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○小渕
委員長 これより会議を開きます。
この際、
理事の
補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、
理事が四名欠員となっております。この際、その
補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、
委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○小渕
委員長 昭和六十一年度
一般会計予算、
昭和六十一年度
特別会計予算、
昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
第一分科会主査大村
襄治君。
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○大村
委員 第一分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会の審査は、去る六日及び昨七日の二日間にわたり行われました。
質疑応答の詳細は会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
国会関係では、国会の交際費と招へい外国人滞在費の増額、国会図書館の保存図書の複数化等について、
皇室関係では、皇太孫の御婚儀見通しについて、
総理府本府及び総務庁関係では、戦後処理懇の報告と特別基金の関係及び軍人恩給欠格者の他年金での併給加算等の救済策、シベリア抑留者の補償問題、部落差別の実態と地域改善策の推進等について、
科学技術庁関係では、科学万博後の筑波学園都市の活性化対策、高レベル放射性廃棄物の処理と安全性の確保等について、
北海道開発庁、沖縄開発庁関係では、新北海道開発計画のあり方、第二次沖縄振興開発計画の後期プロジェクト等について、
防衛庁関係では、有事の際の自衛隊の統合部隊設置、OTH(超地平線)レーダーの電波監理上の問題、基地周辺整備の諸問題等について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
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○
伊藤(宗)
委員 第二分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会においても同様に二日間審査を行い、昨日終了いたしました。
質疑応答の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
まず、大蔵省関係では、予算編成のあり方、税制改革の方向、給与所得控除と必要経費、教育、パート等政策減税の実施、豪雪地帯の税の減免措置、法人税の延納制度の復活、物品税課税のあり方、国債償還財源の確保、小口預金金利の自由化、株式の先物取引問題等であります。
次に、法務省関係では、人権擁護の推進、保護司制度の運営、借地・借家法改正に関する問題点、簡易裁判所の適正配置、外国弁護士の日本での営業自由化等であり、
外務省関係では、核軍縮の推進、人種差別撤廃条約の批准、核物質防護条約の批准と国内法の整備、三沢の射爆撃場近くでの核燃料サイクル施設の建設、経済協力のあり方、在外公館職員の待遇改善等であります。
以上、御報告申し上げます。
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○大西
委員 第三分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会も同様に二日間審査を行い、昨日終了いたしました。質疑応答の詳細は会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主な事項を申し上げます。
まず、文部省所管については、幼保一元化等幼児教育のあり方、障害児教育問題、学校でのいじめ及び体罰の解消策、四十人学級の早期達成への取り組み方、過大規模校の解消策、高校転入学枠の拡大問題、大学入試制度の改善策、私学振興対策、中国帰国子女の教育問題、同和教育のあり方、スポーツ振興対策、文化財の保護・保存対策、国際連合大学の建設構想等でありました。
次に、自治省所管については、衆議院議員及び都道府県議会議員の選挙区別定数の是正問題、地方行財政改革の進め方、京都市の古都保存協力税問題、市町村振興宝くじの収益金の取り扱い問題、消防職員の待遇改善、地域改善対策事業のあり方等でありました。
以上、御報告申し上げます。
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○葉梨
委員 第四分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会におきましても同様に二日間審査を行い、昨日終了いたしました。
質疑内容の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、労働省関係では、出稼ぎ労働者、パートタイマーの労働条件の改善、高齢者、身体障害者、同和関係住民の雇用対策、造船不況対策、労務災害の認定基準及び労働者災害保険法の改正内容、労働時間の短縮及び週休二日制の拡大などであります。
厚生省関係では、国立病院、療養所の再編成と地域医療のあり方、同和関係住民の福祉対策及び生活保護における消費水準基準の見直し、がん、エイズ、腎関係疾患などの予防等難病対策、精神障害者対策としての開放的なアフターケア体制の確立、医師・歯科医師の削減策、歯科診療報酬の改善及び歯科材料の安全対策、医療費の軽減、在宅介護の充実及び福祉施設の整備拡充等福祉対策、はり、きゅう、マッサージの医療保険上の取り扱い、薬価基準制度の見直し、ビタミンK2剤の副作用、中国残留日本人孤児に対する援護対策、留守家庭児童の保育所の利用などであります。
以上、御報告申し上げます。
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○武藤(嘉)
委員 第五分科会における審査の経過について御報告いたします。
本分科会も二日間
柿澤弘治、
佐藤観樹、両副主査の協力を得て審査を行い、昨日終了いたしました。
質疑内容の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主なるものを申し上げます。
まず、環境庁の関係では、大都市における窒素酸化物の環境基準の達成のための諸施策、酸性雨問題、琵琶湖、霞ケ浦、手賀沼、印旛沼の水質保全及び富栄養化対策、有機塩素化合物の地下水汚染問題、スパイクタイヤによる公害対策、都市緑地の保全、高山植物の保護及び尾瀬の自然保護対策、公害防止事業団の融資のあり方などであります。
農林水産省の関係では、食糧自給力向上のための諸施策、農業構造改善事業の促進と受益者負担の見直し、第三期の水田利用再編対策後の農業政策、農業の担い手の育成確保、土地改良事業の推進、畜産物の需給調整、流通消費改善対策、漁業生産基盤の整備と漁業振興、日ソ漁業交渉の経過と今後の見通し、韓国漁船の違法操業に対する取り締まり、フィリピン政変の同海域における我が国漁船の操業への影響と見通し、国有林野事業の改善と木材需要の拡大策、農林水産省関係の同和河策事業の推進、サトウキビ、パイナップル等の沖縄農業の保護育成、国際花と緑の博覧会の準備と見通しなどについて質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
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○上村
委員 第六分科会における審査の経過について御報告いたします。本分科会におきましても二日間審査を行い、昨七日終了いたしました。
質疑の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な事項を申し上げます。
まず、経済企画庁関係では、最近の国内経済における諸アンバランスと今後の経済運営のあり方、
また、通商産業省関係では、我が国とフィリピン国との間の今後の経済関係と経済援助のあり方、情報化社会の進展に伴う消費者信用の現状とプライバシー保護、消費者トラブルの防止対策等の必要性、情報産業の進展に伴う人材養成と雇用者の労働条件の改善対策、円高下の繊維産業、非鉄金属産業及び皮革産業等中小企業の現状と緊急融資、官公需の確保等諸対策のあり方、昨秋来の円高及び原油価格の低下による電力、ガス業界の差益の見通しと社会資本投資等差益還元方法のあり方、我が国企業の海外進出、海外投資の現状と国内の産業構造及び雇用等への影響、我が国乗用車の対米輸出の見通しと韓国車の進出の影響、スーパーマーケットの電気製品等の不当廉売と独占禁止法及び景品表示法等による規制のあり方、医薬品の特許権の有効期限をめぐる最近の動向と特許庁の対応、大型店舗の出店規制と地元商店街等との調整のあり方等であります。
以上、御報告申し上げます。
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○相沢
委員 第七分科会における審査の経過について御報告いたします。
本分科会も各分科会同様二日間審査を行い、昨七日終了いたしました。
質疑応答の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
まず、運輸省関係では、国鉄の分割・民営化、余剰人員対策、用地の処分、長期債務の処理等の国鉄改革問題、国鉄の輸送力増強、安全対策、国鉄ローカル線の廃止問題、新幹線鉄道の整備、鉄道新線の建設、青函トンネルの有効利用、地下高速鉄道、新交通システムの整備、航空の安全対策、地方空港の整備、羽田空港の沖合展開、関西国際空港の漁業補償、国際観光の振興などであり、
次に、郵政省関係では、第三種郵便物の認可、切手発行政策、調整手当支給区分の見直し、郵便貯金事業の民営・分割論、放送の自由の確保などであります。
以上、御報告申し上げます。
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○住
委員 第八分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会は、建設省及び国土庁の所管について二日間質疑を行い、昨日終了いたしました。
審査の内容は広範多岐にわたりますので、その詳細は会議録に譲ることとし、ここでは主な事項について申し上げます。
まず、道路関係では、東京湾横断道路の建設計画、高規格幹線道路網の構想、高速自動車道の整備促進、一般国道及びバイパスの整備、首都圏中央連絡道路の建設促進、東京圏の環状道路の建設促進、明石海峡
大橋の建設計画などであり、都市計画関係では、連続立体交差事業の推進、下水道の整備の促進、地下水の汚染対策、防災拠点計画などであります。
また、治水関係では、都市河川及び地方の河川の改修問題、高潮防止対策などであり、住宅関係では、国産木材による住宅建設の推進、住宅・都市整備公団の縮小、民営化問題などであります。
以上のほか、雪害地域の除排雪対策、建設業界の労務対策、中小建設業者の受注確保対策、三全総の成果及び四全総の策定に当たっての課題、筑波研究学園都市の活性化対策などについても質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
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○小渕
委員長 これより締めくくり総括質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
稲葉誠一君。
-
○
稲葉(誠)
委員 予算
委員会も最後になってきたわけですが、総理にお尋ねをいたしますのは、中曽根内閣としていろいろ公約をされておられると思うのですが、その公約は何と何が公約であって、例えば富士山から例をとると何合目くらい今それが行っているか、こういうことについてわかりやすく御説明を願いたいと思います。
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○中曽根
内閣総理大臣 施政方針演説で申し上げた諸般の政策が公約であるというふうに私考えております。施政方針演説は、正式の国権の最高機関におきまして内閣を代表して政府としての所信を正式に表明して、国民及び国会議員の皆様方にお話し申し上げていることでございまして、そういう意味であると政治的にも解釈しております。
具体的には一つは、国際国家日本へ前進するということ、そして文化と福祉の国をつくり上げるというようなこと、それと同時に具体的な問題といたしましては、当面の問題として行政改革の推進、行政改革の推進のほかに財政改革あるいは教育の改革問題がございます。さらにがんの撲滅、対がん十カ年施策の推進とか、あるいは社会福祉その他においては特に社会の弱い方々に対して特別にいろいろ細かい配慮をしていく、あるいは花と緑で日本を埋めていこうというようなことも申し上げておるところでございます。
いろいろ具体的な問題については、施政方針演説をぜひごらんいただきたいと思います。
-
○
稲葉(誠)
委員 施政方針演説、私も聞いておったし持っていますけれども、私のお聞きいたしたいのは、行政改革なり財政改革なり教育改革なりその他あると思うのですが、それが全体として今どこら辺まで行っているんだろうかという御認識を聞きたかったわけですけれども、それはそれといたしまして、そうすると総理は、今言われましたことを御自身でなし遂げたい、こういうふうにお考えなんでしょうか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 もう一つ申し上げますれば、税制の大改革をやりたいということも申し上げておる。財政改革と並んでこれは大きな大事業でございます。行政改革の大きな目玉の一つは、いよいよ国鉄の大改革が登場して法案も提出しておるところでございます。
公約として国民にお訴え申し上げておるところでございますから、最善を尽くしてこれを遂行する、そのために党及び野党の皆様あるいは国民の皆様方に御協力を仰ぎたいと考えております。
-
○
稲葉(誠)
委員 私のお聞きいたしておりますのは、それを御自身が発案されてやられているわけですから、それを御自身のときになし遂げたいのか、こういうふうに聞いているわけなんですけれどもね。
-
○中曽根
内閣総理大臣 これは、お訴え申し上げた以上は自分がやりたいから申し上げておるので、人様にお任せするという意思で申し上げているのではありません。しかし、人間の能力あるいは客観情勢そのほかの問題もございますし、野党の方の御賛成やら抵抗もあることでございますから、これはすべて運命にかかってくる、そういうふうに思います。
-
○
稲葉(誠)
委員 今度の国会、五月二十二日までですね。その中で総理が一つだけどうしてもやりたいことがある、それは何かというふうに聞かれましたときに、これはインタビュアーに聞かれたようなものですけれども、そのときは総理はどういうふうにお答えになりますか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 やはり一番基本的なことは、民主主義というものを立派になし遂げる国会及び行政府でありたいということであります。
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○
稲葉(誠)
委員 それは当たり前のことで、私の聞いているのはそういうことを聞いているわけじゃないのですけれども、総理の方も私の聞いているのが何を聞こうとしているのか察して、そこら辺のところを、何といいますかな、いい言葉で言えばかわしたというのかな。もっとぶつかっていいのじゃないでしょうか。私はもっとぶつかった答えを期待していたのですけれども、まあそれは御自由ですから、質問も自由だし答弁も自由であって、私もこれ以上追及いたしませんけれども、私は——まあ、よしましょうか、この程度にしておきましょうね。もっと別な言葉が出てくるかと思っておったのですが……。
では話を変えまして、今総理は国際国家というようなことを言われたわけですが、私は、これは外務大臣にお聞きした方がいいのかな、総理にお聞きした方がいいのですか、あるいは文部大臣になるのか。大来佐武郎さんが講演しているのを読みまして、これは本当の国際人ですから、非常に感心したのですけれども、その中でこういうのがあるのですよ。「具体的には留学生問題がある」、国際国家日本という中でですね。総理のあれで何か二十一世紀への留学生政策懇談会というのができたのですね。受け入れている留学生の数が、日本が一万人、ドイツ、イギリスがそれぞれ五万人、フランスが十二万人、アメリカが三十万人を超えている。まあ国によって事情が違いますから、それだけで言えるわけじゃないのですけれども、さあ、これに対して一体こういう外国人の留学生を今後国際日本という観点からどういうふうにして受け入れていくか。
心配いたしますのは、日本に来て留学した方が日本にいい感情を持って帰らないという例がしばしばあるのですね。反日とまで言えないでしょうけれども、余りいい感じを持って帰られないということがある。だから、留学生の受け入れ、それに対する、日本をよく知らしめ親日的にせしむるということについての方策ということについてはどうお考えでしょうか。どちらでも結構です。
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○
安倍国務大臣 今御指摘のように、先進各国に比べますと日本の留学生の受け入れは非常に少ないわけであります。官民合わせて一万五千人程度だと言われておりますから、非常に少ないわけであります。そこで、懇談会でこれを二十一世紀までに十万人に持っていこうということが提言をされておりまして、我々は、国際的な日本の役割を果たしていくためには、こうした十万人目標でこれから努力をしていかなければならない。そのためにも、外務省としましても、国際的な関係各国との間の話し合いをこれからいろいろな面で進めて、受け入れ態勢を整えるように努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
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○海部国務大臣 留学生問題につきましては、最近の数字でいきますと、我が国の留学生総数もようやく一万五千九名に相なりました。このことは、先生御指摘のように、相互理解を促進したり、研究、学問のレベルを上げたり、あるいは途上国に対しては人材育成の御協力をするというようないろいろ多くの利点もありますので、積極的に取り組まなければならぬということで、今年度予算におきましても新規受け入れは拡大をいたしておりまして、国費の分としては千八百十五人、予算措置は対前年一六%増でありますけれども、さらに快適なといいますか、充実したいい思い出を持って帰っていただくような学問をしていただくために、留学生会館の建設であるとか教材の開発提供であるとか、いろいろ心を砕いて留学生対策に取り組み、今外務大臣の言われたように、二十一世紀の初頭には十万人という目標を達成すべく年次計画をつくって努力を重ねてまいります。
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○
稲葉(誠)
委員 いや、私が聞いているのは、日本に来ている留学生が日本に必ずしもいい感じを持って帰らないのですよ。そういうのが非常にあちこちから聞こえるものですから、そこがどこにそういう問題点があるのだろうかということを聞いているので、これは今すぐでなくてもいいから、皆さん方でよく相談していただきたいと思うのですよ。
もう一つの問題は、この中にも出てくるのですが、ダボスで世界経済の大きな会議があって、大来さんが出られたときに、イギリスのヒース前首相がこういうふうに言ったというのですね。「「自分は日本に対する摩擦をなくすうまい方法を知っている。」といい出した。」何だと聞いたら、「「日本は毎年一〇〇億ドルずつ世界銀行に金を貸して、それを途上国の開発に使うこと。そうすれば先進国も喜ぶし貧しい国々も喜ぶではないか」と言っていたのを記憶しています。」というふうに大来佐武郎さんが言っておられるのですね。私これを拝見しまして、さあそれで、外務省としては今の大来さんの言われたこのことについてどういうふうにお考えでしょうかね。
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○
安倍国務大臣 ヒース元イギリス前相の提言といいますか御発言については、私もよく知っております。なかなかいいアイデアだと思いますけれども、しかし、日本はこれまでも世銀あるいはまた第二世銀等についてはアメリカに次いで大きい出資国でありますし、またこれからもそういう姿勢で積極的な協力をしていきたいということでありますし、ODA全体も倍増という計画を今年度から始めておるわけでございますが、全体的には、我々としては、国際協力あるいはまた援助といったものについては積極的に取り組んでおるということは御承知のとおりであります。
しかし、今のような、日本がさらに国際責任を求められる時代に入っておりますから、そうした意見等も踏まえながらいろいろな面でこれから考えていかなければならない、日本の責任は重い、こういうふうに思っております。
-
○
稲葉(誠)
委員 こうした国際化に伴ういろいろな問題があると思うのですね。これは賢人会議とかいろいろなあれがあると思いますが、そういうところで衆知を結集していただきたい、こう思うのです。
これは、私この前テレビを見ておりまして、ワルシャワで開かれましたショパン・コンクールで、通告してなかったのですけれども、今ちょっとお話ししましたけれども、一位になったのはソ連の十九歳のブーニンという少年ですね。ショパンの「革命」というのを弾いたわけですけれども、これは聞いていた人なんか非常に驚きまして、全然音が違うのですよ。すばらしい音で、日本から園田高弘さんが審査員で行っておられたのですけれども、これも、何十年に出る一人のあれだといって、非常に感心をされたのですね。まだ十九歳なんです。こういう人を呼んで日ソの文化交流、国際化、同時に日本の音楽教育の振興全体を図るというようなことをすることは、非常に私は意義が大きいと思うのですよ。これが
安倍さんの言う創造的外交の一つの大きなシンボルにもなるのじゃないか、こう思うのですけれども、今急に言ったものですからあれかもわかりませんけれども、御意見があれば総理なり外務大臣から御意見を承らせていただきたい、こういうふうに思います。
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○
安倍国務大臣 日ソ間にそうした高いレベルの文化交流が行われることは大変歓迎すべきだと思っております。こうした交流については政府としてもちろんやる場合もありますけれども、しかし、音楽なんかについては民間のレベルも非常に高いわけで、音楽会なんかでもそうした天才的な少年に対して、恐らくこれを呼ぼうというような空気も当然出てくるんじゃないかと思っておりますし、そういう中で、外務省として御協力できる面があれば積極的に協力してまいりたいと思います。
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○
稲葉(誠)
委員 話は、非常に高次元なところから極めてローカルなところへ行ってしまうのですけれども、ローカルというか……。私、宇都宮に住んでいるわけですけれども、二十分くらいですかな、高根沢という町がああのですが、そこで四月に町長選挙が行われるということです。それで二人候補者が出まして、一本化工作だと称してかどうかわかりませんけれども、金は幾らおろしたのかはっきりしないのですが、千五百万円を持っていって相手方のところへ渡したわけですね。それで、もらった方は驚いちゃってそれを警察へ届けた、こういうことになっているわけですね。——いや、皆さん笑われるけれども、こういうのはあちこちにあるんですよ。あるんですよと言っちゃ悪いかもわからないけれども、ある可能性が日本の中にはあるわけですわね。そうしたら今度は、こっちは相手に何かいろいろなことを恐喝されて渡したんだというようなことを言っておるとか、あるいはそこで名誉棄損だということで警察へ告訴したとか、こういうようなことが今大きな関心を呼んでいるわけです。
こうしたことは、今皆さんお笑いになるけれども、あるところだけじゃなくて、日本全体の一つのあれをあらわしているのじゃないかというふうにも私も思うのですけれども、いずれにいたしましても、今のそのことについて警察当局はどういうふうに問題をキャッチしておられるのか、経過をお話しを願いたい、こういうふうに思います。
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○仁平政府
委員 今御指摘の現金受け渡し事案でございますが、この事件につきましては、昨年十二月二十五日に、地元の氏家警察署に高根沢町内の方から現金千五百万円が届けられたわけでありまして、同署におきましてはこれを領置いたしまして、捜査を開始しておるわけでございます。その後、関係者につきましては、多い方は十数回にわたりまして事情聴取を行うなど、事案の真相を解明すべく鋭意捜査をしているところでございます。
また、名誉棄損の告訴につきましては、ことしの三月六日に、これも氏家警察署の方に告訴がなされましたので、同日直ちにこれを受理いたしておりますが、御指摘のように告訴人がさきの現金受け渡し事案の関係者の一人であるということから、捜査中の現金受け渡し事案と並行いたしまして捜査を進めているところでございます。
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○
稲葉(誠)
委員 こういうふうなことは率直に言いますと、日本の一つの象徴と言っては言葉は悪いのですけれども、よくあるあれでして、私はこういうのは、もう厳正に早急にしっかりとした捜査をしていかなければいかぬ、こういうふうに思うのですが、早急に厳正公平にやらなきゃならぬということに関して警察当局はどういうふうに考えておられますか。
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○仁平政府
委員 御指摘のとおりでございまして、捜査は、基本的には厳正公平、迅速的確に行うべきでございますので、これらの事件につきましてもできるだけ早く事案の真相を明らかにするよう、今後とも第一線の方を指導してまいりたいと思います。
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○
稲葉(誠)
委員 日銀総裁がおいでくださいましたので、総裁にお尋ねをさせていただきたいと思います。
きのうの公定歩合の引き下げの原因とかそこに至る事情といいますか、そしてそれが日本経済に及ぼす影響等について、御説明をお願いいたしたいと思います。
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○澄田参考人 お答えを申し上げます。日本銀行は、一月三十日に公定歩合を引き下げたばかりでございましたが、前回の公定歩合引き下げ後、国内経済面におきましては、景気は設備投資などの内需が底がたいものはございますが、輸出の減速から全体として景気の拡大テンポは鈍化を続けておりました。そして、その後のさらに一段と円高化をしたというような事情もありまして、企業の景況感は製造業を中心に一段と不透明さを増しておったような状況でございました。
この間、為替市場におきましては、ドル安・円安傾向が一段と進んでおったわけでございます。市場においてはドル安のセンチメントが広まったことがございまして、当面の相場の地合いは、かなり不安定なものがずっとうかがわれておりました。対外収支不均衡の是正のためには、方向としてのドル高の修正ということは望ましいところでございますが、それが余りに急激に進むということは、我が国経済のこれに対する対応を困難にするということがございますし、国際通貨情勢の安定という点からも好ましくない、こういうふうに考えられておったところでございます。
このような状況にかんがみまして、さらに西独のブンデスバンクが公定歩合の引き下げを実施したというような事情を勘案いたしまして、昨日、公定歩合をさらに〇・五%引き下げて四%にすることを決定した次第でございます。今回の措置によりまして、為替相場の急激な変化、これを回避するというようなことも考えておったわけでありますが、為替市場のその後の状況、昨日の東京及びニューヨーク市場の状況を見ましても、その点はおおむねその目的を達成したかと思うわけでございます。
国内の経済に及ぼす影響につきましては、前回の公定歩合の引き下げと相まちまして、金利水準の低下を通じて金利コストを引き下げる、こういう効果が十分に働くもの、こういうふうに期待をしておるわけであります。それによって設備投資を促進する、あるいは住宅投資等もそれによって刺激されるということでございます。さらに企業の収益の環境というものがそれだけ改善される、そうしてそれは企業の景況感にも好影響を与える、こういう意味合いにおきまして、内需拡大という面においては金融面の措置でございますので、間接的効果ということで計量的に測定することは難しいわけでございますが、しかし相当の効果があるもの、こういうふうに期待をしている次第でございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 これはどの程度のお話を願えるか、影響が非常にあるものですから。こう考えるわけですけれども、専門家の間では、これだけでは足りない、もう超低金利の時代に入ってきているのであって、そして東京サミットというふうに限定してしまうとまずいし、言いづらいのでしょうけれども、いずれにしてももう一遍公定歩合の引き下げというものがないと、とても対処できないのではないかというような議論をされる方がいらっしゃるわけですね、相当。ここら辺のところは、今そうストレートにお答えになるわけにもいかぬかもわかりませんけれども、どういうふうに御認識をされていらっしゃるのでしょうか。
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○澄田参考人 今回の公定歩合の引き下げは、一月末の前回の公定歩合の引き下げの効果、それもこれから効果がだんだん浸透する、こういう段階でございます、そこへ加えて今回の措置がとられたというわけでございまして、これが内需拡大面、そして内需拡大を通じて対外不均衡の是正にも資するという、そういう所期の目的という点から見て十分効果があるもの、私どもはそういうふうに思っております。ただ、効果の浸透には、金融面の措置でありますので、直接需要をそれによって創出するというものではございません。金利面の作用によって逐次浸透する、こういうものでありますので、ある程度の時間がかかる、これは当然考えなければならないところでございます。
そういうようなことでございますので、今、今後のさらに金利面の措置というようなことについては、全く考えておらない次第でございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 お答えとしてはそれ以上、率直に言うと出ないと私も思ってお聞きをしていたわけですけれども、実際問題として、時間的な流れがあって影響が出るのに随分時間がかかって、ことしの後半ぐらいになる可能性もあるのではないでしょうか。そうなってくると、あなたの口からおっしゃるのはちょっとあれかとも思いますけれども、全然それがないとは言い切れないということになるんじゃないでしょうか。
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○澄田参考人 ただいまも申し述べましたとおり、効果の浸透には時間がかかる、それは事実だと思います。そうしまして、しかも金融面の措置に加えて、今まで政府でとられました内需拡大に対する対策等もございますし、そういった政府でおとりになられる措置等と相まって、内需の拡大ということは期待されるわけでございます。そういうことでございまして、現在金融面の措置という点については、前回とあわせて今回の措置ということで、私どもはそれで対応していく、そういうふうな考えでございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 結構でございます。総裁、どうもありがとうございました。
総理にお尋ねをするわけですが、三月四日に幹事長・書記長会談があって、合意事項というものが内容は五つですかあって、書面になっているわけですけれども、この重みというものを総理はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 三月四日の与野党の幹事長・書記長会談の合意事項というものは、党を代表しての合意でございますから、これを誠実に守るように政府としても努力してまいります。
-
○
稲葉(誠)
委員 所得減税のことについて、総理のずっといろいろお話を聞いておったわけですけれども、私がちょっとわからないのは、総理は思い切った減税をやるというふうにおっしゃっているのか、思い切った税制改革をやるというふうにおっしゃっておるのか、どっちなのでしょうか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 シャウプ税制以来四十年近くもたっておるので、この際ひずみあるいは重税感というものを直すために思い切った税制改革をやる。その税制改革の中には、思い切った減税がもちろん入る。思い切った減税をやるについては、やはり歳出歳入のバランスということも必要でございますから、財源措置も考える。順序からいったら、春に減税案を出していただき、秋にその財政措置も考え、そして総合的にそれを法案として来年の議会でこれを成立させたい、そういうスケジュールを申し上げておるわけです。
-
○
稲葉(誠)
委員 それは前からお聞きしているところなんで、だから思い切った減税をやるということではなくて、思い切った税制改革をやるということが中心なんでしょう。その結果として、思い切った減税が出てくるか出てこないかわからないのじゃないですか、それでは。
-
○中曽根
内閣総理大臣 思い切った減税をやるような趣旨で既に政府税調に諮問しておって、政府税調は懸命に今作業をしておるところです。
-
○
稲葉(誠)
委員 今、総理の口から財源のお話が出ました。従来、ずっと去年からやっているのですけれども、これまたはっきりしないのは、こういうことですわね、網羅的で何とかで投網をかけるようなのはやらない、こういうのが去年の予算
委員会の、竹下さん、一番大きな課題でしたよね。これは何回もやりましたね。そうすると、食料品や消費物資に税金をかける、間接税をかけるというのは、これは除かれているというふうに理解してよろしいのでしょうか。
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○中曽根
内閣総理大臣 そういう内容については税調で今御論議願っておるので、こちらから内容を先に申し上げるというようなことは差し控えるべきであると考えております。
稲葉さんは、いわゆる大型間接税についてお聞きになりたいと想像いたしますが、この点についても前から申し上げているように、矢野
委員あるいは
大内委員あるいは田邊
委員にここでお答え申し上げたとおりでございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 私の聞いているのは、総理が前にしゃべっているから、それはどういう意味なのかということを聞いているので、政府税調がどうするかということを聞いているわけではない。網羅的であり、投網で何とかするということになれば、食料品だとか消費物資を除けばそういうふうになってくるわけでしょう。だからそれは許容される、だからそれについては聖域はないのだという言葉を総理も言い、大蔵大臣も言っているわけでしょう。聖域がないということは、結局そういうふうなものを除けばそれは財源として含まれる、こういうことになるのじゃないですか。
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○竹下国務大臣 総理から今お答えがありましたように、昨年以来、言葉は網羅的、普遍的、そして投網をかけるような、そして例示として自分が民主党時代に体験した取引高税、それから五十五年度の国会におきまして本院における議決のもとにいわゆる一般消費税(仮称)、この手法等は考え方にない、それが網羅、普遍、投網等に対する具体的なお答えがあっております。
もとより聖域を設けるものではございませんが、税制調査会の今までの答申の中では、
昭和五十八年の暮れの中間答申というものがございます。それらを見ますと「課税ベースの広い間接税」という言葉が使われてありますので、そういう検討の対象には、多くの税調の先生方そのまま残っていらっしゃいますから、行われる可能性はあるだろうというふうにお答えをしてきておるわけでありますが、現在の進みぐあいは、今はゆがみがどこにあり、ひずみがどこにあり、重圧感がどこにありというところから部会、そして専門
委員会で御審議をいただいておりまして、その段階の問題につきましては、私の察するところ、いわゆる後半の議論の対象になる課題であろうというふうに考えております。
-
○
稲葉(誠)
委員 何回も同じ質問をし、同じ答えをしていても意味はないわけですからね。
聖域がないという意味は、政府税調の答申そのものに聖域はない、それから、それを取り上げる政府自身にも聖域はない、こういうことに理解してよろしいですか。
-
○竹下国務大臣 国税、地方税のあり方についてというのが毎年そもそもの諮問の仕方でございますから、したがって聖域はないということは、その限りにおいては、税調の審議対象にこちらが制限を加えるものはないということは言えると思うのであります。政策選択ということになりますと、税制調査会等すべての審議会がそうでございますが、最大限これを尊重して、その時期にどうして政策選択の課題として取り上げるかということは、その後の問題であろうというふうに考えております。
-
○
稲葉(誠)
委員 同じ質問をしても、同じ答えになってしまうものですからやめますけれども、これは一番大事なところなんですよ。私が何を聞こうとしているか、おわかりになっていると思うのですけれども、結局、イギリス型、フランス型というのは、みんな食料品とか消費物資を除いているわけですよ。スペインは今度ECに入りましたけれども、私の友人が来まして話していたら、コーヒーにもかかっているのですよ、そういうのは本当に網羅的なんですよ。だから、投網を何とかしてあれですけれども。だからイギリス型とかなんとか、そういうふうに食料品や消費物資を除いたものは、一体今までの論議とどういう関係であるのかというのが一番大事なところなんですよ。これがポイントなんですけれども、あなたの方はよくお答えにならないわけですね。そうでしょう。これは網羅的じゃないでしょう、除いてあれば。そうじゃないんですか、どうなんですか。
-
○竹下国務大臣 我が国の体験として、
昭和五十三年の暮れに答申をいただいております税制のあり方の中には、いわば間接税制の考え方が述べられておりますが、食料品あるいは生活必需物資等は除外された物の考え方であったと記憶しております。
-
○
稲葉(誠)
委員 だから、食料品や消費物資が除いてあれば網羅的ではないということになるんじゃないですか。
-
○竹下国務大臣 それは、そういう議論もできるでございましょうけれども、網羅的とか投網をかけるようなとかいうのは非常に観念的な問題でございますので、どこのところまでが投網の面積で、それから外は投網の外へ出ていくという説明は、これはなかなか難しい問題であろうと思っております。
-
○
稲葉(誠)
委員 国会答弁で一番いい答弁というのは、御存じだと思うのですけれども、聞いているときはもっともらしく聞こえるけれども、後で議事録を見ると何を言っているかよくわからないというのが、一番いい答弁だとされているのですよ。これは帝国議会のことで、国会のことじゃないのですよ。だから、もう少しわかりやすく言ってくれないですかな。どうにもこれ、今のところが一番大事なところですからね。あなたの方としても、ここでしゃべってしまって、後で選択の幅がなくなってしまっては非常に困りますわな、これは。だから、そういう点を用心されてしゃべっておられるのだ、こう私は思うのですけれどもね。
建設大臣にお尋ねをするのですが、建設国債一兆円増発した場合の経済効果というのは一体どうなのか、財政への影響はどうなのか、こういうことを少し具体的に御説明願えませんか。
例えば、建設国債の増発による公共投資の拡大によって、GNPは増加し、これに伴って国の税収(税外その他収入を含む)が増加する。それから、建設国債を増発しても、このような税収の増加が寄与するため、歳入に占める国債費の割合は、発行額を据え置いた場合に比べ低下することとなる。したがって、建設国債の増発は財政の健全性を損なうことにはならない。これは総理、それから企画庁
長官、聞いていてください、一番大事なところですよ。まずこれは建設省から説明をお願いします。遠慮しないで説明してください。
-
○江藤国務大臣 建設国債を一兆円増発いたしました場合に、裏負担の関係から、実質事業費は一兆四千億程度になるものと考えております。(
稲葉(誠)
委員「見なくてもいいのですか、間違いないですか」と呼ぶ)見ないでもいいのです。大丈夫です。
それから、GNPに対する影響度でありますが、初年度において一・四七、次年度が〇・七八、三年目が〇・四七、合計二・七二%程度の影響度を持つ、そして三年間でおよそ三兆八千五百億程度の効果を生むのではないか、これが私どもの試算でございます。したがいまして、これが税収へのはね返りはおおよそ四千七百億と試算をいたしております。
私どもの立場からいたしますと、建設国債については多々ますます弁ずるという考え方を持っておりますけれども、しかし、あくまでも国全体の財政運用の中で考えるべき問題でありまして、私どもが建設国債増発と言っておりますのは前提が置いてございまして、少なくとも経済成長率の範囲内、もっと極端に言うならば税収の伸び率の範囲内の建設国債の増発は、国の財政再建にさほどの影響を持つものではないのではないか、こういう見解を持っておるものでございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 建設大臣、失礼申し上げました。
問題は、最初の一兆円を出したときのことでしょう、今のやつは。だから、二年目、三年目一兆円ずつ出したとき、これ、申し合わせの内需拡大にも関連するのですよ、ですから私、お聞きしているわけですね。だから、二年目も一兆円出す、三年目も一兆円出す、どこら辺まで出すかは別として、二、三年に切って一兆円ずつ建設国債を出したときに、それがどういうふうに効果を上げていくか、こういうことをお聞きしているわけなんですよ。今のは最初だけの一兆円でしょう。二年目、三年目同じ出したときの相乗効果を含めて、全体どうなるかということですよ。
-
○江藤国務大臣 二年目、三年目引き続いて一兆円ずつ増発してくださるという話を念頭に置いておりませんでしたので、計算はいたしておりませんが、それは単なる一足す一足す一ではなくて、もっと乗数効果があるのではないかと考えます。
-
○
稲葉(誠)
委員 今の意見について、大蔵省はどういう御意見でしょうか。
-
○竹下国務大臣 乗数効果の問題をちょっとよそに置きまして、財政法は御案内のとおり、収支とんとんであるべきだ、しかし、公共事業とそれから出資等でございますかについては、国会の議決の範囲内において例外として公債発行というものは認められておる。その最初の発行が
昭和四十年でありまして、それ以後は例外が例外でなくなって、赤字公債だけが例外だ、ややもするとこういう考え方になりがちである、これが一番慎むべきことである。すなわち、一たん残高になった場合は、これは赤字公債も建設公債も全く関係のない、異質なものではない存在になっていく。これは乗数効果の問題を別とした財政法上の建前論を申し上げたわけであります。
-
○
稲葉(誠)
委員 だから、大蔵省としては結論はどうなんですか。建設省の今言ったような案については反対だということなんですか。
-
○竹下国務大臣 建設大臣から御説明のございました数字等については、私はおおむね一緒だと思っております。
ただ、私どもが申しておりますのは、その乗数効果はそれだけのものはありますが、残高としてそれの三・七倍のものが後世代への負担としてツケ回しになるというものは、生きとし生けるものとして安易にこれに手をつけるべきものでない、こういうことを申し上げておるわけであります。
-
○
稲葉(誠)
委員 三・七五倍になるとかというのは、それは六十年かけての話でしょう。それは住宅ローンだってもう二倍以上になるのですよ、元金より利子の方が。これだけの貯蓄が、五百兆も貯蓄があって、そういうような中で物価は安定しているというときに、ある程度の建設国債を発行したところで、それは国民の財産になってくるわけですよ。国民は国に対して債権を持っているのですよ、公共財として残るのですよ、これ。そして、内需が拡大してくるのだからいいことじゃないのですか。それは、富は移りますよ、国債を持っている人と持ってない人との間の違いはある程度できてくる。それは社会保障でやればいいことなんであって、そういうことになってくるので、そういうふうに余りに緊縮的な考え方を持っていると、今のこれからの円高というか、何か全体の不景気がどんどん進んでくる中において、大きな影響というものを及ぼしてくることになるのではないのですか。これは企画庁、どういうふうに考えていますか、純経済的に言って。
-
○竹下国務大臣 私は、国債政策そのものを否定しておるわけではありません。ただ、これに安易に、この国債政策に手を染めた場合の財政法上の立場からの御説明を申し上げただけであります。
昨日も各
委員会でいろいろ議論が出ておりましたように、ずっと過去からさかのぼってみますと、やはり今金融大国あるいは金融強国かもしれません。したがって、公債発行がほかの国のように大きく金利を押し上げるとか、そういうふうにならないという環境も十分私も承知をいたしております。したがって、その金融資産というものがいわゆる活力につながるような形で、財政にむしろかわってこれが出動するような環境をおつくりになるというのが、いわゆる民活のきのう提出した法律等も、そういう基本的な精神が生きたものではなかろうかというふうに思っております。
-
○平泉国務大臣 段々お話しのとおり、建設国債の我が国の経済に与える成長効果というのは非常に意義のあるものでございます。ただ、この問題につきまして、財政の現状から見て、建設国債が今既に相当出ておる、その今までの累積額も大きい、こういう現状を考えますと、さてこれ以上発行していく、さらにこれを増額するということが果たして全体の経済運営の中において健全なものであろうかどうかという点につきましては、大蔵大臣の発言の趣旨をよく了解をいたす次第でございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 私は建設国債を発行しろという立場に立っているのじゃないのですよ。そういう場合どうなるかということを聞いているのですよ。誤解しないでくださいね。
そうすると、建設国債はもう出さない、増税はもちろんできない、そうして内需の拡大をやるということですね。これ、やらなければならぬわけでしょう。そうすると、そこで考えられてくるのは何が考えられてくるか。民活はその後の話として、江崎さん、後でそのお話を聞きますが、その前にあるのは家計消費を拡大するということでしょう。それで内需を拡大するという以外にないことになりますわね、消費が全体の六〇%あるというのですから。すると、家計消費を拡大するということになれば何が考えられるか。賃上げそして減税、大きく二つでしょうね。そうすると、減税については、これは率直に言えば来年の減税じゃないのですよ。これはことしやらなければいけなかったんですよ。やろうと思えばできたんですよ。私はそう思うのですよ。それはいろいろな立場があったんでしょうけれども、来年にしましたね。来年からでしょう。だからそれだけ年がおくれているということがありますわな。
その前にお聞きをいたしたいことは、じゃ消費を拡大し、家計消費を拡大するために一体賃上げに国はどれだけ関与できるかということ。すると、いやそれは労使の交渉の問題だから国は関与できないと言われる。なるほど、人事院勧告その他の問題は直接関与できるからこれはしなければいかぬ。しかしそれは環境づくりも国としてできるし、それから今いろいろな影響力を及ぼし得る。例えばNTTが民間に移って大変な努力をされて前年よりも五〇%も収益を上げてしる そういうところが先導となっての春闘の中で、そして高い賃上げ率をとればそれに続くものも全体賃上げ率が上がってきて内需の拡大ということになってくるわけでしょう。そこら辺のところを一体どういうふうに考えておるのか、こういうことなんですよ。それは生産性の範囲内だと。それは生産性の範囲内だと言っているのでは、いつまでたったって内需なんかはその弁からは拡大しっこないですよ。建設公債はだめだ、増税はだめだ。結局何するんだ、財源は。家計の消費だ。それをふやすためにそれ以外にないんじゃないですかということを私は言うのです。だから環境の整備その他を通じて国としても当然賃上げというものにもっと積極的な力を注げる余地というものはうんとあるのではないか。これは私が言っていることなんですがね。それからもちろん減税の問題ですわな。そこに考えられてくる。だから、減税というのは一年おくれたんじゃないですか。賃上げの問題と減税がおくれたんじゃないかということについてどうお考えですか。
-
○竹下国務大臣 まず減税の問題でございますが、昨年のちょうど今ごろやはり幹事長・書記長会談がございました。それで可能な限り年内に実施するべく協議しよう。で、その協議がどういうことであったか。結局それがその間いろんな議論をいたしまして税調へ持ち込む環境だけは完全にできた。税調でも議論しておりますが、
昭和五十五年以来の予算
委員会と大蔵
委員会を見ますと、今までの何十倍、税調の何十倍の税金の議論をしておるわけでありますので、それらを整理して夏場に御勉強いただいて秋に正式諮問した、ということになりますとやはり手順は六十二年。ということはああいう申し合わせが税調へ持ち込む環境をつくったという意味においては、私は私なりに評価すればそれはいいことだったなというふうに思っております。したがって、拙速のまにまに今年の、今一年遅かったじゃないかとおっしゃいましたが、ことし持ち込むというのは抜本策でございますだけに、私はやはりことしの秋に答申を賜るというのが適切な判断ではないかというふうに考えております。
それから賃上げの問題につきましては、やはり政府部内の一員として、幼少のころから、賃上げ問題について政府が言葉を差し挟むなどは政府の一員としての資格を失うことである、先輩にこのように教わってまいりました。
-
○
稲葉(誠)
委員 それはそうなんですよね。だからそれは労使が交渉でやるべきことなんで、当たり前の話なんですよ。だけどそれは指導というか助言というか、そういうものはできるので、いつまでも生産性の範囲内に閉じこもっておったのでは日本の経済は伸びないんじゃないですか。消費も拡大しないんじゃないですかね。そういうふうなことも当然私は考えるべき筋合いのものではなかろうか、こういうふうに思うのですが、その点については企画庁はどういうふうにお考えですか。
-
○平泉国務大臣 経営者としては、従業員、社員にできる限りたくさん払いたい、払う力があれば払いたいと思っておると思うわけでございます。しかし一方、労働者側の方も、あんまり要求して会社は大丈夫かな、なかなか難しい状況だな、こういう御心配もある。その辺を事情をよく、個別企業それぞれの問題がございますが、我が国経済全体を見ると大体こういう調子でございます、こういう情報を経企庁はできる限り労使双方に提供いたしまして妥当な決定が行われるように各企業にお願いをいたしておる、こういうことでございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 だから、家計消費の拡大を図るために、妥当妥当と言っているのではあれなんで、ある程度の思い切った助言というかそういうのをしなければいつまでたっても同じことじゃないですか、それ。内需の拡大というようにここに書いてあるけれども実際にはできなくなってくるんじゃないですか。私はそういうふうに思うのですがね。だから国は直接介入するということは、これは悪い慣行を残しますけれども、そういう助言なり環境整備ということはできるはずですから。それは自分たち自身でやらなきゃならない、組合自身がやらなきゃならないことなんですね。だから僕はことしの場合は、NTTや何かが先頭を切って、第三次産業のあれが先頭を切って今度やれば情勢は変わってくる、こういうふうに見ておるわけなんです。
そこで、この前江崎さんには大変失礼申し上げたのですが、内需の拡大について民活民活ということを言っていますね。そこでそれについていろんな考え方があるということをお聞きしているのですが、それが一体どういう考え方か。そのことによってどれだけ内需が拡大をし日本の経済にどういう影響があるかということ。同時に、今民間活力の拡大とか言っているけれども、それのネックとなって、否定的な要因というか、ネックになりますかな、それは一体何かということですわな。ネックになっているのは何かというと、これはまた大きな問題だと私は思うのですが、その点についてお話をいただきたいと思います。
-
○江崎国務大臣 結論的に具体的に申し上げまして、政府が今積算しておりまする十月十五日に決めました住宅政策とかいろんな諸施策があります。それだけでも大体一・三%程度は貢献するであろうというわけですが、その後もっと十二月の二十八日に至って東京湾横断道路であるとか明石架橋であるとかその他いろんな細かいものもたくさんございますが、そういうもので大体名目で三%は突破する、何とかしたい、こういうことで努力をしておるわけであります。とにかく公的規制を今おっしゃるように具体的に何やるかとおっしゃるならば、やはり見直しをしなければなりませんね。これは今予算審議中でございますが、建設省、特に建設省の積極的な協力のもとに動いております。それから国土庁、自治省も絡んでまいりますね。そしていわゆる公的な規制の見直し、これを積極的にやろう。それから今の東京湾の横断道路などでも、御承知のように関西国際空港方式に民間活力を取り入れて民間の創意工夫、その勤労意欲、努力、そういったものを思い切って活用していこう。
〔
委員長退席、
渡辺(秀)
委員長代理着席〕
それから、どうしても内需の振興ということは国際的にも経済活性化のために大事ですし、今まではにわかの円高で大変なデフレ影響が出ておることは御存じのとおりでございます。しかし、幸い石油の低落傾向が長く続いておるということ、公定歩合がここへ来て思い切って四%まで引き下げられたということ、そして御質問にあったようにまだまだこの公定歩合などについては、日銀、大蔵大臣、もちろん言う立場じゃありませんが、さて先行きどうなるかということはじっと見通しておる。それがこのデフレ的影響に相殺するような効果を徐々にではあるが、これはやっぱり五カ月程度はかかりましょう、けれどもそういったものは私、期待できると思っております。
そこで、特に国有地の有効活用、これは税制面でもいろいろ、御承知のように横断道路などでも考えておりまして、詳しく言うとこれは時間もありませんし、御承知のとおりですから省略いたしておきますが、とにかく民有地、これも含めて信託制度もとったし、多角的利用をもっともっと旺盛にやろう。きのうも閣議で民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法案、これは今の建設省であるとか通産、運輸、郵政、そういった各省から出すのを一本化して、そして認可を早くして、何とかこれも民活に用いていこう。
それから案外忘れられておる部門に東京ファッションというやつが戻ってきましたね。戻るというよりできてきました。このアパレル部門について一工夫、二工夫する必要があるのではないか。これは専門家とも十分話し合い、通産当局ともいろいろ話し合っておるところであります。
それからコミューター、今度のヘリコプターコミェーター、これらの効果というものは、案外これもアクションプログラムで思い切ったことを総理が本
部長でやりました。私どもも一緒にやってまいりました。これが相当実用化されてまいりますと思わざる内需振興が相当期待できる。またそういうふうに引っ張っていかなければならぬ。これはやはり雰囲気の問題ですから、我々が率先して引っ張る工夫をしなければなりませんね。特に規制の緩和という点は重大だと思っております。
-
○
稲葉(誠)
委員 私の聞いているのはお話の中に出てこなかったのですよね。それに対するネックがどこにあるかということを私は聞いたつもりなんですが、お話の中に出てきたのかもわかりませんけれども、とにかく愛知県の方というのは非常に雄弁な方が多いものですからね。
それで、今言われた規制の緩和という話があったでしょう。規制緩和が行われた場合の費用と便益というものを比較しなければいかぬのですよね。そういう研究が日本にはされていないのですよ。アメリカは非常にそれがされているわけですからね。そういうことを考えてくると、私たまたま企画庁の「ESP」というのを、三月号かな、見たら、総合計画局の計画課の
小林という人がずっとそれをやっているのですね。なかなかおもしろい研究をしていると思って感心したのですけれども、いろんな形でやっていかなければいけないわけなんですが、その場合に、一体それによって実際のネックが何かということが一つと、一番大事なことは、これはほかの国には言えないことかもわかりませんが、きのうも私あれしたのですけれども、日本の場合は輸入の弾性値が非常に低いわけですね。〇・六九ですか。輸出が非常に高いわけでしょう。だから、結局資源のない国だから輸出で立っていかなければいかぬ国ですね。そういうときに内需の拡大ということが、一体輸出立国ということとの比較においてどういう地位を占めるかということですよ。だけれども、これは今の段階で外国に対してこれは内需拡大と言うけれども、とりあえずそういうふうに言っているんだとも言えませんしね。そんなことを言ったら大変な騒ぎになるから言えないけれども、そこはやはりきちんと考えておく必要があるんじゃないか、こう私は思っておるんですけれども、これは私の考え方ですから。内需拡大というのはとりあえず今やるんだというようなことをここで発表したら大変な騒ぎになるからそれはわかりますけれども、そこら辺のところはやっぱり押さえておく必要があるんじゃないか。
それから、それに関連をして一体どれだけの効果があるんですかね、ちょっとよくわかりませんね。税収がどれだけ上がるかとかなんとかということは非常に大きな問題だと思うのですが、そこで私が非常に失礼なことを、総理、非常に失礼なことを申し上げてお許し願いたい、こう思うのですが、これはお約束できるでしょうか。
民間活力の活用とかいろいろ言いますね。例えば鉄が上がる、セメントの需要がありますね。そういういろいろなものができます。そうすると、民間活力の活用ということで自民党がやる。そしてそういうような鉄だ、セメントだ、その他あります、それによって利益を得る業者いっぱいあります。そういうところからは少なくとも政治献金は受けないということはやはり断言をしていただかないと、これは非常な日本の政治のそこでの一つの仕組みというものがまた生まれてくるんじゃないかと私は思うのですがね。その点については総理はどうですか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 政治資金規正法というものがございまして、それによって政治倫理の基礎の上に立って資金を集めるというルールと監視、慣行が既に確立されておりまして、それにのっとって行うということであります。政治資金規正法にのっとって、政治献金を余計にするために景気を振興するとかあるいは横断道路をつくるとか、そういう考えは全くございません。
-
○
稲葉(誠)
委員 考えは全くないのは当たり前なんです。結果としてそういうふうになってくる危険性があると心配している人もいるから、国民の中には。だから私はそういうことを申し上げたんですけれども、そういうことはしないというお答はなかったというふうにお聞きをせざるを得ないですね。
そこで幹事長・書記長会談の第二、教育の問題の減税、パートの減税、住宅減税、これはできるだけ速やかにするということで、年末調整に間に合うようにするんだというふうなことになっているようですね。これは政党間の約束で直接政府そのものがやるんじゃないにいたしましても、そういうようなことになっているようですから、まずこれは教育費の方は文部省でも発表されましたね、いろんなもの。こんなにかかっているので私も驚いたんですが、教育費の問題あるいはパート減税そして住宅減税、これらについてどういうふうに大蔵省当局としては、政府としては考えておられるのか。年末調整に間に合うようにするんだということが口頭で理解されたというふうにお聞きをいたしておりますのですが、その点について大蔵大臣から御説明をお願いしたいと思います。
-
○竹下国務大臣 まず私どもは重大に受けとめて、それで読んで字のごとく受けとめております、基本的には。
そこで恐らく議論、私が横から見ておりますと、教育費、パート——パートは一応五十九年、それから教育費減税は去年いっぱいお互い実務者間で、私をも含めて各党の方と協議をして、結果としてはいわゆる財政支出しかこのことはできなかった、こういうことになっておるわけですが、なお根を詰めて実務者協議をおやりになる。それに対しては我々はあらゆる協力をしなければならぬということであります。
ちょっと私も、年末調整云々というのが出ましたときに……(
稲葉(誠)
委員「文章にはないのですよ」と呼ぶ)はい、文章にはございませんが、話として一般論としてそういうものが結論として出てきたらもちろんそういうふうな対処をしなければいかぬということをおっしゃったんではなかろうか。具体的に年末調整に浮かんでくるものがトタに私には直ちにはこれだというものは気がつき、すぐ、ああこれだなという感じはいたしませんでした。しかしいずれにせよ、各党のよりすぐったプロの実務者の方がこれから議論なさるわけでございますから、それに対して最大限の協力、お手伝いをしなければならぬと思っております。
-
○
稲葉(誠)
委員 この四に、これは厚生大臣ですが、今井さん、「社会福祉の充実等については、引き続き福祉の充実や健康増進対策等にきめこまかな措置を講ずる。」というのが書記長・幹事長会談であるわけですね。これを受けて、これを厚生省はどういうふうに理解をしておられるのかということと、それから、これを受けてどういうふうにされるつもりですか。これ、「きめこまかな措置」というから、なかなか難しいですけれども。
-
○今井国務大臣 まず、その「きめこまかな」配慮でございますが、私どもが今御審議を願っております六十一年度の社会保障の関係予算におきましても、社会的あるいは経済的に恵まれない人々に対します福祉施設の充実であるとかあるいは健康づくり対策の拡充など、本当に必要な施策につきましてきめ細かく配慮をしておるつもりでございます。したがいまして、今後私どもといたしましても、与野党間の先ほどの申し合わせの趣旨を十分に尊重しながら、引き続きましてきめ細かい配慮を払いながら適切に対応してまいりたい、このように思っておるものでございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 「健康増進対策」と書いてあるのですが、これは具体的にどういうことを言っているというふうに御理解されていますか。
-
○北郷政府
委員 六十一年度予算におきましては、老人の健康診査の中身を細かくいたしまして、さらに人数をふやすというようなこと、それから職域におきます健康管理を、例えば四十歳、五十歳、こういうような節目の段階で日帰りの人間ドックというようなものを新設するというようなことを考えているわけでございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 ここに書いてあることは、今までのことをそのままにしておれということは書いてあるわけじゃないでしょう。今までよりもさらによりよく充実をしろとか、それからきめ細かな措置を講じろとかいう形で、今までプラスアルファというもののアルファをここで問題にしているわけなんですわね。だから、今の予算でこうなっておりますというだけではなくて、予算は予算かもわからぬけれども、それを具体的にどういうふうに運用していくかというところが問題になってきているんじゃないでしょうか、この会談というものは。そうでないと、意味がないわけですよ。そこをどういうふうにお考えですか。
-
○今井国務大臣 今御審議願っております我が省の予算そのものが、この申し合わせの趣旨に私どもは実は沿って積み上げておるものだというふうに考えておりまして、それを誠実に実行することがその与野党間の申し合わせの趣旨を尊重するゆえんだというふうに思っておるわけでございます。
-
○
稲葉(誠)
委員 それでは、せっかくお骨折りを願っているのですから、しばらくといいますか、見守っていきたいと思うのですが、どうもそういう趣旨よりも、より一層強化をしろというふうにこれはとれるのですけれどもね。
そこで、この前私どもの
松浦議員が、悪徳商法対策、例えば豊田商事だとかジャパンライフだとかその他まだ次から次へ出てきているわけですが、それに対しての政府の対応について質問をし、政府側でもこれを、現在のものをどうする、今後、将来どうする、こういうふうなことについて研究するといいますか、そういうふうな答弁があったと思いますので、その点についてお答えをお願いをいたしたいというふうに考えます。
-
○福川政府
委員 悪徳商法に関しましては、豊田商事に代表されます現物まがい商法の再発防止の問題と、ジャパンライフに象徴されますマルチまがい商法、二つのことが非常に大きな問題とし保て、なっております。
豊田商事に関します現物まがいの商法につきましては、産業構造審議会に特別の
委員会を設けまして今鋭意検討いたしておりまして、最終段階を迎えております。うまくいけば来週にもその御結論がいただけるものと期待をいたしておりますが、その御報告をいただきました上で私どもとしては適切な対応を講ずる考えでございます。現在、その審議会では立法の是非を含めまして検討をいただいております。
もう一つのジャパンライフに見られますようなマルチまがいの商法に関しましては、商法が大変多様でございますし、また実態の、正常の取引との差をどこに設けるかといったような点が問題がございます。この点についてはもう少し現実の取引との分析をし、またそのあり方に検討をしなければならない点があろうと思いますが、私どもとしては、若干時間がかかろうかと思いますが、産業構造審議会の場で引き続きその対策を検討いたしたいと考えております。
-
○
稲葉(誠)
委員 今の問題は豊田商事とジャパンライフだけのことを言っているのじゃなくて、その後次から次へいろいろな問題が出てきておるから、そういうもの全体を含めてどういうふうに政府は対応するかということを
松浦議員は聞いたのですよ。ところが、私が聞きましても、どこの省がこれを担当するのかさっぱりわからないのですよ。通産省だと言うのもあれば経済企画庁だと言う人もあるし、あちこちあちこち言っていて、どこだかわからないのですよ。あなた、どこの役所の人かわからないのだけれども、どこ。——政府としても、総理、その点についてはどこの省庁でどういうふうにやるのか、しっかり取り組んでもらいたいのと、それから、東大の
竹内昭夫教授、商法の先生ですが、国会へ何回か来られて、いつも、訪問販売法なり割賦販売法というものは不備だ、現実にそぐわないのだ、今度法案ができたけれども、私はまだこの法案はこういう点を直さなければいけませんよというふうに指摘しますと言って、
竹内さんは指摘しているのですよ。この前も私は商工
委員会に行って聞いていましてね、
竹内さんは大分怒られておられたのですが。そういうことがありますから、政府全体としてどういうふうに取っ組むかということを、これは消費者保護という立場からも——消費者保護立法というのは日本は一番足りないところなんですよ。そういう点で、どういうふうに取っ組むかということが一つ。これはだれがやるのかさっぱりわからない、それが一つ。
それからもう一つは、総理、いつもと言ってはぐあいが悪いかもわからぬけれども、これによく政治家が登場するのですよ。だから、こういうふうなところに政治家が関与しないように、総理としてか総裁としてか、しっかりとした対策を立てていただきたい、こういうふうに要望をいたしまして、私の質問を終わります。
-
-
○川俣
委員 ちょっと順番を変えて、円高不況対策、深刻であり、きょう、あすの問題なものですから、傍聴されている方もおられる。時間の関係で先にやらしてもらいます。
この
委員会でももちろん何回も問題になり、予算
委員会としては、今回のつくられた円高、かなりそれによる差益を得た産業もあるでしょうが、かなり泣いておる産業もあるのです。ついこの間、五日に、予算
委員会の考え方を体して商工
委員会が、ここで私も提示した非鉄金属の問題ばかりではなくて、各産業の代表の人方を、これはほんの一部だと思うのですけれども、一部にしても大変な参考人の意見陳述の会を開いた。私も商工
委員会に聞きに行ったのですけれども、本当は大臣方に聞いていただければよかったと思うのです。特に通産大臣にその報告があろうかと思うのですけれども、ここに参考までにどういう産業の人方が来たかと申し上げますと、日本陶業、瀬戸物ですね、それから日本金属洋食器——これはみんな企業じゃなくて組合の代表の人方です。それから綿スフ織物、それから絹織物、さらに五番目は日本玩具、おもちゃですね、今クリスマスの契約がこの三、四月に終わっちゃうんだそうです。これはみんな、特に大阪あたりはこういうものが八割。さらに全国中小企業団体中央会副会長さん、こういう皆さんが異口同音に、つくられた円高というものに対して何とか手を差し伸べてほしい、こういう訴えがございました。円高不況というのは地方に非常に影響がかぶるのですね。そして中小企業にしわ寄せが非常に多く来る。
さらに、ここで私も提示した一つの例で、そのほかに皮革産業とかあるでしょうが、木材関連産業、合板その他で、これは地方に行くと想像以上に関連産業がある。一つの工場がチップ工場まで、あるいは川下、川上、運搬、かなりのあれがある。したがって、この前に提示しましたように、この場合は秋田でございますが、県知事、市長初め労働者、労働組合はもちろんでありますが、しかし、親会社は世に有名な王子系の十条製紙。これは四月解散という会社の一方的な解散通告で、これは黙って見ているわけにいかぬのじゃないだろうかということで、二日間にわたって検討してもらったのですが、通産大臣が最後に、それじゃ両社、十条製紙と当該の十条パルプの両方の社長を呼んでよく聞いてみる、その上で対策を考えるという御発言がありました。そこで、私もその間、もう二週間、三週間になりますので、一回お会いしたその経過も聞いておりますが、最終段階でもう一遍やってみてくれということを何回もしつこく申し上げましたが、今最終段階で生の交渉経過を聞くんですけれども、どうか率直に教えていただきたい。
-
○
渡辺国務大臣 この前御質問がありましたので、二月二十四日に担当
局長が直接十条製紙、十条パルプ両社の社長を呼びまして、雇用対策を初め最大限の配慮をするように要請をしたということを報告を受けております。
委細は担当
局長から説明させます。
-
○浜岡政府
委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、二月二十四日に関係両社の社長に私の方へお越しいただきまして、たしか十九日だったと思いますが当
委員会でございました質疑の様子等を詳しく説明をいたしまして、改めて企業の状況について説明を受けました。状況は前回御説明申し上げましたところと大きな違いはございませんで、まことにやむを得ざる状況に追い込まれつつあるというぐあいに判断をいたした次第でございますけれども、雇用面につきましては最大限の心配りをするよう強く要請をいたしました。前回御指摘がございましたように、跡地に新しく何らかの事業を興すこと、そこでできるだけの従業員を雇用すること、さらには十条グループでも吸収策を考えること、さらに下請会社につきましても可能な限りの考慮をしていくこと等々について意見交換を行いました。両社社長とも真剣にこの問題に取り組んでいくという姿勢を表明をいたしておりました。私どもといたしましても、今後とも事態の推移を注意深く見守ってまいりまして、状況に応じましてさらに必要な指導を行っていくということにいたしたいと思っております。
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○川俣
委員 これは時間があれば、労働問題にも当然波及するわけですから、この前のように各大臣にそれぞれ伺いたいところですが、ここで強く要求しておきたいのでございます。というのは、例えば五十五年の際に、まだこういう状態にならない際に十条製紙から、一つの例で申し上げますと、よく企業がやることですが、十条製紙が分離して十条パルプをつくった。当然そのときに労使関係というのはいろいろ論議があったわけですが、その際に、もう絶対に悪くしない、いわゆるこの会社を閉ざすなんということはしないという協定もある。さらに加えて、その際に、一回十条製紙の退職金を払っている会社とさらにその子会社の運輸関係には一切清算してないという会社と両方ある、共栄運輸というんだけれども。そういうものが一切示されてない段階でございますので、どうか四月解散という一方的な通告ではなしに、ぜひ強く通産大臣の方に要望しておきたいのは、そんな一方的に、じゃだめだから解散だ、会社を閉ざすというような言い方でやられると、さっき申し上げましたように、一労働者だけじゃなくて地域関連産業が大変混乱しておるということを申し上げておきたいと思います。
そこで、この問題にちなんで、もちろんさっきの参考人意見の際にも出ましたが、円高によって非常に差益を得ているということの一つの代表で、電力業界なりガス業界の話が当然出てまいります。そこで、経済企画庁ともいろいろ勉強させてもらいましたが、時間がないので申し上げますと、今の油は、原油の値下げでどのぐらい、それからレートでどのくらいというのは大体算式が出ておりますので、これは経済企画庁の数字でありますからそう違わないと思いますので申し上げますと、今、年間十二億五千万バレルを輸入しておる。この十二億五千万バレルを今の値段の一バレル二十八ドルにして、円レート百九十円になった場合には六兆七千億だ。ところが、バレルが二十ドル、今スポットが十五ドルという場合もあるが、それを二十ドルに計算して四兆八千億だ。したがって、六兆七千億で入るべきものがバレルの値下げで四兆八千億になると一兆九千億、ほぼ二兆円だ。さらに今度は、円高の場合は、これはバレル二十八ドルにして計算すべきでございますので、それに数量を掛けて、二百四十円の場合は八兆四千億。ところが、今の百九十円、これを仮定して計算すると六兆七千億、そうなると一兆七千億。こうなると(1)の値下げが一兆九千億、(2)の円高差益が一兆七千億、合わせて三兆六千億、こういうふうに私は計算しておるのですが、これはどうですか、経済企画庁、そう違わないと思うのですが。通産省でもいいです。
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○丸茂政府
委員 今
委員がおっしゃいましたように、石油の価格を二十ドル、それから為替レート百九十円という仮定を設けますと、今お示しになりました数字のようにほぼなるわけでございます。
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○川俣
委員 そこで、総理大臣の諮問機関で略称経構研というのがございますが、円高差益、これをどうするかといういろいろの論議があります。マスコミにもいろいろと皆さんの御意見が出ております。
そこで、私はここで外務大臣にちょっと聞いてみたいのですが、世界に還元しろ、こういう考え方を外務省はずっと出しておったのですが、それを正式に、せっかくの総理大臣の諮問機関である経構研が今審議して結論を出そうとしておるときに、正式な文書で意見を出される、世界に還元すべきだ、こういう御意見を出されるのですが、その辺のあれはどうなんですかね、外務大臣。次のリーダーの一人でもありますし、世界ばかり見ていたって、今現実日本の場合はこういう状態でございますので、その辺を少し聞かせていただけませんかね。
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○
安倍国務大臣 今、経済構造調整研究会で
委員の皆様方が非常に熱心に御論議をいただいておりまして、近いうちにその答申といいますか結論が出るんじゃないかと思います。そういう中で、外務省としましても、いろいろと参考資料として情報あるいは資料関係等も提供いたしておりますが、外務省自体として意見を述べておるという状況ではありません。
委員の皆様がそれぞれ自主的な立場で研究をされておるということでございます。
しかし、同時に、私は外務大臣として、今お話しのように、最近の円高そして原油の低落、そういう状況の中でますます日本の手持ちのドルというものがふえてくるということは、これは明らかにそういう傾向ははっきりしておるわけでございますし、そういう状況の中で今摩擦問題も起こっております。そしてまた、日本の貿易黒字というものが大きな問題にもなっておるわけでございますから、我々としては、世界の経済に日本が積極的に貢献をしていくという立場から、何らかやはり日本としての新しい貢献というものを、こういう円高とかあるいはまた原油安というものを踏まえた新しい貢献というものを行っていかなければ、日本は国際社会の中でこれから責任を果たしていくことは非常に難しくなってくるんじゃないか、こういうふうに私は思っております。先般もヤマニ・サウジアラビアの石油相が参りましたとき、ヤマニさんは、とにかく第一次石油ショック、第二次石油ショックでOPECが非常にドルを抱えた、そのドルの一部を特別基金にして、そして開発途上国にこれを回したんだということを盛んに強調しておられました。今度は日本を初めとして、原油が安くなることによって、第一次石油ショック、第二次石油ショックのOPECと同じように手持ちのドルがふえているので、何かそのとき我々が開発途上国に貢献したような形で日本もこの際積極的な役割を果たすべきではないかというふうなことも言っておられましたが、まさにそういう時代になってきつつある。今後の状況等も見ながらこれは検討していくべき問題、政策課題ではないか、私は率直にそういうふうに考えておるわけであります。
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○川俣
委員 それで、端的に総理に伺いますけれども、あなたの諮問機関だそうですが、経構研で、今現実、通産省の方ではぼつぼつ五月ごろ返そうという、還元しようという結論が出つつあるし、そこへ外務省の方からそういう意見が出てくる。そうなると、やはり総理がどうするかということの御意見も聞きたくなりますわね。こういう機会ですからちょっと……。
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○中曽根
内閣総理大臣 今、国際経済に調和するための経済構造調整の研究会でも真剣に討議していただいております。そのほか在野の皆様方からもいろいろな貴重な意見を寄せられておりますので、すべてそういうものを参考にいたしまして、政府・与党で相談をして政策を進めてまいりたいと考えております。
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○川俣
委員 それは早急に出していただかないと、さっきの例のように四月解散というような会社もあるわけですから、一方的な通告もあるわけですからぜひ急いでほしい、こう思います。
それから、この国会は大きく国鉄問題が出ましたが、当初から国鉄の問題で論議が沸騰したわけですが、我が党も国鉄の株式会社化、これを目指した独自の法案を、いわば日本鉄道株式会社法案、この成案を得て、党内手続を経て近々提案いたします。こうなると、国鉄問題というのは、昨年の臨時国会で共済年金が大きく出ましたが、今回は当初から土地問題が出ました。今度は労働配置転換という問題になって、その労働の配置転換の前にちょっと運輸大臣に聞いておきたいのは、この今回の国会の予算
委員会の冒頭で論議が沸騰したのは、私の方の書記長が、土地価格の問題でだと思うのですね。問題は、十六兆七千億は国民が負担しろ、五兆八千億は土地を売る、そんなら五兆八千億の土地の価格を出せということになって、論より証拠ということで、いみじくもおとついでしたかね、皆さん方がお住まいになっている九段のそばで坪三千六百万円、これが大きく出ましたが、きょうあえて監理
委員長も呼んでいません、時間がもったいないから。新聞を見て亀井監理
委員長はどう感じたのか知りませんが、やはり論より証拠、こうなんですね。
そうなると、運輸大臣、ちょっとこの辺で運輸大臣の感想を聞いてみたいのですがね。五兆八千億というものを精査したと、監理
委員長は。それをうのみにして政府が出す、こういうことはけしからぬというのがうちの方の書記長のあれであり、各党の意見であったから、ちょっと聞かせてください。
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○三塚国務大臣 先般の九段の競争入札の結果の落札でありますが、それなりに正当な価格かなと、ちょっと高いかな、こういう意見もあるようでありますが、公正な価格で落札をされたものである、こういうふうに思います。
それと、五兆八千億の問題については、監理
委員会が積算の精査をいたしまして集計をいたしたものである。私どもはそのベースに立ちまして、適正な処分を行うことにより、五兆八千億プラスアルファということで、国民負担をできるだけ軽減をしてまいりたい、これが基本的方針であり、これからの進め方であります。
-
○川俣
委員 この土地価格問題を論議していたら時間があれなんで、これから私たちの対案も出して論議する、予算
委員会が終わるとすぐさま国鉄法案の審議に入ると思うのですが、こうやっている間に例の広域異動。だから、北海道や九州というのは思うようにはかどらないので、簡単に言えば新しい会社に二十一万五千人、残ったのは六万一千人、その中で四万一千人は清算事業団、二万人は希望退職、こういったような大まかな計画はペーパープランとしてはあると思いますが、ただ、私たちが地元に帰ると、何ぼ田舎でも市役所ぐらいだと引き受けてもらえるのじゃないかというほどの期待だと思うのですが、何とか余剰人員を引き受けてくれないかねというふうに日参してくるのだそうです。そのときの感情は、何だ、この間まで無人化しないでほしい、貨物の廃止はもう少し待ってくれという陳情の際には問答無用で、手のひら返したように偉い皆さん方が引き受けろ、引き受けてくれぬかと言われると、何となくまあというような感じを受けるというんですね。実際そうだと思います。だけれども、これもやはり国策だろうというように考えてみますと、あれ、まだこの余剰人員対策というのは今国会で審議して、どのように、公には何人、民間には何人というペーパープランはあるにしても、これを行動に出てやるということになると、広域異動ではないが、残るか、移るか、やめるかという三つの選択を労働者が考えた場合に、国会審議のまだ途中であり、途中というよりも法案そのものに入っていない段階ですから、ちょっと行き過ぎではないかな、私はこういうように感じます。
そこで、いやそんなことを言ったっていずれ将来なるんだというムードだ、国会のムードは。合意は得ていないんですよ。待てよ、電電の場合はやはり与野党の幹事長・書記長会談で合意を得ていたんですね、あれは何回も予算交渉の中で。せっかくこの国会にいい一つのテーブルというのがあるわけですから、こういうのも経ないで、いや、これは通常人事管理だから国会なんか相談するもヘチマもない、そういうように言われるのが、ちょっと急ぐ余り現場としてはやり過ぎたのではないかなという感じを運輸大臣が持てば私はいいのですが。それとも大演説ぶって、三塚君、ここで反論しますか。運輸大臣、反論しますか。若干行き過ぎだよ、これ。せっかく論議の場というものがあるわけだから。どうです。
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○三塚国務大臣 今回の広域異動の問題につきましては、運輸
委員会、分科会におきましても、各党の議員各位から御指摘をいただきました。国鉄総裁の答弁ぶりを聞いており、また私の考え方を率直に申し上げさせていただきますと、総裁は、これは新形態に移る前提で行うということではなく、今日の国鉄をより効率的に、また立派な企業体に仕上げてまいりますための異動の方針に基づいて行ったものであります、こういうことなんですね。同時に、今川俣
委員が言われますとおり与野党のテーブルの場でと、こういうことでありますが、本来こういう管理運営事項の問題は経営者の基本的な人事運営の枠組みの中でありまして、与野党幹事長、書記長、政治の場にこれが出ることはいかがかな、こう思いますし、そういう点で、総裁の行いました、国鉄が行いました広域人事異動というものは、希望をとりながらという点で問題はなかろうと実は思います。
それと、運輸大臣という立場で申し上げさせていただきますならば、昨年の政府の決定事項に基づき、また雇用安定対策を決めさせていただいた、総理大臣を本
部長として全力でこれに当たる、一人といえども路頭に迷わすことのありませんようにということで万般のお願いを申し上げておりますことは御案内のとおりであります。よって、法律が成立いたしまして、六十二年四月と予定いたしておるわけでありますから、その後の雇用安定ということで御採用いただくことが本来の行き方ではありますけれども、この際、各地方公共団体等々において御採用方いただける、また職員の皆さんもそれに応募をして採用をお願いをする、現に採用決定をいたしておるわけでございますから、そういう意味で考えますと、北海道あるいは九州のように、地域でなかなかもって全部をその雇用の場を確保するということは至難であるという観点から言いますと、基本的には国鉄マンの皆さんの生活安定ということにつながるであろうし、また、国鉄再生への、鉄道再生への道筋の中の大変大事なパートを一つずつ積み上げていくという意味で、国鉄マンの皆さん方にも地域の皆様方にも御理解のいただける政策ではないだろうか、こういうことで、私からも総裁を激励を申し上げておるということであります。
-
○川俣
委員 それは気持ちはわからぬでもないが、労使関係の問題を聞いているのじゃないのだ。せっかく国会でこの問題が提示されておるのだから、しかも、我々は何もかも反対と抵抗じゃないわけだ。社会党が対案を出してくれるだけでもあなたは幸せだと思わねばだめだよ。そうだろう。
それで、同じテーブルですぐに始まるわけでしょう。何しろ百年になるわけだ。大隈さんがつくってから。あなたが壊すのだから——壊すと言うとちょっとあれだけれども、別の形態にするわけだから。そうしたら、去年あなたが汗をかいたじゃないですか、政調におって。NTTの場合はああいうように——あれだってNTTはやれたかもしれませんよ。だけど書記長・幹事長会談で合意を得てやったんでしょう、やらせたんでしょう。そのくらいの神経を使うべき大事な問題だと言うのですよ。どうです。
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○三塚国務大臣 大変神経を使いつつ、私自身としても各党の議員各位にもお願いを申し上げておるところであります。
同時に、本問題は大変大事な改革でありますものですから、まず、政府としてやり得るすべてのものについてベストを尽くす。法令違反があっちゃいけませんけれども、国民の理解と協力を得て、やり得るものは全力を尽くす。また、国鉄総裁にもそのようにしかとお願いをしたい。というのは、希望退職というかねがねの国鉄経営の方針が一つあるわけでございますから、そういう点で、その範囲の中でひとつお願いをする、こういうことで、総裁も中心となられて、組合とも協議をされながら、一部組合にはまだ合意を得ておらぬと報告を受けておるわけでありますが、そういう中で真摯なお取り組みをいただいておるわけでありまして、またそのいただいておらぬ労組に対しては、やはり置かれておる今日の状況をお互いに把握をし、共通のコンセンサスを得ることによって鉄道再生のために御協力をいただく、こういうことであろうと思うのです。
御党の分権化を中心とした民営化論、これも読ませていただきました。そこまでお進めいただきましたことには敬意を表するのでありますが、しかし、過去の形態の延長では鉄道の再生は期しがたい、私自身もそのように考えておりますものでありますから、法案を提案をいたしました今度の
委員会の御審議の中で、真剣な与野党の論議の中で最終的な合意を得てまいりたい、国会の意思決定をお願いをしてまいりたい、このように考えておるところであります。
-
○川俣
委員 演説を聞いているのじゃないんだ。演説では国鉄法案というのはできないと思うよ、分割・民営という法案は、三塚さん、演説では法案は成立しないですから、話し合わなければだめですよ。
だから、あなたはこれは通常の人事管理、経営者の管理だ、こう言うけれども、せっかくあなたはここに立っているのだし、各党には
委員長の下に書記長、書記長の下に国対
委員長というのがいるわけですから、予算
委員会の上に。そうしたら、そういう神経だってあるのじゃないか。(発言する者あり)予算
委員会の上にじゃない。失礼しました。予算
委員会のほかに、予算
委員会の組織のほかにそういう各党の合意の場というのがあるわけでしょう。その辺は若干行き過ぎた面があるかもしらぬというような気持ちはないのかね、あなたは。
-
○三塚国務大臣 これは、川俣議員も基本的には御理解いただいておるのではないかと思うのです。百十四年の国鉄が新生、再生鉄道に変わる、そういう中にありまして、まず政府としてやり得ること、もちろん法令に違背、違反をしてはならぬわけでありますから、これは尽くさせていただく、また国鉄も、それもやらさせていただく、そういう中で法案の審議が行われる。いよいよそのことについて、どう相なりますか、私どもはぜひそれを六十二年四月にスタートできますように御理解をいただきたい、こうお願いを申し上げておるわけでありますから、その場の論議の中で、あるいは激突をしてもう前に進まぬということ、それは何が原因なのだろうか、こういうことで、しかし、それは私は一生懸命お願いをする側でありますから、そういう幹事長、書記長のお出ましが必要な、国対
委員長さんのお出ましの必要なときは、これはやはり我が党の国対
委員長また各党の国対
委員長が判断をされる、こう思うわけでありまして、お手数を煩わせることのありませんようにこれを一生懸命やらなければならぬ、こう思っておるわけであります。(「了解、名答弁」と呼ぶ者あり)
-
○川俣
委員 名答弁という声もあるが、そういうことでこの百十年の日本の国有鉄道の法案を審議すると、審議に入る前にそういう動いているところに問題があるので、まとまるものがまとまらないという嫌いがあるので私は申し上げておるので、私の考え方が違うのなら、あなたはどうかひとつ演説で成立させてください。そう言うしかないんだ。(「これからなんだからな」と呼ぶ者あり)これからなんだ。
そこで、順番が狂いましたが、さっき、与野党修正問題の合意の事項で所得減税、政策減税、内需拡大、福祉問題というのを
稲葉委員がやってくれましたが、特に福祉問題の中には、ここでも論議がありましたが、審議されましたが、老人保健法、健康推進の老人保健法、これとの絡みがかなりあると思うのですが、今回の老人保健法一つ取り上げましても、やはり従来何十年と論議されておった医療の抜本改正、報酬体系、それから三者の合意、診療単価等々の医療の抜本改正というもの、これに触れないといかぬ。今回は、やはり単なる財政調整だものね。財政調整なんだ。こっちがもうかっておるからこっちからやれ、その分国が出さない、この前のは図解してみるとこういう法案だったのだ。
したがって日本医師会——日本医師会が高等学校の教科書に農協や日経連や総評と並んで圧力団体だということに対する抗議の申し入れを文部省に持っていったということですが、社会科の教科書に書いてあることを訂正することかなと思ったりするのですが、この論議に入るとちょっと時間がなくなりますので……。やはりこの抜本改正というものに医師会、供給側ですね、支払い側、こういう三者でやらないとこれはどうにもならないよ、こういうことをもう一度言っておきます。
それからこの修正の中で、
稲葉委員が時間の関係で触れなかったのですが、問題は林業ですね。
これは独立採算制という、特別会計に国有林の場合はなっておるわけですが、ところがここで論議されているのは、公益的機能が非常に多い山が多い、富士山を初め、自然公園を初め。それから、天然記念物の鳥がすんでいるところは切ってはいけない。しかし、管理はしなければならない。そこに約四千人ぐらいおります。それにタッチしているのが四千人ぐらいおります。七百万の年額にして四千人ですから、それだけでも三百億円人件費が要る。だから、利益追求という採算にどうしてもかからないものの公益的機能が非常に高い部分を国有林が占めておるのだ。こういうところに一般会計からということでいろいろと論議をしました。それから、この予算
委員会と並行して折衝もしました。
そこで、最終的に伺うようですが、与野党の合意事項にもせっかく林業問題が出ましたので、総理大臣は終始一貫、花と緑という発言から予算
委員会も始まったし、この辺で農林大臣にその辺を聞かしてもらいたいのです。
-
○羽田国務大臣 お答え申し上げます。
今、国有林野事業につきましては、御指摘のように非常に厳しい情勢の中で、五十九年の六月に策定しました新たな改善計画に基づいて自主的な努力というものを尽くしておるところであります。
なお、財政面におきましても、今お話のありましたような公益的な機能を持つということから、治山ですとかあるいは保安林の造林、幹線道路、あるいは退職手当にかかわる借入金利の問題、こういった問題につきまして一般会計からの繰り入れというものをお願いしておるところであります。
なお、六十一年度の予算案につきましても、対前年比一〇五%、これを繰り入れ増額を図ったところであり、また、保安林にかかわります間伐林道、この開設につきましても繰り入れ対象にしていただいておるということでございます。今後とも、このような財政措置と新たな改善計画に基づきまして、やはり自主的な改善努力というものはしなければならないというふうに思っております。
しかし、木材価格はいまだ低迷しておるというような現状の中で、この難局というものを打開していくためにはどうしてもやはりさらに検討していただかなければいけないということで、今日現在、林政審議会におきましても、新たな改善へ向けての財源、国からの一般会計からの財源、こういったものも含めながら検討いただいておるところでありますけれども、先ほどお話がありましたように、与野党の書記長・幹事長会談におきます合意事項というものがございますので、こういったものを念頭に置きながら、私どもとしてもさらに改善を進めるために努力をしていきたいと考えております。
-
○川俣
委員 問題は先立つもので、今も
農林水産大臣が言った財源措置という問題が出てくるわけですが、これは与野党の合意の中に「財源措置を含めこという文言も入っておりますし、あわせて、六十一年度中ではない、「六十一年中」だ。ということは、六十二年の予算を見通しての配慮であるということは私らも聞いています。そうなると、大蔵大臣はこれにどう対応するのか伺いたいのですが。
-
○竹下国務大臣 御指摘のとおり、六十一年度中ではなくして「六十一年中」、こういうふうに書かれてございます。
国有林問題につきましては、
農林水産大臣から御答弁がありましたように、林野庁におかれてその経営改善のために鋭意努力され、そして今後の方策ということについては林政審で御審議をお願いいただいておるというふうに承知をいたしております。したがって、この問題は政府全体として取り組むことが期待されておるところでありますので、財源問題をも含め、これらにつきましては林政審で十分御審議をいただいて、それを踏まえ、財政当局といたしましても、林野庁、農林水産省と十分協議いたしまして最大限の努力をいたしてまいる、このような考え方が幹事長・書記長会談、また今の
農林水産大臣のお答えにも沿うことになるだろうというふうに考えております。
-
○川俣
委員 ぜひ、総理が花と緑で終始一貫おっしゃっていますので、実行を強く求めるものでございます。
そこで、締めくくりなので、新しい問題が次次、フィリピンの大使館の跡地、鹿島組との関係などもやりたいのですが、時間がないので、ここの問題に出た、俎上に出た問題でどうも腑に落ちない問題が二、三ありまして、あえてここでもう一遍総理に念を押しておきたいと思うのです。うちの方の書記長が早々代表質問で幾つかの問題を総理と審議しておりましたが、その中でうちの書記長の方が、非核都市宣言、その問題を言うのじゃなくて態度ですね、自治体に対する総理の考え方……。自治法をここで審議すると言ったら大変な時間が必要なのですが、こういう場面があるのです。書記長の方から、あなたの実際の言葉と政治というものに違いがあるように思われます、例えば世界各地における非核地帯の実現のために非常に努力しておるということはあなたもわかるでしょう、日本の政府も努力するべきだと思う。
そこで総理、今世界各地だけでなくて全国各地で非核都市宣言というのをやっていらっしゃることは御承知のとおりだと思います。私の方で申し上げますると、大体、昨年の十月一日現在で三千三百二十三の自治体のうち七百十一がこの非核都市宣言をやっている。昨年の暮れになりますると推計で八百八十ぐらい、現在では九百になんなんとする都市がこの非核都市宣言をやっている
こう言うのです。それに対して総理は、これは何となく私の感じでは、総理は虫の居どころが悪いのかな、機嫌悪いのかなというような感じを受けたのですが、これは文章はそういう感じは出ていませんが、答えは、
これは本会議でもお答えいたしましたように、それは自治体が自分でお決めになって決議をなすったので、それなりに参考にいたします、しかし、我が国は既に内閣あるいは議会の決議その他においても非核
三原則というものをはっきり決めてやっておるのでありまして、自治体においてそういうことをおやりになっても心配する必要はありません、どうぞ御心配なく、そういう考え方です。さらに続けて、
自治体がおやりになるのは、それは地方自治の本旨に基づいておやりになるのは自由でありますけれども、大体自治体の仕事というのは
この辺は忠実に読んでいますから。
大体自治体の仕事というのは身の回りのことを自分たちでやる、そういうことで、やはり国防とか外交とかあるいは貨幣とかというものは中央政府の所管事項なんですね。元来。ですから、元来から言えば、それは国会とか政府の大きな仕事なので、それを我々は一生懸命やっているのですから、どうぞ御心配なく、
こう言う。これは文章に出ていないが、簡単に言うと、地方自治は地方自治のことをやっていればいいんだ、そんなことは国がやるんだ、こういうムードだ、私はそこでそう思いましたが、その気持ちは、きょうは穏やかなようですけれども、どうですか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 憲法でも「地方自治の本旨」云々という言葉がありまして、「地方」という言葉が載っかっているわけであります。「地方自治」という言葉の本質を考えてみますと、中央ではない、地方である、自治である、そういうことからいたしまして、今御答弁申し上げたようなことが筋であるだろうと思うのです。財政とか貨幣とか国防とか外交とかというものは大体中央政府が所管しておる。そして、地方における身の回りの問題等については地方自治体がそれぞれ自分たちの権限に基づいておやりになる。こういう形で国政の調整がとられておる。そういう考えに基づいて、ただいまの非核
三原則の問題というものは、これはどちらかといえば中央の行う本質的な仕事であると思っておりますが、しかし地方におかれましても、言論の自由もあり、また住民のお考えを反映するというお考えもおありになってそういうことをおやりになることは理解もできますし、参考にいたします、しかし我々はこういう形で一生懸命中央でもやっておるのですからどうぞ御心配なくと申し上げたいのであります。そういう趣旨のことを申し上げたのであります。
-
○川俣
委員 あのときを再現せよといったってあのムードは出ないんだが、「大体自治体の仕事というのは」というあたりから、おや、総理というのは、もう地方はそんなことはとんちゃくするなという、こういうようなムードであったんです。それだけは言っておきますので。
そこで、ちょっとここで、専門の
委員の人方が、核艦船の入港、寄港、この問題は非常に
大出委員初め質問されておって、結局平行線でしたが、いわばアメリカ側で核はこの船に積んでいない、こう言ったらもう信頼と理解をするしかないという政策で進む、こういう考え方であるということだけは私たちも認識いたしました。
ところが、国際的に、これは総理に最後に伺うのですが、この間、私らもニュージーランドのロンギ首相に会うことが——勝間旧副議長の随行で超党派で入れてもらいまして、この間行ってまいりましたのですが、そこの新聞社の特派員との会見でこういうようにおっしゃっていますね。ニュージーランドに核兵器を入れないとの政策には交渉の余地はない。つまり、さらに言葉を続けて、「米国が各艦船の核兵器の有無を明かさなくとも、ニュージーランド独自で判断するのはそれほど難しくない」。判断材料は幾つもある。艦船の配備箇所だとか出航後の日数とか戦略的必要性の有無とか人員の配置とか、そういったものからこれは臭いなということはわかる。ニュージーランドに「核兵器を入れないとの政策には交渉の余地がない」そしてこういうように続けておる。「疑わしきは断る」こう出ている。そして、人間の判断だから——裸になって見せろ、盗んだんじゃないかと思うから見せろ、こういう場面がよく芝居にありますわな。人間の判断だから完全ではないだろうが、間違って核を入れるよりは、ないと言われて実は核があったというよりは、ないのを拒否、断るという間違い方をニュージーランドは選ぶ、こういう言い方だ。ないと言われて実はあった、間違って核を入れるよりは、実際は核がないのを拒んだという間違いの方をニュージーランドは選ぶ。これは私も、世界的に反核、そして非核
三原則、日本の国会でも決議しておるその中に、世界に住んでいる一人として大変に貴重な言葉だと思う。
ところが、日本はこのような法則はとらないんだろうかね。こういう考え方ではないんですね。やはり、アメリカの方が、核が入ってないのだ、こう言ったら、もう信頼と理解がある、日米安保条約はそういうものなんだ。ところが、皆さん御承知のようにオーストラリア、ニュージーランド、米国、これは相互安全保障条約がありますね。いわゆるANZUSというものでしょう。そうなると、ちょっとこの返事聞きたいのですが、やはり総理、どうなんですか。ないと言ったら信頼するしかないという方をとるか、臭いと思ったらちょっと見せてくれ、しかし間違ったけれども入れるよりはこっちの方を選ぶ、間違っても臭いと思った場合は入れない、こういうロンギの主張。あなたもどこかで会う日程にはなっている、外務大臣かな。総理どうですか、その辺は。
-
○中曽根
内閣総理大臣 安全保障条約は、国連憲章の精神にのっとりまして、そして日米間の信頼関係の上にこれは維持されており、有効に機能しておるものでございます。したがいまして、日米間の信頼関係というものを基本にして今後も運営していきたい。今の問題に関する御答弁は、外務大臣や私が従来から御答弁申し上げておるように、信頼関係というものを非常に大事にして今後もやっていく。それが日本の安全及び世界の平和の基礎になっていると考えておる次第です。
-
-
○
安倍国務大臣 今の総理のおっしゃるとおりでありまして、今お話がありましたが、ニュージーランドを初めとして我々は他国の核政策についてとやかく言う筋合いじゃないのですけれども、しかし、今ニュージーランドのロンギ首相が、核爆発装置を積んで入った、入るということになれば首相の判断でこれは拒否する、その法案を出すということは、我々も情報として承っております。
しかし、日本の立場ははっきりしております。非核
三原則を厳守するという日本の基本的な考え方は、これは不動でありますし、この点については日米安保条約を締結しておるアメリカも十分承知をいたしておるわけでございます。同時に、日米間には安保条約というのがあるわけで、核兵器を持ち込む場合には事前協議が必要であります。これはアメリカが事前協議を申し入れなきゃならぬ条約上の義務があるわけでございます。したがって、我々は、その申し入れがあったときはこれは断るということを国会でも鮮明にしております。そういう中で、アメリカが日米安保条約というもの、さらに関連規定を守るというお互いの信頼関係が成立しておるわけでございますから、日本においては非核
三原則は遵守されておるというのが我々の考えでございます。
-
○川俣
委員 日本に安保条約がある。しかし、向こうにはANZUS条約もあるわけですから、それは大変なプレッシャーがいろいろかかるであろうが、反核政策、非核
三原則というものを、我々は、国是のように貴重なものにする者としては、このくらいの決意で政治に臨んでもらいたいものだな、こういうように思ってあえて言いましたが、残念ながら、日本の場合はないと言われたらしようがない、こういうことで、やはり
大出俊さんが言われた平行線で終わっちゃうな、こういうように思っております。
そこで、総理大臣と、偉い人と面と向かってお話しするというのは、時間が刻々切れようとしておるのですが、これで終わろうとしておるが、少し、いつかの予算
委員会でも問題になったことがあるのですが、閣僚、大臣が国会開会中に、法案をたくさん抱えて、しかも不況に苦しむ対策を考えなければならない通産相だけじゃなくて、遊説がちょっと度が過ぎるんじゃないかなという感じがするのですね。
これは毛針の問題を言うのではなくて、やはり頼まれるというか行かせるというか、そういうことの方も若干問題なんですよ。言ってきたことも、毛針も問題ですが、行かせた、来てくれ、こういうことを考えると、時の閣僚は法案を持っているんだから、それは日曜だからいいんじゃないかと言われるけれども、やはり開会中でもございますので、その辺はおのずから襟を正すということを私は総理に望むのだが、いやあ、暇だからじゃんじゃん行けよ、こういう気持ちを持つのか、やはり閣僚なんだから普通の議員と違って少しは自粛すべきだという感じを持っているのか、ちょっと聞いてみたいですな。
-
○中曽根
内閣総理大臣 閣僚も、議院内閣制のもとにおいては与党の基礎の上に立って与党の政策を実行しておるわけでありまして、党員の中核体でございます。そうして、与党は我々と相談して決めた政策を遂行しておるわけでございますから、国民の皆様方に我々の政策をお知らせし、疑問にもお答えするというのは閣僚としての仕事でもあり、かつ与党の政党員としての仕事でもございます。
しかし、これが国務に差し支えたり法案の通過やあるいは国会審議に差し支えるようなことは断じていけません。しかし、そういうことがないという保証のもとに党務に精励するということは、党員として当然の義務でございまして、これは閣僚という国家的な立場が第一でございますけれども、その立場を阻害しない範囲内において党員として地方に遊説するということは悪くはないし、地方の要望に応じて我が党や我が内閣の政策を説明するというのは、情報化時代にありましてはますます大事な仕事である、私はそう考えておる次第でございます。
-
○川俣
委員 ところが、国会の審議だから、国会で審議しない、答弁しないものを外で言ってきたりするというのも、あるいはこの間、一つの例だから言うけれども、あの毛針発言は果たして政党なり国会の意思を伝達、PR、情報化時代に沿っているものなのかということを考えると、やはりちょっともう一遍聞きたいですな。
-
○中曽根
内閣総理大臣 あの場合は、ちょっと行き過ぎているというので国会の本会議におきましてこの間遺憾の意を表明したのでございまして、そのほかの場合にはみんな政策説明あるいは国民との対話の増進、こういうことに精励していると確信いたしております。
-
○川俣
委員 やはり国会開会中なんだし、法案も持っているのですから、閣僚を一般の党員と同じような考え方で総理は内閣をつくっているという気持ちじゃだめですよ。やはりおのずから限度があると思いますよ。そういうのをあるときの総理大臣がずっと言ってきた議事録を私は持っているものだから、総理は言わないなら言わないでいいですけれども、私はそう思います。
そこで、さらにその他で聞きたいのですが、中曽根三選というのはにわかにいろいろとやってきたのですが、ただ、党内ではいろいろとあるだろうが、総理の応援団、応援団長ですかね、五島会頭さん、「泥まみれになるな」「「首相の三選を今でも支持するか」との問いに答えて五島会頭は「経済界では、立派な業績を上げた社長は会長になって、若い人が社長になる。」」ここまでおっしゃっておるのですが、こういうのを、これは外部の者が勝手に言っているというふうに感ずるものなのか、少しは何か感じたですか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 私は前から、自由民主党の党員として党則を遵守いたします、そういうことを申し上げておるのでありまして、新聞で報ぜられましたことは、百家争鳴、百花斉放の一つであると考えております。
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○川俣
委員 百家争鳴ですか。
それから、恩赦の問題、ここでも何回も出ましたが、何となく見え隠れしているので、もう一遍、最後だろうから聞きたいのですが、やはりあなたのおっしゃる在位六十年という万世一系の天皇ですから、もう六十年もおやりになったというのはいない、しかも御長寿をみんなで祝おう、こういうときに、恩赦には分けて四つあるわけですが、そういうのを一切考えないというのも、あれはどういうものだろうかなという国民もいると思いますね。恩赦というのはそういうときこそやるのだという考え方もあると思うのです。しかし、一切ないのか、その辺をもう一遍総理に聞きたいのですけれども。
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○中曽根
内閣総理大臣 恩赦につきましては、若干の御意見もありまして、一応私なりに研究してみましたが、今回は恩赦をやる考えはありません。
-
○川俣
委員 いろいろと検討した結果、今回は恩赦をやるつもりはない、予算
委員会が終わったってそういう考え方はない、国会が終わってもないということなんだろうと思うが、そこで、それは、恩赦のあれは
官房長官も考えているのですか。
官房長官、まだいいのですか、時間は。——帰ってきたのですか。
それでは一つ聞きたいのですが、いわゆるシベリア抑留の問題ですね。シベリア抑留、その数五十万、何回も出ました。そこで、裁判も私も聞きに行きました。ところが、例の条約の解釈の問題をめぐってその裁判も延び延びになった。ここでももうちょっと待ってくれ。問題は、あの当該国というのはソ連を指すのか日本を指すのかということになるわけですから、したがって、その問題で正式に質問書を出したら外務省の方でもう少し待ってくれ、こういうことだった。もう少し待ってくれと言ったって、この対象者の皆さん方というのはだんだんに高齢になってこの世にいなくなる人、新しい人は出ないんだから。そうなると、どのぐらいを待たなければならないのか、その辺を聞かしてもらいたい。
-
○
安倍国務大臣 これは、条約の解釈の問題でございますから、私から申し上げます。
従来から、事務当局からもしばしば申し上げてまいりましたが、この問題につきましては、正確を期するために条約の作成経緯及び我が国がこの条約に加入した際の作業の詳細並びに各国の見解や実行等に関し、あらゆる側面から総合的に調査を行っておるところでございます。
この条約の作成それ自体が、我が国の加入が三十年以上も前に行われたものであること、さらにまた、調査の内容が複雑多岐にわたることから、最終的な結論はまだ得られておらないわけでございますが、しかしこれは、一年も二年もかかってよいというふうには考えておりません。我が国だけの問題ではなく、他の当事国の立場を聴取することも重要であり、相手のあることでございますので、具体的にいつまでとお約束することは差し控えたいと思いますが、何とか半年ぐらいで結論をまとめることができないかというふうに私は考えておりまして、事務当局にもその点は指示をいたしておるわけでございます。最大限の努力をいたしまして、可及的速やかにひとつ最終的な結論をはっきりさせたいと考えております。
-
○川俣
委員 半年というのは、六カ月ですか。そう解釈していいですか。六カ月。
-
○
安倍国務大臣 半年といえば、一年の半分でございますから六カ月、という中で何とか結論を出したい、こういうふうに事務当局に結論を急ぐように実は指示をいたしております。相手の国、その他条約の加盟国との間のいろいろな関係等もあってそれぐらいはかかるんじゃないか、急いでそれぐらいはかかるんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。
-
○川俣
委員 これは当事者は大変な問題なんですよ。一日だって大変なんです。だから、いろいろとありました。この予算
委員会に出ないいろいろの折衝もありましたが、最初は数カ月。数カ月というのはと言ったら、三、四カ月。三、四カ月で、四カ月でいいなんて言ったら、四カ月ではない、四カ月、五カ月、五カ月ぐらいだ。いや、それじゃ、はっきり言いますよ、六カ月。いいですね。事務当局、いいですね。それだけは確認しておきます。
-
○
安倍国務大臣 六カ月を目標に全力を挙げたい、こういうことでございます。
-
○川俣
委員 じゃ、六カ月でひとつ確認しておきます。
以上、終わります。
-
○小渕
委員長 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。
午後零時十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時三十九分休憩
————◇—————
午後零時十一分
開議
-
○小渕
委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
二見伸明君。
-
○
二見委員 最初に、いわゆる与野党幹事長・書記長会談の合意についてお尋ねをしたいと思います。
午前中の
稲葉委員の質問に対して総理が基本的な立場をお答えになられました。例えば、今度所得税の減税についてが第一項目にあるわけでございますけれども、「今国会中に各党間で合意を得るよう協議し、
昭和六十一年中に成案を得る。」年内に成案を得るというこの合意というのは、私は、これからの政治の流れというものを考えた場合に、やはり歴史的には大きな意味合いを持ってくる合意ではないかなというふうに思います。
と申しますのは、所得税の減税を論議しております。その背景の一つには、ことしの春に政府の税調答申が出てまいります。税調の答申は、予算の総括質問で、私の質問に対して総理大臣から、複数のいろいろな案もあり得るという御答弁もありましたから、一つの案ということじゃなくて、幾つかの案も恐らく出てくるんじゃないだろうかと思います。それが所得税減税の論議の一つのベースになってくる。これは、我が党には我が党の減税に対する考え方もあり、社会党さんは社会党さん、それぞれの政党に減税に対する、税制改革に対する考え方というものがあります。また、いわゆる税率緩和、十五段階を十二にするのがいいのか、十にするのがいいのかということに関しても、それぞれがいろいろな意見がある。そうしたことに対してこれから与野党で協議をしていくということは、私は大変意義のあることだと思う。しかも、この協議の段階を通して、我々野党の立場からすれば、へっぴり腰で批判だけしていればいいということにはなりません。やはり現実性のある、きちんとした、政府・与党もあるいは国民もなるほどこの案はなど納得できるものを提示しなければならないし、自民党、政府・与党としても野党の意見を十二分に聞いていかなければならない。そういうことを考えますと、この第一の合意というのは、大きな歴史の流れの中で見て意味合いが大きいなという感じがするわけでございます。
そういうことを思いながら、二、三、若干細かい点についてお尋ねもしたいわけでございますが、大蔵大臣、いわゆる税調の答申は春というごとになっておりますが、もう春も弥生になってまいりました。いつごろ、四月ごろになるのか五月のサミットを過ぎてしまうのか、その時期を、大体どこら辺を予想されておられますか。
また、税調の答申、いわゆる所得減税の答申というのは、二兆とか三兆とか五兆とかという定量的なものになるのか、あるいはそこまで作業が進まないで、定性的なものといいますか、考え方を示す、そういうものになる可能性の方が強いのか、そうした見通しについて若干お尋ねをしたいと思います。
-
○竹下国務大臣 税調に抜本改正の諮問を申し上げて、答申は、総括していただけるのは秋でございます。いわゆるゆがみ、ひずみ、重圧感、そういうものがどこにあるか、言ってみれば、どこの辺が本当に減税の対象になることかな、こういうのを春ごろまでに御検討をちょうだいしよう。予見を持って申し上げちゃいけませんが、一般的に、常識的に言うならば、いわゆる定量的なものが出るとは私は思いません。やはり基本的な考え方をお出しいただくことになって、それを中間答申と銘打たれるのか、あるいは中間の報告というふうな考え方でおまとめいただくのか、その辺は税調の自主性を尊重して、こちらでこういうことにしてくださいということを申し上げておるということではありませんが、およそ、報告でございましょうか、まとめたものがそのころ、春にはちょうだいできるのではなかろうかという期待をいたしておるところであります。
-
○
二見委員 この税調の答申とはちょっと離れるかもしれませんけれども、財政再建を考える場合に、最近、経済学者、財政学者の間から、財政硬直化の主因というのは移転支出、いわゆる社会保障関係費だ、だからこれを一般会計から分離してしまった方がいいのではないかという議論がよく見受けられます。
我が党でもこの問題について議論いたしましたけれども、それに対して賛成の立場で議論する者もおりますし、むしろ逆に、一般会計から離して、例えば社会保障関係費を特別会計ということにした場合には、確かに収支はわかりやすくなるけれども、保険料の引き上げたとかということでもって負担がふえるのではないかという反対の意見も我が党にありますし、また、そういう特別会計を設ければ、それは福祉目的税という形でもって大型間接税の導入に道を開くのではないかという意見も我が党内にはございます。したがいまして、例えばこの社会保障関係費を一般会計から分離するということについて、我が党では固まっているわけではございません。いろいろ賛否両論があるわけでございますが、大蔵省としては、こういう点についてはどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
-
○竹下国務大臣 今御意見の中にもございましたいわゆる福祉目的税に関連して、社会保障特別会計あるいは社会保障勘定の創設等の提言というようなものをなすっている方も確かにいらっしゃいます。これらの提言は、今後高齢化の進展に伴いまして社会保障関係費の増加が予想されるので、今後の財政再建の具体的な進め方、社会保障に対する負担のあり方についての検討を進めていく上では示唆に富んだ提言だというところまでは言えると思うのであります。おたくの党においても、恐らくああでもないこうでもない、賛否両論という言葉をお使いになりましたが、そういう御意見があろうかと思っております。これは、私どもの部内でもそんな議論は、恐らく同じようなベースで議論したこともあるわけであります。
が、これに対して、他方どういうことがあるかと言われますと、社会保障関係費というのが、言ってみれば硬直化をしまして、言いかえれば聖域のようになりまして、したがって合理化努力の意欲をそいでしまうのではないか、こういう危険性も一つはあります。それから、政治全体の中で、社会保障だけは別枠だよということが、他の諸施策に対しての理解が得られるかどうか、こういう問題も第二点としてございます。したがって、財政当局としては、こうした提言をも含めて、やはり歳入と歳出、それから受益と負担というものの関係について議論しながら、至上命題である財政改革というのは怠っちゃいけませんからそれを進めていく、こういうことになろうかと思っております。
特別会計あるいは勘定ということそのものは、財政法の立場からいえば必ずしも好ましいことではありませんが、示唆に富んだ提言としての受けとめ方で、我々も、あるいは御党で御議論なすったような、時には行きつ戻りつというような感じもあるでございましょうが、検討は進めていかなければならぬと思っております。
-
○
二見委員 総理にちょっとお尋ねをしたいんですが、税制改革を今進めておられます。その税制改革というのは入ってくる税の方ですね。今、私、大蔵大臣に申し上げたのは、今度は入ってきたものをどう使うかという財政の方です。これはセットの話です。全然切り離すわけにはいかぬですね。
それで、この税制改革を進める結果として、例えば今申し上げたような社会保障関係のものを特別会計にするとか、それがいいということじゃありませんが、例えばそういう形でもって財政の仕組みといいますか、システムというものを変えることまでも総理はこの税制改革の中ではお考えになっているのか、あくまでも税制改革だけであって、財政の仕組みとかシステムというものは、それはまた別と考えることだというふうにお考えになっているのか、その点はいかがでしょうか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 これは税調の答申がどういうふうに出てくるか、それを見た上でよく考えたいと思うのです。
例えば、こういうことを私に言う人がおります。私学やそのほかにいろいろ補助金や何かを出すけれども、例えば民間の人が遺産相続とか、亡くなった場合に遺言で相当な財産を大学に寄附する、それは免税にしてやる、そのかわり、私学の補助金というのはその分だけ少し減らしたらどうか、そうすれば名誉は残るし、国家というものを経由していろいろ手数がかかるのがなくなるじゃないか、そういう形でやれば学問がもっと盛んになるんじゃないか。国際交流についてもそういうことが言えるじゃないかというような議論を言う人もある。そうすると、それは財政と関係してきますね、補助金等の関係とか。それはある意味においては民活とか、民間中心で物を動かしてうまくやっていくという形になりますね。そういうような議論を言う人もありますから、税調でどういう答申が出てくるか、その後総合的にやはり考える必要があるだろうと思います。
-
○
二見委員 それから第二の、いわゆる住宅、教育、パート等についての政策減税について、やはり与野党で合意があるわけでございます。
総理大臣に伺いますが、我が党の矢野
委員に対して、二月六日に矢野書記長が住宅減税の議論をいたしましたね。そのとき総理は、今回やっておる改革もその一部だが、まだみみっちいと自分でも思っていると答弁されたわけですね。実は私たちも大変みみっちいと思っているので、住宅減税をすべきだ、今国会中に結論を得るべきだという主張をしておるわけでございますけれども、総理がみみっちいとお考えになっているのはどういうことなんだろうか。
例えば我々野党は、今住宅ローンの残高の一%を税額控除をするのが政府案ですね、それを二%にしろという野党案がある。それから、政府は三年間という期限を区切って住宅減税だけれども、我々は五年間という主張をしている。だから総理がみみっちいとお感じになったのは、一%というのがみみっちいのか、三年間というのがみみっちいのか、あるいは両方ともみみっちいのか。みみっちいという中身はいかがでしょう。
-
○中曽根
内閣総理大臣 公明党の案を考えてみみっちいと言ったのでもありません。私は、アメリカのやっていた制度を前に勉強したものですから、それから見るとみみっちいな、アメリカは住宅ローンにつきましてはほとんど税金を取りませんね、今度どういうふうに国会で修正やその他受けるかどうか知りませんけれども。あれから見ると、日本のものは非常につめに火をともすような感じがいたします。しかし、これも財政当局としては苦しい中で非常にぎりぎりの努力をしてくれてやっておるのです。
しかし、将来的展望という問題を考えてみた場合に、景気に対する今後の対策とかいろんな問題を考えてみた場合に、税調の答申等をも踏まえまして考えるべき一つの対象ではないか、そう考えておるわけであります。
-
○
二見委員 私は、やはり住宅建設というのは内需拡大の大きな柱だと思います。これから実務者の間で具体的な内容を詰めていくわけでございますから、ここで一%を二にしたらどうかとか、三年を五年に延長することについてどうだとかいうことは議論いたしません。また、議論してもお答えにくいだろうと思いますので、それは議論いたしません。
しかし、住宅減税は今アメリカと比べてみみっちいとおっしゃられた総理の気持ちは私も同じでありまして、みみっちくないように、当事者の間で合意が得られることを私も心から期待をしている一人でございます。
それで、やはり内需拡大に関連してお尋ねいたしますが、まず大蔵大臣、公定歩合を十日から四%に引き下げることになりました。アメリカも西ドイツも、いわゆる協調利下げであります。この協調利下げというのは、これだけ情報化が進んだ国際社会の中で、しかもマネーが国境を越えてどんどん出入りしている時代、国内だけで金利政策ができるなんという時代ではなくなった、まさに国際化の時代の中ではこの協調利下げというのは非常にいい前例になるのではないかというふうに私は思っております。
大蔵大臣としては、この協調利下げという、このあり方に対してどういう評価をされ、また、今後ともこうした協調利下げについてはどういうお立場で臨んでいくのか、基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
-
○竹下国務大臣 概念的な協調利下げというのは私もいいことだな、こうかねてから感じております。
ただ、中央銀行というもの、国柄によって多少の違いはありますけれども、いわば政治の恣意が働くことを避けなければいかぬ。すなわち、中立性があらなければならぬ。しかも通貨の番人でございますから、あくまでもその国の独自性で物が決まっていかなければならぬ、こういう牢固たる哲学みたいなものが存在しておるわけであります。
したがって私は、今回の措置などは、いわば先進国同士がお互いが集まって政策の協調をやろう、ここまでは合意しているわけですから、その政策協調の一環として、結果として協調利下げ、地球は丸いわけでありますから何時間ずつかのタイムラグはあったにいたしましても、それが今度なされたな、こういうことを感じて、今
二見さんのおっしゃったと同じように、情報化時代であり、そして日本のマネーそのものもまさに国際化しておる今日、私は極めて適切な措置であったというふうに評価をしております。
-
○
二見委員 それは大臣、確かに公定歩合は日本の場合、日銀が操作いたしますから、しかも日銀は政治的な干渉を受けるのを嫌がりますね。それは、そうしたことを百も承知の上であえてお尋ねをするわけでございますけれども、今回の引き下げで四%になった。今まで一番低かったのは五十三年の一二・五というのがございますね。すると、四と三。五の間にまだ〇・五の差がございますね。要するに、あと〇・五下げるゆとりはある、客観的な情勢は別といたしまして。四と三・五からいけば、〇・五まだ下げられるゆとりはああということになりますね。これからの景気の動向、世界経済の動きなんか見なければ何とも言えないのかもしれないけれども、この〇・五の差があるということは、金融政策がより弾力的に行える余地がまだあるんだというふうに理解してもよろしゅうございますか。
一部の報道の中には、今回〇・五の下げではなくて、〇・七五まで下げてもよかったのではないかという報道もあるようでございますけれども、まだ〇・五%のすき間があるということは、これから一カ月、二カ月、サミット前後、世界経済を見渡して、日本が金利の面から弾力的な政策ができるというふうに判断をしてもよろしゅうございますか。どうでしょう。
-
○竹下国務大臣 これは一般論として申し上げますならば、金融は諸情勢を見ながら弾力的に適切な対応をされるべきものだと思います。
ただ、過去の経験から一つ申し上げますと、連動して預貯金金利あるいは長プラ、短プラその値下がっていくわけです。それが、これからでございますけれども、恐らく三十一日でございましょうか、あるいは年度決済するものは四月一日ということもあるかもしれませんが、この前二十六日かかりましたのを、可能な限り二十日ぐらいでそこまで全部整理しようということになりますと、場合によって、連動した金利はかつての三・五%と同じところへ位置づけされる可能性もあるかもしらぬ、今度の場合ですね。そうすると、かつての連動した金利等の、まあそこまでいっちゃうということになる可能性があるいはあるかもしらぬと思いますので、その際は単純に四を三・五にするということの選択の幅が非常になくなるかもしらぬ。事実、あのときの金利に連動金利がみんないっちゃったと仮にしますと、まだこれから審議会がございますから、今そんなことを仮定の事実でお答えするのはいかがかと思いましたが、ちょっと勉強をしましたときに、そんな印象を、実は私は数週間前からそういう感じを幾らかしております。これはまあ参考になればというだけで、確定的なことを申し上げるわけじゃございませんが、そんな感じを持っております。
-
○
二見委員 わかりました。
それから、やはり与野党合意事項の、住宅減税あるいは内需拡大に関連して大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今の御答弁ですと、連動した金利が三・五の水準にいく可能性もあるというお話がございましたけれども、私は、内需拡大の柱である住宅建設を促進するという面では、住宅金利の引き下げというのがやはり大きな要素になってくると思うのです。大蔵大臣、たしかきのうの政令改正で住宅金融公庫の金利は五・四になりましたですね、一月九日にさかのぼって五・四になった。もう一段住宅金利をお下げになる気持ちはございませんでしょうか。どうですか。
-
○竹下国務大臣 あるいは建設大臣からのお答えが適切かと思いますが、私ども、この間いわゆる特利の方を下げまして、その段階金利がございますよね、その段階金利で、言ってみれば既に財政が出動して利子補給をしておるもの、ここまで手をつけるというのは今度は財政上の問題が出てまいりますから、段階金利がございますが、どのような形で推移いたしますか、これからは建設省といろいろお話し合いをする課題の一つだと思っております。
ただ、財政を扱っておりますと、利子補給をして決めた特利にまで手をつけるというのは、ちょっと連動とはまた別の次元だという、いつでもひっかかりを持っておるということだけを申し上げておきます。
-
○
二見委員 住宅建設は、一方で住宅減税の措置があり、他方で住宅金利の引き下げというのが大変重要な要素だと私は思っておりますので、どうか今後とも御検討をお願いをしたいと思います。
さらにもう一点、与野党合意の中では、「経済・景気動向の著しい変動に対しても財政金融措置をとるなど機動的な運営をはかる。」ということになっております。この「機動的な運営をはかる。」ということで、公定歩合の引き下げとかについて議論をしてきたわけでありますけれども、さらに公共事業の前倒し、この点については大蔵省はどういうふうにお考えになっていますか。いかがでしょうか。
-
○竹下国務大臣 かつて公共事業執行に関する閣僚会議ができましたときに、大蔵大臣が座長をしたことがございますが、必ずしも私が御質問にお答えする立場であるかないかは別といたしまして、過去からの経緯を考えてみますと、いわゆる促進型、中立型、抑制型、こうあるわけであります。そうして促進型の場合、実力としておよそ何ぼまでやれたかという実績というものも一つはございます。あるいは消化能力と言った方がいいかもしれません。
そうすると、問題として議論されますのは、いわゆる六千億円の債務負担行為によるこの間通していただいた予算の執行が、何か県議会なんか臨時で一日ぐらいの議会を開いてもらったりして進んでおる、こういうことでありますと、それがいわゆる下支えになりますから、これは中立ても、実際問題、消化能力を考えたら相当いくのじゃないかな、こういうような気持ちもないわけではございませんが、いずれにせよ、この問題は、大事なこの三月中の国会の問答を聞いたり、それから経済諸指標を見ながら、例年のようにその執行方針については、予算が通過した段階で可能な限り早い機会に、あるいは今の仕組みでいうと経済企画庁中心ということになろうかとも思われますが、検討さるべき課題だという問題意識は持っております。
-
○
二見委員 厚生大臣にお尋ねします。
やはり与野党合意の中で、「社会福祉の充実等については、引き続き福祉の充実や健康増進対策等にきめこまかな措置を講ずる。」こういう合意があるわけでありまして、午前中の
稲葉委員の質問に対して厚生大臣はお答えになられた。
稲葉委員から、それは今年度予算でやることを言っているだけじゃないか、こういう厳しい指摘があったわけであります。私は、この問題について具体的に何点か改めてお尋ねをしたいと思います。
第一点は、これも矢野
委員の総括質問のときに矢野さんが言った。保健所が定期健診をやっていますね。どこどこの公民館で朝九時から十二時までとかやっている。しかし実際には、パートで勤めている奥さん方は、その健康診断を受けるわけにいかない、あるいは中小零細企業に勤めている人は休みがとれない、こういう問題点があるわけです。だから、何とか夜間であるとか日曜、祭日に健康診断を受けられるようにしてもらえないかという矢野
委員からの質問に対してあなたは、やっている市町村もございますという答弁でした。恐らくやっている市町村というのは、全国で非常に数が限られているのじゃないか、ほとんどの市町村はやっていないのじゃないかと思うのです。
もしあなたの方で、やっている市町村とやっていない市町村の数を把握されているならば、その数をお示しいただきたいのと、さらに、やっていないところに対しては今後どういうふうにしていくのか、その点をまずお答えいただきたいと思います。
-
○今井国務大臣 御指摘の問題につきましては、前回矢野書記長からも御質問いただきました。私といたしましても、日ごろ健診を受ける機会が極めて少ない御婦人に対しまして、特にパートの御婦人に対しまして、健診を受けやすくするために、早朝であるとか夜間健診や日曜、祭日の健診を実施していきますことは極めて重要なことだと思っておるわけでございます。
そこで、いろいろ努力をいたしまして、お説のように早朝や夜間の健診をやっております市町村もありますので、国といたしましても、これは六十一年度の予算で七億五千万の老人保健の特別対策事業というものの予算をただいま計上をいたしまして御審議を願っているわけでございますが、この予算を活用いたしまして、お説のような取り組みを行いますようなモデル町村に対します援助をいたしたいと思っております。
同時に、モデル事業の活動の事例集、今やっておりますね、そういうものの事例集を発行しまして、こういうことをやっているんだということを皆さんにも知らせてやるわけでございます。また、婦人の健康づくり対策の推進事業がございますので、そういうものの推進を通じまして指導を強めてまいりまして、お説のように、できるだけ各町村ができるような形で援助してまいりたい、こう考えているものでございます。
-
○
二見委員 厚生大臣、あと四問ありますので、出入り大変でしょうけれどもお願いいたします。
もう一つは、要するに婦人の日帰りドックといいますか、厄年の御婦人のドックをやってみたらどうか。たしかことしはサラリーマンの四十歳と五十歳のいわゆる節目に対しては日帰りドックというのが行われることになりますね。ところが、例えば政管健保に加入している人の奥さん、全国で十六万人、これは例えば三十三歳という年齢を切った場合ですよ、厄年に当たるのは十六万人。国民健康保険では二十八万人の人がいわゆる厄年に当たるわけです。そうした四十万ないし五十万の厄年の婦人に対する日帰りドックというものを制度化できないものだろうか。それが婦人の健康増進にも、それから家庭のためにも子供のためにも大事なことではないかと思うわけですけれども、厚生省のお考えをお示しいただきたい。それが一つ。出入り大変だから、まとめて言いますからね、それが一つ。
それからがん予防検診。中曽根内閣はがん対策に大変熱心でございますけれども、実際には受診率は一〇%以下ですね。これはなぜ受診率が低いかというと、レントゲン車だから嫌だと。病院で検診ができるようなことがあればもっとがん予防の検診の受診率というのは高まるのじゃないかと思うのです。レントゲン車じゃなくて病院で受診できるようにできないだろうか。それが二つ目。
もう一つは独居老人。全国で百十四万七千人おりますけれども、独居老人、ひとり暮らしの老人がお亡くなりになって一週間も十日も、場合によっては一カ月も二カ月も発見されずにいて、という事例も新聞で見られるわけであります。大変悲惨なこと、お気の毒なことでございますが、そうした独居老人の安否を確認すると言ったら、余りにも具体的な、露骨な言い方になるのだけれども、そうした制度というか、ボランティアというのかな、むしろボランティアでやる以外にないのだろうと思うのだけれども、独居老人がきょうも元気かな、何か困っていることないかなというような、確認をするシステムというものを厚生省はどういうふうにお考えになっているか。それが三つ目です。
それからもう一つは、一月十五日が成人の日ですね。私、これは市町村名は言いませんけれども、ある市町村の青年から終わった後で相談を受けたのです。実は、成人式典があるので、それを記念するために献血運動をやろうと思った。公民館か公会堂の前に献血車に来てもらって、二十歳の我々が献血をしたいということを考えた。ところが相手が、祭日なものだから受け入れ態勢がないということでできなかった。私は、これは強制的にやれとかなんとかということじゃなくて、二十になった青年がそういうことを考えただけでも大変うれしいことだし、すばらしいことだと思う。そうした成人の日の献血運動に対して、もし献血をしたいというような希望があった場合に受け入れられる態勢というものをつくってもらえないだろうか、こう思うわけですけれども、以上四点、まとめてお尋ねをいたします。
-
○今井国務大臣 まず第一点の婦人の厄年の健診の話でございます。
御指摘の趣旨は、日ごろ健康診査の機会に恵まれない婦人に健康診査の機会を与える必要があるという、そういう御趣旨であろうと思います。実は、現在既に十八歳から三十九歳までの主婦などを対象にいたしました婦人の健康づくり推進事業による健診を行っております。また、四十歳以上の女性につきましては、御案内のように老人保健事業によります健診を、子宮がん検診につきましてはこれは三十歳以上でございますけれども、やっているわけです。これを毎年一回定期的に実は健診を受けるように皆さんに呼びかけているわけでございます。
それで、厄年と申しますのは、恐らく一つには、体の異状が生じやすい年齢であるから用心しなさい、こういう意味もあるのではないかと思いますが、この点に着目いたしまして、いずれにしても健診の機会に恵まれない婦人のための厄年健診を設けるべきだという御提案は、着想としては私はまことに御示唆に富んだものだと思っております。そこで、厚生省といたしましては、婦人のいずれにしても受診率をさらに向上させるために、例えば厄年に当たる方や、それから誕生日を迎えた方々に受診を特に呼びかけるなど、啓蒙啓発活動に工夫するよう今後の施策の推進に対しまして市町村を十分指導してまいりたい、こう考えております。
それから独居老人の問題でございますが、御提案の、独居老人の御機嫌コールというようなものは、老人の安否の確認と同時に、孤独感に悩まされます老人の孤独感の解消というものに役立つものでありまして、一つの私はすぐれた方策であろうと思っております。
そこで、ひとり暮らしの老人対策としましては、従来から老人クラブ活動などによりまして孤独感の解消と社会参加の促進に努めているところでございますが、御提案のような方法のモデル的な実施を含めまして地域の実情に即した適切な方策がとられますよう、今後さらに施策の充実について十分検討してまいりたい、こう考えております。
あとの二点につきましては政府
委員から答弁させます。
-
○黒木政府
委員 がんの予防検診でございますけれども、従来から市町村を指導いたしましてその充実を図っているところでございますが、どうしてもがんの検診を効果的に実施していくためには地域地域の実情に応じた検診体制が必要だろうということで、私どもとしては集団検診の形、それから保健所の実施による形、そのほか、先生御指摘の医療機関受託による形をとっているところでございます。医療機関受託の場合にはどうしてもその検診費が問題になるわけでございますけれども、診療報酬の改定があるたびにその引き上げを図るなど努力をいたしているところでございます。
今後とも、市町村が医療機関受託を含めまして地域地域の実情に応じたがんの検診方法がとれるよう指導してまいりまして、がんの検診の充実が図られるよう努めてまいりたいと思っている次第でございます。
-
○
小林(功)政府
委員 御質問の第四点の献血の件につきましてお答え申し上げます。
献血は、言うまでもなく国民の理解と協力に基づいて行われるものでございますから、休日、祝日におきましてもなるべくこれらの善意にこたえることができますように今までも日赤を指導してまいったところでございます。その結果、相当、休日、祭日でもオープンしているセンターがふえてまいりました。
ちなみに数字を申し上げますと、先ほど成人式のことをおっしゃいましたので、一月十五日だけについて見ますと、全部で七十四センターある中で約九割がオープンをしております、一割がクローズド、こういうことでございます。それから、年間通して見ますと、七十四センターの中で七十三センターが何らかの形で休日、祝日でも開いている。一カ所を除きますと全部何らかの形で開いている、ここまで参ったわけでございます。ただ、ごく一部ではございますけれども、このように休日、祝日の受け入れがまだ行われていない施設があることも事実でございます。聞きますと、職員の確保の問題とか、いろいろ難しい問題があってそういうことになっているように聞いておりますけれども、ただ、せっかくの善意の献血でございますから、そういう善意におこたえできますようにこれから態勢を十分整えますように日赤とも協議して、努力をしてまいりたいと思っております。
-
○
二見委員 与野党合意事項については以上で終わりたいと思いますが、どうか与野党合意事項を政府の方としても忠実に履行してくださるようにお願いをいたします。
それから、文部大臣にお尋ねをいたします。
実は、先日放送大学の
加藤秀俊さんといろいろなお話をしたときに、
加藤さんがこう言うわけです。外国人で正規に学校教育の中で日本語を学んでいる人は、国際交流基金か何かの調べによると五十六万人なんだそうです。その周辺の、正規の日本語教育ではなくて、例えば日本語塾とかあるいは日本の企業に働いているために自然に日本語を覚えたというような人を入れると、推定で三百万人ぐらい東南アジアを中心にして世界にいるのじゃないか。この趨勢でいくと二十一世紀には一千万人ぐらいに日本語をしゃべる外国人がふえるのじゃないか。かつて明治の時代に、我々の先達たちが翻訳物ではなくて向こうの横文字を原典で読みたいという気持ちが日本の明治にあった。同じようなことが、翻訳ではなくて日本語そのもので例えば専門書を読みたいとかということがこれからどんどん出てくるだろうという話がありました。いわゆる世界語としての日本語というのがこれから問題となるか課題になってくる時代だ。
ところが、それに対して日本語の教師というのが不足しておる。私も非常に不勉強だったものですから、
加藤さんに、どうですか、私も日本語をしゃべれるし標準語もしゃべれるから私でもできますかと言ったら、そんなことだめだ、それはまた別なんだ。東京外語大と筑波大と何カ所かに日本語教育学科とかというのが設置されているぐらいなもので、恐らく需要に追いつけないのではないかということでございますが、そうした日本語教師を育成するということについては文部省はどういうふうにお考えでしょうか。
-
○海部国務大臣 御指摘のように、世界で今、日本語の研究、日本語を会得するために何か組織をつくれ、教師を派遣しろ、そういう御要望が非常に強いことはよく理解をしております。
現在我が国の大学では十九の学校で日本語教員の養成を行っておりますし、また専修学校とかその他各種の学校で計三十七校、合わせて五十六校で日本語教員の養成をしておるところでございます。そして国内では、今先生御指摘ように、今年筑波大学並びに東京外国語大学に新たに日本語学科を設けましたし、必要性を感じまして、今御審議をお願いしておる六十一年度の予算案の中では、大阪大学、広島大学、お茶の水女子大学、横浜国立大学、それらのところに日本語教員の養成科を新設する予定でございます。
-
○
二見委員 実は文部大臣、その
加藤さんとの話の中に、これは日本の学校教育も考えなければいけないかなと思ったのは、こういうことなんです。
加藤さんが言うには、
加藤さんのお知り合いでカイロにいた人がいるらしいのですね。ですから、子供がお父さんと一緒にカイロへ行った。五年間そこにいた。当然エジプト語を子供が覚えたわけです。日本に帰ってきた。そうしたら日本ではどういうことになっているかというと、日本の学校では、カイロで覚えたエジプト語なんか忘れてしまえ、役に立たない、そんなものを覚えるよりも、英語、数学、国語、社会、受験に必要なものだけを覚えろ、そうしなければ日本の社会には適応できない、こういうふうに言われて、子供の時代にせっかく習い覚えた貴重なエジプト語を忘れさせられている。これは大変もったいないのじゃないかというのが
加藤教授の意見でありまして、私も全く同じなんです。
国際化というのは遠いところにあるのではない。偉い人たちがヨーロッパへ行けば国際化ではなくて、まさにそういうところから国際化というのは始まるんだと思うのです。そういう点では帰国子女の教育の問題も絡んでくるのだろうけれども、この点はやはり日本の学校教育の中で、子供の時代に覚えたエジプト語、アラビア語、そうしたものを忘れずに済むようなことは考えていただきたいと思う。それが一つです。
もう一つは、私たちもヨーロッパや東南アジアヘ行って向こうの日本人と話をして疑問に思うのは、二つありますね、一つは現地の公立学校に入れるというのと、むしろ日本人学校をつくって日本の受験勉強に合致したような教育をやってくれという、まさにこれは親の価値観の問題で政治の力ではいかんともしがたい問題なんだけれども、日本の大学進学に合わせた受験勉強も現地の日本人学校で必要だというのは、確かに現実的にはそうなんです。けれども、向こうの現地の公立学校に入って現地の子供たちと一緒になって勉強する、その原体験の方が数十倍すばらしいのだと思うのだけれども、そうしたことについての文部大臣のお考えはいかがでしょう。
あわせてこの問題は、国際化は大変中曽根総理のお得意の分野でもございますので、御感想を承りたいと思います。
-
○海部国務大臣 最初の御指摘の点ですが、私はそういった子供は非常に貴重な存在で、今エジプトの例を出されましたけれども、これは商社とかあるいは外務省とか専門的にそういったいろいろな国の言葉を使う人を必要としていらっしゃる部面もたくさん職業の中にはあろうと思いますし、相互理解のために、そういった国で身につけられたことが、今直ちに日本の学校教育の中で役に立たないということはあるいは御指摘のとおりかもしれませんが、しかし長い目で見ますと、その人の生涯を通じて、あるいは日本とそれらの国との相互依存関係を深める意味において、言葉を通じての理解ができるということは貴重なことでありますから、よくそのことは勉強させていただきたいと思います。
二つ目の問題は、やや一般論になりますが、世界じゅうにあります日本人学校、私はそこの国で、ドイツでもイタリアでもイギリスでもいろいろなところにありますけれども、みな現地の言葉を覚え、現地のお友達をなるべくたくさんつくってくれることが非常に望ましいことだと思っております。ただ、学校によっては、御指摘のように日本人学校の教育の中で、日本へ帰ってからの進学を思い、受験勉強的なことに没頭される方もあるという報告等も聞いております。
そのために、帰国子女の取り扱いの中で、特にまず各大学などはもう少し門戸を開くべきではないか。早稲田大学や成蹊大学や国際基督教大学や、名前を挙げれば随分ありますけれども、何%かの帰国子女の枠を設けて対応しておる学校も現に出てまいりました。あるいはまた、高校レベルなんかにおきましても、帰ってきた人が、親の転勤なんかで帰ってきた人ですからこれはもう特別に、定員定員と言わないで、教育に支障のない限り受け入れるようにしなさいという指導等もしておりますけれども、いずれにしても、外国でその国の文化に接してその国の言葉を身につけるということは人生において貴重な経験だと思いますので、それを大切に生かしていかれるように、ネックは帰国してからの入学だと思いますから、その点の研究をさらに続けさせていただきたいと思います。
-
○中曽根
内閣総理大臣 文部大臣がお答えしたとおりでございますが、貴重な体験や宝をぜひ生かすように努力してまいりたいと思います。
-
○
二見委員 ありがとうございます。
ただ文部大臣、そういう言葉を商社や外務省が必要とするのじゃないかというお話がありました。私もそうだと思ったのですけれども、
加藤教授に言わせると、
加藤教授のところにこういう相談が、ある商社からあった。アラビア語をしゃべる学生が欲しい、向こうで育った日本人でどうですかと言ったら、いやそれは困るのだ、日本の大学の経済学科か何かを卒業した者でアラビア語をしゃべる若い人が欲しい。
加藤さんは、そんなのがいるわけがないじゃないか、商社がそういう感覚でいる間はだめだ、こういうふうに私に語っておりましたこともあわせて申し上げておきたいと思います。
文部大臣にもう一点お尋ねしますが、実は午前中国鉄の広域異動についての議論がありました。私は広域異動についてどうのこうのという議論をするわけではありません。運輸大臣、ですから運輸大臣の出番ではないのです。ただ、我が文教部会で全く文教の立場から議論が出てまいりました。大勢の人がいわゆる政策異動をする。小学校、中学校はともかくとして、政策異動する場合に、高校生が果たしてうまいぐあいに転校できるのだろうか。九州にいたときは私立高校だった、こっちでは公立高校ということもあり得るだろうし、その転校の点については一体どうなるのだろうという、全く文教サイドからの疑念があったことを申し上げておきたいと思うのです。その点について、もちろんそうなれば文部大臣の管轄だと思いますので、御見解を承りたいと思います。
-
○海部国務大臣 保護者の職場異動に伴って、その家庭のお子さんが学校もスムーズに転入学できるということは大切なことだと思います。特に高等学校のことを名指しで御指摘になりましたが、今一般的なことをまず申し上げますと、単身赴任される方の理由の大きなものに子供の教育ということがございます。そこで、転入学の試験の時期を複数にしなさい、これは指導いたしました。それから、きょうまでその高校の持っております定員以上には入れないと言っておったのを、教育条件に照らして支障がないと判断する限り入れなさい、こういう指導もしまして、なるべく高校の転入学ができるようにしておるのです。
今、具体的に御提起になりました国鉄の広域異動というのですか、それは恐らくこれから固まってくるでしょうが、具体的に固まってきて、この地方、この地方には大体どれくらいということが概算出てくるだろうと思うのです。そのときには運輸大臣ともよく相談いたしまして、その地域の教育
委員会、その地域の高校に対して、特別枠をつくったり、そういった特別な配慮をして、なるべくスムーズに勉学の機会が提供できるように一生懸命頑張るつもりでおりますから、御理解をいただきます。
-
○
二見委員 早稲田大学雄弁会のお二人でございますので、スムーズにいくだろうということを期待いたしております。
さらにもう一点、文部大臣、何度もおみ足を運んでいただいて済みません。
我が党に
有島重武という代議士がおりまして、非常にユニークな発想もあり芸術家でもございますが、彼が、これからの国際化ということを考えて、こういう提言をしたのです。高校生の異文化交流実践を促進してはどうか。具体的には、高校生が外国人の友達を一人持とうじゃないかという提言であります。そのために青少年国際文化交流センターを各都道府県に設置してはどうかとか、そういう提案をしておるわけでございますが、そうした高校生が異文化と接触、交流するために、外国人と交流を重ねるということはすばらしいことだと思います。自民党でも、例えば
柿澤弘治先生は自分の家にホームステイさせたり、新自由クラブの環境庁の政務次官をやっている小杉さんなんかも自分のところへ学生を呼んでおりますね。私も一昨年、カナダから男の子を一カ月間ホームステイさせたのだけれども、それは苦労も大変だけれども、そうした交流を通して得た子供たちの財産というのも貴重なものです。私はここでホームステイの話をしているわけではなくて、高校生がそうした外国の男の子か女の子あるいは大人がわからないけれども、外国人と、英国人に限らない、ペンフレンドでもいいから、そういう交流をしていくということ、それを推進していくということが非常に大事なことだと私は思っておるわけでございますけれども、そうした
有島議員の提案に対してどのようなお考えを持っていらっしゃるか、これもあわせてお尋ねをしたいと思います。
-
○海部国務大臣 お考えは基本的に私も全く賛成でございますし、でき得れば、五百二十万近くおります日本の高校生がみんなペンフレンドを持って文通するとか、あるいはその中から、今でも選ばれた人は民間団体の交流で相互訪問して接触もしておりますし、また一部の高校は近隣諸外国へ修学旅行に出かけていって、非常に多くの感動を受けて帰ってきたという報告等も受けております。
私どもは、今のを御提言と受けとめまして、いろいろ研究しまして、それぞれの学校なんかをも指導しまして、できるだけそういう接触を深めて相互理解を高めるようにやってまいりたいと考えます。
-
○
二見委員 それでは、別の問題に移りたいと思います。
私は、いわゆる先端産業というものがこれから日本の産業の中枢になっていくだろうと思います。特に最近のICの成長というのは目覚ましいものがありまして、集積度では
昭和五十七年が十六キロビット、五十八年から五十九年にかけてが六十四キロビット、昨年は二百五十六キロビット、既にもう一メガビットの時代に入っております。生産額でいきますと、半導体素子は
昭和五十八年に四千二百六億五千百万円、前年度比一一六・九%、五十九年は六千六十六億八千万円で、前年度比一四四・二%、六十年度は六千六百四十二億二千万円で、前年度比一〇九・六%、急成長でございます。その中でもICは、
昭和五十八年一兆千三百九十五億二千三百万円、前年度比一三八・五%、五十九年が一兆八千六百四十二億二千万円、前年度比一六三・六%、六十年二兆三千百三十五億円で、前年度比一二四・一%。これは野村総研だと思いますけれども、某経済研究所の予測によりますと、エレクトロニクスの需要は、
昭和六十年が十八兆円、
昭和六十五年が三十二兆円、
昭和七十年が五十七兆円、西暦二〇〇〇年の七十五年は百兆円だ。全生産業の産出額に占める比率は、
昭和六十年には八・八%だったけれども、二〇〇〇年には二七・九%になるという予測も行われておりまして、まさにこれからの日本の産業経済の中枢になってまいります。私は、こうした先端産業というのがこれから健全に伸びていくために、先端産業に伴う環境問題というものもあわせて考えておかなければならないのではないか、具体的に今何が起こったというのではないけれども、将来起こるべきことが起こらないようにするために、今から考えておかなければならないというふうに考えております。
それで、環境庁にお尋ねしますが、環境庁は
昭和五十七年度に浅井戸千八十三、深井戸二百七十七、計千三百六十サンプルから地下水汚染の実態調査を行いました。その結果、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、これは千百八十二サンプル、全体の八七%、トリクロロエチレン三百七十九、全体の二八%、テトラクロロエチレン三百七十二、二七%、クロロホルム三百五、二二%、それから1・1・1トリクロロエタン百八十六、一四%という結果が出てきたわけであります。私は、これらの化学物質による汚染というのはすべてがすべて半導体産業によるものだとは思っておりませんけれども、今後半導体産業の進展に従い使用される有害化学物質による環境汚染というものについては注意をしていかなければいけない、監視をしなければならないと思いますが、環境庁はそうした有害化学物質による環境汚染の可能性についてはどのような認識を持っておられますか。
-
○森国務大臣 おっしゃるとおり、
昭和五十七年、八年と地下水の汚染の実態を調べたわけでございますが、確かにトリクロロエチレン等の化学物質の問題がございました。私どもとすると、直ちに五十八年にこの地下水の保全対策の調査を開始いたしまして、三年かかってやります。六十一年に最終の結論が出ると思いますので、それまで待ちまして、至急にやるのですが、ただ便々と待っているわけにいきませんもので、今は暫定措置を講じておるところでございます。
-
○
二見委員 アメリカのシリコンバレーで環境汚染が発生いたしまして、企業の中には土の入れかえをせざるを得ないところも出ているという報道も私は聞いております。有害化学物質による環境汚染問題というのは、一たん深刻な汚染が生じた場合には、その復旧が極めて困難であるという性格を持っております。したがいまして、中長期的な観点を踏まえて、その未然防止を図ることが特に重要でございますし、日本にとってまさに今から手をつけなければならない、検討しなければならない重要な分野だというふうに私は思っております。
今、
環境庁長官から御答弁があったわけでありますけれども、環境庁は五十七年度に行った調査では、地下水の汚染源の究明はしておりません。私は究明はできたはずだと思いますけれども、してはおりません。今、六十一年度にかけて地下水質保全実態調査を実施中でございますけれども、この場合、徹底した汚染源の究明までも含めて結果の御報告はなさいますか。どうでしょう。
-
○森国務大臣 この問題に関しましては、大変深刻な問題だという見地から、ことしの一月に環境庁の事務次官以下アメリカに参りましたときに、二人の
課長をシリコンバレーまで派遣いたしまして、その社会的な問題についても相当なものであるという認識を持って帰ってきておるわけでございます。したがいまして、六十一年の結果が出たところで、制度を含めて考えてみたい、こう思っております。
-
○
二見委員 テクノポリス構想というのがありまして、あちらこちらでテクノポリス構想に基づいた町づくり、産業誘致が行われているわけであります。それまでは、先端産業というのは無公害だという信仰みたいなものがありまして、テクノポリス構想に賛成をしてきたところもあるわけでございますけれども、私は、陰の部分に今目をつけていかなければならないのじゃないか、陰の部分をきちんとすることが先端産業を誘致しようとする地方自治体にとっても必要なのじゃないかというふうに思って、実態調査と同時に汚染源の究明も私は要求したいわけでありますが、じゃ、重ねてこの点についてお尋ねしますけれども、
環境庁長官、この地下水汚染と半導体産業との関係がどうなっているのか、IC産業が地下水汚染にどの程度かかわっているのかということは、六十一年度の実態調査の中で、公表の中で明らかにされますか。
-
○森国務大臣 もちろん明らかにいたしたいと思います。
-
○
二見委員 労働省、お尋ねいたしますが、半導体産業において有害なガスの吸入などによる事故はどの程度あるのか、ここ五、六年の間で結構ですから、もし数字があったらお示しをいただきたいと思います。
それから、それはどんな化学物質による中毒事故なのか、これらもあわせてお答えをいただきたいと思います。
-
○小粥(義)政府
委員 半導体産業におきまして、
昭和五十四年から現在までの間に有害なガスの吸入などによりまして発生したと思われる労働災害の件数としては九件把握いたしております。
その被害の状況ですが、死亡が五名、中毒が八名、負傷など六名、計十九名の労働者が被害を受けている。その災害のタイプでございますが、酸素欠乏災害が五件、化学物質による中毒災害が三件、火災が一件ということでございまして、その中の中毒の原因となった化学物質としましては、トリクロロエタン、トルエン、メタノール、それと砒素といったものがございます。
-
○
二見委員 こうした化学物質による労働災害事故というのは、環境問題のまず前哨戦といいますか、前段階だというとらえ方もあるわけでございますけれども、労働省は、いわばこうした化学物質による労働災害に対しては、今後どのような対応をされていきますか。特にIC産業がこれから急成長しますと、野放しというわけにいかないだろうし、どういうふうな対策を今度講じられていきますか。
-
○小粥(義)政府
委員 半導体産業で使用いたしますいろいろな有害物質、これも範囲がいろいろたくさんあるわけでございますが、現在まで私どもとしましては、労働行政の中では、いわゆる労働安全衛生法に基づきまして、これに基づく各種の規則がございますが、そうした有害物質を取り扱う設備の規制であるとか、それから取り扱う作業の取扱作業規程といったものを使用者に作成を義務づけまして、労働者が安全な形で作業に従事できるようにする、あるいはそういう設備の自主点検といったことも、それらの規則に基づいて、事業所に対する監督に当たっているわけでございますが、ただ規制物質の範囲がまだ全部押さえられているとも言えない面がございます。したがいまして、六十年度から二年間でそうした規制の対象になっておりません物質についても調査研究をいたしまして、これは同時に、そうした作業環境の測定の方法であるとか、そうした有害物質にさらされた労働者のいわゆる特殊健康診断の項目であるとか、そうしたこともあわせ検討しなければなりませんので、一応二年の期間を目安にしまして、調査研究に当たっているところでございます。
-
○
二見委員 通産省、お尋ねいたしますが、やはりこうした有害化学物質に対する事故あるいは環境問題を未然に防ぐという意味では、物質収支というものをきちんと把握しておく必要があるのだと思います。通産省は、半導体産業で使用されている有害物質の使用量、それから回収され再利用される量、環境に放出される量、これはいわゆる物質収支ですね、こうした物質収支についてはどのような考え方を持って、ちゃんと把握しているのかどうか。また、今後いわゆる半導体産業に対しては、この物質収支をきちんとすることを義務づけることはお考えになっているのかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
-
○杉山(弘)政府
委員 御指摘のございましたような半導体製造工程におきます有機溶剤の使用による環境汚染の可能性というものが問題になってまいりましたので、私ども昨年の五月に、一昨年一年間におきます半導体産業におきますトリクロロニチレン等三有機溶剤につきましての使用量、それからおっしゃいますような環境に排出される量といったものを調査をいたしました。
その結果でございますが、三溶剤の中で一番使用量の多うございますトリクロロエチレンでございますけれども、これを例にとって申しますと、使用量の約三七%が系外に排出されているという結果を得ております。御案内のように、こういった溶剤は極めて気化しやすいものでございますので、そういう経路を通じて系外に排出されているということでございます。
それに対する対策はどうか、こういうお尋ねでございますが、これにつきましては、まず、五十九年の二月に工場からの排水によります地下等への漏出防止という観点からの指導を行いましたが、さらに五十九年の八月でございますけれども、地下浸透させる場合、それから公共用水域等へ廃水を排出する場合、これにつきましての暫定的な基準をつくりまして、その遵守を要請いたしております。また昨年の七月には、各工場におきますこれら有機溶剤につきましての適正使用を行うためのマニュアルというものを学識経験者を中心につくっていただきまして、これの周知徹底を図り、取り扱いの厳正を期している、こういう状況でございます。
-
○
二見委員 すると杉山さん、要するに半導体産業では、そうした物質収支については個々の企業に対してきちんとした義務づけというか、やるようにしていくわけですか。やっている企業もあればやってないところもあるらしいのだね、これは。どうですか。
-
○杉山(弘)政府
委員 当面ただいま申し上げましたような格好で環境汚染を極力防止するための措置をとっているわけでございますが、さらに、今度の国会に特定化学物質の審査等に関する法律の一部改正案を御提案を申し上げておりまして、従来、御案内のように難分解性、蓄積性、毒性、この三要件を備えたPCBのような物質だけを規制対象にいたしておりましたけれども、今回は毒性とそれから難分解性、この二要件を満たすものにつきましても、この法律によりまして、事前の使用等の届け出、また状況が環境汚染を厳しくするような状況になりました場合には、製造、輸入等につきまして、数量的な制限も行わせるというような法律改正を考えておりまして、御提案を申し上げているところでございます。
-
○
二見委員 化審法の改正、私一歩前進だと思っております。しかし、これは化学物質に対する入口でのチェックですね。物質収支というのは、これは出口でのチェック、両方やるべきだというのが私の考えなんですけれども、今あなたは入口の話をされた。出口の方も各企業できちんとやってもらいたいと思っておるわけです。そのことを要望申し上げておきます。
それで、この問題についての締めくくりの意味合いを持ちますけれども、総理に御答弁をお願いしたいわけでありますけれども、今国会化審法は参議院先議ですね、参議院先議の化審法改正というのは、私は一歩前進だというふうに思っております。日本の国は技術立国でございます、技術立国が日本の国策でもございます。そういたしますと、ハイテク開発というのは当然の必然的な日本の進むべき道だというふうに思っております。それだけに、私は半導体産業に伴う環境問題というのは今から手をつけなければならない、環境対策というのは後手に回るとそのツケが大変大きくなるから、今のうちからやっていかなければならないと思います。
特に、ICの分野では、集積度を高めるためにガリウム砒素を使うということがこれから出てくるわけです。それが野放しで町へ出ていくということになると、やはり大変なことになるんではないか。私は玄人じゃないからよくわからないけれども、カリウム砒素を使うということになると、それなりの環境に与える影響性も大きな問題になってくるだろうと思います。
私は総理大臣に、まさにこうした環境問題というのは、公害基本法をつくったときには余り予想はしてなかったことですね。あのときは典型公害で、騒音だとか悪臭だとか振動だとか大気汚染だとかということが中心の議論だったものです。環境問題が、私は新たなる段階に来たんじゃないかと理解しております。どうでしょう。ここら辺で、水質汚濁防止法、大気汚染防止法その他公害関係法制というのがございますが、これを新しいハイテク時代に備えて、今の段階から研究し、調査し、そして見直すべきものは見直すという体制をつくっていかなければならないんじゃないかと思いますが、この点に対する総理大臣の御所見を承りたいと思います。
-
○中曽根
内閣総理大臣 環境問題もおっしゃるように新しい観点から何回も見直さなきゃならぬと思います。我々も過去において、産業関係においては有機性の銀であるとかPCBであるとか、苦い経験もしておりますから、それを繰り返さないように、今の御発言を尊重いたしまして、よく研究させてみたいと思います。
-
○
二見委員 半導体産業の話をいたしましたので、これに関連する質問を通産大臣と文部大臣に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
というのは、私はいわゆる先端産業というのは日本の経済、産業の中核になるべきだと思っております。そうなるためには当然それに応じた教育機関というのが必要になってくるだろう。実は、私のところには、車で十分か十五分行きますと、筑波研究学園都市がありまして、いわばその方の専門家ばっかりが集まっております。それぞれの機関が独立していろいろやっておるわけですけれども、そうした知識もどこかへ集められて有効利用できればいいなということを考えておるわけでございますが、そうしたことも含みながら、先端技術を推進するための大学というか研究機関というものを文部省としてはどうお考えになっているか。
それから、通産省も半導体産業の所管の省庁として、そうした研究者の育成あるいは学生の教育、こういうものについてはどういうお考えを持っているか、両大臣からお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
-
○海部国務大臣 御指摘のような時代の要請、新しい学問研究分野、それに対応しますように、ただいま主としていろいろな学校の既存の学部を改組したりしておりますし、またより高度な研究のために、例えば九州大学とかあるいは長岡技術科学大学とか
岡崎の分子研とか、いろいろなところに大学院の後期課程も置いてハイテクノロジーの人材養成に鋭意努力しておりますが、これらの共同利用機関をそのままばらばらに置いておったのではまとまりもございませんので、それを母体にして活動させながら独立の連合大学院をひとつ設置しよう、こう考えまして、今その設置調査をしておるところでございます。
-
○
渡辺国務大臣 まず、先ほどのトリクロロエチレンのお話が、半導体だけで使っておるようにちょっと思われがちなんですが、約十数%が半導体、あとは洗濯その他全国的にばらまかれておりますから、これは各省庁でよく連絡をとって被害にならないように未然に防止する必要がある、そう思っております。
それから、日本は国際的に開かれた国際国家でもございますし、先進国家でもございますから、今後とも創造的、基礎的技術に関する開発体制というものを、そういうような意味で各国とよく連絡をとりながら、産学官の連絡をよく密にして進めてまいりたいと思っております。
-
-
○小渕
委員長 これにて
二見君の質疑は終了いたしました。
次に、
吉田之久君。
-
○
吉田委員 いよいよ総括締めくくり質問になったわけでありますが、私は、この時点におきまして、特に総理と海部文部大臣にこの点だけはひとつはっきりと御見解を表明していただきたいと思う問題がありますので、まず初めにそれを伺いたいと思います。
それは、本
委員会のきょうまでの各党の質疑の中で、今後の大学入試のあり方について総理のお考え方と文部大臣のお考え方との間に違いがある。それは微妙な食い違いのようにも思えますし、あるいは報道などを通じて読むときには、まだかなり決定的な意見の対立てあるような気もするわけなんでございます。現にことし大学を受験する学生たち、あるいはここ近年のうちに大学を受験する学生たち、その父兄あるいは教育関係者あるいは問題の受験産業の関係者あるいは大学入試改革協議会の先生方、いろいろな方々にとりましても、このお二人のこの問題に対する見解がどこで接近し、どこで食い違っているのか、その辺をこの機会にひとつ明確に承っておかなければならないのではないかと思うわけなんでございます。
具体的に申し上げますと、これは三月三日の読売新聞でありますけれども、「首相「新テスト」なお疑問表明 大学入試改革」という見出しで、
中曽根首相は二日、東京・新宿区の日本青年館で開かれた自民党婦人部活動者研修会で講演、大学入試改革について、「海部文相の立場もあるが、実質的に私の言うことが実現できるようにやりなさいと、文相を激励した。入学試験はどうしても変えなければいけない。偏差値、輪切りはやめなければいけない」と述べた。
首相はさきに、衆院の予算
委員会で、六十四年度実施予定の共通一次試験に代わる新しい入試へのマークシート方式導入を批判、波紋を呼んだ。その後、首相は海部文相と会談、「共通一次テストの弊害が是正されるなら、新テストそのものに反対するものではない」として文部省との調整を図ったが、この日の首相の発言は、偏差値偏重教育をもたらすものとして、マークシート方式導入、さらに新テストの性格になお疑問を抱いていることを表明したものとみられる。
報道のニュアンスはそれぞれにあると思うのでございますけれども、このことにつきまして、最初にひとつ総理のお考え方を明確に承っておきたいと思います。
-
○中曽根
内閣総理大臣 私と文部大臣の考えには差はございません。私がこの
委員会で述べましたのは、私が年来保持しておる教育の理念及びその理念から発する試験や何かに対する自分の基本的な考え方をここで大胆に申し上げたわけです。そういう理念や私の期待、希望に沿って文部省はできるだけこれを実現するようにやってもらいたい、そういう趣旨で言ったわけです。現在、文部省におきましては入学試験問題に対する協議会をやっておりまして、関係者等を集めて具体化の検討を行っておるわけで、その過程においてこれをぜひ織り込んでもらいたい、そういう強い希望を文部大臣に出した、その期待を表明した、こういうことであります。
そこで、具体的なことはどういうことであるか。基本的には、入学試験という問題はもっと温かい、人間性を持った、そうして考える人間というものを大事にする試験方法に変えてもらいたい、そういうことが基本ですね。それで、今までの弊害と言われておるような偏差値であるとかあるいは輪切りであるとか、その原因をなしておるマークシート方式とか、そういうような問題をかなり実質的に改革したらいいでしょう。そういう意味で偏差値を助長しない、輪切りは行わない。
それからマークシート方式にいたしましても、十五題、二十題というふうに多くの問題を羅列的に出して、そして反射神経を使わなければ時間的に間に合わないようなああいうやり方をやめて——マークシート方式でもよろしい。しかしマークシート方式をやっていても、考える出題ができる。やっている学校もあります。私のところへ、ある大学の先生が私の発言を読んで、自分の大学はこういうことをやっていますというのを送ってくれました。それを見ますと、なるほどこういうやり方もあるんだなと思いました。自分もそういうことは可能であると思っておったのを実証されたわけでございます。ですから、十五題、二十題というふうにだっと出して大量生産的に処理していくというやり方ではなくて、たとえ出題は三題でも二題でもいい、その中をいろいろ区分けして、そうして考えてマル・バツが出てくるというようなやり方で、考えた結果が出てくる、そういう考えることを中心にする問題をつくってもらえば、それはいいわけです。今の状態でやるというと、鉛筆を立てて、おっこった方ヘマルとか、おっこった反対の方をカケルにするとか、そうすれば確率は五〇%だ。(笑声)いや、笑い話じゃなくて、生徒がそういうことを言っているわけですから、そういう弊害はもう直してもらう。そういう意味で、マークシート方式の大改革、大改善をやってもらおう。
それから、今ある通知の問題ですね。これも希望する者に通知してやったらどうだろうか。本当に受けたい、利用したいという人に知らせてあげるだけであって、全部知らせるとかなんとか、それはもう余分じゃないか。あるいは私学や官立大学にしても、やりたいという学校がやればいいのであって、やりたくない学校まで強制するなんということはとんでもないことである。官学にしても、全部これを適用しないで、部分的に利用してもいい、試験として。そういうことも可能ですわね。
それから、芸術大学のような人間の直観性というもの、感性を大事にするところは、ああいう暗記的な、知識的なものとは必ずしも一致しない面もある。基礎的にはそういう面が必要な面もあります、最低限のものは。しかし、それ以上のものは、芸術大学のような場合は、天分の直観、感性とかそういうものが非常に大事なわけなんですよね。そういうものを見分けるようなやり方を考えてみたらどうだろうか。それから、理科と文科でまた違いますわね、もう大学の課程に入るようになれば。歴史的洞察力とか文学的感性を非常に持っておる人間で、数学が非常にうまくないというのもありますわね。そういうような自分の特性、長所を最大限に引っ張り出してくれるようなやり方の大学もあっていいわけですよ。ですから、信州大学が独特のやり方をやって、大変評判がいいようであります。各大学がみんなそういうふうにやってもらったらいい。
それから、試験にいたしましても、やる時期をバラエティーに富んでやってもらおう。むしろ東京大学とか京都大学なんというのはボランティアで後ろの方に行ってもらったらいいのじゃないですかね。例えば今のはみんな例え話ですよ。そうしろと言うんじゃなくて、例えば今のような発想はどうだな海部君、そう言ったら海部さんは、御趣旨を尊重して私も努力いたします、最大限努力いたします、そう言いましたから、それじゃそれでぜひ努力してください、そういうことで一致しておるわけであります。
-
○
吉田委員 さすがに総理の、大学入試のあり方についての壮大な、かつ大変基本的な御意見、今度は集約的に承りまして、私も極めて同感でございます。私個人にとりましても、あるいは昔のノスタルジアと言われるかもしれませんけれども、もっと各大学が独自に、バラエティーに富んだ、そして本当に受験生の個性、特性を見出すような、そういう伸びやかな試験であってほしい、こういう考え方を持つ人は、総理を初めかなりの人たちがいると思うのです。
ただ、そうあるべき将来像に対して現実の改革をどう試みていくか。まず当面、来年度の試験をどうするのか、あるいは六十四年度以降のあり方をどうするのか、その辺のどこに焦点を当てて、文部大臣に真剣に考えるようにとお示しになっているのか、この辺が私どもには明確にわからないわけなんでございます。
また、総理のおっしゃること、一々ごもっともでございますけれども、昔と違って、マンモス的な大学にこれほど多数の受験生が殺到する。そういう中で、特に数学の試験なんか、審査する側としても、克明に見たい気持ちはやまやまであっても、マークシート方式のような形ででもいろいろと採点していかないと、もはや処理できないという現実問題もあってこういうことになっているのではないかとも思うわけなんです。この辺の目標に向かってのアプローチの仕方、まずどこでどうしろというお気持ちなのか、この辺をもう少し具体的にお話しいただけませんでしょうか。
-
○海部国務大臣 総理大臣がお考えになっておる入試改革に対する大きな理想と、それから、私の目指しております方向と、全く同じでございます。
総理大臣という高い時点で、ここだけは変えると指摘されました問題点の一つは、今も総理自身が申されたように、臨教審の第一次答申でも具体的に示しておりますように、偏差値による輪切りという、よくない言葉が出てきた大学入試制度を改めろ、そしてもう少し輪切り教育じゃなくて、一人一人の資質や個性や能力を大学も真剣に、自分の学校に受け入れる学生ですから考えろ、それから基礎テストは基礎として何か新しい方法に変えていけということでありますから、当面のところは、私は臨教審の答申の趣旨を踏まえて、ただいま改革協議会に各界の皆さんにお集まりを願って、どのようなものにしていくかという御検討を願っておりますが、先日も総理の御意向も承り、本
委員会の御議論等も踏まえて、協議会の方にもどうか偏差値に頼る輪切りの教育の弊害はなくしてもらいたい、このことは強く要請をいたしてあります。
それからもう一点はマークシート方式という試験のやり方でありますけれども、これについても臨教審の答申の中で改善をしろという指示が出ております。総理おっしゃるように、反射神経だけに頼ってやるというのじゃなくて、じっくりと物事を考えて、思考力がその中に出るように、人間的なテストのできるように、そんな内容に改善していくべきである、この御指摘もありますから、このことも改革協議会によく伝えでございます。
そしてこの報告を受けました段階で、私どもはそれをどのようにして一歩前進二歩改革したなら、この総理から要請されております二つの問題点等もどうやって改善していくか、受験生の立場に立ってどうしたら一番いいか、それらのことについては報告の結果を見てから具体的に進めていきたいと思っておるわけでございます。決して食い違いがあるわけじゃございませんし、総理の意向を体して皆が努力をしておる、こう御理解いただいて結構です。
-
○
吉田委員 大事なお二人の意見が基本的に合致しておるということを承りまして、私たちも大変うれしい気持ちであります。
ただ、先ほども申し上げましたとおり、そうだとして、現にある現状からどう改善してその目標に達していくか、そのプロセスでございますね、プログラムですね。まず来年は何をしよう、六十四年までにどうしよう、この辺のところを海部文部大臣、担当責任大臣として、今総理の意を受けながらどうしようと考えていらっしゃるのか。この辺があいまいでありますと、ただ総論としてあるだけだということになるわけです。
-
○海部国務大臣 ただいま行っております共通一次試験の制度の中で、少なくとも今の段階で法律改正とかいろいろなことをしなくても、担当しておる国立大学協会自身の努力によってできることもありますから、それは五教科七科目全部を受けなくても、国大協自身で五教科五科目と、今の制度の中でも来年からは変えていこう。それから偏差値による輪切り教育の弊害を除去するために、受験機会の複数化ということが盛んに言われましたが、このことについては国大協側も合意しておりまして、共通一次試験がスタートしましたときに、全部一律に同じ日に試験をやったがために志望校の変更という問題が出てまいりました。共通一次試験の結果を輪切りで全国に並べて、それによって大学の志望校を変えるというのは、これは私は順序が逆だと思っておるのです。
ですから、そういう受験生の立場を思うならば、当初から志す大学を複数にして、二つ受験できるチャンスを、本試験のときに大学側が努力しておつくり願ったらどうか。途中で志望校変更とか、輪切りのようにコンピューターで点数をつけて並べてしまうというようなことはやめたがいいというので、これはまだ結論は出ておりませんが、大体その方向で、来年からはそうなるように持っていこう、こう思っておるわけでありますし、また、そのことの御努力は続けていただいておるわけであります。
さらに、臨教審の答申を受けました本格的な新しいテストをどうするかという問題は、この七月に報告をいただくことになっておりますけれども、いろいろなこと等を考えて、できればもう少し早目に、せめて骨格だけでもお示しをして、いつごろからどんなところをどう変えるのか、そして安心をいただきながら七月の報告を受けて、さらにそれから詰めていきたい、こう思うわけであります。
いずれにしましても、強制的に全部使えとか、全部集まってこれをしろとか、点数にぶち込んで、全部いい子悪い子の順番をつけてしまうというのではなくて、「いいから使おうこのテスト」というようなことにして、いいテストをつくって、こんな魅力あるものだからどうぞ使ってくださいと言えるようなものになるように、一生懸命努力をしてまいります。
-
○
吉田委員 なかなか大臣はキャッチフレーズをつくる名人のようで、その点でも敬意を表します。
今一つの試みとして、国立大学の受験機会を複数化していこう。大変いいことだと思うわけなんでございます。今ここに一つの本があります。「大学世界」という権威ある雑誌であります。この中で、前東京工業大学の学長でいらっしゃいました松田武彦教授がスピーカーとして、入試制度改革についてのシンポジウムでいろいろと御発言をなさっております。それをずっと読みますと、この方は既に現職を離れられたわけでありますけれども、
実は私は入試改善特別
委員会の在任中に「複数化」だけを決めて退陣したわけであります。その後の状況を聞きますと、大騒動になっているということで、国立大学の学長にお会いする度に「お前はエライことを決めていなくなっちゃった」と言って怒られています。
これも春をメドに一、二期のグルーピングを行います。三期という特例も出るかもしれませんが、旧一期・二期校のイメージを復活させないで各大学で話し合いをして実現する。私は任期の最後の学長会議で、最後は抽選ということを申し上げましたら、「安易である」と怒られましたが、話し合いができなければ抽選もやむを
得ないと思っています。こういう告白をなさっておるわけでございます。私はそのとおりだと思うのです。
なかなかに、いろいろと歴史と伝統を誇るこの大学の今日までの群がりの中で、優劣が事実つきはしないと思うのですけれども、そういうイメージが過去に残っております。よほど思い切って大臣、総理がおっしゃっているのでございますから、一応ごちゃまぜにしてバランスをとる、あるいは天下の東大も後ろに回るとか、そういう思い切ったことをやらなければ、これはなかなか、構想はよかったけれども、結果は結局今までどおりのものであった、受験生や国民に対して大変失望を与えることになってはならないと思うのです。この点、総理の先ほどのお言葉を受けて、大臣はどうお考えでございますか。
〔
委員長退席、
渡辺(秀)
委員長代理着席〕
-
○海部国務大臣 ただいまも
委員御指摘のように、一期校、二期校の制度が定着固定化しておったことに対する反省等も踏まえて、今大学協会側で自主的に、どうしたらバランスのとれた前期、後期の仕分けができるのだろうか、抽せんよりも、やはり大学ですから、お話し合いによって納得のいく方法で、それは永久固定的なものでなく、年によって流動するというようなことがあっても、あるいは地域によって機会が複数になるように配慮しなければならぬ点もございましょう。もっと、もう一歩進んで希望を述べれば、学校ごとの中にやはり一次と二次試験の枠というようなもの等も考慮によって考えていただいたならば、機会は二度がさらに三度になる可能性も出てくるというような希望等をできるだけ申し上げて、今大学協会で鋭意検討を続けておっていただきますが、私どもの希望を組み込んだ措置をしていただけるものと期待をいたしております。
なお、先ほど答弁のときにちょっと申しおくれましたので、もう一つだけ追加させていただきますが、今までの共通一次試験にかえて輪切り、偏差値の教育をやめるという御指示もあり、お考えもあります。私も全くそうだと思いますので、五教科を全部受けなくても、一教科でも二教科でも受けていただいて結構ですし、それは大学が自由に活用し、自由に選択していただいて結構です。そうして同時に、その新しいテストによる評価点をどれだけにするか、自分の方の面接とか小論文とか、専門的ないろいろなテストの結果とどのような比重で配点をしていくのか、それも全く利用される大学の自由であります。そういう中身を基礎テスト的な発想の中でうんと生かしていったならば、特質や個性を伸ばしたいい選択ができるのではないか、これを期待しておるところです。
-
○
吉田委員 ぜひそういう方針で、いろいろと大学の側と積極的な話し合いを進めていただきたいと思います。同時に、肥大化する受験産業、この弊害の方が最近は非常に際立ってきております。それを一層そうさせないためには、我々は今、総理も先ほどお話がありましたとおり、いろいろと大学の側でも、それに肩透かしをするといえばおかしゅうございますけれども、また個性的な、非常にバラエティーのある受験制度をつくっていくということによって問題は改善されると思うのでございます。同時に、共通一次の前に二次試験の出願期日をむしろ前倒しして、そして先に願書を提出させよう、そのことによってこの受験産業のいわゆる制空権を押さえてしまっているような今日の弊害を除去できるのではないか、こういうお考え方があるようでございますが、その考え方は既にもう定着し、実施されることが明確化しておるのかどうか、まずそこら辺をお伺いいたします。
-
○海部国務大臣 受験産業の過熱によるいろいろな問題は確かにございますけれども、それをどうこうしようという意図からやっておるわけじゃございませんので、先ほど御説明しましたように、受験機会の複数化ということによって、共通一次試験の結果を見て輪切り教育という嫌な表現が出るような志望校変更とかというようなことをしなくてもいいように、複数受験の可能性が示されるわけでありますから、そういう考え方でこれは進んでいくものと我々は期律しております。まだ決まっておりませんけれども、そのような方に進んでおると私は受けとめております。
-
○
吉田委員 それも一つの改善案だと思うのでございますが、同時に私は、根本的に受験産業相互間の余りにも過当な競争、それを鎮静化させるために、これは一つがやれば他もやる、五大大手が必死になって戦っておるようでございますけれども、余り過度な、一人の受験生に三社も四社もが問い合わせの往復はがきを出したり、そんなことはやめろということ。これはやはり過日の分科会でも大臣に申し上げたわけでありますが、それは文部大臣の指導力においてなされてよいことだし、また、なし得ることだと思うわけなんでございます。あるいは各高等学校の先生たちが、子供たちに自己採点をさせたものを受験産業に送り届けるいわば下請的な機関にもはや成り下がっておると言われても仕方がないような今日の現状、これはやはりしかるべく全国の高校長会議を集めて、それは申し合わせでやらないというぐらいの権威ある決定を、合意をなされるべき時期に来ているのではないかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
-
○海部国務大臣 大変残念なことですけれども、御指摘のように、高校側がみずからの学校の責任において進路指導をしないで、その自己採点の結果とかいろいろなものを受験産業に頼って、その偏差値の序列によって進路指導をするという例がなきにしもあらずでございます。また、みずから独自の方法で進路指導をしていただいておる都道府県のあることも先生御承知のとおりと思っております。いずれにしましても、進路指導はその高校自体において自主的になされることが好ましいことは全くそのとおりでありますから 私の立場におきまして、そういった過熱状態をなくするように、できるだけ関係方面にも要望いたしまして、改善のために尽くしていきたいと心得ます。
-
○
吉田委員 次に、フィリピン事情についてお伺いをいたしたいと思います。
実は先日来、我が党の
渡辺朗衆議院議員、
伊藤英成衆議院議員の二人がフィリピンヘ渡りました。そして昨夕帰ってきたわけでございます。いろいろ話を聞いたわけでありますが、その中で、フィリピンでアキノ新大統領あるいはラウレル新首相ともいろいろ話し合ったようでございますが、向こうで今一般化いたしております一つの情報、それは中曽根総理が今度のサミットにアキノ新大統領を招かれるであろうとか、あるいは招いたというような情報が非常に広がっているようでございます。
それで、我が党の代表がアキノさんらに伺ったところ、いえ、それは新聞で見ました。だから真偽のほどはよく私どもにはわかりませんけれども、じゃ、もしも招待があったらどうなさいますか、こういうことを言いましたら、条件さえ整えばぜひ出席したい、こういう意向のように報告を受けたわけなんでございます。
このサミットの時期に、恐らくフィリピン援助は一つの大きなテーマになるだろうと思います。この時期においてそういうことを総理御自身がお考えなのか、あるいはアメリカと何らかの協議をなさろうとしているのか、なさっているのか、その辺につきましてお尋ねいたします。
-
○中曽根
内閣総理大臣 サミットの機会にアキノ大統領をお招きしているということはありません。これは全く誤報、誤伝であります。
それから、じゃサミットの機会においでになったらどうであろうか、その場合どうするかというようなことでございますが、やはりサミットはもう既に各首脳の個人代表が三回も会合して、いろいろな日程やら何かを決めておって、関係各国が了承しなければ、そういう新しい仕事というのは持ち運べないことになっております。そういう状況からいたしましても、サミットの最中にアキノ大統領がおいでになって皆さんとお話しする機会というのは、異例中の異例であって、恐らく難しい事態ではないかと私は想像いたしております。それだけの緊急性でもまたあれば、首脳もお考えになるでしょうけれども、今までの外交常識から見ますと、それはちょっとあり得ないことではないかと思っております。
アメリカ大統領は、フィリピン等の関係でどういうふうなお考えを持っているか、私はよく知りませんが、何しろアキノ大統領は政権掌握後まだ旬日でございまして、非常に御多忙のようです。ですから、ちょうど選挙が終わった当時の選挙事務所みたいにお忙しいときのようでありますから、今外国へ出られるということは到底無理ではないか、私やはり首相として経験してみましてそういうふうに思います。
それから、いろいろ経済協力の問題等につきましても、我々もフィリピンの友邦としてできるだけの御協力は申し上げたいと思っていますが、肝心なことは、フィリピンがみずから財政や経済再建計画をどういうふうにお持ちであって、そうして具体的にどういうふうなことを我々に御要望なさるのか、まずみずからの経済に対する構えやら政策というものをお立てになることが大事なんで、新政権まだ時間がないですから、なかなかそこまでいくのは時間的にまだ不足ではないかと思うのです。ですから、新聞やテレビは先走りしていろいろこう言っていますが、やはり的確に、そして有効に物事が進むようにするためには、政治の現実になりますと、やはり一歩一歩基礎固めをしつつ両方が協力し合っていくということが、実りのあり、長期にわたって友好が進む道ではないか、そう思っております。
-
○
吉田委員 今日までの世界の外交常識に倣っての総理の見識。しかしそれはそれとして、フィリピンに対する温かい気持ちを持ち続けたいという御表現、まさに適切な御判断だと思います。また、今お話がありましたとおり、まだ内閣誕生後九日目でありまして、向こうにしてみても、どんな援助、協力を求め、またどこを交渉の窓口とするか、その辺のところがまだ確立していないようでございますが、しかし結論から申しまして、やはりフィリピンの経済社会情勢はかなり深刻なようでございます。だから具体的、積極的に、民衆のための援助を可能なる限り即刻日本にお願いしたい、こう言っておるようでございます。特に、フィリピンに対する海外経済援助国としての日本の立場とウエートというのは非常に大きいものがあります。また失業は大変ひどいようでありまして、不完全失業者は四五%、うち完全失業者は一五%と言われておりますが、実際はそれ以上にひどいのではないか。農業生産は各地に非常なばらつきがあるようでございます。また二百六十億ドルを超える国際的債務をどうするか。これはまさにメキシコの破産に匹敵する膨大な規模のものであるように聞いております。労働者の賃金は八〇年以降全く調整されていない。その間物価は三〇%上がっておる。あるいは国内財政金融政策の見直しが急がれておるけれども、なかなかに困難な事情にある。なおまた、マルコス政権下、長いそうした政治がもたらした汚職、腐敗の後遺症は深刻な影を落としておる。こういう情勢の中で日本に期待するフィリピンの切実な気持ちはわかるわけなのでございます。
一つの具体的な例を申しますと、例えばバナナ、パイナップル、マンゴーなどシーズンでは二五%、その他の時期でも一五%の関税がかけられているけれども高過ぎるのではないだろうか。ともかくこの辺のところからでも格別の配慮というものを日本がしてくれないだろうかというような希望もかなりあるようでございます。貿易摩擦の不協和音は単にアメリカだけではないということは総理が一番よく御存じでありますけれども、何かなし得るところから、そしてまずフィリピンの国民の民生安定のために日本は何をなし得るかというようなことにつきまして早急に考え方をまとめていただきたいと要望いたします。
この点につきまして、外務大臣、何かお言葉があればお願いいたします。
-
○
安倍国務大臣
渡辺朗議員とアキノ大統領、ラウレル副大統領との会談の内容について私も承りました。大変有益な会談であったと思っております。
政府としましてもフィリピン政府との間にいろいろと協議を進めておりますし、また日米次官級の協議が行われまして、日本、アメリカそれぞれ対比援助をどういうふうにするかという基本的な考え方についての意見の交換も行ったわけでございます。その際、我が国としてもフィリピンの経済の再建のためにはこれ以上の援助も行っていくという基本的な考え方も表明をいたしましたし、同時にフィリピン政府に対しては、既に梁井外
務審議官からアキノ大統領に対しまして我が国としてもフィリピン援助を行うために協議チームを送る用意があるということを述べておりまして、フィリピン政府の体制が整い次第、フィリピンの要請があれば我々としても協議チームを送りましてこれからのフィリピンに対する協力援助問題について十分話し合いをしたい。日本はフィリピンに対する最大の援助国であるわけでございますし、フィリピンの経済の再建にとっては日本の役割は非常に大きいわけでございます。友邦国フィリピンの経済再建が一日も早く成功するように今後協力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○
吉田委員 次に、税制の抜本改正について御質問をいたします。
特に、過日四野党共同修正要求が与党自民党との間で話し合いがつきまして、「所得減税については、今国会中に各党間で合意を得るよう協議し、
昭和六十一年中に成案を得る。」これは幹事長の口頭発言で六十一年に実施するということでありますというところが明確に答えられておるわけでございます。したがって、かなり大幅な減税が年内に実施されるものと私どもは当然期待をいたしております。
しかし一方、国民の中ではいろいろと不公平税制が非常に不満の頂点に達している今日、政府は所得税減税をかなり大幅にやりながらその不公平感というものを除去していこうという考え方は確かに持っている。しかしそれだけでは国家財政の収支が大変でございますから、恐らくそれと見返りに近き将来いわゆる大型間接税というものを採用するのではないか、こういう憶測が当然のこととして走っております。
改めてお聞きいたしますけれども、今回の税制の抜本改革のねらいは何なのか。本当は何を考えておられるのか、大蔵大臣からお答えいただきたいと思います。
-
○竹下国務大臣 やはり今回の税制の抜本改正のねらいは何か、こうおっしゃいますと、眼目は、今も御意見のありましたように、各方面から指摘されておりますさまざまなゆがみ、ひずみ、税に対する重圧感、これらの問題を公平、公正、簡素、選択並びに活力といった観点に立脚して解決して、安定的な歳入構造を確保することであるというのがこの眼目であろうと思います。
なおつけ加えますならば、税収増を目的とするというような考え方ではなく、あくまでも税制の抜本見直し、こういうことであります。
-
○
吉田委員 公平、公正、簡素、選択、あるいは総理が多段階、普遍的な大型間接税を投網をかけるような形では取らない、この禅問答みたいなことだけが去年からことしに続いておるわけなんでございますが、もう少し具体的に、仮に大型間接税を、あるいは大型か中型がわかりませんけれども、何らかの形で間接税を導入する場合、EC型の付加価値税を導入することになるのか、あるいはまた小規模事業者に対しては免税点を設けるとか、あるいは食料品等についての扱いは別にするとか、この辺のところ、議論としていろいろ各方法を検討なさっていないと言えばうそだと思うのでございますね。
〔
渡辺(秀)
委員長代理退席、
委員長着席〕
なかなか言いにくい点もあろうかと思いますけれども、その辺をもう少し明確にお答えいただけませんか。
-
○竹下国務大臣 そこで次の問題は、いわゆる審議の順序をどうしてもらうか、こういうことで、取りまとめの手順としては負担あるいは負担感の軽減合理化に資するものからお願いをして、それを踏まえた上で一体としての包括的な御指針を本年秋ごろまでにいただくという方向でお願いし、鋭意今前段の部分が検討されておるということであります。したがって、いわゆる課税ベースの広い間接税の問題、これは税制調査会も今までに何回も御議論をいただいておるところでございますが、その問題は税制調査会としての検討領域の中に入っておるということは、従来からそういう議論はなされておるわけですから予測できますが、取りまとめの順序としては後半における審議課題ということになるであろうというふうに思われます。
したがって、そういう状況でございますから、現段階で具体的な仕組みとか免税点のあり方とかいうことは非常にお答えしにくい問題でございますので、それはやはり税制調査会の結論を待って適切な対処をしなければならぬと考えておることでございます。
ただ、小規模事業者に対する免税点とかあるいは食料品の扱いとかいうようなものをあえて、税制調査会においてそんな議論がまだされておるわけではございませんが、国別に仮に申し上げるといたしますならば、食料品の扱いは、フランス、西ドイツは軽減税率で課税されておるし、イギリスは非課税、こういうことになっておりますし、またイギリスは年商売り上げは五百八十三万円以下、西ドイツは同前年百六十万円以下かつ当年八百万円以下、フランスは年間税額三万五千百円以下とか等々が今まで現存しておる各国の税制の中でとられておる措置として、いわば資料として御報告申し上げたにとどめさせていただきます。
-
○
吉田委員 現実の問題としては、現に世界の主要国がとっております大型間接税の実態そのものをそろそろ比較検討なさるということ、それが大変必要なことだろうと思います。
そこで諸外国の場合、この税率でありますけれども、五%以下というのはないですね。大体平均一〇%くらいからスタートして、その後だんだん一四、五%に上がってきておる。そのことは論議は別として、仮に五%の税率で導入する場合に、税収はおよそどの程度になると見ていらっしゃるのか。民間のこうした調査機関ではいろいろな数字が出ておりますが、その中でどのような見通しを大蔵省としては持っておられるのであろうか。
あるいは、ちょっとまとめて申しますし、時間がありませんのでなるべく簡潔に御答弁いただいたらありがたいと思うのですが、大型間接税の導入は、総理、日本人にはどうもなじみにくいと私は思うのですね。これがいいか悪いかは別として、日本の商売というのか、そういう風習と申しますか、かなり値段そのものにこだわったり、あるいは量をふやすからもう少しディスカウントしてくれとか、何かその辺で意見が合致して取引あるいは売買をする、こういう習性のある中で、きちんとこういう間接税が組み込まれていく場合にどのような影響を与えるであろうか。
あるいはそれは別としても、諸外国でもそうでありますが、こういうことが物価の上昇の要因になったり国民経済に非常に不況をもたらす、景気の足を引っ張るというようなおそれがないか、これは経企庁
長官からお答えをいただければありがたいと思います。
-
○竹下国務大臣 なお、つけ加えて、念のために申し上げますのは、まだ今次の諮問に対する答申を得るための議論は一回もなされておりませんので、過去議論されたことについてのお答えにとどまるわけでありますが、税収計算についてはどのような方式を想定するか等によって異なってまいりますので、実際問題、かつて一般消費税の税収のときに特別部会報告というもので
昭和五十一年のペースで税率一%で四千三百億円、こういうような試算をされたことがございます。その後いろいろ変わってきておりますので、それが六十一年ベースでどれぐらいになるかといいますと、非常に粗っぽい計算をして八千億円ぐらいかな、こんな感じが今お答えの限界でございます。
それから、元来日本の商慣習にという問題がございましたが、それはかっても大変議論された問題でございます。まけとけとか、今ディスカウントとおっしゃいましたが、そういう風習が我が国にはあるということは当時も議論された問題であったと承っております。
-
○中曽根
内閣総理大臣 まだ間接税の問題をどうするかということは税調でそう深い審議まで入ってないと思うのです。これはことしの秋に答案が出てくる問題ですから、深く入ってないと思います。ですから我々が今ここでとやかく申す問題ではないですが、ただ一つ申し上げられるのは、
昭和二十四年、取引高税というものをやって選挙で大敗をいたしましてひどい目に遭った。ああいう類のものはもう金輪際御免だというのはあのとき身にしみて感じたことでありまして、そういう先訓はよく我々は今後も考えていかなきゃならぬと思っております。
-
○
吉田委員 いろいろ昔からの例を出されて、総理もなかなかこのことに対しては慎重のようであります。まあ政府・与党が大敗されれば我々は大勝するわけでありまして、それにしても国民が苦しむことは困るわけでありまして、どうかひとつこの辺はよほど慎重に対応していただきたい。
時間がございませんので、最後に、七十歳以上の老人を対象とした老人保健制度をこのたび改正しよう、結論から申しまして、最近厚生大臣あるいは総理、この種の改正が非常に荒っぽいですね。例えばこの老人の自己負担にいたしましても、入院の場合現行二カ月を限度として一日三百円を一挙に一日五百円に上げる、あるいは外来では一カ月四百円のものを一カ月千円に上げる、倍上がっていくのですね。あるいは今度老人の加入率をどの制度もほぼ同じと想定すればもう少し健康保険からも出してくれられるはずではないか、大体健康保険の方は黒字がいっぱいではないかというようなことで、ことし六月から八〇%に、来年からは一挙に一〇〇%にしよう。現在は四四・七%でありますね。法律の本則にも五〇%と書いてあるものを、今度は一挙に改正しよう。まさにやみくもの改悪だと思います。特に健康保険組合というものは日々営々たる努力をいたしまして、そして今日の若干の黒字を残しておる。しかも、この前の法改正でいろいろと負担額もかなり上がったわけでありまして、そういうことで黒字になっておる。しかも黒字になったがゆえにすぐに召し上げられる。ならばもう努力したって意味がないではないか。これは総理が今国民に向かっておっしゃっておりますいわゆる競争原理の導入あるいは民間活力の活用、そういう基本的な政治姿勢と相反し、相矛盾する一つの傾向になりはしないかと心配するわけなのでございますが、総理、何かこの点で御答弁いただけるようならば先にいただきたいと思います。
-
○中曽根
内閣総理大臣 老人保健法の問題は厚生省でもいろいろよく審議し、検討いたしまして、老人がどんどんふえてまいりまして、これからの高齢あるいは長寿社会ということになるのに備えまして、この制度が長期的に安定をしていく、そして世代間の負担の公平ということが行われるように、今の若い人たちがみんなしょって我々の老人クラスの年金やら医療をやってくれているわけですが、その方々が年寄りになった場合に今のような給付が受けられないということでは大変ですから、そういう意味でも長い、長期的安定を目標にして今から制度の改革をやっておこうという考えに基づくもので、こちらの方としてもなるたけやりたくないような制度の改革ではありますが、長期的安定ということや若い世代のことも考えておきますと、この程度の改革はひとつ御勘弁願って御協賛願いたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
-
○
吉田委員 時間がなくなりましたので、厚生大臣に一言だけお答えをいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
-
○今井国務大臣 ただいま総理から全般的なお話がございましたが、繰り返しになる部分もございますが、今回の老人保健制度の改正というのは、加入者按分率の問題だけでなくて、世代間の負担の公平ということから一部負担を見直すわけでございます。また、今後増大します寝たきり老人、そういったものの多様なニーズに対応するために老人保健施設というものをどうしてもつくらなければいかぬ、それを制度化したいと思っております。
また、老人保健制度の長期的な安定を図りながら、二十一世紀においても安心して老後を託せるような制度とするということが今回の眼目でございます。
さらに政府としましては、そのほか健康づくり事業の大幅な充実だとか、在宅医療の推進あるいは老人医療費の適正化対策の推進といった総合的な施策を強力に進めることといたしておりますので、ぜひとも御理解をいただきたいものだと存じております。
-
-
○小渕
委員長 これにて
吉田君の質疑は終了いたしました。
次に、正森成二君。
-
○正森
委員 まず最初に、防衛の問題について伺いたいと思います。
二月十日の予算
委員会におきまして、我が党の
東中委員の質問に対し、
加藤防衛庁長官は、極東が有事、日本が平時のときに、我が国の防衛のため収集した情報を米側と交換することは当然あり得る、集団的自衛権の行使は武力の行使を指す、一般的には情報の交換というものはそれに当たらないという趣旨の答弁をされました。これは現在でも維持されますか。
-
-
○正森
委員 外務省に伺いますが、戦時国際法の中心的条約である陸戦ノ場合二於ケル中立国及中立人ノ権利義務二関スル条約というのがあります。海戦についても同様の条約がありますが、これは日本だけでなく、アメリカもソ連も批准しており、世界的によるべき原則であるというようになっていると思いますが、いかがですか。
-
○小
和田政府
委員 御指摘の一九〇七年の陸戦及び海戦の場合における中立に関する条約は、発効いたしまして日本も当事国になった条約でございます。ただ、この条約は、詳細は申し上げませんけれども、古い条約でございまして、今日の国連憲章下の事態においてそのまま適用があるというふうにお考えになることは必ずしも正しくないというふうに理解しております。
-
○正森
委員 一定の留保条件をつけたようでありますが、これが我が国も批准している国際公法、戦時国際条約であることはお認めになりました。
そこで伺いたいのですが、
加藤防衛庁長官がお答えになった情報の提供という問題は抽象的に集団的自衛権の行使に当たるかどうかではなしに、
防衛庁長官がお認めになるような自衛隊、具体的にはP3Cなどの行動が国際法上どう評価され、我が国が他国との戦争に巻き込まれるおそれがないかどうかというところに国民の関心があるのではないかと私は思います。自衛隊P3Cのソ連原潜等の所在の有無についての情報というのは、まさに交戦国にとっては偵察や索敵行動そのものに当たるのではありませんか。P3Cが出ていって、ここにソ連の原潜がおるあるいはおらないという情報は、これは双方の交戦国、特に原潜の所有国にとっては偵察、索敵行動そのものに当たるというように見られるのではありませんか。
-
○小
和田政府
委員 先ほどは具体的にお尋ねがございませんでしたので申し上げませんでしたが、先ほどの二つの条約について申し上げますと、これは御承知のとおり、戦争というものがまだ合法であるという時代におきまして発達をいたしました中立概念というものを基礎に置きまして、その中立制度の問題というものを法典化したというのがこの陸戦及び海戦に関するへーグの諸条約であるわけでございます。
そこで、武力行使が原則的に禁止をされて国際法上の戦争が違法化された国連憲章のもとにおきましては、戦争自体が合法であることを前提として成立しました中立概念というものが今日そのまま適用があるわけではないということを先ほど申し上げたわけでございまして、他方、
委員が今お尋ねになっていらっしゃいます
防衛庁長官の答弁というものは、御承知のとおり日米安保条約あるいは日米安保体制のもとにおける事態というものを前提にして申し上げているわけでございます。そこで、日米安保条約は御承知のとおり、国連憲章のもとにおきまして国連憲章上認められる枠組みの中でつくられておりまして、したがって、この条約の第一条あるいは第七条に極めて明確に記されておりますように、国連憲章上認められる自衛のための行動という範囲においてこの日米安保体制というものが機能するということが大前提になっているわけでございます。そういう意味におきまして、自衛のための行動としてとられる米国あるいは我が国の行動というものは、先ほど来申し上げておりますような伝統的な中立概念の基準から判断することは適当ではないということを申し上げたわけでございます。
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○正森
委員 国連憲章のもとで伝統的な中立の観念から判断することは適当でない、こう言われましたが、しかし国連憲章にも安保
理事会というものがあって、ある国の行動が正当であり自衛権の行使であるかどうかということは、五大国の拒否権の対象になります。したがって、五つの大国が相争うという場合には、国連憲章に基づく自衛権の行使であると言っても、それを国連憲章自体によって合法化することができない場合があります。その場合に、相手方交戦国というのは、戦時国際法あるいは広く慣習法的に認められている法規によって、ある国の行動が自己に敵対的なものであるかどうかというように判断するのは当然のことであると言わなければなりません。
そこで、我が国も米、英、仏などとともにヘーグ条約見直し
委員会で賛成採択し、慣習法として常識的な存在となっている法規があります。それは、戦時無線通信取締規則であります。この第六条、第七条ではどう書いてあるかといいますと、第六条は、「敵国ノ又ハ中立国ノ船舶又ハ航空機カ公海又ハ其ノ上空ニ於テ交戦者ノ即時使用ノ為軍事情報ヲ無線通信ニ依リ伝送スルコトハ之ヲ敵対行為ト看做スヘク右船舶又ハ航空機ハ射撃セラルヘキモノトス」こうなっております。あるいは第七条では、「交戦国指揮官ニ於テ其ノ兵力ノ直近地域ニ無線通信装置ヲ有スル船舶又ハ航空機ノ存在スルコト又ハ該地域ニ於テ右装置ヲ使用スルコトカ其ノ従事スル作戦行動ノ成效ヲ害スルモノト認ムルトキハ該指揮官ハ公海又ハ其ノ上空ニ於テ中立国船舶又ハ中立国航空機ニ対シ左記ヲ命令スルコトヲ得」「一 其ノ指揮ノ下ニ行動スル兵力ニ接近スルコトヲ防止スルニ必要ナル程度二右船舶又ハ航空機ノ針路ヲ変更スルコト」こうなっております。
つまり、こういう国際法上広く認められた行動からいいますと、米ソが有事である、あるいは極東が有事であるが日本が平時であるという場合に、オホーツク海に二百海里あるいは三百海里も深く立ち入って行う自衛隊のP3C等の情報収集、すなわちソ連原潜等の所在確認行為は敵対行為とみなされ、射撃され、あるいは針路変更を命ぜられることになるのではありませんか。そのときに、我が自衛隊の対応いかんでは、それは不測の事態を惹起して我が国が戦闘行動に巻き込まれるということは当然起こるのではありませんか。
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○小
和田政府
委員 先ほど申し上げたことの補足になって恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますように、国連憲章に至りまして、国際法上のテクニカルな意味で申しますところの戦争というものは違法な存在ということになったわけでございます。この戦争というものに伴う事態であるところの中立制度、伝統的な国際法で言うところの中立制度というものも、それに従って根本的な変更を受けておるというのが私どもの認識でございます。
国連憲章のもとでは、御承知のように、武力の行使が原則的に加盟国に対して禁ぜられております。そこで、万一武力紛争が発生するという事態を考えてみましても、それは国連自身が加盟国に対して国際の平和と安全の維持あるいは回復のために必要な軍事的その他の措置をとることを求めるというケースと、それから憲章第五十一条で認められておりますところの加盟国が自衛権の行使として実力行使に訴える、こういう二つのケースが認められているにとどまるわけであります。
そこで、そういう二つの場合におきまして、国連憲章の枠組みの中におきましては、現実に生ずる事態というのが実体的に武力紛争に当たるような事態でありましても、それは法的に、国際法的な認識としては、いわゆる伝統的な国際法で言うところの戦争というものとは性質的には同一ではないのでございまして、第三国は伝統的な意味での中立という地位に立つわけではないということになるわけでございます。
つまり、中立国と交戦国というものを二元論的に割り切るという考え方、十九世紀に主として成立、発展いたしましたそういう考え方というものが、今や非常に大きい基本的な変更を受けているわけでありまして、今日の国連憲章のもとにおいて存在している事態というものは、違法な武力行使に訴える国と、それに対して国連自体の要請によって武力行使を行う国ないしは固有の自衛権に従って武力行使を行う国というふうになるわけでございまして、その場合に第三国がすべて中立という、厳密な意味での中立という立場をとらなければならないという義務は当然には発生しないということになるわけでございます。ちなみに、これは政府の考え方でございますが、学説的にも通説的な考え方ということになっていると承知しております。
-
○正森
委員 相当長い間お答えになりましたが、前回答弁したことを繰り返しているだけで、私の質問に対しては答えておりません。また、中立国の概念が十九世紀に発達した概念だと言われましたけれども、私が引用しましたヘーグの条約は、そもそも成立したのが一九〇七年でありまして、二十世紀に入ってからできた法律であります。また私が言っておりますのは、問題は中立国として認められるかどうかということではなしに、防衛庁の言うような情報の収集とその提供というのが我が国を戦争に巻き込むおそれがあるのではないかという観点から聞いているので、我が国が中立であるかどうかということの定義を聞こうとしているのではありません。
また、条約
局長はすこぶる模範的な答弁をいたしましたが、第二次大戦以後でも、国連憲章がまさに言うような、一方が違法な行為を行って、一方が国連全体として制裁をしておるというような戦闘行動がどれくらいありましたか。例えば長く戦われたベトナム戦争は、そういう意味での戦争でありましたか。あるいはイラン・イラク戦争はどうでしょうか。そのほかいっぱい世の中で戦闘行動は行われているじゃありませんか。
ですから私は、米ソが衝突するというような場合には、当然ながら安保
理事会というのは拒否権によって行使できないという状況のもとで、我が国が下手にP3Cが索敵行動を行い、その情報を即時米側に伝達するというようなことになれば、これは国際法の慣習からいっても敵対行為とみなされ、射撃されあるいは進路変更を命ぜられ、あるいは私は引用しませんでしたが拿捕せられてもやむを得ない行為になる、その可能性があるということを私が指摘しているわけであります。それに対して条約
局長の答弁は、一般的に国際連合ができた以上は違法な悪玉と善玉というのがあるだけで、悪玉に対しては善玉側はいろんな国際法の制約から解放されるんだととられるような乱暴な議論の答弁しかできなかったことを遺憾に思います。
そこで、総理に伺いますが、総理はかつて、「極東条項があるということは、これはある意味においては、いざという場合に、むこうの紛争が渡り廊下を通って、日本へはいってくる危険性がないとはいえないですね。」ということを言っておられます。これは拓大の総長講演集の第十七集、一九七〇年五月二十九日の御発言でありますが、そういう点から見ますと、自衛隊の特にP3C等の軽率な情報収集活動とその伝達というのは、我が国が戦争に巻き込まれる非常に危険な行動であり、それを我が国が一方的にこれは集団的自衛権に当たらないというようなことを言ってみても、相手国の交戦国はこれは敵対行為であるというように認めざるを得ないという国際公法上の道理があるならば、それは我が国としては慎むべきではないかというように思いますが、御見解はいかがですか。
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○
加藤国務大臣 条約上のかなりの御質問でございましたので条約
局長から答弁していただきましたが、私たちの答弁を若干誤解なさっているのではないかなと思います。私たちは、極東において有事であり、我が国で平時であった場合のケースでございますが、こういう際にも我が国は自衛のために通常の情報活動はいたすわけでございます。で、そこで得られました情報を米側に渡すかどうかというものは、そのときどき国益に基づき自主的な判断をし、提供するわけでございますが、私たちは、その情報提供自体が一般的に集団的な自衛権の範囲に入るものではないという答弁をしているわけでございます。
一方、ほかの
委員からの御質問ではございましたが、うちの防衛
局長が、例えば米ソが現実に戦闘行動をしているような地域に我が方が入っていって、そして情報収集活動をすることはできないことだと思っておるという明確な答弁をいたしておりまして、
委員の御質問は、その二つが混在して御質問なさっていると思います。
-
○正森
委員 加藤防衛庁長官は頭脳明晰なようでありますが、私は少しもそういう点を混同いたしておりません。私が聞いておりますのは、集団的自衛権に当たるかどうかというようなことを聞いているのではなしに、我が国が一方的に集団的自衛権に当たらないと言っても、相手国は、それは交戦国に対する敵対行為であるというように見て行動をとられてもやむを得ないことがあるのではないか、こう聞いているわけであります。
また、私が、米ソが現実に砲戦を交え、ドンパチやっているところに出ていくということを前提にして聞いているかのようなことを言われましたが、そうではありません。米ソがドンパチやっていなくても、オホーツク海のある海域に、ソ連の原潜がここにおるということになれば——
東中委員が説明しましたように、ワトキンス海軍作戦
部長などは、それをソ連が攻撃する、つまり今はドンパチ行われていなくても、そこにおるということがわかれば出かけていって攻撃する、こう言っておるのですから、それは何もドンパチやられるところへ行くんじゃなしに、今はドンパチがなくても、我が国のP3Cが行って索敵行動を行ってそこに所在を確認すれば、それは将来ドンパチ行われることになり、それは相手国から敵対行為とみなされるのではないか、こういうように聞いているわけで、私は十分に整理しているわけで、その整理しているのを混同しているととる
防衛庁長官というのは、やはり頭脳が混同しておるというように、言わなければならないと思います。
総理、いかがですか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 国際法の解釈あるいは我が憲法の解釈等から見まして、自衛の目的のために我々がアメリカと情報交換を行う、そういうようなことは、これは個別的自衛権の範囲内のことでありまして、そのことは違法ではないし、安保条約上必要なことでもある。ただ、具体的にいついかなるときにそれを行うのが適当であるかという選択の問題は、あくまで我が方の自主性において国益を踏まえて判断すべきものであると考えております。
-
○正森
委員 私は、総理の答弁は、選択という言葉を入れられたことによって、
加藤防衛庁長官の先日の御答弁よりもやや慎重になられたというように解釈いたします。
それでは、次の質問に移ります。天皇在位六十年と恩赦の問題については、川俣
委員がきょう午前中御質問になり、総理は明確に、恩赦は行わないということを答弁されましに。私どもはそれは当然のことであると考えております。
しかし総理は、我が党の不破議員の本会議答弁でも、あるいは
松本議員に対する予算
委員会の答弁でも、天皇在位六十年祝賀行事について、国民の自然の感情である、自然の感情を持たない人は不自然である、疑う方が不自然であるという旨の答弁をされております。私は、天皇の戦前二十年の地位と戦後四十年の地位というのは憲法上全く異なりますから、こういう理論的な問題を感情の問題にすりかえて事を行おうとするのは正しくないと考えております。けれども、もし国民の自然な感情と言われるなら、我々の方にも国民の自然な感情はどのようなものであったか、また現在あるかということについて申し上げなければなりません。
あの太平洋戦争が
昭和十六年の十二月八日に始まりましたとき、私は中学校三年生の学生でありました。そのときに、我々は学校で宣戦の大詔を繰り返し読むことを教師から慫慂せられ、私どもはそれを暗記しました。現在、四十数年たった今でも、その大半は暗記しております。宣戦の大詔にはこう言っております。
天佑ヲ保有シ万世一系ノ皇祚ヲ践メル大日本帝国天皇ハ昭二忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス朕茲ニ米国及英国ニ対シテ戦ヲ宣ス朕カ陸海将兵ハ全力ラ奮テ交戦ニ従事シ朕カ百僚有司ハ励精職務ヲ奉行シ朕カ衆庶ハ各々其ノ本分ヲ尽シ億兆一心国家の総カヲ挙ケデ征戦ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ
私は、四十数年たってもこの宣戦の大詔を覚えております。
そして我々の先輩は、
海行かば水漬くかばね
山行かば草むすかばね
大君の辺にこそ死なめ
と言って戦争に行き、死んでいったのであります。だれ一人、東条総理大臣のために、その辺にこそ死なめと考えた者はありません。
これが総理、自然な感情であり、国民は皆、天皇の御命令だから戦い、天皇のために死んでいく、こう思って戦ったのではありませんか。これが自然な感情ではないですか。
-
○中曽根
内閣総理大臣 立憲君主制下における天皇は、やはり
内閣総理大臣あるいは国会というようなもので決めたことについては、君臨すれども統治せずという考え方に基づいて、それに従っていかれたのである。天皇陛下はあくまで平和主義の方であられ、戦争を回避するために全面的にも努力をされたと国民は知っております。しかし、それを持っていったのは、当時の主として軍部の開戦派の連中が持っていった、そのことを国民は知っております。また、終戦に際しましても、陛下の御英断によって終戦がもたらされたということも記憶しております。そしてその後においても、全国をお回りになって傷ついた人たちを慰められた、あるいは食糧がなかったときにも、またマッカーサー元帥のところへ行って食糧を要請した、あるいは今回の戦争についてこれは自分の責任である、そういうことを言って、国民諸君についてはぜひその点を了承してほしいとおっしゃった。
この間、朝日新聞の何とか三太郎という漫画がありましたね。あのときの漫画を見て、あれは国民がそういうふうに考えているからああいう漫画が出てくるので、つまり、マルコスさんがフィリピンからハワイへ行かれたのと対比して、日本の天皇はマッカーサーに対して自分の責任である、そう言っておられたと、あれは、朝日新聞がああいう漫画を出したということは画期的なことではないかと私は見ておるのであります。
しかし、それだけそのように国民感情があるということなのであって、その陛下の六十年の御在位をお祝いをし、かつまた、今まで最も長い御在世の天皇であられたということをお祝いするということは最も自然な感情であって、それに逆らうということは、私は不自然であると今でもかたく信じてやまない。これを聞いている全国民の皆さんも、そのとおりであるとお考えになっていらっしゃると思います。
-
○正森
委員 総理はそういうように言われましたが、もちろん明治憲法下でも、総理以下国務大臣に輔弼の責任があったということはそのとおりであります。けれども、歴史の事実はそれ以上のものを示しております。総理あるいは法制
局長官も御存じでありましょうが、その総理大臣を任命する人事権は、憲法上いかなる制約もなく天皇の任命によって行われたわけであります。近衛内閣の後、即時対米開戦を主張する東条陸相に組閣を命じたのもまた天皇ではないでしょうか。近衛氏でさえ、天皇が平和的対米交渉で頼りにならなかったと、次のように述べております。これは、「敗戦日本の内側——近衛公の思い出」と題する時の内閣書記官長富田健治氏の著書であります。
それから陛下のことだが、陛下は勿論、平和主義で、飽く迄戦争を避けたい御気持であったことは間違いないが、自分が総理大臣として陛下に、今日、開戦の不利なることを申し上げると、それに賛成されていたのに、明日御前に出ると「昨日あんなにおまえは言っていたが、それ程心配することもないよ」と仰せられて、少し戦争の方へ寄って行かれる。又次回にはもっと戦争論の方に寄っておられる。つまり陸海の統帥部の人達の意見がはいって、軍のことは総理大臣には解らない。自分の方が詳しいという御心持のように思われた。従って統帥について何ら権限のない総理大臣として、唯一の頼みの綱の陛下がこれではとても頑張りようがない。(中略)こういう状態では自分の手の施しようもなかったのだ
こう言っています。
あるいはここに「近衛文麿」という伝記を持ってまいりました。これは近衛文麿伝記編纂刊行会のあらわしたものであります。そこには、近衛内閣が辞表を提出したときに陛下にこのことを率直に訴えだということが、辞表の中に載っております。
然るに最近に至り、東条陸軍大臣は、右交渉はその所望時期(概ね十月中——下旬)までには、到底成立の望みなしと判断し、乃ち本年九月六日御前会議の議を経て、勅裁を仰ぎたる「帝国国策遂行要領」中、三の「我要求を貫徹し得る目途なき」場合と認め、今や対米開戦を用意すべき時期に到達せりと為すに至れり。(中略)国連の発展を望まば、寧ろ今日こそ大いに伸びんが為に善く屈し、国民をして臥薪嘗胆、益々君国のために邁進せしむるを以て、最も時宜を得たるものなりと信じ、臣は衷情を披瀝して、東条陸軍大臣を説得すべく努力したり。
之に対し陸軍大臣は、総理大臣の苦心と衷情とは深く諒とする所なるも、(中略)時期を失せず此の際、開戦に同意すべきことを主張して己まず、懇談四度に及びたるも、終に同意せしむるに至らず。
是に於て臣は遂に、所信を貫徹して、輔弼の重責を完うすること能わざるに至れり。是れ偏えに臣が非才の致す所にして、洵に恐懼の至りに堪えず。仰ぎ願ぐは聖慮を垂れ結い、臣が重職を解き給わんことを。臣文麿、誠惶誠忠謹みて奏す。
こう言って
辞任をしております。
それにもかかわらず、この戦争を主張する東条
内閣総理大臣に対して組閣の大命を下したのは、何物にも人事権を制約されない天皇ではありませんか。
あるいはまた総理は、戦争が終わったのは天皇の御意思によって行われた、だからあの朝日新聞の漫画のようなことになるのだ、こう言われました。けれども、これもまた史実に反します。例えば「終戦史録」の重光文書というのがあります。その重光文書を見ますと、
結局、時機到来を見極めて天皇の絶対の命令
(鶴の一声と当時吾々はこれをいっていた。)と
して終戦を行うの外に途はない。あるいは「近衛日記」の十五ページを見ますと、
いよいよ戦争中止と決定せる場合は、陸海官民の責任の塗り合を防止するため陛下が全部御自身の御責任なることを明らかになさせらるる必要ある事。
こういうぐあいになっております。ほかにも文献があります。
つまり、天皇は決して開戦において平和主義者でなく、戦争終結においても、天皇が聖断を下されたというのは、一年も前から宮中あるいは外務大臣あるいは元老が、そういうようにしなければ軍部が反乱を起こしてまとまらないというようになっていた筋書きに基づいて行われたのであって、それのみをもって陛下が平和主義者であるというようなことは、私は断じて言えないのではないかというように言わざるを得ません。
総理、私はあなたが、国民全体の意思であり、我々のような主張は不自然であると言われましたが、そうではありません。戦争で被災し、夫や子供を死なせた国民は、政府だけでなく、天皇についても感情を持ちました。近衛文麿が
昭和二十年七月十二日、宮中で天皇に会ったときに、天皇みずからこれを認めております。(発言する者あり)
-
-
○正森
委員 例えば、七月十二日に近衛文麿氏がソ連へ和平のための使節に行くことを天皇に話し合ったとき、近衛文麿が、「「今や皇室をお怨み申上げる事態にさえなって居ります」と申上げたるところ、全く御同感にあらせられた。」つまり天皇も、国民が恨みに思っておる、こういうことに同感されたということが、歴史の事実として明白に載っているわけであります。
だからこそ、戦争が終わったとき、南原繁東大総長は、天皇退位を国民感情とし、「私は天皇は退位すべきであると思う、これは私一人ではなく全国の小学教員から大学教授に至るまでの共通意見となっている、」
昭和二十三年六月十三日、これは朝日新聞であります。
あるいは
昭和二十三年の五月十六日の週刊朝日では、当時の三淵最高裁判所
長官も週刊朝日の誌上で、「終戦当時陛下は何故に自らを責める詔勅をお出しにならなかったか、ということを非常に遺憾に思う。」こう述べ、佐々木惣一法学博士は、「まったくそうだ。」こういうように言っています。そして、三淵
長官は、「公人としては自分の思慮をもって進退去就を決するわけにはいかないんだ。」「だけど、自らを責めることは妨げられない。だから、自分の不徳のいたすところ、不明のいたすところ、国民にかくの如き苦労をかけたということを、痛烈にお責めになれば、よほど違ったろうと思う」、こういうように最高裁
長官が言っております。これが国民の自然な感情ではないでしょうか。
私どもは、こういう感情を無視して、戦前の二十年と戦後の四十年を無視して天皇の在位六十年を祝う、いわんや恩赦を行うなどということはもってのほかであると思います。恩赦については、総理はこれをしないということを明言されました。私どもは、在位六十年の記念行事についても、これを中止されることを心から総理に希望したいと思います。御答弁を願います。
-
○中曽根
内閣総理大臣 今のお話を聞いておりまして、共産党はそういう考えを持っているのかと今感じた次第でございます。大部分の国民の考えていることとはまるきり違うことを考えているということを発見いたしました。
当時の歴史でも明らかになっておりますが、開戦前におきましては、陸軍を抑えられる者でなければこの戦争を回避することはできない、そういう木戸さん等の助言があって、陸軍の一番の統率力があったと言われている東条氏を首相に任命して戦争回避を最後に考えられた、そういうことが言われておる。あるいは近衛・ルーズベルト会談を行って戦争回避をしようと一番期待して、まだ行われないのかまだ行われないかと言われておったのが陛下である、そういう記録も残っております。終戦に際しましては、軍部のあのような一部の過激な連中からいかに重臣を守りつつ、そして和平に順調に持っていこうかということをお考えになって、
鈴木貫太郎氏を総理大臣に任命した。
鈴木貫太郎氏を任命したのは、終戦を行うために陛下がおやりになったことです。そして、あうんの呼吸であの終戦をおやりになったという厳然たる事実があります。
そういう諸般のことを考えれば、一貫して陛下は平和主義者であって、この戦争を回避されるために最後まで努力をした。しかし、やはり当時は立憲君主制のもとにありまして、総理大臣の輔弼することについては、大体君臨すれども統治せずという原則でいかれた。そういうことで、しかし国が滅亡するという危機に瀕しては、御聖断を発せられた。そういうことで今日の日本があり得るんだと私は確信してやまない。そういう国民の大多数の考えを無視して、あえて異を立てるというものは、国家を転覆するという気持ちを持っておる人でないと出てこないのではないかとすら私は疑うのであります。そういう疑いを国民は持ってあろうということを私は申し上げたいのであります。
-
○正森
委員 国家を転覆する疑いがあるなどと言いますが、あの無謀な戦争を始めて、事実上我が国民を塗炭の苦しみに陥れ、日本の国そのものを転覆寸前まで行かしたのは一体だれですか。それに対して、死刑も牢獄も恐れずに、断固として反対して平和を守り抜いたのは一体どの党ですか。それは自民党の教科書さえ、だから共産党は他の党にない権威を持っていたと書いているじゃないですか。
私どもは、時間が参りましたので、これで終わりますが……(発言する者あり)いろいろ当事者間の発言以外に発言するのではなく、お互いに本当に日本国家の将来のためにも、天皇の在位六十年について歴史を真剣に考えてみる必要があると思います。
私の質問を終わります。
-
○中曽根
内閣総理大臣 正森君、御答弁を申し上げますが、ともかく大部分の……(発言する者あり)
-
-
○中曽根
内閣総理大臣 大部分の国民は、大多数の国民は、この二千年に近い伝統と歴史と文化を持っておる日本の国を愛惜し、そしてその一つの中心であった日本の天皇制というものを守っていきたい、それでそのためにあの終戦、あるいは終戦後みんな努力して天皇制を守ろうということで、今日日本があるわけであります。あのときに天皇制を破壊しよう、あるいは天皇制というものをこれで廃絶しようと考えたのは共産党でしょう。今でも共産党でしょう。しかし、そういうような国民はほんのわずかであって、それは絶無とは言いません。しかし大多数の、もう九九%の国民、九九%に近い国民は、やはり二千年近いこの伝統と文化を持っておる日本、及び天皇を中心に生きてきた日本のこの歴史とそれから我々の生活を守っていこうと考えておる。これは戦争に勝っても負けても、一貫して流れてきている氏族の大きな太い流れであります。私は、その流れを大事にしてきているがゆえに、今日の日本の繁栄があると思っておる。この繁栄がどこから来ているかということを考えれば、そういう国民の団結心にある。もしマルクス共産主義によって日本が支配されておったら、今日本はどうなっておるであろうか。これだけの繁栄があり得るであろうか。あるいはどこかの国の衛星国になっているのではないかとすら我々は考えざるを得ない。そのことをよくお考え願いたい、また御反省も願いたいと思うのであります。
-
-
○小渕
委員長 時間でございますので、論議は尽きないと思いますが、これにて質疑を終わらしていただきたいと思います。
-
○正森
委員 私が終わると言っておるその後から、私が終わると言ってから総理が五分間も答弁したじゃないか。それに対して言うのは当たり前じゃないか。そんな不公平なことがあるか。
-
○小渕
委員長 質疑者、
委員長は、論議は尽きないとは思いますが、時間が参りましたので、以上をもって質疑を終わっていただきたいと思います。
これにて正森君の質疑は終了いたしました。
これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。
以上をもちまして、
昭和六十一年度予算三案に対する質疑はすべて終了いたしました。
—————————————
-
-
○正森
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、
昭和六十一年度予算三案につき、政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要を御説明します。
まず、撤回、編成替えを求める理由について述べます。
政府提出予算は、第一に、自民党政府がみずから決めてきたGNP一%枠さえ踏みにじって軍事費を超突出させ、米国有事の際の自衛隊の参戦態勢を推進し、我が国の核戦場化の危険を深めるものであります。第二に、老人保健法改悪に代表される福祉・社会保障の大改悪や国庫負担カットによる地方自治破壊を進めた上、大型間接税導入までねらっております。第三に、アメリカの言いなりに市場開放し、円高を推し進め、労働者、農漁民、中小企業にその犠牲を押しつけようとしております。第四に、民活、内需拡大の名のもとに、国鉄の分割・民営化による公共鉄道網の解体、大企業による乱開発に対する規制緩和、大型プロジェクト推進などを強行しようとしております。
まさに、大軍拡、日米大企業への奉仕、国民生活破壊を内容とする「戦後政治の総決算」路線をまっしぐらに突き進もうとしているのであります。平和と国民生活向上を願う国民の要求にこたえるためには、このような政府予算は抜本的に組み替えなければなりません。
〔
委員長退席、
中島(源)
委員長代理着席〕
次に、編成替えの概要について述べます。
第一は、軍事費の大幅削減であります。政府が来年度から実施する中期防衛力整備計画は、F15、P3Cの大量導入、ソ連領内を監視するOTHレーダーや米空母護衛のためのAEGIS艦の新規導入などアメリカの肩がわりのための兵器購入を目的としており、GNP一%枠の突破さえ不可避とする歯どめなき大軍拡計画であります。ソ連が核廃絶に向けての具体的提案を行うなど米ソ軍縮交渉が新しい局面を迎えている今日、我が国においてもこの流れに沿った軍縮こそ熱望されているのであります。この立場から、軍事費は、正面装備費、日米合同軍事演習費、思いやり予算を中心に一兆六千億円以上削減することとしております。
第二は、歳出構造を国民生活優先に転換することであります。社会保障関係費は、八千億円増額し、老人医療改悪の撤回、国立病院等の統廃合の取りやめ、健康保険本人十割給付の復活などを行い、文教費は三千億円増額し、四十人学級の全面実施、マンモス校の解消などを進め、農業、中小企業対策費も三千億円増額する一方、大企業向け補助金等の浪費は徹底してなくすこととしております。
第三は、暮らし優先の税制、財政制度を確立することであります。大型間接税の導入を中止し、二兆五千億円の所得減税及び住宅費控除、教育費控除の創設などを進める一方、キャピタルゲイン課税の適正化等を図ることとしております。
第四は、円高、貿易摩擦対策であります。無原則的な市場開放はやめて摩擦の根本原因にメスを入れなければなりません。このため、労働者、中小企業を犠牲にして大企業の競争力強化を助ける政策を抜本的に改め、大幅賃上げ、労働時間短縮、下請中小企業への締めつけ規制などを行うこととしております。
第五は、国鉄の分割・民営化をやめて真の国鉄再建を図ること、大型プロジェクト中心の産業基盤投資を住宅、福祉施設などの生活基盤中心の公共投資に切りかえることであります。
第六は、地方自治、地方財政を破壊に導く地方行革大綱及び国庫負担、補助金一括カット法案を撤回することであります。
以上が動議の概要であります。これこそ平和と軍縮、国民生活防衛、真の財政再建を図る道であると確信し、
委員各位の御賛同をお願いするものであります。(拍手)
〔
中島(源)
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
-
○小渕
委員長 これより討論に入ります。
昭和六十一年度予算三案及び正森成二君外二名提出の動議を一括して討論に付します。
討論の通告がありますので、順次これを許します。
原田昇左右君。
-
○
原田(昇)
委員 私は、
昭和六十一年度予算三案について、自由民主党・新自由国民連合を代表して、政府原案に賛成し、日本共産党。革新共同から提出された編成替えを求めるの動議に反対の討論を行います。
昭和六十一年度予算は、財政運営に責任のある与党と政府が、歳入歳出両面にわたり、極めて濃密な協議、検討を行い編成されたものであり、現在の状況のもと、最善の予算であります。
以下、政府原案に賛成の理由についてその主な点を申し述べます。
賛成理由の第一は、国民的課題である行財政改革をさらに一層徹底したということであります。
すなわち、歳出面においては、経費の徹底した節減合理化に努め、一般歳出を五十八年度以降四年連続で対前年度以下に抑制するとともに、あわせて歳入面についても見直しを行い、可能な限り特例公債発行額の縮減に努めたところであります。
歳出面の見直しに当たっては、各種施策が長期的に安定的、かつ有効に機能するよう、老人保険、失業対策事業について制度の改革を行うとともに、補助金等についても、事務事業の見直しを徹底的に進めながら、補助率の総合的見直し等が図られています。なお、その際、地方財政への影響について、支障が生ずることのないよう財源手当てに万全を期しているところであります。
第二は、種々の工夫、努力により、内需拡大と景気対策に意が払われていることであります。
一般公共事業の事業費については、厳しい財政事情のもとではありますが、財政投融資の活用等により、前年度の伸び率を上回る四・三%を確保しております。
これに加えて、民間活力の活用を推進し、引き続き、財政金融政策の機動的運営を図れば、内需拡大と景気対策に必ずや十分な効果を上げ得るものと考えます。
第三は、我が国が、国際社会の中でその役割を自覚し、国際的責務を果たそうとする強い意欲が見られることであります。
すなわち、経済協力費及び防衛関係費において、経済協力第三次中期目標及び中期防衛力整備計画を踏まえつつ、質量ともに充実が図られており、高く評価すべきものと思います。
第四は、真に恵まれない人々に対する施策や未来を開く前向きの施策等については、財源の重点的配分を行い、きめ細かな配慮が払われているところであります。
具体的には、お年寄りや心身障害者に対する在宅福祉施策の充実、高齢者の就業機会の確保、教育環境の整備、基礎科学研究の充実などの施策の推進が図られております。
以上、政府原案に賛成する主な理由を申し述べました。
なお、日本共産党・革新共同の編成替えを求めるの動議は、防衛費の大幅な削減等を内容とするなど発想の基本が異なり、到底現実的な提案とは言いがたく反対であります。
以上申し述べ、政府予算三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
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佐藤(観)
委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、一九八六年度政府予算三案及び日本共産党・革新共同提出の同予算三案の組み替え動議のそれぞれに反対する討論を行います。
政府予算案は、今日我が国が直面をしている経済、社会及び国際社会に起こっている重要な課題とさまざまな変動に対し、何一つ積極的に対応していないところか、むしろ時代逆行、国民無視の予算になっています。
反対の第一の理由は、本予算は、昨年来の対外経済摩擦の激化、二五%という急激な円高の進行に伴うデフレという経済局面に対し何ら有効な施策を講じないばかりか、四年連続の緊縮予算、一般歳出の伸び率ゼロで、財政の役割を放棄し、国民各層の切実な要望をことごとく切り捨てる結果になっています。
今選択すべき経済政策は、大幅減税を初め国民の所得を守り、雇用を安定させ、さらに住宅、社会資本の充実、福祉の増進、労働時間短縮によるワークシェアリングなどにより、内需拡大、経済摩擦の解消に挑むことが急務であります。
このためにも、国の施策と財政の機動的かつ積極的な運用に努め、従来の輸出主導型成長から内需主導型のそれへと誘導する大胆な政策転換が必要であります。緊縮に次ぐ緊縮に拘泥し、国債減額を自己目的化した政策不在の予算では、国民生活を守り、経済の安定的成長の道を確保することはできません。
この結果、中小企業の倒産、失業の増大を招き、かつ福祉、教育、社会保障給付の相次ぐ切り下げ、所得減税見送りによる実質増税で国民負担はますますふえる予算を容認することは断じてできません。
しかも、中曽根内閣は、国の財政が担うべき多くの課題を地方自治体に肩がわりさせたり、民活の名のもとに国有地等を切り売りをして進めるという安易な手法を乱用しておりますけれども、これらは政府としての役割と責任をみずから放棄するもので、許しがたいものであります。
第二の反対理由は、本予算が軍拡予算だということです。中曽根内閣は、口先では軍縮を唱えていますけれども、予算は全く違います。相変わらず軍事費は聖域化され、ベア一%を入れれば七・〇四%の伸び。このままでは、ベア一・六%で政府公約の対GNP一%を突破することは必至であり、我が国が歯どめなき軍拡の道に突き進む危険性はひとしお深まっています。
しかも、その背後では、自衛隊の機能と役割が日米共同作戦体制の枠組みに包み込まれ、SDIに象徴される新たな米核戦略に従属していくことは極めて危険であります。洋上防空、シーレーン防衛と三海峡封鎖、先端技術供与と国家機密保護法の準備など、中曽根内閣の防衛政策の方向は平和憲法に違反し、反核・軍縮・平和を求める国民の願いに背を向けたものと言わざるを得ません。
昨年十一月の米ソ首脳会談を契機に、緊張緩和、軍縮へと新たな希望を生み出しつつある国際社会の流れにも完全に逆行するものであります。
我が党は以上の理由から、平和を願い、暮らしと職場の安定的発展を求める国民の名において、政府予算三案に強く反対を表明するものであります。
なお、日本共産党・革新共同提出の組み替え動議につきましては、政策の方向、政治手法に疑問が多く、反対であります。(拍手)
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二見委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております
昭和六十一年度予算三案に対し反対の討論を行うものであります。
昭和六十一年度予算は、我が国が抱える諸問題を解決するために、大きな役割を担っております。懸念されている景気後退を食いとめるとともに、対外経済摩擦を緩和するために内需の拡大は最優先課題であります。
また、六十一年度予算は内需拡大とあわせて国民生活の防衛、さらには高齢化社会への対応という面からも大きな役割を果たさなければならないのであります。
ところが政府予算案は、ここ数年の予算編成と同様に財政の帳じり合わせを先行させ、我が国が抱えるこれらの課題に真正面からこたえる内容とはなっていないのであります。
この一カ月余にわたる予算審議において、我々はさまざまな角度から政府予算案の矛盾を指摘してまいりました。その結果、我が党は、日本社会党・護憲共同、民社党・国民連合、社会民主連合と共同で予算修正要求を政府・自民党に提出したのであります。
遺憾ながら政府・自民党は、重点項目に絞った四野党の共同修正要求に謙虚に耳を傾けようとしなかったのであります。このような政府・自民党の態度は、少数意見の尊重という議会制民主政治のルールを踏みにじるものであり、国民の声に背を向けるものと言わざるを得ないのであります。
私は、政府・自民党に反省を促すとともに、共産党を除く与野党の幹事長・書記長会談の合意事項を政府・自民党が誠意をもって実行するよう強く要求するものであります。
以下、政府予算案に反対する主な理由を申し述べるものであります。
反対する理由の第一は、政府予算案が我が国経済の最大の課題である内需拡大に積極的な取り組みをしていないことであります。
政府は六十一年度経済見通しにおいて実質経済成長率を四・〇%と予測し、そのうち内需の寄与度を四・一%と見込んでいるのでありますが、政府予算案にはこの目標を達成するための政策的裏づけは全くと言っていいほど見当たらないのであります。
すなわち、個人消費の伸び悩みが内需拡大の障害になっているにもかかわらず、昨年度に引き続き所得税減税が見送られ、また一般会計の公共事業費は、災害復旧費を含め二・三%のマイナスとなっているのであります。
このままでは、実績見込みで内需寄与度が大幅に下方修正された六十年度と同じ轍を踏むことさえ懸念され、内需拡大はかけ声だけに終わるおそれが強いと言わざるを得ないのであります。
反対する第二の理由は、政府予算案は、政府が掲げる六十五年度赤字国債脱却という目標を事実上破棄し、財政再建を大きく後退させていることであります。
また政府は、「増税なき財政再建」を堅持すると言いながら、六十一年度においてもたばこ消費税の引き上げを予定しているのであります。「増税なき財政再建」の公約をますます後退させている政府の態度は見逃しにできないのであります。
反対する第三の理由は、政府予算案が、所得税の見送りや福祉の後退、公共料金の値上げ等によって国民生活に著しい負担を押しつけようとしていることであります。
所得税減税は、国民生活の防衛という面から見ても極めて重要であります。累進構造を持つ我が国の所得税制のもとにあっては、六十一年度に所得税の減税が見送られることになれば、年収四百万円、夫婦子二人の典型的なサラリーマン世帯の場合、五%のベアがあると所得税は十一万五千円から十三万一千二百円と一三・三%上昇し、これに住民税、社会保険料が加わると、年収に占める手取り額の比率は八七・七%から八六・九%に下がるという矛盾が生ずるのであります。少なくともこのような実質増税は避けなければならないのであります。
社会保障関係費では、特に老人保健法における医療費の自己負担分の大幅引き上げは到底認めることはできないのであります。
外来一カ月四百円を千円に、入院については二カ月を限度に一日三百円を、入院中一日五百円にという大幅な引き上げは、お年寄りの負担能力をはるかに超えるものであり、差額ベッド、付添看護料などの保険外負担の重圧等を考慮すると、真に必要な医療をも抑制するおそれがあり、お年寄りの生活と健康に重大な影響を及ぼすものであると言わざるを得ないのであります。
また、国鉄運賃、国立大学授業料等公共料金の値上げは国民生活に大きな負担を押しつけるものであります。
反対する第四の理由は、政府予算案が地方財政に国の負担を転嫁しようとしていることであります。
行政施策全般の見直しや国と地方の事務負担及び費用分担のあり方等を検討することなく、六十一年度においても一兆一千七百億円もの補助金の削減を強行しようとするのは、臨調の答申にも反するものであります。
結局、補助金の削減措置は、国の負担を地方内治体に転嫁する以外の何物でもないのであります。
国と地方自治体との行政権限の再配分や財源の再配分などに取り組まず、財政の帳じり合わせのために、地方自治体に負担をしわ寄せするようなやり方については、断じて認めることはできないのであります。
最後に、他の一般歳出が著しく抑制されているにもかかわらず、防衛費の伸び率を異常に突出させていることであります。
政府予算案の防衛費の伸び率は、六・五八%も異常突出させておりますが、これに六十年度と同じように給与改善費一%アップ分を加えると七・〇四%にもなり、政府公約の防衛費GNP比一%枠とのすき間はほとんどなくなるのであります。
防衛費のGNP比一%枠は、国民世論の確固たる支持を背景に、今や、日本の平和政策として定着しているのであります。
私は、六十一年度防衛費は人事院勧告の完全実施による人件費の増額を含めてもGNP比一%枠以内に確実にとどまるよう、経費節減等の措置を講ずるよう強く要求するものであります。
以上、
昭和六十一年度予算三案に反対する主な理由を申し述べましたが、当面する厳しい経済状況を克服するために適切な財政経済運営を行うよう要望し、かつ、日本共産党・革新共同の組み替え動議にも反対であることを表明し、討論を終わるものであります。
以上。(拍手)
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吉田委員 私は、民社党・国民連合を代表し、
昭和六十一年度予算三案に対し、一括して反対の討論を行います。
現在、我が国経済は、対外経済摩擦の解消、円高による景気減速への対応、「増税なき財政再建」の達成という三つの大きな課題を抱えています。これら三つのすべての解決のためには、政府によるこれまでの縮小均衡型経済運営を速やかに拡大均衡型へと転換し、積極財政政策を推進することが必要です。
しかるに、政府が本予算案において、大幅な所得減税、投資減税の見送り、赤字法人を含む法人課税の強化、一般会計公共事業費の抑制など、縮小均衡型経済運営をなおも踏襲していることは容認できません。これが我が党が本予算に反対する第一の理由であります。
反対する第二の理由は、国民の税に対する不公平感の解消と負担軽減並びに個人消費の拡大を図るために早急な実施が求められていた所得減税を、当初予算段階において見送り、国民の期待を裏切っていることであります。今後とも我が党は、あくまでも六十一年度において、二分二乗方式の導入、課税最低限の引き上げなどによる二兆円以上の所得減税が実施されるよう、全力を傾注していくことをこの際強く申し上げておきます。
反対する第三の理由は、政府・自民党が、来年度予算を起点として、税制全般にわたる抜本的見直しの名のもとに、大型間接税の導入などの大増税の準備を着々と進めていることであります。我が党は、国民に増税を求める以前になさるべき政府・与党の政策努力が極めて不十分である現状のもとで、制度自体にも大きな問題のある大型間接税の導入などの増税を強行することには強く反対するものであります。
反対する第四の理由は、負担転嫁によらない補助金の統廃合、公務員定数削減による総人件費の抑制、不公平税制の是正などの行財政改革がいずれも不十分にとどまっていることであります、かつて、行革の断行は現内閣の生命線とまで言われた中曽根総理が、今後その言に十分値する本格的な行財政改革に速やかに着手されるよう強く求めます。
反対する第五の理由は、政府がこれからの財政再建をいかに進めていくかについての具体的計画と対処方針を全く明らかにしていないことであります。
我が党は、財政再建や適正成長などの実現を図るため、経済財政指標の目標値や政策選択を具体的に盛り込んだ中期経済財政計画を早急に策定するよう政府に強く求めます。
反対する第六の理由は、本予算は社会保障の理念や展望を明らかにしないままに、老人保健法の改悪、公共料金の引き上げなど、福祉、国民生活の後退を図るとともに、大幅な住宅、教育、パートなどの政策減税を見送るなど、国民生活の安定、向上に反するものであることであります。
今後、政府が経済社会情勢の変化に十分対応した政策体系を確立し、活力ある高度福祉社会の建設に向けて確たる哲学に立脚した福祉政策を推進し、もって国民生活の計画的向上を図るよう強く求めます。
反対する第七の理由は、補正予算での措置を当初から予定して住宅・都市整備公団補給金を計上していないなど、財政負担の先送りによる見せかけの歳出抑制を行っていることであります。実質的には赤字国債の発行に等しいこのようなごまかしは今後行わず、既往の措置は早急に解消するよう求めます。
以上が反対の主な理由でありますが、最後に、さきに与野党間で協議され、合意に達した所得減税、政策減税の六十一年実施などの論点については、誠実にその約束を履行するよう政府・自民党に強く求め、共産党提出の組み替え動議には賛同できない旨を明らかにして、私の討論を終わります。(拍手)
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瀬崎委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の
昭和六十一年度予算三案に断固反対、我が党提出の組み替え動議に賛成の討論を行います。
今、国民が切実に求めている政治の方向は、軍拡と財界奉仕の聖域化を改め、軍縮平和と国民生活向上を最優先することです。ところが、政府が提出した六十一年度予算案は国民の願いに逆行し、軍事費の超突出と露骨な財界奉仕を貫き、その負担と犠牲のすべてを国民に押しつける最悪の予算となっているのであります。
以下、政府予算三案に反対する具体的理由を述べます。
第一の理由は、本予算案がレーガンの核戦略を補完する歯どめなき大軍拡を推し進めようとしていることであります。
軍事費は、政府計画に格上げされた中期防衛力整備計画の初年度として最優先され、対前年度比六・五八%増と超突出して一般歳出の一割を突破しました。後年度負担を合わせれば二十三兆円を超えるこの計画が日米軍事同盟強化、アメリカ有事の際の自衛隊参戦を目指すものであることは明白であります。日本の国土と国民を核戦争に巻き込む危険をますます強める中曽根内閣の大軍拡予算案に対し、心からの怒りを込めて反対するものであります。
第二の理由は、中曽根首相の戦後政治総決算路線のもとで、国民生活への新たな総攻撃が加えられようとしていることです。
老人医療再改悪を皮切りとする福祉切り下げの第二ラウンドへの突入、一年限りの約束をほごにした国庫補助金カットの拡大、延長、円高不況下での中小企業対策費や農業予算の連続大幅削減、大型間接税導入の画策等々、国民への負担と犠牲の押しつけは枚挙にいとまがありません。このような国民犠牲の予算案は、国民からも決定的な反撃を受けることを断言するものであります。
第三の理由は、内需拡大、民活と称して新たな財界奉仕の施策を強行しようとしていることです。
東京湾横断道、明石海峡
大橋など新列島改造型大プロジェクトの推進は、国民には莫大な財政負担と環境破壊をもたらしつつ、大企業に大もうけを与えるものにほかなりません。さらに。国鉄の分割・民営化や国公有地の処分など国民共有の財産を次々と大企業に売り渡そうとしているのであります。財政破綻を拡大しながら、大企業に大盤振る舞いする本予算は断じて容認できません。
次に、私は、議会制民主主義の根本にかかわる重大な問題について指摘しておきます。
第一は、テレビ放映質問問題です。
予算
委員会総括質問テレビ放映の余りにも不公正な現状を是正する問題は、
理事会での話し合いと自民党の林筆頭
理事によるNHKへの改善方申し入れが行われたものの、具体的な改善には至っていません。他方、昨日、一昨日の分科会や本日の締めくくり質問は
理事会の合意で午前九時開始となりましたが、このことは、党利党略にこだわりさえしなければ、テレビ放映質問の開始時間についても午前十時から九時に繰り上げるなど、放映の公平を確保する質問時間割りの設定が予算
委員会独自の努力で可能となることを示しているのであります。
第二は、我が党の予算組み替え要求書受け取り拒否と質問資料配付妨害問題です。
我が党は、予算修正協議が予算
委員会の任務であり、また、慣例として
理事会中心で行われてきた実績に従って、二月十七日、予算組み替え要求書を小渕
委員長に提出しましたが、自民党は、共産党は本会議での予算修正提案資格がないとか自民党のやることに全部反対しているなどの見当違いの理由を挙げて、不当にも受け取りを拒否しました。
国会は、政府の政策、方針に賛成の党も反対の党も含めて構成されているのであり、お互い議論を交わし、少数党の意見をも説くことを通じて国民の声を国政に反映させるのが議会制民主主義であります。気に入らないからといって聞く耳持たぬという態度は、二月十八日本
委員会での質問資料の配付妨害とともに、予算審議の形骸化を促進するファッショ的暴挙と言わざるを得ません。
第三は、予算修正協議とともに、予算
委員会の運営までが特定政党間の会談によって左右されたことです。
自民党は、国会法に決められてもいない予算修正協議など予算
委員会ではやる必要がない、修正をやりたければ動議提出手続をとればよいと主張したため、予算委
理事会は有名無実となって、修正協議は終始共産党を除く政党間会談を中心に進められ、しかも
委員会運営までがそれに従属させられるという本末転倒の事態となりました。話し合い無用、多数決で決着つければいいんだという態度や、国権の最高機関である同会の上に特定政党間の協議を置くというやり方は、絶対に許されないことです。
第四は、共産党質問の辞退強要問題です。
四日から五日にかけての
理事会では、共産党を除く国対
委員長会談の申し合わせを盾に、我が党の
東中議員が予定した
渡辺通産大臣発言問題の質問を辞退せよとの要求が繰り返し出され、私がそれを拒否すると、今度は、政府は答弁に気をつけよとか、本会議陳謝まではお答えできませんと答弁すればいいんだなどの発言が相次いだのであります。しかも、
委員会での
東中議員の質問に対する
渡辺通産大臣の答弁は
理事会でのこうした発言と全く符合するものとなったのであります。議会制民主主義にあるまじき異常事態をつくり出した関係各党と中曽根内閣の責任は極めて重大であり、我が党は改めて抗議するとともに、あくまで
渡辺通産大臣の罷免を要求するものであります。
私は、日本共産党・革新共同提出の予算組み替え動議こそが日本の平和と民主主義、国民生活を守る唯一の道であることを力を込めて強調するとともに、政府提出の予算案には重ねて断固反対を表明して、討論を終わります。(拍手)
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○小渕
委員長 これより採決に入ります。
まず、正森成二君外二名提出の
昭和六十一年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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○小渕
委員長 起立少数。よって、本動議は否決されました。
次に、
昭和六十一年度予算三案を一括して採決いたします。
右三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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○小渕
委員長 起立多数。よって、
昭和六十一年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました
昭和六十一年度予算三案に関する
委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○小渕
委員長 これにて
昭和六十一年度総予算に対する議事はすべて終了いたしました。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
去る一月三十一日の審査開始以来、長期間にわたる審査を行ってきたのでありますが、その間、終始真剣なる論議を重ねていただき、本日ここに審査を終了するに至りましたことは、ひとえに各党の
理事並びに
委員各位の御理解と御協力のたまものであり、
委員長といたしまして衷心より感謝の意を表する次第でございます。
ここに、連日審査に精励されました
委員各位並びに関係各位の御労苦に対し深く敬意を表し、感謝の意を申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十一分散会
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