のございました当時の都市交通審議会の十三号答申に従いまして、現在まで都市鉄道整備を図ってきているところでありますが、既にその答申が出ましてから十五年以上を経過しているというようなこともございまして、改めて近い将来にそういった問題の見直しという形の勉強をしてまいらなければならないというふうに考えております。  また、中京圏につきましても、地元からそういった中京圏における都交審都市交通審議会答申見直しについての要望も日増しに強くなってまいっております状況もございますので、大阪圏に続きましては中京圏といったような順序で、今後に向けまして勉強を深めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 いや、勉強するばかりじゃ困るわけで、勉強してもらわなきゃいけないんだけれども、具体的に少し言ってもらいたい。というの は、大都市圏における旅客輸送交通機関別シェア一覧表昭和五十九年度を私は資料要求して、いただきました。  首都圏中京圏京阪神圏、三大都市圏国鉄分野民鉄地下鉄路面電車バスハイ・タク自家用車ということになっていますね。このシェアをいわゆる二十一世紀である昭和七十五年には、このシェアはどういうふうにこれを変化させようとするのかと、それと同時に、それに対応した交通機関をどうするのか、この青写真がないと、勉強しています、勉強していますじゃひとつもわからぬわけですね。やはりそういう青写真がありながら、そこできょう提案をするよう法律もその一助でありますという説明ならわかるわけですから、だから私はきのう資料要求のときに、昭和五十九年度の交通機関別シェア一覧表のほかに、七十五年を想定した三大圏旅客輸送交通機関別シェア一覧表をもらいたい、こういうこともお願いをしておったんですが、それを含めて説明をしてみてください。
  8. 服部経治

    政府委員服部経治君) 先ほど来私、大都市圏におけるあるべき交通体系の姿というのは都市高速鉄道中心としたそういった大量公共交通機関中心の効率的な交通体系整備することであるというふうに申したわけでございますが、現実は遺憾ながら、自家用乗用車あるいはトラック、そういった自動車交通の目覚ましい進展によりまして都市圏道路交通は大変に渋滞、混雑を生じておりまして、環境問題に特に配意しなければならない、あるいは都市空間の制約の強い都市圏においてさまざまの交通問題にかかわる幾つかの問題が深刻になってきている現状があるわけでございまして、私ども、そういった自家用車を利用している多くの利用者方々を何とか鉄道バスといったよう大量公共交通機関利用方向にこれを誘導してまいらなければならない、そのためにも受け皿である鉄道なりバスなりの効率的な輸送体系というものを早急に整備していかなければならないというふうに考えておるわけであります。  ところで、数字の話でございますが、首都圏につきましては、先ほども申しました運政審答申をちょうだいするまでの過程におきましていろいろと勉強がなされてきているところでございまして、例えば東京圏人口というのは現在の二千九百七十万人から昭和七十五年には四百万人ふえまして三千三百七十万人になる、そういう人口伸び及び外延化がさらに強まるといった傾向を反映いたしまして、東京都区部に毎日流入してまいります通勤通学人口というものも現在の二百六十万人からさらに八十万人ふえまして三百四十万人程度になる、この伸びはざっと三〇%であります。その流入人口の九割の人たち鉄道を利用することになるであろうといったような将来の人口動態変化流動実態変化が想定されているところでございまして、私ども東京圏におきましてはさらに鉄道シェアが私どもが期待しているように順調に伸びていくであろうし、そういう下地がありますし、またそういう方向に私どももいろいろな政策手段を通じまして誘導を図っていく責任が大きいというふうに考えておるわけでございます。  なお、大阪圏あるいは中京圏につきましては、先ほどもちょっと申し上げたわけでありますけれども、こういった東京圏勉強に引き続きまして、これら大阪圏中京圏につきましてのそういった面での勉強を今後に向けて深めてまいりたい考えでございまして、当面、現在の先生のお手元にございますシェアがどうなっていくであろうか、あるいはどういうところまでこれを持っていくべきであるとかといったような具体的な数字にわたってまでの御説明はいたしかねる状況があるわけでございます。
  9. 安恒良一

    安恒良一君 どうも大臣、私は今のやりとりを聞いておってちょっと納得ができないのは、なぜかというと、五十七年の七月六日の「長期展望に基づく総合的な交通政策基本方向」という答申でいろいろ大都市圏の問題を触れられています。さらに東京の場合は、今局長も言われたように昨年の七月十一日、運政審答申で「東京圏における高速鉄道中心とする交通網整備に関する基本計画について」というのが出ているわけですね。そういうのが出ておりまして、私の手元には昭和五十九年度のシェアだけは来ています。例えば国鉄が全体の輸送量の二三・一、民鉄が二二・九、バスが一一・七、ハイ・タクが四・八、自家用が二四・六とこういうふうになっている。これは中京圏京阪神交通圏も五十九年度のシェアはあるわけです。  ところが、このシェア昭和七十五年の二十一世紀にはどう変わっていくのか、またどう誘導していこうとしているのかというのがなけりゃならぬ。でないと、どうも運輸省政策中心の省に変わったと言いながら、今度出された法律を見ると、私は中身賛成ですよ、賛成ですが、何かその場その場の場当たり的な感じがしてならないんです。なぜ場当たりかということはこれから議論をずっと深めていきますが、だからもう少し、もう世界日本だとこう言って中曽根さんも胸を張って、世界経済の一割以上を我が国が負担をしていると言うほど対外的にも大見えを切られている時代ですから、国内的にも十年や十五年先の展望があって、そしてそれに基づいた誘導政策というものがないと私はやっぱりだめだと思うんです。  その意味から言うと、抽象的に、大都市には人がふえます、そこでできるだけ鉄道軌道公共バス誘導しますと、それだけの話ですよね。じゃあ本当に今言われたようなことで、例えば自家用東京における、首都圏における二四・六というのがだんだん減っていくのか。中京交通圏では自家用ウエートが五七・五%ですよ。これが減っていくのか。減っていくというなら、減らすためにはこういう政策をやるんだということを言われないと、とにかく鉄道に乗ってもらいたい、バスに乗ってもらいたいだけ言うとったって乗ってくれないんですよ。こういう政策をやるから鉄道にうんとお客が来るようになりますよとか、バス公共交通機関としての役割を果たしますよというものをお出しにならないと、私はそれはこの法律によって複々線化を進めることは反対でありません、賛成ですが、しかしそれだけでは問題は解決できないんですよ。  だから私が今聞こうとしていることは、二十一世紀に向けて大都市圏における旅客輸送交通機関別シェアをどのように変えて、局長が言ったよう鉄道バス中心に、いわゆる公共交通中心にしていくその施策、方法論についてどうか、それが大体見通しとしてどうなるのかということを聞いているわけです。例えば今おっしゃったよう鉄道ウエートがふえてくれば、それならば東京の場合には自家用車ウエート二四・六は何%まで下がりますとおっしゃって初めてわかることなんですが、そういうものについてどうなんですかということをお聞きしているんです。どうですか、そこは。
  10. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大変的確な御指摘をいただいたわけでありまして、運輸省もその辺のところの見通しをどうするかということで作業を行っておることも事実であります。  お示しをいたしましたのは五十九年のシェア一覧表と、こういうことでありまして、このシェアにございますように、大都市交通として国鉄民鉄、そして地下鉄バスと、こういうことが主力になって市民の足の確保、都民の足の確保通勤通学確保ということが図られなければなりませんのは御案内のとおりであるわけでありますが、残念ながら、大阪圏中京圏に見られますように、ただいま御指摘の五七・五が自家用でありますと。大阪圏も三〇・二%でありますと。東京が二四・六と言っておりますが、これはもっと上がっておると思います。年々この傾向は高まればこそ少なくなるということは、今日ただいまのままでおりますればさように相なるであろうと、こういうことでございまして、この見通しは的確に実は運輸省としても持っておるところであります。  しかるがゆえに、今回まず一つ手段として、私鉄がその運営しておる地域地域鉄道として、 投資しようにも膨大な投資でどうにもならぬということの中で、今日準備金制度というものを立てさせていただきながら、私鉄の果たすべき分野において、まず複々線化へお取り組みをいただこうと、こういうことであるわけでありますし、さらに地下鉄につきましても、公営企業としての役割という意味で、本件についても果敢に取り進めていかなければならないのではないだろうか、こういうことであります。  問題は、今度はバスをどうするのかということであります。ハイヤータクシーも補完的にあるわけでございますが、バス路線、三大圏では大変混雑のきわみで前に進めない、バス機能が果たせない、こういうことでシェアが落ちてきていることも事実でありますから、このシェア鉄道で、私鉄また国鉄、今度は国鉄からまた私鉄と、こういうことに法律が通らさしていただきますれば形態が変わるわけでありますが、全部ひっくるめて鉄道という意味でこれを主力として進める、と同時にバス主力として進めると、こういう両両相まった形の政策をどう果敢に取り進めていくべきだろうかと。こういう点で地方局運輸省全体としていろいろな勉強をしておりますが、私は一つ勉強として、やはりラッシュ時における自家用車のそれぞれの通勤センター東京都は副都心と言っておるわけでありますが、そういう通勤通学センターに向けての制限というものはあり得ないのであろうかと、あってもよろしいのではないだろうかと、私権との関係がございますけれども。そういうことをやはり一つ研究課題としつつ、オーソドックスにはやはり鉄道整備バスレーンバス路線確保と、こういうことについて全力を尽くしていかなければならないだろうと、こう思っておるわけでありまして、ただいま東京の将来の見通し、七十五年の見通し局長から言われましたが、大阪中京圏についてはいまだそのことは、それは的確な数字はございませんと、こう言っておるわけでありますが、傾向は把握をいたしておるわけであります。  特に大阪圏、先般いろいろ大阪方々お話を、地交局長一緒でありましたが、やはり大阪圏の、名古屋圏も含めてでありますけれども、特に大阪圏ということでこの間懇談した観点から申し上げますと、    〔委員長退席理事矢原秀男君着席〕 運政審大阪交通圏に関する交通部会を設定しまして、これで真剣に都市圏交通はどうあるべきか、こういうことで検討いただき、答申を得て、それに基づいて政策を進めていかなければならぬ時期に来たということだけは言えると思います。そういう点で今後取り進めてまいりたい。  具体的な点は、また局長からお答えをさしていただきます。
  11. 安恒良一

    安恒良一君 こればかりやっておるわけにはいきませんから、私からも逆に提起をしておきたいと思うんですが、鉄道については今おっしゃったような形でこれからもこの議論を深めていく形で、鉄道ウエートを高めるための方策を、いろいろ既成路線それから新線建設を含めてやらなきゃならぬと思いますね。  それから、やはり大臣もちょっと触れられましたように、大都市圏における自家用あり方については、もう思い切って少しお互いが考えるところに来たのではないか。例えば名古屋では道の真ん中にバス専用レーンをつくって非常な効果を上げてますね。そういうようなことを東京大阪で取り得るのじゃないか。これはもちろん道の幅にもよりますけれども、非常にやっぱり広いところあるわけですから、そういうことのいわゆる専用レーン的なもの。  それから、諸外国ではいろいろな知恵を働かしていますね。例えば、まあこんなことが思い切ってできるのかどうか知りませんが、東京であったら環七というのがあります。環七までは自家用で来ると。あそこに安い公営地下駐車場をつくって、環七から内部は自家用乗り入れ制限する。これはニューヨーク型であります。それから、いわゆるモスコーならモスコーは、今度は逆に大型トラックの昼間乗り入れ制限をしているとか、シンガポール型とか、諸外国ではいろいろな英知を傾けて大都市圏におけるところのいわゆる住民の足を確保するための自動車に対する制限というのを、いろいろ、それぞれのお国なりに工夫をしているわけですね。  ところが、日本の場合は専用レーンというのがまあ一つある程度。今まではどうも運輸省はこのことについて及び腰なんですよね。これは運輸省だけじゃなくて警察庁、それから建設省、関係省ありますから、みんなで相談しなきゃならぬけれども。  しかし、私は、このままでいったら大都市はどうにもならなくなるんじゃないか。都市機能そのものが危なくなるだろうし、さらに、いわゆる交通公害空気汚染、そんなことがありますから、私は、ぼつぼつ自家用あり方について、例えば地方都市なんかでは、これは日本でもやっているんですが、ある都市でも都市入口で、一人で一台通勤してくる人はできるだけ遠慮してもらう。自家用で市内に入られるならば二人、三人一緒に入ってもらいたいと、こんなことを市条例として試みにやったのも日本にもあるわけなんですから、ですからそういうような問題について、やっぱり運輸省が音頭を取って、関係省との間に大胆な打ち合わせをやるということがないと、私は鉄道中心大都市圏交通をかなり賄っていくということは賛成ですよ。賛成ですが、どうしてもそれだけではだめなんですね。バスやハイタクというのがやっぱりそれを横につながないといかぬ。  特に、日本鉄道、例えば東京なら東京の場合はやはり放射線状にできているわけですね。それぞれの、埼玉、千葉、神奈川、山梨に向かって東京鉄道というのは、まあ山手線というのはありますけれども環状線というのは非常に少ないわけですね。大阪の場合でも、いわゆる大阪環状線国鉄一つあります。あとは全部放射線状私鉄なり国鉄が入ってきていると、こういうことでありますね。  そうすると、これを環状的につなぐのにはやはりバスとかハイヤータクシーの補完的なものがないと。もちろん環状鉄道建設というのも一つのやり方です。環状的に鉄道を、新線を建設していく。しかしながら、これは膨大な経費がかかりますからね。そうすると、現在あるところの道を十分利用しながらやれるとすれば、これはやはりバスハイヤータクシーというものが補完的に足を守る。それがためには、ある一定の区間において自家用の使用が不便になるということは国民経済観点から考えても私はもう考えるべきところにきていると。  ですから、これ以上これで時間とるともったいないですからもうやめておきますが、私は、そういう問題についてぜひ前向きに取り組んでもらいたい。でなければ本当の意味のいわゆる大都市圏における旅客の迅速にしかも安全で快適にという交通確保が非常に難しくなるんじゃないかという感じがしますから、この点は意見として申し上げておきます。十分ひとつ大臣局長以下に命じていただいて、今までは率直に言って及び腰なんですよ。抽象的なことだけは立派な答えをここでするわけです。しかし、中身一つもないわけですから、ぜひあれをしていただきたい、こういうことをお願いしておきます。  そこで、交通圏あり方はその程度にしまして、次に、今回の目的は、非常に混雑率が高いところについて、とりあえずこれを複々線にすると、こういうことになっております。そこで、これについても私は資料お願いしておったんでありますが、いわゆる大手十四社の最も混雑している区間における混雑率一覧、それからこれの七十五年における予測、こういうことをお願いをしておきましたが、どういうふうになってますか。資料があるならこの資料と言っていただきゃいいです。
  12. 服部経治

    政府委員服部経治君) 大手民鉄十四社の主要路線の最混雑区間におきます最混雑、一時間当たりの混雑率でございますが、昭和五十九年度の数 字では平均して一八五%でございました。  地域別には若干の差異がございまして、東京地区では平均で一九二%、関西地区では一七七%、中京地区では一七九%というふうになっておりますが、特に東京地区の中で目立っておりますのが東急新玉川線、あるいは小田急小田原線東急東横線西武池袋線等路線ではいずれも今日でもなお二〇〇%を超すという混雑が続いておるわけでございまして、大変遺憾な状況であるというふうに考えております。
  13. 安恒良一

    安恒良一君 一覧表はもう見ればわかりますから、説明をできるだけ簡単にお願いしておきます。これには東京都の地下鉄も出していただいてますが、大体地下鉄もこれもかなりの混雑状況ですね。  それからいま一つは、今度の法律対象予定路線混雑率状況はどうなってますか。
  14. 服部経治

    政府委員服部経治君) まず、首都圏の中で五社六路線というものが、本制度をお認めいただきました場合には、これが本制度にのって複々線化が図られるというふうに考えておりますけれども、それを申しますと東急東横線は二〇一%、東武伊勢崎線は一八三%、東武東上線は一八五%、西武池袋線は二〇一%、小田急小田原線は二〇四%、京王本線は一九二%といういずれも非常に高い混雑率になってございます。
  15. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、いただいた大手十四私鉄状況、それから東京地下鉄、これは営団、東京交通のものを見ますと平均混雑率が大体二〇〇%台、それから一八五%台、それから一五〇%台と、こういうふうに大まかにこれが分けられるように、この資料から私は拝察をします。  そこで、あなたたちは、今回のこの法律に基づいて平均混雑率というやつをどの程度にこれを落とそうとされているんですか。この法律を適用してどの程度に落とそうとされているんですか。その考え方を聞かしてください。
  16. 服部経治

    政府委員服部経治君) ただいま申し上げましたよう大手私鉄主要幹線につきましては、現在そのほとんどが二〇〇%を超すといったような問題のある混雑状況を呈しておるわけでございますが、これを放置しておきますと、昭和七十五年、二十一世紀の入り口あたりの時点では平均的にこれがさらに混雑率が激化いたしまして、二三〇%程度混雑状況、これは昭和三十五、六年当時の混雑状況に逆戻りというような現象を生ずるわけでございます。私どもこういった各線につきましての複々線化を進めることによりまして、そういう現在二〇〇%、将来ほっておけば二三〇%といったよう混雑状況を、おおむね一五〇%から一六〇%あたりにまで大きく引き下げたいというふうに考えておるものでございます。
  17. 安恒良一

    安恒良一君 私はきのう資料要求しておったのは、大手十四社、東京地下鉄平均混雑率、五十九年度の実績とそれから二十一世紀昭和七十五年ぐらいになるとどうなるのかということをお願いをしておったんですが、資料が出てませんね。つくれなかったらつくれなかったでやむを得ないんですが、今局長が答弁をされたのは、当面本法の対象となっている東急、東武、西武、小田急、京王帝都の混雑率、現在でも既に一八〇を全部超えているわけですからね。ですから、それは二〇〇以上になるだろうということですが、ほかのところにおいても例えばいわゆる関西圏であるとか、中京圏であるとか、この平均混雑率がここに出ているのはかなり高いんですね。これもやはり将来は、私は人口の大都会集中ということから考えてくるとふえていくんじゃないんでしょうか。そこはどういうふうに、本来ならここに一覧表つけてほしかったんですが、ついてませんからね。五十九年度の横に七十五年は大体このぐらいになるというものを出してくれときのうお願いしておったんですが、出てませんが、その見通しはどうですか。
  18. 服部経治

    政府委員服部経治君) 大阪圏につきましては、大体現在五社の幹線の平均で一七七%という混雑率でございますが、これは適切な対応が図られない場合には、昭和七十五年時点では恐らく一九五%を超えるよう状況にまでなっていくのではないかというふうに推定をいたしております。  なお、中京圏につきましては、もうひとつデータ不足で、私ども勉強が足りておりませんけれども、現在の混雑率が横ばいぐらいで続いていくんではないだろうかというよう一つの見方も持っておるところでございます。
  19. 安恒良一

    安恒良一君 例えば中京圏、きょう私がいただいている資料では、これやはり平均で一七九ですね。だから、やっぱり一八〇ですよ。それから、九州の場合に、西鉄ですね、これも一七七ですね。そうすると、やはり名古屋中心とする中京圏にしろ、それから九州の場合でも福岡を中心とするところについて、依然としてその周辺における人口の集中というのはどんどん進んでいるわけですね、そのことのいいこと悪いことは別にして現象的に。  そこで、今回はたまたまこの法律のいわゆる適用地域を、本法の適用地域首都圏関西圏に限られているわけですが、これはなぜこの二つに限ったのか。その理由を言ってみてください。なぜ首都圏関西圏だけがこの法の適用になるんでしょうか。混雑率は現在、それは二〇〇と一八〇ということの違いもありますけれども、やはりあなたがおっしゃったように、一五〇に下げたいということなんですからね。一五〇というのはどういう程度かというと、恐らくあれでしょう、立って新聞が読めるかどうかという程度が一五〇。立って新聞が読めるのは余りいいことじゃないんですがね。本当は座りたいんですが、それにしたって今の混雑度合いというのは、とても新聞なんか読める状況には、この一覧表にあるところはどこもないわけですから。どこもない。これは中京でも私のいるところの九州でもないわけですからね。立ってとても新聞なんか読めませんね。ですから、こういうところの混雑率を私はやっぱり落とさなきゃいかぬと思う。それなのに何で、今回は東京と関西だけが対象区域にされた何か特別の理由があるんですか。聞かせてください。
  20. 服部経治

    政府委員服部経治君) 本法の適用対象地域につきましては、本法の第二条に書いてございますように、大都市圏であって政令で定めるものというようなことになっておるわけでございまして、当面私どもまず指定しなければならないと、本法の対象地域に指定をして積極的なかつ緊急の複々線化等の実施を推進しなければならないというふうに考えておる地域はまず東京圏でございまして、それに次いで大阪圏であるというふうに考えております。で、名古屋圏中京圏につきましては、そういった東京圏あるいは大阪圏に準ずるよう状況があるわけでございますけれども、なお将来に向けての鉄道旅客需要の伸びの想定でございますとか、あるいはそういったものを踏まえましての地元の大手私鉄事業者の輸送力増強に対する対応の姿勢でありますとか、そういったものをもっとより正確に把握いたしました上で適当な結論に達したいというふうに考えておるわけでございまして、現在の段階で東京圏大阪圏に限定したというふうな状況ではないわけでございます。
  21. 安恒良一

    安恒良一君 結局今回の法の目的は、大都市圏における鉄道輸送需要の増大に対応して鉄道利用者の利便の向上を図る、そして大都市としての機能の維持、増進に資するということが目的であって、しかもこれを何で見るかというと平均混雑率で見るということになっているわけですね。そうすると、平均混雑率の指標としては二〇〇と一八五と一五〇がある。特にできれば一五〇まで下げたいんだと、こうおっしゃっているわけでしょう。一五〇まで下げたいということになると、いわゆる中京圏とか、例えば九州の大牟田線なら大牟田線というところに一八〇もある場合があればこれはやっぱり一五〇に下げなければならぬわけでしょう。ところがあなたは今度は、なぜあるんですかと言ったら、いや大都市とこういうふうにしたからだと、こう言われるから、名古屋大都市でないのかどうかしりませんが、私は大都市というのはやっぱり政令都市に認定された人口百万以上のところは大都市というふうに考えざるを得 ないと思うんですね。政令都市というのがあるわけですから。それ以外に大都市の定義はないと思うんです。そうすると、政令都市があるところにおいて、いわゆる人口百万以上のところにおいて混雑があるならばその緩和を——あなたの言葉を聞いているとどうもまだ業者が熱心でないからとりあえず熱心なところからだけだというようなことが聞こえますが、それはちょっと聞こえないんですね。むしろ熱心でないところはこういう法律があるからやりなさいと言って指導をあなたたちはすべきであって、民鉄業者がまだ名古屋や九州の西鉄は、帰って聞いてみますけれども、どうも熱心でないようなことを局長言っているんだが、会社は計画ないのかと言って聞かなければいかぬのですが、やっぱりそこに住んでいる住民は混雑率は同じですから、一七〇も一八〇も毎日こんなにして行っておったらやはり複々線にしてもらいたいと思うんですよ、利用者は。当たり前の話です。そうすると、誘導的にそういうところもむしろ門戸を広げる。広げないと、これでいくと、いや実はあの法の適用は東京都と関西だけです、私の方はできませんという言い逃れになっても困るんですよ。そこのところは大臣どうされるおつもりですか。今、私と局長の論争を聞いておられて。
  22. 服部経治

    政府委員服部経治君) ただいま安恒先生指摘ございましたように、確かにこの政令に指定をすることによりましてその地域の輸送を担っております鉄道事業者に輸送力増強に向けての責任感といいますか、社会的な責任を強く認識させるという大きな効果があることはもう本当に御指摘のとおりだというふうに思っております。私の説明はいささかそういった点への配慮が欠けておったかもしれませんが、いずれにいたしましてもただいまの先生の御指摘も踏まえまして、今後に向けてなお早急に政令指定の考え方等煮詰めまして、現状、現実に適切に見合ったものにしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 安恒良一

    安恒良一君 それでは大臣、政令、省令で定めるということなんですから、そのときに十分な御配慮をいただきたい。例えば今回東京大阪をするにしてもやはりその道は開かれているんだということですね。中京圏も九州圏もやがてやるんだとか、そういう道をはっきりしておかないと私はいけないと思う。でないとやっぱり旅客からいったら公平の原則ですよね。たまたま東京関西圏に住んでいる人は一五〇になったけれども中京圏や九州に住んでいる人は依然として一七〇や一八〇の平均混雑率に置かれているというのはこれは公平の原則を欠きますから。私はやはりそういうところは国鉄であろうと私鉄であろうと平均混雑率を一五〇にまで下げる指導というのは常にないといけないと思うんですね。このことを言っておきます。  そこで次に、これは鉄道を対象にされていますから、軌道がなぜならないのかというのは、私は衆議院の議事録を読みまして、一般論の軌道にこれをすぐ適用せいということを申し上げようとは思いませんが、やはり問題になるのは、東京地下鉄はこれは鉄道なんですよね。ところが大阪地下鉄は御承知よう軌道法による。ところが実際は鉄道なんですよね。専用のところを走っている。路面を走っているわけじゃないんですからね。ですから今のところ地下鉄複々線化というのはまだ聞きません。聞きませんが、新線建設に今まだ追われていますね。しかしながら現実に地下鉄も物すごい混雑率ですよ。例えば私は北千住の駅から国会まで昔よく乗ったんですが、物すごいですよ、あの混雑は。それはもう二〇〇%以上なんというものじゃないですよ、ラッシュのときは。私は大阪の場合でもそのことが言えると思います、私も大阪に行ってよく乗ってみますとね。そうすると、将来この地下鉄というものについてもある部分についてはこれは複々線化せざるを得ないかもわからない部面が出てくると思います、全面的じゃなくして。しかも地下鉄の場合は地下ですからいわゆる地上から比べるとまだ、金はかかりますよ、金はかかりますが、やろうと思えばやりやすいのです。いわゆる地上の複々線化というのはなかなか騒音問題なり、土地の買収問題から大変なんですが、地下鉄の場合は下を掘るわけですから、単価は高くつきますが、私から言わせると技術的には複々線化というのはあり得ると思うのですね。全く新しい路線をまた横に敷くよりもしやすい。ところが、この法律で言うと、これ例えば大阪地下鉄はその意思を持ったって軌道だから全然これは適用にならぬわけですね。これは何か特別措置か何か考えるんですか、こういう場合に。地下鉄というもので今軌道法の適用になっているところはこれではどうにもならぬということがあるんです。これはどうなりますか。
  24. 服部経治

    政府委員服部経治君) 大阪市の経営いたします地下鉄軌道法の対象になっておりますことは先生指摘のとおりでございますが、これはその発足当初の特異な経緯によるものであるというふうに承知をいたしております。そのことが今日そのとおりでいいかどうかにつきましても今後に向けて勉強しなければいかぬ問題であろうというふうに思っております。  ところで先生指摘よう複々線化の要請が現実に大阪地下鉄について出てきたというような場合にどうするのかというお尋ねでございますが、私どもそういった事態を迎えるようなときになりました場合には、一つには軌道法につきましてもこの法律の対象にするとか、あるいはそれよりも先に大阪地下鉄につきまして適用法の体系を変えまして地方鉄道法の対象にするとかといったような現実に即した対応を真剣に考えなければならないというふうに思っております。
  25. 安恒良一

    安恒良一君 まあ地下鉄複々線化の問題が将来出てくる可能性あるんですが、そんなときまで待たなくても、あなたたちは、我々は賛成してないのですが、国鉄の民営・分割化法案で地方鉄道法の今度改正を考えられていますね。そのときに一緒にあれが軌道法の適用になっているのがおかしいのですから考えられたらどうですか、そんなときまで待たなくても。東京地下鉄は地方鉄道法なんですね。大阪地下鉄軌道法です。それをそのままほうっておく。幸い今回法案のこれから我々審議に入るわけですが、今まだ衆議院にありますが、その中において鉄道法の改正が出ていますわね。その中で大阪は何か軌道法にしておかないと都合の悪いことがあるんですか。それともそういう要望が大阪側に強いのですか、そこのところどうなっていますか。
  26. 服部経治

    政府委員服部経治君) 都合の悪いことというのは別段ないわけでありますけれども、かつまた大阪市がどうしても軌道でありたいということを言っているわけではございませんけれども先ほどちょっと申し上げましたように、大阪市の地下鉄が発足いたしました当初の経緯がございまして、現在もなお引き続いて軌道法の適用対象になっておるわけでございます。これを一挙に軌道法の対象から外しまして、地方鉄道法の対象鉄道ということにいたします場合には、いろいろと技術面で地方鉄道法と軌道法のいろいろな諸基準も違うというようなこともございまして、具体的な問題が出てくるようにも聞いておるところでございまして、私どもこの問題につきましては等閑視することなく、スムーズに地方鉄道法体系に持ってくることができないのかどうか、早急に検討をいたしたいと考えております。
  27. 安恒良一

    安恒良一君 結局、公営鉄道であろうと営団法であろうと、東京地下鉄は全部これは鉄道法になっているわけですからね。ですから、軌道法と鉄道法で何か税法上の、軌道法の方が国の出す補助金で特段有利とか何かあれば別ですが、私が知る限りにおいてはそんなものはどうも民営といわゆる公営の場合の違いはあっても、ないように思うんですね。そうすると、あとはいわゆる鉄道輸送上の技術上の問題がなと思うんです。ところが、これも現在の大阪地下鉄を見まして、鉄道にすることによって技術上に何か問題が起きるだろうかというと、私は余り考えつかないんです。そりゃ細かいことまで私も技術屋じゃありませんからよくわかりません。しかし、私も鉄道で長く生 活してきた者として、大阪地下鉄とこっちの地下鉄こう見て、どうも片方が鉄道で片方が軌道だというのがどうしても納得できないんです。しかし、今までのいわく因縁が、歴史があったことは知っていますよ。しかし、幸い今回地方鉄道法を全面的に改正されるというんですから、そのときにも、なぜそれをそっと置いとかなきゃならぬかというのがどうも僕はわからぬということを言っているんです。だから、そのときにあわせて、それは何も私が一存で、大阪側の意見も聞かなきゃいけませんからね、これ、大阪交通の意見も聞かなきゃならぬことで、恐らく大阪交通の当局側も、労働組合側も、両方とも鉄道法になったらけしからぬとは言わぬと僕は思いますよ。思いますが、よそのことは余り言うわけにいきませんからあれですが、私はやっぱり大臣ね、せっかく今度地方鉄道法自体を、今までの古いやつを大改正しようということでしょう。それが今回の法律の中の一つとして出てきますからね、そこはひとつ前向きに検討してもらいたいんですが、いいですか。
  28. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今局長も研究すると申しておるわけでございますが、全く御指摘のとおりでありますので、このことは前向きに取り進めてまいりたいと、こう思います。
  29. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ次にまいります。  次は本法と新線建設についてでありますが、これも衆議院の議事録を読んでみましたらかなり議論されているんですが、私はやはりこれからの大都市を進めていくに当たっては、もちろん既存の鉄道複々線化ということも非常に重要でありますね。しかし、それだけではどうしても貯えないということで、新線建設が必要な部面が東京であろうと大阪であろうといろいろもう具体的な話題に上がっているわけですよね。話題に上がっていますし、また一部いろいろある。その場合に、この法律が即なじまないというのは、いわゆるこれは既存の路線については運賃を前倒しにして上乗せして後から返すということですから、なかなか新線建設にはなじまないと、こういうことにこれはなっているわけです。そのことは法律の趣旨から僕よくわかるんですが、しからばこの新線建設も非常に必要なんだから、どういうふうに新線建設については法律的にこれを援助していくのかということがないと、首都圏関西圏においてはいろいろ今新線建設の要望は非常に地域住民から強いわけですね。これはいわゆる私鉄に対する要望も強いんです。それからまた今の国鉄国鉄に対してもやはり要望があるわけですから。それから、御承知ように、今度は関西空港ができれば、どうしてもその関西空港までの足としての新しい路線建設ということもこれ考えられなきゃならない。そういう部面についてどうもこの法律はなじまないということですが、なじまないということだけでは済まない。じゃ、新線建設についてはどういう具体的な積極的な援助をしていくのか、この考え方について聞かしてください。
  30. 服部経治

    政府委員服部経治君) 私どもが本法案をもって御提案申し上げておりますこの準備金制度も、ほうっておいては複々線化ということの事業化が極めておくれる、極めて困難であるといった事態を踏まえての対応でございますけれども、一方新線建設につきましても同様の事情があるわけでございまして、大都市圏におきます新線の建設には、複々線化同様の多額の経費も、工事費もかかりますし、かつ今後整備する新線につきましては、その路線が熟成いたしまして十分な需要が張りつくまでには相当の長年月もかかるといったようなことがございまして、新線建設の長期にわたる採算を良好な状態に維持していくということも大変難しい状況があるわけでございまして、そういったことで、新線建設につきましても事業化が困難な状況にありますことは複々線化等の場合と何ら変わっておりません。  ところで、本法は新線建設には適用されないわけでございますが、今先生指摘のとおり、新線建設の促進を図ることも、それと同等あるいはそれ以上に重要な問題でありますので、私ども線建設の円滑な促進を図りますために、例えば開発利益の還元のための措置でありますとか、あるいは良質の資金をできるだけ大量に新線建設に投入し得る仕組みを考えるとかいったような方策につきまして、運政審答申も踏まえまして、現在鋭意勉強を続けているところでありまして、できるだけ早い機会に個々の問題につきまして成案を得たいというふうに考えておるところでございます。
  31. 安恒良一

    安恒良一君 いや、鋭意勉強しているというのは衆議院の議事録で読んでいる。これも勉強ばかりじゃ困るわけなんでね、衆議院の議事録にも書いてあるわけで、鋭意勉強している勉強しているというからね、勉強ばかりしておったんじゃ、まあ勉強しないよりもした方がいいですよ、した方がいいけれども勉強ばかりでは困るわけでですね。衆議院の中でもかなり私はこの問題が議論されているのは、いわゆる例えば長期低利の資金確保、こういうことは余り勉強しなくてもできますわね、これは、開発銀行その他からこうさせればいいわけですから。やっぱり一番問題になるのは、いわゆる開発利益の還元ということだと思います。そのほかにこの鉄道整備原因者の負担であるとか、鉄建公団の有する諸機能の活用であるとか、運賃のあり方とか、利用者の負担、経営の合理化、公的助成のあり方と、こういうことがありますね。そうすると、ほかの項目の中でやはり私は一番注目しなきゃならぬことの一つは、いわゆる開発利益の還元ということ、それから公的助成のあり方ということだと思うんですよね。そういうところについても、せっかくこの法律を出してやるということであれば、それらについても勉強しているじゃなくて、新線についてはこういうふうにいたしますと、そしてこれによって新線の建設も進んでいきます、一方既存路線複々線化も進んでいきます、ですから、いわゆる乗客の足が十分確保できますと、こういう提起でないと私はいけない。それはなぜかというと、新線建設の場合はもう既に具体的に東京周辺では新常磐線ですか、あれの問題等もいろいろもう出ているわけです。大阪大阪で強い要望なり、それから具体的路線まで名前が挙がっているわけでしょう。それなのに一方は、これも前向きにこれ出されたんですが、私はこの法律に若干の問題点があるけれども賛成ですけれども賛成なんですが、片方の新線の方についてもこうしたい、ああしたいということがあわせて提案をされてしかるべきじゃないかと思いますが、今申し上げた新線建設に当たってのいろんな要素の中の二つですね、いわゆる今申し上げましたところの開発利益の還元という問題なり、公的助成という、ここらについて具体的にどうしようとされているのか、またどの程度進んでいるのかということについて考えを聞かしてください。
  32. 服部経治

    政府委員服部経治君) ただいま先生指摘のございました、例えば開発利益の還元の問題でございますが、これもまた先生よく御承知のとおりでございますが、これは言われ始めてから非常にもう長い年月がたっております。総論は賛成でありましても、各論になりますといろいろな問題がありまして、なかなか煮詰まった結論が得られていないという状況が長く続いておるわけでございます。私どもこういった問題を一般論として議論していくことも確かに一つの方法ではございますが、それは過去の経験で必ずしも豊かな実りにつながらない方法でもあろうというふうに考えまして、実は大変早期建設が強く要望されております常磐新線の建設の具体化を図るという私ども大作業、大きな使命を現に負っておるわけでございますが、この常磐新線の建設の具体化を図るための勉強会の中におきまして——この勉強会というのは私どもとそれから常磐新線が経由し、通過することとなる関係府県の相応のレベルの方々を含めました勉強会でございますが、そういった場におきまして常磐新線の建設主体の問題及びその建設資金の調達の問題ということを現在勉強しておるわけでございます。その問題と今申しました開発利益の還元の具体策の問題を絡めまして現在勉強 しておるところでございまして、そういった具体的事案に即しましてこういった開発利益の還元といったような措置の具体化を図ることが最も現実的な対応策ではないかということで、現在また勉強中という言葉を使いますとおしかりを受けそうでありますが、関係者との間で本当にまじめに勉強を続けておるところでございます。  公的助成の問題につきましても、あわせましてそういった場でお互いの意見を交換しながら一つ方向を見出して、必要があれば、また関係方面へも強く働きかけるというようなことをやってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  33. 安恒良一

    安恒良一君 いやどうも、だんだんお答えになるのかもしれませんが、お話がまだ抽象的なんですがね。  例えば開発利益の還元について関係の自治体なり地域住民との間に、例えば特定の地方税収の一定の割合を特定財源にするというようなことで、もうこれも古くからいろいろ議論されているんですが、固定資産税とか都市計画税の超過課税を行って、その課税分をその自治体で鉄道基金なら鉄道基金というファンドを持つ、そのファンドで鉄道建設なり——開業直後はなかなかペイしませんからね。鉄道というのは開業して二十年なり三十年の展望を持ってベイをさしていくということになりますから、開業後数年は大変苦しいわけですから、そういうことの助成をするとか何か、しかしこのことはただ運輸省だけでできることではないわけですね。自治省、後から大蔵省も呼んでありますが、大蔵省等の関係等も税制の問題になればありますね。ですから、勉強されることは結構なことなんですが、やはり例えば常磐新線なら常磐新線だけでも今私が言ったようなこと、これ古くから議論されていることですから、それはどんどん進んでいるんですか、そういうふうにしようとされているんですか、どうですか。
  34. 服部経治

    政府委員服部経治君) 言葉が大変足りませんでしたけれども、ただいま先生が具体的に御指摘になりましたような具体論を、私どもその勉強会の場にぶっつけておるところでございまして、全体として地域ぐるみ常磐新線の建設促進を大変強く熱望しておられる状況の中で、ぜひとも実りある結論に到達したいというふうに考えておりますし、また私どものスタンスもそれがなくては常磐新線の早期実現といっても、それは絵にかいたもちになるというような強い物の言い方をして、共同の勉強を続けておるわけでございます。
  35. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、少なくとも自治省と大蔵省と運輸省の間では、開発利益の還元について、そういうことをやるということについての意見の一致はあるんですか。
  36. 服部経治

    政府委員服部経治君) 私ども大蔵省、自治省とまず話し合ってという方法でなくて、現実の常磐新線の建設主体の決定及び資金調達の方法等の具体的な詰めを行う中で、各自治体とひざ突き合わせてそれを御相談申し上げていると、そういった実態の中から具体的な方策を生み出してまいりたい。そうなればきっと大蔵省も、また自治省もそういう物の考え方に御同調いただけるものだというふうなアプローチの方法を今とろうとしておるわけでございます。
  37. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃこれもこればかり時間とるわけにはいきませんから、私は複々線化も大変ですが、局長も認められましたように、新線建設も膨大な投資を必要とすると、しかし地域住民からは強い要望があると、またやらなければならぬと、首都圏関西圏の場合はどうしても今の既存の鉄道だけでは十分でない、こういうことになりますね。そうなりますと大臣、やはりこれらの問題については運政審の中でも、この新線建設に当たってとるべき措置については、既に項目を挙げて答申が出ているわけです。その中で一番僕は難しいと思われているのは、今申し上げた二つの事項ですから、これについては少し、今局長もおっしゃったように、どうも日本人の悪いところで、まあこれは日本人だけではないかもしれませんが、総論賛成、各論になると反対というのが多いわけですね、各論になると。しかし、要望は強いと、鉄道はつくってくれということですから。私はやはりどうしてもこの鉄道が開発をされることによって地域が非常な利便を得ることは、利益を得ることはこれは間違いないんですからね。例えば駅周辺の土地の値上がりであるとか、それから鉄道が開発されることによって、東京都なら東京都における通勤時間が短縮されて非常な利益を受けるとか、有形無形の利益がたくさんこれは新線ができればある。しかしながら、今日の建設費の膨大な値上がりというのが、大変に新線をやろうとしてもなかなか難しいということになりますから、この点についてもぜひ、もう総論賛成、各論反対の段階ではなくして、具体的、——例えば今あれでしょう、新幹線をつくるのでもややこの思想ですね。これから新幹線つくっていく場合にも地域が持たぬかと、北陸なら北陸に延ばしてくれ、少しは地域で持たないかというのは、これは全くこれと同じ考えだと思うんですね、新幹線の整備についても。ですから、そういう点については、ひとつやはり開発利益の還元という問題については、積極的に、まずもう総論ではいけないから具体論として新常磐線の沿線とやっていると、このことも非常に重要です。と同時に、やはり政府部内における意思統一も私はやられないと往々にして我が国の官庁というのは縦割りですからね。運輸省がいいことを考えたら、今度はほかの省からは一丁おれのところの縄張りだと、こういう話が、おれたちは聞いてなかったなんという話がよく今まではあったわけです。中曽根内閣になったらだんだんそれがなくなっているのかもわかりませんが、今まではあったわけですから。私はやはり今局長がおっしゃったように、沿線自治体との話を進められると同時に、やはり今後の新線建設あり方についていわゆる開発利益の還元ということについて、私は大臣としては関係省庁の大臣なりとお話を進められるべき時期に来ているんじゃないかと思いますが、どうですか。
  38. 三塚博

    国務大臣三塚博君) この常磐新線まさに具体的例として御提示いただきましたように、大変重要な今後の大都市交通線建設方向を示すものであろう、そういう点で開発利益の還元を含め、また地域交通としてのあり方、そして新線建設というあり方、それも地域住民が渇望しておる、またそれをやることによって大変な経済効果を生む、活力を生む、こういうことであるわけですから、関係省が、運輸省がせっかく公共団体と協議をする、また事業者とも協議をして積み上げたものについて、いささかも足を引っ張るようなことがあってはなりませんと思いますし、よく大蔵、自治、建設、大体そんなところかなと、こう思っておりますので、御指摘のとおり、この構想が具体化するに当たりまして、さような方式を考える中で推進体制を進めてまいりたい、このように思います。
  39. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ今度は、この法律の中の一番ひとつ難しいと思うのは運賃の前倒しという問題がありますから、これについて少し……。  私は私鉄の出身ですから、民営鉄道の運賃決定方法というのをある程度知っておりますが、議論を進めていくために、最初に民営鉄道の運賃決定方法についてちょっと説明してください、私ある程度知っていますから。方法について説明してください。
  40. 服部経治

    政府委員服部経治君) 大手民鉄運賃の査定に当たりましては、基本的には能率的な経営というものを前提といたしまして、適正な原価及び適正な利潤に見合った水準となるように行っているところでございます。  査定の具体的な方法でございますけれども、まず目標年度、これを運賃平年度というふうに私ども申しておりますが、目標年度におきますまず鉄道事業部門の総支出額を確定いたします。それで、次にそれと見合う収入でございますが、これにつきましては現行、現在の運賃ベースによります鉄道事業部門の収入額を確定いたします。そうしますと、当然にいろいろな諸経費の値上がり等を反映いたしまして、そこにギャップが生ずるわ けでありますが、この目標年次におけるギャップのある支出と収入の間を埋めまして収支がとんとんになる、収支がバランスするといったようなところに収入額を持っていくためにはどれぐらいの運賃改定を必要とするかというような方法でもって新しい運賃水準を決定していっているわけでございます。  収入及び原価の各項目の査定の考え方をざっと申し上げますと、まず原価の四割を占めます人件費の査定に当たりましては、合理化計画等を勘案いたしました適正な要員規模というものをまず算定いたしまして、これに所要のベースアップの率等を勘案いたしまして、一人当たりの平年度における人件費を算定して、これを所要の要員規模に乗ずるといったような方法でこれは数字をつくるわけでございます。  それから、物件費その他の諸経費につきましては、最近の実績価格を基礎といたしまして、その後に見込まれる物価の上昇率等を考慮して査定をするわけでございます。  それから次に、減価償却費でございますが、これは償却資産である既存の設備につきましては、これをまず簿価により額を確定いたします。しかし、それだけでは足りませんで、その後の工事によりまして増加する部分があるわけでございますが、それにつきましては、それぞれの会社の輸送力増強工事等の設備投資の計画を厳重に査定して、実行の確実性というものを踏まえましてプラスされる工事額を算定して、それに見合った減価償却費というものもこれにプラスするわけでございます。  最後に、金利と適正利潤でございますが、これにつきましては、レートベース方式というものによりまして適正な事業報酬額を原価に算定するというような方法でこれを見ているわけでございます。  収入につきましてはもう御承知ように、当該会社の最近におきます輸送人員の増高の傾向、あるいは輸送力整備の計画等を踏まえまして適切な見通しを得るように努めておりまして、そういった推定の輸送人員をもとに輸送収入というものを確定するといった考え方で対応しているわけであります。ざっと以上のようなことでございます。
  41. 安恒良一

    安恒良一君 よくわかりました。私もそういうふうに思うんですが、そこで問題になるのは、やはり運賃のローテーションが今のところ二年か三年に一遍になっていますから、あなたの言われる方法でいくならば、これはすべて収支とんとんになっておかなければいかぬわけですね、ある程度。いわゆる適正利潤を含めて収支とんとんだと。ところが、かなりやっぱり大手私鉄は過去に累積赤字が出ています。一覧表を私は出してもらいたいということで、四十五年から五十九年、それから五十年から五十九年、過去十年ないし十五年間の累積赤字表をここにいただいているんですが、これは後でちょっと説明していただけばいいんですが。この累積欠損金が出ているのは、一つは、減価償却年限は品物によって違いますが、私鉄の場合は大体二十五年から三十年ですか、そうすると、本来ならばそれで全部減価償却は終わるはずなんですが、必ずしもそこは十分にいっていないんじゃないか。ですから、大手民鉄の累積欠損額とその中身はどういうことでこういうふうになったのか、そこのところを説明してください。
  42. 服部経治

    政府委員服部経治君) ただいま私が御説明いたしましたような査定の方法によりまして運賃をきっちり決めていきますならば、先生指摘のとおり、私鉄の収支は二年ローテーションの場合には二年、三年ローテーションの場合には三年、その運賃改定によりまして収支のバランスが図られるべきでございます。  ところが、私どもの査定が時に厳し過ぎたというようなことが、例えば原価面あるいは収入の想定面であったということがまず主な原因でありまして、そういった原因によりましてあってはならない累積欠損額が膨大な額に上っているという今実態に結びついてきておるわけでございますが、今後とも運賃査定につきましては適正を期してまいりたいというふうに考えております。
  43. 安恒良一

    安恒良一君 例えば大手私鉄の場合で、東武で見ますと四百二十億、十五年間の累積赤字です。西武で百九十三億、以下全体で三千十七億の累積赤字が出ています。  率直なことを言って、私はいつもこの運輸委員会議論するように、大手私鉄というのは結局この累積赤字なり収支をどうして合わしているかというと、膨大な附帯事業に一生懸命精を出しまして——葬式屋はやっていませんが、それ以外はもう何でもやっているわけです。そして何とか収支とんとんになっているというのが今の現状ではないかと実は考える。運賃だけではどうしてもなかなかその収支が償わないという状況だと思いますが、その認識はそれでいいですか、かなり膨大な附帯事業をやって、大手私鉄というのはそれで収支を合わしているというふうに現状はなっていると思いますが、どうですか。
  44. 服部経治

    政府委員服部経治君) 先生指摘のとおりでございまして、私どもの運賃査定時におきます物の考え方及び査定の手法にかかわりませず、大変残念ながら、結果におきましては鉄道事業部門の赤字の収支じりにつきまして兼業部門から補てんを受けているという実態が長く続いているわけでございます。
  45. 安恒良一

    安恒良一君 私は何も高い運賃を決めろなどということを言っているわけではないわけですから、これは国民の立場からいうと運賃は安い方がいいわけです。しかしながら、膨大な設備投資をこれから新線建設なりそれからいわゆる複々線化をする以上は、ある程度原価が見合っていかないとこれはなかなか、民営鉄道ですから、国有鉄道であるならば今までは国からの助成金ということでやれますが、やれないわけですから、そのことは、そういう現状認識だけはお互いに正確にしておきたいと、こう思ってこのことはお聞きをしたわけです。  そこで、そういう現状の中で今度はいわゆる複複線をやるところについては三%ないし六%の運賃の上乗せをやると、こういうことになりますね。上乗せをやる場合のやり方についても明確にしておかなければならないのは、いわゆる一般の運賃の改定の時期とこの上乗せの時期の乖離というものをどのように埋めていこうとするのかということですね。  それからいま一つ、これも質問をしておきたいんですが、いわゆる初乗り運賃がございまして、それにこれは上乗せをしていくと。資料はここにいただいてますから、例えば東武だったら四キロまで九十円、京成だったら三キロまで百円、以下、八十円のところもありますが、いろいろございますね。工事規模によって違いますが、これに三ないし六%を掛けて上乗せするんですが、どうしてもこれは端数が出てきますね。ところが何円何銭というわけにはいきませんから、この運賃というのは。それから、今や窓口がだんだんだんだん自動販売機というのが非常にふえておりますから、そうなりますと、これは四捨五入するのかどうするのか、なかなか四捨五入というわけにはいきませんね、これは。そんなことをしたら利用者はたまったものじゃありませんから。  ですからここらのことについて、いわゆる運賃改定の時期とのずれ、それから初乗り運賃と今回の上乗せの方法、こういうことについてどのように進めようとされているんですか。
  46. 服部経治

    政府委員服部経治君) まず、この制度によります運賃の上乗せでございますけれども、これにつきましては、この法律そのものの考え方に従いますと、理論的には複々線化を行うこととなった事業者がそのために必要な積立金を収入から得るために、そのためだけの運賃改定をすることもできる建前にはなっておりますけれども、私ども現実の本法の運用に当たりましては、各事業者が複複線化の工事の計画につきまして運輸大臣の認定を受けましたその時点以降最初に迎える運賃改定の時期に合わせましてこの上乗せのための運賃改定も行うように心がけてまいりたいというふうに 考えております。  それからお尋ねの二点目でございますが、これにつきましてはちょっとおわびを申し上げなきゃいけないんでありますが、私どもこの制度につきまして広く外部の方々の御理解を得たいと思いまして、パンフレット等をつくりまして御説明を申し上げたその時点では、わかりやすく御説明する意図から、初乗りに即しまして何%、まあ三%ならば何円ですよといったような御説明をしてきたわけでございますが、現実には決してそのような形で運賃の上乗せが行われるわけではございませんで、原則として全区間利用者につきまして、短い距離を乗る方も長い距離を乗る方も応分に三%なら三%といったような格好での運賃の上乗せ負担をしていただく考えでおるわけでございます。  それから三つ目のお尋ねでございますが、端数が出てくるではないか、これはそのとおりでございますが、例えばこういうふうな格好でちょっと数字に即して御説明をさしていただきたいと思いますが、例えば上乗せのための改定率と申しますか、それに先行いたします積立率が三%のケースについて申し上げますと、初乗り運賃が百円である、そして通常の所要の運賃改定率が一〇%であるといったようなケースを考えますと、改定後の初乗り運賃は百円にまず一〇%の改定をやり、そして積立率の三%を加えますことによりまして改定後の初乗り運賃はほぼ百十三円になるというふうに計算されるわけでありますが、現行の運賃制度というのは十円単位で運賃が設定されますことから百十三円という額にはなりませんで、百十円もしくは百二十円というような額に初乗り運賃が設定されることになるわけでございます。  ところで、その初乗り運賃を百十円というふうに設定いたしますと、この初乗り区間で一人について三円だけ収入不足が生ずることになるわけでございます。この不足の収入額につきましては、より長距離の区間での十円単位の運賃水準のアップということを行うことによりましてその不足分が取り戻せるといいますか、埋められるというような格好にするわけでございますし、また仮に初乗りを百二十円にしたというようなケースにつきましては、初乗り区間につきまして一人当たり七円の超過収入が生ずることになりますので、これではまずうございますから、この場合には、より長距離の区間での十円単位の運賃水準の引き下げを行うといったような格好で、その超過収入分を吐き出すといいますか、調整する、そういう格好に相なるわけでございます。    〔理事矢原秀男君退席、委員長着席〕
  47. 安恒良一

    安恒良一君 私は、まずなかなか技術的に非常に難しい問題があると思うのは、たまたま運賃改定の時期に近ければいいんですが、三年のローテーションで運賃改定が行われてすぐ複々線ができ上がっちゃったといったら三年間待たなきゃならぬことになるわけでしょう。三年間待たなきゃならぬということになる。このことがいいのかどうかという問題がありますね。  それから、今おっしゃったように、いわゆる初乗り運賃の場合で百十三円になった、いわゆる通常の値上げとそれから今回の三%で。だから百十三円を百十円にする、そして残りの三円分を全体の人にかけると、こういうわけですね。ところが全体の人も、例えば東武でいうなら、浅草駅から日光まで乗る人もあれば、複々線区間だけ乗る人もあれば、逆にもう越谷より先の方から日光まで行く人もあるわけですね。全然乗らぬ人もあるわけです。全然乗らぬ人にもいわゆる三円の分を十円にしたために今度は持ってもらわなきゃならぬという問題が出てくる。逆にましてや百十三円を百二十円にされたらたまらぬですよ。今度は利用する人でも七円も十円単位になっておるからということで持たせられてもこれはかなわぬわけですが、それは遠距離逓減法というのが私鉄の中にもありますかられ上で計算をすれば出るんですが、なかなか利用する側の住民感情としては、今申し上げたようにまず十円単位にしなきゃならぬ、どうしても。十円単位にするために端数を百十円でそろえるか百二十円でそろえるかというときに、非常に利用者の感情として僕は問題がありはしないかと思うんですが、何かそこらはどういうふうに技術的にされるんですか。私のところに距離帯別人員表というのを定期外、定期、ずっとある程度のことはここに、今度あれをするところを中心にいただいているんですが、その点は現実にどうなりますか。
  48. 服部経治

    政府委員服部経治君) 御承知ように、鉄道事業の収入額は運賃掛ける利用人員でございます。先ほど申しました例で申し上げますと、例えば初乗り区間で百十三円に設定すべきものを百十円にしたというときには一人当たり三円の収入不足が生ずるわけでございますが、その三円というのは、先生のお手元に例えば京成電鉄があろうかと思いますが、京成電鉄の一キロから三キロまでの利用人員というのがそこで把握されます。この人数掛ける三円が不足になるわけでございますが、そのトータルの額が何百万円というふうに出た場合にその何百万円をより長距離の区間で埋めます。その埋めるときの単位が十円になるようにその母数といいますか、利用人員の頭数に合うような地帯を選びまして、要するに、ちょっと説明が下手でございますが、初乗り区間の利用人員掛ける三円の額を十円で割りました頭数がある一定の距離帯における利用人員の頭数に合うようなところを探しましてやりますときっちりそれが埋まるわけでございます。
  49. 安恒良一

    安恒良一君 いやいや、それは数学的にはきっちり埋まるけれども、これを見てもわかるように距離帯別利用人員というのは長距離になればなるほど人は減っていくわけですね。そうでしょう。そして複々線化するところというのは大体そんな余り長距離のところじゃないんですよ、複々線化の場所というのは、都心に近いところですから。そうするとそこの本来は百十三円だけれども百十円にしたと。余計取ったときはこれはしやすいですよ。百十三円を百二十円にすれば多く乗るところから七円も余計取りますからね。これはやりやすいけれども、ところがなかなか余計取るということは私はできないと思うんです。百十三円の原価が出てきたのにそれを百二十円にすることはできないと思うんですがね。だからどうしてもまず百十円でそろえると。そうすると三円分をどこからかということになると、この表を見てもわかりますように距離帯別利用人員というのは、遠距離になればなるほどずっと減っていきますからね。そうするとそこにぶっかけなきゃならぬわけですね。そうすると三円分を、例えば一キロから五キロぐらいのところまでの人員というのは京成一つを見ても非常に多いわけですね。その分の数を掛けるんですからね。今度はこれをこっちにならすときにはこれは大変だと思うんですよ、こっちにならすときにはね。だからそれは数学ではどんな計算でもできるんですが、私はそこのところは非常に問題があるなと思うんです。今申し上げているのは、本法における利用者負担と前倒し運賃の地域の問題を言っているわけですね。それからいま一つは、時間的問題もありますね。それからいま一つ問題になるのは、京成電車のようなところはいいんですが、具体的な例を言うと、東急なら東急を今回の法律で見ていきますといわゆる東横線や目蒲線、こんなところはこれの適用なりその利益を受けるんですが、田園都市線なんというのはもうこれ全然受けないんですね。ですから鉄道が一本のところならまだ何とかあなたの説明がつくんですが、路線が全く別なんですから、もう全く独立していて地域もかなり離れておる。ところがどうもこの案を見ますと一社一運賃制だと、今一社一運賃制ですから。ですから全く関係ない路線の人にも、東横線を一部複々線化するために田園都市線の人も皆持てと。まあ皆持てというか一部持てということでしょうが、そういうことになりますね。それから東武のように一都六県も走っているわけですね。たまたま東京と埼玉のところをちょこっとやったらあとの県の人も皆この金を持て、こういうことなんです、これ一都六県に走ってますからね。こういう距離的な問題がこの 法律でなじむのかどうかなということについて僕は大変これ鉄道屋として疑問を持ちます。  それからいま一つ、いわゆる時間的な問題というのは特に衆議院でも議論になって、私も非常に注目しているのは学生問題です。沿線に大学がある、四年間大学に行く、ところが卒業したらその人は、沿線に残る人も一部あるけれども、ほとんどは日本全国に散っていくわけです。だから全然利益を受けない。ですから学割をどうするかという議論も出ています。これは一番わかる時間的な問題です。それから私も竹ノ塚という公団にずっと長く、国会議員になっても住んでおったんですが、公団なんというのは年に大体三月から四月になりますと一割以上転勤になります。私自分で自治会長を十年やってましたけれども、十年やるともうかなり入れかわっちゃうんです。長く住み着く人はいつまでも住み着いている。十年たっても十五年たってもおりますけれども、ところが大体一割はもう公団を出て今度新しい人が入ってくる、それが今の東京都の今度複々線化されようとする地域の公団の実態がそうなんです。そうなると、どうせ複々線になると自分が利益を受けるんだから前倒し運賃だから少し高目に払っておってもでき上がったらいいじゃないかということになかなかならぬのです。ここらのいわゆるこの前倒し運賃の一番問題になるところは地域の問題と時間的問題ということについて、局長の衆議院の答弁を聞いていると、長い目で見れば、もしくはかなりラフと言ったら悪いんですけれども、大きい観点から見ればそれは社会的に許される、許容される範囲だという御答弁になっていますけれども、そこのところ衆議院でもかなり同僚が議論しているようですが、私はどうもそこのところがしっくりしないんですが、この点はどうですか。
  50. 服部経治

    政府委員服部経治君) まず工事路線以外の路線利用者なり、工事区間を利用しない利用者、そういった方々にも負担を求めることの当否についてのお尋ねにつきましてお答えいたしますが、これは先生この道の専門家でいらっしゃいますので御承知のとおりでございますけれども、現行の運賃制度におきましては鉄道事業者の行います各種の輸送力増強なりサービス改善なりのための工事に要した費用というものにつきましては、その鉄道のすべての利用者一つの利用共同体としてとらえまして、全利用者の方に平等に御負担を願うという考え方を伝統的にとってきているところでございます。このことは投資のコストの負担の問題に限りませんで、例えば利用者の多い少ないといったよう状況から生じてまいります運送コストの差異というものも現実には相当にばらつきがあるわけでございますが、この点をも現在の運賃制度におきましては捨象いたしまして、長く一社一運賃制度というような物の考え方のもとに鉄道事業の経営が行われてきておるわけでございます。なぜそういうことになっておるかということでございますが、それは例えば工事に要します投資のコストの負担の問題に即して申しますが、それは特定の工事によりまして受益する利用者の範囲あるいはその利用者によって異なるであろう受益の程度というものを計量的にきっちり把握いたしましてそれを確定するということがまず技術的に困難であるということが一つございます。  次に、仮にそういった特定の工事から受益する利用者の範囲もきっちり確定した、それからそれぞれの人によって異なるかもしれない受益の程度についてもある種の推定を行ってこれを確定をしたということができたといたしましても、次にはそういった特定の工事にかかる費用負担というものと、その工事によって直接受益する、把握した利用者とを結びつけて運賃制度の上に反映させるということがこれまた大変に難しいわけでございまして、そういった運賃制度上の難点がクリアいたしかねるという事情が裏にあるわけでございます。  このことを逆の意味で申し上げますが、鉄道事業者の行います輸送力増強工事なりサービス改善の工事にかかわる費用負担というものを今の一社一運賃制のもとにおきまして全路線利用者で広く薄めまして御負担を願っておるわけでございますが、そういう方法をとります場合には、工事の都度その工事から直接受益することとなる一部の利用者にのみにその工事から生ずる費用のはね返しである大幅な運賃負担増ということを強いるという形も回避できるわけでございまして、長期的に見ますと一つの会社の全路線にわたりまして時期は違うでありましょうけれども、結局はまんべんなく輸送改善のための工事が円滑に行えることになるというようなメリットがあるというふうに考えておるわけでございまして、本法の適用に際しましても特定の利用者複々線化等の大規模な輸送力増強工事の行われる路線あるいは行われた区間というものを現実に利用するかどうかという点を基本的にはこれを捨象いたしまして、全利用者によりましてこういった輸送改善のための経費を平等に御負担願おうという考え方をとっておるわけでございます。  なお蛇足かもしれませんが、私ども現在の私鉄の運賃制度の中におきましてはこういった工事を行ったことによります投資のコストが膨大に上りまして、これを全路線利用者にまんべんなく負担していただくということにはどうしても納得がいきかねるといったようなケースにつきましては、特別加算運賃制度というものをとっておりまして、それによりまして当該区間を利用することが明確な利用者につきましては、加算運賃という格好でより多くのものを御負担願うということをやっておりますが、こういう特別運賃制度は今後この本法のもとでも今先生指摘ようなケースについては当然に適用していくことになると思っております。そういう手法を通じまして複々線化工事の促進を図りたいというのが私どもの思いでございます。  それから将来その輸送改善のなった路線を利用することにならないかもしれない、そういった人たちに前倒しの形で運賃の負担を願うことは問題があるんではないかということでございます。まさにこの制度に内在する最大の問題点であろうというふうに思うわけでございますが、この点につきましては先生衆議院での議事録をよくごらんになったということでございますので繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもはそういう輸送力の増強工事が社会的に強いニーズになってきている、それを要望される沿線利用者方々が非常に多いという状況の中でこういった複々線化等の工事が容易に進まない実態がある、それを踏まえて何とかそこに新しい仕組みを埋め込みまして複々線化等の大規模工事が前に進むようにしたいという思いからこのことを考えたわけでございまして、そういったこの制度の趣旨、目的に照らして考えれば、そういった前倒しの格好で将来生ずべき投資のコストの一部を負担していただく利用者のグループと、それからその工事ができ上がりまして大幅な輸送改善の効果を享受していただける利用者のグループとの間にマクロ的な対応性といいますか、同一性というものを見出していこうというこの制度の根幹にあります物の考え方は、私は社会的に御容認いただけるものだというふうに思っておるわけでございます。
  51. 安恒良一

    安恒良一君 だんだん時間がなくなってきましたから僕の方から聞いていきますから、いいか悪いか言ってください。大分これ時間が足りそうにありません。  そこで、私も特別運賃制度というのは私鉄ですからよく知っています。例えば東急の玉川線の大規模工事のとき特別運賃制度をとったですね。そこで具体的にこれ今回のこの今対象になっている東急、東武、西武、小田急、京王の場合、例えば今私が挙げたように東急の場合は東横線と目蒲線ですかね、田園都市線これ関係ないわけでしょう。こういうところはやはりこれは特別運賃制度をおとりになるのかどうか。例えば西武の場合でも池袋線であって西武新宿線とは関係ないわけですね。線路が一本につながっているところは非常にやりにくいんですが、やりにくいけれども、特別運賃制度をとろうと思えばとれるわけですね、これは。いわゆるここを利用する人にある程度高 くかけて残りを全線に割り振ると、いわゆる玉川線をやったときにそういうやり方になっていますね。一部分を全線で持ってもらって、しかしそこを通過客に主としてあれを持ってもらうと。ですから今たまたま予定されている、今ではこういうふうにしたいという東急、東武、西武、小田急、京王の場合には特別運賃制度をこれはとることになるのかならないのか、これが一つ。  それからいま一つお聞きをしておきたいのは、私が聞いたことにあなたお答えになってないみたいですが、運賃改定の時期に近いやつは一緒にやれるんですよ。ところが、運賃上げて一年もしないうちにこっちの方ができ上がっちゃったといったら、二年間待っておくわけにいかないんだが、その場合はそこの部分だけ改定するのかどうか、このことのお答えがありません。  それからいま一つ私がお聞きしたことは、一般論として答えられたけれども、特に私は衆議院でも問題になった学割ですね、学割なんか僕はやっぱり考えた方がいいと思うんですよ。例えば四年間だけですからね、その大学へ行って、そこを卒業したらほかへ行く。その沿線で定着するのもあるけれども、ほとんどが東京の大学の場合なんか見ると、みんなあなたほかへ就職する人が圧倒的に多いでしょう。そういう場合に学割にまで上乗せするのかどうかということも僕は聞いておりまして、衆議院では何か学割のことは少しやや前向きな御答弁を大臣もされているようですが、そこらの点についてもう時間がありませんから的確にさっさっと答えてみてください。
  52. 服部経治

    政府委員服部経治君) まず特別運賃制度の問題でございますが、先生指摘の各線につきましては必然的に特別運賃制度をとらざるを得ない実態があるだろうというふうに思っております。  二番目の上乗せのための運賃改定の時期とそれから通常の運賃改定の時期のずれの問題でございますが、私どもできるだけ事業者をよく指導いたしまして、通常の運賃改定の時期に合わせましてこういった制度によります輸送力増強計画を立てるようにさしていきたい、その間のそこができるだけ少なくなるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。  それから三番目の学生の方のこの制度によります上乗せ運賃の負担の問題でございますが、私どもこの国会で御審議をいただきますまでの間は、一切学生につきましても同様に御負担を願うことで考えておりましたけれども、せっかくの御指摘でもございますので、その点につきましてはいま少し詳細な検討をさしていただきたいというふうに考えております。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、私からこれはどうせ附帯決議の中でもあれしたいと思いますが、学生定期のあり方については本当にひとつ前向きに御検討願いたいと思いますね。四年間通うんですから、十年後にでき上がったやつ、そのころはとてもおりはしないんですからね、ですからそういう点を大臣お願いしておきます。  そこで、私は前倒し運賃を設定する場合に、やはりよほどこういうPRを、皆さんこれ一般論としておつくりになったけれども、私はやっぱり今申し上げたように、いろいろ距離的、時間的に問題があるわけですから、前倒し運賃の設定の意味のPRといいますか、国民に対する告示、理解をしてもらう、こういうことをよほどやっていただかないと、いろいろ僕はやっぱり騒動になると思うんですね。何でかと。今申し上げたように、日光の山奥に住んでおって、ほんのわずかしか乗らぬ人が、東武で言うと、竹ノ塚—北越谷が複々線になるために日光の方の人もその運賃を払わなきゃならぬということは、よほど理解をさせるようなPRをされないと私はわからぬと思うんですね。それはおかしいじゃないかということになるんですね。衆議院では、何か訴訟論まで議論されているようですが、訴訟があった場合に勝つのか勝たぬのかという議論までされておるようですが、私はそんなことを言うつもりはありませんけれども、やはり利用する国民側によくわかるような、運賃改定の際に、本来上げるべき運賃、それから前倒しで上乗せする運賃、それからその前倒しの運賃の中身、意義ということがわかるように国民に周知徹底をさせる必要があると思いますが、その手段、方法はどう考えられていますか。
  54. 服部経治

    政府委員服部経治君) 大変貴重な、ごもっともな御指摘でございまして、私ども、幸いにして本法案の成立が認められましたその段階からは、先生ただいま御指摘ような物の考え方にのっとりまして、私ども自身もPRに努める考えでございますし、また、関係の業界の方でも実態に即したPRというものを力強くやってもらいたいというふうに考えておりまして、その点につきましてはできるだけの努力を積み重ねてまいりたいというふうに思っております。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、三ないし六%の運賃の上乗せをされるんですが、問題は所要の工事費の査定ですね。これも厳格にやっておかないと、基礎工事費が高くなると、それに三ないし六掛けるわけですから、そこのところはどういうふうにされるわけですか。もちろんやりたいという方側からの申請が出てくると思いますが、そこのところの所要の工事費査定という問題はどのようにお考えになっていますか。
  56. 服部経治

    政府委員服部経治君) 本制度におきます計画された工事の工事費の額を幾らと査定するかということは、この仕組みの中で大変重要な問題でございます。例えば、その工事費が一定の基準に達しませんと、この制度に乗り得ないということがございますし、次に、この制度によります積立金の積立率も、その工事費の額と事業者の年間収入の額との対比によって決まってくるわけでございますし、また、積み立ての限度額も所要工事費の四分の一までということで決められるわけでございますので、この工事費の額を幾らと査定するかということは非常に重要でございます。  ところで、私どもは、こういった将来の工事費の査定ということには、実は運輸省の中でもこの鉄道関係では今までなれていない分野でございますけれども、これにつきましては、同じ運輸省の中にございます港湾局なり航空局はそういった工事費の積算について大変長い経験を持った部局でございますので、そういったところのお手伝いも得まして、私どもこの工事費の査定基準につきましては、基本的には標準単価といったような物の考え方をこれに持ち込みまして、できるだけ明確かつ公正な基準をつくりまして、それによって厳正な工事費の査定といいますか、額の確定ということに努めてまいりたいというふうに思っております。
  57. 安恒良一

    安恒良一君 私は、これ工事費が水膨れになっても困りますけれども、十年間の経過措置がありますから、その間における諸物価の値上がり、それから、自分のところの土地の中で複々線化できるやつもあれば、一部土地の取得をしなければできないところもありますね。そうすると、その土地代の値上がりなんかというのは、現時点の単価はわかっても、建設を始めて完了するまでの十年間の値上がりというものもある程度考えておかないと、一遍やってしまってまた上乗せというわけにいかぬわけですよね、これ。ですから、その意味からいいますと、そこのところの査定ということについては、厳格かつ適正にやらないと、せっかく本法をつくって、仏つくって魂入れずということにこれがなりかねぬと思いますから、そのことを申し上げておきたいと思います。  そこで今度は、工事費の今回適用になるのは百億ということになっていますね、工事費のベースが。百億というのは、どこで基準を引かれたんですか。例えば私から言わせると、八十億でもいいんじゃないかなと思うんです。五億とか十億とか、そんなちゃちなのは困りますけれども、これ百億ということで、本法の適用になる基準が一応百億というふうに説明聞いていますが、その百億の基準は何でしょうか。
  58. 服部経治

    政府委員服部経治君) この制度は、先ほど来申し上げておりますように、ほっておったのでは、何もしないでいたんではなかなか困難な状況の中で現実の事業化が図られない、そういった大 規模な工事の促進を図るということを本旨としている制度でございますので、額の基準をどこに置くかは別として、一定の大規模性というものを基準に物を考えざるを得ない事情がございます。  さあそこで、なぜ百億というようなことを言っておるのかというお尋ねでございますが、私ども今日までの過程におきまして、関係の各私鉄事業者から詳細に将来に向けての輸送力増強工事の計画なり構想なりというものをお聞きしてまいってきております。そのヒアリングの過程を通じまして、一つの一体性を持った工事のまとまりとして、百億円といったよう程度のところに線を引けば、彼らが現在考えている、計画している主要な工事というものは、ほとんど全部これを拾い上げることができるという判断に立って百億円程度の基準を設けたいということを申しておるわけでございますが、本法の成立が認められました段階では、さらに重ねて各事業者から詳細なヒアリングを行いまして、その辺につきましての適切さが欠けることのないよう考えてまいりたいというふうに思っております。
  59. 安恒良一

    安恒良一君 たまたま今出ている関東五社の工事規模は、これは百億ですけれども、今回私は関西なんかもあってしかるべきじゃないかなと思ったんですが、関西、将来は出てくるかもわかりませんが、今ありませんね、これ。ですから、どうも大規模工事というのが、百億が大規模で八十億が大規模でないとは言えないと思うんですが、大蔵省も来てもらっているんですが、これは租税特別措置法の関係があるから、そちらの方から茶々が入って、余り安いのはまかりならぬということで、八十億ぐらいのやつまで租税特別措置法の適用は受けさせられない、こんなことがあるんですか、ないんですか、大蔵省どうですか。
  60. 大山綱明

    政府委員(大山綱明君) 租税特別措置でございますので、私ども全く無関心でよろしいかどうかと申しますと、それは全く無関心というわけではございませんが、今度の決定につきましては、運輸省当局の御意向をよく承った上、第一義的には運輸省の御判断に従って差し支えないものと考えておりまして、今度のこの決定というのは——まだ決定ではございませんかもしれませんが、御判断について特に茶々を入れたということもないと存じております。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、大蔵省は、茶々入れたことはないと、こう言われていますから、そうすると、私は今回とりあえずこれ百億なら百億でやむを得ないと思います、出発ですから。しかし私は、やはりこれから複々線化しなきゃならぬことは事実ですから、例えば八十億なら八十億の規模のやつが出てきた場合も本法が適用できるように、まあ余り低いのを何もやる必要はありませんよ、五億とか十億とか、そこらぐらいのことを一一やっておったらたまりませんから。しかし、ある一定のこれからの民営鉄道複々線化計画を頭の中へ描きますと、必ずしも百億単位ではなじまない場合があると思うんです、率直なことを申し上げて。例えば、八十億なら八十億ぐらいにすると、もっと複々線化を進めたいというところも私は出てくると思うわけです、自分の出身でありますから。ですから、この点については、今回はとりあえず、まあ百億ということで私もやむを得ないと思いますが、その点はひとつ将来の問題として大臣前向きに御検討願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  62. 服部経治

    政府委員服部経治君) 私どもの願いは、この制度が十分に現実の場で活用されまして、それが多くの人が要望しております輸送力増強、輸送改善に結びつくことが私どもの願いでございますので、決してこれが実効性のないよう制度にならないように十分配慮してまいりたいという考えでございます。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、ぜひそこのところ前向きに検討してみてください。とりあえずこれで発足さしてみる、そして実行してみると。その過程の中において複々線化が進むということは非常に重要なことなんですから、その点でお願いしておきます。  そこで、今度は税制上の問題に入っていこうと思います。  まず、本法は租税特別措置法の適用を受けることになったのでありますが、これは複々線化ばかりでございまして、いわゆる新線建設には何もメリットがないわけですね。それで、御承知ように、今まで特定鉄道工事償却準備金制度というのがございましたね。そして、手元資料として出していただきました「特定鉄道工事償却準備金利用状況」の中で、利用率は非常に違いますが、例えば営団なんかというのは非常にこれを使っていますね。その他大手十四社の利用状況一覧表をいただきましたが、五十九年度末、取り崩し残高ゼロというところもかなり出てきていますが、まだ営団や近鉄や西武等々、取り崩し高が残っているところもありますね。まだまだこれからもこの制度というのはあっていいんじゃないだろうかと私は思うんです。この特定鉄道工事償却準備金制度を今回はおやめになろうとしているんですが、これをやめられると、営団その他困るところがたくさん出てきやしないかと思うんですが、それはどういうことですか。
  64. 服部経治

    政府委員服部経治君) 御承知ように、この償却準備金制度は、これまで都市交通対策の一環として制定されたものでございまして、以降大都市圏におきます民鉄輸送力増強に一定の効果を上げてきたものだというふうに認識しております。しかしながら、これも先生承知のことでございますが、この準備金制度昭和五十一年度以降の租税特別措置法の整理、縮減等に伴いまして、漸次積立率の引き下げ、あるいは取り崩し期間の短縮等が図られてまいりまして、その内容が縮減してまいりました。そのために、だんだんそれを利用することの実効性も薄れてまいりまして、最近では、ただいま先生指摘になりましたような格好で、これを利用する鉄道事業者も減少の傾向をたどってきたところでございます。加えまして、この償却準備金制度というのは、その目的が減価償却費負担の平準化を図る、そして、あわせて工事期間中の税負担を軽減するということを直接の目的とするものでございまして、この制度におきます積み立てというのは、現実に工事への支出がなされた後にその支出額の十分の一というものを準備金として計上するという、いわば会計処理上の措置でありますために、例えば工事資金の調達を容易にするといったよう意味はございませんし、またこの制度によります工事費にかかわる金利負担の軽減効果もない、あるいは任意性の積立金でありますので、運賃と連動させることももとよりできないといったようなものでございまして、今回の御提案申し上げております準備金制度とは本質的にその性格を異にするものでございます。  したがいまして、私ども、この償却準備金制度を基礎といたしまして、さらに大都市圏における大規模な鉄道輸送力の増強に資する制度としての今回の準備金制度への発展的な解消を図ったというのが私どもの基本認識でございます。  なお、これが廃止されて各事業者は困るんではないかというようお話でございますが、その点につきましては、本制度を利用してまいりました各事業者の意見も十分徴しまして、やむを得ないといいますか、差し支えないというような客観的な結論に立っての措置でございます。
  65. 安恒良一

    安恒良一君 ぺらっと本音が出たようですね、差し支えないんじゃなくて、やむを得ないと。というのは、どうもビルド・アンド・スクラップという感じで、これは——そこで大蔵省にも来ていただいたんですが、今は制度がちょっと変わっています。変わっていますが、やっぱりこの制度というのは、五十九年度末までの利用工事数を見ても、営団とか近鉄とかかなりこの制度を利用してやってきたことは事実なんですよね。ところが、今度新しい本法をつくる。そうすると、やはり大蔵省としては、租税特別措置法的なものが余計にあったらいかぬから、一つ認めるかわりに一つつぶそうじゃないか、こんなことに——僕も国会議員になる前税調で大分長い間議論したことがある んですけれども、今の世の中なものですから、やたらに租税特別措置法における免除をつくることには必ずしも私は賛成しません。しませんが、いい制度は残したって悪いことないんです。今申し上げたように、今度は主として複々線化の問題の措置法ですからね。一方は、こちらの方は違うわけですから。そういう場合に、これをつくってやるからどうだと言われたら、経営者は運輸省や国税庁には弱いですから、まあしようがありませんなとは言うでしょうが、せっかく特定鉄道工事償却準備金制度というのがあって、利用もされている、さらに、建設を進めるために本法における租税特別措置法の適用があって、二つの法律があってもいいと思うんですが、大蔵省、それはやっぱりスクラップ・アンド・ビルドということで、こっちを認めるかわりにこっちはだめだと、こういうことになるんですか、まず聞かせてください。
  66. 大山綱明

    政府委員(大山綱明君) 租税特別措置は、先生も御案内のように、租税負担の公平を何がしか犠牲にしてある種の政策目的を進めるという制度でございますので、常に見直しといいますか、その政策目的の合理性とか必要性とかその効果とかを吟味していく必要があるものだと思います。  そういった観点に立ちまして、私ども年末に各省庁と御議論いたしますが、その場合に、やはり各省庁におきますところの政策のプライオリティーと申しますか、優先順位、こういったものもお聞きをいたしまして、それから、つぶす場合にも、何と申しますか、十把一からげにといいますか、しゃくし定規にということは考えておりませんが、御要望を常に承るだけでございましたら、これはどんどん租税特別措置が広がるばかりでございまして、それも問題でございます。そういったいろいろな議論をしながら、各省庁の政策のプライオリティーに従いまして、優先的に認めるべきもの、政策目的をかなり果たしたんではないかと思われるものを廃止するというようなことで毎年対応いたしております。  この今度廃止をいたしましたものにつきましての政策目的がもうなくなったのかどうかというような点につきまして、なくなったとは私ども完全に思い切っているわけではございませんが、その辺の判断は運輸省当局にしていただきまして、やはり余りどんどん拡大するというのはいかがなものかという態度で臨んでいるところでございます。
  67. 安恒良一

    安恒良一君 いや、一般論としての租税特別措置法というのがやたらにふえたらいけないとか、それからビルド・アンド・スクラップするというこの一般論、あなたの考えわからぬわけではないんですが、私が今お聞きしていることは、今回のいわゆる本法に基づくところの租税特別措置法というのも複々線化には非常な大きな役割を果たすでありましょうし、それから今まで行ってまいりました特定鉄道工事償却準備金利用状況というのも、やはりこれを利用しての工事数というのはあって、それがいわゆる乗客の交通の利便に大きな貢献をしてきておったわけですから、どうしても一つ認めるから一つはつぶせと、この事例の場合にそういう大蔵省の御意向だったのですか、どうですか。それとも運輸省が、いやもうこっちだけでいいと言ったのか。どうも運輸省に聞くと歯切れが悪くて、経営者側もまあしようがないな、やむを得ないとこう言ったと、こう言っていますから、そこのところちょっと正直に聞かせてください、それによって大臣に注文することがあるわけだから。
  68. 大山綱明

    政府委員(大山綱明君) 先ほども御答弁申し上げましたように、何かしゃくし定規的にこれをつくるからどれをやめろということではございません。ただ、いろいろ、年末から年始、租税特別措置法を提出いたしますまでの間に運輸省当局とは御議論を進めまして、当面予定されております営団地下鉄等の新線工事につきましての、今度廃止された制度でございますが、そういったものについては経過措置を講ずるということで従来どおりの準備金の積み立てができるような措置を講じることで話をいたしたわけでございます。そこまでいたしますればこの廃止されましたところの準備金はまあ政策目的を果たすと、終わるというような御判断を運輸省当局もなさいましたし、私どももそれを是といたしまして廃止という結論に達したと、こんな経緯でございます。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ運輸省、その経過措置を含めて、この特定鉄道工事償却準備金の状況を、経過措置をこうするんだということを含めて説明してみてください。
  70. 服部経治

    政府委員服部経治君) この経過措置でございますが、まず帝都高速度交通営団につきましては、現在工事中の、工事に取りかかっております七号線の大半の区間につきましてこの償却準備金制度が六十年四月以降からも適用されるような措置をとったわけでございます。それから近鉄の京都線それから奈良線、橿原線等にかかわります三区間につきましても同様の経過措置をとりまして、当面、従来のこの制度がなくなったことによります不利益を大きく緩和することができたというふうに思っておるところでございます。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、このやりとり聞かれておって、私はどうもやや、経過措置があるから大きく残っているところについては営団と近鉄に経過措置をされたということでありますが、私はやはり政策的にこういうものをお立てになるときに、局長説明を、衆議院の議事録読むと、前向きに発展的にこっちになったと、こういう説明されていますが、かなりやっぱり次元が違うんですよね、これとこれでは。だから前向きに発展的になったと見えるかどうかというのを私はちょっと疑問に、——きょうはそういう答弁されませんですが、衆議院の答弁読んでみると書いてあったんですね。前の制度からこの制度が前向きに発展的にいいものになったと言われていますけれども、私はこの制度制度として評価しますが、営団なんというのはやはりこれからまだ新線建設しなければなりませんからね。そうすると、これは新線建設には、今度の前向きに発展的になったとしても、この制度は適用ならぬわけですからね。私は、今回は既に運輸省と大蔵省の間に合意ができているということを、この時点でまたもとへ戻せなんということは言えませんが、もう一遍私はそこらを、新線建設をする場合と、それから既存の路線複々線化を進める場合のあり方については、税法上の問題も含めてもう一遍大臣それこそよく勉強してもらいたいと思いますね。そういうときこそ勉強が必要であって、勉強しておる、勉強しておると言われていますが、私はそこのところは少し前向きに、新線建設ということはどうしてもやっぱり必要なことなんですから、特に大都会における、東京においても大阪においても、それからまだまだ一部地下鉄工事というのはいろいろやってますね、これ率直に言って。そして地下鉄工事というのが非常な膨大な資金が要ることは百も御承知のことなんですから。ぜひそこのところは、まあ今回は、これで一つをやめて、これを新しい制度ということについて、私は必ずしもいいことだと思いませんけれども、まあやむを得ないと思いますが、そこらのところはひとつ大臣前向きに御検討いただきたいと思います。よろしゅうございますか、将来のあり方として。
  72. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいままでの御質疑を承っておりまして、新しい制度大都市交通の使命を果たさせるようにしていこうという、それは政策目的として一つこちらにあります。同時に、今日まで果たしてまいりました工事償却準備金制度という問題につきまして、急激な変革はいかがかということで六十七年までの経過措置はとらさしていただきましたと、政策的にはバランスとれたことであろうとは思います。しかしながら、ただいまの御指摘ように、新線建設という問題をどうするのかという新たな視点に立ってまいらなければなりませんし、先ほど来の議論で、常磐新線を含め大都市交通の新線建設、特に国鉄法律が御認定いただきますれば六十二年四月から新たな鉄道事業者としてスタートを切るわけでありまして、御指摘大阪名古屋等々にも進めなければならない問題点があるわけでございまして、そ れらを踏まえながら、これこそ勉強ばっかりして結論出ないんじゃいけませんものですから、真剣な研究、勉強をし、その時点その時点に対応できる政策を決めてまいるということがやはり政治であろうと、また国会の役目でもあろう、こんな観点で御提言を踏まえ、しっかりと勉強してまいりたいと思います。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 じゃ最後になりますが、やはりこの本法と租税特別措置法の関係では、まあこれはこれと関連することで御議論を願っておるんですが、大蔵委員会等のあれになるんですが、それで、租税特別措置法というのは一応期限が切ってありますね、二年なら二年。こっちの方はこれ十年ということですからね。ですからその点について大蔵省、これはこの法律の趣旨に従ってこの租税特別措置法の有効期限というのは年次ごとに延ばしていくという考えでいいですね、これは。
  74. 大山綱明

    政府委員(大山綱明君) 租税特別措置法の各条項につきましては、先ほどちょっと申し上げましたような趣旨から、常に見直しをしていくべきだというようなことから、二年という期限をつけているのが一般的でございます。そういった意味合いにおきまして、この準備金につきましても二年間の期限を付さしていただいておるわけでございます。それじゃ期限到来のときにどうするのかというお話でございますが、そのときには、その時点で制度の必要性、利用状況、効果等を吟味をいたしまして、その時点で適切な対応の仕方をいたしたい。これはほかにたくさんございます租税特別措置ほとんどすべて二年になっておりますが、それにつきましても、その時点その時点で見直して、延ばすべきものは延ばす等の措置をとっているところでございます。
  75. 安恒良一

    安恒良一君 いやいや、これは大蔵省だけじゃなくて運輸大臣にも聞かなきゃなりません。それじゃ困るわけだ。というのは、この積立金制度というのは、今申し上げたように、これ十年一区切りになっているわけですよね、これ、この法律自体が。ただし租税特別措置法はその適用は二年、こうなるわけだから、これずれがあるわけですよね。ですから、一般論的にあなたが、今ここで言えぬと、その時点になって見直すと言われているけれども、これは運輸省が新法を出されているわけですから、運輸省は十分これをつくるに当たっては大蔵省と相談されているはずなんですよね。まさか二年たったらその税法のところだけがこれは適用なりませんなんということになると、この法律自体の根幹からこれはおかしくなるわけですからね。ですから、運輸大臣、そこのところはどうですか、これはあなた大臣としてこれをきちっとしておかないと、そうなるとこの法律自体、私たち提案を受けていること自体がおかしくなってくるんですから。それはどうなんですか、そこは。
  76. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま主税局審議官が申されたことは一つ考え方、租税特別措置法という制度を政府としてまた税務当局としてどう考えるかという基本論、原則論を言われたものと理解をいたします。  同時に、運輸省として、特にまた主管大臣としてこの新制度を出ささせていただいたわけでございますから、全部の制度を二年ということで見直すということで理解をしながら、しかし、同時に十年でありますから、これは五回ちゃんと延長してもらわなければこれならぬわけでありまして、審議官もそう考えているだろうと思うし、もし延長しないという審議官だったらこれはやっぱり大騒動ですから、ちゃんときちっとやらさせていただきます。そのときは政党政治でありますし、国会の論議を踏まえてこの制度をスタートをさせるわけでありますから、政策目的が遂行されますまでしかと心得て進めてまいるつもりであります。
  77. 安恒良一

    安恒良一君 今、国務大臣としての運輸大臣の御答弁がありましたから、大蔵省よく聞いておいてくださいね。大蔵省よく聞いといてくださいよ。でないとこの法律これまた仏つくって魂入れずになっちゃうんですよ。簡単に二年たったらやめた、そっちの方やめたと言われたら、これはもうおかしなことになるしね。まさかそんなことで——大蔵と運輸がこれをつくるときに、十分事務段階でも話し合いは進んでいるはずですよね。それは、地域交通局長と主税局長の間に話が進まぬままこんなものが出てくるはずはないわけですから。ただ、ここ、こういうところへ来ると、何とか言質を取られたくないということで、租税特別措置法の一般論を教えていただいているんで、教えていただかなくても、わしの方があなたよりも先輩だから。税調はわしは六年もやっとったんだからね、これ。だから一般論を教えてもらう必要はないわけで、具体的な法律に基づいて僕は聞いているわけですよね。だから、少なくともそれは努力しますぐらいの話が返ってくるかと思うたら、一般論になったものですから、一般論になったからあえてこういう皮肉まで言わざるを得ないけれど、私はよく聞いておってほしい。少なくとも法律をつくる以上は整合性のあるものを、運輸省と大蔵省との間に十分僕は議論をされた上で提案をされておるものだと思いますが、その点は局長、十分済んでますね、事務的に。
  78. 服部経治

    政府委員服部経治君) この制度の創設につきましては、大蔵当局の大変深い理解の中でこれができ上がったものでございまして、私ども、租税特別措置法の二年の期限の延伸につきましては、私ども自身もう最大限の努力をするつもりでございますが、大蔵省当局におかれても十分深い理解をお示しいただけるものというふうに考えておるものでございます。
  79. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、もう時間超過しましたから最後になりましたが、いろいろ、大臣、このやりとりをいたしました。  そこで、省令、政令をおつくりくださるとき、さらに、いわゆるこの学割の問題なんか、何点か私は——それから特別運賃のあり方の問題等々、いろいろ御注文を申し上げましたので、それらをきちっとしていただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 答弁はよろしいですか。
  81. 安恒良一

    安恒良一君 結構です。
  82. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  83. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案について、建設委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会      —————・—————