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1986-03-07 第104回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月七日(金曜日)    午前九時開議 出席分科員   主 査 大村 襄治君       小渕 恵三君    浜田卓二郎君       五十嵐広三君    稲葉 誠一君       上原 康助君    岡田 利春君       竹内  猛君    和田 貞夫君       小川新一郎君    坂井 弘一君       玉城 栄一君    二見 伸明君       小沢 和秋君    経塚 幸夫君       瀬崎 博義君    津川 武一君    兼務 岩垂寿喜男君 兼務 加藤 万吉君    兼務 鈴木  強君 兼務 関  晴正君    兼務 永井 孝信君 兼務 松前  仰君    兼務 貝沼 次郎君 兼務 草川 昭三君    兼務 日笠 勝之君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   小沢 一郎君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 江崎 真澄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      河野 洋平君  出席政府委員         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         総務庁長官官房         審議官     本多 秀司君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       矢部 昭治君         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         防衛政務次官  北口  博君         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  千秋  健君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       宍倉 宗夫君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 山田 勝久君         防衛施設庁長官 佐々 淳行君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         防衛施設庁労務         部長      岩見 秀男君         科学技術庁計画         局長      長柄喜一郎君         科学技術庁研究         調整局長    内田 勇夫君         科学技術庁振興         局長      藤咲 浩二君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   中野 公義君         警察庁交通局運         転免許課長   村井  温君         国土庁計画・調         整局計画課長  糠谷 真平君         外務大臣官房外         務参事官    村田 光平君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         大蔵省主計局主         計官      浅見 敏彦君         大蔵省主計局主         計官      西村 吉正君         大蔵省主計局主         計官      武藤 敏郎君         厚生省健康政策         局指導課長   入山 文郎君         厚生省保険医療         局管理課長   高木 俊明君         厚生省社会局生         活課長     矢野 朝水君         気象庁総務部企         画課長     新田  尚君         郵政省電気通信         局電波部周波数         課長      神崎 慶治君         建設大臣官房官         庁営繕部営繕計         画課長     塚田  滋君         建設省住宅局住         環境整備室長  上野 公成君         消防庁救急救助         室長      篠田 伸夫君         参  考  人         (動力炉核燃料         開発事業団理事         長)      林  政義君         参  考  人         (動力炉核燃料         開発事業団理         事)      植松 邦彦君         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月七日  辞任        補欠選任   稲葉 誠一君    竹内  猛君   岡田 利春君    和田 貞夫君   二見 伸明君    玉城 栄一君   大内 啓伍君    伊藤 昌弘君   瀬崎 博義君    山原健二郎君 同日 辞任        補欠選任   竹内  猛君    中村 正男君   和田 貞夫君    五十嵐広三君   玉城 栄一君    小川新一郎君   伊藤 昌弘君    玉置 一弥君   山原健二郎君    津川 武一君 同日  辞任        補欠選任   五十嵐広三君    上原 康助君   中村 正男君    中西 績介君   小川新一郎君    薮仲 義彦君   玉置 一弥君    菅原喜重郎君   津川 武一君    経塚 幸夫君 同日  辞任        補欠選任   上原 康助君    左近 正男君   中西 績介君    村山 富市君   薮仲 義彦君    小川新一郎君   菅原喜重郎君    大内 啓伍君   経塚 幸夫君    中川利三郎君 同日  辞任        補欠選任   左近 正男君    和田 貞夫君   村山 富市君    稲葉 誠一君   小川新一郎君    坂井 弘一君   中川利三郎君    小沢 和秋君 同日  辞任        補欠選任   和田 貞夫君    岡田 利春君   坂井 弘一君    薮仲 義彦君   小沢 和秋君    山原健二郎君 同日  辞任        補欠選任   薮仲 義彦君    二見 伸明君   山原健二郎君    瀬崎 博義君  同日  第三分科員松前仰君、第四分科員永井孝信君、  日笠勝之君、第五分科員岩垂寿喜男君、加藤万  吉君、草川昭三君、第六分科員鈴木強君、貝沼  次郎君及び第八分科員関晴正君が本分科兼務と  なった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計予算  昭和六十一年度特別会計予算  昭和六十一年度政府関係機関予算  〔総理府所管警察庁総務庁防衛庁、科学  技術庁)〕      ――――◇―――――
  2. 大村襄治

    大村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和六十一年度一般会計予算昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算総理府所管について審査を進めます。  警察庁につきまして質疑の申し出がありますので、これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私は、時間が三十分に限られておるわけでございますので、改めて地方行政委員会でゆっくり事情聴取したいと思いますが、たまさか私の質問主意書に対する回答が参りましたが、いかにもそっけない回答でございますので、ぜひともこの際聞かしてもらいたい。  部下言い分というのは、これは組織でございますから、信頼を持って、信用するということも必要であります。しかし、余りそのことに重点を置いておきますと、客観的な判断というのを誤ってしまう。結果的には、国民生命財産を守らなくてはならない任務がある警察が、かえって国民人権財産生命、そういうものをむしろ逆な方向に追いやってしまうということになりかねないわけであります。その点、注意を喚起する意味でひとつ質問したいと思うのであります。  問題は、昨年の五月の十九日の出来事でございますが、大阪市南区上本町西三の十三の二、住民が十世帯住んでおられる木造二階建てのアパートに不審火があった。そのことによって、全く嫌疑をかけられるいわれのない者にまで嫌疑がかけられて、しかも、そのことが捜査手続あるいは捜査必要性からは当然のことだという回答。「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項報告を求めることができる。」というように刑事訴訟法はなっておるということで突っぱねておるわけでありますが、それが結果的に嫌疑が晴れてしまったという場合に、そのことだけが残って、社会に対するところの汚名、あるいは経営者として、金融機関にこの場合は照会文を出しているんですけれども経営立場が非常に不利になるというようなことがあって、それでもやむを得ないんだというようなことにならないと私は思うのです。その点は慎重に考えなくちゃならない問題じゃなかろうかと思うのであります。  そこで、私はこの質問主意書を一月の二十九日付で出しておる。ところが、二月の七日付で回答の猶予をしてくれという中間的な回答が来ておる。その理由というのは、検討する必要がある、日時を要する、したがって答弁することができる期限が二月の二十二日だということで、私はそれを了承した。十七日間あるんです。かなり調査もし検討もしたことだと思うのですが、二月二十一日付で私の方に参りました答弁書は極めてそっけない内容です。少なくとも内閣総理大臣名議長あてに配付されている答弁書でありますので、これでいいのかどうかという疑問が私はあるんです。時間があれば十二分に議論をしたいわけなんですが、その点自信を持ってこの答弁書を出したのかどうかということをお聞かせ願いたいと思うのです。
  4. 仁平圀雄

    仁平政府委員 御指摘の問題につきましては、警察といたしましては、大阪府警とも十分連絡をとりまして事実関係を確認し、そういう意味におきましては確信を持ってお答えしたところでございます。
  5. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私はあなたの方の立場というものを理解をしながら申し上げますが、具体に入れば入るほど話は長くなってくる。例えば銀行協会それから相銀の協会、この両者にあてて捜査関係事項照会書を送っているわけです。もちろんその企業のメーンの取引関係金融機関以外にも送られているわけです。  そこで、率直に申し上げますが、その取引関係金融機関が、あなたの方に嫌疑をされた企業に、まあお得意さんというだけじゃなくて、極めて信頼関係がありますから、なぜそういうことがあるんだろうという心配の余り耳打ちをされたところからこの点が出てきたわけです。それで、ある弁護士にその企業が相談をした。一応その内容について警察の方に事情説明に行く必要があるんじゃないかということで、弁護士を介して当該警察と話し合いをして、そして日にちの打ち合わせをしたわけです。そこで、この会社の者が警察へ行った。耳打ちをしてくれた金融機関の人と、その当該疑惑を受けておる企業社員とが一緒警察へ行っている。そこでその警察がどういうことを言うたか。被疑者一緒に来ることは何事や、こういう言葉を耳にすれば、初めから被疑者という断定のもとにこの照会文が送られたということになるのですよ。捜査上、周辺捜査ということも当然必要だろうと私は思うのです。しかし、被疑者とは何事ですか。そういうことを耳にした本人としては、事情説明に行こうということで、進んで弁護士を介して行っておるにもかかわらず、被疑者一緒に来ることは何事だ、こういうことを言われたら行く気もしませんわね。一たん行っておるのですよ。  ところが、恐らくあなたの方の耳に入った点では、一つ大阪警察としては説明に来てくれと言っても説明に来てくれないということを耳にしていると思うのです。逆なんです。それからもう一つは、あなたの耳の方にはどう入っているかわからないけれども告訴が出ているので捜査をせざるを得ないという言葉も出ているのですよ。この二点についてお答え願いたい。
  6. 仁平圀雄

    仁平政府委員 刑事訴訟法百九十七条二項に基づきます照会につきましては、先生も御承知のように、これは被疑者に関連するもの、被害者に関連するもの等を問わず、捜査上必要と認める事項につきましては照会ができるわけでございます。  御指摘の問題、これは昨年七月三日付で、ある建設会社代理人弁護士の方から、大阪南警察署あて文書先生指摘のことと同様の内容の御連絡をいただいておりますので、私どもも早速大阪府警調査指示いたしておりますが、その結果は、そのような事実はないという報告を受けているところでございます。  それから二つ目の御指摘でございますが、告訴が出ているので捜査をせざるを得ないということでございますが、これにつきましては私ども初めてお聞きしましたことでまだ調査いたしておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  7. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 この二つは、これはあなたの方が大阪府警から受けておるのと、そこに一緒に行って被疑者であるということを目の前で言われておるのだから、証人はおるのですよ。にもかかわらず、そういう事実はないというようなことを聞いていることを信用するというところに私は問題があると思う。また、その告訴があったということをその当該警察署は言っておるのですよ。ところが、まだその事実確認はしてないというものの、そうでなくて、任意で周辺捜査をやる中でそういう照会が出たというようにあなたの方は受けておると思うのでありますけれども、事実そういうことを聞いているわけです。  私は、冒頭に言いましたように、部下を信用するということ、下部機関を信用するということは組織上必要だと思う。しかし、もっと客観的にやってもらわないと、この事実が、これはやがては裁判ということになれば明らかになるわけですからね。それはあなたの聞いているとおりであればいいのですが、逆のことになれば、これは警察はいろいろとあるのですよ。裁判で勝つ場合も負ける場合もあるでしょう。捜査行き過ぎという場合もあるでしょう。私はこの際、捜査のちょっと行き過ぎということを指摘しているわけです。やはりもう少し慎重に、客観的に事実関係というのを調べてほしいということ、これ以上ここは言いませんけれども、もう一度客観的に、もう少し慎重に、人権にかかわる問題ですから、経営に支障を来す結果になることにかかわる問題ですから、やってもらいたいと思います。  それからもう一つ不審火があったのは昨年の五月十九日。先ほど申し上げましたように、この大阪市の南区のこの物件というのは、今あなたの方に行っておる企業は最終的に買った側なんだ。不動産というのは転がしもあり、いろいろと複雑な要素があるのですよ。それで、買う側としては当然のことながら、もう古い建物であるし、そこに居住されておられる方があれば買ったところでどうにもならぬわけですから、要は住宅産業ですから、そこを更地にしてほしいという条件がつくのも当然なんです。そういう更地にしてほしいという条件をつけて、最初に、幸大商事というのですが、ここから話があって一応買うということで合意をした。しかし、その条件としては更地にしてほしい、こういう条件。おのずから額というものも決めて、最終的に決済日はもう決めて、それがおととし、五十九年の七月であった。それから支払いの最終決済日が十一月の末ということであったのですけれども約束どおりにならないということでこれがどんどん引き延ばされてきた。引き延ばされてきて、とうとう十一月末の決済は延期をしてくれということだったので、最初に話があった幸大商事というのは五、六年の取引がある極めて信頼のおける相手であったので、それを信頼をして手付金も出し、あるいはその中間払いもやって、信頼をして延ばしてきた。延ばすことに同意をした。  ところが、その間にこの物件所有者相続権者三人に移り、そしてその次に忠建実業という、あなたの方でこの企業と並べて照会を出されているものが入って、さらに名義人の藤田というところから当該企業に来るということに流れが変わってきているわけです。だから、当然忠建実業というのと何のかかわりもないのです。たまたまその忠建実業の元社員別件でいろいろなことがあったというようなことであなたの方の心証を悪くした。だから当然別件で逮捕されたという事実がある。しかし、買った方は何の関係もないのですよ。そうして、最終的にこの物件更地にできないということであったので、更地にできないということであればこちらの方で更地にしなければならぬということで当然金額の変更もあり、契約内容変更もあって、そして物件所有権移転をさせた。  そして、そうこうしておる間にあなたの方が、まず相互銀行業界の人に照会が流れているということで、そのことを知って先ほど申し上げたようなことを当該警察の方に説明に行こうという過程で、そのときに被疑者だということを言われてびっくりしていると言うのです。そうこうしている間に、今度はその建物入居者の二人から不動産仮処分命令申請大阪地方裁判所に出ておるということで、大阪地方裁判所から事情を聞きたいということの電話があった。そこで初めて、この五月十九日に自分の買った物件不審火があったということを知っているのですよ。そういう事情を私自体はそのようにつかんでいるわけなんです。今私がお話をいたしましたのは、これは一方の言い分ではなくて、極めて客観的な物の言い方で私は言うたつもりなんです。そういうところまで耳にしておらぬのかどうかということをお答え願いたい。
  8. 仁平圀雄

    仁平政府委員 ただいま先生質問の件は、現在捜査をしております事件捜査中身に触れることでございますので、私どもの方もある程度は承知いたしておりますけれども、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  9. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 捜査と言うけれども、それでは被疑者として捜査しておるのですか、被疑者として捜査をされる立場に立っておるのですか。
  10. 仁平圀雄

    仁平政府委員 これもまた同じようなことでまことに恐縮でございますが、被疑者として捜査しているのか、被害者として捜査しているのかということもこれは捜査内容にわたるわけでございまして、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  11. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 もう一度しつこいようでございますが、この企業、私は企業名前を出してもいいと思います。株式会社富士住建、その株式会社富士住建に今までの捜査の段階で容疑事実はありましたですか。
  12. 仁平圀雄

    仁平政府委員 これもまた捜査中身でございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  13. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 先ほど、まだその事情を聞いておらないということでございましたが、これは告訴事件としてとらえているのか、そうでなく、不審火があったということであなたの方が客観的にその捜査にタッチしていたのか、どちらですか。
  14. 仁平圀雄

    仁平政府委員 この不審火事件につきましては、事件を認知して以来捜査を進めておりますが、現場検分関係者からの事情聴取等の結果、この出火場所は無人で火気のない倉庫と認められますことから、事件としては放火容疑事件として捜査を継続しているものでございます。
  15. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 放火の事実関係というのは今どの程度までつかめていますか。
  16. 仁平圀雄

    仁平政府委員 鋭意捜査を進めておるわけでございますけれども、まだ被疑者を確定するというところまでは至っておりません。
  17. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 この不審火を出した、今御指摘のあった倉庫所有者ソーマ化粧品という企業です。まあソーマ化粧品であるかどうかということはわからないわけでありますが、その買った物件物件移転を受けた株式会社富士住建に対しては、被疑者の扱いで金融関係の方に照会まで出ておるのです。あなたの方は、ソーマ化粧品についてはそういうようなことはされておらない。ソーマ化粧品には容疑事実はないのですか。
  18. 仁平圀雄

    仁平政府委員 本当に恐縮でございますけれども、これもまた捜査中身そのものでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  19. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 住んでおられる十人の住民の中にある知名度の高い人がおられるのですが、その人と大阪府警本部幹部諸君との関係はないですか。
  20. 仁平圀雄

    仁平政府委員 御指摘の事実につきましては私ども今初めてお聞きするわけでございまして、大阪府警の方にも照会しておりませんので、事実関係は把握しておりません。
  21. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私の推測ではあるのではないかと思います。今申し上げました人との関係で、府警本部からの強い指導というか依頼というか指示というか、自主的に動いた以上に必要以上に当該警察が動かされておるという、そういううらみはないですか。
  22. 仁平圀雄

    仁平政府委員 御指摘のようなことについては私ども報告を受けておりません。
  23. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私が羅列いたしましたような点を、下部の機構から聞いたことをそのままうのみにするのではなくて、せっかく私が今指摘したわけでございますので、これらの点を主体性を持ってなおひとつ調査を進めてもらいたい、こういうふうに私は思います。  このことは、少なくとも株式会社富士住建、私名前を出してしまいましたが、これは大阪におきましてはかなり長期にわたって、広範囲にわたって事業をやっている企業であります。そしてまた業界の中でも、業界の世話をしておるような企業でありまして、そういう嫌疑を受ける気配というものは全くないわけです。それがいかに捜査手続上認められているとはいうものの、最初相互銀行関係照会をする、そしてなお地方銀行の協会にまで送られるということになると、これは金融機関との間の信頼度の問題ですよ。取引をやっておる金融機関は、これは長い間の取引でありますから、どんなことがあっても、係争なんかあってもむしろ好意的に、こんなことをされておりますよというようなことを耳打ちをしてもらえるほどでありますけれども、そうでないところはそうはいきません。  そのことによりまして仮にその企業がつぶれるということになりましたら、これは企業だけの問題じゃなくて、そこに取引関係企業がございますし、また得意さんもありますし、あるいはそこに働いている約二百名の従業員の雇用にかかわる問題にまで波及してくるわけだから、大きな社会問題になりかねない問題なんです。それほどこの問題というのは重要視してもらわなくてはならぬ、こういうように思うのです。  今警察の方からいろいろと話がございましたけれども、この点については人権、そして中小企業経営ということに波及してくる問題であるので、国家公安委員長としてぜひともひとつ指示をしてもらいたいと思うのですが、最後にひとつ公安委員長の方からお願いいたします。
  24. 仁平圀雄

    仁平政府委員 当然のことでございますが、捜査一般理解と協力なくしてその目的を達成することができないわけでございます。しかしながら、捜査を行うに当たりましては、常に言動に慎み、関係者利便等も考慮し、必要な限度を超えて迷惑を及ぼさないように注意しなければならないと思います。捜査関係事項照会につきましても、その必要性判断については慎重に行うよういたさなければならないと思っております。  ただいま先生からるる貴重な御意見を御指摘いただきましたので、それらの諸点を十分配意いたしまして、今後とも適正妥当な捜査を推進していくよう指導してまいりたいと思います。
  25. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今回の事実関係の問題につきましては、刑事局長から先ほど答弁ありましたが、本来警察は、国民生命財産、基本的人権、それを守っていかなければならない使命を負っておるものであります。したがいまして、今後捜査をする上におきましても、先生指摘のような問題につきましては慎重に、そして所期の目的を達するように、公正な警察の行政をしていかなければならない、そのように考えておる次第でございまして、その趣旨は今後も一層指導して徹底してまいりたいと思います。
  26. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 努力をお願いいたしまして、終わります。
  27. 大村襄治

    大村主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  28. 大村襄治

    大村主査 次に、科学技術庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  29. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 この機会に、河野新長官に二、三お伺いしたいと思います。また同時に、御就任になったばかりで恐縮でございますが、動燃の林理事長さんに就任に当たりましてのお考えを二、三お伺いしたいと思います。  そこで、私もそう大して長くはないのですが、いろいろ委員会等でつき合わさせていただいて非常に感ずるのは、原子力行政についていろんなやりとりをしてきているんですけれども、非常に秘密主義といいますか閉鎖的で、資料を求めましてもよう出てこない。非常に専門的な事柄の多いことでありますけれども、我々素人の場合は、いろんなデータをいただきながらいろいろ勉強して取り組んでいかなくてはならないわけでありますが、そんな意味では大変実は困ることが多いのであります。改めて言うまでもなく、原子力行政の基本たるものは民主、自主、公開ということでありますし、そういう点からいいましても非常に残念に思います。  今回、河野長官が御就任になられて、河野長官はかねがね情報公開等についても大変意欲的に推進なされていることも、我々非常に尊敬を持って見詰めておるわけであります。したがいまして、この機会に従前のそういう、これは私だけじゃなくてどなたも議員の皆さん感じておる問題でありまして、ぜひ本来の極力公開していく、広く理解を求めながら民主的に進めていくという原則に立ってこれを進めていただきたいというように思うのでありますが、河野長官、いかがでございましょう。
  30. 河野洋平

    ○河野国務大臣 かねてから五十嵐先生には、この問題についていろいろと御注意をいただいておりますことを感謝を申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、この原子力行政を進めてまいります上では、全く先生おっしゃったとおり、広く理解を求めていくということが非常に重要であろうと思っております。少し秘密主義ではないかという御指摘がございましたけれども、そうした点はできるだけ改めたい。私は従来もそうであったとは決して思いませんが、むしろ積極的に理解を求めるために努力をしてまいりたい、こう考えております。これも今、先生おっしゃるとおり極めて専門的であり、平たく言えば難しい、データを見てもなかなかすぐには理解していただけない。我々も説明をよく聞かないとわからない部分も多いわけでございますから、一般の方々にわかっていただけるような平板な説明をすること、これが非常に重要であろうと思います。そうした点にも、例えば解説のためのパンフレットのつくり方を初めとして、できるだけ一般の方々にもおわかりいただけるような努力をしていくということが必要であると、私もそう考えております。  また、施設にいたしましても、できるだけ見ていただくということが肝要であろうと思います。私も就任直後に幾つかの施設を視察してまいりましたけれども、昔から百聞は一見にしかずとか申しますけれども、ごらんをいただくための努力もしなければいけない。やはり見ていただくということも非常に重要でございますから、先生にはたびたびごらんをいただいているようでございますけれども、できるだけ多くの方に見ていただくというための努力もしてまいりたい、こう考えております。
  31. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 これからも我々いろいろ資料等を求める機会が多いと思いますが、今の長官の御方針を体して、局長さん以下ぜひ積極的な資料の提出をお願いしたい、こういうぐあいに思います。  そういう公開の原則どころか非公開の原則だというような感じさえ受けるのは、動燃事業団はなお一層どうもそんな感じがするのであります。お仕事をお進めになる上でも、やはり情報についてはむしろ最大限出して、求められた資料なんかは積極的に出していく。我々も、海外の資料なんといったって全然わからないですし、そんなようなことも積極的に出してもらって、イギリスじゃこうだよ、フランスじゃこうだよというようなこともお互いにお話ししながら勉強していけるようにお願いしたい、こんなふうにも思うのです。この機会でありますから、そういういわゆる情報公開について、林理事長さんの御見解もいただきたい、ごく簡単で結構でございます。
  32. 林政義

    ○林参考人 この四日に理事長に就任いたしました林でございます。  パブリックアクセプタンスというのは一番大事なことでございまして、私も電力会社に今までありましていろいろやってまいったわけでありますが、やはり隠すということが一番いかぬわけでございまして、いろいろな情報をできる限り地元の皆様方の御理解を得るように御説明を申し上げるというのは非常に大事なことであろうと思っております。したがいまして、我々といたしましては、役所の御指導を得ながら御疑問の点を、やはり疑問を持ちますと疑心暗鬼で次から次に不安を感ずるものでございますので、そういう点のございませんようにできる限り地元の皆さん方の御理解を得るように今後努めていきたい、こういうふうに思っております。
  33. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 それと、これもやはり大事なことは、殊にさまざまな原子力施設を設置するというようなときには、地元の住民あるいは自治体等の理解を得る、あるいは協力を得るということが不可欠なことであろうというふうに思うのです。  そういう点等につきましても、どうも今まで見ていると、今具体的にどうこうは申しませんが、問題が多いというふうに思っておりまして、ぜひひとつ慎重の上にも慎重に地域の自治体やあるいは関係団体や、あるいはそれぞれの住民の意思というものを尊重していく、これも重大な基本原則でないかというふうに思うのですが、これにつきまして長官のお考えをいただきたい。
  34. 河野洋平

    ○河野国務大臣 立地に当たりましては、地元の理解を得ることは非常に重要なことだと考えております。  先生かねてから施設の問題についていろいろと御忠言をいただいておりまして、私どもといたしましても、この問題で具体的に地元に御迷惑がかかるというようなことがないように慎重にやりたい、こう考えております。幾つか具体的な事例等先生から御指摘があれば、それぞれ考え方は述べさせていただきたいと思いますが、一般的にまず立地についての考え方を申し上げた次第でございます。
  35. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 これは動燃としても同様のことであろうというふうに思うのですが、関係の自治体や地元住民の意思を十分に尊重するということにつきましては林理事長さんも同じであろうというふうに思うのですが、一言御意見を承りたい。
  36. 林政義

    ○林参考人 ただいま長官がおっしゃいましたとおりでございまして、十分地元の意向を尊重しながらやらせていただきたい、こういうように思っております。
  37. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 そこできょうは、時間も短いから改めて詳しいことは委員会等でゆっくりやりたいというふうに思いますが、一、二せっかくの機会でありますから、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。  例の高レベル放射性廃棄物の立地、貯蔵だとか深地層試験場だとか、こういうものを含めたいわゆる貯蔵工学センターを北海道幌延にどうかということで調査をしているという段階なわけでありますが、その経過の中で、歴代の科学技術庁長官はいずれも地元の理解と協力を得てやりたい、こういう確認が続いてきているわけです。それではその地元というのはどうなっているかということについて、これも今までの議事録にも明らかなのでありますが、それは該当の町村、それから周辺、近隣の町村、自治体、それからそれを包括する都道府県、この場合ですと北海道、これらの理解というのが地元の理解、協力というものだというようなことも歴代長官確認をしてきているのでありますが、この考えにはお変わりありません。
  38. 河野洋平

    ○河野国務大臣 歴代長官が御答弁申し上げておりますように、原子力発電所等の立地に当たっては、直接の立地市町村はもちろんのこと、周辺市町村の意向を集約する立場の知事の御意見も伺っており、貯蔵工学センターの場合も同様なことだ、こういうことを以前から御答弁申し上げておりまして、今先生からの御質問でもう一度確認さしていただきます。
  39. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 ちょっと言葉が足りないようにも聞こえたのですが、つまり歴代長官は該当の町村、それから周辺の近隣町村、自治体、それを包括する道、その理解と協力というのがいわゆる地元の理解と協力だ、こういうことで間違いないでしょうな。
  40. 河野洋平

    ○河野国務大臣 北海道の問題につきましては、当該幌延の方々の御意見は、御承知のとおり誘致したいという強い御希望があると承っておりますが、周辺の方々には依然として慎重な態度をとっていらっしゃる方々もおられる、そうしてそういう意見を集約されるような形で知事が慎重な態度をとっておられる、こういうふうに私は理解しておるわけでございます。立地に当たりましては、我々としては、自治体の意見を集約されるという立場の知事さんのお考え、こういうものを十分に考慮に入れなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  41. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 例えば近隣で言うと、お隣の中川町というのがあります。ここでは町議会で反対議決をしているわけですね。あるいは中頓別町、これも隣でありますが、ここでも反対の町議会の議決がなされている。他の近隣の町村にいたしましても、極めて慎重もしくは反対というような感じなんですね。  それで、そういう近隣の町村、自治体の意思というものも十分に尊重していかなくてはならぬことは、施設の性格からいいまして言うまでもないわけですね。それから、自治体というのは御承知のように二層になっていまして、市町村及び都道府県があるわけであります。いずれも町民でもあると同時に県民、道民でもあるということですね。広域的な行政を都道府県が行って、全体としての行政配慮の上で知事は決めていく、こういうことになるわけでありますが、同時にまた国民でもあるという性格もあります。ですから、そこのところをよく踏まえていただかなくてはいけないわけで、今までも歴代の長官が明快に該当の町村及び近隣自治体、それから包括する道というぐあいに言ってきているのはそういうことであろうというふうに思うのです。重ねて恐縮でありますがちょっと……。
  42. 河野洋平

    ○河野国務大臣 この問題について御理解をいただく手順を考えてみましても、少なくとも当該自治体の御理解が最も重要だということは当然のことであろうと思います。まず当該自治体の御理解をいただく、そして周辺市町村の方々に不安や心配があればそれに対して説明をし、そうした不安や心配を取り除いていく努力をする、そしてそうした努力が行き届けば、知事さんの御判断としても、そうした方々の意見を集約する形での御判断が知事さんから出るだろう、こういうふうに我々は考えておるわけでございます。  現在のところ当該自治体の御理解はいただけておりますが、今先生指摘のとおり周辺町村にはまだ不安を持っていらっしゃる、疑問を持っていらっしゃる方も少なくない。こうした方々の不安や疑問に対してできるだけ御理解をいただく努力を現在しておるというところでございまして、考え方としてはこの理解の輪を広げていって皆さんの正しい御判断をいただきたい、こう考えているわけでございます。
  43. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 既に昨年も前竹内長官及び前吉田動燃理事長は横路知事ともお会いをいたしましたりして、知事の幌延問題について賛成できないということの明確な意思を聞いておられることは御承知のとおりであります。ぜひひとつそういう点を踏まえていただきたいと思います。  実はこの前北海道新聞社が世論調査をいたしまして、そういう知事の幌延問題について反対であるということの意思を道民として支持するかしないかということに対して、その知事の態度は正しい、支持するという回答が実に六七%に及んだということなんですね。ですからこれが広く道民の考えだということも踏まえていただきたいと思うのです。  ちなみに、周辺の町村の反対署名の状況なんか科学技術庁の方でもわかっていることであろうと思いますが、中川町、これは隣の町でありますが、ここでは一昨年九月に町議会で満場一致で誘致反対決議をしている。反対署名は有権者の七九・七%に及んでいる。天塩町は十四部落中十二部落から反対陳情が提出されている。反対署名は七五・三%。それから豊富町、今の天塩も隣です。今言う豊富もまた隣であります。ここは農協の理事会でおととしの十二月に反対決議をしておりますが、反対署名は有権者の七七・三%に及んでいる。さらにもう一つの隣の村であります猿払村、反対署名七一・一%。それからさらにあと二つばかり隣があるのでありますが、浜頓別町が昨年の五月二日、これも農協総会で反対決議をいたしまして、反対署名は七七・五%。それから中頓別町が去年の三月二日、これも酪農振興協会総会で反対決議をいたしまして、去年の九月三十日には町議会で事前調査に反対する請願を採択をいたしました。反対署名は六六・四%に及んでいる。直接隣の町だけずっと今言ったのでありますが、そういう状況になっておりますから、どうかそういう全体の住民の意思というものを尊重してほしい、こういうぐあいに思うのであります。  ぜひここでひとつお願いしておきたいのは、去年の十一月に調査が強行された。これは理解を得るための調査なんだ、こういう御説明なんであります。しかし衆議院でも参議院でもそうなんでありますが、それぞれ関係委員会の議事録にも載っておりますように、今までの討議の中では、調査といえども地元の理解と協力を得て実施するのだ、見切り発車はしない、こういう答弁の確認を得てきておりますのに、今のような周辺及び知事の反対にもかかわらずこれを強行したということで地元は大変実は混乱をいたしまして、本当にあわや大騒動という感じであったわけであります。  その後、動燃事業団も調査につきましては積雪等の事情もこれあり、中断をしているということになっているわけでありますが、今ずっとお話をお伺いしてきた、長官及び理事長の住民の意思はよく尊重していくという立場からいうと、私はこういうぐあいにトップがかわったときこそ、ひとつ今までのこじれというものを解いて、そして行政の信頼というものを回復する機会じゃないかと思うのであります。ぜひこの際、そういう経過はあったが、しかし地元の理解と協力を得ない限り調査の再開はしない、よく話し合って理解と協力を得てから行うという当初の国会における約束、言明というものに戻っていただきたい、こういう気持ちがするのでありますが、いかがでしょう。
  44. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほどからお話がございますように、世論調査の結果なども拝見をいたしております。また、先生からお話がありました周辺町村の方々の意向についても関心を持っております。  そこで私は、その世論調査の結果とか周辺のさまざまな住民の方々の意思の反映ともいうべき、例えば町議会における決議とか、そういうものに関心を持って拝見をいたしておりますが、問題は、私どもとしましては、もう少しその世論調査などを分析をする必要があるんじゃないか。つまり、いかなる前提でこういう結論が、賛成とか反対とかという御判断が下されたかという前提もあるだろう、あるいは御心配をいただいている方々の認識の問題もあるんじゃないか。もちろん我々サイドの反省を込めて、もっともっと理解をしていただくために、例えば先日来から御指摘がありますように、パンフレット一つにしてもあれで理解が求められるパンフレットだろうかというような御指摘についても、この立地を考え、調査を考えている動燃に対してもう少し理解がいただけるような懇切丁寧なパンフレットといいますか、御理解をいただけるような作業をすべきではないかということも申し上げて、そういう御努力が今進んでいるようでございます。したがって、調査の前提となるべき御認識あるいはこちらからお示しをしているもろもろの資料等につきましても、なお十分に配慮したものでやりたい、こう考えております。  それからもう一点、先ほど先生からお話がございましたような、調査といえども地元の理解なしにやるべきではないという御指摘がございました。(五十嵐分科員指摘でなく、答弁があった」と呼ぶ)失礼いたしました。こちら側から国会での答弁を申し上げていたところでございますけれども、私といたしましても、この調査に入ってますますこじれるというようなことがあってはという気もいたしております。  そこで、調査に着手いたします場合には、やはり当該自治体、それと直接関係のある地権者の方々、この理解と協力なしにはやるべきでない。そこで私は先生にもお願いを申し上げて、周辺の方々の理解を求めるための調査でございますから、どうぞこの調査についてはひとつ御理解をいただくように先生からもお取り次ぎ、おとりなしをいただきたいというふうに考えておるところでございます。調査の結果をごらんをいただきまして、その調査の結果もう一度皆さん方からいろいろと御判断がいただけないものだろうか、こう考えているからでございます。どうぞその点、よろしくお願い申し上げます。
  45. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 まあお答えは直接ございませんでしたが、つまり調査を再開する折には、今までずっと、いわゆる原子力行政に対する基本理念と申しますかい公開であるとか住民の意思の尊重であるとか、こういう民主的な進め方等の原則から外れないように、一つの反省もあるわけだろうと思いますし、新長官倒就任の折でございますから、ぜひ再開するに当たっては慎重の上にも慎重を期して、強行だとか、この前の夜中に何かやっちゃって、大変実はみんなの怒りを買ったわけであります。そうなりますといよいよこじれていくわけでございますから、ぜひ一つ慎重に、十分に地元と話し合いながら、もちろん地元というのは今言いましたように、知事だとか周辺も含めて慎重にしてほしい、このことを念を押して要望いたしまして、御質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  46. 大村襄治

    大村主査 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。  次に、玉城栄一君。
  47. 玉城栄一

    玉城分科員 大臣に、最初に海洋開発についての大臣の基本的な御認識をお伺いをしておきたいのでありますが、亡くなったアメリカの前ケネディ大統領の「海洋は、人類に残されたニューフロンティアである」、そういう言葉をまつまでもなく、二十一世紀に向けて人類の生存といいますか、繁栄にとって、海洋というものは非常に重要なエリアであると私は思うのです。大臣の海洋に対する御認識をお伺いいたします。
  48. 河野洋平

    ○河野国務大臣 申し上げるまでもなく、非常に狭隘な国土しか持たない我が国にとって、四万を取り巻く海は大きな、重要な資源であろうと思います。私の記憶に間違いかなければ、領海二百海里と言われる日本の領海は、日本の国土の約十二倍の面積を持つ。それはただ単にその表面積でございまして、海底あるいは海中を考えますと、これは我々にとって最も重要な資源の一つというふうにも考えなければならぬと思います。ケネディ故大統領の言葉を御引用なさいましたけれども、私どもにとりましても、海こそ日本の最も重要な、そして歴史的にもあるいは未来にとっても重要なものと、こういう認識を持っております。
  49. 玉城栄一

    玉城分科員 今大臣が二百海里ということをおっしゃいましたのですが、これは申し上げるまでもなく、国連海洋法会議が開かれて、いわゆる国連海洋法条約、現在たしか百五十九カ国でしょうか、署名している。批准が二十六だったと思うのですが、これは六十カ国の批准によって発効するということでありますので、まだしばらく時間はあるかもしれません。しかし実際は、既に二百海里という海の秩序というものはもう定着して、そのように動いているのが実態なんですね。これはいい例が、今、日ソ、日米の漁業交渉が暗礁に乗り上げていますけれども、こういうことからしましても、やはり二百海里内における海洋開発というものが我が国にとって極めて重要だ、これは申し上げるまでもないわけです。  ところが大臣、この海洋開発に対する今政府のやっていらっしゃることは各省庁ばらばら。その前に、大臣もおっしゃいましたように、海洋開発というのは非常に重要である。特に我が国は四万を海に囲まれて資源が乏しいわけですから、その調査自体の立ちおくれ、私、去年の分科会でも前長官にお伺いしたのですが、非常におくれているというお話もありました。しかも実態は、各省庁こういう行政については、例えば運輸省、それから通産省、建設省、いろいろ申し上げるまでもなくあるわけです。ですから、申し上げておりますように、我が国のこれからにとって重要な二百海里内の海洋開発ということを、国を挙げて、総合的に、あるいは一つ組織をつくってでも早急に取り組まなくちゃならない、私はこう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  50. 河野洋平

    ○河野国務大臣 御指摘のとおりでございます。海に関してかかわっている省庁は十省庁を超えて十一でしたか十二でしたか、大変な数の省庁がかかわり合って、それぞれが予算をとる、それぞれの立場から考える、こういう形になっておりますが、玉城先生お話しのとおり、これはどこかでまとめるという考え方は非常に合理的な考え方であろうというふうに思っております。  私どもも、海に対する調査研究をいたしておりましても、例えば海に対する文化的な背景とか人と海との歴史的なかかわり合いとか、こういった背景、側面を考えずにただ海だけを研究するというだけでは不十分な点が多うございます。こうした横の連携、連絡というものをできるだけとっていかなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、御指摘のお考えは私どももそう思っております。
  51. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、大臣もそういうことを非常に感じていらっしゃるというお話でありますので、大臣、非常に斬新な、二十一世紀に向けて期待されている政治家でいらっしゃいますので、この際、幸いに科学技術庁長官に御就任されましたので。  今、海洋の開発についてはおっしゃったように十数カ所の各省庁に及ぶ、それはいろいろな理由があるでしょうけれども、しかし、早急にやはり海洋開発については国を挙げて、こういう資源の乏しい国ですから取り組まなくちゃならない、こう思うのですね。ですから私は、この問題を御質問しようということでお役所の方々にいろいろお話を聞いて、各省庁には局長さんの方々のそういう連絡会というんですか、そういうものはあるというふうに聞いておるわけですが、予算の問題にしても、これじゃやっぱり先進国の中で非常に海洋開発が我が国はおくれている。しかも各省庁、行政がばらばらである。ですからそこはやはり大臣、イニシアチブをとられて、いわゆる閣僚レベルでも、この海洋開発に対する取り組みというものをこの際大臣に期待したいわけですが、いかがなものでしょうか。
  52. 河野洋平

    ○河野国務大臣 科学技術庁という役所は総合調整機能を持つ役所でございます。したがいまして、十数省庁の海にかかわる研究については科学技術庁として総合調整をしてまいりたい、こう考えております。ただ現実の問題として、魚をとるのは水産庁であるとか、そういう現場といいますか現実の作業については、これはそれぞれ専門の省庁がある、これはしようがないところでございますが、研究開発分野についての総合調整はなお一層進めてまいりたい。かつて沖縄で開かれました海洋博、あの海洋博を行うについては関係省庁が随分一緒になって努力をされたといったしか歴史もあるように記憶しておりますが、今先生指摘のとおり、大事な海の開発でございますから、一生懸命努力をして総合竹な調整機能の役割をもっと進めてまいりたい、こう考えております。
  53. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで大臣に私は確認しておきたいのですけれども、我が国周辺の二百海里内における海底資源も含めての諸資源、この諸資源について我が国として主体的な、主権的といいますか、権利を主張し得ると私は思うんですが、大臣いかがでしょう。
  54. 河野洋平

    ○河野国務大臣 確かに諸資源といいますか、さまざまな資源がございますが、例えば対外的に権利を主張するというような点につきますと、外務省のお考えもある、少なくとも窓口として外務省にお願いをしなければならぬというふうに思っております。国際関係においてどう考えるかという面と、私ども科学技術庁が総合調整機能を果たすのはむしろその一つ手前の、一体海底にどういう海底資源があるか、何がどうあるかということを確認したり見つけ出したりという部分に我々の大きな役割があるというふうに考えておりまして、今先生がお話しのような部分については外務省、つまり、国際的な権利の主張という点については外務省を中心にお考えをまとめていただくということになろうかと思います。
  55. 玉城栄一

    玉城分科員 今の問題、逆に例えば我が国二百海里内における資源について第三国が権利を主張してきた場合に、我が国としてはそれに対抗し得るのか否か。これまた外務省ですか。
  56. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 現状についてちょっと御説明申し上げますが、先ほど先生指摘がございました十一省庁の連絡会議というのは、これは外務省も入っておりまして、それから鉱物資源の直接の担当官庁としては通産省でございますが、また、その調査等につきましては私どもも参加しておるわけでございます。そういった関係省庁、この場でいろいろ連絡調整を図っておるということでございます。
  57. 玉城栄一

    玉城分科員 私なぜこういうふうに今申し上げているかと申しますと、さっきも申し上げましたように、我が国の二百海里内という新しい海の秩序に対する政府御自身の基本的な取り組みがばらばらと申し上げているのです。     〔主査退席、浜田(卓)主査代理着席〕 二百海里時代というものが非常に現実に定着しています。しかも、その海底におけるいわゆる鉱物資源というのは宝庫だと言われております。何か物の本によりますと、例えばマンガンなんかは地上資源の四千倍、あるいはコバルトなんか五千倍、マンガン団塊なんというものは一兆トンあると言われている。何か年間世界の消費量、一兆トンという相当な、そういう意味でケネディも言ったのだろうと私も思います。ですから、我が国二百海里内における諸資源について、我が国としてどういう基本的な立場を持っているのかというその基本的な部分をあやふやにしている、やはりそういう状況じゃないかと私は心配で申し上げているわけです。  それでちょっと国土庁ですね。国土庁も三全総では海洋については課題だということで、しかし四全総にはそうはいかないと思うのですけれども、簡単でよろしいですから、海洋についての位置づけを四全総ではどうやっていらっしゃるのか。
  58. 糠谷真平

    ○糠谷説明員 先生指摘のとおり、海洋は大変貴重な国土資源でございますので、その開発利用、保全のあり方を明らかにするというのは四全総の大変重要な課題だと考えております。しかも最近では関係省庁あるいは地方公共団体から、海をてこといたしまして地域振興を図ろうという動きが大変活発になってきておりますので、四全総におきましては、そういった関係省庁、地方公共団体の動きも踏まえまして、海洋沿岸域をこれから二百海里体制の進展に対応した貴重な国土資源として、あるいは地域振興を図るための重要なてことして位置づけるべく、今作業を進めておるところでございます。
  59. 玉城栄一

    玉城分科員 調整、調整ということであいまいな形にしないようにひとつ要望申し上げておくんですが、長官、科学技術庁も唯一の「しんかい二〇〇〇」、今「しんかい六〇〇〇」を建造中ですね。これは政府の役所の中でも科技庁が唯一の役所であるわけですけれども、そこで、向こう五年間の深海調査方針というものが出ていますね。簡単にひとつ概要を御説明いただきたいのですが。
  60. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 「しんかい二〇〇〇」、ただいまお話がございましたように日本で唯一の深海調査船でございまして、これをできる限り有効に使っていかなければいけないということでございまして、この「しんかい二〇〇〇」の長期運用方針につきましては、各界有識者を集めて御検討いただき、計画を策定し、それに従って実施をするということにいたしております。  そこで、「しんかい二〇〇〇」の今後の潜航調査の方針でございますが、昭和六十一年度を初年度とする五カ年間の計画を立てておりまして、まず、従来の計画が日本周辺を広く対象としておりましたことに対し、四つの地域、すなわち駿河湾・相模湾及びその周辺海域、それから伊豆・小笠原諸島海域、第三に南西諸島海域、第四に日本海、この四つの海域を重点的に調査するということにいたしております。それから、従来個々の研究分野ごとに実施されていた潜水調査研究を、今後は有機的、総合的に行うということを特に留意するということにいたしております。  さらに、これらの海域における調査内容といたしましては、駿河湾・相模湾及び日本海においては地震予知の研究を重点とする、伊豆・小笠原諸島海域、南西諸島海域におきましては海底鉱物資源の探査研究を重点とするということといたしております。また、駿河湾・相模湾を基準海域といたしまして、この両湾の全域において深海調査データの系統的な蓄積を図るということが主要な点でございます。
  61. 玉城栄一

    玉城分科員 じゃ、次に。これは五年間で今の四海域を「しんかい二〇〇〇」で調査されるわけですね。五年間でどういうふうに調査されるのですか。五年間でどういうふうに四海域を調査されるのですか。
  62. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 この方針に従いまして、具体的には関係省庁集まりまして、専門家の間で毎年度の計画をつくるわけでございますが、この四つの海域につきましては、五年間継続的に調査を実施するというふうに考えております。
  63. 玉城栄一

    玉城分科員 継続はわかりますけれども、五年間で四海域を「しんかい二〇〇〇」が調査するわけですね。例えばことしはこの箇所、来年はこの箇所、そういうふうにやるのか、トータルで何回調査をされるのか、一カ所大体どれぐらいなのかです。
  64. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 年間おおむね六十ぐらいの調査を予定しておるわけでございますが、これらの海域、ことしはこの日本海とか、そういうことでございませんで、それぞれの四つの海域を毎年調査する、五年間継続して調査する、そういうことを考えております。
  65. 玉城栄一

    玉城分科員 ということは、年間六十回、四海域をですね。ということは、一海域十五、五年ですから、三百回ですね、トータルでは。それを毎年継続的にやる、こういう意味ですね。
  66. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 そういうことでございます。十五ということになりますか、四海域以外も多少含まれますが、十ないし十五ぐらいの回数になるかと思います。
  67. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、さっきもちょっと御説明がありましたけれども、私も「潜航調査の方針」という資料もいただきました。さっきもお話がありましたけれども、この海底の鉱物資源を一つの目的として調査する海域は、この四海域で二つですよね。一つは伊豆・小笠原と南西諸島海域ですね。これは私は、去年の分科会のときにも、例えば南西諸島海域というのは非常に熱水鉱床、いわゆる鉱物資源が豊富と言われる、その可能性が非常に高い、そういうことも含めて、さらに今おっしゃったように、またこの五年間、一海域、一年十五回平均で、南西諸島海域というのは海底鉱物資源、これはサイエンスという段階での調査はよくわかりますよということだろう、こう思うわけです。これは各国、極めて高い関心を持って注目しているわけですね。この南西諸島海域、まあ伊豆・小笠原海域もそうですけれども、特に南西諸島海域については、海底鉱物、いわゆる熱水鉱床とかそういうものに非常に関心を持っておるやに伺っているわけですが、科技庁としてはどういうふうに思っていらっしゃいますか。
  68. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 私どもも、この南西諸島海域における鉱物資源の問題というのは非常に重要な問題であるという認識を持っておりまして、そういうことでいろいろ御検討いただきまして、この南西諸島海域を重点区域として取り上げ、特に海底鉱物資源の探査というのをその中でも重点的に行うということを決定したわけでございます。  なお、この調査に当たりましては、単に「しんかい二〇〇〇」を潜水させるということだけではなく、海上からのいろいろな調査あるいは無人機による調査と、総合的に効率的に実施したいといふうに考えております。
  69. 玉城栄一

    玉城分科員 私は選出が沖縄ですから、南西諸島海域については非常に関心があるわけですね。  局長さん、この南西諸島海域というのは我が国二百海里の外ですか内ですか、場所はどの辺ですか。
  70. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 二百海里水域の内でございます。それで、具体的にどの辺ということは、今後専門家の意見を聞きつつ順位をつけて進めていきたいというふうに考えております。
  71. 玉城栄一

    玉城分科員 内ですね。ですけれども、長官に私最初に申し上げましたでしょう。さあそこに、これはさっき申し上げました、諸外国は非常に注目しているわけです。既にほかの国々は調査も終わっているということもあるわけですね。ですから、せっかく二百海里内の貴重な、我が国は資源が乏しい、しかも海底にはそういう資源の可能性が強いということになってきまして、さっき申し上げた、他国がそういう権利を主張されたときにどう対抗するのかというところを我が国としてきちっと詰めておかないといけないと思うのです。重ねて長官、いかがなものでしょうか。
  72. 河野洋平

    ○河野国務大臣 科学技術庁が担当いたします調査、この「しんかい」の船には、例えば通産省の方にも乗っていただくということでございますから、そこで先生指摘のような資源が調査の結果見つかった、あるいはそういうことが確認されたということになれば、さらに進んだそれから先の探査あるいは開発、こういった点は通産省の所管に移って、恐らく通産が中心になって、さらに一段と進んだ作業になっていく、こういうことになるのだろうと思います。二百海里の中におきますこれらの資源等が調査をされ、あるいは探査の結果確認をされ、開発という作業に進んでまいりますれば、先生から御指摘のとおり我が国の固有の資源ということを確認をして、そしてその権利を確保、確立するという作業に当然なっていくというふうに考えております。
  73. 玉城栄一

    玉城分科員 ぜひ、やはりこれは早急に、政府とされては基本的な立場、それは海洋法条約等の批准問題も含めてきちっとしておかなければいけないと私は思いますので。  それで局長さん、南西諸島海域、ここは場所はどの辺でしたか、沖縄の。そして、いつごろからそれを探査というか、調査研究というのでしょうか、研究調査というのですか、されるのですか。年に一カ所十五回ぐらい潜って調査するという、いつごろから、場所と。
  74. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 私もちょっと専門でございませんので、ここに地図がございますが、先生御承知のように、昨年鬼界カルデラの調査をいたしまして、引き続きまして、さらに沖縄トラフであるとか、さらに南の方の調査を続けていきたいというふうに考えております。具体的に本年度いつ潜水するかというようなことにつきましては、これから詰めていくわけでございます。
  75. 玉城栄一

    玉城分科員 繰り返しますけれども、ぜひこれは整理して、できたら長官、科技庁は海洋開発センター、そういう組織を持っていらっしゃるわけですけれども、この際、海洋開発について二百海里内の、やはり総合的な組織をつくってでも、国として挙げて、あるいは政府として一本化してやるぐらいの気持ちでやっていかないと、非常に我が国はおくれをとっていくのではないか、こう思うわけであります。ぜひまた御検討いただきたいと思います。  それでもう一つ、アクアマリン計画というのがまたございますね。これは各省庁いろいろな計画があるわけですが、これは時間がございませんので一々御説明を承るわけにはいきませんが、これは大臣の御所見としてお伺いしたいのですが、沖縄の場合、亜熱帯、まあ自然、そういう海域もそうなんですが、これから我が国として東南アジアとの関係が非常に重要になってくるだろうと思うわけですね。ですから科技庁として、やはりそういうASEAN諸国とか東南アジアとの技術交流、こういう海洋開発技術という意味でも、今後沖縄周辺あるいは八重山、石垣とか適当なところを東南アジアと自然環境が似ているということで指定して、アクアマリン計画なり科技庁としての別の計画があるのかよくわかりませんが、東南アジアとの関係から技術交流を今後二十一世紀に向けてやっていくということは、我が国の国益にとっても非常に重要なことだと思うのです。そういうことを検討するお考えはありますか。
  76. 河野洋平

    ○河野国務大臣 御指摘の地域は、我々にとっても非常に関心のある重要な地域であると考えております。したがいまして、例えばアクアマリン計画、これは地元の方にも御協力をいただくわけでございますけれども、そうした計画に沿って調査が行われ、何か緊急にさらに調査した方がいいという問題でも出てまいりますれば、あるいはさらに研究費がかかるような問題があれば研究調整費を使ってでも、海洋科学センターなどで研究していくということも必要であろうかと考えております。  いずれにせよ、この海洋問題については我々にすれば非常に関心の深い問題でございますから、十分そちらに目を向けて今後やってまいりたいと考えております。
  77. 玉城栄一

    玉城分科員 我々は大臣に非常に期待しておるわけでありますので、ぜひ意欲的な取り組みをお願いしたいと思うわけであります。  もう一つは、昨年の分科会でもお伺いした野生植物資源の保存問題です。  これは五十九年に資源調査会の答申が出て、早急にその保存体制を確立しなければならないのではないかということがあったので今回もこの問題をお伺いしようとお役所の方に伺ったら、これまた一向に科技庁自体でも進んでいないし、各省庁にいろいろまたがっているわけです。この野生植物保存問題も我が国はおくれていると言われているわけです。先ほどの海洋問題と同じようにこれでいいのかと思うのですが、長官、いかがなものでしょうか。
  78. 河野洋平

    ○河野国務大臣 野生植物の中には絶滅してしまう種もたくさんあり、この種の保存や研究は極めて緊急の課題だと言われておるわけでございます。科学技術庁に質問すると、あちこちにかかわっているためになかなか進まないじゃないかという御指摘はまさにそのとおりでございまして、複数の省庁にかかわっている問題についての調整機能を持つのが私どもの役目でございますから、複数の役所に重なっている問題についてどう調整し、整理していくかということでございます。しかし、一つ一つの問題にはかなり歴史的な経過もございましてそう簡単なことではないわけでございますが、そんなことに時間をかけておりますと種が絶滅してしまう、間に合わないではないかという点もございます。早急にこの問題には取り組まなければなりません。昨年も調査費をつけていただきまして、今御審議中の予算の中にも調査費をお願い申し上げているわけでございますから、私どもとしてもこうした調査費を十分使って調査をし、さらに調整の役割も果たしたいと考えております。
  79. 玉城栄一

    玉城分科員 時間も参りましたので最後に長官に伺いたいのですが、二十一世紀に向かって日本のお役所の体制が一番立ちおくれていると思うのです。早いテンポで前進しているときに、経済摩擦の問題も含めてこういう重要な問題についてもまだ非常におくれている。急にはできないことはよくわかりますけれども、それではいけない。  それで、今の野生植物の保存の問題について、私、昨年も前の長官にお話ししましたけれども、沖縄の西表、亜熱帯ということで東南アジアとの関係が深いので、ここは考慮する必要があるのではないかということを申し上げたわけです。今、その問題についてはこういう段階だからということですが、長官、今私が申し上げているああいう亜熱帯地域については、そういう野生植物の保存という問題を含めてぜひお考えいただきたいわけです。
  80. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 確かに沖縄は亜熱帯地域に属しておりまして、気候的には亜熱帯植物の保存に非常に適しているということでございまして、今後いろいろ調査の結果、立地保存センターを設ける必要があるかどうか、どこに設けるかというようなことを十分検討してまいりたいと考えております。
  81. 玉城栄一

    玉城分科員 以上です。
  82. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  83. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、筑波研究学園都市の問題、特に昨年の万博が終わった後、この問題をめぐっての筑波の建設について若干のお尋ねをしたいと思います。  最初に、河野長官と筑波研究学園との関係は非常に深いものがある、日ごろからこういうふうに思っているわけです。それはどういうことかというと、長官のお父上が、この世界に誇る研究学園都市の建設に当たって、富士山ろくあるいは那須高原という選択の中で中心になって決断をされて、筑波のあの地に今日、世界に誇る歴史的な研究学園都市ができたということについては、地元の議員としても大変感謝にたえないところです。そういう意義深いこの研究学園都市、現在、五十五年に概成の宣言がされてから、完成そして熟成という方向に向かっておるわけでありますが、機関が移転したにもかかわらず人間がそれに伴わないという関係がありまして、二十二万の人口を予定しておるのに現在十五万でとまっている。しかも、中心である桜村は日本一大きな村でありますが、男性が四千人ぐらい多い。谷田部町も千五百名ほど男性が多いわけです。一つの町村で男性がより多いというところは、日本じゅうで恐らくここだけではないかと思うのです。  それはなぜかというと、単身赴任なのです。建物があるからやむを得ずそこへ仕事に来たけれども、単身赴任で家族は別なところにいる。これではこの筑波研究学園をつくっても東京の過密の対策にはならないわけです。きのうも国土庁に強く要請したわけですが、そういう点もあって人口問題というのは依然として解決しておりませんし、万博が終わってもなおそのままになっておる、こういう関係であります。  そこで、このすばらしい環境により住みよい状況をつくるためにはもっともっと政治的配慮が必要だと思っておりまして、これはきのうの国土庁の話でもありますが、学園と首都圏との交通問題あるいは内部の交通問題、つまり住宅と職場が非常に離れている、したがって研究者にとっては必ずしも都合のいい状況ではない、やはり自家用車、タクシーを使わなければ動けないという状況。それから、人工の都市でありますからよくはできているけれども、自然にできた都市と違ってあるべきところにあるべきものがない。文化施設、社会施設、あるいは娯楽等々がないし、ショッピングも、あるにはあるけれども商店街というものはない、そういうどちらかというとかたい町になって、まあ今はまだかたい、こういうようなところから、どうしても単身赴任で、時には寂しくなって自殺をするというような者も、東の筑波、西の高島平と言われるくらいに多いわけなのです。これもやはり一つの現象だと思いますね。このごろは筑波病と言っておりますけれども、長官は御就任以来、早速現地を御視察をされたわけですが、この点についての御感想をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  84. 河野洋平

    ○河野国務大臣 お話しのように、私も就任直後に筑波へ参りまして、科学技術庁所管の施設等を見てまいりました。先生お話しのように、これはもう国際的に見ても、そのスケールといい計画といいトップクラスのものだというふうに思いますけれども、まだまだ完全に定着し切れていない部分もあるように思いました。  今お話しのように、少し単身赴任が多いじゃないか、家族ぐるみ定着していないじゃないかというような点につきましては、例えば教育施設の問題とか、つまり子供さんの教育というのは、これは全国的に今一番頭の痛い問題でございますが、そうした点があるのではないかというふうにも思いまして、現地でいろいろお尋ねもいたしましたけれども、現地では教育施設はもう非常によく整っておる、そしてまた教育水準も非常に高いものがあるというふうに伺いまして、こういうふうに一つ一つ問題が解決されれば、今の単身赴任という問題は、徐々にではあるけれども解決されるであろうというふうな感想を持った次第でございます。  一つ私の感想を申し上げれば、ああして随分国の研究機関がたくさんあそこに出そろいましたけれども、まだまだ研究機関の間の交流がもっとあっていいのじゃないか。機関と機関との間の交流、とりわけ所管官庁が違う研究機関同士の交流、あるいは筑波大学を中心とする交流、こういった点にもっと前進が見られれば、さらにいい成果が得られるのではないかという感想を持って帰ってまいりました。
  85. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 ほぼ一致した考え方ですけれどもね。私は、きのうも国土庁に主張したわけですが、特に定年でおやめになる技術者、科学者、この方々がおやめになっても、その学園の周辺で、自分の持っている技術を教えていただくというようなそういう学校、専修学校といいますか専門学校といいますかね、それから高卒で職場に就業される方々は、東京におりますと夜間の学校でいろいろ勉強されるけれども、あそこでは勉強するわけにいかないから、そこで専修学校をつくって、そこにやはり定着をしていくという方向をとってもらいたい。こういうことをしばしば続けてきまして、今度はようやくこの近くに専門学校をつくる準備ができたようでありますが、これも促進をするようにひとつお願いをして、人口の定着を進めていただかないと活性化ができない、こういうふうに思います。  そこで、昨年の三月から九月まで国際科学博覧会が筑波で開かれました。これは科学技術庁の御指導によって、国際科学博覧会協会並びに県その他のあらゆる機関の御協力をいただきまして、二千万人以上の観客があって、昨年の十一月二十九日に科学博覧会議員連盟の総会の中で、八十四億という益金の処理の問題が出ました。そのときに、この益金はどういうふうに使うんだということで、筑波科学財団の基金にしようではないか、こういうような話になっていたと思うのです。その後この活用についてはどのように進められているのか、ちょっとその辺を御説明をお願いしたいと思います。
  86. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 先生のおっしゃいましたとおり、科学万博は二千万人の入場者を得まして、大変成功したと考えております。収支につきましても、先生のおっしゃるとおり八十四億円程度の益金が得られるだろうということでございます。  それで、実は博覧会協会でいろいろ検討しているのでございますが、この益金は科学万博の開催の趣旨に照らして、科学技術に対する国民理解の向上等の事業に使うことにしたいということで、現在そういう方向で検討されております。  それで、具体的には、科学万博事業の中核施設としてつくられましたつくばエキスポセンターを活用してその記念事業を行うということで、その八十四億円はその事業を行う団体に提供するという方向で検討されております。
  87. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 一部には、そのようなつくばエキスポセンターの費用に使う、こういうふうになっております。それは結構だと思いますが、それがどういうような仕組みでいつごろ出発するのか、こういう問題が依然としてありますね。そしてその主体はどこがやるのか、そこら辺についてもう少し具体的に説明を願いたいと思います。
  88. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 以在、科学万博関係者によりまして、つくばエキスポセンターの運営を含む科学万博記念班業の実施主体として財団法人の設立ということが検討されております。これを効率的に行いますために各界の協力を得なければいかぬことは当然でございますが、その実施体制にしても柔軟な組織であることということで財団法人形式を考えておりまして、できるだけ早くこの財団法人をつくり、そして、つくばエキスポセンターは連休前に再開し、事業を開始したい、こういう日程で考えております。
  89. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 地元の人々とも十分に相談をして、その科学博覧会の跡がうまく前進するようにひとつ進めてもらいたいと思います。  そこで、次の問題はやや内容が変わりますが、筑波の研究者は、博士だけでも約二千五百名おります。その中で理学博士が八百二十名、工学博士が六百八十名、農学が四百九十名、医学が二百名、それから獣医学が五十名、文学が四十名、経済学が二十五名、それから教育学が二十名というように大変学者の多いところであります。しかも、全国の研究機関の中の約三割、そして研究者の四割が集まっているところで、研究費の問題をこれから質問するわけですが、研究費も、五十七年では千七百二十億の中で八百十五億と、約四七%が筑波に使われているという一つの紹介もあります、本当かうそかわかりませんがね。  ところが、私が現地を歩いてみますと、各研究所の中で、一人や二人が言うわけじゃない、そろって言うことは、どうも研究費が足りない、不足だ、こういうことを言いますね。せっかくあれだけの世界に誇る建物をつくり、立派なものをつくったけれども、中で研究をされる人々が、それは多ければ多いにこしたことはないが、少なくとも一定の量と質が整うような研究体制をつくってもらわなければ、これは意味がないじゃないか。お伺いすると、五十六年ごろからシーリングがあって、中で抑えられ込んでしまった。研究をシーリングでやられたのでは、これは困るんですね。一般物価が上がっているときに研究費が抑えられてしまう。それは無限に必要とは言いませんが、少なくとももう少しこの研究費のことについては考えてもらわなければいけない。今私が若干こういうことを申し上げたが、現在人当研究費が理科系で百四十四万、農学が百二十六万ですか、そうなっているということを聞いていますけれども、それが本当かうそか、実態をまずひとつ知らせてもらいたい。
  90. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 人当研究費についての御質問でございますが、国立研究所におきます人当研究費の単価は、実験系Ⅰと申しまして理工学系でございますが、これが年間百四十四万円。それから実験系のⅡと申しまして医学、農学といった生物系でございますが、これが百二十六万円。それから非実験系、実験を伴わない分野でございまして、ただしこれはコンピューターの解析を行うような分野、これを非実験系Ⅰと言っておりますが、これが九十一万円。さらに非実験系Ⅱというのが九十二万円、こういう単価になっております。
  91. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そういう単価を出した基礎というのはどういうものですか。どういう基礎でこういうことを決めたのか。例えば理科の百四十四万というのは一カ月に直せば十二万円。聞いてみると、その中には電力料金から電話からいろいろなものまで入っている、込みでやっているというのですね。一般の物価が高くなっているときにそれが抑えられる。それからこの農学系でも十二で割れば一カ月十万五千円ですよ。それでその研究を十分やれということですが、この基礎はどこにあるのですか。何を基礎にしてそういうことができたのか。
  92. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 人当研究費につきましては、その研究所で基本的に使用する経費というものにつきまして、備品費であるとか消耗品費であるとか印刷費、通信運搬費、光熱水費、そういった各種のものがございますが、そういったものを計算いたしまして、それを人当割にするというようなことで単価を算出いたしております。
  93. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これはちょっと時間がないからここだけではそんな話はできないが、その話を聞いておいて、これからまた今度は別な委員会がありますからハイテクの委員会あたりでもう少ししっかりやらないと、ここではもうあと時間も幾らもないから次の方へいきます。  もう一つ公務員に絡む問題は、公務員の一般研究費というのが、一万人について一億円という費用があるというのですが、これはそういうのがあるのですか。
  94. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 ただいまの御質問でございますが、私ども実は、国立試験研究機関の創造的な基礎的な研究を推進する必要があるということでございまして、昭和六十年度から振興調整費の中で重点基礎研究という制度をつくりまして、各研究所にそういう基礎的な研究を行うための費用を配分するということをいたしております。先生指摘の点はこの費用のことではないかと思いますが、昭和六十年度で約七億円を配分いたしておりまして、六十一年度にもこれはさらに増強したいというふうに考えております。
  95. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この点もすっきりしませんけれども、出張についても国内と外国とあるでしょう。公務員がよく言いますのは、自腹を切って出張しなければやれない、大事な会議に出れない、特に国際会議などというものは大変だ、こういう話ですけれども、これはどういうことになっていますか。
  96. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 ただいま重点基礎研究ということで重点基礎研究の費用を七億円配分いたしたということを申し上げましたけれども、その中にはただいま先生指摘がございましたような国内での学会に対する出席旅費というようなものも含んでおります。また、六十一年度はさらにそれを海外におけるこういう研究集会へも出席できるように拡大をいたしたいというふうに考えております。私ども、こういう研究機関、特に基礎研究を行っておる研究者の方が、こういう国内あるいは国際的な研究集会に出席するということは非常に重要であると考えておりますし、またそれなりの手当てをいたしたいと考えております。
  97. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 細かい数字は、時間がありませんし、わかりにくいですから、いずれ日を改めて、資料を届けて詳しい説明をしてください。また現場で話をして、私が間違えていれば訂正するし、間違えでなかったら改めて別なところでさらに効果あるような発言をさせていただきます。  次は建設省ですが、建物ができて早いのはもう二十年、ほとんど十五年を過ぎておりますね。大分傷んでいます。これは外部も傷んでいるし、内部も傷んでいる。それからさらに今度は、施設も古い施設で使えなくなったものがあれば新しくしなければならぬ。これは当然のことだ。この辺の修理に関する準備体制あるいはそういう予算措置などはどうなっているか、それについて。
  98. 塚田滋

    ○塚田説明員 私どもで実施いたしました研究施設について申し上げますと、ただいまのところ埋設管等の調査を行っており、施設の老朽実態の把握に努めているところでございます。今後は関係省庁と連携を図りながら、高度な研究施設が機能維持できますように適切な修繕のあり方を検討してまいりたいと考えております。
  99. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは同時につくったために相当な費用がかかりますよ。だから、よほど準備をしなければならない。私はこの前から大蔵省にも申し上げたのですが、特待会計でやっているわけだから、こちらに建物があって、それを売ったその金などで向こうに買うという形もある。ところが、総理官邸の横の通産省の鉱山研究所かな、あれなんか二十年ぐらいああやってほかしてあるのですね。あれはだれが見ても適当な処置だとは思えない、何に使うかわかりませんが。ともかく建物が随分むだな状態になっている。ああいうものを処理をして、その金を基金にしてその金利くらいでも修理ができるではないかという形で提案をしたら、それはだめだ、こう言うのです。座長は大蔵省出身だからそういうことについては詳しいかもしれないけれども、だめだとおっしゃるのですね。せっかくいい提案をしてもだめだとおっしゃる。建設省はどこかからその金をつかまえてこなければならない。そうすると、またシーリングで抑えられれば、あそこもだめだ、ここもだめだということになると、せっかく立派な建物をつくって、これは外国の人が見に来るのですからね。エレベーターなんかは人間は乗ってはいけない、荷物を載せるのだという話もある。人間より荷物の方が大事にされるような世の中なんだから、この辺も少し考えてもらわなければいけないのですが、これは建設省、少し金がかかりますが、どうですか。準備は、腹構えは大丈夫ですか。
  100. 塚田滋

    ○塚田説明員 予算措置につきましては関係各省庁と協力しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
  101. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そういうことだろうね。多分そういうことだろうけれども、それだけではなかなか進まないからもう少し具体的に、問題が出てくるのですからね。  もう時間がないから、長官の方にお願いしたいことが三つあるのです。     〔浜田(卓)主査代理退席、主査着席〕  その第一は、研究機関が移転しても、建物は立派だけれども中身の状況は必ずしも公務員の皆さんが満足している状態ではない。一番満足していない状態の一つが筑波の移転手当の問題なんですね。これはきのうも人事院に話をしたんですが、当初移転の促進という形で八%の移転手当を十年間続けてきましたね。それで、よそから来る人もいるから、それにはまた別な形の手当を出している。現地雇用はゼロ。こういう形になっておりまして、約一万七百二十三名というものの中で八千七百六十一名が今日は一〇%の移転手当をもらっています。百四十八名が三%の移転手当をもらっている。ところが千八百十四名はゼロですね。これは現地雇用だからゼロ。こういうようになっていて、これがことしの十二月で切れる。今研究所の所長から職員から、すべてを挙げてこの問題で頭がいっぱいなんです。  人事院の給与局の第三課長さんにきのう来てもらって話をして要請しましたが、これは国が筑波研究学園都市建設法という法律をつくってつくった都市でありますから、国の責任で少なくともこれに対する保障をしていかなくちゃならない。つまり、東京におれば一〇%の都市手当がもらえるわけですね。しかもその方々が、例えば仙台であるとか香川だとか高松だとか、そういうところへ出張すれば三年間はそれが保証される。ところが、筑波に行ったがゆえに一〇%は外され、これがゼロになるということになれば既得権の剥奪になるじゃないか、こういうことなんです。  しかも、建物が完成し、移転は全部終わった。そうすると今度は町づくりになりますと、先ほど申し上げたとおりに二十二万の人口が今は十五万であって、いろいろなところに未熟なものがある。したがって、都市の形態をまだ十分なしていないということになれば、当然ここでは費用もいろんな費用がかかるから、別な意味で筑波の学園都市の手当というものは配慮していただかなくちゃならぬ、これが大体ことしの八月ごろの人事院からの勧告で行われるであろうということであります。その手当の総額は全部で四十億と言われておりますね。その四十億の手当が入るか入らないかということはその地域の活性化に関係するし、同時にまた、これは所長から職員まで、今度は自分の懐からさらに四十億を出さなければならない、現在の給与の中から。他に給与を求めるところがありませんから、大変な支出になりますから、これはどうしても大きな政治課題として取り上げていただきたいと思います。もう一つの問題は、移転の者と理場雇用者との間には、同じ職場で同じ仕事をしていながら一〇%の差がついているわけです。こういう職場というのはだれが考えてもやりにくい。これはもう管理者からしてもぐあいが悪いし、働く者にとってみればよりおもしろくない。これは差別ですね。ひとつこれはやめてもらって、すべての職員にその手当が渡るようにしてほしい。と言うと今度は、いや既に前からいる食糧事務所や統計事務所やあるいは法務局もあるんだとおっしゃいますが、それは前からそこに勤めていたんであって、その人たちは法律によって引っ張り込まれたわけじゃないんだから、同じところにいてもあなた方はそういう発言権はないんだよ、それは主張がおかしい、こういうふうに退けているわけですね。そういう意味で、これは理論的基礎がありますから、ぜひ閣議においても処理をしていただきたいというのが第一点。  それから第二点の問題は、何といっても研究費については、これは研究のために静かなところに移ったわけですから、これが満たされるようにするためには、今の人当にしても旅費にしても、羊の他いろいろの問題についてやはり検討をしていただいて、シーリングで抑えられるということじゃなしに、それをやめてしまえということもなかなかできないでしょうが、少なくとも合理的な処置をしてほしいということであります。  それから第三番目の問題は、何といっても研究者が任期が終わっても戻らないようにするためには、どうしてもそこに今できつつある研究施設なり民間の教育施設なりそういうものをより多くつくって、あの地域が活性化をする、そして土浦と研究学園というものが国土庁の第四次総合開発計画の業務核都市になっているわけですから、それを文字どおり満たしていくような方向で努力をしていただきたいということが私のきょうの要請であり、主張なわけであります。それについてひとつお答えください。
  102. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 第一番の筑波研究学園都市移転手当について申し上げたいと思いますが、この手当は、この地域が周辺都市に比較して生活費が割高であること、それから高度な研究活動の推進に必要な人材確保のために必要だということで、科学技術庁といたしましては従来からこの手当を恒久的な手当に切りかえるべきだということで、人事院当局といろいろやってまいった経緯がございます。そういうことでございまして、本年末に現在の期限が切れるわけでございますけれども、科学技術庁といたしましては関係省庁とも連携協力し、今後とも筑波研究学園都市に勤務されている研究者の方の処遇改善に努力していきたい、こう考えております。
  103. 河野洋平

    ○河野国務大臣 今局長が御答弁申し上げましたような考えでございます。私、一言だけ申し上げれば、先生が繰り返し御指摘になりましたように、今の日本にとりまして研究を大いにやる、とりわけ基礎研究を大いにやるべし、そういう時期であり、そうでなければ二十一世紀の明るい展望は開けないというふうに私自身考えておりまして、御指摘のとおり財政状況が厳しい折ではございますけれども、各方面の理解をいただくべく全力を挙げる所存でございます。
  104. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 終わります。
  105. 大村襄治

    大村主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、小川新一郎君。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 質問に先立ち長官に一言お尋ねしたいことがございますのは、最近新聞報道で注目的な報道がされている中に、筑波学園都市の自殺率が、面積、人口、対象地域ということで見て日本一高い。学者とかその関係者に、昨年暮れから本年と相次いで自殺者が出ている。これはこの地域の特殊的な問題としてとらえた方がいいのか、そういう問題は解則できないとして放置すべき問題なのか、これは非常に大きな社会問題として注目している問題でございますので、一言まず御所感をいただきたいと思います。
  107. 河野洋平

    ○河野国務大臣 小川議員御指摘のとおり、ここ一、二年の自殺者数などが非常に多いということを聞いておりまして、非常に憂慮いたしております。  私の感想を申し上げれば、非常に人為的につくられた町だ、恐らく技術の粋を集めて計画を練り、つくられた町ではございますけれども、ともすれば昼間、オフィスアワーに重点を置いてつくられた町であって、仕事が終わった後、人間性を回復するためのいろいろな施設というようなことになりますと、そうした人為的な計画の上でそういうものができていくのはどうなのか、自然発生的にいろんなものができていかなければ、本当に心が安らぐとか住みやすいとかということにならない部分もあるいはあるのではないかというふうに考えまして、計画的につくる町、そういう計画がなお一層次の次元まで進んだ計画として練られなければならぬというふうに思います。私は、解決できない問題ではなくて、解決しなければならないし、解決できるであろうというふうに思っております。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 聡明なる長官の御答弁でございます。まさに二十一世紀を目指してつくられた日本の最新科学の、また技術のそういった都市構造の中で、将来有能な、また現在有能な、また必要とする学者の多発した自殺問題は何が原因なのか我々が非常に興味を持っているところでございますが、ただ興味とか注目だけでは済まされないものが何らか都市構造的な中にあるのではないか。これこそ科学が解明し、バイオテクノロジーの発達している今日、科学的生命論という問題の中で長官にぜひとも解明の糸口をつかんでいただき、こういう憂慮すべき事態が続発しないようお願いして、御決意を一言だけお願いします。
  109. 河野洋平

    ○河野国務大臣 都市工学を初めとしてさまざまな分野で研究が進められていると思います。私もそうした分野に関心を持っている部類の人間でございますから、これから先も大いに関心を持ち続けて、立場上我々が力を出し得る場面があれば大いに力を出したい、こう考えております。
  110. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 では本題に移らしていただきますが、通告順に従って、静止気象衛星「ひまわり」の開発についてお尋ねいたします。  宇宙開発という問題は、好むと好まざるとによらず、当面の問題、未来の問題として、私たちはこれを注目し活用していかなければならぬと思います。そこで、衛星の中には種類がたくさんあると思いますが、気象衛星、通信衛星、放送衛星、こういった問題がたくさんあると思います。今非常に世間的に言われておるSDI、米国宇宙戦略構想なるもの、こういう問題とは全く切り離して、わずかな時間でございますから平和的な問題に絞ってまいりますので、お願いをいたしたいと思います。  気象衛星の「ひまわり」が問題でございますが、通信衛星には予備衛星があるほか、さらに光ケーブル等の地上代替手段もございます。この間もこの衛星が故障したわけでございますが、「ひまわり」、要するに気象衛星という問題は通信衛星よりも価値的に劣っているのか、我々が必要としていないのかという点を見ますと、この「ひまわり」が故障しますと、テレビで毎日放送されております天気予報の雲写真もなくなるし、台風や集中豪雨等の状況も正確に把握が行えないし、防災上及び社会経済上大きな問題が起こるだけではなく、国際協力的な宇宙の気象観測という問題も、我が国の果たす役割の中で欠陥が生じてまいることはもう御存じのとおりでございます。  アメリカの気象衛星ゴーズや欧州のメテオサットも、地上にもいろいろな予備衛星を持ち、また宇宙にも予備衛星を持って、三つ一つの仕組みになってやっているわけでございますが。なぜ我が国の「ひまわり」にはそういう三つ一組となるような万全体制を組み得ないのか。これは予算上の問題なのか技術的な問題なのか、政治的な配慮によるものなのか、この辺ひとつお願いいたします。
  111. 新田尚

    ○新田説明員 お答え申し上げます。  気象衛星の打ち上げには、御案内のように極めて多額の経費を要求するわけでございますが、近年の厳しい財政状況のもとにおきまして、均衡のとれました気象業務の発展を図る必要があると考えております。一方、静止衛星に関する技術につきましては、諸外国の状況を見ましてもなお改善すべき点が種々ございますところから、間隔を置きまして随時改良を加えつつ次の衛星を打ち上げまして、不測の事態に対して相互に補完しつつ運用することが適当だと判断しております。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、この予備衛星、また地上における予備衛星、そして実用衛星としての本体、この三つ一組になっております諸外国の例、またこの間故障いたしましたこういった問題について、これは何衛星でございましたか、気象衛星だと思いますが、そういった問題の中で、過去の故障したというそういった実例、こういうものを踏まえて、今後改善はできないのですか。  それから予算の面で、例えば通信衛星などはその六〇%が科学技術庁または国が出す予算でございますけれども、残り四〇%、これはどっちが四割で六割が、私間違っていたらお許しいただきたいのですが、受益者の負担によるところの放送、通信衛星を利用している利用者ですね、利用者のそういった料金の中から予算が賄われているとも聞いております。  ところが、この気象衛星だけは全くの国家の予算だけでやっているから、こういう予算上の問題で、三つ一組というような、地上にも置く、宇宙にも予備を置くというようなぜいたくな万全体制ですけれども、そういう余裕がないんだということであるならば、この辺こそ二十一世紀の問題解明のためにも、科学技術庁として――これはまことに失礼な言い方かもしれませんが、私が理事をやっていたころにいつも問題になるのは、科学技術庁は二流、三流の省庁であるなどということが言われておった。ところが、この間亡くなった前の長官、中川長官が就任してから非常にレベルアップしてイメージも高くなったということも聞いておりますが、そんな問題だけではなくて、この問題こそ、科学技術庁が今回一流中の一流の省庁になる、またそれだけの力を備えなければならないためにも、この気象衛星の仕組みの解明というものを大臣の御決意の中でどうあらわしていただいたらよいか、お尋ねいたします。
  113. 河野洋平

    ○河野国務大臣 小川議員が気象衛星について非常に御関心を持っていらっしゃることに敬意を表したいと思います。  御指摘のとおり、気象衛星は多くの国民に的確な気象状況を示す非常に重要な意味を持った衛星でございます。この気象衛星から送られるデータというものは非常に重要でございますだけに、欠けることがない方がいいわけでございますから、二重、三重の予備を持つということがいいということは小川議員の御指摘のとおりだと思います。しかし、我が国におきましては、先ほど気象庁からも御答弁がございましたように、地上に予備機があって、もし一たん何かの事故でもあれば直ちに地上からそれをカバーするというような準備もございまして、三つそろえて万全の体制をとるという例も御指摘のとおり外国にはございますけれども、やり方はいろいろなやり方があるわけで、必ずしも三つで万全の体制をとっている国ばかりではないわけでございまして、現在私どもは、今やっております方法で十分カバーができるというふうに考えているわけでございます。  議員御指摘のとおり財政上の問題もあるだろう。この時点でそういうことができないのは、ただ単に財政上の問題だけではないかというふうにも御指摘がございましたけれども、もちろんそうした問題も全くないわけではございませんが、必ずしもそれだけの問題ではなくて、仕組みの問題からいって、私どもは今の仕組みでカバーできるというふうに技術陣は考えているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私は、少なくとも地上に置くこと以外に予備衛星を上げるべきではないかと思っておる一人でございますが、予備衛星の打ち上げは、我が国のロケット打ち上げ計画から困難であるという説明が過去になされたことがございます。そういう場合におきましては外国に委託してもよろしいし、現在五百五十キログラムが衛星を打ち上げる最大の力のあるロケットでございますが、これをさらに次の段階、二トン衛星を打ち上げるロケットの開発が今三菱等々で相当進んでいるということを聞いております。この状況をちょっと御説明いただくとともに、この新しい衛星打ち上げ計画の中で、日本としてはそういう予備衛星の問題、通信衛星はもう予備衛星上がっておりますね。  大臣、誤解されると困るのは、衛星には三種類あると先ほど申しました。なぜ気象衛星だけ予備衛星が上がってないんだということをぼくは言っているわけです。それはさっき言ったような予算の仕組みが違う、それから通信や他の衛星よりも気象衛星がその価値、ニーズが劣っているんだったら、一発でいいという発想があるかもしれない。ほかに上げておきながら、なぜ気象衛星だけ上げないのだ。だから今、私は予算の問題なのか、ロケット打ち上げ計画にそういうものがないのか、また技術的にもっと大きなものを上げるための開発をなすためのロケットの開発がおくれているから衛星本体を上げることができないのか、こういう三段の仕組みの中で質問しているわけなんですよ。ぼくはお金のこともさることながら、それができないならば、外国に頼んだって上げられるではないか、こういうことですね。
  115. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 ただいまの地上におきます予備衛星の打ち上げの問題でございますが、衛星の打ち上げにつきましては、宇宙開発委員会で調整をとりながらこれを実施しておるということでございまして、確かに先生指摘のように打ち上げ計画というのは、年に二回の打ち上げというのはかなり既に詰まっておるわけでございます。しかしながら、例えば「ひまわり」がどうも調子が悪いというような場合には、緊急にそれは見直しをして、必要なものを先に打ち上げる、こういうことで考えるというふうにいたしたいと思っておりますし、またそういうようなことで運用もされておるというふうに考えております。
  116. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 日本の宇宙開発のこういったロケットや衛星の技術というものは、非常に進んでまいりました。だから、なるたけならば故障がないように願うのですが、現実には故障が起きることは当然でございますから、それで先ほどからお尋ねしているわけでございます。  そこで、今のお話だと、どうも上げないような上げるような、余りはっきりしないので結論が出ないのですが、そうすると当面の間は一発だけでお茶を濁すということは、非常に非常識でございますけれども、我が国の衛星状況の中では「ひまわり」の気象衛星は一発だけと、こうはっきりさせていいのですか。
  117. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 自前と申しますか、現在先生御承知のように気象衛星、ヨーロッパのもの、アメリカのもの、そして日本のもの、一つずつ上がっておりまして、これで世界をカバーしておるわけでございます。それで、各国とも予備衛星というものは、軌道予備というものは特に考えておりませんで、日本と同じように、もしトラブルがあったらすぐ次を打つ、こういうような体制にしておりまして、我が国もそういうようなことで考えております。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 次に移りたいと思います。  技術試験衛星ETSについてお尋ねしたいのですが、そもそも我が国が宇宙開発事業団を設立した目的は、国の安全保障のために、また宇宙の高度な技術の研究開発能力を維持発展し、これによって民間産業の振興、活力の維持を図ることとなっておりますが、特に軍隊を持たない我が国では、自主的高度技術の保有は極めて重要ではなかろうかと私は考えている次第でございます。したがって、採算ベースに乗った技術は可及的速やかに民間に移管し、国は民間ができない国家の安全、公共の福祉、国際協力、リスクを伴う革新技術の研究開発等に専心すべきであり、このような目的のために技術試験衛星を活用すべきではないかということを訴えたいのでございます。  すなわち、国は実用衛星については民間に任せ、周辺環境、例えば規制の緩和、助成手続の簡素化、共同試験設備の設置等の整備を行い、技術試験衛星による高度技術の研究開発能力の維持発展こそが本来の国の任務であると私は思っております。聞くところによりますと、宇宙開発事業団ではETS―Ⅵ以降の技術試験計画が全くないということを聞いておりますが、これは事実なんですか。  それともう一つ、この技術試験衛星研究のために、もうそこまでは必要がないんだ、それ以後のこういう衛星は上げる必要がなくなった、こう理解してよろしいのか、それとも私の理解度が間違っているのか、この点、明確にしていただきたいのでございます。
  119. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 ただいま先生指摘のように、宇宙開発事業団におきましては、技術開発を行う衛星バス等の基本技術を確立するための技術試験衛星と、さらに通信衛星、放送衛星、気象衛星等、実利用とあわせてその技術を開発する衛星とあるわけでございます。  それで、その技術試験衛星についてどう考えるかということでございますけれども、私ども技術試験衛星というのは、衛星の技術開発に当たっては、宇宙空間における実験実施を行うための技術試験衛星の役割というのは非常に重要であるし、今後ともその開発には力を入れていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。具体的にどういう計画を進めておるかということでございますが、先生指摘のように、ETS―Ⅰから始めまして現在まで四つの衛星が打ち上げられておるわけでございますが、現在開発を手がけておりますのはETS―Ⅴ、技術試験衛星の五型というものでございます。五型と大型でございまして、五型につきましては静止三軸衛星の基盤技術の確立、航空機の洋上管制等の実験を目的としたものでございまして、六十二年度、来年の夏に打ち上げるということで現在開発を進めておるところでございます。  さらに、一九九〇年代における多性能実用衛星開発に必要な二トン級の静止三軸衛星の技術開発を行うということ、さらには高度の通信衛星等の技術開発をあわせ行うという技術試験衛星の大型を昭和六十七年度に打ち上げるということを目標といたしまして、六十一年度から研究開発を始めるということにいたしております。このETS―Ⅵ、技術試験衛星大型の開発によりまして、我が国の衛星バスというか衛星本体の技術でございますが、これは国際的なレベルに達するというふうに考えております。
  120. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そこで、それに伴うロケットの開発状況というものは、今のあなたの言った打ち上げシリーズ、技術衛星打ち上げシリーズに、例えば年二機ETSを上げるような場合、または二トン以上の大型衛星を打ち上げる試験をする場合、ロケットの方は十分間に合っているのですか。
  121. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 衛星の開発でございますが、先生指摘のように、現在NⅡというロケットで打ち上げを行っておりまして、これは静止軌道に三百五十キロ程度のものを打ち上げることができるということでございます。それに引き続きましてHI型のロケットを開発し、これはほぼ完成しておりまして、この夏に試験機の打ち上げをするというふうに考えております。  さらに、現在二トン級の静止衛星を打ち上げられるHⅡ、先ほど先生指摘ございました、国際的にも非常に優秀なロケットでございまして、六十一年度から本格的な開発に入る、現在研究を進めておるものでございますが、これは六十六年度に初めての試験打ち上げをするというスケジュールでございまして、六十七年度には先ほどの技術試験衛星大型をこれに乗せて打つ、こういう計画でございます。
  122. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 六十七年度以降の計画は今のところないということですか。六十七年に二トンというものが上がりますが、それで大体もう技術試験衛星は打ちどめですか。
  123. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 技術というのは常に進歩しておりますから、今後の技術の進展を見ながら、当面Ⅵ型に精力を集中して実施するわけでございますが、さらに新しい技術試験衛星が必要だということになりましたら、またその段階でこれを考えたいと思っております。
  124. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 最後の質問でございますが、実は時間がございませんので宇宙基地の問題は省かせていただきますが、「科学技術庁資源調査報告第九十九号 政府資金による研究成果の取扱いとその有効利用に関する調査報告」、これは河野洋平科学技術庁長官あてに資源調査会会長久良知章悟先生から出されたものでございますが、私、この中で一問だけどうしても聞いておきたいのは、長官はこの報告書を読んだ御感想がおありだと思いますけれども、それがまず一点。  それから、政府資金による国立研究機関等の研究開発の中から創造的、革新的なすぐれた成果が生まれ、産業界等で活用されている例も少なくありませんが、成果の積極的活用のためにいまだ多くの課題が残されているところであるが、具体的にはどのような認識をしていらっしゃるかということでございます。それが二点目の質問になります。  そしてこの中の「記」というところに、「国の受託研究の成果に係る特許権等については、」要するに国の税金で多くの学者によって研究され、開発された特許権については「これまでの国への権利の帰属の取扱いを改め、民間委託者に権利を帰属させることが必要である。」これは大変な問題だと思います。今までは国の税金でやり、国の機関でやり、国の組織によって動員をかけてそういった調査をし、研究をした成果が特許となってあらわれた、だからこれは国の帰属の特許権だ。ところが、こういうことをいつまでもやっていることはいかがなものかということで、今度は、民間委託者に権利を帰属させて、国の権利を共有することができる。ただし国の研究者も成果への創造的貢献を考慮する必要がある。これは二つの理論があるわけでございます。所有理論と実施許諾理論、御存じのとおりそういった問題がございますが、この辺のところ、どのように解明なさるのでございましょうか。時間がございませんので、これで終わらせていただきます。
  125. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 この調査会の報告は、政府資金による研究成果を公益増進のために重要な資源ととらえまして、現状、問題点、今後の課題等を明らかにしたものでございます。  この調査におきまして提言が五つほどされているわけでございますけれども先生最後におっしゃいました、委託研究における特許権の帰属の問題につきましては、この調査会で、先生おっしゃいました所有理論また実施許諾理論、この二つの理論があり得るということで、国の持っております公益性の担保ということと、研究をされた民間企業、民間側へのインセンティブの付与、このどちらをどうするかということの議論がございまして、先生おっしゃいましたとおりの報告になっているのでございます。本件につきましては、かねてより科学技術会議におきましてもいろいろ議論されておりまして、我々としてはこの線に沿って実現に持っていきたいと考えている次第でございます。  なお、昨年秋でございますけれども、予算決算令が一部改正されまして、委託研究等によって生じました特許権につきましては、随意契約によって委託企業に有償譲渡できるという道ができておりまして、特許権の共有は可能になっております。科学技術庁といたしましては、この資源調査会の提言に対しまして、五つの項目につきまして、できるだけ早く実現するように努力してまいりたいと考えております。
  126. 河野洋平

    ○河野国務大臣 研究の成果を民間の場で生かしてもらうということがなければならぬと私も考えておりまして、資源調査会を初めとするさまざまな場所でいかに研究の成果を生かして使うかということでさまざまな議論が行われて、その議論が集約されて私のところに出てきたわけでございまして、私もこの考え方に沿って進みたいと思っております。  いずれにいたしましても、その研究の成果がどこか引き出しに入ったままであってはならぬと思いますし、あるいはその研究の成果が使えない、使いにくいということでは意味のないことでございますから、成果ができるだけ生かして使われるようにしむけていきたいと思っております。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 その特許権の問題と帰属の問題については一部民間が、民間は利益を追求しますから、これはまた競争になったり問題が出てきたり、要するに今までは国で研究した特許とか、いろいろなそういった成果を民間に移すことに私はやぶさかでないのですけれども、これを一部の権力とか、不正な手段によって、国の取った税金によって、多くの国民の資金の投入された研究機関の成果が、利益を追求する企業に無秩序に渡されていくということが反対論理の中にあるわけですから、そこに贈収賄やおかしな金銭的な不正手段による取得がもし行われることがあれば、日本の技術者としてまた科学者としての研究のモラルの点も問われますので、十分なる御注意をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  128. 大村襄治

    大村主査 これにて小川新一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、日笠勝之君。
  129. 日笠勝之

    日笠分科員 お昼前は私が最後だそうでございますから、もうしばらくおつき合いをお願いしたいと思います。  長官は昨年御就任されてから精力的に科学技術に関する各種施設を御視察になられ、まさに科学技術立国日本にふさわしい長官であると私は心から敬意を表する次第でございます。  そこで、まず長官にお伺いしたいわけでございます。アメリカのいわゆる戦略防衛構想、SDIでございますが、これは、日本の独自に開発した技術も、今後アメリカと一緒に研究開発参加ということも可能なわけでございます。科学技術振興費等々でいろいろな助成をしてきたり委託をしてきたり、そういうものも含まれる可能性もあるわけでございます。長官にまずこのSDIの参加ということについての個人的な御見解でも結構ですから、お伺いしたいと思います。
  130. 河野洋平

    ○河野国務大臣 SDI問題については、中曽根首相を初めとして各閣僚がたびたび御答弁申し上げておりますように、そのものが非核であり専ら防御的なものであり、究極的に核廃絶に向けて意味のあるものだということを前提に置いてその研究に理解をし、我々も十分調査をしようということで過去二回調査団が派遣をされておりまして、さらに三回目の調査団を派遣しようという御意思を総理を初めお持ちだと聞いております。私も、この問題については十分に調査する必要がある、科学技術の側面というものがこの問題には相当重要でございますから、過去二回科学技術庁からも調査団に加わって調査に参りましたけれども、もし三回目の調査団が出るということになれば、科学技術庁としてもその調査団に加わって参加をした方がいいというふうに私自身考えております。  アメリカにおきますこのSDIが科学技術を引っ張っていく役割を果たすであろうということはだれでも考えているようでございまして、とりわけヨーロッパは非常にその点に関心を持っているようでございますが、私どもとしては、まだまだ、どういうふうにかかわっていくのかということをもっと調べてみる必要があるというふうに思っております。
  131. 日笠勝之

    日笠分科員 慎重な対応が望まれるわけでございますので、どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。  次は、私の地元の問題ということになります。局所的な、地方的な、ローカルな問題かもしれませんけれども、高レベル放射性廃棄物の処理ということにつきましては大変に大きな問題でございます。口さがない人に言わせると、今の日本の原子力行政は、マンションをつくってもトイレをつくってない、このようにも言われておるようでございますが、私どもも科学技術庁を中心とする皆様方の御努力については本当に敬意を表しておるわけでございます。  私がこれからお伺いしますのは、高レベル放射性廃棄物の貯蔵、処理ということでございますが、これは、既に四段階に分けてやるということは決定済みでございます。第一段階は有効な地層の選定、これは既に終了しております。今は第二段階でございまして、処分予定地の選定に入っておるわけでございます。今後十年間くらいで予定地を選定しよう、こういう動きでございます。将来は、第三段階として模擬固化体による処分技術の実証。そして第四段階としましては、実際に固化体の処分、こういう順を、プロセスを追っていくわけでございます。今、この第二段階に入っておるわけでございますが、第一段階の有効な地層の選定ということ、これはどういうふうな結果が出ましたでしょうか。まず、お伺いしたいと思います。
  132. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  有効な地層というものにつきましては、現在までの成果で、特定の固有岩でなければいけない、こういうことではございませんで、専門部会の報告書にもございますが、固まっていない未固結岩、こういいますが、未固結岩などのような明らかに適性に劣るものは別といたしまして、岩石の種類を特定することなく、むしろ広く考え得るものであるということが明らかになっております。すなわち、同一種類の岩石におきましても、これが存在します地質条件によって地層処分に対する適性にはかなりの差が認められるわけでございますので、岩石の種類を特定するのではなくて、むしろその地質条件に対応して必要な人工的なバリアを設ける等、そういったようなことで、全体的な地層処分システムとしての安全性が確保できる見通しが得られたということでございます。
  133. 日笠勝之

    日笠分科員 どこまで選定が進んだかということでございますが、結論的にはいかなる岩石でもいい、こういうことですね。玄武岩でも花崗岩でも石灰岩でもよかろうということだそうですね。  今第二段階に入っておるわけでございますが、例えば、第一段階の作業が終わって具体的にどういう地域、地層じゃなくて地域ですね、どういう地域が今のところ考えられるのか。そういうところまではまだ行っていないんでしょうか。
  134. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先生指摘のように、第二段階の調査といたしまして、これから処分地の候補地を選定していくという段階でございます。それを広域調査という段階を経て絞っていくわけでございますが、現在まで動燃事業団の中でいろいろ全国各地を文献調査等において調べておりまして、いまだに特定候補地、どことどこという形にまでは至っておりません。
  135. 日笠勝之

    日笠分科員 ところで、これは電気タイムスという業界の新聞社でございますが、「エネルギー  動静」という業界紙を発行しております。昨年の六月二十八日でございましたか八月二十八日でございましたか、こういう記事が出ております。「高レベルは岡山県・哲多に」、哲多町というところでございますが、「政府・産業界首脳、建設の腹固める」。内容をちょっと読んでみますと、「高レベルは岡山県・哲多に」という見出してございますけれども、   政府・電力界をはじめとするわが国原子力界首脳はこのほど、原子力発電所の使用済み燃料を再処理することによって出てくる高レベル放射性廃棄物の処分サイトを、岡山県、新見市近邦の哲多地区とすることを固めた。原子力環境整備センターの調査結果を受けて判断したもので、原子力開発推進上、唯一、未整備のままになっていた放射性廃棄物は、この国の方針が固ったことから、青森県・六ケ所村の低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設とともに、燃料サイクルの輪は完備することになる。 こういうふうな記事で、政府首脳が産業界首脳と同時に腹を固めたとあります、  この辺の内容ですが、どのように考えられておりますか。このとおりでいいのでしょうか。
  136. 中村守孝

    中村(守)政府委員 ただいま先生が読み上げられました記事を私どもも承知いたしております。内容的に全く我々の関知しない、びっくりするような内容でございまして、私ども一切、哲多町をそういう候補地としてでも今までどうこうしたということは全くございません。
  137. 日笠勝之

    日笠分科員 では、この哲多町について、ここから先も考えたこともない、こういうことでしょうか。それとも、地層的には非常にいいんだそうですね。そういうことも含めてまあ全般的にはいいんだけれどもというふうな、地層的にはいいんだ、そういうふうな認識ですか。どういうことでしょうか。
  138. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  哲多町につきましては、私ども承知しておりますのは、地元の方々が何かここにも原子力施設を誘致したいというようなことで、一部の方からお話があって、東海の再処理施設等を御視察なさるというようなことがあったやに聞いておりますが、そもそも私どもが承知しておるのは、哲多町は水がなかなか出ないところだそうでございまして、水が出ないということは、地層の下の方に水がないということは、廃棄物の処分という点からは一つの有力な条件でございます。しかしながら、私どもは地元の方々からそういうお話を承っておりますが、だからここを候補地にするとかいうようなことで決定したとか、具体的に検討したとか、そういう段階ではございません。
  139. 日笠勝之

    日笠分科員 今のお話を聞きますと、地元の方からということですが、私どもが聞いている範囲では、御存じのように原子力産業会議がございますね。あの原子力産業会議の幹部の方が地元に接触をして、そしていろいろと話し合った上、東海村の方にも視察をするのにいろいろ便宜を図った。ですから向こうから、地元の哲多町から誘致したいのじゃなくて、原子力産業会議さんのある幹部の方からこの話は持ちかけられたと聞いておりますが、その辺の事実はどうでしょうか。
  140. 中村守孝

    中村(守)政府委員 少なくとも私どもは地元から直接のお話を承ったことはないわけでございますが、今先生指摘のような、原子力産業会議と地元との間でお話し合いがあったということでございまして、そもそものきっかけがどういうことであったかまでは私は承知しておりませんが、東海村の視察をする等については、原産会議の方がごあっせんをしたということは承知をしております。
  141. 日笠勝之

    日笠分科員 これの事実関係を一度はっきりと、地元から誘致したいと言ってきたのか、こちらから――こちらというのは原子力産業会議のことですが、話しかけられたのか。この辺はどっちですか局長、いわゆるもともとの出だしは。向こうから誘致をしたいからと言ってきたのか、こちらから話をかけたのか、まずその一番初め、卵が先か鶏が先かになりますけれども
  142. 中村守孝

    中村(守)政府委員 そこを厳密に詰めたことはございませんので、私の口からどっちがどうということは申し上げられませんが、地元の方から一般に原産会議の方にはいろいろ原子力関係の情報を求められるということがございますから、その間でのお話し合いがあったのではないかと思います。
  143. 日笠勝之

    日笠分科員 ですからもう一度聞きます。簡単なんですよ。地元から誘致をしたいという希望があって原子力産業会議が動いたのか。原子力産業会議の方が、今おっしゃいましたね、地下水がない、非常に候補地として適地だ、そのように数ある中の一つであるということからどうかということで話しかけたのか。ですから卵が先か鶏が先かの議論です。どっちが先ですか。
  144. 中村守孝

    中村(守)政府委員 私は承知しておりませんので勝手なお答えを申すわけにはまいりませんが、原産会議が網を広げてそういういろんな具体的な地点の調査をしているということは少なくともございませんので、そこら辺の事情からというと原産の方から持ちかけたという形にはちょっと思われないのでございます。これは推測でございますので御了承いただきたいと思います。
  145. 日笠勝之

    日笠分科員 そうしますと、実は地元には御存じのように動燃さんの人形峠があります。今、六十三年稼働予定の原型プラントの工事の方も着実に進んでおります。そういうもろもろのことがございまして、私はこれから時間の許す限り、一つ一つ地元にわだかまっておりますおりのようなものを取り除いていくためにも明確にしていきたいと思います。  まず一点は、動燃さんの商業プラントも、将来岡山県としても誘致を考えておるようでございます。これは電事連さんの関係ですから、科技庁関係ないのかもしれませんけれども、まあ原子力行政の一環ということで。  地元がまず一つ心配しているのは、これは大プロジェクトでございますので過疎対策にもなるわけでございますが、この商業プラントと抱き合わせで、いわゆる濃縮の方は安全性というのが非常に確立されておりますので、それと同時に、では高レベルの方も岡山県で何とかと、こういう抱き合わせで今後依頼されるのではないかということがまず大きな心配なんです。この点はどうなんでしょう。
  146. 中村守孝

    中村(守)政府委員 現在、商業プラントにつきましては、青森県の下北に具体的な建設計画が進められておるわけでございまして、その先の増設をどこにするかということも含めましてまだ未定の段階でございますので、その施設をどこにつくって何と抱き合わせとか、そういったことは今のところ全くの白紙でございます。
  147. 日笠勝之

    日笠分科員 それでは白紙で結構ですが、もし西日本一カ所、東日本一カ所ということで六カ所村に商業プラントができる、西日本にどこかつくる場合、その場合も岡山県と限りませんけれども、商業プラントと高レベル放射性廃棄物の処理とを抱き合わせでお願いするということはあり得るのですか、それはもう全然ない、別個に考えているのですか。
  148. 中村守孝

    中村(守)政府委員 将来のことでもございますし、具体的に商業プラントを建設するのは民間の電力会社を中心とするものでございますので、私どもからどうこうするということを申し上げることもできませんし、国の方針としてどうかということを聞かれましても、現在の段階でその問題についてはまだまだ先の話ということでございまして、お答えし得る状況にはございません。
  149. 日笠勝之

    日笠分科員 もう一つわだかまっておる問題でございますが、これは私が申し上げました哲多町の隣の町、備中町と成羽町という町がございます。そこに鉱山の廃坑がございますが、実はここで財団法人の原子力環境整備センターさんが、低レベルの放射性廃棄物地下保存の適性試験というものを過去行っておるわけでございます。そういうことからも、近くで試験もされた、ですからこの哲多町に来るのではないか、こういう推測が起こるわけでございますけれども、この原子力環境整備センターさんがやられた実験、試験と、この哲多町の高レベルの処分地と云々され、今言われておるわけですが、これとは全然関係はない、全く関係ない、このようにとっていいのでしょうか。
  150. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  一口で申しまして、全く関係ございません。
  151. 日笠勝之

    日笠分科員 全く関係ないわけですね。わかりました。  それともう一つ、先ほどの哲多町の件でございますが、地層的には非常にいい岩石の層だ、地下水も少ない。しかしながら、これはちょっと岡山の北の方にございまして、港が瀬戸内海としますと、そこから、もし哲多町に決まったとしてですよ、運ぶ場合、相当の距離を内陸部でございますから運ばなきゃいけない、こういうふうなことがあるわけです。将来、どこへつくるかわかりませんけれども、この高レベル放射性廃棄物処理場をどこかへつくるという場合は、極力港に近い方がいいんだとか、また内陸部の方は、この運送の場合何十キロも入っていくということは適当でない、こういうことも言われておりますが、その点はどうなんでしょう。いわゆる候補地として内陸部というのは適地なのか適地でないのかということです。
  152. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  立地条件につきましてはいろいろな要素がございますのでなかなか一口に申せませんが、ただ、海との距離においてどうか、その一点だけで比較いたしますと、これは、ガラス固化体等は海路で輸送されるという、大量といいますか、陸上を延々とやってくるよりもその方がよろしいわけでございますので、そういう意味では、近くの港からそう長い距離でなくやれるようなところがあればそれは望ましいということ、絶対的条件ではございませんが、それが望ましいということでございます。
  153. 日笠勝之

    日笠分科員 そうしますと、今のことを全部ここでまとめてみますと、この岡山県哲多町に政府首脳と原子力産業界の首脳が決めた、腹を固めたというこの電気タイムス社の「エネルギー 動静」とか、またその前、去年五月二十三日に出ております土木通信社の「プロジェクト・ウイークリー」、ともに出ておるわけですけれども、これは全くのガセネタであった、こう断言してよろしいのでしょうか。
  154. 中村守孝

    中村(守)政府委員 哲多町の問題について、産業界はいざ知らず、少なくとも政府首脳は全く関与いたしておりません。
  155. 日笠勝之

    日笠分科員 産業界はわからないというのは、産業界はそういう動きがあるということですか。局長の知っている限りでは産業界もそういうふうな意向はない、こういうことでしょうか。
  156. 中村守孝

    中村(守)政府委員 ちょっとお答えの仕方が先生を惑わすような言い方をして恐縮でございます。産業界首脳においてもそういう意向があるということは承知しておりません。
  157. 日笠勝之

    日笠分科員 大体浮き彫りになってまいりました。私は賛成とか反対を言う立場じゃなくて、きょうは科学技術庁の、いわゆる国の原子力行政の特に一番の問題であるこの高レベル放射性廃棄物の処理についての御見解をお聞きしたわけでございます。  長官、今の論議を聞いておられまして、この高レベル放射性廃棄物の施設、これは非常に難しい問題があります。後ほど時間があれば海洋投棄の件もお話ししますけれども、この高レベル放射性廃棄物の貯蔵、処理、北海道の幌延の方も、貯蔵工学センター、これも大分難航しておるようでございます。これは貯蔵だけでもこれだけ難航するわけですから、いよいよこの処理処分、これはもう大変な大きな関心を国民の皆さん持っておると思います。  一昨年でございましたか、総理府の世論調査が出ておりまして、原子力発電については、エネルギー事情いろいろあるのでいたし方ないというのが約五〇%ございましたね。ですから、国民の半分の方は原子力発電もいたし方ないと容認をしてくださっておるわけです。しかしその次の、じゃ安全性に対して不安を持つかどうかというと、不安を持つという方が七〇%なんですね。これは総理府の統計ですからうそも隠しもないわけです。ということは、やはり日本の火力だとか石炭だとかいうものについてはどうせ向こうから買わなきゃいけない、しかし、原子力の場合は一貫した輪、サイクルができるわけです。自前のエネルギーができるわけですので、そういう意味からしますと、一番問題になってくるのは最後のこの廃棄物ですね。長官、どうでしょうか、この辺を科学技術庁としては今後どう進めていこう、また、国民の皆さんの理解を得ながら進めていこう、こういう御決意、御見解を。
  158. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先生おっしゃるように、原子力利用開発を考える上で、最終処理がきちっとできなければこの問題は進まないというのは、もうそのとおりでございます。したがいまして、この処理処分につきまして十分に入念な対策をとらなければならぬと思っております。  先ほど来、哲多町その他の特定の場所を指してのいろいろ御議論がございましたけれども、まず立地に当たりましては、まだ相当な時間をかけてやるべきものでございまして、今の段階で決めたとか決まったとか、ここだとかという議論は私は全く承知をいたしておりませんし、まだまだ時間をかけて考えていいというふうに思っております。現状では、その貯蔵工学センターの問題をまず私どもは実現を見て、そこでなお時間をかけて最終的な処理、処分の問題も結論を出していくという順番がございますから、その点もぜひ御理解をいただきたい。  何よりも、先生が原子力発電について御理解をいただいておるということに敬意を表しますが、と同時に、御心配をいただいておりますように総理府の世論調査の結果などを見ますと、多くの方々が原子力発電については大分理解が出てきた、しかし、その一方で心配もある、こういう調査結果と承知しておりますが、もちろん私どもは何をおいても安全であるということが一番大事なことでございますから、この安全性の確保に最大の努力をしたい、こう考えております。  あちこちに原子力発電所の数もふえてまいりましたので、周辺の方々からは一般的に何となく不安だという気分をお持ちの方も多うございます。そうした方々にもできるだけ御理解をいただくための努力をしなければいけない、あるいはPR活動その他もっともっとやれる部分があるのじゃないかという御指摘もいただいておりますから、この点にも十分意を注いでまいったい、こう考えております。
  159. 日笠勝之

    日笠分科員 そこで、今PRの件、私も昨年のこの分科会で岡山県の人形峠に第二PR館ということで非常に善処をしていただきまして、これは感謝申し上げております。聞きますと、東京都内に余りないのですね。原子力発電所とか濃縮工場の隣には立派なPR館がございますけれども、東京都内、科学技術館に少しあるのですが、もう少し充実した、ウランの製錬から転換から濃縮、ずっと最後の高レベル廃棄物の処理に至るまでの、やはり子供さんが見ても、大人と一緒に親子で行っても理解できるようなもの、七〇%の方が不安がっておられるわけです。大東京にそういう立派なものがないわけですね。この点、長官どうでしょうかね、将来的にはそういうことを皆さんに御理解いただけるような施設なり、展示場なり、また附属物でも結構ですから。東京電力さんが電力館をつくっていますけれども、これは民間でございますから、民間に安全性を任せるというわけにいかないわけですから、この点長官どうでしょうか、将来的な展望で。
  160. 河野洋平

    ○河野国務大臣 今申し上げましたように、PRの重要性ということは私どももかねてから考えておりまして、できる限りPRの場を得たいと思っております。  一般的に言いまして、民間に任せるというのは、それだけでは十分でないと思いますし、私ども国の責任というものもございますが、強いて申し上げれば、民間がとてもPRをしてくれないような地域、言ってみれば少し地方とかそういうところで、特にこの問題についてより多くの理解をいただきたいというところを優先してPRの対象にしておるわけでございます。  東京のように民間を初めとしてかなりの量の情報が、これはプラスの情報もマイナスの情報もございますが、相当な情報量と、民間の催し物を初めとするさまざまな企画がある場所でございますだけに、主として地方、そういったところに国の役割はより重いかなという感じは多少ございます。しかし、先生の御指摘十分研究をさせていただきたい、こう考えております。
  161. 日笠勝之

    日笠分科員 では最後に、本当に時間がございません。海洋投棄のことにつきましてずっと流れを追ってみますと、六十年一月には中曽根総理が豪州初め大洋州の四カ国を訪問し、海洋投棄については一応強行しない、こういうようにはっきりと言明されておりますし、その後ロンドン条約の件であるとか、アメリカも新聞報道によりますと、いわゆる海洋投棄については、今後南太平洋地域の天然資源・環境保護協定というものを結ぼうということ、こうなってきますと、いろいろ国際的な意味におきまして海洋投棄はますます難しくなってきた。予算の方も、海洋投棄に関する費用は、六十年度から比べますと六十一年度は半分に減っていますね。  新聞によりますと、長官も、二月の末に北マリアナ連邦の市民団体から、七万二千人の要望書を添えて永久に投棄計画を放棄してもらいたい、こういう陳情があったということで、私の在任中はやらない、こういうふうにおっしゃったそうでございますが、実際この海洋投棄、どうなんでしょう、陸地処分という方向に今転換をするのでしょうか。それともあくまでも海洋投棄という可能性は残すけれども、研究費も落とすけれども、主体としては陸地処分でいくんだ、海洋投棄は当面――当面といっても一年、二年じゃなくてもっと長いタイム、時間的に無理だとお考えなんでしょうか。最後に、海洋投棄の件だけお聞きして終わりたいと思います。
  162. 河野洋平

    ○河野国務大臣 科学的に研究をした場合には海洋投棄も可能である、つまり悪い影響はないという調査結果もあるわけでございます。しかし、さまざまな議論の中で、科学的な研究結果だけではなくて、政治的なあるいは社会的な配慮もそれに加わらなければいかぬというふうな意見も強うございます。私どもといたしましては、科学的には陸地処分、海洋処分、両方の方法がありますけれども、海洋投棄は社会的、政治的な考え方を踏まえれば適当でないと私は考えておるものですから、先日も、私の在任中やる気持ちはないというふうに申し上げた次第でございます。
  163. 日笠勝之

    日笠分科員 どうか長く長官を続けてください。終わります。どうもありがとうございました。
  164. 大村襄治

    大村主査 これにて、日笠勝之君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、科学技術庁についての質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  165. 大村襄治

    大村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  総務庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貝沼次郎君。
  166. 貝沼次郎

    貝沼分科員 総務庁につきまして、二点質問をさせていただきます。  初めの問題は、行革に関連した問題でございまして、前に私は決算委員会におきまして行革関連の問題として複合施設の問題を議論させていただきました。そのときに、当時総務庁長官でありました後藤田長官に対しまして、私は三点のことを要望いたしました。その一点は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、これは補助金がついた場合にほかのところに使ってはいけませんという俗に言う適正化法でございます。  ちょっと、前段何も言わなかったのですけれども、複合施設と申しますのは、もうお互いによくわかっているわけでありますけれども、例えば一つ建物で、その一階が老人センターになっているとか、あるいは二階が児童センターになっているとか、いろいろな各省庁にまたがって一つ建物ができ上がっております。そういう関係で、各省庁で補助金の査定をしておりますので、とかく入口が二つであったり、あるいは図書室が二つであったり、トイレが二カ所あったりというようなことで、非常にむだであるという指摘が多かったわけでございます。  その後、総務庁では、各省庁に交付要領を見直して弾力的にさせておるから問題はないはずだというような見解に立っておったようでありますけれども、それだけではこれは解決はしない問題でございます。と申しますのは、この補助金について今申し上げましたような適正化法律というのがございまして、よそに回して使うということは厳しく戒められておる。それに、この法律は「罰則」のところを見ますと、二十九条では「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処す」、さらにこの場合において、「情を知って交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。」と非常に厳しい罰則が設けられておるわけでございます。したがいまして、この適正化法の二十二条の条文をちょっと申しますと、ここには「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。」こういうふうにありますので、役人がまじめにやればやるほど実は縦割りの弊害というものは出てくるようになっております。したがいまして、私は当時総務庁長官に対しましてこの適正化法を手直しをする必要があるのではないか、これが一点でございました。  それからもう一点は、補助金の交付要領を弾力的に運用するように見直すべきであるということを言いましたが、その弾力というのが実は非常に難しいわけでありまして、とにかく知恵を絞ってひとつ考えていただきたい。  それからもう一点は、予算を獲得する場合に、この建物では入口を一つにする、その一つの入口というのは一体厚生省なら厚生省が持つのか、文部省が持つのか、あるいはこのトイレはどこの省が持つのかという話し合いかないと、ややもすれば入口のない建物ができ上がったり、あるいは図書室のないものができ上がったりする可能性が出てまいります。自分の省でたくさん金を出したい人はおりませんので、できるだけよその方で出させるようにすることも考えるでしょう。そうすると、どうしてもその間において調整をするところが必要になってくるわけでございます。ある説によりますと、それは自治省がいいというところもある、あるいは大蔵省がいいというところもある、あるいは総務庁がいいというところもありますが、いまだにそれははっきりといたしておりません。ただ、はっきりしていないにもかかわらず、各省庁からは、例えば施設の運営に支障がない限り施設の一部を他と共同利用することを認めておる、こういうふうにもなっておりまして、認められても、実際現場では困るわけでございます、こういう法律でくくられておりますから。そういうようなところからもうまくいってない。しかも、大蔵省の方は、そういうことがはっきりしないようでは予算はつけられないというふうに、予算を切ることにまた逆にそれが利用されておるのではないかという意見もあるわけであります。  したがいまして、私はこの三つを要望してあったわけでありますが、総務庁としては、当時、長官はこれに対して取り組むとおっしゃったんですけれども、一体どういうふうになっておるのか、お答え願いたいと思います。
  167. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 今御質問の点は、私、承っておりまして、私どもも政治家ですし、議員ですから、これはよく同感ができます。また複合施設というものが、一緒であることがかえって便利だということでますます多くなっておる傾向もございますので、御指摘は重要に受けとめております。その監察実績を持っておるそうですから、行政監察局長から御答弁いたします。
  168. 竹村晟

    ○竹村政府委員 事実関係中心に私からお答え申し上げます。  お尋ねの複合施設に関連いたします公共施設についての行政監察でございますけれども、これはただいま御指摘がありました類似関連施設の複合化を推進する、こういう観点から行っておるものでございます。  昨年の五月から七月にかけまして、私どもの方としましては、全国のうちで十九の都道府県を選びまして現地調査を実施しております。その後引き続きまして関係各省庁、私どもの方で一応対象にしましたのは八省庁にわたりますけれども、この調査を行っております。現在その調査結果を取りまとめ中でございます。内容についてはまだお答えできる段階でございませんけれども調査の観点といたしましては、ただいま御質問になられました三点は問題意識として当然持っておるわけであります。  それで、例えば類似関連施設の複合化を推進する観点、もう一つは、既存の施設がございますので、その多角的利用をするという観点、もう一つは、施設の管理運営、それの効率的な運営をするという面で制約がないかどうか、こういう点を含めて監察をしておるところでございます。
  169. 貝沼次郎

    貝沼分科員 五月から七月にかけて十九都道府県で現地調査をしていただいたということを承りまして、何ぼか進んでいるなどいう感じがするわけでございます。しかし、行政改革が言われましてから実は一年やそこらではないわけですね。本来ならもっと早くから政府はやっておかなければならないこと、それがおくれておるわけです。行政改革ということを総理もあれだけ大きな声で何回も言っているのですけれども一つの問題を具体的に挙げてみると、こういうふうに現実に余り進んでいない、こういうことが言えると思います。もっと積極的に進めていただきたい。  それで、中央ではそういうふうにやっておりますが、地方では、とてもこれを待っておったのではいつのことかわからない。そこで、例えば地元でいろいろと工夫をしながらやっておる。自主規制といいますか、お互いに調整をとりながらやっておる。それからもう一つは、こういう予算を有効に使うためにいろいろ考えて、調整をとりながらやっていくと、補助金の予算の査定のときに非常に取りにくい、説明が難しい。したがって、早く予算をもらおうと思えば、入り口が二つとか図書室が二つとか、従来どおりやった方がはるかに簡単である、こういうふうな判断が働いておるのですね。これは一年遅くなれば遅くなるほどむだが多くなるということだと思います。したがいまして、今取りまとめ中あるいは調査中、こういう答弁でございますが、これでは私、そこまではわかるけれども納得できない部分がありますので、お尋ねいたします。  まず六十一年度の今回審議しております予算案、この予算案は従来どおりの方針でやったということなのか、それとも別の方法をとったということなのか、これが一点。  それからもう一点は、この調査を取りまとめた後六十二年度の予算編成、概算要求からいたしますと八月からになるわけでありますが、そのころには新しい方針というものが確立されるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  170. 竹村晟

    ○竹村政府委員 六十一年度予算につきましては、これは所管外でございますけれども、現行制度でやる、そういうことではないかというふうに考えられます。  それから、できるだけ早くその辺の結論を出す必要があるわけでありますが、先ほど申し上げましたように現在作業が進行中でございますので、いつまでということを今の段階で明確に申し上げるわけにはまいりませんけれども、ただいまの御質問の御趣旨もっともでございますので、できるだけ早期に我々の方の勧告も出したい、そういうふうに考えております。
  171. 貝沼次郎

    貝沼分科員 我々の方の勧告も出したいということは大変意味深でありますが、それは六十二年度の予算編成に間に合わせるという意向を含めての御発言でございますか。
  172. 竹村晟

    ○竹村政府委員 我々の方の勧告をいたしまして、各省でそれを受けまして具体的な改善措置をとるということがあるわけでありますが、物によりましていろいろ難易があろうかと思います。それで、その出発点となる一つの我々の勧告、これをできるだけ早くやった方が作業が一層促進するだろう、そういう観点から我々の方の勧告についてはできるだけ早くやる、そういうことでございます。
  173. 貝沼次郎

    貝沼分科員 できるだけ早くというのはそれはそのとおりだと思いますが、やはり予算編成に間に合わないと一年またとーんとおくれてしまうわけですね。したがって、少なくとも努力目標ぐらいは立てなくてはならぬ。ただ、それは早いにこしたことはないのですよ。もっと遅くやれと言っているわけではありません、早いにこしたことはありませんが、少なくとも次の予算編成に間に合うように何とか作業を進めたい、それぐらいの誠意は私は見せていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  174. 竹村晟

    ○竹村政府委員 御趣旨に沿えるようにできるだけ努力いたします。
  175. 貝沼次郎

    貝沼分科員 それから、補助金の獲得に対しましていろいろな報告があるわけですが、今私が持っておりますのは経済広報センターの報告でございます。  これによりますと、補助金申請に物すごく手間と金と人がかかっているわけですね。例えばここに例が挙がっております。一つは、公共下水道整備事業費補助金というものですが、この獲得のためには、これは建設省でありますが、まず概算要求から交付決定まで一年半かかる。これはずっとアンケートをとった調査の結果なんです。その間、県に出向いたのが八回から十回、概算要求書はB4判で百二十ページ、図面十枚、四人で三百二十時間を費やしている。そのほか実施計画書、交付申請書を作成するのに二人で二十日間、計三百二十時間。ここまでの人件費換算およそ四百万円。さらに会計検査院の事後監査のための再確認作業に十三人で延べ四千百六十時間、人件費換算で七百万円を要し、合計一千百万円かかるというのです。これでは一体何のための補助金かわからなくなってしまいます。  それからもう一つは、土地改良事業費補助金。農水省ですが、これは事前協議から決定まで一年から二年。申請書としては、陳情書二十部、計画図書入部、それから事業効果算定書八部、工事設計書三部、予算要求書五部、B5判で二千ページ。職員三人でほぼ一年。所要時間二千四百四十時間。人件費換算四百十万円。こうなっているのです。  それからさらに、もらってくるよりも余計金がかかるというのがあるのですね。例えば社会教育集団学習奨励金、三十万円の補助金を得るために何と百万円強の金がかかる。老人クラブ運営費補助金二十二万七千円を補助金としていただくために六十九万二千円かかる。こういうことが報告されておるわけです。  これでは一体何をやっているのだろうかという感じを持つわけでありますが、こういうことで、これが非常にノーマルなことであり、これでいいという判断でしょうかね。長官、どうですか。
  176. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 今のお話はどうも極めて遺憾な話で、それが例外であればいいと思うのですが、仮に例外であったとしてもいささかどうも極端過ぎると思います。これは、そのあたり今後ともよく配慮をしてまいりたいと思います。これは各省庁に言えることでございますから、私ども総務庁として責任を持ちます。
  177. 貝沼次郎

    貝沼分科員 やはりこういうことも実態をつかまえておく必要があるのではないかと私は思います。あるいはそれは特例かもしれません。でも、これはずっと各自治体にアンケートをとった結果ですから、恐らくうそは報告ないと思うわけですね。実際私たちも、陳情政治というのは随分金がかかるという実感を持っております。そういう点、各省にまたがる問題でありますから、総務庁は今後さらに力を入れて、そういうことのないようにひとつお願いしたいと思っております。
  178. 竹村晟

    ○竹村政府委員 ただいま御指摘になられました補助金の手続に関しまして、例えば事前の期間が非常にかかるとか人手がかかるといった御指摘があったわけでありますが、我々の方といたしましては、補助金の事務手続についてはかねてからその簡素化ということでいろいろやってはまいったわけでありますけれども、さらにやる必要があるということで昨年の夏から暮れにかけまして、補助金事務手続調査ということで調査に入っております。したがいまして、その調査の中で、ただいま御指摘になられたような点を含めまして問題点は指摘してまいりたいというふうに考えております。
  179. 貝沼次郎

    貝沼分科員 それでは、第二点目に移りたいと思います。  これは救急体制の問題でございます。  私がくどくど申し上げるまでもなく、救急というのは非常に大事な業務でございまして、今、中都市からちょっと外れたところですと、くも膜下出血ぐらい起こしますとほとんど助からないというところが大分ございます。それはなぜかというと、救急で運ばれても病院がない、そのある一定の時間内に病院がない、あるいはさらに脳外科がないというような問題がいろいろありまして、岡山県、私のところでも例えば宇野とかあるいは児島の一部になりますとまずだめだと言われておるわけですね。そういうようなこともありますので、救急に対しては大変私、神経質になっておるわけでございます。  ところが、どこに生活しておろうと、これはもう憲法を持ち出すまでもないわけでありますが、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」となっておるわけでありますから、国としてはやはりそれに対応するだけの体制は必要だろうと私は思うわけであります。  そこで、例えば山間僻地、離島とかこういうところは国土庁その他でいろいろ心がけておりますし、それから総務庁の方で交通事故問題についても相当熱心に御勉強なさっておる、災害の問題も出てきておるという状況であります。そういうようなところで、例えばこれは一九八一年、フランスの救急専門医カラー博士が発表したことで、「専門的な初期救急治療がいつ開始できるかによって変化する死亡率」というものを発表いたしております。日本ではこういうのは余りやってないそうですが、まあフランスではやっておる。ドイツあたりでもやっているようでありますが、例えば、心臓がとまってからでも、現代の医療技術であれば、三分以内に蘇生治療をすれば約五〇%の人を生き返らせることができる、こういう統計であります。また、呼吸停止からだと、十分で大体五〇%生き返らせることができる。それから、多量出血では約三十分、中毒後であれば五時間以内、それぞれ五〇%以上助けることができるという目安を持っておるわけですね。  したがって、恐らくこの地球上に住んでおる人間、そう大差はないと思いますので、大体これくらいの数値が一つの目安になるんだろうと思いますけれども、それならばそれで、我が国においても大体この時間内に救急が間に合うような体制というものはとる必要があるのではないか、こう考えるわけでありますが、この点についてお考えがありましたらお伺いしたい。
  180. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私の方は、交通事故による負傷者対策ということが中心になるわけでありますが、今、くも膜下出血等で路上でにわかに倒れるとかいろんなケースがございます。これはやはり人命を尊重するという意味からも、それからまた仰せのようにその体制を早める、対策を早める体制が整っておるかどうかということも非常に重要なことだと思いますので、救急医療については十分今後も配慮したいと思います。  のみならず、私どもの統計局がございますから、ドイツ、フランス等でそういう統計があるなら我が方にも当然そういう統計を整えて、今後の救急体制に資するような現実的な措置をとっていきたいというふうに考えます。
  181. 貝沼次郎

    貝沼分科員 今、長官が大変前向きの御答弁をいただきましたが、実はこの資料は、長官、これは総務庁の方からいただいたものなんです。ですから、もうちゃんとあるはずですから、ひとつ見ていただきたい。  それから、したがって、今のような交通渋滞、例えば高速道路で交通事故があったというような場合には、これは救急車が入りません。高速道路なんかの場合、日本では、センターの分離帯のところが動きませんので、なかなか難しい。外国の場合はこの分離帯が動くようになっていますね。もっとも、目的はちょっとほかの方にあって、場合によっては滑走路になるわけですからそうなっておるのですけれども、ヘリコプターがおりられるようになっておる。そういうようなことを考えたり、それからさらに山間僻地ということを考えると、やはりヘリコプターによる救急体制というものがどうしても今迫られておると思います。ヨーロッパにおいては西ドイツその他はほとんど全土ヘリコプター救急体制が整備されておるにもかかわらず、日本の場合は大変おくれております。  したがいまして、このヘリコプターを使うに当たりましては、単なる消防庁だけではこれはできない部分がたくさんございます。時間がありませんので申し上げますが、例えば、ヘリコプターはやはり航空法によるものでありますから、航空法の規制というのが非常に厳しい。うんと遠くまで肉眼で見えないと飛ぶことができません。ヘリコプターというのは実際、そうでなくても飛べるのですね。こういうようなところから航空法の問題が出てまいります。それからヘリポートをつくるのにやはり航空法の関係がありますから、こういう運輸関係関係いたしております。  それからさらに、病院の屋上にヘリポートをつくるとかということになってまいりますと、振動もかなりありますので、建築基準法その他影響してまいります。あるいは高速道路の場合も建設省が影響してまいります。  それからさらに、厚生省が、そのヘリコプターに乗るいわゆる専門の救急医の養成。今の話ですと、一年間にたしか四、五十名しか養成されてないようですけれども、これじゃもう全然間に合わないのであって、もっともっと養成してもらわなくちゃいけない。ところが、なかなかこの臨床を八つとか九つとかやる人が少ない。それならば、場合によっては、そういう俗に言う救急医、臨床を七つも八つも九つもやった専門的なお医者さんには何らかのメリットを考えた方法で推進することもまた可能ではないかと思うわけでございます。  それから、大学での教育、あるいはこういう救急医に対する教育等もありますから文部省も絡んでまいります。  そしてまた、電波でもって事情を、病院と連携をとるわけでありますから、そうすると郵政省が絡んでくる。  あるいは、そのお金はどこから持ってくるかというのでいろいろ議論がありまして、ある一説には自賠責も考えたらいいではないかという総務庁あたりの考えがありますけれども、そうすると大蔵省が関係してくる。  それから、何といっても地元の医師会の理解がなければこれができないわけでありますので、非常に多くの省庁あるいは団体が関係してまいります。  したがいまして、私は、これを進める方法としてはやはり総務庁が積極的にこれを進めていただくことが一番いいのではないか、こう考えましたので本日質問をさせていただいたわけでございます。したがいまして、長官からはそれに対する決意なりお考えをお示しいただきたいということが一つ。  それからさらに、厚生省からは、救急医の養成についてどのようにお考えであるか、この二点をお伺いしたいと思います。
  182. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 救急治療のためにヘリコプターを使う、これは現在でも僻地、離島などではやっておることでございますが、それをもっと普遍化しろ。これは御存じだと思いますが、今回アクションプログラムで航空法を随分緩和しました。そして、ヘリコプターをもっともっと使いやすくしよう、これは日常の事務連絡等でもあるいは旅客を成田に運ぶ上でももっと簡便化しようじゃないか、これはもう実行することになっております。これを救急医療に実行できるような体制を整える、これはごもっともな御指摘でありますので、十分御趣旨を体して積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
  183. 入山文郎

    ○入山説明員 救急医療に携わる専門的な医師の養成につきましては、これは救急医療対策の充実を図るために大変重要な事柄であると私どもは認識をいたしております。日本救急医学会におきましても昨年救急認定医制度というものが設けられまして、救急医療に携わる医師がどのような範囲の知識、技術を習得すべきかといったようなことにつきまして一応の基準が示されているわけでございますが、一般の医師の間にも、その認定医の資格を取りまして、各科にわたる幅広い知識、技術を有する救急医を志向するといったような機運が高まってきているところでございます。実は、この救急認定医の資格を既に有しております医師が四百名を超えておりまして、全国各地で活躍いたしておりますが、こうした認定医を中心といたしまして、今後は各地にいろいろなそういう知識、技術を持っている救急医が育っていくであろうということを私どもは期待をいたしているわけでございます。  こういったような状況を踏まえまして、救急医療に携わる医師の研修につきましても、カリキュラム等につきまして関係の学会とも十分に協議をしながら一層充実させていくように努めてまいりたい、このように思っております。
  184. 貝沼次郎

    貝沼分科員 ありがとうございました。
  185. 大村襄治

    大村主査 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、永井孝信君。
  186. 永井孝信

    永井分科員 初めに、総務庁長官にお伺いしたいと思うのでありますが、民主主義社会になって四十年、部落差別解消のために同対審の答申が出されて二十一年、その間、同和対策事業特別措置法が延長期間を含めまして十三年、現在の同和新法と言われている地対法が今日までざっと四年、合わせて十七年間、民主主義の看板を掲げたこの日本の国の中で十七年間、同和対策に関する法律が存在してきたわけであります。このことによって差別は解消されたとお思いになっているかどうか、長官の御認識をまず初めにお伺いいたしたいと思う。
  187. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは本当に残念な話でありまして、私もこの問題には相当深い関心を持って今日まで努力をしてきた一人のつもりでおります。十七年間、思えばいろいろな対策をしてまいりました。環境整備等の面については相当な成果が上がったというふうに考えられると思います。しかし心の問題、ソフトの問題という表現をしますが、そういう面において非常に嫌な思いをされたり不快感が残る、それよりも、侮辱をされた、こういう何とも表現のできないことが起こっておることは私もよく承知をいたしております。同じ日本人でありながらなぜこんなことがいつまでも続くのか、本当に残念でたまりません。私は、たまたま主管大臣として、この問題は速やかに解決する方向で最善の努力をしたい。これは過去、政務調査会長をやっておりましたときにも、同対法の延長について積極的に党側から合意をしたり推進をしたりした記憶もございます。また、委員としても内閣委員当時努力をした記憶もございまするので、御趣旨の点は十分踏まえて対処をしていきたいというふうに考えます。
  188. 永井孝信

    永井分科員 大臣がこの予算委員会の総括質問の中で、我が党の議員の質問に対していろいろお答えになっていらっしゃる。その中で、「部落差別は、いま。」こういう冊子が出ておりますが、このことについて大臣は、すべてこれについては読んだ、こう言われているわけです。正確に言いますと、このパンフレットですね、「そのパンフレットも私よく全部拝見をいたしました。そのとおりだ、誇張されたところは全くありません。」こうお答えになっていらっしゃる。ですから、差別がいかにひどいもので、民主主義の看板を掲げたはずの日本の社会の中でいかに大手を振って差別が歩いているか、あるいは、ある面では差別というものがいかに陰湿なものになっているかということは長官は十分御承知のはずです。そのように私はまず初めに理解いたしておきたいと思うのであります。このパンフレットの中身を私もずっと読んでみたのでありますが、まさにこれは人間なら怒りを覚えない者はいないと思うのですね。  私は兵庫県であります。私の選挙区は兵庫県の第三区でありますけれども、兵庫県の第三区というところは非常に差別をされてきた被差別部落が多いところなんです。私の近くにも随分そういうところがあります。その日常の暮らしをつぶさに見てみますと、全く差別はなくなっていないのですね。差別という問題を扱う場合に、体裁よく扱おうとする風潮は出てきたけれども、それはあくまで体裁であって、実際はますます差別は陰湿になってきているのです。  そこで、その差別が大手を振って歩いているということに対して大変な怒りを持ちながら、私は大臣の今までの予算委員会における答弁ども参考にしながら、ただすべきものはただしてみたいと思うのです。  まず初めに、この悲惨な差別が続発している、いまだに陰湿な状態で存在をしているということは、大臣も今言われたように承知をされているわけでありますが、例えば二月十七日の予算委員会における答弁で、長官は、今も同じようなことを言われましたけれども、「相当深い関心を持っておる」ということを答弁されました。関係のところだけ抜粋して恐縮なんですけれども、その中で「同じ人種でありながら一体どうしてこういう問題があるのだという素朴な質問をマンスフィールド大使から受けまして、本当に答弁に窮したことがあった」ということが紹介されています。あるいは後段の方で、「やはり粘り強く啓蒙して」いかなければいかぬということを触れられながら、「これは同じ人種であり、本当に何ら差別すべき理由のない人が不当な扱いを受けておるということをもっともっと各省庁ともに口をきわめて、」云々というように、啓蒙していかなければいかぬということを触れられているわけであります。  この答弁を議事録で見まして、なるほど差別問題について長官は積極的な御意思をお持ちのようであるけれども、根本的に一つ認識が間違っているところがあるのではないか、私は正直に申し上げます。それは、同じ人種でありながらなぜ差別があるのかという問題であります。  国連が人種差別撤廃条約の採択をして、国連加盟国のうち百二十四カ国がこれを批准しているのです。日本は経済大国であり、先進国だといいながら、いまだにこの人種差別撤廃条約を批准していないのです。これはどう言われようと事実ですから。ところが、この人種差別撤廃条約というのは、単に人種のことだけを触れたのではなくて、いわゆる民族、国籍、宗教などあらゆる面において差別をしてはいけないということをその中にうたっているわけです。日本では部落差別の解消のための具体的な手だてを講じることができていない現状だからある意味でいうと批准ができていないんじゃないですか、私はそう思うのです。  ところが、私はここで一つ問題にしたいのは、人種が同じ人種でありながら差別をされることは全く理解に苦しむという答弁をされているわけでありますが、部落差別だけの問題でもないのです。日本には外国人で日本に帰化した人がたくさんいます。アイヌ民族と言われている人たちもいます。長官が、同じ人種でありながら差別があるのはけしからぬと言われることは、それはそれなりに素直に受けとめたとして、裏返して言えば、そういう帰化された日本人やアイヌ民族などについては、人種が違うのだから差別があって当然だというふうに言えないことはないのですよ。だから、この発言は極めて不穏当な答弁だと私は言わざるを得ない。  だから、部落差別を論じるときには、部落差別だけではなくて、人種差別撤廃条約が示しているように、あらゆる人間社会における差別をなくすることがその基本に置かれなくてはいけないのでありますから、部落差別だけの問題ではなくて、行政が差別を解消するためにはもっともっと基本を踏まえてしっかりやってもらわなければいかぬ、その中で緊急的な課題というのは特徴的なこの部落差別である、このようにきちっと位置づけて、部落差別の解消のための施策を講じるべきだと私は考えるのですが、どうですか。
  189. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私があのときに使った言葉が不穏当であるとすれば、それはどのようにでも訂正をいたしますが、私、あのときの真意は、同じ人種でありながらということを、マンスフィールドさんから見ればそうでしょうね、同じ日本人だから。それがまず一つの例として出たわけですね。それから、今お話しになったような人種差別撤廃条約について大原さんがしきりにそのことを強調されましたね、今のように。そこで人種という言葉が出たわけで、私は今でも、先ほども申し上げましたが、同じ日本人、同じ同胞でありながらということを常に思い、また感じておるものであります。  ですから、この人種差別撤廃条約の問題につきましては外務省で検討いたしておりますが、これはどうもちょっと同和問題にはなじまない点もありはしないかな、これはもっと検討をし、幸い基本問題懇話会を今発足させておるところでもありますし、そういう機関などでも十分突っ込んだ検討がやはり必要であるというふうに思う次第でございます。
  190. 永井孝信

    永井分科員 この人種差別云々の議事録の解釈は、長官言われたとおりでないと私は思うのですが、論説すれば時間がたちますからこれは横に置いておいて、さらにこの議事録を引用させてもらいたいと思うのです。  同じ大原委員の質問に対して、東京でのことを長官はお答えになっていらっしゃいます。議事録を正確に読みますが、「例えば東京ではだれが一体本当に同和の人なのか何かよくわからないくらいにもう完全に、まあ完全とは言い切れないかもしれませんが、よほど緩和されていますわね。」このように認識を述べていらっしゃるわけです。私はこれも大変な問題だと思うのです。今、長官言われたように、このパンフレットには、例えば結婚差別の問題が具体的な例として、本当に許せないことが随分と具体例が示されています。長官はこれを誇張されたものではないというふうに認識を示していらっしゃるわけです。私も現に、地元で今までもなくさん結婚の仲人の役割も果たしてきましたけれども、この片方がいわゆる被差別部落の人であるがために結婚に親が反対する。いろいろなことがありましてどうにもならなくなった結婚のお仲人を私は今までに四組務めました。一番新しいのは去年。とうとう片方の親御さんは、親戚一人も出席しないという異常な状態だったけれども、結婚式を挙げることができました。そういう具体的な例も私はぶち当たっているのです。  こういう悲惨な状況があるのだけれども、結婚や就職問題で御承知のように「地名総鑑」などがどんどんと活用されている。  この中にも触れられておりますけれども、かつて藤尾労働大臣が就職差別の問題で、不退転の決意で頑張るんだということで、大臣のいすにかけてでも就職差別をなくすると言い切った。このことはこの中に書かれています。これは当時私の質問に対して藤尾労働大臣がとってくれた行為なんですよ。そういう勇気を持って行動してくれたことに対しては、私は深く敬意を表しておきたいと思うのです。ところが、そういう「地名総鑑」がどんどん売られていくという事実は、結婚差別や就職差別に限りない影響を与えているのです。  きょうは時間がありませんから、「地名総鑑」の問題自体はここで余り深く触れませんけれども、そういう具体的な認識の上に立つならば、長官が言われているように、例えば東京ではだれが同和の人かわからぬ、だから、まあ言えば、「完全に、まあ完全とは言い切れないかもしれませんが、よほど緩和されていますわね。」という長官の答弁になってきているのです。これは大変な認識の違いなんです。私と長官ではもう百八十度認識が違います。私の認識から言えば、これだけ非惨な差別がどんどん地方では行われている。悪い言葉で言えば、都会に紛れ込んでしまえばわからなくなるなどということで、差別撤廃との闘いに正直言えば疲れ切った人たちで、みずからのふるさとを捨てて東京に来た人も、全員ではないかもしれませんけれどもたくさんいるでしょう。  アパートやマンションに見られるように、コンクリートの入れ物の中で人間が住まうという時代です。隣の人は何する人ぞということで、お隣で不幸があっても隣は気がつかないというぐらいの人情希薄な状況に、残念なことですが、なっているのですよ。そういう傾向は大都会ほど強い。だから、業別をする側から見れば、だれがいわゆる同和の人なのか、なかなかわからぬという状況になってきているのだと思うのです。それをもって差別がなくなっているという認識を示すとするならば、これは大変なことであります。差別があるから、大都会でそういう現象が起きてきているのです。  だれもふるさとを捨てたい者はいないのですよ。しかし、自分のふるさとにおったのでは、「地名総鑑」一つ行政が完全に取り締まり切れない。「地名総鑑」などを利用して結婚に問題が起きてくる、就職に問題が起きてくる。だから、表現悪いですよ、仮にもそのことに耐え切れなくて都会へ逃げ出した人がいるとすると、それほど不幸なことはないのですよ。なぜ自分のふるさとを自慢にできないのか。なぜ自分のふるさとを堂々と言えないのか。そのことを許している今の行政の責任は私は極めて重いと思うのです。  だから、長官の言われているように、だれが同和かわからぬから、まあまあ完全とは言い切れぬけれども、緩和されていますねという認識は、私と百八十度違う。これについて長官、もう一回認識をお答えください。
  191. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 永井さん、私は善意で申し上げておるわけで、これはそういうふうにおとりになった気持ちもわかります、理解できます。しかし、全文を読んでいただけば、東京のように都市化したところでは差別問題というものが比較的緩やかであるという現状について私は申し上げたわけです。  それから、しかしやはり東京で「地名総鑑」購入事件というものが指摘されておる。それから就職について藤尾君が申したような差別があった、こういう事例も聞いております。これはとんでもないことでございましてね。そういったことについては藤尾君の発言に私も全く同感ですから、これは同じような決意で今後もこの同和問題には取り組んでまいるつもりであります。私の言っておるのを素直に読んでいただけば、決して百八十度違うつもりはないわけだと思います。  しかし、ふるさとを捨てて出てこいということを言っておるのではなくて、都市化したこの場面ではという例を申し上げたわけです。しかし、そのふるさと自体が差別的であってはならぬわけですから、それをなおなお改善し、特にソフトの面に配慮をしていくのが我々の重要な責任である、かように認識をいたしております。
  192. 永井孝信

    永井分科員 大臣は、百八十度認識が違うわけではない、こう言われておるわけでありますから、私は素直に受けとめておきたいと思うのです。しかし、全部読んでみたって、この答弁ではそうは受けとめられませんよ。東京砂漠という言葉が一時はやりましたように、都会は仕事をする場所であって人間の住む場所でないとさえ言われた時代があったのですよ。これからもそうなっていくと思うのです。だから、そういう都会の、なかなか隣近所の人間的な連帯が少ない地域を参考にするんでなくて、田舎という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、むしろ東京自体がもっと田舎的な人情厚いものになっていくことが本来望まれるわけです。だから、日本のどこにおったって、こういう差別は断じて許されてはならぬし、許されないような社会の仕組みをつくり上げなければならぬ、私はそう思うのです。  そこで、具体的にもう一つ聞くのでありますが、今私が申し上げたように、同和対策事業特別措置法が制定されてから現在まで十七年間、事業法でありますけれども、そういう法律があった。ところが、今たくさん出てきている差別の事象を考えるときに、差別が現にあることも長官はお認めになっていらっしゃるわけでありますから、そうすると、冒頭に私が申し上げましたように、この十七年間で差別が解消できたかといえば解消できないですね。解消できないでしょう。あと一年しか地対法は残っていないのですから。この資料の中にもありますように、例えば大蔵住宅事件のように、糾弾されてもあるいは法務省が中に入っていろいろなことをやってみても、本人は頑として差別の行動をやめない。いわゆる確信犯みたいなものなんですね。この確信犯みたいな人たちがさらに開き直って、差別をすることを当たり前だとどんどん進んでいくときに、今この地対法で対処できるのか。あるいは、地対法としてあと一年しか残っていないんだけれども、その間に差別が完全になくなる社会の仕組みができればこれは別ですよ。そうなっていかないとするなら、それに対してどう対応すべきなのか。長官としての基本的な考え方をお答えいただけますか。
  193. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まだ残っておる間に、環境整備の問題その他予定された事業などについてはできるだけ速やかに期待にこたえるが、調整ができていないところもありますから、それが残るということもありましょう。また、後から駆け込み申し込みがあることもよく承知いたしております。しかし、先ほど触れましたソフトの面については本当に解消しがたいものがありますね。これじゃいけません。だから、これは粘り強く国民を啓発し、啓蒙しなければなりませんね。こんなことがいつまでも続いていいはずはないんです。実際アブノーマルな状態と言わざるを得ませんね。ですから、今後も私どもはできるだけ粘り強くこのことの解消に向かって努力をする。  また新たに法律をつくったらどうかという提案が大原さんからありましたね。そのとき私はお答えをしたわけですが、同対法を地対法に変えたという経緯などにもありますように、法律でまた規定しながら、ソフト面を含めて同和対策を完全なものにしていくことが果たしていいのか、あるいはまたそれによってリアクションが起こりはしないか、根本的な問題についてはやはり慎重に検討する必要がある、それには今度地対協につくった基本問題懇談会で十分検討した上でと申し上げ、それにはたしか大原さんにも御同意をいただいたようにあのとき思っておったわけでありますが、十分御意見を承りながら今後の対策にも慎重しかも積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  194. 永井孝信

    永井分科員 事業法であったとしても、差別があってはならぬ、差別を解消するために資するということでこの法律は十七年間生きてきた。ところが、それで差別はなくなっていないのです。確かに環境はよくなってきました。しかし差別は根本的になくなっていないし、もっと陰湿になっているという実態からいったときに、法律があっても差別を堂々とまかり通らせているような状態で、法がなくなったらどうするのですか。日本は法治国家でしょう。そうであれば、差別をさせないための社会の仕組みをつくり上げる。その社会体制をつくり上げるために必要な法律は、やはりつくらなければいかぬわけでしょう。  地域改善対策の今後の進め方について、いわゆるこの同対行政を進めている自治体でつくっている協議会があるのです。全日本国和対策協議会というのです。これは自治体の集まりなんですね。その自治体の集まりが先般答申を出しているのですが、その答申の中身を見ても、どのように言っているかというと、いろいろ前後はあるのですけれども、「同和対策審議会答申及び地域改善対策協議会意見具申の趣旨に沿って、総合的な施策を確立する根拠となる下記の事項を盛り込んだ法的措置の実現を求める。」求めているのです。その第一項は「同和問題の早期解決は、国の責務であることを明確にすること。」二つ目には「今後必要とする事業を推進するため、地方公共団体の財政負担の軽減を図ること。」三つ目に「産業、職業、教育、福祉等各分野の施策の充実を図ること。」四つ目に「啓発活動の強化を図ること。」五つ目に「人権擁護活動の強化を図ること。」これらを提言しているのです。  このように実際に同和行政を預かっている地方の自治体が、みずからの経験と実態に照らし合わせて、政府に要望する、国会に要望することについては、やはり最大限それを生かし切るような体制をつくることが政府の責務であり、国会の責務だと私は思うのです。だから、今大臣が言われているように、これからも新たな法律をつくって縛り上げる、この表現を借りれば、縛り上げていくということが果たしていいのかどうなのかという問題点もあるので、慎重に対処と、こう言われているけれども、法治国家としての今の日本の実態を見るときに、法律が存在しないままで、これだけ長らく続いてきた差別を解消することに積極的に行政が対応できるわけがない。だから、具体的な法律の制定を含めて、各界の意見も集めてい差別を根本的になくす。民主主義の看板を掲げてもう四十年だったのだから、本当に民主主義らしい社会体制をつくり上げるために、総務庁長官として勇断を振るってもらいたい。このことについて私は重ねて長官の答弁を聞きたいと思います。
  195. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 大変熱意を込めての御要請はよくわかります。新しい法律にしてそれは本当に解決するのか、あるいは今の状況を全うすることにより、また御意見を体しながら、相談をしながら、ソフトの面をもっと粘り強くやりながら解消に向かわせることがいいのか、これはひとつ研究の時間をください。そして私どももこれは慎重に対策を練りたいというふうに考えます。
  196. 本多秀司

    ○本多政府委員 先生御承知かと思いますが、先ほど御指摘のありました福岡の大蔵住宅事件でございますが、この件につきましては、原告の側が損害賠償を請求しておりました。それに対しまして福団地裁で百六十万円の損害賠償を認めるという判決が出されたというニュースが昨日入っております。現在の法体系のもとにおきまして、損害賠償という道もございます、あるいは刑法に基づきます罰則の適用という道もございます。ただ、先ほど来大臣が申されておりますとおり、差別事象、これはまさに心の問題あるいは倫理の問題ということでございまして、一昨年、昭和五十九年六月の時点におきまして、地域改善対策協議会の意見具申がございましたが、その中でも、今後国民の同和問題に対する認識と理解を深めることが同和問題解決のための最も重要な要素であるという趣旨の意見具申をいただいておりまして、私どもも現在、国民に対する同和問題のより以上の認識と理解を深めるための方策を講じつつあることを付言さしていただきたいと思います。
  197. 永井孝信

    永井分科員 時間が来ましたのでこの辺でおきますけれども、大臣、最後にもう一つ申し上げておきたいと思います。  大臣は研究する時間をくださいと言われました。これは正直言っていつまでも待つわけにいかぬわけですよ、今の地対法、来年の三月末までしかないんだから。この地対法も前の同和対策事業特別措置法も、いわば事業法でございますから、環境をよくすることなどについては大変この法律は有効に活用されてきたわけですね。しかし今言ったように、最初大臣は心の問題だと言われましたけれども、確かに差別というものは環境だけではおさまらぬ問題がたくさんある。これが今大手を振って歩いているわけだから、これをなくするために、一体どういう法整備をすればこれに対応できるかということを研究する、その研究するのはぎりぎりいって一年しかないんです、私ども理解でいきますと。だからその意味で、私は大臣に積極的な立場で研究をしてもらいたいと思うのでありますが、ひとつどうでしょう。大臣も国会忙しいさなかでありますけれども、いわゆるこの同和地区と言われている被差別部落を直接大臣の足で歩いてもらって、全国歩くわけにはいきませんから、特徴的なところはいつでもそういう民主団体と御相談申し上げて、ここはいいのじゃないですかということは私の方でごあっせん申し上げてもよろしゅうございますから、ひとつ直接足で歩いていただいて、そしてそういう実態をこれからの同和行政の上に役立ててもらえぬだろうか、このことを最後にお願いしたいと思うのですが、どうでしょう。
  198. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私は先ほど以来、大変熱心な御質問だと傾聴しているのです。それから今の御要請は、私は自治大臣当時にも、もうこれは十三、四年前になりますが、現地を視察したこともございますが、最近の情勢についてぜひ御案内してください。私は喜んで、むしろ進んで実情に触れてみたい。熱意を持っております。
  199. 永井孝信

    永井分科員 これで終わりますが、大臣、差別をされてきて差別に泣いている人たちの心を一日も忘れることなく、差別を完全に解消するための御奮闘を改めて私からもお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  200. 大村襄治

    大村主査 これにて永井孝信君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  201. 坂井弘一

    坂井分科員 最初に確認の意味で、江崎長官、御答弁いただきたいと思いますが、この地域改善対策特別措置法が制定された当初の計画事業七千億。この七千億については完全消化ができる見込み、正確に言えば、一部は残してもほぼ完了、こういうことになりましょうか。
  202. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはまだ時間もありますし、予算もこれから執行するわけでありますが、一部を残してと私がさっき申し上げましたのは、話の調整がつかないところ、こういうところは物理的にやむを得ず残るということを申し上げたわけです。そしてあと、駆け込みの新しい要請もある、しかしできるだけ期間内に七千億の計画については全うしていきたい、こういう方針に変わりはございません。
  203. 坂井弘一

    坂井分科員 よくわかりました。  諸般の事情によってどうしてもできない、できない状態を余儀なくされた、それから新しい地域指定による分、これがその後相当あるようでございますが、そういたしますと、かなりな新しい地区指定に基づく事業というものがその後に持ち越されるということになりますね。これらについては一体どう扱うかということにつきましては、先般来いろいろ議論がございまして、検討部会等でもいろいろ御論議いただくことでありましょうし、同時にまた、各省庁のヒアリング等でもって果たしてどれくらいあるものか、おいおい明らかになっていくのだろうと思うのですが、いずれにいたしましても、来年度予算ということをにらんでみまして、これは一定のめどがある、ある時期においてその辺の事業量なり事業費というものをつかまなければいかぬということがありますね。長官の腹づもりとしてはどんなことをお考えでしょうか、今のところを踏んまえまして。
  204. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 本年の一月に今後どうするか、そしてまた、先ほど議論のありましたようなソフト面についての対応をどうするか、基本問題検討部会を地対協の中につくったわけですね。したがって、そういう結果を見ながら、あとはまだ時間もありますから対応していこう。  それから、事業量については関係者から御答弁をさせます。
  205. 本多秀司

    ○本多政府委員 地域改善対策特別措置法を施行する直前の状況におきましては、物的事業につきまして約七千億円、これは昭和五十六年当時価格で、しかも国費ベースでございますが、そういう物的事業量を見込んだわけでございます。この事業量につきましては、地対法の期限が参ります来年三月三十一日までの間には、一部の事業を除きましてほぼ完了ができる、かように考えておるところでございます。
  206. 坂井弘一

    坂井分科員 問題は、その後における新しい事業、未指定地域の指定、それが今も続いておるということでございますから、そのようなその後における、あるいは今後におけることについては十分な対応をしていただかなければならぬ、このことについての議論はさておきまして、ぜひ長官、お聞きいただきたいと思います。  きょうは厚生省お見えじゃございませんが、例えば本年度予算で、厚生省が新規の八つの事業の要求を実はいたしました。ところが、この八つとも、大蔵省査定におきましては全部認められない、却下、こういうことでございます。  どういう事業かと申しますと、一つは身体障害者福祉センター、二つ目に老人福祉センター、三つ目に用地取得費に対する補助、四つ目には地域福祉事業充実のための機器整備、五つ目には診療所、六つ目には保健婦配置、七つ目に在宅障害者デイ・サービス事業費、八つ目には共同作業所運営検討事業費、以上八つの、これは新規事業でございます。これは全部だめだ。  では何でだめなのかといいますと、もう長官よく御存じのとおりでございますが、前の同対法から地対法にかわるときに、この対象事業というものをぐんと絞りました。四十四の事業ということに絞ってしまったわけですね。したがって、この八つとも新しい事業としてやりたいんだけれども、これは事業項目の中に入っていないのです。もしこれをやろうとすれば、当然のことながら政令改正を要する、つまり施行令の手直しをしなければならぬ。裏返しに言いますと、このような新しい要請が厚生省から出た、これを認めるためには現行の地域改善対策特別措置法、地対法では不十分である、法律的に対応できないことになる、こういうことでございます。このことについては、実は私は何回も厚生省と相談もし、確認をいたしたところでございます。このことにつきまして、長官の御感想ぐらいをお聞かせいただきたい。こういう非常に大事な問題です。これはむしろソフト面、非常に大事な事業であるけれどもこれは認めることができない、さてどうするかという問題提起でございます。
  207. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これらについては、大体整備できたということで除外したものもあると思いますが、なぜ除外されたか、これは政令の問題もありましょうけれども、政府委員の方からそれらについて詳しく御答弁いたします。
  208. 本多秀司

    ○本多政府委員 先生指摘の点につきましては、何年にもわたって要求をしてまいった、そして最終年度である六十一年度におきましても要求をしたという経緯があると私ども承知しておりますが、厚生省所管の件でございますので、私ども、十分ここで明確にお答えする材料を持ち合わせておりませんが、私ども定例的に各省の同和問題に関する課長会議等を開催いたしておりますので、そういう際にもさらに詳しく事情を聞いていきたいと考えております。
  209. 坂井弘一

    坂井分科員 これは関係諸団体なり関係都道府県、関係者、市町村、自治体、どうしても必要だから何とかお願いいたしたい。厚生省におきましても、このようなソフト面の事業というのは、差別をなくするために、部落の解放のためにはぜひ必要だ、こういう認識に立ったればこそ予算の要求をしたわけですね。これは自明のことです。しかるにこれが認められない。私は率直に申し上げましたが、このことは、地対法がこのような要請には十分こたえ得ることができない。つまり裏返しに言いますと、前の同対法であればまだ門戸は非常に広くあけておりますから、個々のそうした案件につきましては十分前向きに取り上げられる法律的な仕組み、法の建前になっておった。それが絞られたということですね。  ここで私は非常に大事な問題提起をしたいと思います。この差別は、実態的差別と心理的差別の二つがある。実態的差別には今申しましたむしろソフト面ですね。ハード面とソフト面の二つがありますが、ソフト面については、今後差別をなくすということについては非常に大事なことであります。ただ、どうもソフト面と心理的差別と混交されている嫌いがある。ソフト面といいますれば、これはもう生活あるいは健康、あるいは仕事あるいは教育等々の面にうんと力を入れていこう、これは政府の方針でもあるわけですね。そういたしますと、そういうソフト面の要請がまさに今私が一つの例として申し上げている厚生省の新規八事業の中にある、こういうことが採択されない。ここに一つの、私は法的不備と言ってもいいと思う、こういう問題があるということをどうかひとつ長官に御認識しておいていただきたい、これはお願いしておきたいと思います。そういうことで、二つの特別措置法、同対法、地対法によりまして、確かに指摘されますように環境面においては一定の前進はあった。しかし、今申しましたようなソフト面についての改善についてはかなり問題を残してきておる、そういう実態があるということ。  それから私は、現行地対法は差別意識を払拭することについては非常に無力だということを今しみじみと感じておる一人でございます。ここら辺もどうするかということ等につきましては、基本問題の検討委員会等におきましても十分検討されていることであろうと思います。あろうとは思いますが、ただ、ここにすべてをゆだねて答申待ちである、それによって対応するのだということでは、余りにも同対審答申のあの精神からして消極的に過ぎはしないか。  私は先ほどの長官と永井さんとのやりとりを聞きながら、大変長官は御熱意も持たれ、かつまたよく熟知されて、そういう中で差別をなくすることがいかに大切かという御認識のもとに同和行政を推進されようとする御熱意に敬意を表するにやぶさかではございません。ただそういう中で、願わくは一番の省であります総務庁の長官とされての立場でどうかひとつ、検討委員会も結構でございますが、政府の先頭に立って、今申しましたような問題が現にあるわけでありますし、恐らくや一年後におきましてもそのような問題が残されていく、それに対してソフト面で対応していかなければならぬということになりますと、やはり何らかの法的な側面を持たせませんとそれらを十分前進させることはできないのではなかろうかと実は思いまして、そうした御質問を申し上げているわけでございます。  私の和歌山県におきましても、和歌山県の同和委員会、会長は知事でございますが、ここでも一月二十八日に総会が行われまして、四点にわたって重点的な事項を決めまして、そのような事項推進のためには十分充実した法的措置が引き続き必要である、現行法期限切れに対するそうした基本的な見解を既に出して要請をしているところでございまして、そうした点を含めまして、今長官にお答えを求めましても、これは先ほどから繰り返し申しますように、今直ちにお答えは出ないということだろうと思います。思いますが、どうか御決意のほどというのでしょうか、長官のもう一歩そこを乗り越えた御答弁がちょうだいできれば大変ありがたいと思っての御質問でございます。
  210. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 坂井委員の御熱意ある御見解はよく承りました。新しい法制化をどうするかということについては、私さっきも申し上げたのですが、もう少し時間をいただきたい。それは、新しい法律をつくるメリットもありますね。しかしまたそのことによって逆に差別を固定化したり、何か別なデメリットというかリアクションが起こることがあってはならない。特にソフトの面等については、これはよほど慎重な対処が必要だ。こういう意味答弁も歯切れが悪くなるわけであります。これは坂井先生もきっと同じようなお気持ちをお持ちであろうと思います。これはよく今後私担当大臣として責任を持って十分検討し、そして御期待の趣旨も十分体しながらこの問題と取り組んでまいりたいと思います。
  211. 坂井弘一

    坂井分科員 関係省庁に参りましていろいろと御相談なりお願いなりあるいは意見具申なり申し上げますと、確かに言われるように、事業の円滑な推進のためにも、あるいは立ちおくれたソフト面に対応するためにも何らかの法的措置は必要でしょうね、こうおっしゃる。しかしこのことは今私の公式な見解としては申し上げられません、各省非常に慎重です。それはよくわかります。わかりますが、実際に担当される各省におかれましてもそのような気持ちを、大変遠慮がちであっても非常に率直に言われるんですね。ですから、そこらのところを十分に踏まえていただきたい。お願いをしておきたいわけでございます。  なぜ十分な法的措置を講じてもらいたいという先ほどの和歌山県の要請になって出てきたかと申しますと、これは最近の差別事件の発生が非常に悪質化しておるということ、あるいは産業就労状態が非常に不安定である、あるいは都市部大規模地区を中心とした住環境の整備のおくれがある、さらには地方財政負担の問題等々、部落差別の基本的解決を図る上でどうしても今後に残された問題として、今のようなことの解決のためには、まず啓発活動と人権擁護活動の充実強化を図らなければならぬ、生活基盤の安定を図る施策の充実強化をしなければならぬ、さらには住環境整備事業の充実強化を図らなければならぬ、地方公共団体の財政負担の軽減を図らなければならぬ、以上のような点から充実した法的措置を講じられたい、こういう趣旨の要請であり、意見でございます。この辺もひとつしっかり踏んまえていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、外務省お見えいただいておりますのでお伺いしたいのです、これとも関連いたしながら。  人種差別撤廃条約、先ほども議論があったかと思いますが、実はこの問題、私も何回か取り上げました。昨年の当委員会におきましても、もうこのことは言わない、言わせないようにしてほしい。来年だなんて言わぬで今国会でおやりなさいよ、こう言った。とにかく今にもやる、今にも批准だと言いながら、国内法との関係においてということで、過去十五年間ですよ、これは。なるほど人種差別撤廃条約の第四条は、差別を扇動してはいけません、それは罰則をもって臨みますよという第四条と、それから我が国憲法の十九条、二十一条、言論の自由、結社の自由、表現の自由、これと正面から衝突いたします、この辺の調整が大変でございます。果ては憲法三十一条、罪刑法定主義の問題もございます。どういう犯罪をというこの非常に難しい構成要件の問題、これをどのようにとらえるのかという複雑な問題も、憲法三十一条との絡みにおいてあります。もろもろそういうことでなかなかこれは難しいんです。しかし、この批准は急がなければならぬ、こう言い続けながら今日まで来ておるわけです。  私は、このことについて本当にやる気があるのかとさえ疑いたくなりますね。人種差別撤廃条約は、国際舞台に出ればやらなければならぬと言わざるを得ないから言っているのか。本当にこれを批准するという気持ちがあって、かつ今のような難しい問題があるから今日なおできないのです、大変残念でございます、しかしもう大詰めになりました。これを批准するならば三つの方法でしょう。一つは第四条を留保するかという問題。しかし留保はできませんな、基本の部分ですからね。次には解釈宣言するかということ。それから、これはもう完全批准する、国内法を整備して。この三つのどれかをとるしかないと思いますが、一体今作業はどこまで来ていますか、本当にできるのですか、ことしにもできるのですか、それともことしはだめで来年やるのですか。いつやるのかということだけ、ひとつしっかりお答えいただきたい。
  212. 村田光平

    ○村田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、私どもこの条約の趣旨につきましては十分理解し、これを支持するものでございます。そして、その早期締結につきまして強い国際世論が存在するということも十分認識しているわけでございます。そして現在、この条約の批准に当たりまして必要とされる国内措置につきまして、関係省庁との調整も含めまして、鋭意検討作業を進めてきているわけでございます。最大の問題点は、先生指摘のように、本条約第四条の処罰義務との関係で、我が国の憲法との関係あるいは刑事法との関係、こういう問題があるわけでございますが、その基本的人権の保障との間の調整をいかにするかということが最大の問題となっているわけでございまして、慎重に検討作業を進めているわけでございます。  先生質問の、いつ批准のめどが立つのかの点でございますが、この点につきましても、検討作業が終わらない限りはっきりした見通しを申し述べられないというのが現状でございますが、ただはっきり申し上げますことは、早期締結に向けまして努力を鋭意続けているということでございます。
  213. 坂井弘一

    坂井分科員 私は大変不満ですよ、今の答弁は。長官、これは外務省だけの問題じゃありませんね。どうも外務大臣も非常に慎重なといいますか、しかし、ここで慎重というのは余りよくない。外務当局は、基本的な人権をどう制約するかという問題との兼ね合いで慎重にならざるを得ないのだというような趣旨の答弁もありますね。基本的人権との兼ね合いと言うが、基本的人権というのは、言論なり集会なり結社の自由という基本的人権、これは尊重されなければならぬのは当然ですよ。  しかし長官、差別される側に一度身を置いて考えませんか。基本的人権、言論の自由は大事だ。結社の自由も大事ですよ。しかし、部落民だ、おまえは殺すぞ、皆殺しにしろ、おまえはここから出て行け、これは言論の暴力ところではありません、まさに犯罪ですね。そういうことを許す自由というのが一体どこにありますか。一般人の基本的人権、言論の自由、その言論の自由をもって、おまえは部落民だからここから出て行け、おまえは死ね、そんなことを言わせておるのですよ、今。そんな自由がどこにありますか。そんな公共の福祉に反する一私は、これは犯罪の最たるものだと思う。  基本的人権が大事だからその兼ね合いにおいてといって、慎重に慎重にやっております、差別される側の身になってみなさいよ。その身に自分を一応置きかえてみれば、これはたまらない苦しみでしょうね。こんな情けないことはないでしょうね。それは人にも言えませんね。ですから自殺に追い込まれるという事件があちこちにいっぱいあるじゃありませんか。しかも、表に出ないほどそういう問題は深刻だ。委員長、すみませんが、ちょっとこれを長官に。これは後でお目通しください。これは和歌山県の実態でございます。――私は、そういうことを身近に見たり聞いたりするものだから、なおさらその人たちの身に自分を置きかえてみれば、実はいたたまれない気持ちになる。  そういう中で、この人種差別撤廃条約、今あなたがお答えになった、これは基本的人権との兼ね合いにおいて慎重でなければならぬ、よくわかります。よくわかりますが、それで差別される側がいつまでもいつまでもこのまま放置されていいということはないでしょう。だからこそ人種差別撤廃条約があるのだろうと思うし、世界の国連加盟の四分の三、百二十四カ国も既に加入をした。そういう中で日本はまだである。それはなぜかというと、今繰り返し言うような自由においてまだ批准できない。これは今あなたに、外務省に申し上げてもここで結論は出ない。どうか長官の方から政府を督励していただきたい。特にお願いをいたしたいと思います。     〔主査退席、浜田(卓)主査代理着席〕
  214. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 坂井先生の話は私はよくわかるのです。同じ日本人ですし、今のそういう極めて厳しい、侮辱を受けたり恥ずかしめを受けたりしておられる人がおるということは、本当に悲しむべきことですね。こんな認識不足、こんな無謀な話はありませんよ。しかし、人種差別条約に一体同和問題というものがそぐうのかどうなのか、これは本当に悩みますね。そして、そういう侮辱をされる側の気持ちというものもまたお察しするに余りあるものがありますが、一体この条約に該当するだろうか、疑問を私は持つものであります。  ですから、御熱意のほどもよくわかりますが、この点については慎重に検討もさせていただかなければなりませんし、もっともっと教育の面、そしてまた啓蒙の面、そういう面で、これは十七年かかっても解決できない、民主主義四十年、一体何なんだと言われると本当に答弁に苦しむわけでありますが、なお協力し合いながら、私もこの問題に真剣に取り組んでまいる決意でございます。
  215. 坂井弘一

    坂井分科員 かつて国会におきまして、人種差別撤廃条約をめぐる議論の中で、同和問題については関係ありとした答弁があったということを、ぜひ長官に過去をひもといていただきたいと思います。私は、実はそういう前提で申し上げておるわけでございます。  それから第四条との関係で、これは扇動した者は罰則をつけますよということですから大変なことなのですが、私は個人的にはこう思うのです。そういう差別言動があった場合、一度は注意する、そうすると反省する、それならば許していいのではないか。いきなり罰則をもって臨むのはいかがなものか。人間社会ですから、過ちがあればそれを素直に、謙虚に、そして深刻に受けとめて、反省をしますということであればと思います。仏の顔も三度までということわざが日本にあります。うまいことを言うものだと思いますが、それは許しませんよ、そういう常識的なことも考えの中に入れていけば、外国の例だって随分研究され尽くしておるわけですから、我が国憲法との関係において、国内法の整備において、解釈が十五年も出ないなんという問題ではない。どうかそういうことでお願いいたしたい。  そのことについて最後に申し上げたいのは、差別された人の救済については一体どうするんだろうか、今救済措置というものは全くありませんね。ちょっとお考えいただきたいと思いますが、長官どうでしょうか。
  216. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 お説のとおりだと思います。  大蔵住宅事件などの場合は、みんなが怒りを発して勝訴した一つの例です。なかなかやってやり切れない面もあるでしょうが、余りにも極端過ぎますから怒りが爆発したということでしょう。そして公正な裁判の結果が出されたということですが、なるべくなら裁判もしたくないというのが世の中普通の人の人情ですね。侮辱される側の泣き寝入りが多いと思うのですよ。よくわかります。十分配慮したいと思っております。
  217. 坂井弘一

    坂井分科員 差別の言動を規制するための何らかの有効な措置ということも、これからみんなで考えていかなければならぬと思います。ただ、そんなことをする前に差別をなくすのだと言えばそのとおりです。しかし、残念ながら非常に悪質化した差別事件が頻発しておる。とりわけ国家公務員、地方公務員、学校の先生あるいは議員という、言うならば社会指導立場にある人々において今日起こってきておる。この事態を私は非常に深刻に受けとめなければいかぬと思います。そういう意味においても、行政府、国会、我々の最大の責任であるということを謙虚に私自身も反省しながら、差別をなくすということに真剣に取り組んでいかなければならぬ、こう思いまして御質問を申し上げた次第でございます。  時間がなくて大変残念でございますが、また機会を改めて具体的な進め方等についてお伺いをし、進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  大変ありがとうございました。
  218. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 これにて坂井弘一君の質疑は終了いたしました。  次に、津川武一君。
  219. 津川武一

    津川分科員 江崎長官、臨調行革の担当者であり責任者であるあなたに、臨調行革がどんなに国民の健康を脅かしているかということについて、ここで厚生省と私のやりとりを聞いていただいて医療を守っていただきたい、そう思って、あえてあなたの主宰される委員会にこの問題を持ち出したわけであります。  最初に長官にお尋ねしますが、お年寄りの医療費なんです。今は一年入院して病院に払うお金は一万八千円。今度老人医療費が改正されると十八万円払うことになる。これでは病気になってもお医者さんにかかれなくなる。かてて加えて政府・厚生省は一月九日、今後十年をめどに国立病院、療養所二百五十三施設のうち、統廃合により四十、経営移譲で三十四、合計七十四病院、療養所を切り捨てる計画を発表し、地域医療から撤退しようとしております。その地域、地方でかけがえのない役割を果たしている国立病院、療養所を充実させることが本来の仕事なのに、赤字を理由に切り捨てるというのは、国民の医療に対して国の負うべき責任を放棄し、住民の命と健康を脅かす暴挙であると国民は言っております。だからこそ全国の九割に近い二千九百十三の自治体で反対しております。我が党もこの計画には断固反対をし、撤回を求めております。  そこで長官、行政改革というのは命を脅かすことなんですか、これが私の質問なんです。行革の中から、少なくとも命を脅かす部分だけは抜くように長官に検討していただきたい、これが私のきょうの質問の主意でございますが、お答え願います。
  220. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 津川委員とも随分古いおつき合いですが、専門家としての御意見はよくわかります。  しかし、今度の再編成は、臨調の最終答申に基づいて、お話のように二百五十三に上る国立病院、療養所、こういったものの現状を見直そう、そして真に国立の機関にふさわしい役割を果たそう、こういう前向きの意味があることは御承知だと思います。ですから、他の医療機関が担うことのできない困難な、時流に合った高度な先駆的な医療を担当する機関に改めていこう、これは行革として当然時流にこたえなければならない大問題であるということで取り組んでおるわけであります。  釈迦に説法ですが、今公立、私立の医療施設は急速に整備、拡充されておりますね。この医療施設の厚薄の差はございましょう。けれども、とにかく人口比によるベット数では欧米並み水準に来ておる。だとすれば、国が経営するものはより高度なものをまとめて、そして有効に働かせ、また地域社会のそれぞれの私立の病院等とも連携を密にしながら運営をされていく、こういうことが妥当だと思いますが、いかがでございましょう。
  221. 津川武一

    津川分科員 長官のその言い分には賛成してあげましょうか。というのは、地域の医療がよくなったから地域の医療でやれないものを、もっと高度のものを国立でやると言う。だからこそ私はここで持ち出したのですが、それは余りにも実情を知らな過ぎる。  一番緊急の問題としては、群馬県の国立療養所長寿園、これを三月三十一日で廃止。ここは中曽根総理、福田元総理の選挙区の地域だが、住民の皆さんがこぞって大反対しております。三月二日に住民総決起集会があり、私も出席し、長寿園にも顔を出してみました。中曽根総理の息子さんが参議院の選挙区選挙に出るそうですが、ほかの地域にはビラを全部張っておるのですが、この区域には張れない、張っていないのです。一枚だけ、こういうことなんです。  長寿園には、四千五百人の住民がいるあの地域の吾妻町の坂土地区にあるただ一つの医療施設で、平均年齢七十八歳のお年寄りが六十五人も入院している。この病院、親切でよい診療をやってくれる、介添えもなしで入院できると喜ばれている。そして、おばあちゃんが長寿園は命の綱だとして毎日拝んでいる。ところが、これほど健康に貢献しているのを四十キロ先の国立西群馬病院に統合しようとしている。このおばあちゃんが、おじいちゃんが目が悪いから、私が西群馬に移ったらもう会えなくなる、涙ぐんて私にこう言ってくれています。廃止計画が出てから一日として気の休まる日がない、患者さんがこう心配している。こうして皆さんを、お年寄りを元気なくさせている。これに対して厚生省は、診療所ができるからいいと言っておるが、ここで私は本当に専門家になる。診療所は病院のバックアップあってこそ。病院を廃止して診療所だけで事を済ませるというと、これは医療の本質に反してくるわけです。  それで、今度廃止になると、二十キロ先の日赤病院に通わなければならなくなりますが、ほぼ一日かかってしまう。往復のバス賃が千七百円、こういうところなんです。したがってこの長寿園は、長官が今話されたように、廃止でなく強化しなければならぬ。これが本当の国政のあり方です。これを廃止するというのです。そこで、この病院をもう少し充実させていくこと、国民の命を大切にするという国の責任を果たすべきだと思う。これはひとつ厚生省に答えてもらいたい。  もう一つは、行ってみましたが、住民も患者も地域も小さな部落で、千人ぐらい集まればいいというところへ行ってみたら千五百人も集まってくる。こういう地域の声を無視して廃止を強行していいのか。どうしても残していただかなければならない。厚生省の見解を伺わせていただきます。
  222. 高木俊明

    ○高木説明員 今先生から長寿園の廃止の問題について御質問をいただいたわけでございますけれども、厚生省としましてはこの長寿園の問題、この長寿園という施設は昭和十四年にできた施設でございますけれども、病床数も七十ベッド、それからまた医師数も現在内科の先生が三人という非常に小規模な施設でございます。場所的にも立地条件に恵まれないところにあるわけでございますけれども、国立の医療機関という観点からの存続整備ということを考えてみた場合に私どもは適当ではないということから、六十年度の予算編成に際しまして、近接いたします西群馬病院と統合するということが決定されまして、また予算上の所要の措置が講じられているところでございます。  長寿園の廃止後におきます医療の問題、今先生からるる御指摘ございましたけれども、長寿園のあるところから原町というところまで、バスで行きますと約三十分ちょっとというふうになっておりますが、そこに日赤の病院もございます。ただ、そうは申しましても、長寿園が現在あります地区、これは長寿園がなくなりますと医療機関が確かになくなりますので、その後の医療の確保ということが当然必要になってくる。そこで、我々といたしましては、この後の医療の確保のために、国と県の補助金で診療所を建設するということにいたしておるわけでございます。それからまた、現在長寿園に入院しております患者さんにつきましては、全員が西群馬病院の方に行かれるように十分その手だてはしてあるつもりでございます。  確かに長寿園から見ますと場所的にはちょっと離れますけれども、我々といたしましては、六十年度予算の執行に当たりまして、三月三十一日をもって長寿園を廃止するという方針については変わっておりません。ただ、患者さんの移送の問題が実は出てまいります。これについては患者さんの病状等いろいろと考えていかなければいけませんので、そういった問題については十分配慮いたしまして、不安が生じないようなことで今後対処していきたいというふうに考えておりますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  223. 津川武一

    津川分科員 長官、お聞きになったように、施設が小さいから大きいところへ連れていくといっても、これで病気は治らない。病気は心から。私は精神科の専門医ですよ。苦労したときに潰瘍が起きる。心配があったときに呼吸器の病気は治らない。心の通い合いが大事なことなんだ。だから大臣に来てもらった、後で、最後にまたこの問題を聞きますけれども。  もう一つは、バスは三十分だという。行ってみてごらんなさい。あの日行ったら寒くて、バスの停留所まで患者さんが来るのに十五分。七十四になるお年寄りはこの間どうするのですか。だからあえて長寿園の廃止はやめて、続けてくれと言うのです。最後にあなたからもう一回答弁をいただきます、この点では。  もう一つ、今度は青森県の問題。二つの病院を統廃合し、一つの病院を経営移譲するというのですが、市町村議会のすべて一〇〇%が反対決議をしております。  そこで、この一つの青森病院ですが、昭和四十七年に二つの療養所を統合して一つの病院につくりましたが、結核の患者が幸いいなくなって、方々の病院で結核病棟を閉鎖してきている。青森県にすると、結核の患者が最後に入る最終医療機関としてこれを予定している。これに攻撃を加えてきたわけです。また脳卒中リハビリにも力を注いできて、入院患者は二百六十七人、ベッド利用率は一〇四%、外来も四十八年からふえ続けて、一日三十九人から一・五倍の六十二人になっている。周りのリハビリ体制が不十分なので、国もこの施設の拡充整備が必要であるとして、温泉利用の回復訓練所、東北初めての屋外リハビリ施設、新しい機能訓練棟をつくったのです。これが国の姿、こうなければならない。つい最近までそうやってきた。今度それを充実どころか統廃合する、こういうことなんです。皆さん自身が整備を認めてやってきた。そこで厚生省、これは残すべきだと思いますが、いかがです。
  224. 高木俊明

    ○高木説明員 このたびの再編成計画につきましては、先ほど長官から御答弁ございましたとおりの趣旨で厚生省としては取り組んでいきたいということで考えておるわけでございます。  ただいま先生からお話のございました国立療養所の青森病院でございますけれども、これは確かに現在結核の患者が入っておりますし、また脳卒中のリハビリ等の医療をやっております。これにつきまして、その結核なり脳卒中のリハビリを切り捨ててしまう、こういうことを私ども申し上げているわけではございませんで、現在青森病院に近接いたしまして国立療養所の岩木病院というのがございます。これがそれぞれどちらも小規模な施設でございまして、医師の数も七人、あるいは片一方は八人ということで非常に少ない小規模な施設でございます。これをやはりもっと国立医療機関にふさわしい広域的な診療圏をカバーできるようなものにしていきたい、機能の強化を図っていきたい、こういう趣旨で統合いたすわけでございまして、現在担っておる結核の医療等を切り捨ててしまう、決してこういうような趣旨ではございませんので、御理解を賜りたいと思います。  療養施設を統合いたしまして、難病、主に今考えておりますのは肝疾患を考えておりますが、難病等の基幹施設、それとまた同時に、結核を含めました専門医療施設というような形でさらに機能の充実を図ってまいる、こういうような考え方に立っておりますので、御理解をいただきたいというふうに存じます。
  225. 津川武一

    津川分科員 長官、聞いてくれたでしょうね。青森病院ともう一つの病院が四十キロだ。近いところにあると言う。これももう少し勉強してほしい。この青森の病院があるところと浪岡にあるもう一つの病院の間は、青森の駅のところで車が渋滞して三十分くらい動かなくなるところなんだよ、吹雪になったら。そういうところを統廃合するから心配ないと言う。私はどうしてもこれは長官に一度見てもらわなければならないと思う。しかもこの病院、小さくない。青森病院、二百六十七人の入院患者がいる。浪岡、二百六十八人の病人がいる。青森県下でいうと最高のベッド数、高位も高位の方なんです。だから国民が納得しない。  この浪岡の岩木病院、青森病院、四十キロ離れたというが、大変な交通のところで、そう簡単に結びつかない。病床数二百六十五に対して二百六十八人が入院、難病の治癒に当たっている。子供に本当に難病のひどい人がおってね、どれだけ父兄たちから喜ばれているかわからない。重度障害者、これもここにいるためにどれほど喜ばれているかわからない。県下から、岩手県から秋田県からここに来ている。しかも、昭和五十四年新校舎ができた。学校もついている。そして寮もある。病院もある。学校だって、青森の青森病院のところには既に養護学校が幾つもある。これを統廃合するというんだから。しかも、この病院も最近新築している。岩木病院の方は新築工事をまだやっているんです。やらなければならぬ必要があるところなんです。これは子供さんに対する療養と社会復帰と学習の恵みさえ奪ってしまう非常に非情なものでございます。これでも岩木病院と青森病院を統合するつもりなんですか。厚生省、どうです。
  226. 高木俊明

    ○高木説明員 今養護学校のお話がございましたけれども、統合いたしました際、現在岩木病院に重度の心身障害児も療養しているわけでございますが、その子供たちのために養護学校を建設してあるということでございます。統合した際に、現在の重度心身障害の関係の医療を行わないわけではございませんで、これは一緒にいたしましても従来どおり行うわけでございます。  ただ、この両施設を統合した後、新しい施設をどこに建設するかという場所についてはまだ未定でございますけれども、いずれにしましても、両方統合した際の医療というものは従来どおり行われるわけでございまして、ただその際、当然児童の養護教育のために養護学校というものが必要になってまいります。その辺のところにつきましては、当然、今後養護学校がなくなってしまうというようなことを考えておるわけではございません。そういった面について今後どんなような格好にしていくか。これは養護学校の関係につきましては文部省が所管しておりますし、文部省等とも十分相談しながら、現在入っておられる子供さん方の教育に支障がないようにこれは当然考えていかなければならない問題だというふうに考えております。
  227. 津川武一

    津川分科員 長官、これも聞いてくれましたね。この病院に行ってみると、学校の先生がベッドサイドに来て教育している。動ける者は教室に集めて、父兄もそこに来てもらって一緒にやっているわけなんだね。これを真ん中に集めると言う。どこにかと今話を聞くと、場所は決めていないと言う。青森にあんな立派な施設があるのに、浪岡にあんな立派な施設があるのに、それを廃止して中間に建てようといったって、青森には養護学校が幾つもあるのに、この寮や子供たちを持っていって、真ん中あたりに、普通野原の真ん中だ、こういう計画を立てているのです。  もう一つ、文部省にこのことを話をするように頼んだが、文部省と協議をすると言っているが、それでは遅い、だめであって、この病院に対して厚生省と同じように情熱を傾けているのが文部省なんです。こっちで相談しないで勝手に――私、この浪岡の岩木病院に行って院長先生といろいろな相談をした。隣の壁一枚隔てた養護学校にドア一枚で行ってみて、さあどうしようかと言ったら、校長先生知らないのです。あの統合の計画がむちゃなだけでなく、やり方がひどい。  そこで長官、ひとつ意見を出してください。またそれによっては論争をしてみたいと思います。
  228. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 津川さん専門家で、一々詳しくお調べになった上のお話で、よく傾聴させてもらいました。  事情は、私よくわかりますよ。しかし、御承知のように、統廃合した後は非常に高度な、特に時代のニーズに合った高度治療、これを何とか施療者の期待にこたえるようにしたい、これは国立病院、療養所としては当然な責務ですね。そこで、その見地に立っての統廃合ということで厚生省も苦心をして、実はそれぞれ地域を決定するについても、地域の了解を十分得るようにするというので不安感のないように、これら地方自治体とも協調しながら――いろいろな反対もありましょう。これはやはり歩いてすぐ通えるところに病院があるほど便利なことはありませんからね。  しかし、そこでは成人病の急増だとか科学技術の進歩を背景とする満足な治療が受けられないとか、また表にあらわれない一つの大きな不満ですね、そしてまたそれは要求でもあるわけですね。そういうものにどうこたえていくのか。これはやはり国立病院としては内容の充実した立派な病院であることが望まれますね。これは御同意願えると思いますね。そこで、随分自動車も普及した時代ですから、まあひとつこの病人なら近所隣の美徳で何とか乗せていってくれないかとか、マイカーがない人も多いと思います。しかし、それはやはりよりよき病院、よりよき治療施設、こういうことで統廃合をしようと言っておるのですから、専門家の津川先生などからは、わかったということでぜひ御協力をいただくようにしたいと思います。そして、厚生省側においても地域とは密着をして理解を十分得られるような努力をしておるわけですから、この点についても将来とも支障を来さないように、例えば群馬の場合でも、とりあえずこの後には診療所をつくる。そしてまた国立病院には、これは救急患者なら診療所の手で運ぶ方法だってあるわけですね。そういう方法でよりよき充実したものにしていきたい、こう言っておりますので、どうぞ御了解を賜りたいと思います。
  229. 津川武一

    津川分科員 私、非常によく理解しました。それは、長官が医療についてめちゃくちゃな認識を持っているということがここで非常によくわかりました。びっくりしました。  そこでもう一つ、地域の医療の問題、民診の問題です。大疾病院、むつというところに一つの病院がある。それじゃとても及ばない。ここにもう一つの病院、これが国立。したがって、これは非常によく利用している。そこで地方自治体はどうしたかというと、大疾病院、青森より百キロ離れた下北半島のむつ市にあるが、むつ市初め下北郡全町村が反対している。無償でもこれは引き受けないと言っているのです。そしてこの下北半島の各市町村に、国立大疾病院を国立て存続させるようにという垂れ幕まで出ている。それほどこれは必要なんだ。それで、国立大疾病院の整術促進を求める住民の会の陳情が私たちのところへ何回も来ている。  広大な下北郡内で十万の人口に対して、中核的病院は、先ほど話したようにむつ病院一つで、大湊の国立病院はそれを補うというより並行している。これなしには地域の医療が破壊されていく。二つは、国が医療政策としてここでも結核、脳卒中リハビリ、老人痴呆、こういうのをやらなければならぬ。そこで、五十八年十二月に八億五千五百万円かけて病院を整備した。これがにわかにどこかに移譲するということになった。この変化はどこから出てきたのです。行革というものはこんなにせっからな、むちゃくちゃなものなんですか。この地域との密接度合いをどうしてくれるのです。私も長寿園に行ってびっくりした。浪岡の岩木病院の地域で守る会の集会をやったら、いっぱい。そして下北ではこういう状況なんですね。しかも五十八年十二月に八億五千万円もかけて整備した病院を、そういう計画で進んだものをにわかにことしの一月、これをほかに譲るという。しかもだれも受けようとしない。  これは厚生省に聞くのか、大臣に聞いた方がいいのか、どちらでも結構でございます、お答え願います。
  230. 高木俊明

    ○高木説明員 今度の国立病院の再編成は行政改革の一環ということで実施することになっておるわけでございますけれども、これは国立医療機関の現状にかんがみまして、国立医療機関としての機能を明確化していく、これが将来に向けて広域的な、真に国立にふさわしい機能を発揮していく、こういった趣旨があるわけでございます。その際、今後この再編成を進めていくに当たりまして十年というような非常に長期間にわたって実施していく、こういうような計画を立てておるわけでございます。  確かに、最近整備された施設もたくさんございます。そういった中でこれから長期間かけてこの再編成を進めていくわけでございますから、どこかの時点でこういった再編成をやっていくということになりますと、施設については当然新しいものも出てまいりますし、かなり時間のたったものも出てまいります。そういった中で今後、毎年度予算編成に当たりまして具体的に再編成の対象施設というものを決めていくわけでございます。そういうような非常に長期間がかる計画でございます。  また、先ほど出ました大疾病院につきましては、これは確かに現在の地域の事情を考えますと、国立医療機関としての大疾病院、これは百三十床の病院でございますけれども、それが機能している状況を見ますと、これを廃止するということはできない、一方、国立の医療機関として整備していくには適当ではない、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、今回の再編成に当たりましては、これを経営移譲という形で地元と非常に関係の深い自治体あるいは公的な医療機関、そういったところにこの経営を引き受けていただきたい、こういうふうなことで、この大疾病院については経営移譲という形で出しておるわけでございます。  そう言った意味で、地域の実情というものを十分考えながら我々は進めていくつもりでございますし、また現実に実施するに当たりましては、地元とも十分相談しながら実施していかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  231. 津川武一

    津川分科員 これで終わりますが、今答弁されている人は私と同じで医者なんです。人間の命を大事にするというのではだれにも負けない人がこのような官僚的な答弁をする。実情を無視して強行するという。ここに臨調行革の国の政治の本質があるわけです。医者の良心を失わせているものが出てくるわけです。いい機械があるからといって逓信病院あたりの大きな病院は、健康診断に行くと何やっているか、採血する、レントゲンを撮る、検査をやる。悩みがどこにあるのか、どうすればいいのか。生活は問題にならない。ここに医療の崩れがあるわけです。  したがって、長官、長寿園、大疾病院、青森病院、岩木病院をあなたと一緒に歩いてみましょう。そして認識を改めてもらわなければならない。これが私の最後の質問です。
  232. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 今、厚生省の政府委員の答弁を聞いておりまして、相当行き届いた答弁しているなと思って私、同感したのですよ。ですから、津川さんもお医者さんなのですし、長い間議席を持っていらっしゃるし、あなたも賛成の側に回っていただいて、そして長い目で見てくださいよ。必ず将来ああよかったなということになるように、私どもも厚生省に協力していいものをつくり、そしてまた地域も不自由をしないような体制づくり、これは行き届いてやると言っておりますから、そのような配慮は私の方にも責任がありますから、十分地域住民と密着した形で了解を得るように努力をしたい、こう思います。どうぞ津川先生もその辺をよろしくお願いします。
  233. 津川武一

    津川分科員 長官、病気は長い目で見ておれない。命は一瞬一瞬を争う問題。一瞬とは言わない、一日と言ってもいい。そこを抜きにして長い目で見てくれと言っても私、見られませんよ。終わります。
  234. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは大事なところですから。私が長い目と言ったのは、十年計画でまだまだこれから整備していくのですよ、それから地域にも不自由させないように診療所なりあるいは民間にあるいは公的に移管をしてそれは存続しますよ、こう言っておるわけですね。かりそめにも今、健康、これは人間の基本ですから、それをおろそかにするようなことがあってはならぬと思います。  御趣旨はよく承りました。
  235. 津川武一

    津川分科員 終わります。
  236. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 これにて津川武一君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  237. 草川昭三

    草川分科員 公同党・国民会議の草川昭三でございます。  私、きょうは道路交通安全対策、とりわけ最近状況のよくない二輪車の交通安全対策のあり方について問題提起をしたいと思うのです。  最近、自動二輪乗用中あるいは自転車乗用中の事故というのが非常に増加をしておりますし、また年齢的にも若者の事故が目立っておるわけであります。二輪車を中心とする若者の運転者対策が今後の交通事故防止対策の焦点であるという立場から質問をするわけですが、最後に長官からぜひ意見を聞きたいので、ちょっと聞いておっていただきたいのです。  きのう物価問題特別委員会がございまして、同様趣旨の質問をしたのです。  きのうの質問は、実は、最近若者の中にも大型自動二輪が欲しいという方が随分ふえてきておるわけです。ところが、日本でいろいろなメーカーがあって、大型自動二輪を製造しておるのですが、日本での国内販売はできないことになっておるわけです。自主規制がかかっておるわけです。ですから、外国に輸出をされますね。輸出をされたものがまた逆に日本に入ってきて、それを買うわけです。だから、部品等も、隣に工場があっても、隣に行って分けてもらうというわけにいかないのですね。一たんアメリカへ行き、またそれを日本が買う、こういうようなわけです。年間今八千台ぐらい入ってきておるのではないでしょうか。あるいはまた、日本のメーカー以外のアメリカあたりの大型自動二輪が欲しいという人たちも随分います。ちなみに、自動二輪に関するいろいろな雑誌がふえておる。全部で五十万から六十万ぐらいの部数、それだけニーズがあるということなのですが、これはおかしいじゃないかということを申し上げましたら、経済企画庁の物価局長は、流通という面から考えたらやはりおかしいですなということで、きのうは終わったわけです。  そこできょうは、二輪車の事故というのは非常に多いものですから、警察庁としては自動二輪車を目のかたきにするような問題があるのじゃないかということを私はちょっと議論をしたいわけです。私の趣旨は、イソップ物語のマントを脱がす北風ではないけれども、まず教育が必要だ、若者のメカに対するニーズというものがあるのだがら、一生懸命安全教育をすることによって必ず交通安全法規どおりの運転ができて、メカに強くなって、若者は健全に伸びていくだろう、私はこういうスタンスなんです。そのためにひとつ具体的に考えていただきたいというのがきょうの趣旨でございます。  そこでまず、警察庁長官が、ことしの一月二十八日に全国の警察本部の交通部長会議で、国民の共感を得る交通行政が必要だということを言っておみえになるわけです。これは全くそのとおりだと思うのです。ところが、今も申し上げましたように二輪車関係の雑誌は、今五十万と言いましたが、百五十万部出ておるのです。その百五十万のいろいろな二輪車の雑誌を見ておりますと、若い取材記者もおみえになると思うのですけれども、ほとんど警視庁は取材拒否をするとかというようなことが大きく雑誌に出ておるのですね。だから、若い人が見ると、そうだと思うのです。「あの手この手で資料請求する本誌に警視庁は……」云々とか、それから「日本列島’86ネズミ捕りマップ 読者投稿大募集!!!やっだぜ!!ドジなおまーりさん」そういう冷やかしの記事になるわけです。これは、私見ていて、余り対応がよくないからこういうことになるんじゃないかと思うのですけれども、百五十万部の発行部数を若い人が読んでいるわけですから、これは容易ならぬことですから、もっと積極的な対応をした方がいいのではないかと私は思うのですが、雑誌記事の言い分が正しいか否かの問題以前に、行政に対する敵対感情や不信感があったら、交通マナーはおろか、交通ルールを守ることも極めて難しいのではないか。しかも、相手が若者でありますから。その点、警察庁はどのようにお考えになるのか、お伺いします。
  238. 中野公義

    ○中野説明員 お答え申し上げます。  今大変マスコミ等で、先生指摘のような取り上げ方があるわけでございますが、中には一部、反警察感情をあおるような内容のものも含まれておるということについては承知をいたしております。ただ、警察といたしまして、指導取り締まりに当たりましては、今先生がおっしゃいましたように、最近若者による二輪車事故というのが大変ふえてきておる、こういう状況に対処するために、あくまでもこれらの事故防止に重点を置いて取り締まりその他の諸対策を進めているわけであります。  それで、その中で、取り締まりを行ったり、あるいは若者の交通安全マインドあるいは交通の危険性に対する認識というものを高めていきたい、こういうことで、自動車の教習所におきます教習内容を充実するとか、あるいはいろいろ講習する機会を持っておりますので、そういう際に今申し上げましたようなことを植えつけていく。それから二輪車教室、二輪車安全運転大会というものも地域ごとに催しているということで、今申し上げましたようなこれらの施策は、私どもとしましては事故を防止していくということで行っているものでありますが、今先生がおっしゃいましたような多くの雑誌、週刊誌等に書かれておる内容もあり、警察としてなぜそういうことをやっていくのかという理解を若者たちに求める努力をやはりしていかなければならない、このように考えております。  従来、ともすれば、事故実態ということについての広報といいますか、そういう資料提供が多かったのでございますが、今後は、今申し上げましたように、施策の内容警察というものは今の事故に対処してどういうことを進めていっているのかということについての広報を重点として取り組んでまいりたい、このように考えております。
  239. 草川昭三

    草川分科員 警察が二輪車を不当に差別している、二輪車を悪者扱いにしておるという批判が多いわけですよ。今答弁がございましたように、私も警察署なんかのいろいろな事始めなどに行きますと、白バイがスネーク走法なんというのをみんなの前で公開してくれるわけです。あれは非常に難しい。若い連中に、ああして一回乗ってみる、絶対転ぶよと言うと、やはり転ぶわけですよね。だから、非常にハイテクニックが必要だということは、やってみないとわからぬわけですね。そういうPRなり訓練なり安全教育が必要だというのが私の主張なんでございますが、ちょっとここで、警察はまさか二輪車を不当に差別しておるということはないのでしょうね。悪者扱いをしておるという前提はないのでしょうね。それだけちょっと確認をしておきます。
  240. 中野公義

    ○中野説明員 そういう気持ちは毛頭ございません。
  241. 草川昭三

    草川分科員 そういう立場でやっていただきたいわけでございますが、実は、自動二輪の運転免許が非常に取りづらいということでございます。大型二輪の免許については、事前の教育制度というのがないのですね。普通の自動車は教習所へ行けば幾らでも練習できるし、教師もいて教えてくれるわけですが、自動二輪は一体どこで練習すればいいのか。無免許で練習するのか。こういうのは大型二輪免許を取らせない措置ではないか、こういう質問にもなってくるのですが、現在のこういうような制度について一体どのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  242. 村井温

    ○村井説明員 お答えいたします。     〔浜田(卓)主査代理退席、主査着席〕  先生の今のお話のように、現在指定自動車教習所におきましては、大型自動二輪車の教習はいたしていないところでございます。これは昭和五十年に制度が現在の形になりまして、その際にいろいろと検討したのでございますが、結局現在の指定自動車教習所では、コースの長さとかコースの施設面、それからそれを教える指導員の教養等の問題、そういうものがございまして指定自動車教習所では教えないという形になってきているわけでございます。  この問題につきましては、昭和五十年でございまして、もう十年もたっていることもございまして、先生の御指摘のようなことも勘案しまして、大型自動二輪車の教習を実施するということについて、教習コース等の施設、それから指導員等の養成を含めまして、今後ともこれは検討してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  243. 草川昭三

    草川分科員 それは、時代も変わったわけでありますし、十二年たっておるわけでございますので、ぜひそういう施設あるいは教師等の養成をして、対応を立てていただきたいと思うのです。  実は昨日も物特委で私申し上げたわけでございますが、現在の合格率が七・三%です。非常に低いわけですね。受験者は十一万一千人もいる。たくさんいるのですけれども、数が少ない。和歌山県の場合は、昨年の半年間に一人しか合格していない。その他の府県も見てまいりますと、これは結局白バイの隊員以外はよほどのことでないと受からないのではないだろうか。もっと今のようなことをして、そして教育を受けさせて、そして正しいマナーを教える、そういう中で初めて諸外国からも大型の車が入ってくることになると思うのです。免許が厳しいというのは一つ意味で非関税障壁ではないか、我々はそういう言い方もしておるところなんです。  非常におくれたのがございまして、江崎先生も我々と同じ愛知県でございますが、愛知県の免許の場合は自動二輪も、これは大型ですからね、右左は手でやるというテスト方法になっているわけです。きのう免許課長は、非常に試験が厳しいのは大型だから、重いからだという趣旨のこともおっしゃっておられますが、重いもの、大型のもので、右に曲がるときに右に手で合図をしなさい、左折は手で合図しなさいというのは、そういう教科というのですか、受験の指導があるというのは余りいただけぬことなんですね。  だから、私どももそういう意味では、今おっしゃいましたように、五十年の改正以来随分時間がたっておりますので、何回か申し上げますけれども、一部の暴走族の撲滅のために善良な運転者までが免許を取得する機会が与えられないというのは問題だ。一番最初に申し上げましたように、イソップ物語の、旅人のマントを脱がすためには冷たい風ではなくて暖かくして、そして安全教育のためにどうしたらいいのかという議論をする中で若者が初めて目覚めていく。すべて何も取らせない、やらせないということではだめだと思うわけです。  きのう私が触れましたように、実は大型の二輪車の国内の販売ができないということは、通産省も運輸省もメーカーの自主規制だから、それは、警察庁等が少し指導を考えればメーカーの方も自主規制を解くことになるのではないかと私は思うのですが、きのうの物特の答弁ではそういう趣旨のことを運輸省も通産省も言っておるわけであります。現に昨年一年間でも七千台近い超大型車が外国から逆輸入されているわけであります。希望者が多いわけですから、そういう方々に一般の自動車教習所等ででも教育ができるようにぜひ早急に対応を立てていただきたいと思うわけです。  そこで、さらに細かいことになってまいりますけれども、現在二輪車のみを対象とした通行規制が幾つか行われております。それぞれの地域の交通や環境の事情を考慮して行われていると思うわけでありますけれども、随分疑問点があります。  例えば都内で何カ所か見られるいわゆるアンダーパス、有楽町なんかでも、交差点を下からくぐるものですが、これは二輪車の通行禁止になっております。一般的にはアンダーパスというのは交通量の多い交差点の一方をトンネルまたは陸橋としてやられているわけでありますけれども、こういう安全で便利な部分を二輪車には通行させないのは少しおかしいのじゃないかと私は思うのですが、その点はどうですか。
  244. 中野公義

    ○中野説明員 今、先生からアンダーパスについての二輪車の通行禁止の御指摘でございますけれども、このアンダーパスというのは道路の幅員が大変狭くなっております。そうしたところを四輪と二輪が混合して通るということになりますと大変危険であるという観点からアンダーパスについて二輪の通行禁止をしているということでございますが、そうしたアンダーパス等がある場所につきましては、そこは通行禁止にしつつ、側道の方で通れるようにしておく措置を講じた上でアンダーパス等の二輪車の通行禁止を行っておるわけでございます。ただ、原付等は大変危険でございますが、それ以上の大型の自動二輪ということになりますと、そこの状況によっては混合するということについても、速度の点その他から、他の四輪と比べてそういう危険性がないというところになれば、そうしたところは禁止を解除して通れるようにしていくという考えでいくべきであると考えます。アンダーパス等の二輪車の通行禁止というものにつきましては、あくまでもその安全性が確保できるかどうかという観点から今後とも進める、あるいはそういう措置を講ずることにいたしたいと考えております。
  245. 草川昭三

    草川分科員 今も申し上げましたように、警察庁としても安全ということを前提に考えるならば少し見直してもいいというようなことを言っておみえになりますが、例えば都内だと昭和通りにもありますし、有楽町―日比谷、あるいは赤坂の交差点の陸橋、いろいろなものがございますが、今おっしゃいましたように、ああいうところへ本当の小型の一番軽いのがのこのこと割り込んで走行の邪魔をするというようなことはまずないわけでありますので、場所と車のグレード、そういうものを十分判断していただいて、すべてのアンダーパスの利用ができないということにならないような対応をお願いしたいわけであります。  それから今度は、これも都内で見受けられることでありますが、夜間の二輪車の通行禁止です。これは、おおむね二十二時から五時までの間、住宅地の幹線道路で規制が行われております。これは、深夜の暴走族の騒音を封じ込める目的でやられていると思うのですけれども、我々も、そういう暴走族を撲滅することは当然徹底的にやらなければいかぬと思うのでございますが、先ほども触れましたように、善良な運転者の車まで規制をするというのに無理があるのではないかと思うのです。ここにも一つ冷やかしの記事があるのですが、昨年の九月から東京―八王子線の都道でありますけれども、調布市から小金井間の約五・八キロメートルの区間では七百cc以下の二輪車はすべて禁止、こういうことになっておるのです。ということになりますと、小金井ですから私どもも随分いろいろな方から連絡があるのですけれども、調布から小金井間の約五・八キロの区間では七百cc以下の二輪車がすべて通行禁止になっておるので通勤帰りの原付バイクが使えないという訴えが非常にあります。しかも、今の話じゃないのですが、すべての二輪車が対象かというと、総排気量七百cc以上は除くということになっているわけです。逆に言えば、七百cc以上は夜走ってもいいのです。小型の方は、通勤で使ってみえる方々が夜遅く帰るとそれが使えないということになりまして、住民を深夜の騒音から守るという、緊急避難措置としての評価はするけれども、現実にはこれはいかがなものか、こういうことなんですね。  でありますから、締め出すべきは二輪車、四輪車、排気量の別ではなくて、異常な騒音を発する車両であるわけでありますから、極端なことを言えば七百cc以上でも騒音を発するのは規制をしなければいかぬわけですよ、騒音という意味では。だからそういうようなことをやられるので、善良な二輪運転者の反発を招く一つの原因だと思うのですが、これは暴走族対策の実態とあわせてこの規制のあり方について警察庁から答弁を求めたいと思います。
  246. 中野公義

    ○中野説明員 この暴走族対策としまして二輪車の深夜帯の通行禁止ということはずっとやってきておるわけでございますが、そこにおいての暴走族と見られる人が乗っておるものと一般の善良な人の区別ということが今問題として指摘をされておるわけでございますが、規制というのは、車両というものをとらえて規制をかけているということでございまして、暴走族と一般善良な人というのを区別するのはなかなか難しい、困難であろうかと思います。  ただ、深夜の規制等をいたしておりますが、先ほども先生指摘のように夜の十時、十一時から朝の五時、六時といった深夜帯でございます。こうしたところは一般的に一般の二輪車を使われる方も少ない時間帯で、またそういう時間帯にこそ暴走族が跳梁ばっこするということになっておりますので、全体として見ますと、一般の利用者というのは少ないというところをとらえてこういう規制をかけておるわけでございますが、その中で通勤その他で帰る人たちはどうなのかということでございます。  これにつきましては、当然そこを通らなければ帰れませんので、警察としましては、そういう人には特別許可という措置をとりまして、禁止になっておりますけれども当該そういう事情のある方には通行できるような措置をいたしております。しかし、もしそういうような措置をとっているということをその必要のある方が御存じないということであってはいけませんので、こういう規制をかけるときには、そういう例外として通ることができる措置もあるということもあわせて大いに広報等いたしまして、御不便のないようにいたしたい、このように考えております。
  247. 草川昭三

    草川分科員 私も今の答弁で初めてそういう措置があるということがわかったわけでありますので、くれぐれも住民に対する対応の親切さということを行っていただきたいというように思います。  放置自転車という問題がよくあるのですが、今度は放置二輪車の問題について総務庁にもお伺いしますが、御存じのとおり駐車場というか駐輪場がないために放置問題というのは依然としてあります。買い物のためにわずか駐車しただけでも撤去されたという例もあるわけでございますので、どのような措置を今後考えられるのか、この二輪車問題についてお伺いをしたいと思います。
  248. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  まず、この放置自転車の問題につきましては、これはこれまでの間、駅周辺を中心にいたしまして、いろいろ放置撤去の条例等を中心にいたしまして推進をいたしてまいりまして、あるいはまた駐車場の整備、そういうことも相伴いまして、五十八年には五十六年に比べまして相当数減少するという形になってきております。  二輪車につきましても同じような形で駐車施設の整備とかいう問題等々伴わなければならない用題がございますが、この問題につきましては警察関係市町村、公共団体、こういうものの連携をさらに密にいたしまして、さらに適切な措置がとられるような対策を講じていきたい、かように思っております。
  249. 草川昭三

    草川分科員 時間があと四分しかありませんので、ここで長官にお伺いしたいと思うのです。  この二輪車問題は今のような形で規制を強く、それが前面に出ると必ずそれから網をくぐったのがまさしく暴走族になっていく。しかも学校も怖いわけですから、免許を取るな、持つなという「三ない運動」をやるわけですね。そうではなくて、若い人はメカというのは持ちたい、そして関心がある。だったら思い切って、そういう意欲のあるときに正規の訓練場でメカを使わせる、覚えさせる、挑戦させる。そうして白バイ隊の隊員なんかが指導して、君たち一遍こういうことをやってみろよ、格好がいいとか悪いとかの問題じゃないんだよ、これは大変なハイテクニックが要るんだよという中で、初めて私は若い人たちが今の交通法規というものを勉強することができる、こういう状況になってくるのではないかと思うのです。  そういう意味で、何回も申し上げておきますが、一つは教育ということが大切だということを私は知っております。同時にまた警察庁の方も、日本は狭いのだからそんな大型の車なんかはなるべくここで使ってくれるなよという気持ちは私もわかる。わかるけれども、やはり逆輸入ということになっていくわけですから、そこにも矛盾がある。だったら今は原則自由にして、お互いに自主的に、それを内なるものに目を向けていくという方法があってしかるべきではないかと思うのです。そういう意味で、最後に長官の答弁を求めて終わりたいと思います。
  250. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御趣旨は私、よくわかったつもりでおります。やはり若者のニーズにこたえる、そうして事実便利ですな。この狭い交通事情の道路網で駆使するのに一番便利ですね。しかし問題はマナーの問題、教育の問題だ、おっしゃるとおりだと思います。  そこで、警察側も苦慮するのは、また私ども総務庁としても、交通安全対策室を設けて死者を何とか八千人以下に減らそうという努力をしておるわけですが、この数字を見ますと、自動二輪車の場合、昭和五十五年をAとして六十年をBとしますと、この比率が自動二輪車一六三というような大きな数字になるのですね。ですから、警察側からすると、この暴走族の問題と同時にこの犠牲者がいかにもふえ過ぎる、これは本当に残念なことですね。これは二輪車安全協会などで講習もやっておりますが、これをもっと徹底しろ、これは大事なことですね。それはやはり教育の普及徹底が必要ですし、それから若者が二輪車を好む気持ち、よくわかります。しかし、ややもすると暴走族になりがちである。命を落としたんでは遊びが遊びにならないことになってしまいますね。また、自己満足が満足にならない。この数字で見る限りは大変な事故率ということが言えると思います。ですから、ヘルメットの着用などもこれは厳重に指令しておるところですね。  したがって、これなどを考えますと、しかもまだ年齢別の事故者数を見ましても十六歳から二十四歳、これが昭和五十五年には六百七十九であったのが昭和六十年には何と千二百四十四、これは一八三という指数。そこに資料をお持ちのようでございますが、そういう数字を見ると、これはやはり危険視せざるを得ない。しかし問題は、この危険をどう防止するか。それは交通マナーの教育、ここですね。そうして、取り締まることが必ずしも安全につながるものではない。教育を徹底すること、そして同時に二輪車がもっと普及するように安全協会等においても教育施設を広範なものにして、そしてお互いがマナーを守る。特に、免許を制限したりというようなお話もございましたが、そういうことが不当になされないように、それよりもむしろ検査のときに交通マナーについての心得書を必読させ、そういったものをあるいは試験問題に出してもいいでしょうし、やり方はいろいろやっておると思います、私も公安委員長を経験したことがありますが。まあその当時は、私のときは年間に一万四千人死者がありました。現在九千人をやや上回っておりますが、だんだん減らしてきて、八千人にことしは挑戦をし、実現をしよう、こう言っておるときに、ちょっとこの比率を見ると、本人の安全のためを図っておる、こういう意味ですね。しかし、それが行き過ぎると、せっかく若者の強い要求にこたえることができない、これも困ることだと思いまするので、その種のバランスをとって、交通マナーを指導、教育、徹底、こういう面において十分配慮するようにいたしたい、かように考えます。
  251. 草川昭三

    草川分科員 じゃ、これで終わりますが、ぜひ長官を初め関係者の方々、今長官、マナーとおっしゃいましたが、実はテクニック、技術というのが非常に重要なのです、自動二輪の場合は。それを教える場所がない。テクニックを教える中で人間が変わっていくという、これを実は本田が安全普及本部で映画にもつくっておりまして、非常に荒っぽい運転をする若者を集めて、そこで一週間トレーニングをするわけです。その中で見事人間が変わっていくという非常に感動的な映画もあるわけです。もちろんマナーが根本ですが、それにテクニックということを教えなければマナーにもつながらない、そのテクニックを教える場所がない、こういうことだけを強く主張して私の質問を終わりたい、こう思います。  どうもありがとうございました。
  252. 大村襄治

    大村主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、経塚幸夫君。
  253. 経塚幸夫

    経塚分科員 私は、地域改善対策特別措置法に関連をいたしまして、幾つかの点をお尋ねしたいと思っております。  まず最初に、長官にお尋ねをいたしたいと思っておりますのは、差別事象の規制の問題についてであります。  五十九年六月十九日の地域改善対策協議会の「今後における啓発活動のあり方について」という意見具申の中では、あるべからざる差別の長き歴史に終止符が打たれんことをという目的を達成するためには、引き続き国民の一層の理解と協力を得つつ、啓発活動を充実させていくことが必要だ。さらに、条件整備ですね、同和問題について自由な意見の交換ができるような環境づくり、これが非常に大事だ、こういうふうに言われております。ところが最近、一方では、そんなことでは差別事象を規制することはできない、処罰を含めて法的規制が必要ではないか、こういう意見もあるわけであります。既に五十九年の三月十二日、当予算委員会の第二分科会におきまして、鈴木法務省人権擁護局長が、「何らかの法的規制措置が可能かどうかということ、これは本当に真剣になって検討を重ねてきたわけでございます。しかしながら、これにつきましては、憲法二十一条の言論、出版の自由とか、三十一条の法手続の保障というような関連もございまして、実際問題として、いざ規制するとなりますと合理的かつ有効な規制措置というものは見出しがたい」ということで、今後も啓発活動をいたしたい、努力したい、こういう答弁をしています。  政府見解はこの点では明らかかと思いますが、ちょうど地対法の期限切れをあと一年後に迎えまして、いろいろと論議をされております重要な問題でございますので、改めて長官の御見解はいかがなものか、お尋ねをいたしたいと思います。
  254. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御承知のように、地対協の中に基本問題懇談会をつくりまして、そして協議を願っておるところでありますが、我々総務庁としてもこの問題についてはなお努力をいたしていきます。特にハードの面においては相当な整備を見てまいりましたが、今日も事業は進行中でございます、まだ一年ございます、したがって、相当な成果を上げることは間違いないというふうに思っております。またソフト面、精神面における苦痛をどうするのか、侮辱をどうするのか、こういった問題については新しい法律規制によって対処すべきであるという御意見も一方ではございますが、しかし、そういう法律をつくることの可否については、きょうも他の議員からの御質問もございましたが、私は、これは十分検討する時間をいただきたい、そのことによっていい面も出てくるが、また同時に、同和問題を逆に固定化するようなリアクションも出てきて、その法律の効果を逆に阻害するようなことがあってはならない、慎重に対処すべきであるという御答弁を申し上げた次第でございます。
  255. 経塚幸夫

    経塚分科員 長官のその御答弁では真意が那辺にあるのか、ちょっとはかりがたいわけであります。  昭和六十年三月十三日、自由民主党政務調査会長の名前で、法的規制の問題につきまして、「部落差別の解消は、国民各層に対する啓発、教育を中心として問題を解決すべきものであり、法的規制によって解決すべきではない。」こういう旨の通知が出されておるのを私拝見をしたわけでございます。法的規制ということになりますと、この問題はもう既にここ十数年来、二十回近くにわたって国会でもいろいろ論議されておる問題でございますが、憲法二十一条との関連が重大な問題になってくる。憲法のもとでは、すべて国民は法のもとに平等であって、いかなる事情があろうとも差別事象は断じて許されてはならない。しかし同時に、法規制ということになりますと、二十一条の関係があるということで、軽々にこの憲法二十一条に踏み込むような法規制は問題があるということでずっと来ておるわけです。  今の長官の御答弁だと、いい面もあるけれども、同時にまた悪い面もあるということでは、法規制は軽々にとるべきではないという見解なのか、あるいは場合によっては法規制ということもあり得るという御見解なのか、その点がちょっと理解に苦しむわけでありますが、その点はいかがですか。
  256. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私、責任の衝にある者としては、新しい法規制というものは慎重にしなければならない、こういう考え方を持っておるものであります。そういう意味をさっき申し上げたわけであります。もちろん将来にわたって教育の面、啓蒙の面、いろいろソフト面では対応を粘り強くしていく必要があります。前に御質問になった方は、法規制を含んでの御質問がありましたので、それらについてはなお検討の余地ありと。御承知のように、例えば大阪府などが条例で、名簿を配布をしておる者は処罰するとか、禁止するとか、営業停止をするとか定めておりますが、そういうものを目的にして法規制を考えられる面もあるやに伺っておりましたので、そういう面はなるほどいい面といいますか、取り締まりができても、かえって逆なリアクションも考えなければならないということを申し上げているわけです。
  257. 経塚幸夫

    経塚分科員 地対協の意見具申は明確に啓発活動によるべきだというふうに言っているわけですね。長官の御答弁で、慎重にすべきだというのは、法規制をやることについては憲法二十一条との関連で問題があるのだ、こういうふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  258. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 そういう問題もありますし、一方ではそういう問題とは切り離してでも新しい法律を整備したい、こういう御希望の向きもありますから、そのあたり、全体を含めてよく検討をします、こういうことを言っておるわけです。
  259. 経塚幸夫

    経塚分科員 よく全体を含めて検討ということでありますが、私は、これは憲法二十一条との関連で極めて重大な問題でありますから重ねてお尋ねをしておるわけでありますが、従来の政府御答弁といいますのは、私は先ほど法務省の御答弁を読み上げたわけでございますが、憲法二十一条との関連で問題がある、だから啓発活動によるべきだ、こういう御答弁なんですね。そういうふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  260. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御承知のように差別行為の法的規制については、どういう差別行為を対象として取り上げるのか、それをどのような構成要件とするのか、非常に難しい問題がありますね。今の憲法の問題もあるでしょう。そういったことをひっくるめて検討の余地あり。私は、法規制によることはかえってソフト面というか、意識差別の面においてはこれを固定化させる、あるいは潜在化させるおそれがあることを憂慮するものであります。
  261. 経塚幸夫

    経塚分科員 地対協の意見具申もまさにそのことを指摘しておるわけであります。そういうことになりますと、これはかえって差別の解消に逆行するという結果になりかねませんので、その点は憲法二十一条との関連をくれぐれも踏まえて、二十一条を犯すことのないようないわゆる啓蒙、啓発活動によるべきだ、かように考えております。  続きまして、これも期限切れを一年後に迎えましていろいろ論議をされている問題でありますが、期限切れ後、法の性格としてどういう立法措置が必要なのかという問題であります。これも六十一年一月二十七日、自由民主党政務調査会からの文書通知として「基本法として制定することは、その被差別対象地域及び住民を法的に固定化させるという、極めて重大な政治的、社会的問題を惹起する恐れがありこういう文章をたまたま拝見したわけでございますが、期限切れ後、法の性格として恒久法的なものが妥当なのかどうなのか、この点についての御見解はいかがですか。
  262. 本多秀司

    ○本多政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、そしてまた地域改善対策協議会が五十九年六月に意見具申されましたように、差別事象、特に心あるいは倫理の問題が同和問題の解決の妨げになっている。したがって、国民の同和問題に対する認識あるいは理解を一層深めるためにはいわゆる啓発活動が一番重要である、こういう趣旨の意見具申をいただいておるわけでございまして、私どももその趣旨に沿って啓発活動を重視しているわけでございます。  しかしながら、地域改善対策特別措置法が先生指摘のように来年三月三十一日で期限切れになる、その後をどうするか、こういう問題につきましては、先ほど大臣も答弁されましたように、現在、地域改善対策協議会の中に基本問題検討部会というものを設置いたしまして、そこで地対法期限後の方向をどういうふうに持っていくかという議論が行われているところでございます。  私ども、もちろん、地対法施行以来四年を迎えているわけでございますから、それまでの実績の検討あるいは残された課題等をこの部会等で大いに議論していただいて、その上で地対法期限後の対応を考えていきたい、かように考えておるところでございます。
  263. 経塚幸夫

    経塚分科員 検討を部会でされることは結構だと思うのです。もちろん何らかの意見具申がなされればそれを尊重されて期限切れ後の対策を講ぜられる、これも結構だと思うのですよ。  ただ、私がお尋ねしておりますのは、期限切れ後どんな性格の法的措置を講ずるかということにつきましては、政府は政府として当然一定の見解を持つべきであるし、また持っておられなければならぬというふうに考えておりますのでお尋ねをしたわけであります。  そこで、ちょっと突っ込んでお尋ねしますが、この法期限内に事業は完了するというふうに御判断なのですか、それともなお残るとお考えなのですか。
  264. 本多秀司

    ○本多政府委員 地対法の施行直前でございますが、昭和五十六年時点におきまして残されたいわゆる残事業約七千億、これは五十六年当時の価格で、かつ国費ベースの概算でございますが、約七千億というふうに見積もったわけでございます。今日までの四年間にこの七千億という事業、一部の事業を除きましてほぼ完了することができるというふうに見込んでいるわけでございます。  ただ、先ほど先生が御指摘になりましたようないわゆる心の問題といいますか、差別事象、いわゆる国民意識に根差した差別意識というものにつきましては、これは法の有効性にかかわらず今後とも大いに続けていかなければならぬ問題ではないか、かように認識しているところでございます。
  265. 経塚幸夫

    経塚分科員 長官、今御答弁ございましたけれども、法の期限内に完了するという見込みの御答弁なのですね。もし政府側がそういう見解でおられるとしますと、一年後に期限切れを迎えて、これは大変な実態とのずれの考えだと私は思います。  再々自民党さんの文書を引き合いに出して恐縮なのですけれども、こういう文書が出ておりますね。地域改善対策特別委員長の名前で、「法期限内の事業終了は、物的事業に限定しても困難と思われる。」つまり事業は残る、こういう判断なのですよ。そして残った後どう対策を講ずるかということが自民党の内部でもいろいろ論議をされておるようでございます。私もいろいろ調査しましたので、一、二例を申し上げておきたいと思うのであります。     〔主査退席、浜田(卓)主査代理着席〕  例えば、高知県の室戸市でございます。これは六十一年度でなお残事業が五十七億四千九百万ですね。人件費を別にいたしまして平年度の事業消化量が大体二十億台でありますから、人件費を加えますとさらに一〇ないし二〇%加わりますから、とても期限内に事業は達成できない。しかもここは公債費比率が二一・二%、六十一年より起債制限団体になる、こういう状況の中で申し上げたような事業が残るわけであります。  愛知県でございますが、これはなお未指定地区が二十ございます。実施計画は住宅建設一つ例にとりましても二六%しか達成をされておらないわけですね。残事業が何と四百四十一億七千四百万円。なぜこうなったかといえば、実施計画の承認が五十六年度以降ということになったから、もともと着手がおくれたわけですね。  それから、奈良県の御所市でございますが、これは総事業費五百五億円、六十一年度後の残事業が三百五十二億円で、何と五八・五%が残る。それで、年次計画を立てておりますが、七十一年度でもなお残るという状況になっているのですね。  ここで問題なのは、なぜこの計画どおりいかないのか、残事業がこんなに巨額に上るのかということでありますが、これは人口比率、同和地区人口が二〇%以上の市町村が全国で三十三市町村ございますが、ここの統一された調査によりますと、どこの市町村をとりましても、いずれも財政ピンチなんですね。例えば、公債比率一〇%から二〇%が五一・五%も占めておる。三〇%以上の市町村も一五%です。その最大の原因としては、御所市などの場合は、国と県の補助が全体の事業の三五%、市の負担が六五%に上っているんですよ。期限切れ後、何らかの対策を講じてもらわないと五里霧中だというのが御所市の担当者の声であります。室戸市も、市の負担が実に五七%であります。事業量がなお期限切れ後も巨額に上るという最大の根源は、財政的に見るならば国庫負担が極めて不十分であった、こう言わざるを得ないと思うわけであります。  したがって、同特法以降十六年間事業を進めてまいりまして、大きな前進はありますけれども、なお今日事業量がこういう状況だというのは、国の方で十分考えていかなければならない問題が含まれておる。この事業量を消化するということになりますと、一定の期限を限った、法的にも新たな措置が必要になってくるわけでありますが、その点はいかがお考えでしょうか。
  266. 本多秀司

    ○本多政府委員 お答えいたします。  先ほど私が申し上げましたのは、昭和五十六年当時、地対法が施行される直前の時点で、それ以前のいわゆる同和対策事業特別措置法に基づく積み残しが七千億、その七千億に対しまして、現時点で、一部の事業を除いて、ほぼ完了する見込みが立っている、こういうふうに申し上げたわけであります。しかしながら、地対法が施行されて以降、例えば大規模な住宅改良地区に伴う事業とか、あるいはそれに伴いまして地元での調整がスムーズにいかない、そのために事業が長引いているとか、そういう新しく出できた要望なり、あるいは当初見込まれなかった特別な事態が発生した、あるいは五十六年、七年当時に比べまして新しく同和地区を指定したために生ずる事業とか、そういうものは確かに現時点において残っているわけでございます。したがいまして、一体どういう事業が残され、今までどういう実績がある、そういうことも先ほど申し上げました基本問題検討会で十分議論していただきまして、先生が御指摘になったような御意見も、我々も一つの重要な示唆に富んだ意見としてその部会に御紹介申し上げ、検討の材料にしていきたい、かように考えておるところでございます。
  267. 経塚幸夫

    経塚分科員 時間もございませんので、あと少し事例をまとめて申し上げて、御見解をお伺いしたいと思うのですが、十分論議はしていただくとしましても、残った事業を消化するためには、一定の財政問題を含めた法的措置が必要であることは疑う余地がないと思うのであります。同時に、あわせまして同和行政のあり方として、地対協の意見具申の中でも言われておりますように、それが自立に役立ち、そして真に国民理解と協力が得られるような措置を講じなければ、せっかく予算をたくさん組みましても効果が上がらない、かように考えますので二、三お尋ねいたします。  一つは、個人給付の問題でございます。これは大阪の例でございますが、国庫補助対象の個人給付事業は約十項目、大阪で実施されておりますのは約三十項目。長官、これは聞いておいてください。  一例を挙げましょう。例えば生活保護世帯の見舞金、同和地区以外は、世帯割が千九百円、同和地区には特別対策として一万五千円。それから心身障害者の福祉金、これは一、二級が、同和地区以外が一万五千円に対しまして三万五千円、寝たきり老人の見舞金、五千円に対して一万七千円、母子、寡婦、父子世帯、これは地区以外なし、一世帯当たり同和地区一万五千円、園児用品の支給、これは地区以外なし、地区は、靴、かばん、服なども支給をされる。妊産婦対策給付金、地区外なし、同和地区は、国保加入者で二十万円、そのほかたくさんありますが、所得制限もなしにこういう膨大な個人給付が果たして同和地区住民の自立に役立ち、そして広く一般理解と協力、コンセンサスを得られるような内容なのかどうなのか。いろいろ批判が出てくると、ねたみ意識だ何だかんだ言いますけれども、これは逆に逆差別をつくり出しておるじゃないかという批判も出るのは当然だと思うのです。これは明らかに地対協の意見具申とも異なりますし、地対法の精神にも反します。また、その後出されました次官通達にも反すると考えられるわけであります。  二つ目の問題は、つくられた施設の利用問題であります。解放センターはほとんど特定団体の独占的利用に供されておるだけでありまして、同じ地区内でも団体がかわりますと利用ができない。一つの例を申し上げますと、大阪府和泉の解放会館でありますが、昨年の十月一日、ある団体がこれを借りて使用許可をとっておる。ところが、この団体は部落解放基本法に反対をする団体だから使用まかりならぬということで市に抗議をした。このため市は急遽会議を開きまして、一たん使用許可したその会場を当日になって急速取り消す、こういうことで紛糾が起きたわけであります。これにつきまして私、五十九年のこの予算委員会分科会でお尋ねをした際に、厚生省の方も、隣保館の運営要項から見てこれは望ましくない、それから当時の中西国務大臣も、あってはならないことである、厳重に指導監督をいたします、こういう御答弁をいただいておったわけでありますが、これは一向に正されておらないのです。だから、地対法は空回りしておるのです、次官通達も。これは好ましい状態ではないし、直ちに正されなければならぬ問題だと思うのですね。  それからもう一つの例でございますが、これは愛媛県であります。松山市と北条市の住宅新築資金の融資に絡む問題でありますが、私、今持っておりますのは、一般紙に入っていた広告でございます。一不動産会社が、特別低利融資、うちへ申し込めば借りられますよ、そして新築住宅を分譲しますよとやっている。今時一千万円金を借りて、二分の利息で済まされるというような制度は何事だということで、いろいろ調べてみますと、これがいわゆる同和向けの住宅新築資金であります。これを一般不動産会社が扱っておる。  こうしてさらに調べていってみますと、一時期、仮に同和地区におったということにしてこの融資を受ける、そして新築住宅の分譲を受けておるというような事態があって、地方議会でも問題になっております。これは、その地方は属地主義によるべきであるにかかわらず、これに上らないためにこういう不正事件も起こってきているわけであります。地対法さらに次官通達等々に照らしてみましても、こういう不正事件だとか不公正使用だとか肥大化、こういうものをそのまま放任しておく限りにおいては、何年同和対策事業として巨額の投資を行おうとも、一面では、それに逆行する面も生じてくるわけであります。こういう点で国の責任は極めて重大だと思うのです。こういう不公正を直ちに正すべきだと考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
  268. 本多秀司

    ○本多政府委員 先生指摘のように、同和関係施設につきましては、対象地域の全住民に公平に利用されねばならないし、またその受益がひとしく及ぼされることが至当であるというふうに考えております。この点につきましては、関係各省庁におきまして、関係地方公共団体に対して指導が行われているところでございますが、総務庁といたしましても、関係各省庁課長会議等の場で、各省庁に指導方をお願いしているところでございます。また、昨年十一月時点におきまして、私ども、同和地区等につきまして実態調査を実施したところでございます。そういった結果を踏まえまして、実態を正確に把握した上で各省庁あるいは地方公共団体に対しまして指導方お願いを強化する所存でございます。
  269. 経塚幸夫

    経塚分科員 最後に長官にお尋ねをしておきたいと思うのです。  こういう具体的な事例を挙げて、先ほど私も申し上げましたように、二年前にも指導を求めたわけであります。いつも指導するとおっしゃる。しかし現地へ参りますと一向に正されておらない。最大のガンは何かといえば、特定団体の圧力に行政が屈服するようなことがあるからこういう事態が起きているのです。これは地対協の意見具申の中でもるる言われたことであります。あの京都における脱税に絡む裁判所の判決を見ましても、行政が主体性を堅持しておるならこういう事態に至らなかったであろうという裁判所の判決が内容として盛り込まれておるわけであります。  ですから、行政の主体性というものを確立するためには、単なる一片の通達、指導では、これは簡単に解決がつく問題ではございません。国の行政府自身が確固たる信念に基づいてそういう不公正は断じて許さないということで、厳しい姿勢で対処する必要があると考えております。そうでないと、せっかくの差別解消のために役立つべき地域改善対策法に基づく事業が逆な結果を生ずるということを私は憂えるものであります。真にいわれなき差別からの解消を願うならば、この際毅然たる態度でもって法に基づいた指導を貫徹すべきであると私は考えておりますので、最後にその点長官からの決意のほどをお伺いいたしたい。
  270. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 こういう問題はケース・バイ・ケースで判断すべき問題だと思います。自助努力の問題はもう一番わかりやすい話です。もとより、何事によらず自助努力なくして問題が解決することはありません。それから地域の共同化、共用化は望ましいことですが、平素のコミュニケーションがうまくいっておりませんと、力で自治体が押しつけたからといって、何となくいつも不満が残っておるという場面もあるでしょう。これはないとは言えませんね。そうすると、これを力で押しつけ規制で押しつけることが本当に目的達成のために妥当かどうか。これはやはりケース・バイ・ケースで判断していく問題であろうと思います。
  271. 経塚幸夫

    経塚分科員 なお不満足でございますが、これで終わります。
  272. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 これにて経塚幸夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総務庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  273. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 次に、防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  274. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私は北富士演習場の問題を中心にして若干の質疑をさせていただきます。  最初に長官にお伺いいたしたいのでございますが、政府は、外国での大規模災害の救助活動を行うため国際緊急援助隊というものを設置することを決めていらっしゃいます。ところで、この国際緊急援助隊に自衛隊が参加できるかどうかについては検討課題としておられると聞いておりますが、防衛庁長官のお考え方はどうか、お伺いします。若干質疑が他の委員と重複している点があるかもしれませんが、その点はお許しいただいて、よろしくお願いします。
  275. 加藤紘一

    加藤国務大臣 外務省を中心に、いわゆる国際緊急救助隊、援助隊というものの構想についての検討がなされておると聞いておりますけれども防衛庁、自衛隊につきましてはその検討には参加いたしておりません。自衛隊がそういった国際的な救助に出ていくことがいいのかどうかという問題につきましては、憲法上は武力の行使を伴わないものであるならば禁止はされていないというのが私たちの解釈でございますけれども、現在の自衛隊法は、そういった任務を自衛隊には与えていない状況でございます。したがって現在の段階では、それを仮にやるとするならば慎重な討議を我々の中でいたしまして、また種々の御議論を踏まえまして隊法の改正という形でないと、正式にはしっかりとしたものはできないのではないかと考えておりまして、現在そういった隊法の改正を考えているわけではございません。将来考えていく問題であろうと慎重に考えております。
  276. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 この問題につきましては中曽根首相が衆議院の代表質問に答えまして、隊員の身分を外務省や総理府に移すこともあり得るという考え方で諸般の問題を検討し、対処していきたい、こうお答えになっておるわけでございますが、私は、例えば三名とか五名とか非常に少数の場合、外務省あるいは総理府に身分を移行していくということはあり得ると思うのです。しかし、自衛隊がある程度隊伍を組んでいくような場合には、これは今加藤長官がおっしゃったように私も思います。ですから、これから検討していくようなお話もあるようですけれども、自衛隊法がある限りは海外派兵の問題との関連でこれはだめだというふうに現段階では了承していいわけですね。
  277. 加藤紘一

    加藤国務大臣 現在の段階ではその検討をいたしておりません。将来検討することがあるかもしれぬという程度の感じでございまして、現在は検討いたしておりません。もちろん、総理がおっしゃいましたように、ある程度の人数の身分を移して、ある程度のことは可能でありますし、現在そういった形で他省庁、外務省等に出向しているケースもございますけれども、本格的にしっかりとやろうということであるならば、隊法の改正ということが一番望ましい形でないかと思っております。
  278. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。ぜひ慎重にお願いいたします。  次に、六十一年度中に日米の陸海空軍の共同演習は何回くらい行われる予定でございましょうか。もし計画がありましたら、演習の内容、規模、回数等を明らかにしていただきたいのであります。
  279. 大高時男

    ○大高政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問昭和六十一年度中に実施が予定されている日米共同訓練、まず陸上自衛隊でございますが、指揮所演習につきましては、米陸軍と年三回程度実施していく予定でございます。それから実動訓練につきましては、総合訓練を米陸軍と年一回程度、それから機能別訓練を米陸軍及び米海兵隊とそれぞれ年一、二回程度実施していく予定でございます。  次に海上自衛隊でございますが、昭和六十一年度も、対潜特別訓練を年二、三回、それから掃海特別訓練を年二回程度、それから小規模特別訓練及び指揮所演習を年一回程度実施したいと思っております。それから、海上自衛隊演習の際に日米共同訓練をやり、さらに米国派遣部隊をリムパック86に参加させる予定でございます。  次に航空自衛隊でございますけれども、おおむね本年度と同様でございまして、指揮所演習を年一回程度、それから防空戦闘訓練を年数回程度、戦闘機戦闘訓練、これは大体月一回程度、それから救難訓練でございますが、これも年一回程度実施いたしますほか、小規模共同訓練もやってまいるということでございます。  それから、統合幕僚会議でございますが、本年二月に日米共同の統合の指揮所演習を実施いたしましたが、これに引き続きまして昭和六十一年度におきましては、初の日米共同統合実動演習、これを実施する予定にいたしております。
  280. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これに参加する兵員、それから使用兵器の規模、こういったものはわかりますか。
  281. 大高時男

    ○大高政府委員 ただいま申し上げました訓練でございますが、いずれも現在計画中でございまして、この内容がどういった形になるか、人数等につきまして、大体前年度、六十年度に実施しましたものと余り変わらないというところでございます。  ただ、リムパック86につきましては、現在のところ参加艦艇が、従来五隻、リムパック84では五隻でございましたが、これが八隻になるとか、あるいは潜水艦が一隻追加されるというような若干の変更はございます。
  282. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それでは、時間がありませんから、後で陸海空、今お述べになりました合同演習の兵員の数とか、それから、使用火器等については、資料として後から出してください。それでいいです。  それから、リムパックの話が出ましたが、日米両国以外の外国を加えた演習というのが今までもやられておりますね。そういうものに参加する計画というのは六十一年度はあるんですか。
  283. 大高時男

    ○大高政府委員 ただいまお尋ねの人数あるいは使用武器の問題ですが、ただいま調べましてすぐに御返事申し上げたいと思います。  なお、お尋ねの外国、いわゆる米国以外の外国でございますか、これは日米共同訓練の中では海上自衛隊の関係でございますが、リムパックに参加いたしますが、リムパックにつきましては、御承知のように米国以外の国が参加することになっております。ただし、このリムパック86におきまして、どのような国が参加いたしますかは現在調整中でございまして、調整が終わって、実施の前に関係国で発表することになりますので、現段階ではどの国というふうに申し上げる段階ではないと思います。それ以外につきましては、例えば我が国を訪問いたします外国の艦艇でございますが、これと親善訓練というのはございます。それ以外に、いわゆる日米共同訓練と同様な形で訓練を行う外国と申しますか、そういったものは当面ございません。
  284. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 次に、昨年十一月に、北富士と東富士の両演習場を使いまして大規模な日米陸上部隊の共同訓練が実施されました。ことしも昨年同等規模ないしはそれに近いような規模の日米合同陸上部隊の訓練というものは行われる予定になっておりますでしょうかどうか、この点をお尋ねします。
  285. 大高時男

    ○大高政府委員 昭和六十一年度の日米共同訓練の実施場所につきましては、現在検討中でございます。北富士演習場あるいは東富士演習場でございますが、これにつきましては、昨年の陸上自衛隊と米陸軍との共同訓練を実施いたします際に地元と調整をいたしておりますが、この経過等を踏まえまして、来年度に両演習場におきまして日米共同訓練を実施する予定はございません。
  286. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 次に、北富士演習場の周辺整備事業の進捗状況についてお伺いをいたします。  御承知のように、北富士演習場の使用協定は既に三次にわたって締結をされていますが、特に昭和五十八年四月八日の第三次使用協定締結の際に五年間、すなわち昭和六十二年度までに百九十億の事業を行うことが覚書に文書として残され、約束されておるのでございます。今日までの覚書に基づく整備事業というのはどの程度進捗しておりますか。これをひとつ施設庁長官、お答え願いたいと思います。
  287. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、昭和五十八年の四月八日、第三次使用協定の締結に際しまして、百九十億の周辺対策事業五カ年計画の覚書を山梨県知事等との間で交換したわけでございます。現在の進捗率は、六十年度の増額分、これを含めまして約八十七億円、四六%、こういう進捗状況と相なっております。
  288. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 四六%ですか、これはちょっと非常におくれているように私は思います。もうあと二年でございますからね、ことしと来年。六十三年にはまた新しく第四次の協定を結ぶことになるわけでございますね。更新ということになるわけなんです。  たしか、ことしの二月六日に、六十年度の事業費として五億四千六百二十四万三千円増額をされましたが、これは実際問題として今年度中にこの事業がやれるかというと、ちょっと無理です。四月二日にいただいて、それはありがたいことですけれども、ちょっと全部は実施できないというふうに私は思っております。ですから、四六%ではまだ半分にも達していないわけでありまして、覚書に基づく約束ですから、あと二年の間に完全にやっていただけるというお答えを私はいただきたいのでございます。これはやはり地元住民の感情、そして六十二年度にまた第四次の協定を更新する時期等も考えまして、ぜひ約束したことは実行していただかないと住民信頼を失うことにもなりますので、困難がありましても、この二年の間にぜひ完全に実施していただきたい、こう私は願うのでありますが、いかがですか。
  289. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  私ども防衛施設庁といたしましては、お約束をしたこの覚書の周辺対策事業を誠意を持って、最大限の努力をもって実施したいと考えております。  ただ、先生、御理解いただきたいのは、地元との調整、すなわちいろいろ事業内容が出てまいりますけれども、防衛施設周辺整備法になじまない事業その他が出てきて、この調整等に時間がかかっておりまして、事業内容が決まらないという問題がございます。この点につきまして、私ども地元と調整をいたしまして、六十一年度以降の周辺整備は、与えられた予算の中で誠実にこの覚書を実施すべく最大限の努力をいたしたい、かように考えております。
  290. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 地元側の対応にも問題があるように長官おっしゃいましたが、実は六十一年度の予算案の中に基地周辺整備事業費として幾ら組んでおられますか、これをお伺いしたいのです。  これは今予算が審議中でございますので、成立した後、実行計画というものが立てられると思います。そういう際にはぜひ二年間の約束を果たしていただきたいということで、地元からも北富士演習場対策協議会、富士吉田ほかの市町村長、関係者の皆さんが一緒になっておたくにも陳情に行っていると思うのです。陳情に行くからには、これとこれとこれをこうしてほしいという基地周辺整備法の目的に沿った事業を、あなたもおっしゃるように当然考えておかなければならぬわけですから、それがなくて、ただ銭だけくれということではないと私は思うのですよ。ですから、足りない点は私どももよく注意をしまして、御協力できるように一緒にやりたいと思いますけれども、とにかく六十一年度の場合もあと二年で残りをやっていただくわけですから、ぜひ実行段階で特段の配慮をしていただいて約束を果たしていただきたい、こう思うのです。この額とお気持ちをちょっと答えていただきたいのです。
  291. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  現在御審議いただいております六十一年度における周辺対策整備事業費の総額は一千四百八十三億円でありまして、六十年度に比しまして七億円の増、〇・五%の伸び率を示しております。財政事情が大変厳しゅうございまして、主要項目別で申し上げますと、障害防止事業で二百一億、六十年度に比して一億円、〇・五%の増となっておりますが、主力を騒音防止事業に志向いたしておりまして、これが七百九十四億、六十年度に比して二十二億、二・八%の増となっております。  しかしながら、実は一番肝心な民生安定事業が、臨調の答申及び補助金の厳しい抑制措置によりまして、昨年に引き続きまして六・四%の三角、減となっております。また、周辺整備調整交付金、いわゆる九条交付金でございますが、これが六十年度と同額の百七億でございます。私ども、これは強く増額をお願いしたわけでございますが、そういう抑制措置を受けております。こういうような事情で、周辺対策のうちの民生安定事業部分は必ずしも伸びていない、こういう苦しい状況にございます。しかしながら、先生指摘のとおり五カ年の覚書の内容がございますので地元と事業内容を詰め、かつ厳しい情勢ではございますが財政当局と御相談をいたしまして、できるだけの努力をいたしたいと考えております。  六十一年度の北富士周辺対策の金額は幾らかというお尋ねでございますが、これは現段階ではお答えする立場にございませんので、お許しいただきます。
  292. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 その際にひとつ格段の配慮をしていただきたい、それで約束を果たしていただきたい、こういうことでありまして、実行段階の金をここでおっしゃることはできないということはわかっております。  次に、演習場の縮小についてでございます。  山梨県には八十三万の県民がおりますが、霊峰富士のふもとに演習場があることについては、何とかひとつこれをなくしたいという気持ちが強くあるわけです。しかし現状では、米国との協定もございますし、直ちにということもできないわけですから、私どもは段階的な返還をお願いして、現在の知事をバックアップしながらやっておるわけでございます。特に、第二次協定を締結した際に、演習場のうち百ヘクタール、第三次の締結をした際に同じく百ヘクタール、合計二百ヘクタール前後を一部演習場から除外していただけるということになって、これは覚書に書いてあるわけです。ところがこれがなかなかはかばかしく進捗しておらないということは、非常に残念でございます。皆さんもいろいろ御苦労されておると思いますが、ぜひ早期に、一遍にはいかなくても、地元が納得できるような漸進的な解決を図るように格段の配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  293. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、二百ヘクタールの基地縮小はお約束でございますので、施設庁としてもこれに真剣に取り組んでおるところでございます。東富士道路用二十二ヘクタールにつきましては、非常に強い御要望がございまして、六十年三月に地元に返還をいたしました。それから中ノ茶屋地区約七十二ヘクタールの返還でございますが、これは地元との調整が終わりまして現在米側と折衝中でございまして、見込みがあると私は考えております。  なお、東富士道路北側部分、例の百三十八号線との間に狭まりました七十八ヘクタールばかりでございますが、これにつきましても、地元との調整が整い、返還要請がございました段階で米側との交渉に入りたい、かように考えております。
  294. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 御苦労していただいておりますので、ひとつできるだけ手続も急いでいただいて、実現へ一歩でも半歩でも前進ができるようにお願いしたいと思います。  もう一つ、入会協定の問題でございます。これは、協定本文第五条に、「別途協議の上、入会協定を締結するものとする。」と明定されておるのでございます。この点はどのような状態になっておりますか。
  295. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  北富士演習場内の国有地約二千ヘクタールにおきます入会慣習に関する協定締結の問題につきましては、昭和五十三年四月に、防衛庁と富士吉田市ほか二カ村、恩賜県有財産保護組合との間で入会協定を締結することを確認しておりまして、その後、昭和五十八年の第三次協定におきましても同様の確認が行われております。これらを受けまして、国と地元関係者の間で構成される北富士演習場入会協定起草委員会が五十五年六月に設置されまして、その場で入会協定の検討、協議を行っているところでございます。  起草委員会が昭和五十五年六月二十五日以来六十一年二月二十日までに十一回、それから専門部会が昭和五十九年二月二十四日から六十一年二月二十日までに七回、開催されております。
  296. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 結論的には、案をどこでつくるかということがございますね。私どもが了承している限りにおいては、横浜の防衛施設局も入りまして、地元の関係者の皆さんと一緒になって入会協定案をつくろうということでこの起草委員会、専門部会というものが動いていると思うのです。ですから、地元案といっても防衛施設庁も入っておやりになるわけでございます。これは見通しとして大体いつごろをめどに結論を得ようとしておるのですか。
  297. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃられましたように、地元の関係者、横浜防衛施設局の担当者等が起草委員会あるいは専門部会におきまして協定の条項について協議をしておりまして、協定の案文につきまして調整が整い次第入会協定を締結したいということで、施設庁といたしましても鋭意努力しておるところでございます。
  298. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 大体いつごろがめどですか。
  299. 宇都信義

    ○宇都政府委員 この問題につきましては、これまで関係者間でいろいろ入会慣習に対する見解の相違などがございまして調整が難航しておりますが、できるだけ早い時期に地元との調整を終えまして、入会協定の締結に努めていきたいと思っております。
  300. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 加藤長官、お聞き取りのように、北富士演習場の使用協定に基づいて、大事な三点の問題を私はきょう伺ったのですが、国の財政事情の問題もあるし地元との調整もありますから、我々が言うようにそう簡単に事が運んでいかないことはわかりますけれども、しかし、やはり約束したことは誠実にやって、そして誠意があるというところを示していただかないと、これから何事をやろうとしても地元の信頼がなければだめですからね。施設庁長官も今お述べになっているように、関係者がみんな一緒になって努力しているわけですから、その点はよくわかりましたけれども、なお長官としましても配意をしていただいて、この約束が完全に守られるように御配慮していただきたい、こう思いまして、この問題に対する長官の御所見を承りたいと思います。
  301. 加藤紘一

    加藤国務大臣 昨年、日米の共同演習が行われるに先立ちまして、私も数度地元の県知事さん及び関係者の方々とお話し合いをし、理解を得てきたわけでございますが、その際にもいろいろな地元の要望のお話がございました。ただいま政府委員がお答えいたしましたように、今後ともできるだけ誠意を持ってその実現方に努力してまいりたい、こう思っております。
  302. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 質疑時間がもう五分になりましたから、一つ最後にお伺いしたいのは、昨年十月、防衛庁の中につくられました業務運営自主監査委員会というのがございます。そこで先ほど加藤防衛庁長官に対して第一次の提言が行われておりますが、それは、防衛庁は自衛隊の合理化、効率化を目指し、今後取り組む基本方針として三十二の項目を検討するということになっているようでございますが、私はその中で、一つは有事に備えた陸海空の統全部隊の編成と活用についての問題、それから二つ目には予備自衛官制度の活用、それから三つ目には補修業務の民間委託の拡大、こういう問題が大変重要な問題ではないかと思うのです。  まとめて言いますから後でお答えいただきたいのですが、第一の統全部隊構想は、これまで陸海空三自衛隊の保持してきた機能の境界線の抜本的な見直しにもつながるものではないか、こう思うわけであります。そして、現在の平時において保有すべき防衛大綱ですね、こういうものの見直しに直結していくんじゃないかという心配をするわけでございます。官房長が座長になっておったようでありますが、第一次提言をまとめるに当たっては、そう踏み込んで問題になるようなことはしない、こうおっしゃっておったわけでありますが、有事に備えた陸海空の統全部隊の編成の問題については非常に私は心配をしておりますから、これに対する御所見をひとつ承りたい。  それからもう一つは、有事に際し後方支援に当たる予備自衛官は、現在は隊員のOBに限られておりますね。ところが、その対象を未経験者にも拡大するようにしたいという考え方が出ているようでございます。実際に私は戦場にも行ってきましたけれども、何ら経験のない人が、後方支援であってもそう簡単にできるものではない、こう思うのですね。特別に何か志願者を集めて、それを訓練してやるというような方法も考えられるのでございましょうが、こういうOB以外の者も後方支援予備自衛官として使いたいというようなことについてはちょっと問題があるように私は思いますから、その点はどうか。  三つ目の問題につきましては、兵器とか装備等の修理業務というのを民間に委託するのでありますが、この場合に、民間委託した場合、機密の保持とか有事の際の保障能力、こういった問題に非常に難点が出てくるのじゃないか、こう思うのですけれども、こういう問題について、三つちょっと疑問に思っておりましたので、この際長官から御所見を承っておきたいと思います。
  303. 西廣整輝

    西廣政府委員 御質問最初の二点について、私ども防衛局と関係がありますので、お答えさせていただきます。  まず、統全部隊の設置を含む統合運用の強化ということでございますが、これは言うまでもなく有事における防衛能力を最大限に発揮するために最も効率的なあり方はどうかという検討の一環として行うわけでありまして、平時から統全部隊を置くというようなことではないと私ども理解しております。基本的には自衛隊というのは、防衛庁長官あるいは内閣総理大臣のもとに統合された部隊として置かれておると私どもは考えておりますが、それらの陸海空のそれぞれの機能というものを有事に統合的に発揮するということが、限られた防衛力で最大限の効果を発揮するために非常に吹くべからざることであろうと思っております。  その際に統全部隊を置くか置かないかということになりますと、これはまた別の面で、司令部機構が重複しないかどうかとか、あるいは地域的にそのようなものを置いた場合に陸海空の部隊のより幅広い、弾力的な、柔軟な運用が可能かどうかといったいろんな面の検討をしなければなりませんが、いずれにしましても、統全部隊を置く置かないは別といたしまして、統合的な運用をするということは、部隊運用の面あるいはそれを可能にするための、例えば指揮・通信機能等のハード、ソフトを含めて、今後我々としてはより研究していかなければいかぬ問題であるというように考えております。  第二点の予備自衛官について、自衛官経験のない者を採る点についてでございますが、基本的には、我が国の自衛隊は予備勢力というものが非常に少ないということは紛れもない事実でありますし、かつまた、陸上自衛隊等を見ますと、列国に比べて現役といいますか実員充足が非常に高いということは、それなりに、規模の割に平時からお金がかかるというような問題もございます。そういう点で、より予備勢力というものを充実することによって、より合理的な平時の部隊維持の方法はないかということは、当然我々としては追求していかなければならぬ問題ではあろうかと思います。しかしその場合に、今先生質問のように、自衛官経験が全くない者で、果たして有事に何ほどの役に立つかといったような御疑問もあろうかと思いますので、そういったことも含めて、どういう職域、どういう職種についてどういうような予備自衛官制度であれば可能であろうかということについては、少し時間をかけて私どもとしては勉強させていただきたいというように考えております。
  304. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 三つ目は。
  305. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 予定時間をオーバーしておりますから、答弁は簡潔にお願いします。
  306. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 民間委託をする場合に、機密の漏えいとかいうことの関係でございますが、私どもが今考えておりますのは、民間委託の範囲といたしまして、装備品等の整備業務でございますとかコンピューターソフトの維持管理業務でございますとか、そういったものを考えているわけでございまして、今御指摘のような御心配というものがさしあたってないようなものを考えてまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、今検討をしているところでございますので、御指摘も頭の中に入れながら十分心配のないような形で結論をまとめていきたいと思っております。
  307. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 この際、大高教育訓練局長から発言を求められております。これを許します。大高教育訓練局長
  308. 大高時男

    ○大高政府委員 先ほど先生お尋ねの昭和六十一年度の日米共同訓練に参加する人員数あるいは主要装備でございますけれども、現在計画につきましては、自衛隊で計画をしたりあるいは日米間で調整中でございますので、確定的なものをまだ申し上げる段階でございませんので、御了解をいただきたいと思います。
  309. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。時間がちょっと延びまして済みません。ぜひ長官、今の研究課題については非常に重要な問題でございますから、慎重の上にも慎重にひとつ御検討いただくようにお願いをして終わります。  どうもありがとうございました。
  310. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  311. 上原康助

    上原分科員 限られた時間ですので、最初から本論に行きます。  最初加藤長官にお尋ねしますが、沖縄における軍用地の強制二十年使用の件についてです。これは議論すると長くなりますので、きょうは短く聞いておきますが、なぜ二十年なのか。二十年だと二七〇〇年まで、復帰から三十五年、米軍支配から六十二年、こういうばかげた強制使用というのは全く前代未聞、前例もなければ、沖縄だけにどうしてこういう差別的な土地取り上げを新たにやろうとするのか、あなたに責任者としての見解をもう一遍聞いておきたい。――いや、これは加藤長官に答えてもらいたい。施設庁の考えはわかる。
  312. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 まず事務当局からお答えさせていただきます。  二十年といたしました理由は、現在使用いたしております嘉手納飛行場等の米軍の施設が日米安保条約の安定的な運用のため、日本の防衛のために必要である、こういう判断をいたしまして、全地主のわずか〇・四%の方が一坪地主運動を始め、千九百人ばかりになってしまった、こういうことから、いろいろ検討いたしました結果、特措法によりまして公用使用をさせていただきたい、その期限は民法の賃貸借契約の最長期である二十年を参考としてこれを決める、こういう判断をしたものでございます。
  313. 加藤紘一

    加藤国務大臣 我が国の防衛にとりまして、日米安保体制というのは自衛隊の存在とともに二大支柱になっておるわけでございます。そして条約ができましてから今日までの期間を考えますと、相当長期に安定的な良好な関係を保ってきたと思っておりますし、また、私たちとしては今後予想し得るかなり長い期間そういった安定的な状況が続いてほしいと思いますし、また続くものだろう、こう思っております。そういう意味で、施設の安定的な使用というのは、ただいま施設庁長官が申しましたように非常に重要なことではないかと考えて、二十年という問題を提起したわけでございますが、幸いなことに土地所有者の方の九九・六%までの方には御理解をいただいてきていると思います。そういう意味で、ぜひその点については残りの人々の御理解を得られますように今後とも努力してまいりたい、こう思っております。
  314. 上原康助

    上原分科員 これは短時間ではできませんので、大体あなた方の真意を僕は少し確かめておきたいと思ってこれをしょっぱなに聞いているわけだが、防衛庁長官、施設庁長官も恐らくそういう答弁しかしないだろう、これまでの経過を見ても。しかし、指摘しておきたいことは、わずか〇・四%だから土地を強奪していいという意見、やり方はないでしょう。数が少ないから二十年でも召し取っていいということにはならぬですよ、これは。その点は強く指摘しておきたいと思いますし、民法の二十年云々も、それは随意であって、あなた、これは強制じゃないでしょう。これは強制的にできないわけでしょう。  それと、加藤長官、あなたは一坪地主がますますふえるのは納得できないと述べている。しかしあなたの部下の那覇局の人々は、立場はあるが、反戦地主の気持ちもわかる、意見書をよく見ると心が痛む、心がこもっておって心が痛むと言っておるのだな、作業を進めながらも。なぜ反戦地主がふえることがけしからぬのですか、答えてください。――加藤長官に言っているんだ。あなたじゃないんだ。
  315. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、本当に御理解をいただいて随意契約でやられればこんなによいことはないと考えております。  それから、沖縄の皆様が戦禍の惨害を受けられ、そういうお気持ちが強いということも、今御指摘のふうに本当にそういう気持ちを持ちながらやっておるわけでございますが、わずか二千平米の土地を千九百人にも分けるという一坪運動につきましては、これはやはり正当な土地の所有権を守るためのものではないのではないか。  それから、強奪とおっしゃいましたが、公共の福祉のために、正当な補償のもとに私有財産が制限されるということは、憲法上認められていることは再々お答えいたしております。正当なる補償をもってこれを公用使用させていただきたい。決して強奪をするというような考えではございませんので、その点何とぞ御理解賜りたいと思います。
  316. 上原康助

    上原分科員 加藤長官、今私が指摘したことにお答えいただきたいのですが、その前に、正当な補償というのだが、二十年一括払いして何が正当な補償ですか。反戦地主の皆さんは、それは正当な補償と思っていませんよ。あなた方がそういう感覚でやるから困るのです。ですから、きょうのところは、そういう議論はまたいずれ沖特なり内閣委員会でもこれから機会があると思いますのでやりますけれども、なぜあの反戦地主がふえるのがけしからぬのですか。これも正当な手続を経て土地所有しているのじゃないですか。加藤長官、お答えください。あなたの見解を聞いておきたい。
  317. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私は、いわゆる一坪運動というものがある種の目的を持っておやりになるのは余り望ましいことではないと思います。私たちといたしては、それぞれの公共の福祉と、それぞれの土地の所有権の問題についていろいろ考えるわけでございまして、考えに考えた末にこういうようないろいろなお願いをしているわけでございますけれども、そういう際には、やはり通常の土地所有者と合理的なお話し合いをするということが私たちの希望でございます。ところが、先ほど申しましたように、かなり細かな土地でその所有権を主張されるというのは、本当に公共の福祉との関係では、ますますバランスがやはり公共の福祉の方に傾くのではないか、そんな気持ちがいたしておる次第でございます。
  318. 上原康助

    上原分科員 その点はすれ違いになってもあれですが、防衛庁長官なり施設庁長官なりのそういった行政に対する姿勢の問題、あるいは権力を振りかざす権力者に対する民衆の抵抗権というものに対して、民主主義社会において皆さん方がどういう認識を持っているか、私はそれを確かめたかったからこういう質問をしているんだが、あなた、そういうことなら全く所有権の否定、民主主義の否定じゃないですか。公共の福祉のためにはそういう個人の土地を、強奪じゃないと言うが、まさにそれは権力による強奪ですよ。しかも二七〇〇年ですよ。今度もし二十年決定された場合には、国会においてもこういう論議がなくなっちゃう。そういうのを皆さんはねらっているわけでしょう。冗談じゃないですよ。加藤長官、あなたは二七〇〇年まで収用しようとしている。皆さんは、今聞いてびっくりしたような顔をしている。(加藤国務大臣「二七〇〇年とおっしゃるから」と呼ぶ)二〇〇七年です、二〇〇七年まであなたもそれまで国会議員がどうか知らぬよ。二十一世紀にかかるじゃないですか。それこそ、これは差別であり強奪であるということを指摘をしておきたいし、あなたは正当な手続を経てと言っているが、補償でも三分の一しか結果的には補償しないじゃないですか。本当にそんなばかげたことがありますか。したがって、この二十年土地取り上げというものは即刻やめてもらいたい。この点を強く指摘をしておきたいと思います。  次に移ります。  次は米軍住宅建設の件ですが、本当ならいろいろ防衛問題を議論したいのですが、三十分ではとてもできませんので具体的な問題だけ触れておくのですが、今、逗子問題が非常に大きな自治体、政治課題になっているわけです。どう見たって最近の防衛施設庁の思いやり予算の使い方は余りにもひど過ぎる。この米軍住宅は思いやり予算でこれまでどのくらいつくって、これからどれだけつくろうとしているのか、まずその計画を明らかにしてください。
  319. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  米軍住宅全般についての問題は、まずその需要が近年、米海兵隊の人事政策が変わったということから急増したということ、あるいは一たん西太平洋地域にプレゼンスしなくなりました米海軍の前方展開が始まった、こういうことから生じたものでございまして、現在なお数千戸足りないという言い方をアメリカ側はいたしております。沖縄の問題に限って申し上げますと、特に沖縄の海兵隊が一九八一年から、今まで精鋭部隊は家族が同伴するものではないという海兵隊の厳しい不文律が撤廃されまして、家族同伴を許されたことから急に必要となったものでございまして、五十六年から六十年にかけまして千六百六十八戸、六十一年度は四百五十七戸の整備の計画をいたしております。
  320. 上原康助

    上原分科員 数千戸足りないとアメリカが言っている。数千戸足りないと言えば、日本側が思いやり予算でつくってあげるのですか。
  321. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  これもまた日米安保条約の安定的な確保のためという大きな防衛政策の問題に立ち戻ろうかと思いますが、米軍がはうか祖国を離れて日本防衛のために日本に家族を連れてきておる、これに対するホスト・ネーション・サポートという立場から、米側が必要とする家族住宅については、厳しい財政事情のもとでありますので、財政当局とも十分御相談をし、またその必要の緊急度につきましては日米協議をいたしましてその都度決めていく、こういうものでございまして、一挙に数千戸、米側の言いなりに建てるというものではございません。
  322. 上原康助

    上原分科員 いろいろ言い分はあると思います。しかし、安保条約だって地位協定が関連するわけでしょう。条約でも法律の枠内でしかできないはずですよ、本来なら。明らかに地位協定を拡大解釈して今日に及んでいるんだ。しかも、例えば日本の住宅公団などがつくる規格よりもはるかに立派ですね。面積も大きい。金高も高い。このようなことにこんなむだ遣いしていると、防衛費は幾らあったって足りませんよ。一%問題にも触れたいですが。  そこで、数千戸云々の話があったのですが、ここに一つの資料があります。日米間で一九九六年まで――私が言っているのはリロケーションは別ですよ。議論をかみ合わす上でこれは一応法律の範囲内と我々も見ますよ。一九九六年まで日米間でどれだけの住宅をつくるという日米間合意か何かあるのですか。
  323. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  提供施設整備、特に住宅問題につきましては毎年度、先ほど申し上げましたようなアメリカ側の必要性、それから我が方の財政事情、その他の事情を勘案して日米協議して決めていく、こういう性格のもので、何年までに何千戸というお約束はございません。
  324. 上原康助

    上原分科員 しかし、一九九六年までの年次計画を出しているんじゃないですか。大体それに基づいてつくられてきているわけでしょう。一九九六年までに六千四百二十一月を建設することになっているわけでしょう。そのうちリロケーションが二千八十三戸、四千三百三十八戸は思いやり予算でやるというふうになっているんじゃないですか。それを年度別に予算化してやっているというのが実態じゃないですか。だから、今までつくったものを入れると数千戸になってしまうんじゃないですか、佐々さん、あなたは頭がいいから計算してすぐわかる。
  325. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先ほど来申し上げておりますように、アメリカが確かに数千戸というオーダーの要求をいたしておることは事実でございます。しかしながら、これは日米合同委員会施設小委員会マターでございまして、毎年度協議という形で、財政事情の許す限りの範囲内でやっていく、自主的に判断してやっていく、こういうことで、何年までに何戸を建てるという約束はいたしておりません。
  326. 上原康助

    上原分科員 そこで、その結果どうなっているかといいますと、これは沖縄だけじゃないし、三沢、逗子、岩国、最近に佐世保にもまたつくるわけでしょう。こうなりますと、防衛庁長官、ホスト・ネーション・サポートとかなんとかきれいな英語でごまかせるような問題じゃないんだよ。住宅だけでなく、学校をつくれ、病院つくれ、郵便ポストつくれ、プールつくれ、小規模のゴルフ場つくれ、運動公園つくれで、まさに一つのコミュニティーを今こういう思いやり予算でつくってあげているわけですね。これは国民の側から言うと、どう考えても逸脱ですよ、税金のむだ遣い。だから、緑を守れというああいう運動が起きるんだよ。したがって、このことは再検討の余地があるということを強く求めておきたいと思うのです。  その結果どういうことになっているかといいますと、私はこの種の問題はこれまで余り取り上げできませんでしたが、総理初め、口を開けば民間活力とか安定とかなんとか言っているのだが、何が我が国の防衛のためにアメリカが日本にいるんだよ。帰ったってちっとも変わりありませんよ。そういう錯覚で防衛問題や日米安保を考えるからおかしくなる。それはいずれやります。  この住宅建設を思いやり予算でこれから数千戸も不足しているからどんどんつくってあげるという、結果はどうなるかというと、沖縄のことを言うと、大体五千戸の民間住宅、貸し住宅がある。これは大体一九五三年度ぐらいから復帰前からつくってきた、アメリカ側がお願いをして民間に建設させてきたのですね。その結果、現在どうなっているかというと、五千戸のうち何と千五百戸は空き家になっているのですよ。長官、何が民間活力ですか。住宅を建設して貸し住宅を営業としている皆さんは、家賃も入らないし、投資をしただけのあれも取れないわけなんだ。こういう矛盾が起きているわけですよ。  ですから、議論をかみ合わすにしても、今の日本側の思いやり予算でやっていることについては余りにもサービス過剰、仮に一歩譲ってその問題を議論するにしても。したがって、行財政改革とか防衛費の問題があるだけに、このことについてはアメリカ側とも再検討する余地ありと私は思うのですが、どうですか。それがどんなに民間に影響を与えているか、皆さんわかるのですか。
  327. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  全沖縄貸住宅協会の皆様からも私ども陳情をいただいて、同じことを御説明申し上げておるわけでございます。先ほど申しましたように、海兵師団が駐屯しておる沖縄で八一年度から急に住宅が必要になった、こういうことで現在、先ほど御説明しましたように、六十一年度四百五十七戸、こういうことでございますが、その不足数が数千戸ということでございますので、当面は需給関係のバランスを崩すことなく、御理解をいただきながらやれるのではないかと考えております。将来の問題といたしましては、この全沖縄貸住宅協会の皆様の御意向あるいは沖縄県の御意向等十分勘案をいたしまして、この需給関係のバランスにつきましては十分なる調整をしながら実施してまいりたいと考えております。
  328. 上原康助

    上原分科員 需給関係のバランスがとれていないわけですよ。これはあなた、そう言ってみたって、実態は違うんだ。  例えば、これも最近キャンプ・コートニーにできた高層ビルですが、九棟だったか、まさにマンションですよ。かつて昭和五十三年ごろでしたか、僕はそれを取り上げたことがあったが、アメリカのスターズ・アンド・ストライプスだったかなにかに、まさにこのマンションはホテルだ、日本は我々にこんなにぜいたくな住宅をつくってくれますと書いてあった。これを取り上げたら、その後アメリカの新聞にも出なくなった。日本人はウサギ小屋だとかなんとか言われておって、何でアメリカの兵隊を住まわす家屋にこんなにべらぼうに金をかけてやらなければいかぬですか。しかも、行財政改革で防衛費だけ突出させて。そういう矛盾点についてやるのが、今まさに皆さんのやろうとする防衛行革でなければならないはずなんだ。  長官、あなた、将来の日本を背負う政治家の一人として、私との見解は違うかもしれないけれども国民の税金というものが正当に使用されていないということについては、私たちは安保の問題とかそういうことは別にしても、この問題は見過ごすわけにはいかない。同時に、民間活力と言いながら、民間でできる貸し住宅まで、わざわざ地位協定に違反してまで我が国の方が予算化してどんどんつくらせている。民間活力、民間活力と総理初め閣僚の皆さんが言いながらも、民間でできるものさえ抑え込んで不況にしていく、企業を追い込んでいく、こういう非情な政治のあり方、基地行政というものは、我々としては納得できない。これは安保とか地位協定のものではなくして、政治に対する防衛庁の姿勢の問題だ。今これは何でも聖域化している。最近の防衛論議を聞いても本当にどうかしていますが、これはいずれやりますけれども、我々野党の力も弱いでしょう、突っ込みも足りないかもしらぬが、まさにこういうものこそ大蔵省も会計検査院も本当に再検討して芝生までも植えてあげている、花木を植えてあげたり、まさに基地の公園化じゃないですか。そういうことにむだな金を使う必要はないんだ。特にこの貸住宅協会の皆さんの現状を考えた場合には、防衛庁長官、これは施設庁だけに任せる問題じゃないと思うのですが、いかがですか。
  329. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先ほど、沖縄四百五十七戸と申し上げましたが、ひとつ先生理解をいただきたいのは、基地内の米軍住宅は昭和二十年から三十年ごろ建てられた老朽化した狭隘なるものが多うございます。したがって、四百五十七ふえたのは、必ずしも純増ではなくて、減耗更新の部分もございますので、需給関係のバランスはとれるのではないだろうかと申し上げました。  また、大変ぜいたくであるという御指摘がございますが、この点につきましては、私どもも日本の国民感情あるいは周辺との調和ということを考えまして、アメリカの国防総省の基準を抑え、個別的な一戸建ての住宅の希望があってもこれをむしろ集合住宅にして、立体化して需要を満たしておる、こういうことで、必ずしもアメリカの言いなりにぜいたくなものをつくっておるということばかりではない。  それから、芝生と植樹の問題が出ましたが、これはそれぞれの環境アセスメントあるいは県の御要請その他、緑を何とか守りたいということから裸地部分にこういうものを植えて緑を何とか確保したい、こういう考えがあることも御理解をいただきたいと存じます。
  330. 上原康助

    上原分科員 ここであなたが答弁すれば本当にきれいごとに聞こえますけれども、実態はそうじゃないですよ。何が緑を守っているか。住宅をつくるために緑をみんなつぶしているじゃないですか。だから逗子でもあれだけ問題になっているわけでしょう。佐々さん、あなた幾ら頭がよかろうが、そういう答弁だけしてごまかしてはいかぬよ、失礼だが。あなた、四百五十七の中は、何が老朽化したものの建てかえですか。じゃあ後で数字を出してください。この具志川コートニーにできたのは、老朽化したものの代替ですか。違いますよ、まるまる新規じゃないですか。私は現場にも行って調べてきてこのことを取り上げているのですよ。冗談じゃない。     〔浜田(卓)主査代理退席、主査着席〕  長官、どうですか。こういうのに余りにも金をかけ過ぎると思いますよ。これはこれまで余り議論されなかったからそうなっているかもしれませんが、私はその問題については、逗子の問題を含めて、全国的に今のようなやり方ではいかぬと思うのですが、長官としていかがですか。
  331. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちの施設庁が思いやり予算等でつくっております米軍の住宅につきまして、それがぜいたくであるかどうかという御議論は、昨年の国会でも三沢における住宅に関し、いろいろございました。  そこで、私もかなり関心を持っておりまして、沖縄の米軍施設を見学に行きましたときに、現実にその住居の工事中のところも見てまいりましたし、またでき上がったものも様子を見てまいりました。ある部分は確かに我が政府においていろいろ緑を守るような施策もしておりますし、ある種の樹木は米軍自身が自分たちの経費で植えている部分もございました。そこで基地の司令官や担当官たちに聞いてみましたら、自分たちとしては、米国防総省の基準よりは狭いものである、しかし日本全体のバランス、日本における住宅事情等から考えると、やはりそこはお互いに調整をしなければならないのではないかというようなことを言って、現在の規模に感謝するという言葉を言っておりました。私たちとしては、この辺がいいところの調和なんではないかなというふうに考えております。
  332. 上原康助

    上原分科員 それほどおめでたくなれば何をかいわんやですが、住宅公団がつくっているものと比較してみても、余りにも金がかかり過ぎる。この点は逐次具体的なことを挙げてまた議論しましょう。  時間が来つつありますので、最後に、読谷の飛行場の共同使用の問題についてちょっとだけはっきりさせていただきたいのですが、ソフトボール会場として補助飛行場の一部使用は日米間で合意になったものと理解をしていますが、その点明確にしていただきたいということと、二点目に、補助飛行場の移設の件については、既に御承知のように、読谷飛行場転用計画というりっぱなものが出されている。そういう面からしても、この使用、移転の問題は急を要することですが、この二点について明確にお答えください。
  333. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  沖縄の読谷にあります読谷補助飛行場の一部土地をソフトボール場として使用したいという読谷村長からの御要望がございまして、那覇防衛施設局長に対しまして昨年の四月申請が出てまいりましたが、その後沖縄県知事からも沖縄国体を実施する立場から、本件ソフトボール場を早期に実現できるように御要請がありました。  防衛施設庁といたしましては、国体という国民的行事である事業に協力するという観点から、本件の土地の使用につきまして米側に提案していたところでございますが、米側から、国体の終了するまでの期間で共同使用するということの条件が付されまして、同意する旨の回答が来ております。この米側の条件に対しまして、このほど読谷村長から異存がない旨の回答が来ておりますので、近く合同委員会で合意される見通しであるところでございます。(上原分科員「移設について」と呼ぶ)  読谷飛行場につきましては、先生御存じのように、数年前から機能を移設するということで調査をしておりますが、現在のところ、移転先についてまだ確定的なものを把握しているところではございません。  また読谷飛行場につきましては、現在米軍が楚辺通信所のいわゆる緩衝地帯、それから一般訓練の訓練場ということで使用しておりますので、パラドロップ、降下訓練の機能がよそに移設された後におきましても、補助飛行場そのものが返還されるという見通しは立っておりません。
  334. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  335. 大村襄治

    大村主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、松前仰君。
  336. 松前仰

    ○松前分科員 私は、OTHレーダーのことについてお伺いをいたしたいと思います。  予算委員会の中で、集中審議等でOTHレーダーはかなり取り上げられておるわけでありますけれども、私は、その中で余り取り上げられておらなかった、昔の委員会ではいろいろ取り上げられたこともあると思うのだけれども、電波の問題について取り上げてみたいと思うのですが、その前に、この間、OTHレーダーのことについて、自主運用ができないような代物であればやらない方がいいと防衛庁長官はお答えになったということですが、それはそのとおりでよろしいですか。
  337. 加藤紘一

    加藤国務大臣 我が国が自主的に運用できない、そういう装備であるとか、その得た情報が我が国にわからないような仕組みというようなものであったならば、我が国の防衛には役立たないわけでございますから、それを私たちの自衛隊が持つつもりはございません。
  338. 松前仰

    ○松前分科員 もう一つお伺いしますが、計画といいますか、計画なのかどうか知らぬけれども、新聞等に出ておりますOTHレーダー、日本のものですね、これは北を向いているのはどういうわけですか。
  339. 西廣整輝

    西廣政府委員 OTHレーダーにつきましてはいろいろな用法というのがあろうかと思います。私どもとしては、本土の防空及びシーレーンに対する航空脅威というものに対して考えておりますので、その点からいえば南から北側に設置するのがいいのではないかというように考えております。
  340. 松前仰

    ○松前分科員 南から北側に設置するということになると、当然仮想敵国を想定しているような感じがするのですけれども、やはり仮想敵国を想定しておりますか。
  341. 西廣整輝

    西廣政府委員 仮想敵国ということではございませんで、ただいま申し上げたように例えば洋上防空をする際に、南側といいますか東側ということになりますと、航空機が飛んでくるような国がないというか、陸地がないというような感覚でおるわけでございます。
  342. 松前仰

    ○松前分科員 OTHレーダーというのは、航空機だとか、それだけじゃなくて船舶だってこれはわかるわけですよね。そういう意味で言えば、北側だけ向けるというのはちょっと変な話で、南に向けたっていいじゃないですか。日本の自主的なものでやるということになれば、南に向けたってこれは当然おかしくないのであって、何だか北だけ向けてある、どうもこれはだれが見ても疑われるということにしかならないと思う。  そういう点はまた後でほかのところでいろいろ議論するといたしまして本題に入りますけれども、OTHレーダーは今どこにあるかわからぬけれども、今の短波帯の電波の中にOTHレーダーの混信というものが起こっておる。これについては防衛庁は御存じですか。
  343. 筒井良三

    ○筒井政府委員 巷間の新聞等の情報で、いわゆるウッドペッカーノイズというようなものが発生していることは聞いております。
  344. 松前仰

    ○松前分科員 聞いておりますというだけの程度でもって、このOTHレーダーを計画にのせるなんということをよく考えられると思って私はびっくりするのでありますけれども、あなた、短波受信機を持っていますか。短波受信機で聞いてごらんなさいよ。ウッドペッカーノイズというのはしょっちゅう聞こえます。あらゆる周波数でこれが聞こえているのです。これは私がいろいろあっちこっちで情報をつかまえて、また自分で聞いたりして周波数を当たってみると、短波帯の六メガから十八メガの間ほとんどすべてが使われている。そしてそれがいろいろ日本の船舶、船舶といっても商船であります、漁船もそうでありますが、そういう通信に妨害を与えているという事実があるんですよね。こういう事実を知りながらあのようなOTHレーダーの計画というものを出してくるということになると、余りにも勉強不足。  郵政省、きょう来ていると思うのですが、そういうような混信というものがどのぐらい起こっているかというのを、大体でいいですから言ってもらえませんでしょうか。
  345. 神崎慶治

    ○神崎説明員 お答え申し上げます。  短波帯のOTHレーダーらしいと思われる電波の妨害の実態でございますが、国内のアマチュア無線あるいは太平洋上の広い海域で船舶向けのファクシミリ、こういうものに妨害を受けております。
  346. 松前仰

    ○松前分科員 今非常に大ざっぱに郵政省の方は話をされたのでありますけれども、実際は、細かく言えばもうありとあらゆるところに妨害を与えている。気象ファックスなんか特に妨害を与えられております。防衛庁長官、ちょっとこれを見てください。これは気象ファックスですよ。これはウッドペッカーノイズ、こういう格好です。  ファクシミリなんかがそういうぐあいに妨害を受けますと、これは使えないですよね。これが今、日本の上空それから太平洋上、大西洋上、ありとあらゆるところ、世界じゅう横暴にもそういう電波が飛び交っている、こういう状況であります。だから私は、防衛庁がそういうことをもし知っていたら、これは日本の国として、そういう人に迷惑を与えるような電波というものはやはり出したくないのだというのが当然だと思うのだけれども、その辺のことは、防衛庁長官はどういうふうに考えておられますか。
  347. 筒井良三

    ○筒井政府委員 いずれの場合におきましても、私ども、電波機器、電波兵器等を使います場合には、当然混信ということを避けて行うようなことにしております。
  348. 松前仰

    ○松前分科員 今までのレーダーは普通のレーダーですね。そういうものは混信が余りないというのは、これは周波数が固定しているからですね。ところが、私は、これはちょっといただけない。これは短波帯全般を使ってやらなければいけない原理になっている、電離層を使うということですからね。電離層というのはしょっちゅう変わるんですね、季節によっても、一日の中でも。そうすると、周波数を変えていかなければいけない。反射の度合いの一番いいところを探しながらやっていくということですから、変えていかなければいかぬですね。そうすると、いろいろな周波数を使わなければいけない。だからさっき話したように、今わかっているだけでも六メガ帯から十八メガまでですね、六メガから十八メガまでの間ほとんどすべてを使っている、こういう状況なのです。きのう私が聞いたのは、八メガから十メガへ移って十二メガへ移ったというウッドペッカーノイズ、普通の短波受信機で聞こえるのですから、これはえらく妨害を与える。ファックスばかりじゃなくてNHKラジオジャパンにも入っている、海岸局の通信にも入っている、いろいろなところに入ってきている。漁船はそれが入ってきてしまうと通信できなくなってしまうものだから、たまたまたくさん周波数を持っているから、ウッドペッカーノイズを逃げて使っているという、逃げなきゃいけない、そういう状況なんです。こういう人に妨害を与える、迷惑を与えるというようなOTHレーダーをやりますということは、日本の政府のトップレベルとして大変に問題があると私は思うのです。これを使う場合において国際条約とか電波法とかそういうものをお守りになりますか。
  349. 筒井良三

    ○筒井政府委員 防衛庁においては当然遵守いたします。
  350. 松前仰

    ○松前分科員 国際条約にははっきりと決められております。国際電気通信条約、有害な混信についてはそれを生じないようにやるということが第三十五条にも書いてあります。第三十八条「国防機関の設備」というところには、「陸軍、海軍及び空軍の軍用無線設備について、完全な自由を保有する。」という言葉は書いてあるけれども、その次には「遭難の場合において行う救助に関する規定、有害な混信を防ぐためにとる措置に関する規定並びに使用する発射の型式及び周波数に関する業務規則の規定を、」「できる限り遵守」なければならない。」「できる限り」という言葉はついていますが、しかし日本としては、これを「できる限り」というので使えるだろうといって使うということは絶対にしてはいけない。電波の一番大事な短波帯というものを守っていくという姿勢を防衛庁も持ってもらわなければ困る、私はそういうふうに思います。それを強く要望しなければいけない。だから、あるいはこのOTHレーダーはできないかもしれない、周波数を郵政省に認可してもらわなければいかぬですからね。その周波数は公開してもらえますか。
  351. 筒井良三

    ○筒井政府委員 個別の周波数につきましては、公開は差し控えさせていただいております。
  352. 松前仰

    ○松前分科員 郵政省ではそれは周波数をきちっともらって、それで妨害はないということをきちっと調べるということがあらゆる電波、どんなものでも必ず行われております。郵政省にはちゃんと言うのでしょうね。
  353. 筒井良三

    ○筒井政府委員 当然必要な手続をとることになっております。  なお、先生の御理解をいただきますために一言御説明させていただきますと、私どもが検討しておりますローターという米海軍式のOTHは、一、九八四年の四月に開発の契約が行われたばかりでございまして、今試作中のものでございますので、私どもその細部をまだ了知しておりません。しかしながら、開発に当たりまして一つの要求事項としてはレイディオ・フリークエンシー・インターフェアレンス、今の電波障害でございます、そういった問題は防止するようにという条項が入っております。ウッドペッカーノイズなるものが果たして米軍のものなのかどうかといったものは私どももわかりかねておりますけれども、当然開発という段階からそういった問題は考慮して行われているものと了知しております。
  354. 松前仰

    ○松前分科員 ということになりますと、今のウッドペッカーノイズがあちらこちらの通信に妨害を与えているということについては大変に問題があると防衛庁もお考えだ、そういうふうに理解してよろしいですか。
  355. 筒井良三

    ○筒井政府委員 ウッドペッカーノイズの実態というものを私どもそこまで存じておりません。
  356. 松前仰

    ○松前分科員 いや、とにかく何にも知らないでよくもこんなことを日米間の協議でもってやろうなんということを言えるものですね。私は、本当にあきれて物が言えない。  こういう技術的なところについては、やはり十分に検討した上で、これはいけるぞということになれば協議してもいいけれども、何にもわからないで、やりなさい、やりなさいと言われて、じゃあやりましょう、これはよさそうだ、何か遠くのものがよくわかる、早くに何かミサイルが打ち上がるのがわかるとか、飛行機が飛んでくるのがすぐわかるとか、それだけのことでもってやりましょうなんというのは余りにもひど過ぎますよ。防衛庁だって、たくさん技術屋さんいらっしゃるでしょう。電波の関係だってたくさんいらっしゃるはずですよ。レーダーいっぱいやっているんだし、みんな勉強しているはずだ。それを知りませんなんというのは、そんな大うそ言ったってだめですよ。知っておりながら、こうやってだんだんじわじわ出しておいて、そして最後には短波帯をすべて傍若無人に使ってしまおう、こういうことになるような気がしてしようがない。  要するに、今ウッドペッカーノイズがこんなに問題になっている。これはどこから来るのかわかりません。北の方から来たり、太平洋の方へ行けば別のところから来ているようでありますし、またオーストラリアにもあるとかいう話もあります。イギリスにもある。そしてそういうノイズ、雑音がたくさんある中で、また日本がつくって、アメリカが二つそばにつくるなんということになってしまったら、短波帯は使えなくなってしまうじゃないですか。こんなひどいことはない。  短波帯は、国際無線通信規則の付録の中でたしか書いてありますけれども、これは重要な分野だから、この周波数帯は遠距離に届く、遠くに通信できる非常に重要な電波だからこのところは大事に使いましょうということがちゃんと書いてある。ここのところだけ書いてあるのです。ですから、ここは大事に使いたい。そして、いろいろと民間その他平和のために使っていかなければならないことがいっぱいある。それなのに、このところを全部そういうもので占められてしまったら一体どういうことになるんですか。本当に私は、余りにも防衛庁はうかつ過ぎるといいますか、ずさん過ぎるというか、知らないなんてまたうそを言っているようでありますけれども、知っていてこういうことをやっているということになれば、なお悪い。とんでもない話です。  私は、この電波が実際にもしかだんだんと何か具体化してきて、そういう段階においては混信というものについて徹底的に調査をして、そのつくろうとするものについて調べ上げて、それでいいか悪いかを判断させてもらいたい。今の段階では、どうも何にも出せないという話だから、わからないという話だからどうしようもないのであります。  防衛庁長官に一言言っていただきたいのです。妨害があってもやるということは絶対にいたしませんということを助言してもらいたい。
  357. 筒井良三

    ○筒井政府委員 運用上の問題とかいろいろなことが今後検討が行われますけれども先生指摘のように当然技術面からの検討も打たれます。技術面の検討におきましては、電波障害といった項目も当然考慮の対象とすることになると思います。
  358. 松前仰

    ○松前分科員 長官からもお答えを願いたいのですけれども、最高責任者として答えなければあとどうなるかわかりはせぬ。というのは、さっき自主的な運用についてできないものかというお話がございました。それと同じことでありますからね。これはソフトの方のコンピューターの話だったのだけれども、そちらの方はそうなんだけれども、今度は電波というのは実際に妨害を与えるところなんだから、妨害を与えるようなことはしないということを明言してもらわなければ困るのです。
  359. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ただいまOTHレーダーにつきましては、それを導入することが我が国の防衛にどのような益になるかを検討中でございます。その際の検討の過程におきまして、我々は米側からいろいろな技術的な情報を提供してもらおうと思っておりまずし、ある程度提供されておりますし、また今後も引き続きその検討を続けていくと思います。  その際に、当然のことながら我が国の中には電波監理をいたしております所管省庁郵政省がありますし、そことの協議を十分に行った上でなければできないことであります。先ほどのノイズの話につきましては、かなり先生も専門家でございますので、極めて技術的に突っ込んだ御質問が今あったわけでございますけれども、そのノイズの点につきましては、先生の御趣旨を踏まえながら十分検討していくことになるだろうと思います。
  360. 松前仰

    ○松前分科員 その答えでは全然だめですね、十分検討していくというのは。そんなのは混信を与えてはならないということは国際条約でもあるし、電波法でも全部きちんと書いてあるのですよ。それでみんな一生懸命混信しないようにやっておるのだから、混信をさせませんということを言わなければだめだ、そのくらい言わなければ。
  361. 加藤紘一

    加藤国務大臣 仮に導入することになれば、混信が生じないように我が方と運輸省との間で十分なる協議が行われるものだと思います。
  362. 松前仰

    ○松前分科員 何か答えが、ものだと思いますなんてえらい他人事みたいです。混信を与えないようにしますと言わなければだめですよ。電波というのはそんなものじゃないのだから、技術的なものがそんないいかげんな話でもって片づくものじゃありません。もう一度答えをお願いします。
  363. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ただいま私、郵政省と言うべきところを運輸省と言ったようでございますけれども、郵政省当局と十分に協議を行います。
  364. 松前仰

    ○松前分科員 混信を与えないということでしょう。
  365. 加藤紘一

    加藤国務大臣 郵政省の電波監理当局といたしては、我が国の周辺におきます混信がないように日ごろから十分に注意なさっている官庁だと思います。私は技術的なことはちょっとわかりませんので、その辺はどういう言葉を使っていいのかわかりませんが、郵政省の電波監理行政と十分に調整できるように防衛庁としてはいたします。
  366. 松前仰

    ○松前分科員 技術的に全然わからぬと言うのならば、やらない方がいいと思うのです。そんな調子でもってOTHレーダーを設置するなんということはとても言えないと私は思うのです。もうあきれて物が言えないのですけれども、いずれにしましてもこの問題は混信を与えては絶対にだめなんです、短波帯は特に。ですから、日本が率先してこんな混信を与えるようなことはやっちゃいかぬ。世界で日本だけが防衛費がGNP一%以下ということで頑張ってきておるところなんです。そういう国がやっちゃいかぬ。私はこれから、恐らくこれは具体化する途中でいろいろ問題が出てくると思いますので、その時点時点においてこれについてチェックをさせていただぎたいと思います。これ以上やってもなかなか答えが出そうもない。またほかの機会ということで継続しながらやっていきたいと思います。  ありがとうございました。
  367. 大村襄治

    大村主査 これにて松前仰君の質疑は終了いたしました。  次に、関晴正君。
  368. 関晴正

    ○関分科員 質問します。  防衛庁長官に第一に質問することは、自衛隊機が常時三沢の空を、また六ケ所の空を飛び回っておる、そういう飛び回っている下に、あるいはその近くに核燃のサイクル施設が建設されようとする計画があるが、こういう計画について防衛庁は好ましいと思っていますか、長官。――防衛庁長官に聞いている。好ましいと思っているかどうか。
  369. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  本件については……(関分科員「あなたはどなたですか」と呼ぶ)施設庁長官であります。(関分科員「私は施設庁長官に聞いているんじゃない、防衛庁長官に聞いているんだ」と呼ぶ)御指名がございましたので、私、事務当局からまず答えさせていただきます。  核燃料サイクル施設の立地予定地から三沢の対地射爆撃場まで約十キロメートルございまして、訓練の航空機は通常立地予定地付近を飛行しておりません。この核燃料サイクルはこれからでき上がるものでございますが、関係当局と十分協議をして安全性の確保に万全を尽くしたいと考えております。
  370. 関晴正

    ○関分科員 防衛庁長官、核燃の施設の近くにあなたの管轄下にある自衛隊機がどんどん飛ぶわけですね。それからまたアメリカの飛行機もどんどん飛んでいるわけですよ。そういうようなところに核燃の施設がつくられようとしていることを好ましいと思っているかどうかということを長官、お答えください。
  371. 加藤紘一

    加藤国務大臣 この問題は昨年度の予算委員会及びこの分科会で関委員から数度にわたって御提起いただきまして、私も数度にわたって御答弁いたしました。私たちとしては現在の核燃料サイクル予定地と私たちの自衛隊機の飛行の経路、それから米軍の天ケ森演習地等との相互位置関係を十分に踏まえながら、関係省庁とこのエネルギーの問題についての要求、そして安全性の問題について十分に協議をし、遺漏のなきように努めてまいりたいと思っております。
  372. 関晴正

    ○関分科員 私の聞いているのは、そういう心構えを聞いているのではない、好ましいと思っているかどうかというのを聞いているのです。核燃の施設と、今F16が飛んでいる、また自衛隊機も飛んでいる、そういうところにこうしたものが置かれることを好ましいと思っているかと聞いているのです、長官。
  373. 加藤紘一

    加藤国務大臣 それぞれの任務でそれぞれの立地を考えるわけでございます。その際に私たちが注意しなければならないのは、それぞれが相矛盾することのないようになっているかどうかということでございます。そういう意味で、それぞれの施設との間にどの程度の距離があるのか、それが安全性が十分に確保できているかどうか、その調整を考えるのが私たちやらなければならないことであって、それについては関係省庁と十分に協議いたしております。
  374. 関晴正

    ○関分科員 あなた、一体どうなんですか。好ましいか好ましくないかと私は聞いているのですよ。対策を聞いているのではないのですよ。こんなものは飛行機のそばにはない方がいい、このくらいの認識は持っているかと思って聞いているのですよ。なお答えたくないというのでしょう、あなたは。そういう長官では困りますよ。もっと率直に、そんなもの好ましくないと言えないのですか。どうですか、もう一回。
  375. 加藤紘一

    加藤国務大臣 安全性が確保できるかどうかということを調べるということ、調整するということが重要でございます。それについてはしっかりやってまいります。
  376. 関晴正

    ○関分科員 あなた、しっかりやる、しっかりやるって、安全だというものがどれほど危険な実態を示してきているかわかりませんか。国内を飛んでいる飛行機にしたって、大丈夫安全だというものが大変な事故を起こしているでしょう。まして、常時飛び交うそばにこういうものができていいわけないじゃないの。対策を聞いているのじゃないのですよ。こんなものはない方がいいに決まっている。そういうことも答えられないような長官だということは本当に情けない。もっとしっかり物を勉強してください。  そこで、私は、次に施設庁長官に聞きます。  天ケ森の射爆場、この地域における漁民に対する損失補償、地先における漁業の操業が制限される、そういうことからくる損失補償ともいうべきもの、この根拠法は何ですか。
  377. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  アメリカ合衆国の軍隊の水面使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律という昭和二十七年にできました法律に基づきまして、対象といたしましては、許可・自由漁業と免許漁業に対しまして、その損失を受けた個人に対し補償を行う、こういうことに相なっております。
  378. 関晴正

    ○関分科員 天ケ森の射爆場の地域に住んでいる漁民たちは補償がどのくらい来ているんだろうかということもわからないでおる。補償はどのくらい支払われているのです。だれに支払われているのです。そういう点で、ここ三カ年程度のことでよろしゅうございますから、五十七年、五十八年、五十九年程度でよろしゅうございます、どういう算定のもとにだれに支払っているか。
  379. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  ただいま施設庁長官からお答えいたしましたが、漁船の操業制限法、これは昭和二十七年、法律二百四十三号でございますが、その第一条に一、長官が申しましたように、在日米軍が水面を使用する場合に、必要があれば「漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。」となっておりまして、その第二条に、その制限により漁業経営者に損失が生じた場合はそれを補償するという規定がございます。この規定によりまして許可漁業、それから自由漁業については手続が決められておりまして補償しておりますが、この許可・自由漁業に対する補償につきましては、漁業経営上損失をこうむった漁業経営者ということでございまして、それぞれの経営者が対象でございます。その経営者が本来一人一人補償申請、それから補償額の受領ということができるようになっておりまして、防衛施設庁におきましても一人一人の額を決定しておりますが、事務手続上は、損失補償申請書にいろいろな書類を添付するわけでございます。例えば、漁業操業をしました水揚げ高の資料などを添付するに当たりましても、これは漁業協同組合が資料を持っておるということで、漁業協同組合が組合長代表委任という形で一括して国に対して補償申請をしてくるケースがほとんどでございまして、三沢の漁業協同組合におきましても、そういう手続を経て補償金を国の方から支払いをしております。  もう一つ、免許漁業というのがございます。これは漁業法で定められておりますが、三沢におきましては共同漁業権が三つございます。東共十三号、十四号、それから五十一号というのがございますが、この漁業権に対する補償につきましては、漁業権者でございます三沢市漁業協同組合に漁業権の行使制限の承諾を取りつけまして、その承諾をもとに漁業補償契約書を締結しまして、この民事契約によりまして補償を行っております。この場合は、補償金につきましては、漁業権を持っております三沢市漁業協同組合に支払われますので、その代表でございます組合長、理事に支払いか行われます。その漁業協同組合長は、その受け取った金額を漁業協同組合員に配分するわけでございますが、三沢市漁業協同組合におきましては、漁業組合員の代表によって構成されております補償金配分委員会を設けておりまして、そこにおきまして、操業の実績、それから漁業の種類、規模、通常の操業区域など、組合員の配分のために必要なデータをもとに配分を行っていると聞いております。それから金額でございますが、この三沢対地射爆場の地域に対します、防衛施設庁から地元の漁業関係者に支払っております補償金は五十七年度で、補償費と見舞い金と合計いたしますと約一億五千二百万円、それから五十八年度は一億五千九百万円、五十九年度は約一億八千九百万円でございまして、六十年度分はまだ支払いが終わっておりませんので御了承いただきたいと思います。
  380. 関晴正

    ○関分科員 六十年度分はどれだけの要求があっていますか。
  381. 宇都信義

    ○宇都政府委員 まだ六十年度が終わっておりませんので、要求の金額等が固まっておらないと思います。
  382. 関晴正

    ○関分科員 これを受領している代表者はどなたです。
  383. 宇都信義

    ○宇都政府委員 三沢市漁業協同組合の場合は、漁業協同組合長、理事でございます浄法寺繁夫さんでございます。
  384. 関晴正

    ○関分科員 見舞い金は。
  385. 宇都信義

    ○宇都政府委員 見舞い会も、三沢市漁業協同組合の場合は同様でございます。
  386. 関晴正

    ○関分科員 そうしますと、補償金についてはいま述べられた金額が漁民に行き渡っている、こういうことですか。
  387. 宇都信義

    ○宇都政府委員 そのとおりでございます。
  388. 関晴正

    ○関分科員 そうしますと、この金の内訳を示してくれませんか。
  389. 宇都信義

    ○宇都政府委員 先ほど申しましたように、許可漁業、それから自由漁業につきましては個別に各組合員に金額を国の方で査定しまして補償金を……(関分科員「その金額を示してください」と呼ぶ)個人別の金額は個人別金額表としまして各人にお知らせしておりますが、私、今ここに一人ずつの分は持ってきておりません。
  390. 関晴正

    ○関分科員 一人ずつじゃなく、トータルで。
  391. 宇都信義

    ○宇都政府委員 それで、その代表としまして漁業協同組合長に委任され、三沢市漁業協同組合長から申請が出ております。それに対して補償しております。漁業協同組合全般につきましては公表してもいいかということで了解を取りつけようとしましたが、漁業協同組合の方から、公表は避けてほしいという返事が来ておりますので、これは私の方で差し控えさせていただきたいと思います。
  392. 関晴正

    ○関分科員 補償の金額、その内容がどのようになっているんだろうかということで今聞いているわけです。個人個人の受け取っている金額を聞いているんじゃないんです。今あなた方が述べたところのそれぞれの種別に従っての金額を聞いているわけですよ。三カ年のことを言うことが時間上あれでしたら、五十九年だけでもいいですよ。それぞれの種別に従って幾らずつ出しております、トータルとしてこうなっております、それでもいいです。どうぞ。
  393. 宇都信義

    ○宇都政府委員 三沢対地射爆撃場に関係します漁業補償につきましては、先ほど三年間のそれぞれの金額を御説明いたしましたが、合計額はあのとおりでございまして、個々の内容につきましては組合の方が、私的契約の金額も含んでおりますので公表しないでほしいという話がありまして、公表は差し控えさせていただきたいと思います。
  394. 関晴正

    ○関分科員 それは何ですか、漁業補償の内訳ですよ、金額。個人のもらっているものを聞いているのじゃないですよ。海水面だ、内水面だ、許可だ、免許だ、その内訳ですよ。出ているでしょう、その内訳が。出ていませんか。手づかみもいいところだよ、金の出し方は。
  395. 宇都信義

    ○宇都政府委員 申しわけありませんが、漁業種別ごとの補償金額の集計したものを今持ってきておりません。
  396. 関晴正

    ○関分科員 それじゃ後でもよろしゅうございます。  問題は、ここにおける漁協組合員で一番被害を受けておるのが天ケ森の漁民、どれだけの金が渡っていると思いますか。天ケ森の漁民にどれだけの金が行っていますか。
  397. 宇都信義

    ○宇都政府委員 先ほど申し上げましたように、三沢市漁業協同組合の組合長に一括して補償金額をお支払いしておりますが、天ケ森地区は三沢市漁業協同組合の中で、共同漁業権の共有者といいますか、共同漁業権の関係組合員ということで組合の内部で配分しておりまして、天ケ森に幾ら配分されているかということは私ども承知しておりません。
  398. 関晴正

    ○関分科員 いいですか長官、お聞きになったでしょう。あなたが申した先ほどの法律根拠、地先における漁民が締め出しを受ける、漁民が音響の影響も受ける、そういうようなことで補償が計算されていると思う。ところが、一番ひどい目に遭っているところの天ケ森の漁民というものがどれだけもらっているのだろうかということを聞くというと答えられない。なぜ答えないのだ。この組合員というのは全部で八百人足らずですよ。ですから、八百人で例えば今一億七千四百万を割ったとすれば、一人当たり二十万からちょっとということになるでしょう。ところが、天ケ森の漁民の諸君たちのもらっている金は、四十三漁民ならしますというと十万足らずなんです。一番被害を受けて、一番損失をこうむっているところの漁民がならして十万円、これは一体どういうことなんだ。音響の影響も受けない、制限の区域にもなっていない、それらの漁民たちの方がはるかに多く取っているわけですよ。そうして漁業協同組合が、天ケ森の漁民の数の少ないことをいいことにして多数決で決めていくわけですよ、配分の点数そのものまで。今まで三十点と計算したものを二十七点にする、二十七点でも多いから今度は二十点にする、あるいは今まで二十点であったものを十点にする。十点にしてしまうというと、制限区域の中における漁民もその外にある漁民も同じなんですよ。どうしてこんなことがあるのだろうか不思議でならない。  そこで私は、漁民にどれだけの金が行っているか、それぞれの部落にどれだけの金が行っているのかと聞くと、そんな内訳までは聞けない、こう施設庁が言うのですよ。何ですか施設庁は。金を払うのに、どこへ行くかもわからないで、その内訳まではさわるわけにはいかない、その内訳をさわるというのは、人の奥さんのおっぱいにさわるようなものでできない、こう言うのですよ。そんな話、そんな例えというのは正しいですか。何でそんなことが言えないのですか。日本の国の税金がこんなにいいかげんに使われて、返事もできないということが妥当ですか。払われている金、受け取っている金、その詳細について私はすべからく提示していただきたい。それらの諸君の要求の集積になっているのかどうか、集積以上に要求ができ上がっているのか、この辺にも相当に疑問があります。これらを明らかにしてほしい。それについて長官、お答えしてくれませんか。
  399. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  まず免許漁業につきましては、これは国が漁業権の権利者である漁業協同組合を相手といたしておりますので、個人別なことはいかがであろうかと考えております。許可・自由漁業につきましては、これは当然公正なる基準によって、漁業組合が代理人として組合員の委任を受けて、公正に行っておるものと私どもは考えておりました。しかしながら先生から五十九年四月二十四日の衆議院の安保特で、どうも不公正なのではないかという御指摘があったと私承知いたしております。その時点におきまして指導をいたしましたところ、例えば分離申請とか受領拒否とかという問題がいろいろございましたが、その時点で一たん解決をしたと私ども理解しておったわけでございます。  今伺いますと、どうも何かそういう問題があるようでございますので、五十九年のときに行ったと同様、漁協に対しまして、組合内部の問題でございますので、組合の了解なしに数字が言えないという施設部長立場は御理解賜りたいと思いますけれども、行政指導を行いたいと考えております。
  400. 関晴正

    ○関分科員 私は、個々の組合員にどれだけ払ったかということは、それは示さなければ示さなくてもいいです。でも今のように、免許別にあるいは許可別に、漁業権別に、そういうようなもので払っているというなら、その内訳ぐらいはちゃんと示していいでしょう。そうして実際にどれだけの金がそれらの諸君の間で配分されているのか。驚くべきことは、今ここで一億七千四百万、その金の半分以下ですよ、八千万。では、あとの八千万以上はどこに行っているんだ。そういう配分の仕方というのは、そういう補償の仕方というのは、これは正しいのだろうかと疑問を持つのは当たり前でしょう。隠さなければならないものは隠さなければならないでしょう。でも今言っているのは、そういうような支払いがなされているということと、配分がなされているということについていろいろと疑問がある。  しかもあなた方の方でも、補償にかかわる事務費なんというものを、その金額のうちの一五%も取られている。八千万のうちの一五%といったら幾らになります、千二百万ですよ。それが補償にかかわる事務費として取られているというのだ。漁業協同組合の事務所の管理運営のために金が使われているような傾向も多分にある。そうして天ケ森の漁民だけがだんだんと点数を低くさせられて、そうして多数決の前ににっちもさっちも言葉がないままにいじめられている。いじめの時代に、いじめの社会に、ここにもいじめの姿があるわけですよ。  こんなことなんて、一遍聞いて注意したならばさっさと答えられるようにしてくれなければ困ります。漁業協合組合の許可がなければ、冗談じゃないよ、こんなの。私の金じゃありませんよ。根拠に基づいて払っている金だったら、こうこうこうだと言ったらいいじゃないですか。今のような実態をどう見ています。どこにこれは間違いがあると思っていますか、お答えできたらしてください、これで終わりますから。     〔大村主査退席、浜田(卓)主査代理着席〕
  401. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、許可・自由漁業と免許漁業、あるいはその魚種別とか業種別の補償金額の明細は、申しわけございません、先ほどちょっと担当部長所有しておらないようでございましたが、これは提出いたします。個人の幾らになったかという問題につきましては、この点につきましてはちょっと御容赦をいただきたいと思いますが、御指摘のような事務費が幾らになっておるか、あるいは不公正な問題があるのではないかという問題点につきましては、五十九年度御指摘をいただいて一遍是正されたと私ども思っておりましたけれども、またそういう問題があるようでございますので、調査をいたしまして行政指導をいたしたいと存じます。
  402. 関晴正

    ○関分科員 終わります。
  403. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)主査代理 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢和秋君。
  404. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、対潜水艦超長波送信基地設置問題と、航空自衛隊芦屋基地の騒音対策についてお尋ねをいたします。  まず対潜水艦超長波送信基地の問題でありますが、これは私の地元であります福岡県遠賀郡岡垣町に、もう五年以上前から建設することが問題になっておったものであります。最近の現状について地元に問い合わせをいたしましたところ、この建設が問題になりました当時、防衛庁から、この送信所建設の可能性を検討するために環境調査をやらせてほしいという申し入れがあり、町議会の了解を受けて調査を行った。既に調査が五十七年の十月に終わっておりまして、その後町の方から何回か結果を問い合わせたけれども、公表されずに今日に至っておるということであります。  調査結果の公表は、私が昭和五十八年三月四日の予算委員会第一分科会での質問でも約束をいただいているところでありますが、これはなぜ公表がされずに今日に至っているのでしょうか。
  405. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま岡垣町につきまして、超長波送信所の建設に絡みまして環境調査等をやった経緯は御指摘のとおりでございます。これにつきましては、その後環境調査結果を検討しているわけでございますが、その中で若干補完調査等もやらなければならない問題等がございまして、検討が長引いております。そういうことで、現在まだ結果を公表する段階には至っておりませんので御承知いただきたいと思います。
  406. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 まだ検討中というように聞こえるのですけれども、そうなんですか。
  407. 千秋健

    ○千秋政府委員 環境調査の結果につきましては検討中ということでございます。
  408. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 ところが、昨年十月に私自身が調査をいたしましたところ、防衛庁が六十一年度、宮崎県えびの市にこの超長波送信施設を建設するための調査費を要求しておることがわかったわけであります。これはそのとおり認められたと聞いておりますけれども、既にえびの市に正式にその協力要請をしたのではありませんか。
  409. 千秋健

    ○千秋政府委員 先ほどの岡垣町の件につきましても、候補地の一つとして環境調査を実施したわけでございますが、それの検討が続いている中におきまして、さらに別な候補地としまして検討しているところが昨年秋に至りましてえびの市ということで公表になり、それで地元の方でいろいろ議論がなされておりましたので、これにつきましても私どもとして検討しておる候補地の一つでございますということで、またいろいろ地元に説明等当たっていたわけでございます。えびの市の方から、これについて文書できちっとした説明をしていただきたいという要望もございましたので、現地の福岡施設局長から、えびの市も有力な候補地の一つということで考えておりますので御理解願いたいというお願いをしたところでございます。
  410. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、私は、えびのについてそういう予算も組み、協力の要請も行ったというふうに聞いたので、岡垣町については断念をして向こうの方に白羽の矢を立て直したというふうに理解をしたのですが、今のお話では岡垣も候補地として依然としてそのままの状態で、同時にえびのに対してもそういう調査を始めた、こういうふうなことになるのですか。それは非常に重大だからはっきりさせていただきたい。
  411. 千秋健

    ○千秋政府委員 六十一年度予算でこの調査費をお願いしておるわけでございますが、これにつきましては特定の場所を決めてお願いしたわけではございませんので、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。  それからえびの市と岡垣町の問題でございますが、それぞれやはり候補地の一つということで考えております。
  412. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、くどいようですけれども、岡垣についても現在でもなお同じように候補地だ、えびのが第一の候補地となって向こうの方を推進しようという姿勢に転換したわけではないというふうに理解をしましたが、そうですか。
  413. 千秋健

    ○千秋政府委員 岡垣町につきましては、いろいろ問題点はございます。それとともに、えびの市につきましても送信所を建設するに適した広い地積があるということ、また所要の送信覆域をカバーし得る位置にあるというようなこと等から、極めて有力な候補地と我々は考えております。
  414. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、その両者の間にはウエートに差があるのかないのか。つまり、今あなたは岡垣に困難があるということを言われたのですが、その困難があるので、できればえびのの方に持っていきたいということで動き出したということではないのですか。
  415. 千秋健

    ○千秋政府委員 えびのにつきましても、今後でき得れば調査等をさせていただきたいと思いますが、そういう調査をやってみませんと実際にそこに建設できるかどうかということもわかりませんので、現在のところ極めて有力な候補地ということで考えておるということで御理解いただきたいと思います。
  416. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 それは非常に重大な答弁をいただいたわけであります。私たちは、そういうことであれば岡垣町で引き続いて建設反対ということで全力を挙げて頑張らなければならないという決意を新たにしたわけであります。  そこで私、この際もうちょっとお尋ねをしておきたいのですけれども、ここに熊本防衛施設局がえびの市に提出をした資料を持ってまいりました。「海上自衛隊超長波送信所の整備について」という資料なんですけれども、この中に、「潜航中の潜水艦には送信できないという致命的な欠陥がある」という記述があります。これは、今名崎のNTTの送信所を海上自衛隊が使用しているわけですけれども、この送信所について述べたくだりでありまして、この名崎の送信所が長波を使用しておる、そのために潜航中の潜水艦には送信できない、こういう記述になっているのですね。しかし、長波であっても潜航中の潜水艦に送信できないことはない。ただ、ある程度浅いところまで潜水艦が来ないと受信できない点はあるでしょうけれども、ここに書いてあるように潜航中の潜水艦には送信できないということはないのじゃないですか。
  417. 筒井良三

    ○筒井政府委員 潜水艦が一番強いと言われておりますのは、水の中にいて、空中の航空機をレーダーがつかまえるのと同じような形では電波が水の中を通らないために潜水艦がつかまらないということにあるのですが、逆に潜水艦に信号を通信しようといたします場合には大変難しい問題がございまして、在来の長波でございますと、せいぜい技術的にいいまして数メートルしか入れません。潜水艦の効率的な運用、安全性の確保という見地からしますと、その数メートルを少しでもふやすために超長波の方向に持っていくのが世界の現状でございます。
  418. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 しかし、ここに「潜航中の潜水艦には送信できない」と書いてありますが、今のお話でも、何メートルか下のところまでは長波で通るわけでしょう。だから名崎の送信所から送ってもらっているのじゃないですか。
  419. 筒井良三

    ○筒井政府委員 非常に限定された数字でございまして、例えば十メートル以内の話をしているのですが、数メートルしか長波では届きません。そういった状態の潜水艦だと、下手をしますと潜航ではなくて頭が出てしまうという非常に極端な状態になる可能性がございますので、私どもとしましてはそれを超長波の、と言ってもうんと通るものではありませんけれども、現状に比べると大変な改善になりますから、世界的に、技術的にその方向に行っております。
  420. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 しかし、今あなたも認められたとおり数メートルは通る。全体として浮き上がってしまわずにこれをキャッチできるから今長波でやっているわけでしょう。それを、いかにも浮上してでないと通信を受けられないような状況にあるからこの超長波を整備しなければいかぬと読めるような文書になっているのですよ。こういうような非常に誤った印象を与えるような文書で地元を説得にかかっておるということは、これは許せない、いいかげんなことだということで厳しく申し上げておきたいと思うのです。  もう一つお尋ねしたいのですが、この超長波の送信施設は基地周辺の整備調整交付金の対象にはならないと、かつて私自身が岡垣の問題で質問主意書を出したときに回答をいただいている記憶があるのですが、それは間違いないわけでしょう。
  421. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  防衛施設周辺整備法第九条の交付金のことかと承りましたが、これは先生指摘のとおり特定防衛施設、すなわち爆音であるとか射爆撃による爆発音、こういうものでございまして、通信所はその対象にはなりません。
  422. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 ところが、今あなたが言われる第九条の周辺整備調整交付金の対象にもならないこういう施設について、私がえびのの人から伺っているところでは、この施設を受け入れてくれれば、次の四つの条件を満たすようにしたいと防衛庁の方から言われておるというのです。  それはどういうことかというと、一つは霧島演習場内の市有地二百七十ヘクタールの買い上げ、第二に道路の新設及び整備、第三にコミュニティー共同施設の建設、第四に本施設の設置に伴い問題が生じた場合の対策、この四条件を提示したと伺っております。  そうすると、今申し上げたように、第九条の交付金の対象にもならないようなところでこれだけのことができるのはいかなる法的な根拠に基づくのかという疑問を感じざるを得ないのですが、この点はどうですか。
  423. 宇都信義

    ○宇都政府委員 ただいま先生お尋ねの四件のうち、道路の新設及び整備あるいはコミュニティー共用施設の設置等につきましては、周辺整備法八条の事案ということで、民生安定助成事業として設置できる場合がございます。  なお、霧島演習場の市有地の早期買収、これは演習場の用地買収の問題でございまして、直接VLF施設設置の用地の問題ではございません。  最後の、本施設の設置に伴い問題が生じた場合というのがございますが、これは問題のいかんによってどのように対処するかということでございますが、例えば周辺整備法の三条、八条、そういう条項を適用して救済しなければならないもの、あるいは責任者といいますか設置者ということで処置しなければならない、例えば進入路みたいなものがもし直接必要であれば、そういうものはやらなければならぬというような事態が考えられるわけでございます。
  424. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 今あなたも認められたとおり、特に霧島演習場内の市有地二百七十ヘクタールの買い上げなどということが、VLFの受け入れの見返りなどとは全く考えられない。既にそういうようなことが問題になっておった、そのこととの関連で、どうせいずれは地元対策としてやろうとお考えになっていた範囲の話じゃないかと思うのです。それをVLFに関連して持ち出してくるのは筋としても全く通らないのじゃないですか。
  425. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいまの霧島演習場の買い上げの問題、これは現在市有地を借り上げて使用しているところでございまして、これにつきまして市の方から買い上げ要望が従来からもございますが、現在財政事情が非常に厳しい中でございますので買い上げ等は非常に難しゅうございますが、こういう問題を抱えている時期でございますので、我々としては最大限市の要望に沿うよう努力したいということで申し上げているわけでございます。
  426. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 要するに、防衛庁はこのVLFを何とかつくりたいということで、岡垣の方は非常に反対運動が強い、だから今度はえびのに持っていって、法律的な根拠があろうがなかろうが、こういうようなお金を出し、施策を示してがむしゃらにこれを実現しようとしているとしか見えないわけです。私たちはかねてからこのVLFの設備というのが――近代戦にとって潜水艦というのは非常に重要な役割を果たすわけであります。特に中曽根首相が言ういわゆる三海峡封鎖作戦、米ソが事を構えた場合に、対馬海峡というようなところを真っ先に封鎖をしようということで、そこに潜航しているような潜水艦に対して指令の電波を出すということでこれは設置がもくろまれているわけでしょうけれども、そういうことになれば、これはいざ戦争ということになれば、一番危険な施設であることははっきりしていると思うのですね。私たちはこういうような、法律の筋からいってもできないのじゃないかというようなことまでもがむしゃらに押し切ってでもやろうというようなVLFの建設計画を、どこであろうときっぱりこの機会に思いとどまることを要求したいと思います。  時間もありませんから、次の質問をさせていただきます。  もう一つは、航空自衛隊芦屋基地の騒音問題であります。  この航空自衛隊芦屋基地は、私どもがいろいろ地元で伺っているところでは、全国唯一の第二初級操縦課程教育基地ということになっておって、ジェット機あるいはプロペラ機、ヘリコプター、こういうようなものの離着陸、旋回などの訓練を行っておるというふうに聞いております。大体訓練時間としては、日中八時二十分から十七時四十分まで、夜間やるときは九時までというふうなことで運用されていると伺っておりますけれども、以上の事実に間違いがないかどうか。特に昨年八月ごろからこういう訓練が非常に激しくなってやかましいということで、私たちのところにもいろいろ苦情が寄せられるようになっておるのですが、そのころから特に訓練が強化されているんでしょうか。
  427. 大高時男

    ○大高政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生お尋ねの航空自衛隊の芦屋某地でございますが、御指摘のように、航空自衛隊の第十三飛行教育団というのが、T1というジェット機でございますが、これを使いまして、航空自衛隊の操縦士としては最初のジェット機の操縦課程ということで行っておるわけでございますけれども、訓練の内容といたしましては、離着陸の訓練、それから計器飛行、航法訓練、それから夜間飛行、こういったものを行っております。  訓練の態様でございますが、大体先生が御指摘のとおりでございますが、ただ昨年の八月以降、特にこの訓練が多くなったというふうには私ども聞いておりませんで、大体在隊の学生数が三十から五十でございまして、月平均の飛行日数も十二日、それから夜間におきましては、大体日没から二十一時ぐらいまで、しかも月平均夜間に飛びます日数というのも二日ぐらいでございまして、特に激しくなっておるというふうには考えておりません。
  428. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 ところが、そのころから私どもに特にいろいろ苦情が耳に入るようになったわけであります。私が特にきょう問題にしたいと思いますのは、いわゆる第一種区域というようなものが指定されておりますね。そういう区域から離れているところでも、北九州市の若松区あるいは八幡西区などでは、旋回をするポイントになるような地域の付近で騒音が特に激しい。特に曇天の日などは、低空で飛ぶようにしているせいか特別に激しいということでいろいろ聞かされておるわけであります。自衛隊側にも随分苦情を申し入れているというふうに現地の人たちは言っているのですけれども、それは聞いておられますか。     〔浜田(卓)主査代理退席、主査着席〕
  429. 大高時男

    ○大高政府委員 訓練を行います際に、こういった騒音でございますけれども、時にこういう苦情があるということは聞いております。  ただ、先生御承知のように、夜間の飛行訓練と申しますのは航空自衛隊の操縦士にとりまして必須のものでございますし、それからまた、この飛行経路につきましては、ジェット飛行訓練の最初の段階に当たる訓練でございまして、無理な経路をとりますればまた事故につながるということで、私どもは騒音にはもちろん配慮をいたしておりますが、飛行安全も考慮いたしまして現在の経路をとっておるということを御理解いただきたいと思います。
  430. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 航空自衛隊にとっては必須の訓練だから理解をしてくれと言われたわけですが、私たちの党は、もともと自衛隊は憲法違反だということでその存在自体を認めないという立場でありますから、訓練も認めるわけにはいきませんけれども、しかしきょうはそういう根本論をここでやっておったんじゃ、もう時間が幾らあっても足りませんので、騒音に悩む住民のために、現実的に実効のある対策を要請したいということで私、質問に立っているわけであります。  住民の皆さんからいろいろそういう苦情があった場合、聞き流しにしておってはならないと思うのですけれども、実際に、特に苦情が集中して出ているような地域などについては少なくとも実情を調査してみる、そしてその訴えがなるほどということになったら対策を立てることが必要じゃないでしょうか。実際にそういうような苦情が集中しているような地域について、そういう調査あるいは対策を立てられておりますか。
  431. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  芦屋飛行場の周辺地域の騒音の問題につきましては、施設庁で騒音の実態を調査の上、従来から住宅防音工事、その他住宅防音工事以外の学校、病院等の防音工事につきましては、防衛施設庁長官が別に定める基準によりまして騒音対策を講じてきておるところでございます。  特に住宅防音工事につきましては、昭和五十四年に第一種区域の指定告示をやっておりますが、その後におきましても自動騒音測定器を設置しておりまして、常時継続的に調査をしております。その結果から、現在特に著しい状況の変化が認められていないという報告を受けておりますが、今後またそういう状況の変化があるということであれば、必要に応じましてその措置を考えてみたいと思っております。
  432. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 地元の人たちはいろいろ苦情を言うけれども、反応がないと言っているのですよ。だからぜひ調査をし、対策を立てていただきたいのです。  それで、訓練のやり方についても、芦屋基地というのは海に面してつくられているわけですね。だから海の方に向かって離発着をするというようなことも、これは改善することができるんじゃないか。あるいは夜間の訓練というのは、私どもはそういう初心者の隊員だというように聞けばなおさら不安に感ずるし、やめてほしいというのが現地の声でありますけれども、これまた特に、少なくとも市街地の上空での夜間訓練はやめるというようなことぐらいはできないのですか。
  433. 大高時男

    ○大高政府委員 飛行のルートでございますけれども、滑走路を中心にいたしまして海側、それから山側双方を使いまして、これは風向その他がございますので、その状況に応じて場周経路を定め、訓練を行っておるわけでございます。  夜間につきましても、先ほども申し上げましたように航空自衛隊の操縦士としては必須のものでございますので、騒音等にも配慮しながら行っていく。それからなお、五十三年六月に滑走路に着陸いたします場周経路の高度、従来千五百フィートで飛んでおりましたのを二千五百フィートに上げるというようなことで、できるだけ音が出ないで、しかも訓練の目的を達成するというようなこともいろいろ考えながら配慮をしてきておるということでございます。
  434. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 区域外でも、学校などでは一定基準以上の騒音があれば高率の補助で建てかえたりすることになっているというように聞いておりますけれども、調べてみますと、東筑高校など幾つかの防音校舎は確かに建てかえられているのですが、それよりも基地に近い学校で防音になっていないところが十以上あるのです。これも当然防音工事を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  435. 宇都信義

    ○宇都政府委員 学校等の防音工事につきましては、住宅防音工事と別の基準で防衛施設庁長官が定めた基準によりまして騒音の実態を調査の上実施することとしておりますが、芦屋基地周辺の学校の防音工事につきましては、従来から地元の御要望に応じて積極的に実施してきておるところでございます。  最近北九州市の小学校の防音工事について御要望が出てないわけでございますが、北九州市につきましては、昭和四十八年から現在まで小学校三校、中学校一校、計四施設の防音工事を実施しておりすし、今後同市から要望が出てまいりますれば具体的な現地の調査をしまして検討するということになるかと思います。
  436. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 時間が来ましたからもうこの一言でやめますけれども、そうすると国としては、地元から申請があればそういうところは当然やらなければいかぬと思っている、こういうように理解をしましたけれども、そのとおりかどうか。  それから、学校だけでなく病院とか保育所とか公民館など、一定以上の騒音があれば、申請すればやはりそういうような対象になるというふうに私は資料を見て理解したのですが、それもそのとおりでしょうか。
  437. 宇都信義

    ○宇都政府委員 住宅の防音工事以外の防音の対象になっておりますのは、学校、小学校、中学校、高等学校、それから幼稚園、保育所、病院、診療所等でございまして、今先生、公民館というお話がございましたが、これは防音工事をやるということでございませんで、別に集会施設という形で、騒音対策以外の集会の場所の防音という方法がございまして、そちらの方で措置されております。  今、具体的に御要望が出ればその申請に基づいて国が補助対象にできるかというお話でございますが、具体的要望がございましたら、その学校あるいは病院ごとに現地の騒音度を調査しまして、騒音対策が必要であるということが認められれば補助対象とすることについて検討したいと思います。
  438. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 終わります。
  439. 大村襄治

    大村主査 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。  次に、岩垂寿喜男君。
  440. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私の選挙区に逗子市がございまして、逗子の米軍弾薬庫跡地にいわゆる米軍住宅を建設するという問題が起こってこの方、さまざまな問題が提起されております。私は、この際ですから、ぜひ長官と具体的にやりとりをしたいというふうに思いますので、ぜひ御答弁を煩わしたい。政治家としての長官に御答弁をいただきたい、こんなふうに思います。  御存じのように逗子という町は昭和二十九年に市制がしかれまして、その直後から市、市議会、市民が一体となって池子弾薬庫のいわば返還ということの運動を町ぐるみでやってきたわけです。その間に、例えばアメリカ側に対する返還や政府に対する返還要求というのは三百回を超しているわけです。そういう積み重ねを経て市民が一体になってきたのですけれども、実は昭和五十八年になりまして、施設庁が米軍住宅を建設したい、こういう通告がございました。その後、日米合同委員会で決定をした後も市議会はそれをやめてほしいという決議をいたしております。  ところが、その後五十九年になってから、前の三島市長さんが条件つきで受け入れるということに態度を決め、そしてその後市議会も受け入れやむなしというやりとりになって、その後三船市長のリコールが起こる。リコールをされる前におやめになって選挙が行われた。そして三島さんは破れて今の高野市長が当選をした。そしてその市議会において多数派を占める人たちが、新しい市長が市民の要望を受けて、市民の意思に基づいて、例えば弾薬庫の中の調査をしたいという予算をつけようとしてもそれを削る。事によったら助役や収入役の人事まで妨害をする。言ってしまえば嫌がらせとしか言いようのないような対応をずっとしてきました。そこで、これはとてもじゃないけれども市民の意思が生きないということで、議会解散の請求が起こってきたわけであります。そしてこの間の結果であります。  私はこれらの一連の経過をずっと振り返ってみて、一つ一つその場所に立ち会っているわけではございませんが、選挙区ですから、ほかの人々よりも身近にそのことを感じている一人なんですけれども、今市が真っ二つに割れています。  今の経過をなぞってみますと、市民は市議会、市長を先頭にして全面返還を要求してきた。ところが防衛施設庁が米軍住宅を建てたいという石を投げた。そのことによって市民がそれに対する反対の行動に立ち上がって、市長がリコールされた。議会の方も解散要求というものが成立をするということになったわけですから、防衛庁なり国が結局やろうとしたこと、つまり三十三項目を含めてのことになるわけですが、それは言ってしまえば振り出しに戻った、もっと正確な言葉で言えば、三島さんが三十三項目をとにかく受け入れの条件として出したこと、そのことが市民の多数の支持を得られなかったという結果になっているのだろうと思いますが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  441. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちいろいろ防衛施設等をつくりますときに、それぞれの地域といろいろな問題があるわけでございますが、今回の逗子市のダブルリコールの問題等に関しましては、我々も当然のことながら関心を抱いておりますけれども、しかし、いろいろ市民の中で御議論していただいていることについて、我々が国の立場としてコメントすることは適当でないのではないかと思います。特に現在、幾つかの投票が行われて非常に微妙な段階でございますのでその問題には立ち入らないようにしたい、こう思っておりますけれども、政府としましては、昭和五十九年六月でございましたか、市議会で決議され、市との間で約束で交わされたものは、信義則の原則から見て私たちはまだ生きているものだというふうに考えております。
  442. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 行政継続の原則ということを皆さんいつもおっしゃるわけですが、それはそれで私はコメントをしませんが、政治的に見ると、今のいきさつを考えてみると、結局市民の世論というのは、三島さんが受け入れを決断をしたのが否定をされた。市民の多数の意見になり得なかった。これだけは事実だというふうに事実関係の認識としてお示しいただくわけにはいきませんか。
  443. 加藤紘一

    加藤国務大臣 それぞれの自治体の動きにつきまして、それぞれの事実をどう解釈するかというのは、それ自体市の中で幾つかもめておることでございますので、政治的にどう解釈するかということについても、ここで申し上げるのほかえって地方自治に対する、コミュニティーに対する我々のある種の政治的な干渉になるのではないだろうかな、こんなふうに思います。
  444. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 自治に干渉なさらないというならば首尾一貫してほしいと私は思うのです。これは参議院の決算委員会でも取り上げられたようですが、私はちょっと違う角度から取り上げてみたいのです。  リコール期間中にこういうビラが、防衛施設庁の横浜施設局という名前で二回アルバイトの手で配られました。全戸配布です。そして投票日の当日あるいは前日にこういう紙が、これは新聞折り込みで配布されました。  これは佐々さんに伺いたいのだが、防衛施設庁の判断でこれをおやりになったのか、あるいは横浜の施設局の判断でなさったのか、御答弁をいただきたい。
  445. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  施設庁へのお尋ねでございますので私から答えさせていただきます。  このビラの配布につきましては、従来から行っておりますこの政策についての市民の理解を求めるための広報活動の一環として横浜励から意見具申があり、私、承認をいたしまして実施をいたしたものでございます。
  446. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 リコール期間中に配布するということもあなたは御判断の上で指示をしましたか。
  447. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  私どもは今回が初めてではございませんで、実は逗子市議会及び市長リコールの運動がそれぞれ十月及び十一月に行われておりましたが、この期間二回にわたり配布をいたしました。その根拠は、私どもにも広報宣伝を行うことが権限として与えられており、かつその周知徹底を図ることは国の義務であるかと考え、継続的に行っておったものの一環と御理解いただければありがたいと思います。
  448. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 どのくらいの費用がかかっていますか。
  449. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 約百三十万円でございます。
  450. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 実はこのチラシを見ても何か正確でないものが多いし、余計なことも言っているのですよ。例えばこの「池子の緑は十分残ります。」いわば将来景観と現況景観というのが書いてある。確かにこれを見ると「池子の緑は十分残ります。」ということになっている。ところが中身を見ると、名前は言いませんけれども、この国の偉い人のおつむのように、前の方は毛があるけれども後ろの方はなくなってしまったというようなことを例えとして申し上げるのは失礼だけれども、この絵はまさに、それは確かにそのとおりこっちから撮ったと書いてはあるけれども、インチキもいいところですよ。ごまかしですよ。  それだけではない。例えばもう一つのビラにしても、日本の繁栄というのは安保のおかげだということを強調する余りに日米の貿易問題にまで触れている。そんな判断、防衛施設庁がするのですか。日本経済の繁栄の原因というのをこういう形で防衛施設庁が判断してやるのですか。中身についても問題があるのです。  特に私はこの際申し上げたいのは、質問に先立ってこの辺、問題点を少し明らかにしなければいかぬと思って、憲法学者、地方行政の学者、あるいはもう少し正確に言えば政府関係にかかわっている筋の人にもいろいろ意見を聞いてきました。これは私、いろいろな人たちの意見をまとめたものを正確に読みます。それは「地方自治法に基づくリコールという住民意思の決定過程と政府の行動について」ということについて申し上げてみます。  「逗子におけるリコールは、住民意思に対する議会の在り方を問うたものであり、第一義的意義はあくまでも地方自治法とそれを裏付ける住民自活の問題であること。」これが第一、これは同感だろうと思うのです。  二番目、「第二の意義としては、この住民自治の形成を通して政府の政策の可否を問うたものであること。」これも異存はないと思う。  「この意味で、リコールは政府の政策を一方の当事者としていることは間違いない。」その意味では、私は佐々さんがさっき答えたPRということの意味まではそれなりに受けとめます。ところがそこから後が問題なんです。  「しかしながらリコール期間中に、政府が(一出先機関あるいは行政官庁そのものが)ビラ、それも全戸配布したことは、政府が住民の政治決定過程に、政策的PRの領域を超えて政治的かつ実態的に当事者となったことを意味する。」  「この点で、今回の防衛施設庁の出先の態度は住民自治への積極的介入であり、妥当性を欠く」、実は私は、ここでやる以上はこういう広範な人たちの意見を聞いてきました。あっち側とかこっち側のことを言っているのではないのです。文字どおりそのことは疑問の余地がない。そうでないときは、リコール以外のときなら別ですよ。実はそういう結論をいただきましたが、これについて長官どう思いますか。――私は防衛庁長官に、政治家としての防衛庁長官の御答弁をいただきたい。
  451. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。一点だけ、防衛庁長官のお答えの前に御指摘をさせていただきたいと存じます。  先生指摘のように間違いなくリコールの最中ではございましたが、同時に、私どもが環境アセスメント条例という県の条例に基づいて行っております公聴会が、鎌倉及び横浜市については三月に既に行われることになっており、逗子市についても県知事が県議会において、なるべく早くこの公聴会を逗子市において行いたい、これは逗子市における市民運動あるいはリコールと関係のない、私ども政府事業を県の条例に従って公聴会を行うために行った広報活動であるという性格もあることを御理解いただきたいと思います。
  452. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ごまかしを言ってはいけないよ。それでは悪いけれども、横浜や逗子以外のところに配りましたか。逗子だけが対象じゃないですか。しかもリコールの最中じゃないですか。それを公聴会の関連でやりましたなどという詭弁を弄してはいけません。これは文字どおり勇み足です。私は違法だとか違法でないとか言っているのではないのです。これらの問題に対する防衛施設庁の姿勢の問題を問うているのです。  例えばリコールをやっていた。政府の政策を支持するために政府の側が国の予算を使って、国民の血税を使ってそれに反対するような宣伝をして、それで妥当でございますと答弁できますか。これはだめです、佐々さん。
  453. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  お言葉を返して申しわけございませんが、鎌倉、横浜にもこの配布を行っております。
  454. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 にも行ったということと逗子との関係というのは一体じゃないのですよ。逗子は明らかに違っているのです。私は別にあなた方の責任を言っているのではないのです。日本の政治の中でこういうやりとりをすることが妥当であるかどうか。これは決して妥当ではない。率直に言って、勇み足であったということをお認めをいただかなければしようがない。だれにでも聞いてごらんなさいよ。そこのところは、私は自分の解釈だけではいけないと思ったから、今のような項目も含めてやりとりをしてきました。長官、御答弁をいただきたいと思うのです。
  455. 加藤紘一

    加藤国務大臣 逗子市では、公聴会を開いたり環境アセスの手続を進めている段階でございまして、政府としても、私たちが行っております政策についてのPRをしなければならぬ義務があろうと思います。  特に防衛施設の場合には、今度の三宅島でもそうでございますけれども、全体の利益と地域の利害の調整というのは難しい問題でございまして、大抵の場合にはほとんどの反対というところからスタートするわけでございます。これは全世界そうだと思うのですけれども、なかなか防衛施設というものの設置というのができないところがある、そこが私たちの苦しさでございまして、それがゆえにPR活動は常にしておかなければならないと思います。  このリコール、その前の投票等から始まりまして、最後の投票に至るまでには五、六カ月の期間に現実になっておるわけでございます。(岩垂分科員「リコールの請求があったって告示期間中ですよ」と呼ぶ)それ等を全部含めますと、次から次へと告示期間がございますので五、六カ月の間になってしまうわけでございます。この間、私たちとしてはPRをやめるわけにはいかないのではないかと思います。政府としての政策的なPRというものはそれは当然あってしかるべきという御意見を先ほど委員が申されましたけれども、私たちとしてはしっかりとわかってもらうためのPRはぜひやらなければならぬもの、その一環ととらえていただきたいと思います。
  456. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 リコール期間中にやったことに対しても恬として責任を感じない。責任をとれと言っているのではないのだ。そういうやり方をやってもいいのか、それがあなたの言った地方自治に介入してはいけないという立派なお言葉と矛盾しないのかどうか、そのことを私は聞いているのです。リコールの告示期間というのは短いのですよ。
  457. 加藤紘一

    加藤国務大臣 リコールから今後の投票から、そういった期間というのは幾つかございます。現実に、リコール請求の運動の時期もあったわけでございます。したがって、それがダブルでございますから、合計六つの期間になります。この間私たちがPR活動をやめるわけにはいかないと思います。
  458. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 その長い期間の中で、ここだけ集中してやることはないと思うのです。しかも、いわば投票日の前日まで投げ入れることはないと思うのですよ。だれが、どういう意図を持ってということは明確ですよ。そんなことをやったことが、実は皆さんにとって逆効果になっていることもお知りおきをいただくことの方が立派だと思いますけれどもね。  今後もやりますか、佐々さん。市長リコールの間にも、あるいは市会議員の選挙の最中にもPRをやりますか。
  459. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先ほど来御説明しておりますように、この政策は国の事業として安全保障政策上非常に重要であり、特に市民の御理解を得る必要がございますので、私どもとしては広報活動を中止するわけにはまいらないかと存じます。
  460. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 もう一遍聞きますけれども、今、市長リコールの投票を目前にしている、それから市議会議員の選挙がある。この間にもやりますね、今の答弁はこの間にもやるということですね。
  461. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  三月三日のリコール成立によりまして、四十日以内に市議会議員選が行われる。さらに三月二十三日の市長リコール、その結果にもよりますけれども、それを受けて五十日以内にその選挙があるわけでございます。ちょうどそのリコールの時期、私どもにとりましては年度がわりの一番重要な時期でありまして、本予算委員会におきまして十三億五千万の予算をお願いいたしておりますのでこの執行の問題にもかかってまいります。この期間、私どもは市議会のリコールとかそういうことではなくて、政府事業の広報活動という観点からこの事業をやらせていただきたいと考えております。
  462. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それは結構です。私はそういうことはなさらない方がよろしいというふうに申し上げているのですが、おやりになるなら、それはそれで、私がとめるわけにはまいりますまい。  長官に伺います。  実は私、去年の十二月三日の環境委員会でこの問題について質問をいたしました。弾薬庫の再使用をしないという形で日米の間で合意が見られたのか、名称変更というのはそのことがあってそういうふうにしたのかと言ったら、実はそうでないと言うのですね。細かい議事録は申し上げませんけれども、施設庁は要するに名称変更になったから弾薬庫はもう使わないものだというふうに思うと。つまり、テーマになっていないわけですね。それから外務省に伺ったら、外務省もそれらの問題については議題にしなかったということを承っているわけです。  三十三項目のイの一番が弾薬庫の再使用禁止と名称の変更なんですね。名称だけは変更されたけれども、再使用はしないという日米間の合意ないしはアメリカからの回答は取りつけていない。今後再使用はしないというアメリカからの約束を取りつけることが、三十三項目を履行していく上でイの一番である、そういう認識をお持ちでございましょうか。
  463. 加藤紘一

    加藤国務大臣 手続の問題はいろいろあろうかと思いますし、また行政の立場からいえばいろいろ難しいこと、筋として申し上げられないこと、いろいろあろうかと思いますけれども、常識的に考えまして、弾薬庫という名称から住宅地に変えたわけでございますので、今後あそこが再び弾薬庫として使用されることはあり得ないだろうと考えております。
  464. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 あり得ないだろうとおっしゃるけれども、何で名前を変えたんだと言ったら、実態に即してやるのだということをおっしゃるわけです。逆に言えば、弾薬を入れたらまた弾薬庫になるのです。実態に即すことになるのです。  あり得ないと思う、私もそう思う。だけれども、そこのところはきちんと日米の間の約束をした方が市民の不安に対してこたえることになるのではないだろうか。そのくらいのことをやるのは日本政府の責任ではないだろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  465. 加藤紘一

    加藤国務大臣 手続の問題はこれからまたいろいろ討議してみますけれども、常識的に、家族住宅をつくる方針に変更してなおかつその近辺に弾薬庫をつくるということはあり得ないと私たち思っておりますし、それで十分ではないだろうかと思います。
  466. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それで十分だというふうにあなたはお考えになるけれども、私はこの議事録を読んでびっくりしましたよ。当分の間特別の事情のない限り使わないものと承知しております――当分の間というのはどのくらいですか。特別の事情とは何ですか。そういうことだってあり得ないことではないのですよ。だから危惧しているのです。あなたがそういうふうにお考えになるのは、それはそれであなたの判断ですけれども、これでは市民は納得しません。  それから、今論争になっているところは別として、その地域の米軍基地は実は補給のための施設として使うというのですね。だだっ広いところをどういうふうにお使いになるのかよくわからぬけれども、私は遊休施設だと考えますよ、だれが見たって。これを返還してほしい、すぐ返還しろと言っても無理だとすれば、一定の期間を置いて返還をしてほしいと日本政府から要求する気持ちはございませんか。
  467. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  本件について折衝に当たりました外務省及び防衛施設庁の感触をまず申し上げたいと思います。  本件について、この池子米軍家族住宅兼補助施設の区域を日本に返還するという考えはアメリカにございませんし、また私どもも要求をすることを考えておりません。この地を選びました理由は、集合住宅を建てるのに財政厳しい折から新たなる用地買収はとても不可能である。米海軍将校、下士官の家族住宅をつくる適地としてはこの国有地であるところの弾薬庫跡である、こういう判断からこれを選んだものでございまして、返還の問題は米側からも全く出ておりません。
  468. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私の伺っているのは、あの面積の中で住宅を建てる面積というのは皆さんが決められた。私はこれは反対だ。その論争は今やってきた。しかし、そのほかの事実上遊休化している施設などについてはやっぱり何らかのめどを示すことが必要ではないかと言っているのです。逗子だけが何で全部の責任を背負わなければならぬのかという市民感情があるわけです。そのくらいの気持ちがあってもいいけれども、おたくのお役所の方は、米軍がまだ使うらしい、返還はするという意思はないようですから、こっちからは言いません。あなたと同じことを言った。それでいいんですか。長官、これ一遍答えてくださいよ。住宅のエリア以外のところですよ。
  469. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  その名称変更の際に、米海軍住宅地域だけでなくて、海軍補助施設となっておりますように、ここは弾薬以外のデポとして今後も使われる、こういうことでございますので、返還の問題は日米間で問題になっておりません。
  470. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 三宅島七百五十億、札束でびんた張ったようなことをなすった。逗子は三十三項目トータルして幾らになりますか、答えてください。
  471. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  まず、三宅の七百億とか七百五十億という問題については、これは政府案ではございません。また三十三項目のうち二十七項目お約束をしているわけでございますが、これにつきましても、これから具体化した段階で財政当局とも十分相談をして決めるものでございまして、現段階、まだ総額幾らかということを申し上げる段階にございません。
  472. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私はそういうやり方が問題だと言うのです。自民党が三宅島に乗り込んでいって七百億約束をした。私まだやろうと思ったけれども、時間がなくなったからやりませんけれども、そしてそこへ訓練場をつくる、飛行場をつくる。私は逗子を金に換算することは嫌なんですけれども、だけれども、三十三項目というのはほとんど金にならないのですよ。金になることを言っているんじゃないのですよ。しかし、そういうやり方を片方でなすって、片方で全然誠意を示さないで、強引に既成事実を積み上げていこうというやり方というのは、決して市民の支持を得られるものではない、このように私は強調をいたしておきたいと思います。  時間が参りましたからもうやめますけれども、とにかく市長リコールがあり、議会選挙がございます。私は民意に対してもっと謙虚であってほしい。それがやっぱり防衛政策の上でも必要ではないだろうか、このことを申し上げて終わりたいというふうに思います。  以上です。
  473. 大村襄治

    大村主査 これにて岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤万吉君。
  474. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 防衛庁長官、きょう私がお聞きする主なことは厚木基地の騒音にかかわる問題です。長官が現地を視察されたことは新聞で拝見いたしました。しかし、公式の場であの騒音の状況を長官の口からお述べになったことは聞いておりませんので、厚木基地を視察をされて、あのジェット機の騒音についてどういう感想をお持ちですか、お聞きしたいと思うのです。
  475. 加藤紘一

    加藤国務大臣 現地に行ってみましての最初の印象は、やはり予想どおり大変な騒音だな、現地に住まわれている方にしてみれば大変御迷惑をかけているな、ほぼ限界に近いな、こんな感じがいたしました。
  476. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 今おっしゃった限界に近い、そのとおりなんです。実は本件に対しては今裁判が一審、二審でそれぞれ進行中であります。一審における判決は、人間が住むにはもうふさわしくない、いわばもう限界を超えているという判断であります。したがいまして、基地の撤去という問題が当然起きてくるわけでありますが、これはもう御案内のように、三宅島問題が今予算委員会でも盛んに論争になっておるところでありますから、この論争はその場に譲るといたしまして、当面次善の策としては、あの騒音に耐えかねている市民の側の生活環境をより改善してやっていく、このことが重要だと思うのです。  そこで、これは施設庁長官にお聞きをしますが、今この対象地域、いわゆる七十五デシベルと言われているこの対象地域の家屋ですね、時間の関係で私の方から数字を申し上げますが、大和、綾瀬周辺の都市全部を含めて八万七千戸と言われております。六十年度末で計画を含めてどのくらいの進行状況でしょうか。
  477. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 約四二%でございます。
  478. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 本年度予算を見ますと、この周辺整備の予算額は二千七百八十九億八千万円でございますね。去年の予算に比べますと五億多くなっております。何か特別な原因がありますか。
  479. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  本年度の周辺対策予算の中で防音工事費だけはぜひ優先施策としてお願いしたいと財政当局の御理解を得た結果でございます。なお、この防音工事に関する住宅防音の部分につきましては、その約三分の一以上を厚木周辺に充当をいたしたいと考えております。
  480. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 六十年度末での数字はわかりましたが、六十一年度計画で、厚木基地についてのみで結構ですから、どのくらいの戸数、そしてその達成率は何%になりますか。これは計画で結構です。
  481. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  六十一年度、まだ予算をお認めいただいておりませんが、防音工事予算五百五十五億円、うち二百二億円を厚木に優先投資をいたしたいと考えております。御承知のように、五十七年度からNLPの訓練が始まりました関係で、全国の防音の工事の進捗率からは非常に低うございます。全国は一、二室でございますけれども七三%いっておりますので、私どもといたしましては、計画世帯の三三%に当たる九千五百世帯、全室の方はプラスをいたしまして九百世帯を実施いたしたいと考えております。
  482. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 今の七三%というのは一室で七三%になっておる、こういう意味ですか。そして三三%というのは、六十一年度末の計画を遂行すると三三%、九千五百戸、一種工法でいきますと九百戸を加えて一万四百戸になる、こういう意味ですか。
  483. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございます。
  484. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、厚木基地の周辺における防音工事は全国的な水準よりもはるかに低い、こう見てよろしいわけですね。したがって、当然のことでありますが、本年度五百五十五億、そのうちで二百二億を厚木基地に使う、こういうことですか。むしろ私は、この際全国的なレベルを達成するためにもっとこの予算額を、先ほどちょっと御指摘しましたが、去年より今年度増加した分は七十六億です、この七十六億の分も加算されてこのレベル達成率を上げるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  485. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  厚木だけでございますればよろしいのでございますが、七十五W、デシベルとおっしゃいましたがWECPNLかと存じますが、この達成率が、先ほど申しましたように運輸省と比較いたしまして自衛隊、米軍の方が非常に低うございます。一、二室は運輸省はほとんど一〇〇%でございますが、七三%ということで、ほかの基地周辺対策も焦眉の急の問題がございます。したがいまして、私どもといたしましては、できる限りの優先配分をいたしまして、三四%、一万四百世帯、これは九百プラスをいたしましてですが、実施をいたしまして、六十一年度末の実施状況を五四%まで高めたい、こういう考えでございます。先ほど申しましたように、今の厚木の現状はまだ非常に低い状況でございますので、これを五四%に高めたい、かように考えております。
  486. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 理解がもし違ったらごめんなさい。三三%に達成をしたいというのじゃないのですか。六十一年度の計画決定をそのままやると五四%に厚木基地ではなります、こういう意味ですか。
  487. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  三三%と申しますか約三分の一、これに予算を投入をする、こういうパーセンテージでございまして、五四%は六十一年度工事が終了した時点における達成率でございます。
  488. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 六十一年度の第一工法による計画、第二工法による計画はそれぞれ何戸になっていますか。これも厚木基地だけで結構です。
  489. 宇都信義

    ○宇都政府委員 六十年度におきます住宅防音工事の第一工法、第二工法につきましては、現在のところ実施計画の承認の段階で、地元の意向あるいは財政当局とも十分調整して決めたいと思っております。ただ、予算的に申し上げますと、第一工法が約七千世帯、第二工法が三千四百世帯、合わせまして一万四百世帯ということでございます。
  490. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 今六十年度とおっしゃいましたが、六十一年度ですか。もう一遍答弁してください、大事なところですから。
  491. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  六十一年度の戸数でございます。
  492. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私の手元に入ってくる資料では、六十年度の今やっている防音工事は主として第二工法の手法が多い、実はこう聞いているのです。もちろんこれは部分的な資料ですから全体的なことはわかりませんが、長官、私は三宅島問題とどうも絡みがあるような気がしてならぬのですよ。六十一年度は、やがて三宅島問題、どうなるかわかりませんけれども、いずれにしても、厚木基地周辺の防音ないしは周辺整備については予算上の措置というものが限定をされてくるような気がしてならぬのです。これは推測ですから、これからどうなるか見守っていかなければならぬことですが、そういう中で第一工法、いわば二室、全室防音工事というもの、第二種というのは一室ですが、そういう面で二種工法が非常に多くふえるのではないか、従来の比例よりも多くふえるのではないか、こんな気がするのです。六十年度の計画、これはまだ三月三十一日までありますから、数字的には最終的なトータルは出ていないでしょうけれども、六十年度の計画と今の六十一年度の計画、七千戸、それと三千四百戸ですが、これとの比率は同じですか。
  493. 宇都信義

    ○宇都政府委員 六十年度の厚木地区におきます住宅防音工事の計画は世帯数で全部で約九千五百でございますが、そのうち第二工法をとっておりますのは二百でございまして、あとは第一工法によって実施しております。  第一工法と申しますのは、八十W以上の区域におきまして住宅の室内の騒音を六十W以下に下げるという工法でございまして、第二工法は七十五Wないし八十W未満の区域におきましてやはり六十以下に下げるということでございまして、それぞれ工事の内容が違っております。特に第一工法では、壁それから天井の遮音、それから吸音工事、それから開口部の遮音工事、そのほか空気調和工事などをやりますが、第二工法は開口部の遮音工事と空気調和ということでございまして、内装の方を行っておるのは第一工法でございます。
  494. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、六十一年度は六十年度よりも第一工法は多くなるというふうに見ていいわけですね。
  495. 宇都信義

    ○宇都政府委員 六十一年度は、予算的には第一工法が、先ほど申しましたように約七千戸、第二工法が三千四百戸でございますが、これは実施の段階でどういうふうになるか、御希望の方々なども調整しまして決めていきたいと思っております。
  496. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 わかりました。先ほども申し上げましたように、この周辺整備、特に騒音に対する防音工事というのは生活環境を守る上でも極めて重要なことでもありますから、私はぜひ計画どおり実行されるようにこの際希望いたしておきます。  そこで、この七十五Wの地域について、ないしは八十のラインでもいいのですが、線引きをいたしましたね。線引きをした結果、この線引きの外側にやはり八十Wないしは七十五以上のWのところが若干存在するわけですね。私は実はしばしば横浜の防衛施設局にお願いをして、その部分は抱え込むべきではないかと。抱え込んで、この際、その当該地域の市町村なり、この場合は市ですけれども、あるいは市なり地域の自治会において微調整を期待するものはその期待にこたえるべきではないか。実は現地はなかなかかたいんです。昔の小字がありまして、その小字の道路を境にして線引きをするものですから、その道路の外側のところは仮に同じ条件があっても微調整には応じられない、こういう状況に現地はあるわけです、戸数でいけばそんな大きな戸数ではございませんけれども。特に綾瀬市というのがございますが、その綾瀬市の綾西地域、これはちょうど山の斜面になって反射音が非常に強いところでございます。あるいは小園地域といいまして、海老名に非常に近い地域でございます。これもまたそばに字の道がございまして、そこでもって線引きがされているためにその工法の請求ないしは要求をすることができない。  どうですか、この際そのくらいの微調整は、現地が必要とするならば、横浜防衛施設局にその権限をお与えをして線引きの微調整をすべきだ、私はこう思いますが、ひとつこれは長官に御意見を聞きましょうか。
  497. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  確かに役人のやっております仕事というのは、例えば行政区画だとか道路だとか川だとか、そこで区切りをしてしまうという傾向がございます。しかしながら、この防音工事に関しましては、その線引きに当たりましては、切り捨て御免ではなくて、七十五Wの区域をむしろ広げる傾向で微調整を行って何とか地元の御理解をいただいていく、こういう努力をいたしておるところでございます。御指摘の綾西地区と小園地区にそういう問題があるということは、私、不敏にして現時点において承知しておりませんでしたが、現地において徴調整を行う用意がございます。  なお、今度は七十五から七十の間はどうするんだ、この問題になりますと、運輸省の基準もこれあり、また予算上の問題もございまして御容赦いただきたいと思うのでありますが、七十五のラインはむしろ広く解釈する、これが当庁の基本的な考え方でございます。
  498. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 微調整を行うことができる、そういうふうに理解してよろしゅうございますね、改めて確認をさせていただきたいと思います。
  499. 大村襄治

    大村主査 施設庁長官、お答えはいいですか。
  500. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 施設庁長官、いま一遍。
  501. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  厚木飛行場の周辺の騒音につきましては、現在騒音がうるさいという御意見がございますので、六十年度に騒音調査見直しをやっております。その結果を踏まえまして、第一種区域の指定告示の見直しという手続をとりたいと考えております。今のところ、二月三日に横浜防衛施設局長から神奈川県知事に対しまして指定告示の案を提示いたしまして、意見を聴取しておるところでございますので、六十一年度の早い時期に指定告示が行えるよう努力しておるところでございます。
  502. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 先ほどの長官の方が明確な答えだったですから、長官の答えのとおり現地で微調整が行える、そのことを防衛施設庁として横浜の出先機関にきちっと連絡していただく、これをひとつお約束をしていただきたいと思うのです。  いろいろ防音施設をつくったことによって家庭の経費が大変大きくなっています。私は、それに必要な、例えば電力料金だとか、そこまで全家庭にという、そういう期待はありますけれども、どうでしょう、生活保護世帯ぐらいはこの経費を国で見てやることはできませんか。
  503. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  施設庁といたしましては、生活保護世帯については何とかいたしたいということで年来努力をいたしておりますが、残念ながら厳しい財政状況のもと、六十一年度は実現に至りませんでした。今後、先生指摘の趣旨を踏まえまして努力を続けたいと考えております。
  504. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 五十八年度以降新築をした家屋に対しては、その対象になりませんか。
  505. 宇都信義

    ○宇都政府委員 先生お尋ねの件は、住宅防音工事の指定の告示をした後に、その指定の区域内に新しく建築された住宅の防音工事ができないかということではないかと思います。  私ども、住宅防音工事の告示をしますときには、それぞれの時点におきましてその状態をつかんで防音工事をやる線を引くわけでございますが、全国的に大変対象の戸数が多うございます。今約二十六万ぐらいございます。そういうことで、それぞれ時点で把握した戸数、対象の方々を早急に住宅防音していくことが先決ではないかと考えております。したがいまして、その告示後に新しく建築された方々の問題については、今後検討していかなければならぬ問題だとは考えておりますが、今すぐ対象にしていく考えは持っておりません。
  506. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 他の基地への移転の問題等を含めて、厚木基地を騒音の状態から脱却させることは時間的にも非常に難しいし、まだまだ相当時間がかかると私は思うのです。したがって、今おっしゃったように、五十八年度以降建った新築家屋に対する防音工事の問題もぜひ検討の課題に入れてほしい、こう思います。  あそこの基地の中に昔のタンクがあります。約九基あるのですが、住宅に大変密接をしておりまして、小柴の爆発がある以前に実はあそこでは油漏れがありました。これは私、前にも指摘をいたしまして、小柴の二の舞になって、その際にタンクの問題を云々しても始まりませんよ、小柴の場合には比較的民家との距離がありましたけれども、厚木の場合にはすぐ隣接して家屋がありますよ、したがって、この移転の問題を、先般の四千五百キロリッターですか、あの新タンクができる際にも、当時の吉野長官に申し上げて、ぜひひとつ、本来ならばなくなれば一番いいわけですけれども、そうはいかぬでしょう、したがって、少なくとも危険区域を外して、私ども言葉で言えば谷戸、谷間がありますが、引き込み線がすぐそばを通っておりますから、その地点まで指定をして、ここへの移動の問題を本格的に検討してくれませんか、こう申し上げました。その後調査費をつけまして、今調査中です、こういう状況に聞いております。  さて問題は、調査調査ということでもう四年になりましょうか、今、調査から次の段階ではどうなっているのですか。
  507. 宇都信義

    ○宇都政府委員 先生おっしゃっておられます厚木海軍飛行場の北部にあります米軍の貯油タンクでございますが、これにつきましては、米軍において安全点検等安全対策に必要な措置を講じておると承知しておりますけれども、当庁としましても、引き続き米軍と協議しつつ、安全の確保について措置をしていきたいと考えております。  その一環としまして、昭和五十八年度に、防災的見地から、現有タンクの現況調査それから使用状態の調査を行いまして、現在その調査結果をまとめて、その調査結果をもとに、米軍と安全対策についての具体策の調整を図っているところでございます。  昭和六十一年度におきましては、この移設を含めまして、具体的な方法を技術的に検討しようということで調査費を計画しております。
  508. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 タンクの危険の問題を含めて調査をし、そして今米軍との間で調整をしている、同時に、調整をしたものは、いわば火災その他の爆発事故等が起きないような保全施設をきちっとする、これが第一ですね。同時に、今後段におっしゃいました調査費は、移転をするための調査費もあるわけですか。
  509. 宇都信義

    ○宇都政府委員 ただいま申し上げました六十一年度の調査費につきましては、移転計画も含めて検討する調査費の内容になっております。
  510. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、もし米軍側の合意ができれば、移転は六十二年度になりますか、あるいは三年度になりますか、可能だというように見ていいわけですね、前提としては米軍側の合意ということがあるでしょうけれども。これは手続としてはどうなるのですか。米軍側とどこで折衝をされて、どの機関を通してそういう合意が得られる、手続上の機関は日米間ではどうなんですか。
  511. 宇都信義

    ○宇都政府委員 本件の貯油タンクをもし移設するということになりますと、その計画につきましては、合同委員会におきまして日米間で合意して実施の方向が決まることになります。
  512. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 施設庁長官、問題はそこなんですよ。確かに現地では、危険をなくするための処置あるいは調査を行っていますが、これは早く日米間の外交ルートにのせてもらわぬといかぬのですよ。本来この問題は外務省が所管になるのかもしれませんけれども、私は、長官の方からぜひ外務省に要請をして、この日米間のタンクの移設をするための機関の開催といいましょうか、あるいは会議を早急にやっていただきたい。現地でいろいろ調査をされるのでしょう。あるいは可能であるかどうかという判断をされるのでしょう。可能になれば、問題は米軍との関係ですから、米軍があそこを使う上の、使用上の適切な条項さえ確保してやれば、米軍側としてはそう否と言うものではないと私は思うのです。したがって、この外交手続をできる限り早くやっていただきたい、こう思いますが、長官の御意見をひとつお聞きしたいと思います。
  513. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  御指摘の貯油タンクは、覆土式か地上式のものが七つございまして、先生指摘のようにこれは日米間の一つの安全対策上の問題でございまして、提供施設整備の予算負担において行う計画の一つとして考えられております。窓口は、新たにそのためのものをつくるというのは、既に日米合同委員会の施設小委員会がございますので、この場において協議をいたしたい。もちろん外務省が首席、私は副首席でございますので、外務省とも十分協力をいたしましてアメリカ側との折衝をいたしたいと考えております。
  514. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いつまでも折衝しているだけでは、これは問題が前に進まないわけで、積極的にお進めいただきたいと思うのです。前の吉野さんですかね、あの方は幸いにあの地域のお生まれの方で、地理的な条件に非常に詳しかったものですから、おかげさまで、なるほどそういう提案もあるのかという、率直に言ってやや積極的な姿勢で本問題に取り組んでいただきました。私もそういう面では敬意を表しているわけです。ぜひ長官も吉野さんなどの御意見、今はもう現役じゃございませんから、引き継がれた方が恐らくいらっしゃるでしょうから、十分意見を聞いて、早急な処置をひとつ講じていただきたい、こう思います。  いま一つ質問をしますが、あの基地の周辺にあった昔の市道、これは私も現地を見まして、前回質問の際にもその写真をお示しをして、実は基地の中に市道が食い込んでいますよ、この部分はぜひ市に返してほしい、たまたまそこが通学路になっておりますものですから、ぜひひとつ返還をしてほしい。おかげさまで一定の区域は返還が成りました。通路も非常に広くなりまして、地元の住民はそういう意味では大変喜んでおります。ところが、これが途中で、全部が成っておりませんから、細くなっちゃうんですね。この際ですから地名で申し上げた方がよろしいと思いますが、ちょうど引き込み線の手前のところまでは実は広くなっている。引き込み線をまたぎまして、今のタンクがある関係で、それから先がどうしても道路の拡幅ができません。したがってこれは、一つにはタンクの移設の問題がありますが、同時にいま一つは、積極的にその道路の拡幅計画をつくっていただきますと、本来あるべきフェンス、いわゆる基地のフェンスが張ってないわけです、戦前からあったものですから、基地の周りの土手にのりがありまして、その土手の上にフェンスを張っちゃったものですから、のりの分だけが実は取られているわけですね、基地の中に入っちゃっているわけです。  どうでしょう、この拡幅について、私は、ぜひ積極的に進めていただきたい。せっかく半分、三分の二ぐらいでしょうか、広くしていただきましたけれども、次の市道につながる部分が狭く、ひょうたんのくびれみたいな形になっているわけですね。したがって、この部分をぜひひとつ拡幅してほしい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  515. 宇都信義

    ○宇都政府委員 ただいま御指摘の道路につきましては、市道二十八号線、それから四十四号線という道路でございまして、昭和五十七年から五十九年に一部改良工事、拡幅工事が行われて、さらに舗装も完了しております。  ただ、先生おっしゃられますようにその先の部分、一部まだ改良舗装の終わっていない部分があるわけでございますが、この部分につきましては、綾瀬市から具体的な御要望があれば、防衛施設周辺生活環境整備法の事案としましてどのように対応できるか、検討したいと思います。
  516. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 時間が参りましたからこれで終わりますが、綾瀬市からそういう要望があれば、具体的な対処案件として防衛施設庁でも検討する、こういうことでございますので、地元の住民の側の意見もよく市に反映をして、その処置を要請をしたい、こう思いますので、要望が上がり次第、防衛施設庁で積極的に取り組んでいただきたい、こう思います。  終わります。
  517. 大村襄治

    大村主査 これにて加藤万吉君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時四十七分散会