○正森
委員 今の答弁で、配っているということを事実上お認めになったと思います。しかもこのNIRAに出てくる
減税の案は、自民党の中で村山調査会というのがあって、鋭意勉強しておられるようですが、その提起しておられる内容に極めて近く、しかも
ポイントを、あるいは提言の
ポイントとして出しておられるものは、もっと大胆に税率
段階等について述べておられるわけであります。
その骨子は、まず第一に
所得税を二兆円
減税する、法人税を一兆円
減税する、総計三兆円である、その財源はEC型付加価値税を導入する、それでプラス・マイナス・ゼロであるという内容であります。
そこで伺いたいのですが、
大蔵大臣、まだ
政府税調に
資料として出しただけだと言われるかもしれませんが、村山調査会でも
検討されているようでありますが、これを率直に評しますと、まず第一に家計部門だけをとってみますと、EC型付加価値税で家計部門は三兆円増税になる。その中かり
自分自身のところへ
所得税減税で二兆円返ってくるが、
自分のところで増税になったうちの一兆は丸々法人部門に対して
減税に振り向けるといつ内容であります。今、それでなくても私が
指摘しましたように消費が低迷しているときに、そこから三兆円取り上げて、財テクその他で金が余って非常にもうかっている企業もある法人に対して一兆円追加
減税をするというようなことは、
日本経済の将来のためにとっても決してよくないのではないか。
しかも、それぞれの
所得税の部門あるいは法人税の部門でどうかということを
考えてみますと、これは
所得税は最高六〇%までにして六
段階に区切るということになっておりますから、
所得の高い方の人に対してこれは
減税になるということは非常にはっきりしております。法人税の
減税はどうかといえば、複数税率を基本税率に一本化しし、それを三五ないし三六%程度まで引き下げる、こう言っております。そうだとすると、今中小企業の軽
減税率の三一%から見れば約五%高くなり、大きな企業に適用されている四三・三%でしたか、から見れば六、七%
減税になる。それでは家計部門は増税だけやられて、もうかっている法人税の方へ持っていく。
所得税の方はどうかといえば、収入の高い方が
減税になり、法人税の中でも中小企業部門は高くなる、こういうことにならざるを得ないのではないかという危惧を抱くわけであります。
〔
渡辺(秀)
委員長代理退席、
委員長着席〕
そこで、時間がなくなってまいりましたので、
資料の2以下をごらんいただきたいと思います。
資料の2に、NIRAというのは総合研究開発機構の略称であります。
資料2−3を先に見ていただきます。これは、こういう
税制が導入されたとしたら家計部門にどうなるかというのを、上に第一から第十と書いてありますのは
所得の階層分位であります。第十の方が
所得が多い。それから左を見ていただきますとこの説明が入っております。まず第一に可処分
所得が幾らになるかということを出しまして、それがCです。それから消費支出Dというのは、消費性向がありまして、これは総務庁の調査に基づいて、第一分位から第十分位までがどれだけ消費に出しているかというのを、最近の数字で正確に出しました。そして、NIRAによれば食料品と医療サービスと
教育は除くとなっておりますから、支出の中でそれは除きました。ただし外食と補習
教育は入れております。二重
課税排除で、酒、たばこ、ガソリンは従前のままであるというのでその分も除いております。そうすると
課税対象Gが出てまいりますかう、五%掛けて、HがNIRAによる間接税の負担額であります。その中からさらに砂糖消費税、物品税、電気税・ガス税は、これはEC型付加価値税の中に入りますから、これを引かなければ不公平であるということで引いております。そうしますと新聞接税額のJが出ます。さらに見ていただきますと、四人家族と見た場合に、現行法による
所得税額がL、NIRAによる
所得税額がMであります。そうしますと
減税額は幾らになるかということが出てまいりますが、最終的には現行負担額はLプラスI、NIRA負担額はJプラスMということで、結局増
減税額はどれだけになるかというのが次に出ております。それを見ていただきますと、第一分位は逆に四万八千三十七円の増税になる。そして右の方へ移行するほど負担が軽くなりまして、第十分位では三万六千三百八十六円の
減税になるということであります。
それを
資料の2−1ないし2に数字として負担率をあらわしてみました。そうしますと、ごらんいただいてもわかりますように、太い線の方が現行の負担率でありますが、NIRAの場合にははるかに低
所得者に重くなって、第九分位ぐらいのところで逆転をいたします。第十分位というのもせいぜい九百万までの
所得でありますから、それを五千万、一億、五億円ならどうなるかというのが
資料2−2であります。これを見ていただきますと、明らかに
所得が上がるごとに負担が非常に軽くなるという
結論が出てまいります。もちろん
所得の高い人の消費傾向等については第十分位を参考にして一定の仮定を行っておりますが、こういう数字はまず疑いのないところであります。
総理あるいは
大蔵大臣、私は一応
国民の御参考のために試算をしたわけで、もちろんこれは私
どもの試算であります。しかし、そこから一定の傾向が出てまいりまして、それが総務庁の家計調査や、あるいは経企庁等の「八〇年代経済社会の展望と指針」のリボルビングとか、そこに出ている
皆さん方のお
考えと逆に反する方向になるんではないかという危惧を持たざるを得ないわけであります。御答弁をお願いします。