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1986-03-06 第104回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十一年三月五日(水曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。      住  栄作君     浜田 幸一君      森田  一君     川俣健二郎君      木下敬之助君 三月五日  住栄作君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 昭和六十一年三月六日(木曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 住  栄作君       浜田 幸一君    森田  一君       川俣健二郎君    佐藤  誼君       渋沢 利久君    小川  泰君       岡田 正勝君    木下敬之助君    兼務 網岡  雄君 兼務 大出  俊君    兼務 関  晴正君 兼務 田中 克彦君    兼務 竹内  猛君 兼務 細谷 昭雄君    兼務 松前  仰君 兼務 横江 金夫君    兼務 和田 貞夫君 兼務 遠藤 和良君    兼務 長田 武士君 兼務 駒谷  明君    兼務 柴田  弘君 兼務 中村  巖君    兼務 塩田  晋君 兼務 浦井  洋君    兼務 辻  第一君 兼務 中林 佳子君  出席国務大臣         建 設 大 臣 江藤 隆美君         国  務  大  臣          (国土庁長官) 山崎平八郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       吉居 時哉君         国土庁長官官房         会計課長    斎藤  衛君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁大都市圏         整備局長    山本 重三君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 廣瀬 利雄君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君 分科員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第三         課長      武政 和夫君         総務庁長官官房         地域改善対策室         長       熊代 昭彦君         大蔵省主計局主         計官      浅見 敏彦君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   小林 康彦君         厚生省社会局生         活課長     矢野 朝水君         資源エネルギー         庁公益事業部発         電課長     吉沢  均君         運輸省港湾局防         災課長     塩田 精一君         建設省道路局道         路経済調査室長 藤川 寛之君         自治大臣官房参         事官      奥田 義雄君         日本国有鉄道技         術計画室計画主         幹       田中  寿君         日本国有鉄道施         設局踏切課長  藤田 喜行君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     篠原 忠良君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大久保一男君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     北村 照喜君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   並木 昭夫君         参  考  人         (本州四国連絡          橋公団理事)  吉田  巌君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   京須  實君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     佐藤  誼君   木下敬之助君     岡田 正勝君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     渋沢 利久君   岡田 正勝君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   渋沢 利久君     川俣健二郎君   青山  丘君     小川  泰君 同日  辞任         補欠選任   小川  泰君     横手 文雄君 同日  辞任         補欠選任   横手 文雄君     小川  泰君 同  辞任         補欠選任   小川  泰君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   青山  丘君     木下敬之助君 同日  第一分科員関晴正君、和田貞夫君、遠藤和良君  、中林佳子君、第二分科員大出俊君、細谷昭雄  君、長田武士君、第三分科員松前仰君、第四分  科員中村巖君、第五分科員網岡雄君、田中克彦  君、竹内猛君、柴田弘君、第六分科員駒谷明君  、塩田晋君、第七分科員横江金夫君、浦井洋君  及び辻第一君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計予算  昭和六十一年度特別会計予算  昭和六十一年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ――――◇―――――
  2. 住栄作

    住主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和六十一年度一般会計予算昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算総理府所管国土庁)について政府から説明を聴取いたします。山崎国土庁長官
  3. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和六十一年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千三百三十八億三千七百万円余を予定しておりまして、前年度予算に比べ十六億二千七百万円余の減となっております。  その主要な内容は、第一に、第四次全国総合開発計画策定等国土計画推進。第二に、地価の安定、適正な土地利用促進等総合的土地対策推進。第三に、水資源開発及び有効利用促進等の総合的な水資源対策推進。第四に、良好、安全な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進。第五に、人口地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興推進。第六に、地方都市開発整備工業の再配置及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団事業推進。第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和六十一年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 住栄作

    住主査 以上をもちまして、総理府所管国土庁)についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 住栄作

    住主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
  6. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 それでは質問いたします。  今日まで国土開発の重要な課題は、格差是正国土の均衡ある発展実現にあったと思います。そこで、今三全総のフォローアップをやっているわけでありますが、三全総ではその点具体的にどのような成果を上げてきたのか。特に東北地方山形県の格差是正に焦点を当てた場合とのような状況になっているのか、その点をまずちょっとお聞きしたいと思います。
  7. 星野進保

    星野政府委員 数字について御説明申し上げます。  全国人口についてでございますが、三全総では、人口につきましては大都市抑制地方振興という建前から、東京圏大阪圏についての人口、それからその他地方地域についての人口を言っております。まず東京圏大阪圏でございますが、昭和六十年計画では東京圏が全人口の二五・二%、大阪圏が一三・九%という計画を立てておりましたが、最近の実績を見ますと、これが東京圏が二五・〇、大阪圏が一三・六という形で、三全総の意図する方向へうまく進んでいるようでございます。  それから、お尋ねの東北地方について見ますと、三全総では昭和六十年につきまして一〇・三%という人口の比率を想定しております。これは五十五年に一〇・三%でございますが、五十九年の、これは推計人口でございますが一〇・一ということで、パフォーマンスが東北については少しよくないのではないかということでございます。  それから、次は東北だけに限りまして、所得格差についてでございますが、東北所得格差は、全国平均を一〇〇にいたしまして五十年が八四・〇、五十五年が八二・九、五十八年が、これは古いところでございまして最近数値がございませんので、八二・三。これも所得格差がちょっと不利になっておる。山形県そのものをとってみますと、八三・一、八〇・〇、八一・一と、少しは反発しておりますが、依然として余り改善は見られないという形でございます。  それから、東北山形県の工業出荷額について見ますと、五十年が全国比丘・五%、五十五年が五。七、五十九年が六・〇。山形県が同じく工業出荷額で、全国比でございますが、〇・五、〇・六、〇・七。工業が徐々に上昇してきているということはうかがえます。  同じように工場立地件数につきましても、例えば山形県につきまして、四十五年から四十九年が全国比二・九、五十―五十四年が三・一、五十五―五十九年が三・四。最近若干ずつでございますが、工場立地作数がふえてきておるということでございます。  総じて言いますと、東北全体といたしまして、人口についてはほぼ三全総が想定したところを若干下回るかという感じでございます。ただ、工業等につきましては、最近の動きがだんだんと明るくなってきておる、所得格差については当初望んだほどには改善されていない、大体そんなふうに御理解いただいたら間違いないんじゃないかと思います。
  8. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 これは評価観点によっていろいろ違うと思うのです。今の答弁でも、私なりに受けとめますと、私は東北山形に住んでいるせいか思うのだけれども、当初考えたほど成果を上げていないというように受けとめざるを得ないと思うのです。  今人口の増加の問題やらいろいろありました。その中で、私の手元にも、例えば格差是正の目安になる県民所得工業出荷額についてあります。余り違いはありませんけれども全国を一〇〇とした場合に、昭和五十年、五十五年、五十六年を東北山形で見ますと、先ほどありましたように、東北地方の場合には五十年が八三・九、五十五年が八二・七、五十六年が八二・二。山形県の場合には五十年が八三・〇、五十五年が八〇・〇、五十六年が八〇・四というふうに、若干の違いはあるけれども横ばいか、思うほど上がってないのです。  それから、工業出荷額についても同じようなことで今の年度で言いますと、東北が五十年には五・五%、五十五年が五・七%、五十六年が五・六%という全国シェアなんです。山形県も同じように、五十年が〇・五三、五十五年が〇・五八、五十六年が〇・五九。余り違いないですね。  ですから、これは東北皆さん山形から言うと切実なる期待を持っておりますから、これでは、本当に地域格差是正国土の均衡ある発展という長年にわたっての国土開発の重要な課題が果たして達成されてきているかどうかという点になりますと、皆さんがかなり疑問に思っているし、それだけに四全総にかける期待が極めて大きいと言わざるを得ないと思うのです。  そこで、山形県にかかわって若干申し上げて、後で質問したいと思うのですが、五十七年三月の東北地方開発整備に係る国土審議会報告というのがあるのです。その中に「交通体系整備」というのがありまして、その中に具体的に項目を挙げてあるのです。それは東北横断自動車道整備、それから国道十三号線の整備庄内空港の新設、日本海沿岸高速道検討等が挙がっております。  ところが「三全総フォローアップ作業報告」というのを見ますと、これらの点がどのように実現されたかという観点で見ますと、その作業報告の「国土基盤整備状況問題点」という項目の中にいろいろありまして、関係するところだけちょっと引用いたしますと、「日本海沿岸半島の一部地域等において受益が及ばない所がかなり残されている。」こういう総括になっているのですよ。今具体的に高速交通網、特に道路関係について申し述べたのですが、それが具体的にどのように実現されたかというフォローアップについての総括についても「日本海沿岸半島の一部地域等において受益が及ばない所がかなり残されている。」こういう評価になっているのですね。ですから、これから四全総策定されるわけですが、この点は十分思いをいたして策定に当たって考えてもらわないと、地域期待が大きいだけに大変私たちとしては考えてもらいたいというふうに思うところなわけであります。  ちなみにもう一つ申し上げますと、三全総のフォローアップの中に、地方生活圏別高速交通機関整備状況というのがあるのです。それを見ますと、整備状況を見る一つの視点として、道路系、これは高速道路インターチェンジより三十キロ圏内鉄道系新幹線駅より三十キロ圏内航空系ジェット機就航空港より五十キロ圏内、これを基準にして、以上三機関とも未整備地域がずっと挙げてあるのです。全国にそんなに多くはないのですけれども、その中に山形県も入っていますが、山形県の中では、私も住んでおります日本海沿岸、十万都市があそこには鶴岡市、酒田市二つあるのですけれども、合計いたしますとあの海岸地域で大体三十三万ぐらいの人口がおります。通称庄内地域と呼んでおりますが、この地域も今の三機関の未整備地域に入っているのです。ですから、非常に狭い地域だけれども人口三十三万、しかも人口十万都市が二つありながらこういう状況というのは、地域からいうと何とかしてもらえぬのかという感じが非常に残ると思うのです。  そこで、私は具体的に次の点について意見を述べて質問したいと思います。  四全総策定に当たっては、依然として残っている東北地方山形県の格差是正に今申し上げた理由から全力を挙げていただきたい、これは要望です。  次に、山形県の高速交通網整備に当たって当面する緊急の課題は、東北横断自動車道酒田線整備促進、それから国道十三号線の早期四車線化庄内空港建設促進にあることを特に私はこの際建設省国土庁に申し上げておきたいと思うのです。建設省の方、おいでですか。  ついては、四全総のかかわりで国土庁質問したいと思うのです。  それは、東北新幹線の通らないのは山形、秋田と二つだと思うのです。二十一世紀を展望した国土計画の中で、これから策定されるわけでありますが、奥羽新幹線羽越新幹線実現をどのように考えているのか、その所信を聞かせていただきたい。これは長期計画に対しての所信ですからぜひ国土庁長官に率直な所信を伺いたいと思うのです。  次に、建設省質問いたしますが、第九次道路整備五カ年計画の中で、その期間内、つまり昭和六十二年まで高規格幹線道路網計画策定されることになっているわけです。そこで質問は、三全総の計画の中にも組み入れられてきた日本海沿岸高速追及び東北中央高速自動車道高規格幹線道路網への組み入れ見通しはどうであるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。特に日本海沿岸高速道の場合には、私が聞き及ぶところでは三全総の一万キロネットワークの中に一応策定として入っているというふうに聞き及んでいますので、その点も踏まえながらひとつ御答弁いただきたいというふうに思います。  以上です。
  9. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 総括的なお答えを申し上げますが、第一に、四全総におきましては地域間の均衡ある発展を図るという観点から、地域の主導する産業振興居住環境整備などによりますところの個性のある地域づくり推進方策と、地域間の交流を支える国土基盤整備あり方などを明らかにすることを考えております。  第二といたしまして、計画策定に当たりましては東北日本海側を初めとする国土基盤整備の立ちおくれている地域への配慮が必要と認識いたしております。  以上でございます。
  10. 星野進保

    星野政府委員 今先生最初に御指摘いただきました各高速交通体系白地地域でございますが、先生多分資料をお持ちだと思います。これを見ますと、東北全般というより東北西側白地地域が大変多うございます。東北全体を一本で指標化いたしまして検討いたしますと、東北新幹線あるいは東北縦貫道、そういうのが通っておりますので、大変充実した数字がむしろ出る感じでございますが、東北を東と西に分けてみますと、西側は非常に取り残されておるという形になっておるのは御指摘のとおりでございます。  このうち、先生御案内のように庄内空港につきましてはほぼ片がついた格好になっております。それから先生指摘日本海縦貫でございますが、これは御指摘のとおり三全総で明記されている路線一つでございます。ただ構想ということでございまして、三全総非常にうまくつくってありまして、こう言うと怒られますが、構想というのと実施というところが分けてございまして、構想の方に日本海縦貫が入っておるわけでございます。  なお、現在策定作業中でございますが、この四全総全体につきまして高規格自動車道についての要望が大変強うございます。要望でいいますと現在一万キロ余では到底おさまりません。私どもがかなり早い時期にまとめたときに一万五千キロという要望がありまして、現在は恐らく一万七千だとか要望でいえば大変な要望があろうと思いますが、それを全部また計画の中に到底盛り込めるものでもございませんので、そのところ今私ども作業的に大変苦慮しておりまして、いろいろな角度で検討しておる最中でございます。例えば五万都市以上を結ぶとどうかとか、あるいは採算の観点からいえば需要の強い地域から調査していくとどういうところがあるのだろうかとかいろいろな形で考えておりますし、また地方からいろいろな実情を承りましていろいろ検討させていただいている最中でございます。  それで最後に、具体的ではございませんが、全体としまして冒頭申し上げましたように東北西側がかなり白地地域が多いという認識につきましては私ども十分承知しております。
  11. 藤川寛之

    藤川説明員 今先生からお話がございました高規格幹線道路網でございますけれども、私どもの方にもとにかく早く正確に走れる道路整備ということでその整備を促進してほしい、早くやってほしいという要望が非常に強く出てまいっております。今国土庁の方からお話がございましたように、私どもとしてもそういう高速交通体系白地地域というのですか、そういう地域が結構ございますので、そういうところでの利用のしやすさというのですか、そういうものも念頭に置きながら、現在高規格幹線道路網路線あり方とか整備のやり方というようなものを調査しているところでございます。  今先生お話がございました日本海沿岸縦貫高速道路、それから十三号沿い東北中央高速道路ですか、これにっきましても、私どもとして今高規格幹線道路網候補路線一つとして調査検討を進めているところでございまして、私どもの予定といたしましては、先生からもお話がございましたように来年度、昭和六十二年度までに具体的に計画策定したいというふうに考えております。
  12. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 再度質問を重ねますけれども国土庁長官には一般的な見解の表明はあったのですが、私は、具体的にこの二十一世紀見通し四全総策定がなされるわけですから、したがってそういう観点に立ったときに、東北の中での奥羽新幹線あるいは羽越新幹線、この辺についての見通しについての所感といいますか所見というか、それをぜひひとつ考え方をお聞かせいただきたいのです。  ついては、時間がありませんから、国土庁に対しましては、東北の中でも日本海を含めた西側高速交通整備がおくれている、白地地域が多いということなんですね。まさにそのとおりだと思うのです。確かに山形県でとれば、庄内空港建設見通しが出てまいりまして、今年度実質的に調査費がついて具体的に始動し始めておりますから、これは六十年の中期にフライトするという、こういうことが進んでいますから、それができますとよほどやはり変わってもくるだろうと思いますが、まだちょっと先のことだということですから、その点は十分ひとつお考えしながらこの白地地域をなくするということでひとつ御努力をいただきたいというふうに思っておるのです。  特にその中で、今具体的に日本海沿岸高速道の話をいたしましたが、確かにこれは三全総の一万キロ構想の中に載っているわけでありますが、さらに四全総、しかも新しい計画がつくられていくわけですから、それを構想ではなくて具体的なものにしていただきたい。それからさらに東北中央高速自動車道、これは新しい構想としてずっと今出てきているわけですが、これもぜひ頭の中に入れておいていただきたい。  それから、先ほど建設省に対しましては、具体的に実施を想定する第九次道路整備五カ年計画という、その中での高規格幹線道路網を六十二年までに策定することになっているのでしょう。ですからその中に、合いろいろヒアリングしているわけですから、具体的に今挙げましたところの日本海沿岸高速自動車道東北中央高速自動車道、これなどがどういう形で作業の過程で組み込まれていくものやら、その辺についての見通しを私は重ねて聞きたいので、きょう実は道路局長にぜひ来てもらいたかったのですがおいでにならないようでありますが、答えられるところでひとつ答えていただきたい。
  13. 藤川寛之

    藤川説明員 先ほども説明いたしましたが、この日本海沿岸縦貫高速道路それから十三号沿い東北中央高速道路でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この両路線とも、私どもの方には非常にたくさんの高規格幹線道路網計画の中に組み込んでほしいという要望がまいっているわけでございますけれども、この両高速道路もその一部でございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、私どものこういう新しい高速交通体系ネットワークあり方を検討する上の大前提としては、やはり現在高速道路利用が非常にうまくいっていない地域をできるだけ助ける、そういう観点は当然考えなければいけないというふうに考えておりまして、そういう観点を踏まえて現在調査をやっている最中でございます。私どもとしては、第九次道路整備五カ年計画期間内ということで来年度までに、昭和六十二年度までに具体的な路線計画、それからやはり私どもとしてもこれをどうやって整備していくかというのは非常に重要な問題でございますので、具体的にどういうふうに整備していくかというようなものも含めてその計画策定したいというふうに考えているわけでございます。
  14. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 一般的なお話になりますけれども四全総計画策定に当たりまして、先ほども申し上げましたが、東北日本海側におきますところの国土基盤整備の立ちおくれている地域への配慮を十分払いながら行ってまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  15. 星野進保

    星野政府委員 新幹線につきましては、これも先生既に御案内のとおり、整備新幹線の問題が現在がなりいろいろな角度から検討されている最中でございます。  同時に、現在新幹線につきましても私どもの二十一世紀を展望するという形からいいますと、従来の新幹線型でいいのかどうか。むしろ現在リニアモーターだとかいろいろな形の新しいモードが出てきそうでありますので、そういったようなものも含めながら、あるいは新幹線に全く依存するのかあるいはコミューターのようなものを使った方がいいのか、そういう交通体系全体としてもう一回じっくり勉強する必要があるのじゃないかというような国土審議会等の御意見でございまして、私どもそういう観点で今勉強させていただいている最中でございます。基本的な考え方は今大臣が御答弁申し上げたような考え方だと思います。
  16. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 今大臣から、東北西側、特に日本海に視点、力点を置いて四全総策定をしていきたいという基本的な考えがありましたから、ぜひそれは策定の段階で実現をしていただきたい。  それから今の奥羽新幹線羽越新幹線見通しとなりますといろいろな課題があるわけですが、地元では非常に大きな期待を持っているという、このことはぜひひとつ頭の中に入れておいていただきたい。  それから先ほど建設省からありましたところの日本海沿岸高速自動車道それから東北中央高速自動車道、これはともに重要な課題でありますし、特に日本海沿岸高速自動車道は、先ほどありましたように三全総の構想の中にはもう入っているわけでありますから、これを具体的な高規格幹線自動車道の構想整備の中に入れていくようにぜひひとつ私の方から要望したいし、建設省もそれを受けながら、第九次となりますと年度も決められておりますから具体的でありますけれども、なかなか今すぐ即答はできない面もあると思うのですが、ぜひ地方要望を入れてその中に組み入れるように重ねて私の方から要望しておきたいというふうに思います。  そこで、時間も迫ってまいりましたので次に続けたいと思うのでありますが、今も話しましたように三全総のフォローアップ作業とともに四全総計画策定がこの秋ごろに完了するというふうに聞いているわけです。四全総の二十一世紀に向けた課題は極めて多いわけでありますが、やはり依然として重要な課題地域格差是正国土の均衡ある発展だと思うのです。その点、今四全総策定に当たってどう考えているのか、この辺の基本的な姿勢と考え方を私は重ねて聞きたいと思うのです。これは長官に聞きたいと思います。  ただその際、私の所見を若干述べて見解を承りたいと思うのですけれども、最近の都道府県、政令都市の意見等を見ますと、いろいろありますが、簡単に言うと、交通や教育や情報の基盤整備の上に立って、そして工業再配置、とりわけ先端産業の育成、誘致というようなことを通じて地域格差是正、加えて所得格差是正、雇用の拡大、人口増大そして世代間を含めた定住構想実現というようなことをずっと言っているのだと思うのですよ。これは押しなべて地方の共通する願いだと思うので、この点は十分踏まえていただきたいものだというふうに思っております。  ただ、私はこの際留意すべきことは、三全総のフォローアップにもあるのですけれども、高齢化社会、二十一世紀にとっての重要な課題ですが、ただし子細に調べてみると、高齢化社会の進行が中央よりは地方地方の中にも過疎地域、これが急速に進むわけですね。私は、今までの状況でいくと、この過疎地域と言われる地域がますますお年寄りだけが多い地域、そして若者がいない、嫁がいないという地域になっていきはしまいか、このことを非常に心配するわけです。  そういう点からいいますと、今のような簡単に言うと格差是正工業再配置、そして雇用の拡大、所得の増大といったようなことは、若者を定着させる、そして若者とお年寄りを含めた世代間がむつみあって地域をつくっていく活力の根源でもあると思うのです。ですから、その点は四全総にとっての重要な視点であり課題だと思うので、ぜひひとつ考えていただきたいということでございます。  三全総でも、大づかみなことを言いますと、公共投資総額二百四十兆円、これは五十年度の金額でございますが、大体そういうことが言われております。この金がどこにどのように使われたのか、その成果はどうであったのか、そういう公共投資の関係からもぜひひとつ再検討してもらいたい。そして聞くところによりますと、四全総の公共投資の総額が約六百兆円とも出ています。それから交通網の整備に五十兆円とも言われていますね。これらの金をどこに使うのか。今までも議論になっておりましたところの東北なり山形というところからいいますと、こういった予算を思い切って東北なり山形等に傾斜配分して重点的に格差是正を図っていかなければ、これは何年たってもなかなか直らぬのではないか、この辺の大胆なる発想を四全総に生かすべきではないのか、このことを特に考えるわけであります。  私なども地方に住んでいますと、平易な言葉で言えば地方には職がない、都市には土地と住宅がない、これを高齢化社会に向けて何とか解消しなければならぬと思うのですよ。このことを考えたときに、まあ言うなれば核分散型の国土の形成とでもいいましょうか、そういうものが極めて四全総にとっては重大だ、その中心になるのは長年言われてきた格差の是正であり国土の均衡ある発展だ、このことに思いをいたして、ぜひひとつ四全総策定についてはこのことを貫いていただきたい、このことを所見として申し上げます。  最後に、国土庁長官の方から一言所見を述べていただきたい。
  17. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 簡単に申し上げますが、三全総に欠けると言ってはなんですが、策定の際に定住圏だけで、点としての各地方都市発展その他願っておりましても、その間の交流について補った考え方が必要である、これが四全総の第一の目標でございます。  要するに、交流と申しますと、もちろん交通、通信、情報、あらゆるものがそれぞれの点を結ぶ線となって、その間の往復のいろいろの流通あるいはまた流動、すべてを完全にするのが四全総でございますから、先生のおっしゃるとおり社会状況も十五年の間にいろいろ変わると思いますけれども、新しい科学技術を取り入れながら、そのように流動を図るということによって本当の均衡ある発展、そしてその間の交流、こういうことを考えている次第でございます。先生お話もよくわかりますので、それらを考えながら策定に向けて、秋でございますのでもう余日少ないわけでございますが、今懸命に努力中でございますので、きょうの御意見を含めてしっかりと策定に持ち込みたい、かように考える次第でございます。
  18. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 終わります。ありがとうございました。
  19. 住栄作

    住主査 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。  次に、田中克彦君。
  20. 田中克彦

    田中(克)分科員 私は、二十一世紀を目指すこれからの交通機関あり方の問題を中心にお伺いをするわけでありますけれども、最近、国鉄の分割・民営の問題をめぐって、国鉄職員の雇用の問題あるいは強制配転の問題、また分割後における不用土地の処分の問題などを中心に、国鉄問題というのは非常に暗い話題に包まれております。そういう中で、きょうお伺いしたいと思いますのは、あえて将来に向かっての明るい話題を中心にしてこれからの行政の取り組みについて伺っていきたい、私はこう思っているわけです。  聞くところによりますと、国鉄が既に昭和三十五年から開発を進めてまいりました超電導磁気浮上式鉄道は、大変先端技術を駆使して技術開発をしている一つだと思いますけれども、運輸省はさらにこれに五十四年度から補助金をつけて、宮崎県の実験線において、昭和五十四年十二月には無人走行で実に時速五百十七キロという超スピードを記録し、また五十六年十二月にはさらに二両連結で三百五キロを記録した、こういう実験を経まして、実用化に対して今大きく一歩近づいて技術陣は自信を強めている、こういうことを聞いているわけであります。  これから二十一世紀を目指す我が国の新しい国土開発計画も始まるわけでありますが、そういう中において運輸省、国鉄は、新しい高速輸送時代を担う主流ともなる可能性を持ったこのリニアモーターカーの開発の現状は現在どういう状況にあるのか、そういう点をまずお伺いしたいと思います。  さらに、これが実用化に向かっていく場合に、今後に残されている課題というのは一体何であり、それを克服していくためにはどういう段階を経て実用化に至らなければならないのか、この点を最初にお伺いしておきたいと思います。
  21. 田中寿

    田中説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、宮崎実験線は昭和五十二年からスタートいたしまして、基礎研究は昭和三十七年からやっております。現在までに工事費約三百十五億円使ってございます。ただいまおっしゃいましたように、五十四年十二月に無人で五百十七キロメートル、五十七年九月には有人実験に成功しております。  これを実用化いたしますには編成の高速実験が必要でございまして、今年度約十二億円、来年度十億円を予算案に追加していただきまして、現在二両で時速三百五キロのところを四百四、五十キロまでできるように電源を強化いたしまして、また、車両として磁気シールドとか車内設備等も完備したプロトタイプ車というものをつくる予定にしております。単線で比較的単純なものでしたら、現在の完成度は八〇%、六十一年度末には九五%くらいになる予定でございます。現状はそういうことでございます。
  22. 田中克彦

    田中(克)分科員 実験に携わった国鉄本社の京谷副技師長さんの「高速鉄道実現に向けて」という論文あるいはまた技術所長の渡辺さんの「鉄道の新時代を切拓くために」というようなものも私ども読ませていただいておるわけでありますけれども、そういう中で最も難しいと言われているのは、液体ヘリウム、マイナス二百九十六度という超低温を使ってその際発する熱を遮断する技術、この難関が大変厳しかったということでありますが、これを大変小型化して車両に積み込むことに成功して、それが一つのネックを大きく克服する段階を超えたというように聞いているわけであります。  そうなりますと、宮崎の実験線ではあと同じような条件で電力供給をふやしてやればもっともっとスピード化することは実際実験上は可能なんだということでありますけれども、御承知のようにあの実験線というのはたった七キロしかない、こういうことでありますから、この実験線では当然限界がある。したがって、少なくとも四十キロ、五十キロ、できれば百キロくらいの実際実用化へ向かっての条件をテストができる、そういう実験線というかモデル線が必要なんだというように私ども聞いているわけであります。  そうなりますと、ただ単にスピードアップということではなくて、リニアモーター力ーの特徴と言われている低騒音、低公害それから安定性、安全性、こういうものはもちろんでありますけれども、そういう中ではさらに高速の分岐だとか空調問題だとか照明だとか、あるいはカーブに対する条件だとかブレーキの性能だとか、またトンネルや勾配との関係だとかという問題の実用化に向かってのテストというのは非常に急がれなければならぬ、こういうことであります。そうなりますと、こういうものに本格的に取り組めるような条件のモデル線というのは、実際には一刻も早く必要なんだということになるわけでありますけれども、この点については国鉄はどういうふうに考えているわけですか。
  23. 田中寿

    田中説明員 現在、浮上式の鉄道につきましては六十一年度末までに実用型の電力供給設備やプロトタイプ車両の開発を行いまして、一つの変電所で制御できる範囲が大体三十キロから五十キロ程度の長さでございますが、その程度の距離での実用化にここ一、二年程度でめどをつけるべく研究開発を進めでございます。  なお、長距離、五十キロ以上のもっと長距離につきましては、営業を行うまでに数十キロの長さのモデル線で試験を行うことが好ましいと考えておるわけでございますが、モデル線については現在全く決まっておりません。
  24. 田中克彦

    田中(克)分科員 そういう実用化へ向かっての一つのステップとして、実用化そのものと変わらないような条件で実験するモデル線が必要だ、こういうことは技術的にも今お答えをいただきました。  そこで、これは国土庁本来の方の関係にもなるかと思うわけでありますけれども、将来的に日本の国土の中の輸送体系をどうしていくか、こういうことは三全総の中にも位置づけられておりますし、これから計画を急いでおります四全総の中でもそれなりの考え方が出てくるのでしょうけれども、実は昭和四十八年に全国新幹線鉄道整備法に基づく基本路線の決定と調査開始、こういうことがございまして、昭和五十三年には甲府―名古屋間の調査結果というのが当時の運輸大臣に中間報告として出されている。しかし、その当時からだんだん日本の経済は低成長時代へ向かっていくという状況もありましたし、国鉄そのものの財政事情等も絡みましてこの問題は一時停滞状態に陥ってしまったようであります。  しかし、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本路線に対する期待関係府県では非常に大きかったわけでありますので、中央新幹線につきましては、建設促進期成同盟なるものが通過予定ルートとされている八つの都道府県、つまり東京、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、奈良、大阪、こういうところで結成をされまして、中央新幹線の基本計画路線、これよりいわば上位にあります整備計画路線五本について大体着手する方針が固まってきているわけでありますけれども、この中央新幹線を早く整備計画路線に格上げをしてもらいたい、こういうことを中心にして当時期成同盟なるものが結成をされたわけであります。  そこで、現在、東海道新幹線の現状を見ますと、あれは御承知のように当時の予測したものよりも通行量も非常に多くなりまして、ほとんどオーバーフローの状態になっている。したがって、このバイパス的な役割を果たす中央新幹線構想というのは、そういう意味でもこれからの日本国内における交通体系の上から一つの重要な位置づけになってこよう、こう思うわけであります。そこで、この見通しについて一体どういうふうになっているかという点を最初に伺っておきたいと思います。
  25. 星野進保

    星野政府委員 現在四全総策定作業中でございまして、国土審議会等でどういう議論がなされているかということについて御報告申し上げたいと思います。  今先生の御指摘のございました中央新幹線の問題でございますが、それとリニアモーターカーとの関係に相なるかと思いますが、まず中央新幹線につきましては、これはいろいろ議論がございます。と申しますのは、全国国土の均衡ある発展という観点から考えた場合に、整備新幹線が今度割合地方を中心にして整備されてまいりますが、同時に、先ほども御議論がありましたように東北であるとかその他かなり新幹線要望の強いところがまだあるわけでございまして、その際、東京―大阪を結ぶ新幹線というのがさらに東京一点集中その他をもたらす危険はないのかという懸念をされる御意見もございます。同時にまた採算性の面からいえば、中央新幹線の方が当然考えられる採算性は確かであろうというような御意見もありまして、現在、議論としてはいろいろな議論があって、それがどちらの方向へ向いているという形にはまだ至ってない状況でございます。  他方、リニアモーターカーでございますが、先ほど国鉄の方からの御説明もありましたように、その特性と申しますか、輸送機関、ハードウエアとしての特性というのについては大方の方がその特性を認めていると思います。その認めておりますのをいかに早く実用化していただけるか、これは技術的な問題が多々あるようでございます。同時に、それを一体どこへ敷設していくのかということになりますと、その地域の経済状況、あるいはそれを一体だれがやるのかという主体の問題だとか、いろいろな問題が絡んでくるわけでございますが、極めて技術的な点に着目すれば、リニアモーターカーというのはこれから大変期待の持てる交通機関ではないかという意見が多いようでございます。
  26. 田中克彦

    田中(克)分科員 これはかねて新聞にも大きく報道されましたが、アメリカでもレーガン大統領がオリエント計画なるものを、構想を発表して、高速輸送時代へ向かって既に取り組みが開始をされているということもあります。アメリカの大陸横断も数時間で可能というようなこと。それから西ドイツにおいても、日本の技術とほとんど競うような形で高性能の高速鉄道が開発されているということでありますから、いずれにしろ新しい時代はそういう方向へ向いて走り出していると私は見るわけであります。  そうなりますと、今言うように中央新幹線構想なるものが東海道新幹線のバイパス的役割を担う。しかも、このスピードでいくと東京―大阪間というのは一時間で結ぶということになりますし、北九州と結んでも二時間あったら十分だというようなことになって、しかもその上に、陸上輸送ですから安全性はある。リニアですから、これを導入すれば騒音はない、公害もない。こういうことになりますと、今走っております新幹線の沿線で起こっているような問題もほとんどなくてそれが可能になるという条件から考えますと、これはそういう点でこれからの輸送のあり方の中でこのリニアモーターカーを主要な新幹線に走らせるという時代は遠からずやってくるのではないか、こういうふうに私は実は思うわけです。  そこで今考えておりますのは、その中央新幹線構想をあえてお聞きをしたのは、やはりここにリニアモーターカーを入れて走らせるというようなことを、この日本の中をリニアモーターカーで結ぶ高速鉄道のまず手始めとして東京―大阪間、これは今のいろいろな条件から見ても非常に有望じゃないかと思いますので、そういう点から国土庁の考え方をお伺いをしたわけです。  そこで、これは星野局長、先日は山梨へもお見えになりましたから、雰囲気や事情はよく御承知だと思いますけれども、山梨でも既にこのことに非常に着目をして、昨年の六月、六十一年度の国の施策や予算要求の中にこの問題を入れて政府の方に要望を出しております。御承知だと思います。それで、本年に入ってからも急速にこの機運は盛り上がりまして、知事を先頭にしてこの二月十五日には県庁内にリニアモーターカーモデル線建設促進対策本部とその対策室というのを設置しまして、非常に前向きの姿勢と意欲を示しております。それに次いで二月二十二日に、甲府市内に知事を先頭にして、県選出の国会議員から、県内を網羅したあらゆる団体の代表、各議会の代表、こういう人たちが集まって期成同閉会を結成している。これは一大県民運動に盛り上がっているわけであります。  そこで、先ほど佐藤誼議員の質問の中にもありましたけれども、これから策定を急いでおります四全総というのは、従来の定住圏構想から一歩踏み出して今度は定住と交流、こういうことでありまして、そういう点からすれば、これからの日本全体の国土開発計画の中に持つこのことの意味は非常に大きいと私は思っております。  私、かつて西ドイツへもちょっと調査に行ったのですけれども、そこで都市開発の問題で現地の市長から話を聞きまして非常に感銘を受けたのは、この人間社会の中で何が幸せかといえば、やはり人間というのは、生まれた場所に仕事があって生まれた場所で生活ができる、この条件を大事にするということが非常に大事なんだ、我々は都市開発計画というのはそれを基調に置いておりますと。もちろん、ドイツというのは平原でアウトバーンが非常に発達している、そういうような条件もあるでありましょうけれども、逆に言えば日本は狭い国土ですから、その中をこういう超高速の輸送機関で結べば、これはもう可能でないなどという時代ではないと私は思っているわけでありまして、そういう意味から、この策定中の四全総の中に今申し上げましたようなリニアモーターカーによる中央新幹線構想というものをぜひ位置づけることができないかという点であります。この点はぜひひとつ長官から前向きの御答弁をお願いしたい、こう思います。  それから、それに付随をして、実は私ども伺っておりますのは、六十一年度の予算の中で具体的な調査にぜひ入ってもらいたいということでありますが、何か若干調整費があるようでありますから、そういうものを使ってそれはできないものだろうかという点についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  27. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいまお話に数々出てまいりましたように、リニアモーターカーは大量性、高速性、それに環境保全等々いろいろと特性を持っておりまして、この特性を前提といたしますならば、先ほど申し上げました定住と交流、この交流部門で、例えば大都市間の輸送あるいはまた空港アクセス、こういうところに非常に適しておるものと認識いたしております。そこで、四全総におけるところの高速鉄道網は、リニアモーターカー等の新しい技術の動向をただいま見きわめつつございますが、路線の特性にそれぞれ適した合理的なシステムを選択して構成していく考えでございます。  以上でございます。
  28. 星野進保

    星野政府委員 先生今御質問の後段の件は、国土総合開発事業調整費の調査の件についてだと思います。現在、国会で六十一年度の予算について御審議いただいている最中でございますので、六十一年度予算の執行について私どもがとやかく言うことは言い過ぎでございます。  それで、その点は御容赦願うといたしまして、私たちの気持ちといたしましては、先ほど国鉄の方からも御説明がありましたが、技術開発の段階については、私たちも国鉄のお話等を伺いましてかなり進んでいるんだというふうに思っております。したがいまして、その際、私ども国土開発を担っている者といたしましては、そういう技術がその地域にどうなじんでいくか、あるいは地域となじませるためにはどうしたらいいかという、ある意味でソフトといいますか、そういった面についてのいろいろな調査をやる必要は私ども十分感じておりますので、予算が成立して執行の段階になりましたら、そういう面について我々十分検討させていただきたいと思っております。
  29. 田中克彦

    田中(克)分科員 これは私がさっき質問の中で申し上げましたように、沿線の各県、また特に本県なども、私、山梨なんですけれども、非常なそういう期待を実は寄せている問題でございます。特に地域格差是正、その交流という意味から、これからの大変重要な輸送時代への構想だと思いますので、ぜひひとつ前向きな取り組みを期待をし、またお願いをしたいと思うわけであります。  そこで、もう一つちょっと伺っておきたいと思いますのは、昨年の暮れに、科学技術庁の航空宇宙技術研究所ですか、ここが開発しております低騒音STOL飛鳥という飛行機がありまして、これはテスト飛行にも大変成功したということが言われております。これは直接的には科学技術庁の所管でありましょうけれども、さっき申し上げましたように、これからの輸送機関あり方という点で国土庁はこのことについてはどのように承知をされているのでしょうか。
  30. 星野進保

    星野政府委員 実験上の成果をかなり上げているということは私ども承っております。ただ問題は、これからどのくらいコストなり経済性を維持していくかということが問題のようであります。  ただ、これも、私ども国土政策との関連で申し上げますと、今後いろいろな意味で航空需要は豊かになってくると思うのです。その中で、既存のコミューターのようなものを活用する場合に、ああいうランディングの距離の非常に短い飛行機が非常に有効になるだろうという期待を私ども大変持っておる次第でございます。
  31. 田中克彦

    田中(克)分科員 この飛行機の特徴は非常に短い滑走距離で離着陸ができる。九百メートルといいますから、今の普通のジャンボの半分以下ということになります。したがって、ローカル空港のジェット化が可能になる。しかも進入角度は六度という急角度でできるということ。それでありながら速度は百三十三キロということでありますし、巡航速度はマッハ〇・六といいますからスピードも相当のものであります。それから航続距離は一千六百キロということでありますし、二番目には騒音が小さい、現役のジェット機の五分の一から十分の一で済む。それからエンジンナセルの内側に吸音装置があるという新しい技術開発で、普通の飛行機から見ると十デシベル減るというようなこと、さっきコストの点もありましたが、非常に省エネルギーで運航できるということ、特に上翼で、翼の上にジェットエンジンがありますので、エンジンの排気を吹かすことによってフラップを押さえて非常に超高揚力の装置が働くという技術開発に成功しているわけです。揚力は二、三倍あるということですから、非常に注目を集めた新しい飛行機だと思います。しかも複合材の技術というのも成功して、プラスチックとガラス繊維を材料としてこれを強化して、耐熱、断熱、耐音響疲労というようなものについても非常に効果が上がっておるということであります。  したがってこういう飛行機が開発をされると、今各地に地方空港の要求が起こっておりますが、ことしの場合も第一種空港の羽田とか大阪とか中京空港あるいは成田の整備、これももちろんでありますけれども、第二種の松山ほか七空港整備、それから新広島空港の建設、第三種空港は青森ほか十空港の整備、庄内、福島空港の新設、地方空港の要望というのは非常に強い。さっき申し上げましたリニアモーターカーを導入した新幹線構想と空の輸送を担うSTOLを組み合わせたネットワークというものは、まさに二十一世紀の新しい交通体系の主流をなす部分だ、私はそういうふうに実は思っているわけであります。  したがって、リニアと並んでこの問題をも考えながら、定住と交流の四全総計画というものの中にこれは位置づけられると思いますけれども、そのことについて、最後に大臣の所感をお伺いして私の質問を終わらせてもらいたいと思います。
  32. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答え申し上げます。  二十世紀交通体系は、申すまでもなく鉄道、航空、船舶、自動車などで構成されております。しかしながら、二十一世紀を展望いたしますとき、これらに加えまして、先ほどからお話に出ましたリニアモーターカーあるいはまたSTOL、コミューター、こういったさまざまな交通手段を地域の特性に応じまして導入し、多彩なネットワークを構成することが可能な時代になると信じております。  そこで、四全総策定に当たりましては、こうした多様な交通手段についての研究を十分行いまして、二十一世紀交通体系を念頭に置いて検討を進める所存でございます。  以上、お答え申し上げます。
  33. 住栄作

    住主査 これにて田中克彦君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  34. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、概成から完成、完成から熟成の方向へ進んでいる筑波研究学園都市に関連をして、国土庁並びに人事院に対して質問をしたいと思います。  まず最初に、先般山崎国土庁長官が筑波研究学園を御視察されましたが、その所感をお伺いしたい。
  35. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答え申し上げます。  着任早々ではございましたけれども、筑波研究学園都市を視察させていただきました。一言で申しますと、すばらしい都市ができつつある、そして、この都市が二十一世紀に向けまして我が国内外の研究開発センターとして発展していくであろう、こういう印象を受けた次第でございます。しかしながら、日常生活の面や交通施設等の整備の面では都市としてはまだ未成熟の部分も見受けられましたので、今後は有識者の方々からの御意見を十分に聞きながら、真に国際的な魅力ある研究学園都市としてぜひとも育成整備をしていく所存でございます。  以上でございます。
  36. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 まさに私もそういうふうに思っております。大変立派な、世界に誇る学園都市が国の責任といいますか法律に基づいてつくられた、それは結構なことだと思いますし、今後ますます発展するように、ともに進めていきたいと思っております。  そこで、昨年は科学万博を開きまして二千万以上の観客に訪れていただきました。そこで一番問題になるのは、何といっても移転をするべき建物が全部移ってきて、移転をする人たちも移ってきた、けれども人口は依然として十五万にとどまっている、これをなかなか超すことができない。いろいろなことをしてみても人口の増加というものは、施設は二十万人分があるけれども人口はそこまでいっていない。この点について国土庁の方はどのようにお考えになっているか、その点をお伺いします。
  37. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 先生指摘のように、この学園都市につきましては、計画人口二十二万人に対して現在十五万人、そういう意味でまだ計画人口に達しておらない。そういう面で人口の定着のおくれとか都市の未成熟の問題がある。こういうことで、私どもは、昨年の科学博を契機に筑波研究学園都市が非常に世界の注目を浴びた、そういう面でこれからますますこの研究学園都市整備については真剣に検討していく必要があるだろうということで、実は大臣の諮問機関として新つくば懇談会を開催し、各方面の学識経験者からいろいろ御意見を伺っております。  そういう中で、今後こういった都市を育成するためには、より一層この筑波研究学園都市を内外の研究開発センターとしての機能を充実させていく必要があるだろう。それかもさらに国際交流を進めていく必要があるだろう。それからもう一つは、東京の大都市圏の一点集中型の構造を改善するための方策として、この地域を土浦と一体となった業務核都市として育てる必要があるだろう。それから、主としてもう少し文化機能だとか商業機能だとか、そういったものを充実させて魅力ある都市建設していく必要があるだろう。こういうようないろいろな活性化のための計画というものをこれを契機にまた十分検討してまいりたいと考えております。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私もその点は同感でして、二年ほど前に、万博の前に我々は幾つかの提言をしてまいりましたが、それもかなり取り入れられているように思います。けれども、なかなかそれがうまく進んでいないというところに実は悩みがあるわけで、第一は首都圏と地元との交通の問題。それから二番日は居住と研究所、つまり職場の距離がかなり離れている。それは、確かに横に狭く縦に長いという関係からしてやむを得ないことだと思いますが、そういうことで学園内における交通というものが非常に問題であって、自家用車を使わなければ動けないし、またあるときにはタクシーを活用しなければ動けないという状態がある。文化施設や娯楽施設あるいは社会施設等においてもまだまだ不十分であり、商店街もそれらしいものはない。これは、やはり町をつくるのに自然にできた町じゃなしに人工でつくった町だからある意味においてはやむを得ないと思いますけれども、そういうところで町のかたさというものがとれていない。したがって、学者、文化人あるいは技術者等々が定年後においてもそこに住みつくことがなかなかできない。そこで単身赴任という形のものがこのごろは非常に目立ってきました。  そういう中から、最近は、これはそのことだけが問題ではないと思いますが、非常に立派な方々が自分で自分の命を絶つという自殺行為がかなり目立ってきたのですね。東の筑波、西の高鳥平というように、どうも自殺する者が集まったような感じもする。これはただそのことだけじゃないと思いますが、そういうかたさというものと、それからある意味においては仕事に対する重圧もあるかもしれませんが、いろいろなことがあってそこにはそういった形がある。  そこで、特に村の人口を見ると、桜村という村がありますけれども、その村は多くの移転の公務員宿舎のあるところですが、四万を超した日本一の大きな村です。その村の人口は、男が女よりも三千人ぐらい多いのです。谷田部町という町がありますけれども、そこにも公務員の宿舎がありますが、ここでも千五百から二千人ぐらい男性が多いのですね。全体から言うと日本は女性の方が数が多いし、どこへ行っても多いのが普通なんです。ところが、この二つに関してはどうしても男性の方が多い。それが単身赴任であり、任務が終われば引き揚げてしまう、ここに定着ができない大きな根源がある。これを考えるとどうしても定着をするような方向に進めていかなければならないと思うのですが、環境としてはすこぶるいい環境でありながらそこに住みつくことができない、この悩みについて国土庁、どうお考えですか。
  39. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました件について、私も全く同感でございます。そういう意味で、先ほど私も申し上げましたが、研究学園都市が本来の人間の町としての形に育成されていくという方向でいろいろのことを考えていかなければならない。もう少し商業機能を入れるとか、文化施設を充実するとか、あるいは周辺地域との一体的な町づくりを行うとか、そういうような形で、研究学園都市に勤務される方が退職後もこの町において十分生活ができるような環境というものを、いろいろな方面からひとつ検討して進めていく努力をしていきたいと思います。当然その中におきまして、冒頭に先生が御指摘なされましたように、交通施設の整備の問題があると思います。こういったものも含めて、私ども今後十分検討を進めてまいりたいと思います。
  40. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこで、人事院にお伺いしますけれども、この学園都市に移転された公務員の数、それから現在公務員に与えているところの移転手当、一〇%、三%、ゼロというようにありますが、これはどういう実態になっているか、ちょっとその点について。
  41. 武政和夫

    ○武政説明員 お答え申し上げます。  昭和五十九年四月現在でございますが、筑波地区に所在する研究機関、大学等の在職者の全数につきましては一万七百二十三人となっております。このうち同日現在の支給割合ごとに見ますと、九%、現在は一〇%になっておりますが、この職員が八千七百六十一人、三%の受給者が百四十八人、非受給者が千八百十四人となっておりまして、これを全職員との割合で見ますと、八二%、一%、一七%という割合になっております。
  42. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そのように、当初十年間は八%、それが五年延びて九%、それで去年から一〇%になって今日に至った。これはことしで終わろうとしておりますが、現地では研究所の所長さんを含めて一般職員、現場、すべての人たちが、これがことしで打ち切られてしまうのではないか、こういうことについて大変心配をしておりますね。  そこで、この問題についてはこれからどのように取り扱われようとしているのか、ちょっと見通しをお聞かせいただきたい。
  43. 武政和夫

    ○武政説明員 お答えいたします。  この手当につきましては、先生指摘のように、給与法の附則で本年の十二月三十一日までにその改廃について勧告するということになっておりまして、タイムリミットが決められております。  もともとこの手当につきましては、研究機関等の筑波への円滑な移転の促進という趣旨で設けられたわけでありますが、研究機関の移転自体は終わった状況にありますので、そういう意味では、この手当のもともとの趣旨というものについては一応の役割を終えつつあるのではないかというふうな感じを持っております。しかしながら、先ほど来御指摘のありましたような都市としての整備あるいは成熟という点についてはまだ途上にあるというような感じもございますし、給与上の人材の確保、そして研究、教育に十分に従事してもらうという観点も踏まえまして、まだ期限もありますから、定着の状況あるいは人材の確保、一方では一応の役割は終わったという観点も踏まえまして総合的に検討してまいりたい、このように考えております。
  44. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 建物の移転は終わった、しかし町はまだ十分ではない、そこで総合的に考えたいということですね。その場合に、今の移った人たちに出ている手当をトータルしたら全部で幾らになりますか。
  45. 武政和夫

    ○武政説明員 概略の計算でございますが、筑波研究学園都市移転手当の昨年現在の月平均支給額は約二万七千円ぐらいになります。受給者が約九千人としますと一月当たり総額で約二億四千万円、年間にして約三十億円程度になろうかと考えております。なお、これが期末勤勉手当、いわゆるボーナスにはね返りますものですから、これは手当そのものではございませんが、そういう額を入れますと総額約四十億円程度になろうかと考えております。
  46. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 ここで問題がかなり明らかになったわけですが、今までは移転手当という形になっているから移転をした者が手当をもらう。現場で採用した者はゼロになっている。これは長い間いろいろ要求をしてきたけれども、なかなかそれは満たされない。それからまた、他の地区から来た者についても一定の制限をされておるわけです。  そこで、今日現場へ行ってみると一番の問題になっているのは、同じ職場で同じ仕事をしている者が給与あるいは期末手当に差別がある。管理者としても非常に士気が鈍る、やりにくい。それから今度は、働く人々はおもしろくない。こういう形で、何としてもこれは同一に、一律にしてもらわなければやりにくいということが言われている。そういう点で何としても、これから考える場合にはどうしてもこれは同じような取り扱いをしてもらいたいということに、これは要望ですね。この点は無理な要望なのか、それともそれはまあ当然だと言われるのか、この辺はどうですか、感想は。
  47. 武政和夫

    ○武政説明員 もともとこの手当につきましては、先ほど来申し上げましたが、試験研究機関等の筑波への移転を促進する、研究員等の移動を円滑にするということと、優秀な人材の確保を図るという趣旨で、当分の間の措置として設けられた手当であります。このような手当の趣旨からしますれば、他の地域から移動した者ではない、いわゆる現地採用者という方々につきましては、移転者とはやや事情が異なるのではないか、あるいは学園都市周辺に所在する官署に勤務する職員との均衡問題ということも考慮しなければならぬということがあろうかと思います。  一方には、我が国の科学研究の拠点としての筑波の役割というものはますます重要になってまいるということもございます。筑波地区の役割、あるいは先ほど来申し上げたような問題、もともと給与制度としましては全国のいろいろな地域あるいはいろいろな職員の、いろいろな職種の公務員全体に目配りして全体としておさまりのつく体系というものも考えなければならぬ、そういったことをもろもろかみ合わせまして、なかなか先生指摘の点は難しい点が、全部が全部解決するのは難しい点があろうかと考えておりますが、いずれにしましても時間もまだ若干ありますし、今後さらに検討を深めてまいりたい、このように考えております。
  48. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 話もわからないことはないけれども、しかしこの人々は東京の研究所から移るときには、建物が移ったからそれに行ったのだ。それで、東京にいればずっと都市手当一〇%がもらえるわけでしょう。そして、その人たちが例えば高松なり仙台に行けば三年間は保障されるわけだ。ところが、今度は筑波に行ったがゆえにそれを打ち切られてしまって、既得権の喪失になるね。これは国の責任によって、法律によってつくられた学園都市でしょう。そういうところでそういう扱いというのはよろしくないのじゃないか。それで、そこに入った者も一応移転が完了すれば、今度は都市機能として一体筑波というものが立派かというと、先ほど言ったようにまだ不十分だ。そこには交通の問題、病院の問題、子供の学校の問題、あるいはいろいろな問題で費用もかかる。だから、やはりこれはまとめて考えてほしい。成田なんかは民間事業ですよね。それから、筑波の周辺に来ているこのごろの会社はちゃんと都市手当を加味して給与を決めている。学園だけがそういうことになるのは不当ではないか、こういうように現地では言っているわけだ。だからこれはひとつ、ここで言ったことに対して十分に考えてほしいし、きょうは時間がないからそれ以上のことは言えないが、いずれハイテクの審議があるからそのときにはまた時間をかけて申し上げるけれども、そういうことについて感じをひとつ、どうですか。
  49. 武政和夫

    ○武政説明員 先生の御意見も十分踏まえまして、また関係当局あるいは組合等の関係者、その方々の御意見も伺いまして、さらに研究を深めてまいりたい、このように考えております。
  50. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 四十億という収入が一挙に減るということはその町の活性化を損なうし、それから、それだけの支出を今度は既存の給与から出すということになればこれは大変なことなんだ、実際は。そういうことになるといろいろな弊害が生じてくるわけだから、ぜひこの点は前向きに考えてほしいし、長官にもこのことについてはよく含んでおいていただきたいと思います。  さて、そこで国土庁にお伺いをしますが、余りいい話じゃないのですけれども、火葬場をつくろうという話がずっと去年から出ていた。去年の段階で、あそこの事務組合と町村の管理者との間では意見が対立している。それで、つくっていいというところには事務組合はそれをつくらない、つくってはならないと住民が反対しているところにつくろうとする。何だこれは、こんなばかな話はないじゃないか。この間、二月十二日には殴り合いをするようなぶざまな状態が生じている。だから去年のうちにこれは始末をしようと思ったけれども、県の方から、ちょっと待ってくれ、年内に解決をするから。ことし三月になれば、もはや日にちはないのですね。だからこの問題については、ある村長は、そういうけんかをするならもう一時国が取り上げて管理をしたっていいじゃないか、六億六千万ぐらいのものでありますけれども、そういうふうにさえ言っている。これはどうですか。
  51. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 御指摘の火葬場については、私ども、この都市整備に当たってはやはり必要不可欠な施設であるという観点から、御承知の筑波研究学園都市の町村財政負担特別措置要綱におきましても特別交付金の対象として取り上げておるわけでございますが、先生指摘のように、当初建設場所として決められたものにつきましては、地元住民がいろいろ反対をして、このために現在、事務組合の管理者の方が再度候補地を検討中ということでございます。私どもは、この施設はあくまでも整備されてしかるべきものであろうということで、最後まで本施設が建設されるよう地元の努力を促している状況でございます。まだもう一つ頑張ってまいりたいと思っておりますので、その点、何分御了承いただきたいと思います。
  52. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それはその施設がなければ、だれでも一遍は行くところだから、これはないというわけにはいかない。だけれども、ああいう利権まがいのことをやるなら一遍これはやはり始末をしていかなければいけない。だれが見たって、あんなばかな話はない。  そこで、その次の問題は、十年間の特別交付金が一応終わって、ことしは国土庁の努力によって二億四千万円の公園管理費等々が出されたことは非常に感謝にたえないところですが、これは将来も続けてもらえるのか、六十一年でおしまいになるのか、この辺はどうですか。
  53. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 先生指摘のように、五十一年度から十年間続けてまいりました特別交付金の制度が六十年度で終わりました。しかしながら、本都市の公共施設が先行的に整備されたために地元に大変維持管理の負担がかかっておる。そういう面で、こういったすばらしい都市環境をできるだけ今後とも円滑に維持管理するために、特別の措置として二億二千九百万の筑波研究学園都市対策交付金を予算案に計上し、御審議願っているところでございます。  六十二年度以降の取り扱いについては、また今後、来年度以降の問題として私どももそのときの状況を踏まえ、検討を進めていきたいと思っております。
  54. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 六十二年度以後も余り変化はないと思うから、これはひとつ続けるように努力してほしいと思います。  あと二点質問します。  これは四全総とのかかわり合いで、土浦市と学園との間をつなげていくと、その間に宍塚台地というところがあって、その宍塚台地には大池という非常に自然が保たれている地域があります。この自然が壊されてしまうのではないかということで、自然を守る会とか野鳥の会などから非常に心配をされているが、この取り扱いはどうなるのか、心配ないのかあるのかということが第一点。  第二点は、最初に申し上げたように、学者、文化人、技術者、こういう方々が定年になるとおやめにならなくちゃいけない。そうすると、その官舎を出るわけですね。ところが、やはりこの人々の持っている有能な技術というものを大変欲しがっている者がある。それは東京におれば、高校を卒業して研究所や会社に入った人々は夜の学校に行けるわけです。ところが、ああいう陸の孤島ではとても夜の学校など行けるはずがない。そこで、簡単に入れる、まあ公立ということになるとこれはあれやこれや難しいけれども、入りやすい専門学校、大学をつくってほしい。幸いに、国土庁なり県が努力して今桜村の下広岡にそういう施設が進んでいるようですが、この二点についてお伺いをしたい。
  55. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 私どもは、東京大都市圏の人口、産業の一点集中型をできるだけ多核多圏域に分散して、東京大都市圏を均衡ある形で整備していきたい、その核の一つとして土浦と筑波をまとめて一つの業務核都市として整備育成したいと考えております。その場合には、土浦市の既存の商業業務機能の集積や筑波研究学園都市の学術研究開発機能の集積を生かしながら、これらの機能を一層育成するとともに、さらに研究開発の関連業務とかあるいは情報サービス業務、こういったものの導入を図る、あるいは先ほど来いろいろ問題になっております教育文化施設、交通施設の整備を進めて、この両都市が一体となる方向でこれらの地域整備していきたいと思っております。その場合に、この土浦と研究学園都市の中間にあります大池周辺地域の自然の問題があることは私どもも十分承知をいたしております。したがいまして、具体的な開発整備をするに当たりましては、当然自然環境との十分な調和が図られるよう配慮してこの問題を取り上げてまいりたいと考えております。  それから二番目の御質問の点でございますが、先生御案内のように、最近筑波研究学園都市の周辺の土浦市の上高津地区に筑波研究学園創設準備財団というのがつくられまして、ここで特に情報工学科あるいは秘書情報学科等から成る専門学校の開校の準備が進められております。私どもとしては、こういった私立の専門学校等が本都市の中に、あるいは本都市周辺の中に鋭意整備されて、今後、研究学園都市にふさわしい人材養成とともに、そういった研究学園都市に集積されておる有能な人材の将来の職場としても活用されるということは、先生と全く同意見でございます。そういう意味で、今後ともこういった私立大学あるいは専修学校等の高等教育機関がこういった地域に誘致されるよう、我々としても努力してまいりたいと考えております。
  56. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間が来たからこれで終わりますが、長官、今までの私の質疑の中で非常に大事な問題が幾つかあります。特に人事院に関する問題は非常に大事な問題です。機関が移った、建物が移ったけれども、中に入っている人間の研究に、少なくとも賃金に差別があったり、あるいは東京にいたらもらえるであろうというものが、筑波研究学園都市建設法という国の法律によってできた学園に移ったために一〇%削られる。しかもこれは生活の基礎ですから、そういうものはちゃんとした手当てをしていただかなければよろしくないと思います。移ったことは移ったわけですから、あとは都市づくりに関連をしますから、今度はその現場で雇用された者も同じような扱いをしていただいて、職場が活性化するように、管理者が指導しやすいようにしてもらわなければ困る。それではその隣の、周辺の者との関係はどうかというと、周辺の人たちからも、おれたちにもくれと言ったから、あなた方は国の法律によってそこに雇われた者じゃないじゃないか、この学園は国が法律をつくった、だから違うんだ、こういうふうに私はちゃんと周辺の公務員の皆さんにははっきり線を引いているんだ。だから人事院も安心して、学園の中に移った者については、移転者、よそから移ってきた者、それからそこで採用した者についても差別のないようにして、恒久的に都市手当として考えてほしい、こういうことを要望して終わります。
  57. 住栄作

    住主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、関晴正君。
  58. 関晴正

    ○関分科員 豪雪の問題について国土庁長官にお尋ねをいたします。  私どもの青森県は、三年も続いての大雪で実はえらい目に遭いました、その際、国土庁の政務次官である白川さんが政府を代表し団長となっておいでになられまして、非常にいいことをお話ししていきました。それは、金のことは後でどうにでもなる、緊急な安全確保、交通確保、そういうようなことについては速やかに事を進めてほしい、こういうお話でありました。実はこの言葉ほどありがたいなと思ったことはありませんでした。ところが言葉は、いつも政治家はリップサービスよろしく努めておるのですが、実際になるというと言葉と相当に距離がある。  そこで、今までの豪雪対策においても、それぞれかかった分の費用は特別交付税で面倒を見ますとか、あるいは予備費の方から補助金として面倒を見ますとか、こう言うておられるのですが、一体豪雪における災害というものを、これを災害と見るという心構えが国の中にあるのかどうか。私は、まずその点ひとつ伺っておきたいと思います。
  59. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  実は私も先般新潟県の能生町に緊急視察に参りまして、その後、対策等を続けて講じておりますけれども、ちょうどその後、白川政務次官から、ぜひ青森に行きたい、それはぜひ行ってくれ。特に政務次官は出身が新潟でございまして、雪害等については十分経験もあり理解も深い方でございまして、帰る早々、かなり口が進み過ぎたけれども、対策はおやりなさい、引き受けますよと、しかし、これは口先だけの問題では済まされないという報告はありました。したがって、十分お互いに理解のもとに実現を期したいと考えております。  いずれにいたしましても、私、偶然南の生まれなものですから、雪の恐ろしさというものを本当に今回初めて身にしみて深く感じた次第でございますので、懸命努力することをお誓い申し上げます。
  60. 関晴正

    ○関分科員 とにかく豪雪だという認定が一つ出てきますと、それに伴っての助成は一〇〇%国として見るんだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  61. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 これは道路の種類によりまして違うと思いますけれども、しかし、その段階でそれぞれ考えたいと思っております。
  62. 関晴正

    ○関分科員 私が聞いているのは、とにかく特交で後で見るからという言葉が非常に強いわけです。では、特交で一〇〇%見ているのか、こう聞きますとなかなか明確でないわけです。五十八年度にしても五十九年度にしてもそれぞれ豪雪の地帯があって、市町村道に対する特別交付税というのが出ております。出ておりますけれども、その特別交付税の額のうち、全国的な額は示されておるが、それでは私どもの青森市にこれほどの豪雪があって特別交付税が幾ら来たのか、こう言うと答えてくれません。間違いなくこのくらいは行っておりますと、これでもいいのですが、額は示すことができません、これ一本やりです。こういうことでは、特交に入っているから、特交に入れるからということの言葉だけで数字を示してくれないことには、一〇〇%見てくれましたということにはならないわけです。その点については一〇〇%特交で見ていただいているものと思うだけであって、事実はわかりません。思う方がどうかしているぐらいで、数字を見ますときには、特交は何も雪だけの特交ではありませんから、いろいろなものを含めて特交として来るわけです。その特交すべてが仮に雪だとすれば、あとの方の特交が意味をなさない特交になるわけだから、どう計算しても一〇〇%は来ていないな、こう見るわけです。その点についてはどうなんですか。一〇〇%特交でやっているんだ、こういうことでお答えができますか。
  63. 奥田義雄

    ○奥田説明員 お答え申し上げます。  特別交付税につきましては、除排雪経費が普通交付税で相当算入してございます。この普通交付税算入額を上回ります団体につきまして、普通交付税の算入額あるいはその年の降積雪量、そういったものを勘案しながら所要経費の一部を措置することといたしております。地方公共団体におきます豪雪対策としての除排雪経費につきましては、これらの財源措置によりまして、従来からほぼ適切に対応してきたというふうに考えているところでございます。  今回の豪雪につきましても、実情を十分調査の上できるだけの配慮をしてまいりたい、適切な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  64. 関晴正

    ○関分科員 できるだけだとか相当にやってきたとかというのは言葉ですよ。だから、交付税で見てくれる分、そして実際に豪雪によって受けておる被害金額、その差については、それぞれの幹線の道路については二分の一補助で出している、だが、残りの二分の一とその他については特別交付税で面倒を見ているんだ、こう言うけれども、この特別交付税というものが期待しているとおり、要求したとおり、あるいは計算したとおり含めておれば文句はないのです。現実に交付税は、五十九年度には全国において市町村の豪雪地帯に払われている金は百二十億、五十八年度においては百八十億。補助金の部面を見ますと、補助金対象の金額を八十六億と見て、五十八年はその二分の一の四十三億、五十九年は五十億と見て、その二分の一の二十五億と、これはきちんと計算して支払われておるし、そのとおりまた地元にも金が来ております。特別交付税ということになりますと、どれだけ来ているのかということを聞いても答えてくれない。これはその分の残額を差し引いてきちんとやっておりますよ、金額にしてあなたの方はこうなっております、こういう説明をしていただいたらいいと思うのですが、それができないのですか。
  65. 奥田義雄

    ○奥田説明員 お答え申し上げます。  特別交付税につきましては、先生御承知のとおり、これは地方公共団体の一般財源でございまして、一般財源として一定のルールに基づきまして配分するというものでございまして、個々の算定項目別の金額につきましては従前から公表しておりませんので、団体ごとのものについては公表いたしてございませんので、この点につきましては御了解いただきたいと考えております。
  66. 関晴正

    ○関分科員 こんなことだからだめなんですよ。あなた方は、全国においては特別交付税で豪雪の部分は五十八年度には百八十億見たし、五十九年度には百二十億見ておる。じゃ、六十年度は幾ら見ていますか。
  67. 奥田義雄

    ○奥田説明員 特別交付税の六十年度の算定につきましては、現在作業中でございますので、まだ額が確定いたしておりません。
  68. 関晴正

    ○関分科員 作業中といっても、もう三月は間もなく終わるわけですよ。豪雪も大方片づいているわけですから、相当に計算はしていると思いますよ。何も計算は難しいときじゃない。そうしますと、算定で今どのくらいの計算になっていますか。
  69. 奥田義雄

    ○奥田説明員 現在作業中でございまして、まだ額を申し上げる段階ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  70. 関晴正

    ○関分科員 一〇〇%見てやるつもりだ、こうなっていますか。
  71. 奥田義雄

    ○奥田説明員 先ほども申し上げましたように、除排雪経費が普通交付税措置額を上回ります団体にっきまして、普通交付税の措置、額とか降積雪量、こういうふうなものを勘案しながら所要経費の一部を措置するということにいたしております。
  72. 関晴正

    ○関分科員 聞いていることに答えてくださいよ。方針はわかっているのです。何でも特交で面倒見ますというのだから、一〇〇%見るのですか、それともすそ切りで八割見ているのですか。一〇〇%見てほしいと思うのだが、どうなっているのですか。
  73. 奥田義雄

    ○奥田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、普通交付税の措置額ですとかいろいろなものを勘案しながら、所要経費の一部を算入するということにいたしております。
  74. 関晴正

    ○関分科員 そこで大臣の方では、地元へ来ますと、豪雪に対する除排雪は心配するな、金のことは後から。後からということは、後から何とでもするということで、値切ることもするし足すこともするということだとすれば意味がない。特交で特交でという言葉で、まるで特交で金を取ることが政治力みたいな格好になっている。そうであってはならないと思うのです。特交はあくまでも数字です。しかし、数字だといっても、交付税の額そのものが決まっているのですから、どうしてもやりくりをしなければならないと思うのです。だけれども、豪雪についての認識があれば、これは災害ですよ。これは一般の自治体の財源で賄おうとしたら無理なんだから、特別面倒見ますよといって、特別交付税は値切りなく一〇〇%見ます、こういうことでなければならないと思うのです。そうでなければ、後で見ますからという後での見方というのはちっともありがたくもない。ですから、これは担当の奥田参事官のお答えなんだけれども、こういうことじゃ安心ならない。  これはNHKの報道で、青森の雪のことで、わずか週五日間で七億ということで相当に宣伝されました。あれはオーバーな宣伝ではありません。青森市というのは人口三十万です。人口三十万の市民の生活を確保するためには、主要の三割の幹線道路にだけ補助金二分の一つけてもらったからといって財政的に満足するものじゃない。ですから、その残りの二分の一と不足するものはすべて特別交付税だということで頼っているわけです。頼ってきたら、災害時における特別交付税はこのぐらい見ましたという金額を明示したからといって何の不都合もないだろうと私は思うのです。それを一般的な特別交付税、特交のやり方は幾らやったか申し上げることはできません、このぐらい不親切な行政はないと私は思うのです。いいじゃないですか。トータルが決まっているのですよ。五十八年度においては百八十億、五十九年度には百二十億。じゃ、そのうち青森市に幾らよこしたのですかと言ったら、これこれでございます、何でこれが教えられないのでしょうか。何でこれが言っちゃならないのでしょうか。言っちゃどこに不都合なことが起こるのですか。災害時における計算については心配するな、間違いなく差し上げております、御心配なく、こうあってほしいと思うのですよ。じゃ、一〇〇%やっているんですから心配なく、こうお答えてきますか、奥田さん。
  75. 奥田義雄

    ○奥田説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、普通交付税の措置額ですとか雪の量というふうなものを勘案して所要経費の一部を措置しているということでございます。また、特別交付税につきましては、やはり個々の算定項目の額について個々の団体については公表をいたしておりませんので、一その点は御了承いただきたいと思います。
  76. 関晴正

    ○関分科員 こんな答弁じゃどうにもなりません。これは大臣に聞いてみてくださいよ。国土庁長官の方も、こんなことの問答をしていなければならないということについてひとつ考えておいてください。国土庁としては、豪雪の対策はどんどん除雪も排雪もしなさい、人命救助が第一です、人命に危険を与えるような状態は即刻自治体の力で解消して、その分に要した費用は心配ない、こう言っているわけですので、この点については少なくとも特別交付税で来る場合においては心配なく面倒を見る、そうさせたい、こういうことでなければならぬのではないだろうかと思いますので、ひとつ長官の方からこの問題についてなおお考えいただければと思います。
  77. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 市町村道除雪等に関する措置でございますけれども、我々災害対策といたしましては、雪が降れば当然市民の生活が困窮するわけでございます。必要な除排雪、これはもう市民の生活に困窮を来さないように徹底的に市町村に行っていただくということは、我々豪雪を災害と認識いたしてやっておるわけでございます。  その場合に、例えば市町村道の除雪費でございますが、ただいま自治省からいろいろ御答弁がございましたように、通常は普通交付税で、それからさらに大雪の場合は特別交付税ということで処理するわけでございます。さらに、これが異常豪雪ということになりますと、過去には五十一年度、五十五年度あるいは五十八年度それから五十九年度、臨時の補助制度を開いた例もございます。こういったすべての今までのルールを活用いたしまして、こういった豪雪に対して市町村が災害対策として行った経費に少しでも支障のないように我々としては努力するよう関係省庁にいろいろとお願いをしておるわけでございます。
  78. 関晴正

    ○関分科員 とにかく、幾ら特交で見たかというようなお話もできないようでは、ちゃんと見ていますという言葉のとおりには信頼できない。この点で私どもも納得いくように、ひとつ閣議においても大臣として大臣に、災害における特交までも幾ら出したかも言えないということまではせぬでもいいじゃないか、特交としてこのくらいは災害に対して見てあげました、こういうことぐらいは当たり前じゃないかと私は思うのです。そうでなければ一〇〇%見たということにもならないし、見たと思えという言葉も信頼できないし、これはきちんとさせるべきじゃないかと思いますので、この点で大臣のお考えをいただきたいと思います。
  79. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 ただいま防災局長からも御答弁申し上げましたが、私も、いろいろと場合を考えながらあらゆるところでひとつお説を主張してみたい、こう思います。
  80. 関晴正

    ○関分科員 もう一つは、除排雪における主要幹線道路に対する補助というものは、予備費の方から二分の一見ておるのです。これも予備費の方で二分の一しか見ないものだから残りの二分の一はまた特交で見る、またそれが特交のしわ寄せにもなるわけです。ですから、少なくとも現行の基準で進めている限りであれば災害で、そしてこれを見るという場合には二分の一なんて言わないで全額補助する。予備費から全額補助してみたところで、トータルを見てみましても五十八年で八十六億、五十九年で五十億なんです。ですからこの程度のことは特別雪が降った場合、しかも二メートル近い積雪というようなことは容易な状態じゃないわけです、降雪はもう十五メートルにも至っているわけですから。そういうことを考えますと、二分の一なんて言わないで当然全額見てもいいのじゃないだろうか。この点についても国土庁はお考えをきちんとして対処していただければと思います。言葉どおり、豪雪地帯の現状についての財政措置は責任を持って当たっていただければと思います。この点要望しておきます。  次に、むつ小川原の開発問題についてお尋ねをいたします。  これは、大臣今就任早々で、一番先に認識を深めた問題ではないだろうかと思います。このむつ小川開発というものは既に破産したと見ていいと思う。残っておるのは、昨年四月二十六日、言うなれば情理を尽くした格好にならないままの閣議口頭了解というのがありました。この閣議口頭了解で、いわゆる核燃のサイクル基地三点セットというもの、ウランの濃縮工場、低レベルの貯蔵庫、そして再処理工場、この三つをつくるということなんです。この三つをつくるということだけが今やむつ小川開発という名のもとに行われる仕事になってしまった、こう言ってもいいと思うのです。あとの仕事というのはもう全部断念せざるを得ないであろう。現に青森県の第五次長計の中身を見ましても、これまでやってきた計画、いわゆる石油精製だとか石油化学だとか火力発電だとかこういう三点の掲げられた柱というものはもうとても見込みがない、これに期待するのはやめて、そうして一番危ないところの核の放射能サイクル基地をつくることに進もうか、こうなっているわけであります。私は、これは大変な失敗であると同時にこのこと自体大変な誤りである、こう思っておる。  とにかく、大臣は新しくなられまして、青森県のむつ小川開発の巨大開発は、巨大の巨が巨人の巨じゃなくてうその嘘に変わっちゃっているわけです。うそがどれほど大きかったかという嘘大に変わっている。こういうことを見て、そしてどこの県でも嫌っているところの放射能のごみだけはごっそり青森県の広地に持っていこうじゃないか。確かに土地は広いものがあるけれども、この土地条件はそういうものを受け入れるのにふさわしいかとなると断じてふさわしくない。一つもふさわしいという条件がない。でも、これを今無理やり強行しようというのが政府の姿勢です。閣議口頭了解というのはそれをとにかく子としてやったものです。これはあなたの責任じゃありません。ですから私は、この閣議口頭了解というものがこれまでのものをそのまま容認して、そしてこれに新しく「付」なるものをつけ加えて事業内客を広げたのですが、これは全くごまかしだ。こんなごまかしなことを続けてなおやることは、私は行政の不信行為これより大なるものはない、こう思っているのです。  そこでお尋ねしたいのは、青森県の第五次長期総合計画基本構想というのがあります。この中においても、向こう十五年の計画の中に、これまでのむつ小川原に期待して事を進めるなどといったってそれは無理だろう、こう見ているわけであります。そこで、今度取り組むところの国の四全総の中には、むつ小川開発というものはどう位置づけようとしておるのか。言うなれば「付」なるものだけをとっていくしかない、こう見ておるのか。それともまた、どんな考えで臨むつもりかということが一つ。  それから、むつ小川開発株式会社の借金はかさむにかさむだけで、昨年でもう千五百億を突破しております。今度、三点セットに土地を売ることで、どのくらい高く売るかわかりませんが、売ってみたところで半分程度かしらと見ております。残りの金はまた毎年金利がかさんで借金になる。こういうようなむつ小川開発株式会社に国は北東公庫の金を融資して、なおも続けていこうとするのか。何の意味もないそうした会社に金を投げてやるようなものなんだ。そういうものに国の金融機関が出資するということはもうおやめになったらどうだろうか。北東公庫に言うと、国土庁がやれと言うからやっているんだ、こう言っております。なおも国土庁はこれをやれと言わねばならないのか。もうそろそろそういう間違ったことはよした方がいいんじゃないか。死んだ馬に注射するようなものと同じだと僕はいつも言っているのですよ。今日の行政の効率化のためにもむだ遣いはやめた方がいいのじゃないか、こう思いますので、その点について、現状のむつ小川開発株式会社の借金はどのくらいまでに今膨らんでおるのかということと、あわせてそのお考えをお聞きしたい。  もう一つは、小川原湖広域水道企業団というのがあります。言うなれば、ここにおいでになるところの工業人口が三十万を超えるであろうという想定のもとに考えたものなんですが、もうすべてのものが挫折してしまった。それでもここに広域水道企業団が仕事を進めていくなんということは無理じゃないか。しかもろくな水じゃない。カドミウムを含むような、ろくな水でもない。危険な水、危ない水。水の検査もごまかしが多かった。この点についてはさきのときにも申し上げて、何度も聞いているはずでありますから。しかも今日、もう水が供給されるような事態になっていなければならないのにちっとも進んでいない。何にも進んでいないと言っていいくらい。  こういうようなことについてもなお市町村から金を取り立てて、この事業を成功させるんだ、こう指導しておるようだけれども、もう限界が来たんじゃないか、無理ではないだろうか、こうも思いますので、その意味においてはこのことについての将来はどうお考えになっておるのか。私は、水道供給事業の認可はもう取り消したらいいのじゃないだろうか、こう思っておるので、それらの点についてのお答えをいただければと思います。
  81. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの先生お話のように、むつ小川原地区は全国でも数少ない大規模工業の基地でございまして、国土庁といたしましては四全総策定に当たりまして、このような大規模工業基地につきましては経済社会情勢の推移や産業発展の長期的方向を展望しながら関係方面等の意向も十分踏まえまして、その位置づけを検討してまいる考えでございます。  なお、むつ小川原株式会社等残余の問題については局長からお答え申し上げます。
  82. 田中暁

    田中(暁)政府委員 昭和六十年十二月末におきますむつ会社の借入金の残高でございますが、約千六百億円でございまして、そのうち北東公庫の分が六百四十億円であると承っておるわけでございます。  今、原子力三点セットの用地についての交渉が進められておるわけでございますが、その売却がもし行われるといたしますと相当程度経営は改善されるだろうと思います。しかし、このような大規模な工業基地の建設というものは、先生もよく御承知のとおり、そもそも計画期間が非常に長期でございまして、相当な先行取得が必要になってくるわけでございます。土地が処分できるまでの間に多額の借入金を保有せざるを得ないという体質を抱えております上に、御承知のような石油ショック以来の我が国の経済構造の変化によりまして土地の処分が非常におくれておりまして、ますます会社の経営が圧迫されていることは御承知のとおりでございます。  ただ、我々といたしましては、あの地区は我が国に残された大規模工業開発の数少ない適地でございますし、今後ともこの考え方というものは、つまり工業開発を軸にして地域開発を図っていくという趣旨は大事にしていかなければならないものであると考えておるわけでございまして、こういった長期、低利の資金を要求する場合、民間金融のみによっては対応しがたい性格のものでございますので、地域開発の専門機関としての北東公庫の目的というものを考えますと、今後とも必要な範囲内でむつ会社への融資が期待されているのではないかと考えておるわけでございます。
  83. 小林康彦

    ○小林説明員 水道についてのお尋ねがございましたが、小川原湖広域水道企業団によります水道供給事業計画は、むつ小川開発第二次基本計画を基礎にして人口等の推定が行われ、計画規模が決定されております。現時点におきまして、お話にございましたようにこの計画どおりに順調に進んでいない状況にございますが、水道は水の需要に応じまして必要な供給を行うという義務を負っておりますので、一般的に先行性を持ちながらの事業の進捗、やむを得ないもの、必要なものと考えております。現に、むつ小川開発計画が存在し、進行中でございますし、企業団におきましても事業の意思を持っておりますので、水道法に定めております認可の取り消しの状況には至っていないと考えております。  しかしながら、事業の効率性確保という点は水道事業にとりましても重要なことでございますので、事業実施に当たりましては、開発計画の進捗状況、水需要の動向等を見ながら当面整備すべき施設の規模、工期等について検討をし、適切な施設整備が行われるよう指導しておるところでございます。
  84. 関晴正

    ○関分科員 いずれの答えもなっておりません。これ以上質問はできませんから終わりますけれども、大臣は新しくおなりになっただけに、ひとつフェアに、白紙で、この問題を公正に見詰めて、ひどいこともあるものだなということを知って、よろしく対処してください。  じゃ、終わります。
  85. 住栄作

    住主査 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁)についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  86. 住栄作

    住主査 昭和六十一年度一般会計予算昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。江藤建設大臣。
  87. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 建設省関係昭和六十一年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百八十一億八千四百万円余、歳出三兆七千七百三十九億六千万円余、国庫債務負担行為四千八百九十七億四千万円余でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆三千二百十四億五千万円余、国庫債務負担行為五千二百十九億六百万円を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆七千百九十九億六千八百万円余、国庫債務負担行為二千六百八十九億五千四百万円を予定いたしておりますが、歳入については、臨時的な措置として揮発油税収入の一部直接組み入れ及び資金運用部からの借り入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆千五百十九億六千三百万円余、国庫債務負担行為二千七百九十五億三千九百万円余、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも六百八十六億九千九百万円余を予定いたしております。  次に、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出七十四億四千五百万円余、国庫債務負担行為六十八億八千六百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、都市対策、住宅・宅地対策、国土保全・水資源対策道路整備等各般にわたる施策を推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算事業別の重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和六十一年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いをいたします。
  88. 住栄作

    住主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  89. 住栄作

    住主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大田俊君。
  90. 大出俊

    大出分科員 東京湾の横断道路につきまして、よくわからぬものですから、少し聞かせていただきたいのであります。  かつまた、私の選挙区は横浜でございますから、こっちへ出てくると野党でございますけれども、帰りますと、県も、横浜市も、川崎市も、私は与党でございます。いずれも非常に慎重でございまして、法律が通ったらどうなるかという問題はありますけれども、今まで長洲知事初めなるべく物を言わずに今日に来ておるわけでありまして、事務的な折衝は続いておりますが、そういう意味で法律が通れば対応を考えなければならぬということになります。  そこで、民活、こう言うわけでありますけれども、えたいの知れぬことになっている気がするのであります。免税債で大変にぎやかな背景がまずございまして、あのときに私も、これはアメリカの例から見ましても、免税債というのは、公債が二つ出てくるというどうも妙なことになりまして、ちょっとこれはバランスの問題もありますし、混乱をするんじゃないか、賛成できぬなと実は思っていたわけであります。ところが、これは総理主導型であったりいたしますから大蔵省も何か代案を考えたのでしょうけれども、代案ということで第三セクターがやるとすると、そこに免税債ではなくて特別会計からの無利子融資、道路特会でも使うのかな、こう実は思ったわけです。無利子融資、財投融資による債券の引き受けを認める。これはどのくらいの額かという問題はありますけれども、そういうことになると、これは民活ではないのではないかという気がするのです。  そこで、骨子を読んでみると、民活新方式、こんなことは聞いたことがない。いまだかつてないのでしょう、新方式というのは。建設は民間会社がやるんだけれども、その道路施設は公団に引き渡す、こう言うんですね。淡路島の岩屋あたりから走っているフェリーなんかは、建設省がやっておりましたが、相互組合ですか四団体でやらしていましたが、べらぼうな大赤字でありまして、今度は切り離して民間にという動きであります。そこらをいろいろ考えてみますと、いろいろな理屈をお立てになるが、しかし赤字になったらこれは国が責任を負わにゃならぬのだろうという気がする。今は、例えば三千円で、片っ方フェリーが走っているこっちと比べたら高くないと言うけれども建設に十年かかる先の話です。そこらがさっぱりわからぬ。それならば公団がやればいいじゃないか。何でいけないのか。こんな不明朗な感じのする道路特会、無利子融資でございますからね。財投を使っている。確かに財投は最近は金は余っているけれども。  だから、民間なら民間でまた一つの見方ができるけれども、何でこんなことにしなければいけないのかという点がさっぱりわからないのです。これはどういうことなんですか。
  91. 萩原浩

    ○萩原政府委員 東京湾横断道路建設事業をどのような形で進めるかということにつきましては、昨年の私ども予算要求の段階、さらには十二月末の政府予算原案が決定されるまでの段階、その間におきましていろいろな議論が行われましたことは先生御承知のとおりでございます。その間におきまして先生指摘の免税債の議論も出てまいりました。  私どもといたしましては、御承知のように要求の段階では、道路公団で建設をさせていただきたいという要求をさせていただきました。ただし、その事業主体の詳細については、政府予算原案が決定するまでの間に十分協議をするという条件づきのような形で要求をさせていただきました。この要求をいたします際に、道路公団方式でやるときに実は二つの大きな問題がございました。  一つは、道路公団で行う場合にも、やはり資金コストを下げなければいけないということのために、出資金あるいは利子補給金の形でかなりの国費が必要になるということが第一点でございます。それから第二点が、現在日本道路公団は高速自動車国道建設に一生懸命になっておりまして、ある意味でもう手いっぱいでございます。したがいまして、ここにまた新たな事業を取り込みますと、体制の強化その他の問題もございますし、また資金的には、この事業が最盛期を迎えますとだんごのような形で非常に多くの資金が必要になる、そのような弾力的な対応がなかなか難しいというその二点がございまして、これをどのように解決するかということを悩みながら要求をさせていただいたという実情にございます。  その後、この政府予算原案決定までにいろいろな議論をしていただきまして、結果として現在のような、建設は会社、その会社は日本道路公団地方公共団体と民間で大体三分の一ぐらいずつを予定しております出資によりまして形成をしていただきまして、その会社が公団と協定を結んで建設実施する。しかし、建設工事でございますから非常にリスクも考えられます。それを全部会社に負わせますと非常に多くの負担がかかります。また結果として多額の通行料金になってしまうという問題もございまして、このリスクは本来の道路管理者である日本道路公団に持っていただくというようないろいろな調整の形で、このような執行体制で実施をさせていただきたいということでまとまったものでございます。
  92. 大出俊

    大出分科員 これはぬえみたいなもので、初めからこれは建設省は公団方式を考えたのでしょう、間違いない事実として。ところが片っ方で免税債、免税債といって、民活でやるんだ。だから、このいろいろなことが書いてあるのを見ると、鉄鋼業界の皆さんも今なかなか苦しいところでありますから決して悪いというわけじゃないのだけれども、日本の産業の中心ですから何とかしなければならぬに違いないのだが、鉄鋼業界あるいは建設関係の方々、総理の側近と言われるような方も何人もおります。つまり、ここの方々が橋、トンネル――最初はトンネルという話はなかったのだけれども、飛鳥田市長が十五年やっておった時代にベイブリッジの計画を立てまして、これは最初の公約なんです。随分いろいろなことがありまして、私、かわりに川崎でも横須賀でも方々で話してきたことがあるから、知らぬわけではないのだ。つまり、こういう形でここにありますけれども、ある財界の人が言ったというのですが、話が少しおかしくはないか、採算性も明らかでない、車がどのくらい通るかという見通しもはっきりしない。トンネルでもうかる業界が騒いでいるだけだという言い方はおかしいけれども、当時トンネルの話は聞いてなかった。何で十五キロのうち三分の二近いものがトンネルになる、ここらもちょっとよくわからぬのですけれども、後から聞きます。  さて、法律を僕はよく読んでないけれども、特別措置法案骨子によると、公団、地方公共団体の出資、資金の無利子貸し付け、道路特会のようですけれども政府の債務保証、社債発行限度額の特例、割引債の発行、財投が引き受けるという大蔵省の案が出ている。そうなると、公団、地方公共団体の出資というのは一体幾らぐらいなんですか。資金の無利子貸し付けというのは、道路特会、どのくらい金を出すのですか。政府の債務保証というのは一体何物ですか。社債発行限度額の特例というのはどのくらいなんですか。それから割引債、特別公共事業債、これはどのくらいお出しになるのですか、ちょっとお聞かせいただきたいのです。
  93. 萩原浩

    ○萩原政府委員 最初に出資金でございますけれども、この事業は全体で一兆一千五百億ほど必要になるだろうというふうに算定をいたしております。そのうち、この会社の出資金が六百億を予定して、この六百億のうち、道路公団、地方公共団体、民間、これを大体三分の一ずつということでございますから、約二百億程度を考えております。おのおの二百億程度で六百億、残りの一兆九百億は、したがいまして借入金ということになります。それから、一兆九百億のうち、二千四百億は日道路公団が政府引受債でいたします。したがいまして、この二千四百億は会社には直接関係ございません。日本道路公団でございます。  それから、この会社は、特例で資本金の十倍まで社債発行限度額を拡大させていただこうと考えております。そして、その社債については政府保証をつけようということでございまして、政府保証でございますから、財投の引受債ではございません。この政府保証債三千八百億を予定いたしておりますけれども、三千八百億のうち二千億がいわゆる割引債を考えております。  それから、道路開発資金でございますけれども、二千五百億を予定しておりまして、二千五百億のうち半分、千二百五十億を道路特会からの無利子融資という資金構成を考えている次第でございます。
  94. 大出俊

    大出分科員 そうすると、道路特会から千二百五十億というと、残りの千二百五十億はどこから出ているのですか。それから割引債二千億というけれども、要するに政府保証債なんでしょう。それから二千四百億は公団が借り入れる政府の引受債ということですね。それから民間の会社が十倍発行できるというわけですな。そうすると、これは公団あるいは政府がほとんど責任を負うということになるのではないですか。何が民活になりますか。
  95. 萩原浩

    ○萩原政府委員 最初に先生の細かい御質問に答えさせていただきます。  千二百五十億無利子融資をしてあと残りはどうかということでございますが、残りは一般の民間から調達するものでございます。それで、民間から調達をし、それから無利子をあれしまして、非常に金利の安い道路開発資金として調達するということを考えております。  それから、先ほどの社債は政府保証債になるのだろうという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、三千八百億政府保証債、そのうちの二千億が割引債という考え方をとっていただいております。  それから、先ほどから申し上げておりますように、一兆一千五百億のうち六百億は出資金でございますが、そのうちの二百億は民間で調達をする。それから、その残りの一兆九百億のうち二千四百億は政府引受信でございますが、残りの八千五百億は会社が全部調達するということになっております。ただ、その調達の計画として、今市し上げたようなものを私どもは描いておりますが、これは会社が設立されました後に会社の自主性でいろいろな変化があり得るというものでございますので、その意味で民間がかなり自分で金を調達して建設を行うことになろうと存じます。
  96. 大出俊

    大出分科員 どっちにしても、これで公団に引き渡すわけですから、赤字になれば公団が責任を負わざるを得ないのです。そんなことは当然でしょう、公団に引き渡してしまうのだから、第三セクターが運営をやるのだから。そうでしょう。どうも妙な話で、それならば、建設省が言っているように初めから公団がやってちっともおかしくない。こんな新民活方式なんという、新しい特別措置法をつくるなんというばかみたいなことをするのは何かここに目的があるのではないかということになりかねない。だから、全く釈然といたしませんが、これから詰めるについては全く時間がありませんから、別な機会に詰めさせていただきます。  一つだけ、今の問題と絡みますから……。料金は、五十七年度のコストのような説明を聞いておりますけれども、三千円というのは五十七年度価格ですね。これは実際に十年先になったらどうなるかということは全くわからぬということになりますか。  それから引き続いて、あわせて観音崎―富津ができませんというと一回り回りませんね。観音崎―富津の方はどうなっているのかということが二つ目。  あと、神奈川県や横浜市や川崎市から要望書が出ていますね、たくさんございますが。この要望について現在皆さんの方でどういうふうに考えているのか、全部述べておいていただきたい。  四番目に、工業制限制度の見直しなんというのはよほどはっきりしてくれぬと、法律ができても簡単にうんと言えないという問題なんですね。これは、どんどん科学技術の変化がございまして工場を何とかしなければならぬということでございますけれども、制限にひっかかりますからどうにもならぬ、企業はこの地域からどこかに逃げ出す以外に方法がない。だから、私は二十三年衆議院やっておりますけれども、京浜地区から随分たくさんの企業が逃げ出さざるを得なくて逃げ出してきた、こういうわけですね。だから、この工業地帯をなくそうというなら別ですよ。あそこは地理的条件からいって必要なんだと私は思っているのです。そうするとこれを何とかしなければ、道路網だけ何とかしてみたって意味がない。そんなことをするくらいなら、工場をみんななくしちゃったらそれで事は片づくのです。あれだけのものがあるから横浜港に入ってくる船もあればランディングカーゴもある。ならば横断橋を向こうに渡してということも出てくるわけであります。あるいは湾岸道路の延長で厚木から伊勢原の方に抜けていくという必要も出てくるわけであります。だから、この四番目の点は一つのポイントでございます。  それから、一番最後の羽田アクセスという問題がございますね。ここら辺は私どもさんざん議論をしてきたところなんですけれども、ここらを含めてひとつお答えいただきたいのであります。     〔主査退席、森田(一)主査代理着席〕
  97. 萩原浩

    ○萩原政府委員 最初に、料金の問題でございますが、先生指摘のとおり、五十七年価格で乗用車で三千円ということで採算計算を行いました。それで、先ほど申し上げました総事業費の一兆一千五百億の中には実は年率三%の建設費の値上がりを見込んでございます。これはそのとおりいくかどうかわかりませんけれども、総費用をそれだけに見込んでございますものですから、完成する十年後には乗用車で四千九百円くらいになるだろうということを予想いたしております。四千九百円で一兆一千五百億円の採算がとれるかどうかという採算計算をいたしておりまして、開通当初三万台、それから二十年で六万台の交通量があるであろうという予測をいたして採算計算を立てております。その結果、三十年では償還できると考えておる次第でございます。  それから、第二点の観音崎と富津の連絡の問題でございますが、先生も御承知のとおり、話といたしましては実は最初あちらの方の計画が先行いたしておりました。しかし、その後、地域開発その他の問題をいろいろ検討いたしまして今度の川崎―木更津の方が先に事業化しようという結果になったわけでございますが、この観音崎―富津の問題は長期的な課題といたしまして、計画としてはもちろん生きたままでなお今後検討させていただきたい、こういうふうに考えております。  それから第三番目の、地方公共団体から五項目の御要望をいただいておりますが、そのおのおのにつきまして御説明申し上げます。  第一点の広域幹線道路網の整備に、つきましては、御承知のように現在御審議いただいております政府予算原案の中で、首都高速湾岸五期、それから川崎縦貫の国道十五号まで、それから千葉側は四百九号の木更津バイパス、この三つの関連事業を新規に事業化しようということでお願いいたしております。事業化することによって今後事業の促進を図ってまいりたい。特に川崎縦貫につきましては、十五号から先につきまして非常に大きな問題がございますので、地域の皆様方と今後十分協議をして、皆様方と納得のいく路線を決めて事業化に取り組んでいきたいと考えております。  それから、第二番目の環境対策でございますけれども、この横断道路が環境に与える影響につきましては、道路公団がかなり長い期間をかけまして環境影響調査を行ってまいりました。その結果、影響は橋の周囲の非常に狭い範囲に限られ、しかもその程度は軽微なものであるという数字が出ておりますけれども、今後もしこれの事業化が御決定いただければ、正式な環境アセスメントの手続を経まして皆様の十分な御審議をいただいて、必要とあれば環境の変化をできるだけ少なくするような対応策を考えてまいりたいと考えております。  それから、三番目の事業方式についての事前協議につきましては、もう過去のことでございますけれども、昨年の政府予算原案決定までに数次にわたり地元の方々と御連絡をとらせていただいております。  四番目の工業制限諸制度の見直し、この点につきましては先ほど先生からも強いお話がございました。実は私どもの直接の担当ではございませんので国土庁の方にその旨お伝えをいたしまして、国土庁からは先般、昭和六十一年度からいろいろな調査に取り組もうというお話を承っております。私どもとしても、地元の皆様の御要望を踏まえまして、またさらに国土庁の方にいろいろな御要望を申し上げて、できるだけ地元の皆様の御要望に沿えるような形をつくり上げていきたい、こういうふうに努力するつもりでございます。  五番目の羽田アクセス計画の問題でございますが、これも実は私どもの直接の所管ではございませんものですから、関係省庁に働きかけていきたいと思いますけれども、私どもでできることがございましたら、例えばそれに関連する道路整備その他でございますが、そういうものについては積極的に取り組んでまいりたい、こういうことを現在地方公共団体の皆様方に御説明を申し上げて、御了解を得ようといたしているところでございます。
  98. 大出俊

    大出分科員 さっきの料金の話からするとどうもとらぬタヌキの皮算用で、四千九百円にするんだと言うのですけれども、それで一兆一千五百億ですか、これはいろいろやってみて、いけなければ国が、公団に渡しちゃうんだから。これは妙な話だと思います。  さっきの話ですが、観音崎の湾横断橋ですか、これはめどは全くないのですか。あなた方の説明を見ると、ずっと湾岸道路つくって、ベイブリッジつくって、横断橋つくって、向こうとつながって循環できる、だから交通は非常にうまくいくと書いてあるんだけれども、そっちがめどがないとすると循環しないんだから、あなた方の説明はいささか疑義があると思うのです。そこのところはめどがあるのですかないのですか、どうお考えですか。
  99. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先ほど先生からもちょっと御指摘いただきましたけれども、現在の東京湾横断道路、当初は両側から五キロ橋を延ばしまして、真ん中だけを沈埋トンネルで結ぼうという計画でございました。ところが、御承知のように川崎側は航行が非常に激しゅうございます。東京湾の八五%があちら側に寄っているということでございますので、そこの橋は航行に非常に問題になるだろう、何とかそういうものがないような形、例えばトンネルができないだろうかということを検討してまいりましたところ、いわゆる泥水加圧シールドという新しい工法が下水道事業を主体といたしまして非常に発達してまいりました。それを採用することによって、今回川崎側もトンネルにするし、真ん中も沈埋トンネルでなくてそういうようなトンネル、泥水加圧シールドで抜きますと工事期間中の航行安全の問題も非常に軽減されるということでございまして、今回そういう計画変更を行ったわけでございます。  御指摘の観音崎―富津につきましては、橘以外はないじゃないかというのが従来の問題でございましたけれども、このような技術の開発を踏まえまして、なお今後懸命に検討を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  100. 大出俊

    大出分科員 そうすると皆さん説明にある、ここに図面があるのですよ。これはぐるっと循環をして交通が非常に便利になりますと書いてあるのですが、今のお話を聞いていると看板に偽りありで、ぐるっと回らないのですね。橋以外にないのじゃないか、今ごろ言っていて、書いてある方はぐるっと回っちゃっているわけです。図面に書いちゃってあるのですから、「湾口部横断道路」なんて。そうでしょう。これを見るとまるきりぐるっと回る、説明に書いてあるが、ぐるっと回らない、こういうわけですな。いつになるかもわからない。  ところで、川崎というのは横に長いのです。横浜の地下鉄審議会がありまして、私は当時一生懸命まとめた時代に、横浜に帰るとまとめることばかりやっているのですが、何とか川崎を通して東京に地下鉄をつなごうかと思った。ところが、川崎の市長伊藤三郎氏は何を言うかというと、大出さんそう言ったってそんなことはだめだよ、びゅっと地下鉄は川崎を四分間で通っちゃう、そんなことを言ったって川崎のどこへ駅をつくるのだ、地下鉄は川崎市民に了解を得て通しましたが駅はございませんなんというようなことじゃ市長はもたぬですよ。言われてみればごもっともで、伊藤さんそれはしようがないなということにならざるを得ぬのです。そういう地形なんですよ。ところが多摩川が流れてますからね。あそこのところに今まで皆さんがいろいろなことをするものだから反対が大変に強くて、議会筋の、議会の議員の皆さんの中でも強烈な反対もございますので、めったなことでこれはまとまらぬですよ。  そういう意味で、あなた方は、例えばさっきの羽田アクセスもそうなんですけれども、これは建設省とは所管が違います、それから工業制限諸制度の見直しもこれは国土庁だから所管が違います、こう言われたのでは我が方はできない。私どもがちょっと不可思議に思っていてストンと納得できない形の、つまり新民活方式をとるというわけですね。最終的には公団かと、こうなるわけですね。そして、これは最終的に後で承っておきたいのですが、神奈川県や横浜市や川崎市は一体幾ら金を出資しろと言うのか。これは市民の税金ですからね、県民の税金ですから、この辺はもうはっきりしてもらわなければ困ると思うのです。  そこで、所管が違うから、じゃ文句があるのなら地方自治体の方は国土庁へ言ってくれ、それじゃ困るのですよ、あなた方がやろうというのだから。アクセスにしてもそうですよ。あなた方がやろうというのですから、それとの絡みがどうしても出てくるのだから、あなた方の方が国土庁なら国土庁と相談をされて、あるいはまたこの羽田アクセスも違うと言うならば、運輸省でしょうがね、運輸省と相談をされて、こういうことなんだと言うてくれぬと、江藤さんと私はきのうきょうの仲じゃないから、大臣も御就任になって間もないのだし皆さんがずっとやってきたのだから、大臣には余り四の五の言いたくないのだが、この間浜田幸一君が質問していて、これは法律も出てきたのだから神奈川県側でひとつ賛成してくれるように積極的に進めろとしゃべっておられたけれども、極めて慎重、極めて消極的なんですよ、そういう意味で。このまんまでやられたらえらいことになると考えた。ここに要望で出ているこれを解決してくれなければ、うんともすんとも物は言えない。金を出せと言ったって、市民、県民の税金だから、法律ができたってやれませんと、ここまで言いたいところなんです。だから、そんなに安易にお考えになったのじゃ物は進みませんよ。  そういう意味で、ひとつあなた方の方でここはどうするのか、はっきりしてください。
  101. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先ほど所管が違うということを申し上げたその心底は、私どもだけではできないんだというつもりで申し上げたつもりでございまして、だからそれはそちらにと言うつもりは絶対にございません。これは先生おっしゃいますように、横断道路というものをつくり、それを非常に機能的なものにするということのためには、例えば羽田のアクセスも増強することが必要でございますし、それから川崎市の発展がこれは不可欠でございますので、その点で、人のことと言うつもりは一切ございません。私どもも懸命に関係省庁に一緒になって働きかけて、できる限り早い機会にそれをまとめるふうに努力いたしたいと思います。
  102. 大出俊

    大出分科員 これは羽田アクセスにしても川崎縦貫道路にしても、それは市の方がひとつこういうふうにしてくれと言いたいのはそのとおりでしょうが、あるいは工業制限の規制の緩和にしても関係省庁と皆さんは今まで打ち合わせをしてないわけじゃないのでしょう。それで我々の側に、神奈川県や横浜市や川崎市に何とかひとつ協力をしてとおっしゃる限りは、それはこうだからと言っていただかなければ話も相談もしようがない、そうでしょう。幾ら出すというのかこれもわからぬと言うのじゃ困る。そこらはもうちょっと踏み込んで物を言えないのですか、この段階まで来ていて、法律の提案まであって。いかがでございますか。
  103. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先ほど先生の御指摘の出資のお話でございますけれども、この出資につきましては現在、出資をすることができるという法律の条項が中に入ってございます。したがいまして、その法律を御承認いただきませんと、正式に例えば出資をお願いするわけにはちょっといかない状況にございますけれども、この点については内々いろいろお願いをしておるわけでございますが、まだ金額についてまでは実は詳細決まってございません。この金額につきましては、私どもとしては自治省さん、これは自治大臣の承認を得て出資をすることができるということになっておりますので、自治省さんと十分協議の上、この法案を認めていただいた後、できるだけ早く御相談申し上げたい、こう思っております。
  104. 大出俊

    大出分科員 大臣に余りお答えいただく気はなかったのだけれども、今私がやりとりしているとおりで、神奈川県、横浜市、川崎市に協力せいと言う限りは、やはり地元の市民、県民の考え方がございますから、それを代表する議員の方もおいでになりますから、まず、こういう条件が整うからと言わなければ相談のしようも何もない。だから要望が出ているのですから、しかも事務的に話しているのですから、そこのところ大臣ひとつ、どういうふうになさるのか、はっきりしていただきたい。
  105. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 せっかく法案が審議の段階に入ったわけでありますから、今までは慎重にいたしておりましたが、地元から五項目要望が出ておることは私もよく存じ上げております。したがいまして、これらの問題は法案の審議と並行して地元の皆さんと、きのう相談してきょうできるということじゃありませんから、時間をかけてじっくり御相談を申し上げる、そして法案が通ったならば直ちに新会社がスタートできるような体制を組むようにということで、ただいま鋭意努力をいたしておりますので、またよろしく御指導を賜りますようにお願いいたします。
  106. 大出俊

    大出分科員 時間がありませんから終わります。
  107. 森田一

    森田(一)主査代理 これにて大田俊君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷昭雄君。
  108. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は秋田二区という過疎地に住んでおる者でございますが、今地元は過疎地であるために大変な悩みを持っておるわけであります。そういう意味で、大臣以下建設当局の皆さん方には温かい、そして深い御理解をお願いしたいということで若干の質問を申し上げたいと思います。  最初、大変にミクロな地元の問題から入っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  その一つが雄物川中流改修の問題並びに交通体系の問題でございますが、まず雄物川中流改修でございます。  私の郷土はその雄物川中流の中心部でございまして、私の町は神岡というのですが、昭和四十五年に着工いたしましてから六十一年までかなりの年数がかかっております。進捗率、いわゆる有堤率は四三%という状況でありまして、支流であります玉川、この地区の間倉築堤、これの下流は昭和五十三年から全く進捗しておりません。八年間も工事が中断されておるという状況でございます。昨年、この地域の補償問題が出まして、東北地建にも要望いたしまして進めておるわけでございますが、一体こうした雄物川中流改修の進捗状況はどうなっておるのか、これをまず第一にお聞きしたいと思います。  第二に、国道十三号線の四つのバイパスを現在工事計画を立てていただいておりますが、これの工事進捗の状況と、東北自動車道秋田線の工事促進の問題、国道百八号の鬼首長大トンネルの早期着工、日本海沿岸縦貫道路構想実現、この四点について、簡単で結構でございますからその見通しを明らかにしていただきたい。
  109. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 まず、雄物川中流の築堤工事の進捗状況について御説明させていただきますが、雄物川については、中流地区、支川玉川を含めて築堤工事等鋭意改修を促進しているところでございまして、今後も引き続いて中流地区及び玉川の築堤工事を進めることといたしております。特に玉川につきましては、先生御存じの玉川ダムという世界に冠たる規模の大ダムを建設中でございまして、このダムと築堤工事と相まちまして雄物川中流地区の治水対策を推進しているところでございます。
  110. 萩原浩

    ○萩原政府委員 まず、国道十三号の整備の問題でございますが、先生御承知のように、国道十三号は福島から山形市を越えて秋田市に至る約三百キロの道路でございます。交通量が非常に多いものでございますから、これのバイパス計画というものを今進めておるところでございます。現在のところ、この三百キロの延長のうち百四キロ、約三八%でございますが、四割につきまして四車線化あるいはバイパスの事業実施中のところでございます。そのうち四十四キロ、十六%に相なりますけれども、これにつきましては既に一部供用を開始しているというような状況でございますが、今後ともこの十三号線の四車線化あるいはバイパスというものについて精力的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、東北自動車道秋田線でございますけれども、これは北上から秋田市に至る約百七キロの路線でございますが、既に北上ジャンクションから和賀インターチェンジの間九キロ、それからちょっと抜けまして湯田インターチェンジから秋田インターチェンジの七十六キロにつきましては、調査あるいは設計協議、用地買収を進めているところでございます。残りました和賀町から湯田町の二十二キロにつきましては、本年一月二十一日に開催されました国土開発幹線自動車道建設審議会において新たに整備計画策定をされまして、今後先ほどの区間の後を追った形で整備を進めていきたい、こういうふうに考えております。  それから、先ほど先生指摘の鬼首峠でございますが、これは現在直轄でトンネル工事を実施中でございまして、できるだけ早く完成するように予算の許す限り事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。  最後の日本海縦貫自動車道でございますが、これは現在私ども策定をいたしております高規格幹線道路網調査でございます。これを昭和六十二年度までに策定いたしたいということで作業を進めておりますが、この調査の中で検討いたしておる路線でございます。この高規格幹線道路網計画は、国土庁策定を予定しておられます四全総との整合も図る必要がございますので、そこら辺との調整も図り、できるだけ六十二年度の早いうちに決定をいたしたいと考えておる次第でございます。     〔森田(一)主査代理退席、主査着席〕
  111. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 今お話ししましたように、雄物川中流改修については皆さん方に対しても陳情書が出ておるはずであります。特に雄物川中流、それから玉川支川の問題にっきましては、今河川局長からお話がございましたが、どうも期限とかそういったものが明示されておらないという、何といいますか、私たちとしましては大変不安な状況がございます。玉川築堤につきましては、八年間も放置されておるという状況もございまして、この補償問題は、既にこれは東北地建からお聞きしていると思うのですが、大変な問題なんです。もう工場は移転先を買い求める。しかしながら、契約をしたけれども金は払わない。なぜ払わないかというと、ここにいつ築堤されるかわからない。本当に築堤されるのかどうかわからないということで、農地を売った皆さん方は、もう五年も六年も前に売ったにもかかわらず一文にもなっておらないという問題がございまして、東北地建が中へ入って昨年いろいろ措置を講じた。  その際に、五年後という話もあったわけです。五年後はそこにつくりますよと。ところが、そういうふうな予定があるのかどうか、この点が非常に疑問なわけでございます。果たしてこういう築堤を進める気があるのかどうか。これは細かい点で申しわけございませんが、これは今わからなければ後で結構でございます。いずれこのことを強く要望したいと思います。  それから、今道路局長からお話がございましたとおり、秋田県並びに各市町村からもうたくさんの要望が来ております。こうした過疎地であるがゆえに、高速交通体系から取り残され、河川工事ないしは公共事業そのものにも置き去りにされておるというふうな危機感が非常にふえておるわけであります。何といいましても公共事業、特に交通体系というのは過疎地であればこそ欲しいという状況がございますので、どうか大臣、今後の建設行政を運営するに当たりましてぜひとも配慮願いたい、こんなふうに要望するところでございます。  次の問題は、秋田県の豪雪の問題でございます。ことしは五八豪雪に匹敵する豪雪、裏日本は全部そうでございますが、秋田県についていえば除排雪の費用が物すごくかかっておるということでございまして、県と市町村合わせますと、私が県に問い合わせましたところ、二月末現在、予算が十五億円の不足を来しておるのです。そういう状況でございまして、これは後ほど大蔵省、自治省にも交付金その他について要望いたしますけれども建設省といたしましても、恐らく末端の工事事務所等の予算が非常にかかり増しになっていると思いますので、東北地建関係のこういう豪雪地域の配分をぜひひとつ考えていただきたい、このように強く要望申し上げたいと思います。  そこで、私、ここに写真を持ってきました。ないしはたくさんの要望書が来ておるわけであります。これは恐らく建設省その他にも出ておると思うのです。私は、この中から三つの点を取り上げまして要望したいと思うのですが、第一に子供たちの通学路の問題でございます。  大臣、この写真をひとつごらんになっていただきたいと思うのです。大変異様な写真ですが、国道十三号線の神岡町地内の北神小学校の子供たちの通学風景です。何かプロレスの覆面みたいなものをかぶっているのです。これは国道しか通学路がない。したがって、歩道を今懸命に除雪してもらっておるわけです。そのために子供たちの通学路そのものは確保されておるのですが、自動車が来るたびに、たまたまそういう日は物すごい洪水のような泥水を浴びておるわけでございます。ですからそんなように顔を防護する意味で全くプロレスの覆面みたいなものをかぶらなくちゃいけない。  一方、こういうふうな通学路もあります。その通学路は、国道四十六号線の沿線の協和町の稲沢地区の通学路であります。それは国道に歩道がちゃんとついておるのですが、除雪の関係で――もう歩道の除雪が極めて不十分であります。秋田工事事務所の管内でございますが、工事事務所では懸命になって除雪しておるのですが、何しろ予算が少ない。そのために子供たちはそのように大型トラックの群れを身をよけるようにして、身を縮めて車道を通学しなければならない。それはもう晴れの日ですけれども、吹雪の日だったら大変危険なわけでございます。学校の教師は、常に子供たちの安全のために本当にうちまでついていかなければならないという日もあるというふうに言われております。沿線の地域住民、父兄には非常な協力をしてもらっておるというふうに所長さん方からは聞いております。しかしながら、問題は、何といっても除雪の予算が足りない。特にこの子供たちの通学路の歩道の除雪に対する一番適当な機械がどうも改善されておらない、そして予算がない、この二つの面から大変な問題があるわけであります。このことをぜひひとつ取り上げていただきたい。  第二は、機械に対する改善と助成の問題でございます。これは何といいましても、豪雪地帯に住んでおる人でないとなかなか暮らしがわからない。江藤大臣も雪国じゃありませんので、恐らくわからないと思うのです。  これは私の町内の写真です。これは町道です。旧国道でございますが、それをごらんになるとわかりますように、雪が降るとどういうふうにするかというと、除雪というのは、トラックないしはトラクターの前にいわゆるラッセルの先をつけるわけです。そして路上の雪を片側にずっと寄せるということなんです。それがいわば除雪なんです。したがって、車庫の前、家の玄関には除雪のたびに厚い雪の壁ができるわけです。その雪の壁を取り除くのは住民なんです。しかも、ことしの豪雪は雪が毎日降ります。一日三回も地域住民は除雪をしなければいけない。  それで、そこに流雪溝があるのですよ。その流雪溝に落としているのがその写真なんです。それは老人と孫なんです、私の隣の家なんです。独居老人の家なんかは到底できません。それから共働きもできません、時間が決まっていますから。流雪溝の時間というのは、七時から七時三十分とか八時から八時三十分という時間が決まっているわけです。したがって、それを除雪できない人力は何をするかというと、結局は労賃を払ってだれかに頼まなければいけない。体の健全な人は全部腰が痛む、腰が痛むのであんまさんだとかお医者さんが大変忙しいというのが現状なんです。  そういうふうな状態からしますと、なぜ除雪機械の改善をしないのか。一番いいのは本当はロータリーなんです。ロータリーとダンプを組む、そういうセットが一番いいのですが、何しろ非常に高いのです。それで、三分の二の助成というのをもっと予算をふやしていただきたいということが第一点と、こんなに科学、機械技術が進歩する中で、除雪機械はなぜこんなに進歩しないのか。我我は除排雪という点で本当に疲れ切っているというのが実感なんです。私は冗談でよく言うのですが、日本の政治の中で一番忘れられているのが裏日本の暮らしじゃないか、永田町と霞が関だけに一メートルぐらいぽっかり雪が積もって十日間ぐらい交通が途絶した方が日本の政治のためにいいのじゃないか、こんな冗談をよく言うのです。とにかく腹が立つぐらい雪空を眺めて暮らしておるというのが雪国の状況なんです。このことを何とかひとつ大臣以下皆さん方にわかっていただきまして、この機械、何としても機械力しかありません、この機械力を駆使させるためには予算が必要なんですから、ぜひとも三分の二の助成を多くしていただきたいということと、同時に機械の改善に最大の努力をしていただきたい、このことをお願いしたい。  さらに第三点は、現在市町村道の幹線に対しましては、先ほど言いました流雪溝、融雪溝の設備に対しまして助成がございます。ところが、幹線以外の小路、市街地における本当の小路にはこれが現行では全然ないのです。これで大変困っているのです。ここに川俣さんがおりますが、川俣さんの居住地の横手なんというのは秋田県で最も多いところです。その横手の小路が物すごいのですね。小路は交通が途絶なんですよ。なぜかというと、小路はそういう助成の対象にない。そこで、市町村はなかなか手が届きにくい。何としてもこの小路に指定の拡大をお願いしたい。  この三点について御見解をいただきたい、こう思います。
  112. 萩原浩

    ○萩原政府委員 最初に歩道除雪の問題でございますけれども、歩道除雪につきましては、先生も御承知だと存じますけれども、現在我が国の歩道の幅員が狭いということで、歩道除雪技術の開発というのがまず前提にございます。これは技術と同時に機械の開発も当然あるわけでございまして、いろいろな機械の開発が幸いにしてできましたけれども、なかなかそこら辺がまだ進んでないというのが実態でございます。その点を踏まえまして、試験的にこの歩道除雪をやる施策をとってきております。この試験的にやるところの採択に当たっては、通学路あるいは歩行者の多い歩道というものを重点に置いておりますけれども、現在のところ昭和六十年度で延長二千七百五十キロにつきまして歩道の除雪を行っておりまして、そのうち二千二百七十九キロ、八三%は通学路ということで、通学路を主体に歩道の試験的除雪を行っておるという実態でございます。今後ともこの試験的施行を踏まえまして、できますれば歩道除雪の定型化といいますか、こういうところはこういうような歩道除雪の方法というものの確立を図っていきたいというふうに考えております。歩道除雪につきまして、通学路の採択につきましてはなお一層私ども努力をしてまいりたい、こう思っている次第でございます。  それから、第二点の機械の助成あるいは除雪機械の改善の問題でございますけれども、これにっきましては随分いろいろな取り組みをしてきております。ただ、先生ただいま御指摘のように、道路の除雪の中で非常に除雪する場所のないところ、これは私ども排雪と呼んでおりますけれども、もう雪を持ち出す以外にないのでございます。この持ち出す手段というのがどうしても非常に高くついてしまうというのが、これはもう宿命でございまして、この排雪の技術というのは、先生おっしゃいますように、まだ非常に安い技術として確立したものはございません。これにつきましてはいろいろな対策をやっておりますけれども、非常に難しい問題を含んでおります。私どもは、そういう道路でもし交通量の多いところはバイパスなどによりまして交通量をそちらに移しまして、旧来狭いところの交通量を少なくして除雪あるいは排雪の時間を十分とれるようにする、こんなような対策を講じているのが今精いっぱいでございまして、ここら辺なかなか難しい問題があろうというふうに感じております。ただ、機械の助成の拡大につきましては今後とも留意をしていきたいというふうに考えております。  それから、第三点の流雪溝でございますが、ただいまのような排雪をしようとするようなところで流雪溝の設備というのは非常に有効でございます。ただ、これは先生も御指摘のように、いつも大量の水を流しておくということができませんものですから、時間を決めて水を流してそこに雪をほうり込むという方策をとっているのが一般的でございます。したがいまして、人手の関係その他でなかなか難しい問題がございますが、地域の御要請を踏まえて流雪溝の整備を進めておるところでございます。  ただ、先生指摘のように、幹線市町村道でない一般の小路についての補助制度の拡大でございますけれども、ここら辺は非常に大きな問題があろうと存じます。現在除雪の補助につきましては国県道までやっておりまして、それから先は普通交付税あるいは特別交付税、さらにはことしのようなあるいは昨年のような雪のときには別の措置を講ずるというようなことをやっておりますけれども、市町村道につきましては機械の補助ということで雪対策をやっていただいておるわけでございます。したがいまして、一般市町村道まで流雪溝の補助対象を広げるかどうかということになりますと、これはむしろ交通機能というよりもいわゆる町づくり全体といいますか町全体の対策として考えなければならないだろう。例えば屋根の雪おろしでおろした雪の対策とかそんなものも含めてまいりますので、これは総合的な対策が必要であろうと思っております。現在、私どもも一緒になりましてこの雪の総合対策ということをいろいろ研究させていただいておりますけれども、また勉強させていただきたいと思います。
  113. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 この雪の問題はぜひともひとつ真剣な取り組みをお願いしたい。過疎地である、しかも豪雪地帯である、すべてが重なって暗いイメージを持っているという状況でございますので、大臣から新機軸を出していただきたいということを強く要望したいと思います。  時間がありませんが、もう二つ問題を抱えているのです、大変大きい問題です。  その一つは、建設業界の労務管理体質の問題でございます。これは主として大臣からお願いしたい、こんなふうに思います。  私は、昨年も木部前大臣に対しまして申しましたが、この建設業界の労務管理というのはまことに前近代的である、おくれておる。このようなおくれておる企業というのはないのじゃないかと思うわけであります。私は出稼ぎの問題でずっと毎年それぞれの現場を歩いて回っておるのですが、例えば宿舎の問題。普通寄宿舎と言うのですが、俗に言う飯場ですね。まだまだ劣悪であります。賃金の支払いにつきましてももう全くでたらめと言わざるを得ません。それから、建設業のいわゆる退職金共済制度、これについても皆さんの方で予算の上でもいろいろな配慮をしているのです。ちゃんと元請はそれをやっておるにもかかわらず現場の労働者には出しておらない。したがって、本来受益者であるべき労働者が何らその利益にあずかっておらないという実態であります。さらに、安全労働といいますか健康診断とかそういう点の配慮もほとんどされておらない。有給休暇なんというものになりますと、私はほとんど見たことがありません。ほかの企業と比べましてはるかにおくれておるというのがこの建設業界の体質でございます。  こういう零細な出稼ぎ農民なりを多く雇用しておりますこの建設業、昔の土方かたぎ、土方根性、土方の親分であるというような体質というものがいまだに濃厚に残っておるのがこの業界ではないかと思います。建設業界を指導する建設大臣としまして、大臣の強い御決意をお願いしたいと思うわけであります。個々の問題については時間がございません。この点の体質を改善していく、近代的な労務管理というものをどのようにやっていくのか。これは労働省だけの問題ではございません。経営の感覚の問題であります。人を雇用したならそれを人間として取り扱うという人道上の問題だと思うのですよ。この点をどう指導されるか、これが第一点。  第二点は、これも大きい問題で、短時間では大臣もお答えできないと思うのですが、大型プロジェクトがせんだっても六つ発表になりました。いわば民活という問題でございます。私も民活そのものには賛成でございますが、問題は、民活というふうに言った場合に、さっき言いました過疎地の我々の方にはさっぱり活力がないわけでありますので、いわゆる民間にゆだねるプロジェクトなんか生まれっこないのです。わずかに宮崎はリゾートがありましたけれども、とにかくこういう状況ではますます過疎と過密が拡大していくと言わざるを得ません。したがって、この民活の考え方というものは、大都市集中ではなくてむしろ裏日本、そういう秋田県みたいなところにも何か公共事業という形でやる構想がないのか、してもらいたい。  さらには、この民活の場合、このプロジェクトの場合、私ずっと大阪、名古屋の方に参りまして業者にいろいろ訴えられたことは、地元のいいクラスでありましてもこの大型プロジェクトには中央業者からはじき出されて全く参入できないという問題なんです。地元業者を育てるという意向がありましたら、こういうプロジェクトにぜひ地元の業者を参入させて、そして技術的にも能力的にも経営的にも大きくしていく、地元の業者を育成するという観点がどうしてもなければならないと思うわけであります。  この二つの点につきまして、ひとつ大臣からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  114. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 この建設事業というのは公共事業を進めていく上の裏腹のものでありまして、一番大事であることは言をまちませんが、体質としていわゆる受注産業でありますから、百人の従業員を抱えておっても仕事がとれなかったらそのまま百人を遊ばせてしまうという、いわゆる計画になかなか乗りにくい業種であるという一つの体質を備えておると私は思うのです。いわゆる受注産業である。それから元請、下請の関係、それから先生が今言われるように労働条件の関係。私、福田内閣のときに建設国債をうんと出しまして公共事業を何兆円かやりましたときに、一回調べてみたことがあるのです。そうすると、せっかく公共事業で大幅増額で発注になったが、支払い条件も、単価も、それから労働賃金も末端に行ったらちっとも変わってない、三年も四年もそのままになっておって、結局そういう大型の補正予算というものは元請のゼネコンを潤しておるだけだったということを私は二カ所で調べ上げまして、ちょっとおきゅうを据えたことがあります。  したがいまして、こういう独特の大きな役割を持つ建設業でございますから、私どもとしては建設審議会に諮問をいたしまして、これから先の建設業界のあり方、技術の開発あるいはまた元請、下請の関係、労務管理、そういうものについてひとつ思い切って真っ正面から取り組んでいこうということで、先般来諮問をいたしたところでございます。  それから、大型プロジェクトのお話でありますが、私も過疎対策特別委員長を、私が二代目でありまして、全国の過疎地のことを随分やってきましたから、雪はありませんけれども、それなりに私はある程度のことは知っておると思うております。私の宮崎、先生の秋田でもそうですが、公共事業が落ち込んだら県の経済が二割ぐらい落ち込むはずです。もうそのままどかんといってしまうのですね。そういう公共事業というものは、ただ単に道路をつくるとか橋をつくるということでなくて、やはりその地方の経済を支える大きな力になっておるということを考えなければいかぬ。ある面においては、工場進出はできませんが、定期的な、計画的な公共事業の注入ということは地元の経済を支える工場誘致に匹敵する、これは私の昔からの持論であります。  今回省内に民活プロジェクト推進会議をつくりまして、私が座長になって省を挙げて取り組もうというのも、東京だ、大阪だ、名古屋だだけではだめだ、地方に民活を広げて、やれないところはしようがないじゃないかということではなくて、やはりできるだけその手を広げていって、そして教えてやる。私のところでも今度鉄道高架をやるわけですが、国鉄の土地が五万平米出てきます。国鉄の貨物ヤードなんかがなくなるわけですから、十万平米ぐらい出てくるのじゃないかと思うのです。それはただ単に区画整理事業をやるということではなくて、これからのニューメディア時代にそこを一つの拠点開発をするということは、建設省が進んで地方自治団体と御相談を申し上げて、いささかも民活が中央だけに偏るということがないようにすべきものであろう、私はこういうふうに考えて、実は今精力的に省内で取り組んでおるところでございます。  したがいまして、やはりそういう中央と地方との差がありますから、公共事業の配分等については十分弾力的にその意を配って、地方に重く、中央は民活でも誘い水でやれるわけですから、そういう一つの考え方を持つ必要があるということで鋭意取り組んでまいりたいと思いますので、よろしく御理解を賜りますようにお願いをいたします。
  115. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 どうもありがとうございました。
  116. 住栄作

    住主査 これにて細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  117. 長田武士

    長田分科員 外郭環状道路について何点かお尋ねをいたします。  本年一月二十一日の国幹審で、外郭環状道路について、第一期分といたしまして練馬から埼玉県の三郷までの二十九・六キロについて建設が決定をいたしております。これは、練馬区内の都道、放射七号線から埼玉県境までの約一・一キロについてこれまでの都市計画を大幅に変更した都市計画変更決定が可決したため、二十年間に及ぶ凍結が解除され、新年度着工の運びとなったわけであります。今回、大幅に都市計画を変更した部分とは、まず、地域の環境への考慮から、道路構造を半地下方式とすること、さらに両側に総幅六十四メートルの環境施設帯を設けることの二点でございます。しかしながら、地元住民の間では、こうした計画変更がなされてもなお、大規模な道路建設に伴う周辺の環境や町づくりへの影響についてまだまだ大きな不安を持っておるわけでございます。  そこで、まずこの問題について大臣の基本的な考え方をお尋ねいたします。
  118. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 数多くの縦貫道路、高速自動車道路がこの東京に集中しております。そうしますと交通渋滞を生むことは当たり前のことでありますから、やはり環状道路、それから今先生がおっしゃいます外郭環状道路というものをつくって交通の流れをよくしていくということは、これから首都圏の、湾岸道路建設と相まって道路行政の大きなかなめになると私は思っております。  しかしながら、先般来、高井戸のインターチェンジの問題で十年間を要したという例もあることでありますから、先日の一月二十一日にこれは国幹審で承認はいたしましたけれども、今後の取り扱い等については地元の皆さん方の意向をよく承って、最初間違うとなかなか後を引きますから、慎重に、過ちのないように進めてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  119. 長田武士

    長田分科員 昨年十月の関越自動車道の全線開通に伴いまして、放射七号線、目白通りですね、目白通りが笹目通りと交差をいたしております谷原交差点の混雑は最悪の状況でございます。こうした交通渋滞やこれによって引き起こされている交通公害は付近の住民にとってはまことに迷惑千万でございます。私もこれまで何回となくこの問題を取り上げてまいりましたけれども、谷原交差点の交通渋滞解消は、関越自動車道の交通量を外環を初め周辺関連道路にいかに分散させるかということが私は大きな課題だろうと考えます。  そこで、関越の交通量を広域的に分散させるためには国道十六号線などの周辺関連道路整備を強力に推進する必要があるだろうと考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
  120. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のとおり、今回の外郭環状道路整備計画決定、これは現在の関越道を北の方に交通量を分散させて都心に流入させないという意味で非常に効果があると存じます。しかしそれよりも先に、先生おっしゃいますのは国道十六号で分散させることも忘れてはならないのではないか、こういう御指摘であろうと存じますが、まことにそのとおりでございます。  現在、埼玉県内の国道十六号線、全延長で五十キロございますけれども、このうち東大宮バイパスであるとか川越バイパス等の整備を行っておりまして、約七割が四車線化済みとなってございます。残りの区間、西大宮バイパスあるいは入間-狭山間の拡幅事業を現在進めておりますけれども、なかなか進みが遅いではないかという御指摘もございます。今後、この事業の促進を鋭意図ってまいりたいと考えております。  また、この国道十六号の現道の対策とは別に、十六号のバイパスの機能を持ちます首都圏中央連絡道路、これを中央自動車道から川越までの間とりあえず着工しようということで現在鋭意作業を進めておりますが、去る二月二十四日に埼玉県内につきましては都計審でこれが決まっております。今後、事業化に向けて積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  121. 長田武士

    長田分科員 今回、都市計画の変更を行い、地域の環境を考慮した半地下方式についてでありますけれども、この問題については練馬区と地元の住民から強い要望が出ております。すなわち、沿道環境対策の充実や道路上部の有効活用のため、構造的に可能な限り覆蓋構造とすべきであると考えております。この点、いかがでしょうか。まず構造的に可能なのかどうか、あるいは可能であればやられる計画があるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  122. 萩原浩

    ○萩原政府委員 外環練馬部約二キロ弱ございますけれども、この区間につきましては両側に二十メーターの環境施設帯あるいは植樹帯を設けるというようないろいろな環境対策を考えると同時に、また構造も半地下式ということにいたしておりますけれども、それに加えて部分的にはふたかけ構造にしていただきたいという御要望を承っております。原則的にはふたかけ構造、可能でございます。  ただ、場所によりましては、交差点の非常に付近であるとか、いろいろな側道の取りつけとかいう問題がございまして、せっかくふたをかけても余り機能しないのではないかというような問題のところもございます。それから、全部ふたをかけてしまいますと、そのふたから抜けたところが非常に排気ガスが集中をしてしまうというような問題もございますので、その個々の設置場所についてはいろいろ皆様方と御相談の上、決めていくことがよろしかろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  123. 長田武士

    長田分科員 これは既に地元の区議会議員の皆さんが視察をされましたが、三郷から流山間における覆蓋構造ができておるのです。そういう点では私は、ぜひそれを参考にしていただいて鋭意努力していただきたい、実現をしていただきたい、要望しておきます。  今回建設工事が予定されております地域の周辺一キロ以内には実は高校が一校ございます。それから中学校が二校、小学校が四校、その他保育園もございます。こうした地域における児童生徒の教育環境をどのように守るかということが大きな課題だろうと思います。騒音、排気ガスの問題等も含めて教育の環境整備のためにどういうふうにお考えでしょうか。
  124. 萩原浩

    ○萩原政府委員 大泉第一小学校を初めといたします学校がこの周辺に確かにございます。その教育環境保全には十分注意をいたしました道路構造を採用しようと考えております。  この環境を守る問題は二つに大きく分けられますが、一つは、将来供用を開始したときに環境が破壊されないようにという問題と、もう一つは、かなり大型の工事でございますから長期の工事期間を要します、その工事期間中に教育環境が破壊されないようにという、その二つのテーマがございまして、そのおのおのについていろいろな対策を講じて、環境保全あるいは教育環境の保全に万全を期したいと考えております。  現在のところ、者その他につきましては自信がございます。完全に自信がございます。ただ、NOxの問題につきましてはバックグラウンドの問題がいささかございまして、それとの調整を図ることが必要であろうと存じますけれども、私ども並びに日本道路公団が行いました環境影響調査によりますと、環境基準を満足するというふうな結果が出ておりますので、さらにそれの確立化を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  125. 長田武士

    長田分科員 今御説明ありましたとおり、今回の建設工事が予定されておる半地下方式を進める一・一キロ、それとあわせて補助二百三十号線、それからさらに将来的に地下鉄十二号線の大泉方面への延伸路線実現する場合、これらの工事が相互に重なり合うということが当然予測されるわけであります。つまり、建設省は外郭、東京都は補助二百三十号線、運輸省は地下鉄十二号線というように、工事主体が三つに分かれてしまいます。こうした問題に関連しまして下水道や貯水池などの問題も起きてくるわけでありますが、そこで、この問題は総合的に取り組みませんと、付近住民の皆さんは大変被害を受けるのではないか。こういう点は考慮されておるのでしょうか。
  126. 萩原浩

    ○萩原政府委員 まず、計画面での調整でございますけれども、補助二百三十号線等にっきましては、既に都市計画決定段階で計画調整を回らせていただいております。地下鉄の十二号線の延伸計画でございますが、実はこれがまだ具体的に固まっておらないのでございまして、そこら辺私どもちょっと懸念をいたしておりますけれども、大体こんなことになるだろうという予測のもとに、それと支障のないような調整をしてまいりたいと考えております。  それからもう一つ先生おっしゃいました工事段階での調整でございます。これはまことに必要なことでございまして、片っ方が終わったと思ったらまた片っ方が始まったということでは長期間にわたり地元の方々が御迷惑をされるということでございますので、この点につきましては、予算づけも含めまして十分調整を図っていきたいと考えておる次第でございます。
  127. 長田武士

    長田分科員 大臣、委員会へ出席されるようでございますので、私、一点だけ大臣にお伺いしたいと思っております。  外郭環状周辺地域の問題でありますけれども、この地域は練馬区の中でも都市基盤を含めた町づくりが非常におくれておるところでございます。そこで、この外郭の建設工事を契機に地元の活性化、商業化が望まれるわけでありますが、こうした町づくりを進める際に、大泉方面に風致地区の指定がございますけれども、これが障害になるのではないかと私は考えます。特に今回の工事部分一・一キロでありますけれども、風致地区が重なっているところがございまして、この風致地区を地域の実態に合うように計画の見直しをすべきであろう、このように考えております。そこで、今後東京都から計画の見直しについて要請があった場合、建設省としてはどのように対応されるのでしょうか。  また、この外郭環状道路建設に当たりましては、地元住民の方々から生活再建のための補償の問題や代替地の問題などが要望されてきております。こうした問題について、私も、去る一月十七日に「外郭環状道路に関する要望書」として、練馬区議会の代表とともに大臣にお目にかかりまして御要請をいたしました。そこで、住民対策として今後どのようにお考えになっていらっしゃるか。  この二点についてお尋ねをいたします。
  128. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 後の場合から答えさせていただきます。  直接には道路公団がこれに当たることになりますが、しかし最終的な責任は建設省にあるわけでございまして、私は、やはりこういうことは信頼の問題だと思っております。ですから謙虚に、慎重に、地元の皆さんからいささかも疑義を挟まれることがないように、また先般来いろいろな御要望も承っておりますから、それらを十分念頭に置いてこれから折衝に臨むようにいたしたいと思います。  それから風致地区の問題につきましては、これは永久に固定するというものではございませんで、区あるいはまた都、それぞれの行政機関から御相談がありましたら慎重に検討の上善処いたしたい、こういうふうに考えます。
  129. 長田武士

    長田分科員 次に、中央環状線の問題についてお尋ねをいたします。  中央環状線の一部といたしまして王子線の建設がいよいよこの五月から着工の運びとなりましたけれども、これはまだ第一段階でしかないわけであります。その次に起こる問題は、中央環状線の西側、づまり山手通り沿いの建設が早期着工されなければならないわけであります。これができませんと、環状線としての効果は十分でない、私はこのように考えております。そこで、今後における中央環状線西側部分の工事計画と工事着工の見通しについてお答えをいただきたいと思います。
  130. 並木昭夫

    ○並木参考人 お答え。いたします。  ただいま先生指摘の区間でございますが、これはまだ都市計画決定がされてございません。また建設大臣からの基本計画の御指示をいただいておりません。  しかし、この路線は単に首都高速道路だけじゃございませんで、都心部の道路網全体の渋滞緩和に非常に有効な路線であるという観点から、当公団といたしましても従来から調査を継続して実施してきているところでございます。今後早急に計画を詰めまして、なるべく早く都市計画決定がされるように、東京都を初めといたしまして関係機関と十分話し合いを進めてまいりたいと考えております。特に都庁の新宿移転といったような計画が確定したこともございまして、御指摘の区間を含めまして、池袋から新宿もしくは渋谷といった環状六号線に沿う区間につきましては、一日も早く整備が進められますよう今後努力してまいりたいと考えております。
  131. 長田武士

    長田分科員 中央環状線の西側部分は、実は私の地元である豊島区高松を起点に工事を始めまして、山手通りに沿って青梅街道に至る計画となっております。そこで、これらの予定地における住民の反対はこれまでに倍して強いことが予想されるわけであります。特に排気ガス、騒音等の環境対策につきましては首都高速道路公団が今後打ち出すことになっていると思いますが、どこまで住民を納得させられるかという点が大きなポイントだろうと私は考えます。  王子線ではバッファーゾーン、外郭環状線では先ほど申し上げました半地下覆蓋方式を取り入れまして万全の対策を講ずるやに伺っておりますけれども、これらの対策がどこまで効果を上げるか、実はこの問題については問題が出てくるだろうと私は考えます。この点について首都高速道路公団はどのように考えておられるのか。  また、西側部分の建設に当たっては地元住民の方々の声を十分に取り入れるよう強く要望いたしたいのでありますけれども、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  132. 並木昭夫

    ○並木参考人 お答えいたします。  当該区間の道路構造につきましては現在調査検討中でございまして、その形式についてまだ結論を得ておりません。しかし、道路そのものの構造形式の選定を初おといたしまして、環境保全対策といたしましては、例えばバッファーゾーンであるとか防音壁といったものの設置等いろいろな対策について検討の上、環境保全について万全の対策を講じてまいりたいと考えております。  この際、環境アセスメントの手続等を通じまして地元住民の御意向を踏まえ、できる限り御理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
  133. 長田武士

    長田分科員 次に、高速道路永久有料化問題についてお尋ねをいたします。  特殊法人の活性化方策を検討中の臨時行政改革推進審議会の特殊法人問題等小委員会は、去る二月二十六日、会合を開きまして、現在一千億円を超える累積赤字を抱えておる日本道路公団の経営見直しの素案をまとめました。その中で特に、開通してから三十年を経過した時点で有料道路を無料開放するという原則を改めまして、永久有料化にすべきであるという案をまとめております。  これはたしか有料道路は将来的には無料にするという展望で始めた事業でございます。確かに最近、採算性の問題等、採算性の悪い地方道路建設を主体とした問題も含めまして、経営が著しく悪化しておる、そういうことも私はよく理解しておるわけでありますが、五十九年度には百七十一億円の赤字を計上したということであります。  また答申は、地方都市では整備新幹線高速道路よりも、空港を整備してコミューター、地域間航空ですね、これを含めた航空網を整備した方が投資総額の削減ができる、こういう指摘をしている部分があるわけであります。  そこで、なぜこれだけの赤字を計上するに至ったのか、また今後の見通しは財政的にはどうなんだろうか、この二点についてお尋ねします。
  134. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のその新聞報道は私も拝見をいたしております。ただ、私どもが知り得た情報では、行革審のある決められた御意見ということではございませんで、いろいろな御討議をされているものの一つというふうに理解をしておりまして、これがそのまま答申の形で出るというふうには私ども理解をいたしておりません。  それで、問題の中身でございますけれども、第一点の一千億の累積赤字という問題でございますけれども、実は一般有料道路路線別に全部採算といいますか経理を別にしております。その経理を別にしている各路線の赤字だけを全部集めると一千億という数字でございまして、これが即日本道路公団の累積赤字になるということではございません。また、その路線別のものも、ちょっとした赤字のものとかなり予定と狂いまして採算が悪いというもの、いろいろございます。特に採算の悪いものにつきましてはいろいろな対策を講じまして採算性を確保するようにという努力をいたしていきたいと思っております。ちょっと赤字のものについては、例えば供用間近であるとかアクセスの道路がまだ完全でないとか、そういういろいろな要因がございますので、その要因を改善して採算性を確保していきたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、高速自動車国道でございますが、高速自動車国道全国プール制をとってございます。そして、全体の、七千六百キロの構築が終わりました後大体三十年ぐらいで償還ができるという計算のもとに現在の料金を決めておりますので、全体としての採算は確保されておるわけでございます。  したがいまして、通常の永久有料をとるような場合と違いまして、三十年で建設費まで償還してしまう。通常の永久有料の場合には、利子と管理費を加えたものを料金で支弁すればよろしいということになっておりますが、高速自動車国道あるいは先ほどの一般有料道路もそうでございますけれども建設費まで償還してしまおうということで現在採算性がとれるということでございますから、いわゆるささやかれております第二の国鉄になるのではないかというようなことは万々ないというふうに考えております。ただ、今後ともそこら辺の採算性については十分注意の上で、安易な考え方で採算性を悪くするというようなことのないように注意をしていくつもりではございます。  また、それに関連をいたしまして永久有料化のお話先生からございましたけれども、今申し上げましたように、永久有料化とすれば建設費は償還しないでよろしいわけでございますから、これはある意味で非常に楽でございますけれども、私どもとしては、道路は本来無料公開が原則でございます。したがいまして、今御指摘になりましたような永久有料制はとりたくありませんし、無料公開を原則として十分採算がとれているという現状でございますので、実はその両面から、永久有料をとるというつもりはないわけでございます。  それからもう一点、コミューターとの対比を御指摘いただきましたけれども、確かにコミューターは高速の交通手段として今後非常に脚光を浴びることになろうと存じます。しかし、コミューター自身のいわゆる交通容量といいますかキャパシティー、そういうものを考えました場合に、やはり道路交通の交通容量と比べますとかなりけたが違うような性格のものであろう、したがって、交通手段の質の多様化としてのコミューターの発展ということはあり得ますけれども、自動車交通の代替としてのコミューター交通ということは恐らくあり得ないのではないだろうかという気がいたします。したがいまして、その新聞記事もいわゆる道路交通の代替としてのコミューターという御意見ではないと私どもは理解をしている次第でございます。
  135. 長田武士

    長田分科員 永久の有料化については考えていないということでございまして、安心しました。世界各国調べましたらそういうのはないのです。日本がもしかそういうことを採用するということになると醜態でありますから、どうかひとつそれは避けていただきたい。  それから、通告してないので大変恐縮ですけれども高速道路の渋滞状況ですね。私、毎日使わせていただいておるのですけれども、高速じゃなくて低速もいいところでありまして、北池袋から乗りまして国会へ来るまで何と四十分、五十分、高速道路で燃費を使いながら走るわけでありますけれども、構造的に高速道路は欠陥があるのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  136. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のように、大都会、特に東京周辺あるいは大阪周辺におきまして幹線道路の交通渋滞が激しくて、非常に時間ロスといいますかあるいは走行のロスをおかけしていることは大変残念でございます。申しわけないと存じております。  これの根本原因でございますけれども、これはよく言われることでございますが、実は私ども二十年ほど前は、昭和六十年までには七千六百キロ高速道路をつくりたいと考えておったわけです。そして、そのとき昭和六十年には自動車保有台数は大体どのくらいになるだろうと予測したのに、三千七百万台という記録がございます。ところが、現在昭和六十年になりますと、高速自動車国道はまだ半分、道半ばということでございますし、それから二方で、自動車保有台数は四千五百万台になろうとしている、需要が大きくなって供給の方が非常におくれてしまったという結果がございます。  それともう一つは、先ほど先生からも御指摘ございました環状道路整備が非常におくれておる。その結果、本当は都心を通らなくてもいい交通が一回都心に出てまだ放射状に出ていく、こういうふくそう交通が出てしまう。  この二つの問題で現在非常に混雑を来しておりまして、私どもはこの状態をできるだけ早く解決するように懸命の努力をいたしておりますけれども、先ほどからの先生の御指摘もそういうような事業のおくれに対する御叱責と受けとめておりまして、またひとつ御指導いただきたいと思います。
  137. 長田武士

    長田分科員 高速道路に乗りまして余り時間がかかり過ぎたら料金を返したらどうでしょうか。
  138. 萩原浩

    ○萩原政府委員 高速道路、特に都市高速関係でオフランプが足りないのではないかという御指摘を受けております。上ったはいいけれども渋滞した、おりられなくなってしまうということで、オフランプをもう少し補強すべきではないかという御指摘をよく受けております。ところが、実際オフランプを設置いたしますと、地元ではただおりてくるだけでは非常にメリットがないということで、なかなか御反対が多いわけでございますが、今後ともそのランプのつけ方ということについては十分配慮してまいりたいと思います。  確かに、国鉄でも二時間以上ですと急行料金を返すわけでございます、そういう制度という御指摘でございますが、残念ながらそこまではちょっと検討させていただいておりませんので、どうぞよろしく御理解賜りたいと思います。
  139. 長田武士

    長田分科員 それでは最後に、私が提案をいたします。  私は、高速道路はもう一階乗っけて複々線といいますか、そういう構造に――何か基礎が弱くてどうも難しいということでございますけれども、新しい土地を買い求めてこれから建設するということはなにでございますから、そういう点ではもう一段乗っけて上下を複々線にすれば交通渋滞というのは避けられるのではないか。どうも合流地点がいかぬですね。そういう点では、そういうところは慢性化しております。ですから、公団としても十分そういうことは対応できると私は思いますので、もう一段乗っけていただいて、アウトバーンみたいにしろなんて私は言っているんじゃないのです。もう一段乗っけて交通渋滞を解消したらどうかと思いますが、どうでしょうか。
  140. 萩原浩

    ○萩原政府委員 いろいろ構造を多様化させて現在のスペースの中で交通容量をふやしていったらどうだという御指摘であろうと存じます。また検討させていただきたいと存じます。
  141. 長田武士

    長田分科員 以上で終わります、
  142. 住栄作

    住主査 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  143. 住栄作

    住主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。岡田正勝君。
  144. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 午後のトップバッターで恐縮でございます。大臣におかれましては、私とは長い間国会対策委員会におきましていろいろと御指導いただきまして御一緒させていただきましただけに、江藤さんがめでたく建設大臣に御就任に相なったということは党派を超えて私、心から喜んでおる次第でございます。おめでとうございます。  まず第一に、尾道―今治ルートの四国架橋の問題でございますが、その中の生口大島の架橋問題について、質問というよりはむしろお願いに属するのでございますが、逐次質問をいたしたいと思います。  まず第一に、本年度六十一年度の予算計画並びに今後の計画につきましてお示しをいただきたいと思います。
  145. 萩原浩

    ○萩原政府委員 生口橋につきましては、現在御審議をいただいております昭和六十一年度の予算におきまして御承認いただければ建設に着手をいたしたいと考えております。予算原案では、締め切り工、漁業補償等に要します建設費十一億円を計上いたしております。  生口橋は、先生御承知のとおり、広島県の因島と生口島を結ぶ橋長七百九十メートルの斜張橋でございますけれども、全体計画は、関連区間を含めて延長五・六キロメートルでございます。総事業費約四百五十億円、そのうち建設費が約三百二十億円というふうに算定をいたしておりまして、工期は約六年を要するというふうに考えておるものでございます。
  146. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣も御承知かと思いますが、今全く造船不況の真っさなかでございまして、全国的には昭和五十四年の第二次オイルショックの余波を受けてやりました第一次構造改革で、造船業界というのは設備を三五%もカットいたしまして、ドックが三つあったら一つは必ずつぶしてしまう、二つあるところは一つつぶすというような状態。それから、これは労働集約型の産業でございますので、二十七万人おりました労働者が一遍に十六万人に減るというような、十一万人減っておるんですね。これは今度提案されるでありましょう国鉄の民営・分割化に伴います余剰人員六万一千人よりも倍になるぐらいの人数を実は五十四年にはや断行しておるわけです。  そしてその後七年たちましたが、相も変わらず世界の海運不況というものは非常に厳しい状況でございまして、どうしてもこの不況から脱し切れないというので、さらに今海造審で御審議をいただいておりまして、五月ごろに答申が出る予定ですが、どうやらその空気というのは、五十四年に続いて三〇ないし四〇%ぐらいの設備と人員のカットをしなければもはや日本の造船界は生きていかれぬのじゃないかというような非常に厳しい答申が出されるような模様でございます。  そういうさなか、もう既にその答申が出るまでもなく、実は私どもが住んでおります地域の因島という昔から造船一本で栄えてきた町がございますが、その因島に出立造船所というのがあります。ここに現在三千三百人の従業員がおりますが、これを二千百人減らさにゃいかぬのです。残るのが千二百人なんです。だから三分の二カットして三分の一が残るというような物すごい厳しい合理化を断行しなければならぬ、ここまで実は追い詰められております。早くも一月現在におきまして六百五十人からの希望退職が出ました。年齢は四十五歳以上です。決してお年寄りじゃございません。中堅の技術者でございます。  こういう非常に厳しい状況にございますので、建設省におかれまして中国、四国の活性化のために、この四国大橋を一日でも早くというので生口大橋の関係を特別に御配慮をいただいて、これは建設費だよ、着工するんだよと言って十一億円の予算をおつけくださいましたことは大変感謝を申し上げておるのでありますけれども、できますことなら、ひとつ一日でも早くそれを前倒しにしていただきまして、いわゆる架橋部分だけでも地元発注をしていただくというような積極姿勢をお打ち出しいただければ、多少でも造船不況に対して救済の手を伸べることができるんじゃないか。  何せ地元では、島全体が一つの市で、因島市というところでございますが、この島は造船をのけたら残る産業はミカンしかないのです。ほかにないのであります。ですから、とにかく四万五千からの島民がもう上を下への大騒ぎなんです。そういう状況でございますので、特段に事情を御配慮いただきまして、できる限り前倒しにして地元に発注してやろうというような、御温情のあるお答えをいただけましたら、本当に地元がどれだけ喜ぶかわからぬと思うのですが、大臣のお答えをいただきたいと思います。
  147. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 岡田さんの切実な御意見、傾聴いたしておりました。日立造船の状況もよく承っておりますし、地元のお話も、今お話を承りまして私どもが考えている以上に深刻であると受けとめます。したがいまして、漁業補償が片づけば一日も早く着工したい。これは明石海峡大橋をもう来月にでも起工式をやりたいと言っておりますから、できればそれと一緒にやりたいなという気持ちがあったのですけれども、漁業補償の問題が片づかずに先越してやるわけにまいりませんものですから、局長が言いましたように、漁業補償が首尾よく進めば、一日も早く着工して地元の御期待に沿いたい、こう思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  148. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大変ありがとうございます。地元を代表して本当に心から感謝を申し上げます。これは造船所だけのことではございません。地元の地域住民全体の願いでございますので、何とぞよろしく重ねてお願いを申し上げます。  次に、架橋の問題であります。一日も早く四国まで完了していただきたいと思いますけれども、財政の御都合もあると思いますが、今後の御計画はいかようになっておるものでございましょうか、お尋ねをいたします。
  149. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘の尾道―今治ルートにつきましては、既に大三島橋と因島大島が供用開始しております。現在工事中のものが伯方・大島大橋でございまして、これは昭和六十二年度の完成を目途に工事を進めております。現在のところ六十二年度に完成できるのではないかという形で工程を進めております。  それから、今度着工させていただきます生口橋は、先ほど申し上げましたように六年を予定いたしておりますので、昭和六十六年度には開通することができるのではないか。これはいろいろな不測の事態が起こればちょっと延びることもあり得ますが、それを一つの目標として進捗させていきたいと考えております。また、もし可能であるならばこの工期の短縮も努力をしてまいりたいと考えております。  それで問題は、未着手の来島の三つの橋でございます。来島海峡の三つの橋、それから多々羅大橋、それから現在日本道路公団でもう既に橋をかけております尾道大橋をどうするかという問題が残っておりますけれども、一番の問題は何と申し上げても来島海峡の三つの橘でございます。これにつきましては、御承知のように今でも非常に海難事故の起こる、潮の流れの非常に速いところでございますので、そこら辺の問題がまだ完全にクリアされているということには至っていないと存じますが、せっかく生口橋を着工させていただきますので、この来島大橋の問題について今後積極的に取り組んでいって、目先の問題として真剣に取り組んでいくようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  150. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。非常に積極的な姿勢が答弁の中ににじんでおりまして大変喜んでおるような次第でございます。どうぞひとつよろしくお願いをいたします。  そこで一つだけちょっと希望を申し上げておくのでありますが、現在あります尾道大橋、これが現在百六十円を今度三百円に上げざるを得ないということで、その理由としましては、当然のこと四国との関連を見まして、尾道バイパスを今つくっていただいておりますので、そういう経費もかかるし百六十円を三百円に上げさせてもらわなければどうにもならぬ、これも理由としてよくわかるのでございます。ただ、それを現在利用しております尾道市民とその向かい側にあります向島の町民、さらに今度因島大橋がついておりますので因島の市民、そういう人たちからいいますと、この倍近く上がるのかというちょっとぎょっとした感じを持っているのです。よくよく説明をしていただきますと、なるほどな、それはしようがないかなとも思うのでありますが、感情的にはつい目の前の町へ行くのに、ほんの四、五百メーター渡るのに百六十円が三百円に上がるのか、えらいことだなと。  そこで、尾道へ通勤しておる人、逆に尾道から因島へ通勤しておる人なんかからいいますと、橋を渡るいわゆる通行料、これは毎日朝晩往復するわけですから一カ月にいたしますとばかにならぬ金額なので相当懐にこたえるわけです。そういう点でいろいろなことをお願いしておって甘えるようでございますけれども道路公団の方にも架橋公団の方にもひとつ何かお話をしていただいてできるだけ値上げの幅を抑えていただきたいということが一つ。  それからいま一つは、これは地元の地方自治団体の諸君がよく言うことでありますが、あの橋を利用するのに通行料を取られている、その橋をかけていただいたことはなるほどありがたいことであり地域発展につながっておるのですけれども、その橋が地盤をおろしている土地そのものは地方自治体の所管でございまして、そこの自分たちの土地を通っていくのに対してはもちろん一銭もお金をもらうわけではございませんので、通行料の中から何がしかの金を、話がみみっちくなりますが、地元の地方自治団体へ多少でも分けていただくというようなことができぬものだろうか。これも突然のことでございますのであるいはお答えは無理かもわかりませんが、地元でそういう希望が出ておりますので、何とかひとつその希望をかなえてやっていただくようなことができたらな、予算委員会で発言する機会があったら思い出してぜひそのことをお願いしてみてくれということがございましたので、これは通告をしてございませんでしたけれども、できましたらひとつ御勘案をいただけたら幸いだと思う次第であります。
  151. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘の尾道橋でございますが、これは現在の橋の本島側といいますか広島側の取りつけ部分を改築中でございます。したがいまして、今先生指摘の尾道バイパスに今度直結することになりますので非常に利用度が上がるだろうというふうに考えておりまして、二期工事を今築造中でございます。間もなく完成の予定でございますが、その暁には今先生指摘の料金の値上げというようなことになってしまうわけでございます。この問題につきましてはまたぜひ地元の方々とも御相談の上、しょっちゅうお通りいただく方はそれなりに回数券とかそういうようないろいろな便法を講じまして、できるだけ負担が少なくなるようにまた検討をさせていただきたい、こう思っております。  それからもう一つ先生指摘の地元公共団体への還元の問題でございますが、正直申し上げますと、高速自動車国道につきましてはその制度があるわけでございまして、正式に言いますと関連公共施設等整備助成金、私ども俗称メニュー助成と言っておりますけれども、ある程度の還元を地方公共団体にさせていただきまして、地方公共団体はその予算の中で適切な施設の整備をやっていただくということにいたしております。この制度をひとつ木四架橋の方にも適用できないかというような御要望をいただいております。  これが先生の御指摘のことでございまして、私どももその制度を六十年度から本四のルートについても適用するということにいたしております。したがいまして、今尾道大橋が本四の橋でございませんからちょっと直接その制度には乗り込めないのでございますけれども、先ほども申し上げましたが、尾道大橋を今後尾道―今治ルートの中でどういうふうに位置づけるかという問題もございます。現在はとりあえず開通いたします児島―坂出ルートにこの制度を適用いたしておりますが、いずれ開通いたしますれば当然のことながら別のルートにも適用されるということは当り前でございますけれども、その際に尾道大橋の性格づけと絡んで検討させていただくということになるのではないかと思います。また、検討させていただきます。
  152. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。大変地元よりも早くそういうことまで格段の御配慮をいただいておることを本当に恐縮に思います。  今何といってもまだ貫通しておりませんので、メニュー助成の問題とかそういうことが適用除外になるのではないかと思うのでありますが、貫通しますのには百年河清を待つとは申し上げませんが、江藤大臣がいらっしゃって局長さんが頑張っていただければ、私は少なくとも十年ぐらいで何とか目鼻がつくのじゃないかと思いますが、しかし十年というと昔から一昔という単位でございます。できましたら大変利用度の高い橋でもございますので、通勤客のことを考えてみると本当に胸が詰まるような気がするのです。直接陳情を聞きますと、本当にえらいことだなという感じがいたします。これは百円上がりましても一日二回、往復すれば二百円上がるわけでございますから、これが二十五日日勤をいたしますとばっちり五千円は余分に上がっていくわけでございます。今の高速道と同じようにメニュー助成の問題、回数券の問題等で御配慮いただけるものならぜひともひとつ御配慮いただきたい、これが地元の切なる希望でございます。  特に尾道の地元におきましては新幹線尾道駅をこしらえさせて、これは請願駅でございますが、百億円からの銭っ子を出して一生懸命、県から出せる金は二十億円しかありません。あとの八十億は地元で段取りしなければいかぬというので、わずか人口十二万の市民が各人みんなが銭を出し合っている。老人クラブの人たちでさえも一人頭毎年千円ずつ出しているのです。そうやって八十億円のお金を捻出しておるような財政まことに逼迫した困窮自治体でございますので、ひとつ格段の御配慮をいただきますよう重ねてお願い申し上げます。  それから次に、広島県内の山陽自動車道につきましてお尋ねをいたしますが、第一は現在の進行状況と今後の見通しについてお示しをいただければありがたいと思います。
  153. 萩原浩

    ○萩原政府委員 山陽自動車道は、神戸市から山口市に至ります延長約四百三十キロの路線でございます。そのうち広島県に関係いたします区間は倉敷ジャンクションかち岩国インターチェンジまで約百九十三キロメートル、二百キロ弱ということになります。広島ジャンクションから五日市インターチェンジまで本当にわずかでございます、三キロでございますが、既に供用を開始をいたしております。  東の方から参りまして、倉敷ジャンクションから福山西インターチェンジ間、これが五十八キロございます。それから西条インターチェンジから広島ジャンクション間三十五キロございます。さらに東に参りまして、五日市インターチェンジから廿日市インターチェンジ間十四キロ、それから大竹インターチェンジから岩国インターチェンジ間七キロ、これらにつきましては現在用地買収と工事を進行中でございまして、さらに河内インターチェンジから西条インターチェンジの十一キロにつきましては、工事の前の設計協議の段階を踏まえておるわけでございます。それからさらに、福山西インターチェンジから河内インターチェンジ間、これは三十八キロございますが、これが最もおくれておりまして、現在中心ぐい設置のための準備を進めているという段階でございます。  段階といたしましては、まず中心ぐいを設置させていただくことを御了解いただいて、中心ぐいを打ちますと今度は設計協議をさせていただいて、どういう構造にするかということを地元の方方と御相談いたします。それがまとまりますと、幅ぐいの設置になります。構造が決まりますと幅ぐいの設置、それで幅ぐいの設置が終わりますと今度は用地交渉に入る、その用地交渉が終われば工事着手、こういう段階でございますが、現在、特に福山西と河内の間はやっと中心ぐい設置のところまでこぎつけた、こういういきさつになっております。  これらの区間の供用予定でございますけれども、今後の用地買収状況にも非常に左右されるわけでございますけれども、もう既にかなり進んでおります志和インターチェンジから安芸インターチェンジ間、それから五日市から廿日市、これにつきましては昭和六十一年度、来年度供用開始の予定でございます。また、倉敷ジャンクションから福山東、それから安芸インターチェンジから広島ジャンクション、それから大竹インターから岩国インター、の間につきましては翌年の六十二年度の開通を予定をいたしております。したがいまして、この区間につきましては、間もなく開通の予定であるということに相なります。それから、福山東インターチェンジから志和インターチェンジの間は大体六十年代の後半ということを考えております。  廿日市インターチェンジから大竹インターチェンジにつきましては、一般有料広島岩国道路というのがちょうどそのところに入っておりますので、それの事業を進めておりまして、この広岩の有料道路は六十二年度の供用開始というふうに考えております。したがいまして、やっと中心ぐい設置に入りました福山西から河内インターチェンジまではちょっとまだいつできるかというめどはございませんけれども、順次この広島県内の山陽自動車道供用開始に向けて努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  154. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 時間がだんだんなくなってまいりましたので、質問を一緒にあわせてさせていただきますが、実は大臣、昭和六十九年度にアジアオリンピック大会というのを、これは広島が中心となって、県内で行うことになっています。これはもう超党派で一生懸命になって頑張っておりまして、オリンピックは開催されることに見通しがついたのでありますが、肝心ないわゆる新空港ですね、これは運輸の関係ですが、これもことしの四、五月には設置告示が出るだろうというので、六十九年の前の年の六十八年までには供用開始ができるように猛スピードをかけよう、五百億ほどかかるのでありますが、そして新空港をやってしまおう、こういう状態でありますので、それのインターは当然考えていただいておると思いますが、そのインターの状況はどうでございましょうか。見通しがどうでございましょうかということと、今まだ中心ぐい程度のところが残っておりますが、これが六十八年に何とか間に合うようにやっていただくと、アジアの各国から来ていただいたお客様に対して恥をかかぬで済むのでありますが、ひとつよろしくお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  155. 萩原浩

    ○萩原政府委員 六十九年のアジアオリンピックに間に合うように山陽道を貫通できないかという御指摘は各方面からいただいております。その結果、私ども作業を急ぎまして、先ほど申し上げましたように、残る区間の中心ぐいまで取りかかったわけでございますが、福山西から河内間は、先ほど申し上げましたようにまだ中心ぐいの準備段階でございまして、今後ここの用地交渉がどうなるかというのが実はかぎでございます。そして、現在実は福山東と福山西の間で用地交渉が難渋しているところがございまして、このようなことになるとなかなか難しいのではないか。一にかかって用地交渉でございまして、また、この点につきましては地元の地方公共団体ともお打ち合わせの上、できるだけ早期に解決するように努力をいたしたいと思います。用地が解決いたしますれば何とか御要望に沿うような形で建設を進めることも不可能ではないというふうに考えておる次第でございます。
  156. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。用地の問題が先決問題でございまして、これに対しては何といっても地元の協力が一番必要なことでございます。全く汗が出るようなことでございますが、地元といたしましても全力を挙げて何とかアジアオリンピック大会に間に合わせたいと思っておりますので、県も市町村もすべてが全力を挙げて御協力をさせていただきますので、何とぞ何とぞひとつアジアオリンピック大会に間に合いますように格段の御配慮をお願い申し上げます。  さて、次に三原バイパスの問題でありますが、現在の進行状況と今後の見通しにつきましてちょっとお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  157. 萩原浩

    ○萩原政府委員 この国道二号線の三原バイパスの問題につきましては、私も随分前からかかずらわさせていただきました。事業化は四十六年ということでございまして非常に古い計画なんでございますが、その後いろいろ路線の変更その他の問題がございまして、都市計画決定をさせていただいたのが五十九年の三月でございます。で、六十年度から用地買収に着手をさせていただいております。  このバイパスは三原市内の交通混雑緩和と交通安全の確保を目的として計画されたものでございまして、三原市内の糸崎町から新倉町に至る延長九・九キロ、幅二十二メーター、総事業費二百五十億円、これは四車線のうちの二車線の暫定供用で二百五十億円のバイパスを考えておるものでございます。六十年度におきまして地元協議を進めまして、一部用地買収に着手したところでございますけれども、今後とも地元の御協力を得ながら逐次整備を進めていきたい、こういうふうに考えているものでございます。とうぞよろしくお願いいたします。
  158. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 どうもこれは地元の方で用買が進まない、なかなか協議が進まないということでありまして、専ら地元に責任のあるようなことでございます。汗をかきながらのお願いでございますが、これもまた市長以下全員で全力を挙げて御協力をさせていただきますので、何分ともひとつよろしくお願い申し上げます。  次に、最後でございますが、先ほど申し上げましたように造船不況が著しいものでございますから、そういう問題等を勘案いたしまして、内需拡大を図っていく、そういうためにも全国的に公共事業の拡大ということが必要ではないか。この円高不況も踏まえまして、これを乗り切るには公共事業の拡大と減税しかないのじゃないかと言ってもいいぐらいに私は思うておるのでありますが、その一翼を担われる建設省といたしまして、この公共事菜の拡大につきまして、その対策はどのようにお考えになっておられるか、この点大臣からお答えをいただきまして質問を終わりたいと思います。
  159. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 昨年予算をつくりましたときと現在は随分とさま変わりしてきたんじゃないかと私は思います。テレビを見ておりましたら、原油価格が十ドルどころか八ドル台にまで落ち込むだろう、こういうことになって、いわゆる円高が定着して片っ方では石油価格が暴落をするということになると、これはやはり世界的に得をする国もありますけれども、全く支払い能力を失う国もある。そういう中で日本が生きていかなきゃならぬわけですから、ちょうど予算が通ったころ、いよいよ執行していこうというころに、これはやはり非常に大きな選択を迫られるときが来るのではないかという気が私はしております。  ただいまはこれが最善だということで予算原案を国会に御審議を煩わしておるときでありますから、今建設国債をどうだとかこうだとか言うことは差し控えることにいたしまして、しかし、そうした周辺のいわゆる世界的な環境の変化というものには適時適切にこれは対処していかなければいかぬということから、建設省の幹部にも私はそのことを申しておるわけですが、いついかなることがあっても適切に対応できるように今から準備をしておこう、こう言っておるところでございます。
  160. 住栄作

    住主査 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  次に、中林佳子君。     〔主査退席、森田(一)主査代理着席〕
  161. 中林佳子

    中林分科員 私は、建設省の治水事業に関連して質問を行います。  かつて、水を治める者は国を治める、こういうことまで言われた治水の重要性については言うまでもないことでございます。急傾斜地が多く、降雨災害が頻繁に出る我が国におきましては、国民の命と財産を守るということでは治水事業が非常に大きな意味を持っているし、治水事業が唯一そういうことをやる使命を持っていると言っても過言ではないと思うわけです。また、治山治水緊急措置法の目的におきましても、「この法律は、治山治水事業の緊急かつ計画的な実施を促進することにより、国土の保全と開発を図り、もって国民生活の安定と向上に資することを目的とする。」こうもうたわれております。  しかし、現実はどうかということになりますと、残念ながら、今進められている治水事業の実態を見ますと、この法の趣旨に反して、治水というよりは利水ということに重点が置かれていたり、あるいは計画が大変ずさんであったり、また一方的に上からの押しつけであったりというようなことで、地域住民の要求とは大きくかけ離れた場合が多いのですね。私は、その典型といたしまして、島根県下の建設省直轄の治水事業のうち、斐伊川・神戸川治水事業、それから江の川治水事業、この二つについて質問をしたいと思います。  まず初めにですけれども、斐伊川・神戸川治水事業の工事の進捗状況ですね、目標に対して大体何%ぐらいできているかということがおわかりならば、お答えいただきたいと思います。
  162. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  斐伊川、神戸川の治水につきましてでございますけれども、中海・宍道湖にっきましては湖岸堤、大橋川につきましては用地買収、本川におきましては築堤、護岸、先生神戸川と申されましたけれども、斐伊川放水路につきましては用地買収を重点的に実施をいたしております。  また、斐伊川の治水計画の一環として計画されております志津見ダムは、昭和五十八年度から実施計画調査を開始いたしましたし、斐伊川上流ダムと言われておりますダム群の調査は、現在予備調査調査実施しているというのが現状でございます。
  163. 中林佳子

    中林分科員 金額ベース、パーセントはわかりませんか。
  164. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 パーセントにつきましてはいろいろの計算の仕方があろうと思いますけれども、現在手元に資料がございません。
  165. 中林佳子

    中林分科員 今お聞きしても、実際にできているのは中海などの護岸だとか、そういうところは実際の工事にはなっているわけですけれども、いわゆるこの治水事業計画にのっとるところによりますと、まだまだ予備調査だとか調査だとか、そういうことで実際の工事にはなかなか入れていない、こういう状況だと思います。  この治水計画を簡単に言えば、神戸川は一級河川には入ってはいないのですけれども、斐伊川と神戸川の両河川の上流部にそれぞれダムをつくるということ、それから中流部に両河川をつなぐ放水路をつくって、そして三番目には、両河川の下流部をそれぞれ拡幅するということで、俗に地元では三点セット、こういうことを言いながらこの事業が進められているわけですが、各地でもここ一、二年の間に、現地調査だとか、今おっしゃったように用買が始まっておりますけれども、今もって実際には工事には入っておりません。  基本構想が出ましたのは昭和四十年代です。ですから、五十年にはそれに基づく計画が出されて、それからもう十年以上たっているというのですけれどもなかなか着工ができない。その理由には、全域で七百五十五ヘクタールの農地など、それから五百十戸の立ち退き、こういうものがどうしても必要だということになっておりますから、やはり強い住民の反対の声が上がっているわけなんです。特に、放水路で水を流す側の神戸川の下流部、ここは大社町なんですけれども、この大社町では議会の同意もまだ得られておりません。それはなぜかというと、神戸川が拡幅されることによりまして斐伊川から流れる水がふえるわけですね、そうすると、河口の出口になっている大社湾、そこを漁場にしている漁業者、これから非常に強い反対の声が上がっていて補償問題などが難航しているためだ、こういうふうに私は地元からも聞いているわけです。  ですから、私は、こういう非常に大がかりな治水計画でございますから、この三点セットと言われているところで、少なくとも、関係市町村、そこのすべての同意が得られない間は、着工はもちろんですけれども、着工を前提としたような調査や用買などもそういう住民の納得を得た上でやるべきだというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  166. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先生の御指摘は多方面にわたりましたので、順序を追ってお答えをさせていただきたいと思います。  まず第一番目に、河川事業というものは非常に広大であるけれども計画をしてから実施までに時間がかかり過ぎているのではないかというような御指摘が最初にあったかと思います。  この点につきましては、治水、川を治める者は国を治めるとかあるいは百年計画であるとかいうように、河川事業というものは国家の基本的な事業でございまして、百年あるいは五十年という長年月を見通しました計画に従いまして工事をしていくという性格がございます。  私、近年中国に参りましたけれども、私たちは百年計画あるいは五十年計画というふうでおりましたけれども、中国の方々とお話しいたしますと、もっと広大な計画あるいは見通しを持って治水事業をやっているということを拝聴いたしまして大変感銘を受けたことがございますけれども……(中林分科員「聞いたことだけに答えていただけるといいのですがね」と呼ぶ)ということで、先生の最初にお話しになりました、計画がされているのであるけれどもなかなか事業実施されないということは、河川事業というものはそういう長期的な性格を持っているということをまず御理解を賜りたいと思います。  それで、第二番目に御指摘になりました大社町のことでございますけれども、大社町は、先生御承知のように神戸川の一番下流に存している町でございまして、確かにそこの町議会等から、この計画についての積極的な賛成ということは一部に聞かれておりませんけれども、それは二つの点がございます。一つは用地買収と漁業補償ではないかと思います。  それで、用地買収につきましては、町当局並びに地権者の同意を得まして、現在用地買収を実施中でございます。それから、先生指摘の漁業補償につきましては、現在我々調査段階でございまして、具体的に関係者とお話し合いの場に乗っておりません。今後いろいろ調査検討を進めまして漁業者とお話し合いをすることになろうかと思いますが、その段階が参りましたら町当局並びに関係者と十分に打ち合わせをいたしまして適切な処置をしたいというふうに考えております。
  167. 中林佳子

    中林分科員 私が質問したことには全く答えないで、私は、なぜそういうふうにもたもたなっている――もたもたしていることが悪いとは決して言っておりません。あくまでも住民の納得の上でやらなければこういう事業は進まないわけですから、むしろ住民の意向をしっかり聞いてから初めて用買に入ったり調査に入ったりすべきだ。しかも、これはそれぞれがすべて関連があるのであるから、同意を得られたところからやるのじゃなくて、全体の、少なくともこれに関連するすべての市町村の同意が得られてからやるべきだ、こういう考えについてはいかがですかと、これを聞いたのです。簡単に答えてください。
  168. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 この計画は、先生三点セットとお話しになりましたけれども、県知事初め多数の島根県人の賛成のもとに進められている事業だと我々は理解しておりまして、先ほども答弁申し上げましたように、大社町におきましても関係者の同意を得て用地買収が進行しているということでございまして、先生お話しのように、関係者の、あるいは地域の方々の同意を得ながら仕事を進めるということにつきましては我々十分に配慮し、心がけているつもりでございます。
  169. 中林佳子

    中林分科員 確かに私も大社町で用買に応じてもいいという方がいらっしゃるという話は聞いておりますけれども、議会はまだ同意はしておりません。しかも、先ほど局長さんがおっしゃいましたように、漁業補償の問題についてはまだまだこれからだというお話もあるのですよ。強い反対があるのです。いわば三点セットと建設省もおっしゃっているような事業でございますが、実はもう六十一年度の予算で用買に入ろうというようなところもあれば、漁業補償の話もまだこれからだというようなところもあるわけなのです。ですから、いわば既成事実、ここはもう用買が進んでいる、ここは何々ダムができてきた、じゃ、もうあなたは待ったなしでやるしかないのだということで、先にやった方があとの反対している方に圧力をかけかねないということで、本当に住民の納得のいく治水事業ということであるならば、重ねてですけれども、少なくともこれに関連する全市町村の同意を得てから進められるべきだということを私は要望しておきます。  実は、これは地域住民と問題が起きているだけでなくして、ほかの省庁との関連で問題があるのじゃないかと思っているのです。それは、農水省が中海干拓計画をやっているわけですけれども、それとの事業関係している問題ですが、松江市の大橋川の最大流量が違うわけなのです。毎秒三百トンの開きがあるということで、治水対策上こんな開きがあって果たしていいのだろうか、私も地元におりますけれども、これで本当に安心なのだろうかという思いがしているわけですけれども、この整合性はどうなっているのでしょうか。
  170. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先生指摘の、建設省の対象としております流量と農林省が対象としている流量と三百立方メートルの開差があることは承知をしております。私ども建設省の対象としております流量というのは、これは御説明するまでもないと思いますけれども、斐伊川の治水上、我々がどのような計画をしていったらいいかというようなことの基準との合流量でございまして、農林省の対象としておりますのは中海干拓を進めていく事業の上で一応対象としている流量というふうに私は理解しておりまして、その三百トンの開差がいかなる意味があるかということは、農林省の方にお尋ねしていただかなければわからないと思いますけれども、少なくとも私ども建設省といたしましては斐伊川の治水のための対象流量といたしましては、現在お示ししている流量で事業を進めていくというふうに考えております。
  171. 中林佳子

    中林分科員 農水省の方は最大流量千三百トン、建設省の方がお示しになっているのは千六百トンといろことになりますと、農水省の計画でいけば、建設省がお示しになっている数字ではこれではあふれるということになってしまうわけです。そうすると、この干拓問題でもし農水省の方から治水上の問題で建設省の方に、今もいろいろやられているとは聞いておりますけれども、これに対しては指摘をされる用意がありますか。
  172. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先ほども説明申し上げましたように、私ども建設省といたしましては、治水上の安全について一応責任を持って行政を進めておる官庁でございますので、治水上はいかがかというお尋ねに対しましては千六百トンということをお答え申し上げまして、農林省の千三百トンの性格につきましては、ちょっと私の立場上お答えはできない問題でございます。
  173. 中林佳子

    中林分科員 これは住民の財産だとか命にかかわる治水の問題ですから、そういう計画で実は干拓事業は進められている、直接の所管ではございませんけれども治水の問題で言えば大きな位置を占めている、そういう状況でございますので、今のような説明では私は納得もできませんし、同じ政府内でのことでございますから、この整合性はぜひ建設省の方から、農水省の方が少なく見積もっているわけでございますので、その辺、それに適応できる干拓だとかいってやっておるわけですから、そういう整合性をとる場面がありましたら、治水上は千六百トンでなければだめだということをぜひ指摘していただきたいということを私は要望しておきます。  このほか、この河川について非常に不安なのは、中流部の放水路計画があるわけですけれども、多量の真砂が含まれているわけです。ですから、暴れ川として非常に名高い。大臣、八岐大蛇の伝説が出たのもこの川がもとです。ですから、この斐伊川の水を洪水時に毎秒二千トンも分流しようという壮大な計画については極めて十分な調査というものが必要だと思うわけですけれども建設省はそのために土木研究所で模型実験を進めてこられておりまして、私もここにその写しを持っているわけなのです。これを見させていただきますと、「現在模型実験の手法が完全に確立されていない」とか「実験があわただしく困難な状況下であった」など、実験の難しさを随所に示しているわけですね。しかも、「まとめ」という項目の中に「一度洪水が来襲し計画分流を行うと、分流点付近の河道は一変する可能性がある。特に流量」最大流量毎秒三千五百トンですね、「毎秒三千五百トン相当以上の洪水が来襲すると、通常のようなうろこ流砂州は容易には形成されなくなると推定できる。」と流砂の影響の非常にすさまじいところを指摘しているわけです。この報告書を見る限り、着工するまでにはさらに十分な実験だとか検討が必要だと私は思うのですけれども建設省はどのようにお考えでしょうか。
  174. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 私も実は若いときに土木研究所におりまして実験をやっていた一員でございますので、土木研究所で実験をやっている結果がどのような精度のものであり、どのような程度のものであるかということは私の体でも一応の理解はできるものでございます。  それで、報告によりますと、模型実験により放水路のみ口、分流ぜきの位置であるとか沈砂池の諸元、本川河道内の河床変動とその対応等の対策を実験で研究をしたというふうに承知をいたしておりまして、実験結果につきましては、先ほど先生が申されましたように、相似律の問題であるとかその実験の手法につきましてまだ学問的に解明されていない点はございますけれども、いわゆる工学的な知見を得るという範疇から考えますと、私は、現在の実験でほぼ安全な分流の諸元ができたのではないかと考えております。  しかしながら、実際にこれから現地に物をつくっていく段階になるわけでございますが、その工事実施の詳細な設計、構造、そういうものにつきましては今後ともさらに研究を進めまして適切な施設をつくりたい、かように考えております。
  175. 中林佳子

    中林分科員 治水計画でございますので、これがもとでまた大災害ということになったら元も子もないと思いますので、慎重の上にも慎重を重ねていただきたいと思います。  こういった技術上の不安とあわせて関係住民が一番不安を覚えているのは、用買などで失われる家だとか土地、それに伴うところの生活再建計画なんです。こういうものが実はいまだに提示はされておりません。ですから、特に農家の人たちの強い要望なんですけれども、大半の人が非常に優良農地を抱えているところでありますし、特に放水路の関係ですが、現在の家の近くに代替農地を確保してほしいとか、宅地にしても約八割の人は今の家の近くに住みたい、こう言っているわけです。  そこで、私ぜひ大臣にお願いしたいのですけれども、広島県で灰塚ダムというのが実は計画されております。この計画では建設省と住民との間に測量だとか調査についての協定が結ばれております。その協定というのは、調査結果について一年ごとに公表して、もし協定内容に違反があった場合は調査などを凍結しているという内容のものなんです。最終期には生活保障と過疎防止対策を明示するということまで協定の中に盛り込まれているわけなんですね。ですから、この斐伊川の治水計画の問題でもこういったいわば住民の納得が得られる形でのことをやらない限り、見切り発車するようなことがないように住民の納得のいく、それは協定という形が私は一番よろしいと思います。ほかの形でも結構ですけれども、住民の同意のもとで着工していく、走らせていくということを言明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 私からまず最初にお話をさせていただきまして、その上で大臣のお言葉をいただきたいと思いますが、私ども工事の実施に伴います用地を提供される方々の生活再建が最重要であるというふうに理解をいたしておりまして、工事の実施につきましては生活再建を立てることを最重要課題といたしております。しかしながら、その生活再建をどのように地元の方々と詰めていくかというようなやり方につきましては、その事業の経緯であるとか土地柄であるとか背景であるとか等々地域の特性がございますので、その地域の特性に合った最も適したものをやり方として採用するべきではないか。  しかしながら、目標は用地を提供していただく方々の生活再建でございますので、その用地を提供していただく方々の生活再建が適切にいくように十分に配慮していきたいということで、その土地土地の実態に合った方法でやるように指導しているところでございます。神戸川につきましても、先生お話しになりました灰塚ダムにつきましてもそのような指導をとっておるところでございます。
  177. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私は今度の日曜日に群馬県の八ツ場ダムというところへ行ってこようと思っているのです。これは二十七年から計画されましてやっと今度合意ができたのです。やはりおっしゃるように水没家屋の生活設計が一番問題になるのですね。ですから、私もやはり農村地帯に生をうけできましたから、そういう人の生活というのは大事にしなければいかぬ。ほかのときに行けませんので日曜日にちょっと日帰りで行ってこよう、こう思っております。  したがいまして、この件につきましても、多くの利益のために個々人が犠牲になっていいということでもありませんし、一体どういう形がいいか。県とやったらいいのか、地元の印とやったらいいのか、あるいはそういうものを飛び越えて直接に地域住民と建設省が協定を結ぶというのは果たしていかがなものかという感じもいささかいたします。やはり行政官庁ですから建設省、県、地元の地方自治団体、そういうものと相談を一番真っ先にしてみるのが本当じゃないか、こう思っておりますが、ただいま意見もよく承りましたから、これは慎重に十分気をつけて取り進めていきたい、こう思っております。
  178. 中林佳子

    中林分科員 灰塚ダム方式というそうでございまして、全国でもかなり名が売れているこの協定の方式らしゅうございますので、ぜひよろしくお願いします。  続いて非常に時間が短くなりましたけれども、もう一方の江の川治水事業についてお伺いしますが、これは昭和四十八年に建設省が発表されました江の川水系工事実施基本計画に基づいて進められているわけなんですけれども、四十七年に大災害が起こりました。しかしもう十数年たっているわけですけれども、その計画では上流にダムをつくる、中流にもダムをつくってカットする、もちろん築堤もやるというような計画に基づいて行われているのですけれども、新設ダムの着工、これは先ほどお話しした灰塚ダムも含まれているわけですけれども、着工には至っていないという状況で下流部では極めて不安があるわけなんです。そういう計画のもと築堤などが行われているけれども、果たしてこれでいいのだろうか。上流では一向にダムができないのじゃないかというような話がございます。  特に今島根県側のその河口部にあります江津市、ここでは大変不安を覚えておりますのは、実は四十七年の災害のときには上流部の三次市、盆地ですが、ここは大水害を受けてそこが一つの遊水地になりました。それでも下流部も大変な災害を受けたのです。ところが今治水が進みましてどういう状況になっているかというと、三次市は五基の内水排除のポンプもつきました。だから予算配分も大体上流部、いわば広島県側、下流部島根県側との予算のつき方が大体六割、多いのが上流部なんです。ずっと毎年予算ペースを見てくると島根県側の方が少なくついているということで、流れる量のその内水排除まで三次市ではやっている。そうしますと、今までの流れとは随分違うということを、実は私五十六年にここに調査に行ったときに三次工事事務所長もこれで下流に行くと本当に大変になるのじゃないかと懸念をしておられました。ですから私どもは少なくともこの治水のあり方、下流部にも、上流ももちろん大切です、しかし、それに匹敵するかさらにそれを上回る予算を下流部に配分すべきではないかということが一点です。  それから内水排除の問題ですけれども、実はそういう状況のもとで江津市では本町というかなり大きな可部があるのですけれども、ここではちょっと雨が降るとすぐ洪水というか水がたまってしまうということで、内水排除の要求が非常に強いのです。しかし全体の予算が少ないところから、先般も実は要望しましたところ、本川の方の堤防が優先されるので内水の方には予算が回らない、考えてないわけではないけれども、こういうふうなお話がございました。しかし三次でできて、直轄になってからも建設省が三基はおつけになったはずです。ですから上流でできてなぜ下流で内水排除ができないのか、こういう二重、三重の不安を実は抱えているわけなんです。ですからぜひ下流の方にも予算も多くつけ、内水排除にも着工していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  179. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 二点御指摘をいただいたわけです。  第一点の予算を下流にというお話でございますが、先生指摘のように上流三次地区は四十七年に大災害を受けまして、私もその直後参りましたけれども、千五百戸という浸水家屋を見た地区でございまして、建設省といたしましても三川合流地点の改修、それにあわせまして内水排除もこの機会にやるべきではないか。千五百戸も浸水を見たわけでございますので、再度このような悲惨な目に三次地区の方々をさせるのは非常に忍びないというようなことで、おっしゃるように排水ポンプもいたしました。それでは下流の方は全然建設省、もう見殺しにしているのかというような印象を、持たれないとは思いますけれども、ないがしろにしているわけではございませんで、先ほど土師ダムのことをお話しになりましたけれども……(中林分科員「土師はもう済んでいます」と呼ぶ)ですから、土師ダムをつくったということは、下流の洪水調節のためにつくっているわけでございまして、そのほか堤防あるいは護岸等につきまして、建設省並びに県が力を合わせまして、下流の方の災害防除のための治水事業を今推進しているところでございます。  それから、三番目に最下流の内水ポンプの点につきまして御指摘があったわけでございますけれども先生が御指摘のとおりでございまして、繰り返しになりますけれども、我々は外水を防御することがまず第一番目でございまして、その次に内水という順序に考えております。それで、御指摘の下流はその外水を守る堤防、護岸がまだできておりませんので、建設省としましてはそこに重点を置いてやり、その次に内水ポンプに取りかかりたいと思っているわけでございまして、本当はしたくてしたくてしようがないような気持ちになっているわけでございますけれども、その内水ポンプをする段階に至っておりませんので、今後また一層奮励いたしまして、できるだけ早く下流に内水ポンプができるように努力を重ねたいというふうに思っております。
  180. 中林佳子

    中林分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、実は土師ダムはできましたけれども、全体が三千五百トンのカットでしょう。そのうち土師ダムはたったの五百トンしかカットしてないのですよ。それで灰塚ダムで四百トンで、今九百トンのめどはついておるけれども、残りは全くめどがついてないのですよ。これじゃ下流部は不安でしようがございません。それなのに本川が優先で、とても今の御答弁を聞いていても内水排除なんて何年先だろうかという不安を大変抱くわけですので、大臣もお聞きになっていらっしゃると思います、本当に多くの人命や財産が奪われた地域でございますので、治水事業には特段の力を入れていただきますことを申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。
  181. 森田一

    森田(一)主査代理 これにて中林佳子君の質疑は終了いたしました。  次に、渋沢利久君。
  182. 渋沢利久

    渋沢分科員 荒川にかかわる旧中川という河川がありまして、これは第二項目にお尋ねする地震対策のための防災拠点にもつながっている地点の河川でありますけれども、この旧中川については既にもう二十年近くになろうかと思いますけれども建設省の合意と指導の上で東京都が河川整備計画、つまりこれは東京下町のデルタ地帯のいわばシンボル的な河川だと言っていいと思うのでありますけれども、地震に弱いこの地域、その河川整備計画の軸として、荒川に最も近い、中小河川の中でも比較的中型な旧中川の河川整備計画というものが非常に重要な位置づけをされて、整備計画がつくられました。非常に特徴的なことは、かなりの幅員のある川でありますけれども、この川幅をぐっと狭めて、そして底の深い、狭い川につくりかえて、いわゆる周辺の余剰の土地を自然環境整備の地盤開発に充てる、桜千本植えるというような、そしてボートを浮かべて、もうとてもそばに立って釣りどころではない今のひどいヘドロの川から、そういう夢のある河川への転換を描き上げたすばらしい計画建設省の指導で東京都がおつくりになったということがありますが、遅遅として進まずであります。  大臣はこれから機会があったらぜひ行って見ていただきたいと思うのでありますが、前の木部大臣も江戸川区の親水河川、小さな川を下水道工事に絡みましてすばらしい、子供たちにとっても、これはお金をかけてよそへ行く必要のない、手近な、身近なオアシスとして今非常に注目を浴びております。それの規模の非常に大きなものとして大きな夢と期待を持たされている計画でございます。遅々として進ますという思いがあるわけでありますけれども、簡潔に、一体どうしてこんなにおくれておるのか、どう展開しようとされておるのか、御説明をいただきたい。
  183. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 旧中川の改修は耐震対策として水位を低下させるという事業実施しておりますが、現在第一段階、すなわちAPプラス・マイナス・ゼロの工事を終わりまして、さらに水位を下げる工事に取りかかっております。それで第三段階といたしましては、先生指摘のように、その周辺をもう少しなだらかにするとかいうことで親水環境を創設するということを考えております。
  184. 渋沢利久

    渋沢分科員 なぜこんなにおくれておるのか。
  185. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 私どもは一生懸命やっておるつもりでございますけれども事業実施にっきましては、計画の面であるとか予算の面であるとか、それから周辺との調整であるとか、そういうものがございまして現実の姿になっているわけでございます。
  186. 渋沢利久

    渋沢分科員 これはぜひ積極的に進められるように強く求めておきたいと思います。これは、おととしの分科会でも同じ指摘を私はしておりますが、来年も再来年も、機会が許されるならばこの分科会で執拗に要望してまいりたいというふうに考えておりますので、きょうまた改めて強く要望しておきたいというふうに思うわけであります。  さて、その旧中川の下流の地点に大型の大地震に対応するための地震対策としての防災拠点計画というものの一つがあるわけであります。これも、言うまでもありませんが、建設省の大きな指導のもとで東京都の事業という形でやられておりますけれども、この防災拠点計画というのがこれまた問題であります。  旧中川の整備計画というのは、直接的には川だけを拍手にした事業であります。ところが、防災拠点というのは、そのかなり広い地域に住んでいるたくさんの人たちの生活に直接かかわる事業でありまして、どれか関係住民に正式に計画説明が行われてから実に十六年たっておる。一部虫食いのように部分的な作業、仕事は進んでおりますけれども、しかしいまだに、あそこに住んでおられる人たちが十六年たった今、おれは本当に幾ら借金すれば新しい住宅、再開発住宅であれ、入ることができるかということがつかみ切れない苦悩の中にあります。まあ長い間にやることは間違いなかろう、いつやるかわからないという状態の中で、人はどんどん減って、待ち切れないで、都や国の事業については信頼が置けないということでよそへ転出する方が非常に多くなりました。しかし、動くに動けない人たちがたくさん残っておりまして、数少なくなった消費者を相手に商店街は閉店に近いような、廃山の炭鉱の寂れた町を歩くふうな思いで、まさにこれは重大な問題になっております。実は去年の暮れに、前大臣に地元の代表が直接会いまして、これは地元の自民党の島村代議士と私どもが御相談をして日程調整などをいたしまして、二人で声を合わせて、その請願の際にも大臣にも担当の局長にも強い要望を申し上げておるところであります。  例えば、ずっと一貫して説明をしておったことの中に再開発住宅というものがございました。ほとんど借地が圧倒的ですけれども、借地、借家、借間という弱小権利者の集まっておるところ、一部中小工場が群集しておる、そういうところでございますけれども、この層にとって最大の課題はまず住居の問題である。新しいビルに権利変換をやるといいましても、今ある財産は古びたもので、現に今そのモデルなども出ておりますけれども、決して地元の人たちが期待するほど高い資産評価がされないで、これは低い評価をされる。それから、国も大変な努力をしたと言うけれども、確かに努力の跡を否定はいたしません。自己財産の自己評価と新しい移るべき変換施設の評価との落差を縮めるための政治的な配慮がないとは私は言いません。それはそれなりに評価をいたしますけれども、しかし、現実に存在をする権利者の懐ぐあいから言えば、まことに遠い距離にあって、非常に苦悩のさなかにあって、到底行けない。せめて居住の権利を担保するものがあるとすれば、都営住宅であったり、それから再開発住宅である。ところが都営住宅は、これは法律を変えない限り、一定の制限があって、基準に合わない限りなかなか入れない。そこでやはり頼みの綱は再開発住宅です。  そこで、アパートに住んでいる単身者を含めて、今あなた方の犠牲でいざというときたに二十万、三十万の人たちの人命を救うために逃げ場、広場をここにつくるんだからして、でき上がるビルは火よけのビルである、いずれにしても、そこに今住んでいる人たちを時に外へ転出せしめ、時に火よけになるであろう住宅に配属せしめるのであるからして、諸君が住まいの権利を失うようなことはさせない。これは当たり前のことですね。こう言い切ってきたわけです。彼らは、自分たちの再開発をみずから望んでこの計画を組み立てたものでもなければ、同意したものでもないんだ。まさに大災害、地震が起きたときには、大きな広場をつくって逃げ場をつくる以外にない、そしてよそからの火を防ぐための高層住宅で囲うよりしようがないということで、白鬚は既に完成し、大島、亀戸、小松川地区というのが第二地区計画として進められておる、こういうことであるからして、計画説明の段階では、当然諸君の居住の権利を損なうなんということはない、皆さんのそれぞれの現状に対応した対策を必ずとります、これは決して追っ払いの、たたき出しの、弱者ほうり出しの震災対策だけじゃありません。震災対策が一つの柱なら、いま一つの柱は、今住んでいる人たちが今よりずっとよくなる地域開発、夢と希望のあるそういう地域環境整備、この二つの柱をもって両立せしめてやるというのがこの計画のみそだとうたい上げてきたのですよ。私などもちゃんとその説明に立ち会って聞いておる。資料もある。だから、詐欺だと訴えないのは、最初からだますつもりでやったわけではあるまいと思うからだれも詐欺罪で訴える者はいないけれども、まことに十六年の経緯を見れば、大臣、詐欺的と言われてもしようがないようなやり方で、現実には全く再開発住宅などは、いやありません、都はとても見込みがないから出しませんでした、六十一年度はゼロだ、そういう情報が流れて、もう全く政治不信ですよ。そういう状況があるのですね。  私はきのう建設省の人に、電話があったから、それはもう去年出した文書、それ以外のことを聞くわけではない、超党派で議員が立ち会って大臣に出したわずか数項目、その項目に沿って私はただすから、誠意のああ答弁を煩わしたいということを申し上げておきました。その三つのうちの一つが今言いました再開発住宅です。どう誠意のある対応をするのか、具体的におありになるのか、説明していただきたい。
  187. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 内容につきましては先生よく御存じだと思いますのでぐどくど御説明申し上げませんが、この地区の再開発住宅は、全体計画七百五十二戸のうち、六十年度までに二百六十三戸が措置されております。そのうち六十年度は二十四戸、五十五年にその余がついているわけでございます。  六十一年度でございますけれども、全体の問題としては、例の地域改善対策特別措置法、この最終年度に当たるということがあります。それで、この再開発住宅というのが住宅地区改良事業の枠の中でやるという事情がございまして、そういうことから大変厳しい事情があるということでございます。ただ、七百五十二というその全体計画については、これは削減されているとは聞いておりません。  今後の問題でございますけれども事業の進捗を十分把握しまして、事業主体ともよく相談しまして、十分検討いたしたいというふうに考えております。
  188. 渋沢利久

    渋沢分科員 話の趣旨としては支障のないようにするということだから、言葉の上では大変結構な答弁だけれども、現実には、例えば六十一年度の予算の面で見れば、これは東京都を通して説明しているところによればゼロ戸なんです。その事実は間違いないでしょう。
  189. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 要望がなかったことは事実でございます。
  190. 渋沢利久

    渋沢分科員 これは東京都に言わせれば、来年のやつを出したってむだだから出さなかったというようなことを言っておるのですが、その辺のところを今ここで建設省を相手に綱引きをやってもしようがないことだから省きますけれども、しかし、全く住民の側からいいますと、それがおっしゃるとおり最終的に心配のないようにするようなお話なら、何で我々が間に入って、大臣をつかまえて時間をとってこんなことをお願いしなければならぬのかというふうに思うのですよ。事態は、現状は大変違った形で不信が積み重ねられているという状況がありまして、この種の陳情になっているというふうに思うのであります。地元の団体が白鬚などの場合と比べて非常にまとまりが悪かったということ、これが東京都がここへの対応をおくらせてきた原因であるかのごとき説明がしばしば行われていると思いますけれども、それは事実に反します。そうではなしに、当初考えておった計画が次々と途中から財源見通しとのかかわりで変わっていったということがありまして、そういう意味で全体として計画が非常におくれたということがあります。     〔森田(一)主査代理退席、主査着席〕  この去年大臣に出しました陳情書の中で、二の項がその再開発住宅、三の項は、大変細かいことになってしまっているが単身者などについての――文書はそこに行っていますか、行っていますね。単身者などのアパート居住者については見ないというようなことを現地では説明されておる。これも不信の一つ。わざわざ政府への陳情書に、この辺の解明を善処を願いたいというのを出しているようですけれども、これはどういう指導をされておりますか。
  191. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 再開発住宅への入居者につきましては、事業施行者が事業全体の進捗状況などを勘案しながら、地区内の借家人などで住宅に困窮する者の中から決定する、そういうことになっているのは先生も御案内のとおりだと思います。  地区内の単身の住宅困窮者、これに対する住宅の手当てにつきましては、事業の進捗状況ども勘案するわけでございますけれども、再開発住宅による対処のほか、高齢であること、そういう場合には入居資格を有するということで、東京都営住宅への特定入居あるいは地区外の公的住宅へのあっせん等の対策を総合的に講じていくように東京都を指導しているということでございます。
  192. 渋沢利久

    渋沢分科員 ではまとめて伺いますが、再開発住宅については、住民の要望に万全にこたえる、年度年度においては、都との要求があったとかなかったとかいう六十一年度部分については言い分が出ているけれども、総体として、この住民が要望している再開発住宅については住民の希望を満たすという計画を国の責任において行うということは明確に言明いたしますね。白鬚の場合は少し余分なぐらいちゃんとそういうふうに政策的に対応しておるのですね。ところが、何でここがこんなひどい状態になっておるのか。あなた方がどう言おうと、東京都が、国の予算が、建設省が、こういう説明しかしておらぬのですよ、現実に対応できておらぬのですから。今一番欲しいと言っているものを、言い続けてきたものを、さっき言ったように国へ出しません、本当はそんなはずはないのですよ。しかし、出してもむだだという状況で、ことしはゼロですというようなことを言っておるわけであります。そして、最終的な将来見通しについても明確な言明をしておらないのですよ。白鬚でこれだけきちんとやったものを、同じ事業を国の指導でやっておりながらどうしてこんなに差ができるのだということ、これは不信の原因ですよ。その点はひとつ明確にお答えをいただきたい。
  193. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 六十一年度につきましては、先ほど申しましたような事情がございまして、これは全国的に非常に厳しい状況にあるわけでございます。そういう事情もおもんぱかってといいますかお考えになって、東京都の方がそういう対応をされたのかとも思います。しかし、全体計画の削減、七百五十二戸というものは削減されておりません。したがって、今後我々は誠意を持って対応してまいりたいというふうに考えております。
  194. 渋沢利久

    渋沢分科員 それは、東京都はちゃんと全体の状況を見越して、出してもむだだと思って出さなかったのです。出さなかったということについて大変ばつの悪い思いをしているのですよ。しかしそれは、出してもむだだというお見通しをちゃんと内々建設省から御指導いただいておるから、それを受けて素直な東京都はお出しにならなかったのだ。出さなかったことの非を今地元から徹底的に究明されておる。出したけれども要求がかなわなかったというならわかるけれども、出さなかったというのは今までの経緯からしていかがなものかと大変な不信を招いておるわけです。ですから、そういう意味で、ここはひとつ明確に政府の考え方を伺って速記録に残して地元の諸君に理解をしてもらわないと、これは全く信頼関係ですから、次々と信頼を崩すようなことが行われるということでは大変困るわけです。  ちなみに、こういう都市改造の事業でさまざま、例えばここでもそうですけれども、借地人の権利が動く場合には、その土地所有者と借地人との間の権利割合とかということでトラブルが起こるということであります。ところが、行政はなかなか権利割合についてまで口は出せないということで逃げる。ところが、そこを明確にしないと弱い者が泣くという都市計画都市改造になってしまう。そこで、心ある行政は、介入の仕方は難しいけれども、事実上事業を円滑に推進するという意味で、やはり権利を大きく持っている側に常識の線でやるように大変上手な指導をやられる自治体もあるわけであります。その辺の割合は、例えば七、玉とか六、四とか、物差しがあるわけじゃないから判例を材料にして上手な指導をなされるのであるけれども、今東京都のこの地域でやっている例を見ますと、現実には逆転状況が起こっておる。そして、地主の割合が七割とか六割が常識で借地人の割合が三割、四割という状況が定着していると言っては大変大げさな言い方になると思いますが、実はそういう状況で、急ぐ借地人と急がない土地所有者との間でそういう状況が出て大変に泣かれているという状況、ところが東京都は、そんなものは役所が介在することじゃありませんの一点張りで何の適正な指導もやっておりません。これはどうなんですか。建設省の御指導では、何か地方自治体がそういうことについて適切な指導をできるような指導というものはないのですか。行政はそんなことには物が言えない、口が出せないと言う以外には対応のしようがないのですか。
  195. 牧野徹

    ○牧野政府委員 ただいまの先生のおただしは、いわゆる従前資産の評価というふうなこととなりますでしょうか。――いわゆる再開発事業を進めます場合には、今ある権利者の方の資産を適正に評価する、これがまず一番最初の大事な点でございます。御存じだと思いますが、具体的には個別のプロジェクトごとに、東京都でも市街地再開発審査会、これは利害関係者とか学識経験者とか入れておつくりになりますが、その場で決定を個別にされていくものでございます。ただ、これはやはり今後ともその事業対象地域、今先生がおっしゃったのはそういう意味だと思いますが、そこにおけるコンセンサスを得るということが大変大事でございますから、事業の円滑な推進を図るためにその審査会が無事に機能するように見守っていきたいと考えております。
  196. 渋沢利久

    渋沢分科員 それがまさに私が申し上げたとおりの状況で、残念ながら弱者が泣き寝入りという状況が進んでおります。あるいは転出をしたい、この際この事業になじまない、待ち切れないという人たちが、外へ出たい、そのためには自分が持っている財産について早く評価をしてもらって、そして金銭処理をしてよそへ行く。土地のあっせんをしてくれればいいけれども、要求が激増しているが実際にはこたえ切っていない。やむを得ないから金銭処理でよそへ出たい。ところが、それも予算のあることで、行列して待っていなさい、今ごろ出したものは四、五年かかるという話だ。そういう状況なんですよ、現実に。これももう少し、幾ら財政事情がといいましても、こんなひどい話は――本来はそこで権利が十分に確保されなければならない。そのことを期待して十六年待ったけれども、これからまた長い時間を待たなければならぬということで、もうとても耐えられないからよそへ転出したいという希望がこれはこれで出ておるけれども、しかし、これにも予算をつけなければならぬから、今の見通しからいうと、とてもではないが三年は最低かかるとか四、五年がいいところだろうというような、そういうアドバイスですね。あるいはまだそう言ってくれる方はいいのだそうでして、何とも見通しははっきり言ってくれぬ。それは予算次第です、出ていきたいというのはわかりました、しかし実際評価に手をつけるに、はとても至りません、行列です、こういう状況にあるのですね。これもやはり予算対応の問題ですが、ぜひこれは善処してほしいと思いますが、いかがですか。
  197. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先生がおっしゃるとおり、再開発事業の中でも防災拠点関係というものは最重要でございます。そこで、先生がこの間お見えいただいたときにも私御説明しましたように、ただいま御審議いただいております六十一年度の予算案では、建設省全体としては減る中で、皆さんの御理解を得て三〇%をしっかり伸ばすという予算案で今御審議願っております。この予算案がもし無事に成立いたしましたら、例えば今おっしゃっているのは亀大小地区だと思いますが、そこには十分予算配賦をしたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  198. 渋沢利久

    渋沢分科員 今の局長の十分というところはなかなかボリュームのある、決意が伝わってくるのだが、速記録には残らぬけれども、しかし、あなたの誠意のある、責任のある答弁と受けとめて、私はそれはちょうだいしておきます。  最後に、あと二分ありますので一言。大臣、一度現地をごらんいただきたい。最初に旧中川と、桜千本土手をと私言いましたけれども、同じ地域、つながった地域でありますので、その防災拠点の真ん中にその川が位置するというものでございますので、余り先へいきますとお忙しくなってあれですから、早い機会に、大臣、現地をひとつぜひ視察を願いたいものだというふうに強く願っております。今私が局長にただしましたことを含めてひとつ大臣の御意見、それから現地視察についての御意見を含めて最後に伺いたいと思います。
  199. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 大川端、新川地区は私は既に行きまして、それから東京湾全部ヘリコプターで幹部と一緒に回ったのですが、今おっしゃる荒川周辺については私は興味を持っているのです。先生の御熱意に押されて、ぜひ機会を得て一度お伺いさせていただきたいと思っております。
  200. 渋沢利久

    渋沢分科員 どうもありがとうございました。
  201. 住栄作

    住主査 これにて渋沢利久君の質疑は終了いたしました。  次に、駒谷明君。
  202. 駒谷明

    駒谷分科員 私は三点にわたってお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  最初に下水道整備の問題でございますけれども建設大臣にお伺いをいたしたいと思います。  下水道整備につきましては、御承知のとおり都市及びその周辺地域の特に人口が増加をしている地域、こういう地域におきましては、公共水域の汚濁の防止、生活環境の改善という観点から、どうしてもやはり快適な生活、魅力のある町づくりというものをしていかなければならない。そして、生活環境そのものも質の高い国民生活を実現するためには、どうしてもこの下水道整備というのは必要であろうと私は思うわけであります。  この生活基盤の整備につきましては、建設省、各県等の御努力で徐々に整備は進んでおるわけでありますけれども、この進捗はなかなか思うようにいっていない。先進諸外国に比較をいたしますと、その格差は大変大きいわけであります。国土庁計画・調整局の資料によりますと、これは総人口普及率ですけれども、日本においては八五年に三四%、ところが諸外国関係、イギリスでは七六年に九七、西ドイツは八三年に九一、フランスは七五年で六五、イタリーのデータは出ておりませんが、アメリカは七九年で七二%。日本のいわゆる社会資本の問題につきましては、下水道に関してはかなりおくれておるのが出ておるわけでございます。  近年、財政再建という事情の中から、内需拡大の一つの大きな柱でありますけれども、この生活関連公共事業費の拡大に逆行した財政運営がずっと続いているのではないか。したがって、この整備はますます後退しているのじゃないか、そのように思うわけであります。一方、大きな経済問題になっております日米の貿易不均衡も昨年五百億ドルという最高に達してきておるわけであります。そういう観点から、貿易摩擦の解消、景気対策、内需の拡大政策というのは不可欠の要件である、そういうことが言われておるわけで奉ります。  そこで大臣、この生活関連公共事業、特に下水道整備事業という問題について、我が国の経済社会に及ぼす影響、投資効果、その点についてどのような御認識を持っておられるのか、まず御所見をお伺いしたいと思います。
  203. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 パリでは三百年前にもう既にジャン・バルジャンが出てくるようなあの大きい下水道が整備されておる、ごうよく言われますが、日本はそのころは全くなかったのだろうと私は思います。私の小さいときまで大体こういうものはふん尿を含めまして田んぼやら畑に還元しておりましたから、そういうことでやはり日本は下水道の整備が非常におくれてきた、これは否めない事実だと思います。したがいまして、もうここまで日本がやってきますと、今おっしゃいますように、これから五カ年計画をやってもまだ四六%しか進まないということではまことに恥ずかしい限りでありまして、私は、これからはこの下水道の整備都市河川の整備が両々相まって一番大事な都市部の環境整備というものに非常に役立っていくのじゃないか、こういうふうに思っております。今回下水道法の一部改正も御審議をお願いすることにしておりますし、それから大都市圏だけではなくて地方でも都会と同じように下水道の整備をしていこう、環境整備をしていこう、こういうことでありまして、これはことしも一兆七千七百億事業費をいただいたわけですが、完全な消化を目指しまして最大の努力をしてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  204. 駒谷明

    駒谷分科員 大臣の大変力強い御答弁をいただいたのでございますけれども、財政事情から今の段階では大変厳しい六十一年度を初年度とする先ほどお話のあった第六次下水道整備五カ年計画でありますが、総事業費が十二兆二千億円でございます。第五次計画から見ますと一・〇三%の伸びという状況であります。事業実績の関係、過去を見てみますと、第四次の計画に対する進捗率、これは五十一年から五十五年でありますけれども、九六・七%、かなり伸びている。五十六年から六十年にかけて第五次の計画でありますが、これは七四・七一%、財政再建ということで公共投資全体に落ち込みをした、これはもう御承知のとおりであります。こういうふうに事業圧縮の結果がそういう内需拡大の問題、あるいは生活関連投資の関係の方に出てきておるわけでありますけれども、第六次計画自体今後そういう心配があるのではないか。あくまでも十二兆二千億円の一つ計画、これに対して最大限の努力をしていただかなければならないというふうに私は思うわけでございますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  205. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 五十七年からゼロシーリング、五十八年からマイナスシーリングがかかる、こういうことになりまして、それを受けて進捗率が非常に落ちてきた。下水道は比較的優遇されたといえども、やはりおっしゃるようにすとんと落ちてきたということであろうと思います。しかし、これほど要望の強いことですから、今私考えておりますのは、十二兆二千億の中には実は二兆二千億有余の調整費が入っておるわけでありまして三年先には見直すことを検討する、こういうことになっておるわけですから、三年先に何としてもこれが事業費の中に組み込まれることができるように、それは私どもの積極的な姿勢にあると思っておりますから、そういうことを含めましてこれから事業の執行に万全を期していきたい、こう思っておるところでございます。
  206. 駒谷明

    駒谷分科員 大臣、これは御答弁をいただく予定はいたしておりませんが、日本の大幅な貯蓄余剰ということで、いわゆる日本の資本が外国に流出するというような問題、これの中でやはりできるだけ資本のストックを国内に向ける方策というものを考えていかなければならぬというふうに私は思うわけであります。これは大変重要な論議になりますので、私の考え方だけを申し上げておきたいとは思うのですけれども、これからの公共事業ということについては、どうしてもやはり建設国債の発行を考えていかなければならない時期が来ているのではないか。特に非課税の国債とかあるいは償還計画については別途検討するというようなそういうものを考えて、事業の拡大ということに全力を挙げていくということが今後の内需拡大に重要なポイントになるのじゃないか。私たち今度の六十一年度の予算修正要求の中におきましても、公共事業の追加発注ということもこの要求の中にも入れておるわけでございますけれども、この点につきましては答弁をいただきませんけれども、ひとつ十分にお考えをいただきたい、そのように思うわけであります。  そこで、兵庫県の関係でございますけれども、この間大臣は明石大橋の関係で兵庫県においでをいただいたわけでございますけれども、兵庫県の下水道普及率、これは他府県に比べますとかなり前進をいたしております。五二%ということになっておるわけでありますけれども、兵庫県は下水道の関係については従来から大変な努力をいたしております。五二%に伸びておりますが、県下全体を見ますと、やはり県庁所在地の神戸市が九〇%を超えておる。これが五二%に押し上げた大きな要素になっておりまして、逆に地方都市では、例えば明石三八・八%、加古川市におきましては二六・三%、これはもう人口急増地域でございますね。そして高砂においては二一・二%、これも同じように瀬戸内の都市でございますけれども、そのような状況でございます。また、大変人口が急増いたしております神戸市との接点であります三木市におきましては、いまだに下水道の普及がない。約九万の人口に膨れ上がっておるわけですけれども、これは下水道整備の問題ができていない。小野市においてもそのような状況である。そういうふうな点をとらえていきますと、どうしても今県が大きく計画をいたしております流域下水道整備、これが大変急がれるわけでございます。  主要河川の系列の中で、例えば猪名川、武庫川、加古川そして揖保川、それぞれの各流域下水道整備計画は行われておるわけでありますけれども、やはり財政的な事情から思うようにこれが進捗しない。特に加古川流域下水道整備につきましては、県下で一番人口の急増地域になっておるわけでありますけれども、この下水道が進んでいないということで、農業用水等の関係から、利水の問題でいろいろとトラブルが起きておるわけであります。そういう点から、これにつきましてはできるだけ早く整備の方を特に力を入れていただきたい、そのように思うわけでありますけれども、現在の加古川流域下水道、この事業の進捗について、どのような状況になっておりますか、今後の見通し等についてお伺いしたいと思います。
  207. 牧野徹

    ○牧野政府委員 加古川流域下水道でございますが、二つの処理区で処理をするという計画になっております。そのうちの上流の処理区にっきましては、御存じのように五十一年度に事業着手をいたしました。現在、処理場の用地買収あるいは管渠あるいは処理場の工事を進めております。ただいまお話しのように、早期の供用開始を目指しまして、今後とも十分整備促進を図ってまいりたいと思います。  ただ、下流の処理区でございますが、これは現在兵庫県で計画策定中でございます。早期に事業着手できるように、これも督励してまいりたいというふうに考えております。
  208. 駒谷明

    駒谷分科員 全体、特に上流地域でございますけれども、聞くところによりますと、一部供用開始を近くやりたいという方向が出ているやに伺っておりますけれども、一部供用開始時期というのは今の段階ではいつごろの見通しになりますか、お伺いします。
  209. 牧野徹

    ○牧野政府委員 ただいまお話しのように、地元の方からは六十四年度にやりたいというふうに聞いております。予算の伸び等の関係もございますが、私どもできるだけこの意向に沿いたいというふうに考えております。
  210. 駒谷明

    駒谷分科員 特にこの地域につきましては、先ほども申し上げました下水道整備がほとんどできていない地域でございますので、六十四年度を目途に事業の完成に向けて力強い御支援をお願い申し上げたい、そのように思う次第でございます。  もう一点ですけれども、この上流地域の一部供用開始の対象の地域はどういう方向の地域になるのか、その点については大体方向は決まっておりますか、お伺いします。
  211. 牧野徹

    ○牧野政府委員 対象は神戸市からずっと幾つかございます。五市二町でございますが、そのうち、先ほどお話のございました三木市とか小野市の部分でございます。
  212. 駒谷明

    駒谷分科員 それじゃ下水道整備につきましては以上でございます。  次に、街路事業関係につきまして、良好な市街地の形成そして安全かつ円滑な都市交通の需要に対応する、そのためにはいわゆる軌道との連続立体交差事業というのがこれまた大変重要な内容でございます。第九次道路整備計画によりますと、六十一年度はちょうど四年目になるわけでございますけれども、六十一年度の連続立体交差事業費は約八百十一億円の予算が計上されておると伺っておるわけであります。一一%の伸びということでありますので、かなりこれについては力を入れていらっしゃるというふうに思うわけであります。この事業関係でありますが、この第九次計画に対する昭和六十年度までの三年間の事業の進捗状況にっいてはどのようになっておりますか、お伺いします。
  213. 牧野徹

    ○牧野政府委員 三年間で額にして二千百八十億円、計画に対して四四%の進捗でございます。
  214. 駒谷明

    駒谷分科員 これもやはり大変厳しい進捗状況でございます。ことしと来年で五六%いくならば計画どおり、こういうことになるわけであります。実際にこの問題については、連続立体交差事業推進ということで、大変地元の要望が強いわけでございます。例えば明石市にあります山陽電鉄線、それから加古川市にあります国鉄山陽本線、ともに連続立体交差事業建設省において御決定をいただいておるわけでありますけれども、加古川市については五十九年度に採択されてこれからという段階でありますが、明石につきましては第一期工事が昭和五十三年から事業が進められておるわけであります。この第二期工事につきましては六十年度計画決定の予定と聞いておるわけでありますけれども、全体事業費は約七百三十億円となっておるわけでございます。この両都市の中心地、市街地の形成のために、また周辺の市民のためにもこの促進が大変な願いでありますけれども、明石、加古川とも状況等について簡単にお伺いしたいと思います。
  215. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず、工事を実際やっております明石の方から申し上げますが、明石駅付近の連続立体は用地買収をほぼ完了いたしまして、六十年度から仮線の工事に着手したところでございます。この事業につきましては、できるならば昭和六十五年ごろの完了を目標に頑張ってまいりたいというふうに考えております。  それから、二番目の加古川駅付近は、ただいま先生お話しのように五十九年度新規採択を行いまして、現在は兵庫県で都市計画決定に必要な調査、設計あるいは関係機関との調整を行っているところでございます。私どもといたしましても都市計画決定を待ちまして早期に事業着手できるように、これは事業主体は県でございますから、県を指導してまいりたいと考えております。
  216. 駒谷明

    駒谷分科員 この明石の計画につきましては、当初五十三年の秋に、第一期工事が国の事業認可で実施をすることに決まりました。当初の計画として、五十九年には完成をしてそして整備が行われる、こういうことで地元では大変期待をいたしておったわけですけれども、どうしても財政的な事情からこれは延びておる。そして、昭和六十二年ぐらいにはできるだろう、こういう方向でこれまた地元では大変な努力をして、この連続立体交差事業が完成した新しい市街地の計画というものは、例えば都市開発の問題等を含めていろいろとやっておるわけであります。  六十五年の完了ということで努力をしていただくということでございますけれども、何とかこの点については、二回もずれ込んだ形になっておりますし、十分に地元の状況等を把握をしていただきまして、少しでも早くこの事業完成に向けて御努力をいただきたい、そのように思うわけでありますけれども、もう一度ひとつお伺いしたいと思います。
  217. 牧野徹

    ○牧野政府委員 ただいま申し上げたようなことを目標で頑張っておりますが、先生お話もわかりますので、限られた予算の有効活用という中で精いっぱい頑張っていきたいと思います。
  218. 駒谷明

    駒谷分科員 この加古川関係でございますが、立体交差事業と並行して、加古川駅の北部の方の駅前の土地の区画整理事業の計画が進められておるわけであります。この進捗状況、進行状況についてお伺いするわけですが、きょうは国鉄さんはお見えでございますか。――実はこの土地区画整理事計画につきましては、加古川駅の北側にあります貨物車両基地等を含めて約十万平米のいわゆる国鉄の用地がございます。国鉄が高架化になりますと、この用地につきましては相当部分残余地ができるわけであります。良好な市街地の形成の上から、この加古川市においては極めて重要な地域である。そして、国鉄を挟んで南北が一体になるわけですから、市街地の形成にはどうしてもこの用地についての利用という問題は、区画整理事業の上においては大変欠かすことのできない問題でございます。国鉄に対しましては加古川市の方から、譲り受けあるいは交換、換地等の要望を出しているということでございますけれども、この用地についての今後の対応の仕方、地元の要望に対する国鉄の考え方についてお伺いをいたしたいと思います。  さらに、高架化になりますと、国鉄の業務施設あるいは関連施設の配置以外に、相当規模の国鉄の高架下の利用地というものが生まれてくるわけでありますけれども、この有効利用について地元としてもやはり考えておるわけでございますけれども、国鉄当局のこれに対するお考えもあわせてお伺いしたいと思います。
  219. 藤田喜行

    ○藤田説明員 加古川駅の高架につきましては、先ほど都市局長さんの方からお話がございましたように、五十九年度に事業が採択されたと承知しております。  現在、兵庫県におきまして都市計画の原案を策定中でございます。したがいまして、兵庫県で原案の固まり次第私どもの方に協議がなされてくると思われます。その段階で、高架下の利用あるいは用地の問題につきましても検討してまいりたいと考えております。  特に用地につきましては、将来の私ども事業の姿を見通した上で、最小限必要になる事業用地以外は原則としては売却対象とすることとしておりまして、現在、内部で用地の徹底的な総点検を検討しております。そういうことでございますので、よろしく御了承賜りたいと存じます。
  220. 駒谷明

    駒谷分科員 地元とひとつ十分に協議をいただきまして、地元住民、そして地域発展のために格段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  もう一点は道路整備でございますけれども、大変時間が迫ってきておりますので、簡単にお伺いします。  これは五十九年度の予算分科会でも私取り上げまして、道路局長の方から状況報告等を伺ったわけでございますが、一つは明姫幹線、この道路でございます。四車線で供用するというのが一つの形でありますが、一部、明石から加古川にかけまして約十二・八キロ、全体の行程は二十二・六キロですが、この十二・八キロメートルの部分については暫定二車線になっておるわけであります。これは大変重要な幹線道路になって計画をしていただいておるわけでありますけれども、この二車線部分で相当車が渋滞時期に混雑をするということで、これについては、計画は大体六十年代の前半というふうに伺っておるわけでありますけれども、この整備状況予算的な問題等も含めて、今後の状況をお伺いしたいと思います。  もう一つは、小野市にあります小野バイパスでございます。大変な御努力をいただいて、用地買収等はほぼ終わったというふうに伺っておるわけでありますが、小野バイパスの八・一キロ、この区間は小野市の市街地を現在通っておる、もう御承知のとおりであります。明石―三木―小野―社に至る中で、大体バイパスコースができておるのですが、小野でそれが工事がおくれたために市街地を通過しなければならない、そういうふうなことから、大変な混雑、渋滞がちょうど出勤時あるいは退庁時、そういうふうな時期に起きてくるわけであります。  その点につきましてどのような状況になっておりますか。これまた昭和六十年代の前半、早い時期にということでございましたけれども、一体いつになるんだというのが大変な地元の声でございますので、この点につきましても、状況と今後の見通しについてあわせてお伺いいたします。
  221. 萩原浩

    ○萩原政府委員 まず、明姫幹線の四車化の問題でございますけれども、この問題につきましては、現在鋭意四車化を進めております。しかし、まだ残事業が五十億ほどございますものですから、これから鋭意事業量の増大を図りまして、何とか六十年代中ごろにはこの四車線化を完成させたいということで、合いろいろと事業推進を図っているところでございます。それからもう一つ、小野バイパスでございますが、先生指摘のように、現在用地の取得率では九三%になっております。もうほとんど用地買収が終わりまして、今鋭意事業を実行中でございます。全体で八・一キロございますけれども、当面は、県道の大畑小野線から北側、これを第一次の供用開始区間として今鋭意事業を進めておるところでございますが、この間四・三キロにつきまして、六十年代前半に供用できるように努力をいたしたいというふうに考えている次第でございます。  一昨年のやはり先生の御指摘の際、もう一つ手前の道路でとりあえず取りつけるという計画でございましたけれども、この大畑小野線に取りつけるのがよろしかろうということで、ちょっと延長を延ばしまして、これまでの間を六十年代前半に区分供用できるように努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  222. 駒谷明

    駒谷分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  223. 住栄作

    住主査 これにて駒谷明君の質疑は終了いたしました。  次に、小川泰君。
  224. 小川泰

    小川(泰)分科員 きょうは道路に関して何点か質問させていただきますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  今大きな仕事の一つに東京湾横断道路建設という問題が俎上に上り、説明を受けております。そこで、これは幾つかの県や市に影響を与えるものですから、私の選挙区でも神奈川県とか横浜市とか川崎市とか相寄りまして、こういう影響を前提にして条件が満たされるならば、こういう経過がありましたけれども、その条件はたしか五つぐらいあったように覚えていますが、それに対してどんな対応をなさるか。さあっとひとつお願い申し上げます。
  225. 萩原浩

    ○萩原政府委員 東京湾横断道路建設に関しまして、今先生の御指摘のように神奈川県、川崎市、横浜市からは五項目にわたる御要望をいただいております。  第一の項目は、関連道路と申しましょうか、そういうものの広域的な幹線道路網の整備に関する御要望でございます。この整備の中には、首都高速道路湾岸五期、それから川崎縦貫道路あるいは千葉側の四百九号木更津バイパスなどがその主たるものであろうと存じますが、現在御審議いただいております昭和六十一年度の政府予算原案におきましては、とりあえずこの湾岸五期と川崎縦貫の十五号まで、それと四百九号の木更津バイパスの一部を事業化するということで予算に計上させていただいております。  第二項は環境対策でございますが、環境問題につきましては、この東京湾横断道路が環境に与える影響につきまして日本道路公団がかなり前からいろいろな調査をしてございます。その調査結果によりますと、この横断道路建設することによりまして受けます影響というものは非常に横断道路の近くの狭い部分に限られ、しかもその程度は余り大きくはない、軽微なものであるという報告になってございます。今後もしこれが事業化されますと、正式な環境アセスメントの手続をとりまして皆様方の御意見をお伺いして、必要に応じて適切な環境対策をとるというような態度でございます。  三番目は事業方式についての事前協議ということでございますが、この問題については、ちょっと過去の問題になりましたが、昨年末事業の方式についてある程度の目安ができた段階、あるいは予算の第一次内示の段階、あるいは予算が決まりました段階、またことしに入りまして法案がある程度固まりました段階で随時地元の方にお集まりをいただきまして御説明をし、御了解をお願いしている次第でございます。  それから第四点は、工業制限の諸制度の見直しということになってございます。この問題が非常に大きな問題でございまして、実はこれは所掌が建設省ではございませんものですから、所管の国土庁の方にいろいろと御説明を私どもも申し上げました。できるだけの御配慮をいただくように御要望をいたしました。国土庁では昭和六十一年度からこの件につきまして調査を開始したいということのようでございまして、この点につきましても地元に私どもからも御説明申し上げ、今後地方公共団体と一緒になりまして所管官庁にいろいろ御要望していきたいというふうに考えております。  第五番目は羽田のアクセス計画でございますが、これもちょっと直接的には私どもの所管ではなくて他の、例えば運輸省さんの所管になると存じますけれども、そういうアクセスを計画する際に建設省としてやれることは全面的に御協力申し上げるということのお話を申し上げでございます。  以上五項目につきまして御回答申し上げ、御説明申し上げて、御了解をいただくようなび重なる御協議をさせていただいておるところでございます。
  226. 小川泰

    小川(泰)分科員 そういう点について大変努力されておるのを十分承知しておりますので、なお一つ一つの問題、これはなかなか奥の深い問題とか、さらに具体化をしなければならぬ問題とか、幾つかございますので、ぜひこの各項目について実効が上がるようにお進めいただきますように私どもからもお願いを申し上げておきたいと思います。  なお、具体的にはまたその都度皆さんのところと折衝させていただいて進める方がよろしいかなと思いますので、これ以上のことは……。  続いて、この東京湾横断道路が仮に建設に入った、あるいはでき上がった、まあこれから十年ぐらい見通した場合にこれによる影響というものが大分出てくる、こういうふうに想定されるのです。例えば事業そのものではないのでありますけれども、東京湾というのは御案内のとおり今でも狭いくらいの海運の動きの激しいところです。今当局の予算に出されておるものは、上の方で三分の一ぐらい、下を潜るのが三分の二ぐらいで湾を横断しよう、こういうのですから、絶対的には三分の一ぐらいは船舶の運航やなんかも多少影響が出てくるということは物理的に見通せます。もちろん航路もありますし、船の大きさ、その種類、こういったものも千差万別にあるのだろうと私は思いますので、海運業界、あるいはまだまだあそこの湾内には漁業というものもありますので、そういうものに対応する姿勢といいますか、ありさまというものがだんだん目を追うごとにクローズアップされてくる、こういうふうに私は思いますし、問題によっては、よし、やろうということが決まればそのときから同時並行的に、例えばこんなことはあり得るかどうかわかりませんが、海の方の仕事というものは、御案内のように陸送などいろいろありまして、だんだん減る傾向にありますから、その会社自体も仕事の転換をしなければならぬというふうなことになるかもしらぬ。そこに、会社自体ということになれば働く人たちもたくさんいるとか、今度は労働対策やそういう業種転換対策とかそういうものが次々と起こってくるような、また湾岸においては荷役の量の問題だとかそういう影響、こういうものも最終的には出てくるだろう、これが一つ。  もう一つは、建設過程もそうですし、狭くなった湾の出入りの場合の航行の安全の問題であるとか、考えてみますといろいろなことが次々と浮かび出てくるのですが、そういうものへの配慮を、何か、これは船の問題だからこっちだよ、これは漁業の問題だからこっちだよ、これは労働問題だからこっちだよというふうにややもすると分離される、こういう傾向がありまして、最終的に、あるものはうまくいったところは進む、あるものは取り残される、こういう格好でトラブルの原因が最後に残ってしまうというようなことが往々にしてあるものですから、こういうものも全体を見渡して、もしこれが実施に移されるならばロングランの計画を組み、それに総合的に取り組めるような姿勢が必要かなとも考えられるのですが、そういう影響に対応する当局の考え方をちょっとお聞かせいただきたい、こう思います。
  227. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のとおり、東京湾横断道路建設に当たりましては、まず最初に考えられますのは船舶の航行安全の問題でございます。この問題につきましては学識経験者から成ります委員会を設置していただきまして、東京湾の海上交通の実態であるとか海上交通に及ぼす影響等について調査をしていただいております。もうほぼその結果がまとまりつつございますが、この審議の過程で、川崎側は非常に航行がふくそうしているではないか。当初の計画では先生御承知のようにそこは橋梁をかける予定でございました。それから真ん中部分は沈埋トンネルで築造する予定でございました。沈埋トンネルもできてしまえばトンネルでよろしいのでございますが、工事中はまた非常に海上に支障を及ぼす、このような事情がございましたが、いろいろ検討いたしまして川崎側の十キロにつきましてはトンネルを掘る、いわゆる上から箱を落としていく沈埋トンネルでなくてトンネルを掘るという計画に変更させていただきました。このような計画案のもとに実際にどのような対策が必要であるかということについて今後検討いたしまして、必要な対策を最大限とるように努力したいというふうに考えております。  実は昨年七月でございますが、海事七団体から東京湾横断道路建設計画に際しまして船舶の安全かつ効率的運航等の問題の解決策が講じられるよう御要望いただいておりますので、この御要望も踏まえて最大限の努力をいたしたいというふうに考えております。  それからもう一つ先生指摘の、いわゆる一般旅客定期航路事業であるとか内航海運業であるとか港湾運送業等の海運事業に与える影響につきましても配慮する必要があるだろうというふうに考えておりまして、今後関係機関とも調整を図りまして適切に対処してまいりたいと考えております。現在国会で御審議をいただいております特別措置法の中では、このようないろいろな調整の問題は道路公団が一括して処理するということになってございます。もちろん実際工事をやる会社の方も当然のことながらこの調整には入りますけれども、主体は日本道路公団が行うということで、一元的な形で先生指摘のようなことのないような調整を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  228. 小川泰

    小川(泰)分科員 私、道路公団の権能とか機能とかそういうものをよく存じてないのですが、ある部分の調査はさっき言ったような学識経験者の知恵をかりるとかなさって万全の対策をされておるようでありますが、公団がその中心的ポイントになって、今市し上げたようないろいろ出てくるであろうと想定されるものに対応できる、こう信じてよろしいですか。
  229. 萩原浩

    ○萩原政府委員 実は日本道路公団ではございませんけれども、かって鳴門海峡の架橋でございますとかいろいろなことで本州四国連絡橋公団がこのような事態に直面をいたしております。そのような経験を踏まえまして、またそのいろいろな教訓をもとにしまして、日本道路公団においてそごのないような調整をするようにというふうに指導していくつもりでございます。  また、実際のいろいろな、特に漁業補償のような問題につきましては関係地方公共団体とも十分御協議の上処理してまいりたい、こういうことも指導してまいりたいと考えております。
  230. 小川泰

    小川(泰)分科員 鳴門の方を私も少し調べさせていただいているので、それとこの東京湾の場合、規模とか関係する影響の範囲とかというものはちょっと質的に違うというふうに私は思っておりますので、ここでどうのこうのということはあえて申し上げません。どうしてもこういうものを進めようとすると進める本体に主力がいってしまって、それから出てくる影響というものが何とかかんとかいってだんだん置き去りにされる、こういう嫌いをよく見るものでございますので、どうぞその辺はしっかりと踏まえて、一度決めたからこうだというふうなことにこだわらないで、問題をいろいろ想定してみるのですけれども、我々自身も実際経験してみて、思わぬものがぽっと出てみたり、構えてみるとさほどそうじゃなくてすっといってみたり、大変幅が起こる問題だなと思います。どうぞそういった点は、一度決めたからどうだというふうにこだわりなく幅を持ってひとつそごのないように対応の姿勢をおとりいただきたいものだ、こういうふうに思いますので、そんな進め方をぜひお願い申し上げたい。これはお答えは要りません。お願い申し上げます。  それからもう二点ばかりでこれは端的にお答えいただきたいのですが、二番目の問題は名にし負う国道十六号線、これは場所によっては大変な込み様があったりなにかするのです。私ここをよく利用するものですから突っかかってしまって行き損なったりなにかして往生した経験を何回かずっと持っておるのですが、それはいいのです。このごろは横横が開通しましたりいろいろなことで大変御考慮いただいており、だんだんよくなっておるのですけれども、とりわけ横須賀地区は地形上トンネルが多いのです。そのトンネルも短いのやら長いのやら取りまぜてあるのです。よくあることなんですが、ラッシュにひっかかったり何か事故が起きたりして、トンネルの中に入ってしまうと何が起こっているのかさっぱりわからぬ、ラジオも聞こえないというふうなところをしばしば経験しておりますので、ラジオ等災害にも大きな備えだろうと思うのですが、伺いますと一定の基準があってこういう条件を満たせばラジオ受信ができるというふうなことがあるのだそうです。それに満たないようなものがぽつんぽつんとあって、トンネルがあってまた出てちょっと行くとまたトンネル、こういうものが幾つか重なりますので、この辺はまとめて一本というような感じで全体を見てそういう手当てをしてほしいなというふうに毎々局長にもお願い申し上げておったのですが、この際もう一回、どうなさるのかお尋ね申し上げたいと思います。
  231. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のこの国道十六号、横浜―横須賀の間、田浦トンネルから逸見トンネルまで約一・七キロの区間に五つのトンネルがございまして、ちょこちょこトンネルがあるわけでございます。したがいまして、こういうようなものを全体としてひとつラジオ再放送の設備をつくれないかという御指摘先生からございました。確かに交通量も一日四万一千三百台、かなりの交通量がございますので、このトンネル区間にラジオ再放送設備を早急に設置いたしたいというふうに考えております。できますれば六十一年度中にもできないかということで現在検討いたしておるところでございます。できるだけ早く設置をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  232. 小川泰

    小川(泰)分科員 ありがとうございます。これは見えてきたらぜひ御一報いただくようにお願い申し上げたいと思うのです。場所によってはあそこは県、市、とりわけ横須賀というところは御案内のとおり大変国防上の問題も大きな海上自衛隊のあそこへ行くところのトンネルもありますし、陸上もあります。横須賀市全体がいろいろともするとにぎやかなことが起こったりなんかするところです。こういったところをなるべく早く、努力すればこうやったよというふうなことも、単にラジオ設備をつくったという以上の心理的効果を生むものだと私は思いますので、ぜひひとつお願い申し上げたいと思います。  それでは続きまして三つ目なんですが、これもまただんだん半島の先の方へ付くのですが、十六号をたどってまいりますと三浦三崎というところまでずっと入ってしまうのです。これまた行ってみますと竹の筒みたいなもので、途中までは幾つかの迂回路があるのですが、一等最後三崎の魚市場あたりのところはたった一本の道がどんと行ってまた戻ってこなければならぬ。あの辺は御案内のとおり、陽気がよくなったり、あるいは夏場になりますと、風光明媚やらレジャーの場所がたくさんあるものですから、私なんかも実際行ってみて一時間ぐらい歩く場合があるのです。十分ぐらいのバスが一時間以上かかるみたいなことが実はしばしばあるのです。地形的にも、三浦一族があそこで相当な頑張りをやったぐらいの地形上の問題もありますけれども、ちょっとあの辺をもう少し大きく、いわば東京湾を挟んで一つの大きな輪を描くような横断道路までつくろうという発想の時代ですから、そういうものの一環ぐらいの発想で、三浦縦貫道路建設計画というようなものを御計画のようでもありますし、何か見えつ隠れつしておりますので、その辺はどんなふうにお考えなのか、ちょっと聞かしていただきたいな、こう思うのです。
  233. 萩原浩

    ○萩原政府委員 三浦縦貫道路は、横浜横須賀道路が衣笠から東の方に行ってしまいます、したがいまして三浦半島の先端まで参りませんので、この衣笠インター付近から南下をして三浦市まで、こういう構想道路でございます。  現在神奈川県が調査を進めておりまして、ルートについて調査をしているというふうに聞いております。今後、事業費であるとか、あるいは交通量の予測等の調査を行いまして、どのような形で整備していけばよいかという整備手法、これを検討する予定だというふうに聞いております。  建設省といたしましては、本道路の重要性というものについて認識をいたしておりまして、もし県が調査をまとめれば、県の方針を尊重いたしまして前向きに対処していきたい、こういう考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  234. 小川泰

    小川(泰)分科員 調査の段階でいろいろ県あるいは該当の市とも交換なさると思うのですけれども、私あの辺、ずっと三浦半島を見ていますと、半島全部つなげると一町四市あるのです。それぞれ特徴を持っておりまして、横須賀みたいに四十二、三万の都市があるかと思うと面積はそれ以上大きいのに四、五万の都市がその先にくっつくとか、いろいろあるのです。今の自治体のありざまとして、往々にして地方自治体のあり方というのが、国からそうなんですが、ちょっと懐勘定があんばい悪いよという風潮がずっと続いていきますと、自分の市の中で先に手がけなければならぬというものが優先されていきますね。そうすると四十万の都市と五万の都市と体力を比べてみますと、物をやる場合にも、これは実はえらい違います。  そういうところをずっと歩いてみまして、当局また県知事の方にも僕は、一つ一つ見ないで、例えば三浦半島なら半島全体というものを見て、少し指導してもらって、市と市というものの境を取り払うぐらいの物の見方でやってくれぬか、いわば広域運営みたような感じでやってくれというふうにしょっちゅう言ってまして、このごろはだんだんとそういう風潮が、地方自治体同士で話し合い、そしてお互いに協力し合う、こういう状況が出てまいってきております。しかし、今取り上げましたような大型の縦貫道路などといいますと、これは市が幾つ集まってみても県が幾ら逆立ちしてみても、どうだというところでいつも頭をぶつけてしまって、せっかくいい風潮が出てはぼっと消えていく。しかし、世の中進んでいきますから、地元また住民の要請は大きい、こういう一つ矛盾のあかしみたいなものが出ておるように僕は思うのです。  これは先刻御案内ですが、日本一の三浦のマグロ漁港と言われたのも、ようく考えてみますと、魚が来ますね、それはもう早急に消費地に運んでいかなきゃならぬのに道路がどうにもこうにもならぬので、勢い着く船も少なくなる、もっといいところへと、こうなっちゃうのですな。そんなので町全体もそういう影響を受ける。あそこは御案内のとおり今多角的な農業をやっておりますけれども、もともとスイカで有名であるとか大根で有名であるとか、都市農業地帯で、割合に農家のありざまというのは若い衆が出ていかないのですね。農業で生計が十分できるというような、都市郊外では割に恵まれた地域なんで、僕はこういうものはうんと育ててやらなきゃいかぬというふうに実は思っているのです。  ところが、道路が込んできますと、観光道路であろうと生活道路であろうと、やたらめたらにはみ出ていっちゃうんですな。そうしますと、勢い交通の問題からそういう業に対する圧迫が逆にくる。それが都市のありざまのせっかくいいものを変貌せしめる、こういう嫌いなしとしないなということをつくづく、行ってみて、また接触してみて感じているものですから、これはぜひ当局あたりが、一つのモデルとしてでも結構ですから、踏み込んでいってみて、県とか関係市とかとリーダーシップをとっていただいて、ぜひこの促進方をお願い申し上げたいなというふうに思います。  地域の連中にも私は言っているのです。ただ道路をつくってくれよ、橋をつくってくれよと言えば自然にできるなんという世の中じゃないよ、自分の方もそれに対応するような努力をやはり一緒にしようやという程度の公共負担などもみんなで相談して、やれるものはやろうやないかというふうな、そういう格好であの辺の開発を考えないとだめだなというふうなことを申し続けているうちにだんだんそんな風潮になってきまして、せっかくいい雰囲気の状態にあるものですから、きょうは大臣もいらっしゃることなんで取り上げて、そんなに東京から離れたところでもございませんので、モデル的にもひとつ相談に乗ってやっていただいたり御指導を賜れば大変よろしいかなと思います。これはお願いですから、またその都度無理は無理、できることはこうすればできる、こういった点をはっきりと分離されて御指導をしてやっていただくようにお願い申し上げたいと思います。答えは要りません。早いのですが、私の質問は終わります。
  235. 住栄作

    住主査 これにて小川泰君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  236. 辻第一

    ○辻(第)分科員 きょうは私は公団住宅の問題で質問をいたします。  住宅都市整備公団は、その公団法の第一条に「目的」として、ちょっと読んでみますが、「第一条 住宅都市整備公団は、住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域において健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに、当該地域において健全な市街地に造成し、又は再開発するために市街地開発事業等を行い、並びに都市環境の改善の効果の大きい根幹的な都市公園の整備を行うこと等により、国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。」このようにあるわけであります。  そして、公団が設立されたのが昭和三十年というふうに聞いているのですが、この目的に基づいて今日まで建設をされた賃貸住宅の戸数及び分譲住宅の戸数はそれぞれ幾らですか。
  237. 京須實

    京須参考人 六十年三月末現在の供給戸数で申し上げますと、賃貸住宅は六十五万四千四百三十八戸でございます。また、分譲住宅は二十万二千四百四十五戸でございます。
  238. 辻第一

    ○辻(第)分科員 大変な数を建設をしていただいたということでありますが、今日までの住都公団の歴史でありますとかあるいは現状を見てまいりますと、その間に、地価の高騰やインフレや石油ショック等いろいろな困難が多々あったと思います。御苦労をいただいたと思います。またいろいろの問題があったということでありますが、大きな流れとしましては、やはりこの公団の目的に基づいて、環境のよい、住みよい、そして安い公共住宅をという国民の強い要望にこたえて大きな役割を果たしていただいたということだと思うわけであります。  しかし、今なお国民の三分の一が今の住宅には満足をしていない。また、最近五年間ですか、一年間に大体五万戸平均の空き家がある、それに対して百万人が申し込まれる、約十八倍の申し込みがあるという話でありますし、また、新しいのは非常に今家賃が高くなっているのですが、それに対しても全国平均で、一・五倍の申し込みがある。こういうことから見てまいりましても、住都公団の果たしていただく役割というのは非常に大きなものがあるというふうに考えるわけでございます。そういうことで、一層住都公団としては、この目的、国民の要望にこたえて御努力をいただきたい、このことを強く期待をし、要望をしておくわけであります。  そういう目的に沿って、「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅」、こういうことでありますが、今日、私の出身地であります奈良県でも、十四団地、それから一万三千九百七十八戸の公団賃貸住宅がございます。押しなべて非常に環境のよいところであります。それぞれの建設当初は居住性能もよかった、環境がよかったということだったと思います。  奈良市に紀寺団地という団地があるわけですが、これは昭和三十四年ごろの建設だった、私はそのように思っておるのです。もちろん、環境もよろしいし居住性能もよかった。私は当時、ああいうところに入りたいなと思ったことがあるわけであります。それはいわゆる二階建てのテラスハウスですね。これはお願いしておいたのですが、何DKというのに当たるのか、そして当初の家賃はどれぐらいだったのか、お尋ねいたします。
  239. 京須實

    京須参考人 奈良市の紀寺団地でございますが、そのテラスハウスは全体で百九十戸ございます。そのうち二DKのものが現在百八十二戸でございまして、八戸は増築をいたしました。これは、公団の方で入っている方々の了解を得まして、むしろ希望がありましてやった分でございます。  当初の家賃でございますが、その二DKの分で申し上げますと、管理開始年が三十五年と三十七年に分かれております関係がありまして……(辻(第)分科員「最初だけで結構です」と呼ぶ)五千五百円と六千四百円でございました。  その後、現行の家賃でございますが……
  240. 辻第一

    ○辻(第)分科員 もう結構です、どうも時間がないのでえらい恐縮ですが。  その当時の五千五百円あるいは六千数百円というのはかなりの値段なんですね。その時分、私の月給は二万円ぐらいだったと思うのです。ちょっと環境もいいし、居住性能もよいし、一般から比べれば、その中身から比べれば安いのでしょうけれども、懐ぐあいからいえば高い、そういう印象が私も残っているのですね。  しかし、そういう住宅ももう二十数年たってくる、そういうことで、三十年、二十年あるいは十年と日がたってくると、やはり狭いということが今は一番問題ですね。これは今お話がありましたように、増築をしていただくとかあるいは二戸一にしていただくとか、いろいろ一部分でありますが御努力いただいているということでありますが、これはちょっと話が大き過ぎるので、きょうは時間もありませんので割愛をさせていただいて、この次に大きな問題になってくるのはやはり修理ですね。毎年毎年傷みますから、修理ということが大きな問題になってくる。もちろん居住者の間で、修理修繕の問題は大きな関心を持ち、また要求として出てきているわけでございます。  そこでお尋ねをいたしますが、当初、家賃の中で修繕に見込む部分はどれくらいに見込まれていたのかということであります。いろいろな条件で幅がおろうし差があろうかと思いますが、私が大体聞いておるのでは約一〇%か一三%程度、このように聞いておるのですが、いかがでしょうか。
  241. 京須實

    京須参考人 家賃算定につきましては、特に修繕費につきましては、主体工事費と屋外附帯工事費に百分の一・二を掛けました額でございますが、具体に申し上げますと、やはり個々の団地の用地費と工事費等の差がございましていろいろ関係がありますので、一概に申し上げることは困難かと考えております。
  242. 辻第一

    ○辻(第)分科員 では、大まかに私は先ほど一〇%から一三%と言ったのですが、大体その辺の見当はどうでしょうか。
  243. 京須實

    京須参考人 重ねてのお尋ねでございますので、客観的に申し上げた場合、おおむね一〇%程度になろうかと思われます。
  244. 辻第一

    ○辻(第)分科員 大体一〇%ということでございますね。私は、賃貸住宅の修繕は、その一〇%というのが当初からいろいろな複雑な計算もされてやられていると思うのですが、そういうことで、それを原資として、原則として家主である公団が負担をされるべきである、こういう考え方を持っているわけであります。  ところで、五十三年に家賃の値上げがありましたね。続いて五十八年にも家賃の値上げがありました。その値上げ幅は、五十三年の一番低い値上げと一番高い値上げが幾らだったのか、それから五十八年の最低の値上げと最高の値上げのところと、そして大体五十三年は一年間に値上げの総額はどれぐらいだったのか、五十八年はどれぐらいだったのか、そこをお尋ねをしたいと思います。
  245. 京須實

    京須参考人 五十三年度の一斉改定でございますと、最高の値上げ幅がございましたのは赤羽台団地でございまして七千円でございました。最低は福岡の若久団地でございまして七百円でございます。  それから五十八年度分でございますが、これは、最高が武蔵野市の武蔵野緑町の一万円でございました。それから最低が札幌市の南三条団地で五百円でございます。  具体的な増収額でございますが、五十三年度は百二十八億円でございました。(辻(第)分科員「ちょっと待ってください、それは十二カ月通してということですか」と呼ぶ)五十三年度は途中でございますので、その年度分でございます。
  246. 辻第一

    ○辻(第)分科員 では、五十四年ではどうなりますか。
  247. 京須實

    京須参考人 平年度になりますと、この百二十八億円が約二百二十億円になると計算されております。  それから五十八年度でございますが、五十八年度は九十五億円でございましたが、平年度化しますとこれが約百九十億円ということでございます。
  248. 辻第一

    ○辻(第)分科員 やはり高いところは七千円、それから一万円ということですね。平年度で一年間で二百二十億、百九十億、相当な額であります。  私は、その五十三年当時の建設委員会での議事録などいろいろ見せていただいたのですが、その当時公団は、その値上げ分の三割は不均衡是正、七割は修繕費等維持管理費に充てる、このような答弁でありました。  そしてその当時、五十三年の値上げで家賃裁判ということになりました。私どもも、この値上げというのは基本的に理に合わざるもの、不法な値上げだということで反対をしておったわけでありますが、とにかくそういう経過もあり、五十三年の値上げ後修繕予算がふえまして、外壁の塗装だとか雑排水管の取りかえなど、十四項目の修繕をされるようになった。そして五十八年の再値上げの際には、衆参両院の建設委員会で全会一致の国会要望が決議をされたということですね。  その八項目の中で、修繕の問題ではこういうふうに書いていますね。「公団は、既存住宅の居住性の向上を図るため、入居者と日常的に意思の疎通を図り、基準を定め、修繕及び環境改善を促進するとともに、値上げ増収分については、極力修繕等の促進に使用すること。」こういうふうに指摘しておりますね。  この国会要望もあり、公団は、居住者、自治会、自治協との交渉に応じて、クレーム対応を含む十三項目の新たな修繕項目を加えられたということです。そして六十年三月十九日には建設大臣の和解のあっせんが行われ、数日後に家賃裁判の和解が行われた、こういう経過でありました。  そういう実態の中で、私、最近奈良県下をいろいろ見せていただいたわけであります。県下の数カ所の公団住宅の実情を見せていただきました。また、御要望を聞かせていただきました。また、公団自治協の方と懇談をさせていただく、こういうことでも御要望を聞いてきたわけであります。六十年三月の裁判和解後十一カ月の奈良県内の修繕の経過を見てまいりますと、例えば片岡台では、計画修繕では屋根の防水、クレーム対応では約五百件やっていただいております。それから平城第二団地では、屋根の防水だとか階段室の整備ですか、それから屋外照明、これは計画修繕ですね、そしてクレーム対応が約五百件。それから紀寺の団地では、側溝あるいは道路の改修、遊園地の整備、外壁塗装、そしてクレーム対応は七百件。このように計画修繕あるいはクレーム対応ではかなり前進をしていただいておる、御努力をいただいておる、このことは評価をするにやぶさかでないわけであります。  しかし、この状況の中で、私いろいろ回らせていただく中で、まだクレーム対応のことを御存じない方もあるのですね。入って二十数年になるのだけれどもまだ一度も修繕してもらったことがないのですというふうにおっしゃっている方もありました。また、ある地域ではクレーム対応の要望がたくさん出てまいりまして、ある部分についてはすぐさま対応していただいた、しかしある部分については予算がないということでもう少し先に、こういう話だそうであります。前者については、すぐ周知徹底をしていただく、皆がクレーム対応ということを知って十分対応できるような状態にしていただきたいと思うし、後者については、どうも予算がないということだけではちょっと割り切れないと思いますので、そこのところはもっと十分な対応をしていただきたい、このように思うのですが、簡単にお答えをいただきたい。
  249. 京須實

    京須参考人 公団が修繕可能なものといいますかクレーム対応をどうするかということにつきましては、入居の際に「住まいのしおり」等で十分御説明しております。それからまた、御当人の負担を願うべき小修理につきましては、御当人に資料を渡しまして、受領印までもらって確認をしておるわけでございます。また、そのほかにも機関紙等、関西では「まど」という名前でございますが、そういうものを折々出しまして、その中にも記載しておるわけでございます。  それからまた、前半の修繕の話でございますが、やはり何と申しましても、クレーム対応の偶発的な修理のほかに計画的に外壁塗装とかあるいは屋根の防水とかいろいろございまして、そういったもので手いっぱいであるというような現状でございます。
  250. 辻第一

    ○辻(第)分科員 クレーム対応についても十分な対応をしていただきたいというふうに重ねて要望をしておきます。  そこで、修繕の問題でいえば木製枠の問題がありますね。それから水が漏ってくる、壁が傷む、畳が傷むというような問題もありますし、鉄製の枠の問題もありますし、あるいはベランダが引っ込みになっていて通風とか採光が悪いとか、いろいろ問題もあろうかと思いますが、十分な対応をしていただきたい。  そこで、少しポイントを変えて要望し、お尋ねをしたいのですが、公団法の最初の目的を私は見ましたが、それにうたわれているように「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能」であるとか、あるいは国会要望に「既存住宅の居住性の向上を図るため、」とありましたね。修繕とか修理というのは、基本は原状に復するというようなことですね。それでもちろんその機能を維持していく、それから長期間もたせていく、そういう大事な役目でありますが、居住性の向上を図るというような観点でいいますと、ダウンしたものをもとへ戻すということであるわけです。それで「居住性の向上」あるいは目的で言われた「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能」というようなことで一歩前進をしていただきたいということであります。  例えば、奈良県の公団自治会の方が調査をされました。その中で、居住者の非常に圧倒的と言ってもいいような要求は、ふろの壁をタイルに張りかえてほしいという要望であります。その他、洗濯機が置けるような設備でありますとか、あるいは流し台の改良取りかえというような問題、あるいは畳の問題などあるわけであります。  それで、ちょっと写真を撮ってもらったわけであります。これは余り――もっともっとひどいものがいっぱいあるのですが、古いものはカビが生えたりいろいろしているのですね。これは、御本人が取りつけられたそうでありますが、こういうもの。それからこれは、ふろの屋根が、外が傷んでいる。鉄骨が見えていますね。私の見たところではこういうものが大分たくさんありましたね。全体的にやっていただいているのですが、まだ……。それが空き家になりますと、こういうふうにタイルが全部張りかえられますね。空き家に今度新しく入られる方、もちろん新しい団地、最近のものはこういうふうになっているのでしょうね。そういうことでこういうふうにしてほしいという要望が非常に強いのですね。  二十年も三十年も入っておられる方にしてみれば十年一日のごとしということがあるわけですが、二十年も三十年も一日のごとしで余り進歩がないですね。修繕はしていただくけれども、居住性の向上というようなことはない。せめてこれぐらいやっていただけないかという要望、これも無理からぬ要望だと思うのですね。  その居住者から見てまいりますと、これまで片岡台団地で二回の値上げで一件が四十二万から五十万の値上げになっています。五十三年からこっちの分です。紀寺団地では七十万円から八十万円の値上げになっておる。その七割を修繕費に回すというふうなお話ですね。そうすると、それぞれ相当な額になる。ところが、クレーム対応で修繕をしていただいても、先ほど申し上げたようにゼロの人もあるわけですね。それから三万円、せいぜいよく直してもらっても五万円程度、こういうことになりますと、もちろん計画修繕だとかいろいろあるのも聞いておるわけでありますが、そういうものにいったとしても、外はいろいろあるのはよくわかるのですが、家の中で居住性能を向上するということは何もやっていただいていないのではないか。国会要望にもうたわれておりますし、目的にもきちんとしたうたわれ方をしておるので、修繕費も大変だということはそれなりに御理解をしておられるわけでありますが、そういう修繕から一歩踏み出して居住性能の向上、これは理屈でもあるわけであります。気持ちとしては、新しく空き家へ入ってこられたところはきれいになって、そんなのを見られますとそういうことになりますね。そういう気持ちはわかっていただけると思うのです。  そういうことで、新しく建った団地というのになると、家賃の値上げでは格差の是正という話があるわけです。それはそれなりのお考えてありますが、そうなれば住んでいる者も、隣同士で新しく空き家へ入ってきた人はきれいだ、それは家賃の割り増しもありますが、そういうことも含めてそういうふうにお感じになるのは当然だと私は思うのです。そんなものはあなた、ちょっと厚かましい考え方とは我々は言いかねるわけですね。そういう素朴な面も含めた要求、そしてそれが居住性の向上ということにつながっていく。  それから、これまで大体値上げの分が七割修繕費に使われるということでありますが、実際はいろいろ計算してみますと使われていないのではないか、余裕があるのではないか、こういう計算も成り立つわけであります。我々ちょっとそういう計算をしてみますと六百億ぐらいあるのと違うかというような、それはおたくの方から見ればどのぐらい正確か私よくわからぬのですが、それなりに一生懸命計算をしますとそういうこともあるわけです。そういうことも含めて、修繕も大変だということはよくわかります。たくさんやってもらわなくてはならないこともあるのですが、居住性の向上ということにも、例えば先ほど来お願いをしておるふろ場のタイルの張りかえとかあるいは洗濯機の置き場所など、居住者の方と十分お話し合いをいただいて、いろいろと知恵を出し工夫をして一歩踏み出していただけないかということでありますが、いかがですか。
  251. 京須實

    京須参考人 ただいま先生の御発言にございました修繕費でございますが、一斉改定の値上げ分の七割を修繕費に使わないで残しているということは全くないはずでございます。その点は、六百億ということも私全くびっくりした話でございまして、そのようなことは適正に私どもも経理しておりますので間違いないはずでございます。必ず修繕費にはおおむね七割は使うことにしておるわけでございます。  それからまた、一斉改定の値上げ分等を室内の改善といいますか居住水準の改善にどうかというお話でございますが、再三申しますように、現在既にクレーム対応の分、あるいは計画的に実施しております外壁塗装とか屋根の防水、そういったもので精いっぱいでございまして、どういたしましても、住宅全体の居住性の向上のためには、結局空き家になった際にこれをきれいに直すということが中心になってまいるわけでございます。そのために特にふろ場のタイルとかそういったもののタイル化といったようなものが目につくわけでございますが、住んだままでございますとふろ場のタイルというのはまた技術上非常に困難でございます。やはり一週間以上は完全に使わないで乾燥させた状態が要るそうでございまして、私どもも前に研究しましたが非常に無理でございます。  ただ、例えば流し台等が腐食した場合、流し台を今度新しく入れる場合には、ガスレンジ等が使いやすいように一部下げるとか、そういったような改善はできる限りはやったわけでございますが、何と申しましても、基本的に申しまして修繕の費用が現在既にお約束と申しますか決めてある分で手いっぱいの現状でございますので、ひとつ御理解のほどをお願い申し上げます。
  252. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いろいろ御答弁をいただいたわけでありますが、そう簡単にいくとも思っていないのです。しかし、十年一日、二十年一日、三十年一日ではなしに、国会要望もありますし目的にもちゃんとうたっているわけですから、知恵と工夫をしていただければ解決ができる問題ではないか、私はこのようにも思うわけであります。ぜひひとつ御努力をいただきたい、このように思います。  いよいよ時間がなくなってまいりましたので、あと二、三要望をしてまいりたいと思います。  古い団地の中では三〇%近くが年金生活というような方が出てきておられるところがあるのです。そういうことでお年寄りの家庭、障害者の家庭あるいは母子家庭などいろいろな方が長い間に出てこられて、経済的にも御苦労なさるというような状況があると思うのです。こういう年金生活者は平均すれば大変厳しいお暮らしをしているというのが実態だと私は思うのです。そういうことも頭に入れてこれからの対応をしていただきたいということをひとつ要望をいたします。  それからもう一つは、防災対策、これは法律的には古いのはクリアしていると思うのです。しかし実態としては殊に火事、関西でいえば火事なんですが、いろいろ頭の中に入れてこれから対応していただきたいということを要望しておきます。時間がありませんので、御答弁は結構でございます。  最後に、この公団の縮小・民営化という声が最近出てきております。それは行革審が昨年九月特殊法人問題等小委員会を発足させたことに関して住宅都市整備公団の縮小・民営化の動きがある中で、先日私が公団住宅入居者の組織であります公団自治協の皆さんと懇談をいたしましたときにも、大変不安を感じておられた。何としても縮小・民営化ではなしに公団をもっともっと立派にしていっていただきたいというのが強い強い要望でありました。現今の住宅事情を見てまいりましても、一番最初に申しましたように公団住宅の空き家なんか物すごい十八倍という希望者があり、新規のところでも一・五倍の申し込みがある。それから国全体でいえば五一%の住宅は、政府自身が一応人間らしい住宅基準としている平均居住水準、四人家族で五十七平方メートル、これにも達していない。西ヨーロッパ諸国からまだウサギ小屋と言われるような実態です。こういう状況の中でぜひこれまでの住宅公団の目的に沿って国民の要望にこたえて、公団縮小・民営化ではなしにもっともっと公団を充実発展をさせていただきたい、このように思うのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  253. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 住都公団が今日まで住宅政策に果たした役割は私は非常に大きいと思っておるのです。ただ、途中で石油ショック等がありまして膨大な土地を買い込んだとか四万戸も空き家があるとか批判を受けましたが、今は非常に努力をいたしまして、未入居家屋はわずかに六千七百戸ぐらいにしてきました。その間の努力は本当に称賛に値すると思っております。ただいまこの行革審の中で議論をされておることですからここで意見を差し挟むのはいかがかと思いますが、私は住都公団というのはひとり大都市圏だけではなくて地方の主要都市においても、民活なんかが入り切れないところがあるわけですから、そういうところでももっと積極的に仕事をしたらいいのではないか、それだけの経験とそれから蓄積を持っている。ですから公団の皆さんがひとつ心を新たにして、そして今後の住宅政策の旗手になる心構えで取り組んでほしい、こう思っておるところでございます。
  254. 辻第一

    ○辻(第)分科員 終わります。ありがとうございました。
  255. 住栄作

    住主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  256. 塩田晋

    塩田分科員 兵庫三区選出の塩田晋でございます。  建設大臣並びに関係局長道路公団の方に御質問を申し上げます。  大臣、私はこの予算分科会におきまして、毎年兵庫三区の建設関係の問題につきまして相当細かな御質問をし、また御要望を申し上げております。現在この兵庫三区というところは残念ながら自民党の議員がおられない三人区でございますが、御要望を申し上げております件につきましては、非常に力を入れていただいて着々と実現しておりまして、その点非常に感謝申し上げます。そしてまた、せんだっての江藤建設大臣の本会議における御答弁、まことに力強く、我々頼もしく感じたところでございます。あの意気でひとつこの建設行政最高責任者として取り組んでいただきたい、ぜひともお願い申し上げます。  それでは、毎回冒頭に取り上げて御要請申し上げ、また質問いたしております加古川流域を中心といたしました兵庫三区の地域内におきますところの南北の高規格の幹線道路、これを御検討いただいておるものと思います。前回も、近畿地方建設局におきまして検討をさせる、こういうお話でございましたが、どのように進んでおるか。これは、その後兵庫県におきましても二〇〇一年計画というのをつくりまして、その中に加古川市から北へ進んでいく加古川沿いの高規格の幹線道路について触れております。ようやくこれが大きな世論として取り上げられ、また関係の当局においても検討段階に入ってきておる、このように見ておるわけでございまして喜んでおるところでございますが、その後の検討状況はいかがでございますか。
  257. 萩原浩

    ○萩原政府委員 兵庫県の東播地域におきます南北方向の幹線道路といたしましては、現在、もう先生御承知のとおり一般国道の百七十五号線と播但有料道路がございまして、これの整備に今事業を専念をいたしておるというのが実態でございます。     〔主査退席、森田(一)主査代理着席〕  しかし、これの網と比べますと、先生指摘の加古川からそのまま加古川に沿って北進する、こういう幹線道路も要るのではないかということで、加古川から北に向かう高規格道路についての調査を現在、幹線道路計画といいますか、広域幹線道路計画という領域の中で検討いたしているところでございます。前年道路局長がお答え申し上げましたが、現在近畿地方建設局を中心といたします近畿地方全域の広域的な幹線道路網の計画を詰めておりますけれども、その中で検討をいたしているところでございます。  一年たちまして進捗状況がどうかという御指摘でございますけれども、そこら辺につきましてはまだいろいろな過程の問題がございまして、ケーススタディーと申しますか、そのような研究をしているところでございます。またこの研究を進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  258. 塩田晋

    塩田分科員 一年でそう一挙に進むような内容の問題ではございません。そのことは認識いたしておりまして、ぜひとも前向きにこの問題を推進をしていただきたいと御要望申し上げます。  特にこの地域の一体感、昔は加古川という川で、船の便で結ばれておったのが、南北にずたずたになっているという状況の中で、この地域の一体感が失われてきている状況がございます。また産業自体も非常に連関関係が相互になくなってきている状況、これもやはり道路関係が非常に大きいと思いますので、またこの高規格の大きい道路となりますと費用もかかることでございますし、いろいろ難しい問題、克服しなければならない問題点が多いかと思います。これらを含めまして、御検討を十分お願いしたいと思います。私たちもそういうことを十分理解しながら、例えば加古川の堤防沿いに四車線をつくることはどうか、あるいは山地をもっと通るようにしたら安く上がるじゃないか、こういったことも毎回御提案申し上げておりますので、そういったことを十分御勘案の上、南の海岸線に大きな工場が進出をし、工業立地が進んでおる中での問題でございますので、ぜひとも早期にこれを実現の方向に持っていっていただきますように一お願いを申し上げます。  続きまして、南北道路関係で百七十五号線のバイパスの進捗状況はいかがでございますか。
  259. 萩原浩

    ○萩原政府委員 国道百七十五号線のバイパスでございますけれども、現在三木バイパス、小野バイパス、社バイパス並びに西脇バイパス、この四つのバイパスを事業中あるいは既に一部供用開始しているというものでございます。  三木バイパス、社バイパスにつきましては、四車線のうちに二車線がもう既に開通をいたしておりますので、あと残り二つのバイパス、小野バイパス、西脇バイパスが今鋭意事業が急がれておる、こういう状況になっております。  そのうちの一つ小野バイパスでございますけれども、全延長八・一キロのうち北側と申しますか、県道大畑小野線から北の部分四・三キロにつきまして今鋭意事業を進めているところでございます。八・一キロ全体の用地買収率としては九三%ということで、かなり用地の取得が進んでおりますが、そのうちの特に北側について今現に工事中でございまして、この四・三キロにつきましては六十年代前半に供用開始をいたしたいということで、鋭意事業を進めているところでございます。また、この大畑小野線から北側が開通いたしますれば、それに続いてその南側についても事業を進めてまいるつもりでございます。  一方、西脇バイパスでございますが、延長五・四キロでございます。五十三年から事業に着手をいたしておりますが、現在、用地取得率は約七九%ということになっておりまして、小野バイパスよりは少しく後発といいますか、後に取りかかりましたバイパスでございます。当面は都市計画道路西脇芳田線から北側の区間二・八キロにつきまして、これも六十年代前半に供用ができるようにということで事業を進めておるところでございます。六十年代前半にこの部分が開通をいたしますれば、続いてまたその残りの部分についても事業を進めていきたいということで、この両バイパス、何とか早く開通できないかということで、これから鋭意事業費を集中をいたしまして進めていくつもりでございます。
  260. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございます。住民の要望の非常に強いものでございますし、また用地買収に協力した皆さん方の気持ちを思えば一刻も早く実現をお願い申し上げます。  続きまして、四百二十七号線の播州峠の改修の見通しはいかがでございますか。これは我々の要望によりましてせっかく国道に上げていただいてそのままになっておりまして、状況は何ら変わっておりません。いかがでございますか。
  261. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のように国道四百二十七号、前回の国道昇格で国道になった部分であろうと思いますが、特にこの播州峠につきましてはまだ未改良のまま残っておるわけでございます。  国道四百二十七号線全体といたしましては、改良率が七四%、舗装率が簡易舗装含みで九五%という状況にございます。現在、昭和六十年度には青垣町地内におきまして、特殊改良一種事業の大名草工区といたしましてバイパス、それから特殊改良二種事業実施中でございます。そのほか、落石等の危険があるところがございますので、そこら辺の防災事業実施しているというのが事業の実態でございます。  御指摘の播州峠は、五十八年度から兵庫県において路線調査を進めておりましたけれども、地形的にかなり難しい条件がございます。どういうような形で路線を決めていったらよいかというのに、さらに詳細な調査が必要であるというふうに県から聞いております。事業実施につきましては県の調査結果、それから今事業を進めております青垣町側の平たん部の道路整備の進捗状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。ひとつよろしく御理解をいただきたいと存じます。
  262. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございます。青垣町側がかなり重点を置かれて進められておりますが、南の方の加美町側もひとつ同時にお考えいただきたい、ぜひとも推進方をお願い申し上げます。  続きまして、中国縦貫自動車道につきまして、これは道路公団に。お願いいたします。  滝野社第二インター、昨年も申し上げましたが、これを早期に完成していただきませんと交通事故がもう頻繁に起こっているわけです。もう用地買収はできておる、予算もある、こういう中で一刻も早く実現を望んでおるところでございます。いかがでございますか。
  263. 北村照喜

    ○北村参考人 お答えいたします。  中国縦貫自動車道の滝野社インターチェンジは、現在、一般国道百七十五号バイパスに平面交差型式で連結されておるわけでございますけれども、滝野社第二インターチェンジにつきましては、今先生おっしゃったとおりに用地は既に取得しております。現在、現地の調査並びに設計中ではございますが、これと並行いたしまして地元の皆様並びに関係諸官庁と第二インターの百七十五号との交差協議、並びに路線バス等ふくそういたしておりまして、これらの交通運用に関しまして協議を進めているところでございます。  今後、地元を初め関係機関の御理解と御協力をいただきまして、協議が調いましたら、六十一年度にはぜひ工事に着手いたしまして、六十二年度供用をいたしたいと考えている次第でございます。  以上でございます。
  264. 塩田晋

    塩田分科員 ぜひとも協議を早期に調えて、六十一年度早期に着工していただきたい、このことを強く要望申し上げます。  続きまして、加西インターにつきまして、早期着工を以前からお願いをしておりました。また、審議会の答申をいただいて、建設大臣からの施行命令も出ているところだと思いますが、さっぱり状況が変わっておりませんが、いかがでございますか。努力はされておることはわかっておりますけれども、どのような見通しでございますか。
  265. 北村照喜

    ○北村参考人 お答えいたします。  先生の御指摘どおりになかなか進んでございません。このインターチェンジの国幹審による追加インター決定等は省略いたしますけれども、現状におきましては用地買収に入ろうというところでございまして、地元の皆様方に用地買収の方式、すなわち一筆買収方式と共同減歩方式とございますが、この両方の方式の調整中でございまして、この調整がなかなか難航いたしております。加西市長さんもお出ましいただきまして、現在その仲介をやっていただいているのが現状でございます。したがいまして、この協議が調い次第、六十一年度には用地買収に入りまして、直ちに工事に着手いたしたい、こういうふうに考えております。
  266. 塩田晋

    塩田分科員 現状を御説明いただきました。何がネックになっているかということは御存じだと思うのです。そのネックを取り除くためにひとつ強力に取りかかっていただきたい。内藤加西市長も非常に力を入れてこの問題に取り組んでおられます。県、道路公団一体となってこの問題に取り組んで早期に解決をしていただきませんと、せっかく審議会は随分以前に決定したことでございますし、このインターを開設することについては住民が強く要望をしておった問題でございますので、もう本当に実現の一歩手前に来ておるところでございますので、ひとつよろしく御努力をお願い申し上げます。  続きまして、山陽自動車道につきましてお伺いいたします。  三木―神戸間の進捗状況はかなり進んできていると見られますが、一番おくれております三木―姫路間の進捗状況と今後の見通しについて御説明願います。
  267. 萩原浩

    ○萩原政府委員 正確には山陽自動車道三木小野インターチェンジと申しておりますが、三木小野インターチェンジから姫路東インターチェンジ間二十二キロメートルにっきましては、去る一月二十一日に開催されました国土開発幹線自動車道建設審議会において新しく整備区間として採択をされております。同日付で道路公団に対しまして調査指示を行っておりまして、道路公団で調査を開始いたしました。調査報告を受けました後に施行命令を出す予定でございます。非常に重要な区間と考えておりまして、できるだけ早期に調査を取りまとめるよう道路公団に働きかけたい、道路公団を指導いたしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  268. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。我々は非常に強く要望してまいりまして、これがやっと採択をしていただけた、感謝をしております。どうぞその方向で早期着工に向けてひとつ御努力をお願い申し上げます。  続きまして、明姫幹線につきまして、これは二車線では既に供用が行われ、四車線も着々と工事を進めていただいておるわけでございますが、現状並びに見通しはいかがでございますか。
  269. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のとおり、明姫幹線、これは国道二百五十号バイパスでございますが、現在二車線で供用をいたしております。総延長が二十二・六キロございますが、その二車線のうち部分的に四車線で供用しておる。四車線から二車線に移るところで非常に大きな交通渋滞を起こしておるという御指摘を受けまして、この四車線区間の延伸につきまして鋭意努力をいたしておるところでございます。  現在、残事業が大体五十億円ほどございます。今後この事業の進展を早めまして、六十年代中ごろにはこれを全部完成させたいということで今鋭意努力中でございます。六十二年度ぐらいからかなり事業の進展を図っていきたい、こういうことを考えておる次第でございます。
  270. 塩田晋

    塩田分科員 御理解をいただいてこれが着々進行しておるということを聞きまして、喜んでおるものでございます。せっかく四車線の用地買収に応じた人、随分以前なんですね。ところが今の状態は、今言われましたとおり、二車線の部分と四車線の部分とあるものですから、どうしても渋滞が激しいのです。したがって、むしろ今は浜国道あるいは二国の方に流れるような状況になっています。私は毎日のように利用させていただいておりますけれども、そういう状況を見まして、明姫幹線で行くとどうしても時間がかかるのです。これは信号等の問題もありますけれども、タクシーの運転手に聞きましても、やはり浜国なり二国へ流れるという方が速いと言うのですね。そんな状況でありますので、これはぜひとも早急に残事業を仕上げていただきたい、このことを要望いたします。  続きまして、明石海峡大橋、夢のかけ橋と言われましたこれは、いよいよ六十一年度、五十億円をもって着工される。推進をしてきました我々としては非常にうれしい限りでございます。感謝を申し上げますとともに、これも、十年、十三年といわず、民活でいきますと、十年以内、七年ぐらいでやらなければ採算がとれぬというような民間の声もございます。そういったところから、なお一層これを推進をして、世界に冠たる、世界一の架橋になるわけでございますので、十分に安全性その他方遺漏なきを期して完成をしていただきたい。これが地元淡路、また神戸、明石、播州地域のすべての人々の願望でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  それとともに、これは相当水面上高いものになりますので、海面上七十メートルというような話になりますと、相当取りつけのところが遠くなると思うのですね。大体海岸線から何キロぐらい本土側は北になるでしょうか。
  271. 萩原浩

    ○萩原政府委員 本州四国連絡橋は明石海峡のかなり高いところを通ります。それと、御承知のように、従来は鉄道と道路の併用橋で検討してまいりました。ところが、いろいろな事情がございまして、今回、道路の専用橋、鉄道の方は考えないという形を考えております。  そういたしますと、今先生指摘のアプローチでございますが、そのアプローチの勾配は、鉄道の方がどうしても緩くしないとぐあいが悪いわけでございますが、道路の方は幾らか勾配がとれるということもございまして、現在のところ、メーターは確実に覚えておりませんが、あそこの団地、新しく開発が行われました一番頂上のようなところ、あそこら辺に大体結びつくようなことになるだろう。それからまた、谷が一部ございますが、その谷を渡りまして、それからその次の山はトンネルに入る、こうして垂水のインターチェンジに抜ける、こういう構造を現在は考えておる次第でございます。
  272. 塩田晋

    塩田分科員 垂水のインターチェンジというのは第二神明バイパスのことですか。バイパスは越えるんじゃないですか。
  273. 萩原浩

    ○萩原政府委員 バイパスを越えまして、神戸西バイパスと言われているものでございます。その神戸西バイパスとこの本四がら入りました路線とのぶつかるところ、これを垂水ジャンクションと称しておりますが、垂水ジャンクションまで一つトンネルを越えるような形で入ってまいります用。
  274. 塩田晋

    塩田分科員 今御説明ございましたように、かなり北の方へ行くわけですね。明石からいいますとかなり北です。明石は観光的に高い橋を眺めることになると思いますが、地元の利用者にとりましては、かなり遠くへ行って、そして渡らなければならぬということになりますね。それから、今の明石フェリーの状況を見てみますと、これはフェリーだからでございますけれども、三時間ぐらい、トラックから乗用車から並んで待つのです。もう大変な混雑をしているのですね。  そのような状況を考えますと、北へ行ってその明石海峡大橋に乗るのには、大変な混雑がまた生ずるのではなかろうかと思うのですね。そのために、明石からも神戸からも、あちこちから取りつけ道路をよほど何本もつけて整備しないとこれはうまくないんじゃないか。私は、明石からすっとすぐらせん状に上へ上がれるようなことにでもなれば、あるいはエレベーターで上がりおりができるようになればこれは非常にありがたいのですけれども、なかなか技術的にも難しい問題があると思いますので、その取りつけ道路によって円滑にこの出入りができるようにぜひとも御勘案を願いたいと思うわけでございますが、いかがでございますか。
  275. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生おっしゃいますように明石大橋の取りつけといいますか、それの受けは非常に大きな問題でございます。当面は第二神明につなぎますけれども、第二神明はもう今でもキャパシティーを超えているといいますか、かなり交通が通っている道路でございますので、これではだめでございますので、その次に、先ほど申し上げました神戸西バイパスにつなげるということを考えております。それから、この垂水ジャンクションから北上いたしまして山陽自動車道に取りつけるということを次の第二段として考えている。それから最終段階といたしましては、その垂水ジャンクションから須磨のところをトンネルで抜けまして、そして湾岸線に出てポートアイランドに出て六甲アイランドに出る、こういう長期構想を持っております。  この第三の案はかなり長大なトンネルを必要といたしますので、事業費がかなりかさみますが、それを長期的構想といたします。第一の段階は第二神明並びに神戸西バイパスにつなぎ、それから同時に山陽自動車道につなごう、こういう構想で現在計画を詰めているところでございます。
  276. 塩田晋

    塩田分科員 いろいろ御検討いただいて、万遺漏なきを期していただきたいと思います。  ただ、今現に東播地域から神戸、この間のバイパスあるいは二国はすべて非常に混雑しておりまして、それに乗るのが大変なんです。そこへその今のが入ってきますと大変なことになると思います。ですから、明石からも東播からも扇のように取りつけ道路を相当数考えていただかないと、将来を考えますと問題かと思います。  最後に、この関連で、明石フェリー、これは道路公団が今運営しておられますが、これをことしの十一月十九日に民間に委託される、委託というか、民間運営になる、ということを聞いておりますが、これは、明石大橋がやがてできることはもう目に見えてまいりましたので、そのときまで延長してもらえないか。これは、雇用されておる人たちあるいは付近の人たち皆の望みでございますし、また、民間に委託というか運営を任せた場合に、大臣、今度は橋がかかったときにまた補償問題が出てきますね、民間の受け入れている船会社に対しても、そういった問題を考えますと、ここ七年か十年か、そのあたりでまた切りかえることになるわけですから、引き続いて道路公団でやられたらどうか、このように思います。  あと一点申しわけございませんが、街路事業の促進をお願いしたいのです。  去年も取り上げたのですが、加古川バイパスの土山インターから二国に至る道路は、整備されて立派なのができているのです。ところが、明姫幹線と二国の間が全然ないのです。ですから、幹線道路のはずなのに、二国でもうストップになって丁字路になっているのですね。どうしてこの先へ延ばしてもらえないか、このことを前から言っておるのですが、なかなか進まない。どういうことで進まないのか、進める御意向はあるのかどうか、この点について最後にお伺いいたしまして質問を終わります。
  277. 大久保一男

    ○大久保参考人 日本道路公団が経営いたします明石フェリーは、本年十一月十九日をもって料金徴収期間が満了することとなっております。当公団が本格的フェリーのパイオニアとしてこの事業を開始して以来、各地に民間フェリー事業が展開し、発展してまいりました。したがいまして、公団のパイオニア的な役割を十分果たし得たというふうに考えております。また、公団が事業を継続いたしますことは、採算上及び財政上の理由から困難と考えております。以上のような理由で、有料道路事業を預かります日本道路公団といたしましては、これ以上継続して事業実施することはできないと考えております。  ただし、地域の足として重要な航路でございますので、建設省、運輸省、兵庫県などと協議の上、適切な民間事業者にフェリー事業を譲渡し、地域住民の足を確保し、あわせて船員等の雇用の安定を図るということにいたしております。  以上でございます。
  278. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先生お話しの国道二号から明姫幹線の間、これは二見―土山線という街路でございますが、後で申し上げる問題箇所を除いては我我も現に工事を進めておりますし、今後とも十分進めたい。ただ、現在の進捗状況はおっしゃるとおり六十年度で一七%程度であるわけです。  問題は土山駅周辺の開発計画でございますが、先生も御案内だと思いますが、加古川市、明石市、播磨町の二市一町が関係するわけでございますので、現在それらの関係地方公共団体の間でいろいろ御調整が行われている、また地元の合意形成のためにも今後二市一町で手に手をとってPR活動を進めていくというふうに聞いております。そういうことで、だんだん構想がかたまってくれば、私どもはもちろんつなげるという最終方向で事業を進めたいと思っております、
  279. 塩田晋

    塩田分科員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
  280. 森田一

    森田(一)主査代理 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、和田貞夫君。
  281. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 大臣、風邪を引いておられるらしいので一つだけお尋ねして御退席いただいたら結構だと思うのですが、というのは、大臣でなければ閣議で言ってもらえないので、私あえて大臣に御無理を申し上げて残っていただいたのです。  実は予算決算及び会計令の問題なんです。予決令ですが、この九十九条で随契の額が、後でいろいろとお尋ねしようと思うのですが、中小の建設業者がどうしてもやはり随契で小さい工事を与えてもらわないと、なかなかランクもこれあり、大きな企業と太刀打ちができぬわけですね。ところが予決令によりますと、二百五十万以下の工事ということになっているのですよ。この二百五十万以下の工事というのは、昭和四十九年にかつて百万であったものがここで二百五十万ということに改定されているわけですね。それからもう十二年たつのですよ。そうすると、今どき二百五十万で例えば上屋持ちの建築物といったら一体何ができるかという、交番、駐在所そういうものもなかなか二百五十万じゃできぬわけで、十二年の間に物価が二倍以上上昇しておるわけです。この二百五十万という金額を、随契の限度枠をこの際ぜひともひとつ大臣の手によって予決令を改定してもらうようにお願いしたいなという気持ちでちょっと大臣に残ってもらったのですが、そのことだけひとつおっしゃっていただいて退席していただきたいと思います。
  282. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 大臣お答えする前に、先生のおっしゃるように四十九年度以来据え置かれておる、そういうある意味では不自然な形になっております。ざっくばらんに申しまして、これは大蔵省の所管の政令でございまして、そうは言っても私ども非常に関心の深いことでございますので、我々の中でも議論はいたしております。例えば事務の簡素化という観点からそういったことも考えてしかるべきじゃないかということも議論されておるのですが、いろいろな議論が実はこれについてはございまして、例えば第二臨調等においても一般的に随意契約の限定をできるだけ狭くすべきだというような意見もあったりいたしまして、なかなかそこのところが今この段階でそれを改定するということについて主務省の方でも慎重であるというのが実際でございます。いずれにしましてもそういう実態もございますので、今後とも大蔵省等とも相談してまいりたいと事務的には考えております。
  283. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 ただいま官房長が申し上げましたように、私ども建設省としては零細な業者を協同組合化して、そして共同受注しながら共存共栄を図っていくというのは至極当然のことでございまして、四十九年から据え置きの二百五十万が適切だとは私も思いません。ここで早速にやりたい、私はそう思いますが、今官房長が申しましたように、第二臨調等でいろいろと議論もあっておるようでございます。それらもよく横ににらみながら勉強させていただきたい、こう思っております。
  284. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これは国際的な契約の約束もこれあり、せめて三千万か三千五百万か、それぐらいまで行けば一つの物件を中小企業に与えるということも可能なんですね。その点は、大蔵省所管ということは百も承知の上で言っているのですが、どうぞひとつ中小建設業者の立場に立っていただいて、大臣今おっしゃったようにぜひとも大臣め在任期間中に改定に努力してもらいたいということを申し上げまして、どうぞ退席してください。  それではあとは、私はきょうは今もお話をしかけましたように、中小の建設業者、これには電気工事も含んでおりますし、水道の管工事の業者も含んでおりますし、もろもろの総じての建設業者のことですが、あなたの方の資料を見てみますと、五十六年度で建設省関係の官公需総実績額は九千二百六十億七千六百万、そして中小企業向けが四千二百八十六億八千二百万、比率が四六・三%。五十七年が一兆二百九億六千六百万に対して四千八百九十七億六千五百万、四八%。五十八年が九千六百八十一億一千九百万で四千七百五十五億六千七百万、四九・一%、こういうようになっておるわけなんです。  ところが五十六年度の決算、五十七年度の決算、五十八年度の決算、これは建設関係だけじゃございませんが、総じて公共事業の決算額というのは、五十六年が七兆八百五十三億二千六百万、五十七年が七兆二千四百七十二億九千九百万、五十八年が七兆二千二百八十四億七千八百万、こういう決算の数字が出ているわけですね。これはもちろん公共事業全般にわたるわけでございますので、農林関係も林野関係も含んでおることであろうと思うのです。したがって、官公需に当たって中小企業には、総官公需の発注額に対して中小企業向けが今市し上げましたような数字になっておるということと余りにも大きな隔たりがあるんじゃないか。公共事業の総額から農林、林野その他のものを差し引いたところで、建設省関係というのはこんな数字じゃないと私は思うんですね。その点はどうですか。
  285. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 今おっしゃいました決算額は、建設省以外も入っておりますのと、それから恐らく補助の部分も入っておろうかと思います。先ほど先生が最初にお述べになりました建設省関係の額というものは建設省の、国が直轄で直接やるもの、しかもその中には用地費は含まれておりませんで、工事費だけの数字でございます。そういう二重、三重の意味で範囲が狭められておりますので、それでそういった意味での全体の数字としては食い違いが出てきているものと思います。
  286. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうすると、私が最初に言った数字が的確な数字なんですか。
  287. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 いずれも的確といいますか、そういう数字があるわけでございまして、最初におっしゃった数字建設省が直轄工事、直接直轄で工事をする場合の金額でございまして、しかもそこには直接の工事費だけで用地費とかそういったものが含まれていない、その限りにおいて先生のおっしゃったものは的確な数字でございます。
  288. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうすると、例えば郵政省が持っておる営繕関係予算、あるいは建設省以外の各省庁が持っておる建設費の予算、あるいはその予算の執行額、その場合、これは各省庁の官公需の資料もあるわけなんですが、この各省庁の官公需総実績額というのは、そういう建設費用ということよりもむしろ物品関係の購入の発注額、それに対して中小企業にという、そういう比率が大体出ておるように思うんですよ。私が知る限りにおきまして、地方でそれぞれ郵便局の建設あるいはその他の省庁の出先機関建設、そういうものを見ましても、中小の企業の看板が上がっている姿というのは見たことがないのですが、その点はどうですか。
  289. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 正直申しまして、郵便局とかは郵政省の方になりますのでちょっと何とも申し上げかねるのですが、少なくとも建設省の工事におきましては、それぞれ発注のランクづけをいたしまして、小規模な工事についてはできるだけそれに相応した地元の中小企業者にもやるようなシステムにしておるわけでございます。
  290. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 建設省本省の額ということだと思うのですが、それにいたしましても、各省庁が建設関係に発注することに対しては建設省は全くかかわりはないわけですか、設計、営繕、管理。
  291. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 官庁施設の一部をほかの省庁についても建設省の官庁営繕部が担当しておりますけれども、郵便局等につきましては郵政省で行っております。
  292. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私は、総じて、確かに建設省直轄の工事については先ほど述べたような数字であろうと思いますが、建設省関係する住宅都市整備公団あるいは道路公団、地方の首都、阪神というような道路公団、これは直接でなくてもやはり建設省のかかわりのあるところだと思うのです。そういうところに対しての行政指導というのは及んでおらないのじゃないか。したがって、トータル的に国全体の公共事業費から見ると、中小建設業者のかかわる分野は国全体としては必ずしも五〇%に近い数字にはならないのじゃないか、恐らく推定では二〇%あるいはこの二〇%を少し上回る程度の工事しか受注をしておらないのじゃないか、私はこういうふうに思うのです。それらに関して今後建設省としては、国の建設事業の総元締めでもあるわけですから、せっかく閣議で決めた中小企業への閣議決定を十分末端にまで生かす。あるいは地方自治体、むしろ地方自治体はこのごろはこの閣議決定の趣旨を生かして中小建設業者に対しては非常にウエートを持つようになってきているのです。むしろ国の機関の方が地方自治体と比べれば非常におくれておるような気がしてならない。毎年七月に閣議決定で確認しているわけですから、その点ひとつ今後の問題としてどうするかということをお答え願いたいと思います。
  293. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 御指摘のございましたように公団につきましては国の直轄に比べて中小企業に対する発注が少ないということは事実でございます。ただ、建設省所管の公団につきましてはこの閣議決定の趣旨等は指導しておるところでございますが、公団につきましても実態によっていろいろ異なるわけでございます。例えば道路公団あるいは水資源開発公団といったものは相当大規模な工事になりまして、直接中小企業者に元請をさせるという分野が少なくならざるを得ない面がございますけれども、いずれにしましても、そういった建設省所管公団につきましては、そういった趣旨を指導はいたしておるところでございます。  また、地方公共団体等につきましても、一般的に施行通達をもちましてそういったことにも配慮するように指導しておるところでごさいます。
  294. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 せっかく、申し上げましたように「中小企業者に関する国等の契約の方針」というものを毎年閣議で確認しておるのですが、物品等は中小企業者の事業確保のために協同組合あるいは商工組合、そういういわば適格組合に対しまして随意の契約によってかなり発注されておりますので、受注を受ける機会が物品の場合は多いわけなんです。先ほども冒頭にお願いしたように、予決令によって金額が二百五十万ということが一つかかわってきて、なかなかそういう点も及ばないことだと思うのですが、それは先ほど大臣にお願いし、官房長もお答えいただいたのでございますが、少なくとも国の工事発注については建設省がひとつ主導権を持ってもらって、建設省にかかわる団体だけじゃなくて、かくあるべきだというようなことを啓蒙してもらうようにお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  295. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 形の上では建設省の権限の及ぶところというものが限られるものでございますから、例えばほかの省の行われる建設工事についてまでどうこうということは直接にはなかなか申しにくい面がございます。  ただ、こういった問題につきましてはいろいろ発注者相互間の連絡協議会というものをここ数年つくっておりまして、発注に伴ういろいろな問題を話し合う場もございます。そういったような場におきましても、今先生のおっしゃっていることも今後話題にしていく必要があるのかなど思っております。
  296. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 官公需適格組合というのは、官公需法にはうたわれておらないのですが、中小企業者に対する国等の受注確保ということで行政指導の上でなされているのですね。これは中小企業というよりもむしろもっと小規模の建設事業者に対しましても、管工事があり電気工事があり、そういうようなところにはやはり官公需の適格組合の制度を活用してもらって、随契ということでやってもらうより小規模の建設業者の受注の機会というのがなかなかとれないわけでございますので、時間もありませんので要望だけにとどめておきますが、今後ぜひとも中小、小規模の建設業者が受注の機会を得られるようになおひとつ努力してもらいたいということをお願いしておきたいと思うのです。  さて、共同企業体の制度でございますが、私は前にもたしか発言をさせてもらったのですが、この共同企業体というものは、もともと出発をいたしましたのは、小さな建設業者はどうしても技術者も不足しておるし熟練度も大企業に比べたら低いわけですから、そういう技術の習得、熟練度を高めていくという意味も含めて、あわせて中小の建設業者に受注の機会を与えるという意味で大企業と中小の企業との共同企業体という制度が生まれたのじゃないかと私は思うのです。それに違いはないですか。
  297. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 共同企業体につきましては、先生今おっしゃいましたような中小企業の施工能力の増大といいますか、それを通ずる中小企業の振興という目的が一つと、それから大規模工事の円滑な施工、大体その二つの目的で共同企業体制度の推進が図られてきたということでございます。
  298. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 何か最近見てみましたら、行革もこれあり財政も不如意になってきたので発注量が減ってくる。あわせて建設業者の登録制度から許可制度になって窓口が非常に広くなった。そういう意味でどうも発注量が不足のためにまあ五軒、六軒一緒にやってもうけは山わけせいやというようなことで、大企業は大企業なりに五つも六つも共同企業体という看板を掲げて大きなビルディングの建設をやろう、あるいは土木の工事をやろうというような姿が私たちの目に見えてしようがないわけです。  それは河川の工事だとか道路の工事だということであれば、共同で区画を自主的に分けてそれぞれ用意ドンと競争して工事をすることも可能であろうと私は思いますけれども、階を重ねる建物を大手の業者が五軒も六軒もそろって、一階はAだ、二階はBだということにはならぬわけですよ。その姿を見ていたら共同企業体制度の生まれた趣旨というものが今日非常に大きな変化を来しておるのじゃないか。むしろこの建設共同企業体の制度というものを発足した当時にもう一度戻して、これを通じまして中小の建設業者に受注の機会を与えるという方向にこの際転換すべきではないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  299. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 最近におきまして共同企業体の受注する割合というのは非常に増大いたしております。五十年度の場合には、これは公共工事でございますけれども、総請負金額の一〇%程度が共同企業体受注であったのですけれども、五十九年度には約二七%というふうに非常に比率が増大いたしておりまして、これは大手同士の共同企業体だけではなくて、大手と中小の組み合わせあるいは中小同士、いずれの場合も非常にふえているわけでございます。  確かに今先生おっしゃいましたように、本当に共同施工をやってないとかいったいわば不健全な運用が非常になされているという指摘がたくさんありまして、先ごろ実は建設業の中長期ビジョンというのを研究会報告としていただきましたが、その中でも今先生おっしゃったような共同企業体制度について本来の趣旨と運用実態と非常に乖離してきている、そういう点を十分検討して見直しをすべきであるという趣旨の報告が出ております。それを受けまして二月二十五日に中央建設審議会に対しまして、この問題だけではございませんけれども、諮問をいたしまして、今後審議会の場で十分検討していたたくようにしております。
  300. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 知らぬ者はわかりませんが、知っている者が見ましたら何をやっているのだなということなんです。実際問題として電気工事と建築工事と管工事と共同でビルを建てるということであればこれは話がわかります。同じ総合請負、大手の業者が五社も六社も寄って、一つのビルを一階が何々組、二階が何々工務店ということにはならぬわけですよ。見れば不思議でおもしろくなる、そういうようなことがだんだんわかってくれば一体国は何しているのだという、これはやはりこのやり方が自治体にも波及してくるわけですから、やはりこれは中小企業の技術の育成助長、そしてその受注の確保、そして中小企業こそが寄ってやはり共同企業体を組まして、そして大企業と同じ程度の、あるいはそれに近いような工事の発注をするというような観点に立っていただいて、今日非常に経済的に建設業者というのは大変なことであるわけですから、だからこの機会をおかりいたしまして、中小建設業者の育成のためにぜひともひとつ御努力をいただきたい、このことを申し上げまして終わらしていただきたいと思います。
  301. 森田一

    森田(一)主査代理 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、中村巖君。
  302. 中村巖

    中村(巖)分科員 治水関係からお伺いをしてまいりたいと思います。  御承知のとおり、河川の中で荒川というものがございまして、この荒川の下流、東京都の北区岩淵町、志茂町地先のところに岩淵水門というものがあるわけでございます。この岩淵水門、旧水門がありまして、この旧水門が非常に老朽化をしたということで新しい水門の建設工事に着手をされておるわけで、これは建設省の直轄事業であるというふうに思います。  この事業、工事の着工それ自体が昭和五十年の四月からだというふうに思いますが、この事業が今日十一年を経過をしようとしているにもかかわらず、現実問題として水門が一応できたもののその機能を果たすまでには至っていない、こういう状況でございます。  このことにつきまして、現在どういうこの事業の進行状況になっているのかということをまずお伺いをしたいと思います。
  303. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 岩淵水門は、先生指摘のように大正十三年に完成いたしまして、その後適正な維持管理、補修に努めているところでございまして、現在せきを完成いたしまして、六十年度にはその近傍の築堤工事とそれに伴う工事を実施しておるところでございます。
  304. 中村巖

    中村(巖)分科員 大正年間につくられました旧水門、これは老朽化していることは一目瞭然であるわけでございまして、この水門の機能というのは、要するに荒川から隅田川へ流れ込む水量を調節をする、流水量を調節をする、こういう機能をしているわけでございます。ここで流水量を調節をしなければ、台風等において大変な増水が起こった場合に、この隅田川下流一体というものが洪水、はんらんの危険がある、こういうことになるわけでございます。そういう意味では大変重要な水門であるというふうに私どもは理解をしておるわけですけれども、その水門が今新しくつくりかえられて、それが機能をしていないということになると、大変危険ではないかというふうに思うわけで、その新しい水門、これが旧水門なしにそれ独立で機能をするようになるのはいつごろかということをお伺いをしたいと思います。
  305. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 お答えする前に、現在の水門が非常に老朽化しておるのは事実でございますけれども、適正な維持管理をやっておりますので、せき本来の機能は十分に果たしているということを一言申し上げさせていただきたいと思います。  それから本体の工期でございますけれども、本体の付近の護岸、堤防等を完成いたしまして、その後に現在の水門を撤去いたしまして完了するわけでございますが、現在のところ昭和六十六年度を予定いたしております。
  306. 中村巖

    中村(巖)分科員 旧水門は適切な維持管理をすればもつのだ、こういうようなお話でございますけれども、現実にあそこへ行ってごらんになれば明らかなように、もう既に亀裂も入っておりますし、またそれ自体ゆがんでいるというか、そういうような状況、傾斜ができてしまっているような状況。私どもは、それが今度大きな増水があった場合に機能するかということになると、それは疑わしいものではないかというふうに思っており、その辺で建設省は大丈夫なんだとおっしゃるかもしれないけれども、この付近住民としてはこれは大変危なっかしいということを感ぜざるを得ないわけでございます。  今、六十六年度完成見込みということでございましたけれども、本来これが建設に着手される時点あるいはそれ以前、予算分科会その他で大変に論議になったこともあったわけでありますけれども、その時点では大体五十年に着工すれば四年ぐらいのめどで完成をするだろうというふうに言われておったわけでございまして、当時の建設大臣も大体四年ぐらいあれば完成する、こういうことであったものが、今や昭和六十六年度に完成をするということであるならば、何と十六年間もかかる、こういうことになるわけで、こういうような、私どもからすればおくれている状態、それがどうして生じたのか、お答えをいただきたいと思います。
  307. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 おくれた原因には種々あると思いますが、一番大きな問題は、先生御存じだと思いますけれども、あの付近は非常に軟弱地盤でございまして、あそこに広大な構造物をつくるということになりますと、沈下、亀裂等の問題が出てまいりますので、そのような地盤に合わせながら構造物をつくっていかなくてはならないというような点が第一点あろうかと思います。  それから第二点といたしましては、やはり予算面の制約等もございまして、両々相まちまして今先生が御指摘になりましたような現状にあるわけでございます。
  308. 中村巖

    中村(巖)分科員 予算面の制約があることはそれは理解ができるところでありますけれども、やはりその予算の配分というものも重点的、傾斜的にやっていかなければならないところで、やはり岩淵水門に関する限りは、これは相当重点的な施策としてやっていただかなければならぬのじゃなかろうかというふうに思うわけでございます、  ちなみに、昭和六十年度のあそこに対する予算の充当関係というか、それがどういうふうになっておりますでしょうか。それと同時に、今年度は、六十一年度予算審議中でありますけれども、大体今後の推移の見通し、見込みとしてどういうような予算がつぎ込まれることになるかということをできればお聞かせをいただきたいと思います。
  309. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 荒川下流全体での事業ということでお話しさせていただきたいと思いますけれども昭和五十九年度は四十一億三千万でございまして、六十年度、本年度は四十四億二千万と、乏しい、厳しい治水事業の中でございましたが、私たちとしては大変奮発したつもりでございまして、六十一年度も同程度の予算を積みたいと考えております。
  310. 中村巖

    中村(巖)分科員 六十六年度完成ということで一日でも早く促進をしていただきたいと思うわけですけれども、とりあえず今年度あるいは来年度は護岸あるいは堤防のかさ上げというか、そういう工事をやられるということでございますか。
  311. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  312. 中村巖

    中村(巖)分科員 ついでにもう一点、荒川関係のことをお尋ね申し上げておくわけです。  荒川はずっと上流の方から下流へ向けて堤防がありまして、当然あるわけですけれども、その堤防の中で私どもの地元というか私の選挙区というか関係をしている部分は、板橋区と北区の一部の地先でございます。言ってみれば荒川の下流に向かっての右岸でございますけれども、ここの堤防が大分低いのではないかということが言われておりまして、付近の住民としてもまさかのときに大変危険であるというふうに考えているわけでございます。現実問題、昭和五十八年でしたかの台風のときに、堤防を越えたということはないわけですけれども、大変近くというかぎりぎりというか、そういうところまで水が来たということがございました。さらにまた現実に、あそこには戸田橋がかかっているわけです。その手前には笹目橋がございますけれども、そういう橋との関係から言っても、橋梁の下縁部というかそれと堤防との間にまだある程度懸隔がある、そういう状態の中で、やはり何とか堤防のかさ上げというものができないか、やるべきではないか、こういうことでございますけれども、これについて建設省は何かお考えでございましょうか。
  313. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先生指摘の笹目橋から戸田橋の間、延長が約三千五百四十メートルございますが、その間の堤防の高さは低うございます。ただし、全然低いということではございませんで、計画水位までの高さはある。しかしながら、通常の堤防、完成された形はその計画水位からある程度余裕を持って高さをつくってございますけれども、その余裕の高さがないということでございます。本年度、六十年度から、笹目橋から始めまして下流の戸田橋に向けて今先生指摘のかさ上げ工事を始めたところでございます。
  314. 中村巖

    中村(巖)分科員 そうやって工事をしていただくと大変ありがたいわけですけれども、現在の計画ではどれくらいかさ上げをすることになるのでしょうか。
  315. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 約二メートル五十かさ上げということになります。
  316. 中村巖

    中村(巖)分科員 そうすると、その工事は今年度から着工して、そしてある程度の計画期間があると思いますけれども、完成のめどとしてはいつごろだということになりましょうか。
  317. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 本年度始めたところでございますので、築堤の工法であるとか搬入路の問題であるとか、今年度実施しましたことを検討いたしまして、全体にどれぐらいでできるかということを検討してみたいというふうに思っております。
  318. 中村巖

    中村(巖)分科員 そうすると、今年度始めるということは、昭和六十一年度の予算は、岩淵水門でも同じでありますけれども、これはいずれも治水特別会計のあれと思いますが、箇所づけはこれからだと思いますけれども、治水特別会計の中に荒川の堤防のかさ上げに関する予算は大体とりくらい予定しておられるでしょうか。
  319. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 本年度、六十年度の事業費は五億六千万でございますけれども、現在同程度の予算を計上したいというふうに考えております。
  320. 中村巖

    中村(巖)分科員 では、河川関係はこれで終わります。  次に、街路の関係についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。  建設省は街路の関係でいろいろな事業費補助を出しておられるわけでありますけれども道路整備特別会計の中で街路事業費の補助として連続立体交差に対する補助を出されているわけでありますが、この補助率並びに昭和六十年度の補助額はどのくらいになるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  321. 牧野徹

    ○牧野政府委員 連続立体交差事業のお尋ねでございますが、当該事業にかかります全体の事業費がございますが、その中から、鉄道事業者の方でも鉄道施設の改良をいたしましたりあるいは受益があるわけでございます。その分を差し引きまして、その残りの額をベースにいたしまして三分の二の補助を行っております。ただし、御承知のように六十年度は補助率の変更がございますので、補助率は十分の六に、なっております。  それから、予算のお尋ねでございましたが、六十年度は事業費は約七百三十一億円でございまして、それに対して国費は約四百四十二億円でございます。
  322. 中村巖

    中村(巖)分科員 鉄道事業者の受益関係は除く、こういうことでありましたけれども建設省の方で都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定というものを結んでおられて、その細目協定の七条というところで、日本国有鉄道の場合においては一〇%を鉄道受益相当額とみなすんだ、そのほかの高速鉄道においては七%を受益相当額とみなすんだ、こういうことになっておるようであります。そうなると、連続立体交差事業を行うのは都市計画法に基づいた都市計画事業者であるわけですから、今市し上げた一〇%あるいは七%を差し引いたものを都市計画事業者が負担をする、それについて建設省が補助をする、こういうことになるのでございましょうか。
  323. 牧野徹

    ○牧野政府委員 そのとおりでございます。
  324. 中村巖

    中村(巖)分科員 今連続立体交差事業で補助をしている事業全国的にかなりの数があるのではないかと思います。これは単年度で終わる事業でないということがありますから、今継続中の事業というのは、全国的に見るとどのくらいございますでしょうか。
  325. 牧野徹

    ○牧野政府委員 現在継続しております、事業をやっておりますのは六十八カ所でございます。
  326. 中村巖

    中村(巖)分科員 それに対しまして単年度で七百億ぐらいの補助であるということでございますけれども、そうなりますと、六十八カ所に対してそれだけの金額、こういう状況では、新規事業の採択というか、こういうものが非常に困難ではないかというふうな感じがいたしますけれども、従来の経緯から言うと、新規事業の採択というのは年間に何件ぐらい行われるようなことになっておりますでしょうか。
  327. 牧野徹

    ○牧野政府委員 これはやはりいろいろ年によって変化がございます。今までの実績で申し上げますと、一番少ない年は一カ所というようなこともございました。それから一番多い年が、たしか四、五カ所程度ではなかったかと思っております。そんなような状況でございます。
  328. 中村巖

    中村(巖)分科員 この連続立体交差事業の東京都における状況でございますけれども、今六十八カ所全国的にある中で、東京都で行われている事業というのがどのくらいございますでしょうか。
  329. 牧野徹

    ○牧野政府委員 東京都は、いろいろな事情があって休止している二カ所を含めまして九カ所、実動は七、こういうことに相なります。
  330. 中村巖

    中村(巖)分科員 東京都の場合、自治体としての東京都が都市計画決定をして、そしてそれに対して補助をお願いをしていく、こういうことになるわけでありますけれども、そういう補助をお願いをしているけれどもまだ採択にならないというか、現在まだ調査中というか、そういう段階のものは幾つぐらいございますでしょうか。
  331. 牧野徹

    ○牧野政府委員 全国的にもかなりあるわけでございますが、まず、東京都の調査済みは五カ所でございます。それから、現在調査中が二カ所でございます。
  332. 中村巖

    中村(巖)分科員 いずれもそういう事業事業費としては大変に膨大なものになるということでございましょうし、ちょっと大きなところを一つやれば四百億、五百億、こういうようなことになるわけでございますが、現在の建設省予算の中での連続立体交差に対する事業補助費の範囲では、採択というものが大変に難しいような状況があるのではなかろうかというふうに思うわけで、その意味で、連続立体交差の補助費というものをもうちょっと何とか増額をすることはできないかということになるわけです。七百億かそこらのもので、これは全国でそのぐらいのものだとするならば、新規事業の採択一つするにも大変なことになってくるわけでございます。  ところが、現在、町づくりを進めるということになりますると、旧来の鉄道というものが大変に町づくりを邪魔をしているということがあるわけです。新規鉄道を敷くのであれば立体交差によらなければならない、こういうことになっておりますからいいわけでありますけれども、旧来の鉄道というものは立体交差になっていないところが非常に多い。そういう意味で、町づくりの障害になっている部分が相当あるわけです。  具体的に私どもの地元の話を申し上げますと、赤羽駅というのが北区にございまして、赤羽駅付近、これが今立体交差になっておらないために、大変に北区という町は、京浜東北線あるいは鉄道でもって東西に分断をされているという状況でございます。したがって、北区の住民としては、なかんずく赤羽付近の住民としては、この連続立体交差というものを何とか早くやってもらいたいという要望が大変に強いわけでありますけれども、この赤羽駅付近の連続立体交差については今どういう状況になっておるのか、建設省で御承知の限りでお答えをいただきたいと思います。     〔森田(一)主査代理退席、主査着席〕
  333. 牧野徹

    ○牧野政府委員 赤羽駅付近の連続立体につきましては、昭和五十二年と五十三年、二年間にわたって補助をつけまして一応調査を終わっておりまして、先ほど御説明申し上げました五カ所の中の一つになっております。  現在は、東京都で環境アセスメント等を含めましていろいろな総合的な調査を行っているというふうに聞いておりますが、私どもといたしましては、東京都から事業化をしたいという要望が参りましたら、その時点で検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  334. 中村巖

    中村(巖)分科員 そうすると、今東京都で環境アセスとかいろいろやっていることは事実のようでありますけれども、東京都は、ことしじゅうに都市計画決定をしたい、こういう御意向のようでございまして、もしことしじゅうにこれについて都市計画決定ができますならば、この補助対象事業として採択をされる可能性というものはどういうことになりましょうか。
  335. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先ほども説明いたしましたように、なかなか全国的に御要望も強い事業ですし、それから、補助採択する本数も非常に限定されておりますので、東京都の方で都市計画決定なり何なりをびしびしおやりになるのであれば、やはり全国的なシェアの中での一つの候補にはなろうかと思います。  ただ、蛇足でございますが、先ほどの五本の今東京都でも調査中の中にも、年度からいえば先輩に当たる路線も実はメジロ押しでございまして、東京都も現在、総合的な御判断で熟慮されているのではないかと思います。
  336. 中村巖

    中村(巖)分科員 赤羽駅付近の問題については、これは早くから地域自治体としては取り組んでいるわけでございまして、何とか実現させたいという希望が非常に強いわけでございます。ほかにもいろいろな調査済みの補助対象事業があるかもしれませんけれども、ひとつできるだけ優先的にお願いをしたいということを申し上げておくわけでございます。  それからもう一つ。やはり私どもの地元に東武東上線というのがございまして、これについても地域住民の、地域を南北に分断しているんじゃないかということで、何とかしたいという考え方があるわけであります。これはなかなか具体化していないことでございますけれども建設省の方では、何か東武東上線の連続立体のことについて御承知の部分というのはございますでしょうか。
  337. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先生がただいまお話のございました東武東上線にっきまして、昨年の暮れに板橋区長さんが東京都の方へ、どんなものだろうかというふうなお話しに見えたという事情は、聞いて承知しております。  ただ、そういう段階でございますから、先ほどからるる御説明している一番後ろの方へお並びになるわけでございますので、構想段階がなと考えますが、いずれにいたしましても、板橋区の事前の検討なりあるいは東京都の総合的な検討を踏まえて対応を検討してまいりたいと考えております。
  338. 中村巖

    中村(巖)分科員 時間がなくなりましたので終わりますけれども、さらに一般論の問題としまして、先ほど私が申し上げたように、これから東京都も新しい町づくりというものを進めていかなければならないわけで、そのためには鉄道でもって地域が分断をされるという状況というものは町づくりの大変大きな障害であるということでございまして、それは私の地元に限らない、どこでもそうだろうと思います。大都市においてはどこでもそうだろうというふうに思うわけでありますけれども、そういう意味でこれからの都市づくり、こういうことのためにこの連続立体交差に対する予算、こういうものをぜひふやしていただいて、多くの事業を採択していただいて補助をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  また、最近の財政の逼迫の折から三分の二の補助が十分の六になったということは大変遺憾であるわけで、これは政府のおっしゃっているところによれば、いずれは旧に復するわけでありますから、こういうことも早期にお願いをして、この連続立体交差事業に対する御理解をいただきたいというふうに思いまして、この点について最後に、大臣せっかくお見えになったのでお考えをお聞かせいただいて終わりにしたいと思います。
  339. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 鉄道が町を二分するというのは私の田舎である宮崎でもありますわけで、やっと五月にその起工式をやることにしました。それくらい鉄道というのは非常に大きな役割を果たしてきたけれども、今日こういう時代になりますと、町の発展からしたらある面においては大きな障害になっておる。それはもう都市計画を今後進めようとしたら、連続立体交差というのは至極当然の要望であろうと私は思います。東京都、また板橋区、それらの皆さんとよく相談をいたしまして、私どももこれは積極的に進めることが今後の都市政策にとって大事なことだと思っておりますから、しっかり取り組んでいきたいと思います。
  340. 住栄作

    住主査 廣瀬河川局長から発言を求められておりますので、これを許したいと思います。
  341. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 大変恐縮でございますが、先ほど笹目橋下流の工事量を金額で申し上げましたけれども、余分のものが入っておりますので、ですから工事量は五百六十メートルの施工量というふうに御訂正をお願いしたいと思います。
  342. 中村巖

    中村(巖)分科員 どうもありがとうございました。
  343. 住栄作

    住主査 これにて中村巖君の質疑は終了いたしました。  次に、横江金夫君。
  344. 横江金夫

    横江分科員 災害は忘れたころにやってくると言われています。我が国の台風災害史上最大の惨事を招きましたのは昭和三十四年九月二十六日の伊勢湾台風であると思います。それ以来もう二十七年を迎えようと実はしておるわけでありますが、この伊勢湾台風でとうとい人命を奪われたのは五千名を超すくらいだというふうに当時は新聞に報道されました。いまだにその傷跡の深さが人人の心に刻み込まれておるわけであります。そしてその最大の激甚地でありました愛知県海部郡鍋田村や名古屋市南区のくつ塚、伊勢湾台風の犠牲者の碑の前にはいまだに線香の絶えることは実はないわけであります。二度とこのような大惨事を繰り返してはなりません。  仮に今伊勢湾級の台風が襲来したとした場合、果たして災害、被害の心配はないのか。例えばあの高潮防波堤あるいはまた海岸堤防あるいは河川堤防、今の伊勢湾台風のあそこにおける、そこらの堤防については大丈夫かどうかということを改めて私はここで尋ねていきたいというように思うわけであります。その大きな理由というのは、あの防波堤、防潮堤、海岸堤防、河川堤防ができましてから実はあの地域におきましては地盤沈下が始まったわけであります。私は、一番心配しております地盤沈下と堤防の関係につきまして特に指摘をさせていただきたいと思います。  台風があの大きな被害を残して、そして三十四年の末に高潮対策事業実施しなくちゃいけないということで、運輸省、建設省、そして農林省、関係の学識経験者の皆さん方が集まりまして伊勢湾高潮対策協議会を設置されました。この協議会の中で基本的な方針を決定されまして、その方針決定に基づいて、あの伊勢湾にびょうぶを立てたらどうなんだ、防波堤をつくったらどうなんだということででき上がったわけです。そしてその防波堤ができたことによって、海岸堤防もあるいは河川堤防の高さというものもそこで実は決まってきたわけであります。  簡単に言うならば、防波堤ができたことによって、防波堤がない場合にはあのずたずたにやられました飛鳥、鍋田の海岸堤防については七メートル五十の天端高の堤防をつくらなくちゃいけないということでございましたけれども、防波堤をつくったことによりまして一メートル二十から三十は低くしてもいいだろう、こういうことで海岸堤防とか河川堤防ができたわけです。私は今ここで、そのような協議会で方針を決めてつくりました、申し上げましたような防波堤から河川堤防、海岸堤防、そして防潮堤の中で、その建設当時の天端高が維持されているところがあるのかどうか、ここからまず運輸省の管轄と建設省の管轄につきましてお答えいただきたいと思います。
  345. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の海岸は三海岸、すなわち海部、鍋田、南陽の三海岸に分かれておりますけれども、海部海岸につきましては四センチから二メートル十六センチ、鍋田海岸につきましては一メートル四センチから一メートル七十二センチ、南陽海岸については二十三センチから五十三センチ沈下しているということを承知いたしております。
  346. 塩田精一

    塩田説明員 運輸省につきましては、港内の海岸堤防の高さは六メートルに決まっておりまして、それにつきましては現在六メートルを確保しております。
  347. 横江金夫

    横江分科員 港内の海岸堤防というのは防潮堤のこと空言うのですか。
  348. 塩田精一

    塩田説明員 運輸省の港内の護岸の天端高についてお答えいたしました。
  349. 横江金夫

    横江分科員 私は今いみじくも建設省と運輸省、運輸省につきましてはその天端高を堅持しております、これは私はそのとおりだというふうに実は理解しております。ただ違うのは、防波堤は一メートル六十センチも沈下しておるという事実もあるわけでありますが、港内における防潮堤、これで見ていただきますと、庄内川、新川から西が海岸堤防、河川堤防、東の方の防潮壁二十六・八キロありますけれども、ここはもう沈下すれば、TPで五メートル十センチでございますが、必ずかさ上げするのです。だから今絶対にここだけは維持されておるのです。ところがこの庄内川から西につきましては、私は欠陥堤防じゃないかと思うのです。二メートル十六センチ、一メートル七十二センチ、二メートル、そして先ほどは河川堤防の話はございませんでしたけれども、庄内川、新川につきましては伊勢湾のときは五メートルありました。そしてずたずたにやられたのです。しかるに、今四メートルから四メートル三十センチしかないのです。河川堤防を欠陥商品と言ってはおかしいのですが、そうなんです。海岸堤防も実はそうなんです。しかるに、私が今申しましたように東の方の名古屋港だけについては完璧に維持されておる。大臣、二メーターといいますともう大変なことなのです。果たしてこれで堤防一あの五千人も犠牲者がありました奥地につきましては、伊勢湾のときには全く地盤沈下はございませんでした。ところが、ここにもございますけれども、今はゼロメーター地帯が、県別ゼロメーター地帯を全部言っていきますと、愛知県が二百八十六平方キロ、岐阜県、三重県が六十一、五十五平方キロでございまして、日本じゅうで一番多いのは愛知県で、しかもゼロメーター地帯からもうここはマイナス一メーターから一メーター五十センチ地帯になってしまっておるわけです。そして、堤防は二メーターも低い、河川堤防は一メーターも低い。果たしてこれで、堤防で背後地のとうとい人命を守ることができるでしょうか。この点大臣、ちょっと一遍御答弁賜りたいと思います。
  350. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 伊勢湾台風というは、実を言いますと、あれは私の宮崎を直撃すると言っておったのが伊勢湾に行ったわけでありまして、それだけに私は強力な印象を持っておるのです。  答えにならないかもしれませんが、全体的に言いますと、東京湾、大阪湾、ともにいろいろのプロジェクトが組まれて開発が進むというのに、伊勢湾は、私はやはり三つの一つだと思っておるのです。ですから、この伊勢湾をよくする必要がある、こう思いまして、一回近々行ってみたいと私は思っておったのです。その中でそういう地道なお話を聞きまして、大変ありがたいと私は思います。この地盤沈下その他で機能が失われておるということは私も承知いたしております。
  351. 横江金夫

    横江分科員 私は、大臣においでいただきたい、ぜひ視察をしていただきたい、このことを最後にお願いしようと思いましたら初めから言われまして、ぜひこれだけはお願いしてまいりたいと思っております。もう来ていただければすべてわかるわけであります。  そこで、あの伊勢湾台風で五千名の被害者が出たときに、昭和三十四年でございますが、昭和二十五年から三十四年まで余り人口は変わっておりません、あの背後地は大体五十万の人口であります。昭和五十年、倍になりまして百万になりました。今は百二十一万でございます。そして、先ほど申し上げましたような海抜一メーター五十センチのそのような場所でございますから、私は、堤防が破堤したというならばその被害を想定するだけでも恐ろしさでもう話ができないぐらい、自分自身も被害をこうむっていますから、そのように実は思うわけであります。だからその上に立ちまして、実は今防波堤そのものも沈下をしています。先ほど担当の皆さん方からは、まだこのような沈下の状況でいいかどうかということの御答弁をいただけませんけれども、いいという話は絶対出てこないと私は思うのです。ただ、私自身が考えますのは、埋め立てをしたから潮位だとか偏差とか波高についてはここで削減されますという話が運輸省から聞こえてくるのです。私はここで指摘したいのですが、この防波堤林、鍋田堤が一メートル六十センチ下がっています。今三メーター五十ぐらいしかありません。TPです。そして、中央堤が五十センチ下がっていまして四メーター六十ぐらいしかありません。知多堤だけはまあいいのです。  そこで私はお尋ねするのですけれども、運輸省は昭和五十二年にかけて、埋め立てをしたから港内の環境がよくなってきたからということで、主開口部と副開口部を五百メーターと三百メーターでございましたのを百五十メーターずつ拡幅したのです。六百五十メーターと四百五十メーターにされたのです。そのときにこれだけ広めながら、自分たちの方の運輸省の管轄のところはどんどんかさ上げしてみえるからいいですよ、幾ら開口部を広めてもらいましても。建設省の方だけは、欠陥的な堤防ですから、全然何にもかさ上げしてませんから怖いのですが、これだけ開口部を広めました。広めて、そのときに、いわゆる高潮の影響は港内でどうなのかということを検討されたのです。その検討された結果が、二メーター二十地盤沈下しているこの海部海岸堤防の現在のここの堤防は六メーター六十で施工されています。二メーター二十下がっていますから、今現実に四メーター四十ですね。伊勢湾の前は五メーター五十です。伊勢湾のときは五メーター五十でがたがたにやられました。そして防波堤を六メーター六十をつくりました。今地盤沈下で二メーター二十ぐらい下がりまして四メーター四十になります。今回メーター四十なのです。その四メーター四十で埋め立てをしたことによりまして、ここにどれほどの高潮が来るかという計算もされているのです。運輸省さん、何メーターぐらいの高潮が来るというふうに計算をされたのでしょうか。
  352. 塩田精一

    塩田説明員 昭和五十三年に検討を行いまして、TPでいきますと三メーター九十になるという結果になっております。
  353. 横江金夫

    横江分科員 今、西二区のBの海部海岸堤防のことを話しておりますが、三メーター九十というのはあなたの方からもらったものでは、ありません。
  354. 塩田精一

    塩田説明員 失礼しました。  海部海岸のBにつきましては、検討結果五メーター二十になっております。
  355. 横江金夫

    横江分科員 私が先ほど申し上げました海部海岸の二メーター二十沈下しているという場所は、五十三年の高潮計算をされて埋め立てをされた中で運輸省は、ここへ必ず堤防がなければまさに五メーター二十の高潮が来る。しかも、その堤防は今回メーター四十しかないのです。五メーター二十です。八十センチも越波してしまうのですよ。これは現実なんですよ。このことは建設省、御存じでしょうか。運輸省がこのような高潮計算をされて五メーター二十、今一番低いところで話をしました、このような計算は御存じだったでしょうか。
  356. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 私、存じておりませんでした。
  357. 横江金夫

    横江分科員 運輸省はそのような計算をどうして建設省説明されないのでしょうか。協議会をおつくりになったときに建設省と運輸省と農林省と学識経験者の皆さんとで、防波堤をつくり堤防高もお決めになったはずじゃありませんか。開口部を大きく広めた、六百五十にした、あるいは四百五十にした。そして、あなた方の計算でいきますと、今まさに五メーター二十ということをはっきり言っておるのですよ。建設省は知らない。建設省は知らなくてこの堤防で心配ありません。大臣はこれからお見えになるということでございますが、建設省と運輸省とがここを管理して、しかも伊勢湾であれだけの大きな被害をこうむりながら何ら協議されてないなんていう、こんなばかな話はありませんでしょう。これはどういうことなのですか。運輸省はこのような、自分たちの方だけはかさ上げをして、心配ありません。建設省の堤防については、こういうふうに開口部を広めたらこれだけの高潮が参りますから、建設省さん、気をつけてかさ上げしなさいなんていう注意はどうしてしないのでしょうか。
  358. 塩田精一

    塩田説明員 三省協議で防潮堤の高さが六メーター等になっております。それで、私どもは、開口部を広げたことによってその六メーターより低いかどうかのチェックをした結果、五メーター二十という結果が出ましたもので、それで十分安心じゃないか、このように考えておるわけでございます。
  359. 横江金夫

    横江分科員 そういう答弁は素人のものなのですよ。五メーター二十TPでおつくりになったのです。今、鍋田堤も中央堤も下がっておるのですよ。その下がっている計算のその現状のままで、防波堤がないときは七メーター五十の堤防ですよ、防波堤があるから六メーター六十なのですよ。そして、今埋め立てをした、五十三年の現況の計算でいくと五メーター二十の高潮が来ると、あなた方の内部のこの資料で出ておるのですよ。今のあなたの答弁だって、よその話をしておったらいかぬですよ。私の地元の人間で五千人も死んでおるのですからね。どうして建設省と運輸省とがしっくりいかないのでしょうか。あなたは知らないと言われて、そして、堤防は心配ありませんなんて言ってもらっておっては困りますよ。
  360. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先生指摘のように、私これから最大限の努力をいたしまして早急に調査を促し、対処をしたいと思っております。
  361. 横江金夫

    横江分科員 私は、この事実、これは地区の県民の皆さん、市民の皆さん方が知ったらそれこそ夜も眠れないくらいになると思います。今、県はこの海岸堤防の海べりのところだけは工事しています。海べりも大事ですけれども、ここが大事だということだけは、低いところです、今お話がございましたように、最大の手当てを大至急していただきたい、私はこれは強くお願いしておきたいと思っております。  そこで、こういう格好でございますけれども、今の六百五十メーターに開口部を広めました。この広めて、埋立地が全くない、川筋みたいに川に台風が遡上する、台風の高潮が上がる。埋め立てによって波が殺されるのではなしに、五百メーターの開口部を六百五十メーターにしたわけでございますから、これはこのままストレートに上がっていくのはどこでしょうか。今この中で一番危ないと言われているのは、今市し上げました海部海岸堤防だけじゃなしに、一番怖いと言われておりますのは庄内川、新川堤防なんです。この庄内川堤防は、左岸につきましては完全に工事は完了いたしました。また天端については、立ち退きによって拡幅されていますから、本体が広まっています。だから私は、庄内川の左岸については一応よろしいというふうに言えると思いますが、右岸につきましては、全くもう五メーターが四メーターで、しかも四メーターというのはあのパラペット、こんな細いパラペットが七十センチぐらいで、それを入れて四メーターでございますから、それを取ると三メーター三十センチしかないのです。一昨年、あの庄内川に国道一号線の一色大橋という橋がございますが、これが余りにも出水によって橋が揺れて通行どめになりました。私は現地に見に行ってきましてびっくりしたのですが、工事が完了している場所は本当に高い、すばらしい山のような堤防なんです。ところが下流を見てまいりますと、もう水が天端すれすれなんです。残っているのはパラペットのただ七十センチだけなんです。私はこのときにぞっとしたのです。その状況が新川もそうなんです。庄内川の左岸が立派になりました。しかもその上に日光川の水門が完全に立派なものがつくられました。だからもうこれからは水が遡上しましても日光川から奥へ入りません。切れれば別です。切れる心配はありますよ。  そうしますと、その水はどこへ行くかといいます、ここへぶつかって、この海岸堤防は工事していますから、庄内川にぶつかりまして全部庄内川、新川を遡上するのです。そのときの堤防は四メーター三十センチから四メーターでございますから、県の河川の幹部の方は、これは越波することは私も認めていますと言っているんですよ。ここで越波をしてみなさい。それはもう大変なことになると私どもは思うのです。現実に数字の上から見ましても、この庄内川、新川につきましては実際にがさ上げが一遍もされてなくて、ただ、地盤沈下で新川の漏水がありまして、その矢板工法だけは行われています。ところがかさ上げがやられていませんので、このままでいったときに、一体全体この工事はいつになったらやられるのだろうか。今の新川、庄内川の海岸堤防から河川堤防はどういうような計画、その達成年次、計画年次そして目標高はどういうふうになっているのか、はっきりと示していただきたいと思います。
  362. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 庄内川につきましては、国道一号線の一色大橋から下流の高潮堤防の沈下による機能低下部分のかさ上げ及び打出、下之一色地区の堤防拡幅を重点的に、計画堤防高TP六メートル二十の堤防築造を目標に目下整備を促進中でございます。  新川につきましては、現在実施しております漏水対策が六十一年度に完成する予定になっておりますので、引き続きまして河口部の計画堤防高TP六メートル二十の築造を目標に、かさ上げ事業に着手しようという予定にいたしております。
  363. 横江金夫

    横江分科員 庄内川につきましてはTP六メーター二十、そして新川についても今同じような数字をお示しになったわけでありますが、現況の堤防高につきましては、庄内川、新川の海岸部については六メーター二十から四メーター三十なんです。六メーター二十のところもあります。しかし、海岸部で一番怖いところで四メーター三十のところもあるのです。そして、それを上ること三キロから上流になりますと、五メーターの堤防がずっと四メーターなんですよ。それで、今まで、矢板が終わりましたらこれから早急にかかります、六メーター二十にします。これはいつまでにやるのですか。台風がことし来るかわからないのですよ。
  364. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 私どもは可能な限り一生懸命実施したいと思っております。
  365. 横江金夫

    横江分科員 日光川は締め切られました。だから、もう中側の堤防が低かろうが何だろうが一応高潮とか津波の心配はありません。洪水等については知りません。今、できるだけ努力しましょうということですが、では、その間、庄内川、新川を締め切ってもらえばいいと思うのです。しかし、日光川と条件が違いますからそんなことはできません。そうしますと、できるだけ努力しましょうということですが、今の予算を見ましても、五カ年計画、去年までいきました予算をとってみましても、ことしは土木費で多いのですが、海岸費なんというものは少なくなっているのですよ。総理はどう言われます。安定と安全だ。もう安定、安全じゃないのですよ。まあ大臣お見えになりますから、私は実はそれ以上のことはとやかく申し上げるつもりありませんけれども、できるだけじゃなしに、その間どうしてくれるのですかということはもう皆さんの悲痛な叫びなんですね。この一番怖い、危ない上流三キロまではこの間のうちにやります、達成年次はこれですということは明確にしていただきたいのです。できるだけとか努力しますでは、これはもう住民としては耐え切れないのです。何年までにやります、一番怖いところはこれまでです、これまでは、三キロとか五キロまでは必ずやりますということをきょう明確にしていただきたいと思います。
  366. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先生指摘の点につきましては、河川を預かる責任者として本当に胸の痛むような思いがいたしまして、先生質問に直接この場でお答えしたい気持ちはやまやまでございますけれども、現在のところ手元に資料もございませんので、早急に県を呼びまして、その辺を検討して先生に御報告させていただきたいと思います。  なお、私どもが庄内川の改修に対して熱意を示しているという一端を予算で御説明させていただきますが、昭和五十九年度の予算は十二億五千万円でございましたけれども昭和六十年度の予算は十三億七千万円ということで、治水事業極めて厳しい状況ではございましたけれども、そのように努力をいたしておりますので、ひとつその点も御参酌の上、今後の検討にまっていただきたいと思います。
  367. 横江金夫

    横江分科員 大きく期待をいたします。  最後に、全体の問題に戻りますけれども、協議会でおつくになりましたあの防波堤の高さ、堤防の高さからいろいろな高さすべて、また本体、堤防の大きさそのものは今でも全部生きていると私は思います。そうしますと、その完成時の原状に戻す、高さが低いところは上げる。防波堤についても、鍋田堤であろうが中央堤であろうが、一メーター六十も五十も下がっておる。これを上げる。これが、三十四年の伊勢湾台風の一番の教訓として三省が御協議され、そして学者、皆さん方の英知を絞ってお決めになったのがその結論じゃなかったかと私は思うのです。そうしてまいりますと、埋め立てどうのこうのだけじゃなしに、当然私は完成時のときの高さまで戻してもらうのが当たり前だと思いますが、防波堤も含めて運輸省と建設省、はっきりとお答えいただきたいと思います。
  368. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先ほど申し上げましたように、誠心誠意努力をいたしたいと思っております。
  369. 塩田精一

    塩田説明員 高潮堤の重要性にかんがみまして、今後とも十分調査検討を加えて、機能維持に努めてまいりたいと思います。
  370. 横江金夫

    横江分科員 それじゃ答弁にならないよ、あなた。伊勢湾のときの協議会で基本的な方針を示した。そのときに天端五メーター十という防波堤をつくった。基本的にはその線までかさ上げをする、その線を守る、これが伊勢湾台風の教訓じゃないですか、英知を絞った一番のもとじゃないですか、それが災害を二度と繰り返さないもとじゃありませんかと私は言っているのですよ。建設省は非常に素直な答弁です。運輸省は、おれの方は防潮堤を完全にやっているから、防波堤なんて一メーター六十だろうが四十だろうが、低くたって心配ないんだというような態度で、許されないですよ。そんな答弁では許されませんよ。もう一度いただきたいと思います。
  371. 塩田精一

    塩田説明員 精いっぱい頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
  372. 横江金夫

    横江分科員 最後に、大臣、先ほど申し上げましたようにここは地盤沈下地帯ですね。三百平方キロなんです。今民活とかなんとかということを言われて、この前大臣に名古屋へおいでいただきまして、伊勢湾道の民活をお話しいただきまして、私、地元として喜んでおります。災害から守るのは政治の一番の要諦だと私は思う。堤防だけじゃなしに、高潮の高さまで地盤沈下地帯をかさ上げをする大きなプロジェクト、内需拡大、すばらしいことだと私は思うのです。それは一年や二年でできる話ではありませんけれども、高潮の高さまで平地全体を上げるならば、もうそんな心配はなくなって、そしてこれは後世にもすばらしいと言われますけれども、その点の大臣のひとつ積極的な答弁をいただきまして質問を終わりたいと思います。
  373. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 きょうは災害についての非常に貴重な御意見、ありがとうございました。  伊勢湾岸道路だけではなくて、下之一色地区の再開発もこれは民活で取り組むべきことであるということで、今建設省でもいろいろ検討を進めておりますので、これからしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  374. 横江金夫

    横江分科員 私、下之一色のことを育っておるわけじゃありません。全体の、三百平方キロの埋め立てをすべきだと言っています。下之一色の話じゃありません。それはちょっと誤解しないでください、それだけは。全体の、今申し上げましたゼロメーター地帯、これのことを言っておりますから、物すごく大きな全体で、そんな小さな話しやありません。
  375. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 わかりました。  廣瀬局長が、愛知県を至急に呼んで、この防災対策を初め湾内の諸問題について検討すると言っておりますから、その結果を待ちまして善処させていただきたいと思います。
  376. 横江金夫

    横江分科員 終わります。
  377. 住栄作

    住主査 これにて横江金夫君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  378. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 建設大臣、どうも御苦労さまです。先般は名古屋にお越しをいただきまして、伊勢湾岸道路の民活の問題ですとか、それから堀川浄化、木曽川導水事業に非常に前向きな御発言をいただきまして、私も大変に喜び、評価をさせていただいておるわけであります。  そこで早速、これは私の本当の地元の問題でもございますので、この民活に関連をして伊勢湾岸道路建設の問題について大臣のお考えをいろいろ聞かせていただきたい、こう思っておるわけであります。  民活といっても、道路公団債という問題もありますし、あるいは東京湾横断道路のように新法をつくって、新会社をつくってやる方法もあるし、あるいは第三セクターとか、いろいろ方法もあるわけであります。私は、民活と言うからにはやはり民間資金を導入しやすいような方向で、これから建設省が東京サミットまでに素案をつくられて地元に提示をされるということでありますが、それが第一だと思いますし、また地方自治体も受け入れやすいような、そういった採算性、経済効果等々を十分に考えて対応されなければいけないのじゃないか、これが第一の要諦ではないか、私はこんなふうに思うわけでありますが、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたい。
  379. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 先般、名古屋に参りまして、知事さん、市長さんがちょうどおいでになりましたから、実は柴田先生からこの前こういう湾岸道路、その他民活について名古屋地区のお話がありましたということを私はお話し申し上げたところでありますが、近々地建の局長を東京に呼びまして、そして幾つかの案をこっちで立てたいと思っております。明石方式がいいのか、東京湾方式がいいのか、名古屋は名古屋高速自動車公社ですか高速道公社ですか、何かそういう名前のものがあるそうでして、あるいは第三セクターがいいのか、いろいろ検討いたしまして、そして幾つかの案を持って県、市御当局に改めて御相談を申し上げたいと思います、その節はよろしくお願いしたいということで帰っておりますので、成案を得次第、なるべく名古屋の方に建設省から御相談に上がるようにしたい、こう思っております。
  380. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そこで愛知県知事は素早く反応いたしまして、大臣の民活を歓迎をする。ところが一方、三重県の田川知事さんからは、民活、民活というが、本来はこれは国の直轄事業でやっていただきたい、民活と言われても、愛知県に比べて三重県は民が弱い、こういうお話がありました。伊勢湾岸道路と言えば、これは三重県の四日市から愛知県の豊田市ということもあるわけでありますから、愛知県、名古屋市も大事でありますが、三重県の方の賛同も得なければならない。そういう点で、提案をされるときにはそちらの方もでき得れば、大臣も名古屋へお見えになるということは再三おっしゃっておりますので、やはりこういったことについてよく話し合っていただきたい。これが一つ。それから名古屋へ来ていただく。  それからもう一つは、もともと建設省の考え方は、例えば、西大橋ができた、今度、今地元としてお願いしているのは名港の中央大橋、それから東大橋。これが両方合わせますと千五百億ぐらいかかるわけでありますね。なかなか事業化されない。そこに一つの問題があったわけでありますが、採算がとれるだろうか、こういう心配が建設省当局にあったと思いますよ。であれば、先ほど申しましたように、地元として本当に採算がとれるだろうか、経済効果が本当に出るだろうかということなんです。道路ですから、やはりこの三つの大橋を中心にいたしまして、伊勢湾岸道路も早期に建設をしなければならぬ。それから、これは環状二号線が接続をいたします。環状二号線もまだ一部供用を開始しただけです。やはり道路としての本格的な用はまだなしていないわけです。それから、これは岐阜県も関係して、愛知、三重、三県が関係してまいりますが、東海環状道路という一つの大きな構想もあるわけです。やはりこの三つの道路がきちっと重なり合って本当の採算性、本当の経済性が発揮されるような気が私はするわけです。  だから、やはりその辺のところも大臣は踏まえて、そういった道路の早期建設という問題も、財政事情は大変でございましょうが、やはり頭の中に入れていただいて地元と話し合っていただきたい、こんなふうに思いますが、名古屋へ来ていただくことと重ねましてお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  381. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 大変興味を持っておると言うと言い回しがおかしいですが、私は、実はこのことについては非常に情熱を燃やしておりまして、専門であります道路局長をしてそうした三重県側との協議、あるいはまた愛知県側との協議、あるいはまた全体のそういう計画等の検討を十分いたして取り組んでいきたいと思います。
  382. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 よろしく。とにかく三大都市圏の中の一つの大きな民活プロジェクトだと思います。東京湾横断道路も成功していただきたいし、明石海峡も成功していただきたい。同時に、中部圏における活性化という観点から、この道路建設、民活もぜひ成功させていただきたい。私どもも及ばずながら御協力をさせていただきたいと思っていますから、ひとつ積極的な取り組みをよろしくお願いしたいと思います。  それから次に、時間の制約がありますので申しておきますが、木曽川導水事業、堀川浄化、これも大臣非常に熱意を持っておみえになると私は思いますが、これはちょうど名古屋市が昭和六十四年、市制百周年記念になるわけです。御承知だと思います。この堀川浄化と木曽川導水事業、特にこの堀川浄化というのはマイリバー、マイタウンということで非常に情熱を持って対応していこう、こういうことでおるわけであります。  まず、基本的にこの堀川浄化、木曽川導水事業に対する大臣の熱意、御決意というものをお伺いしたいと思います。
  383. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 ちょうど私の足元に小松川という川がありまして、これがどぶ川で困って困って、それで一級河川の大淀川というでっかい川から水を入れましてそれをだあっと流すのです。そうすると魚がどんどん上がってくるのですよ。私、ちょうど行きましたときに時間があったら見たかったのですが、木曽川から水を持ってくることですからこれは私の足元のと比較にならぬほどの大きな事業でありますし、ひとつ早くやって町の中を魚が泳ぐようにならぬとだめだな、できれば都市の再開発というものも進んでいくわけですから、それこそ民活を促進するためには非常に大事なことだ、こう思いますので、この堀川の問題は積極的に取り組ませていただこうと思っております。
  384. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 大臣、これは新聞報道で間違っているかもしれませんが、木曽川から堀川までの導水事業だけでも一千億ぐらいかかる、今おっしゃった都市開発を含めると二千億かかる、こういうことなんです。だから、建設省直轄の導水事業を早期に完成をさせる、それから名古屋市内の再開発は今ちょっとおっしゃったが民活でやる、このようなニュアンスの発言をされたというのですが、それでよろしいでしょうか。都市開発は民活で、こういうふうにお考えになっている、これはどうでしょう。
  385. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 結構でございます。
  386. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そこで、この導水事業昭和五十八年から六十九年までということなんですが、仄聞するところによりますと建設省の方では六十一年度中に事業計画策定される、こういうことなんですね。局長さんから簡単で結構でございますが、この事業計画策定の内容というのは一体どういうものか。それからもう一つはその実施、やはりこれは早期実施ということを言っておりますので、その辺のお考え方についてお話を承りたいと思います。
  387. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 木曽川導水事業事業計画でございますけれども、治水上、利水上の計画でございますので、治水上、利水上の計画をまとめなければならぬわけでございます。治水上につきましては私どもと県との間でまとめることができるわけでございますが、利水計画にっきましては、木曽川導水によって生み出される水を受ける関係者との調整がございまして、その関係者の調整を経て計画をまとめるというふうな手続になるわけでございます。関係者の中に県、市、町村が入ります。
  388. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 私の理解は策定と同時に並行して実施をされていく、こういう理解をしているのですよ。それでいいですね。
  389. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 結構でございます。
  390. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 それではひとつ早期実施をしていただきまして、よろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、堀川浄化、木曽川から導水するということはきれいな水を流すということ、それから水資源をきちっと守っていく、こういう問題、いろいろとあると私は思います。これは堀川を今度一遍名古屋にお見えになったときに見ていただきたいのですが、先日もテレビでやっていました。ダイバーが潜って撮影しましてすごいヘドロなんです。だからこれは堀川浄化という改修事業をしっかりとやらないと、幾らきれいな木曽川の水を導水しても効果がないと思います。だから名古屋市としては先ほど私が申しましたいわゆる百周年事業の目玉といたしまして、今建設省都市小河川改修事業、これは三分の一の国庫補助があります、それで三百九十七億五千六百万、ちょっとお開きしましたら六十一年度予算措置をされているそうでございます。  大臣に私はお願いするのですが、そういった六十四年の百周年記念事業を目指しての改修事業を何とかやりたいということですので、今予算審議中でありますが、それはやるとは言えないと思います。予算が通過いたしましたらどうか名古屋市の方に対してもこの事業が採択いただけるような方向でひとつ御努力をいただきたい、こんなふうに思うわけであります。その辺の大臣のお考え方、姿勢、御努力、こういうものについてお伺いしたいと思います。
  391. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 この前市長さんに会いましたが、大変情熱を燃やしておられまして、これならやりがいがあるなと思って私帰ったわけでございまして、六十一年度を初年度として何とか直ちに着工ができるようにこれから取り進めてまいりたい、こう思います。
  392. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 ぜひひとつそういった方向でよろしくお願いいたします。  それから次に、名古屋市の高速道路です。  これは先日大臣にちょっとお話しいたしましたが、名古屋市は都市高速道路をずっと建設しているのですが、私は決して高速道路建設は反対ではありません。ところが問題がいろいろあるわけなんです。それで二号線、北区の萩野通と東区の泉、この間が三・四キロあります。それからずっと南の方に参りまして西区の明道町から東区の東片端、これは分岐二号線といいます。これがあります。これが二・二キロであります。それからこの分岐二号線に接続する三号線、やはり西区の明道町から名古屋駅の間の〇・四キロ、これが去る二月十五日名古屋市の西尾市長さんが、今まで地下式、半地下式という構造であったのを採算性を理由にいたしまして高架式にするのだ、こういうことで再変更するという見解を示された。実はこの経緯を申しますと、初めは高架式だったのです。ところが沿線住民の皆さん方から高速道路反対ということで運動が起こりました。それならばということでたしか昭和五十一年、今から十年前に地下式、半地下式に構造変更された。それがまた今度十年たって再変更、こういうことになったわけであります。  実は大臣、その北部の二号線の萩野通―泉の間に、私は北区なんですが、その間に四十一号線のところに私の名古屋の事務所があるわけなんです。それで周りは商店街がありまして、商店街挙げて、自治会挙げていわゆる良識派の人たちが、そういった建設省だとか市の態度というのはけしからぬ、裏切られた、こういった行政不信があるわけなんです。現実に東区の山吹学区というところは十七人の区政協力委員さんがお見えになります。これは自治会長も兼ねまして、名古屋市の区政というものに、市民と名古屋市との間に入っていろいろと協力をいただいている方たち、そういう方たちが辞表を提出されて、後、後任も出さぬ。そして、これから一切名古屋市の区政には協力をしないんだという態度まで表明されているということも聞いたわけです。  それから、黒川の商店街を中心にいたしまして、そこに東志賀学区という一つの小学校単位の学区があります。そこの区政協力委員長がやはり商店街の会長でもありまして、この商店街が分断をされる、日照、騒音の公害等が起こる、あるいは商業地域としての機能低下があるんだ、だから損失部分の補償をしっかりしてもらいたい、あるいは駐車場を設置してもらいたい、あるいは歩道の整備などをしっかりとやって、トータルなそういった政策をひとつやっていただきたいということを言っているわけです。  私もその辺の真意はわかりませんが、高架に再変更したことはけしからぬなということではありますが、やはり心の中には、良識派の方たちですから、なぜ高架にしなければならないか、あるいは高架にした場合はこういった環境対策をしっかり講じていきますよ―今のこの山吹学区というのは名古屋城の近くでありまして、かつての尾張藩の武家屋敷があったところでありまして、名古屋市教育委員会の、いわゆる武家屋敷としての町並み保存地区にもなっているわけなんです。だから、景観を害するという問題、それから騒音、日照等々の公害、あるいは商店街についてはこういった対応をしていきますよといった前向きな意のある説得をしていけば、私はそういった行政不信も、人間と人間のことですから対応できる、こういうふうに思うわけであります。  もちろんこれは高速道路公社なり名古屋市長が先頭を切ってやっていくべき問題であるとは思いますが、一つは、昭和五十一年のときに、いずれかは高架式にしますよという名古屋市と建設省の密約があったのではないかということもかつてささやかれておった、そのときも私はそんなことはないだろうと思いながら実は当時の建設大臣にも御質問したことがあった。これはないというわけだ。ところが、その十年間にある一部のマスコミでは、これは建設省の指導によって高架式に再変更したんだということも書かれている。それを見ますと、これは名古屋市だけじゃない、建設省もけしからぬというふうに住民は思ってしまうわけです。  だから私が一つお聞きしたいのは、これは大臣じゃなくて事務当局にお聞きしたいのですが、この十年間そういった密約はなかっただろうと思うが、その点もう一遍確認したいと思います。それから、十年間そういった高架式への変更の指導をしたのかどうか。そうでなければ、一体どんなような話し合いをこの十年間建設省はしておったか。そして、今後どう対応していくのだ。時間も余りありませんが、簡潔に事務当局からお答えをしていただきたいと思います。
  393. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のとおり、この道路は五十一年に地下あるいは半地下式で都市計画決定をされておりますけれども、そのときにマスコミに、何か密約があったというようなことが報道されたことは事実でございます。これに対しまして私ども調査をいたしましたところ、何といいますかそれは単なる私的な文書でございまして、公的に建設省がそれを受けたことはないということで、はっきりそのときは否定をさせていただいておりますけれども、現在でもその状況は変わってございません。そしてその後、名古屋都市高速道路公社並びに市当局におきまして、鋭意高速道路の築造を図ってまいりましたけれども、現在問題になっておりますところは、いかんせんなかなか施工上の問題がある、それから工費が非常にかかって長期にわたるというようなことのために、現在ではちょっと実現不可能ではないだろうかという結論に達したというふうに聞いております。  それで、しからばどうするかということでございますが、高速道路網全体とすれば、この地域建設いたしまして全体としてのネットワークを形成しないと非常に使い勝手が悪いといいますか、せっかく都市高速をつくっても全体としての効用が落ちるというような問題もございまして、そこら辺で非常に大きなジレンマに陥られたということを聞いております。私どもといたしましては、その間におきまして、例えばこうしろとかああしろとかいうふうなことを申し上げたことは一切ございません。市並びに道路公社の方でそういうことで計画決定されておられますので、いつ事業化するのであろうかということについて興味を抱いておったのでございますが、市当局その他はあるいはここの拡幅ができないかというようなこともいろいろ御検討されたようでございます。しかし、拡幅についても大変問題があるということで、何とかこの高速道路網を早く形成するためにこの際再検討したらどうかということで、都市高速道路調査専門委員会というのをおつくりいただきまして、そこで御検討されたところ、その御報告も参考にしながら、今回構造変更についての都市計画変更素案をつくり上げたというふうに聞いております。  こういう経緯につきましては、先生から行政不信を招くのではないかというような御批判もございますけれども、その間におきますいろいろな客観情勢の変動その他慎重に検討されてこのような一応の素案をまとめたということになったのではないかと存じます。かくなりました上は、私どもといたしましてはできるだけ名古屋市あるいは高速道路公社に情報を提供いたしまして、いろいろな環境対策も現在がなり進んできておりますが、それを駆使して地域の皆様方に御納得のいただけるような環境対策をできる限りとるというようなことについていろいろ指導をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  394. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 これは大臣にお話ししておきますが、そういったことで行政不信があるということです。それで、いわゆる景観対策、それから環境対策も、例えば黒川交差点から清水の交差点の一・五キロの道路幅はわずか三十メートル、ここに高架式ということになれば、清水小学校がありますし、それから家が谷間に落ち込んだようになって、環境というのは非常に悪くなる。恐らく移転する人も出てくるであろう、こういうことですよ。環境対策費は、市は採算上を理由にしてどう言っておるかというと、事業費が五千五百億円程度までなら償還が可能なんだから、公社案が五千六百億ということで、この差額の百億円を環境対策に充てようというわけです。そこから割り出しているのですよ。だけれども、これはそうでなくて、住民からいろいろな要望が、平面街路の整備、歩道の修景、緑化あるいは吸音処理対策あるいは居室の防音工事助成、日照対策、景観対策、いろいろあると思いますが、そういったふうに逆算をしてくるというのは本末転倒も甚だしい。だから、十分に今環境対策が進んだというお話であるわけでありますが、事業費のことをとやかく言わないで、住民の要求からいろいろ出てくるそういった環境対策というのを十分に立てまして、こういった対策というものをやっていただきたい。  結局、大臣、あなたじゃなかったかもしれませんが、五十一年に地下、半地下式に構造変更が承認されたのですね。今度また再変更ということで、愛知県知事が決定をいたしまして建設大臣の承認を求めるわけです。私は、市あるいは高速道路公社だけの問題ではなくて、建設大臣としてこういった問題を含めて行政不信を解消していくような前向きな努力というものをこの際ひとつお願いをしておきたい、このように思いますが、どうでしょうか。
  395. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 今道路一本つくるにいたしましても環境問題を考えずに道路はできないと私は思っております。ひとり環境問題だけではなくて、いろいろ周辺対策につきまして名古屋市当局とも御相談しながら建設省としてでき得る限りのことをやっていきたいと思います。
  396. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 ぜひよろしくお願いします。  あと三分ということでありますので、最後に大臣にこれはお願いしておきますが、今名古屋選出の社会党の横江議員も質問された、やはり大きな問題があります。港の地盤沈下の問題、それから先ほどの伊勢湾岸道路の民活の問題、それからこの高速道路問題、それから堀川浄化の問題、いろいろあります。大臣、この間、交通安全対策委員会で大臣の方から、三大都市圏の中で要するに名古屋を中心とした中部圏の地盤沈下というのは心が痛む、こうおっしゃった。ぜひ、私は、名古屋へ行っていろいろやりましょうと言ったら、この間日曜日にぼっとお見えになった。それは結構でございますが、今度はそういったもろもろの問題、名古屋市を中心としたいろいろな愛知県あるいは中部圏の問題を、一度名古屋に来ていただいて、やはり篤と大臣の目と耳で把握をしていただきまして、中部圏の中核都市である名古屋、そして中部圏の発展のためにいろいろと視察をしていただいて、地元の方たちの御意見を聞いていただきたい。できれば、国会審議もあるわけでありますが、どうかひとつ近日中に来ていただきたい。心からお願いを申し上げたいと思いますが、それを二言だけ御所見を伺って終わりたいと思います。
  397. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 予算でも通りましたらぜひそういう機会を一回つくらしていただきたいと思いますから、その節はよろしくお願いいたします。
  398. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 じゃ、これで終わります。
  399. 住栄作

    住主査 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。  次に、浦井洋君。
  400. 浦井洋

    浦井分科員 どうも大臣、御苦労さまです。  まず最初に、私この間神戸で、もう住都公団、ややこしいですから住宅公団というふうに言いますけれども、旧住宅公団の自治会の人たち、公団自治協という組織があるのですね、その方たちに聞きますと、やはり住都公団の縮小民営化で非常に心配されているのですよ。家賃が上がりはしないかとか共益費が上がりはしないかとか、あるいは今まで以上に維持管理体制がずさんにならないかとかいうようなことを非常に心配されておられるわけなのです。  もう既に大臣御承知だと思いますけれども、やはり公団というのはいろいろ問題があるにしても、いろいろと賃貸住宅、分譲住宅、国民に提供してきたわけでありまして、それはそれなりに役割を果たしておると今も私は確信しております。だから、これはむしろ整備拡充しなければならぬ組織ではないかというふうに思うわけでありますが、建設大臣の御所見をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  401. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 住都公団が我が国の住宅建設に果たしてきた役割は、私は非常に大きかったと思っています。これからもその役割が軽減されるものではない、こう考えております。
  402. 浦井洋

    浦井分科員 結構でございます。何か行革審でそういうことが、悪い言葉で言えばたくらまれて、最終答申に出てくるというような話も聞いておるわけでありまして、そういうことにならぬ方がいいのですけれども、ひとつ大臣も住都公団の充実のために努力をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  それから、早速明石海峡大橋について聞きたいと思うのですが、まず建設省、一ルート四橋ですね、今まで。それが今度、そういうふうに凍結されておったのが解除をされて、それで六十一年着工ということになったわけでありますけれども、私聞きたいのは、凍結を解除したのはなぜかということと、この明石海峡大橋が東京湾横断道路と同じように民活の目玉商品になっておる、民活との関連はどうかということです。この辺はどうですか。
  403. 萩原浩

    ○萩原政府委員 本州四国連絡事業につきましては、先生御承知のとおり昭和五十八年三月の臨調答申により、当面一ルート四橋建設へ限定するというふうにされております。  その後、臨調答申の実施に係る機関でございます臨時行政改革推進審議会、いわゆる行革審と言われているものでございますが、その行革審は、昭和六十年七月、「昭和六十一年度予算に向けた行財政改革に関する意見」というものを提出されておられます。その中で、いわゆる大型プロジェクトに関しましては、「国の負担を軽減し民間活力の活用を図るための方策を、今後十分検討する。」というふうに記されております。この意見にっきましては、昭和六十年七月二十六日の閣議決定で、最大限尊重するというふうになってございます。  このような経過を踏まえまして、明石海峡大橋、生口橋の建設をどうするかということについていろいろ御議論をしていただきまして、その結果といたしまして、縁故債を拡充してさらにその一部に低利の縁故債を導入するというような施策を講じまして民間資金を活用し、その結果国費及び地方費を約二割程度軽減することとして今回建設に着手しようということで、現在御審議いただいております昭和六十一年度予算案に計上させていただいているところでございます。
  404. 浦井洋

    浦井分科員 私は民活ならよいということで質問をしているわけではないんですね。やはり民活方式というのはちょっとインチキ臭いなという感じがするのですよ。それで、聞けば、今は、今度はAルートですね、神戸―鳴門ルート、これは縁故債を多少とも低利で、だから自治体の出資は減るのだということで、公団がやるわけですからね、別に民活と関係がないのと違うのですかね。そうでしょう。
  405. 萩原浩

    ○萩原政府委員 従来公団方式自身もかなりの縁故債なり民借、民間借入金を活用いたしておりますので、どだい有料道路制度自身もある程度の民活であるということは言えると存じます。したがいまして、民活の定義をどこでとるか、これ以上は民活でこれ以上は民活でないというような御定義はちょっとしかねると思うのでございますけれども、従来とりましたある程度民間活力を利用いたしました方式に加えて、さらに民間の資金を導入するという意味で、この際民間活力の導入ということが言えるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  406. 浦井洋

    浦井分科員 その民活度の低い従来からの公団方式、その公団方式も広い意味では民活だ、こういう御意見のようでありますが、それは解釈のしようでどうでも言えるわけだと思うのです。  それで大臣、着工はいつになるんですかね。着工式に大臣が御出席されるというようなことも聞いておるのですけれども
  407. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 起工式だけは、予算が通りましてのことでありますが、予算が首尾よく通りましたら、来月にでもやらしていただくかな、期日は未定であります。  それから実際の着工といいますと、これはやはり漁業補償が片づきませんとできないわけでありますから、これはこの予算が通りましたら早速漁業補償その他着手への準備に取りかかる、こういうことになろうかと思います。
  408. 浦井洋

    浦井分科員 来月ぐらいに起工式をということであれば、漁業補償も大事でしょう、しかし同時に、関係住民がたくさんおられますよ、神戸の側をとってみましても。早くルートを発表して、そして住民の同意を得なければいかぬのではないかと思うのですがね。その辺は見通しはどうですか。
  409. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 この前私、海から一回、徳島から明石を見まして、それでも安心ならなかったものですから、先週の日曜日に実はヘリコプターで向こうの淡路に渡りまして、それからこっち、明石へ来まして、それからずっと取りつけ道路からこっちヘトンネルくぐって、こうやってこうやってあそこへつなぐのだというのを全部見てきたわけです。それは、おっしゃるようにやはり家が非常に立て込んでおりますから、ルートの決定に御協力を願うのにはよほど慎重でなければいかぬなということを実はつくづく考えながら帰ってきたわけでありますが、それ以上の詳細なことが必要でございますならば、道路局長からお答えをさせていただきます。
  410. 浦井洋

    浦井分科員 私こういう意見を聞いてきているのですよ。明石架橋から市民生活を守る会というのがあるのです。これは大臣、神戸市側にこういう組織があるのは御存じですか。そこの会長の十河さんという方が、少々きつい表現ですけれども、「先ず第一には、何はさておき、架橋上陸地点及びそれ以後の陸上部の道路計画(案)を明示する事を強く要求していく。来年から着工されるのに未だにこれらの点が明確にされないという政治、行政の在り方に強く抵抗を感ずる。「或る朝目覚めたときブルドーザーが走り廻っていた。」といった状態が過去に幾多の例があり、これが我が国の国政の常道であった。我々は、この様な在り方を強く拒否していきたい。」  この十河さんという方はかなり良識のある方なんですね。その方でさえもこういうふうに言われて心配をされておる。早くルートを発表して、そして、漁民ももちろんでありますけれども関係住民の同意を得るような努力をせぬと間に合わないのじゃないですか。
  411. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 ちょうと国会で予算を御審議をいただいておるさなかでありまして、その予算がまだ成立をしないうちにルートを発表したり起工式を発表したりするのは、それこそ国会軽視で不謹慎だということから実は御遠慮申し上げておるわけでありまして、予算が通りましたら直ちにそのような手続はいたしたいと思っております。
  412. 浦井洋

    浦井分科員 そうすると、もうほぼルートは固まっているというふうに見てよいわけですね。大臣、その辺で何か一言。
  413. 萩原浩

    ○萩原政府委員 現在関係機関といろいろな調整を行っているところでございまして、一応の腹案はございます。そして、それを発表いたしまして、もちろん皆様の御意見をまた聞きます。そして、結果としては都市計画変更の手続も必要であろうと思います。そこら辺をすべて終えて、漁業補償も終えて初めて着工、こういうことになるわけでございます。
  414. 浦井洋

    浦井分科員 だから十河さんが言っておられるのに、今のお話と一緒であります、やはり公害問題を心配されておるわけであります。「公害及び環境破壊対策については、「住民に迷惑をかけない」及び「一部住民に特別なぎせいをかけない」という原則はあくまでも守って行くよう要求する。」と言われておるのであります。  これはぜひ守っていただきたい。当然の発言だと思うわけであります。だから、それにはやはりアセスが大事ですよね。ルートが決まってからアセスだというようなことではぐあい悪いでしょうね。やはりアセスをやって、ここはだめだから変更したり、あるいはやめたり、あるいは着工したりというようなことになるわけで、やはりアセスメントをやって、それでプロジェクトにかかる。ところが、どうも公団なり建設省の考えておられるのは、もうルートを決めておいて、そしてここで自分たちでアセスをやって、これだと強引にそれで突っ切っていくのだということを住民は心配をされておられるわけなんです。  だから、ルートが決まっているなら、ここに地図を持っているのですけれども、大体決まっているなら早く発表する。大臣、それは不謹慎だ、予算が通ってからということもあるでしょうけれども、立ち退きなんかの問題もありますし、早く発表して、それで本当の意味でのアセスをやらねばいかぬというふうに私は思うのですけれども
  415. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生がおっしゃいますように、一応私どもは、アセスをする場合に、ある程度路線を仮定をいたしませんとアセスはちょっとできないわけでございます、要するに影響予測ができませんので。それで仮定をしまして、これでこういうような関係がございます、そうするとこれは非常にぐあいが悪いので、またちょっと別の路線を検討するというようなことで、最終的に一番よいであろうという路線、これにつきましての環境影響の調査をいたしまして、その結果を、昨年でございますか閣議決定いただきました方式に基づきまして、正式に環境アセスメントの手続をとらしていただく、その際に、いろいろまた住民の方からも御意見を承る機会があるという手続をとらせていただいておるわけでございます。
  416. 浦井洋

    浦井分科員 私も昔建設委員をやっておりまして、そういう目によく遭ったのですが、やはり態度が変わってないですね。もう一遍言いますけれども、アセスをやって廃止することも変更することもあり得るのだというアローアンスを持っておかなければいかぬですよね。実態はもうほぼ決まっておるのですよね。だから大臣、その辺は十分に気をつけてやっていただきたいと思います。  道路公害でも、大臣ヘリコプターに乗られておわかりだと思うのですけれども、淡路島からずっと来まして、海岸べりで五十メートルか六十メートルぐらいで三度ぐらいの角度でずっとおりていって、その辺は別の問題はありますけれども、公害が発生しそうなのはやはり着地部分で一番心配されておるわけですよ。これをどうするかということなんですね。そこでは騒音の問題であるとか排気ガスの問題であるとか、あるいは阪奈道路ですか、で出る低周波の問題であるとか。現に住民側もそれから行政側も入った明石架橋対策協議会の公害問題研究会では、着地部分ではそのままいけば必ず、特に騒音では環境基準をオーバーするというデータを出されておるわけですね。だから、これに一体どう対処するつもりなのか、具体的に。シェルターをかけるのか、あるいはもっと何か方法があるのか、それはどうですか。
  417. 萩原浩

    ○萩原政府委員 おっしゃいますように陸地部ではいろいろな環境の変化が当然のことながら予想されます。そして、それに対する対策が結果として問題であろうと思います。特に騒音につきましては、今回この橋が道路専用橋ということになります。したがいまして、音につきましては、鉄道橋を一緒にするよりは対策が割合しやすいというふうに考えております。そして、例えば場所によっては遮音壁を立てることもございましょうし、あるいは場所によりましては沿道の建物を再開発その他の手法でかたい建物にする、そうしますとその裏は必然的に静かになるわけでございます。そのようないろいろな対策を講じていきたいというふうに考えております。
  418. 浦井洋

    浦井分科員 お金があるからいろいろな対策が立てられるだろうというお話なんでしょうが、大臣、大体何戸ぐらい立ち退きになるのでしょうね。それは聞いておられませんか。
  419. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 何戸ぐらいということはわかりませんでしたが、そのルートの上をずっと飛びましたから、ここのところはトンネルにしますと、そうするとあの建物が大体ひっかかりますというようなのを聞きまして、やはりかなりなものが影響する、そう思っております。特にあそこは谷間やら丘があるようでして、それだけにおっしゃるように、ところによっては、トンネルの出口だとか着地点等でいろいろな問題が起こってくるだろうと思いますが、それは、それぞれ手なれた専門家がやることでありますから、その検討にゆだねたいと思っております。
  420. 浦井洋

    浦井分科員 なかなか上手なお答えでありました。  その直下はもちろん立ち退きになります。それから両サイド、十メートルから二十メートルぐらいはやはりひっかかるわけですね。そうすると、予想されるルートではやはり二、三百戸になるというのですね。だから、大臣が今言われたような格好であらゆる手段を尽くして、そういう人たちにストレスがたまらぬようにしていただかなければ、その人たちの便益を損じないようにしていただかなければいかぬと思うのです。  同時に、先ほどの十河さんが言われるのに、十メートルや二十メートルではすぐ上を通っているような感じだというのですね。だから、沿道区域を最低限百メートル幅にすることを要求するというのです。直下の部分は三十一メートルか三十二メートル。そこから五十メートル、五十メートル、あるいは片っ方百メートル、これぐらいとらぬと近所の住民の方は心配でたまらぬという話なんですね。だから、神戸市でもそれは沿道整備事業というような格好でずっといろいろな、公園化とかそんなようなことを考えているのですけれども、神戸市の方もこれは国の事業だし国でお金を出してもらわなければ困ると。お金はあるようですから、その点どうですか。もっと広げる、お金が要る、神戸市の方は国がお金を出してほしい、その辺はどうですか。
  421. 萩原浩

    ○萩原政府委員 その広げる部分を将来どのような形で活用するかということになると存じます。地域の交通に利用する場合もございましょう。それから、公園といいますか緑地として活用するかというような問題もございましょう。いずれにしても、それらはこれから細かく地元の御要求を聞きまして、例えばそんなに土地がつぶされては困るとおっしゃる方もおられるかもしれません。そういうことを全部お聞きいたしまして計画として取りまとめ、そしてそれが完全に決定されました事業につきましては、おのおのの事業を公共事業として採択するということは当然のことでございます。
  422. 浦井洋

    浦井分科員 そうすると、百メートル幅みたいなケースも出てくる可能性はあるのですか。
  423. 萩原浩

    ○萩原政府委員 百メートルというお話は今初めてお聞きいたしまして、本当にその計画が妥当であるかどうかということについてはまだ検討いたしておりませんので、今ここでその可能性はあるということまでは申し上げられないのでございます。いろいろな案をひとつ比較検討して、地元の方々がこれが一番よい案ではないか、一つの案としますとすべてにいいということは絶対にございませんで、この点がよければこの点がまずいということがあろうと存じますが、そこら辺で最適の案をまとめていただいて、それに伴ういろいろな事業についてはそれなりの事業化を行う、そして国庫補助事業あるいはその他の事業として採択していくということに相なると存じます。
  424. 浦井洋

    浦井分科員 けちをつけておいて次へ進むわけですが、ここがよければこっちが悪いということもあって最適のなんて、そんな矛盾したことがありますか。  そこで、採算性の問題、公団にお尋ねしたいのですが、私たち共産党は一ルートを完成させればよいのではないかという考え方がもともとあるのです。それはDルート、児島―坂出ルートということになるだろうと思うのです。ところが事態は、既にもうそれはやられておるし、それから明石海峡大橋が通れば二ルート通るわけですね。それで、地域開発橋である西側の尾道―今治ルートですか、これもいつまた凍結解除になるかわからぬということになってまいりますと、公団全体としてはプールして三十年償還、こうなるわけでしょう。さあこれは本当に採算がとれるのか、私は人ごとながら心配なんですよ。これはどうですか。
  425. 吉田巌

    ○吉田参考人 ただいま先生から御指摘ありましたように、私ども公団といたしましては有料道路事業として運営しておりますので、採算性というのは公団にとってはまさに公団事業そのものの大きな問題でございます。真剣に検討させていただいております。  それで、全体プール制の中で三十年で償還するという見通しを立てておりますが、早期に完成するルートとして岡山ルートがございまして、それからことしの御予算がはっきりいたしますと明石、こういうふうになりまして、改めて明石のルートというふうになるわけです。そういう中で、先生おっしゃったように、交通量を確保できるかというような御質問が出ると思いますけれども、私どもといたしましては、全体の経済フレームを考えている中で、四国と本土とが非常に身近なものになるという中で、面的に四国と中国が接することになりますので、私どもが予想しております両方のルートで六万台という交通量が確保できる、その中で採算性は十分確保されるものだというふうに見込んでおります。
  426. 浦井洋

    浦井分科員 大臣は宮崎の御出身。関門トンネルと関門橋があって、一日の交通量は大体四万台ですね。今二ルートで六万台、尾道―今治ルートが通れば一万台というふうに見込めばこれで七万台あるいは八万台、多い方がおたくの立場にとってよいのでしょうけれども、本州と九州を結ぶルートが四万台で、それよりも面積の小さい四国、近いと言えば近いのですが、経済圏も近畿圏に近いとは思いますけれども、そういう点でそんなにたくさん通ってくれるんだろうかと私は思わざるを得ないわけなんですが、どうですか。
  427. 吉田巌

    ○吉田参考人 交通量の推計につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども一つの経済フレームをつくって推計させていただいております。今申し上げました予想交通量の話になるわけでございますが、既に供用開始をしております大鳴門橋の事例を見ましても、私どもの推計でほぼ六千から六千五百台と見込んでおったのでございますが、それに対しましてここ一年間の交通量は目平均で八千台を超しております。そういうわけで、同じような推計でそういう結果を得ておりますので、今先生の御指摘の面があることはわかりますけれども、私どもは自信を持って、交通量は確保できて採算は安定をする、こう思っております。
  428. 浦井洋

    浦井分科員 それで、経済効果の問題では野村総研に委託をされたわけですか。やはりそれを発表していただきたい。我々に見せていただきたいということです。それをお答えいただきたい。  最後に、私は結論として、採算性、環境問題、それから民活の話、どうも不徹底で、ただただ内需拡大で着工を急いでおるという感じがして仕方がないわけであります。だから、私が今質問しましたような趣旨をよく踏まえていただいて、もう決まっているんだからだめだというようなことでなしに、住民の声を十分に聞きながら、同時に、これは大臣もよく御承知だと思いますけれども、大型プロジェクト必ずしも内需拡大にならないのですよ。建設でいえば下水道をもっとたくさんの地域につくり上げるとか、あるいは住民の要求に沿ったポリモルフ、多様形の住宅をつくるとか、そういうところに努力してこそ本当の内需拡大になるのではないか。もちろんそのベースには、勤労者の賃上げとかあるいは減税とか、これは今問題になっておりますけれども、こういうことがあってしかるべきなんですが、大臣、その辺はどうですか。
  429. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 内需の拡大ということは、日本のような経済機構が多様化したところではこれをやればすべてが終わるということではないと私は思っておるのです。例えば大鳴門橋のように百六十六万人の人が参加するというような一大プロジェクトがあっていい。それから御意見のように、下水道を初めとする住宅建設というものが積極的にあってもいい。そういうものが全部総合的に作動したときに内需の拡大ということができるのであろう、そういうふうに理解をいたしております。
  430. 吉田巌

    ○吉田参考人 明石海峡大橋の経済効果の推計について野村総研に委託しているのは事実でございまして、その結果現在取りまとめを行っております。したがいまして、なるべく早い時期に成果を発表する予定にしております。(浦井分科員「我々にいただけますか」と呼ぶ)公表いたします。
  431. 浦井洋

    浦井分科員 それはそれで検討さしていただきますけれども、大臣、そういうお考えてあれば、建設省本来のお仕事であるハードな面での国民の命と暮らしを守るという点でやはり努力していただかなければいかぬですね。余り大型プロジェクト大型プロジェクトでそっちへ偏らずに、やはり地道な総合的な努力が必要だと思います。これで私質問を終わりますけれども、何か御意見があれば……。
  432. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 東京湾にしても明石海峡大橋にしても一つの一大プロジェクトだと思っております。思っておりますが、これがすべてではないと考えておりますから、地方における中小のプロジェクトをひとつ積極的に拾い上げよう、それを物にしようということで、先般来、実は省内に民活プロジェクト推進会議をつくって、そして積極的にそれらを掘り起こしていこうという努力をいたしておりますわけで、これからだと思っております。
  433. 浦井洋

    浦井分科員 終わります。
  434. 住栄作

    住主査 これにて浦井洋君の質疑は終了いたしました。  次に、網岡雄君。
  435. 網岡雄

    網岡分科員 それでは私は、地域改善対策特別措置法の問題、同時に同和対策の問題につきまして、さらに小牧インターのランプウエー改造に伴う諸問題につきまして、三点にわたって御質問したいと思います。  まず一つは、地域改善対策特別措置法が来年の三月三十一日で期限が切れることになっているわけでございますが、これは同和関係者にとりましては非常に関心の深いところでございまして、一体残事業がどのくらい残るかということは非常に関心の深いところでございます。同時に、その事業がどういうぐあいに対処されていくかという問題が非常に関心の深いところでございますが、質問をしていきます前に、まずこの期限切れになることによりまして残事業が一体どれだけ残るかという点につきまして、特に建設省分それから厚生省分についてこの際明らかにしていただきたいと思います。
  436. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 地域環境の整備改善につきましては、従来から建設省所管事業推進に努めてきたわけでございます。これまでに相当の成果を上げていると考えておりますが、五十七年度以降六十一年度までに、これは予算が通ったという仮定でそれまで含めてということでございますけれども、国費約四千六百億円を執行する見込みでございます。  残事業でございますが、地域改善対策特別措置法制定時に予定した事業のほかに、その後に新規に加わったもの、これを含めまして国費で約三千三百億円と、建設省所管でございますけれども、把握しております。
  437. 矢野朝水

    ○矢野説明員 厚生省としましては主に小規模の環境整備事業実施しているわけですけれども、これも特別措置法に基づきまして法制定当初見積もられた事業というのは計画的に実施してまいりまして、ほぼ金額的に見ますと法期限内に実施できる、こういう見込みでございます。  ただ、地元での協議が調わないということで残されておる事業あるいは新規地区指定等によって新たに発生した事業、こういうのが残念ながらかなりあるわけでございまして、私どもが把握しておる、現時点での把握ですけれども事業としましては、六十一年度、予算案どおり実施できるということでそれ以降の分を含めますと大体八百億程度でございます。
  438. 網岡雄

    網岡分科員 建設省分では三千三百億、厚生省では八百億近くということで、残事業についての数的なものがわかったわけでございますが、一つ問題は、三千三百億それから厚生省分で八百億ということになりますと、これは一年で到底できっこない。端的に言って、その期間が必要になってくるわけですが、建設省では、私ども調査によれば三年から四年、厚生省も同じように大体三年ぐらいかかる、こういう状況のようでございます。  問題は、措置法の期限が切れることによって、時限立法でございますから、期限が切れたことによって法的な財政措置などはゼロ、こういうことに理論的に言えばなりかねないわけでございます。そこで一番問題になる点は、残っている部分が、期間もそのような、さっき言いましたような期間でございますから、一体補助金の問題それから起債の措置などが特別措置法によってやられていた高率補助の運用、起債の運用というものが約束どおり確保してもらえるのかどうか、国の責任においてそれはきちっとやってもらえるかどうかという点について、これは建設省、厚生省ともに個別に明らかにしていただきたい。
  439. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 地域改善対策特別法の延長と申しますか、法延長と申しますか、全体としての取り扱いにつきましては、これは総務庁の所管するところでございます。したがいまして、建設省といたしましては総務庁に対しまして所管の事業実施状況、つまり残事業状況等につきまして十分に説明していくことが必要であるというふうに考えております。
  440. 矢野朝水

    ○矢野説明員 ただいまの御答弁と同じでございます。
  441. 網岡雄

    網岡分科員 今その責任はすべて総務庁ということで、何か全部げたを総務庁に預けたようなことをおっしゃっていますが、指摘をいたしますけれども、措置法によって事業計画を組む際には、これは地方自治体から出てきましたその計画は、建設大臣が一応認可を与えておりますね。したがって、一定の手続をとって建設大臣が認可を与えた事業について、それが仮に残事業として期限を切って残ったにいたしましても、承認をしたという責任は建設省にあるわけでございますから、したがって、それは全部総務庁の問題だということで責任を他に転嫁するというのは、これは全く無責任きわまりない答弁でございまして、その点はどうなんですか。
  442. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 住宅局長が答えましたのは、特別法の延長のことを所管するのが総務庁でございますと申し上げたと私は判断をいたしております。  実を言いますと、前回この法律を延長するかしないかという話がありましたときの私は内閣委員長でありまして、それで、あのときのいきさつからすると、もう今回限りという一札が入ってあれは前へ延ばしておった法律だったものですから、もう今回限りだということで実は大騒動になりまして、そのとき社会党の理事は岩垂寿喜男さんと上田卓三さんでありまして、お二人が大変熱心で、委員長何とかしてくれということで、実は先走りまして内閣委員会の中に小委員会をつくって、そしてここを中心に、ひとつこの法律の延長を図ろうということで与野党相談をいたしまして、各党協議もしていただいて、そしてこういうふうな地域改善対策特別措置法、こういうことに実は衣がえをしたわけであります。  ですから、私は建設大臣になりましたときから、どうしてまだ三千三百億も残っているのだ、そんなばかな話があるかということで、随分と聞いてみました。私どものまずい点もあったかと思いますけれども、やはりなかなか事業についての合意が得られないという面やら、適切な時期に金のない面もあったでしょう、そういうことで仕事が残っておるということであります。これをつくりますときも、一応今回限りよという話があったことは御承知のとおりだろうと思うのです。  ですから、所管はこれは総務庁でありますが、事業が現に残っておるわけでありますから、この取り扱いについてどうするかということは、やはり政治家として十分責任と関心を持って取り組むべきことである、こう思っておるところでございます。
  443. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 言葉が足らなくて大変恐縮いたしました。  今大臣が申し上げたとおりでございますが、少し細かいことを申し上げますと、補助率の問題でございますが、今のままで期限が切れますと、確かに一部につきましては補助率が変わるものがございます。しかし、住宅地区改良事業という形で五十七年より以前からやってきている事業があるわけでございますから、そういう中でもってできる限り早期に完了するように対応したいと思います。
  444. 矢野朝水

    ○矢野説明員 厚生省の残された事業につきましても、これはやはり必要なものは国の責任で実施していかなくてはいけないこう考えておる」わけです。
  445. 網岡雄

    網岡分科員 まず厚生省の場合からいきますけれども、簡単な答弁で終わっていますが、さっき、建設大臣の御答弁、非常に前向きな御答弁をいただいているわけでございます。そういう国の責任を十分踏まえての御答弁の精神を私はある意味で評価をいたしますけれども、そういう点からいきますと、厚生省の環境整備の部門、これは単年度になっているわけですね。六十年は六十年、六十一年は六十一年で終わり、こういうことになるわけでございます。そうすると、これはまさに単年度でございますから、期限が切れた場合にはこれはもう期限切れですよ、こういうことになってしまうわけでございます。  ですが大臣、厚生省のことですから関係ないといえばそうかもしれませんが、同和対審の答申によりますと、「結語」のところに次のようなことが書いてあるわけでございます。それによりますと、「地方公共団体における各種同和対策の水準の統一をはかり、またその積極的推進を確保するためには、国は、地方公共団体に対し同和対策事業実施を義務づけるとともに、それに対する国の財政的助成措置を強化すること。この場合、その補助対象を拡大し、補助率を高率にし、補助額の実質的単価を定めることなどについて、他の一般事業補助に比し、実情を配慮した特段の措置を講ずること。」こうなっております。つまり、統一した水準を確保するために、国は地方公共団体がやりやすいように高率の補助をやっていけ、こういうことに要約されるわけです。そのための特段の配慮をせよ、こうなるわけですね。ここのところが、今言った時限で切れていく場合に、後で聞きますけれども建設省の場合は、一貫した計画ということの承認に基づいて、時限が切れてもそれは継続していくわけです、これは約束、契約があるわけですから。しかし、厚生省の場合は単年で終わってしまうわけであります。そういうことになると、片一方は高率補助から切られる、片一方は継続をする、こういうことで、同じ土壌にある同和対策が、一方は低率な、一方は高率な補助によって運営されるという、極めてこれは不公平な運用がされていくということになるわけでございますが、総務庁が来ておみえになりますけれども、総務庁はこれらの点は、この同和対審の答申の精神を受けたとするならば、時限の切れた段階で一体これはどういう対処をされようとされますか、その点について考え方を明らかにしていただきたい。
  446. 熊代昭彦

    熊代説明員 地対法期限後の問題につきましては、現在、地対協の基本問題検討部会におきまして、同和問題を解決するためには何が一番必要であるかという、そういう精神に立ちまして、もろもろの問題も指摘されておりますので、例えば行政の自主性の回復とか確立とかいう問題も指摘されておりますので、そういう大きな視野の中から、これまでなし得た事業、なし得なかった残された課題というものも含めて検討していただいております。  同対審の答申につきましては、答申が出まして二十年ないし二十一年でございますが、その時の経過を十分考慮しつつ、その精神を酌んでこの地対協の検討の中でやっていただきたいというように考えております。
  447. 網岡雄

  448. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先ほども申し上げましたように、残事業の早期解消ということについては、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  449. 網岡雄

    網岡分科員 それから補助率については
  450. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 補助率につきましては、これは法律に定まっているものでありますけれども、仮に今の体系がなくなったとしても、住宅改良につきましては、一部、例えば不良住宅の除却でありますとか、そういうところの補助率は違いますけれども、その他のほとんどにっきましては従来どおりの補助率でやっていけるということでございます。
  451. 網岡雄

    網岡分科員 不良住宅の改良について、今の特別措置法による補助よりも期限が切れたら落ちるということですね。私は、一つ事業計画建設省が承認をしておきながら、期限が来たからといって変えるということは、これはおかしいと思いますし、同時にまた、先ほど読み上げましたような同和対審の精神からいっても、変わるということはおかしいですよ、そんなことは。これはやはり事業の全体として既に承認されたものですから、その承認されたものの事業としては、法律に基づく補助率で継続してこれがやられていくということが守られなければ、私は、筋が通らないと思うのでございます。  これは大臣、今後の努力も含めまして、先ほどの前向きの答弁があったわけでございますから、その点についてどう今後措置されるか、お尋ねをしたいと思います。  それから厚生省の点につきましては、これはやはり同じことでございまして、総務庁が検討するというふうに答えられておりますが、これはちょっと漠然とした答弁でございますから、私はこの際はっきりしておきたいと思いますが、この厚生省がやっていく事業についての補助率を従来どおりやっていくことについて、さっきの答弁は、今後、地域改善対策協議会ですか、そこで、そういう補助率の継続を含めた内容を一つの議題にして検討していくということでありますか、その点だけ明らかにしていただきたい。
  452. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 この期限が切れた後どうするかということは、私は、これは国会全体でまた与野党でよく御相談をいただくことであろうと思います。前回がそうでしたから、今回もまた時期が来ましたときに、これで打ち切るのか、それともほかに適当な方法を考えるのか、そのときにひとつ前もってまた御相談を国会全体でいただくとありがたい、こう思います。  それから補助率等の問題については、まだ先のことでありまして、今、現在の補助率を守り通しますということを断言するのには不適当な時期であろうかと思いますが、お気持ちはよく理解できるつもりでございます。
  453. 熊代昭彦

    熊代説明員 地対協、地域改善対策協議会は、部会の報告を受けまして、恐らく六月ごろから本格的な御討議をいただくこととなると思いますが、先ほど申し上げましたように、この時点に立ちまして、同和問題の解決のためにどういう施策が一番いいかという観点で、個々具体的に、例えば厚生省のものをどのくらいにしろというような御討議はないと思いますけれども、高率補助がいいのかどうかという問題につきましては十分御討議いただけるのではないかというように考えております。
  454. 網岡雄

    網岡分科員 時間がございませんから、次に移っていきたいと思いますが、次は未指定地区の問題でございます。  建設省の考え方は、長年にわたって法律に基づいてこういう事業をやってきて、再三にわたって関係市町村についても督促をしてきた、そういう段階で今の事業量になっている、したがってこれ以上の事業量はないんだという認識に立っておられるようでございますけれども、私は、その認識は誤りだということを具体的な数字を挙げて指摘したいと思うのでございます。  それは、例えば富山の場合ですが、これは部落解放同盟の資料に基づいて申し上げますならば、富山県は二百三十三地区がございます。ところが、この事業に対する指定はゼロでございます。それから石川県の場合は、四十七地区あると言われているにもかかわりませずこの事業の指定はゼロ、こういう状況でございます。それから愛知県は、三十六地区あるのに対して九つの指定しかございません。それから隣の静岡県は、五十二地区に対して指定は二十一。それから長崎県は、六十二地区に対して指定された個所は三地区。鹿児島はゼロ。それから宮崎県は、大体七十カ所ぐらいの地区があるのに対して半分の指定しかされていない。島根県は、百四十七地区に対して指定をされた個所は九十七。こういう状況でございます。新潟もございますが、もう時間がございませんから省略します。いずれにいたしましても、ひどいのはゼロあるいは四分の一、いいところで二分の一、今言った県はこういう状況にございます。  そうすると、指定をされていないというところの中には二つの内客を持ったものがあると思うのです。それは、法律はありますけれども、特別措置法の言う法律に照らし合わせて検討したけれども、その条件に合わなかったという場合が一つ。それから、同対審の中にも指摘をしておりますように、寝た子を起こすな式で、地域の住民もやってくれと言わない、あるいは地方自治体も非常に不活発であるというような状況があって、未指定のまま今日まで放置されているという状況があると思うのでございます。私は、愛知の状況からいきますと、後者の方が多いと思うのでございます。  そうすると問題は、同対審の中にも指摘をされておりますように、こういう地区というのは、地区であるがゆえに一般の行政からも疎外されているという実態が指摘されているわけでございます。したがって、ある地域については、地名は言いませんけれども、私はこの目で見てきておりますが、現に同対審が指摘したように、一般行政からいろいろな環境整備について疎外をされている事実を私も目で見ております。それは氷山の一角でございまして、こういう状況にある未指定の地域は恐らくかなり環境の劣悪な状態に置かれていることは私は容易に推測できると思うのでございます。そうすると、未指定のところにおける環境改善の事業というのはまだまだ相当残っていることになろうかと思うのでございますが、この点について、建設省でいいですが、どう思われますか。
  455. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 実は六十年の六月に再度調査をやっておりまして、そのときにいろいろなデータを出してきていただいておるわけですけれども、少なくともそのデータから見ますと、今先生いろいろ数字をお示しになりまして、なるほどと今思ったのですが、ただ、我々の今までのデータから言いますと、そのほとんどが、いわゆる実施の必要な事業についてですが、そのほとんどが特別措置法の期限内に着手されるというふうに考えておったわけです。しかしながら、その後において新規に着手が必要となるようなものが出てきた場合には、これはやはり最善を尽くして事業実施しなければいかぬと考えております。
  456. 網岡雄

    網岡分科員 それはぜひやっていただきたいと思いますが、根本的にはかなりの数字が未指定地区には残っていることは事実でございます。  私は、これは総務庁に要求したいことでございますが、未指定の地域はわからぬ、わからぬと言っておりますが、大正の時期の調査昭和十年の時期の調査昭和三十七年の調査の時点などで地域がわかっておるのですよ。その地域がわかっていて、今回の場合は事業指定をやっているところがどこか、その中には幾つあるかということは、これは一年生でも大体わかりますな、そうでしょう。法律が施行されて二十年近くもたっておるのに、やられているところと未指定地域状況が一体どうなっているかということは、説明を聞こうと思っても全然私ども説明がつかないのですよ。  私は国に対して要望いたしますが、未指定の地域と指定されて改善事業を行った地域は一体具体的にどういう状況になっているか。例えば下水整備の点についてはどうなっている、道路整備についてはどうなっている、住宅改良の問題についてはどうなっている。これはチェックポイントはすぐ簡単に、一時間もあれば挙げられるでしょう。それを挙げて関係市町村に調査を依頼したら、すぐわかるじゃないですか。そういうことをやらなければ、これから総務庁がいろいろな検討を続けられていくことになると思うのでございますけれども、議論の空転にすぎぬですよ。具体的な内容を持たずに討議してみたって、これは明らかに逃げを打っておるとしか思えないわけでございます。そういう点についてやる意思があるかどうか。  二つ目は、解放同盟を初めとする関係の団体から具体的な地名を挙げ、具体的な事実を挙げて指摘をされた場合は、風は関係市町村、自治体に対して調査を指示するということが約束できますか。  三つ目、予算委員会審議の過程において、地域改善対策協議会の中に基本問題検討部会というのがあるそうでございますが、基本問題検討部会に解放同盟を初めとする関係団体を招致して意見を聞くということについて約束をされたそうでございますが、そういう際に具体的な指摘があった場合、それ以外にも具体的な指摘があった場合には、さっき言いましたように、関係市町村、関係自治体に国はその実態の調査を指示するということを約束していただけますかどうか、お答えいただきたい。
  457. 熊代昭彦

    熊代説明員 いわゆる地区指定といたしましては、地対法の一条に規定してございます地域を事実上確認する手続でございまして、昭和五十年に全国同和地区調査をいたしましたけれども、それ以降は都道府県からの個々の申請を待って、個々具体的に審査する。地対法の事業を行うべき地区でございますので、事業がなければ無意味だ、事業を行うに際しての個々具体的な審査で、その要件を具備していればいわゆる地区指定を行うということをやってきたわけでございます。今後ともその方針でまいりたい、そのように考えております。
  458. 網岡雄

    網岡分科員 もう時間がありませんから次に移りますけれども、今のは答弁になっていないですよ。その答弁は全然空回りですよ。僕は事業だけのことを言っておるわけじゃないんだ。さっき言った三つの問題を具体的にきちっと提起している。それに対して、やらないならやらないで答えてもらえばいいのですよ。後で答えてください。  それから最後に、一つは小牧インターのランプウエー整備の問題についてお尋ねをいたします。  小牧空港に向かう四十一号線バイパスの交通量が非常に頻繁になっていて、その渋滞を緩和するということで、小牧インターに入り込むところを立体交差するという計画が出まして、これは道路公団からも出まして、県、小牧市、道路公団そして建設省というところで今後御相談をいただくことになろうかと思うのでございますが、もう時間がございませんので簡単に申し上げますが、これをやりますと、地元の小牧市からの要望といたしましては、地主からの具体的な要望地域要望によりましてまず側道をつくってもらいたい、側道をつくったらさらに四十一号線を地下でくくって向こうに行くようにしてもらいたい、これはコミュニケーションの立場からいっても必要だということで要望されています。なお、河川の整備とかいろいろな問題があるようでございまして、それらが整備されることを条件にするということになっているようでございます。  したがって、道路公団はもちろんでございますが、建設省そして国の側が中心になっている県とそれから小牧市と打ち合わせをしながら、出てくる問題については前向きに協力する、こういう態度でこの問題の処理に当たられるかどうかお尋ねを申し上げて国側の意見をお聞きしたいと思います。
  459. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘の東名小牧インターチェンジヘの流入のランプにつきまして、側道の問題あるいはその他いろいろな問題があるということは承知をいたしております。そしてこの問題につきましては愛知県、小牧市等と協議をいたしまして、その協議がまとまったものについては積極的に対応するという形で進めてまいりたいと思いますので、またよろしく御指導いただきたいと存じます。
  460. 網岡雄

    網岡分科員 終わります。
  461. 住栄作

    住主査 これにて網岡雄君の質疑は終了いたしました。  次に、松前仰君。     〔主査退席、森田(一)主査代理着席〕
  462. 松前仰

    ○松前分科員 地元の問題で大変恐縮でございますけれども、地元の問題といっても日本全国にいろいろと参考になる部分があるのではないかと私は思いますので、詳しくこの辺のことにつきましてちょっとお話をしながらお答えをいただきたい、そのように思います。  その内容は何かというと、最近ローカルエネルギーの確保政策ということでもって水力発電というのがまた見直されてきた。水力発電が見直されてくると当然河川の使用というものがあるわけでございますけれども、河川の使用ということになりますと、ダムというものを建設していくということになりまして、今まで自然に流れておった川に今度はダムをつくるということになると、その以前の自然がかなり変えられてくる。それによってはいろいろ問題が起こってきているというのが私の地元にあります大井川水系の話なのでございます。これについては地元の静岡県の各市町村の皆さん建設省の方に陳情を盛んにやっているということでございますけれども、この辺について私はもっと強く大井川水系については建設省に考えていただきたい、そのように思っているわけでございます。  まず最初に、陳情が来ておるわけでありますけれども、この大井川水系のいろいろな水害その他道路の崩壊とかそういう問題についての陳情についてどの程度今回の予算でお考えいただいたか、その辺をちょっとお聞かせいただきたい。詳しい細かい話は結構でございますから、概念的で結構でありますが、お答えいただきたいと思います。
  463. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 先生お話をもう少し具体的に大井川のどの辺という御指示をいただければお話をさせていただきたいと思います。
  464. 松前仰

    ○松前分科員 それでは御説明を申し上げたいと思います。  大井川水系には合計十八個だと思いましたが、細かいのを含めて十八個のダムがたしかつくられているはずでございます。数はちょっと間違っているかもしれないけれども、私勘定するとそういうことになるのですが、その私の見た本流には六個の大きなダムがつくられておる、こういう状態でございます。一番上は畑薙の第一ダムから一番下は支流でありますけれども笹間川というところにダムが築かれておる。延長百七十キロメートルの長さに十八個のダム、そして本流で六個というようなことでありますから、非常に短い区間にたくさんのダムがつくられておるというのが大井川水系の特徴ではないか。急流でありますから、傾斜が急でありますから非常にたくさん狭い距離につくれるということだろうと思うのであります。距離にしては一キロから大体二十キロぐらいの間隔でもってダムが置かれているということでございます。  そこで、これらのダムがどういう形のダムかというと、いろいろ新しいのもございますけれども、いろいろ問題になるところを申し上げますと、多くは水路を引いているのです。ダムをつくっておいてずっと引いて落差を確保して、そしてばっと流して水力発電をするという形のものがある。水路がかなり長いというのが多いわけです。  水路の主なものとしては、畑薙第二ダムという、静岡の大井川の、静岡市になるのですけれども、ずっと奥地の井川よりずっと奥の方なんですけれども、畑薙第二ダムから畑薙第二発電所というところまで水路がつくられておる。そうしてもう一つは、奥泉ダム、これは真ん中ぐらいですか、真ん中よりちょっと上ですね、千頭の付近でありますけれども、もうちょっと上が、そういうところから奥泉発電所というところまで水路が引かれておる。そうしてまた大井川ダムというところから大井川発電所にずっとまた水路がつくられておる。一番下に行きますと、下というのは南なわけですけれども、地図の下側、塩郷ダムから川口発電所まで長い水路がつくられておる、こういう形になっておるわけでございます。  この水路をつくるために、結局ダムから水がバイパスされまして発電所までずっと流れていくと、川の方に水が流れていかないということなんです。川にずっと水が流れない。バイパスの方の水路にずっと流れる。これは発電効率を上げるためには当然そうするのは当たり前であります。ですから川の方に流れていかない。そうしますと、その川の川底が上がっちゃうという現象が起こっておるのです。これはかなり上がっているのです。昔の面影がないぐらいに上がっておる。そうして水が流れておらない。こういう状況が出てきた。そうして今度は逆にそのダムの反対側、下側になりますと、これは川底が下がっておる、こういう現象が出てきているということなんです。  川底が上がる理由というのはいろいろ検討しなければいけないとは思いますけれども、ふだん流れていない川、そして突然の豪雨があったりすると、ダムから放流するということになると、周りの土砂が崩れてきて川底にたまる。そうすると、下にダムがありますからたまってしまう。そうしますと、当然川底は上がってくる。そうすると大雨が降りますと、あっちの方は結構降るのでありまして、台風など来れば一遍なんでありますけれども、すぐあふれてきちゃうということが起こっているわけです。これがもうかなり前から起こっておりまして、昭和のいつですか、五十四年ごろから起こっているのは千頭あたり、千頭というのは大井川鉄道の一番先、井川線に行く前の駅でありますけれども、そこの構内が水浸しになってしまうというような状況があるし、それからずっと下の方に行きますと、中川根町ですね、中川根町というところは町の中心部に相当いたしますところに上長尾という地区があるのでありますけれども、町役場もあるのでありますが、そこのところは昭和五十八年には床上浸水までしておる。国道三百六十二号線というのが通っておりますけれども、それは完全に冠水して全然通れないという状況になってしまっておる。  その他たくさんございますが、もっと申し上げますと、その上長尾地区ではもうどうしようもなくて、町立第一小学校のグランドというのは毎年水責めである、いまだに水責めだそうでございます。それから、そこの上長尾幼稚園というのは移設をせざるを得ないという状況になっておる。そういう状況がこの中川根地区にあるということなんでございます、  もっと申し上げますと、さらに塩郷ダムの下側になりますが、久野脇という地区があるのであります。一番下の塩郷ダム、そこの久野脇という地区、これが毎年必ず二、三回は台風のために侵されるという状況になっておる。去年はまだ、余り雨が降らなかったからよかったのでありますけれども、これから恐らく、雨がぱっと降りますとこれは大変な状況になろうと思うわけであります。  そしてさらに、一番下の塩郷ダムの先になりますと、川底が下がるために川の水が地下にいかないのですね。全然いかない――全然ではありませんけれども、多少はいきますけれども、いかないものですから、今度は渇水なんですね。あっちの方は井戸水を使っているわけです、大井川水系の下の方は。家山地区というのがずっと下の方にあるのですけれども、島田よりちょっと上なんですけれども、そこのところは井戸水を使っていますが、渇水になってしまう。上の方は水があふれて困る。そして、一番下のダムがあってそれより南の方は渇水になる、こういう現象がこの大井川水系のダムによってつくられているらしい。完全にそうだとは言い切れませんが、地元の人の話を聞くとそういうことだということで、何とかしてくれないか、もう毎年困るよ、いろいろ整備といいますか工事はしておるようだけれども、川底をさらうようなこともやっておるようだけれども全然効果がないじゃないか、何とかできないかというのが地元の人の切なる声なんです。そういうのを反映して陳情という形で来るのですけれども、かなり陳情そのものが弱いのじゃないだろうか、私はそういう気がしてしようがない。  最近は、もうこれじゃどうしようもないというのですね。町の人たち、川根三町と言っていますけれども、本川根、中川根、川根と、この川根三町の人たちが一生懸命、何とかしようじゃないかということで立ち上がったということを聞いております。それで全体について何か対策をしようじやないか、それを強い声として反映しようじゃないかというようなことでやっとそういう形になってきたということなんでありますけれども、これも今まで建設省はほうっておいたということで大変に怒っている人もおるし、私自身は大変残念だと思っておるのですけれども、こういうところの状況についてお伺いをしたい。長々としゃべりましたけれども、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
  465. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 大変丁寧懇切に御説明を賜りまして恐縮をいたしております。  まず最初に、大井川の治水について予算上とのように反映しているかという御質問についてお答えをさせていただきたいと思います。  先生お話を聞いておりますと、大井川の比較的上流部の治水対策についてという御質問に承りました。大井川は、御承知のように、中流部から上は静岡県の知事が工事を実施しておりまして、下流部は建設省ということになっております。  それで、先生お尋ねの上流になりますけれども、本川根町、中川根町、川根町の治水対策ということに限定してお答えをさせていただきますと、局部改良事業というのを四カ所施行しております。六十年度の予算で申し上げますと四千六百万、それから二番目に、河床に異常に土砂が堆積しておりまして流れが悪くなっている箇所がございますが、そういう場所を河床整正を実施しておりますが、六十年度の予算で申し上げますと三千万でございます。そのほか河道の掘削を、砂利採取を指導することによって一石二鳥の効果を図っている場所がございますけれども、そういう意味での河道掘削の砂利採取は、昭和六十年度で約十五万立米というふうに推定をされております。
  466. 松前仰

    ○松前分科員 上流部は県の方で中心になってやっている、そういうお話でございましたね。  確かにそういうことであるわけでありますけれども、最近、この辺のそのことにつきまして地元から陳情が行っているはずなんでございます。今は県でありますけれども、神座地区という島田市のちょっと上から北側のところになるのですが、この部分は今言いましたような問題が非常に多く発生しておる。そして災害もしょっちゅう起こる、大災害になる可能性が十分あるから、国の直轄管理区域としてほしいということを陳情で申し上げているはずなんでございますけれども、この辺の可能性というのはございますでしょうか。
  467. 廣瀬利雄

    ○廣瀬(利)政府委員 直轄区域の延長というお話でございますが、現在、大井川を含めまして全国各地からそのような御要望が私どもの方の手元に参っております。  先生御承知のように、治水事業予算の環境、極めて厳しい状況でございますので、私どもは直轄に編入して事業をした方がいいのか、あるいは県知事管理のまま県知事の熱意により、発意により事業実施した方がいいのかというようなことをいろいろ勘案しておりまして、その場所場所に最も適切な区域を定めまして治水事業推進するということを念頭に置いておりまして、この大井川につきましても同様な趣旨で検討を加えているところでございます。
  468. 松前仰

    ○松前分科員 これは一級河川の大きな川でありますから、やはり国の方でもかなりの面倒を見ていただかないとどうしようもない事態に現時点でなってきているということなんでございますので、ぜひ国の管轄の方に回していただけますよう今後検討を加えていただいて、その方向で検討していただきたい、そのように思います。  それで、これは電力会社が絡んでおるわけでありますけれども、ダムというものをつくるために自然環境が変わったと見られる節があるわけでありますが、今の川根三町の大井川水系の問題について、通産省の方来ていらっしゃいますか。通産省の方はどういう御見解を持っておられますでしょうか。
  469. 吉沢均

    ○吉沢説明員 お答えを申し上げます。  水力発電所の建設及び運転に当たりましては、その河川環境の保全、それから水害の発生防止などに十分な対策を講じるよう電気事業者を指導しているところでございます。  先生指摘の大井川につきましても、中部電力の水力発電所が多数設置されておるわけでございますけれども、その運転及び管理に当たりましては、建設省御当局、それから地元静岡県などと十分協議しまして、河川環境の保全、それから水害の発生防止に万全を期するよう指導しているところでございます。今後ともこれら関係機関と連携をとりつつ、必要に応じて土地の買収とかあるいは家屋の移転とかあるいは道路のかさ上げなどいろいろ対策ございますが、所要の対策を講じていくよう電気事業者を指導してまいりたい、そのように考えております。
  470. 松前仰

    ○松前分科員 電気事業者を指導していかれるということは結構でございますけれども、いずれにいたしましても、こういうダムをつくることによって、つくったときは非常にいいのです、ローカルエネルギーとしてこれは大変有用でありますけれども、それが長年たちますと、特に急流のこういう川になりますと、砂利やら土砂やらがどんどん崩れ落ちてくる、それがダムの上流の方に堆積をする、そしてまたダムの下流になると、いつもは水が流れておらぬけれども、今度は満水になると放流するということになると、水しか流れてこないから、土砂は絶対たまらないから川底は下がる、こういう問題が起こってきているわけですね。ですから、こういうダムの建設について、これからやる場合にはいろいろと技術的な検討もしてもらわなければ困ると思うのです。  この大井川水系のダムは御承知のように古いものが随分あります。古いところが問題になっていると思ってさっき検討してみたけれども、塩郷ダムは新しいのですな。そういうことで新しいものもやはり多少問題が起こる。多少ではありません、かなりの問題が起こる、こういうことなんです。最近のダムというのはこういう川底が上がるとか下がるとかいう問題を起こさないような設計、そんなことをやっているやにちょっと聞いたのですが、そういうことはあるのですか。
  471. 吉沢均

    ○吉沢説明員 水力発電所を設置した場合に、河川の流域に対しましては、先生おっしゃるようにいろいろ影響が出るわけでございますけれども、私どもといたしましてはそういう水力発電所の設置に伴います各種の影響を緩和するために地元の市町村が実施される対策につきましては、国が助成をする制度を持っておりまして、これは昭和五十六年度から始めておる制度でございまして、水力発電施設周辺地域交付金制度というのがございます。具体的に……(松前分科員「全然違うんだ」と呼ぶ)失礼しました
  472. 松前仰

    ○松前分科員 恐らくお答えできないのじゃないかと思うんだ。私はほかの資源エネルギー庁の方から聞いたんですよ。ダムにもいろいろ方法がありまして、そういう土砂が堆積するとかダムの下側の土砂が削られていく、そういうような形のダムじゃないやり方もあるのだと聞いた。それならばそういうダムに改修できないだろうか、そう私は思うわけです。まあ、その辺はちょっとお答えできないようだから、きょうは時間が短いからやめさせてもらいますけれども、後で教えてください。  資源エネルギー庁の方からちょっと聞いたから、その辺いい案があるなら、今まで古いダムがあってこれを改修すればいいじゃないか。今地元は何と言っているかというと、上の方のダム、寸又峡のあたりにあるダムと下の塩郷ダム、二つを取っ払ってしまえば、もとどおり大井川はきれに流れていって川底もきれいになっていくということを言っているのですよ。取っ払ってしまえという話まで出ているのです、中部電力けしからぬといって。あそこのダム二つがおれたちに被害を与えている、そういうことを言っておりますので、そういうことはなかなかできないから、何かうまい方法はないだろうか、何かやはり解決してもらわないといかぬ。川底が上がってしまって、土砂というか砂利ですけれども、運び出すといったって、あそこのやつは土が入っているのです。建設業者は嫌うのです。あそこから土砂を運び出すとしますと道路を通らなければいけないけれども、あそこの道路が――道路の話にちょっと行きますけれども、また大変な道路なんですね。   三百六十二号線、これは国道です。国道なのに、つい去年は中川根の先のところには全然行かれない、千頭には行かれない、どこからも行かれないという状況ができちゃった。土砂崩壊が起こっちゃったんですね。道路が崩壊してしまった。そしてそのバイパスの県道もやられてしまった。こういう状況でもう孤立してしまった。これが国道の実情なんです。大井川水系の国道、これは行ってみればわかるのですけれども、トラック一台通ってほかの車は絶対すれ違えない。だから、ここの曲りくねったところをバックしていかなければいかぬのです。こういう国道がいまだにあるのです。この国道について、やはり大いにきちっと建設省の方で整備をしていただきたいと思っておるのですけれども、この国道問題について御意見をお伺いしたいと思います。
  473. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘国道三百六十二号、これは豊川を起点といたしまして静岡に至る国道でございますが、静岡県内の整備状況は改良率、この改良率といいますのは幅員が五・五メーター以上ある、先生のおっしゃいましたトラックがすれ違えるようなそういうところ、そこが現在は四八・三%ということで、もう五割以下でございます。一応舗装は簡易舗装を含めまして一〇〇%いたしておりますので路面は一応黒くはなっておりますけれども、半分以上は大型車がすれ違えないような道路である。もう本当に先生のおっしゃるとおりでございます。  本路線は、山間部の区間が非常に多うございまして、また非常に崩壊性の、崩落しやすい地質なものでございますから、一キロ当たりの単価といいますか、改築費が非常に高くなってしまうような難しい路線でございます。現在危険箇所あるいは隘路区間について順次整備を進めておりますけれども、千頭―中川根間につきましては、本川根町あるいは中川根町で改良事業、それから本川根町で災害防除事業実施いたしております。いろいろ県内事情がございまして、まだなかなか本格的なところまで参りませんけれども、今後ともこの整備につきまして努力してまいりたい、こう考えておる路線でございます。
  474. 松前仰

    ○松前分科員 今お話しがあったとおり、ここのところは整備が大変におくれておりまして、非常に難しい点もあろうかと思いますけれども、あそこにたくさんの人が住んでおりますのでね。千頭だとか中川根にはたくさんの人が住んでおるのですよ。そういう方々がやはり何とかそういう孤立の状態というようなことにならないように、建設省でも大いなる面倒を見ていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それで道路なんですけれども、そういう道路が完成しますと、これは土砂を運び出すということも可能になる。私がもう一つ要望しておきたいのは、前に井川ダムが完成したときに、その中川根、千頭ですか、そこから静岡へ抜けるトンネルをつくった方がいいじゃないかという話があったんですね。これはその後立ち消えになったんだけれども、そのトンネルというものもやはり国道三百六十二号線、この関係において検討をしていただきたい。道路関係の方ぜひ検討していただきたい。現地の方へ――地図を見ればすぐわかります。あの山を越えて静岡へ行かなければいかぬ。静岡からとにかく山を越えなければあそこへ行かれないという状況、南は島田から車で行かなければいけない、こういう状況です。本当に電源開発、ダムをつくってその地域が豊かになると思ったら、そういう過疎のままで置かれているという現状でございますから、ここのところは何とかしていただきたいと思うわけでございます。  時間がないもので、まだいろいろと申し上げたかったのですけれども、この辺で終わりにしたいと思いますけれども、今のような話でございますので、川にダムをつくるという問題については、典型的な例だと私は思うので、もうちょっと詳しくお話ししたかったけれども、もし御要望があればお話しさせていただきますが、そういう点も日本全体の話にもつながることであるし、またこの川根三町の過疎化の問題ということについても、ほかの過疎地との関係といいますか、代表的なものだろうと私は思うのです。ぜひとも建設大臣にはこの辺のことを頭に置きながら行政に携わっていただきたいと思うので、最後にちょっと一言御所見をお願いしたいと思います。
  475. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私も過疎地域発展途上国に住んでおりまして、山岳民族だと自分では思っておりますが、こういうところはもう道路が一番でありまして、私はずっと過疎対策特別委員長をやってきておったものですから、この道路の問題は切実にそういう必要性を感じます。十分取り組んでいきたいと思います。
  476. 松前仰

    ○松前分科員 ぜひとも建設大臣のその考え方を生かせるように頑張っていただきたいと思います。  どうも大変お疲れさまでした。
  477. 森田一

    森田(一)主査代理 これにて松前仰君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤和良君。
  478. 遠藤和良

    遠藤分科員 きょうは江藤建設大臣並びに皆様には大変遅くまでまことに御苦労さまでございます。  私は、江藤建設大臣は歴代の建設大臣の中でも一番幸せな建設大臣ではないかと思うわけでございます。と申しますのは、いわゆる今世紀最後のビッグプロジェクトと思いますが、東京湾横断道路並びに明石海峡大橋の着工が決まりまして、建設大臣の手で起工式が行われるということを考えまして、私は、大臣のお力もさることながら、その御人徳のあらわれではないかと、かように思うわけでございます。  きょうは原健三郎先生の額の前でお話をさしていただくのも大変私は光栄なのでございますが、明石海峡大橋の着工に対して長い間本当に御尽力をしてこられまして、今も大変な情熱を燃やしていらっしゃいますけれども、私は、原先生に感謝しつつ質問をさせていただきたいと思います。  私は徳島県でございますけれども。四国と本州をつなぐというのは本当に長い間の民の悲願でございました。それがこうして正式に決定をしていただきまして、心から感謝を申し上げるわけでございます。私は、東京湾横断道路並びに明石海峡大橋ができるだけ早く着工をいたしまして実現の方向に進むように祈りながら質問をさしていただきたいわけでございます。  今徳島県民が一番期待を持っておりますのは、ではいつ具体内に明石海峡大橋の起工式が行われるのかということでございますが、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  479. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 遠藤先生お話しのように、三十年も四十年も前にあの海峡を望みながら、あるいは鳴門の渦を眺めながらここに橋をかけようと思った人がおると、私は現場に行ってみましてやはり大変感動をしました。やはり先人は偉いものだなということを感動しましたし、その間長い間努力をしてこられた方々に深い敬意を表したわけでありますが、先生おっしゃるように世紀の大工事、しかもあれはスパンの長さが千七百八十メートル、世界最大のつり橋でありますから、これを追い抜くことはちょっとここしばらくはできないでしょう、恐らく。そういう壮大なロマンを実現するときの建設大臣に就任したということはまことに身の光栄だと考えております。  したがいまして、六十一年度の予算が成立いたしましたならばなるべく早くこの起工式を行いたい。時期としましては、三月いっぱいに予算が通りますか四月の初めになりますか存じませんが、四月中には起工式をやりたいものだなと、こう思っておるところでございます。
  480. 遠藤和良

    遠藤分科員  大変うれしいお話でございます、四月中にというお話でございまして、ありがたくお聞きいたしました。新聞の報道では四月二十六日という日まで出ておりまして、建設省は四月二十六日に方針を固めて、既に公団は祝賀の準備に入った、こういうふうな報道がされておるわけでございますが、今の大臣の御答弁を考えまして大体その辺のめどではないかなという印象を受けたわけでございますが、いかがでございますか。
  481. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 やはり私どもは議会の人間でありますから、予算案を国会健提出しておる間に、予算も通らないうちに、そういう起工式の日程などというものは大変おこがましいということにしておりましてその二十六日というのも一つの候補であることは間違いありません。しかし、まだその日に決めたということではないのであります用いろいろな案がございまして、しかし、予算が通るまではその起工式の同にちのことについては省内では言うまい、それが国会に対する礼儀である、予算が通った暁にひとつ日程については至急に、放ちに御相談をお願いをする、こういうことでおりますわけであります。
  482. 遠藤和良

    遠藤分科員 まことにもっておっしゃるとおりでございまして、私も議会人の一人としてそのように思います。今お話のございましたように四月中にというお話、確と承りましてありがとうございます。  さて、起工式を行うということになりますと、必要な条件の整備がございますけれども、例えば精査ボーリングによる最終的な地質調査であるとか、あるいはそれに基づきます実施設計であるとか、漁業補償の問題であるとか、あるいは航路補償の問題であるとか、あるいは民活導入の資金計画の確定であるとか、あるいは垂水側の取り合い道路をどのように高速道路に結びつけていくかというルートの決定の問題等、さまざまなことが考えられるわけでございますけれども、今のところは大体どの程度が整えばできる、このようにお考えでございましょうか。
  483. 萩原浩

    ○萩原政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、起工式が行われます。その後に、まず最初にアセスメントの問題がございます。これはいろいろ公団で従来から環境に及ぼす影響については調査をいたしておりますけれども、これは正式の環境アセスメントの手続によりましてアセスメントをやる必要があろうと存じます。まずそれをやりまして、それと並行的な形で、例えば漁業補償のいろいろな問題点の協議であるとかいうようなこともある程度並行してやらしていただこうとは思いますが、正式な協議はアセスメントが通って事業が決定してからということになろうと思います。そのような手続を経まして、例えば埋め立ての申請であるとか、その他いろいろの準備を遂行していかなければならないと思います。  私どもは、この事業は非常に大規模な事業でございますから、大体十三年ぐらい工期がかかる、そのうちの二年ぐらいは漁業補償その他の調整にかかるのではないだろうかという予定を立てておりますけれども、各方面からできるだけ早くやってくれ、やるべきではないか、こういう御指摘もございますので、今公団の中においてどのような形で工期の短縮を図るかということについても鋭意検討しているところでございます。
  484. 遠藤和良

    遠藤分科員 先に答えていただきまして恐縮でございます。工期の短縮の計画でございますけれども、確かに十三年というお話はございまして、これは大体三十年ほど前から十三年ぐらいかかるであろうと言われておったわけですね。しかし、それからやはり本四公団さんはいろいろな事業をされまして、たくさん技術の蓄積もございますし、しかもこういう日進月歩の時代でございますから、もう少し早くできるのではないかと見るわけでございます。  何か新聞の報道によりますと、本四公団さんは既にいろいろ検討をしておりまして、中央径間を当初の設計よりもう少し広げまして、支柱の深さを浅くてもいいようにすれば、工期は相当短縮できるのではないかという計画案をお持ちのようでございますけれども、こういう方向で進んでおるわけでございますか。
  485. 吉田巌

    ○吉田参考人 今先生から御質問の工期でございますが、実は明石海峡大橋の工期を短くして早く供用してほしいという御希望は非常に強うございます。私ども実は早期に完成するルートとして岡山―香川の児島―坂出ルートを現在工事中でございますが、その経験というものを生がし、あるいは明石海峡大橋を道路単独橋として事業化をするという御方向を出していただきましたので、この道路単独橋としての橋梁計画の見直しというようなこと、それから今先生がたまたまお話しになりました、場合によっては橋梁の計画、要するに橋脚の間の距離を少し広げてみるというようなことも含めて現在勉強中でございまして、ぜひとも皆さん方の御期待に沿いたい、こう思って作業中でございます。
  486. 遠藤和良

    遠藤分科員 この本体工事は、ことし起工式をやったといたしまして、準備の期間がございますから、大体何年ころに着手される予定でございましょうか。
  487. 吉田巌

    ○吉田参考人 先ほど道路局長から御説明申し上げましたように、これは公団だけで決められない、あえて言いますと相手あってといいますか、地元の方々の御理解であるとか漁業関係者の御理解、または、当然船舶の交通の非常に激しいところで工事をすることになりますので海事関係の方々の御理解、いろいろな関係の方々の事業についての御理解を得た上での工事になりますので、精力を挙げてなるべく早く具体の海中工事に入れるように取り組むつもりでございますが、今どの程度という時間は、実は公団としてはなかなか申し上げにくいという段階にございます。
  488. 遠藤和良

    遠藤分科員 これは工期の短縮とも関係するわけでございますけれども、地元では大体こう考えております。大体準備の期間を二年ぐらいで六十三年度ぐらいに着工していただくと、十三年足しますと二〇〇一年でございますね。そうすると今世紀中というわけにはちょっといかないのでございまして、二〇〇一年ではなくて、できればもう少し早目に今世紀中に完成という方向で御検討願えるものかどうか、こういう見通しはいかがでございましょうか。
  489. 吉田巌

    ○吉田参考人 今先生がおっしゃったとおりでございまして、私どもは当初の計画では準備期間プラス十三年というふうに見込んでおりましたが、ただいま申し上げましたように、関係の方々の御要望も非常にございますので、巷間伝えられております二年という準備期間をより短くしたい、それから十三年の工期自身も、これも皆さんの御希望としては十年なんという言葉も聞きますけれども、ぜひ御要望に沿う方向で今一生懸命作業をしております。
  490. 遠藤和良

    遠藤分科員 大体そういう方向になりますと、足して十一年ということになりまして今世紀中には間違いなく完成をする。そういう方向と承知してよろしいでしょうか。
  491. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 この前私行きましたときに、私は素人だものですから、そんなまどろっこしいことを言ったってしようがないじゃないか、とにかくもっと広がらぬのか、千七百八十じゃなくて精いっぱいもっと広げて、そして先生おっしゃるように、それで工期が早まるのは大変結構なことだからひとつ十年でやってしまえ、それでひとつ総裁、検討してみたらどうだということで、実は素人意見ではありますけれども、この前そういう私の希望を申し上げて帰ってきておるところでございましてそれを含めていろいろ熱心に内部検討をしておるようでございます。
  492. 遠藤和良

    遠藤分科員 先般の衆議院本会議場におきましては、東京湾横断道路にかける建設大臣のすさまじいまでの情熱、決意というものをお聞きいたしました。本日はまたこうして明石海峡大橋にかける江藤建設大臣の十年でやってしまえ、こういう決意をお聞きしまして、大変うれしく、力強く感じるものでございます。  さて、この資金の計画のことをお聞きしたいと思います。  御承知のように、明石海峡大橋は現在の設計では全長が三千五百六十メートル、中央径間は千七百八千メートル、つり橋としては世界一の規模でございます。主塔の高さは大鳴門橋の百四十四メートルをはるかにしのぎまして二首八十五メートル、橋の本体工事だけで工費は三千七百四十億円、取り合い道路を含めると五千十億円、淡路島内などの関連道路を合わせると約六千億円、これは五十七年度の価格でございますが、これに金利を加えまして、いわゆる一兆円プロジェクト主戸われるわけでございますが、この一兆円の資金計画というのは一体どのようになっているのでございますか。
  493. 萩原浩

    ○萩原政府委員 本四公団におきましては、従来からその資金の構成といたしましては、国と地方の出資を仰いでおります。国と地方の出資の比率は二対一という形で出資を仰いでおります。そのほかに財政投融資それから縁故債それから民間借入金、こういう四つの建前、出資金と財投と縁故債と民借という四つの筋立てで資金を調達しておりました。  今回の明石海峡大橋の資金の構成に当たりましては、このうち国と地方の出資の割合二対一はそのままでございますけれども、財投と縁故債の比率従来二対一でございましたものを一対一といたしまして、縁故債を拡充をいたしております。それから二番目といたしまして、その縁故債の一部に低利の縁故債を導入するという柱を立ててお力ます。その結果といたしまして、三番目に、国費とそれから当然地方費もその分だけ減りますが、約二割程度の軽減を図るというふうなことを考えております。したがいまして、金額では、国の出資が約六百三十億、地方の出資が約三百十億、財投が四千五百三十億、それから縁故債が三千四百億、そのほかに低利の縁故債が千百三十億という資金構成でございます。これによりまして、資金白スト六・一四九%を確保しようという資金計画になっております。
  494. 遠藤和良

    遠藤分科員 ただいま御説明のありました件は、私どもも十分承知をして射るところでございます。地元として関心は、全体の計画もさることながら。出資金並びに縁故債の引き受けの比率でございますけれども、聞くところによりますと、兵庫県は三六・五%、神戸市が二二・二%、徳島県は二〇%、大阪府が八%、大阪市が八%、高知県五・三%、こういう比率のようでございまして、今御説明のありました地方出資金総額三百億円にいたしますと、徳島県の引受出資金は六十億円、それから縁故債総額四千五百億円をこの比率で計算をいたしますと、通常の縁故債引受分が徳島県の場合は六百七十五億円、低利のものが二百二十五億円、縁故債全体では合計九百億円というふうな形になるわけでございますが、大体こういう線で今自治体並びに経済団体とのお話し合いが進んでいるのでございますか。
  495. 吉田巌

    ○吉田参考人 今先生の御指摘の点につきましては、関係地方公共団体等ともお話し合いをしながら、現在調整中でございます。
  496. 遠藤和良

    遠藤分科員 本四公団さんとしては大体そういう意向をお持ちであるというふうに承知してよろしいですか。
  497. 吉田巌

    ○吉田参考人 大鳴門橋の場合には今の比率を採用させていただきまして、円満裏に縁故債を調達しております。あるいは地方出資を調達させていただいております。  明石海峡大橋の場合は、資金量が非常に大きゅうございますけれども、同じルートの話でございますので、原則的には今先生がおっしゃった方向でこれからお話し合いを進めてまいりたい、こう思っております。
  498. 遠藤和良

    遠藤分科員 問題は、低利の縁故債の消化の仕方でございます。基本的にはいわゆる金融市場で消化する考え方だと思うのですが、その場合の金利というのはいわゆる固定金利なのでしょうか、変動金利なのでしょうか、あるいは市場で消化するわけでございますから、最小額面は大体五十万円程度のものをお考えなんでしはうか、その辺のお考えについてはどうでしょう。
  499. 吉田巌

    ○吉田参考人 金利の話でございますが、市中金利そのものは、御承知のように変動しておりまして、当然縁故債の金利につきましても、ありていに申し上げますと月々変動するわけでございます。したがいまして、そういう中で私ども金融機関を通じて調達させていただいております。
  500. 遠藤和良

    遠藤分科員 私の心配することは、いわゆる低金利時代が続けば消化は楽でございます。今は低金利ですね。しかし、いわゆる工事のピーク時に縁故債の消化もやはりピークになるわけでございまして、それが十年後になるのか八年後になるのか見通しがはっきりしないわけですね。その辺で、今の低い金利の縁故債が十分に消化できる見通しなのかどうかということが心配なわけでございます。
  501. 吉田巌

    ○吉田参考人 先生指摘のように、現在市中金利は非常に下がっております。これからの動向につきましては、私はそちらの方の専門家でございませんのでよくわかりませんけれども、逆に過去の事例で申し上げますと、実は金利が非常に高いときもございました。その中で、実は児島―坂出ルートの縁故債の調達をしてまいっております。そういうわけで、岡山、香川という非常に限られた地域で、実は児島―坂出ルートの資金調達は先生御承知のように一兆円を超すわけでございまして、その何分かを地元金融機関で御負担いただいたわけでございますから、私どもとしては明石海峡大橋を含めたこれからにつきましても、資金調達については関係府県の御指導を得ながら、我々も一緒になってお話し合いの中で解決をしてまいりたい、こう思っております。
  502. 遠藤和良

    遠藤分科員 いわゆる低利の縁故債というのは初めて試みるわけでございますね。それに対して、経験的に物を言うのはちょっとまずいと私は思うのです。経済の見通しがどうなるのか、だれもわからないわけでございまして、これは私の提案でございますのでお聞きおきいただきたいと思います。低利の縁故債が消化できないというときに、一つのアイデアとしてお聞き願いたいわけでございますが、縁故債にいわゆる宝くじをつけをわけでございます。そして、その賞品というのはお金じゃなくて、例えば一等賞は百年間橋が無料で渡れますとか、まあ百年はオーバーでございますから十年でも結構でございますが、いわゆる「夢の大橋で夢をあてよう」、こういう感じで大衆の皆さんに夢を買っていただく、これをお考えになってはいかがかなと思いますので、大臣にお聞きしたい。
  503. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 初めての話で、大変おもしろいアイデアだと思います。私は前々から、例えば有料道路などで用地買収が非常に難航するということで事業が進みませんので、用地買収ということじゃなくて、物価スライドに合わせながら用地料を支払っていくという方式はどうかなということを日ごろから実は考えておる者でありますが、ただいまの宝くじの点につきましては大変おもしろいと思います。今やります、やりませんということは言えませんが、もしそういうことになったら私も一丁買ってみようと思います。
  504. 遠藤和良

    遠藤分科員 実は私、この話を国会でするのはどうかな、余りにも素人っぽいのではないかなと思いまして、地元の金融機関の方々にお尋ねしたわけでございますが、そういうプロの方も、なかなかおもしろいアイデアではないか。中には県債なんかの消化のときにそういうふうにした経験もあるみたいな感じでございまして、法律的にどういうふうなものを整えなければならないかという面もあるかと思いますけれども、一度ぜひ御検討をしていただきたいと思います。  それから、大鳴門橋のことでございますが、昨年の六月八日に大鳴門橋が完成をいたしました。これは道路と鉄道の併用橋でございますが、残念ながら鉄道の部分は国鉄の状態もございまして使用していないわけでございますね。ここの空間を利用いたしまして、いわゆるゴンドラを通しでゆっくりと鳴門の渦潮を眺めてもらおう、こういう。案が地元で考えられているようでございますが、もしこれを行うといたしました場合に法律的な問題点はないかということでございまして、例えば道路法だとか自然公園法だとか文化財保護法上このゴンドラ構想はどういうふうな問題があり、許可ができるのかということをお尋ねしたい。
  505. 吉田巌

    ○吉田参考人 先生質問の補剛げた空間、要するにゴンドラを通すについて、けたを補剛げたと呼んでいますが、その補剛げたの空間部分につきましては道路法が適用されることになりますので、ゴンドラリフトを設置する場合には道路法第三十二条第一項第三号に該当いたしまして、同項に基づきまして占用許可を受けるという手続が必要になってまいります。また、現在検討されておりますゴンドラリフトの計画は索道によるのが有力でございますが、索道規則の適用を受けるというふうに考えられますので、同規則によります地方運輸局長の免許を必要とする、こういうふうに考えております。  そのほか、自然公園法であるとか文化財保護法及び海上交通安全法等の手続が、実際に工事をするときには必要だろうと思っております。
  506. 遠藤和良

    遠藤分科員 本四公団のお考えでございますけれども、このいわゆるゴンドラ構想については、公団としては可能な限りこれに協力してまいりたいという決意を表明されているわけでございます。この可能な限り協力という中身の問題でございますが、これは、例えばいわゆる第三セクターで行うような場合に使用料を取らないということであるのか、あるいは技術的なアドバイス等を積極的に行う、こういう意味でございますか。
  507. 吉田巌

    ○吉田参考人 つり橋本体につきましては道路公団が施工し、道路公団が一番熟知しているわけでございまして、ゴンドラリフトを具体に設計してくる場合には、公団がその構造についての知恵を生かさせていただきまして、その知恵を計画者にお示ししながら一緒にまとめてまいりたい、こう思っております。  それから、今おっしゃった占用料の減免の話でございますけれども、先ほどちょっと御紹介申し上げましたように道路法が適用されますので占用許可、したがって占用料という話になります。それで、その道路占用料につきましては、道路整備特別措置法施行令の第六条の二第二項において準用いたします道路法施行令第十九条の二第二項に減免し得るという規定がございます。その当該規定の適用について具体に検討させていただきたい、こう思っております。
  508. 遠藤和良

    遠藤分科員 時間でございますので、最後に大臣に一つだけ御要望でございますが、鳴門に橋ができましてそれのいわゆる関連道路ですね。例えば徳島から橋を渡りまして津名港までの間の道路整備というものがまだ十分じゃないわけでございますが、大体見通しといたしましては、昭和六十二年あるいは六十三年ごろには全線開通、本四公団の担当分並びに国道十一号の整備も関連すると思いますけれども、大体そのような見通してよろしいでしょうか、ぜひ確認をさせていただきたいと思います。
  509. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私も耳からだけでは安心ならぬものですから、先週日曜日にヘリコプターで実は淡路島に行きまして、それからまた明石に渡って、取りつけ道路をずっとヘリで上から見てみたわけです。やはりこれは早くやらなければいかぬ、こういうことでありまして、おっしゃった六十二年はほぼ目標どおりいけるであろう、こう考えております。
  510. 遠藤和良

    遠藤分科員 大変にありがとうございました。  くどいようでございますが、低利の縁故債の引き受け、いわゆる宝くじ方式というのは新しい民活のパターンになるのではないかな、こういうことでございまして、ぜひ大臣に御検討をお願いしたいと思います。
  511. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 道路局長と早速検討してみようと言って今合意を得たところでありますから、研究をさせていただきます。
  512. 遠藤和良

    遠藤分科員 大変にありがとうございました。
  513. 森田一

    森田(一)主査代理 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前九時より開会し、建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後九時一分散会