○山口(敏)
委員 そこで、時間が限られていますので、減税の問題と財政再建を一緒に
質問しますので、
大蔵大臣から簡潔にちょっとお答えいただきたいと思うのですが、要するに減税の問題は、直間
比率が七三・八%対二六・二%ですか、そういう形で所得税に対する
負担が非常に大きくなってる。財界の方もウシオ電機の牛尾さんが、
政府税調の
委員ですけれども、雑誌に新貧民層を救済せよという非常にショッキングな提案をしているわけです。そういう点で非常に
税金の問題がありますが、これは私、大型間接税なのか中型間接税なのかいろいろありますけれども、間接税論議はいずれにしても避けて通れないと思うんですね。そういうときに、もう極端な話が、七割は減税に回すんだ、あるいは福祉目的税に使うんだ、こういう問題が一つありますね。それからいま一つは、二割は財政再建に使う、あるいは一割は公共事業に使う、そういうきちっとした区分でやれば、私は個人消費を心理的に抑え込むということはないんじゃないか。ですから、きちっとした福祉目的税とか減税に回すということで間接税を
考えられないかということが一点。
それからいま一つは、財政再建計画をひとつ転換するお
考えはないか、こういうことなんですね。これは端的に言って、来年度国債の発行残高は百四十三兆円ですね。今
GNP比に占める割合が約四〇%ぐらいなんですね。国の
予算に対する
負担率が、償還とか金利の利払いが約二〇%なんですね。ところが大蔵省の試算では、六十五年度は百六十六兆円、また七十年度は百八十兆円ということになっているのですけれども、それはもうほとんど伸び率をゼロに抑え込んでいるわけですね。要するに、もう来年だけでも、大蔵省の
予算で言うと二兆一千億歳入不足がある。六十三年には一兆七千億ある。こういう無理な、できないことでただ試算だけしている。我々新自由クラブの計算でやりますと、七十年までには二百五十二兆円ぐらいの国債発行残高になっちゃうのですよ。そうすると、二百五十二兆円、そういう中で国債の利息だけで十八兆円、こういうことになりますね。そうすると、
幾ら内需、内需と言ったって、
幾ら経済がわからない
国民の側から見ても、これは
政府の借金がやがては
国民の側のツケに回ってくる、ツケに回らないまでも、福祉が削られるんじゃないかという心配をする。そうすれば、それはどうしたって貯金、貯金と銀行のシェルターに逃げ込みますよ。だから、
政府の財政政策が
国民の潜在的な経済成長力、余力を企業も含めて抑え込んでいるという結果になっている。
私が提案したいのは、財政再建計画を六十五年から七十年に延ばして、そして国債発行残高を対
GNP比三〇%内に抑え込む。そうすると、一〇%というと約二十兆円近い、
政府が景気対策にいつでも発動できる余力を常に持っている、こういうことになるわけですね。ですから、
国民も企業も
政府に対する信頼も高まる。そしてそれは一%ずつ国債発行残高を抑え込んでいく。そうすると十年かかりますね、毎年七兆円で、七十兆円近いものをNTTの株の売却とか
日本航空とかいろいろやっていく、こういうことですから。そういうような形で財政転換を、むしろ財政再建もする、
国民経済も活性化する、こういう立場でやっていくお
考えがあるかどうかということを二点、
大蔵大臣に伺いたい。
最後に、
総理、それから
竹下さん、安倍さんにもひとつ伺っておきたいのですけれども、私は、もう財政再建も
政府の政策努力の限界に来ているのではないか。
政府が財政出動のできない
政府の経済政策というのは、絵にかいたもち、水の出ない消防自動車と同じようなもので、これは
国民にとって大変困ることなんですね。ですから、財政の硬直化を打開していくためには、
政府の努力もさることながら、私は国会の政策責任というものが今こそ問われていると思うのですね。
私は、ある意味においては第二次
世界大戦以前の国会、軍部の台頭を許した国会と同じで、この財政破綻は与党だけの問題じゃないですよ。やはり国会全体でどう責任を果たすかということを今こそ真剣に
考えていかなきゃならない。ということになると、各党が非常に党大会などで政策連合を盛んに活動方針にうたっているわけですな、公明、民社だけじゃなくて社会党も含めて。ところが、肝心の与党の自民党の方は、単独与党だ、何としても与党一党で頑張らなければだめなんだ。これは、
国民のために野党の
協力も得て政策を実現し、国政を運営していく責任がある与党が、連合してもいいという野党の活動方針に対してかたくなに、与党でなければ、自民党だけでなければだめなんだ、だめなんだという
考え方は、これは財政百姓も行革も教育改革も
国鉄改革も何でもできるならいいけれども、できない。そういう中で、政策協定を、政調会長レベルで政策協定というか、そういう協議をするぐらいの与党としての一つの決断といいますか勇気、それも勇気だと思うのですね、単独で政権を担当することも自民党の責任かもしれないけれども、政策協定を広げて、
国民のために、二十一世紀の
日本のための政策を推進するということも、私は与党自民党の
国民に対する、国会に対する責任だと思うのですけれども、その点もひとつ、
総理と、その前にニューリーダーと言われる安倍さん、
竹下さん、ひとつお三人にぜひ聞かしていただきたい。ちょっと時間が、
答弁あれですけれども、これは野党も与党も大事な問題ですから、ぜひひとつ聞かしていただきたい。