○神田厚君 私は、民社党・
国民連合を代表して、ただいま
議題となっております国の
補助金等の
臨時特例等に関する
法律案に対し、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
最初に、
政府の
財政政策についてお伺いをいたします。
政府がとってまいりましたこれまでの
経済運営は、
財政の果たすべき
景気調整機能や資源の適正配分などの機能を全く無視したものでありました。すなわち、それは、単純一律的な歳出削減、機械的かつ硬直的な国債減額、物価上昇に見合った
所得減税の見送り、
政府公約に反する
増税の連続などでありました。
〔
議長退席、副
議長着席〕
このような
経済運営が、
我が国経済の適正成長を妨げ、税収の伸び悩みによる
財政の一層の悪化を招いてきたことは、既に明日であります。そして、それらの
政策の継続は、
我が国経済が直面する三つの
課題、すなわち、対外
経済摩擦の解消、史上最高値を更新しつつある
円高不況の克服、「
増税なき
財政再建」の
達成のいずれの解決にも、逆行する道と言わざるを得ないのであります。
かかる見地から、我々は、
行財政改革の推進とあわせ、
経済運営の速やかな転換を図り、大幅な
所得減税、公共投資の
拡大、単純一律のマイナスシーリングの廃止、
赤字国債脱却目標
年度の延期などを柱とする積極
財政政策を
実施すべきであると考えるものであります。
総理及び
大蔵大臣のお考えはいかがでありますか、お尋ねをいたします。また、
政府は、六十二
年度予算編成に当たっても、マイナスシーリングを
実施する方針であるのかどうか、
赤字国債脱却に対して、弾力的に対処する方針をお持ちなのかどうか、あわせて御
所見をお伺いいたします。
同時に、我々は、
財政再建の
達成や適正成長の実現などを図るため、今後のあるべき
経済財政指標の目標値や
政府の
政策選択を具体的に盛り込んだ中期
経済財政計画を早急に策定するよう、
政府に強く求めるものであります。
政府は、これらを約束されるのか否か、
総理並びに
大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。さらに、我々は、
国民の将来に対する不安感、不透明感を払拭すべく、特に租税
負担率の将来目標値を明示すべきであると考えるものであります。少なくとも、
政府の
財政試算に基づく租税
負担率の今後の
推移、
歳入不足を
増税によって賄った場合の
推移を明らかにすべきだと考えますが、あわせてお伺いをいたします。
次は、
補助金問題についてであります。
初めに、
政府の今回の
措置は、国会の意思と
国民への約束を踏みにじるものであることを指摘せざるを得ないのであります。
政府は、昨年、世論の強い反対を押し切り、二分の一を超える高率
補助率の一律一〇%カットを強行いたしました。その際、
政府が約束したことは、かかる一律カットは一年限りの暫定
措置であること、六十一
年度予算編成までに国と
地方との
役割分担、費用
負担の
見直しなど、
補助率の
あり方について
検討を加え、結論を得るということでありました。国会もまた、衆参両院において、
補助率の一律カットを六十
年度限りの
措置とし、
補助金制度の抜本的
見直しを行うことを
附帯決議において
政府に求めたのであります。しかるに
政府は、このような動向を無視し、今回は、カットの
対象を
補助金全体に
拡大し、しかも三年間の暫定
措置として、昨年の愚を再び繰り返したのであります。国会の意思と
国民への約束を被ったこれらの事態を
政府はどのように考えておるのか、
総理の御
所見を求めるものであります。(
拍手)
次に、
補助金の
整理合理化を今後どのようなスケジュール、手順によって進めていくのかということについて、お伺いいたします。
言うまでもなく、国費の膨大なむだを生んでいる
補助金の
整理合理化は、
行政改革及び
財政再建の根本的
課題であります。縦割り
行政の弊害を除去し、肥大化した組織、機構を縮小し、
行政の簡素効率化を進めること、同時に、
地方分権を推進し、
地方が
地方の
時代到来にふさわしく、自主的かつ創造的な
行政施策を展開できるようになるためには、国の
補助金の抜本的
整理合理化が不可欠であります。
補助金の使われ方も、中央官庁の
地方団体に対する関与の手段として利用されたり、ある場合には
政治家の集票手段として利用されたり、種々問題を惹起しているのであります。また、
補助金額より申請事務等に要する
経費が高いというような、信じられないようなことも起こっているのであります。
民間の調査によれば、例えば、文部省の社会教育集団学習奨励金の場合、
補助金額三十万円に対し、申請事務等の
経費は三・三倍の百万円となっているなどであります。
このように、
補助金の
整理合理化は、
行財政改革の根本的
課題であるにもかかわらず、
政府がそれを今後どのように進めていくのか、全く明らかにされておりません。昨
年度は、大蔵、厚生及び
自治三大臣の覚書により、
補助率の
あり方について
政府部内で
検討することとしておりましたが、これに比べ今回は、
政府の
姿勢の
後退が非常に目につくのであります。
政府は、
補助金の
整理合理化について、今後、これをどのように進めていく方針をお持ちか、
検討するための権威ある機関を設ける考えがあるのかどうか、また結論はいつをめどとするのかなどについて、
総理並びに
大蔵大臣の方針をお伺いいたします。
次に、第二交付税構想についてお伺いいたします。
総理も御承知のように、民社党は、
公共事業関係補助金、すなわち道路、河川など
地方財政法第十条の二に列挙されている事業に使う国の支出金を、
地方に一括交付する第二交付税制度の創設を訴え続けてまいりました。そのことは、各事業の
整備順位や個別の選択を
自治体に任せ、事業間の
整合性を図るとともに、
財源を一括交付することによって、縦割り
行政の弊害を除去し、
補助申請事務
手続の煩雑さ、むだを省くことができると考えたからであります。かかる第二交付税制度の具体化に当たっては、国の
計画との
整合性など
検討すべき
課題が多いことは、我々も十分承知しております。
政府もまた、我々の構想の
趣旨には賛同していただけているものと理解をしておるものであります。
我々は、かかる見地から、
政府に対し、第二交付税制度の創設に向けた具体的
検討を求めるものでありますが、当面の
措置として、比較的局地的事業に係る
公共事業、例えば、
都市計画法に基づく各種事業、道路舗装や道路改修事業などについては、交付金として
地方に一括交付する
措置を講ずべきであると考えますが、
総理並びに大蔵、
自治両大臣の御
所見をお伺いいたします。
次に、
たばこ消費税の
増税についてお伺いします。
政府は、本
法案に連動する形で、国、
地方たばこ消費税の
増税を
実施しようとしております。この決定は、国の
財政運営の失敗の
責任を
地方公共団体にとどまらず、
国民に転嫁するものであり、まことに遺憾であります。また、この決定が
政府税調の答申後に行われたことは、
政府みずから税調を無視したものであり、ゆゆしい問題であると言わざるを得ません。しかも、今回の
補助率カットが三年間の暫定
措置としていながら、
たばこ消費税の
増税は一年限りの
措置とされているなど、その場しのぎの
対策に終始していると言っても過言ではありません。
政府は、税調無視の決定をどのように考えるのか、一年後は
たばこ消費税の税率を
もとに戻すのかどうか、その場合の
地方財政措置はどのように考えるのか、これらについて
大蔵大臣の明快なる
答弁を求めるものであります。
さらに、
地方交付税について御
質問をいたします。
補助率カットに伴う
地方財政対策として、建設
地方債の増発、その元利償還を
地方交付税で
措置するという
措置が講じられている結果、本来、
地方公共団体固有の
一般財源である
地方交付税は、国の
財政政策の調整の手段として利用される性格を強めつつあります。まことにゆゆしい事態と言わざるを得ません。今後の高度
福祉社会においては、
国民が日常
生活を営んでいる
地方の
行政の
役割がますます重視される社会であり、
地方がその
役割を果たせるようにするためには、
地方分権を推進し、国に偏った税
財源の
地方への再配分を図ることが、不可欠の
課題であります。
政府の
措置は、
時代の要請に逆行するものと言わざるを得ません。
政府は、
地方交付税の
現状をどのように判断されているのか、また、
地方財政余裕論を背景として、
地方交付税率の
引き下げも
検討されているやに聞きますが、事実はどうなのか、大蔵、
自治両大臣の御見解をお伺いします。
最後に、
行政改革の今後の進め方についてお伺いいたします。
行政改革は、いまだ緒についたばかりであり、
行政機構の再編合理化、
地方出先機関の整理縮小、
補助金の
整理合理化、特殊法人、公益法人の整理など、本来の
行政改革にはほとんど手がつけられておりません。このような
状況の中で、
臨調答申の実行を監視し、
政府に行革の実行を求めてきた臨時
行政改革推進
審議会、いわゆる行革審がこの六月をもって任期切れを迎えることは、
行政改革を道半ばにして放棄させることにつながりかねないのであります。今、行革の火を消してはならないのであります。
高齢化や国際化
時代に
対応し、二十一世紀に向けた
活力ある
福祉社会の基盤を築くためには、
行政改革の断行が不可欠であり、それを中途で挫折させるようなことがあってはなりません。(
拍手)
本日、我が党の塚本
委員長が
総理に行革審の存続を申し入れましたが、我々は、かかる見地から、行革審の任期の延長を図り、
行政機構の再編合理化等の行革本来の
課題についての答申をまとめ、
政府がそれを着実に実行する体制を整えるべきであると考えるものであります。
総理の明快なる御方針をお伺いし、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣中曽根康弘君
登壇〕