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1986-03-07 第104回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月七日(金曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 住  栄作君       浜田 幸一君    森田  一君       伊藤 忠治君    小川 国彦君       川俣健二郎君    元信  堯君       渡辺 三郎君    木下敬之助君       永江 一仁君    兼務 串原 義直君 兼務 清水  勇君    兼務 田並 胤明君 兼務 辻  一彦君    兼務 渡部 行雄君 兼務 渡辺 嘉藏君    兼務 斉藤  節君 兼務 橋本 文彦君    兼務 春田 重昭君 兼務 福岡 康夫君    兼務 宮地 正介君 兼務 吉浦 忠治君    兼務 菅原喜重郎君 兼務 田中 慶秋君    兼務 滝沢 幸助君 兼務 柴田 睦夫君    兼務 三浦  久君  出席国務大臣         建 設 大 臣 江藤 隆美君  出席政府委員         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 廣瀬 利雄君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示監視課長 平林 英勝君         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      瀬田 信哉君         国土庁計画・調         整局計画官   栢原 英郎君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 荒木  寛君         大蔵省主計局主         主計官     涌井 洋治君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   小林 康彦君         水産庁研究部漁         場保全課長   細田 忠雄君         通商産業省産業         政策局規模小         売店舗調整官  雨貝 二郎君         中小企業庁計画         部計画課長   長田 英機君         中小企業庁計画         部下請企業課長 高梨 圭介君         運輸省地域交通         局交通計画課長 荒井 正吾君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部鉄道施設課長 本多 辰巳君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   常川 隆司君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  吉田  巌君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  丸山 良仁君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  倉茂 周明君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  實君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  籔内 幸雄君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  台   健君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     渡辺 三郎君   木下敬之助君     岡田 正勝君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 三郎君     浜西 鉄雄君   岡田 正勝君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   浜西 鉄雄君     富塚 三夫君   西田 八郎君     安倍 基雄君 同日  辞任         補欠選任   富塚 三夫君     伊藤 忠治君   安倍 基雄君     永江 一仁君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     関  晴正君   永江 一仁君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     元信  堯君 同日  辞任         補欠選任   元信  堯君     後藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     小川 国彦君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     川俣健二郎君 同日  第一分科員菅原喜重郎君、第二分科員串原義直  君、渡辺嘉藏君、橋本文彦君、福岡康夫君、第  三分科員渡部行雄君、第四分科員宮地正介君、  第五分科員清水勇君、田並胤明君斉藤節君、  春田重昭君、吉浦忠治君、田中慶秋君、第六分  科員滝沢幸助君、第七分科員辻一彦君、柴田睦  夫君及び三浦久君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計予算  昭和六十一年度特別会計予算  昭和六十一年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ――――◇―――――
  2. 住栄作

    ○住主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  昭和六十一年度一般会計予算昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水勇君。
  3. 清水勇

    清水分科員 時間が限られておりますから、要点だけを申し上げ、豊かな内容を明快に御披瀝をいただきたいと思います。  まず最初に、千曲川改修問題について主として河川局長にお伺いをいたしますが、御承知のように、連年災害を受け、流域住民に大きな被害を与える。そこで建設省もこの千曲川重点改修河川に指定をするという立場で、危険の強い箇所から鋭意補強をしたり堤防かさ上げをしたり無堤地区築堤をする、こういう方針であることが一昨年の私の質疑で当時の河川局長からも明確にされているわけであります。幸い、去年はこれといった台風がなくて小康状態を得ているわけでありますが、しかしなお改修が必ずしも十分順調に進んでいるとは思えない。そういう状況だと思いますので、第七次千曲川改修計画というものもあれこれと策定をしているというようなことを聞いておりますけれども、今後、千曲川改修計画を具体的にどう積極的に進められようとしているのか。まずその基本最初に承りたいと思います。
  4. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 千曲川につきましては、先生指摘がございましたように、五十七年、五十八年と連続して大きな災害をこうむりまして、我々河川管理者といたしましても重点的に改修をしなければならない河川だというような認識に立っております。したがいまして、特に改修重点といたしましては、激甚な災害をこうむりました飯山地区改修促進並びに都市化進展の著しい地区改修事業を最重点事業として取り上げたいと考えております。  なお、先生の御指摘にございましたように、千曲川上流には無堤地区部分が多数ございますけれども、現在の五カ年に計上されていない部分もございます。しかしながら、六十二年度を初年度といたします治水五カ年計画の中には、治水事業極めて厳しい現状にございますけれども、何らかの形で取り入れるようにしたいという気持ち検討を進めているところでございます。
  5. 清水勇

    清水分科員 そこで、例えば前大臣にも見てもらったことがありますけれども、中野市に大俣という地区がある。対岸には豊田村という地区がありますが、これはほとんど無堤地区。何も集中豪雨でなくても、ちょっとした雨が降ると浸水を始める。まさに住民は不安と背中合わせの生活を余儀なくされている。  そこで、例えば豊田村の地区については、六十年度、六十一年度で調査を済ませて、できれば六十二年度くらいから何とか築堤へ一歩歩を出したい。また対岸大俣地区は、かつて部分的に築堤を行った経過もあるわけでありますが、これは途中で切れている。この点についてもピッチを上げて築堤を進めたい、こういうことを言われた経過があるわけでありますが、これはどんな程度計画になっていますか。
  6. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 先生指摘地点につきましては、前々大臣水野大臣でございますけれども、現地に参りました。そのときに私も地方建設局長として同行いたしまして、その辺の事情はよく存じておるわけでございますが、豊田村の地点は無堤地区でございまして、先ほど申し上げましたように現五カ年計画の中には入っていない地区でございます。ここで申し上げるのはなんでございますけれども、過去において用地問題等でいろいろ問題点があった箇所でございますが、その後、住民方々の御理解を得ましたので、今後の五カ年計画の中に何らかの形で計上したいという気持ち検討している地点一つでございます。  それから、大俣地区につきましては、先生指摘のように現在築堤工事を進めておりますけれども、これも引き続いて築堤工事促進を図っていきたいと考えております。
  7. 清水勇

    清水分科員 これはぜひ新五カ年計画の中に繰り入れていただくように重ねて御要望いたします。  さて、今局長の答弁の中で、廣瀬局長北陸地建局長という立場千曲川状況を一番よく知っておられるのだが、都市化が著しく進展をする。例えば松代地区なども大変な災害に連年見舞われたという経過がおって、これも堤防かさ上げ改修等がなりピッチを上げて進めていただいている。これは地域住民として非常に感謝をしているわけであります。  ところが、例えば激特等工事を進めていくケースの中で、今度は対岸堤防の高さが相対的に低いとかあるいは漏水があるとか軟弱であるとか、今数々の問題を招いているわけであります。例えば松代地区の場合で言うと、対岸篠ノ井東部地区、かなりの距離にわたって堤防が低目になっているし、また河床がかなり上がってきている。だから、河床の整理とあわせて堤防かさ上げをするなどしてもらわないと、去年の六号台風による雨なんというのは知れたものだったのだが、あと二十センチもすれば堤防を乗り越えるというところまで増水している。だから、この点はひとつ重点的に、とりあえず堤防かさ上げ等改修工事着手してもらわざるを得ないのじゃないかという気がするのですが、これはいかがでしよう。
  8. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 御指摘地点でございますけれども、激特事業で、特に飯山地区でございますが、五カ年という目途におきまして重点的に堤防改築しておりますので、先生もごらんになっていただいたと思いますけれども、昔日の感があるぐらいに立派に堤防ができております。それに引きかえまして対岸は昔のままでございますので、地元の方々から先生がお話しになりましたような御要望が出ておりまして、私たちも十分承知をいたしております。つきましては、その住民方々の御要望に何らかの形でこたえるようにできる限りの対策をいたしたい、かように思っております。
  9. 清水勇

    清水分科員 これは大臣、率直に言って財政窮迫の折であり、ともすると重大な河川改修予算等もどうしても圧縮をされざるを得ない。ですから、例えば局長以下関係の皆さんがその気になっても、先立つものがなければいかんせん手の打ちようがない、こういう財政上の隘路もあると思うのです。そこで、政治家というか政治的立場で何としてもこうした重大な予算の確保を喫緊のテーマとして取り組んでもらわざるを得ないと思うのですが、ちょっと一言
  10. 江藤隆美

    江藤国務大臣 予算をつくりました時点と、ことし予算が首尾よく国会を通過して執行する段階とでは相当に内外の情勢というものが今までと違って変わった状態になってくるだろうと私は思っておるのです。今いろいろと予算をお願いしておる最中に執行の前倒しですとか建設国債ですとか言うことは不見識でありますから、それは差し控えさせていただくことといたしまして、ちょうど四月ごろというのは我が国の経済政策一大転換期になる可能性があると私は思っておりますので、そのときに備えて今もろもろの準備を整えておる、こういうふうに申し上げさせていただきたいと思います。
  11. 清水勇

    清水分科員 次に道路のことで伺いたいなと思いますが、まず最初関越道上越線についてお尋ねをしたいと思います。  一月の国幹審で新しく基本計画から整備計画昇格を見た箇所もあるし、また新たにルートが発表された箇所もあるし、全体として中央道長野線促進とあわせて上越線についても鋭意取り組んでいこう、こういう意欲があることは私もかねがね承知をいたしております。  そこでまず、一月の国幹審では、更埴インターから須坂インターまでは従来長野線であったわけですが、これが上越線に切りかえられる。この意味はいろいろ考えられるわけですけれども、せっかく例えば中央道長野線が六十五年をめど更埴インターまで何とか供用開始をしたいということで進めていく、しかしそれから先が遅々として進まないのでは長野県の長い南北信を結ぶメリットが少ないのではないか、こういう判断で多分長野線と並行しながら上越線については、例えば更埴インターから以北にかけてこれまた建設促進を図っていこうという意味合いが建設省当局には込められているのではないかと、善意に私は解釈をしているわけであります。  いずれにしてもこの上越線更埴インター以北建設の見通し、あるいは将来の供用開始を想定する時期はどんなふうなおつもりであるか、基本的に承っておきたいと思います。
  12. 萩原浩

    萩原政府委員 関越自動車道上越線でございますけれども、今回更埴-佐久間をやっと整備計画に格上げすることができました。更埴付近で非常に路線の問題がございまして今日までおくれておったのでございますが、やっとそこが開通するめどが立った、こういうことになりましたので、今回更埴から先を路線の振りかえという一応の手続をとりましたけれども、従来から更埴から須坂につきましては既に事業着手をいたしておるところでございます。  現在までのところ、更埴から須坂まで、あるいは更埴から以南の豊科までの間におきます完成予定でございますけれども、これにつきましては数年の開きがございます。大体三年から四年の開きということを考えておりますけれども、私どもは、更埴以北は少なくとも長野付近までは、須坂まではなるべく早く続けませんと意味がないわけでございますので、これにつきましてはできるだけスピードを上げまして、できましたら最大の目標は同時開通でございますけれども、ちょっと無理かもしれませんが、余り大きな差のないような開通を目指したいということで努力いたしたいと存じます。また現地もその体制で今寄り寄り準備中のところでございます。
  13. 清水勇

    清水分科員 できれば長野線同時開通を目指したいというわけですが、時期的に、アバウトの話でもいいかもしれないが、想定をしているのはどのぐらいの時期になりますか。
  14. 萩原浩

    萩原政府委員 現在六十年代の後半に須坂から中野までは延ばしたいということで工程を組みまして作業を進めているところでございます。それで豊科から更埴までが六十年代半ばかあるいはそれをちょっと過ぎるぐらいということでございます。そういたしますと余り大きな差はないわけでございますので、その差をむしろ縮めるということで頑張っていきたい、こう思っております。
  15. 清水勇

    清水分科員 これはかねての計画のように更埴インターまでは何とか六十五年をめど供用開始をできるようにする。それから中野までは六十年代の後半、こうおっしゃられるが、後半といったって五年あるのだからそこでできるだけ同時に供用できるようにしたい、こういう御意向のようでありますから、六十五年にできるだけ接近をさせるように鋭意取り組んでいただきたいと思いますが、その点一言でいいがいかがでしょう。
  16. 萩原浩

    萩原政府委員 懸命に努力をいたしたいと思います。
  17. 清水勇

    清水分科員 それでは次に国道十九号のことでお尋ねをしたいのですが、昨年一月御承知のように大安寺橋バス転落という大事故がありました。私当時建設委員会に出ていた関係もあって何としてもこれを速やかに完成を図るべきじゃないか、こういうことを強く訴えたところ、ことしの三月三十一日までという工期めどであったものを、昨年の十一月の早い時期にこれを繰り上げて完成をしてもらった。これは地域住民非常に喜んでいるというか、ほっとしているわけなんです。  ところが、局長も御存じのように、あの大安寺橋と同じようなタイプの明治、両郡両橋があるわけです。どうも昔の橋はできるだけ安くつくろうというものだから川に直角でつくるものですから、今のような状況になると車の運行上非常に危険が伴う。だからこれも新しくつけかえてもらわなければいけない。かねがねの計画もあったものですから、これについても六十年、六十一年度でボーリング調査等済ませて、早ければ六十二年から工事着手したいということを、建設委員会の中では当時の局長が表明をされていた経過があるわけでありますが、これはその後どうなっていますか。
  18. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、昔の橋はもう川に直角にかけるというのが原則でございましたから、どうしてもそこに直角曲がりができてしまう。国道十九号にはそのような橋がたくさんございましたけれども、順次改築を進めてまいりまして、現在先生指摘明治橋両郡橋、これらがある意味では一番最後に残ったような形になっております。明治橋につきましては、現在御審議をいただいております予算の中で、この予算が御承認いただければ六十一年度にも事業化いたしたいというふうに考えております。それから両郡橋につきましては、既に六十年度、今年度から事業着手をいたしておりますので、これも六十一年度には用地買収というようなものを開始いたしたいというふうに考えております。両橋とも六十年代の中ごろには完成させたいということで頑張っていきたいと考えております。
  19. 清水勇

    清水分科員 これはもうそこまで言っていただければ改めて重ねて言うことはありませんけれども、非常な隘路でありますからぜひ今のお約束どおり鋭意ピッチを上げていただくことを重ねて御要望を申し上げておきます。  さて、そこでそういう形で大安寺橘完成を見た、明治橋も例えば工事に入っていく、またその他の地域でも拡幅改良等が鋭意進められている。これは非常に結構なことなんですけれども、しかし、その中で非常に大きなネック一つある。それは、明治橋両郡橋のちょうど中間に双子トンネルというものがあるのですね。これは昔の小さな車を対象にしてすれ違いのできるような規格でつくられているトンネルですから、今日のように大型化するとすれ違いができない。だから事実上片側通行みたいな話で、交通渋滞にならざるを得ない。単に朝夕だけでなしに、これが非常にネックになっている。  かつて、双子トンネルの少し手前に秋吉という地区があって、小松原という地先トンネルをつくって十八号の篠ノ井バイパスに結んでいこう、こういう計画がありましたけれども、住民の合意が得られなくてこれがとまっているわけですね。ですからこれはすぐ手がつけられるとは思えない環境ですから、そういうことを思うと、双子トンネルも始終補修をせざるを得ないような老朽化をしている面もあるわけですし、この際、大した距離を必要としない箇所ですから、新たなトンネルを、今の十九号の拡幅改良等との見合いで一本つけなければこれはどうにもならないのじゃないか、そういうふうに思うわけであります。局長はどういう受けとめ方をなすっておられるか、ちょっと聞かしてください。
  20. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、この両郡橋明治橋のかけかえが終わりますと、この双子トンネルが非常に大きなネックになるであろう、また、橋が現状のままでも、ここに偶然大型トラックが行き交いますともう交差できなくなってしまう。どうしても左側の上がトンネルに突っかかってしまうものですから、すれ違いができない、こういう状況になっております。  これにつきましては、六十年度からこの改修計画を立案するための調査着手をいたしました。現在では先生おっしゃいますように、新たにトンネルをつくる以外にないだろうということでございますが、そのトンネルの長さを例えば四百メーター程度のものにするか、あるいは七百メーターぐらいのものにするかということの両案にっきまして比較検討している最中でございます。七百メーターにいたしますと線形はよくなるわけでございますが、一方トンネルの長さがちょっと長くなる、四百メーターぐらいですとトンネルの暗いところが少なくなりますので走行には便利になるけれども、その取りつけのところがちょっとカーブが出てくる、どちらがよろしいかということについて鋭意検討中でございます。それで、この検討をできるだけ早くまとめまして、できれば両郡橋明治橋工事がある程度めどが立った、あるいは最盛期を過ぎたあたりにこのトンネル最盛期が来るような、そのようなスケジュールで改築を進めたらどうだろうかということを考えている次第でございます。
  21. 清水勇

    清水分科員 これは局長両郡橋あるいは明治橋と並行して――橋はよくなったけれどもトンネルがあれではやっぱりどうにもならないという、そういう住民のニーズに反することのないように、僕は、同時並行というか、そういう態度で検討も急いで結論を出してもらいたいと思うが、進めてもらえないかね。どうですか。
  22. 萩原浩

    萩原政府委員 現在、一日一万五千台も交通量のあるかなり重要な路線でございますので、先生指摘のように陸路ができるだけ早く一挙に打開できるような形を今後検討させていただきたいと思います。
  23. 清水勇

    清水分科員 それから、細かいことばかりで甚だ恐縮なんだが、しかし、地域にとってみればこれは命綱みたいな話ですから非常に大きな問題なんで御理解を得たいのですが、大町から長野に至る主要地方道大町長野線というのがあるのですが、これは一面では観光利用客が非常に多くて、かなり交通量も多い。ところが、数カ所で非常に狭隘な箇所があったりして相変わらず難渋をしているというようなことがあるのです。この点は私はあえて質問をいたしません。昨年も小川村の小根山地区などに約九千万円からの予算をつけてもらった経過があるわけですが、これは財政事情のいかんにかかわらず、六十一年度においてもこのための予算はふやすことはあっても減らすことはしない、こういう角度で取り組んでいただきたい、こう思います。これは要望ですから、ぜひひとつ受けとめておいていただきたい。  さて、時間の関係がありますから四百六号の関係をちょっとお聞きをいたします。  実はこれが主要地方道から国道四百六号に昇格を見て数年を経たわけでありますが、かねて大きな隘路が二カ所ある。一つ松島トンネルという形で一応解消を見た。一つ鬼無里村に銚子口というのがあるわけでありますが、これは地勢からいってもトンネルを一本抜く以外に隘路の打開はない。例えば下新倉地区なんというのがあるわけですね。これはかねがね、松島トンネル完成を見たら引き続き銚子口トンネル着工という形で一歩進める、こういう構想があったわけでありますが、幸い県のボーリング調査等も終わっており、これは今年度から本格的に着工をしてしかるべきテーマではないか、こう思っておりますが、いかがでしょう。
  24. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘鬼無里村の銚子口工区でございますが、ここには約七百五十メータートンネルを抜くのが一番よろしかろうということでその計画もまとまっておりますし、先生指摘のようにボーリング調査なども県で行っておるようでございます。したがいまして、現在御審議いただいております六十一年度の予算案、これが通りますれば六十一年度にもトンネル着手をいたしたいというふうに考えております。総額約二十四億を必要といたしますが、これに着手した上はできるだけ促進を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 清水勇

    清水分科員 これは大体見通しとして、六十一年度から着手をした場合に完成めどはどのくらいになりますか。
  26. 萩原浩

    萩原政府委員 正直申し上げて、今後の道路整備予算の伸展のぐあいにもよりますけれども、私どもといたしましては六十年代半ばか、あるいはちょっと過ぎるかもしれませんが、それまでには現在のペースではできるのではないか、もし今後道路整備の拡大が図られれば、さらに工期の短縮を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  27. 清水勇

    清水分科員 これは力のある大臣もいる話でありますから、道路予算は我々も精いっぱい協力をして確保するということに努めたいと思いますが、先へ送るのではなくて短縮できるような方向で鋭意取り組んでいただきたいと思います。  さて、同じ四百六号絡みで、実は鬼無里村の役場のあるところが村の中央地点ともいうべきところなんですが、そこから県庁までの間というのはわずか二十キロしかない。二十キロしかないけれども隆路が非常に多いもので、言ってみれば一方通行にならざるを得ないというような箇所が随分あるので、それがために夏冬にかかわりなく車で一時間くらいはかかるという。いわんや雪の多いような時期はもっとかかるという。だから、とても村には住んでいられない、長野に通い切れないということでどんどん長野市等に流出をする。ですから、過去二十年の間に村の人口がちょうど半分に減った、もう大変な過疎の状況にならざるを得ない。ですから、これは積極的に、全般的に整備を進めていただきたい。  特に、最後のところになるわけですけれども、長野の市街地の入り口に茂菅という地区があるのですが、そこから県庁までは目と鼻の先なんだが、道路が非常に紆余曲折をしていてどうにもならないという箇所なんですね。幸いここは戦争中善光寺白馬鉄道というものが建設をされたというような経過があるわけでありまして、この鉄道敷などを使って何とかバイパスができないか、こういったようなことを最後に一言求めて終わりにしたいと思います。
  28. 萩原浩

    萩原政府委員 四百六号の鬼無里村の中心部から県庁間の整備につきましては、二、三の工区が現在着工いたしております。この工区の完成を急ぐと同時に、今後とも順次危険箇所隘路区間の解消について努力をしてまいりたいと存じます。  それから茂菅地区の善光寺白馬鉄道の敷地の利用でございますけれども、現在県でいろいろ調べた結果では、バイパス案のところとこの鉄道敷との間にかなり落差がございます。高低差がございまして、ちょっとこの利用がうまくいくかどうかということについては疑問視する声がございます。この点についてもう少し調整を図ってみたいと考えておる次第でございます。
  29. 清水勇

    清水分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  30. 住栄作

    ○住主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  次に、串原義直君。
  31. 串原義直

    ○串原分科員 去る一月開かれました国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして整備計画が決定をし、中央自動車道の園原インター設置が決まったわけであります。これは幸いなことでございましたけれども、決定だけでなく一日も早い着工地域の期待でありますから、その立場で以下伺ってまいりますけれども、このインターはこれからどのような順序、手続を経ていつごろ着工する、こういうことになるのでしょうか。
  32. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の中央自動車道園原インターチェンジにっきましては、一月二十一日の国幹審で設置が決まったわけでございますけれども、今後は連結道路の管理者でございます、長野県でございますが、長野県知事から連結許可申請というものを出していただくことになっております。これが出ませんと全然物事が始まらないわけでございますが、この連結許可申請を受けました後に、建設大臣から連結の許可、それから施行命令が出されることになっております。そして施行命令が出されますと日本道路公団で事業着手する、こういう段取りになります。  いろいろな例がございますけれども、通常このインターチェンジが新たに追加される場合に、事業着手までの期間でございますね、この追加が決まってから事業着手までの期間が二年から三年かかっております。これが従来の実績でございます。しかし、これは何も二年から三年かからないと絶対だめだということではございませんで、例えば設計の問題であるとかあるいはいろいろな連結道路のいわゆる整備の問題であるとか、そこら辺の問題がございまして、通常二年ないし三年かかっておるというのが実態でございます。
  33. 串原義直

    ○串原分科員 つまり知事から申請があって初めてそこから作業は始まる。ところが、諸条件を整えてまいりますために二、三年はかかるだろう、こういうことでございますが、つまり設計、連結道路の進捗状況等々の諸条件が整って、知事からただいま御答弁の許可申請が出たということになれば、直ちに許可、着工、こういう段取りになっていくわけでございますね。
  34. 萩原浩

    萩原政府委員 この連結許可の申請の中で非常に大きな問題点とかそういうものがございませんでしたら、これは連結の許可あるいは施行命令が出せることになると存じます。
  35. 串原義直

    ○串原分科員 この程度――程度という表現はどうかと思いますが、規模と申し上げた方がいいですね、園原インターチェンジのこの規模のインターをつくるとすれば、着工したらどのくらいな工期で終わるのでしょうか。
  36. 萩原浩

    萩原政府委員 実はこの詳細な連結の設計がまだでき上がっておりません。先生御存じかとも存じますけれども、実はここのところは地形上非常に制約がございますので、設計のいかんによってはかなり施設の移転を伴うことが予想されます。そうしますと、まずその施設を動かしてから工事着手するというようなことになりますと、どうしてもかなり時間がかかってしまうだろう。それから、その施設を動かさないで割合簡単な形での設計になりますれば工期は縮まるわけでございますが、私どもといたしましてはまだ完全なことは申し上げられませんけれども、例えば最大で五年ぐらいはかかるだろう。したがって条件がよければ着工してから五年以内でできるということも考えられるということでございます。
  37. 串原義直

    ○串原分科員 つまり施設の移転を要する等々もあの地域は考えられるので、その辺も考えていくと五年ぐらいはかかるだろう、こういうことでありますね。ですから順調にいった場合の話ですけれども、今局長の御答弁のように、諸条件を整備して、知事が建設省に許可申請を提出する、それに二、三年かかる。特別な諸問題がない限り、直ちに許可になったとしても工事着工後五年くらいはかかるだろうということになると、まあ七、八年を要するということになるわけですね。そういう判断でいいわけですね。
  38. 萩原浩

    萩原政府委員 実は、この工期の問題の中でかなり大きな問題を占めますのは用地の取得の問題もございます。ほかのインターチェンジで、設置が決まりましてからもう既に十数年たっていまだに開通していないインターもございます。ここら辺は用地問題が非常にこじれまして、計画段階でも非常に手間取りましたけれども施行命令が出てから後も非常に難渋しているという事例もございますので、一概には申し上げられませんが、ごく平均的な感じで申し上げた数字がそのとおりでございます。
  39. 串原義直

    ○串原分科員 これは大事なところですから伺っておきますが、用地問題にはやはり協力するということが前提で私は申し上げているわけでありますが、その場合だったら皆さんが努力をするならば七、八年でインターは実現するだろう、こういう理解でよろしゅうございますね。
  40. 萩原浩

    萩原政府委員 私はかなり安全を見て七、八年ということを申し上げましたけれども、通常順調にいけば五年ぐらいでも可能であろう、連結許可申請も全部入れまして五年ぐらいでも可能であろうというふうに考えております。
  41. 串原義直

    ○串原分科員 地域あるいは地元長野県の知事の努力等々にも期待をしなければなりませんが、せっかく進捗をするようにお墨つきをいただいたわけでありますから、御努力を願いたいと思っています。  そこで、この問題で最後に一言伺っておきますけれども、これは陳情によりますところのインター設置というのは応分の地元負担といいましょうか、あるいは工事分担といいましょうかを要すると思われるのでございますが、この辺についてはどんなぐあいになるのでございましょうか。
  42. 萩原浩

    萩原政府委員 実はかつてこのインターチェンジの設置に際しまして地元から御要望がありましたときには、かなり地元で負担をしていただくというような取り扱いをしておりました時期がございました。ただ、この取り扱いについては地方自治の財源の何とかという法律であったと思いますが、一部その法律の趣旨に違反するのではないかというような御指摘もございまして、現在ではインターチェンジの設置にかかる費用の負担というものは原則ではない、地元負担はないということになっております。  ただ、先ほど申し上げました連結道路、これは地元でやっていただくことになりますから、この連結道路の負担というものが地元の負担に実質的には残るということでございますが、そのほかの地元負担はないというものでございます。その連結道路の施設のどこまでを地元で負担していただいて、どこまでを日本道路公団が負担するかということが、実質的にどれだけ地元負担の金額が残るかということになるわけでございますが、この点につきましては、一般的には連結道路からインターチェンジの料金所付近までは地元で負担していただこうというのが一般の原則でございまして、詳細については協議の上決めるというふうにいたしております。
  43. 串原義直

    ○串原分科員 そういたしますと、連結道路等々を含めて中央道入り口の料金所まで、この工事については地元でやってくださいよ、料金所から中央道側は当然のことながら公団の負担ということでいくのですよ、こういうことですね。
  44. 萩原浩

    萩原政府委員 原則はそのとおりでございます。
  45. 串原義直

    ○串原分科員 それでは次に、河川の問題に移らしていただきます。  天竜川泰阜ダム水利使用にかかわる期限更新に関連をして、飯田市、関係者から強い反対ないしは要請が出されて、それぞれの機関で協議の末、昨年恒久対策が立てられました。これは時間がないわけでありますから本当に概略でよろしゅうございますが、その恒久対策について概要御説明をまずいただきたいと思います。
  46. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 天竜川の泰阜ダムに関連します川路、竜江、竜丘地区の恒久対策の内容について御説明申し上げます。  まず川路、竜江、竜丘地区治水に関しまして、昭和六十年一月十六日建設省の中部地方建設局長長野県知事、飯田市長の三者によりまして、堤防法線の位置、対策の内容、新堤外地の取り扱いを内容とします基本的な合意が整いました。さらにこれを受けまして、六十年の三月二十一日になりますが、この三者に中部電力を加えました西者によりまして、事業の種類、事業の施行者、事業費用の負担等を内容としました基本協定が結ばれました。  したがいまして、これらの基本合意、基本協定では、川路、竜江、竜丘地区治水対策といたしまして、堤内地、我々は新しい法線の山側というふうに理解をいたしておりますけれども、堤内地につきましては、計画高水位までの地上げを行うとともに、地上げが完了した地区につきましては、逐次河川改修事業としての護岸、堤防等の河川施設を整備していくという考え方でございまして、具体的に申し上げますと、約九十ヘクタールの盛り土、それから約二千二百メートルになりますけれども天竜川河川改修、それから約二千六百メートルに及びます、つけかえも含めますけれども鉄道の整備、それから一万四千百メートルの道路整備等の実施が具体的に定められております。  なお、これらの事業費用の負担は、原則といたしましてでございますけれども、盛り土につきましては中部電力、天竜川河川改修事業につきましては建設省道路、鉄道整備につきましては、付加されるものは別でございますが、従前の機能を回復するための費用につきましては中部電力が負担をするという内容が概要かと思います。
  47. 串原義直

    ○串原分科員 なかなかに大変な恒久対策でありまして、これはひとつ腹を据えてお取り組みを願わなければならないというふうに思います。  そこで、基本的なことでありますから大臣にまず伺いたいのでございますけれども、この基本協定の中にも触れられているようでございますが、この協定の中で「飯田市川路・竜江・竜丘地区に対する泰阜ダムの影響を完全に排除し、かつ、新しい土地利用を可能にするため、別添の事業計画書に基づき、次の事業を行う。」こういうふうに言われておるわけでございます。  つまり、泰阜ダムの影響による災害を完全に排除する、こういうふうにうたわれているようでありますが、このただいま局長から御答弁をいただきました対策であの地域災害がなくなる、こういうことになるのでしょうか。
  48. 江藤隆美

    江藤国務大臣 天竜川は、日本を代表する、これは皆が知っておる河川でありまして、ここに災害をなくするということは、私は大変大事なことだと思います。それについて建設省長野県、また地元の飯田市、それから中部電力でこういう協定が行われて、おのおのその責任分担をしながら洪水調節をやっていこうという方向が出たことは、私は大変いいことだと思っておるのです。これからはやはり建設省が主役を演じながらこの河川改修に取り組んで、昭和三十六年程度の洪水には絶対に耐えられるというようなものを目指して取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  49. 串原義直

    ○串原分科員 したがいまして大臣、この恒久対策をやるならば三十六年災ぐらいの洪水には耐えられる、あの程度の出水ならば完全に災害は除去される、こういう理解ですかということを聞きたいわけですよ。
  50. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私どもは、一応そういう目標でやっておるわけでございます。
  51. 串原義直

    ○串原分科員 この恒久対策について、地元地権者の諸君は了承されておりますか。
  52. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 私の承知している範囲でございますけれども、大部分方々の御賛同は得ている、しかしながら一〇〇%ではないというふうに理解をいたしております。
  53. 串原義直

    ○串原分科員 地元の皆さん、地権者は確かに大勢いらっしゃいますね。したがって御答弁のように一〇〇%ということはなかなか一遍にはいかないだろう、これはよく理解はできるわけでありますが、ただいま御答弁のようにおおよその同意はいただいておると思うということでありますならば、その立場に立って決められたこの恒久対策というのは、つまり、昨年決まったわけでありますから、六十一年度から手のつくところから具体的に始めていく、着工していく、あるいは作業を始めていく、設計等もあるでしょう、そういうことも含めて始めていくということですね。
  54. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 御承知のように基本的合意、基本協定が結ばれまして、各関係地区並びに地元飯田市、県、中部電力は御理解を賜りまして一生懸命に力を合わせてやろうということでございますので、私どもはその線に沿ってこの協定の内容が実現するように努力をしていくということでございます。  しかしながら、実際に仕事を進めていく段階におきまして地権者の同意を必要といたします。その地権者の一〇〇%の御賛同を得てないということでございますけれども、私どもは誠心誠意、県、地元市並びに地区関係者等々の御協力、分担を得まして、できるだけ早く地権者の御理解を得て事業を進めていくように努力をしたい、こういう考え方で取り組んでおります。
  55. 串原義直

    ○串原分科員 つまり、きょう時点なかなか一〇〇%いかない部分もあるけれども、地元飯田市、県の皆さん等と話し合ったり協力をいただいて理解を得ながら進めていきたいということでありますが、つまり、理解を得てできるところからとにかく新しい年度、六十一年度から手のつけれる部分から仕事は始めていく、そういうことなんでございましょう。
  56. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 お話しのように、私どもできるだけ早くこの内容が実現するように、地元の地権者の方々の御納得を得たいというふうに考えておりますが、これは非常に極端な例になりますけれども、一人の地権者が同意をしたからそこからということではございませんで、ある程度まとまった地区の御賛同をできるだけ早く得て、できるだけ早い時期に実際の仕事に取りかかるように努めていきたい、こういうことでございます。
  57. 串原義直

    ○串原分科員 局長、これはパーセントを言うのはなかなか難しい話でございますけれども、一〇〇%理解を得ていないことは――今は得ていない、しかし、おおよそ八〇%程度理解をいただけるという段階になるならば、手のつけれるところから六十一年度を起点として始めていこう、おおよそこんな考え方ですか、どうなんです。
  58. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 六十年度には、地元の御要請によりまして建設省として堤防法線のくいを打設いたしまして、地元の方々に新しい堤防はこのような形になるという姿をお示ししたわけでございますので、今後はできるだけ早く地元調整をいたしまして事業着手に持っていきたい。それで地元の方々の御要請にもこたえたい、先生の先ほどの御趣旨にもこたえたい、このような覚悟でございます。
  59. 串原義直

    ○串原分科員 前回の委員会におきましてこの点についてお伺いいたしまして、地権者の皆さん等の御理解をいただいて地域の諸問題が解決をするならば、この仕事は大体十年くらいで完成をさしたい、こういう御答弁を建設省当局からいただいているわけでございますが、諸条件が整わなければなりませんけれども、地権者の理解も得なければなりませんが、前回お話しのように大変大事業であるけれども十年でおよそ概成をさしたい、こういう理解でいいわけですね。もう一度確認をしておきます。
  60. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 いろいろの仮定があるという仮定でございますけれども、先生のおっしゃるとおりでございます。
  61. 串原義直

    ○串原分科員 いろいろの仮定という御答弁がありましたが、その仮定の中で私あえて質問を申し上げたいことは、この大事業はおおよそ予算はどのくらいかかると想定しておりますか。
  62. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 おおよそ二百億円というふうに想定をいたしております。
  63. 串原義直

    ○串原分科員 そこで局長、今私が伺いたいと思いますことは、二百億円と想定されている、これはわかりませんね、やってみたら二百五十億になるかもしれません。そこで、もろもろの諸条件の中という意味で伺うわけでありますが、予算は二百億円といってもなかなか不確定の要素が多いだろう。そこで予算の若干のでこぼこにかかわらず、十年の間に概成をさしたい、こういう姿勢でありますと、こういう理解でいいですね。
  64. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 そのような理解で結構でございます。
  65. 串原義直

    ○串原分科員 そこで、次に伺いますけれども、恒久対策の事業完了までただいま指定されておりますところの危険区域指定、これは解除しないということになるのか、計画水位まで埋め立ててその埋め立てが終わった時期ごとに危険区域は解消していくのか、この辺の基本的な考え方はいかがでしょう。
  66. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 危険区域の取り扱いにつきましては、昭和六十年三月に締結されました基本協定に定められておりまして、飯田市においては条例がございます。この現条例におきますと、工事が一部分完了いたしましても危険区域の解除ということにはできないわけでございますけれども、私たち承知いたしておりますのは、飯田市災害危険区域に関する条例を改正するということに聞いておりますので、その条例の改正がなされますれば危険区域は工事が完了した部分について解除されるということになろうかと思います。
  67. 串原義直

    ○串原分科員 条例が改正されればでございますが、やはり建設省の指導等々によってこの条例ができておる経過があるわけでありますから、今お話しのように条例が改正されればであるけれども、埋め立てが完了した時点で順次解除していくようにしたらどうかという指導を建設省としてはなさるわけですね。
  68. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 そのとおりでございます。
  69. 串原義直

    ○串原分科員 そこで、この堤外地、先ほど御答弁のように長い大きな新堤防ができる。そうすると、堤外地が相当広くできるわけですね。この堤外地の土地利用についてはいろいろな要請があると思う。建設省としてはどんなお考えですか。
  70. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 新しい堤防の外、いわゆる堤外地になる部分につきましては河川区域として認定するということは決定をいたしております。ただし、その利用につきましてはいろいろな立場からの御意見がございます。地権者の側に立った御意見もございますし、河川管理者の側に立った意見もございますし、それから関係するいろいろの機関からの御意見もございますので、そういう御意見を集めまして慎重に検討いたしまして一番適切な方法をとっていきたい、かように考えております。
  71. 串原義直

    ○串原分科員 御答弁のように一番適切な利用方法を考えてもらいたい。もらいたいが、これに余り時間がかかるのはいかがか、こう思うのでございます。この事業進捗のためにもこれは大事な事柄であろう、こう思うのでございます。  今お話しのように、慎重に一番いい方法を考える、こういうことでありますが、それは大体いつごろまでに決めようとお考えですか。
  72. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 私どもがこの事業を施行いたしますのは、竜江地区等の災害を防除する目的で行うわけでございますので、それらの事業の進捗に合わせまして、ですからその事業が進捗してもこの辺の取り扱いが決まらないためにというようなことのないように、できるだけ早い期間に決めたいということでございます。
  73. 串原義直

    ○串原分科員 それはよくわかりますよ。わかりますけれども、できるだけ早い期間というのは六十一年度中くらいか、あるいは六十二年度に入るくらいか、これは私は余り長くない方がよろしい、こう考えているのです。その意味で申し上げますけれども、六十一年度末ころまでにはお決めになるということですか。
  74. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 今お尋ねのございましたようなことを胸に入れまして、一生懸命やりたいと思っております。
  75. 串原義直

    ○串原分科員 恒久対策は、先ほど申し上げるように大事業である。汗を流して十年くらいはかかる。ということになりますと、恒久対策施行期間中に、これはないことを期待しながら申し上げるわけでありますけれども、この期間中に災害を受けた場合、その救済、補償ということはどうなるのでございましょうか。従来と同様に対処いたしますと、こういうことでしょうか、あるいは、そういう理解でよろしゅうございますか。
  76. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 堤内地、すなわち新しい法線から山側でございますけれども、地上げを行いまして、逐次市の条例に基づきまして災害危険区域の指定を解除いたしますとともに、昭和四十一年四月でございますが、その協定書に基づきます現行の水害補償措置の適用対象から除外をするということが基本的な考えでございますので、先生指摘のとおりかと思います。
  77. 串原義直

    ○串原分科員 時間が参ったようでありますから、これで終わります。
  78. 住栄作

    ○住主査 これにて串原義直君の質疑は終了いたしました。  次に、橋本文彦君。
  79. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 突然消える歩道というテーマで質問をさせていただきます。  国道十六号線といいますと、大変交通量の多い国道で有名でございますけれども、この交通量の頻繁な国道で約二十メートルにわたって突然歩道がなくなる、こういう現象があります。  私の方で現地調査しましたところが、この問題は十四年前から係争しておった。これは国道十六号が幅員の拡張がございまして、そのときからの問題であった。その後現実に国道が開設されたけれども、その部分だけが歩道がなかった、こういう状態でもうかれこれ八、九年経過しております。今までよくぞまあ事故が起きなかったな、こう思う次第でございますけれども、現地を見るたびに本当に肝を冷やすような状態でございます。  この問題で昨年の暮れから建設省の方にお願いしておったんですが、一向にらちが明かず、この予算委員会分科会でこの問題を取り上げたいという形でおったところが、突然ばたばたと話が決まってきたようなのでございます。  そこで、いわゆる国の敷地あるいは民間の敷地の、これは本質的には境界争いなんですね、こういうような国道に付随して、しかも交通の危険をもたらすような紛争というものが現在どのぐらいあるのか、そのデータをお示し願いたいと思います。
  80. 萩原浩

    萩原政府委員 道路の敷地についての道路管理者の権原に関する紛争で現在訴訟になっているものは、全国で十三件私どもに報告されております。ただこの十三件のうち、先生指摘のように、即ある意味での交通安全上支障があるというものだけではございませんが、その中にはまだ境界という意味でいろいろ訴訟中というものもございますけれども、それらを全部含めまして十三件ございます。その大半は道路敷地内での私人の所有権の確認を求めた訴えというものがほとんどでございます。  また、これは完全に法廷論争といいますか、訴訟の場に上ったものでございますけれども、まだ訴訟以外のトラブルというものも当然考えられるわけでございます。その件数については表に上がってきておりませんので、全国的には把握をいたしておりませんけれども、今先生指摘国道十六号を管轄いたしております関東地方建設局の例をとりますと、官民境界のトラブルが二件、現在争っているといいますか、いろいろお話し合いをしているというのがございます。そのうちの一件が、先生指摘国道十六号の相模原地域での問題でございます。
  81. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 十三件の訴訟が係属しているということなんですが、初めから訴訟になるとは思っておりません。その間にいろいろ話し合いがあると思うのですが、どの程度の話し合いをして訴訟になっていくのか、それをまず教えてください。
  82. 萩原浩

    萩原政府委員 現在訴訟になっている案件は、ほとんどが地権者の方から訴えられたものでございます。その前には、先生指摘のように当然地権者の方からいろいろな御要求が出まして、それに対して私どもはそうではないということで折衝をやっておりまして、その間に相手方から訴訟を起こされるという例がかなり多いのでございますが、場合によりましては突如として訴訟を起こされるというようなものもございます。千差万別でございますけれども、その前の調整といいますか、いろいろ折衝する年月につきましては非常に年数が千差まちまちでございまして、平均的にどのくらいであるということをちょっと御説明申し上げるような段階にはございません。
  83. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 本件の場合を例にして話しますと、一応建設省の方としては幅員が十八メートルある、その中に歩道も当然含まれておるわけですね。本件の場合にはその歩道部分をカットして、車道部分だけではいわゆる問題はないわけです。したがって、歩道を占拠している私人側からすれば自分の方の土地が取られたわけじゃないですから、これは幾らたったって訴訟なんか起こるわけがないですね、自分の敷地は取られていないわけですから。ですから黙っておれば、これは永久に、その歩道がないためにそこで交通事故が起きた、あるいは歩行者が死亡したという痛ましい事件が起きない限り、建設省としてはこのままほおかぶりをしておると私は思うのです。  しかしこの問題も国の方で十八メートルの幅員があるんだという形で歩道を直ちに強制的にでもつくる方法を講じておれば、当然これは訴訟になっておるわけですね。それを現在までしなかったというのはどういう理由なんですか。この問題は十四年前からです。
  84. 萩原浩

    萩原政府委員 正直申し上げまして、私がこの事例を知りましたのはごく最近でございます。写真その他を見ますと、なぜこのように長い期間これをほうっておいたかということについて、確実に合理的に御説明する論拠は正直のところございません。やはりいろいろトラブルがございますものですから、それを先送りしておったということしか言いようがないと存じます。この点については大変遺憾に存じている次第でございます。
  85. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 今の局長の答弁は納得できません。なぜならば、関東地方建設局、わずかに二件しかない。ほかにトラブルがたくさんあるからできない、おかしいじゃありませんか。これはわずか二件しかないうちの一件です。なぜ交通安全、人命尊重という見地から積極的にこの歩道を開設しなかったのか。建設省のその態度は、これはもう極めて怠慢であると思うのです。もう一度釈明をお願いします。
  86. 萩原浩

    萩原政府委員 ただいま私の答弁、言葉が足りなかったかも存じませんけれども、他にいろいろな案件があったので、それでこれがおくれたということではございません。そういう答弁の趣旨ではございませんで、やはりここの地主の方の態度が非常にかたいものですから、できるだけ時期を見て折衝しようというようなことでだんだんと遷延をしていったのではないか。その点で交通安全上のいろいろな意識でございますとか、なるべく早くこれを解決して、さらにもしお話し合いが進みませんでしたらある意味の措置をとってでもこれを実現すべきではないか、この歩道設置を実現すべきではないかという先生の御指摘に対しましては、そのとおりでございまして、大変遺憾に存じている次第でございます。
  87. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 せんだってこの問題を建設省の方と相談したのですけれども、要するに私人側の方では補償金が欲しいという話を漏らしております。それで建設局の方の方にちょっと言ったと思うのですけれども、やはり態度がかたくなであるという形で、暫定的に措置を講じたい。先ほど局長も言いましたね。私が聞いたのは、とにかく現在の車道に新たに歩道を設ける、ガードレールでカバーする、そのかわり車道そのものが狭くなる、したがってセンターラインを動かす、したがって車の幅員が狭くなる。今度は歩道をつくることによって車道が狭くなるわけですね。そうすると今度はもっと大きな事故が起きる可能性があるわけですよ。  そういうような案も示されまして、私実はこの暫定的な措置で幾らかかるのかと費用を聞きましたら、まあ百万とか二百万かかるでしょうというわけですね、そういうむだな工事が。ところがその金があれば、自己所有の土地であると主張している人間との間で話し合いがつくわけなんですよ、これは我々の感覚なんですけれども。要するに建設省の意見としては、国の権利はここまであるんだからびた一文譲れない、理不尽な金は払えないという形でもって、まず話し合いはできない。それで、幾ら金はかかってもいいからそういうガードレールをつくったりしてとにかく歩道をつくるんだということを聞きまして、実はびっくりしたわけなんです。さすがお役所だなという感じがしたのですけれどもね。  それで、もしこれが裁判にでもなって和解が勧告されれば、その和解金を払うにはやぶさかでない、こうおっしゃる。金を出すあるいはいろいろな費用がかかってくる、これは全部税金なんですよ。だから、どうしたら早くお金を有効に使うことができるかということになれば、むだな工事をするのであれば、そういう話し合いに使う方に回せばいいじゃないかと単純に思うわけなんです。そういうことを聞きまして、そういう感覚ではやはりスムーズに解決はしないなと思ったのです。質問わかりますか、趣旨が。  ですから、極端に言えば、向こうが二百万円請求しておると仮定します。ところが、その二百万円を支払うわけにいかないから、五百万かかろうと一千万かかろうともそれは関係ないのです。二百万払う金は理不尽で払えないけれども、そのために人命尊重の見地からガードレール等いろいろな施策を暫定的につくる。その費用が仮に一千万かかってもそれはやむを得ないことなんだ、こういう建設省の方の発想なんですね。それをどうお思いになりますか。
  88. 萩原浩

    萩原政府委員 役所の場合、確かに会計法その他の法規がございまして、それに適合しなければお金を支出できないという一つの大きな原則がございます。その原則は先生も御理解いただいていると思いますが、それにしてもその原理原則に固執して、実質上の解決というものについて全然目を向けないかたくなな態度では物事はうまく進まないではないか、こういう先生の御指摘であろうと存じます。私どももそのように考えておりますし、例えば今現在非常に道路を悪くして、しかも、多額の金を投じて道路を悪くしてでも何とか歩道をつくってひとつ現状を糊塗しよう、こういうような態度は決してとるべきではないというふうに考えております。  ただ前半の、会計法規上なかなか合わないものは支出できない、ここで向こうが言っている金額に妥協をして、それで現状を解決する、こういうような態度がとれないということだけはひとつ御理解いただきたい。ただ後半の、先生指摘のように、それから後のいろいろな物の考え方がもしあったといたしますと、その点は私どもはそういう指導はしていないつもりでございますが、今後とも厳重に注意をしたいと存じます。
  89. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 ここは正確には相模原市大野台一丁目なんですね。この件について建設省の方からこういうような形でもって暫定的な措置を講じたい――今私が言ったようなガードレールの話は知っておりましたか。
  90. 萩原浩

    萩原政府委員 大変あれでございますけれども、今初めてお聞きをいたしました。
  91. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 先ほどの局長の答弁の中で措置を講じたいという言葉が出ましたね。その措置とは何を意味するのですか。
  92. 萩原浩

    萩原政府委員 どこに関連しての措置でございますか、ちょっとあれでございますけれども。私理解できませんが、何についての措置でございましょうか。
  93. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 最初の方の答弁なんですけれどもね。歩道がないということでもって何とか解決したい、そのときに出た措置という言葉なんですが。
  94. 萩原浩

    萩原政府委員 例えば法的措置に出ましてどちらがいいかどうかというのを公開の場で御議論いただいて、それの裁決を得るというような措置をとるべきであったであろうということを申し上げたつもりでございます。
  95. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 それなら話わかるのです。  そうすると、今私が例に出しましたガードレールを設置する。国道の車道を狭くする。センターラインを動かす。車の危険は極めて増大すると思うのですけれども、そういうような案がもしあったとした場合に、局長の意見はどうですか。
  96. 萩原浩

    萩原政府委員 それはちょっとその詳しい計画は存じませんけれども、先生おっしゃるような措置であるならば、これはとるべきではないというふうに考えております。
  97. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 実はここにある図面で話しているのですが、これは建設省の方がつくったガードレールを設置する図面なんです。この図面を見て私は実は怒っているわけなんです。歩道がないからと言えば単純に歩道をつくります、そのかわり車道が狭くなります、こんなことでいいのだろうか。だから、きょう突然消える歩道という形で質問いたしましたけれども、今度は突然狭くなる車道という問題が起きるわけですね。私の言いたいことは、とにかく歩道が開設されないという事態が判明した段階で、直ちに局長のおっしゃるような法的手続をとっていただきたい。できるわけでしょう。
  98. 萩原浩

    萩原政府委員 これは当然とるべきでございます。一応話し合いで解決するというのが前提でございますが、その話し合いが非常に長時間にわたって、どうしても解決の見込みがないというときには、歩道は必要なわけでございます、ここの延長二十メートルだけが途切れるということになりますと、その前後の歩道の効果というものは全然なくなるわけでございますから、これは公共の施設の一つの目的を達していないということでございますので、当然これを続ける義務があるわけでありますので、どうしても話し合いがつかないという見込みをつけまして、法的措置をとるべき問題であろうというふうに考えております。
  99. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 先ほど答弁をいただきましたけれども、何しろ問題は十四年前からあるということなんですね。現在、問題提起しましてから建設省の方が鋭意努力なさっておられるようでございますけれども、何か土地の所有者との間で解決の兆しが見えたよというふうな話を伺っておるのですが、具体的にはどのようなものですか。
  100. 萩原浩

    萩原政府委員 この延長約二十メートルの区間に一・七五メートルの歩道を設置しようという計画でございました。ところがその境界の問題になるところは、幅が二十六センチぐらいのところであるということでございますので、約一・五メートルぐらいの歩道は設置できるということで、この一・五メートルの歩道をとりあえず設置をいたします。したがいまして、形としては二十五センチほど前後からはちょっと縮まるのでございますが、歩行上大きな支障はなかろうということでそのお話をし、そしてその境界の二十六センチの幅の問題については、今後なお協議を続けよう、残りの約一メートル五十のところについては、現在木が生えておりますけれども、これを伐採をいたしまして歩道を設置するということでお話を詰めようというようなお話が、実はおとといやっと合意に達したということでございますので、この間におきまして、先生の御指摘まことにそのとおりでございまして、先生の御指摘によって事態が解決に向かったということでございまして、その点の御指摘大変ありがたく存じ上げますし、また、私どももそれまでの間十四年も放置しておいた点について大変遺憾に存ずる次第でございます。
  101. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 私、本業が弁護士なものですから、どうしてもきちっとしないと気が済まないところがあるのかもしれませんけれども、話がついたと言うのですけれども、肝心の金額がまだ全然交渉の段階に乗っていない。そんなんで解決したと言えるのでしょうか。
  102. 萩原浩

    萩原政府委員 この紛争が完全に解決したというふうには言えないと存じます。ただ、歩道の一応の連続性は確保できるということで、ある意味の解決ということを申し上げたわけでございます。完全に法的に、これで全部解決したということではございません。
  103. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 くどいようですけれども、一・五メーターでもできれば確かに当初のガードレール設置よりもまだ幅が広くなるわけです。これは大変いいのですけれども、ただ、私どもが首を突っ込んだ限りでは、この人は大変に自己主張が強くて、多額の金額が入らなければ絶対歩道はつくらせない、こう言っているような人ですね。ですから、なぜそんな簡単に一・五メートルも譲歩したのか、私自身は今ここで唖然としているわけなんですけれども、どういう話があったのですか。
  104. 萩原浩

    萩原政府委員 実はどういういきさつで相手がこのようにある意味の妥協の態度を示されたかというその詳細については私ども承知をいたしておりませんが、おととい向こう側から急にそういう提示があった、最後の境界についてはまだ争うけれども、その前の約一・五メーターについては歩道を設置していいという連絡があったということでございます。
  105. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 それでは、ぜひ早急に歩道が開設されますように、本当にお願いしますね。  ほかに一般論として裁判になっているケースが十三件ありますね。これは負ければ負けたできちっとしなければならぬし、勝てば問題ない。裁判所が和解勧告をしたような場合にはどうするのですか、実際のケースとして。
  106. 萩原浩

    萩原政府委員 非常にいろいろなケースがございます。和解勧告をいただいてもなかなか和解に至らないというような場合もございますし、それから正直なところ、金額の問題で和解の場に着けるという場合もございます。その金額の場合には、現在道路になっているという実態が非常に多いわけでございます。ところが、道路になっているのだけれども、例えば公図とかその他の点から判断してこれは私の所有の土地であるという御主張、これが大体のパターンでございます。  そうなりますと、既に道路になっておりますから、当然のことながらそれの買い上げ価格というものの判断といいますか折衝になるわけでございまして、この点については大体どのような権利、例えば地上権の設定というようなものの考え方でその価格を決めて和解の妥結に持ち込むというような場合もございます。大体、そういう例が和解としては一番多うございます。
  107. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そうしますと、訴訟の大半は、現在道路として使われておる、それに対して争いがあるというケースなんですね。本件は、そういう形でもって昭和六十年度中に解決していただけるという話でいいんですけれども、この話を詰める前に、もし話がつかない場合には強行手段をとる、そして建設省としてはとにかく一・七五メートルの歩道を確保する、そして相手方から裁判の提起を待って受けて立つというようなことをお話しになったのですね。そうなるとまた十年戦争になるかもしれませんけれども、そういう場合に、もし裁判所が中に入りまして和解勧告をする、そういうような場合には建設省としてはどうしますか。これは実態の運用をちょっと知りたいのですけれども。
  108. 萩原浩

    萩原政府委員 いろいろなケースがございまして、これについてどうだというその言い方はなかなか難しいわけでございますが、向こうの言い分とこちらの言い分との間に大きな差のない場合はそこで和解が成立するわけでございますが、どうしても大きな差があってだめであるという場合には、せっかくの勧告でございますがこれは和解できないということで判決をいただくということが私どもの基本的な姿勢でございます。
  109. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 和解ができる場合もあるということですな。これは裁判所が中に入るからそういうことになるのですが、裁判所が入らないで建設省と私人の間で話し合いがあって、幾ら払うと、もしなったとしますね。その場合はこれは会計法上できるのですか。
  110. 萩原浩

    萩原政府委員 こういう土地を売買といいますか用地買収をやりまして道路をつくるという例は、物すごく多いわけでございます。したがいまして、非常に急いでやる突貫工事であるとかそのような場合には、えてして買収漏れというものもたまにございます。そういうように明らかにこれは私どもの手続のミスであるというようなものについては、当然のことながら賠償金を払いますけれども、かなり昔に道路になってしまったものも随分あるわけでございます。そういうようなものにつきましては一応――もう現実に道路になっておりますので、その場合には通常一五%ぐらいの金額で和解に持ち込むというのが通例の状況になっております。これはもう確実にあちら側が昔所有していた、その後十年以上道路として使用していた、それに向こうが気づかれていろいろな賠償要求が出たという例がかなり多うございますが、そういう場合には大体一五%から二〇%ぐらい、いろいろなケースがございますけれども、算出をいたしまして和解に持ち込むというようなものもございます。これは裁判にまで至りません。
  111. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 ちょっと例が違ったのですけれども、本件の場合、今後また交渉が長引くと思うのですよ。その場合に金額の折り合いがつかないという場合はこれはわかるのですけれども、ある程度の金額で妥協できますね。これは今言った意味では建設省のミスでもありませんし、お互いの権利主張が違うだけでありますから、その場合の和解金額というのはどの程度までなら払えるのか、裁判所が関与しないで。
  112. 萩原浩

    萩原政府委員 この件につきましては、私ども報告を受けた限りでは、私どもはお支払いするあれはないのではないかという基本的態度でございます。したがいまして、もしこの件のまた境界の問題になれば、先ほど申し上げましたようなやはり法的な措置でいろいろ御議論いただくということになると存じます。そして裁判所がお入りいただいて和解の勧告とかそういう事例は、またその後の進展というふうに理解をいたしております。
  113. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そうしますと、立ち木の補償の問題というのがありましたけれども、そういう点からこれはまた大変難航するのじゃないかと思いますので、本当にその辺よろしくお願いいたします。  実は県の方で相模縦貫道路という計画がございます。これは御存じと思いますけれども、国が構想しておる首都圏中央連絡道路、これと県が計画している相模縦貫道路、随分ルートが違っておるのですけれども、この件について県の方ではことしの夏から調査をしてルートを決定したい。そうすると、神奈川県の場合には現在の相模川の河川沿いに新ルートを決定したいという意向なんですが、仮に神奈川県の方で新ルートを決定した場合、建設省の方ではどのようなお考えをお持ちでございますか。
  114. 萩原浩

    萩原政府委員 現在、国道百二十九号が相模川に沿って南下をいたしておりますけれども、それの対岸に幹線道路が一本必要ではないかということで、県がいろいろ地元の皆様とも御調整の上でそういう案を持っておられるということについては私どもも承知をいたしております。  昨年、六十年の十月に神奈川県と建設省及び関係機関から成ります神奈川県広域幹線道路計画委員会というのを設置をいたしまして、この神奈川県の中のいろいろな広域的な幹線道路についての打ち合わせをやっていこう、検討をやっていこうというような場をつくってございます。したがいまして、神奈川県が独自でこのような計画を出されて、それを建設省が受けてどうするか、こういうものではございませんで、計画として固める前にいろいろ調整を図っていって意思の統一を図りたい、こういうことになっております。
  115. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 時間が参りました。  そうしますと、県と国が協議し合って速やかにルートが決定されてくるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  116. 萩原浩

    萩原政府委員 そのとおりでございます。
  117. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 ぜひこれも早期実現方よろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  118. 住栄作

    ○住主査 これにて橋本文彦君の質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。
  119. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 私は、内需拡大と住宅対策ということについて質問したいのですが、その前に大臣に少し考え方を伺いたいことがあります。それは日米貿易摩擦の中で内需拡大、この中で公共投資であるとかさらに住宅投資等々がどういう役割を果たし得るかというようなことについてひとつ考え方をお伺いしたい。  その前に、実は私、昨年の九月に六名で超党派の議員なのでありますが、日米貿易摩擦の問題で九月の上旬から十日間ほどアメリカに参りましていろいろな階層と随分と論議をしたのでありますが、ちょっとそれを紹介して、それについてひとつ大臣の考えを伺いたい、こう思うわけであります。  これはワシントン州のスポーケンという穀倉地ですが、ちょっと参考に申し上げますと、穀物の過剰の山がありました、小麦ですね。一万五千トンの山が八つで十二万トン。二千戸くらいの町にしては非常な小麦が野積みにされておる。いわゆるドルが高くなって、国際価格が高値になってなかなか売れないというのが過剰の原因ですね。そこで彼らは日本にもう少しこれを買ってくれ、関税を下げて市場開放をしてくれ、こういう今まで十分聞いている要請があったわけですね。  私たちはそれに対して率直にこういう論議をしたのですが、それは赤字財政によってアメリカ自体もこの高金利、ドル高に、九月の状況ですが、なっているのじゃないか。だからこれを変えなければ基本的には問題は解決をしないのじゃないか。こういうことを率直にそのときには論議をしたわけですね。アメリカの赤字財政、ドル高がやはりそういう貿易赤字の最大の原因じゃないか、こういうことを、これは国会議員同士でありますから率直にやりました。  その中で、当時、昨年の九月の中旬程度、私らが帰る九月十八日前の時点では、こういう提起に対して反対をするというのはない。それはわかる、しかしアメリカの赤字財政を圧縮するのは容易でない、必要ではあるが容易でない、簡単にはいかない、こういうことはみんな言っておりましたが、否定はしなかったですね。そんな中で金融界と随分論議をしたときに、アメリカのケミカルバンクとこれは随分やったのですが、そのときにこの貿易摩擦の問題が出て、関税引き下げや市場開放を求められて、私たちの方は財政赤字を圧縮しなさい、ドル高を下げろ、こういう論議をしました。そのときに彼らは、確かにアメリカの赤字財政はやや圧縮しなければならないと思う、しかしそれをやるとアメリカの経済は減速をして、日本とドイツと開発途上国の輸出が頭打ちになっていく、その場合に開発途上国の輸出をどこかが引き受けてくれないと、世界経済全体が運営できない、縮小していく、だから日独、特に日本は内需拡大によって経済を刺激して、そしてこういう開発途上国の分もかなり引き受けてもらわないと、アメリカが財政赤字を圧縮するだけでは問題は片づかぬのじゃないか、こういう率直な意見が出たわけですね。私たちはそれぞれの努力を、アメリカは財政赤字を圧縮する、我が方も内需拡大の努力はそれぞれひとつやろうじゃないか、こう言って別れたわけです。  そんな中で私はお尋ねしたいのですが、ドル高の方はG5以来通貨当局、財政当局の政策介入によってかなり解消された。むしろ逆に言うと円高の懸念が出てくるというぐらいになってきたわけですね。そんな中で、アメリカは去年の十二月に財政収支均衡法を成立させておる。だからアメリカも荒療治であるがこれに取り組んできた。そうなりますと、我が国が本格的な内需拡大に取り組まないと、今世界経済の中で日本の立場としては、まだこれからの行き方として、これが非常に必要じゃないかと思うのです。世界経済の中における内需拡大の関係について、建設大臣は公共住宅投資等々いわば民活を含めて内需拡大に非常に関係の深い所管大臣でありますので、これらについての見解を少し聞かせていただきたいと思います。
  120. 江藤隆美

    江藤国務大臣 大変高度な御質問でありまして、どの程度お答えしたら御満足がいくかと思いますが、私も実はブロック通商代表とは随分と激論もしましたし、それからその前のストラウス通商代表とも日米貿易摩擦のことで農産物を中心に随分議論をしました。その間に、やはり工業製品等についてもかかわりのあることですから、日米間で随分と激論を重ねてきたわけでありますが、しかしどうも私はこの十年来ずっと見ておりますと、アメリカの要求というものはエンドレスだという気がしてならないのです。そして余り日本を知らないですね。余りにも知らない。ですから、自分たちの感覚で自分たちの考え方を日本に押しつけようとする。だからアメリカが多額の経済援助をやりながら各国になかなか喜ばれないというのは、私はそこいらにあるのじゃないかなという気がしてならないのです。  しかし、今回いろいろと内需拡大を通じて貿易摩擦の解消ということが言われておりますが、石油がこんなに下がって八ドルにもなろうという話があったりしますと、これだけでまた百五十億ドルも黒字がふえるのじゃないかという話を聞くと、実は頭が痛くなる話でありまして、私どもはやはり一番景気に影響するのは住宅ですから、住宅一つつくれば大体百五十の業種に影響を持つ。それから経済成長にやはりGNP二・七ちょっとくらいの影響があるのじゃないか、こう言われておりますから、せっかく六百七十万戸の住宅建設五カ年計画をスタートさせるわけですし、この目標の第一年目ですから、ひとつこれにしっかり取り組んで住宅が建つように、それによってまた内需拡大の誘いになって、そして日米貿易摩擦の解消の一助になれば大変幸せだ、こう考えておるところですが、なかなか難しいなというのが正直な感想であります。
  121. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 内需拡大をやっていく上で、四つの大きな柱、公共投資、民間の設備投資と住宅投資と個人の消費がある。これは言うまでもないことですけれども、そういう中で今大臣も御答弁がありましたように、やはり住宅投資の占める役割というのは非常に大きいと思うのです。外国からウサギ小屋というような批判もあるわけですけれども、これに我が国が力を入れる限り、外国は批判のしようがちっともないと思いますから、これを内需拡大の非常に大きな柱に据えるべきであると思います。  計画は大変結構でありますが、問題は具体的に数字としてそれが実現をされなければ、この住宅というものは進んでいかないわけですが、現状において、この今の程度状況で内需拡大のそういう役割を果たし得るとお考えか、私はまだまだ非常に足りない、不十分であると思いますが、この点はいかがでしょう。
  122. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 住宅建設につきましては、今大臣が申しました五カ年間で六百七十万戸という計画を現在原案としてつくっておるわけです。これは年間べースに直しますと大体百二十九万戸ぐらいのベースになります。ところで五十九年度の着工戸数というのが百二十万七千戸であったわけでありまして、六十年度につきましてはまだ数字が出ておりませんけれども、百二十万台の中ごろよりちょっと低いぐらいかなという見通しを持っておるわけでございます。  それで今後の問題でございますけれども、今御審議いただいております予算案の中でも、金融公庫につきましてもかなりの改善措置を講じておりますし、それから、今の厳しい財政事情のもとではやはり相当の減税幅ではないかと思われる住宅減税、これもお願いするということになっております。こういうものを踏まえますと、何とか初年度につきましては目標を達成できるのではないかなと、もちろんこれは完全に胸を張って言うわけにはいかないかもしれませんけれども、そういう感じを現在持っております。
  123. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 住宅を建てていく場合に、これはもう自前のお金で建てる人というのはほとんどないので、借金をして建てている。したがってそのローンにかなり思い切った減税をやれば非常に家は建てやすくなると思うのですが、ある手当てが今度もなされているということは承知はしておりますが、さらに住宅減税により力を入れてもらうということが住宅建設をふやし、そしてひいては内需拡大の大きな道筋につながっていくと思いますが、今原案はもう既に出ているわけですが、さらにこれから住宅減税を強化するというか一層強めていく、こういうような方向についてのお考えはいかがでしょうか。
  124. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 先ほど申しましたように、今お願いしております新しい税制というのは、住宅取得促進税制、こういうものとそれからいわゆる生前贈与の改善でございますけれども、この二つで初年度三百九十億、六十一年度の全体の減税の相当部分を占める規模ではないかというふうに考えておるわけでございます。私は、したがいまして現在の時点におきましてはこれが現実的な減税措置ではないか。さらにその後の問題につきましては、我々もいろいろ勉強をいたしまして、その充実改善に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  125. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 住宅を建てる場合に、コンクリートで建てたり木で建てたり、いろいろあるのですが、木造で住宅を建てるということを特に推奨する、進めていく必要があるのじゃないか。建設省の大きな仕事に国土保全というのがありますが、国土保全はまた一面では治山治水がやっぱり一番基本で、山の木が挙げてなくなっている山を幾ら治山治水で努力をしてみても、山も治まらなければ水も治まらない。そういう点で、建設省の国土保全はまた森林資源を守っていくということにも非常にかかわりが深い、こういうように思うのです。  その点から考えますと、今、日本の山、森林は荒廃をしていくというか、国産材が有効に使われないというために非常に難しい事態にこれからだんだんなっていく心配がある。特に十五、六年後、西暦二〇〇〇年には、戦後植林した木が全部伐採期に入ってくる。そのときに木材の需要が低迷をして難しいとなりますと、山を守る者がいなくなってしまう。もう将来に期待が持てなくなる。そういう点で、木材をうんと活用するということは森林の保全、ひいては国土の保全、建設省の治山治水ということにもかかわる大変大事な問題であると思いますが、この基本的認識は心配ないと思いますが、念のために大臣にひとつ伺いたい。
  126. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私は、日本の木材産業というものの悲劇は、昭和三十五年から七年にかけて無条件に外材の輸入を許可してしまったというところにスタートしたと思っておるのです。そのときに輸入制限もやらなければ関税もやらないで、本当に丸裸で木材の自由化をしたというところから今日外材が怒涛のように入ってきて国産材の市場を荒らしていったという極めて情けない状態になったと、こう思うわけであります。  しかし、おっしゃいますように拡大造林をやってきましたものがもう二十五年、三十年たちまして、いよいよ伏期に達するわけですから、そのときだれも買い手がないというのではこれはしようがありませんで、やはり道路の整備、林道の整備、それから間伐の促進、そういうことをやりながら、片方では、私ども建設省としては、何としても気候風土に適した木造住宅を建てていく。昔はこういうテーブルでも、あるいは何でも全部木でしたけれども、昔と違いまして近ごろはもう家に使わなければ木材の需要というのがなくなったですね。ですから、どれほど住宅に木材を使うかということが国産材の将来を左右するということは私認識をしておりますので、これからのこの五カ年計画等も踏まえまして、木造住宅が建てられるように建設省としてもそういう施策を、いろいろ供給事業あるいは技術の改善等、今積極的に取り組んでおりますので、これを推し進めてまいりたい、こう思っております。
  127. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 その国産木材を使った場合に政策減税によってある上乗せをする、こういうことをやれば、いろいろ整合性からいえば問題はあるとは思いますが、木造の住宅を建てていく方向はさらに推進できると思いますが、国産木造の建築、住宅に政策減税を将来考えるというようなお考えはないか、ちょっとお伺いしたい。
  128. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 なかなか難しい質問だと思います。今先生もちょっと御指摘になりましたように、国産木材というものとそれから他の構造の住宅というものを、いわゆる住宅政策の面から税制において差をつけるというか、そういうことが税の公平ということからいってできるかどうかという点は、かなり問題ではないかというふうには考えます。しかし一つの今後の研究課題であると思っております。
  129. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 これは御研究いただきたい。例えば福井県では、県産の木材を使った場合に幾らか上乗せをするとか、国もそういうことがやられれば県もやる、こういうようにして国産の木、県産の木材を大いに使っていくということが考えられると思うのですね。ぜひひとつ研究課題としてこれから検討いただきたいと思います。  あと私は高規格道の問題について一、二点お尋ねをいたしたいと思います。  道路審議会の中で高規格道を今後どうするかということが論議をされておりますが、その中で、道路のネットワークを完成していくというような方向の論議もあると思いますし、また開発に重点を置いたという論議もあろうと思うし、そのいずれも考えられる、いろいろあると思うのですが、道路審あるいは建設省内部では高規格道はどういうところにウエートを置いた観点でお考えになっているか、これをまずお伺いしたいと思います。
  130. 萩原浩

    萩原政府委員 建設省では、二十一世紀を目指しました将来の道路整備のあり方を検討するために、道路審議会に基本政策部会を設けまして、昨年の十一月から、二十一世紀を目指した道路づくりにつきまして検討を始めております。  これまでに二回の部会を開催をいたしまして、高規格幹線道路計画に関する基本的な考え方について検討をお願いいたしておりますけれども、その基本は、やはり国土をネットワーク的に構成をいたしますような道路網、国土の交通幹線として国土をネットワークとして覆う、そういうような道路網、その路線の設定条件、必要規模等を中心に審議を進めておりまして、先生指摘のどちらに重点かという御覧間でございますれば、どちらかといえばネットワークの方に重点を置いた論議を進めていただいております。
  131. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 それから、五十八年に道路審議会が出している高規格道等の手法として、公共事業でやるのと有料とを併合するというか組み合わすというような考え方が出されておるのですが、これの出てきた背景といいますか観点というか、これについて一遍お伺いしたい。
  132. 萩原浩

    萩原政府委員 現在整備を進めております国土開発幹線自動車道七千六百キロにつきましては、有料道路としてこれを整備するというふうに考えております。そしてこの七千六百キロは全体が築造後三十年間で建設費まですべて償還してしまう、こういうような構想に立って整備を進めているものでございます。  道路は無料公開が原則でございますので、三十年後には全部無料にするという原則で現在整備を進めておりますけれども、それにはそれなりの交通需要がございませんと採算性がとれないという一つの大きな泣きどころがございます。今後この七千六百キロを拡大をいたしまして、現在国土庁とも調整をとりながら全体規模をどのくらいにするかという調整を図ってまいりますけれども、今後新しく高規格幹線道路として編入をいたしますようなそういう路線は、その多くが七千六百キロのときに考えられたような採算性は恐らく保持できないだろうというふうに私ども見ております。  そういたしますと、やはり別の形での採算のあり方、採算性のとり方というものを考えざるを得ません。それにはいろいろな手段が考えられますけれども、そのうちの一つといたしまして、公共事業をそれと一緒に組み合わせることによりまして、安い資金コストの有料道路として成り立つ、そういうことによって採算性がとれるということを考えるのも一つの方策ではないだろうかということを述べているものでございます。
  133. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 高速道の七千六百キロということであれば、これはもう採算の可能性はあると思いますが、それからさらに拡大していくことになるとかなり難しさがある、そういう点でいろいろ工夫を凝らしておられみということは理解ができると思います。  そこで、私ども福井県にはこの高規格道にかかわるのは二つ予定されているといいますか、その構想が今ありますが、一つは、福井を起点にして油坂、大野を通って、そして白鳥から岐阜、松本の方に抜ける中部縦貫高規格道といいますか縦貫道、もう一つは、敦賀を起点にして日本海をずっと縦断して山口県に至る日本海縦貫道、この二つの構想があるわけです。この中部縦貫道も、今の道路状況の中では、地元の住民、自治体はぜひひつその採択をして将来早期完成を図ってほしい、こういう非常に強い声がありますが、これはこの機会に要望としてひとつ伝えておきたいと思います。時間の点からこれに触れる時間がないので別の機会に譲ります。  そこで、日本海沿岸の縦貫道は非常に距離が長いわけなんです。一遍にやるわけにはなかなかいかないと思うのですが、そういう場合にどういう観点から手をつけていくのか。一度にやれないとすればいずれかの場所からやらなければいけないが、そういうときにどういう観点からしかるべき場所を選んでやっていこうとするのか、その点についての見解を聞きたい。
  134. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の、敦賀から舞鶴を抜けましてずっと日本海に沿って山口まで至る日本海沿岸自動車道の構想、これにつきまして既に三全総でもその名前がでている路線でございます。今回の高規格幹線道路計画の中でもその一路線といたしまして現在鋭意検討を進めておるものでございます。しかし、この全延長は非常に長うございますし、その地域にはいろいろな特性がございます。したがいまして、その特性を踏まえた整備手法というものも考えていかなければならないであろうというふうに考えております。  その整備手法の中でも、特にまた性格づけの面から申し上げますと、例えば敦賀から舞鶴というような区間と、それから先の区間、おのおのその性格が区間ごとに変わってまいります。その区間の特徴を踏まえながらまた整備手法を考えていくということが必要ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  135. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 さっき、道路審で検討の内容はどちらかというとネットワークに一つ重点があるという答弁だったですね。そうしますと、今局長からも出ましたが、舞鶴と敦賀間は二大港湾を結ぶという意味において非常に重要であるし、また夏場における混雑等々考えると、この間を信号なしの道路が一本つかなくてはならないという状況が非常に強いのですが、まずこのネットワーク――今の問題は後にしてネットワークという観点から言うと、敦賀は当然北陸高速道が走っている。そして米原で名神と合流をしている。さらにそれは中国高速道に引き継がれている。この所から間もなしに、ある時間はかかるでしょうが、近畿高速道が舞鶴まで顔を出してくる、こういうことになっておりますね。既に進んでいますから。  そうなりますと、もしも北陸高速道あるいは名神高速道あるいは主要高速道の一部に何らかの事故、災害等があったときに、やはり道路網を的確に結ぶということが非常に大事なんですが、その場合に、敦賀と舞鶴間は七十キロぐらい、まあ必ずしも長い距離ではない、しかも、これを結べば、北陸、名神、中国道に万が一ということがあっても、直ちにこれを通して道路網が完成する、連絡がつく。こういう点から、道路網の完成という観点からいうと、舞鶴―敦賀間の高規格道は非常に重要性を持つと思うのですが、それらについての見解をひとつお伺いしたい。
  136. 萩原浩

    萩原政府委員 今回高規格幹線道路網の計画を策定する理由の一つに、たとえばヨーロッパ先進諸国では高速道路網、自動車専用道路網が発達をいたしておりまして、その一つがもし何らかのことで事故が起きた場合にその迂回策がとれるというところに非常に大きな特徴があるわけでございます。やはり道路でございますから何らかの事故というものが考えられる。そのときに迂回策をとれるというところに網としての非常に大きな役割があるわけでございます。その網の整備というものを七千六百キロよりさらに上げようということで今回高規格幹線道路網というものの構想が出てきたわけでございます。その意味におきまして、先ほど申し上げましたように、ネットワークというようなものについてかなり重点を置いているという考え方に立つわけでございます。  さて、先生指摘の敦賀―舞鶴間でございますけれども、図でもごらんいただきますように、現在、北陸道から名神に入っておりますけれども、名神自身が非常に混雑をいたしております。それから大阪市の北の方を過ぎますところあたりも、かなり人口稠密でございますし、いろいろな需要が出ておるところでございますが、そこに何か一つ事故がありますと交通がとまってしまって非常に大きな問題がある。その際に、少しく時間はかかりますけれども、舞鶴を回りまして中国道から回り込むということは十分考えられるわけでございます。したがいまして、ネットワーク的に申しますと、敦賀―舞鶴間のその価値、自動車専用道路の価値というものは決して小さいものではないというふうに私ども認識しているものでございます。
  137. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 道路局長の専門家の意見を聞いて大変心強い感じがしますが、大臣、これは今論議のようなネットワークという点からいって非常に大事だと思うのですが、大臣の聞いておられての感触といいますか感じはいかがでしょう。
  138. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私はいつもテーブルの上にこれを置きまして、しょっちゅう眺めておる。この敦賀―舞鶴間というのは非常に重要な意味のある路線だと私は思っております。それからもう一つ、日本海沿岸についても大事である。大事であるが、さっき局長が申し上げましたように、ここはやはり整備手法を考えないとかなり赤字になるおそれがあるという感じが実はいたします。しかし、いずれにしてもネットワークという考え方からするとこれもやはり大事であろうと思っておるところでございます。
  139. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 これで終わりますが、若狭湾全体の沿線は舞鶴―敦賀間の高規格道の実現を非常に期待し、切望しておりますし、これは福井だけではなしに京都府も知事さんを含めて非常に御熱心でありますので、ぜひ今の論議を踏まえてこれからの検討のときに十分考えていただくように強く要望をいたして終わりたいと思います。
  140. 住栄作

    ○住主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。
  141. 滝沢幸助

    滝沢分科員 委員長、毎日御苦労さまです。大臣、御苦労さま。  極めて簡単な、しかもローカルな質問かもしれませんけれども、東北横断自動車道郡山経由いわき―新潟間、これは今時に郡山―新潟間につきましていろいろと奮発をしていただきまして地方住民大変感謝をしつつも、しかし本心から言うならばいま一つ促進してほしいという願いを込めているわけでありますが、進捗の状況と今後の日程の繰り上げ促進ということについてお考えをただしたいと思います。
  142. 萩原浩

    萩原政府委員 東北横断自動車道いわき新潟線でございますけれども、これはいわき市から新潟市に至ります約二百十二キロメートルの国土開発幹線自動車道でございます。去る一月二十一日に開催されました国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、新たに会津坂下と新潟県の津川間三十三キロメートルが整備計画に格上げになったような格好になっております。この間につきましては早速調査を進めまして、調査が整い次第事業ということになろうと存じます。また、その他の区間につきましては既に事業着手をいたしておりまして、郡山シャクションから会津坂下インターチェンジ間につきましては、もう既に一部工事にも着手をいたしております。六十年代後半の供用を目途に事業の推進を図っているところでございます。この間はもちろんのこと、先ほど申し上げました新たに追加をいたしました会津坂下―津川間につきましてもできるだけ調査促進いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  143. 滝沢幸助

    滝沢分科員 六十年代後半ということをたびたび承っているのでありますが、どうか一年でも促進をしてちょうだいしますように要望させていただきます。  さて、さらに細かい話でありますが、実は県道に須賀川市から田島町に至るいわゆる須賀川田島線というものがございまして、これが昇格運動を推進しているわけでございます。どの道路もこれを言っているわけでありますから受けられる方もいろいろと大変だと思いますが、これは実は殿様道路でございまして、藩政時代に参勤交代に殿様がお通りになったというほどの大事な道路でありまして、いわば会津地区と県南地区とを結ぶ最短の路線でございます。しかし、これはそれこそ険しい峠を越えるわけであります。勢至堂峠といっております。しかし、これについて今工事が着々生言いたいところなんだけれども遅々として進んでいないわけでありまして、感謝をしつつももう少し何とかできないものかという期待を込めているわけでありますが、この昇格のことの御承認と、工事の一日も早い完成をということをここに要望し、ないしは主張しましてお考えをただしたいと思います。
  144. 萩原浩

    萩原政府委員 この県道須賀川田島線の昇格問題につきましては、私も十分承知をいたしております。前回非常に強い御要望がございましたけれども、いろいろないきさつがございまして国道昇格を見送らせていただいた、こういういきさつでございます。国道昇格につきましては前回の昇格以後かなり年数はたってございますけれども、例のゼロシーリング、マイナスシーリングの問題がございまして、前回昇格をいたしました路線の整備が残念ながらまだ余り進んでいないという状況もございます。したがいまして、現在いつ次回の追加指定を行うかということについてはまだ定かではないのでございますけれども、追加指定に当たりましては、一般国道の要件でございますとか幹線道路の網間隔等を勘案いたしまして、全国的に均衡のとれた道路網を形成するようにという一つの大きな命題がございます。この須賀川田島線の問題につきましても、この考え方に沿った形で今後検討されると存じますけれども、次回の追加指定の際に検討することといたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。  また、この路線の整備でございますけれども、この県道部分につきましては現在改良率が八〇%ぐらいでございます。それから舗装率は、簡易舗装も全部含めてでございますけれども九七%ぐらいの舗装率を示してございますが、これにつきましては長沼町地先とか天栄村あるいは下郷村地内というところでいろいろ工事を行っておりまして、未改良区間の解消と冬期間の大型車通行の確保を図るためのいろいろな事業を鋭意行っているところでございます。今後ともこの路線の整備について格段の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。  また、先生指摘の勢至堂付近の問題でございますが、ここは現在国道二百九十四号に編入をされておりますので、国道として改築工事着手するわけでございます。五十二年度から改築工事をずっとやっておりまして、長沼町の方から進めております。最後はトンネルを抜かなければならないということになりまして、このトンネルが大体六十五億ぐらいかかるだろうという予定をいたしております。そしてまだちょっと前後の改良が進んでおりませんので、トンネル本体に着手するまでには少しく時間がかかりますけれども、できましたら六十年代中にこのトンネルまで完成させたいという予定をもって工事を進めているところでございます。
  145. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大臣、次回のこの昇格の決定はおおよそいつごろになるものでしょう。これはいろいろと苦労の多いところでありますが、私は全国の道路網地図を見まして、どうも細かく網が張られているところと随分と粗いところがあるようにも思うのです。しかし、今局長おっしゃったように実際的にはいろいろと予算をちょうだいして整備も進んでいることでありますから、話が決まってむしろ同居同棲しているならば早く入籍をしなければいけないわけでありますから、どうかひとつ一日も早く入籍をちょうだいしますよう、大体いつごろがこの目途で作業を進められているのでありましようか。ゼロシーリングということもありますけれども、しかし政治は停滞してもいけないことでございますからひとつ奮発をして早くお願いしたい。大体どういう作業日程なのか、重ねてお伺いさせていただきたいと思います。
  146. 萩原浩

    萩原政府委員 現在昭和五十八年から六十二年にかけて第九次道路整備五カ年計画を遂行中でございます。第九次中には高規格幹線道路網の考え方をまとめたいというふうに考えておりますけれども、次回の国道昇格の問題につきましては、ちょっとその高規格幹線道路計画のある程度の考え方をもとに国道の再編ということを考えざるを得ませんので、結果といたしましては第十次を予定いたしております次回の五カ年計画中ということになろうと考えております。
  147. 滝沢幸助

    滝沢分科員 少なくとも六十三、四年というようなことになりましょうかな、まあそれは後からつけていただきまして、進めさせていただきますが、実は今度私ちょっと視点を変えて、大臣、実は私は見ておりまして、これは役所がお喜びにならない話かもしれませんけれども、仮に道路、橋梁、各種の会館等を見まして、少し過剰設計という言葉がありましょうかな、簡単に言えばぜいたく過ぎるのじゃなかろうかなと思う点が多々ございます。  これは皆さんの領分じゃありませんけれども、国鉄があのような赤字を抱えて、しかもなお新幹線の開発をしていただくことはこれはとてもありがたいことでございますが、ただ見ますと、その新幹線のための駅舎なんかが物すごく壮大でしかも華麗、いわゆるむだ金が使われているのじゃないかな、こういうふうに思う点もございまして、これはしかしひとり国鉄のみならず、今日の公共団体すべての、いや私生活においてもそれはそうかもしれませんけれども、そのようなことがございます。  例えばこういう例がありました。ある町で、非常に難航して都市計画をやっておるわけです。ですから、何とか反対反対という立て札がいっぱい立っているわけですよ。ところが橋だけ、つまり橋は余り買収要らぬでできますから、橋だけができました。ですから橋にたどり着くまでに随分と迂回しているわけであります。ところがその橋を見ますと、タイルが張ってあって、そして緑地帯みたいなものがありまして物すごくぜいたくなんです。反対していらっしゃる方々いわく、あんなにぜいたくな橋をつくる金があったならば、そのうちの一割でもいい、節約して私たちの補償の方に向けていただけばまとまる御家庭もあるのじゃないだろうか、こう言っていらっしゃるわけですよ。ですから、極端に言えば、さっきゼロシーリングとおっしゃったりしました。本当に国家財政逼迫しておりまして、ここを切り抜けていかなくてはならぬ、しかし行政サービスは一日も停滞できないというならば、私は、五年前ならばこのような設計をしたいところなんだけれども、この部分だけはひとつ割愛しようじゃないかというようなことで、とにかく使うためには十分に使える、堅牢だ、しかし質素だという設計に変えていただいた方がよろしいのではないか、こう思うのであります。  これは橋を例にとりましたけれども、さっき申し上げたとおり会館等につきましてもそうです。今、これは国会の議員会館、第一会館は何かお化粧直しができました。第二会館はなにでありますが、あれなんかもタイルが落ちるでしょう。これは危険なんですね。タイルを張るから落ちるのです。どうしてお金を余計かけて高層建築にタイルを張らなくてはならないのでしょう。張らなくたって設計の、また施工の技術によっては極めて美麗にできるんじゃありませんか。そのように考えますと、私は、最近お国の補助金をちょうだいしたりして、ないしは直轄の工事において建築なさる会館等を見ますと、昔を思えば今昔の感、しかしこの財政逼迫の今日を思えばぜいたくに過ぎるな、こういうふうに思うのがあるのですが、いかがなものでございましょう。
  148. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私どもも全国を回りまして、やはり異様な感じに映るものがないではありません。やはり日本人は箱物が大変好きでして、それを一生一代に仕上げていこうということだものですから、とてつもない立派なものができて、そうして所によっては全くそれが利用されてないというような大きな会館などがあることも、私よく存じ上げております。しかし、ただいま第一議員会館のお話がございましたが、これは一つの見識でありまして、私どももこれから光やはり心すべきことだ、こう思っております。
  149. 滝沢幸助

    滝沢分科員 同じような物語で大変恐縮でありますが、物語として聞いていただきたい。だから私は固有名詞を申し上げませんし、国道なのか町道なのかも知りません。けれどもこういうことがございました。  ある町で座談会を開きまして、何か皆さんから御意見ありませんか、私のあいさつはこれで終わりましてなんて申し上げましたら、いわく、滝沢さん、役所というのは随分変なことをなさるね。どうしてですかと言ったら、まだ雪が消えないうちです、ある日どどっと作業員の方がおいでになって、雪を片づけなすった。そこを舗装を、今のあの機械で切って、そしてそこに価するんですかって近所の奥さん方が聞きましたら、ここに並木を植えるのだ、こうおっしゃるというのです。ところが見ると、今でもなかなか狭いところに、広げて人道と車道を分けて並木を植えるというのならそれはわかるけれども、ここに並木を植えたら随分と狭くなってしまうのじゃないだろうかなと思った。ところが、見ておりますと、次の日になってきたら、植えてくるのだけれども、それがキリの木だというのですよ。  そこで私は思いますのは、会津のキリというのはアメリカから中国から安いのが入ってくるということで大変暴落をいたしまして困っております。しかし、一番端的に今困っているのは、苗木を栽培して売る人なんですよ。一年に五千本、一万本と売らなければ苗木屋さんは商売にならぬ。ところが暴落して、二十年、三十年というのが去年までは五十万したのが、ことしは二十万もしないということになるのですから、新しく植えませんわな。ですから苗木は買いません。ところがこれを買っていただかないことには、さっきお嫁さんの話もしましたけれども、オールドミスになって困ってしまうわけですわ。ですから、どうしても買ってもらうところを探さなくてはならぬ。そこで政治家がお役人さんか知らぬけれども、並木を植えれば、この通りに百本ずつでも二百本ということになりますわな。しかしこれは非常に高いものなんですよ、キリの苗木というのは。  そこで、これは一つの例でありますが、見てみますと、旭川のあのナナカマドの並木なんというのはきれいなものです。しかし、あれは旭川だからいい話であって、あるいはまた旭川ならば安いのかもしれません。しかしああいうものをロマンだ、すてきだと言ってよそに植えたらどうなるんでしょうか。  見ますると、例えば柳、これは昔恋しい銀座の柳なんて、大臣、音ありました。銀座の柳なんというのも今はどうなったか知りませんけれども、今はそういう安い、柳なんというのはこんなのをちょんちょんちょんと挿しておけば、来年には使えるのですから、これはほとんど安いのですね。ところがそれを使わずにケヤキとかあるいはヒバとか、さらにはジンチョウゲなんかも植えたのもあります。非常に高い。しかも公害には弱い。柳は公害には一番強いと言われるでしょう。  そういうことを考えますと、さっきぜいたくな設計というふうに申し上げたことをも含めて、仮に一万本の並木を単価が五百円のと五千円のではどう違うのですか。そういうことを考えますると、目的を達するためにも、柳のごとく公害に強い、活着一〇〇%というものを使った方がいいのではないか、私はこう思うのですよ。  ちなみにさっきのキリなんというのは、畑でお百姓さんが命をかけて商売に栽培してもよう育たぬですから、これを並木なんかにしたら話にならぬ、そして落葉しますとあたり近所にみんな迷惑する、こういうものでありますから、ひとつどうかそこら辺のところを工夫していただけたらどんなものか。安いしかも活着力のある、そして見た目にもいいというようなものを選んではいかがなものか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  150. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の街路樹の樹種の選定、これは正直申し上げて非常に難しい問題でございます。ただ安ければよいという一つの価値判断で律しられないいろいろな要素を含んでおります。例えば都市の景観であるとか、歴史的な問題であるとか、あるいはその地域のいろいろな特産物の問題とか、その他いろいろなことを踏まえて樹種を選定しているというのが実態であろうと思います。ただいずれにいたしましても、植えてからすぐ枯れるというのでは街路樹の意味をなしませんので、そういう点の配慮は十分指導しているつもりでございます。  今御指摘のキリの問題は、私も個人的によく存じ上げております。大体女のお子さんが生まれるとキリを植えて、成人になるまでつくっておくとそれがたんすになるということで、各農家ではキリの本数を調べると娘さんの数がわかると言われるような地域があるというのもよく承知いたしておりますが、その需要が現在非常に減退しているということも承知いたしております。残念ながら、キリが街路樹として適正かどうかということについてはちょっと私勉強しておりませんけれども、今後とも樹種の選定に当たりましては、非常に多様な価値観がございますので、その多様な価値観をうまく調整しまして、できるだけ妥当なものができるように研究開発を進めることについてはまた努力させていただきたいと存じます。     〔主査退席、森田(一)主査代理着席〕
  151. 滝沢幸助

    滝沢分科員 多様な選択、まことに結構であります。そして美観もありましょう、歴史的なものもありましょう。ただしかし、活着がよくて、そしてなお見た目にもいい、しかも単価を無視して、これは歴史的価値があるからといって高山植物みたいなものを植えていいものじゃありませんから、そこら辺のところを考えてほしい。特にいけませんのは、さっきのキリのごとく、ある方が売れなくて困っている、それを救済するために特定の政治家や特定のお役人さんとの間で話がまとまって、それならこっちにしようというような発想は一番けしからぬと言っているわけであります。今財政逼迫のとき、さっきから承っているとおりでありますが、どうかひとつ、本当ならここも一木三千円、五千円、八千円という、例えばこれはお茶の木かもしれませんし何か知りませんが、そういうものを植えたいところなんだけれども、これは安いものにしようやというぐあいにさせていただかなければだめじゃないかな、こういうふうに私は思うのですよ。私はよく校長先生なんかにも申し上げるのだけれども、学校を建てた、庭に木を植えたいというときに、子供さんに一本ずついろいろな木を持ち寄ってください、そしてお名前を立てて十年後にお目にかかりましょうというようなことはどうなのかと言っておるのだけれども、街路樹のごときも、御町内の人みんなで一木ずつ寄附していただいて、そして御手ずから出勤前に一本植えていく、御夫婦で植えていかれるというふうなぐあいにして御協力いただくのも一つの発想じゃありませんか。いろいろと工夫されていかれたら大変いいのではないかな、私はこう思うのです。  なお、最後に、私雪国でございますが、雪のことについてお尋ねさせていただきます。  これは語れば長きことながらというお芝居の文句がございますからはしょらせていただきますけれども、雪につきましては何といっても道路の除雪、排雪が大事なことで、これは最低の条件でございます。あとは雪崩の防止でございます。せんだっても新潟の能生町のあの災害がありました。これは雪崩防止ないし地すべりの対策の不十分さを物語った一つの例と思います。国道二百五十二号ないし四十九号の特に猪苗代町の地区等が非常に苦労しているわけであります。スノーシェッドの工事をも含めて雪のことについてどうかひとつ御理解をいただきたいと思います。これは現在とのようなことで進められているのか、ちょっとお漏らしを願いたいと思います。
  152. 萩原浩

    萩原政府委員 国道二百五十二号、四十九号線のうち特に猪苗代周辺につきましては、非常に大量の降雪のある地域、もう一つは地吹雪で視界が見えなくなって交通が余絶する地域であるということを私も十分承知しております。現在、そういう事情で二百五十二号の一部は、冬期間とても除雪できないということで閉鎖をしてしまうような区間が二十八キロほど県境付近にございます。ここら辺の将来の問題は、道路の構造改善などを含めて根本的に解決しなければならない問題だろうと思いますが、その前後の除雪区間につきましては、常に除雪事業費を積み増して何とか交通の確保を図っております。この点についてはサービス水準を落とさないように今後とも努力をいたしたいというぐあいに考えております。  もう一つ先生指摘の雪崩の問題でございます。これは地形的にそういうところが非常に多うございまして、順次スノーシェッド等の施設の整備を進めておりますけれども、何さま非常に箇所が多うございます。しかし、おかげさまをもちましてだんだんと安全度は上がってきているというふうに私ども理解をいたしておりますが、なお十全ではございませんので、これの安全度を上げるために、今後ともスノーシェッドあるいは雪崩防止さく、防雪さく、そのようなものの整備を進めていきたいというふうに考えております。現在その整備を五カ年計画に基づいて計画的に進めているところでございます。
  153. 滝沢幸助

    滝沢分科員 なお三分ほど残しておりますので追加させていただきまして、大臣一言決意のほどを承りたいと思います。  実は円高による影響もございましょう。それにも増して、さっき申していただきましたゼロシーリングというような国の財政事情もございましょう。そういうことによりまして今日建設業界というのは非常な苦労をしているわけであります。しかし、これは前倒しとかいろいろと工夫していただいているわけでありますが、そういう予算の執行の面におきまして、私たちは、景気浮揚のためにはないしは内需拡大というようなことのためには、建設国債はやむを得ないという領域からさらに進んで、建設国債をもって危機を突破しようという提唱をしているところなんであります。建設業界という言い方をしますと企業のことのみを思うようにも聞こえますが、そうではなくて、そこには小さくても五十人とか百人とか、場合によっては何万人という方々生活がかかっているわけでありますから、ないしはそれによって日本の経済全体の活力というものにも影響することでありますから、ひとつ大臣に勇気を持って積極的な政策を進めてちょうだいしますように要望して、御決意を承らせていただきます。
  154. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先生も御承知のように、そうした地方の経済活動は今非常に困っておる。また建設業の仕事がないということで、六十年度補正予算で六千億、そして災害復旧で五千億、ですから災害復旧は六十年災が八〇%以上、八五%くらいになる、今までは三、五、二というのをぐっと繰り上げて。ですからもう五十九年災はほとんど終わる。こういうふうに今までの前例を破ってずっと手元に引き寄せて、そして補正予算で六千億と五千億をお願いする。これは特に、東北、北海道という積雪寒冷地帯に重点的に予算の配分をするというふうな工夫をさせていただこうということにいたしたわけであります。  そういう中で建設国債をどうするかということは、これから大事なことでありますが、まだただいま予算を御審議願っておるわけでございますので、私の立場から建設国債を出しますということは言えないわけでありますけれども、また諸先生からよく御議論をいただきまして、そういう時期が来ましたならば大きな飛躍ができますようにひとつお力添えを賜れば大変幸せだと思っておるとこであります。
  155. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大臣御苦労さまでした。皆さんどうもありがとうございました。これをもって終わらせていただきます。
  156. 森田一

    ○森田(一)主査代理 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺三郎君。
  157. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 私は、これは建設分科会でございますから、大臣にいろいろお伺いをしたいと思っておりますけれども、その前に国土庁の方に、三全総あるいはこれから策定をされます四全総について、先に若干お伺いをしておきたいといいうふうに考えておるわけであります。時間が御承知のように三十分でありますから、簡潔に私も御覧間を申し上げますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  三全総にうたわれておった定住圏構想、今度はその上に立って四全総が策定をされていく、こういうふうになるわけでありますけれども、四全総のうたい文句といいますか、一番大きなねらいといいますか、これは一言で言ってどういうふうになるか、まずお答えいただきたいと思います。
  158. 栢原英郎

    栢原説明員 先生承知のように、ただいま、ことしの秋を目標に四全総を策定すべく努力をしているところでございますが、四全総におきましては、三全総で提唱いたしました定住圏の整備がようやく緒についてきたという実績を踏まえまして、各定住圏の間の交流を促進する、交流を促進することによって地域の活性化を図っていくということを基本的な考え方にして計画を策定したいというふうに考えております。
  159. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 そこで、だんだんと具体的にお伺いをしてまいりたいと思います。  定住圏構想、これが一定の成果をおさめた、その上に立って今度は地域間の交流ということが非常に重要視されるだろう、今のお話はこういう見通しに立っておられると思うわけですね。そこできょうお伺いしたいのは、四全総策定の中で交通体系、とりわけきょうは道路の問題に限って御質問を申し上げたいと思います。  交通体系については大臣に後で詳しくお聞きをしますが、高規格道路、これが一定の基盤整備の目玉になっておる、こういうふうに思います。もちろん三全総でもその計画があったわけでありまして、建設省と十分協議の上で、具体的には事業建設省が進めてこられたというふうに承知しておるわけでありますけれども、この四全総の中でいわゆる高規格道路の延長を大体どのくらい考えておられるか、また必要性を認めておられるか、この点少し具体的に進んでおれば、秋にまとめられるという話でありますから作業は相当進んでおると思いますので、考え方をまずお聞かせいただきたい。
  160. 栢原英郎

    栢原説明員 高規格幹線道路網の形成を進めますことは、先ほど申し上げましたように、地域間の交流を活性化するということで、四全総においても極めて重要な課題であるというふうに考えておりますが、長期的に整備すべき路線の規模につきましては、さまざまな手法がございます。  例えば、拠点都市の連絡をする、あるいは現在利用に不便な部分の解消を図っていくといったようなさまざまな手法がございますが、その手法により整備すべき延長というのは異なってまいりますので、現在、各地域からの御要望を踏まえまして、四全総で明らかにすべき延長について検討を進めているところであります。さらに、検討が進みました段階で、関係省庁と十分連絡をとりながら四全総の中で明らかにしていきたいというふうに考えております。
  161. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 三全総ではたしか延長一万キロですか、このぐらいを考えておられたわけですね。もちろんこれは、四全総の策定に当たっては、私も国土審議会の委員をやっておりましてその末席を汚させていただいておりますけれども、各地方団体との協議というものも非常に重要視されておる、これは国土全体の均衡ある発展という立場からいえば当然だと思うのです。  それで、各都道府県あるいは地方の諸団体からの要望ということになりますと、三全総で考えておられた一万キロが、これは今いろいろ手法があるというふうにおっしゃいましたが、例えば五万都市から高速道に何分間で行けるようにする、こういうふうな一定の考え方、それが五万であったり三万であったり十万であったりによって違ってくると思うのですが、今おおむね五万都市からというふうな基準で仮に考えてみますと、私どもの承知している範囲内では一万四千キロぐらいかな、こういうふうに承知しておりますが、それがどうかということと、それから、地方から具体的にそういうふうな要望が上がってきているかどうか。それが四全総に組み入れられるかどうかは別といたしまして、そういうふうな問題についての地方からの要望、これをきちんと確認しておられる段階まで来ておるのかどうか、そういう点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  162. 栢原英郎

    栢原説明員 高規格幹線道路網の延長につきましては、例えば人口五万人以上の都市を結ぶということを一つの目標にいたしますと、必要な延長は一万三千五百キロから一万四千キロメートルというふうになります。  一方、都道府県からは非常に強い整備の要望をいただいておりまして、何度か都道府県と意見の交換をしておりますけれども、その要望の延長は、既定の国土開発幹線自動車道七千六百キロメートルを含めまして、一万五千キロを超える延長となっております。  欧米の道路が人口五万人以上といったようなところを整備する、結ぶということを考えているというのを我々は現在の作業の指針にしておりまして、その辺を踏まえながら、四全総で整備すべき規模を明らかにしたいというふうに考えております。
  163. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 全総自体が非常に長期間にわたる計画でありますし、また、その間経済状況も非常に大きな変動がある、国の予算関係もある、こういうことでありますから、この秋に策定される四全総が仮に出てまいったといたしましても、そういう変動する経済状況財政状況、この中で変化するということは百も承知の上で申し上げるわけでありますけれども……。  そこで、今もお話がございましたが、各都道府県からの非常に強い要望、私も東北であります。具体的に、山形県の状況についていろいろお伺いしていきたいと思います。  実は、北海道東北地方知事会議からの具体的な要望がいろいろ出されておるわけでありますけれども、これはたくさんありますから、それは一々は申し上げる時間もありませんし、ここで問題にしようと思いませんけれども、一つは、今現に進められております東北横断自動車道酒田線、これは非常に長い期間かかっておりますけれども、だんだんと進みつつあります。この早期完成を目指した事業促進、こういうことが一つ非常に大きな問題として出ておりますし、それから、これは新しくどうしても組み入れてもらいたいというふうな強い要望として出ております幾つかの中に、東北中央縦貫自動車道、これは福島、山形、秋田、青森、この東北地方の中央部を高速自動車が走れるようにしていかなければどうにもならぬ、こういうふうな観点からの要望であります。  ここでちょっと二、三分申し上げたいのでありますけれども、幸いにして東北も新幹線が開通いたしました。しかしこれは盛岡まで、どちらかというと太平洋岸であります。それからさらに上越新幹線ができて新潟まで新幹線が開通する。しかし日本海の、例えば新潟、山形あるいは秋田、青森、こういったような海岸線に沿った交通体系というものは非常に弱い。確かにそれはそのとおりだと思います。ただ、人口の集積度合いや、それから産業、経済の発展、それから工場の配置あるいは農産物のいろいろな物流、こういう点から考えてみますと、例えば福島から北の方、山形、秋田にかけては中央部は非常に集積率が高い、こういうふうに思います。それから中心的な拠点都市もそこに集中しております。そういう点から考えたときに、現在正式な名称として国で採択なさっておるわけではありませんけれども、東北中央縦貫自動車道というのはどうしても必要じゃないか、私はこういうふうに考えておるわけですが、こういった点にわたっての検討もそれぞれの専門の部会でなされておるかどうか。全く話にも何も出ていない、日本海沿岸道については別として中央縦貫道については話も何も出ていない、こういうふうな状況なのか、その辺の作業の内容を、あるいは討議の模様があればお聞かせいただきたいと思います。
  164. 栢原英郎

    栢原説明員 国土審議会におきます計画部会の審議は、先日国土基盤整備について御審議をいただいたところでありますけれども、その御審議の中では、高規格幹線道路網の全体の延長についてどの程度が適当であるかということについてまず御議論をいただきました。それを構成いたします個別の路線につきましては、現在のところ各県から強い要望をいただいております個別の路線を御紹介するだけで、特に一つずつの路線については審議をしていないという状況にございます。
  165. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 そうしますと、余りこのことで時間をとりたくないのですが、例えば秋にその計画を出される、その場合に、高規格道路については先ほど説明がありましたが、欧米並みの拠点都市間、五万以上の都市、仮にそういうふうに想定した場合に、それを結ぶ幹線的ないわば高規格道路、これが一万三千五百であったり一万四千であったりということは、具体的な集積をやった結果キロ数が出てくるのだと思うのですね。ただ、頭から三全総の場合一万だったから今度は四割増しとか三割増しとかいうわけにいかない。そういう点では今の段階ではまだ具体的にはなっておらないけれども、これから細かい作業を詰めていく、そして一定のこれだけはどうしても必要じゃないかなというキロ数、延長数を出される、こういうふうな段取りになりますか。
  166. 栢原英郎

    栢原説明員 そのとおりでございます。
  167. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 大臣、大変御苦労さまでございますが、具体的にいろいろお聞きをしていきたいと思います。  今、東北中央縦貫道の問題を申し上げましたけれども、現に今度は第九次の道路整備五カ年計画、こういった中で最初に日本海縦貫道路、これについてお伺いをしたいと思いますけれども、この計画の中に、私が先ほど申し上げた中央じゃなくて日本海沿岸の縦貫道についてはこの計画に組み入れられるような状況でしょうか、どうでしょうか。
  168. 江藤隆美

    江藤国務大臣 第九次道路整備五カ年計画の中でいわゆる一万キロ構想というのがあるわけでありまして、しかし実際からいいますと、先ほど説明がありましたように一万三千キロを超したり一万五千キロを超したり、随分と希望がございまして新たなものが七千六百キロ、プラス九千五百キロぐらいになるのではないかと思います。こういうものを踏まえて国土庁で四全総をおつく力になるわけですが、それができましたならば、いわゆる六十二年のなるべく早い時期にひとつ指定をしたいというのが私どもの考え方でありまして、渡辺さんからかねがねこの東北中央縦貫道について私はお話を承っておりますから、道路局長以下ともよく話をしておりまして、米沢―山形―天童―秋田、いい路線だなという話をしております。またしかし、地図全体を見てみますと、日本海沿岸というのも大事な路線である。しかし経済活動はここはいささか薄いのかなというのと同時に、かなりこれは無理をしてやはり赤字の路線になるなどいう感じが実はいたしております。いずれにしてもこれはどちらを、東北縦貫道、中央道、それから日本海沿岸、これは三つ一緒にやれるのか。そうすると新幹線も、九州あたりからすると、東北は政治力があってうらやましいな、私はこう思うのですが、しかしよく念頭に置いておりますので、ここでどうこうと言うことは差し控えたいと思いますけれども、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
  169. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 わかりました。大臣相当詳しく都市名まで挙げて御認識をいただいておりまして、その点は非常に心強く思うわけであります。  そこで、今申し上げました、これからの構想と必ずしも一致するかどうかわかりませんが、私どもの地域における物の考えとしては、我々が考えておる縦貫道に沿ったような形でほぼ同じ方針だと思うのですけれども、現に国道十三号が中央部を走っておる。これは今非常に大きな役割を果たしておる。国鉄がああいう状況になりつつありますから、とりわけ十三号国道というものが整備改良されていくということが私どもの県にとっても、あるいは秋田県にとっても非常に重要な影響を及ぼすというふうに私ども認識しております。したがって、長い間これの完全四車線化ということを強く要望してまいりましたが、これは予算との関係もありまして、御努力はいただいておりますけれども、なかなか容易に進みません。新幹線が福島から仙台、盛岡の方に行く。そうすると、福島を起点にして山形、秋田あるいは青森まで抜ける鉄道、これは今後国鉄がどうなっていくかは別問題といたしまして、今までよりも非常に利用しにくい状態になる。例えば福島の連絡にしても非常に不十分。今まで秋田から、あるいは私どもの県の新庄から、あるいは山形から上野まで直通特急が五往復走っておった。これが現に一本になってしまった。新幹線につなぐわけですけれども、この連絡が非常によろしくない。これは運輸部門でありますから別な機会に申し上げますけれども、現状はそういう状況でありますので、これからは道路の整備というものが非常に重要な役割を果たしていくだろうと考えざるを得ません。そういう点から見ますと、この十三号国道の二車線部分がまだ相当残っておりますから、これを早急に四車線化する。それから比較的大きい都市の周辺については今バイパス計画が進められておりますし、現にバイパスが完了しているところも相当あります。しかしそれにしてもまだまだ十三号国道のいわば動脈とも言える道路の整備はおくれている、こういうふうに考えておりますので、これは要望も含めましてひとつ速急にこの改良、四車線化というものを進めていただきたい、こういうふうに考えておるのですが、これは大臣か、局長でも結構でありますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  170. 萩原浩

    萩原政府委員 国道十三号の四車線化の問題でございますけれども、先生承知のように、国道十三号は福島から山形を経て秋田まで、約三百キロございます。この三百キロのうち、山形県内は全長百六十キロございます。この百六十キロのうちに四車線化の事業化を図っておるものが延長七十五キロということで約四七%、大体半分ぐらいは事業着手をしているという実態にございます。これらの実態を踏まえて、既に着手をいたしているものをできるだけ早く完成するようにということを努力いたしますとともに、まだ事業化を図っていないところについてもこれから調査を進めまして、できるだけ早い機会にこの四車線化をある程度の形にまとめて概成をさせたいというふうに考えておる次第でございます。
  171. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 これは局長もそれから大臣も御案内のとおりでありますけれども、福島から山形までの間は非常に大変な峠がございます。たくさんのトンネルもございます。我々の大先輩が長い期間苦労をされて、そして栗子街道というものをつくられた。これがまたその後改良されておる。しかしそれにもかかわらず、福島から米沢までの区間はまだ依然として二車線であります。これはトンネルの大工事になりますから非常に大変だとは私思っておりますけれども、例えば米沢市に旧軍隊の練習地といいますか、練習のための空港がございました。それを中心にいたしまして、非常に近代化した、整備された、緑化地帯を持つ大規模な工業団地を国の計画で発足させていただいた、たまたまそのころは非常な高度経済成長時代でありましたから、まさに時宜にかなった計画だったと思いますけれども、これは中核工業団地の我が国の指定第一号なんですね。規模も非常に広い。ところが、これが完成のごろになって経済がやや陰りを帯びて停滞をしてきた。そこで地元も非常に苦労しました。これは山形県だけじゃありません。私も本院の商工委員会に長くおりましたから、各地の中核工業団地を見させていただきましたけれども、やはりどこも同じような苦労はなさっております。しかし、米沢の八幡原工業団地は地元の方々の非常な努力もございまして、あるいは政府の支援も得まして、だんだんと優良な企業があそこに集積をし始めた。そして地場産業との悪い意味での競合にならないように、その中核工業団地に張りついた企業によって地域の地場産業とのうまい連携のもとに産業経済が発展するように、雇用も拡大するように、そういうことでいろいろと努力をしながら非常に希望の持てる工業地域になりつつあるわけであります。  ところが、やはり最大のネックは、もちろんこの地帯は雪も多いですけれども、一番の問題はやはり道路なんですね。空港は県の中央部にありますから、ここから車で飛ばしても二時間以上かかります。二時間半ぐらいと見た方がいいのではないかと思いますが、そうなりますとやはり国道十三号の四車線化、あるいは先ほどちょっとお話を申し上げました高規格道路ができればなおいいと思うのですが、そういう関連の中で死活のかぎを握っておるのがこの十三号だと思うんですね、現実には。そういう点からいっても、今局長からお話しいただきましたが、早急にやっていただかなければならないんじゃないか。トンネルの問題などは、これは大工事でありますし、大変な経費もかかるでありましょうから、今すぐいつまでなんということはここで申し上げようとは思っておりません。しかし、そういうものも含めてこの路線の四車線化というものは本当に真剣に考えていただきたいと思っておりますので、さらに具体的な構想などがあればお聞かせいただき、あるいは大臣からも決意を聞かせていただきたい、こういうふうに思っておるわけです。
  172. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の栗子峠でございますが、このトンネル昭和四十一年に開通をいたしております。私ども、四十一年にこれが開通したときに、このトンネルが満杯になる、満杯になるという表現はあれでございますが、交通容量をオーバーするというようなことはよもやないというふうに当時は考えたわけでございます。したがって、先生承知のように、当初は換気装置もつけないで供用いたしましたら、たちどころに換気装置が必要になったといういきさつがございました。その後交通が非常にふえまして、現在でも二車線で七千台以上の交通量ということでございまして、しばしば交通渋滞を起こしておることは御指摘のとおりでございます。  このトンネルにつきましては、今後どういう形でこれを抜けばよろしいか。現在、ちょっと直角のような格好で二つのトンネルが抜けております。これは工費の関係その他でこうなったのでございましょうけれども、今度これを増強するといたしますと、やはり抜本的な考え方の変更が必要になると存じますし、それから先ほどから問題になっております東北中央縦貫自動車道構想との関連も見ながら、慎重に検討してまいりたいという態度でござい。  それから、十三号のいろいろな拡幅工事でございますけれども、現在山形県内で年間大体三十五億円ほどの投資をいたしております。しばらくマイナスシーリング、ゼロシーリングで低迷をいたしておりましたけれども、幸い現在御審議中の六十一年度予算をお認めいただければ、さらにこれの拡大を図っていきたいと考えている次第でございます。
  173. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 ぜひともここに力を入れて、まさに国土の均衡ある発展というふうなことで御努力をいただきたいと思っております。  なお、例えば十三号沿いに高規格道路などをつくるということになれば、先ほどちょっと申し上げましたが、例えば米沢でもバイパス化の問題があります。それから山形は御承知のようにある。天童もそれが進みつつある。こういうふうな状況の中で、沿線各都市を大体中心にしたバイパスの計画が今既に完成をしているところ、あるいは現に工事が進められているところがございますから、それとの関連で、高規格道路という性格づけを十三号にやるのか、あるいは別個に考えるのか、あるいは当面は十三号を、今強く申し上げておるとおりにこの四車線化を急ぐのが最も手っ取り早いと申し上げますか、着実な方法だなというふうな御意見もございます。私どもも、その辺になりますとこれは専門的な、その衝に当たっておる方々がいろいろな条件を見て結論を出されていくだろうと思いますから、そういう点について考え方があれば一言お伺いしたいと思います。  あと二、三分でありますので、これは最後に大臣から総まとめでお聞かせをいただきたいと思います。  例えば、山形市の場合などは山形市街に入る起点部分、ここから旧国道十三号線があります。それからバイパスが走っておりますけれども、これは非常に混雑しまして、どうしても立体交差を考えないと大変だなというふうに思っておりますし、これはぜひとも促進をしていただきたいと考えます。  それからもう一つは、山形市の東部は、天童に抜けるバイパスは比較的整備されて完成はしておりますけれども、西回りの幹線道路といいますか、例えば上山、山形、それから天童、東根、御承知のように東根は空港がございます。この西回りの幹線道路計画が非常に重要になってくると私は思っているわけでありまして、これはまさに県を挙げての強い要望を何回かお願いをしているはずだと思うのです。時間がございませんので、その辺のところをまとめて局長から、そして最終的には大臣からお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  174. 萩原浩

    萩原政府委員 高規格幹線道路と先ほどの幹線道路のうちの東北中央縦貫自動車道と十三号との関連でございますけれども、これはいろいろな性格づけがございますが、当面は十三号バイパスのうちでそれを利用できるものにつきましてはそれを利用していく、それからもう既にでき上がっておりましてそういう専用道路的なものにはそぐわないというようなところは、また別線をというような形で計画をまとめていくのが至当ではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、先生指摘のように十三号を使うのか使わないのか、こういう単一な選択ではなくて、複合的な選択ということになろうと存じます。  それからもう一つ十三号線の西側のバイパスの問題でございますが、この点につきましては、それこそただいまの中央縦貫道の構想との整合性を保つことが必要であろうというふうに考えておりまして、現在検討中のところでございます。
  175. 江藤隆美

    江藤国務大臣 せっかくの御指摘でありますから、しっかり取り組んでいきたいと思っております。きょうはありがとうございました。
  176. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  177. 森田一

    ○森田(一)主査代理 これにて渡辺三郎君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――       午後一時開議
  178. 住栄作

    ○住主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。三浦久君。
  179. 三浦久

    三浦(久)分科員 北九州市の小倉駅前再開発計画についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年の十二月に北九州市当局は小倉駅前東地区市街地再開発基本計画を発表しましたが、建設省はこれを御存じでしょうか。
  180. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 知っております。
  181. 三浦久

    三浦(久)分科員 この計画は大手百貨店「そごう」を中心としたものですね。これは駅前の第一地区に建築延べ面積八万平米それから地上十階、地下二階です。そして第二地区には面積が八千二百平米、地上六階、地下二階のビルを建てようというものであります。  基本計画によりますと、第一地区の十階建てのビルは専用部分が五万平米です。非常に大きいものですね。しかし、準備組合が今できておりますが、これは基本計画の容積率六七〇%をさらに八〇〇%に拡大をするという独自の事業計画をつくっているわけであります。そのために「そごう」には売り場面積だけで、専用部分じゃなくて売り場面積だけで五万平米を与えようというものなのであります。今小倉駅前の一番店というのは井筒屋百貨店であります。この井筒屋百貨店の売り場面積は三万五千八百九十平米でありますから、この再開発ができますと、「そごう」百貨店が文字どおりこれは地域の二番店になるわけであります。  北九州市は御承知のとおりに、八幡製鉄がずっと撤退をいたしております。そのために人口が減少している、またそのために景気が回復しない、そういう状況があるわけでありまして、駅前の商店街、かなりございますが、これがこぞって反対しておりますね。それから二百万商圏というようなことを言っておりますので、これは駅前商店街に与える影響だけではなくて、北九州市全体の商店街に非常に大きな影響を与えるわけであります。したがって、駅前の商店街だけではなくて、北九州市内全域の商店街、百団体ございます、この百団体で四千五百店舗あるわけですけれども、それが団体をつくっております。その団体は北九州市商業総連合会といいますが、この総連合会もこの再開発には反対をしているという、そういう状況なわけであります。私もいろいろ事情をお伺いいたしましたけれども、長い間何十年とかかって築いた商圏を、駅前に広大な「そごう」百貨店ができることによって一瞬にしてその商圏を奪われてしまう、そういうことになるわけで、その与える影響というのは極めて深刻なものがあるというふうに思うわけであります。  それで、まず最初に通産省、お見えになっておられますか。――この再開発計画についてどういうように把握をし、そしてどういうように対応なさろうとしていらっしゃるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  182. 雨貝二郎

    雨貝説明員 御説明申し上げます。  私どもも小倉駅前周辺地区再開発については、市あるいはその他関係者から幾つかの構想が公表されているということを承知しております。ただ、いずれの構想につきましても、まだきちっと最終的な段階には至ってない問題でもございますし、また私どもの商業調整という観点から見ますと、まだその時期に至ってないというふうに考えております。もちろんその間においては、私ども局を通じましてどんなふうに進展していくか注視しているところではございます。  今後この構想が具体化いたしまして、商業調整を行う、そういう段階に至った場合には、もちろん周辺中小小売業の事業機会の確保やあるいは消費者利便の確保といった問題をよく勘案しながら、大店法に基づきまして所要の手続を適正に進めたい、こんなふうに考えているところでございます。
  183. 三浦久

    三浦(久)分科員 こういう広大なピルができましてから、さあ大店法に基づいて商業調整をやりますというようなことでは、これはもう地元の商店街の経営というものを守ることはできないというふうに私は思うわけであります。  これはもう例があるのです。例えば六年前に、同じ北九州市の繁華街であります黒崎ですね、これは小倉と黒崎というのは二つの大きな繁華街でありますが、この黒崎にやはり「そごう」が出てきているわけですよ。その出た結果、黒崎の商店街はどうなっているかというと、もう閑古鳥ですね。軒並み40%以上売り上げがダウンをしております。私もこの前行ってみたのですよ。調べてみますと、ほとんど人通りがない。駅前でもってみんな吸収されてしまいますから、ほとんど人通りがないという状況です。それからまた、駅前に幾つかの商店街がありますが、その商店街の一つを見てみましたら、四十二店舗ありますが、その四十二店舗のうち十七店舗がもう閉店であります。廃業しているわけですね。アーケードがずっとあります。しかし、ぽつぽつ店が閉まっておりますから、中は薄暗い。まさに大変景気が悪いといいますか、そういう状況です。それからまた、そのアンケートのちょうど中心ぐらいに、もう廃業して、その店舗が駐車場になっているというようなところもあるくらいなんです。ある本屋さん、古本屋に入りましたら、こんなにひどいとは思わなかったと、こう言っているのですよ。そして売れますかと、一人もお客はいませんでしたね。何をやっているのかといったら、今外商に力を入れている。あっちこっちにお客をとって販売に歩いている、そういうことを言っておられたくらいなんです。  ですから、私は、この小倉駅前の再開発というものが「そごう」中心で強行されるということになりますと、これは黒崎の二の舞になりかねないというふうに考えているわけであります。  それで建設省お尋ねいたしますが、商店街が反対しているということのほかに、もう一つ問題点として、その第一地区の面積の約三分の一を所有している永照寺というお寺があるわけです。このお寺が反対をしているわけです。そこでお尋ねをしたいのですが、都市再開発を進める上で、特に組合施行の場合、地方自治体への指導の重点というものはどこに置かれておるのでしょうか。
  184. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 組合施行の再開発事業を円滑、適切に施行するために、まず第一には事前の説明会の開催などによります関係権利者に対する事業内容の周知徹底ということが重要かと思います。それから第二点目は、円満な組合設立、これに向けましてできるだけ多くの人の同意をとる、同意を確保するという点でございます。それから第三点は、借家人など零細権利者がおる場合が多いと思いますけれども、そういう方々に対する十分な配慮をすること。第四点目には、組合の事業運営の適正化の確保、こういったことなどを重点として関係公共団体の指導を行っているところでございます。
  185. 三浦久

    三浦(久)分科員 これは反対しても十四条の要件に合致すると、いや応なしにその組合に入れられてしまうという結果になりますね。ですから、自分が嫌であっても自分の土地はとられてしまう、そういう結果になるわけで、私はやはり地権者全員の合意というのは、やはりどうしてもこれを遂行する上では不可欠なものだと考えているわけであります。  もう一つお尋ねしたいのは、時期が来ますと、これは組合認可の申請という段階になりますね。そうすると、この組合が認可されなければ、組合施行の場合には事業というのは一歩も進行しない、そういうことですね。
  186. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 そのとおりでございます。
  187. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうしますと、この組合認可というのは非常に重要な問題だということが言えると思うのですが、建設省は組合認可に当たってどのように地方自治体を指導されておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  188. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 事業を推進する主体が組合でございますから、その設立認可というのは非常に重要であるのは御指摘のとおりでございます。それで、もちろん先生御存じのことだと思いますが、法律で、施行地区内の宅地の所有者または借地権者のそれぞれの三分の二以上の同意がある、かつ、同意者の宅地面積と借地面積の合計が全体の宅地面積と借地面積の合計の三分の二以上ある場合、この場合五人以上の地権者または借地権者が定款と事業計画を作成しまして知事に設立を申請することができるということに法律上なっておるわけでございます。しかしながら、やはり組合の円滑な、かつ、将来にわたっての事業の遂行を担保する必要があるわけでございますから、設立の認可に当たりましてはできるだけ多くの人の同意を得まして、円滑に組合を設立することができるように公共団体を指導しているところでございます。
  189. 三浦久

    三浦(久)分科員 大体のめどですけれども、できるだけ多くというのは三分の二以上ということだと思うのですが、大体どの辺にめどを置いていらっしゃいますか。
  190. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 特にそういう基準というのはないと思いますが、法律自体が三分の二ということになっておりまして、その上にできるだけ多くという指導をしているということでございます。
  191. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、今私が言いました永照寺ですね、これが反対しているのです。これは第一地区の宅地の三分の一弱ぐらいですかを持っているのですね。ですから、法律的に言うと十四条の要件でぐっと強行されるという危険性はあるわけなんですけれども、しかしこのお寺の住職さんは、私も会いましたけれども、宗教上の信念として私は立ち退かないということを言っているのですね。同意はしないのだということを言っておられます。このお寺は明応四年に建立されているという大変由緒あるお寺なんですね。これは約五百年前になります。浄土真宗本願寺派としては九州で二番目に古いお寺で、これが駅から一分ぐらいのところにあるわけです。建物も、輪蔵という建物がありますが、これが県の文化財に今指定をされている。それから本堂とか太鼓堂、こういうものも建築史的には極めて高い価値のあるものだと言われているわけですね。  そこで、これは小倉の例ということじゃなくて一般論としてお尋ねしたいのですが、再開発地域の三分の一近くの面積を所有している地権者の同意が得られない、または将来にわたっても得られる見込みがない、そういう場合に一般的には組合認可の見通しというのは大変困難ではないかと思われるのですが、その点についての御所見をお伺いしたい。
  192. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 まさに事業ですから、個々具体具体のケースについて見なければいかぬと思いますが、特に一般的にというお示しでございますので申し上げてみますと、法定要件は先ほど申しましたようなことでございます。一般論といたしまして、細かく言いますとあれですけれども、宅地の三分の一以上の面積の所有者の同意が得られない、そういう段階におきましては、再開発計画に関します調整の進捗状況にもよると思いますけれども、まさに一般的には組合設立の見通しをつけることは困難な場合が多いのではないかというふうに考えられます。
  193. 三浦久

    三浦(久)分科員 そういう場合に組合設立の認可をした例というのはございますでしょうか。
  194. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 全部詳細に当たったわけではございませんけれども、ないということでございます。
  195. 三浦久

    三浦(久)分科員 都市再開発法の第九十八条二項、これは行政代執行法によって執行することができるという規定がございますが、法制定以降、この条文を適用して代執行した例は一度もないと私は聞いておるのですが、いかがでしょうか。
  196. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 一部手続が行われたという例はあるようでございますけれども、代執行が行われたという例は御指摘のように、ないと聞いております。
  197. 三浦久

    三浦(久)分科員 この都市計画というのは計画自体が極めてずさんなものだということがマスコミによっても指摘されているのですね。例えば永照寺については、市発行の北九州市のガイドブックがあります。これは北九州市を紹介したものですけれども、その中には「伝統と現代の調和として、駅から歩いて一分のところに、こんな静かなお寺があるなんて……」、北九州は、小倉はすばらしい、こういうPRのパンフレットがあるわけですね。ところが市議会では市長が、駅の前にお寺なんか要らぬということを言ってみたり、そういう意味では支離滅裂なやり方がとられている。  それからまた、第二地区は昨年の春にできた基本計画の素案の中には入っていなかったのですけれども、この第二地区には平和生命小倉ビルというのが建っているのです。これは昨年の秋つくられたばかりなんですね。このビルは、市発行の都市整備のためのパンフレットで褒められている建物なんですね。例えば道路とか町並みともそのビルはよく調和しておる、こういうことで写真入りで紹介されているわけなんですね、それでこれを結局は再開発で取り壊すということになりますわね。ですから、みずからこれは非常にいい建物だと言って褒めておきながら、片一方ではぶっ壊すというようなことで、本当にまじめにやる気があるのかないのかというような批判が北九州では今非常に強くなっているわけであります。そういうことと、前に述べたように商店総連合会も全部反対をしているわけですね。  ですから私は、こうした大百貨店中心の再開発ではなくて、地元の商店が繁盛する、また交通体系も整備されて、駅前もきれいに改善されるような、まさに市民大多数の合意ができるような、市民本意の再開発を行うべきであると思っているわけであります。商店総連合会その他の団体も具体的な再開発構想を持っているわけです。いろいろな団体がもうみんな持っているのですね。ですから私は、十分に、本当に慎重に話し合っていけばこの再開発についての合意も可能だと思っているわけなんです。そういう意味で、通産省それからまた建設省の御指導をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  198. 住栄作

    ○住主査 これにて三浦久君の質疑は終了いたしました。  次に、春田重昭君。
  199. 春田重昭

    春田分科員 私は、ここに「二十一世紀をになう道路づくり第二京阪道路」ということですばらしいパンフレットができ上がっておりますけれども、特に関西国際新空港または関西学研都市とも密接につながる第二京阪道路につきまして大臣並びに関係政府委員お尋ねしたいと思います。  まず、この道路計画について具体的に御説明をいただきたいと思います。
  200. 萩原浩

    萩原政府委員 第二京阪道路は、大阪―京都間の都市化進展に伴います交通需要に対処しますとともに、現在非常に混雑をいたしております名神高速道路あるいは国道一号の混雑解消を図るために計画されました幹線道路でございます。このうち京都市から大阪府の門真、これは大阪の中央環状線でございますが、これに至る二十九・七キロのうちの大阪府下の十七・六キロにっきましては、既に昭和四十四年五月に都市計画決定されております。     〔主査退席、森田(一)主査代理着席〕 残る京都府下の十二・一キロは、六十年の四月十二日に都市計画決定がされてございます。枚方市から門真市に至る十六・三キロメーターにつきましては、昭和五十八年度より直轄事業として事業化いたしておりますし、六十年度には用地買収に一部着手いたしております。また、現在国会で御審議いただいております昭和六十一年度の政府予算原案が成立をいたしました暁には、大阪の枚方市から京都の久御山まで、これは京滋バイパスまででございますが、この間十・一キロを一般有料道路事業として事業採択をいたしたいというふうに考えております。また、枚方から京都市に至る一般部につきましても直轄事業として事業着手いたしたいというふうに考えているものでございます。この道路は非常に多くの車線を有するかなり幅の広い道路でございます。したがいまして、相当の事業費を必要とする道路でございますけれども、何とかこの整備を今後進めてまいりたい、こういうふうに考えているものでございます。
  201. 春田重昭

    春田分科員 現在地元の地方自治体でも一部先行して進めているわけでございますけれども、現在までの進捗状況はどんなものでしょうか。
  202. 萩原浩

    萩原政府委員 この第二京阪道路のうちの大阪府下につきましては、地元で用地の先行買収をしていただいております。その面積は、大阪府下の道路事業として予定されております面積の約一一%、十四万平米が取得されておるという程度でございます。その他はまだ事業着手したばかりでございますので、特に進捗状況というふうにして計上される数字ではございません。
  203. 春田重昭

    春田分科員 ただいま御説明になったように、大阪側と京都側といずれにしましても都市計画決定がされておるわけでございますけれども、大阪側が昭和四十四年五月に都市計画決定された。事業化されたのが昭和五十八年である。十四年間のずれがあるわけですね。京都側はいろいろな地理の問題等で都市計画決定がおくれたようでございます。六十年四月ということで今御説明がありました。事業化については六十一年度予算で見ているということでございますが、都市計画化されて事業化されるのはままありますけれども、特にこの京阪第二国道につきましてはその開きが大き過ぎる、こういうことで、この間都市計画決定をされまして関係者にはいろいろな迷惑をかけているわけです。例えば、家を建てようと思っても建てられないし、いろいろな障害があるわけでございます。そういった面で、都市計画決定はするわ、事業化はされないわということで多大なる迷惑をかけておるわけです。この点どう責任を感じておるのか、建設省の御所見をひとついただきたいと思うのです。
  204. 萩原浩

    萩原政府委員 この第二京阪道路は、先生も御承知のとおり京都と大阪を結ぶというのが非常に大きな使命といいますか、目的でございました。それで、大阪に続きまして実は京都の方の都市計画決定もいただこうということでございましたけれども、いろいろの問題があってそれがおくれてしまいました。その後、御承知の四十八年以来のオイルショック、それからゼロシーリング、マイナスシーリングということで、これが多大の事業費を要するというようなことからなかなか事業採択に至らなかったということでございます。その間、既に都市計画決定をされました大阪府下の皆様方には多大の御迷惑をおかけしたということでございまして、この点、大変残念に思っておる次第でございます。
  205. 春田重昭

    春田分科員 大臣、この都市計画決定というものは全国至るところでされているわけでございまして、今言ったようなこの第二国道だけではなくして全国的にあるわけですね。もう現時点で、都市計画を打っているけれども事業化されるのはほぼ難しいのではないかというところも私の地域にも大変あるのですね。私はこういう点で、都市計画を打った以上いろいろな規制がございますから、これは関係者に非常に迷惑をかけているという点で都市計画決定を打ったものをもう一回見直して、専業化されない問題についてはその辺はいろいろあって検討する必要があるのではないか、こう思っておるわけでございますけれども、これは第二回道に限らず全国的にそういう面がありますので、その点、どうでしょうか。
  206. 萩原浩

    萩原政府委員 先生おっしゃいますような事例は確かに全国にもかなりございます。実は東京都の事例で申し上げますと、東京都もそのような問題がございまして、かつて数年かけまして見直しを図ったことがございます。しかし、現実にその見直しをやってみますと、都市計画決定したところをもう一回廃止してもとに戻そうじゃないかという御議論をしたところ、ほとんどのものをそれはちょっとまずいのじゃないだろうかという地元の反対もありまして、ほとんど、ちょっと数字を細かく覚えておりませんが、恐らく九八%ぐらいはそのままの形で残ったという経緯もございます。したがいまして、そういう必要性は万々ございますけれども、それをやりましても、もしそのままになってしまいますと、一つの行政の一貫性というような画でまた批判を浴びることもございますので、そうたびたびと変更するということはなかなか問題があろうと存じます。  ただ、先生指摘のように、計画決定に際しましては慎重に事業の見込みを考えて計画決定すべきではないかという御主張は十分考慮しなければならない御主張であろうと思いまして、私どもも現在ではかなり慎重に都市計画決定を進めているという実情にございます。
  207. 春田重昭

    春田分科員 当然事業化に当たっては住民等のいろいろな御意見等が必要になります。賛否両論がいろいろあろうと思いますけれども、その辺のところは――計画決定を打っているが、地元の住民の方たちも、これはとてもじゃない、無理であるというところも現実私の方もあるのですよ。時間がございませんのでこれは次の機会にやらせていただきたいと思いますけれども、そういった点は十分地元住民の御意見を聞きながら見直し等も進めていただきたい、この点要望しておきます。  さて、この問題に入ってまいりますけれども、この第二京阪道路のいわゆる完成見通しでございますが、この辺はどうお考えになっておりますか。
  208. 萩原浩

    萩原政府委員 この第二京阪道路は、先ほど申し上げましたように、京都部分につきましては直轄も六十一年度から事業化し、さらに有料道路部分事業化をいたそうというふうに考えております。それから大阪部分につきましては、既に一般部につきましては事業化をいたしておりますけれども、専用部につきましては実は少しく問題がございまして、四十四年に都市計画決定をいたしました。その後いろいろな問題がございまして、特に環境問題その他の問題がございまして、これは都市計画の変更をしなければならないのではないかという問題を大阪府下については抱えております。私どもといたしましては、できるだけ地元の御同意を得て、できるだけ早く都市計画変更の手続をとらせていただきたいなというふうに考えているものでございます。  それで、この第二京阪道路につきましては、昨年の十二月に決定をいたしました関西国際空港の関連公共事業がございますが、このうちで、開港時までに完成させるのは無理であるけれどもできるだけ早く完成させるべき路線という部類に入っておる路線でございまして、私どもといたしましては、できますれば七十年代の半ばまでには全線を完成させたいという意気込みで取り組んでいきたい、こう考えておるものでございます。
  209. 春田重昭

    春田分科員 今説明ございましたけれども、この一般道路とそれから、専用部、いわゆる高速、この道路形態といいますか、車線形態といいますか、これは今検討しているということで語がございましたけれども、基本的にどんなお考えをお持ちなのか、公害等でいろいろ検討、見直しがされているみたいでございますが、どういったことを考えているのか、また、専用道路、いわゆる高速道路事業主体はどこなのか、これもあわせてお答えいただきたいと思うのです。
  210. 萩原浩

    萩原政府委員 京都府下につきましては既に都市計画決定いたしておりますので、断面も決まっております。先生も御存じだと存じます。大阪府下にっきましては、先ほどから申し上げましたように、これをどのような形の断面にするかということを現在地元と調整中というところでございます。これは大変いろいろな問題があると思います。これは地域がかなり分かれておりますので、大阪府下を同じ断面でずっとということにはならないと思います。いろいろな地域の御要望に備えて全体の断面を変えていくことになるだろう。  それから、事業主体でございますけれども、京都府下につきましては、先ほどから御説明いたしますように、六十一年度に事業化したいというふうに考えておりますので、これは日本道路公団というものの事業主体を考えております。それで、大阪府下についてどうかということでございますが、これはまだ確定的なことは申し上げられませんが、京都府下を日本道路公団ということになっておりますので、専用部は当然日本道路公団が事業主体になるであろうというふうに私どもは今考えておる、構想の段階でございますが、考えているというものでございます。
  211. 春田重昭

    春田分科員 この事業主体については、日本道路公団と阪神高速公団ですか、お互いがかなり競い合っているみたいでございますけれども、最終的には日本道路公団がそういう形で事業主体になるみたいです。  そこで、突然でないと思うのですけれども、大阪から京都に行く道路は、今一号線がございます。そしてこの第二国道が出てきた。さらに、いわゆる第三京阪国道なるものの構想がぶち上げられたわけです。一部では、第二を日本道路公団がやる、阪神はちょっとこれで漏れてしまったので、阪神の方に事業主体を持っていくために第三構想が打ち上げられたのではなかろうかという声もあるわけでございますけれども、どんな考えですか。
  212. 萩原浩

    萩原政府委員 大阪と京都の将来の断面交通量を考えました場合に、現在の名神、それから一般道路でございます国道一号、それから今度考えております第二京阪、これだけでは容量が不足をいたします。もともともう一本要るという構想でずっと計画を進めてまいりました。それで、いろいろ御議論いただきました末に、どうせ要るものならば、やはりこの際構想を早く固めて打ち出すことが必要であろうということで、第三京阪道路の構想が出されたわけでございます。  そして、この事業主体はどうかというのは、まだ確実には決まっておりませんけれども、私どもといたしましては、淀川の東側は日本道路公団、それから、あちら側にはやはり名神がございますものですから、この第三京阪につきましては、できたら阪神高速道路公団が手を仲はしていただけないかなということを考えているというものでございまして、見方によりましては先生の御指摘のような見方もできるかも存じませんが、私どもは、そういう形ではなくて、今申し上げたような経緯で考えているものでございます。
  213. 春田重昭

    春田分科員 道路の必要性は私もわかります。  ただ、第二京阪道路が、今おっしゃったように大阪府側の用地取得はまだ一一%しかいっていないわけです。それで七十年代の前半に完成したいといっても、これは並み大抵のものじゃないのですよ。いろいろな問題があります。そこへ持ってきて、突然第三京阪道路計画が出てきて、そして道路の必要性よりもむしろ仕事の振り分けみたいな感じで、日本道路公団に第二がいったので、第三の方は阪神にいこう、そっちの方が優先されてしまったならば、二兎を追う者一兎もつかまえることができなくて第二京阪道路の方がおくれてしまうという懸念もあるわけですよ。今、国は大変財政的に厳しいという状況の中で、これは金があり余っておったらいいですが、そういう厳しい中です。ましてこの第二京阪道路の方はまだ一一%しか大阪側でも土地が取得されてない、そういう中ですから、事業団を優先するような考え方はやめていただきたい。今行政改革が進んでおりまして、むしろ日本道路公団と阪神高速公団を統合したらどうかという話も出ているくらいですから、私は、そんな安易な考え方で建設省はやっていないと思いますけれども、第二を優先して早く完成させなかったならば、第三だって、本当に大阪府民も京都府民もプラスにならないわけですよ。そういった面を私は懸念するわけです。ちょっとこれは大臣の方から答弁してくださいよ。
  214. 江藤隆美

    江藤国務大臣 大事なことでありますから、心して処理をいたしたいと思います。
  215. 春田重昭

    春田分科員 いずれにしましても、分科会でございますので時間がございませんから先へ進めたいと思いますけれども、その問題をひとつよろしくお願いしたい、こう思っております。私は決して第三の方を否定しているわけじゃないのですよ。早く大阪府民、京都府民のプラスになるように道路完成しろという意味ですから。  運輸省の荒井さんがお見えになっていると思いますけれども、この第二京阪道路につきまして、当初、昭和四十年代の半ば、私の記憶では昭和四十六年だと思うのですが、運輸省の審議会で十三号答申というのがありまして、その答申の中に大阪圏の鉄道網について将来的構想として答申が出されました。その中には第二京阪というものもあったわけでございますが、事業主体等はもちろん決まっていないし、具体的にもならなかったわけでございます。その後今日まで来ておりますけれども、この鉄軌道の話が全く出てきてないわけです。下が一般道路、上が高速道路専用部という形の鉄道構想が最近全然上がってきてないわけでございますけれども、これは完全になくなったのですか、それともまだ生きているのですか。
  216. 荒井正吾

    ○荒井説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、都心部から北東方面へ行く路線は、四十六年の十二月に、運輸大臣の諮問機関でございます都市交通審議会十三号答申におきまして、今後新設すべき路線として位置づけられております。この答申そのものは現在も生きております。  現在の状況は、その路線そりものは、都心の本町から交野へ至ります二十二キロの路線として答申されております。この地域は、京阪線と国鉄片町線に挟まれた区域でございまして、現在、バス輸送において地域住民の足が確保されている地域でございますが、去る一月三十一日に、この中にあります鶴見緑地というところで開かれます花の万博に向けて地下鉄の特許申請が出されております。それ以遠の話になろうかと思いますが、それから先の建設をどうするかということに今後なってこようかと思いますが、地下鉄建設自体千億にかかる工事でございますので、万博のためだけに利用するにしては相当の投資でございますので、もしこの地下鉄をつくるということを前提にいたしますれば、さらに遠いところの住民の足の確保ということも十分考慮して建設の具体化についての検討をしなければいかぬかと思います。線を引くという答申自身は現在も生きておる次第でございます。
  217. 春田重昭

    春田分科員 この第二京阪道路に沿う、鉄道にかわって花の万博の方の地下鉄が出てまいりましたのでどうもそちらの方に移行しそうでございます。この問題につきましては、また後日質問させていただきますので、荒井さんもう結構です。  ところで、大阪府が先行取得している土地がございます。これは昭和四十五年ぐらいから取得が開始されたと聞いておりますけれども、この土地の取得につきましては、都市計画法の五十五条ないし五十六条による地権者からの買い取り要求で大阪府が買収に応じたものである、こういうふうに聞いております。やっと昭和六十年に予算が十億円ついたわけでございますけれども、大阪府側の先行取得した面積は、全体の百二十七万平米のうち十四万平米ということで、おっしゃったように一一%の率になる。金額にして八十一億円になるわけです。ところが、六十年度でやっと予算が十億円ということで、かなり大阪府が先行取得した買収の金額は残っておるわけでございますけれども、大阪府が先行取得した買収金額を今後国はどう買い戻していくのか、また、今後の土地の買収につきましてはいわゆる国だけでやるのか、それとも大阪府も並行してやっていくのか、この辺のことをお聞かせいただきたいと思うのです。
  218. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の先行取得をされた用地の再取得の問題でございますけれども、この本格的な再取得につきましては、自動車専用道路事業化されまして事業主体が決定した段階で本格的に再取得に乗り出そうということを実は考えておるものでございます。現在の国の財政事情から見ますと、やはり公共だけでずっと再取得をやっていきますと非常に長くかかるだろう。どうせ京都側は自動車専用道路部分は日本道路公団ということになったわけでございますので、できるだけ早く計画を詰めまして都市計画変更をやっていただいて、そして事業化をしまして事業主体を決めて再取得にかかっていこう、こういう大体の構想を抱いているものでございます。  したがいまして、今後大阪府の先行取得に頼ってこれから続けていくのか、あるいは直轄なり有料道路の主体のものが入っていくのかという御質問でございますけれども、これは今後大阪府とよく御相談をして取り決めていきたい。大阪府の方におかれましても、関西空港関連の事業で今後はかなり手いっぱいという感じも出るとは思います。したがいまして、その点はよく御相談の上決めていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  219. 春田重昭

    春田分科員 それから、道路建設に伴いまして、地元の住民ないし地方自治体からさまざまな要求や問題等が提起されております。建設省にもかなり陳情がされておるのでお聞きになっておると思いますが、例えば自動車の騒音問題、排ガスの問題、こういった公害問題、それから、六十メーターないし八十メーターのでっかい道路が市域を通るわけですから、都市機能が分断されるという問題等があるわけです。こういった点につきまして、地方自治体からトンネル方式を採用したらどうかという案も出ておると思うのです。現に、常磐自動車道というのですか、埼玉県の三郷市から福島県のいわき市までにはこの自動車道が通っておりまして、千葉県の流山市では半地下式になっている。こういったトンネル方式も参考にして公害問題やそういう都市機能の分断等をひとつ防いでいただきたい、こういう強い意見があります。建設省としてはどう対応していくおつもりなのか。
  220. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘地点で現在約二、三キロにわたりまして掘り割り構造といいますか、半地下式構造をやっております。そして、その上にはふたをかけまして地域の分断を防いでいるというところがございますし、先般国幹審で決定をしていただきました外郭環状道路、東京都の外側を回る道路でございますが、それの練馬区内におきましてもこの構造をお示しして都市計画の段階で地元の御了解を得たという経緯もございます。このようなふたかけ方式の掘り割り形式というようなものも環境対策として非常に有意義であろうと存じますので、そこら辺の土地利用の形態であるとか地形の状況その他を踏まえまして十分検討させていただきたいと存じます。
  221. 春田重昭

    春田分科員 聞くところによりますと、半地下式にしたら相当工事費もかさみますし、何か地下水が出てくるという問題等もあるみたいでございますけれども、この地域はかなりそういった反対運動もあった地域でございますので、地元住民の合意がない限りは着工しない、こういう形でどうかひとつ十分精力的にその辺の合意を取りつけて建設にかかっていただきたい、こう要望しておきます。  大臣、この高速道路問題につきましては、今言ったように進捗状況が非常におくれているし、また公害等の問題も発生するということで住民の心配の声もあるわけでございます。そういった点で大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思うのです。
  222. 江藤隆美

    江藤国務大臣 今都市化とともに、なかんずく都市のこうした高速道あるいは一般道についての要望の非常にきついときですから、なかなか用地問題等で協力を得られない面もありますけれども、精力的に取り組んで、そして道路整備五カ年計画もやっておることでありますから、それが達成に向かって全力を傾けてまいりたい、こう思っております。
  223. 春田重昭

    春田分科員 あと二分ありますので、大臣にまとめて、花の万博の問題と学研都市の問題、二点についてちょっとお尋ねしたいと思います。  先ほども農水省所管の場で建設省の方に来ていただきまして御答弁いただきましたけれども、この際、大臣からも御決意をいただきたいと思います。  花の万博が昭和六十五年四月一日から九月三十日、大阪鶴見緑地で行われます。この鶴見緑地は百五ヘクタールでありまして、そのうちの五十ヘクタールが実は衛星都市の守口市にかかっているのです。私は守口市に住んでいるのです。当然この万博開催におきましては相当な入場者数を見込んでいる。約二千万人を見込んでいるのです。したがって、交通アクセスの問題等非常にいろいろな問題が課題になっているわけです。それから、入り口や出口の問題も、大阪市だけではなくて守口市側も必要ではなかろうかという声もありますし、周辺の整備等も相当必要になってくるわけですね。また、科技博の場合には茨城県が一の割で国が二出しているのですが、花の万博は一対一になっているのです。非常に国の助成が厳しい。そういった面で地方自治体は大変な負担になるわけです。特に大阪市、大阪府というのはでっかい地方自治体でございます、この地方自治体も当然国の方から助成してもらわなければいけませんけれども、それ以上に衛星都市の守口市は財政力が非常に小さいわけでございますから、そういった面で、ひとつ格段の助成をしていただきたい、これが一点。  もう一点は学研都市ですね。これはクラスタワーが九つある。その中で、我が市域も幾つかあるわけでございますが、どんな小さな都市を、クラスタワーを立派につくったとしても、それをつなぐ道路が生きなかったら、学研都市としての全体の機能というのは生きないわけですね。ところが、現在の道路が非常に狭い。一車線の道路もたくさんあるわけです。したがって、いわゆる筑波と違いまして、この学研都市というのは小都市だけを立派にしていけばいいというのではなくして、それをつなぐ道路が非常に大事になってまいります。そういった面で、これも地方にそういう負担が非常にかかってまいりますので、これも国の格段の助成をひとついただきたい。  この二点、ひとつ大臣の答弁をいただきまして終わりたいと思います。
  224. 江藤隆美

    江藤国務大臣 花と緑の国際博の認可をしたばかりでありますから、この前、実は私は鶴見緑地に行ってきました。上から行ってきまして、そして取りつけ道路、連絡道路、それから地下鉄、地下鉄も間に合わしていただくということでありますから、これに伴って、道路がおくれるようですとこれは面目もありませんから、全力を挙げて、相並行して、これが完成するように努力したい、こう思っております。  それから学研都市の問題は、これは京都、大阪、奈良にかかわることでありますから、私一回ここへ行ってみようと思っておるのです。高速道路、一般道路を含めて、このあたりは要望も大変たくさんございますので、それらの整備に努める必要がある、こう思っておりますが、いずれにしても適当な時期に一回行ってみたいと思いまして、計画をしておるところでございます。
  225. 春田重昭

    春田分科員 終わります。
  226. 森田一

    ○森田(一)主査代理 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤忠治君。
  227. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 伊藤でございます。大変御苦労さまでございます。  私は、一点目が近畿自動車道関伊勢線の建設促進問題、二点目が二十三号線の四車線化の促進問題、三つ目が津上野線の県道の国道昇格問題、三つの問題についてお願いあるいは質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず、近畿自動車道なんですが、これは今、関から久居までは既にもう過去に開通されておりまして、高速道路としまして地元に大変な貢献をこの道路もしていただいておるわけで、非常に喜んでおります。問題はその久居から勢和村というのですが、そこまでの間、二十六・一キロメートル、それからさらに勢和からお伊勢参りで有名な伊勢市、ここまでの間二十一・三キロメートルの建設問題なんですが、建設省としましても日夜大変御苦労をいただきまして建設促進に向けて取り組みをいただいているわけでございますが、この間の建設状況について、まず当局の方から御説明をいただきたいと思います。
  228. 萩原浩

    萩原政府委員 近畿自動車道関伊勢線でございますけれども、御指摘のとおり久居インターチェンジまでは既に供用が開始されております。残る区間の久居―勢和インターチェンジ間につきましては、設計協議、それから用地買収を進めております。また、一部には工事にも着手をいたしておるわけでございます。  次の勢和インターチェンジから伊勢インターチェンジにつきましては、これの工事あるいは事業にかかりましたのが一ランクおくれておりますが、六十年の三月、昨年の三月に路線発表を行いまして、現在中心ぐいの設置をほぼ完了している段階でございます。一部地域で中心ぐいの設置がまだできかねておるところがございますが、ほぼ完成をいたしております。中心ぐいを設置いたしましたら、今度、設計協議の段階に移ります。この設計協議といいますのは、道路の構造をこうするぞということをお示しして、その御了解を得れば今度幅ぐいを打てるわけです。用地の幅ぐいを打ちますと用地がここからここまでかかりますということが地元におわかりいただけますので、それをもとにして用地買収を始め、用地買収が進めば工事を行う、こういう段取りになるわけでございますが、現在のところ中心ぐいの設置を終わったという状況でございます。  これらの区間は今後どうだろうかというお話もございますけれども、これは、特に勢和から伊勢につきましてはまだこれから用地買収業務が始まることでございますので、用地買収等の進展に非常に左右されることになりますけれども、私どもといたしましては、地元の御了解を得て、できるだけ早く供用にこぎつけるようにと考えております。勢和インターチェンジまでは六十年代の半ばごろを予定しておりまして、勢和インターチェンジから伊勢インターチェンジまでは、お伊勢様の御遷宮が六十八年でございますので、何とかそれまでに間に合わせたいというふうに考えておる次第でございます。
  229. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 御説明いただきますと、久居から勢和間についてはもう用地買収にかかっていて、それが片づいている区間についてはもう工事着手されているということですから、これは非常にスムーズに進んでいる。したがって、今御答弁ございました六十年代の半ばといいますと、六十五年あたりなのか六十四年なのか、そのあたりの見通しはどうなんでございましょうか。
  230. 萩原浩

    萩原政府委員 現在のところ私ども大体六十五年を目途に作業を進めておりますが、できるだけ早めたいというふうに考えております。
  231. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 六十五年が目途なんだけれども、順調にいけば六十四年に完了というのですか、ということも考えられるのでしょうか。その辺はどうでしょうか。
  232. 萩原浩

    萩原政府委員 順調に参りますれば六十四年ということもあり得ると思います。我々、今懸命に努力をいたしております。
  233. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 少しおくれております勢和―伊勢間の関係なんですが、これはやはりおくれる事情があったわけですね。路線を決める場合に地元で賛成だの反対だのというのがございまして、私も、選挙区は違うのですけれども、よくその辺の事情も記憶しておるわけです。そういうこともいろいろ重なったのではないかと私は考えているわけですが、今御答弁ございましたとおり、まだ中心ぐいを打っているというのですか、その辺までしかきてないわけですね。御答弁では、遷宮が六十八年にある、そのときにはもう完全に開通というところまで私たちとしてはお願いをしたい気持ちなんですが、もう少し早まればなおこれはうれしいことなんでございます。三重県としましては、祭り博といいまして、遷宮のチャンスをとらえまして万博ですね、そういうビッグイベントを計画しているということもございますので、ぜひともそういう地元の事情を勘案いただきましてスピードアップをお願い申し上げたい、かように思うわけでございますが、どうですか。
  234. 萩原浩

    萩原政府委員 この伊勢―勢和の整備計画の決定に当たりましては、伊勢市付近の決定が非常に大変でございました。これの都市計画決定も環境問題、いろいろな問題がございまして大変苦しんだ経緯がございます。まあ御同意を得ましたものですから、これから鋭意事業促進を図りますけれども、やはり伊勢市付近のいろいろな設計協議、そこら辺が進捗の決め手ということになろうと存じます。  今中心ぐいを打ちまして、それから今度設計協議になるわけでございます。その設計協議で御了解が得られるかどうかというところがこの伊勢―勢和間の工程の進捗に一つの条件設定になり得るであろうというふうに私ども考えておりまして、できるだけ早く御了解を得られるように努力をしていくつもりでございます。
  235. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 設計協議がうまくいけばずっと進むと。私たちは、ルート発表の段階、設計協議の段階、用地買収の段階というのが一連の行為を進める場合の三つの非常に大きなポイントだ、こういうようにお聞きしているわけですが、その設計協議がうまくいくのかどうかの言うならば見通し、いろいろ折衝に当たられておりまして、こういう問題がある、だからこういう問題はひとつ地元も、このように早くやれというのはいいけれども、協力することになるとこちらで言っていることとこちらでやっていることが違うようじゃ、これはやはり完成がおくれるばかりですから、建設省の方としては早くやろうということについてはもうきちっと踏まえている、そのように努力をしているんだけれども、実際に行ってみたら、地元はああでもない、こうでもないと言う。この辺をこのようにやってくれたら、私たちは六十八年以前の段階まで早期完成に向けてスピードアップを図りますよ、ここが問題だ、地元はこの点について協力をしてほしいというようなことがございましたら腹蔵なく言っていただきまして、私もそれを踏まえて、この辺いかぬじゃないか、あなたたち、言うこととやることが違うぞというふうに現地でも言いたいと思うのですが、その辺遠慮なくひとつ御指摘をいただければありがたい、こう思うのですが、どうでございましょう。
  236. 萩原浩

    萩原政府委員 やはり高速道路建設するに当たりまして、地域の開発といいますか、都市化進展されましたところはどうしてもいろいろな問題が出てまいります。その意味で、今回のこの区間につきましてはやはり伊勢市内の問題が非常に大きな問題になるだろう。私どもはその後いろいろな環境対策を講じた道路断面といいますか、道路構造を開発いたしておりますので、そこら辺を駆使いたしまして、できるだけ早く御協力が得られるように努力をいたしたいと思います。また、私どもからも各地方公共団体を通じていろいろな調整をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
  237. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 当局も遠慮なさって具体的なことは言われないのですが、それほど大きな問題はないんでしょうか。例えば地元説明、設計協議をやりましても、幅ぐいは打たにゃいかぬわ、測量もやらにゃいかぬわ、用地の交渉もやらにゃいかぬわ、買収をやってきちっとやってから工事、こういくのでしょう。かなりまだ残っていますよね。それはぱぱっとやれる問題かもわかりませんけれども、しかし多くの皆さんがお住みなところを走るわけですから、そう簡単に一朝一夕にいかないから御苦労いただいているわけで、例えば主に言えば、主たる問題はこういうことだということがございましたらどうぞ御指摘をいただきまして、私も頑張らにゃいかぬな、こう思っておるのですが、どうでございましょうか。
  238. 萩原浩

    萩原政府委員 やはり従来お住みになっておられる方々が、そこに道路が入ってくるということになりますと、静かであったところが騒音でうるさい、あるいは排気ガスの被害を受けるではないか、振動も出てくるではないか、こういう御議論がございます。それからもう一方では、地域が分断されるではないか、町並みが分断されてしまうじゃないか、こういうようないろいろな議論がございまして、伊勢市は御承知のように、非常に古い歴史を持つ市でございますから、そこら辺との兼ね合いが非常に難しかろうというふうに考えております。  私どもは都市計画の決定の段階でも、ある意味で非常に苦労したいきさつを踏まえておりますので、ぜひ地方公共団体の皆様方とも一緒になって、この問題については早期に地元に入りまして御了解を得るようにしたいと思っております。また個々の段階でいろいろあれがございましたときには、よろしく御指導をいただきますようにお願い申し上げる次第でございます。
  239. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 当局の考え方を伺いまして、いずれにしましても、この勢和―伊勢間の完成に向けまして、しかもそれは六十八年までにできるように最大限の努力をやる、こういうことだと思うのですね。したがって、地元の関係の皆さんとも一体になってその辺を進めていきたいということの答弁をいただきまして、ぜひともそういう立場で早期完成に向けて御努力をいただきたい、かように思います。  それで、実は伊勢まではそういうふうにいきます。で、勢和から伊勢へ行くのと、勢和から紀伊半島をずっと取り巻くように鉢巻きのように回りまして、沿岸道路みたいになりますが、和歌山へ抜けるのですね。そこまで行って初めてこの自動車道というのは完成ということに相なるのではないかと思うのですが、その紀勢線の部分について、これはもう勢和から伊勢まで行ったら終わり、あと紀勢線はもうさっぱりわからぬということなのか、それとも建設省としては一定の将来構想をお持ちで、それはすぐというわけにいかないとしましても、具体的な建設計画をどのようにお考えなのか、この点について御答弁をいただきたいと思うわけです。
  240. 萩原浩

    萩原政府委員 建設省におきましては、既に今着工いたしております国土開発幹線自動車道を含みます、通称高規格幹線道路網と呼んでおりますが、この高規格幹線道路網につきまして、その路線であるとか整備手法等に関する調査を今行っております。昭和六十二年度までにこり計画を策定をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。  一方、国土庁におかれまして、ことしの秋と予定されておられます第四次全国総合開発計画がございますが、この第四次総合開発計由においても高規格幹線道路網の構想が打ち出されるものと聞いております。したがいまして、私どもといたしましては、この構想ともよく整合性を図るように調整をしてまいりまして、六十二年度のなるべく早い期間にこの計画を策定をいたしたいと考えております。  先生指摘の、紀伊半島一周の道路の構想でございますけれども、この路線も今申し上げました高規格幹線道路計画の中で検討している段階でございまして、これがどのような形で今後策定されるかということにかかっている、こういう状況にございます。
  241. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 その計画の中に今言いました紀勢線のルートを入れていってもらうように努力をいただくのか、もう終わりということなのか、どっちですか。
  242. 萩原浩

    萩原政府委員 この紀勢線につきましては、和歌山県側からも紀南延伸という名前で非常に強い御要望をいただいております。したがいまして、私どもといたしましてもこの御要望を踏まえていろいろ検討いたしておりますけれども、この高規格幹線道路網の計画の策定に当たりましては、大きな要素といたしましてネットワークの要素を私ども考えております。そういたしますと、紀伊半島には自動車専用道路のネットワークがないわけでございまして、かなり大きな半島の中にそれがないということでございますので、この路線最初から全然俎上に上らないようなそういう路線であるとは認識いたしておりませんで、この計画のいろいろな詰めの中で検討してまいりたい、こういうように考えておるものでございます。
  243. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 計画に入りますように最大限努力をお願いしたいと思います。もう地元の開発はほかにないのですね。道路ができませんと、日本列島の中では一番大きな半島なんですね。ところが、半島振興法とかなんとか言いますけれども、実際にあの地域の開発をレベルアップを図っていこうと思いますと、この紀勢線を何としても完成をさせていただきたい。これはもう地元では大変な強い要望がございまして、県を先頭にしてその点では一致団結をしておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで次は、久居から勢和間の中で一志郡にインターチェンジを実は何とかなりませんかということなんです。当局も御案内のとおりだと思いますが、地図を持ってきているのですけれども、私もこの地域の地理的事情、交通事情には詳しいわけでございますが、距離的に言えばインターチェンジは久居の次が松阪ですね、あとは勢和と、こうなるわけですね。久居と松阪のちょうど中間あたりに一志のインターチェンジをぜひともつくってほしい。  この理由はさまざまございますが、久居のインターにほとんど車が集中しておる、現在でも集中しておるわけです。この久居と一志の間に雲出川という川がございまして、この川を挟んで川沿いに後背地が広うございまして、一志郡というのは地形的にも平野部が非常に多うございます。山でも高い山というのは余りないのでして、非常に平野部分が多いのです。したがいましてゴルフ場が、私たちはゴルフ銀座と言うのですけれども、七つ、八つ集中しておるわけですね。そうすると、大阪、名古屋からプレーヤーが車でどんどんと参りますが、ゴルフに関係する皆さんだけでも久居のインターチェンジにどんどん入ってきまして、ラッシュアワーのときにはもうにっちもさっちもいかぬという状態なんですね。加えて自衛隊の基地が二つございます。射撃演習場とナイキ基地がございます。いろいろあるのですが、そういう点からいきますと、この一志にインターができることによって他の交通渋滞も解消することができますし、これは道路管理というのですか、財政的な面でも非常にメリットを生むのではなかろうか。  いろいろ理由はございますけれども、主張点はございますけれども、私たちとしては何としてもインターチェンジを一志郡内のこの地点に設けていただきたい、非常に強い要望を持っているわけですが、当局の御見解はいかがなものでございましょうか。
  244. 萩原浩

    萩原政府委員 久居とか松阪間に追加インターチェンジの御要望があることは私ども十分承知をいたしております。  当インターチェンジにつきましては、前後のインターチェンジの間の距離、今先生指摘いただきましたように五キロないし六キロというような距離であるとか、関連道路網の計画でございますとか、地域の開発の動向などを勘案いたしまして、設置するかどうかということについて今後慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  インターチェンジの設置につきましてはいろいろな問題を総合的に勘案して決めることといたしております。全国では非常に数多い御要望をいただいておりますけれども、その中で順位を決めて、順次位置を決めていくということでございまして、このインターチェンジについてもそういう意味におきまして今後慎重に検討させていただきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  245. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 今後の検討課題に加えていきたい、こういう趣旨の御答弁でございますか。
  246. 萩原浩

    萩原政府委員 そのとおりでございます。
  247. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 ぜひとも実現方をお願い申し上げたいと思います。  次は二十三号線の話なんですが、これは近畿自動車道とはちょっと違いまして海岸べりの方を走っているわけですが、昔からありました国道二十三号線なんですね。それで、これの拡幅の四車線の工事を今、津を中心にしまして非常にピッチアップをしていただいておるわけです。  問題はそれの促進。南勢バイパスに向けても四車線化の工事、中南勢バイパス、これは鈴鹿それから伊勢に向かってということですから中南勢バイパスと言いますが、それの四車線化の工事促進について地元の要望も非常に強いわけですが、当局としてのお考えはどうでございましょうか。
  248. 萩原浩

    萩原政府委員 二十三号線の拡幅計画でございますけれども、おかげさまで津までは大分進んでまいりました。現在、津駅前の現道拡幅を鋭意進めているところでございます。非常に人家の密集しているところでございます。ある意味では難渋いたしておりますけれども、今後計画的に進めていきたいと考えております。  それから南勢バイパスでございますけれども、これは四十八年に暫定の供用を開始いたしました、これは前の御遷宮のときでございました。これに間に合うようにということで暫定二車線で供用いたしておりますけれども、交通量の増大に備えましてだんだんとこの四車線化を今もやっておりますけれども、津の現道拡幅と並行いたしまして今後とも進めていくつもりでございます。  なお、中勢バイパスにつきましては、これは五十九年から事業化いたしたものでございまして、まだこれからのバイパス計画でございます。とりあえず二十三号の現道拡幅を急ぎまして、その後で本格的に取り組んでいきたい、こういうことを考えております。
  249. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 最後になりますが、津から上野市を結んでいます県道がございます。これはあの地域ではかなり交通量が多い、私たちもよく使用する道路なんですが、これの国道昇格を何とか実現さしていただきたいということなんです。これについて当局の御見解を伺いたいと思うのですが、どうでございましょう。
  250. 萩原浩

    萩原政府委員 現在、国道百六十三号は大阪の方から参りまして上野でとまっております。そして、この上野でとまらないで、津上野線を使って津まで国道を延伸するのが妥当ではないか、網としてもその方がいいのじゃないだろうか、こういう御指摘を受けておることは十分承知をいたしております。  国道昇格につきましては、最近では五十六年四月三十日に追加指定をいたしております。それでその後、残念ながらゼロシーリング、マイナスシーリングがございまして、新たに追加をいたしました国道の整備がちょっとおくれております。予定どおり進んでおりませんで、まだ残事業が非常にございますものですから、その意味を含めまして、ちょっと現在では、いつこの国道の追加指定をやるかというスケジュールが決まらない状況でございます。  一方で、先ほどから申し上げておりますように第九次五カ年計画中に高規格幹線道路網の計画を策定しようというふうなことを考えておりますので、まずそこら辺を最初に策定をいたしまして、その後で国道の再編というようなことに取り組むことになろうと存じますので、ここしばらくは国道昇格の予定は考えておらないわけでございます。第十次道路整備五カ年計画の中では考えることになろうと思っておる次第でございますが、この津上野線の国道昇格についてもその段階で検討していくということになろうと存じます。
  251. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 その第十次というのは何年ぐらい先の話になりますか。
  252. 萩原浩

    萩原政府委員 現在の第九次道路整備五カ年計画は五十八年から六十二年までの五カ年でございます。したがいまして、第十次は六十三年から六十七年までを予定いたしております。
  253. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 六十三年から六十七年のその計画の中には加えていただける、こういうふうに理解をしていいのでしょうか。
  254. 萩原浩

    萩原政府委員 その追加の中に入るかどうかということについては、これは全国からも御要望も強うございますし、全体の網の中でどういう順位になるかということを踏まえることになると存じますので、今後の検討課題ということでございます。
  255. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 これは毎年毎年当該の関係者は要望、陳情をしておりまして、私たちももう毎日通っている道路でございます、これは地元の熱烈な要求でございますので、国道昇格に向けて十次の中に入っていけますように格段の御配慮をいただきたいと思うのですが、ひとつ大臣の御答弁をお願いいたします。
  256. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先ほど来の高速道路の問題、それから紀伊半島一周道路の問題、またただいまの国道昇格の問題、御熱心に御論議いただきましたので、十分記憶にとどめまして前向きに検討してまいりたいと思います。
  257. 伊藤忠治

    伊藤(忠)分科員 大変どうもありがとうございました。これで終わります。
  258. 森田一

    ○森田(一)主査代理 これにて伊藤忠治君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君。
  259. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 まず最初に、建設省住宅対策についてお伺いしますが、その中で木造率の向上対策をどのようにお考えかという点、建設省の方から所感を伺いたいと思うわけでございます。  昭和五十九年度、全体で百十八万七千戸建設されておるようです。昭和六十年度には百二十三万六千戸建設されておりますが、この木造率は、昭和五十九年度が五〇・五%、昭和六十年度が四八%、こう低下しているわけでございます。時代の趨勢でございまして、新建材の使用、このことはやむを得ないわけなのですが、しかし一方では木材価格、木価の低落、輸入材問題で今国内材は大変な危機にも立たされておりますので、ひとつ農林水産委員としまして、農林省の方はこの対策の強化をうたっておるわけでございますので、建設省としてもぜひこの木造率の向上対策を図っていただきたい、こういう観点からお伺いするわけでございます。
  260. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 ただいま先生お示しのような数字でございます。私どもは年度で持っておりまして多少数字は違いますけれども、昭和五十五年度では木造率が五八・六、それがだんだん下がってまいりまして、五十九年度ではついに五割を割って四九・七%。に落ち込んでいる。さらに六十年度に入りましてことしの一月まで、これは年度全部を通じてでございませんけれども、四七・二%というふうに落ちてきているわけでございます。  木造住宅は元来我が国の気候風土に適しておりまして、しかも国民のニーズあるいは愛着が極めて強いということもございます。建設省といたしましても、そういった観点も踏まえてその振興に努力をしておるところでございます。例えば従来から木造公営住宅建設促進を図ってきておりまして、これは、先ほど申しました五十五年では数は少ないわけでございまして〇・四二%だったわけですが、それが六十年度では三・〇一%というふうにふえてきております。  それから、五十八年から六十年にかけて行いました「いえづくり’85プロジェクト」というものがございます。これは良質、低廉な木造の在来工法住宅建設促進するという観点から、コストダウン技術の開発でありますとか住宅生産供給システムを確立するものであるわけでございます。それから、六十年度から六十四年度ということで地域木造住宅生産供給促進事業というものをやっております。これも地域に適した木造住宅についていろいろなことをやってその促進を図る、御質問ございますれば詳しく申し上げますが、時間もないと思いますので簡単に申し上げます。  それからさらに、六十一年度新規といたしまして地域優良木造住宅建設促進事業という事業を予定しております。これは今度の予算の中に入っておるわけでございますけれども、これは、気候あるいは風土、そういった地域特性を踏まえました高い耐久性でありますとかあるいは良好な居住性、こういったものを備えました木造住宅、これの建設促進する、あわせて木材あるいは林業、地域住宅産業の活性化を図ることを目的としている制度でございます。  さらに何といっても、いろいろ技術が現在進歩しておりますが、木造につきましてはやはり防災性、安全性といった点からの検討が必要な面がございます。そこで、六十一年から六十五年までの五年間の計画で新木造建築技術の開発を行うことといたしておるわけでございます。  このようにいろいろな形で木造振興に鋭意努力をしているところでございまして、今後ともその努力を重ねていきたいというふうに考えております。
  261. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この木造住宅につきましては、鉄筋よりも非常に防災性、安全性に欠けているような考えが広まっておりますが、実は木造住宅でも、四寸角以上の材質、あと、板だって厚いものを使いますと、安全性では何ら鉄筋コンクリートに劣るわけじゃございませんので、今のこういう低木価でございますと、そういう材質を強化することによって、かつての我々の先人が快適な住居生活を送った、そういう環境づくりも非常に促進されると思いますので、ひとつ建設省の方でもこれを重点的な施策として進めていただきたい、こう思います。  次に、岩手県の川崎村の千厩川河川改修事業でございます。ここは水害の常襲地でございまして、私たち見ていても全く気の毒なところでございます。かってここに門扉をつくってモーターでこれをくみ上げようというような計画もあったようですが、これが築堤に変えられて改修されるということになったわけでございます。このことに対する特段の御配慮をいただきたいという観点から御覧間するわけでございますが、これの促進方についての建設省のお考えをお聞かせいただきたい、こう思う次第でございます。
  262. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 千厩川は北上川の支川でございまして、今先生の御指摘にありましたようにたびたびはんらんをいたしておったわけでございますので、昭和三十四年から北上本川堤の工事着手いたしまして、四十五年に千厩川水門が完成されました。その後、千厩州のはんらんを防御しようと五十三年から中小河川改修事業ということで採択をいたしまして改修着手したわけでございますけれども、用地買収に入りましたところ、地元の御納得が得られず難渋をしたわけでございます。しかしながら、昭和六十年に至りまして改修計画につきまして現地方々の御了解も得られ、現在用地買収中でございます。  私どもといたしましては、千厩川の浸水被害が大変であるということにかんがみまして、今後も用地買収を引き続き促進いたしまして、順次用地買収に引き続きまして工事着手いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  263. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 次に、北上川上流一関遊水地事業促進をお願いするわけでございますが、同時に、遊水地内の農地の整備について農民の方々からもいろいろな要望があって、一応用地の整備費は農民サイドが負担をしなくても済むような範囲での耕地整備を考えているということも聞いておりますが、この点に関していかがでございますか。
  264. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 遊水地内の農地の整備につきましては建設省の所管でございませんので、具体的な事例につきまして申し上げるのはできがたい状態にあるわけでございますけれども、関係機関と十分協議をいたしまして、できるだけ地元の御要望に沿うように建設省としても努力をいたしたい、このように考えております。
  265. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 本事業に要する事業費が二千億円以上要するという算定になっているわけでございます。ついては、こういう大事業でありますので、地元から建設省に一関遊水地工事事務所を設置していただきたいという陳情が参っているはずですが、この件に関しての建設省の御判断はどのような考えを持たれているのか、お伺いいたします。
  266. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 大変ありがたいようなつらいような御質問でございまして、どのようにお答えしたらいいか戸惑っているわけでございますが、先生今御指摘のように一関遊水地事業は、東北地方におきます世紀的と言ってもいいほどの大事業でございますので、私どもといたしましては、調査計画用地買収工事等大規模事業になりますので、その事業がつつがなく施行できるように組織、体制を万々整えたいところでございます。しかしながら、一方行政改革、組織低減というような動きもございますので、その辺の動きを見ながら、できるだけ組織の拡大という面について取り組んでいきたい、かような心境でございます。
  267. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この遊水地の事業は隣接の平泉町にもかかわる事業でございまして、地元からこの促進方を、我々が承諾した以上は早くやってくれ、こういう声がありますので、特段の御配慮をよろしくお願いいたします。  次に、国道二百八十四号線の整備促進でございます。  この路線は、御承知のように大船渡線がなべづる線になっておりますので、今太平洋側から新幹線に出るにいたしましても、この道路は重要な交通路線になっております。そしてまた、現に気仙沼から今高速バスといいますか、汽車よりも大変時間を短縮されているバスが運行されている、そういう路線でございますので、この路線の整備促進は隣接町村からはどんどん上がってくるわけでございます。殊に千厩、川崎地区内、もう一つは室根村地区内の改良工事、いわゆる踏切の除却問題と絡みます。それから、何といっても今ネックになっておりますのは宮城県分でございます。この点の御配慮をよろしくお願いしたいわけでございますが、促進方に対するお考えをお聞きしたいと思います。
  268. 萩原浩

    萩原政府委員 国道二百八十四号線は陸前高田から一関に至る、先生指摘のかなりの幹線でございます。  これは、岩手県内につきましては、今先生からも御指摘ございましたけれども、ほぼ改良が終わりました。現在、千厩町で、非常に幅員狭小で老朽橋でございます東小田橋のかけかえ事業をやっております。かけかえ事業は六十年から事業着手をいたしまして、現在のところ六十一年度、来年度で完了の予定でございます。この橋の完成に引き続きまして、いろいろな交通状況を勘案しながら引き続き整備を進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  269. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 宮域県側は、ダム建設と絡んで用地が難航しているのは御承知のことと思いますが、これに対する建設省の見通し、また御指導はどういう対応になっておりますか。
  270. 萩原浩

    萩原政府委員 大変失礼でございますが、手元にちょっと資料がございませんので御答弁いたしかねます。大変失礼いたします。
  271. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 よろしゅうございます。  それでは次に、国道三百四十三号線の整備促進、これも当初、笹ノ田峠にトンネルをつくる際、私が地方自治体首長として関係していた問題で、工事院借をした経緯がありますが、今考えてみますと、これは余り早く急ぎ過ぎたなと思う嫌いがあります。というのは、上の方に頭を、トンネルをつけたものですから。そこで、今、それでも鋭意その改修に当たられているわけですが、これの計画内整備ができるのかどうかひとつお聞きしたい、こう思うわけでございます。
  272. 萩原浩

    萩原政府委員 国道三百四十三号につきましては、現在岩手県内の整備状況、改良率が約七七%、それから舗装につきましては、簡易舗装を入れて八二%ということでございまして、国道といたしましてはまだ整備が進んでない路線に属しております。したがいまして、順次未改良区間の整備を図っておりまして、昭和六十年度は、陸前高田市におきまして矢作工区及び坂下工区、それから水沢市におきまして山内工区等の整備を進めておりまして、そのうち矢作工区と山内工区は、昨年九月と十一月に開通をいたしているところでございます。今後、順次この整備を進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  273. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 七七%の改良率で、残ったところが二三%のようですが、一番肝心の残ったところが金を食う路線区間でございますので、特段の促進方をよろしくお願いしたい、こう思います。  次に、国道三百四十二号線の整備促進につきまして、花泉バイパスの件はどのようなふうに進展されておりますか。
  274. 萩原浩

    萩原政府委員 国道三百四十二号線のうちの花泉町の花泉バイパス、花泉町の金沢地先でございますけれども、県から早期事業化の御要望がございます。  これにつきましては、現在検討中でございまして、御要望を踏まえてできるだけ早い機会に事業化するように努力したい、こういうふうに考えている次第でございます。
  275. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 さらに、県境を越えまして、秋田に向かう路線区間の道路改良もどのような状況でございますか。
  276. 萩原浩

    萩原政府委員 一関の泥田地先で現在改築事業を進めております。それからさらに秋田の方という残事業がかなりございますけれども、とりあえずはこの泥田地区の完了をまず最初に目指したい、それで順次工区を定めていきたい、こういうふうに考えております。
  277. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この道路は冬期間、現在の路線形の改良をしておきましても閉鎖されるような状況でございます。ですから、閉鎖されない区間までは速やかな改良をお願いしたいと思うわけでございます。将来は冬期間も開通できるような対策も考えていただきたい、そう思いますので、よろしくお願いしておきます。  次に、国道三百九十七号の整備促進方についてでございます。この現況とこの促進方に対する延設省の考え方をお聞きしたいと思います。
  278. 萩原浩

    萩原政府委員 国道三百九十七号の整備状況でございますが、特に岩手県内では改良率が九三%、舗装率は簡易舗装も含めまして九四%ということでございます。  現在、水沢市におきまして、交通混雑の解消を図るために、石田地先におきまして現道拡幅事業を進めております。また、胆沢町の未改良区間の整備計画につきましては、新石渕ダム、これは建設省の東北地建で現在調査中でございますが、この計画とあわせて検討いたしたいというふうに考えております。以上の工区を進めまして、さらに別の工区に移っていく、こういう計画を持っております。
  279. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 これは石渕ダムの改修によって路線のつけかえがなされるわけですが、それの実施計画までもできているわけでございますか、いかがですか。
  280. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 新石渕ダムは、計画段階から実施計画調査費がつきまして、現在、事務所をつくって鋭意建設に向けての調査を進めているところでございます。
  281. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 次に、北上川治水対策事業について、前沢地区の左岸生母黒石堤防築堤工事、これは農地の基盤整備と一緒にこれを促進したいということで、地元から今この築堤を実施されるよう要望されてきているわけでございますので、この築堤工事についての状況と今後の取り組み方についてお知らせいただきたいと思います。
  282. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 前沢町におきましては、現往左岸の生母黒石地区築堤工事のための用地買収を行っておりますし、右岸におきましては、現堤防が漏水に対して弱いということで漏水防止工事を並行して促進しております。今後引き続きまして事業促進を図っていくことといたしております。なお、右岸に未築堤箇所がございますけれども、その場所につきましては、現在実施いたしております堤防の補強工事の進行を見て逐次実施をしていきたい、このように予定をいたしております。
  283. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 右岸の堤防の補強工事でございます。これは私も行ってみまして、ぜひ漏水箇所は補強していただきたいなというふうに考えておるところでございますので、ひとつ促進方をお願いいたします。あわせまして、今報告いただきました未築堤箇所築堤もお願いしたいと思います。  次に。北上川の箱石架橋、これはおととしもお願いいたしましてやっと着工の運びになったわけでございますが、この早期完成と関連道路の整備促進について、ひとつ現状がどうなっているか、今後の進め方についてお知らせいただきたいと思います。
  284. 萩原浩

    萩原政府委員 箱石橋につきましては、昭和五十八年度より先生承知のように事業着手いたしまして、現在前後の取りつけ道路用地買収を進めております。昭和六十一年度には橋梁の下部工事にも着手をいたしたいというふうに考えております。  何さま北上川にかかる橋でございます。橋長五百メートル以上、総事業費二十八億円以上を必要とするのではないかというふうに考えておりますので、完成は六十年代後半を考えて事業促進を図りたい、こういうふうに考えております。
  285. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 昔は北上川があった関係でここが郡境になっていたわけです。そこで、今橋が出始めてから北上山系の山稜まで同じ郡になったものですから、橋がないと地域住民はもう不便でしようがないという箇所でございますので、ひとつよろしくこれの促進方をお願い申し上げます。  次に、国道一〇七号線の江釣子村―和賀町地内のバイパス建設促進につきましても特段の御配慮をいただきたいという観点からの質問でございます。建設省のこれへの方針をお聞きいたします。
  286. 萩原浩

    萩原政府委員 江釣子村―和賀町地内のバイパス計画でございますが、これは東北自動車道のインターチェンジが昭和五十二年に供用開始されまして、そのために交通量の増大が著しくなりましてバイパスの計画が従来より検討されておりました。何か聞き及ぶところによりますと、近く都市計画決定がなされるというふうに聞いております。二月十七日には県の都計審を通られたということでございますので、この都市計画決定を控えまして早期事業化をするよう検討いたしたい、今鋭意検討しているところでございます。
  287. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 同線の促進と並行いたしまして東北横断自動車道秋田線の和賀―湯田間が整備計画路線に編入されました。これは私たちにとりまして本当にありがたいことでございますが、今後のこの事業促進また見通しについてひとつお伺いいたします。
  288. 萩原浩

    萩原政府委員 東北横断自動車道秋田線、これは北上から秋田市に至る延長百七キロメートルの路線でございますが、先生今御指摘のとおり、抜けておりました和賀町から湯田町間二十二キロの整備計画が決定されまして、一月二十一日付で日本道路公団に対して調査指示を行ったところでございます。今後日本道路公団におきまして調査をし、その調査結果に基づいて施行認可が出てくるという段取りになろうと存じます。  その余の区間につきましては、北上ジャンクションから和賀インターチェンジ間、それから湯田インターチェンジから秋田インターチェンジ間は現在調査、設計協議及び用地買収の進捗を図っているところでございまして、六十年代後半から逐次供用を開始していこうという段取りで整備を進めているところでございます。
  289. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この路線は岩手県南における裏日本と表日本をつなぐ唯一の道路でございます。御承知のように、岩手県は四国四県の広さに匹敵する地域、その半分がこの路線にかかるわけでございますので、ひとつこれの促進方をお願いしたい。  同時に、太平洋に出る東北横断自動車道秋田線の延長ルートとして、早期に法制化され、建設を実現されたいわけでございますが、この見通しはどうでございますか。
  290. 萩原浩

    萩原政府委員 東北自動車道秋田線を北上市から太平洋岸の釜石市へひとつ延伸していただきたいという御要望を受けております。建設省におきましては、現在高規格幹線道路網という計画を策定中でございますが、この部分についてもこの計画の中でいろいろ検討していくということになろうと存じます。今後の検討課題でございます。
  291. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 時間が参りましたので、最後に大臣要望いたします。  今までいろいろ促進方をお願いしたわけでございますが、何分にも傾斜配分の点をよろしく御配慮いただきたい、こういうことを要望いたしまして質問を終わります。どうもありがとうございました。
  292. 森田一

    ○森田(一)主査代理 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。     〔森田(一)主査代理退席、主査着席〕
  293. 宮地正介

    宮地分科員 私は最初に、住宅都市整備公団関係生活環境の改善の問題につきましてお伺いをしてまいりたいと思っております。  まず最初にお伺いしたいのは、上福岡市にございますところの住宅都市整備公団の霞ケ丘団地並びに上野台団地におきますところの、またお隣の富士見市におきますところの鶴瀬第一、第二団地の地下水の汚染問題などにつきまして、現況と今後の対策について少しお伺いをしたいのでございます。  まず、この団地におきましては、既に御存じのとおり、五十九年八月の、厚生大臣の指定機関でございますところのいわゆる社団法人埼玉県環境検査研究所に株式会社団地サービス埼玉支社が、原水の水質試験等成績書の結果発表にもございますように、水質の検査を依頼いたしましたところ、いわゆる水道の水質基準でございます硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、リッター当たり約十ミリグラム、いわゆる一〇PPmの基準をオーバーする状況が、特に霞ケ丘団地あるいは上野台団地におきまして生じてまいったわけでございます。  特に霞ケ丘の第二井戸などにおきましては何と一八・一PPmあるいは第一井戸におきましても一七・六PPm、さらに上野台の団地におきましても一〇・二PPm等、我々の健康と生命を守るべき重要な生命線である水道の原水の水質がこうした結果を生じておりまして、地域住民においては大変にゆゆしき事態であるということで今大きな社会問題になってまいりました。その対応について公団も、地元市あるいは住民との話し合い、協定の中で霞ケ丘団地においては本給水の導入暫定措置あるいは上野台団地においてはイオン交換樹脂装置の設置によって何とか暫定的にその対応を図っているわけでございます。  まず、こうした水質の検査の問題につきまして、この五十九年の八月の結果、調査されたのは五十九年七月二十四日から八月六日まで、この時期に検査をしてわかった。私は、公団はもっと早く、積極的に調査をしてこの発見に努めなくてはならなかったのではないか、この点について公団の取り組みに少し怠慢があったのではないか、こう思っておるのですが、まず総裁としてのこの問題の御意見をお伺いしたいと思います。
  294. 丸山良仁

    ○丸山参考人 今お話のございましたように、埼玉県の霞ケ丘団地及び上野台団地それから鶴瀬におきまして、五十九年の八月以降水質が悪化してまいったことはお話のとおりでございます。今御指摘のございましたように、もう少し早くこれらの検査を当公団といたしましてもすべきであったと思いますが、おくれたことにっきましてはまことに遺憾に存じているわけでございます。  しかしながら、対策といたしましては、今もお話がございましたが、市に対しまして何とか市の水道にかえてもらいたいというお願いをしたわけでございますが、市といたしましては、やはり給水能力の関係で今直ちに切りかえることは困難である、こういうことでございましたので、当面の措置といたしまして、霞ケ丘団地につきましては市から暫定的に水をいただく、また上野台団地につきましては削井水道の施設にイオン交換樹脂装置をつけまして水質の改善を図る、こういうことで、既に霞ケ丘団地につきましては昨年の十二月から実施しておりますし、それから上野台団地におきましてはことしの四月一日、それから鶴瀬団地につきましては、これは市の水道をいただくことにいたしまして、この四月一日から実施することにいたしております。
  295. 宮地正介

    宮地分科員 私は、今、公団総裁が水質検査について大変遅かった、申しわけない、謙虚に反省しておりますから強くは責めませんが、もう既に御存じのように水道法の第二十条におきまして水質検査というものは――特にこの団地におきましては、ここは調べましたらば専用水道である、専用水道の場合には水道法第二十条、水質検査の準用規定がとられるわけでございまして、本来ならば月例検査をする、このようにも水道法で明確にされているわけでございます。これを怠ったということは、これはやはり大変重大な行政の怠慢である、私はこう言わざるを得ません。  まして、この団地は昭和三十四年に完成いたしまして、水道管は当時は鉄管でございまして、この耐用年数は御存じのとおり二十二年、これによりますと五十六年が耐用年数でございまして、私は地元の国会議員の一人といたしまして、そうした中で、住民の中に、朝起きて蛇口をひねったら赤い水が出る、これはどうなっているのでしょうか、体に健康に大丈夫なんでしょうか、こういう声が相次いで出てまいりまして、私は五十八年二月十八日、当時の田代管理部長、これは関東支社の管理部長でありますが、たしか支社長は石津さんであったと思います。この方に、この赤水問題解消のために何とかもっと給水管の取りかえ工事をスピーディーに処理をして、安心して住民生活できるようなそうした上水道の供給をしてもらいたい、こういう要請もしてまいりまして、当然この時期に、赤水の給水管取りかえと同時にやはり水質検査というものを抜本的にやるのが常識ではなかったか、こう私は思うのです。その点について猛反省をしてもらいたい。五十九年の八月になって、泥縄式に大変だ大変だと言って慌てて市に駆け込んで、口頭で、何とか本給水に切りかえてくれぬかなんというみっともないことはやめてもらいたい。この点について総裁は今反省いたしましたが、大臣、私はゆゆしきことだと思うのです。  全国にある住宅公団の中にはまだまだ専用水道を使っているそうした団地もたくさんあると思うのです。そういうところをしっかりとチェックされまして、この上福岡における霞ケ丘団地、上野台団地の教訓を生かして、今後がようなことのないようぜひとも対応していただきたい。まず大臣にその御決意を伺いたいと思います。
  296. 江藤隆美

    江藤国務大臣 水道は生活基本でありますから、お説は当然であると私は思いますし、そのようなことが長く放置されておったということは極めて遺憾だと思います。そういうことがやはり、住都公団の存続が臨調あたりで議論される一つの原因になっておったんではないかと私は思うのです。  しかし、これから先の住宅政策を担っていく上で住都公団の責務はもっともっと大きくなるわけでありますから、心してそういうことが再び起こらないように、肝に銘じて今後業務に取り組んでいくように私どもも心がけてまいりたいと思います。
  297. 宮地正介

    宮地分科員 きょうは厚生省が来ていますから、簡単で結構でございますが、今私が申し上げたような水質検査につきましても、ぜひ厚生省もこうした水道の技術管理者に対するチェックを、本来的にはこれは都道府県知事ということになっておりますが、やはり水道法の管理は厚生省でございますので、厚生省もしっかり頑張っていただきたいし、この二十条の運用に当たってはぜひ厳正にしていただきたい、こう思っておりますが、まず御意見を伺っておきたいと思います。
  298. 小林康彦

    ○小林説明員 専用水道の監督につきましては知事にお任せをしておるところでございますが、水源の汚染、非常に憂慮される状況にございますので、私どもも水質管理のあり方、指導の徹底につきましては従来も強く知事に指導してきたところでございます。今後とも一層の注意を持って指導してまいりたいと思っております。
  299. 宮地正介

    宮地分科員 時間がないので私はこの程度にしておきますので、後は大臣総裁、意のあるところをぜひお酌み取りいただきまして、今後よろしくお願いをしたいと思います。  そこで私は、次の第二の問題として、先ほども総裁お話しありましたそうした地下水の汚染問題、これに対する暫定的な措置として、この霞ケ丘団地においては本給水を今導入いたしまして何とかその措置に努力をされておる。また、上野台団地においてはイオン交換樹脂の装置を約五千万円の経費をかけまして、大変な塩の量を使いながら一生懸命対応をされておる。幸い鶴瀬第一、第二におきましては本年四月一日から本給水が導入、こういうことで非常に安心しているわけでございます。  そこで、この霞と上野台の本給水の導入問題については句点がやはり問題がある。何といいましても、一つ住民との合意というものを早く決着をつけなければならない。特に上野台団地の約二千世帯の皆さん方は今まで大変に地下水のおいしい、水割りに使いましても本当に蒸留水並みの大変冷たいおいしいものを飲んでおりました。また料金も安い。しかし今後本給水が導入されますと、やはりカルキのたくさん入ったなまぬるいまずい県水を市が買いまして市水を導入する、さらにそれはお値段が非常に高い、こういうことで、住民の皆さんも、現在のイオン交換樹脂の装置を使っておりますと、これが二なり三にPPmが減りまして、今のままおいしく飲める、さらに料金も安い、こういうことで大変に住民の多くの皆さんも戸惑いながら、できればこのおいしい水を飲みたいな、しかし、将来的に考えたらいずれは本給水もやむを得ないかな、こういう戸惑いが今非常にありまして、聞くところによりますと、当面反対だなどといって署名も何か二千数百名集まったという話も聞いております。  私は、将来的には、やはり本来の健康と生命を守るという立場に立った本給水の導入というものは必要であろう、しかし、住民の皆さんの今日置かれたそうした生活感情というもの、これは絶対に無視できない。大変御苦労でございますが、都市整備公団におきましても、その辺のネック解消のためには誠心誠意粘り強い対話を重ねて、住民の合意を早期に得るようにまず御努力を願いたい、これは一つお願いでございます。  もう一つは、何といいましても、費用負担の問題が大きな課題でございます。これは皆さんも御説明をするまでもなくて、現在、上福岡市の水道事業の設置に関する条例によりますと、給水人口は五万五千人、そして一日の最大給水量は二万八千六百トンというふうになっているわけでございます。細かい経過はもう皆さんの方が御存じですから省きますが、この両団地が約一万一千人、いわゆるこの方々が新たに本給水をいたしますれば、当然水道条例の改正をしなくてはならない。すなわち、新たなる貯水槽設置の問題、それに伴うところの電気設備あるいは用地の買収問題等が絡んでまいるわけでございまして、今後七十年までの上福岡市の上水道の拡張計画を見ますと、約五千トンぐらいプラスアルファをしていかなければならない。そのうちの両団地に占める割合は大体三千トンぐらいである。約六割を占めるわけでございますね。ですから、常識的に言えば、この費用負担においても、大掛けは最低条件として公団がのまなければならない。皆さんは応分の負担、こういうことで上福岡市とも対応しているようでございますが、この応分の負担について、私は今の事務的レベルの計数から見ましても、大体六、四で、六は公団が持たなければならない。  しかし考えてみますと、この水道会計というのは上福岡市におきましてはいわゆる特別会計になっているわけでございます。例えばこの四割においても上福岡市が負担をするとなりますと、即これはいわゆる起債措置をしなくてはならないわけでございまして、起債措置をすることになりますれば当然国から借金をする。この借金はまさにこの二つの公団の皆さんのためでなくして、上福岡市全世帯の市民の負担になってはね返ってくるわけでございますから、応分の負担というのは、単に六対四とか七対三という割合でなくして、この問題の及ぼす影響というものを考えたら、できるだけ公団がこの負担に対して応じていくという対応が最もベターではないか。  そういう意味におきまして、ちょうど上野台団地の公団のわきには貯水槽などに対応する公団の用地もあるようでございます。こういうような用地は、昔は浄化槽で皆さんお使いになっていたわけでございますから、これは本給水の住民との合意ができた暁にはぜひこの対応に積極的に協力をして、なお電気の施設とか排水管の施設とかこうした工事費について、おれの方は用地を出したんだから、時価でいうとこのぐらい金がかかる、だからあとは市の方で頼むぞなんというけちくさい考えを持たないで積極的に取り組んでもらいたい。ましてや、国の力からいえば、全部入れても恐らく数十億であろうと思います。まず、それについての総裁の対応の姿勢、費用負担の問題についての御決意をお伺いしたいと思います。
  300. 丸山良仁

    ○丸山参考人 今お話しのございましたように、まず地下水を水道用水に切りかえるという問題にっきましては、飲料水の問題でございますからどうしても安全なものでなければならぬ、こういうことは当然に入ってございます。そういう前提に立ちまして住民の皆様方とも合意を得べくいろいろとお話を進めたいと存じますし、また市に対しましても合いろいろとお話を進めているわけでございます。  しかし、当公団といたしましても、鶴瀬の場合にも応分の負担はさせていただいているわけでございますけれども、全部を当公団で負担するということになりますと、これも当公団の家賃からいただかなければならないことになるわけでございますから、その辺はお互いに理由のあるところでお話し合いを進めてまいりたい、このように考えておりますから、御了承いただきたいと存じます。
  301. 宮地正介

    宮地分科員 その理由のあるところというのがちょっとひっかかるのです。私の今言わんとしたことは総裁、十分おわかりだと思うのですね。どうか誠心誠意、単に公団対上福岡市、こんな行政機関の対決的な意識でなくして、その本質というものをよく見た上で、今回のここにおけるこの問題はただお金の問題じゃないんだということを含めて、私は誠心誠意取り組むべきであると思うのですが、どうでしょう。
  302. 丸山良仁

    ○丸山参考人 上福岡市におきましては当公団は何千戸という住宅をつくらせていただいているわけでございますし、非常にお世話になっているわけでございますから、折衝に当たりましては我々といたしまして、もちろん誠心誠意お話し合いを進めてまいりたいと思っております。
  303. 宮地正介

    宮地分科員 こうしたお話を大臣もそばで聞いていておわかりと思うのですね。この両団地は、埼玉県の特に三十キロ圏に、昭和三十四年、今からちょうど二十五年前に東洋一のマンモス団地ということで、当時、日本住宅公団の一つの大きなモデル的な団地として都心三十キロ圏にでき上がって大変な脚光を浴びた団地なんですね。それが今日、二十五年たちましてこうした水の問題が出てまいりまして、住民の中にも非常に不安が出てきているわけです。いよいよ来年の秋にはこの団地にも地下鉄が、ここの永田町を通っている有楽町線も相互乗り入れということで、ますます東京大都市圏の中核になっていくわけですね。  そういうところで今、生活問題に関連したこうした重大問題が出ているわけでございまして、私は、良識を持って、行政当局が本当に誠心誠意こうした問題に取り組んで――日本の住宅政策の最先端としてこの住宅公団ができ上がってきたわけです。ところが今大臣おっしゃったように、家賃は高い、遠いとか、いろいろな踏んだりけったりの中で、いろいろ行革の中でももう一度見直しがされてきているわけですね。そういう状況から見ましても私は、こうした特に生活に、健康に、生命に影響する問題ですから、物、金の発想よりも本当に行政の心というものをここにつなげて対応していただきたい。大臣の御決意を簡単で結構ですからお伺いしたいと思います。
  304. 江藤隆美

    江藤国務大臣 地下鉄の乗り入れについては先生が大変情熱を込めて取り組んでこられたということは私かねがね承っております。せっかくできた団地ですから、やはり子や孫の代に至るまで、ああ、いい団地だったと言われるように最後まで公団が責任を持っていくという熱意が必要だろうと私は思っております。これから十分気をつけてまいります。
  305. 宮地正介

    宮地分科員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、もう時間も迫ってまいりまして、後はちょっと、とんとんとお伺いするしかございません。  昨年もこの分科会でお伺いいたしましたが、今もう一つの大きな課題を持っておりますのが、狭山市にございますところの狭山台団地のいわゆる重要な建築資材のアルカリ骨材反応の問題でございます。これにつきましては、公団といたしましても日本建築センターなどに調査を依頼いたしまして、昨年の六月に結果の発表をしていただきました。率直に申し上げまして、この日本建築センターの調査によりますと、この骨材のアルカリ反応におきましては疑いはない、こういう判断が出ました。  一方、住民の皆さんの方の東大の生産技術研究所の小林研究室の発表によりますと、今度は皆さんとは全く逆の、昨年十二月の第二次発表によりますと、アルカリ骨材反応についてはこのように明確に訴えて発表しております。狭山台団地の建物に種々の異常な劣化を惹起している主な原因はアルカリ骨材反応であることが明らかとなったということで、一方のいわゆる公団がお願いしております先生方は、建築学界の、日本でも有数のすばらしい先生方ばかりで、片方の住民の皆さんの依頼した東大の小林研究室は、土木の専門の先生でございます。日本の土木業界と建設業界を二つに割るようなトップレベルの先生が全く同じような調査内容で、アルカリ骨材反応あり、片一方はなしと。このまま平行線でいきますと、一番エアポケットに置かれるのは、マイホームのために貰った、その財産を持っている住民の皆さんなんですね。この面において今後どう対応するのか。公団としてこの問題について再調査をしようと考えているのか。あるいは、もうこういう学術論争でなくしてもう住民の真っただ中に飛び込んでこの解決のために何とか行政的対応をするのか、この点についての総裁の御見解を伺っておきたいと思います。
  306. 丸山良仁

    ○丸山参考人 今お話のございましたように、当公団といたしましては東大の岸谷先生を初めとする八名のコンクリートの専門の先生調査を依頼して、その結論はアルカリ骨材反応はないということになったわけでございます。  なお、小林先生の方に対しましては東大の生産技術研究所を通じまして資料をいただきたいと申し上げたわけでございますが、いただけなかったわけでございます。したがいまして、当公団としましては、やはり我々がお願いしました調査の方が正しいのではないかと考えておるわけでございますが、今もお話のありましたようにそのようなことで争っていても仕方がありませんから、居住者の方々に対しましてできるだけ早く修繕に、これは内部の修繕はもう既に済んでおりますが、外部の修繕に手がつけられますように今鋭意お願いしておるところでございます。
  307. 宮地正介

    宮地分科員 きょうは時間がありませんのでこの程度で終わりますが、これは大変大事な問題でございますから、私はぜひ、学術のモデル、狭山台団地を研究の材料ではなくして、住民の貴重なマイホームの財産を守ってあげるべきである、そのためにやはり行政当局が厳正なる対応をすべきである、このことを強く要求しておきたいと思います。  最後に一点。時間がちょっとオーバーするかもしれませんが、これも昨年ちょっとお願いいたしました首都圏中央連絡道の建設問題についていよいよ調査が本格化してまいりました。そういう中におきまして、これは大変に重要な、これからの二十一世紀に向けての大都市圏の大変な骨になる道路でございます。新大臣もこの計画については十分に御存じと思います。私は当然のことだと思いますが、どうか地域住民、地方自治体との円満な調整の中でこの建設というものをぜひやっていただきたい。特に私は、具体的には関越高速道路とぶつかるジャンクション、これが鶴ケ島町でございまして、ここは町が十字路で真っ二つに切られるジャンクションでございますので、この対応についてはぜひ地元の意向を聞いていただきまして積極的な国策に頑張っていただきたい、このことを大臣一言対応をお伺いして、終わりにしたいと思います。
  308. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私もこのことには非常に関心を持っておりますので、十分御意向を体しまして取り進めてまいりたいと思います。
  309. 宮地正介

    宮地分科員 どうもありがとうございました。
  310. 住栄作

    ○住主査 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。  次に、田並胤明君
  311. 田並胤明

    田並分科員 それでは、私は下水道事業道路行政のことについて、地元問題で大変恐縮でございますが、絞ってお尋ねをしたいと思います。  昨年も申し上げたのでありますが、五十六年度以降、公共事業予算の抑制ということでゼロシーリングということから、下水道にしてもあるいは道路にしてもかなり進捗率が鈍ってきている。先ほどの与野党の幹事長・書記長会談の中で、公共事業の拡大についても内需拡大という観点から一層の努力をするというお互いに約束事ができたわけでありますので、また、竹下大蔵大臣の方から本年度の公共事業については上期前倒し八○%程度でやりたいというような話があって、ことしは昨年とは若干さま変わりになってくるのかなという期待を持っているわけです。  特に下水道事業について埼玉県の問題を取り上げてお願いやら質問をするわけでありますが昨年も大変感謝を申し上げましたが、六十年度、国の予算の非常に少ない伸びの中で埼玉県に対して、特に人口急増ということと、さらに環境が大変悪化をしているという観点から予算の大幅な補助をしていただいて、普及率も年々伸びてきております。そういう意味では改めてまた感謝を申し上げ、本年も特段の御努力をお願いしたいと思うのです。  ついては、第五次の下水道整備の五カ年計画はいよいよ本年で終了するわけでございますが、これの達成状況、全国の普及率、これがどの程度になるのかということをお聞きをしたいと思いますし、また、本県の場合はおかげさまで五十九年度で三一・九%の普及率になりましたが、昭和六十年度予想ではこれが三五%に上がる、今こういう状況にございます。全国的に見ますと、恐らく本県はまだまだ追いつかないのではないかと思うのですが、第五次五カ年計画が修了した段階での全国の普及状況と、さらに埼玉の普及状況についてどんなように把握をされておるか、局長の方からで結構ですから、まず答弁をいただきたいと思うのです。
  312. 牧野徹

    ○牧野政府委員 第五次の五カ年計画の最終進捗率は、これは六十年度ですからまだ見込みでございますが、約七五%程度、一応私ども、数字ではじきますと七四・七という数字が出ますが、こういうことに見込んでおります。それから、全国の数字は五十九年度末で三四%、それに見合う埼玉県は、全国の平均三四に対しては四ポイントほど低い状況にございます。ただ六十年度で、一応全国マクロの数字をはじきますと、二ポイント上がって三六に達する予定でございます。埼玉県が具体的に今おっしゃったようなどこまで上がるのか、ちょっと今ございませんが、ほぼそのようなことで全国平均よりは少し低いと思います。
  313. 田並胤明

    田並分科員 人口急増で恐らく人口が間もなく五百九十万に達するだろう。これは首都圏の特異な状況でして、異常な伸びを示して、人口がふえるものですから、一生懸命仕事をやってもなかなかそれに追いついていかない、こういう特殊事情というものを十分に考慮されまして、なお一層の努力をひとつお願いしたいと思うと同時に、第五次が本年度で終わるわけでありますが、第六次の五カ年計画の策定というのは当然やられると思います。そこで、それの一応の概要でもあれば、第六次の五カ年計画の全国的な下水道の普及率の最終目標をどの程度に置かれようとするのか、それが実現をした場合に、先進諸国と比較をしてどの程度に対比ができるのか、これももしおわかりでしたら教えてもらいたいと思うのです。
  314. 牧野徹

    ○牧野政府委員 第六次の五カ年計画はただいま出会に提出いたしまして、御審議願うわけでございますが、総事業費十二兆二千億ということでお願いを申し上げております。この中に調整費が二兆二千二百億ほど入っておりますが、まずその調整費除きで申し上げますと、先ほど申し上げました六十年度末三六%が四四%へ上昇する予定でございます。なお、十二兆二千億を全部使わせていただければ四六%まで普及率は上がる予定でございます。
  315. 田並胤明

    田並分科員 先ほど聞いた先進諸国との比較ももしわかりましたら……。
  316. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先進講同はおおむね八〇―九〇%台でございますが、特に国を少し挙げて申し上げますと、イギリスが九七、西ドイツが九一、オランダ、スウェーデンの辺が九〇、国土の広いアメリカが七二、フランス、が六五でございますから、まだまだ日本の普及率は低いというふうに考えております。
  317. 田並胤明

    田並分科員 これは、一遍にここまで引き上げるというのはかなり大変なことでしょうけれども、現在の貿易摩擦等々から判断をして、特に諸外国の方から日本の社会資本の整備のおくれを相当指摘されております。もちろん外国から指摘をされたからといって日本がそれに従うということは決してないわけですが、少なくも経済大国になった日本が、社会資本のおくれを外国から批評されるような状態というのは非常に恥ずかしい話でありまして、ぜひひとつ特段の努力をする必要があるし、またそのことが対外経済摩擦に対しての解消策にもなるし、また国内の景気浮揚にもつながっていく、こういう観点から、ぜひひとつ、下水道事業のみならず道路にしても治水にしても、あるいは公園にしても住宅にしても、建設省所管の公共事業の拡大について、厳しい財政事情はわかりますが、一層の御努力をされるように大臣の方に強く求めながら、決意をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  318. 江藤隆美

    江藤国務大臣 御質問のように日本が非常に整備率がおくれておるというのは、やはり本格的に下水道を始めたのは公害国会あたりからという短い歴史しかございません。しかし、それだけに、国会で十分御議論をいただいておるし、また地域住民の熱望の高いところでございますから、これから私ども熱心に積極的に取り組んでいきたい、こう思います。
  319. 田並胤明

    田並分科員 強く要請をしておきたいと思います。  続いて、これまた地元の問題になるのですが、国道関係でお聞かせ願いたいのは、第九次の道路整備五カ年計画が六十二年度で一応終わるわけでありますが、これもまた公共事業の抑制ということで、一生懸命建設省は努力をされているのでしょうが、なかなかはかばかしくない、こういう事情にあります。特に、東京と新潟を結ぶ国道十七号線というのがございますが、六十三年の三月に埼玉県の熊谷市で埼玉博覧会というのを開催をするわけであります。現在、熊谷バイパスが暫定二車線で鴻巣市から熊谷市の新堀というところまで通っておるのですが、現在四車線にするために工事中のところ、埋蔵文化財が出てしまったためにここ何年か埋蔵文化財の発掘をしております。昨年の私の質問に対する道路局長の答弁では、埋蔵文化財については六十二年度ごろまでかかってしまう、こういうような答弁があったのですが、六十三年三月からのこの埼玉博覧会、約二百万人の人たちを見込んで開催をされる大イベントであります。したがって、今でも熊谷バイパスは熊谷の警察署あるいはその他のところで、随所で慢性的な渋滞が出ている場所がありますので、ここのところへさらに二百万人からの人が押しかけてくるということになりますと、なるべく電車等を利用してほしいということを強く県の方では要請しているようですが、恐らくマイカーの人が大量に押しかけてくるだろう。これはもう大変な交通渋滞が予想されるところから、この十七号の熊谷バイパス、埋蔵文化財があるので、これを発掘しなければどうしようもないわけでありますが、埋蔵文化財の発掘を早急に終了して、埼玉博覧会までに間に合うように早期に四車線化を実現をしていただきたい、このように思うのですが、この辺について建設省はどのような計画を持っておるか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  320. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、熊谷バイパスにつきましては暫定二車線で昭和五十六年に供用済みでございます。このバイパスは、その後交通量の増大に応じまして四車線化を徐々に始めておりますが、六十三年三月から埼玉博覧会の開催が予定されるということでございまして、この四車線化をどのように進めるかということで地元の皆様方とも御協議の上、計画を再検討したわけでございます。その結果、ただいま御指摘のように埋蔵文化財の発掘の問題がございまして、これは速度を上げるということを御要請いたしましてもなかなかうまくいかないという状況でございます。そのために、当面はこの埼玉博覧会の開催までの間に、県道中野熊谷線から一般国道四百七号、この区間約五・四キロございますけれども、この五・四キロを六十二年度中に、はっきり申し上げますと六十三年の二月中に四車線化をいたしたい、こういうことを考えておる次第でございます。これによりまして、博覧会の会場の前面約五キロは四車線化できるわけでございまして、あと現在の十七号その他を有効に使っていただきまして、何とかしのいでいただきたい、こう考えております。  なお、残りの区間につきましては、その後、順次四車線化を進めることにいたしたい、こういうふうに考えております。
  321. 田並胤明

    田並分科員 今の局長の答弁でおおむねわかったのですが、残り区間の方ですね。特に百二十五号バイパスから今言われた国道四百七号線、その間の渋滞が解消されるとかなり交通混雑の緩和が図れる地区なんです。したがって、今言われた中野熊谷から百二十五号までの間というのが埋蔵文化財が入ってしまっているわけですが、これの見通しはどうなんでしょう、いつごろまでかかると予想されておるのでしょうか。
  322. 萩原浩

    萩原政府委員 現在、先ほど先生指摘のように、埋蔵文化財の発掘が六十二年度いっぱいまでかかるであろうというように言われております。したがいまして、もし六十二年度までかかるといたしますと、あと一年度かければこの区間だけでもとりあえずはできるのではないかということで、その計画を詰めたいと思っております。
  323. 田並胤明

    田並分科員 わかりました。ぜひひとつ埋蔵文化財の発掘を六十二年度中に終わらせてもらって、その後の一年の間に、今申し上げた中野熊谷、四百七号線から先の百二十五号バイパスまでのとりあえず四車線化を実現をするように強くお願いをしておきたいと思うのです。  続いて、熊谷バイパスのさらに先、北になりますが、熊谷バイパスの途中から深谷バイパスの工事が現在始まっております。昨年の私の質問に対する答弁では、全線暫定を六十五年ごろというふうに予想されているようでありますが、これらについても部分開通をされるのかどうかですね。先ほどの話のように、六十三年の三月から埼玉博覧会が始まるわけでありますので、この深谷バイパスも部分的に暫定開通をしてもらうと、これまだかなり混雑解消ができるのじゃないだろうか、このように思いますので、その辺の計画がおありになるかどうかお聞かせを願いたいと思うのです。
  324. 萩原浩

    萩原政府委員 深谷バイパス、全線十四・八キロメーターのバイパスでございます。そのうち、六十一年三月末に県道葛和田新堀線から市道の別府四十号の間、延長が約一・四キロでございますけれども、これを開通させたいというふうに考えております。  それから、その先一・五キロ、先といいますと西北の方になりますが、その先一・五キロを六十一年度じゅうに、それからさらにその先三・六キロは六十二年度じゅうに開通させたいということで今鋭意事業を推進しております。その先は、先ほど先生おっしゃいましたように、六十年代半ばにはこれを全線開通させたい、こういう段取りで進めたいということでございます。
  325. 田並胤明

    田並分科員 わかりました。今の公共事業状況では、これ以上速めると言ってもかなり無理でしょうが、ぜひひとつ一層の御努力をお願いしておきたいと思うのです。  続いて、これも十七号バイパスのまたバイパスみたいな路線で上武国道というのがあるわけです。昨年もお話ししましたように、既に群馬側は大分進捗状況が速いわけであります。いよいよ深谷バイパスが一応の目安がついた後、上武国道についても事業費をつけたり工事をしたりという、こういう具体的な計画で進められているようでありますが、特に上武大橋ですね、新上武大橋。これは、埼玉と群馬の境に利根川が流れていますから、当然そこに新しい橋をかけなければ上武国道というのは通じないわけです。特に、昨年の九月に埼玉、群馬両県と沿線の関係市町村で新上武大橋の建設促進協議会というのをつくって、建設省の方にも早期に建設をしてほしいという要望をしていると思います。私もその一員になっておるわけですが、これは、与野党を問わず、関係する全国会議員が顧問ということで促進協議会に入って、地元と協力してやろう、こういうことになっております。  この利根川にかかります新上武大橋の今後の延設計画の概要等がありましたらばぜひお聞かせを願いたい、このように思います。
  326. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の上武夫橋、これは仮称でございますけれども、橋の長さが千百五十メートル、非常に長い橋でございます。坂東太郎にかかる橋でございますから当然長くなります。また、取りつけの高架橋も約四百五十メートル最低必要であろうというかなり大きい橋になります。  昭和六十年度に本橋部の詳細設計を完了させる予定で現在鋭意調査中でございますけれども、この調査結果を受けまして、本橋の下部工事着工にできるだけ早期に着手できるようにということで、今寄り寄り最終検討をいたしているところでございます。この本橋梁は千百五十メートルで大体五十億、それから取りつけ部四百五十メートルで大体二十五億を要するだろうというかなりの大事業でございますが、とりあえずは下部工事にできるだけ早く着手できるように努力したい、こういう段階でございます。
  327. 田並胤明

    田並分科員 大変喜ばしいことでございまして、感謝を申し上げますが、最終的なこれの完了予定というのは何カ年計画ぐらいでやられる予定になっておりますか。
  328. 萩原浩

    萩原政府委員 現在、上武大橋関連の事業は年間数億のオーダーでしか投資をいたしておりません。これは、先ほど先生がおっしゃいましたように深谷バイパスの方につぎ込んでございますので、どうしてもそのような状況になってございますけれども、この深谷バイパスの進展がある程度めどがつきました暁には、この橋に投資を拡大していきたい。また、現に下部工事着手をいたしましたらそんなに余りゆっくりとということも考えられませんので、現在までのところ、大体六十年代半ば、六十六年か七年か、そのくらいのころには完成をさせたいなということを考えております。
  329. 田並胤明

    田並分科員 ぜひひとつ強力に推進をしていただきますようにこれまたお願いをしておきたいと思います。  続いて、時間の関係がありますので、今度は百四十号雁坂トンネル建設促進関係についてお伺いをしたいのですが、昨年度おかげさまで百四十号の埼玉側と山梨側を結ぶ雁坂トンネル建設調査費といいましょうか、これを五千万ほどつけていただいて地元でも大変大喜びをしたわけでありありますが、この五千万の予算で六十年度との程度調査が進められたのか、さらに今後の工事計画、それと完成目途を実はお聞きしたいわけであります。  埼玉側の方でも、建設省が直轄でやる事業の取りつけにやります豆焼沢橋が完成しまして、六十一年度、六十二年度の二カ年継続で豆焼沢トンネルをつくって、建設省の直轄事業地点までひとつ完成をさせようということで今進めておりますし、山梨は山梨の方でそれなりに工事を進めつつあるわけであります。恐らくあと二年もすると、山梨側の方はちょっとわかりませんが、埼玉側の方はほぼ直轄事業地点まで工事が完了するのではないか、このように思われますし、聞くところによりますと、おおむね十カ年計画ぐらいで山梨側から工事を始められる、このような話もちょっと聞いたわけでございますが、ぜひこれの今後の事業計画完成目途等についてお聞かせ願いたいと思います。
  330. 萩原浩

    萩原政府委員 国道百四十号の雁坂峠のトンネルでございますけれども、これは、この国道のテンパーをごらんいただけばおわかりのとおり、かなり長い間懸案であったプロジェクトでございます。二十三・四キロが現在交通不能区間となっておりますけれども、今年度昭和六十年度に事業化をいたしまして、現在地質調査、それから自然環境に対する影響調査を実施中でございます。地質調査については私ども手なれておりますけれども、自然環境に与える影響の調査、これがなかなかいろいろな部門で検討しなければいけない問題を含んでおりまして、この調査は今後とも鋭意続行してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。  さて、これらの地質調査などの結果を踏まえまして、トンネルの設計であるとかそれに基づきます施工等の詰めを行いましていよいよ事業着手ということになるわけでございますけれども、現在の予定では山梨側の方が本工に到達するのが早いのではないだろうかというふうに考えられておりまして、山梨側は六十三年度から本工に着手いたしたい、それから埼玉側は六十五年から着手をいたしたいというふうに考えております。それで、真ん中付近に排気塔をつくります。その排気塔の完成と埼玉側からのトンネル完成を合わせまして同時にドッキングするといいますか、完成することを考えております。完成り目途は現在のところ七十年代の初め、できますれば七十年代に入った早々ぐらいには何とか完成できないかなということを考えておる次第でございます。
  331. 田並胤明

    田並分科員 本当にこの仕事はかなり長い間からの地元の熱望でしたが、いよいよ具体化をされるということで、建設省の努力に心から感謝を申し上げたいと思うのです。ぜひひとつ七十年代初めに山梨側と埼玉側が結ばれて、両県の産業、文化の交流に大きな貢献をされるようにお願いをしたいと思います。  そこで、最後の問題になるのですが、百四十号の雁坂トンネルとの関連で、山梨側と埼玉側が結ばれた場合に、熊谷から中府まで抜ける百四十号のほかにバイパス、百四十号バイパスを今つくっています。ところが、百四十号バイパスも、起点になっております熊谷から寄居までは何とか間もなく完成をするだろうと思うのですが、その先の長瀞バイパスが、地元の反対によりまして残念ながら数年前にだめになってしまって、地元でもう一回復活をしてくれという強い要請があるのですが、これはなかなか難しい問題があります。山ですから平らなところは余り通ってもらっては困る、トンネルにしてくれというので、かなり難しい問題があって、今県の方でちょうどバイパス的な役割を果たしております県道の玉淀長瀞自然公園線というのを逐次整備をしておるのですが、県の仕事ですから遅々として進みません。仮にそれができ上がったとしても、それと百四十号バイパスを結びつけた場合に、ようやく秩父市の手前の皆野町で終わってしまう。皆野町から先は残念ながら、県の方にも聞いたのですが、秩父市内を迂回するバイパスの計画はあるのだけれども、山なものですからなかなか困難を来しているということでございます。それで、今でも私も時々秩父の方に用事があって行くのですが、日曜、祭日、特に観光シーズンになりますと、長瀞という自然公園があるし、また秩父にかなり観先客が来るものですから、秩父から熊谷へ抜けるのに三時間近くもかかってしまう、こういう事情です。  ここでお願いしたいのは、先日日経新聞だったでしょうか、建設省が新たに六十一年度中に三万とか五万の都市間を結ぶ高規格道路を各県から希望をとって、具体的に高規格道路をどこへつくろうかという指定をしたい、十年計画になりますか、その程度の年数をかけて具体的に高規格道路の総延長を延ばしていこうという記事が出ておりました。そこで、山梨と埼玉が百四十号の雁坂トンネルで結ばれた場合の交通量予測というのはまだできておらないと思うのですが、相当の交通量になってくるのではないか、私はこのように思います。ただ、その時点で手がけたのでは交通麻癖でこれはもうどうにもならなくなってしまいますから、ぜひこの段階で、でき得れば関越自動車道の本庄児玉インターから秩父市に向けて新たな高規格道路というもの、もちろん高速の有料道路で結構でありますから、そういうものを計画されて、例えば東京から山梨へ抜ける人、山梨から埼玉を通って東京へ行く人あるいは上越方面へ行く人、本庄児玉インターチェンジを一つの基点にして、東京から来る人もあるいは上越方面から来る人も、山梨側に用事のある人はそういうものを利用する、こういうようなことで、これはお亡くなりになりましたが、荒船先生の地盤でございまして、大変熱心にこの運動をやられておったのですが、途中でああいうことになってお亡くなりになりましたが、今申し上げた本庄児玉のインターから秩父へ抜ける高規格道路というものを、建設省としてぜひ計画をされてみたらどうだろうか。秩父というのはもう観光資源が中心であります。したがって、秩父の観光資源と山梨側の観光資源と両方を結ぶ主要な道路になっていくのじゃないだろうか。もちろん観光だけじゃなくして、産業の進展のためにも、地元の発展のためにも大きくつながって、場合によれば埼玉の過疎過密あるいは首都圏における過疎過密の解消にも大きな貢献をするのではないだろうか。こういう観点から、ぜひこの点についての建設省の方での御検討を強くお願いをしたいと思うのですが、とりあえずのお考え方を聞かしてもらいたいと思うのです。  あと一つあるのですが、もう時間がないので、これだけで質問を終わります。
  332. 萩原浩

    萩原政府委員 本庄児玉インターチェンジ付近かち秩父方画への高規格道路の御要望については私どもも承っております。  高規格幹線道路網につきましては、六十二年度、第九次道路整備五カ年計画中にこの計画を策定しようということで、今鋭意作業を進めているところでございますが、この作業の一環で御指摘道路検討することになるというふうに私ども考えております。  この秩父へのアプローチは私も存じておりますけれども、長瀞町のいろいろな問題がございまして非常に難渋をした経過がございます。したがいまして、こういうような高規格道路をつくること自身についても、またいろいろな問題もあろうと思いますが、そこら辺を踏まえて検討させていただきたいと思っております。
  333. 田並胤明

    田並分科員 それでは以上で終わります。ひとつ一層の御努力を心からお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。
  334. 住栄作

    ○住主査 これにて田並胤明君質疑は終了いたしました。  次に、永江一仁君。
  335. 永江一仁

    永江分科員 大臣お疲れでございます。御苦労さまでございますが、よろしくお願いいたします。  私は、地元でございますが、いわゆる明石架橋につきまして御質問させていただきたいと思います。  大臣もこの間ヘリコプターで飛ばれたそうですし、大体お詳しいと思うのでございますが、明石架橋というのは明石海峡にかかるから明石でございますけれども、かかってくるのは、あれは神戸市の垂水区というところでございます。明石じゃございません。私はその神戸市の垂水区に住まいをいたしておりまして、一番の地元でございます。  実は個人的なことを申し上げてなんですが、この垂水区というところから私県会議員に出ておりまして、たしか昭和四十五年ぐらい、もう十五年ぐらい前に県会で初めてこの問題を取り上げた記憶も残っております。その当時から、橋がかかってくると、これは住民にとりましても、立ち退きの問題も含めて大変心配がある。その後、幸か不幸がああいう財政事情で凍結しましたものですから、それ以来もう十五年もたっておるのでございますけれども、いよいよことし五十億円の予算が組まれたという中で、地元住民にとりまして、賛成、反対はともかくとして、これは非常に現実味を帯びてきたということで、大変関心を集めておるわけでございます。  時あたかも、この間一月二十二日大臣が来られまして、景気よくサミット前には着工式もやるとおっしゃったそうでございますが、そういたしますと、地元住民からすると、どうも本当のルートがまだはっきり提示されておらない、大体は新聞等でも報道されて予測はっいておるのでございますけれども、ちゃんとしたルートもはっきりしないうちに着工式の話が出るのは若干順番が逆じゃないか、こういう批判が強いわけでございますが、この点についてはいかがか。事実関係そしてそのルートの提示はいつごろになるか、お答えいただきたいと思います。
  336. 江藤隆美

    江藤国務大臣 世紀の大事業でもございますし、やはり初めてのプロジェクトで、まずは国会の御審議を煩わして、そして皆さんの、国権の最高機関の御同意をいただくことが一番大事だということが前提でございまして、先生おっしゃいますようにルートも早々と発表するのが本当ですが、予算が通らないうちからルートの発表やらあるいはまた起工式の日にち等を発表するというのはいかがなものかということで実は遠慮をいたしておりまして、予算が通りましたならば直ちにその時点でルートを発表して、またあらためて地元の御協力をお願いするということにいたしたいと考えておるところでございます。
  337. 永江一仁

    永江分科員 そういたしますと、国会は何が起こるかわかりませんが、予算はあすいよいよ衆議院通過、自然成立といたしましても四月、そうすると、端的に言って四月一日以後、起工式並びにルートを発表する、こういう受けとめ方でよろしいですか。
  338. 江藤隆美

    江藤国務大臣 そのようにお考えいただいて結構でございます。
  339. 永江一仁

    永江分科員 そうしますと、えらいくどいようでございますが、起工式の日時と正規のルート発表は同時に行う、こういうことでございますか。
  340. 萩原浩

    萩原政府委員 起工式の日にちの決定とルートの発表、ここら辺についてどちらが先かということはまだちょっとわかりませんけれども、あったといたしましてもごく些少の差であろうと思います。いずれにいたしましても、起工式より前にルートは発表させていただいて、その後地元の御協力を得たい、こういうふうに考えております。
  341. 永江一仁

    永江分科員 当然そういうことでありまして、ルートの発表もないうちに起工式があるということでは、これはやはりいささか穏当を欠くわけでございます。  そこで、私たちは基本的にはこの架橋建設といいますか、これに賛成する立場でございます。しかしながら、賛成だから何でもかんでもいいというわけにはいきません。実は、これは大臣承知だと思いますが、そもそもあそこの明石海峡にああいう世紀の大事業を言い出しましたのはもとの神戸市長の原口忠次郎さんで、昨日も神戸市で調べたのでございますけれども、実に昭和十五年ぐらい、戦前でございます、原口忠次郎氏が神戸市の土木課の所長であったときに一つの夢物語のようにそれを計画され、そしてその後市長になられて、昭和三十一年に夢のかけ橋として構想を打ち出されたわけでございます。  昭和三十一年にはあの神戸市の垂水区というところ、実はまだ人口五万五千八百三十二人、本当に漁港のようなところでありまして、民家も何もほとんどなかったわけです。ですから、極端なことを言うようですが、昭和三十一年にかかっておればこれから御指摘するような問題はなかったのでございますが、以来今日に至りますと、この神戸市垂水区の人口は二十二万五千人を超え、しかも、あそこは神戸市の中でも非常に発展した地域になりましたものですからこの間西区と分区をいたしまして、西区の人口が十一万ですから、合わせますと三十四万という、その辺の中都市以上の人口密集地になったわけですね。ですから、私が今から十五年前に県会でも指摘したことはそのことでございまして、これが計画されたときならほとんど問題はない。しかし、かかってくるあの舞子台が、本当に漁村に毛の生えた程度であったのが神戸市の有数の住宅密集地、しかも一戸建ちの非常にいい住宅地に変貌してしまった、そこへ計画はそれこそ三十年前のままでほとんど入ってくる、ここに実は大問題があるわけでございます。そういうことで地域住民も大変心配をしておるわけでございますが、こういうことで、いわゆる環境対策とか沿道対策については本当に真剣に取り組んでいただかないと、第二の成田空港事件になりかねないという心配がございます。私は、先ほど申しましたように基本的に賛成であるだけに、このことは本当に強くここで申し上げたいのでございまして、そのことについて建設省はどれくらい自覚をして今後の進め方、沿道対策あるいは環境対策についてお考えか、お尋ねいたします。
  342. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のように、この明石海峡大橋につきましては非常に長い経緯がございます。一時はこれの着工ということまで進んだのでございますけれども、オイルショックでこれが中止になりました。その後木四公団あるいは我々と一緒になりまして、この環境対策あるいは環境の予測ということについてはかなりの投資をいたしまして調べてまいりました。そしていろいろな対策を講じまして、この神戸側に現実に築造されます周囲の環境に及ぼす影響をできるだけ少なくしたいというふうに考えている次第でございます。そしてこれについては、事業実施に当たりまして、現実には周辺については町づくりのもう一度やり直し、再開発のようなもの、そこら辺も考えた形で、地域のつくり直しのような形で対策を講じていくべきであるというような基本姿勢をとっておる次第でございます。
  343. 永江一仁

    永江分科員 これからかなり長期にわたりましてこの問題は大変大きくなってくると思います。私も地元中の地元ですから、あの辺をよく歩きますし、先般も本当によく知っておる人から、その方はもう八十歳過ぎた御夫婦、老夫婦で、十年前なら立ち退いてもいいけれども、もう八十過ぎてここに三十年以上も住んでおる者としては橋げたの下でもここにおりたい、こういう素朴な声を聞くのでございまして、それはもう大事業のために立ち退きなさいとはなかなか言えるものじゃないのですね。本当にそういうのはかなりの数そこに点在するわけでありますから、これは本当に建設省といたしましても真剣に受けとめていただかないと大変難しい問題になるということを心配するわけでございます。  そういうことで、まだまだ具体的にこれからアセスメントの問題等、神戸市等から順番に上がっていくと思うのでございますけれども、おおよそこの道路網から沿道と申しますか、緑地帯と申しますか、こういう騒音との兼ね合いの中で幅五十メートルとか百メートルとかいろいろ言われておるのでございますけれども、それの大体の予測、それはまだつきませんですか。
  344. 萩原浩

    萩原政府委員 道路の断面につきましてはまだ決定をいたしておりません。まだいろいろな皆様方の御要望をお聞きしてこれから決めていきたい。とりあえずは架橋地点の問題がございますので、ルートの発表といいますか、私どもはこういうルートを考えておりますけれども、こういう場合にいかがでございましょうか、どういう断面がよろしゅうございましょうかというようなことをまず詰めさせていただきまして、これは市当局あるいは地元の方々と御相談の上詰めさせていただきまして、そして断面がある程度固まった段階で正式な環境アセスメントを行う。断面が変わりますとまた影響が変わってまいりますから、そういう手だてでこれから進んでいくことになろうと存じます。
  345. 永江一仁

    永江分科員 もう一つの問題は、これは橋がかかってくる、立ち退きあるいは騒音公害、これもありますが、同時に工事期間、大体十年以上かかると言われておりますが、この期間にある人口密集地にダンプカーが走り、いろいろある、これもた変また問題でございます。  一つだけきょう御質問させていただきたいことは、あれだけの大工事、やはり資材置き場というものが浮上してきておるわけでございますが、この資材置き場を舞子浜を埋め立ててやるということがいろいろ言われておるのでございます。ところが、これは大臣もヘリコプターから眺められたそうでございますが、夏来ていただくともっといいのでございますが、あそこは昔から白砂青松といいますか、もう本当に。白い砂浜と青い松という、日本でも有数のきれいなところでございます。その砂浜を埋めてしまうのかどうかということの心配が一つございます。あわせましてもう一点、神戸は造船産業の町でございまして、若干これは造船不況という対策で、数年来あの関西空港も浮体工法でやるかどうか、まあ航空母艦の大きいものをつくったらどうかという意見まで出ておったのでございますが、それはそれとして、その資材置き場にそういった浮体工法的なものを置いて、そうして工事が終わればそれを取り除く。埋め立ててしまうと、せっかくのそういうきれいな観光地が台なしになるんじゃないか、こういうことの心配があるのでございますが、この点についてはどうお考えでございましょうか。
  346. 吉田巌

    ○吉田参考人 工事を担当いたしますのは本四公団でございますので、そういう意味で御返事を申し上げます。  今先生指摘のいわゆる工事用の作業基地の問題でございます。つり橋のケーブルを定着をするために岸辺に近いところに、アンカレジと呼んでおりますけれども、大きな構造物をつくるという必要があります。その工事をするために、今御指摘のように工事用の資材を置くスペースが欲しくなる、これは当然でございます。本体工事をするための施設とあわせて、今申し上げた工事用の資材置き場、基地を一緒にできれば非常にいいわけでございまして、そのための一つの案として、今お話が出ました埋め立てというようなお話もございます。本四公団といたしましては、環境に対する影響その他も踏まえまして、仮に埋め立ててやるとすれば、なるべく小さくしていろいろな影響がないようにしたいし、あるいは今御指摘のように、埋め立てではなくて浮体あるいは鉄工、鉄でつくった工作物ですね、そういうような工作物の利用ということも当然考えられますので、それらの問題もあわせて現在検討中でございます。計画がまとまりましたら、その内容をお示ししてまた御協力を仰ぎたい、こう思っております。
  347. 永江一仁

    永江分科員 ぜひ、せっかくきれいな海岸でございますから、その跡が変な形で残らないように、ひとつ工夫ともども考えていただきたいと思うのでございます。  そして、今申しましたように、工事中の公害の問題も、これから工事をやられるのは公団でございますので、これは言わずもがなでございますが、もう本当に住宅密集地になっていまして、成田空港のようなあんな原っぱへ工事するのでもいろいろもめたのですから、あの本当に人口の一番の住宅地で、これから十年間にわたってあの大工事――どうもでき上がったイメージとできる前はあるのですけれども、その途中ですね。その工事のいろいろな起こってくる公害、このことを非常に心配いたしておりますので、ぜひとも慎重な御検討計画をしていただきたいと思います。  ところで、ちょっと建設省お尋ねするのですが、先ほどルート決定のお話がございましたけれども、ことし五十億円の予算を組まれておるのでございますけれども、端的に言って、これは一番何にどう使うのでしょうか。
  348. 萩原浩

    萩原政府委員 一番金目と言ってはあれでございますけれども、大きいものは地質調査費でございます。実際に、今公団の方からお話がございましたアンカレジの地点、ケーブルをとめるところでございますね、その大きな構造物、アンカレジと称しておりますが、そのアンカレジの地点の地質調査であるとかあるいは橋脚を予定しているところの精密なボーリング調査であるとか、工事実施に際してのボーリング、地質調査、ここら辺が非常に大きな金額になります。それから、これからアセスメントを行うわけでございますけれども、アセスメントがもし早急に完成いたしますれば、それに続いて漁業補償のようないろいろな交渉がございます。そこら辺も予算としては計上をいたしてございます。
  349. 永江一仁

    永江分科員 実は次の質問として漁業補償を聞こうと思っておったのでございますが、そういたしますと、ことしの五十億の中に漁業補償の予算が入っておるということですか。
  350. 萩原浩

    萩原政府委員 漁業補償の一部、ほんの一部でございますが、計上いたしております。
  351. 永江一仁

    永江分科員 この問題も、関西新国際空港が漁業補償で暗礁に乗り上げておることもよく聞くわけでございまして、これはこれからも非常に難しい交渉になろうと思いますので、ちょっとお尋ねさせていただきました。  漁業補償と同時に、あそこは橋がないだけにフェリーとか、そういったいろいろ航路になっておるわけでございます。そこで、十年以上も先の話だと言えばそれまででございますが、この完成時にはそういった航路を運航しておるところが全部失業することになるわけでありまして、実は調べたところによりますと、こちらの本州側から淡路へ渡っておる船の事業者数が十一社、十航路、そして従業員数も一千百二十八名、四十七隻あるわけです。これは神戸から高知というような四国の向こうへ行くのは入っておりませんけれども。そういうかなりの数があるわけでありまして、こういった問題についてもいろいろ要望が出てくると思います。本州四国連絡橋の建設に伴う特別措置法というのが五十六年に施行されておりますけれども、当然この場合もこの法律が適用されると思いますが、いかがですか。
  352. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、昭和五十六年に本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法という法律を施行させていただきまして、先般開通をいたしました鳴門海峡大鳴門橋のときにもこの法律の適用をさせていただきましたし、六十二年度末に開通を予定しております児島―坂出ルートにつきましても、この法律に基づきましていろいろ協議をそろそろ進めさせていただいているところでございます。したがいまして、この明石海峡大橋につきましても、この法律に基づきまして種々の手続を踏みまして影響ある方々に対する措置を講じていくことになろうと存じます。
  353. 永江一仁

    永江分科員 ただ問題は、恐らくこれから橋が、大体予想では、いろいろ新聞等で出ておりますが、これはことしから予算がついたのですけれども、完成は厳密に言うて、大体予定は何年でございますか。
  354. 萩原浩

    萩原政府委員 私どもは、できますれば二年か三年で漁業補償その他の調整を終わりまして、それから工事着手をいたしたい。工事着手いたしますと大体十三年の工期を予定いたしております。したがいまして十五年ということになります。これは漁業補償その他が非常にうまく二年間で終われば十五年ということでございます。  ただ、工期につきましては、皆様方からもう少し短縮できないか、十三年という工期はもう前に決めた工期だろう、これだけ技術開発が進んだ世の中でもっと納められないかという御要望がございますので、今鋭意公団においてその検討を行っているところでございます。
  355. 永江一仁

    永江分科員 言葉じりをつかまえるようでございますが、今のお話では、漁業補償の交渉が済んでから工事に入る。こういう点からいうと、最初のルート決定の中で地域住民とのいろいろなあつれきがあった場合、その辺のアセスメントも含めての合意があってから工事に入る、こういうふうに受けとめさせていただいてよろしいですか。
  356. 萩原浩

    萩原政府委員 本工事はそのとおりであろうと存じます。ただし、先ほど申し上げましたボーリングのようなもの、そういう調査関係はもし御了解が得られれば始めさせていただきたい、こう考えておる次第でございます。
  357. 永江一仁

    永江分科員 少し話が前後しますが、今お話しのように十三年あるいは十五年、ひょっとしたら十六年先に橋がかかる。そこで、先ほど申しました沿岸旅作業者がこの法の適用になったときには、今から十数年先ということになるわけです。そういたしますと、現在の法にもかなりいろいろの適用がありますが、時代が十数年も先になれば、これは随分先のことで恐縮ですけれども、やはり一定の法改正というものも織り込まなければならないのじゃないかと思うのでございますけれども、そういうことも十分考えられるということでよろしいでしょうか。
  358. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほどの特別措置法は、現在の状況に合わせた最も適切な措置を法律によって規定していただいているものでございます。したがいまして、いざ実施の段階におきまして、やはり時代が変わって適用するのに適切でないというような事項がございますれば、それはそれなりの修正をするということは当然あり得ることであろうと存じます。
  359. 永江一仁

    永江分科員 これからの話が多いので、きょうはこの程度で終わりますが、やはり最初ルートの決定ありき、ここからすべてのことが始まるわけでございます。そして冒頭お答えいただいたように、この予算が成立した段階でそのことを公表するということでございました。そういたしますと、もう少し詰めてお答えいただきますが、四月八日には自然成立ということになると、もう四月上旬には起工式並びにルートの発表ということでよろしいですか。
  360. 萩原浩

    萩原政府委員 私どもといたしましては、起工式の日にちがまだ決まりませんけれども、起工式の日にちの発表とルートの発表、これは余り時間を置かないで、できるだけその時間を短くしてやらしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  361. 永江一仁

    永江分科員 もう時間が来ましたので大臣に最後にお尋ねしますけれども、今のお話ですと、起工式を先に日にちを発表し、その起工式よりも前にルートを発表するということなんですか、ちょっとそこのところが、整理してお答えください。というのは大臣、どうも東京サミット前に一遍華華しくやりたいというお気持ちはわからぬでもないのでございますが、どうも地元から言うと、政治的な起工式だけが浮き彫りにされて、肝心のルートのことについての地域住民への説得なり何なりは全く後回しじゃないかという不満があるわけでございますので、ここのところだけちょっと正確に、はっきり整理してお答えいただきたい。
  362. 江藤隆美

    江藤国務大臣 正確に申し上げますと、やはりルートの発表それから起工式の発表ということにするのがルールだと私は思います。しかし、日程も迫っておることでございますから、同時にできればこれも一つの方法であろうと思いますし、これから若干時間がございますから、その間に詰めてまいりたいと思います。(永江分科員「四月上旬ですか」と呼ぶ)そうです。そのころとお考えいただいて結構でございます。
  363. 永江一仁

    永江分科員 ありがとうございました。結構でございます。
  364. 住栄作

    ○住主査 これにて永江一仁君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤節君。
  365. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私は、公明党・同民会議の斉藤節でございます。  私は、三つの問題について御質問申し上げるつもりでおりますけれども、まず最初は首都圏中央連絡道路、略して圏央道というふうに言っておりますけれども、この建設について御質問申し上げたいと思っております。  申すまでもなく、二十一世紀に向けて今後首都圏の道路事情というのは一層厳しい状態になるであろうということは、予想にかたくないわけでございます。そのような観点から、神奈川県から埼玉県を通ってそして千葉県に至るいわゆる大循環線であるこの圏央道でありますけれども、この建設は急務じゃないか、そんなふうに私は考えておるわけでございます。それにもまた増しまして、現在でさえ一般国道の十六号並びに二十号、それと中央道の八王子インターの周辺の混雑は非常に著しいものがあるわけでございます。そのようなものを解消するという意味でも、この圏央道の建設は非常に急がなければならないのじゃないかと思っておるわけであります。  まず御質問でありますけれども、圏央道の都市計画決定を早期にすべきと考えておるわけでありますけれども、その進捗状況はいかがなものか、まずお答え願いたいと思います。
  366. 萩原浩

    萩原政府委員 圏央道の都市計画決定の問題でございますけれども、昨月、昭和六十一年二月二十四日に埼玉県の都市計画地方審議会におきまして埼玉県内につきましては議決されております。したがいまして、昭和六十年度内に都市計画決定の告示がなされるであろうというふうに我々は考えておるわけでございます。これは埼玉県内の二十八キロ分でございます。  それで、残りの二十二キロ分が東京都内分になるわけでございますが、この東京都内分二十二キロメートルにつきましても、できますれば六十年度内にということで作業を進めてまいりましたけれども、昭和五十九年十月以来、地元に路線計画の説明をいたしてきたところでありますが、一部地域におきまして環境問題等によりまして反対がございまして、その方々との調整を今図っておるところでございます。その意味計画の進捗がおくれておるわけでございますが、私どもといたしましては、今後早急に都市計画決定が図られますよう環境調査あるいはその他の必要な調査関係機関と調整を図りながら鋭意進めてまいりたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  367. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 埼玉県側はこのように六十年度でもって都市計画がなされる、それに対して東京側は、六十年度都市計画予定だったけれども五十九年十月以来ストップしているというわけでございますね。大変残念だなと私思うわけでございますけれども、何とか住民の方に御理解いただけるような御努力をお願いしたいと思うわけでございます。  二つ目に、八王子のジャンクションは地元の御意向をよく踏まえた案だと私は考えているわけでございますけれども、交通安全上の問題あるいは環境への影響、それから支障物件の数等についてどうなっているのが、お尋ねしたいと思います。
  368. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の圏央道の八王子ジャンクションでございますけれども、これにつきましては、私ども当初ある素案を地方公共団体にお示しいたしました。ところが地方公共団体ではちょっと支障物件が多過ぎるのではないかというような御批判もございまして、その後鋭意計画を詰めまして案を地元にお示ししたという経緯がございます。これによりますと、最初にお示しいたしました素案に比べまして家屋、施設等への影響をできるだけ少なくすること、それから環境への配慮を行うということの御意向を踏まえたものというふうに考えております。  その結果といたしまして、道路構造の設計面では幾らか、構造令での特例措置と私ども呼んでおりますけれども、例えばランプは相当スピードを落として走行いたしますので、そのようなところで交通安全が図れる範囲で曲線半径を小さくするようなそういう措置を講ずることが必要になってまいりました。また環境につきましては、高尾山及びその周辺の環境の保全に十分配慮をいたしまして道路の構造でございますとか換気塔の設計というものを考えているものでございます。支障物件は極力避けるよう努めておりますが、現在、一般家屋一件がかかる計画というようなことになってございます。
  369. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 高尾山周辺の問題でありますけれども、この周辺の環境調査はどんなことをやっておられるのか、具体的に詳しく御説明願えればと思うのです。
  370. 萩原浩

    萩原政府委員 高尾山周辺の環境影響調査は、大きく分けますと、動物、それから植物、地質、大気、騒音、この諸項目について現況の調査と将来の予測、それからそれに基づきます評価といいますか、どういう影響になるというようなことを取りまとめてございます。この中で、特に動物、植物への影響、これは単に物理量ではございませんで、私どもが通常扱っている量とは違うような量となって計測されるわけでございますので、この道の専門家にお集まりいただきまして、そしてその影響の結果をまとめておる、こういう手段を講じておるものでございます。そして、これらの調査結果は今後東京都知事が環境影響評価準備書として取りまとめられまして都市計画等の手続の中で皆さんに正式にお示しをする、こういう手段を考えておるものでございます。
  371. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 確かに植物に与える影響だとかあるいは動物に与える影響は、あそこは非常に大切な自然があるというふうに言われておりますし、実際あるのじゃないかなと私も思いますけれども、この保護はやはり大事にしなければなりませんし、またそうかといってこの圏央道はぜひつくらなければならぬ、そういうこともありますので、その辺、十分影響調査などをされた上で、特に住民が納得のいくような方向でお進め願いたいと思うわけでございます。  次はトンネルの地下水ですね、この影響については問題があるのじゃないかというふうに言われております。何か一説には、トンネルを掘ると高尾山の地下水が全部流れ出てしまって山が全部枯れてしまうのじゃないか、そういうような心配をしておる人もおるように聞いております。その辺いかがなものか、御説明願いたいと思います。
  372. 萩原浩

    萩原政府委員 トンネルを抜きますと、そのトンネルから水が抜けましてその上の山が水の状態が変わって、その結果植物に影響を与えるのじゃないか、植生に影響を与えるのではないか、こういうような御指摘であろうと存じます。  確かに大きな破砕帯のような、断層のようなものがありました場合には、どうしてもそこに水が集まりましてそこから水が抜けてしまうという傾向がございますけれども、私どもがこの高尾山トンネルの現場を地質的に検討してみますと、大規模な破砕帯を伴うような断層は存在しないだろうという予測をいたしてございます。これはすぐそばを中央道の小仏トンネル、これも抜いておりますが、この湧水量が非常に小そうございます。通常のトンネルに比しても小そうございます。これからも類推いたしまして、余り大きな問題はないだろう、こういうように考えております。  しかし、さらに用心をいたしまして、施工に当たりましてはボーリングであるとか弾性波探査を活用いたしまして詳細な地質状況を把握いたします。そして、地山を緩めないように、そういう掘削工法であるとかあるいは必要に応じまして注入工法あるいは防水シートを併用するというようないろいろな手段を講じまして、水をできるだけ抜かないようにというふうな手段でやってまいりまして影響を最小限に抑えたい、こう考えておるものでございます。
  373. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 次は大気の問題でございますけれども、逆転層によって滞留する排気ガスがもたらす影響はどんな影響があるのか、何か随分心配しているようです。排気ガスがたまってそれが植物を枯らすのではないか、そういう心配もあるようでございますので、その辺はいかがなんですか。
  374. 萩原浩

    萩原政府委員 昔から武蔵野の平野で、ちょうど夕方ごろ逆転層が起こりましてもやがかかる、ある意味では非常にいい光景が現出されるわけでございますが、あれと同じように、逆転層はある温度分布のときに起こるわけでございます。いろいろ調査をいたしまして、逆転層の高さというのは大体三十メーターから百メーターぐらいの間に分布するだろうという調査をいたしております。これは実測をいたしまして、その日によりまして高さは違うわけでございますけれども、大体三十メーターから百メーターの間に分布する。  したがいまして、その逆転層より上に排気ガスを放出させれば、逆転層でふたをされて下の大気が汚染されるということはないわけでございまして、そこら辺を十分計算に入れまして、換気塔の高さであるとか、あるいは換気塔から噴出いたします排気ガスの速度、強さ、そこら辺を十分検討いたしますとこの逆転層の上に汚染された空気を拡散させることができる、こういう計算を十分行っていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  375. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 これは圏央道につきましての最後の質問でございますけれども、早期に都市計画化を図って事業促進すべきだと私は考えているわけでありますけれども、六十一年度の内容はどのようになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  376. 萩原浩

    萩原政府委員 予算的にはこれから箇所づけを行うわけでございますけれども、この圏央道につきましては、六十一年度は八王子―鶴ケ島間につきましてかなり予算の増大を図りたい、こういうふうに考えております。  しかし、それにつけても、先生指摘のようにまず計画決定をすることが東京都内につきましては先決の問題でございまして、何とかできるだけ早く、六十一年度じゅうとは申しませんで、六十一年度のできるだけ早い機会に都市計画決定するまでに御同意をいただきたいということで、懸命に努力をしたいと考えておる次第でございます。
  377. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 ひとつそれをよろしくお願いしたいと思います。  次の質問に移らせていただきますけれども、私、三多摩の住民でございますので、三多摩の下水道建設のいろいろな問題についてお尋ねしたいと思うわけでございます。  ここに表があるのでございますけれども、この表によりますと、三多摩地区というのは、東京都におきましても区部に比べまして下水道の普及率は非常に低いのでございます。東京都区部の方は、下水道整備は大体八〇%ぐらいになっておるわけです。そんなふうに言われております。それに対して三多摩地区は全く低いわけでございます。場所によっては計画すらもないようなところがあるわけでありまして、それにもかかわらず宅地開発があちこちで非常に多く行われている、そして新しい市街地が形成されているわけであります。そういうようなことで、下水道までなかなか手が伸びないのかもしれませんけれども、しかし、これはやはり下水道もあわせて考えていかなければならないと思うわけでありますが、三多摩地区の整備状況はどうなっているのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  378. 牧野徹

    ○牧野政府委員 三多摩地区は、御案内のように二十六市六町村ございますが、六十年度で事業を行っておりますものは二十六市、市は全部、町が四町でございます。五十九年度末で供用開始しておりますのは二十四市二町ということでございまして、ただいま先生おっしゃいましたように、普及率は東京都区部が八二%に対して、三多摩地区は、全国よりはもちろんいいわけでございますが、六一%にとどまっているという状況にございます。
  379. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そこで、考え方でございますけれども、これは一つの哲学なのですが、新市街地には道路と一緒に下水道建設を先行投資的に義務づけるような、そういう考え方を定着させるべきではないかと私は考えるわけであります。そうしますと、道路をつくった後で何回も何回もまた掘り起こしたり掘り返したり埋めたり、ガス管を後で埋めたり、せっかくきれいな道路ができても、いろいろそういうことが起こって、そのためにまた交通渋滞にもなるといったようなことがありますので、その辺、効率的な整備をするためにも、そういうような考え方を導入することはできないのかどうか、そのような観点から、道路と一緒に下水道をつくるという義務づけ、こういうことができるのかどうか、その辺お願いしたいと思います。
  380. 牧野徹

    ○牧野政府委員 一定規模以上の開発行為の場合には、御承知のように都市計画法の規定で、排水路その他の排水施設が適当に配置されることというのが要件になっております。ですから、当然、今新しく団地をつくるときにくみ取りということはないわけでございまして、私どもの補助事業でやるか、あるいは、下水道整備は当然下流の方から効率的にいくわけですから、それが行き届かない場合には、例えばコミュニティープラントでやるとか、あるいは最低でも浄化槽ということだと思います。私どもとしては、それを必ず、まだ私どもの整備もいかないときに下水道法に基づく下水道を義務づけるところまではまだちょっといかがかなと思いますが、できる限り整合を持って進めていきたいとは思っております。
  381. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういう義務づけは早急にはできないと思いますけれども、そういうような考え方で、新都市をつくるときには、道路をつくるときには必ずそういう下水道は必要なものでありますから、そういう点でやるんだといったようなことをぜひともお願いしたいと思うわけでございます。  それから、三多摩は、御案内のように東京都民の水がめである多摩川を持っているわけでございます。この地域の多摩川が、下水がないために、家庭用雑排水とか、あるいは多くの工業排水も入る場合もありましょうけれども、そういうことで川が汚れますと、環境保全という意味でも、また水質保全という意味でも非常に問題になるだろうと思うわけでございます。  そういうことで、環境を汚さないためにもそういう下水道は必要でありますけれども、何かことしのあれによりますと、下水道建設の補助金の補助率が十分の五・五%から十分の五・〇%まで引き下げられた、そういうことでございまして、こうなりますと、補助率が引き下げられたということになりますと事業執行がやりにくくなるのじゃないか、そんなふうに思うわけでありますけれども、その辺いかがでございますか。
  382. 牧野徹

    ○牧野政府委員 補助率カットの問題というのは下水道だけではございませんで、公共事業全体の問題であると思います。ただやはり、いろいろ社会資本を計画的に整備するとか、あるいは内需拡大の御要請もございますから、そういうものにこたえるためにぜひ事業費を確保するという観点で、三年間の暫定的措置ということで補助率の引き下げが行われるというふうに理解をしておるわけでございます。  ただ、そのために事業ができなくなるのではないかというおただしでございますが、地方公共団体の負担増につきましては、全額起債が認められる、かつその元利償還については地方交付税上の措置も講じられるということでございますので、地方財政に対し著しい影響はないのではないかと考えておる次第でございます。
  383. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 この下水の問題に限らずいろいろな問題で、基盤整備の問題は、特に下水道の問題は欧米に比べて日本は大変低いというふうに言われております。下水道の普及率というのは文化のバロメーターじゃないかな、そんなふうに私は考えるわけであります。今までよく新聞紙上あるいはいろいろのところで貿易黒字、また貿易摩擦の問題、そういったようなものが非常に問題化しているわけでありまして、円高差益がかなりあるというわけでありますから、その差益分をこういう基盤整備事業の方へ回すといった発想ができるのかどうか、その辺ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  384. 牧野徹

    ○牧野政府委員 円高差益の問題につきましては、やはり国民の皆様が納得し得るような処理の方策が講ぜられるべきだと思います。かつ、ただいま先生指摘のように下水に対する国民の要望も強いものがございます。そういうことで、私の立場といたしましては、現在円高差益のことにつきましてはいろいろ関係方面で御検討されておるように聞いておりますが、例えば下水の方にそういうものを向けるというふうな国民的合意が形成されればいいなというふうには思っております。しかし、個別のことはそれぞれの関係機関で御検討されているというふうに承知しております。
  385. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 いずれにしましても、下水道の普及というのは、言うまでもなく我々の快適な生活を得る上にも非常に大切な問題だろうと私思っておるわけでございます。特に私の住んでおります三多摩地区は、普及率を見てもわかりますように、例えば日野市などは一〇%なんですね。こんなに低いのです。そのほかまだまだ低いところがありまして、特に郡部になりますと、市でも秋川市だとか羽村町、瑞穂町、五日市町、奥多摩町、日の出町、檜原村。羽村町、瑞穂町などは大変普及率がいいのですけれども、秋川あるいはその他の市町村はゼロなんですね。全くないのです。そういうことで、これでは非常に快適な生活は――それと同時に多摩川がございますし秋川もございます、それなどに家庭用雑排水が入りまして大変汚れてきているという事実があるわけでございます。特に奥多摩湖などは隣の山梨県側から来るわけでありますけれどもかなり汚れておりまして、私もアオコが発生したということなものですから調査に行ったことがあるのですが、それくらい心配されるわけでございます。そういう意味でも、東京都の水がめを守るという意味でもぜひとも早く下水道を普及させていただきたいというふうにお願いしたいわけでございます。  下水道についてはこれで終わらせていただきまして、次は多摩川架橋の建設状況とその推進についてお願いしたいと思うのであります。  御案内のように、現在東京都が、仮称でありますけれども、立川と日野の間を結ぶ立日橋、これは既に計画が進んでおりまして、そして既に工事が始まっているわけであります。そのほか第二関戸橋とか是政橋といったような予定は考えられてはいるわけでありますけれども、どんな状況になっているか、その辺のことを教えていただきたいと思うわけです。特に隅田川だとかああいった大きな川、しかも都市の真ん中にある川と多摩川では比較にならぬと思いますけれども、いずれにしましても橋のかかっている割合が非常に低いのじゃないかなと私は思うわけです。それがゆえに毎日毎日ラジオでも放送しているように大変な渋滞が起こっているのじゃないのかな、そういうふうに思いますので、現在どういう状況になっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  386. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず立日橋でございますが、六十年度末の進捗率が約二四%でございます。六十一年度も引き続きまして用地買収あるいは下部工の工事を行っていきたいと思っておりまして、六十三年度にできれば暫定二車線で供用開始をしたい、六十五年度にはできれば四車線完成めどとしたいと思っております。  それから、第二関戸橋でございますが、これは昨年の五月に都市計画変更を行いました。現在東京都で事業化のための環境アセスメントを実施しておりますが、地元の御理解を得た上でできるだけ早い時期に事業化を行いたいという御意向のようでございます。  それから最後に、是政橋でございますが、これは三十二年に架橋して現在幅員八メートル、二車線で供用中でございますが、地元で四車線を強く御要望されております。これにっきましても、現在東京都で都市計画変更の素案を検討されているというふうに聞いております。
  387. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 今お聞きしたように、第二関戸橘並びに是政橋はそのような状況にあるということがわかったのですが、先ほども申し上げましたように、そのように多摩川にかかる橋が非常に少のうございますので、できるだけ早くこれの促進方をお願いしたいと思うわけでございます。昨年十二月に東京都の道路サミットというのが行われたわけでありますが、ここでも多摩川にかける橋の建設促進が望まれるということが言われておるわけであります。そういう意味で、ぜひともこの多摩川の架橋につきましては御尽力のほどをお願いしたいと思うわけでございます。  ちょっと時間が早いのでありますけれども、ここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  388. 住栄作

    ○住主査 これにて斉藤節君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田睦夫君。
  389. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 東京湾横断道についてお伺いしますが、横断道は昭和六十一年度建設着手すると言われますし、建設省の方は環境問題も大丈夫だと主張されております。ところが、これとは反対に、東京湾横断道路は東京湾の生態系を大きく攪乱し、大気汚染を初めとする重大な環境破壊を引き起こすということが各方面から指摘されております。  私は先日医学のことで著名な医学者の教えを受けに参りました。この先生は私とは思想も立場も異なる学者でありまして、私の用件が終わった後、その先生から核エネルギーのこと、それから地球を豊かに維持するという問題についての所見も聞かせていただきました。そういう中で、東京湾横断道についてのお考えもお話しされました。要するに、橋をつくるについて人工島をつくってこれを基地にするということは東京湾の海洋状態を変えることになって大変心配だ、こういうことを言われました。私もこれは重大な問題であると考えております。  そこで、まず伺いたいのは、昭和六十年の九月に日本道路公団から東京湾横断道路調査中間報告が出されました。この中身を見ますと、昭和四十一年度以来の建設省調査結果を踏まえつつ、昭和五十一年度から日本道路公団が実施した調査について現時点までの結果を取りまとめたものとなっておりますが、建設省道路公団が実施した調査の中で環境調査に関する報告にはどんなものが出されておりますか。
  390. 萩原浩

    萩原政府委員 東京湾横断道路に関します調査の中で現在まで環境に関するものとして発表されましたものは、昭和五十六年四月に「東京湾横断道路水質影響調査について」という表題で発表いたしましたものがございます。これは、内容といたしましては、東京湾の汚濁現況とその機構、それから東京湾横断道路の影響予測、潮流及び水質拡散シミュレーション、こんなような内容のものでございます。  それから、昭和五十六年十月に「東京湾横断道路海洋生態調査について」の中間報告でございまして、これは東京湾の生物相の現況、魚介類であるとかプランクトンであるとか付着生物等の内容になっております。
  391. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 そうしますと、東京湾横断道路調査中間報告は、その土台になっております五十六年四月の水質影響調査、それから同じ年の十月の海洋生態調査、その調査に誤りがあれば、今度出された中間報告も誤ったものになってしまう、論理的にそうなると思います。そこで、さきの報告の中にあるものについて疑問点に答えていただきたいと思います。  まず、シミュレーションモデルの問題です。水質影響調査の四十二ページあたりにありますが、二属モデルが使用されておりますが、二層モデルの場合は密度を一定にする。この方法は極めて安定した海洋については有用なモデルであって、東京湾のように海洋構造が複雑な場所では二層モデルを適用するのは誤りだというのが学会の定説であるというふうに聞いております。密度を変化させるのであれば、湧昇流などによる上下属の混合を考慮したモデル、すなわち多層に分割したレベルモデルを作成すべきではないか。現在の研究はこの方法がとられているのではありませんか。
  392. 萩原浩

    萩原政府委員 二層モデルを採用したことでございますけれども、非常にミクロ的に見ますと、今先生のおっしゃったような理論になろうと存じます。  しかし、大局的に見ますと、冬の大体の水湖、それから夏の水温、ここら辺を調査をしてみますと、夏ではやはり二層になっている、それから冬は一層になっているというふうに見ることができますので、そのような方法を取り上げたものというふうに私どもは聞いております。
  393. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 それじゃ今度は格子間隔の問題。これは四十七ページあたりから出ますが、この報告では二キロメートルとなっておりますが、環境への影響や微妙な生物への影響をまともに調査しようというのであれば、格子間隔をもっと細かくして調査すべきであると学者は言います。特に今回の場合は、川崎側人工島は直径が二百メートルの円形、それから木更津側人工島は上部が六百五十メートル掛け百メートル、底辺部は千四百メートル掛け二百七十メートル、こういう計画の現実から見ますと、これら構造物の半分の格子間隔のメッシュで考察するというのが学者の間では常識だと聞いておりますが、いかがですか。
  394. 萩原浩

    萩原政府委員 横断道路の湾内水質に及ぼす影響につきましては、広域的な環境調査におきましは、先生指摘のとおり、湾内を二キロメッシュで分割をいたしまして、モデル化して影響予測をいたしております。しかし道路周辺環境影響調査におきましては、影響をより詳細に検討するために、横断道路を中心とした幅十キロの海域について二百五十メーターメッシュでモデル化して影響を予測いたしているものでございます。
  395. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 橋梁部分について見ますと、橋脚の大きさ、その構造や橋脚の間隔を考慮した格子間隔をとるべきである、これでやらねば真相に近づかないというように聞いてまいりましたが、この点はどうされておりますか。
  396. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の橋脚の問題でございますけれども、ここにつきましては、大体百メーターから二百五十メーターの橋脚間隔を現在予想いたしております。そして、その橋脚は御承知のように千葉県側、こちらの川崎側は今回トンネルにいたしましたものですから川崎側にはございません、それで、千葉県側の五キロに橋脚が立つということでございまして、これが二荷五十メーターメッシュでやった場合に完全に誤りな予測が出るというふうには私ども理解をいたしておりません。
  397. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 それでは次は、潮流モデル、それから水質拡散モデルに関連しまして、基本式の偏微分を差分に直し、ADI法により解く、こうなっております。このADI法というのはいわゆる大まかな近似解法だというように聞いてまいりましたが、現在の調査ではこのような方法はとられてはいないというように聞いておりますが、これはいかがですか。
  398. 萩原浩

    萩原政府委員 水質拡散モデルの方法につきましてはいろいろな方法がございます。先生は、ADIという方法はもう過去のものであって余り使われていないのじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、相手によりましてはやはり十分有効な方法であろうと私どもは判断いたしましてこの方法を採用したものでございます。
  399. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 何よりも問題なのは、東京湾の流速についての現況が明らかにされていないということです。だからシミュレーション結果との適合性に関する説明が本当に当たっているのか当たっていないのか、説明が不十分であって、結局はわからない、そう理解しておりますが、そういうことになりませんか。
  400. 萩原浩

    萩原政府委員 ちょっと御指摘の点がわからないのでございますけれども、この中間報告の中にも示されておりますように、海水の流れは、例えば夏では上回が十八から二十七センチパーセク、それから下回では八ないし十一センチ、また冬は二十一ないし二十二あるいは十一ないし十三というように、一応の観測結果を記載いたしておりますとおり、実測に基づきましていろいろな予測をやったものというふうに理解いたしております。
  401. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 中間報告を見ますと、湾内潮流に及ぼす影響は「湾全体として見ればほとんど変化は見られない。」こう結論を出しております。この点は湾内流入の負荷量についても「その差は極めて僅かである」と言っておりますし、湾内水質濃度についても「差は極めて僅かである。」こう言っております。こうして「横断道路が東京湾内の水質に与える影響は極めて小さいと考えられる。」こういう結論を出しております。  しかし、いろいろな学者から聞いてみますと、近代科学による調査方法にはなっていない、何よりも東京湾の現状を正しく把握しないで結論を急いでいる。そのように見られる学者が非常に多いわけです。現に調べたのも、この五十六年の報告が主ですからもう五年前、しかも調査するについてもその前からの調査でしょうから、そう後の今日の状況とはまた変わってきているというように思いますし、私はこの調査というのは余り信用ができないというように考えるわけであります。  報告書はまた、湾全体としてとか、それから巨視的に検討すればとかという前提で、また先ほど局長が言われましたけれども、全体的にはという立場で変化がないとか影響がないとか、こう言われてお力ますが、問題はまさにその前段につけて加えられております「人工島の周辺で流れが若干変化するが、」という点であります。私が聞いた学者から見ても非常に粗っぽいこの調査でも、それでも「若干変化する」ということが、これは極めて重大な問題だと思うわけです。  今度は環境庁、水産庁の方にお伺いしますが、この若干の変化というものが環境や生物に重大な影響を与えることがあり得るということは言える、そういうことが言えるのではないでしょうか。     〔主査退席、森田(一)主査代理着席〕
  402. 細田忠雄

    ○細田説明員 潮流とかいろいろなものが魚類等に影響するということはございますけれども、それらの程度というものは事前に十分にこういう調査をしていただきまして、そしてそれに対応した対策をお願いしていく、こういう方向で考えておる次第でございます。
  403. 瀬田信哉

    ○瀬田説明員 影響の度合いということでの御質問かと思いますけれども、本調査といいますか、この計画は東京湾における大規模なプロジェクトでもございまして、適切な環境アセスメントを実施するなど環境保全上十分な配慮は必要かと思っております。そのことにつきましては、当庁といたしましても、五十九年八月に閣議決定をいたしました環境影響評価実施要綱に沿いまして本計画について環境アセスメントが実施されるわけでございますから、公害の防止あるいは自然環境の保全といった観点から適切に対処してまいりたいと思っております。
  404. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 そうしますと、ちょっと環境庁に伺いますけれども、今まではこの報告には関与していない、これから対応を考えるということになりますが、いつの段階で対応を、環境庁の方から見解を出されるというようなことはいつやられるわけですか。
  405. 瀬田信哉

    ○瀬田説明員 先ほども少々申し上げましたけれども、この政府の閣議決定に基づきます環境影響評価実施要綱で実施してまいるわけでございますから、事業者が建設省から認可を受けるというときにはアセスメントを実施するということになろうかと思いますし、環境庁といたしましては、主務大臣、すなわちこれは建設相になろうかと思いますけれども、評価書が環境庁に送付されるわけでございますから、その時点において審査と申しますか、そういったことについて実施をしてまいりたいというふうに考えております。
  406. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 今度は水産庁の方に伺ますけれども、東京湾の漁業調査を行っていると思いますが、東京湾は本来、ほかの似たような閉鎖湾と比べてみましても生産性の高い有用な海域であって、アサリ、カレイ、シャコ、こうした魚というのは現に年々漁獲高が増加傾向を示している、そうしたものもある、そうした研究報告を出されたことはありますか。
  407. 細田忠雄

    ○細田説明員 東京湾の魚類の推移につきましては、水産庁及び農林省でも統計情報部等々の数字で把握はいたしております。
  408. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 ところがこの中間報告では、東京湾の有用性だとか豊かな生物資源の存在の問題については触れていない、このように私は読みましたけれども、これはどういうことでしょうか。
  409. 細田忠雄

    ○細田説明員 この漁業に対する影響につきましては、実は昭和五十八年、日本道路公団さんから調査を日本水産資源保護協会というところが受けまして、六十年度でまとめるという形で現在作業が進められているということでございますので、それらの結果を見て我々は考えていきたい、このように思っております。
  410. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 生物への影響を考える場合には、生物の生活史と環境との関係を見なければならない、これは常識であるわけです。例えば夏には貧酸素層ができて、その時期に産卵するハマグリなどは確かに減っております。一方、アサリなどは春、秋が産卵期なものですから、東京湾全体が環境が悪くなったという傾向を示す中でも、影響は少なくて、増加をしているわけです。この生態調査においては、個々の生物についてしっかりした調査をすることが重要であるというように考えますが、これらの点について水産庁と環境庁の見解をお聞きしたいと思います。
  411. 細田忠雄

    ○細田説明員 まず水産庁の方から答えさせていただきます。  そのことにつきましては、いろいろな環境がいろいろな生物に、魚類等に影響するわけでございまして、それらの影響につきましては、先ほども申しました保護協会等の調査の結論が出まして、それを十分拝見しながら検討してまいりたい、このように考えます。
  412. 瀬田信哉

    ○瀬田説明員 アセスメントの技術指針の中にも、自然環境といったものが、調査、影響の予測、評価ということになっておりまして、今先生のおっしゃいましたような生物というものも自然環境を構成する重要な要素でございます。そういったものの現況が十分に調査されるものというふうに私ども考えております。
  413. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 多摩川にサケを放流して、それから回帰してもらうということが最近やられておりますけれども、この橋をつくった場合に、今やられているそういう問題というのはどういう影響を受けるか検討されたことがありますか。
  414. 細田忠雄

    ○細田説明員 水産庁といたしましては、それらの横断道路の影響につきましては直接関与いたしておりませんので、ただ、先ほど御報告申し上げました、道路公団から協会に委託しております、その中の東京湾横断道路漁業影響調査委員会というのがございますが、ここには学識者という立場から、水研、水産研究所でございますけれども、そこの者が入って一緒に議論させていただいておる。したがって、その中でどういう形で議論されるか、まだ報告をちょうだい。しておりませんので、今直ちにどうこうということは差し控えさせていただきますが、それらの結果をよく見させていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  415. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 この海洋生態調査の問題についてもこの水質影響調査と同じように、やはり学者から、粗雑な調査だ、検討も粗っぽい、そういうことを聞きましたが、この問題についても「及ぼす影響は小さい」、こういう結論が出されております。ある特定の時期、しかも短期間の調査を年に一回、それも二、三年しかやらない。そういう調査では本当の海洋の生態はわからないというのが学界の常識だと聞いております。  現に、この報告のもとになっている五十六年十月の調査報告書の中にも、「東京湾における生物相の変化が複雑であることをうかがわせており、海象、周辺環境等の変化の中で東京湾の海洋生態を考えるとき、より多くの調査、研究を行う事の重要性が感じられる。」こういうように書いております。ところが、このもとの調査に反するような今度の報告書が、昨年の中間報告ができております。これは道路建設着手するために、これは少ない、これは少ないというような形で、要するに道路建設着手ができるような、反対が起きないような、そのために都合をつけるような文章を羅列したものではないか、私、見ますとそういう印象をぬぐい切れないわけであります。  要するに、建設省が調べたものは本当に近代科学の批判にたえられるものでなければなりませんし、そういう点から見ますと、まさに来年度から着工しようとする東京湾横断道路に対して、その環境調査の問題は非常にずさんであるということを、学者からも、また関係者、各方面から聞いております。そういう中で着工されるこの東京湾横断道路というのがまた東京湾を死の海にしかねない。特に、横断道をつくってその北の部分、かつて千葉県の知事をやられた加納さんが、東京湾を三分の一埋めてしまおうなんという計画を出されましたけれども、海がまた死んでしまったらまさにそれと同じような構想になってしまう。そういう面から見まして、東京湾を死の海にしてはいけない、東京湾の自然環境を守って、いろいろな生物がいるわけですけれどもこれを守って、まさに再び東京湾に豊かな自然を取り戻さなければならない、こういう立場から、私は東京湾道の建設には反対の立場にいるわけであります。  要するに、建設着手をしてそれから環境問題が生じる、これは全く矛盾した、建設が先行するということになって本当にけしからぬことだというように思います。その点を、大臣、答えてもつくりたいと言われるだけでしょうから、私の要求として、これで質問を終わります。
  416. 江藤隆美

    江藤国務大臣 何回も申し上げましたように、建設省がこの問題を取り上げましたのが昭和四十一年の四月からでありまして、それから約十年間検討の結果これを道路公団に引き継いだ。日本道路公団は建設省検討の結果を踏まえて、十年間にわたってこの海洋調査等もして、中間報告等もその間に行ってきたものでありまして、今、建設が先行してアセスが後になるというお話がありましたが、そういうことはありません。  いよいよ着手するということになりましたならば、特別立法をお願いしておるわけですから、法案が通りましていよいよスタートするということになりましたら閣議決定に基づく環境影響調査を行うわけでありまして、その中でまたいろいろ皆さん方の御意見を聞きながら、御批判にもこたえていきたい、その上で実際の工事着工、こういうことになるというふうに御承知おきを願いたいと思います。
  417. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 終わります。
  418. 森田一

    ○森田(一)主査代理 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺嘉藏君。
  419. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 建設省の官公需額は、総理府に次いで二番目の多額であることは御案内のとおりです。総理府には防衛関係予算を含んでおりまするので、その意味では実質的には建設省はトップの八千八百九十五億、こういうことになるわけであります。  その内訳を拝見いたしますと、物件費で二百三十九億、役務費で八百五十三億、工事費が七千八百三億。断然工事費が多いわけです。その中で中小企業向けの工事費は三千六百六十一億、四六。九%と、こういうふうに占めておるわけですが、この工事費の多額であること、あるいはまた建設省という職務柄、これが他の省庁に与えまする影響、あるいはまたこれが中小企業向けへ促進をするという意味での重要な影響力を持っておるわけです。あるいはまた公共事業という莫大な工事量を持っていらっしゃるわけですから、こういうような意味建設省の姿勢というものは非常に大きな影響力を持っておる、こういうふうに思うわけです。  そこで、六十一年二月一日に「二十一世紀への建設産業ビジョン」というものが発表されたわけであります。これは建設経済局長の諮問機関ということに承っておるわけですが、この諮問機関がこういうものを作成されるまでの経過とこれからの取り扱い、これを一遍承りたいと思います。
  420. 清水達雄

    清水(達)政府委員 建設産業ビジョンにつきましては、延設業が現在置かれている環境が非常に厳しい、また将来を展望しましても大変いろいろ問題が多いというふうな現状を踏まえまして、今後の建設業の目指すべき方向と産業政策のあり方につきまして広く各界の専門家の御意見をいただきたいということで五十九年の十月以来検討を願っておりまして、本年二月にまとまったわけでございます。この研究会には、学識経験者に加えまして業界からも大手、中堅、中小あるいは設備工事業界、労働組合と、非常に幅広い委員の方の御参加をいただいて御議論を願ったわけでございます。  今後の取り扱いでございますけれども、これはあくまでも研究会の報告でございますので、実際に具体的な施策を進めるに当たりましては、当然これは、中央建設業審議会というのがございますので、そこに諮問をいたしまして御審議を願い、その答申を待って具体的な施策を推進したいと考えております。
  421. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今承りますところによると、各界の意見を取りまとめたので、これを将来は大臣の諮問機関といいますか、法制定の諮問機関である中央建設業審議会にかけていきたい、こういうふうに承知したわけです。そうしますと、この建設産業ビジョンは各界の意見をまとめたというものの、これがずっと上がってきますとかなりの下地になりまして、何といいますか、たたき台というよりももっと大きな強い影響力を持ったものと私どもは行政の流れの中から認識をするわけなのです。それだけにこれは非常に重大な関心を持つわけなのです。  そこで、その中身を拝見いたしますと、「中小企業政策との調和」という項目がありまして、この中には、公共事業について中小企業受注確保の法律に基づき中小企業への発注目標が定められておる、あるいはまた企業規模別のランク別発注が行われておるが、これが行き過ぎると問題が生ずる、こういうことで明らかにしていらっしゃるわけですが、しからば現在はこれが行き過ぎておるのかどうか、まずこれを承りたいと思います。
  422. 清水達雄

    清水(達)政府委員 ビジョン研究会で「中小企業政策との調和」というようなことを言っておりますのは、結局建設業全体として適正な競争といいますか市場競争原理がうまく働いていないのじゃないか、そういうことから、需要は低迷しているにもかかわらず業者の数はどんどんふえるといったふうな、通常の産業では考えられないような状況が生じて需給のアンバランスが生じておるというふうな基本的な認識に立って、単に価格だけではなくて価格と質といいますか、そういうものを絡めた、できるだけ健全な競争ができるような環境整備をする必要があるというふうな基本的な観点に立って、中小企業についても、ただ中小企業だからというだけでみんな保護しなければいかぬということではちょっとそういう環境整備はできないというようなことを踏まえまして、今先生がおっしゃいましたような、ある程度具体的なことを言っておるわけでございますが、これも行き過ぎれば効率性の観点から問題が生ずると言っているわけでございます。  行き過ぎかどうかという点につきましては、これはかなり難しい問題でございまして、特に研究会におきまして意見が出ましたのは、分割発注などは少し行き過ぎて余りにも細切れになり過ぎていはしないかというような御意見が多かったわけでございますけれども、何が行き過ぎかという問題も非常に難しい問題でもございますし、私どもとしても今後研究会の御指摘も踏まえて検討していきたいというように思っております。
  423. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 中小企業の過保護になるようないわゆるランクづけあるいはまた発注枠、これは当然そういうことは言えると思うのです。だから私は聞くのですが、今は閣議でも、本年度における中小企業向けの契約の金額は三兆一千八百四十億である、そのうちで国については二兆二百五十億なのだ、あとは公社公団なのだ、こういうふうに枠を決めておる、これが行き過ぎかどうかということをまず聞いておるわけなのです。  それから、中小企業庁がおいでになるが、中小企業庁は、この点について今の中小企業の実態から見て行き過ぎた枠なのかどうか、それから現在のランク分けが行き過ぎかどうか。まず建設省から先に。
  424. 清水達雄

    清水(達)政府委員 今政府が決めております中小企業向けの発注目標といいますか、そういうふうなものが行き過ぎているとか行き過ぎていないとかいう議論はいたしておりませんで、あくまでも特に公共的な建設工事の効率的な執行といいますか、それに基づいて、また建設業界自体が合理的な仕事の仕方といいますか、そういうことになっているかどうかという点から研究会では議論したわけでございまして、今の政府目標が行き過ぎであるかどうかというようなことはここでは議論は全然してないわけでございます。
  425. 高梨圭介

    ○高梨説明員 今建設省の方からお話がございましたように、現在行っておる閣議決定、国等の契約の方針というものが毎年ございまして、これに基づきまして中小企業向けの契約目標を定めまして各省庁がその目標の達成に努力しておるということでございます。この制度自体あるいはこの目標自体につきましては当然閣議決定で決まっておるわけでございまして、私ども、行き過ぎとは全く考えておりません。
  426. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私の考え方からいけば、今日の業者の数から見たら圧倒的に中小企業が多いわけですね。これはもう御案内のとおりですよ。大手なんてものは幾つもないのです。とすると、この中小企業に、ここで出ております国全体でいきますると、五十九年実績では四三%、建設省の実績で四六%、こういう実績なのですね。ところが国は、先ほどから申し上げるように防衛費が入っておりますから、総理府の物件費が入っておりますから、だから、これを除きますとそういうランクにならないのです。総理府、防衛庁費は二九%ですから。そういうふうに御理解いただきますと、私は、四六や四七なんていうのは少ないと思っておるのですよ。むしろ五〇を超えなければいけないと思っておるのですよ。行き過ぎどころか不足なのですね。不十分だと私は思っておるのです。  そういうような意味で、しからばその次に、先ほどもちょっと現在の業者数が多いのだということが出たのですが、それがために、このビジョンの中でも、「相当数減少すべきものと思われる。」それがためには有効競争を通じて優良な企業が選別されるべきだ、こういうようなことがうたわれておるのです。これは、先ほど数が多過ぎると市場原理が働かないようなことをおっしゃったのですが、むしろ逆なのです。一定の数があるということは市場原理が働くのです。寡占になると談合その他も行われて市場原理は機能を失うのですね、硬直化するのです。むしろ逆なのですね。  ここで問題は、こういうような意味で減らさねばいかぬ、こういうような指導をこれからするつもりなのかどうか。と同時に、優良な企業の有効な競争を通じてという有効な競争というのは何か。簡単に言えば下請を抑えつけ、あるいはまた労働者の賃金を抑えつけ、そしてかい性のある企業運営、言うならがめついもうけ方、勝ち残り戦略なのです。こういうものが有効競争の裏側にあるということを見落としてはならないのです。これは現場に行きなされば、皆さん方も現場にお行きになっておるからわかると思うのですが、決してこの有効な競争というものが額面どおりではなくて、非常に厳しいものが裏側であることによって勝ち残りができる。そうすると、そういうこともある一面においては、いい仕事を値打ちで安くやっていただく、税金の有効活用のために必要ではあるけれども、これこそ行き過ぎたら大変なことになる。こういうような意味で、ここに指導理念としてそういうことがうたってあるのですが、ひとつこの際、建設省はそういう数を減らすために有効な競争をさせて自然淘汰させて、前にも出ましたが、中小企業の少しぐらいつぶれたってしようがないというような考え方でおられるのかどうか、まず基本的な概念、理念を承っておきたい。
  427. 清水達雄

    清水(達)政府委員 我が国の建設業は、高度成長期、特にオイルショック前までの高度成長期におきまして需要に支えられて供給体制が非常に大きくなってきております。しかしその後、オイルショック以後一時景気回復のための積極財政がとられたような時期もありましたけれども、総じてその後の需要が非常に低迷している、そういう状況下におきまして非常に需給ギャップが大きい。資本の生産性とか労働生産性なんかの動きを見ましても、そのことは確かにそうであると思います。なぜそういう、需要が低迷しているのに業者がふえ続けるのかというところは、やはり有効な競争といいますか、要するに健全な市場原理が働いていないのじゃないか、こういうことをビジョン研究会は言っているわけでございます。  それはどういうことかと言いますと、もっと端的に言いますと、余り施工能力を持たないような業者がいろいろな力で、たまには、ある場合には暴力を使うとかいうようなことで工事を受注できるという業界体質がある。そういうふうなところにも原因があって、こういう市場原理が働いていないというふうな問題、あるいは、注文者の方が、特に民間の場合はそうですけれども、業者の企業としての力とか、あるいは建設生産物の質と価格とかの関係が非常にわかりにくいというようなところから、いわゆる通常の市場原理というのがなかなか働きにくいのではないか。こういうふうな分析を行った上で、今私が申し上げたような、そういう施工能力のないような業者が工事をたくさん受注するとか、あるいは企業の力が十分把握できないままで発注が行われるとか、そういったいろいろな点を改善して、できるだけ競争原理といいますか、いい企業が育つような環境をつくっていくべきではないかということを言っておるわけでございます。  先生指摘になりました、いわゆる元請の下請いじめ的なことというのは、そういうことを通じましてむしろ過当競争の温床になっている、つまり、自分は安値受注しておいて下に下にとしわ寄せしていく、これも、本当の意味でのいわゆる有効競争の条件が欠けているからそういうことになるのだ、だから、元請、下請関係というのは、もっと対等な、経済主体としてのパートナーシップみたいなことに高めていく必要があるというようなことを言っているわけでございます。
  428. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 率直に申し上げて、聞いておれば聞いておるほどちょっとおかしい気がするのですがね。なぜかというと、今数が多過ぎるから、だから市場原理が働かない、そういうふうに受け取るわけです。それから、暴力的な受注があるから市場原理が働かない、矮小な企業が受注をするものだから、十分な仕事ができないから市場原理が働かない。むしろ道なんですよ。そんなことはあり得ないのです。もし暴力的な受注があるならそれはそれで整理すべきであって、ここでこういう問題で扱うことじゃないのですよ。  私が言うのは、業者の数が多過ぎる、だからこれを競争によって減らすのだという考え方を持たれると、これはよくないのですよ。むしろ、どうしてそういうことがふえるか。いいですか、事業転換その他をやるんですよ。円高その他で事業転換してきたらどこへ行きますか。行くところがなければ、また内需拡大で工事がふえれば、そこへ行かざるを得ない事業者もあるのですね。そうすれば、業者の数をいたずらに減らす、それがために競争をやりなさいというようなことでなくて、もう既に競争をやっておるわけですから、むしろそれをどう育成してやるかということを考えますと、今おっしゃった分割発注は行き過ぎもあるんだ、こういうことが出たのですけれども、これは閣議でも、むしろ分割発注は推進しようじゃないか、こういう閣議決定をしていらっしゃるわけですね。「国等は、物品等の発注に当たっては、数量面、工程面等からみて分割して発注することができるかどうかを十分検討し、可能な限り分割発注を行うよう努める」ことと書いてあるのです。  これをむしろおたくの方で制限するんだというようなことがあったらこれは大変なんです。そういうことがあっては困るのです。その点について、分割発注は現在まだ不足だ、不足だからこそこういうふうに、もっと推進しなさいと閣議が言うておるわけです。それに逆行するようなことをやられては困るわけですが、建設省、それから中小企業庁はどうですか、両方からお答えください。
  429. 高橋進

    高橋(進)政府委員 建設省の、発注する立場の問題かと思いますので、お答えいたします。  先生が今おっしゃいました建設省事業執行に際しましての閣議決定、これはもちろん十分尊重いたしまして、その目標に向けて努力することにっきましては当然のことでございます。  今おっしゃった分割発注を可能な限りということ、これが本当に分割し過ぎて事業の円滑な施工、効率的な施工がまずくなってはいけません、そういう面は配慮しなければいけませんが、できるだけ分割発注するという点も、その閣議決定の趣旨に沿って進めてまいる所存であります。
  430. 高梨圭介

    ○高梨説明員 ただいま先生指摘になりましたように、官公需法に基づきまして閣議決定されている国等の契約の方針におきましては、中小企業に対する受注機会を確保するという観点から、可能な限り分割発注を行うよう努めるという旨規定されておりまして、政府といたしましては、これにのっとった努力を続けているところでございます。  ただ、他方、官公需法の規定を見ますと、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者の受注の機会の増大に努めるべきであるという原則が片方でございますので、政府全体といたしましては、この両方をにらみながら、できる限り中小企業者に受注機会を拡大するようにということで努めてまいるつもりでございます。
  431. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 そうすると、現在の分割発注は行き過ぎておらない、だから、閣議の決定のようにこれから推進するんだ、こういうふうに承ってよろしいか。建設省、どうです。
  432. 高橋進

    高橋(進)政府委員 基本的にはそういうふうに理解しております。
  433. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 では次に、同じくこの閣議決定で、今度は事業協同組合等の活用をうたっておるわけですが、この事業協同組合等の活用については、中小企業庁が証明した官公需適格組合等その他の事業協同組合等に受注の機会の増大を図るよう、同じく指示をしていらっしゃるわけです。ところが、今度は逆に、このビジョンは、適格組合ができてから十年もたったけれども余り実績がない、それから加入、脱退が自由で責任がない、それから一〇〇%下請に回しておるじゃないか、こういうことで、これを否定する見解を述べていらっしゃる。これは大変な誤りだと思う。  なぜかというと、下からいきますが、まず、一〇〇%下請に出す。下請に出すのじゃないのです。組合員が分け合ってやるのです。これは当たり前のことなんです、協同組合でございますから。中小企業庁から協同組合が適格組合の資格を受けまして組合員に分けてみんなで仕事をやり合う。だから、こんなものは下請に出すのじゃない。みんなが受けたのです。そういうような意味で、これは全然見当違いです。  それから加入、脱退が自由であること。これは中小企業等協同組合の原則で、やむを得ない。しかし、それには、発注するときには保証、担保を必ずとっていらっしゃるから、そんなにいいかげんな者に発注するはずがないのですから、この点は、責任がないというようなことでは、これは発注そのものをしていらっしゃいませんからあり得ないということですね。  それから、十年もたっておるが余り実績がない。このとおりなんです。これはもっと実績をつくるようにむしろ努力をしなければいけない。ところが、それがなされておらないのですね。今ここで、その実績の表を見てみますると、この総額で適格組合がやりましたのは大体二%にすぎないのです。二%程度なんです。これでは少ない。これはそれぞれの発注省庁の姿勢を問われるのじゃないか。こういうような意味で、現在、東京都その他でも、この適格組合に対してもっと推進しようじゃないか、零細な業者は、まとまって共同受注のような形になるわけです、協同組合の共同受注、こういうような形でむしろ適格組合を推進すべきなんだ、こういう考え方を打ち出していらっしゃるわけですが、どうも建設省は、私どもいろいろ見ておりますると、この適格組合に対して活用を十分やらない、むしろブレーキをかけていらっしゃる。そういうことは、適格組合に対してこのビジョンはこういうことを言っておりますが、閣議決定の考え方と非常に乖離しております。  これに対する建設省の所見を承るとともに、建設省は適格組合に対して現在どのくらいやられたか、そして、これからどうされるつもりか、これを承ります。
  434. 高橋進

    高橋(進)政府委員 おっしゃいますように、建設省におきます適格組合に対する発注実績は非常に少のうございます。数字で申し上げますと、五十九年度では発注件数六件ということでございます。なぜ少ないのかということでございますけれども、建設工事というのは、先生十分御承知のように、既に生産されたものを購入する場合と違いまして、契約後に現地で実際に施工されるということでございまして、いわゆる業者の施工能力、技術力とか資金力とか管理能力、そういったものを重視して発注する必要性があるわけでございます。特に建設省の直轄工事というのは、一般的に広域的で大規模で継続的な事業が多いということでございまして、官公需適格組合すべてがそうだというわけでは決してございませんけれども、まだ実態論として、そういった観点から受け皿としての施工体制が十分であるものが少ないということは現実の問題としてあると思います。  今後といたしましては、しかし、基本的な政府の方針もございますものですから、施工能力、責任体制等の確立された組合につきましては、また、そういったことが確立されるような別途の指導もいたしますと同時に、そういった組合につきましては活用することにやぶさかではございません。
  435. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今建設省の方は、そういう受注能力あるいはまた仕事を立派に完成させる能力、責任体制の確立、そういうことをできるだけ図りたい、また図られたい、そしてそれによって適格組合には発注の増大等を含めて対応していきたい、そういうふうに私は承ったわけです。  今度は中小企業庁に聞きますが、そういう建設省の姿勢だとすれば、そういう適格組合の指導、育成強化には中小企業庁、ひとつ積極的にやってもらわぬとその受け皿ができないわけですが、現在それでもう十分やっていらっしゃるということなのか、あるいはまたこれからどうされるかと同時に、いま一つは、こういうビジョンが出て、いろいろな事業協同組合の問題、適格組合のことを含めて実に一知半解のような、ちょっと知らぬ人が書いたのじゃないかと思うぐらいのところが出てくるのです。これに対して中小企業庁は、建設省局長の諮問機関です、こういうビジョンをごらんになったか、それに対して何か申し入れをしたかどうか、あるいはまたその後どうされたか、これを承ります。
  436. 長田英機

    ○長田説明員 先生御質問の後半の点についてお答え申し上げます。  この研究会は建設経済局長の私的な諮問機関というふうに承っておりまして、その結果がなり思い切った議論をいろいろしていらっしゃったというふうに考えております。建設省との間では、具体的な施策に当たりまして逐次いろいろと連絡をし合ってやっているわけでございまして、この報告に書いてありますところの施策が具体的に建設省の施策として出てまいるということになりますと、いろいろ中小企業庁との関係で連絡調整の段階に入ってくる、このように考えているわけでございます。
  437. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 時間がありませんので、大臣に最後に承りますが、中小企業庁はそんな姿勢ではいかぬと私は思うのです。こういうものが出たらすぐに申し入れをする、意見を述べる、そのくらいの姿勢でなければ、今日のこういう厳しい世の中での中小企業の指導、育成強化はなかなかでき得ない。まして、協同組合を運営させてやるにはそういうなまぬるい姿勢ではだめなのではないかと私は思うけれども、これはひとつ十分お願いをしておきます。  そこで、大臣、今申し上げたように、閣議決定を十分踏んまえられまして――適格組合に対する推進あるいはまた分割発注をもっと推進しなければならぬ、こういうようないろいろなことを閣議決定していらっしゃるわけです。それから、今度はこのビジョンを現実の行政のレールにのせる場合にはちょっと歪曲化したところの見解もかなり出ておる、こういうふうに私は受け取るわけです。  これに対する大臣の所見を承りたいことと、時間がありませんが、あと地代家賃統制令の廃止について聞くつもりでありましたが、これにつきましては、さきに大臣から地代家賃統制令が廃止になってもこの一年間は十分きちっとした対応をしていきますというふうな答弁もありましたが、これについては再度確認をしておきたいと思いますので、大臣からお願いいたします。
  438. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私も、この分離発注、それから組合方式による中小企業の公的事業の受注ということは熱心にやったことがございまして、先生の御意向よくわかるような気持ちがいたします。もちろん、これは公共事業でありますから、受注する方も甘えの構造があってはなりませんが、私どももそうした能力と意欲のある人たちにはできるだけ機会を与えていくということがやはり大事だろうと思っております。  それから、地代家賃統制令が廃止された後については、当時国会で議論になりましたようなことを十分踏まえまして私どもは事を処してまいりたいと思います。
  439. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  440. 森田一

    ○森田(一)主査代理 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君。     〔森田(一)主査代理退席、主査着席〕
  441. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私は、東京湾横断道路建設につきまして江藤大臣が大変自信あふれる姿でこの法案を提出なさっておられますことについて、地元の選出議員といたしまして心強く思っているわけでございまして、推進派でございますので、誤解のないようにしていただいて御答弁をいただければと思うわけでございます。  来年度着工が本決まりということで、いよいよ法案の段階に入りましたが、横断道路の性格は、もう既に御承知のとおり、単に首都圏の地域構造の適正化というのみならず、我が国経済の活性化を初め多方面にわたって大きな波及効果のあるものでありますので、この一日も早く着工して十年後の完成を待っている者の一人でございまして、こういう意味から、私どもの地元では夢のかけ橋として長い間懸案であったわけでございますが、六十一年度から着工ということで、二十一世紀を代表する大型プロジェクトとしての発展が約束されるという点で画期的なものであるというふうに私は思うわけでございます。  そこで、これまでの日本の交通の大動脈から外れていたのがこの地域でございまして、袋小路という悲哀を長いことなめていたものから脱することができるということで、横断道に対する期待というものは非常に大きいわけでございます。しかし、大きな課題でありますゆえにまた、いろいろ均衡のある発展ということから見ましても、二十一世紀の千葉県の未来像というものから推しましても、着工の年に当たりまして細部にわたってある程度皆さん方の御意見を伺っておきたいということで、ちょっと細かい点に移りますけれども、ひとつ懇切丁寧に御回答いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず第一点は、地方負担、出資の基本的な考え方についてお尋ねをいたしたいのであります。いわゆる国家的プロジェクトにおける民間活力の導入と地方負担についてお尋ねをいたしたいわけでございます。  いわゆる国家的プロジェクトと言われる東京湾横断道路について、地方団体の出資を求める基本的考え方はどこから来ておるのか、この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  442. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとお力、東京湾横断道路は首都圏におきます広域幹線道路網の一環として、地域の発展に非常に大きな役割を果たすものであるというふうに私ども考えております。したがいまして、関係地方公共団体が東京湾横断道路建設促進するために、会社に出資をしていただいて、その事業の一翼を担っていただくということは十分意義があるものというふうに考えておるものでございます。  なお、地方公共団体が出資をしていただくことを通じまして会社の経営に参画することにも相なりますので、事業の適切な遂行にも大いに利することがあるのではないか、こういうふうに考えて、この際地方公共団体に出資をお願いいたしたいというふうに考えているものでございます。
  443. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そうしますと、国家的プロジェクトと言われ、また民間活力導入の前例として関西新空港があるわけでありますけれども、この関西新空港における考え方と、新しい第三セクター方式と言われる東京湾横断道路について、これを前例として踏襲されるのかどうか、この点を伺っておきたいのです。
  444. 萩原浩

    萩原政府委員 地方公共団体に出資をお願いする件につきましては、関西空港株式会社法の精神と同一であろうと存じます。ただ、関西空港株式会社は法律に基づきます特殊法人でございます。今度の私どもが予定をいたしております日本道路公団、地方公共団体、民間のおのおのの出資に基づきます会社は商法上の株式会社でございまして、法律で何らかの規制がございますような特殊法人というふうには考えてございません。したがいまして、会社の位置づけは全然違いますけれども、地方公共団体に出資をお願いするという趣旨は関西空港株式会社の考え方と同じというふうに私ども理解をいたしております。
  445. 吉浦忠治

    吉浦分科員 わかりました。  次に、日本道路公団が昨年の九月でございますか、公表されましたいわゆる中間報告でありますけれども、これはあくまでも中間報告なのかどうか。本報告をなさるのかどうか。仮に本報告をなさるとすれば、その時期と内容についてお尋ねをいたしておきたいのです。もしかしてこのままで、中間報告のままで実施されようというふうな点も心配でございますものですから、お尋ねをいたしたいと思います。
  446. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、日本道路公団は昨年九月に、これまでの経済調査あるいは環境調査、技術調査、船舶航行調査等の調査結果を取りまとめまして中間報告を公表をいたしております。なお、船舶航行調査とか漁業影響調査につきましては、この発表後も引き続き調査検討をいたしておりまして、六十年度、昭和六十年度と申しますとまあ三月末でございますけれども、それまでに取りまとめを行いまして、六十一年度の早い段階に公表をしたいということを考えております。  また、この報告書は報告書として公表をいたしますけれども、環境の問題につきましては、昭和六十年度中に同じく取りまとめを行いまして、現在提案をして御審議いただいております法律が通りまして、また、御審議いただいております六十一年度の政府予算原案が通りました暁には、事業化してよいという予算的なゴーサインが出たわけでございますから、その段階で早速、環境影響評価、いわゆるアセスメントの手続に移ります。そして、これは昭和五十九年八月二十八日に閣議決定されました方式に基づきまして環境影響評価準備書というものをつくりまして、これを皆様方に御意見を賜りまして、そしてアセスメントの手続を続けていく、こういう構えを考えておるものでございます。
  447. 吉浦忠治

    吉浦分科員 東京湾横断道路建設に関するいわゆる特別措置法案を読む限りにおいては、日本道路公団と会社の間で結ばれる協定に本事業の成否がかかっているというふうに考えるわけであります。そこでお尋ねいたしたいのですが、その協定の内容の明確化と、本協定が実効あるものとなるようないわゆる担保はいかに考えていらっしゃるのか。  私ども心配いたすのは、道路公団と会社というもので、いわゆる民間の会社と公的な道路公団との協定でありますので、そこにいろいろな協定が結ばれませんというと、いわゆる反則等の場合に罰則はどうなるのか、民間の自由意思というものと公共事業というものとで非常に難しい協定でございますものですから、その辺の心配をいたしておりますが、いかがでございますか。
  448. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、現在提案をさせていただいております特別措置法案によりますと、第二条に東京湾横断道路について、道路整備特別措置法の許可のときには日本道路公団はこの会社と協定を結んでその業務を行う、こういうことを条件として許可をするんだ、こういう規定になっております。したがいまして、この協定がこの事業の執行の核と言っては何でございますが、そのいかんによって事業の執行がうまくいくかどうかということを左右するような、そういう非常に重要なものであることは先生指摘のとおりでございます。  現在、会社五公団が建設に際して締結をいたします協定、これともう一つは、工事ができ上がりまして、この道路を公団に引き継ぎまして管理協定というものを結びますが、当面問題になりますのは建設協定でございます。この建設協定は大体次のような事項を内容とするものというふうに考えております。  第一番は、会社は、東京湾横断道路建設工事全般を担当いたしまして、そして公団は基本的な調査あるいは設計、敷地の取得等、敷地の取得等の中には当然のことながら漁業補償あるいは海事関係者とのいろいろな調整というふうなものも入りますけれども、敷地の取得等を行うものであること、こういうものがこの協定の一つの骨子でございます。  それから第二番。公団は建設工事に要する費用を、供用開始後長期間に分割して会社に支払います。したがいまして、建設工事が完了いたしましたら会社はその道路道路公団に引き継ぐわけでございまして、道路公団がその道路を所有する、こういう形態になります。そして、その代金を元利均等で長期間に分けて会社に支払っていく、こういう形態をとりますが、そのことが協定の中に明記されていなければなりません。  それから第三番でございますが、会社は、供用開始後、維持、修繕等の管理を別に公団と締結する協定に従いまして行う。これは、細かいものは後ほど管理協定で結ぶことになりますが、維持、修繕関係については供用開始後公団と締結する協定でやりますよということを建設協定の中で明記しておくこと。  この三つのようなことは確実に書いておかなければならないわけでございます。  そして、公団の事業実施につきましては建設大臣が必要な監督を行いますし、しかもこの協定は建設大臣が認可して発効する、こういう形態をとっておりますので、この事業の的確な執行を担保するということが十分可能であろうというふうに考えておるものでございます。
  449. 吉浦忠治

    吉浦分科員 日本道路公団に、このたび五億円かけて環境アセスメントをやらせるようでありますが、この手続が、特に地元住民への説明というものが十分されるべきであるというふうに私は考えるわけでありますけれども、この地元住民への説明というものをなさるのかなさらないのか、仮になさるとすれば、その方法というものはどういうふうな形でなさるのか、その点をお尋ねをいたしたい。
  450. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、この事業のゴーサインが出ました暁に、できるだけ早い機会に日本道路公団は環境影響評価準備書をつくり上げます。そして五十九年八月二十八日の閣議決定の趣旨に基づきましてこれを公表いたしまして、いろいろな段階で御意見を承って、そして最後のアセスメントとして仕上げていく、こういうことになります。そしてそのアセスメントが認知されました後、初めて先ほどの道路整備特別措置法に基づく事業許可が出る、こういうことでございます。  現在、この閣議決定並びに東京都その他の地方自治団体のいろいろな取り決めによりますと、このアセスメントが完全にまとまるまで最低九カ月は必要ではないだろうかというふうに考えておりまして、できるだけこの期間を延ばさないような形で努力をしてアセスメントを御了承いただくように努力したい、それがまず当面の道路公団の仕事になるわけでございます。
  451. 吉浦忠治

    吉浦分科員 今の答弁では、地元住民に説明なさるのかどうかということが抜けておりますが。
  452. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほどの閣議決定の中にそのことが明記されておるわけでございますが、具体的には環境影響評価準備書を公告をいたします。そして縦覧に供します。それから関係地域内において説明会を開催をいたします。そういうことによりまして、地元の方々準備書の内容を十分知っていただくようにいたします。また、そのように日本道路公団を指導してまいる所存でございます。
  453. 吉浦忠治

    吉浦分科員 心配なのは、地元漁民の方々が、本事業の漁業に関する影響を心配しているわけでございまして、そこでお尋ねいたしたいのですけれども、漁業補償が先で建設が後ということはありませんけれども、建設を進められる点についてはやはり漁業補償の考え方というものをお尋ねしておかなければならないと思うのです。そこで、その補償に当たってのスケジュールをいかに考えておられるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  454. 萩原浩

    萩原政府委員 漁業への影響につきましては、現在学識経験者等から成ります委員会をつくっていただきまして、この委員会で漁業資源あるいは漁場の環境であるとか、漁業の操業であるとか、経営状況等の実態を現在調査をいたしておるところでございます。さらに東京湾の漁業に与える影響についても検討いたしているところでございます。  この調査結果は昭和六十年度中に取りまとめを行いまして、六十一年度の早い段階で各都県、地方公共団体の漁業連合会に対して説明を行うことを考えております。  それから漁業補償については、この調査結果を十分に踏まえまして漁業関係者と協議をしていくということになるわけでございます。  また、具体的には、公団が関係の地方公共団体の御協力をこれは当然得なければなりませんが、この関係の地方公共団体の御協力を得て漁業関係者と綿密な協議を重ねまして、その要望を十分把握しますとともに、道路整備特別措置法の許可を受けた後にできるだけ速やかに補償の手順等について説明を行って、誠意ある交渉を進めていきたい、大体こんな手順を考えておる次第でございます。
  455. 吉浦忠治

    吉浦分科員 環境アセスができなければ入れない問題でありましょうけれども、その場合には全面補償であっていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、この会社設立の段取りと国の働きかけ方についてお尋ねをしておきたいのです。  新しい第三セクター方式というふうに言われますが、建設道路管理を行う新会社の設立手続を明確にしていただきたいわけですけれども、民間活力といっても、国家的プロジェクトと言われる本事業でありますから、新会社設立に国としても努力する必要があるというふうに思うわけであります。国として、その民間への働きかけはいかに考えておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  456. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほども御説明いたしましたように、この会社は法律に基づきます特殊法人ではございません。したがいまして、例えば設立委員会をちゃんと法に規定しているとか、そういうような手続は決めておりません。一般の商法上の手続に従いまして設立をしていただく、こういうことになります。したがって、その設立手順は国の働きかけで設立するということではなくて、会社を設立しようとする方々の任意の発意に、基づいて、商法の会社設立に関しますいろいろな規定がございます、発起人会であるとか設立総会であるとか、そういういろいろな規定によって進められることになろうと存じます。  ただし、先生おっしゃいますように、非常に大規模な工事でございます。またそこら辺について民間側からいろいろなお問い合わせのようなものが当然あるであろうというふうに考えておりますが、その点につきましては、私ども並びに日本道路公団から随時いろいろな従来知り得た情報を御伝達申し上げまして、適切に会社を設立していただけるように御協力を申し上げたいと思っております。
  457. 吉浦忠治

    吉浦分科員 次に、地元振興対策についてお尋ねをいたしておきたいのですが、本事業は単にその道路をつくるということに限るのではなくて、いわゆる地元振興につながるものでなければならないというふうに思うわけでございまして、市町村を見てまいりますと、特に人口が少ない、また財政規模の小さい自治体でありますものですから、この都市基盤を充実させるといういわゆる特別の措置を講ずべきではないかというふうに私は考えておるわけでございまして、この地方団体の都市基盤整備に対する基本的な考え方をいかにお持ちなのかどうか、お尋ねをしておきたいのであります。
  458. 清水達雄

    清水(達)政府委員 東京湾横断道路建設に関連しました南房総地域地域整備構想につきましては、現在、関係地方公共団体を中心に検討が行われているというふうに承知しておるわけでございますが、建設省といたしましても、先生おっしゃいますように、道路をつくるだけではなくて、やはりその効果を生かしてこの地域計画的な開発整備を進めていくことが重要であるというふうに思っておるわけでございまして、このため、今後公共団体と十分連絡調整をいたしまして、おっしゃいました都市の基盤整備を初め、地域の振興、活性化を図るための各種プロジェクトの推進に努力してまいりたいと考えております。
  459. 吉浦忠治

    吉浦分科員 次に、東京湾横断道路といわゆる首都圏中央連絡道路というのがございますが、いわゆる木更津―成田間の整備計画でございますけれども、この東京湾横断道路の千葉県上陸後のルートとして、成田まで計画がされている首都圏中央連絡道路、これを木更津まで延ばしてその東京湾横断道路に生かしていこうというふうな考え方のようですけれども、この具体的な面でまだ整備方針が決定されていないように思われますけれども、この見通しをどういうふうに思っておられるのか、お答えをいただきたい。
  460. 萩原浩

    萩原政府委員 首都圏中央連絡道路につきましては、これは東京都心がち半径四十ないし五十キロメートルの位置に計画されております延長約二百キロメートルの幹線道路でございます。そのうち中央道と関越自動車道の間につきまして、約五十キロでございますが、これを事業化いたしておりますけれども、その他の区間についても随時計画を作成いたしましてこれを建設にまで持っていきたいと考えている重要な路線でございます。  東京湾横断道路の直接の受けは、千葉側では現在、東関東自動車道木更津線がもう事業化しておりまして、既に中心ぐいの設置に入っている段階でございますが、これは東京湾横断道路建設までには十分供用開始できるであろうと私ども考えております。  それはそれといたしまして、将来的な計画といたしましては、この首都圏中央連絡道路と東京湾横断道路とを一体として活用するのが最も効果的ではないか、首都圏の広域的な発展のためにもこれが非常に意義があるのではないかと考えております。したがいまして、今後、成田―木更津間につきまして、現在まだ調査が進められておりませんけれども、この調査の推進を当面図っていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  461. 吉浦忠治

    吉浦分科員 ぜひその推進方をお願いしたいと思っております。  次に、国鉄木更津駅周辺地の鉄道高架の設置についてお願いをいたしたいのです。  現在でも駅舎だけは高架になっておりますけれども、駅を中心とする鉄道線の高架について、表口、東口、どちらでもいいのですが、西口と裏口あるいは西口と東口となりますか、駅舎だけの連絡はありますけれども地上の車の連絡が大変困難を来しておるわけで、南房総の表玄関として鉄道高架が是が非でも必要だということでございます。県の方にその要請はいたしておるわけでございますが、東京湾横断道路並びに東関東自動車道路等の起点になるものでございますから、そういう面での道路の整備と同時に、鉄道高架の面もこの周辺地区の振興としてはぜひ必要でございます。この点、建設省はどういうふうにお考えなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  462. 牧野徹

    ○牧野政府委員 国鉄の木更津駅付近の連続立体交差につきましては、地元の一体的発展を図りたいということで、木更津市が五十九年度に市の単独費で調査を行われていると聞いております。  私どもといたしましては、この木更津市におきます事前の検討及び千葉県の御意向、県におきましては、できれば六十一年度に県の単独費で調査を予定されているやに聞いておりますが、これらのものを踏まえまして今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
  463. 吉浦忠治

    吉浦分科員 最後に三点ばかりお尋ねをして終わりたいと思いますが、千葉県で進めております新産業三角構想という構想がございますが、その一つに上総新研究開発都市構想というものを持っておりまして、いわゆる首都圏改造計画の中で副次核都市としての位置づけをいたしておりますが、将来、都心地域と首都圏全域を結ぶ広域交通幹線道路網の要衝ということであります。このような面を生かしてまいりますと、地域の振興を図る目的から、ぜひともこの上総新研究開発都市構想というものを生かしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。これは大臣、きょうの閣議決定で民活プロジェクトとしてその六地域の中に発表になったのじゃないかなと、早合点して勘違いしているかもしれませんけれども、そう思いますが、いわゆる東京湾横断道路が持つ広域的な役割あるいは研究開発機能の強化という点から総合してまいりますと、この地域の発展が将来非常に有望になってくるわけでございます。  そういう点から三点ほどお尋ねをいたしたい。時間の関係で一括してお願いいたします。  この君津、木更津地域を国の試験研究機関の新規立地あるいは移転地域として考えられないのかどうかが第一点。第二番目に、この地域がちょうど成田の新東京国際空港と現在の羽田空港の線を結びますと三角の地点に当たるわけでありまして、その三角の頂点に当たるような地域でありますものですから、高速道路が結ばれることになりますと、この地域を国際的な機関の誘致地域として位置づけることはできないものかどうか、これが第二点。第三点として、いわゆる閣議決定したと思われます民活プロジェクトとして、横断道路のインパクトを生かす形でこれらについてどういうふうにお考えなのか。この三つの点をお聞かせをお願いしたいと思います。
  464. 荒木寛

    ○荒木説明員 上総新研究開発都市構想は、研究開発機能の拠点形成を目指すということで、千葉県において策定されました千葉新産業三角構想におけるプロジェクトの一つであると位置づけておりますが、現在、千葉県におきましてその具体化について調査を進めていると聞いております。したがいまして、その上総新研究開発都市構想の中では、筑波研究学園都市との連携のもとに民間を中心とする研究開発機能の集積を図るという方向が考えられております。こういった方向を中心としておりますので、そういうふうな方向で国土庁も側面から支援してまいりたい、こういうふうに考えております。  次に、国際的な機関の誘致地域としてどうかということでございますが、本地域は、先生指摘のように空港へのアクセス条件等非常によくなると予測されますので、こういう点を活用しながら国際化等の経済社会動向を踏まえまして開発整備の方向について検討していくのが極めて重要であると考えているわけでございます。  それから、本構想が構想されている地域につきましては、東関東自動車道木更津線あるいは東京湾横断道路等が計画されておりまして、その終点になるわけでございまして、これらの計画昭和六十年代に進められていくわけでございます。そうしますと、必然的に今後開発の可能性は一層高まってまいろうと考えております。こういう観点から、国土庁といたしましても多核多圏域型の地域構造の形成、先生指摘の首都改造の観点でございますが、そういう観点から首都圏の均衡ある発展を図っていく観点、それを大切にしながら、関係省庁と協力しながら支援してまいる、こういうふうに考えております。
  465. 吉浦忠治

    吉浦分科員 最後に、大臣要望だけして終わらしていただきます。  私は、数点にわたって御要望並びにその中身について詰めてまいりましたけれども、本年度この法案をぜひ通していただくと同時に、この新会社の設立によって当初の目的が達せられますように政府としても最大の努力をしていただいて、一日も早く、その着工ということが決まっておるわけでございますので、本年度めでたく着工ができるような段階までひとつぜひ大臣に頑張っていただくようにお願いを申し上げます。
  466. 江藤隆美

    江藤国務大臣 きょうはお励ましをいただきまして、ありがとうございます。象徴的な大プロジェクトでございますから、私どもは誠心誠意、熱意を持って取り組んでまいりたいと思いますので、今後よろしく御指導賜りますようにお願い申し上げます。
  467. 吉浦忠治

    吉浦分科員 終わります。
  468. 住栄作

    ○住主査 これにて吉浦忠治君の質疑は終了いたしました。  次に、元信尭君。
  469. 元信堯

    元信分科員 委員長を初め大臣も遅くまで大変御苦労さまでございます。  きょうは、河川行政の一環としてダムとダムによる濁水の問題、これについて承っておきたいと思います。特に河川漁業の観点から、ダムの引き起こします濁水、ダムそのものが濁水を起こすわけじゃありませんが、長期化によって起こすわけでありまして、これが全国の河川の漁業に大きな影響を与えているというふうに考えているわけでございますが、まず建設省、このダムによる濁りの問題、漁業にどういう影響を与えているか、その辺の認識から承りたいと思います。
  470. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 ダムはその地域社会の洪水調節、水資源開発あるいは発電といった大きな役割を担っております地域の発展に寄与している公共物でございまして、濁水問題につきましては、河川の流水の正常な機能の維持という観点から、河川管理者といたしましても重要な課題と認識をいたしております。
  471. 元信堯

    元信分科員 全国でどれくらいの河川でダムによって漁業に対する障害が起きているか、その辺のことを把握されていますか。
  472. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 全国でというお尋ねと、それから漁業に対する影響ということでございますが、どの程度の影響があるかということでございますけれども、我々の調査結果でございますと約二十から三十ぐらいのダムではないかというふうに理解をいたしております。
  473. 元信堯

    元信分科員 その二十から三十というのは、大体どの地方の、主なものにはどんなダムがあるか、その辺の御認識を承りたいと存じます。
  474. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 漁業問題についてということになりますと特にどれということでございませんで、濁水が長期化しているので特に問題になっているダムということで挙げさせていただきたいと思いますが、例えば吉野川の早明浦であるとか、それから那賀川の長安口、九州にあります一ツ瀬、それから新宮川というふうなところが問題を起こしているというふうに理解をいたしております。
  475. 元信堯

    元信分科員 建設省でこれに関する調査を積極的になさったことがございますか。
  476. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 私どもダムを管理している著の立場といたしまして、ダムの水質調査というものは実施をいたしております。
  477. 元信堯

    元信分科員 その辺に問題があるのじゃないかとまず申し上げたいわけでございます。ダムを設置しこれを運用していくと幾つかのダムでは必ずこういうことが起きる、その問題についてどうも建設省の認識はまだ不十分じゃないか、私どもはこういうふうに思うわけです。何より、全国で随分問題が起きているにもかかわらず建設省の方でこれをまだ積極的に把握されておらない。被害を受けるのは内水面漁業者の方でございまして、全国内水面漁業協同組合連合会はこれを昭和五十七年に調査をしております。この調査について御存じですか。
  478. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 存じておりません。
  479. 元信堯

    元信分科員 存じておりませんでは困るので、あなた方が出しておる被害についてひとつこういう関係者にも聞いて、これから河川局においおい申し上げますが、ダムが少なからぬ影響を与えている、こういうふうに思いますので、大臣、どうでしょうか、このことについてひとつ調査してみるというお考えはございましょうか。
  480. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私は内水面漁業議連の会長代理をいたしておりますし、内水面漁業協同組合連合会の顧問もしておりますからいささか存じ上げております。また、直接携わってきたこともございます。ひとつ慎重に取り扱ってみたいと思います。
  481. 元信堯

    元信分科員 内水面漁業に格別の御理解があるようでございますから……。  ダムの問題は単に濁水問題だけじゃございません、御案内のとおり放流の問題ですから、低水温の問題あるいはまたダム湖の富栄養化の問題、多多ございまして非常に大きな影響を及ぼしているわけでございますから、ぜひ一遍内水面漁業の立場からダムの影響というものを建設省としてもまず調査をして現状把握に努める、こういうことをお願いしておきたいと思うのです。今のように全然現状について知らぬ、害を与えておきながら現状については加害者の方はてんで知らぬというのはいささか不届きな話だというふうに思います。大臣、内水面議連の会長代理ということですとそういうことじゃ通らぬと思いますので、ぜひ建設省の積極的な施策としてこれは調査する、約束してください。
  482. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 その前に、私どもダム管理をいたしておりますけれども、先生お尋ねの漁業に対する影響という具体的個々の問題になりますと、我々各地方に地方建設局がございますし、その地方建設局の中に、あるいは下にと言った方がよろしゅうございましょうか、ダムを管理する事務所がございまして、その事務所で直接具体的な問題は取り扱っているわけでございまして、そういう観点から私どもはダムの管理が正常に施行されるように地元の方々と接触をしながらダム管理をしているわけでございます。そういう観点から今後も一層ダム管理の運営の安全、万全を期していきたいというふうに考えております。
  483. 元信堯

    元信分科員 地元の地建任せということではなくて、本省としてもこれを統一的に理解する、通告してあるのに、そんなことは知っておらぬというようなことじゃぐあいが悪いので、そういうことがあったらちゃんと地方に聞くなりなんなりするぐらいのことはしてくれぬと困ります。
  484. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 説明をはしょりまして大変申しわけございませんが、先生お尋ねのような点につきましては、今後も本省といたしまして各地方建設局並びにダム管理事務所を適正に指導してまいりたいというふうに思っております。
  485. 元信堯

    元信分科員 ところで、このダムによる濁水の長期化ということですね、この原因というのはどういうところにあると建設省ではお考えですか。
  486. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 ダムは一般に洪水時に発生します濁水といいますか、水を貯水池に貯留いたしまして、洪水後下流の水位が下がりましたときに徐々に放流するという性格を持っております。濁水が発生いたしますのは洪水、いわゆる大出水があったときでございまして、そういうものを洪水後徐々に長期間にわたって放流するという性格でございますので、大型のダムでは異常な降雨の際には濁水が長期化する現象が生ずるというふうに理解をいたしております。
  487. 元信堯

    元信分科員 異常な洪水とおっしゃいますが、例えば天竜川でございますが、私の選挙区の中に天竜川が貫流しております。私も長く漁業組合の理事をやっておりまして、川のことについては、毎日川を見ているようなふうなんです。異常ななんていうようなものではなくて、普通の年、異常でない年で年に二回ないし三回ぐらいは大雨が降ります。そうすると川が濁りまして、大体一遍濁りますと三週間ないし四週間はずっとその状態が続いて川がきれいにならない、こういうことなんですね。単に異常じゃなくて、台風が年に一遍ぐらい来るのは地域によってはごく通常のことなんですよ。そういう認識でなくてはいかぬと思うのですが、いかがですか。
  488. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 異常というのをどこで定義するかという問題がありますけれども、普通の降雨でございますと川は濁りません。ですから、濁るような、あるいは濁る以上のような降雨、それを濁度の点から見ますと異常ということで申し上げたわけでございます。
  489. 元信堯

    元信分科員 川が濁るのは異常だなんて言っていると異常と正常の境目がつかないわけですから、川が濁ること自身は私はそんな異常じゃないと思っています。少し雨が降れば、これは地質やら植生なんかにもよるようですけれども、そのときにざあっと濁ることはある。問題はいつまでたっても濁りが引かないところにあるわけなんです。結局、濁った水をダムがため込んでしまってこれをいつまででも持っている、濁った水を流すものですからいつまででも濁りが引かない、こういうことにあるわけですが、そういう認識の上に立って、建設省としてはダムによる濁りの長期化に対してどのような対策をお持ちなのか、承りたいと思います。
  490. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 その前に濁りが長期化するという機構につきましてちょっと御説明させていただきたいと思うのですが、なぜ長期間貯水池にある濁度がそのまま持続されるのだというようなことを解明しようということで、私ども建設省といたしましても長年にわたりまして研究をいたしているわけでございます。  その結果現在判明している科学的知見は、大粒径のもの、この大粒径といいますと、程度がございますけれどもある程度比較的早く沈降いたします。そして、ダムの濁水の長期化に影響するようなものは比較的微粒子でございまして、その微粒子がなぜ長期間にわたって貯水池の中で沈降しないままいるかということでございますが、この点につきましては三点ぐらいの仮説があるというふうに理解をいたしております。  第一番目の大きな仮説はイオン化現象です。小さい微粒子がマイナスの荷電をいたしておりまして、それが相反発することによってなかなか沈降しないというイオン説でございます。第二番目に言われておりますのは鉱物質、例えばモンモリロナイトとかそういう鉱物質は非常に沈降しづらい性質を持っているという鉱物説です。それから第三番目にはプランクトン説、プランクトンにいわゆる微粒子がついて沈降しないというようなことでございます。  それで、濁度というふうに一言で言っておりますけれども、大粒子のものの影響による濁度と、今申し上げましたような非常に小さい微粒子による濁水というものを取り扱う場合、どこを目的とするかによって対策が違ってくるということをちょっと長くなりましたけれども申し上げさせていだきました。  そういうものを踏まえながら建設省として長期化による対策としてどういうものを考えているかということでございますけれども、まず雨が降っても濁らないということが大切でございますので、ダムの上流域におきましては治山あるいは砂防事業を実施する。それから貯水池に入ってきますと洪水直後が一番濁りが激しいわけですから、洪水直後はできるだけ濁ったものを下流に放流する、貯水池運用と言っておりますが、そういうものを考えていく。三番目には、貯水池末端に微粒子が沈殿いたします、これが次の洪水のときに濁度を発生いたしますので、貯水池末端にたまっているような細粒子を洪水後除去する。貯水池末端の細粒子の除去というのが三番目でございます。それから四番目には表面取水設備の設置、いわゆる貯水池の中で濁りが階層ごとに違いますのでそれを選択して下流の方に放流するような設備、これを選択取水あるいは表面取水と言っておりますが、そういう設備をつける。あるいは濁水の分離膜等を設置するというようなことがあろうかと思います。建設省といたしましては、今季げさせていただきましたような濁水の対策を、ダムの流域特性であるとか貯水池の水理特性によりましてそれぞれ特性がございますので、組み合わせることによって対処をしていこうというふうに考えております。
  491. 元信堯

    元信分科員 今まで実施されたところで卓効が上がったというようなところはございますか。
  492. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 卓効といわれますと今時に思い出しているわけでございますけれども、表面取水設備がつけられているところあるいは小渋ダムでございますけれども、小渋ダムは上流に貯砂ダムというのをつくりまして、貯砂ダムというのは貯水池末端に小さいダムをつくりましてそこで小さいものを沈殿させる、そして洪水が早く引きますからそれをとる。これは卓効があったというふうに私は理解をいたしております。
  493. 元信堯

    元信分科員 既設のダムについて、例えばさしあたりその効果が期待できそうなのは表面取水といいますか選択取水ですね。なるべく濁ってないようなところの水を先に落としておいてだんだん濁りの引くのを待つ、こういうことになるわけですが、新しくつくるダムではそういうことは考えられるかと思いますが、既設のダムに選択取水施設をつけることは可能ですか。
  494. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 選択取水設備が設置の可能性、それも現在運用しているダムについてというお尋ねでございますので、端的に申し上げますと大変難しいということでございます。難しい理由の一つは水中作業になります。結局水がたまったままその水面下に選択取水のものをつけなければならぬということになりますし、ダムの中にある程度そういう放流するような穴を掘らなければならないといういろいろの問題点がございまして、個々のダムということになり、また違った詳細な検討になりますと答えが出るかと思いますけれども、一般的なお尋ねの既設のダムに選択取水設備が容易につけられるかという御質問に対しましては大変難しいというふうにお答えをさせていただきます。
  495. 元信堯

    元信分科員 佐久間ダムはどうです。
  496. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 大変難しい部類に入るダムだと理解をいたしております。
  497. 元信堯

    元信分科員 それではどうしてくれるのですか。濁りがひどくて困っているわけですが、佐久間ダムについてどういう対策をお持ち合わせですか。
  498. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 先ほど申し上げましたように、佐久間ダムは既に運用の段階に入っておりますので運用の、運用のといいますのは貯水池の発電の仕方であるとかそういう運用の面、あるいは貯水池末端に堆砂しております細粒子をとる等々の対策が考えられるのではないかと思います。
  499. 元信堯

    元信分科員 今そういう施策をなさっていますか。
  500. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 二部佐久間ダムの中に堆砂しております砂、そういうものを採取しているというふうに私は記憶をいたしております。
  501. 元信堯

    元信分科員 砂を採取しているのはむしろダムの有効容積を確保するためにやっておるわけでして、それはあなた言うところの大粒径の沈殿しやすいものを掘り上げているわけですから、これはダムの濁りのためにやっているものではないと私どもは承知をいたしております。何らかの対策をとっていただかなければならぬと思いますが、一つはダムの放流の操作によってよほど軽減できるのではないかなというふうに思うのです。  例えば佐久間ダムの場合は揚水発電をやっておりまして、一遍濁った水が出ますとそれを新豊根でしたか、やったりとったりしていつまででもその水で発電をしておるものですから、一向にきれいにならないのじゃないか、私どもそう思っておるわけです。濁っているときは発電するなりなんなりどんどん最大限出してしまって、きれいな水にしてまた放流する、こうやってもらえればよほど違うと思いますが、そういう放流操作によって濁りの長期化を防ぐ、そういうことをお考えいただけますか。
  502. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 可能性としては検討に値する一つの方法かと思いますけれども、我々河川行政だけでどの程度そういうことを電力会社の方にお願いできるかということは今ちょっとお答えしづらい点がございますので、関係省庁とも打ち合わせの上、電力会社を指導してまいりたいというふうに思っております。
  503. 元信堯

    元信分科員 ところで、ダムがあってもなくても、雨が降ったら川は濁る、これはあり得ることですね。ところが、ダムが存在することによって、それが異常に長期化をする。長期化をすることによってどういうことが起こるかというと、今日本の内水面漁業の水揚げの金額で見て、四〇%ぐらいはアユなんですね。このアユについて考えますと、川が濁るとアユはえさが食べられない。砂もまじった濁り水だとアユを海へ遭い出してしまう結果になるわけです。河川漁協はどんどん川へ放流をしておりますけれども、一たん雨が降るとアユは全部海へ下がってしまう、あるいは水のきれいな支流へ上がってしまう。海へ入ると海の魚が食べてしまうかもしらぬし、一たん海へ入って隣の川へ上がっていくようなことになりまして、何千万円分放流しても、これがその都度押し流されてしまう、こういうことになるわけであります。そういたしますと、濁りによって、そういう具体的な損害が生じているわけですが、その責任というのはダムの設置者にあるんじゃないかな、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  504. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 責任があるかどうかという御質問に対しましては、因果関係がはっきりすれば、その原因のところにあるということを申し上げるほかないと思いますが、どこのダムでどうだというお尋ねに対しましては、個々のダム、個々のケース等について判断しなければならないので、お答えすることはちょっと不可能かと思います。
  505. 元信堯

    元信分科員 例えば天竜川には平岡、それから佐久間、秋葉、船明、こうあるわけですね。船明ダムはヘドロが少ないですからほとんど問題はない。大きなのは佐久間と秋葉だろう、こう思いますけれども、これによって濁りがため込まれて、長期化しているのは先ほども申し上げたとおり。その年の出水の状態によってどれぐらい漁業に被害が出るかなんてことはすぐ資料が出るものですから、そういうものが明らかになれば、やはりそういう責任の所在というものが問われるべきだ、そんなふうにお考えですか。これは大臣、どうです。
  506. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 漁業問題の専門家の先生にこんなことを申し上げて失礼ではございますけれども、先ほど申し上げましたように、濁度と申し上げましても、大粒径のものと、それから非常に微粒子のものとの濁度がございますし、漁業に与える影響ということから見ますと、大粒子であるのか微粒子であるかということも問題がございますし、それから時期、例えばアユが稚魚のときなのか、成魚になってなのかということになりますと、これまた非常に微妙な問題になろうかと思います。といいますのは、ある程度アユが大きくなりまして、えさをはむようになりますと、ある程度の微粒子が石につきますと、それが藻の一つの発生の肥料といいますか、になって、藻が生えてえさが生えるというふうな一説も聞いておりますので、その時期そのもの、そういうものも非常に微妙に関係いたしますので、そういうものを詳細に検討しなければ、一概に濁度があるから漁業に支障があるということは言えないのではないかというのが私の感じでございます。
  507. 元信堯

    元信分科員 濁りから藻が発生するなどというようなことは初耳でありまして、そんなのんきなことを言ってもらっちゃ困るのですが、きょうは時間がございませんから、迫ってまた別途ゆっくりその話はしたいと思います。とてもそんな現状じゃないというのは大臣にお開きになればよくわかろうかというふうに思うわけです。そうですな。  そこで、その因果関係建設省としても、はいさようでございますとなかなか言いにくいということはよくわかりますが、結果としてそういう現象が起きているということは、これは御認識をいただかなきゃいかぬと思うのです。  そうしますと、補償というといろいろ角が立つけれども、一遍放流した魚が全部海へ行ってしまって、再放流しなければならぬという事態が現実に生じているわけですから、そういうことについてダム設置者は何らかの協力をすべきではないか、こう考えますが、お考えはいかがですか。
  508. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 私どもは、先ほど申し上げましたようにダムは公共のためにつくっているわけでございますので、できるだけ地域方々の支障にならないように運用するということが主眼でございますので、できる限りの協力をするのが当然であるというふうに理解いたしております。
  509. 元信堯

    元信分科員 よくわからぬけれども、例えばそういう現象がはっきりした場合には放流などについても協力すべきである、濁りということを理由にして放流協力ということがあり得る、こういうお考えですね。
  510. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 その濁りが与える影響の度合い、それから放流を制限あるいは変更することによりマイナスがございますが、そういうものを対比しながら、社会的受忍の範囲等々も考えながら柔軟に対処していくべきだろうというふうに理解をいたしております。
  511. 元信堯

    元信分科員 最後に承っておきますが、今私が申し上げましたようなダムの濁水が原因で再放流などが迫られて、これに対して協力をしたというような事例、ありますか。
  512. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 ただいまのところ、その事例についてしかと承知いたしておりません。
  513. 元信堯

    元信分科員 資料を持ってきたと思ったら持ってこなかったな。早明浦で昭和五十七年でしたか、大雨がありまして、このときは濁水がひどかったですね。たしか設置者は水資源公団だったと思いますけれども、水資源公団が放流協力費を当該の漁業組合に払った、こういう例があるわけですよ。それはお聞きになってませんか。
  514. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 承知いたしております。
  515. 元信堯

    元信分科員 でしょう。(廣瀬(利)政府委員「今思い出しました」と呼ぶ)思い出していただいて大変結構でしたけれども、全国でもこれからそういう問題というのはかなり出てくると思うのです。ダムの設置者も、個々にいろいろございますから一律一概にはなかなか申し上げにくいわけですけれども、内水面漁業者としてもここらのところはまたしっかり交渉していかねばならぬ、こう思っておるわけですから、建設省も、冒頭申しましたように、こういう問題はかなり深刻になっているという認識に立っていただきまして、全国をよく調査して、そうしてそういう実態を明らかにした上で、ダム設置者を指導して、こういう問題で内水面漁業者が大変迷惑をするというようなことがないようにぜひお願いしたいと思いますが、最後に大臣の御決意を承りたいと思います。
  516. 江藤隆美

    江藤国務大臣 きょうは時間がなくて、いろいろおっしゃりたいことも十分でなかったと思いますが、後日また建設省にもいろいろなそういう御意見をお聞かせいただきたいと思います。私どもは謙虚に承りまして、できることはしっかりやろう、こう思っておりますから、ひとつよろしくお願いをいたします。
  517. 元信堯

    元信分科員 よろしくお願いいたします。終わります。
  518. 住栄作

    ○住主査 これにて元信尭君の質疑は終了いたしました。  次に、田中慶秋君。
  519. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 まず冒頭に大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、総理が内需拡大、民活の導入ということで、大変な肝いりで、東京湾横断道路というものの法案が今具体的に用意をされているわけであります。そういう点では、この問題について六十一年度以降向こう十年という形で一兆一千五百億の予算でスタートされる運びになったわけでありまして、これも昨年来あるいはまた一昨年来いろいろな角度で論じられてまいりました。  しかし私たちは、少なくともこの前提として、受け入れ側でありますそれぞれの行政側、例えば神奈川県なり横浜なり、さらには川崎なり、それぞれ意見の調整をしていただいて法案の準備をしていただきたいということも何回か申し上げてまいったわけであります。前の建設大臣水野さんも、関連のMM21を含めて現場を視察された経過もあるわけでありますけれども、これらの問題についてどのような経過、調整、そして大臣としての意欲のほどを冒頭にお伺いしたいと思います。
  520. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私は、就任いたしまして、それこそ四十年も昔から唱えられておった東京湾横断道路建設を担当する大臣になったということを大変光栄に思いました。建設省の幹部、道路公団の幹部と一緒に実は東京湾全部を一回りいたしました。横須賀も行きました。あるいはまた横断道路の予定地の上もずっとヘリで回ってみました。これは容易ならざることである、こう考えております。  したがいまして、昭和四十一年の四月に建設省調査を始めて、道路公団に引き継ぎ、約二十年たってきたこの事業でありますが、この特別立法が国会を通過いたしましたならば、これはまた改めて環境調査を閣議決定に基づいた手法によってやらなければいかぬ、こういうことは至極当然のことであります。しかし、ようやくこうして審議に入ることになりました。今までは、この法律が国会で審議もされないうちに、余りに先走って神奈川県、横浜、川崎等に建設省が田向いてわいわい言うというのはいささかどうかなということで、実は御遠慮申し上げてきておったいきさつがございます。しかし、ようやく審議に入りましたから、政治的な面は別としまして、国会の審議と相並行して、技術的な面、道路の問題ですとか環境の面ですとか、いろいろな問題がたくさんございますから、そういうものはひとつ相並行して進めさせていただいたらどうだろうかということで今取り組んでおるところでございます。
  521. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 それぞれ二十年来、あるいはまたそれ以前からの取り組みであったと思いますが、具体的には、一昨年、昨年ぐらいから大変それぞれみんな関心が持たれて、調査もまとまり、そしてこのたびの立法の具体的な措置になってきたと思います。しかし、やはりそういう面ではこれらに対する賛否両論なりあるいは不安もあるわけでありまして、そういう点で、少なくてもそれぞれの地方自治体との協力というものなくしてできるものではない、こんなふうに思うわけでありまして、私は、ちょうど昨年、一昨年もこの問題を取り上げてみたわけでありますが、やはり何といっても、半面においては必要であろう、しかし、それぞれの不安があるわけでありますから、その不安の解消のために話し合うというのは当然必要なことであろうと思います。  マスコミの中でも、「いまなぜ「東京湾横断道路」か」、こんな形でキャンペーンをされているところもあるわけであります。しかし、将来の展望に立って、大所高所からいろいろな問題を検討されて今度の立法措置になられたと思います。それはそれで私はいいと思うし、そういう中で、問題は、それぞれの不安解消のために、やはり担当大臣としてそれぞれの自治体に対するコンセンサスというものをよくとっておかなければいけないのではなかろうか、こんなふうに思う次第でありますけれども、やはり今までのプロセスでいきますと若干その辺が欠けていたんじゃないかな、こんな感じがいたします。大臣、存じ上げているように、根回しというのは何でも必要なことなんです。そういう点でその根回しが少し欠けているのではないかな、こんなふうに思うのですけれども、どうでしょう。
  522. 江藤隆美

    江藤国務大臣 建設省としては、関係の団体から五項目にわたる要請もございまして、それらについて鋭意検討しておることは御存じのとおりであると思います。しかしながら、当初申し上げましたように、法案も通らないうちに出ていくというのはいかがかという遠慮があったことは事実であります。  しかし、いよいよ特別立法が国会を通過いたしました晩においては、必要があれば私が直接千葉県あるいは神奈川県、横浜、川崎等にお伺いをして、そして御協力を改めて仰ぐこともあり得る、こう思っております。特に、積極的に御参加をいただいて出資もお願いしなければならない、こういうこともあるわけでありますから、そういう機会はぜひつくりたいものだな、こう思っております。
  523. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 この問題ばかりやるわけにはまいりませんが、ただ言えることは、法案が出されるということはもう決まっているわけでしょう。そしてまた、これは恐らくどんなことをしても通さなければいけないと思うのですね。そうしますと、もうそういう一つのタイムスケジュール的なものが決まっているわけですから、成立してからとか、そんなことじゃないと思うのです。今言っているように、それぞれ地元の要望というものが出ているわけでありまして、例えば横断道路についても、積極的な予算をことしもつけられているわけですから、そういう点の理解というものは評価されていると思います。  ただ、問題なのは、首都圏の中央連絡道とか、あるいはまた問題になっているのは、少なくても、何のためにこの横断道路をつくるのか。それぞれの交通渋滞もあるでしょうし、あるいはまた、それぞれにおける企業という問題に対する経済圏の問題もあろうと思います。そうしますと、例の工場制限等の制度の見直しというのは、そういう点でこの横断道路をつくるためには必要である、私はそんなふうに思うのですよ。でなければ、みんなそれぞれ工場が地方に行って、全然そこの活力がなくなったところに横断道路ができたってしようがないわけですから、そういう点での見直しを積極的に行うとか、そういう点でやはり担当大臣として、こういうものはそれぞれ苦労が多いと思いますけれども、たまたまあなたはこういう時期に建設大臣になられて、先ほどの光栄な仕事であるということであるならば、積極的にそういうことを含めて根回し、産婆の役が必要であろう、こんなふうに思うのですよ。  ですから、その時期の問題をやはり――あなたの所管というか担当であります建設常任委員会は、近々何か具体的に検討される、あるいはまた行ってそれぞれ見られるという話です。私は、そういうときには一緒に行かれて、そういうことを含めて、同じ見聞の中で議論をされたり、あるいはまたそれぞれの自治体と一緒になって、こういう法案も出されているわけでありますから、ともに行動されて大臣としての責務を果たされることが望ましいのではないか、こんなふうに思うのですけれども、いかがでしょうね。
  524. 江藤隆美

    江藤国務大臣 近々衆議院の建設委員会現地調査においでくださるということで大変喜んでおりますが、私も一緒できれば一番いいのですけれども、ちょうど参議院の審議とかかるのではないか、こう思っております。もしそういうことでなければ、私が御同行させていただくことについては何のちゅうちょするものでもありませんし、喜んで参加いたしたいと思っています。
  525. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 いずれにしても、何か来週の十二日とかそんな形で具体的なスケジュールを検討されているようですから、そういう点で、この問題というのは、今後の民活に対するいろいろな形での礎になろうと思いますので、そういうことを含めて、できるだけあなたがともに行動されて、実りある交渉なり、そういうことをぜひお願いを申し上げておきたい、こんなふうに思う次第であります。  そこで、これは大臣じゃなく担当局長さん。少なくても工場制限等の見直しについては積極的におやりになっていると思いますし、現実には建設省の所管でない部分もある、他省との連携もあろうと思うのですね。そういう点で、建設省としての取り組みとこれらに対する決意のほどを述べていただきたいと思います。
  526. 萩原浩

    萩原政府委員 昨年の九月でございましたか、神奈川県、それから横浜、川崎、三地方公共団体から五項目の御要望をいただいております。そしてその中の一つ、第四番目の工場制限法の見直しの御要求に対しましては、早速国土庁に赴きましてその趣旨をお伝えいたしました。国土庁は、なかなかいろいろな問題があるということで御検討いただいておりましたけれども、昭和六十一年度より予算を大幅に増額されまして実態調査を行う予定でありまして、この調査結果を踏まえて検討するというような御回答をいただいております。この結果を踏まえて、また私どもも積極的に国土庁にもお願いをいたしたいというふうに考えております。  先生おっしゃいますように、建設省としては、東京湾横断道路のインパクトを生かしまして、京浜地域がさらに発展するということが主眼でございます。したがいまして、地元公共団体、関係省庁と調整を図って所管行政の立場でできる限りの努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  527. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 私がなぜそういうことを申し上げるかというと、ちょうど今から十数年前でしたか、川崎の組織労働者と言われる、要するに働いている人たちは約三十万人いたのですね。今十万人だというのですよ。そのぐらいみんな転出されたりいろいろなことを含めて、あるいはまた合理化もあるでしょう。そういう点で非常にそういう問題が出ているわけです。ですから、せっかく横断道というものを積極的にやられるというなら、経済的な問題を含めてやるのならばこの見直しというのはぜひ必要なことであろう、それだけ申し上げてこれからの取り組みをぜひ御期待申し上げたいと思います、そういう意味ですから。  続いて、住宅公社の問題について若干触れてみたいと思います。  住宅公社あるいはまたそれぞれ地方においては供給公社等を含めて住宅建設に大変今までも努力をされたし、またこれからもいろいろな問題で期待をされているんじゃないかと思う。しかし現状の中で、例えば住宅のニーズが変わってきております。公社がスタートされた時点と今日では大幅にニーズが変わっておるわけであります。そういう点で古い建物に対する建てかえ等の問題になってまいりますと、そこに大きなネックの問題が幾つかあるわけであります。例えば入居者に対する移転の費用、あるいは仮住まい、仮住宅の確保の費用等のために公営住宅に準じた補助金制度が現在適用がない、こういう問題もあります。あるいはまた入居者に対して法的措置としての明け渡しの請求権もない、こういう問題があるわけでありますし、あるいはまた公社が積極的に開発事業を行うためにはこういう問題を法の再整備をしながらやっていかないと、それぞれの住宅供給公社の存続が危ぶまれるのではないかな、私はこんなふうに思うのです。そんな点で建てかえ住宅とかいろいろなことを含めて、やはりこれから自前の建てかえの問題あるいは今後のいろいろな問題について少し法の整備が必要であろう、こんなふうに私は思う。それぞれ現場の人たちの声を聞きますと大変御苦労されているわけでございますので、そういう点をどのように現在考えられているのか、あるいはまた今後どういうふうにするのか、お伺いをしたいと思います。
  528. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今後の住宅政策におきましては、新たな居化水準の達成に向けまして住宅住宅環境の水準向上を図るために、地域に根差した住まいづくりということを積極的に進めていく必要があるというふうに考えております。こういうことから申しますと、地方公共団体の施策を踏まえながら、今後とも供給公社事業の的確な推進ということをやっていかなければいかぬというふうに思っております。  ところが、今先生お示しのように、最近における事業の実施状況を見ますと、例えば事業量が減ってきておるとか、それから完成在庫が生じているところも見られるとか、それから五十年代の初めに計画されましたニュータウンにつきましては事業期間が非常に延びているとか、それから建てかえのことでございますけれども、建てかえあるいは二戸一等の住戸改善、こういったものについて検討を要するものが五万戸近くある。これは大体昭和四十年前につくられたものでございます。こういう認識をしておるわけでございます。  建設省は、今までも公社の事業の推進について制度的な面も含めていろいろな努力をしてきたことはお認めいただきたいと思います。例えば昭和五十六年度にやりました地域特別分譲住宅制度でありますとか、それから今度の予算に入っております地域特別賃貸住宅制度とか、そういうものもあります。ほかにもいろいろあります。  そこで、しかしそういう状況がありますので、そういう観点から実は本年の一月に公社の設立回体であります地方公共団体に対しまして、公社の事業運営の改善方策に関する検討実施を指示したところでございます。地方公共団体の検討結果を待ちまして、我々といたしましては制度の改善も含めまして今後いろいろ十分に検討していきたい。それでその検討結果によって適切な対処をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  529. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 私は、今の公社裏業というのは大変厳しい環境に置かれていると思います。ですから、現在の法の整備等についても、例えば公営住宅法の二十三条の六に準ずるような施策をとるとか、いろいろなことを含めて見直しをすべきではないかな、こんなふうに思うのですよ。そういう点で、いろいろな過去の経過はあったにしても、現在そういうものがネックになって事業量が推進できないということであるならば、やはりその改善というものも求められてしかるべきだと思うし、そういう点で今地方自治体にいろいろな形で検討を求めているようでありますから、そういう点ではより積極的に、検討を求めるということだけではなく、また住宅局の方としてもこういう問題にあらゆるネックになっている要素を十分抽出されて、その検討をする時期に来ていると私は思います。地方自治体もさることながら、皆さんが監督官庁なんですから、ぜひそういうことを私は望みたいと思いますが、いかがでしょう。
  530. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 供給公社の連合会といいますか協議会、そこでもこういった問題の検討がなされているというふうに聞いております。その結果、最終的なものはまだ見ておりませんけれども、先ほど申しましたように地方公共団体のいろいろ検討結果をもらいまして、我々としても、もちろん制度改正になりますと建設省として取り組まなければならない面もたくさんあるわけでございます。これはもう御指摘をいただくまでもなくその辺の認識は十分しておるつもりでございますので今後努力してまいりたいと思います。
  531. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 続いて、大臣、最近民活民活と民間活力の問題が特に建設省あるいはまた建築行政といいますか、大変大きく望まれているわけであります。しかしそういう点で一向に直ってないなという感じがするのは規制緩和の問題。例えば建築基準法あるいはまた都市計画法等の問題を含めていろいろな形で進められている、あるいは取り組みをされているということはよく聞くのです。しかし現実には、私はこの規制緩和のときに御質問を内閣委員会で申し上げたわけですけれども、例えばそれぞれの開発のリードタイムが少し長過ぎる。大体五ヘクタールの開発をするのにどのぐらいかかるかというと、少なくとも三年から四年かかってまいります。こういう問題があるわけです。そして書類とやらは大体ダンボールに二十杯ぐらい、こんな状態なんです。ですからそういう点はもっともっと簡単に、あるいはもっともっとやりやすい状態で、現場がそれだけ費用がかかることですし、またコストも、それだけ長くなってまいりますと大変な形の中でこれらの問題については大きな費用の負担というものも出てくるわけでございますし、そういう点でこの辺については制度の見直しというものが特に必要であろう、こんなふうに思うわけです。民活という関連の中で申し上げるならばそういう問題が一つ。  あるいはまた、例えば建設省がそれぞれ地方自治体と同じような形の中でいろいろな仕事をやっておりますね。そうしますと、そこに指名参加の問題やらいろいろなことを含めて、現在許認可の資格制度の問題が検討されているわけであります。ところが、その資格制度の問題も建設省もやり、あるいはまた他の省庁も全部やるのです。同じようなことを全部受け付けるわけですね。建設省なら建設省が、あるいは総務庁なら総務庁が窓口になってそれを全部資格審査したら、その合格といいますか一つの適合性の中で各省庁が全部共通であるべきじゃないか、こんなふうにいつも思っているんです。こういう問題も行革の一つだろうし、あるいは規制緩和と並行してそれぞれいろいろな形の中でより具体的な活力が生じる問題であろう、私はこんなふうに思っているわけです。それはいろいろな関連を前後して申し上げておるわけですけれども、そういう点で、この民活問題あるいは基準法の見直しの問題等々を含めて、どのようなお考えと認識を持たれているのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  532. 江藤隆美

    江藤国務大臣 民活を進める場合に、いろいろと規制が非常に強いということが進めるためのブレーキになっておるということでございますので、今省内で精力的にこの問題を詰めております。特にまた東京都内というのはひどいわけでありまして、山手線内がわずかに二・八階ぐらいですか、それぐらいしかなっていないということもありまして、一応省内で意見がまとまりましたら、今東京都ともいろいろ相談をしておるところですが、そういうことを一つの基準にして全国的なそうした規制緩和等についても取り組んでいこうと思っております。  それからもの一つ、今お話がありました、私もそう思っているのですが、建設省で資格を持っておるのにもかかわらず、今度は各省がそれぞれありまして、そして、参加させてくれというと、いやあなたのところはうちの登録はしてない。登録してないはずですよ、それは一年に一回も仕事の出ないような役所がぽんと地方に行ってやるわけですから。その県においてはAクラスの能力があっても、その仕事についてはDクラスだなんというひどい話が随分あるわけで、こういうものは、それぞれの事情があるだろうとは思いますけれども、今どうなっておるか定かではありませんが、やはり国の行政ですから一本であることが一番正しい、私もこういうふうに思っております。
  533. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 そういう点では、逆に相当民間の活力はついてくると私は思うんですよ。手間も省けるし、膨大な資料ですからね。そういう点で各省庁の人間も大分削減できるわけです、それぞれチェックするわけですから。そんなことを含めて、許認可の問題等も含めて前向きに検討していただきたい、こんなふうに思うのです。  特に、都計法にしても建築確認にしても、あるいはまたいろいろな問題が各地方自治体にいきますと上乗せ条項的なものが大分あるんですね。ですからそういう点で、片方においては規制緩和、民活、こういう中央の流れと、逆に地方自治体ではみずからの規制によっていろいろな問題が出ている。やはり一つはそういう基準法とか都計法とか、問題は一本であるべきじゃないかなというふうに僕は思うんですよ。だから、そういう点は中央の考え方と地方自治体では、余りにも厳しい問題が、緩和されるのじゃなく厳しいのですから、これらについて本当に問題があると思いますので、ぜひこの辺の指導的見直しをやっていただきたいと思います。  用途の問題だってめちゃくちゃなんですよ。それぞれ用途指定をされ、用途の見直しをされていますね。そういう点でこれは大臣にちょっと頭に入れておいてもらいたいのは、例えば大きな幹線道路がございます。そうすると、そこには優良な住宅地において路線住居指定がされて住居地区になっている。普通ならば次が二種住宅、一種住宅、こういう形にならなければいけないのが、逆にサンドイッチに真ん中に一種住宅があって奥に二種住宅のようなものがある。こういうものも私たちは法の不公平といいますか、そんなふうな感じがしております。ぜひそういうことについても、私はそれは通達で直ると思いますから、そういう点で法の精神とは全然違った形で線引きといいますかそういうこともされている実例がたくさんございますので、そういう点の見直しは進めるべきじゃないか、こんなふうに思います。時間の問題もございますので、それを要望しておきます。  そこで、次にお伺いしたいのは、河川法の見直しあるいはまた河川の問題についてお伺いしたいと思います。  実はこの河川法の問題についてはちょうど一昨年も私は申し上げました。例えばそれぞれの駅の問題、駅周辺の開発等、あるいはまた駅周辺のところに流れている一級河川、二級河川。今この一級河川、二級河川が流れている駅前の空間利用というものが大切であろうということで私は申し上げてまいりました。この法の整備をいまだに行っておりませんし、今のような技術の中でいろいろな工法ができるという認識に立って私はこの問題を取り上げてまいりました。前向きに検討するという話でございましたし、当時の大臣も本当に、私の主張は理解をできますのでこれから検討してみたい。もう約二年たちました。その検討の結果をお伺いしたいと思います。
  534. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 五十九年の予算委員会あるいは分科会において先生から御質問がありましたことは承知をいたしております。それで、その後私どもといたしましても検討を加えたわけでございますけれども、都市にとりまして治水基本的な問題でございまして、先生お尋ね地区河川につきましても、まだ第一段階の河川の整備が終わったばかりでございます。河川のあるべき姿には、今後第二段階、第三段階と拡幅しなければとても都市の水害を防除することができないというのが現状でございます。といたしますと、我々は、今後市街化によって流出増がございますので、将来を見て手戻りが出ないように考えることが重要である。また最近、水のあるオーブンスペースとしての河川空間が都市にとって大切であるということが非常に声高に言われております。こういう声もやはり尊重しなければならない。それから、実際にあった話でございますけれども、ある河川で一部ふたをいたしたところがございますが、災害のときに洪水を噴出させまして被害を大きくしたというような事例もございます。等々述べました理由から、五十九年の予算委員会あるいは分科会で当時の建設大臣並びに河川局長から申し上げたと同じような結論、すなわち今のままオープンスペースとして都市の中で利用するのが最適であるというような結論でございます。
  535. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 全然進展していないし、はっきり申し上げて一番頭のかたいのが川屋さんといいますか河川屋さんと言われているわけであります。何も全体的な――私の申し上げている地区はもう御存じでしょう。あなたが現場を知らないか知っているかよくわからぬけれども、空間スペースをとっていれば、オーバーフローすれば水害のときの対策なんかもできるわけですよ、今までパラペットをずっとつくっておったわけですから。パラペットと同じような形の中で空間スペースをとれば、全体的に面的なふたをかけろと言っているわけじゃない。極端なことを言えば橋の延長的なことをやれば、そこには駅前広場としてゆとりも出てくるし、いろいろな形の中で駅広として使えることがその地区にとって、それぞれのところにとってすばらしいことだと私は思うのです。極端なことを言えば、横浜駅のそばなんというのはそういう形でやっているんだから。そういうことを含めて、現実問題としてできないことはないのです。そういう後退するような考え方であっては困るわけです。  こういう点で、この問題はもう二年越しでありますので、ぼつぼつ法の精神や、あるいはまた個別であっても結構だと思いますけれども、私は長い間この問題を主張してまいりました。県会のときもこれを主張した。それは建設省だと言われた。今ここに来てまさしくその主張を繰り返しているわけでありますけれども、私は、こういう問題は全体的な駅広とかいうことを考えたときに絶対に必要である、そしてそれぞれのゆとりというものがそういうところにできるのであろう、こんなふうに思うので、大臣、これは前回も大臣に答弁していただいておりますので、この考え方どうでよう。
  536. 江藤隆美

    江藤国務大臣 現場をよく知りませんのでここで答えることは適当でないと思います。しかし、いろいろな考え方があっても決して悪いのではないじゃないかと私は思います。しかし、建設省河川行政としては、百年に一度の災害があってもそれは失政として間われるわけでありますから、慎重であることについてはまた別途御理解を賜りたいと思います。
  537. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 時間の関係でそれ以上はまた具体的に局長と話をしてみたいと思うし、また大臣にもいろいろな形で見解をお伺いしたいと思うのです。  最後になりますけれども、昨年常磐自動車道の延伸の問題、具体的に検討されていると思います。そういう点で、東北自動車道が雪でストップされる、事故でストップされる、そのバイパスとして常磐自動車道というもののより延伸と、さらにこの取り組みが要望されているわけであります。そういう点では建設省道路局長も昨年、この問題については大変貴重な意見として伺っておきたい、これから具体的な取り組みの中でこの問題を検討するというお約束をいただいたのですけれども、その後の取り組みはいかがですか、お伺いしたいと思います。
  538. 萩原浩

    萩原政府委員 平からさらに常磐高速を延ばしまして仙台までという構想でございますが、この構想につきましては私ども十分伺っております。それで、現在私どもは第九次道路整備五カ年計画中に高規格幹線道路網を策定いたしたいということで準備を進めておりますけれども、その中でこの路線検討するということにいたしております。ただ、そのきっかけといたしまして、それの中に含まれることになるとは存じますが、今御審議いただいております昭和六十一年度の政府予算原案におきましては、仙台東バイパスというものを仙台の方からずっと下げてくる、こういうことの事業化に着手しようということが盛り込まれておりまして、この構想をある意味の先駆けという形をとらせていただきましたが、全体的な問題は高規格幹線道路網の中で策定の際に検討させていただこう、こう考えておるものでございます。
  539. 田中慶秋

    田中(慶)分科員 もう私に与えられた時間は終わりましたので、それぞれまた今後の問題については道路局、河川局あるいはまた大臣等に具体的な見解も今後お伺いしたいと思いますので、私の質問は以上で終わらせていただきます。
  540. 住栄作

    ○住主査 これにて田中慶秋君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君。
  541. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 最初に市街化区域の線引きの見直しと開発の関係についてお伺いいたしますが、この線引きはおおむね五年に一度見直されることが原則になっておるようでございます。これをある一定の条件のもとでもっと五月雨的にどんどん見直していく、こういうな緩和策を弾力的に考えてはどうかというふうに思うわけですが、その点ひとついかがなものでしょうか、お伺いいたします。
  542. 牧野徹

    ○牧野政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、いわゆる線引きの見直しでございますが、これは都市計画全般的に基礎条件がいろいろ変わってまいりますので、おおむね五年ごとに一斉に調査をして、その結果いろいろな都市計画がもし不都合な点があれば直すという大原則がございます。  そこで、線引きは都市計画一つの典型的なパターンでございますから、先生おっしゃいましたように五年ごとにやる調査を踏まえて、いわゆる都市計画の基礎調査でございますが、それを踏まえて見直す、こういうものが原則になります。ただ、その原則だけでほかは全然やらぬというわけではございません。特に線引き後十五年の経験が私どもあるわけでございますが、それぞれの都市の宅地の需要あるいは供給の動向に機動的に対応しなければいかぬ。そうすると、五年に一回であとは知らないというわけにはなかなかまいりません。そこで宅地供給の促進を図るという観点も加味いたしまして、五十七年の九月に、これは農林水産省の方ともいろいろお話をしまして保留人口フレームという制度を取り入れたわけです。  この保留人口フレームというのはちょっと難しい言葉で恐縮ですが、例えば現在の人口が十七万人おられる、その都市が一定の目標年次を置いて見通した場合に二十万人になる。三万人分のものが新たに必要だとする。ところで具体の線引きを見直す場合に、市街化区域に入れてくるのは無秩序なスプロールが行われるような土地をちょぼちょぼ入れるというのは許されないことでございますから、計画的な良好な市街地形成が確実なものを入れる、こういうことになっております。そうしますと、将来目標年次は三万人なんだけれども、今のところはそういう計画的な開発ができるものは例えば一万人分だというときには、一万人分をぱっと線を引いてとりあえず市街化区域に入れておく。ところで、残りの二万人分はこれを保留人口フレームということにしておきまして、徐徐に人口のふえてくるのに見合わせながら、やがて宅地開発の計画も固まるでしょう、固まった時点で随時入れていく。ですから、先生おっしゃった五月雨的ということになるのかどうかわかりませんが、あくまでも良好な開発ができるめどがついたところで逐次入れていくという制度を五十七年九月から導入をしたわけでございます。現にその保留人口フレームというものに基づいた、いわゆる保留してあります面積が六十年十二月現在で二万三千ヘクタールほどあるわけでございますが、既にこのうちそういう考えで二千ヘクタールほどは具体の市街化区域の方へもう編入をされておる、こういう状況にございます。それが二つ目でございます。  それからさらに三番目に、いろいろ大きな開発等のプロジェクトがございますれば、それはそれなりにそういう事態に対応して線引きを見直す。  以上、原則と応用編二つというふうなことで的確に対応していきたいと考えておる次第でございます。
  543. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこでそういう弾力的に運用をされる場合の面積というものは、一単位どのくらいから大体見直されるのでしょうか。
  544. 牧野徹

    ○牧野政府委員 線引きを見直す場合には、例えば何ヘクタールなければだめだというふうなことは法律的にはございません。ただ、どこかわからぬところでこちらは市街化区域、こちらは調整区域ということではいけませんので、法律の考え方としても大きな道路とかあるいは川とかがけとか、要するにだれが見ても一応わかるところで区切ろうということでございますから、これはいろいろ面積の大小はあろうかと思います。  なお、ちなみに非常にまとまった市街化区域から飛んでいわゆる飛び市街化区域というものがございますが、この場合には原則おおむね五十ヘクタールの固まりが必要だというふうになっております。
  545. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それでその辺はいろいろケース・バイ・ケースで問題が出てくると思いますけれども、その次に問題が今出ているのは、規制緩和の観点から、市街化調整区域内に宅地や雑種地を持っている方が、せっかく自分の所有物であるにもかかわらずそこにうちも建てられない、あるいは処分もできない、こういうような現実があるわけでございます。こういうものに対して、それを活用して地域発展に寄与するというようなもっとよい方法はないでしょうか。その辺ひとつお示しを願いたいと思います。
  546. 清水達雄

    清水(達)政府委員 御説明するまでもないと思いますが、市街化調整区域につきましては原則として市街化を抑制する、こういうことになっておりますので、市街化調整区域において許される開発行為というのは法律で限定をしているわけでございます。現行制度におきましては、農林漁業用施設でありますとかあるいは農林漁業に従事する方々の住居、それから一定の公共公益的施設というふうなものについては許可が不要、こういうことになっておりますし、それからまた、次に申し上げるようなものにつきましては許可を受ければ開発ができる。その一つは、地域住民のために必要な日用品店舗、市街化調整区域にあります鉱物資源、観光資源の有効利用のための施設、例えば採石プラントだとか観光展望台といったようなたぐいのものでございます。それから農林水産物の処理加工工場あるいは道路沿いのガソリンスタンドとかドライブイン、こういうものは市街化調整区域において行うことがやむを得ないものということで許可できる。  それから第二点は、一定規模以上の計画的な開発行為でございまして、これは法律上は原則二十ヘクタール以上ということでございましたが、都道府県の規則によりまして五ヘクタールまで引き下げることができるという政令改正をやりまして、これは五十七の都道府県、政令指定市のうち四十四県市におきましてこの五ヘクタール規則というのができまして、そういうものを活用してかなりの程度開発が進みつつあるというふうに考えております。  それから第三番目は、農家等の次三男住宅とか既存集落内の自己用住宅とか収用事業によって移転をさせられる住宅とかそういうふうなものにつきましては、市街化を促進するおそれがなく、また市街化区域内に立地することが困難あるいは著しく不適当ということで認められているわけでございます。  以上が現行制度の概要でございますが、こういったことにつきまして、なおまだもう少し開発許可を弾力化する必要があるのではないかという御指摘は今たくさんあります。そこで、これは無秩序な市街化あるいはスプロールということを許すことはできませんけれども、それの支障にならない範囲内においてなおもう少し緩和措置がとれないかということで検討をしてまいりたいと考えております。
  547. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 具体的に言うと、例えば私の方では東北新幹線が通りまして、その沿線である郡山あるいは須賀川、鏡石町、矢吹町、こういったところでは大分市街化が進んできて、そして市街化に隣接する調整区域、こういうところでも相当、連機地区でもあって何とかならないか、こういう声が出ているのですが、そういういろいろな具体的な緩和措置があるにもかかわらず案外とそれを一般の人は知っていない、そして最初からあきらめて文句ばかり言う、こういうケースが非常に出てきておるわけです。私が考えているのは、そこで何とかスプロール化はさせないけれども、都市計画の中でもう少し幅を広げて、そして市街化への導きをやっていくという方法はないものかどうか。具体的には、例えば自分の息子が学校の先生をやっている、そうした場合、どうしても家を建てて生活の本拠にしたいという場合に、自分は農地をいっぱい持っているんだけれども、その農地を宅地に変更して息子の家を建てさせるとか、宅地として持っているんだけれどもそれが制約されているとか、そういうことはどうなんでしょうか。具体的な例としてそういう場合は可能なんですか。
  548. 清水達雄

    清水(達)政府委員 先ほど申し上げましたように、農家等の次三男住宅とか既存集落内の自己用住宅、今先生おっしゃいましたように、従来から土地を持っておってそれで次三男のために住宅を建てる、次三男が住宅を建てるというふうな場合は可能でございます。
  549. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これはまだPRがよく行き渡っていないと思うのですが、例えば農林水産省の方でも農地について相当緩和策が今度通達でなされていますね。ですから、そういう意味では大変開発しやすくなってきておると思いますので、建設省においてもひとつそういう点は十分考慮されまして、スプロール化でなければある程度の緩和は今後指導の中でやっていくというふうにしていただきたいと思います。  そこで、次に移ります。第九次の道路整備五カ年計画に関してでございますが、これは総額で三十八兆二千億円ということに決まっているようです。そこで、今現在の進捗状況というのはどのようになっておるか、この辺お伺いいたします。
  550. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のように、第九次道路整備五カ年計画昭和五十八年から六十二年の五年間でございますが、調整費一兆三千億を含めまして三十八兆二千億でございます。現在昭和六十年度の事業を執行中でございますが、これが計画どおり執行されたといたしまして、さらに現在御審議いただいております昭和六十一年度の政府予算案が原案どおり決定をされたといたしまして、それの執行が図られたというふうに仮定をいたしますと七二・六%の進捗率になる予定でございます。  なお、昭和六十一年度の緊急地方道路整備事業は、予算原案では国費千百二十三億円を計上いたしておりますが、この緊急地方道路整備事業に係る事業費につきましてはこれから確定するということでございますので、この事業費は削除するということで、これを除いて考えまして七二・六%ということでございます。この七二・六%は、母数は三十八兆二千億ではございませんで、一兆三千億の調整費を引き抜きました三十六兆九千億に対しまして七二・六%でございます。また、調整費一兆三千億を加えました三十八兆二千億に対しましては七〇・一%となる予定でございます。
  551. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは、予定の計画は完全に年度内にやりますか。
  552. 萩原浩

    萩原政府委員 昭和六十一年度は第九次五カ年計画の四年度目に当たるわけでございます。四年度目で七〇・一%もしくは七二・六%でございますので、現在のところ、この達成率は当初の目標よりは実は下回ってございます。これは昭和五十八年度、五十九年度のゼロジーリング、マイナスシーリングの影響が来ているわけでございますが、私どもは、道路整備の必要性が非常に高く、全国から極めて多くの御要望をいただいておりますので、今後ともこの第九次道路整備五カ年計画の完全達成を図るよう懸命の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  553. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、福島県というのは道路の総延長が約三万七千五百七十・六キロあるのです。これは全国でも恐らく有数の長い距離だと思いますが、しかし全国水準と比べると、その整備率というのは非常に低いわけです。大きく下回っておる。こういうものをどんどんと直して、むしろこういう下回っておるところに多くの予算をつけていかないと大変困るということでございます。恐らく大臣の宮崎県もそうじゃないかと思いますが、そうでなかったらごめんなさい。ひとつこれは、大臣がこの建設関係を受け持ったというだけで、私、非常に心強く思っておりますから、その辺配慮していただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  554. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私の宮崎県も大変おくれておりまして、福島県は高速道路が二本通っておりますが、私のところは一メートルもありませんで、まことに情けないきわみであります。したがいまして、今後やはり、よく民活と言われますけれども、私どもの地域というのは民活になじまないところでありますから、やはりこうした予算秋行については十分その点を弾力的に配慮していくということが必要であろう、こう思っております。  やはり道路というのが基本になりまして、道路のないところには人は住まなくなってきた、また産業もだんだんなくなっていく、農業も栄えない、漁業もだめだということが現実だと私は思っておりますから、その点は強く認識しながら今後取り組んでまいりたいと思っております。
  555. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、道路の財源というのが今大変議論されておるわけですね。道路特定財源というのは一般会計の方にひとつ吸い上げようじゃないかというような議論もあるようですが、私は背からもっともっとこの日本の道路はよくしないと、外国の、ヨーロッパの先進国並みにはならないのじゃないか、そういうことで、この財源について議論が出る余地がないくらいぴしっとした姿勢をとってほしいと思うのです。そういう点で、ぜひこの財源確保をお願いしたいと思うのですが、その点についてひとついかがなものでしょうか。
  556. 江藤隆美

    江藤国務大臣 我が国の道路道路特定財源によって随分と整備されてきたことは、これはもう御承知のとおりであります。したがいまして、揮発油税あるいは自動車重量税等のいわゆる道路特定財源については、これはもう絶対に確保するということは今後壁時していく考えてありますし、むしろ一般財源をねらって、一般財源もこの道路整備に回していくぐらいのそういう積極的な取り組みがあっていいのではないかと思っておりますので、またひとつ応援をお願いしたいと思います。
  557. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで私は、道路に関する日本人の思想というものをひとつ考えるべきじゃないかと思うのですよ。ただ車が通る、人が通る、それが道路だと思っている向きが大分あるのじゃないか。私はそうでなくて、何と申しますか、私の友人があるときこういうことを言ったのです。いわゆる土木とは地球に刻む芸術だと。やはりそういう芸術観というものを持って道路建設というものをやるべきじゃないか。ヨーロッパに行って一番驚くのは、あの橋の立派なのにはたまげますね。本当にすばらしい芸術の結集された橋には目をみはるわけですが、日本ではそういう橋、ないじゃないでしょうか。金は大分かかっているのはありますけれども、しかし芸術品としてこれを評価できるような橋は私はまだ知っていないのです。  そこで、そういう道路や橋づくりをぜひこれから考えてはどうか。しかも今の貿易摩擦の中で日本が社会資本をどんどんと蓄積していかないと、この社会資本の面では全くお粗末なんですよ。アメリカが幾ら赤字を出したといいながら、アメリカに行くとその社会資本がすばらしいし、またヨーロッパでもそういうわけですので、今度はどんどんと大理石でも輸入して、そういうもので橋の飾り物でも彫刻にして出すなり、いろいろ工夫してもらってはいかがか。  そしてもう一つは街路樹ですね。道路には街路樹が義務づけられる、こういう状態になると国土というものがもっと生き生きとした生きたものに変わっていくのじゃないか、私はこう考えるのですが、その辺についての大臣のお考えをひとつお示し願いたいと思います。
  558. 江藤隆美

    江藤国務大臣 渡部さんが、大理石でも輸入してひとつ芸術的な橋をつくってみたらどうかという御提案、私も大賛成です。ただ、わきにおります道路局長がその気になりますかどうか。あっちこっちから追い回されますから、少ない予算でなるべく橋を余計延ばそうということを今の建設省は考えておりますので、そこまでいきますかどうか。しかしそれはやはり、どこに行っても同じような町があり、どこに行っても同じような橋がかかっておるというのじゃ情けないので、そこは一考を要することではないかと私は思います。  それから、私は街路樹については大賛成です。私の宮崎県は道路はおくれておりますが、道路の美化条例というのをつくりまして、そして街路樹をずっと植えてきまして、四季おのおの花が咲くようになっておりますから、こういうものがやはり今後普及していくということは必要でありましょうし、昭和六十五年に行われる大阪での花と緑の国際博覧会でも、こうしたいわゆる都市緑地公園あるいはまた街路樹等の展示等が行われると私は思っておりまして、いい機会ではないかと思っております。
  559. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これはせっかくの機会ですから、何か一つ法律の上で残るようなことを大臣、してくださいよ。これは江藤大臣がつくった法律だというような、そういうものをひとつお願いしたいと思います。  なお、先ほど私、頭を下げていたから、それで納得したような感じをしたわけですが、実際は速記録に出てこないと、頭を下げたのはわからないですね、納得したということは。だから、さっきの市街化調整区域の問題について、だれかやはりもう一度その納得したなら納得したような御返事をお願いしたいと思うのですが。
  560. 清水達雄

    清水(達)政府委員 調整区域の開発許可につきまして、先ほど現行制度の範囲内でのお答えをいたしたのと、それから今後もう少し弾力化を検討したいということを申し上げて、先生念を押されましたのは納得したわけでございます。
  561. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 どうもありがとうございました。  それでは最後に、ひとつ江藤建設大臣のこれからの建設行政の基本について御決意をお願いしたいと思います。
  562. 江藤隆美

    江藤国務大臣 長い間ゼロシーリング、マイナスシーリングでいささか沈滞ぎみであった建設省というのが、ようやくこの内需拡大、貿易摩擦の解消、もろもろの環境から、やはり内需の拡大、それから公共投資をやらなければならないという風潮にようやく変わってきたときに私は建設大臣を拝命した、こういうことになると思います。特に、昨年予算を編成いたしました段階と、首尾よく予算が国会を通過いたしまして執行する段階での経済環境というのは著しく変わるのではないか、私はこう思っておるのです。  したがいまして、今まではじっと縮こまっておりましたから、伏すこと長ければ飛ぶこと高しという言葉がありますが、これからの飛躍に加えて、今建設省準備を整えながら次の段階に臨むべきときに私は図らずも大臣を拝命した、こういうことを感じまして、その責任の重さを痛感いたしております。同時に、財政再建というのは公共事業を抑えることだという考え方が日本のどこかにあるとするならば、それは大いなる間違いであって、いつか予算委員会でも申し上げましたように、アメリカはあれほどの経済力を誇った大国であったけれども、高速道路の四分の一、橋梁の五分の一が十分な使用にたえないようになってアメリカの経済はつまずいてきた、私はそう思っておりますので、もって他山の石としながら、私どもは今後のこの建設行政というものを預かってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  563. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、公共事業というものを抑制すれば財政再建されるというのは、これは全く正反対だ、その点は私も大臣と本当に同感でございます。今特に内需拡大が言われておるときに、公共事業費が相当削られておるわけですね。これでは内需拡大を逆に抑制するようなものじゃないか。そうすると、先ほど来議論になっておるアメリカとの貿易摩擦にしましても、ますます経済摩擦が拡大する、こういうことでは困りますので、ことしは何%ぐらいの前倒しをやるお覚悟ですか、そして前倒し前倒していって最後はどういうふうにするのか、その辺をお聞かせ願って私の質問を終わりたいと思います。
  564. 江藤隆美

    江藤国務大臣 まだ予算が通らないうちに、建設大臣が幾ら前倒しをしますと言うのは不謹慎きわまりないことだろうと思います。したがいまして、予算が通りました段階で、よくよく周辺を見ながら、どういう執行にしていったらいいかということはこれはもう当然考えなければならないと思います。ただ、朝飯は食ったが晩飯はないというようなやり方というのは通用しないことでありまして、それは年度間のバランス等もよく考えながら、今後の執行を考えていこうと思っております。
  565. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 どうもありがとうございました。
  566. 住栄作

    ○住主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、福岡康夫君。
  567. 福岡康夫

    福岡分科員 私は、広島県総合計画概要図を建設省の方に提出いたしまして、それに基づいて質問してみたいと思いますので、御了解願いたいと思います。  御承知と思いますが、この地図を見ていただきたいのですが、広島市の東部と西部を結ぶ国道二号線のバイパスとしての役割を持って、かねて計画予定されております総延長五・八キロの広島南道路についてお伺いしたいと思うわけでございます。  広島南道路は、産業道路として山陽自動車道とともに広島の地域経済にインパクトを与えておることも御承知だろうと思います。そして、我々広島県民は一日も早い開通をとこぞって要望しておるわけでございます。この広島南道路の入口に当たる、下側に点線が振ってあるところでございますが、海田大橋の起工式は昭和五十九年の十一月二十七日に実施され、私もこの起工式には広島県から招待を受け出席した一人でございます。この完成昭和六十二年と聞いておりますが、現在いまだに具体化しない広島南道路の将来の見通しは一体どうなっておるのか、広島県民は大きな関心を持っております。  そこで建設省にお伺いしますが、広島南道路のルート決定はいつごろ明確に決まるのか、予定されておる二つのルートのうちいずれの方に決まるのでしょうか、この点についてまず第一に御見解をお伺いしたいと思います。
  568. 萩原浩

    萩原政府委員 広島南道路は、一般国道二号を初めといたします広島市内の道路交通混雑の緩和を目的として計画されておる総延長約二十四キロのバイパスでございます。建設省におきまして現在鋭意路線計画策定のための調査を進めておるところでございます。この二十四キロのうちには港湾道路として既に建設が進められている区間もございますし、ただいま先生が御指摘になりました海田大橋の区間もございます。この区間のさらに西側に現在ルートを検討中でございまして、二つのルートのうちいずれを決めるかということで御指摘をされましたのは恐らくこの区間であろうと存じます。宇品と観音の間というふうに理解をいたしております。  この道路は、そもそも広島湾に面しました市街地や港湾区域を通過する、こういう性格を持っておりますので、沿道環境との調和であるとか土地利用との調整であるとかというような問題が非常に大きな問題になろうと思います。結果といたしましてかなり大型の重交通が通過するという路線でございますので、今の沿道環境との調和とか土地利用との調整、ここら辺が非常に大きな問題になってまいります。  先生が二つと御指摘されましたけれども、現在実は数葉ルートがございまして、その数案につきましてどれがよろしいかということを比較検討しておるところでございます。何せ沿道環境との調和あるいは土地利用との調整というようなことになってまいりますと、これはただ単に建設費が安ければよいということだけでは律せられないわけでございますが、また一方で、建設費は幾らかかってもよいということにもなりません。そこら辺の調和が非常に難しいところでございます。まだ最終案を確定するには至っておりませんけれども、私どもとしては、この案はできるだけ早く結論を得たいということを今考えておるところでございます。ただ、いかにも関係する方々がいろいろ多方面にわたっておられますので、その点で少しく時期がおくれておる、こういうことでございます。もうしばらくお待ちいただきたいと存じます。
  569. 福岡康夫

    福岡分科員 ただいま政府委員の方から数案とおっしゃいましたが、この数案は今明示できませんでしょうか。
  570. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほど先生が御指摘になりました二つのルートというのは、俗に言われております内陸案と海側案ということであろうと存じます。ところが、その中でもう一度それを折衷するような、途中で結んでしまうような案とか、それから海側案ももう少し陸に寄せた案とか、そういうようないろいろなバリエーションがございます。これはまだ完全に決まったものでもございませんし、またそれ以上にいろいろバリエーションもかけると存じますので、お示しするのももちろん結構でございますけれども、お示しすることによってかえってまた混乱が起きてしまうということもございますので、もう少し検討の時間をいただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  571. 福岡康夫

    福岡分科員 ぜひともなるべく早い機会に御明示願いたいと思います。これは市も県もいろいろ関連してくる問題でございますので、今私が申しましたように我々は二つのルートだと考えておるのですが、建設省のお話を聞きますと数案ある、今の政府委員のお話でございましたらどうも四つ程度のことを御示唆されておりますので、そういうふうに私も理解したわけですから、なるべく早い機会に、きょうこの場とは申しませんが、一日も早く明示していただきまして、混乱を来さないようにひとつよろしくお願いします。  この道路の施行主体は、有料道路方式をとると私は考えておるわけでございますが、日本道路公団となると解釈してよろしゅうございますでしょうか。
  572. 萩原浩

    萩原政府委員 この道路は、先ほど申し上げましたように二十四キロに及びます。事業費も約三千七百億とかなり大きなものになります。したがいまして、先生指摘のように有料道路事業として事業化するという可能性が極めて強いと思います。そうしませんと、現在の財政状況ではなかなか進展しないのではないかという感じを抱いております。  さて、その事業主体でございますけれども、現在幅広く検討いたしております。実は日本道路公団以外にも県の公社とかその他いろいろ有料道路建設できる主体がございますので、そこら辺を幅広く検討させていただきたいと考えている次第でございます。
  573. 福岡康夫

    福岡分科員 今のお話を聞いておりますと、道路公団の場合と県の道路公社の場合の可能性政府委員の方は示唆されておるかのように私は思うのですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  574. 萩原浩

    萩原政府委員 現在この地域におきまして有料道路事業を実施できるような主体は、正直なところこの二つであろうと存じます。改めてまたさらに第三セクターをつくるというようなことも観念上は考えられますけれども、これは実態としてはなかなか実現性がないのではないか。ただ観念論としてはございます。しかし、ここだけでまた新たにということは現在のところ考えておりません。
  575. 福岡康夫

    福岡分科員 広島南道路の開設計画進展しないのは地権者との交渉など問題があると私は聞いておりますが、一体ネックとなっておるのは何でしょうか。
  576. 萩原浩

    萩原政府委員 この路線計画の策定に当たりましては、まず第一に広島の港湾計画との調整が必要でございます。次には、先ほどから申し上げておりますように、市街部の環境保全対策が非常に大きな問題でございます。それから三番目には、太田川等の河川を渡河する構造でございますので、その構造の検討もしなければならない。かなり大きな構造物になりますので、例えば沈埋トンネル、あるいは橋梁にするとか、あるいはアクセス道路、今の道路にくっつきますいろいろな道路がたくさんあるわけでありますが、そういう構造をどうするかというようないろいろな問題がございまして、現在その調査に時間を要しているというところでございます。主に分けましてこの三点であろうと考えております。
  577. 福岡康夫

    福岡分科員 以上の答弁をお聞きしましていろいろと問題もあるとは思いますが、広島南道路開通によって、現在の物流ルートとして使われている国道二号線から貨物自動車を南道路へ吸収できますことから、国道二号線の交通渋帯はある程度解消されることは必定でございます。したがって、万難を排して広島南道路開通計画をぜひ促進させていただきたい、かように考えますが、いかがでしょうか。建設大臣、ちょっとその点について御見解を。前向きに御検討いただけるかどうかひとつお話を。
  578. 江藤隆美

    江藤国務大臣 積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  579. 福岡康夫

    福岡分科員 ありがとうございました。事務当局の方でこの点についての御見解があればちょっとお示し願いたい。大臣は今、積極的に取り組む、こう言われたのです。
  580. 萩原浩

    萩原政府委員 私どもといたしましては、非常に大きなプロジェクトでございまして、一回決定をいたしましたら当然のことながらその変更ということは考えられないものでございますから、まず路線の選定というものをできるだけ早くやりまして、それから後、積極的に進展をしていくのが筋であろうというふうに考えておる次第でございます。また努力させていただきます。
  581. 福岡康夫

    福岡分科員 大臣は積極的に取り組むということなんですから、事務当局も大臣の積極姿勢に対応して迅速果敢に推進をしていただくことを要望いたします。  次に、広島市の段原地区の再開発についてお尋ねしたいのです。  これは土地区画整理事業と住環境整備モデル事業の二つの事業に分けて、いろいろ問題点があるように私は聞いておりますが、それぞれどのようにこの事業が進んでいるのか、事業が完了するのはいつごろになるのか、お伺いしたいと思います。
  582. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず私から、土地区画整理事業の方についてお答え申し上げます。  本年度までの累計の進捗率は約四四%でございます。今後の完了の目途は、あくまでも目途でございますが、ただいまのところでは昭和七十年度を目途に事業を推進しているというふうに聞いておるわけでございます。
  583. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 この土地区画整理にちょうどかぶせるように、それをちょっとはみ出しておりますけれども、住環境整備モデル事業というのをやっております。これは、区画整理の地区内が四十七・八ヘクタール、地区外に三・七ヘクタール、全体で五十一・五ヘクタール、住宅数でいいますと、総数が四千四十八戸、そのうち不良住宅率が六一・六%、住環境整備モデル事業としては非常に大きな事業でございます。  それで、お尋ねの進捗状況事業完了のめどでございますけれども、本事業は私どものモデル事業でございますが、五十三年に着手されております。この三月現在でございますが、現在までにモデル住宅は五百六十九戸、これは計画戸数が千五十五戸でございますから、戸数でいいますと五四%ということになります。そのほかに、例えば集会所八カ所を計画しておりますけれどもそのうちの四カ所、それから児童遊園は全体の計画十カ所のうち五カ所などを整備している、こういうような進捗状況でございます。  それから、完了のめどでございますが、先ほど都市局長からも申しましたように、事業でございますからやはりめどということになると思いますが、現在の計画によりますれば本事業の完了予定は昭和六十四年度ということになっております。
  584. 福岡康夫

    福岡分科員 この地区は本当に密集したところなんで、区画整理は非常に難しいとは思いますが、段原再開発に当たってどんな点が一番問題なのか、お伺いしたいと思います。
  585. 牧野徹

    ○牧野政府委員 私も昭和三十二年から二年間段原のごく近くに住んでおりました。地域状態は今でもよく覚えておりますが、こういう密集した市街地で何が難しいかといいますと、やはり関係される権利者の数が多い、したがって権利者間で権利関係がふくそうする。また当然あそこは建物が非常に多いわけですが、区画整理に伴って移転をするわけでございますが、それに伴って何といっても多くの関係権利者間の権利調整、これが一番の問題であろうというふうに認識しております。
  586. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 我々の方の住環境整備モデル事業、これにつきましても、今都市局長から説明があったとおり、同じでございますが、特にこの事業は、先ほど申しましたように、全国的に見ましても最大規模でございます。したがって関係者の協力が非常に重要でございますが、したがいまして、この事業の遂行に当たりまして一番問題になると思われますのは関係権利者間の利害の調整であるというふうに言っても差し支えないと思います。
  587. 福岡康夫

    福岡分科員 町並みを形成している建物を一斉に移転してもらわないと困るとのいろいろ声があるわけでございますが、住環境整備モデル事業の遂行に当たってどういう点が一番問題点なのか、もう一度詳しくお話し願いたいと思います。
  588. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 大変失礼申し上げましたけれども、先ほど申し上げましたように、住環境整備モデル事業といいますのは非常に密集率が高いところをやる事業でございます。したがいまして、関係権利者というのが非常に多いということでございます。したがいまして、事業の遂行に当たりましてはその調整というのがどうしても一番難しい問題になってくるというふうに思っております。
  589. 福岡康夫

    福岡分科員 建物とか土地の所有者が広島市の建物、土地の買収に応じれば、この借家人は住環境のよい霞団地モデル住宅に無条件ですぐにでも入居できると思うのです。所有者に一日も早く広島市の買収に応じてほしいとの借家人からの陳情を私は受けていますが、このような場合、建設省は今後どのように対処されていかれるのか、お示し願いたいと思います。
  590. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 借家人と土地、建物の所有者につきましては、本来この関係というのは私法関係であります。したがいまして、両者間で調整すべきものであると思います。  しかし、我々としては事業を一日も早く円滑に推進していくという必要がございます。そこで、施行者であります広島市に対しましては、関係権利者の本事業に対する理解を得るために鋭意努力しよう、理解を得ることによってそういう調整が進むであろうということでございますけれども、そういう努力を鋭意するように指導してまいりたいと思っております。
  591. 福岡康夫

    福岡分科員 先ほど政府委員の御答弁の中で、自分も二年間この広島市の段原地区に住んだんだ、その中からこの再開発の問題について肌でお感じになっておりますが、この中で政府委員そのものがどういう点に一番問題点があるかということは御存じだろうと思いますので、もう一度政府委員の方から、自分がそこに住んだ感じからのいろいろの問題点をひとつお示し願いたいと思います。
  592. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まあ三十二年から二年間でございますので、その後の二十八年ぐらいの間にいろいろ変わっておるかと思いますが、私の印象を申し上げますと、私は正確には隣の霞町四百三十五の一番地というところでございますが、よく夜などは段原の方に行ったわけですね。ですから、非常に密集した市街地で、例えば今事業に立ち返って申し上げれば、あの四十八ヘクタールのところに土地の所有権者が権利者として千七百人、これは事業着手時です。それから借地権者が四百人、借家権者が三千二百人と、全国的に見ても権利者の数が非常に多い。その辺が、先ほども申し上げましたが、一番の問題ではなかろうかというふうに考えております。
  593. 福岡康夫

    福岡分科員 我々広島市民にとっては非常にありがたいことでございますので、ひとつこの経験を生かして促進強化を図っていただきたいと思いますが、御決意を披露してください。
  594. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まあ局長でございますから決意ということはございませんが、やはり私ども区画整理事業というのは全国で手近い箇所で本格的なものをやっております。たしか九百カ所ぐらいだったと思うのですが、その中でも非常に有名な、私が局長になる前から知っておるような事業でございます。私が住まわせていただいたことも関係しているかもしれませんが、今後この事業が円滑に進むように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  595. 福岡康夫

    福岡分科員 ぜひひとつよろしくお願いいたします。  次に問題を移しますが、二〇%ぐらいはここは、私が聞いているところによりますと、借地権つき大家がいるとのことでございます。それから換地先に借家権を持っていってもらいたいとの要望もございますが、この点はいかがなものでございましょうか。
  596. 牧野徹

    ○牧野政府委員 ただいまのお話はいわゆる借家人の権利をどう調整するかということだと思いますが、区画整理事業をやって、ああいう状況であれば、まあ引き家ということは余りなくて、大方は建物の所有者の方が除却して新しい建物を建てるということになろうかと思います。そうなりますと、権利関係は、先ほど住宅局長からも御答弁申し上げましたように、一応私法上の関係ということで、建物の所有権者と借家権者の話し合いというのが基本ルールになろうかと思います。  ただ、先ほどからも申し上げましたように、大勢の借家権者もおられますので、当事者間の話し合いを円滑に進める上で必要がございますれば、私どもの事業の施行者は広島市でございますが、ここに対しましても所要の指導をしてまいりたいと考えております。
  597. 福岡康夫

    福岡分科員 私が一番問題にしているのは、この事業にかかわる国の昭和五十九年度の補助率の問題でございますけれども、これは昭和五十九年度には三分の二であったものが六十年度は十分の六と補助率が下がっていると聞いておりますが、この再開発事業を早く終わらせることの必要性から考えてみて、補助率の引き下げをすべきではないと思いますが、いかがなものでございましょう。
  598. 牧野徹

    ○牧野政府委員 補助率の問題は公共事業全般の問題でございますが、先ほどから先生の御指摘もございますような社会資本の整備でございますとか、あるいは内需振興の観点からも、事業量を確保したいという強い要請もございます。そういうことで、暫定的な措置としてただいまおっしゃっておられました補助率の引き下げが行われたものというふうに理解しております。  ただ、これに伴いまして当然地方負担がふえるわけでございますが、それにつきましては所要の手当てが行われておりますので、両々相まって円滑な事業が推進していくというふうに考えておる次第でございます。
  599. 福岡康夫

    福岡分科員 最後に、一級河川の二又川及び御幸川の改修事業についてお尋ねしたいと思います。  二又川の改修事業費の昭和六十一年度における大幅な増額につきましては、私がねてから建設省にお願いしておりまして、ある程度の増額があるやに聞いておりますけれども、この点については大変感謝している次第でございます。  二又川、御幸川の都市小河川改修事業はいつごろ完了するものでしょうか。またこの改修事業の遂行に当たっての困難な問題は何なのか、お教え願いたいと思います。
  600. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 二又川の六十年度末の進捗率を申し上げたいと思いますが、事業費といたしましては四三%、護岸の延長といたしましては四五%でございます。御幸川につきましては、事業としては二二%の進捗率、護岸延長としては二〇%でございまして、今後この速度をできる限り頑張って、できるだけ早く完成をいたしたいと思っておるわけでございます。  また事業施行上の問題点というお尋ねでございますけれども、二又川につきましては河道改修工事を実施する際、非常に立て込んでおりますので、市道の交通規制を行う必要があるというような問題点がございます。御幸川にっきましては、用地買収に関しましていろいろ問題点があるということでございますけれども、私ども、できるだけ早く事業完成するように県を指導しているところでございます。
  601. 福岡康夫

    福岡分科員 ここは川幅が狭いため、過去数多くの水害に悩まされてきたところでございます。近年の開発に伴う雨の水の流水量の増大もひどいものであり、水害に対する地域住民の不安感というものは非常に増大してまいっておりますので、地域住民が安心して生活ができますように、財政事情の問題は十分私もわかっておりますが、ひとつ格別の御配慮をお願いしたいと私は思います。  この点について、建設省当局のお考えをお聞きしたいと思います。
  602. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 最大限の努力をいたしたいと思っております。
  603. 福岡康夫

    福岡分科員 最大隈の努力と、ちょっと余りにも抽象的過ぎるので、もうちょっと具体的に方策をお示し願えませんでしょうか。
  604. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 六十年度の予算にできる限りの上乗せをしたいということでございます。
  605. 福岡康夫

    福岡分科員 六十年度の……。
  606. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 六十年度の予算規模、それにできるだけ上乗せをしたいという努力をいたしたいという心構えでございます。
  607. 福岡康夫

    福岡分科員 昭和四十年から五十年の間だったか、ちょっとはっきり記憶しておりませんが、御承知のように、太田川の上流地域では三次の大水害がありました。そのときの被害というのは莫大なものでございました。そして、これに対する下流地域における広島市民の恐怖というものは大変なものでございました。いろいろその後建設省といたしましては対策は講じておりますが、やはりこの下流地域についてはそのときの恐怖がいまだに残っておりまして、まさに今私が説明いたしましたように、川幅が狭小なためにすぐ水がはんらんして道路を越してしまいます。さて、あのときと同じような現象が起こるのではないかということで、この地域住民は避難の準備を始めるというような状況になっておるということをひとつ十分お含みをお願いいたしまして、上乗せの幅をひとつ十分お考え願いたいと最後に御要求いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  608. 住栄作

    ○住主査 これにて福岡康夫君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  609. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、建設省所管の中で、日本住宅都市整備公団が進めております千葉ニュータウンの問題について質問いたしたいと思います。大臣初め答弁者の皆さん、大変長時間どうも御苦労さまでございますが、私が最後の質問者でございますので、いましばらくひとつ御辛抱いただきたいというふうに思います。  首都圏の中で千葉県が非常に大きく変貌しているわけでありますが、その中で、住宅都市整備公団並びに千葉県が、一市二町二村にまたがりまして二千九百十二ヘクタールの土地を開発して、九万五千四百戸、三十四万人の人口を持つ千葉ニュータウン計画というものを作成して進めてきたわけでありますが、高度成長が終息の段階に入りまして、この計画も大変な狂いを生じて、今日では、六十八年で十八万人というふうに、計画が半減するというような状況になってきております。この間地元では、区域内に置かれた農家の方々のいろいろなこのために受けた苦渋というものも大変なものであったわけでありますが、同時に、入居募集で千葉ニュータウンに入居してきた方々が、肝心の鉄道の足の建設めどが十分に立っていない、しかも、これが当初計画から見ますと非常におくれてきているということのために、非常な不安を現在感じている状況にあるわけであります。  そういう中で、まず住宅都市整備公団に伺いたいのでありますが、北総開発鉄道、北初富から高砂間のいわゆる第二期工事完成につきましては、大臣認可を受けた六十三年三月三十一日完成ということで今日まで来ているわけでありますが、この期日に必ずこの北総鉄道を開通させるということについてここで明言できますかどうか、まずその点を伺いたいと思います。
  610. 台健

    ○台参考人 北総開発鉄道の二期工事は、北総開発鉄道が施行しております事業でございますので、公団が竣工期限につきまして発言いたしますことは差し控えさせていただきたいと思います。
  611. 小川国彦

    小川(国)分科員 皆さん方が鉄道の事業だからということでおっしゃられましても、現実に日本住宅公団住宅募集センターという、皆さんが入居者に配られているこのパンフレット、これは、「日本住宅公団分譲住宅募集のご案内」、申し込み期間、五十三年十月二十日から五十三年十一月二日というのを見ますと、「大手町へ五十一分。 駅が八つもできる、ニュータウン。」「都心に直線。街のなかを、電車が走る。 千葉ニュータウンの開発で、北総地域が大きく変わる。」こういうふうになっているのです。  この中では「鉄道を新設」という中で、「●都心から二十五~四十キロメートル圏内にありながら今日に至るまで、開発がとり残されていた北総地域。その理由をあげるとしたら、鉄道を含む交通幹線が不備だった点をあげることができるでしょう。 ●地域開発には鉄道を欠かすことができません。千葉ニュータウンは、この北総地域の開発も同時にすすめていく目的をもち、北総地域の中心となる独立衛星都市として、建設が急がれている街です。 ●タウン内には、新しい二つの鉄道が敷設され、八つの駅が設置されるのです。」「北総線(北総開発鉄道)。」その第一期工事のところはもう省略しますが、さらに「小室駅から京成線「高砂駅」まで」ということでこれに書かれているのでありますが、この中には明らかに、「大手町へ五十一分。駅が八つもできる、ニュータウン。」こういうように皆さんの方が現地の宣伝をして、購買者にこういうパンフレットをやっている。  さらに、最近の昭和五十九年の第十九回の「公団の分譲住宅」という、現地先着順、「千葉ニュータウン内野(第三次)」こういうパンフレットの中でも、「すでに。住宅都市整備公団鉄道も開通! 上野へ五十六分、大手町へ六十二分。」ということで、「北総開発鉄道の京成高砂~新鎌ケ谷間が完成した場合(昭和六十三年三月頃開通予定)には、これを経由して都営浅草線に直通運転を行ない、都心の江戸橋駅まで四十六分で結ばれます。」こういうパンフレットで今日まで皆さんの方は七千五百戸、二万七千五百六十人という方方に宣伝をして分譲を進めてきた。  そういう立場からパンフレットをこれだけ大量に配布し住宅募集をしてきた方々として、鉄道は鉄建公団のやる仕事だからということで住宅募集者としての住宅都市整備公団の責任はそれで済むのでありましょうか。その点についてはどういうふうに責任をお感じになっておりますか。
  612. 台健

    ○台参考人 二期工事の竣工時期を六十三年三月ごろというふうにパンフレットに記載いたしましたのは、地方鉄道法によります運輸大臣工事施行認可の施行期限が六十三年三月になっておりましたのと、それを目標に北総鉄道が鋭意事業を進めておるというふうに聞いておりますので、募集パンフレットにおいてその旨の表示をいたしまして募集を行ったわけでございます。先ほど私が申し上げましたのは、そういう立場にございますので、竣工期限を約束するというふうな御発言を差し控えさせていただいたわけでございまして、期限のとり方につきましては現在のオーソライズされている竣工期限を採用しているわけでございます。
  613. 小川国彦

    小川(国)分科員 少なくとも皆さん方が住宅を分譲するのには、その中に記載される要件というものはやはり確実に履行されるものを書いていかなければならないわけで、じゃ、皆さんがおっしゃるように、人様が書いておったからそれをそのまま書いたんだ、責任は私にない、こういうことになりますと何を書いてもいいということになってしまうと思うのですよ。  今、大臣にもごらんになっていただいていますように、一番最初のやつは五十一分で大手町へ着く、これをごらんになった勤労者の方々は、皆さんが書いているように都心へ三十キロから四十キロのところで、五十一分で、そして国の公団が分譲した住宅を買えるならこれほど幸せなことはないということで、国の機関だからこそこの五十一分を信用してお求めになったと思うのです。そのことについて皆さん方は、そういう広告を掲載して住宅を分譲してきた当事者として、そのことに対する責任というものはともに負わなければならないと思うのですよ。鉄道建設公団以前に、そういう広告を掲載して募集した皆さんは、これを開通させるために当事者としての考え方や責任を持たなかったならば、それはよそ様が言っていることをそのまま書いたんだということでは済まないと思いますが、いかがですか。
  614. 台健

    ○台参考人 私たちといたしましても二期工事の早期完成は心から待ち望んでいるところでございまして、五十九年度におきまして出資金といたしまして二億五千万の支出をいたしているわけでございます。なお、引き続きまして六十一年度におきましても同額の出資をすべく予算を編成している次第でございまして、なおかつ、北総開発鉄道に対しましても早期完成につきまして強く要請しているところでございます。
  615. 小川国彦

    小川(国)分科員 五十三年十月に皆さん方が入居募集した住宅公団の清水口分譲住宅の第一次募集の案内書には、今申し上げたように、表紙に大きく「大手町へ五十一分。」「駅が八つもできる、ニュータウン。」と書いており、「都心に直結。街のなかを、電車が走る。」こういう大見出しがあって、「さらに将来は、小室駅から京成線「高砂駅」まで開通し、京成電鉄直通に切り替わり、京成押上線を経て都営地下鉄および京成上野線への相互乗り入れも予定されています。」「まさに、都心に直結した街だといっても過言ではないでしょう。」こういうふうに言っているわけですね。  それから、住宅都市整備公団が募集した五十九年第十九回、印西町内野の第三次募集のパンフレットにも同様の記載が載っているわけです。  ですから現在の入居者は、大手町まで五十一分で行けると思って新居を入手したのに約束の鉄道が開通せず、現在は北総開発鉄道の北初富で新京成線に乗りかえ、また松戸で、最も混雑の激しい常磐線や千代田線で都心に出る、こういう不便を強いられています。大手町まで五十一分ところか銀座まで一時間半、帰りは二時間、こういう難行苦行の中にいるわけで、大変な被害者、こういう状況に置かれているわけでありますが、こういう方々に対して住宅都市整備公団としての責任はお感じになりませんか。
  616. 台健

    ○台参考人 パンフレットに記載しておりますのは、六十三年三月あるいは六十三年ごろというふうな言い方をしておりまして、それの鉄道の開発が予定されているというふうに記しているわけでございます。
  617. 小川国彦

    小川(国)分科員 皆さん方だけではなくて千葉県住宅供給公社も、住宅都市整備公団が同じようなことをやっているので、これも千葉ニュータウンの中央地区、土地つき二戸建て住宅、これの分譲に当たりまして、これはまだつい最近であります、昭和六十年九月十四、十五、十六、「梨もぎフェア」というので、この広告によりますと、やはり「日本橋へ直通五十一分!」「都心が近づいてきた!」「北総開発鉄道第二期工事六十三年完成予定」、住宅公団に右へならえでこういう県の公社のポスターも出ているわけです。  同様に、これはまた同じく千葉ニュータウンの西白井地区の分譲のものでも「日本橋へ直通四十分」、だんだん時間が近づいてきちゃって四十分になっちゃっているのです、今度のは。これも「北総開発鉄道第二期工事六十三年完成予定」、こういうふうになっているわけです。  さらにそれが今度は民間会社にまで及びまして、鎌ケ谷第二という、これは三井不動産グループでやっておりますパンフレットの中でも、交通のことについては同様な記載がやはりなされているわけであります。  こういうことについて、住まれた方々の中では、四十分だ、五十一分だという宣伝で買った、ところが現実には一時間半、二時間、乗りかえ、乗りかえをしなければ通勤できない通勤地獄の中に置かれているということで、これは公団に詐欺に遭ったも同然じゃないか、誇大広告に遭ったも同然じゃないかというふうな非難が集中しているわけです。とても今理事のおっしゃるような答弁では皆さん納得しない。中には、こんな不便なところではもう困るので買い戻しをしてもらいたいと言う人もあるわけです。中には、こういう不便なところではというのでこれを売りに出たところが、百六平米で二千七百三十万円で買ったものが、不便なのでもう一遍売ってよそに出ようとしたら三百万円も値引きされてしまったということがありまして、私どもは公団の広告を信用して四十分か五十一分という広告で買ったのに一時間半も二時間もかかるのでは、公団にこれは買い戻してもらいたい、こういう意見すら出ているのですが、この点についてはどうお考えになりますか。
  618. 倉茂周明

    倉茂参考人 入居者の方々から、今先生指摘のように、将来都心まで直通の電車ができるというふうな期待で買っているのに、昭和六十三年三月に鉄道が完成する見込みが今や少なくなってきたのではないか、絶望的になってきたのではないかというような御指摘とともに、もしそれが決定的になった場合には買い戻しも含めた対応を考えてほしい旨のお話が、私どもの東京支社の方にございました。  そういうお話をいただいた際にも、私どもとしましては、当初は都心直通の鉄道の工事認可等がございませんものですからそういう旨の表示をしないで、現行の鉄道の路線ルートを募集パンフレットに書きましたし、さらに将来こういう計画もありますというような表現で募集した時期が長かったわけでございますが、工事の認可がございました後は、具体の数字が正式に決まっているのであればそのような数字を募集パンフレットに表現することがなお親切ではないかという判断から、厳密に申しますと昭和五十九年二月からの募集の分につきましては、先生お話しのように六十三年三月開通予定というような表現を使わせていただいております。  しかしながら、繰り返しになりますけれども、それ以前の募集パンフレットではそのような表現は用いておりませんで、将来こういう計画もありますという表現でございました。  なお、いずれにしましても、こういうことにつきまして期待が外れたから買い戻しをしてくれとおっしゃられましても、私どもとしましてはそれに対応することはできないというふうに考えておりまして、私どもの務めはむしろできるだけ予定日に完成するように、先ほど台理事からお話し申しましたような出資等あらゆる努力をいたしまして関係方面に働きかけまして入居者の御利便のために一日も早く鉄道が完成することを期待したい、そういう対応をしたいと考えております。
  619. 小川国彦

    小川(国)分科員 運輸省の地域交通局の方がお見えになっていると思いますが、この完成見通しに開通できるかどうか、その点についてひとつ御答弁願いたいと思います。
  620. 本多辰巳

    ○本多説明員 北総の二期のいわゆる京成高砂から新鎌ケ谷まで十一・七キロでございますけれども、工事施行認可が五十七年八月になされております。その後五十八年二月に着工されまして、六十一年一月末現在では用地が全体で約七〇%、路盤工事につきましては事業費ベースで約二〇%の進捗状況となっておるところでございます。  完成の予定時期は、地方鉄道法の手続がございまして、それでまいりますと六十三年三月ということになっておるわけでございますけれども、今日工事進捗上の問題点といたしまして、通過地点でございます葛飾区の地元で高架化に反対の意見が強くて、これを地下にすべきであるという強い要請が出ております。この問題をめぐって目下事業者、公団を含めてでございますけれども、地元と交渉中でございますけれども、なかなかうまくいっていないというふうに聞いてございます。  いずれにいたしましても北総二期の工事がニュータウンと都心を結ぶ重要な足であるという認識を持っておりますし、今後とも従前どおりに積極的に地元との協議を進めて早期完成を図るように事業者を指導してまいりたいと思っております。
  621. 小川国彦

    小川(国)分科員 皆さんの答弁は指導してまいる。しかし、そういうことじゃなくて、私が伺っているのは六十三年三月三十一日の竣工期限に完成するという見通しについては責任が持てますか、こういうふうに聞いておるのです。
  622. 本多辰巳

    ○本多説明員 現時点で、先ほど申し上げましたように事業者が地元といろいろ協議をしている段階でございます。この協議がいつまとまるかというのは、協議事項でございますので今の段階ではっきり申し上げることはできないわけでございまして、その辺の協議の成り行きによるかと思います。
  623. 小川国彦

    小川(国)分科員 鉄建公団が参っていると思いますが、鉄建公団としては運輸大臣の指示事項のとおり六十三年三月三十一日の完工についての責任は持てますか。
  624. 常川隆司

    ○常川参考人 御質問の点に関しましては、先ほどの運輸省からの答弁と若干ダブるかと思いますが、問題の葛飾区との協議が近々まとまるということになれば、残った期間におきまして精いっぱいの努力をすれば期限内に工事そのものは完成することは可能であるというふうに考えております。またそのように努力してまいるつもりでおります。
  625. 小川国彦

    小川(国)分科員 運輸省と鉄建公団に伺いますが、葛飾区との協議については、いつごろ大体協議が調う見通してありますか。
  626. 本多辰巳

    ○本多説明員 直接協議を担当しているわけではございませんので、公団から間接的に開いておる状況でございまして、むしろその辺につきましては公団の方からお答えいただいた方がよろしいかと思います。
  627. 常川隆司

    ○常川参考人 葛飾区との協議につきましては最近かなり動きが出てまいりまして、実質的な審議もいろいろと進められておるという段階でございますので、できるだけ早くまとめるように、できれば本当に私どもとしては三月中にでもまとめたいということで最大限努力しておるというのが現在の状況でございます。ただし、もちろん相手のあることでございますので、我々だけで一方的にまとめるというわけにもまいりません。そこらにつきましてはまだ不確定な要素があるということも事実でございます。
  628. 小川国彦

    小川(国)分科員 皆さんの方では東京都内についての用地の取得状況は何%取得されておりますか。
  629. 常川隆司

    ○常川参考人 東京都内に関しては約七%程度であると記憶しております。
  630. 小川国彦

    小川(国)分科員 工事は全体で何%進行していますか。
  631. 常川隆司

    ○常川参考人 東京都内の工事はまだ手をつけておりません。
  632. 小川国彦

    小川(国)分科員 全体での工事はあと何%残っておりますか。
  633. 常川隆司

    ○常川参考人 路盤工事につきましては現在約二〇%の進捗状況でございますので、八〇%残っておるということでございます。
  634. 小川国彦

    小川(国)分科員 用地が東京都内が全体の七%しか買えてない。しかし工事は全く手をつけてない。それから路盤工事は八割も残っておる。こういう状況であと二年後に完成するのかどうか、きょうおいでの住宅公団の理事も運輸省の担当者も、それから鉄建公団の皆さんも二年後にどこにいらっしゃるかわかりませんけれども、皆さんは二年後にこれが開通しなかったときにどういう責任をお感じになりますか。  今そういった答弁で、住宅都市整備公団は今次竣工期限が六十三年三月三十一日という鉄道の申請書がそうなっていたからそう書いた。もう一遍伺いますが、そういう答弁でしたね。
  635. 台健

    ○台参考人 御指摘のように認可がそうなっておりましたことと、それを目標に事業主体が努力されておることを了解しておりましたので、記載したわけでございます。
  636. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうするとあなたの方は、もう竣工期限の申請書にそう書いてあった、それから当事者が努力してくれるだろう、そういう期待感だけでこれを書いた、こういうことになりますね。それに対して自分たちが、少なくとも住宅地を売る人として、この鉄道の開通ということをあらゆるポスターに広告に入れるなら、その責任を持たなければならぬということをそのときに考えなければならぬのじゃないですか。いかがですか。
  637. 台健

    ○台参考人 申請書に記載してあっただけでなしに、大臣の認可の内容として六十三年三月となっておったということでございます。  それからパンフレットの書き方につきましては、私たちも一般の応募される方の誤解のないようにこれからも十分検討し、工夫してまいりたいというふうに考えております。
  638. 小川国彦

    小川(国)分科員 運輸省はこのことについて、大臣というのは認可を与えたときには竣工期限に完工しなかった場合はどういう責任を問えるのですか。
  639. 本多辰巳

    ○本多説明員 地方鉄道法上では第十三条に、工事施行認可をする場合には、竣工の期限を付すという規定がございます。それに基づきまして当然竣工期限を付すわけでございますけれども、当然工事施行認可といいますのは今から工事にかかってやり上げていくということでございますので、その過程においていろいろ問題が出てまいるはずでございます。ただ、その辺につきましては通常の状況を前提にして期限を付すわけでございますので、その辺が、いろいろな問題が発生した場合に確実にできるかどうかということは不確定な部分がございます。
  640. 小川国彦

    小川(国)分科員 ともかく時間がないから私申し上げておきますが、運輸大臣というのはこういうものが事業計画どおり遂行されるということに監督責任がありますし、その中には、何年でこういうものの償還をするという計画もあるし、その上にあるので、近く時間のじっくりとれたときにもう一遍あなたに来てもらってやりたいと思います。  公正取引委員会がお見えになっていると思いますが、今私がただしているように非常に不確定な要素の上にこういう誇大広告をしているということに対して、公取としてはどういうふうに見解をお持ちですか。
  641. 平林英勝

    ○平林説明員 一般的に申し上げまして、新線の建設工事完成につきましては種々の理由によりまして変更されることがあるわけでございますが、変更されたにもかかわらず当初の完成時期を表示するということであれば、その交通機関の利用可能時期につきまして一般消費者を誤認させるおそれがあるわけでございます。そのため、業界の自主規制ルールであります不動産業における公正競争規約の逆用におきましては、新線の完成予定年月日について表示するときは事前に変更の有無を確認した上で表示することが望ましいとしているわけでございます。  本件の表示につきましては、住宅都市整備公団の方から事情を伺いまして、今後の広告につきましては工事の進捗状況に応じまして適正な表示を図るよう申し上げたところでございます。  先ほど御質問のありました千葉県住宅供給公社の広告につきましても、同様に適正な表示となるよう指導してまいりたいと考えておりますし、民間の不動産業者のうち不動産公取協の会員につきましても同協議会を通じて同様の指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  642. 小川国彦

    小川(国)分科員 最後に建設大臣に、ずっと経過をお聞きになっていただいたし、このパンフレットもチラシもごらんになっていただきたいと思うのですね。これはやはり熱心に都心に近い良好な宅地なり住宅を求めたいという国民の立場からいえば、四十分だ、五十一分だ、こういう表示があって、しかも六十三年三月三十一日開通予定というものが少なくも天下の公団や県の公社というところから表示されておれば、だれしもがやはりこれを信用してお求めになるのは当然だと思うのですね。ところが、それについては今公取が指摘するように変更になるというおそれもある。事前に変更の有無の確認をしなかった、こういう形で売りに出している責任というものは重大だと思うのですね。こういう点で、私は何も皆さん方の責任をただすだけじゃなくて、そういう表示をしてきたからには、少なくとも六十三年三月三十一日にこの北総鉄道の二期が開通して四十分なり五十一分で都心に来られるように全力を挙げて努力するというその誠意がなければいかぬと思うのですよ。  そういう点をやはり建設大臣が最高の責任者としてきちっと御指導願いたいと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  643. 江藤隆美

    江藤国務大臣 本件につきましては先般来いろいろ問題があるということで事務当局に皆来てもらいまして実は検討を進めておったところでございます。きょう先生からこの分科会で御質問があろうとは思っておりませんで、実は先般来省内で検討しておったところであります。  しかし、こうして開発を住都公団が手がけてきたということは、これは建設省が監督官庁でありますし、しかも、六十三年三月には北総開発鉄道が開通する見込みで頑張っておるようであります。特に、先ほど鉄建公団のお話を聞きますと、何としても三月にでもこの土地の問題が片づけば工事の方は間に合いますという言葉もありましたし、また、住都公団も今年度に引き続いて六十一年度も二億五千万の出資をしてこの促進を図ろうということは、やはり住都公団そのものも非常に責任を感じてそういう措置をとっておるものであると私は考えております。いやしくも、ここに入居された方がたくさんいらっしゃるわけでありますから、不便をかけないように、これから残された日月を最大限に誠心誠意約束が果たされるように努力をすることが私どもに与えられた責任であろう、こう考えておりますので、各機関とよく計らいまして一生懸命この問題に取り組んでまいろうと思っておるところでございます。
  644. 小川国彦

    小川(国)分科員 建設大臣のただいまの御発言を私どもも尊重いたしまして、ひとつ建設大臣によって住宅公団、鉄建公団一体となってこれが期限内に開通を見ますよう御努力をお願い申し上げ、質問を終わりたいと思います。
  645. 住栄作

    ○住主査 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後八時五十六分散会