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1986-03-25 第104回国会 衆議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十五日(火曜日)     ─────────────  議事日程 第十号   昭和六十一年三月二十五日     正午開議  第一 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  第二 踏切道改良促進法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件  第四 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件  第五 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件  第六 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)     ───────────── ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  日程第一 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  日程第二 踏切道改良促進法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件  日程第四 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件  日程第五 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件  日程第六 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出)  土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案農林水産委員長提出)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案農林水産委員長提出)  安全保障会議設置法案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後零時三分開議
  2. 坂田道太

    議長坂田道太君) これより会議を開きます。      ────◇─────  議員請暇の件
  3. 坂田道太

    議長坂田道太君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  石原慎太郎君から、三月二十七日より四月三日まで八日間、伊藤英成君、塚本三郎君、西村章三君、吉田之久君及び渡辺朗君から、三月三十日より四月七日まで九日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ────◇─────  日程第一 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)
  5. 坂田道太

    議長坂田道太君) 日程第一、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)を議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長福島譲二君。     ─────────────  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔福島譲二登壇
  6. 福島譲二

    福島譲二君 ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、本案の概要について申し上げます。  第一に、住民負担軽減及び合理化を図るため、個人住民税について、所得割非課税限度額引き上げるとともに、同居の特別障害者に係る配偶者控除額及び扶養控除額を三十四万円に引き上げるほか、不動産取得税について、住宅及び住宅用土地に係る税率等特例措置適用期限を三年延長する等の措置を講ずること、  第二に、地方税負担公平適正化を図るため、事業所税資産割税率を一平方メートルにつき六百円に引き上げるとともに、固定資産税等に係る非課税等特別措置整理合理化を行うこと、  第三に、昭和六十一年度における地方財政対策の一環として、昭和六十一年五月一日から昭和六十二年三月三十一日までの間に限り、道府県たばこ消費税については、千本につき百六十円、市町村たばこ消費税については、千本につき二百九十円、それぞれ従量割の税率引き上げること、  そのほか、国有林野に係る市町村交付金特例措置整理合理化を図る等の所要改正を行うことといたしております。  以上の改正の結果、明年度におきましては、三十四億円の減収となる一方、千八百七十八億円の増収が見込まれ、差し引き千八百四十四億円の増収となる見込みであります。  本案は、二月二十一日当委員会に付託され、同月二十五日小沢自治大臣から提案理由説明を聴取し、三月六日及び同月二十日に質疑を行いました。  質疑におきましては、今後の抜本的税制改正における地方税財源充実策住民税減税実施源泉分離課税を選択した利子所得等に対する住民税課税の必要、事業税における社会保険診療報酬に係る非課税措置廃止及び外形標準課税の導入の必要、地方たばこ消費税税率引き上げと増税なき財政再建との関連、非課税等特別措置整理合理化推進等について広範な論議が行われました。  三月二十日本案に対する質疑を終了した後、討論を行い、自由民主党・新自由国民連合小澤潔君から賛成日本社会党護憲共同の山下八洲夫君、公明党・国民会議宮崎角治君、民社党・国民連合藤原哲太郎君及び日本共産党革新共同経塚幸夫君から反対の意見が述べられ、採決の結果、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、国、地方機能分担に即応した税源配分について抜本的に検討すること等七項目にわたる附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  7. 坂田道太

    議長坂田道太君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 坂田道太

    議長坂田道太君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────  日程第二 踏切道改良促進法の一部を改正する法律案内閣提出
  9. 坂田道太

    議長坂田道太君) 日程第二、踏切道改良促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。交通安全対策特別委員長正木良明君。     ─────────────  踏切道改良促進法の一部を改正する法律案及び   同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔正木良明登壇
  10. 正木良明

    正木良明君 ただいま議題となりました踏切道改良促進法の一部を改正する法律案につきまして、交通安全対策特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における踏切事故発生件数及び死傷者数は年々減少傾向を示しておりますが、この種事故は、一たび発生すると人命にかかわる重大な結果をもたらすものであり、また、現在においても改良の必要な踏切道がなお多数残されている状況にかんがみ、引き続き、昭和六十一年度以降五カ年間において踏切道改良を促進しようとするものであります。  本案は、去る二月十三日本委員会に付託され、同月二十五日三塚運輸大臣から提案理由説明を聴取し、三月二十日質疑を終了し、採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  11. 坂田道太

    議長坂田道太君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────  日程第三 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件  日程第四 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件
  13. 坂田道太

    議長坂田道太君) 日程第三、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件、日程第四、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長北川石松君。     ─────────────  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる認許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件及び同報告書  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔北川石松登壇
  14. 北川石松

    北川石松君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  我が国皮革輸入数量制限につきましては、昭和五十九年五月にガット締約国団によりガットに違反する旨の結論が出され、また、革靴についても皮革と同様の結論が出されることが予想されましたので、我が国は、皮革及び革靴に関する輸入数量制限にかえて関税上の措置を導入することを目的とし、ガット二十九条の規定に基づき皮革及び革靴譲許税率引き上げ等を行うため、昨年十月よりアメリカ合衆国及び欧州経済共同体とそれぞれ交渉を行いました結果合意に達しましたので、本年二月十二日アメリカ合衆国及び欧州経済共同体との交渉結果を収録した文書にそれぞれ署名をいたしました。  本文書は、アメリカ合衆国との間では、ガットに附属する我が国譲許表に掲げる皮革及び革靴譲許税率を、皮革につきましては二〇%から六〇%へ、革靴については、品目により二七%または二一・六%から六〇%または一足につき四千八百円の従量税率のいずれか高い方へ引き上げることとし、また、欧州経済共同体との間におきましては、同様の譲許税率引き上げに加えて、現行の譲許税率を一次税率として認許し、この税率の適用される量が一定量を下回らないものとすることとしております。  また、その代償といたしまして、アメリカ合衆国に対しましては計測機器等二百七十八品目欧州経済共同体に対しましては乗用自動車等十二品目について、我が国譲許税率引き下げることとしております。  両件は、二月十四日外務委員会に付託され、同月二十一日安倍外務大臣から提案理由説明を聴取し、三月二十日及び昨二十四日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、多数をもっていずれも承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  15. 坂田道太

    議長坂田道太君) 両件を一括して採決いたします。  両件を委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  16. 坂田道太

    議長坂田道太君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。     ────◇─────  日程第五 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
  17. 坂田道太

    議長坂田道太君) 日程第五、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  委員長報告を求めます。逓信委員長宮崎茂一君。     ─────────────  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔宮崎茂一登壇
  18. 宮崎茂一

    宮崎茂一君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、日本放送協会昭和六十一年度収支予算事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。  まず、収支予算について申し上げます。  受信料の月額は前年度どおりでありまして、事業収支においては、収入は、前年度に比べ三十三億六千万円増の三千四百十四億五千万円、支出は、前年度に比べ百二十九億六千万円増の三千四百十四億五千万円でありまして、収支均衡が図られております。  また、資本収支においては、衛星放送等のニューメディアの実用化のための施設の整備、老朽化した放送機器更新整備等のために、建設費として四百九十億円を計上し、支出は、六百三十二億四千万円となっております。収入は、債務償還に必要な資金不足額を補てんするため、昭和五十九年度及び昭和六十年度からの繰越金百八十三億二千万円のうち、九十九億二千万円を受け入れ、これにより収支均衡が図られております。なお、この繰越金のうち、残り八十四億円につきましては、翌年度以降の財政安定のための財源として、その使用を繰り延べることといたしております。  次に、事業計画についてその主なものを申し上げますと、  テレビジョン、ラジオ放送とも全国あまねく受信できるよう、衛星放送の継続に必要な設備の整備を初め放送網建設を進めること、  視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、  受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること等といたしております。  これらの実施に当たっては、昭和六十一年度昭和五十九年度からの三カ年経営計画最終年度であることから、諸計画の達成を目指すとともに、極めて厳しい財政状況にあることを認識して、極力業務の合理的、効率的な運営を推進することとしております。  最後に、資金計画は、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てております。  なお、本件には、「おおむね適当なものと認める。」との郵政大臣意見が付されております。  本件は、去る三月四日逓信委員会に付託され、委員会においては、二十四日佐藤郵政大臣から提案理由説明を、また、日本放送協会当局から説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、本件全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。  なお、本件に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  19. 坂田道太

    議長坂田道太君) 採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。      ────◇─────  日程第六 関税定率法及び関税暫定措置法の   一部を改正する法律案内閣提出
  21. 坂田道太

    議長坂田道太君) 日程第六、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長小泉純一郎君。     ─────────────  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔小泉純一郎登壇
  22. 小泉純一郎

    小泉純一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における内外の経済情勢変化に対応し、関税率等について所要改正を行おうとするもので、その主な内容は、  第一に、関税及び貿易に関する一般協定との整合を図るため、皮革及び革靴について関税割り当て制度新設を行い、これに伴う我が国アメリカ合衆国等との間の合意に基づき、電子式分析機器等関税率の撤廃または引き下げ等を行うこととしております。  第二に、我が国市場の一層の開放を図る等の見地から、ブドウ酒等関税率引き下げ魚粉等関税割り当て制度廃止等を行うこととしております。  第三に、最近における石油化学製品等製造の実情にかんがみ、石油化学製品製造用原油減税制度新設等を行うほか、昭和六十一年三月末に適用期限の到来する暫定関税率及び減免税還付制度について、それぞれ適用期限延長することとしております。  本案につきましては、昨三月二十四日竹下大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、質疑終了後、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対しましては附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  23. 坂田道太

    議長坂田道太君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 坂田道太

    議長坂田道太君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────
  25. 桜井新

    桜井新君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  26. 坂田道太

    議長坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     ─────────────  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  28. 坂田道太

    議長坂田道太君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。法務委員長福家俊一君。     ─────────────  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔福家俊一登壇
  29. 福家俊一

    福家俊一君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を八人、裁判官以外の裁判所職員員数を一人増加しようとするものであります。  委員会においては、本日鈴木法務大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、これを終了し、直ちに採決を行ったところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  30. 坂田道太

    議長坂田道太君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────
  32. 桜井新

    桜井新君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案とともに、農林水産委員長提出農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の両案は、委員会審査を省略して、三案を一括議題となし、委員長報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。
  33. 坂田道太

    議長坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     ─────────────  土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案農林水産委員長提出)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案農林水産委員長提出
  35. 坂田道太

    議長坂田道太君) 土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告及び趣旨弁明を求めます。農林水産委員長大石千八君。     ─────────────  土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案及び同報告書  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔大石千八登壇
  36. 大石千八

    大石千八君 ただいま議題となりました三法案につきまして申し上げます。  まず、土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、国営土地改良事業の効率的な推進を図るため、国営土地改良事業のすべての工事について、その工事に係る事業費の一部につき借入金をもって財源とすることができることとするとともに、これに伴い、特定土地改良工事特別会計経理対象国営土地改良事業のすべての工事に拡大する等の措置を講じようとするものであります。  本案は、去る二月六日本委員会に付託され、二月二十五日羽田農林水産大臣から提案理由説明を聴取、三月五日から二回にわたり政府に対する質疑を行い、その間、三月十八日には参考人意見を聴取する等、慎重な審査を重ねてまいりました。  かくして、三月二十五日質疑を終局し、採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  次に、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨を御説明申し上げます。  農業協同組合合併助成法は、昭和三十六年に制定され、既に五回にわたり延長措置を講じてきたところであります。その間、農業協同組合合併は、関係者の努力により一応の成果をおさめてまいったところでありますが、全国的には依然として、規模の小さい農協や、行政区域未満農協が多数存在し、これら農協にあっては、経営基盤の強化を図ることが緊急の課題となっております。また、今日、農協を取り巻く厳しい情勢変化、とりわけ、金融自由化の進展による影響が懸念されるに至っており、系統農協では、組織の全力を挙げ、農協合併推進に取り組むこととして、農業協同組合合併助成法の再延長を要望しているところであります。  本案は、こうした課題にこたえるため、昭和五十七年三月末日をもって期限切れとなっている同法に基づく合併経営計画認定制度適用期間を、この改正法律の施行の日から昭和六十四年三月三十一日まで復活延長することとし、この合併経営計画認定を受けて合併する農業協同組合に対し、従前と同様に、法人税登録免許税事業税等軽減措置が適用されるよう租税特別措置法等関係法律について所要改正を行い、合併促進の一助としようとするものであります。  以上が本案提出の趣旨及び内容であります。  本法律案は、三月二十五日農林水産委員会において、賛成多数をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものであります。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨を御説明申し上げます。  乳業施設資金融通制度は、酪農及び乳業の健全な発達に資するため、乳業を営む者に対し、農林漁業金融公庫から、その乳業施設の改良、造成等に必要な資金を融通することを目的として昭和三十六年に創設されました。自来、本制度は、今日まで中小乳業を中心とした乳業の合理化と近代化に大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、乳業施設の改良、造成については、近年の著しい技術革新、多様化した消費動向等に即応した施設整備の促進、零細施設の統廃合、立地移動による適正な施設の配置等を進め、もって国際競争力の強化を図ることが必要とされております。  本案は、こうした実情に合わせて、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本制度をさらに五年間延長しようとするものであります。  以上が本案提出の趣旨及び内容であります。  本法律案は、三月二十五日農林水産委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  37. 坂田道太

    議長坂田道太君) これより採決に入ります。  まず、土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  39. 坂田道太

    議長坂田道太君) 起立多数。よって、本案可決いたしました。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案可決いたしました。      ────◇─────  安全保障会議設置法案内閣提出)の趣旨説明
  41. 坂田道太

    議長坂田道太君) この際、内閣提出安全保障会議設置法案について、趣旨説明を求めます。国務大臣後藤田正晴君。     〔国務大臣後藤田正晴君登壇
  42. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 安全保障会議設置法案について、その趣旨を御説明申し上げます。  近年における社会全体の複雑高度化、我が国の国際的役割の拡大と我が国周辺地域の国際政治面での重要性の増大等によって、重大緊急事態の発生の可能性は潜在的に高まっておるのでございますが、このような事態に対し迅速適切に対処し、事態の拡大発展を防止するため、内閣の果たすべき役割はますます増大をしておるのでございます。臨時行政改革推進審議会の答申においても、かかる基本的考え方に基づいて、内閣に安全保障会議を設置することを提言をいたしております。今回提出いたしました法律案は、この答申の趣旨を最大限尊重し、内閣における総合調整機能強化の一環として、重大緊急事態への対処体制の整備を図るため、現行国防会議の任務をそのまま継承するとともに、重大緊急事態への対処措置等を審議する機関として、内閣に安全保障会議を設置しようとするものであります。  以下、この法律案の概要について御説明を申し上げます。  第一は、安全保障会議審議事項についてであります。  安全保障会議は、まず、現在の国防会議の任務をそのまま引き継ぎ、国防に関する重要事項について、内閣総理大臣の諮問を受け、審議、答申するほか、必要に応じ、内閣総理大臣に対して意見を述べることとしております。これに加え、新たな任務として、重大緊急事態への対処に関する重要事項についても、同様に審議、答申するほか、意見を述べることとしております。  第二は、安全保障会議の組織についてであります。  安全保障会議は、議長及び議員をもって組織するものとし、議長は、内閣総理大臣をもって充てることとしております。議員は、現在の国防会議の議員である内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官に加え、新たに内閣官房長官及び国家公安委員会委員長をもって充てることといたしております。  第三に、現行国防会議事務局を廃止することとし、安全保障会議に関する事務につきましては、内閣官房において処理し、命を受けて内閣審議官がつかさどることといたしております。  以上のほか、関係国務大臣その他の関係者会議への出席、議長及び議員の職務上の秘密保持等につきまして所要規定をいたしております。  最後に、安全保障会議は、昭和六十一年七月一日から発足することといたしております。  以上が安全保障会議設置法案趣旨でございます。(拍手)      ────◇─────  安全保障会議設置法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  43. 坂田道太

    議長坂田道太君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。上原康助君。     〔上原康助君登壇
  44. 上原康助

    ○上原康助君 私は、ただいま提案されました安全保障会議設置法案について、日本社会党護憲共同を代表し、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。  法案に関する具体的質問に入る前に、中曽根首相誕生以降の政治姿勢と、その政治手法の欺瞞性を指摘してみたいと思います。  総理、あなたは、八三年一月二十四日、この本会議場で行った初の施政方針演説で、日本が戦後史の大きな転換期に立っていることをひしひしと感じるとして、従来の基本的な制度や仕組み等についても、タブーを設けることなく、新しい目で見直していくと述べられたのであります。総理、それが、あなたが華々しくぶち上げた「戦後政治の総決算」であったし、この三年有半、その政治路線に沿って国政を担当してこられたと言えましょう。総理初め側近グループは、内閣の支持率が比較的高いことに喜色ばみ、なお総決算路線をばく進していくかのように見えますが、この三年有半の中曽根政治を冷静、かつ、まともに検証した場合、その政治言動はもとより、諸政策遂行の基調は、ことごとく戦後の平和憲法体制を突き崩す実質的改憲路線でしかなかったことは明白であります。(拍手)  総理、自他ともに改憲論者のチャンピオンと任ずるあなたが、最近憲法改正の必要性を口にしなくなりましたが、あなたの胸中には、常に現行憲法の改正を目標にした時間表がセットされているのではありませんか。ここで改めて、総理が目指す「戦後政治の総決算」とは、具体的にどういうことなのか、現行憲法に対する認識とあわせてお聞かせ願いたいのであります。  次に指摘しておきたいことは、この法案との関連も深いわけでございますが、行革に名をかりた、詐術的とも思われるほど、公的、私的の諮問機関型政治を進めてきたことであります。このことは、総理が八五年七月、自民党の軽井沢セミナーで語ったように、あなたが戦後政治で締まりとまとまりをつけたいと考えている政治課題ごとに、公的、私的の諮問機関を乱造して、しかも、これらの諮問機関には、思想的にも人間的関係でも、首相と極めて親密とされる一群の学者、文化人、財界人が、必ずその中心に座るブレーン政治に徹してきたのであります。したがって、首相と同質的な集団を核とする各種諮問機関が出すであろう結論は、首相の意向が色濃くにじみ出たものとなるのは、けだし当然と言えましょう。  このことは、行革審、臨教審などの公的諮問機関は言うに及ばず、平和問題研究会、靖国懇、文化と教育に関する懇談会、経済政策研究会などを乱造多用化することによって、これら諮問機関の各種答申または提言が、あたかも国民の多数意見であるかのように世論を誘導、形成して、中曽根政治を宣伝する武器として活用してきたではありませんか。その結果、国家行政組織法を改悪して国会の審議権を制約したり、軍事費を著しく突出させ、防衛費の実質一%枠突破、靖国公式参拝など、軍拡、戦前への回帰、いわゆる新国家主義志向にこれらのことが色濃くあらわれているのであります。  特に、国会審議でもしばしば問題となってきた国家行政組織法の改悪は、国会の審議権を剥奪する結果を招いたし、また、各種一括法のごときは、法の上に法をつくるものであり、戦後の民主政治並びに行政の仕組みを否定しようとする何物でもないのであります。総理、あなたは今、私が指摘をした諮問機関型政治の弊害をどのようにお考えか、所見を承りたいのであります。  さて、次に、法案と関連させてお尋ねいたします。  この安全保障会議構想は、行革審の内閣機能等分科会の提言を受けて、昨年七月二十二日の行革審の「行政改革の推進方策に関する答申」に基づいたものでありましょう。そもそも、行革審設置の本来の目的は、八三年三月の臨調最終答申のお目付役として、政府が行政の簡素化で「小さい政府」、「増税なき財政再建」を着実に推進するかどうかを見守るためのものだったはずであります。ところが、中曽根、後藤田のコンビが強くなるにつれ、中曽根ブレーンの暗躍とリードによって、中曽根政治を支え、それを権威づける行革審へと大きな変質を来してしまいました。これは、昨年七月の行革審答申が、内閣の中枢機能の強化を図って、官邸に権力を集中させ、トップダウン方式で首相権限を大幅に強化することを夢見ていた中曽根首相本来の持論を取り入れたものであったことからも明らかであります。  総理、あなたがいかにロン・ヤスと呼び合える仲だからといって、我が国と米国とでは、政治の形態、行政の仕組みが著しく異なっていることを百も承知であろうあなたが、あえてアメリカ大統領型の首相を目指そうとするその真意は、一体那辺にあるのか、明確に答えてもらいたいものであります。(拍手)強調するまでもなく、民主政治にとって重要なことは、政策決定へのプロセスであります。総理、あなたが連発してきた諮問機関型政治によって国会審議の形骸化を招きつつあるのと同様に、行革審答申を金科玉条にして巨大な首相官邸づくりをしようとすることは、行政改革にも逆行するばかりか、首相官邸への権力の集中化によって、議会制民主主義が一段とゆがめられ、行政運営の面でも独善性、秘密性のおそれなしとしないのであります。  次に、この法案の問題点の中心は、重大緊急事態の内容であります。  重大緊急事態を、「国防に関する重要事項としてその対処措置につき諮るべき事態以外の緊急事態であって、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な事態をいう。」と定義づけております。この定義は、極めて抽象的であり、あいまいであり、一体、国防と通常の緊急事態以外に、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある緊急事態とは、いかなる事態なのか、明確にしていただきたいのであります。もし我が国の有事以前の緊急事態に対処するものであるとするならば、いわゆる有事立法や民間防衛などを含む危機管理、戦時体制の常設化を目指そうとするものではないのか。さらには、緊急事態に名をかりて、行革審答申で言う「情報の秘匿」、つまり、国家秘密法制定の動きとあわせて、情報、言論表現の統制を一段と強化していくためのものではないのか、明確な答弁を求めるものであります。  鈴木前内閣も、八〇年十二月に閣議決定で総合安全保障関係閣僚会議を設置したし、その際にも、国防会議改組論や内閣の機能強化の意見がなかったわけではありません。しかし、内閣審議室が関係各省庁と協議検討の結果、法令に基づく機構を新設しなければならない合理性、必要性、緊急性がないということで、閣議決定にとどめた経緯があったのであります。しかるに、なぜ今回は、法律で安全保障会議を設置しなければならないのか、また、総合安保関係閣僚会議との任務分担はどうなるのか、明らかにしてもらいたいものであります。  次に、国防会議の改組と文民統制、いわゆるシビリアンコントロールについてお尋ねいたします。  一体政府は、これまでの国防会議が文民統制の実を上げ得なかった理由はどこにあったと思うのか。今回、国防会議を改組し、国防と緊急事態を一つの機関で対処することによって、シビリアンコントロールの機能がますます軽視されていくことにならないか。また、この安保会議が設置されることによって、国会を無視して、自衛隊法の第七十六条の発動や治安出動への道を容易にしたり、危機管理に名をかりた海外派兵をするなどの越権行為は、断じてあってはならないと考えるが、総理並びに加藤防衛庁長官の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  さらに付言しておきたいことは、違憲の自衛隊も今や世界有数の軍隊に成長してしまった今日、文民統制の制度が実際にどのように機能しているかということは、極めて肝要であります。すなわち、軍人、軍隊に対する文民の統制、軍事、軍事力に対する政治の統制という原則であります。この原則こそは、現代の民主主義国家における軍事組織が備えるべき基本的な必要条件だと考えます。今、我が国の政治にこのことが厳しく問われているのではないでしょうか。中曽根総理にこの原則確立を期待することは無理とも思われるが、総理並びに加藤防衛庁長官の決意のほどを伺っておきたいものであります。  次に、明らかにしてもらいたいことは、内閣官房に設置されようとする外政調整室、内政調整室、情報調査室等は、いかなる機能と役割を持たそうとするものなのか。特に、外政調整室と外務省の関係はどうなるのか。外務省は、行革審の答申で内閣官房に外政調整室を設けることが明らかにされた際、外交の一元化という建前から強く反対をしていたが、その後態度を変えたのはなぜか。内閣官房に外政調整室を置いて事務次官に準ずるクラスをキャップに据え、貿易摩擦などを含む政府方針決定の場となる関係閣僚会議の事務局となって各省庁間の意見調整に当たるとのことだが、二元外交の危険なしとしないのか、安倍外務大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  最後に、かつて基地の中に沖縄があるとか、太平洋のかなめ石と言われてきた沖縄だが、復帰満十四年を迎えようとする今日においても、その本質は変わっておりません。いや、むしろ米軍基地の再編強化、自衛隊の増強、アジア・太平洋地域へのトマホークの配備及びシーレーン防衛計画等により、沖縄の基地群はその危険性を一層増している状況にあります。  現在、沖縄における大きな課題の一つに、米軍基地の二十年の強制使用問題があります。政府は、米軍に土地の提供を拒否している地主に、来年五月以降さらに二十年間、実に西暦二〇〇七年まで米軍用地収用特措法で強制収用しようとしているのであります。本土における同法の適用は、最高で二年五カ月であったのに対し、沖縄に対しては、前代未聞の二十年にわたる長期であります。政府がとろうとしている行為は、まさに法のもとの平等さえ認めようとしない、沖縄に対する明らかな差別政治だと断ぜざるを得ません。総理、実は、この二十年の強制土地取り上げは、総理みずからの指示によるものだとされますが、私は、ここに改めて、この二十年の土地強制収用の手続を即刻撤回することを強く要求するものであります。(拍手)  また、政府は、逗子市民の選挙結果に基づく三たびの意思を十分尊重して、池子弾薬庫跡地の米軍住宅建設を断念するか再検討すべきだと考えますが、総理並びに防衛庁長官の見解を求めるものであります。(拍手)  以上、所見を交えながら、幾つかの点をただしてまいりましたが、この法案は余りにも重要な内容が包含されており、内閣の総合調整機能等の充実化とか、重大緊急事態の対処体制の確立の必要性ということで片づけられる代物ではないのであります。国政の根幹にかかわる重大性をはらんだ法案であり、政府に他意がないとするならば、潜在的な重大緊急事態への対処は、従来どおり、内閣全体の指導性をより発揮し、各省庁間の緊密な協議と責任において全うすることは可能だと考えます。  総理、あなたの任期は今年十月末まで、いや、五月の東京サミットが終わると、「五月雨や崩れは早し中曽根内閣」なのであります。これ以上、政権延命に恋々としたり、米大統領型首相を夢見ることなく、潔く本法案を撤回し、せめて急激な円高で倒産、不況に追い込まれている中小企業を初めとする国民の生活不安を解消するための経済危機の緊急事態に迅速に対処することを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  45. 中曽根康弘

    ○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 上原議員にお答えをいたします。  まず、憲法認識と戦後政治の総決算の問題でございますが、今回の施政方針演説でも申し上げましたように、戦後四十年、日本は偉大な文化的ピラミッドを築いたと申し上げておるのであります。日本歴史でもまれに見るぐらいの大きな時代を我々は築いた。その中に果たした現憲法の役割は高く評価しているということも申し上げているのであります。特に、平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、国際平和主義、国際協調主義、こういう不滅の原理を我々は今後とも、堅持しなければならないと申し上げておるのであります。しかし、やはり四十年もたてば、いろいろゆがみやあるいは欠点も露呈してくる。そういう意味において、行政機構、あるいは税制、あるいは教育制度、いじめの問題に典型的に出てきております。そういうような諸般の改革を断行しつつ、しかも、二十一世紀に向かう軌道をつくらんというのが私の意図するところであります。憲法につきましては、中曽根内閣においてはこれを政治日程にのせないと明言しております。しかし、諸般の制度は、憲法も含めて常に見直しながら、よりよきものへ心がけていくということは当然のことであります。  次に、諮問機関の問題でございますが、官庁行政が独善に流れないようにするために広く国民の御意見を拝聴するということは、民主主義、当然のことでございます。かかる意味におきまして、有識者の御意見を拝聴する機関として行っておるのであり、いわゆる八条機関とは違う存在でございます。もちろん、それらのすべての結果というものは、終局的に国会の審議にかかる問題でございまして、議院内閣制のもとにおける行政権の主体としての責任を、広く民意を集めてこれを遂行しようというものにほかならないのでございます。要するに、国民との対話の政治、わかりやすい政治をさらに強めていこうという意図に基づいて行っているものであります。  次に、国家行政組織法による国会審議権の制約の問題でございますが、昭和五十八年の国家行政組織法の一部改正は、最近の行政需要の変化に着目しまして、効率的な行政実現のために、組織編成の弾力化を考えて、その基準の明確化を図ってつくったものなのでございます。これらの各省庁の所掌事務、権限等について、基本的なものはすべて国会の御審議を仰ぐことになっております。しかも、国会には国政調査権というものがあるのでございます。今般、政令設置によりました組織の設置、改廃につきましても、その状況を国会に報告することといたしております。したがいまして、国の行政組織について国会の審議権が制約されているということはないと私は考えておるのであります。  いわゆる一括法案という問題でございますが、従来も申し上げましたように、統一的な政策のもとでその趣旨、目的を同じくするものである場合または改正条項が相互に関連していて一つの体系を形づくっている場合に、これを一つの法案にまとめて御審議を煩わしておるものでありまして、国会審議権を拘束するものではございません。  なお、大統領的首相というお話がございましたが、我が国は、議院内閣制を採用しておるのでございまして、厳としてこれは議会の監督のもとに行政は運営をされ、国会というものを基本にして政治は成立しておるのでございます。いわゆる大統領的と指摘されますのは、最近、高密、激動社会である日本は時々刻々として変動し、国民の皆さんの御要望や、あるいは御批判もかなり強まってきておるわけであります。そういうものを常に心がけながら、国民の心を心として政治を推進していく、そうして、それらの問題について行政の先導的役割を果たすためにこれを政治が取り上げて、できるだけ先取り的に政治を運用していくということが、フラストレーションを起こさないもとであります。そのような国民の考えを中心にし、国民参加を念願して行う政治の手法を実は大統領制的と言っておるので、議院内閣制であることは厳然として変わっているものではございません。  次に、文民統制に対する考えでございますが、要するに、国民を代表している者の政治が軍事に優先して行われるということが文民統制の核心であると思い、安全保障会議を設置したゆえんも、この文民統制の趣旨に合うという考えに立つものでございます。  緊急事態とは何であるかという御質問でございますが、これは、普通の官庁的な対応によっては対応できないような重大な喫緊の事態が生じた場合に、内閣全体としての総合調整機能を発揮しよう、そういう意味におきまして緊急事態を考えております。例えば、ダッカの事件であるとか大韓航空機の事件であるとかミグ25の飛来の事件であるとか、ああいうような問題が例示されるものと考えております。  外政調整室の問題については、これは内閣レベルの総合調整機能を強化しようとするものでありまして、対外的な接触を必要とする問題は、外務省と協議の上、正規の外交チャネルを通じて行われるものでありまして、二元化のおそれはありません。また、そのように心がけるものでございます。  自衛隊の海外派遣については、法律上できないということは、前から申し上げているとおりであります。  総合的な安全保障閣僚協の問題は、外交や防衛や内政等を広く踏まえた上で、日本の安全保障を考える閣僚協として考えておるものでありまして、閣僚レベルの仕事でございますから、安全保障会議とはまた別の次元におけるさらに幅の広い考えに立つ安全保障政策を閣僚として合議しよう、そういう考えに立つものでございます。  三宅島の問題につきましては、訓練施設として日米安全保障条約を有効に機能するために、ぜひとも住民の御理解、御協力をいただきまして、実現したいと念願しておるものであります。  この法案を撤回する意思はございません。  残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣後藤田正晴君登壇
  46. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 総理の御答弁を補足いたしまして、私からお答えをいたしたいと思います。  国防と通常の緊急事態以外に、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある緊急事態とは何か、こういう御質問でございますが、安全保障会議が対象とする重大緊急事態とは、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある緊急事態のうち、通常の緊急事態対処体制、今日ある程度あるわけでございますが、それでは適切な対処が困難な事態で、こういった事態の過去の例といたしましては、先ほど総理がお答えいたしましたように、ミグ事件あるいは大韓航空機事件あるいはダッカ事件等が挙げられますが、災害等に例をとりますれば、災害対策の緊急の体制は一応できておりますが、仮に過去にありました関東大震災のような事態があるとするならば、これはまさに、今日ある災害の体制だけでは対応できません。社会的に大きな混乱を生ずるおそれがありますから、そういった事態は、やはり今回の改正をする重大緊急事態に該当する、かように御理解を願いたい。  次に、設置しようとする安全保障会議は、有事立法や民間防衛などを含むいわゆる危機管理、戦時体制を確立しようとするものではないのか、あるいは情報の秘匿、言論表現の統制を強化しようとしておるのではないか、こういう御質疑でございますが、安全保障会議の設置は、行革審の答申を踏まえまして、国防会議の任務をそのまま引き継ぐほか、重大緊急事態に迅速適切に対処をして、事態がさらに悪化するのを未然に防止することによって、国家及び国民の安全をより一層確保していこう、こういう趣旨のものでございます。したがって、これは御指摘のような戦時体制の確立であるとか、あるいは情報の秘匿、言論表現の統制の強化、こういったことをいささかも目的といたしておるものではございません。御理解を賜りたいと思います。  三番目は、鈴木内閣時代に設置せられた総合安全保障関係閣僚会議は、今後存続させるのか、それと同時に、安全保障会議との関係はどうか、こういうことでございましたが、これは先ほど総理からお答えがあったとおりでございます。これは一応別個のものと考えて存続させるつもりでございます。  次は、国防会議が文民統制の実を上げていなかったのではないか、その理由は何か、こういった御趣旨の御質問もございましたが、これは私どもは、実を上げていなかったとは考えておりません。必ずしもそのように私は理解をしておらないのでございます。御案内のように、国防会議は、総理大臣の諮問にこたえて、国防に関する重要事項を審議をし、広い視野から総合的かつ慎重に審議をして、国防の施策について万全を期しておるわけでございます。この会議は、これまで、国防の基本方針、第一次から第四次までの防衛力整備計画、防衛計画の大綱、最近における中期防衛力整備計画など、我が国の国防の根幹をなす問題、及び毎年の防衛力整備に係る主要事項等について審議、決定するなどしておって、文民統制上重要な役割を果たしてきておる、かように私は理解をいたしておるわけでございます。  その次は、国防会議を改組して、国防と緊急事態を一つの機関で対処することによって、かえって文民統制の機能が軽視せられるというおそれはないのかという御趣旨の御質問もあったように承りましたが、国防と重大緊急事態を安全保障会議で対処することによって、文民統制の機能を軽視をすることにはなりません。むしろ私どもは、その充実が図られるものと考えております。  その理由は、一つは、国防会議の任務を安全保障会議にそのまま引き継いでおります。二つ目は、重大緊急事態には、事態の推移によっては国防事態、つまり有事に発展しかねないものがあるわけでございますが、安全保障会議で重大緊急事態の段階から審議をして対処方針を決めることによって、有事に至らない段階で有事に至らしめないように、適切に国の意思を決定して有効適切なる対処方針を決めていくということが極めて肝要なことであろう、かように考えるわけでございます。同時に、形式論ではございますけれども、現在の国防会議が、防衛庁設置法の中に設置せられているということはこの際改めて、独立の設置法を定めることは、文民統制の上からも、形式的ではありまするけれども、法制度としては適切なやり方であろう、かように考えるわけでございます。  次に、安全保障会議で決定されるであろうことは、国会に報告したり承認を求めたりするのか、こういうことでございますが、これは、総理が必要と判断すれば、相応の措置が各省それぞれの所管に応じてとられるわけでございますが、その際、関係省庁が現行制度のもとで定められた通常の手続によってこれを実施することになるわけでございます。したがって、既存の法律等で国会の承認が必要とされておる場合には、当然その手続がとられることに相なるわけでございます。  次に、内政調整室、外政調整室等についての御質疑がございましたが、これは先ほど総理が御答弁をなさったとおりでございます。  最後に、この法案を撤回する意思があるのか、こういうお話でございましたが、これは先ほど総理が御答弁になりましたように、どうぞひとつこの国会で慎重に御審議をいただいて、できる限り早く成立させてくださるように心からお願いを申し上げまして、私の答弁といたします。(拍手)     〔国務大臣安倍晋太郎君登壇
  47. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 上原議員の御質問にお答えいたします。  まず第一点、外政調整室の設置と二元外交の危険性の問題について御指摘がございましたが、外政調整室の設置が外交一元化を損なうものであってはならないということは、行革審答申にも明確にされておりまして、この趣旨は、今後内閣官房の組織改正が行われる場合においても、貫かれるものと考えております。すなわち、外交関係の処理に必要な国内調整は、第一義的には外務省が行います。その上で、内閣としてその統一保持上必要な場合に、所要の総合調整を行うことが外政調整室の主たる任務であり、同室がみずから外交を行うということはありません。したがって、外政調整室の設置によりまして二元外交となる危険性はございません。  次に、沖縄の在日米軍基地の問題についてでありますが、日米安保条約に基づく米軍の存在は、我が国の平和と安全、ひいては、極東の平和と安全に寄与しており、政府としては、沖縄県における米軍施設、区域の円滑かつ安定的使用を確保することは、日米安保条約の目的達成のために緊要であると考えております。このため、政府としては、関係地元住民の要請と米軍側における駐留目的達成上の必要性との調整を図りながら、施設、区域の存在や米軍の活動に伴い住民の生活に及び得る影響を最小限に食いとめることが、非常に重要であると考えております。政府としては、今後とも、沖縄県民の理解と協力を引き続きお願いを申し上げたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣加藤紘一君登壇
  48. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 総合安全保障会議の問題と今度の安全保障会議及び防衛に関するシビリアンコントロールの問題について、私に対する御質問もございましたが、官房長官の答弁で尽きていると思いますので、省略させていただきたいと思います。  それから、沖縄の特措法、二十年は長過ぎるではないかという問題でございますが、日米安全保障体制は、我が国の防衛の基本であるのみならず、極東の平和と安全に寄与しておると思います。また、日米両国においてその意義が高く評価され、その地位は揺るぎない確固たるものになっておりまして、日米両国とも安全保障条約を終了させる考えはございません。したがって、米軍の駐留も相当長期にわたるものと考えられ、その活動の基盤である施設、区域は、安定的に使用されなければならないと思っております。御指摘の未契約地問題でありますが、防衛庁としては、鋭意契約の説得に努めたにもかかわりませず、全体の〇・四%に当たる土地所有者の同意がどうしても得られないので、やむを得ず、施設、区域の安定的使用を図るため、駐留軍用地特措法により使用期間を二十年として、裁決申請したものでございます。防衛庁としては、これを撤回する考えはございません。  次に、池子の問題でございますが、在日米軍のための施設、区域の確保及びその円滑かつ安定的使用を図ることは、我が国の安全保障上、先ほども申しましたように絶対必要不可欠なことでございます。池子における米軍家族住宅建設につきましても、安保体制の円滑かつ効果的な運用にとりぜひ必要な施策でございます。防衛庁といたしましては、地元の御理解と御協力を求めつつ、今後ともその実現のために努力してまいりたいと思っております。(拍手)     ─────────────
  49. 坂田道太

    議長坂田道太君) 日笠勝之君。     〔日笠勝之君登壇
  50. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のございました安全保障会議設置法案に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたすものであります。  我が党はかねてより、安全保障問題を考えるに際しては、国防の面からだけではなく、平和への外交的努力や、経済、資源、エネルギー、食糧、文化等を含む総合的な安全保障という、長期的展望に立った検討が必要であると主張してまいりました。中でも、自衛のための力を正当に位置づけるとともに、経済協力等の分野で日本の世界平和に対する国際的責任をどう果たすべきであるか等を、明確にしていく必要があることを指摘してまいりました。また、一国の安全保障政策を考えるに当たって最も重要なことは、国民的合意に支えられたものでなければならないという点であります。  我が党は、このような考え方を踏まえ、現在の国防会議を解消し、防衛庁、自衛隊に対するシビリアンコントロールを充実させるとともに、総合的安全保障政策を確立させるために、総合安全保障会議を設置すべきことを、従来から要求してきたところでございます。今回提案されました安全保障会議設置法案は、我が党の総合安全保障会議構想に類似している点も、率直に言って見られます。しかし、その内容に明瞭さを欠き、国民に不安を抱かせる点も見受けられるのも事実であります。  以下、それらの諸点につきお尋ねをいたします。  まず、安全保障会議の位置づけの問題であります。  安全保障会議の設置については、米国の国家安全保障会議を参考にしていると言われております。その国家安全保障会議は、一九四七年に設置されて以来、歴代大統領のリーダーシップにより、効果的運用がなされたときと、また反対に存在意義が薄れたときがあり、大統領の考え方により、形式、地位、効果等に大きな差が見られるところであります。すなわち、米国の国家安全保障会議は、大統領の好みによって大きく左右されるというのであります。その原因として考えられることは、会議自体の位置づけ等が明確でないことによると言われております。  総理は、今回の安全保障会議の位置づけについて、どのような考えを持っておられるか、お尋ねをいたします。例えば、我が国における安全保障に関する最高政策の検討、決定機関なのか、あるいは単なる総理大臣に対する助言機関なのか、さらには、単に予想しがたい出来事を処理するための一つの機関にすぎないものなのかどうか、お尋ねをいたします。  現在、国防会議が存在しておりますが、この国防会議の形式は、安全保障会議と似ております。しかも、従来の国防会議は、防衛庁等で作成された内容を承認、悪く言えば追認する機関となっていたことは、御承知のとおりであります。昨年九月、中期防衛力整備計画の決定に関し、大蔵大臣、防衛庁長官、自民党幹部の間での話し合い、決定が先行し、国防会議は完全に追認機関としての役割しか果たしていないありさまであります。また、国防会議の決定が参事官会議で覆されたという問題も、さきの予算委員会で厳しく追及されたところでもあります。このような従来の国防会議と同様、安全保障会議が単なる追認機関にすぎないのかどうか、この点について重ねて総理の見解をお尋ねいたします。  次に、米国の国家安全保障会議には、直属の情報総合機関として、中央情報局、CIAが設置されております。我が国には現在、内閣官房に内閣調査室が置かれておりますが、安全保障会議が設置された場合、政令改正により内閣調査室を改め、情報調査室が設置されると言われておりますが、これはCIAの任務に相当する役割を担うことになるのではないか、お尋ねをいたします。  安全保障会議の設置につきましては、従来から各方面より提言されてきたところであります。現に、故大平首相の政策グループ、総合安全保障研究グループの報告書を下敷きとして、鈴木前首相は総合安全保障会議設置構想を発表、結果的には、総合安全保障会議の形は、国防会議の改組という点で問題が多いとして、総合安全保障関係閣僚会議の発足という形になった経緯があります。今回、安全保障会議設置法案が提出されたわけでありますが、総合安全保障関係閣僚会議との関係はどうなるのでありましょうか。同一目的から生まれたものである以上、一つにしてもよいのではないかとも考えますが、総理の御所見をお尋ねいたします。  次に、法律案の内容について、数点お伺いいたします。  まず、国民は、重大緊急事態とはいかなる事態をいうのか、定義が不明確で、有事体制の強化につながり、国民の監視や管理が強められるのではないかと不安を抱いている点であります。そこで、何が通常体制を超える重大緊急事態か、定義を明確にしていただきたい。  昨年七月の行革審答申では、緊急事態として「大停電、通信網の断絶等のような人為的事故」等、六項目ほど例示しております。もちろん、行革審答申で例示された大項目が重大緊急事態のすべてとは思われません。具体的に政府は、どのような事態を重大緊急事態と考えているのか、過去の事例と今後予測し得る事例を挙げ、明らかにしていただきたいと思います。また、今後発生する事態が重大緊急事態に相当するか否かの判断は、だれが、どこで、どういう手続で決定するのか、この点もあわせて明らかにしていただきたいと思うわけであります。  行革審答申では、「大規模地震のような自然災害」等も挙げております。従来、自然災害等に関しては、国土庁長官を長とする対策本部が設置されてきました。従来からの考えであれば、所管の省庁に対策本部が設置されるはずの事態であっても、重大緊急事態という認定が下された場合、対策本部は安全保障会議のもとに組織され、置かれることになるのかどうか、それとも従来どおりなのか、お伺いをいたします。また、大規模地震に関しては、既存の大規模地震対策特別措置法に基づき、予知段階で警戒対策本部が設置されることになっております。安全保障会議設置法第二条第二項では、「重大緊急事態が発生した場合において」と、あくまで発生した場合ととらえております。大規模地震のような予知段階、さらには一般的には発生以前の、発生するおそれのある段階は含まれないと考えてよいのか否か、この点も明確にしていただきたいと思うわけであります。  次に、現行の国防会議に比べ、議員として内閣官房長官、国家公安委員会委員長が新たに加わっている点が目につきます。会議の構成メンバーにこの二人を新しく加えた理由はどうしてなのか、説明していただきたいと思います。  さらに、重大緊急事態の対処方針、すなわちそのマニュアルは国会の了解を求めるのか、国会との関係性、さらには、一定期間の経過後にその会議録の公表は行う用意があるのかどうか、あわせてお伺いいたします。  また、政府は、行革という立場から、内閣の総合調整機能の強化を実施しようとしております。具体的には、政令により内閣官房に内政調整室、外政調整室、安全保障室等を設け、その室長としてそれぞれ次官級の人材を配置したらと考えているようであります。外政調整室の設置は、現に外務省もあり、屋上屋を築くことになり、二元外交との懸念もあります。特に、次官級の人材を導入すればするほど、その心配が出てくるところであります。この点に関して外務大臣は、どのように受けとめておられるのか、お尋ねをいたします。  最後に、私は、安全保障政策を進めるに当たって、国民の理解と支持を得るということが不可欠の前提であると冒頭申し上げました。しかし、残念ながら、中曽根内閣の防衛政策に対し、十分に国民の理解や支持が得られているとは到底思えないのであります。そこで、私は、次の三点について総理の見解をこの際お伺いしておきたいのであります。  第一には、スパイ防止法についてであります。前国会で廃案になったいわゆるスパイ防止法について、自民党においては、若干の修正を加え今国会に提出する意向であると聞いております。しかし、スパイ防止法は、国民の知る権利を著しく制限し、特に防衛論議を困難にするものであって、いつか来た道、すなわち時代に逆行するのではないかと思うのでありますが、この点について総理の御見解を伺いたいのであります。  第二には、基地問題についてであります。神奈川県逗子市における米軍住宅建設にかかわるリコール運動や、厚木基地の米艦載機の夜間訓練場の移転問題などが、基地を抱えたり、また候補地とされている住民の間では深刻な問題となってきております。この二つの問題に対し、総理はどのような態度で臨むのか。住民の理解なしに基地の存続は不可能であることは言うまでもありません。あくまでも住民の意思を尊重していくことを約束すべきであります。  第三に、国会における防衛論議のあり方についてであります。国会において防衛論議を深めていくことは、安全保障問題で国民的合意を形成する上で欠かすことのできないことであります。この意味から、我が党も、国会に安全保障特別委員会の設置を提案し、これが実現したという経緯があることは、御案内のとおりであります。しかし、十分な防衛論議が深まったとは言えないのが現状であります。その最も大きな原因は、政府が、国会に対し十分な資料を提供しないこと、また、逃げ腰で形式的な答弁を繰り返している点にあると断言せざるを得ないのであります。資料を出す、出さないという問題が国会の争点になるようでは、防衛論議の深化を期待することは困難であると言わざるを得ません。  私は、当然のこととして、政府は、国会に防衛問題についての資料を積極的に提供し、防衛問題についての中身の論議を行うときが来たのではなかろうかと思うのでありますが、これについて総理の御見解をお伺いして、私の質問といたします。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  51. 中曽根康弘

    ○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 日笠議員にお答えをいたします。  まず、安全保障会議の性格でございますが、これは、総理大臣の諮問機関、現行国防会議も同じように諮問機関でありまして、性格は同一であります。行政の最高機関は閣議でございまして、この閣議に対しまして諮問に応じてその意見を表明していただく、そういう形になると思います。  次に、安保会議といわゆる内調との関係であります。  内閣調査室とは組織上は直接に関係はございません。しかし、安全保障会議審議を行うに当たりまして、多くの情報を必要とするものであり、その有効な情報を提供していただく、そういうことになると思います。  安保会議と総合安全保障関係閣僚会議の関係でございます。  安全保障会議は、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対応措置等を審議する機関でありますが、総合安全保障関係閣僚会議は、経済、外交等の諸施策について、安全保障の観点から総合性及び整合性を確保するために、幅広く協議する機関であります。役割を異にいたしますので、この安全保障会議設置後におきましても、総合安全保障関係閣僚会議は存続し、両々相まって我が国の平和と安全を守りたいと思っております。  緊急事態の具体例については、先ほど申し上げたとおりでございまして、ミグ事件とか大韓航空機撃墜事件とかダッカ事件、このように普通の官庁の業務をもっては対応できない喫緊の重要な案件が生じた場合に内閣全体として対処しよう、そういう意味であるわけでございます。では、いかなるものがその緊急事態であるかという判断は、最終的には、所管大臣あるいは官房長官の意見を参考にして総理大臣が決めると思います。  災害対策本部と安保会議の関係でございますが、地震等の自然災害は、従来どおり災害対策本部で実行いたしますが、今までの本部では対処できないようなものに発展した場合には、安全保障会議で取り上げることになります。この場合には、既存の本部は存続するものであると思います。  大地震の予知段階においてこの緊急事態が起こるかということでありますが、その発生するおそれのある段階は、安全保障会議が対象とする重大緊急事態には含まれないと考えております。  次に、メンバーの問題でございますが、官房長官を新たにしましたのは、内閣の総合調整を行う、また、会議に関する事務を取り扱う担当大臣であるということです。国家公安委員会委員長を入れましたのは、警察が重大緊急事態対処に当たって特に深い重要な機能を果たすと考えるからであります。経済企画庁長官を存置しましたのは、会議は従来の国防会議の任務をそのまま継承しておりますが、やはり最近の趨勢、国際、国内の経済問題というものが非常に重要性を持ってきておりますので、引き続いて存続させるということであります。  次に、国会との関係でございますが、重大緊急事態の対処方針等について、既存の法令により国会の了解等が必要とされる場合には、その手続がとられることは当然であります。会議における審議内容は、事柄の性質上、公表は考えられないと思います。しかし、その開催の事実、出席者、審議内容の概要等は公表されるであろうと考えます。  三宅島と池子の問題につきましては、日米安保条約を有効に機能させていくというためにも、住民の御協力と御理解を願って、ぜひとも実現していきたいと考えて、今後も努力する決心であります。  いわゆるスパイ防止法につきましては、自民党におきまして、この種の立法が必要であるというところで今、鋭意検討を重ねておりまして、特に、基本的人権、あるいは報道機関の知る権利あるいは取材の自由等を不当に侵さないように、慎重に今検討しておるところでございます。  国会におけるシビリアンコントロールにつきましては、予算や法律、あるいは先般中期防衛計画報告申し上げた等々によりまして、十分その機能が発揮し得るように我々も協力申し上げておるところであります。防衛上の問題は、国家の安全と利益に深くかかわっておりますので、部分的にはお示しできないものもあると思うのです。特に、国家機密に当たるものにつきましては、日本の独立、安全を保持する上からも、外国に流れては困るという意味からも、これは制限せざるを得ないものもありますが、そういうものを除いては、できる限り国会の御審議の参考に供するように、今後とも努力してまいるつもりでございます。  残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣安倍晋太郎君登壇
  52. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) お答えをいたします。  外政調整室の設置が外交一元化を損なうものであってはならないという御指摘でございます。まさにそのとおりでございます。この趣旨は、行革審答申においても明確にされておりますし、今後内閣官房の組織改正が行われる場合におきましても、貫かれるものである、こういうふうに考えております。すなわち、外交関係の処理に必要な国内調整は、第一義的には外務省が行っておりますし、今後とも行います。その上で、内閣としての統一保持上必要な場合に所要の総合調整を行うことが、外政調整室の主な任務でありまして、同室がみずから外交を行うということはございません。この点は、外政調整室長に仮に次官級の人材が充てられることになっても、変わりはないわけでございます。したがって、調整室の設置によりまして二元外交となる危険はないということを、はっきりと申し上げさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  53. 坂田道太

    議長坂田道太君) 滝沢幸助君。     〔滝沢幸助君登壇
  54. 滝沢幸助

    ○滝沢幸助君 ただいま議題とされました安全保障会議設置法案について、民社党・国民連合を代表し、不肖私から総理大臣の所信をただしたいと存じます。  まず初めに、我々の基本的考え方を明らかにしておきたいと考えます。  我が国が、かつて強大な軍部の独走を許したその代償として、みずから経験することを余儀なくされましたあの忌まわしい大戦と悲惨な敗戦をば、これを歴史の教訓として深く反省し、憲法の精神とその条章に従って、自衛隊につきましては、あくまでもこれは厳正な文民の統制をもってする、よってもって国家の安全、平和、独立を守ろうとするこの基本理念をここに再確認し、そのため、今日の国防会議についてなお足らざる点についてこれを強化発展せしめようということが、今回のこの提案であると理解いたしまして、それであるならば、その趣旨について一応の評価を与えるものであります。(拍手)  しかしながら、なおここに幾つかの問題点なしとはいたしません。その第一は、総理の時局認識であります。特に、総理が常におっしゃっておりまするとおり、戦後既にして四十年、ここにおいて総決算あるいは反省ないしは再検討もあってよろしいと思うわけであります。ついては、極めて複雑にして微妙なる最近の国際事情、殊に我が国を取り巻く周辺の軍事的状況について、総理はいかに認識していらっしゃいますか。ここに端的に言えば、我が国の平和と安全は、今日まで四十年間無事安穏でありましたごとく、今日も、そして将来もなお無事安泰であり得るでありましょうか、あるいは極めて危機的状況に今日はありまするか、総理の見解を承りたいのでございます。     〔議長退席、副議長着席〕  次に、具体的質問の第一でありますが、これは、従来の国防会議におきまして今日まで十分にその機能を発揮し得たのかどうか、あるいは不十分であったと反省しておられるか、承りたいのであります。  これを広く国民の目から今日までの状況を見ておりますると、国防会議が真に必要大事な役割を果たしてきたとは映らないのであります。それは例えば、かのミグ25事件のごとく、あるいは非常に重大な事態に発展したかもしれないような事件に対しても、国防会議は全く開かれなかったのであります。その開催は平均して年に一、二回、実態は防衛庁の政策を追認するにとどまっているのが、いかにも国民の目には頼りなく、また無責任とすら見えるのではありませんか。今回のこの新しい提案は、この反省の表現であるかどうか、承りたいのでございます。(拍手)  次に、今回提案のこの安全保障会議について、その目的が国民の目にはどうも一つはっきりしないものがございます。つまり、従来の国防会議と果たしてどこがどう違うのでありましょうか。今つぶさに検討いたしてみますると、今回新たに「重大緊急事態への対処」という一項が加えられただけではありませんか。ならば、この「重大緊急事態」とは一体何を意味するものか、いかなる事態を指すものか、承りたいのであります。  地震や火災、洪水等のいわゆる自然的災害につきましては、既に中央防災会議なるものが設けられております。ならば、一部に言われますがごとく、これは騒乱内乱など治安の混乱状況を意味するものでありましょうか。すなわち、直接的侵略のみを考えていた今日までのいわゆる国防会議に対して、加えて間接的侵略についても対処をしようとするものでありましょうか。これは世にとかくの疑問を持たるるところと思いまするので、この際、具体的に事例を挙げて明らかにしていただきたいのであります。  加えてお尋ねしたいことは、この会議の名称についてであります。  昔より、名は体をあらわすと申しました。我々は、早くより、国防会議を発展強化して国家安全保障会議とせよと主張してまいったところであります。すなわち、昭和四十三年の党大会におきまして、これを我々は政策として決定したわけであります。このことは、国会に安全保障常任委員会を設けよという提唱とともに、繰り返し繰り返し叫んでまいったところであります。  しかるに、今回のこの提案を見まするに、「国家」という二文字を冠することなく、単に「安全保障会議」とのみ称していらっしゃるわけであります。一体何の安全を保障するのでありましょうか。まさに国家そのものの安全ではありませんか。だとするならば、なぜあえて「国家」の文字をためらうのでありましょうか。これは、政府みずからが国家の概念を正しく理解しておらない、ないしは、総理みずからが国家の名を恥じておいでなのでしょうか。もしそれ、一部の批判ありまするがごとく、これにおじけづき、あるいは及び腰になっているとするならば、まさに何をか言わんやであります。「国家」の文字をあえて排されたゆえんを承りたいのでございます。  次に、会議の構成についてであります。これは、先ほども質問に見えておりました。ゆえに、極めて端的にお伺いをいたします。  法案によりますれば、従来、総理、副総理、外務、大蔵両大臣、それに防衛庁長官、経済企画庁長官をもって構成されておりました国防会議に対し、今回の安全保障会議は、なぜに国家公安委員長、また官房長官が加えられたものでありましょうか。むしろ、海上保安庁という立場におきまして海上の警察機関をも所管されるところの運輸大臣をこそ、この際参加を願うべきではないのか、総理の真意を承りたいと存じます。  次に、これは極めて重要なことと考えまするので、あえてつけ加えてお伺いをさせていただきます。  それは、国家国民の安全と自由、生命財産を守るためには、これは何よりも、国の安全保障の大方針に対して、あまねく全国民の理解と協力を求め、全きを得ることが必要にして欠くべからざることではありませんか。しかし総理は、今日、我が国がかくも豊かなる経済大国として平和と繁栄をうたっておりまするとき、全国民が安全保障のため全き理解を持っているかどうか、協力献身を誓っているかどうか、いかに思われるか承りたいのであります。まことに残念ながら、私は、国民がそのようないわゆる国民的合意を有してはおられないと深く憂えるものであります。総理がこれをいかに理解されているか、承らせていただきます。  もしそれ、かかることにつき、総理の心中に一抹の不安がありとすれば、それは重大なる問題と言わなければなりません。いにしえより、国家がもしもやむを得ざる事情があれば、まず兵を去れ、さらにやむを得ざれば経済を去れ、国民の政治に対する信頼は絶対になくしてはならぬと申されたわけでありまして、これが東洋における政道の大本、国防安全の要訣ではありませんか。それを、なぜに国民が政府の政策に理解と協力を示さないのでありましょう。それはむしろ、政府が国民の前に必要にして正確なる情報を示さず、あるいは一部の批判、抵抗を恐れるの余り真意を語らず、偽っている姿勢の中にこそその原因があるのではありませんか。総理の御理解はいかなるものであるか、お伺いをさせていただきます。  さて、私は、ここで一つの問題を提起しなければなりません。それは最近、制服自衛官をして、一切物は言わないに限る、物言えば首筋寒し自衛官、たとえそれがどんなにまじめな問題提起であろうと、あるいは真実の叫びであろうと、物を言えば処分される、黙っているに限ると思わしめているとするならば、自衛官の士気はことごとく消沈し、安全保障の実を上げ得ないと思います。むしろ、総理も防衛庁長官も、進んで制服の悩みも希望も提案も聞き取ってさしあげて、そして用いるべきものはこれを用いていくという、温かい理解こそ必要ではないでしょうか。私はかく信じます。いかがなものでありましょう。これまた、総理みずからの御見解を承っておきたいのでございます。  さて最後に、私は、国家の安全を保障し、平和と独立を貫くことは、突き詰めていけば、これは教育のことにたどりつくであろうと考えます。誤りなき国家意識と国民としての自覚、そして世界平和への責任感を児童生徒、学生に培うことは、何よりも大事なこととかたく信じて疑いません。しかし、今日の教育は、その国民的要請にこたえてはおりません。よって、教育の改革、わけても、歴史教育、国語教育、公民教育、道徳教育の大方針を確立することに急なるものがなければなりません。その教育の強化充実こそが必要、大切でありましょう。すなわち、国家安全の大道を開くことでありましょう。この機会にこのことを強くお訴えいたしまして、総理の御所信と御決意を承って、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  55. 中曽根康弘

    ○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 滝沢議員にお答えをいたします。  まず、御熱意あふるる御質問に敬意を表する次第であります。  安保会議設置の背景認識の問題でございますが、現在の国際情勢は、依然として非常に厳しいと思っております。そして、この平和な環境を維持し、平和をさらに強めていくように我々は一面において努力すると同時に、必要最小限の防衛力を整備して、同時に、国を守る気概、国を守る努力を国民の皆さんと一緒に協力してやらなければならないと考えております。  今回の安全保障会議の設置は、従来、ダッカとかあるいはミグ25とかあるいは大韓航空機のような事件が起きまして、今までの事務レベルでは処理できないような大規模かつ喫緊の重大事件が起きる、それに備えまして、このような法的な整備を行っておるものでございます。  間接侵略につきましては、現行の国防会議においても、国防に関する重要事項として、直接侵略のほかに間接侵略についても、総理大臣が必要と認める場合には審議の対象とされております。今回の法改正においても、現行国防会議の任務はそのまま継承されるところでありまして、従来と同様であります。  重大緊急事態の例は、前に申し上げたとおり、大韓航空機の事件のような問題がその例でございます。  会議の名称について、国家という名前をつけないのはどういうわけかということでございますが、これは非常に幅の広い、そして世界的な、あるいは全国民的なレベルにおける協力やら視野を必要とする問題等を踏まえまして、そういうような関係から、特に国家という名前をつけなくてもいいのではないか。国家という名前をつけると、ややもするといかめしい感じがして狭くなる、そういう感じもありまして、今回はこのようにいたした次第でございます。  安保会議の議員の問題については、経済企画庁長官は、経済政策という問題が非常に重要なことにもなってきつつあります。迅速な、的確な処理が必要とされるという意味におきましても、これを入れておいたわけです。しかし、法第七条の規定によりまして、運輸大臣あるいは必要な関係大臣の出席を求めることができます。今日のような状態では、テレビとかラジオのような電波が非常に重要でありますから郵政大臣も、あるいは輸送船団という問題を考えますと運輸大臣も、それぞれみんな重要な役目を持つと思いますが、全部集めたのでは余り多過ぎる、そういう意味において、必要に応じてこれらの方々に御参加願う、そういう形をとっておるのであります。  文民統制につきましては、国民代表である政治ないし政治家が軍事をコントロールするというのが、その基礎概念でございまして、このような制度を我々は今後とも強く堅持してまいりたいと思っております。  自衛官の発言につきましては、先般の問題は多少節度を失った面がある、自衛官に対して士気を阻喪させるようなことを上官が言うことは適当でない、そういう考えに立ちまして、表現に適切を欠いたので、あのような処理をした次第でございます。  国防教育につきましては、学校教育においてかねてから、国民としての自覚と自国を愛する態度の育成についても配慮しております。自分の国はみずからの手で守るという気概なくして国家の存立はあり得ませんし、憲法擁護のためにもこのことは必要であると考えております。  愛国心教育につきましては、平和的な国家及び社会の形成者として、自国を愛し国を守るという心情や意識を持つことは、国民として当然のことであります。このため、学校教育においてもかねてから、自国を愛する態度を育成するとともに、我が国の安全と自衛の問題についても指導しているところでございます。教科書におきましても、自衛隊については、中学校及び高等学校におきまして、我が国の安全の問題と関連して、我が国の平和と安全を守る自衛隊の任務や役割について指導しております。教科書においても任務について記述しているところでございます。なお、この際、自衛官の社会的待遇につきましても、ぜひとも平等の取り扱いがなされるように強く希望する次第でございます。  以上で答弁を終わりにいたします。(拍手)     ─────────────
  56. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 柴田睦夫君。     〔柴田睦夫君登壇
  57. 柴田睦夫

    ○柴田睦夫君 私は、日本共産党革新共同を代表して、安全保障会議設置法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。  総理は、総理就任直後、レーガン大統領との会談で、日米運命共同体を約束し、従来の政府の姿勢とは違うことを強調し、国民には、その公約を実行する国内体制づくりを目指して「戦後政治の総決算」を呼号しました。そして、日米軍事同盟の要求にこたえる体制の構築を最高の目標とする政治を推し進め、国の内外政策の全体にわたって、日本と国民の運命を極めて危険な方向に導こうとしています。中曽根内閣のもとで行われた二回の国政選挙に当たり、自民党は防衛体制の確立のためとして、国家機密法の制定とともに、現行国防会議を改組し、その戦争指導機能を格段に強化することをねらった安全保障会議の設置を公約してきました。提案された安全保障会議の設置は、緊急事態への対処と称し、民主主義に挑戦して、事実上の軍事体制国家づくりを目指すものであります。  日本国憲法は、戦争を前提とする規定を一切持たず、軍備を持つこと自体も否定し、軍事、国防にかかわる事項を内閣の職務行為に加えておりません。にもかかわらず、中曽根内閣があえてかかる暴挙を行おうとしていることに対し、私は、怒りを込めて質問をするものであります。(拍手)  第一は、安全保障会議の基本的性格についてであります。  総理は、国会答弁で、既存の法律や事務処理で考えられなかったような事態が出てきた場合のために安全保障会議をつくると述べておられますが、これは、アメリカ有事への自衛隊参戦態勢づくり、つまり、国家機構の戦時体制化を平時から図ることに本当のねらいがあると言わざるを得ないのであります。  そこで、具体的に伺います。米軍の海洋戦略は、米ソ間の危機の発展を想定して、緊張が深まり、ソ連の全面攻撃の準備の可能性の最初の兆候に対して、米国と同盟国の海軍戦力は母港から出動してソ連の近くまで前進配備する、ヨーロッパ中部で米ソ戦争が始まった場合、アメリカは極東においても作戦行動を展開する、最終局面では、千島、樺太にも上陸する、同盟国も参戦すると述べております。このアメリカの戦闘行動に対して、アメリカの同盟国として我が国がどのような便宜を供与するのか、自衛隊などの段階でどう動かすのか、この極東有事において在日米軍が直接戦闘行動を行うための協議申し入れがあった場合、いかに対処するかを、この会議は、重大緊急事態の対処方針として決定することになるのではありませんか。  また、七八年の日米ガイドラインは、「日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合」、日米が共同して作戦準備行動を起こすとしておりますが、防衛出動命令、防衛出動待機命令が発令される以前からの、現行法に規定のない作戦準備行動に対し、この会議はどのようなかかわり合いを持つことになるのでしょうか、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)  同時に重大なことは、この会議が、国家国民の有事総動員体制を推進していく機関であるという問題であります。自衛隊は、日本が戦場となった場合、民間病院などの施設を管理し、土地、家屋を初めあらゆる物資を一方的に収用したり、また、医療、土木、建築、輸送の仕事に携わる人たちを強制的に動員することができるようになっております。この会議は、この物資などの徴発、民間人の徴用など、戦時における国民総動員の施策を具体的に決定、遂行する機関となるのではありませんか。後藤田長官は、灯火管制や民間防衛組織づくり、気象情報の統制などは政府全体が取り組むべき課題だと答弁されました。これらの全体は、まさに国家国民総動員を行う指導機関づくりであります。政府は、安全保障会議を設置することによって、これらを具体化し、推進しようとするものではありませんか。この会議では絶対にやらないと言明できるのかどうか、総理並びに官房長官の明確な答弁を求めます。(拍手)  第二は、安全保障会議の設置によって、国民の要求運動を抑圧する治安対策を一段と強化しようとしている問題であります。  国内の重大緊急事態の例として、政府は、関東大震災のような大規模災害や、一般の警察力では十分対応できないような騒擾事態などを挙げていますが、これ以外にどのような事態を想定されているのか、具体的に明らかにしていただきたいのであります。  また、本法案は、重大緊急事態に対処する最強の実行部隊となる自衛隊を統括する防衛庁長官に加えて、国家公安委員長を正規の構成メンバーに加えていますが、そのねらいは一体何か。行革審答申は、経済的危機、騒擾事件をも重大緊急事態に含めておりますが、これは、自民党政府の悪政に反対する国民的な闘いを敵視し、一方的に重大緊急事態と決めつけて、警察力と軍事力で弾圧する対策を立てようとするものではありませんか。後藤田長官が、自衛隊の命令による治安出動を行う際にはこの会議に諮ると答弁されているのは、この会議の決定で一層機動的かつ強力な国民弾圧を行おうとしているのではありませんか、総理並びに官房長官の答弁を求めます。  第三は、安全保障会議の設置とあわせ、国民の知る権利を奪うなど、日常的な国民支配体制を強力に固め上げようとしている問題であります。  安全保障会議に関する事務は、内閣官房において処理し、内閣審議官がつかさどるとなっております。具体的には、安全保障室がそれであります。昨年十二月の閣議決定は、安全保障室、情報調査室、内閣広報官などの設置と情報ネットワークの整備を決め、安全保障会議設置法の施行にあわせて実施するとしております。これらの閣議決定は、昨年七月の行革審答申を受けたものであり、政府は、この答申を最大限尊重し、実施すると言っております。答申は、随所で「情報の秘密保全」を強調し、内閣を中心にした情報ネットワークの整備や、総理官邸の近代化などを図るよう求めております。また、情報の秘匿を含む慎重な報道、広報対策のため内閣報道官を設置すべきであると述べております。さらに、内閣調査室の内閣情報調査室への改組、強化や、外務省情報調査局、防衛庁防衛局、警察庁警備局、公安調査庁などとの合同情報会議の設置を求めています。  これは、まさに国家機密法制定の策動とあわせ、内閣官房を中心にあらゆる情報の収集、秘密の保全、報道統制、世論操作などを強める体制を強力に固め上げようとするものではありませんか。答申が言う合同情報会議は、アメリカのCIAを念頭に、軍事、外交情報の総合的な把握体制の確立とともに、現在警察庁警備局を中心にして行っている、すべての団体と国民を日常的、系統的な警備情報の収集と管理の対象としている体制を、行政の最頂点から一段と強化することを目指したものではありませんか。総理と官房長官の答弁を求めます。  最後に、本法案が、総理の権限と権限行使機能をさらに強化しようとしている問題についてであります。  国の平和や安全など国民に重大な影響を及ぼす重要問題への基本的な対処方針は、国民の代表であり、国権の最高機関である国会が審議、決定すべきものであります。今回の安全保障会議の設置は、総理を中心とする特定の閣僚による機関を内閣の中につくり、ここに行政権の重要な部分を担わせ、法制の規定を超えた、いわゆる超法規的措置を組織的に実行する権能を与えようとするものにほかなりません。それは、いわば政府の中に政府をつくり、アメリカの国家安全保障会議に匹敵するような強力な戦時指導体制を平時からつくろうとするものであります。安全保障会議の設置は、まさに大統領的首相になりたいという総理の願望を現実化しようとするものではありませんか、総理の答弁を求めます。(拍手)  中曽根内閣がつくろうとする安全保障会議は、国家機密法制定の策動や政党法制定の企て、靖国神社公式参拝の強行などとともに、日本型ファシズムと日米軍事同盟体制国家づくりの拠点となるものと断ぜざるを得ません。私は、憲法の平和的、民主的条項を真っ向からじゅうりんし、我が国の民主主義否定につながる安全保障会議設置法案を、直ちに撤回するよう強く要求するとともに、我が国の平和と国民の基本的人権を守り抜こうとする広範な国民と力を合わせ、その廃案を目指して国会の内外で全力を挙げて闘う決意を表明して、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  58. 中曽根康弘

    ○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 柴田議員にお答えをいたします。  まず、安全保障会議審議対象でございますが、国防につきましては、現行の国防会議の任務をそのまま引き継ぐことになっております。したがって、国防に関する政府部内の処理体制は、この法律によって変更することはありません。また、安全保障会議は、諮問機関でありまして、決定機関ではございません。  安全保障会議と国家総動員体制の御指摘がありましたが、総動員体制づくりの推進といったこととは全く関係がありません。  次に、重大緊急事態の具体例でございますが、ミグ事件、大韓航空機撃墜事件、ダッカ事件のようなものはそれに当たります。  国家公安委員長をメンバーに加えたのは、警察関係が重大な機能を持っておるからであります。  次に、行革審答申との関係でございますが、経済的危機や騒擾事件は緊急事態ではありますが、このうち、安全保障会議の対象となる重大緊急事態は、国家の安全にかかわる重大事に発展するおそれのある緊急事態に限定しております。  次に、情報調査室等の設置目的でございますが、情報調査室の設置は、これは答申にありますように、内閣の総合調整機能が機動的、効率的に発揮されることを目的として行われるもので、報道統制や世論操作を意味するものではありません。  次に、合同情報会議の設置でございますが、これも行革審の答申を踏まえて、特に内閣の重要政策に関する情報について、総合的に把握するため設置しようとするもので、特定の団体や個人を対象とするものではありません。  安全保障会議設置のねらいは、これは諮問機関でありまして、特定の閣僚による機関に行政権の重要な部門を担わせるといったような指摘は当たらないのであります。重大緊急事態への対応措置実施に当たりましては、関係機関が現行法制のもとでそれぞれの所管事項として行うものであり、超法規的な措置をとることを考えてはおりません。いずれにせよ、安全保障会議の設置に当たりましては、内閣機能の総合調整強化、円滑化というものが目的であるということを申し上げるものであります。  本法案を撤回する考えはございません。(拍手)     〔国務大臣後藤田正晴君登壇
  59. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) まず第一点は、政府は、安全保障会議の設置によって、国家国民総動員体制を推進しようとしておるのではないか、こういう御質疑でございますが、最近の我が国のように、高密度工業社会、そして同時に、国際的にも諸外国との関係が緊密化している状況のもとでは、内外において国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある事態が発生をする潜在的な危険性は常に内包をしておるわけでございます。安全保障会議の設置は、現在の国防会議の任務をそのまま引き継ぐとともに、こうした重大緊急事態に対処して、政府として、迅速的確に方針を決め、事態の拡大発展を防止しようとするためのものであって、最近の内外情勢にかんがみて、国の安全、国民の安全をどのようにして守るかということを基本として考えておるものでございまして、御指摘のような総動員体制などというのは考えておりません。  その次に、大規模災害や騒擾事態以外の重大緊急事態の具体例を示せ、こういうことでございましたが、先ほど来、総理、私からるる御説明を申し上げたとおりでございます。  次に、官房長官は、自衛隊の命令による治安出動をこの会議に諮ると答弁をしておるが、これは一層強力な国民弾圧を行おうとするものではないのか、こういう御質問でございますが、治安出動の可否につきましては、防衛出動と異なって、会議に必ず諮るべきことが明文で規定をされておるわけではありませんが、その重要性にかんがみまして、内閣総理大臣は「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」に当たるものとして、従来から会議に諮ることになるものと考えているわけでございます。いずれにいたしましても、これは現行の国防会議の任務をそのまま引き継いでおる、こういうことで答弁をいたしたわけでございます。今回の改正で、御質問のように一層強力な国民弾圧を改めて行うなどということは、どこから出た御意見かよくわかりません。私には理解困難でございます。  その次は、情報調査室あるいは合同情報会議、内閣広報官、安全保障室等の設置は、内閣官房を中心に情報収集、秘密保全、報道統制、世論操作などの体制を強力に固めようとするものではないのか、こういう御意見でございますが、これは昨年の七月二十二日に提出をせられました行革審の答申の中で、今日の内外の情勢は国際、国内関係が極めて高度化しておる、したがって、緊急事態発生の可能性が高まっておる現在、その的確機敏なる対応をするために、内閣を中心とする総合調整機能の強化が喫緊の要務である、こういう認識のもとに内閣官房の組織の再編成を提言をし、私どもはそれを受けとめて、今回、総理のスタッフ、組織の強化を図ろう、こういうことでございます。報道統制とか世論操作を意図しておるものでは毛頭ございません。  あとは、もう全部答弁が終わっておりますので、これで終わります。(拍手
  60. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  61. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十七分散会