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草川委員 実は、国鉄が用地区分作業をこれから進められていくわけでございますが、再建
委員会が今五兆八千億あるいは二千六百ヘクタールという
数字を積算をしたのですが、この積算の根拠は非常に不十分なものがあるのではないか。これは過日来からも出ておりますが、私はひとつ具体的な実績を挙げて、国鉄がどういうような形で今まで土地を売っておるかというのを、五十八年、五十九年、六十年の実績を二つほど例を挙げて申し上げてみたいと思うのです。
これは五十八年に中央本線の古虎渓-定光寺間の廃線敷です。従来使っておった敷地ですからほとんど利用価値がないのでございますが、十七万三千六百平米を三千七百万円で売っておるわけであります。これは平米当たり二百十三円、坪に直して七百三円で売っておるわけです。売っておるのは、五十八年に売ったのはある民間の測量会社であります。不思議なことに、その測量会社はわずかの日数、半年後に、同じ
名前ですけれども、実は何々都市開発株式会社、いわゆる不動産屋に転売しておるわけです。そうすると、わずか坪七百三円で買っておきながら、それを自分の他の不動産会社に売るわけですから、その利益を消すためにこの入札をしたということ以外に考えられませんね、廃線敷ですから。こんなことがざらに行われておるわけです。
もう
一つの例を挙げてみましょう。例えば
昭和六十年に、名古屋の
中村区に鈍池というところがありますが、駅の裏でございますが、これは鉄道の官舎のあるところです。これは四万七千平米です。九億九千万円、これもマンション会社に売ったのです。マンション会社に売ったのだけれども、これが不思議なことに翌日転売をしておるわけですね、二分の一を他の会社に。しかもこの大きなマンション会社というのは、これは大蔵省もよく聞いておってもらいたいし、あれでございますが、公務員宿舎問題
研究会というのがあるでしょう、新宿の西戸山の活用の問題で。ここの中でれっきとした
名前が出てくる会社なんですね。こういう
方々が今いろいろな問題を先取りしておるわけですね。
でございますから、私は、たまたまここに笹島駅鉄道施設整備後の国鉄の地図を持っております。この地図は、民間の地図ではおりません。いわゆる線路のアールが入っておる。東方には必ず東京駅、西側に東京駅から遠い地図、これは鉄道地図の原則です。旗上げと言って、カーブがどうなっておるかという細かい
数字が全部書いてありますから、私が国鉄の専門家の方に見せたら、これは確かに鉄道の国鉄の地図である、これは間違いない、こういうわけです。ここには、生み出し用地十二万四千平米、二十二万一千円という平米当たりの単価がここに書き込まれています。それでこちらの方には、笹島駅の土地利用
計画として、面的整備事業完了時点の
数字が同じく書き込まれておる。これを見ると、例えば商業地域だとか業務地域だとか住宅地域とか公園地域とか公益施設というようにきちっと区割りをして、いわゆるこの再建
委員会の報告にある付加価値を高めて売ろうじゃないかということが詳しく書いてあるわけです。道路もつくって、
六つに分けられております。
こういう資料が、いい悪いは別でございますけれども私のところに入るということは、私以上に民間デベロッパーというのは相当先取りをしておるというように見なければなりません。だとするならば、運輸
大臣が言うところの第三者機構で公正にやるということが果たして担保されるのかどうか。あるいは国鉄当局に対して――一生懸命国鉄がやっておることは事実ですね。本当に土地が欲しいけれども、国民の皆さんにということでいろいろな積算をなされております。この積算を見ておっても、私が今申し上げた
数字は、これは今雑誌なんかに出ておる
数字とは違います。今出ておる雑誌と違う
数字を私は申し上げておりますから。
例えばこの笹島駅は、発生面積十二ヘクタールですね、この場合は。それから、坪単価二十二万一千円というのが雑誌あたりに出ておる
数字でございますが、私は今申し上げましたように、付加価値を生むような形での値段は四十万九千円、こう言いました。しかし、これを私どもが
調査というのですか、不動産鑑定士の
方々に聞きますと、少なくともこの土地は平米当たり百万は下ることはないだろう。百万を下ることはないのが、最初の積算、生の土地では二十二万。これは生ですからそういうことになるでしょう。しかし、付加価値を与えるためにいろいろと区画整理のような線引きをやってみても、その評価以下だ。
こういうことになりますと、先ほど再建
委員会の方からも、周辺の土地のことを考えて我々は積算したと言うのですが、どうもこれは納得できませんね。少なくとも私がここに持っておる資料というのは、鉄道当局者の
方々に見せるとこれは本当に鉄道の地図だ、そういうことだ、こう言っていただけるわけでありますから、きょうは一々事前にこれはどうかこうかということを申し上げられませんけれども、第三者機関を設けると言うかどうか。
しかも、こういう土地についていろいろとフォローアップをいたしてまいりますと、政治的な介入の余地が随分あったようであります。政治家の
方々が紹介した例も随分あります。これはおかしいのですよ。だから、少なくとも我々は、本来国鉄の土地の売却に当たっては政治家は手を出さないという
決意ぐらいして、本当に国鉄の土地というのを有効活用する、そして地域的にもみんなに喜んでいただく。それから、極端なことを言うと、売らなくてもいいような廃線敷のようなものをわずか三千万や四千万ぐらいは、それは旧国鉄でもいいしあるいは新国鉄でもいいから残してあげるのが筋ではないだろうか、こう思うのですよ。その点どうでしょう。運輸
大臣と国鉄にお伺いします。