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1986-02-26 第104回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年二月二十六日(水曜日)    午後一時三十五分開議 出席委員   委員長 小渕 恵三君    理事 中島源太郎君 理事 浜田 幸一君    理事 林  義郎君 理事 原田昇左右君    理事 渡辺 秀央君       相沢 英之君    伊藤宗一郎君       石原健太郎君    石原慎太郎君       糸山英太郎君    宇野宗佑君       上村千一郎君    衛藤征士郎君      小此木彦三郎君    大西 正男君       大村 襄治君    奥野 誠亮君       倉成  正君    自見庄三郎君       砂田 重民君    住  栄作君       田中 龍夫君    高橋 辰夫君       月原 茂皓君    中村正三郎君       二階 俊博君    葉梨 信行君       林  大幹君    原田  憲君       村山 達雄君    山下 元利君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君  出席政府委員         内閣法制局長官 茂串  俊君         防衛政務次官  北口  博君         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁長官官房         長       宍倉 宗夫君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 山田 勝久君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         外務大臣官房審         議官      渡辺  允君         外務大臣官房領         事移住部長   妹尾 正毅君         外務省アジア局         長       後藤 利雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   三宅 和助君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省情報調査         局長      渡辺 幸治君         大蔵省主計局長 吉野 良彦君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ————————————— 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君     中村正三郎君   石原慎太郎君     衛藤征士郎君   奥野 誠亮君     糸山英太郎君   倉成  正君     林  大幹君   田中 龍夫君     宇野 宗佑君   橋本龍太郎君     二階 俊博君   三原 朝雄君     高橋 辰夫君   武藤 嘉文君     月原 茂皓君   正森 成二君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   糸山英太郎君     奥野 誠亮君   宇野 宗佑君     田中 龍夫君   衛藤征士郎君     石原慎太郎君   高橋 辰夫君     三原 朝雄君   月原 茂皓君     武藤 嘉文君   中村正三郎君     伊藤宗一郎君   二階 俊博君     橋本龍太郎君   林  大幹君     自見庄三郎君 同日   辞任         補欠選任   自見庄三郎君     倉成  正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計予算  昭和六十一年度特別会計予算  昭和六十一年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 小渕恵三

    小渕委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合日本共産党革新共同所属委員出席要請いたしましたのでありますが、御出席をいただけません。やむを得ず議事を進めます。  昭和六十一年度一般会計予算昭和六十一年度特別会計予算昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、外交防衛問題について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。月原茂皓君。
  3. 月原茂皓

    月原委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、外交、安保の問題について集中審議で代表して質問させていただきます。  まず、昨夜、アキノ政権が誕生したわけでございますが、二十年間にわたるマルコス政権から、国民が大変な努力をして新しい政権が生まれたわけであります。この政権に対して、我が日本はどのような態度で対応したのか、そして今後どのように対応しようとしているのか、総理大臣にお考えを伺いたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 きのうからの事態発展に応じまして、政府けさ方午前一時前後に外務大臣談話を発出いたしまして、事実上のアキノ政権承認を行いました。正副大統領としてアキノ氏及びラウレル氏が当選をして、そしてその後の事態の進展によりまして、新政府の成立を確認いたしました。そういうような関係から、けさ明け方早くそのような態度に出たものであります。  私は、けさ正式に記者諸君、テレビの皆様方に対して申しましたが、アキノラウレル正副大統領並びにフィリピン国民皆様に心からなる祝意を送ります。政権の移譲が平和裏に行われたことをアジアの隣邦として非常に心から喜ぶと同時に、この機会に示された正副大統領の偉大な指導力フィリピン国民皆様民主主義的な実力敬意を表するものであります。  けさ午前零時に安倍外務大臣談話を出しましたが、それは正副大統領の誕生をお祝いし、今後友好協力関係を進めたいというもので、事実上の承認と考えて結構であります。  フィリピンアジアの重要な隣国で、日本とも伝統的な友好関係を持ってきております。我が国は毎年約五百億円近くの経済協力を実施してきております。それぐらい重要な国であり、今後新政権が速やかに事態の収拾を行い、政治経済が安定的に、また、たくましく前進を開始するように希望いたします。特に経済は厳しい環境にあるので、いろいろな改革を断行し、推進し、できるだけ速やかに安定するように期待をしております。日本としても重要なアジア隣国なので、できる限りの協力をしたい。  なお、けさ椎名素夫代議士大木浩参議院議員をマニラに派遣いたしまして、私の個人的代表として正副大統領祝意を表し、それと同時に、もしあるならばいろいろな相談にあずかるように指示したところでございます。
  5. 月原茂皓

    月原委員 ただいまの総理大臣談話によりまして、日本が新しい政権を祝福しておること、そして全面的にバックアップするつもりであるということが、我が国民は無論のこと、フィリピン国民にも伝わって、非常に心強く思っていることと思います。  そこで、外務大臣にお尋ねいたしますが、我が国フィリピン位置づけと申しますか、我が国においてフィリピンをどのように評価し、どういう理由で友好関係にあるのかというようなこと。そしてさらには、今総理談話にございましたが、新しい政権が非常に平和裏にできたのですけれども住民はまだしばらくの間動揺があるのではないか。そういうときに当たって、最大経済援助をしている我が国として、速やかに何らかの手を打たなければならないと思っておりますが、その決意をお聞きしたい、このように思います。  そしてあわせて、この過程において、これは安定したわけでございますが、非常に不安であった我が邦人保護に対して、外務省がどのような手を打っていたのかということもお尋ねしたいと思います。
  6. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 我が国フィリピンは、長い歴史の中にあって、地理的にも非常に隣接をしておるということで、友好関係が続いてまいりました。ただ、第二次大戦の際は、我が国軍隊フィリピンを占領するということもありまして、フィリピンに対しては非常な被害も与えたわけでございます。その後日比関係は、戦後国交を回復をいたしまして、日本としましてはフィリピンに対する賠償も行い、さらにまた、フィリピンはASEANにおける重要な地位を占めておりますし、東南アジアにおける重要な地位を占めております。今後とも日比関係友好を図っていくために、経済協力を引き続いて続けてまいります。  最も重要な日本経済援助国でございます。長年にわたる日本援助は、フィリピンの安定、国民生活の安定には大きく寄与してきておると我々は確信をいたしておるわけでございます。そして今回、マルコス政権が倒れて新しいアキノ政権が生まれたわけでございますが、我々としても引き続いて、このアキノ政権との間に緊密な連携も保ちながら、一層の協力を進めていかなければならない、こういうふうに思っております。  現在、新しいアキノ政権ができましたけれども、しかし、フィリピンの直面する事態は、非常に困難な問題を抱えておると私は思っております。特に経済につきましては、政治の不安定が続く中でインフレがどんどん広がっていく、そして国民生活は苦しい状況に追い込まれている、そういう状況でありまして、フィリピン政府としても日本に対する期待は非常に高い、こういうふうに考えておりますし、既にそういうふうなアキノ政権からの日本に対する協力が求められております。我々は、このフィリピン経済の安定のために、特に国民生活の安定と福祉向上のために、今後とも援助をむしろ拡大をしていかなければならない、こういうふうに思っております。  現在、ことしは十三次借款供与を行うことになっておりますが、これは新政権において準備が整い次第、話し合いに入りまして、これを実行してまいりたい。さらにまた、来年以降につきましても、これから話を進めて、フィリピンのためにできるだけの御協力を申し上げたい。現在、我々は実際上の承認をしたわけでございますし、フィリピン政府の体制がこれから整っていくであろうと思います。温かい気持ちでフィリピン政府友好基盤拡大をすることが、アジアにおける日本国際的役割であろう、こういうふうに考えております。  なお、この騒動によりまして、フィリピンにおきまする三千数百人の在留日本人、さらにまた多くの旅行者フィリピンに参っておりますが、その安全、保護というものに対しまして、我々も非常に心配をいたしました。同時にまた、あらゆる手段を尽くしまして、これが保護、安全のために努力を重ねてまいりましたし、さらに、重大な危機を迎えるということになれば新しい対策を講じなければならぬということで、その準備も万端進めてまいったわけでございます。連絡関係は非常に緊密にいきまして、フィリピンにおける我が国大使館は、昼夜を分かたず邦人との接触を図りまして、今日におきましては、幸いにいたしまして、一人の在留邦人の問題も起こらずに、無事にこの危機を切り抜けることができたわけでございます。  いずれにしても、実際上の承認を行ったわけでございますし、そしてまた、政府としましては、梁井外務審議官を今派遣をいたしております。角谷大使と相協力し、そして新しいフィリピンアキノ政権接触を始めたい、こういうふうに考えております。既に我が国が実際上の承認を行ったということにつきましては、昨日の私の談話をきょう、アキノ政権大使を通じて手交いたしまして、日本立場を明快にいたしておるわけであります。
  7. 月原茂皓

    月原委員 外務大臣が所用があるようでございますが、ただ、あと一言外務大臣にお尋ねしたいのでございます。  今、外務大臣お話の中に、アキノ政権の方から経済関係援助要請があったという、それに近い表現があったのでございますが、具体的にどういうふうに要請があったのか、述べていただきたいと思います。
  8. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 実は、あの混乱が続いている中でアキノ陣営の中から、日本フィリピン関係は極めて重要な関係にある、今後ともこうした関係を維持発展させたいというふうな趣旨の発言もありましたし、また、アキノ大統領も、大統領候補時代におきまして、日本との関係に言及いたしまして、日比関係は大事であるということ、そしてまた、日本協力を求めたいというふうな発言もあったわけでございます。こうした状況を踏まえまして、また、我々が接触する中で、アキノ政権日本に対する期待は非常に深いものである、強いものであるということを、我々は身近に感じておる次第でございます。こういう点を踏まえて、日比関係アキノ政権もそうでありますし、我々も、この関係を安定をし、そして発展をさせたいという思いは一つである、こういうふうに思っておりますので、今後ともそういう立場に立ってひとつ進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  9. 月原茂皓

    月原委員 ただいまの外務大臣発言によりまして、あの混乱の中で新しい政権を模索している段階から、既に我が国に対して強い期待を持っていたということがわかりました。総理大臣発言、そして外務大臣の今のお話フィリピンは重要な国でございますので、積極的に、そしてできるだけ速やかに住民が安定するように、その最初の段階に力をかすことが、我が国の国益にもかなうし、また、フィリピン住民のためにもなることだと思いますので努力を願いたい、このように思います。  外務大臣外務委員会の要求があるようでございますので、どうか行ってください。
  10. 小渕恵三

    小渕委員長 外務委員会からの要請があるようでありますので、外務大臣には御退席願っていただいて結構でございます。
  11. 月原茂皓

    月原委員 ただいまの経済援助の問題でございますが、大蔵大臣のお考え方をひとつお願いいたします。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的には今外務大臣からお答えがあったとおりでございます。あくまでも民生安定、福祉向上のために私どものささげるべき努力をいたさなければならないと思っております。  なお、私の所管の点につきましては、今までの累積債務の金利の問題でございますとか、恐らくそういう具体的な問題も俎上に上ってくるであろうと思っております。国際機関等々とも協力をいたしまして、これには誠意を持って対応をするつもりでおります。
  13. 月原茂皓

    月原委員 大蔵大臣の今の御答弁にもありましたが、私はこの発足の段階が最も大切なことだと思います。二十年間の中から新しい産みの苦しみを持ちながら出てきたわけでございます。そういう意味で、できるだけの協力を我が政府としてとっていただきたい、このように思います。  そこで今、外務大臣からフィリピン位置づけについてお話がありましたが、今フィリピン位置づけというのはもう一つ自由陣営における軍事バランスと申しますか、そういうところで非常に大きな意味を持っておるものだと思っております。ひいては、我が国にも関係するわけでございますが、スビック湾クラーク基地、そしてそれに対抗する最近におけるソ連カムラン湾、ダナンにおける進出、そういうものを踏まえて、フィリピンの軍事的な意味と申しますか、自由陣営における別の面からの位置づけというものについてどのように考えられておるのか、総理大臣防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
  14. 加藤紘一

    加藤国務大臣 あの地区は我が国に限らず、多くの国々にとりまして海上輸送の重要な地点になっております。また、いろいろ複雑な、政治的、軍事的な情勢がありまして、その中における安定性を維持するということは、世界全体、またアジアの安定にとって極めて重要な点であろうと思います。なおかつ、その中で米比関係というものは、その安定の軸になる非常に重要な関係でございまして、その関係の実質的な保障措置とも言えます在比の米軍基地スビックでありクラークであり、この二つは、やはりその存在は、この地域における大きな安定的な要因、重要な要素であろう、こう考えております。
  15. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 防衛庁長官がお答えしたとおりでございますが、アジアにおける位置及びその国力、あるいはさらに世界戦略上から見た位置という面から見ましても、非常に重要な位置であり、国であると考えております。  アメリカやあるいは世界自由主義陣営国々が心配しているのは、実はいわゆる新人民軍というNPAの勢力の問題でありました。NPAは一万五千から三万ぐらいの軍隊であると言われております。人によっては一万五千だと言い、人によっては三万ぐらいにも膨長しているという説もございます。このNPAが今後どういうふうに動いてくるかということは、最大関心事であったわけであります。我々もそういう点を注目しておったわけでありますが、フィリピンの軍が二つに分裂するような事態になると、これは容易ならざることになるのではないかと危惧しておりましたが、フィリピンの軍も統一を保っておるようでございます。そういう意味において、やはりフィリピン内部の問題でございますけれどもフィリピン自体政府の力によりまして、そのような強い国防あるいは治安の力を今後維持し、あるいは建設していくという問題があるのではないかと想像しております。  それからもう一つは、経済問題がございまして、フィリピン財政状況がかなり厳しい状態で、私の記憶ではたしか二百億ドル台の債務を抱えていたと記憶しております。そのためにいわゆる債務支払い延期問題等も起きまして、IMF等も関与して、アメリカ日本やそのほかの自由主義陣営諸国等も、このフィリピン財政再建に今まで協力もし、またIMFからの非常に強い条件が示されまして、かなり厳しい経済運営フィリピン自体も実はやってきておったところでございますが、今のような状態のもとに、経済がいかに活動をまた開始するかということが非常に大事な決め手になるだろうと思います。インフレーションが起きはしないか、あるいは工場の活動のための原料、資源の供給が円滑に行われるか、あるいは輸出入のバランスを回復できるか、こういう問題が実は政権が安定し、長期的に持続していくための非常に重要な要件になるだろうと思います。そういう面につきましても、我々はフィリピン国民福祉と安定をこいねがうがゆえに、よく相談いたしまして、またアメリカ等とも相談もしてやりたいと思っておるのです。  実は、エンリレ将軍とそれからラモス将軍マルコス氏と独立の行動をとりまして、警察軍本部等に立てこもった直後に電話をしてきたのは、アメリカ日本大使館両方電話してきまして、こういう行動をとったということを言ってきておるので、アメリカ日本というものが相当頼られている一つの証拠じゃないか。また、日本角谷大使も、当時のマルコス大統領に対しても電話を入れて、そして平和的にこれが収拾されるように、武力行使を絶対避けるように、そういう強い申し入れを一回ならず私はやっておると思います、こちらの訓令に基づきまして。そういう点におきましても、日本アメリカはかなり協調行動もとってきておったのは事実であります。  このような状況になりまして、ともかく平和裏に収拾されたということは、ある意味においては、フィリピン民主主義実力を持っている国だという一つのあかしでもありまして、私はその点、非常に喜ぶとともに、敬意を表しておる次第なのであります。この間に示されたアキノ大統領ラウレル氏の結束指導力というものと、それからフィリピンの民衆の民主主義的な実力というものは、我々の共鳴を呼んだところでもあると思っております。今後も緊密な連絡をとりながら、安定していくように協力してまいりたいと思っております。
  16. 月原茂皓

    月原委員 ただいまの総理大臣お話で、私は大変意を強くしたわけであります。と申しますのは、もちろん、フィリピン自身民主主義の強力な基盤ができておるということもございますが、この難しい問題をその国から頼りにされるという、日本の今までの蓄積が物を言っておるんだ、総理大臣以下の最近の努力も高く評価されておるんだと私は思います。そしてまた、米国と一緒になってそういう問題を解決できた。介入したのではないですが、そういう自助の努力というものに対して温かく見守り、そしてその国に頼りにされる、スタートの段階から頼りにされておるということは、私は日本外交一つの大きな足跡を残したものだ、このように思うわけであります。  そこで、防衛庁長官が先ほど、その地域フィリピンの軍事的な位置づけについてお話がありましたが、防衛庁長官はいろいろ米国等お話しになっておられると思いますが、米国の方はフィリピンをどのように見ておるのかということを、防衛庁長官から聞くのはなにかと思いますが、向こうのワインバーガーさんとか、そういう方々はフィリピンの軍事的な位置づけについてどのように考えておるのかということをひとつ説明していただきたい。
  17. 瀬木博基

    瀬木政府委員 フィリピン米国との間が非常に伝統的な友好関係、全般的な政治経済、文化その他の関係を持っておることは、委員案内のとおりでございます。防衛関係につきましても、先ほど防衛庁長官総理大臣から御答弁がございましたとおりでございますが、さらにこれを敷衍いたしますと、アメリカ側は三つの考え方を持っていると思います。一つは、申すまでもなく、米比協定によりましてアメリカフィリピンの平和と安全を保障するということであります。第二番目は、フィリピンにある基地によりまして、先生案内のようにアメリカ東アジアまた西アジア米軍のプレゼンスを維持し、また必要に応じて米軍を展開いたすわけでございますが、そのかなめになっておるということだと思います。第三番目には、ペルシャ湾から東アジアに至ります重要な国際的なシーレーンというのはこのフィリピンの近くを通っておるわけでございます。これに対して防衛上のかなめ位置にあるということから、フィリピンという基地並びにフィリピンとの間の防衛関係というのは、国際的な安全の大きな柱になっておると私どもは見ております。
  18. 月原茂皓

    月原委員 そこで、フィリピン情勢に絡んで世界軍事情勢と申しますか、その方向に移っていきたいと思いますが、かつてデタントと言われる時代があったわけであります。一九七〇年代でございますが、そのデタントアフガンに対する侵攻によってあの時期に破られたと世間では理解されておるわけでございますが、この七〇年代のデタントというものは、その教訓と申しますか、デタントデタントと言っているうちに、起きてみたらアフガンだったというようなことであったわけでございますが、その七〇年代のデタント教訓をどのように受けとめておるのかということを防衛庁長官にお尋ねしたいと思うのです。
  19. 加藤紘一

    加藤国務大臣 国際情勢全般の判断につきましては外務大臣からお答えいただくのが本来の筋であろうかと思いますけれども、過去のデタント時代から現在までの国際情勢及び国際軍事情勢を総括的に見ますと、やはり一方で私たちとしては非常に早く軍縮等の実現ができることを願いますし、本当に心底そう思うわけでございますが、そのためには自由主義陣営の非常に強い団結をもって初めてそれが可能なのではないかということであります。アフガン事件等を見ましても、やはり自由主義陣営内部における結束について若干の疑念でもあるようなときには国際軍事情勢及び国際政治情勢は大きく変わり得ることがあるのではないか、それが私たちに残した教訓なのではないかな、こう考えております。
  20. 月原茂皓

    月原委員 防衛庁の方にお尋ねしたいのですが、そのデタントの間にソ連軍は、極東ソ連軍の例をとっても結構なんですが、どの程度の増強が行われたかということを説明していただきたいと思います。
  21. 瀬木博基

    瀬木政府委員 先生案内のとおり、現在においては極東ソ連軍というのはソ連全体の軍備力のうちの四分の一ないし三分の一という配備が行われております。伝統的には、ソ連というのは専ら軍事の関心方向はヨーロッパ方面にあったわけでございまして、六〇年代を見ますと、例えば海軍を見てみても、太平洋艦隊というものは沿岸警備型の海軍というものから発生したものであったと思います。これがデタントを経て八〇年代になりますと、いわゆるブルーウオーターネービーと言われているものになりまして、現在においてはソ連の四つの艦隊の中の最も強力な艦隊になってきたというのが実態でございます。また空軍をとりましても、いわゆる第三世代と言われているミグの23であるとかSUの24というようなもの、またバックファイア機というような非常に近代的な飛行機が二千二百機も配備されるという状態にあるわけでございます。陸軍につきましても、四十一個師団三十七万人というものが極東方面に配備されるということでございまして、ソ連極東方面に関する軍事的な関心というものは非常に大きくなってきたということが言えるだろうと思っております。
  22. 月原茂皓

    月原委員 今防衛庁長官から一九七〇年代のデタント教訓、そしてその間におけるソ連軍の増強についての防衛庁の説明を伺ったわけでございます。  そこで総理にお尋ねしたいわけでございますが、米ソの首脳会談が昨年行われた、そしてまた日本においてもソ連外務大臣が来て外相会議が持たれた、もちろん総理大臣もお会いになった、こういうふうなことで、日本の中に何かデタントというか、そんなムードがある。そしていよいよデタントが到来したのだ、そういうふうな印象を受けている者が非常に多いと思うのです。確かに緊張緩和ということは大切なことでございますが、これを定着さすために、そしてより進めるためには、今防衛庁長官教訓として団結とか、あるいはそういうお話がありましたが、総理大臣としてはこれを定着さすためにどういうふうなところがポイントだと思われておるか、お尋ねしたいと思います。
  23. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 国際関係というものは極めて厳粛であり、かつ非常に厳しい状態は現実に続いておると思います。米ソ首脳会談が行われ、あるいはいろいろなことが取りざたされて、言葉の上ではそういう雰囲気が漂ってはおるけれども、現実にそれが今実行されているかというと、それにはまだ非常に大きな距離があるのであって、その言葉のことだけで幻想を抱いてはならない。しかし、我々の日本は平和国家を国是としておる国でありますから、やはり平和を望み、そして日本が戦場にならぬように、日本が戦争に巻き込まれぬように最大努力していかなければなりませんし、軍縮についても、特に核兵器の地球上からの廃絶についても一番熱心に今後も努力していく決心でおります。これは、全国民の皆さんが御支持くださっておるところだろうと思います。そういう国際環境なり雰囲気をつくっていくということは、これまた真剣にやっていくつもりでおりますけれども、しかし、そういうような我々の想念あるいは理念、希望と現実というものの間にはまだ非常に大きな距離があるので、それが現実的に実証的にどう埋められていくかということを見ないうちは安心はできないわけです。  そういう意味で、米ソの首脳会談が今後どういうふうに行われて、核兵器や通常兵器の縮減、廃絶の方向に現実的に向けられていくか、特に現在のこれからの問題として、米ソ首脳会談ではINFの問題がございますね。あるいはさらに核実験停止というような問題もございますね。あるいは化学兵器の禁止というような問題もあります。もう一つは、ICBMのような長距離大型弾道弾の基数を五〇%削減する、こういう点もございますね。やはりこれらがこれから我々が注目していく具体的な大きなポイントであるだろうと思いますが、それらが現実的に着実に前進するように願いたいじ、そのためにも我々は側面的に協力する。特に自由主義陣営の団結を通じて、アメリカに対しましてそれが現実に前進できるような助力を我我としてもやりたい。自由主義諸国とも話し合って平和と安全、世界的安全保障のためにやりたい、そう思っておる。そういう平和と軍縮のために努力するということは、集団安全保障という枠内には入るものではないのであります。そう考えてこれからも進めてまいりたいと思っております。  日ソ間の問題につきましては、先般シェワルナゼ外務大臣が来られたという事実がまず大きな変化であって、我々はこれについて、ソ連態度がグロムイコさんのときから変わっておる、そういう意味において誠意を一応評価したいと思います。これが一つのはずみになって、これもまた現実的に、実証的に両国の間で友好関係が次第に実りあるものに発展するように願ってやまない次第であります。  そういうものが現実的にどういうところへ出てくるかといえば、今やっている漁業交渉の問題もそうでしょう、あるいは文化協定の締結の問題もそうでしょう、あるいは経済協力の問題もそうでしょう。しかし、それらの一番基本的な問題は、領土問題というものがあるわけです。したがって、そういう全部に目を注いで、そして緩急また軽重おのずからわかっておるわけでありますから、我々は、そういう点については大きな関心を持ちつつ、一歩一歩米ソ両国の平和と軍縮が前進し、また我が国の安全保障上においても好ましい環境が醸成されるように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  24. 月原茂皓

    月原委員 今のお考えで十分わかりました。  そこで、防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、デタント、今言ったムードが、総理は非常に現実を踏まえた発言なんですが、国民の中にはややそこのところが幻想というか、そういうスタイルもあるわけでございます。そういう意味で、今防衛庁は中期防をつくられた、政府として承認された計画を持たれたわけでございますが、それの進捗について今後どういうふうに——そういう空気の中で幻想を持たれる人が多くなってくると、なかなか難しいと思うのですね。だから、防衛庁の方はその計画についてどういう決意で臨まれるかという決意を聞きたいと思います。
  25. 加藤紘一

    加藤国務大臣 よく、米ソの間でこのような話し合いが始まり、そしていわゆるデタントというような方向に進みつつある中でどうして一般の予算よりも突出する防衛予算を組むのか、それから大綱の水準の達成を目指すのかというような御質問を受けます。  ただ、米ソの今後の軍縮交渉につきましては、私たちとしてもその実現、なおかつ実質的な効果を持つ取り決めというものが早く達成されることを望みますけれども、その行く末はなおまだ慎重に見きわめなければならないということが一つあることと、それから現在行われておりますのは、言うなれば中心は、核におけるバランスの相対的な低下を目指した核軍縮というものが中心になろうかと思っております。その後のいわゆる通常戦力におけるバランスがどうなるのかといった、今後非常に難しい問題を幾つか段階的に持っておると思います。  私たちが今考えておりますのは、我が国防衛政策の原則にのっとって、平時においてもこの程度は持っていなければいけないと思われる水準に早く達成しようとしている、いわゆる平時における防衛力水準でありますし、同時に、それは通常の戦力による整備の世界でございます。そして、私たちはあくまでも専守防衛の原則に従って、他国を攻撃する能力はないけれども我が国防衛するという意味ではこの程度の最小限のと言っているものであって、この体制は、防衛力の水準の達成は現在の情勢の中でもしっかりと進めていかなければならないのではないかと思っております。  そういう意味で、この五カ年の計画の第一年目に当たります六十一年の提出しております予算案は、第一歩として非常に重要なものでございますので、よろしく御審議をいただきたい、こう考えております。
  26. 月原茂皓

    月原委員 当初の質問の項目には挙げていませんでしたが、今ソ連においては党大会が開かれておる。その問題について、今開かれておる内容が逐次報道されておるわけでございますが、それについて総理大臣はどういう感想を持たれておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  27. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は前にも部分的に申し上げましたが、ゴルバチョフ政権は前のチェルネンコ政権等々、あるいはその前の政権等々とかなり変わってきている気配があると思っております。その実力といいますか、政策を推進する一番大事な体制固めというのが今回の党大会ではないか。就任以来かなり思い切った人事の刷新を行ってきておりますけれども、問題は中央委員会の構成でありますから、それが今度の党大会でどういうふうな変化が出てくるかという点を世界じゅうも関心を持って見ておるだろう、こう思うのです。  私は、前にも申し上げましたように、ゴルバチョフ氏に会いましていろいろ応答もしてみて、そして非常に感じましたことは、既に相当クレムリンの内部を掌握しているなということをまず感知しました。そのときはチェルネンコ氏の葬式の直後ですから、まだほやほやのときであったわけですけれども、そばにいたグロムイコ外務大臣のゴルバチョフ書記長に対する態度を見るというと、やはり非常に丁重な扱いと態度をとっておられました。それは、私にとっては非常に意想外ぐらいのことであった。そういう面を見まして、チェルネンコさんが病気の間も既に相当実権を握っておったなという気が私はしておったのであります。その後の行為を見ますと、そういう人事の刷新等もかなりてきぱきやっておるのを見まして、やはり相当力を持ってきておったのだなということがわかります。  その上に、やはり私があの人の立場になって考えてみますというと、ともかくソ連外交、内政というものは相当行き詰まってきておった。世界政策においても、各地において行き詰まりが来ておった。内政においても、農業問題を初め、そのほか規律の問題あるいは生産性の問題その他でも相当行き詰まりが来ておる。だから、スターリン氏が書記長になってずっと今まで、レーニン、スターリンに続いてやってきた共産主義の体系というものがここで非常にもうある限界点に達してきている、今までの考え方ではだめだ、新しい内政、外交に関するイノベーション、革新を必要とするときに来た、彼はそう見ておることだろう、そう思ったのです。ゴルバチョフ氏はまだ五十代ですから、二十年の持ち時間を持っておると思うのです。だから、短期、中期、長期の世界政策あるいは国内政策の展開のスケジュールを彼はこのチェルネンコ氏の間ずっと練ってきておるだろう、こう思っておるのです。それで、そういう意味で、今までよりも非常に西欧的なアプローチを持って、そして特に中国の自由化の政策をよく見て、その中国の自由化が生産性においてかなり成功しつつある、それのインパクトを相当受けておる、そう見ておるのであります。したがって、内政においても、党大会以後はどういうような内政が展開してくるか、かなり中国も考えた政策が出てこやしないかということを私は見ております。  また、世界政策においても時間が必要であります。それだけの大きなイノベーションをやろうと思ったら、平和と時間が必要なことは当たり前で、財政的にも厳しい状況でもあるわけですから、そこでアメリカとのデタントという方向に出ている。時間が必要であるということで来ている。  またアジアにおいては、今まで日本に対して、ややもするとソ連日本実力を認識しないような態度であったのではないかと思います。それが修正された、グロムイコ路線というものが。やはり日本実力というもの、日本の影響力というもの、最近の日本実力や国際社会における地位というものを正当に認識し直して、そしてこの日本といかに共存していくかということがアジア太平洋におけるソ連の影響力を今後つくっていく非常に大きな決め手になると考えているのではないかと思われる節があります。中国について非常に注目していると同時に、また、日本についてもそういうふうに注目しているのではないか、そう見ておる。  そういうことを頭に置きつつ、党大会以後ソ連世界政策及び国内改革についてどういうふうに出てくるか。それが本当に実りのある、事実をもって証明されるような真の平和や真の友好、真の軍縮、そういうものが出てくるか出てこないか。そういう点についても私たちは冷静に観察もし、相手の出方によっては我々もやはり平和と軍縮のためにやることはやっていく、そういう態度で虚心坦懐にいきたいと思っております。
  28. 月原茂皓

    月原委員 今総理が、新しく政権をとったゴルバチョフ氏が結局大変な力を持っておる、そして長期的な戦略で臨んでおる、そしてその国の経済の活性化というか、経済の立て直しというものも考えておる。そういうところで党大会の模様を見ておると、日本に対してもハイテクというような点について高く評価しておる。そして日本を頼るというか、日本からいろいろ協力を得たいという希望を持っておると思うのですが、我が国にとっては先ほど総理大臣がおっしゃった領土問題、これが大変大きな問題なわけです。今総理がおっしゃったように、相手が二十年ぐらいの一つの計画を持って臨んでおる国であればあるほど、我が方は今の時期にもう一回総理大臣自身の領土問題に関する考え方、それをここで表明しておいていただきたい、このように思うわけです。
  29. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 領土問題につきましては、この予算委員会においてもはっきり申し上げましたように、まず原点は、歴史的に、伝統的に、事実として北方四島は日本の固有の領土であったということ、それからサンフランシスコの平和会議においても、吉田全権がその点について特に言及をしておいたということ。その後、鳩山首相が共同宣言を出すに際していろいろないきさつがありましたが、松本・グロムイコ交換公文が交わされまして、その中において、両国が国交を回復した後も領土問題を継続審議の対象とするということを文書をもって確認し合ったということ、こういうような事実。その後ソ連は安保条約改定に際しまして今までと違った見解を通告してきましたが、その後一九七三年十月に田中・ブレジネフ会談が行われて、あの共同声明が行われ、その際に田中元首相からこの継続問題の中には領土問題も含むのか、間違いないかと言ったのに対して、ブレジネフ氏がダー、ダーと二回答えた、そういうことが我々の記録に残っておるわけです。  そういう現実をよくわきまえて、そして、領土問題を回避して日ソの友好親善はあり得ないのだ、領土問題を解決することが一番大事な仕事なんだ、そういう立場に立ちまして、粘り強く私たちは話をし、交渉していきたいと思っておる。今回幸いに、次に安倍外務大臣がモスコーに行くことになっておりますが、領土問題についても交渉の対象にするという点についてははっきり了解もしておりますので、その点は前進してきていると思うわけであります。そういうことを一方において努力しつつ、また経済や文化やそのほかの面において日ソ間の友好関係を幅広く話し合うことも今の世界情勢から見て意義あることである、そう思っておる次第であります。
  30. 月原茂皓

    月原委員 今の総理大臣の北方領土に対する声がソ連の今大会を開いておるところに伝わっていく、このように思うわけであります。  そこで、今私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して質問しておるので、いろいろなところから、もっとしっかりした質問をせぬといかぬぞという声がございまして、私はまさに多くの方々の意見を代表して質問しているわけでございますが、大蔵大臣、先ほど大蔵大臣から、フィリピン経済援助のことについて、あるいは債務のことについて、大蔵大臣が非常に心配されておるという答弁があったのでございます。とにかく新しく発足したばかりの新政権、そしてその混乱の中でも、ひとつ頼むぞと言って我が国援助を求めてきておったその姿勢、そういうものからいって、非常に早い段階日本として誠意を示さなければならないんじゃないか、このように思いますが、大蔵大臣、ひとつその点についてもう一度強い答弁をお願いしたいと思います。
  31. 竹下登

    竹下国務大臣 月原さんの御趣旨は私も十分理解をさしていただいております。直ちに今体制が、なかんずく金融とかいう点につきましては、今どういう体制になるかということは確実には掌握いたしておりませんものの、私は、今月原さんの主張された精神に基づいて対応すべきものである、このように思っております。
  32. 月原茂皓

    月原委員 さすが将来を担う大蔵大臣だけあって、これでいつ総理になられても、向こうへ行ったら最大の歓迎を受けるというふうに思います。  それでは次に、今のフィリピンの問題にも関連する、東南アジアどかそういうところと関連するわけでありますが、我が国で再び東京サミットが開かれる。アジアで開かれるわけでございますので、アジアの意見をひとつ酌み取って臨む、そういう姿勢も必要ではないかと思うわけでございますが、そういう点について総理はどのように考えられておるか、お伺いしたい。
  33. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 従来、サミットに出席する前に、隣国及びASEANの諸国に対しまして、サミットでどういうようなことを発言したらよろしいか、御参考までに御意見を聞かしてください、そう言って御意見を聞いてから私行ってきておるわけです。今度はアジアにおいて、一番近いところで行われるサミットでありますから、同じように丁重に関係各国の御意見を承って、できるだけ反映するように努力してまいりたいと思っております。
  34. 月原茂皓

    月原委員 今石油の値段が大変落ちてきておる。そして、世界の産油国のいろいろな問題が出てきておる。そしてまた、債務国の問題もある。今日本経済は、私は経済の専門家ではありませんが、多くの方々がこれはもう非常に大変なことになるんじゃないかというふうに思っているわけであります。そこで、私が思うのは、今度のサミットはこの問題が一番大きなテーマになるんじゃないかと思っておりますが、総理大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  35. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 サミットについては、今もいろいろ準備をしております。やはり経済問題が一番大事で、昨年の九月二十二日のG5以来、ある意味においては潮の変わり目が出てまいりました。ややもすれば経済停滞が憂えられております。それを払拭して、そして発展途上国や債務国に対しても十分目を注いで、南の繁栄なくして北の繁栄なし、そういう私の言っておる原則を貫いて、世界経済全体が循環を行ってその量と質を高めていく、スピードも高めていく、そういう形に持っていける明るいサミットにぜひしていきたい。  それには、今の石油の問題も一つあります。これも我々としては重大関心を持って話し合うべき問題でございます。それから金融、通貨の問題もございます。あるいは発展途上国に対する援助等の問題もございます。そういうような諸般の問題につきまして隔意なき話し合いをして、そして希望を与えるサミットにぜひしたい、そう考えて努力をいたします。
  36. 月原茂皓

    月原委員 今総理大臣お話のように、当然のことでございますが、今度は経済問題が大変なテーマになると思いますが、そのサミットについて大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  37. 竹下登

    竹下国務大臣 私の担当は経済、財政ということになるわけであります。したがって、各国がインフレなき持続的成長をどのようにしてやるかという、これは従来からも連絡し合ってはおりますが、その問題が基礎にございます。それから次には、ウィリアムズバーグ・サミットの際に、いわゆる通貨問題について我々蔵相に首脳が勉強を命ぜられておる。それを七カ国から広げまして十カ国というのでG10において勉強し、それをIMFの暫定委員会の場に今時ち込んでおるわけでありますので、それの中間報告というようなものもしなければなりません。それに対しては、恐らく各国ともいろいろな意見が述べられるであろうというふうに思います。それから次の問題は、申すまでもなく累積債務問題が出るであろうというふうに予測されます。この問題につきましては、基本的にはベーカー提案というものが一つあります。それから私がいわゆる七項目の提案を、さらに先進国側としての果たすべき役割というものを一応申し出ております。それらの点が重要な課題として議論されるであろう。  しかし、あくまでもサミットの問題は、今外務省のPRさん、いわゆる個人代表さんがそれぞれお詰めいただいておりますので、私としては、今私の心準備のぐあいを申し上げたというところまでがお答えの限界ではなかろうかというふうに思います。
  38. 月原茂皓

    月原委員 東京サミットは今までのサミットと違って、との首脳のところで意見が分かれたり一致しないというところが出てくると世界経済に大変不安を来し、本当にかつての大戦前のような雰囲気になるおそれもあるだけに、先見性を持って日本としてリードし、そして世界経済の安定のために努力していただきたい、このように思うわけであります。  いろいろ質問があったわけでございますが、最後にSDIのことについてお尋ねしたいと思います。  今、防衛庁の方としてSDIはどのように受けとめられておるか、答えられる範囲で。
  39. 加藤紘一

    加藤国務大臣 SDIにつきましては、現在、御承知のように我が政府としては、SDIの研究を理解するというポジションであるわけでございますが、外務省を中心に、アメリカ側からSDIの研究というもの、そしてその構想自体というものについてどういうものかの説明を聞いておる状況であることは委員御承知のとおりでございます。防衛庁といたしましては、その技術的な側面という点につきましては大変なエキスパートが我が省におりますので、外務省が派遣いたします調査団に参加させまして、そして技術的な側面からこの評価、そしてその構想についての理解をしようと今努めているところでございます。
  40. 月原茂皓

    月原委員 最後に、総理大臣にSDIについてお尋ねいたしますが、SDI、大変いろいろな意見の相違があると思います。アメリカの見方、ソ連の見方、いろいろあると思いますが、私は、これは将来大変大きな技術を生む、その研究の過程においていろいろな技術が噴き出してくるのじゃないか、このように思っているわけです。そういう意味におきまして、積極的に参加してそういう技術を吸収していく努力日本にとって必要ではないか、このように思うのですが、総理大臣自身の考え方をお尋ねして、私の質問を終わりたい、このように思います。
  41. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 SDIにつきましては、研究を理解する、こういう態度で、特にこれが非核兵器であり、防御兵器の体系であり、そして終極的には、大量虐殺、大量殺傷の攻撃的兵器体系から防御的兵器体系に転換しようというレーガン大統領の夢を盛っている、こういう大きな計画であります。そういうこともよく理解をして、非核・防御兵器の体系という点につきましては私たちも共鳴している点もある、だから理解もしている、そういうことであります。  しかし、どういう内容を持ち、将来どういうふうに展開していくべき問題であるかという点は、よほどきわめ尽くす必要があります。そういう意味において二回調査団を出しました。その報告も聞いております。しかし、いろいろまだ調査未了の点もあり、また詰めを行う問題もありましてさらに研究をする必要がありますので、目下研究をしておる、検討を続けておるという状態であります。いずれ検討が終わり、熟してまいりましたら、何らかの意思表示をする必要はあると思っております。
  42. 月原茂皓

    月原委員 どうも一年生で、十分こなれた質問ができなくて申しわけなかったと思いますが、自由民主党そして新自由国民連合先生方の御声援によりまして、総理大臣それから外務大臣大蔵大臣防衛庁長官に質問させていただきました。本当にありがとうございました。  これをもって終わります。
  43. 小渕恵三

    小渕委員長 これにて月原君の質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十七分散会