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1986-03-20 第104回国会 衆議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十日(木曜日)     ─────────────   昭和六十一年三月二十日     午後一時 本会議     ───────────── ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  中央選挙管理会委員及び同予備委員指名  人事官任命につき同意を求めるの件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  原子力安全委員会委員任命につき同意を求めるの件  中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  国の補助金等臨時特例等に関する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 坂田道太

    議長坂田道太君) これより会議を開きます。      ────◇─────  議員請暇の件
  3. 坂田道太

    議長坂田道太君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  井上泉君から、三月二十一日より二十八日まで八日間、大久保直彦君及び矢野絢也君から、三月二十一日より三十日まで十日間、井上普方君及び金丸信君から、三月二十二日より三十一日まで十日間、土井たか子君から、三月二十三日より三十日まで八日間、右いずれも海外旅行のため、請暇申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ────◇─────  中央選挙管理会委員及び同予備委員指名
  5. 坂田道太

    議長坂田道太君) 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名を行います。
  6. 桜井新

    桜井新君 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名については、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  7. 坂田道太

    議長坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、中央選挙管理会委員に       吉岡 恵一君    堀家 嘉郎君       沖崎 利夫君    中尾 辰義君    及び 中沢伊登子君 を指名いたします。  また、同予備委員に       佐久間 彊君    大谷  操君       瀬尾 忠博君    松尾 信人君    及び 岡本  丈君 を指名いたします。      ────◇─────  人事官任命につき同意を求めるの件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  原子力安全委員会委員任命につき同意を求めるの件  中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件
  9. 坂田道太

    議長坂田道太君) お諮りいたします。  内閣から、  人事官石坂誠一君を、  原子力委員会委員門田正三君及び藤波恒雄君を、  原子力安全委員会委員大山彰君及び御園生圭輔君を、  中央更生保護審査会委員に本明寛君を、  日本銀行政策委員会委員に川出千速君を 任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。  まず、人事官及び日本銀行政策委員会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 坂田道太

    議長坂田道太君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。  次に、原子力委員会委員及び原子力安全委員会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 坂田道太

    議長坂田道太君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。  次に、中央更生保護審査会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ────◇─────
  13. 桜井新

    桜井新君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  14. 坂田道太

    議長坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。     ─────────────  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出
  16. 坂田道太

    議長坂田道太君) 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。交通安全対策特別委員長正木良明君。     ─────────────  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔正木良明登壇
  17. 正木良明

    正木良明君 ただいま議題となりました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、交通安全対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、近年、交通事故の発生が再び増加傾向に転じ、昭和五十七年以降は死者が四年連続して九千人を突破するなど極めて憂慮すべき事態となっている状況にかんがみ、交通事故の防止及び交通円滑化を図るため、現行の計画に引き続き、昭和六十一年度以降五カ年間において実施すべき交通安全施設等整備事業に関する計画を作成し、総合的な計画もと交通安全施設等整備事業実施するとともに、費用の負担または補助特例対象となる交通安全施設等整備事業範囲拡大しようとするものであります。  本案は、去る二月四日本委員会に付託され、同月二十五日江藤建設大臣から提案理由説明を聴取し、本二十日質疑を終了し、採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  18. 坂田道太

    議長坂田道太君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 坂田道太

    議長坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────  国の補助金等臨時特例等に関する法律案   (内閣提出)の趣旨説明
  20. 坂田道太

    議長坂田道太君) この際、内閣提出、国の補助金等臨時特例等に関する法律案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣竹下登君。     〔国務大臣竹下登登壇
  21. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま議題となりました国の補助金等臨時特例等に関する法律案趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展国民生活の安定、向上を図るためには、引き続き財政改革を強力に推進し、財政対応力の回復を図ることが緊要であります。  このため、政府は、昭和六十一年度予算におきまして、歳出面において、既存の制度、施策改革を行うなど徹底した節減合理化を行い、全体としてその規模を厳に抑制することとしたところであります。  このような中で、最近における財政状況社会経済情勢推移及び累次の臨時行政調査会答申等趣旨を踏まえ、補助金等につきましては、引き続きその整理合理化を推進するとともに、事務事業見直しを積極的に進めながら補助率総合的見直し等を行うこととし、また、厚生年金国庫負担金繰り入れ等につきましても所要特例措置を講ずることとしたところであります。  なお、補助率あり方等につきましては、補助金問題関係閣僚会議及び補助金問題検討会において鋭意検討を重ねてきたところであり、今般の措置は、補助金問題検討会報告を最大限尊重することとし、その趣旨を踏まえて行うこととしているものであります。  本法律案は、以上申し述べました国の補助金等臨時特例等措置について所要立法措置を講ずるものであります。  すなわち、本法律案は、国の補助金等に関し、社会保障公共事業等の各政策分野の特性に配意しつつ、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度において補助率等引き下げを行うこととしているもの及び地方公共団体一般財源による措置への移行を行うこととしているものについて所要措置を講ずるとともに、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における厚生年金保険事業に係る国庫負担金繰り入れ等について所要特例措置を講ずるものであります。なお、補助率等引き下げ対象となる地方公共団体に対しましては、その事務事業執行及び財政運営支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずることとしております。  以上、国の補助金等臨時特例等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ────◇─────  国の補助金等臨時特例等に関する法律案   (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  22. 坂田道太

    議長坂田道太君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中村正男君。     〔中村正男登壇
  23. 中村正男

    中村正男君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等臨時特例等に関する法律案について、総理並びに関係大臣に対し質問を行うものであります。  中曽根内閣が誕生したのは、昭和五十七年十一月二十七日であります。政権を発足させると同時に、中曽根総理は、日本列島沈空母発言、さらには三海峡封鎖発言など、みずからの政治信条とも言うべきタカ派的姿勢を大胆にも国民の前に誇示し、大きな不安と動揺を与えました。そして、危険な道に大きく踏み出したことは否定できません。しかし、地味な印象で終始をされた鈴木前総理と比べて、見るからに精力的な、何かやってくれそうな幻想を中曽根総理国民は抱き続けてきたことも、事実であったと思うのであります。  だが、あれから三年三カ月がたった今日、国際的には経済大国と言われながら、緊縮財政からくる内需不振と景気の停滞、加えて、追い打ちをかける円高不況、依然下がらない失業率、限りない税に対する不公平、重税感、かさむ教育費住宅土地政策不在の中でますます遠のくマイホーム、解消されない過疎地域の出稼ぎの人たちの嘆きなど、すべての国民は、あえぎあえぎの生活を送っています。額に汗して働いた結果が報われない今の政治に深い憤りとむなしさを持ち、中曽根総理に対し、強い失望感を持っているのが現状ではないでしょうか。もう七カ月の余命に迫った今、国民の前に総理、胸を張ってこれだけはやったと言える実績がありますか、素直な反省を込めての答弁を要求します。  また、中曽根内閣の最大の公約であった「増税なき財政再建」、六十五年度よりの赤字国債からの脱却は、既に破綻を来しており、今や、その責任と新たな財政再建への枠組みに向けての政策転換が問われています。  六十一年度税収見込みが強引な過大成長率、名目五・一%、実質四%の基礎に立ち、四十兆五千六百億円、対前年比六・三%増を計上しましたが、民間の大方の調査機関では、この政府見通し達成は無理と当初から指摘をしています。高目経済成長率にしなければ予算が組めなくなるとした、粉飾まがいの六十一年度予算案ではないのかと言わざるを得ません。さらに、急速な円高からくるデフレ要素が加わり、一層六十一年度歳入不足が問題になってくるのではないでしょうか。年度末には、大幅な赤字国債発行による補正予算を組まざるを得ない状況に追い込まれることが、今から懸念されています。これでも、六十五年度赤字国債脱却が可能だとお考えなのか、総理並びに大蔵大臣の見解をお聞きします。  また、円相場が史上最高値を更新し、急激過ぎる最近の動きについて、中小企業等に対し政府は、財政金融両面からの緊急対策を講じなければならないと考えますが、あわせて質問をいたします。  五月の東京サミットは、貿易黒字をため込んでいる日本への批判が集中することが予測をされますが、今緊要なのは、実効性のある内需拡大策であります。  その第一は、最終消費支出につながる所得減税実施であります。勤労国民に対する実質増税は、五十八年度八千億円、五十九年度三千六百億円、六十年度一兆四千億円、六十一年減税実施をされないとするならば二兆円に上る大増税になり、生活は我慢の限界にきています。二兆三千四百億円の所得減税実施を強く要求するものであります。(拍手)第二に、内需拡大に向けて新たな民間活力の導入を目指して、東京湾横断道路等大型プロジェクト構想を打ち出していますが、今必要なのは、地域経済活性化をもたらすための魅力ある都市づくりや緑の保存など、地域住民の豊かな生活環境整備のための積極的な国の財政出動による投資促進ではないのですか、大蔵大臣所見をお伺いします。  国と地方自治体との関係は、明治以来百十余年、戦後四十年たった今、従来の画一的な中央集権システムから、多様化分権自治拡大へと大きく変貌し、国と地方の対等、並列、協同の関係として、ともにその役割責任を果たしていく時代であろうと考えます。しかし、平和憲法もと国民基本的人権福祉を守っていくことの国の責任は不変でなければなりません。緊縮財政、限りない福祉後退が続く中で、国民のための地方自治を果たして守っていけるのか、自治大臣の率直な所見をお伺いいたします。  近年、政府は、社会保障費個々国民が税金とは別に負担すべきものと決めてかかっており、社会福祉経費むだ金としてとらえている感が強く、福祉施策後退はどんどん進められてきています。とりわけ、昭和五十八年老人医療保険一部有料化、五十九年健康保険本人一割負担増、六十年年金改悪給付水準引き下げ、六十一年再び、老人医療保険本人負担をさらに増加するなどは、まさに国の責任放棄のあらわれであります。また、施設福祉から在宅福祉へのスローガンのもと老人福祉施設補助率引き下げなどが施行されようとしています。昭和五十八年国民健康実態調査においては、全人口一千人の有病率は百三十六であるが、六十五歳から七十四歳では四百二十一となり、全人口に対する有病率の三倍を示しており、これが七十五歳以上になると四倍になり、このように人生において最も多く慢性疾患に悩まされる年齢になって、医療費抑制の仕打ちであります。  老人医療の原則を施設福祉から在宅福祉へ移行しようとしていますが、日本住構造核家族化が進む中で、果たして適切な政策と言えるでしょうか、疑問のあるところであります。在宅福祉の主力は奉仕員活動であり、今日の地方財政では、一人の奉仕員の増員さえ不可能な現状ではないでしょうか。一例を挙げれば、ある人口六万の中都市で、寝たきり老人が九十五人、一人暮らし老人が五百三十九人に対して、奉仕員はわずか十人にすぎません。国、地方の手による老人のための安全な福祉施設の拡充は、金がないから放棄するでは済まされない問題となってきています。こうした現状の中で、今後の福祉行政はどうなっていくのか、厚生大臣質問をいたします。  また、生活保護費十分の七の補助率をさらに続けようとしていますが、高齢化の進展とともに、一人住まい老人増加をし、生活保護世帯が年を追ってふえてきています。昭和五十七年度全国生活保護世帯七十七万世帯が、六十年度には八十万世帯にも及ぼうとしており、さらに増加は続くものと考えます。自治体の負担増は、世帯数増加に加え、補助率引き下げにより、二重の財政圧迫を受けることになるのであります。児童扶養手当が十分の八から十分の七になるのを初め、特に経常経費系統補助率が大幅に引き下げられ、地方財政が大きく圧迫されようとしています。今や、ナショナルミニマムとしての社会保障を行うべき政府責任は、一体どこへ行ってしまったのか、指摘したいのであります。総理の明確な答弁を求めます。  いかなる時代にあっても、国家福祉国民生活の安定をおろそかにしてはなりません。しかし、このような状態が続けば、必ずや現代が福祉暗黒時代として歴史の一ページに書きとどめられることであろうことを、憂慮するものであります。他方、防衛費は、過去四年間で七千五百億円もふえ、まさにバターより大砲に異常に傾斜していると言わざるを得ません。総理福祉予算についての国の責任について、あわせてお聞きをするものであります。  政府は、補助率一律カットを、六十年度一年限りという前提で実施したにもかかわらず、その約束をほごにし、今年度は、さらにその範囲を広げ、期限を三年に延長しようとしています。この一年、財政的には、いわゆる三割自治が二割自治へと後退し、地方自治体財政硬直化はさらに進み、仕事量だけが増大する結果となっています。国と地方役割分担をあいまいにしたまま、地方国民生活に多大な影響を与えようとしていることは、断じて認められるものではありません。  苦肉の策として、たばこ消費税増税し、その財源の穴埋めにしようとする姿勢は、六十二年度税制抜本改正を前にして、極めて場当たり的な整合性のないやり方であります。国と地方との役割分担について、財政上の裏づけをどう考えているのか、大蔵大臣質問します。あわせて、手続無視たばこ消費税増税について、国民にどう説明されるのか、率直な反省を求めます。  補助金問題関係閣僚会議補助金問題検討会が設置をされ、補助金見直しが行われましたが、地方の側からは、同化定着化しているものの一般財源化手続簡素化統合化、特に各省庁縄張り意識からの競合する補助金整理統合等補助金を横並びに一律カットする横切りではなく、個々補助金を吟味して、無意味になったものを廃止するなど、縦切りを主眼とした検討がなされるべきと考えます。大蔵大臣自治大臣答弁を求めるものであります。  最後に、重ねて、六十年度限りという昨年の提案が三年間延長の形で出されてきたことは、国民に対する重大な公約違反であり、政治不信を招くものとして政府の態度に断固抗議をし、あわせて、国会審議軽視一括法案としての取り扱いをまたしても強行することは、到底許されるものではなく、本法案全面撤回総理に強く求め、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  24. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 中村議員お答えをいたします。  まず、就任以来やった仕事は何かというところでございますが、就任以来なすところ少なきを恐れております。「戦後政治の総決算」という信念のもとに、行政改革財政改革教育改革税制改革等を推進し、国際国家日本、たくましい文化と福祉の国をつくるために、今後も一生懸命努力してまいりたいと思います。  次に、六十五年度赤字国債脱却の問題でございますが、財政をめぐる状況は厳しい状況にあることは、よく知っております。しかし、今この状態でこの旗を下げるということは、今までの努力を水泡に帰する危険もございます。財政政策金融政策景気政策あるいは税外収入確保等、弾力的、機動的に政策を運用して、この目的を達する決心でございます。  円高に対する緊急政策につきましては、内需拡大のために昨年十月、十二月の二次にわたって対策を行い、さらに最近、公定歩合の引き下げも二度にわたって行ったところでございます。政府としては、急激な為替変動による中小企業等への影響を最大限に考慮いたしまして、引き続き有効な政策を進めてまいるつもりであり、予算成立直後を目途に、総合的な経済緊急対策等検討してまいる所存でおります。  社会保障について御質問でございますが、生活保護等補助率の変更に伴う地方負担増分については、事業実施支障のないように所要地方財政対策を講じており、政府としても、福祉水準を確保するように努力してまいります。  防衛費の問題でございますが、防衛費については、他の諸施策との調和を図りながら、必要最小限経費を計上しております。社会保障関係費が九兆八千億円、防衛費が三兆三千億円でございまして、バランスは維持されていると思います。  次に、この昭和六十一年度予算編成に際しての補助金の問題でございます。  これは、検討会報告趣旨を踏まえまして、社会保障を中心に事務事業見直しを進めながら、総合的に行ったものでございます。それで、今回の法案は、累次の臨調答申等を踏まえまして、国の補助金等に関する措置であるといった共通趣旨目的を内容とするところから、一括したものであります。  細かい点は関係大臣から御答弁いたします。(拍手)     〔国務大臣竹下登登壇
  25. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標達成は、容易ならざる課題であります。しかしながら、財政改革の推進は、我が国経済社会の安定と発展を図るために、ぜひともなし遂げなければならない国民的課題でありますので、目標達成に向けて今後とも全力を挙げて取り組む所存であります。なお、六十一年度予算においては、厳しい財政事情もとではございますが、一般公共事業事業費について、民間資金財政投融資等の活用により種々工夫を行うことによりまして、四・三%の伸び率を確保するなど、内需拡大に配意したところであって、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めてまいりたい、このように考えます。  次は、円相場急騰の問題についてであります。  総理からお答えがございましたが、十八日の月例経済報告等関係閣僚会議において、最近の急速な円高経済に与える影響等を踏まえ、どのような対応が可能か、この問題について、関係省庁検討するよう総理から強い指示がありました。既に中小企業転換法等の施行が行われておるところでありますが、これまでの円高影響等についてさらに勉強をして、そして関係省庁が一体となって取り組んでまいりたい、このように考えます。  次は、内需拡大のための所得減税の問題でございますが、御案内のように、公平、公正、簡素、選択並びに活力、こういうことから、所得税負担あり方を含め、シャウプ税制以来の税制全般にわたる広範な検討が進められておるところでありますので、その結論を得ない前に減税実施するということは、適当でないと考えております。なお、所得税減税の問題につきましては、三月四日の与野党合意を踏まえ、今後、各党間で合意を得るよう協議することとされておりますので、その協議の推移を見守って対応すべきものである、このように考えます。  それから、大型プロジェクトの問題よりも生活環境整備の積極的な問題に対しての財政出動、こういう御意見であります。  公共事業執行に当たっては、地域のニーズに対応しながら、全国的にバランスのとれた社会資本整備が必要であります。このため、六十一年度においては、従来と同様、大規模プロジェクトだけでなく、住宅対策防災安全対策生活基盤整備等生活に密着した施策を鋭意推進していくという考え方であります。  それから、国と地方との役割分担財政の裏づけ問題でありますが、国と地方は、共通行政目的の実現を分担して、責任を分かち合う関係にありまして、行政が総合的、効率的に行われるためには、国と地方がそれぞれの機能と責任を分かちながら、相互に協力していくことが必要であります。したがって、国と地方役割分担につきましては、国、地方を通ずる行財政改革の重要な課題であって、臨調答申趣旨等に沿って、行財政簡素合理化地方公共団体自主性自律性の尊重という観点に立って、見直しを図ってきたところであります。したがって、国と地方との財政は、税源配分交付税交付金補助金等により、密接な関係を有しておるところでございますが、このような国と地方の間の税財源配分の問題については、国と地方役割分担の問題や、国と地方財政状況等を踏まえつつ、幅広い角度から検討を行っていくべき課題である、このように考えておるところであります。  そして次が、たばこの問題であります。  昨年十二月十七日の税制調査会答申に述べられましたように、抜本改正を前にして、基本的には現行税制を動かさないという姿勢で税制改正には対応してまいりました。そこで、六十一年度予算編成作業が進む中で、補助金等整理合理化に伴う地方財政への影響等を考慮しますならば、地方財政対策として、たばこ消費税の引き上げが必要であるとの観点から、十二月二十日夕刻、今回の措置を決定したものであります。したがって、税調答申に間に合わなかった、二十一日の税制調査会総会にお諮りして追認をしていただいた、この措置につきましては、各方面に対し、事後ではありますが、私なりにそれぞれ御了解をいただきたいと御説明を申し上げてきたわけであります。税制の抜本改革の妨げとならないよう、したがって、一年限りの措置といたしたところであります。  それから次の問題は、縦割り、横割り、こういう御意見でございました。  補助金問題検討会においては、国と地方の間の役割分担、費用負担あり方等について、幅広い見地から検討が加えられたところでございますので、言ってみれば、それこそ両論併記の問題もございましたけれども、原則的にいわゆる縦割りで、いろいろな検討を行った結果の措置であります。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣小沢一郎君登壇
  26. 小沢一郎

    国務大臣(小沢一郎君) 中村先生にお答えいたします。  地方自治についてでございますが、地方公共団体が、住民のニーズにこたえまして、その役割を十分に果たしていくためには、地方自主性を強化するとともに、何といっても、地方財政基盤の充実強化を図ることが第一であります。今後とも、地方分権推進の観点から、事務事業見直しを積極的に進める一方で、地方財政の健全化及びその財政基盤の強化を図るために、地方一般財源の充実確保に私どもとしては努めていかなければならないと考えております。  それから、補助金見直しについてでございますが、ただいま大蔵大臣からも答弁ありましたけれども、この点につきましては、先生御指摘のような考え方に立ちまして、今後も整理合理化を積極的に推進する必要があると私どもも考えております。したがいまして、引き続き関係省庁に対しまして強く要請してまいりたい、そのように考えております。(拍手)     〔国務大臣今井勇君登壇
  27. 今井勇

    国務大臣(今井勇君) 今後の福祉行政あり方についてのお尋ねに対しまして、中村議員お答えをいたしたいと存じます。  今後の福祉行政あり方について、大事な点は二つあると考えております。  その第一は、本格的な高齢化社会を控えて、年金や医療といった基盤的な制度を揺るぎないものとしていくことが必要であります。したがいまして、今後とも、経費の増大の見込まれるこれらの制度につきまして、給付と負担の両面から公平を図り、国民の信頼に足るものとしていくことは、極めて重要な課題であります。  第二に、寝たきりであったり、また身体に障害を持つ恵まれない方々に対しまして、思いやりのある施策を講じていくことがいわば福祉の原点でありまして、今後とも重要な課題であると考えております。なお、在宅福祉対策につきましては、お年寄りや障害者の方々が住みなれた地域や家庭で生き生きと安心して暮らすことができるように、対策の拡充を図ってまいりたいと考えておるものでございます。(拍手)     ─────────────
  28. 坂田道太

    議長坂田道太君) 古川雅司君。     〔古川雅司君登壇
  29. 古川雅司

    ○古川雅司君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました国の補助金等臨時特例等に関する法律案について、総理並びに関係大臣に対し質問を行うものであります。  中曽根内閣は、発足以来、一貫して財政再建公約を掲げてまいりました。しかし、今日に至ってもその見通しすら全く立たない実情にあります。  すなわち、六十一年度予算案における赤字国債発行額は、六十年度当初予算よりわずかに四千八百四十億円の減額にとどまりました。この結果、六十五年度赤字国債発行から脱却するには、毎年度一兆三千億円の発行額の減額が必要となり、六十五年度赤字国債脱却という目標は事実上、放棄されてしまったことは、繰り返し指摘されているところであります。また、毎年度のように何らかの形で増税が繰り返され、その上、六十一年度たばこ消費税の引き上げが予定されているように、「増税なき」などという公約は、全くの言葉だけに終わっているのであります。  本法律案は、財政再建関連法案と言われるだけに、まず、私は、政府財政再建に関する基本的姿勢についてお尋ねするものであります。  六十五年度赤字国債脱却は、ほとんど不可能になっているにもかかわらず、総理は、あくまでもこの目標を堅持すると強弁されております。それならば、歳入歳出両面にわたって、国民の納得のいく具体的な手順と方途を盛り込んだ財政再建計画を、国民の前に示すべきであります。総理は、過日、定量的分析は困難であるとの趣旨答弁をされておりますが、六十五年度赤字国債脱却という方針を堅持される以上、その目標をどのように達成するかを示す責任政府にはあるはずであります。総理並びに大蔵大臣の見解を求めるものであります。  財政再建がかけ声倒れに終わっている原因の一つは、政府が、税の自然増収を確保する積極的な財政運営に転換すべきであるという私どもの主張に耳をかさず、縮小均衡型の財政運営に終始してきたことであります。六十年度補正予算で、四千五十億円の税収の減額修正と、それと同額の赤字国債の追加発行を余儀なくされた事実が、縮小均衡型の財政運営の矛盾を端的に示したものであると言っても過言ではありません。財政再建を着実に進めていくためには、縮小均衡型の財政運営が、逆に財政再建を遠ざけてきたこれまでの経緯からいっても、拡大均衡型の積極的な財政運営に転換すべきであり、私は、政府政策転換を強く求めるものであります。総理並びに大蔵大臣の見解をお伺いするものであります。  私どもが、日本社会党、民社党、社民連と共同で、六十一年度予算案を修正し、二兆三千億円の所得税、住民税減税公共事業の追加等を要求したのも、積極財政によって国民生活を守るとともに、財政再建の活路を見出すべきであると考えるからにほかならないのであります。私は、去る三月四日の共産党を除く与野党書記長・幹事長会談において合意された各項目につき、政府が誠意を持って実行されることを求めるものであります。特に、六十一年中に所得税減税実施することについて強く要求し、総理並びに大蔵大臣答弁を求めるものであります。  また、たばこ消費税の引き上げは、「増税なき財政再建」に明らかに反するものであります。総理は、一年限りの措置であり、「増税なき財政再建」に反するものではないという趣旨答弁をなされておりますが、それならば、今回の措置は、六十一年度限りのものであることを確約できるのかどうか、しかと承りたいのであります。  財政再建をおくらせているもう一つの理由は、本来的な行財政改革を棚上げして、財政の帳じり合わせに終始していることであります。すなわち、政府は、一般会計の歳出の伸び率を抑制するために、本法律案のようにつじつま合わせのために、一方的に負担地方自治体に転嫁したり、後年度負担を繰り延べする措置を繰り返しているのであります。  そこで、次に、本法律案の問題点についてお伺いをいたします。  総理は、昨年この壇上で、我が党議員の質問に答え、「補助金力ットの問題は、暫定措置として行うこととして、六十一年度以降の補助率あり方については国と地方役割分担、費用分担の見直し等とともに検討いたしたいと思います。」と答弁されました。補助金問題検討会報告は出されておりますが、ここでは一般論が述べられているにすぎないのであります。総理の言う国と地方役割、費用分担等の見直しが行われないまま、本法律案によって補助金削減を継続することは、明らかに総理答弁と食い違っております。総理は、このような矛盾をどのように説明をするのか、明確にされたいのであります。  本法律案によって一兆一千七百億円の補助金が削減されておりますが、臨時行政調査会、いわゆる第二臨調の最終答申では、補助金等の「改革の方向」として次のように述べております。すなわち、「国と地方との関係から見るとき、補助金等整理合理化という課題は、実は、国と地方とが共同して行っている行政施策そのものについて整理合理化検討することであり、また、国と地方との費用分担の在り方を検討することにほかならないと言うことができる。」すなわち、この答申は、補助金等整理合理化は、行政施策全般の見直しや国と地方の事務分担及び費用分担のあり方検討することであると述べているのであります。先ほど紹介した総理の昨年の答弁は、こうした臨調答申を踏まえたものであったはずであります。  私は、本法律案のような補助金の一律削減を、昨年度に続いて今後三年間も続けようとするのは、臨調答申に明らかに反するもので、本来的な行財政改革とは到底言えるものではないと考えますが、総理並びに大蔵大臣に見解を伺うものであります。また、補助金削減措置を恒常化するようなことは行わないと明言できるのかどうかについても、お答えいただきたいのであります。  結局、このような措置は、国の負担地方自治体に押しつける以外の何物でもありません。確かに、一応財政金融上の措置は講じてありますが、それは主に、建設地方債の増発とその元利償還に対する交付税上の措置によるものであります。しかも、たばこ消費税の引き上げは一年限りとすれば、この引き上げ分による財政措置は、六十二年度以降は不明であります。たばこ消費税の引き上げが六十一年度限りとするならば、六十二年度以降の地方財政対策はどのように措置するのか、大蔵大臣から答弁をいただきたいのであります。また、六十年度及び六十一年度補助金削減に伴う地方財政対策のうち、六十六年度以降に措置するという交付税の加算について、どのように取り扱うのかについても、答弁を求めるものであります。  言うまでもなく、補助金削減は、本来的な行財政改革とは無縁のものであります。私どもは、国と地方自治体との間の行政権限の再配分や財源の再配分などに取り組むよう強く要求してまいりましたが、総理努力がどれだけ実を結びつつあるのか、全く明確にされておりません。その責任をどうするのか、お示しいただきたいのであります。  また、自治大臣は、今回このように補助金削減措置が継続されることについて、地方行財政政策責任者として、昨年の強硬な反対姿勢を思い合わせ、どのように認識をしているのか、お伺いしたいのであります。さらには、こじつけの地方富裕論で、国の負担地方に借金という形で押しつけることは許されません。国と地方自治体との関係見直しはどのように進められるべきなのか、あわせて答弁を求めるものであります。  私は、補助金の削減については、これを撤回し、あわせて、補助金削減に伴う財政金融上の措置として予定されるたばこ消費税の引き上げを、見送るよう要求するものでありますが、総理並びに大蔵大臣の見解をお尋ねするものであります。(拍手)  さらに、厚生年金特別会計等への国庫負担の繰り入れ減額措置についてお尋ねいたします。  昨年、竹下大蔵大臣は、六十一年度以降の繰り延べについて、六十一年度より年金制度改革実施が予定されており、繰り延べ措置をこのまま延長することには問題があるという趣旨答弁をされております。今回の繰り延べ延長措置について、どのように説明されるのか、昨年の答弁を踏まえてお答えいただきたいのであります。既に六十年度までに、厚生年金特別会計等への国庫負担の繰り延べ額は、一兆四百九十億円に及んでおります。六十一年度も同様の措置がとられるならば、一兆三千五百三十億円にも達するのであります。私は、このような負担の繰り延べは、明らかに財政再建に反するものと言わざるを得ません。あわせて、今後どのようにこれまでの繰り延べ額を返済していくのか、返済計画についても、総理並びに大蔵大臣にお示しいただきたいのであります。  以上、重点項目に絞って質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣責任ある明確な答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  30. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 古川議員にお答えをいたします。  まず、具体的な財政再建計画でございますが、この点につきましては、前から申し上げているように、現在の経済状況というものは、非常に変動的要因が多うございます。為替の問題にいたしましても原油の価格の問題にいたしましても、非常に変化が多いわけでございます。そういう状況もとに、定量的でリジッドな財政計画の策定は極めて困難でございまして、「展望と指針」によりまして大体の見当をつけていただいておりまして、それで御了解願いたいと思うのであります。  積極的な財政運営についての御質問でございますが、六十一年度予算において、厳しい財政事情もとではありますが、景気の維持拡大にはできるだけの努力をしたつもりでございます。公共事業についても、昨年三・七%に対してことしは四・三%と、事業量を大きくしておるわけでございます。公債の増発による積極的な財政運営を行いますと、ある程度の税収増は見込まれますが、それを上回る公債の元利払いの負担が発生してまいりまして、後年においてなお苦しむという状況も考えなければならないと思います。  次に、所得税減税の問題については、各党間での協議の推移を見守りたいと思います。先般の書記長・幹事長会談の合意は、これを誠実に守っていく決意でございます。  次に、たばこ消費税の問題でございますが、これは臨時異例的な措置としてお考え願いたいと思っております。そのような観点から、税制の抜本改革の妨げにならないように、一年限りの措置としておるわけでございます。来年以降の措置については、税制調査会の抜本改革審議の結論等を待って対処いたしたいと思います。  次に、補助率見直しの問題でございますが、補助金問題検討会においては、国と地方役割分担、費用負担あり方等について、幅の広い検討が行われました。その報告では、役割分担見直しの基本的方向、老人福祉等の社会保障の分野において機関委任事務を団体委任事務に改めることが提言されております。六十一年度予算におきましては、この検討会におけるこうした検討結果を踏まえまして、社会保障を中心に事務事業見直しを行いながら、補助率の総合的見直しを行ったものであります。  次に、補助率見直し行財政改革の問題でございますが、六十一年度予算においては、補助率の総合的な見直しを行いましたが、同時に、地方に同化定着した事務事業に係る補助金等一般財源化、不要不急の補助金等の廃止、及び類似の補助金等の統合メニュー化等の措置を講ずるなど、臨調答申等を踏まえ、補助金等整理合理化を推進いたしております。  補助率引き下げの問題でございますが、六十四年度以降の取り扱いについては、こうした経緯や今回の措置の性格を踏まえまして、今後の情勢推移、国、地方財源配分、役割分担等のあり方を勘案しながら、適切に対処してまいる考えでございます。  国、地方間の権限の再配分の問題でございますが、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化及び地方自治の尊重の観点から、住民に身近な事務は、住民に近い地方公共団体において処理できるよう、国、地方間の役割分担と費用負担あり方について、幅広く検討を行う必要があります。政府としては、臨時行政改革推進審議会の答申を踏まえて、機関委任事務及び国、地方を通ずる許認可権限等の整理合理化を行うための法律案を今国会に提出予定でございます。今後とも、国、地方役割分担等については、臨時行政調査会あるいは臨時行政改革推進審議会、地方制度調査会等の御意見を踏まえまして、適切に対処してまいります。  地方向けの補助率引き下げ撤回の御意見でございますが、今回の補助率見直しは、国と地方の間の役割分担、費用負担あり方等についての検討を踏まえ、社会保障を中心に事務事業見直しを行ったものであり、所要地方財政対策を講じ、地方行財政の運営に支障が生じないように対処しておりまして、撤回する考えはございません。  たばこ消費税の引き上げの問題も、これは地方財政対策上必要不可欠の措置でありまして、これを見送ることはできないと思います。  厚生年金等の繰り入れ特例措置でございますが、国民生活の安定を確保しつつ、財政収支の改善を図るためにとられたやむを得ざる措置であります。高齢化社会の到来に捕え、年金制度が果たす役割については十分認識しているところでありまして、返済についても、年金制度の安定的運用が損なわれないように適切に対処してまいるつもりでございます。  詳細につきましては関係大臣から御答弁いたします。(拍手)     〔国務大臣竹下登登壇
  31. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 総理から大部分お答えがございましたが、いわゆる「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」というものに沿いまして、財政改革を着実に推進していくという考え方で、具体的に歳出歳入両面を通じ、どのような施策の組み合わせによって財政改革を進めるかというような問題は、まさに国民合意と選択によるべきものでございますので、国会等の場で御議論が交わされる中で、国民合意が那辺にあるか、これを見出していく努力が必要であります。したがって、厳密な意味での定量的な財政計画を策定するという点につきましては、これは経済全体が流動的な中で、その一部門である財政の将来についてのみあらかじめそのような作業を行うことは、極めて困難であります。しかし、年々いわゆる「中期展望」、「仮定計算例」等におきまして、少しでも具体性のあるもので御審議の手がかりにしていただきたい、このように考えておるわけであります。  それから、拡大均衡型の積極財政への転換の御指摘であります。  限られた予算の中で、景気の維持拡大には可能な限りの配慮を図っております。総理からお答えがありましたように、いわゆる一般公共事業費の伸びでございますとか、あるいはまた民間活力の最大限の活用でございますとか、そのようなあらゆる知恵を絞って対応してきたわけであります。ただ、安易な公債の増発による問題ということは、やはり財政体質を一層悪化させるものだという原点に立っていなければならないと考えます。  それから、三月四日の与野党書記長・幹事長会談、この問題につきましては、これは最大限尊重すべき問題でありますし、その後の協議の推移を見守って対応すべき課題である、最も重要な問題意識として持っております。  次は、補助金問題検討会報告の点についての御議論でございます。  何としても、補助金問題検討会におきましては、国と地方との役割分担、費用負担あり方について、幅広い見地から検討が加えられました。したがって、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な団体において処理されるよう、事務の性格に即し見直しを進めることといたしたわけであります。一部両論併記の問題等もございましたが、やはり今回の問題は、まさに検討会の意見を踏まえた閣僚会議において、総合的に見直しを行って決定したものであります。  次は、臨調答申との比較についての御意見を交えた御質問でありましたが、これまで国の機関委任事務であった事務を地方団体の事務にするなど、社会保障を中心に事務事業見直しを行いながら、補助率の総合的な見直しを行っております。個々見直しを行っておりますので、補助率引き下げ幅も一律にはなっていないというのが、今回の措置でございます。  次に、補助金削減措置を恒常化することについて、それはないと明言しろ、こういうことでございます。  補助率見直しは、三年間の暫定措置でございます。したがって、今回の補助率見直しは、六十一年度以降の補助率あり方についての補助金問題検討会報告趣旨等を踏まえて、政策分野の特性に配慮し、事務事業見直しに努めながら、総合的な見直しを行ったものであります。あり方を一年かけて検討するための暫定措置といった昨年の性格とは、基本的に性格が異なっておるところであります。六十四年度以降の取り扱いは、今後の諸情勢の推移、国と地方との財政状況等を勘案しながら、その時点において適切に対処すべき問題であると考えております。  次は、たばこ消費税の問題でございます。  いずれにせよ、この問題につきましては、手続上御批判をいただくことは、甘んじて受けなければなりません。したがって、各方面に対し事後了承の努力を、この湯を通じ、また今後とも引き続いて行うべきものである、このように考えておるところであります。したがって、地方財政の運営そのものに支障が生じないよう今後とも措置していくということは、これは当然のことでございます。  それから、六十年度及び六十一年度補助金削減に伴う地方財政対策のうち、六十六年度以降に措置するという交付税の加算についての御質問でございました。  大蔵、自治両大臣の覚書において、「暫定的に、昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、その取扱いについては、」「暫定期間終了後、両省間で調整する」ということにいたしております。  補助金削減は撤回すべきでないか。これはまさに六十一年度予算の重要な柱の一つでございます。しかも、所要地方財政対策も講じて対応しておるところでございますので、撤回をする考えがあるかとお聞きになれば、ございませんと答えるしか、ほかに答える方法はありません。それから、たばこ消費税の引き上げは見送るべきだ、こういうことでございますが、必要不可欠の措置であったということを重ねて御理解をいただきたい。  次に、厚生年金特別会計等へのいわゆる繰り入れ減額措置についてでございますが、単純延長することは問題があるという答弁をしたことは事実でございます。したがって今度は、新たに導入する基礎年金分の国庫負担対象としないで、基礎年金発足前の三十六年四月前のいわゆる給付費等の経過的国庫負担の二分の一である三千四十億円にとどめた、こういうことでございます。  次は、繰り延べのいわゆる返済計画やいかにということでありますが、一段と厳しい財政事情もとで、国民生活の安定を確保しながら財政収支の改善を図るため、これからも引き続き努力をお願いしなければなりません。減額分は、財政改革をさらに一層強力に推進し、特例公債依存体質脱却後できるだけ速やかな繰り入れに着手するという基本方針を重ねて申し上げる次第であります。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣小沢一郎君登壇
  32. 小沢一郎

    国務大臣(小沢一郎君) 古川先生にお答えいたします。  ただいま総理大蔵大臣から答弁がございましたので、補足的に申し上げます。  まず、国庫補助負担率の問題でございますが、昨年五月以来、検討会におきましても鋭意検討が進められてまいりました。今回の措置は、基本的にこの検討結果を踏まえまして、社会保障を中心に事務の見直しもあわせて行われるわけであります。また、補助率カットの影響額につきましては、所要地方財政対策が講ぜられることになりましたので、自治省といたしましても、受け入れざるを得ないものとしたものであります。  次に、国と地方との関係見直しについてでございますが、これについても、詳しく総理からもお話ございました。国と地方の間の事務配分につきましては、国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方分権推進の観点から、事務事業見直しを今後も積極的に行っていかなければならないものと考えております。同時に、そのような国と地方役割の分担に応じて、適切な財源の配分を行う必要がある、そのように考えております。(拍手)     ─────────────
  33. 坂田道太

    議長坂田道太君) 神田厚君。     〔神田厚君登壇
  34. 神田厚

    ○神田厚君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております国の補助金等臨時特例等に関する法律案に対し、総理並びに関係大臣質問をいたします。  最初に、政府財政政策についてお伺いをいたします。  政府がとってまいりましたこれまでの経済運営は、財政の果たすべき景気調整機能や資源の適正配分などの機能を全く無視したものでありました。すなわち、それは、単純一律的な歳出削減、機械的かつ硬直的な国債減額、物価上昇に見合った所得減税の見送り、政府公約に反する増税の連続などでありました。     〔議長退席、副議長着席〕 このような経済運営が、我が国経済の適正成長を妨げ、税収の伸び悩みによる財政の一層の悪化を招いてきたことは、既に明日であります。そして、それらの政策の継続は、我が国経済が直面する三つの課題、すなわち、対外経済摩擦の解消、史上最高値を更新しつつある円高不況の克服、「増税なき財政再建」の達成のいずれの解決にも、逆行する道と言わざるを得ないのであります。  かかる見地から、我々は、行財政改革の推進とあわせ、経済運営の速やかな転換を図り、大幅な所得減税、公共投資の拡大、単純一律のマイナスシーリングの廃止、赤字国債脱却目標年度の延期などを柱とする積極財政政策実施すべきであると考えるものであります。総理及び大蔵大臣のお考えはいかがでありますか、お尋ねをいたします。また、政府は、六十二年度予算編成に当たっても、マイナスシーリングを実施する方針であるのかどうか、赤字国債脱却に対して、弾力的に対処する方針をお持ちなのかどうか、あわせて御所見をお伺いいたします。  同時に、我々は、財政再建達成や適正成長の実現などを図るため、今後のあるべき経済財政指標の目標値や政府政策選択を具体的に盛り込んだ中期経済財政計画を早急に策定するよう、政府に強く求めるものであります。政府は、これらを約束されるのか否か、総理並びに大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。さらに、我々は、国民の将来に対する不安感、不透明感を払拭すべく、特に租税負担率の将来目標値を明示すべきであると考えるものであります。少なくとも、政府財政試算に基づく租税負担率の今後の推移歳入不足増税によって賄った場合の推移を明らかにすべきだと考えますが、あわせてお伺いをいたします。  次は、補助金問題についてであります。  初めに、政府の今回の措置は、国会の意思と国民への約束を踏みにじるものであることを指摘せざるを得ないのであります。  政府は、昨年、世論の強い反対を押し切り、二分の一を超える高率補助率の一律一〇%カットを強行いたしました。その際、政府が約束したことは、かかる一律カットは一年限りの暫定措置であること、六十一年度予算編成までに国と地方との役割分担、費用負担見直しなど、補助率あり方について検討を加え、結論を得るということでありました。国会もまた、衆参両院において、補助率の一律カットを六十年度限りの措置とし、補助金制度の抜本的見直しを行うことを附帯決議において政府に求めたのであります。しかるに政府は、このような動向を無視し、今回は、カットの対象補助金全体に拡大し、しかも三年間の暫定措置として、昨年の愚を再び繰り返したのであります。国会の意思と国民への約束を被ったこれらの事態を政府はどのように考えておるのか、総理の御所見を求めるものであります。(拍手)  次に、補助金整理合理化を今後どのようなスケジュール、手順によって進めていくのかということについて、お伺いいたします。  言うまでもなく、国費の膨大なむだを生んでいる補助金整理合理化は、行政改革及び財政再建の根本的課題であります。縦割り行政の弊害を除去し、肥大化した組織、機構を縮小し、行政の簡素効率化を進めること、同時に、地方分権を推進し、地方地方時代到来にふさわしく、自主的かつ創造的な行政施策を展開できるようになるためには、国の補助金の抜本的整理合理化が不可欠であります。補助金の使われ方も、中央官庁の地方団体に対する関与の手段として利用されたり、ある場合には政治家の集票手段として利用されたり、種々問題を惹起しているのであります。また、補助金額より申請事務等に要する経費が高いというような、信じられないようなことも起こっているのであります。民間の調査によれば、例えば、文部省の社会教育集団学習奨励金の場合、補助金額三十万円に対し、申請事務等の経費は三・三倍の百万円となっているなどであります。  このように、補助金整理合理化は、行財政改革の根本的課題であるにもかかわらず、政府がそれを今後どのように進めていくのか、全く明らかにされておりません。昨年度は、大蔵、厚生及び自治三大臣の覚書により、補助率あり方について政府部内で検討することとしておりましたが、これに比べ今回は、政府姿勢後退が非常に目につくのであります。政府は、補助金整理合理化について、今後、これをどのように進めていく方針をお持ちか、検討するための権威ある機関を設ける考えがあるのかどうか、また結論はいつをめどとするのかなどについて、総理並びに大蔵大臣の方針をお伺いいたします。  次に、第二交付税構想についてお伺いいたします。  総理も御承知のように、民社党は、公共事業関係補助金、すなわち道路、河川など地方財政法第十条の二に列挙されている事業に使う国の支出金を、地方に一括交付する第二交付税制度の創設を訴え続けてまいりました。そのことは、各事業の整備順位や個別の選択を自治体に任せ、事業間の整合性を図るとともに、財源を一括交付することによって、縦割り行政の弊害を除去し、補助申請事務手続の煩雑さ、むだを省くことができると考えたからであります。かかる第二交付税制度の具体化に当たっては、国の計画との整合性など検討すべき課題が多いことは、我々も十分承知しております。政府もまた、我々の構想の趣旨には賛同していただけているものと理解をしておるものであります。  我々は、かかる見地から、政府に対し、第二交付税制度の創設に向けた具体的検討を求めるものでありますが、当面の措置として、比較的局地的事業に係る公共事業、例えば、都市計画法に基づく各種事業、道路舗装や道路改修事業などについては、交付金として地方に一括交付する措置を講ずべきであると考えますが、総理並びに大蔵、自治両大臣の御所見をお伺いいたします。  次に、たばこ消費税増税についてお伺いします。  政府は、本法案に連動する形で、国、地方たばこ消費税増税実施しようとしております。この決定は、国の財政運営の失敗の責任地方公共団体にとどまらず、国民に転嫁するものであり、まことに遺憾であります。また、この決定が政府税調の答申後に行われたことは、政府みずから税調を無視したものであり、ゆゆしい問題であると言わざるを得ません。しかも、今回の補助率カットが三年間の暫定措置としていながら、たばこ消費税増税は一年限りの措置とされているなど、その場しのぎの対策に終始していると言っても過言ではありません。政府は、税調無視の決定をどのように考えるのか、一年後はたばこ消費税の税率をもとに戻すのかどうか、その場合の地方財政措置はどのように考えるのか、これらについて大蔵大臣の明快なる答弁を求めるものであります。  さらに、地方交付税について御質問をいたします。  補助率カットに伴う地方財政対策として、建設地方債の増発、その元利償還を地方交付税で措置するという措置が講じられている結果、本来、地方公共団体固有の一般財源である地方交付税は、国の財政政策の調整の手段として利用される性格を強めつつあります。まことにゆゆしい事態と言わざるを得ません。今後の高度福祉社会においては、国民が日常生活を営んでいる地方行政役割がますます重視される社会であり、地方がその役割を果たせるようにするためには、地方分権を推進し、国に偏った税財源地方への再配分を図ることが、不可欠の課題であります。政府措置は、時代の要請に逆行するものと言わざるを得ません。政府は、地方交付税の現状をどのように判断されているのか、また、地方財政余裕論を背景として、地方交付税率の引き下げ検討されているやに聞きますが、事実はどうなのか、大蔵、自治両大臣の御見解をお伺いします。  最後に、行政改革の今後の進め方についてお伺いいたします。  行政改革は、いまだ緒についたばかりであり、行政機構の再編合理化、地方出先機関の整理縮小、補助金整理合理化、特殊法人、公益法人の整理など、本来の行政改革にはほとんど手がつけられておりません。このような状況の中で、臨調答申の実行を監視し、政府に行革の実行を求めてきた臨時行政改革推進審議会、いわゆる行革審がこの六月をもって任期切れを迎えることは、行政改革を道半ばにして放棄させることにつながりかねないのであります。今、行革の火を消してはならないのであります。高齢化や国際化時代対応し、二十一世紀に向けた活力ある福祉社会の基盤を築くためには、行政改革の断行が不可欠であり、それを中途で挫折させるようなことがあってはなりません。(拍手)  本日、我が党の塚本委員長総理に行革審の存続を申し入れましたが、我々は、かかる見地から、行革審の任期の延長を図り、行政機構の再編合理化等の行革本来の課題についての答申をまとめ、政府がそれを着実に実行する体制を整えるべきであると考えるものであります。総理の明快なる御方針をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  35. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 神田議員にお答えをいたします。  まず、積極財政論でございますが、政府も、公共事業費等につきましては、事業量を拡大するために積極的に努力しているところでございます。なお、公定歩合を引き下げるとか、さまざまな弾力的な措置も行っているところでございます。お示しのように、建設公債を増発するというようなことは、現段階におきましては、これは必ずしも適切でないと我々は考えております。所得税減税につきましては、現在、税調におきまして御審議願っているところであり、政府も、その答申を得て大幅な税制改革を行いたいと考えております。  次に、六十二年度概算要求基準でございますが、臨調答申の方針に沿いました予算編成を続けざるを得ないと思います。そういう考えに立って、概算要求も進めてまいりたいと思います。  六十五年度赤字国債依存体質からの脱却、この旗を下げるわけにはまいりません。我々は、あらゆる工夫、努力をいたしまして、所期の目的を達するために努力をする考えでおります。  具体的な中期経済財政計画につきましては、この前も申し上げましたように、非常に変動的要因が多い状況でございまして、定量的な、リジッドな財政計画の策定は極めて困難でございます。政府は、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」を策定いたしまして、大綱をお示ししておりますが、昨年十二月には、これを事態の変化と要請に柔軟に対応し得るように、第二回目の見直し作業を行ったところでございます。  租税負担率の問題でございますが、国民負担率については、臨調答申におきましても、西欧の水準をかなり引き下がった水準に据え置くように要請されております。我々は、これをぜひ守りたいと考えております。次に、将来の租税負担率はどれぐらいであるかということを申し上げますと、一応機械的に計算しますと二五・四%程度になります。歳入不足増税で賄った場合の租税負担率等については、歳入不足の推計等仮定の置き方により異なるために、一概には申し上げにくいと思います。  補助率引き下げにつきましては、六十一年度予算において、補助金問題検討会報告趣旨を踏まえて、社会保障等を中心に見直しを行ったところでございます。  次に、補助金整理合理化の問題でございますが、今日の厳しい財政状況もとで、国、地方を通ずる行財政改革を推進するためにも、補助金等整理合理化は、今後とも推進していかなければならない重要な課題であります。臨調答申あるいは行革審意見等も指摘しております補助事業の廃止縮小、地方へ同化定着した事務事業一般財源措置への移行等を引き続き推進する所存でおります。  公共事業補助金の交付金化の問題でございますが、限られた財源国民経済的見地から効果的に活用するために、長期計画等に基づいて個別的に審査し、事業を実施することは、十分な合理性があります。したがって、御指摘の交付金制度の導入というものには、慎重たらざるを得ないと思います。  行革審の任期の問題でございますが、臨時行政調査会、いわゆる臨調あるいは行革審等につきましては、今次行革の推進につきまして多大の貢献があり、私は高く評価しておるところでございます。行革審設置期限後の行革推進体制のあり方につきましては、目下行革審は懸命の作業をしておる最中でもありまして、行革審の意見等も聞きつつ、慎重にその対応検討してみたいと考えて、まだ決めてはおりません。しかし、行政改革の推進につきましては、今後とも不退転の決意で取り組んで、必要な措置を講じてまいりたいと思っておる次第であります。  詳細は関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣竹下登登壇
  36. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初は、いわゆる政策転換、こういうことでございます。大幅な所得減税、公共投資の拡大、単純一律マイナスシーリングの廃止、赤字国債脱却年度の延期、こういう御意見でございましたが、この問題については、言ってみれば、後世代への影響等を考えますとき、にわかにその御意見に賛同するわけにはまいらないということであります。ただ、所得税減税につきましては、いずれにせよ、抜本的見直しの結論を得ない段階で実施することは、適当でないと考えますが、三月四日の与野党幹事長・書記長会談の合意があるということは、十分承知をいたしておるところであります。  マイナスシーリングをまだやるか、こういうことでございます。  財政対応力を回復するために、毎年度予算編成においては、厳しい概算要求基準を設定して、各省庁が所管予算の根本的見直しを行うことを出発点として、今日までも努力をしてまいりました。したがって、今決めたわけではございませんが、今後とも節減合理化に最大限の努力を払うべきであるという問題意識であります。  次が、六十二年度予算編成に当たっては、赤字公債脱却に対して弾力的に対処する考えはないか、こういう御意見を交えた御質問でございましたが、目標先送りという問題は、歳出増加圧力が強まりまして、いわば今日までの節減合理化努力が水泡に帰するおそれがある。だから、目標先送りということににわかに賛成するわけにはまいりません。  次が、補助金特例法の問題につきましての課題でございます。  中期経済財政計画を早急に策定すべきだ。何回もこれは御提言をいただいた問題でございますが、やはり毎年毎年の予算編成に際して、可能な限り現実的な中期展望とかあるいは仮定計算とかを年々努力してお出しして、そして、今後の財政運営のいわば手がかりとしていただくというのが現実的であると考えます。  それから、租税負担率の目標値の問題、これはただいま総理からもお答えがございましたが、御案内のように、やはり租税負担社会保障負担率の二つを一緒にした国民負担率というものの中で議論する方が適切ではなかろうかとも思います。それで、「基本的考え方」でお示ししておりますように、「今後、高齢化社会の進展等により、現状よりは上昇することとならざるを得ないが、徹底的な制度改革の推進により、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめる」努力をすべきである。いずれにせよ、これは国民のいわば受益と負担との選択の問題であります。それが那辺に存在するかということを、国会の問答等を通じながら正確に把握すべき課題である、このように考えます。  その次が、補助金整理合理化のスケジュール、手順でございます。  これは総理からお答えがございましたが、補助事業の廃止縮小、地方へ同化定着した事務事業一般財源措置への移行、こうした措置は、今回で終わったわけではなく、引き続き毎年毎年行財政改革を推進するという立場から対応すべき問題でございます。  それから、かねて御主張にありましたいわゆる第二交付税を念頭に置かれた、また新たなる提案でございますが、これはやはりそれぞれに長期計画というものが存在するわけでございますから、効果的に国民経済的見地からこれを活用するためには、各箇所ごとの優先度を勘案して個別に審査実施していくということには、やはり私は十分な合理性があると考えております。しかし、例えば六十年度から導入しております地方道路整備臨時交付金というあの制度は、御意見の趣旨に沿ったものの一つではないかというふうに私は御意見を聞きながら感じたわけであります。  それから、たばこ消費税増税の問題、この手続の問題につきましては、たびたび申し上げますように、関係方面の御理解を事後において行った、これはそういう措置はとるべきでない、みずからの心に言い聞かしております。それから次は、税率をもとに戻すか戻さぬか、こういう問題でございますが、いずれにせよ、間接税のあり方につきましても税調で検討が行われるであろうというふうに考えております。したがって、抜本改正の妨げにならないという意味において、一年限りの措置としたものでございます。そして、やはり税制調査会の審議の結論を待って対処すべきものであろうと思っております。それから、六十二年度以降の地方財政措置をどうするか、これはやはり各年度地方財政収支見通しに基づいた所要地方財政対策を講じて、地方行財政の運営に支障がないように対処してまいりたい、これは基本的な認識であります。  それから、地方交付税の現状をどう見るかという問題でございましたが、各年度地方財政計画の策定を通じて、地方財政の円滑な運営に必要な額を今日まで交付税は確保しております。六十一年度においても、補助率見直しによります影響等を盛り込んで生じますところの地方財源不足につきましては、建設地方債、あるいはたびたび議論をいただいております国、地方たばこ消費税等によって補てんをしたわけでございます。それで、六十一年度地方一般財源比率、これは六十年度の水準をさらに上回っておるというのが現状でございます。基本的に交付税の問題ということになりますと、国と地方税財源配分の問題ということ、これは、地方交付税、地方譲与税、補助金、すべての角度から検討すべき問題であろうというふうに考えておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣小沢一郎君登壇
  37. 小沢一郎

    国務大臣(小沢一郎君) 神田先生にお答えいたします。  まず第一に、第二交付税交付金制度の問題でございますが、先生の御提言につきましては、一つの考え方として理解できるところでございますけれども、現在の国庫補助負担金制度のあり方と根本的にかかわる問題でございますので、これにつきましては、慎重に今後検討する必要があると考えております。  それから、交付税の問題でございますが、地方交付税率は、国と地方間の最も基本的な財源配分にかかわる問題であります。現在、地方財政は、五十八兆八千億もの借入金残高を抱えております。また、個々地方団体におきましても、公債費負担が年々上昇するなど、非常に厳しい状況に置かれております。また、地方交付税につきましては、国税三税の三二%という法定額では不足しているため、毎年度特例措置を講じ、所要額の確保を図っているところであります。したがいまして、現在、交付税率を引き下げ得るというような状況にはないことは言うまでもございません。  以上でございます。(拍手)     ─────────────
  38. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 岡崎万寿秀君。     〔岡崎万寿秀君登壇
  39. 岡崎万寿秀

    ○岡崎万寿秀君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、いわゆる補助金臨時特例法案について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  質問に当たって、私は、昨年の補助金カット一括法案審議した際の政府答弁を読み返し、強い憤りを覚えました。そこで政府は、繰り返し国民生活に直接影響はないとか、この措置は一年限りだとか答弁しています。だが実際には、その約束は完全にほごにされたのであります。本法案によって、地方自治体への補助金のカットは、さらに引き下げ対象やカット率が拡大し、昨年の二倍、約一兆二千八百億円に増大され、引き続き三年間延長されようとしています。それが自治体と住民に耐えがたい犠牲を強いるものであることは明白であります。  総理、本法案の提出に当たって、昨年の約束をほごにした責任はどう考えるのですか。今日の財政破綻の根本要因である軍拡と大企業奉仕の政治にメスを入れず、地方自治体や社会的弱者へそのツケを転嫁するのは、反国民的ないじめ政治そのものではありませんか。初めにあなたの所見をただすものであります。(拍手)  私は、この間、都内の各種の福祉施設を訪ね、関係住民と対話をしてきました。そこで出されたのは、補助金カットに対する不安であり、怒りの声でありました。私は、ここでその声を代弁して、以下、本法案の具体的な問題点についてただしたいと思います。  まず第一は、これによって地方財政がさらに圧迫され、国民生活に重大な打撃を与えずにはおかないという問題であります。  例えば、昨年の生活保護費に対する国庫負担率の引き下げによって、生活保護受給制限が一段と強化され、受給世帯は昨年四月以降、減少の一途をたどっています。本来なら受給の対象となるべき世帯が、この制度の適用を受けることなく、非人間的な暮らしを強いられているのです。昨年来特に顕著なのが、就労指導の名による異常な受給制限であります。東京大田区での一例ですが、最近、五十一歳の脳腫瘍でいつ倒れるかわからない、しかも肝臓が悪く、糖尿病でもある婦人に、一時間くらいなら働けるだろうと執拗に就労を勧める事例さえ起きています。また、老人ホームや障害者の福祉施設などの措置費に対する国庫負担率の大幅な引き下げが、どんな結果をもたらすか。多数のお年寄りや障害者、その家族の切なる希望がかなえられない事態が、さらに深刻化することは明らかであります。半身不随の病妻を自宅で介護する年老いた夫が、生きるも地獄と語ったことが印象的でした。  総理、あなたは、今国会の施政方針演説で、国民が生きがいを持って日々の生活を送るとか、寝たきり老人など社会的弱者に対するきめ細かい配慮をすると述べられたが、この法案によって、さらに追い込まれる生活保護者、お年寄りや身体障害者の暮らしを、一体どう救済されるのか、御答弁願いたいと思います。  さらに、保育園など措置費が、本来の八割から昨年は七割、今回は五割に大幅カットされることのもたらす影響も重大であります。東京・中野区の場合、それによる減額は二億五百万円に上り、単純計算をすると、一保育園当たり年五百万円、児童一人当たり五万七千円の被害を受けることになります。昨年の一割カットでも、各地で保育料の値上げとなり、そのため入園できない子供がふえ、定員割れや保育条件の悪化をもたらしています。総理、児童福祉法第五十三条は、国は保育単価のうち、保護者負担分を除く残りの十分の八を負担することを定めています。日本の将来を担う児童の福祉に対する財政のしわ寄せは、絶対許せないと思います。保育園などへの国庫負担を大幅削減し、ひいては保育制度そのものを破壊する本法案は、まさに児童憲章と児童福祉法を真っ向からじゅうりんするものではありませんか。総理並びに厚生大臣の見識を問うものでございます。  次に、本法案による児童生徒急増地域における校舎や公立養護学校の建物の新増築に対する国庫負担率の一層の引き下げ措置が、マンモス校の解消や障害児教育の充実を困難にするものであることは明らかであります。また、義務教育諸学校の教職員の追加共済費と恩給に対する国庫負担率の引き下げは、義務教育費国庫負担制度の根幹を切り崩すものではありませんか。文部大臣はなぜこうした措置を容認されたのか、御答弁いただきたいと思います。加えて重大なことは、昨年より教材費に対する国の負担を放棄した点であります。この措置によって、地方の小中校における教材費が圧縮され、埼玉県の草加市など、六七・四%の大幅削減となっています。昨年、松永前文部大臣は、教材の充実を図ってまいりたいと国会でも約束されましたが、実際に進行している事態は、この約束に明白に違反しています。これらは、教育条件を完備する国の責任を放棄し、教育基本法の原理にもとるものではありませんか。総理並びに文部大臣の答弁を求めます。  次に、公共事業にかかわる国庫負担補助率引き下げの大半が、地すべり防止、森林保安や離島、沖縄や小笠原などの振興開発、漁港や地方整備などの国民生活密着型の公共事業に集中しております。これらのほとんどは、地方財政法第十条及び第十条の二に列挙された、国が進んで負担すべき国庫負担金であります。今回の措置が、国のとるべき責任を放棄し、内需拡大にも関連を持つ国民生活密着型の公共事業のおくれを、一層後退させる結果になることは明白です。地方自治への総理所見を問うものであります。(拍手)  第二は、本法案地方自治体への過大な財政負担を押しつけ、地方財政の危機に一層拍車をかける問題であります。  本院予算委員会の公聴会で、地方自治体を代表して公述した福岡県の田川市の市長が明らかにされたように、住民生活関連の地方独自の補助金をやむなく一括カットした自治体は、相当数に上っています。財政調整基金などの積立金を取り崩す自治体が相次ぎ、都道府県でいえば一昨年度二十九団体、六百七十七億だったものが、昨年度では三十九団体、二千四百六十九億円と大幅にふえています。市町村レベルでの影響は、さらに深刻な事態にあります。例えば、伊豆七島の新島本村では、昨年の補助金カットの影響で、約八千万円の財政調整基金が本年度予算で底をつき、その後は取り崩そうにも財源は全くないといった状態に置かれています。三年間もの補助金カットともなれば、地方財政と住民生活に与える打撃ははかり知れません。財政力の弱い自治体は、新規事業も取りやめ、住民はただ我慢をせよと言うのですか。総理並びに自治大臣答弁を求めるものであります。  しかも、本法案は、補助金カットによる地方負担増を緩和するため、財政金融上の措置を講ずるとしていますが、それを一本一円のたばこ消費税引き上げという大衆増税で、直接住民に負担させたところが重大であります。それも、合計一兆二千八百億円の巨額に上る地方負担増のうち、二千四百億円にすぎません。これが自治体への負担転嫁を禁じた地方財政法の原則に反するものであることは、明白ではありませんか。(拍手)その上、本法案は、たばこ消費税引き上げ以外は、すべて建設地方債の増発で賄うことにしていますが、公債費比率が既に二〇%を超える約四分の一の自治体では、借金さえできない事態が起きるのであります。それでは、地方財政の危機は深まるばかりです。これでどうして財政金融上の措置などと言えますか。総理並びに関係大臣のしかとした答弁を求めます。  第三は、三年間の臨時特例と言いながら、結局は補助金カットを恒久化し、制度化するのではないかという問題であります。  昨年も一年限りと言いながら、それを平然と踏みにじった内閣だけに、この国民の危惧は当然であると思います。総理、あなたは、三年後にはもとに戻すとなぜ明言されないのか、はっきりした答弁を求めるものであります。本法案によって財政面で地方自治体を締めつけ、一方、行政面では、今国会に提出された地方自治法一部改正案で裁判抜き代執行を企て、自治体の権限も奪う、こうして行財政両面から自治体を一段と締めつけることは、憲法がうたった地方自治の原則をじゅうりんするものではありませんか。総理所見を伺います。(拍手)  中曽根内閣の四年間に、軍事費は大突出し、その反面、国から地方への国庫支出金が大幅に削減されました。本法案による老人福祉施設措置費に対する国庫負担の削減一千二十八億円は、来年度発注するP3C対潜哨戒機の十機分の代金で十分賄えます。児童福祉施設運営費に対する国庫負担の削減一千七百九億円は、来年度発注する護衛艦三隻とF15戦闘機十二機分の代金でおつりが来るのであります。財政困難を言うなら、それに直接責任のない地方自治体や住民に犠牲をしわ寄せするのではなく、不要不急の軍事費こそ削減すべきではありませんか。(拍手
  40. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 岡崎君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
  41. 岡崎万寿秀

    ○岡崎万寿秀君 (続)それとも、軍事栄えて福祉地方自治を枯らす路線を無反省に突っ走るのか、総理姿勢をただすものであります。  最後に、またしても議会制民主主義を無視し、一括処理方式で提出された本法案の撤回を強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  42. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 岡崎議員にお答えいたします。  まず、補助率引き下げの問題でございますが、今回の見直しに当たりましては、所要地方財政対策を講じて、地方行財政の運営に支障がないように対処しております。行政サービス水準そのものについては、影響を与えるものではございません。  生活保護費につきましても、あるいは保育所の補助率の問題にいたしましても、いずれも適切な措置を講じて実行しておるものでございまして、児童憲章や児童福祉法をじゅうりんするものではございません。  教育関係費につきましても、同じように地方財政対策を講じて行っておるものでありまして、教育基本法の原理に反するものではありません。  公共事業費の補助率引き下げの問題につきましては、同額の国費でより多くの事業の実施が可能になるように措置をしていることは、前から申し上げているとおりであります。  積立金の取り崩しの問題でございますが、地方団体におきましては苦労しているところがあることは、よく知っております。しかし、個別地方団体の財政事情をよく聞きまして、地方交付税、地方債の配分を通じまして、財政運営支障を生じないようにやっております。  次に、建設地方債の増発による影響でございますが、その元利償還費を交付税に算入するとともに、起債制限比率が高い団体についても、発行制限はしないことに特別配慮しているわけでございます。  なお、六十四年度以降の取り扱いにつきましては、今回の経緯や今回の措置の性格を踏まえまして、今後の情勢の推移、国、地方財源配分及び役割分担あり方等を勘案しながら、適切に対処するつもりでございます。  代行制度の問題については、代行制度の改革は、その発動を著しく公益を害することが明らかである場合に限るとともに、最終的には、執行の停止も含めて、裁判所の公正な判断を仰ぐこととしております。同時に、罷免制度の廃止、機関委任事務に係る議会、監査委員の権限の拡充等、地方の立場も十分考慮しております。  防衛費の問題につきましては、社会保障費が九兆八千億円、防衛費は三兆三千億円でございまして、バランスはとれていると思います。社会保障の天守閣を守っている石垣が防衛費でありまして、この石垣が崩れたら城は崩れてしまう、我々はそう考えております。  次に、本法案をお願いいたしましたのは、この趣旨目的を同じくするという内容から一括したものであります。このような一括審議をお願いすることは、従来にも例があることでございまして、議会制民主主義を形骸化するものではございません。  残余の答弁関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣海部俊樹君登壇
  43. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 二点についてお答えをいたします。  最初の教育関係における補助率見直しについてでありますが、これは補助金問題検討会報告趣旨を踏まえて総合的見直しが行われ、教育関係もその一環として対応したのでありますが、地方財政当局とも御相談をし、地方公共団体においては、従来と同様な事業ができるように配慮がなされておりますので、言われるように教育基本法の原理に反するものとは受けとめておりません。  二つ目の共済追加費用と恩給に対する負担率についてでありますが、これも暫定的に二分の一から三分の一にする特例措置でございまして、これによって御指摘のように、義務教育国庫負担制度という大事な制度の根幹に文部省は手をつけようとも思っておりませんし、この制度の根幹は今後も維持してまいりたい、こう考えております。(拍手)     〔国務大臣今井勇君登壇
  44. 今井勇

    国務大臣(今井勇君) 二点につきまして、岡崎議員にお答えをいたしたいと存じます。  まず、補助率引き下げ措置の及ぼす影響についてでありますが、今回の補助率引き下げ措置は、国と地方の間の事務事業見直しに伴いまして費用負担の割合を見直すものでありまして、これによりまして増加します地方負担につきましては、所要地方財政対策が講ぜられております。したがって、今回の措置によりまして、御指摘のような状態は生じないものだと考えております。しかし、今後とも、社会的に恵まれない方々に対しましては、きめ細かな配慮のもと福祉施策の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、保育所についての補助率引き下げに対するお尋ねでありますが、今回の措置は、地方自主性を尊重する観点から、事務の見直しを行った上で、国と地方の間の負担割合を変更しようとするものでありまして、これに伴って増加いたします地方負担につきましても、所要の手当てが講じられております。したがって、今回の措置は、保育の水準に影響を与えるものではなく、児童憲章それから児童福祉法をじゅうりんするものという御指摘は当たらないものだと考えております。(拍手)     〔国務大臣小沢一郎君登壇
  45. 小沢一郎

    国務大臣(小沢一郎君) すべて総理から御答弁がございましたので、私からは補足的に申し上げます。  まず第一に、積立金の問題でございますが、予算編成地方団体において非常に厳しいことは、承知いたしております。今後、個別団体の財政状況を見ながら、財政運営支障が生じないように適切に対処してまいりたいと思います。  それから、第二の地財法の原則の問題でございますが、今回の措置は、基本的に事務事業見直しを行いながら補助率見直しを行ったものであること、それからまた、負担率の引き下げに伴う地方負担増加に対しましては、その補てん措置を講ぜられたことでございます。したがいまして、地方財政法の原則にもとるものではないと思います。  それから、建設地方債のことでございますが、今回増発される建設地方債につきましては、その八割以上に対しまして政府資金を充てることとしております。また、その元利償還費につきましては、所要の交付税算入措置を講ずることとしておりまして、起債の制限の基準となる起債制限比率を大きく高める結果にはならない。したがいまして、関係団体の地方債の借り入れに大きな障害になるとは考えておりません。(拍手
  46. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  47. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時三分散会